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特表2023-546626ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法およびその選択的水素化装置
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  • 特表-ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法およびその選択的水素化装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法およびその選択的水素化装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 5/05 20060101AFI20231027BHJP
   C07C 9/10 20060101ALI20231027BHJP
   C07C 9/12 20060101ALI20231027BHJP
   B01J 23/50 20060101ALI20231027BHJP
   B01J 27/185 20060101ALI20231027BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231027BHJP
【FI】
C07C5/05
C07C9/10
C07C9/12
B01J23/50 Z
B01J27/185 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525543
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2021124668
(87)【国際公開番号】W WO2022089250
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011158575.8
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011158581.3
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011156909.8
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李▲イェン▼
(72)【発明者】
【氏名】田峻
(72)【発明者】
【氏名】李東風
(72)【発明者】
【氏名】過良
(72)【発明者】
【氏名】李春芳
(72)【発明者】
【氏名】楽毅
(72)【発明者】
【氏名】杜周
(72)【発明者】
【氏名】舒展
(72)【発明者】
【氏名】羅淑娟
(72)【発明者】
【氏名】叶杰銘
(72)【発明者】
【氏名】崔▲ティン▼
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA15
4G169BA01B
4G169BB06B
4G169BB13B
4G169BC16B
4G169BC31B
4G169BC32B
4G169BC50B
4G169BC68B
4G169BC72B
4G169BC74B
4G169BD07B
4G169CB02
4G169DA06
4G169FC08
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC11
4H006BA05
4H006BA21
4H006BA22
4H006BA25
4H006BA55
4H006BD81
4H006BE20
4H039CA19
4H039CB10
(57)【要約】
本発明は石油化学産業の分野に属し、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法およびその選択的水素化装置を開示する。ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法は以下の工程を含む:(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスが原料タンクに供給され、任意にアルキン含有テールガスに同伴された不純物が原料タンクに供給される工程と、(2)原料タンク内のC4原料が、供給ポンプによって反応に必要な圧力まで加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流されて第1段階ミキサーに供給され、その中で水素ガスと混合され、第1段階反応器に供給されて第1段階水素化反応を実施し、反応によって得られた第1段階反応ストリームが第1段階反応器出口バッファータンクに供給される工程であって;第1段階反応器での反応に必要な水素ガスは第1供給形態または第2供給形態を通じて供給され:第1供給形態は、反応に必要な水素ガスの全てが、第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給される、ことを含み;第2供給形態は、反応に必要な水素ガスの一部が、第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分が、第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで第1段階反応器に供給される、ことを含む、工程と;(3)第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出物がなく、液相生産物が少なくとも2つのストリームに分割され、第1ストリームが循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームが安定化塔への供給物として使用されるか、または安定化塔に供給される前にさらなる水素化処理に供される、工程と;(4)C4水素化生産物が安定化塔における分離後に回収される、工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むことを特徴とする、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスが、原料タンクに供給され、任意に前記アルキン含有テールガスに同伴した不純物が前記原料タンクに供給される前に除去され;
(2)前記原料タンク内のC4原料が、反応に必要な圧力まで供給ポンプにより加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流され、第1段階ミキサーに供給されて水素ガスと混合され、第1段階反応器に供給されて第1段階水素化反応を受け、前記反応により得られた第1段階反応ストリームが前記第1段階反応器出口バッファータンクに供給され;
前記第1段階反応器における前記反応に必要な水素ガスが、第1供給形態または第2供給形態を経て供給され:
前記第1供給形態は、前記反応に必要な水素ガスの全てが前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて前記第1段階反応器に供給されること、を含み;
前記第2供給形態は、前記反応に必要な水素ガスの一部が前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて前記第1段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分が前記第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器に供給されること、を含み;
(3)前記第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出がなく、液相生産物が少なくとも2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは前記循環C4ストリームとして前記第1段階反応器に戻され、第2ストリームは安定化塔への供給物として使用されるか、または前記安定化塔に供給される前にさらなる水素化処理に供され;
(4)C4水素化生産物が、前記安定化塔での分離後に回収される。
【請求項2】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが、前記安定化塔由来のサイドドロー希釈剤C4ストリームで希釈され、好ましくは、前記希釈剤C4ストリームと前記アルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1である、請求項1に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項3】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが、前記第1段階反応器出口バッファータンク由来の希釈剤C4ストリームで希釈され、好ましくは、前記希釈剤C4ストリームと前記アルキン含有テールガスとの質量流量比が1~5:1である、請求項1に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項4】
工程(2)において、前記第2供給形態では、前記第1段階水素化反応に必要な水素ガスに対する、前記反応に必要な前記水素ガスの一部の質量比が0.3以上、好ましくは0.5以上であり、前記第1段階水素化反応に必要な水素ガスが、前記反応に必要な前記水素ガスの一部と、前記水素ガスの他の部分との合計である、請求項1~3のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項5】
工程(3)において、前記安定化塔に供給される前の前記第2ストリームのさらなる水素処理が以下を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法:
前記第2ストリームが第2段階反応器への供給物として使用され、第2段階供給冷却器および第2段階ミキサーを通じて第2段階反応器に供給されて第2段階水素化反応を実施し、次いで前記第2段階反応器中の反応によって得られた第2段階反応ストリームが、第2段階反応器出口バッファータンクを通過し、前記安定化塔に入る。
【請求項6】
工程(3)において、前記第2段階反応器での反応に必要な水素ガスが、第3供給形態または第4供給形態を通じて供給され;
前記第3供給形態は、前記反応に必要な水素ガスの全てが前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて前記第2段階反応器に供給されること、を含み;
前記第4供給形態は、前記反応に必要な水素ガスの一部が前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて前記第2段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分が前記第2段階ミキサーを通じて供給され、次いで前記第2段階反応器に供給されること、を含む、請求項5に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項7】
工程(3)において、前記第4供給形態では、前記第2段階水素化反応に必要な水素ガスに対する、前記反応に必要な前記水素ガスの一部の質量比が0.3以上、好ましくは0.5以上であり、前記第2段階水素化反応に必要な水素ガスが、前記反応に必要な前記水素ガスの一部と、前記水素ガスの他の部分との合計である、請求項6に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項8】
工程(1)において、前記原料タンクが0.1~1.0MPaG、好ましくは0.5~1.0MPaGの操作圧力を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項9】
工程(2)において、前記原料タンク内のC4原料が前記供給ポンプで1.0~4.0MPaGに加圧され、前記循環C4ストリームと前記原料との質量流量比が5~30:1であり;
前記第1段階反応器は、5~60℃、好ましくは20~60℃の入口温度、および1~50h-1の液空間速度を有し;前記第1段階反応器は、前記第1段階反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスによって制御される圧力を有し、反応圧力は1.0~4.0MPaGである、請求項1~8のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項10】
工程(4)において、前記安定化塔が0.4~1.2MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、5~35におけるサイドドロー理論段位置を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項11】
工程(1)において、前記ブタジエン抽出ユニット由来の前記アルキン含有テールガスが、前記アルキン含有テールガスから前記不純物を除去されることなく、前記原料タンクに供給される、請求項1~10のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項12】
工程(3)において、前記第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出物がなく、前記液相生産物が2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームが前記循環C4ストリームとして前記第1段階反応器に戻され、第2ストリームが前記安定化塔への供給物として使用され;
工程(4)において、前記第1段階反応器中の反応から得られた第1段階反応ストリームは、前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて前記安定化塔に供給され、前記安定化塔によって分離されてC4水素化生産物を回収する、請求項11に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項13】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが、前記安定化塔由来のサイドドロー希釈剤C4ストリームで希釈され、好ましくは、前記希釈剤C4ストリームと前記アルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1である、請求項12に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項14】
工程(1)において、前記原料タンクが0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し;
工程(2)において、希釈された前記C4原料が前記供給ポンプによって1.0~4.0MPaGに加圧され、前記循環C4ストリームと希釈された前記C4原料との質量流量比が5~30:1であり;
前記第1段階反応器が5~60℃の入口温度、1~40h-1の液空間速度を有し;前記第1段階反応器が、前記第1段階反応器出口バッファータンクの前記圧力補償水素ガスによって制御される圧力を有し、反応圧力が1.0~4.0MPaGであり;
工程(4)において、前記安定化塔が0.4~1.0MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35におけるサイドドロー理論段位置を有する、請求項12または13に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項15】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが前記原料タンクに供給され、前記原料タンク内の前記アルキン含有テールガスが、前記第1段階反応器出口バッファータンク由来の前記希釈剤C4ストリームで希釈され;
工程(3)において、前記第1段階反応器出口バッファータンクが気相排出物を有さず、前記液相生産物は3つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは前記循環C4ストリームとして前記第1段階反応器に戻され、第2ストリームは前記第2段階反応器への供給物として使用され、前記第2段階供給冷却器および前記第2段階ミキサーを通じて前記第2段階反応器に供給されて前記第2段階水素化反応を実施し、第3ストリームは前記希釈剤C4ストリームとして前記原料タンクに供給されて、前記アルキン含有テールガスを希釈し;
前記第2段階反応器の前記反応に必要な水素ガスは、第3供給形態または第4供給形態を通じて供給され:
前記第3供給形態は、前記反応に必要な水素ガスの全てが前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて前記第2段階反応器に供給されること、を含み;
前記第4供給形態は、前記反応に必要な水素ガスの一部が前記第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて前記第2段階反応器に供給され;前記水素ガスの他の部分が記第2段階ミキサーを通じて供給され、次いで前記第2段階反応器に供給されること、を含み;
工程(4)において、前記第2段階反応器での反応によって得られた第2段階反応ストリームは、前記第2段階反応器出口バッファータンクを通じて前記安定化塔に供給され、前記安定化塔によって分離され、C4オレフィン生産物をサイドドローとして回収する、請求項11に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項16】
工程(1)において、前記原料タンクは0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し、前記希釈剤C4ストリームと前記アルキン含有テールガスとの質量流量比は1~5:1であり;
工程(2)において、希釈された前記C4原料が前記供給ポンプによって1.0~4.0MPaGに加圧され、前記循環C4ストリームと希釈された前記C4原料との質量流量比は5~30:1であり;
工程(4)において、前記安定化塔は0.6~1.2MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35におけるサイドドロー理論段位置を有し;
前記第1段階反応器および前記第2段階反応器はそれぞれ独立に、20~60℃の入口温度を有し、前記第1段階反応器は10~50h-1の液空間速度を有し、前記第2段階反応器は1~10h-1の液空間速度を有し、前記第1段階反応器および前記第2段階反応器はそれぞれ独立に1.0~4.0MPaGの圧力を有し、これはそれぞれの反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスによって制御される、請求項15に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項17】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが水洗塔に供給されて前記アルキン含有テールガスに同伴した不純物が除去され、次いで前記原料タンクに供給される、請求項1~10のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項18】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが気相アルキン含有テールガスである場合、前記アルキン含有テールガスがブロワー吸引タンクに供給され、ブロワーによって加圧され、液化凝縮器で凝縮液化され、次いでC4収集タンクに供給され、その後昇圧ポンプで加圧され、前記水洗塔に供給されて前記アルキン含有テールガスに同伴した不純物が除去され、次いで前記原料タンクに供給される、請求項17に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項19】
工程(3)において、前記第1段階反応器出口バッファータンクが気相排出物を有さず、前記液相生産物が2つのストリームに分割され、第1ストリームが前記循環C4ストリームとして前記第1段階反応器に戻され、第2ストリームが前記安定化塔への供給物として使用される、請求項18に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項20】
工程(1)において、前記アルキン含有テールガスが、前記安定化塔由来のサイドドロー希釈剤C4ストリームで希釈され、好ましくは、前記希釈剤C4ストリームと前記アルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1である、請求項19に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項21】
工程(1)において、前記ブロワー吸引タンクは0~20KPaの操作圧力を有し、前記液化凝縮器内の凝縮液化ガスは0~20℃の温度を有し、前記液化凝縮器は50~100KPaの圧力を有し、前記水洗塔は0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し、前記洗浄塔内の洗浄水と前記C4原料との質量比は1~5:1であり、前記原料タンクは0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し;
工程(2)において、前記C4原料が前記供給ポンプにより1.0~4.0MPaGに加圧され、前記第1段階反応器は5~60℃の入口温度、10~50h-1の液空間速度を有し、前記第1段階反応器は前記第1段階反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスにより制御される圧力を有し、反応圧力は1.0~4.0MPaGであり;
工程(4)において、前記安定化塔は0.4~1.0MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35におけるサイドドロー理論段位置を有する、請求項19または20に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の方法を実施するために使用される、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置であって、前記装置は原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、第1段階反応器出口バッファータンク、循環C4冷却器、安定化塔および水素ガス供給パイプラインを備えていることを特徴とし;
前記原料タンク、前記供給ポンプ、前記コアレッサー、前記第1段階ミキサー、前記第1段階反応器および前記第1段階反応器出口バッファータンクは、順に接続されており;
前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは、少なくとも2つの経路に分割されており、第1経路は前記循環C4冷却器、前記第1段階ミキサーおよび前記第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は前記安定化塔と直接的または間接的に接続されており;
前記水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプラインに、および任意に第2パイプラインに分割されており、前記第1パイプラインは前記第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、前記第2パイプラインは前記第1段階ミキサーに接続されており;
好ましくは、前記第1段階反応器は固定床反応器であり;
好ましくは、前記第1経路は循環ポンプを通じて前記循環C4冷却器に接続されている、装置。
【請求項23】
前記原料タンクの希釈剤C4ポートが前記安定化塔の出口に接続されており、好ましくは前記安定化塔の出口は、希釈剤C4ポンプおよび/または希釈剤C4冷却器を通じて、前記希釈剤C4ポートに接続されている、請求項22に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項24】
前記原料タンクの前記希釈剤C4ポートは、前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインに接続されており、好ましくは、前記原料タンクの前記希釈剤C4ポートと前記第1段階反応器出口バッファータンクの前記出口パイプラインとの間に、希釈剤C4冷却器がさらに設けられている、請求項22に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項25】
前記安定化塔の頂部出口は、塔頂凝縮器、還流タンクおよび還流ポンプと順に接続されており、前記還流ポンプの出口は、前記安定化塔の入口に接続されており;
任意に、前記還流タンクの出口はテールガス凝縮器に接続されており、前記テールガス凝縮器の出口は前記還流タンクの入口に接続されている、請求項22~24のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項26】
順に接続されたブロワー吸引タンク、ブロワー、液化凝縮器、C4収集タンク、昇圧ポンプおよび水洗塔をさらに含み、前記水洗塔のC4原料出口は前記原料タンクに接続されている、請求項22~25のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化装置。
【請求項27】
順に接続された第2段階供給冷却器、第2段階ミキサー、第2段階反応器および第2段階反応器出口バッファータンクをさらに含み、前記第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインの前記第2経路が前記第2段階供給冷却器に接続されており、前記第2段階反応器出口バッファータンクが前記安定化塔に接続されており;
好ましくは、前記第2経路が循環ポンプを通じて前記第2段階供給冷却器に接続されており;
好ましくは、前記第2段階反応器は固定床反応器である、請求項22~26のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項28】
前記水素ガス供給パイプラインが、少なくとも第1パイプライン、任意に第2パイプライン、および第3パイプラインに分割されており、前記第1パイプラインは前記第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、前記第2パイプラインは前記第1段階ミキサーに接続されており、前記第3パイプラインは前記第2段階ミキサーに接続されており;
好ましくは、前記水素ガス供給パイプラインが、前記第2段階反応器出口バッファータンクに接続された圧力補償パイプラインをさらに含む、請求項27に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項29】
前記第1段階反応器出口バッファータンクの前記出口パイプラインが2つの経路に分割されており、第1経路は前記循環C4冷却器、前記第1段階ミキサー、および前記第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は前記安定化塔と直接接続されている、請求項22~25のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項30】
前記第1段階反応器出口バッファータンクの前記出口パイプラインが3つの経路に分割されており、第1経路は前記循環C4冷却器、前記第1段階ミキサーおよび前記第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は前記第2段階供給冷却器に接続されており、第3経路は前記原料タンクの前記希釈剤C4ポートに接続されており;
前記水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプライン、任意に第2パイプライン、および第3パイプラインに分割されており、前記第1パイプラインは前記第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、前記第2パイプラインは前記第1段階ミキサーに接続されており、前記第3パイプラインは前記第2段階ミキサーに接続されている、請求項27~28のいずれか1項に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項31】
前記第1段階反応器出口バッファータンクの前記出口パイプラインが2つの経路に分割されており、第1経路は前記循環冷却器、前記第1段階ミキサー、および前記第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は前記安定化塔に接続されている、請求項26に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項32】
前記安定化塔の出口が、前記ブロワー吸引タンクの前記希釈剤C4ポートに接続される、請求項31に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置。
【請求項33】
前記水洗塔は、頂部に洗浄水入口およびC4原料出口が設けられており、底部に液化C4原料入口および洗浄水出口が設けられており、前記昇圧ポンプが前記液化C4原料入口に接続される、請求項31または32に記載のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油化学産業の分野に関し、特に、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法およびその選択的水素化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ブタジエン抽出ユニットは一般に、エチレンユニットの分解されたC4フラクションから2段階抽出蒸留および通常の蒸留を通じて1,3-ブタジエンを回収し、同時にアルキンおよびジエンに富む副産物テールガスを生産する。ブタジエン抽出ユニットにおいて使用される異なる技術により、副産物のアルキン含有テールガスは2つの異なる状態、すなわち液相および気相であり得るが、しかしその一般的な特徴はテールガス中のビニルアセチレン(VA)およびエチルアセチレン(EA)の比較的高い濃度であり、VA含有量は通常20%、最大40重量%である。現在、安全性を確保するために、アルキンおよびジエンに富むこのテールガスは、C4ラフィネートで希釈され、次いで液化ガスとして販売されるか、または火炎に直接排出され燃焼される必要がある。テールガスがリサイクルされかつ利用されれば、経済的および社会的に良好な効果が得られる。
【0003】
現在、アルキンおよびジエンに富むC4供給源については、当該産業は主にそれらを水素化精製によって高付加価値生産物に変換しており、使用される1つの方法が選択的水素化精製である。不飽和炭化水素の水素化活性は不飽和度とともに増加し、C4成分中のアルキンはジオレフィンおよびモノオレフィンよりも優先的に水素ガスと反応するが、C4成分中のジオレフィンおよびモノオレフィンは、触媒活性下で、より低い温度で水素ガスと激しく反応してアルカンを形成することもできる。C4成分の選択的水素化反応は、ガス、液体および固体の三相反応である。しかしながら、反応に必要な水素ガスの量が少ないため、水素ガスはC4成分への溶解が制限され、次いで液体膜を通じて触媒の表面に物質移動することによって、C4成分中のアルキンおよびジエンなどの反応物質と反応する。本発明者らは、水素化反応が水素ガスによって制限される、すなわち水素ガスが不十分である触媒の表面では、アルキンは水素化反応を受けることができず、そしてそれゆえ生産物から完全に除去することはほとんどできず、それらの重合反応が起こりやすく、重質成分を生成して触媒の性能を低下させ得ること;そして水素ガスが過剰である場合、アルキンの水素化反応によって生産されるジオレフィンおよびブテンは、さらに水素化反応を受けてアルケンおよびアルカンを形成し、アルキンの水素化反応の選択性の低下をもたらし得ることを見出した。
【0004】
CN102285859AはC4ストリームの選択的水素化のための方法を開示しており、ここで、担体としてアルミナを有するパラジウム-銀2成分触媒またはパラジウム-銀多成分触媒を使用することにより、ブタジエン含有量が高いC4ストリームは選択的水素化を受けて、1-ブテンに富み、ブタジエンおよびアルキンの含有量が10ppm未満であり、MTBEプラントの原料として使用することができる生産物を得る。しかしながら、この特許はビニルアセチレン(VA)およびエチルアセチレン(EA)に富むブタジエンテールガスを含まず、水素ガスは反応器入口に直接割り当てられ、その配分は設備およびパイプラインレイアウトによって容易に影響され、そのため、水素の均一な配分を保証することは困難であり、触媒の選択性が制限される。
【0005】
CN103121905Aはブタジエン抽出テールガスの回収方法を開示しており、ここで、ニッケル-パラジウム-銅-銀多金属触媒を採用することによって、アルキンが選択的水素化を受け、ブタジエンに富む生産物を得て、これがブタジエンのさらなる回収のためにブタジエンユニットに送られる。この方法では水素ガスが反応器入口に直接供給され、その配分は設備およびパイプラインの配置によって容易に影響を受けるため、水素の均一な配分を保証することは困難であり、触媒の選択性が制限される。加えて、選択的水素化反応によって生産されるポリマーなどの重質成分は、原料希釈に使用される水素化C4ストリームから除去されないため、それらはシステム中に容易に蓄積し得、触媒の性能および寿命の低下をもたらす。
【0006】
CN108863697Aはアルキンの選択的水素化によってブタジエンを回収する方法を開示しており、パラジウム-モリブデン選択的水素化触媒を採用することによって、C4ストリーム中のアルキンの水素化後、ビニルアセチレン含有量が1.0重量%未満であり、ブタジエン選択性が46%より高く、生産物がブタジエン抽出ユニットの供給要件を満たす。しかしながら、この特許は貴金属含有パラジウム触媒を使用しており、それゆえ高いコストを有し、ブタジエンテールガスのための選択的水素化ユニットのプロセスを含まない。
【0007】
CN103787811Aはブタジエンテールガスを利用するための方法を開示し、ここで、担体として酸化チタン-アルミナ複合体を有するNi系触媒がテールガス中の全てのアルキン、ジエンおよびモノエンを水素化するために採用され、5%未満のオレフィン含有量を有する生産物をもたらし、これはエチレンプラントにおける分解のための原料として使用することができるが、この特許は選択的水素化の分野を含まない。
【0008】
CN109806885Aは、C4ストリームの選択的水素化のためのPdx/Cu単原子触媒およびその調製方法を開示している。C4ストリーム中の不飽和オレフィンが水素化を受けた後、総ブテンの選択性は大幅に改善されるが、反応温度は比較的高く、より多くのエネルギー消費をもたらす;さらに、それはプロセスの流れを開示していない。
【0009】
近年、C4構成要素選択的水素化触媒に関する多くの研究がなされており、触媒の活性および選択性が大幅に改善されている。しかしながら、上述のように、水素ガスの不正確な制御および不均一な配分は触媒の選択性を厳しく制限し、選択的水素化反応が、アルキンおよびジエンの高い変換率、およびモノオレフィンの高い収率の要件を同時に満たすことを困難にする。実験室の小型パイロットプラントと比較して、実際の産業プラントでは、生産規模が100倍に増加しており、水素ガスの正確な制御がより困難であり、水素ガスの配分がより不均一である。産業プラントの特性に応じて、処理および制御の観点から選択的水素化反応の状態を改善することがより必要である。
【0010】
したがって、選択的水素化反応中の水素ガスの均一な配分を促進し、選択的水素化反応の選択性を改善し、触媒の耐用年数を延ばすことができる、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法およびその選択的水素化装置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法およびその選択的水素化装置を提供し、先行技術における欠陥を解決することである。選択的水素化反応に必要な水素ガスの割り当ておよび計量の方法を改善することにより、水素の不均一な配分に起因する反応器温度の不均一な配分、続いてもたらされる水素化反応の選択性の低下、の問題を解決することができる。水素の正確な計量を確実にする一方で、それは、選択的水素化反応における均一な配分を促進し、選択的水素化反応の選択性を改善し、副反応の発生を低減し、触媒の耐用年数を延ばす。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法であって、選択的水素化方法は以下を含むことによって特徴づけられる:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスが原料タンクに供給され、任意にアルキン含有テールガスに同伴した不純物が原料タンクに供給される前に除去され;
(2)原料タンク内のC4原料が反応に必要な圧力まで供給ポンプにより加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流され、第1段階ミキサーに供給されて水素ガスと混合され、第1段階反応器に供給されて第1段階水素化反応を受け、反応により得られた第1段階反応ストリームが第1段階反応器出口バッファータンクに供給され;
第1段階反応器における反応に必要な水素ガスが、第1供給形態または第2供給形態を経て供給され:
第1供給形態が、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給されること、を含み;
第2供給形態が、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分は第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで第1段階反応器に供給されること、を含み;
(3)第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出がなく、液相生産物が少なくとも2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームは安定化塔への供給物として使用されるか、または安定化塔に供給される前にさらなる水素化処理に供され;
(4)C4水素化生産物が、安定化塔での分離後に回収される。
【0013】
本発明の別の態様は、本発明のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用される、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置であって、装置は原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、第1段階反応器出口バッファータンク、循環C4冷却器、安定化塔および水素ガス供給パイプラインを備えていることを特徴とし;
原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器および第1段階反応器出口バッファータンクは、順に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは、少なくとも2つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器、第1段階ミキサーおよび第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は安定化塔と直接的または間接的に接続されており;
水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプラインに、および任意に第2パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されており;
好ましくは、第1段階反応器は、固定床反応器であり;
好ましくは、第1経路は循環ポンプを介して循環C4冷却器に接続されている。
【0014】
本発明の技術的解決策は、少なくとも以下の有益な効果を有する:
本発明の方法および装置を採用することにより、ブタジエン抽出テールガス(ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス)を完全にかつ安全にリサイクルすることができ;選択的水素化プロセスの水素ガス割り当ておよび供給形態を最適化し、水素ガスを溶解して水素ガスを割り当ておよび添加する方法を用いることにより、選択的水素化反応における水素ガスの配分が効果的に改善され、水素ガスの不均一な配分に起因する不均一な反応器温度配分が克服され、ブタジエンテールガスの選択的水素化反応におけるアルケンの選択性が改善される;
加えて、原料の希釈方法を最適化し、1,3-ブタジエン、ブテン-1および重質成分の不純物含有量が低いC4水素化生産物を使用して原料を希釈することにより、原料タンク中の高いアルキン濃度の問題を解決することができ、原料加圧、液化および回収における気相アルキンテールガスの高い濃度の問題を解決することができ、さらに希釈剤C4ストリームの逆混合によって生じる1,3-ブタジエンおよびブテン-1の再水素化の可能性を低減し、それにより、生産物損失を効果的に低減し、生産物収率を改善し、触媒に対する重質成分不純物のインパクトを低減し、触媒の耐用年数を延ばすことができる;
加えて、本発明は水洗塔を提供することにより、ブタジエン抽出テールガス原料中の水溶性不純物をさらに除去することができ、原料の適応性を改善させることができる。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明において詳細に説明される。
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例によるブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法の概略図を示す: デバイスサインは以下のように記述される: 11、原料タンク;12、供給ポンプ;13、コアレッサー;14、第1段階ミキサー;15、第1段階反応器;16、第1段階反応器出口バッファータンク;17、循環ポンプ;18、循環C4冷却器;19、希釈剤C4冷却器;110、安定化塔;111、塔頂凝縮器;112、還流タンク;113、還流ポンプ;114、テールガス凝縮器;115、希釈剤C4ポンプ;116、水素ガス供給パイプライン; ストリームサインは、以下のように記述される: 1101、ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス(ブタジエンテールガス);1102、希釈剤C4ストリーム;1107、第1段階反応器原料;1108、第1段階反応器生産物;1109、循環C4ストリーム;1112、安定化塔供給物;1115、安定化塔還流;1116、非凝縮性ガス;1117、重質成分;1118、C4水素化生産物;1201、反応圧力補償水素ガス;1202、反応補助水素ガス。
図2】本発明の実施例によるブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法の概略図を示す: 装置の符号は以下のように記述される: 21,原料タンク;22、供給ポンプ;23、コアレッサー;24、第1段階ミキサー;25、第1段階反応器;26、第1段階反応器出口バッファータンク;27、循環ポンプ;28、循環C4冷却器;29、希釈剤C4冷却器;210、第2段階供給冷却器;211、第2段階ミキサー;212、第2段階反応器;213、第2段階反応器出口バッファータンク;214、安定化塔;215、塔頂凝縮器;216、還流タンク;217、還流ポンプ;218、水素ガス供給パイプライン; ストリームの符号は、以下のように記述される: 2101、ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス(ブタジエンテールガス);2102、希釈剤C4ストリーム;2107、第1段階反応器原料;2108、第1段階反応器生産物;2109、循環C4ストリーム;2115、第2段階反応器原料;2116、第2段階反応器生産物;2120、安定化塔還流;2121、非凝縮性ガス;2122、C4アルケン生産物;2123、重質成分;2201、反応圧力補償水素ガス;2202、第1段階反応混合水素ガス;2203、第2段階反応混合水素ガス。
図3】本発明の実施例によるブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法の概略図を示す: 装置の符号は以下のように記述される: 31、ブロワー吸引タンク;32、ブロワー;33、液化凝縮器;34、C4収集タンク;35、昇圧ポンプ;36、水洗塔;37、原料タンク;38、供給ポンプ;39、コアレッサー;310、第1段階ミキサー;311、第1段階反応器;312、第1段階反応器出口バッファータンク;313、循環ポンプ;314、循環冷却器;315、安定化塔;316、塔頂凝縮器;317、還流タンク;318、還流ポンプ;319、テールガス凝縮器;320、水素ガス供給パイプライン; ストリームの符号は、以下のように記述される: 3101、ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス(ブタジエンテールガス);3103、液化C4原料;3105、C4供給;3107、第1段階反応器原料;3108、第1段階反応器生産物;3109、循環C4ストリーム;3112、安定化塔供給物;3115、安定化塔還流;3116、非凝縮性ガス;3117、重質成分;3118、C4水素化生産物;3119、希釈剤C4ストリーム;3201、反応圧力補償水素ガス;3202、反応混合水素ガス。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、本発明をさらに説明するためにのみ使用され、本発明の保護範囲を限定するものと解釈することはできないことに留意されたい。本発明にしたがって当業者によってなされるいくつかの必須ではない改良および調整は、依然として本発明の保護範囲に属する。
【0019】
また、以下の具体的な実施形態で説明される種々の具体的な技術的特徴は矛盾しない限り、適宜組み合わされ得る。不必要な繰り返しを避けるために、様々な可能な組み合わせは、本発明においてさらに説明されない。
【0020】
本発明の一態様は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法であって、以下を含むことを特徴とする方法を提供することである:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスが原料タンクに供給され、任意にアルキン含有テールガスに同伴した不純物が原料タンクに供給される前に除去され;
(2)原料タンク内のC4原料が反応に必要な圧力まで供給ポンプにより加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流され、第1段階ミキサーに供給されて水素ガスと混合され、第1段階反応器に供給されて第1段階水素化反応を受け、反応により得られた第1段階反応ストリームが第1段階反応器出口バッファータンクに供給され;
第1段階反応器における反応に必要な水素ガスが、第1供給形態または第2供給形態を経て供給され:
第1供給形態が、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給されること、を含み;
第2供給形態が、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分は第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで第1段階反応器に供給されること、を含み;
(3)第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出がなく、液相生産物が少なくとも2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームは安定化塔への供給物として使用されるか、または安定化塔に供給される前にさらなる水素化処理に供され;
(4)C4水素化生産物が、安定化塔での分離後に回収される。
【0021】
本発明において、「ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス」とは、エチレンユニットの分解C4フラクションから1,3-ブタジエンを回収する際に、ブタジエン抽出ユニットによって生産される、アルキンおよびジエンに富むテールガスを指す。ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスは、ブタジエン抽出テールガスと交換可能に使用され得る。テールガス中のビニルアセチレン(VA)およびエチルアセチレン(EA)の濃度は比較的高く、VAの含有量は通常20%、最大40重量%である。ブタジエン抽出ユニットによって採用される異なる技術により、生成されたアルキン含有テールガスは、液相および気相の2つの状態を含む。
<工程(1)>
一実施形態において、ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスは、原料タンクに直接供給され得る。
【0022】
アルキン含有テールガス中におけるビニルアセチレンなどのアルキンは、自己分解および爆発の特性を有し、これは安全性の危険性をもたらす。したがって、一般にテールガスを希釈してその濃度を低減し、爆発を防止することが必要である。本発明によれば、低含有量の1,3-ブタジエン、ブテン-1、および触媒の活性および耐用年数に影響を及ぼす傾向がある重質成分を含有する材料が、希釈剤として使用され得る。
【0023】
一実施形態において、アルキン含有テールガスは、安定化カラム由来のサイドドロー希釈剤C4ストリームで希釈され得る。好ましくは、希釈剤C4ストリームとアルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1、例えば1~20:1、例えば1~10:1である。本発明において、安定化塔由来のサイドドロー希釈剤C4ストリームは、主に、低含有量の1,3-ブタジエン、ブテン-1、および触媒の活性および耐用年数に影響を及ぼす傾向がある重質成分を含む。
【0024】
一実施形態において、アルキン含有テールガスはまた、第1段階反応器出口バッファータンク由来の希釈剤C4ストリームで希釈され得る。好ましくは、希釈剤C4ストリームとアルキン含有テールガスとの質量流量比が1~5:1、例えば1~4:1である。
【0025】
安定化塔由来の希釈剤C4ストリーム、または第1段階反応器出口バッファータンク由来の希釈剤C4ストリームの選択は主に、選択的水素化反応に使用される触媒および希釈剤C4ストリームに含まれる重質成分の含有量に依拠する。
【0026】
本発明において、アルキン含有テールガスは、アセトニトリル(ACN)、N-メチルピロリドン(NMP)およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などの不純物を同伴し得る。これらの不純物が後続のプロセスに及ぼすインパクトを低減するために、アルキン含有テールガスは、原料タンクに供給する前に、処理されてその中に同伴した不純物が除去され得る。例えば、水洗塔が設置されることでアルキン含有テールガス中の水溶性不純物が除去され、原料の適応性を向上させ得る。
【0027】
一実施形態において、アルキン含有テールガスは水洗塔に供給されて、アルキン含有テールガスに同伴した不純物が除去され、次いで原料タンクに供給され得る。
【0028】
一実施形態において、アルキン含有テールガスが気相アルキン含有テールガスである場合、気相アルキン含有テールガスは加圧され、液相アルキン含有テールガスに液化され、次いで水洗塔に供給され得る。例えば、アルキン含有テールガスは、ブロワー吸引タンクに供給され、ブロワーによって加圧され、液化凝縮器によって凝縮液化され、次いでC4収集タンクに供給され、その後昇圧ポンプによって加圧され、水洗塔に供給されてアルキン含有テールガスに同伴した不純物が除去される。
【0029】
本発明によれば、気相アルキン含有テールガスが不純物除去処理を受ける場合において、ブロワー吸引タンク内のアルキン含有テールガスは希釈され得る。
【0030】
一実施形態において、ブロワー吸引タンク内の気相アルキン含有テールガスは、安定化塔由来のサイドドロー気相C4水素化生産物で希釈され得る。好ましくは、気相C4水素化生産物と気相アルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1、例えば1~20:1、例えば1~10:1である。
【0031】
一実施形態において、ブロワー吸引タンク内の気相アルキン含有テールガスはまた、第1段階反応器出口バッファータンク由来の希釈剤C4ストリームで希釈され得る。好ましくは、希釈剤C4ストリームとアルキン含有テールガスとの質量流量比が1~5:1、例えば1~4:1である。
【0032】
安定化塔由来の希釈剤C4ストリームまたは第1段階反応器出口バッファータンク由来の希釈剤C4ストリームの選択は主に、選択的水素化反応に使用される触媒および希釈剤C4ストリームに含まれる重質成分の含有量に依拠する。
【0033】
本発明によれば、原料タンクは、0.5~1.0MPaGの操作圧力を有する。
【0034】
本発明によれば、好ましくは、ブロワー吸引タンクは0~20KPaの操作圧力を有する。
【0035】
本発明によれば、液化凝縮器内の凝縮液化ガスは、0~20℃の温度を有する。
【0036】
本発明によれば、液化凝縮器は、50~100Kpaの圧力を有する。
【0037】
本発明によれば、水洗塔の操作圧力は0.5~1.0MPaGである。
【0038】
本発明によれば、水洗塔内の洗浄水とC4原料との質量比は、1~5:1である。
<工程(2)>
原料タンク内のC4原料が供給ポンプによって反応に必要な圧力まで加圧された後、それは第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流され、第1段階ミキサーに入る。第1段階ミキサーで水素ガスと混合した後、第1段階反応器に入り、第1段階水素化反応を行い、反応によって得られた第1段階反応ストリームは、第1段階反応器出口バッファータンクに入る。好ましくは、原料タンク内のC4原料が希釈されたC4原料である。
【0039】
本発明によれば、第1段階反応器反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第1供給形態または第2供給形態を通じて供給される。
【0040】
第1供給形態では、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて第1段階反応器に供給される。第2供給形態では、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて第1段階反応器に供給され、反応に必要な水素ガスの他の部分が第1段階ミキサーを通じて第1段階反応器に供給される。
【0041】
本発明によれば、第1供給形態では、第1段階水素化反応器によって必要とされる水素ガスは圧力補償を通じて反応系の圧力を制御し、全ての水素ガスは溶解の方法を通じて液相C4ストリームに入り、次いで第1段階反応器から第1段階水素化反応器に、循環C4ストリームとともに供給される。第2供給形態では、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給される。水素ガスのこの部分は圧力補償を通じて反応系の圧力を制御し、同時に溶解の方法を通じて液相C4ストリームに入り、次いで第1段階反応器から第1段階水素化反応器に、循環C4ストリームとともに供給される。
【0042】
本発明において、水素ガスを溶解する方法を採用し、先行技術の反応器の入口に水素ガスを直接導入する方法を部分的または完全に置き換えることにより、水素化反応中の水素ガスの均一な配分が確保され、それによって水素化反応の選択性が向上する。
【0043】
第2供給形態では、第1段階水素化反応に必要な水素ガスに対する反応に必要な水素ガスの質量比は0.3以上、好ましくは0.5以上であり、第1段階水素化反応に必要な水素ガスは、反応に必要な水素ガスの一部と、水素ガスの他の部分との合計である。
【0044】
第2供給形態では、反応に必要な水素ガスの一部の量と、水素ガスの他の部分の量との合計は、水素化反応に必要な水素ガスの全ての量と等しい。
【0045】
本発明によれば、原料タンク内のC4原料は供給ポンプにより1.0~4.0MPaGに加圧され、循環C4ストリームとC4原料との質量流量比は5~30:1である。第1段階反応器の入口温度は5~60℃、例えば20~60℃であり;液空間速度は1~50h-1であり;第1段階反応器の圧力は第1段階反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスによって制御され;反応圧力は1.0~4.0MPaGである。
【0046】
好ましくは、第1段階反応器は固定床反応器である。反応器には、選択的水素化触媒が充填される。
【0047】
本発明によれば、先行技術における選択的水素化触媒、好ましくはCN102240547に開示されている選択的水素化触媒が、選択的水素化反応において使用され得る。触媒の総重量に基づいて、パラジウム含有触媒は、好ましくは以下の成分:0.015~2.00重量%のパラジウム、0.005~3.0重量%の促進剤金属、および残部として担体を含み、ここで促進剤金属は鉛、銀、スズ、マグネシウムおよびカルシウムから選択される少なくとも1つであり、担体は酸化アルミニウム、酸化チタンおよび酸化マグネシウムから選択される少なくとも1つである。
【0048】
本発明によれば、選択的水素化反応は、CN102886262、CN10886397および/またはCN104707622などの先行技術に開示されている選択的水素化触媒、好ましくはCN104707622に開示されている選択的水素化触媒も使用し得る。触媒の総重量に基づいて、パラジウムフリー触媒は、好ましくは以下の成分:5~15重量%の銅、0.1~3重量%のイリジウム、0.1~3重量%のリン、0.5~3.0重量%の促進剤金属、および残部として担体を含み、ここで促進剤金属はニッケル、ジルコニウム、鉛およびスズから選択される少なくとも1つであり、担体はアルミナ、チタニア、シリカ、チタニア-アルミナ複合酸化物、チタニア-シリカ複合酸化物およびアルミナシリカ複合酸化物から選択される少なくとも1つである。
【0049】
1,3-ブタジエンの生産には、パラジウム含有触媒とパラジウムフリー触媒の両方が使用され得る。パラジウムフリー触媒と比較して、パラジウム含有触媒は、より高い選択性およびより高いオレフィン収率を有する。しかしながら、パラジウム含有触媒は貴金属元素を含有するので、パラジウム含有触媒を使用する設備の投資および操作コストは、パラジウムフリー触媒を使用する設備よりも高くなる。貴金属を含まない触媒の使用は、設備の投資および運転コストを効果的に低減することができる。したがって、触媒を選択する場合、コストとオレフィン収率との関係を計量する必要がある。ブテン-1の生産のために、パラジウム含有触媒は、そのはるかに高い選択性およびオレフィン収率のために選択される。
<工程(3)>
第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出物はなく、液相生産物は少なくとも2つのストリームに分割され、第1ストリームは循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームは供給物として安定化塔に直接供給されるか、または第2ストリームは安定化塔に供給される前にさらに水素化処理される。
【0050】
本発明では、第1段階反応器出口バッファータンクの第2ストリームが、生産物の需要に応じてさらに水素化処理される必要があるかどうかが考慮される。例えば、より高い含有量の1,3-ブタジエンが生産物中に必要とされる場合、第2ストリームは供給物として使用され、さらなる水素化なしに安定化カラムに直接供給され得る。生産物中において、ブテン-1が高含量であるが1,3-ブタジエンが低含量であることが必要とされる場合、安定化カラムに供給される前に、第2ストリームをさらに水素化処理する必要がある。
【0051】
安定化塔に供給される前の第2ストリームのさらなる水素処理は、第2ストリームが第2段階反応器への供給物として使用され、第2段階供給物冷却器および第2段階ミキサーを通じて第2段階反応器に供給されて第2段階水素化反応を実施し、次いで第2段階反応器内の反応から得られた第2段階反応ストリームが、第2段階反応器出口バッファータンクを通過し、安定化塔に入ることを含む。
【0052】
第1段階反応器と同様に、第2段階反応器反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第3供給形態または第4供給形態を通じて供給される。第3供給形態では、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて第2段階反応器に供給される。第4供給形態では、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクに供給され、第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて第2段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分が第2段階ミキサーを通じて供給され、次いで第2段階反応器に供給される。
【0053】
第3供給形態では、第2段階反応器によって必要とされる水素ガスが圧力補償を通じて第1段階反応系の圧力を制御し、全ての水素ガスは溶解の方法を通じて液相C4ストリームに入り、第2段階反応器への供給物と共に第2段階反応器に供給される。第4供給形態では、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給される。水素ガスのこの部分は圧力補償によって第1段階反応系の圧力を制御し、同時に溶解の方法によって液相C4ストリームに入り、第2段階反応器への供給物と共に第2段階反応器に供給される。
【0054】
第4供給形態では、第2段階水素化反応に必要な水素ガスに対する、反応に必要な水素ガスの一部の質量比は0.3以上、好ましくは0.5以上であり、第2段階水素化反応に必要な水素ガスは、反応に必要な水素ガスの一部と水素の他の部分との合計である。
【0055】
第4供給形態では、反応に必要な水素ガスの一部の量と、水素ガスの他の部分の量との合計が、第2段階の反応に必要な水素ガスの全ての量と等しい。
【0056】
一実施形態において、ブテン-1を生産するために、アルキン含有テールガスに対して2段階水素化プロセスが使用され得、ここでアルキン含有テールガス中のアルキンおよびジエンは選択的に水素化されて、水素ガスを溶解する方法によってモノオレフィンを生産し、次いで安定化塔によって軽質および重質成分が除去され、高品質のC4生産物を得る。
【0057】
第1段階反応器および第2段階反応器は、それぞれ独立に20~60℃の入口温度を有し、第1段階反応器は10~50h-1の液空間速度を有し、第2段階反応器は1~10h-1の液空間速度を有し、第1段階反応器および第2段階反応器はそれぞれ独立に1.0~4.0MPaGの圧力を有し、これはそれぞれの反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスによって制御される。
【0058】
第1段階反応器および第2段階反応器は両方とも固定床反応器であり、反応器は選択的水素化触媒で満たされる。上述のように、パラジウム含有触媒はそのはるかに高い選択性およびオレフィン収率のために、ブテン-1の生産のために選択される。
【0059】
第1段階選択的水素化反応および第2段階選択的水素化反応は、先行技術における選択的水素化触媒、好ましくはCN102240547に開示されている選択的水素化触媒を使用し得る。触媒の総重量に基づいて、パラジウム含有触媒は好ましくは0.015~2.00重量%のパラジウム、0.005~3.0重量%の促進剤金属、および残部として担体を含み、ここで促進剤金属は、鉛、銀、スズ、マグネシウム、およびカルシウムから選択される少なくとも1つであり、担体は、酸化アルミニウム、酸化チタン、および酸化マグネシウムから選択される少なくとも1つである。
<工程(4)>
C4水素化生産物は安定化塔中での分離後に回収され、C4水素化生産物は1,3-ブタジエンおよびブテン-1を含む。
【0060】
本発明によれば、1,3-ブタジエンを生産するための1段階水素化プロセスを採用する場合、凝縮器、好ましくは2段階凝縮器が安定化塔の上端部で使用され、非凝縮性ガス中に同伴されるC4成分を回収し、1,3-ブタジエンおよびブテン-1の高含有量を有する水素化生産物の液相回収は塔の上端部の還流タンクによって実施され、重質成分は塔ケトルから除去され、触媒活性および寿命に悪影響を及ぼす傾向がある1,3-ブタジエン、ブテン-1および重質成分の含有量が低いC4水素化生産物が、サイドドローとして得られる。サイドドロー生産物は、C4テールガス原料を希釈するために使用され得る。安定化塔のサイドドロー生産物の相状態は、気相または液相である。
【0061】
本発明によれば、ブテン-1を生産するために2段階水素化プロセスを採用する場合、第2段階反応器の出口におけるC4生産物(第2段階反応器における反応によって得られる第2段階反応ストリーム)は第2段階反応器出口バッファータンクに入り、バッファータンクの底部由来のC4ストリームは安定化塔に入る。非凝縮性ガスは、安定化塔の上端部から除去され、塔の上端部では液相が得られず、全還流が採用され、重質成分が塔の底部から除去され、高品質のC4オレフィン生産物がサイドドローとして得られる。
【0062】
安定化塔は、0.4~1.2MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35のサイドドローを回収するための理論段位置を有する。
【0063】
本発明において、液相ブタジエンテールガスが希釈され加圧された後、選択的水素化反応のために貴金属フリー触媒などの触媒が使用され、安定化塔を通じて軽質および重質成分が除去されて、低含有量のアルキンおよび富化された1,3-ブタジエンを有するC4オレフィン生産物が得られ、これは1,3-ブタジエンおよびモノオレフィンのさらなる回収のためにブタジエン抽出ユニットに戻され得る。
【0064】
具体的な実施形態において、本発明は、以下を含むことを特徴とする、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法を提供する:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスは、原料タンクに供給され;
(2)原料タンク内の原料が反応に必要な圧力まで供給ポンプにより加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流され、第1段階ミキサーに供給されて水素ガスと混合され、第1段階反応器に供給されて第1段階水素化反応を受け、反応により得られた第1段階反応ストリームが第1段階出口バッファータンクに供給され;
第1段階反応器に必要な水素ガスは、第1供給形態または第2供給形態を経て供給され:
第1供給形態は、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給されること、を含み;
第2供給形態は、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に供給され;水素ガスの他の部分は第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで第1段階反応器に供給されること、を含み;
(3)第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出物がなく、液相生産物が2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームは安定化塔への供給物として使用され;
(4)第1段階反応器中の反応から得られた第1段階反応ストリームは、第1段階反応器出口バッファータンクを通じて安定化塔に供給され、安定化塔を通じて分離されてC4水素化生産物を回収する。
【0065】
好ましい実施形態では、工程(1)において、アルキン含有テールガスは安定化塔由来のサイドドロー希釈剤C4ストリームで希釈され、好ましくは、希釈剤C4ストリームとアルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1である。
【0066】
好ましい実施形態では、工程(2)において、第2供給形態では、水素化反応に必要な水素ガスに対する、反応に必要な水素ガスの一部の質量比が0.3以上、好ましくは0.5以上であり、水素化反応に必要な水素ガスは、反応に必要な水素ガスの一部と、水素ガスの他の部分との合計である。
【0067】
好ましい実施形態では、工程(1)において、原料タンクは0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し;
工程(2)において、希釈されたC4原料は供給ポンプで1.0~4.0MPaGに加圧され、循環C4ストリームと希釈されたC4原料との質量流量比は5~30:1であり、第1段階反応器は5~60℃の入口温度、1~40h-1の液空間速度を有し、第1段階反応器の圧力は第1段階反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスで制御され、反応圧力は1.0~4.0MPaGであり;
工程(4)において、安定化塔は0.4~1.0MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35のサイドドローを回収するための理論段位置を有する。
【0068】
具体的な実施形態において、本発明は、以下を含むことを特徴とする、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法を提供する:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガスが原料タンクに供給され、原料タンク内のアルキン含有テールガスが、第1段階反応器出口バッファータンク由来の希釈剤C4ストリームで希釈され;
(2)原料タンク内の希釈原料が、反応に必要な圧力まで供給ポンプで加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと混合されて第1段階ミキサーに供給され、水素ガスと混合され、次いで第1段階反応器に供給して第1段階水素化反応を受け、反応で得られた第1段階反応ストリームが第1段階反応器出口バッファータンクに供給され;
第1段階反応器反応に必要な水素ガスは、第1供給形態または第2供給形態を通じて供給され:
第1供給形態は、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に入る、ことを含み;
第2供給形態は、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通って供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に入り;水素ガスの他の部分が第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで第1段階反応器に入る、ことを含み;
(3)第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出がなく、液相生産物が3つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームは第2段階反応器への供給物として使用され、第2段階供給冷却器および第2段階ミキサーを通じて第2段階反応器に供給されて、第2段階水素化反応を実施し;第3ストリームは希釈剤C4ストリームとして使用され、原料タンクに供給され;
第2段階反応器における反応に必要な水素ガスは、第3供給形態または第4供給形態を通じて供給され:
第3供給形態は、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて第2段階反応器に入る、ことを含み;
第4供給形態は、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第2経路を通じて第2段階反応器に入り;水素ガスの他の部分が第2段階ミキサーを通じて供給され、次いで第2段階反応器に入る、ことを含み;
(4)第2段階反応器中の反応から得られた第2段階反応ストリームは、第2段階反応器出口バッファータンクを通じて安定化塔に供給され、安定化塔を通じて分離されてC4オレフィン生産物をサイドドローとして回収する。
【0069】
好ましい実施形態では、工程(2)において、第2供給形態では、第1段階水素化反応に必要な水素ガスに対する、反応に必要な水素ガスの一部の質量比は0.3以上、好ましくは0.5以上であり、水素化反応に必要な水素ガスは、反応に必要な水素ガスの一部と、水素ガスの他の部分との合計である。
【0070】
好ましい実施形態では、工程(3)において、第4供給形態では、第2段階の水素化反応に必要な水素ガスに対する、反応に必要な水素ガスの一部の質量比が0.3以上、好ましくは0.5以上であり、第2段階の水素化反応に必要な水素ガスが、反応に必要な水素ガスの一部と、水素ガスの他の部分との合計である。
【0071】
好ましい実施形態では工程(1)において、原料タンクは0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し、希釈剤C4ストリームとアルキン含有テールガスとの質量流量比は1~5:1であり;
工程(2)において、希釈原料は供給ポンプで1.0~4.0MPaGに加圧され、循環C4ストリームと希釈されたC4原料との質量流量比は5~30:1であり;
工程(4)において、安定化塔は0.6~1.2MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35のサイドドローを回収するための理論段位置を有し;
ここで、第1段階反応器および第2段階反応器はそれぞれ独立に、20~60℃の入口温度を有し、第1段階反応器は10~50h-1の液空間速度を有し、第2段階反応器は1~10h-1の液空間速度を有し、第1段階反応器および第2段階反応器はそれぞれ独立に1.0~4.0MPaGの圧力を有し、これはそれぞれの反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスによって制御される。
【0072】
具体的な実施形態において、本発明は、以下を含むことを特徴とする、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化方法を提供する:
(1)ブタジエンユニット由来の気相アルキン含有テールガスが、ブロワー吸引タンクに供給され、気相アルキン含有テールガスがブロワーで加圧され、液化凝縮器で凝縮液化され、ついでC4収集タンクに供給され、その後昇圧ポンプで加圧され、水洗塔に供給されてアルキン含有テールガスに同伴した不純物が除去され、次いで原料タンクに供給され;
(2)原料タンク内のC4原料が、供給ポンプで反応に必要な圧力まで加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク由来の循環C4ストリームと合流されて第1段階ミキサーに供給され、水素ガスと混合され、第1段階反応器に供給されて水素化反応を受け、反応により得られた第1段階反応ストリームが第1段階反応器出口バッファータンクに供給され;
第1段階反応器における反応に必要な水素ガスは、第1供給形態または第2供給形態を通じて供給され:
第1供給形態は、反応に必要な水素ガスの全てが第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通じて第1段階反応器に入ることを含み;
第2供給形態は、反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンクを通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンクの出口で第1経路を通って第1段階反応器に入り;水素ガスの他の部分が第1段階ミキサーを通じて供給され、次いで第1段階反応器に入ることを含み;
(3)第1段階反応器出口バッファータンク由来の気相排出がなく、液相生産物が2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリームとして第1段階反応器に戻され、第2ストリームは安定化塔への供給物として使用され;
(4)第1段階反応器中の反応から得られた第1段階反応ストリームは、第1段階反応器出口バッファータンクを通じて安定化塔に供給され、安定化塔を通じて分離されてC4水素化生産物を回収する。
【0073】
好ましい実施形態では、工程(1)において、ブロワー吸引タンク中の気相アルキン含有テールガスは、安定化塔由来のサイドドロー気相C4水素化生産物で希釈され;好ましくは、気相C4水素化生産物と気相アルキン含有テールガスとの質量流量比が1~30:1である。
【0074】
好ましい実施形態では、工程(2)において、第2供給形態では、水素化反応に必要な水素ガスに対する、反応に必要な水素ガスの一部の質量比は0.3以上、好ましくは0.5以上であり、水素化反応に必要な水素ガスは、反応に必要な水素ガスの一部と水素ガスの他の部分との合計である。
【0075】
好ましい実施形態では、工程(1)において、ブロワー吸引タンクは0~20KPaの操作圧力を有し;液化凝縮器内の凝縮液化ガスは0~20℃の温度を有し、液化凝縮器は50~100KPaの圧力を有し;水洗塔は0.5~1.0MPaGの操作圧力を有し、C4原料に対する水洗塔内の洗浄水の質量比は1~5:1であり;原料タンクは0.5~1.0MpaGの操作圧力を有し;
工程(2)において、C4原料は供給ポンプにより1.0~4.0MPaGに加圧され;
第1段階反応器は5~60℃の入口温度、10~50h-1の液空間速度を有し;第1段階反応器は1.0~4.0MPaGの反応圧力を有し、これは第1段階反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスにより制御され;
工程(4)において、安定化塔は0.4~1.0MPaGの操作圧力、10~40の理論段数、および5~35でサイドドローを回収するための理論段位置を有する。
【0076】
本発明の別の態様は、本発明のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用される、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置であって、原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、第1段階反応器出口バッファータンク、循環C4冷却器、安定化塔および水素ガス供給パイプラインを備えていることを特徴とし;
原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、および第1段階反応器出口バッファータンクは、順に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは、少なくとも2つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器、第1段階ミキサー、および第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は安定化塔と直接的または間接的に接続されており;
水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプラインに、および任意に第2パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されており;
好ましくは、第1段階反応器は固定床反応器であり;
好ましくは、第1経路は循環ポンプを介して循環C4冷却器に接続されている、装置を提供する。
【0077】
本発明において、原料タンクには、ブタジエン抽出テールガス供給ポートと、希釈剤C4ポートと、が備えられる。
【0078】
一実施形態において、原料タンクの希釈剤C4ポートは、安定化塔の出口に接続され得、好ましくは安定化塔の出口は、希釈剤C4ポンプおよび/または希釈剤C4冷却器を通じて、希釈剤C4ポートに接続されている。
【0079】
一実施形態において、原料タンクの希釈剤C4ポートは、第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインに接続され得、好ましくは、原料タンクの希釈剤C4ポートと第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインとの間に、希釈剤C4冷却器がさらに設けられている。
【0080】
一実施形態において、安定化塔の頂部出口は、塔頂凝縮器、還流タンク、および還流ポンプと順に接続されており、還流ポンプの出口は、安定化塔の入口に接続されている。
【0081】
一実施形態において、安定化塔の頂部出口は、塔頂凝縮器、還流タンク、および還流ポンプと順に接続されており、還流タンクの出口はテールガス凝縮器に接続されており、テールガス凝縮器の出口は還流タンクの入口に接続されており、還流タンクの別の出口は還流ポンプを通じて安定化塔の入口に接続されている。
【0082】
本発明によれば、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化装置は、順に接続されたブロワー吸引タンク、ブロワー、液化凝縮器、C4収集タンク、昇圧ポンプおよび水洗塔をさらに含み得、水洗塔のC4原料出口は原料タンクに連結される。
【0083】
一実施形態において、安定化塔の出口は、ブロワー吸引タンクの希釈剤C4ポートに接続されている。
【0084】
一実施形態において、水洗塔は、頂部に洗浄水入口およびC4原料出口が設けられており、底部に液化C4原料入口および洗浄水出口を設けられており、昇圧ポンプは液化C4原料入口に接続されている。
【0085】
本発明によれば、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化装置は、順に接続された第2段階供給冷却器、第2段階ミキサー、第2段階反応器および第2段階反応器出口バッファータンクをさらに含み得、第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインの第2経路は第2段階供給冷却器に接続されており、第2段階反応器出口バッファータンクは安定化塔に接続されており;好ましくは、第2経路は循環ポンプを通じて第2段階供給冷却器に接続されており;好ましくは、第2段階反応器は固定床反応器である。
【0086】
一実施形態において、水素ガス供給パイプラインは、少なくとも第1パイプライン、任意に第2パイプライン、および第3パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されており、第3パイプラインは第2段階ミキサーに接続されており;好ましくは、水素ガス供給パイプラインが、第2段階反応器出口バッファータンクに接続された圧力補償パイプラインをさらに含み得る。
【0087】
一実施形態において、第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは2つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器、第1段階ミキサー、および第1段階反応器と順に接続され、第2経路は安定化塔と直接接続されている。
【0088】
一実施形態において、第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは3つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器、第1段階ミキサーおよび第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は第2段階供給冷却器に接続されており、第3経路は原料タンクの希釈剤C4ポートに接続されており;水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプライン、任意に第2パイプライン、および第3パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されており、第3パイプラインは第2段階ミキサーに接続されている。
【0089】
具体的な実施形態において、本発明は、本発明のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用される、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置であって、原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、第1段階反応器出口バッファータンク、循環C4冷却器、安定化塔および水素ガス供給パイプラインを備えていることを特徴とし;
原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器および第1段階反応器出口バッファータンクは、順に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは2つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器、第1段階ミキサー、および第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は安定化塔に接続されており;
水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプラインに、および任意に第2パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されている、装置を提供する。
【0090】
好ましい実施形態では、安定化塔の出口は、原料タンクの希釈剤C4ポートに接続されている。
【0091】
好ましい実施形態では、安定化塔の出口、希釈剤C4ポンプ、希釈剤C4冷却器、および原料タンクの希釈剤C4ポートは、順に接続されている。
【0092】
好ましい実施形態では、反応器出口バッファータンクの出口パイプラインの第1経路は、循環ポンプを介して循環C4冷却器に接続されている。
【0093】
具体的な実施形態において、本発明は、本発明のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用される、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置であって、原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、第1段階反応器出口バッファータンク、循環C4冷却器、第2段階供給冷却器、第2段階ミキサー、第2段階反応器、第2段階反応器出口バッファータンク、安定化塔および水素ガス供給パイプラインを備えていることを特徴とし;
原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器および第1段階反応器出口バッファータンクは、順に接続されており;
第2段階供給冷却器、第2段階ミキサー、第2段階反応器、第2段階反応器出口バッファータンクおよび安定化塔は、順に接続されており;
原料タンクには、ブタジエン抽出テールガス入口および希釈剤C4ポートが備えられ;
第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは3つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器、第1段階ミキサーおよび第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は第2段階供給冷却器に接続されており、第3経路は原料タンクの希釈剤C4ポートに接続されており;
水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプライン、任意に第2パイプライン、および第3パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されており、第3パイプラインは第2段階ミキサーに接続されている、装置を提供する。
【0094】
好ましい実施形態では、第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインの第1経路は、循環ポンプを通じて循環C4冷却器に接続されており;第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインの第2経路は、循環ポンプを通じて第2段階供給冷却器に接続されている。
【0095】
好ましい実施形態では、第1段階反応器出口バッファータンクの出口と原材料タンクの希釈剤C4ポートとの間に、希釈剤C4冷却器がさらに設けられている。
【0096】
好ましい実施形態では、水素ガス供給パイプラインは、第2段階反応器出口バッファータンクに接続された圧力補償パイプラインをさらに含む。
【0097】
具体的な実施形態において、本発明は、本発明のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用される、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置であって、ブロワー吸引タンク、ブロワー、液化凝縮器、C4収集タンク、昇圧ポンプ、水洗塔、原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、第1段階反応器出口バッファータンク、循環C4冷却器、安定化塔および水素ガス供給パイプラインを含むことを特徴とし;
ブロワー吸引タンク、ブロワー、液化凝縮器、C4収集タンク、昇圧ポンプ、水洗塔は、順に接続されており;
水洗塔のC4原料出口、原料タンク、供給ポンプ、コアレッサー、第1段階ミキサー、第1段階反応器、および第1段階反応器出口バッファータンクは、順に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインは2つの経路に分割されており、第1経路は循環冷却器、第1段階ミキサー、および第1段階反応器と順に接続されており、第2経路は安定化塔に接続されており;
水素ガス供給パイプラインは少なくとも第1パイプラインに、および任意に第2パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンクに接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサーに接続されている、装置を提供する。
【0098】
好ましい実施形態では、安定化塔の出口はブロワー吸引タンクの希釈剤C4ポートに接続されている。
【0099】
好ましい実施形態では、水洗塔は、頂部に洗浄水入口およびC4原料出口が設けられており、底部に液化C4原料入口および洗浄水出口が設けられており、昇圧ポンプは液化C4原料入口に接続されている。
【0100】
好ましい実施形態では、第1段階反応器出口バッファータンクの出口パイプラインの第1経路は、循環ポンプを通じて循環冷却器に接続されている。
【実施例
【0101】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
<実施例1>
図1に示されるように、この実施例は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置を提供し、装置は、原料タンク11、供給ポンプ12、コアレッサー13、第1段階ミキサー14、第1段階反応器15、第1段階反応器出口バッファータンク16、循環ポンプ17、循環C4冷却器18、希釈剤C4冷却器19、安定化塔110、塔頂凝縮器111、還流タンク112、還流ポンプ113、テールガス凝縮器114、希釈剤C4ポンプ115および水素ガス供給パイプライン116を含み;
ここで、原料タンク11には、ブタジエン抽出テールガス入口および希釈剤C4ポートが備えられ、ならびに原料タンク11の底部、供給ポンプ12、コアレッサー13、第1段階ミキサー14、第1段階反応器15、および第1段階反応器出口バッファータンク16が、順に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンク16の出口パイプラインは2つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器18、第1段階ミキサー14、および第1段階反応器15と順に接続されており、第2経路は安定化塔110に接続されており、第1段階反応器出口バッファータンク16の出口パイプラインの第1経路は、循環ポンプ17を通じて循環C4冷却器18に接続されており;
水素ガス供給パイプライン116は少なくとも第1パイプラインに、および任意に第2パイプラインに分割されており、ここで、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンク16の頂部入口に接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサー14に接続されており;
安定化塔110、希釈剤C4ポンプ115、希釈剤C4冷却器19および原料タンク11の希釈剤C4ポートの出口が順に接続されており;安定化塔110の頂部出口は、塔頂凝縮器111、および還流タンク112と順に接続されており;還流タンク112の出口は、テールガス凝縮器114に接続されており、テールガス凝縮器114の出口は、還流タンク112の入口に接続されており;還流タンク112の他の出口は、還流ポンプ113に接続されており;還流ポンプ113の出口は、安定化塔110の入口に接続されており;
水素化反応器15は、固定床反応器であった。
【0102】
本実施例のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用され、選択的水素化方法は、以下を含んでいた:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス1101(アルキン含有テールガスの総重量に基づき、アルキン含有テールガスの主成分は、ブテン58.69%、ブタジエン10.35%、エチルアセチレン17.65%、およびビニルアセチレン4.00%であり、2.05%がC5以上、0.02%が水である)が原料タンク11に供給され、原料タンク中のアルキン含有テールガスが、安定化塔110のサイドドロー由来の冷却希釈剤C4 1102で希釈され;ここで、アルキン含有テールガス1101は1825kg/hの流量および0.8MPaGの圧力を有し;希釈後、原料タンク11内において、希釈剤C4 1102は500kg/hの流量を有し、液相ビニルアセチレン含有量は5.32%であり、気相中のビニルアセチレン含有量は4.75%であった。
【0103】
(2)原料タンク11内の希釈原料は、供給ポンプで2.7MPaGに加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク16由来の循環C4ストリーム1109と合流され、第1段階ミキサー14に供給され、ここでそれは水素ガスと混合され(すなわち、水素化反応器原料1107が得られ)、水素化反応のために第1段階反応器15に供給され、反応により得られた第1段階反応ストリーム(水素化反応器生産物1108)が第1段階反応器出口バッファータンク16に供給され;循環C4ストリーム1109は45000kg/hの流量を有し、混合C4供給物は46825kg/hの流量、および20℃の温度を有していた。
【0104】
第1段階反応器15における反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第1供給形態を通じて供給された;
第1供給形態は以下を含む:反応に必要な水素ガスの全てが、第1段階反応器出口バッファータンク16を通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク16の出口で第1経路を通じて第1段階反応器15に供給され;ここで、反応系の圧力は圧力補償を通じて第1段階反応器15における反応に必要な水素ガスによって制御され、圧力は2.3MPaGであり;水素ガスは溶解の方法を通じて液相C4ストリームに供給され、次いで反応器の循環C4ストリーム1109と共に水素化反応器に供給され、循環C4ストリーム1109は45000kg/hの流量を有し、そこに溶解した水素ガスは34.0kg/hの流量を有し、水素ガスはもはや第1段階反応器15の入口に備えられた第1段階ミキサー14に供給されず、反応液相は15h-1の全空間速度を有し;第1段階反応器15は20℃の入口温度を有していた;
(3)第1段階反応器出口バッファータンク16は気相排出物を有さず、液相生産物は2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリーム1109として水素化反応器に戻され、第2ストリームは安定化塔供給物1112として使用され;安定化塔供給物1112は6853kg/hの流量を有していた;
(4)第1段階反応器15における反応から得られた第1段階反応ストリーム(第1段階反応器生産物1108)は、第1段階反応器出口バッファータンク16を通じて安定化塔110に供給され、安定化塔110によって分離されてC4水素化生産物1118を生産し;ここで、安定化塔110は、塔頂部由来の非凝縮性ガス1116を除去し、塔ケトル由来の重質成分1117を除去し、塔頂部由来の1,3-ブタジエンおよびモノオレフィンに富む液相C4水素化生産物1118を生産し、ならびに原料を希釈するために使用される希釈剤C4ストリーム1102をサイドドローとして、5000kg/hの流量で回収するのに使用された。安定化塔110は、30の理論段数、0.5MPaGの操作圧力、56.7℃の塔頂温度、100.2℃の塔ケトル温度、5600kg/hの還流(安定化塔還流1115)流量、25のサイドドローを回収するための理論段位置を有していた。
【0105】
メインストリームの結果を表1に示した。
【0106】
実施例1および2で使用された触媒については以下の通りである:触媒の総重量に基づき、触媒は以下の成分で構成された:7重量%の含有量の銅、0.3重量%の含有量のイリジウム、2重量%の含有量のリン、3重量%の含有量のニッケル、および残部としての担体であり、担体はチタニア-アルミナ複合酸化物であった。
【0107】
【表1】
【0108】
表1から、生産物中の1,3-ブタジエンの含有量は原料中の含有量よりも約10%高く、アルキンの含有量は0.5%未満であり、アルキンの総変換率は97%より高く、ブタジエン抽出ユニットの原料要件を満たすことができたことが分かる。
<実施例2>
図1に示すように、本実施例は、実施例1と比較して、以下の相違点を有していた:
工程(2)において、第1段階反応器15における反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第2供給形態を通じて供給された;第2供給形態は以下を含む:反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンク16を通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク16の出口の第1経路を通じて第1段階反応器15に供給され;水素ガスの他の部分が第1段階ミキサー14を通じて供給され、次いで第1段階反応器15に流入され;ここで、水素ガスの大部分は第1段階反応器出口バッファータンク16を通じて供給され、水素ガスのこの部分は圧力補償を通じて反応系の圧力を制御し、同時に溶解の方法を通じて液相C4ストリームに流入し、反応器の循環C4ストリーム1109と共に第1段階反応器に供給され、循環C4ストリーム1109は32000kg/hの流量を有し、溶存水素ガスは20.0kg/hの流量を有し;第1段階反応器15の入口に備えられた第1段階ミキサー14に少量の水素ガスを供給し、17.0kg/hの流量を有していた。
【0109】
メインストリームの結果を表2に示した。
【0110】
【表2】
【0111】
表2から、生産物中の1,3-ブタジエンの含有量は原料中の含有量よりも約7.8%高く、アルキンの含有量は0.5%未満であり、アルキンの総変換率は97%より高く、ブタジエン抽出ユニットの原料要件を満たすことができたことが分かる。実施例1と比較すると、本実施例では、溶解の方法を通じて水素ガスが完全に反応器に供給されなかったため、実施例1よりも水素ガスの配分がわずかに悪く、水素化反応により1,3-ブタジエンの一部が消費され、原料に比べて生産物中の1,3-ブタジエンの含有量の増加値が減少した。
<実施例3>
図2に示されるように、この実施例は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置を提供し、装置は、原料タンク21、供給ポンプ22、コアレッサー23、第1段階ミキサー24、第1段階反応器25、第1段階反応器出口バッファータンク26、循環C4冷却器28、循環ポンプ27、希釈剤C4冷却器29、第2段階供給冷却器210、第2段階ミキサー211、第2段階反応器212、第2段階反応器出口バッファータンク213、安定化塔214、塔頂凝縮器215、還流タンク216、還流ポンプ217、水素ガス供給パイプライン218を含み;
ここで、原料タンク21の底部、供給ポンプ22、コアレッサー23、第1段階ミキサー24、第1段階反応器25および第1段階反応器出口バッファータンク26は、順に接続されており;
第2段階供給冷却器210、第2段階ミキサー211、第2段階反応器212、第2段階反応器出口バッファータンク213および安定化塔214は、順に接続されており;
原料タンク21には、ブタジエン抽出テールガス入口および希釈剤C4ポートが備えられ;
第1段階反応器出口バッファータンク26の出口パイプラインは3つの経路に分割されており、第1経路は循環C4冷却器28、第1段階ミキサー27、および第1段階反応器25と順に接続されており、第2経路は第2段階供給冷却器210に接続されており、第3経路は原料タンク21の希釈剤C4 2102ポートに接続されており;
水素ガス供給パイプライン218は少なくとも第1パイプライン、任意に第2パイプライン、および第3パイプラインに分割されており、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンク26に接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサー24に接続されており、第3パイプラインは第2段階ミキサー211に接続されており、水素ガス供給パイプラインは第2段階反応器出口バッファータンク213に接続された圧力補償パイプラインも含む。
【0112】
ここで、第1段階反応器出口バッファータンク26の出口パイプラインの第1経路は、循環ポンプ27を通じて循環C4冷却器28に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンク26の出口パイプラインの第2経路は、循環ポンプ27を通じて第2段階供給冷却器210に接続されていた。
【0113】
第1段階反応器出口バッファータンク26の出口と原料タンク21の希釈剤C4ポートとの間には、希釈剤C4冷却器29も設けられている。
【0114】
ここで、安定化塔214の頂部出口は頂部凝縮器215、還流タンク216および還流ポンプ217と順に接続されており、還流ポンプ217の出口は安定化塔214の入口に接続されていた。
【0115】
ここで、第1段階反応器25および第2段階反応器212は、いずれも固定床反応器であった。
【0116】
本実施例のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用され、選択的水素化方法は以下の工程を含んでいた:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス2101(アルキン含有テールガスの総重量に基づき、アルキン含有テールガスの主成分は、ブテン58.69%、ブタジエン10.35%、エチルアセチレン17.65%、およびビニルアセチレン4.00%であり、2.05%がC5以上、0.02%が水である)が原料タンク21に供給され、原料タンク21内のアルキン含有テールガス2101は、第1段階反応器出口バッファータンク26由来の希釈剤C4ストリーム2102で希釈され;アルキン含有テールガス2101は1825kg/hの流量を有し、原料タンク21は0.5MPaGの操作圧力を有し、希釈剤C4ストリーム2102は3000kg/hの流量を有し;希釈後、原料タンク内において、液相ビニルアセチレンの含有量は6.85%であり、気相中のビニルアセチレン含有量は3.18%であった。
【0117】
(2)原料タンク21内の希釈原料は、供給ポンプ22で2.7MPaGに加圧され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク26由来の循環C4ストリーム2109と混合され、次いで第1段階ミキサー24に供給され、ここで水素ガスと混合され(すなわち、第1段階反応器原料2107が得られ)、第1段階反応器25に供給されて第1段階水素化反応を実施し、反応で得られた第1段階反応ストリーム(第1段階反応器生産物2108)が第1段階反応器出口バッファータンク26に供給され、循環C4ストリーム2109は85000kg/hの流量を有し、混合C4供給物は89759kg/hの流量を有し、温度は35℃であった。
【0118】
第1段階反応器25における反応に必要な水素ガスは、第1供給形態に割り当てられて供給された;第1供給形態は以下を含んでいた:反応に必要な水素ガスの全てが、第1段階反応器出口バッファータンク26を通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク26の出口の第1経路を通じて第1段階反応器25に供給され、ここで第1段階反応器25における反応に必要な水素ガスは、圧力補償および圧力を通じて反応システムの圧力を制御し、その圧力は2.2MPaGであり、水素ガスは溶解の方法によって液相C4ストリームに入り、第1段階反応器25の循環C4ストリーム2109と共に第1段階反応器25に供給され、循環C4ストリーム2109は85000kg/hの流量を有し、その中に溶解された水素ガスは48.2kg/hの流量を有し、水素ガスはもはや第1段階ミキサー24に供給されなかった。
【0119】
(3)第1段階反応器出口バッファータンク26は気相排出を有さず、液相生産物は3つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリーム2109として使用され、第1段階反応器25に戻され、第2ストリームは第2段階反応器供給物として使用され、第2段階供給冷却器210および第2段階ミキサー211を通じて第2段階反応器212に供給されて第2段階水素化反応を実施し、第3ストリームは希釈剤C4ストリーム2102として使用され、原料タンク21に供給され;ここで、第2段階反応器供給物として使用される第2ストリーム(第2段階反応器原料2115)は1807kg/hの流量および35℃の温度を有していた。
【0120】
第2段階反応器212における反応に必要な水素ガスは、第3供給形態に割り当てられて供給された;第3供給形態は以下を含んでいた:反応に必要な水素ガスの全てが、第1段階反応器出口バッファータンク26を通って供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク26の出口の第2経路を通って第2段階反応器212に供給され、溶解の方法によって供給された水素ガスのこの部分は、1.8kg/hの流量を有していた;第2段階反応器の入口に備えられた第2段階ミキサーは、もはや水素ガスを備えていなかった。
【0121】
(4)第2段階反応器212における反応によって得られた第2段階反応ストリーム(第2段階反応器生産物116)は、第2段階反応器出口バッファータンク213を通じて安定化塔214に供給され、安定化塔214によって分離されて、C4オレフィン生産物2122をサイドドローとして回収し;ここで、第2段階反応器における反応によって得られた第2段階反応ストリームは、第2段階反応器出口バッファータンクに供給され、圧力は2.2MPaGに制御され、第2段階反応器出口バッファータンクの底部のC4ストリームは安定化塔に供給され、安定化塔の塔頂由来の非凝縮性ガス2121を除去し、塔ケトル由来の重質成分2123を除去し、サイドドローとして高品質のC4オレフィン生産物2122を得、C4オレフィン生産物2122は1710kg/hの流速を有していた。安定化塔214は、20の理論段数、71.5℃の塔頂温度、126℃の塔ケトル温度、2500kg/hの還流(安定化塔還流2120)の流量を有していた。安定塔214は、0.85MPaGの操作圧力を有していた。
【0122】
ここで、第1段階反応器25および第2段階反応器212は、それぞれ独立に40℃の入口温度を有し、第1段階反応器は20h-1の液空間速度を有し、第2段階反応器は3h-1の液空間速度を有し;第1段階反応器25および第2段階反応器212は、それぞれ独立に、反応器出口バッファータンクの圧力補償水素ガスによって制御される2.20MPaGの圧力を有していた。
【0123】
メインストリームの結果を表3に示した。
【0124】
実施例3および4で使用された触媒については以下の通りである:触媒の総重量に基づき、触媒は以下の成分で構成された:0.3重量%の含有量のPd、0.3重量%の含有量の金属銀、および残部としての担体であり、担体はアルミナであった。
【0125】
実施例3および4におけるオレフィン収率の算出方法は、下記式1に従って行った:
【0126】
【数1】
【0127】
式1において:
ブテンとしては、ブテン-1、シス-2-ブテン、トランス-2-ブテンおよびイソブテンが挙げられる;
ブタジエンとしては、1,3-ブタジエンおよび1,2-ブタジエンが挙げられる;
アルキンとしては、エチルアセチレンおよびビニルアセチレンが挙げられる;
第2段階反応器出口におけるブテンの含有量(モル%):第2段階反応器の出口組成から水素ガスおよびメタンの含有量を差し引いた後の、ブテン-1、シス-2-ブテン、トランス-2-ブテンおよびイソブテンの正規化されたモル%含有量の合計。
【0128】
【表3】
【0129】
表3から、生産物中のアルキンの含有量は5ppm未満であり、ジエンの含有量は30ppm未満であることがわかる。第2段階反応器の出口組成に基づいて、選択的水素化反応のオレフィン収率は99.5%に達した。
<実施例4>
図2に示されるように、実施例3と比較して、この実施例は、以下の差異を有していた:
工程(2)において、第1段階反応器25における反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第2供給形態を通じて供給された;第2供給形態は、以下を含む:反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンク26を通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク26の第1経路を通じて第1段階反応器25に供給され;水素ガスの他の部分が第1段階ミキサー24を通じて供給され、次いで第1段階反応器25に供給され;ここで、水素ガスの大部分は第1段階反応器出口バッファータンク26を通じて供給され、水素ガスのこの部分は圧力補償を通じて反応系の圧力を制御し、同時に、溶解の方法によって液相C4ストリームに入り、第1段階反応器25の循環C4ストリーム2109を反応器に供給され、循環C4ストリーム2109は52000kg/hの流量を有し、そこに溶存する水素ガスは29.0kg/hの流量を有し;少量の水素ガスが、第1段階反応器25の入口に備えられた第1段階ミキサー24を通じて供給され、23.0kg/hの流量を有していた。
【0130】
工程(3)において、第2段階反応器212での反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第4供給形態を通じて供給された;第4供給形態は以下を含む:反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンク26を通じて供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク26の出口の第2経路を通じて第2段階反応器212に供給され、溶解の方法によって供給された水素ガスは1.8kg/hの流量を有しており;水素ガスの他の部分は第2段階ミキサー211を通じて供給され、次いで第2段階反応器212に供給され;ここで、第2段階反応器212の入口で第2段階ミキサー211を通じて供給された水素ガスは1.5kg/hの流量を有していた。
【0131】
メインストリームの結果を表4に示した。
【0132】
【表4】
【0133】
表4から、生産物中のアルキンおよびジエンの含有量は30ppm未満であり、オレフィン収率は、第2段階反応器の出口組成に基づいて93.0%に達したことが分かる。この実施例では、水素ガスが溶解の方法を通じて反応器に完全に供給されなかったので、水素ガスの均一な配分は実施例3よりもわずかに悪く、これにより、いくつかのモノオレフィンが水素ガスと共に連続的に水素化反応を受けてアルカンを形成し、オレフィンの選択性のわずかな低下をもたらした。
<実施例5>
図3に示すように、本実施例はブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置を提示し、装置はブロワー吸引タンク31、ブロワー32、液化凝縮器33、C4収集タンク34、昇圧ポンプ35、水洗塔36、原料タンク37、供給ポンプ38、コアレッサー39、第1段階ミキサー310、第1段階反応器311、第1段階反応器出口バッファータンク312、循環ポンプ313、循環冷却器314、安定化塔315、水素ガス供給パイプライン320、塔頂凝縮器316、還流タンク317、還流ポンプ318およびテールガス凝縮器319を含み;
ここで、ブロワー吸引タンク31、ブロワー32、液化凝縮器33、C4収集タンク34、昇圧ポンプ35および水洗塔36は順に接続されており;ブロワー吸引タンク31には、ブタジエン抽出テールガス入口および希釈剤C4ポートが備えられ;
水洗塔36、原料タンク37、供給ポンプ38、コアレッサー39、第1段階ミキサー310、第1段階反応器311および第1段階反応器出口バッファータンク312のC4原料出口は順に接続されており;ここで、水洗塔36は頂部に洗浄水入口およびC4原料出口が設けられており、底部に液化C4原料入口および洗浄水出口が設けられており、昇圧ポンプ35は液化C4原料入口に接続されており;
第1段階反応器出口バッファータンク312の出口パイプラインは2つの経路に分割されており、ここで、第1経路は循環冷却器314、ミキサー310、および水素化反応器11と順に接続されており、第2経路は安定化塔315に接続されており、ここで、第1段階反応器出口バッファータンク312の出口パイプラインの第1経路は循環ポンプ313を通じて循環冷却器314に接続されており;
水素ガス供給パイプライン320は少なくとも第1パイプライン、および任意に第2パイプラインに分割されており、ここで、第1パイプラインは第1段階反応器出口バッファータンク312に接続されており、第2パイプラインは第1段階ミキサー310に接続されており;
ここで、安定化塔315の出口は、ブロワー吸引タンク31の希釈剤C4ポートに接続されていた。
【0134】
ここで、安定化塔315の頂部出口は塔頂凝縮器316および還流タンク317と順に接続されており;還流タンク317の出口はテールガス凝縮器319に接続されており、テールガス凝縮器319の出口は還流タンク317の入口に接続されており、還流タンク317の別の出口は還流ポンプ318に接続されており、還流ポンプ318の出口は安定化塔315の入口に接続されていた。
【0135】
ここで、第1段階反応器311は固定床反応器であった。
【0136】
本実施例のブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための装置は、ブタジエン抽出テールガスの選択的水素化のための方法を実施するために使用され、選択的水素化方法は以下を含んでいた:
(1)ブタジエン抽出ユニット由来のアルキン含有テールガス3101(アルキン含有テールガスの総重量に基づき、アルキン含有テールガスの主成分は、ブテン58.69%、ブタジエン10.35%、エチルアセチレン17.65%、およびビニルアセチレン4.00%であり、2.05%がC5以上、0.02%が水である)が1825kg/hの流量および10Kpaの圧力を有し、テールガスがブロワー吸引タンク31に入る前に、それは安定化塔からサイドドローとして生産される気相C4生産物(すなわち、希釈剤C4ストリーム3119)で希釈され、希釈剤C4ストリーム3119は5000kg/hの流量を有していた。テールガスは、ブロワー吸引タンク31に供給され、ブロワー32により気相が80KPaに加圧され、冷却剤を用いて液化凝縮器33によりC4原料が5℃に冷却され、次いで液化され、次いでC4収集タンク34に供給された後、昇圧ポンプ35により加圧されて水洗塔36の底部から水洗塔36に供給されてブタジエンテールガスに同伴した不純物が除去され、次いで水洗塔36の頂部を通じて原料タンク37に供給された。水洗塔36は0.7MPaGの操作圧力、40℃の洗浄水温度、8000kg/hの流量を有し;原料タンクは0.65MPaGの圧力を有していた。
【0137】
(2)原料タンク37内のC4原料が、供給ポンプ38で2.7MPaGに加圧され(C4供給物3105を得)、次いで第1段階反応器出口バッファータンク312由来の循環C4ストリーム3109と合流され、次いで第1段階ミキサー310に供給され、ここでそれは水素ガスと混合され(すなわち、反応器原料3107を得)、次いで水素化反応のために第1段階反応器311に供給され、反応によって得られた第1段階反応ストリーム(第1段階反応器生産物3108)が第1段階反応器出口バッファータンク312に供給され;ここで、循環C4ストリーム3109は45000kg/hの流量を有し、混合C4供給物は51826kg/hの流量を有し、第1段階反応器は20℃の入口温度、20h-1の液空間速度を有していた。
【0138】
第1段階反応器311における反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第1供給形態を通じて供給された;第1供給形態は以下を含む:反応に必要な水素ガスの全てが反応器出口バッファータンク312を通じて供給され、次いで反応器出口バッファータンク312の出口の第1経路を通って第1段階反応器311に供給され;ここで、第1段階反応器311における反応に必要な水素ガスは圧力補償を通じて反応系の圧力を制御し、圧力は2.3MPaGであり、水素ガスは溶解の方法によって液相C4ストリームに供給され、反応器の循環C4ストリーム3109が第1段階反応器311に供給され、循環C4ストリーム3109は45000kg/hの流量を有し、そこに溶解された水素ガスは34.0kg/hの流量を有し、第1段階反応器311の入口に備えられた第1段階ミキサー310は、もはや水素ガスを備えていなかった。
【0139】
(3)第1段階反応器出口バッファータンク312は気相排出物を有さず、液相生産物を2つのストリームに分割され、ここで第1ストリームは循環C4ストリーム3109として使用され、水素化反応器311に戻され、第2ストリームは安定化塔315への供給物3112として使用され、6853kg/hの流量および35℃の温度を有していた。
【0140】
(4)第1段階反応器311における反応によって得られた第1段階反応ストリーム(第1段階反応器生産物3108)は、第1段階反応器出口バッファータンク312を通じて安定化塔315に供給され、安定化塔315によって分離されてC4水素化生産物3118を生成し;ここで、安定化塔315は、塔頂部由来の非凝縮性ガス3116を除去し、塔ケトル由来の重質成分3117を除去し、塔頂部由来の1,3-ブタジエンおよびモノオレフィンに富む液相C4水素化生産物3118を回収し、ならびに原料を希釈するために使用される気相希釈剤C4ストリーム3119をサイドドローとして、5000kg/hの流量で回収するのに使用された。安定化塔15は、30の理論段数、25番めの理論段におけるサイドドロー位置、0.5MPaGの操作圧力、56.7℃の塔頂温度、100.2℃の塔ケトル温度、5600kg/hの還流(安定化塔還流3115)流量を有していた。
【0141】
メインストリームの結果を表5に示した。
【0142】
実施例5および6で使用された触媒については以下の通りである:触媒の総重量に基づき、触媒は以下の成分で構成された:0.3重量%の含有量のPd、0.3重量%の含有量の銀金属、および残部としての担体;担体はアルミナであった。
【0143】
【表5】
【0144】
表5から、生産物中の1,3-ブタジエンの含有量は原料中の含有量よりも約13%高く、アルキンの含有量は0.5%未満であり、アルキンの総変換率は97%より高く、ブタジエン抽出ユニットの原料要件を満たすことができたことが分かる。
<実施例6>
図3に示されるように、実施例5と比較して、この実施例は、以下の差異を有していた:
工程(2)では、第1段階反応器311での反応に必要な水素ガスが割り当てられ、第2供給形態を通じて供給された;第2供給形態は以下を含む:反応に必要な水素ガスの一部が第1段階反応器出口バッファータンク312に供給され、次いで第1段階反応器出口バッファータンク312の出口で第1経路を通じて第1段階反応器311に供給され;水素ガスの他の部分が第1段階ミキサー310に供給され、次いで第1段階反応器311に供給され;ここで、水素ガスの大部分が第1段階反応器出口バッファータンク312を通じて割り当てられ、水素ガスのこの部分が圧力補償を通じて反応系の圧力を制御し、同時に溶解の方法を通じて液相C4ストリームに入り、反応器の循環C4ストリーム3109に沿って第1段階反応器に入り、循環C4ストリーム3109は32000kg/hの流量を有し、そこに溶解した水素ガスは20.0kg/hの流量を有し;少量の水素ガスが第1段階反応器311の入口に備えられた第1段階ミキサー310を通じて供給され、15.5kg/hの流量を有していた。
【0145】
メインストリームの結果を表6に示した。
【0146】
【表6】
【0147】
表6から、生産物中の1,3-ブタジエンの含有量は原料中の含有量よりも約11%高く、アルキンの含有量は0.5%未満であり、アルキンの総変換率は97%より高く、ブタジエン抽出ユニットの原料要件を満たすことができたことが分かる。実施例5と比較すると、本実施例では、溶解途中で完全に水素ガスが反応器に供給されなかったため、実施例5よりも水素ガスの均一な配分がわずかに悪く、1,3-ブタジエンの一部が水素化反応を受けて消費され、その結果、原料と比較して生産物中の1,3-ブタジエンの含有量の増加値が減少した。
【0148】
以上、本発明の種々の実施形態を例示的に説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。記載された実施例の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変更が当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】