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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-07
(54)【発明の名称】スロットレス回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/47 20060101AFI20231030BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20231030BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20231030BHJP
   H02K 15/06 20060101ALI20231030BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H02K3/47
H02K15/02 D
H02K15/04 C
H02K15/06
H02K3/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549808
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021055887
(87)【国際公開番号】W WO2022087157
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/131,985
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523149857
【氏名又は名称】ガブリス,クリストファー,ダブリュー
(71)【出願人】
【識別番号】523149868
【氏名又は名称】ロジャース,ティモシー,エス
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ガブリス,クリストファー,ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,ティモシー,エス
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC04
5H604CC12
5H604PB01
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP07
5H615PP17
5H615QQ02
5H615QQ06
5H615SS04
5H615SS18
(57)【要約】
スロットレス回転電気機械は、スロットレス強磁性固定子の半径方向の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を前後に駆動する複数の交番極性永久磁石を有する回転子を含む。固定子は、端に沿って巻かれて軸方向に延在する強磁性ストリップで形成された螺旋状の支持鉄と、支持鉄の半径方向の空隙表面における接着膜とを含む。外側サーブによって直径方向に包まれた個々に絶縁された撚りストランドを有するワイヤの電機子巻線は、接着膜に接着される。接着膜は、前記サーブを支持鉄に保持し、サーブは、ストランドを接着膜に保持する。電機子巻線は、磁気空隙間内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層で接着膜に直接形成された空芯巻線パターンにあり、複数の相の重なり合った端部ターンを有する。電機子巻線は、接着剤が硬化する間にそれらが形成して接着された後、グループとして前記接着膜に圧入され、その結果、ワイヤは、前記螺旋状の固定子支持鉄の前記半径方向の空隙表面に結合され、更に、接着膜に部分的に埋め込まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットレス回転電気機械であって、スロットレス強磁性固定子の半径方向の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を前後に駆動する複数の交番極性永久磁石を有する回転子を含み、前記スロットレス強磁性固定子は、端に沿って巻かれて軸方向に延在する強磁性ストリップで形成された螺旋状の固定子支持鉄と、前記螺旋状の固定子支持鉄の前記半径方向の空隙表面における接着膜とを含み、ワイヤの電機子巻線は、前記半径方向の空隙表面における前記接着膜に接着され、ここで、前記ワイヤは、外側サーブによって直径方向に包まれた個々に絶縁された撚りストランドを含み、前記接着膜は前記サーブを前記螺旋状の固定子支持鉄に保持し、前記サーブは、前記ストランドを前記接着膜に保持し、前記電機子巻線は、前記磁気空隙内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層で前記接着膜に直接形成された空芯巻線パターンを含み、また、複数の相の重なり合った端部ターンを有し、前記電機子巻線は、前記接着剤が硬化する間に形成して接着された後、グループとして前記接着膜に圧入され、その結果、前記ワイヤは、前記螺旋状の固定子支持鉄の前記半径方向の空隙表面に接着され、更に、前記接着膜に部分的に埋め込まれる、スロットレス回転電気機械。
【請求項2】
前記スロットレス強磁性固定子は、前記空芯巻線パターンが形成される場合、B段階状態で前記接着膜に接着することにより、前記接着膜が前記B段階状態から前記C段階状態に移行する間に、前記螺旋状の固定子支持鉄に対して前記電機子巻線に半径方向の圧力を加えることにより、前記スロットレス回転電気機械の動作中に前記C段階状態で前記接着膜に接着することにより、前記電機子巻線を前記空芯巻線パターンで前記螺旋状の固定子支持鉄に保持するように適合される、請求項1に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項3】
前記接着膜は、前記磁気空隙内で前記螺旋状の固定子支持鉄から離れて前記回転子に向かう方向に前記ワイヤの側面を部分的に上に流れる、請求項1に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項4】
前記接着膜は、前記磁気空隙内で前記ワイヤと前記螺旋状の固定子支持鉄との間の最小絶縁耐力を維持する内部キャリアを含む、請求項1に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項5】
前記キャリアは、織物を含む、請求項4に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項6】
前記磁気空隙内の各前記ワイヤは、前記接着膜に直接熱伝導し、前記接着膜は、前記螺旋状の固定子支持鉄に直接熱伝導する、請求項1に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項7】
前記ワイヤの前記ストランドは、前記磁気空隙内の位置で広く含浸されない、請求項1に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項8】
スロットレス回転電気機械であって、スロットレス強磁性固定子の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を前後に駆動する複数の交番極性永久磁石を有する回転子を含み、前記スロットレス強磁性固定子は、強磁性材料で形成された固定子支持鉄リングと、前記固定子支持鉄リングの前記空隙表面における接着膜とを含み、ワイヤの電機子巻線は、前記空隙表面における前記接着膜に接着され、ここで、前記ワイヤは、個々に絶縁された撚りストランドを含み、前記電機子巻線は、前記接着膜に直接形成された空芯巻線パターンを含み、前記電機子巻線は、形成されて熱で接着された後、グループとして前記固定子支持鉄リングに圧入され、その結果、前記電機子巻線は、前記空隙表面に形成された前記空芯巻線パターンに固定され、更に、前記接着膜は、前記磁気空隙内の位置で前記固定子支持鉄リングから離れて前記回転子に向かう方向に前記ワイヤの側面を部分的に上に流れ、前記流れた接着剤は、前記電機子巻線への力に対する抵抗力を増加させる、スロットレス回転電気機械。
【請求項9】
前記スロットレス強磁性固定子は、前記空芯巻線パターンが形成される場合、B段階状態で前記接着膜に接着することにより、前記接着膜が前記B段階状態から前記C段階状態に移行する間に、前記固定子支持鉄に対して前記電機子巻線に圧力を加えることにより、前記スロットレス回転電気機械の動作中に前記C段階状態で前記接着膜に接着することにより、前記電機子巻線を前記空芯巻線パターンで前記固定子支持鉄リングに保持するように適合される、請求項8に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項10】
前記圧力は、前記接着膜が前記C段階状態への前記移行中に最高硬化温度に達する前に加えられる、請求項8に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項11】
前記電機子巻線は、前記磁気空隙内の位置で成形接着剤によってカプセル化されない、請求項8に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項12】
前記固定子支持鉄リングは、端に沿って巻かれて軸方向に螺旋状に延在する強磁性ストリップで形成され、ここで、前記接着膜は、前記ストリップの端部を含む前記半径方向の空隙表面に適用される、請求項8に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項13】
前記ワイヤは、前記ストランドの周囲に螺旋状に巻き付けられた誘電材料のサーブを含み、前記接着膜は、前記ワイヤを前記固定子支持鉄リングに保持し、前記サーブは、前記ストランドを前記接着膜に保持する、請求項8に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項14】
前記接着膜は、前記接着膜が前記C段階状態に硬化された後、前記磁気空隙内で前記ワイヤと前記固定子支持鉄リングとの間の最小絶縁耐力を維持する内部キャリアを含む、請求項8に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項15】
スロットレス回転電気機械であって、スロットレス強磁性固定子の半径方向の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を駆動する複数の極を有する回転子を含み、スロットレス強磁性固定子は、端に沿って巻かれて軸方向に延在する強磁性ストリップの螺旋状の固定子支持鉄として形成され、接着膜は、前記螺旋状の固定子支持鉄の前記半径方向の空隙表面にあり、ワイヤの電機子巻線は、前記半径方向の空隙表面における前記接着膜に接着され、ここで、前記ワイヤは、外側サーブによって直径方向に包まれた個々に絶縁された撚りストランドを含み、前記接着膜は、前記サーブを前記螺旋状の固定子支持鉄に保持し、前記サーブは、前記ストランドを前記接着膜に保持し、前記電機子巻線は、前記磁気空隙内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層で前記接着膜に空芯巻線パターンで適用され、また、複数の相の重なり合った端部ターンを有し、前記空芯巻線パターンは、前記半径方向の空隙表面において前記螺旋状の固定子支持鉄に固定され、更に、前記接着膜は、前記磁気空隙内の位置で、前記螺旋状の固定子支持鉄から離れて前記回転子に向かう方向に、前記螺旋状の固定子支持鉄の前記半径方向の空隙表面と反対する前記回転子に面する前記ワイヤの側面を含まない前記ワイヤの側面を部分的に上に流れ、前記流れた接着剤は、前記電機子巻線への力に対する抵抗力を増加させる、スロットレス回転電気機械。
【請求項16】
前記接着膜は、B段階状態にある間、前記電機子巻線を前記空芯巻線パターンに保持するように適合され、前記螺旋状の固定子支持鉄は、前記接着膜が前記B段階状態からC段階状態に移行する間、前記螺旋状の固定子支持鉄に対して前記電機子巻線に半径方向の圧力を加えることによって前記巻線パターンを維持するように適合される、請求項15に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項17】
前記接着膜は、前記磁気空隙内で前記ワイヤと前記螺旋状の固定子支持鉄との間の最小絶縁耐力を維持する内部キャリアを含む、請求項15に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項18】
前記キャリアは、織物を含む、請求項17に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項19】
前記ワイヤは、前記磁気空隙の外側位置には、ストランドの多孔質束を含む、請求項15に記載のスロットレス回転電気機械。
【請求項20】
前記接着膜は、前記ワイヤの側面を部分的に上に流れ、前記サーブが前記ワイヤを円形から圧縮状態に保持するように硬化し、その結果、前記磁気空隙間内の前記電機子巻線の半径方向の厚さを減らす、請求項15に記載のスロットレス回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械エネルギー変換用の電気機械に関し、より具体的には、材料の使用量が少なく、製造コスト及び廃棄物を最小限にして高効率を実現するスロットレス回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気エネルギーと回転機械エネルギーとの間の電力変換効率を高めることができる新型電動機及び発電機を開発するために多くの努力が払われている。同時に、使用された材料の量を減らし、製造コストを削減しながら、より高い効率を実現することにも努力が払われている。より高い電力変換効率を実現できるが、従来の機械よりも高価な新型電気機械は、市場に受け入れられる可能性が低い。業界全体の目標は、効率を高め、コストを削減することである。
【0003】
より高い効率を実現するための新型電動機の開発は、主に同期整流トポロジの使用に焦点を当てており、操作には、可変周波数インバータを使用する必要がある。また、電子インバータは、全ての電動機で回転数を変更して動作効率を高める手段として、広く使用され、それは、新型同期電動機の出現をサポートする。永久磁石同期電動機は、設計に応じて、リラクタンス型電動機に関連する振動やノイズを発生させることなく、可能な限り最高の効率を提供する可能性がある。残念なことに、今まで、高効率の永久磁石電動機は、必要な材料が多すぎたり、製造に時間がかかりすぎたり、廃棄物が多かったりしている。
【0004】
従って、材料の使用量を減らし、製造廃棄物を最小限にしながら高効率を実現できる新型回転電気機械が必要とされている。その電気機械は、事業費と電動機のユーザの前払金の両方を削減し、高い商業的成功の可能性を高めることができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、材料の使用量を減らし、製造廃棄物を最小限にしながら、効率を高めて動作できる構造を使用する、スロットレス回転電気機械を提供する。新型電気機械は、従来の電動機よりも80%も軽量でありながら、最新の効率基準を上回ることができる。材料の使用量及び製造廃棄物の低減に加えて、新型スロットレス回転電気機械の生産は、迅速で高度に自動化された製造に非常に適している。
【0006】
スロットレス回転電気機械は、スロットレス強磁性固定子の半径方向の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を前後に駆動する複数の交番極性永久磁石を有する回転子を含む。スロットレス強磁性固定子は、端に沿って巻かれて軸方向に延在する強磁性ストリップで形成された螺旋状の固定子支持鉄と、螺旋状の固定子支持鉄の半径方向の空隙表面における接着膜とを含む。ワイヤの電機子巻線は、半径方向の空隙表面における接着膜に接着され、ここで、ワイヤは、外側サーブによって直径方向に包まれた個々に絶縁された撚りストランドを含む。接着膜は、サーブを螺旋状の固定子支持鉄に保持し、サーブは、ストランドを接着膜に保持する。前記電機子巻線は、磁気空隙内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層で接着膜に直接形成された空芯巻線パターンを含み、また、複数の相の重なり合った端部ターンを有する。電機子巻線は、接着剤が硬化する間に接着膜に圧入され、その結果、ワイヤは、接着膜に部分的に埋め込まれる。
【0007】
従来の電気機械との違いは、本発明は、独立して高い動作効率を提供し、相乗的に材料の使用量が少なく、本質的に製造廃棄物がゼロに近いことである。無電力界励磁と永久磁石を併用し、スロットレス構造を使用し、極歯による損失がないため、磁気誘導損失を最小限にする固定子材料、並びに巻線抵抗及び関連する抵抗電力損失を最小限にする巻線構成により、高い操作効率を実現する。
【0008】
同様に、材料の低使用量は、様々な要因の組み合わせによって実現される。好ましくは、電気機械は、ほとんどの従来の電気機械よりも約10倍多い、典型的には36~60の範囲内の非常に多くの極数を組み込む。極数が多いと、隣接する各機械の極間で円周方向に伝導する必要がある磁束の量が比例して減少する。その結果、回転子と固定子の強磁性支持鉄が磁束を伝導するために必要な半径方向の厚さが劇的に減少し、それは、通常、電気機械で重量が最も大きい構成要素である。同様に、固定子支持鉄に極歯が取り付けられないため、強磁性固定子材料も省く。
【0009】
銅の巻線材料の低使用量は、磁気空隙内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層として構成された電機子巻線によって実現される。それを使用すると、巻線の長さ及び銅の重量を最小限にすることができることが分かり、従来の電動機に比べて、約13倍低減する。通常、電気機械の設計者は、より高い効率を実現するために、巻線の銅重量を増やす。新型スロットレス電気機械では、巻線の銅の量の低減手段は逆である。それは、当技術分野で周知の確立された慣例に反する。しかし、驚くべきことに、スロットレス電気機械の場合、性能を強化するのは必ずしも銅の総量ではないことが分かる。代わりに、性能は、非常に重要な総磁気空隙体積あたりの銅巻線の体積と非常に関係がある。空隙で銅密度を高くすることにより、電気機械で高性能を実現するために必要な銅の量を実際に減らすことができることが分かる。新型スロットレス電気機械は、かなりの量の接着剤、ポッティング、又は他の巻線支持形態で空隙の空間を独立して占有しない。新型電気機械は、非常に高い銅密度を実現し、その結果、巻線の銅の量を大幅に低減すると同時に、非常に高い動作効率を実現する。
【0010】
また、磁石材料の低使用量は、磁気空隙内で1本のワイヤの深さである巻線構造、及びポッティング又はモールドされない構造によって実現される。磁気空隙で複数の巻線層があり、磁気空隙の空間を占有する成形材料又はポッティング材料を使用する他のスロットレス電気機械に比べて、新型電気機械では、必要な磁気空隙は最小限にされる。磁気空隙が小さいほど、所定の磁束密度で磁束を駆動するために必要な磁石材料の量が減少する。
【0011】
ポリマ接着剤の低使用量は、巻線が典型的に0.015インチ(0.38mm)未満の薄い接着膜で所定の位置に接着される独立した固定子構造によって実現される。それは、材料によって共に組み立てられて巻かれた他の従来のスロットレス電気機械に反対し、何倍も多くの接着剤を使用する非効率的な成形である。巻線を巻くためのガラス繊維ポリマ複合形態も使用しない。
【0012】
低製造廃棄物は、要因の組み合わせによっても実現される。強磁性固定子支持鉄の製造は、スロットレス強磁性ストリップを軸方向に延在する螺旋状の物にエッジ圧延することによって提供される。スロット切削による廃棄物はない。従来のスタンピング及びスタッキング製造では、打ち抜きによって取り除かれ、積層材料の約90%が除去され、廃棄又はリサイクルされなければならない中心径など、積層スタンピング廃棄物はなく、固定子支持鉄の製造では、予め設定された幅の強磁性ストリップが設計直径のマンドレルの周囲に巻かれ、螺旋状の必要な固定子の長さに達する時に切断される場合、廃棄物はない。
【0013】
低ポリマ接着剤廃棄物は、接着膜の薄層に接着された巻線によって実現される。接着膜は、巻線パターンが適用される前に、固定子支持鉄の半径方向の磁気空隙表面に適用される正確な形状と寸法のストリップにダイカットされて製造される。混合、注入、又はツールのクリーンアップによる成形接着樹脂の廃棄ロスはない。樹脂浸漬タンク含浸接着剤の廃棄ロスはない。それらの要因の全てが相まって、材料の使用量を減らし、製造廃棄物を最小限にして高効率を実現する、新型スロットレス電気機械の性能をサポートする。
【0014】
新型電気機械の固定子用の独立した製造プロセスにより、本発明の利点を実現しやすい。巻線は、固定子組み立てプロセスにおける様々な時間/工程で、様々な手段によってスロットレス強磁性固定子の支持鉄に保持される。更なる実施形態では、スロットレス強磁性固定子は、空芯巻線パターンが形成される場合、B段階状態で接着膜に接着することにより、接着膜が前B段階状態からC段階状態に移行する間に、螺旋状の固定子支持鉄に対して電機子巻線に半径方向の圧力を加えることにより、スロットレス回転電気機械の動作中にC段階状態で接着膜に接着することにより、電機子巻線を空芯巻線パターンで螺旋状の固定子支持鉄に保持するように適合される。巻き取り工程では、好ましくは、B段階状態での接着膜は、非常に高いレベルの粘着性を有し、それは非常に柔軟な撚り線と協働し、作動中のトルク生成のために後で必要とされる巻線パターンを正確に堅固に保持する。しかし、B段階状態で、信頼性の高い電気機械操作には、接着強度が不十分である。ワイヤに対する接着膜の接着強度は、C段階状態で硬化を加えることによって増加させる必要がある。移行は、巻線の温度で完了できるが、経済的な生産には時間がかかりすぎることが分かる。好ましくは、高速製造生産では、C段階状態に迅速に移行するために、巻き取り後に接着膜の温度を上げる。しかし、温度を上げると、深刻な問題を引き起こす。それらの問題は、当業者にとって望ましくない解決手段となる可能性がある。移行により、接着剤がより液体になるにつれて、不注意に粘着性が失われる。その結果、ワイヤが自由に動くため、巻線パターンが失われる。C段階状態に移行する間に、固定子支持鉄に対して電機子巻線に加えられた半径方向の圧力は、既に確立された巻線パターンを保持するために使用される。接着剤がC段階状態になった後、圧力が解消され、正確な巻線パターンが高強度で保持され、電動機又は発電機の信頼性の高い動作が提供される。
【0015】
接着剤の場合、A段階状態とは、接着剤の成分が混合されるが、化学反応が開始されず、又は十分に進行しないことを意味する。B段階状態とは、接着剤の成分が混合され、化学反応が開始され、材料が厚くて粘着性を有することを意味する。通常は、多くの場合、硬化率が10%未満である。C段階状態とは、接着剤が十分に完全に硬化し、又は高い架橋率/完全な強度に達することを意味する。選択可能では、本発明によれば、実には、C段階状態とは、新型電気機械の信頼性の高い動作のために巻線を所定の位置に保持するのに十分な強度を有する十分に高いレベルの硬化を有することを意味する。
【0016】
好ましくは、半径方向の圧力は、移行期間中のみ、巻き取り後に固定子支持鉄にツールを取り付けることによって加えられる。固定子支持鉄に既に接着された巻線の完全な硬化時間を短縮するためのツールの使用が追加されると、電動機ごとに必要な個々のツール、プロセスにおけるツールの取り付け及び取り外し時間から、かなりのコストも追加される。特に、ツールを必要とせずに巻線が固定子支持鉄で巻線パターンに既に接着して保持される場合、ツールを使用することの欠陥を製造プロセスに追加することは、当業者の慣習に反する。しかし、硬化速度の向上及び構造の増加による節約は、接着膜がC段階状態に移行する間に半径方向の圧力を加えるための個々のツールの使用に関連する追加コストを上回ることが分かる。そのようなツールは、製造コストが高いが、迅速に取り付けたり取り外したりできることが分かる。
【0017】
動作中に巻線にかかる力に抵抗する接着強度は、接着膜の硬化レベル、及びワイヤと接着剤との間の接触面積に依存する。更に、別の実施形態では、接着膜は、磁気空隙内で、螺旋状の固定子支持鉄から離れて回転子に向かう方向にワイヤの側面を部分的に上に流れる。それは、接着膜がB段階状態からC段階状態に移行する間に、硬化スケジュールからの接着剤の粘度を介した接着剤の流れ、及び固定子支持鉄に対して巻線に加えられた半径方向の圧力のレベルを制御することによって実現される。場合によっては、電気機械の設計及びワイヤの寸法に基づいて、接着剤が回転子に向かって半径方向でワイヤの直径の50%ほどまで上に流れる可能性がある。従って、スロットレス回転電気機械の動作中の巻線への保持力を大幅に増加させることができ、必要なものの何倍にもなっている。接着膜が代わりに巻線の低温でC段階に移行し、更に、移行中に半径方向の圧力が加えられない場合、巻線は、固定子支持鉄の空隙表面のみに結合される。接着膜は、追加的にワイヤの側面を上に流れず、巻線の所望の高い保持力も実現されない。好ましくは、接着膜は、前記螺旋状の固定子支持鉄の前記半径方向の空隙表面と反対する前記回転子に面する前記ワイヤの側面を流れない。それは、追加の構造上の利点を提供せず、回転子と固定子との間の機械的クリアランスを望ましくなく減らす。
【0018】
電動機と発電機の設計及び製造における重要なパラメータの1つは、信頼性の高い長期動作に十分な電気絶縁性を提供することである。それは、特に、隣接する巻線ターン間の絶縁耐力、及び巻線と地面又は巻線を支持する強磁性固定子との間の絶縁耐力に変換される。本発明によるスロットレス電気機械の場合、B段階状態からC段階状態への移行及び加えられた半径方向の圧力によって接着剤の流れを促進する。流れが多すぎることにより、丸いワイヤがピーク接触点を移動し、最後まで接着膜を介して強磁性固定子と直接接触することをもたらしやすい。その結果、巻線と地面との間の電気絶縁が望ましくなく低下する。更なる実施形態において、接着膜は、磁気空隙内でワイヤと前記螺旋状の固定子支持鉄との間の最小絶縁耐力を維持する内部キャリアを含む。キャリアは、ワイヤのピーク接触点で発生する可能性のある完全な接着剤の絞り出しを防止する。好ましい構成では、キャリアは、織物を含む。そのタイプの織物の1つは、ニット構造である。
【0019】
電気機械の構造のうちの他の1つの重要なパラメータは、巻線から強磁性固定子支持鉄への熱伝導を提供し、長い絶縁寿命で低い動作温度を維持することである。通常の電気機械は、多層の巻線ターンを使用し、全ての層は、各層が発生した熱を固定子支持鉄に連続的に伝導できるように、互いに良好に熱接触する必要がある。巻線層の数が少ないほど、内層からの熱伝導が容易になり、効果的な散逸及び動作温度の低下を実現することができる。更なる実施形態において、磁気空隙内の各ワイヤは、接着膜に直接熱伝導し、接着膜は、螺旋状の固定子支持鉄に直接熱伝導する。各巻線ターンは、それ自体で固定子支持鉄と効果的に直接熱接触するため、その構造は、互いに良好な熱接触を有する多層構造又は巻線ターンに依存する必要がない。散逸によって電機子巻線の動作温度が低く、非常に効率的な熱管理を提供する。従来の電気機械との違いは、巻線も含浸の必要がないことである。含浸工程、時間、関連コスト、及び生じた製造廃棄物は排除される。更なる実施形態では、ワイヤのストランドは、磁気空隙内の位置で広く含浸されない。巻線の端部ターンは、大きな電磁誘導力を受けず、好ましくは、磁気空隙の外側に配置され、接着膜と接触しない。従って、ワイヤは、磁気空隙の外側位置には、ストランドの多孔質束を含み得る。従来の真空加圧含浸を最後の更なる工程として追加できるが、必須ではない。
【0020】
別の実施形態では、スロットレス回転電気機械は、スロットレス強磁性固定子の半径方向の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を前後に駆動する複数の交番極性永久磁石を有する回転子を含む。スロットレス強磁性固定子は、強磁性材料で形成された固定子支持鉄リングと、固定子支持鉄リングの空隙表面における接着膜とを含む。ワイヤの電機子巻線は、空隙表面における接着膜に接着され、ここで、ワイヤは、個々に絶縁された撚りストランドを含み、電機子巻線は、接着膜に直接形成された空芯巻線パターンを含む。電機子巻線は、固定子支持鉄リングに熱で押し付けられ、その結果、電機子巻線は、形成された空芯巻線パターンに固定され、接着膜は、磁気空隙内の位置で、固定子支持鉄リングから離れて回転子に向かう方向にワイヤの側面を部分的に上に流れる。流れた接着剤は、電機子巻線への力に対する抵抗力を増加させる。個々に絶縁されたより小さな直径のストランド構造は、高効率を実現するための重大な渦電流損失の発生を排除することに注意する必要がある。更に、撚りは、また、ストランド間の循環電流の発生による損失を防止し、ストランドを共に保持する。
【0021】
スロットレス回転電気機械は、通常、最高性能を得るために、固定子支持鉄リングの半径方向の空隙表面に配置された接着膜及び電機子巻線を備えた半径方向のギャップ構造を含む。しかし、本発明による電気機械はまた、損失を軽減する軸方向ギャップの固定子支持鉄と、固定子支持鉄リングの軸方向ギャップ表面に配置された接着膜及び電機子巻線とを備えた、軸方向ギャップ構造を利用することができる。その軸方向ギャップの固定子支持鉄リングは、螺旋状に巻かれた強磁性ストリップ又は粉末状鉄合金リングで構成され得る。軸方向ギャップ型は、通常、性能が低く、望ましくない不釣り合いの軸受荷重が発生し得るため、推奨されない。
【0022】
前記スロットレス強磁性固定子は、前記空芯巻線パターンが形成される場合、B段階状態で前記接着膜に接着することにより、前記接着膜が前記B段階状態から前記C段階状態に移行する間に、前記螺旋状の固定子支持鉄に対して前記電機子巻線に半径方向の圧力を加えることにより、前記スロットレス回転電気機械の動作中に前記C段階状態で前記接着膜に接着することにより、前記電機子巻線を前記空芯巻線パターンで前記固定子支持鉄リングに保持するように適合される。別の実施形態において、好ましくは、高接着強度に移行するための巻きパターンを維持するために、C段階状態に移行する期間に接着膜が最高硬化温度に達する前に半径方向の圧力を加える。より好ましくは、正確な巻線パターンを維持するために、接着膜の粘着性が大幅に失われる前に、非常に低い温度で提供される。
【0023】
従来のスロットレス電気機械は、巻線の完全性、パターン、及び形状を保持するために、成形又はカプセル化されたポリマ樹脂電機子構造を使用する。本発明によれば、巻線は成形/組み立て時に固定子支持鉄に直接保持されるため、それは必要がない。従って、別の実施形態において、電機子巻線は、磁気空隙内の位置で成形接着剤によってカプセル化されない。封入接着剤を使用しない場合、ワイヤは、ストランドの周囲に螺旋状に巻き付けられた誘電材料のサーブを更に含み得、前記接着膜はワイヤを固定子支持鉄リングに保持し、サーブは、ストランドを接着膜に保持する。
【0024】
別の実施形態では、スロットレス回転電気機械は、スロットレス強磁性固定子の半径方向の空隙表面で形成された磁気空隙を横切って磁束を駆動する複数の極を有する回転子を含む。スロットレス強磁性固定子は、端に沿って巻かれて軸方向に延在する強磁性ストリップの螺旋状の固定子支持鉄として形成される。接着膜は、螺旋状の固定子支持鉄の半径方向の空隙表面に取り付けられる。ワイヤの電機子巻線は、半径方向の空隙表面における接着膜に接着され、ここで、ワイヤは、個々に絶縁された撚りストランドを含み、外側のサーブによって直径方向に包まれる。接着膜は、サーブを螺旋状の固定子支持鉄に保持し、サーブは、ストランドを接着膜に保持する。電機子巻線は、磁気空隙内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層の接着膜に空芯巻線パターンで適用され、また、複数の相の重なり合った端部ターンを備える。空芯巻線パターンは、磁気空隙内の位置で螺旋状の固定子支持鉄から離れて回転子に向かう方向にワイヤの側面を部分的に上に流れた接着膜により、螺旋状の固定子支持鉄に固定される。流れた接着剤は、電機子巻線への力に対する抵抗力を増加させる。前述のように、本発明は、多層のない電機子構造を可能にし、製造を簡素化し、熱管理と巻線から固定子支持鉄への熱伝導を改善する。
【0025】
接着剤の流れは、接着膜がB段階状態からC段階状態に移行する期間に発生する。好ましくは、この移行は、巻線に対して半径方向の圧力が加えられると発生する。一時的なツールによって加えられた半径方向の圧力は、外側のサーブによって包まれたストランドで構成されたワイヤを変形させ、半径方向に圧縮され、半径方向に薄くなる傾向がある。驚くべきことに、接着膜がワイヤの変形状態で硬化する(接着剤がB段階からC段階へに移行する)ことにより、加えられた半径方向の圧力が解消された後でもワイヤを圧縮状態に維持できるという追加の利点を発現する。この利点は、巻線に半径方向の圧力が加えられた状態での圧縮期間に発生するサーブへの結合と、ワイヤの平坦化によるものである。圧縮されたより薄い巻線により、必要な磁気空隙が半径方向に小さくなり、必要な永久磁石材料の使用量を低減するため、電気機械の効率を高める。従って、別の実施形態において、接着膜は、ワイヤの側面を部分的に上に流れ、サーブがワイヤを円形から圧縮状態に保持するように硬化し、その結果、磁気空隙間内の電機子巻線の半径方向の厚さを減らす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下の図面及び好ましい実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより、本発明及びその多くの利点、特徴をよく理解することができる。
【0027】
図1】本発明によるスロットレス回転電気機械の等角図である。
図2図1に示されたスロットレス回転電気機械の側面断面図である。
図3図1に示されたスロットレス回転電気機械の分解等角図である。
図4A図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄の製造プロセスの概略等角図である。
図4B図4Aに示された固定子支持鉄の製造プロセスの拡大等角図である。
図5図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄の引き伸ばし状態の等角図である。
図6図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄の等角図である。
図7図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄に適用された接着膜の等角図である。
図8図3に示された回転電気機械に使用される巻線ワイヤの等角図である。
図9図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される部分的に巻かれた固定子の等角図である。
図10図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される固定子の硬化プロセスの等角図である。
図11A】本発明による固定子支持鉄のB段階状態で接着膜に接着される場合の電機子巻線を示す、スロットレス強磁性固定子の円弧部分の概略断面図である。
図11B】本発明による固定子支持鉄のC段階状態で接着膜に接着される場合の電機子巻線を示す、スロットレス強磁性固定子の円弧部分の概略断面図である。
図12図3に示されたスロットレス回転電気機械に使用される完全に巻かれて硬化した固定子の等角図である。
図13】本発明によるスロットレス回転電気機械を製造するために使用される製造方法のプロセスフロー図である。
図14A】従来の5馬力電動機と本発明によるスロットレス回転電気機械との間の効率の差を示す比較図である。
図14B】従来の5馬力電動機と本発明によるスロットレス回転電気機械との間の銅重量の差を示す比較図である。
図14C】従来の5馬力電動機と本発明によるスロットレス回転電気機械との間の総重量の差を示す比較図である。
図15】本発明によるスロットレス回転電気機械を製造するための材料の使用量及び製造廃棄物の表である。
図16】本発明による異なる固定子支持鉄構造及び材料の特定のコア損失を示す比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照すると、同様の参照符号は、同一又は対応する部品を示し、図1は、本発明によるスロットレス回転電気機械の等角図を示す。外から見ると、スロットレス回転電気機械は、普通の電動発電機のように見える。スロットレス回転電気機械50は、回転のためにシャフト53を駆動し、外側ハウジング56と、ハウジング端板57、58とを有する。しかし、電気機械50の極数が多い(好ましくは、極数が36~60である)、及び他の要因により、外側ハウジング56の長さは、同等の定格の従来の電気機械よりも大幅に短くなる。
【0029】
図2は、図1に示されたスロットレス回転電気機械の側面断面図を示す。スロットレス回転電気機械50は、トルク伝達のためにスロットレス固定子支持鉄の内側の半径方向の空隙表面に直接結合された巻線を有する外側固定子トポロジを備えた内側回転子として示される。選択可能では、本発明によれば、スロットレス電気機械は、トルク伝達のためにスロットレス固定子支持鉄の外側の半径方向の空隙表面に直接結合された巻線を有する内側回転子トポロジを備えた外側固定子を使用することができる。スロットレス回転電気機械50は、ワイヤの巻線41が内径に形成して接着された、スロットレスの、エッジ巻きの、螺旋積層の電気鋼製支持鉄35を有する固定子40を含み磁気空隙60を横切る巻線41の内側には、回転子51の半径方向の外面に固定された半径方向の交番極性永久磁石52を有する回転子51がある。磁石52は、巻線41を介して磁気空隙60を半径方向に横切り、スロットレス固定子支持鉄35を円周方向に通る磁束を前後に駆動する。回転子51は、軸受54、55によって軸支された中心シャフト53に接続される。軸受54、55は、外側容器56によって互いに結合されたハウジング端板57、58によって支持される。米国特許出願第16/408,315号に示された電子可変速度ドライブ59は、巻線41に同期電力を供給する。
【0030】
図3は、図1におけるスロットレス回転電気機械の分解等角図を示す。スロットレス回転電気機械50は、スロットレスの、エッジ巻きの、螺旋積層の電気鋼製支持鉄35を有する固定子40を含む。巻線41は、接着膜(図示せず)を介して固定子支持鉄35の内径に結合される。巻線41は、外側サーブによって直径方向に包まれた個々に絶縁された撚りストランドで構成されたワイヤで作られる。固定子40の半径方向の内側には、交番極性永久磁石52のアレイが取り付けられた回転子51がある。磁石51のアレイは、スロットレス回転電気機械50の動作中に、半径方向の磁気空隙60を横切り、巻線41を半径方向に通り、固定子支持鉄35を円周方向に通る磁束を駆動する。回転子51は、軸受54、55の間で回転するように軸支された中心シャフト53に取り付けられる。軸受54、55は、外側ハウジング容器56によって互いに結合されたハウジング端板57、58によって支持される。固定子40の外側は、外側ハウジング容器56の内側によって堅固に支持される。電子可変速度ドライブ59は、供給電力をスロットレス回転電気機械50の逆起電力の同期電力に変換し、回転子51を電動機として回転駆動する。電気機械50が発電機として作動する場合、電子ドライブ59は必要がない。
【0031】
図4A及び4Bは、図3におけるスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄の製造プロセスの概略図である。エッジ巻きプロセス70では、固定子支持鉄35は、端に沿って電気鋼ストリップ31を軸方向に延在する螺旋状に巻き取るによって形成される。ストリップ31は、ペイアウトヘッド72を通ってマンドレル73の周囲にエッジ圧延され、螺旋状に積層したスロットレス支持鉄35を形成する。電気鋼ストリップ31は、支持鉄積層の各層が互いの間で局所的に軸方向に電気的に絶縁されるように、広い側面の少なくとも一方、又はより好ましくは両方に電気的に絶縁される。極数が36~60、3600rpmの電気機械の場合、固定子支持鉄コアの大幅な損失を防止するために、ストリップ31の通常の所望厚さは、約0.010インチ(0.25mm)である。ストリップ31の幅は、所望の磁束密度で隣接する磁極52の間で磁束を円周方向に伝導するように設定され、極数と電気機械50の寸法との関数である。このエッジ巻きプロセス70では、マンドレル73は、固定子支持鉄35の最終内径と同様の直径を有する。マンドレル73は回転し、電気鋼ストリップ31を供給スプール71から引き出し、ストリップ31をそのエッジの周囲に巻き取り、固定子支持鉄35として軸方向に延在する螺旋状の物を作る。ストリップ31は、マンドレル73に十分な長さが堆積される時に切断される。
【0032】
図5は、図3にけるスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄の引き伸ばし状態の等角図を示す。エッジ巻きプロセス70の後、固定子支持鉄35は、電気鋼ストリップ31で作られたエッジ巻きの螺旋状の物を含む。固定子支持鉄35は、スロットレス電気機械50で磁極52の間で磁束を円周方向に伝導するための所望の内径及び外径を有し、使用される材料及び電気機械特性のための有意な磁気誘導損失を軽減する軸方向の積層厚さを有する。固定子支持鉄35は、構造を示すために、引き伸ばし状態で示される。
【0033】
図6は、図3におけるスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄の等角図を示す。スロットレス電気機械50での動作中、固定子支持鉄35は、軸方向に互いに隣接する積層ストリップ層31と軸方向に一体である。強磁性ストリップ31の螺旋状層は、機械的クランプによって軸方向に圧縮された状態に保持され得る。選択可能では、強磁性ストリップ31の層は、絶縁結合剤を塗布し、加圧下で加熱することによって結合することができる。スロットレス支持鉄35は、電気機械50の基本動作周波数で低い磁気誘導損失が発生する間に、磁極52の間で磁束を円周方向に伝導できる任意の強磁性材料で形成することができる。例えば、3600rpmの場合で動作して極数が42の電気機械の基本周波数は1260Hzである。普通の材料は、薄い電気鋼である。高効率の電気機械の場合、積層ストリップ31は、金属ガラスとしても知られる非晶質金属で形成することもできる。非晶質金属により、固定子支持鉄35の磁気誘導損失は、従来の無方向性電気鋼よりも大幅に低減することができる。それらは、また、非常に高い透磁率、固有の絶縁性酸化物表面、正方形のヒステリシスループも提供する。sのような低コストの非晶質金属の1つは、FesoBnSigである。図7は、図3におけるスロットレス回転電気機械に使用される固定子支持鉄に適用された接着膜の等角図を示す。螺旋状の固定子支持鉄35を形成するために、軸方向の厚さが0.010インチ(0.25mm)の非結晶方向性電磁鋼ストリップ31をエッジ巻きして結合する。ダイカットされた接着膜32は固定子支持鉄35の内径に適用される。B段階状態の接着膜は、通常、膜内のA段階樹脂を加熱し、部分的に硬化させた後、冷却して反応を遅らせるか停止させ、厚くて粘着性のある膜にすることによって製造される。好ましくは、使いやすさ、生産速度、信頼性、一貫性、及び廃棄物や汚らしさがないことを含む多くの実質的な利点のために、既にB段階状態にある市販の予備製造された構造用接着膜32は、固定子支持鉄35に適用される。好ましくは、そのような接着膜の1つは、3M Scotch-WeldTM構造用接着膜AF 163-2Kである。しかし、選択可能では、A段階状態の接着剤を薄層として固定子の表面に塗布し、加熱及び冷却し、固定子に粘着性のあるB段階状態にし、接着膜を形成することもできる。この方法は、製造済みの接着膜を使用することの多くの利点がなく、一般的には、推奨されない。
【0034】
図8は、図3における回転電気機械に使用される巻線ワイヤの等角図を示す。巻線41は、磁気空隙60の内側に配置され、回転子51が回転するにつれて永久磁石52からの変化する磁束の影響を受ける。巻線ワイヤが単撚銅線で構成される場合、容認できないほど大きな渦電流損失が発生する。本発明によるスロットレス電気機械50で使用される巻線41は、外側サーブ91によって直径方向に包まれた個々に絶縁された撚りストランド90で構成されたワイヤ81を使用する。直径がより小さいストランド90は、電気的に平行であるが、それらの長さに沿って、特に磁気空隙内で互いに絶縁されるため、有意な渦電流損失の発生を防止する。ストランド90は、ストランド間の循環電流を防止するためにねじられ又は転置され、さもなければ、追加の損失を引き起こす可能性がある。好ましくは、極数が多く、一般的な商用速度で低渦電流損失をサポートするために、ストランドの寸法は、通常、36~40AWGの範囲である。好ましくは、ストランド90は、巻き取りプロセス中の取り扱い耐久性を提供する他のサーブ91と共に保持される。サーブ91は、更に、ストランド90の束を接着膜32と共に保持する。その結果、接着膜32は、サーブ91を螺旋状の固定子支持鉄35に保持し、サーブ91は、ストランド90を接着膜32に保持する。好ましくは、低コストで高靭性のあるサーブ91のタイプの1つは、ナイロン繊維糸である。しかし、ポリエステル又はポリイミドテープ膜などの他のサーブ構造も利用でき、ワイヤの寸法や電圧絶縁要件など、様々なスロットレス電気機械の設計パラメータに利点をもたらす。図9は、図3のスロットレス回転電気機械に使用される部分的に巻かれた固定子の等角図を示す。固定子40は、内径に適用された構造用エポキシ接着膜32を有する螺旋状の固定子支持鉄35で構成される。好ましくは、接着膜32は、固定子支持鉄35の内径に一致するように正確な長さに事前にダイカットされ、固定子支持鉄35の軸方向端部からの誘電体絶縁を形成するために軸方向により長い長さにされる。巻線41は、固定子支持鉄35に結合された軸方向有効長42と、円周方向に移動して連続的有効長42を接続する端部ターン43とを含む。好ましくは、巻線41は、蛇行パターンとして形成されるが、代わりに他の巻線パターンを使用することもできる。好ましくは、巻線41は、巻線パターンを横切り、粘着状態にある間に接着膜32に対してワイヤ81に圧力を順次加えることにより、固定子支持鉄35に形成される。好ましくは、接着膜32の温度は、室温より少し高いレベル、通常、105~120°F(41~49℃)に維持され、接着剤が形成された巻線パターンを保持するための最大の粘着性を提供する。好ましい巻き取り方法は、接着膜32に各相の巻線41を直接形成することであるが、選択可能では、各相のコイルを予め巻き取ってから、それらを個々に接着することによって接着膜32に多相の巻線パターンを直接形成することも可能である。この方法は、重要な更なる工程と多数の電気接続を必要とするため、推奨されない。
【0035】
固定子支持鉄35と回転子51における磁石52との間の半径方向の磁気空隙60を最小限にし、利用された活物質の量当たりの電気機械50の性能を向上させることが望ましい。この目標を達成するためのその方法は、典型的な三相巻線を単一層のみに制限することである。従って、電機子巻線41は、磁気空隙間60内で1本のワイヤの深さだけである1ワイヤ半径方向層で接着膜32に直接形成された空芯巻線パターンを含み、磁気空隙60の外側で複数の相の重なり合った端部ターン43を有する。この構成では、全ての有効長42は、固定子支持鉄35の内径に対して同じ層を占有する。使用された銅と磁石の量あたりの高性能と生産と製造の高い互換性という利点に加えて、巻線41は、抵抗エネルギー損失を熱として固定子支持鉄35に伝導するための優れた熱伝導も実現する。磁気空隙60内の各ワイヤ81は、接着膜32に直接熱伝導し、接着膜32は、螺旋状の固定子支持鉄35に直接熱伝導する。固定子巻線41と固定子支持鉄35との間の熱抵抗は非常に小さく、接着膜32の非常に薄い単一層のみに制限される。図10は、図3におけるスロットレス回転電気機械の固定子硬化プロセスの概略図を示す。巻線41の三相の全てを半径方向の空隙表面に接着し、有効長42が単一層で軸方向に延在し、複数の相の端部ターン43が円周方向に延在し、磁気空隙60の外側で重なり合った後、巻線41と固定子支持鉄35との間の結合強度を増加させる。接着膜32は、硬化プロセス95により、B段階状態からC段階状態に移行する。プロセス95において正確な巻線パターンが失われることを防止するために、ツール96が固定子40に適用される。ツール96は、わずかに大きい外径を有するシリンダを含み、挿入時、固定子支持鉄35に対して電機子巻線41に半径方向の圧力を加え、接着膜がB段階状態からC段階状態に移行する間に半径方向の圧力を維持する。ツール96は、室温及び完全硬化温度の両方で望ましいレベルの圧縮を提供する任意の材料を含み得る。簡単にするために、ツール96は、挿入時に室温で所望の先行圧縮を提供するように設定された外径を有する薄いスチールリングを含み、固定子支持鉄と同じ量だけ熱膨張する場合、同じ圧力を維持することができる。選択可能では、ツールは、フルオロポリマなどの高温プラスチックを含み得る。好ましくは、ツール96は、完全挿入時、巻線41に対して均一に圧縮するための直線部分97と、固定子支持鉄35への容易な挿入を可能にする先細り部分98とを有する。
【0036】
接着膜の硬化が完了すると、ツール96は、固定子40から取り外され、巻線41は、電気機械50の信頼性の高い動作に適合する高い強度で固定子支持鉄35に固定される。3M Scotch-WeldTMの接着膜AF 163-2Kの場合、通常の硬化スケジュールは、250°F(121°C)まで昇温し、1時間保持する。新型電気機械50の製造では、多くの固定子40は、B段階状態の接着膜32を有する固定子支持鉄35に接着された巻線41で巻かれ、次に、バッチオーブン硬化が適用されてそれらの全てが同時にC段階状態に移行する。
【0037】
一部のアプリケーションでは、選択可能では、スロットレス電気機械は、好ましくは、外側回転子と内側固定子で構成され得る。この構成では、半径方向の圧力は、B段階状態からC段階状態に移行する前に、必要な半径方向の圧力を加えるために、巻き取り後に巻線の周囲に外側フープ応力層を巻き付けることによって加えることができる。フープ応力層は、接着膜が完全に硬化した後に除去することができ、又は、半径方向に十分に薄い場合、巻線をC段階状態で接着膜で固定した後でもそのままにしておくことができる。
【0038】
図11Aは、本発明による固定子支持鉄にB段階状態で接着膜に接着される場合の電機子巻線を示す、スロットレス強磁性固定子の円弧部分の概略断面図を示す。固定子40は、固定子支持鉄35にB段階状態で接着膜32に接着されたワイヤ81の巻線41を含む。接着膜32は、エポキシ膜の内層及び外層83、85を有し、両側には、中間のニット織物キャリア85を有する。両側のエポキシ接着剤の厚さは約0.003インチ(0.076mm)で、内部キャリアの厚さは約0.004インチ(0.102mm)である。ワイヤ81は、固定子支持鉄35に対して圧縮されない場合、自然自由直径89を有する。
【0039】
図11Bは、本発明による固定子支持鉄にC段階状態で接着膜に接着される場合の電機子巻線を示す、スロットレス強磁性固定子の円弧部分の概略断面図を示す。巻線41は、電気機械50の信頼の高い動作のための高強度で固定子支持鉄35に結合される。接着膜32がB段階状態にある間に、ツール96を使用してワイヤ81に半径方向の圧力を加え、温度を上げて接着膜をC段階状態に移行させる。硬化が完了すると、ツール96が固定子40から取り外される。接着膜32が移行する期間に、接着剤は、螺旋状の固定子支持鉄35から離れて回転子51に向かう方向にワイヤ81の側面を部分的に上に流れる(図示せず)。内側接着剤層83は、ワイヤの寸法及び使用された接着膜の厚さに応じて、ワイヤ81の直径の50%程度である接着剤結合高さ88まで上に流れてもよい。キャリア85は、ワイヤ81と固定子支持鉄との間の最小距離を維持する。従って、接着膜32内の内部キャリア85は、磁気空隙60内に位置するワイヤ81と固定子支持鉄との間の最小絶縁耐力を維持する。キャリア85の厚さが約0.004インチ(0.102mm)の場合、実際の巻線ワイヤ81の絶縁耐力に加えて、約7200ボルトの最小絶縁耐力を確保することができる。硬化移行期間、ワイヤ81はツール96によって半径方向に圧縮され、接着膜は、ワイヤ81の側面を部分的に上に流れる。半径方向の圧力に向かって圧縮された直径89’を有するワイヤ81を有するサーブ91に硬化する接着膜32は、ツール96が取り外された後、ワイヤ81を円形から圧縮状態のままにすることが分かる。それは、磁気空隙60内の電機子巻線41の半径方向の厚さを減少させるという追加の利点を提供する。より薄い巻線41により、磁気空隙60の厚さを低減し、その結果、磁石52の必要な厚さを低減することができる。
【0040】
図12は、図3におけるスロットレス回転電気機械に使用される完全に巻かれて硬化した固定子の等角図を示す。固定子40は、内側接着膜32及び巻線41を有する固定子支持鉄35を形成する螺旋状のエッジ巻きストリップ31を含む。巻線41の有効長部分42は、接着膜がC段階状態にあり、ツール96が取り外されるため、高強度で固定子支持鉄35に結合される。端部ターン43は、固定子支持鉄に結合されず、複数の相の端部ターンが重なり合う状態で、磁気空隙の外側に配置される。最も効率的な電気機械の設計では、有効長42が軸方向に延在し、複数の相が全て同じ層を占有し、それぞれが固定子支持鉄35に接着され、ワイヤから力を直接伝達する。螺旋状のパターンを含む巻線41の他の構成も使用できるが、その性能が最適ではない。硬化すると、巻線41は、膜31の接着剤の量が限られるため、また接着剤の浸透を制限する外側サーブ91から、(磁気空隙60内に配置される)結合された場所で広く含浸されない。端部ターン43は、接着膜32と接触せず、その結果、ワイヤ81は、磁気空隙60の外側にあるそれらの位置でストランド90の多孔質束を含む。真空加圧含浸又は成形の更なる工程を追加することは可能であるが、そのような工程は不必要であり、製造時間、コスト及び廃棄物を望ましくなく追加する。従って、好ましくは、電機子巻線41は、磁気空隙60内の位置で成形接着剤によってカプセル化されない。
【0041】
図13は、本発明によるスロットレス回転電気機械(電動機)を製造するために使用される製造方法のプロセスフロー図を示す。製造プロセス100は、エッジ圧延された強磁性ストリップから開始され、スロットレス螺旋状の固定子支持鉄を形成する。工程102では、エッジ圧延成形後、固定子支持鉄層を共に固定される。それは、螺旋状のストリップを単一の固定子支持鉄に接着して結合することにより、又は機械的手段によって実現することができる。工程103では、固定子支持鉄の製造が完了した後、B段階の接着膜を固定子支持鉄に取り付ける。工程104では、巻線パターンを固定子支持鉄に接着する。巻線は、一時的に所定の位置に保持される。工程105では、ツールを挿入し、固定子支持鉄に対して巻線に半径方向の圧力を加える。工程106では、温度を上げて接着膜を硬化させることにより、接着膜をB段階状態からC段階状態に移行させる。工具からの半径方向の圧力により、接着剤が流れる際に正確な巻きパターンが失われることを防止する。工程107では、移行期間、接着膜内の内部キャリアは、ワイヤの下の完全な接着剤の絞り出しを防止し、巻線と固定子支持鉄との間の最小絶縁耐力を設定する。工程108では、硬化後、ツールを除去する。工程109では、固定子を電動機に組み立てる。次に、工程110では、磁石を回転子に取り付ける。磁石は、通常、回転子の半径方向表面にエポキシ結合される。工程111では、回転子を電動機に取り付け、電動機の製造を完了する。
図14Aは、従来の5馬力電動機と本発明によるスロットレス回転電気機械との間の効率の差を示す比較図を示す。比較例110に示すように、通常の従来の5馬力(3.73kW)の3600rpmの誘導電動機は、88.5%の全負荷及び速度効率を有する。本発明による新型の5馬力(3.73kW)の3600rpmの電動機は、96.1%の全負荷及び速度効率を実現する。それは、最新の高効率基準を超える。
【0042】
図14Bは、従来の5馬力電動機と本発明によるスロットレス回転電気機械との間の銅重量の差を示す比較図を示す。比較例120に示すように、従来の5馬力(3.73kW)の誘導電動機の銅巻線の重量は、7.44ポンド(3.38kg)である。対照的に、本発明による新型5馬力(3.73kW)電動機は、銅巻線の重量が0.55ポンド(0.25kg)だけである。それにより、必要な銅の量が92.6%低減される。
【0043】
図14Cは、従来の5馬力電動機と本発明によるスロットレス回転電気機械との間の総重量の差を示す比較図を示す。比較例130に示すように、従来の5馬力(3.73kW)電動機の総重量は、75ポンド(34.1kg)である。対照的に、本発明による新型の5馬力(3.73kW)電動機の総重量は、14ポンド(6.36kg)だけである。それにより、電動機の総重量は、81%低減される。
【0044】
図15は、本発明によるスロットレス回転電気機械を製造するための材料の使用量及び製造廃棄物の表を示す。表140は、材料の使用量142、製造廃棄物143、及び属性144の由来に関する構成要素141に基づいて、新型電気機械の利点を示す。強磁性固定子145では、材料の使用量が最小限であり、製造廃棄物がほぼゼロである。その原因は、極数が多いため、材料の使用量を低減するために固定子支持鉄を半径方向に薄くすることができることである。極歯のスロット切断がないため、材料の使用量及び製造廃棄物を低減する。固定子支持鉄は、エッジ圧延されたストリップから螺旋状に形成されるため、積層した廃棄物がない。同様に、強磁性ストリップは単純に切断され、螺旋状の固定子支持鉄が所望の長さに達する場合で圧延が停止する。
【0045】
巻線ワイヤは、材料の使用量が最小限で、廃棄物がほぼゼロである。巻線が磁気空隙内の単一の半径方向層のみを占有するため、多層のスロットレス電機子構成に比べて、必要な巻線の長さが短縮される。端部ターンも磁気空隙の外側に配置され、巻き取りプロセスが完了した後、巻線ワイヤは長さに合わせて簡単に切断される。
【0046】
固定子接着剤は、材料の使用量が最小限で、製造廃棄物がほぼゼロである。巻線のポッティングや巻線の真空圧含浸は使用されない。逆に、通常、接着膜の厚さは、0.010インチ(0.25mm)だけであり、又は、電気機械の信頼性の高い動作のために、巻線を固定子支持鉄に強力に接着するのに十分なものである。必要とされる正確な支持鉄の寸法にダイカットされた接着膜が提供されるため、廃棄物が更に排除される。強磁性回転子は、材料の使用量が最小限で、製造廃棄物が非常に少ない。電気機械の極数が多いため、隣接する磁極間で磁束を効果的に伝導する間に、回転子支持鉄部分を非常に薄くすることができる。それは、材料の使用量を大幅に低減する。回転子はまた、ほぼ正味の形状に製造された鋳鋼で作られ、製造廃棄物を低減する。鋳造の場合、最終加工だけは必要である。
【0047】
回転子磁石は、材料の使用量が最小限で、製造廃棄物がほぼゼロである。新型電気機械の巻線構造は、必要な磁気空隙を最小限にする。磁気空隙の厚さが小さいほど、磁気空隙を横切って所定の磁束密度で磁束を駆動するために必要な磁石を薄くすることができる。NdFeBタイプなどの永久磁石は、通常、必要な形状に製造され、加工廃棄物がリサイクルされる。
【0048】
図15は、本発明による異なる固定子支持鉄構造及び材料の特定のコア損失を示す比較図である。比較例150は、0.5T及び1kHzで動作する場合の様々な材料の固定子バック支持鉄の特定のコア損失を示す。151では、厚さが0.012インチ(0.30mm)の無方向性電気鋼の場合、固定子支持鉄の特定のコア損失は16W/kgである。積層ストリップ又は螺旋状の固定子支持鉄層が薄いほど、渦電流損失の低減によってコア損失が低くなる。152では、厚さが0.008インチ(0.20mm)の無方向性電気鋼の場合、固定子支持鉄の特定のコア損失は12 4W/kgまで低下する。153では、厚さが0.005インチ(0.12mm)の無方向性電気鋼の場合、固定子支持鉄の特定のコア損失は更に10.9W/kgまで低下する。ヒステリシス損失は、固定子積層板の厚さに関係なく、本質的に一定のままであるため、コア損失を低減するために同じ無方向性電気鋼のより薄い積層板を使用すると、収穫逓減が始める高効率の電気機械のコア損を更に低くしたい場合、渦電流損と共にヒステリシス損失も減らす必要がある。それを実現する材料の1つは、金属ガラスとしても知られる非晶質金属である。低損失で低コストであるため、新型スロットレス電気機械の固定子支持鉄に適した非晶質金属の1つのタイプは、鉄、ホウ素、及びシリコンの化合物である。154では、FesoBnSig製の螺旋状の巻かれた固定子支持鉄の場合、特定のコア損失は4.3W/kgだけまで低下する。この材料は、通常、0.001~0.002インチ(0.025~0.050mm)だけの最大厚さで製造できるため、必要な長さの螺旋状のエッジ巻き固定子を実現するには、エッジ巻きストリップをより多く巻く必要がある。現在、この材料のコストは、方向性ケイ素鋼よりも約10%高いだけである。スロットレス電気機械の所望の動作周波数及び磁束密度で低いコア損失が提供される限り、他の材料は固定子支持鉄に使用することもできる。明らかに、本発明によって開示された内容に基づいて、当業者は、前述の好ましい実施形態を様々な変更及び変形を行うことができる。従って、本発明者は、それらの変更、変形、及びそれらの同等物を以下の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲内に入れることを意図する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
【国際調査報告】