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特表2023-546643接着結合力が強化された多層構造体及びこの多層構造体を含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】接着結合力が強化された多層構造体及びこの多層構造体を含む物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20231030BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513188
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2020111758
(87)【国際公開番号】W WO2022041053
(87)【国際公開日】2022-03-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ガン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、リャンジャン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ジンイー
(72)【発明者】
【氏名】ユン、シャオビン
(72)【発明者】
【氏名】パン、ジャンピン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ガオビン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ジャンリャン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA15
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(57)【要約】
多層構造体及び多層構造体を含む物品が提供される。多層構造体は、マットな表面を有するスキン層と、コアと、を含む二軸延伸ポリエチレンフィルムであって、コアが1つ以上のコア層を含む、二軸延伸ポリエチレンフィルムとシーラントフィルムと、シーラントフィルムを二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面に接着する接着剤と、を含む。多層構造体は、他の多層構造体と比較して向上した接着結合力を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造体であって、
(a)マットな表面を有するスキン層と、コアと、を含む、二軸延伸ポリエチレンフィルムであって、前記コアが1つ以上のコア層を含む、二軸延伸ポリエチレンフィルムと、
(b)シーラントフィルムと、
(c)前記シーラントフィルムを前記二軸延伸ポリエチレンフィルムの前記スキン層の前記マットな表面に接着する、接着剤と、を含む、多層構造体。
【請求項2】
前記スキン層が、前記スキン層の総重量に基づいて、20~80重量%のエチレン系ポリマーと、80~20重量%のプロピレン系ポリマーと、を含み、前記エチレン系ポリマー及び前記プロピレン系ポリマーの各々が、貯蔵弾性率を有し、前記エチレン系ポリマーと前記プロピレン系ポリマーとの前記貯蔵弾性率の差が、110℃で40メガパスカル(MPa)超であり、120℃で18MPa超である、請求項1に記載の多層構造体。
【請求項3】
前記スキン層が、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、プロピレン/エチレンコポリマーと、を含み、前記エチレン/α-オレフィンコポリマー及び前記プロピレン/エチレンコポリマーの各々が、貯蔵弾性率を有し、前記エチレン/α-オレフィンコポリマーと前記プロピレン/エチレンコポリマーとの前記貯蔵弾性率の差が、110°で110~130メガパスカル(MPa)であり、120℃で70~80MPaであり、前記スキン層の前記マットな表面は、(i)45°の角度でASTM D2457によって測定したときに3%~15%の光沢、又は(ii)ASTM D1003によって測定したときに45%超のヘイズを有する、請求項1に記載の多層構造体。
【請求項4】
前記スキン層の前記マットな表面が、45°の角度でASTM D2457によって測定したときに50%未満の光沢を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項5】
前記コアが、全ての前記コア層の重量に基づいて、少なくとも50重量%のエチレン系ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項6】
前記二軸延伸ポリエチレン多層フィルムが厚さを有し、前記コアが前記フィルム厚の少なくとも50%を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項7】
前記二軸延伸ポリエチレンフィルムが、2:1~6:1の延伸比で機械方向に、かつ2:1~9:1の延伸比で横断方向に延伸される、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項8】
前記スキン層の前記マットな表面が、ASTM D1003によって測定したときに45%超のヘイズを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項9】
前記スキン層が、0.900~0.960g/ccの密度を有するエチレン系ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項10】
前記シーラントフィルムが、前記層の総重量に基づいて、少なくとも20重量%のポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又はエチレンアクリレートコポリマーを含む層を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項11】
前記シーラントフィルムが、120℃未満のヒートシール開始温度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項12】
前記接着剤が、無溶剤接着剤、水性接着剤、又は溶剤型接着剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項13】
前記多層構造体の接着結合力が、少なくとも2.5N/15mmである、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の多層構造体を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層構造体に関し、より具体的には、二軸延伸ポリエチレンフィルムを含む多層構造体に関する。
【0002】
序論
二軸延伸ポリエチレン(biaxially-oriented polyethylene、BOPE)フィルムを組み込んだ多層構造体は、包装産業においてより一般的になりつつある。BOPEフィルムは、優れた機械的特性及び光学的特性を有し、これらは、部分的に、機械方向及び横断方向の両方におけるフィルムの高配向性の結果である。しかしながら、BOPEフィルムを含む多層構造体を形成する際に問題が存在する。特に、BOPEフィルムは、極性接着剤に対して弱い接着性を示す非極性ポリマーであるポリエチレンを含む。この非相溶性は、BOPEフィルムが積層中に他のフィルムに接着することを困難にし、フィルム間の低い接着結合力は、フィルム層間剥離に起因して劣った包装完全性を引き起こし得る。したがって、向上した接着結合力を示すBOPEフィルムを含む多層構造体が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、二軸延伸ポリエチレンフィルム、セレント(seleant)フィルム、及び接着剤を含む多層構造体を提供する。実施形態において、二軸延伸ポリエチレンフィルムは、マットな表面を有するスキン層を有し、スキン層のマットな表面は、接着剤を介してシーラントフィルムに接着されて、高い接着結合力などの望ましい特性を示す多層構造体を提供する。
【0004】
一態様では、本発明は、(a)マットな表面を有するスキン層と、コアと、を含む二軸延伸ポリエチレンフィルムであって、コアが1つ以上のコア層を含む、二軸延伸ポリエチレンフィルムと、(b)シーラントフィルムと、(c)シーラントフィルムを二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面に接着する接着剤と、を含む多層構造体を提供する。
【0005】
物品もまた、本明細書に開示されている。物品は、本明細書に開示される実施形態による多層構造体を含む。
【0006】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示された多層構造体の態様は、以下でより詳細に説明される。本開示の多層構造体は、例えば、パウチ、スタンドアップパウチ、ピローパウチ、バルクバッグ、予め作製された包装、サシェなどを含む、多種多様な用途を有し得る。しかしながら、本開示は、以下に記載される実施形態を限定するように解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を意味する。したがって、「ポリマー」という総称は、(1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)ホモポリマーという用語、及びコポリマー又はインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)は、ポリマー中及び/又はポリマー内に導入される場合がある。ポリマーは、単一のポリマー、ポリマーブレンド、又は重合中にその場で形成されるポリマーの混合物を含むポリマー混合物であり得る。
【0009】
本明細書で使用する場合、「ポリプロピレン」又は「プロピレン系ポリマー」という用語は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセントを超える重合プロピレンモノマーを含有するポリマーを示し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。
【0010】
本明細書で使用する場合、「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」という用語は、過半量(>50mol%)のエチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するであろう。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、超低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、線状及び実質的に線状低密度樹脂の両方を含む、単一部位触媒による線状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、エチレンベースのプラストマー(ethylene-based plastomer、POP)及びエチレンベースのエラストマー(ethylene-based elastomer、POE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、概して、当該技術分野において既知である。しかしながら、以下の記載は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの間の差異を理解するのに役立ち得る。
【0011】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、又は「高分岐ポリエチレン」とも称され得るが、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により組み込まれる、US4,599,392を参照されたい)などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブ又は管状反応器中で、部分的又は完全に、ホモ重合又は共重合されることを意味するように定義される。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/ccの範囲の密度を有する。
【0012】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系及びクロム系触媒、並びにモノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)及び幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含み、かつ直鎖状、実質的に直鎖状、又は不均質なポリエチレンコポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている実質的に線状のエチレンポリマー、米国特許第3、645、992号のものなどの、均質に分岐した線状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は米国特許第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPEは、当該技術分野で既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0013】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム又はチーグラー・ナッタ触媒を使用して、又は置換モノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、束縛構造触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して製造され、典型的には、2.5超の分子量分布(「MWD」)を有する。
【0014】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cc超~最大約0.980g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。
【0015】
「ULDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、0.855~0.915g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。ULDPEとしては、ポリエチレン(エチレン系)プラストマー及びポリエチレン(エチレン系)エラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「多層構造体」は、2つ以上の層を有する任意の構造体を指す。例えば、多層構造体は、2、3、4、5、又はそれ以上の層を有し得る。多層構造体は、文字で指定された層を有するものとして説明され得る。例えば、コア層B、並びに2つの外部層A及びCを有する3層構造体は、A/B/Cとして示され得る。同様に、2つのコア層B及びC、並びに2つの外部層A及びDを有する構造体は、A/B/C/Dとして示され得る。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「マットな表面」は、光沢のある外観ではなく、光沢のない外観を有する表面を指す。マットな表面は、(1)50%未満の光沢、及び(2)45%超のヘイズのうちの一方又は両方を有する。
【0018】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写又は列記されていない任意の成分、工程、又は手順を除外する。
【0019】
BOPEフィルム
実施形態において、本発明の多層構造体は、(a)二軸延伸ポリエチレンフィルムと、(b)シーラントフィルムと、(c)接着剤と、を含む。二軸延伸ポリエチレンフィルムは、マットな表面を有するスキン層と、コアと、を含み、コアが、1つ以上の層を含む。一実施形態において、二軸延伸ポリエチレンフィルムは、マットな表面を有するスキン層を含む2つのスキン層と、少なくとも1つのコア層と、を含む。2つのスキン層が存在する実施形態において、スキン層は、少なくとも1つのスキン層がマットな表面を有する限り、同一又は異なる組成を有することができる。二軸延伸ポリエチレンフィルムは、3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10、又はそれ以上の層を含むことができる。
【0020】
実施形態において、二軸延伸ポリエチレンフィルムは、2:1~6:1の延伸比で機械方向に、かつ2:1~9:1の延伸比で横断方向に延伸される。一実施形態では、二軸延伸ポリエチレンフィルムは、3:1~5:1の延伸比で機械方向に、かつ3:1~8:1の延伸比で横断方向に延伸される。
【0021】
本明細書に開示される実施形態による二軸延伸ポリエチレンフィルムは、テンタフレーム逐次延伸プロセスを使用して形成することができる。二軸延伸ポリエチレンフィルムを形成するためのそのようなプロセスは、当業者に一般に知られている。他の実施形態では、二軸延伸ポリエチレンフィルムは、本明細書の教示に基づいて、二重気泡延伸プロセスなどの当業者に既知の他の技術を使用して二軸延伸することもできる。
【0022】
全般的に、テンタフレーム逐次二軸延伸プロセスでは、テンタフレームは、多層共押出ラインの一部として組み込まれる。フラットダイから押出した後、フィルムを冷却ロール上で冷却し、室温の水を充填した水浴に浸漬する。次いで、キャストフィルムは異なる回転速度を有する一連のローラ上に通されて、機械方向における延伸を達成する。製作ラインのMD延伸セグメントには数対のローラがあり、それらは全て油加熱されている。対のローラは、予熱ローラ、延伸ローラ、並びに弛緩及びアニーリング用ローラとして逐次作動する。ローラの各対の温度は、別々に制御される。機械方向における延伸後、フィルムウェブが、加熱ゾーンを有するテンタフレーム熱風炉に通されて、横断方向における延伸を実行する。最初のいくつかのゾーンは予熱用であり、その後に延伸用のゾーン、次いでアニーリング用の最終ゾーンが続く。
【0023】
本明細書に開示される実施形態による二軸延伸ポリエチレンフィルムは、マットな表面を有するスキン層を含む。実施形態では、マットな表面を有するスキン層は、スキン層の総重量に基づいて、20~80重量%のエチレン系ポリマーと、80~20重量%のプロピレン系ポリマーと、を含み、エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーの各々が、貯蔵弾性率を有し、エチレン系ポリマーとプロピレン系ポリマーとの貯蔵弾性率の差が、110℃で40メガパスカル(MPa)超であり、120℃で18MPa超である。マットな表面を有するスキン層は、20~80重量%、30~70重量%、40~60重量%、又は45~55重量%のエチレン系ポリマーを含むことができ、80~20重量%、70~30重量%、60~40重量%、又は55~45重量%のプロピレン系ポリマーを含むことができ、重量パーセントは、スキン層の総重量に基づく。実施形態において、エチレン系ポリマーとプロピレン系ポリマーとの貯蔵弾性率の差は、110℃で40MPa超、110℃で50MPa超、110℃で60MPa超、110℃で70MPa超、110℃で80MPa超、110℃で90MPa超、110℃で100MPa超、110℃で110MPa超、又は110℃で120MPa超であってよい。実施形態において、エチレン系ポリマーとプロピレン系ポリマーとの貯蔵弾性率の差は、120℃で18MPa超、120℃で30MPa超、120℃で40MPa超、120℃で50MPa超、120℃で60MPa超、又は120℃で70MPa超であってよい。110℃及び120℃における貯蔵弾性率は、以下に記載される試験方法に従って測定することができる。
【0024】
実施形態において、スキン層のマットな表面は、45°の角度でASTM D2457によって測定したときに50%未満の光沢を有する。50%未満の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、スキン層のマットな表面は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、又は15%未満の光沢を有することができ、光沢は、45°の角度でASTM D2457によって測定することができる。
【0025】
実施形態において、スキン層のマットな表面は、ASTM D1003によって測定したときに45%超のヘイズを有する。45%超の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、スキン層のマットな表面は、45%超、46%超、47%超、48%超、49%超、又は50%超のヘイズを有することができ、ヘイズは、ASTM D1003によって測定することができる。
【0026】
実施形態において、マットな表面を有するスキン層は、0.900~0.960g/ccの密度を有するエチレン系ポリマーを含む。0.900~0.960g/ccの密度の全ての個々の値及び範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、実施形態において、スキン層のエチレン系ポリマーは、0.900~0.960g/cc、0.900~0.950g/cc、0.900~0.940g/cc、0.900~0.930g/cc、又は0.900~0.920g/ccの密度を有する。実施形態において、スキン層のエチレン系ポリマーは、0.910~0.940g/ccの密度を有する直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0027】
一実施形態では、スキン層は、エチレン/α-オレフィンコポリマー及びプロピレン/エチレンコポリマーを含み、エチレン/α-オレフィンコポリマー及びプロピレン/エチレンコポリマーの各々が貯蔵弾性率を有し、エチレン/α-オレフィンコポリマーとプロピレン/エチレンコポリマーとの貯蔵弾性率の差が110°で110~130メガパスカル(MPa)及び120℃で70~80MPaであり、スキン層のマットな表面は、(i)45°の角度でASTM D2457によって測定したときに3%~15%の光沢、又は(ii)ASTM D1003によって測定したときに45%超のヘイズを有する。
【0028】
スキン層に使用することができるエチレン系ポリマー又はエチレン/α-オレフィンコポリマーの例としては、例えば、ELITE(商標)5815を含む、ELITE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0029】
スキン層に使用することができるプロピレン系ポリマー又はプロピレン/エチレンコポリマーの例としては、TOPILENE(商標)PPR R200Pの名称でHyosung Corporationから市販されているものが挙げられる。
【0030】
二軸延伸ポリエチレンフィルムは、1つ以上のコア層を含むコアを含む。実施形態において、二軸延伸ポリエチレンフィルムのコアは、1つ、又は2つ、又は3つ、又はそれ以上のコア層を含む。実施形態において、二軸延伸ポリエチレンフィルムのコアは、全てのコア層の総重量に基づいて、少なくとも50重量%のエチレン系ポリマーを含む。少なくとも50重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、二軸延伸ポリエチレンフィルムのコアは、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、又は少なくとも99.9重量%のエチレン系ポリマーを含むことができ、重量パーセントは、全てのコア層の総重量に基づく。
【0031】
本明細書に開示される実施形態による二軸延伸ポリエチレンフィルムは、例えば、層の数に応じて、様々な厚さを有し得る。例えば、実施形態では、二軸延伸ポリエチレンフィルムは、5~200ミクロン、又は代替的には15~100ミクロンの厚さを有し得る。実施形態において、二軸延伸ポリエチレンフィルムのコアは、二軸延伸ポリエチレンフィルムの全厚の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%を含む。
【0032】
シーラントフィルム
本発明の多層構造体は、シーラントフィルムを含む。シーラントフィルムは、二軸延伸ポリエチレンフィルムとは別に形成される。したがって、シーラントフィルムは二軸延伸されておらず、接着剤を介して二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面に接着されている。
【0033】
本明細書に開示されるシーラントフィルムの組成及び構成は特に限定されない。実施形態において、シーラントフィルムは、1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つ、又はそれ以上の層を含むことができる。シーラントフィルムは、インフレーションフィルム又はキャストフィルムであり得る。シーラントフィルムは、例えばシーラントフィルムの層の数に応じて、様々な厚さを有することができる。例えば、実施形態では、シーラントフィルムは、5~200ミクロン、又は代替的には15~100ミクロンの厚さを有し得る。
【0034】
実施形態において、シーラントフィルムは、単層フィルムである。他の実施形態において、シーラントフィルムは、多層フィルムである。実施形態において、シーラントフィルムの1つ又は複数の層は、例えば、フィルムの意図される使用又は所望の特性に応じて、任意の数のポリマーを含むことができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド又はエチレンビニルアルコールコポリマーを含むことができる。
【0035】
実施形態において、シーラントフィルムは、シーラントフィルムの全重量に基づいて、少なくとも50重量%のポリエチレン、又は少なくとも60重量%のポリエチレン、又は少なくとも70重量%のポリエチレン、又は少なくとも80重量%のポリエチレン、又は少なくとも90重量%のポリエチレン、又は少なくとも95重量%のポリエチレンを含む。
【0036】
実施形態において、シーラントフィルムは、層の総重量に基づいて、少なくとも20重量%のポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又はエチレンアクリレートコポリマーを含む層を含み得る。少なくとも20重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、シーラントフィルムは、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%のポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又はエチレンアクリレートコポリマーを含む層を含むことができ、重量パーセントはシーラントフィルムの層の総重量に基づく。
【0037】
シーラントフィルムの層が少なくとも20重量%のポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又はエチレンアクリレートコポリマーを有するそのような実施形態において、シーラントフィルムの層は、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを更に含むことができる。例えば、一実施形態では、シーラント層は、(a)20~100重量%のポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又はエチレンアクリレートコポリマーと、(b)0~30重量%の低密度ポリエチレンと、(c)0~80重量%の直鎖状低密度ポリエチレンとを含む層を含み、重量パーセントはシーラントフィルムの層の総重量に基づく。0~30重量%の低密度ポリエチレンの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、シーラント層は、0~30重量%、5~25重量%、又は10~20重量%の低密度ポリエチレンを含む層を含むことができ、重量パーセントはシーラントフィルムの層の総重量に基づく。0~80重量%の直鎖状低密度ポリエチレンの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、シーラント層は、0~80重量%、10~70重量%、20~60重量%、又は30~50重量%の直鎖状低密度ポリエチレンを含む層を含むことができ、重量パーセントはシーラントフィルムの層の総重量に基づく。
【0038】
シーラントフィルムがポリオレフィンプラストマーを含む場合、ポリオレフィンプラストマーは、ポリエチレンプラストマー又はポリプロピレンプラストマーであり得る。ポリオレフィンプラストマーには、メタロセン及び拘束幾何触媒などのシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂が含まれる。ポリオレフィンプラストマーは、0.885~0.915g/ccの密度を有する。0.885g/cc~0.915g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、ポリオレフィンプラストマーの密度は、その下限が0.895、0.900、又は0.905g/cc、その上限が0.905、0.910、又は0.915g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンプラストマーは、0.890~0.910g/ccの密度を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンプラストマーは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、ポリオレフィンプラストマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックス(I)を有することができる。本発明の特定の態様では、ポリオレフィンプラストマーは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.5g/10分である。
【0040】
シーラントフィルムに使用することができるポリオレフィンプラストマーの例としては、例えば、AFFINITY(商標)PL 1881G及びAFFINITY(商標)PF1140Gを含む、AFFINITY(商標)という名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0041】
シーラントフィルムがポリオレフィンエラストマーを含む場合、ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレンエラストマー又はポリプロピレンエラストマーであり得る。ポリオレフィンエラストマーは、0.857~0.885g/ccの密度を有する。0.857~0.885g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示され、例えば、ポリオレフィンエラストマーの密度は、その下限が0.857、0.860、0.865、0.870、又は0.875g/cc、その上限が0.870、0.875、0.880、又は0.885g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、0.860~0.880g/ccの密度を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、ポリオレフィンエラストマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限のメルトインデックス(I)を有し得る。本発明の特定の態様では、ポリオレフィンエラストマーは、0.5g/10分の下限のメルトインデックス、Iを有する。
【0043】
シーラントフィルムに使用することができるポリオレフィンエラストマーの例としては、例えば、AFFINITY(商標)EG8100G及びAFFINITY(商標)EG8200Gを含む、AFFINITY(商標)という名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0044】
シーラントフィルムが超低密度ポリエチレン(ultra low density polyethylene、ULDPE)を含む場合、ULDPEは、0.880~0.915g/ccの密度を有する。0.880g/cc~0.915g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、ULDPEの密度は、その下限が0.880、0.885、0.890、0.895、0.900、又は0.905g/cc、その上限が0.895、0.900、0.905、0.910、0.912、又は0.915g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、ULDPEは、0.885~0.910g/ccの密度を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、ULDPEは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、ULDPEは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックスを有することができる。本発明の特定の態様では、ULDPEは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.5g/10分である。
【0046】
シーラントフィルムに使用され得るULDPEの例としては、例えば、ATTANE(商標)4201G及びATTANE(商標)4203を含む、ATTANE(商標)という名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0047】
シーラントフィルムがエチレンアセテートコポリマーを含むとき、エチレンアセテートコポリマーは、例えば、エチレンビニルアセテートであり得る。いくつかの実施形態では、エチレンアセテートコポリマーは、5%~40%のアセテート含有量を有し得る。エチレンアセテートコポリマーは、0.920~0.970g/ccの密度を有する。0.920g/cc~0.970g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され、例えば、エチレンアセテートコポリマーの密度は、その下限が0.920、0.925、0.930、0.935、0.940g/cc、その上限が、0.945、0.950、0.955、0.960、0.965、又は0.970g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、エチレンアセテートコポリマーは、0.930~0.950g/ccの密度を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、エチレンアセテートコポリマーは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、エチレンアセテートコポリマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックスを有することができる。本発明の特定の態様では、エチレンアセテートコポリマーは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.25g/10分である。
【0049】
シーラントフィルムに使用することができるエチレンアセテートコポリマーの例としては、例えば、Evaflex 410及びEvaflex 460を含む、Evaflexという名称でDupont-Mitsui Polychemical Co.,Ltd.から市販されているものが挙げられる。
【0050】
シーラントフィルムがエチレンアクリル酸コポリマーを含む場合、エチレンアクリル酸コポリマーは、0.920~0.960g/ccの密度を有する。0.920g/cc~0.960g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され、例えば、エチレンアクリル酸コポリマーの密度は、その下限が0.920、0.925、又は0.930g/cc、その上限が、0.935、0.940、0.945、0.950、0.955、又は0.960g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、0.930~0.938g/ccの密度を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、エチレンアクリル酸コポリマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックス(I)を有することができる。本発明の特定の態様では、エチレンアクリル酸コポリマーは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.25g/10分である。エチレンアクリル酸コポリマーを含むいくつかの実施形態では、エチレンアクリル酸コポリマーは、3%~20%のアクリル酸含有量を有することができる。
【0052】
シーラントフィルムに使用され得るエチレンアクリル酸コポリマーの例としては、例えば、PRIMACOR(商標)3003及びPRIMACOR(商標)3004を含む、PRIMACOR(商標)という名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0053】
シーラントフィルムがエチレンアクリレートコポリマーを含むとき、エチレンアクリレートコポリマーは、例えば、エチレンエチルアクリレートであり得る。エチレンアクリレートコポリマーは、0.920~0.955g/ccの密度を有する。0.920g/cc~0.955g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され、例えば、エチレンアクリレートコポリマーの密度は、その下限が0.920、0.925、0.930、0.935、又は0.940g/cc、その上限が、0.930、0.935、0.940、0.945、0.950、又は0.955g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、エチレンアクリレートコポリマーは、0.930~0.940g/ccの密度を有する。エチレンアクリレートコポリマーを含むいくつかの実施形態では、エチレンアクリレートコポリマーは、10%~25%のアクリレート含有量を有し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、エチレンアクリレートコポリマーは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、エチレンアクリレートコポリマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックス(I)を有することができる。本発明の特定の態様では、エチレンアクリレートコポリマーは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.25g/10分である。
【0055】
シーラントフィルムに使用され得るエチレンアクリレートコポリマーの例としては、例えば、AMPLIFY(商標)EA 101及びAMPLIFY(商標)EA 100を含む、AMPLIFY(商標)EAという名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0056】
シーラントフィルムが低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)を含む場合、LDPEは、0.916~0.940g/ccの密度を有することができる。0.916g/cc~0.940g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され、例えば、LDPEの密度は、その下限が0.916、0.920、0.924、0.928、又は0.930g/cc、その上限が0.925、0.930、0.935、又は0.940g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、LDPEは、0.916~0.930g/ccの密度を有する。いくつかの実施形態では、LDPEは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、LDPEは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックスを有することができる。本発明の特定の態様では、LDPEは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.25g/10分である。
【0057】
シーラントフィルムが多層フィルムである実施形態において、シーラントフィルムは、0.900~0.960g/ccの密度を有するエチレン系ポリマーを含む第2の層を含むことができる。そのような実施形態において、第2の層は、最大100重量%のエチレン系ポリマーを含むことができる。そのような実施形態では、第2の層のエチレン系ポリマーは、最大20g/10分のメルトインデックス、Iを有することができる。最大20g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20g/10分の上限までのメルトインデックス、Iを有することができる。本発明の特定の態様では、エチレン系ポリマーは、メルトインデックス、Iを有し、下限は0.25g/10分である。
【0058】
実施形態では、例えば、最終用途に応じて、シーラントフィルムは、二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面への積層の前又は後に、当業者に既知の技法を使用してコロナ処理又は印刷され得る。
【0059】
シーラントフィルムは、様々な特性を有し得る。実施形態では、シーラントフィルムは、120℃未満のヒートシール開始温度を有し、ヒートシール開始温度は、以下に記載される試験方法に従って測定することができる。実施形態では、シーラントフィルムは、115℃未満、又は代替的には110℃未満、又は代替的には105℃未満、又は代替的には100℃未満のヒートシール開始温度を有し得、ヒートシール開始温度は、以下に記載される試験方法に従って測定することができる。
【0060】
接着剤
多層構造体は接着剤を含む。接着剤は、シーラントフィルムを二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面に接着する。接着剤は、二軸延伸ポリエチレンフィルムとシーラントフィルムとの間に共押出され得る結合層ではない。むしろ、二軸延伸ポリエチレンフィルム及びシーラントフィルムを別々に形成し、次いで接着剤を使用してシーラントフィルムを二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面に接着する。
【0061】
接着剤は、シーラントフィルムを二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面に接着するのに適した任意の接着剤であってよい。実施形態において、接着剤は、無溶剤接着剤、水性接着剤、又は溶剤型接着剤を含む。二軸延伸ポリエチレンフィルムのスキン層のマットな表面は、例えば、乾式若しくは湿式若しくは無溶剤積層プロセスを使用すること、又は手動若しくは機械積層プロセスを使用することを含む、本明細書の教示に基づいて当業者に知られている任意のプロセスを使用してセレントフィルムに接着することができる。
【0062】
接着剤コーティング重量は、例えば、二軸延伸ポリエチレンフィルムの厚さ、シーラントフィルムの厚さ、多層構造体の所望の厚さ、及び使用される接着剤の種類を含むいくつかの要因に依存し得る。実施形態において、接着剤は、1~5gsm、1~4gsm、又は1~3gsmの接着剤コーティング重量で塗布される。
【0063】
本発明の実施形態に従って使用することができる接着剤の例としては、例えば、MOR-FREE(商標)709A/B、ROBOND(商標)L168/CR3A、ROBOND(商標)L188/CR3A、ADCOTE(商標)D516A/F、及びADCOTE(商標)545S/Fを含む、MOR-FREE(商標)、ADCOTE (商標)、及びROBOND(商標)という名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0064】
実施形態において、本発明の多層構造体は、他の層を含むことができる。例えば、本発明の多層構造体は、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の二軸延伸ポリエチレンフィルム、1つ以上の追加のセレントフィルム、及び/又は1つ以上の追加の粘着剤を含むことができる。本発明の多層構造体は、いくつかの実施形態において、例えば、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、金属化二軸延伸ポリアミドフィルム、金属化二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、金属化二軸延伸ポリプロピレンフィルム、及び/又は他のフィルムを含む他の層を更に含むことができる。
【0065】
多層構造体の任意の層、フィルム、又は接着剤は、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、粘着防止剤、帯電防止剤、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、及び発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤を更に含み得ることを理解されたい。例えば、実施形態では、シーラントフィルムは、スリップ剤又は粘着防止剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0066】
本発明の多層構造体は、有利な特性を有することができる。例えば、本明細書に開示される実施形態による多層構造体は、他の多層構造体と比較して著しく高い接着結合力を有する。実施形態において、多層構造体は、少なくとも2.5N/15mmの接着結合力を有し、接着結合力は、以下に記載される試験方法に従って測定することができる。少なくとも2.5N/15mmの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に開示され、含まれている。例えば、多層構造体は、少なくとも2.5N/15mm、少なくとも3.0N/15mm、少なくとも3.5N/15mm、少なくとも4.0N/15mm、又は少なくとも4.5N/15mmの接着結合力を有することができ、接着結合力は、以下に記載される試験方法に従って測定することができる。
【0067】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の多層構造体のうちのいずれかから形成された物品も提供する。そのような物品の例としては、包装、可撓性包装、パウチ、及びラベルが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の包装は、液体、粉末、食品、又は他の品目を含み得る。本発明の物品及び包装は、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の技法を使用して、本明細書に開示される多層構造体から形成され得る。
【0068】
試験方法
密度
密度は、ASTM D792に従って測定され、立方センチメートル当たりのグラム(g/cc又はg/cm)として表現される。
【0069】
メルトインデックス(I
メルトインデックス(I)は、ASTM D-1238によって190℃、2.16kgで測定される(プロピレン系ポリマーを除く)。プロピレン系ポリマーのメルトインデックスは、ASTM D-1238に従って230℃、2.16kgで測定される。メルトインデックスの値はg/10分で報告され、これは10分当たりに溶出したグラム数に相当する。
【0070】
貯蔵弾性率
試料樹脂を、射出成形機(FANUC(商標)、S-2000i100BH、スクリュー径=28mm)によって錠剤(60mm×60mm×1mm)にプレスする。処理パラメータは、表1に報告する。
【0071】
【表1】
【0072】
試験は、張力長方形を使用して、TA Instrumentsの機器RSA-G2で実行する。方法パラメータ:
1. 発振温度傾斜
2. 3℃/分で35~180℃の温度
3. 6.28rad/sの角周波数
4. 0.1%の歪み。
【0073】
光沢
光沢は、ASTM D2457に従って45°の角度で測定される。
【0074】
濁度
ヘイズは、ASTM D1003に従って判定される。
【0075】
接着結合力試験
Instron 5943機械における250mm/分のクロスヘッド速度でのT-剥離試験のために、試料フィルムを15mm幅のストリップに切断する。3つのストリップを試験して、平均値を取得する。試験中、ストリップの尾部をわずかに指で引っ張って尾部が剥離方向に対して90度の角度で維持されていることを確かめる。
【0076】
ヒートシール開始温度及びシール強度
ヒートシール開始温度(heat seal initiation temperature、HSIT)及びシール強度を決定するために、試料フィルムスキン上に12μmのPETフィルムの保護を有するJ&B Hot Tack 4000 Testerによって試料をシールする。試料幅は25mmであり、滞留シール時間は0.5秒であり、シール圧力は0.275N/mmである。ヒートシールした試料を24時間調整し、次いで200Nのロードセルを備えたZwick引張機を使用して、かつ500mm/分の引張速度で測定する。HSITは、25mm当たり5ニュートン力に達するための摂氏温度での最低温度として報告される。シール強度値はN/25mmで報告される。
【実施例
【0077】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0078】
シーラントフィルム
3層シーラントフィルムは、従来のポリエチレンインフレーションフィルムプロセスによって共押出される。フィルムの組成を下記表2に示す。フィルムは、3/4/3の層比及び60μmの全厚を有する(層の厚さが18ミクロン/24ミクロン/18ミクロンであるように)。シーラントフィルムのヒートシール強度データを以下の表3に示す。示されるように、シーラントフィルムのヒートシール開始温度(HSIT)は、100℃未満である。
【0079】
以下の材料をシーラントフィルムの調製に使用した:
INNATE(商標)TH60、0.912g/ccの密度及び0.85g/10分のメルトインデックス、Iを有し、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されているポリエチレン樹脂。
ELITE(商標)AT 6202、0.908g/ccの密度及び0.85g/10分のメルトインデックス、Iを有し、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている直鎖状低密度ポリエチレン。
AFFINITY(商標)PL1881G、0.904g/ccの密度及び1g/10分のメルトインデックス、Iを有し、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されているポリオレフィンプラストマー。
LDPE 2426H、CNOOC and Shell Petro-Chemical(China)から市販されている低密度ポリエチレン。
Shang Hai JinZhu Master Batch Company(China)から市販されているWhite Master Batch 7M1508。
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
二軸延伸ポリエチレンフィルム(BOPE)フィルム
比較例として、両方のスキン層表面上に光沢のある(滑らかな)表面を有するBOPEフィルム(以下、「BOPE光沢」と呼ぶ)を使用する。BOPE光沢フィルムは、Guangdong Decro Film New Materials Co.Ltd.から市販されている。BOPE光沢フィルムは、INNATE(商標)TF 80という0.926g/ccの密度及び1.7g/10分の メルトインデックス(I)を有し、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている直鎖状低密度ポリエチレンからなる。BOPE光沢フィルムは、25ミクロンの厚さを有する(延伸後)。BOPE光沢フィルムのスキン層表面の光沢は86.7%であり、BOPE光沢フィルムのスキン層表面のヘイズは2.4%である。BOPE光沢フィルムの機械方向(machine direction、MD)延伸比は4:1であり、BOPE光沢フィルムの横断方向延伸比は8:1である。
【0083】
本発明の実施例では、マット表面を有するスキン層と、1つのコア層を有するコアと、外層とを含むBOPEフィルム(以下、「BOPEマット」と呼ぶ)を形成する。BOPEマットフィルムは、テンタフレーム二軸延伸ライン上で形成される。テンタフレームラインは、3層共押出ラインを有する。3台の押出機の出力比は1:8:1である。フラットダイから押出した後、フィルムを冷却ロール上で冷却し、室温の水を充填した水浴に浸漬する。次いで、キャストフィルムは異なる回転速度を有する一連のローラ上に通されて、機械方向(MD)の延伸を達成する。製作ラインのMD延伸セグメントには3対のローラがあり、ローラは全て油加熱されている。第1のローラ対は予熱されている。第2の対は延伸ローラである。最後のローラ対は、弛緩及びアニーリング用である。ローラの各対の温度は、別々に制御される。MD延伸後、フィルムウェブを、7つの加熱ゾーンを含むテンタフレーム熱風炉に通して、横断方向(CD)延伸を実施する。最初の3つのゾーンは予熱用であり、次の2つのゾーンは延伸用である。最後の2つのゾーンはアニーリング用である。各ゾーンの温度は別々に制御される。このテンタフレームラインのCD延伸比は8倍に固定される。MD延伸比は4倍に固定される。したがって、BOPEマットフィルムは、4:1の延伸比で機械方向に、かつ8:1の延伸比で横断方向に延伸される。
【0084】
BOPEマットフィルムは、25ミクロンの厚さを有する(延伸後)。BOPEマットフィルムのコア層及び外層は、INNATE(商標)TF 80からなる。マットな表面を有するスキン層は、50重量%のELITE(商標)5815と50重量%のTOPILENE PPR R200Pとの混合物を有する。ELITE(商標)5815は、エチレン系ポリマー、具体的には0.910g/cc の密度及び15g/10分のメルトインデックス(I)を有する直鎖状低密度メタロセンコポリマー及びエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。TOPILENE PPR R200Pは、プロピレン系ポリマー、具体的には、0.90g/ccの密度(ASTM D792)及び0.25g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、230℃/2.16kg)を有するプロピレンランダムコポリマーであり、Hyosung Corporationから市販されている。TOPILENE PPR R200Pは、110.0℃で124MPa及び120℃で77.8MPaの貯蔵弾性率を有する。ELITE(商標)5815は、110℃で約0MPa及び120℃で約0MPaの貯蔵弾性率を有し、したがって、ELITE(商標)5815とTOPILENE PPR R200Pとの間の貯蔵弾性率の差は、110.0℃で124MPa及び120℃で77.8MPaである。マットな表面を有するスキン層は、全BOPEマットフィルム厚の10%である。スキン層のマットな表面の光沢は12.3%であり、スキン層のマットな表面のヘイズは51.3%である。
【0085】
多層構造体
上記のように形成されたシーラントフィルムを、比較例についてはBOPE光沢フィルムに、本発明の実施例についてはBOPEマットフィルムに積層する。シーラントフィルムをそれぞれのBOPEフィルムに接着剤で積層して、多層構造体を形成する。1セットの多層構造体は、手動接着積層プロセスによって製造される。別の多層構造体のセットは、機械接着積層プロセスによって製造される。本発明の実施例では、接着剤は、BOPEマットフィルムのスキン層のマットな表面上にコーティングされ、シーラントフィルムの層1(すなわち、100% INNATE(商標)TH60を含む層)に接着される。比較例では、接着剤をBOPE光沢フィルム(同じ組成を有する)のいずれかの光沢面にコーティングし、シーラントフィルムの層1(すなわち、100% INNATE(商標)TH60を含む層)に接着する。
【0086】
MOR-FREE(商標)709A/B、ROBOND(商標)L168/CR3A、ROBOND(商標)L188/CR3A、ADCOTE(商標)D516A/F、及びADCOTE(商標)545S/Fは、使用される接着剤であり、それぞれThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。MOR-FREE(商標)709A/Bは、無溶剤接着剤であり、ROBOND(商標)L168/CR3A及びROBOND(商標)L188/CR3Aは、水性接着剤であり、ADCOTE(商標)545S/F及びADCOTE(商標)D516A/Fは溶剤系接着剤である。
【0087】
手動接着積層プロセスについては、異なるタイプの接着剤の共通のコーティング重量を達成するために適切な適用ロッドを使用するK-コーター(モデル101、R K Print-Coat Instruments Ltd.)の実験室ドローダウンが使用される。Hot Roll Laminator,HR-101、Chem-Instruments Ltd.によるハンドラミネーションを、40psiの圧力及び150°Fのニップ温度で使用する。
【0088】
機械接着積層プロセスでは、Nordmeccanicaライン(タイプ:LABO COMBI 400)が、以下の表4に指定されるパラメータで使用される。
【0089】
【表4】
【0090】
以下の表5は、手動接着積層プロセスによって調製された本発明の実施例及び比較例の構造体、接着剤、及び接着剤コーティング重量を提供する。以下の表6は、機械接着積層プロセスによって調製された本発明の実施例及び比較例の構造体、接着剤、及び接着剤コーティング重量を提供する。
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
本発明の実施例及び比較例のそれぞれの接着結合力は、上述の試験方法に従って測定される。表7は、結果を提供する。結果から分かるように、本発明の実施例の接着結合力は、著しく強い。試験から、本発明の実施例では、接着剤はスキン層のマットな表面に粘着し、シーラントフィルムには粘着しないが、比較例では、接着剤はシーラントフィルムに粘着することも観察される。
【0094】
【表7】
【0095】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか又は関連する特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に挙げられる全ての文献は、明示的に除外されるか、又は別段限定されない限り、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。任意の文書の引用は、それが本明細書に開示又は特許請求された任意の発明に関する先行技術、又はそれ単独で、若しくは任意の他の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、又は開示することを認めるものではない。更に、本文書における任意の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0096】
本発明の特定の実施形態を図示し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正を全て網羅することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造体であって、
(a)マットな表面を有するスキン層と、コアと、を含む、二軸延伸ポリエチレンフィルムであって、前記コアが1つ以上のコア層を含む、二軸延伸ポリエチレンフィルムと、
(b)シーラントフィルムと、
(c)前記シーラントフィルムを前記二軸延伸ポリエチレンフィルムの前記スキン層の前記マットな表面に接着する、接着剤と、を含む、多層構造体。
【請求項2】
前記スキン層が、前記スキン層の総重量に基づいて、20~80重量%のエチレン系ポリマーと、80~20重量%のプロピレン系ポリマーと、を含み、前記エチレン系ポリマー及び前記プロピレン系ポリマーの各々が、貯蔵弾性率を有し、前記エチレン系ポリマーと前記プロピレン系ポリマーとの前記貯蔵弾性率の差が、110℃で40メガパスカル(MPa)超であり、120℃で18MPa超である、請求項1に記載の多層構造体。
【請求項3】
前記スキン層が、エチレン/α-オレフィンコポリマーと、プロピレン/エチレンコポリマーと、を含み、前記エチレン/α-オレフィンコポリマー及び前記プロピレン/エチレンコポリマーの各々が、貯蔵弾性率を有し、前記エチレン/α-オレフィンコポリマーと前記プロピレン/エチレンコポリマーとの前記貯蔵弾性率の差が、110°で110~130メガパスカル(MPa)であり、120℃で70~80MPaであり、前記スキン層の前記マットな表面は、(i)45°の角度でASTM D2457によって測定したときに3%~15%の光沢、又は(ii)ASTM D1003によって測定したときに45%超のヘイズを有する、請求項1に記載の多層構造体。
【請求項4】
前記スキン層の前記マットな表面が、45°の角度でASTM D2457によって測定したときに50%未満の光沢を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項5】
前記コアが、全ての前記コア層の重量に基づいて、少なくとも50重量%のエチレン系ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項6】
前記二軸延伸ポリエチレン多層フィルムが厚さを有し、前記コアが前記フィルム厚の少なくとも50%を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項7】
前記二軸延伸ポリエチレンフィルムが、2:1~6:1の延伸比で機械方向に、かつ2:1~9:1の延伸比で横断方向に延伸される、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項8】
前記スキン層の前記マットな表面が、ASTM D1003によって測定したときに45%超のヘイズを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項9】
前記スキン層が、0.900~0.960g/ccの密度を有するエチレン系ポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層構造体。
【請求項10】
前記シーラントフィルムが、前記層の総重量に基づいて、少なくとも20重量%のポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、又はエチレンアクリレートコポリマーを含む層を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層構造体。
【国際調査報告】