(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】多色電気泳動ディスプレイにおいて原色組を達成するための強化プッシュプル(EPP)波形
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1685 20190101AFI20231030BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20231030BHJP
【FI】
G02F1/1685
G02F1/167
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524896
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021057534
(87)【国際公開番号】W WO2022094384
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デリワラ, アミット
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BB06
2K101BB13
2K101BB44
2K101BB54
2K101BD03
2K101BD61
2K101EC08
2K101EC09
2K101ED13
2K101ED22
2K101ED25
2K101ED32
2K101EE02
2K101EJ11
2K101EJ15
(57)【要約】
4つの異なるタイプの粒子、例えば、散乱粒子の組と、減法的粒子の3つの組とを含む4粒子電気泳動媒体を駆動するための強化プッシュプル駆動波形。少なくとも5つの異なる電圧レベルを有する電圧ドライバを使用するときに標的色状態に対する好ましい波形を識別する方法。一実施形態において、方法は、粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を提供することであって、各粒子の組は、異なる光学特性と異なる電荷特性とを有する、ことと、第1の光透過性電極と第2の電極との間に電気泳動媒体を配置することと、少なくとも5つの電圧レベルを提供するように構成された電圧ドライバを提供することであって、少なくとも5つの電圧レベルは、高い負電圧、中程度の負電圧、ゼロ電圧、中程度の正電圧、および高い正電圧である、ことと、プッシュプル波形を提供することによって、電気泳動媒体を所望の光学状態に駆動することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を提供することであって、各粒子の組は、異なる光学特性と異なる電荷特性とを有する、ことと、
第1の光透過性電極と第2の電極との間に前記電気泳動媒体を配置することと、
少なくとも5つの電圧レベルを提供するように構成された電圧ドライバを提供することであって、前記少なくとも5つの電圧レベルは、高い負電圧、中程度の負電圧、ゼロ電圧、中程度の正電圧、および高い正電圧である、ことと、
プッシュプル波形を提供することによって、前記電気泳動媒体を所望の光学状態に駆動することと
を含み、
前記プッシュプル波形は、
第1のパルスと第2のパルスとから成る第1の正の部分であって、前記第1のパルスは、第1の正の大きさと第1の時間幅とを有し、前記第2のパルスは、第2の正の大きさと第2の時間幅とを有する、第1の正の部分と、
第3のパルスと第4のパルスとから成る第2の負の部分であって、前記第3のパルスは、第1の負の大きさと第3の時間幅とを有し、前記第4のパルスは、第2の負の大きさと第4の時間幅とを有する、第2の負の部分と
を有し、
前記第1の正の大きさ、前記第2の正の大きさ、前記第1の負の大きさ、および前記第2の負の大きさの全ては、非ゼロであり、前記第1、第2、第3、および第4の時間幅のうちの少なくとも3つは、非ゼロである、方法。
【請求項2】
前記粒子の第1の組は、反射性であり、前記粒子の第2、第3、および第4の組は、減法的である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子の組のうちの2つは、正荷電であり、前記粒子の組のうちの2つは、負荷電である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子の組のうちの1つは、正荷電であり、前記粒子の組のうちの3つは、負荷電である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子の組のうちの3つは、正荷電であり、前記粒子の組のうちの1つは、負荷電である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の電極は、アレイにおいて配置された複数のピクセル電極を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の電極は、光透過性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記高い負電圧は、-30V~-20Vであり、前記中程度の負電圧は、-20V~-2Vであり、前記中程度の正電圧は、2V~20Vであり、前記高い正電圧は、20V~30Vである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電圧ドライバは、7つの電圧レベル:高い負電圧、中程度の負電圧、低い負電圧、ゼロ電圧、低い正電圧、中程度の正電圧、および高い正電圧を提供するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
強化プッシュプル波形を識別する方法であって、前記方法は、
電気泳動ディスプレイを駆動するための電圧の有限の組を選択することであって、前記組は、少なくとも5つの異なる電圧レベルを含む、ことと、
候補波形のための時間の有限の時間幅を選択することと、
全ての波形を計算することであって、前記全ての波形は、
第1のパルスと第2のパルスとから成る第1の正の部分であって、前記第1のパルスは、第1の正の大きさと第1の時間幅とを有し、前記第2のパルスは、第2の正の大きさと第2の時間幅とを有する、第1の正の部分と、
第3のパルスと第4のパルスとから成る第2の負の部分であって、前記第3のパルスは、第1の負の大きさと第3の時間幅とを有し、前記第4のパルスは、第2の負の大きさと第4の時間幅とを有する、第2の負の部分とを有し、
前記第1の正の大きさ、前記第2の正の大きさ、前記第1の負の大きさ、および前記第2の負の大きさの各々は、前記電圧の有限の組からの値を有し、
前記第1のパルス幅、前記第2のパルス幅、前記第3のパルス幅、および前記第4のパルス幅の合計は、前記有限の時間幅と等しい、ことと、
粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイのモデルを使用して、前記候補波形の各々によって生成される光学状態を計算することであって、前記各粒子の組は、異なる光学特性と異なる電荷特性とを有し、前記電気泳動媒体は、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置されている、ことと、
標的化された光学状態を生成するための波形を選択することと
を含む、方法。
【請求項11】
選択することは、標的カラーを予測された出力カラーと比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を含む物理的電気泳動ディスプレイに前記選択された波形を入力することをさらに含み、各粒子の組は、異なる光学特性と異なる電荷特性とを有し、前記電気泳動媒体は、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物理的電気泳動ディスプレイの前記カラー出力を評価することと、前記カラー出力を前記標的カラーと比較することとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電圧の有限の組は、-30V~-20Vの高い負電圧と、-20V~-2Vの中程度の負電圧と、2V~20Vの中程度の正電圧と、20V~30Vの高い正電圧とを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記電圧の有限の組は、-27Vと、0Vと、+27Vとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記組は、7つの電圧レベル:高い負電圧、中程度の負電圧、低い負電圧、ゼロ電圧、低い正電圧、中程度の正電圧、および高い正電圧を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子の第1の組は、反射性であり、粒子の第2、第3、および第4の組は、減法的である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子の組のうちの2つは、正荷電であり、前記粒子の組のうちの2つは、負荷電である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子の組のうちの1つは、正荷電であり、前記粒子の組のうちの3つは、負荷電である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子の組のうちの3つは、正荷電であり、前記粒子の組のうちの1つは、負荷電である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2020年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/108,521号の優先権を主張する。本明細書に開示される、全ての特許および公開は、参照することによって、全体として組み込まれる。
【0002】
電気泳動ディスプレイ(EPD)は、光透過性視認表面に対する荷電着色粒子の位置を修正することによって、カラーを変更する。そのような電気泳動ディスプレイは、結果として生じるディスプレイが、紙上のインクとほぼ同様に、高コントラストを有し、太陽光読み取り可能であるので、典型的に、「電子ペーパー」または「eペーパー」と称される。電気泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイが、書籍同様の読書体験を提供し、少ない消費電力を使用し、ユーザが、軽量な手持ちデバイス内に数百冊の書籍のライブラリを携行することを可能にするので、AMAZON KINDLE(登録商標)等、電子書籍読み取り機において幅広い採用に恵まれている。
【0003】
何年もの間、電気泳動ディスプレイは、2つのタイプの荷電色粒子、すなわち、黒色および白色のみを含んでいた(確実にするために、「カラー」は、本明細書内で使用されるように、黒色および白色を含む)。白色粒子は、多くの場合、光散乱型であり、例えば、二酸化チタンを備えている一方、黒色粒子は、可視スペクトルにわたって吸収性であり、カーボンブラック、または銅クロマイト等の吸収性金属酸化物を備え得る。最も単純な意味では、黒色および白色電気泳動ディスプレイは、視認表面における光透過性電極、背後電極、および反対に荷電した白色粒子および黒色粒子を含む電気泳動媒体のみを要求する。1つの極性の電圧が提供されると、白色粒子が、視認表面に移動し、異極性の電圧が提供されると、黒色粒子が、視認表面に移動する。背後電極が、制御可能領域(ピクセル)、すなわち、分割電極、またはトランジスタによって制御されるピクセル電極のアクティブマトリクスのいずれかを含む場合、あるパターンが、視認表面において電子的に現わせられることができる。このパターンは、例えば、書籍にとっての本文であり得る。
【0004】
さらに最近では、3色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、および黒色、白色、黄色)および4色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、黄色)を含む様々なカラーの選択肢が、電気泳動ディスプレイのために商業的に利用可能となっている。黒色および白色電気泳動ディスプレイの動作と同様に、3つまたは4つの反射性顔料を伴う電気泳動ディスプレイは、所望の色粒子が、視認表面に対して駆動されるので、単純な黒色および白色ディスプレイと同様に動作する。この駆動スキームは、黒色および白色のみよりはるかに複雑であるが、最終的に、粒子の光学機能は、同じである。
【0005】
高度カラー電子ペーパー(ACePTM)はまた、4つの粒子を含むが、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子が、反射性ではなく減法的であり、それによって、数千色が、各ピクセルにおいて生成されることを可能にする。この色プロセスは、オフセット印刷およびインクジェットプリンタにおいて長い間使用されてきた、印刷方法と機能的に同等である。所与のカラーは、明るい白色ペーパー背景上で、シアン色、黄色、およびマゼンタ色の正しい比率を使用することによって生成される。ACePの事例では、視認表面に対するシアン色、黄色、マゼンタ色、および白色粒子の相対的な位置が、各ピクセルにおけるカラーを決定するであろう。このタイプの電気泳動ディスプレイは、各ピクセルにおいて数千色を可能にするが、厚さ約10~20ミクロンの作業空間内で、(50~500ナノメートルサイズの)顔料の各々の位置を慎重に制御することが、極めて重要である。明白なこととして、顔料の位置の変動は、誤ったカラーが、所与のピクセルにおいて表示されることをもたらすであろう。故に、精緻な電圧制御が、そのようなシステムに対して要求される。システムのさらなる詳細は、以下の米国特許において入手可能であり、その全てが、参照することによって全体として組み込まれる:米国特許第9,361,836号(特許文献1)、第9,921,451号、第10,276,109号、第10,353,266号、第10,467,984号、および第10,593,272号。
【0006】
本発明は、カラー電気泳動ディスプレイを駆動するための波形に関し、具体的に、排他的ではないが、複数の着色粒子、例えば、白色、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子を備えている電気泳動材料の単一層を使用して、2つ以上のカラーをレンダリング可能である電気泳動ディスプレイに関する。いくつかの事例では、粒子のうちの2つは、正に荷電され、2つの粒子は、負に荷電されるであるであろう。いくつかの事例では、1つの正荷電粒子が、厚いポリマーシェルを有し、1つの負荷電粒子が、厚いポリマーシェルを有する。
【0007】
用語「グレー状態」は、結像技術におけるその従来の意味において、本明細書で使用され、2つの極限ピクセルの光学状態の中間の状態を指し、必ずしもこれら2つの極限状態の間の黒色-白色遷移を含意するわけではない。例えば、下記に参照されるE Inkの特許および公開された出願のうちのいくつかは、極限状態が白色および濃青色である電気泳動ディスプレイを説明し、それによって、中間グレー状態は、実際には薄青色であろう。実際、すでに記述されているように、光学状態の変化は、カラーの変化では全くないこともある。用語「黒色および白色」は、以降では、ディスプレイの2つの極限光学状態を指すために本明細書で使用され得、通常、厳密に黒色および白色ではない極限光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されたい。
【0008】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備え、それによって、その第1または第2の表示状態のいずれかを示すように有限持続時間のアドレスパルスを用いて任意の所与の要素が駆動されてから、アドレスパルスが終了した後、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろう、ディスプレイを指すために本明細書で使用される。グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限黒色および白色状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても安定しており、同じことが、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが、米国特許第7,170,670号(特許文献2)に示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、「双安定」ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0009】
用語「インパルス」は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、ディスプレイが駆動される期間中の時間に対する印加電圧の積分を指すために本明細書で使用される。用語「波形」は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、電気泳動媒体において所望の光学効果を生成するために、所与の期間(秒、フレーム等)にわたって、電気泳動媒体に提供される一連の電圧、またはそのパターンを説明するために使用される。
【0010】
広帯域または選択された波長のいずれかにおいて、光を吸収し、散乱させ、または反射する粒子は、本明細書では、着色または顔料粒子と称される。染料またはフォトニック結晶等の光を吸収または反射する顔料(不溶性着色材料を意味するとものとしてのその用語の厳密な意味において)以外の種々の材料も、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用され得る。
【0011】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、何年にもわたって、精力的な研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイでは、複数の荷電粒子(時として、顔料粒子とも称される)が、電場の影響下で流体を通して移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したとき、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な使用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイに対して不十分な耐用年数をもたらす。
【0012】
上記のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。殆どの従来技術電気泳動媒体では、本流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生成されることもできる。例えば、Kitamura,T.,et al.,Electrical toner movement for electronic paper-like display,IDW Japan,2001,Paper HCS1-1およびYamaguchi,Y.,et al.,Toner display using insulative particles charged triboelectrically,IDW Japan,2001,Paper AMD4-4を参照されたい。また、米国特許第7,321,459号(特許文献3)および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直平面内に配置された看板において、媒体がそのような沈降を可能にする向きで使用されるとき、粒子沈降に起因する液体ベースの電気泳動媒体と同じタイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、液体のものと比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度が、電気泳動粒子のより高速な沈降を可能にするので、液体ベースのものよりもガスベースの電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0013】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義である多数の特許および出願は、カプセル化電気泳動媒体および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化媒体は、多数の小型カプセルを備え、小型カプセルの各々は、それ自体、流体媒体中の電気泳動により移動可能な粒子を含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセルは、それ自体、ポリマー結合剤内に保持され、ポリマー結合剤は、2つの電極間に位置付けられたコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)カラー形成およびカラー調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756号、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,170,468号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、第9,383,623号、および第9,423,666号、および米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2014/0340430号、第2014/0340736号、第2014/0362213号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0198858号、第2015/0234250号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0011484号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、第2016/0116816号、第2016/0116818号、および第2016/0140909号参照)
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、および米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)(これらの特許および出願は、以降、MEDEOD(電気光学ディスプレイを駆動する方法)出願と称され得る)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)例えば、米国特許第6,241,921号、および米国特許出願公開第2015/0277160号、および米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ
【0014】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相によって置換され得、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、高分子材料の連続相とを備えているいわゆる「ポリマー分散型電気泳動ディスプレイ」を生成し得、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴は、いかなる別々のカプセル膜も各個々の液滴に関連付けられていないにもかかわらず、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0015】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、キャリア媒体、典型的に、高分子フィルム内に形成される複数の空洞内に保持される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0016】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透過性であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するので)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つの表示状態が実質的に不透過性であり、1つが光透過性であるいわゆる「シャッターモード」で動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと同様であるが、電場強度の変動に依拠し、同様のモードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイも、シャッターモードで動作することが可能であり得る。シャッターモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのために、多層構造で使用されることができる。そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッターモードで動作し、視認表面からより遠隔にある第2の層をさらすか、または隠す。
【0017】
カプセル化電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多種多様な可撓性および剛体基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する(用語「印刷」の使用は、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング等、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号参照)、および他の同様の技法を含む、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している)。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(様々な方法を使用して)印刷されることができるため、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。
【0018】
上記に示されるように、最も単純な従来技術電気泳動媒体は、本質的に、2つのカラーのみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なるカラーを有する着色流体中の第1のカラーを有する単一タイプの電気泳動粒子(その場合、第1のカラーは、粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2のカラーは、粒子が視認表面から間隔を置かれたときに表示される)、または非着色流体中の異なる第1および第2のカラーを有する第1および第2のタイプの電気泳動粒子(その場合、第1のカラーは、第1のタイプの粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2のカラーは、第2のタイプの粒子が視認表面に隣接して存在するときに表示される)のいずれかを使用する。典型的に、2つのカラーは、黒色および白色である。フルカラーディスプレイが所望される場合、色フィルタアレイが、モノクロ(黒色および白色)ディスプレイの視認表面の上を覆って堆積させられ得る。色フィルタアレイを伴うディスプレイは、エリア共有および色混成に依拠して、色刺激を作成する。利用可能なディスプレイエリアは、赤色/緑色/青色(RGB)または赤色/緑色/青色/白色(RGBW)等の3または4原色間で共有され、フィルタが、1次元(ストライプ)または2次元(2×2)反復パターンで配置されることができる。他の選択肢の原色または4つ以上の原色も、当技術分野において公知である。3つ(RGBディスプレイの場合)または4つ(RGBWディスプレイの場合)のサブピクセルが、十分に小さいように選定され、それによって、意図される視認距離において、それらは、均一色刺激(「色混成」)を伴う単一のピクセルに視覚的に一緒に混成する。エリア共有の固有の不利点は、着色剤が常時存在し、カラーが、下層のモノクロディスプレイの対応するピクセルを白色または黒色に切り替える(対応する原色をオンまたはオフに切り替える)ことによってのみ変調されることができることである。例えば、理想的RGBWディスプレイでは、赤色、緑色、青色、および白色原色の各々は、ディスプレイエリアの4分の1(4つのうちの1つのサブピクセル)を占有し、白色サブピクセルは、下層モノクロディスプレイの白色と同程度に明るいが、着色サブピクセルの各々は、モノクロディスプレイの白色の3分の1よりも明るくない。全体としてディスプレイによって示される白色の明るさは、白色サブピクセルの明るさの2分の1を上回ることができない(ディスプレイの白色面積は、各4つのうちの1つの白色サブピクセルに加えて、白色サブピクセルの3分の1に匹敵するその着色形態における各着色サブピクセルを表示することによって生成され、したがって、組み合わせられる3つの着色サブピクセルは、1つの白色サブピクセルを上回って寄与しない)。カラーの明るさおよび飽和は、黒色に切り替えられる色ピクセルとのエリア共有によって低下させられる。エリア共有は、黄色を混合するとき、それが、等しい明るさの任意の他のカラーより明るく、飽和された黄色が、白色とほぼ同程度に明るいので、特に問題となる。青色ピクセル(ディスプレイエリアの4分の1)を黒色に切り替えることは、黄色をあまりにも暗くする。
【0019】
米国特許第8,576,476号および第8,797,634号は、独立してアドレス可能なピクセル電極を備えている単一バックプレーンと、共通光透過性フロント電極とを有する多色電気泳動ディスプレイを説明している。バックプレーンとフロント電極との間に、複数の電気泳動層が配置される。これらの出願に説明されるディスプレイは、原色のいずれか(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、白色、および黒色)を任意のピクセル場所にレンダリングすることが可能である。しかしながら、アドレス電極の単一セット間に位置する複数の電気泳動層の使用に対して不利点が存在する。特定の層における粒子によって経験される電場は、同じ電圧を用いてアドレスされる単一の電気泳動層の場合に該当するであろうものより低い。加えて、視認表面に最も近い電気泳動層における光学損失(例えば、光散乱または望ましくない吸光によって生じる)は、下にある電気泳動層において形成される画像の外観に影響を及ぼし得る。
【0020】
単一の電気泳動層を使用してフルカラー電気泳動ディスプレイを提供するための試みが、成されている。例えば、米国特許第8,917,439号は、電気泳動流体を備えているカラーディスプレイを説明し、電気泳動流体は、クリアかつ無色または着色溶媒中に分散させられた1つまたは2つのタイプの顔料粒子を備え、電気泳動流体は、共通電極と複数のピクセルまたは駆動電極との間に配置されている。駆動電極は、背景層をさらすように配置される。米国特許第9,116,412号は、電気泳動流体で充填されたディスプレイセルを駆動する方法を説明し、電気泳動流体は、反対電荷極性を帯び、2つのコントラストカラーの2つのタイプの荷電粒子を備えている。2つのタイプの顔料粒子は、着色溶媒中に分散させられるか、または、分散させられた非荷電または弱荷電着色粒子を伴う溶媒中に分散させられる。方法は、全駆動電圧の約1~約20%である駆動電圧を印加することによって、ディスプレイセルを駆動し、溶媒のカラーまたは非荷電または弱荷電着色粒子のカラーを表示することを含む。米国特許第8,717,664号および第8,964,2822号は、電気泳動流体と、電気泳動ディスプレイを駆動する方法とを説明している。流体は、第1、第2、および第3のタイプの顔料粒子を備え、それらの全ては、溶媒または溶媒混合物中に分散させられる。第1および第2のタイプの顔料粒子は、反対電荷極性を帯び、第3のタイプの顔料粒子は、第1または第2のタイプの電荷レベルの約50%未満である電荷レベルを有する。3つのタイプの顔料粒子は、異なるレベルの閾値電圧、または異なるレベルの移動度、または両方を有する。これらの特許出願のいずれも、その用語が以下で使用される意味でのフルカラーディスプレイを開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第9,361,836号明細書
【特許文献2】米国特許第7,170,670号明細書
【特許文献3】米国特許第7,321,459号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
フルカラー電気泳動ディスプレイの改良された駆動方法、およびこれらの方法を使用するフルカラー電気泳動ディスプレイのための波形を識別する方法が、本明細書において開示される。一側面では、電気泳動ディスプレイを駆動する方法が、開示される。この駆動方法は、粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を提供することであって、各粒子の組は、異なる光学特性および異なる電荷特性を有する、ことと、第1の光透過性電極と第2の電極との間に電気泳動媒体を配置することと、少なくとも5つの電圧レベル、すなわち、高い負電圧と、中程度の負電圧と、ゼロ電圧と、中程度の正電圧と、高い正電圧とを提供するように構成された電圧ドライバを提供することと、プッシュプル波形を提供することによって、電気泳動媒体を所望の光学状態に駆動することとを含む。そのようなプッシュプル波形は、第1のパルスと第2のパルスとから成る第1の正の部分であって、第1のパルスは、第1の正の大きさと第1の時間幅とを有し、第2のパルスは、第2の正の大きさと第2の時間幅とを有する、第1の正の部分を含む。プッシュプル波形は、加えて、第3のパルスと第4のパルスとから成る第2の負の部分であって、第3のパルスは、第1の負の大きさと第3の時間幅とを有し、第4のパルスは、第2の負の大きさと第4の時間幅とを有する、第2の負の部分を含む。第1の正の大きさ、第2の正の大きさ、第1の負の大きさ、および第2の負の大きさの全ては、非ゼロであり、第1、第2、第3、および第4の時間幅のうちの少なくとも3つは、非ゼロである。ある実施形態において、粒子の第1の組は、反射性であり、粒子の第2、第3、および第4の組は、減法的である。ある実施形態において、粒子の組のうちの2つは、正荷電であり、粒子の組のうちの2つは、負荷電である。ある実施形態において、粒子の組のうちの1つは、正荷電であり、粒子の組のうちの3つは、負荷電である。ある実施形態において、粒子の組のうちの3つは、正荷電であり、粒子の組のうちの1つは、負荷電である。ある実施形態において、第2の電極は、アレイにおいて配置された複数のピクセル電極を備えている。ある実施形態において、第2の電極は、光透過性である。ある実施形態において、高い負電圧は、-30V~-20Vであり、中程度の負電圧は、-20V~-2Vであり、中程度の正電圧は、2V~20Vであり、高い正電圧は、20V~30Vである。
【0023】
別の側面では、強化プッシュプル波形を識別する方法が、開示される。強化プッシュプル波形を識別する方法は、電気泳動ディスプレイを駆動するための電圧の有限の組を選択することであって、組は、少なくとも5つの異なる電圧レベルを含む、ことと、候補波形のための時間の有限の時間幅を選択することと、第1のパルスと第2のパルスとから成る第1の正の部分であって、第1のパルスは、第1の正の大きさと第1の時間幅とを有し、第2のパルスは、第2の正の大きさと第2の時間幅とを有する、第1の正の部分を有し、第3のパルスと第4のパルスとから成る第2の負の部分であって、第3のパルスは、第1の負の大きさと第3の時間幅とを有し、第4のパルスは、第2の負の大きさと第4の時間幅とを有する、第2の負の部分も有する全ての波形を計算することを含む。第1の正の大きさ、第2の正の大きさ、第1の負の大きさ、および第2の負の大きさの各々は、電圧の有限の組からの値を有し、第1のパルス幅、第2のパルス幅、第3のパルス幅、および第4のパルス幅の合計は、有限の時間幅と等しい。最終ステップは、粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を有する電気泳動ディスプレイのモデルを使用して、候補波形の各々によって生成される光学状態を計算することであって、各粒子の組は、異なる光学特性と異なる電荷特性とを有し、電気泳動媒体は、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置されている、ことと、標的化された光学状態を生成するための波形を選択することとである。ある実施形態において、選択することは、標的カラーを予測された出力カラーと比較することを含む。ある実施形態において、選択された波形は、粒子の4つの組を備えている電気泳動媒体を含む物理的電気泳動ディスプレイに入力され、各粒子の組は、異なる光学特性と異なる電荷特性とを有し、電気泳動媒体は、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置される。ある実施形態において、物理的電気泳動ディスプレイのカラー出力は、評価され、標的カラーと比較されるある実施形態において、電圧の有限の組は、-30V~-20Vの高い負電圧と、-20V~-2Vの中程度の負電圧と、2V~20Vの中程度の正電圧と、20V~30Vの高い正電圧とを含む。ある実施形態において、電圧の有限の組は、-27Vと、0Vと、+27Vとを含む。ある実施形態において、粒子の第1の組は、反射性であり、粒子の第2、第3、および第4の組は、減法的である。ある実施形態において、粒子の組のうちの2つは、正荷電であり、粒子の組のうちの2つは、負荷電である。ある実施形態において、粒子の組のうちの1つは、正荷電であり、粒子の組のうちの3つは、負荷電である。ある実施形態において、粒子の組のうちの3つは、正荷電であり、粒子の組のうちの1つは、負荷電である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、黒色、白色、減法三原色、および加法三原色を表示するときの本発明の電気泳動媒体内の種々の着色粒子の位置を示す概略断面図である。
【0025】
【
図2A】
図2Aは、概略形態において、多粒子電気泳動媒体において使用される4つのタイプの異なる顔料粒子を示す。
【0026】
【
図2B】
図2Bは、概略形態において、多粒子電気泳動媒体において使用される4つのタイプの異なる顔料粒子を示す。
【0027】
【
図2C】
図2Cは、概略形態において、多粒子電気泳動媒体において使用される4つのタイプの異なる顔料粒子を示す。
【0028】
【
図3】
図3は、電気泳動ディスプレイの単一のピクセルの例示的等価回路を図示する。
【0029】
【
図4】
図4は、例示的電気泳動カラーディスプレイの層を示す。
【0030】
【
図5】
図5は、1つの反射性(白色)粒子と、3つの減法的(シアン色、黄色、マゼンタ色)粒子とを含む最適化されたシステム内で原色の組を達成するために使用され得る単純なプッシュプル波形を示す。
【0031】
【
図6】
図6は、電気泳動ディスプレイの7レベルドライバとの使用のために利用可能な電圧パルスの組を図示する。電気泳動媒体を駆動するために利用可能である全ての波形は、これらの電圧パルスのある組み合わせである。
【0032】
【
図7】
図7は、強化プッシュプル波形を識別するためのアルゴリズムを図示する。
【0033】
【
図8】
図8は、例示的な強化プッシュプル波形を図示する。
【0034】
【
図9】
図9は、例示的な強化プッシュプル波形を図示する。
【0035】
【
図10】
図10は、金属酸化物TFTバックプレーンおよび4粒子ACeP型電気泳動媒体のモデルを使用する強化プッシュプル波形によって達成される10,000個の最終色状態を示す。
【0036】
【
図11】
図11は、金属酸化物TFTバックプレーンおよび4粒子ACeP型電気泳動媒体のモデルを使用するDC平衡EPP波形の一部を示す。
【0037】
【0038】
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、多色カラー電気泳動媒体を駆動するための強化プッシュプル波形を識別する方法を詳述し、粒子のうちの少なくとも2つは、着色されており、かつ減法的であり、粒子のうちの少なくとも1つは、散乱性である。典型的に、そのようなシステムは、白色粒子と、シアン色、黄色、およびマゼンタ色減法原色粒子とを含む。そのようなシステムが、
図1に図式的に示され、それは、全てのピクセルにおいて、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色、および黒色を提供することができる。
【0040】
ACePの事例では、8つの主要色(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、黒色、および白色)の各々は、4つの顔料の異なる配置に対応し、それによって、視認者は、白色顔料(すなわち、光を散乱させる唯一の顔料)の視認側にあるそれらの着色顔料のみを見る。これらのカラーを作製するために、4つの顔料を適切な構成に配置するための波形は、少なくとも5つの電圧レベル(高い正、低い正、ゼロ、低い負、高い負)を必要とすることが見出されている。
図1を参照されたい。広範囲なカラーを達成するために、追加の電圧レベルが、顔料のより微妙な制御、例えば、7つの電圧レベル、例えば、9つの電圧レベルのために使用されなければならない。本発明は、ピクセルカラーのリフレッシュが、より高速であり、フラッシングが少ないようにそのような電気泳動媒体を駆動し、視認者にとってより満足のいく色スペクトルをもたらすために、強化プッシュプル波形を識別する方法を提供する。
【0041】
例えば、ACePシステムのための減法三原色を提供する3つの粒子は、実質的非光散乱(「SNLS」)であり得る。SNLS粒子の使用は、カラーの混合を可能にし、同じ数の散乱粒子を用いて達成され得るものより多くのカラー結果を提供する。これらの閾値は、粒子間のクロストークを回避するために、電圧駆動レベルに対して相対的に十分に分離されなければならず、この分離は、いくつかのカラーに関して高アドレス電圧の使用を余儀なくする。加えて、最高閾値を伴う着色粒子をアドレスすることはまた、全ての他の着色粒子を移動させ、これらの他の粒子は、続いて、より低い電圧において、その所望の位置に切り替えられなければならない。そのような段階的な色アドレススキームは、望ましくないカラーのフラッシングおよび長い遷移時間を生成する。
【0042】
すでに述べられたように、付随の図面の
図1は、黒色、白色、減法三原色、および加法三原色を表示するときのACeP型電気泳動媒体内の種々の粒子の位置を示す概略断面である。
図1では、ディスプレイの視認表面は、(図示されるように)上部にあると仮定され、すなわち、ユーザは、ディスプレイをこの方向から視認し、光は、この方向から入射する。すでに述べられたように、好ましい実施形態において、本発明の電気泳動媒体において使用される4つの粒子のうちの1つのみが、光を実質的に散乱させ、
図1では、この粒子は、白色顔料であると仮定される。この光散乱白色粒子は、白色反射体を形成し、(
図1に図示されるように)白色粒子の上方の任意の粒子が、視認される。これらの粒子を通過するディスプレイの視認表面に進入する光は、白色粒子から反射され、これらの粒子を戻って通過し、ディスプレイから出てくる。したがって、白色粒子の上方の粒子は、種々のカラーを吸収し得、ユーザに対して現れるカラーは、白色粒子の上方の粒子の組み合わせから生じるものである。白色粒子の下方に(ユーザの視点から後ろに)配置される任意の粒子は、白色粒子によってマスクされ、表示されるカラーに影響を及ぼさない。第2、第3、および第4の粒子は、実質的に非光散乱性であるので、互いに対して相対的なその順序または配置は、重要ではないが、すでに述べられた理由から、白色(光散乱)粒子に対するその順序または配置は、重要である。
【0043】
より具体的に、シアン色、マゼンタ色、および黄色粒子が、白色粒子の下方に存在するとき(
図1における状況[A])、白色粒子の上方に粒子は、存在せず、ピクセルは、単に、白色を表示する。単一の粒子が、白色粒子の上方にあるとき、その単一の粒子の色が、それぞれ、
図1における状況[B]、[D]、および[F]において黄色、マゼンタ色、およびシアン色で表示される。2つの粒子が、白色粒子の上方に存在するとき、表示されるカラーは、これらの2つの粒子のそれらの組み合わせである。すなわち、
図1において、状況[C]では、マゼンタ色および黄色粒子は、赤色を表示し、状況[E]では、シアン色およびマゼンタ色粒子は、青色を表示し、状況[G]では、黄色およびシアン色粒子は、緑色を表示する。最後に、全3つの着色粒子が白色粒子の上方に存在するとき(
図1における状況[H])、全ての入射光は、減法三原色着色粒子によって吸収され、ピクセルは、黒色を表示する。
【0044】
1つの減法原色が、光を散乱させる粒子によってレンダリングされ得ることが可能であり、それによって、ディスプレイは、2つのタイプの光散乱粒子を備え、そのうちの一方が白色であり、もう1つは、着色されているであろう。しかしながら、この場合、白色粒子を覆う他の着色粒子に対する光散乱着色粒子の位置が、重要であろう。例えば、黒色をレンダリングすることにおいて(全3つの着色粒子が白色粒子を覆って存在するとき)、散乱着色粒子は、非散乱着色粒子を覆って存在することができない(そうでなければ、それらは、散乱粒子の後ろに部分的または完全に隠され、レンダリングされるカラーは、散乱着色粒子のものであり、黒色ではないであろう)。
【0045】
2つ以上のタイプの着色粒子が光を散乱させる場合、黒色をレンダリングすることは容易ではないであろう。
【0046】
図1は、カラーが汚染されていない(すなわち、光散乱白色粒子が、白色粒子の後ろに存在する任意の粒子を完全にマスクする)理想的状況を示す。実際は、白色粒子によるマスクは、不完全であり得、それによって、理想的には完全にマスクされるであろう粒子による光のわずかな吸収が存在し得る。そのような汚染は、典型的に、レンダリングされているカラーの明度および彩度の両方を低減させる。本発明の電気泳動媒体では、そのような色汚染は、形成されるカラーが、色レンダリングのための産業規格と同じである点まで、最小化されるべきである。特に好ましい規格は、SNAP(新聞広告生成のための規格)であり、それは、上記に参照される8原色の各々に関するL
*、a
*、およびb
*値を規定する(以降、「原色」は、
図1に示されるように、8つのカラー、すなわち、黒色、白色、減法三原色、および加法三原色を指すために使用されるであろう)。
【0047】
図2Aおよび2Bは、ACeP型電気泳動ディスプレイにおいて使用される4つの顔料タイプ(1-4、5-8)の概略断面表現を示す。
図2Aでは、コア顔料に吸着されたポリマーシェルが暗色陰影によって示される一方、コア顔料自体は、陰影されていないものとして示される。当技術分野において周知であるように、球状、針状、または別様に非等軸のより小さい粒子の凝集体(すなわち、「ぶどうの房」)、結合剤中に分散させられる小顔料粒子または染料を備えている複合粒子等、様々な形態が、コア顔料のために使用され得る。ポリマーシェルは、当技術分野において周知であるように、グラフト結合プロセスまたは化学吸着によって作製される共有結合されたポリマーであり得るか、または、粒子表面上に物理吸着され得る。例えば、ポリマーは、不溶性および可溶性区画を備えている、ブロック共重合体であり得る。
【0048】
図2Aの実施形態において、第1および第2の粒子タイプは、好ましくは、第3および第4の粒子タイプより十分なポリマーシェルを有する。光散乱白色粒子は、第1または第2のタイプである(負または正のいずれかに荷電される)。続く議論では、白色粒子は、負電荷(すなわち、タイプ1)を帯びていると仮定されるが、説明される一般原理が、白色粒子が正荷電される粒子の組にも適用されるであろうことは、当業者に明白であろう。
【0049】
加えて、
図2Bに描写されるように、第3および第4の粒子タイプと比較して、第1および第2の粒子タイプは、区別を示すポリマーシェルを有することは要求されない。
図2Bに示されるように、4つの粒子上の十分な区別を示す電荷は、粒子の電気泳動的制御および視認表面における所望色の作成を可能にするであろう。例えば、粒子5は、粒子7より大きい規模の負電荷を有する一方、粒子6は、粒子8と比較して、より大きい規模の正電荷を有し得る。ポリマーの官能性および電荷(または粒子サイズ)の他の組み合わせも、使用され得ることが可能であるが、しかしながら、全4つの粒子が、好適な電場、例えば、商業用デジタル電子機器を用いて生成され得るより低い電圧電場の存在下で、互いに分離され得る場合でなければならない。
【0050】
本発明の
図2Aのシステムでは、電荷制御剤を含む懸濁溶媒中のタイプ3および4の粒子の混合物から形成される凝集体を分離するために要求される電場は、2つのタイプの粒子の任意の他の組み合わせから形成される凝集体を分離するために要求されるそれより大きい。一方、第1および第2のタイプの粒子間に形成される凝集体を分離するために要求される電場は、第1および第4の粒子間または第2および第3の粒子間で形成される凝集体を分離するために要求されるそれより小さい(当然ながら、第3および第4の粒子を分離するために要求されるそれより小さい)。
【0051】
図2Aでは、粒子を構成するコア顔料は、ほぼ同じサイズを有するように示され、各粒子のゼータ電位も、図示されないが、ほぼ同じであると仮定される。変動するのは、各コア顔料を包囲するポリマーシェルの厚さである。
図2Aに示されるように、このポリマーシェルは、タイプ1および2の粒子に関して、タイプ3および4の粒子に関するより厚い。本発明では、全ての着色顔料が、
図2Aおよび2Bを参照して上で説明されるように挙動することは必要とされない。
図2Cに示されるように、第3の粒子は、十分なポリマーシェルを有し得、弱い正を含む広範囲の電荷を有し得る。この場合、第3の粒子の表面の化学的性質は、第1の粒子のそれと異ならなければならない。例えば、第1の粒子は、好ましくは疎水性であるアクリルまたはスチレンモノマーから成り得るポリマーをグラフト化される共有結合的に付着されたシランシェルを帯び得る。第3の粒子は、共有結合的に付着されないが、分散重合によって、コア粒子の表面の上に堆積させられる、ポリマーシェルを備え得る。そのような場合、本発明は、
図2Aおよび2Bを参照して上で説明される、機構に限定されない。
【0052】
高分解能ディスプレイを取得するために、ディスプレイの個々のピクセルは、隣接ピクセルからの干渉を伴わずにアドレス可能でなければならない。この目的を達成するための1つの方法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することであり、少なくとも1つの非線形要素が、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生成するために、各ピクセルに関連付けられている。1つのピクセルをアドレスするアドレスまたはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。典型的に、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され、この配置は、以下の説明において仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の特定のピクセルが、1つの規定された行と1つの規定された列との交差によって独自に画定されるように、行および列の2次元アレイで配置される。各列内の全トランジスタのソースは、単一の列電極に接続される一方、各行内の全トランジスタのゲートは、単一の行電極に接続される。再度、行へのソースおよび列へのゲートの割り当ては、従来のものであるが、本質的に、恣意的であり、所望に応じて、逆転され得る。行電極は、行ドライバに接続され、行ドライバは、本質的に、任意の所与の瞬間において1つのみの行が選択されること(すなわち、選択された行内の全トランジスタが伝導性であること)を確実にするような選択電圧が選択された行電極に印加される一方、これらの非選択行内の全トランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような非選択電圧、全ての他の行に印加されることを確実にする。列電極は、列ドライバに接続され、列ドライバは、種々の列電極上に、選択された行内のピクセルをその所望の光学状態に駆動するように選択された電圧をかける(前述の電圧は、従来、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、全体的ディスプレイの上を覆って延びている共通フロント電極に対して相対的なものである)。「ラインアドレス時間」として公知である事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され、次の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。このプロセスは、ディスプレイ全体が行毎様式で書き込まれるように繰り返される。ディスプレイ内のアドレス間の時間は、「フレーム」として公知である。したがって、60Hzにおいて更新されるディスプレイは、16ミリ秒であるフレームを有する。
【0053】
従来、各ピクセル電極は、ピクセル電極およびコンデンサ電極がコンデンサを形成するように、それに関連付けられたコンデンサ電極を有する。例えば、国際特許出願第WO01/07961号を参照されたい。いくつかの実施形態において、N型半導体(例えば、非晶質シリコン)が、トランジスタを形成するために使用され得、ゲート電極に印加される「選択」および「非選択」電圧は、それぞれ、正および負であることができる。
【0054】
付随の図面の
図3は、電気泳動ディスプレイの単一のピクセルの例示的等価回路を描写する。図示されるように、回路は、ピクセル電極とコンデンサ電極との間に形成されたコンデンサ10を含む。電気泳動媒体20は、並列のコンデンサおよび抵抗器として表される。いくつかの事例では、ピクセルに関連付けられたトランジスタのゲート電極とピクセル電極との間の直接または間接結合静電容量30(通常、「寄生静電容量」と称される)は、望ましくない雑音をディスプレイにもたらし得る。通常、寄生静電容量30は、貯蔵コンデンサ10のそれよりはるかに小さく、ディスプレイのピクセル行が、選択または選択解除されるとき、寄生静電容量30は、「キックバック電圧」としても公知であるわずかな負のオフセット電圧をピクセル電極にもたらし得、それは、通常、2ボルト未満である。いくつかの実施形態において、望ましくない「キックバック電圧」を補償するために、共通電位V
comが、各ピクセルに関連付けられたトッププレーン電極およびコンデンサ電極に供給され得、それによって、V
comがキックバック電圧(V
KB)と等しい値に設定されると、ディスプレイに供給される全ての電圧が、同じ量だけオフセットされ、正味DC非平衡が経験されない。
【0055】
4つの粒子を有するカラー電気泳動ディスプレイを駆動するための波形の組が、参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第9,921,451号に説明されている。米国特許第9,921,451号では、7つの異なる電圧が、ピクセル電極に印加される:3つの正、3つの負、およびゼロ。しかしながら、いくつかの実施形態において、これらの波形において使用される最大電圧は、非晶質シリコン薄膜トランジスタによって扱われることが可能なそれより高い。そのような事例では、好適な高電圧は、トッププレーン切り替えの使用によって取得されることができる。しかしながら、トッププレーン切り替えが使用されるとき、Vcom設定と同数の別個の電力供給源を使用することは、コストがかかり、かつ不便である。さらに、トッププレーン切り替えは、キックバックを増加させ、それによって、色状態の安定性を劣化させることが知られている。
【0056】
ACeP型電気泳動ディスプレイを製作する方法は、従来技術において議論されている。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されるか、または、マイクロセル構造の中に組み込まれ、その後、ポリマー層でシールされ得る。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明コーティングを有するプラスチック基板またはフィルム上にコーティングまたはエンボス加工され得る。このアセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を有するバックプレーンにラミネートされ得る。代替として、電気泳動流体は、ピクセル電極のアクティブマトリクスを含むバックプレーン上に配置されている薄い連続セルグリッド上に直接分注され得る。充填されたグリッドは、次いで、統合された保護用シート/光透過性電極を用いて上部シールされ得る。
【0057】
図4は、ACeP型電気泳動ディスプレイのディスプレイ構造200の概略断面図面(縮尺通りではない)を示す。ディスプレイ200では、電気泳動流体が、マイクロカップに閉じ込められているように図示されているが、マイクロカプセルを組み込む同等構造も使用され得る。ガラスまたはプラスチックであり得る基板202は、個々にアドレスされる区画であるか、またはアクティブマトリクス配置内の薄膜トランジスタに関連付けられるかのいずれかであるピクセル電極204を支持する(基板202と電極204との組み合わせは、従来の方法では、ディスプレイのバックプレーンと称される)。層206は、バックプレーンに適用される本発明による随意の誘電体層である(好適な誘電体層を堆積する方法が、参照することによって組み込まれる米国特許出願第16/862,750号に説明されている)。ディスプレイのフロントプレーンは、透明な導電性コーティング220を支持する透明な基板222を備えている。覆っている電極層220は、随意の誘電体層218である。層(または複数の層)216は、透明な電極層220へのマイクロカップの接着のためのプライマ層を備え得るポリマー層であり、いくつかの残留ポリマーは、マイクロカップの底部を構成する。マイクロカップ212の壁は、電気泳動流体214を含むために使用される。マイクロカップは、層210とともにシールされ、フロントプレーン構造全体が、導電性接着剤層208を使用して、バックプレーンに接着される。マイクロカップを形成するためのプロセスが、従来技術において、例えば、米国特許第6,930,818号に説明されている。いくつかの事例では、マイクロカップは、深さ20μm未満、例えば、深さ15μm未満、例えば、深さ12μm未満、例えば、深さ約10μm、例えば、深さ約8μmである。
【0058】
大部分の商業用電気泳動ディスプレイは、製作設備のより幅広い利用可能性および種々の出発材料の費用により、アクティブマトリクスバックプレーン(202/024)の構造において、非晶質シリコンベースの薄膜トランジスタ(TFT)を使用する。残念ながら、非晶質シリコン薄膜トランジスタは、約+/-15Vより高い電圧の切り替えを可能にするであろうゲート電圧を供給されると、不安定になる。それにもかかわらず、下で説明されるように、ACePの性能は、高い正電圧および負電圧の大きさが、+/-15Vを超過することを可能にされるとき、改良される。故に、先の開示に説明されるように、トッププレーン切り替えとしても公知であるバックプレーンピクセル電極上のバイアスに対する上部光透過性電極のバイアスを追加で変更することによって、改良された性能が、達成される。したがって、(バックプレーン対して相対的に)+30Vの電圧が、必要とされる場合、トッププレーンは、-15Vに切り替えられ得る一方、適切なバックプレーンピクセルが、+15Vに切り替えられる。トッププレーン切り替えを用いて、4粒子電気泳動システムを駆動する方法が、例えば、米国特許第9,921,451号により詳細に説明されている。
【0059】
トッププレーン切り替えアプローチに対して、いくつかの不利点が存在する。第1に、(典型的であるように)トッププレーンが、ピクセル化されないが、ディスプレイの全体的表面の上を覆って延びている単一の電極であるとき、その電位は、ディスプレイ内の全てのピクセルに影響を及ぼす。それが、バックプレーン(例えば、最大正電圧)から使用可能な最大の大きさの電圧のうちの1つと一致するように設定される場合、この電圧が、バックプレーン上でアサートされると、インクを横断して正味電圧は存在しないであろう。任意の他の使用可能な電圧がバックプレーンに供給されるとき、ディスプレイ内の任意のピクセルに供給される負極性の電圧が、常時、存在する。したがって、波形が、正電圧を要求する場合、それは、トッププレーン電圧が変更されるまで、いずれのピクセルにも供給されることができない。第3の実施形態の多色ディスプレイにおける使用のための典型的な波形は、正および負極性の両方の複数のパルスを使用し、これらのパルスの長さは、異なるカラーを作製するために使用される波形において、同じ長さではない。加えて、波形の位相は、異なるカラーに関して異なることもある。換言すると、正パルスが、いくつかのカラーに関して、負パルスに先行するが、他のカラーに関して、負パルスが、正パルスに先行し得る。そのような場合に対処するために、「休息」(すなわち、一時停止)が、波形の中に構築されなければならない。実際に、それは、波形が、理想的に必要とするものよりはるかに長い(2倍程度)という結果をもたらす。
【0060】
第2に、トッププレーン切り替えでは、選定され得る電圧レベルに限界がある。トッププレーンに印加される電圧が、それぞれ、Vt+およびVt-と表され、バックプレーンに印加される電圧が、それぞれ、Vb+およびVb-と表される場合、電気泳動流体を横断してゼロボルト条件を達成するために、|Vt+|=|Vb+|および|Vt-|=|Vb-|が該当しなければならない。しかしながら、正および負電圧の大きさが、同じである必要はない。
【0061】
高度カラー電子ペーパー(ACePTM)の先の実施形態において、本発明のディスプレイのバックプレーンのピクセル電極に印加される波形(電圧対時間曲線)が、説明およびプロットされるが、フロント電極は、接地される(すなわち、ゼロ電位)と仮定される。電気泳動媒体によって経験される電場は、当然ながら、バックプレーンとフロント電極との間の電位差と、それらを分離する距離とによって決定される。ディスプレイは、典型的に、そのフロント電極を通して視認され、それによって、それは、ピクセルによって表示されるカラーを制御するフロント電極に隣接する粒子であり、時として、バックプレーンに対して相対的なフロント電極の電位が考慮される場合、伴われる光学遷移を理解することがより容易である。これは、単に、以下に議論される波形を反転させることによって行われることができる。
【0062】
図5は、上で説明される、4粒子カラー電気泳動ディスプレイシステムを駆動するために使用される(簡略化された形態での)典型的な波形を示す。そのような波形は、「プッシュプル」構造を有し、すなわち、それらは、異極性の2つのパルスを備えている双極子から成る。これらのパルスの大きさおよび長さは、取得されるカラーを決定する。最低限、5つのそのような電圧レベルが存在するべきである。
図5は、高いおよび低い正電圧および負電圧、およびゼロボルトを示す。典型的に、「低い」(L)は、約5~15Vの範囲を指す一方、「高い」(H)は、約15~30Vの範囲を指す。一般に、「高い」電圧の大きさが高くなればなるほど、ディスプレイによって達成される色域は、より良好になる。「中程度」(M)レベルは、典型的に、約15Vであるが、しかしながら、Mに対する値は、幾分、粒子の組成、および電気泳動媒体の環境に依存するであろう。いくつかの実施形態において、高い負電圧は、-30V~-20Vであり、中程度の負電圧は、-20V~-2Vであり、中程度の正電圧は、2V~20Vであり、高い正電圧は、20V~30Vである。例えば、高い負電圧は、-27Vであり、中程度の負電圧は、-15Vであり、中程度の正電圧は、15Vであり、高い正電圧は、27Vである。3つの電圧(すなわち、+V
high、0、および-V
high)のみが、利用可能である場合、電圧V
highのパルスを伴うが、1/nのデューティサイクルを伴うアドレスによって、より低い電圧(例えば、V
high/nであり、nは、正の整数>1である)におけるアドレスと同じ結果を達成することが可能であり得る。
【0063】
強化プッシュプル(EPP)波形は、より多くの駆動レベルを用いて達成されることができる。例えば、7レベルドライバは、ディスプレイの選択されたピクセルの更新の間、7つの異なる電圧(例えば、V
H、V
H’、V
H’’、0、V
L’’、V
L’、VL、例えば、+V
H、+V
M、+V
L、0,-V
L、-V
M、-V
H)をデータラインに提供し得る。駆動レベル間の間隔は、電気泳動媒体の配合に応じて、同じであることも、異なることもある。例えば、+V
H=27V、+V
M=15V、+V
L=5V、0、-V
L=-5V、-V
M=-15V、-V
H=-27Vである。例えば、+VH=30V、+V
M=20V、+V
L=10V、0、-V
L=-10V、-V
M=-20V、-V
H=-30Vである。いずれにせよ、7レベルドライバを使用し、単一のコントローラを有するアクティブマトリクスバックプレーンを駆動するとき、コントローラは、一度に所与のピクセルの1つのフレームのみを更新することができる。故に、いかなる強化プッシュプル波形も、パルスのある組み合わせから成り、各々は、あるフレーム期間、持続する、すなわち、
図6に示されるように持続する。結果として生じる波形は、媒体において所望の光学状態を達成するために使用され、そのような波形は、
図6のパルスの各々を有しないか、または、ある番号nを有し得ると仮定して、
図6のパルスのある組み合わせから構成される。
【0064】
十分な電圧振幅を伴う7レベルドライバを実装することは、標準非晶質シリコンバックプレーンを用いる場合、困難である。より高い電子移動度を有するあまり一般的ではない材料からの制御トランジスタを使用することは、トランジスタが、7レベル駆動を実装するために必要とされる、より大きな制御電圧、例えば+/-30Vを切り替えることを可能にすることが見出されている。新たに開発されたアクティブマトリクスバックプレーンは、タングステン酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、および亜鉛酸化物等の金属酸化物材料を組み込む薄膜トランジスタを含み得る。これらの適用では、チャネル形成領域は、そのような金属酸化物材料を使用して、各トランジスタのために形成され、より高い電圧、例えば、約-27V~+27Vの範囲内のより高速な切り替えを可能にする。そのようなトランジスタは、典型的に、ゲート電極と、ゲート絶縁フィルム(典型的に、SiO2)と、金属ソース電極と、金属ドレイン電極と、金属酸化物半導体フィルムとを含み、金属酸化物半導体フィルムは、ゲート絶縁フィルムの上を覆い、少なくとも部分的にゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極に重なる。そのようなバックプレーンは、Sharp/Foxconn、LG、およびBOE等の製造業者から入手可能である。そのような適用のための1つの好ましい金属酸化物材料は、インジウムガリウム亜鉛酸素(IGZO)である。IGZO-TFTは、非晶質シリコンの20~50倍の電子移動度を有する。アクティブマトリクスバックプレーン内でIGZO TFTを使用することによって、好適なディスプレイドライバを介して、30Vよりも大きい電圧を提供することが可能である。
【0065】
例えば、7レベルドライバを使用すると、強化プッシュプル(EPP)波形は、所望の光学性能を達成するために、波形形状のはるかにより大きな空間および持続時間を使用し得る。EPP波形は、正または負のいずれかの有限数のパルスから成るように制限され、N
Pは、扱い易い数字であり、Nは、可能な電圧レベルの数であり、Pは、パルス数である。
図6を参照されたい。例えば、N=7の場合、P<5である。電圧レベルの選択肢、固定された波形長、およびパルス数の組に対して、全ての可能な波形が、列挙され得る。各パルスに関して、我々は、N個の電圧レベルの各々有し、N
P個の独特の電圧順列(置換を伴う)につながり得、Pは、パルスの数である。パルス長に関して、波形の全長Mが固定されているという制約を条件として、これらを選定することができる。P個のパルスを用いるシナリオを考慮する場合、隣接するパルスが同じ長さではあり得ない(これは、P-1個のパルスであろう)ことを前提として、P個のパルスに関してN*(N-1)
P個の独特の電圧レベルの選択肢が存在する。次いで、パルス長の数を
【数1】
として、計算することができ、この場合、これは、M-1元集合からP-1個の元(二項係数)を選ぶと読み取られる。まとめると、以下となる。
【数2】
式は、マルチパルス構造を前提として、波形の数を説明している。これは、パルス長における1フレームごとの変化を試験することから成る。一般に、波形の数は、D個のフレームごとに試験することによって、著しく低減させられることができ、それは、上記の方程式において、以下の代入を要求する:
【数3】
P≦パルスの数である場合、全ての可能な独特のパルスベースの構造を計算するために、以下のように公式化される。
【数4】
これは、単純化後、以下をもたらす。
【数5】
式中、
2F
1は、超幾何関数である。
【0066】
当然ながら、「最適な」波形を識別することは、単純なタスクではない。N=7、P=3、M=42を前提として、独特の波形の総数は、206,640個である。これらの206,640個の波形の各々は、媒体の初期状態が、波形に対して予期される開始状態と一致するように、適切な消去(例えば、振動パルス)を提供するために、所与の環境条件の組(例えば、光源および温度)に対して試験され、プレフィックス波形を用いて増強される必要があるであろう。
【0067】
好ましいEPP波形を識別するためのより効率的な方法は、最終的なディスプレイ構造を表すサロゲートモデルにおいて、各提案されたEPP波形を仮想的に実行することである。特定の電気泳動ディスプレイ構造は、伝達関数によって表されることができる。その最も単純な形態は、以下の通りである:
【数6】
式中、O(t)は、時間の関数としての光学状態であり、fは、t=0におけるシステムのある初期状態
【数7】
を前提として、時間の関数として、ディスプレイに印加される電圧の関数である。限定ではないが、ここでは、温度、相対湿度、および入射光スペクトルを含む、追加の入力が、規定されることができる。関数fは、様々な手段、例えば、成分測定値から構築される、アブイニシオモデルを使用して推定することができるが、しかしながら、ここで説明される好ましい実施形態は、真のfが、深層学習ベースのモデル化によって近似されているため、以降では、
【数8】
として説明される、再帰ニューラルネットワークアーキテクチャに基づいた、微分可能な深層学習ネットワークによって、fが、表されるものである。
【0068】
【数9】
が、確立されると、各強化プッシュプル(EPP)波形は、達成される最終光学状態の色値、および中間状態(光学トレース情報)、および残影性能、電圧感度、遷移の外観(例えば、「フラッシネス」)、および温度感度等、続いて計算可能な量に関して、サロゲートモデル上で評価されることができる。これらのメトリックのいずれかまたの全ては、組み合わせて、好ましいEPP波形を識別する総費用関数の中に組み合わせられることができ、それは、続いて、実際の被試験電気泳動ディスプレイ上で検証される。実際の電気泳動ディスプレイ上のこれらの後続の測定値は、深層学習モデルの中にフィードバックされ、
【数10】
のさらなる精緻化を提供し得る。この完全なプロセスは、
図7にブロック形式で説明される。
図7に記載の方法は、そのパラメータ化内で網羅的であり、すなわち、全ての可能な順列が、検索されることを認識されたい。したがって、方法は、必然的に、パラメータ化の一般的な課題、すなわち、最適化アルゴリズムが、パラメータ空間を十分にサンプリングすることを確実にする方法を克服する。設定されたクロックサイクルを用いて駆動するアクティブマトリクスと、有限電圧レベルを伴うドライバとの組み合わせは、パラメータ空間を大きく低減させ、出力波形は、なおも有意義であり、物理ディスプレイにおいて即座に適用可能である。したがって、EPPの調整方法は、数学的に網羅的であり、生成ディスプレイに関する最終波形を調整するとき、追加の最適化を要求し得ない。
【0069】
図7に示されるように、このプロセスは、波形長を選択するステップ(710)から始まる。上で議論されるように、フレーム幅、顧客アプリケーション、および電力消費等の限定は、この計算を制約し得る。それにもかかわらず、方法は、数十ミリ秒~数秒までの様々な波形長に対して使用されることができる。ステップ(720)および(730)では、それぞれ、パルス数が選択され、合計電圧および電圧レベルの数が選択され、それは、再度、波形に関する記憶媒体の費用および利用可能性、および複数の電力供給源の費用に対する可変電力供給源の余剰費用等の商業用生成上の限定によって限定され得る。これらの因子が全て、累積されると、ステップ(740)において、独特の波形のベースセットが、生成され、それに応じて、波形の各々は、ステップ(750)において、カラー標的に対して評価される。カラー標的は、例えば、デジタル画像に対するRGBカラーコードまたは16進法コードであり得る。代替として、カラー標的は、パントンカラーまたはCMYK印刷標準であり得る。カラー標的に対して最も近い結果を達成する波形は、ステップ(760)において、候補波形として出力される。この波形は、実際に、モデル化されたディスプレイに対応する実4粒子電気泳動ディスプレイにフィードされ、それによって、結果は、較正された光学ベンチを用いて測定され、標的と比較される。いくつかの実施形態において、これらの測定値は、ステップ(770)を介して、モデルの中にフィードバックされる。4粒子電気泳動ディスプレイの出力を評価するための好適な較正された光学ベンチに関するさらなる詳細は、参照することによって全体として組み込まれる「Optical measurement standards for reflective e-paper to predict colors displayed in ambient illumination environments」,
Color Research and Application,vol. 43,issue 6, 907-921頁(2018)において、見出されることができる。
【0070】
上で説明される方法を使用すると、より高速であり、フラッシングがより少ないACeP型システムのためのカラー波形の一部が、さらなる試験のために迅速に隔離される。そのようなプッシュプル波形は、パルスの高さと相対極性の幅とのある組み合わせに、実際に二分岐(または三分岐)される双極子を含み得る。例えば、
図8および9に示されるように、強化プッシュプル波形は、大きさV
Lと、第1の幅t1とを有する負双極子の第1の部分、およびV
L’の大きさと、第2の幅t2とを有する負双極子の第2の部分を含み得る
。双極子の正の部分は、例えば、大きさVHと、第3の幅t3の単一のパルスであるか、または、双極子の正の部分は、モデル
【数11】
、および更新に関するユーザの必要性(例えば、速さ、エネルギー消費量、カラー特殊性)によって決定付けられるように、二分岐または三分岐され得る。当然ながら、ミラー強化プッシュプル機能は、
図9に図示されるように、ユーザの必要性に対してより良好な波形であり得る。
【0071】
当然ながら、プッシュプル駆動パルスを用いて、所望のカラーを達成することは、既知の状態からプロセスを開始する粒子次第であり、それは、ピクセル上に表示された最後のカラーである可能性は低い。故に、一連のリセットパルスが、駆動パルスに先行し、それは、第1のカラーから第2のカラーにピクセルを更新するために要求される時間量を増加させる。リセットパルスは、参照することによって組み込まれる米国特許第10,593,272号により詳細に説明されている。これらのパルス(リフレッシュおよびアドレス)およびそれらの間の任意の休息の長さ(すなわち、ゼロ電圧の期間)は、波形全体(全体波形にわたる時間に対する電圧の積分)がDC平衡される(すなわち、経時的電圧の積分は、実質的にゼロである)ように選定され得る。DC平衡は、リセット段階におけるパルスおよび休息の長さを調節することによって達成されることができ、それによって、リセット段階において供給される正味インパルスは、アドレス段階において供給される正味インパルスと大きさが等しく、符号が反対であり、その段階中、ディスプレイは、特定の所望のカラーに切り替えられる。
【0072】
EPP波形の使用は、遷移の外観が、P個の急激な色変化の最大値の組であるように境を限られるという点において、完全に制約のない波形より優れている。制約のない波形は、色変化の数を低減させるように、または満足のいく遷移の外観を有するように設計され得るが、それは、訓練データのより優れた解析およびより多くの算出力を要求する技術的に困難な問題である。これは、本明細書に説明されるように、選択されたEPP波形を用いる場合、はるかにより容易である。さらに、このEPP調整方法は、管理された遷移の外観を伴う単純な波形構造と最適化の複雑性との間の良好なトレードオフを歴史的に提供してきた正方形パルスベースの波形の網羅的な列挙を可能にする。単一フレームドライブおよび大きな過渡電流の数を阻止することは、結果として生じるEPP波形を他の方法(温度感度、電圧感度、製造変動性にわたるロバスト性)においてよりロバストにする可能性も高い。
【0073】
(実施例)
上で説明される方法は、金属酸化物AM-TFTバックプレーンと、1つの反射性(白色)粒子および3つの減法的粒子(シアン色、マゼンタ色、および黄色)を含む、4粒子電気泳動媒体とを説明する、モデル関数を構築するために使用された。85Hz(0.5秒)における42フレーム波形に関し、各3パルスEPP波形(合計206,640個の独特の波形)が、試験された。黒色、白色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色、黄色、および赤色に対応する8つのカラー標的が、選定された。これら8つの標的の各々に最も近い最終カラー状態を伴う10,000個の波形が、さらに評価されるために、選定された。これらの10,000個の最終色状態点は、
図10内のa*-b*プロット上にプロットされる。
【0074】
興味深いことに、本明細書の方法は、残影またはDC平衡等の他の際立った特徴を検索すると、より優れた洞察を提供する。
図11に示されるように、DC平衡(三角形)またはDC非平衡(円形)波形を使用して、同じ色状態の多くを達成することが、可能である。
図11内の代表的な色状態におけるDC非平衡EPP波形(円形)とDC平衡EPP波形(三角形)との間の重複に留意されたい。しかしながら、実際の波形を見ると、いくつかの事例では、DC平衡波形およびDC非平衡波形は、形状が非常に類似することが注目に値することが分かる。例えば、
図11内の正方形に対応する
図12Aおよび12Bと、
図11内の星に対応する
図13Aおよび
図13Bとの比較。
図12Aおよび12Bの事例では、DC平衡波形とDC非平衡波形との間に非常にわずかな差が存在するが、
図13Aおよび13Bでは、DC平衡波形とDC非平衡波形との間の差は、かなり顕著である。
【0075】
図10および11では、好ましい標的カラー(「
図11内の「X」)が、EPP波形を使用した所与のACeP型電気泳動ディスプレイ構築において達成可能でないこともあることが、注目に値する。この現象は、物理的ディスプレイにおいて再現される。
【0076】
これまで、本願の技術のいくつかの側面および実施形態が説明されたが、種々の改変例、修正例、および改良例が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変例、修正例、および改良例は、本願に説明される技術の精神および範囲内であるように意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施する、および/または結果および/または利点のうちの1つ以上のものを取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正例の各々は、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、単なる日常的実験を使用して、本明細書に説明される具体的実施形態の多くの均等物を認識する、またはそれを確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、一例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明されるものと別様に実践され得ることを理解されたい。加えて、本明細書に説明される、2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、互いに矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】