(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】食品製品のための着色組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 5/43 20160101AFI20231027BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20231027BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20231027BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20231027BHJP
A23L 13/40 20230101ALI20231027BHJP
【FI】
A23L5/43
A23L13/00 D
A23L13/60 A
A23L17/00 Z
A23L13/60 Z
A23L13/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525447
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021079409
(87)【国際公開番号】W WO2022090092
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローレンソン,リズ
(72)【発明者】
【氏名】ビルティック,シモーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュードル, メラニー マリー-ポール パトリシア
【テーマコード(参考)】
4B018
4B042
【Fターム(参考)】
4B018LB05
4B018LB06
4B018LE03
4B018MA02
4B018MA07
4B018MC01
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF06
4B042AC02
4B042AD03
4B042AG03
4B042AH01
4B042AK01
4B042AK04
4B042AK06
4B042AK07
4B042AK08
4B042AK11
4B042AK20
4B042AP02
4B042AP14
4B042AP18
4B042AP30
(57)【要約】
本発明は、食品製品における着色剤としてのアントシアニンおよび/またはベタニンの使用、アントシアニンおよび/またはベタニンのソースとしての植物抽出物、植物抽出物を含む組成物、ならびにアントシアニンおよび/またはベタニンまたは本明細書において記載される組成物を用いるプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉、魚肉、または食肉類似物製品から選択される食品製品を着色するためのプロセスであって、食品製品は、食品製品の約1重量%以上の脂肪を有するか、および/または約4以上のpHを有し、ここで、プロセスが、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンの食品製品への添加を含む、前記プロセス。
【請求項2】
製品が、乳化された製品であり、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンの食品製品への添加が、乳化プロセスの前および/またはその間に行われる、請求項1に記載の食品製品を着色するためのプロセス。
【請求項3】
食品製品を加熱するステップをさらに含む、請求項2または3に記載の食品製品を着色するためのプロセス。
【請求項4】
食肉、魚肉、または食肉類似物製品における着色剤としての、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンの使用であって、ここで、食品製品は、食品製品の約1重量%以上の脂肪を含み、および/または約4以上のpHを有する、前記使用。
【請求項5】
アントシアニンが、アントシアニングリコシドである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項6】
アントシアニングリコシドが、アシル化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項7】
アントシアニンが、ペラルゴニジン型またはその構造的類似物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項8】
アントシアニンが、アブラナ科、バラ科、ナス科の植物から得ることができる抽出物、またはそれらの混合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項9】
アブラナ科の植物がRaphanus sativus L.(赤ダイコン)であり、バラ科の植物がFragaria(イチゴ)であり、および/またはナス科の植物がSolanum tuberosum(赤ジャガイモ)である、請求項8に記載のプロセスまたは使用。
【請求項10】
ベタニンが、ナデシコ目の植物、好ましくはヒユ科、サボテン科の植物から得ることができる抽出物、およびそれらの混合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項11】
アントシアニンが、赤ダイコンから得ることができる抽出物であり、ベタニンが、ビートルートから得られる抽出物として存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項12】
製品が、5重量%以上、または15重量%以上の脂肪を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項13】
アントシアニンおよび/またはベタニンが、抗酸化剤および/または抗菌剤、ならびに任意に香味剤と組み合わせて用いられる、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項14】
抗酸化剤および/または抗菌剤が、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物など)、アスコルビン酸(アセロラ抽出物など)、酢酸(緩衝化または非緩衝化ビネガーなど)、ヘスペリジン、ザクロ属抽出物(ザクロ)、およびこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載のプロセスまたは使用。
【請求項15】
抗酸化剤および/または抗菌剤が、ローズマリー抽出物、アセロラジュースおよび酢酸を含む、請求項13または14に記載のプロセスまたは使用。
【請求項16】
食品製品が、食肉、魚肉または食肉類似物、好ましくは加工食肉、加工魚肉または加工食肉類似物である、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項17】
食品製品が、乳化された食品製品である、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項18】
食品製品が、少なくとも10分間にわたり40℃以上の温度に供されたものである、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項19】
食品製品が、約60~約80のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項20】
食品製品が、10日間以上、例えば21日間以上にわたり、約60~約80のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセスまたは使用。
【請求項21】
請求項1~3および5~20のいずれか一項に記載のプロセスにより得ることができる、食品製品。
【請求項22】
食品が、乳化され調理されたソーセージ(フランクフルターまたはホットドッグ)、セルベラまたはパテから選択される、請求項21に記載の食品製品。
【請求項23】
製品が、亜硝酸塩および/またはアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩を実質的に含まない、請求項21または22に記載の食品製品。
【請求項24】
(i)アブラナ科、バラ科、ナス科からの植物から得ることができるアントシアニン抽出物およびそれらの混合物;ならびに/または(ii)ナデシコ目の植物、好ましくはヒユ科、サボテン科の植物から得ることができるベタレイン抽出物およびそれらの混合物、を含む、組成物。
【請求項25】
食品着色組成物である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
抗酸化剤および/または抗菌剤、ならびに任意に香味剤をさらに含む、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項27】
抗酸化剤および/または抗菌剤が、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物など)、アスコルビン酸(アセロラ抽出物など)、酢酸(緩衝化または非緩衝化ビネガーなど)、ヘスペリジン、ザクロ属抽出物(ザクロ)、およびこれらの組み合わせを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
抗酸化剤および/または抗菌剤が、ローズマリー抽出物、アセロラジュースおよび酢酸を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
約4以上のpHおよび/または約1重量%以上の脂肪含有量を有し、請求項24~28のいずれか一項に記載の組成物を含む、食肉、魚肉、または食肉類似物製品。
【請求項30】
食肉、魚肉または食肉類似物が、加工された食肉、魚肉または食肉類似物であり、任意に乳化されたものである、請求項29に記載の食肉、魚肉、または食肉類似物製品。
【請求項31】
製品が、亜硝酸塩および/またはアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩を含まない、請求項29または30に記載の食肉、魚肉、または食肉類似物製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、食品製品における着色剤としてのアントシアニンおよび/またはベタニンの使用、アントシアニンおよび/またはベタニンのソースとしての植物抽出物、植物抽出物を含む組成物、ならびにアントシアニンおよび/またはベタニンまたは本明細書において記載される組成物を用いるプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
硝酸塩および亜硝酸塩は、伝統的に、塩漬け(cure)された食肉製品の製造において塩漬け剤(curing agent)として用いられてきた。
硝酸塩および亜硝酸塩の食肉製品への添加の有益な効果は、品質的特徴ならびに微生物学的安全性の改善である。硝酸塩および亜硝酸塩は、主に、塩漬けされた食肉製品における特徴的なフレーバーの発生、赤い色の安定性、ならびに脂質酸化に対する保護を担っている。亜硝酸塩は、食肉製品において見出されるいくつかの腐敗菌(spoilage bacteria)ならびに食物由来の病原体に対して、重要な静菌および殺菌活性を示す。委員会規則(Commission Regulation)(EU)番号1129/2011によれば、硝酸塩(硝酸ナトリウム、E251;硝酸カリウム、E252)および亜硝酸塩(亜硝酸カリウム、E249;亜硝酸ナトリウム、E250)は、許可された食品添加物として列記される。
【0003】
外観は、ほとんどの食品製品の品質のために、極めて重要である。色は、消費者が食肉および食肉製品の新鮮さおよび品質を評価する場合に、特に消費者に影響を及ぼす。
【0004】
食肉製品の色は、水分および脂肪含有量を含む様々な要因の組み合わせにより決定されるが、より重要なものは、血液タンパク質の、特にミオグロビン(Mb)の化学形および濃度である。Mbは、加熱処置を含む加工パラメーターにより影響を受け、食肉の塩漬けにおける亜硝酸塩/硝酸塩の使用の使用は、製品のために用いられる包装方法と一緒に、特に興味深いものである。なぜならば、亜硝酸塩または硝酸塩の還元により形成される化合物は、Mbと反応して、ピンク色の色素、ニトロシルミオグロビン(MbFe(II)NO)を形成するからである。
【0005】
亜硝酸塩または硝酸塩が添加された製品において、複合体MbFe(II)NOは、例えば、塩漬け乾燥された、塩水で塩漬けされた、および調理されて塩漬けされた食肉製品における、特徴的な色の主な原因である。亜硝酸塩/硝酸塩の添加をしていない塩漬けされた食肉および食肉製品は、通常、原産物(raw product)において鈍褐色、または加熱製品において灰色となり、これは、典型的には、消費者の受け入れに対して負の影響を及ぼす。
【0006】
しかし、一酸化窒素およびN-ニトロソ化合物などの亜硝酸塩の代謝物は、潜在的な有害な健康への効果についての懸念を生じてきており、最近では、国際がん研究機関(IARC)が、摂取された硝酸塩または亜硝酸塩は、ヒトにとって発がん物質である可能性があると結論付けた。
【0007】
今のところ、好適かつ安全な亜硝酸塩の代替物は存在しない。これらの食品添加物は、著しく減少させられるべきであるが、微生物学的保護、抗酸化性能、ならびに色および感覚受容的な特徴を確保するために、安全な代替物が見出されなければならない。
【0008】
カルミンは、食肉の天然の赤い色を増強するために食肉製品において最も頻繁に用いられる食品着色剤である。しかし、カルミンは、昆虫由来の食品着色剤であり、ベジタリアンおよびヴィーガンの食品の選択へと動く消費者の数の迅速な増加は、動物に優しい代替物の開発を奨励している。
【0009】
ビートルートは、塩漬けされた食肉製品において、それらに強烈なピンク色を与えるために、カルミン代替物として広く用いられる。しかし、これらの色素の使用は、主にそれらの熱への感受性のために限定される。ビートルートの色素であるベタニンは、ほとんどは塩基性条件において、黄色のベタラミン酸およびシクロドーパ-5-O-グリコシドへと容易に加水分解される。
【0010】
アントシアニンは、赤色、紫色および青色の原因となる水溶性植物抽出物であり、主に、花、果実および野菜の間で分布している。
しかし、食品着色剤としてのアントシアニンの使用は、加工および貯蔵の間の低い安定性および色の変化のために限定される。
加えて、アントシアニンの色は、pHに依存する。これは、アントシアニンの分子構造が本質的にイオン性であることに起因する。
【0011】
酸性条件において、アントシアニンのうちの一部は、赤色に見える。アントシアニンは、中性のpHにおいて紫色の色相を有するが、一方、pHが増大する条件において、色は青色へ変化する。アントシアニンの赤色の色素は、主に、フラビリウムカチオンの形態である。これらのアントシアニンは、より低いpH溶液において、より安定である。より低いpHにおいて、形成されたフラビリウムカチオンは、アントシアニンが高度に水溶性となることを可能にする。水分濃度の低下は、フラビリウムカチオンの脱プロトン化の速度を増大させ、それにより色の安定性を低下させる。
【0012】
pHが増大する条件において、無色のカルビノール疑似塩基およびカルコン構造が形成され、その後、アニオン性のキノノイダール(quinonoidal)種が形成される。これは、フラビリウムイオンの水和反応との間の動力学的および熱力学的競合に起因する。この青色のキノノイダール種は、より低いpHにおいて不安定である。
【0013】
pH4~5において、アントシアニン溶液は、少量のフラビリウムカチオンおよびキノノイダールアニオンに起因して、非常にわずかな色相を有する。中性のpHにおいて、キノノイダール種のさらなる脱プロトン化から、共鳴安定化キノノイドアニオン(色はアントシアニンの紫色)が形成される。
【0014】
食肉製品のpHは典型的には5.5~6.5の範囲であることから、アントシアニンは、食肉製品において亜硝酸塩を置き換えるために好適な色合い(shade)を有するはずがない。
【0015】
アシル化されたアントシアニンは、酸性条件において、単純なアントシアニンより安定であり得る。Rodriguez-Saonaらは、赤ダイコン(赤ダイコン)におけるジアシル化されたアントシアニンが、モデルジュースにおいてpH3.5において経時的に安定であることを示した。しかし、室温貯蔵(25℃)は、冷蔵温度(2℃)と比較して、より高い分解速度をもたらした。したがって、アシル化されたアントシアニンですら、例えば60℃超で数時間にわたり調理される食肉製品においては、安定ではないであろう可能性がある。食品製品において典型的に見出される5~6を超えるpHにおいて、安定性は、顕著に減少する可能性がある。
【0016】
様々なpH値における赤ダイコン抽出物の色度を、広範に調査した。pHがpH5まで増大する場合には低色素効果が観察され、pHがpH5より上に増大する場合には高色素効果および深色性シフトが観察された(
図1)。フラビリウムカチオンは、水和されて、pH3~5において無色のカルビノール疑似塩基を、およびpH5~8においてキノノイダール塩基を生じた。
【0017】
pH3および5において、60%より多くのアントシアニンは、20日間の光暴露(480h)の後で保持されたが、一方、pH7においては、アントシアニン含有量は1日以内に40%まで低下した。加熱の間に、赤ダイコンアントシアニン抽出物の色は消失し、および/または黄色に変化した。pH3、5、および7における試料の分解挙動は、光のものと類似していた。
【0018】
本明細書における明らかに先行して公開された文書の列記または考察は、必ずしも当該文書が先端技術の部分であるか、または共通の一般的な知識であることを認めるものとして受け止められるべきではない。
【発明の概要】
【0019】
発明の要旨
本願は、驚くべきことに、かつ予想外に、食品製品の約5重量%以上の脂肪を有し、および/または約4以上のpHを有する食品製品において、食品着色剤として、アントシアニンおよび/またはベタニンを用いることができることを見出した。
【0020】
したがって、本発明は、食品製品における着色剤としてのアントシアニンおよび/またはベタニンの使用を提供し、ここで、食品製品は、食品製品の約5重量%以上の脂肪を含み、および/または約4以上のpHを有する。
これは、本明細書において以後、本発明の使用として言及されるであろう。
【0021】
本発明はまた、食品製品の約5重量%以上の脂肪を有し、および/または約4以上のpHを有する食品製品を着色するためのプロセスを提供し、ここで、プロセスは、アントシアニンおよび/またはベタニンの食品製品への添加を含む。
これは、本明細書において以後、本発明のプロセスとして言及されるであろう。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、食品製品、特に食肉、魚肉における、または食肉類似物製品に対する着色剤としての、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンの使用(本発明の使用)に関し、ここで、食品製品は、食品製品の約5重量%以上の脂肪を含み、および/または約4以上のpHを有する。
【0023】
本発明はまた、食品製品の約1重量%以上(5重量%以上、もしくは15重量%以上など)の脂肪を有し、および/または約4以上(約5以上、もしくは6以上など)のpHを有する食品製品(食肉、魚肉など、または食肉類似物製品に対して)を着色するためのプロセス(本発明のプロセス)を提供し、ここで、プロセスは、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンの食品製品への添加を含む。
【0024】
ある態様において、プロセスは、1つ以上のアントシアニン含有抽出物および/または1つ以上のベタニン含有抽出物の食品製品への添加を含む。
ある態様において、プロセスは、Raphanus sativus L.から得られた1つ以上のアントシアニンおよびBeta vulgaris L.から得られた1つ以上のベタニンの食品製品への添加を含む。
【0025】
本発明者らは、驚くべきことに、かつ予想外に、アントシアニンおよび/またはベタニンが、食品製品が乳化される前またはその間に食品製品中に(食肉、魚肉など、または食肉類似物に対して)組み込まれる場合、着色剤の安定性の増大が達成され得ることを見出した。
【0026】
本発明の使用またはプロセスのある態様において、食品製品は、乳化された食品製品であり、アントシアニンおよび/またはベタニンは、食品製品が乳化される(ステップi)前またはその間に食品製品中に組み込まれる。
【0027】
ある態様において、さらなる混合または乳化ステップ(ステップii)は、アントシアニンおよび/またはベタニンが食品製品に組み込まれた(ステップi)後に行ってもよい。
また、ある態様において、食品製品は、ステップIの後、および/またはステップiiの後で、加熱してもよい(ステップiii)。
【0028】
したがって、本発明はまた、食品製品を着色するためのプロセスを提供し、ここで、プロセスは:
(i)1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニン(本発明の組成物の形態におけるものなど)を、少なくとも1重量%の脂肪(少なくとも5%、または少なくとも15%など);および任意に4より高いpHを有する、食肉、魚肉に対して、または食肉類似物製品に対して、添加すること、
(ii)ステップ(i)において得られた組み合わせを乳化または混合すること;ならびに
(iii)任意に、ステップ(ii)から得られた混合物を加熱すること
を含む。
【0029】
それが乳化された製品である場合、本発明の着色組成物は、乳化プロセスの前またはその間に添加してもよく、したがって、本発明はまた、食品製品を着色するためのプロセスを提供し、ここで、プロセスは:
(i)1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニン(本発明の組成物の形態におけるものなど)を、少なくとも1重量%(少なくとも5%、または少なくとも15%など)の脂肪を有する食肉、魚肉に対して、または食肉類似物製品に対して、乳化プロセスの間に、添加すること;
(ii)任意に、ステップ(i)において得られた組み合わせを、さらに乳化または混合すること;ならびに
(iii)任意に、ステップ(ii)において得られた混合物を加熱すること
を含む。
【0030】
本発明において用いられるアントシアニンは、合成のソースから得ることができるものでもよく、または果実、野菜および/もしくは花などの天然のソースから得ることができるものでもよい。
本発明において用いることができる天然のアントシアニンの例として、これらに限定されないが、ペラルゴニジンベースのアントシアニン、シアニジンベースのアントシアニン、およびペオニジンベースのアントシアニンが挙げられる。
【0031】
果実、野菜および花における天然のアントシアニンは、典型的には、それらのアグリコンの形態においては存在せず、むしろアントシアニングリコシドの形態において存在する。そこにおいて、糖分子は、O-グリコシド結合を介して、通常はアントシアニン分子の3位および/または5位において存在するヒドロキシル基に、結合する。
【0032】
最も一般的には、グリコシル化は3位において存在し、存在する場合には、第2のグリコシル化は5位において存在する。しかしまた、7、3’、4’または5’位において存在するヒドロキシル基も、グリコシル化に供することができる。アントシアニングリコシドにおいて一般的に見出される糖の例は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、ラムノースおよびキシロースである。それらは、単糖分子として、または二糖または三糖の形態において存在することができる。グリコシド構造は、アントシアニン分子の3位または5位のみにおいて存在してもよく(モノグリコシド)、または、その3位および5位の両方において存在してもよい(ジグリコシド)。上で言及されるとおり、グリコシル化はまた、他の位置において存在してもよい。
【0033】
下の式は、赤ダイコンアントシアニンを表す(Matsufujiら)。
【化1】
したがって、アントシアニンは、アントシアニングリコシドの形態におけるものであってもよい。
【0034】
糖分子による置換に加えて、天然のアントシアニングリコシドを、糖残基構造内でアシル化することができる。
【0035】
アシル化されたアントシアニングリコシドは、典型的には、糖残基のヒドロキシル基がカルボン酸と反応してエステル構造を形成するアントシアニングリコシドであり、ここで、カルボン酸は、糖部分によりエステル化される。アントシアニングリコシドのアシル化のために好適であり、天然のアントシアニンにおいてしばしば見出されるカルボン酸は、ヒドロキシケイ皮酸(クマル酸、コーヒー酸およびフェルラ酸など)ならびにリンゴ酸である。
【0036】
フェノール酸もまた、アントシアニングリコシドのアシル化のために好適である。フェノール酸は、フェノール環およびカルボン酸基を有するカルボン酸であり、安息香酸およびヒドロキシケイ酸を含む。
【0037】
したがって、アントシアニンは、アシル化されたアントシアニングリコシドの形態であってもよい。例えば、ペラルゴニジンベースのアシル化されたアントシアニン、シアニジンベースのアシル化されたアントシアニンおよびペオニジンベースのアシル化されたアントシアニン、またはペラルゴニジンベースのアシル化されたアントシアニン、シアニジンベースのアシル化されたアントシアニンおよびペオニジンベースのアシル化されたアントシアニンの構造的類似物。
【0038】
アシル化されたアントシアニングリコシドの安定性は、アシル化の程度に依存し得る。アシル化がフェノール酸により提供される場合、全てのアントシアニンのうちの少なくとも40モル%は、少なくとも1つのフェノール酸によりアシル化されていてもよく、全てのアントシアニンのうちの少なくとも50モル%は、少なくとも1つのフェノール酸によりアシル化されていてもよく、全てのアントシアニンのうちの少なくとも60モル%は、少なくとも1つのフェノール酸によりアシル化されていてもよく、全てのアントシアニンのうちの少なくとも70モル%、例えば存在する全てのアントシアニンに基づいて、少なくとも80モル%、または少なくとも85モル%、または少なくとも90モル%は、少なくとも1つのフェノール酸によりアシル化されていてもよい。例えば、全てのアントシアニンのうちの約70モル%~約100モル%、または約80モル%~約90モル%は、少なくとも1つのフェノール酸によりアシル化されていてもよい。
【0039】
アシル化がヒドロキシケイ酸により提供される場合、全てのアントシアニンのうちの少なくとも20モル%、例えば存在する全てのアントシアニンに基づいて、少なくとも50モル%、少なくとも75モル%または少なくとも99モル%は、少なくとも1つのヒドロキシケイ酸によりアシル化されていてもよい。例えば、全てのアントシアニンのうちの約20モル%~約100モル%、または約25モル%~約80モル%、または約30モル%~約70モル%または約35モル%~約70モル%は、少なくとも1つのヒドロキシケイ酸によりアシル化されていてもよい。
【0040】
アシル化がリンゴ酸により提供される場合、全てのアントシアニンのうちの少なくとも20モル%、例えば存在する全てのアントシアニンに基づいて、少なくとも50モル%、少なくとも75モル%または少なくとも99モル%は、少なくとも1つのリンゴ酸によりアシル化されていてもよい。例えば、全てのアントシアニンのうちの約20モル%~約100モル%、または約25モル%~約80モル%、または約30モル%~約70モル%または約35モル%~約70モル%は、少なくとも1つのリンゴ酸によりアシル化されていてもよい。
【0041】
存在する全てのアントシアニンに基づいたペラルゴニジンベースのアントシアニンの量は、約50モル%~約90モル%、例えば約55モル%~約85モル%、または約60モル%~約80モル%であってよい。
【0042】
存在する他の(非ペラルゴニジンベースの)アントシアニン(単数または複数)の残りは、アントシアニンの合計量が、アシル化されたアントシアニンの量および上で定義されるヒドロキシケイ酸アシル化部分の含有量を示し、さらに、上で定義されるとおりに測定された場合に10~30、好ましくは15~25の範囲内において赤橙色の色相を示す限り、任意のアントシアニン(単数または複数)であってよい。
【0043】
先に記述されるとおり、アントシアニンは、合成のものであっても、それらは、果実、野菜および/または花などの天然のソースから得ることができるものであってもよい。
例えば、アントシアニンは、アブラナ科、バラ科、ナス科、ヒルガオ科からの植物から得ることができる抽出物、またはそれらの混合物として存在してもよい。混合物とは、本発明者らは、アブラナ科からの植物、バラ科からの植物およびナス科からの植物が、単一の溶媒を用いて一緒に抽出される混合物、ならびにアブラナ科からの植物、バラ科からの植物およびナス科からの植物が別々に抽出され、生じた抽出物が組み合わされた混合物を含める。
【0044】
アブラナ科の植物は、Raphanus sativus L.(赤ダイコン)であってよい。
バラ科の植物は、Fragaria(イチゴ)であってよい。
ナス科の植物は、Solanum tuberosum(赤ジャガイモ(red potato))であってよい。
ヒルガオ科の植物は、Ipomoea batatas(紫サツマイモ根)であってよい。
【0045】
本発明の使用におけるベタニン(単数または複数)は、ナデシコ目の植物、特にヒユ科、サボテン科の植物から得られるかもしくはこれらから得ることができる抽出物、またはそれらの混合物として存在してもよい。
ヒユ科の植物は、Beta vulgaris L.(ビートルート)であってよい。
サボテン科の植物は、Opuntia ficus-indicaであってよい。
【0046】
アントシアニン(単数または複数)およびベタニン(単数または複数)の両方が、存在してもよい。例えば、使用またはプロセスは:(i)アブラナ科、バラ科、ナス科からの植物から得られるかもしくはこれらから得ることができる抽出物またはそれらの混合物;および
(ii)ナデシコ目の植物、特にヒユ科、サボテン科の植物から得られるかもしくはこれらから得ることができる抽出物、およびそれらの混合物
の組み合わせを必要としてもよい。
【0047】
特に、アブラナ科(特に、Raphanus sativus L.(赤ダイコン))からの植物から得られるかもしくはこれから得ることができる抽出物、およびヒユ科(特に、Beta vulgaris L.(ビートルート))からの植物から得られるかもしくはこれから得ることができる抽出物の組み合わせを用いてもよい。組み合わせは、アブラナ科(ダイコン属、特にRaphanus sativus L.(赤ダイコン)など)からの植物、およびヒユ科(特に、Beta vulgaris L.(ビートルート)など)からの植物を、単一の溶媒を用いて一緒に抽出することにより、得てもよく、または、アブラナ科(特に、Raphanus sativus L.(赤ダイコン))からの植物、およびヒユ科(特に、Beta vulgaris L.(ビートルート))からの植物を、別々に抽出して、生じた抽出物を組み合わせることにより得てもよい。
【0048】
例えば、本発明は、Raphanus sativus L.から得られた1つ以上のアントシアニンおよび/またはBeta vulgaris L.から得られた1つ以上のベタニンの、食品製品における着色剤としての使用を提供し、ここで、食品製品は、食品製品の約1重量%以上の脂肪を含み、および/または約4以上のpHを有する。
好ましい態様において、食品製品は、約5重量%以上の脂肪を含み、pHは、約5~7のpHである。
【0049】
例えば、本発明は、アントシアニン(単数または複数)を含むRaphanus sativus L.抽出物、および/またはベタニン(単数または複数)を含むBeta vulgaris L.抽出物の食品製品における着色剤としての使用を提供し、ここで、食品製品は、食品製品の約1重量%以上(5重量%以上、もしくは15重量%以上など)の脂肪を含み、および/または約4以上(約5以上、もしくは6以上など)のpHを有する。
【0050】
本明細書において記載される使用またはプロセスにおいて、食品製品の脂肪含有量は、約1重量%以上または1.5重量%以上、または3重量%以上、または4重量%以上、または5重量%以上、または6重量%以上、または10重量%以上、または15重量%以上、または2重量0%以上、または30重量%以上のものであってよい。
前に記載される使用またはプロセスにおいて、食品製品のpHは、約4以上のもの、または約5以上のもの、または約6以上のもの、または約7以上のもの、または約8以上のもの、または約9以上のもの、または約10以上のものであってよい。好ましい態様において、pHは、約6.5のものであってよい。
【0051】
「アントシアニン含有抽出物」または「アントシアニン抽出物」とは、前に記載されるとおりの、例えばアブラナ科、バラ科、ナス科に由来してもよいがこれらに限定されない、少なくとも1つの種類のアントシアニンを含む、任意の天然の抽出物を意味する。
【0052】
「ベタニン含有抽出物」または「ベタニン抽出物」とは、前に記載されるとおりの、例えばヒユ科、サボテン科に由来してもよいがこれらに限定されない、少なくとも1つの種類のベタニンを含む、任意の天然の抽出物を意味する。
【0053】
本発明はまた、(i)アントシアニン抽出物、および(ii)ベタニン抽出物、およびそれらの混合物を含む、組成物を提供する。
これは、本明細書において以後、本発明の組成物として言及される。
【0054】
本発明はまた、(i)アブラナ科、バラ科、ナス科のうちの少なくとも1つからの植物から得ることができるアントシアニン抽出物、およびそれらの混合物;ならびに(ii)ナデシコ目の植物、特にヒユ科、サボテン科の植物から得ることができるベタニン抽出物、およびそれらの混合物を含む、組成物を提供する。
【0055】
本発明の組成物は、食品着色組成物として用いてもよい。特に、組成物は、約4以上(約5以上、もしくは6以上など)のpHおよび/または約1重量%以上(5重量%以上、もしくは15重量%以上など)の脂肪含有量を有する食肉、魚肉または食肉類似物、好ましくは、約4以上(約5以上、もしくは6以上など)のpHおよび/または約1重量%以上(5重量%以上、もしくは15重量%以上など)の脂肪含有量を有する加工された食肉、魚肉または食肉類似物を着色するために用いてもよい。
【0056】
上で定義される抽出物は、植物のジュースから得るか、またはこれから得ることができるものであってよく、次いで任意に乾燥させてもよい。
あるいは、抽出物は、水性抽出物、アルコール抽出物(これは、水-アルコール性抽出物を含む)、もしくは有機抽出物であってもよく、または、前述の溶媒の組み合わせを用いて得られる抽出物であってもよい。高度に精製され、濃縮された抽出物を得るために、1つ以上の精製ステップを行うことができる。
【0057】
用語「水性抽出物」とは、本明細書において用いられる場合、植物から得られた抽出物であって、植物からの抽出が水を唯一の溶媒として用いて抽出されたものである場合のものを指す。
【0058】
用語「アルコール抽出物」とは、本明細書において用いられる場合、植物から得られた抽出物であって、植物からの抽出がアルコールを溶媒として用いて行われた場合のものを指す。アルコール溶媒は、アルコールのみ(例えば100%アルコール)、例えば、100%エタノールからなってもよく、またはアルコールと水との混合物(すなわち、水-アルコール性溶媒)、例えば、エタノールと水とのミックス(水-エタノール性溶媒)、例えば、水中で約1%~約99%アルコール(例えばエタノール)であってもよく、例えば、アルコールに対する水の比は、10/90%v/v~90/10%v/vまたは30/70%v/v~70/30%v/v、例えば50/50%v/v~70/30v/vである。
【0059】
用語「有機抽出物」とは、本明細書において用いられる場合、植物から得られた抽出物であって、抽出がアルコールではない有機溶媒を用いて行われた場合のものを指す。例えば、有機溶媒は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、2-ブタノン、四塩化炭素、シクロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコール、ジメチルエーテル)、1,2-ジメトキシ-エタン(グライム、DME)、ジメチル-ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、亜リン酸ヘキサメチル、トリアミド(HMPT)、ヘキサン、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、塩化メチレン、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル(リグロイン)、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、トリエチルアミン、o-キシレン、m-キシレンおよびp-キシレンからなる群より選択してもよい。
【0060】
本発明の使用またはプロセスにおいて、抽出物は、好ましくは、水性抽出物であってよい。
本発明の使用またはプロセスにおいて、抽出物を、マルトデキストリンなどの支持体を用いて乾燥させてもよい。
【0061】
アントシアニンが、天然のソースから、例えばアブラナ科、バラ科、ナス科のうちの少なくとも1つからの植物から得ることができる抽出物、またはそれらの混合物として提供される場合、抽出物は、アントシアニン化合物を、少なくとも1wt%、または少なくとも5%、または少なくとも約10wt%、または少なくとも20wt%、または少なくとも30wt%、または少なくとも40wt%、または少なくとも50wt%。例えば、約10wt%~約99wt%、または約30wt%~約80wt%、または約40wt%~約70wt%、または約1wt%~約50wt%、または約50wt%~約99wt%の量において含んでもよい。
【0062】
一態様において、アントシアニン(pH3.0において0.1%)、例えば赤ダイコン由来色素(水中で0.1%)は、58.89+/-5%のL*値、69.81+/-5%のa*値および51.43+/-5%のb*値を有する。
【0063】
典型的には、本明細書において定義される抽出物は、低レベルのペオニジンベースのアントシアニンのみを含んでもよい。例えば、抽出物において、組成物の全てのアントシアニンのうちの15モル%未満、例えば10モル%未満または5モル%未満が、ペオニジンベースのアントシアニンである。
【0064】
アントシアニンはまた、合成の赤色着色剤であるリコピン、β-カロテン、カルミンまたはベタレインを含まなくともよい。
【0065】
アントシアニン(アブラナ科、バラ科、ナス科のうちの少なくとも1つからの植物から得られるかまたはこれから得ることができるアントシアニン、またはそれらの混合物など)は、固体、例えば粉末;半固体、例えばペースト;または液体、例えば溶液もしくは分散の形態をとってもよい。アントシアニンは、好ましくは、水中で可溶性または分散可能である形態において提供される。
【0066】
ベタニン(単数または複数)が、天然のソースから、例えば少なくとも1つのナデシコ目の植物、特にヒユ科、サボテン科の植物から得ることができる抽出物、またはそれらの混合物により提供される場合、抽出物は、ベタニン化合物を、少なくとも0.3%wt%、または少なくとも約5wt%、または少なくとも約10wt%、または少なくとも約15wt%、または少なくとも20wt%、または少なくとも30wt%、または少なくとも40wt%、または少なくとも50wt%。例えば、約0.3wt%~約10wt%、または約5wt%~約30wt%、または約40wt%~約70wt%、または約5wt%~約50wt%、または約50wt%~約99.9wt%の量において含んでもよい。
【0067】
ある態様において、ベタレイン(水中で0.1%)(ビートルート由来色素など)は、85.29+/-5%のL*値、26.66+/-5%のa*値および-5.76+/-5%のb*値を有する。
【0068】
アントシアニン(単数または複数)は、約100ppm~約10000ppm、または約100~約1000、例えば約200ppm~約500ppmまたは約250ppmの量において用いてもよく、ベタニンは、約1ppm~約10000ppm、または約10ppm~約500ppm、例えば約1ppm~約20ppmまたは約5ppmの量において存在してもよい。
【0069】
例えば、アントシアニンは、食品製品において、約0.1g/kg~約10g/kg、例えば約0.2g/kg~約0.5g/kgまたは約0.25g/kgの量において存在してもよく、ベタニンは、食品製品において、約0.001g/kg~約10g/kg、例えば約0.001g/kg~約0.02g/kgまたは約0.005g/kgの量において存在してもよい。
【0070】
アントシアニン(単数または複数)とベタニン(単数または複数)との間の比は、100:1~1:100、例えば90:1~1:90、例えば80:1~1:80、例えば70:1~1:70、例えば60:1~1:60、例えば50:1~1:50、例えば40:1~1:40、例えば30:1~1:30、例えば20:1~1:20、例えば10:1~1:10、例えば9:1~1:9、例えば8:1~1:8、例えば7:1~1:7、例えば6:1~1:6、例えば5:1~1:5、例えば4:1~1:4、例えば3:1~1:3、例えば2:1~1:3、例えば1:1~1:3、例えば1:1.5~1:2.5、例えば約1:2であってよい。好ましい態様において、比は、例えば50:1である。
【0071】
アントシアニンは、組成物において、約1%~約99%、例えば約2%~約40%、例えば約3%~約20%または約5%の量において存在してもよい。ベタニンは、組成物において、約0.1%~約99%、例えば約2%~約40%、例えば約0.3%~約20%、または約0.3%、または約15%の量において存在してもよい。
【0072】
本発明の使用、プロセスまたは組成物において、抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物を使用することがまた望ましい場合がある。
【0073】
本発明者らは、驚くべきことに、アントシアニンおよび/またはベタニン(本発明の組成物)の、抗酸化剤および/または抗菌剤と一緒の組み合わせは、それが単独で用いられた場合よりも良好な抗菌性効果を提供することを見出した。本発明の着色組成物の本発明の抗酸化性および/または抗菌性組成物との組み合わせは、単独での亜硝酸塩、または乳酸塩およびアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩との組み合わせにおける亜硝酸塩よりもさらに優れた、腐敗菌に対する保護を提供し、それにより、亜硝酸塩および/または乳酸塩およびアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩の置き換えのための完全な溶液を提供する。
【0074】
本発明の使用およびプロセスのある態様において、アントシアニンおよび/またはベタニン(本発明の組成物)は、抗酸化剤および/または抗菌剤と組み合わせて用いられる。これは、本明細書において以後、本発明の抗酸化剤および/または抗菌性組成物として言及される。
【0075】
抗酸化性および/または抗菌性の組成物は、ステップ(i)、(ii)または(iii)の間に添加されてもよいが、好ましくは、混合物が乳化されている間、または混合物が乳化される前である、ステップ(i)の間に行われる。
【0076】
ある態様において、抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物ならびに本発明の着色組成物は、最終の統合された溶液として一緒に処方してもよい。
【0077】
ある態様において、抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物ならびに本発明の着色組成物は、キットの溶液として別々に処方してもよい。
【0078】
本発明において用いることができる特定の抗酸化剤および/または抗菌性化合物/組成物として、これらに限定されないが、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物など)、アスコルビン酸(アセロラ抽出物など)、酢酸(ビネガーなど)、ヘスペリジン、ザクロ属抽出物(ザクロ)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0079】
本明細書において用いられる場合、用語「シソ科抽出物」は、シソ科の植物(シソ科材料)からの抽出物を指し得し、これは、ローズマリー、セージ、オレガノ、タイム、ミント、および以下の属:サルビア属(Salvia ApianaおよびSalvia officinalisなど)、ローズマリー属(Rosmarinus officinalisなど)、レペチニア属(Lepechinia)、オレガノ属(Oreganum)、イブキジャコウソウ属(Thymus)、ヤナギハッカ属(Hyssopus)、およびこれらの任意の混合物を含むが、これらに限定されない。
【0080】
シソ科抽出物を抽出するために用いられるシソ科材料は、葉、根などの植物の任意の部分であってよい。
シソ科材料は、抽出の前に加工してもよく、例えば、それは、洗浄、乾燥、製粉(mill)または粉砕(ground)することができる。
ローズマリー抽出物は、アセトンまたはエタノール(例えば、水性エタノール)によるシソ科の地上部の抽出物(ローズマリー抽出物など)の抽出、および、最終抽出物において必要とされるカルノシン酸の濃度に依存して、その後の任意の精製により得ても、またはこれから得ることができるものであってもよい。
【0081】
抽出プロセスにおいて用いてもよい特定の溶媒として、水、アルコール(メタノール、エタノールなど)、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタンおよびこれらの任意の混合物、例えばアルコール/水混合物(メタノールおよび水の混合物など)が挙げられる。例えば、抽出溶媒は、水、水-アルコール混合物(例えば、水中で約1%~約99%のアルコール、例えば水中で約30%~約75%のアルコール、または水中で約30%~約50%のアルコール、例えば水中で約35%または約40%のアルコール)、またはアルコールであってよい。言及され得る特定のアルコールとして、エタノール(EtOH)およびメタノール(MeOH)が挙げられる。
【0082】
特定の態様において、抽出溶媒は、メタノール-水ミックス、例えば水中で約30%~約90%のメタノール、または水中で約30%~約50%のメタノールであってよい。例えば、水中で約50%または約80%のエタノール。好ましい態様において、抽出溶媒は、約75%のメタノールおよび約25%の水によるエタノール-水ミックスである。
【0083】
用語「アセトン抽出物」とは、本明細書において用いられる場合、シソ科の任意のメンバー(例えばローズマリー、サルビアなど)から得られる抽出物であって、植物(特に葉)からの抽出がアセトンを唯一の溶媒として用いて行われる場合のものを指す。
【0084】
用語「アルコール抽出物」とは、本明細書において用いられる場合、シソ科から得られる抽出物であって、植物(特に葉)からの抽出がアルコールを唯一の溶媒として用いて行われる場合のものを指す。例えば、100%メタノールおよび/または100%エタノール。用語「水-アルコール性抽出物」とは、本明細書において用いられる場合、シソ科(例えばローズマリー、サルビアなど)から得られる抽出物であって、植物からの抽出が水とアルコールとの混合物を用いて行われる場合のものを指す。例えば、水中で約1%~約99%のアルコール(例えば、エタノール、メタノール)。かかる抽出物は、水-エタノール性抽出物と称されるであろう。
【0085】
1つの好ましい態様において、シソ科抽出物は、水-エタノール性抽出物である。
ローズマリー抽出物を調製するための詳細な手順は、米国特許第5,859,293号(PCT W096/34534)において記載され、これは、その全体において本明細書において参考として援用される。
【0086】
例えば、本発明の抽出物の抽出および単離のためのプロセスは、以下のステップを含んでもよい(またはこれらから本質的になってもよい/これらからなってもよい):
(i)好適な溶媒(アセトンまたはエタノールなど)によるシソ科の葉(ローズマリーおよび/またはサルビアなど、これらは、粉砕されていてもよい)の抽出;
(ii)溶媒の蒸発;ならびに、必要とされる場合には、
(iii)抽出物の精製(例えば、クロマトグラフィーによる)。
【0087】
一態様において、抽出の温度は、約20℃~約100℃の範囲である。特定の態様において、抽出のための温度は、約50℃~約70℃の範囲である。典型的には、抽出プロセスにおいて用いられる溶媒混合物に対する植物材料の比は、グラム/ミリリットルに基づいて約1:1~約1:10、例えば約1:3~約1:8で変化する。インキュベーション期間(すなわち、植物材料が溶媒と接触する期間)は、典型的には、約2時間~約24時間である。
【0088】
抽出プロセスの間に、機械的エネルギーを適用することができる。機械的エネルギーを適用することは、混合物を均質化することを補助し、出発生物学的材料の物理的構造を変化させ、フェノール性ジテルペンの抽出収率を増大させる。方法において適用される機械的エネルギーの量は、どのステップにおいて適用されるか、シソ科材料の型、混合物中において用いられる出発材料の量、混合物のpH、および混合物の温度に依存する。機械的エネルギーの量はまた、抽出を完了するために必要とされる時間の量に影響を及ぼし得る。
【0089】
例えば、シソ科材料(ローズマリーおよび/またはサルビアなど)ならびに抽出溶液(アセトンまたはエタノールなど)は、当該分野において公知の技術を用いて、例えば、攪拌、解離(maceration)、パーコレーションまたは温浸(infusion)、例えば、磁性または機械的撹拌を用いて、混合してもよい。
【0090】
シソ科材料(ローズマリーおよび/またはサルビア葉など)および溶媒がインキュベートされた後で、(例えば、ろ過のような)当該分野において公知の任意の好適な分離技術により、残りのシソ科材料から溶媒を分離する。
さらなるろ過ステップを用いることができる。溶媒は、遠心分離、ロータリーエバポレーター(Rota vap)、および溶媒蒸発を可能にする任意のデバイス、または溶媒を置き換える液体-液体の方法などの、当該分野において公知の任意の方法により、部分的にまたは完全に取り除いてもよい。さらなるろ過ステップを用いることができる。例えば、好ましい態様において、炭酸水素ナトリウム(NaHCCh)を、カルノシン酸および他の有機酸を溶解しつつ、塩基の不溶性物質を沈殿させるために添加してもよい。溶液をろ過して固体を分離してもよく、ろ過物を、減圧下においてさらに遠心分離することができる。さらなるステップにおいて、仕上げの濃縮が達成された後で、リン酸(H3PO4)を添加して、酸の不溶性の物質(カルノシン酸、カルノソール、およびカルノシン酸誘導体を含む)を濃縮溶液から沈殿させる。加えて、結果をろ過し、その後固体沈殿物を液体から分離し、水でリンスして不純物を取り除いてもよい。
【0091】
一態様において、シソ科抽出物は、フェノール性ジテルペンを豊富に含む。
本明細書において用いられる場合、用語「フェノール性ジテルペン」とは、カルノシン酸、カルノソール、メチルカルノセート(methylcarnosate)、および他のフェノール性ジテルペン誘導体(ロスマノール(rosmanol)、イソロスマノール、11,12-ジ-O-メチルイソロスマノール、12-O-メチルカルノシン酸、ロスマノール-9-エチルエーテル、キルシマルチン(circi-maritin)、カルノシン酸のメチル化一酸素化生成物、ゲンクワニン(genkwanin)、エピロスマノール、エピイソロスマノール、カルノシン酸誘導体、エピロスマノールエチルエーテル、クリプトタンシノン)、およびそれらの混合物を指し得る。
【0092】
幾つかの態様において、シソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)は、少なくとも約1wt%、少なくとも約2wt%、少なくとも約3wt%、少なくとも約4wt%、少なくとも約5wt%、少なくとも約6wt%、少なくとも約7wt%、少なくとも約8wt%、少なくとも約9wt%、少なくとも約10wt%、少なくとも約15wt%、少なくとも約20wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約99wt%の、1つ以上のフェノール性ジテルペン、例えば前に記載されるものを含む。好ましい態様において、本発明の抗菌性および/または抗酸化性の組成物において存在してもよいシソ科抽出物は、カルノシン酸および/またはカルノソールを含む。
【0093】
好ましい態様において、本発明の抗菌性および/または抗酸化性の組成物は、少なくとも約35%w/wのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/もしくはカルノソールなど)を含む、少なくとも1つのシソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)を含む。
ある態様において、シソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)は、以下のフェノール性ジテルペン:カルノシン酸および/またはカルノソールを含んでもよい(またはこれらから本質的になってもよい/これらからなってもよい)。ある態様において、カルノシン酸とカルノソールとの間の比は、40:1~1:40、例えば30:1、20:1、10:1、5:1または1:1である。
【0094】
ある態様において、シソ科抽出物は、以下:
a)最終抽出物(w/w)の約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%もしくは45%~約95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%もしくは50重量%、約20%~約80%w/w、好ましくは例えば約30%~約50重量%w/w、例えば約40%w/wのカルノシン酸;および/または
b)最終抽出物の重量(w/w)の約1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%もしくは45%~約95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%もしくは50重量%、例えば約1%~20%w/w、例えば約2重量%~約10%w/w、好ましくは例えば約3重量%~約5%w/w、例えば約4%w/wのカルノソール
を含んでもよい(またはこれらから本質的になってもよい/これらからなってもよい)。
【0095】
特定の態様において、シソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)は:
他の植物材料を実質的に含まない(例えば、植物セルロースを含まない);
植物細胞を実質的に含まない;および/または
植物細胞物質を実質的に含まない;
害虫駆除剤、キントゼン、アフラトキシン、オクラトキシンA、カドミウム、ヒ素、鉛または水銀のような毒性構成成分を実質的に含まない;
溶媒実質的に含まない;
揮発油構成成分を実質的に含まない
ものであってもよい。
【0096】
特定の態様において、シソ科抽出物は、揮発油構成成分の大部分が取り除かれている抽出物である。
本明細書において用いられる場合、用語「揮発油構成成分」とは、(-)-ボルネオール、(-)-酢酸ボルニル、(-)-カンファー、1,8-シネオール(ユーカリプトール)およびベルベノンなどのエッセンシャルオイルのような化合物を指し得る。
【0097】
一態様において、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびカルノソールなど)の合計の%/揮発油構成成分((-)-ボルネオール、(-)-酢酸ボルニル、(-)-カンファー、1,8-シネオール(ユーカリプトール)およびベルベノンなど)の合計の%間の比は、15未満である。
本明細書において用いられる場合、物質が別の物質を「実質的に含まない」ことへの言及は、当該材料が、1重量%未満(例えば、0.1%重量未満、例えば0.01重量%未満または0.001重量%未満)の当該他の材料からなることを指し得る。
【0098】
シソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)は、組成物において、約0.1%w/w~約90%w/w、例えば約1%w/w~約25%w/w、例えば約2%w/w~約10%w/w、例えば約2%w/wまたは約5%w/w、または例えば約20%w/w~30%w/w、例えば約23%w/wの量において存在してもよい。
ローズマリー抽出物は、カルノシン酸および/またはカルノソールを含む。好ましい態様において、シソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)は、1%w/w~約99.9%w/w、例えば約4%w/w~約40%w/w、例えば約1%w/w~5%w/w、例えば約1%w/wまたは約2%w/wのカルノシン酸および/またはカルノソールを含む。
【0099】
抗菌性および/または抗酸化性の組成物はまた、アスコルビン酸を含んでもよく、これは、天然または合成の起源のものであってよい。好ましい態様において、それは、例えばアセロラ、柑橘などのアスコルビン酸が豊富な天然のソースから得られる。
したがって、ある態様において、抗菌性および/または抗酸化性の組成物は、アセロラ抽出物(ジュースまたは乾燥ジュースなど)を含み、それは、組成物において、約1%~約90%、例えば約2%~約50%、例えば約5%~約30%または約9%または約25%の量において存在してもよい。
【0100】
アセロラ(Malpighia glabra L.)抽出物(濃縮ジュースなど)は、少なくとも10%w/w、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも40%w/wのアスコルビン酸の濃度を有してもよい。
一態様において、抗菌性および/または抗酸化性の組成物は、アスコルビン酸を、約0.1%~約99.9%、例えば約1%w/w~約25%w/w、例えば約2%w/w~約10%w/w、例えば4%w/w、または約5%w/wまたは約9%w/wの量において含んでもよい。
アセロラ抽出物(ジュースなど)を、当該分野において公知のかかる技術を用いて乾燥させて、アスコルビン酸が豊富な粉末を提供してもよい。
【0101】
酢酸は、組成物において、約10%~約99%、例えば約20%w/w~約90%w/w、例えば約30%w/w~約80%w/w、例えば約15%w/w~約45%w/w、例えば約15%w/w~40%w/w、例えば約19%w/w~約36%w/w、例えば約19%w/wまたは例えば約36%w/w、または約70%w/wの量において存在してもよい。
酢酸を、当該分野において公知のかかる技術を用いて乾燥させて、酢酸が豊富な粉末を提供してもよい。
【0102】
例えば、ビネガー(緩衝化ビネガーまたは非緩衝化ビネガーなど)は、酢酸のソースであってよい。ビネガー(緩衝化ビネガーまたは非緩衝化ビネガーなど)は、組成物において、約10%w/w~約99%w/w、例えば約20%w/w~約90%w/w、例えば約30%w/w~約80%w/w、例えば約20%w/w~約60%w/w、例えば約28%w/w、または例えば約52%w/w、または約70%w/wの量において存在してもよい。
【0103】
ビネガー(緩衝化ビネガーまたは非緩衝化ビネガーなど)を、約50%~90%の酢酸、例えば約60%~約80%の酢酸を含む酢酸が豊富な粉末を得るように、当該分野において公知の任意の方法により乾燥させてもよい。
【0104】
抗酸化性および/または抗菌性の組成物は、ヘスペリジンを含んでもよい。ヘスペリジン組成物は、WO2016125020A2において記載され、これは、その全体において本明細書において参考として援用される。
【0105】
抗酸化性および/または抗菌性の組成物は、ザクロ属抽出物を含んでもよい。ザクロ属抽出物は、WO2016125015A1において記載され、これは、その全体において本明細書において参考として援用される。
【0106】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物および/またはセージ抽出物など)ならびにアスコルビン酸(アセロラジュースまたはジュース濃縮物などのアセロラ抽出物など)をさらに含む。
【0107】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物および/またはセージ抽出物など)ならびに酢酸(緩衝化または非緩衝化ビネガーなど)をさらに含む。
【0108】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物および/もしくはセージ抽出物など)、酢酸(緩衝化または非緩衝化ビネガーなど)ならびにアスコルビン酸(アセロラジュースまたはジュース濃縮物などのアセロラ抽出物など)をさらに含む。
【0109】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、さらに含む少なくとも1つのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/もしくはカルノソールなど)、アスコルビン酸(アスコルビン酸を含むアセロラの抽出物もしくはジュース、または精製アスコルビン酸など)、および/または酢酸(純粋な酢酸など、または緩衝化もしくは非緩衝化ビネガーなどのビネガーなど)。
【0110】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、少なくとも1つのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/もしくはカルノソールなど)、アスコルビン酸(アスコルビン酸を含むアセロラの抽出物もしくはジュース、または精製アスコルビン酸など)、ならびに酢酸(純粋な酢酸など、または緩衝化もしくは非緩衝化ビネガーなどのビネガーなど)をさらに含む。
【0111】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、少なくとも1つのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/もしくはカルノソールなど)、ならびにアスコルビン酸(アスコルビン酸を含むアセロラの抽出物もしくはジュース、または精製アスコルビン酸など)をさらに含む。
【0112】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、少なくとも1つのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/もしくはカルノソールなど)、ならびに酢酸(純粋な酢酸など、または緩衝化もしくは非緩衝化ビネガーなどのビネガーなど)をさらに含む。
【0113】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物および/もしくはセージ抽出物など)、アスコルビン酸(アスコルビン酸を含むアセロラの抽出物もしくはジュース、または精製アスコルビン酸など)、ならびに/あるいはヘスペリジンをさらに含む。
【0114】
ある態様において、1つ以上のアントシアニンおよび/または1つ以上のベタニンを含む本発明の組成物は、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物および/もしくはセージ抽出物など)、アスコルビン酸(アスコルビン酸を含むアセロラの抽出物もしくはジュース、または精製アスコルビン酸など)ならびに/あるいはザクロ属抽出物をさらに含む。
【0115】
抗菌性および/または抗酸化性の組成物は、食品製品において、約100ppm~約10000ppm、例えば約1000ppmから約6000ppmまたは約3000ppmの量において存在してもよい。
【0116】
一態様において、シソ科抽出物(ローズマリーおよび/またはサルビア抽出物など)は、少なくとも1つのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/またはカルノソールなど)を含む(またはこれらから本質的になる/これらからなる)。
【0117】
使用またはプロセス、製品(特に、食肉、魚肉または食肉類似物製品に対して)のある態様において、最終製品におけるカルノシン酸の濃度は、約12ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば50ppm~1000ppmであり;および/または最終製品におけるカルノソールの濃度は、約5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば5ppm~100ppmである。一態様において、カルノシン酸とカルノソールとの比は、40:1~5:1、例えば30:1、20:1、10:1~5:1である。
【0118】
使用またはプロセス、製品(特に、食肉、魚肉または食肉類似物製品に対して)のある態様において、最終製品におけるアスコルビン酸の濃度は、約12ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば50ppm~1000ppmであり;および/または最終製品におけるカルノソールの濃度は、約5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば5ppm~100ppmである。
【0119】
使用またはプロセス、製品(特に、食肉、魚肉または食肉類似物製品に対して)のある態様において、最終製品における酢酸の濃度は、約12ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば50ppm~1000ppmであり;および/または最終製品におけるカルノソールの濃度は、約5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば5ppm~100ppmである。
【0120】
使用またはプロセス、製品(食品、飲料など)のある態様において、最終製品におけるカルノシン酸の濃度は、約12ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば50ppm~1000ppmであり;および/または最終製品におけるカルノソールの濃度は、約5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば5ppm~100ppmであり、最終製品におけるアスコルビン酸の濃度は、約12ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば50ppm~1000ppmであり;および/または最終製品におけるカルノソールの濃度は、約5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば5ppm~100ppmであり、および/または
最終製品における酢酸の濃度は、約12ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば50ppm~1000ppmであり;および/または最終製品におけるカルノソールの濃度は、約5ppm、10ppm、15ppm、20ppm、30、40、50、60、70、80、90、100ppmから、約6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%(10000ppm)、9000ppm、8000ppm、7000ppm、6000ppm、5000ppm、4000ppm、3000ppm、2000ppm、1000ppm、800ppm、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm~200ppm(w/w)まで、例えば5ppm~100ppmである。
例えば、抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物は、約0.1g/kg~約10g/kg、例えば約0.5g/kg~約5g/kg、例えば約0.5~約2g/kgの量において存在してもよい。
【0121】
カルノシン酸およびカルノソールは、組成物において、約0.1%~約99.9%、例えば約0.2%~約25%、例えば約0.5%~約10%または約2%の量において存在してもよい。
【0122】
酢酸は、組成物において、約1%~約99%、例えば約5%~約70%例えば約10%~約30%または約20%の量において存在してもよい。
酢酸、アスコルビン酸およびカルノシン酸およびカルノソールの間の比は、94:3:3~20:40:40、例えば80:15:5または77:19:4であってよい。
【0123】
したがって、本発明はまた、先に定義されるとおりの抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物;例えば、シソ科抽出物(ローズマリー抽出物など)、アセロラ抽出物(ジュースなど)および/またはビネガー(緩衝化もしくは非緩衝化ビネガーなど)を含む組成物、あるいは、例えば、少なくとも1つのフェノール性ジテルペン(カルノシン酸および/もしくはカルノソールなど)、アスコルビン酸(アスコルビン酸を含むアセロラの抽出物もしくはジュース、または精製アスコルビン酸など)、および/または酢酸(純粋な酢酸など、またはビネガーなど、緩衝化または非緩衝化ビネガーなど)を含む、抗菌性および/または抗酸化性の組成物と組み合わせての、アントシアニンおよび/またはベタニン(Raphanus sativus L.から得られるアントシアニン、および/またはBeta vulgaris L.から得られるベタニンなど)の、食品製品における着色剤としての使用を提供し、ここで、食品製品は、食品製品の約5重量%以上の脂肪を含み、および/または約4以上のpHを有する。
【0124】
本発明はまた、食品製品の約1重量%以上(5%以上、または15%以上など)の脂肪を有し、および/または約4以上のpH(約5以上、または6以上など)を有する食品製品を着色するためのプロセスを提供し、ここで、プロセスは、抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物、例えばシソ科抽出物(ローズマリー抽出物など)、アスコルビン酸(乾燥アセロラジュースなど)および/または酢酸と組み合わせての、アントシアニンおよび/またはベタニン(Raphanus sativus L.から得られるアントシアニン、およびBeta vulgaris L.から得られるベタニンなど)の、食品製品への添加を含む。
【0125】
本発明はまた、(i)アブラナ科、バラ科、ナス科のうちの少なくとも1つからの植物から得ることができるアントシアニン抽出物、およびそれらの混合物(Raphanus sativus L.から得られるアントシアニンなど);および/または(ii)ナデシコ目の植物、特にヒユ科、サボテン科の植物から得ることができるベタニン抽出物、およびそれらの混合物(Beta vulgaris L.など)を、ローズマリー抽出物、乾燥アセロラジュースおよび/または酢酸などの抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物と組み合わせて含む組成物を提供する。
【0126】
着色組成物が本発明の抗菌性および/または抗酸化性の組成物と一緒に用いられる場合、本発明は、次いで、食品製品を着色するための、および当該食品製品を保存するためのプロセスに関する。
【0127】
本発明の抗菌性組成物は、食品製品、特に、食肉、魚肉製品または食肉類似物、例えば加工食肉または加工魚肉製品における、リステリア属、シュードモナス属および/またはサルモネラ属の増殖を減少させるかまたはこれを阻害するために用いてもよい。一態様において、加工魚肉または魚肉製品は、フレッシュであっても乾燥されていてもよい(乳化されたソーセージ、フレッシュなソーセージまたはフレッシュなハム、乾燥ソーセージまたは乾燥ハムなど)。
【0128】
リステリア属は、Listeria monocytogenes(リステリア症の主たる原因)を含む。
サルモネラ属は、腸内細菌科の桿状の(桿菌)グラム陰性細菌の属である。サルモネラ属の2つの種は、Salmonella entericaおよびSalmonella bongoriである。
【0129】
一態様において、本発明の抗菌性組成物は、以下の試験のうちの1つ以上において有効である:総平板菌数(NF EN ISO 4833-1)、乳酸菌叢(Lactic flora)(NF ISO 15214)、腸内細菌(ISO 21528-2)、シュードモナス属(EN ISO 13720)、ASR(NF V08-061)および負荷試験Listeria monocytogenes(NF-EN ISO 11290-2)。
【0130】
本発明の使用およびプロセスのある態様において、食品製品は、香味剤をさらに含んでもよい。
本発明の組成物のある態様において、組成物は、香味剤をさらに含んでもよい。
【0131】
「香味剤」により、当業者に公知の方法を用いてフレーバリストにより作り出された組成物であって、味物質、芳香化合物および感覚惹起物質(sensate)の混合物であるものが意味される。香味剤は、当業者に公知であり、例えば、S. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals (Aroma Chemicals), Vols. 1 and 2, 1969において見出すことができる。香味剤という用語は、以下を含む:オールスパイス、バジル、トウガラシ、シナモン、クローブ、クミン、ディル、ニンニク、マジョラム、ナツメグ、パプリカ、黒コショウ、ローズマリー、およびターメリックのうちの任意のものに由来する香辛料の含油樹脂および油脂;アニス油、キャラウェイ油、クローブ油、ユーカリ油、フェンネル油、ニンニク油、ショウガ油、ペパーミント油、タマネギ油、コショウ油、ローズマリー油、およびスペアミント油を含むエッセンシャルオイル;オレンジ油、レモン油、ビターオレンジ油およびタンジェリン油などの柑橘油;ニンニク、セイヨウネギ(leek)、チャイブ(chive)およびタマネギを含むネギ属(alliaceous)のフレーバ;ウサギギク属の花の抽出物、カモミールの花の抽出物、ホップ抽出物、およびマリーゴールド抽出物を含む植物抽出物;ブラックベリー、チコリの根、ココア、コーヒー、コーラ(kola)、カンゾウ根、ローズヒップ、サルトリイバラ属の根(sassaparilla root)、サッサフラス皮、タマリンド、カンゾウおよびバニラ抽出物を含む植物の花の抽出物;加水分解植物タンパク質(HVP)、食肉タンパク質加水分解物、乳タンパク質加水分解物を含むタンパク質加水分解物:S. Heath, Source Book of Flavors, Avi Publishing Co. West port. Conn., pp. 149-277, 1981(これはその全体において本明細書において参考として援用される)において記載されるものを含む天然および人工の両方の配合された香味剤;ならびに、還元糖とアミノ酸を含むタンパク質由来の構成成分との間のメイラード型反応を通して調製された、加工(反応)フレーバー。
【0132】
フレーバーもまた用いられる場合、少なくとも1つのフレーバーは、本発明の着色組成物に、ならびに/あるいは抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物に、配合物(blend)(組み込まれた溶液)として組み込まれてもよい。
【0133】
フレーバーが、本発明の着色組成物と一緒に、ならびに/あるいは本発明の抗酸化剤および/または抗菌性の化合物および/または組成物に対して提供されている場合は、それは、既に先に定義されるとおり、食品製品に組み込まれるであろう。それは、少なくとも1つのフレーバー、着色組成物および/または抗酸化性および/または抗菌性の化合物および/または組成物を含む最終的な処方であり、混合物が乳化される間、または混合物が乳化される前である、ステップ(i)において行われてもよい。
【0134】
また、少なくとも1つのフレーバーは、別々のフレーバーブロックとして提示されてもよい。
次いで、本発明のプロセスはまた、少なくとも1つのフレーバーを添加するステップを含んでもよい。これは、ステップ(i)、(ii)または(iii)の間に行われてもよいが、好ましくは、混合物が乳化される間、または混合物が乳化される前である、ステップ(i)の間に行われる。
【0135】
別の側面において、本発明は、本発明のプロセスを用いて得られた食品製品に(食肉、魚肉など、または食肉類似物製品に)関する。
好ましい態様において、前記食品製品は、亜硝酸塩、乳酸塩および/またはアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩を実質的に含まない。好ましい態様において、組成物は、1.00%未満、より好ましくは0.80%未満、0.50%未満、0.20%未満、0.10%未満、さらにより好ましくは0.01%未満、0.005%未満、0.0001%未満の亜硝酸塩、乳酸塩および/またはアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩を有する。
【0136】
上記のとおり、食品製品は、典型的には、食品製品の約1重量%以上の脂肪(5%以上、または15%以上など)を含み、約4以上(約5以上、または6以上など)のpHを有する、食肉または魚肉製品であってよい。
【0137】
脂肪は、プロセスにおいて用いられる食肉または魚肉からの脂肪であっても、他のソースから添加されてもよい。脂肪は、動物のもの(豚肉、牛肉の脂肪など)、または植物由来のもの(ヤシ油、ココナッツ油、オリーブ油など)、およびそれらの混合物であってよい。
特に、食肉または魚肉製品は、加工食肉、加工魚肉製品または食肉類似物であってよい。
【0138】
用語「加工された」により、本発明者らは、食肉または魚肉が、例えば、みじん切りにすること(mincing)、乳化すること、塩漬けすること、塩蔵すること(salting)、燻製すること、乾燥すること、または缶詰にすることにより、それらの元の形態とは離れたものに改変されていることを意味する。加工食肉製品として、これらに限定されないが、混合されたフレッシュな製品、乳化され調理された製品、塩水付け(brine)され調理された製品または乾燥された製品、例えばベーコン、ハム、ソーセージ、パテ、サラミ、コーンビーフ、ジャーキー、ホットドッグ、ランチョンミート、缶詰の食肉および食肉ベースのソースなどが挙げられる。特に、食品製品は、例えばフランクフルターまたはホットドッグ、セルベラ(cervela)、パテなどの乳化された食品製品であってよい。
【0139】
加工魚肉は、魚肉のパテまたは魚肉のペースト、リエット、燻製魚、漬け魚(pickled fish)などであってよい。加工された食肉または魚肉製品は、調理されていても、未調理であってもよい。加工食肉はまた、ペット食品製品を含んでもよい。加工食品はまた、食肉類似物であってもよい。
【0140】
本発明において、食品製品は、少なくとも10分間にわたり40℃以上の温度に供されたものであってもよい。食品製品は、少なくとも10分間、または少なくとも1時間、少なくとも10時間、少なくとも20時間にわたり、一定の温度に供されたものであってもよく;または、幾つかの期間にわたり、漸増する温度に供されたものであってもよい。例えば、食品製品は、50℃の温度に20分間の間、次いで55℃の温度に約10分間の間、次いで74℃の温度に約23分間の間、供され、そして最終的に5分間の間に10℃まで冷却されたものであってもよい。加熱プロセスの間の相対湿度は、約10%相対湿度~約99%の相対湿度であってよい。好ましい態様において、食品製品(フランクフルターまたはホットドッグ、セルベラなどのような乳化されたソーセージなど)は、約50℃の温度に約20分間の間(99%相対湿度において)、次いで55℃の温度に約10分間の間、74℃の温度に約23分間の間、供され、最終的に5分間の間に(10%相対湿度において)10℃まで冷却されたものであってもよい。別の態様において、温度は、80℃であってよく、加熱の時間は、15~16時間までであってよい(調理されたハムなどについて)。
【0141】
上で記述されるとおり、食品製品は、約1%以上の脂肪を含み、および/または約4以上のpHを有する。既に言及されるとおり、脂肪は、製品の食肉中に元々存在するものであっても、加工の間に添加されてもよい。
【0142】
典型的には、食品製品は、製品の約1重量%~約60重量%、または5重量%~約50重量%、例えば約10重量%~約40重量%または約20%~約30%の脂肪含有量を有していてもよい。
【0143】
典型的には、食品製品は、約4~約10、または約5~約8、または約6~約7、例えば約6.5のpHを有していてもよい。pHは、pHメーターなどの標準的な技術により測定される。
【0144】
本発明において、アントシアニンおよび/またはベタニンは、食品製品における着色剤として用いられる。したがって、アントシアニンおよび/またはベタニンは、食品着色剤、特に食品グレードの着色剤または天然の着色剤であるものとみなすことができる。
【0145】
本明細書において用いられる場合、「着色剤」は、様々な波長において光を吸収するかまたは分散させることにより、色を付与するか、または食品製品の色を改変する、任意の物質である。「食品グレードの着色剤」とは、ヒトまたは動物の消費を意図される食品製品における使用のために好適な着色剤を指し、色を提供し得るが、一般的に食品製品中には含められないか、または微量においてのみ含められる、非毒性の材料とは異なる。用語「天然の着色剤」は、天然において存在するか、または天然により生成されるか、またはそれをソースとする着色剤を含む。
【0146】
本発明の使用またはプロセスにおいて、アントシアニンおよび/またはベタニンは、食品製品に、約60~約70のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を提供する。
【0147】
L*a*b*値は、三次元デカルト座標系により色空間を定義する座標のセットからなる。L*は、値、または明るさ、座標である。L*は、黒色(0L*単位)から白色(100L*単位)までの明るさの尺度を提供する。a*およびb*は、色相および彩度の両方に関係する座標である。a*は、緑色の程度(greenness)(-a*単位)~赤色の程度(+a*単位)についての尺度を提供し、水平軸上の中心点(0a*単位)において中性である。b*は、青色の程度(blueness)(-b*単位)~黄色の程度(yellowness)(+b*単位)についての尺度を提供し、第1の水平軸に対して垂直な第2の水平軸上の中心点(0b*単位)において中性である。3つの軸は、L*が50の値を有し、かつa*およびb*がいずれもゼロである場合に、交差する。
【0148】
色相角は、a*およびb*の付随物である。
本発明の使用またはプロセスにおいて、アントシアニンおよび/またはベタニンは、約0°~約60°または約20°~約50°または約30°~約40°の色相角を有する食品製品を提供する。
【0149】
本発明において、食品製品において使用される前に、アントシアニンおよび/またはベタニン(例えば、本発明の組成物などの抽出物の形態におけるアントシアニン/ベタニン)は、溶液中に置かれた場合に、約300°~約60°、例えば約330°~約30°(すなわち、約330~約360°および約0°~約30°)の色相角を提供する。
【0150】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の着色組成物(Raphanus sativus L.から得られたアントシアニンおよびBeta vulgaris L.から得られたベタニン)を含むソーセージの色が、亜硝酸塩ソーセージの色よりも経時的により安定であると考えられることを見出した(例1.2を参照)。
【0151】
特に、Raphanus sativus L.から得られたアントシアニンおよびBeta vulgaris L.から得られたベタニン、およびこれらの組み合わせについて、安定性の増大が見出された。
【0152】
例えば、本発明の使用またはプロセスにおいて、アントシアニンおよび/またはベタニンは、約60~約70のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を有する製品を提供し得る。好ましい態様において、前記の色の色相角は、5日間以上にわたり、7日間以上、例えば約14日間以上、または約21日間以上にわたり、安定である。例えば、アントシアニンおよび/またはベタニンは、約60~約70のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を、約5日間~約28日間、または約14日間~約21日間にわたり有する製品を提供し得る。
【0153】
本発明の使用またはプロセスにおいて、L*、a*、b*の安定性は、食品製品が調理された、すなわち、少なくとも10分間にわたり40℃以上の温度に、例えば50℃より高い、または60℃より高い、70℃より高い温度に供された場合においてすら、達成され得る。
【0154】
例えば、食品製品は、調理される前に、約60~約70のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を、調理された後に、約60~約70のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を有してもよい。
【0155】
着色剤を分光光度計により分析し、スペクトルデータからCIELABのL*a*b*値を計算する。L*a*b*およびL*C*h値は、色の特徴を表し、2つの色の間の差異の程度を評価する手段を提供する。
【0156】
最終製品および所望される色に依存して、他の着色剤(天然の着色剤など)を添加してもよい。例えば、カロテノイド(例えばパプリカ抽出物、ニンジン抽出物など)のような橙色もまた、本発明の着色組成物に添加してもよい。
本発明のプロセスを用いて得られた食品製品(食肉、魚肉または食肉類似物)は、ステップ(i)、(ii)および/またはステップ(iii)の後で約4以上のpHを有していてもよい。本発明のプロセスにおいて用いてもよい様々なアントシアニンおよびベタニンが、先に記載されている。一態様において、食品製品は、約60~約80のL*、約10~約18のa*、および約5~約15のb*を有する。好ましい態様において、前に言及された色の色相は、5日間以上にわたり、10日間以上、例えば21日間以上にわたり、安定である。
【0157】
本発明はまた、本明細書において記載されるプロセスにより得ることができる食品製品を提供する。
本発明の抗菌性組成物は、単独で、または上記のアントシアニンおよび/またはベタニンと組み合わせて、例えば本明細書において記載されるとおりのキットの形態において、用いてもよい。
【0158】
キット
本発明はまた、キットを提供する。
一態様においてキットは、(i)本発明の着色組成物、ならびに/あるいは(ii)本発明の抗酸化性および/または抗菌性組成物、ならびに、食料品の酸化を軽減し、微生物の増殖を軽減し、および/または所望される色を得るために、様々な構成成分を食料品と接触させるための指示を含む。
任意に、キットはまた、(iii)少なくとも1つのフレーバーまたはフレーバー組成物をさらに含んでもよい。
【0159】
3つの構成成分(i)、(ii)および/または(iii)は、別々に、または一緒に処方してもよい(例えば(i)+(ii)、例えば(i)および別々に(ii)、例えば(i)+(ii)および別々に(iii)、または例えば(i)+(iii)および別々に(ii)、または(ii)+(iii)および別々に(i)、または(i)+(ii)+(iii))。
【0160】
いくつかの態様において、別々の組成物は、上で定義されるとおりの別々の組成物または様々な処方物(例えば(i)+(ii)および別々に(iii)、または例えば(i)+(iii)および別々に(ii)、または(ii)+(iii)および別々に(i)、または(i)+(ii)+(iii))、ならびに、食料品の酸化を軽減し、微生物の増殖を軽減し、および/または所望される色を得るための、それらの使用のための指示を含む、キットとして市販される。
【0161】
好ましい態様において、製品(食料品)が、乳化された製品(非加熱の(cold)乳化されたソーセージなど)である場合、構成成分(i)、(ii)および/または(iii)は、乳化プロセスの前またはその間に、食品マトリックスに添加される。
【0162】
所与の側面について示された疑義、好み(preference)、選択肢、特定の特徴などの回避のために、本発明の特徴またはパラメーターは、文脈が別段に示さない限り、本発明の同じまたは他の側面、特徴およびパラメーターについて示されるとおりの、任意のおよび全ての他の好み、選択肢、特定の特徴などと組み合わせて開示されているものとみなされるべきである。
【0163】
用語「約」とは、本明細書において用いられる場合、例えば、測定可能な値(反応混合物における特定の構成成分の量または重量など)を参照する場合、特定された値に対する、±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または特に±0.1%のバリエーションを指す。例えば、本発明の組成物中の構成成分のパーセンテージに関する±0.5%のバリエーションは、示されたパーセンテージに対する、0.5%のバリエーションを意味し、すなわち、10%の±0.5%は、9.5%~10.5%のバリエーションを意味するであろう。
図面
【図面の簡単な説明】
【0164】
【0165】
【
図7】d0とd21との間のソーセージのデルタa*。
【
図8】d0とd21との間のソーセージのデルタE。
【
図9】d0におけるa*値、プロセスAとプロセスBとの比較。
【
図10】d21におけるa*値、プロセスAとプロセスBとの比較。
【0166】
【
図13】貯蔵試験の間の乳化されたソーセージ中の総平板菌数:様々な配合の条件。
【
図14】貯蔵試験の間の乳化されたソーセージ中の総平板菌数:緩衝化ビネガーの代替物。
【
図15】貯蔵試験の間の乳化されたソーセージ中の乳酸菌:緩衝化ビネガーの代替物。
【0167】
【
図16】貯蔵寿命の間の乳化されたソーセージ中のリステリア属の増殖。
【
図17】貯蔵寿命の間のフレッシュな挽肉の(fresh ground)ソーセージ中のリステリア属の増殖。
【
図18】フレッシュな挽肉のソーセージにおける、第0日と第4日との間、および第4日と第8日との間の、増殖の差異。
【発明を実施するための形態】
【0168】
例
材料&方法
1.植物抽出物
赤ダイコン根(Raphanus sativus L.)を、水で抽出し、液体抽出物を、マルトデキストリン上で乾燥させた。得られた粉末を、転化糖シロップおよび水において処方し、4%のアントシアニンを有する標準化された液体抽出物を得た。
【0169】
赤ビートルート(Beta vulgaris L.)のジュースを、マルトデキストリン上で乾燥させて、0.3%のベタニンを有する標準化された粉末抽出物を得た。
紫サツマイモ根(Ipomoea batatas L.)を、水で抽出し、次いでエタノールにより精製した。抽出物を、マルトデキストリン上で乾燥させた。
【0170】
配合物は、亜硝酸塩の抗酸化および抗菌機能を確保するように設計した。これらの製品は、3つの天然の抽出物:ローズマリーの抽出物、アセロラのジュースおよびビネガーの配合物である。
配合物中の各々の抽出物の割合については、表1を参照。
【0171】
ローズマリー抽出物からのカルノシン酸+カルノソールは約1%の量において、アセロラジュースからのアスコルビン酸は約4%の量において、およびビネガーからの酢酸は約19%の量において、配合物中に存在した。
【0172】
【0173】
ローズマリー地上部(歴史的にRosmarinus officinalis L.として命名され、Salvia rosmarinus Spenn.に分類学上変更された)を、還流しながらアセトンで抽出した。抽出が完了した後、アセトン抽出物をろ過して、溶液をローズマリー葉から分離し、減圧下において濃縮して、濃縮されたネイティブな抽出物を作製した。この時点において、濃縮された抽出物を、真空オーブンにおいて温和な熱下において直接的に乾燥させて、粉末化された抽出物を作製することができ、これは、約2%~10%のカルノシン酸およびカルノソールを含む組成物である。
【0174】
濃縮されたネイティブな抽出物の代わりに、カルノシン酸および他の有機酸を溶解するために炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を添加し、一方、塩基の不溶性物質を沈殿させた。
【0175】
溶液をろ過して、固体から分離し、ろ過物を、減圧下においてさらに濃縮した。濃縮の完了が達成された後で、リン酸(H3PO4)を添加し、酸の不溶性物質(カルノシン酸、カルノソール、およびカルノシン酸誘導体を含む)を、濃縮された溶液から沈殿させた。ろ過の前に溶液中のローズマリー抽出物を脱色するプロセスの間に、活性炭を用いる。ろ過を通して、沈殿した固体を、その後、液体から分離し、水でリンスして不純物を取り除いた。
【0176】
最後に、固体を真空オーブンにおいて乾燥させ、次いで粉末へと製粉して、約40~80%のカルノシン酸およびカルノソールを含む組成物を作製した。
【0177】
アセロラチェリージュース(Malpighia glabra L.)を乾燥させて、約20~40%のアスコルビン酸を含むアスコルビン酸が豊富な粉末を得た。
ビネガーを乾燥させて、約60~80%のアスコルビン酸を含む酢酸が豊富な粉末を得た。
【0178】
2.溶液における色および安定性の研究
赤ダイコンおよび紫サツマイモ抽出物を、pH3およびpH6の緩衝液中で溶解した。これらの溶液を、21日間にわたり貯蔵する。第1日および21日後に、L*a*b*により色を測定した。
【0179】
L*a*b*
色彩色差計Minolta CR100により、色空間CIE L*、a*、b*において、食肉製品(ソーセージ)の内部に対して、色彩色差(Chromametric)分析を行った。
貯蔵の間の色の変化(L*a*b*)を、第0日(d0)、d8、d14およびd21において測定した。
【0180】
3.乳化され調理されたソーセージの処方および加工
全てのモダリティーを、下の表2においてまとめる。
抽出物配合物は、亜硝酸塩、乳酸塩およびアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩の抗酸化および抗菌機能を確保した。赤ダイコン、ビートルートおよび紫サツマイモ抽出物は、亜硝酸塩およびカルミンの着色機能を確保した。
【0181】
【0182】
乳化され調理されたソーセージの成分を、下の表3においてまとめる。
【表3】
【0183】
各々のモダリティーについて、8kgのソーセージを製造した。各々のモダリティーについて、2つの乳化プロセスを試験した。
【0184】
プロセスAの間に、ブタ肉および塩を、第1に粉砕して、次いでポリリン酸塩を添加した。次のステップにおいて、水および氷を添加し、粉砕された食肉と混合した。製品を乳化するために、ブタ脂肪を次いで添加して、粉砕した。最後に、香辛料、天然の抽出物、糖および血漿を、この乳化物中に組み込んだ。
【0185】
プロセスBの間に、ブタ肉および塩を、第1に粉砕して、次いでポリリン酸塩および天然の抽出物を添加した。次のステップにおいて、水および氷を、次いでブタ脂肪、香辛料、糖および血漿を添加し、製品を乳化した。
【0186】
乳化プロセスの後で、VISCOFANスキンレスセルロースケーシング(直径21mm)中にミックスを打ち出した。
ソーセージを、次いで、99%の相対湿度において、50℃で20分間にわたり、55℃で10分間にわたり、74℃で23分間にわたり調理し、および最後に5分間にわたり10℃まで冷却した(10%相対湿度)。
【0187】
一部を、負荷試験のために表面にListeria monocytogenesを播種し、他の部分を、貯蔵寿命の微生物学的研究ならびに感覚受容的および物理的特徴づけのために安全に保管した。調理された乳化されたソーセージを、次いで、真空包装中で貯蔵した。
【0188】
4.フレッシュなソーセージの処方および加工
全てのモダリティーを、下の表4においてまとめる。
抽出物配合物1および配合物2は、亜硝酸塩、乳酸塩およびアスコルビン酸塩/エリソルビン酸塩の抗酸化および抗菌機能を確保した。
【0189】
【0190】
フレッシュなソーセージの成分を、下の表5においてまとめる。
【表5】
【0191】
各々のモダリティーについて、6kgのブタ挽き肉を製造した。
ブタ肉を、脂肪と共に、および全ての他の成分と共に、粉砕した。
粉砕された食肉の一部に、負荷試験のためにListeria monocytogenesを播種し、均質化し、打ち出した。他の部分を、安全に保管し、感覚受容的および物理的特徴づけのために打ち出した。フレッシュな挽肉のソーセージを、次いで、0%のO
2
および20%のCO
2
を含む調整ふん囲気包装(modified atmosphere packaging:MAP)中で調整(condition)した。
【0192】
5.微生物学的分析
微生物学的分析は、現在の標準であるEC規則2073/2005に従って、包装の後のd0において、貯蔵の間の数日間の間(研究によりD4からD7またはD14まで)、行った。
フレッシュな挽肉のソーセージについて、コールドチェーン(cold chain)における断絶を刺激するための、4日間の4℃での、および6日間の8℃での貯蔵による、10日間の貯蔵寿命(標準化された方法NF V01-003)。
【0193】
調理された乳化されたソーセージについて、コールドチェーンにおける断絶を刺激するための、7日間の4℃での、および7日間の8℃での貯蔵による、14日間の貯蔵寿命(標準化された方法NF V01-003)。
【0194】
行われた微生物カウントのグループを、下に列記する:
-総平板菌数(NF EN ISO 4833-1)、
-中温性および耐冷性の両方の乳酸菌(NF ISO 15214)、
-腸内細菌科(ISO 21528-2)、
-シュードモナス属の種(EN ISO 13720)、
-Brochothrix thermosphacta
-嫌気性のスルフィト還元細菌の一覧(NF V08-061)、
-Listeria monocytogenes負荷試験(NF-EN ISO 11290-2)。
-サルモネラ属負荷試験(NF-EN ISO 6579-1)。
【0195】
各々の実験および処置について、リステリア属の増殖の対数値(log CFU/g)を計算した。
植物抽出物(または亜硝酸塩または乳酸塩)で処置された食肉と未処置の対照との間のリステリア属の増殖の対数値(log CFU/g)の差異を、最終的な結果を得るために計算した。得られた負の値が得いほど、抽出物の、または抽出物の組み合わせの、抗リステリア効果が高かった。食肉科学の微生物学において、所与の時間について、0.5 Log10 CFU/gが観察された場合に、値は2つのシリーズの間で有意であるとみなされる(Chaillou et al., 2014);(Guide pour la validation de methodes d’essais microbiologiques et revaluation de leur incertitude de mesure dans les domaines de la microbiologie alimentaire et de l’environnement)、Schweizerische Eidgenossenschaft, Confederation Suisse, Departement federal de l’economie, de la formation et de la recherche DEFR、ドキュメント番号328、2013年4月、Rev. 03)。微生物学において、処置は、その効果が未処置の対照と比較して0.5 log CFU/gを超える場合に、有意な抗細菌効果を有すると記録されるであろう。
【0196】
結果&考察
1.1 溶液における色&安定性の研究
緩衝化溶液において、赤ダイコンおよび紫サツマイモは、pH3において明赤色であり、安定である。しかし、pH6においては、赤ダイコンおよび紫サツマイモは、紫色となる。
21日間のpH6での貯蔵の後で、紫色は、薄い茶色がかった紫色に分解され、ΔE(貯蔵の前と後との間の色差)は、それぞれ7.37および13.84であり、これは、重要な色差を表す。
【0197】
1.2 乳化されたソーセージにおける色&安定性の研究
調理の前に、対照食肉は、明るいピンク色であり(1)、亜硝酸塩を有する食肉は、灰色であった(2)(通常の色合い)。赤ダイコン抽出物(3)、ビートルート抽出物(6)およびそれらの混合物(4)により、食肉は、対照よりもわずかに強いピンク色の色合いを有した。紫サツマイモ(5)により、食肉は、強い紫色となった。
【0198】
全ての抽出物の分散性は、正しく、食肉の色は、均質であった。さらに、抽出物の添加は、食肉のpHに影響を及ぼさなかった(表6および
図11)。
赤ダイコンモダリティーが、食肉において見出されるpHにおいて、紫色の色合いではなくピンク色の色合いを見せたことは、驚くべきことである。これらの結果は、緩衝液中での先の研究および書誌データとは一致しない。赤ダイコンと紫サツマイモとの間の差異は、アントシアニンの組成に起因し得る。両方の抽出物における主なアントシアニンは、アシル化されているが、紫サツマイモは、アシル化されたペオニジングリコシドおよびアシル化されたシアニジングリコシドをより豊富に含み、一方、赤ダイコンは、アシル化されたペラルゴニジングリコシドをより豊富に含む。
【0199】
【0200】
調理の後に、対照は、灰色であり(1)、亜硝酸塩を有するソーセージは明るいピンク色であった(2)(通常の色合い)。赤ダイコン抽出物(3)および混合物(4)により、わずかな色の低下のみが観察された。この低下は、亜硝酸塩対照と類似の色を与えた(
図2)。ビートルート抽出物(6)により、ソーセージは、亜硝酸塩により提供される色に近い明るいピンク色となったが、橙色の色合いを有した。紫サツマイモ抽出物(5)により、ソーセージは、薄い紫色となった。抽出物は、食肉のpHに影響を及ぼさなかった(表6)。
【0201】
赤ダイコンモダリティーが、調理の後に、まさに亜硝酸塩様のピンク色の色合いを示したことは、驚くべきことである;これは、緩衝液における先の研究および書誌データとは一致しない。
【0202】
21日間の貯蔵(4℃で10日間、および8℃で11日間)の後で、対照は、なお灰色であり(1)、亜硝酸塩を有するソーセージの色合い(2)は、わずかに分解したと考えられた(薄い橙色の色合い)。赤ダイコン抽出物(3)および混合物(4)により調製されたソーセージは、驚くべきことに、なおピンク色であった;色は、亜硝酸塩ソーセージの色よりも、経時的により安定であると考えられた。
ビートルート抽出物によるソーセージの色合い(6)は、薄い橙色に分解し、紫サツマイモ抽出物によるソーセージ(5)は、なお紫色であった。
抽出物は、食肉のpHに影響を及ぼさなかった(表6)。
【0203】
この最後の結果はまた、驚くべきことである。なぜならば、色は、ソーセージのpHが6より高かったにもかかわらず、21日間の貯蔵の間、安定であったからである。この普通ではない安定性は、アントシアニンのアシル化に起因し得るが、文献は、アシル化されたアントシアニンは、pH7において安定ではないことを示した。
【0204】
これらの目視観察は、L*a*b*の測定により確認することができる。
黒色(0)から白色(100)までの明るさであるL*値は、全てのモダリティーについて、経時的に安定であった(
図2)。
a*値(緑色(-)から赤色(+)へ)に関して、対照は、弱いa*値を示し、経時的に安定であった。これは、観察された通常の灰色を確認する(
図3)。亜硝酸塩モダリティーは、対照よりも重要なa*値を表し、経時的に安定であり、これは、観察された通常のピンク色を確認する。
【0205】
赤ダイコン(3)および混合物(4)によるモダリティーは、亜硝酸塩モダリティーと非常に近いa*値を示し、経時的に安定であった。さらに、紫サツマイモモダリティー(5)は、最も重要なa*値を示し、経時的に安定であった。しかし、ビートルートモダリティー(6)は、d0において重要なa*値を示したが、この値は、経時的に安定ではなかった。このことは、ピンク色は安定ではなかったことを示し、目視観察および書誌データを確認する。
b*値(青色(-)から黄色(+)へ)に関しては、対照は、経時的に安定であった(
図4)。
【0206】
亜硝酸塩モダリティーは、d21においてb*値のわずかな増大を示した。これは、観察されたわずかな色の分解を確認する(橙色の色合い)。赤ダイコン(3)および混合物(4)によるモダリティーは、亜硝酸塩モダリティーと非常に近く、わずかにより低く、経時的にさらにより安定なb*値を示した。これは、観察された安定かつ強烈なピンク色を確認する。しかし、紫サツマイモモダリティー(5)は、負のb*値を示した。これは、青色の色合いを示し、観察された紫色
を確認する。さらに、ビートルートモダリティー(6)は、経時的なb*値の増大を示した。これは、ピンク色が橙色へ分解することを示し、目視観察および書誌データを確認する。
【0207】
二次元におけるL*a*b*の測定を図示するために、
図5は、全てのモダリティーについてのd0およびd21における色度の図の一部を暴露する。対照、亜硝酸塩、赤ダイコン、配合物および紫サツマイモのモダリティーが経時的に安定な色合いを有し、d0およびd21における値が非常に近かったことは、明らかである。しかし、ビートルート単独について、d0とd21との値の間で重要なシフトが存在した。この観察は、ビートルートのピンク色の不安定性を確認する。
【0208】
まとめると、結果および図は、赤ダイコン+ビートルートの抽出物の組み合わせが、良好な色の色合いを提供し、また、高い色の安定性を提供し、これらは、亜硝酸塩よりも良好であり、また、抽出物それ自体の色および安定性から予測されていたよりも良好であるという、驚くべき結果を確認する。このことは、相乗効果を実証する。結果および図はまた、紫サツマイモ抽出物は、必要とされる色を提供しなかったが、色は高度に安定であったことを示す。
【0209】
色相角(
図6)、デルタa*(
図7)およびデルタE(
図8)の計算を組み合わせることにより、本発明者らは、L*a*b*の観察を確認することができる。
色相角は、ソーセージの色の数値的な概算を提供する。CIELAB図上の色相の配列は、赤紫色(0°)、黄色(90°)、青緑色(180°)および青色(270°)により定義される。
【0210】
色相角は、斜辺とa*軸上の0°との間の角度として定義され得る;hは、b*/a*のアークタンジェントから計算される。アークタンジェントは、しかし、第1象限および第3象限においては正の値を、第2象限および第4象限においては負の値を推定する。有用な解釈のために、h°は、色環の0°と360°との間で正であり続けるべきである。h°は、下の式に従って計算される:
【数1】
【0211】
対照は、重要な色相角値(およそ70°)を有した。これは、薄い黄色の色合いを確認する(
図6)。
亜硝酸塩、赤ダイコン抽出物、赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物、およびビートルートジュースは、中間の値(およそ25~50°)を有した。これは、全てのこれらのモダリティーのピンク色の色合いを確認する。ビートルートジュースの色相角が時間の間に増大したことに注意することは、重要であり、これは、この製品の単独での安定性の欠如を確認する。
【0212】
対照的に、赤ダイコン抽出物、ならびに赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物は、ビートルート単独および亜硝酸塩よりもピンク色の、完全に安定な色相角を有した。赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物に関して、期待値の計算(
図6において加えられた)は、期待された色は、得られた色よりも、より橙色であり、安定性がより低いことを示した。
【0213】
この色相角の差異は、赤ダイコン抽出物とビートルートジュースとの間の相乗的な挙動を明らかにし、ベタニンとアントシアニンまたは他の未知の化合物との相互作用(分子間共色素形成(co-pigmentation))に起因し得る。
【0214】
この相乗効果はまた、デルタa*(Δa*)の計算(
図7)およびデルタE(ΔE)の計算(
図8)により可視可能である。
デルタa*は、下の式に従って、第0日と第21日との間のa*の差異を提供する:
【数2】
ここで、
【数3】
は、第21日におけるa*値であり、
【数4】
は、第0日におけるa*値である。
【0215】
デルタE(ΔE)は、下の式に従って、第0日と第21日との間のL*、a*およびb*の差異を提供する:
【数5】
ここで、
【数6】
は、第21日における座標であり、
【数7】
は、第0日における座標である。
【0216】
対照モダリティー、亜硝酸塩モダリティー、赤ダイコン抽出物、赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物、および紫サツマイモ抽出物は、時間の間、Δa*<1により安定であった。しかし、ビートルートジュースは、単独で、Δa*=-6.05を示し、これは、重要な色の分解(赤色の減少)を示している。したがって、赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物は、観察されたものよりも安定性が低いはずであり、期待値の計算は、Δa*=-1.42を示したが、一方で、観察値は、わずか-0.46であった。この1ポイントの差異は、赤ダイコン抽出物とビートルートジュースとの間の相乗的挙動を確認した。
【0217】
同じ様式において、赤ダイコン抽出物は、ΔE=3.94を示し、ビートルートジュースは、ΔE=8.96を示した。赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物の期待値の計算は、ΔE=2.61を示し、一方で、観察された値は、わずか1.26であった。ここで、再び、この1ポイントより大きな差異は、赤ダイコン抽出物とビートルートジュースとの間の相乗的挙動を確認した。
【0218】
さらなる感覚受容性研究を行った。赤ダイコン抽出物とビートルートジュースとの組み合わせは、標準的な参照と比較した場合に、最終製品(ホットドッグまたはフレッシュなソーセージなど)の匂いおよび味を改変しないことが示された。
【0219】
1.3 乳化されたソーセージのプロセスAおよびプロセスBの比較
両方の乳化プロセスを行い、調理されたソーセージの最終の色を、d0およびd21におけるL*a*b*により測定した(
図9および
図10)。
対照および亜硝酸塩のモダリティーに関して、a*値は、プロセスAおよびBにおいて同等であった。
【0220】
しかし、天然の抽出物によるa*値は、プロセスBにおいて、プロセスAと比較して、実質的により重要であった。
この差異は、驚くべきことであり、プロセスの早期における組み込みの安定化効果を示した。
【0221】
1.4 フレッシュな挽肉のソーセージの色および安定性の研究
全ての抽出物の分散性は、プロセスの間、均質であった。さらに、抽出物の添加は、初期の食肉のpHおよび経時的なpHに影響を及ぼさなかった(
図10)。
フレッシュな挽肉のソーセージは、対照を例外として、経時的な良好な赤色の保存を示した。この観察は、
図12におけるa*の測定により確認され、ここでは、モダリティー間で、赤色の顕著な低下は存在しなかったが、陰性対照については、より低いa*値を有する傾向があった。
【0222】
これらの結果は、Natstabil M2配合物1およびNatstabil M2配合物2は、貯蔵寿命の間の食肉の色を保護するために、乳酸塩/アスコルビン酸塩と同じくらい有効であったことを明らかにした。
【0223】
2.1 調理された乳化されたソーセージの微生物学的保存
2.1.1.腐敗
微生物学的分析は、亜硝酸塩および乳酸塩のモダリティーについて、および天然の抽出物モダリティーについて、総細菌叢(total flora)および乳酸菌叢が正常な増殖を有したこと、さらに、ASR、腸内細菌およびシュードモナス属は存在しなかった(<10ufc/g)ことを示す。しかし、対照は、総細菌叢、腸内細菌、およびシュードモナス属の最高の増殖を示した。
【0224】
微生物学的分析は、対照、亜硝酸塩および天然の抽出物の間で、同等の結果を示した。
食肉製品において見出される主な既知の細菌の群は、14日間の貯蔵の間に標的とされた。総平板菌数を、
図13および14において示す。正常な増殖が観察され、調理ステップの後で、負荷が減少し、次いで、貯蔵寿命の間に総平板菌数は増大した。14日後に、配合物を有する乳化されたソーセージは、陰性対照および陽性対照(亜硝酸塩を有する)よりも低いレベルの混入(総平板菌数)を示した。Natstabil M2および赤ダイコンおよびビートルートを有する配合物は、Natstabil M2単独よりもさらにより良好な抗菌効果を有することは、注目すべきである(
図13を参照)。
図15は、耐冷性乳酸菌についての類似の結果を示す。
【0225】
2.1.2.病原体
リステリア属による負荷試験は、4℃下において低い増殖を示したが、8℃(第14日&第21日)においては、全てのモダリティーについて増殖は重要であり、この食肉製品は、知覚可能であり、亜硝酸塩は、天然の抽出物ほどには増殖を限定することができない(
図16)。
統計学的に、陰性対照は、他のものと有意に異なり、天然の抽出物は、亜硝酸塩と同等である。
【0226】
2.2 フレッシュな挽肉のソーセージの微生物学的保存
リステリア属による負荷試験(
図17および
図18)は、亜硝酸塩が、この適用においてリステリア属に対して何ら作用を有さず(d4およびd8においてΔlog cfu/g<-0.5)、乳酸塩のみがその増殖を限定することができる(d8においてΔlog cfu/g=-0.9)ことを確認した。
【0227】
リステリア属の増殖の同じ限定が、Natstabil M2配合物1およびNatstabil M2 配合物2について、両方の投与量において、観察され、値は、乳酸塩対照と著しくは異ならなかった(d8においてΔlog cfu/g>-1)(
図17および
図18)。
これらの結果は、Natstabil M2配合物1およびNatstabil M2配合物2が、食肉をリステリア属から保護するために、乳酸塩と同じくらい有効であることを明らかにした。
【0228】
感覚受容性研究を行った。両方の配合物が、標準的な参照と比較した場合に、味および匂いに関して同等であることが示された。したがって、配合物1および配合物2は、最終製品(ホットドッグまたはフレッシュなソーセージなど)の匂いおよび味を改変しない。
【0229】
結論
驚くべきことに、赤ダイコン抽出物およびビートルートジュースの混合物は、ピンク色であり、調理の後で、おおび貯蔵の間、安定であり、計算により期待されるものよりも安定である。
【0230】
紫サツマイモは、このソーセージの適用において亜硝酸塩を置き換えるために、紫色過ぎる色合いを有する。
赤ダイコン、およびビートルートを有する混合物中の赤ダイコンは、亜硝酸塩に対する代替物となり得、行われた色の安定性調査に基づいて、さらにより安定である。
【国際調査報告】