IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

特表2023-546589水分感知システムを有する薬剤送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】水分感知システムを有する薬剤送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20231027BHJP
【FI】
A61M5/315 550P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524183
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021055492
(87)【国際公開番号】W WO2022086885
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/094,970
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,アンドリュー エリック
(72)【発明者】
【氏名】トルジビンスキー,ロバート ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ,マシュー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】プレダ,エミル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066FF05
4C066QQ22
4C066QQ32
4C066QQ48
4C066QQ53
4C066QQ72
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ85
4C066QQ92
(57)【要約】
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、プリント回路基板と、導電性トレースと、マイクロコントローラと、を有する薬剤送達デバイスが提供される。いくつかの実施形態では、バイアス源は、導電性トレースと電気通信することができ、マイクロコントローラは、論理入力を通して導電性トレースと電気通信することができる。いくつかの実施形態では、アナログデジタル変換器は、導電性トレース、マイクロコントローラ、及びバイアス源と電気通信することができる。マイクロコントローラは、ADC又は論理入力から信号を受信し、受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスであって、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の前記薬剤の用量サイズを選択するための、前記ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、
プリント回路基板と、
前記プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、
前記導電性トレースと電気通信するバイアス源と、
マイクロコントローラであって、前記マイクロコントローラへの論理入力を通して前記導電性トレースと電気通信し、前記マイクロコントローラは、
前記論理入力を通して前記導電性トレースから信号を受信し、かつ
前記受信された信号に基づいて、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている、マイクロコントローラと、を備える、薬剤送達デバイス。
【請求項2】
前記論理入力は、前記マイクロコントローラへの汎用入力/出力(GPIO)である、請求項1に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項3】
前記プリント回路基板に装着されたスイッチを更に備え、前記マイクロコントローラは、
前記スイッチから一組の信号を受信し、
前記一組の信号に基づいて、前記一組の信号のカウントを生成するように構成されている、請求項1又は2に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項4】
前記薬剤送達デバイスは、前記プリント回路基板に対して回転可能である回転可能要素を更に備え、前記回転可能要素は、互いから離間している一連の突出部を有し、前記回転可能要素は、前記回転可能要素が回転すると前記スイッチを閉鎖位置と開放位置との間で移動させるために前記突出部が前記スイッチに対して摺動することを可能にするように位置決めされている、請求項3に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項5】
前記スイッチは、圧電センサ、磁気センサ、加速度計、光学センサ、遮断器センサ、光学エンコーダ、又はそれらのいくつかの組み合わせを備える、請求項3に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項6】
前記マイクロコントローラは、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定すると、
前記生成されたカウントが、(a)前記マイクロコントローラと通信するメモリに記憶されない、(b)前記マイクロコントローラと通信する通信モジュールを通してリモートデバイスに送信されない、又はそれらのいくつかの組み合わせであるように、前記一組の信号の前記生成されたカウントを破棄するように更に構成されている、請求項3~5のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項7】
前記マイクロコントローラは、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定すると、
前記マイクロコントローラが、(a)休止状態に入る、(b)電源を切る、(c)再起動する、又はそれらのいくつかの組み合わせを行うように、前記マイクロコントローラの動作状態を変更するように更に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項8】
前記マイクロコントローラは、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定すると、
前記マイクロコントローラと通信する通信モジュールを介して、前記プリント回路基板上の可能性のある水分の判定を示すデータを含む少なくとも1つのメッセージを送信するように更に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのメッセージは、前記薬剤送達デバイスと通信する外部モバイルデバイスに、1つ以上の以前に送信されたカウント値を破棄又は無視させるように構成されている、請求項8に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項10】
前記バイアス源は、前記マイクロコントローラを含むシステムオンチップ(SoC)の一部として配置された抵抗器を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項11】
前記バイアス源は、前記プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置され、前記マイクロコントローラを含むシステムオンチップの外部に配置された抵抗器を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項12】
前記バイアス源は、ダイオード、トランジスタ、及びコンデンサのうちの少なくとも1つを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項13】
前記バイアス源は、前記マイクロコントローラが前記論理入力から論理0を読み取るように、前記導電性トレースに約0ボルトを提供するように構成されており、
前記信号を受信することは、前記論理入力から論理1を読み取ることを含み、
前記受信された信号に基づいて、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定することは、前記論理入力が論理0から論理1に変化したことを判定することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項14】
前記バイアス源は、前記マイクロコントローラが前記論理入力から論理1を読み取るように、前記導電性トレースに正電圧を提供するように構成されており、
前記論理入力を通して前記導電性トレースから前記信号を受信することは、前記論理入力から論理0を読み取ることを含み、
前記受信された信号に基づいて、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定することは、前記論理入力が論理1から論理0に変化したことを判定することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項15】
前記薬剤送達デバイスは、前記リザーバ内に保持された薬剤を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項16】
前記薬剤は、インスリンである、請求項15に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項17】
前記導電性トレースは、前記プリント回路基板の平面内にある、請求項1~16のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項18】
前記導電性トレースは、露出されたテストパッドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項19】
薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによる実行のためのコンピュータ化された方法であって、
前記薬剤送達デバイスは、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の前記薬剤の用量サイズを選択するための、前記ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を備え、
前記マイクロコントローラは、前記マイクロコントローラへの論理入力を通して、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと電気通信しており、
前記方法は、
前記論理入力を通して前記導電性トレースから信号を受信することと、
前記受信された信号に基づいて、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定することと、を含む、方法。
【請求項20】
薬剤送達デバイスであって、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の前記薬剤の用量サイズを選択するための、前記ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、
プリント回路基板と、
前記プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、
入力と出力とを備えるアナログデジタル変換器(ADC)であって、
前記ADCの前記入力は、前記導電性トレースと電気通信しており、
前記ADCの動作入力範囲は、低入力電圧と高入力電圧との間である、ADCと、
前記ADCの前記入力と電気通信するバイアス源であって、前記バイアス源は、前記低入力電圧と前記高入力電圧との間のバイアス電圧を提供するように構成されている、バイアス源と、
前記ADCの前記出力と電気通信するマイクロコントローラであって、前記マイクロコントローラは、
前記ADCの前記出力から信号を受信し、かつ
前記受信された信号に基づいて、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている、マイクロコントローラと、を備える、薬剤送達デバイス。
【請求項21】
前記ADCの前記動作入力範囲の前記低入力電圧は、グランド電圧であり、
前記ADCの前記動作入力範囲の前記高入力電圧は、正電圧である、請求項20に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項22】
前記グランド電圧は、約0ボルトであり、前記正電圧は、約0.9ボルトである、請求項21に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項23】
前記バイアス源によって提供される前記バイアス電圧は、前記ADCの前記動作入力範囲の25%~75%である、請求項20~22のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項24】
前記バイアス源によって提供される前記バイアス電圧は、前記ADCの前記動作入力範囲の40%及び60%である、請求項20~22のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項25】
前記バイアス電圧は、前記ADCの動作電圧範囲の50%である、請求項20~24のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項26】
前記バイアス源は、前記ADCの前記入力と電源との間の容量結合を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項27】
前記バイアス源は、
略前記低入力電圧を提供するように構成された回路に接続された第1の抵抗器と、
略前記高入力電圧を提供するように構成された回路に接続された第2の抵抗器と、を備える、請求項20~25のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項28】
前記バイアス源は、ダイオード、トランジスタ、及びコンデンサのうちの少なくとも1つを備える、請求項20~25のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項29】
前記信号を受信することは、前記ADCの前記出力から電圧を読み取ることを含み、
前記受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定することは、受信電圧が前記バイアス電圧とは異なる事前設定された閾値電圧量よりも大きいと判定することを含む、請求項20~28のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項30】
前記薬剤送達デバイスは、前記リザーバ内に保持された薬剤を更に含む、請求項20~29のいずれか一項に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項31】
前記薬剤は、インスリンである、請求項30に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項32】
薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによって実行されるコンピュータ化された方法であって、
前記薬剤送達デバイスは、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の前記薬剤の用量サイズを選択するための、前記ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を備え、
前記マイクロコントローラは、アナログデジタル変換器(ADC)の出力と電気通信しており、
前記ADCの動作入力範囲は、低入力電圧と高入力電圧との間であり、
前記ADCの入力は、(a)プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレース、及び(b)前記低入力電圧と前記高入力電圧との間のバイアス電圧を提供するように構成されたバイアス源と電気通信しており、
前記方法は、
前記ADCの前記出力から信号を受信することと、
前記受信された信号に基づいて、水分が前記プリント回路基板上に存在し得ると判定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な疾患に罹患している患者は、自分自身に薬剤を注射しなければならないことが頻繁にある。ヒトが薬剤を便利にかつ正確に自己投与することを可能にするために、ペン型注射器又は注射ペンとして広く知られている様々なデバイスが開発されている。一般に、これらのペンには、ピストンが含まれ、かつ複数用量の液体薬剤を含有するカートリッジが装填されている。駆動部材は、前方に移動可能であり、カートリッジ内のピストンを前進させて、含有された薬剤を遠位カートリッジ端の出口から、典型的には針を介して、分注する。
【0002】
使い捨て又は事前充填されたペンでは、ペンがカートリッジ内の薬剤の供給量を使い果たすように利用された後、ユーザは、ペン全体を廃棄し、新しい代わりのペンを使用し始める。再使用可能なペンでは、ペンがカートリッジ内の薬剤の供給量を使い果たすように利用された後、ペンは、分解されて、使用済みのカートリッジを新しいカートリッジに交換することが可能になり、次に、ペンは、その後の使用のために再組み立てされる。
【0003】
そのようなデバイスは、互いに物理的に相互作用して、状態の変化又はデバイスによるアクションをもたらす構成要素を有し得る。例えば、本デバイスは、送達の前に取り除かれるキャップと、用量を設定するために回転され得る及び/又は用量を送達するように作動され得る用量ボタン、デバイスを起こす「オン」ボタンなどを有し得る。
【0004】
そのようなデバイスは、処理ユニット及び他の構成要素を有する集積回路などの電子機器を含むことができる。例えば、電子機器は、そのような相互作用の発生を検出するために処理ユニットと通信する、スイッチなどの感知デバイスを含むことができる。電子機器は、水密筐体内にない場合がある。本発明者らは、電子機器が水分に晒されることがあり、それが電子機器の動作に影響を及ぼす可能性があることを理解している。特に、本発明者らは、水分が電子機器にそのような相互作用に関する誤ったデータを記録、処理、及び/又は記憶させる可能性があることを理解している。したがって、本発明者らは、電子機器上の水分を感知し、誤ったデータがシステムによって使用されるのを防止するために使用することができる水分感知機構の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、薬剤送達デバイスのプリント回路基板上の水分の存在を監視するための回路及び/又はロジックを含む薬剤送達デバイスに関する。いくつかの実施形態によれば、技術は、水分を感知するために伝統的に使用されていない薬剤送達デバイスの既存の回路(例えば、バイアス源、アナログデジタル変換器、及び/又は同様のもの)を使用することができる。
【0006】
一実施形態では、薬剤送達デバイスは、薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、プリント回路基板と、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、導電性トレースと電気通信するバイアス源と、マイクロコントローラであって、マイクロコントローラへの論理入力を通して導電性トレースと電気通信し、マイクロコントローラは、論理入力を通して導電性トレースから信号を受信し、かつ受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている、マイクロコントローラと、を含む。
【0007】
一実施形態では、薬剤送達デバイスは、薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、プリント回路基板と、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、入力と出力とを備えるアナログデジタル変換器(ADC)であって、ADCの入力は、導電性トレースと電気通信しており、ADCの動作入力範囲は、低入力電圧と高入力電圧との間である、ADCと、ADCの入力と電気通信するバイアス源であって、バイアス源は、低入力電圧と高入力電圧との間のバイアス電圧を提供するように構成されている、バイアス源と、ADCの出力と電気通信するマイクロコントローラであって、マイクロコントローラは、ADCの出力から信号を受信し、かつ受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている、マイクロコントローラと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の更なる実施形態、並びにその特徴及び利点は、添付の図面と併せて本明細書の説明を参照することによってより明らかになるであろう。図中の構成要素は必ずしも縮尺通りではない。更に、図面において、同様の参照番号は、異なる図を通して対応する部分を示す。
【0009】
図1】本開示の態様による、用量検出システムを有する薬剤送達デバイスの斜視図である。
図2図1の薬剤送達デバイスの部分分解斜視図であり、支持体及びカバーを有する用量ボタンを示し、カバーが支持体から分離されて示される。
図3図1の薬剤送達デバイスの部分分解斜視図であり、用量検出システムの構成要素を示す。
図4図1の薬剤送達デバイスの断面図である。
図5図1の薬剤送達デバイスの近位端部の部分切欠図であり、用量検出システムの構成要素を示す。
図6図1の用量ボタンの一部分の下面図であり、用量ボタンカバー内に保持されたプリント回路基板を示す。
図7図6に示される用量ボタンの一部分の分解図である。
図8】薬剤送達デバイスの用量検出システムのフランジの斜視図である。
図9図8のフランジの上面図である。
図10】用量ボタン支持体の斜視図である。
図11図10の用量ボタン支持体の上面図である。
図12】本開示の態様による、プリント回路基板及びセンサスイッチの斜視図である。
図13図12のセンサスイッチの片持ちアーム及び基部の斜視図である。
図14図13の片持ちアーム及び基部の側面図である。
図15】フランジの2つの歯の間に位置決めされた図12の片持ちアームの側面図である。
図16】フランジの回転中にフランジの歯の1つによって押されている図15の片持ちアームを示す。
図17】片持ちアームの一部分が導電性パッドに向かって移動し、接触し、スイッチを閉じるように、フランジの歯によって更に押されている片持ちアームを示す。
図18】フランジの歯の上を摺動する片持ちアームを示す。
図19】フランジの次の隣接する歯と相互作用する片持ちアームを示す。
図20】いくつかの実施形態による、プリント回路基板の例示的な概略図である。
図21】いくつかの実施形態による、バイアス源を有するプリント回路基板の例を示す。
図22】いくつかの実施形態による、薬剤送達デバイス内に水分が存在する可能性があるかどうかを判定するために、薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによって実行され得る第1の例示的なコンピュータ化された方法を示すフローチャートである。
図23】いくつかの実施形態による、バイアス源及びADCを有するプリント回路基板の例を示す。
図24】いくつかの実施形態による、薬剤送達デバイス内に水分が存在する可能性があるかどうかを判定するために、薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによって実行され得る第1の例示的なコンピュータ化された方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、ここで、図面に例示された実施形態を参照し、特定の言語を使用して、これを説明する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。
【0011】
本開示は、薬剤送達デバイス用の水分感知システムに関する。薬剤送達デバイスのプリント回路基板上の水分の存在は、エラーを引き起こす可能性がある。特に、水分は、通常は電気的に接続されていない基板上の構成要素(例えば、電圧源、テストパッド、グランドなど)を電気的に接続する可能性があり、これは様々なエラーを引き起こす可能性がある。例えば、水分の存在は、薬物送達デバイスに、誤った情報(例えば、イベントが発生しなかったときに、イベントの発生を誤って検出するなど)を検出させ、及び/又は誤ったデータを検出させる(例えば、注射イベント用の誤ったデータを検出する)など、薬物送達デバイスの動作に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、水分の潜在的な存在を検出し、それに応じて薬剤送達デバイスの動作を修正することが望ましい(例えば、誤ったデータが保存及び/又は報告されるのを回避するため)。
【0012】
いくつかの実施形態では、感知システムは、薬剤送達デバイスのプリント回路基板上の潜在的な水分の存在を検出する回路及び/又はロジックを含む。場合によっては、そのようなプリント回路基板上にそのような回路及び/又はロジックを収容するための物理的スペースは、様々な理由、例えば、そのような薬物送達デバイスのフォームファクターを小さく保つという要望があるため、又は既存の薬物送達デバイスの製造プロセスに対する混乱を防止若しくは軽減するため、制限され得る。また、場合によっては、そのような水分検出回路及び/又はロジックを取得又は統合するための追加の製造コスト又は複雑さを制限する必要性があり得る。したがって、本発明者らは、水分を検出するために特別に設計及び/又は専用化された追加の構成要素を追加することが、場合によっては、望ましくない場合があることを理解している。むしろ、本発明者らは、プリント回路基板トレース、バイアス源(例えば、抵抗器)、論理入力(例えば、汎用入力/出力)、及び/又はアナログデジタル変換器などの従来の回路ベースの構成要素であって、伝統的に水分感知に使用されていないものが、本明細書に記載される技術に従って適応されて、水分の潜在的存在を感知できることを理解している。
【0013】
一態様では、薬物送達デバイスは、薬剤(例えば、インスリン)を保持するのに十分な大きさのリザーバを有するハウジングと、注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を含む。薬剤送達デバイスはまた、プリント回路基板と、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、導電性トレースと電気通信するバイアス源と、マイクロコントローラへの論理入力を通して導電性トレースと電気通信するマイクロコントローラと、を含む。マイクロコントローラは、論理入力を通して導電性トレースから信号を受信し、受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている。
【0014】
一態様では、薬剤送達デバイスは、薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を含む。薬剤送達デバイスはまた、プリント回路基板と、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、入力及び出力を備えるアナログデジタル変換器(ADC)と、を含む。ADCの入力は、導電性トレースと電気通信しており、ADCの動作入力範囲は、低入力電圧と高入力電圧との間である。薬剤送達デバイスはまた、ADCの入力と電気通信するバイアス源であって、バイアス源が、低入力電圧と高入力電圧との間のバイアス電圧を提供するように構成されている、バイアス源と、ADCの出力と電気通信するマイクロコントローラと、を含む。マイクロコントローラは、ADCの出力から信号を受信し、受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている。
【0015】
本明細書に記載されるデバイスは、例えば、リザーバ又はカートリッジ20(以下に記載)内などに、薬剤を含み得る。別の実施形態では、システムは、デバイス10(以下に記載)を含む1つ以上のデバイスと、薬剤と、を含み得る。「薬剤」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロ又はインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、ダラグルチド又はリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療用抗体及び本明細書に記載されるデバイスによる送達が可能な任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。本デバイスにおいて使用されるような薬剤は、1つ以上の賦形剤とともに製剤化され得る。デバイスは、人に薬物を送達するために、患者、介護者、又は医療専門家によって、概して上述のような様態で操作される。
【0016】
例示的な薬剤送達デバイス10は、針を通して患者に薬剤を注射するように構成されるペン型注射器として図1~4に示されている。デバイス10は、先端部分14及び近位部分16を含む細長いペン型ハウジング12を備え得る、本体11を含む。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、注射部位の方に向けられている(又はより近くに位置する)薬剤送達デバイスの方向及び/又は部分を指し、一方、「近位」という用語は、注射部位から離れて向けられている(又は更に離れて位置する)薬剤送達デバイスの方向及び/又は部分を指す。遠位部分14は、ペンキャップ18内で受容され得る。図4を参照すると、遠位部分14は、分注動作時にハウジングの出口21を通して分注される薬剤を保持するように構成されたリザーバ又はカートリッジ20を収容し得る。遠位部分14の出口21は、注射針24を備え得る。いくつかの実施形態では、注射針はハウジングから取り外し可能である。いくつかの実施形態では、注射針は、各使用後に新しい注射針と交換される。
【0017】
ピストン26は、リザーバ20内に位置決めされ得る。薬剤送達デバイスは、用量分注動作中にピストン26をリザーバ20の出口に向かって前進させて、針付き端部を通して、収容された薬剤を押し出すように動作可能である、近位部分16内に位置決めされた注射機構を含み得る。注射機構は、リザーバ20を通してピストン26を前進させるようにハウジング12に対して軸方向に移動可能である、例示的にねじの形態の駆動部材28を含み得る。
【0018】
デバイスは、デバイス10によって分注される用量を設定するための、ハウジング12に結合された用量設定アセンブリを含み得る。図3及び4に最も良く見られるように、例示する実施形態では、用量設定アセンブリは、用量設定ねじ32と、フランジ38と、を含む。用量設定ねじ32は、用量設定及び用量分注中に、長手方向回転軸AAを中心にハウジング12に対して螺旋移動する(すなわち、軸方向かつ回転方向に同時に移動する)ように動作可能なねじ要素の形態である。図3及び4は、そのホーム位置又はゼロ用量位置でハウジング12の中へ完全にねじ込まれた用量設定ねじ32を示す。用量設定部材32は、ハウジング12から近位方向に、1回の注射でデバイス10によって送達可能な最大用量に対応する完全に延長された位置に到達するまで、近位方向にねじを緩めるように動作可能である。延在した位置は、漸増的な延在した位置(0.5又は1単位の用量設定など)に対応する位置から、1回の注射でデバイス10によって送達可能な最大用量に対応する完全に延在した位置までの間にあり、1回の注射でデバイス10によって送達可能な最小用量に対応するホーム位置又はゼロ位置に到達するまで、ハウジング12を遠位方向にねじ込むための、任意の位置であり得る。
【0019】
図3及び4を参照すると、用量設定ねじ32は、ハウジング12の対応するねじ山付き内面13に係合して、用量設定ねじ32がハウジング12に対して螺旋移動する(すなわち、同時に回転及び並進する)ことを可能にする、螺旋状ねじ山付き外面を含む。用量設定ねじ32は、デバイス10のスリーブ34(図4)のねじ山付き外面に係合する、螺旋状ねじ山付き内面を更に含む。用量設定ねじ32の外面は、設定用量をユーザに示すために投与量窓36を通して視認可能である数字などの、用量インジケータマーキングを含む。
【0020】
上述のように、いくつかの実施形態では、用量設定アセンブリは、用量設定ねじ32の開口近位端に結合され、用量設定ねじ32の開口部41内で受容される突出部40によって用量設定ねじ32に軸方向かつ回転方向に係止される、管状フランジ38を更に含む。フランジ38の突出部40は、図3、8、及び9に見ることができ、用量設定ねじ32の開口部41は、図3に見ることができる。
【0021】
図3及び4に見られるように、送達デバイス10は、クラッチ52及び用量ボタン30を有するアクチュエータアセンブリを含み得る。クラッチ52は、用量設定ねじ32内で受容され、クラッチ52は、その近位端で軸方向に延在しているステム54を含む。アクチュエータアセンブリの用量ボタン30は、用量設定ねじ32及びフランジ38の近位に位置決めされている。用量ボタン30は、本明細書では「アンダーボタン」とも称される支持体42、及び本明細書では「オーバーボタン」とも称されるカバー56を含む。考察されるように、支持体42及びカバー56は、薬剤送達デバイスによって送達される用量の量に関連するデータを記憶及び/又は通信するために使用される電子部品を封入する。
【0022】
用量ボタンの支持体42は、用量ボタン30及びクラッチ52をともに軸方向にかつ回転可能に固定するために、締まり嵌め又は超音波溶接などによって、クラッチ52のステム54に取り付けられ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、クラッチの一部分は、フランジ38のルーメン39を通過し得る。フランジのルーメン39は、図8及び9に最良に見られる。ルーメン39は、いくつかの実施形態では、クラッチ52を適所にセンタリングするのを補助する役割を果たし得る。
【0024】
用量ボタン30の近位面60は、アクチュエータアセンブリ(用量ボタン30及びクラッチ52)を遠位方向に押すために、手動で、すなわち、ユーザによって直接、力を印加することができる押圧表面としての役割を果たし得る。付勢部材68、例示的にばねは、支持体42の先端面70と管状フランジ38の近位面72との間に配置されて(図8及び9)、作動アセンブリの支持体42及び用量設定アセンブリのフランジ38を互いに離れて軸方向に促し得る。用量ボタン30は、用量分注動作を開始するように、ユーザによって押下可能である。いくつかの実施形態では、付勢部材68は、この近位面72に対して着座され、フランジ38の隆起したカラー37を取り囲み得る。
【0025】
送達デバイス10は、用量設定モード及び用量分注モードで動作可能である。用量設定動作モードでは、用量ボタン30をハウジング12に対して回転させて、デバイス10によって送達される所望の用量を設定する。いくつかの実施形態では、用量ボタン30をハウジング12に対して一方向に回転させることは、用量ボタン30をハウジング12に対して軸方向に近位に並進させ、用量ボタン30をハウジング12に対して反対方向に回転させることは、用量ボタン30をハウジングに対して軸方向に遠位に並進させる。いくつかの実施形態では、用量ボタンの時計回りの回転は、用量ボタン30を遠位に移動させ、用量ボタンの反時計回りの回転は、用量ボタンを近位に移動させるか、又はその逆である。
【0026】
いくつかの実施形態では、用量ボタン30を回転させて、用量ボタン30を近位方向に軸方向に並進させることは、設定用量を増加させる役割を果たし、用量ボタン30を回転させて、用量ボタン30を遠位方向に軸方向に並進させることは、設定用量を減少させる役割を果たす。用量ボタン30は、用量設定動作中に、設定用量の最小の漸増的増加又は減少に対応する、予め定義された回転増分で調整可能である。用量ボタンは、各回転増分が可聴及び/又は触覚の「クリック」を生成するように、戻り止め機構を含み得る。例えば、1つの増分又は「クリック」は、薬剤の1/2単位又は1単位に等しくなり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、設定容量は、投与量窓36を通して示されるダイヤルゲージマーキングを介してユーザに視認可能であり得る。用量設定モード中に、用量ボタン30及びクラッチ52を含むアクチュエータアセンブリは、フランジ38及び用量設定ねじ32を含む用量設定アセンブリとともに軸方向かつ回転可能に移動する。
【0028】
用量設定ねじ32及びフランジ38は、用量設定ねじ32とハウジング12とのねじ山付き接続部により、互いに回転可能に固定され、用量設定中に回転及び近位に移動させる。この用量設定動作中に、用量ボタン30は、付勢部材68によってともに促されるフランジ38及びクラッチ52(図4)の相補的なスプライン74によって、フランジ38及び用量設定ねじ32に対して回転可能に固定される。用量設定の過程において、用量設定ねじ32、フランジ38、クラッチ52、及び用量ボタン30は、「開始」位置から「終了」位置まで、螺旋様態(すなわち、同時の回転かつ軸方向の並進)でハウジング12に対して移動する。ハウジングに対するこの回転及び並進は、薬剤送達デバイス10の動作による用量設定の量に比例する。
【0029】
所望の用量が設定されてから、注射針24が、例えば、ユーザの皮膚を適切に貫通するようにデバイス10を操作される。用量分注動作モードは、用量ボタン30の近位面60に印加される軸方向の遠位力に応答して開始される。軸方向力は、ユーザによって用量ボタン30に直接印加される。これによって、ハウジング12に対する遠位方向におけるアクチュエータアセンブリ(用量ボタン30及びクラッチ52)の軸方向移動が生じる。
【0030】
アクチュエータアセンブリの軸方向シフト動作は、付勢部材68を圧縮し、用量ボタン30と管状フランジ38との間の間隙を低減させるか、又は閉じる。この相対的な軸方向移動は、クラッチ52及びフランジ38上の相補的なスプライン74を分離し、それによって、用量ボタン30を、フランジ38及び用量設定ねじ32への回転可能な固定から係合解除する。具体的には、用量設定ねじ32は、用量ボタン30から回転可能に結合解除されて、用量ボタン30及びハウジング12に対する用量設定ねじ32の逆駆動回転を可能にする。また、用量設定ねじ32及びフランジ38がハウジング12に対して自由に回転できる間、ユーザが用量ボタン30を押圧して係合させることによって、用量ボタン30のハウジング12に対する回転が保持される。
【0031】
用量ボタン30及びクラッチ52を、ハウジング12に対して回転させることなく軸方向に押し込み続けると、用量設定ねじ32が用量ボタン30に対して回転するにつれてハウジング12にねじ戻される。注射されるべき量がまだ残っていることを示す用量マーキングは、窓36を通して視認可能である。用量設定ねじ32が遠位にねじ込まれると、駆動部材28が遠位に前進してピストン26を、リザーバ20を通して押し、針24を通して薬剤を放出する。
【0032】
用量分注動作中に、薬剤送達デバイスから放出される薬剤の量は、用量設定ねじ32がハウジング12にねじ戻されるときの、ハウジング12に対する用量設定ねじ32の回転移動量に比例する。いくつかの実施形態では、用量ボタン30が用量分注モード中にハウジング12に対して回転可能に固定されるため、薬剤送達デバイスから放出される薬剤の量は、用量設定ねじ32がハウジング12内にねじ戻されるときの用量ボタン30に対する用量設定ねじ32の回転移動量に比例しているとみなされ得る。注射は、用量設定ねじ32の雌ねじがスリーブ34の対応する雄ねじの遠位端に到達したときに完了する(図4)。次いで、デバイス10は、図2及び4に示すような準備状態又はゼロ用量位置に再度配設される。
【0033】
上で考察されるように、送達される用量は、用量送達中の、アクチュエータアセンブリ(クラッチ52及び用量ボタン30)に対する用量設定アセンブリ(フランジ38及び用量設定ねじ32)の回転量に基づいて導出され得る。この回転は、用量送達中に用量設定アセンブリが回転するときに「カウント」される、用量設定アセンブリの漸増的移動を検出することによって判定され得る。
【0034】
例示的な送達デバイス10の設計及び動作の更なる詳細は、Medication Dispensing Apparatus with Triple Screw Threads for Mechanical Advantageと題される米国特許第7,291,132号に見出すことができ、その全体的な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。送達デバイスの別の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Automatic Injection Device With Delay Mechanism Including Dual Functioning Biasing Member」と題される米国特許第8,734,394号に見出すことができる自動注射デバイスであり、そのようなデバイスは、薬剤送達デバイス内の相対回転の感知に基づいて薬剤送達デバイスから送達された薬剤の量を判定するように、本明細書に記載の1つ以上の様々なセンサシステムを用いて変更される。送達デバイスの別の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Medication Injector Apparatus with Drive Assembly that Facilitates Reset」と題された米国特許第7,195,616号に見出すことができる再使用可能ペン型デバイスであり、そのようなデバイスは、薬剤送達デバイス内の相対回転の感知に基づいて薬剤送達デバイスから送達された薬剤の量を判定するように、本明細書に記載の1つ以上の様々なセンサシステムを用いて変更される。
【0035】
本明細書では、用量設定部材とデバイス本体との相対回転に基づいて送達される用量の量を判定するように動作可能であり得る用量検出システムを記載している。用量検出システムは、デバイス本体に取り付けられ、用量送達中に回転軸の周りでデバイス本体に対して回転可能な用量設定部材を利用する。被感知要素は、用量設定部材に取り付けられて回転固定される。アクチュエータは、デバイス本体に取り付けられ、用量送達中にデバイス本体に対して回転しないように保持される。それにより、被感知要素は、送達される用量の量に関連して用量送達中にアクチュエータに対して回転する。
【0036】
いくつかの実施形態では、用量検出システムは、アクチュエータアセンブリに取り付けられた回転センサと、感知要素の回転軸を中心に半径方向に均等に離間された表面特徴を含む被感知要素と、を備える。
【0037】
いくつかの実施形態では、用量検出システムは、センサと、薬剤送達デバイスの構成要素に取り付けられた被感知構成要素と、を含み得る。「取り付けられた」という用語は、それらが本明細書に記載されるように動作可能であるように、構成要素の位置を薬剤送達デバイスの別の構成要素又は部材に固定する任意の様態を包含する。例えば、センサは、薬剤送達デバイスの構成要素に直接位置決めすること、その中で受容すること、それと一体化すること、又は別様にそこに接続することによって、構成要素に取り付けられ得る。接続は、例えば、摩擦係合、スプライン、スナップ又は圧入、音波溶接又は接着剤によって形成される接続を含み得る。
【0038】
「直接取り付けられた」という用語は、2つの構成要素、又は1つの構成用途と1つの部材が、取り付け構成要素以外の中間部材を用いることなく物理的に一緒に固定される取り付けを説明するために使用される。取り付け構成要素は、取り付けを容易にするために2つの構成要素間に介在する締結具、アダプタ、又は締結システムの他の部品(圧縮膜など)を備えることができる。「直接取り付け」は、構成要素/部材が1つ以上の中間機能部材によって結合される取り付けと区別される。
【0039】
「固定された」という用語は、示される運動が起こっても又は起こらなくてもよいことを示すために使用される。例えば、2つの部材が回転して一緒に移動することが必要とされる場合、第1の部材は第2の部材と「回転固定」される。一態様では、部材は、構造的にではなく機能的に別の部材に対して「固定」されてもよい。例えば、2つの部材間の摩擦係合がそれらを一緒に回転固定するようにある部材が別の部材に対して押圧されてもよいが、2つの部材は第1の部材の押圧がなければ一緒に固定され得ない。
【0040】
様々なセンサ配設が、本明細書で想到される。概して、センサ配設は、センサと、被感知構成要素と、を備える。「センサ」という用語は、被感知構成要素の相対位置又は移動を検出することが可能である任意の構成要素を指す。センサは、関連する電気的構成要素とともに使用して、センサを動作させ得る。「被感知構成要素」は、センサがセンサに対する被感知構成要素の位置及び/又は移動を検出することが可能である任意の構成要素である。用量検出システムの場合、被感知構成要素は、センサに対して回転し、センサは、被感知構成要素の回転移動を検出することが可能である。センサは、1つ以上の感知素子を備え得、被感知構成要素は、1つ以上の被感知要素を備え得る。センサは、被感知構成要素の移動を検出し、被感知構成要素の移動を表す出力を提供する。
【0041】
例示的に、用量検出システムは、本明細書に記載するようなセンサ配設の動作に好適な電子機器アセンブリを含む。薬剤送達デバイスは、センサからの出力を受信するようにセンサに動作可能に接続されたコントローラを含み得る。コントローラは、総変位、例えば、角度変位を判定するために使用される総カウント数に対して、最初のものから最後のものまでのカウントを示すセンサからの生成信号を受信し始める。用量設定アセンブリの角度移動を検出する場合、コントローラは、薬剤送達デバイスの動作によって送達される用量の量を出力から判定するために使用することができる、用量設定アセンブリの角度移動を示すデータを受信するように構成され得る。コントローラは、薬剤送達デバイスの動作によって送達された用量を出力から判定するように構成され得る。コントローラは、プロセッサ、電源、メモリ、マイクロコントローラなどの従来の構成要素を含み得る。代替的に、少なくともいくつかの構成要素は、コンピュータ、スマートフォン、又は他のデバイスなどによって、別々に提供されてもよい。次いで、有線接続又は無線接続などによって、適切な時間に外部コントローラ構成要素をセンサと動作可能に接続するための手段が提供される。
【0042】
一態様によれば、電子機器アセンブリは、感知された回転を表す信号をセンサから受信するための、プロセッサと動作可能に通信する1つ以上のセンサを含む、センサ配設を含む。例示的な電子機器アセンブリ76は、図5~7に示し、センサ86と、複数の電子構成要素を有するプリント回路基板(PCB)77と、を含むことができる。プリント回路基板は、フレキシブルプリント回路基板であり得る。電子機器アセンブリ76の回路基板は、少なくとも1つの処理コア及び内部メモリを備えるコントローラとしてマイクロコントローラユニット(MCU)を含み得る。電子機器アセンブリは、構成要素に電力を供給するための電源79、例えば、電池、例示的にコイン電池を含み得る。電子機器アセンブリ76のコントローラは、アクチュエータアセンブリに対する用量設定アセンブリの検出された回転に基づいて、用量設定及び/若しくは用量送達中の用量設定アセンブリの角度移動を検出すること、並びに/又は薬剤送達デバイス10によって送達された用量を検出すること、を含む、本明細書に記載した動作を実行するように動作する制御ロジックを含み得る。電子機器アセンブリの構成要素は、全てではないが、用量ボタン30内の区画85に収容され得る。いくつかの実施形態では、区画85は、用量ボタンの支持体42の近位面71と用量ボタンのカバー56の遠位面81との間に画定され得る。図5に示す実施形態では、電子機器アセンブリ76は、送達デバイスの用量ボタン30内に恒久的に一体化されている。他の実施形態では、電子機器アセンブリは、薬剤送達デバイスのアクチュエータアセンブリに取り外し可能に取り付けることができるモジュールとして提供される。
【0043】
カバー56内に保持された電子機器アセンブリ76の下面図を図6に示し、電子機器アセンブリ76の分解図を図7に示す。図6及び7に示すように、電子機器アセンブリ76は、プリント回路基板(PCB)77と、接触面111を有するセンサ86と、を含み得る。図7に示すように、電子機器アセンブリ76はまた、電池79と、電池ケージ87とを含み得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、センサ86の少なくとも一部分は、用量ボタン30の区画85の外へ延在している。図10及び11に最も良く見られるように、用量ボタン30の支持体42は、センサ86が通って延在することができる1つ以上の開口部45を含み得る。いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスの組み立て中に、センサ86の接触面111は、支持体42の開口部45を通過する。これによって、センサの接触面111が、用量ボタン30の区画85の外部にある構成要素と相互作用することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、センサを収容するために支持体42の開口部45の1つだけしか必要でないが、例えば、支持体構成要素の対称性のために、第2の開口部が提供され得、これは、構成要素を、及び/又は薬剤送達デバイスを有する構成要素のアセンブリを製造するのを補助する。
【0045】
電子機器アセンブリ76のコントローラは、用量送達を判定するために使用される総角度移動及び/又は検出された用量送達をローカルメモリ(例えば、内部フラッシュメモリ又はオンボードEEPROM)に記憶するように動作可能であり得る。コントローラは、総カウント、総角度移動、及び/又は検出された用量を表す信号をユーザのモバイルデバイス又はリモートサーバなどの外部デバイスに無線で送信するように更に動作可能であり得る。送信は、例えば、Bluetooth低エネルギー(BLE)又は他の好適な短距離若しくは長距離無線通信プロトコルを介して行われることができる。例示的に、BLE制御ロジック及びコントローラは、同じ回路上で一体化されている。
【0046】
考察されるように、一態様によれば、用量検出システムは、薬剤送達デバイスの2つのアセンブリ間の相対回転移動を検出することを含む。送達用量の量との既知の関係を有する回転の程度によって、センサは、用量注射の開始から用量注射の終了までの角度移動量を検出するように動作する。例えば、いくつかの実施形態では、ペン型注射器の関係は、用量設定アセンブリの18°の角度変位が1用量単位に相当するが、他の角度関係もまた好適であり、例えば、1単位又は1/2単位のために9度、10度、15度、20度、24度、又は36度などが使用され得る。センサシステムは、用量送達中の用量設定部材の全角変位を判定するように動作可能である。したがって、角度変位が90°であれば、5単位の用量が送達されたことになる。
【0047】
角度変位は、注射が進むにつれて用量の増分をカウントすることによって判定される。例えば、感知システムは、各繰り返しが既定の程度の回転角度の指標となるように、被感知要素の繰り返しパターンを使用することができる。都合のよいことに、パターンは、各繰り返しが薬剤送達デバイスを用いて設定され得る用量の最小増分に対応するように確立することができる。
【0048】
用量検出システム構成要素は、恒久的に又は取り外し可能に薬剤送達デバイスに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、用量検出システム構成要素の少なくともいくつかは、薬剤送達デバイスに取り外し可能に取り付けられるモジュールの形態で提供される。他の実施形態では、用量検出システム構成要素は、薬剤送達デバイスに恒久的に取り付けられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、センサは、用量送達中に、薬剤送達デバイスによって送達される用量の量が判定される用量設定ねじ32に回転可能に固定された被感知構成要素の相対回転を検出し得る。例示的な一実施形態では、回転センサは、アクチュエータアセンブリに取り付けられ、かつ回転可能に固定されている。アクチュエータアセンブリは、用量送達中に、デバイスハウジングに対して回転しない。
【0050】
いくつかの実施形態では、被感知構成要素は、用量設定ねじ32に取り付けられ、かつ回転可能に固定され、用量送達中に用量ボタン30及びデバイスハウジング12に対して回転する。本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、被感知構成要素は、互いに対して周方向に配置された複数の近位側延在突起部を有するリング構造を含む。突起部は、回転センサの可動要素を偏向させる形状及び大きさとされている。このような被感知構成要素の1つの実施形態は、管状フランジ38(図3、5、8、及び9に最も良く示す)である。本明細書に記載された実施形態は、送達デバイスの用量ボタンに取り外し可能に取り付け可能であるか、又は送達デバイスの用量ボタン内に一体化されるモジュールが提供され得る。
【0051】
用量送達中に、用量設定ねじ32は、用量ボタン30に対して自由に回転できる。例示的な実施形態では、電子機器アセンブリ76は、用量ボタン30によって回転可能に固定され、用量送達中に回転しない。
【0052】
図2、3、及び5に見られるように、用量ボタン30は、支持体42に結合されたカバー56を備える。電子機器アセンブリ76は、カバー56と支持体との間に画定された区画85内に少なくとも部分的に収容され得る。いくつかの実施形態では、カバー及び支持体は、カバー及び支持体をともに結合するように互いに係合する、対応するスプラインを有する。例えば、いくつかの実施形態では、カバー56は、カバー56上にあり、かつ支持体上の1つ以上の突出部43に対応する1つ以上のスナップ57を介して、支持体42に結合され得る。図5及び6に見られるように、カバー56上のスナップ57は、内周側壁73から半径方向内向きに指向され得る。図5、10、及び11に見られるように、支持体42の突出部43は、支持体42の外周側壁75から半径方向外向きに指向され得る。突出部43は、三角形ランプ形状を形成し得る。
【0053】
カバー56上のスナップ57は、支持体の突出部43の上にスナップ留めし、突出部と噛み合わせて、カバーを支持体に結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、支持体の突出部は、支持体の外周側壁の周囲に連続環状突出部を備える。カバー56は、摩擦係合、締まり嵌め、又は任意の他の好適な嵌合を介して、支持体42に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、カバー56は、組み立て中に、例えば超音波溶接、接着剤、又は他の好適な固定手法を介して、支持体42に恒久的に固定される。
【0054】
図8及び9に見られるように、管状フランジ38は、回転軸を中心に半径方向に均等に離間され、かつ用量の1単位の相当量に相関するように配設される、複数の軸方向に向いた歯102を含み得る。この例示的実施形態では、管状フランジ38は、2つの隣接する歯間の回転距離が18度の回転に対応するように、回転可能に互いに均等に離間された20個の歯102を含む。したがって、図8の管状フランジ38によって、管状フランジ38の18度の回転は、1投薬量単位又は1/2投薬量単位を表すために使用され得る。他の実施形態では、他の角度関係を生じさせるために異なる総歯数が使用され得ること、例えば、1単位又は0.5単位のために9度、10度、15度、18度、20度、24度、又は36度などが使用され得ることを理解されたい。
【0055】
凹部124は、隣接した歯102の各対の間に画定され得る(図15参照)。各歯102は、略三角形形状のプロファイルを有し、各々が、センサの接触面111が摺動し得る表面120を有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、管状フランジの回転を検出するためのセンサは、用量送達中のアクチュエータアセンブリに対するフランジの回転中に接触面が歯に対してかつその上を摺動するように構成されるように、管状フランジの歯に装着することが可能な接触部分を有し、かつばね付勢される、移動可能な要素を含む。センサは、接触部分が歯の上を移動することに応答して、フランジに対応する信号を生成する。コントローラは、センサによって生成された信号に応答して、用量送達中のアクチュエータアセンブリに対するフランジの検出された回転に基づいて、送達される投与量を判定するための用量カウントを判定する。
【0057】
接触面は、管状フランジの物理的特徴に対して付勢されて、回転中の接触面と物理的特徴との間の適切な接触を確実にし得る。一実施形態では、可動部材は、接触面から変位した位置においてアクチュエータに取り付けられた1つの部分を有する弾性部材である。一例では、可動部材は、一端でアクチュエータに取り付けられ、他端に接触面を有するビームを備える追従部材である。ビームは、曲げられて接触面を表面特徴部の方向に促す。あるいは、可動部材は、様々な他の方法のいずれかで付勢され得る。弾性ビームの使用に加えて、例えば、ばね部品の使用により、付勢が提供されてもよい。そのようなばね構成要素は、例えば、圧縮、引張、又はねじりコイルばねを備えてもよい。更に他の実施形態では、可動部材は、可動要素を支える別個の弾性部材又はばね構成要素によって、被感知要素の表面特徴部に対して付勢され得る。
【0058】
図5は、管状フランジ38の歯102と相互作用する接触面111を有するセンサ86の実施形態を表す。送達中にフランジ38が用量ボタン30に対して回転すると、フランジの歯102がセンサ86の接触面に111に接触し、それに対して摺動し、接触面111を振動様式で移動させる。接触面111の移動は、フランジ38の歯102の間に画定された凹部124の中へ及び外へ接触面111が摺動するように、軸方向及び横方向の移動の組み合わせであり得る。センサ86は、接触面111の移動を追跡し、移動をコントローラに送信される出力信号と関連付けるように構成され得る。
【0059】
管状フランジ上の歯の代替例として、センサと相互作用する表面特徴は、センサによって検出可能なあらゆるものを備え得る。センサ配設は、例えば、触覚特性、光学特性、電気特性、及び磁気特性を含む、様々な被感知特徴に基づき得る。図に示す例示的実施形態では、表面特徴は、用量設定アセンブリがアクチュエータアセンブリに対して回転するときの漸増的移動の検出を可能にする、物理的特徴である。代替の実施形態では、センサは、圧電センサ、ホール効果センサなどの磁気センサ、振動、例えば、ラチェット機構又は他の戻り止め機構の振動を検出するための加速度計であって、振動が回転移動と相関され得る、加速度計、反射センサ、遮断器センサ、若しくは光学エンコーダなどの光学センサ、又は、第2の構成要素に対する第1の構成要素の回転を感知するための好適な任意の他のセンサであり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、ユーザが用量ボタン30の表面60を軸方向に押圧すると、用量ボタン30がハウジング12に対して遠位に進み、ばね68を圧縮する。用量ボタン30を継続的に遠位に押圧すると、ハウジング12に対して螺旋方向への用量設定ねじ32の逆駆動をもたらす。その結果、用量ボタン30を軸方向に押圧することによって、用量設定ねじ32及びフランジ38が回転するように駆動される。いくつかの実施形態では、用量検出システムは、用量ボタンが押圧されている間だけ用量を検出するように動作可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、電子機器アセンブリは、被感知要素の表面特徴からの回転センサのトリガによって生じるカウントの間に経過した時間を判定するために、クロック又はタイマを含み得る。ある期間後にコントローラによっていかなるカウントも検出されなかった場合、これを使用して、用量が完了したことを示し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、単一の感知システムが、用量検出感知及びウェイクアップ起動の両方に使用され得る。例えば、コントローラは、被感知要素の回転をセンサが最初に感知した時点で、電子機器アセンブリをより大きい又は全電力状態にウェイクアップ又は起動することを可能にするように構成される。ウェイクアップ特徴は、用量分注イベントが生じないときの不用意な電力損失又は使用を最小にするために、電子構成要素の電源を投入して用量を感知するための電源(電池として示す)からの電力伝送を可能にするように構成されている。他の実施形態では、別々のウェイクアップスイッチが提供され、用量ボタンハウジング内に配設され、用量ボタンがその遠位位置にあるときにトリガされ得る。電子機器アセンブリの作動後、コントローラは、総角度変位、したがって送達された用量を判定するのに使用される総カウント数の最初から最後のものまでのカウントを示す、生成された信号を回転センサから受信し始める。
【0063】
いくつかの実施形態では、電子機器アセンブリは、回転センサから出力信号を受信するように構成されたコントローラを有し得る。電子機器アセンブリのコントローラは、中間信号を、所定の時間を表す所定の幅を有する単一のステップ/方形波であり得る調整済みデジタル信号に変換するようにプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、所定のレベルよりも低い出力信号は、除去又は無視され得る。
【0064】
一態様によれば、薬剤送達デバイスは、センサとしての役割を果たし得る繰り返し作動可能なスイッチを含む。いくつかの実施形態では、スイッチは、上述の用量検出システムにおいて回転センサとしての役割を果たす。しかしながら、他の実施形態では、スイッチは、キャップの取り外しなどの他の活動を検出するために使用され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、スイッチは、導電性パッドと、導電性パッドに対して移動可能である片持ちアームと、を備える。片持ちアームは、第1の端部でプリント回路基板に装着され得、アームの第2の端部は、プリント回路基板に取り付けられておらず、それに対して自由に移動し得る。
【0066】
一態様によれば、スイッチは、スイッチが繰り返し開放及び閉鎖することを可能にするのを補助する1つ以上の特徴を有し得る。スイッチは、繰り返しの開放及び閉鎖中にスイッチが塑性変形するのを回避するのを補助し、したがって、スイッチの耐久性を維持するのを補助する、1つ以上の特徴を有し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、アームは、アームをプリント回路基板に取り付ける片持ちアームの第1端部に第1の湾曲部分を有する。スイッチの閉鎖中には、この第1の湾曲部分が直線構成に向かって移動し得、スイッチの開放中には、直線構成が湾曲構成に向かって逆に移動し得る。無応力状態では、この第1の部分は、湾曲構成に向かって付勢され得る。したがって、片持ちアームは、被感知構成要素に対する摺動相互作用中にそれが移動するときに位置エネルギーを蓄積するばねとして作用し得、蓄積された位置エネルギーは、アームに対する摺動接触力が減少したときに放出されて、アームを無応力状態に向かって逆に移動させる。
【0068】
いくつかの実施形態では、片持ちアームは、第1の湾曲部分から、PCBに装着された導電性パッドに向かって移動し、接触するように構成された第2の湾曲部分へと移行し得る。第2の湾曲部分と導電性パッドとの間の接触は、スイッチを閉鎖し、一方、第2の湾曲部分と導電性パッドとの間の接触の欠如は、スイッチを開放する。
【0069】
いくつかの実施形態では、片持ちアームは、被感知構成要素に対して、例えば図8及び9に示す回転管状フランジ38の歯に対して接触し、摺動するように構成された第3の湾曲部分を含み得る。いくつかの実施形態では、第3の湾曲部分は、第1の湾曲部分を第2の湾曲部分に接続する。そのような実施形態では、導電性パッドに接触するように構成された第2の湾曲部分は、片持ちアームの第2の端部に、すなわち、片持ちアームが途切れる場所に位置し得る。他の実施形態では、第2の湾曲部分は、第1及び第3の湾曲部分を接続する。そのような実施形態では、被感知構成要素に接触するように構成された第3の湾曲部分は、片持ちアームの第2の端部に、すなわち、片持ちアームが途切れる場所に位置し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、片持ちアームの湾曲部分を有することは、アームの高い応力集中を回避するのを補助し得、したがって、アームの塑性変形を防止するのを補助し得る。しかしながら、他の実施形態では、湾曲部分の1つ以上が異なって成形され得ることが理解されるべきである。
【0071】
いくつかの実施形態では、スイッチが開放されたとき、及びスイッチが閉鎖されたときをコントローラがより正確に識別することができるように、スイッチは、スイッチがよりクリーンで、より容易に読み込み可能な出力信号を提供するのを補助する1つ以上の特徴を有し得る。いくつかの実施形態では、アームが導電性パッドと接触したときに片持ちアームの第2の湾曲部分と相互作用するために、ブロッキング突出部が提供され得る。このブロッキング突出部は、導電性パッドに直接隣接して、又はその近くに位置し得、アームが導電性パッドを過ぎて移動するのを防止し得る。いくつかの実施形態では、ブロッキング突出部の存在は、スイッチからのよりクリーンな出力信号を生成するのを支援し得る、片持ちアームの「跳ね返り」を低減させるのを補助し得る。場合によっては、片持ちアームからの「跳ね返り」は、短い期間にアームと導電性パッドとの素早くかつ繰り返しの接触及び分離を生じさせ得、これは、コントローラが解釈することが困難であり得る、雑音が多い出力信号を生じさせ得る。ブロッキング突出部は、よりクリーンな出力信号を提供するために、片持ちアームと導電性パッドとの間の持続的な接触を提供するのを補助し得る。いくつかの実施形態では、ブロッキング突出部は、跳ね返り又は他の振動を減少させるために、ブロッキング突出部に対する片持ちアームの衝撃を弱めるのを補助し得る衝撃吸収材料から作製され得る。
【0072】
スイッチの1つの用例は、導電性パッド89及び片持ちアーム210を有するスイッチ86’を描写する図12に示されている。導電性パッド89及び片持ちアーム210の第1の端部201は、PCB77に装着される。
【0073】
図13及び14に最も良く見られるように、片持ちアーム210は、その第1の端部201の第1の湾曲部分212から始まり、その第2の端部202の第2の湾曲部分214で途切れている。アームはまた、第1の湾曲部分212を第2の湾曲部分214に接続する、U字形状の第3の湾曲部分216も含む。第2の湾曲部分214は、導電性パッドと接触するように構成され、第3の湾曲部分216は、図8及び9に示す回転管状フランジ38などの被感知構成要素と接触するように構成されている。
【0074】
スイッチはまた、片持ちアーム210に接続された基部200も含む。基部200は、片持ちアームをPCBに接続するようにPCBに接続されている。基部及びアームは、単一のモノリシック構成要素をともに形成し得る。
【0075】
図15~19は、図8及び9からの回転フランジ38と相互作用するスイッチの片持ちアーム210を表す。図15は、第3の湾曲部分216が2つの隣接する歯103、105の間の凹部124内にあるときの、無応力状態のアーム210を示す。スイッチは、フランジ38がそのホーム又はゼロ用量位置にあるときに、例えば、デバイスの使用前、投与量の設定前に、又は分注が完了してデバイスが投与量を設定する状態になった後に、この状態に位置決めされ得る。
【0076】
図16では、フランジ38がスイッチ及びPCB77に対して回転し始めている。その結果、歯105は、アーム210の第3の湾曲部分216に対して摺動して押し、アーム210は凹部124から出る方向に向かって偏向し始める。第1の湾曲部分212は、真っ直ぐな構成に向かって移動し始め、第2の湾曲部分214は、導電性パッド89に向かって移動し始める。
【0077】
図17では、フランジ38は、図16よりも更に回転しており、歯105を第3の湾曲部分216に対して摺動させて凹部124からほぼ完全に外へ押し出している。第1の湾曲部分212は、真っ直ぐな構成に向かって更に多く移動している。その結果、第2の湾曲部分214は、導電性パッド89と接触し、それによって、スイッチを閉じている。第2の湾曲部分はまた、ブロッキング突出部204にも押圧され、第2の湾曲部分が第1の湾曲部分212に向かって更に移動することを防止し、また、第2の湾曲部分が、雑音が多い出力信号を生じさせ得る素早い様式で、導電性パッド89に対して繰り返し跳ね返ることを防止するのを補助し得る。
【0078】
図18では、フランジ38が図17よりも更に回転しており、第3の湾曲部分216が凹部124を出て、歯105の頂部を横断して摺動している。第2の湾曲部分214は、導電性パッド89及びブロッキング突出部204の両方と接触したままである。ブロッキング突出部204は、第2の湾曲部分214が第1の湾曲部分212のより近くへ移動することを防止している。
【0079】
最後に、図19では、フランジ38が図18よりも更に回転しており、第3の湾曲部分216が歯105に接触するのを止めて、この時点で次の隣接する歯107に接触し始めている。この移行中に、次の歯107がちょうどアーム210を押圧し始めているとき、図15に示す位置に向かってばね付勢されているアームは、その無応力状態に向かって揺れ戻り、したがって、第1の湾曲部分212をより大きい湾曲形状に向かって移動させ、その結果、第3の湾曲部分216をフランジ38の回転方向とは反対方向に向かって移動させ、第2の湾曲部分214を導電性パッド84から離れて移動させ、それによって、スイッチを開放する。フランジ38が更に回転すると、サイクルが継続し、アームが導電性パッドに向かって逆に移動してスイッチ閉鎖する、などである。
【0080】
本明細書に記載されるように、プリント回路基板(例えば、プリント回路基板77)は、薬剤送達デバイスの動作に基づいてデータを生成する様々な処理回路及び/又はロジックを含むことができる。例えば、処理回路は、注射の用量サイズ(例えば、特定のインスリン注射の用量)を判定するために、注射中にセンサ(例えば、センサ86)が作動又はトリガされる回数をカウントすることができる。本明細書に記載されるように、薬剤送達デバイスによって送達される用量の量を判定するために、用量設定アセンブリと薬剤送達デバイスのアクチュエータとの間の相対回転運動を感知することができるが、これは、被感知相対回転運動が送達される用量の量に相関し得るからである。
【0081】
図20は、いくつかの実施形態による、プリント回路基板2000の例示的な概略図である。プリント回路基板2000(例えば、プリント回路基板77)は、システムオンチップ(SoC)2003内のマイクロコントローラ2004と電気通信するセンサ2002(例えば、図6のセンサ86)を含む様々な構成要素を含む。プリント回路基板2000は、マイクロコントローラ2004/SoC2003と電気通信する一組のパッド2006、2008、2010、2012、2014、2016、2018、2020及び2022を含む。パッドは、例えば、テスト、及び/又は同様のもののために、電気的構成要素をマイクロコントローラ2004/SoC2003に接続するために使用され得る。パッド2008、2010、2012、2014、2016、及び2018などのパッドのいくつかは、デフォルトではマイクロコントローラ2004/SoC2003と通信していない場合がある。例えば、マイクロコントローラ/SoCは、パッドのいくつかがマイクロコントローラ2004と(例えば、プログラマブルスイッチ又は抵抗器を介して)電気通信しないように(例えば、関連するレジスタを介して)、最初にプログラムされ得る。パッドの1つ以上は、マイクロコントローラ2004/SoC2003の汎用入力/出力(GPIO)ピンなどの論理入力と電気通信するように配置され得る。例として、マイクロコントローラは、論理入力と電気通信するパッドを配置するために、内部のプログラマブル構成要素(例えば、1つ以上のプルアップ抵抗器及び/又はプルダウン抵抗器)を変更するようにプログラムされ得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ2004/SoC2003へのGPIOピン入力は、論理レベル入力であることができる。SoC2003内のマイクロコントローラ2004は、特定の最大閾値を超える電圧がGPIOピンに印加された場合に論理1を検出することができ、一方、マイクロコントローラ2004は、特定の最小閾値を下回る電圧がGPIOピンに印加された場合に論理0を検出することができる。プリント回路基板上のいくつかのパッドは、電圧源に接続され得る。例えば、パッド2020は、電池電圧Vbatを提供することができる。別の例として、パッド2006は、DC/DC変換器から電圧Vdcdcを提供することができる。
【0083】
本明細書に記載されるように、マイクロコントローラ2004(例えば、センサ2002からの入力に基づくものを含む)は、用量データ及び/又は薬剤送達デバイスの他のデータを処理するように動作可能であり得る。例えば、マイクロコントローラ2004は、用量送達を判定するために使用された総角移動及び/又は検出された用量送達をローカルメモリ(例えば、内部フラッシュメモリ又は搭載EEPROM)に記憶するように構成され得る。マイクロコントローラ2004は、総カウント、総角度移動、及び/又は検出された用量を表す信号をユーザのモバイルデバイス又はリモートサーバなどの外部デバイスに(例えば、プリント回路基板2000に統合されたBLE制御ロジック及びコントローラを介して)無線で送信するように更に動作可能であり得る。
【0084】
本発明者らは、水分がプリント回路基板上に存在する場合、水分が薬剤送達デバイスの様々なデータに影響を及ぼす可能性があることを理解している。例えば、プリント回路基板上の水分は、実際には用量が発生していないときに、マイクロコントローラに用量情報を示すデータを受信させる可能性がある。別の例として、水分は、マイクロコントローラに誤った用量情報(例えば、誤ったカウント情報)を受信させる可能性がある。したがって、水分は、薬剤送達デバイスに誤ったデータを処理(例えば、保存、送信など)させる可能性がある、マイクロコントローラに誤ったデータを感知させる可能性がある。したがって、本発明者らは、電圧変化を検出することによってプリント回路基板上の水分の潜在的な存在を感知するための技術を開発した。本明細書の技術の態様は、水分がプリント回路基板2000上に存在し得ると判定するために、プリント回路基板2000の導電性トレース(回路パッド、ワイヤ、及び/又は導電性材料(例えば、グラファイト)を含むが、これらに限定されない)及び他の回路(例えば、水分の存在について感知に通常は使用されない回路)を活用する。本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態は、本明細書に記載される水分感知技術とともに使用するために、1つ以上の回路パッドをマイクロコントローラ2004への論理入力に接続することができる。例えば、本明細書に記載されるように、パッド2008及び/又はパッド2006などのパッドのうちの1つ以上は、(例えば、本明細書に記載されるように、マイクロコントローラのファームウェアによって制御されるプログラマブル構成要素を介して)、マイクロコントローラ2004の対応するGPIOピンに接続され得る。パッドは、マイクロコントローラが水分の潜在的な存在を監視するために論理入力の変化を監視することができるように、バイアスされ得る。別の例として、本技術は、水分の存在を監視するために、ADCを使用することができる。ADCの入力は、パッド及び/又は他の導電性トレースに接続され得、ADCの出力は、水分の潜在的な存在を判定するために、マイクロコントローラによって監視され得る。パッド又はトレースは、マイクロコントローラがADCによって出力される電圧における変化を双方向で検出することを可能にする電圧でバイアスされ得る。水分の潜在的な存在を検出すると、マイクロコントローラは、(例えば、水分がマイクロコントローラに誤ったデータを処理させることを防止する防ぐために)それに応じてその動作を変更するように構成され得る。
【0085】
本明細書に記載される技術の態様は、水分を感知するために薬剤送達デバイスとともに使用され得る。本明細書に記載されるように、薬剤送達デバイスは、薬剤(例えば、インスリン)を保持するのに十分な大きさであるリザーバを有するハウジングと、注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を含むことができる。薬剤送達デバイスは、様々な回路を有するプリント回路基板を含む。回路は、導電性トレースを含むことができる。導電性トレースは、金属(例えば、銅)及び/又は他の導電性材料(例えば、グラファイト)などの導電性材料であることができる。いくつかの例によれば、導電性トレースは、プリント回路基板上(例えば、プリント回路基板の平面内)に少なくとも部分的に配置されている導電性材料(例えば、パッド2006、2008、2010、2012、2014、2016、2018、2020、及び2022のうちの1つ以上)であることができる。例えば、プリント回路基板のはんだマスクの一部は、はんだマスクの下に配置され得る導電性トレースへの流体連通を可能にするために、省略及び/又は露出され得る。いくつかの例によれば、導電性トレースは、プリント回路基板から(例えば、はんだマスクを通して)延在するワイヤなど、プリント回路基板上に配置されていないワイヤ及び/又は他の導電性材料であることができる。回路は、導電性トレースと電気通信するバイアス源と、マイクロコントローラへの論理入力を通して導電性トレースと電気通信するマイクロコントローラと、を更に含むことができる。いくつかの実施形態によれば、バイアス電圧は、GPIOインターフェースなどの論理インターフェースでマイクロコントローラによってバイアスが感知され得るように、導電性トレースに印加され得る。
【0086】
図21は、いくつかの実施形態による、バイアス源2102を有するプリント回路基板2100の例を示す。図21に示すように、プリント回路基板2100は、様々な回路2106(例えば、メモリ、クロックなど)と電気通信するマイクロコントローラ2104(例えば、ARM Cortexプロセッサなどのプロセッサ)と、一組のGPIO2108と、を含む。センサスイッチ2110は、第1のバイアス源2112、及びこの例ではGPIO2108のうちの1つであるマイクロコントローラの論理入力と電気通信する。本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態によれば、PCBトレース2114は、バイアス源2102及びGPIO2108と電気通信することができる。いくつかの実施形態によれば、バイアス源2102は、抵抗器であることができる。抵抗器は、プルアップ抵抗器(例えば、Vbatに、若しくは論理1に対応する電圧源に接続される)又はプルダウン抵抗器(例えば、グランドに接続される)であることができる。プリント回路基板2100は、いくつかの実施形態では、点線ボックス2116によって示されるように、システムオンチップ(SoC)(例えば、SoC2003)を含むことができる。マイクロコントローラ2104、GPIO2108、バイアス源2102、及びバイアス源2112がSoC2116の一部として示されているが、これは、例示のみを目的としている。例えば、マイクロコントローラ2104、GPIO2108、バイアス源2102、及び/又はバイアス源2112のうちの1つ以上は、SoC2116の一部として含まれてないプリント回路基板2100上の追加の構成要素であることができる。SoC2116を使用しない実施形態では、マイクロコントローラ2104、GPIO2108、及びバイアス源2102のうちの1つ以上は、個別の構成要素としてプリント回路基板2100に装着され得る。
【0087】
抵抗器などのバイアス源は、SoCの内部又は外部にあることができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の抵抗器は、SoC2116の外部にあるバイアス源2102として使用されている。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の抵抗器は、SoC2116の内部及び/又は一部であるバイアス源2102として使用されている。例えば、1つ以上のオンシリコン(例えば、システムオンチップ(SoC)集積回路)プログラマブルバイアス抵抗器は、バイアス源2102を作成するために、使用され得る。内部抵抗器を使用するか、又は外部抵抗器を使用するかは、設計上の考慮事項であることができる。例えば、バイアス抵抗器を選択することが望ましい場合、外部抵抗器を使用することは、プリント回路基板2000に追加される抵抗器の抵抗特性の選択を可能にし得る。例えば、SoC2116で利用可能な内蔵抵抗器が25kΩの抵抗値を有すると仮定する。そのような抵抗器を使用する場合には検出され得ない導電率で液体の検出を可能にする特性を有する抵抗器を使用することが望ましい場合、外部抵抗器を使用し、それに応じてプリント回路基板2110に追加することができる。したがって、適切なバイアス抵抗器の選択は、SoC2116内でプログラマブルバイアス抵抗器を使用する場合よりも利用可能である早期検出機能を組み込むことを可能にし得る。しかしながら、追加のバイアス抵抗器を追加することは、プリント回路基板2000上で使用されるスペースが増加し得、並びに/又は材料及び/若しくは製造のコストが増加し得る。対照的に、SoC2116内部のプログラマブルバイアス抵抗器を使用することは、プリント回路基板2000上で追加のスペースを使用する必要がない場合があり、材料又は製造のコストを増加させることがない場合がある。更に、25kΩでの利用可能な内部抵抗器の例を続けると、スイッチ2002を始動させる水の量/水の種類はまた、内部抵抗器によってバイアス電圧が印加されたパッドに接続されているGPIOも始動させるので、そのような抵抗器は、水分を検出するのに十分であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、バイアス源2102及び/又はバイアス源2112は、小さいが測定可能な漏れ電流を有し、弱電流源として役割を果たすことができる、任意の電気的構成要素であり得る。そのような電気的構成要素は、前述のように抵抗器であり得るが、ダイオード、トランジスタ、及び/又はコンデンサでもあり得る。概して、バイアス源2102及び/又はバイアス源2112は、(i)水分のない状態でGPIO2108を指定された電圧に引き上げるのに十分な、小さいが測定可能な漏れ電流を伝導するが、(ii)水分の存在下でGPIO2108が別の検出可能な電圧レベルにバイアスされるのを防止するように、そのように多くの電流を伝導しない、任意の電気的構成要素であり得る。場合によっては、追加の抵抗器を追加するよりも、SoCに既に組み込まれている、又は統合されている電気的構成要素、例えば、ダイオード、トランジスタ、及び/又はコンデンサを使用する方が簡単かつ/又は効率的であり得る。
【0089】
プリント回路基板2000のいくつかの構成によれば、1つ以上の回路トレース及び/又はパッドは、デフォルトではGPIOに接続されない場合がある(例えば、したがって、所望であれば、使用について利用可能である)。本技術は、そのようなGPIOをマイクロコントローラに(例えば、マイクロコントローラ2004のプログラミングを介して)接続することを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の未使用GPIOピンのデフォルト構成は、「入力」の代わりに「出力」であり得る。したがって、本技術はまた、本明細書に記載される技術に従って使用されるGPIOピンをマイクロコントローラ2004への「入力」に変更するために、マイクロコントローラ2004のマイクロコードを変更することを含み得る。しかしながら、パッドをGPIOに単に接続することは、電圧をそのパッドからの任意の値で浮動させることを可能にする。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるように、バイアスは、電圧源の検出を可能にするために、GPIOに接続されたパッドに提供されている。
【0090】
図22は、いくつかの実施形態による、薬剤送達デバイス内に水分が存在する可能性があるかどうかを判定するために、薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによって実行され得る第1の例示的なコンピュータ化された方法2200を示すフローチャートである。ステップ2202で、マイクロコントローラは、プリント回路基板上の導電性トレースと電気通信する論理入力を監視する。ステップ2204で、マイクロコントローラは、論理入力から信号を受信する。ステップ2206で、マイクロコントローラは、受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定する。ステップ2208で、マイクロコントローラは、水分がプリント回路基板上に存在し得るという判定に基づいて、その動作を変更することができる。
【0091】
ステップ2202を参照すると、本明細書に記載されるように、プリント回路基板上のパッドは、通常の非障害動作モードでは、トレースが、マイクロコントローラのファームウェアがGPIOを介して予想される論理入力を読み取ることを可能にする状態に保持されるように、適切に電圧バイアスされ得る。バイアス電圧は、様々な電圧に従って構成され得る。例えば、バイアス電圧は、(例えば、本明細書に記載される技術に使用される電子機器の仕様に従って)グランド及び/又はGPIO論理レベルによって読み取られることができる利用可能な電圧であることができる。例えば、バイアスが正電圧(例えば、Vbat)である場合、マイクロコントローラは、通常の動作条件下で論理1を読み取ることを予想することができる。正電圧は、例えば、1ボルト、1.5ボルト、2ボルト、及び/又は同様のものであることができる。別の例として、バイアスがグランド(例えば、約0ボルト)である場合、マイクロコントローラは、通常の動作状態中に論理0を読み取ることを予想することができる。
【0092】
ステップ2204~2206を参照すると、マイクロコントローラが予想される論理レベルでGPIOから電圧を読み取った場合、通常のファームウェア動作は、進行することが許可される。しかしながら、マイクロコントローラが、GPIOが通常のバイアス電圧状態から所定の電圧閾値を超えて引き離されていることを検出した場合、マイクロコントローラは、プリント回路基板に障害状態が存在し得ると判定することができる。例えば、障害状態は、導電性汚染物質(例えば、導電性液体、結露した湿気など)がプリント回路基板のトレースに接触し、導電性汚染物質が存在しないときには、通常トレースに電気的に接続されていない他の構成要素(例えば、グランド及び/又は電圧源)にトレースを電気的に接続することによって生じることができる。GPIOに印加された電圧が予想される電圧レベルから閾値量を超えて変化した場合、マイクロコントローラは、GPIOの電圧の変化をGPIOの論理レベルの状態の変化として読み取ることができ、ファームウェアは、通常のファームウェア動作を変更することができる障害状態に入ることができる(例えば、データが誤っている場合があるという事実に適応し、同時に送達された医薬品情報の保存及び/又は報告を防止するため)。例えば、GPIOがグランドにバイアスされている場合(例えば、マイクロコントローラ2004が通常論理0を読み取るように)、GPIO上の電圧が閾値を超える量増加するような十分に高い電圧のレイアウトローカル電圧に液体がパッドを伝導すると、マイクロコントローラは、論理1を読み取ることになる。予想される論理0から論理1へのこのような変化は、マイクロコントローラに、水分の潜在的な存在があると判定させることができる。別の例として、GPIOが正電圧にバイアスされている場合(例えば、マイクロコントローラ2004が論理1を読み取ることを予想するような)、グランド用導電性液体は、プロセッサが論理0を読み取り、検出条件を引き起こすように、GPIOの電圧を、閾値を超える量だけ低下させることができる。予想される論理1から論理0へのこのような変化は、マイクロコントローラに、水分の潜在的な存在があることを検出させることができる。
【0093】
ステップ2208で、いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラは、プリント回路基板上に水分があり得ると判定すると、1つ以上のアクションを取るように構成され得る。例えば、マイクロコントローラにプログラムされたアルゴリズムは、フェイルセーフ条件をトリガするように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラは、マイクロコントローラが通常外部デバイスに送信するいくつかの情報を送信しないように構成され得る。例えば、マイクロコントローラは、カウント情報、用量情報、注射の発生、及び/又は同様のもののような、注射に関連する情報を(例えば、Bluetoothを介して)送信しないように構成され得る。例えば、本明細書に記載されるように、薬剤送達デバイスは、プリント回路基板に装着されたスイッチを含むことができ、マイクロコントローラは、スイッチから一組の信号を受信するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、スイッチは、互いから離間している一連の突出部を有する回転可能要素の回転によって作動され、回転可能要素は、回転可能要素が回転するとスイッチを閉鎖位置と開放位置との間で移動させるために突出部がスイッチに対して摺動することを可能にするように位置決めされている。マイクロコントローラは、受信された一組の信号に基づいて、一組の信号のカウントを生成する。いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラは、マイクロコントローラが通常動作中に保存するいくつかの情報を保存しないように構成され得る。例えば、マイクロコントローラは、生成されたカウントがマイクロコントローラと通信するメモリに記憶されないように、スイッチからの信号の生成されたカウントを破棄することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、薬剤送達デバイスが不揮発性メモリに書き込まれることになるデータを記憶及び/又は破棄するのかどうかを制御する1つ以上の態様を含むことができる。例えば、薬剤送達デバイスは、データを書き込む前にコントローラが確認するフィールド又はフラグを含むように構成され得るため、そのフラグを使用して、コントローラがデータを不揮発性メモリに書き込むか、又はデータを不揮発性メモリに書き込まずに破棄するかを制御することができる。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラは、シャットダウン、再起動、及び/又は低電力状態(例えば、休止状態)に入るように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラは、データを1つ以上の外部デバイスに送信するように構成され得る。例えば、マイクロコントローラは、薬剤送達デバイスがプリント回路基板上に水分を潜在的に有することを示すBluetoothデータを送信するように構成され得る。そのような送信されたデータは、受信デバイスに、最近受信したデータを無視する、エラー警告を提供する、及び/又は同様のものなどの、1つ以上のアクションを実行させることができる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、マイクロコントローラは、追加的又は代替的に、電圧の検出時に特定のアクション(例えば、リセット)を実行するために、概して、電圧を監視するように構成され得る。例えば、マイクロコントローラは、電圧(例えば、水がパッドをVbatに電気的に接続する場合に発生することができる、Vbat)について1つ以上のパッドを監視することができる。マイクロコントローラが十分な電圧(例えば、1/2Vbatなどの閾値を超える電圧)を検出すると、マイクロコントローラに、リセット、電源切断、ファームウェア動作の変更、及び/又は同様のものを引き起こすことができる。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、複数のGPIOは、同じ及び/又は異なるバイアス電圧を有する異なるトレースに接続され得る。例えば、複数のパッドは、関連するGPIOピンに接続され、正電圧でバイアスされ得る。このような方法で複数のトレースを使用することは、水分を検出する確率を高くし得る(例えば、複数のパッドを使用することは、水分が検出され得るプリント回路基板2000の領域が増加することができるため)。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、GPIOが接続される導電性トレースを取り囲む他の導電性トレースは、GPIO接続トレースがバイアスされる電圧とは異なる電圧にバイアスされ得る。例えば、GPIOがパッド2014に接続され、パッド2014が正電圧(例えば、Vbat)にバイアスされている場合、パッド2014に隣接又は近いパッド(例えば、パッド2008、2010、2012、及び/又は2016)などの他のパッドは、グランドに接続され得る。逆に、パッド2014が、パッド2014に接続されたマイクロコントローラが水分のない状態で論理0を読み取るように、約0ボルトにバイアスされている場合、パッド2014に隣接又は近いパッド(例えば、パッド2008、2010、2012、及び/又は2016)などの他のパッは、正電圧(例えば、Vbat)に接続され得る。接続された導電性トレースを取り囲むパッドを反対の電圧にバイアスすると、水分が、GPIOに接続されたトレース(例えば、パッド2014)を、そのデフォルト電圧から引き離す別の電圧源に、GPIOに接続されたトレースが接続する機会が増えるため、PCB上の水分がより迅速かつ/又はより確実に検出される可能性が高くなる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、水分を監視するために使用される回路は、アナログデジタル変換器(ADC)を含むことができる。マイクロコントローラは、プリント回路基板上の潜在的な水分を検出するために、ADCを使用することができる。例えば、マイクロコントローラは、潜在的な水分状態を示すことができる、電圧の変化を検出するために、ADCのアナログデジタル定常状態電圧を監視することができる。いくつかの実施形態によれば、ADC(例えば、本明細書に記載されるような高インピーダンス入力ノードを有する)は、図20に示すプリント回路基板2000上に含まれることができる。ADCの入力は、プリント回路基板2000上の1つ以上のトレースに接続され得、ADCの出力は、マイクロコントローラ2004に接続され得る。いくつかの実施形態によれば、バイアス電圧は、入力インターフェースでADCに印加され得る。ADCは、ADCへの入力電圧に基づいてワードを出力するように構成され得る。ワードは、例えば、9ビット、10ビット、11ビット、及び/又は同様のものであることができる。マイクロコントローラ2004は、本明細書に記載されるような水分の存在を示すことができる、電圧変化についてADCの出力を監視することができる。例えば、ADCの出力が10進数で0~1023の範囲であることができる場合、ADCの動作範囲の1/2である0.45ボルトの入力電圧は、ADCが16進数で3FF又はそれに近い値を出力する結果もたらすことができる。ADCから受信されたワードが予想値(例えば、16進数で3FFであるか又はそれに近い場合、マイクロコントローラ2004は、通常のファームウェア動作の下で継続することができる。代わりに、ADCが通常のバイアスされた電圧状態から引き離される場合、出力値は、導電性材料(例えば、本明細書に記載されるような、導電性液体、結露する水分など)によってPCBトレースに適用されている障害状態を示すことができる、予想値よりも大幅に高く、及び/又は低く(例えば、1023及び/又は0に近い)なることができる。マイクロコントローラは、ADC出力を読み取り、出力値の変化を観察し、通常のファームウェア動作から変更することができる(例えば、同時に送達された医薬品情報をエンドユーザーに報告することを防止するため)。
【0100】
図23は、いくつかの実施形態による、バイアス源2302及びADC2304を有するプリント回路基板2300の例を示す。図23に示すように、プリント回路基板2300は、様々な回路2308(例えば、メモリ、クロックなど)と電気通信するマイクロコントローラ2306と、一組のGPIO2310と、を含む。センサスイッチ2312は、第1のバイアス源2314及びGPIO2310と電気通信する。本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態によれば、ADC2304の入力は、PCBトレース2316及びバイアス源2302と電気通信することができ、出力は、マイクロコントローラ2306と電気通信する。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態によれば、バイアス源2302は、バイアス源2102及び/又は2112に関して前述した任意の電気的構成要素、例えば、抵抗器、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、及び/又は他のインピーダンス源であることができる。
【0101】
プリント回路基板2300は、いくつかの実施形態では、点線のボックス2318によって示されるように、SoC(例えば、SoC2003)を含むことができる。図23では、ADC2304、マイクロコントローラ2306、GPIO2310、バイアス源2302、及びバイアス源2314がSoC2318の一部として示されているが、これは、例示のみを目的としている。例えば、いくつかの実施形態によれば、1つ以上の抵抗器及び/又はADCは、SoC2318の外部で使用される。いくつかの実施形態によれば、SoC2318の内部及び/又は一部である1つ以上のADC及び/又は抵抗器が使用され得る。SoC2318を使用しない実施形態では、1つ以上のマイクロコントローラ2306、ADC2304、GPIO2310、バイアス源2302、及び/又はバイアス源2314は、個別の構成要素としてプリント回路基板2300上に装着され得る。本明細書に記載されるように、内部抵抗器又は外部抵抗器などの内部バイアス源又は外部バイアス源を使用するかどうかは、設計選択の問題であることができる(例えば、抵抗器の選択、PCBスペースの使用、コストなどを含む)。いくつかの実施形態によれば、例えば、ADCとともに外部抵抗器を使用することは、(例えば、ADC入力電圧を1/2電圧ADC入力測定範囲にバイアスする外部抵抗器ネットワークで)単方向又は双方向の検出方法を可能にし得る。別の例として、内部のプログラマブルバイアス抵抗器を使用することは、(例えば、内部抵抗器のプログラマビリティ及び/又は能力に応じて)単方向検出のみを可能にし得る。いくつかの実施形態によれば、内部抵抗器を使用することは、より細かい電圧測定分解能に基づく早期検出能力を可能にし得る(例えば、GPIOは2つの論理状態の検出のみを可能にするため、GPIO方法のみに対して)。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、別個のバイアス源は、ADCには必要ない。例えば、内部容量性バイアスは、ADC入力電圧をADC測定範囲の電圧の1/2にバイアスするために、使用され得る。いくつかの実施形態によれば、(例えば、水検出のための小さなPCBトレースのみがADC入力からPCBに配線されるような)高インピーダンスかつ容量結合されたADC入力段を含有するSoC集積回路は、ADCが通常の定常状態の読み取り値の電圧の約1/2の電圧になることを可能にすることができる。
【0103】
ADC2304は、様々な構成でマイクロコントローラと電気通信することができる。いくつかの実施形態によれば、ADC2304は、マイクロコントローラへの経路を1つ以上の他の構成要素と共有することができる(例えば、回路は、プロセッサがADC2304とGPIO2310ブロックとの間で切り替えることができるように、ADC2304の出力をGPIO2310ブロックによって使用されるピンと多重化するマルチプレクサを含むことができる)。いくつかの実施形態によれば、ADC2304は、マイクロコントローラへの独自の経路を有する(例えば、他の回路と共有されない)。
【0104】
図24は、いくつかの実施形態による、薬剤送達デバイス内に水分が存在する可能性があるかどうかを判定するために、薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによって実行され得る第1の例示的なコンピュータ化された方法2400を示すフローチャートである。ステップ2402で、マイクロコントローラは、ADCの入力がプリント回路基板上に少なくとも部分的に配置されている導電性トレースと電気通信する、ADCの出力を監視する。ステップ2404で、マイクロコントローラは、ADC出力から信号を受信する。ステップ2406で、マイクロコントローラは、受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定する。ステップ2408で、マイクロコントローラは、水分がプリント回路基板上に存在し得るという判定に基づいて、その動作を変更することができる。
【0105】
ステップ2402を参照すると、マイクロコントローラは、予想される電圧についてADCの出力を監視することができる。ADCは、低入力電圧(例えば、下側レール)と高入力電圧(例えば、上側レール)との間にある動作入力範囲で動作するように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態によれば、そのADCは、ADCによって受信されてアナログ段に送り込まれる(最終的にデジタル値に変換される)ことができる電圧の範囲を画定する2つのレールに従って動作することができる。いくつかの実施形態によれば、低入力電圧は、グランド電圧(例えば、電圧が、コントローラがグランドであると認識する電圧である約0ボルト)であることができ、高入力電圧は、正電圧(例えば、Vbatなどの電源電圧)であることができる。例えば、Vbatは、1.0ボルト、1.5ボルト、2ボルトなどであることができる。いくつかの実施形態によれば、レギュレータは、VbatをADCにとって所望の上限電圧まで下げるために、例えば、1.5ボルトを0.9ボルトまで下げるために、使用され得る。本明細書に記載されるように、ADCは、入力電圧に基づいてワード値を出力する。
【0106】
ステップ2404を参照すると、いくつかの実施形態によれば、ADC入力は、抵抗又はインピーダンス源を使用してバイアスされ得る。バイアス源によって提供されるバイアス電圧は、ADCの動作入力範囲の25%~75%、又は40%~60%など、ADCの動作入力範囲のパーセンテージであることができる。いくつかの実施形態によれば、バイアス電圧は、ADCの動作電圧範囲の約50%である。例えば、ADC入力が0.0~0.9ボルトの範囲であることができる場合、ADC入力は、0.9ボルトの1/2、つまり0.45ボルトにバイアスされ得る。いくつかの実施形態によれば、抵抗又はインピーダンスは、水分がプリント回路基板上に存在する場合、グランド又は電圧供給(例えば、Vbat)のいずれかへのプリント回路基板上の液体導電経路の予想される抵抗又はインピーダンスと比較して高くなるように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、ADC動作範囲のパーセンテージ(例えば、1/2Vレール)は、必要に応じて、等しい値及び/又は比率でスケーリングされた値であることができる、2つのメガオームスケールの抵抗器を使用して生成され得る。例えば、1つの抵抗器は、より高い電圧のVrail(例えば、0.9ボルト)に引っ張ることができ、第2の抵抗器は、分圧器(この例では、ADC入力範囲の半分に分割する)を作成するように、グランドに引っ張ることができる。バイアス抵抗器の抵抗値は、水分が存在する場合、グランド又は電圧供給(例えば、Vbat)のいずれかへの液体導電経路の予想される抵抗又はインピーダンスと比較して高いため、バイアス抵抗器は、水分が存在する場合、ADCへの入力がグランド又は電圧源のいずれかに引っ張られることから防止しなければならない。いくつかの実施形態によれば、動作範囲のパーセンテージは、電圧レールのパーセンテージまで駆動するために漏れ電流を使用する、容量結合を使用して作成され得る。
【0107】
ステップ2406を参照すると、マイクロコントローラは、受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定する。ADC入力にバイアスを追加することは、マイクロコントローラが、電圧レールの構成されたパーセンテージでのインピーダンス入力が導電性液体の侵入のイベントにおいて混乱する可能性があるように、双方向の方法で水分の存在を検出することを可能にする。例えば、がADC入力電圧をADC入力測定範囲の電圧の1/2にバイアスするように構成されていると仮定する。通常の状態では、マイクロコントローラは、ADCへの通常の動作電圧入力が通常の定常状態の1/2電圧であることを示す値をADCから受信することを予想することができる。また、ADCが、グランド又は1つ以上の他の電圧源のいずれかに(例えば、水分を介して)障害でバイアスされている場合、マイクロコントローラは、導電性流体の可能な存在をマイクロコントローラに検出させることができる、1/2電圧の通常の定常状態からADC出力が離れていること(例えば、ADCの下限又は上限出力値に向かって)を検出することができる。したがって、プリント回路基板上の水がPCBトレースをグランドに接続するだけの場合、マイクロコントローラは、入力ADC電圧の低下を検出することができる。同様に、水がPCBトレースをVbatに接続するだけの場合、マイクロコントローラは、同様に、ADCへの入力電圧変化の増加を検出することができる。したがって、いくらかの導電率の液体がバイアスのバランスを崩すと、ADCは、そのバランスがずれたことを測定でき、マイクロコントローラは、それに応じてその検出を処理することができる。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の閾値は、ADC出力の変化が障害状態を示しているかどうかを判定するために、使用され得る。例えば、定常状態で予想される出力からの可能なADC出力範囲の3/8を超える、予想される出力からの変化は、障害状態を示すことができる。例えば、定常状態が典型的に、出力範囲の約1/2の値を出力する場合、出力範囲の1/8未満又は出力範囲の7/8を超える出力値は、障害を示すことができる。別の例として、出力範囲の約1/2で値を出力する定常状態の場合、出力範囲の1/4未満又は出力範囲の3/4を超える値が、障害を示すことができるように、予想される出力からの可能な出力範囲の1/4の閾値は、使用され得る。
【0109】
ステップ2408を参照すると、マイクロコントローラは、水分がプリント回路基板上に存在し得るという判定に基づいて、その動作を変更することができる。例えば、いくつかの実施形態によれば、図22のステップ2208に関連して論じた変更のうちの1つ以上は、使用され得る。
【0110】
いくつかの例によれば、本明細書に記載されるようなGPIOなどの論理入力を使用するときに、最小電圧閾値(それより下ではマイクロコントローラが論理0を検出する)と最大閾値(それより上ではマイクロコントローラが論理1を検出する)との間に、不確定であり得る電圧の範囲が存在し得る。ADCがワード(例えば、9、10、又は11ビットのワード)を出力するため、ADCは、よりきめ細かい監視を提供することができる。しかしながら、ADCを使用することは、ADCをプリント回路基板に追加することを必要とし得る。ADCを使用することは、追加的又は代替的に、論理入力を使用することと比較して、マイクロコントローラのより複雑なプログラミングを必要とし得る。したがって、論理入力を使用することは、より少ないスペースを使用する可能性があり、より複雑なプログラミングを必要としない場合があり、及び/又は同様のものである。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される水分検出技術(例えば、GPIO及び/又はADCを使用する)は、1つ以上の追加特徴を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の追加ノード(例えば、検出のために使用されるPCBトレース以外)は、検出のために使用されるPCBトレースへの更なる導電性液体経路を可能にするために、露出され得る。いくつかの実施形態では、ノードは、はんだマスクを含まずに露出され得る。いくつかの実施形態によれば、検出のために使用されるPCBトレースに隣接するテストポイント(例えば、回路パッド)は、検出のために使用されるPCBトレースがバイアスされる電圧とは異なる電圧にバイアスされ得る。このようなテストポイントは、内部及び/又は外部抵抗器でバイアスされ得る。このようなテストポイントをバイアスすることは、障害状態を検出するための条件を改善することができる(例えば、状態変化の検出を容易にすることができる、通常動作のための既知の定常状態を提供することによって)。このような技術は、例えば、水分が、検出のために使用されるPCBトレースを接続し得る電圧源が多くあり、したがって、障害状態を引き起こすため、水分を検出する検出回路の能力を高めることができる。
【0112】
図示されたデバイスは、ユーザが手動で取り扱って選択的に用量を設定し、次いでその設定された用量を注射する、一般に称されるところでは、再使用可能ペン型薬剤注射デバイスである。このタイプの注射デバイスは周知であり、感知システムは、別様に構築されたペン型薬剤注射デバイス、別の形状とされた注射デバイス、及び輸液ポンプデバイスを含む、様々に構成された薬剤送達デバイスに使用するように適合され得るので、デバイスの記載は単に例示的なものである。薬剤は、このような薬剤送達デバイスによって送達され得るタイプのうちのいずれかであり得る。以下に更に記載される感知システムは、他の別様に構成されたデバイスに使用され得るので、示されたデバイスは、例示的であり、限定的ではないと意図される。
【0113】
本明細書に記載される原理に従って動作する技術は、任意の好適な様式で実装され得る。上記のフローチャートの処理及び判定ブロックは、これらの様々なプロセスを実行するアルゴリズムに含まれ得るステップ及び行為を表している。これらのプロセスから導出されるアルゴリズムは、1つ以上の単一目的又は多目的プロセッサと統合され、その動作を指示するソフトウェアとして実装されてもよく、デジタル信号処理(DSP)回路又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの機能的に同等の回路として実装されてもよく、又は任意の他の好適な様式で実装されてもよい。本明細書に含まれるフローチャートは、任意の特定の回路、又は任意の特定のプログラミング言語若しくは任意のタイプのプログラミング言語の構文又は動作を示すものではないことを理解されたい。むしろ、フローチャートは、当業者が、本明細書に記載されるタイプの技術を実施する特定の装置の処理を実行する回路を製造する、又はその特定の装置の処理を実行するコンピュータソフトウェアアルゴリズムを実装するために使用し得る機能情報を例示する。本明細書において別段の指示がない限り、各フローチャートに記載されている特定の一連のステップ及び/又は行為は、本明細書に記載されている原理の実装及び実施形態において実装され得る、かつ変化し得るアルゴリズムの単なる例示であることも理解されたい。
【0114】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される技術は、アプリケーションソフトウェア、システムソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、埋め込みコード、又は任意の他の好適なタイプのコンピュータコードを含む、ソフトウェアとして実装されるコンピュータ実行可能命令で具現化され得る。そのようなコンピュータ実行可能命令は、いくつかの好適なプログラミング言語及び/又はプログラミングツール若しくはスクリプトツールのうちのいずれかを使用して記述され得、また、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される実行可能機械語コード又は中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0115】
本明細書に記載される技術がコンピュータ実行可能命令として具現化される場合、これらのコンピュータ実行可能命令は、いくつかの機能的ファシリティとして含む任意の好適な様式で実装され得、コンピュータ実行可能命令の各々は、これらの技術に従って動作するアルゴリズムの実行を完了するための1つ以上の動作を提供する。「機能的ファシリティ」は、インスタンス化されるが、コンピュータシステムの構造的構成要素であり、1台以上のコンピュータと統合され、1台以上のコンピュータによって実行されると、1台以上のコンピュータに特定の動作上の役割を実行させる。機能的ファシリティは、ソフトウェア要素の一部分又は全体であってもよい。例えば、機能的ファシリティは、プロセスの機能として、又は個別のプロセスとして、又は他の好適な処理単位として実装され得る。本明細書に記載される技術が複数の機能的ファシリティとして実装される場合、各機能的ファシリティは、それ独自の方法で実装され得、全てが同じ方法で実装される必要はない。加えて、これらの機能的ファシリティは、必要に応じて並行して及び/又は連続的に実行され得、それらが実行されているコンピュータ上の共有メモリを使用して、メッセージパッシングプロトコルを使用して、又は他の好適な方法で、互いの間で情報を受渡し得る。
【0116】
一般に、機能的ファシリティは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含む。典型的には、機能的ファシリティの機能性は、それらが動作するシステムにおいて、所望に応じて組み合わされ得るか、又は分散され得る。いくつかの実装形態では、本明細書の技術を実施する1つ以上の機能的ファシリティが一緒になって完全なソフトウェアパッケージを形成し得る。これらの機能的ファシリティは、代替の実施形態では、ソフトウェアプログラムアプリケーションを実装するために、他の無関係な機能的ファシリティ及び/又はプロセスと相互作用するように適合され得る。
【0117】
1つ以上のタスクを実施するためのいくつかの例示的な機能的ファシリティが本明細書に記載されている。しかしながら、記載されるタスクの機能的ファシリティ及び分割は、本明細書に記載される例示的な技術を実装し得るタイプの機能的ファシリティの単なる例示であり、実施形態は、任意の特定の数、分割、又は任意のタイプの機能的ファシリティで実装されることに限定されないことを理解されたい。いくつかの実装において、全ての機能性が単一の機能的ファシリティに実装され得る。いくつかの実装形態では、本明細書に記載される機能的ファシリティのいくつかは、他のものとともに、若しくは別個に(すなわち、単一のユニット又は別個のユニットとして)実装され得るか、又はこれらの機能的ファシリティのいくつかは実装されなくてもよいことも理解されたい。
【0118】
本明細書に記載される技術を実装するコンピュータ実行可能命令は(1つ以上の機能的ファシリティとして又は任意の他の様式で実装される場合)、いくつかの実施形態では、1つ以上のコンピュータ可読媒体に機能性を提供するために、その媒体上に符号化され得る。コンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)若しくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学媒体、永続的若しくは非永続的なソリッドステートメモリ(例えば、フラッシュメモリ、磁気RAMなど)、又は任意の他の好適な記憶媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、任意の好適な様式で実装され得る。本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読媒体」(「コンピュータ可読記憶媒体」とも呼ばれる)は、有形の記憶媒体を指す。有形の記憶媒体は、非一時的であり、少なくとも1つの物理的構造的構成要素を有する。「コンピュータ可読媒体」では、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの物理的構造的構成要素は、情報が埋め込まれた媒体を作成するプロセス、その上に情報を記録するプロセス、又は情報を有する媒体を符号化する任意の他のプロセス中に何らかの方法で変質され得る少なくとも1つの物理的特性を有する。例えば、コンピュータ可読媒体の物理的構造の一部分の磁化状態は、記録プロセス中に変質され得る。
【0119】
更に、上記のいくつかの技術は、これらの技術によって使用するための特定の方法で情報(例えば、データ及び/又は命令)を記憶する行為を含む。これらの技術のいくつかの実装、技術がコンピュータ実行可能命令として実装される実装など、では、情報はコンピュータ可読記憶媒体上に符号化され得る。特定の構造がこの情報を記憶する有利なフォーマットとして本明細書に記載されている場合、これらの構造は、記憶媒体上に符号化されたときに情報の物理的編成を付与するために使用され得る。次いで、これらの有利な構造は、情報と相互作用する1つ以上のプロセッサの動作に影響を及ぼすことによって、例えば、プロセッサによって実行されるコンピュータ動作の効率を高めることによって、記憶媒体に機能性を提供することができる。
【0120】
技術がコンピュータ実行可能命令として具現化され得る、全てではないが、いくつかの実装において、これらの命令は、任意の好適なコンピュータシステムにおいて動作する1つ以上の好適なコンピューティングデバイス上で実行され得るか、又は1つ以上のコンピューティングデバイス(又は、1つ以上のコンピューティングデバイスの1つ以上のプロセッサ)は、コンピュータ実行可能命令を実行するようにプログラムされ得る。コンピューティングデバイス又はプロセッサは、命令が、データストア(例えば、オンチップキャッシュ又は命令レジスタ、バスを介してアクセス可能なコンピュータ可読記憶媒体、1つ以上のネットワークを介してアクセス可能、かつデバイス/プロセッサによってアクセス可能であるコンピュータ可読記憶媒体など)などのコンピューティングデバイス又はプロセッサにアクセス可能な様式で記憶されるときに命令を実行するようにプログラムされ得る。これらのコンピュータ実行可能命令を含む機能的ファシリティは、単一の多目的プログラマブルデジタルコンピューティングデバイス、処理能力を共有し、本明細書に記載される技術を共同で実施する2つ以上の多目的コンピューティングデバイスの協調システム、本明細書に記載される技術を実行するための専用の単一のコンピューティングデバイス若しくはコンピューティングデバイスの協調システム(同じ場所に配置されるか、又は地理的に分散される)、本明細書に記載される技術を実施するための1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は任意の他の好適なシステムと統合され、それらの動作を指示し得る。
【0121】
コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのプロセッサ、ネットワークアダプタ、及びコンピュータ可読記憶媒体を備え得る。コンピューティングデバイスは、例えば、デスクトップ若しくはラップトップのパーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、スマート携帯電話、サーバ、又は任意の他の好適なコンピューティングデバイスであり得る。ネットワークアダプタは、コンピューティングデバイスが任意の好適なコンピューティングネットワークを介して任意の他の好適なコンピューティングデバイスと有線及び/又は無線で通信することを可能にする、任意の好適なハードウェア及び/又はソフトウェアであり得る。コンピューティングネットワークは、無線アクセスポイント、スイッチ、ルータ、ゲートウェイ、及び/又は他のネットワーク機器、並びにインターネットを含む2つ以上のコンピュータ間でデータを交換するための任意の好適な有線及び/又は無線通信媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、処理されるデータ及び/又はプロセッサによって実行される命令を記憶するように適合され得る。プロセッサは、データの処理及び命令の実行を可能にする。データ及び命令は、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0122】
コンピューティングデバイスは、入力デバイス及び出力デバイスを含む、1つ以上の構成要素及び周辺機器を追加的に有し得る。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを提示するために使用され得る。ユーザインターフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの例としては、出力の視覚的提示のためのプリンタ又はディスプレイ画面、及び出力の可聴提示のためのスピーカ又は他の音声生成デバイスが挙げられる。ユーザインターフェースに使用され得る入力デバイスの例には、キーボード、マウス、タッチパッド、デジタイザタブレットなどのポインティングデバイスが挙げられる。別の例として、コンピューティングデバイスは、音声認識を通じて又は他の可聴形式で入力情報を受信し得る。
【0123】
本技術が回路及び/又はコンピュータ実行可能命令に実装される実施形態が記載されてきた。いくつかの実施形態は、少なくとも1つの例が提供されている方法の形態であり得ることを理解されたい。この方法の一部として実行される行為は、任意の好適な方法で順序付けられ得る。したがって、例示的な実施形態では順次行為として示されているが、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る、図示されたものと異なる順序で行為が実行される実施形態が構築され得る。
【0124】
上記の実施形態の様々な態様は、単独で、組み合わせて、又は前述の実施形態において具体的に考察されていない様々な配設で使用され得、したがって、その適用において、前述の記載に掲げられるか又は図面に図示される構成要素の詳細及び配設に限定されない。例えば、一実施形態に記載の態様は、他の実施形態に記載の態様と任意の方法で組み合わされ得る。
【0125】
請求項において請求項の要素を修飾するための「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体で、ある請求項要素の、方法の行為が実行される別の又は時間的な順序に対する、いかなる優先度、優先順位、又は順序を暗示するものではなく、請求項要素を区別するために、ある特定の名称を有するある請求項要素を同じ名称を(ただし、序数用語の使用のために)有する別の要素と区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0126】
また、本明細書で使用される語法及び専門用語は、説明目的のためであって、限定とみなされるべきではない。「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0127】
「例示的な」という用語は、本明細書では、例、事例、又は例示として役立つことを意味するために使用される。したがって、例示として本明細書に記載される任意の実施形態、実装、プロセス、特徴などは、用例であると理解されるべきであり、別段の指示がない限り、好ましい例又は有利な例であると理解されるべきではない。
【0128】
その使用法を明確にし、本明細書によって公衆に通知するために、「<A>、<B>、...及び<N>のうちの少なくとも1つ」あるいは「「<A>、<B>、...「<N>、のうちの少なくとも1つ又はその組み合わせ」若しくは「<A>、<B>、...及び/又は<N>」という文言は、本出願人によって最も広範な意味で定義され、本出願人によって反対の主張が明示的になされない限り、上記又は下記のいかなる他の暗黙の定義にも取って代わり、A、B...及びNを含む群から選択された1つ以上の要素を意味する。言い換えれば、本文言は、要素A、B、...又はNのうちの1つ以上の任意の組み合わせを意味し、任意の1つの要素のみ、又はその1つの要素と、列挙されていない追加の要素も含み得る他の要素の1つ以上との組み合わせを含む。
【0129】
様々な実施形態を説明してきたが、更に多くの実施形態及び実装が可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載の実施形態は例であり、唯一の可能な実施形態及び実装ではない。更に、上述の利点は必ずしも唯一の利点ではなく、記載された利点の全てが各実施形態で達成されるとは必ずしも予想されない。
【0130】
以下の態様を含むがこれらに限定されない様々な態様が、この開示に記載されている。
【0131】
1.薬剤送達デバイスであって、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、
プリント回路基板と、
プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、
導電性トレースと電気通信するバイアス源と、
マイクロコントローラであって、マイクロコントローラへの論理入力を通して導電性トレースと電気通信し、マイクロコントローラは、
論理入力を通して導電性トレースから信号を受信し、かつ
受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている、マイクロコントローラと、を備える、薬剤送達デバイス。
2.論理入力は、マイクロコントローラへの汎用入力/出力(GPIO)である、態様1に記載の薬剤送達デバイス。
3.プリント回路基板に装着されたスイッチを更に備え、マイクロコントローラは、
スイッチから一組の信号を受信し、
一組の信号に基づいて、一組の信号のカウントを生成するように構成されている、態様1又は2に記載の薬剤送達デバイス。
4.薬剤送達デバイスは、プリント回路基板に対して回転可能である回転可能要素を更に備え、回転可能要素は、互いから離間している一連の突出部を有し、回転可能要素は、回転可能要素が回転するとスイッチを閉鎖位置と開放位置との間で移動させるために突出部がスイッチに対して摺動することを可能にするように位置決めされている、態様3に記載の薬剤送達デバイス。
5.スイッチは、圧電センサ、磁気センサ、加速度計、光学センサ、遮断器センサ、光学エンコーダ、又はそれらのいくつかの組み合わせを備える、態様3に記載の薬剤送達デバイス。
6.マイクロコントローラは、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定すると、
生成されたカウントが、(a)マイクロコントローラと通信するメモリに記憶されない、(b)マイクロコントローラと通信する通信モジュールを通してリモートデバイスに送信されない、又はそれらのいくつかの組み合わせであるように、一組の信号の生成されたカウントを破棄するように更に構成されている、態様3~5のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
7.マイクロコントローラは、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定すると、
マイクロコントローラが、(a)休止状態に入る、(b)電源を切る、(c)再起動する、又はそれらのいくつかの組み合わせを行うように、マイクロコントローラの動作状態を変更するように更に構成されている、態様1~6のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
8.マイクロコントローラは、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定すると、
マイクロコントローラと通信する通信モジュールを介して、プリント回路基板上の可能性のある水分の判定を示すデータを含む少なくとも1つのメッセージを送信するように更に構成されている、態様1~7のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
9.少なくとも1つのメッセージは、薬剤送達デバイスと通信する外部モバイルデバイスに、1つ以上の以前に送信されたカウント値を破棄又は無視させるように構成されている、態様8に記載の薬剤送達デバイス。
10.バイアス源は、マイクロコントローラを含むシステムオンチップ(SoC)の一部として配置された抵抗器を備える、態様1~9のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
11.バイアス源は、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置され、マイクロコントローラを含むSoCの外部に配置された抵抗器を備える、態様1~9のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
12.バイアス源は、ダイオード、トランジスタ、及びコンデンサのうちの少なくとも1つを備える、態様1~9のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
13.
バイアス源は、マイクロコントローラが論理入力から論理0を読み取るように、導電性トレースに約0ボルトを提供するように構成されており、
信号を受信することは、論理入力から論理1を読み取ることを含み、
受信された信号に基づいて、水分が該プリント回路基板上に存在し得ると判定することは、該論理入力が論理0から論理1に変化したことを判定することを含む、態様1~12のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
14.
バイアス源は、マイクロコントローラが論理入力から論理1を読み取るように、導電性トレースに正電圧を提供するように構成されており、
論理入力を通して導電性トレースから信号を受信することは、論理入力から論理0を読み取ることを含み、
受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定することは、論理入力が論理1から論理0に変化したことを判定することを含む、態様1~12のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
15.デバイスは、リザーバ内に保持された薬剤を更に含む、態様1~13のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
16.薬剤は、インスリンである、態様15に記載の薬剤送達デバイス。
17.導電性トレースは、プリント回路基板の平面内にある、態様1~16のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
18.導電性トレースは、露出されたテストパッドである、態様1~17のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
19.薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによる実行のためのコンピュータ化された方法であって、
薬剤送達デバイスは、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を備え、
マイクロコントローラは、マイクロコントローラへの論理入力を通して、プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと電気通信しており、
方法は、
論理入力を通して導電性トレースから信号を受信することと、
受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定することと、を含む、方法。
20.薬剤送達デバイスであって、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、
プリント回路基板と、
プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレースと、
入力と出力とを備えるアナログデジタル変換器(ADC)であって、
ADCの入力は、導電性トレースと電気通信しており、
ADCの動作入力範囲は、低入力電圧と高入力電圧との間である、ADCと、
ADCの入力と電気通信するバイアス源であって、バイアス源は、低入力電圧と高入力電圧との間のバイアス電圧を提供するように構成されている、バイアス源と、
ADCの出力と電気通信するマイクロコントローラであって、マイクロコントローラは、
ADCの出力から信号を受信し、かつ
受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定するように構成されている、マイクロコントローラと、を備える、薬剤送達デバイス。
21.
ADCの動作入力範囲の低入力電圧は、グランド電圧であり、
ADCの動作入力範囲の高入力電圧は、正電圧である、態様20に記載の薬剤送達デバイス。
22.グランド電圧は、約0ボルトであり、正電圧は、約0.9ボルトである、態様21に記載の薬剤送達デバイス。
23.バイアス源によって提供されるバイアス電圧は、ADCの動作入力範囲の25%~75%である、態様20~22のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
24.バイアス源によって提供されるバイアス電圧は、ADCの動作入力範囲の40%及び60%である、態様20~22のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
25.バイアス電圧は、ADCの動作電圧範囲の50%である、態様20~24のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
26.バイアス源は、ADCの入力と電源との間の容量結合を含む、態様20~25のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
27.バイアス源は、
略低入力電圧を提供するように構成された回路に接続された第1の抵抗器と、
略高入力電圧を提供するように構成された回路に接続された第2の抵抗器と、を備える、態様20~25のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
28.バイアス源は、ダイオード、トランジスタ、及びコンデンサのうちの少なくとも1つを備える、態様20~25のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
29.
信号を受信することは、ADCの出力から電圧を読み取ることを含み、
受信された信号に基づいて、水分がプリント回路基板上に存在し得ると判定することは、受信電圧がバイアス電圧とは異なる事前設定された閾値電圧量よりも大きいと判定することを含む、態様20~28のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
30.デバイスは、リザーバ内に保持された薬剤を更に含む、態様20~29のいずれか1つに記載の薬剤送達デバイス。
31.薬剤は、インスリンである、態様30に記載の薬剤送達デバイス。
32.薬剤送達デバイスのマイクロコントローラによって実行されているコンピュータ化された方法であって、
薬剤送達デバイスは、
薬剤を保持するのに十分な大きさのリザーバを備えるハウジングと、
注射用の薬剤の用量サイズを選択するための、ハウジングに対して回転可能である用量ボタンと、を備え、
マイクロコントローラは、アナログデジタル変換器(ADC)の出力と電気通信しており、
ADCの動作入力範囲は、低入力電圧と高入力電圧との間であり、
ADCの入力は、(a)プリント回路基板上に少なくとも部分的に配置された導電性トレース、及び(b)低入力電圧と高入力電圧との間のバイアス電圧を提供するように構成されたバイアス源と電気通信しており、
方法は、
ADCの出力から信号を受信することと、
受信された信号に基づいて、水分が該プリント回路基板上に存在し得ると判定することと、を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】