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特表2023-546707全固体リチウム二次電池およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】全固体リチウム二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20231030BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231030BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20231030BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20231030BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20231030BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20231030BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0562
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/134
H01M10/0565
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524813
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 KR2022007604
(87)【国際公開番号】W WO2022250504
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069413
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】テ・ゴン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・チャン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ボン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スル・チャム・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ・ジン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ジン・ハー
(72)【発明者】
【氏名】キ・テ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミョン・ス・キム
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL12
5H029AL16
5H029AM12
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ14
5H029CJ22
5H029DJ08
5H029DJ15
5H029DJ16
5H029EJ01
5H029EJ04
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ05
5H029HJ07
5H029HJ12
5H029HJ13
5H029HJ14
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050DA03
5H050DA09
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA05
5H050EA08
5H050FA02
5H050FA16
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA15
5H050GA22
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA12
5H050HA13
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、全固体リチウム二次電池およびその製造方法に関し、前記全固体リチウム二次電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層とを含み、前記負極活物質層は、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(Graphitized Platelet Carbon Nano Fiber、GPCNF)および銀ナノ粒子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質層、負極活物質層、および前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層を含み、
前記負極活物質層は、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび銀ナノ粒子を含む、全固体リチウム二次電池。
【請求項2】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、プレートレットカーボンナノファイバーを2,000℃以上の温度で熱処理して形成される、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項3】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、複数のグラフェンシートが前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの成長方向に積層された形態であり、
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面に向かって突出した屈曲部を含み、
前記屈曲部は、前記グラフェンシートの基底面に該当する、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項4】
前記銀ナノ粒子は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの表面上に配置されている、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項5】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーに対してXRD測定を行う際、
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのd(002)は、0.330nm~0.350nmである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項6】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーに対してXRD測定を行う際、
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのLc(002)は、20nm~200nmである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項7】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのI/Iは、0.1~1.0である、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項8】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの平均直径は、10nm~500nmである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項9】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの平均長さは、0.1μm~5μmである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項10】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの比表面積は、5m/g~100m/gである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項11】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、前記負極活物質層内に50重量%~98重量%含まれる、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項12】
前記銀ナノ粒子の平均粒径は、1nm~100nmである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項13】
前記負極活物質層において、
前記銀ナノ粒子は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記銀ナノ粒子の全重量に対して1重量%~40重量%含まれる、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項14】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーと前記銀ナノ粒子の重量比は、99:1~60:40である、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項15】
前記負極活物質層は、負極バインダーをさらに含む、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項16】
前記負極活物質層の厚さは、1μm~100μmである、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項17】
負極集電体をさらに含み、
充電状態で、前記負極活物質層と前記負極集電体との間に位置した金属層をさらに含み、
前記金属層は、リチウムを含む、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項18】
銀イオンと黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの混合物に対して、銀イオンを還元して、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー上に配置された銀ナノ粒子を含む乾燥混合粉末を形成する第1ステップと、
前記乾燥混合粉末を含む負極混合物を介して負極集電体上に負極活物質層を形成する第2ステップとを含む、請求項1に記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体リチウム二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、主に、モバイル機器やノート型パソコンなどの小型分野に適用されてきたが、最近、その適用方向が中大型分野に拡張しており、例えば、エネルギー貯蔵装置(energy storage system、ESS)、電気自動車(electric vehicle、EV)などの分野のように、高エネルギーおよび高出力が求められる分野に拡張している。
【0003】
一方、最近、全固体リチウム二次電池(all-solid lithium secondary battery)に関する関心が高まっている傾向にある。前記全固体リチウム二次電池は、液体電解質の代わりに不燃性の無機固体電解質を用いる二次電池であり、液体電解質を使用するリチウム二次電池に比べて熱安定性が高く、過充電時に、液漏れによる爆発の恐れが非常に少なく、このような爆発の恐れを防止するための設備を追加する必要がないという面で注目されている。
【0004】
ただし、全固体リチウム二次電池は、多少体積が大きい固体電解質を使用するため、電池のエネルギー密度を改善しようとする試みが多い。このために、負極活物質層としてリチウム金属などのリチウムと合金を形成することができる金属層を使用する。ただし、そのような金属層を使用すると、金属層上に析出されるリチウムがイオン化して溶解するにつれて、固体電解質と金属層との間に空隙が発生し、電池の駆動に悪影響を及ぼす。また、全固体リチウム二次電池の放電時にリチウム金属が金属層の表面から樹枝状に(dendrite)析出されるため、全固体リチウム二次電池の寿命および安定性を低下させる。
【0005】
このような問題を解決するために、従来、空隙が発生することを防止するためのエンドプレート(end plate)などを正極や負極に配置させて高い外圧を印加させる方法も使用されている。しかし、外圧を印加するエンドプレートを使用する時に、全固体リチウム二次電池の体積が過剰に増加し、全固体リチウム二次電池のエネルギー密度が低下する問題がある。
【0006】
したがって、全固体リチウム二次電池の寿命および安定性を改善することができる新たな方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする一課題は、充電時にリチウムイオンが還元してリチウム金属が効果的に貯蔵されることができ、初期充電/放電効率が改善することができ、寿命特性が改善することができる全固体リチウム二次電池を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の課題は、使用される銀ナノ粒子の含量を下げて、価格競争力のある全固体リチウム二次電池を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、上述の全固体リチウム二次電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によると、正極活物質層、負極活物質層、および前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層を含み、前記負極活物質層は、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(Graphitized Platelet Carbon Nano Fiber、GPCNF)および銀ナノ粒子を含む全固体リチウム二次電池が提供される。
【0011】
本発明の他の実施形態によると、銀イオンと黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの混合物に対して、銀イオンを還元して、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー上に配置された銀ナノ粒子を含む乾燥混合粉末を形成する第1ステップと、前記乾燥混合粉末を含む負極混合物を介して負極集電体上に負極活物質層を形成する第2ステップとを含む、全固体リチウム二次電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明による全固体リチウム二次電池は、負極活物質層が黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび銀ナノ粒子を含むことから、充電時に、負極活物質層によってリチウムイオンが還元および析出されて効果的に負極に貯蔵されることができる。また、放電時に、貯蔵されたリチウムがリチウムイオンの形態に溶解されて正極に移動されることができる。前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、前記リチウムイオンの移動度を増加させて、前記電池の初期充電/放電効率および寿命特性を改善することができる。また、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを使用することにより、低い含量の銀ナノ粒子を使用しても、上述のリチウムイオンの移動が効果的に行われることができ、製造された全固体リチウム二次電池の価格競争力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明で言及される黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを説明するための模式図である。
図2】本発明で言及されるプレートレットカーボンナノファイバーを説明するための模式図である。
図3】本発明で言及される黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを説明するための模式図である。
図4】本発明の一実施形態による全固体リチウム二次電池を説明するための模式図である。
図5】本発明の一実施形態による全固体リチウム二次電池を説明するための模式図である。
図6】本発明で言及されるプレートレットカーボンナノファイバーのTEM写真である。
図7】本発明で言及される黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのTEM写真である。
図8】本発明の一実施形態による全固体リチウム二次電池に使用された銀ナノ粒子を含む黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのTEM写真である。
図9】本発明の他の実施形態による全固体リチウム二次電池に使用された銀ナノ粒子を含むプレートレットカーボンナノファイバーのTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0015】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定することを意図しない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有していない限り、複数の表現を含む。
【0016】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素またはこれらの組み合わせが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、構成要素、またはこれらの組み合わせなどの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0017】
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定したものであり、具体的にはBEL Japan社製のBELSORP-mini IIを用いて、液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出することができる。
【0018】
本明細書において、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーとは、グラフェンシート(graphene sheet)が積層されて繊維状を有する炭素構造体を意味し得る。図1を参照すると、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、炭素の六角網面が繊維軸Lに対して直角に配列されている構造を有するカーボンナノファイバーを意味し得る。前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの長さは、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの一末端と他の末端を前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーに沿って繋ぐ時に現れる線分または曲線の長さを意味し、例えば、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを直線に延ばした時に、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの繊維軸に沿って前記一末端と他の末端との距離を意味し得る。また、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの直径は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの繊維軸Lと垂直であり、前記グラフェンシートの面または炭素の六角網面と平行をなす短軸D方向において、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの幅を意味する。
【0019】
図2および図3図1のカーボンナノファイバーの側面Sを説明するための模式図である。図2および図3を参照すると、プレートレットカーボンナノファイバーと黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーとの差を知ることができる。前記プレートレットカーボンナノファイバーは、上記の段落で説明した形態を同様に有する。ただし、プレートレットカーボンナノファイバーの側面は、グラフェンシート(図2および図3の黒い線分)のエッジプレーン(Edge Plane)(図2のE)が露出した形態であるが、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面は、基底面(ベイサルプレーン、Basal Plane)(図3のB)が露出した形態である。このような差は、図6のプレートレットカーボンナノファイバーと図7の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのTEM写真からも確実に現れる。
【0020】
具体的には、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、複数のグラフェンシートが前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの成長方向に積層された形態であり、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面に向かって突出した屈曲部を含み、前記屈曲部は、前記グラフェンシートの基底面に該当する。前記屈曲部は、一グラフェンシートが延びて他のグラフェンシートと連結されて形成されたものであり、図3および図7のように、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面から外部に向かって基底面を露出している。より具体的には、前記基底面は、閉ループ(Closed Loop)形態を有し、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面で撓む状態で存在することができる。前記ループ形態は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの成長方向に沿って周期的に現れることができる。
【0021】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、プレートレットカーボンナノファイバーを高温で熱処理して黒鉛化して形成することができる。具体的には、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、プレートレットカーボンナノファイバーを2,000℃以上の温度、例えば、2,000℃~3,500℃で熱処理して形成することができる。前記熱処理時間は、10分~24時間であることができる。
【0022】
本明細書において、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよびプレートレットカーボンナノファイバーのX線回折(XRD:X-ray diffraction)測定方法は、以下のとおりである。XRD分析は、Bruker AXS d4 Endeavor XRD(電圧:40kV、電流:40mA)を用いることができ、Cu Kα放射(radiation)(波長:1.54Å)の条件で、2θ(Theta)10゜から90゜まで0.02゜ごとに87.5秒ずつのスキャニング速度で測定されることができる。測定結果のうち、2θが20゜~30゜の付近で現れる(002)結晶ピークの半値幅(FWHM、Full Width at Half-Maximum)を測定することができ、シェラー(Scherrer)式により計算し、d(002)値とLc(002)値を得ることができる。
【0023】
本明細書のI/I(割合)は、ラマンスペクトル測定時の波長-ピークグラフから測定可能である。具体的には、DピークとGピークが区分可能になるように、ベースライン(base line)を設定してグラフを調整(fitting)した後、Dピーク強度をGピーク強度で除してI/Iを確認することができる(組み込みソフトウェア使用、NRS-2000B、Jasco社製)。ラマンスペクトルにおいて、1590cm-1付近のGピークは、炭素のsp結合のE2g振動モードから起因したものであり、1350cm-1付近のDピークは、炭素のsp結合に欠陥が存在する時に現れる。
【0024】
本明細書において、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の平均直径は、負極活物質層をSEMにより、×20,000倍率で観察した時に、直径が大きい順に、上位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の直径と下位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の直径の平均値に該当する。
【0025】
本明細書において、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の平均長さは、負極活物質層をSEMにより、×20,000倍率で観察した時に、長さが大きい順に、上位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の長さと下位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の長さの平均値に該当する。
【0026】
本明細書において、銀ナノ粒子の平均粒径は、製造された銀ナノ粒子を含むプレートレットカーボンナノファイバーまたは負極活物質層の銀ナノ粒子を含むプレートレットカーボンナノファイバーをTEMにより、×1,000,000倍率で観察した時に、粒径が大きい上位50個の銀ナノ粒子の粒径と下位50個の銀ナノ粒子の粒径の平均値に該当する。
【0027】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0028】
全固体リチウム二次電池
本発明の一実施形態による全固体リチウム二次電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層とを含み、前記負極活物質層は、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(Graphitized Platelet Carbon Nano Fiber、GPCNF)および銀ナノ粒子を含むことができる。
【0029】
(1)負極活物質層
前記全固体リチウム二次電池は、負極活物質層を含むことができる。具体的には、前記全固体リチウム二次電池は、負極を含むことができ、前記負極は、負極集電体および負極活物質層を含むことができる。
【0030】
前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであればよく、特に制限されるものではない。例えば、前記負極集電体としては、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したものなどが使用されることができる。具体的には、ニッケルまたはステンレス鋼金属のような炭素をよく吸着する遷移金属を負極集電体として使用することができる。
【0031】
図4を参照すると、前記負極活物質層100は、前記負極集電体110の少なくとも一面上に配置されることができる。具体的には、前記負極活物質層100は、前記負極集電体110の一面上に配置されることができ、これとは異なり、前記負極集電体の両面上に配置されることもできる(図示せず)。
【0032】
前記負極活物質層は、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび銀ナノ粒子を含むことができる。具体的には、前記負極活物質層は、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび銀ナノ粒子からなることができる。
【0033】
1)黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、正極活物質層から伝達されたリチウムイオンが負極集電体上で容易に析出および貯蔵されるようにする移動経路の役割を果たすことができる。
【0034】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面に向かって突出した屈曲部を含み、前記屈曲部は、前記グラフェンシートの基底面に該当する。すなわち、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面から外部に向かって基底面を露出している。より具体的には、前記基底面は、閉ループ(Closed Loop)形態を有し、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面で撓む状態で存在することができる。前記ループ形態は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの成長方向に沿って周期的に現れることができる。前記基底面上にリチウムイオンの移動が迅速に行われることができ、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、リチウムイオンの迅速な移動を誘導する役割を果たすことができる。これにより、初期のリチウムイオンの吸蔵に対する非可逆容量が減少することができる。
【0035】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーに対してXRD測定を行う際、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのd(002)は、0.330nm~0.350nmであることができ、具体的には0.330nm~0.345nm、より具体的には0.330nm~0.340nmであることができる。前記範囲を満たす場合、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの結晶性が高く、電気伝導度が大きく改善し、リチウムイオンの吸蔵および移動にも有利である。
【0036】
前記プレートレットカーボンナノファイバーに対してXRD測定を行う際、前記プレートレットカーボンナノファイバーのLc(002)は、20nm~200nmであることができ、具体的には20nm~150nm、より具体的には20nm~100nm、例えば、35nm~100nmであることができる。前記範囲を満たす場合、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの黒鉛化度に優れて電気伝導度が改善し、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの長さ方向への結晶性の欠陥が小さく、素材自体の機械的強度に優れることができる。したがって、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを分散して使用する過程で、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーが切断される現象が減少することができ、電池の充電および放電時に、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの欠陥による電池の劣化現象が最小化することができる。
【0037】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーに対してラマンスペクトル測定を行う際、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのI/Iは、0.1~1.0であることができ、具体的には0.1~0.5、より具体的には0.1~0.3であることができる。前記範囲を満たす時に、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの結晶性が高く、電気伝導度が大きく改善し、リチウムイオンの吸蔵および移動にも有利である。
【0038】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの平均長さは、0.1μm~5μmであることができ、具体的には0.1μm~2.5μm、より具体的には0.1μm~1μmであることができる。前記範囲を満たす時に、負極活物質層内で導電性経路が効果的に形成されることができ、全固体リチウム二次電池の効率が改善することができる。また、銀ナノ粒子がリチウムイオンと合金反応して体積が変化する時にも、負極活物質層の構造的な崩壊が効果的に抑制されることができる。
【0039】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの平均直径は、10nm~500nmであることができ、具体的には10nm~400nm、より具体的には10nm~300nmであることができる。前記範囲を満たす時に、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを介してリチウムイオンの吸蔵および移動が発生しても、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの機械的構造が効果的に維持されることができる。
【0040】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの比表面積は、5m/g~10m/gであることができ、具体的には5m/g~80m/g、より具体的には5m/g~60m/gであることができる。前記範囲を満たす場合、銀ナノ粒子が前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの表面上に安定的に配置されることができ、リチウムイオンの吸蔵および移動が効果的に行われることができる。
【0041】
前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーは、前記負極活物質層内に50重量%~98重量%含まれることができ、具体的には60重量%~95重量%、より具体的には70重量%~90重量%含まれることができる。前記範囲を満たす時に、全固体リチウム二次電池のエネルギー密度の減少を最小化し、且つリチウムイオンの移動度が効果的に改善することができ、全固体リチウム二次電池の初期充電/放電効率および寿命特性が向上することができる。
【0042】
2)銀ナノ粒子
前記銀ナノ粒子は、リチウム親和性(Lithiophilic)の特性があることから、リチウムイオンと容易に合金をなすことができる。これにより、銀ナノ粒子は、正極活物質層から伝達されたリチウムイオンと合金を形成して、負極活物質層内へのリチウムイオンの吸蔵および拡散を促進することができる。
【0043】
前記銀ナノ粒子は、銀(Ag)を含むことができる。さらに、前記銀ナノ粒子は、金、白金、パラジウム、珪素、アルミニウム、ビズマス、スズ、インジウム、および亜鉛からなる群から選択される少なくともいずれか一つをさらに含むこともできる。これとは異なり、前記銀ナノ粒子は、銀からなることができる。前記銀ナノ粒子は、固体相であることができる。
【0044】
前記銀ナノ粒子は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの表面上に配置されることができる。具体的には、前記銀ナノ粒子は、銀イオン水溶液内の銀イオンが、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの表面上で還元して形成されることができ、これにより、前記銀ナノ粒子は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの表面上に配置されていることができる。これとは異なり、銀ナノ粒子のパウダーと前記プレートレットカーボンナノファイバーを粉末状態で混合し、前記銀ナノ粒子が前記プレートレットカーボンナノファイバーの表面上に配置されることもできる。
【0045】
前記銀ナノ粒子の平均粒径は、1nm~100nmであることができ、具体的には1nm~50nm、より具体的には1nm~30nmであることができ、例えば、1nm~2nmであることができる。前記範囲を満たす時に、前記負極活物質層内で前記銀ナノ粒子が効果的に分散していることができ、前記銀ナノ粒子の含量が低い水準であっても、リチウムイオンの吸蔵および拡散が容易であることができる。また、電池の初期効率および寿命特性が改善することができる。
【0046】
前記負極活物質層において、前記銀ナノ粒子は、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記銀ナノ粒子の全重量に対して1重量%~40重量%含まれることができ、具体的には、3重量%~30重量%、より具体的には5重量%~20重量%、例えば、7重量%~10重量%含まれることができる。前記範囲を満たすときに、正極活物質層に伝達されたリチウムイオンが効果的に銀ナノ粒子と合金化することができるため、全固体リチウム二次電池の電気化学的特性が改善することができる。また、多少低い含量の銀ナノ粒子を使用することから、全固体リチウム二次電池のエネルギー密度および価格競争力が向上することができる。
【0047】
特に、前記銀ナノ粒子の含量を10重量%以下、具体的には7重量%~10重量%使用することができることは、前記負極活物質層が前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを含むためである。正極活物質層から伝達されたリチウムイオンがリチウム親和性を有する銀ナノ粒子と合金化し、前記リチウムイオンの負極への吸蔵および拡散が促進するが、特に、本発明で説明するプレートレットカーボンナノファイバー上の層状構造により、上記のようなリチウムイオンの吸蔵および拡散がより促進することができる。したがって、リチウム金属が負極活物質層と負極集電体上に析出されて貯蔵される速度も改善することができる。また、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの側面は、所定の周期で閉ループ(Closed Loop)形態を有することから、屈曲面に沿って前記銀ナノ粒子の分散および配置が効果的に行われることができ、電池の充電と放電が繰り返される過程でも、銀ナノ粒子の凝集が効果的に抑制されることができる。これにより、少ない銀ナノ粒子の含量でも、全固体リチウム二次電池の容量および初期充電/放電効率の改善が充分に可能である。
【0048】
前記負極活物質層内で、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーと前記銀ナノ粒子の重量比は、99:1~60:40であることができ、具体的には97:3~70:30、より具体的には95:5~80:20、例えば、95:5~88:12であることができる。これを満たす時に、全固体リチウム二次電池の容量および初期充電/放電効率がより効果的に改善することができる。
【0049】
前記負極活物質層のローディング量は、0.1mg/cm~2.0mg/cmであることができ、具体的には0.3mg/cm~1.8mg/cm、より具体的には0.5mg/cm~1.6mg/cmであることができる。前記範囲を満たす時に、負極の厚さの増加によるエネルギー密度を阻害しないとともに、電池の初期効率および寿命の改善の効果が極大化することができる。
【0050】
前記負極活物質層の厚さは、1μm~100μmであることができ、具体的には1μm~50μm、より具体的には1μm~20μmであることができる。前記範囲を満たす時に、負極の厚さの増加によるエネルギー密度を阻害しないとともに、電池の初期効率および寿命の改善の効果が極大化することができる。
【0051】
3)負極バインダー
前記負極活物質層は、負極バインダーをさらに含むことができる。前記負極バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、およびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0052】
前記負極バインダーは、前記負極活物質層内に1重量%~20重量%含まれることができ、具体的には1重量%~15重量%、より具体的には1重量%~10重量%含まれることができる。前記範囲を満たす場合、負極の抵抗を低い水準に維持し、且つ負極の機械的物性を改善することができ、リチウムイオン吸蔵および拡散をより促進することができる。
【0053】
場合に応じて、前記負極活物質層は、リチウムイオン、リチウム、およびリチウムと銀ナノ粒子の合金のうち少なくともいずれか一つをさらに含むことができる。具体的には、前記全固体リチウム二次電池が駆動中であれば、正極活物質層から伝達されたリチウムイオンによって、前記負極活物質層には、リチウムイオン、リチウム、およびリチウムと銀ナノ粒子の合金のうち少なくともいずれか一つが存在することができる。
【0054】
(2)正極活物質層
前記全固体リチウム二次電池は、正極活物質層を含むことができる。具体的には、前記全固体リチウム二次電池は、正極を含むことができ、前記正極は、正極活物質層を含むか、前記正極活物質層からなることができる。
【0055】
前記正極は、正極集電体を含むことができる。前記正極集電体は、正極または電池に化学的変化を引き起こさず、高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、および焼成炭素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができ、具体的にはアルミニウムを含むことができる。前記正極集電体は、炭素系導電材とバインダーを含み、前記正極集電体の表面にコーティングされたプライマー層(primer layer)をさらに含むこともできる。これにより、正極活物質層と集電体との結着力と電気伝導度が大きく改善することができる。
【0056】
前記正極活物質層は、前記正極集電体の少なくとも一面上に配置されることができる。具体的には、前記正極活物質層は、前記正極集電体の一面または両面上に配置されることができる。
【0057】
前記正極活物質層は、正極活物質を含むことができる。
【0058】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や1またはその以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは、0~0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMn、LiMnOなどを含むリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、P、Mg、Ca、Zr、Ti、Ru、Nb、W、B、Si、Na、K、Mo、VまたはGaであり、x=0.01~0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn1-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNiMn2-xで表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;LiMnFe1-xPO(0≦x≦0.9);Fe(MoOなどを含むことができる。しかし、これらのみに限定されるものではない。
【0059】
前記正極活物質は、Li1+x2+zを含むことができ、Mは、Ni、Co、Mn、Fe、P、Al、Mg、Ca、Zr、Zn、Ti、Ru、Nb、W、B、Si、Na、K、Mo、およびVからなる群から選択される少なくともいずれか一つの元素であることができ、0≦x≦5,0<y≦2、0≦z≦2であることができる。具体的には、前記Li1+x2+zは、LiCoO、LiNiO、LiMnO、Li[Ni0.5o0.3Mn0.2]O、Li[Ni0.6Co0.2Mn0.2]O、Li[Ni0.7Co0.1Mn0.2]O、Li[Ni0.8Co0.1Mn0.1]O、Li[Ni0.9Co0.05Mn0.05]O、LiMn、LiFePO4、0.5LiMnO・0.5Li[Mn0.4Ni0.3Co0.3]Oからなる群から選択される少なくともいずれか一つを含むことができる。好ましくは、前記Li1+x2+zは、前記Li[Ni0.6Co0.2Mn0.2]O、Li[Ni0.7Co0.1Mn0.2]O、Li[Ni0.8Co0.1Mn0.1]O、Li[Ni0.9Co0.05Mn0.05]Oのいずれか一つを含むことができる。前記正極活物質がLi1+x2+zを含むことから、負極にリチウムが十分に供給されることができ、Li1+x2+zが電池の全体の性能の低下を引き起こさず、最初のサイクルの後、電気化学的に活性を示すことから、負極の非可逆容量による電池容量の損失が解消することができる。前記Li1+x2+zは、一次粒子が結合または造粒されて形成された二次粒子形態であることができ、これとは異なり、単一粒子形態であってもよい。
【0060】
前記正極活物質は、前記正極活物質層内に50重量%~95重量%、具体的には60重量%~90重量%含まれることができる。
【0061】
前記正極活物質層は、固体電解質をさらに含むことができる。
【0062】
前記固体電解質は、具体的には、高分子固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、およびハライド系固体電解質からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0063】
前記高分子固体電解質は、リチウム塩および高分子樹脂の複合物であることができる。具体的には、前記高分子固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成されることができる。具体的には、前記高分子固体電解質のイオン伝導度は、約1×10-7S/cm以上、好ましくは約1×10-3S/cm以上であることができる。
【0064】
前記高分子樹脂は、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゼン系高分子、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシドのようなアルキレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などがあり、このうち、一つ以上を含むことができる。また、前記高分子固体電解質は、高分子樹脂として、PEO(poly ethylene oxide)主鎖にPMMA、ポリカーボネート、ポリシロキサン(pdms)および/またはホスファゼンのような無定形高分子を共単量体で共重合した分岐型共重合体、櫛型高分子樹脂(comb-like polymer)および架橋高分子樹脂などが例として挙げられ、このうち1種以上が含まれることができる。
【0065】
前記リチウム塩は、イオン化可能なものであり、Liで表されることができる。このようなリチウム塩のアニオンとしては、特に制限されないが、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、(CFCFSOなどが例示されることができる。
【0066】
前記酸化物系固体電解質は、酸素(O)を含み、周期表の第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有することができる。その非制限的な例としては、LLTO系化合物、LiLaCaTa12、LiLaANb12(Aは、CaまたはSr)、LiNdTeSbO12、LiBO2.50.5、LiSiAlO、LAGP系化合物、LATP系化合物、Li1+xTi2-xAlSi(PO3-y(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiAlZr2-x(PO(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiTiZr2-x(PO(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1)、LISICON系化合物、LIPON系化合物、ペロブスカイト系化合物、ナシコン系化合物、およびLLZO系化合物から選択される1種以上を含むことができる。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0067】
前記硫化物系固体電解質は、硫黄(S)を含有し、周期表の第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有するものであり、Li-P-S系ガラスやLi-P-S系ガラスセラミックを含むことができる。このような硫化物系固体電解質の非制限的な例としては、LiPSCl、LiPSBr、LiPSI、LiS-P、LiS-LiI-P、LiS-LiI-LiO-P、LiS-LiBr-P、LiS-LiO-P、LiS-LiPO-P、LiS-P-P、LiS-P-SiS、LiS-P-SnS、LiS-P-Al、LiS-GeS、LiS-GeS-ZnSなどが挙げられ、このうち一つ以上を含むことができる。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0068】
前記ハライド系固体電解質は、LiYClおよびLiYBrのうち少なくともいずれか一つを含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0069】
前記固体電解質は、前記正極活物質層内に、5重量%~50重量%、具体的には10重量%~30重量%含まれることができる。
【0070】
前記正極活物質層は、正極導電材をさらに含むことができる。
【0071】
前記正極導電材は、前記正極または電池に化学的変化を引き起こさず、導電性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、前記正極導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;グラフェン;カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブなどの伝導性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材から選択される1種または2種以上の混合物を含むことができる。
【0072】
前記正極導電材は、前記正極活物質層内に1重量%~30重量%含まれることができる。
【0073】
前記正極活物質層は、正極バインダーをさらに含むことができる。
【0074】
前記正極バインダーは、正極活物質、導電材などの結合、および集電体への結合に役立つ成分であれば、特に制限されず、具体的には、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、およびフッ素ゴムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0075】
前記正極バインダーは、前記正極活物質層内に1重量%~30重量%含まれることができる。
【0076】
前記正極活物質層は、必要に応じて、酸化安定添加剤、還元安定添加剤、難燃剤、熱安定剤、防曇剤(antifogging agent)などの添加剤を1種以上含むことができる。
【0077】
(3)固体電解質層
前記全固体リチウム二次電池は、固体電解質層を含むことができる。
【0078】
前記固体電解質層は、全固体リチウム二次電池において、絶縁の役割およびイオン伝導性チャンネルとしての機能を果たすことができる。
【0079】
図4を参照すると、前記固体電解質層300は、前記負極活物質層100と前記正極活物質層200との間に配置されることができる。
【0080】
前記固体電解質層300は、前記固体電解質を含む。前記固体電解質は、具体的には、高分子固体電解質、酸化物系固体電解質、および硫化物系固体電解質からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0081】
前記高分子固体電解質は、リチウム塩および高分子樹脂の複合物であることができる。具体的には、前記高分子固体電解質は、溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂が添加されて形成されることができる。具体的には、前記高分子固体電解質のイオン伝導度は、約1×10-7S/cm以上、好ましくは約1×10-3S/cm以上であることができる。
【0082】
前記高分子樹脂は、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゼン系高分子、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシドのようなアルキレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などがあり、このうち一つ以上を含むことができる。また、前記高分子固体電解質は、高分子樹脂として、PEO(poly ethylene oxide)主鎖にPMMA、ポリカーボネート、ポリシロキサン(pdms)および/またはホスファゼンのような無定形高分子を共単量体で共重合した分岐型共重合体、櫛型高分子樹脂(comb-like polymer)および架橋高分子樹脂などが例として挙げられ、このうち1種以上が含まれることができる。
【0083】
前記リチウム塩は、イオン化可能なものであり、Liで表されることができる。このようなリチウム塩のアニオンとしては、特に制限されないが、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN、(CFCFSOなどが例示されることができる。
【0084】
前記酸化物系固体電解質は、酸素(O)を含み、周期表の第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有することができる。その非制限的な例としては、LLOP系化合物、LiLaCaTa12、LiLaANb12(Aは、CaまたはSr)、LiNdTeSbO12、LiBO2.50.5、LiSiAlO、LAGP系化合物、LATP系化合物、Li1+xTi2-xAlSi(PO3-y(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiAlZr2-x(PO(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiTiZr2-x(PO(ここで、0≦x≦1、0≦y≦1)、LISICON系化合物、LIPON系化合物、ペロブスカイト系化合物、ナシコン系化合物、およびLLZO系化合物から選択される1種以上を含むことができる。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0085】
前記硫化物系固体電解質は、硫黄(S)を含有し、周期表の第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有するものであり、Li-P-S系ガラスやLi-P-S系ガラスセラミックを含むことができる。このような硫化物系固体電解質の非制限的な例としては、LiPSCl、LiPSBr、LiPSI、LiS-P、LiS-LiI-P、LiS-LiI-LiO-P、LiS-LiBr-P、LiS-LiO-P、LiS-LiPO-P、LiS-P-P、LiS-P-SiS、LiS-P-SnS、LiS-P-Al、LiS-GeS、LiS-GeS-ZnSなどが挙げられ、このうち一つ以上を含むことができる。しかし、特にこれに限定されるものではない。
【0086】
前記固体電解質層は、固体電解質層用バインダーをさらに含むことができる。前記固体電解質層用バインダーは、固体電解質間の結着および固体電解質層とその両面に積層される電池要素(例えば、正極、負極など)との結着のために導入されることができる。
【0087】
前記固体電解質層用バインダーの材料としては、特に限定されるものではなく、全固体リチウム二次電池内の固体電解質のバインダーとして使用される成分の範囲内で適切に選択することができる。具体的には、前記固体電解質層用バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、フッ素ゴム、およびアクリル系バインダーからなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0088】
前記固体電解質層の厚さは、イオン伝導度、物理的強度、適用される電池のエネルギー密度などを考慮して、10μm~90μm、具体的には20μm~80μmであることができる。また、前記固体電解質層の引張強度は、500kgf/cm~2,000kgf/cmであることができる。また、前記固体電解質層300の気孔度は、15%以下または約10%以下であることができる。
【0089】
前記全固体リチウム二次電池は、金属層をさらに含むことができる。図5を参照すると、前記全固体リチウム二次電池10は、負極集電体110をさらに含み、充電状態で前記負極活物質層100と前記負極集電体110との間に位置した金属層120をさらに含むことができる。前記金属層120は、リチウムを含むことができ、具体的にはリチウムからなることもできる。
【0090】
前記金属層は、全固体リチウム二次電池が充電されるときに、正極活物質層から伝達されたリチウムイオンが負極活物質層を経て負極集電体と負極活物質層上に貯蔵されて形成された層を意味し得る。したがって、前記金属層は、充電時に明確に現れる。
【0091】
前記金属層は、放電過程でも観察されるが、理論的に完全放電の時には観察されないこともある。
【0092】
本発明は、全固体リチウム二次電池において有意であり、液体電解質を使用するリチウム二次電池においてはそれほど意味がない可能性がある。例えば、液体電解質を使用すると、負極に貯蔵されるリチウム(例えば、金属層の形態)が液体電解質に露出し続ける可能性があり、負極にリチウムが完全に貯蔵され難いことがある。
【0093】
全固体リチウム二次電池の製造方法
本発明の他の実施形態による全固体リチウム二次電池の製造方法は、銀イオンと黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの混合物に対して、銀イオンを還元して、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー上に配置された銀ナノ粒子を含む乾燥混合粉末を形成する第1ステップと、前記乾燥混合粉末を含む負極スラリーを介して負極集電体上に負極活物質層を形成する第2ステップとを含むことができる。ここで、前記全固体リチウム二次電池は、上述の実施形態の全固体リチウム二次電池と同一であることができる。また、前記負極活物質層は、上述の実施形態の負極活物質層と同一であることができる。
【0094】
(1)第1ステップ
第1ステップにおいて、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー上に配置された銀ナノ粒子を含む乾燥混合粉末が形成される。前記乾燥混合粉末は、パウダー状の銀ナノ粒子とパウダー状の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを混合して製造することができる。これとは異なり、前記乾燥混合粉末は、銀イオン溶液に黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを混合した後、銀ナノイオンを還元して製造されることもできる。前記銀ナノ粒子を還元する方法は、化学的還元法、電気化学的還元法、光化学的還元法、レーザ還元法、超音波還元法、スパッタリングなどの様々な方法があるが、好ましくは、ポリオールプロセス(Polyol Process)を用いた化学的還元法やマイクロ波を用いたマイクロ波支援ポリオール(microwave-assisted Polyol)方法が使用されることができる。
【0095】
前記ポリオールプロセスにおいて、銀イオン溶液は、銀イオンとともに溶媒および安定化剤を含むことができる。前記溶媒は、エチレングリコールなどが使用されることができ、前記安定化剤としては、ポリビニルピロリドンが使用されることができる。しかし、必ずしもこれに限定されない。
【0096】
前記銀イオン溶液内で銀イオンのモル濃度は、1mM~1,000mMであることができ、具体的には1mM~500mM、より具体的には1mM~300mMであることができる。前記モル濃度範囲を満たす時に、形成される銀ナノ粒子の含量とサイズが適切な水準に調節されることができ、全固体リチウム二次電池の容量、初期充電/放電効率、寿命特性が効果的に調節されることができる。
【0097】
前記第1ステップにおいて、前記銀イオンを還元することは、前記混合溶液を100℃~500℃で反応させることを含むことができ、具体的には100℃~300℃で反応させることを含むことができる。すなわち、上述の温度で熱処理することで反応させることができる。これにより、銀イオンが適切に還元し、好適なサイズを有する銀ナノ粒子を取得することができる。また、前記過程で、前記銀ナノ粒子は、前記黒鉛化プレートレットカーボンナノファイバーの表面上に配置されることができる。
【0098】
前記銀イオンを還元することは、前記混合溶液のpHを調節することを含むことができる。具体的には、前記混合溶液は、pH8~pH14、より具体的にpH9~pH13の酸性度を有するように調節されることができる。これにより、銀イオンが適切に還元し、好適なサイズを有する銀ナノ粒子を取得することができる。
【0099】
次に、前記混合溶液の固形分を洗浄した後、乾燥させて前記乾燥混合粉末を取得することができる。
【0100】
前記乾燥混合粉末において、前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーと前記銀ナノ粒子の重量比は、99:1~60:40であることができ、具体的には97:3~70:30、より具体的には95:5~80:20であることができる。これを満たす時に、全固体リチウム二次電池の容量および初期充電/放電効率がより効果的に改善することができる。
【0101】
(2)第2ステップ
前記第2ステップでは、前記乾燥混合粉末を含む負極スラリーにより負極集電体上に負極活物質層が形成されることができる。前記負極スラリーは、乾燥混合粉末および負極スラーリ用溶媒を含むことができる。
【0102】
前記負極スラーリ用溶媒は、水、N-メチルピロリドンなどからなる群から選択されることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0103】
前記負極スラリーは、負極バインダーをさらに含むことができる。前記負極バインダーは、上述の実施形態の負極バインダーと同一であることができる。
【0104】
前記第2ステップにおいて、前記負極スラリーを負極集電体上に塗布および乾燥して前記負極活物質層が形成されることができる。場合に応じて、塗布および乾燥工程とともに、加圧工程が加えられることができる。
【0105】
また、本発明は、前記全固体リチウム二次電池を単位電池として含む電池モジュール、前記電池モジュールを含む電池パック、および前記電池パックを電源で含むデバイスを提供する。ここで、前記デバイスの具体的な例としては、電池的モータによって動力を受けて作動するパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグ-インハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクータ(E-scooter)を含む電気二輪車;電動ゴルフカート(electric golf cart);都心航空モビリティ(Urban Air Mobility、UAM);電力貯蔵用システムなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0106】
以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇がこれらのみに限定されるものではない。
【0107】
実施例および比較例
実施例1:全固体リチウム二次電池の製造
(1)負極の製造
プレートレットカーボンナノファイバーに対して、Ar雰囲気、2800℃の温度条件で、6時間熱処理し、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを製造した。
【0108】
エチレングリコール溶媒に黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーとAgNO、ポリビニルピロリドンを混合し、NaOHペレットを介してpHが8~14の範囲を満たすように調節した後、24時間撹拌して混合溶液を製造した。超音波装置を介してArバブリング(bubbling)を行った混合溶液に対してマイクロ波反応装置(Microwave Reactor)(LG電子社製)のContinuous Wave Mode(2.45GHz、500W)を用いて、10秒間、20秒間、30秒間、1分間、2分間、5分間の時間単位で処理して加熱と冷却を繰り返した。これにより、銀イオンが還元し、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー上に銀ナノ粒子が配置された。次に、アセトン溶液によりフィルタリングおよび洗浄を行って、100℃の真空オーブンで24時間乾燥し、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー上に配置された銀ナノ粒子を含む乾燥混合粉末を取得した(図8参照)。前記銀ナノ粒子の含量(前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーおよび前記銀ナノ粒子の全重量に対して)は10重量%であり、銀ナノ粒子の平均粒径は2nmであった。
【0109】
前記乾燥混合粉末とポリビニリデンフルオライドを溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)に投入および撹拌して負極スラリーを形成した。前記負極スラリーの中で、前記乾燥混合粉末と前記ポリビニリデンフルオライドの重量比は93:7であった。
【0110】
前記負極スラリーをステンレス鋼の集電体(厚さ:15μm)に塗布し、真空オーブンで100℃で12時間乾燥させた後、ロールプレスを用いて圧延工程を行って、ステンレス鋼の集電体およびステンレス鋼の集電体上に位置した負極活物質層を含む負極を製造した。前記負極活物質層の厚さは10μmであり、負極活物質層のローディング量は1mg/cmであった。
【0111】
(2)正極の製造
正極活物質としてLi[Ni0.82Co0.14Mn0.04]O、固体電解質としてLiPSCl、導電材としてカーボンナノファイバー(VGCF、Showa Denko社製)、およびバインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを77:20:1:2の重量比で順に容器に投入した。それぞれの構成を投入する度に、Lab Blenderを使用して、10,000RPMで30秒ずつ10回繰り返してミキシング(mixing)し、正極混合物を製造した。前記混合物に対して二軸混練機(Twin Screw Kneader)(LG電子社製)を使用して、100℃で100rpmでせん断力を印加して高せん断ミキシングを5分間行って正極混合物を製造した。前記正極混合物を100℃で二本ロールミル(Two roll mill)装置(Inoue社製)を使用して、厚さ200μmの自立型フィルム(Free-standing Film)を製造した。次に、前記フィルムをプライマーがコーティングされたアルミニウム集電体(厚さ:20μm)の一面上に位置させ、120℃に維持されるラミネーションロールを使用して、フィルムを集電体に接合させて正極を製造した。
【0112】
(3)全固体リチウム二次電池の製造
LiPSClの固体電解質とニトリルブタジエンゴム(NBR)を溶媒であるキシレンに混合した後、Thinky Mixerで、2,000RPMで、1分ずつ10回ジルコニアボールとともにミキシングして固体電解質スラリーを製造した。これを離型紙のPETフィルムの上にコーティングし、45℃の真空オーブンで6時間乾燥させて固体電解質層を準備した。ここで、LiPSClの固体電解質とニトリルブタジエンゴム(NBR)の重量比は95:5重量%であり、製造された固体電解質層の厚さは100μmであった。
【0113】
前記負極と前記正極との間に前記固体電解質層を配置させて組立体を製造した後、前記組立体をパウチに入れて密封した。次に、Alプレートの上に前記パウチを固定させた後、等方加圧装置(Warm Isostatic Pressure)で、500MPa、30分間の条件で加圧処理し、実施例1の全固体リチウム二次電池を製造した。
【0114】
実施例2~5:全固体リチウム二次電池の製造
黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー、AgNO、ポリビニリデンピロリドンの重量比、pH値、マイクロ波反応装置での反応条件などを制御して、銀ナノ粒子の含量と平均粒径を表1と2のように調節した以外は、実施例1と同じ方法で全固体リチウム二次電池を製造した。
【0115】
比較例1~2:全固体リチウム二次電池の製造
(1)負極の製造
前記実施例1で黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの代わりに、カーボンブラック(PRINTEX、Orion Engineered Carbons社製)を使用し、カーボンブラック、AgNO、ポリビニリデンピロリドンの重量比、pH値、マイクロ波反応装置での反応条件などを制御して、銀ナノ粒子の含量と平均粒径を表1と2のように調節した以外は、実施例1と同じ方法で全固体リチウム二次電池を製造した。
【0116】
比較例3:リチウム二次電池の製造
(1)負極および正極の製造
実施例1と同じ方法で負極および正極を製造した。
【0117】
(3)リチウム二次電池の製造
次に、前記製造された負極および正極とその間に厚さ15μmのポリエチレン系セパレータを配置してモノセルを製造した後、前記モノセルに電解液(エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=1/2(体積比)、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF1モル))を注入し、リチウム二次電池を製造した。
【0118】
比較例4:リチウム二次電池の製造
黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー、AgNO、ポリビニリデンピロリドンの重量比、pH値、マイクロ波反応装置での反応条件などを制御して、銀ナノ粒子の含量と平均粒径を表1のように調節した以外は、比較例3と同じ方法でリチウム二次電池を製造した。
【0119】
比較例5:リチウム二次電池の製造
黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの代わりに、黒鉛化されないプレートレットカーボンナノファイバーを使用した以外は、実施例1と同じ方法で全固体リチウム二次電池を製造した。図9はプレートレットカーボンナノファイバー上に配置された銀ナノ粒子を含む乾燥混合粉末のTEM写真である。
【0120】
一方、製造された負極を観察した結果、実施例1~5および比較例3、4の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのd(002)は0.335nmであり、Lc(002)は41nmであった。前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのXRD分析はBruker AXS D4 Endeavor XRD(電圧:40kV、電流:40mA)を用いた。Cu Kα放射(radiation)(波長:1.54Å)の条件で、2θ(Theta)10゜から90゜まで0.02゜ごとに87.5秒ずつのスキャニング速度で測定した。測定結果のうち2θが20゜~30゜の付近で現れる(002)結晶ピークの半値幅(FWHM、Full Width at Half-Maximum)を測定することができ、シェラー(Scherrer)式により計算し、d(002)値とLc(002)値を得た。前記黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーのI/I(割合)は0.24であった。I/I(割合)は、ラマンスペクトル測定時の波長-ピークグラフから測定した。
【0121】
前記プレートレットカーボンナノファイバーに対しても、同一方法で評価した。
【0122】
【表1】
【0123】
前記プレートレットカーボンナノファイバーと黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの平均長さは1μmであり、平均直径は200nmであった。前記平均直径は、負極活物質層をSEMにより×20,000倍率で観察した時に、平均直径が大きい順に、上位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーの直径と下位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の直径の平均値に該当する。前記平均長さは、負極活物質層をSEMにより、×20,000倍率で観察した時に、平均長さが大きい順に、上位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の長さと下位50個の黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバー(またはプレートレットカーボンナノファイバー)の長さの平均値に該当する。
【0124】
実験例1:初期充電/放電効率の評価
実施例および比較例の電池それぞれを加圧治具に装着し、四角の角部に位置したボルト/ナットを1N・mの同一圧力で締結してモノセルを準備した。60℃で下記の条件で1回充電および1回放電させた時に、1回目の充電容量に対する1回目の放電容量の割合で初期充電/放電効率を評価した(表2参照)。
【0125】
充電条件:4.25Vまで0.1C CC充電、次に、CV充電で4.25V0.05Cカットオフ(cut-off)
放電条件:3.0Vまで0.1C CC放電
【0126】
実験例2:容量維持率の評価
実施例および比較例の電池それぞれを、60℃で、下記の条件で充放電を行った後、50サイクル(cycle)での容量維持率(%)を評価した。1回目の充電/放電時の放電容量を100%として基準とした。
【0127】
充電条件:4.25Vまで0.5C CC充電、0.5Cカットオフ(cut-off)
放電条件:3.0Vまで0.33C CC放電
【0128】
【表2】
【0129】
前記銀ナノ粒子の平均粒径は、負極活物質層の銀ナノ粒子を含む黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーを、TEMにより、×1,000,000倍率で観察した時に、粒径が大きい上位50個の銀ナノ粒子の粒径と下位50個の銀ナノ粒子の粒径の平均値に該当する。前記GPCNFは、黒鉛化したプレートレットカーボンナノファイバーであり、PCNFは、黒鉛化していないプレートレットカーボンナノファイバーであり、CBは、カーボンブラックである。
【0130】
前記銀ナノ粒子の含量は、前記負極活物質層において、前記プレートレットカーボンナノファイバーおよび前記銀ナノ粒子の全重量を基準とした時の含量を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】