(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
A23K 20/105 20160101AFI20231027BHJP
A23K 20/10 20160101ALI20231027BHJP
A23K 20/142 20160101ALI20231027BHJP
A23K 50/40 20160101ALI20231027BHJP
【FI】
A23K20/105
A23K20/10
A23K20/142
A23K50/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524204
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021055951
(87)【国際公開番号】W WO2022087203
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、マシュー
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA06
2B150AA06
2B150AB03
2B150DA37
2B150DA52
(57)【要約】
本明細書には、ペットフード組成物およびそれを使用するための方法が記載されている。こうした組成物は、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを含んでもよく、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む。方法は、有効量のペットフード組成物をペットに給餌することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
ベタインと、
少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸と、を含み、
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々が、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する、請求項1~2のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.03~約1%の量で存在する、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比が、約1:1~約2.5:1である、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比が、約1.3:1~約2.0:1である、請求項1~5のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比が、約1.7:1である、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記ベタインおよび前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項1~7のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項9】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が魚油に由来する、請求項1~8のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項10】
前記組成物がアルファ-リノレン酸をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
前記アルファ-リノレン酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項10に記載のペットフード組成物。
【請求項12】
前記ペットフード組成物が、約1:2~約5:1、随意に約1:1~約5:1、随意に約1:1~約3:1、または随意に約1:1~約2:1の前記ベタインとエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の総量との重量比を有する、請求項1~11のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項12】
イヌ科動物内の血中ビタミンEの量を増加させるための方法であって、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを前記イヌ科動物内の前記血中ビタミンEを増加させるために効果的な量で含むペットフード組成物を前記イヌ科動物に給餌することを含み、
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々が、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む、方法。
【請求項13】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.0.9%~約1%、約0.1%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する、請求項12または請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、0.03~1%、%の量で存在する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比が、1:1~2.5:1、1.3:1~2.0:1、または約1.7:1である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ベタインおよび前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が魚油に由来する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物がアルファ-リノレン酸をさらに含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記アルファ-リノレン酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項19に記載のペットフード組成物。
【請求項21】
ネコ科動物内の血中EPAおよびDHAの量を増加させるための方法であって、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを前記ネコ科動物内の前記血中EPAおよびDHAを増加させるために効果的な量で含むペットフード組成物を前記ネコ科動物に給餌することを含み、
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々が、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む、方法。
【請求項22】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.2%~約1%、約0.2%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との比が、1:1~2.5:1、1.3:1~2.0:1、または約1.7:1である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、0.03~1%の量で存在する、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が魚油に由来する、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物がアルファ-リノレン酸をさらに含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記アルファ-リノレン酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項27に記載のペットフード組成物。
【請求項29】
ペットフード組成物であって、
(a)約10%~約40%のタンパク質と、
(b)約9重量%以上の脂質と、
(c)約0.1~約10重量%の繊維と、
(d)ベタインと、
(e)少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸と、を含み、
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々が、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含み、かつすべての重量割合が前記ペットフード組成物の乾燥重量に基づく、ペットフード組成物。
【請求項30】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせを含む、請求項29に記載のペットフード組成物。
【請求項31】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択されてもよい、請求項29または請求項30に記載のペットフード組成物。
【請求項32】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸を含む、請求項29~請求項31のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項33】
前記ペットフード組成物が、約1:5~約5:1、随意に約1:4~約3:1、または随意に約1:3~約2:1のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸との重量比を含む、請求項32に記載のペットフード組成物。
【請求項34】
前記ペットフード組成物が、約1:2~約5:1、随意に約1:1~約5:1、随意に約1:1~約3:1、または随意に約1:1~約2:1の前記ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比を有する、請求項29~請求項33のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項35】
前記ペットフード組成物が、約1:2~約5:1、随意に約1:1~約5:1、随意に約1:1~約3:1、または随意に約1:1~約2:1の前記ベタインとエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の総量との重量比を有する、請求項32または請求項33に記載のペットフード組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/094,605号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は概して、フード組成物に関し、より具体的には、ネコまたはイヌに給餌するための組成物および/または製品などのペットフード組成物および/またはペットフード製品に関する。
【0003】
飼育動物の心身の健康は、その給餌と密接に関係している。正しい給餌は、元気で健康なペットをもたらすはずである。こうした正しい給餌は、飼育動物にとって有益な効果を有する原料を利用することを含む場合がある。
【0004】
多価不飽和脂肪酸および/またはビタミンEなどのこうした原料の血中量を増加させるペットフード組成物を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、本開示の一つ以上の実施の一部の態様の簡略化された要約を単に紹介することを意図するものである。本開示が適用可能であるさらなる範囲は、本明細書で以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。本概要は広範な概説ではなく、本教示の鍵となる要素または重要な要素を特定することも意図しておらず、本開示の範囲を説明することも意図していない。むしろ、その目的は、以下の「発明を実施するための形態」の前置きとして、一つ以上の概念を簡略化された形式で提示することにすぎない。
【0006】
出願者らは、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸(少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む)とを含むペットフードの食事を提供することが、ペットにとって増大された健康上の利益を提供することを発見した。
【0007】
少なくとも一つの実施形態において、本発明は、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを含むペットフード組成物を対象とし、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.09~約2.2重量%、約0.1~約0.8重量%、または約0.2~約0.5重量%の量で存在する。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、魚油に由来する。
【0008】
ある特定の実施形態において、ベタインは、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.03~約1%の量で存在する。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1:1~約2.5:1である。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1.3:1~約2.0:1である。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1.7:1である。ある特定の実施形態において、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する。
【0009】
ある特定の実施形態において、組成物はアルファ-リノレン酸をさらに含む。ある特定の実施形態において、アルファ-リノレン酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する。
【0010】
他の実施形態において、本発明は、イヌ科動物内の血中ビタミンEの量を増加させるための方法であり、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とをイヌ科動物内の血中ビタミンEを増加するために効果的な量で含むペットフード組成物をイヌ科動物に給餌することを含み、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.0.9%~約1%、約0.1%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する。ある特定の実施形態において、ベタインは、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、0.03~約1%、%の量で存在する。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、1:1~2.5:1、1.3:1~2.0:1、または約1.7:1である。ある特定の実施形態において、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3~約1重量%の量で存在する。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、魚油に由来する。ある特定の実施形態において、組成物はアルファ-リノレン酸をさらに含む。ある特定の実施形態において、アルファ-リノレン酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3~約1重量%の量で存在する。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、ネコ科動物内の血中EPAおよびDHAの量を増加させるための方法であり、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とをネコ科動物内の血中EPAおよびDHAを増加するために効果的な量で含むペットフード組成物をネコ科動物に給餌することを含み、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.2~約1重量%、約0.2~約0.8重量%、または約0.2~約0.5重量%の量で存在する。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との比は、1:1~2.5:1、1.3:1~2.0:1、または約1.7:1である。ある特定の実施形態において、ベタインは、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、0.03~1重量%の量で存在する。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、魚油に由来する。ある特定の実施形態において、組成物はアルファ-リノレン酸をさらに含む。ある特定の実施形態において、アルファ-リノレン酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3~約1重量%の量で存在する。
【0012】
本発明が適用可能であるさらなる範囲は、以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。当然のことながら、「発明を実施するための形態」および特定の実施例は、本発明の典型的な実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図していて、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0013】
本開示が適用可能であるさらなる範囲は、本明細書で以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。当然のことながら、「発明を実施するための形態」および特定の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図していて、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示の目的のために、本発明の原理は、その様々な例示的な実施形態を参照することによって記述されている。本発明のある特定の実施形態が本明細書に具体的に記述されているものの、当業者であれば、同じ原理が等しく適用可能であり、他の用途および方法に採用されることができることを容易に認識するであろう。本発明が、その用途において、示された任意の特定の実施形態の詳細に限定されないことが理解される。本明細書で使用される用語は、記述の目的のためのものであり、本発明、その用途、または使用を限定しない。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって別途規定されない限り、複数の参照を含む。原料の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種だけでなく、それらの化学種の混合物も指す。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」および「少なくとも一つの」という用語は本明細書において、互換的に使用されてもよい。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」および「有する(having)」という用語は、互換的に使用されてもよい。「含む(include)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0016】
全体を通して使用されている「範囲」は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。
【0017】
別段の特定のない限り、本明細書において、および本明細書のどこかで表現される割合および量はすべて、全組成物の重量割合を指すものと理解されるべきである。別段の特定のない限り、分子(複数可)に対する参照は、「重量%(weight %)」または「重量%(wt.%)」で存在し、組成物の総重量に基づいて組成物中に存在するその分子(複数可)の量を指す。
【0018】
本出願によると、数値に伴う「約」という用語の使用は、その数字の+/-5%であってもよい値を指す。本明細書で使用される「実質的に含まない(substantially free)」という用語は、組成物の約5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.25重量%未満の量を意味することを意図する。
【0019】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用または参照されるすべての特許、特許出願、刊行物、その他の参考文献は、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0020】
本開示は、ペットフード組成物、およびこうしたペットフード組成物を家庭用ペットの治療のために使用する方法を対象とする。ある特定の実施形態において、ペットはイヌである。ある他の実施形態において、ペットはネコである。本明細書に開示される方法は、家庭用ペットのために使用される場合があるが、方法は、ウシ、ヒツジ、ブタ、およびこれに類するものなどの家畜、またはウマ、ロバ、もしくはその他の農場動物のために使用されてもよい。
【0021】
本出願者らは驚くべきことに、また予期せずに、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸(少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む)とを含むペットフードの食事を提供することが、増大された健康上の利益を提供することを発見した。こうした増大された健康上の利益は、多数の態様によって例示される。第一の態様において、増大された健康上の利益は、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸サプリメント(例えばEPAおよびDHA)のペットの血中濃度の増加のための相乗効果である。別の態様において、増大された健康上の利益は、ペットのビタミンE、またはアルファトコフェロールの血中濃度の増加である。一部の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、オメガ3多価不飽和脂肪酸サプリメントの形態である。
【0022】
一態様において、本開示は、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを含むペットフード組成物を提供する。少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は典型的に、14個以上の炭素の少なくとも一つの脂肪族尾部を有する。一部の場合において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の脂肪族尾部は、16個以上の炭素、17個以上の炭素、18個以上の炭素、または20個以上の炭素の少なくとも一つの尾部を有してもよい。例えば、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、16~24個の炭素、17~24個の炭素、18~24個の炭素、19~24個の炭素、20~24個の炭素、16~23個の炭素、17~23個の炭素、18~23個の炭素、19~23個の炭素、20~23個の炭素、16~22個の炭素、17~22個の炭素、18~22個の炭素、19~22個の炭素、または20~22個の炭素の少なくとも一つの尾部を有してもよい。ペットフード組成物は、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸を含み、各オメガ3多価不飽和脂肪酸は、18~22個の炭素の少なくとも一つの脂肪族尾部を有することが好ましい。少なくとも一つの実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む。
【0023】
少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせ含んでもよい。一部の場合において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択されてもよい。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。
【0024】
様々なオメガ3多価不飽和脂肪酸は本発明内で有用である。ある特定の実施形態において、こうした脂肪酸は、少なくとも20個の炭素を有する長鎖脂肪酸である。ある特定の実施形態において、オメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびそれらの混合物から選択される。海洋系の魚および魚油は、n-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)、すなわちエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)のよく知られている原料源である。ある特定の実施形態において、脂肪酸は魚油に由来する。オメガ3多価不飽和脂肪酸は動物源から得られる場合があるが、オメガ3多価不飽和脂肪酸は一部の実施形態において、植物源から得られる場合がある。脂肪酸を引き出す、または得るための植物源の例としては、例えば亜麻仁、藻類、アボカド、麻の実、カボチャの種、ヒマワリの種、クルミ、大豆、またはそれらの二つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0025】
少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.09~約2.2重量%、約0.09~約1.5重量%、約0.09~約1重量%、約0.1~約0.8重量%、または約0.2~約0.5重量%の量で存在してもよい。例えば、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.09重量%、約0.15重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、またはそれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲で存在してもよい。別の実施例において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.2~約2.2重量%、約0.2~約1重量%、約0.2~約0.8重量%、または約0.2~約0.5重量%の量で存在してもよい。別の実施例において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.2~約2.2重量%、約0.2重量%~約1.5重量%、約0.2重量%~約1.3重量%、約0.2重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.9重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、約0.2重量%~約0.7重量%、または約0.2重量%~約0.6重量%の量で存在してもよい。さらなる実施例において、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.4~約2.2重量%、約0.4~約1.5重量%、約0.4~約1.3重量%、約0.4~約1重量%、約0.4~約0.9重量%、約0.4~約0.8重量%、約0.4~約0.7重量%、約0.8~約2.2重量%、約0.8~約1.5重量%、約0.8~約1.3重量%、約0.8~約1重量%、約1.2~約2.2重量%、約1.2~約1.5重量%、約1.2~約1.3重量%、約1.6~約2.2重量%、約1.8~約2.2重量%、または約2~約2.2重量%の量で、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸を含んでもよい。
【0026】
いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、本発明者らは、約2.2重量%以下のEPAとDHAの組み合わせを含むある特定のペットフード組成物が、約2.2重量%超のEPAとDHAの組み合わせを含むペットフード組成物よりも多くEPAおよびDHAをペットの血液中に産生する場合があることを発見した。
【0027】
一部の場合において、ペットフード組成物は、約1:5~約5:1、約1:4~約5:1、約1:3~約5:1、約1:2~約5:1、約1:1~約5:1、約2.5:5~約5:1、約2.5:4~約5:1、約2.5:3~約5:1、約1:5~約2.5:1、約1:4~約2.5:1、約1:3~約2.5:1、約1:2~約2.5:1、約1:1~約2.5:1、約1:5~約4:1、約1:4~約3:1、約1:3~約2:1、約1:4~約1:1のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸との重量比(EPA:DHA)を有する。
【0028】
少なくとも一つの実施において、ペットフード組成物はベタインを含む。ベタインは、幾つかの代謝経路においてメチルドナーとしての役割を果たす三つのメチル基を有するグリシンから成る修飾アミノ酸である。
【0029】
ペットフード組成物中に存在するベタインの量または濃度は、変化してもよい。ある特定の実施形態において、ペットフード組成物中に存在するベタインの量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.03%~1%であってもよい。例えば、ペットフード組成物中に存在するベタインの量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.03重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、またはそれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲であってもよい。一部の実施形態において、ベタインは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.03~約2重量%、約0.03~約1.7重量%、約0.03~約1.5重量%、約0.03~約1.3重量%、約0.03~約0.9重量%、約0.03~約0.7重量%、約0.03~約0.6重量%、約0.03~約0.5重量%、約0.03~約0.4重量%、約0.03~約0.3重量%、約0.03~約0.2重量%、約0.03~約0.1重量%;約0.06~約2重量%、約0.06~約1.7重量%、約0.06~約1.5重量%、約0.06~約1.3重量%、約0.06~約0.9重量%、約0.06~約0.7重量%、約0.06~約0.6重量%、約0.06~約0.5重量%、約0.06~約0.4重量%、約0.06~約0.3重量%、約0.06~約0.2重量%、約0.06~約0.1重量%;約0.1~約2重量%、約0.1~約1.7重量%、約0.1~約1.5重量%、約0.1~約1.3重量%、約0.1~約0.9重量%、約0.1~約0.7重量%、約0.1~約0.6重量%、約0.1~約0.5重量%、約0.1~約0.4重量%、約0.1~約0.3重量%;約0.3~約2重量%、約0.3~約1.7重量%、約0.3~約1.5重量%、約0.3~約1.3重量%、約0.3~約0.9重量%、約0.3~約0.7重量%、約0.3~約0.6重量%、約0.3~約0.5重量%;約0.5~約2重量%、約0.5~約1.7重量%、約0.5~約1.5重量%、約0.5~約1.3重量%、約0.5~約0.9重量%、約0.5~約0.7重量%;約0.7~約2重量%、約0.7~約1.7重量%、約0.7~約1.5重量%、約0.7~約1.3重量%、または約0.7~約0.9重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の量でペットフード組成物中に存在してもよい。
【0030】
別の実施形態において、ペットフード組成物中に存在するベタインの量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約0.9重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、約0.2重量%~約0.7重量%、約0.2重量%~約0.6重量%、または約0.2重量%~約0.5重量%であってもよい。一つの実施の一実施例において、ペットフード組成物中に存在するベタインの量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.2重量%~約0.7重量%、より典型的に約0.55重量%であってもよい。
【0031】
ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、変化してもよい。例えば、食品組成物は、約1:2~約5:1、約1:2~約4:1、約1:2~約3:1、約1:2~約2:1、約1:2~約1:1;約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1、約1:1~約2:1;約1.2:1~約5:1、約1.2:1~約4:1、約1.2:1~約3:1、約1.2:1~約2:1、約1.2:1~約1:1;約1.4:1~約5:1、約1.4:1~約4:1、約1.4:1~約3:1、約1.4:1~約2:1、約1.4:1~約1:1;約1.6:1~約5:1、約1.6:1~約4:1、約1.6:1~約3:1、約1.6:1~約2:1、または約1.6:1~約1:1(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比を有してもよい。
【0032】
ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との比は、約1:1~約2.5:1である。例えば、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約1.6:1、約1.7:1、約1.8:1、約1.9:1、約2:1、約2.1:1、約2.2:1、約2.3:1、約2.4:1、または約2.5:1(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であってもよい。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1.3:1~約2.0:1である。ある特定の実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1.5:1~約2:1である。さらなる実施形態において、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比は、約1.7:1である。
【0033】
追加的におよび/または代替的に、ペットフード組成物は、約1:2~約5:1、約1:2~約4:1、約1:2~約3:1、約1:2~約2:1、約1:2~約1:1;約1:1~約5:1、約1:1~約4:1、約1:1~約3:1、約1:1~約2:1;約1.2:1~約5:1、約1.2:1~約4:1、約1.2:1~約3:1、約1.2:1~約2:1、約1.2:1~約1:1;約1.4:1~約5:1、約1.4:1~約4:1、約1.4:1~約3:1、約1.4:1~約2:1、約1.4:1~約1:1;約1.6:1~約5:1、約1.6:1~約4:1、約1.6:1~約3:1、約1.6:1~約2:1、または約1.6:1~約1:1(それらの間の範囲および部分範囲を含む)の、ベタインとエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の総量との重量比を有してもよい。
【0034】
ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の量または濃度は、幅広く変化してもよい。少なくとも一つの実施例において、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、0.2重量%以上、および2重量%以下の量で存在してもよい。例えば、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.2重量%、約1.5重量%、約1.7重量%、約2重量%、約2.2重量%、約2.5重量%からの量、またはそれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲で存在してもよい。別の実施例において、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2重量%~約2重量%、約0.2重量%~約1.8重量%、約0.2重量%~約1.6重量%、約0.3重量%~約2.2重量%、約0.3重量%~約2重量%、約0.3重量%~約1.7重量%、約0.3重量%~約1.5重量%、約0.3重量%~約1.2重量%、約0.5重量%~約2.2重量%、約0.5重量%~約2重量%、約0.5重量%~約1.7重量%、約0.5重量%~約1.5重量%、約0.5重量%~約1.3重量%、約0.5重量%~約1重量%、または約0.5重量%~約0.8重量%(それらの間の任意の範囲もしくは部分範囲を含む)の量で存在してもよい。好ましい一実施形態において、一つ以上のゲル化剤は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3重量%~約1.2重量%、約0.3重量%~約1重量%、または約0.3重量%~約0.8重量%(それらの間の任意の範囲もしくは部分範囲を含む)の量で存在してもよい。
【0035】
本発明の組成物は随意に、他の脂肪酸を含んでもよい。ある特定の実施形態において、ペットフード組成物はアルファ-リノレン酸(ALA)を含んでもよい。アルファ-リノレン酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3~約1重量%の量で存在してもよい。例えば、ペットフード組成物中に存在するアルファ-リノレン酸の量は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、または約1重量%(それらの間の任意の範囲もしくは部分範囲を含む)であってもよい。別の実施形態において、ペットフード組成物中に存在するアルファ-リノレン酸の量は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.1重量%~約0.9重量%、約0.1重量%~約0.8重量%、約0.1重量%~約0.7重量%、約0.1重量%~約0.6重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%(それらの間の任意の範囲もしくは部分範囲を含む)であってもよい。一つの典型的な実施において、ペットフード組成物中に存在するアルファ-リノレン酸の量は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2重量%~約0.6重量%、より典型的に約0.55重量%であってもよい。
【0036】
本発明の組成物は随意に、ペットフード組成物での使用に適した追加的な原料を含んでもよい。こうした原料の例としては、炭水化物、食物繊維、アミノ酸、ミネラル、微量元素、ビタミン、添加物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
炭水化物は、オート麦繊維、セルロース、落花生殻、ビートパルプ、パーボイルド米、コーンスターチ、コーングルテンミール、およびこれら原料源の任意の組み合わせを含む、当業者に知られている任意の様々な原料源から供給されることができる。炭水化物を供給する穀物としては、小麦、トウモロコシ、大麦、および米を挙げることができるが、これらに限定されない。フードの炭水化物含有量は、当業者に知られている任意の数の方法によって決定されることができる。一般的に、炭水化物の割合は、可溶無窒素物(「NFE」)として計算されることができ、これは以下のように計算されることができる。NFE=100%-水分%-タンパク質%-脂質%-灰分%-粗繊維%。
【0038】
食物繊維は、動物の消化酵素による消化に耐性を有する植物の構成成分を指す。食物繊維としては、可溶性繊維および不溶性繊維が挙げられる。可溶性繊維は、小腸での消化および吸収に対して耐性があり、かつ大腸で完全にまたは部分的に発酵されるものであり、例えばビートパルプ、グアーガム、チコリー根、サイリウム、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、オート麦、マメ類、柑橘類、大麦、またはエンドウである。不溶性繊維は、例えばセルロース、全粒小麦製品、小麦オート麦(wheat oat)、コーンブラン、亜麻仁、ブドウ、セロリ、サヤインゲン、カリフラワー、ジャガイモの皮、果物の皮、野菜の皮、落花生殻、および大豆繊維を含む、任意の様々な原料源から供給されることができる。粗繊維としては、穀物などの植物の細胞壁および細胞含有物に含有された消化されにくい構成成分、例えば米、トウモロコシ、およびマメ類などの穀物の殻が挙げられる。本開示の組成物中の典型的な繊維量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0~10%、または約1%~約5%とすることができる。例えば、ペットフード組成物中の繊維の量(例えば、粗繊維または食物繊維)は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.1~約10重量%、約0.1~約9重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約7重量%、約0.1~約6重量%、約0.1~約5重量%、約0.1~約4重量%、約0.1~約3重量%、約0.1~約2重量%、約0.1~約1重量%;約0.5~約10重量%、約0.5~約9重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~約7重量%、約0.5~約6重量%、約0.5~約5重量%、約0.5~約4重量%、約0.5~約3重量%、約0.5~約2重量%、約0.5~約1重量%;約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%、約1~約2重量%;約1.5~約10重量%、約1.5~約9重量%、約1.5~約8重量%、約1.5~約7重量%、約1.5~約6重量%、約1.5~約5重量%、約1.5~約4重量%、または約1.5~約3重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であってもよい。
【0039】
必須アミノ酸を含むアミノ酸は、遊離アミノ酸として本開示の組成物に添加されることができ、または任意の数の原料源(例えば粗タンパク質)によって本開示の組成物に供給されることができる。必須アミノ酸は、新規に合成できない、または生命体により不十分な量しか合成できないアミノ酸であり、それ故に食事内に供給されなければならない。必須アミノ酸は、生命体の代謝に依存して、種ごとに異なる。例えば、イヌおよびネコ(ならびにヒト)の必須アミノ酸はフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リシン、イソロイシン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンであることが一般的に理解されている。加えて、タウリンは、専門的にはアミノ酸ではないがシステインの誘導体であり、ネコにとっての必須栄養素である。
【0040】
ペットフード組成物は、タンパク質および/または可消化粗タンパク質を含んでもよい。「可消化粗タンパク質」は、胃の酵素で消化した後、利用可能な、または遊離窒素(アミノ酸)へと変換されることができるタンパク質の部分である。可消化粗タンパク質のインビトロ測定は、ペプシンなどの胃の酵素を使用することと、試料を消化することと、消化後に遊離アミノ酸を測定することとによって達成されてもよい。可消化粗タンパク質のインビボ測定は、飼料/フード試料中のタンパク質レベルを測定することと、試料を動物に給餌することと、動物の糞便中で収集される窒素の量を測定することとによって達成されてもよい。
【0041】
組成物のタンパク質および/または可消化粗タンパク質は、様々な量または濃度で存在する場合がある。一つの実施形態において、タンパク質は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約10%~約40%の量で存在してもよい。例えば、タンパク質は、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、または約40重量%の量で存在してもよい。別の実施例において、タンパク質は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約10%~約25%、約15%~約25%、または約15%~約20%の量で存在してもよい。ある特定の実施形態において、タンパク質は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約12%~約35%、約13%~約25%、または約15%~約25%の量で存在する。
【0042】
組成物中のタンパク質の一部分は、可消化タンパク質であってもよい。例えば、組成物は、タンパク質の約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が可消化タンパク質である、タンパク質の量を含んでもよい。一部の実施形態において、例えば望ましい組成物が体重減少を促進する時、可消化タンパク質であるタンパク質の部分は、組成物中のタンパク質の総量に基づいて、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、または約10重量%以下である。さらなる実施形態において、消化性タンパク質であるタンパク質の量は、組成物中のタンパク質の総量に基づいて、約10~約90重量%、約10~約70重量%、約10~約50重量%、約10~約30重量%、約30~約90重量%、約30~約70重量%、約30~約50重量%、約50~約90重量%、約50~約70重量%、または約70~約90重量%であり、その範囲および部分範囲を含む。
【0043】
本発明の組成物は随意に、脂質を含んでもよい。「脂質」という用語は一般的に、通常の室温(例えば、25℃)および圧力(例えば、1気圧)にて概して固体または液体であってもよい脂質または脂質の混合物を指す。一部の場合において、脂質は、標準室温および標準圧力にて粘性液体または非結晶性固体であってもよい。
【0044】
脂質は、肉、食肉副産物、キャノーラ油、魚油、植物など、当業者に知られている様々な原料源のいずれかによって供給されることができる。植物性脂質源としては、小麦、亜麻仁、ライ麦、大麦、米、ソルガム、トウモロコシ、オート麦、粟、小麦胚芽、トウモロコシ胚芽、大豆、落花生、綿実だけでなく、これらおよび他の植物性脂質源に由来する油が挙げられる。本開示の組成物は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約9重量%以上(または約9~約25重量%、または約10~約20重量%、または約10~約15重量%)の総脂質を含有してもよい。一部の場合において、組成物中の脂質は粗脂質である。粗脂質は、組成物の総重量に基づいて、約10~約20重量%、約10~約18重量%、約10~約16重量%、約12~約20重量%、約12~約18重量%、または約12~約16重量%の量で組成物の中に含まれてもよい。一部の場合において、総脂質の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が動物源から得られることが好ましい場合がある。代替的に、総脂質の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が植物源から得られてもよい。
【0045】
一部の場合において、ペットフード組成物は灰分を含んでもよい。フード組成物中に予め設定された灰分の量は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1~約15重量%、約1~約13重量%、約1~約11重量%、約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%;約3~約15重量%、約3~約13重量%、約3~約11重量%、約3~約10重量%、約3~約9重量%、約3~約8重量%、約3~約7重量%、約3~約6重量%、約3~約5重量%;約4~約15重量%、約4~約13重量%、約4~約11重量%、約4~約10重量%、約4~約9重量%、約4~約8重量%、約4~約7重量%;約5~約15重量%、約5~約13重量%、約5~約11重量%、約5~約10重量%、約5~約9重量%、約5~約8重量%、約5~約7重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であってもよい。
【0046】
本開示の組成物はまた、例えば塩化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、もしくは酸化物などの対イオンを有する、一つ以上のミネラルおよび/または微量元素(例えば、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、セレン、もしくは鉄塩類)を、欠乏を回避し、かつ健康を維持するために必要とされる量で含有することもできる。これらの量は、例えばOfficial Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.(“AAFCO”),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2006で提供されている通り、当業者に知られている。典型的なミネラルの量は、約0.1%~約4%、または約1%~約2%である。
【0047】
本発明の組成物はまた、欠乏を回避し、かつ健康を維持するために必要とされる量でビタミンを含むことができる。これらの量、および測定方法は当業者に知られている。例えば、Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.(“AAFCO”),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2006は、イヌおよびネコにとってのこうした原料の推奨される量を提供している。本明細書で企図される通り、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、コリン、イノシトール、ナイアシン、パントテン酸を挙げることができるがこれらに限定されない。本発明の組成物中の典型的なビタミンの量は、約0~約3%、または約1%~約2%である。
【0048】
本開示の組成物は、食味強化剤および安定剤などの他の添加物を、当業者によく知られている量および組み合わせで追加的に含むことができる。安定化物質としては、例えば組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向にある物質が挙げられる。本発明の組成物中に含めるために潜在的に適切である他のこうした添加物の他の例としては、例えば防腐剤、着色剤、抗酸化剤、風味剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、例えばゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、加工デンプンが挙げられる。組成物中のこうした添加物の濃度は典型的に、最大約5重量%とすることができる。一部の実施形態において、こうした添加物の濃度(特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤(ビタミンおよびミネラルなど)である場合)は、約0重量%~約2.0重量%である。一部の実施形態において、こうした添加物の濃度(この場合も特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤である場合)は、約0重量%~約1.0重量%である。
【0049】
任意の堅さまたは含水量のフードが企図されていて、例えば本発明の組成物は、例えばドライ、モイスト、またはセミモイストアニマルフード組成物とすることができる。一部の実施形態において、含水量は組成物の総重量の約3%~約90%である。「セミモイスト」は、約25~約35%の水分を含有するフード組成物を指す。「モイスト」フードは、約60~90%以上の含水量を有するフード組成物を指す。「ドライ」フードは、約3~約11%の含水量を有するフード組成物を指し、多くの場合、小片またはキブル(kibble)の形態で製造される。
【0050】
フード組成物中に存在する水分の量は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1~約90重量%、約1~約70重量%、約1~約50重量%、約1~約35重量%、約1~約20重量%、約1~約15重量%、約1~約13重量%、約1~約11重量%、約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%;約3~約90重量%、約3~約70重量%、約3~約50重量%、約3~約35重量%、約3~約20重量%、約3~約15重量%、約3~約13重量%、約3~約11重量%、約3~約10重量%、約3~約9重量%、約3~約8重量%、約3~約7重量%、約3~約6重量%、約3~約5重量%;約4~約90重量%、約4~約70重量%、約4~約50重量%、約4~約35重量%、約4~約20重量%、約4~約15重量%、約4~約13重量%、約4~約11重量%、約4~約10重量%、約4~約9重量%、約4~約8重量%、約4~約7重量%;約5~約90重量%、約5~約70重量%、約5~約50重量%、約5~約35重量%、約5~約20重量%、約5~約15重量%、約5~約13重量%、約5~約11重量%、約5~約10重量%、約5~約9重量%、約5~約8重量%、約5~約7重量%(それらの間の範囲および部分範囲を含む)であってもよい。
【0051】
ある特定の態様において、本出願は、本開示の組成物のいずれかを作製する方法をさらに開示する。ウェット形態または缶詰形態での本発明の組成物の調製において、任意の原料(例えば、AA、EPA、DHA)は一般的に例えば、配合物の加工中、例えば組成物の他の構成成分の混合中および/または混合後などに組成物の中に組み込まれることができる。これらの構成成分の組成物への分配は、従来の手段によって達成されることができる。一部の実施形態において、粉砕した動物タンパク性組織および家禽タンパク性組織は、魚油、穀物粒、他の栄養的にバランスが取れている原料、特殊目的の添加物を含む他の原料(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、増量剤、ならびにこれに類するもの)と混合されていて、また加工のために十分な量の水が添加されている。これらの原料は、構成成分をブレンドしながら加熱するために適切な容器内で混合されることができる。例えば、直接蒸気注入によって、または熱交換器を備えた容器を使用することによってなど、任意の適切なやり方を使用して、混合物の加熱を行うことができる。最後の原料の添加に続いて、混合物を約50°F(10℃)~約212°F(100℃)の温度範囲に加熱することができる。一部の場合において、混合物を約70°F(21℃)~約140°F(60℃)の温度範囲に加熱することができる。これらの範囲外の温度も一般的に許容可能であるが、他の加工助剤を使用しなければ、商業的に非実用的である場合がある。適切な温度に加熱されると、材料は典型的に、濃厚液の形態になるであろう。この濃厚液は缶の中に充填されることができる。缶の中に充填されると、蓋が付けられ、容器は気密密封される。次いで、密封した缶は、内容物を滅菌するために設計された従来の機器の中に定置される。これは通常、約230°F(110℃)を超える温度に、適切な時間にわたって加熱することによって達成され、この時間は例えば、使用する温度および組成物に依存する。
【0052】
ペットフード組成物は代替的に、従来のプロセスを使用して、乾燥形態で調製されることができる。典型的に、例えば動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物等をなどの乾燥原料は粉砕され、一緒に混合される。次いで、脂質、油、動物性タンパク質、水などの湿った原料または液体原料を加え、乾燥混合物と混合する。次いで、混合物をキブルまたは類似の乾燥片へと加工する。キブルは多くの場合、ドライ原料とウェット原料の混合物を高圧および高温にて機械作業に供し、小さい開口部を通して押し出し、回転ナイフによってキブルへと切断される押出成形プロセスを使用して形成される。次いで、ウェットキブルを乾燥させ、例えば風味剤、脂質、油、粉末、およびこれに類するものを含んでもよい、一つ以上の局所的なコーティングを用いて随意にコーティングする。キブルはまた、押出成形ではなく焼き上げるプロセスを用いてドウから作製されることができ、このプロセスにおいてドウは型の中に定置された後、乾燥加熱処理される。
【0053】
別の態様において、本開示は、イヌ科動物またはネコ科動物内の血中ビタミンEの量を増加させる方法を提供し、この方法は、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを含むペットフード組成物を動物に給餌することを含み、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を、動物内の血中ビタミンEを増加させるのに効果的な量で含む。好ましい一実施形態において、ビタミンEの量のこうした増加は、特定された原料のうちの一つ以上が存在しない条件下で生じることになるよりも多い。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.2%~約1%、約0.2%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する。ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との比は、1:1~2.5:1、1.3:1~2.0:1、または約1.7:1であってもよい。ベタインは、ペットフード組成物の0.03~1重量%の量で存在してもよい。少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、魚油に由来してもよい。ある特定の実施形態において、組成物はアルファ-リノレン酸をさらに含む。ある特定の実施形態において、アルファ-リノレン酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在してもよい。
【0054】
別の態様において、本開示は、イヌ科動物またはネコ科動物内の血中EPAおよびDHAの量を増加させる方法を提供し、この方法は、ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸とを含むペットフード組成物を動物に給餌することを含み、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を、動物内の血中ビタミンEを増加させるのに効果的な量で含む。好ましい一実施形態において、EPAおよびDHAの量のこうした増加は、特定された原料のうちの一つ以上(すなわち、ベタイン)が存在しない条件下で生じることになるよりも多い。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む。ある特定の実施形態において、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.2%~約1%、約0.2%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する。ベタインと少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との比は、1:1~2.5:1、1.3:1~2.0:1、または約1.7:1であってもよい。ベタインは、ペットフード組成物の0.03~1重量%の量で存在してもよい。少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸は、魚油に由来してもよい。ある特定の実施形態において、組成物はアルファ-リノレン酸をさらに含む。ある特定の実施形態において、アルファ-リノレン酸は、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在してもよい。
【0055】
一部の実施形態において、本発明は、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸を、ペット中のEPA、DHA、およびビタミンEのうちの一つ以上の血中濃度を増加させるために効果的な量で含むペットフード組成物を提供し、食事は、ベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸を有し、少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々は、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む。好ましい一実施形態において、血中濃度の増加は、組成物がベタインおよび少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸を欠いた場合に生じることになるよりも多い。ある特定の態様において、ペットはイヌである。他の態様において、ペットはネコである。
【実施例】
【0056】
本明細書に記載の実施例およびその他の実施は例示的であり、本開示の組成物および方法の全範囲の記述に限定することを意図しない。特定の実施、材料、組成物、および方法の同等の変更、修正、および変形は、実質的に類似の結果を伴って、本開示の範囲内で行われてもよい。
【0057】
実施例1
ベタインおよび長鎖n3多価不飽和脂肪酸を含有するフードの分析を、ネコで実施した。48匹のネコが分析に含まれた。ネコは、14日間の事前給餌期間に維持され、その後、以下の六つのフード組成物のうちの一つに割り当てられた:1)対照(水分6.8%、タンパク質33.4%、脂質19.2%、繊維(粗)1.6%、灰分4.9%、ベタイン736mg/kg(0.0736重量%)、アルファ-リノレン酸(ALA)0.15%、EPAおよびDHAは両方とも検出レベルを下回る(<0.02%))、2)対照+0.35%のアルファ-リノレン酸(ALA)、3)対照+0.27%のエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)、4)対照+0.5%のベタイン、5)対照+0.35%のアルファ-リノレン酸+0.5%のベタイン、または6)対照+0.27%のEPAおよびDHA+0.5%のベタイン。六つのフード組成物を、以下に示した表1に示す。すべての治療フードは、60日間給餌された。
【表1】
【0058】
血中ビタミンE(アルファトコフェロール)の測定がなされ、結果が表2に報告された。血中ビタミンE濃度の変化、すなわちΔEを、(最終における)-(初期における)として計算した。PUFAは多価不飽和脂肪酸を意味し、EPAとDHAの両方を含む。
【表2】
【0059】
観察された結果は驚くべきことに、フード中にベタインをEPAおよびDHAとともに含むこと(治療6)が、EPAおよびDHAの血中濃度において相乗的増加をもたらしたことを示した。さらに、この治療を受けた動物はまた、アルカリホスファターゼの血中濃度と血中尿素窒素の血中濃度の低減を示し、これらは両方とも、それぞれ肝臓と腎臓の健康の兆候である。興味深いことに、ベタインは両方の脂肪酸の血中濃度を相乗的に増加させたが、DHAの相乗効果はより大きかった(回帰勾配は、EPAの0.17と比較してDHAで0.40であった)。
【0060】
実施例2
ベタインおよび長鎖n3多価不飽和脂肪酸を含有するフードの効果の分析を、イヌで実施した。64匹のイヌが分析に含まれた。イヌは、14日間の事前給餌期間に維持され、その後、様々な治療フードのうちの一つに割り当てられた:1)0.05%のベタイン+0.25%のアルファ-リノレン酸(ALA)、2)0.05%のベタイン+0.81%のALA、3)0.47%のベタイン+0.85%のALA、4)0.28%のエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)、5)0.55%のベタイン+0.28%のEPAおよびDHA、または6)0.58%のベタイン。六つのフード組成物を、以下に提供した表3に示す。すべての治療フードは、60日間給餌された。
【表3】
【0061】
血中ビタミンE(アルファトコフェロール)の測定がなされ、結果が表4に報告された。血中ビタミンE濃度の変化、すなわちΔEを、(最終における)-(初期における)として計算した。PUFAは多価不飽和脂肪酸を意味し、EPAとDHAの両方を含む。
【表4】
【0062】
表4に示す通り、ベタインと多価不飽和脂肪酸の両方を添加することのみが、血中ビタミンEの有益な増大をもたらした。このデータから、このような利益を享受するためには、ドッグフードは、最小量のベタインおよびEPAとDHAの組み合わせを含有しなければならないと推定される。計算は以下の通りになされた:ビタミンEの変化(表4でΔEとして表される)の関係を、ベタインの摂取量およびEPAとDHA(20+個の炭素長の脂肪酸)の組み合わせを独立して変化させることによって評価した。結果は、ベタインおよび20+個の炭素脂肪酸について線形応答を示した。ΔEが正になる点は、利益が観察された濃度である。これは、193グラムのドッグフード(193グラムは、このウェットドッグによって消費されることが期待されるドッグフードの量である)中の0.425グラムのベタイン(すなわち、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて0.22%のベタイン)の摂取量にて観察された。EPAおよびDHAは、193グラムのドッグフード中に少なくとも0.170グラム(すなわち、ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて0.09%)存在しなければならないことがさらに推定される。
【表5】
【表6】
【0063】
表5は、ベタインとPUFAの摂取の驚くべき相互作用を示し、これによってベタインの存在は、PUFAの単独摂取と比較して血中EPAを増加させた。表6は、ベタインとPUFAの摂取の驚くべき相互作用を示し、これによってベタインの存在は、PUFAの単独摂取と比較して血中DHAを増加させた。
【0064】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に記載されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または代表することを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
ベタインと、
少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸と、
を含み、
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸の各々が、少なくとも20個の炭素を有する非分岐脂肪族尾部を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の乾燥重量に基づいて、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.8%、または約0.2%~約0.5%の量で存在する、請求項1~2のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記ベタインが、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.03~約1%の量で存在する、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比が、約1:1~約2.5:1、約1.3:1~約2.0:1、または約1.7:1である、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
前記ベタインおよび前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項1~5のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が魚油に由来する、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項8】
前記組成物がアルファ-リノレン酸をさらに含み、前記アルファ-リノレン酸が、前記ペットフード組成物の前記乾燥重量に基づいて、約0.3%~約1%の量で存在する、請求項1~7のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項9】
前記ペットフード組成物が、約1:2~約5:1、随意に約1:1~約5:1、随意に約1:1~約3:1、または随意に約1:1~約2:1の前記ベタインとエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の総量との重量比を有する、請求項1~8のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項10】
約10%~約40%のタンパク質と、
約9重量%以上の脂質と、
約0.1~約10重量%の繊維と、
をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項11】
前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸が、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項12】
前記ペットフード組成物が、約1:5~約5:1、随意に約1:4~約3:1、または随意に約1:3~約2:1のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸との重量比を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項13】
前記ペットフード組成物が、約1:2~約5:1、随意に約1:1~約5:1、随意に約1:1~約3:1、または随意に約1:1~約2:1の前記ベタインと前記少なくとも二つのオメガ3多価不飽和脂肪酸との重量比を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項14】
前記ペットフード組成物が、約1:2~約5:1、随意に約1:1~約5:1、随意に約1:1~約3:1、または随意に約1:1~約2:1の前記ベタインとエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸の総量との重量比を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項15】
イヌ科動物内の血中ビタミンEの量を増加させるための方法であって、有効量の請求項1~14のいずれか一項に記載のペットフード組成物を前記イヌ科動物に給餌することを含む、方法。
【請求項16】
ネコ科動物内の血中EPAおよびDHAの量を増加させるための方法であって、有効量の請求項1~14のいずれか一項に記載のペットフード組成物を前記ネコ科動物に給餌することを含む、方法。
【国際調査報告】