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特表2023-546712電極活物質、その製造方法、それを含む電極及び二次電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】電極活物質、その製造方法、それを含む電極及び二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20231030BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20231030BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20231030BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20231030BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231030BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231030BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M10/052
H01M10/0562
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524821
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 KR2021007492
(87)【国際公開番号】W WO2022085891
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0137613
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075646
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】スンジン・イム
(72)【発明者】
【氏名】サンボク・マ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンフン・カ
(72)【発明者】
【氏名】テヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジュン・ベ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AK01
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL18
5H029AM12
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029HJ02
5H029HJ13
5H029HJ14
5H050AA02
5H050BA17
5H050CA01
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB29
5H050FA02
5H050GA02
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA13
5H050HA14
5H050HA18
(57)【要約】
下記化学式1で表示される化合物を含む電極活物質、それを含む電極及びそれを含む二次電池が開示される。
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素またはそれらの組み合わせであり、但し、Mが、鉄(Fe)である場合は除かれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される化合物を含む電極活物質:
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6であり、
Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素または、それらの組み合わせであり、但し、Mが、鉄(Fe)である場合は除かれる。
【請求項2】
前記化学式1において、Mは、Co、Mn、V、Ti、Cr、Cu、Sc、Y、La、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auまたは、それらの組み合わせである、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項3】
前記化学式1において、Mは、Co、Mn、V、Ti、Cr、Cu、Scまたは、それらの組み合わせである、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項4】
前記化学式1において、xは、5.5~6.5であり、yは、0.3~0.9の数であり、zは、4.8~5.2である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項5】
前記化学式1において、xは、5.8~6.2であり、zは、4.9~5.1である、請求項4に記載の電極活物質。
【請求項6】
前記化学式1で表示される化合物は、下記化学式2ないし4で表示される化合物のうちから選択された1つである、請求項1に記載の電極活物質:
[化学式2]
Li(Ni1-yCo(P
化学式2において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6であり、
[化学式3]
Li(Ni1-yMn(P
化学式3において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6であり、
[化学式4]
Li(Ni1-y-aMn(P
化学式4において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、0<a≦0.2であり、Aは、V、Nb、Taまたは、それらの組み合わせである。
【請求項7】
前記化学式1で表示される化合物が、LiNiCo(P、LiNiCo(P、LiNiCo(P、LiNiCo(P、LiMnNi(P、LiMnNi(P、LiMnNi(P、LiMnNi(P、LiMnNbNi(P、LiMnTaNi(P、LiTcNi(P、LiReNi(P、LiNiRh(P、LiNiRh(P、LiNiIr(P、LiNiIr(P、LiNi(P、LiNi(P、LiNiNb(P、LiNiNb(P、LiNiTa(P、LiNiTa(P、LiCoNi(P4、LiCoNi(P)、LiTiNi(P)、LiCrNi(P、LiCuNi(P、または、LiScNi(Pである、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項8】
前記化学式1の化合物に対するCuKα線を用いたX線回折分析で求められる回折角2θが28.5±2゜である領域に主ピークが示される、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項9】
前記化学式1の化合物に対するCuKα線を用いたX線回折分析で求められる主ピークの強度(P1)と副ピークの強度(P2)との比(P2/P1)が0.4以下である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項10】
前記化学式1の化合物は、三斜晶系結晶構造を有し、空間群が(p-1)である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項11】
前記化学式1の化合物を含む電極を備えた電池に対するdQ/dV充放電微分曲線において0.025Cの電流で3.0V~5.5Vの電圧の条件で最大放電曲線面積を示すdQ/dVピーク電圧が4.7V vs.Li/Li以上である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項12】
前記化学式1の化合物を含む電極を備えた電池に対するdQ/dV充放電微分曲線において0.025Cの電流で3.0V~5.5Vの電圧の条件で3.5V~5.5Vの放電曲線の面積(A1)に対する4.7V~5.5Vの放電曲線の面積(A2)の比(A2/A1)は、0.4以上である、請求項1に記載の電極活物質。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の電極活物質を含む、電極。
【請求項14】
請求項13に記載の電極を含む、二次電池。
【請求項15】
前記二次電池において電極は、正極であり、前記正極に含有された電極活物質の電圧は、リチウム対比で4.8V以上である、請求項14に記載の二次電池。
【請求項16】
前記二次電池は、リチウム二次電池または、全固体電池である、請求項14に記載の二次電池。
【請求項17】
前記全固体電池は、積層セラミック電池または、薄膜電池である、請求項16に記載の二次電池。
【請求項18】
前記積層セラミック電池は、
正極活物質層を含む正極層、固体電解質層、及び負極活物質層を含む負極層が順次に連続して配置されたセル単位が正極活物質層と負極活物質層とが対向するように複数枚積層される積層体構造を備える、請求項17に記載の二次電池。
【請求項19】
前記積層セラミック電池は、
正極層、固体電解質層及び負極層が順次に連続して配置されたセル単位が、セル単位同士の正極活物質層と負極活物質層とを互いに対向させて複数枚積層する積層体を備える、請求項17に記載の二次電池。
【請求項20】
前記二次電池は、正極活物質層を含む正極層、第1負極活物質層または第3負極活物質層を含む負極層、及び正極層と負極層との間に配置された固体電解質層を含む全固体二次電池であり、
前記正極活物質層が下記化学式1で表示される化合物を含む正極活物質を含む、請求項14に記載の二次電池:
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素または、それらの組み合わせであり、但し、Mが、鉄(Fe)である場合は除かれる。
【請求項21】
前記第1負極活物質層が炭素系負極活物質、及び金属または半金属負極活物質のうちから選択された1つ以上を含む、請求項20に記載の二次電池。
【請求項22】
前記炭素系負極活物質は、非晶質炭素及び結晶質炭素のうちから選択された1つ以上を含み、
前記金属または半金属負極活物質が、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項21に記載の二次電池。
【請求項23】
前記二次電池は、負極集電体をさらに含み、
前記負極集電体と前記第1負極活物質層との間、及び固体電解質層と第1負極活物質層との間の1つ以上に配置された第2負極活物質層をさらに含み、
前記第2負極活物質層は、リチウムまたはリチウム合金を含む金属層である、請求項20に記載の二次電池。
【請求項24】
前記第3負極活物質層がリチウムまたはリチウム合金を含む金属層である、請求項20に記載の二次電池。
【請求項25】
ニッケル前駆体、リチウム前駆体、リン前駆体及びM前駆体を混合して前駆体混合物を得る段階と、
前記前駆体混合物を熱処理する段階と、を含む下記化学式1で表示される化合物を含む、電極活物質の製造方法:
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素または、それらの組み合わせであり、但し、鉄(Fe)は除かれる。
【請求項26】
前記熱処理が500℃~1000℃で実施される、請求項25に記載の電極活物質の製造方法。
【請求項27】
前記混合が機械的ミーリングで実施される、請求項25に記載の電極活物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質、その製造方法、それを含む電極及び二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、産業上の要求によってエネルギー密度と安全性の高い電池の開発が活発になされている。例えば、リチウムイオン電池は、情報関連機器、通信機器分野だけではなく、自動車分野でも実用化されている。自動車分野においては、生命に係わるために、特に安全が重要視される。
【0003】
現在、市販されているリチウムイオン電池は、質量または体積当たりエネルギー密度及び出力密度を増加させることが要求される。そのために、正極活物質の電圧を向上させようとする努力が持続的に進められている。
【0004】
リチウムイオン電池は、可燃性有機溶媒を含んだ電解液が用いられているので、短絡が発生した場合、過熱及び火災の可能性がある。これに対して、電解液の代わりに、固体電解質を用いた全固体電池が提案されている。
【0005】
全固体電池は、可燃性有機溶媒を使用しないことにより、短絡が発生しても、火災や爆発の発生可能性を大幅に減らしうる。したがって、そのような全固体電池は、電解液を使用するリチウムイオン電池に比べて大きく安全性を高めうる。全固体電池は、液体電解質の電圧限界を超えて充電可能なので、高電圧正極材料の必要性が次第に高まりつつある。
【0006】
高電圧正極材料を用いて電池を実施するために、固体電解質と正極材料の界面抵抗を減らすことが必要である。ホスフェート系固体電解質を用いる場合、正極材料としてホスフェート系を用いて固体電解質と正極材料の界面抵抗を減らしうる。但し、既知のホスフェート系正極材料は、放電電圧が3Vであって非常に低い。
【0007】
特に、積層セラミック(Multi-layer-ceramic:MLC)用電池に適用可能な負極材料の選択制限によってレドックス電位の高いセラミック型負極が現在使用される。したがって、フルセルの電圧が低くなってエネルギー密度が非常に低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高電圧実施が可能な新規な電極活物質を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の課題は、上述した電極活物質を含む電極及びそれを含む二次電池を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、上述した電極活物質の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面によって化学式1で表示される化合物を含む電極活物質が提供される。
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素または、それらの組み合わせであり、但し、Mが、鉄(Fe)である場合は除かれる。
【0012】
他の側面によって上述した電極活物質を含む電極が提供される。
【0013】
さらに他の側面によって上述した電極を含む二次電池が提供される。
【0014】
前記二次電池は、リチウム二次電池または、全固体電池であり、全固体電池は、例えば、積層セラミック(Multi-layer-ceramic: MLC)電池である。
【0015】
さらに他の側面によってニッケル前駆体、リチウム前駆体、リン前駆体及びM前駆体を混合して前駆体混合物を得る段階;
前記混合物を熱処理する段階;を含む、下記化学式1で表示される化合物を含む電極活物質の製造方法が提供される。
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素または、それらの組み合わせであり、但し、鉄(Fe)は除かれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高電圧実施が可能であり、安定性に優れた電極活物質が提供される。この電極活物質を含む電極を採用すれば、平均放電電圧が4.4V以上であり、エネルギー密度が改善された二次電池を製造しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】製造例1ないし4、比較製造例1及び2の正極活物質のX線回折分析結果を示す図面である。
図1B図1Aの一部領域を拡大して示す図面である。
図1C】製造例5、6、7の正極活物質に対するX線回折分析スペクトルを示す図面である。
図1D】製造例6及び比較製造例1の正極活物質に対するX線回折分析スペクトルを示す図面である。
図1E】比較製造例3ないし5の正極活物質に対するX線回折分析スペクトルを示す図面である。
図2】正極活物質においてコバルトとニッケルとの混合量による電圧変化計算値を示す図面である。
図3A】実施例1-4及び比較例1-2によって製造されたコインセルにおいて、比容量による電圧変化を示す図面である。
図3B】実施例1-4及び比較例1-2のコインセルにおいて、正極活物質でコバルトとニッケルとの混合量による比容量及び平均電圧変化を示す図面である。
図4A】実施例1-2及び比較例1のコインセルにおいて比容量による電圧変化を示す図面である。
図4B】実施例1-2及び比較例1のコインセルにおいて容量によって正規化された放電曲線を示す図面である。
図4C】比較例4のコインセルにおいて比容量による電圧変化を示す図面である。
図5】実施例1-2及び比較例1のコインセルに対するdQ/dVプロットを示す図面である。
図6】一実施例による積層セラミック型電池の構造を概略的に示す図面である。
図7】他の一実施例による二次電池の構造を概略的に示す図面である。
図8】さらに他の一実施例による二次電池の構造を概略的に示す図面である。
図9A】さらに他の一実施例による二次電池の構造を概略的に示す図面である。
図9B】さらに他の一実施例による二次電池の構造を概略的に示す図面である。
図10】一実施例による全固体二次電池の断面図である。
図11】他の一実施例による全固体二次電池の断面図である。
図12】さらに他の一実施例による全固体二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、一実施例による電極活物質、それを含む電極及び二次電池について詳細に説明する。
【0019】
下記化学式1で表示される化合物を含む電極活物質が提供される。
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、Mは、3族ないし11族元素または、それらの組み合わせであり、但し、Mが、鉄(Fe)は除かれる。
【0020】
化学式1において、5.5≦x≦6.5、0.2≦y<1、4.8≦z≦5.2である。
【0021】
xは、5.8~6.2の数であり、yは、0.3~0.9の数であり、zは、4.9~5.1である。
【0022】
化学式1において、Mは、Co、Mn、V、Ti、Cr、Cu、Sc、Y、La、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auまたは、それらの組み合わせであり、例えば、Mは、Co、Mn、V、Ti、Cr、Cu、Scまたは、それらの組み合わせである。
【0023】
電極活物質は、例えば、正極活物質または、負極活物質である。
【0024】
高電圧が実施可能な正極材料を用いて電池を実施するために、固体電解質と正極材料の界面抵抗を減らす必要がある。ホスフェート系固体電解質を用いる場合、正極材料としてホスフェート系を用いて固体電解質と正極材料の界面抵抗を減らしうる。但し、既知のホスフェート系正極材料は、放電電圧が3Vと非常に低い。
【0025】
積層セラミック(Multi-layer-ceramic: MLC)電池の負極としては、レドックス電位の高いセラミック型負極が使用されるが、そのようなMLC電池の電圧、及びエネルギー密度が低く、それに対する改善が必要である。
【0026】
正極材料として、LiFe(P、またはLiCo(Pが知られている。その中でも、LiFe(Pは、放電電圧が3.5Vと低いために、高電圧の実施が困難である。そして、LiCo(Pは、安定性に優れるが、電圧特性が満足するほどには至らず、改善が要求される。
【0027】
一実施例による正極活物質は、化学式1で表示されたように、高電圧特性に優れたニッケルと相安定化元素であるMを必須に含有して高電圧放電特性及び相安定性に優れる。このような正極活物質を含む電極は、4.4V以上、4.8V以上、例えば、5V以上の高電圧化が可能であり、エネルギー密度が800Wh/kgであって、高エネルギー密度を実施可能な二次電池を製造することができる。
【0028】
一実施例による正極活物質は、Li(P型正極活物質として三斜晶系結晶構造(triclinic crystal structure)を有し、空間群が(p-1)である。Li(Pにおいて、Mがニッケルである場合には、相が非常に不安定な物質であるが、MがNi以外に3族ないし11族元素のうちから選択された1つ以上の元素を含む場合にも、相が安定化されながら、高電圧領域で放電量に優れる。
【0029】
化学式1で表示される化合物は、下記化学式2ないし4で表示される化合物のうちから選択された1つ以上である。
【0030】
[化学式2]
Li(Ni1-yCo(P
化学式2において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
[化学式3]
Li(Ni1-yMn(P
化学式3において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
[化学式4]
Li(Ni1-y-aMn(P
化学式4において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、0<a≦0.2であり、Aは、V、Nb、Taまたは、それらの組み合わせである。
【0031】
化学式2ないし4において、5.5≦x≦6.5、0.2≦y<1、4.8≦z≦5.2である。
【0032】
化学式1で表示される化合物は、例えば、LiNiCo(P、LiNiCo(P、LiNiCo(P、LiNiCo(P、LiMnNi(P、LiMnNi(P、LiMnNi(P、LiMnNi(P、LiMnNbNi(P、LiMnTaNi(P、LiTcNi(P、LiReNi(P、LiNiRh(P、LiNiRh(P、LiNiIr(P、LiNiIr(P、LiNi(P、LiNi(P、LiNiNb(P、LiNiNb(P、LiNiTa(P、LiNiTa(P、LiCoNi(P4、LiCoNi(P、LiTiNi(P)、LiCrNi(P、LiCuNi(P、LiScNi(P、または、それらの組み合わせである。
【0033】
化学式1の化合物のCuKα線を用いたX線回折分析で求められる回折角2θが28.5±2゜である領域に主ピーク(main peak)が示される。そして、化学式1の化合物に対するCuKα線を用いたX線回折分析で求められる主ピーク(main peak)の強度(P1)と副ピーク(minor peak)の強度(P2)との比(P2/P1)が0.4以下、0.1~0.4、または、0.2~0.35である。
【0034】
本明細書において「主ピーク」は、最大強度を有するピークを示し、「副ピーク」は、主ピークより強度の小さいピークであって、二番目の強度を有するピークを示す。
【0035】
化学式1の化合物を含む電極を備えた電池に対するdQ/dV充放電微分曲線において、0.025Cの電流で3.0V~5.5Vの電圧条件で最大放電曲線面積を示すdQ/dVピーク電圧(dQ/dV peak voltage)が4.7V(vs.Li/Li)以上である。dQ/dV充放電微分曲線において0.025Cの電流で3.0V~5.5Vの電圧で示される最大放電曲線面積を示すdQ/dVピーク電圧は、例えば、4.8V(vs.Li/Li)以上、4.8~5.2V、または、4.8~5.15Vである。
【0036】
一実施例による化学式1の化合物を含む電極を備えた電池に対するdQ/dV充放電微分曲線において0.025Cの電流で3.0V~5.5Vの電圧の条件で3.5V~5.5Vの放電曲線の面積(A1)に対する4.7V~5.5Vの放電曲線の面積(A2)の比(A2/A1)は、0.4、0.4~1.0、0.43~0.55、または、0.434~0.531である。電極は、例えば、正極でもある。
【0037】
一実施例による化学式1で表示される化合物は、湿式または乾式方法によって製造可能である。以下、乾式方法によって化学式1の化合物を製造する方法を説明する。
【0038】
まず、リチウム前駆体、ニッケル前駆体、リン前駆体及びM前駆体を混合して前駆体混合物を得る。
【0039】
混合は、例えば、機械的なミーリングを通じて実施可能である。機械的ミーリング時には、必要によって、溶媒を付け加えることが可能である。溶媒は、例えば、アセトン、エタノール、水、エチレングリコール、イソプロパノールまたは、それらの組み合わせを有することができる。溶媒の含量は、前駆体化合物の総重量100重量部を基準にして50~1,000重量部、例えば、100~300重量部である。溶媒を付け加える場合、各前駆体の混合がさらに均一になされる。
【0040】
機械的ミーリングは、当該技術分野に知られた方法によって実施可能である。ミーリングは、例えば、ボールミル、エアジェットミル、ビードミル、ロールミル、遊星ボールミルなどを用いる。
【0041】
リチウム前駆体は、例えば、酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫化リチウム、硝酸リチウム(LiNO)、リン酸リチウム、水酸化リチウムのうちから選択された1つ以上でもある。
【0042】
リン前駆体は、例えば、(NHHP0、(NH)HP0、LiPO,LiHPOなどがある。
【0043】
M前駆体は、例えば、M元素含有酸化物、M元素含有カーボネート、M元素含有クロリド、M元素含有ホスフェート、M元素含有ヒドロキシド、M元素含有硝酸塩、M元素含有水酸化物、M元素含有シュウ酸塩または、それらの混合物が挙げられ、例えば、酸化コバルト、硫酸コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバルト、酸化マンガン、硫酸マンガン、水酸化マンガン、硝酸マンガン、シュウ酸マンガン、酸化バナジウム、硫酸バナジウム、水酸化バナジウム、硝酸バナジウム、酸化チタン、硫酸チタン、水酸化チタン、硝酸チタン、シュウ酸チタン、酸化クロム、硫酸クロム、水酸化クロム、硝酸クロム、シュウ酸クロム、酸化銅、硫酸銅、水酸化銅、硝酸銅、シュウ酸銅、シュウ酸コバルト(cobalt oxalate)、シュウ酸鉄(iron oxalate)または、それらの混合物が挙げられる。
【0044】
ニッケル前駆体は、酸化ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルまたは、それらの組み合わせを用いる。そして、リン前駆体は、例えば、(NHHP0、(NH)HP0、LiPO,LiHPOまたは、それらの混合物が挙げられる。
【0045】
上述した混合を実施した後には、上述した過程を経た結果物を熱処理して化学式1で表示される化合物が得られる。熱処理は、500℃~1000℃、550℃~900℃、または600~750℃で実施する。熱処理は、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気下で実施する。不活性ガス雰囲気は、アルゴン、窒素のような不活性ガスを用いる、還元性ガス雰囲気は、上述した不活性ガスに、水素が3体積%以下、または0.1~3体積%で混合して形成されうる。熱処理時の昇温速度は、1℃/min~10℃/minである。
【0046】
熱処理過程以前に乾燥過程を選択的に実施しうる。もし、乾燥を実施する場合には、乾燥は、30℃~150℃、50℃~130℃、60℃~120℃または80℃~100℃で実施する。このように乾燥過程を実施すれば、エネルギー密度がさらに優秀な正極活物質が得られる。
【0047】
化学式1の化合物は、上述した固相法以外に液相法を用いて製造しうる。
【0048】
他の側面によって、上述した電極活物質を含む電極が提供される。電極は、例えば、正極活物質を含む電極または、負極活物質を含む負極でもある。
【0049】
一実施例による電極活物質は、負極に含有されうる。
【0050】
さらに他の側面によって上述した電極を含む二次電池が提供される。ここで、電極は、正極または、負極である。
【0051】
二次電池は、リチウム二次電池または、全固体電池である。
【0052】
全固体電池は、例えば、積層セラミック(Multi-layer-ceramic: MLC)電池を有することができる。
【0053】
積層セラミック電池は、正極活物質層を含む正極層、固体電解質層、及び負極活物質層を含む負極層が順次に連続して配置されたセル単位が、正極活物質層と負極活物質層とが対向するように複数個積層された積層体構造を備える。他の一実施例によれば、積層セラミック電池は、正極集電体及び/または負極集電体をさらに含む。積層セラミック電池が正極集電体を含む場合、正極活物質層は、正極集電体の両面に配置されうる。そして、積層セラミック電池が負極集電体を含む場合、負極活物質層は、負極集電体の両面に配置されうる。
【0054】
積層セラミック電池は、正極活物質層、固体電解質層及び負極活物質層が順次に連続して配置されたセル単位が、セル単位同士の正極活物質層と負極活物質層とを対向させて複数個積層される積層体を備える。
【0055】
一実施例によれば、積層体の最上層及び最下層のうちいずれか1つまたは両方に集電体層を備えるか、または積層体に金属層を介在させてセル単位が積層される。
【0056】
一実施例による正極活物質及び二次電池は、モノのインターネット(Internal of Things, IoT)向けアプリケーション(application)電源、ウェアラブルデバイス(wearable device)電源などに用いられる。
【0057】
一実施例による正極活物質は、薄膜電池及びMLC電池に適用可能である。そして、小型電池と、電気自動車(electric vehicle:EV)及びエネルギー貯蔵システム(energy storage system:ESS)などの大型電池にも適用可能である。
【0058】
二次電池は、正極活物質層を含む正極層、負極集電体層及び第1負極活物質層または第3負極活物質層を含む負極層;及び正極層と負極層との間に配置された固体電解質層を含む全固体二次電池であり、正極活物質層が下記化学式1で表示される化合物を含む正極活物質を含む二次電池が提供される。
[化学式1]
Li(Ni1-y(P
化学式1において、5≦x≦7、0.2≦y<1、4≦z≦6、
Mは、3族ないし11族元素のうちから選択された元素または、それらの組み合わせであり、但し、Mが、鉄(Fe)である場合は除かれる。
【0059】
第1負極活物質層が炭素系負極活物質;及び金属または半金属負極活物質のうちから選択された1つ以上を含む。
【0060】
炭素系負極活物質は、非晶質炭素(amorphous carbon)及び結晶質炭素(crystalline carbon)のうちから選択された1つ以上を含み、金属または半金属負極活物質が金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含む。
【0061】
負極集電体と第1負極活物質層との間、及び固体電解質層と第1負極活物質層との間の1つ以上に配置された第2負極活物質層をさらに含み、第2負極活物質層は、リチウムまたはリチウム合金を含む金属層である。
【0062】
一実施例による全固体二次電池で第3負極活物質層がリチウムまたはリチウム合金を含む金属層である。
【0063】
一実施例による二次電池は、マイクロ全固体二次電池でもある。
【0064】
図6は、一実施例によるMLC電池の構造を概略的に示す図面である。
【0065】
図6を参照すれば、MLC電池は、酸化物電極及び固体電解質を順次に積層した後、それを同時熱処理して製造することができる。
【0066】
図6を参照すれば、正極集電体111の両面に一実施例による正極活物質を含む正極活物質層112が配置されて正極110が形成される。負極集電体121の両面に負極活物質層122が積層されて負極120が形成される。そして、正極110と負極120との間には、図6に示されたように固体電解質130が配置されうる。そして、外部電極140は、電池本体150の両端部に形成される。外部電極140は、電池本体150の外部に端部が露出された正極110及び負極120と接続されて正極110と負極120と外部素子とを電気的に連結する外部端子の役割を行うことができる。一対の外部電極140のうちいずれか1つは、一端が電池本体150の外部に露出された正極110と接続され、他の1つは、他端が電池本体150の外部に露出された負極120と接続される。
【0067】
一実施例による二次電池は、それぞれが順次に積層された正極層、固体電解質層及び負極層で構成される少なくとも第1及び第2単電池と、第1及び第2単電池がそれぞれ正極層に接触し、または第1及び第2単電池それぞれ負極層に接触して、第1及び第2単電池の間に介在するように配置された内部集電層を備える積層型固体電池でもある。
【0068】
負極活物質層の負極活物質は、2族ないし14族元素含有酸化物であり、例えば、リチウムチタン酸化物、リチウム遷移金属酸化物、リチウム金属ホスフェート、チタン酸化物、バナジウム酸化物またはそれらの組み合わせを含む。
【0069】
リチウム金属ホスフェートは、LiFe(POまたはLi(PO(0<x≦5)である。
【0070】
酸化物負極は、例えば、Li4/3Ti5/3,LiTiO,LiM1M2(M1、M2は、遷移金属であり、s、t及びuは、それぞれ任意の正数)、TiO(0<x≦3),V,Li(PO(0<x≦5)及びLiFe(POからなる群から選択されるリチウム化合物を含み、例えば、Li4/3Ti5/3,LiTiOが挙げられる。TiO(0<x≦3)は、例えば、TiOが挙げられる。
【0071】
負極活物質は、例えば、バナジウム酸化物(V)、LiTi12、TiO、LiTiO、Li(PO、Li3Fe(PO、またはそれらの組み合わせである。
【0072】
集電体層は、正極集電体及び負極集電体として機能する場合は、いずれもNi、Cu、Ag、Pd、Au及びPtのうち、任意の金属からなり、またはNi、Cu、Ag、Pd、Au及びPtのうち、任意のものを含む合金からもなる。合金の場合、Ni、Cu、Ag、Pd、Au及びPtから選択される2種以上の合金であり、例えば、Ag/Pd合金である。また、これら金属及び合金は、単独でもあり、2種以上の混合物でもある。正極集電体としての集電体層と、負極集電体としての集電体層の材料は、同一でも、異なってもいる。特に、Ag、Pdを含む合金または、混合粉末は、混合の比率によって銀融点(962℃)からパラジウム融点(1550℃)まで連続かつ任意に融点を変化させうるので、一括焼成温度に合わせた融点調整が可能であり、電子導電性も高いため、電池内部抵抗を最小限に抑制することができるという利点がある。
【0073】
金属層は、集電体層と同様の材料を使用しうる。金属層と集電体層の材料は、同一でも、異なってもいる。
【0074】
固体電解質は、イオン伝導性無機物質を含み、例えば、酸化物系固体電解質を用いることができる。
【0075】
酸化物系固体電解質は、例えば、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0<x<2、0≦y<3)、BaTiO、Pb(Zr、Ti)O(PZT)、Pb1-xLaZr1-yTi(PLZT)(O≦x<1、O≦y<1)、Pb(MgNb2/3)O-PbTiO(PMN-PT)、HfO、SrTiO、SnO、CeO、NaO、MgO、NiO、CaO、BaO、ZnO、ZrO、Y、Al、TiO、SiO、SiC、リチウムホスフェート(LiPO)、リチウムチタンホスフェート(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LiAlTi(PO、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、Li1+x+y(Al、Ga)(Ti、Ge)2-xSi3-y12(O≦x≦1、O≦y≦1)、チタン酸リチウムランタン(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyPzSw、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、窒化リチウム系ガラス(Li、0<x<4、0<y<2)、SiS(LiSi、0<x<3、0<y<2、0<z<4)、P系ガラス(Li、0<x<3、0<y<3、0<z<7)、LiO、LiF、LiOH、LiCO、LiAlO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO系セラミック、ガーネット(Garnet)系セラミックLi3+xLa12(M=Te、Nb、またはZr)(xは、1~10の整数)のうちから選択された1つ以上またはそれらの組合物である。
【0076】
固体電解質は、例えば、Li3.25Al0.25SiO、LiPO、LiPSi(式において、x、y及びzは、任意の正数であり、1~)からなる群から選択されるリチウム化合物であり、例えば、Li3.50.5Si0.5である。
【0077】
図7及び図8は、一実施例による積層型固体電池の断面構造を模式的に示す図面である。
【0078】
図7に示されたように、積層型固体電池710では、単電池1及び単電池2が内部集電層74を介して積層されている。単電池1及び単電池2のそれぞれは、順次に積層された正極層71、固体電解質層73及び負極層72で構成される。正極層71は、一実施例による正極活物質を含む。
【0079】
内部集電層74の一側面(図7において、上面)に単電池2の負極層72が隣接し、内部集電層74の他側面(図7において、下面)に単電池1の負極層72が隣接するように、単電池1と単電池2と内部集電層74とが積層されている。図7において、内部集電層74は、単電池1及び単電池2のそれぞれの負極層72に接触するように配置されているが、単電池1及び単電池2のそれぞれの正極層71に接触するように配置されうる。内部集電層74は、電子伝導性材料を含む。内部集電層74は、イオン伝導性材料をさらに含みうる。イオン伝導性材料をさらに含めば、電圧安定化特性に優れる。
【0080】
前述したように構成された一実施例による積層型固体電池710では、内部集電層4の両側と同じ極が配置されるので、内部集電層74を介在して複数の単電池を並列に接続したモノポーラ型積層型固体電池710が得られる。これにより、高容量型積層型固体電池710が得られる。
【0081】
また、積層型固体電池710では、単電池1と単電池2との間に介在する内部集電層74が電子伝導性材料を含むので、隣接した2つの単電池を電気的に並列に接続すると共に、隣接した2つの単電池において、正極層71または、負極層72をイオン伝導によって導通させうる。これにより、内部集電層74を介して隣接する正極層71または、負極層72の電位を平均化することができるので、安定した出力電圧が得られる。
【0082】
また引出しタブなどの外部集電部材を無くし、積層型固体電池710を構成する単電池を電気的に並列に接続しうる。これにより、空間利用率と費用性とに優れた積層型固体電池710が得られる。
【0083】
図8を参照して、積層体は、正極層81、負極層82、固体電解質層83及び内部集電層84を含む。このような積層体を積層し、熱圧着して積層型固体電池積層体810を得た。但し、正極層81は、一枚の正極層用シートで構成し、負極層82は、2枚の負極層用シートで構成される。正極層81は、一実施例による正極活物質を含む。
【0084】
図9A及び図9Bは、一実施例による全固体二次電池の他の実施形態の積層体を示す図面である。図9A及び図9Bの正極活物質層は、一実施例による電極活物質である正極活物質を含む。
【0085】
図9Aを参照して、全固体二次電池を構成する最も基本的なセル単位92の構造を示す。セル単位92は、正極活物質層94、イオン伝導性無機物質層96及び負極活物質層95の順に連続した構造を有する。
【0086】
図9Bに全固体二次電池を構成する積層体の構造を示す。
【0087】
全固体二次電池は、下端に正極活物質層と接する正極引出し電極が設けられ、上端に負極活物質層と接する負極引出し電極が設けられている。本明細書において、上端及び下端は、相対的な位置関係を示すのである。
【0088】
積層体923は、セル単位92が複数個、それぞれの正極活物質層94と負極活物質層95とが対向するように積層され、また最上層及び最下層にそれぞれ集電体層を備えた構造を有する。最上層及び最下層の集電体層のうちいずれか1つは、正極活性物質層と接続して正極集電体になり、他の1つは、負極活性物質層と接続して負極集電体になる。最下層の集電体層97は、正極活物質層94と接して正極集電体になり、最上層の集電体層98は、負極活物質層95と接して負極集電体になる。
【0089】
この態様においては、集電体層が引出し電極として機能しうる。図9Bでは、最下層の集電体層97が正極引出し電極、最上層の集電体層8が負極引出し電極として機能しうる。または、集電体層上に別途に引出し電極を設置し、例えば、下端に集電体層97と接する正極引出し電極、上端に集電体層98と接する負極引出し電極を設置することができる。
【0090】
積層体923は、図9Bに示されたようにセル単位92が金属層920を介在して積層された構造を有する。金属層を介在させることで、イオンの移動が個別的なセル単位内に留まり、直列型の全固体二次電池としてさらに確実に機能することを期待しうる。図9Bの積層体923は、集電体層を備えているが、集電体層は、前記のように任意である。
【0091】
全固体二次電池の積層体において、セル単位92の数は、2個以上であれば、いわゆる直列型の全固体二次電池を形成しうる。セル単位数は、要求される全固体二次電池の容量や電圧値に基づいて幅広く変化させうる。
【0092】
一実施例による二次電池は、全固体二次電池でもある。以下、添付された図面を参照して一実施例による全固体二次電池をさらに詳細に説明する。
【0093】
図10ないし図12を参照すれば、全固体二次電池1は、負極集電体層21及び第1負極活物質層22を含む負極層20;正極集電体層11及び正極活物質層12を含む正極層10;及び負極層20と正極層10の間に配置された固体電解質層30を含む。正極層10は、固体電解質を含む。図10ないし図12の正極活物質層及び/または負極活物質層は、一実施例による電極活物質を含む。
【0094】
正極層は、例えば、上述した正極活物質、固体電解質及び導電材を含む。
【0095】
(負極層)
図10ないし図12を参照すれば、負極層20は、負極集電体層21及び第1負極活物質層22を含み、第1負極活物質層22が負極活物質を含む。負極集電体層21は省略されうる。
【0096】
第1負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、粒子形態を有する。粒子形態を有する負極活物質の平均粒径は、例えば、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、または900nm以下である。粒子形態を有する負極活物質の平均粒径は、例えば、10nm~4μm、10nm~2μm、10nm~1μm、または10nm~900nmである。負極活物質がそのような範囲の平均粒径を有することにより、充放電時にリチウムの可逆的な吸蔵(absorbing)及び/または放出(desorbing)がさらに容易である。負極活物質の平均粒径は、例えば、レーザ式粒度分布計を使用して測定したメジアン(median)直径(D50)である。
【0097】
第1負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、炭素系負極活物質及び金属または半金属負極活物質のうちから選択された1つ以上を含む。
【0098】
炭素系負極活物質は、特に非晶質炭素(amorphous carbon)である。非晶質炭素は、例えば、カーボンブラック(carbon black)(CB)、アセチレンブラック(acetylene black)(AB)、ファーネスブラック(furnace black)(FB)、ケッチェンブラック(ketjen black)(KB)、グラフェン(graphene)などであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野において非晶質炭素に分類されるものであれば、いずれも使用可能である。非晶質炭素は、結晶性を有さないか、結晶性が非常に低い炭素であって、結晶性炭素または黒鉛系炭素と区分される。
【0099】
金属または半金属負極活物質は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含むが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でリチウムと合金または化合物を形成する金属負極活物質または半金属負極活物質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。例えば、ニッケル(Ni)は、リチウムと合金とを形成しないので、金属負極活物質ではない。
【0100】
第1負極活物質層22は、そのような負極活物質のうち、一種の負極活物質を含むか、複数の互いに異なる負極活物質の混合物を含む。例えば、第1負極活物質層22は、非晶質炭素のみを含むか、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含む。それとは異なって、第1負極活物質層22は、非晶質炭素と、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上との混合物を含む。非晶質炭素と金などの混合物の混合比、重量比として、例えば、10:1~1:2、5:1~1:1、または4:1~2:1でもあるが、必ずしもそのような範囲に限定されず、要求される全固体二次電池1の特性によって選択される。負極活物質が、そのような組成を有することにより、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。
【0101】
第1負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、非晶質炭素からなる第1粒子及び金属または半金属からなる第2粒子の混合物を含む。金属または半金属は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)などを含む。他の実施形態において、半金属は、半導体でもある。第2粒子の含量は、混合物の総重量を基準に8~60重量%、10~50重量%、15~40重量%、または20~30重量%である。第2粒子がそのような範囲の含量を有することにより、例えば、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。
【0102】
第1負極活物質層22は、例えば、バインダを含む。バインダは、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、ポリエチレン(polyethylene)、ビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野において、バインダとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。バインダは、単独または複数の互いに異なるバインダで構成されうる。
【0103】
第1負極活物質層22がバインダを含むことにより、第1負極活物質層22が負極集電体21上に安定化される。また、充放電過程で第1負極活物質層22の体積変化及び/または相対的な位置変更にもかかわらず、第1負極活物質層22のクラックが抑制される。例えば、第1負極活物質層22がバインダを含まない場合、第1負極活物質層22が負極集電体21から容易に分離可能である。負極集電体21から第1負極活物質層22が離脱した部分は、負極集電体21が露出されて固体電解質層30と接触することにより、短絡の発生可能性が増加する。第1負極活物質層22は、例えば、第1負極活物質層22を構成する材料が分散されたスラリーを負極集電体21上に塗布し、乾燥して作製される。バインダを第1負極活物質層22に含めることにより、スラリー中に負極活物質の安定した分散が可能である。例えば、スクリーン印刷法でスラリーを負極集電体21上に塗布する場合、スクリーンの目詰まり(例えば、負極活物質の凝集体による目詰まり)を抑制しうる。
【0104】
第1負極活物質層の厚さ(d22)は、例えば、正極活物質層の厚さ(d12)の50%以下、30%以下、10%以下、または、5%以下である。第1負極活物質層の厚さ(d22)は、例えば、1μm~20μm、2μm~10μm、または、3μm~7μmである。第1負極活物質層の厚さ(d22)が前記範囲であるとき、全固体二次電池1のサイクル特性に優れる。
【0105】
第1負極活物質層22の充電容量は、例えば、正極活物質層12の充電容量に比べて、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下または2%以下である。第1負極活物質層22の充電容量は、例えば、正極活物質層12の充電容量に比べて、0.1%~50%、0.1%~40%、0.1%~30%、0.1%~20%、0.1%~10%、0.1%~5%、または、0.1%~2%である。第1負極活物質層22の充電容量が前記範囲であるとき、全固体二次電池1のサイクル特性に優れる。正極活物質層12の充電容量は、正極活物質の充電容量密度(mAh/g)に、正極活物質層12の正極活物質の質量を乗算して得られる。負極集電体21は、例えば、リチウムと反応しない、すなわち、合金及び化合物をいずれも形成しない材料で構成される。負極集電体21を構成する材料は、例えば、銅(Cu)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)などであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で電極集電体として使用するものであれば、いずれも使用可能である。負極集電体21は、上述した金属のうち1種で構成されるか、2種以上の金属の合金または被覆材料で構成されうる。負極集電体21は、例えば、板状または箔状(foil)である。
【0106】
第1負極活物質層22は、従来の全固体二次電池1に使用される添加剤、例えば、フィラー、分散剤、イオン導電剤などをさらに含みうる。
【0107】
図11を参照すれば、全固体二次電池1は、例えば、負極集電体21上にリチウムと合金を形成することができる元素を含む薄膜24をさらに含む。薄膜24は、負極集電体21と第1負極活物質層22との間に配置される。薄膜24は、例えば、リチウムと合金を形成する元素を含む。リチウムと合金を形成する元素は、例えば、金、銀、亜鉛、錫、インジウム、ケイ素、アルミニウム、ビスマスなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でリチウムと合金を形成する元素であれば、いずれも使用可能である。薄膜24は、それらの金属のうち、1つで構成されるか、複数種の金属の合金で構成される。薄膜24が負極集電体21上に配置されることにより、例えば、薄膜24と第1負極活物質層22との間に析出される第2負極活物質層(図示せず)の析出形態がさらに平坦化され、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0108】
薄膜の厚さ(d24)は、例えば、1nm~800nm、10nm~700nm、50nm~600nm、または、100nm~500nmである。薄膜の厚さが前記範囲であるとき、全固体電池のエネルギー密度及びサイクル特性に優れる。薄膜24は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって負極集電体21上に配置されうるが、必ずしもそのような方法に限定されず、当該技術分野で薄膜24を形成する方法であれば、いずれも使用可能である。
【0109】
図12を参照すれば、全固体二次電池1は、充電によって、例えば、負極集電体21と固体電解質層30との間に配置される第2負極活物質層23をさらに含む。全固体二次電池1は、充電によって、例えば、負極集電体21と第1負極活物質層22との間に配置される第2負極活物質層23をさらに含む。図面に図示されていないが、全固体二次電池1は、充電によって、例えば、固体電解質層30と第1負極活物質層22との間に配置される第2負極活物質層23をさらに含む。図面に図示されていないが、全固体二次電池1は、充電によって、例えば、第1負極活物質層22の内部に配置される第2負極活物質層23をさらに含む。
【0110】
第2負極活物質層23は、リチウムまたはリチウム合金を含む金属層である。金属層は、リチウムまたはリチウム合金を含む。したがって、第2負極活物質層23は、リチウムを含む金属層なので、例えば、リチウム貯蔵庫(reservoir)として作用する。リチウム合金は、例えば、Li-Al合金、Li-Sn合金、Li-In合金、Li-Ag合金、Li-Au合金、Li-Zn合金、Li-Ge合金、Li-Si合金などであるが、それらに限定されず、当該技術分野においてリチウム合金として使用するものであれば、いずれも使用可能である。第2負極活物質層23は、そのような合金中の1つまたはリチウムからなるか、複数種の合金からなる。
【0111】
第2負極活物質層の厚さ(d23)は、特に制限されないが、例えば、1μm~1000μm、1μm~500μm、1μm~200μm、1μm~150μm、1μm~100μm、または1μm~50μmである。第2負極活物質層の厚さ(d23)が前記範囲であるとき、全固体二次電池のサイクル特性に優れる。第2負極活物質層23は、例えば、そのような範囲の厚さを有する金属箔でもある。
【0112】
全固体二次電池1において第2負極活物質層23は、例えば、全固体二次電池1の組立前に負極集電体21と第1負極活物質層22との間に配置されるか、全固体二次電池1の組立後に充電によって負極集電体21と第1負極活物質層22との間に析出される。
【0113】
全固体二次電池1の組立前に負極集電体21と第1負極活物質層22との間に第2負極活物質層23が配置される場合、第2負極活物質層23がリチウムを含む金属層なので、リチウム貯蔵庫(reservoir)として作用する。第2負極活物質層23を含む全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。例えば、全固体二次電池1の組立前に負極集電体21と第1負極活物質層22との間にリチウムホイルが配置される。
【0114】
全固体二次電池1の組立後に充電によって第2負極活物質層23が配置される場合、全固体二次電池1の組立時に第2負極活物質層23を含まないので、全固体二次電池1のエネルギー密度が増加する。例えば、全固体二次電池1の充電時、第1負極活物質層22の充電容量を超過して充電する。すなわち、第1負極活物質層22を過充電する。充電初期には、第1負極活物質層22にリチウムが吸蔵される。すなわち、第1負極活物質層22が含む負極活物質は、正極層10から移動してきたリチウムイオンと合金または化合物を形成する。第1負極活物質層22の容量を超過して充電すれば、例えば、第1負極活物質層22の背面、すなわち、負極集電体21と第1負極活物質層22との間にリチウムが析出され、析出されたリチウムによって第2負極活物質層23に該当する金属層が形成される。第2負極活物質層23は、主にリチウム(すなわち、金属リチウム)で構成される金属層である。そのような結果は、例えば、第1負極活物質層22に含まれる負極活物質がリチウムと合金または化合物を形成する物質で構成されることにより得られる。放電時には、第1負極活物質層22及び第2負極活物質層23、すなわち、金属層のリチウムがイオン化されて正極層10方向に移動する。したがって、全固体二次電池1でリチウムを負極活物質として使用することができる。また、第1負極活物質層22は、第2負極活物質層23を被覆するので、第2負極活物質層23、すなわち、金属層の保護層の役割をすると共に、リチウムデンドライト(dendrite)の析出成長を抑制する役割を遂行する。したがって、全固体二次電池1の短絡及び容量低下を抑制し、結果として、全固体二次電池1のサイクル特性を向上させる。また、全固体二次電池1の組立後に充電によって第2負極活物質層23が配置される場合、負極集電体21と第1負極活物質層22及びそれらの間の領域は、例えば、全固体二次電池の初期状態または放電後状態でリチウム(Li)金属またはリチウム(Li)合金を含まないLiフリー(free)領域である。
【0115】
図12を参照すれば、全固体二次電池1は、負極集電体21上に第2負極活物質層23が配置され、第2負極活物質層23上に固体電解質層30が直接配置される構造を有する。第2負極活物質層23は、例えば、リチウム金属層またはリチウム合金層である。
【0116】
(固体電解質層)
図10ないし図12を参照すれば、固体電解質層30は、酸化物系固体電解質を含む。
【0117】
酸化物系固体電解質は、酸化物系固体電解質は、例えば、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0<x<2、0≦y<3)、BaTiO、Pb(Zr、Ti)O(PZT)、Pb1-xLaZr1-yTi(PLZT)(O≦x<1、O≦y<1)、PB(MgNb2/3)O-PbTiO(PMN-PT)、HfO、SrTiO、SnO、CeO、NaO、MgO、NiO、CaO、BaO、ZnO、ZrO、Y、Al、TiO、SiO、LiPO、LiTi(PO(0<x<2、0<y<3)、LiAlTi(PO(0<x<2、0<y<1、0<z<3)、Li1+x+y(Al、Ga)(Ti、Ge)2-xSi3-y12(0≦x≦10≦y≦1)、LiLaTiO(0<x<2、0<y<3)、LiO、LiOH、LiCO、LiAlO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO、Li3+xLa12(M=Te、Nb、またはZr、xは、1~10の整数)のうちから選択された1つ以上である。
【0118】
酸化物系固体電解質は、例えば、LiLaZr12(LLZO)及びLi3+xLaZr2-a12(MがドープされたLLZO、M=Ga、W、Nb、Ta、またはAl、xは、1~10の整数、0.05≦a≦0.7)のうちから選択されたガーネット系(Garnet-type)固体電解質である。
【0119】
一実施例によれば、固体電解質層は、LLZO固体電解質を含む。
【0120】
固体電解質層は、例えば、LiLaZr12(LLZO)、Li6.4LaZr1.70.312、Li6.5LaZr1.5Ta0.312、LiLaZr1.70.312、Li4.9La2.5Ca0.5Zr1.7Nb0.312、Li4.9Ga2.1LaZr1.70.312、Li6.4LaZr1.70.312、LiLaZr1.50.512、LiLa2.75Ca0.25Zr1.75Nb0.2512、LiLaZr1.5Nb0.512、LiLaZr1.5Ta0.512、Li6.272LaZr1.70.312、Li5.39Ga1.61LaZr1.70.312、Li6.5LaZr1.5Ta0.312、またはそれらの組み合わせを含有しうる。
【0121】
(正極層)
正極層10は、正極集電体11及び正極活物質層12を含む。
【0122】
正極集電体11は、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、またはそれらの合金からなる板状体(plate)または箔(foil)などを使用する。正極集電体11は、省略可能である。
【0123】
正極活物質層12は、正極活物質及び固体電解質を含む。正極層10に含まれた固体電解質は、固体電解質層30に含まれる固体電解質と類似しているか、異なってもいる。固体電解質に係わる詳細な内容は、固体電解質層30部分を参照する。一実施例によれば、固体電解質は、酸化物系固体電解質を含みうる。
【0124】
正極層は、一実施例による電極活物質である正極活物質を含む。
【0125】
正極活物質の形状は、例えば、球形、楕円形などの粒子形状である。正極活物質の粒径は、特に制限されず、従来の全固体二次電池の正極活物質に適用可能な範囲である。正極層10の正極活物質の含量も、特に制限されず、従来の全固体二次電池の正極層に適用可能な範囲である。
【0126】
正極層10は、上述した正極活物質及び固体電解質以外に、例えば、導電剤、バインダ、フィラー(filler)、分散剤、イオン伝導性補助剤などの添加剤をさらに含みうる。このような導電剤は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェン(Ketjen)ブラック、炭素繊維、金属粉末などである。バインダは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレン(polyethylene)などである。正極層10に配合可能なコーティング剤、分散剤、イオン伝導性補助剤としては、一般的に固体二次電池の電極に使用される公知の材料を使用する。
【0127】
全固体二次電池製造方法は、正極層10上部に固体電解質層30を積層し、その上部に負極層20を積層して製造する。
【0128】
他の一実施例によれば、固体電解質層30は、別途の基材に固体電解質層形成用組成物をコーティング及び乾燥し、基材から分離するか、または基材が含まれたシート状に製造することができる。基材は、非制限的な例として、ポリエチレンテレフタレート膜、ポリエチレン不織布などを用いる。
【0129】
さらに他の一実施例によれば、固体電解質層30は、正極層10上部に第1固体電解質層形成用の組成物をコーティング及び乾燥するか、または転写して形成することができる。
【0130】
次いで、正極層、固体電解質層及び負極層を包装材で包装した後、加圧して全固体電池を製造しうる。加圧は、ロール加圧、ホット加圧、静水圧加圧(warm isostactic press)などを用いて実施することができる。
【0131】
加圧時、ロール加圧またはホット加圧を利用すれば、量産可能であり、電極層と固体電解質層との圧縮過程で緊密な界面が形成されうる。
【0132】
(負極層の製造)
第1負極活物質層22を構成する材料である負極活物質、導電材、バインダ、固体電解質などを極性溶媒または非極性溶媒に添加してスラリーを準備する。準備されたスラリーを負極集電体21上に塗布して乾燥し、第1積層体を準備する。次いで、乾燥された第1積層体を加圧し、負極層20を準備する。加圧は、例えば、ロール加圧(roll press)、平板加圧(flat press)などであるが、必ずしもそのような方法に限定されず、当該技術分野で使用する加圧であれば、いずれも使用可能である。加圧段階を省略可能である。
【0133】
負極層は、負極集電体及び負極集電体上に配置された負極活物質を含む第1負極活物質層を含み、負極活物質が炭素系負極活物質及び金属または半金属負極活物質のうちから選択された1つ以上を含み、炭素系負極活物質は、非晶質炭素(amorphous carbon)及び結晶質炭素(crystalline carbon)のうちから選択された1つ以上を含む。そして、金属または半金属負極活物質は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上である。
【0134】
負極集電体と第1負極活物質層との間、及び固体電解質層と第1負極活物質層との間の1つ以上に配置された第2負極活物質層をさらに含み、第2負極活物質層は、リチウムまたはリチウム合金を含む金属層である。
【0135】
(正極層の製造)
正極活物質層12を構成する材料である正極活物質、導電材、バインダ、固体電解質などを非極性溶媒に添加してスラリー(slurry)を製造する。正極活物質としては、一実施例による正極活物質を用いる。製造されたスラリーを正極集電体11上に塗布して乾燥する。得られた積層体を加圧して正極層10を製造する。加圧は、例えば、ロール加圧(roll press)、平板加圧(flat press)、静水圧を用いた加圧などであるが、必ずしもそのような方法に限定されず、当該技術分野で使用する加圧であれば、いずれも使用可能である。加圧工程は、省略してもよい。それとは異なって、正極活物質層12を構成する材料の混合物をペレット(pellet)状に圧密化成形するか、シート状に延伸するものであって、正極層10を作製する。このような方法によって正極層10を作製する場合、正極集電体11は、省略しうる。
【0136】
(固体電解質層の製造)
固体電解質層30は、例えば、酸化物系固体電解質材料に形成された固体電解質によって製造する。
【0137】
(全固体二次電池の製造)
上述した方法によって作製した正極層10、負極層20、及び固体電解質層30を、正極層10と負極層20とが固体電解質層30を介在するように積層して加圧することにより、全固体二次電池1を作製する。
【0138】
例えば、正極層10上に固体電解質層30を配置して第2積層体を準備する。次いで、固体電解質層30と第1負極活物質層とが接触するように第2積層体上に負極層20を配置して全固体二次電池1を製造する。
【0139】
前述した全固体二次電池の構成及び作製方法は、実施形態の一例であり、構成部材及び作製手続きなどを適切に変更することができる。
【0140】
一実施例による全固体二次電池は、電池の容量及び大きさによって小型ITSまたは大型電気自動車に搭載されうる。
【0141】
以下、実施例及び比較例を参照して具体的に説明するが、下記例に限定されるものではない。
【0142】
(正極活物質の製造)
製造例1
LiCO、CoO、NiO、(NHHPOを混合して前駆体混合物を得て、ここにエタノール混合し、ボールミルで10時間ミーリングを実施した。LiCO、CoO、NiO、(NHHPOの含量は、下記表1の組成を有する正極活物質が得られるように、化学量論的に制御され、エタノールは、LiCO、CoO、NiO及び(NHHPOの総含量100重量部を基準にして100重量部使用した。
【0143】
ミーリングされた結果物を90℃で12時間乾燥し、乾燥した生成物を空気雰囲気、750℃で12時間熱処理して正極活物質LiCoNi(Pを得た。
【0144】
製造例2-4
前駆体混合物の製造時、LiCO、CoO、NiO、(NHHPOの含量は、下記表1の組成を有する目的物が得られるように化学量論的に制御したことを除き、製造例1と同様に実施して下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0145】
製造例5
前駆体混合物の製造時、CoOの代わりに、MnOを使用したことを除き、製造例1と同じ方法で実施して下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0146】
製造例6
前駆体混合物の製造時、CoOの代わりに、MnOを使用して熱処理温度が700℃に変化されたことを除き、製造例1と同じ方法で実施して下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0147】
製造例7
前駆体混合物の製造時、CoOの代わりに、MnOとVを使用して熱処理温度が600℃に変化されたことを除き、製造例1と同じ方法で実施して下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0148】
比較製造例1
前駆体混合物の製造時、NiOを使用していないことを除き、製造例1と同じ方法で実施して下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0149】
比較製造例2
前駆体混合物の製造時、CoOを使用していないことを除き、製造例1と同じ方法で実施して下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0150】
比較製造例3
LiCO、FeC・2HO、NiC・2HO及び(NHHPOを遊星ボールミル容器に入れた。その後、遊星ボールミル容器をボールミル装置に配置し、ボールミル装置を駆動させて原材料を混合した。LiCO、FeC・2HO、NiC・2HO及び(NHHPOの含量は、それぞれ下記表1の目的物が得られるように化学量論的に調節された。
【0151】
前記過程によって得られた混合物を、アルゴン雰囲気下800℃で6時間焼成することで、下記表1の組成を有する正極活物質を得た。
【0152】
比較製造例4-5
LiCO、FeC・2HO、NiC 2HO及び(NHHPOの含量がそれぞれ下記表1の目的物が得られるように化学量論的に調節されたことを除き、比較製造例3と同様に実施して下記表1の組成を有する正極活物質をそれぞれ得た。
【0153】
【表1】
【0154】
比較製造例2によって得られたLiNi(Pは、放電電圧は高いが、安定した相維持が困難である。そして、比較製造例3によって得られたLiFe2.5Ni2.5(Pは、下記図4Cに示されたように5V以上の高電圧放電が発現されなかった。
【0155】
製造例8-11
前駆体混合物の製造時、CoOの代わりに、チタン酸化物(TiO)、Cr、CuO及びScをそれぞれ使用したことを除き、製造例1と同じ方法で実施して下記表2の組成を有する正極活物質を得た。
【0156】
【表2】
【0157】
(リチウム二次電池の製造)
実施例1
まず、正極を下記過程によって作製した。
【0158】
製造例1の正極活物質、導電剤(Super-P; Timcal Ltd.)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride: PVdF)及びN-メチルピロリドンを混合して正極活物質層形成用組成物を得た。正極活物質層形成用組成物においてLiCoNi(P、導電剤及びPVDFの混合重量比は、50:30:20であり、N-メチルピロリドンの含量は、正極活物質が1gであるとき、約20gを使用した。
【0159】
前記正極活物質層形成用組成物をアルミニウム箔(厚さ:約15μm)上部にコーティングして25℃で乾燥させた後、乾燥された結果物を真空、約120℃で乾燥させて圧延して厚さ約5[.5]μmである正極を作製した。
【0160】
正極と相対極としてリチウム金属対極を使用して2032型のコインセル(coin cell)を製造した。正極とリチウム金属対極との間には、多孔質ポリエチレン(PE)フィルムからなるセパレータ(厚さ:約16μm)を介在し、電解液を注入して2032型コインセル形態のリチウム二次電池を作製した。電解液として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を3:5の体積比で混合した溶媒に溶解された1.1M LiPFが含まれた溶液を使用した。
【0161】
実施例2-11
正極製造時、製造例1の正極活物質製造時の製造例2ないし11の正極活物質をそれぞれ用いたことを除き、実施例1と同じ方法で実施してリチウム二次電池を製造した。
【0162】
比較例1-5
正極製造時、製造例1の正極活物質製造時の比較製造例1ないし5の正極活物質をそれぞれ用いたことを除き、実施例1と同じ方法で実施してリチウム二次電池を製造した。
【0163】
評価例1:X線回折分析
製造例1-4及び比較製造例1-5の正極活物質に対するX線回折分析を実施した。X線回折分析は、CuKα線(1.54056Å)を用いたX’pert pro (PANalytical)を用いて実施した。
【0164】
製造例1-4及び比較製造例1-2の正極活物質に対するX線回折分析結果は、図1Aに示されており、図1Aの一部領域を拡大して図1Bに示した。図1A及び図1Bには、参照用として、Li5.88Co5.06(Pについても示した。
【0165】
図1A及び1Bを参照すれば、製造例1-4の正極活物質は、相安定性の高いコバルトを導入して安定した結晶相が保持可能であることが分かった。
【0166】
比較製造例1の正極活物質は、相安定性に優れるが、比較製造例2の正極活物質は、500~900℃温度領域でLiNi(P及びLiNiPOの他の物質に変化されて相が非常に不安定であった。
【0167】
また、製造例1-2の正極活物質及び比較製造例1の正極活物質に対するX線回折分析によって求められる主ピーク(main peak)と副ピーク(minor peak)の強度比を、下記式1によって測定して下記表3に示した。ここで、主ピークは、最大吸収強度を示すピークであり、回折角2θが28.5°である領域で示され、副ピークは、主ピークに比べて吸収強度の小さいピークであって、回折角2θが14.3°である領域で示される。
【0168】
[数式1]
ピーク強度比(P2/P1)=副ピークの強度(P2)/主ピークの強度(P1)
【0169】
【表3】
【0170】
表3において、製造例1及び2の正極活物質は、比較製造例1の正極活物質と比べて結晶性などの物性が区別されるということが分かった。
【0171】
(2)製造例5、6及び7
製造例5、6、7の正極活物質に対するX線回折分析スペクトルは、図1Cに示されている。図1Cには、参照用として、Li5.88Co5.06(Pについても示した。
【0172】
図1Cを参照して、製造例5~7の正極活物質は、ニッケルの一部サイトをマンガンまたはバナジウムのような他の遷移金属に置換して相安定性が高いということが分かった。
【0173】
(3)製造例6及び比較製造例1
製造例6及び比較製造例1の正極活物質に対するX線回折分析スペクトルは、図1Dに示されている。図1Dには、参照用として、Li5.88Co5.06(Pについても示した。
【0174】
図1Dを参照して、製造例6の正極活物質は、ニッケルの一部サイトをマンガン及びバナジウムに置換して相安定性に優れるということが分かった。
【0175】
(4)比較製造例3-5
比較製造例3ないし5の正極活物質に対するX線回折分析結果を図1Eに示した。
【0176】
図1Eを参照して、比較製造例3ないし5の正極活物質は、相安定性が優秀であった。しかし、後述する比容量による電圧変化グラフから分かるように、高電圧特性は、不良な結果を示した。
【0177】
評価例2:電圧計算
正極活物質LiCo5-xNix(Pでコバルトとニッケルとの混合量による電圧を計算した。電圧計算は、量子計算を用いて実施した。量子計算は、密度汎関数理論(Density functional theory: DFT)によって計算された。
【0178】
電圧計算結果は、図2に示された通りである。
【0179】
図2を参照して、高電圧特性を有する正極活物質を用いるために、正極活物質のニッケルを相安定性に優れたコバルトに置換することで、結晶構造を安定して保持しつつ、4.8V以上の高い平均電圧が発現した。
【0180】
評価例3:充放電特性
(1)実施例1-4及び比較例1-2
実施例1-4及び比較例1-2によって製造されたコインセルの充放電特性を次の充放電試験によって評価した。
【0181】
充放電は、25℃で5時間放置した後、0.1Cの電流で5.5Vに到逹するまで定電流充電を実施した。充電済みのセルは、0.025Cの電流で電圧が4.0Vに至るまで定電流放電を遂行した。
【0182】
このような充放電サイクルを総10回反復的に実施した。その結果の一部を図3A図3Bに示した。図3Aは、実施例1-4及び比較例1-2によって製造されたコインセルにおいて、比容量による電圧変化を示したものである。そして、図3Bは、実施例1-4及び比較例1-2のコインセルにおいて、正極活物質でコバルトとニッケルとの混合量による比容量及び平均電圧変化を示したものである。
【0183】
図3A図3Bを参照して、実施例1ないし5のコインセルは、比較例1-2のコインセルに比較して、優秀な平均電圧及び比容量、充放電特性を示した。
【0184】
また、実施例5-11のコインセルの平均電圧及び比容量特性を実施例1のコインセルの評価方法と同様に実施して評価した。
【0185】
評価結果、実施例5-11のコインセルの平均電圧及び比容量特性は、実施例1のコインセルと同様に優れた結果を示した。
【0186】
(2)実施例1-2及び比較例3-5
実施例1-2及び比較例3-5によって製造されたコインセルの充放電特性を次の充放電試験によって評価した。
【0187】
充放電は、25℃で5時間放置した後、0.1Cの電流で5.5Vに到逹するまで定電流充電を実施した。充電済みのセルは、0.025Cの電流で電圧が3.0V、3.5Vまたは4.0Vにそれぞれ至るまで定電流放電を遂行した。
【0188】
1次充放電特性の評価結果の一部を、図4A図4B及び下記表4に示した。
【0189】
図4Aは、実施例1-2及び比較例1のコインセルにおける比容量による電圧変化を示し、図4Bは、実施例1-2及び比較例1のコインセルにおける容量によって正規化された放電曲線を示した図面である。そして、図4Cは、比較例4のコインセルにおける比容量による電圧変化を示した図面である。
【0190】
【表4】
【0191】
表4を参照して、実施例1及び2のコインセルの平均放電電圧は、比較例1の場合に比べて増加することが分かった。そして、図4A及び図4Bを参照して、実施例1及び2のコインセルは、比較例1のコインセルと比較して、さらに優秀な平均電圧及び比容量、充放電特性を示した。図4Cを参照して、比較例4のコインセルは、5V以上高電圧放電が発現されなかった。また、比較例4及び比較例5のコインセルは、比較例3のコインセルと類似した高電圧放電特性を示した。
【0192】
評価例4:dQ/dV分析
実施例1及び比較実施例1-2によって作製されたコインセルにおいて、充放電特性などを充放電器(製造社:TOYO、モデル:TOYO-3100)で評価した。
【0193】
充放電特性評価過程をさらに詳細に記述すれば、次のようである。
【0194】
充放電は、25℃で5時間放置した後、0.1Cの電流で5.5Vに到逹するまで定電流充電を実施した。充電済みのセルは、0.025Cの電流で電圧が4.0Vに至るまで定電流放電を遂行した。このような充放電サイクルを反復的に実施して総10回充放電サイクルを実施した。
【0195】
最初のサイクル3.0V~5.55Vの電圧範囲で示されるdQ/dV充放電微分曲線分布に対して求められる放電主ピークが示される位置及び放電曲線の面積比を調査し、下記表5及び図5に示した。図5は、実施例1-2及び比較例1のコインセルにおける最初のサイクルdQ/dV放電微分曲線を示す図面である。
【0196】
放電ピークは、3.0V~5.5Vで示されるピークである。そして、放電曲線の面積比は、下記数式2で計算した。
【0197】
[数式2]
放電曲線の面積比=(4.7V~5.5Vの放電曲線の面積(A2)/3.5V~5.5Vの放電曲線の面積(A1)
【0198】
【表5】
【0199】
図5及び表5を参照して、比較例1のコインセルは、正極活物質としてLiCo(Pを含む電極を備え、その場合、放電主要プラトー(main plateau)が約4.67Vと示された。これに対して、実施例1及び2のコインセルは、比較例1のコインセルに比べて、高電圧プラトーが形成されて高電圧領域で放電量が増加することが分かった。特に、ニッケルの置換量がさらに高い正極活物質を含む電極を備えた実施例2のコインセルは、実施例1のコインセルに比べて高電圧プラトーが形成されて5.15Vの放電プラトーが示された。
【0200】
また、表5に示されたように、実施例1及び2のコインセルでは、A2/A1がそれぞれ0.434及び0.531であって、比較例1のコインセルと比べて、高電圧放電曲線の面積がさらに増加し、高電圧領域の放電量がさらに優秀であるということが分かった。
【0201】
以上、一実施例について説明したが、それに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付図面の範囲内で多様に変形して実施可能であり、それも発明の範囲に属するということは言うまでもない。
【0202】
1 全固体二次電池
10 正極層
11 正極集電体、正極集電体層
12 正極活物質層
20 負極層
21 負極集電体、負極集電体層
22 第1負極活物質層
23 第2負極活物質層
24 薄膜
30 固体電解質層
110 正極
111 正極集電体
112 正極活物質層
120 負極
121 負極集電体
122 負極活物質層
130 固体電解質
140 外部電極
150 電池本体
71 正極層
72 負極層
73 固体電解質層
74 内部集電層
710 積層型固体電池
81 正極層
82 負極層
83 固体電解質層
84 内部集電層
810 積層型固体電池積層体
92 セル単位
94 正極活物質層
95 負極活物質層
96 イオン伝導性無機物質層
97 集電体層
98 集電体層
920 金属層
923 積層体
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12
【国際調査報告】