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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】細胞培養システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20231030BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20231030BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12N5/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523218
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 US2021056125
(87)【国際公開番号】W WO2022087324
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/104,481
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】519006377
【氏名又は名称】アイオバンス バイオセラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワーデル,セス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィプィフ,ジョセフ ジェームス
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA02
4B029BB11
4B029DB19
4B029GB04
4B029GB07
4B065AA94X
4B065BB19
4B065BC05
4B065BC11
4B065CA44
(57)【要約】
内部容積を定める容器本体であって、当該内部容積の一端を定める半透膜を有する当該容器本体、当該内部容積の反対端を定める取付部品、及び、細胞移送管を含む、ガス透過性細胞培養装置。当該細胞移送管は、当該内部容積内で、当該半透膜と当該取付部品との間に位置する開口端と、当該容器本体の内部容積内にあり、かつ当該開口端と反対端との間に配置した放射状部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容積を定める容器本体であって、前記内部容積の一端を定める半透膜を有する前記容器本体;
前記内部容積の反対端を定める取付部品;及び
細胞移送管であって、
前記内部容積内で、前記半透膜と前記取付部品との間に位置する開口端と、
前記容器本体の内部容積内にあり、かつ前記開口端と反対端との間に配置した放射状部とを有する、前記細胞移送管を含む、
ガス透過性細胞培養装置。
【請求項2】
前記内部容積が、ヘッドスペースを含むように構成されており、及び前記放射状部の少なくとも一部が、前記ヘッドスペース内に配置されている、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項3】
前記放射状部が、少なくとも1つの有限曲率半径を有する長手軸を備えた前記細胞移送管のセグメントを含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項4】
前記細胞移送管が、約0.125インチの内径を有する、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項5】
前記細胞移送管は、前記取付部品から前記開口端にまで至る内部を含み、前記内部は、長手軸の周囲に放射状に配置した内壁を有している、また、前記内部の前記長手軸のセグメントは、30センチメートル未満の曲率半径を有していない、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項6】
前記細胞移送管は、前記放射状部と流体連通し、かつ、前記取付部品から延びる、移送部を含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項7】
前記取付部品は、複数の開口部を含み、前記細胞移送管の前記移送部を受け入れるように構成した前記複数の開口部の少なくとも1つを含む、請求項6に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項8】
前記取付部品を介して延びるガス注入口をさらに含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項9】
前記取付部品を介して前記ヘッドスペース内にまで延びる抽出管をさらに含む、請求項2に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項10】
前記取付部品を介して前記ヘッドスペース内にまで延びる供給管をさらに含む、請求項2に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項11】
前記供給管が、前記取付部品を介して延びる移送部を含む、請求項10に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項12】
前記ガス注入口が、前記取付部品を介して延びる移送部を含む、請求項8に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項13】
前記ガス透過性細胞培養装置の表面に配置した機械判読可能な表示をさらに含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項14】
前記機械判読可能な表示が:1)前記細胞培養装置内に配置した細胞の起源に関連する情報;2)細胞培養装置に関する細胞の注入及び/または抽出に関連する時間情報;3)細胞培養装置内に配置された培地、または細胞培養装置から抽出した培地に関する情報;4)細胞培養装置内に配置した細胞の患者ドナーに関連する情報;5)細胞培養装置及び/または細胞培養装置内に配置した細胞に関連する分析過程の管理及び/または同一性の連鎖の識別及び追跡;6)品質管理データに関連する情報;7)電子的バッチ記録に関連する情報;8)製造データベース及び/またはエンタープライズリソースプランニングに関連する情報;及び、9)これらの組み合わせ、からなる群から選択するパラメーターの少なくとも1つを示すために判読可能である、請求項13に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項15】
前記機械判読可能な表示が、バーコード、QRコード、RFID、磁気ストリップ、1つ以上の写真またはテキストからなる群から選択される、請求項13に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項16】
前記細胞移送管が、前記取付部品の垂直側壁を通過する、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項17】
前記取付部品の水平上壁を通る導管、及び前記取付部品の垂直側壁を通る細胞移送管の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項18】
前記容器の前記取付部品と前記内部容積との間に配置される分離膜をさらに含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項19】
前記分離膜が複数の開口部を含み、前記複数の開口部の少なくとも1つが、前記細胞移送管の一部を受け入れるように構成されている、請求項18に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項20】
前記分離膜が、前記取付部品に連結されている、請求項19に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項21】
前記取付部品が、前記容器に着脱可能に連結されている、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項22】
前記取付部品が、前記容器に固定されて連結されている、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項23】
前記細胞移送管が、少なくとも1つの接続要素を含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項24】
前記ガス注入口が、0.05マイクロメートルと0.25マイクロメートルとの間の大きさの滅菌フィルターに連結されている、請求項8に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項25】
前記容器の底部に連結された底部取付部品をさらに含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項26】
前記底部取付部品が、前記半透膜に隣接している、請求項25に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項27】
前記底部取付部品が、トレイに着脱可能に連結されるように構成されている、請求項26に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項28】
前記トレイが、複数の底部取付部品を受け入れるように構成されている、請求項27に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項29】
前記細胞移送管が、熱融着によって、前記細胞移送管を密閉するように構成されている、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項30】
前記ガス注入口は、前記内部容積内であって、前記容器本体の前記開口端と反対端との間に配置された、放射状部を有する、請求項8に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項31】
ガス注入口、抽出管、及び供給管をさらに含み、前記ガス注入口、前記抽出管、または前記供給管のいずれかが、前記内部容積内であって、前記容器本体の開口端と反対端との間に配置された、放射状部を含む、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項32】
前記半透膜の表面積に対する前記容器の体積の比が、1mL/cmと10mL/cmとの間である、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置。
【請求項33】
請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置を使用して、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、TILの治療集団で増産させる方法であって:
(a)任意に、キナーゼ阻害剤またはITK阻害剤を含むレジメンで患者を前治療する;
(b)患者から切除した腫瘍試料を、複数の腫瘍フラグメントに切断して、患者から切除した腫瘍から第1のTIL集団を得る;
(c)前記ガス透過性細胞培養装置に、前記細胞移送管を介して、前記複数の腫瘍フラグメントを加える;
(d)前記ガス透過性細胞培養装置内に配置したIL-2、及び任意にOKT-3を含む細胞培養培地で前記第1のTIL集団の複数の腫瘍フラグメントを培養することにより、第1の増産を行い、前記第1の増産の開始から14日間以内の増産期間に第2のTIL集団を生成し、第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍大きく、及び、増産期間中にTIL集団を増産させるガスの供給源は、半透膜を介したものだけである;
(e)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意にOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充することで、第2の増産をして、第3のTIL集団を生成する、また、第2の増産は、14日以内の第2の増産期間で行い、また、前記第2の増産は、第2のガス透過性細胞培養装置で行われる、及び、第2の増産期間中に第2のTIL集団を増産させるガスの供給源は、前記第2のガス透過性細胞培養装置での第2のガス透過性膜を介したものだけである;
(f)ステップ(e)で得たTILの治療集団を回収する;及び
(g)ステップ(f)で回収したTIL集団を注入バッグに移す、
ことを含む、前記方法。
【請求項34】
ステップ(c)~(f)を閉鎖系内で行う、また、前記閉鎖系に加えるガスの唯一の供給源は、第1及び第2のガス透過性膜を介したものである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
凍結保存プロセスを使用して、前記注入バッグに前記回収したTIL集団を凍結保存するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記凍結保存プロセスを、回収したTIL集団と凍結保存培地とを1:1の比率で使用して行う、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗原提示細胞は、末梢血単核球細胞(PBMC)である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記PBMCは、放射線照射され、かつ同種異系である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記PBMCを、前記第2増産期間の9日目~14日目のいずれかの日に細胞培養物に対して加える、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記抗原提示細胞が、人工抗原提示細胞である、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記回収を、膜をベースとした細胞処理システムを使用して行う、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(f)での回収を、LOVO細胞処理システムを使用して行う、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記複数の腫瘍フラグメントは、約4~約50個のフラグメントを含む、また、それぞれのフラグメントは、約27mmの体積を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の腫瘍フラグメントが、約30~約60個のフラグメントを含み、総体積が約1300mm~約1500mmである、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の腫瘍フラグメントが、約50個のフラグメントを含み、総体積が約1350mmである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の腫瘍フラグメントが、約1グラム~約1.5グラムの総質量を有する約50個のフラグメントを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞培養培地は、G容器及びXuri細胞袋からなる群から選択される容器で提供される、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(d)での細胞培養培地が、IL-15及び/またはIL-21をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記IL-2濃度が、約10,000IU/mL~約5,000IU/mLである、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記IL-15濃度が、約500IU/mL~約100IU/mLである、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記IL-21濃度が、約20IU/mL~約0.5IU/mLである、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(g)での前記注入バッグが、HypoThermosol-含有注入バッグである、請求項33に記載の方法。
【請求項53】
前記凍結保存培地が、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
前記凍結保存培地が、7%~10%のDMSOを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項55】
ステップ(d)での前記第1の増産期間、及びステップ(f)での前記第2の増産期間を、それぞれ、10日、11日、または12日の期間内で個々に行う、請求項33に記載の方法。
【請求項56】
ステップ(d)での前記第1の増産期間、及びステップ(f)での前記第2の増産期間を、それぞれ、11日の期間内で個々に行う、請求項33に記載の方法。
【請求項57】
ステップ(b)~(g)を、約10日~約22日の期間内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項58】
ステップ(b)~(g)を、約20日~約22日の期間内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項59】
ステップ(b)~(g)を、約15日~約20日の期間内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項60】
ステップ(b)~(g)を、約10日~約20日の期間内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項61】
ステップ(b)~(g)を、約10日~約15日の期間内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項62】
ステップ(b)~(g)を、22日以内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項63】
ステップ(b)~(g)を、20日以内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項64】
ステップ(b)~(g)を、15日以内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項65】
ステップ(b)~(g)を、10日以内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項66】
ステップ(b)~(g)またはステップ(b)~(f)及び凍結保存を、22日以内で実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項67】
ステップ(f)で回収したTILの治療集団が、TILの治療有効量に十分なTILを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項68】
治療有効量に対して十分なTIL集団は、約2.3×l010~約13.7×1010である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
ステップ(c)~(f)を、単一の容器で実行する、また、ステップ(c)~(f)を単一の容器で実施すると、ステップ(c)~(f)を複数の容器で実施する場合と比較して、切除した腫瘍当たりのTIL収率を増やす、請求項33に記載の方法。
【請求項70】
前記抗原提示細胞を、前記細胞培養装置を開けずに、ステップ(e)での前記第2の期間の間に前記TILに加える、請求項33に記載の方法。
【請求項71】
ステップ(e)での第3のTIL集団は、対象に投与した場合に、有効性の増加、インターフェロン-ガンマ産生の増加、ポリクローナリティの増加、平均IP-10の増加、及び/または平均MCP-1の増加を招く、請求項33に記載の方法。
【請求項72】
ステップ(e)での第3のTIL集団は、対象に投与した場合に、少なくとも5倍以上のインターフェロン-ガンマ産生を招く、請求項33に記載の方法。
【請求項73】
ステップ(e)での第3のTIL集団は、TILの前記第2の集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、TILの前記治療集団での前記エフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD27+を発現すること、CD28+を発現すること、より長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択される1つ以上の特徴を示す、請求項33に記載の方法。
【請求項74】
前記第3のTIL集団から得た前記エフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、細胞の第2の集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD57発現の増加、及び、CD56発現の減少を示す、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
細胞培養装置が開放系である場合と比較して、細胞培養装置を閉鎖系とすると、微生物汚染のリスクが低下する、請求項33に記載の方法。
【請求項76】
ステップ(g)の前記TILを患者に注入することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項77】
前記複数の腫瘍フラグメントが、約4個のフラグメントを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項78】
第1の開口部を有するトップエンドキャップ;
前記第1の開口部と位置合わせをした第2の開口部を有するボトムエンドキャップ;及び
前記トップエンドキャップと前記ボトムエンドキャップとの間に配置された1つ以上のアセンブリを含み、また、前記1つ以上のアセンブリの各々は、上部支持体、下部支持体、及び前記上部支持体と前記下部支持体との間に配置された膜層を含む、細胞培養装置。
【請求項79】
前記1つ以上のアセンブリの中心軸を介して配置された中央開口部をさらに含み、また、前記中央開口部は、前記第1の開口部及び前記第2の開口部と一列に並んでいる、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項80】
前記1つ以上のアセンブリの各々が、オフセット平面上に配置されている、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項81】
前記1つ以上のアセンブリの各々が、第1の端部及び前記第1の端部からオフセットされた第2の端部を含み、前記第1の端部及び前記第2の端部が、前記1つ以上のアセンブリの各々の1つの外周に沿って配置されている、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項82】
前記1つ以上のアセンブリのうちの1つの前記第1の端部が、前記1つ以上のアセンブリのうちの別の1つの前記第1の端部と整列するように、前記1つ以上のアセンブリのうちの1つは、前記1つ以上のアセンブリのうちの別の1つと積み重ね可能に構成されている、、請求項81に記載の細胞培養装置。
【請求項83】
前記第1の端部の厚さが、前記第2の端部の厚さよりも大きい、請求項81に記載の細胞培養装置。
【請求項84】
前記1つ以上のアセンブリの各々が円形である、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項85】
前記1つ以上のアセンブリの各々の前記膜層が、培地不透過性膜である、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項86】
前記1つ以上のアセンブリの各々の前記膜層が、ガス透過性膜である、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項87】
前記1つ以上のアセンブリの各々の前記膜層が、ポリジメチルシロキサン、コポリマー、ポリオレフィン、フルオロポリマー、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチトレン-酢酸ビニル(EVA)、及びその他のポリマーまたはコポリマーのうちの1つ以上から構成される、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項88】
前記1つ以上のアセンブリの各々の前記膜層が、ポリスチレンフィルムで構成される、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項89】
前記1つ以上のアセンブリの各々の前記膜層が、約25マイクロメートル~125マイクロメートルの間の厚さを有する、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項90】
前記1つ以上のアセンブリの各々の前記下部支持体及び/または前記上部支持体が、ポリスチレンで構成されている、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項91】
前記膜層が、接着接合、超音波溶着、またはレーザー溶着のいずれかを介して前記上部支持体に結合されている、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項92】
前記上部支持体が、接着接合、超音波溶着、またはレーザー溶接のいずれかを介して前記下部支持体に結合されている、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項93】
ガス交換を可能にするために前記上部支持体と前記下部支持体との間に形成されたポートをさらに含む、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項94】
前記ポートが、前記1つ以上のアセンブリの各々の外周に配置されている、請求項93に記載の細胞培養装置。
【請求項95】
ハウジングと、前記ハウジングに結合したハウジングキャップとをさらに含み、また、前記1つ以上のアセンブリが、前記ハウジング内に配置されている、請求項78に記載の細胞培養装置。
【請求項96】
前記ハウジングキャップが、1つ以上の開口部と、前記1つ以上の開口部内に配置された1つ以上の導管とを含み、前記1つ以上の導管の各々が、前記ハウジングキャップの前記1つ以上の開口部から前記ハウジング内にまで延びる、請求項95に記載の細胞培養装置。
【請求項97】
前記1つ以上の導管の少なくとも1つは、前記ハウジング内にまで延びる前に、前記ハウジングキャップ内で螺旋状構成になっている、請求項96に記載の細胞培養装置。
【請求項98】
前記1つ以上の導管の各々が、異なる長さを有する、請求項97に記載の細胞培養装置。
【請求項99】
前記1つ以上の導管の少なくとも1つが、前記ハウジングキャップ内に配置されたエルボージョイントを含む、請求項97に記載の細胞培養装置。
【請求項100】
T-細胞を、所定の期間にわたって、連続的に増産させる上で十分な体積及び生物学的活性を有するIL-2を含み、前記T-細胞が付属装置を介して細胞培養培地の供給源に注入され、続いて、前記細胞培養培地がT-細胞の増産に適したバイオリアクターに加えられる、使い捨てシリンジ。
【請求項101】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、ルアーロックである、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項102】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、ニードルレス注入部位またはその他のシリンジカプラーである、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項103】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、滅菌接続装置である、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項104】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、前記バイオリアクターに接続したルアーロックである、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項105】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、前記バイオリアクターに接続した、ニードルレス注入部位またはその他のシリンジカプラーである、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項106】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、前記バイオリアクターに接続した滅菌接続装置である、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項107】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、ルアーロックである、及び、T-細胞は、前記細胞培養培地にポンプで送られる、または重力で排出される、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項108】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、ニードルレス注射部位またはその他のシリンジカプラーである、及び、T-細胞は、前記細胞培養培地にポンプで送られる、または重力で排出される、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項109】
前記所定の期間は、5~11日である、及び、前記付属装置は、滅菌接続装置である、及び、T-細胞は、前記細胞培養培地にポンプで送られる、または重力で排出される、請求項100に記載の使い捨てシリンジ。
【請求項110】
T-細胞を所定の期間にわたって連続的に増産させる上で十分な体積及び生物学的活性を有するIL-2を含む折りたたみ可能な容器であって、前記容器は、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに、付属装置を介して接続される、及び、ポンプで送る、または、重力で排出する、前記折りたたみ可能な容器。
【請求項111】
前記所定の期間が、5~11日である、及び、前記付属装置が、ルアーロックである、請求項110に記載の折りたたみ可能な容器。
【請求項112】
前記所定の期間が、5~11日である、及び、前記付属装置が、ニードルレス注入部位またはその他の滅菌カプラーである、請求項110に記載の折りたたみ可能な容器。
【請求項113】
前記所定の期間が、5~11日である、及び、前記付属装置が、滅菌接続装置である、請求項110に記載の折りたたみ可能な容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年10月22日に出願した、発明の名称が「細胞培養システム及びその使用方法」である米国仮特許出願第63/104,481号の利益を主張するものであって、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、細胞培養システム及びその使用方法に関する、より詳細には、細胞培養システムならびに細胞を収容及び培養する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の養子移入を使用して巨大な難治性癌を治療することは、予後不良の患者に対する治療では強力な手法である。免疫療法を成功させる上で多数のTILが必要であり、商業化には堅牢で信頼性の高いプロセスが必要である。さらに、TILを培養、保存、及び移送するための装置が重要である。具体的には、TILを適切に保存するために、TILを培養及び保存するための閉鎖系が重要である。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
ある実施形態では、内部容積を定める容器本体であって、当該内部容積の一端を定める半透膜を有する当該容器本体、当該内部容積の反対端を定める取付部品、及び、細胞移送管であって、当該内部容積内で、当該半透膜と当該取付部品との間に位置する開口端と、当該容器本体の内部容積内にあり、かつ当該開口端と反対端との間に配置した放射状部とを有する、当該細胞移送管を含む、ガス透過性細胞培養装置がある。
【0005】
一部の実施形態では、当該内部容積は、ヘッドスペースを含むように構成している、及び当該放射状部の少なくとも一部を、当該ヘッドスペースに配置する。
【0006】
一部の実施形態では、当該放射状部が、少なくとも3つの有限曲率半径を有する長手軸を備えた細胞移送管のセグメントを含む。
【0007】
一部の実施形態では、当該細胞移送管は、約0.125インチの内径を有する。当該細胞移送管は、当該取付部品から当該開口端にまで至る内部を含み、当該内部は、長手軸の周囲に放射状に配置した内壁を有し得る、また、当該内部の長手軸のセグメントは、30センチメートル未満の曲率半径を有していない。当該細胞移送管は、当該放射状部と流体連通し得る、かつ、当該取付部品から延びる移送部を含み得る。当該取付部品は、複数の開口部を含み、当該細胞移送管の当該移送部を受け入れるように構成した当該複数の開口部の少なくとも1つを含み得る。
【0008】
一部の実施形態では、当該ガス透過性細胞培養装置は、当該取付部品を介して延びるガス注入口をさらに含む。
【0009】
一部の実施形態では、当該ガス透過性細胞培養装置は、当該取付部品を介して当該ヘッドスペース内にまで延びる抽出管をさらに含む。
【0010】
一部の実施形態では、当該ガス透過性細胞培養装置は、当該取付部品を介して当該ヘッドスペース内にまで延びる供給管をさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、当該供給管は、当該取付部品を介して延びる移送部を含む。
【0012】
一部の実施形態では、ガス注入口は、当該取付部品を介して延びる移送部を含む。
【0013】
一部の実施形態では、ガス透過性細胞培養装置は、当該ガス透過性細胞培養装置の表面に配置した機械判読可能な表示をさらに含む。当該機械判読可能な表示は:1)当該細胞培養装置内に配置した細胞の起源に関連する情報;2)細胞培養装置に関する細胞の注入及び/または抽出に関連する時間情報;3)細胞培養装置内に配置された、または細胞培養装置から抽出した培地に関する情報;4)細胞培養装置内に配置した細胞の患者ドナーに関連する情報;5)細胞培養装置及び/または細胞培養装置内に配置した細胞に関連する分析過程の管理及び/または同一性の連鎖の識別及び追跡;6)品質管理データに関連する情報;7)電子的バッチ記録に関連する情報;8)製造データベース及び/またはエンタープライズリソースプランニングに関連する情報;及び、9)これらの組み合わせ、からなる群から選択するパラメーターの少なくとも1つを示すために判読し得る。
【0014】
一部の実施形態では、当該機械判読可能な表示は、バーコード、QRコード、RFID、磁気ストリップ、1つ以上の写真またはテキストからなる群から選択する。
【0015】
一部の実施形態では、細胞移送管は、当該取付部品の垂直側壁を通過する。
【0016】
一部の実施形態では、ガス透過性細胞培養装置は、当該取付部品の水平上壁を通る導管、及び当該取付部品の垂直側壁を通る細胞移送管の少なくとも1つをさらに含む。
【0017】
一部の実施形態では、ガス透過性細胞培養装置は、当該容器の取付部品と内部容積との間に配置する分離膜をさらに含む。
【0018】
一部の実施形態では、当該分離膜は、複数の開口部を含み、当該複数の開口部の少なくとも1つを、当該細胞移送管の一部を受け入れるように構成する。当該分離膜は、当該取付部品に連結し得る。
【0019】
一部の実施形態では、当該取付部品は、当該容器と着脱可能に連結する。当該取付部品は、当該容器と固定されて連結し得る。
【0020】
一部の実施形態では、当該細胞移送管は、少なくとも1つの接続要素を含む。
【0021】
一部の実施形態では、当該ガス注入口を、0.05マイクロメートルと0.25マイクロメートルとの間の大きさの滅菌フィルターに連結する。
【0022】
一部の実施形態では、ガス透過性細胞培養装置は、当該容器の底部に連結した底部取付部品をさらに含む。当該底部取付部品は、当該半透膜に隣接し得る。当該底部取付部品を、トレイに着脱可能に連結するように構成し得る。当該トレイが、複数の底部取付部品を受け入れるように構成し得る。
【0023】
一部の実施形態では、当該細胞移送管を、熱融着によって、当該細胞移送管を密閉するように構成する。
【0024】
一部の実施形態では、当該ガス注入口は、当該内部容積内にある、かつ、当該容器本体の当該開口端と反対端との間に配置した放射状部を有する。
【0025】
一部の実施形態では、ガス透過性細胞培養装置は、ガス注入口、抽出管、及び供給管をさらに含み、当該ガス注入口、当該抽出管、または当該供給管のいずれかが、当該内部容積内にある、かつ、当該容器本体の開口端と反対端との間に配置した放射状部を含む。
【0026】
一部の実施形態では、当該半透膜の表面積に対する当該容器の体積の比は、1mL/cmと10mL/cmとの間である。
【0027】
本発明の別の実施形態は、請求項1に記載のガス透過性細胞培養装置を使用して、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、TILの治療集団で増産させる方法であって:
(a)任意に、キナーゼ阻害剤またはITK阻害剤を含むレジメンで患者を前治療する;
(b)患者から切除した腫瘍試料を、複数の腫瘍フラグメントに切断して、患者から切除した腫瘍から第1のTIL集団を得る;
(c)当該ガス透過性細胞培養装置に、当該細胞移送管を介して、当該複数の腫瘍フラグメントを加える;
(d)当該ガス透過性細胞培養装置内に配置したIL-2、及び任意にOKT-3を含む細胞培養培地に第1のTIL集団の複数の腫瘍フラグメントを培養することにより、第1の増産を行い、第1の増産の開始から14日以内の増産期間に第2のTIL集団を生成し、第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍大きく、及び、増産期間中にTIL集団を増産させるガスの供給源は、半透膜を介したものだけである;
(e)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意にOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充することで、第2の増産をして、第3のTIL集団を生成する、また、第2の増産は、14日以内の第2の増産期間で行い、第3のTIL集団は、TILの治療集団であり、当該第2の増産は、第2のガス透過性細胞培養装置で行われる、及び、第2の増産期間中に第2のTIL集団を増産させるガスの供給源は、当該第2のガス透過性細胞培養装置の第2のガス透過性膜を介したものだけである;
(f)ステップ(e)から得たTILの治療集団を回収する;及び
(g)ステップ(f)で回収したTIL集団を注入バッグに移す、ことを含む。
【0028】
一部の実施形態では、ステップ(c)~(f)を閉鎖系内で行う、また、当該閉鎖系に加えるガスの唯一の供給源は、第1及び第2のガス透過性膜を介して行われる。
【0029】
一部の実施形態では、本方法は、凍結保存プロセスを使用して、注入バッグに回収したTIL集団を凍結保存するステップをさらに含む。
【0030】
一部の実施形態では、当該凍結保存プロセスを、回収したTIL集団と凍結保存培地とを1:1の比率で使用して行う。
【0031】
一部の実施形態では、当該抗原提示細胞は、末梢血単核球細胞(PBMC)である。当該PBMCに、放射線を照射して、同種異系とし得る。当該PBMCを、当該第2増産期間の9日目~14日目のいずれかの日に細胞培養物に対して加え得る。
【0032】
一部の実施形態では、当該抗原提示細胞は、人工抗原提示細胞である。
【0033】
一部の実施形態では、当該回収を、膜をベースとした細胞処理システムを使用して行う。ステップ(f)での回収は、LOVO細胞処理システムを使用して行い得る。
【0034】
一部の実施形態では、当該複数の腫瘍フラグメントは、約4~約50個のフラグメントを含む、また、それぞれのフラグメントは、約27mmの体積を有する。
【0035】
一部の実施形態では、当該複数の腫瘍フラグメントは、約30~約60個のフラグメントを含み、総体積が約1300mm~約1500mmである。
【0036】
一部の実施形態では、当該複数の腫瘍フラグメントは、約50個のフラグメントを含み、総体積が約1350mmである。
【0037】
一部の実施形態では、当該複数の腫瘍フラグメントは、約1グラム~約1.5グラムの総質量を有する約50個のフラグメントを含む。
【0038】
一部の実施形態では、当該細胞培養培地を、G容器及びXuri細胞袋からなる群から選択する容器で提供する。
【0039】
一部の実施形態では、ステップ(d)での細胞培養培地が、IL-15及び/またはIL-21をさらに含む。
【0040】
一部の実施形態では、当該IL-2濃度が、約10,000IU/mL~約5,000IU/mLである。
【0041】
一部の実施形態では、当該IL-15濃度が、約500IU/mL~約100IU/mLである。
【0042】
一部の実施形態では、当該IL-21濃度が、約20IU/mL~約0.5IU/mLである。
【0043】
一部の実施形態では、ステップ(g)での当該注入バッグが、HypoThermosol-含有注入バッグである。
【0044】
一部の実施形態では、当該凍結保存培地が、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。当該凍結保存培地が、7%~10%のDMSOを含む。
【0045】
一部の実施形態では、ステップ(d)での当該第1の増産期間、及びステップ(f)での当該第2の増産期間を、それぞれ、10日、11日、または12日の期間内で個々に行う。ステップ(d)での当該第1の増産期間、及びステップ(f)での当該第2の増産期間を、それぞれ、11日の期間内で個々に行い得る。
【0046】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(g)を、約10日~約22日、約20日~約22日、約15日~約20日、約10日~約20日、約10日~約15日の期間内で実施する。
【0047】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(g)を、22日以内で実施する。
【0048】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(g)を、20日以内で実施する。
【0049】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(g)を、15日以内で実施する。
【0050】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(g)を、10日以内で実施する。
【0051】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(g)またはステップ(b)~(f)及び凍結保存を、22日以内で実施する。
【0052】
一部の実施形態では、ステップ(f)で回収したTILの治療集団が、TILの治療有効量に十分なTILを含む。治療有効量に十分なTILの集団は、約2.3×l010~約13.7×1010とし得る。
【0053】
一部の実施形態では、ステップ(c)~(f)を、単一の容器で実行する、また、ステップ(c)~(f)を、単一の容器で実施すると、ステップ(c)~(f)を複数の容器で実施した場合と比較して、切除した腫瘍当たりのTIL収率を増やす。
【0054】
一部の実施形態では、当該抗原提示細胞を、当該細胞培養装置を開けずに、ステップ(e)での当該第2の期間の間に当該TILに加える。
【0055】
一部の実施形態では、ステップ(e)での第3のTIL集団は、対象に投与した場合に、有効性の増加、インターフェロン-ガンマ産生の増加、ポリクローナリティの増加、平均IP-10の増加、及び/または平均MCP-1の増加を招く。
【0056】
一部の実施形態では、ステップ(e)での第3のTIL集団は、対象に投与した場合に、少なくとも5倍以上のインターフェロン-ガンマ産生を招く。
【0057】
一部の実施形態では、ステップ(e)での第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、TILの当該治療集団での当該エフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD27+を発現する、CD28+を発現する、長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の低下からなる群から選択する1つ以上の特徴を示す。
【0058】
一部の実施形態では、第3のTIL集団から得た当該エフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD57発現の増加、及び、CD56の発現の低下を示す。
【0059】
一部の実施形態では、細胞培養装置が開放系である場合と比較して、細胞培養装置を閉鎖系にすると、微生物汚染のリスクが低下する。
【0060】
一部の実施形態では、ステップ(g)のTILを患者に注入することをさらに含む。
【0061】
一部の実施形態では、当該複数の腫瘍フラグメントは、約4個のフラグメントを含む。
【0062】
本発明の別の実施形態は、第1の開口部を有するトップエンドキャップ、当該第1の開口部と位置合わせした第2の開口部を有するボトムエンドキャップ、当該トップエンドキャップと当該ボトムエンドキャップとの間に配置した1つ以上のアセンブリを含み、また、当該1つ以上のアセンブリの各々は、上部支持体、下部支持体、及び当該上部支持体と当該下部支持体との間に配置する膜層とを含む、細胞培養装置を提供する。
【0063】
当該1つ以上のアセンブリの中心軸を介して配置された中央開口部をさらに含む、また、当該中央開口部は、当該第1の開口及び当該第2の開口と一列に並んでいる、請求項78に記載の細胞培養装置。
【0064】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々を、オフセット平面上に配置する。
【0065】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々が、当該第1の端部及び当該第1の端部からオフセットを設けた第2の端部を含み、当該第1の端部及び第2の端部を、当該1つ以上のアセンブリの各々の1つの外周に沿って配置する。
【0066】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの1つは、当該1つ以上のアセンブリの別の1つと積み重ね可能となり、その結果、当該1つ以上のアセンブリの1つの第1の端部が、当該1つ以上のアセンブリの別の1つの端部と整列するようになる。
【0067】
一部の実施形態では、当該第1の端部の厚さが、当該第2の端部の厚さよりも大きい。
【0068】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々が円形である。
【0069】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々の膜層が、培地不透過性膜である。当該1つ以上のアセンブリの各々の膜層が、ガス透過性膜である。
【0070】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々の膜層が、ポリジメチルシロキサン、コポリマー、ポリオレフィン、フルオロポリマー、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチトレン-酢酸ビニル(EVA)、及びその他のポリマーまたはコポリマーの1つ以上から構成される。
【0071】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々の膜層を、ポリスチレンフィルムで構成する。
【0072】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々の膜層が、約25マイクロメートル~125マイクロメートルの間の厚さを有する。
【0073】
一部の実施形態では、当該1つ以上のアセンブリの各々の下部支持体及び/または当該上部支持体が、ポリスチレンで構成されている。
【0074】
一部の実施形態では、当該膜層を、接着接合、超音波溶着、またはレーザー溶着のいずれかを介して当該上部支持体に結合する。
【0075】
一部の実施形態では、当該上部支持体を、接着接合、超音波溶着、またはレーザー溶接のいずれかを介して当該下部支持体に結合する。
【0076】
一部の実施形態では、当該細胞培養装置は、上部支持体と下部支持体との間に形成したポートをさらに含み、ガス交換を可能にする。当該ポートを、当該1つ以上のアセンブリの各々の外周に配置し得る。
【0077】
一部の実施形態では、当該細胞培養装置は、ハウジングと、当該ハウジングに結合したハウジングキャップとをさらに含み、また、当該1つ以上のアセンブリを、当該ハウジング内に配置する。当該ハウジングキャップが、1つ以上の開口部と、当該1つ以上の開口部内に配置した1つ以上の導管とを含み、1つ以上の導管の各々が、当該ハウジングキャップの当該1つ以上の開口部から当該ハウジング内にまで延び得る。
【0078】
一部の実施形態では、当該1つ以上の導管の少なくとも1つは、当該ハウジング内にまで延びる前に当該ハウジングキャップ内で螺旋状構成になっている。
【0079】
一部の実施形態では、当該1つ以上の導管の各々が、異なる長さを有する。
【0080】
一部の実施形態では、当該1つ上の導管の少なくとも1つは、当該ハウジングキャップ内に配置したエルボージョイントを含む。本発明の別の実施形態は、T-細胞を、所定の期間にわたって連続的に増産させる上で十分な体積及び生物学的活性を有するIL-2を含む使い捨てシリンジを提供しており、T-細胞を、付属装置を介して細胞培養培地の供給源に注入する、続いて、細胞培養培地を、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに加える。
【0081】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、ルアーロックである。
【0082】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、ニードルレス注入部位またはその他のシリンジカプラーである。
【0083】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、滅菌接続装置である。
【0084】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、当該バイオリアクターに接続したルアーロックである。
【0085】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、当該バイオリアクターに接続した、ニードルレス注入部位またはその他のシリンジカプラーである。
【0086】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、当該バイオリアクターに接続した滅菌接続装置である。
【0087】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、ルアーロックである、及び、T-細胞は、当該細胞培養培地にポンプで送られる、または重力で排出される。
【0088】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、ニードルレス注射部位またはその他のシリンジカプラーである、及び、T-細胞は、当該細胞培養培地にポンプで送られる、または重力で排出される。
【0089】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、滅菌接続装置である、及び、T-細胞は、当該細胞培養培地にポンプで送られる、または重力で排出される。
【0090】
本発明のさらに別の実施形態は、T-細胞を所定の期間にわたって連続的に増産させる上で十分な体積及び生物学的活性を有するIL-2を含む折りたたみ可能な容器を提供しており、当該容器は、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに、付属装置を介して接続される、及び、ポンプで送る、または、重力で排出する。
【0091】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、ルアーロックである。
【0092】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、ニードルレス注入部位またはその他の滅菌カプラーである。
【0093】
一部の実施形態では、当該所定の期間は、5~11日である、及び、当該付属装置は、滅菌接続装置である。
【0094】
上記の概要、ならびに研究データを変換するシステム及び装置の実施形態の以下の詳細な説明は、例示的な実施形態の添付図面と併せて読むことで理解が深まる。しかしながら、本発明は、ここで示した正確な配置及び用具に限定されるものではない、ことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】本発明のある実施形態による例示的な細胞培養装置である。
図2図1の例示的な細胞培養装置の上面図である。
図3図2の例示的な細胞培養装置の断面図である。
図4】本発明のある実施形態による螺旋状に積み重ねた例示的なアセンブリである。
図5】本発明のある実施形態による例示的なアセンブリである。
図6図5の例示的なアセンブリの側面図である。
図7】本発明のある実施形態によるアセンブリの例示的なセットである。
図8図5の例示的なアセンブリの上面斜視図である。
図9】本発明のある実施形態による細胞培養装置で使用する例示的な方法である。
図10】本発明のある実施形態による例示的な送達装置である。
図11】本発明のある実施形態による例示的な送達装置で使用するアダプターである。
図12】本発明のある実施形態による例示的な送達装置で使用するアダプターである。
図13】本発明のある実施形態による例示的な送達装置である。
図14】A及びBは、本発明の実施形態による例示的な容器である。
図15A】本発明の実施形態による例示的な容器である。
図15B】本発明の実施形態による例示的な容器である。
図15C】本発明の実施形態による例示的な容器である。
図15D】本発明の実施形態による例示的な容器である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
発明の詳細な説明
本発明の例示的な実施形態は、細胞培養装置、及びそれを使用する方法を提供する。本発明の実施形態は、図1図15Dに示したような例示的な細胞培養装置、及びそれを使用する方法を提供する。使用では、本明細書に提示するシステム及び方法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)などの生物学的物質の培養、貯蔵、移送、及び増産を可能にし得る。
【0097】
図1~3を参照すると、細胞培養装置100は、容器102、取付部品108、及び膜106を含み得る。容器102は、内部容積104を定め得る、及び、内部容積104の一端の膜106、ならびに、内部容積104の反対端の取付部品108を含み得る。一部の実施形態では、膜106は、半透膜とし得る。しかしながら、膜106は、完全透過性膜または非透過性膜など、あらゆるタイプの膜とし得る。図1~3は、容器102の形状が実質的に円筒形であることを示しているが、容器102は、長方形、六角形、五角形、八角形、または、その他のあらゆる所望の形状とし得る。容器102は、開口端117を含み得る。一部の実施形態では、開口端117は、反対側の膜106である。例えば、膜106は、容器102の下部に配置し得る、及び、開口端117は、容器102の上部に配置し得る。開口端117は、容器102の上端118に配置し得る。一部の実施形態では、取付部品108は、開口端117の上部に結合する、及び、膜106は、下端105に結合する、その結果、細胞培養装置100は閉鎖系となる。閉鎖系である細胞培養装置100は、デブリ、細菌、またはその他の望ましくない微粒子が容器102に入り込むことを防止し得る。例えば、細胞培養装置100に、TILなどの生物学的物質を添加し得る、及び閉鎖系である細胞培養装置100は、TILの汚染を防止し得る。一部の実施形態では、取付部品108を、容器102と結合させて、空気/材料の入り込みを制御する。例えば、空気/材料の入り込みは、取付部品108に結合した導管を介して制御し得る。一部の実施形態では、空気/物質は、膜106を介して容器102に加える。
【0098】
一部の実施形態では、取付部品108を、容器102に結合する。取付部品108は、容器102から取付部品108を利用者が取り外し得るように、容器102に取り外し可能に結合し得る。一部の実施形態では、取付部品108をねじ込んで、取付部品108と容器102との結合を可能にする、及び、細胞培養装置100を閉鎖系になることを可能にする。しかしながら、取付部品108は、容器102に固定して結合し得る。取付部品108は、容器102に結合し得る、それにより、取付部品108の内部に配置した、及び/または、そこに通じた導管が、内部容積104に向かう主要な経路を提供する。一部の実施形態では、材料は、導管取付部品108を通して容器102に導入される。
【0099】
実際には、容器102は、TILなどの有機物質を増産及び培養するように構成する。一部の実施形態では、膜106は、TILを成長及び通過するように構成する。例えば、膜106は、TILの増殖及び増産を可能ならしめるように構成し得る。一部の実施形態では、容器102は、1000mLの流体容量を有するように構成する。しかしながら、容器102は、50mL~5000mL、150mL~2500mL、250mL~2000mL、または500mL~1000mLの流体容量を有するように構成し得る。
【0100】
図1を参照すると、細胞培養装置100は、容器102の下端105に結合した膜106を含み得る。膜106は、細胞培養装置100を閉鎖形に構成することを可能ならしめ得る。一部の実施形態では、膜106は、容器102において、100cmの表面積を有する。しかしながら、膜106は、10cm~200cm、50cm~175cm、または100cm~150cmの表面積を有し得る。一部の実施形態では、容器102内の膜106の表面積に対する容器102の容積の比は、1mL/cm~25mL/cm、5mL/cm~20mL/cm、または10mL/cm~15mL/cmである。
【0101】
一部の実施形態では、膜106は、無菌である、及び、TILなどの細胞の増産を可能にするように構成する。例えば、膜106は、特定の分子だけが内部容積104に通過できるように構成し得る。一部の実施形態では、膜106は、ガス透過性膜である。膜106は、容器102への液体、材料、及び/または栄養素の導入を可能にするように構成し得る。例えば、容器102及び膜106は、膜106を通して容器102が吸収し得る栄養豊富な溶液に対して設置し得る。
【0102】
一部の実施形態では、細胞培養装置100は、容器102の下端105に配置した底部取付部品132を含む。底部取付部品132は、膜106に隣接して配置し得る。一部の実施形態では、底部取付部品132は、膜106を含む。底部取付部品132は、細胞培養装置100を、トレイなどの物体に着脱可能に連結するように構成し得る。一部の実施形態では、トレイは、底部取付部品132を介して細胞培養装置100を支持及び固定するように構成し得る。トレイは、複数の底部取付部品132を支持及び固定するように構成し得る、それにより、トレイが複数の細胞培養装置100を支持して固定することを可能にする。例えば、トレイは、複数の細胞培養装置100を支持及び固定するように構成し得る。一部の実施形態では、トレイは、異なるサイズ及び構成の細胞培養装置100を支持及び固定するように構成する。
【0103】
図1図3を参照すると、細胞培養装置100は、取付部品108を含み得る。取付部品108は、容器102の反対側の膜106の上端118に固定し得る。取付部品108は、内部空間121を含み得るものであり、取付部品108内に配置した空間とし得る。取付部品108及び上端118は、取付部品108が、容器102の上端118に確実に結合することを可能ならしめるためにねじ込み得る。取付部品108は、1つ以上の導管または管状体を受け入れるように構成した1つ以上の開口部115を含み得る。一部の実施形態では、取付部品108は、取付部品108周囲の外周に配置した垂直側壁109を含む。複数の導管の1つ以上は、垂直側壁109を伝って延び得る。例えば、垂直側壁109は、それぞれが導管を受け入れるように構成した1つ以上の開口部を含み得る。一部の実施形態では、1つ以上の導管は、垂直側壁100を伝って、内部空間121を通って容器102内へと延び得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの導管は、取付部品108の水平上面壁111を伝って通る。一部の細胞培養装置100では、細胞培養装置100の内部が、直接的または間接的に大気の曝露を受けずに、細胞培養装置100への流体及び/または材料の導入を容易にするように構成する。
【0104】
図1~2を参照すると、細胞培養装置100の複数の導管の1つは、移送管112を含み得るものであり、このものは、膜106と取付部品108との間の内部容積112内に位置する開口端を有し得る。移送管112は、流体及び/または材料を、内部容積106及び膜112に移送するように構成した細胞材料移送管とし得る。一部の実施形態では、移送管112は、移送部112a、放射状部112b、及び内部112cの少なくとも1つを含み得る。放射状部112bは、移送部112aと内部112cとの間に配置し得る。一部の実施形態では、放射状部112bを、内部容積104内で、かつ、容器102の上端118と下端105との間に配置する。一部の実施形態では、移送管112は、少なくとも1つの接続要素を含む。例えば、移送管112は、容器102への流体及び/または材料の移送を制御するバルブを含み得る。一部の実施形態では、移送管112の一部は密閉し得る。例えば、移送部112aは、取付部品108の先端に開口端を含み得るものであり、このものは、熱溶着などで密閉し得る。移送管112の密閉は、さらなる材料が、誤って内部容積104に入り込むことを防ぎ得る。一部の実施形態では、移送管112は、材料を容器102に移送するための導管を提供するように構成する。材料が容器102に移送されると、移送管112に起因する意図しない汚染または汚染物質の取り込みを防止するために、移送管112を密封し得る。
【0105】
一部の実施形態では、内部容積104は、ヘッドスペース119を含み、及び、放射状部112bの少なくとも一部を、ヘッドスペース119内に配置する。ヘッドスペース119は、内部空間121と内部容積104との間に配置し得る。放射状部112bは、少なくとも1つの有限曲率半径を有する長手軸を備えた移送管112の一部とし得る。一部の実施形態では、移送管112は、約0.125インチの内径を有する。しかしながら、移送管112は、0.03125インチ~5インチ、0.0625インチ~3インチ、0.125インチ~2インチ、または0.25インチ~1インチの内径を有し得る。
【0106】
一部の実施形態では、移送管112は、取付部品108から開口端117にまで延びる内部112cを含む。一部の実施形態では、部分112cは、長手軸を中心にして放射状に配置した内壁を含み、内部112cの長手軸のセグメントは曲率半径を持たない。一部の実施形態では、内部112cの長手軸の曲率半径は、30センチメートル未満である。しかしながら、内部112cの長手軸の曲率半径は、100センチメートル未満、75センチメートル未満、50センチメートル未満、または25センチメートル未満とし得る。一部の実施形態では、移送管112は、放射状部112bと流体連通しており、かつ、取付部品108の複数の開口部115の1つから延びる移送部112aを含む。例えば、取付部品108の複数の開口部115の少なくとも1つは、移送部112aを受け入れるように構成し得る。一部の実施形態では、移送部112aは、垂直側壁109を通過するように構成する。
【0107】
図1~2を参照すると、細胞培養装置100の複数の導管の1つは、ガス導管116を含み得る。一部の実施形態では、ガス導管116は、取付部品108を通って延びる、及び、周囲環境と内部容積104との間のガス交換を可能ならしめるように構成する。一部の実施形態では、ガス導管116は、内部容積104へのガスの流入を可能にするガス源に結合する。一部の実施形態では、ガス導管116は、ジョイント116aに結合する。ジョイント116aは、取付部品108内に配置したジョイントとし得る、及び、ガス導管116を取付部品108に結合するように構成し得る。一部の実施形態では、ジョイント116aは、流体/材料が、ガス導管116から内部容積104に流れることを可能にするエルボージョイントである。しかしながら、ジョイント116aは、流体/材料が、ガス導管104から内部容積116に流れることを可能にするあらゆるタイプのジョイントとし得る。一部の実施形態では、ガス導管116は、垂直側壁109を通過するように構成する。ジョイント116aは、垂直側壁109を通過する、及び、ガス導管109も、垂直側壁109を通過できるように構成し得る。
【0108】
一部の実施形態では、ガス導管116は、滅菌フィルターなどの取付部品に結合する。滅菌フィルターは、0.02μm~1μm、0.03μm~0.75μm、または0.05μm~0.25μmとし得る。一部の実施形態では、ガス導管116は、内部容積104内に配置したコイル状の放射状部を含む。放射状部は、容器102の開口端117と下端105との間に配置し得る。一部の実施形態では、コイル状の放射状部は、取付部品108内に配置する。
【0109】
一部の実施形態では、細胞培養装置100の複数の導管の1つは、抽出管110を含む。抽出管110は、移送部110a及び延長部110bを含み得る。一部の実施形態では、移送部110aは、取付部品108に結合する、及び、延長部110bは、取付部品108を介して、ヘッドスペース119内にまで延びる。移送部110aは、取付部品108を通って延び得る。一部の実施形態では、抽出管110は、ジョイント110cに結合する。ジョイント110cは、取付部品108内に配置したジョイントとし得る、及び、抽出管110を取付部品108に結合するように構成し得る。一部の実施形態では、ジョイント110cは、容器102の外に向けて流体/材料が内部容積102から流出することを可能にするエルボージョイントである。しかしながら、ジョイント110cは、容器102の外に向けて流体/材料が内部容積104から流出することを可能にするあらゆるタイプのジョイントとし得る。
【0110】
一部の実施形態では、抽出管110の延長部110bは、ヘッドスペース119から隣接する膜106にまで延びる。一部の実施形態では、抽出管110は、垂直側壁109を通過するように構成する。一部の実施形態では、抽出管110は、内部容積104内に配置した放射状部を含む。放射状部は、容器102の開口端117と下端105との間に配置し得る。
【0111】
一部の実施形態では、細胞培養装置100の複数の導管の1つは、供給管114を含み得る。供給管114は、移送部114a及び延長供給部114bを含み得る。移送部114aは、取付部品108に結合し得る、及び、延長供給部114bは、取付部品108を介してヘッドスペース119内に延び得る。移送部114aは、取付部品108を伝って延び得る。一部の実施形態では、移送管114は、内部容積104内に配置した放射状部を含む。放射状部は、容器102の開口端117と下端105との間に配置し得る。
【0112】
一部の実施形態では、供給管114は、ジョイント114cに結合する。ジョイント114cは、取付部品108内に配置し得る、及び、供給管114を取付部品108に結合するように構成し得るジョイントとし得る。一部の実施形態では、ジョイント114cは、容器102の内部容積104に流体/材料が流入することを可能にするエルボージョイントである。しかしながら、ジョイント114cは、容器102の内部容積104に流体/材料が流入することを可能にするあらゆるタイプのジョイントとし得る。一部の実施形態では、供給管114は、垂直側壁109を通るように構成する。ジョイント114cが垂直側壁109を通る、及び、供給管114も垂直側壁109を通ることができるように構成し得る。
【0113】
図1を参照すると、取付部品108は、分離膜130を含み得る。分離膜130は、取付部品108と内部容積104との間に配置し得る。分離膜130は、複数の開口部を含み得る。一部の実施形態では、複数の開口部の少なくとも1つは、複数の導管の少なくとも1つの部分を受け入れるように構成する。例えば、分離膜130は、移送管112、抽出管110、及び/または供給管114の少なくとも一部を受け入れるように構成し得る。一部の実施形態では、分離膜130は、取付部品108に結合する。例えば、分離膜130は、取付部品108が容器102に結合するときに、容器102の開口端117に隣接する取付部品108に結合し得る。
【0114】
図1を参照すると、細胞培養装置100は、機械判読可能な表示134を含み得る。一部の実施形態では、機械判読可能な表示134は、容器102の表面に配置する。機械判読可能な表示134は、バーコード、QRコーディング、RFID、磁気ストリップ、または1つ以上の写真またはテキストとし得る。機械判読可能な表示134は、細胞培養装置100内に配置した細胞の起源に関連する情報を示すように判読が可能であり、かつ、そのように構成し得る。例えば、機械判読可能な表示134は、細胞培養装置100内に載置した細胞の種類、細胞を作成、培養、もしくは寄託した日付、または細胞の供給源を表示するように構成し得る。機械判読可能な表示134は、細胞培養装置に関する細胞の注入及び/または抽出に関連する時間情報、細胞培養装置内に配置された培地、または細胞培養装置から抽出した培地に関する情報、細胞培養装置内に配置した細胞の患者ドナーに関連する情報、細胞培養装置及び/または細胞培養装置内に配置した細胞に関連する分析過程の管理及び/または同一性の連鎖の識別及び追跡、品質管理データに関連する情報、電子的バッチ記録に関連する情報、及び/または、製造データベース及び/またはエンタープライズリソースプランニングに関連する情報を表示するように構成し得る。
【0115】
図4~8を参照すると、細胞培養装置100は、スタック200を含み得る。スタック200は、細胞培養装置100内に配置し得る。例えば、スタック200は、細胞培養装置100の内部容積104内に配置し得る。スタック200は、上端キャップ206及び下端キャップ208を含み得る、及び、複数のアセンブリ202から構成し得る。上端キャップ206は、第1の開口部205を含み得る、及び、下端キャップ208は、第2の開口部(図示せず)を含み得る、このものは、第1の開口部205と位置合わせし得る。一部の実施形態では、スタック200は、アセンブリ202内に配置するように構成し得る。スタック200は、中央開口部207を含み得る。中央開口部207は、上端キャップ206と下端キャップ208との間に配置し得る。一部の実施形態では、中央開口部207は、複数のアセンブリ202の中心軸を介して配置される、及び、第1の開口部205と位置合わせし得る。
【0116】
図4及び図5を参照すると、アセンブリ202は、スタック200を形成するように積み重ね可能に構成し得る。例えば、スタック200は、100個のアセンブリ202から構成し得る。しかしながら、スタック200は、2~500個のアセンブリ、50~300個のアセンブリ、75~250個のアセンブリ、及び100~200個のアセンブリから構成し得る。一部の実施形態では、スタック200は、上端キャップ206と下端キャップ208との間に配置する複数のアセンブリ202から構成し得る。アセンブリ202は、形状が略円形でもよく、及び、容器102の直径よりも小さい外径を有し得る。しかしながら、アセンブリ202は、正方形形状、長方形形状、六角形状、八角形状、または所望するあらゆるその他の形状とし得る。
【0117】
一部の実施形態では、スタック200は、膜106の上方に配置するように構成し得る。例えば、スタック200は、容器内に配置し得る、及び、膜106と取付部品108との間に配置し得る。スタック200は、膜106に載置するように、または、膜106の端部に置くように構成し得る。スタック200を有する細胞培養装置100は、スタック200を持たない細胞培養装置100と比較して、実質的により多くの細胞、例えば、TILの培養及び増産を可能にするように構成し得る。例えば、スタック200のアセンブリ202のそれぞれは、単一の膜106とほぼ同じ量の細胞を培養及び増産するように構成し得る。実際には、スタック200を有する細胞培養装置100は、スタック200を持たない細胞培養装置100と比較して、TILの生産量が増える。スタック200は、アセンブリ202を介して、TILを受け入れる複数の膜における同時増産を可能にする。
【0118】
図5を参照すると、アセンブリ202は、膜204を含み得る。膜204は、膜106と実質的に同じとし得る。例えば、膜204は、半透過性膜とし得る。一部の実施形態では、1つ以上の膜204を、それぞれのアセンブリ202内に配置し得る。アセンブリ202は、1つ以上のセクション220を含み得る。一部の実施形態では、それぞれのセクション220は、膜204を含む。アセンブリ202は、それぞれが、セパレーター202で分離した複数のセクション220を含み得る。例えば、アセンブリ202は、8つの膜204を有するアセンブリ202を形成する8つのセクション220を含み得る。しかしながら、アセンブリ202は、1~20個のセクション、5~15個のセクション、または7~12個のセクションを有し得る。
【0119】
図6を参照すると、アセンブリ202は、第1の端部212及び第2の端部214を含み得る。一部の実施形態では、第1の端部212及び第2の端部214は、アセンブリ202の外周に沿って配置する。例えば、第1の端部212及び第2の端部214は、アセンブリ202の外周に沿って配置し得る。第2の端部314は、第1の端部212よりも大きな厚さを有し得る。第1の端部212及び第2の端部214は、互いにオフセットを設け得る。例えば、第1の端部212は、第1の平面に沿ったものとし得る、及び、第2の端部214は、第2の平面に沿ったものとし得る、及び、第1の平面及び第2の平面は、互いにオフセットを設け得る。一部の実施形態では、第2の端部214の第2の平面は、約1.3°の螺旋角を有し得る。しかしながら、第2の端部214は、0°及び10°の螺旋角を有し得る。
【0120】
図7を参照すると、スタック200を形成するために、2つのアセンブリ202、202’は、アセンブリ202の第1の端部212が、別のアセンブリ202’の第1の端部212’が隣接して配置するように一緒に積み重ねる。例えば、アセンブリ202は、アセンブリ202の第1の端部202が、アセンブリ202’の第2の端部212’と位置合わせできるように、その水平軸に沿って反転し得る。スタック200は、複数のアセンブリ202を含み得る、それらは、図7に詳細に示した構成において、一度に、2つずつ積み重ねられる。代わりの実施形態では、アセンブリ202が、スタック200を形成するために一緒に積み重ねる場合、1つのアセンブリ202の第2の端部214は、別のアセンブリ202の第1の端部212に隣接し得る、または結合し得る。
【0121】
図8を参照すると、アセンブリ202は、上部支持体218及び下部支持体216から構成し得る。上部支持体218及び/または下部支持体216は、ポリスチレンから構成し得る。しかしながら、上部支持体218及び下部支持体216は、ポリウレタン、ポリカーボネート、またはあらゆるその他のタイプのポリマーから構成し得る。一部の実施形態では、膜204は、上部支持体218と下部支持体216との間に配置し得る、及び、固定し得る。膜204は、膜106と実質的に類似した媒体不透過性の膜とし得る。一部の実施形態では、膜204は、ガス透過性膜である。膜204は、ポリジメチルシロキサン、コポリマー、ポリオレフィン、フルオロポリマー、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチトレン-酢酸ビニル(EVA)、及び、その他のポリマーまたはコポリマーの1つ以上から構成し得る。一部の実施形態では、膜204は、ポリスチレン膜から構成する。一部の実施形態では、膜204は、約25μm~約125μmの厚さを有する。しかしながら、膜204は、約5μm~約250μm、約25μm~約200μm、または、約50μm~約150μmの厚さを有し得る。
【0122】
膜204は、接着結合、超音波溶接、またはレーザー溶接を介して、上部支持体218及び/または下部支持体216に結合し得る。一部の実施形態では、上部支持体218は、接着接合、超音波溶接、またはレーザー溶接の1つによって下部支持体216に結合する。
【0123】
一部の実施形態では、アセンブリ202は、上部支持体218と下部支持体216との間に形成されるポートを含む。ポートは、アセンブリ202内でのガス交換を可能にするように構成し得る。一部の実施形態では、ポートは、アセンブリ202の外周に配置する。
【0124】
図9は、細胞培養装置100を使用して、TILの治療集団においてTILを増加させる例示的方法300を示す。方法300は、キナーゼ阻害剤またはITK阻害剤を含むレジメンで患者を前処置するステップ302を含み得る。一部の実施形態では、ステップ302は任意に行う。方法300は、患者から切除した腫瘍試料を複数の腫瘍フラグメントに切断して、患者から切除した腫瘍由来の第1のTIL集団を得るステップ304を含み得る。方法300は、ガス透過性細胞培養装置に、細胞移送管を介して、複数の腫瘍フラグメントを加えるステップ306を含み得る。方法300は、ガス透過性細胞培養装置内に配置した細胞培養培地で第1のTIL集団の複数の腫瘍フラグメントを培養して、第1の増産を行うステップ308をさらに含み得る。一部の実施形態では、細胞培養培地は、IL-2、及び、任意にOKT-3を含む。第1の増産を、第1の増産を開始して14日以内の増産期間に実施して、第2のTIL集団を生成し得る。一部の実施形態では、第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍大きく、増産期間中に増大するTIL集団に加える唯一のガス源は、ガス透過性膜を介したものだけである。
【0125】
一部の実施形態では、細胞培養培地は、G容器及びXuri細胞袋からなる群から選択する容器で提供する。細胞培養培地は、IL-15及び/またはIL-21を含み得る。一部の実施形態では、IL-2濃度は、約10,000IU/mL~約5,000IU/mLである。一部の実施形態では、IL-15濃度は、約20IU/mL~約0.5IU/mLである。一部の実施形態では、IL-21濃度は、約20IU/mL~約0.5IU/mLである。
【0126】
一部の実施形態では、複数の腫瘍フラグメントは、約4~約50個のフラグメントを含む、及び、それぞれのフラグメントは、約27mmの体積を有する。しかしながら、複数の腫瘍フラグメントは、2~200個のフラグメント、10~150個のフラグメント、または20~100個のフラグメントを含み得る。例えば、複数の腫瘍フラグメントは、約30~約60個のフラグメントを含み、約1300mm~約1500mmの総体積を有し得る、または、約50個のフラグメントを含み、1350mmの総体積を有し得る。フラグメントの総体積は、10mm~2000mm、50mm~1500mm、200mm~1300mm、または500mm~1000mmとし得る。複数の腫瘍フラグメントは、約4つのフラグメントを含み得る。一部の実施形態では、複数の腫瘍フラグメントは、約50個のフラグメントを含み、総質量は、約1グラム~約1.5グラムである。
【0127】
図9を参照すると、方法300は、第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意のOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充して、第2の増産を行うステップ310を含み得る。一部の実施形態では、第2の増産を行って、第3のTIL集団を生成する。第2の増産は、14日以内の第2の増産期間で実施し得るものである、また、第3のTIL集団は、TILの治療集団である。一部の実施形態では、第2の増産は、第2のガス透過性細胞培養装置において行う。一部の実施形態では、第2の増産期間中に増産が進んでいる第2のTIL集団に加える唯一のガス源は、第2のガス透過性細胞培養装置内の第2のガス透過性膜を介したものだけである。一部の実施形態では、抗原提示細胞は、末梢血単核球細胞(PBMC)である。PBMCに放射線を照射して、同種同系とし得る。一部の実施形態では、第2増産期間の9日目~14日目のいずれかの日に、PBMCを細胞培養物に加える。一部の実施形態では、抗原提示細胞は、人工抗原提示細胞である。
【0128】
方法300は、ステップ310から得たTILの治療集団を回収するステップ312を含み得る。一部の実施形態では、ステップ312は、膜をベースとした細胞処理システムを使用して実行する。ステップ312は、LOVO細胞処理システムを使用して実行し得る。方法300は、ステップ312から得たTIL集団を注入バッグに移すステップ314をも含み得る。一部の実施形態では、ステップ306~312は、細胞培養装置100などの閉鎖系内で実行する、また、閉鎖系に加えるガスの唯一の供給源は、第1及び第2のガス透過性膜を通るものだけである。一部の実施形態では、方法300は、ステップ312由来のTILを患者に注入することをさらに含み得る。
【0129】
一部の実施形態では、注入バッグは、HypoThermosol-含有注入バッグである。一部の実施形態では、ステップ312で得たTILの治療集団は、治療有効量のTILに十分なTILを含む。例えば、治療有効量に十分なTILの数は、約2.3×1010~約13.7×1010とし得る。70.一部の実施形態では、抗原提示細胞は、システムを開かずに、ステップ312の第2の期間の間にTILに加える。
【0130】
一部の実施形態では、ステップ312での第3のTIL集団は、対象に投与した場合に、有効性の増加、インターフェロン-ガンマ産生の増加、ポリクローナリティの増加、平均IP-10の増加、及び/または平均MCP-1の増加を招く。一部の実施形態では、ステップ312での第3のTIL集団は、対象に投与した場合に、少なくとも5倍以上のインターフェロン-ガンマ産生を提供する。
【0131】
一部の実施形態では、ステップ312での第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である。TILの治療集団でのエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞の集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD27+を発現する、CD28+を発現する、長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の低下を含む1つ以上の特徴を示す。
【0132】
方法300は、凍結保存プロセスを使用して注入バッグ内でTIL集団を凍結保存するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、凍結保存プロセスは、凍結保存培地と回収したTIL集団とを1:1の比率で使用して行う。一部の実施形態では、凍結保存培地は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。凍結保存培地は、7%~10%のDMSOを含み得る。
【0133】
一部の実施形態では、ステップ308の第1の期間、及びステップ310の第2の期間は、それぞれ、10日、11日、または12日の期間内に個別に実行する。一部の実施形態では、ステップ308の第1の期間、及びステップ310の第2の期間は、それぞれ、11日の期間内に個別に実行する。
【0134】
一部の実施形態では、ステップ304~314は、約10日~約22日の期間内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、約20日~約22日の期間内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、約15日~約20日の期間内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、約10日~約20日の期間内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、約10日~約15日の期間内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、22日以内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、20日以内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、15日以内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314は、10日以内に実行する。一部の実施形態では、ステップ304~314またはステップ304~312及び凍結保存は、22日以内に実行する。
【0135】
一部の実施形態では、ステップ306~312は、単一の容器内で実行する。単一の容器においてステップ306~312を実行すると、複数の容器、例えば、容器102においてステップ312~102を実行した場合と比較して、切除した腫瘍当たりのTIL収率を増やし得る。一部の実施形態では、細胞培養装置100などの閉鎖系で方法300を行うと、開放系と比較して微生物汚染のリスクが低下する。
【0136】
図10図13及び15を参照すると、シリンジ400は、細胞培養培地が入ったバッグまたは容器、例えば、細胞培養装置100などにIL-2を注入するために使用し得る。シリンジ400は、T-細胞を所定の期間にわたって連続的に増産させる上で十分な体積及び生物学的活性を有するIL-2を入れた使い捨てシリンジとし得る。所定の期間は、5日~11日とし得る。一部の実施形態では、シリンジ400は、ルアーロック500を介して細胞培養培地のバッグにIL-2を注入するために使用する。ルアーロック500は、T-細胞の増産に適したバイオリアクターへの接続に供し得る。一部の実施形態では、シリンジ400は、アダプター600を介して細胞培養培地のバッグにIL-2を注入するために使用する。アダプター600は、細胞培養培地のバッグへのニードルレス注入を可能にする構成にし得る。アダプター600は、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに、ニードルレス注射部位またはその他のシリンジカプラーを提供し得る。シリンジ400は、滅菌接続装置を使った接続を介して、細胞培養培地が入ったバッグにIL-2を注入するために使用し得る。
【0137】
一部の実施形態では、滅菌接続装置は、T-細胞の増産に適したバイオリアクターにIL-2を注入するために使用し得る。一部の実施形態では、シリンジ400は、コネクター702を介して、細胞培養装置100などの細胞培養培地の入ったバッグまたは容器にIL-2を注入するために使用する。コネクター702は、溶接可能な管状体とし得る。一部の実施形態では、細胞培養培地を、続いて、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに加える(例えば、培地を、IL-2と合わせた後に)。一部の実施形態では、シリンジ400、ルアーロック500、アダプター600、及び/またはコネクター702は、1つ以上の容器800,900、1000、及び1100(図15A~15Dに図示した)と共に使用し得る。
【0138】
一部の実施形態では、容器800、900、1000、及び1100は、WilsonWolfから市販されている製造容器であるGREX容器である。例えば、IL-2を、TILの培養のための容器800、900、1000、1100の1つ以上の容器に加え得る。例えば、シリンジ400、ルアーロック500、アダプター600、及び/またはコネクター702の1つ以上を使用して、アダプター802、902、1002、1102の1つ以上を介して、容器800、900、1000、1100の1つ以上にIL-2を送達し得る。
【0139】
図14A~15を参照すると、容器700は、T-細胞を所定の期間にわたって連続的に増産する体積及び生物学的活性を有するIL-2を含有し得る。所定の期間は、5日~11日とし得る。容器700は、ルアーロック500などのルアーロックを介して、細胞培養装置100などの細胞培養培地の供給源に接続し得る、及び、細胞培養培地にポンプで送る、または重力排出し得る。一部の実施形態では、培地は、続いて、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに加える。一部の実施形態では、容器700は、アダプター600などのニードルレス注入部位、または別のシリンジカップリング装置を介して細胞培養培地のバッグに結合する。一部の実施形態では、容器700は、ニードルレス注入部位またはシリンジカップリング装置を介して、細胞培養装置100などの細胞培養培地の供給源またはバッグに結合する、及び、T-細胞の増産に適したバイオリアクターにポンプで送る、または重力排出する。一部の実施形態では、T-細胞を連続的に増産させる上で十分な体積及び生物学的活性を有するIL-2を含有する容器700は、無菌接続装置が形成する接続を介して、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに接続する、及びポンプで送る、または重力排出する。一部の実施形態では、容器700は、滅菌接続装置を介して細胞培養培地のバッグに結合する。IL-2を含む容器700は、細胞培養培地にポンプで送る、または重力排出し得る。一部の実施形態では、培地は、続いて、T-細胞の増産に適したバイオリアクターに加える。
【0140】
一部の実施形態では、容器700は、2Dまたは3Dの折りたたみ可能な容器である。容器700は、複数のコネクター/アダプター702を含み得る。コネクター702は、容器700から延長させ得る、及び、シリンジ400などのその他の貯蔵または送達装置に結合するように構成し得る。容器700は、本体704を含み得る、容器700は、内部に貯蔵する培地の体積に基づいて伸縮するように構成し得る。一部の実施形態では、容器700は、崩壊状態(図14A)及び膨張状態(図14B)をとる。
【0141】
一部の実施形態では、容器700は、容器800と共に使用し得る。一部の実施形態では、容器800は、WilsonWolfが製造した容器であるGREX900である。容器800は、細胞培養装置100の容器102と実質的に類似し得る。一部の実施形態では、IL-2は、容器700、1000、及び/または容器1100を介して、TILを培養するために容器800に加える。一部の実施形態では、容器800、900、1000、1100は、WilsonWolfから市販されているGREX容器である。実際には、IL-2は、容器700を介してTILを培養するために、容器800、900、1000、または1100の1つ以上に加え得る。一部の実施形態では、容器800、900、1000、または1100のそれぞれは、容器102と実質的に類似しており、及び、細胞培養装置100と共に使用する。
【0142】
一部の実施形態では、容器102、700、800、900、1000、1100の1つ以上は、本明細書に記載したように、細胞培養装置100の容器102と同様に、容器を開けずに、または、容器の内部を大気に曝さずとも、容器の内部に物質を取り込めるように構成する。本発明のある態様では、細胞及び増産培地の処理に関するPCT/US2019/031624に開示した方法を、容器102、700、800、900、1000、または1100の1つ以上において実施する。例えば、容器102、700、800、900、1000、または1100の1つ以上は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、WO2019217753A1に開示されているような、TILの治療集団でTILを増産させる方法に使用し得る。
【0143】
一部の実施形態では、本開示は、がんを有する対象を治療するために、本明細書に記載した容器/装置を使用してTILを増産する方法を提供するものであり、本方法は:
(a)対象から切除した腫瘍試料を複数の腫瘍フラグメントに加工して、当該対象から切除した腫瘍由来の第1のTIL集団を取得する;
(b)腫瘍フラグメントを閉鎖系に加える;
(c)IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養して第1の増産を行って、第2のTIL集団を産生する、また、当該第1の増産を、第1のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、また、当該第1の増産を、約3~14日間行って、第2のTIL集団を得る、また、当該第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍も多い、及び、当該ステップ(b)~ステップ(c)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(d)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意のOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充して、第2の増産を行って、第3のTIL集団を産生する、また、当該第2の増産を、約7~14日間行って、第3のTIL集団を得る、また、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、当該第2の増産を、第2のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、及び、当該ステップ(c)~ステップ(d)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(e)ステップ(d)から得たTILの治療集団を回収する、また、当該ステップ(d)~ステップ(e)への移行は、当該システムを開けずに行う;及び
(f)ステップ(e)から回収したTIL集団を注入バッグに移す、また、当該ステップ(e)~ステップ(f)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(g)任意に、凍結保存プロセスを使用して、ステップ(f)から回収したTIL集団を含む注入バッグを凍結保存する;及び
(h)ステップ(g)の注入バッグから得た第3のTIL集団の治療有効用量を対象に投与する、ことを含む。
【0144】
一部の実施形態では、本発明は、がんの治療に使用する本明細書に記載した容器/装置を使用して増産した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の治療集団を提供する、また、当該集団は、以下のステップ:
(b)腫瘍フラグメントを閉鎖系に加える、また、当該腫瘍フラグメントは、TILの第1集団を含む;
(c)IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養して第1の増産を行って、第2のTIL集団を産生する、また、当該第1の増産を、第1のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、また、当該第1の増産を、約3~14日間行って、第2のTIL集団を得る、また、当該第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍も多い、及び、当該ステップ(b)~ステップ(c)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(d)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意のOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充して、第2の増産を行って、第3のTIL集団を産生する、また、当該第2の増産を、約7~14日間行って、第3のTIL集団を得る、また、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、当該第2の増産を、第2のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、及び、当該ステップ(c)~ステップ(d)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(e)ステップ(d)から得たTILの治療集団を回収する、また、当該ステップ(d)~ステップ(e)への移行は、当該システムを開けずに行う;及び
(f)ステップ(e)から回収したTIL集団を注入バッグに移す、また、当該ステップ(e)~ステップ(f)への移行は、当該システムを開けずに行う;及び
(g)任意に、凍結保存プロセスを使用して、ステップ(f)から回収したTIL集団を含む注入バッグを凍結保存する、ステップを含む方法から得ることができる。
【0145】
一部の実施形態では、当該集団は、第1のステップとして、
(a)対象から切除した腫瘍試料を複数の腫瘍フラグメントに加工して、当該対象から切除した腫瘍由来の第1のTIL集団を取得する、ステップも含む方法から得ることができる。
【0146】
ある実施形態では、方法は、インビトロまたはエキスビボ法である。
【0147】
一部の実施形態では、ステップ(a)~(f)のいずれかは、本明細書に開示した1つ以上の特徴、例えば、標題「ステップA:対象の腫瘍試料を得る」、「ステップB:第1の増産」、「ステップC:第1の増産から第2の増産への移行」、「ステップD:第2の増産」、「ステップE:TILを回収する及び「ステップF:最終製剤/注入バッグへの移送」の下に開示した1つ以上の特徴を含む。
【0148】
一部の実施形態では、ステップ(g)は、本明細書に開示した1つ以上の特徴、例えば、標題「ステップH:TILの任意の凍結保存」の下に開示した1つ以上の特徴を含む。一部の実施形態では、ステップ(h)は、本明細書に開示した1つ以上の特徴、例えば、標題「ステップF:1 医薬組成物、用量及び投与計画」の下に開示した1つ以上の特徴を含む。
【0149】
一部の実施形態では、ステップ(e)で回収したTILの治療集団は、ステップ(h)においてTILの治療有効量を投与する上で十分なTILを含む。
【0150】
一部の実施形態では、ステップ(h)で治療有効量を投与する上で十分なTILの数は、約2.3×1010~約13.7×1010である。
【0151】
一部の実施形態では、抗原提示細胞(APC)は、PBMCである。
【0152】
一部の実施形態では、PBMCは、ステップ(d)の9日目~14日目のいずれかの日において細胞培養物に加える。
【0153】
一部の実施形態では、ステップ(h)において、TIL細胞の治療有効量を投与する前に、非骨髄破壊的リンパ球枯渇レジメンを対象に行う。
【0154】
一部の実施形態では、がんを治療する際に使用し、かつ非骨髄破壊性リンパ球枯渇レジメンとの組み合わせにおいて、本明細書に記載した容器/装置を使用して、増産した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の治療集団を提供する。一部の実施形態では、非骨髄破壊的リンパ球枯渇レジメンは、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の治療集団を投与する前に実施する。
【0155】
一部の実施形態では、非骨髄破壊的リンパ球枯渇レジメンは、シクロホスファミドを、60mg/m/日の用量で、2日間投与する、続いて、フルダラビンを25mg/m/日の用量で5日間投与するステップを含む。
【0156】
一部の実施形態では、対象を高用量IL-2レジメンで処置するステップは、ステップ(h)において、対象へTIL細胞を投与した翌日から開始する。
【0157】
一部の実施形態では、がんを治療する際に使用し、かつ高用量IL-2レジメンとの組み合わせにおいて、本明細書に記載した容器/装置を使用して、増産した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の治療集団を提供する。一部の実施形態では、高用量IL-2レジメンは、TIL細胞の治療集団を投与した翌日から開始する。
【0158】
一部の実施形態では、高用量IL-2レジメンは、耐性に至るまで、600,000または720,000IU/kgを、8時間毎に15分間のボーラス静脈内注入として投与すること含む。
【0159】
一部の実施形態では、TILの治療集団でのエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞の集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD27+を発現する、CD28+を発現する、長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択する1つ以上の特徴を示す。
【0160】
一部の実施形態では、TILの治療集団でのエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少を示した。
【0161】
本開示は、本明細書に記載した容器/装置を使用して、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、TILの治療集団で増産するための方法も提供しており:
(a)対象から切除した腫瘍に由来する腫瘍フラグメントを閉鎖系に加えて、第1のTIL集団を得る;
(b)IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養して第1の増産を行って、第2のTIL集団を産生する、また、当該第1の増産を、第1のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、また、当該第1の増産を、約3~14日間行って、第2のTIL集団を得る、また、当該第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍も多い、及び、当該ステップ(a)~ステップ(b)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(c)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意のOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充して、第2の増産を行って、第3のTIL集団を産生する、また、当該第2の増産を、約7~14日間行って、第3のTIL集団を得る、また、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、当該第2の増産を、第2のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、及び、当該ステップ(b)~ステップ(c)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(d)ステップ(c)から得たTILの治療集団を回収する、また、当該ステップ(c)~ステップ(d)への移行は、当該システムを開けずに行う;及び
(e)ステップ(d)から回収したTIL集団を注入バッグに移す、また、当該ステップ(d)~ステップ(e)への移行は、当該システムを開けずに行う、ことを含む。
【0162】
一部の実施形態では、ステップ(d)で回収したTILの治療集団は、TILの治療有効量に十分なTILを含む。
【0163】
一部の実施形態では、治療有効量に十分なTILの数は、約2.3×1010~約13.7×1010である。
【0164】
一部の実施形態では、本方法は、凍結保存プロセスを使用して、回収したTIL集団を含む注入バッグを凍結保存するステップをさらに含む。
【0165】
一部の実施形態では、当該凍結保存プロセスは、回収したTIL集団とCS10培地とを1:1の比率で使用して実行する。
【0166】
一部の実施形態では、本開示は、がんを有する対象を治療する方法を提供しており、当該方法は、本明細書に記載した容器/装置を使用して増産させた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含み:
(a)対象から得た腫瘍試料を複数の腫瘍フラグメントに加工することによって、対象から切除した腫瘍に由来する第1のTIL集団を得る;
(b)腫瘍フラグメントを閉鎖系に加える;
(c)IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養して第1の増産を行って、第2のTIL集団を産生する、また、当該第1の増産を、第1のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、また、当該第1の増産を、約3~14日間行って、第2のTIL集団を得る、また、当該第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍も多い、及び、当該ステップ(b)~ステップ(c)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(d)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意のOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充して、第2の増産を行って、第3のTIL集団を産生する、また、当該第2の増産を、約7~14日間行って、第3のTIL集団を得る、また、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、当該第2の増産を、第2のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、及び、当該ステップ(c)~ステップ(d)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(e)ステップ(d)から得たTILの治療集団を回収する、また、当該ステップ(d)~ステップ(e)への移行は、当該システムを開けずに行う;及び
(f)ステップ(e)から回収したTIL集団を注入バッグに移す、また、当該ステップ(e)~ステップ(f)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(g)任意に、凍結保存プロセスを使用して、ステップ(f)から回収したTIL集団を含む注入バッグを凍結保存する;及び
(h)ステップ(g)の注入バッグから得た第3のTIL集団の治療有効用量を対象に投与する、ことを含み、また、TIL集団の選択は、ステップ(a)~(h)のいずれの間にも行わない。ある実施形態では、表現型をベースとした第2のTIL集団(pre-REP集団)の選択は、ステップ(d)の第2の増産を行う前に行わない。ある実施形態では、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、またはCD8発現に基づいて回収したTIL集団の選択は、ステップ(a)~(h)のいずれかの間にも行わない。
【0167】
一部の実施形態では、本開示は、がんを有する対象を治療する方法を提供しており、当該方法は、本明細書に記載した容器/装置を使用して増産させた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含み:
(a)対象から得た腫瘍試料を複数の腫瘍フラグメントに加工することによって、対象から切除した腫瘍に由来する第1のTIL集団を得る;
(b)腫瘍フラグメントを閉鎖系に加える;
(c)IL-2を含む細胞培養培地で第1のTIL集団を培養して第1の増産を行って、第2のTIL集団を産生する、また、当該第1の増産を、第1のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、また、当該第1の増産を、約3~14日間行って、第2のTIL集団を得る、また、当該第2のTIL集団は、第1のTIL集団よりも、数が、少なくとも50倍も多い、及び、当該ステップ(b)~ステップ(c)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(d)第2のTIL集団の細胞培養培地に、さらなるIL-2、任意のOKT-3、及び抗原提示細胞(APC)を補充して、第2の増産を行って、第3のTIL集団を産生する、また、当該第2の増産を、約7~14日間行って、第3のTIL集団を得る、また、第3のTIL集団は、第2のTIL集団と比較して増加したエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞の亜集団を含むTILの治療集団である、また、当該第2の増産を、第2のガス透過性表面積をもたらす密閉容器内で行う、及び、当該ステップ(c)~ステップ(d)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(e)ステップ(d)から得たTILの治療集団を回収する、また、当該ステップ(d)~ステップ(e)への移行は、当該システムを開けずに行う;及び
(f)ステップ(e)から回収したTIL集団を注入バッグに移す、また、当該ステップ(e)~ステップ(f)への移行は、当該システムを開けずに行う;
(g)凍結保存プロセスを使用して、ステップ(f)から回収したTIL集団を含む注入バッグを凍結保存する、また、当該凍結保存プロセスは、凍結保存培地と回収したTIL集団との混合を含む;及び
(h)ステップ(g)の注入バッグから得た第3のTIL集団の治療有効用量を対象に投与する、ことを含み、また、TIL集団の選択は、ステップ(a)~(h)のいずれの間にも行わない。ある実施形態では、表現型をベースとした第2のTIL集団(pre-REP集団)の選択は、ステップ(d)の第2の増産を行う前に行わない。ある実施形態では、第1のTIL集団、第2のTIL集団、第3のTIL集団、またはCD8発現に基づいて回収したTIL集団の選択は、ステップ(a)~(h)のいずれかの間にも行わない。一部の実施形態では、非骨髄破壊的リンパ球枯渇レジメンを、回収したTIL集団を投与する前に実施する。一部の実施形態では、非骨髄破壊的リンパ球枯渇レジメンは、シクロホスファミドを、60mg/m/日の用量で、2日間投与する、続いて、フルダラビンを25mg/m/日の用量で5日間投与するステップを含む。
【0168】
一部の実施形態では、当該抗原提示細胞は、末梢血単核球細胞(PBMC)である。当該PBMCに、放射線を照射して、同種異系とする。一部の実施形態では、当該PBMCを、ステップ(c)の9日目~14日目のいずれかの日に細胞培養物に対して加える。
【0169】
一部の実施形態では、当該抗原提示細胞は、人工抗原提示細胞である。
【0170】
一部の実施形態では、ステップ(d)での回収は、LOVO細胞処理システムを使用して行う。
【0171】
一部の実施形態では、本方法は、ステップ(d)での回収が、LOVO細胞処理システム、例えば、Fresenius Kabiが製造したLOVOシステムなどを介して行う、ことを含む。用語「LOVO細胞加工システム」は、無菌及び/または閉鎖系環境で、スピニングメンブレンまたはスピニングフィルターなどの膜またはフィルターを通過した細胞を含む溶液をポンプで送ることができ、ペレット化しなくとも、上清または細胞培養培地を除去するための連続流及び細胞加工を実現する、あらゆる機器または装置のことも指す。一部の事例では、細胞加工システムは、細胞分離、洗浄、流体交換、濃縮、及び/またはその他の細胞加工ステップを、閉鎖した無菌系で行うことができる。
【0172】
一部の実施形態では、当該腫瘍フラグメントは、複数のフラグメントである、及び、約4~約50個のフラグメントを含む、また、それぞれのフラグメントは、約27mmの体積を有する。一部の実施形態では、当該複数のフラグメントは、約30~約60個のフラグメントを含み、総体積が約1300mm~約1500mmである。一部の実施形態では、当該複数のフラグメントは、約50個のフラグメントを含み、総体積が約1350mmである。一部の実施形態では、当該複数のフラグメントが、約1グラム~約1.5グラムの総質量を有する約50個のフラグメントを含む。
【0173】
一部の実施形態では、当該複数のフラグメントは、約4個のフラグメントを含む。一部の実施形態では、当該4つのフラグメントを、G-REX-100に配置する。一部の実施形態では、当該4つのフラグメントは、直径が、約0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cm、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、または1cmである。一部の実施形態では、当該4つのフラグメントは、直径が、約0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cm、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、または1cmである、及び、G-REX-100に配置する。一部の実施形態では、当該4つのフラグメントは、直径が、約0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cm、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、または1cmである、及び、G-REX-100と等価の容積を有する容器内に置かれる。一部の実施形態では、当該4つのフラグメントは、直径が、約0.5cmである、及び、G-REX-100内に置かれる。一部の実施形態では、当該4つのフラグメントは、直径が、約0.5cmである、及び、G-REX-100と等価な容積を有する容器内に置かれる。
【0174】
一部の実施形態では、細胞培養培地を、G容器及びXuri細胞袋からなる群から選択する容器で提供する。
【0175】
一部の実施形態では、ステップ(e)での注入バッグは、HypoThermosol-含有注入バッグである。
【0176】
一部の実施形態では、ステップ(b)での第1の期間、及びステップ(c)での第2の期間は、それぞれ、10日、11日、または12日の期間内で個別に実行する。一部の実施形態では、ステップ(b)での第1の期間、及びステップ(c)での第2の期間は、それぞれ、11日の期間内に個別に実行する。一部の実施形態では、ステップ(a)~(e)は、約25日~約30日以内の期間に実施する。一部の実施形態では、ステップ(a)~(e)は、約20日~約25日以内の期間に実施する。一部の実施形態では、ステップ(a)~(e)は、約20日~約22日以内の期間に実施する。一部の実施形態では、ステップ(a)~(e)は、22日以内に実施する。一部の実施形態では、ステップ(a)~(e)及び凍結保存は、22日以内に実施する。
【0177】
一部の実施形態では、ステップ(b)~(e)は、単一の容器内で実施する、また、ステップ(b)~(e)を単一の容器内で実行することで、ステップ(b)~(e)を複数の容器内で行うことと比較して、切除した腫瘍当たりのTIL収率を増やす。
【0178】
一部の実施形態では、抗原提示細胞は、システムを開けずに、ステップ(c)の第2の期間の間にTILに対して加える。
【0179】
一部の実施形態では、TILの治療集団で得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞の集団から得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD27+を発現する、CD28+を発現する、長いテロメア、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少からなる群から選択する1つ以上の特徴を示す。
【0180】
一部の実施形態では、TILの治療集団で得たエフェクターT細胞及び/またはセントラルメモリーT細胞は、第2の細胞集団から得たエフェクターT細胞、及び/またはセントラルメモリーT細胞と比較して、CD57発現の増加、及びCD56発現の減少を示す。
【0181】
一部の実施形態では、微生物汚染のリスクは、開放系と比較して低下する。
【0182】
一部の実施形態では、ステップ(e)のTILを、対象に注入する。
【0183】
一部の実施形態では、密閉容器は、単一のバイオリアクターを含む。一部の実施形態では、密閉容器は、G-REX-10を含む。一部の実施形態では、密閉容器は、G-REX-100を含む。
【0184】
一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、患者である。
【0185】
本明細書に記載した様々な実施態様の説明で使用する用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。記載した様々な実施態様の説明及び添付した特許請求の範囲で使用した単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数形も同様に含むことを意図している。また、本明細書で使用する用語「及び/または」は、関連する列挙した事項の1つ以上の任意の、及びすべての可能な組み合わせのことを指す、及び、それらを含むことも理解されよう。用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、及び/または「含む(comprising)」は、本明細書で使用する場合、記載した機能、整数、ステップ、操作、要素、及び/または成分の存在を指定するが、1つ以上のその他の機能、整数、ステップ、操作、要素、成分、及び/または、それらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0186】
さらに、本発明の方法が、本明細書に記載したステップの特定の順序に依存しない限りは、ステップの特定の順序を、特許請求の範囲の制限として解釈するべきではない。本発明の方法に関するあらゆる、請求項は、それらステップを、記載された順序で実行することに限定するべきではなく、及び、当業者であれば、ステップが変化し得るものであり、及び、依然として本発明の技術思想及び範囲内に止まり得ることを容易に理解する。
【0187】
上記した説明は、説明目的のためのものであり、特定の実施態様を参照して説明をした。しかしながら、上記の例示的説明は、包括的なものではなく、または開示した正確な形態にまで特許請求の範囲を限定することを意図するものでもない。上記の教示を考慮して、数多くの修正及び変形が可能である。実施態様は、特許請求の範囲、及びそれらの実用的応用に内在する原理を明確に説明するために選択したものであって、それにより、当業者であれば、意図する特定の用途に適した様々な変更を加えて実施態様を好適に使用できるようになる。
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【国際調査報告】