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特表2023-546588コールドシール接着剤、コーティング組成物として使用するための非晶質コポリエステル樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】コールドシール接着剤、コーティング組成物として使用するための非晶質コポリエステル樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/181 20060101AFI20231027BHJP
   C08G 63/688 20060101ALI20231027BHJP
   C09J 167/03 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
C08G63/181
C08G63/688
C09J167/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524173
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021055804
(87)【国際公開番号】W WO2022087102
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/093,969
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】プサンパランビル,ディーパ
(72)【発明者】
【氏名】クレトロウ,タティアナ
(72)【発明者】
【氏名】ハージュ,ジョシュア ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フット,マリー
【テーマコード(参考)】
4J029
4J040
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD07
4J029AE13
4J029BA03
4J029BA10
4J029BD06A
4J029BF09
4J029CA02
4J029CA06
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CH02
4J029DB02
4J029FC05
4J029HA01
4J029HB01
4J029HB03A
4J029JF021
4J029JF181
4J029JF321
4J029JF361
4J029JF371
4J029JF541
4J029JF571
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE03
4J029KE05
4J040ED031
4J040ED041
4J040ED051
4J040GA25
4J040HB09
4J040HB19
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA23
4J040LA11
4J040MB03
4J040NA02
4J040NA05
4J040NA06
4J040PA33
(57)【要約】
基材表面を互いに接着させる方法であって、それらの表面にコポリエステル樹脂混合物を塗布し、熱のない状態で、それらの表面を互いに接触させて、コールドシールを形成させることを含む方法。そのコポリエステル樹脂は、スルホン化することが可能であり、以下のもの:(a)エチレングリコールを、少なくとも約0.25のモル分率で含む、少なくとも2種のジオール、並びに(b)(i)少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.07のモル分率のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステル、の反応生成物である。芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率は、約75/25~約45/55の間であり得、そしてその樹脂のガラス転移温度は、約-25℃~約15℃の間であり得る。樹脂は溶媒和させることができ、好ましくは食品グレードに準拠しており、コンポスト化が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材表面を第二の基材表面に接着させる方法であって、
コポリエステル樹脂混合物を、第一の基材表面及び第二の基材表面に塗布するステップ;及び
前記第一の基材表面を前記第二の基材表面と接触させて積層品を形成させるステップ
を含み、ここで、前記方法が、周囲温度で実施される、方法。
【請求項2】
前記コポリエステル樹脂がスルホン化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触ステップが、前記第一の基材表面を前記第二の基材表面に接合させるのに十分な時間と圧力で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触ステップの時間が、約0.1秒~約20秒、好ましくは約0.2秒~約2秒であり、そして前記接触ステップの圧力が、約40psi~約120psi、好ましくは約60psi~約100psiである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、前記コポリエステル樹脂と溶媒との混合物であり、前記溶媒が、水、有機溶媒、又はそれら両方からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が水及び有機溶媒であり、そして前記有機溶媒が、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が、重量で約20~40%固形分の値に相当する量で存在し、そして、水:有機溶媒の重量比が、約80:20~約60:40である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コポリエステル樹脂の総括Tgが、約-25℃~約15℃、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~約5℃の間又は約-20℃~約-5℃の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コポリエステル樹脂が、(a)少なくとも2種のジオールであって、前記ジオールを基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約0.7のモル分率でエチレングリコールを含む、少なくとも2種のジオールと、(b)少なくとも3種の二酸又はジエステルであって、(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、前記二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、より好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09、且つ多くとも0.2、より好ましくは多くとも0.15、最も好ましくは多くとも0.12のモル分率での、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステルとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種のスルホモノマーが、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(DMSIP)又は5-スルホイソファリック酸(SIPA)の少なくとも1種であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、セバシン酸、アゼライン酸、及びアジピン酸からなる群より選択され;
前記少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステルが、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、及びイソフタル酸ジメチルの少なくとも1種からなる群より選択され;そして
前記少なくとも2種のジオールがさらに、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、及びシクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種を含む;
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種のスルホモノマーが、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、セバシン酸であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、イソフタル酸及びテレフタル酸ジメチルであり;そして
前記少なくとも2種のジオールが、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールである;
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウムが、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.07~0.2、好ましくは約0.08~約0.15、最も好ましくは約0.09~約0.12のモル分率の量で存在し;
イソフタル酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.02~0.2、好ましくは約0.03~約0.15、最も好ましくは約0.05~約0.1のモル分率の量で存在し;
テレフタル酸ジメチルが、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.25~0.55、好ましくは約0.3~約0.5、最も好ましくは約0.35~約0.45のモル分率の量で存在し;
セバシン酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.18~0.4、好ましくは約0.2~約0.38、最も好ましくは約0.25~約0.35のモル分率の量で存在し;
エチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.75~0.97、好ましくは約0.8~約0.95、最も好ましくは約0.85~約0.92のモル分率の量で存在し;そして
ネオペチルグリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.03~0.25、好ましくは約0.05~約0.2、最も好ましくは約0.08~約0.15のモル分率の量で存在している、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ジオールの大部分、実質的に全て、又は全てが脂肪族である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
エチレングリコール:ネオペンチルグリコールのモル比が、約3:1~約20:1、好ましくは約4:1~約15:1の間、より好ましくは約5:1~約12:1の間、最も好ましくは約7:1~約17:2の間である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
非晶質コポリエステル樹脂を含む組成物であって、(a)少なくとも2種のジオールであって、前記ジオールを基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約0.7のモル分率でエチレングリコールを含む、少なくとも2種のジオールと、(b)少なくとも3種の二酸又はジエステルであって、(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、前記二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09のモル分率での、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステルとの反応生成物を含み、ここで、芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり、そして、その非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~約5℃の間、又は約-20℃~約-5℃の間のガラス転移温度を有する、組成物。
【請求項17】
溶媒をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶媒が、水、有機溶媒、又はそれら両方からなる群より選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記溶媒が水及び有機溶媒であり、そして前記有機溶媒が、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記溶媒が、重量で約20~40%固形分の値に相当する量で存在し、そして、水:有機溶媒の重量比が、約80:20~約60:40である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
ジエチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.01~約0.2、好ましくは約0.01~約0.15、最も好ましくは約0.05~約0.12のモル分率の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の方法により形成される積層品。
【請求項23】
互いに組み合わされた第一の表面及び第二の表面を有し、そしてそれぞれが、その上にコーティングされた、請求項16に記載の組成物を有する、少なくとも1種の基材を含む、物品。
【請求項24】
非晶質コポリエステル樹脂を含む組成物であって、
(a)エチレングリコールを含む少なくとも2種のジオールの残基と、(b)(i)少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステルの残基とを含み、ここで
前記コポリエステル樹脂が、ジオールを基準にして、約0.5~約0.9の間、最も好ましくは少なくとも約0.65~約0.85の間の、エチレングリコール残基の結合モル分率を有し;
芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの残基の結合比が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり;そして
前記非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間のガラス転移温度を有している;
組成物。
【請求項25】
前記コポリエステル樹脂が、ジオールを基準にして、約0.07~約0.32の間、最も好ましくは少なくとも約0.12~約0.25の間の、ジエチレングリコール残基の結合モル分率を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記コポリエステル樹脂が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも約0.07~0.2、好ましくは約0.08~約0.15、最も好ましくは約0.09~約0.12のモル分率の量の、少なくとも1種のスルホモノマーの結合モル分率を有する、請求項24に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を存在させずに、基材表面を共に接着させる(すなわち、コールドシール接着剤を使用する)方法に関する。本発明はさらに、基材表面に塗布し、そして熱を存在させずに、そのような基材表面を接着させるための、コポリエステル樹脂及びそのコポリエステル樹脂を組み込んだコーティング組成物にも関する。そのようなコーティング組成物は、食品のための包装材、民生品、及び医療用具を接合させるために使用するのに特に好適である。
【背景技術】
【0002】
循環型経済(circular economy)が、将来におけるフレキシブル包装の発展及び進化の方向を変えつつある。フレキシブル包装の内でも、持続可能性が、スローガンになってきた。持続可能な解決法、たとえば生分解性で、コンポスト化が可能、そしてリサイクル可能な包装に、フレキシブル包装業界での関心がますます高まっている。各種の開発が、これらの鍵となる要因の一つを改良し、最終製品に組み込むことを狙っている。モノマテリアルパッケージングが、市場が向かおうとしている方向の一つである。これによって、選別、及びリサイクル又はコンポスト化又は生分解性が、より容易となる。持続可能性の内で、ポリエステル(PET)技術が、良好な湿分バリア性及びガスバリア性を与えることを含めて、いくつかの有益性を有するために、モノマテリアルパッケージングのための明確な構成要素である。PETフィルムのための接着剤は、この変化しつつある市場シナリオが理由で、ますます勢いづいている。
【0003】
シーラントとして使用可能な接着剤は、十分な、ポリマー鎖の間で生じる凝集エネルギーを有しているべきである。したがって、中~高分子量コポリエステルが、接着剤として使用される、良好な選択肢となるであろう。シーリングは、(1)熱を用いるか、又は(2)熱を用いないかの、二つの方法で実施することができる。ヒートシール接着剤は、それに対して接着剤を塗布した基材に、熱、圧力、及び滞留時間を加えることによって、シールする。シーリングは、接着剤自体で起こさせることも可能であるし(セルフシール)、或いはまた別の基材、たとえばトレーストックに接着させることもできる。コールドシール接着剤は、セルフシール性の接着剤であって、それは、圧力をかけ、それによって、その上にそれを塗布した基材に対して接合を形成する場合、それ自体に強い接合を形成する性能を有している。シーリングを開始させるには、機械的エネルギーのみが必要とされる。熱を必要とせず、シーリングは、最小の歪みで実施される。コールドシールは、感圧接着剤の一つであり、このものは、被着材(本明細書では、基材とも呼ばれる)の上で流れるのに十分なほど柔らかく、そして応力を加えると、流動抵抗性があるのに十分なほど硬い。
【0004】
コールドシール接着剤のための重要な商業的用途は、熱の影響を受けやすい、たとえばキャンディ、チョコレート、及びポテトチップスなどのスナック菓子のための食品包装である。また別の望ましい用途は、医療用製品の包装であるが、その理由は、無菌状態を維持するために接着剤が強いシールを与えなければならないが、それと同時に、再シール性があってはならないからである。接着剤を含むフレキシブルな基材に何か汚染があると、接合の形成に影響するであろう。したがって、粘着性の低い接着剤(或いは、オーバーラッカー又はリリースラッカーと共に使用可能な接着剤)が好ましい。
【0005】
ヒートシール接着剤又はコールドシール接着剤のコンバーテッドロールは、粘着性があったり、又は粘着傾向があったりしてはならず、或いは、粘着防止剤と共に混合することが可能でなければならない。粘着が起きたとすると、その接着剤が、その上がコーティングされたフレキシブルな基材の反対側の面に接着することになるであろう。したがって、それらの接着剤の粘着性又は粘着傾向には、注意を払わなければならない。ある種の条件下で、50グラム/リニアインチ(gli)を超える高い粘着性は、理想的ではない。粘着性が最小限であるか又はまったく無いのならば、その上にコーティングされた接着剤を有するフレキシブルな基材は、ロールの形態で、互いにスティッキングすることなく、すなわち粘着することなく、理想的に貯蔵することが可能となるであろう。
【0006】
従来技術では、それ自体にしか接着しないセルフシーリング接着剤として(すなわち、コールドシールとして)使用される、天然ゴムラテックス及びアクリル樹脂の使用が記述されている。この化学物質は、数十年にわたって、菓子類の包装の作成に使用されてきた。コンポスト化が可能となり得るコールドシールのための、代替え化学物質を使用したいという願望が存在している。そのような接着剤は、好ましいことには、極性の基材にも極めてうまく接着する。
【0007】
米国特許第6,221,448号明細書には、10~100重量%の少なくとも1種の均一なエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む、コールドシール組成物が開示されている。この組成物は、各種の基材の上にコーティングすることが可能であり、ロールとして供給する際に粘着し難く、そして広い範囲の接合強度を示す。
【0008】
米国特許第4,902,370号明細書には、ベースポリマーとしてアクリル系コポリマー又はスチレン-ブタジエンゴム、そして二次ポリマーとしてスチレン-アクリル系コポリマーから作成された、合成ベースのコールドシール接着剤が開示されている。その接着剤は、粘着性を示さず、長期間にわたって貯蔵することが可能であり、そして天然ゴムベースのコールドシール接着剤の代わりに使用することができる。
【0009】
国際公開第2017/042178号パンフレットには、無触媒か、又は極めて少量の有機触媒を使用して調製された、水性ポリウレタン分散体をベースとするコールドシール接着剤が開示されている。
【0010】
米国特許第3,779,993号明細書には、金属塩の形態にあるスルホネート基を含有するモノマーから作成された、水消散性(water-dissipatable)ポリエステル及びポリアミドが開示されている。それらのポリエステル及びポリアミドは、接着剤として有用であり、そして冷水、熱水、又は水溶液の中に、溶解、分散、又はそうでなければ消散させることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
今日までのところ、コールドシール接着剤のために使用される技術の唯一のタイプは、いくつかのケースでは、リサイクルが可能ではあるが、コンポスト化が可能であると考えられる技術をベースとしたものではない。フレキシブル包装業界において変化が起きるに伴って、現行の技術を置き換えるための、性能的にコンポスト化が可能となり得る、水系のコールドシール接着剤を開発する必要が存在する。新規に開発されたコポリエステル樹脂は、コンポスト化が可能で、凝集力があるコールドシール接着剤を可能とすることができる。それらのコポリエステルは、極性の基材も含めて、各種の基材に十分に接合する。
【0012】
本明細書に記載され、そして各種の従来技術資料では満たされなかった必要性の少なくともいくつかに適合させる目的で、本発明は、第一の基材表面を第二の基材表面に接着させる方法を提供するが、それには、コポリエステル樹脂混合物を第一の基材表面及び第二の基材表面に塗布するステップ;及びその第一の基材表面を第二の基材表面と接触させて積層品を形成させるステップが含まれるが、ここでその方法が、周囲温度で実施される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一つの実施態様においては、組成物には、以下のものの反応生成物を含む非晶質コポリエステル樹脂が含まれる:(a)少なくとも2種のジオールであって、エチレングリコールを、ジオールの合計量を基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約0.7、且つ多くとも約0.97、好ましくは多くとも約0.95、最も好ましくは多くとも約0.92モル分率のモル分率で含む、少なくとも2種のジオール;及び(b)以下のものを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステル:(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09、且つ多くとも0.2、より好ましくは多くとも0.15、最も好ましくは多くとも0.12のモル分率で含む、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルであって、芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり、そして、その非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~約5℃の間、又は最も好ましくは約-20℃~約-5℃の間又は約-20℃~約-5℃の間のガラス転移温度を有する、少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステル。好ましい実施態様においては、エチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.65~0.97、好ましくは約0.75~約0.95、最も好ましくは約0.80~約0.92モル分率の量で存在している。
【0014】
本発明の一つの実施態様においては、組成物には、以下のものを含む非晶質コポリエステル樹脂が含まれる:(a)エチレングリコールを含む少なくとも2種のジオールの残基、及び(b)以下のものを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステルの残基:(i)少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステル、ここで:(1)そのコポリエステル樹脂が、ジオールを基準にして、約0.5~約0.9の間、最も好ましくは少なくとも約0.65~約0.85の間の、エチレングリコール残基の結合モル分率(bound mole fraction)を有し;(2)芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの残基の結合比(bound ratio)が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり;そして(3)その非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間のガラス転移温度を有している。
【0015】
本発明のまた別の実施態様においては、組成物が、上述の非晶質コポリエステル樹脂、及び水、有機溶媒、又はその両方からなる群より選択することが可能な溶媒を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のある種の実施態様及び実施例の詳しい説明を参照することにより、本発明をより容易に理解できるであろう。
【0017】
「コポリエステル」という用語は、1種又は複数の二官能カルボン酸又はエステル(すなわち、二酸又はジエステル)を、1種又は複数の二官能ヒドロキシル化合物(すなわち、ジオール)と反応させることにより調製された合成ポリマーを意味していると理解されたい。
【0018】
本発明の一つの実施態様では、非晶質コポリエステル樹脂を含む組成物が提供される。本明細書で使用するとき、「非晶質」という用語は、たとえば5ジュール/グラム未満、好ましくは1ジュール/グラム未満、最も好ましくは実質的にゼロジュール/グラムの融解熱を有する実質的に非晶質である物質を意味している。本明細書で提示される融解熱の値は、ASTM E793-01“Standard Test Method for Enthalpies of Fusion and Crystallization by Differential Scanning Calorimetry”に従って測定されたものである。
【0019】
第一の基材表面を第二の基材表面に接着させる方法を目的とする、本発明の一つの実施態様においては、その方法には、コポリエステル樹脂混合物をその第一の基材表面及び第二の基材表面に塗布するステップ;及びその第一の基材表面をその第二の基材表面と接触させて積層品を形成させるステップが含まれるが、ここで、その方法が周囲温度で実施される。一つの実施態様においては、その基材が単一の基材であり、その第一及び第二の表面が、その基材の異なった領域である。たとえば、その基材が、食品たとえばキャンディのための包装材、又はたとえばセッケン、フェミニンケア製品、及びおむつのような消費者包装商品として使用されるフィルムであってもよい。その二つの表面を、フィルムの合わせ面として、包装材のシール、たとえば端面シールを形成させることもできる。別な方法として、その第一の表面と第二の表面とが、異なった基材であってもよい。それらの基材の物質は、広い範囲で変化させることが可能で有り、標準的な基材としては、たとえば以下のものが挙げられる:PET及び金属化PET、並びにコンポスト化が可能であるか又は生分解性の基材、たとえばポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート(PBS)、セルロースベースの基材、及びポリヒドロキシアルカノエ-ト(PHA)。その基材が、バッグ、パウチ、又はサッシェを作製するためのロール材であってもよい。シールされた包装を作製するのに使用されるマシンは、各種適切なマシン又はシステム、たとえば、水平式の充填・シールマシン、又は垂直式の充填・シールマシンであってよい。包装のマスターロールを、第一のサイトで製造し、次いで、細断して子ロール(child roll)として、コパッカー又はブランドオーナーで使用する。これが、最終的な包装であって、消費者は、その中に、すぐに食べられる包装済み食品を見ることになる。いずれにしても、接着剤が両方の表面に塗布され、それが、コールドシール接着剤、すなわち熱を存在させることなく、圧力を用いてそれ自体を接合させる接着剤として機能する。
【0020】
コポリエステル樹脂混合物をその第一の基材表面及び第二の基材表面に塗布するステップは、各種の方法であってよい。たとえば、コポリエステル樹脂混合物は、第一の基材表面及び第二の基材表面に対して、たとえば以下のような各種公知の方法で塗布するのがよい:浸漬法すなわちディップコーティング法、ロールコーティング法、リバースロールコーティング法、スプレー法、ナイフオーバー-ロールコーティング法、エアナイフコーティング法、グラビア印刷塗布法、グラビア印刷パターン塗布法、又はスロットダイプロセス。同様にして、第一の基材表面を第二の基材表面と接触させて積層品を形成させることは、各種公知の方法、たとえば、場合によっては鋸場状の掴み具(serrated jaws)を用いて圧力を加えることによって実施することができる。その接触ステップは、第一の基材表面を第二の基材表面に接合させるのに十分な時間と圧力で実施するのが好ましい。そのようにして得られた接合が、Instron 5543引張試験機で、ASTM D903に従い、周囲条件(25℃、50%RH)、剥離速度12インチ/分で実施される接合強度試験によって測定して、300グラム/リニアインチ(gli)よりも高い平均値を達成するに十分な接合強度を有しているのが好ましい。実用可能な範囲の下限及び上限は、200~500グラム/リニアインチ(gli)であり、好ましい範囲の下限及び上限は、300~400グラム/リニアインチ(gli)であろう。誤解が無いように付言すれば、この試験においては、接合の形成及び剥離のいずれもが、周囲条件で実施される。本発明の一つの実施態様においては、その接触ステップの時間が、約0.1秒~約20秒、好ましくは約0.2秒~約2秒であり、そしてその接触ステップの圧力が、約40psi~約120psi、好ましくは約60psi~約100psiである。塗布ステップ及び接触ステップの両方が、周囲温度で実施される。本明細書で使用するとき、周囲温度は約25℃である。以下においてさらに詳しく説明するように、そのコポリエステル樹脂は、単一のコポリエステル樹脂反応生成物、又は2種以上のコポリエステル樹脂反応生成物のブレンド物のいずれであってもよい。それに加えて、そのコポリエステル樹脂混合物は、溶液であっても、或いは分散体であってもよい。
【0021】
本発明の一つの実施態様においては、そのコポリエステル樹脂が、スルホン化されている。このことは、そのコポリエステル樹脂が、少なくとも1種のスルホモノマーを含む複数のモノマーの反応生成物であるということを意味している。そのスルホモノマーは二官能であり、好ましくは、金属スルホネート基を含むそれらのジカルボン酸又はエステル、又は金属スルホネート基を含むグリコール、又は金属スルホネート基を含むヒドロキシ酸である。そのスルホネート塩のカチオンは、NH、又は金属イオンたとえば、Li、Na、K、Mg++、Ca++、Cu++、Ni++、Fe++、Fe+++であってよい。水中での安定性が望ましい場合には、好ましいのは、一価のカチオン、たとえばNH 、Li、Na、及びKである。好ましくは、そのスルホモノマーが、芳香族核に結合された-SOM基(ここでMは、水素、NH、又は金属イオンである)を含んでいるのが好ましい。その二官能モノマー成分は、-SOM基を含む、ジカルボン酸、又はジオールアダクトのいずれかであってよい。好ましい実施態様においては、そのスルホモノマーが、5-スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩又は5-スルホイソフタル酸である。
【0022】
本発明の一つの実施態様においては、その組成物が、コポリエステル樹脂と溶媒との混合物であり、その溶媒が、水、有機溶媒、又はそれら両方からなる群より選択される。その樹脂と溶媒とのブレンド物は、本明細書においては、コーティング組成物とも呼ばれる。本明細書で使用するとき、溶媒は、単一の溶媒又は複数の溶媒の混合物を考慮に入れている。使用される溶媒は、溶媒和前のそのコーティング組成物の溶解度特性、及び最終用途に依存するであろう。それらの因子に依存して、広い範囲の溶媒が使用できる。その溶媒又は溶媒混合物は、好ましくは、適切な粘度を有するコーティング組成物を与え、そしてそのコポリエステル樹脂を、最小限の加熱及び攪拌で溶解させるように選択される。その溶媒が、アセトン、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、及び1,3-ジオキソラン、又はそれらの混合物からなる群より選択されるのが好ましい。好ましい実施態様においては、その溶媒が水及び有機溶媒であり、その有機溶媒には、水溶性有機溶媒たとえば、アセトン、イソプロピルアルコール、又はそれらの混合物が含まれる。アセトンが、コーティング組成物の粘度を十分に低下させることが見出された。好ましい実施態様においては、その溶媒を、重量で約20~40%固形分の値に相当するような量で存在させ、そして水:有機溶媒(好ましくはイソプロピルアルコール)の重量比が、約80:20~約60:40である。また別の実施態様においては、その溶媒が、水からなっている。
【0023】
本発明の一つの実施態様においては、そのコポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~5℃の間、又は他の実施態様においては、最も好ましくは約-20℃~約-5℃の間の総括(平均)ガラス転移温度を有している。本明細書において記載されるガラス転移温度は、ASTM E-794-01に従い示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定したものであるが、ただし、10℃/分に代えて15℃/分の走査温度を使用したという一点だけ、その試験法に変更を加えた。そのコポリエステル樹脂が、単一のコポリエステル樹脂反応生成物(すなわち、単一のエステル化又はエステル交換反応スキームで形成されたコポリエステル樹脂)である場合には、その総括(平均)ガラス転移温度は、その単一のコポリエステル樹脂反応生成物のガラス転移温度である。そのコポリエステル樹脂が、2種以上の単一のコポリエステル樹脂反応生成物のブレンド物である場合には、その総括(平均)ガラス転移温度は、そのブレンド物を形成させるために使用されたコポリエステル樹脂反応生成物のガラス転移温度の加重平均である。たとえば、75重量%の、-20℃のガラス転移温度を有する第一のコポリエステル樹脂反応生成物と、25重量%の、20℃のガラス転移温度を有する第二のコポリエステル樹脂反応生成物とのブレンド物では、そのブレンド物の総括(平均)ガラス転移温度が、-10℃となるであろう。この方法は、本明細書で使用されるコポリエステル樹脂のすべての性質を求める場合にもあてはまる。したがって、ブレンドされた製品の中で使用されるコポリエステル樹脂反応生成物の一つが、所望の範囲から外れた値を有していても、また別のコポリエステル樹脂反応生成物を組み合わせると、そのブレンド物が、その総括(平均)値が所望の範囲の中に入るのであれば、本発明の組成物とすることができる。
【0024】
「反応生成物」という用語は、本明細書で使用するとき、そのコポリエステルの作製に使用された各種のモノマー(すなわち、その反応に仕込まれたモノマー)、又は使用されたモノマー(ある種の酸価及び/又は粘度のために反応される、オリゴマー又は最終のコポリエステルも含めて)の相互作用により反応の際にインサイチューで形成されたモノマーの、エステル化反応又はエステル交換反応の各種の反応生成物を指している。
【0025】
本発明の一つの実施態様においては、そのコポリエステル樹脂には、以下のものの反応生成物が含まれる:(a)少なくとも2種のジオールであって、エチレングリコールを、ジオールの合計量を基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくはジオールを基準にして少なくとも約0.7、且つ多くとも約0.97、好ましくは多くとも約0.95、最も好ましくは多くとも約0.92モル分率のモル分率で含む、少なくとも2種のジオール;及び(b)以下のものを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステル:(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、より好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09、且つ多くとも0.2、より好ましくは多くとも0.15、最も好ましくは多くとも0.12のモル分率で含む、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステル。他の実施態様においては、その少なくとも1種のスルホモノマーが、二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.07、好ましくは少なくとも0.08、より好ましくは少なくとも0.09のモル分率で存在している。他の実施態様においては、そのコポリエステル樹脂には、以下のものの反応生成物が含まれる:(a)エチレングリコールを、ジオールを基準にして、少なくとも約0.5、好ましくは少なくとも約0.6、より好ましくは少なくとも約0.7、最も好ましくは少なくとも約0.75から、多くとも約0.95、より好ましくは多くとも約0.9までのモル分率で含む少なくとも2種のジオール、及び(b)以下のものを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステル:(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、より好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09、且つ多くとも0.2、より好ましくは多くとも0.15、最も好ましくは多くとも0.12のモル分率で含む、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステル。好ましい実施態様においては、芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間である。
【0026】
好ましい実施態様においては、使用されるモノマーには、以下のものが含まれていてよい:
a.ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム(DMSIP)又は5-スルホイソファリック酸(SIPA)の少なくとも一つから選択される少なくとも1種のスルホモノマー、好ましくはDMSIP;
b.コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、及びアジピン酸の少なくとも1種からなる群より選択される少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステル、好ましくはセバシン酸;
c.少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステルが、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、及びイソフタル酸ジメチルの少なくとも1種からなる群より選択され、好ましくはイソフタル酸及びテレフタル酸ジメチルであり;及び
d.その内の一つがエチレングリコールであり、そしてネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、及びシクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種からなる群より選択される第二のジオール、好ましくはネオペンチルグリコールを含む、少なくとも2種のジオール。
【0027】
このようなモノマーの組み合わせで、本明細書に記載される用途のいくつかで必要とされる、広い範囲での性能のバランスがとれるということが見出された。コールドシールとして使用するためには、これらのモノマーから製造される樹脂が、上述のような凝集力を与える。さらには、そのコポリエステル樹脂は、水及び有機溶媒、たとえばイソプロピルアルコール又はアセトンの中に、最高40%固形分までも溶媒和する。それに加えて、そのガラス転移温度も、コールドシール接着剤として使用するのに望ましい範囲内である。
【0028】
好ましい実施態様においては、反応への仕込み物として使用されるモノマーには、以下のものを、以下の量で含んでいるのがよい:
a.二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは0.07~約0.2、好ましくは約0.08~約0.15、最も好ましくは約0.09~約0.12のモル分率の量の、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム;
b.イソフタル酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.02~0.2、好ましくは約0.03~約0.15、最も好ましくは約0.05~約0.1のモル分率の量で存在している;
c.テレフタル酸ジメチルが、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.25~0.55、好ましくは約0.3~約0.5、最も好ましくは約0.35~約0.45のモル分率の量で存在している;
d.セバシン酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.18~0.4、好ましくは約0.2~約0.38、最も好ましくは約0.25~約0.35のモル分率の量で存在している;
e.エチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.65~0.97、好ましくは約0.75~約0.95、最も好ましくは約0.80~約0.92モル分率の量で存在している;そして
f.ネオペンチルグリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.03~0.25、好ましくは約0.05~約0.2、最も好ましくは約0.08~約0.15モル分率の量で存在している。
g.場合によっては、ジエチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.01~0.2、好ましくは約0.01~約0.15、最も好ましくは約0.05~0.12のモル分率の量で存在している。
【0029】
それぞれのモノマーについてのモル分率は、その反応に添加されたモノマーのモル数を、そのクラスのモノマー(一方では、ジオール、他方では二酸及びジエステル)の合計モル数で割り算することにより計算される。上述の6種又は7種のモノマーが、その中で使用される唯一のモノマーであるような、好ましい実施態様においては、エチレングリコール、ジエチレングリコール(添加するなら)、及びネオペンチルグリコールのモル分率が合計して1であり、そしてジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、及びセバシン酸のモル分率が、合計して1である。使用されるモノマーが、上で列記した6種又は7種のモノマーを含むか、実質的にそれらからなるか、又はそれらからなるのがよい。本明細書において特に断らない限り、本明細書において与えられる、モノマーのモル分率及び比率は、その反応に仕込まれるモノマーの相対量である。いくつかのケースでは、エチレングリコールが使用される場合、いくらかの量のジエチレングリコールが形成される。そのようなジエチレングリコールもまた、インサイチューで二酸又はジエステルと反応して、ジエチレングリコールの残基が、そのコポリエステルの主鎖の一部を形成することになるであろう。たとえば、約0.8~約0.92の間のモル分率のエチレングリコールが使用されるような実施態様においては、ジエチレングリコールが、インサイチューで生成し、約0.07~約0.32、好ましくは約0.12~約0.25の間の量でそのコポリエステル主鎖の一部となり、それに相応して、エチレングリコールの量が減る。形成されるジエチレングリコールの量は、高い酸性の酸の存在及び量、並びにその反応条件(すなわち、一般的には、反応時間が長く、反応温度が高いほど、ジエチレングリコールの生成量が多い)に依存する。仕込みにジエチレングリコールを意図的に添加すると、その反応全体で形成されるジエチレングリコール残基の量を、より精度よく制御することができる。たとえば、約0.8~0.92の間のモル分率のエチレングリコールを、0.05~0.15のモル分率のジエチレングリコールと組み合わせて使用した実施態様においては、ジエチレングリコールが、インサイチューで形成され、そして好ましくは約0.12~0.25の間の結合モル分率の量でジエチレングリコール残基として、そのコポリエステル主鎖の一部となり、それに相応して、エチレングリコールの量が減少して、たとえば、約0.65~約0.87の結合モル分率のエチレングリコール残基となる。
【0030】
一つの実施態様においては、使用されるジオールの、ほとんど、実質的に全部、又は全部が脂肪族である。好ましい実施態様においては、そのジオールが、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを含むか、実質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。好ましくは、エチレングリコール:ネオペンチルグリコールのモル比が、約3:1~約20:1、好ましくは約4:1~約15:1の間、より好ましくは約5:1~約12:1の間、最も好ましくは約7:1~約17:2の間である。これらの比率は、そのコポリエステル樹脂が、本明細書に記載された用途で望まれる好適なガラス転移温度を達成するのに役立つ。
【0031】
その中でジエチレングリコールが、反応に仕込まれるモノマーとしてさらに使用されるまた別の実施態様においては、そのジオールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びネオペンチルグリコールを含むか、実質的にそれらからなるか、又はそれらからなる。好ましくは、エチレングリコール:ジエチレングリコール:ネオペンチルグリコールのモル比が、約3:1:1~約20:1:1、好ましくは約4:1:1~約15:1:1の間、より好ましくは約5:1:1~約12:1:1間、最も好ましくは約7:1:1~約17:2:2の間である。これらの比率は、そのコポリエステル樹脂が、本明細書に記載された用途で望まれる好適なガラス転移温度を達成するのに役立つ。
【0032】
本発明の一つの実施態様においては、その二酸及びジエステル成分に、脂肪族モノマー及び芳香族モノマーの両方が含まれる。コポリエステルの製造においては公知のことであるが、酸又はエステルのいずれかを、アルコールと組み合わせて使用して、それぞれ、エステル化反応又はエステル交換反応によって、コポリエステル樹脂を形成させる。好ましくは、芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間である。この比率が、粘着性が十分にありながらも、基材の破損や過剰な粘着性の原因となるほどの高すぎる接着力及び凝集力は与えない、コポリエステル樹脂を与える。
【0033】
本発明の一つの実施態様においては、組成物には、以下のもの:(a)ジオールを基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約0.7のモル分率でエチレングリコールを含む、少なくとも2種のジオール、及び(b)少なくとも3種の二酸又はジエステルであって、以下のもの:(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09、且つ多くとも0.2、より好ましくは多くとも0.15、最も好ましくは多くとも0.12のモル分率で含む、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステル、の反応生成物を含む非晶質コポリエステル樹脂が含まれ、芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり、そして、その非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~約5℃の間、又は、他の実施態様においては、最も好ましくは約-20℃~約-5℃の間のガラス転移温度を有する。その組成物が、溶媒をさらに含んでいて、その結果、非晶質コポリエステル樹脂とその溶媒との混合物が得られるのが好ましい。その混合物の形態は、溶液又は分散体であってよい。その溶媒は、好ましくは、水、有機溶媒(たとえば、アセトン、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、及び1,3-ジオキソラン、又はそれらの混合物)、又はそれら両方からなる群より選択される。好ましい実施態様においては、その溶媒が、水と有機溶媒との溶媒混合物であり、より好ましくは、その有機溶媒が、アセトン、又はイソプロピルアルコール、又はそれらの混合物のいずれかである。この水とアセトン/イソプロピルアルコールとの溶媒混合物が、重量で約20~40%固形分の値に相当する量、及び約80:20~約60:40の水:有機溶媒の重量比で存在していれば、さらにより好ましい。本発明では、組成物がコンポスト化が可能か否か、そのような組成物を使用する方法、及びそのような組成物から作製される物品を考慮している。
【0034】
上でも述べたように、本明細書において提示されるモノマーのモル分率及び比率は、特に断らない限り、反応に仕込まれるモノマーの相対量である。結合モル分率又は結合比として本明細書に記載されるモル分率又は比率は、コポリエステル主鎖の一部である残基のモル分率又は比率を指している。したがって、特定の実施態様で、反応に仕込まれるモノマーとしてのジエチレングリコールを有していないとしても、ジエチレングリコールがインサイチューで形成され、形成されるコポリエステル樹脂の一部となるのなら、そのコポリエステル樹脂は、ジオールを基準にして、ゼロよりは大、たとえば、約0.07~約0.32、最も好ましくは少なくとも約0.12~約0.25の間のジエチレングリコール残基の結合モル分率を有することができる。
【0035】
本発明の実施態様は、コンポスト化が可能であると考えられる。コンポスト化プロセスでは、たとえば細菌又は真菌のような微生物を使用して、有機物質を分解し、後者からは、二酸化炭素、水、熱、及びコンポストが発生する。微生物が、有機物、水、及び酸素の供給を連続的に受けているということが重要である。
【0036】
コンポスト化可能性の試験のための標準的な方法は、包装についてのEN 13432、及びASTM 6400(これは、コンポスト化が可能なプラスチックについての標準的な規格である)である。コンポスト化が可能と考えられるためには、その製品は、以下の三つの項目を示さなければならない:
a.壊変性:長さ2cmとした製品の切片で開始して、実験室的に制御されたコンポスト化組成物の下での12週間のコンポスト化で、その製品の90%が、2mmの篩を通過しなければならない。
b.生分解性:試験期間の終わりまでに、陽性対照(セルロース)と比較して、有機炭素の60%が、二酸化炭素に転化していなければならない。
c.コンポストの品質に悪影響がないこと:サンプルコンポストの発芽速度及び植物バイオマスが、90%以上であるべきであり、そして重金属のレベルが、ある種の基準(これは、地域に依存する)未満であるべきである。
【0037】
この試験を実施するには、特別な条件が必要とされる。第一には、温度制御されたインキュベーターを使用して、58℃の温度を維持し、そのコンポスト化容器(容量、7.5リットル)は、多孔性パッドを使用して、二つに区分する。その底部には、1リットルの水を含むようにし、そしてこの水の中に二酸化炭素をバブリングさせて、その水をガスで飽和させる。
【0038】
接種:3月齢のコンポストを使用する;9.5mmの篩を通してそれを篩別し、混合する。塩化アンモニウムを添加して、C/N比率を15未満とし、水の容積を調節して、含水量が50%になるようにする。
【0039】
壊変試験:200gの、2cm×2cmの正方形の製品を用い、それを、1.2kgのコンポストに加え、7.5リットルの容器の中に入れて試験を開始する。その混合物を、12週間かけてコンポスト化させるが、その容器は、1週間ごとに振盪して、サンプルとコンポストとを混合し、チャネリングを防止する。12週間後に、2mmの篩を通してその物質を篩別する。その生成物の元々の乾燥重量の10%以下が、篩の上に残ればよい。
【0040】
生分解試験:この試験は、4種の混合物で実施する:サンプル(10gの製品及び600gのコンポスト)、陽性対照(製品をセルロースに置き換え)、陰性対照(100gのPET及び600gのコンポスト)、及びブランク(600gのコンポストのみ)。
【0041】
その混合物の含水率を調節して、50%とする。そのコンポスト化容器を、インキュベーターの中、58℃±2℃に置く。次いで、COフリーの空気を接続して、流量が150~200mL/分の間になるように調節する。試験チャンバーから出てくるガスを、ソレノイドバルブに配管し(plumbed)、そのバルブを制御して、2時間毎に2分間、空気を迂回させるようにする。そのように迂回させたガスを、既知の容積の1N水酸化ナトリウムを含む1リットルの吸着ユニットの中に流し込み、その容器の中で生成した二酸化炭素を吸着させる(2時間の内の残りでは、排気ガスは、単純に室内に排気する)。定期的にその水酸化ナトリウムを滴定して、生成したCOを測定するが、標準的な滴定日は、3日、7日、14日、及びそれ以降は7日毎である。BaClを添加して、COにより生成する炭酸塩を沈殿させた後で、0.5NのHClを用いて、pH8.5になるまで滴定する。吸収ユニットの中にフレッシュな1N水酸化ナトリウムを加えて、そのプロセス全体をくり返す。その試験を、サンプル及び陽性対照の両方からのCOの発生が頭打ちになるまで、最大で180日間実施する。
【0042】
ある種の本発明のコポリエステル樹脂の好ましい実施態様は、形成されるコポリエステル樹脂の性質に関連する。一つのそのような実施態様においては、その非晶質コポリエステル樹脂が、10mgKOH/gより小、好ましくは7mgKOH/gより小であるが、0.1mgKOH/gより大、好ましくは1mgKOH/gより大の酸価を有している。酸価は、本明細書で使用するとき、DIN EN ISO 2114に従って測定されたものである。測定対象の試料を、ジクロロメタン及びメタノール(体積比80:20のブレンド物)の中に溶解させ、フェノールフタレインの存在下に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定する。酸価は、1グラムのポリマーの中に存在する酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム量である。酸価は、そのコポリエステル樹脂生成反応の進行度の目安であって、反応が進むにつれて低下する。
【0043】
数平均分子量及び重量平均分子量もまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用し、PMMA標準品及び溶媒としてのDMSOを使用して求めた。その非晶質コポリエステル樹脂は、約1000~15,000ダルトンの間、好ましくは約5000~12,000ダルトンの間の数平均分子量(Mn)、及び約7,000~45,000ダルトンの間、好ましくは約15,000~40,000ダルトンの間の重量平均分子量(Mw)を有する。本発明のさらにまた別の実施態様においては、その非晶質コポリエステル樹脂が、#27スピンドルを使用し、約0.5~10rpmの間の回転速度で測定して、5,000~150,000cPの間のBrookfield Thermosel溶融粘度(215℃)を有している。本発明のさらにまた別の実施態様においては、そのコポリエステル樹脂の固有粘度が、約0.1dL/g~約0.7dL/gの間、好ましくは約0.15dL/g~約0.55dL/gの間である。本明細書で使用するとき、固有粘度は、ASTM D5225-14に従って測定したものである。コポリエステル樹脂の分子量及び粘度のいずれもが、反応が進むにつれて、高くなる。
【0044】
本発明において使用されるコポリエステルは、エステル交換反応法又は直接エステル化法によりコポリエステルを製造するための、従来からの各種の方法により製造することができる。しかしながら、食品への用途を考慮すると、触媒及び添加剤として、衛生の面で問題となる重金属又は化合物を使用することは、回避又は制限されるべきである。本発明において使用されるコポリエステルは、典型的には、二酸又はジエステル及びジオールから調製することが可能であり、それらは実質的には等しい比率で反応して、それらの相当する残基としてそのコポリエステルの中に組みこまれる。周知のように、ジオールが過剰に添加されるが、その理由は、未反応のジオールの方が、未反応の二酸又はジエステルよりは容易に蒸発するからである。したがって、本発明のコポリエステルは、二酸又はジエステル残基とジオール残基とを、実質的に等モルの比率で含むことができる。したがって、本開示で提供されるモル百分率は、結合モル分率又は結合比率と書かれている場合は除いて、二酸及びジエステルの仕込み物の合計モル、又はジオール仕込み物の合計モルを基準にしていてよい。
【0045】
適切な方法には、1種又は複数のジカルボン酸を2種以上のジオールと、100℃~315℃の温度、0.1~760mmHgの圧力で、ポリエステルを形成させるに十分な時間反応させるステップが含まれる(これらに限定される訳ではない)。米国特許第3,772,405号明細書(参考として引用し本明細書に組み入れたものとする)には、コポリエステルを製造するための適切な方法が記載されている。コポリエステル樹脂を製造するための一つのプロセスにおいては、そのプロセスに以下のステップが含まれる:(I)本発明のコポリエステルのいずれかにおいて有用な選択されたモノマーを含む混合物を、触媒の存在下に、150~240℃の温度で、初期ポリエステルを製造するに十分な時間かけて加熱するステップ;(II)ステップ(I)の初期ポリエステルを、240~320℃の温度で、1~4時間加熱するステップ;及び(III)各種の未反応のグリコールを除去するステップ。
【0046】
このプロセスにおいて使用するのに適した触媒としては以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):有機の亜鉛、チタン、又はスズ化合物(しかしながら、有機スズ化合物は、食品及び飲料用途では好ましくない)。このタイプの触媒の使用は、当業者には周知である。本発明において有用な触媒の例としては、以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):酢酸亜鉛二水和物、ブチルスズトリス-2-エチルヘキサノエート、ジジブチルスズジアセテート、チタン(IV)2-エチルヘキシルオキシド、チタン(IV)ブトキシド、及び/又はジブチルスズオキシド。その他の触媒としては、以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):マンガン、リチウム、ゲルマニウム、及びコバルトをベースとするもの。触媒量は、触媒金属及び最終的なポリマーの重量を基準にして、10ppm~20,000ppm、又は10~10,000ppm、又は~5000ppm、又は10~1000ppm、又は10~500ppm、又は10~300ppm、又は10~250とすることができる。このプロセスは、バッチ式、連続式のいずれのプロセスでも実施することができる。
【0047】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、そのコポリエステル樹脂が、次の7種のモノマーの、次のモル比での反応生成物である:グリコールの合計量を基準にして、0.81モルのエチレングリコール、0.09モルのジエチレングリコール、及び0.10モルのネオペンチルグリコール;並びに二酸及びジエステルの合計量を基準にして、0.41モルのセバシン酸、0.39モルのテレフタル酸ジメチル、0.1モルのDMSIP、及び0.1モルのイソフタル酸。一つの実施態様においては、そのコポリエステル樹脂が、これらのモノマーを、それらの相対量で含む、単一のエステル化/エステル交換反応スキームから製造された樹脂である。また別の実施態様においては、そのコポリエステル樹脂が、それぞれが、それ自体のエステル化/エステル交換反応スキームで製造され、それぞれがモノマー類の独自のブレンド物を有する、2種以上の樹脂のブレンド物である。ブレンド物の実施態様においては、その2種以上の樹脂が、単一のエステル化/エステル交換反応スキームで製造された樹脂で達成されるであろう、性質及びモノマーの量の加重平均が達成されるように選択される。たとえば、そのコポリエステル樹脂が、35重量%の、以下のモノマーの以下のモル分率で製造された第一の樹脂(ジオールの合計モルを基準にして、0.67モルのエチレングリコール及び0.33モルのネオペンチルグリコール、並びに二酸及びジエステルの合計モルを基準にして、0.54モルのテレフタル酸ジメチル、0.08モルのイソフタル酸、0.29モルのセバシン酸、及び0.1モルのDMSIP)、並びに、65重量%の、以下のモノマーの以下のモル分率で製造された第二の樹脂(ジオール側では、エチレングリコールのみ、並びに0.31モルのテレフタル酸ジメチル、0.11モルのイソフタル酸、0.48モルのセバシン酸、及び0.1モルのDMSIP)のブレンド物であってよい。
【0048】
本発明のこの実施態様のある種の好ましい態様は、コポリエステル樹脂の製造において、使用されるモノマー、そしていくつかの使用されないモノマーに関連する。一つのそのような態様においては、プロパンジオール、ブタンジオール、イソプロピルアルコール、又はそれらのいずれもが、本発明のコポリエステル樹脂を製造するのには、使用されない。他の実施態様においては、たとえばエタノールのようなアルコールが、溶媒混合物の中で使用されない。本発明の一つの実施態様においては、そのコポリエステル樹脂がペレットの形態にある(溶媒和の前)。それに代わる形態としては、顆粒、切断ロッド、又は粉体が挙げられる。
【0049】
本発明のコーティング組成物にはさらに、そのコーティング組成物又はそれらから得られる硬化されたコーティング組成物に悪影響を及ばさない、その他の任意成分が含まれていてもよい。そのような任意成分は、典型的には、コーティング組成物の中に組みこまれて、組成物の見栄えをよくしたり、その組成物の製造、加工、取扱い、及び塗布を容易にしたり、コーティング組成物又はそれらから得られる硬化されたコーティング組成物の特定の機能特性をさらに改良したりする。
【0050】
そのような任意成分としては、たとえば、以下のものが挙げられる:染料、顔料、トナー、エクステンダー、充填剤、滑沢剤、耐腐食剤、流動調節剤、チクソトロープ剤、分散剤、抗酸化剤、接着促進剤、光安定剤、及びそれらの混合物。微生物の攻撃からの水系生成物を防止するための殺虫剤を添加してもよい。分散を改良し、そして各種の相分離を限定するために、界面活性剤を使用してもよい。消泡剤及び増粘剤もまた、公知の方法で使用してよい。それぞれの任意成分は、その意図された目的に役立たせるのに十分な量ではあるが、コーティング組成物又はそれらから得られる硬化されたコーティング組成物に悪影響を与えないような量で含まれる。
【0051】
また別の有用な任意成分は、潤滑剤たとえばワックスであるが、それは、コーティングされた金属基材のシートに潤滑性を付与することによって、フレキシブルメタル基材又は金属化紙の作成を容易にする。潤滑剤は、非揮発性物質の重量の約0.01%~約2%、好ましくは約0.1~約2%の量で、そのコーティング組成物の中に存在させるのが好ましい。好ましい滑沢剤としては、たとえば、カルナウバワックス及びポリエチレンタイプの滑沢剤が挙げられる。
【0052】
その中でコールドシール接着剤がコンポスト化が可能である一つの好ましい実施態様においては、それ自体コンポスト化が不可能な任意成分が、1重量%未満の量でしか含まれていない。コンポスト化が可能であると依然として特徴付けられる接着剤では、それ自体コンポスト化が可能な任意成分が1重量%を越える量で含まれているのがよい。
【0053】
本発明はさらに、製造物品に関する。それらの物品としては、本発明によるコールドシール接着剤により互いにシールされた、包装材(wrapper)、包装(packaging)、及び食品容器が挙げられる。上述のコーティング組成物は、たとえばキャンディのための食品の包装材で使用するためのコールドシール接着性コーティングとして使用するのに特によく適合している。
【0054】
本発明の一つの実施態様においては、その基材が、第一の表面の上にコーティングされた本発明による接着剤及び第二の表面の上にコーティングされた接着剤を有するフィルムを含むが、ここで、その表面が互いにシールされている。その表面が、たとえば端面シール又は長さ方向のシールのような、フィルムのシールを形成しているのが好ましい。それらの物品に、2種以上の基材が含まれていてもよい。
【0055】
粘着性を最小限にするための方法は、基材の、接着剤がコーティングされたのとは反対側の上にオーバーラッカー又はリリースラッカーを含ませることである。このようにすると、基材をロール状にしたときに、そのオーバーラッカー又はリリースラッカーが接着剤層と接触し、それにより粘着が防止される。それらのオーバーラッカー又はリリースラッカーは、各種公知のオーバーラッカー又はリリースラッカーであってよく、慣用される方法で適用することができる。
【0056】
また別の実施態様においては、本明細書に記載されたコールドシール接着剤組成物が、感圧接着剤として剥離ライナーに接着され、次いで基材に適用されてもよい。
【0057】
パラメーターとして複数の範囲、又は複数の下限及び複数の上限が与えられているような実施態様においては、本発明では、そのパラメーターでの、各種下限から各種上限の範囲がすべて含まれる。
【0058】
本発明の態様
[態様1]
第一の基材表面を第二の基材表面に接着させる方法であって、
コポリエステル樹脂混合物を、第一の基材表面及び第二の基材表面に塗布するステップ;及び
前記第一の基材表面を前記第二の基材表面と接触させて積層品を形成させるステップ
を含み、ここで、前記方法が、周囲温度で実施される、方法。
[態様2]
前記コポリエステル樹脂がスルホン化されている、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記接触ステップが、前記第一の基材表面を前記第二の基材表面に接合させるのに十分な時間と圧力で実施される、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記接触ステップの時間が、約0.1秒~約20秒、好ましくは約0.2秒~約2秒であり、そして前記接触ステップの圧力が、約40psi~約120psi、好ましくは約60psi~約100psiである、態様3に記載の方法。
[態様5]
前記組成物が、前記コポリエステル樹脂と溶媒との混合物であり、前記溶媒が、水、有機溶媒、又はそれら両方からなる群より選択される、態様1~4のいずれかに記載の方法。
[態様6]
前記溶媒が水及び有機溶媒であり、そして前記有機溶媒が、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む、態様5に記載の方法。
[態様7]
前記溶媒が、重量で約20~40%固形分の値に相当する量で存在し、そして、水:有機溶媒の重量比が、約80:20~約60:40である、態様6に記載の方法。
[態様8]
前記コポリエステル樹脂の総括Tgが、約-25℃~約15℃、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~5℃の間又は約-20℃~約-5℃の間である、態様1~7のいずれかに記載の方法。
[態様9]
前記コポリエステル樹脂が、(a)少なくとも2種のジオールであって、前記ジオールを基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約0.7のモル分率でエチレングリコールを含む、少なくとも2種のジオールと、(b)少なくとも3種の二酸又はジエステルであって、(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、前記二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、より好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09、且つ多くとも0.2、より好ましくは多くとも0.15、最も好ましくは多くとも0.12のモル分率での、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステルとの反応生成物を含む、態様1~8のいずれかに記載の方法。
[態様10]
芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間である、態様9に記載の方法。
[態様11]
前記少なくとも1種のスルホモノマーが、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(DIMSIP)又は5-スルホイソファリック酸(SIPA)の少なくとも1種であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、セバシン酸、アゼライン酸、及びアジピン酸からなる群より選択され;
前記少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステルが、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、及びイソフタル酸ジメチルの少なくとも1種からなる群より選択され;そして
前記少なくとも2種のジオールがさらに、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、及びシクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種を含む;
態様9又は10に記載の方法。
[態様12]
前記少なくとも1種のスルホモノマーが、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、セバシン酸であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、イソフタル酸及びテレフタル酸ジメチルであり;そして
前記少なくとも2種のジオールが、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールである;
態様11に記載の方法。
[態様13]
ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.07~0.2、好ましくは約0.08~約0.15、最も好ましくは約0.09~約0.12のモル分率の量で存在し;
イソフタル酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.02~0.2、好ましくは約0.03~約0.15、最も好ましくは約0.05~約0.1のモル分率の量で存在し;
テレフタル酸ジメチルが、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.25~0.55、好ましくは約0.3~約0.5、最も好ましくは約0.35~約0.45のモル分率の量で存在し;
セバシン酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.18~0.4、好ましくは約0.2~約0.38、最も好ましくは約0.25~約0.35のモル分率の量で存在し;
エチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.75~0.97、好ましくは約0.8~約0.95、最も好ましくは約0.85~約0.92のモル分率の量で存在し;そして
ネオペチルグリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.03~0.25、好ましくは約0.05~約0.2、最も好ましくは約0.08~約0.15のモル分率の量で存在している;
態様12に記載の方法。
[態様14]
前記ジオールのほとんど、実質的に全部、又は全部が、脂肪族である、態様9~13のいずれかに記載の方法。
[態様15]
(エチレングリコール:ネオペンチルグリコール)のモル比が、約3:1~約20:1、好ましくは約4:1~約15:1の間、より好ましくは約5:1~約12:1の間、最も好ましくは約7:1~約17:2の間である、態様12又は13に記載の方法。
[態様16]
非晶質コポリエステル樹脂を含む組成物であって、(a)少なくとも2種のジオールであって、前記ジオールを基準にして、少なくとも約0.25、好ましくは少なくとも約0.5、最も好ましくは少なくとも約0.7のモル分率でエチレングリコールを含む、少なくとも2種のジオールと、(b)少なくとも3種の二酸又はジエステルであって、(i)少なくとも1種のスルホモノマーであって、前記二酸又はジエステルを基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.07、好ましくは少なくとも0.08、最も好ましくは少なくとも0.09のモル分率での、少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む少なくとも3種の二酸又はジエステル、との反応生成物を含み、芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの比率が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり、そして、その非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間、最も好ましくは約-10℃~約5℃の間、又は、最も好ましくは約-20℃~約-5℃の間のガラス転移温度を有する、組成物。
[態様17]
溶媒をさらに含む、態様16に記載の組成物。
[態様18]
前記溶媒が、水、有機溶媒、又はそれら両方からなる群より選択される、態様17に記載の組成物。
[態様19]
前記溶媒が水及び有機溶媒であり、そして前記有機溶媒が、アセトン及びイソプロピルアルコールを含む、態様18に記載の組成物。
[態様20]
前記溶媒が、重量で約20~40%固形分の値に相当する量で存在し、そして水:有機溶媒の重量比が、約80:20~約60:40である、態様19に記載の組成物。
[態様21]
前記少なくとも1種のスルホモノマーが、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(DMSIP)又は5-スルホイソファリック酸(SIPA)の少なくとも1種であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、セバシン酸、アゼライン酸、及びアジピン酸からなる群より選択され;
前記少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステルが、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、及びイソフタル酸ジメチルの少なくとも1種からなる群より選択され;そして
前記少なくとも2種のジオールがさらに、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、及びシクロヘキサンジメタノールの少なくとも1種を含む;
態様16~20のいずれかに記載の組成物。
[態様22]
前記少なくとも1種のスルホモノマーが、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、セバシン酸であり;
前記少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルが、イソフタル酸及びテレフタル酸ジメチルであり;そして
前記少なくとも2種のジオールが、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールである;
態様21に記載の組成物。
[態様23]
ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウムが、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも約0.07~約0.2、好ましくは約0.08~約0.15、最も好ましくは約0.09~約0.12のモル分率の量で存在し;
イソフタル酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.02~0.2、好ましくは約0.03~約0.15、最も好ましくは約0.05~約0.1のモル分率の量で存在し;
テレフタル酸ジメチルが、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.25~0.55、好ましくは約0.3~約0.5、最も好ましくは約0.35~約0.45のモル分率の量で存在し;
セバシン酸が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、約0.18~0.4、好ましくは約0.2~約0.38、最も好ましくは約0.25~約0.35のモル分率の量で存在し;
エチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.75~0.97、好ましくは約0.8~約0.95、最も好ましくは約0.85~約0.92モル分率の量で存在し;そして
ネオペチルグリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.03~0.25、好ましくは約0.05~約0.2、最も好ましくは約0.08~約0.15モル分率の量で存在する;
態様22に記載の組成物。
[態様24]
前記ジオールのほとんど、実質的に全部、又は全部が、脂肪族である、態様16~23のいずれかに記載の組成物。
[態様25]
エチレングリコール:ネオペンチルグリコールのモル比が、約3:1~約20:1、好ましくは約4:1~約15:1の間、より好ましくは約5:1~約12:1の間、最も好ましくは約7:1~約17:2の間である、態様22又は23のいずれかに記載の組成物。
[態様26]
ジエチレングリコールが、ジオールの合計量を基準にして、約0.01~約0.2、好ましくは約0.01~約0.15、最も好ましくは約0.05~約0.12のモル分率の量で存在する、態様16~24のいずれかに記載の組成物。
[態様27]
態様1に記載の方法により形成される積層品。
[態様28]
物品であって、互いに組み合わされた第一の表面及び第二の表面を有し、そしてそれぞれが、その上にコーティングされた、態様16~26のいずれかに記載の組成物を有する、少なくとも1種の基材を含む、物品。
[態様28]
第一の表面を有する第一の基材及び第二の表面を有する第二の基材を含む物品であって、前記第一及び第二の表面のそれぞれが、互いに組み合わさり、そしてそれぞれが、その上にコーティングされた、態様16~26のいずれかに記載の組成物を有する、物品。
[態様29]
非晶質コポリエステル樹脂を含む組成物であって、(a)エチレングリコールを含む少なくとも2種のジオールの残基と、(b)(i)少なくとも1種のスルホモノマー;(ii)少なくとも1種の芳香族二酸又はジエステル;及び(iii)少なくとも1種の脂肪族二酸又はジエステルを含む、少なくとも3種の二酸又はジエステルの残基とを含み、前記コポリエステル樹脂が、ジオールを基準にして、約0.5~約0.9の間、最も好ましくは少なくとも約0.65~約0.85の間の、エチレングリコール残基の結合モル分率を有し;
芳香族二酸又はジエステル/脂肪族二酸又はジエステルの残基の結合比が、約75/25~約45/55の間、好ましくは約72/28~約48/52の間、より好ましくは約70/30~約50/50の間、最も好ましくは約68/32~約50/50の間であり;そして
前記非晶質コポリエステル樹脂が、約-25℃~約15℃の間、好ましくは約-18℃~約10℃の間のガラス転移温度を有している、
組成物。
[態様30]
前記コポリエステル樹脂が、ジオールを基準にして、約0.07~約0.32の間、最も好ましくは少なくとも約0.12~約0.25の間の、ジエチレングリコール残基の結合モル分率を有する、態様29に記載の組成物。
[態様31]
前記コポリエステル樹脂が、二酸及びジエステルの合計量を基準にして、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.03、より好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも約0.07~約0.2、好ましくは約0.08~約0.15、最も好ましくは約0.09~約0.12のモル分率の量の、少なくとも1種のスルホモノマーの結合モル分率を有する、態様28又は28に記載の組成物。
【実施例
【0059】
以下の実施例によって、本発明のある種の好ましい実施態様のいくつかの態様を説明するが、それらの実施例が本発明を限定すると受け取ってはならない。
【0060】
実施例1
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル(403.67グラム)、エチレングリコール(469.50グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.588グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約100グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(118.82グラム)、エチレングリコール(153.26グラム)、5-ソディオイソフタル酸(179.25グラム)、セバシン酸(651.59グラム)、及び二酸化ゲルマニウム(0.279グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約120グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、エチレングリコール(124.85グラム)及びp-トルエンスルホン酸(0.01グラム)を添加し、30分間、攪拌させておいた。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、5トル未満)で2時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約250グラムの留出物が回収され、そして1.35キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.53dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。-22.83℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0061】
実施例2
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル(403.67グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(198.00グラム)、エチレングリコール(469.50グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.588グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約140グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(118.82グラム)、エチレングリコール(153.26グラム)、セバシン酸(651.59グラム)、及び二酸化ゲルマニウム(0.279グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約120グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、エチレングリコール(124.85グラム)及びp-トルエンスルホン酸(0.01グラム)を添加し、30分間、攪拌させておいた。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、20トル未満)で2.5時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約285グラムの留出物が回収され、そして1.30キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.44dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。-23.09℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0062】
実施例3
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル(300.60グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(195.97グラム)、エチレングリコール(464.67グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.588グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約110グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(117.60グラム)、エチレングリコール(151.69グラム)、セバシン酸(743.90グラム)、及び二酸化ゲルマニウム(0.279グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約130グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、エチレングリコール(123.57グラム)及びp-トルエンスルホン酸(0.01グラム)を添加し、30分間、攪拌させておいた。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、20トル未満)で2.5時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約280グラムの留出物が回収され、そして1.27キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.35dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。ガラス転移温度(Tg)が-34.7℃に、さらには溶融転移点(melt transition、Tm)が94.5℃に観察された。
【0063】
実施例4
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(674.14グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(191.86グラム)、エチレングリコール(307.26グラム)、ネオプテンチルグリコール(249.37グラム)、二酸化ゲルマニウム(0.28グラム)、Irganox 1010(5.20グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.56グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約230グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(89.93グラム)、エチレングリコール(131.68グラム)、セバシン酸(374.64グラム)、及びネオペンチルグリコール(106.87グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約70グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、20トル未満)で2.5時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約275グラムの留出物が回収され、そして1.31キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.30dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。20.36℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0064】
実施例5
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(686.32グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(195.33グラム)、エチレングリコール(312.82グラム)、ネオプテンチルグリコール(253.88グラム)、二酸化ゲルマニウム(0.28グラム)、Irganox 1010(5.20グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.56グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約230グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(85.45グラム)、エチレングリコール(134.06グラム)、アゼライン酸(354.95グラム)、及びネオペンチルグリコール(108.80グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約70グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、20トル未満)で2.25時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約285グラムの留出物が回収され、そして1.30キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.30dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。18.38℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0065】
実施例6
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(725.652グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(206.52グラム)、エチレングリコール(330.74グラム)、ネオプテンチルグリコール(268.43グラム)、二酸化ゲルマニウム(0.28グラム)、Irganox 1010(5.20グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.56グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約240グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(138.82グラム)、エチレングリコール(141.75グラム)、アジピン酸(291.39グラム)、及びネオペンチルグリコール(115.04グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約80グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、20トル未満)で2時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約290グラムの留出物が回収され、そして1.29キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.27dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。13.61℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0066】
実施例7
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(499.57グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(195.41グラム)、エチレングリコール(441.85グラム)、ネオプテンチルグリコール(95.39グラム)、Irganox 1010(5.20グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.56グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約180グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(106.31グラム)、エチレングリコール(189.36グラム)、セバシン酸(550.99グラム)、ネオペンチルグリコール(40.88グラム)、及び二酸化ゲルマニウム(0.28グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約110グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、5トル未満)で3時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約275グラムの留出物が回収され、そして1.34キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.44dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。-18.1℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0067】
実施例8
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(441.92グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(195.44グラム)、エチレングリコール(441.92グラム)、ネオプテンチルグリコール(95.41グラム)、Irganox 1010(5.20グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.60グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約170グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(106.32グラム)、エチレングリコール(189.39グラム)、セバシン酸(551.08グラム)、及びネオペンチルグリコール(40.88グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約105グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、5トル未満)で2.5時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約300グラムの留出物が回収され、そして1.34キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.41dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。-18.3℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0068】
実施例9
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(662.73グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(198.23グラム)、エチレングリコール(360.39グラム)、ネオプテンチルグリコール(432.43グラム)、Irganox 1010(1.47グラム)、チタン酸テトラ-n-ブチル(0.264グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.499グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約230グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(433.59グラム)、エチレングリコール(90.10グラム)、及びネオペンチルグリコール(114.95グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約80グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、5トル未満)で2時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約380グラムの留出物が回収され、そして1.29キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.25dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。56.1℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0069】
実施例10
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(647.66グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(290.58グラム)、エチレングリコール(352.20グラム)、ネオペンチルグリコール(422.60グラム)、Irganox 1010(1.47グラム)、チタン酸テトラ-n-ブチル(0.264グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.499グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約245グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(369.41グラム)、エチレングリコール(88.05グラム)、及びネオペンチルグリコール(112.34グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約70グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、5トル未満)で2時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約380グラムの留出物が回収され、そして1.30キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.23dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。58.1℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0070】
実施例11
2リットルのガラスフラスコに、テレフタル酸ジメチル、(476.62グラム)、ジメチル-5-スルホイソフタレートナトリウム塩(186.43グラム)、エチレングリコール(339.17グラム)、ネオペンチルグリコール(73.23グラム)、ジエチレングリコール(93.50グラム)Irganox 1010(5.2グラム)、及び酢酸亜鉛二水和物(0.56グラム)を添加した。その反応混合物を攪拌し、緩やかな窒素パージ下で加熱して204℃とした。204℃に達してから、その反応混合物を、緩やかな窒素パージを用い、塔頂での蒸留温度が60℃未満に低下するまで、約1.5時間撹拌した。この加熱サイクル全体で、約145グラムの無色の留出物が捕集された。この時点で、そのフラスコに、イソフタル酸(101.42グラム)、セバシン酸(525.68グラム)、エチレングリコール(145.36グラム)、ネオペンチルグリコール(31.38グラム)、及び二酸化ゲルマニウム(0.28グラム)を添加した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら、0.4時間かけて加熱して、200℃とした。そのようにして得られた反応混合物を、緩やかな窒素パージ下、200℃で、約2時間、又は塔頂での蒸留温度が90℃未満に低下するまで、保持した。次いでその反応混合物を、緩やかな窒素パージ下で撹拌しながら加熱して、1.5時間かけて255℃とした。この加熱サイクル全体で、約135グラムの無色の留出物が捕集された。次いでその反応混合物を、撹拌しながら255℃でフル真空の状態に置いた。そのようして得られた反応混合物を、フル真空下(圧力、5トル未満)で2.25時間撹拌した。次いで、窒素を用いて真空を破り、その反応物質をPTFEのトレーに移し、放冷して室温とした。追加で約70グラムの留出物が回収され、そして1.30キログラムの固形物の反応生成物が回収された。その反応生成物のサンプルについて計算すると、0.41dL/gのインヘレント粘度(IV)を有していた。そのサンプルをさらに、示差走査熱量測定(DSC)分析にもかけた。-15.49℃のところにガラス転移温度(Tg)が観察された。
【0071】
前述の実施例のいくつかで形成されたコポリエステル樹脂について、1-H NMR分光法を実施し、下記の表1に、そのようにして得られた、記録されたジオール残基を示す。1-H NMRは、CDCl中で実施したので、正確な二酸含量の結果は得られなかった。
【0072】
【表1】
【0073】
上で、それぞれの実施例で形成されたコポリエステル樹脂の幾つかは、最適範囲からは外れたガラス転移温度を有してはいたが、2種以上のそのような樹脂を組み合わせることにより、最適範囲内の総括(平均)ガラス転移温度を有するブレンド物を形成させることが可能となるということは、容易に認識されよう。一例として、65重量%の実施例1からの樹脂と、35重量%の実施例4からの樹脂とのブレンド物は、約-8℃の総括(平均)Tgを有するであろう。
【0074】
実施例8の組成物を、97℃で水の中に分散させて30%固形分とし、次いで冷却して室温とし、2種の異なった基材(92ゲージPET又は金属化PLA)の二つの表面に塗布した。それぞれの基材の表面を次の条件下で接合させて、PET-コールドシール-PET積層品及びPLA-コールドシール-PLA積層品を形成させた(80psi、0.5秒、72゜F、50%RH、及び鋸場状の掴み具)。接合強度は、ASTM D903に従い、Instron 5543引張試験機を使用し、周囲条件(25℃、50%RH)、剥離速度12インチ/分で実施した接合強度試験により求めた。それらの結果は、標準的な92ゲージPET積層品では614gli、そしてPLA積層品では、536gliであった。
【国際調査報告】