(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】キャノピー用スラットルーフ、スラットルーフを組み立てるための部品キット、スラットルーフを有するキャノピー
(51)【国際特許分類】
E04F 10/10 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
E04F10/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523520
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2021059648
(87)【国際公開番号】W WO2022084871
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522061947
【氏名又は名称】レンソン サンプロテクション-スクリーンズ
【氏名又は名称原語表記】RENSON SUNPROTECTION-SCREENS
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラバント、ピーター レオポルド アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】レミーグレ、クリストフ
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA08
2E105BB05
2E105BB06
2E105CC03
2E105DD04
2E105FF02
2E105FF14
2E105FF24
2E105FF26
2E105FF32
2E105FF41
2E105FF45
2E105GG11
(57)【要約】
ビーム13、14に回転可能に固定される一組の平行なスラット10を間に伴う2つの実質的に平行なビーム13、14を有するスラットルーフ。第1のビーム13は、上側に向かって開放する一組の凹部を有する。各スラット10は、その端部にスラットシャフトを有し、第1のスラットシャフト22は対応する凹部内に置かれる。少なくとも1つの凹部には当接部が設けられ、凹部21内に位置するスラットシャフトには、その上側で前記当接部と少なくとも部分的に当接するロックピース24が設けられる。ロックピース24及び当接部は共に、スラット10の第1の端部11の垂直方向のロックを確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャノピー(1)用スラットルーフであって、
- 第1のビーム(13)及び第2のビーム(14)を有するフレームであって、前記第1のビーム(13)及び前記第2のビーム(14)は実質的に平行であり、且つ横方向(84)に延びており、前記ビーム(13、14)は、上側(80)、下側(81)、内側(82)及び外側(83)を有し、前記ビーム(13、14)の前記内側(82)は互いに面し、前記第1のビーム(13)は、前記第1のビーム(13)の前記上側(80)に向かって開放している一組の凹部(21)を備える、フレームと、
- 前記ビーム(13、14)間に位置し、且つ前記ビーム(13、14)に回転可能に固定される一組の平行なスラット(10)であって、前記スラット(10)は縦方向(85)に延び、また、第1のスラットシャフト(22)を伴う第1の端部(11)、及び第2のスラットシャフト(44)を伴う第2の端部(12)を備え、前記第1のスラットシャフト(22)のそれぞれが、前記一組の凹部(21)のうちの対応する凹部に通される、一組の平行なスラット(10)と
を備え、
前記第1のビーム(13)は、前記一組の凹部(21)からの少なくとも1つの凹部(21)の近くに当接部を備え、前記凹部(21)内に配置される前記スラットシャフト(22)はロックピース(24)を備え、前記ロックピース(24)は、その上側で少なくとも部分的に前記当接部に当接することを特徴とする、スラットルーフ。
【請求項2】
前記ロックピース(24)は、前記縦方向(85)に対して横方向に配向された壁を有し、前記壁は、その内側で前記ビーム(13)に少なくとも部分的に当接することを特徴とする、請求項1に記載のスラットルーフ。
【請求項3】
前記当接部は、少なくとも部分的に、前記第1のビーム(13)の実質的に平坦な壁セクション(27)によって形成され、前記ロックピース(24)は、その上側に、対応する実質的に平坦な壁セクション(28)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のスラットルーフ。
【請求項4】
前記ロックピース(24)は、前記実質的に平坦な壁セクション(28)から前記上側に向かって延びる突出部(31)を有し、前記第1ビーム(13)は、前記実質的に平坦な壁セクション(28)と実質的に接合する傾斜壁セクション(33)を備え、前記突出部(31)は、前記傾斜壁セクション(33)に当接する、対応する傾斜壁セクション(32)を有することを特徴とする、請求項3に記載のスラットルーフ。
【請求項5】
前記凹部(21)内に配置される前記スラットシャフト(22)は、前記凹部(21)内に配置される接続ピース(23)を備え、前記ロックピース(24)は、前記接続ピース(23)によって前記スラットシャフト(22)に固定されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項6】
前記ロックピース(24)は、緩み状態とロック状態との間で前記接続ピース(23)に対して前記縦方向(85)に移動可能であり、前記ロック状態において、前記ロックピース(24)はその上側で前記当接部と少なくとも部分的に当接し、前記緩み状態において、前記ロックピース(24)は前記当接部と接触しないことを特徴とする、請求項5に記載のスラットルーフ。
【請求項7】
前記ロックピース(24)は第1の接続手段(39)を備え、前記接続ピース(23)は第2の接続手段(42)及び第3の接続手段(41)を備え、前記緩み状態において、前記ロックピース(24)は前記第1及び第2の接続手段によって前記接続ピース(23)上に位置付けられ、前記ロック状態において、前記ロックピース(24)は前記第1及び第3の接続手段によって前記接続ピース(23)上に位置付けられることを特徴とする、請求項6に記載のスラットルーフ。
【請求項8】
前記第1の接続手段(39)は少なくとも1つのフックによって形成され、前記第2の接続手段(42)は、前記フックと対応する少なくとも1つの切り欠きによって形成され、前記第3の接続手段(41)は、前記フックと対応する少なくとも1つの更なる切り欠きによって形成され、前記ロックピース(24)をその緩み状態からそのロック状態に移動させるとき、前記少なくとも1つのフックは、前記縦方向(85)に対して横方向の変位を少なくとも部分的に受けることを特徴とする、請求項7に記載のスラットルーフ。
【請求項9】
前記切り欠き及び/又は前記更なる切り欠きは、前記接続ピース(23)の周壁の溝によって形成されることを特徴とする、請求項8に記載のスラットルーフ。
【請求項10】
前記ロックピース(24)は環状体によって形成され、前記第1の接続手段(39)は、前記縦方向(85)に延びるアーム(40)によって前記環状体に固定されていることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項11】
前記接続ピース(23)は、前記縦方向(85)に対して横方向に配向された壁(23a、23b)を有し、前記壁(23a、23b)は、前記凹部(21)の周囲壁に少なくとも部分的に当接することを特徴とする、請求項5から10までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項12】
前記ロックピース(24)及び/又は前記接続ピース(23)は一体部品として、特に射出成形によって、プラスチックから製造されることを特徴とする、請求項5から11までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項13】
前記第1のビーム(13)は、前記一組の凹部(21)からの複数の、好ましくは全ての凹部(21)の近くに当接部を備え、前記凹部(21)内に配置される前記スラットシャフト(22)はそれぞれロックピース(24)を備え、前記ロックピース(24)は、その上側で、対応する当接部と少なくとも部分的に当接することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項14】
全てのストッパが、前記横方向(84)に延びる実質的に平坦な壁セクション(27)によって形成されることを特徴とする、請求項13に記載のスラットルーフ。
【請求項15】
前記第2のビーム(14)は一組の開口を備え、前記第2のスラットシャフト(44)のそれぞれが前記一組の開口(43)のうちの対応する開口に通され、前記第2のスラットシャフトの少なくとも1つの第2のスラットシャフト(44)は、前記第2のスラットシャフト(44)が通される前記開口(43)の周囲で前記第2のビーム(14)の周囲壁に直接的又は間接的に当接する位置決め要素(46)、特にクリップを備えることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項16】
前記第2のスラットシャフト(44)は、前記縦方向(85)に対して横方向に配向された壁を備え、前記位置決め要素(46)は、前記ビームの外側に向かって移動すると、前記壁に少なくとも部分的に当接することを特徴とする、請求項15に記載のスラットルーフ。
【請求項17】
前記横方向に配向された壁は、前記第2のスラットシャフト(44)の溝(47)によって形成されることを特徴とする、請求項16に記載のスラットルーフ。
【請求項18】
ベアリングピース(45)が前記開口(43)を通して延び、前記開口(43)には前記第2のスラットシャフト(44)が通され、前記位置決め要素(46)は前記ベアリングピース(45)と当接することを特徴とする、請求項15から17までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項19】
前記ベアリングピース(45)はその周壁に溝(54)を備え、前記第2のビーム(14)の一部が前記溝(54)内に位置することを特徴とする、請求項18に記載のスラットルーフ。
【請求項20】
前記第2のスラットシャフト(44)が通される前記開口(43)の周囲で前記第2のビーム(14)の周囲壁と直接的又は間接的に当接する位置決め要素(46)、特にクリップが、複数の前記第2のスラットシャフト(44)に設けられることを特徴とする、請求項15から19までのいずれか一項に記載のスラットルーフ。
【請求項21】
前記フレーム、前記第1のビーム(13)、前記第2のビーム(14)、前記スラット(10)、及び少なくとも1つのロックピース(24)を有する、請求項1から20までのいずれか一項に記載のスラットルーフを組み立てるための部品キット。
【請求項22】
請求項1から20までのいずれか一項に記載のスラットルーフを有するキャノピー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャノピー(庇、張り出し)用のスラットルーフ(スラット屋根)に関する。また、本発明は、スラットルーフを組み立てるための部品キット、及びスラットルーフを有するキャノピーに関する。
【背景技術】
【0002】
キャノピーは、一般に、屋外エリアを保護するため、又は単にこのスペースを解放するために設置される。そのようなキャノピーは、屋外テラスなどを太陽、降水及び/又は風から保護するため、又は単にしばらくの間太陽を取り入れるために、家庭、レストラン、店舗などにこのように設置されることがよくある。これらのキャノピーは、例えば、オーニング、パーゴラ、ベランダ、カーポート、パビリオンなどの形態で構築され得る。
【0003】
そのようなキャノピーは、一般に、ルーフインフィルを固定できる1つ又は複数のフレームを形成するように組み立てられた複数のビームから構成されるルーフ構造を有する。実際のビームは、多くの場合、複数の個々のプロファイルの組み合わせである。そのようなルーフ構造は、一般に、4つ(又はそれ以上)の柱によって支持され、柱間に壁のインフィルを設けることができる。ルーフ構造が既存の構造体の壁などの他の構造体によって(同様に)支持される場合は、使用する柱の数を減らすこともできる。例外的に、柱が存在しないようにルーフ構造を他のルーフ構造体により支持することもできる。
【0004】
そのようなキャノピーでは、ルーフインフィル及び/又は1つ又は複数の壁インフィルを設けることが可能である。壁インフィルは、スライドルーフなど、固定又は可動にすることができる。スライドルーフのルーフインフィルは、例えば、引き込み式のキャンバス又はスクリーン、軸を中心に回転するスラット、又は互いにスライドできるセグメントから成ることができる。セグメントは、PCやPMMAなどの(積層)ガラス又はプラスチックで部分的に作られるパネルにすることができる。材料の選択に応じて、ルーフの光透過率及び堅牢性を目的の用途に合わせることができる。壁インフィルも同様に固定又は可動にすることができる。例としては、引き込み式のルーフやスクリーン、可動式のパネル、すなわちスライド式や折りたたみ式のパネルが挙げられる。
【0005】
キャノピー用のルーフ構造との関連で、一般に、ルーフ構造のフレームに関しては、4つの向き(すなわち、上方、下方、外側、及び内側)が関与する。ここで、「上方」とは、上側(すなわち、空、例えば外気)へと向けられる又は向けられることになるルーフ構造の部分を指し、「下方」とは、下側(すなわち、地面、例えばテラスの床)へと向けられる又は向けられることになるルーフ構造の部分を指し、「外側」とは、ルーフから離れるように(すなわち、ルーフインフィルから離れるように)向けられる又は向けられることになるルーフ構造の部分を指し、及び「内側」とは、ルーフの内側へと(すなわち、ルーフインフィルへと方向付けられる)向けられる又は向けられることになるルーフ構造の部分を指す。
【0006】
本発明は、フレームの一部を形成するビームに端部が回転可能に固定される複数の平行なスラットによって形成されるタイプをルーフインフィルが成すスラットルーフの形態のルーフ構造に関する。スラットは、開位置と閉位置との間で回転可能である。開位置では、スラット間に隙間があり、この隙間を通じて、例えば、光を下方のスペースに導入したり、或いは下方のスペースから光が出たりすることができる。閉状態では、スラットが閉じたキャノピーを形成し、それによって下方のスペースを、例えば、風及び/又は雨、雹、又は雪などの降水から保護することができる。降水を排出するために、スラットは、一般に、2つのビームの一方に向かって傾斜するように組み立てられる。
【0007】
既知のスラットルーフは、実質的に平行で横方向に延びる第1及び第2のビームが設けられたフレームを有し、ビームは、上側、下側、内側、及び外側を有し、ビームの内側はそれぞれ互いに面しており、第1のビームには、第1のビームの上側に向かって開口している一組の凹部が設けられ、第2のビームには一組の開口が設けられる。また、スラットルーフは、ビーム間に位置する一組の平行なスラットを有し、スラットは縦方向に延び、スラットには、第1のスラットシャフトを伴う第1の端部と、第2のスラットシャフトを伴う第2の端部とが設けられ、スラットがビームに回転可能に固定されるように、第1のスラットシャフトのそれぞれが一組の凹部のうちの対応する凹部に通されるとともに、第2のスラットシャフトのそれぞれが一組の凹部のうちの対応する凹部に通される。
【0008】
第1のビームの凹部の利点は、スラットをビーム間に容易に取り付けることができるという点である。特に、第2のスラットシャフトは第2のビームの対応する開口に通され、第1のスラットシャフトは、上側から第1のビームの対応する凹部内に位置する。したがって、特定のスラットルーフ(例えば、ベルギー特許出願公開第1024225A1号に開示されるスラットルーフを参照)の場合のように、第1のスラットシャフトを第1のビーム内に位置決めできるように十分に第2のスラットシャフトを開口に挿通させる必要がない。
【0009】
凹部を使用する際の欠点は、スラットの第1の端部(すなわち、第1のスラットシャフト)が第1のビームに対して垂直にロックされないという点である。より具体的には、風荷重及び/又は他の外力によって、確実に上向きの力がスラットに及ぼされ、したがって、第1のスラットシャフトが凹部から持ち上げられ、それにより、スラットルーフに損傷が引き起こされ得る。
【0010】
したがって、既知のスラットルーフでは、第1のスラットシャフトのための垂直ロックが設けられる。これは、第1のビームの上面にネジで固定され、したがって第1のビームの上面の一部を形成する別個のカバープロファイルの形態をとる。特に、ネジは、カバープロファイルに垂直に挿通されて第1のビームの平坦な壁にしっかりとねじ込まれる。スラットに及ぼされる上向きの力は、カバープロファイルによって抑制される。スラットを駆動するために必要な電気部品及び電子部品もカバープロファイルの下方に位置する。
【0011】
同様のスラットルーフがフランス特許出願公開第2947845A1号に開示され、ここでは、カバープロファイルがスナップロック機構によってビームに固定される。
【0012】
既知のカバープロファイルには多くの欠点がある。
【0013】
第1に、そのようなカバープロファイルを複数のネジによって組み立てるのに時間がかかるが、これらのネジは、強い風荷重に対して十分な抵抗を与えるために必要である。更に、第1のスラットシャフトのうちの1つ、電気部品及び/又は電子部品に技術的な欠陥がある場合、及び/又はこれらに対して必要なメンテナンスを実施しなければならない場合は、全カバープロファイルを取り外さなければならない。多くのネジが存在することを考えると、これには時間がかかる。更に、ネジの取り外し及び交換を繰り返すと、第1のビームが損傷し、ネジを正しく固定することができなくなる或いは少なくとも非常に困難になることが分かってきた。更に、実際には、暴風雨、ハリケーンなどの最中に風荷重が発生する可能性がある150km/h以上の強風荷重では、カバープロファイルによる垂直方向のロックが不十分であることも分かってきた。
【0014】
そのようなスラットルーフの更なる問題は、それらの間に固定されたスラットの重量により、ビームが外側に曲がり、したがって凸状になることである。風荷重もこの現象を引き起こしたり悪化させたりする可能性がある。より大きな連続スラットルーフを設計したり、より重いスラット(例えばガラススラットなど)を使用したりする傾向を考えると、これは非常に関連性の高い問題である。この問題に対する多くの解決策が既に知られている。
【0015】
この問題を改善するための1つの解決策は、ビームをより堅牢に設計して、ビームの外側への曲がりを減らすことである。しかしながら、これにはより多くの材料が必要であり、ビームがかなり高価になることを意味し、その結果、スラットルーフのコストも大幅に増大する。幅広で重いビームも、美的理由から望ましくないことがよくある。
【0016】
ビームを膨出部に対して当て付けて(すなわち、ルーフ構造の内側から見て凹状に)位置させて膨出部がビームを再び真っ直ぐにさせるようにすることも知られている。しかしながら、そのようなビームをスラットルーフ用のフレームを共に形成する他のビームときちんと接続することは困難である。特に、これは、そのようなビームを留めたときに美的方法で一緒に組み込むことが難しいからである。
【0017】
更に、そのようなスラットルーフの中央にクロスビームを導入することが知られている。しかしながら、殆どの人は、クロスビームの結果として、それらのスラットルーフがそのような分割を有することを望んでいない。
【0018】
他の解決策がベルギー特許出願公開第1023136A1号に開示されている。その解決策は、中空スラットシャフト内に配置されるテンションケーブルの使用に基づく。しかしながら、この解決策を全てのスラットルーフに等しく適用できるわけではない。特に、この解決策は、ビームが単一部品で作られている結果としてこれらのテンションケーブルの端部をビームの中に(容易に)隠すことができない、比較的単純なスラットルーフにはあまり適していない。
【0019】
他の解決策がベルギー特許出願公開第1024225A1号に開示されている。この解決策は、スラットシャフトに径方向突起を設けることと、ビームにシャフト開口を必要な形状(例えば鍵穴形状)で設けて、径方向突起を伴うスラットシャフトがシャフト開口を通過できるようにすることとに基づく。スラットシャフトが位置決めされた時点で、スラットシャフトが回転されてロック状態になり、径方向突起がシャフト開口の周りのビームの周壁に接触するようになる。この解決策の欠点は、例えば風荷重又は他の外力の影響下で、スラットシャフトがそのロック状態から回転して戻り、径方向突起がビームに接触しなくなる可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】ベルギー特許出願公開第1024225A1号
【特許文献2】フランス特許出願公開第2947845A1号
【特許文献3】ベルギー特許出願公開第1023136A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、上記の問題の1つ又は複数を少なくとも部分的に解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、スラットルーフの第1のビームには、前記一組の凹部からの少なくとも1つの凹部の近くに、当接部が設けられ、前記凹部内に配置されるスラットシャフトには、その上側で前記当接部と少なくとも部分的に当接するロックピースが設けられるという点において達成される。
【0023】
第1のスラットシャフトにロックピースを設け、第1のビームに対応する当接部を設けることにより、カバープロファイルを必要とすることなく第1のビームに対して第1のスラットシャフトが垂直方向にロックされる(すなわち、スラットの第1の端部が垂直方向にロックされる)。したがって、垂直ロックとしても機能するカバープロファイルの上記の欠点が回避され、一方、第1のビームの凹部と第2のビームの開口とを使用することによるビームの配置の利点が保持される。
【0024】
カバープロファイルが垂直ロックとして使用される場合、最大の力は、ネジと第1のビームの材質(通常はアルミニウム)とによって決定される。本発明に係るロックピース及び当接部によって吸収され得る最大の力は、主に、選択された材料及び設計に依存する。換言すれば、本発明は、ロックピース及び当接部に関してより大きな設計自由度を提供し、ネジによる既知のロックよりも大きな力を吸収することができるロックを提供できるようにする。
【0025】
更に、本発明によればカバープロファイルは必要ではないが、スラットルーフのビームには一般にやはりカバープロファイルが設けられることに留意すべきである。この場合、これは、第1のビームの内部構成要素(スラットシャフト、電気部品、及び電子部品など)を外部環境から保護する及び/又はこれらを見えなくするのに役立つ。しかしながら、カバープロファイルはもはや垂直ロックとしては機能しないため、カバープロファイルを更に複数のネジで固定する必要はなく、単純なスナップオン接続(又は同様のもの)で十分である。これにより、特に工具を伴うことなく、カバープロファイルをビームに素早く簡単に固定できる。
【0026】
更に、各スラットが個別の垂直ロックを有することが有利である。このことは、スラットを交換する必要がある場合、他のスラットを取り外すのに時間を費やすことなく、1つのロックのみを取り外すだけで済むことを意味する。
【0027】
本発明の一実施例において、ロックピースは、縦方向に対して横方向に向けられた壁を有し、該壁は、その内側でビームに少なくとも部分的に当接する。
【0028】
このように向けられた壁は、第1のビームの外向きの曲がりに対する第1のビームの側方のロックとして機能する。より具体的には、ロックピースは、第1のビームが第1のスラットシャフトに対してフレームの外側に向かって縦方向でスライドできないのをロックピース(それ自体が第1のスラットシャフトに対して縦方向で固定される)が防止するという意味で、ベルギー特許出願公開第1024225A1号に開示された径方向突起と同様に作用する。したがって、この実施例では、ロックピースはビームと共に、垂直方向のロック及び側方(すなわち縦方向)のロックの両方として機能する。
【0029】
本発明の一実施例において、前記当接部は、少なくとも部分的に、第1のビームの実質的に平坦な壁セクションによって形成され、ロックピースは、その上側に、対応する実質的に平坦な壁セクションを有する。
【0030】
互いに押し合う2つの面によって形成される当接部は有利である。これは、それによって更にロックピースの縦方向の周りの回転力も吸収できるからである。
【0031】
本発明の好ましい実施例において、ロックピースは、前記実質的に平坦な壁セクションから前記上側に向かって延びる突出部を有し、第1のビームには、実質的に平坦な壁セクションに実質的に結合する傾斜壁セクションが設けられ、前記突出部は、傾斜壁セクションと当接する対応する傾斜壁セクションを有する。
【0032】
ビームとロックピースの両方における傾斜壁セクションは、垂直ロック及び側方ロックの両方に貢献するという更なる利点を有する。したがって、ロックピースの所望の機能を1つの壁セクションによって与えることができる。更に、これは、当接壁として機能する様々な壁が互いに融合し、ロックピースのサイズを不必要に増大させる未使用の壁セクションが設けられないため、特に効率的な設計である。更に、突出部は、ビームと当接するロックピースの実質的に平坦な壁セクションの強度を高める。
【0033】
本発明の有利な実施例では、前記横方向に向けられた壁が第1の壁セクションと第2の壁セクションとを有し、これらの壁セクションは、スラットとは異なるクリアランスを縦方向で有するとともに、フレームの上側に対して異なるクリアランスを有し、この第2の壁セクションは、ロックピースの上側に位置する突出部によって形成されることが好ましい。
【0034】
2つの壁セクションの使用は、これが想定し得るねじり力の吸収に寄与するため、有利である。壁セクションの異なる位置付け、例えば、第1の壁セクションが第1の高さでスラットに当て付き、第2の壁セクションが第1の高さよりも高い位置でスラットから離れている結果として、ビームに対するロックピースの2つの異なる側方当接ポイントが存在する。スラットに及ぼされる力の方向に応じて、一方又は他方の当接ポイントが、及ぼされる力の大部分を吸収する。
【0035】
本発明の一実施例において、前記凹部内に配置されるスラットシャフトには、前記凹部内に配置される接続ピースが設けられ、ロックピースは、前記接続ピースによってスラットシャフトに固定される。
【0036】
接続ピースにより、全てのスラットシャフトが同じ形状を有することができるようにスラットシャフトの形状を適合させる必要なく、ロックピースをスラットシャフトに固定することができる。これは、ルーフ構造の生産コストを押し下げる。更に、スラットを凹部内に配置する前に、第1のスラットシャフト及び接続ピースの両方をスラットに固定することができる。そのような事前組み立てにより、ルーフ構造の構築に必要な時間が短縮される。
【0037】
本発明の有利な実施例において、ロックピースは、緩み状態とロック状態との間で接続ピースに対して縦方向に移動可能であり、ロック状態では、ロックピースがその上側で前記当接部と少なくとも部分的に当接し、緩み状態では、ロックピースが前記当接部と接触せず、特にビームと接触しない。
【0038】
この設計により、スラット(該スラット上には第1のスラットシャフトが一般に既に組み立てられる)を配置する際に、ロックピースをその緩み状態に配置することができる。緩み状態では、スラットの第1の端部をこの目的のために設けられた凹部内に配置できるように、ロックピースと第1のビームの当接部との間に相互作用はない。スラットの配置に続いて、スラットの第1の端部が第1のビームに対して垂直に固定されるように、ロックピースが接続ピース上にわたってそのロック状態まで移動される(すなわち、ロックピースがスラットに向かって移動される)。第1のビームもスラットに対して側方に固定されることが好ましい。ロックピースの移動は、工具を伴うことなく実行できる簡単な動作であるため、組み立て時間も殆どかからない。
【0039】
更に、ロックピースをそのロック状態から再び解放することも簡単である。したがって、これにより、必要に応じてスラットを簡単に交換できる。
【0040】
本発明のより有利な実施例において、ロックピースには第1の接続手段が設けられ、接続ピースには第2の接続手段及び第3の接続手段が設けられ、緩み状態では、ロックピースが第1及び第2の接続手段によって接続ピース上に位置し、ロック状態では、ロックピースが第1及び第3の接続手段によって接続ピース上に位置する。好ましくは、第1の接続手段が少なくとも1つのフックによって形成され、第2の接続手段は、フックと対応する少なくとも1つの切り欠きによって形成され、第3の接続手段は、フックと対応する少なくとも1つの更なる切り欠きによって形成され、ロックピースをその緩み状態からそのロック状態に移動させるときに、前記少なくとも1つのフックは、縦方向に対して横方向の変位を少なくとも部分的に受ける。
【0041】
2つの異なる状態のロックピースを接続ピースに固定するためにロックピースに同じ第1の接続手段を使用することは、必要な接続手段の数を減らすため、有利である。好ましくは、接続ピースには、縦方向でスラットから異なる距離を隔てて位置する2つの切り欠きが設けられ、それにより、ロックピースのフックがそのポイントで容易に把持することができる。
【0042】
本発明の更に有利な実施例において、切り欠き及び/又は更なる切り欠きは、接続ピースの周壁の溝によって形成される。
【0043】
溝により、複数のフックが同じ構造体を把持することができる。更に、これにより、ロックピースと接続ピースとの間の最適な接続のために、複数のフックを溝内に縦方向に対して非対称で配置することができる。
【0044】
本発明の更に有利な実施例では、ロックピースが環状体によって形成され、前記第1の接続手段は、縦方向に延びるアームによって環状体に固定される。
【0045】
環状体の使用により、ロックピースをスラットシャフト上及び接続ピース上にわたってスライドさせるのが簡単になる。更に、アームは、緩み状態とロック状態との間で移動する目的で、フック(又は複数のフック)が接続ピースに対して横方向に移動できるようにする単純な設計を有する。
【0046】
本発明の有利な実施例において、接続ピースは、縦方向に対して横方向に向けられた壁を有し、該壁が前記凹部の周囲壁に少なくとも部分的に当接する。
【0047】
ロックピースの横方向に向けられた壁と同様に、接続ピースのこの横方向に向けられた壁は、スラットに対する第1のビームの側方ロックに寄与する。
【0048】
本発明の有利な実施例において、ロックピース及び/又は接続ピースは、一体部品として、特に射出成形によってプラスチックから製造される。
【0049】
射出成形は、ロックピース及び/又は接続ピースの製造コストが制限されたままであるような、プラスチック部品の大量生産のための既知の方法である。ロックピース及び/又は接続ピースの一体製造は、それらの強度を高める。更に、多くのプラスチックが存在する(プラスチックという用語は、広く解釈されるべきであり、繊維強化プラスチック、又は所望の強度と必要に応じて接続ピースに対してスライドできる十分に可撓性のあるロックピースの両方に関して当業者が選択するために利用可能な別の方法で補強されたプラスチックも含む)。また、プラスチックの使用は、製造コスト、耐久性、及び所望の弾性特性の点で、他の材料(金属など)と比較しても有利である。
【0050】
本発明の一実施例において、第1のビームには、前記一組の凹部からの複数の、好ましくは全ての凹部の近くに、当接部が設けられ、前記凹部内に配置されるスラットシャフトにはそれぞれ、その上側で対応する当接部と少なくとも部分的に当接するロックピースが設けられる。
【0051】
第1のビームに対する複数のスラットのための垂直ロックの追加は、ルーフ構造が耐えられる最大風荷重を増大させる。特に、ビームのそれぞれの第1の端部に垂直ロックのためのロックピースが設けられる場合、本発明に係るルーフ構造が最大で200km/h以上の風荷重に耐えることができることが分かってきた。
【0052】
本発明の有利な実施例では、全てのストッパが、前記横方向に延びる実質的に平坦な壁セクションによって形成される。
【0053】
これにより、その壁セクションを、第1のビームの残りの部分と共に、押出プロセスによって形成することができ、その押出プロセスの後、必要な凹部が設けられる(例えばドリル又はフライス加工によって)。したがって、単一の壁セクション内の全てのストッパの組み合わせにより、既知の製造技術により第1のビームを製造することができる。
【0054】
本発明の一実施例において、第2のビームには一組の開口が設けられ、第2のスラットシャフトのそれぞれが一組の開口のうちの対応する開口に挿通され、前記第2のスラットシャフトの少なくとも1つの第2のスラットシャフトには、前記第2のスラットシャフトが挿通される開口の周囲で第2のビームの周囲壁に直接的又は間接的に当接する位置決め要素、特にクリップが設けられる。
【0055】
位置決め要素は、スラットに対して第2のビームを側方でロックする役目を果たす。より具体的には、位置決め要素は、第2のビームが第2のスラットシャフトに対してフレームの外側に向かって縦方向でスライドできないのを位置決め要素(それ自体が第2のスラットシャフトに対して縦方向で固定される)が防止するという意味で、ベルギー特許出願公開第1024225A1号に開示される径方向突起と同様に作用する。
【0056】
この実施例は、縦方向に対して横方向に向けられた壁を有するロックピースがスラットの第1の端部に設けられる場合に特に有利である。このようにして、一方側の位置決め要素と他方側のロックピースは、ビームがスラットに対して外向きに移動できないようにする。
【0057】
本発明の有利な実施例において、第2のスラットシャフトには、縦方向に対して横方向に向けられる壁が設けられ、該壁には、位置決め要素が、ビームの外側に向けたその移動時に少なくとも部分的に当接する。好ましくは、この横方向に向けられた壁は、第2のスラットシャフトの溝によって形成される。
【0058】
そのような壁は、位置決め要素のための当接部として機能し、ビームの外側に向けた位置決め要素の移動を防ぐ。そのような溝は、クリップを固定できるようになっている単純な形状を有する。
【0059】
本発明の有利な実施例では、ベアリングピースが前記開口を通じて延び、前記開口には第2のスラットシャフトが挿通され、位置決め要素がベアリングピースと当接する。好ましくは、ベアリングピースにはその周壁に溝が設けられ、第2のビームの一部が前記溝内に位置する。
【0060】
ベアリングピースは、第2のビームに対するスラットシャフトのスムーズな回転を確保する。この設計において、位置決め要素は、ベアリングピースを介した側方での間接的なロックを確保するように機能し、ベアリングピースはビームを側方でロックする。ベアリングピース及び第2のビームの側方ロックの場合、これが縦方向に沿って両方向でロックを与えることを考えると、第2のビームがベアリングピースの溝内に部分的に位置することが有利である。
【0061】
本発明の有利な実施例において、複数の前記第2のスラットシャフトには、前記第2のスラットシャフトが挿通される開口の周囲で第2のビームの周囲壁と直接的又は間接的に当接する、位置決め要素、特にクリップが設けられる。
【0062】
側方ロックを複数の位置決め要素上にわたって分割すると、位置決め要素ごとに及ぼされる力が減少する。したがって、位置決め要素は、(例えば、プラスチックなどのより安価な材料から、及び/又はより小さなサイズで)剛性が低くなるように製造することができ、ルーフ構造の全体的なコストを押し下げる。
【0063】
前述の利点は、前述のルーフ構造を組み立てるための部品のキットによっても達成され、この場合、キットは、フレーム、第1のビーム、第2のビーム、スラット、及び少なくとも1つのロックピースを有する。
【0064】
また、前述の利点は、前述のルーフ構造を有するキャノピーによっても達成される。
【0065】
以下の説明及び添付図面に基づいて、以下、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図2】キャノピーの設計をより詳細に示す図である。
【
図3】スラットとビームとの間の接続の正面図である。
【
図4A】ルーフ構造の第1のビームにおけるスラットの第1の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図4B】ルーフ構造の第1のビームにおけるスラットの第1の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図4C】ルーフ構造の第1のビームにおけるスラットの第1の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図7A】ルーフ構造の第2のビームにおけるスラットの第2の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図7B】ルーフ構造の第2のビームにおけるスラットの第2の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図7C】ルーフ構造の第2のビームにおけるスラットの第2の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図7D】ルーフ構造の第2のビームにおけるスラットの第2の端部の配置及びロックの斜視図である。
【
図8A】スラットの第1又は第2の端部の分解図である。
【
図8B】スラットの第1又は第2の端部の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は、特定の実施例に基づいて特定の図面を参照して以下に説明されるが、本発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲によってのみ定義される。ここに示した図面は単に概略図であり、限定的なものではない。図面では、特定の構成要素の寸法が拡大して示されている場合があり、これは、対象の構成要素が一定の縮尺で示されているのではなく、単に説明の目的で示されていることを意味する。寸法及び相対寸法は、本発明の実際の実施と必ずしも一致しない。
【0068】
更に、明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、同様の要素間を区別するために使用され、必ずしも順序又は時系列を示すものではない。対象の用語は、適切な状況では交換可能であり、本発明の実施例は、ここで説明した以外の順序で機能することができる。
【0069】
特許請求の範囲で使用される「有する」という用語及びその派生語は、その後に毎回示される手段に限定されると解釈してはならない。この用語は、他の要素やステップを除外するものではない。用語は、言及されている示された特性、整数、ステップ、又は構成要素の仕様として解釈されなければならないが、1つ若しくは複数の更なる特性、整数、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加は除外されない。この場合、「手段A及びBを有する装置」などの表現の範囲は、単に構成要素A及びBから成る装置に限定されない。これに対し、本発明に関して、関連する構成要素はA及びBのみであることを意味する。
【0070】
「実質的に」という用語は、指定された状態の+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、更に好ましくは+/-0.1%以下の変動を、これらの変動が本発明の動作に適用可能である限りにおいて有する。「実質的にA」という用語は、「A」も有すると理解されるべきである。
【0071】
図1は、例えばテラスや庭などの地表用のキャノピー1を示す。キャノピーは、様々なビーム3、4、5を支持する複数の柱2を有する。柱とビームは一緒にフレームを形成し、後述するように壁インフィル6及び/又はルーフインフィル7を固定することができる。キャノピー1は、以下の3つのタイプのビーム3、4、5を有する。
- キャノピー1の外側で外部回動バー3として機能するビーム3;
- キャノピー1の中央で中央回動バー4として機能するビーム4;及び
- クランプバー5として機能するビーム5。
【0072】
ビーム3、4、5は、
図1に示されるように柱2だけでなく、例えば壁やファサードなどの他の構造に固定できることも理解され得る。このように、キャノピー1は、屋内空間だけでなく、屋外空間を保護するために一般的に使用することができる。
【0073】
図2に示すキャノピー1は、ルーフフレームとも呼ばれるフレームを支持する4本の支柱2を有する。フレームは、2つの外部回動バー3と2つのクランプバー5とによって形成され、その間にルーフカバー7が設けられる。2本の支柱2と回動バー3又はクランプバー5との間に、壁インフィル6を任意に設けることができる。
【0074】
壁インフィル6は、一般に、キャノピー1の下方の支柱2間の開口を保護するようになっている。壁インフィル6は固定又は可動とすることができる。可動側壁は、例えば、伸縮可能なスクリーン及び/又は互いに対してスライド可能な壁要素などを有する。固定側壁は、プラスチック、ガラス、金属、繊維、木材などの様々材料から製造され得る。異なる壁インフィル6の組み合わせも同様に可能である。
図2は、伸縮可能なスクリーン6の形態の壁インフィルを示す。スクリーン6は、2つの隣接する柱2間で延在し、外部回動バー3から延在され得る。スクリーン6は、主に風よけ及び/又は日除けとして機能する。
【0075】
本発明によれば、ルーフカバー7は、先端において回動バー3に回転可能に固定されるスラットによって形成される。スラットは、開位置と閉位置との間で回転可能である。開位置では、スラット間に隙間があり、この隙間を通じて、例えば、光を下のスペースに導入したり、下のこのスペースから出たりすることができる。閉状態では、スラットは閉じたキャノピーを形成し、それによって下の空間を、例えば、風及び/又は雨、雹、又は雪などの降水から保護することができる。雨水を排出するために、スラットは、一般に、2つの回動バー3のうちの一方に向かって傾斜して設置される。
【0076】
スラットは、一般に、硬質材料から製造される。これは、例えば、アルミニウムであり得る。アルミニウムは、強靭であると同時に軽量であり、悪天候に対する耐性が高く、メンテナンスの手間がかからないため、材料として多くの利点がある。しかしながら、他の材料も適切であり、これらの長所と短所は当業者に知られていると想定される。スラットは、押出、フライス加工、折り畳み、鋳造、溶接など、材料に応じて様々な技術を使用して製造できる。適切な製造技術は、当業者に知られていると想定される。好ましくは、スラットは押出プロセスによって製造される。任意選択的に、例えば、ポリカーボネート、ガラス、木材などで作られた充填要素を使用して、中空スラットを少なくとも部分的に充填することもでき、例えば、特にスラットがガラスのような透明な材料から製造される場合には、スラットの異なる外観を実現することができる。
【0077】
本発明は、
図3~
図9を参照して更に説明される。
図3は、本発明に係るスラットルーフのスラット10がどのように両端部11、12でビーム13、14に固定されるかの正面図を示す。また、この図は、第2のビーム14に向かって降水を排出するように、スラット10がどのように傾斜して組み立てられるかを示す。図示の実施例では、ビーム13、14はそれぞれ、複数のプロファイルの組み合わせによって形成される。本発明にとって重要なのは、主にベースプロファイル15とカバープロファイル16である。ベースプロファイル15は、その上端に溝18を伴う直立壁17を有する。カバープロファイル16には、溝18に設けられた弾性要素(図示せず)を把持する対応するピン19が設けられ、ビーム13、14を形成するためにカバープロファイル16をベースプロファイル15に接続する働きをする。カバープロファイル16の下には、スラット10を駆動するための電気部品及び/又は電子部品を設けることができる内部空間20がある。溝18とピン19を他の接続手段に置き換えることもできることは明らかである。
【0078】
説明の残りの部分では、
図3に示すように、以下の向きが使用される。スラットルーフ、すなわちビーム13、14は、一般に、上側80、下側81、内側82、及び外側83を有する。ビーム13、14は、横方向に延在して
図3のシートから現れるのに対し、スラット10は縦方向85に延在する。
【0079】
第1のビーム13に対するスラット10の固定は、
図4A~
図6Bを参照してより詳細に説明される。
図4Aは、第1のビーム13の一部を示す。このビーム13には、直立壁17に形成されてビーム13の上側に向かって開放している一組の凹部21が設けられる。これらの凹部21は、例えば、フライス加工又はドリル加工によって製造することができる。凹部21は第1のビーム13の上側に向かって開放しているので、溝18も規則的な間隔で中断される。スラット10には、その第1の端部11に第1のスラットシャフト22が設けられ、その上にロック部分24を伴う接続ピース23が固定される。一般に、スラットシャフト22、接続ピース23、及び固定部分24は全て、スラットルーフの組み立て中の時間を節約するために、スラット10上に前もって組み立てられる。
【0080】
図5Aは、
図4Aに示される状況、すなわちスラット10の組み立てられていない状況の正面図を示す。矢印25は、スラット10の第1の端部11が下向きに移動されるべきであることを示しており、その結果、接続ピース23は、
図4Bに示すように凹部21内で静止するようになる。第1のビーム13に対する接続ピース23の位置決めのために、接続ピース23には2つの横向きの壁23a、23bが設けられ、これらの2つの壁間で第1のビーム13の直立壁17が部分的に突出する。このようにして、第1のビーム13に対する接続ピース23の軸方向位置(すなわち、スラット10の縦方向85)は、一定の公差(例えば、約5mm)内で実質的に固定される。接続ピース23がU字形の凹部21の下側にあるので、第1のビーム13に対する接続ピース23の下方への移動も制限される。
【0081】
図5Bは、
図4Bに示される状況、すなわちスラット10の非垂直ロック状態の正面図を示す。矢印26は、
図4C及び
図5Cに示すように、溝18の下を把持するために、ロックピース24がその緩み状態(
図5B)からスラット10に向かってそのロック状態(
図5C)へと移動されるべきであることを示す。このようにして、溝18の底壁27は、ロックピース24の実質的に平坦な上側壁28のための当接部を形成する。
図4Cは、凹部21の両側にあるロックピース24の上側壁28が、第1のビーム13の一部を形成する溝18の底壁27の下にロックされることを明確に示している。したがって、ロックピース24をそのロック状態に移動させた後、ロックピース24を第1のビーム13に対して上方に移動させることはもはや不可能である。その理由は、壁27、28がこれを防止するからである。壁27、28は、ビーム13に対して縦方向85を中心としたロックピース24の回転も防止する。
【0082】
また、ロックピース24は、ビーム13に対してスラット10を側方で固定するのにも寄与する。事実、最も内側に向いた壁29(
図6B参照)は、凹部21の近くで第1のビーム13の周囲壁30の一部(すなわち、凹部21の周りで延在する直立壁17の一部)に当接する。更に、ロックピース24には、上側壁28の上側80に向かって延びる横方向に向けられた突出部31も設けられる。この突出部31は、第1のビーム13の溝18の傾斜壁セクション33(
図5C参照)に対応する傾斜壁32(
図5B参照)を有する。また、傾斜壁セクション32、33は、ビーム13に対するスラット10の垂直方向及び横方向のロックの両方にも寄与する。
【0083】
スラット10、スラットシャフト22、接続ピース23、及び固定部分24を一緒に固定することが、
図8A、
図9A及び
図9Bに示される。スラット10には、一般に、スラットシャフト22の一部が強固に取り付けられるスラットチャネル34が設けられる。スラットシャフト22には、一方側でスラット10の第1の端部11に接合し、他方側で接続ピース23に対して位置決めされる中央キャンバ36が設けられる。接続ピース23は実質的に環状であり、内壁23aが中央キャンバ36と当接する。更に外側に向かって、スラットシャフト22には溝37が設けられており、その溝内に接続ピース23の一部が把持される。より具体的には、接続ピース23は、柔軟に変形可能なフック38を伴う環状部分内に設けられる。接続ピース23がスラットシャフト22上にわたってスライドされると、これらのフック38が収縮して溝37を掴み、接続ピース23がスラットシャフト22に強固に取り付けられるようになる。他の実施例において、接続ピース23は、スラットシャフト22と一体の部品として製造される。
【0084】
接続ピース23と同様に、ロックピース24も部分的に環状であり、ロックピース24が接続ピース23上にわたってスライドできるようになっている。ロックピース24には、可撓性アーム40の端部に固定されるフック39が設けられている。緩み状態では、フック39は接続ピース23の周壁に設けられた第1の溝41を掴むが、ロック状態では、フック39は接続ピース23の周壁に設けられた第2の溝42を掴む。フック39及び溝41、42を使用することにより、固定部分24をその異なる状態間で迅速且つ簡単に変位させることができる。
【0085】
第2のビーム14に対するスラット10の固定は、
図7A~
図7Dを参照してより詳細に説明される。
図7Aは、第2のビーム14の一部を示す。このビーム14には、直立壁17に形成された一組の凹部43が設けられる。これらの開口43は、例えば、フライス加工又はドリル加工によって製造することができる。スラット10には、その第2の端部12に第2のスラットシャフト44が設けられ、このシャフトは、図示の設計では第1のスラットシャフト22と同一である。スラットシャフト44が第2のビーム14に対して(
図7Bに示されるように)滑らかに回転できるように、ベアリングピース45が開口43に通される。一般に、スラットシャフト44はスラット10に前もって組み立てられており、ベアリングピース45はスラットルーフの組み立て中の時間を節約するために第2のビーム14に前もって組み立てられる。
【0086】
第1の組立ステップにおいて、スラットシャフト44は、
図7Cに示されるように、開口43の1つに通される。次に、位置決め要素46、特にクリップが、
図7Dに示されるように、ベアリングピース45の横方向に向けられた壁に突き当ててスラットシャフト44上に配置される。特に、クリップ46は、スラットシャフト44に設けられた溝47に配置される。クリップ46は、ベアリングピース45がスラットシャフト44に対して外側83に向かって移動することができないようにする。
【0087】
図3に最も良く示されるように、スラット10は、一方側のロックピース24と、他方側のベアリングピース45及び位置決め要素46(すなわちクリップ)と共に、ビーム13、14の横方向のロックを確保する。実際には、ロックピース24とベアリングピース45の両方がスラット10に対して縦方向85で固定位置にある(ベアリングピース45の場合、この固定位置はクリップ46の結果である)。したがって、第1のビーム13が外側83への移動の際にロックピース24と横方向で当接し、第2のビーム14が外側83への移動の際にベアリングピース45に当接するとすれば、ビームの外向きの膨出は回避される。
【0088】
スラット10、スラットシャフト44、ベアリングピース45、及びクリップ46を一緒に固定することが、
図8B、
図9A及び
図9Bに示される。スラット10には、一般に、スラットチャネル48が設けられ、このスラットチャネル48内でスラットシャフト44の一部が強固に取り付けられる。スラットシャフト44には、一方側でスラット10の第2の端部12に当接し且つ他方側でベアリングピース45の横壁51上に位置決めされる中央キャンバ50が設けられる。ベアリングピース45は、実質的に環状であり、第2のビーム14の直立壁17の開口43に取り付けられる。より具体的には、ベアリングピース45は、第2のビーム14の内側82から開口43を通じて押され、この場合、可撓性アーム53は、部分的に内側に折り畳まれ、次に直立壁17がベアリングピース45の周壁に設けられた溝54内に位置するように、直立壁17の外向きの側に跳ね返って把持する。
【0089】
スラットシャフト44は、中央セクション50の外側に位置し、より小さい直径を有するセクション55を有する。このセクション55は、
図9Bに示されるように、ベアリングピース45を通じて延びる。スラットシャフト44に対するベアリングピース45の縦方向の移動を防止するために、クリップ46はスラットシャフト44の溝47内に位置し、この場合、クリップ46、特にクリップ46の内向きの側によって形成された横向きの壁56は、ベアリングピース45に当接し、特に、ベアリングピース45の内向きの側によって形成された対応する横向きの壁52と当接する。クリップ46は、スラットシャフトの溝47内に迅速且つ簡単に位置決めすることができ、また、スラット11を第2のビーム14から切り離すことができるように迅速且つ簡単に取り外すこともできる。
【0090】
図示されていない実施例では、第2のビーム14にベアリングピース45が設けられない。そのような設計では、位置決め要素46は、例えばスラット10の第2の端部12により近いスラットシャフト44に溝47を設けることによって、第2のビーム14の直立壁17に対して直接固定される。
【0091】
第1及び第2のスラットシャフト21、22は、スラット10全体を通じて延びる同じシャフトの一部を形成することもできることは明らかである。このとき、第1のスラットシャフトは、連続スラットシャフトの一方の端部によって形成され、第2のスラットシャフトは、連続スラットシャフトの他方の端部によって形成される。
【0092】
また、本発明は、凹部を伴う第1のビームと開口を伴う第2のビームとを有するルーフ構造に関連して説明されているが、対応する垂直当接部を伴うロックピース24を使用するために、スラット10の両端部11、12で、両方のビームに順番に、凹部を設けることが可能であることも明らかである。
【0093】
凹部21は、図示の半円形以外の形状を有することもできることは明らかである。特に、月形、長方形、三角形、六角形、八角形などの形状を使用することが可能である。これらの形態は共通して、最大幅が凹部の上側にあり、その後、幅が凹部の最下点まで絶えず減少し、スラットシャフトが重力の結果として凹部の下にある。しかしながら、凹部の他の形態、例えば、凹部の幅が上側の上側における幅に対して増加する凹部も可能である。凹部の最下点がビームの上側の凹部の開放端に対してシフトされている形態、例えばL字形又はフック形の凹部も可能である。そのような設計では、凹部の上側壁(例えば、L字型の凹部の最下部の脚)は、ロックピースの当接部として機能することができる。
【0094】
本発明の特定の態様を特定の実施例に関して説明したが、これらの態様は、特許請求の範囲によって提供される保護の範囲内で他の形態で実施できることは明らかである。
【国際調査報告】