(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】新規な(パー)フルオロポリエーテルポリマー及びそれの使用
(51)【国際特許分類】
C08G 65/329 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
C08G65/329
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522488
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2021076929
(87)【国際公開番号】W WO2022078767
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トムソン, メアリー
(72)【発明者】
【氏名】フォンターナ, シモネッタ アントネッラ
(72)【発明者】
【氏名】ロティエルゾ, アンドレア
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA09
4J005BD05
4J005BD08
(57)【要約】
本発明は、抗微生物特性に恵まれている、新規な(パー)フルオロポリエーテルポリマーを含む組成物に、それらの製造方法に、及び抗微生物特性を有する組成物を提供するためのそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(R
pf)]を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(P
P)]であって、
- 第1の鎖末端が、第四級アンモニウム塩基[基(N
+)]を含む少なくとも1つの基と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含み;
- 第2の鎖末端が、パーフルオロアルキル基か又は第四級アンモニウム塩基[基(N
+)]かのどちらかと、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含む
ポリマー(P
P)。
【請求項2】
請求項1に記載のポリマー(P
P)であって、前記ポリマー(P
P)が、
- 鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(R
pf)]を含む二官能性(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(P
P-bif)]であって、両方の鎖末端が、第四級アンモニウム塩基[基(N
+)]を含む少なくとも1つの基と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含むポリマー(P
P-bif);又は
- 鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(R
pf)]を含む一官能性(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(P
P-monof)]であって、1つの鎖末端が1つのパーフルオロアルキル基を有し、他の鎖末端が少なくとも1つの第四級アンモニウム塩基[基(N
+)]と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含むポリマー(P
P-monof)
である、ポリマー(P
P)。
【請求項3】
前記鎖(R
pf)は、式:
-D-(CFX
#)
z1-O(R
f)(CFX
*)
z2-D
*-
[式中、
互いに等しいか若しくは異なる、z1及びz2は、1以上であり;
互いに等しいか若しくは異なる、X
#及びX
*は、-F又はCF
3であり、
但し、z1及び/又はz2が1超である場合、X
#及びX
*は-Fであることを条件とし;
互いに等しいか若しくは異なる、D及びD*は、シグマ結合、1~6個の炭素原子を含むアルキレン鎖であり、前記アルキル鎖は、1~3個の炭素原子を含む少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で任意選択的に置換されており;
(R
f)は、繰り返し単位R°を含み、好ましくはそれからなり、前記繰り返し単位は、
(i)-CFXO-(式中、Xは、F又はCF
3である);
(ii)-CFXCFXO-(式中、出現ごとに等しいか若しくは異なる、Xは、F又はCF
3であり、但し、Xの少なくとも1つは-Fであることを条件とする);
(iii)-CF
2CF
2CW
2O-(式中、Wのそれぞれは、互いに等しいか若しくは異なり、F、Cl、Hである)、
(iv)-CF
2CF
2CF
2CF
2O-、
(v)-(CF
2)
j-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、Zは、一般式-O-R
(f-a)-Tの基であり、R
(f-a)は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下:Xのそれぞれが独立してF又はCF
3である、-CFXO-、-CF
2CFXO-、-CF
2CF
2CF
2O-、-CF
2CF
2CF
2CF
2O-の中で選択され、Tは、C
1~C
3パーフルオロアルキル基である)
からなる群から独立して選択される]
の鎖である、請求項1又は2に記載のポリマー(P
P)。
【請求項4】
前記基(N
+)は、
(N
+-I) -N
+(R
h1)(R
h2)(R
h3)
(式中、
R
h1、R
h2、及びR
h3のそれぞれは、1~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖(前記アルキル鎖は、1つ以上の-OH基で任意選択的に置換されている);ベンジルから独立して選択されるか、或いはR
h1、R
h2、及びR
h3の少なくとも2つは、窒素原子と一緒に、4~5個の炭素原子及び前記窒素原子を含む脂肪族環を形成する)
を含む群の中で選択される、請求項1又は2に記載のポリマー(P
P)。
【請求項5】
前記基(U)は、
(U-I) -O-C(=O)-CR
H=CH
2
(U-II) -O-C(=O)-NH-CO-CR
H=CH
2
(U-III) -C(=O)-R
A-CR
H=CH
2
[式中、
R
Hは、H又はC
1~C
6アルキル基であり;
R
Aは、(R
A-I)及び(R
A-II)からなる群から選択され:
【化1】
(式中、
j5のそれぞれは、独立して、0又は1であり、
R
Bは、N、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含む、C
1~C
10脂肪族基;C
3~C
12脂環式基;C
5~C
14芳香族基又はアルキル芳香族基からなる群から選択される二価、三価又は四価の基である);
【化2】
(式中、
j6は、0又は1であり;
j7のそれぞれは、独立して、0又は1であり;
R
B’は、N、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含む、C
1~C
10脂肪族基;C
3~C
12脂環式基;C
5~C
14芳香族基又はアルキル芳香族基からなる群から選択される二価、三価又は四価の基であり;
R
B*は、R
B’に関して上で定義されたものと同じ意味を有するか、或いはそれは、式(R
B-I):
【化3】
(式中、
置換基Uは、上で定義されたような前記基(U-I)~(U-III)から選択され、
*及び#は、上の式(R
A-II)において窒素原子への結合部位を示す)
の基である)]
からなる群の中で選択される、請求項1又は2に記載のポリマー(P
P)。
【請求項6】
- 前記鎖末端が、前記基(N
+)を含む場合、前記鎖(Re)は、シグマ結合を介して、又はポリ(オキシ)アルキレン鎖[鎖(R
a)]を介して前記鎖(R
pf)に結合しており;
- 前記鎖(Re)が、前記基(U)を含む場合、前記鎖(Re)は、式:
*-R
10-NH-C(=O)-O-R
11-#
[式中、
*は、基(U)への結合を示し、
#は、鎖(R
pf)への結合を示し、
R
10は、トリ-アルコキシ-シリル基を含む基で任意選択的に置換された、1~6個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖であり;
R
11は、シグマ結合又はポリ(オキシ)アルキレン鎖[鎖(R
a^)]であり、前記鎖(R
a^)は、1~50個のフッ素を含まないオキシアルキレン単位を含み、前記単位は、互いに同じもの若しくは異なり、
-CH(J*)CH(J)-Oから選択され、J及びJ*のそれぞれは、水素原子、直鎖若しくは分岐アルキル又はアリールから独立して選択される]
の基を介して前記鎖(R
pf)に結合している、
請求項1又は2に記載のポリマー(P
P)。
【請求項7】
- 請求項2~6のいずれか一項に定義されたような(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(P
P-bif)]と;
- 請求項2~6のいずれか一項に定義されたような(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(P
P-monof)]と
を含む組成物[組成物(C
P)]。
【請求項8】
第1の組成物[組成物(INT1)の製造方法[方法(M1)]であって、前記方法(M1)が、以下のステップ:
(i)鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(R
pf)]を含む少なくとも1種の(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマーであって、両方の鎖末端が少なくとも1個の-OH基を含む(PFPE)ポリマー[PFPEポリマー(bif)]、又は鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(R
pf)]を含む(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマーであって、前記鎖末端の1つが少なくとも1個の-OH基を含み、他の鎖末端がパーフルオロアルキル基を含む(PFPE)ポリマー[PFPEポリマー(monof)]を提供するステップ;
(ii)前記PFPEポリマー(bif)又は前記PFPEポリマー(monof)の前記-OH基の少なくとも一部をエポキシ基へ変換し、こうして、
- 鎖(R
pf)の反対側の結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
bif-INT1]であって、両方の鎖末端がエポキシ基を含むポリマーP
bif-INT1を、
- 任意選択的に、鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
monof-INT1]であって、1つの鎖末端がエポキシ基を含み、他の鎖末端がパーフルオロアルキル基を含むポリマーP
monof-INT1との混合で
含む組成物(INT1)を得るステップ
を含む方法。
【請求項9】
- 鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
bif-INT1]であって、両方の鎖末端がエポキシ基を含むポリマーP
bif-INT1を、
- 任意選択的に、鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
monof-INT1]であって、1つの鎖末端がエポキシ基を含み、他の鎖末端がパーフルオロアルキル基を含むポリマーP
monof-INT1との混合で
含む組成物(INT1)。
【請求項10】
組成物[組成物(INT2)]の製造方法[M2]であって、前記方法(M2)が、以下のステップ:
(iii)請求項9に定義されたような組成物(INT1)を、-OH基を有する第二級アミン又は第三級アミンを有する少なくとも1種の化合物と、前記-O-エポキシ基を、式:
-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N(R
h1)(R
h2)
[式中、
R
x1は、1~6個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキル鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又は5若しくは6員を有する芳香環であり、前記脂環式環又は芳香環は、窒素、酸素及び硫黄からなる群の中で選択される少なくとも1つのヘテロ原子で任意選択的に置換されており;
R
X2は、1個以上の-OH基で任意選択的に置換された及びポリ(オキシ)アルキレン鎖を任意選択的に含む、1~30個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキル鎖若しくはアルコキシ鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又は5若しくは6員を有する芳香環であり、前記脂環式環又は芳香環は、窒素、酸素及び硫黄からなる群の中で選択される少なくとも1つのヘテロ原子で任意選択的に置換されており;
R
h1及びR
h2は、請求項4に定義されたとおりである]
の基へ変換するように、接触させ、
こうして、
- 鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
bif-INT2]であって、両方の鎖末端が、式:
-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N(R
h1)(R
h2)
(式中、R
x1、R
x2、R
h1及びR
h2は、上で定義されたとおりである)
の基を含むポリマーP
bif-INT2を、
- 任意選択的に、鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
monof-INT2]であって、1つの鎖末端がパーフルオロアルキル基を含み、他の鎖末端が、式:
-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N(R
h1)(R
h2)
(式中、R
x1、R
x2、R
h1及びR
h2は、上で定義されたとおりである)
の基を含むポリマーP
monof-INT2との混合で
含む組成物(INT
2)を得るステップ
を含む方法。
【請求項11】
- 鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
bif-INT2]であって、両方の鎖末端が、式:
-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N(R
h1)(R
h2)
(式中、R
x1、R
x2、R
h1及びR
h2は、上で定義されたとおりである)
の基を含む、ポリマーP
bif-INT2を、
- 鎖(R
pf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(R
pf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーP
monof-INT2]であって、1つの鎖末端がパーフルオロアルキル基を含み、他の鎖末端が、式:
-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N(R
h1)(R
h2)
(式中、R
x1、R
x2、R
h1及びR
h2は、上で定義されたとおりである)
の基を含むポリマーP
monof-INT2と混合で
含む組成物(INT
2)。
【請求項12】
請求項2~6のいずれか一項に定義されたようなポリマー(P
P-bif)及び(P
P-monof)の製造方法[方法(M3)]であって、前記方法(M3)が、
(iv)請求項11に定義されたような組成物(INT2)を、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、アルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネートから選択される化合物と、
式-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N(R
h1)(R
h2)の基を、
-O-R
x1-CH(OH)-R
x2-N
+(R
h1)(R
h2)(R
h3)
[式中、R
x1、R
x2は、上で定義されたとおりであり、
R
h1及びR
h2は、請求項5に定義されたとおりであり、
R
h3は、1個以上の-OHで任意選択的に置換された及びポリ(オキシ)アルキレン鎖を任意選択的に含む、1~30個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキル基若しくはアルコキシ鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又はベンジル基である]
の基へ変換するために
接触させるステップ;
(v)ステップ(iv)において得られた混合物を、
- 上で定義されたような少なくとも1つの基(U)、及び少なくとも1つのハロゲン原子若しくは少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物[A];又は
- 上で定義されたような少なくとも1つの基(E)、及び
少なくとも1つのハロゲン原子若しくは少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物[B];又は
- 上で定義されたような少なくとも1つの基(Si)、及び少なくとも1つのハロゲン原子若しくは少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物[C]
からなる群の中で選択される化合物と接触させ,
こうしてポリマー(P
P-bif)又はポリマー(P
P-monof)を得るステップ
を含む方法。
【請求項13】
請求項7において定義されたような組成物(C
P)と、少なくとも1つの不飽和部分を任意選択的に含む、(パー)フッ素化流体;少なくとも1つの不飽和部分を任意選択的に含む、水素化流体を含む群の中で選択される少なくとも1種の溶媒[溶媒(S)]とを含む、組成物[組成物(DIL)]。
【請求項14】
抗微生物特性を物品に付与するための方法であって、前記方法が、
(a)請求項1~6のいずれか一項に定義されたようなポリマー(P
P)又は請求項7に定義されたような組成物(C
P)若しくは請求項13に定義されたような組成物(DIL)を提供すること;
(b)少なくとも1つの表面を有する物品を証明すること;
(c)前記組成物(C
P)又は組成物(DIL)と、前記少なくとも1つの表面の少なくとも一部とを接触させること;
(d)前記少なくとも1つの表面の前記少なくとも一部を、前記組成物(C
P)又は組成物(DIL)でコートすること
を含む方法。
【請求項15】
前記物品は、プラスチック、金属、ガラス、紙又は織物でできた物品から選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2020年10月14日出願の欧州特許出願第20201713.3号の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、抗微生物特性に恵まれている、新規な(パー)フルオロポリエーテルポリマーを含む組成物に、それらの製造方法に、及び抗微生物特性を有する組成物を提供するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
異なるタイプの基材をコートするための、防汚コーティング組成物の製造での原料としての(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマーの使用は、当技術分野において公知である。例えば、欧州特許第3312242号明細書(3M Innovative Properties Company)は、混合機能性を持った保護コーティング組成物であって、PFPEが述べられたとりわけバックボーンである組成物を開示しており;国際公開第2016/079195号パンフレット(Solvay Specialty polymers Italy S.p.A.)は、コーティング応用に好適であるとして開示されている、PFPEの双性イオン誘導体を開示しており;国際公開第2019/106366号パンフレット(Sphere Fluidic Limited)は、パーフルオロポリエーテル構造を含む界面活性剤を開示している。
【0004】
とりわけ、そのようなPFPEポリマーを使用する、特に紙幣などの、機密文書のコーティングは、例えば国際公開第2012/055885号パンフレット(Oberthur Fiduciaire SAS)及び国際公開第2013/045496号パンフレット(Oberthur Fiduciaire SAS,Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.)に開示された。
【0005】
抗菌性及び/又は抗ウイルス性を有するコーティングはまた、当技術分野において、例えば特開2014-237227号公報(セントラル硝子株式会社)、台湾特許第201512339号明細書(Alpha Bright Int.Co.,LTD.)、米国特許出願公開第2015/191608号明細書(Industrial Academic Cooperation Group Seoul National University;Samsung Electronics CO.,LTD.;Snu R And DB Foundation);国際公開第2016/153230号パンフレット(Ceko Co.,LTD.);中国特許第105176342号明細書(Xiamen Boensi Applic Material Science and Technology CO.,LTD.)に開示されている。
【0006】
しかしながら、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされるコロナウイルス病(COVID-19)の最近のまん延は、抗微生物特性(抗菌性、抗ウイルス性及び抗真菌性を含むが、それらに限定されない)に恵まれた組成物であって、そのような組成物が、とりわけ電子デバイス及びスマートデバイス用の、とりわけ紙、紙幣、ガラス及びプラスチックなどの、多種多様な基材をコートするのに好適である組成物を開発することの重要性を高めた。
【発明の概要】
【0007】
このフレーム内で、本出願人は、抗微生物特性に恵まれた新規なポリマーを開発するという問題に直面した。
【0008】
より具体的には、本出願人は、抗微生物特性に恵まれた新規な(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマーであって、前記特性が(パー)フルオロポリエーテル主鎖に結合した特有の官能基によって提供されるポリマーを開発した。
【0009】
有利には、本発明による新規なPFPEポリマーの化学構造は、ポリマーが、撥水性及び撥油性と一緒にとりわけ透明性などの、コーティングの特性を提供しながら、抗微生物特性に恵まれているようなものである。
【0010】
したがって、第1の態様では、本発明は、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(Rpf)]を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[(ポリマー(PP)]であって、
- 第1の鎖末端が、第四級アンモニウム塩基[基(N+)]を含む少なくとも1つの基と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含み;
- 第2の鎖末端が、パーフルオロアルキル基か又は第四級アンモニウム塩基[基(N+)]かのどちらかと、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含む
ポリマー(PP)に関する。
【0011】
好ましい態様では、本発明は、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(Rpf)]を含む二官能性(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(PP-bif)]であって、両方の鎖末端が、第四級アンモニウム塩基[基(N+)]を含む少なくとも1つの基と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含むポリマー(PP-bif)に関する。
【0012】
別の好ましい態様では、本発明は、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[(鎖Rpf)]を含む一官能性(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(PP-monof)]であって、1つの鎖末端が1つのパーフルオロアルキル基を有し、他の鎖末端が少なくとも1つの第四級アンモニウム塩基[基(N+)]と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含むポリマー(PP-monof)に関する。
【0013】
上述のポリマー(PP-bif)及びポリマー(PP-monof)のそれぞれは、有利には、ポリマーそれ自体として又は2つのポリマーの混合物を含む組成物中で提供される。
【0014】
したがって、更なる態様では、本発明は、
- 鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(Rpf)]を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(PP-bif)]であって、両方の鎖末端が、第四級アンモニウム塩基[基(N+)]を含む少なくとも1つの基と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含むポリマー(PP-bif)と;
- 鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端[鎖(Re)]を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[(鎖Rpf)]を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマー(PP-monof)]であって、1つの鎖末端が1つのパーフルオロアルキル基を有し、他の鎖末端が、少なくとも1つの第四級アンモニウム塩基[基(N+)]と、アルコキシシラン[基(Si)]、並びに不飽和部分[基(U)]及びエポキシ[基(E)]から好ましくは選択される、架橋性基からなる群の中で選択される少なくとも1つの基とを含むポリマー(PP-monof)と
を含む組成物[組成物(CP)]に関する。
【0015】
別の好ましい実施形態によれば、前記組成物(CP)は、85重量%以下、好ましくは95重量%以下、更にいっそう好ましくは99重量%以下の前記ポリマー(PP-bif)を含み、前記組成物(CP)の100重量%に至るまでの残りの部分は、前記ポリマー(PP-monof)によってか又は化学反応の副生成物によってかのどちらかで提供される。
【0016】
本発明の組成物(CP)は、抗微生物特性を有するコーティングを提供するためにそのようなものとして使用することができるか、或いはそれは、溶媒[溶媒(S)]中の抗微生物性原料(「添加物」とも言われる)として使用することができる。
【0017】
したがって、第2の態様では、本発明は、上で定義されたような組成物(CP)と、少なくとも1つの不飽和部分を任意選択的に含む、(パー)フッ素化流体;少なくとも1つの不飽和部分を任意選択的に含む、水素化流体を含む群の中で選択される少なくとも1種の溶媒[溶媒(S)]とを含む組成物[組成物(DIL)]に関する。
【0018】
第3の態様では、本発明は、抗微生物特性を基材に付与するための、上で記載されたような組成物(CP)又は組成物(DIL)の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本説明の及び以下の特許請求の範囲の目的のためには:
- 例えば「ポリマー(P)」等のような表現における、式を特定する記号又は数字の周りの括弧の使用は、本文の残りから記号又は数字をより良く区別するという単なる目的を有し、これ故に、前記括弧は、省略することもでき;
- 頭字語「PFPE」は、「(パー)フルオロポリエーテル」を表し、名詞として用いられる場合、文脈に応じて、単数形か又は複数形かのどちらかを意味することを意図し;
- 用語「(パー)フルオロポリエーテル」は、完全に又は部分的にフッ素化されたポリエーテルポリマーを示すことを意図し;
- 表現「ポリマー(PP)」は、特に明記しない限り、ポリマー(PP-bif)及びポリマー(PP-monof)の両方を示すことを意図し;
- 表現「抗微生物特性に恵まれた」は、ポリマーが、細菌、ウイルス及び真菌などの、微生物を殺生する又はそれらの増殖を止めることができることを示すことを意図する。
【0020】
好ましくは、ポリマー(PP)において、前記鎖(Rpf)は、式
-D-(CFX#)z1-O(Rf)(CFX*)z2-D*-
[式中、
互いに等しいか若しくは異なる、z1及びz2は、1以上であり;
互いに等しいか若しくは異なる、X#及びX*は、-F又はCF3であり、
但し、z1及び/又はz2が1超である場合、X#及びX*は-Fであることを条件とし;
互いに等しいか若しくは異なる、D及びD*は、シグマ結合、1~6個、更にいっそう好ましくは1~3個の炭素原子を含むアルキレン鎖であり、前記アルキル鎖は、1~3個の炭素原子を含む少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で任意選択的に置換されており;
(Rf)は、繰り返し単位R°を含み、好ましくはそれからなり、前記繰り返し単位は、
(i) -CFXO-(式中、Xは、F又はCF3である);
(ii) -CFXCFXO-(式中、出現ごとに等しいか若しくは異なる、Xは、F又はCF3であり、但し、Xの少なくとも1つは-Fであることを条件とする);
(iii) -CF2CF2CW2O-(式中、互いに等しいか若しくは異なる、Wのそれぞれは、F、Cl、Hである);
(iv) -CF2CF2CF2CF2O-;
(v) -(CF2)j-CFZ-O-(式中、jは、0~3の整数であり、Zは、一般式-O-R(f-a)-Tであり、ここで、R(f-a)は、0~10の数の繰り返し単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記繰り返し単位は、以下:Xのそれぞれが独立してF又はCF3である、-CFXO-、-CF2CFXO-、-CF2CF2CF2O-、-CF2CF2CF2CF2O-の中で選択され、Tは、C1~C3パーフルオロアルキル基である)
からなる群から独立して選択される]
の鎖である。
【0021】
好ましくは、互いに等しいか若しくは異なる、z1及びz2は、1~10、より好ましくは1~6、更にいっそう好ましくは1~3である。
【0022】
より好ましくは、互いに等しいか若しくは異なる、D及びD*は、シグマ結合、又は式-CH2-、-CH2CH2-若しくは-CH(CF3)-の鎖である。
【0023】
好ましくは、鎖(Rf)は、以下の式:
(Rf-I)
-[(CFX1O)g1(CFX2CFX3O)g2(CF2CF2CF2O)g3(CF2CF2CF2CF2O)g4]-
(式中、
- X1は、-F及び-CF3から独立して選択され、
- 互いに及び出現ごとに等しいか若しくは異なる、X2、X3は、独立して、-F、-CF3であり、但し、Xの少なくとも1つは-Fであることを条件とし;
- 互いに等しいか若しくは異なる、g1、g2、g3、及びg4は、独立して、g1+g2+g3+g4が2~300、好ましくは2~100の範囲にあるような、0以上の整数であり;g1、g2、g3及びg4の少なくとも2つがゼロとは異なる場合、異なる繰り返し単位は、鎖に沿って概して統計的に分布している)
に従う。
【0024】
より好ましくは、鎖(Rf)は、式:
(Rf-IIA)
-[(CF2CF2O)a1(CF2O)a2]-
(式中:
- a1及びa2は、独立して、数平均分子量が400~10,000、好ましくは400~5,000であるような0以上の整数であり;a1及びa2の両方は、好ましくは、ゼロとは異なり、比a1/a2は、好ましくは、0.1~10に含まれる);
(Rf-IIB)
-[(CF2CF2O)b1(CF2O)b2(CF(CF3)O)b3(CF2CF(CF3)O)b4]-
(式中:
b1、b2、b3、b4は、独立して、数平均分子量が400~10,000、好ましくは400~5,000であるような0以上の整数であり;好ましくは、b1は0であり、b2、b3、b4は0超であり、比b4/(b2+b3)は1以上である);
(Rf-IIC)
-[(CF2CF2O)c1(CF2O)c2(CF2(CF2)cwCF2O)c3]-
(式中:
cw=1又は2であり;
c1、c2、及びc3は、独立して、数平均分子量が400~10,000、好ましくは400~5,000であるように選択される0以上の整数であり;好ましくは、c1、c2及びc3は、全て0超であり、比c3/(c1+c2)は、概して0.2より小さい);
(Rf-IID)
-[(CF2CF(CF3)O)d]-
(式中:
dは、数平均分子量が400~10,000、好ましくは400~5,000であるような0超の整数である);
(Rf-IIE)
-[(CF2CF2C(Hal*)2O)e1-(CF2CF2CH2O)e2-(CF2CF2CH(Hal*)O)e3]-
(式中:
- 出現ごとに等しいか若しくは異なる、Hal*は、フッ素原子及び塩素原子から選択されるハロゲン、好ましくはフッ素原子であり;
- 互いに等しいか若しくは異なる、e1、e2、及びe3は、独立して、合計(e1+e2+e3)が2~300に含まれるような0以上の整数である)
の鎖から選択される。
【0025】
更により好ましくは、鎖(Rf)は、本明細書で下の式(Rf-III):
(Rf-III)
-[(CF2CF2O)a1(CF2O)a2]-
(式中:
- a1、及びa2は、数平均分子量が400~10,000、好ましくは400~5,000であるような0超の整数であり、比a1/a2は、概して0.1~10、より好ましくは0.2~5に含まれる)
に従う。
【0026】
好ましくは、基(N+)は、
(N+-I)
-N+(Rh1)(Rh2)(Rh3)
(式中、
Rh1、Rh2、及びRh3のそれぞれは、1~20個、より好ましくは1~18個、更にいっそう好ましくは3~18個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖(前記アルキル鎖は、1個以上の-OH基で任意選択的に置換されている);ベンジルから独立して選択されるか、或いはRh1、Rh2、及びRh3の少なくとも2つは、窒素原子と一緒に、4~5個の炭素原子及び窒素原子を含む脂肪族環を形成する)
を好ましくは含む、より好ましくはそれからなる群の中で好ましくは選択される。
【0027】
好ましくは、Rh1、Rh2、及びRh3の少なくとも1つは、6~20個、より好ましくは6~18個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖である。
【0028】
好ましくは、Rh1、Rh2、及びRh3の少なくとも2つは、独立して、1~6個、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖である。好ましくは、ポリマー(PP-bif)及びポリマー(PP-monof)のいずれも、前記基(N+)に対する対イオンを含む。
【0029】
より好ましくは、前記対イオンは、塩素、ヨウ素、臭素などの、ハロゲン原子;メシレート及びトシレートから選択される。ハロゲン原子がより好ましい。
【0030】
好ましくは、ポリマー(PP)、ポリマー(PP-bif)及びポリマー(PP-monof)のいずれにおいても、鎖(Re)は、シグマ結合を介して、又はポリ(オキシ)アルキレン鎖[鎖(Ra)]を介して前記鎖(Rpf)に結合している。
【0031】
より好ましくは、前記鎖(Ra)は、1~50個のフッ素を含まないオキシアルキレン単位を含み、前記単位は、互いに同じものであるか若しくは異なり、-OCH(J)CH(J*)-から選択され、ここで、J及びJ*のそれぞれは、水素原子、直鎖若しくは分岐アルキル又はアリール、好ましくは水素原子、メチル、エチル又はフェニルから独立して選択される。
【0032】
好ましくは、ポリマー(PP)、ポリマー(PP-bif)及びポリマー(PP-monof)のいずれも、その鎖末端に前記基(U)を含む。
【0033】
好ましくは、前記基(U)は、
(U-I) -O-C(=O)-CR
H=CH
2
(U-II) -O-C(=O)-NH-CO-CR
H=CH
2
(U-III) -C(=O)-R
A-CR
H=CH
2
[式中、
R
Hは、H又はC
1~C
6アルキル基であり;
R
Aは、(R
A-I)及び(R
A-II)からなる群から選択され:
【化1】
(式中、
j5のそれぞれは、独立して、0又は1であり、
R
Bは、N、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含む、C
1~C
10脂肪族基;C
3~C
12脂環式基;C
5~C
14芳香族基又はアルキル芳香族基からなる群から選択される二価、三価又は四価の基である);
【化2】
(式中、
j6は、0又は1であり;
j7のそれぞれは、独立して、0又は1であり;
R
B’は、N、O及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を任意選択的に含む、C
1~C
10脂肪族基;C
3~C
12脂環式基;C
5~C
14芳香族基又はアルキル芳香族基からなる群から選択される二価、三価又は四価の基であり;
R
B*は、R
B’に関して上で定義されたものと同じ意味を有するか、或いはそれは、式(R
B-I):
【化3】
(式中、
置換基Uは、上で定義されたような基(U-I)~(U-III)から選択され、
及び
*及び#は、上の式(R
A-II)において窒素原子への結合部位を示す)
の基である)]
からなる群の中で選択される。
【0034】
好ましくは、前記鎖(Re)が基(U)を含む場合、前記鎖(Re)は、式:
*-R10-NH-C(=O)-O-R11-#
[式中、
*は、基(U)への結合を示し、
#は、鎖(Rpf)への結合を示し、
R10は、トリ-アルコキシ-シリル基を含む基で任意選択的に置換された、1~6個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖であり;
R11は、シグマ結合又はポリ(オキシ)アルキレン鎖[鎖(Ra^)]であり、ここで、前記鎖(Ra^)は、1~50個のフッ素を含まないオキシアルキレン単位を含み、前記単位は、互いに同じもの若しくは異なり、-CH(J*)CH(J)-Oから選択され、ここで、J及びJ*のそれぞれは、水素原子、直鎖若しくは分岐アルキル又はアリール、好ましくは水素原子、メチル、エチル又はフェニルから独立して選択される]
の基を介して前記鎖(Rpf)に結合している。
【0035】
代わりの実施形態によれば、ポリマー(PP-bif)及びポリマー(PP-monof)のそれぞれは、その鎖末端で基(Si)を含む。
【0036】
好ましくは、前記基(Si)は、式:
-Si-(OR30)3
(式中、R30は、1~12個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖である)
の基である。
【0037】
上で定義されたようなポリマー(PP-bif)は、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(Rpf)]を含む(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマー[PFPEポリマー(bif)]であって、両方の鎖末端が少なくとも1個の-OH基を含むPFPEポリマー(bif)から出発して有利に調製することができる。
【0038】
上で定義されたようなポリマー(PP-monof)は、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記(パー)フルオロポリエーテル鎖[鎖(Rpf)]を含む(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマー[PFPEポリマー(monof)]であって、前記鎖末端の1つが少なくとも1個の-OH基を含み、他の鎖末端がパーフルオロアルキル基を含むPFPEポリマー(monof)から出発して有利に調製することができる。
【0039】
本発明のポリマー(PP-bif)及び(PP-monof)、並びにそれらを含有する組成物は、反応剤から出発して及び当技術分野において公知の反応を含む方法に従って調製することができる。
【0040】
例えば、第1の中間組成物[組成物(INT1)]は、以下のステップ:
(i)上で定義されたようなPFPEポリマー(bif)又はPFPEポリマー(monof)からなる群の中で選択される少なくとも1種のPFPEポリマーを提供するステップ;
(ii)前記PTFEポリマーの-OH基の少なくとも一部をエポキシ基へ変換し、こうして
- 鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(Rpf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーPbif-INT1]であって、両方の鎖末端がエポキシ基を含むポリマーPbif-INT1を、
- 任意選択的に、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(Rpf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーPmonof-INT1]であって、1つの鎖末端がエポキシ基を含み、他の鎖末端がパーフルオロアルキル基を含むポリマーPmonof-INT1との混合で
含む組成物(INT1)を得るステップ
を含む方法[方法(M1)]によって製造することができる。
【0041】
前記組成物(INT1)は、本発明の別の態様を構成する。
【0042】
ステップ(i)において出発原料として使用される(パー)フルオロポリエーテル(PFPE)ポリマーは、好ましくは、以下の式:
(PFPE-i)T-(Rpf)-[OCH(J)CH(J*)]t2-OH
[式中、
(Rpf)は、上で定義されたとおりであり、
Tは、-OH、パーフルオロアルキル基又は式
HO-[CH(J*)CH(J)O]t1-
の基であり、
t1及びt2は、それぞれ独立して、0又は1~50の整数であり、
J及びJ*は、それぞれ独立して、鎖(Ra)に関して上で定義されたとおりである]
に従うPFPEポリマー(bif)又はPFPE(monof)ポリマーである。
【0043】
好ましくは、ステップ(ii)は、前記PFPEポリマー(bif)又はPFPEポリマー(monof)を、エポキシ基を含む少なくとも1種の化合物[化合物(E)]と接触させることによって行われる。
【0044】
好ましくは、前記化合物(E)は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンを含む、好ましくはそれらからなる群から選択される。
【0045】
ステップ(ii)の下で、出発PEPEポリマー(一官能性PFPEか又は二官能性PFPEかのどちらか)の-OH基の好ましくは約100%がエポキシ基へ変換されることが当業者によって理解されるであろう。
【0046】
しかしながら、-OH基の部分変換も得ることができる。この実施形態の下で、上記の方法のその後のステップにおいて、得られたポリマーは、異なる置換基の統計的な組合せをそれらの鎖末端において含むであろう、得られるであろう。
【0047】
有利には、第2の中間組成物[組成物(INT2)]は、
(iii)ステップ(ii)において得られた、上で定義されたような組成物(INT1)を、前記-O-エポキシ基を式:
-O-Rx1-CH(OH)-Rx2-N(Rh1)(Rh2)
[式中、
Rx1は、1~6個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキル鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又は5若しくは6員を有する芳香環であり、前記脂環式環又は芳香環は、窒素、酸素及び硫黄からなる群の中で選択される少なくとも1つのヘテロ原子で任意選択的に置換されており;
RX2は、1個以上の-OH基で任意選択的に置換された及びポリ(オキシ)アルキレン鎖を任意選択的に含む、1~30個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキル鎖若しくはアルコキシ鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又は5若しくは6員を有する芳香環であり、前記脂環式環又は芳香環は、窒素、酸素及び硫黄からなる群の中で選択される少なくとも1つのヘテロ原子で任意選択的に置換されており;
Rh1及びRh2は、式(N+-I)において上で定義されたとおりである]
の基へ変換するために、1個の-OH基を有する第二級アミン又は第三級アミンを有する少なくとも1種の化合物と接触させ;
こうして、
- 鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(Rpf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーPbif-INT2]であって、両方の鎖末端が、式:
-O-Rx1-CH(OH)-Rx2-N(Rh1)(Rh2)
(式中、Rx1、Rx2、Rh1及びRh2は、上で定義されたとおりである)
の基を含むポリマーPbif-INT2を、
- 任意選択的に、鎖(Rpf)の反対側に結合した2つの鎖末端を有する前記鎖(Rpf)を含む(パー)フルオロポリエーテルポリマー[ポリマーPmonof-INT2]であって、1つの鎖末端がパーフルオロアルキル基を含み、他の鎖末端が、式:
-O-Rx1-CH(OH)-Rx2-N(Rh1)(Rh2)
(式中、Rx1、Rx2、Rh1及びRh2は、上で定義されたとおりである)
の基を含むポリマーPmonof-INT2との混合で
含む組成物(INT2)を得ること
を含む方法[方法(M2)]によって製造することができる。
【0048】
前記組成物(INT2)は、本発明の別の態様を構成する。
【0049】
好ましくは、ステップ(iii)の下で、第二級アミンを有する前記化合物は、以下の式:
HN(Rh1)(Rh2)
(式中、
Rh1及びRh2のそれぞれは、1個以上の-OH基で任意選択的に置換された、1~20個、好ましくは1~6個、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル、ベンジルから独立して選択されるか、或いは
Rh1及びRh2は、窒素原子と一緒に、4若しくは5個の炭素原子及び窒素原子を含む脂肪族環を形成する)
に従う。
【0050】
より好ましくは、前記少なくとも1種の第二級アミンは、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジtertブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミンを含む、更にいっそう好ましくはそれらからなる群の中で選択される。
【0051】
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンがより好ましい。
【0052】
好ましくは、少なくとも1個の-OH基を有する第三級アミンを有する前記化合物は、
以下の式:
HO-(RX3)-N(Rh3)(Rh4)
(式中、
RX3は、1個以上の-OH基で任意選択的に置換された、1~30個の炭素原子を含む及びポリ(オキシ)アルキレン鎖を任意選択的に含む線状若しくは分岐アルキル若しくはアルコキシ鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又は5若しくは6員を有する芳香環であり、前記脂環式環又は芳香環は、窒素、酸素又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子で任意選択的に置換されており;
Rh3及びRh4のそれぞれは、1個以上の-OH基で任意選択的に置換された、1~20個、好ましくは1~4個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖、ベンジルから独立して選択されるか、或いは
Rh3及びRh4は、窒素原子と一緒に、4若しくは5個の炭素原子及び窒素原子を含む脂肪族環を形成するか、或いは
Rh3及びRh4は、RX3と一緒に4若しくは5個の炭素原子及び窒素原子を含む芳香環を形成する)
に従う。
【0053】
好ましくは、1個の-OH基を有する第三級アミンを有する化合物は、2-(ジエチルアミノ)エタノール、3-ジメチルアミノ-1-プロパノールから選択される。
【0054】
更に、本発明によるポリマー(PP-bif)及び(PP-monof)は、ステップ:
(iv)ステップ(iii)において得られた上で定義されたような組成物(INT2)を、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、アルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネートから選択される化合物と、
式-O-Rx1-CH(OH)-Rx2-N(Rh1)(Rh2)の基を
-O-Rx1-CH(OH)-Rx2-N+(Rh1)(Rh2)(Rh3)
[式中、Rx1、Rx2、Rh1及びRh2は、上で定義されたとおりであり、
Rh3は、1個以上の-OH基で任意選択的に置換された及びポリ(オキシ)アルキレン鎖を任意選択的に含む、1~30個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキル若しくはアルコキシ鎖、5若しくは6員を有する脂環式環、又はベンジル基である]
へ変換するために接触させるステップ;
(v)ステップ(iv)において得られた混合物を、
- 上で定義されたような少なくとも1つの基(U)、及び少なくとも1つのハロゲン原子若しくは少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物[A];又は
- 上で定義されたような少なくとも1つの基(E)、及び少なくとも1つのハロゲン原子若しくは少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物[B];又は
- 上で定義されたような少なくとも1つの基(Si)、及び少なくとも1つのハロゲン原子若しくは少なくとも1つのイソシアネート基を有する化合物[C]
からなる群の中で選択される化合物と接触させ、
こうしてポリマー(PP-bif)又はポリマー(PP-monof)を得るステップ
を含む方法[方法(M3)]によって製造することができる。
【0055】
好ましくは、ステップ(iv)の下で、ハロゲン化アルキルとの反応が好ましく;より好ましくは前記ハロゲン化アルキルは、ヨードオクタン及びブロモオクタンから選択される。
【0056】
好ましくは、ステップ(v)の下で、化合物[A]との反応が好ましい。
【0057】
好ましくは、ステップ(v)の下で、前記化合物[A]は、以下の式:
O=C=N-R20-R21-CRH=CH2
[式中、
RHは、基(U)に関して上で定義されたものと同じ意味を有し;
R20は、トリ-アルコキシ-シリル基を含む基で任意選択的に置換された、1~6個の炭素原子を有する線状若しくは分岐アルキル鎖であり;
R21は、式-O-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-CO-、-O-C(=O)-RA-(式中、RAは、基(U-III)に関して上で定義されたとおりである)の二価の基である]
に従う。
【0058】
より好ましくは、前記化合物[A]は、イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)、アリルイソシアネート、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、2-イソシアナトエチルアクリレート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネートを含む、更にいっそう好ましくはそれらからなる群の中で選択される。
【0059】
(i)~(iii)の上記ステップ並びに(i)~(v)のステップがまた、中間組成物(INT1)及び(INT2)のそれぞれを分離することなく、連続的に行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。
【0060】
したがって、本発明の別の目的は、上で定義されたようなポリマー(PP-bif)及び(PP-monof)の製造方法であって、前記方法が、上で定義されたような(i)~(v)のステップをワンポット合成で行うことを含む方法に関する。
【0061】
上で開示されたように、前記ポリマー(PP)又は前記組成物(CP)は、そのようなものとして使用することができるか、或いはそれは、好適な溶媒中で添加物として使用することができる。
【0062】
好ましくは、組成物(DIL)は、0.01~50重量%のポリマー(PP)又は組成物(CP)のいずれかと、50~99.99重量%の上で定義されたような少なくとも1種の溶媒(S)とを含む。
【0063】
有利には、前記溶媒(S)は、少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つの不飽和基をそれの鎖末端に有する(パー)フルオロポリエーテルポリマーから選択される。
【0064】
別の実施形態によれば、本発明は、抗微生物特性を物品に付与するための方法であって、前記方法が、
(a)上で定義されたようなポリマー(PP)又は組成物(CP)若しくは組成物(DIL)を提供すること;
(b)少なくとも1つの表面を有する物品を証明すること;
(c)前記ポリマー(PP)又は前記組成物(CP)若しくは前記組成物(DIL)と、前記少なくとも1つの表面の少なくとも一部とを接触させること;
(d)前記少なくとも1つの表面の前記少なくとも一部を、前記ポリマー(PP)又は組成物(CP)若しくは組成物(DIL)でコートすること
を含む方法に関する。
【0065】
有利には、前記物品は、プラスチック、金属、ガラス、紙又は織物、例えばとりわけコットン紙などでできた物品から選択される。より好ましくは、前記物品は紙幣である。
【0066】
好ましくは、少なくとも1つの基(U)がポリマー(PP)、組成物(CP)又は組成物(DIL)のいずれかに存在する場合、ステップ(d)は、より好ましくはUV線で前記組成物(CP)又は組成物(DIL)を硬化させることによって行われる。
【0067】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0068】
本発明は、以下の実験の部に含有される実施例によってより詳細に本明細書で以下に例示されるが;実施例は例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0069】
原材料及び方法
Fomblin(登録商標)Z DOL及びFluorolink(登録商標)MD700は、Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A.から入手した。
【0070】
以下は、Aldrichによって入手した:ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジエチルアミン、水酸化カリウム(≧85%)、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド、エピブロモヒドリン、アセトニトリル、メタノール、1-ヨードデカン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)及び2-イソシアナトエチルメタクリレート。
【0071】
SnapCureTM 1030は、Alfa Aesar Gmbh &Co.から入手した。
【0072】
1H-NMR及び19F-NMRは、1Hに関しては499.86MHzで、及び19Fに関しては470.30MHzで動作するAgilent System 500で記録した。
【0073】
FT-IRスペクトルは、KBr上の薄膜としての液体サンプルに関してThermoScientific FTIR分光光度計で測定した。スペクトルは、2cm-1の分解能で256スキャンを共加算すること(co-adding)によって取得した。
【0074】
実施例1-ポリマー1の合成
ステップ1:窒素雰囲気下に保たれた並びに冷却器、機械撹拌機、温度計プローブ及び滴下漏斗を備えた、1.0L容量の四つ口丸底フラスコに、200g(EW=g/mol 795;251.6ミリ当量)のFomblin(登録商標)Z-DOL、697gの1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2gのテトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(6.2ミリ当量)及び20gの水酸化カリウム(355.2ミリ当量)を装入した。フラスコを室温で1h撹拌下に保った。次に、86gのエピブロモヒドリン(628.9ミリ当量)をフラスコに添加し、反応混合物を3時間70℃に加熱した。この時間後に、反応物を冷却し、混合物を濾過した。減圧下での蒸留(T=70.0℃、P=2Pa)は、180.0gの透明な淡黄色液体をもたらした。
【0075】
1H-NMR分析は、得られた生成物が、ヒドロキシル末端基の90%が2,3-エポキシプロパン誘導体へ定量的に変換した出発Z-DOLであることを裏付けた。
【0076】
ステップ2:窒素雰囲気下に保たれた並びに冷却器、機械撹拌機、温度計プローブ及び滴下漏斗を備えた、0.5L容量の四つ口丸底フラスコに、150gのステップ1において得られた生成物、16gのジエチルアミン(216.8ミリ当量)及び75gの1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを装入した。結果として生じた混合物を70℃に至るまで加熱し、8時間激しい撹拌下のままにした。この時間後に、反応混合物を室温まで冷却し、80gの蒸留水で洗浄した。相分離後に、底部の有機相を回収し、減圧下で蒸留(T=70℃、P=2Pa)して溶媒を除去し、153gの黄色生成物を得た。
【0077】
1H NMR分析は、アミノ-アルコール誘導体をもたらすためのエポキシド環の定量的な開環を裏付けた。
【0078】
ステップ3:窒素雰囲気下に保たれた並びに冷却器、機械撹拌機、温度計プローブ及び滴下漏斗を備えた、0.5L容量の四つ口丸底フラスコに、100gのステップ2において得られた生成物、26gの1-ヨードオクタン(108.6ミリ当量)、50gの1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン及び50gのアセトニトリルを装入した。結果として生じた混合物を80℃に至るまで加熱し、40時間激しい撹拌下のままにした。この時間後に、溶媒を減圧下で蒸留(T=70℃、P=2Pa)して溶媒を除去し、123gの黄色の粘性のある生成物を得た。
【0079】
1H NMR分析は、ターゲット第四級アンモニウム塩をもたらすためのハロゲン化アルキルと第三級アミンとの定量的な反応を裏付けた。
【0080】
ステップ4:冷却器、機械撹拌機、滴下漏斗及び温度計プローブを備えた、0.25L容積の四つ口丸底フラスコに、100gのステップ3において得られた生成物、3.9*10-2gの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、6.1*10-2gのSnapCureTM1030を装入し、得られた混合物を50℃に至るまで加熱した。次いで、11.7gの2-イソシアナトエチルアクリレート(76.1ミリ当量)をフラスコにゆっくり添加した。温度を60℃に上げ、反応混合物を3時間激しい撹拌下のままにした。その後、1.1gのメタノールを添加し、反応混合物を更なる2時間撹拌し、減圧下で乾燥(T=60℃、P=2Pa)させ、111.9gのポリマー1を得た。
【国際調査報告】