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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】縫合器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/062 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
A61B17/062
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524591
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021056325
(87)【国際公開番号】W WO2022087467
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/104,503
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523089003
【氏名又は名称】エルゴサージカル グループ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】アルモドバル ルイス ホセ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
(57)【要約】
実質的に円形の断面および滑らかではない遠隔を備えた縫合針、および回転駆動装置を用いて針に縫合糸を付ける方法。針の輪郭は、針の長手方向長さに沿って突出隆起条を形成する複数の凹みを有するのがよい。これら突出隆起条は、針駆動装置のローラ内に設けられた溝に合致するのがよい。縫合針は、針に設けられた縫合糸移行部分の少なくとも一部分を覆うよう針の近位端から延びるテーパ付き移行部分をさらに有するのがよい。テーパ付き移行部分は、可撓性であり、このテーパ付き移行部分は、縫合糸直径から針直径への滑らかな移行を可能にし、その結果、ローラは、滑らかな一動作で針に係合することができるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具であって、
a)頂端部および底端部ならびに第1の側部および第2の側部を備えたハウジングを有し、前記ハウジング底端部は、開口部を備え、
b)第1の端部および第2の端部を備えた第1の回転可能なシャフトを有し、前記第1の回転可能なシャフトは、前記第1の回転可能なシャフトの前記第2の端部の近くに位置する第1のローラ歯車に結合され、前記第1のローラ歯車および前記第1の回転可能なシャフトの前記第2の端部は、前記ハウジング内に位置決めされ、
c)前記第1の端部および第2の端部を備えた第2の回転可能なシャフトを有し、前記第2の回転可能なシャフトは、前記第2の回転可能なシャフトの前記第2の端部の近くに位置する第2のローラ歯車に結合され、前記第2のローラ歯車および前記第2の回転可能なシャフトの前記第2の端部は、前記ハウジング内に位置決めされ、前記第1のローラ歯車は、第2のローラ歯車と噛み合い、
d)スリーブを有し、前記スリーブは、第1の端部および第2の端部を備えた第1の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管を含み、前記第1の管の前記第1の端部は、第1の尖った先端部を有し、前記第1の管の前記第2の端部は、前記ハウジングの第1の側部上に位置決めされ、前記スリーブは、第1の端部および第2の端部を備えた第2の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管を含み、前記第2の管の前記第1の端部は、第2の尖った先端部を有し、前記第2の管の前記第2の端部は、前記ハウジングの前記第2の側部上に位置決めされ、
e)前記スリーブ内に位置決めされた往復動シャトルを有し、
f)前記スリーブ内に位置決めされている湾曲したステンレス鋼磁化針を有し、前記スリーブは、前記針および前記シャトルを収容するのに足るほど大きな内径を有し、前記シャトルは、前記スリーブと前記針との間に位置決めされ、前記シャトルは、前記針に係合し、前記シャトルは、前記第1および前記第2の回転可能なシャフトに結合され、前記第1および前記第2の回転可能なシャフトの回転により、前記シャトルが前記スリーブを通って動き、それにより、前記針は、前記スリーブを通って駆動される、器具。
【請求項2】
前記針は、第1の端部、第2の端部および中間部分を有し、前記第1の端部は、尖った先端部を有し、前記第2の端部は、縫合糸に結合されている、請求項1記載の器具。
【請求項3】
前記針は、複数のフィンを有する、請求項2記載の器具。
【請求項4】
前記針は、前記針の前記第1の端部の近くに配置された第1のフィン、前記針の中間部分の近くに配置された第2のフィン、および前記針の前記第2の端部の近くに配置された第3のフィンを有する、請求項3記載の器具。
【請求項5】
前記第2のフィンは、前記第1および前記第3のフィンからほぼ90°の角度をなして配置されている、請求項4記載の器具。
【請求項6】
前記シャトルは、前記第1の端部および前記第2の端部、ならびに前記第1の端部の近くに位置する第1の窓および前記第2の端部の近くに位置する第2の窓を有する、請求項4記載の器具。
【請求項7】
前記シャトルは、前記第1または前記第2の窓と前記第1、前記第2または前記第3のフィンとの相互作用により前記針に係合する、請求項6記載の器具。
【請求項8】
前記スリーブは、半円であり、180°を超えて延びている、請求項1記載の器具。
【請求項9】
前記スリーブは、210°にわたって延びている、請求項8記載の器具。
【請求項10】
前記スリーブは、前記針を前記スリーブ中で360°回転案内する、請求項1記載の器具。
【請求項11】
前記針は、半円であり、180°を超えて延びている、請求項1記載の器具。
【請求項12】
前記針は、210°にわたって延びている、請求項10記載の器具。
【請求項13】
前記第1のローラ歯車または前記第2のローラ歯車のうちのいずれか一方に結合されたノブをさらに有する、請求項1記載の器具。
【請求項14】
前記ノブに結合されたハンドルをさらに有する、請求項13記載の器具。
【請求項15】
組織を縫合する方法であって、
a)器具を用意するステップを含み、前記器具は
i)ハンドルを有し、
ii)頂端部および底端部ならびに第1の側部および第2の側部を備えたハウジングを有し、前記ハウジングの前記底端部は、開口部を備え、
iii)第1の端部および第2の端部を備えた回転可能なシャフトを有し、前記回転可能なシャフトは、前記回転可能なシャフトの前記第2の端部の近くに位置する第1のローラ歯車に結合され、前記第1のローラ歯車および前記回転可能なシャフトの前記第2の端部は、前記ハウジング内に位置決めされ、前記回転可能なシャフトは、前記ハンドルに結合され、
iv)前記ハウジング内に位置決めされた状態で前記第1のローラ歯車と噛み合っている第2のローラ歯車を有し、
v)第1の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管および第2の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管を含むスリーブを有し、前記第1の管は、前記シャフトの第1の側部上に位置決めされ、前記第2の管は、前記シャフトの第2の側部上に位置決めされ、前記第1の管は、第1の尖った先端部を有し、前記第2の管は、第2の尖った先端部を有し、
vi)往復動シャトルを有し、
vii)前記スリーブ内に位置決めされている湾曲したステンレス鋼磁化針を有し、前記スリーブは、前記針および前記シャトルを収容するのに足るほど大きな内径を有し、前記シャトルは、前記スリーブと前記針との間に位置決めされ、前記シャトルは、前記針に係合し、前記シャトルは前記シャフトに結合され、前記シャフトの回転により、前記シャトルが動き、それにより、前記針は、前記スリーブを通って駆動され、
b)前記組織を前記スリーブで穿通するステップを含み、
c)前記回転可能なシャフトを前方方向に作動させて前記シャトルを前記スリーブの第1の管内で前進させ、それにより前記針を前記組織中に前進させるステップを含み、
d)前記回転可能なシャフトを反対方向に作動させて前記シャトルを前記スリーブの第2の管中に引っ込めるステップを含み、
e)前記ステップc)および前記ステップd)を繰り返し実施し、ついには、前記針が前記スリーブ内の開始位置に位置決めされるようにするステップを含み、
f)縫合プロセスが完了するまで前記ステップb)~前記ステップe)を繰り返し実施するステップを含む、方法。
【請求項16】
前記器具は、前記第1のローラ歯車または前記第2のローラ歯車のいずれか一方と連絡状態にあるノブをさらに有し、前記ノブは前記ハンドルに結合される、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、一般に、縫合器具および方法に関する。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年10月22日に出願された米国特許仮出願第63/104,503号の権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、全ての目的についてその開示内容を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
創部または切開創を閉じるために用いられる縫合手技は、外科的処置の際に相当な長さの時間を消費する。一般に、縫合手技で用いられる器具は、縫合材、縫合針、および縫合駆動装置である。時間を短縮すると共に手技の安全性を高める労力がなされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ローラまたは他の駆動機構体と針との直接的な接触具合が探究されている。直感ではあるが、この方式では、所望の組織深さの達成、針サイズおよび針を動かす上で必要な複雑さの観点でいくつかの課題が提示される。
【0005】
したがって、縫合針を間接的な仕方で作動させる新規な設計の縫合器具が望ましく、これが本発明の目的である。
【0006】
本明細書において引用される任意の特許または特許出願を含む全ての技術文献を参照によりこれらの記載内容を本明細書の一部とする。技術文献のどれもが先行技術を構成するという承認は行っていない。技術文献についての説明は、これら文献の著者が何を主張しているかを述べており、本出願人は、引用した技術文献の正確さおよび妥当性に疑問を呈する権利を保有する。明らかに理解されるように、本明細書において多くの先行技術の刊行物を引用するが、引用するからといって、このことがこれら特許文献のどれもが当該技術分野における通常の知識の一部となしているという承認を意味するわけではない。
【0007】
原文明細書における“comprise”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)という用語は、様々な管轄権下において、排他的意味か包括的意味かのいずれかを意味する場合があることが認められる。原文明細書の目的上、別段の指定がなければ、“comprise”という用語は、包括的な意味を有するものとし、すなわち、この用語が直接参照している列挙されたコンポーネントだけでなく、指定されていないコンポーネントまたは要素をも含むことを意味すると解される。この理論的根拠はまた、“comprised”または“comprising”が方法又はプロセスにおける1つ以上のステップと関連して用いる場合にも用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1つの実施形態では、器具であって、a)頂端部および底端部ならびに第1の側部および第2の側部を備えたハウジングを有し、ハウジング底端部は、開口部を備え、b)第1の端部および第2の端部を備えた第1の回転可能なシャフトを有し、第1の回転可能なシャフトは、第1の回転可能なシャフトの第2の端部の近くに位置する第1のローラ歯車に結合され、第1のローラ歯車および第1の回転可能なシャフトの第2の端部は、ハウジング内に位置決めされ、c)第1の端部および第2の端部を備えた第2の回転可能なシャフトを有し、第2の回転可能なシャフトは、第2の回転可能なシャフトの第2の端部の近くに位置する第2のローラ歯車に結合され、第2のローラ歯車および第2の回転可能なシャフトの第2の端部は、ハウジング内に位置決めされ、第1のローラ歯車は、第2のローラ歯車と噛み合い、d)スリーブを有し、スリーブは、第1の端部および第2の端部を備えた第1の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管を含み、第1の管の第1の端部は、第1の尖った先端部を有し、第1の管の第2の端部は、ハウジングの第1の側部上に位置決めされ、スリーブは、第1の端部および第2の端部を備えた第2の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管を含み、第2の管の第1の端部は、第2の尖った先端部を有し、第2の管の第2の端部は、ハウジングの第2の側部上に位置決めされ、e)スリーブ内に位置決めされた往復動シャトルを有し、f)スリーブ内に位置決めされている湾曲したステンレス鋼磁化針を有し、スリーブは、針およびシャトルを収容するのに足るほど大きな内径を有し、シャトルは、スリーブと針との間に位置決めされ、シャトルは、針に係合し、シャトルは、第1および第2の回転可能なシャフトに結合され、第1および第2の回転可能なシャフトの回転により、シャトルがスリーブを通って動き、それにより、針は、スリーブを通って駆動されことを特徴とする器具を提供する。
【0009】
ある特定の実施形態では、針は、第1の端部、第2の端部および中間部分を有し、第1の端部は、尖った先端部を有し、第2の端部は、縫合糸に結合されている。幾つかの実施形態では、針は、複数のフィンを有する。他の実施形態では、針は、針の第1の端部の近くに配置された第1のフィン、針の中間部分の近くに配置された第2のフィン、および針の第2の端部の近くに配置された第3のフィンを有する。さらに別の実施形態では、第2のフィンは、第1および第3のフィンからほぼ90°の角度をなして配置される。
【0010】
追加の実施形態では、シャトルは、第1の端部および第2の端部、ならびに第1の端部の近くに位置する第1の窓および第2の端部の近くに位置する第2の窓を有する。ある特定の実施形態では、シャトルは、第1または第2の窓と第1、第2または第3のフィンとの相互作用により針に係合する。幾つかの実施形態では、スリーブは、半円であり、180°を超えて延びている。他の実施形態では、スリーブは、210°にわたって延びている。別の実施形態では、スリーブは、針をスリーブ中で360°回転(丸一回転)案内する。特定の実施形態では、針は、半円であり、180°を超えて延びている。ある特定の実施形態では、針は、210°にわたって延びている。
【0011】
ある特定の実施形態では、器具は、第1のローラ歯車または第2のローラ歯車のうちのいずれか一方に結合されたノブをさらに有する。幾つかの実施形態では、器具は、ノブに結合されたハンドルをさらに有する。
【0012】
本発明はまた、1つの実施形態では、組織を縫合する方法であって、a)器具を用意するステップを含み、器具は、i)ハンドルを有し、ii)頂端部および底端部ならびに第1の側部および第2の側部を備えたハウジングを有し、ハウジングの底端部は、開口部を備え、iii)第1の端部および第2の端部を備えた回転可能なシャフトを有し、回転可能なシャフトは、回転可能なシャフトの第2の端部の近くに位置する第1のローラ歯車に結合され、第1のローラ歯車および回転可能なシャフトの第2の端部は、ハウジング内に位置決めされ、回転可能なシャフトは、ハンドルに結合され、iv)ハウジング内に位置決めされた状態で第1のローラ歯車と噛み合っている第2のローラ歯車を有し、v)第1の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管および第2の湾曲した中空のステンレス鋼磁化管を含むスリーブを有し、第1の管は、シャフトの第1の側部上に位置決めされ、第2の管は、シャフトの第2の側部上に位置決めされ、第1の管は、第1の尖った先端部を有し、第2の管は、第2の尖った先端部を有し、vi)往復動シャトルを有し、vii)スリーブ内に位置決めされている湾曲したステンレス鋼磁化針を有し、スリーブは、針およびシャトルを収容するのに足るほど大きな内径を有し、シャトルは、スリーブと針との間に位置決めされ、シャトルは、針に係合し、シャトルはシャフトに結合され、シャフトの回転により、シャトルが動き、それにより、針は、スリーブを通って駆動され、b)組織をスリーブで穿通するステップを含み、c)回転可能なシャフトを前方方向に作動させてシャトルをスリーブの第1の管内で前進させ、それにより針を組織中に前進させるステップを含み、d)回転可能なシャフトを反対方向に作動させてシャトルをスリーブの第2の管中に引っ込めるステップを含み、e)ステップc)およびステップd)を繰り返し実施し、ついには、針がスリーブ内の開始位置に位置決めされるようにするステップを含み、f)縫合プロセスが完了するまでステップb)~ステップe)を繰り返し実施するステップを含むことを特徴とする方法を提供する。ある特定の実施形態では、器具は、第1のローラ歯車または第2のローラ歯車のいずれか一方と連絡状態にあるノブをさらに有し、ノブはハンドルに結合される。
【0013】
本明細書において説明するシステムは、その形態とその動作モードの両方に関して、添付図面と関連して行われる好ましい実施形態についての以下の説明によってもっともよく理解され、また、かかる説明によってこのシステムの追加の目的および追加の利点が明らかになろう。
【0014】
本明細書において「発明」(一「発明」の意)」という用語が用いられている場合、この「発明」という用語は、諸々の「発明」を含み、すなわち、複数の「発明」を含む。1つの「発明」を説明することによって本出願人は、本願が2つ以上の特許可能でありかつ非自明に別個の発明を含まないということを何ら承認するわけでなく、本出願人は、本願が2つ以上の特許可能でありかつ非自明に別個の発明を含む場合があるということを主張する。本出願人はそれにより、本願の開示が2つ以上の発明を含む場合があり、しかも2つ以上の発明が存在する場合にはこれらの発明が他の発明に対して特許可能でありかつ非自明な発明である場合があるということを主張する。
【0015】
さらに、添付の要約書の目的は、米国特許商標庁および公衆一般、特に特許用語もしくは法律用語または言い回しに精通していない技術分野における科学者、技術者、および医師が大雑把な検討であっても本願の技術的開示内容の性質および本質を素早く判定することができるようにすることにある。要約書は、特許請求の範囲の記載によって定められる本願の保護範囲全体を定めるものではなく、本発明の範囲に関して何ら限定となるものでもない。
【0016】
図の全ては、好ましい実施形態を示しているが、他の実施形態が想定されており、したがって、本発明は、図示の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る縫合器具の正面図である。
図2図1に示されているハウジングおよびローラ区分の側面図である。
図3図1に示されている組織穿通針の側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る縫合針および往復動シャトルの図であり、針の一端部のところに針先端部を備えた縫合針の正面図であって、縫合糸が針の他端部に取り付けられ、3つのフィンが互いに90°の間隔を置いて位置し、往復動シャトルが縫合針のフィンに係合する前側窓および後側窓を備えている状態を示す図(4A)、往復動シャトルの前側窓の正面断面図(4B)、往復動シャトルの前側窓のところの断面図(4C)である。
図5】縫合されるべき組織中への前進時における本発明の一実施形態に係る縫合器具の正面図であり、縫合針および往復動シャトルが初期位置にある状態を示す図である。
図6図5に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが前方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの第2の位置まで90°送り進められ、縫合針が縫合されるべき組織中に刺入(駆動)されている状態を示す図である。
図7図6に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが後方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの初期位置まで90°戻され、縫合針が定位置に位置したままの状態を示す図である。
図8図7で示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが前方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの第2の位置まで90°送り進められ、縫合針の先端部がスリーブ中に戻されている状態を示す図である。
図9図8に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが後方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの初期位置まで90°戻され、縫合針の先端部がスリーブ内の定位置に位置したままである状態を示す図である。
図10図9に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが前方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの第2の位置まで90°送り進められ、縫合針がスリーブ中にさらに戻されている状態を示す図である。
図11図10に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが後方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの初期位置まで90°動かされ、縫合針の先端部がスリーブ内の定位置に位置したままの状態を示す図である。
図12図11に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが前方の方向に回され、往復動シャトルが往復動シャトルの第2の位置まで90°送り進められ、縫合針がスリーブ内のその元の位置に戻されている状態を示す図である。
図13図12に示されている縫合器具の正面図であり、ワイヤローラが後方の方向に回されて往復動シャトルが往復動シャトルの初期位置まで90°戻され、縫合針の先端部がスリーブ内のその初期位置に位置したままの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の全体的理解をもたらすため、今、ある特定の例示の実施形態および実施例について説明する。しかしながら、当業者であれば理解されるように、同一または等価な機能および順序は、これまた本発明の精神および範囲に含まれることが意図されている異なる実施形態によって達成できる。本明細書において説明する組成物、装置、システムおよび/または方法を、取り組まれている用途にとって妥当であるように改造したり設計変更したりすることができ、しかも、本明細書において説明する組成物、装置、システムおよび/または方法を他の適当な用途で用いることができ、かかる他の追加例および改造例は、本発明の範囲から逸脱しない。
【0019】
原文明細書および原文特許請求の範囲に用いられている単数形“a”、“an”および“the”は、別段の明示の指定がなければ複数形を含む。例えば、「材料(一材料の意)」は、別段の明示の指定がなければ、複数の材料を含む場合がある。原文明細書および原文特許請求の範囲に用いられていて参照される単数形の名称または形式は、別段の明示の指定がなければ、当該名称群に属する変形例を含む。
【0020】
ある特定の用語法が、便宜のためにのみ以下の説明で用いられており、これらは、本発明を限定するものではない。「下」、「上」、「底」、「頂」、「前」、「後」、「左」、「右」および「側部」という用語は、参照する図面における方向を指示しているが、針の種々の部分またはこれら種々の部分の任意の組立体を使用することができる向きに関して限定をもたらすわけではない。
【0021】
本開示は、半円の構造を有するとともに90°を超えて延びる湾曲部材の運動を可能にし、スリーブおよび組織または他の物体を通って固定スリーブ内に位置決めされる器具に関する。湾曲部材は、半円でありかつ180°を超えて延びる固定スリーブを通って動く。固定スリーブは、湾曲部材を固定スリーブ中の360°の回転にわたって案内する。湾曲部材はノーズ(先端部)およびテール(尾部)を有する。ノーズは、尖っていて組織または物体を穿通することができる。テールのところまたはテールの近くのところで縫合糸またはストリングが結びつけられる。ある特定の実施形態では、湾曲部材は針である。
【0022】
固定スリーブは、第1の先端部および第2の先端部を有する。第1の先端部および第2の先端部は各々、尖っておりまたは鋭利であり、組織または他の物体を穿通することができる。
【0023】
湾曲部材の動きは、シャフトに結合されたノブの回転によって可能になりまたは引き起こされる。シャフトは、ノブが設けられまたは位置決めされている器具のハンドル部分から固定スリーブに隣接して設けられた歯車機構体まで延びている。歯車要素は、湾曲部材への取り付けの際にさらに説明するように湾曲部材を直接的にか間接的にかのいずれかで動かす。
【0024】
ある特定の実施形態では、シャフトは、湾曲部材を駆動する構造体を駆動する。これは、シャフトが針を駆動せず、それどころかシャフトが介在する構造体を駆動するので間接的であると言える。介在構造体は、力を湾曲部材に伝達する役目を果たすことができる。ある特定の実施形態では、システムは、固定または所定の経路に沿って前後に走行することができる往復動シャトル(またはフェリー)を用いている。シャトルは、非強磁性金属で作られるのがよい。シャトルは、湾曲部材に設けられている特徴部に係合し、湾曲部材はある特定の実施形態では、磁化ステンレス鋼針である。係合は、再現可能な仕方で互いに異なる箇所で起こり、そしてラチェットとして作用する。針は、シャトルが動いている間定位置で位置したままであり、というのは、針は、磁化されて磁力により固定スリーブの内面に対して保持されるからである。固定スリーブは、シャフトの各側に位置する湾曲した中空の磁化ステンレス鋼管で構成されており、そして尖った先端部を有する。固定スリーブは、針およびシャトルを受け入れるのに十分に大きな内径を有する。湾曲した中空の磁化ステンレス鋼管は、熊手のように機能し、組織、布、または他の物体をこれに押し当てられた時に穿通する。
【0025】
これら縫合器具のうちの幾つかを医療目的(例えば、縫合)に使用することができる。例えば、これら縫合器具のうちの幾つかを経カテーテル縫合、経カテーテル心内(または別の身体の器官)縫合、および他の可撓性プラットフォーム用途(例えば、内視鏡縫合、結腸内視鏡)に使用することができる。これら縫合器具のうちの幾つかを使用できる手術の幾つかの例としては、数あるヒト(例えば、新生児から120歳まで、男性、女性)または動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚、陸上動物)用途のうち、腹腔鏡手術、ロボット手術、ビデオ支援または非支援型胸腔鏡手術、関節鏡視下手術、生まれつき備わった口の手術、内視鏡手術、婦人科手術、心手術、結腸直腸手術、肺手術、胃バイパス手術、子宮摘出手術、歯科手術、泌尿器手術、脳手術、または肥満手術が挙げられる。
【0026】
対象が動物であるにせよそうではないにせよ、これら縫合器具のうちの幾つかを医療または非医療セッティングで使用できることに注目されたい。例えば、生物である場合の対象としては、ヒトであれ動物であれいずれにせよ、組織、器官、身体部分、その他が挙げられる。例えば、組織は、筋組織、骨組織、神経組織、臓器組織、またはその他であるのがよい。例えば、生物でない場合の対象としては、医療器具、プロテーゼ、植え込み型器具、機械、外科用器具その他が挙げられる。例えば、非医療セッティングの幾つかは、衣服製造、織物ステッチング、結び方、裁縫、靴製造その他が挙げられる。
【0027】
図1に示すように、縫合器具100は、カテーテル101中に納められる。縫合器具100は、ローラ歯車103およびワイヤローラ104を備えたハウジング102を有し、ローラワイヤ104は、ハウジング102から出てカテーテル101沿いに上方に延び、ワイヤローラ104を前方と後方に回転させることができるノブ(図示せず)を備えたハンドル(図示せず)まで延びている。縫合器具100は、ハウジング102の各側に位置する第1の磁化管106aおよび第2の磁化管106bを備えたスリーブをさらに有する。スリーブは、往復動シャトル105および針107(この図では見えない)を有する。縫合糸109が針107の後側端部(この図では見えない)に取り付けられ、そしてカテーテルの中に入っている(分かりやすくするためにカテーテルの外側に示されている)。
【0028】
図2の側面図に示すように、ハウジング102は、2つのワイヤローラ104と係合してこれらによって制御される2つのローラ歯車103、および縫合糸109を挿通させる開口部108を有する。また、往復動シャトル105およびフィン107cを備えた針107が示されている。針107は、磁化されているが、ハウジング102、ローラ歯車103およびワイヤローラ104は、磁化されず、これらは、磁性ではなく磁化されない金属または金属合金で作られるのがよい。往復動シャトル105は、非強磁性金属で作られる。
【0029】
図3に示すように、外周部107a、内周部107b、およびフィン107cを備えた組織穿通針107が断面図で示されている。また、開口部108および針107に取り付けられた縫合糸109が示されている。
【0030】
図4Aは、前側端部に設けられた針先端部107dおよび互いに約90°の間隔を置いて配置された前側フィン107c1、中間フィン107c2および後側フィン107c、ならびに前側窓105aおよび後側窓105bを備えた往復動シャトル105を有する針107を示している。また、針107の後側端部(この図では見えない)に取り付けられた縫合糸109が示されている。図4Bは、前側窓105aの前における往復動シャトル105の断面図であり、前側窓105aによって部分的に覆われた針107および針フィン107cを示している。また、往復動シャトル105の内周部側が完全に開いていることが分かる。図4Cは、前側窓105aのところにおける往復動シャトル105の断面図であり、針107およびフィン107cを示している。この場合もまた、往復動シャトル105の内周部側が完全に開いていることが分かる。
【0031】
湾曲縫合針107の針先端部分107dは、テーパした先端部であるのがよく、針先端部分は、丸くなっていて一点まで滑らかにテーパしている。変形例として、針先端部分107dは三角形であるのがよく、この針先端部分は、内側または外側に設けられた鋭利な切れ刃を有するのがよく、あるいは、「トロカール箇所」または「テーパ」を有するのがよく、それにより、針本体は丸形であってかつテーパしているが、小さな三角形切断点で終端する。変形例として、針先端部は、例えば脆い組織を縫合するための尖っていない先であってもよく、あるいは、「側部切断」または「スパチュラ箇所」を含む針先端部分を有してもよく、それにより、針は、頂部および底部が平坦であり、一方の側までフロントに沿って切れ刃を備えている(これらは、代表的には、眼手術に用いられる)。
【0032】
縫合針107を構成する材料は、制約を受けず、かかる材料は、金属または金属合金、例えば磁性または磁化可能な金属または金属合金を含むことができる。針を形成しまたは仕上げる際の他のプロセスは、プロセスのうちでとりわけシリコン処理、任意の数の生体適合性コーティング材料もしくはこれらの組み合わせによるコーティング、または任意の数の生体適合性潤滑剤もしくはこれらの組み合わせによる潤滑であるのがよい。
【0033】
図5は、縫合器具100が縫合されるべき組織またはテキスタイル110中に挿入されている時のカテーテル101内における縫合器具100の断面図である。ローラ歯車103、ワイヤローラ104ならびに第1の磁化管106aおよび第2の磁化管106bを含むスリーブの部分を収納したハウジング102が示されている。ローラ歯車103は、一方のローラから他方のローラに力を伝達するので、カテーテル沿いに下る一本だけの駆動ワイヤの使用が可能である。第1の磁化管106aおよび第2の磁化管106bは、縫合されるべき組織またはテキスタイルを突き通しまたは穿通するのに役立つ尖った先端部を有する。第1の磁化管106aは、自由な縫合糸の運動が可能になるようその内周部に沿って延びる長手方向スリット(この図には示されていない)を有する。往復動シャトル105は、その初期位置にあり、前側窓(105a‐この図には示されていない)が針107の中間フィン(107c2‐この図には示されていない)を覆い、後側窓(105b‐この図には示されていない)が針107の後側フィン107c3を覆い、往復動シャトル105は、第1の磁化管106a内に収納されている。また、前側フィン107c1付きの縫合針107が示されており、この縫合針107は、第1の磁化管106aおよび第2の磁化管106b内に収納されるとともに往復動シャトル105によって拘束されている。針107は、約210°の円弧を有し、磁化管106aと磁化管106bもまた一緒になって約210°の円弧を構成している。縫合糸109は針107の後側端部に取り付けられた状態でカテーテル101内に収納されている(わかりやすくするためにカテーテルの外側に示されている)。器具100は、ワイヤローラ104が往復動シャトルを一度にいずれかの方向(前方ストロークまたは後方ストローク)に90°の円弧をなして動かすよう設計されている。器具100はまた、円の赤道を超える磁化管106a,106bの尖った端部の突き通しを可能にするよう設計されており、それにより、縫合針107の配備の前であっても組織深さを最大にすることができる。
【0034】
図6は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が前方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が前方に回され、前側窓105aが依然として針107の中間フィン107c2を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ第2の位置まで前進させ、それにより、針先端部(107d‐この図では見えない)を中空の磁化管のうちの一方106b(断面図で示されている)の尖った端部を越えて組織110中に90°だけさらに駆動する。縫合糸109は、中空の磁化管106a内に収納されるとともに往復動シャトル105によって拘束された針(107‐この図では見えない)の後側端部に取り付けられている。
【0035】
図7は、縫合の際の次のステップを示している。ローラ歯車103が後方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が後方に回され、前側窓105aが今や針107の後側フィン107c3を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ初期位置まで逆進させる。この動きによっては、針107または針先端部(107d‐この図では見えない)が90°引っ込められることはなく、というのは、磁化針107が中空の磁化管106bによって定位置に保持されるからである。縫合糸109は、中空の磁化管106a内に収納されるとともに往復動シャトル105によって拘束された針(107‐この図では見えない)の後側端部に取り付けられている。
【0036】
図8は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が前方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が前方に回され、前側窓105aが今や、磁化中空管106b(断面で示されている)内の針107の後側フィン107c3を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ第2の位置まで前進させ、それにより、針先端部107dを90°だけさらに駆動して前側フィン107c1および針先端部107dを今や中空の磁化管106a中に配置する。縫合糸109は、中空の磁化管106a内に収納されるとともに往復動シャトル105によって拘束された針(107‐この図では見えない)の後側端部に取り付けられている。その理由は、縫合針107とスリーブ組立体(磁化中空管106a,106bを含む)の両方が210°の円弧を有するので、縫合針がその最も露出した形態にあるときに各側に30°のオーバーラップが存在する。縫合針は、中空磁化管106aまたは中空磁化管106bに当ててある時点において常時磁気的に保持される。
【0037】
図9は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が後方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が後方に回され、前側窓105aには今やなにもなくかつ後側窓105bが、往復動シャトル105によって拘束されている針107の前側フィン107c1を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ初期位置まで逆進させる。この動きによっては、針107、前側フィン107c1または針先端部(107d‐この図では見えない)が90°引っ込められることはなく、というのは、磁化針107が中空の磁化管106b,106aの両方によって定位置に保持されるからである。縫合糸109は、中空の磁化管106b内に収納された針(107‐この図では見えない)の後側端部に取り付けられている。
【0038】
図10は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が前方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が前方に回され、前側窓105aには今やなにもなくかつ後側窓が針107の前側フィン107c1(この図では見えない)を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ第2の位置まで前進させ、それにより、針先端部107dを90°だけさらに駆動して今や、中空の磁化管106a中にそしてこれを通って進ませ、中空の磁化管106aは今や、針107の中間フィン107c2を収容している。縫合糸109は、縫合されるべき組織110内に入っている針107の後側端部に取り付けられている。縫合針は、中空磁化管106aに当てて磁気的に保持される。
【0039】
図11は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が後方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が後方に回され、前側窓105aが今や前側フィンを覆うとともに後側窓105bが往復動シャトル105によって拘束されている針107の中間フィン107c2を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ初期位置まで逆進させる。この動きによっては、針107または針先端部(107d‐この図では見えない)が90°引っ込められることはなく、というのは、磁化針107は、中空磁化管106aによって定位置に保持されるからである。縫合糸109は、針107の後側端部(この図は見えない)に取り付けられている。
【0040】
図12は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が前方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が前方に回され、前側窓105aが今や前側フィン107c1を覆うとともに後側窓が針107の中間フィン107c2(この図では見えない)を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ第2の位置まで前進させ、それにより、針先端部107d(この図では見えない)を90°だけさらに駆動して今や、中空の磁化管106b中に進ませるとともに後側フィン107cを中空の磁化管106a中に動かす。縫合糸109は、中空の磁化管106a内に収納された針107の後側端部に取り付けられている。
【0041】
図13は、縫合の際における次のステップを示している。ローラ歯車103が後方の方向に回されているときのカテーテル101内における縫合器具100が示されており、それにより、ワイヤローラ104が後方に回され、前側窓105aが今や中間フィン107c2(この図では見えない)を覆うとともに後側窓105bが往復動シャトル105によって拘束されている針107の後側フィン107c3を覆った状態で、往復動シャトル105を90°だけ初期位置まで逆進させる。この動きによっては、針107、針先端部107dまたは前側フィン107c1が90°引っ込めるわけではなく、というのは、磁化針107は、中空磁化管106a,106bによって定位置に保持されるからである。縫合糸109は、針107の後側端部に取り付けられている。針107は、今や丸一回転しており、針107と往復動シャトルの両方は、これらの元の開始位置にある。縫合器具100は、今や、いつでも組織110から引っ込められて縫合されるべき組織の次の部分に動かされる状態にある。
【0042】
ある特定の実施形態によれば、縫合糸109は、糸取り付け部分によって針107の後側端部に圧着されるのがよい。したがって、針107は、一般に、圧着により一端のところが取り付けられた縫合材または縫合糸を有する無傷性針すなわちアイレス針107であり、それにより、縫合材を針の尖っていない端部のところでチャネル中に例えば、糸取り付け部分中に挿入され、次に、かかる糸取り付け部分を縫合糸109と針107を互いに保持する最終形状に変形させる。針107は、永続的に縫合材109に圧着されてもよく、または鋭利で真っ直ぐなタグを備えた縫合材に設計されてもよい。これら「ポップオフ」は、断続縫合に常用されており、この場合、各縫合糸は、一回だけ通されて次に結紮される。
【0043】
縫合材料または糸109は、モノフィラメント状であってもよく、すなわち、単一のフィラメントで形成されてもよく、あるいは、マルチフィラメント状であってもよく、すなわち、2本以上のフィラメントの組み合わせ、例えば、編組状に配列された3本のフィラメントで形成されてもよい。縫合糸109は、長さを有し、この長さは、代表的には、少なくとも5インチ(12.7cm)、少なくとも10インチ(25.4cm)、少なくとも15インチ(38.1cm)、または少なくとも20インチ(50.8cm)である。縫合糸109は、代表的には2つの端部を有し、これら2つの端部は、配備端部および/または後続端部と記載される場合がある。かかる場合、縫合糸109の配備端部は、最初に針107に隣接したところで組織に入り、例えば、糸取り付け部分により針107の幹部分の遠位端部に連結される。変形例として、縫合材料109は、ループ状であってもよく、2つの自由端部の各々は、糸取り付け部分によって針107に連結されるようになっている。
【0044】
糸109は、縫合糸であるのがよく、縫合糸は、種々のゲージの非吸収性であってもよく、吸収性であってもよい。糸109の材料としては、シルク、綿、布、ナイロン、ポリエステル、銀、銅、ダクロン(Dacron)、ゴム、シリコン、プレーン腸線またはクロミック腸線、ポリグリコリド、ポリジオキサノン、MONOCRYL(登録商標)、ポリプロピレン、トリクロサン、カプラクトン、ポリマー、グリコリド、l‐ラクチド、p‐ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、ε‐カプラクトン、ステンレス鋼、セラミック、ガラス、皮革、または他の天然材料もしくは人工材料が挙げられる。糸109は、中実であってもよいが、穴が設けられているのがよい。糸109は、内部が高密度であってもよいが、中空であるのがよい。糸109は、対称であれ非対称であれいずれにせよ、閉じられた形状(例えば、O字形、D字形、0字形、正方形、長方形、三角形、多角形)の断面を有してもよく、開かれた形状(例えば、U字形、C字形、V字形)の断面を有してもよい。
【0045】
縫合材料または糸109は、生体吸収性であるのがよく、したがって、組織中への導入後、この縫合材料は、分解されて体に吸収されるようになる。典型的には、分解プロセスは、生物学系によって少なくとも部分的に媒介され、または生物学系内で実施される。したがって、生体吸収性という用語は、ポリマー鎖を種々の機構によって切断する鎖切断プロセスを意味し、種々の機構によってとは、例えば、化学反応(例えば、加水分解、酸化/還元、酵素機構またはこれらの組み合わせ)により、または熱プロセスもしくは光分解プロセスによってが挙げられる。生体吸収性縫合材料としては、ポリマー、例えば、ポリグリコール酸、グリコリドおよびラクチドのコポリマー、トリメチレンカーボネートおよびグリコリドとジエチレングリコールとのコポリマー(例えば、MAXON(商標)、タイコ・ヘルスケア・グループ(Tyco Healthcare Group)製)、グリコリド、トリメチレンカーボネートおよびジオキサノンで構成されたターポリマー(例えば、BIOSYN(商標)[グリコリド(60%)、トリメチレンカーボネート(26%)、およびジオキサノン(14%)]、タイコ・ヘルスケア・グループ製)、グリコリド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、およびラクチドのコポリマー(例えば、CAPROSYN(商標)、タイコ・ヘルスケア・グループ製)が挙げられる。ある特定の実施形態では、生体吸収性の縫合材料は、現存し、または将来開発される可能性のある縫合用途に有用な任意他のポリマーから成り、またはこれを含む場合がある。
【0046】
変形例として、縫合材料または糸109は、非分解性であってもよく、したがって、化学プロセス、熱プロセス、または光分解プロセスでは分解しない。非分解性縫合材料としては、ポリアミド(ナイロン、例えば、ナイロン6やナイロン6.6とも呼ばれている)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、発泡ポリテトラフルオロエチレン)、ポリエーテル‐エステル、例えばポリブテステル(polybutester)(ブチレンテレフタレートおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールのブロックコポリマー)、ポリウレタン、金属合金、金属(例えば、ステンレス鋼線)、ポリプロピレン、ポリエテレン(polyethelene)、シルク、および綿が挙げられる。非分解性の縫合材料で作られた縫合糸は、縫合糸が永続性のままであることを意味し、または体から物理的に取り出されることを意味する用途に特に適している。ある特定の実施形態では、非分解性縫合材料は、現存し、または将来開発される可能性のある縫合用途に有用な任意他のポリマーから成り、またはこれを含む場合がある。
【0047】
縫合材料または糸109は、その表面に塗布されて創傷治癒に影響を及ぼす場合のあるコーティングまたは作用物質、例えばコーティング材料、創傷治癒剤、抗微生物剤、抗細菌剤、成長因子、接着剤、シーラント、血液製剤、血液成分、防腐剤、粘着防止剤、タンパク、多糖類、ペプチド、遺伝物質、ウイルスベクター、核酸、ヌクレオチド、プラスミド、リンフォカイン、放射性医薬品、金属、合金、塩、成長因子、成長因子拮抗薬、細胞、疎水性物質、親水性物質、免疫物質、抗定着物質、およびこれらの組み合わせを含むのがよい。縫合材料または糸109は、その表面に塗布されて外科医が正確に縫合を行う能力を高めることができるコーティングまたは作用物質、例えば、着色剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、フォトクロミック剤、診断用薬、画像化剤、放射線不透過剤、またはこれらの組み合わせを含むのがよい。
【0048】
縫合糸サイズ決定は、直径に基づいている。縫合糸サイズの米国薬局方(“USP”)表示は、大範囲では0~7があり、小範囲では、1‐0~11‐0があり、小範囲では、ハイフン付きのゼロの前に位置する値が大きければ大きいほど、縫合糸直径がそれだけいっそう小さくなる。USP命名法下において、縫合糸の実際の直径は、縫合糸材料で決まり、したがって、一例を挙げると、サイズが5‐0でありコラーゲンで作られた縫合糸の直径は、0.15mmであり、他方、同一のUSPサイズ表示を有するが合成吸収性材料または非吸収性材料で作られた縫合糸の直径は各々、0.1mmである。特定の目的に合った縫合糸サイズの選択は、例えば、縫合されるべき組織の性状および美容的関心度の重要性のような要因で決まり、細い縫合糸は、狭い手術部位で容易に操作可能でありしかもこれに伴って生じる瘢痕が小さいが、所与の材料で作られた縫合糸の引張強度は、サイズの減少につれて減少する傾向がある。理解されるべきこととして、本明細書において開示する縫合針用の縫合材料としては、7、6、5、4、3、2、1、0、1‐0、2‐0、3‐0、4‐0、5‐0、6‐0、7‐0、8‐0、9‐0、10‐0および11‐0が挙げられるがこれらには限定されない。理解されるべきこととして、種々の縫合糸長さを本明細書において説明している縫合針に用いることができる。
【0049】
ある特定の例示の実施形態に関して説明した特徴または機能を種々の他の例示の実施形態内でのコンビネーションおよびサブコンビネーションを行うことができるとともに/あるいは種々の他の例示の実施形態とのコンビネーションおよびサブコンビネーションを行うことができる。また、本明細書において開示した例示の実施形態の異なる特徴および/または要素のコンビネーションおよびサブコンビネーションもまた同様な仕方で行うことができる。さらに、個別的にかつ/あるいはまとめて、幾つかの例示の実施形態は、大きなシステムのコンポーネントであってよく、この場合、他の手順は、本発明の用途にわたって他の用途と比較して優先するのがよくかつ/あるいは違ったやり方でこれらの用途を変更するのがよい。加うるに、多くのステップが本明細書において開示しているように、例示の実施形態の前に、後に、かつ/あるいはこれと同時に必要となる場合がある。少なくとも本明細書において開示している任意のかつ/あるいは全ての方法および/またはプロセスを少なくとも1つの企業または行為者により任意の仕方で少なくとも部分的に実施できることに注目されたい。
【0050】
本明細書で用いられる「約」または「実質的に」という用語は、公称の値/用語からのばらつき、例えば最大±10%までのばらつき、または±1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%のばらつきを指している。かかるばらつきに具体的に言及しているにせよそうでないにせよいずれにせよ、こうしたばらつきは、本明細書において提供される任意所与の値/用語に含まれるのが常である。
【0051】
本明細書において説明する任意のコンポーネントは、医療用に適した材料を含むのがよい。材料は、可撓性、弾力性、または弾性であるのがよい。材料は、消毒され、滅菌され、または衛生化されるのに適しているのがよい、かかる手法は、ホットスチーム、オートクレーブその他とともに実施されるのがよい。例えば、材料としては、プラスチック、金属、ゴム、形状記憶合金、布、フォーム、その他が挙げられる。
【0052】
ある特定の図面および種々の実施形態を特に参照して本発明の装置およびシステムについて説明したが、かかる装置およびシステムは、多くの異なる形態で実施できるので、必ずしも本明細書において開示した実施形態にのみ限定されるものと解されてはならない。これとは異なり、これら実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、しかも本発明の種々の技術的思想を当業者に完全に伝えるよう提供されている。
【0053】
本明細書で用いられる種々の用語は、直接的または間接的、全体的または部分的、一時的または永続的な作用または不作用を含蓄する場合があることに注目されたい。例えば、要素が別の要素に対して「上」、「連結され」、または「結合され」と記載されている場合、この要素は、他の要素上に直接、連結されまたは結合される場合があり、あるいは介在する要素(間接的なまたは直接的な変形手段を含む介在する要素)が存在している場合がある。これとは対照的に、要素が別の要素に「直接連結され」または「直接結合され」と記載されている場合、介在する要素は存在していない。
【0054】
同様に、本明細書で用いられる「または」という用語は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味するようになっている。すなわち、別段の指定がなければ、または文脈上明らかな場合、「XはAまたはBを採用する」という表現は、自然な包括的並び替えのうちの任意のものを意味するようになっている。すなわち、XがAを採用し、XがBを採用し、またはXはAとBの両方を採用し、「XがAまたはBを採用し」という表現は、上述の場合のうちの任意において満たされる。
【0055】
同様に、原文明細書で用いられる種々の単数形“a”、“an”、および“the”は、別段の明示の指定がなければ、種々の複数形をも含むようになっている。例えば、“a”または“an”という用語は、「1つ以上」という語句もまた本明細書において用いられている場合であっても、「1つ以上」を意味するものとする。
【0056】
さらに、原文明細書で用いられている“comprises ”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)、“includes”(「~を含む」)または“comprising”、“including”は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、要素、またはコンポーネントの存在を規定しているが、1つ以上の他の特徴、1つ以上の他の整数、1つ以上の他のステップ、1つ以上の他の操作、1つ以上の他の要素、1つ以上の他のコンポーネント、またはこれらのグループの存在および/または追加を排除するわけではない。さらに、本開示があるものが他のあるものに「基づいている」と記載している場合、かかる記載は、1つ以上の他のものにも基づいている場合があるという基礎を意味している。換言すると、別段の明示の指定がなければ、本明細書で用いられている「~に基づく」という表現は、「少なくとも一部が~に基づく」または「少なくとも部分的に~に基づく」を包括的に意味している。
【0057】
加うるに、第1、第2、その他の用語が種々の要素、種々のコンポーネント、種々の領域、種々の層、または種々の区分を説明するために本明細書において用いられている場合があるが、これらの要素、コンポーネント、領域、層、または区分は、必ずしもかかる用語によって限定されるべきではない。これとは異なり、これらの用語は、一要素、一コンポーネント、一領域、一層、または一区分を別の要素、別のコンポーネント、別の領域、別の層、または別の区分から区別するために用いられている。したがって、本明細書に記載した第1の要素、第1のコンポーネント、第1の領域、第1の層、または第1の区分は、第2の要素、第2のコンポーネント、第2の領域、第2の層、または第2の区分と称されてもよく、これは本発明の範囲から逸脱しない。
【0058】
また、別段の指定がなければ、本明細書で用いられている全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明に係る当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。したがって、例えば、通常用いられている辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈におけるこれらの意味と一致した意味を有するものと解されるべきであり、しかも本明細書においてこのように明示的に定義されていない場合であっても、理想化されまたは過剰に公式な意味で解釈されるべきではない。
【0059】
加うるに、ある特定の例示の実施形態に関して説明した特徴を任意の並び替えまたは組合せで、他の種々の例示の実施形態中に組み合わせることができ、またはかかる種々の他の例示の実施形態と組み合わせることができる。本明細書で開示している例示の実施形態の異なる特徴または要素を同様な仕方で組み合わせることができる。本明細書で用いられる「コンビネーション(組み合わせ)」、「結合」、または「これらの組み合わせ」という表現は、当該用語の前に位置する列記されたアイテムの全ての並び替えおよび組み合わせを意味している。例えば、「A、B、C、またはこれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むものであり、順序が特定の文脈で重要な場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABもまた含む。この実施例に続き、1つ以上のアイテムまたは用語の繰り返し、例えば、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどを含むコンビネーションが明示的に含まれる。当業者であれば理解されるように、代表的には、文脈上明らかでない場合、任意のコンビネーションにおけるアイテムまたは用語の数について限定はない。
【0060】
好ましい実施形態について図示するとともに詳細に説明したが、当業者であれば知っているように、本発明の精神から逸脱することなく、種々の改造、追加、置換などを行うことができる。したがって、これらは、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
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図4A-4C】
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【国際調査報告】