(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】新規のOMNI56、58、65、68、71、75、78及び84CRISPRヌクレアーゼ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/55 20060101AFI20231030BHJP
C12N 9/16 20060101ALI20231030BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20231030BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231030BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20231030BHJP
【FI】
C12N15/55
C12N9/16 Z ZNA
C12N15/09 110
C12N5/10
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524725
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021055851
(87)【国際公開番号】W WO2022087135
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521476126
【氏名又は名称】エメンドバイオ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】イザール、リオル
(72)【発明者】
【氏名】ロッカー、リアット
(72)【発明者】
【氏名】マールバッハ・バール、ナダブ
(72)【発明者】
【氏名】メロン、ヌリット
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065CA23
4B065CA31
4B065CA60
(57)【要約】
本発明は、配列番号1~8からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又は上記CRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子を含む、天然に存在しない組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号6、1~5、及び7~8からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又は前記CRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子を含む、天然に存在しない組成物。
【請求項2】
1つ以上のRNA分子、又は前記1つ以上のRNA分子のいずれか1つをコードするDNAポリヌクレオチドを更に含み、前記1つ以上のRNA分子及び前記CRISPRヌクレアーゼは、天然では一緒に存在せず、前記1つ以上のRNA分子は、前記CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、及び/又は前記複合体を標的部位にターゲティングさせるように構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号139~160からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号139、141、143、145、153、及び157~159からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
配列番号140、142、144、146~151、154、及び155からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号139~160からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号25~46からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号25、27、29、31、41、及び44からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
配列番号26、28、30、32~39、42、及び45からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号25~46からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号47~68からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号47、49、57、及び59からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
配列番号48、50~55、58、60~63、及び65~67からなる群に記載の配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号47~68からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号69~97からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項16】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号69、71、73、83、85、88、89、及び93~96からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
配列番号70、72、74~81、84、86、90、及び91からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号69~97からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号98~126からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号98、100、102、112、113、117、119、及び122~125からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
配列番号99、101、103~110、114、115、118、及び120からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号98~126からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項23】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号:GUUCCGGUU及び127~138からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項24】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号:GUUCCGGUU、127~132、135、及び137からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
配列番号134及び136からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号5に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号:GUUCCGGUU及び127~138からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項27】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号161~177からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項28】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号161、163、165、167、及び175からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
配列番号162、164、166、168~173、及び176からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号161~177からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項31】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、配列番号178~193からなる群から選択される配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項32】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号178、180、182、及び184からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
配列番号179、181、183、及び185~192からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子が、ガイド配列部分と、配列番号178~193からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である、請求項2に記載の組成物。
【請求項35】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E503、H737又はD740でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D592、H593又はN616でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置D592のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E503、H737又はD740のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D592、H593又はN616でのいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置D592のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E504、H756又はD759でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項7~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置E584、H585又はN608でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置E584のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である、請求項7~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E504、H756又はD759のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置E584、H585又はN608のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置E584のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である、請求項7~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D18、E516、H753又はD756でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項11~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項42】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D601、H602又はN625でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置D601のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項11~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項43】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D18、E516、H753又はD756のいずれか1つでのアミノ酸置換及び位置D601、H602又はN625のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置D601のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項11~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項44】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D8、E538、H776又はD779でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D625、H626又はN649でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置D625のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D8、E538、H776又はD779のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D625、H626又はN649のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置D625のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D18、E548、H786、又はD789でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項19~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D635、H636又はN659でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置D635のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項19~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D18、E548、H786又はD789のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D635、H636又はN659のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される触媒として不活性のヌクレアーゼであり、D635位のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項19~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D8、E523、H758又はD761でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項23~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置E607、H608又はN631でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置E607のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である、請求項23~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D8、E523、H758又はD761のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置E607、H608又はN631のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置E607のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である、請求項23~26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D11、E537、H779又はD782でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項27~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D622、H623又はN646でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置D622のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項27~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D11、E537、H779又はD782のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D622、H623又はN646のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置D622のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項27~30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E500、H731又はD734でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである、請求項31~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D582、H583又はN606でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、位置D582のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項31~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E500、H731又はD734のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D582、H583又はN606のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、位置D582のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項31~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
無細胞系又は細胞のゲノム内のDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法であって、請求項2~58のいずれか1項に記載の組成物を前記細胞に導入するステップを含む方法。
【請求項60】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NNRNGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E504、H756又はD759でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置E584、H585又はN608でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置E584のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NNNNCCAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D18、E516、H753又はD756でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D601、H602又はN625でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置D601のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NNNVTAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D8、E538、H776又はD779でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D625、H626又はN649でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置D625のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NNNVTAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D18、E548、H786又はD789でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D635、H636又はN659でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置D635のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項73】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D8、E523、H758又はD761でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置E607、H608又はN631でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置E607のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NNGNRAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項76】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E503、H737又はD740でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D592、H593又はN616でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置D592のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NRRNATプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項79】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D11、E537、H779又はD782でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D622、H623又はN646でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置D622のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、前記CRISPRヌクレアーゼは、NNNNGCAAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断、及び/又は前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D9、E500、H731又はD734でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記CRISPRヌクレアーゼが、位置D582、H583又はN606でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、前記PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、位置D582のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記細胞が、真核細胞又は原核細胞である、請求項51~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項86】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項87】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号1のアミノ酸1~50に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号1のアミノ酸51~88に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号1のアミノ酸89~241に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号1のアミノ酸242~454に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号1のアミノ酸455~510に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号1のアミノ酸511~541に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号1のアミノ酸542~655に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号1のアミノ酸656~670に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号1のアミノ酸671~869に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号1のアミノ酸870~1,043に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;及び
k)ドメインKは、配列番号1のアミノ酸1,044~1,203に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項88】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号2のアミノ酸1~58に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号2のアミノ酸59~94に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号2のアミノ酸95~249に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号2のアミノ酸250~465に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号2のアミノ酸466~522に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号2のアミノ酸523~553に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号2のアミノ酸554~675に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号2のアミノ酸676~691に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号2のアミノ酸692~822に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号2のアミノ酸823~898に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号2のアミノ酸899~1,021に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項89】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号3のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号3のアミノ酸1~44に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号3のアミノ酸45~80に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号3のアミノ酸81~260に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号3のアミノ酸261~487に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号3のアミノ酸488~544に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号3のアミノ酸545~575に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号3のアミノ酸576~694に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号3のアミノ酸695~710に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号3のアミノ酸711~869に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号3のアミノ酸870~1,016に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号3のアミノ酸1,017~1,140に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項90】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号4のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号4のアミノ酸1~55に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号4のアミノ酸56~90に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号4のアミノ酸91~270に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号4のアミノ酸271~497に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号4のアミノ酸498~554に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号4のアミノ酸555~585に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号4のアミノ酸586~704に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号4のアミノ酸705~720に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号4のアミノ酸721~879に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号4のアミノ酸880~1,026に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号4のアミノ酸1,027~1,150に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項91】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号5のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号5のアミノ酸1~46に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号5のアミノ酸47~82に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号5のアミノ酸83~254に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号5のアミノ酸255~455に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号5のアミノ酸456~529に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号5のアミノ酸530~559に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号5のアミノ酸560~671に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号5のアミノ酸672~690に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号5のアミノ酸691~827に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号5のアミノ酸828~930に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号5のアミノ酸931~1,053に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項92】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号6のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号6のアミノ酸1~40に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号6のアミノ酸41~75に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号6のアミノ酸76~222に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号6のアミノ酸223~454に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号6のアミノ酸455~508に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号6のアミノ酸509~542に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号6のアミノ酸543~663に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号6のアミノ酸664~679に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号6のアミノ酸680~837に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号6のアミノ酸838~993に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号6のアミノ酸994~1,153に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項93】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号7のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号7のアミノ酸1~58に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号7のアミノ酸59~93に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号7のアミノ酸94~258に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号7のアミノ酸259~479に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号7のアミノ酸480~543に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号7のアミノ酸544~572に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号7のアミノ酸573~685に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号7のアミノ酸686~701に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号7のアミノ酸702~861に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号7のアミノ酸862~972に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号7のアミノ酸973~1,107に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【請求項94】
CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物において、前記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号8のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、
a)ドメインAは、配列番号8のアミノ酸1~50に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号8のアミノ酸51~85に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号8のアミノ酸86~235に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号8のアミノ酸236~443に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号8のアミノ酸444~506に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号8のアミノ酸507~537に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号8のアミノ酸538~652に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号8のアミノ酸653~665に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号8のアミノ酸666~803に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号8のアミノ酸804~896に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号8のアミノ酸897~1,044に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む、
天然に存在しない組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月30日に出願された米国仮特許出願第63/119,375号明細書、2020年11月23日に出願された米国仮特許出願第63/117,163号明細書、及び2020年10月21日に出願された米国仮特許出願第63/094,535号明細書の利益を主張し、これらの内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願全体を通して、括弧内の参照物を含め、さまざまな刊行物が参照される。本出願で言及されるあらゆる刊行物の開示内容は、本発明が関係する技術分野及び本発明と共に使用することができる当技術分野における特徴の追加的説明を提供するために、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0003】
配列表の参照
本願は、「211020_91629-A-PCT_Sequence_Listing_AWG.txt」と称するファイルに存在するヌクレオチド配列を参照により援用するが、これは、サイズが217キロバイトであり、MS-Windows(登録商標)とオペレーティングシステム互換性を有するIBM-PCマシンのフォーマットで2021年10月19日に作成され、本出願の一部として2021年10月20日に提出されたテキストファイル中に含まれる。
【0004】
技術分野
本発明は、とりわけ、ゲノム編集のための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0005】
細菌及び古細菌適応免疫の規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)システムは、タンパク質組成及びゲノム遺伝子座構造の極端な多様性を示している。CRISPRシステムは、研究及びゲノム工学のための重要なツールとなっている。それにもかかわらず、CRISPRシステムの多くの詳細は決定されておらず、CRISPRヌクレアーゼの適用性は、配列特異性の要件、発現、又は送達の課題によって制限され得る。さまざまなCRISPRヌクレアーゼは、サイズ、PAM部位、オンターゲット活性、特異性、切断パターン(平滑末端、スタッガー末端など)、切断後のインデル形成の顕著なパターンなど、多様な特徴を有する。特徴のさまざまな組合せが、種々の用途に役立ち得る。例えば、いくつかのCRISPRヌクレアーゼは、PAM部位の制限のために他のCRISPRヌクレアーゼが実施できない特定のゲノム遺伝子座をターゲティングすることができる。さらに、現在使用されている一部のCRISPRヌクレアーゼは免疫前を示し、インビボでの適用性を制限する可能性がある。Charlesworth et al., Nature Medicine (2019)及びWagner et al., Nature Medicine (2019)を参照されたい。したがって、新たなCRISPRヌクレアーゼの発見、操作、及び改良が重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ゲノム工学、エピゲノム工学、ゲノムターゲティング、細胞のゲノム編集、及び/又はインビトロ診断に使用することができる組成物及び方法が本明細書に開示される。
【0007】
開示される組成物は、ゲノムDNA配列を修飾するために使用することができる。本明細書で用いられる場合、ゲノムDNAは、目的の1つ又は複数の細胞中に存在する直鎖状及び/若しくは染色体DNA並びに/又はプラスミドあるいは他の染色体外DNA配列を指す。一部の実施形態では、目的の細胞は、真核細胞である。一部の実施形態では、目的の細胞は、原核細胞である。一部の実施形態では、本方法は、ゲノムDNA配列中の予め決定された標的部位に二本鎖切断(DSB)を生じ、その結果、ゲノム中の標的部位におけるDNA配列の変異、挿入、及び/又は欠失をもたらす。
【0008】
したがって、一部の実施形態では、組成物は、規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)ヌクレアーゼを含む。一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、CRISPR関連タンパク質である。
【0009】
OMNI CRISPRヌクレアーゼ
本発明の実施形態は、表1に記載されるように「OMNI」ヌクレアーゼと称されるCRISPRヌクレアーゼを提供する。
【0010】
本発明はまた、配列番号1~8からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子を含む、天然に存在しない組成物を提供する。
【0011】
本発明は、哺乳動物細胞のゲノム内の標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法を提供し、これは、(i)配列番号1~8からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するCRISPRヌクレアーゼを含む組成物、若しくは配列番号9~24からなる群より選択される核酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子、又は(ii)標的DNA中の配列と相補的な塩基配列を含む、DNAターゲティングRNA分子、若しくはDNAターゲティングRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドを細胞に導入するステップを含む。
【0012】
本発明はまた、以下:
a)直接反復配列に連結されたガイド配列部分を含む1つ以上のRNA分子であって、上記ガイド配列は、標的配列、又は上記1つ以上のRNA分子をコードする1つ以上のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができる、1つ以上のRNA分子と;
b)配列番号1~8からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又は上記CRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子
を含むCRISPR関連システムを含み;
ここで、上記1つ以上のRNA分子は、上記標的配列にハイブリダイズし、また、上記標的配列は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の相補配列の3’末端に隣接し、且つ、上記1つ以上のRNA分子が、上記RNA誘導ヌクレアーゼと複合体を形成する、天然に存在しない組成物も提供する。
【0013】
本発明はまた、以下:
a)配列番号1~8からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又は上記CRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子と;
b)以下:
i)CRISPRヌクレアーゼと相互作用し得る/結合することができるヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列;及び
ii)標的DNA配列中の配列と相補的な配列を含むRNAヌクレオチド配列をターゲティングするDNA、
のうちの少なくとも1つを含む、1つ以上のRNA分子、又は1つ以上のRNA分子をコードする1つ以上のDNAポリヌクレオチドと、
を含み、ここで、上記CRISPRヌクレアーゼは、1つ以上のRNA分子と複合体化して、標的DNA配列とハイブリダイズすることができる複合体を形成することができる、天然に存在しない組成物も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1は、OMNI-75のcrRNA-tracrRNA部分を含むシングルガイドRNA(sgRNA)の予測される二次構造である。
図1A:OMNI-75のネイティブ未成熟crRNA-tracrRNA二重鎖であり、sgRNAのcrRNA及びtracrRNA部分が明示されている。
【
図1B-1D】
図1B:
図1Aでは三角形で表示されているとおり、ネイティブ構造に対して二重鎖短縮を含むV1 sgRNA設計の例。
図1C:
図1Aに三角形で表示されるとおり、ネイティブ構造に対して二重鎖短縮を含むV2 sgRNA設計の例。
図1D:V2に基づくU6プロモーター下でポリ-Tを回避するためのV3 sgRNA修飾。
【
図2A】
図2は、無細胞転写翻訳(TXTL)システムにおけるOMNI-75ヌクレアーゼによるインビトロPAM欠失を示す。PAMロゴは、欠失した部位の割合の概略図である。無細胞インビトロTXTLシステムにおけるOMNI-75ヌクレアーゼの8bp配列に沿って考えられる全てのPAM位置の凝縮された4Nウィンドウライブラリーが示されている。インビトロPAM部位のために作製された配列モチーフは、欠失アッセイ結果に基づく。活性は、次のように計算される:1-欠失スコア。
図2A:OMNI-75sgRNA v1のインビトロPAM欠失結果。
【
図2B】OMNI-75sgRNA v2のインビトロPAM欠失結果。
【
図2C】OMNI-75sgRNA v3のインビトロPAM欠失結果。
【
図3A】
図3は、OMNI-68のシングルガイドRNA(sgRNA)(crRNA-tracrRNA)の予測される二次構造である。sgRNAのcrRNA及びtracrRNA部分が明示される。
図3A:ネイティブ未成熟crRNA-tracrRNA二重鎖。
【
図3B-3C】
図3B:ネイティブと比較して二重鎖短縮(Aにおいて三角形で示す)を含むsgRNA設計のV1及びV3の例。
図3C:それに合致するV1及びV3からのV2及びV4ガイド修飾(表2)。
【
図4A】
図4は、OMNIヌクレアーゼについてのTXTLによるインビトロPAM欠失の結果を示す。PAMロゴは、欠失した部位の割合の概略図である。無細胞インビトロTXTLシステムにおける各OMNIヌクレアーゼの8bp配列に沿って考えられる全てのPAM位置の凝縮された4Nウィンドウライブラリーが示される。インビトロPAM部位のために作製された配列モチーフは、欠失アッセイ結果に基づく。活性は、2つの最も欠失した配列の平均に基づいて推定され、次のように計算された:1-欠失スコア。OMNI-68sgRNA v1及びv2についてのインビトロPAM欠失結果が描かれる。
【
図4B】OMNI-68sgRNA v3及びv4が描かれる。
【
図4C】OMNI-78sgRNA v1及びv2が描かれる。
【
図5A】
図5は、OMNI-58のシングルガイドRNA(sgRNA)(crRNA-tracrRNA)の予測される二次構造である。sgRNAのcrRNA及びtracrRNA部分が明示される。
図5A:ネイティブ未成熟crRNA-tracrRNA二重鎖。
【
図5B-5C】
図5B:ネイティブと比較して二重鎖短縮(Aにおいて三角形で示す)を含むsgRNA設計のV1及びV2の例。
図5C:下部ステム二重鎖形態V1内のV3ガイド修飾(三角形で示す、sgRNA、表2)。
【
図6A】
図6は、OMNIヌクレアーゼについてのTXTLによるインビトロPAM欠失の結果を示す。PAMロゴは、欠失した部位の割合の概略図である。無細胞インビトロTXTLシステムにおける各OMNIヌクレアーゼの8bp配列に沿って考えられる全てのPAM位置の凝縮された4Nウィンドウライブラリーが示される。インビトロPAM部位のために作製された配列モチーフは、欠失アッセイ結果に基づく。活性は、2つの最も欠失した配列の平均に基づいて推定され、次のように計算された:1-欠失スコア。OMNI-56sgRNA v1及びv2についてのインビトロPAM欠失結果が描かれている。
【
図6B】OMNI-56sgRNA v3が描かれている。
【
図6C】OMNI-58sgRNA v1及びv2が描かれている。
【
図6D】OMNI-58sgRNA v3が描かれている。
【
図6E】OMNI-65sgRNA v1及びv2が描かれている。
【
図6F】OMNI-65sgRNA v3及びv4が描かれている。
【
図6G】OMNI-71sgRNA v1及びv2が描かれている。
【
図6H】OMNI-84sgRNA v1が描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のいくつかの態様によれば、開示される組成物は、規則的な間隔でクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)ヌクレアーゼ及び/又はそれをコードする配列を有する核酸分子を含む。
【0016】
表1は、新規のCRISPRヌクレアーゼ、並びに、各ヌクレアーゼ内の1つ以上の位置で、ヌクレアーゼをニッカーゼ又は触媒として不活性のヌクレアーゼに変換する置換を列挙する。補足表1は、各ヌクレアーゼ内の同定された各ドメインの位置を列挙する。
【0017】
表2は、列挙されている各CRISPRヌクレアーゼと適合性のcrRNA、tracrRNA、及びシングルガイドRNA(sgRNA)配列、並びにcrRNA、tracrRNA、及びsgRNA配列の部分を記載する。したがって、crRNA:tracrRNA複合体の一部として表2に列挙されたOMNIヌクレアーゼに結合し、それをターゲティングすることができるcrRNA分子は、表2に列挙された任意のcrRNA配列を含み得る。同様に、crRNA:tracrRNA複合体の一部として表2に列挙されたOMNIヌクレアーゼに結合し、それをターゲティングすることができるtracrRNA分子は、表2に列挙された任意のtracrRNA配列を含み得る。また、表2に列挙されたOMNIヌクレアーゼに結合し、それをターゲティングすることができるシングルガイドRNA分子は、表2に列挙された任意の配列を含み得る。
【0018】
例えば、OMNI-75ヌクレアーゼ(配列番号6)のcrRNA分子は、配列番号139、141、143、145、153、及び157~159のいずれか1つの配列を含んでもよく;OMNI-75ヌクレアーゼのtracrRNA分子は、配列番号140、142、144、146~151、154、及び155のいずれか1つの配列を含んでもよく;OMNI-75ヌクレアーゼのsgRNA分子は、配列番号139~160のいずれか1つの配列を含んでもよい。各OMNIヌクレアーゼのcrRNA分子、tracrRNA分子、又はsgRNA分子は、同様に表2に列挙した配列に由来するものであってよい。
【0019】
本発明の一部の実施形態によれば、配列番号6、1~5、及び7~8からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子を含む、天然に存在しない組成物が提供される。
【0020】
一部の実施形態では、組成物は、1つ以上のRNA分子、又は1つ以上のRNA分子のいずれか1つをコードするDNAポリヌクレオチドを更に含み、ここで、1つ以上のRNA分子とCRISPRヌクレアーゼは、天然では一緒に存在せず、1つ以上のRNA分子は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、及び/又はこの複合体を標的部位にターゲティングさせるように構成される。
【0021】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号139~160からなる群から選択される配列を含む。
【0022】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号139、141、143、145、153、及び157~159からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0023】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号140、142、144、146~151、154、及び155からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0024】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号139~160からなる群から選択される配列部分とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0025】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号25~46からなる群から選択される配列を含む。
【0026】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号25、27、29、31、41、及び44からなる群から選択される配列部分とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0027】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号26、28、30、32~39、42、及び45からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0028】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号25~46からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0029】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号47~68からなる群から選択される配列を含む。
【0030】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号47、49、57、及び59からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0031】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号48、50~55、58、60~63、及び65~67からなる群に記載の配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0032】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号47~68からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0033】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号69~97からなる群から選択される配列を含む。
【0034】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号69、71、73、83、85、88、89、及び93~96からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0035】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号70、72、74~81、84、86、90、及び91からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0036】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号69~97からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0037】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号98~126からなる群から選択される配列を含む。
【0038】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号98、100、102、112、113、117、119、及び122~125からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0039】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号99、101、103~110、114、115、118、及び120からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0040】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号98~126からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0041】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号:GUUCCGGUU及び127~138からなる群から選択される配列を含む。
【0042】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号:GUUCCGGUU、127~132、135、及び137からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0043】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号134及び136からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0044】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号:GUUCCGGUU及び127~138からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子を含む。
【0045】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号161~177からなる群から選択される配列を含む。
【0046】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号161、163、165、167、及び175からなる群から選択される配列を含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0047】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号162、164、166、168~173、及び176からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0048】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号161~177からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0049】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、配列番号178~193からなる群から選択される配列を含む。
【0050】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号178、180、182、及び184からなる群から選択される配列とを含むCRISPR RNA(crRNA)分子である。
【0051】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号179、181、183、及び185~192からなる群に記載される配列を含むトランス活性化型CRISPR RNA(tracrRNA)分子を更に含む。
【0052】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、少なくとも1つのRNA分子は、ガイド配列部分と、配列番号178~193からなる群から選択される配列とを含むシングルガイドRNA(sgRNA)分子である。
【0053】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E503、H737又はD740でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0054】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D592、H593又はN616でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置D592のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0055】
一部の実施形態では、上記CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E503、H737又はD740のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D592、H593又はN616でのいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置D592のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0056】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E504、H756又はD759でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0057】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置E584、H585又はN608でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置E584のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である。
【0058】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E504、H756又はD759のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置E584、H585又はN608のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置E584のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である。
【0059】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D18、E516、H753又はD756でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0060】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D601、H602又はN625でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置D601のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0061】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D18、E516、H753又はD756のいずれか1つでのアミノ酸置換及び位置D601、H602又はN625のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置D601のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0062】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D8、E538、H776又はD779でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0063】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D625、H626又はN649でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置D625のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0064】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D8、E538、H776又はD779のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D625、H626又はN649のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置D625のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0065】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D18、E548、H786、又はD789でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0066】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D635、H636又はN659でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置D635のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0067】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D18、E548、H786又はD789のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D635、H636又はN659のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、D635位のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0068】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D8、E523、H758又はD761でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0069】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置E607、H608又はN631でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置E607のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である。
【0070】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D8、E523、H758又はD761のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置E607、H608又はN631のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置E607のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である。
【0071】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D11、E537、H779又はD782でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0072】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D622、H623又はN646でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置D622のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0073】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D11、E537、H779又はD782のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D622、H623又はN646のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置D622のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0074】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E500、H731又はD734でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼである。
【0075】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D582、H583又はN606でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、ここで、位置D582のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0076】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E500、H731又はD734のいずれか1つでのアミノ酸置換と、位置D582、H583又はN606のいずれか1つでのアミノ酸置換により生成される、触媒として不活性のヌクレアーゼであり、ここで、位置D582のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態によれば、無細胞系又は細胞のゲノム内のDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法が提供され、これは、請求項2~58のいずれか1項に記載の組成物を細胞に導入するステップを含む。
【0078】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NNRNGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0079】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E504、H756又はD759でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0080】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置E584、H585又はN608でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置E584のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である。
【0081】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NNNNCCAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0082】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D18、E516、H753又はD756でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0083】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D601、H602又はN625でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置D601のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0084】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NNNVTAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0085】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D8、E538、H776又はD779でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0086】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D625、H626又はN649でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置D625のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0087】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NNNVTAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0088】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D18、E548、H786又はD789でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0089】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D635、H636又はN659でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置D635のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0090】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0091】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D8、E523、H758又はD761でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0092】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置E607、H608又はN631でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置E607のアミノ酸置換は、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)への置換以外の置換である。
【0093】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NNGNRAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0094】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E503、H737又はD740でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0095】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D592、H593又はN616でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置D592のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0096】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NRRNATプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、及び/又は、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0097】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D11、E537、H779又はD782でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0098】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D622、H623又はN646でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置D622のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0099】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、NNNNGCAAプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接するDNA鎖切断、及び/又はPAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0100】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D9、E500、H731又はD734でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列に隣接するDNA鎖切断をもたらす。
【0101】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、位置D582、H583又はN606でのアミノ酸置換により生成されるニッカーゼであり、PAM配列と相補的な配列に隣接するDNA鎖切断をもたらし、ここで、位置D582のアミノ酸置換は、アスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換以外の置換である。
【0102】
一部の実施形態では、細胞は、真核細胞又は原核細胞である。
【0103】
一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。
【0104】
一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。
【0105】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号1のアミノ酸1~50に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号1のアミノ酸51~88に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号1のアミノ酸89~241に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号1のアミノ酸242~454に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号1のアミノ酸455~510に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号1のアミノ酸511~541に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号1のアミノ酸542~655に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号1のアミノ酸656~670に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号1のアミノ酸671~869に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号1のアミノ酸870~1,043に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;及び
k)ドメインKは、配列番号1のアミノ酸1,044~1,203に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0106】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号2のアミノ酸1~58に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号2のアミノ酸59~94に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号2のアミノ酸95~249に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号2のアミノ酸250~465に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号2のアミノ酸466~522に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号2のアミノ酸523~553に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号2のアミノ酸554~675に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号2のアミノ酸676~691に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号2のアミノ酸692~822に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号2のアミノ酸823~898に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号2のアミノ酸899~1,021に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0107】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号3のアミノ酸1~44に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号3のアミノ酸45~80に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号3のアミノ酸81~260に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号3のアミノ酸261~487に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号3のアミノ酸488~544に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号3のアミノ酸545~575に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号3のアミノ酸576~694に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号3のアミノ酸695~710に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号3のアミノ酸711~869に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号3のアミノ酸870~1,016に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号3のアミノ酸1,017~1,140に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0108】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号4のアミノ酸1~55に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号4のアミノ酸56~90に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号4のアミノ酸91~270に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号4のアミノ酸271~497に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号4のアミノ酸498~554に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号4のアミノ酸555~585に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号4のアミノ酸586~704に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号4のアミノ酸705~720に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号4のアミノ酸721~879に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号4のアミノ酸880~1,026に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号4のアミノ酸1,027~1,150に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0109】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)上記ドメインAは、配列番号5のアミノ酸1~46に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号5のアミノ酸47~82に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号5のアミノ酸83~254に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号5のアミノ酸255~455に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号5のアミノ酸456~529に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号5のアミノ酸530~559に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号5のアミノ酸560~671に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号5のアミノ酸672~690に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号5のアミノ酸691~827に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号5のアミノ酸828~930に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号5のアミノ酸931~1,053に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0110】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号6のアミノ酸1~40に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号6のアミノ酸41~75に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号6のアミノ酸76~222に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号6のアミノ酸223~454に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号6のアミノ酸455~508に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号6のアミノ酸509~542に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号6のアミノ酸543~663に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号6のアミノ酸664~679に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号6のアミノ酸680~837に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号6のアミノ酸838~993に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号6のアミノ酸994~1,153に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0111】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号7のアミノ酸1~58に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号7のアミノ酸59~93に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号7のアミノ酸94~258に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号7のアミノ酸259~479に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号7のアミノ酸480~543に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号7のアミノ酸544~572に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号7のアミノ酸573~685に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号7のアミノ酸686~701に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号7のアミノ酸702~861に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号7のアミノ酸862~972に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号7のアミノ酸973~1,107に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0112】
本発明の一部の実施形態によれば、CRISPRヌクレアーゼを含む、天然に存在しない組成物が提供され、この場合、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8のドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含み、ここで、
a)ドメインAは、配列番号8のアミノ酸1~50に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
b)ドメインBは、配列番号8のアミノ酸51~85に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
c)ドメインCは、配列番号8のアミノ酸86~235に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
d)ドメインDは、配列番号8のアミノ酸236~443に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
e)ドメインEは、配列番号8のアミノ酸444~506に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
f)ドメインFは、配列番号8のアミノ酸507~537に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
g)ドメインGは、配列番号8のアミノ酸538~652に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
h)ドメインHは、配列番号8のアミノ酸653~665に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
i)ドメインIは、配列番号8のアミノ酸666~803に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
j)ドメインJは、配列番号8のアミノ酸804~896に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含み;
k)ドメインKは、配列番号8のアミノ酸897~1,044に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列を含む。
【0113】
一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1~8のいずれかに記載のCRISPRヌクレアーゼに対して、少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、又は82%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号9~24からなる群から選択される核酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する。
【0114】
本発明のいくつかの態様によれば、開示される組成物は、CRISPRヌクレアーゼ若しくは変異体CRISPRヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含むDNA構築物又はベクターシステムを含む。一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼ若しくは変異体CRISPRヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列は、目的の細胞において作動可能なプロモーターに作動可能に連結される。一部の実施形態では、目的の細胞は、真核細胞である。一部の実施形態では、目的の細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、操作されたCRISPRヌクレアーゼをコードする核酸配列は、特定の生物由来の細胞に使用するために最適化されたコドンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼをコードする核酸配列は、大腸菌(E. coli)に対して最適化されたコドンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼをコードする核酸配列は、真核細胞に対して最適化されたコドンである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼをコードする核酸配列は、哺乳動物細胞に対して最適化されたコドンである。
【0115】
一部の実施形態では、上記組成物は、組換え核酸を含み、これは、配列番号1~8のいずれかに対して少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%の同一性を有するCRISPR酵素をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターを含む。各々の可能性が個別の実施形態を提示する。
【0116】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号9及び17からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0117】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号10及び18からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0118】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号11及び19からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0119】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号12及び20からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0120】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号13及び21からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0121】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号14及び22からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0122】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号7に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号15及び23からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0123】
上記組成物の一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の同一性を有するか、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列は、配列番号16及び24からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%の配列同一性を有する。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、操作されているか、若しくは天然に存在しない組成物が提供され、これは、配列番号1~8からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を有する核酸分子を含む。各々の可能性は個別の実施形態を提示する。
【0125】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、操作されているか、又は天然に存在しない。CRISPRヌクレアーゼはまた、組換えであってもよい。こうしたCRISPRヌクレアーゼは、実験室的方法(分子クローニングなど)を使用して生成され、複数の供給源からの遺伝物質を互いに連結し、そうでなければ生物には存在しない配列を作出する。
【0126】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、DNAターゲティングRNA分子(gRNA)と相互作用することができるRNA結合部分と、部位特異的酵素活性を示す活性部分とを更に含む。
【0127】
一実施形態では、組成物は、DNAターゲティングRNA分子又はDNAターゲティングRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドを更に含み、ここで、DNAターゲティングRNA分子は、ガイド配列部分、即ち、標的領域内の配列と相補的なヌクレオチド配列を含み、ここで、DNAターゲティングRNA分子とCRISPRヌクレアーゼは、天然では一緒に存在しない。
【0128】
一実施形態では、DNAターゲティングRNA分子は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができるヌクレオチド配列を更に含む。
【0129】
本発明はまた、以下:
a)直接反復配列に連結されたガイド配列部分を含む1つ以上のRNA分子であって、上記ガイド配列は、標的配列、又は上記1つ以上のRNA分子をコードする1つ以上のヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能である、1つ以上のRNA分子と;
b)配列番号1~8からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子と;
を含み;
ここで、上記1つ以上のRNA分子は、標的配列にハイブリダイズし、標的配列は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3’側であり、1つ以上のRNA分子は、RNA誘導ヌクレアーゼと複合体を形成する、CRISPR関連システムを含む天然に存在しない組成物も提供する。
【0130】
一実施形態では、上記組成物は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができるヌクレオチド配列を含むRNA分子(例えば、tracrRNA分子)又はCRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができるRNA分子をコードする配列を含むDNAポリヌクレオチドを更に含む。
【0131】
一実施形態では、上記組成物は、相同組換え修復(HDR)のためのドナー鋳型を更に含む。
【0132】
一実施形態では、組成物は、細胞のゲノムにおける標的領域を編集することができる。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、以下:
(a)CRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドであって、
RNA結合部分;及び
部位特異的酵素活性を示す活性部分を含み、上記CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1~8のいずれかに対して少なくとも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%の同一性を有する、CRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドと;
(b)1つ以上のRNA分子又は上記1つ以上のRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドであって、以下:
i)標的DNA配列中の配列と相補的なヌクレオチド配列を含むDNAターゲティングRNA配列;及び
ii)CRISPRヌクレアーゼのRNA結合部分と相互作用することができるタンパク質結合RNA配列
を含む、1つ以上のRNA分子又は上記1つ以上のRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドと、
を含む天然に存在しない組成物が提供され、
ここで、上記DNAターゲティングRNA配列と上記CRISPRヌクレアーゼは、天然では一緒に存在しない。各々の可能性は、個別の実施形態を提示する。
【0134】
一部の実施形態では、DNAターゲティングRNA配列及びタンパク質結合RNA配列を含む単一のRNA分子が提供され、ここで、上記RNA分子は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成して、DNAターゲティングモジュールとして機能することができる。一部の実施形態では、RNA分子は、最大1000塩基、900塩基、800塩基、700塩基、600塩基、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、100塩基、50塩基までの長さを有する。各々の可能性は、個別の実施形態を提示する。一部の実施形態では、DNAターゲティングRNA配列を含む第1のRNA分子と、タンパク質結合RNA配列を含む第2のRNA分子とが、塩基対形成により相互作用するか、あるいは、互いに融合して、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、DNAターゲティングモジュールとして機能する1つ以上のRNA分子を形成する。
【0135】
本発明はまた、以下:
a)配列番号1~8からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含むCRISPRヌクレアーゼ、又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子;及び
b)1つ以上のRNA分子、又は1つ以上のRNA分子をコードする1つ以上のDNAポリヌクレオチドであって、以下:
i)CRISPRヌクレアーゼと相互作用する/結合することができるヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列;及び
ii)標的DNA配列中の配列と相補的な配列を含むDNAターゲティングRNA塩基配列
のうち少なくとも1つを含む、1つ以上のRNA分子、又は1つ以上のRNA分子をコードする1つ以上のDNAポリヌクレオチドと、
を含む天然に存在しない組成物も提供し、
ここで、CRISPRヌクレアーゼは、1つ以上のRNA分子と複合体化して、標的DNA配列とハイブリダイズすることが可能な複合体を形成することができる。
【0136】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼ及び1つ以上のRNA分子は、標的DNA配列に結合して、標的DNA配列の切断をもたらすことができるCRISPR複合体を形成する。
【0137】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼと、1つ以上のRNA分子の少なくとも1つは、天然では一緒に存在しない。
【0138】
一実施形態では、
a)CRISPRヌクレアーゼは、RNA結合部分と、部位特異的酵素活性を示す活性部分とを含み;
b)DNAターゲティングRNAヌクレオチド配列は、標的DNA配列中の配列と相補的なヌクレオチド配列を含み;
c)ヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列は、CRISPRヌクレアーゼのRNA結合部分と相互作用する配列を含む。
【0139】
一実施形態では、ヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列及びDNAターゲティングRNAヌクレオチド配列は、シングルガイドRNA分子(sgRNA)上にあり、ここで、sgRNA分子は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成して、DNAターゲティングモジュールとして機能することができる。
【0140】
一実施形態では、ヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列は、第1のRNA分子上にあり、DNAターゲティングRNAヌクレオチド配列は、第2のRNA分子上にあり、ここで、第1及び第2のRNA分子は、塩基対形成によって相互作用するか、又は一緒に融合して、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、DNAターゲティングモジュールとして機能する、RNA複合体又はsgRNAを形成する。
【0141】
一実施形態では、sgRNAは、最大1000塩基、900塩基、800塩基、700塩基、600塩基、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、100塩基、50塩基の長さを有する。
【0142】
一実施形態では、組成物は、相同組換え修復(HDR)のためのドナー鋳型を更に含む。
【0143】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは非天然に存在する。
【0144】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、操作され、非天然又は合成アミノ酸を含む。
【0145】
実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、操作され、核局在化配列(NLS)、細胞透過性ペプチド配列、及び/又は親和性タグのうちの1つ以上を含む。
【0146】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、真核細胞の核内で検出可能な量のCRISPRヌクレアーゼを含むCRISPR複合体の蓄積を促進するのに十分な強度の1つ以上の核局在配列を含む。
【0147】
本発明はまた、無細胞系又は細胞のゲノム内の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾する方法も提供し、これは、本発明の組成物のいずれかを細胞に導入するステップを含む。
【0148】
一実施形態では、細胞は、真核細胞である。
【0149】
別の実施形態では、細胞は、原核細胞である。
【0150】
一部の実施形態では、1つ以上のRNA分子は、RNAヌクレアーゼと複合体を形成することができるヌクレオチド分子を含むRNA配列(tracrRNA)、又はCRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができるヌクレオチド配列を含むRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドを更に含む。
【0151】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、アミノ末端又はその付近に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくはそれ以上のNLS、カルボキシ末端又はその付近に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくはそれ以上のNLS、あるいは、アミノ末端又はその付近に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくはそれ以上のNLSとカルボキシ末端又はその付近に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくはそれ以上のNLSとの組合せ、を含む。一実施形態では、1~4つのNLSがCRISPRヌクレアーゼと融合される。一実施形態では、NLSは、CRISPRヌクレアーゼのオープンリーディングフレーム(ORF)内に位置する。
【0152】
発現したタンパク質のアミノ末端若しくはその付近、カルボキシ末端若しくはその付近、又はORF内でNLSを融合させる方法は、当技術分野において周知である。一例として、NLSをCRISPRヌクレアーゼのアミノ末端に融合させるために、NLSの核酸配列を、NLS融合CRISPRヌクレアーゼをコードする核酸上のCRISPRヌクレアーゼの開始コドンの直後に配置する。反対に、NLSをCRISPRヌクレアーゼのカルボキシ末端に融合させるために、NLSの核酸配列は、CRISPRヌクレアーゼの最後のアミノ酸をコードするコドンの後で、且つ終止コドンの前に配置する。
【0153】
本発明において、CRISPRヌクレアーゼのORFに沿った任意の位置におけるNLS、細胞透過性ペプチド配列、及び/又は親和性タグの任意の組合せが企図される。
【0154】
本明細書に提供されるCRISPRヌクレアーゼのアミノ酸配列及び核酸配列は、CRISPRヌクレアーゼの連続したアミノ酸配列又は核酸配列に介在するように挿入されたNLS及び/又はTAGを含み得る。
【0155】
一実施形態では、1つ以上のNLSは、タンデムリピートである。
【0156】
一実施形態では、NLSに最も近傍のアミノ酸が、N末端又はC末端からポリペプチド鎖に沿って約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50、若しくはそれ以上のアミノ酸内にある場合、1つ以上のNLSは、N-又はC-末端に近接していると考えられる。
【0157】
詳述するように、CRISPRヌクレアーゼは、核局在化配列(NLS)、細胞透過性ペプチド配列、及び/又は親和性タグのうちの1つ以上を含むように操作され得る。
【0158】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、1つ以上のRNA分子と複合体化された場合、野生型のCRISPRヌクレアーゼと比較して、標的部位に対する特異性の増大を示す。
【0159】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼと1つ以上のRNA分子との複合体は、野生型のCRISPRヌクレアーゼと比較して、標的部位の少なくとも維持されたオンターゲット編集活性、及びオフターゲット活性の低減を呈示する。
【0160】
一実施形態では、組成物は、CRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含むヌクレオチド酸分子に作動可能に連結された異種プロモーターを含む組換え核酸分子を更に含む。
【0161】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼ又はCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子は、天然に存在しないか、又は操作されている。
【0162】
本発明はまた、本発明のCRISPRヌクレアーゼのいずれかをコードする配列を含む核酸分子を含有するベクター系を含む、天然に存在しないか、操作された組成物も提供する。
【0163】
本発明はまた、対象のゲノム内の標的部位のヌクレオチド配列を修飾するステップを含む、ゲノム変異に関連する疾患に罹患した対象の治療のための本発明の組成物のいずれかの使用を提供する。
【0164】
本発明は、哺乳動物細胞のゲノムにおける標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法を提供し、これは、(i)配列番号1~8からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するCRISPRヌクレアーゼ、又は配列が、配列番号9~24からなる群より選択される核酸に対して少なくとも95%の同一性を有するCRISPRヌクレアーゼをコードする配列を含む核酸分子を含有する組成物と、(ii)標的DNA中の配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、DNAターゲティングRNA分子、又はDNAターゲティングRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドを上記細胞に導入するステップを含む。
【0165】
一部の実施形態では、本方法は、エクスビボで行われる。一部の実施形態では、本方法は、インビボで行われる。一部の実施形態では、本方法のいくつかのステップはエクスビボで行われ、いくつかのステップはインビボで実施される。一部の実施形態では、哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。
【0166】
一実施形態では、本方法は、(iii)tracrRNA配列を含むRNA分子、又はtracrRNA配列を含むRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドを細胞に導入することを更に含む。
【0167】
一実施形態では、DNAターゲティングRNA分子は、crRNAリピート配列を含む。
【0168】
一実施形態では、tracrRNA配列を含むRNA分子は、DNAターゲティングRNA分子に結合することができる。
【0169】
一実施形態では、DNAターゲティングRNA分子と、tracrRNA配列を含むRNA分子が相互作用してRNA複合体を形成し、RNA複合体は、CRISPRヌクレアーゼと活性複合体を形成することができる。
【0170】
一実施形態では、DNAターゲティングRNA分子と、ヌクレアーゼ結合RNA配列を含むRNA分子が、CRISPRヌクレアーゼとの活性複合体を形成するのに好適なシングルガイドRNA分子の形態で融合される。
【0171】
一実施形態では、ガイド配列部分は、プロトスペーサー配列と相補的な配列を含む。
【0172】
一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、DNAターゲティングRNA分子と一緒に複合体を形成し、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の3’又は5’側の領域に二本鎖切断をもたらす。
【0173】
本明細書に記載の方法のいずれかの一実施形態では、本方法は、ゲノム変異に関連する疾患に罹患した対象を治療することを目的とし、対象のゲノム内の標的部位のヌクレオチド配列を修飾するステップを含む。
【0174】
一実施形態では、本方法は、まず、ゲノム変異に関連する疾患に罹患した対象を選択するステップと、上記対象から細胞を取得するステップを含む。
【0175】
本発明はまた、本明細書に記載の方法のいずれかによって得られる修飾細胞又は細胞も提供する。一実施形態では、これらの修飾細胞又は細胞は、子孫細胞を産生することができる。一実施形態では、これらの修飾細胞又は細胞は、生着後に子孫細胞を産生することができる。
【0176】
本発明はまた、上記修飾細胞と、薬学的に許容される担体を含む組成物も提供する。また、上記組成物を調製するインビトロ又はエクスビボでの方法も提供され、これは、細胞を薬学的に許容される担体と混合することを含む。
【0177】
DNAターゲティングRNA分子
RNA分子の「ガイド配列部分」とは、特定の標的DNA配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を指し、例えば、ガイド配列部分は、ガイド配列部分の長さに沿ってターゲティングされるDNA配列に対して部分的又は完全に相補的なヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、ガイド配列部分は、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49若しくは50ヌクレオチド長、又は約17~50、17~49、17~48、17~47、17~46、17~45、17~44、17~43、17~42、17~41、17~40、17~39、17~38、17~37、17~36、17~35、17~34、17~33、17~31、17~30、17~29、17~28、17~27、17~26、17~25、17~24、17~22、17~21、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~22、18~20、20~21、21~22、若しくは17~20ヌクレオチド長である。ガイド配列部分の全長は、ガイド配列部分の長さに沿ってターゲティングされるDNA配列と完全に相補的である。ガイド配列部分は、CRISPR複合体のDNAターゲティング部分として機能するガイド配列部分を有するCRISPRヌクレアーゼと一緒に複合体を形成し得るRNA分子の一部であってもよい。ガイド配列部分を有するDNA分子が、CRISPR分子と同時に存在する場合、RNA分子は、CRISPRヌクレアーゼを特定の標的DNA配列にターゲティングさせることができる。各々の可能性は、個別の実施形態を提示する。RNA分子は、任意の所望の配列を標的とするようにカスタム設計することができる。したがって、「ガイド配列部分」を含む分子は、1タイプのターゲティング分子である。本出願全体を通して、「ガイド分子」、「RNAガイド分子」、「ガイドRNA分子」、及び「gRNA分子」という用語は、ガイド配列部分を含む分子と同義であり、用語「スペーサー」は、「ガイド配列部分」と同義である。
【0178】
本発明の複数の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ヌクレオチドを有するガイド配列部分を含むRNA分子と一緒に使用されるとき、その最大切断活性を有する。
【0179】
シングルガイドRNA(sgRNA)分子を使用して、CRISPRヌクレアーゼを所望の標的部位に指向させることができる。シングルガイドRNAは、ガイド配列部分並びに足場部分を含む。足場部分は、CRISPRヌクレアーゼと相互作用し、ガイド配列部分と一緒に、CRISPRヌクレアーゼを活性化して、これを所望の標的部位にターゲティングさせる。足場部分を更に操作して、例えば、より小さいサイズを有するようにしてもよい。
【0180】
本発明のいくつかの態様によれば、開示される方法は、無細胞系又は細胞のゲノム内の標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法を含み、これは、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つの組成物を上記細胞に導入するステップを含む。
【0181】
一部の実施形態では、細胞は、真核細胞であり、好ましくは、哺乳動物細胞又は植物細胞である。
【0182】
本発明のいくつかの態様によれば、開示される方法は、ゲノム変異に関連する疾患に罹患した対象の治療のための本明細書に記載の組成物のいずれか1つの使用を含み、これは、対象のゲノム中の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾するステップを含む。
【0183】
本発明のいくつかの態様によれば、開示された方法は、変異障害を有する対象を治療する方法を含み、これは、変異障害に関連する対立遺伝子に本明細書に記載の組成物のいずれか1つをターゲティングさせるステップを含む。
【0184】
一部の実施形態では、変異障害は、新生物、加齢黄斑変性症、統合失調症、神経学的、神経変性、若しくは運動障害、脆弱X症候群、セクレターゼ関連障害、プリオン関連障害、ALS、中毒、自閉症、アルツハイマー病、好中球減少症、炎症関連障害、パーキンソン病、血液及び凝固の疾患並びに障害、ベータサラセミア、鎌状赤血球貧血、細胞調節不全及び腫瘍学の疾患並びに障害、炎症及び免疫関連の疾患並びに障害、代謝、肝臓、腎臓及びタンパク質の疾患並びに障害、筋肉及び骨格の疾患並びに障害、皮膚科の疾患及び障害、神経学的及び神経細胞の疾患並びに障害、並びに眼の疾患及び障害のいずれかから選択される疾患又は障害に関連する。
【0185】
OMNI CRISPRヌクレアーゼドメイン
CRISPRヌクレアーゼの特徴的な標的化ヌクレアーゼ活性は、その特定のドメインのさまざまな機能によって付与される。この用途では、OMNI CRISPRヌクレアーゼドメインは、ドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、及びドメインKとして定義される。
【0186】
各OMNI CRISPRヌクレアーゼドメインの活性は、本明細書に記載され、各ドメイン活性は、ヌクレアーゼの有利な特徴の態様を提供する。
【0187】
具体的には、OMNI CRISPRヌクレアーゼドメインA、ドメインE、及びドメインIは、OMNI CRISPRヌクレアーゼの構造単位を形成し、これは、DNA鎖切断に関与するヌクレアーゼ活性部位を含む。ドメインA、ドメインE、及びドメインIによって形成される構造単位は、二本鎖DNA標的部位で結合するガイドRNA分子によって置換されたDNA鎖を切断する。
【0188】
ドメインBは、OMNI CRISPRヌクレアーゼが標的DNA部位に結合した際のDNA切断活性の開始に関与する。
【0189】
ドメインC及びドメインDは、ガイドRNA分子に結合し、標的部位認識のための特異性の賦与に参加する。より具体的には、ドメインC及びドメインDは、DNA標的部位の感知に関与し、その際、ドメインDは、ヌクレアーゼドメイン(例えば、ドメインG)の活性化の調節に関与し、ドメインCは、標的部位のヌクレアーゼドメインのロックに関与する。したがって、ドメインC及びドメインDは、オフターゲット配列の切断の制御に関与する。
【0190】
ドメインFとドメインHは、リンカードメインである。
【0191】
ドメインGは、DNA鎖切断に関与するヌクレアーゼ活性部位を含む。ドメインGは、ガイドRNA分子が、DNA標的部位で結合するDNA鎖を切断する。
【0192】
ドメインJは、ガイドRNA分子又は複合体(例えば、tracrRNA分子、crRNA:tracrRNA複合体、又はsgRNA足場における結合領域)の認識にも関与する。
【0193】
ドメインKは、PAM部位の照合及び認識の局面を含め、OMNI CRISPRヌクレアーゼに対するPAM部位特異性の提供に関与している。ドメインKは、トポイソメラーゼ活性も実施する。
【0194】
他のCRISPRヌクレアーゼドメイン及びそれらの一般的な機能のさらなる説明は、とりわけ、Mir et al., ACS Chem. Biol. (2019), Palermo et al., Quarterly Reviews of Biophysics (2018), Jiang and Doudna, Annual Review of Biophysics (2017), Nishimasu et al., Cell (2014)及びNishimasu et al., Cell (2015)に見いだすことができ、参照により本明細書に援用される。
【0195】
本発明の一態様において、OMNI CRISPRヌクレアーゼドメインとの類似性を有するアミノ酸配列を、天然に存在しないペプチド、例えば、CRISPRヌクレアーゼの設計及び製造に使用して、上記ペプチドが、OMNI CRISPRヌクレアーゼドメイン活性の有利な特徴を示すようにすることができる。
【0196】
一実施形態では、このようなペプチド、例えば、CRISPRヌクレアーゼは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、又はドメインKの少なくとも1つのアミノ酸配列に対して少なくとも100%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、若しくは70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、上記ペプチドは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、又はドメインKの少なくとも1つのアミノ酸配列に対して少なくとも100%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、若しくは70%の同一性を有するアミノ酸配列から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、又は少なくとも11のアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、個別の実施形態を提示する。一部の実施形態では、ペプチドは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインG及びドメインIのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、上記ペプチドは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインG及びドメインIのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ペプチド、例えば、CRISPRヌクレアーゼは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインG及びドメインIそれぞれのアミノ酸配列に対して、少なくとも100%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、若しくは70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、上記ペプチドは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、又はドメインKのうちの少なくとも1つのアミノ酸配列と少なくとも100%、99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、若しくは70%の同一性を有するアミノ酸配列の外側の完全長OMNI CRISPRヌクレアーゼアミノ酸配列に対して広範囲にわたるアミノ酸可変性を呈示する。一実施形態では、ペプチドは、2つのドメイン配列間の介在アミノ酸配列を含む。一実施形態では、介在アミノ酸配列は、1~10、10~20、20~40、40~50、50~60、80~100、100~150、150~200、200~250、最大100、最大200又は最大300アミノ酸長である。各々の可能性は、個別の実施形態を提示する。一実施形態では、介在配列は、リンカー配列である。一実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、OMNI CRISPRヌクレアーゼ由来の複数のドメインを含み、これらのドメインは、好ましくは、CRISPRヌクレアーゼのN末端からC末端へとアルファベット順に編成される。例えば、OMNI-75のドメインA、ドメインE、及びドメインIを含むCRISPRヌクレアーゼの場合、CRISPRヌクレアーゼ配列におけるこれらのドメインの順序は、ドメインA、ドメインE、及び最後にドメインIであり、各ドメインのいずれか又は両方の末端に介在配列が存在する可能性がある。
【0197】
本発明の一態様において、本明細書に記載のOMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインのいずれか1つをコードするアミノ酸配列は、元のOMNI CRISPRヌクレアーゼドメイン配列に対して1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。アミノ酸置換は、保存的置換、即ち、元のアミノ酸と同様の化学的性質を有するアミノ酸への置換であってよい。例えば、正荷電アミノ酸は、別の正荷電アミノ酸に置換してもよく、例えば、アルギニン残基は、リジン残基に置換されてもよいし、又は極性アミノ酸は、異なる極性アミノ酸に置換してもよい。保存的置換は、許容性がより高く、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインのいずれか1つをコードするアミノ酸配列は、そうした置換を10%も含み得る。アミノ酸置換は、ラジカル置換、即ち、元のアミノ酸とは異なる化学的性質を有するアミノ酸への置換であってもよい。例えば、正荷電アミノ酸は、負荷電アミノ酸に置換してもよく、例えば、アルギニン残基は、グルタミン酸残基に置換されてもよく、又は極性アミノ酸は、非極性アミノ酸に置換してもよい。アミノ酸置換は、半保存的置換であってもよく、又はアミノ酸置換は、他の任意のアミノ酸に対するものであってもよい。置換は、元のOMNI CRISPRヌクレアーゼドメイン機能に対する活性を改変する可能性があり、例えば、触媒ヌクレアーゼ活性を低減し得る。
【0198】
本発明のいくつかの態様によれば、開示された組成物は、CRISPRヌクレアーゼを含む天然に存在しない組成物を含み、ここで、CRISPRヌクレアーゼは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、又はドメインKの少なくとも1つのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む。それぞれのOMNI CRISPRヌクレアーゼアミノ酸配列内の各ドメインのアミノ酸範囲は、補足表1に記載する。本発明の一部の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つのアミノ酸配列を含み、ここで、各アミノ酸配列は、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、又はドメインKのアミノ酸配列いずれか1つに対応する。したがって、CRISPRヌクレアーゼは、OMNI CRISPRヌクレアーゼのドメインA、ドメインB、ドメインC、ドメインD、ドメインE、ドメインF、ドメインG、ドメインH、ドメインI、ドメインJ、又はドメインKのいずれかに対応するアミノ酸配列の任意の組合せを含み得る。一部の実施形態では、アミノ酸配列は、少なくとも100~250、250~500、500~1000、1000~1500、1000~1700、又は1000~2000アミノ酸長である。
【0199】
疾患及び治療法
本発明の特定の実施形態は、遺伝子編集、治療方法、若しくは治療法の一形態として、疾患又は障害に関連する特定の遺伝子座にヌクレアーゼをターゲティングさせる。例えば、遺伝子の編集又はノックアウトを誘導するために、本明細書に開示される新規ヌクレアーゼは、カスタム設計されたガイドRNA分子を用いて、遺伝子の病原性変異対立遺伝子に特異的にターゲティングさせる。ガイドRNA分子は、好ましくは、最初にヌクレアーゼのPAM要件を考慮することによって設計され、これは、本明細書に示されるように、遺伝子編集が実施されている系にも左右される。例えば、OMNI-75ヌクレアーゼを標的部位にターゲティングさせるように設計されたガイドRNA分子は、OMNI-75 PAM配列に隣接するDNA二本鎖領域のDNA鎖と相補的なスペーサー領域、例えば「NNGNRA」を含むように設計される。ガイドRNA分子は、ヌクレアーゼの比活性を増大すると共に、オフターゲット効果を低減するために、十分な、好ましくは最適な長さのスペーサー領域(即ち、標的対立遺伝子に対して相補性を有するガイドRNA分子の領域)を含むように設計されることが更に好ましい。
【0200】
非限定的な例として、ガイドRNA分子は、ヌクレアーゼを変異対立遺伝子の特定の領域、例えば、開始コドン付近にターゲティングさせるように設計してもよく、その結果、ヌクレアーゼにより引き起こされるDNA損傷時に非相同末端結合(NHEJ)経路が誘導され、フレームシフト変異の導入による変異対立遺伝子のサイレンシングを招く。ガイドRNA分子設計に対するこのアプローチは、ドミナントネガティブ変異の作用を変化させ、それにより対象を治療する上で特に有用である。個別の非限定的な例として、ガイドRNA分子は、変異対立遺伝子の特定の病原性変異をターゲティングするように設計してもよく、その結果、ヌクレアーゼにより引き起こされるDNA損傷時に相同組換え修復(HDR)経路が誘導されて、変異対立遺伝子の鋳型媒介性修正が起こる。ガイドRNA分子設計に対するこのアプローチは、変異した対立遺伝子のハプロ不全効果を変化させ、それにより、対象を治療するのに特に有用である。
【0201】
疾患又は障害の治療を目的とする改変のためにターゲティングすることができる具体的な遺伝子の非限定的な例は、本明細書において以下に提示する。突然変異障害を誘発する具体的な疾患関連遺伝子及び突然変異は文献に記載されている。このような変異は、CRISPR組成物を疾患関連遺伝子の対立遺伝子にターゲティングさせるDNAターゲティングRNA分子を設計するために使用することができ、ここで、CRISPR組成物は、DNA損傷を引き起こし、DNA修復経路を誘導して、対立遺伝子を変化させ、それにより突然変異障害を治療する。
【0202】
ELANE遺伝子の突然変異は、好中球減少症に関連する。したがって、限定するものではないが、ELANEをターゲティングする本発明の実施形態は、好中球減少症に罹患した対象を治療する方法で使用することができる。
【0203】
CXCR4は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染の共受容体である。したがって、限定するものではないが、CXCR4をターゲティングする本発明の実施形態は、HIV-1に罹患した対象を治療する方法、又は対象にHIV-1感染に対する耐性を付与する方法で使用することができる。
【0204】
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)破壊は、腫瘍細胞のCAR-T細胞媒介性細胞死を増強し、PD-1は、他の癌療法において標的となり得る。したがって、限定するものではないが、PD-1をターゲティングする本発明の実施形態は、癌に罹患した対象を治療する方法で使用することができる。一実施形態では、治療は、PD-1欠損となるように本発明に従って修飾されたT細胞を用いるCAR-T細胞療法である。
【0205】
加えて、BCL11Aは、ヘモグロビン産生の抑制に役割を果たす遺伝子である。BCL11Aを阻害することにより、グロビン産生を増加させて、サラセミア又は鎌状赤血球貧血などの疾患を治療することができる。例えば、PCT国際公開第2017/077394号;米国特許出願公開第2011/0182867号明細書;Humbert et al. Sci. Transl. Med. (2019)及びCanver et al. Nature (2015)を参照されたい。したがって、限定するものではないが、BCL11Aのエンハンサーをターゲティングする本発明の実施形態は、ベータサラセミア又は鎌状赤血球貧血に罹患した対象を治療する方法で使用することができる。
【0206】
本発明の実施形態はまた、以下の表A若しくは表Bに列挙される疾患又は障害のいずれかを研究、改変、若しくは治療する目的で、任意の疾患関連遺伝子をターゲティングするために使用され得る。実際に、遺伝子座に関連する任意の疾患は、適切な疾患関連遺伝子、例えば、米国特許出願公開第2018/0282762号明細書及び欧州特許第3079726号明細書に記載されているものをターゲティングするために本明細書に開示されるヌクレアーゼを使用することにより、研究、改変、又は治療することができる。
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料は以下に説明する。矛盾がある場合は、定義を含め、本明細書が優先されるものとする。さらに、材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、必ずしも限定を意図するものではない。
【0214】
本論述において、別に記載されない限り、本発明の実施形態の1若しくは複数の特徴に特有の条件又は関係性を修正する「実質的に」及び「約」などの形容詞は、その条件又は特性が、その意図される用途に対する実施形態の実施のために容認できる許容範囲内まで定義されることを意味すると理解される。別に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲における単語「又は」は、排他的又はではなく、包括的な「又は」であるとみなされ、それが結合する項目の少なくとも1つ及び任意の組合せを示す。
【0215】
上記及び本明細書の他の箇所で使用される用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、列挙された構成要素の「1つ又は複数」を指すことを理解すべきである。当業者には、特に記載されない限り、単数形の使用が複数形を含むことは明らかであろう。したがって、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「少なくとも1つ」は、本出願において互換可能に使用される。
【0216】
本教示をよりよく理解する目的で、また教示の範囲を何ら限定せずに、別に指示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、パーセンテージ又は割合、及びその他の数値を表す全ての数値は、あらゆる事例において「約」という用語により修正されるものとして理解すべきである。したがって、逆の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得られることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、各数値パラメータは、少なくとも報告される有効数字の数に照らして、通常の丸め手法を適用して解釈すべきである。
【0217】
数値範囲が本明細書に列挙される場合、本発明は、特に明記されない限り、上限及び下限の間の、並びにそれらを含む整数各々を企図することが理解される。
【0218】
本出願の記載及び特許請求の範囲において、「含む(comprise)」、「含む(包含する)(include)」及び「有する」並びにそれらの活用形の各々は、動詞の1つ若しくは複数の目的語が、動詞の1つ若しくは複数の主語の構成要素、要素又は部分の必ずしも完全なリストではないことを示すために使用される。本明細書で使用される他の用語は、当技術分野におけるそれらの周知の意味によって定義されることが意図される。
【0219】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」は互換可能に使用される。これらは、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌエヌクレオチド若しくはリボヌクレオチドのいずれか、又はそれらの類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してもよく、既知又は未知の任意の機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子又は遺伝子断片のコード領域若しくは非コード領域、連鎖解析から確定される複数の遺伝子座(遺伝子座)、エクソン、in Irons、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーのアセンブリ前又は後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって分断され得る。ポリヌクレオチドは、重合後に標識成分との共役などにより更に修飾してもよい。
【0220】
用語「ヌクレオチド類似体」又は「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの窒素含有塩基(例えば、シトシン(C)、チミン(T)又はウラシル(U)、アデニン(A)又はグアニン(G))内若しくは上、ヌクレオシドの糖部分(例えば、リボース、デオキシリボース、修飾リボース、修飾デオキシリボース、六員糖類似体、若しくは非鎖糖類似体)内若しくは上、又はリン酸塩内若しくは上に、1つ以上の化学修飾(例えば、置換)を含むヌクレオチドを指す。本明細書に記載されるRNA配列の各々は、1つ以上のヌクレオチド類似体を含み得る。
【0221】
本明細書で用いられるとき、下記ヌクレオチド識別子を使用して、参照ヌクレオチド塩基を表す。
【0222】
【0223】
本明細書で用いられるとき、「ターゲティング配列」又は「ターゲティング分子」という用語は、特定の標的配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列又はヌクレオチド配列を含む分子を指し、例えば、ターゲティング配列は、ターゲティング配列の長さに沿って標的化配列に対して少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド配列を有する。ターゲティング配列又はターゲティング分子は、単独で又は他のRNA分子と組み合わせて、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができるRNA分子の一部であってよく、その際、ターゲティング配列は、CRISPR複合体のターゲティング部分として機能する。ターゲティング配列を有する分子がCRISPR分子と同時に存在する場合、RNA分子は、単独で、又は追加の1つ以上のRNA分子(例えば、tracrRNA分子)と組み合わせて、CRISPRヌクレアーゼを特定の標的配列にターゲティングすることができる。非限定的な例として、CRISPR RNA分子又はシングルガイドRNA分子のガイド配列部分は、ターゲティング分子として機能し得る。各々の可能性は、個別の実施形態を提示する。ターゲティング配列は、任意の所望の配列をターゲティングするようにカスタム設計することができる。
【0224】
本明細書で使用される「ターゲティングする」という用語は、標的化ヌクレオチド配列を有する核酸と、ターゲティング分子のターゲティング配列を優先的にハイブリダイズさせることを指す。用語「ターゲティングする」は、標的化ヌクレオチド配列を有する核酸の優先的ターゲティングが存在するが、オンターゲットハイブリダイゼーション以外にも意図しないオフターゲットハイブリダイゼーションも起こり得るような可変ハイブリダイゼーション効率を包含することが理解される。RNA分子が配列をターゲティングする場合、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼ分子との複合体は、ヌクレアーゼ活性のために配列を標的とすることが理解される。
【0225】
複数の細胞に存在するDNA配列をターゲティングする状況では、ターゲティングは、RNA分子のガイド配列部分と1つ以上の細胞における配列とのハイブリダイゼーションを包含し、また、複数の細胞内の全ての細胞よりも少ない細胞における標的配列とRNA分子のハイブリダイゼーションも包含することが理解される。したがって、RNA分子が複数の細胞内の配列をターゲティングする場合、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼとの複合体は、1つ以上の細胞における標的配列とハイブリダイズし、また、全ての細胞よりも少ない細胞における標的配列とハイブリダイズし得ることが理解される。したがって、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼとの複合体は、1つ以上の細胞において標的配列とのハイブリダイゼーションに関連して二本鎖切断を導入し、また、全ての細胞よりも少ない細胞における標的配列とのハイブリダイゼーションに関連して、二本鎖切断を導入し得ることも理解される。本明細書で用いられるとき、「修飾細胞」という用語は、標的配列とのハイブリダイゼーション、即ち、オンターゲットハイブリダイゼーションの結果として、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼの複合体により二本鎖切断が影響される細胞を指す。
【0226】
本明細書で使用される用語「野生型」は、当業者によって理解される専門用語であり、変異体又は変異型から識別されるものとして、自然界に存在する生物、株、遺伝子又は特徴の典型的な形態を意味する。したがって、本明細書で用いられるとき、アミノ酸又はヌクレオチドの配列は、野生型配列を指し、変異体は、その配列の変異体、例えば、置換、欠失、挿入を含む変異体を指す。本発明の実施形態では、操作されたCRISPRヌクレアーゼは、表1に示されるCRISPRヌクレアーゼのいずれかのCRISPRヌクレアーゼと比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失、及び/又は挿入)を含む変異型CRISPRヌクレアーゼである。
【0227】
「天然に存在しない」又は「操作(された)」という用語は、互換可能に使用され、人工的操作を示す。この用語は、核酸分子又はポリペプチドに関する場合、核酸分子又はポリペプチドが、それらが自然界において天然に結合する少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含有せず、且つ天然に存在するとおりであることを意味し得る。
【0228】
本明細書で用いられるとき、用語「アミノ酸」は、天然及び/又は非天然若しくは合成アミノ酸を含み、グリシン及びD又はIの両方、光学異性体、並びにアミノ酸類似体及びペプチド模倣体が挙げられる。
【0229】
本明細書で用いられるとき、「ゲノムDNA」は、直鎖状及び/若しくは染色体DNA並びに/又は目的の細胞中に存在するプラスミド若しくは他の染色体外DNA配列を指す。一部の実施形態では、目的の細胞は、真核細胞である。一部の実施形態では、目的の細胞は、原核細胞である。一部の実施形態では、本方法は、ゲノムDNA配列中の予め決定された標的部位に二本鎖切断(DSB)を生成し、その結果、ゲノム中の標的部位におけるDNA配列の突然変異、挿入、及び/又は欠失をもたらす。
【0230】
「真核」細胞は、限定するものではないが、真菌細胞(酵母など)、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞及びヒト細胞を含む。
【0231】
本明細書で使用される用語「ヌクレアーゼ」は、核酸のヌクレオチドサブユニット同士のホスホジエステル結合を切断することができる酵素を指す。ヌクレアーゼは、単離されたものでも、又は天然の供給源由来であってもよい。天然の供給源は、任意の生物であってよい。あるいは、ヌクレアーゼは、ホスホジエステル結合切断活性を保持する修飾又は合成タンパク質であってもよい。
【0232】
本明細書で使用される用語「PAM」は、標的化DNA配列に近接して位置し、CRISPRヌクレアーゼにより認識される標的DNAのヌクレオチド配列を指す。PAM配列は、ヌクレアーゼの同一性に応じて異なっていてもよい。
【0233】
本明細書で使用される用語「変異障害」又は「変異疾患」は、変異によって引き起こされる遺伝子の機能不全に関連する任意の障害又は疾患を指す。変異障害として発現する機能不全遺伝子は、その対立遺伝子の少なくとも1つに変異を含み、「疾患関連遺伝子」と呼ばれる。変異は、疾患関連遺伝子の任意の部分、例えば、調節、コード、又は非コード部分に存在し得る。変異は、置換、挿入、又は欠失などの任意のクラスの突然変異であり得る。疾患関連遺伝子の変異は、劣性、ドミナントネガティブ、機能獲得、機能喪失、又は遺伝子産物のハプロ不全を招く突然変異など、あらゆるタイプの突然変異のメカニズムに従って障害又は疾患として発現し得る。
【0234】
当業者は、本発明の実施形態が、例えば、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の隣にある目的の標的ゲノムDNA配列と結合するように、ヌクレアーゼ、例えばCRISPRヌクレアーゼと複合体化することができるRNA分子を開示していることを理解するであろう。次に、ヌクレアーゼは、標的DNAの切断を媒介して、プロトスペーサー内に二本鎖切断を生成する。
【0235】
本発明の複数の実施形態では、CRISPRヌクレアーゼ及びターゲティング分子は、標的DNA配列に結合して、標的DNA配列の切断をもたらすCRISPR複合体を形成する。CRISPRヌクレアーゼは、更に別のtracrRNA分子なしで、CRISPRヌクレアーゼ及びRNA分子を含むCRISPR複合体を形成し得る。あるいは、CRISPRヌクレアーゼは、CRISPRヌクレアーゼ、RNA分子、及びtracrRNA分子との間でCRISPR複合体を形成し得る。
【0236】
用語「タンパク質結合配列」又は「ヌクレアーゼ結合配列」は、CRISPRヌクレアーゼと結合して、CRISPR複合体を形成することができる配列を指す。当業者であれば、CRISPRヌクレアーゼと結合して、CRISPR複合体を形成することができるtracrRNAが、タンパク質又はヌクレアーゼ結合配列を含むことを理解するであろう。
【0237】
CRISPRヌクレアーゼの「RNA結合部分」とは、RNA分子に結合して、CRISPR複合体を形成し得るCRISPRヌクレアーゼの部分、例えば、tracrRNA分子のヌクレアーゼ結合配列を指す。CRISPRヌクレアーゼの「活性部分(activity portion)」又は「活性部分(active portion)」は、例えば、DNAターゲティングRNA分子と複合体であるとき、DNA分子に二本鎖切断をもたらすCRISPRヌクレアーゼの一部を指す。
【0238】
RNA分子は、塩基対形成を介してtracrRNAとハイブリダイズし、CRISPR複合体の形成を促進するように、tracrRNA分子と十分に相補的な配列を含み得る。(米国特許第8,906,616号明細書を参照)。本発明の複数の実施形態では、RNA分子は、tracrメイト配列を有する部分を更に含み得る。
【0239】
本発明の一部の実施形態では、ターゲティング分子は、tracrRNA分子の配列を更に含んでもよい。このような実施形態は、RNA分子のガイド部分(gRNA又はcrRNA)とトランス活性化型crRNA(tracrRNA)との合成融合として設計され、これらは一緒にシングルガイドRNA(sgRNA)を形成する。(Jinek et al., Science (2012)参照)。本発明の実施形態はまた、個別のtracrRNA分子と、ガイド配列部分を含む個別のRNA分子とを使用して、CRISPR複合体を形成することもできる。このような実施形態では、tracrRNA分子は、塩基対形成を介してRNA分子とハイブリダイズしてもよく、本明細書に記載される本発明の特定の用途において有利であり得る。
【0240】
本発明の実施形態では、RNA分子は、RNA分子の構造を更に規定し得る「ネクサス」領域及び/又は「ヘアピン」領域を含み得る。(Briner et al., Molecular Cell (2014)を参照)。
【0241】
本明細書で用いられるとき、用語「直接反復配列」は、ヌクレオチド配列の特定のアミノ酸配列の2つ以上の反復配列を指す。
【0242】
本明細書で用いられるとき、CRISPRヌクレアーゼと「相互作用する」又は「結合する」ことができるRNA配列又は分子は、CRISPRヌクレアーゼと一緒にCRISPR複合体を形成するRNA配列又は分子の能力を指す。
【0243】
本明細書で用いられるとき、「作動可能に連結された」という用語は、2つの配列又は分子間の関係であって、両者がそれらの意図される様式で機能することを可能にする関係(即ち、融合、ハイブリダイゼーション)を指す。本発明の実施形態では、RNA分子がプロモーターに作動可能に連結されている場合、RNA分子とプロモーターの両方がそれらの意図された様式で機能することが可能になる。
【0244】
本明細書で用いられるとき、用語「異種プロモーター」は、促進される分子又は経路と一緒に天然では存在しないプロモーターを指す。
【0245】
本明細書で用いられるとき、配列又は分子は、分子の配列間の塩基又はアミノ酸のX%が同じであり、同じ相対位置にある場合、別の配列又は分子に対してX%の「配列同一性」を有する。例えば、第2のヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有する第1のヌクレオチド配列は、同じ相対位置に、他方の配列と同一の少なくとも95%の塩基を有することになる。
【0246】
核局在化配列
用語「核局在化配列」及び「NLS」は、互換可能に使用され、核エンベロープバリアを介して細胞の細胞質から、該配列が結合されるタンパク質の輸送を指令するアミノ酸配列/ペプチドを示す。用語「NLS」は、特定のペプチドの核局在配列だけでなく、核エンベロープバリアを介して細胞質ポリペプチドの転座を指令することができるその誘導体も包含することが意図される。NLSは、ポリペプチドのN末端、C末端、又はN末端とC末端の両方に結合した場合に、ポリペプチドの核移行を指示することができる。さらに、ポリペプチドのアミノ酸配列に沿ってランダムに位置するアミノ酸側鎖にそのN末端又はC末端によって結合されたNLSを有するポリペプチドは、転座されることになる。典型的には、NLSは、タンパク質表面に露出した正荷電リジン又はアルギニンの1つ以上の短い配列からなるが、他のタイプのNLSが知られている。NLSの非限定的な例としては、SV40ウイルス大型T抗原、ヌクレオプラスミン、c-myc、hRNPAl M9 NLS、インポーチンα由来のIBBドメイン、筋腫Tタンパク質、ヒトp53、マウスc-abl IV、インフルエンザvims NS1、肝炎ウイルスデルタ抗原、マウスMx1タンパク質、ヒトポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、及びステロイドホルモン受容体(ヒト)グルココルチコイドに由来するNLS配列が挙げられる。
【0247】
送達
本明細書に記載のCRISPRヌクレアーゼ又はCRISPR組成物は、タンパク質、DNA分子、RNA分子、リボ核タンパク質(RNP)、核酸ベクター、又はそれらの任意の組合せとして送達され得る。一部の実施形態では、RNA分子は、化学修飾を含む。適切な化学修飾の非限定的な例として、2’-0-メチル(M)、2’-0-メチル、3’ホスホロチオエート(MS)又は2’-0-メチル、3’チオPACE(MSP)、プソイドウリジン、及び1-メチルプソイドウリジンが挙げられる。各々の可能性は、本発明の個別の実施形態を提示する。
【0248】
本明細書に記載のCRISPRヌクレアーゼ及び/又はそれをコードするポリヌクレオチド、並びに任意選択で追加のタンパク質(例えば、ZFP、TALEN、転写因子、制限酵素)及び/又はガイドRNAなどのヌクレオチド分子を、任意の適切な手段によって標的細胞に送達することができる。標的細胞は、例えば、単離若しくは非単離、培地、インビトロ、エクスビボ、インビボ若しくは植物内で維持されるなど、任意の環境にある、例えば、真核又は原核などの任意のタイプの細胞であってもよい。
【0249】
一部の実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNAとガイドのRNAを含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNA、ガイドのRNA及びドナー鋳型を含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼとガイドRNAを含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼ、ガイドRNA及び、例えば、相同組換え修復を介した遺伝子編集のためのドナー鋳型を含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNA、DNAターゲティングRNA及びtracrRNAを含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNA、DNAターゲティングRNA及びtracrRNA、並びにドナー鋳型を含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼDNAターゲティングRNA及びtracrRNAを含む。一部の実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼ、DNAターゲティングRNA及びtracrRNA、並びに例えば、相同組換え修復を介した遺伝子編集のためのドナー鋳型を含む。
【0250】
RNA組成物を送達するために、任意の適切なウイルスベクター系を使用することができる。従来のウイルス及び非ウイルスベースの遺伝子移入法を用いて、細胞(例えば、哺乳動物細胞、植物細胞など)及び標的組織に核酸及び/又はCRISPRヌクレアーゼを導入することができる。また、このような方法を使用して、CRISPRヌクレアーゼタンパク質をコードする核酸及び/又はCRISPRヌクレアーゼタンパク質をインビトロで細胞に投与することもできる。特定の実施形態では、核酸及び/又はCRISPRヌクレアーゼは、インビボ又はエクスビボ遺伝子治療用途のために投与される。非ウイルスベクター送達系は、ネイキッド核酸、及びリポソーム又はポロキサマーなどの送達ビヒクルと複合体化された核酸を含む。遺伝子治療手順の概説については、以下を参照されたい:Anderson, Science (1992);Nabel and Felgner, TIBTECH (1993);Mitani and Caskey, TIBTECH (1993);Dillon, TIBTECH (1993);Miller, Nature (1992);Van Brunt, Biotechnology (1988);Vigne et al., Restorative Neurology and Neuroscience 8:35-36 (1995);Kremer and Perricaudet, British Medical Bulletin (1995);Haddada et al., Current Topics in Microbiology and Immunology (1995)及びYu et al., Gene Therapy 1:13-26 (1994)。
【0251】
核酸及び/又はタンパク質の非ウイルス送達の方法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティックス、粒子銃加速法、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオン又は脂質:核酸複合体、人工ビリオン、及び核酸の薬剤取り込み増強を含み、あるいは、細菌又はウイルス(例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、リゾビウム属種(Rhizobium sp.)NGR234、シノリゾビウム・メリロッティ(Sinorhizoboium meliloti)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、タバコモザイクウイルス(tobacco mosaic virus)、ジャガイモウイルスX(potato virus X)、カリフラワーモザイクウイルス(cauliflower mosaic virus)及びキャッサバ静脈モザイクウイルス(cassava vein mosaic virus))によって植物細胞に送達してもよい。例えば、Chung et al. Trends Plant Sci. (2006)を参照されたい。また、例えば、ソニトロン2000システム(Rich-Mar)を用いたソノポレーションも、核酸の送達に使用することができる。さらに、タンパク質及び/又は核酸のカチオン性脂質媒介送達も、インビボ又はインビトロ送達方法として企図される。以下を参照されたい:Zuris et al., Nat. Biotechnol. (2015), Coelho et al., N. Engl. J. Med. (2013);Judge et al., Mol. Ther. (2006)及びBasha et al., Mol. Ther. (2011)。
【0252】
更に別の例示的な核酸送達システムには、Amaxa(登録商標)Biosystems(Cologne, Germany)、Maxcyte, Inc.(Rockville, Md.)、BTX Molecular Delivery Systems(Holliston, Mass.)及びCopernicus Therapeutics Incによって提供されるものが含まれる(例えば、米国特許第6,008,336号明細書を参照)。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号明細書、同第4,946,787号明細書;及び同第4,897,355号明細書)に記載されており、リポフェクション試薬は、市販されている(例えば、Transfectam(登録商標)、Lipofectin(登録商標)及びLipofectamine(登録商標)RNAiMAX)。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適したカチオン性及び中性脂質としては、PCT国際公開第1991/017424号及び同第1991/016024号に開示されているものが挙げられる。送達は、細胞(エクスビボ投与)又は標的組織(インビボ投与)に対するものであってよい。
【0253】
免疫脂質複合体などの標的リポソームを含む脂質:核酸複合体の調製は、当業者に周知である(例えば、以下を参照されたい:Crystal, Science (1995);Blaese et al., Cancer Gene Ther. (1995);Behr et al., Bioconjugate Chem. (1994);Remy et al., Bioconjugate Chem. (1994);Gao and Huang, Gene Therapy (1995);Ahmad and Allen, Cancer Res., (1992);米国特許第4,186,183号明細書;同第4,217,344号明細書;同第4,235,871号明細書;同第4,261,975号明細書;同第4,485,054号明細書;同第4,501,728号明細書;同第4,774,085号明細書;同第4,837,028号明細書;及び同第4,946,787号明細書)。
【0254】
追加の送達方法は、EnGeneIC送達ビヒクル(EDV)に送達される核酸のパッケージングの使用を含む。これらのEDVは、抗体の一方のアームが標的組織に対して特異性を有し、且つ他方のアームがEDVに対して特異性を有する二重特異性抗体を用いて標的組織に特異的に送達される。抗体がEDVを標的細胞表面に輸送した後、EDVは、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれる。一旦細胞内に入ると、内容物が放出される(MacDiamid et al., Nature Biotechnology (2009)を参照)。
【0255】
核酸送達のためのRNA又はDNAウイルスベースのシステムの使用は、ウイルスを体内の特定の細胞にターゲティングさせ、ウイルスペイロードを核に輸送するための高度に進化したプロセスを活用する。ウイルスベクターは、患者に直接投与することができる(インビボ)か、又はインビトロで細胞を処置するために使用することができ、修飾細胞が患者に投与される(エクスビボ)。核酸の送達のための従来のウイルスベースのシステムとして、限定はされないが、遺伝子移入のための組換えレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連、ワクシニア及び単純ヘルペスウイルスベクターが挙げられる。しかし、RNAウイルスは、本明細書に記載のRNA組成物の送達のために好ましい。さらに、高い形質導入効率が、多くの異なる細胞型及び標的組織で観察されている。本発明の核酸は、非組込み型レンチウイルスにより送達され得る。任意選択で、レンチウイルスによるRNA送達が利用される。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、ガイドのRNAを含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、ガイドのRNA及びドナー鋳型を含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、ガイドRNAを含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、ガイドRNA及び/又は、例えば相同組換え修復による遺伝子編集のためのドナー鋳型を含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、DNAターゲティングRNA、及びtracrRNAを含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、DNAターゲティングRNA、及びtracrRNA、並びにドナー鋳型を含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、DNAターゲティングRNA、及びtracrRNAを含む。任意選択で、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、DNAターゲティングRNA、及びtracrRNA、並びに例えば、相同組換え修復による遺伝子編集のためのドナー鋳型を含む。
【0256】
前述のように、本明細書に記載の組成物は、非組込み型レンチウイルス粒子法、例えば、LentiFlash(登録商標)システムを用いて標的細胞に送達され得る。このような方法を使用して、標的細胞へのRNAの送達によって標的細胞の内部に本明細書に記載の組成物のアセンブリが起こるように、mRNA又は他のタイプのRNAを標的細胞に送達することができる。また、PCT国際公開第2013/014537号、同第2014/016690号、同第2016/185125号、同第2017/194902号及び同第2017/194903号も参照のこと。
【0257】
外来エンベロープタンパク質を組み込み、標的細胞の潜在的な標的集団を拡大することによって、レトロウイルスの向性を改変することができる。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形質導入又は感染させることができるレトロウイルスベクターであり、典型的には高いウイルス力価を産生する。レトロウイルス遺伝子移入システムの選択は、標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、シス作用性の長い末端リピートから成り、最大6~10kbの外来配列のパッケージング容量を有する。最小のシス作用性LTRが、ベクターの複製及びパッケージングに十分であるため、これらを使用して、治療用遺伝子を標的細胞に組み込み、持続的な導入遺伝子発現を提供する。広く使用されているレトロウイルスベクターには、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びそれらの組合せに基づくものが含まれる(例えば、Buchscher Panganiban, J. Virol. (1992);Johann et al., J. Virol. (1992);Sommerfelt et al., Virol. (1990);Wilson et al., J. Virol. (1989);Miller et al., J. Virol. (1991);PCT国際公開第1994/026877号を参照されたい)。
【0258】
臨床試験では、現在少なくとも6つのウイルスベクターアプローチが遺伝子移入に利用可能であり、これは、ヘルパー細胞株に挿入された遺伝子による欠陥ベクターの相補を含むアプローチを使用して、形質導入剤を生成する。
【0259】
pLASN及びMFG-Sは、臨床試験で使用されているレトロウイルスベクターの例である(Dunbar et al., Blood (1995);Kohn et al., Nat. Med. (1995);Malech et al., PNAS (1997))。PA317/pLASNは、遺伝子治療試験で使用された最初の治療用ベクターであった。(Blaese et al., Science (1995))。MFG-Sパッケージベクターでは、50%以上の形質導入効率が観察されている。(Ellem et al., Immunol Immunother. (1997);Dranoff et al., Hum. Gene Ther. (1997))。
【0260】
パッケージング細胞を使用して、宿主細胞に感染することができるウイルス粒子を形成する。そのような細胞としては、アデノウイルス、AAVをパッケージする293細胞、及びレトロウイルスをパッケージするpsi.2細胞又はPA317細胞が挙げられる。遺伝子治療に使用されるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子にパッケージするプロデューサー細胞株により生成される。ベクターは、典型的には、パッケージング及びその後の宿主への組込み(適用可能な場合)に必要な最小限のウイルス配列を含み、他のウイルス配列は、発現されるタンパク質をコードする発現カセットによって置換される。欠損しているウイルス機能は、パッケージング細胞株によりトランスで供給される。例えば、遺伝子治療に使用されるAAVベクターは、典型的には、宿主ゲノムへのパッケージング及び組込みに必要なAAVゲノムからの逆方向末端反復(ITR)配列のみを有する。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子、即ち、rep及びcapをコードするヘルパープラスミドを含むが、ITR配列を欠いた細胞株にパッケージされている。細胞株はまた、ヘルパーとしてアデノウイルスに感染している。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製と、ヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進する。ヘルパープラスミドは、ITR配列が欠失しているため、大量にパッケージ化されない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVより感受性の高い熱処理によって低減することができる。さらに、AAVは、バキュロウイルス(baculovirus)システムを用いて、臨床スケールで生産することができる(米国特許第7,479,554号明細書を参照)。
【0261】
多くの遺伝子治療用途において、遺伝子治療ベクターは、特定の組織型に対して高度の特異性で送達されることが望ましい。したがって、ウイルスベクターは、ウイルスの外表面上のウイルスコートタンパク質との融合タンパク質としてリガンドを発現させることにより、所与の細胞型に対する特異性を有するように修飾することができる。リガンドは、目的の細胞型に存在することが知られる受容体に対して親和性を有するように選択される。例えば、Han et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995)は、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus)が、gp70に融合したヒトヘレグリンを発現するように修飾することができ、組換えウイルスは、ヒト上皮成長因子受容体を発現する特定のヒト乳癌細胞に感染することを報告した。この原理は、標的細胞が受容体を発現し、ウイルスが細胞表面受容体のリガンドを含む融合タンパク質を発現する他のウイルス-標的細胞対まで拡大することができる。例えば、糸状ファージは、実質的にあらゆる選択細胞受容体に対して特異的な結合親和性を有する抗体フラグメント(例えば、FAB又はFv)を提示するように操作することができる。上記の説明は、主としてウイルスベクターに適用されるが、同じ原理を非ウイルスベクターにも適用することができる。このようなベクターは、特定の標的細胞による取込みに有利な特異的取込み配列を含むように操作することができる。
【0262】
遺伝子治療ベクターは、個別の患者への投与によって、典型的には、以下に記載されるように、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、若しくは頭蓋内注入)又は局所適用によりインビボで送達することができる。あるいは、ベクターは、個別の患者から取り出した細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検)又はユニバーサルドナー造血幹細胞などの細胞にエクスビボで送達し、続いて、通常はベクターを組み込んだ細胞の選択の後に、患者への細胞の再移植によって送達することもできる。一部の実施形態では、インビボ及びエクスビボでのmRNAの送達、及びRNP送達を使用することができる。
【0263】
診断、研究、又は遺伝子治療のためのエクスビボ細胞トランスフェクション(例えば、宿主生物へのトランスフェクト細胞の再注入による)は、当業者に周知である。好ましい実施形態では、細胞は、対象生物から単離され、RNA組成物でトランスフェクトされた後、対象生物(例えば、患者)に再注入される。エクスビボトランスフェクションに適したさまざまな細胞型が当業者に周知である(例えば、Freshney, “Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique and Specialized Applications (6th edition, 2010)、並びに患者から細胞を単離及び培養する方法の論述についてそこで引用される参考文献を参照されたい)。
【0264】
好適な細胞としては、真核細胞並びに原核細胞及び/又は細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。このような細胞又はそうした細胞から作製される細胞株の非限定的な例としては、COS、CHO(例えば、CHO-S、CHO-K1、CHO-DG44、CHO-DUXB11、CHO-DUKX、CHOK1SV)、VERO、MDCK、WI38、V79、B14AF28-G3、BHK、HaK、NSO、SP2/0-Ag14、HeLa、HEK293(例えば、HEK293-F、HEK293-H、HEK293-T)、及びperC6細胞、任意の植物細胞(分化若しくは未分化)並びに昆虫細胞、例えば、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera fugiperda)(Sf)、又はサッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)及びシゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)などの真菌細胞が挙げられる。特定の実施形態では、細胞株は、CHO-K1、MDCK又はHEK293細胞株である。さらに、初代細胞を単離し、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN若しくはTALEN)又はヌクレアーゼ系(例えば、CRISPR)による治療後に、治療しようとする対象への再導入のためにエクスビボで使用してもよい。好適な初代細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)、及び限定はされないが、CD4+T細胞又はCD8+T細胞などの他の血球サブセットが挙げられる。好適な細胞には、例として、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞(CD34+)、神経幹細胞及び間葉系幹細胞などの幹細胞も含まれる。
【0265】
一実施形態では、幹細胞は、細胞トランスフェクション及び遺伝子治療のためのエクスビボ手順に使用される。幹細胞を使用する利点は、それらがインビトロで他の細胞型に分化が可能であること、又はそれらが骨髄に生着する哺乳動物(細胞のドナーなど)に導入することができることである。GM-CSF、IFN-γ、及びTNF-αなどのサイトカインを使用して、CD34+細胞を臨床的に重要な免疫細胞型にインビトロで分化させる方法が知られている(非限定的な例として、Inaba et al., J. Exp. Med. (1992)を参照されたい)。
【0266】
公知の方法を用いて、幹細胞を形質導入及び分化のために単離する。例えば、幹細胞は、CD4+及びCD8+(T細胞)、CD45+(panB細胞)、GR-1(顆粒球)、及びIad(分化抗原提示細胞)などの不要な細胞に結合する抗体で骨髄細胞をパニングすることにより骨髄細胞から単離する(非限定的な例として、Inaba et al., J. Exp. Med. (1992)を参照されたい)。修飾された幹細胞もまた、一部の実施形態では使用され得る。
【0267】
特に、本明細書に記載されるCRISPRヌクレアーゼのいずれか1つは、分裂終了細胞又は活発に分裂していない任意の細胞、例えば停止細胞におけるゲノム編集に好適であり得る。本発明のCRISPRヌクレアーゼを用いて編集することができる分裂終了細胞の例として、限定するものではないが、筋細胞、心筋細胞、肝細胞、骨細胞及びニューロンが挙げられる。
【0268】
治療用RNA組成物を含むベクター(例えば、レトロウイルス、リポソームなど)を、インビボでの細胞の形質導入のために生物に直接投与することもできる。あるいは、裸のRNA又はmRNAを投与することもできる。投与は、血液又は組織細胞と最大限に接触させて分子を導入するために通常使用される経路のいずれかによって行われ、そうしたものとして、限定はされないが、注射、注入、局所適用及びエレクトロポレーションが挙げられる。こうした核酸を投与する好適な方法は、当業者に利用可能で、しかも周知であり、特定の組成物を投与するために2つ以上の経路を使用することができるが、多くの場合、1つの特定の経路が、別の経路よりも迅速且つ有効な反応を提供することができる。
【0269】
免疫細胞(例えば、T細胞)への導入遺伝子の導入に適したベクターには、非組み込み型レンチウイルスベクターが含まれる。例えば、米国特許公開第2009/0117617号明細書を参照されたい。
【0270】
薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物によって、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。したがって、以下に記載されるように、利用可能な医薬組成物の非常に多様な適した製剤がある(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1989を参照されたい)。
【0271】
相同組換えによるDNA修復
「相同組換え修復」又は「HDR」という用語は、例えば、DNAにおける二本鎖及び一本鎖切断の修復中に、細胞におけるDNA損傷を修復するための機構を指す。HDRは、ヌクレオチド配列の相同性を必要とし、二本鎖又は一本鎖切断が生じた配列(例えば、DNA標的配列)を修復するために、「核酸鋳型」(本明細書において互換可能に使用される核酸鋳型又はドナー鋳型)を使用する。これは、例えば、核酸鋳型からDNA標的配列への遺伝情報の転写をもたらす。HDRは、核酸鋳型配列がDNA標的配列とは異なり、核酸鋳型ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの一部若しくは全部がDNA標的配列に組み込まれる場合、DNA標的配列の改変(例えば、挿入、欠失、突然変異)を引き起こし得る。一部の実施形態では、核酸鋳型ポリヌクレオチド全体、核酸鋳型ポリヌクレオチドの一部、又は核酸鋳型のコピーがDNA標的配列の部位に組み込まれる。
【0272】
「核酸鋳型」及び「ドナー」という用語は、ゲノムに挿入又はコピーされるヌクレオチド配列を指す。核酸鋳型は、例えば、1つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、これらは、標的核酸に付加されるか、若しくは標的核酸の変化を鋳型化するか、又は標的配列を修飾するために使用され得る。核酸鋳型配列は、任意の長さ、例えば、2~10,000ヌクレオチド長(又はそれらの間若しくはそれらを超える任意の整数値)、好ましくは約100~1,000ヌクレオチド長(又はそれらの間の任意の整数)、より好ましくは約200~500ヌクレオチド長の間であってよい。核酸鋳型は、一本鎖核酸、二本鎖核酸であってもよい。一部の実施形態では、核酸鋳型は、標的核酸の、例えば標的位置の野生型配列に対応するヌクレオチド配列、例えば、1つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、核酸鋳型は、標的核酸の、例えば標的位置の野生型配列に対応するリボヌクレオチド配列、例えば、1つ以上のリボヌクレオチドのリボヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、核酸鋳型は、修飾リボヌクレオチドを含む。
【0273】
例えば、変異遺伝子の補正のため、又は野生型遺伝子の発現増大のために、外性配列(「ドナー配列」、「ドナー鋳型」又は「ドナー」とも呼ばれる)の挿入を実施することができる。ドナー配列は、典型的には、それが配置されているゲノム配列と同一ではないことは容易に明らかであろう。ドナー配列は、目的の位置での効率的なHDRを可能にするために、2つの相同性の領域にフランキングされた非相同配列を含むことができる。加えて、ドナー配列は、細胞クロマチンにおける目的の領域と相同的ではない配列を有するベクター分子を含むことができる。ドナー分子は、細胞クロマチンと相同性のいくつかの不連続領域を含むことができる。例えば、目的の領域に通常存在しない配列の標的化挿入のために、前記配列は、ドナー核酸分子中に、目的の領域内の配列と相同性の領域にフランキングされて存在することができる。
【0274】
ドナーポリヌクレオチドは、DNA又はRNA、一本鎖及び/又は二本鎖であってよく、直鎖状又は環状形態で細胞に導入することができる。例えば、米国特許出願公開第2010/0047805号明細書;同第2011/0281361号明細書;同第2011/0207221号明細書;及び同第2019/0330620号明細書を参照されたい。直鎖形態で導入される場合、ドナー配列の末端は、当業者に公知の方法によって(例えば、エキソヌクレアーゼ分解から)保護することができる。例えば、1つ以上のジデオキシヌクレオチド残基が直鎖状分子の3’末端に付加され、及び/又は自己相補的オリゴヌクレオチドが一方若しくは両方の末端に連結される。例えば、Chang and Wilson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1987);Nehls et al., Science (1996)を参照されたい。外性ポリヌクレオチドを分解から保護するための更に別の方法として、限定はされないが、末端アミノ基の付加、並びに修飾ヌクレオチド連結、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、及びO-メチルリボース又はデオキシリボース残基の使用が挙げられる。
【0275】
したがって、修復のためにドナー鋳型を使用する本発明の実施形態は、直鎖状又は環状形態で細胞に導入することができるDNA又はRNA、一本鎖及び/若しくは二本鎖ドナー鋳型を使用してよい。本発明の実施形態では、遺伝子編集組成物は、以下:(1)修復前の遺伝子に二本鎖切断をもたらすガイド配列を含むRNA分子と、(2)修復のためのドナーRNA鋳型を含み、ガイド配列を含むRNA分子は、第1のRNA分子であり、ドナーRNA鋳型は、第2のRNA分子である。一部の実施形態では、ガイドRNA分子と鋳型RNA分子は、単一分子の一部として連結される。
【0276】
ドナー配列はまた、オリゴヌクレオチドであってもよく、遺伝子修正又は内因性配列の標的化改変に使用することができる。オリゴヌクレオチドは、ベクター上の細胞に導入してもよいし、細胞内にエレクトロポレーションしてもよいし、又は当技術分野で公知の他の方法を介して導入してもよい。オリゴヌクレオチドは、内因性遺伝子における変異配列を「修正」するために使用することができ(例えば、βグロビンにおける鎌状突然変異)、又は所望の目的を有する配列を内因性遺伝子座に挿入するために使用してもよい。
【0277】
ポリヌクレオチドは、例えば、複製起点、プロモーター及び抗生物質耐性をコードする遺伝子などの付加配列を有するベクター分子の一部として細胞に導入することができる。さらに、ドナーポリヌクレオチドは、裸の核酸として、リポソーム若しくはポロキサマーなどの薬剤と複合体化した核酸として導入するか、又は組換えウイルス(例えば、アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス及びインテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV))により送達することができる。
【0278】
ドナーは一般に、その発現が組込み部位の内因性プロモーター、即ち、ドナーが挿入される内因性遺伝子の発現を駆動するプロモーターによって駆動されるように挿入される。しかし、ドナーがプロモーター及び/又はエンハンサー、例えば、構成性プロモーター又は誘導性若しくは組織特異的プロモーターを含み得ることは明らかであろう。
【0279】
ドナー分子は、内因性遺伝子の全て、一部が発現するか、又はそのいずれも発現しないように内因性遺伝子に挿入することができる。例えば、本明細書に記載の導入遺伝子は、例えば、導入遺伝子との融合物として、内因性配列の一部(導入遺伝子のN末端及び/若しくはC末端側)が発現するか、又はいずれも発現しないように、内因性遺伝子座に挿入することができる。他の実施形態では、導入遺伝子は(例えば、内因性遺伝子の場合のような追加のコード配列の有無にかかわらず)、任意の内因性遺伝子座、例えばセーフハーバー遺伝子座、例えばCCR5遺伝子、CXCR4遺伝子、PPP1R12c(AAVS1としても知られる)遺伝子、アルブミン遺伝子又はRosa遺伝子に組み込まれる。例えば、米国特許第7,951,925号明細書及び同第8,110,379号明細書;米国特許出願公開第2008/0159996号明細書;同第20100/0218264号明細書;同第2010/0291048号明細書;同第2012/0017290号明細書;同第2011/0265198号明細書;同第2013/0137104号明細書;同第2013/0122591号明細書;同第2013/0177983号明細書及び同第2013/0177960号明細書並びに米国仮出願第61/823,689号明細書)を参照されたい。
【0280】
内因性配列(内因性又は導入遺伝子の一部)が導入遺伝子と一緒に発現される場合、内因性配列は、完全長配列(野生型若しくは変異型)又は部分配列であってよい。好ましくは、内因性配列は、機能性である。これらの全長若しくは部分配列の機能の非限定的な例としては、導入遺伝子(例えば、治療用遺伝子)により発現されるポリペプチドの血清半減期の増加、及び/又は担体としての作用が挙げられる。
【0281】
さらに、発現に必要ではないが、外性配列は、転写若しくは翻訳調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、インスレータ、内部リボソーム侵入部位、2Aペプチドをコードする配列及び/又はポリアデニル化シグナルも含み得る。
【0282】
特定の実施形態では、ドナー分子は、タンパク質をコードする遺伝子(例えば、細胞内若しくは個体に欠如しているタンパク質をコードするコード配列、又はタンパク質をコードする遺伝子の代替バージョン)、調節配列及び/又はマイクロRNA若しくはsiRNAなどの構造核酸をコードする配列からなる群から選択される配列を含む。
【0283】
前述の実施形態について、本明細書に開示される各実施形態は、他の開示される実施形態の各々に適用可能なものとして企図される。例えば、本発明のRNA分子又は組成物のいずれかが、本発明の方法のいずれかで使用され得ることが理解される。
【0284】
本明細書で用いられるとき、全ての見出しは、単に構成を目的とするに過ぎず、決して本開示を限定することを意図するものではない。いずれの個別のセクションの内容も、全てのセクションに同等に適用可能となり得る。
【0285】
本発明のさらなる目的、利点、及び新規な特徴は、以下の実施例の検討により当業者には明らかになるであろうが、これらは限定することを意図しない。さらに、本明細書で上に詳述され、以下の特許請求の範囲のセクションで請求される本発明のさまざまな実施形態及び態様の各々は、以下の実施例において実験的確証が見いだされる。
【0286】
本発明の特定の特徴は、明確化のために、個別の実施形態と関連して説明され、組み合わせて単一の実施形態で提供することもできることが理解される。逆に、本発明のさまざまな特徴は、簡潔化のために、単一の実施形態と関連して説明され、個別に、又は任意の適切な部分組合せで、又は本発明のいずれか他の記載された実施形態において適宜、提供することができる。さまざまな実施形態との関連で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の不可欠な特徴とみなされるべきではない。
【0287】
一般に、本明細書で用いられる命名法、並びに本発明で使用される実験室手順は、分子、生化学的、微生物学的及び組換えDNA技術を含む。そのような技術は、文献で詳細に説明されている。例えば、以下を参照されたい:Sambrook et al., "Molecular Cloning: A laboratory Manual" (1989);Ausubel, R. M. (Ed.), "Current Protocols in Molecular Biology" Volumes I-III (1994);Ausubel et al., "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989);Perbal, "A Practical Guide to Molecular Cloning", John Wiley & Sons, New York (1988);Watson et al., "Recombinant DNA", Scientific American Books, New York;Birren et al. (Eds.), "Genome Analysis: A Laboratory Manual Series", Vols. 1-4, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号明細書;同第4,683,202号明細書;同第4,801,531号明細書;同第5,192,659号明細書及び同第5,272,057号明細書に記載されている方法;Cellis, J. E. (Ed.), "Cell Biology: A Laboratory Handbook", Volumes I-III (1994);Freshney, "Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique" Third Edition, Wiley-Liss, N. Y. (1994);Coligan J. E. (Ed.), "Current Protocols in Immunology" Volumes I-III (1994);Stites et al. (Eds.), "Basic and Clinical Immunology" (8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994);Mishell and Shiigi (Eds.), "Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual" CSHL Press (1996);Clokie and Kropinski (Eds.), "Bacteriophage Methods and Protocols", Volume 1: Isolation, Characterization, and Interactions (2009)(これらは、全て参照により組み込まれる)。その他の一般的な参照文献は、本文全体に記載されている。
【0288】
本発明のより完全な理解を容易にするために、実施例を以下に記載する。以下の実施例では、本発明を作製し、実施する例示的な様式を例示する。ただし、本発明の範囲は、これらの実施例に開示された特定の実施形態に限定されるわけではなく、これらは例示を目的とするに過ぎない。
【実施例】
【0289】
実験の詳細
本発明のより完全な理解を容易にするために、実施例を以下に記載する。以下の実施例では、本発明を作製し、実施する例示的な様式を説明する。ただし、本発明の範囲は、これらの実施例に開示された特定の実施形態に限定されるわけではなく、これらは、例示を目的とするに過ぎない。
【0290】
CRISPRリピート(crRNA)、トランス活性化型crRNA(tracrRNA)、ヌクレアーゼポリペプチド、及びPAM配列は、環境サンプルの配列の異なるメタゲノムデータベースから予測した。CRISPRリピート、tracRNA配列、及びヌクレアーゼポリペプチド配列が予測される細菌種/株を表1に示す。
【0291】
実験データセット1
OMNI-75ヌクレアーゼポリペプチドの構築
OMNI-75ヌクレアーゼポリペプチドの構築の目的で、OMNI-75ヌクレアーゼのオープンリーディングフレームを、ヒト細胞株発現のためにコドン最適化した。最適化されたORFを細菌プラスミドpb-NNC及び哺乳動物プラスミドpmOMNIにクローニングした(表4)。
【0292】
sgRNAの予測及び構築
OMNI-75ヌクレアーゼについて、ヌクレアーゼが同定された細菌ゲノム中のCRISPRリピートアレイ配列(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)の検出によってsgRNAを予測した。ネイティブ未成熟crRNA及びtracrRNA配列をテトラループ「gaaa」とインシリコで連結し、RNA二次構造予測ツールを用いて、二重鎖の二次構造要素を予測した。
【0293】
全二重鎖RNAエレメント(即ち、crRNA-tracrRNAキメラ)の予測二次構造を、OMNI-75ヌクレアーゼのさまざまなバージョンを有するsgRNAの設計のために考えられるtracr配列の同定に使用した(例えば、
図1A~1Dを参照)。異なる位置の上部ステムで二重鎖を短縮することにより、crRNAとtracrRNAをテトラループ「gaaa」で連結させ、それにより、考えられるsgRNA足場を作製した(OMNI-75のsgRNA設計は、表2に記載する)。OMNI-75について考えられる設計足場の3つのバージョンを合成し、下流で22ヌクレオチドのユニバーサルユニークスペーサー配列(T2、配列番号234)に連結させ、構成性プロモーター下で細菌発現プラスミドにクローニングし、U6プロモーター下で哺乳動物発現プラスミドにクローニングした(それぞれ、pbSGR2及びpmGuide、表4)。
【0294】
潜在的な転写及び構造的制約を解消し、ヒト細胞環境という状況下でのsgRNA足場の可塑性を評価するために、sgRNAのいくつかのバージョンを試験した。いずれの場合も、修飾は、考えられるsgRNAのヌクレオチド配列に小さな変化を示す(
図1D、表2)。
T1-GGTGCGGTTCACCAGGGTGTCG(配列番号233)
T2-GGAAGAGCAGAGCCTTGGTCTC(配列番号234)
【0295】
TXTLによるインビトロ欠失アッセイ
インビトロでのPAM配列の欠失は、Maxwell et al, Methods. 2018に従った。簡単に説明すると、OMNI-75ヌクレアーゼを発現する線状DNAと、T7プロモーター下のsgRNAを、T7ポリメラーゼを発現する線状構築物と一緒にTXTLミックス(Arbor Bioscience)に添加した。TXTLミックスによるRNA発現及びタンパク質翻訳は、RNP複合体の形成をもたらす。直鎖状DNAを用いたことから、DNAを分解から保護するために、Chi6配列、即ち、RecBCD阻害剤を添加した。sgRNAスペーサーは、潜在的PAM配列の8Nランダム化セットによりフランキングされたターゲティングプロトスペーサーを含むプラスミドのライブラリー(pbPOS T2ライブラリー、表4)をターゲティングするように設計されている。ライブラリーからのPAM配列の欠失を、PCRを使用した際にハイスループットシーケンシングにより測定して、切断されたライブラリーと、非ターゲティングgRNA(T1、配列番号233)を発現する対照ライブラリーの両方に、必要なアダプター及びインデックスを付加した。ディープシーケンシングの後、インビトロ活性は、OMNIヌクレアーゼによる対照におけるそれらの発生と比較して、同じPAM配列を有する欠失配列の画分によって確認され、これは、インビトロ系による機能的DNA切断を示すものである(
図2、表3)。
【0296】
内因性ゲノム標的に対するヒト細胞の活性
また、ヒト細胞内の特定のゲノム位置での編集を促進するその能力についても、OMNI-75をアッセイした。この目的のために、OMNI-P2A-mCherry発現ベクター(pmOMNI、表4)を、ヒトゲノムの特定の位置をターゲティングするように設計されたsgRNAと一緒に、HeLa細胞にトランスフェクトした(pmGuide、表4)。72時間時点で、細胞を回収した。細胞の半分は、mCherry蛍光をマーカーとして用いたFACSによるトランスフェクション効率の定量に使用した。残りの半分の細胞を溶解させ、それらのゲノムDNAを用いて、対応する推定ゲノム標的をPCR増幅した。アンプリコンをNGSに供し、得られた配列を用いて、各標的部位における編集事象のパーセンテージを計算した。切断部位付近の短い挿入又は欠失(インデル)は、ヌクレアーゼ誘導DNA切断後のDNA末端の修復の典型的な結果である。編集率(パーセント)の計算は、各アンプリコン内のインデル含有配列の割合から推定した。
【0297】
OMNI-75のゲノム活性は、異なるゲノム位置をターゲティングするように各々設計された6つのユニークなsgRNAのパネルを用いて評価した。これらの実験の結果を表5にまとめる。表に見られるように、OMNI-75は、10%~80%の編集レベル範囲を有する5/6の試験部位において、陰性対照と比較して、高く、しかも有意な編集レベルを示す。
【0298】
実験データセット2
OMNIヌクレアーゼポリペプチドの構築
OMNIヌクレアーゼポリペプチドの構築の目的で、いくつかの同定されたOMNIヌクレアーゼ(OMNI)のオープンリーディングフレームをヒト細胞株発現のためにコドン最適化した。ORFを細菌プラスミドpb-NNC3及び哺乳動物プラスミドpmOMNIにクローニングした(表4)。
【0299】
sgRNAの予測及び構築
各OMNIについて、それぞれの細菌ゲノムにおけるCRISPRリピートアレイ配列(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)の検出により、sgRNAを予測した。ネイティブ未成熟crRNA及びtracrRNA配列をテトラループ「gaaa」とインシリコで連結し、RNA二次構造予測ツールを用いて、二重鎖の二次構造要素を予測した。
【0300】
全二重鎖RNAエレメント(crRNA-tracrRNAキメラ)の予測二次構造を、各OMNIヌクレアーゼのさまざまなバージョンを有するsgRNAの設計のために考えられるtracr配列の同定に使用した。異なる位置の上部ステムで二重鎖を短縮することにより、crRNAとtracrRNAをテトラループ「gaaa」で連結させ、それによって、考えられるsgRNA足場を作製した(全てのOMNIのsgRNA設計を表2に記載する)。各OMNIについて考えられる設計足場の少なくとも2つのバージョンを合成し、下流で22ヌクレオチドのユニバーサルユニークスペーサー配列(T2、配列番号234)に連結させ、構成性プロモーター下で細菌発現プラスミドにクローニングし、U6プロモーター下で哺乳動物発現プラスミドにクローニングした(それぞれ、pbGuide及びpmGuide、表4)。
【0301】
潜在的な転写及び構造的制約を解消し、ヒト細胞環境という状況下でsgRNA足場の可塑性を評価するために、sgRNAのいくつかのバージョンを試験した。いずれの場合も、修飾は、考えられるsgRNAのヌクレオチド配列に小さな変化を示す(
図3C、表2)。
T1-GGTGCGGTTCACCAGGGTGTCG(配列番号233)
T2-GGAAGAGCAGAGCCTTGGTCTC(配列番号234)
【0302】
TXTLによるインビトロ欠失アッセイ
インビトロでのPAM配列の欠失は、Maxwell et al, Methods. 2018に従った。簡単に説明すると、OMNIヌクレアーゼを発現する線状DNAと、T7プロモーター下のsgRNAを、T7ポリメラーゼを発現する線状構築物と一緒にTXTLミックス(Arbor Bioscience)に添加した。TXTLミックスによるRNA発現及びタンパク質翻訳は、RNP複合体の形成をもたらす。直鎖状DNAを用いたことから、DNAを分解から保護するために、Chi6配列、即ち、RecBCD阻害剤を添加した。sgRNAスペーサーは、潜在的PAM配列の8Nランダム化セットによりフランキングされたターゲティングプロトスペーサー(pbPOS T2ライブラリー、表4)を含むプラスミドのライブラリーをターゲティングするように設計されている。ライブラリーからのPAM配列の欠失は、PCRを使用した際にハイスループットシーケンシングにより測定して、切断されたライブラリーと、非ターゲティングgRNA(T1、配列番号233)を発現する対照ライブラリーの両方に、必要なアダプター及びインデックスを付加した。ディープシーケンシングの後、インビトロ活性は、OMNIヌクレアーゼによる対照におけるそれらの発生と比較して、同じPAM配列を有する欠失配列の画分によって確認され、インビトロ系による機能的DNA切断を示した(
図4A~4C、表3)。
【0303】
内因性ゲノム標的に対するヒト細胞の活性
また、ヒト細胞内の特定のゲノム位置での編集を促進するその能力についても、OMNIをアッセイした。この目的のために、各OMNIについて、対応するOMNI-P2A-mCherry発現ベクター(pmOMNI、表4)を、ヒトゲノム内の特定の位置をターゲティングするように設計されたsgRNAと一緒に、HeLa細胞にトランスフェクトした(pmGuide、表4)。72時間時点で、細胞を回収した。細胞の半分は、mCherry蛍光をマーカーとして使用したFACSによるトランスフェクション効率の定量に使用した。残り半分の細胞を溶解させ、それらのゲノムDNA含有量を用いて、対応する推定ゲノム標的をPCR増幅した。アンプリコンをNGSに供し、得られた配列を用いて、各標的部位における編集事象のパーセンテージを計算した。切断部位付近の短い挿入又は欠失(インデル)は、ヌクレアーゼ誘導DNA切断後のDNA末端の修復の典型的な結果である。そのため、編集率(パーセント)の計算は、各アンプリコン内のインデル含有配列の割合から推定した。
【0304】
各OMNIのゲノム活性は、異なるゲノム位置をターゲティングするように各々が設計された6つのユニークなsgRNAのパネルを用いて評価した。これらの実験の結果を表5にまとめる。表(6列目、「%インデル」)に見られるように、OMNI-68とOMNI-78はどちらも、2/6の試験部位において、陰性対照(9列目、「陰性対照の%編集」)と比較して高く、しかも有意な編集レベルを示す。
【0305】
実験データセット3
OMNIヌクレアーゼポリペプチドの構築
OMNIヌクレアーゼポリペプチドの構築のために、いくつかの同定されたOMNIヌクレアーゼ(OMNI)のオープンリーディングフレームをヒト細胞株発現のためにコドン最適化した。ORFを細菌プラスミドpb-NNC3及び哺乳動物プラスミドpmOMNIにクローニングした(表4)。
【0306】
sgRNAの予測及び構築
各OMNIについて、それぞれの細菌ゲノムにおけるCRISPRリピートアレイ配列(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)の検出により、sgRNAを予測した。ネイティブ未成熟crRNA及びtracrRNA配列をテトラループ「gaaa」とインシリコで連結し、RNA二次構造予測ツールを用いて、二重鎖の二次構造要素を予測した。
【0307】
全二重鎖RNAエレメント(crRNA-tracrRNAキメラ)の予測二次構造を、各OMNIヌクレアーゼのさまざまなバージョンを有するsgRNAの設計のために考えられるtracr配列の同定に使用した。異なる位置の上部ステムで二重鎖を短縮することにより、crRNAとtracrRNAをテトラループ「gaaa」で連結させ、それによって、考えられるsgRNA足場を作製した(全てのOMNIのsgRNA設計を表2に記載する)。各OMNIについて考えられる設計足場の少なくとも2つのバージョンを合成し、下流で22ヌクレオチドのユニバーサルユニークスペーサー配列(T2、配列番号234)に連結させ、T7誘導性プロモーター下で細菌発現プラスミドにクローニングし、U6プロモーター下で哺乳動物発現プラスミドにクローニングした(それぞれ、pbSGR2及びpmGuide、表4)。
【0308】
潜在的な転写及び構造的制約を解消し、ヒト細胞環境という状況下でsgRNA足場の可塑性を評価するために、sgRNAのいくつかのバージョンを試験した。いずれの場合も、修飾は、考えられるsgRNAのヌクレオチド配列に小さな変化を示す(
図5C、表2)。
T1-GGTGCGGTTCACCAGGGTGTCG(配列番号233)
T2-GGAAGAGCAGAGCCTTGGTCTC(配列番号234)
【0309】
TXTLによるインビトロ欠失アッセイ
インビトロでのPAM配列の欠失は、Maxwell et al, Methods. 2018に従った。簡単に説明すると、OMNIヌクレアーゼを発現する線状DNAと、T7プロモーター下のsgRNAを、T7ポリメラーゼを発現する線状構築物と一緒にTXTLミックス(Arbor Bioscience)に添加した。TXTLミックスによるRNA発現及びタンパク質翻訳は、RNP複合体の形成をもたらす。直鎖状DNAを用いたことから、DNAを分解から保護するために、Chi6配列、即ち、RecBCD阻害剤を添加した。sgRNAスペーサーは、潜在的PAM配列の8Nランダム化セットによりフランキングされたターゲティングプロトスペーサー(pbPOS T2ライブラリー、表4)を含むプラスミドのライブラリーをターゲティングするように設計されている。ライブラリーからのPAM配列の欠失は、PCRを使用した際にハイスループットシーケンシングにより測定して、切断されたライブラリーと、非ターゲティングgRNA(T1、配列番号233)を発現する対照ライブラリーの両方に、必要なアダプター及びインデックスを付加した。ディープシーケンシングの後、インビトロ活性は、OMNIヌクレアーゼによる対照におけるそれらの発生と比較して、同じPAM配列を有する欠失配列の画分によって確認され、インビトロ系による機能的DNA切断を示した(
図6A~6H、表3)。
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
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【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
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