(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-06
(54)【発明の名称】バナメイエビのビブリオ抵抗性関連EST‐STRマーカーおよびその特異のプライマー並びに検出方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20231027BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20231027BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20231027BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/09 Z ZNA
C12Q1/686 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548987
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2021094239
(87)【国際公開番号】W WO2022068215
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202110405484.8
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511282070
【氏名又は名称】中国科学院南海海洋研究所
(71)【出願人】
【識別番号】523153979
【氏名又は名称】広東金陽生物技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 艶紅
(72)【発明者】
【氏名】胡 超群
(72)【発明者】
【氏名】羅 鵬
(72)【発明者】
【氏名】李 卓波
(72)【発明者】
【氏名】李 活
(72)【発明者】
【氏名】任 春華
(72)【発明者】
【氏名】江 暁
(72)【発明者】
【氏名】陳 廷
(72)【発明者】
【氏名】劉 錦上
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA06
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、バナメイエビのビブリオ抵抗性関連EST‐STRマーカーおよびその特異的プライマー並びに検出方法を開示する。本発明は、構築したトランスクリプトームライブラリーを用いて,Lv‐Vp001、Lv‐Vp011、Lv‐Vp012、Lv‐Vp023、Lv‐Vp029およびLv‐Vp041とそれぞれ番号付けた6種類の高多型性バナメイエビEST‐STRマーカーを開発して取得し、その特異的プライマーをそれぞれ設計する。本発明のバナメイエビEST‐SSRマーカーおよびプライマーは、バナメイエビ遺伝的多様性の研究および優良品種の育種の支援に使用することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バナメイエビEST‐STRマーカーであって、前記EST‐STRマーカー番号がLv‐Vp001、Lv‐Vp011、Lv‐Vp012、Lv‐Vp023、Lv‐Vp029およびLv‐Vp041であり、
前記Lv‐Vp001のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.1に示され、
前記Lv‐Vp011のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.2に示され、
前記Lv‐Vp012のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.3に示され、
前記Lv‐Vp023のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.4に示され、
前記Lv‐Vp029のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.5に示され、
前記Lv‐Vp041のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.6に示される、ことを特徴とするバナメイエビEST‐STRマーカー。
【請求項2】
請求項1に記載のバナメイエビEST‐STRマーカーの増幅プライマーであって、前記増幅プライマーは、以下を含み、
Lv‐Vp001遺伝子座の場合:
Lv‐Vp001‐F:5’‐ACTGGAGGATCCTGAGAGATAGC‐3’、
Lv‐Vp001‐R:5’‐ GCTTCGTTCTCTCACTCTTCTCTT‐3’、
Lv‐Vp011遺伝子座の場合:
Lv‐Vp011‐F:5’‐ AAGGATTTCTCTTACACGAACCC‐3’、
Lv‐Vp011‐R:5’‐ ACCAAAAAGAAAAACAGAATGGC‐3’、
Lv‐Vp012遺伝子座の場合:
Lv‐Vp012‐F:5’‐ AATCTACAGGACTCGAATGCACA‐3’、
Lv‐Vp012‐R:5’‐ CTTTTGTCCTCCACTTTACATGC‐3’、
Lv‐Vp23遺伝子座の場合:
Lv‐Vp23‐F:5’‐ CGAGAGAAAGAGGGAGAAAAAGA‐3’、
Lv‐Vp23‐R:5’‐ TCATGGAGATGATGACTGGATAA‐3’、
Lv‐Vp29遺伝子座の場合:
Lv‐Vp29‐F:5’‐ CACCATATTCTCCAAGAAGCAGT‐3’、
Lv‐Vp29‐R:5’‐ TTACTCATCCTGCTTCAACACCT‐3’、
Lv‐ Vp41遺伝子座の場合:
Lv‐Vp41‐F:5’‐ CTTTTCGTTGATGAGTCTTTCCA‐3’、
Lv‐Vp41‐R:5’‐ AGGGAGAAAGAGTGGAGTGAGAT‐3’である、ことを特徴とするバナメイエビEST‐STRマーカーの増幅プライマー。
【請求項3】
前記増幅プライマーのフォワードプライマーの5’末端に蛍光基が標識されている、ことを特徴とする請求項2に記載の増幅プライマー。
【請求項4】
前記蛍光基はFAMまたはHEXである、ことを特徴とする請求項3に記載の増幅プライマー。
【請求項5】
(1)バナメイエビのゲノムDNAを抽出するステップと、
(2)ステップ(1)で抽出されたゲノムDNAをテンプレートとして、それぞれ、上記Lv‐Vp001遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp001‐F/R、Lv‐Vp011遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp011‐F/R、Lv‐Vp012遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp012‐F/R、Lv‐Vp023遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp023‐F/R、Lv‐Vp029遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp029‐F/R、Lv‐Vp041遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp041‐F/Rに対してPCR増幅を行うステップと、
(3)シークエンサーを用いてPCR増幅産物をタイピングするステップと、を含む、ことを特徴とするバナメイエビEST‐STRマーカーの検出方法。
【請求項6】
前記PCR増幅は、その25μLの反応系では、Mg
2+を含有する10×PCR buffer 2.5μL、10mM dNTPs 1μL、Taq宋2 U、10μMフォワードプライマー1μL、10μMリバースプライマー1μL、DNAテンプレート10ngを含み、残りは滅菌二重蒸留水を用いて25μLまで補充する、ことを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項7】
前記PCR増幅は、その反応手順が、95℃で3分間予備変性し、94℃で30秒間変性し、60℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、10回繰り返し、94℃で30秒間変性し、55℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、35回繰り返し、72℃で再び5~8分間伸長することを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の検出方法。
【請求項8】
請求項1に記載のバナメイエビEST‐STRマーカーまたは請求項2に記載の増幅プライマーの、バナメイエビ集団の遺伝的多様性研究、遺伝子局在化、遺伝連鎖地図の構築、生殖質の同定、種類分類または分子マーカー支援育種への用途。
【請求項9】
抗菌性および/または耐ボーリング性関連のバナメイエビEST‐STRマーカーまたは増幅プライマーへの用途である、ことを特徴とする請求項8に記載の用途。
【請求項10】
前記抗菌性および/または耐ボーリング性はビブリオ・ハージアヌスおよび/またはエビ肝蛭子に対する耐性である、ことを特徴とする請求項9に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体分子マーカーの技術分野に属し、具体的にバナメイエビのビブリオ抵抗性関連EST‐STRマーカーおよびその特異のプライマー並びに検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バナメイエビ(Litopenaeus vannamei)は、パシフィックホワイトシュリンプ(White pacific shrimp)とも呼ばれる。野生個体群は、メキシコからチリに至る通常20Co以上の太平洋の沿岸海域に生息し、典型的なトロピカルなエビである。中国の南から北にかけての沿岸部や内陸部で、海水と淡水の両方で養殖されている。現在、バナメイエビは世界一の養殖エビで、世界の養殖エビ生産の約70%、中国のエビ養殖生産の80%~90%を占めている。現在、中国は、年間160万トン以上のバナメイエビを生産している。近年、エビ白点症候群ウイルス(WSSV)病や早期死亡症候群(EMS)細菌病などの頻発、養殖水環境の異常変動により、養殖エビが大量に死亡する事態が発生しており、一方で、養殖エビの品質に対する市場の要求もますます高くなっている。市場の変化、病気の流行、育種環境の変化により、耐病性のある新しい育種がますます急務となっている。
【0003】
従来の育種法は、リードタイムが長く、効率が悪いという問題がある。水生分野における現代バイオテクノロジーと遺伝学技術の急速な変容に伴い、形質関連機能遺伝子を用いた分子マーカー技術は、水生遺伝育種のキーテクノロジーの1つとなっている。マイクロサテライト配列(シンプルリピート配列Simple Sequence repeats、SSR、またはショートタンデムリピート配列short tandem repeats, STRとも呼ばれる)などの分子マーカー技術に基づく分子マーカー支援育種技術は、現在の水産物育種のキーテクノロジーになっている。抗菌性EST(Expressed Sequence Tag)ベースのSSRマーカーは、現在ほとんど開発されていない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服するために、バナメイエビEST‐STRマーカーおよびその増幅プライマー、検出方法並びにその用途を提供し、バナメイエビの遺伝的多様性分析および分子マーカーの育種支援に多型性の分子マーカーを提供する。
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明者らは、ビブリオ・ハージアヌスVibrio harveyiに感染したバナメイエビ苗からチームが構築したトランスクリプトームライブラリーデータを利用して、構築したシーケンスライブラリーをBGI Genomics(BGI Genomics、中国・深せん)のIllumina HiSeq 4000プラットフォーム(Illumina、SanDiego、 USA)でシーケンシングを行った。データベースから得られたバナメイエビEST‐SSR配列を利用して、バナメイエビ多型性EST‐STRマーカーを開発し、多型プライマーを提供し、バナメイエビの遺伝的多様性研究および優良品種の育種の支援に多型性の分子マーカーを提供することができる。
【0006】
本発明は、ビブリオ・ハージアヌス感染のバナメイエビEST‐SSRデータベースから、機能予測およびコア領域の繰り返し差の結果に基づいて、50対のプライマーを選択してバナメイエビのゲノムDNAに対してPCR増幅を行い、6対のプライマーが標的バンドを安定的に増幅することができる。3730xl装置を用いてSTRサンプルを検出し、Genemapperソフトウェアを用いてSSRデータを分析し、最終的に6種類の高多型性バナメイエビEST‐STRマーカーを特定することができる。
【0007】
本発明の第1目的は、バナメイエビEST‐STRマーカーを提供することであり、前記EST‐STRマーカー番号はLv‐Vp001、Lv‐Vp011、Lv‐Vp012、Lv‐Vp023、Lv‐Vp029およびLv‐Vp041であり、
前記Lv‐Vp001のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.1に示され、
前記Lv‐Vp011のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.2に示され、
前記Lv‐Vp012のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.3に示され、
前記Lv‐Vp023のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.4に示され、
前記Lv‐Vp029のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.5に示され、
前記Lv‐Vp041のヌクレオチド配列がSEQ ID NO.6に示される。
【0008】
本発明の第2目的は、上記のバナメイエビEST‐STRマーカーの増幅プライマーを提供することであり、前記増幅プライマーは、以下を含み、
Lv‐Vp001遺伝子座の場合:
Lv‐Vp001‐F:5’‐ACTGGAGGATCCTGAGAGATAGC‐3’、
Lv‐Vp001‐R:5’‐ GCTTCGTTCTCTCACTCTTCTCTT‐3’、
Lv‐Vp011遺伝子座の場合:
Lv‐Vp011‐F:5’‐ AAGGATTTCTCTTACACGAACCC‐3’、
Lv‐Vp011‐R:5’‐ ACCAAAAAGAAAAACAGAATGGC‐3’、
Lv‐Vp012遺伝子座の場合:
Lv‐Vp012‐F:5’‐ AATCTACAGGACTCGAATGCACA‐3’、
Lv‐Vp012‐R:5’‐ CTTTTGTCCTCCACTTTACATGC‐3’、
Lv‐Vp23遺伝子座の場合:
Lv‐Vp23‐F:5’‐ CGAGAGAAAGAGGGAGAAAAAGA‐3’、
Lv‐Vp23‐R:5’‐ TCATGGAGATGATGACTGGATAA‐3’、
Lv‐Vp29遺伝子座の場合:
Lv‐Vp29‐F:5’‐ CACCATATTCTCCAAGAAGCAGT‐3’、
Lv‐Vp29‐R:5’‐ TTACTCATCCTGCTTCAACACCT‐3’、
Lv‐ Vp41遺伝子座の場合:
Lv‐Vp41‐F:5’‐ CTTTTCGTTGATGAGTCTTTCCA‐3’、
Lv‐Vp41‐R:5’‐ AGGGAGAAAGAGTGGAGTGAGAT‐3’。
【0009】
好ましくは、前記増幅プライマーのフォワードプライマーの5’末端に蛍光基が標識されている。
【0010】
好ましくは、前記蛍光基はFAMまたはHEXである。
【0011】
本発明の第3目的は、バナメイエビEST‐STRマーカーの検出方法を提供することであり、この方法は、
(1)バナメイエビのゲノムDNAを抽出するステップと、
(2)ステップ(1)で抽出されたゲノムDNAをテンプレートとして、それぞれ上記のLv‐Vp001遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp001‐F/R、Lv‐Vp011遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp011‐F/R、Lv‐Vp012遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp012‐F/R、Lv‐Vp023遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp023‐F/R、Lv‐Vp029遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp029‐F/R、Lv‐Vp041遺伝子座の場合のプライマーを用いてLv‐Vp041‐F/Rに対してPCR増幅を行うステップと、
(3)シークエンサーを用いてPCR増幅産物をタイピングするステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、前記PCR増幅は、その25μL反応系では、Mg2+を含有する10×PCR buffer 2.5μL、10mM dNTPs 1μL、Taq宋2U、10μMフォワードプライマー1μL、10μMリバースプライマー1μL、DNAテンプレート10ngを含み、残りは滅菌二重蒸留水で25μLまで補充する。
【0013】
好ましくは、前記PCR増幅は、その反応手順は、95℃で3分間予備変性し、94℃で30秒間変性し、60℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、10回繰り返し、94℃で30秒間変性し、55℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、35回繰り返し、72℃で再び5~8分間伸長することを含む。
【0014】
本発明の第4目的は、上記のバナメイエビEST‐STRマーカーまたは増幅プライマーの、バナメイエビ集団遺伝的多様性研究、遺伝子局在化、遺伝連鎖地図の構築、生殖質の同定、種類分類または分子マーカーの育種支援への用途を提供することである。
【0015】
好ましくは、前記用途は、抗菌性および/または耐ボーリング性関連のバナメイエビEST‐STRマーカーまたは増幅プライマー中の応用。
【0016】
好ましくは、前記抗菌性および/または耐ボーリング性はビブリオ・ハージアヌスおよび/またはエビ肝蛭子に対する耐性である。
【0017】
本発明は、NCBIデータベースから得られたバナメイエビEST配列を利用して、6種類の高多型性バナメイエビEST‐STRマーカーを開発し、番号がそれぞれLv‐Vp001、Lv‐Vp011、Lv‐Vp012、Lv‐Vp023、Lv‐Vp029およびLv‐Vp041である。本発明のバナメイエビEST‐STRマーカーは、バナメイエビ遺伝的関係分析および分子マーカーの育種支援に利用でき、バナメイエビの遺伝的多様性研究および優良品種の育種の支援の基礎を築くことができる。
【0018】
本発明により発現されたバナメイエビ抗菌性状関連の分子マーカーは、強い抗菌能力を有するバナメイエビの種苗のスクリーニングや優れた抗菌種のスクリーニングに大きな価値を有すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】Lv‐Vp001遺伝子座のプライマーで増幅された20匹のバナメイエビのゲノムDNAのSTRタイピング図であり、S1~S20は20個のサンプルを表す。
【
図2】Lv‐Vp011遺伝子座のプライマーで増幅された20匹のバナメイエビのゲノムDNAのSTRタイピング図であり、S1~S20は20個のサンプルを表す。
【
図3】Lv‐Vp012遺伝子座のプライマーで増幅された20匹のバナメイエビのゲノムDNAのSTRタイピング図であり、S1~S20は20個のサンプルを表す。
【
図4】Lv‐Vp023遺伝子座のプライマーで増幅された20匹のバナメイエビのゲノムDNAのSTRタイピング図であり、S1~S20は20個のサンプルを表す。
【
図5】Lv‐Vp029遺伝子座のプライマーで増幅された20匹のバナメイエビのゲノムDNAのSTRタイピング図であり、S1~S20は20個のサンプルを表す。
【
図6】Lv‐Vp041遺伝子座のプライマーで増幅された20匹のバナメイエビのゲノムDNAのSTRタイピング図であり、S1~S20は20個のサンプルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施例は本発明のさらなる説明であり、本発明の制限ではない。
【0021】
以下の実施例中の実験方法は、特に指定しない限り、通常の方法またはキットの説明書に従った方法である。以下の実施例で使用される材料、試薬などは、特に指定しない限り、市販されているものである。プライマー合成およびシーケンシングは上海生物工学有限公司によって行われた。
【0022】
実施例1:
1、バナメイエビEST‐STR配列のスクリーニング
本発明はビブリオ・ハージアヌス感染のバナメイエビEST‐SSRデータベースから、病気関連の機能予測およびコア領域の繰り返し差の結果に基づいて、50対のEST‐STRプライマー(表1に示す)を選択して多型スクリーニングを行う。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0023】
2、バナメイエビEST‐STRマーカープライマーのスクリーニングおよび結果分析
【0024】
2.1 バナメイエビのゲノムDNAの抽出
DNAサンプルはそれぞれビブリオ感受性個体5個、非感受性個体5個、エビ肝蛭子耐性個体、対照5個、合計20個サンプルであり、表2はサンプル状況を示し、広東省の深せん、珠海、湛江、徐聞、茂名などの20個の農場からそれぞれバナメイエビ20匹を選び、それぞれ筋肉組織を採取し、海洋動物組織ゲノムDNA抽出キット(天根生物化学科学技術有限公司、北京)を用いてバナメイエビのゲノムDNAを抽出し、操作手順は説明書に従って厳密に実施された。ゲノムDNAの定量はNanoDrop
TM2000分光光度計で行い、品質はアガロース電気泳動で検出された。
【表2】
2.2プライマーの初期スクリーニング
【0025】
上記で抽出されたバナメイエビのゲノムDNAからの5個をテンプレートとしてランダムに選択し、それぞれ表1中の50対プライマーを用いてこのゲノムDNAに対してPCRグラディエント増幅を行い、25μL反応系では、Mg2+を含有する10×PCR buffer 2.5μL、10mM dNTPs 1μL、Taq宋2U、10μMフォワードプライマー1μL、10μMリバースプライマー1μL、DNAテンプレート10ngを含み、残りは滅菌二重蒸留水で25μLまで補充する。反応手順は、95℃で3分間予備変性し、94℃で30秒間変性し、50℃~60℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、10回繰り返し、94℃で30秒間変性し、55℃で30秒間アニーリングし、72℃で30秒間伸長し、35回繰り返し、72℃で再び5~8分間伸長することを含む。
【0026】
PCR増幅産物を2%アガロース電気泳動で検出したところ、6対プライマーが特定のアニーリング温度下でバンドを安定的に増幅した。それぞれ増幅産物をシーケンシングした結果、この6対プライマーはいずれも標的バンドを増幅することができ、遺伝子座がそれぞれ:Lv‐Vp001(SEQ ID NO.1に示される)、Lv‐Vp011 (SEQ ID NO.2に示される)、Lv‐Vp012(SEQ ID NO.3に示される)、Lv‐Vp023(SEQ ID NO.4に示される)、Lv‐Vp029 (SEQ ID NO.5に示される)およびLv‐Vp041(SEQ ID NO.6に示される)である。スクリーニングしたプライマーは表3に示される。
【表3】
【0027】
2.3多型プライマーのスクリーニングおよび結果分析
上記初期スクリーニングした6対プライマーのうち、上流プライマーの5’末端をそれぞれFAMとHEXで蛍光標識し、上記で抽出された20個バナメイエビのゲノムDNAをテンプレートとしてPCR増幅を行った。反応系はステップ2.2と同様であり、反応手順は、アニーリング温度を60℃とした以外にステップ2.2に記載のとおりである。PCR増幅産物を3730XLシークエンサーを用いてタイピングし、GeneMapper3.2ソフトウェアを用いてアレリックフラグメントの具体的な値を読み取り、多型バナメイエビ機能遺伝子を有する6種類のEST‐STRマーカー(
図1~6を参照)を特定し、遺伝子座がそれぞれ:Lv‐Vp001(SEQ ID NO.1に示される)、Lv‐Vp011(SEQ ID NO.2に示される)、Lv‐Vp012(SEQ ID NO.3に示される)、Lv‐Vp023(SEQ ID NO.4に示される)、Lv‐Vp029(SEQ ID NO.5に示される)およびLv‐Vp041(SEQ ID NO.6に示される)である。
【0028】
Cervus3.0ソフトウェアを用いて予想ヘテロ接合度、観察ヘテロ接合度および多型情報量(polymorphic information content、PIC)を計算した。結果から分かるように、上記6種類の多型マイクロサテライトマーカーのアレリック数がそれぞれ5、2、14、6、9および4であり、観察ヘテロ接合度がそれぞれ0.45、0.00、0.35、0.70、0.60および0.20であり、予想ヘテロ接合度がそれぞれ0.7654、0.1846、0.9013、0.8231、0.8500および0.6679であり、PIC値がそれぞれ0.7040、0.1638、0.8687、0.7738、0.8071および0.5834であり(表4)、Lv‐Vp011以外に、すべて0.5よりも大きく、これは、6種類のEST‐STRマーカーがいずれも多型性を有し、バナメイエビの遺伝的関係分析および分子マーカーの育種支援に使用可能であることをを示す。
【表4】
【配列表】
【国際調査報告】