(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】粘膜の穿孔
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20231030BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231030BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231030BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231030BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231030BHJP
A61P 5/38 20060101ALI20231030BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20231030BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231030BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231030BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231030BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231030BHJP
A61M 37/00 20060101ALN20231030BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/38
A61P25/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P5/38
A61P5/14
A61P3/10
A61P35/00
A61P31/00
A61K9/70
A61M37/00 510
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023513605
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 DE2021100715
(87)【国際公開番号】W WO2022042799
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102020122557.1
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・コッホ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C267
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA73
4C076BB21
4C076BB22
4C076CC01
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4C076CC11
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4C267GG02
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4C267GG21
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4C267HH08
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのマイクロニードルシステム、および少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための少なくとも1つの投与形態を含むキットであって、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための少なくとも1つの該投与形態が、患者の治療に使用するための口腔薄膜を好ましくは含むキット、少なくとも1つの医薬有効成分に対する粘膜の透過バリアを減少させるためのマイクロニードルシステムの使用、ならびに患者を治療する方法であって、マイクロニードルシステムを最初に患者の粘膜部位に適用し、再び除去し、その後少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を、マイクロニードルシステムを適用し、再び除去した該粘膜部位に適用するか、または該マイクロニードルシステムを、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための投与形態と同時に粘膜に適用する、方法に関する。本発明はまた、生分解性マイクロニードルシステムであって、少なくとも1つの医薬有効成分および少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む生分解性マイクロニードルシステムにも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマイクロニードルシステム、および
少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための少なくとも1つの剤形
を含むキット。
【請求項2】
少なくとも1つの剤形は、少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を含むことを特徴とする、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
少なくとも1つのマトリックスポリマーは、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギネート、ペクチン、プルラン、トラガント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンならびに天然ガムからなる群から選択されることが好ましい水溶性および/または水膨潤性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
少なくとも1つの医薬有効成分は、3以上のlogPを有する医薬有効成分を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
少なくとも1つの医薬有効成分は、300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
少なくとも1つの医薬有効成分は、催眠剤、鎮静剤、抗てんかん剤、蘇生剤、向精神神経薬、神経遮断剤、神経筋遮断剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、強心剤、抗不整脈剤、利尿剤、降圧剤、昇圧剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮痛剤、甲状腺ホルモン、性ホルモン、グルココルチコイドホルモン、抗糖尿病剤、抗腫瘍薬、抗生物質、化学療法剤、麻酔剤、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー剤および/またはトリプタンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のキット。
【請求項7】
マイクロニードルシステムは、ガラス、SiO
2、鋼鉄、セラミック、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギネート、ペクチン、プルラン、トラガント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンならびに天然ガムをベースとするマイクロニードルシステムであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
マイクロニードルシステムは、長さが100μm~600μm、好ましくは250μm~350μmのマイクロニードルを有すること、および/または1cm
2あたり50~400個、好ましくは200~250個のマイクロニードルを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のキット。
【請求項9】
患者の治療における使用のための請求項1~8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項10】
マイクロニードルシステムの使用であって、少なくとも1つの医薬有効成分に対する粘膜の透過バリアを減少させるためのマイクロニードルシステムの使用。
【請求項11】
患者の治療方法であって、
a)マイクロニードルシステムを患者の粘膜部位に適用する工程、
b)マイクロニードルシステムを除去する工程、および
c)少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を、該マイクロニードルシステムをa)工程において適用し、b)工程において再び除去した該粘膜部位に、適用する工程
を含む、患者の治療方法。
【請求項12】
患者の治療方法であって、
a)マイクロニードルシステムを患者の粘膜部位に適用する工程、
b)同時に、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための剤形を、マイクロニードルシステムの粘膜に接触しない側に適用する工程
を含む、患者の治療方法。
【請求項13】
生分解性マイクロニードルシステムであって、
少なくとも1つの医薬有効成分、および
少なくとも1つの生分解性ポリマー
を含む生分解性マイクロニードルシステム。
【請求項14】
マイクロニードルシステムは、100μm~500μm、好ましくは長さが250μm~350μmのマイクロニードルを有し、および/または1cm
2あたり50~400個、特に好ましくは200~250個のマイクロニードルを有することを特徴とする、請求項13に記載の生分解性マイクロニードルシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの生分解性ポリマーは、糖、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドンをベースとするポリマーであることを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の生分解性マイクロニードルシステム。
【請求項16】
医薬としての使用のための、請求項13または14に記載の生分解性マイクロニードルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのマイクロニードルシステム、および少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための少なくとも1つの剤形を含むキットであって、経粘膜投与するための少なくとも1つの該剤形が、少なくとも1つの医薬有効成分、好ましくは口腔薄膜を含むキット、患者の治療における使用のための該キット、少なくとも1つの医薬有効成分に対する粘膜の透過バリアを減少させるためのマイクロニードルシステムの使用、ならびに患者を治療する方法であって、マイクロニードルシステムを最初に患者の粘膜部位に適用して再び除去し、その後少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を、マイクロニードルシステムを適用し、再び除去した該粘膜部位に適用するか、または該マイクロニードルシステムを、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための剤形と同時に粘膜に適用する、方法に関する。本発明はまた、生分解性マイクロニードルシステムであって、少なくとも1つの医薬有効成分および少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む生分解性マイクロニードルシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
医薬有効成分は、適切な剤形を用いて粘膜を介して投与することができる。例えば、口腔薄膜はこの目的に適している。
【0003】
口腔薄膜(OTF)は、少なくとも1つの医薬有効成分を含む薄膜であり、該薄膜は、粘膜(mucosa)(粘膜(mucous membrane))、好ましくは、口腔粘膜に直接置かれ、好ましくはそこで溶解するものである。これらの膜は、特に、有効成分含有ポリマーベース薄膜であり、粘膜、特に口腔粘膜に適用される場合、有効成分を直接それに送達する。
【0004】
この剤形は、有効成分が、口腔粘膜などによって大部分が吸収されるという利点を有し、したがって、有効成分を錠剤形態にした従来の剤形において生じる初回通過効果を避けることができる。この場合の有効成分は、膜中に溶解、乳化または分散される。
【0005】
この場所の口腔粘膜は、血管供給が良く、血流が強いため、有効成分は、特にここで迅速に吸収される。
【0006】
したがって、口腔粘膜を介した吸収経路は、比較的速い有効成分通過あるいはまた有効成分の透過性によって特徴づけられる。
【0007】
例えば、ニコチン含有OTFを適用した後、血圧の効果的な上昇を、2分後にはもう薬理学的証明として測定し得る。
【0008】
したがって、OTFはまた、好ましくは、迅速な作用発現を必要とする適応症、例えば、疼痛、吐き気、めまい、発作、心停止に使用されるが、また高血圧または血糖値の調節にも使用される。
【0009】
他の適切な剤形は、例えば、少なくとも1つの医薬有効成分の溶液または懸濁液で飽和した綿またはセルロース製などの繊維担体が含まれる。
【0010】
本明細書では、医療タンポナーデ、例えば、とりわけ歯科で使用されるものなどが適している。
【0011】
本明細書では、チョウジ油もしくはその主成分オイゲノール、ラベンダー油もしくはその主成分リナロール、サリチル酸メチルまたはグリセリンおよびリモネンとのエタノール混合物が適切な溶媒である。
【0012】
チョウジ油は、チョウジ花油、チョウジ葉油およびチョウジスタイル油を含み、一般的には、チョウジの木Syzygium aromaticum(Myrtaceae)の様々な植物部位から水蒸気蒸留を用いて得られる。
【0013】
かかる繊維担体中に存在する好適な有効成分量は、例えば、繊維担体100gあたり50gである。
【0014】
粘膜は非常に親水性の透過バリア(水90%超)であるため、それに適用される有効成分は、少なくとも水に易溶であり、したがって一般的に親油性よりも親水性である必要がある。これは、例えば、医薬品有効成分の薬学的に許容される塩の投与によって達成できる。例えば、オピオイド塩基フェンタニルおよびブプレノルフィンの塩酸塩は、水に易溶であり、塩基自体に代わって特に突出痛の治療に使用することができ、ここで言及し得る。
【0015】
しかし、共有結合性で親油性の全ての医薬には、対応する親水性塩が存在しない。したがって、かかる医薬、例えば、肺高血圧の治療のためのリオシグアト、または疼痛の治療のためのテトラヒドロカンナビノール(THC)は、十分な量で粘膜から吸収することができない。
【0016】
この吸収経路はまた、水溶解度が十分であるにも関わらず、300g/mol超または1000g/mol超の分子量を有する有効成分、例えば、インスリンのようなタンパク質によって通常閉鎖される。
【0017】
それにもかかわらず、これらの有効成分を十分な治療有効量で提供するには、一時的かつ可逆的に粘膜の透過バリアを減少させることが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、一時的かつ可逆的に粘膜の透過バリアを減少させて、医薬有効成分、特に親油性医薬有効成分、とりわけ3超のlogPを有するもの、または300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分の有利な吸収を改善する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、本発明に従って、少なくとも1つのマイクロニードルシステムと、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための少なくとも1つの剤形、特に、少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜とを含むキットによって対処される。
【0020】
マイクロニードルの使用は、粘膜の透過バリアを、一時的かつ可逆的に減少させて、医薬有効成分、特に親油性医薬有効成分、好ましくは3超のlogPを有するもの、または300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分の有利な吸収を可能とさせるという利点を有する。
【0021】
以下の発明の説明において、用語「を含む(comprising)」はまた、「からなる(consisting of)」も意味し得る。
【0022】
用語「マイクロニードル」は、5~1000μmの長さを有する、好ましくは硬質材料製のニードルを意味すると理解されるものとする。長さと直径の比は、好ましくは5:1~1000:1である。
【0023】
本発明によるキットは、経粘膜投与するための少なくとも1つの剤形が、マトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0024】
口腔薄膜は、単層または多層設計であり得る。
【0025】
本発明によるキットは、少なくとも1つのマトリックスポリマーが水溶性および/または水膨潤性ポリマーを含むことを特徴とすることが好ましい。
【0026】
水溶性および/または水膨潤性ポリマーは、化学的に非常に異なる天然ポリマーまたは合成ポリマーを含み、その共通の特徴は、水または水性媒体への溶解度または膨潤度である。
【0027】
本発明によるキットは、少なくとも1つのマトリックスポリマーが、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギネート、ペクチン、プルラン、トラガント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンならびに天然ガムからなる群から選択されることを特徴とすることが好ましいが、しかしながら、この群は、網羅的なものではない。
【0028】
ヒアルロン酸、セルロース誘導体、アルギネートおよび/またはポリ(ラクチド-co-グリコリド)が特に好ましいが、その理由は、これらのポリマーが生物由来のものであり、それゆえに薬学的に許容されるからである。
【0029】
本発明による口腔薄膜に含まれる少なくとも1つの医薬有効成分は、原則としてどんな制限も受けることはない。
【0030】
本発明によるキットは、しかしながら、少なくとも1つの医薬有効成分が、3以上のlogPおよび/または300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0031】
本発明によるキットはまた、少なくとも1つの医薬有効成分が、2超、好ましくは、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、5、6または7超のlogPを有することを特徴とすることも好ましい。
【0032】
n-オクタノール・水分配係数K
ow(オクタノール/水分配係数などの表記もまた一般的で正しい)は、当業者に知られている無次元分配係数であり、これは、n-オクタノールおよび水の二相系における化学物質の濃度比を示し、したがって物質の疎水性または親水性の尺度である。logP値は、n-オクタノール・水分配係数K
owの10を底とする対数である。以下は真である:
【数1】
式中、c
o
Siは、オクタノールに富む相中の化学物質の濃度であり、c
w
Siは、水に富む相中の化学物質の濃度である。
【0033】
Kowは、物質が、n-オクタノールなどの脂肪様溶媒により溶解しやすい場合は1超であり、水により溶解しやすい場合は1未満である。したがって、logPは、親油性物質では正であり、親水性物質では負である。
【0034】
少なくとも1つの医薬有効成分は、300g/mol超または1000g/mol超、好ましくは、1500g/mol超または2000g/mol超、特に、2500g/mol超、3000g/mol超、3500g/mol超、4000g/mol超、4500g/mol超、または5000g/mol超の分子量を有することが好ましい。
【0035】
本発明によるキットは、少なくとも1つの医薬有効成分が、1.0mg/ml未満、好ましくは、0.5mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/ml、または0.001mg/ml未満の水溶解度(20℃で)を有することを特徴とすることが好ましい。
【0036】
本発明によるキット中の少なくとも1つの医薬有効成分は、催眠剤、鎮静剤、抗てんかん剤、蘇生剤、向精神神経薬、神経遮断剤、神経筋遮断剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、強心剤、抗不整脈剤、利尿剤、降圧剤、昇圧剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮痛剤、甲状腺ホルモン、性ホルモン、グルココルチコイドホルモン、抗糖尿病剤、抗腫瘍薬、抗生物質、化学療法剤、麻酔剤、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー剤および/またはトリプタンからなる群から選択されることが好ましいが、しかしながら、この群は、網羅的なものではない。
【0037】
少なくとも1つの医薬有効成分は、リオシグアト、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、ドロナビノール、甲状腺ホルモンおよび/またはインスリンを含むことが好ましいが、その理由は、これらの有効成分は、今まで良好な非経口投与経路を見いだすことができなかったからである。
【0038】
少なくとも1つの医薬有効成分は、緊急医薬の群からの有効成分を含むことが好ましい。これらの緊急医薬は、アドレナリン、アミオダロン、抗利尿ホルモン、アポモルヒネ、アトロピン、ヒヨスチンブチルブロマイド、クロナゼパム、ダントロレン、デキサメタゾン、ジアゼパム、エントリモド、エトミデート、フルマゼニル、フロセミド、グルカゴン、グルココルチコイド、グルコース、ハロペリドール、ヘパリン、ケタミン、レボサルブタモール、リドカイン、ロラゼパム、メトプロロール、ミダゾラム、モルヒネ、ナロキソン、ニトログリセリン、塩化オビドキシム、オルシプレナリン、有機硝酸薬、プロポフォール、サルブタモール、テルブタリン、テオフィリン、子宮収縮抑制剤、臭化トリメドキシムおよび/またはウラピジルを含む群から選択されることが好ましい。
【0039】
口腔薄膜中の有効成分の量は、その種類によって決まり、口腔薄膜の総重量に対して、通常、0.01~70wt%、好ましくは、0.1~50wt%、特に好ましくは、1~40wt%である。
【0040】
口腔薄膜はまた、色素、香味料、甘味料、味覚マスキング剤、界面活性剤、賦活剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤および/または可塑剤を含む群から選択される、少なくとも1つの助剤を更に含むと有利であり得る。
【0041】
これらの助剤は、いずれも0.001~20wt%の量で口腔薄膜中に含まれることが好ましい。
【0042】
口腔薄膜の面密度は、好ましくは、40~300g/m2、特に好ましくは、100~250g/m2である。
【0043】
かかる口腔薄膜の作製は、当業者に知られている。適切な作製方法は、少なくとも1つの医薬有効成分および少なくとも1つのマトリックスポリマーを各々適切な溶剤または分散剤中に溶解または分散することと、続けて、この溶剤または分散剤を広げ、乾かして口腔薄膜を得ることとを含む。
【0044】
マイクロニードルシステムは、マイクロニードルアレイとも呼ばれ、担体上に複数のマイクロニードルを備えるシステムを含むことが好ましい。ニードルは、5μm~1000μmの長さを有することが好ましく、様々な材料、例えば、セラミック、鋼鉄、ポリマーまたはSiO2製であり得る。
【0045】
本発明によるキットは、マイクロニードルシステムが、ガラス、SiO2、鋼鉄、セラミック、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギネート、ペクチン、プルラン、トラガント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンならびに天然ガムをベースとするマイクロニードルシステムであることを特徴とすることが好ましいが、しかしながら、この群は、網羅的なものではない。
【0046】
ヒアルロン酸、セルロース誘導体、アルギネートおよび/またはポリ(ラクチド-co-グリコリド)をベースとするマイクロニードルシステムが、本明細書では特に好ましいが、その理由は、これらのポリマーが生物由来のものであり、それゆえに(これらの物質に対する特定のアレルギー反応を除いては)薬学的に許容されるからである。
【0047】
適切なマイクロニードルシステムは、当業者に知られており、例えば、米国特許第7658728号、同第7785301号または同第8414548号に記載されており、その内容は、その全範囲にわたって本明細書に組み込まれる。適切なマイクロニードルシステムは、例えば、「nanobioSciences」社(CA、USA)からの商品名「AdminPatch」で入手可能である。
【0048】
本発明によるキットは、マイクロニードルシステムが、長さが100μm~600μm、好ましくは250μm~350μm、更に好ましくは約300μmのマイクロニードルを有することを特徴とすることが好ましい。
【0049】
本発明によるキットはまた、マイクロニードルシステムが1cm2あたり30~400個、好ましくは200~250個のマイクロニードルを有することを特徴とすることも好ましい。
【0050】
本発明によるキットは、別の実施形態では、マイクロニードルシステムが1cm2あたり39のマイクロニードルを有することを特徴とすることが好ましい。
【0051】
本発明はさらに、患者の治療における使用のための前述の本発明によるキットに関する。
【0052】
本発明はまた、少なくとも1つの医薬有効成分に対する粘膜の透過バリアを減少または低下させるための前述のマイクロニードルシステムの使用にも関する。
【0053】
この使用によれば、粘膜は、特にヒト口腔粘膜を含む。
【0054】
この使用に従う少なくとも1つの医薬有効成分は、本明細書では上記で定義されたように理解される。
【0055】
本発明はまた、患者の治療方法であって、
a)マイクロニードルシステムを患者の粘膜部位に適用する工程、
b)マイクロニードルシステムを除去する工程、および
c)少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を、該マイクロニードルシステムがa)工程において適用されてさらにまたb)工程において除去された該粘膜部位に、適用する工程
を含む、患者の治療方法にも関する。
【0056】
粘膜は、ヒト口腔粘膜を含むことが好ましい。
【0057】
マイクロニードルシステムおよび少なくとも1つの医薬有効成分は、上記で定義されたように理解される。
【0058】
マイクロニードルシステムは、1~5N、好ましくは、約3Nの圧力で患者の粘膜に押し当てることが好ましい。
【0059】
接触時間は、好ましくは2~20sec、特に好ましくは5~15sec、特に約10secである。
【0060】
その後、マイクロニードルシステムは除去され、口腔薄膜が、好ましくは5~15sec以内、好ましくは5sec以内に同じ部位に適用される。
【0061】
本発明はまた、患者の治療方法であって、
a)マイクロニードルシステムを患者の粘膜部位に適用する工程、
b)同時に、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための剤形を、マイクロニードルシステムの粘膜に接触しない側に適用する工程
を含む、患者の治療方法にも関する。
【0062】
粘膜は、ヒト口腔粘膜を含むことが好ましい。
【0063】
マイクロニードルシステムおよび少なくとも1つの医薬有効成分は、上記で定義されたように理解される。
【0064】
マイクロニードルシステムは、1~5N、好ましくは、約3Nの圧力で患者の粘膜に押し当てることが好ましい。
【0065】
少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための剤形は、例えば、少なくとも1つの医薬有効成分の溶液または懸濁液で飽和した歯科で使用されるタンポナーデなどの繊維担体であり得る。
【0066】
本発明はまた、生分解性マイクロニードルシステムであって、少なくとも1つの医薬有効成分および少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む生分解性マイクロニードルシステムにも関する。
【0067】
かかる生分解性マイクロニードルシステムの使用は、粘膜の透過バリアを、一時的かつ可逆的に減少させて、医薬有効成分、特に親油性医薬有効成分、好ましくは3超のlogPを有するもの、または300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分の有利な吸収を可能とさせるという利点を有する。
【0068】
用語「マイクロニードル」は、5~1000μmの長さを有する、好ましくは硬質材料製のニードルを意味すると理解されるものとする。長さと直径の比は、好ましくは5:1~1000:1である。
【0069】
マイクロニードルシステムは、投与後、患者の口腔内で溶解し、その際、含有される医薬有効成分を放出する。
【0070】
さらに、本発明による生分解性マイクロニードルシステムは、マイクロニードルシステムが、長さ100μm~500μm、好ましくは250μm~350μmのマイクロニードルを有し、および/または1cm2あたり50~400個、好ましくは200~250個のマイクロニードルを有することを特徴とすることが好ましい。
【0071】
本発明による生分解性マイクロニードルシステムはまた、少なくとも1つの生分解性ポリマーが、糖、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドンをベースとするポリマーであることを特徴とすることも好ましい。
【0072】
本発明による生分解性マイクロニードルシステムに含まれる少なくとも1つの医薬有効成分は、原則としてどんな制限も受けることはない。
【0073】
本発明による生分解性マイクロニードルシステムは、しかしながら、少なくとも1つの医薬有効成分が、3以上のlogPおよび/または300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0074】
本発明による生分解性マイクロニードルシステムはまた、少なくとも1つの医薬有効成分が、2超、好ましくは、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4、4.2、4.4、4.6、4.8、5、6または7を超えるlogPを有することを特徴とすることも好ましい。
【0075】
n-オクタノール・水分配係数K
ow(オクタノール/水分配係数などの表記もまた一般的で正しい)は、当業者に知られている無次元分配係数であり、これは、n-オクタノールおよび水の二相系における化学物質の濃度比を示し、したがって物質の疎水性または親水性の尺度である。logP値は、n-オクタノール・水分配係数K
owの10を底とする対数である。以下は真である:
【数2】
式中、c
o
Siは、オクタノールに富む相中の化学物質の濃度であり、c
w
Siは、水に富む相中の化学物質の濃度である。
【0076】
Kowは、物質が、n-オクタノールなどの脂肪様溶媒により溶解しやすい場合は1超であり、水により溶解しやすい場合は1未満である。したがって、logPは、親油性物質では正であり、親水性物質では負である。
【0077】
少なくとも1つの医薬有効成分は、300g/mol超または1000g/mol超、好ましくは、1500g/mol超または2000g/mol超、特に、2500g/mol超、3000g/mol超、3500g/mol超、4000g/mol超、4500g/mol超、または5000g/mol超の分子量を有することが好ましい。
【0078】
本発明による生分解性マイクロニードルシステムは、少なくとも1つの医薬有効成分が、1.0mg/ml未満、好ましくは、0.5mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/ml、または0.001mg/ml未満の水溶解度(20℃で)を有することを特徴とすることが好ましい。
【0079】
少なくとも1つの医薬有効成分は、生分解性マイクロニードルシステム中に塩の形態で存在しないことが好ましい。
【0080】
本発明による生分解性マイクロニードルシステム中の少なくとも1つの医薬有効成分は、催眠剤、鎮静剤、抗てんかん剤、蘇生剤、向精神神経薬、神経遮断剤、神経筋遮断剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、強心剤、抗不整脈剤、利尿剤、降圧剤、昇圧剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮痛剤、甲状腺ホルモン、性ホルモン、グルココルチコイドホルモン、抗糖尿病剤、抗腫瘍薬、抗生物質、化学療法剤、麻酔剤、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー剤および/またはトリプタンからなる群から選択されることが好ましいが、しかしながら、この群は、網羅的なものではない。
【0081】
少なくとも1つの医薬有効成分は、リオシグアト、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、ドロナビノール、甲状腺ホルモン、酒石酸水素アドレナリンおよび/またはインスリンを含むことが好ましいが、その理由は、これらの有効成分は、今まで良好な非経口投与経路を見いだすことができなかったからである。
【0082】
少なくとも1つの医薬有効成分は、緊急医薬の群からの有効成分を含むことが好ましい。これらの緊急医薬は、アドレナリン、アミオダロン、抗利尿ホルモン、アポモルヒネ、アトロピン、ヒヨスチンブチルブロマイド、クロナゼパム、ダントロレン、デキサメタゾン、ジアゼパム、エントリモド、エトミデート、フルマゼニル、フロセミド、グルカゴン、グルココルチコイド、グルコース、ハロペリドール、ヘパリン、ケタミン、レボサルブタモール、リドカイン、ロラゼパム、メトプロロール、ミダゾラム、モルヒネ、ナロキソン、ニトログリセリン、塩化オビドキシム、オルシプレナリン、有機硝酸薬、プロポフォール、サルブタモール、テルブタリン、テオフィリン、子宮収縮抑制剤、臭化トリメドキシムおよび/またはウラピジルを含む群から選択されることが好ましい。
【0083】
生分解性マイクロニードルシステム中の有効成分の量は、その種類によって決まり、口腔薄膜の総重量に対して、通常、0.01~70wt%、好ましくは、0.1~50wt%、特に好ましくは、1~40wt%である。
【0084】
生分解性マイクロニードルシステムはまた、色素、香味料、甘味料、味覚マスキング剤、界面活性剤、賦活剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤および/または可塑剤を含む群から選択される、少なくとも1つの助剤を更に含むと有利となり得る。
【0085】
これらの助剤は、いずれも0.001~20wt%の量で口腔薄膜中に含まれることが好ましい。
【0086】
オイゲノールは、本発明による生分解性マイクロニードルシステムにおける賦活剤として好ましく提供される。
【0087】
本発明はまた、医薬として使用するための前述の生分解性マイクロニードルシステムにも関する。
【0088】
本発明はまた、哺乳類口腔粘膜への適用、特に、ヒト口腔粘膜への適用に関する医薬として使用するための前述の生分解性マイクロニードルシステムにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】実施例1によるインビトロ粘膜モデルにおける、チョウジ油中の飽和リオシグアト溶液のインビトロ透過性プロファイル比較。この場合、マイクロニードルシステムを用いた前処置後の有効成分フラックスは、前処置なしの投与と比較して、2.0倍高い。
【
図2】実施例2によるインビトロ粘膜モデルにおける、天然のヒトのだ液中の飽和ヒトインスリン溶液のインビトロ透過性プロファイル比較。有効成分フラックスは、マイクロニードルシステムを用いた前処置後にのみ観察することができた。前処置なしでは、どんな透過有効成分も検出することはできなかった。
【
図3】実施例3によるインビトロ粘膜モデルにおける、チョウジ油中の飽和テトラヒドロカンナビノール溶液のインビトロ透過性プロファイル比較。透過有効成分は、前処置なしでは3時間後にしか検出することができなかった。この値は、前処置した粘膜と比較して、1/5に低下した。
【
図4】実施例3によるインビトロ粘膜モデルにおける、チョウジ油中の飽和カンナビジオール溶液のインビトロ透過性プロファイル比較。マイクロニードルシステムを用いた前処置後の有効成分フラックスは、前処置なしの投与と比較して、2.0倍高い。
【
図5】実施例5によるインビトロ粘膜モデルにおける、粘膜に直接適用されるコハク酸スマトリプタンを添加した溶解マイクロニードルシステムのインビトロ透過性プロファイル比較。比較例は、同じシステムであるが、しかしながら、逆の向きで、すなわち、ニードル側を上にして粘膜に貫入しないように適用した。口腔内でのインビボ接触圧力を模擬するために、マイクロニードルシステムは、比較例と本発明による実施例との両方で重しとして鉛球を用いて上方から加重した。粘膜に適用されたマイクロニードルシステムによる有効成分フラックスは、粘膜に貫入しないシステムと比較して2.0倍高い。本発明による実施例での10min後の最初の透過値は、比較例と比較して約4倍高い。
【
図6】実施例6によるインビトロ粘膜モデルにおける、粘膜に直接適用される酒石酸水素アドレナリンを添加した溶解マイクロニードルシステムのインビトロ透過性プロファイル比較。比較例は、同じシステムであるが、しかしながら、逆の向きで、すなわち、ニードル側を上にして粘膜に貫入しないように適用した。口腔内でのインビボ接触圧力を模擬するために、マイクロニードルシステムは、比較例と本発明による実施例との両方で重しとして鉛球を用いて上方から加重した。粘膜に適用されたマイクロニードルシステムによる有効成分フラックスは、粘膜に貫入しないシステムと比較して4倍高い。
【
図7】実施例7によるインビトロ粘膜モデルにおける、粘膜に直接適用される硫酸サルブタモールを添加した溶解マイクロニードルシステムのインビトロ透過性プロファイル比較。比較例は、同じシステムであるが、しかしながら、逆の向きで、すなわち、ニードル側を上にして粘膜に貫入しないように適用した。口腔内でのインビボ接触圧力を模擬するために、マイクロニードルシステムは、比較例と本発明による実施例との両方で重しとして鉛球を用いて上方から加重した。粘膜に適用されたマイクロニードルシステムによる有効成分フラックスは、粘膜に貫入しないシステムと比較して2倍高い。
【
図8】実施例8によるインビトロ粘膜モデルにおける、粘膜に直接適用される塩酸アポモルヒネを添加した溶解マイクロニードルシステムのインビトロ透過性プロファイル比較。比較例は、同じシステムであるが、しかしながら、逆の向きで、すなわち、ニードル側を上にして粘膜に貫入しないように適用した。口腔内でのインビボ接触圧力を模擬するために、マイクロニードルシステムは、比較例と本発明による実施例との両方で重しとして鉛球を用いて上方から加重した。粘膜に適用されたマイクロニードルシステムによる有効成分フラックスは、粘膜に貫入しないシステムと比較して3倍高い。
【
図9】実施例9によるインビトロ粘膜モデルにおける、粘膜に直接適用されるスマトリプタン塩基を添加した溶解マイクロニードルシステムのインビトロ透過性プロファイル比較。比較例は、同じシステムであるが、しかしながら、逆の向きで、すなわち、ニードル側を上にして粘膜に貫入しないように適用した。口腔内でのインビボ接触圧力を模擬するために、マイクロニードルシステムは、比較例と本発明による実施例との両方で重しとして鉛球を用いて上方から加重した。比較例では、有効成分フラックスを測定することはできなかった。それとは対照的に、高有効成分フラックスを、粘膜に適用されたマイクロニードルシステムにおいて観察することができた。
【
図10】実施例10によるインビトロ粘膜モデルにおける、酢酸ウリプリスタル含有口腔薄膜のインビトロ透過性プロファイル比較。有効成分フラックスは、マイクロニードルシステムを用いた前処置後にのみ観察することができた。前処置なしでは、どんな透過有効成分も検出することはできなかった。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明を、以下で非限定的な実施例により説明する。
【0091】
実施例
それぞれの場合で選択された有効成分に対する以下の一連の試験を、37℃でフランツ拡散セル(容量10mL)によって典型的なインビトロ透過性の範囲内で行った。使用アクセプター媒体を、所定の交換時間で新規のものに完全に交換し、これらのアクセプター液中の透過有効成分量の含有量を、HPLCによって求めた。
【0092】
使用ドナーおよびアクセプター媒体の各々を、例示有効成分の溶解度を考慮して選択した。
【0093】
使用ドナー液を、実施例1~3の場合、ピペットを使用して粘膜表面に直接適用した。ドナー液の量は、例示有効成分1、2および3のいずれの場合でも150μlであった。
【0094】
鋼鉄製の市販のシステムの1つは、「nanobioSciences」社(CA、USA)からの商品名「AdminPatch(商標)」で知られており、実施例1~4および10におけるマイクロニードルシステムとして使用した。
【0095】
接触圧力は、上皿てんびんによってモニターされ、親指の加圧で3Nであった。加圧時間は10secであった。
【0096】
実施例1~4および10におけるマイクロニードルの長さは、いずれの場合でも600μmであった。合計187のマイクロニードルを0.785cm2の領域に適用した(マイクロニードル密度は1cm2あたり238)。
【0097】
実施例4では、ドナー液を、使用する歯科タンポナーデ(長さおよび直径がそれぞれ1cm)の上にまたは中に注入した(900μl)。マイクロニードルシステムを、タンポナーデの下側に固定し、そして、フランツセルのヘッドによって垂直に粘膜表面に適用し、適切な止め具によって適度な圧力で規定の位置に固定した。
【0098】
実施例5~9では、有効成分が添加された生分解性マイクロニードルシステムを、前述のようにフランツ拡散セルによって試験した。
【0099】
実施例10では、有効成分含有口腔薄膜を、「AdminPatch(商標)」マイクロニードルシステム(ニードルの長さ600μm)を使用して実施例1~3と同様に前処置した粘膜表面に適用した。
【0100】
様々な有効成分を用いた透過試験の結果を、
図1~10に示す。
【実施例1】
【0101】
リオシグアトを用いた透過試験
アクセプター媒体は、リン酸バッファー(pH5.5)を使用し、「シンク(sink)」条件を維持するための有機溶媒としてTween(登録商標)20 2wt%を加えて使用した(シンクとは、アクセプター媒体における時間tの時点での有効成分の溶解度が、このアクセプター媒体におけるその飽和溶解度の最大でも30%であることを指す)。
【0102】
チョウジ油(チョウジの芽のオーガニック精油であるPrimavera(登録商標)、Oy-Mittelberg、Germany)中の飽和リオシグアト溶液を、ドナー液として使用した。
【0103】
ブタ食道から採皮された400μmの層厚を有する皮膚を、皮膚モデルとして使用した。
【0104】
【実施例2】
【0105】
ヒトインスリンを用いた透過試験
0.025モル濃度のHEPESバッファー(pH7.4)を、アクセプター媒体として使用した。
【0106】
天然のヒトのだ液中の飽和ヒトインスリン溶液を、ドナー液として使用した。
【0107】
ブタ食道から採皮された400μmの層厚を有する皮膚を、皮膚モデルとして使用した。
【0108】
【実施例3】
【0109】
テトラヒドロカンナビノール(THC)を用いた透過試験
アクセプター媒体は、リン酸バッファー(pH5.5)を使用し、「シンク」条件を維持するための有機溶媒としてTween(登録商標)20 2wt%を加えて使用した。
【0110】
チョウジ油(チョウジの芽のオーガニック精油であるPrimavera(登録商標)、Oy-Mittelberg、Germany)中の飽和テトラヒドロカンナビノール溶液を、ドナー液として使用した。
【0111】
ブタ食道から採皮された400μmの層厚を有する皮膚を、皮膚モデルとして使用した。
【0112】
【実施例4】
【0113】
カンナビジオール(CBD)を用いた透過試験
アクセプター媒体は、リン酸バッファー(pH5.5)を使用し、「シンク」条件を維持するための有機溶媒として使用するTween(登録商標)20 2wt%を加えた。
【0114】
チョウジ油(チョウジの芽のオーガニック精油であるPrimavera(登録商標)、Oy-Mittelberg、Germany)中の飽和テトラヒドロカンナビノール溶液を、ドナー液として使用した。
【0115】
ブタ食道から採皮された400μmの層厚を有する皮膚を、皮膚モデルとして使用した。
【0116】
【実施例5】
【0117】
コハク酸スマトリプタンを用いた透過試験
更なる添加剤を加えていないリン酸バッファー(pH7.4)を、アクセプター媒体として使用した;水溶性塩としてのコハク酸スマトリプタンは、このアクセプターに非常に易溶である。
【0118】
ドナーシステムは、ポリビニルピロリドンベースのマイクロニードルシステムであって、それは、コハク酸スマトリプタンを添加しており、温度32℃以上で水と接触すると溶解するものであった。
【0119】
製造では、コハク酸スマトリプタン、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート80およびグリセリンを、5:20:1:1:73の割合で水に溶解した(いずれの場合も単位wt%)。完成した溶液をシリコーン製のネガティブニードル鋳型に流し込み、その表面を真空金属化によって薄い白金層でコーティングした。その後、該ネガティブ鋳型を、室温で一晩乾燥させた。乾燥マイクロニードルシステムを、乾燥工程後に型から注意深く押し出し、後に使用するまで水分を避けて保管した。有効成分含有量は、システム0.785cm2あたりコハク酸スマトリプタン4.25mgまたは5.41mg/cm2であった。
【0120】
使用済みマイクロニードルシステムのマイクロニードルの長さは500μmであった。合計600のマイクロニードルを0.785cm2の領域に適用した(マイクロニードル密度は1cm2あたり764)。
【0121】
ブタ食道から採皮された400μmの層厚を有する皮膚を皮膚モデルとして使用した。
【0122】
マイクロニードルシステムを透過期間を通して粘膜に留め、またさらにセルヘッドを口腔内のインビボ接触圧力(例えば、下顎と口腔粘膜との間)を模擬するために鉛球で満たした。溶解マイクロニードルシステムを保護するために、シリコーン処理PET(ポリエチレンテレフタレート)をベースとする分離フィルムもまた鉛球の前との間に導入された。
【0123】
【実施例6】
【0124】
酒石酸水素アドレナリンを用いた透過試験
L-アスコルビン酸0.1wt%を加えたリン酸バッファー(pH6.0)をアクセプター媒体として使用した;酒石酸水素アドレナリンは、このアクセプターに非常に易溶である。
【0125】
生分解性マイクロニードルシステムを、酒石酸水素アドレナリンを医薬有効成分として使用して実施例5と同様に製造および適用した。
【0126】
【実施例7】
【0127】
硫酸サルブタモールを用いた透過試験
更なる添加剤を加えていないリン酸バッファー(pH7.4)を、アクセプター媒体として使用した;硫酸サルブタモールは、このアクセプターに非常に易溶である。
【0128】
生分解性マイクロニードルシステムを、硫酸サルブタモールを医薬有効成分として使用して実施例5と同様に製造および適用した。
【0129】
【実施例8】
【0130】
塩酸アポモルヒネを用いた透過試験
L-アスコルビン酸0.1wt%を加えたリン酸バッファー(pH6.8)をアクセプター媒体として使用した;塩酸アポモルヒネは、このアクセプターに非常に易溶である。
【0131】
生分解性マイクロニードルシステムを、塩酸アポモルヒネを医薬有効成分として使用して実施例5と同様に製造した。
【0132】
【実施例9】
【0133】
スマトリプタン塩基を用いた透過試験
Tween20 2wt%を加えたリン酸バッファー(pH6.0)をアクセプター媒体として使用した;スマトリプタン塩基は、このアクセプターに非常に易溶である。
【0134】
生分解性マイクロニードルシステムを、スマトリプタン塩基を医薬有効成分として使用して実施例5と同様に製造および適用した。
【0135】
【実施例10】
【0136】
口腔薄膜を以下のように作製した:
1)有効成分(25g)を、秤量して水(50g)に入れ、撹拌しながら水に懸濁し(1200rpmで1h)、
2)更なる構成成分ヒドロキシプロピルメチルセルロース60g、グリセリン15g、サッカリンナトリウム3gを撹拌しながら連続的に少しずつ加えて、
3)バッチを冷蔵庫で一晩保存し、
4)バッチを、UltraTurrax装置を使用して5minの間1350rpmで均質化し、
5)バッチを、もう一度、冷蔵庫で一晩保存し、
6)薄膜(層厚800μm)を、厚さ1200μmのラミネート紙のシリコン処理をしていない側の上に、分出し用ドクターブレード(Erichsen(登録商標)ハンドヘルドドクターブレード)を使用して取り出し、
7)取り出した膜を、10minの間室温で、その後、循環空気乾燥オーブン中で20minの間70℃で、乾燥し、
8)円形のブランク(直径25cm)を、膜から打ち抜き、四方を封じたパウチに封入した。
【0137】
口腔薄膜は以下の組成(単位wt%)を有した:
有効成分の酢酸ウリプリスタル25%
ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるポリマー60%
グリセリン12%
サッカリンナトリウム3%。
【0138】
Tween20 2wt%を加えたリン酸バッファー(pH7.4)をアクセプター媒体として使用した;酢酸ウリプリスタルは、このアクセプターに非常に易溶である。
【0139】
粘膜の表面の処置を、「nanobioSciences」社(CA、USA)からの鋼鉄製の「AdminPatch(商標)」マイクロニードルシステム(ニードルの長さ600μm)を用いて、上皿てんびんによってモニターされる親指の加圧による3Nの接触圧力によって、10secの間行った。
【0140】
その直後に、好ましくはGlandosane(登録商標)100μlを同時に加えて口腔薄膜の溶解を開始させて、口腔薄膜を適用した。
【0141】
口腔薄膜は常に、いわゆる準固形物質として溶解過程を開始する必要がある。溶解を開始させるためにここで使用する薬剤は、好ましくは、天然に産生されるだ液を模擬する必要があり、それは、口腔薄膜を溶解させる、あるいは少なくともインビボで溶解を開始させるものである。今回は、溶解度を改善させるためにGlandosane(登録商標)を使用した。Glandosane(登録商標)(人工のだ液)は、口腔乾燥症および集中治療室での口腔ケアのために口腔内に適用するスプレーである。
【0142】
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマイクロニードルシステム、および
少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための少なくとも1つの剤形
を含むキット。
【請求項2】
少なくとも1つの剤形は、少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を含むことを特徴とする、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
少なくとも1つのマトリックスポリマーは、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギネート、ペクチン、プルラン、トラガント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンならびに天然ガムからなる群から選択されることが好ましい水溶性および/または水膨潤性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
少なくとも1つの医薬有効成分は、3以上のlogPを有する医薬有効成分を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
少なくとも1つの医薬有効成分は、300g/mol超の分子量を有する医薬有効成分を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
少なくとも1つの医薬有効成分は、催眠剤、鎮静剤、抗てんかん剤、蘇生剤、向精神神経薬、神経遮断剤、神経筋遮断剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、強心剤、抗不整脈剤、利尿剤、降圧剤、昇圧剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮痛剤、甲状腺ホルモン、性ホルモン、グルココルチコイドホルモン、抗糖尿病剤、抗腫瘍薬、抗生物質、化学療法剤、
麻酔剤、抗パーキンソン薬、抗アルツハイマー剤および/またはトリプタンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のキット。
【請求項7】
マイクロニードルシステムは、ガラス、SiO
2、鋼鉄、セラミック、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、アルギネート、ペクチン、プルラン、トラガント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンならびに天然ガムをベースとするマイクロニードルシステムであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
マイクロニードルシステムは、長さが100μm~600μm、好ましくは250μm~350μmのマイクロニードルを有すること、および/または1cm
2あたり50~400個、好ましくは200~250個のマイクロニードルを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のキット。
【請求項9】
患者の治療における使用のための請求項1~8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項10】
マイクロニードルシステムの使用であって、少なくとも1つの医薬有効成分に対する粘膜の透過バリアを減少させるためのマイクロニードルシステムの使用。
【請求項11】
患者の治療方法で使用するためのキットであって、該方法は:
a)マイクロニードルシステムを患者の粘膜部位に適用する工程、
b)マイクロニードルシステムを除去する工程、および
c)少なくとも1つのマトリックスポリマーおよび少なくとも1つの医薬有効成分を含む口腔薄膜を、該マイクロニードルシステムをa)工程において適用し、b)工程において再び除去した該粘膜部位に、適用する工程
を含む、前記キット。
【請求項12】
患者の治療方法で使用するためのキットであって、該方法は:
a)マイクロニードルシステムを患者の粘膜部位に適用する工程、
b)同時に、少なくとも1つの医薬有効成分を経粘膜投与するための剤形を、マイクロニードルシステムの粘膜に接触しない側に適用する工程
を含む、前記キット。
【請求項13】
生分解性マイクロニードルシステムであって、
少なくとも1つの医薬有効成分、および
少なくとも1つの生分解性ポリマー
を含む生分解性マイクロニードルシステム。
【請求項14】
マイクロニードルシステムは、100μm~500μm、好ましくは長さが250μm~350μmのマイクロニードルを有し、および/または1cm
2あたり50~400個、特に好ましくは200~250個のマイクロニードルを有することを特徴とする、請求項13に記載の生分解性マイクロニードルシステム。
【請求項15】
少なくとも1つの生分解性ポリマーは、糖、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドン
をベースとするポリマーであることを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の生分解性マイクロニードルシステム。
【請求項16】
医薬としての使用のための、請求項13または14に記載の生分解性マイクロニードルシステム。
【国際調査報告】