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特表2023-546705マルチポートコネクタインターフェースシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】マルチポートコネクタインターフェースシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20231030BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20231030BHJP
   H01R 13/15 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01R13/24
H05K1/11 C
H01R13/15 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524810
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021052874
(87)【国際公開番号】W WO2022086690
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】17/078,684
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518139683
【氏名又は名称】カーライル・インターコネクト・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヴォルコヴ
【テーマコード(参考)】
5E317
【Fターム(参考)】
5E317AA04
5E317CC08
5E317GG11
5E317GG20
(57)【要約】
回路基板とインターフェースするコネクタは、互いに反対にある第1および第2のフェース面を有しフェース面同士の間に延在する複数のポートを画定する本体を含む。複数の中心導体は、フェース面同士の間においてそれぞれのポート内に延在する。支持要素は、それぞれのポート内の概ね中心に配置された中心導体を固定するように、中心導体に係合する。各中心導体は、第1のフェース面に近接して配置されたピン部、および第2のフェース面を越えて延在するように配置されたプランジャ部を含む。プランジャ部は、第2のフェース面からの中心導体の端部の距離を変えるようにコネクタの第2のフェース面に対して長手方向に動き、それによって、回路基板または他の信号操作構成要素に対するコネクタのインターフェースを調整できることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板とインターフェースするコネクタであって、
互いに反対にある第1および第2のフェース面を有し、前記フェース面同士の間に延在する複数のポートを画定する、本体と、
複数の中心導体であって、各々が前記フェース面同士の間においてそれぞれのポート内に延在し、
少なくとも1つの中心導体が、前記第1のフェース面に近接して配置されたピン部、および前記第2のフェース面に近接して配置されたプランジャ部を含み、前記プランジャ部が、前記中心導体の長さを変えるようにそれぞれの前記ポート内において動くように構成され、
前記プランジャ部が、前記第2のフェース面に対して前記中心導体の一端部の距離を変えるように動くように前記第2のフェース面の方に付勢される、複数の中心導体と、
を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中心導体の前記プランジャ部およびピン部が、前記中心導体の長さを変えるように前記プランジャ部を前記ピン部から遠ざけるように付勢するばねにより一緒に結合される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記本体内に前記第1のフェース面に近接して配置され、それぞれのポートとインターフェースする複数のソケットをさらに備え、前記中心導体のピン部が、それぞれのソケット内に延在する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
各ソケットが、前記コネクタ本体の前記第1のフェース面内で終端する、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記中心導体の前記ピン部が、それぞれの前記ソケット内の所定位置に固定される、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
電気絶縁材料から作られた支持要素であって、前記少なくとも1つの中心導体に係合して、それぞれの前記ポート内に前記中心導体を固定するように構成された、支持要素をさらに備える、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの中心導体に係合するように構成された複数の支持要素をさらに備え、ここで、少なくとも1つの支持要素が、前記ポート内に前記ピン部を固定するように配置され、他の支持要素が、前記ポート内に前記プランジャ部を固定するように配置される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ピン部を固定するように配置された前記少なくとも1つの支持要素が、それぞれの前記ソケット内に前記ピン部を固定する、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ソケットのうちの少なくとも1つが、SMP、SMPM、SMPS、1.85mm、2.4mmまたはWMPコネクタのうちの少なくとも1つのためのソケットをもたらすように構成される、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項10】
信号操作システムであって、
信号トレースおよび接地トレースを含む導電パターンを表面に有する回路基板と、
前記回路基板上の前記導電パターンとインターフェースするコネクタと、を備え、前記コネクタが、
互いに反対にある第1のフェース面および第2のフェース面を有し、前記フェース面同士の間に延在する複数のポートを画定する本体であって、前記第2のフェース面が前記回路基板の前記表面と結合する、本体と、
複数の中心導体であって、各々が前記フェース面同士の間においてそれぞれのポート内に延在し、
少なくとも1つの中心導体が、前記第1のフェース面に近接して配置されたピン部、および前記第2のフェース面に近接して配置されたプランジャ部を含み、前記プランジャ部が、前記中心導体の長さを変えるようにそれぞれの前記ポート内において動くように構成され、
前記プランジャ部が、前記第2のフェース面に対して前記中心導体の一端部の距離を変え前記回路基板上の前記信号トレースと接触するように動くように前記第2のフェース面の方に付勢される、複数の中心導体と、
を備える、信号操作システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの中心導体の前記プランジャ部およびピン部が、前記回路基板上の前記信号トレースに対して前記プランジャ部を付勢するばねにより一緒に結合される、請求項10に記載の信号操作システム。
【請求項12】
前記本体内に前記第1のフェース面に近接して配置され、それぞれのポートとインターフェースする複数のソケットをさらに備え、前記中心導体のピン部が、それぞれのソケット内に延在する、請求項10に記載の信号操作システム。
【請求項13】
各ソケットが、前記コネクタ本体の前記第1のフェース面内で終端する、請求項12に記載の信号操作システム。
【請求項14】
前記中心導体の前記ピン部が、それぞれの前記ソケット内の所定位置に固定される、請求項10に記載の信号操作システム。
【請求項15】
電気絶縁材料から作られた支持要素であって、それぞれの中心導体に係合して、それぞれの前記ポート内に前記中心導体を固定するように構成された、支持要素をさらに備える、請求項10に記載の信号操作システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの中心導体に係合するように構成された複数の支持要素をさらに備え、ここで、少なくとも1つの支持要素が、前記ポート内に前記ピン部を固定するように配置され、他の支持要素が、前記ポート内に前記プランジャ部を固定するように配置される、請求項10に記載の信号操作システム。
【請求項17】
前記ピン部を固定するように配置された前記少なくとも1つの支持要素が、それぞれの前記ソケット内に前記ピン部を固定する、請求項16に記載の信号操作システム。
【請求項18】
前記ソケットのうちの少なくとも1つが、SMP、SMPM、SMPS、1.85mm、2.4mmまたはWMPコネクタのうちの少なくとも1つのためのソケットをもたらすように構成される、請求項10に記載の信号操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書にその開示が組み込まれる、2020年10月23日(係属中)出願の米国特許出願第17/078,684号に対する優先権の利益を請求する。
【0002】
本発明は、電気回路基板とのコネクタインターフェース、詳細には、電気回路基板と他のRF信号操作構成要素との間をインターフェースするマルチポートRFコネクタを対象とする。
【背景技術】
【0003】
一般に、プリント回路基板またはPCBなどの電気回路基板の間で利用可能な電気接続方法は、信頼性の高い接続の欠如により、幾分限定される。これは、特に、より大きな信号完全性を必要とするRFコネクタと基板との場合にそうなり得る。通常、コネクタは、基板に個別にはんだ付けされ、特定の厳しい環境に耐えなければならない。これは、コネクタが極端な環境条件に耐えることができることを確実にするために重要な(upfront)設計であるためだけでなく、はんだ製造および検査プロセスが原因で、費用のかかるプロセスとなり得る。
【0004】
PCBにおける現在のRFコネクタの解決策の他の課題は、スペースの可用性および基板接続の必要なコネクタ密度(connector density)である。個々のコネクタは、RFコネクタパッケージ(packaging)におけるより高い信号データ伝送およびより大きな密度についての今日の需要に合わない。
【0005】
現在のRF同軸基板(coaxial board)に取り付けられるコネクタでは、許容差変動を最小にするために、本体および中心導体などの様々な構成要素の長さ許容差、ならびに絶縁体長さにおいてかなりの精度が求められる。そうでなければ、許容差変動は、コネクタの中心導体とPCBとの間のインターフェースにおける許容ギャップよりも大きくなるように累積的に積み重なってしまうことがある。これは特にマルチポートコネクタの場合に問題となる。単一はんだ接続部を含むシングルコネクタは、中心導体を固定するために任意の許容差ギャップのはんだフィル(solder fill)を有することができ得る。それは、一般的に、マルチポートコネクタでは行うことができない。
【0006】
はんだのない現場交換可能コネクタ(field replaceable connector)は、はんだ付けの欠点に対処することに使用され得る。しかし、一般的に、現場交換可能コネクタの中心導体は、基板により高い接触圧力をもたらす。これは、脆いPCB信号トレースにダメージを与えることがある。コネクタの寿命にわたって、中心導体はさらに、信号トレースに対して摺動することがあり、それによって接触圧力が減じることがある。これはさらに、RFの性能低下になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、現在、PCBと他のRF信号操作構成要素との間に費用効果が高く信頼性の高いRF信号接続をもたらすRFコネクタインターフェースが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
回路基板とインターフェースするコネクタは、互いに反対にある第1および第2のフェース面を有しフェース面同士の間に延在する複数のポートを画定する本体を含む。複数の中心導体は、フェース面同士の間においてそれぞれのポート内に延在する。支持要素は、それぞれのポート内に概ね中心に配置された中心導体を固定するように、中心導体に係合する。各中心導体は、第1のフェース面に近接して配置されたピン部、および第2のフェース面を越えて延在するように配置されたプランジャ部を含む。プランジャ部は、第2のフェース面からの中心導体の端部の距離を変えるようにコネクタの第2のフェース面に対して長手方向に動き、それによって、回路基板または他の信号操作構成要素に対するコネクタのインターフェースを調整できることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のマルチポートコネクタの斜視図である。
図2図1に示されるような本発明の実施形態のマルチポートコネクタの断面図である。
図3図1に示されるような本発明の実施形態のマルチポートコネクタの例示的なポートの断面図である。
図4図1に示されるような本発明の実施形態のマルチポートコネクタの例示的なポートの分解断面図である。
図5図1に示されるような本発明の実施形態のマルチポートコネクタとともに使用される回路基板の回路基板信号伝導パターンの平面図である。
図6図1に示されるような本発明の実施形態のマルチポートコネクタによる中心導体要素の先端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、プリント回路基板(PCB)25に結合された本発明の一実施形態によるマルチポートコネクタ10を含む信号操作システム(signal handling system)を示す。マルチポートコネクタ10は、そこを通って延在する複数のポート14を画定するコネクタ本体12を含む。本体は、黄銅合金などの適当な導電性材料から作られ、本質的に、互いに反対にある第1および第2のフェース面18、20を有する。ポート14は、フェース面18、20同士の間に電気信号路をもたらす。フェース面は、信号搬送要素またはデバイスとインターフェースする。例えば、図2に示されるように、一方のフェース面20は、プリント回路基板25とインターフェースされ得る一方、他方のフェース面18は、適切なコネクタまたはコネクタの部分を受容する複数のソケット22を含むことができる。ポート14は、それぞれのソケット22内で終端する(図2参照)。ソケット22は、図1および図2に示されるように適切な嵌合コネクタ24を受容するように構成される。本発明は、PCB25またはコネクタ24からのRF信号を通すRFコネクタとしての特定の使用を有するが、本発明はRF周波数だけに限定されない。嵌合コネクタ24は、図1および図2に示されるようにコネクタもしくはアダプタ26と結合可能、または、PCB25と何らかの他の信号操作および/もしくは処理構成要素もしくはデバイスとの間においてコネクタ24を通して信号を方向付けるケーブル(図示せず)に結合される場合もある。
【0011】
図1および図5に示されるように、コネクタ10は、コネクタの本体12を貫通して形成された適切な孔またはアパーチャ32を通る1つまたは複数の締結具30の使用によって、プリント回路基板(PCB)などの信号処理構成要素に結合され得る。プリント回路基板25は、コネクタの取り付けのための位置合わせされたアパーチャ(図示せず)を含むことができる。ねじまたはボルトなどの適切な締結具30を使用することができる。
【0012】
図3および図4を参照すると、各コネクタポートは、一般的に、フェース面18、20同士の間においてポート内に延在する中心導体40を保持する。中心導体40は、1つまたは複数の支持構造42、44によってそれぞれのポート内の所定位置に保持される。支持構造42、44は、中心導体40に係合し、それをポート14内に概ね中心に配置して固定する。したがって、各ソケット22は、図1および図2に示されるように、嵌合コネクタ24とインターフェースする、概同軸コネクタソケットを呈する。本発明の一態様によれば、中心導体40の長さは、コネクタ10をプリント回路基板25などの信号操作構成要素に結合するときの許容差が変動することがある様々な異なる取り付け配置においてコネクタ10が使用できるように、可変である。コネクタ10は、熱的変動が大きい、ならびに振動力および衝撃が高いなど、極端な環境条件下で使用されることがある。中心導体40とPCBなどの信号操作構成要素との間をはんだ接続に依存することは、中心導体とはんだ付け部との正確な配置を必要とするが、本発明は、そうした配置についてより寛大である。
【0013】
本発明の一実施形態は、プリント回路基板に対するはんだ接続を省き、PCBなどの信号操作構成要素に結合され得る図示のようなマルチポートコネクタを有することができるようにし、はんだ付けのない依然として頑強な電気接続部を有し、RF信号経路のためのPCBとコネクタ10との間の信頼性の高い接続を提供する。本コネクタ10は、はんだ接続の必要を省くことでその費用のかかるプロセスがなくなり、さらに、極端な環境条件下でも故障しない接続を提供する。さらに、コネクタ10は、はんだ製造プロセスを経る必要がない。本発明は、高信号データ伝送、および航空宇宙市場などの特定の市場向けの密度を高めたパッケージの需要に合うように構成され得るマルチポートコネクタ10を提供する。コネクタのフェース面20にもたらされる様々な長さの中心導体40を有するマルチポートコネクタ10は、中心導体40と、様々な装着に遭遇することがあるプリント回路基板25との間のインターフェースにおける可変ギャップにもかかわらずしっかりした電気接続を提供する。
【0014】
図3を参照すると、中心導体40は、フェース面18に近接して配置されフェース面18における同軸コネクタ配置をもたらすようにソケット22内にもたらされる、ピン部46を含む。中心導体40はさらに、コネクタ本体12のフェース面20を越えて延びるように配置されるプランジャ部48を含む。中心導体40は、プランジャ部48が、フェース面20からの中心導体の端部または先端部50の距離を変えるようにフェース面20に対して長手方向に動くように構成される。フェース面20は、PCB25の面52とインターフェースする。面52は、例えば嵌合コネクタ24を通して他の信号操作構成要素へと、通されるべきコネクタ10にRF信号または他の電気信号をもたらす信号トレース60および接地トレース62を含む様々な導電性トレースを有する。当業者には明らかなように、PCB25は、必要に応じて基板周り、トレース60、62およびコネクタ10に適切な信号および接地電位を伝送する多数の内部導電層(図示せず)およびパターンを含む多層構造を有することができる。
【0015】
図3に示される実施形態では、中心導体40は、中心導体40の管状本体66内を長手方向に動くプランジャ部48を含む。図示の実施形態では、ばね68が、プランジャ部48を管状本体66内を長手方向に動かすようにそれを付勢する。中心導体40のプランジャ部48と反対の端部において、管状本体66は、ソケット22内にコネクタ中心導体を形成するピン部46に結合されている。このため、中心導体40のピン部46は、全体的に、ソケット22に対して所定位置に固定されるが、プランジャ部48は、PCB25とインターフェースするように、ポート14内を長手方向に中心導体40の長さ全体にわたって移動して延びる。図示の実施形態では、ピン部は、管状本体66と一体になっている。しかし、ピン部46は、別個の要素であってもよく、またはそうではなくて、中心導体の管状本体66に物理的および電気的に結合されてもよい。
【0016】
より具体的には、図4に示されるように、中心導体管状本体66は、ピン部46に近接した一端に形成された肩部70を含むことができる。ピン部46は、支持要素42内の開口を通ってソケット22内へと延びる。支持要素42は、電気絶縁材料で作られ、ポート14およびソケット22内に概ね中心に配置された中心導体を固定するために、中心導体40のピン部46と係合するように構成される。支持要素42は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような適当な誘電材料などの電気絶縁材料から形成される。ピン部46の挿入深さを制御するために、中心導体管状本体66の肩部70が支持要素42の底面43に当接する。同様に、支持要素42は、肩部45を含み、ポート14は、支持要素をポート14内に固定しソケット内におけるピン部46の位置およびその深さを設定するように支持要素42の肩部45に当接する類似の肩部17をもたらす狭窄セクション15を含む(図3参照)。
【0017】
プランジャ部48は、管状本体66内を長手方向に動き、管状本体内にプランジャ部セクション49を収容しその伸長を制御するために管状本体66のテーパ状セクション67とインターフェースする大直径セクション49を含む。付勢ばね68は、本体66内にピン部46と管状本体66内のプランジャ部48との間に延在し、中心導体のプランジャ部48をコネクタ本体12のフェース面20の方向に付勢する。中心導体40をフェース面20に近接して固定するために、他の支持要素44が使用され、その内部に、中心導体のプランジャ部48が通るアパーチャ80を含む。具体的には、アパーチャ80は、中心導体の管状本体66のテーパ状セクション67のような一セクションを受容するための幅広セクション82と、先端部50が露出するようにプランジャ部48の端部が通過する狭窄セクション84とを含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、プランジャ部48の先端部50は、PCB25の導電性信号トレース60内に食い込む、またはより積極的には、それと係合するための構造を含む。図6を参照すると、例えば6ポイント先端部であるマルチポイント先端部50は、PCB25上の信号トレース60と積極的に係合する尖った端部53を含む6個のプロング51を有して実施され得る。
【0019】
図3は、プランジャ部48および信号トレースと係合する先端部50を示す、基板25とインターフェースされた組み立て後のコネクタ10を示す。図2に示されるように、ポートのうちの1つのポート14aにおいて、本発明におけるコネクタ中心導体40の可変長を示すように、プランジャ部48は、コネクタのフェース面20を越え、PCB25上の信号トレース60を越えて延在して示されている。しかし、当業者には簡単に理解されるように、コネクタ10がプリント回路基板25とインターフェースしているとき、プランジャ部48は、先端部50が適切な電気的係合を実現するようにPCB25上の信号トレース60と概ね同一平面になるように、コネクタ10を上方に駆動される。ばね68は、プランジャ部48を信号トレース60に対して下方に付勢する。先端部50の長手方向調整性および移動によって、コネクタ10が、コネクタ10のフェース面と導電性トレース60、62を有する回路基板25のフェース面52または他の面との間における様々な間隔または許容差においてしっかりとした電気接続を提供することができることが確実になる。
【0020】
本発明の一実施形態では、ばね68は、約20g(中間行程)の付勢力をもたらすことができる。このようにして、本発明のコネクタは、はんだなしにしっかりとした電気接続をもたらし、コネクタ10と回路基板25との間の様々な許容差および間隔を可能にする。
【0021】
再び図2を参照すると、コネクタ10は、回路基板25に接続されそれに適切な締結具30により固定されると、回路基板上の適切な信号トレース60および接地トレース62に結合されたマルチポートコネクタを呈し、図1および図2に示されるような嵌合コネクタ24とインターフェースするように、様々なコネクタソケット22を提供する。本発明は、プリント回路基板における信号密度を増加させ、はんだのないしっかりとした信号接続を確実にする。コネクタ10がプリント回路基板に固定されると、様々な信号操作構成要素におけるRF信号の同軸経路をもたらすように、中心導体40のプランジャ部48は、適切な信号トレース60にしっかりと係合し、コネクタ本体12は、適切な接地トレース62に係合する。コネクタと回路基板25とのインターフェースに影響を及ぼすことがある衝撃および振動は、中心導体40と信号トレース60との間の良好な電気接続を確実にするように中心導体40が長手方向に調整されるため、その懸念は低くなる。理解されるように、SMP、SMPM、SMPS、1.85mm、2.4mm、WMPおよび他のコネクタプラットホームなどの多数の異なる形態のコネクタを実現することに、ソケット22およびピン部46の様々なコネクタ構成、および嵌合コネクタの構成が使用され得る。
【0022】
次に、図1および図5に移ると、コネクタ10は、回路基板25の適切な信号トレース上にコネクタ10を位置合わせすることに使用される複数のアライメントアパーチャ13を含むことができる。アライメントアパーチャは、適切なアライメントをもたらすように回路基板上に配置された支持ダボなどの1つまたは複数のアライメント構造を受容することができる。その後、締結具30が、コネクタ10を回路基板に固定するようにアパーチャに締結され得る。図5は、コネクタ10がインターフェースし得る1つの可能な回路基板導体パターン90を示す。このため、パターン90は、コネクタ10の様々なポート14およびコネクタソケット22に対応する信号トレースまたはパッド60を含む。パッド/トレース60は、非導電性領域61によって、次いで、コネクタの本体12がインターフェースする接地信号トレースまたは接地面62によって囲繞される。締結具30を受容する締結具アパーチャ32は、例えば概ね対称の正方形パターンとして図示されるパターン90の角の方に適切に配置される。コネクタ10がそこに固着されるとき、中心導体40のプランジャ部48は、信号トレース60に係合し、一方、本体12は、接地平面62に係合する。このため、図2を参照すると、本体12は、中心導体40およびポート14のそれぞれに近接して、良好な電気接地接触を確実にするように各ポートおよび中心導体を囲繞する接地リング構造92を含む。
【0023】
図示の実施形態は、16ポートコネクタを示しているが、当業者には、本発明を組み込んだ他のコネクタは、より少ないまたはより多い数の接続ポートおよびソケットを含むことができることが理解されよう。したがって、コネクタのポートの数は、図示の実施形態に限定されない。
【0024】
本発明は、様々な実施形態の記載によって例示されており、これらの実施形態はかなり詳細に記載されているが、添付の請求項の範囲をそのような詳細に規制すること、または何らかの形で制限することは、発明者らの意図するところではない。したがって、追加の利点および変更は、当業者には容易に明らかであろう。本発明の様々な特徴は、ユーザのニーズおよび好みに応じて単独で、または任意の組合せで使用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 マルチポートコネクタ
12 コネクタ本体
13 アパーチャ
14 ポート
14a ポート
15 狭窄セクション
17 肩部
18 フェース面
20 フェース面
22 ソケット
24 嵌合コネクタ
25 プリント回路基板
26 アダプタ
30 締結具
32 アパーチャ
40 中心導体
42 支持構造
43 底面
44 支持構造
45 肩部
46 ピン部
48 プランジャ部
49 大直径セクション
50 先端部
51 プロング
52 面
53 端部
60 信号トレース
61 非導電性領域
62 接地トレース
66 管状本体
67 テーパ状セクション
68 ばね
70 肩部
80 アパーチャ
82 幅広部
84 狭窄セクション
90 パターン
92 接地リング構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板とインターフェースするコネクタであって、
互いに反対にある第1および第2のフェース面を有し、前記フェース面同士の間に延在する複数のポートを画定する本体であって、
前記第1のフェース面内に形成され、それぞれのポートとインターフェースする複数のソケットを含む、本体と、
複数の中心導体であって、各々が前記フェース面同士の間においてそれぞれのポート内に延在し、
少なくとも1つの中心導体が、前記第1のフェース面に近接して配置されたピン部であって、それぞれのソケット内へと延在し、それぞれの前記ソケットおよび第1のフェース面に対して固定関係で取り付けられた、ピン部を含み、
前記少なくとも1つの中心導体が、前記第2のフェース面において前記中心導体の長さを変えるように前記ピン部に対して動くように構成されたプランジャ部を含み、
前記プランジャ部が、前記第2のフェース面に対して前記中心導体の一端部の距離を変えるように長手方向に動くように付勢される、複数の中心導体と、
を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中心導体の前記プランジャ部およびピン部が、前記中心導体の長さを変えるように前記プランジャ部を前記ピン部から遠ざけるように付勢するばねにより一緒に結合される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
各ソケットが、前記コネクタ本体の前記第1のフェース面内で終端する、請求項に記載のコネクタ。
【請求項4】
電気絶縁材料から作られた支持要素であって、それぞれの中心導体に係合して、それぞれの前記ポート内に概ね中心に配置された前記中心導体を固定するように構成された、支持要素をさらに備える、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの中心導体に係合するように構成された複数の支持要素をさらに備え、ここで、少なくとも1つの支持要素が、前記ポート内に前記ピン部を固定するように配置され、他の支持要素が、前記ポート内に前記プランジャ部を固定するように配置される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ピン部を固定するように配置された前記少なくとも1つの支持要素が、それぞれの前記ソケット内に前記ピン部を固定する、請求項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ソケットのうちの少なくとも1つが、SMP、SMPM、SMPS、1.85mm、2.4mmまたはWMPコネクタのうちの少なくとも1つのためのソケットをもたらすように構成される、請求項に記載のコネクタ。
【請求項8】
信号操作システムであって、
信号トレースおよび接地トレースを含む導電パターンを表面に有する回路基板と、
前記回路基板上の前記導電パターンとインターフェースするコネクタと、を備え、前記コネクタが、
互いに反対にある第1のフェース面および第2のフェース面を有し、前記フェース面同士の間に延在する複数のポートを画定する本体であって、前記第2のフェース面が前記回路基板の前記表面と結合し、
前記本体が、前記第1のフェース面内に形成され、それぞれのポートとインターフェースする複数のソケットを含む、本体と、
複数の中心導体であって、各々が前記フェース面同士の間においてそれぞれのポート内に延在し、
少なくとも1つの中心導体が、前記第1のフェース面に近接して配置されたピン部であって、それぞれのソケット内へと延在し、それぞれの前記ソケットおよび第1のフェース面に対して固定関係で取り付けられた、ピン部を含み、
前記少なくとも1つの中心導体が、前記回路基板上の導電性パターンに対して前記第2のフェース面において前記中心導体の長さを変えるように前記ピン部に対して動くように構成されたプランジャを含み
前記プランジャ部が、前記回路基板上の前記信号トレースと接触するように長手方向に動くように付勢される、複数の中心導体と、
を備える、信号操作システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの中心導体の前記プランジャ部およびピン部が、前記回路基板上の前記信号トレースに対して前記プランジャ部を付勢するばねにより一緒に結合される、請求項に記載の信号操作システム。
【請求項10】
各ソケットが、前記コネクタ本体の前記第1のフェース面内で終端する、請求項に記載の信号操作システム。
【請求項11】
電気絶縁材料から作られた支持要素であって、それぞれの中心導体に係合して、それぞれの前記ポート内に概ね中心に配置された前記中心導体を固定するように構成された、支持要素をさらに備える、請求項に記載の信号操作システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中心導体に係合するように構成された複数の支持要素をさらに備え、ここで、少なくとも1つの支持要素が、前記ポート内に前記ピン部を固定するように配置され、他の支持要素が、前記ポート内に前記プランジャ部を固定するように配置される、請求項に記載の信号操作システム。
【請求項13】
前記ピン部を固定するように配置された前記少なくとも1つの支持要素が、それぞれの前記ソケット内に前記ピン部を固定する、請求項12に記載の信号操作システム。
【請求項14】
前記ソケットのうちの少なくとも1つが、SMP、SMPM、SMPS、1.85mm、2.4mmまたはWMPコネクタのうちの少なくとも1つのためのソケットをもたらすように構成される、請求項に記載の信号操作システム。
【国際調査報告】