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特表2023-546760気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20231031BHJP
   F25B 1/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F04B39/00 101X
F25B1/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552433
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2021004560
(87)【国際公開番号】W WO2021210863
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】102020110181.3
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アヤル, アイハン
(72)【発明者】
【氏名】ベネク, ヤチェク ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス, フィリップ
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC03
3H003BA10
3H003CD03
3H003CE04
(57)【要約】
【課題】特に圧縮された流体の低い体積流量の場合に最大騷音減衰を引き起こす冷媒回路で、特に気体流体の圧縮機の圧力脈動を減衰させるための装置を提供する。
【解決手段】本発明は流入開口及び少なくとも1つの第1排出開口を有するハウジングだけではなく、ハウジングにより囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能であり、ベアリング方式でスプリングエレメントを通じてハウジング上に支持されるピストンエレメントを含む冷媒回路で気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置と関し、ここでピストンエレメントは流入開口及び第1排出開口の流動断面をそれぞれ制御し、ピストンエレメント及びハウジングはそれぞれ少なくとも1つの第1密閉面及び1つの第2密閉面を有し、第1密閉面は第1シートを形成して第2密閉面は第2シートを形成し、シート間には、ピストンエレメント及びハウジングにより囲まれたそれぞれ1つのチャンバー-ピストンエレメントはチャンバー内に流動する時に流体を膨脹させる-及び/またはハウジングの少なくとも1つの第2排出開口が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流体、特に冷媒の圧縮機に対する圧力脈動(pressure pulsation)を減衰させるための装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)として、
-流入開口(2-1)及び少なくとも1つの第1排出開口(2-2)を有するハウジング(2a、2c、2c”)、及び
-前記ハウジング(2a、2c、2c”)により囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能であり、ベアリング方式(beared manner)で配列されて、スプリングエレメント(4)を通じて前記ハウジング(2a、2c、2c”)上に支持されるピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)を有し、
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の移動は前記流入開口(2-1)及び前記第1排出開口(2-2)の流動断面をそれぞれ制御し、
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)及び前記ハウジング(2a、2c、2c”)それぞれは少なくとも1つの第1密閉面(2-3、3-4)及び1つの第2密閉面(2-4、3-5)をそれぞれ有し、
前記第1密閉面(2-3、3-4)は第1シート(seat)を形成して前記第2密閉面(2-4、3-5)は第2シートを形成し、
シート間には
-前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)及び前記ハウジング(2a、2c、2c”)により囲まれたそれぞれ少なくとも1つのチャンバー(7a、7b、7e)
-前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)は前記チャンバー(7a、7b、7e)内に流動する時に前記流体を膨脹させる、及び/または
-前記ハウジング(2c、2c”)内の少なくとも1つの第2排出開口(2-5)が形成される気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項2】
前記ハウジング(2a、2c、2c”)は開放された第1端部面及び前記第1端部面の遠位に(distally)配列された閉鎖された第2端部面を有する中空シリンダー形状を有し、
前記ハウジング(2a、2c、2c”)の第1端部面は流体のための流入開口(2-1)として形成され、
前記少なくとも1つの第1排出開口(2-2)は 前記ハウジング(2a、2c、2c”)の外側表面上に、そして前記第2端部面の領域に形成され、
前記ハウジング(2a、2c、2c”)の第1密閉面(2-3)は前記流入開口(2-1)を完全に囲むように形成され、そして
前記ハウジング(2a、2c、2c”)の第2密閉面(2-4)は内壁に形成され、前記内壁を完全に囲み、前記流入開口(2-1)に向かって配向された前記少なくとも1つの第1排出開口(2-2)の側面領域に形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2排出開口(2-5)は、前記ハウジング(2c、2c”)の第1密閉面(2-3)が前記流入開口(2-1)と前記第2排出開口(2-5)間から半径方向に配列されるように前記第1密閉面(2-3)に隣接するように配列され、
前記第2排出開口(2-5)は小さな流動断面及び少なくとも1つの方向変化を有する直線流動チャンネルとして形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項4】
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)は軸方向に共通縦軸相互いに向かって配向されるように配列される少なくとも2個のセクション(3a-1、3b-1、3c-1、3e-1、3a-2、3b-2、3c-2、3e-2、3-3)で形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項5】
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)は第1セクション(3a-1、3b-1、3e-1)、第2セクション(3a-2、3b-2、3e-2)及び第3セクション(3-3)を有し、
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)の第1セクション(3a-1、3b-1、3e-1)は円形ディスク形状に形成され、そして
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)の第1セクション(3a-1、3b-1、3e-1)は前記ハウジング(2a、2c、2c”)の流入開口(2-1)の方向に向かって配向されて配列される膨らむように湾曲された自由表面に形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項4に記載の装置(1a、1b、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項6】
前記ピストンエレメント(3c)は第1セクション(3c-1)及び第2セクション(3c-2)を有し、
前記ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)は円錐形の外側表面及び閉鎖された第1端部面を有する円形切断円錐または中空シリンダーの形状に形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1c)。
【請求項7】
前記ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)の外径は前記ハウジング(2c)の内径より小さく、前記流体のための環形流動経路が前記ハウジング(2c)の内壁と前記ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)の円周面間に形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項6に記載の装置(1c)。
【請求項8】
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の第1密閉面(3-4)は前記ハウジング(2a、2c、2c”)の流入開口(2-1)の方向に向かって配向された前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)の第1セクション(3a-1、3b-1、3e-1)の表面に、または前記ハウジング(2c)の流入開口(2-1)の方向に向かって配向された前記ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)の第1端部面に形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項9】
前記第1密閉面(3-4)は前記第2端部面の領域で前記ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)を完全に囲むように形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項8に記載の装置(1c)。
【請求項10】
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の第2密閉面(3-5)は前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)の第3セクション(3-3)の外壁に、または前記ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)の外壁に形成される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項11】
前記ピストンエレメント(3a’、3b’)は前記ハウジング(2a、2c、2c”)の流入開口(2-1)の方向に配向された端部面から前記ピストンエレメント(3a’、3b’)を貫通して軸方向に延びて形成されるバイパス開口(3-6)を有する
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1d’)。
【請求項12】
前記ハウジング(2c”)は前記流入開口(2-1)に形成されたボリュームを排出開口(2-5)に形成されたボリュームに連結するバイパス開口(2-6)を有する
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1d”)。
【請求項13】
前記スプリングエレメント(4)は少なくとも、前記偏向に依存する領域で前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)内に同心に配列される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項14】
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)は、前記ハウジング(2a、2c、2c”)の流入開口(2-1)の、そして/または前記少なくとも1つの第1排出開口(2-2)の流動断面が閉鎖されるように前記ハウジング(2a、2c、2c”)の流入開口(2-1)に対する最小距離で第1端部ポジションに配列される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【請求項15】
前記ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)は、前記ハウジング(2a、2c、2c”)の流入開口(2-1)の、そして前記少なくとも1つの第1排出開口(2-2)の流動断面が完全に開放されるように前記流入開口(2-1)に対する最大距離で第2端部ポジションに配列される
気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させることを特徴とする請求項1に記載の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置に係り、より詳しくは、自動車の空調システムの冷媒回路で気体流体、特に冷媒の圧縮機に対する圧力脈動(pressure pulsation)を減衰させるための気体流体の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は流入開口及び少なくとも1つの排出開口を有するハウジング及びピストンエレメントを有し、ピストンエレメントはハウジングにより囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能であり、スプリングエレメントを通じてハウジングにベアリング方式(beared manner)で支持される。
稼動装置(mobile)適用のための、特に冷媒回路を通じて冷媒を伝達するための自動車の空調システム用に知られた最新技術で、以下冷媒圧縮機とも称される圧縮機はよく、冷媒に関係なくスクロール圧縮機として、または可変ストローク(stroke)を有するまたは容量(displacement)とも称される可変ストロークボリュームを有するピストン圧縮機として形成される。特に、ベルト(belt)またはプーリ(pulley)により駆動される冷媒圧縮機の場合、回転率は自動車の速度を通じて、特に駆動エンジンの回転率を通じて設定される。可変ストロークを有するピストン圧縮機は、圧縮機が駆動エンジンの回転率と関係なく要求される一定の、または可変的な性能を有するために空調システムの円滑な作動を保障する。
【0003】
作動中に、圧力脈動とも称される圧力パルスが、ピストン圧縮機内のピストンの線形運動、またはスクロール圧縮機内の稼動螺旋の円周スクロール移動を通じて圧力側だけではなく吸入側にも生成される。圧力脈動は連結ライン及び熱交換器だけではなくこれらのブラケットと同じ冷媒回路のコンポーネントを通じて伝達される。圧力脈動を通じてコンポーネントを励磁することで、乗客室内部の乗客や車両外部の生命体が聞くことができ、妨害と認識されることのできる騷音が放出されることができる。
従って、圧力脈動はまた、蒸発器として動作する冷媒回路の熱交換器を経て、乗客室に配置されたエアコンに伝達される。エアコンはその構造によって、大きくて平らな表面に作用して脈動のスピーカーまたは増幅器を妨害する。従って、不利な状況、特に共振配列で生成された騷音は乗客、特に運転手に直接作用する。
上記理由から、一般的な圧縮機は、特に低い負荷で、即ち、伝達される低い質量流量で圧縮機の作動中に発生する圧力脈動を減らすために発生する圧力脈動を減衰及び減少させるための装置として形成される。
【0004】
このようにして、圧力脈動を減衰させるための装置の機能は圧縮機により圧縮される流体に対する流動断面を変化または適応させること、特に流動断面の急激な変化にある。
従って、流体は例えば、一定の断面を有するスロットルポイントを通じて案内されることができ、これは流速の増加と流体の下流膨脹を招く。流動断面の急激な変化とそれによる流体の圧力及び速度の変化は圧力脈動損失の増加を引き起こし、これは結局、冷媒回路の連結ラインにより車両内部に伝達される圧力脈動を減少または減衰させて騷音を発生させる。
しかしながら、一定の断面を有するスロットルポイントはまた、増加する流動断面によって増加する圧力損失を引き起こす。
さらに、一方ではオフ状態でオイル移動を抑制するスプリング装着復帰バルブ(spring-loaded return valve)を圧縮機の吸入パイプまたは排出パイプに提供することが最新技術から公示となっている。しかしながら、限定されたバルブ開口による流体の体積流量を制限することによって、圧力脈動は他方では、一定の断面を有するスロットルポイントと類似するように体積流量によって減衰される。バルブの開口の特徴はバルブ開口及び閉鎖ボディの幾何学的形状だけではなくスプリング定数により決定される。
【0005】
さらに、このようなバルブは例えば、バルブの開口を作動条件に適応させて、それによって最小圧力損失だけを生成するために閉鎖ボディに作用する圧縮機の圧力を感知するように構成されることができる。
従って、特許文献1は油圧システムで最大貫流(throughflow)で圧力損失を減らすための貫流制限器を有する復帰バルブを開示する。バルブは内部チャンバーがあるハウジングと復帰スプリング及び油圧差動制御部のあるバルブエレメントを有する。閉鎖状態で、バルブエレメントは流体が調節可能な貫流の第1方向に流れる時、ハウジングのシート(seat)に接して、流体が第1方向と反対である第2方向に流れる時に開くようになる。動的流動力を通じて作動される制御スライドのあるシートバルブとして形成されたバルブはスプリング作動式復帰手段を有する。
【0006】
特許文献2は可変容量を有する冷媒回路の圧縮機で圧力脈動を減少させるための装置を記述する。多様なボリュームを有するダンパー(damper)エレメントとして形成された装置は流動通路及び制御バルブを有する。 制御バルブはバルブハウジング、貫通穴のあるスライダーバルブ及びダンピングチャンバーで構成される。ダンピングチャンバーは貫通穴を通じて冷媒回路に連結される。貫通穴の有効断面積及び有効長さは冷媒ガスの特定脈動発生時のダンピングチャンバーのボリューム及び特定脈動の周波数に基づいて決定される。
圧縮機の圧力脈動を減らすための一般的な装置は、特に低負荷及び最小負荷で圧縮機が作動する間、これと連結された質量流量及び圧力ピークの揺動を減らすためにダンパー端部面の大きさ及びスプリング定数のようなダンパー特徴によって質量流量の特定限界値に到達する時、排他的に閉鎖及び開放される。可変ボリュームを有するダンパーの提供は、目標周波数範囲と異なることができ、それにより脈動の減少を引き起こせない多様なダンピング挙動を圧縮機の作動の間に引き起こす。
【0007】
復帰バルブを使用することによって、流体の流動内で圧力損失らが生成される。例えば、バルブが流体の特定圧力または体積流量に設定されれば、特に体積流量の設定値を超過する時に相当な圧力損失が発生する。圧力損失はより小さなスプリング定数を有するスプリングを提供することによって、またはより大きい流動断面を形成することによって減少でき、特に低い体積流量の場合、圧力脈動もやはり少しだけ減少する。しかしながら、特に流体の、特に冷媒の低い体積流量に対する作動中に、圧力脈動を減らすことが非常に重要であるが、これは冷媒の低い体積流量に対する作動中に、エアコンはまた低い空気ボリューム流動だけを受けるようになり、乗客室で生成された圧力脈動が非常に大きく聞こえることができ、それにより邪魔になり得るためである。
閉鎖ボディに圧力が作用して例えば、クランク室(crankcase)圧力や圧縮機の追加作動圧力を除去する可能性のあるバルブは、対応する圧力が気密方式で圧縮機内に形成された流動チャンネルを通じてバルブに案内される時に非常に高い構成要求、そして結果的に費用を必要とする。さらに、バルブ内互いに異なる圧力を受ける領域間の漏れが防止されなければならず、これは構成要求と費用をさらに増加させる。
【0008】
さらに、流体の流入及び流出のために互いに反対方向に配列された端部面に形成された開口を有するシリンダーボリュームを囲むハウジングを有する、いわゆる反射消音器が最新技術から公示となっている。開口はそれぞれ開口に形成された直径の急激な変化がハウジングを通じて流れる流体に対する流動断面の急激な変化を引き起こすようにハウジングよりそれぞれ実質的により小さな直径を有する。冷媒回路の連結ラインの小さな内径でハウジングの大きい内径への、または消音器の内部ボリュームへの急激な変化により引起こされたインピーダンスジャンプによって、ラインの圧力脈動として発生する音波が減衰される。
高い空間要件を除いて、知られた消音器はほとんど生産される追加エレメントだけではなく、生産するのに非常に複雑な内部配列を有し、これはそれぞれ生産費用と製造努力を増加させる。
最新技術から知られた消音器は相当な減衰効果に到達するために非常に大きい設置空間を有するが、これは最新自動車で、特に乗用車では非常に制約的であるので、提供される消音器は充分の減衰効果に到達しないか、消音器の使用が省略されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国実用新案第9409659号明細書
【特許文献2】米国特許第8366407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、特に圧縮された流体の低い体積流量の場合に最大騷音減衰を引き起こす冷媒回路で、特に気体流体の圧縮機の圧力脈動を減衰させるための装置を提供することである。圧力損失は最小にならなければならない。圧力脈動を減衰させることによって、何よりも例えば、乗客室の乗客に対する安らかさに影響を与える騷音放出が防止されなければならない。この装置は最小空間要件、材料の最小使用、そしてそれにより、最小の重さで最小個数のコンポーネントの単純な構成を有しなければならない。また、生産及び組み立て費用が最小にならなければならない。この装置の設置空間は装置が既に存在するコンポーネントと互換されて、またこれらを交替できるように設計されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は独立請求項の特徴を有する請求対象により解決される。追加開発は従属請求項で示される。
この目的は気体流体、特に冷媒の圧縮機のための、本発明による圧力脈動を減衰させるための装置により解決される。この装置は流入開口及び少なくとも1つの第1排出開口を有するハウジング及びピストンエレメントを有する。ピストンエレメントはハウジングにより囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能であり、ベアリング方式で配列されて、スプリングエレメントを通じてハウジング上に支持される。ピストンエレメントを移動させることによって、流入開口及び第1排出開口のそれぞれの流動断面が制御される。
【0012】
本発明の設計によれば、ピストンエレメント及びハウジングはそれぞれ少なくとも1つの第1密閉面及び1つの第2密閉面を有する。このようにして、第1密閉面は共に第1シートを形成する一方、第2密閉面は共に第2シートを形成する。シート間には、チャンバー内に流入する間、流体を膨脹させるためのピストンエレメント及びハウジングにより囲まれたそれぞれの少なくとも1つのチャンバーまたはハウジングの壁内の少なくとも1つの第2排出開口が提供される。
ハウジングと別途にスプリングが装着されたピストンエレメントだけを有する装置は好ましくは、発生する圧力脈動を相当減少させるために複数のバルブ型シート及び膨脹チャンバーで形成される。シートは好ましくは、流体の質量流量を正確に制御するためにピストンエレメントの移動方向に沿って配列される。ピストンエレメントの移動方向はハウジングとピストンエレメントの縦軸に沿って整列される。
【0013】
本発明の追加開発によれば、ハウジングは中空シリンダー、特に開放された第1端部面及び第1端部面の遠位に(distally)配列された閉鎖された第2端部面を有する中空円形シリンダー形状を有する。
ハウジングの開放された第1端部面は好ましくは流体のための流入開口として形成される。
少なくとも1つの第1排出開口は有利には、ハウジングの外側表面に、そして第2端部面の領域に提供される。ピストンエレメントはハウジングと共に、ピストンエレメントによりカバーされないハウジングの少なくとも1つの第1排出開口の領域として少なくとも1つの第1流出開口を形成する。
【0014】
本発明の有利な設計によれば、第1密閉面は流入開口を完全に囲む。ハウジングの第2密閉面は好ましくは内壁に形成されて、内壁を完全に囲むだけではなく流入開口を向かう少なくとも1つの第1排出開口の側面領域に形成される。このようにして、ハウジングの密閉面は流入開口と少なくとも1つの第1排出開口間にそれぞれ配列される。
本発明の他の好ましい設計によれば、ハウジングの第1密閉面に隣接した少なくとも1つの第2排出開口は第1密閉面が流入開口と第2排出開口間から半径方向に形成されるように配列される。これは第2排出開口がハウジングの第1密閉面周囲から外側にオフセットされて半径方向に配列されるということを意味する。
本発明の追加利点は少なくとも1つの第2排出開口がその流動断面及び少なくとも1つの方向変化、特に方向の反転を有する直線流動チャンネルとして形成されるという点である。このようにして、第2排出開口は特に第1排出開口へのバイパスまたは迷路型流動経路を有する完全に制御可能な予備排出口(pre-outlet)である。
本発明の追加開発によれば、ピストンエレメントは軸方向に共通縦軸上で互いを向かって配向される少なくとも2個のセクションで形成される。このようにして、ピストンエレメントの端部面は好ましくはハウジングの流入開口を向かうように配向される。
【0015】
本発明の第1代案的な設計によれば、ピストンエレメントは第1セクション、第2セクション及び第3セクションを有する。
ピストンエレメントの第1セクションは好ましくは円形ディスク、特にシリンダー円形ディスク、特に少なくとも一面が湾曲された形状に形成される。このようにして、ピストンエレメントの第1セクションはハウジングの流入開口の方向に向かって配向されて配列され膨らむように湾曲された自由表面を有することができる。ピストンエレメントの第1セクションの円周面は半径方向に円周面から縦軸に延びる、特に円形リングセクションまたは楔型リセスの形状であるリセスを有することができる。リセスを円形リングセクションとして形成する時、隣接するように配列された円形リングセクションはピストンエレメントの第1セクションの最大外径まで半径方向に外部に延びる網(web)により互いに分離されることができる。
ピストンエレメントの第2セクションは好ましくはシリンダー、特に円形シリンダー形状を有し、第1端部面でピストンエレメントの第1セクションの第2表面に連結される。このようにして、ピストンエレメントの第2セクションの外径は有利にはピストンエレメントの第1セクションの外径より小さい。
ピストンエレメントの第3セクションは好ましくは中空シリンダー、特に中空円形シリンダーの形状に形成される。ピストンエレメントの第3セクションは閉鎖された第1端部面及び第1端部面の遠位に配列された開放された第2端部面を有することができる。このようにして、第1端部面はピストンエレメントの第2セクションに連結されることができ、第2端部面はハウジングの閉鎖された第2端部面に向かって配列されることができる。ピストンエレメントの第3セクションは好ましくは、ハウジングの内径に対応する外径からハウジング内でピストンエレメントを移動させるための間隙を引いたものに形成される。
【0016】
本発明の第2代案的な設計によれば、ピストンエレメントは第1セクション及び第2セクションを有する。
ピストンエレメントの第1セクションは好ましくは、円錐形外側表面及び閉鎖された第1端部面を有する円形切断円錐または中空シリンダー、特に中空円形シリンダーの形状に形成される。ピストンエレメントの第1セクションの外径は有利にはハウジングの内径より小さく、流体のための環形流動経路がハウジングの内壁とピストンエレメントの第1セクションの円周面間に形成される。このようにして、ピストンエレメントの第1セクションの円周面は半径方向に円周面から縦軸に延びる、特に円形リングセクションまたは楔型リセスの形状であるリセスを有することができる。
本発明の追加の有利な設計によれば、ピストンエレメントの第1密閉面はハウジングの流入開口方向に向かって配向されたピストンエレメントの第1セクションの表面に、またはハウジングの流入開口方向に向かって配向されたピストンエレメントの第2セクションの第1端部面に形成される。このようにして、第1密閉面は第2端部面の領域でピストンエレメントの第1セクションを完全に囲むことができる。
本発明の追加開発によれば、ピストンエレメントの第2密閉面はピストンエレメントの第3セクションの外壁またはピストンエレメントの第2セクションの外壁に提供される。このようにして、第2密閉面はそれぞれ外壁を完全に囲むことができる。
【0017】
この装置は流体が通過できるように、特に閉鎖状態でも装置周囲を流れることができるように流入開口から少なくとも1つの排出開口に流体を案内するための連結を提供するバイパス開口をさらに有することができる。
このようにして、バイパス開口はピストンエレメント内に形成されることができ、ハウジングの流入開口方向に配向された端部面から始まり、ピストンエレメントを貫通して軸方向に延長されることができる。さらに、ハウジングは流入開口に形成されたボリュームを排出開口に形成されたボリュームに連結するバイパス開口を有することができる。
ピストンエレメント内のバイパス開口またはハウジング内のバイパス開口は必要によって交互に、または共に形成されることができる。
本発明の追加利点はスプリングエレメントがコイルスプリング、特に圧力スプリングとして、好ましくはシリンダー方式で形成されるという点である。このようにして、スプリングエレメントの縦軸はピストンエレメント及びハウジングの縦軸に配列されることができる。
【0018】
スプリングエレメントは好ましくは第1端部を有するハウジングの支持部上に、そして第2端部を有するピストンエレメント上の支持部上に支持されて配列される。このようにして、支持部はピストンエレメントの第3セクションの閉鎖された第1端部面に形成される。
スプリングエレメントは少なくとも、偏向に依存する領域でピストンエレメント内に同心に配列されることができる。
本発明の追加好ましい設計によれば、ピストンエレメントはハウジングの流入開口に対する最小距離で第1端部ポジションに配列されるが、特にハウジングの流入開口または少なくとも1つの第1排出開口の流動断面が閉鎖されるようにハウジングの第1密閉面上に支持される。第2端部ポジションで、ピストンエレメントは好ましくは、流入開口及び少なくとも1つの第1排出開口の流動断面が完全に開放されるようにハウジングの流入開口に対する最大距離に配列される。
本発明の追加開発によれば、ハウジングの少なくとも1つの第1排出開口は圧縮機の吸入領域に向かって配向されて配列されるか、ハウジングの流入開口は圧縮機の排出口領域に向かって配向されて配列される。従って、この装置は圧縮機の上流または下流で流体の流動方向に、即ち、圧縮機の排出経路だけではなく吸入経路に配列されることができる。
【0019】
気体流体、特に冷媒の圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための、上述した装置を作動させるための有利な方法で、ハウジングに形成された流入開口または第1排出開口のそれぞれの流動断面は、ハウジングで囲まれて軸方向にスプリングエレメントを通じてハウジング上にベアリング方式で支持されるボリューム内のピストンエレメントを移動させることによって制御される。
ピストンエレメントは好ましくは流体の質量流量によって装置を通じて移動される。このようにして、ピストンエレメントとハウジング間の第1密閉面で形成された第1シートの流動断面またはピストンエレメントとハウジング間の第2表面で形成された第2シートの流動断面が完全開放と閉鎖の間でそれぞれ変更される。流体の質量流量は装置を通過する時に連続的に数回加速及び膨脹される。数回加速及び膨脹することは少なくとも2度のプロシージャの連続を意味する。
ピストンエレメントは好ましくは、第1シート及び第2シートが開放されるように、特に第1密閉面と第2密閉面が互いに離隔されて配列されるように、流体の流動により引き起こされる加圧力とスプリングエレメントのスプリング力によって移動される。このようにして、流体は第1シートを通じて流れる時に膨脹のためにチャンバー内に案内されてハウジングの開放された第1排出開口だけではなく、第2シートを通じて流出する。
さらに、流体は開放された第2排出開口を通じて流出されることができ、排出開口を通じて流れる時に加速及び膨脹されることができる。
【0020】
代案で、ピストンエレメントは第1シートが開放されて、特に第1密閉面が互いに離隔されて配列されて、第2シートは閉鎖されるように、特に第1密閉面は互いに接するように、流体の流動により生成された加圧力とスプリングエレメントのスプリング力により有利に移動される。このようにして、ハウジングの第1排出開口が閉鎖されて流体が開放された第2排出開口を通じて流出する。流体は排出開口を通じて流れる時に加速されて膨脹する。
装置の外に流れる前に、流体は膨脹のためにチャンバーを通じて案内されることができる。
本発明による圧力脈動を減衰させるための装置は好ましくは冷媒回路の冷媒圧縮機、特に自動車の空調システムに使われる。
この装置は好ましくは流動方向の追加ボリュームまたは偏向だけではなく、複数の流動断面減少または収縮の組み合いを有する。
【発明の効果】
【0021】
要約して圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための本発明による装置は次のような追加多様な利点を有する。
-車両の内部音響に邪魔になる方式で影響を及ぼす圧力脈動を減少させるか、例えば、乗客室の乗客に対する安らかさに影響を与える騷音放出を避けること、
-作動中の圧縮機の性能に対する最小圧力損失及び最小影響、それにより圧縮機の作動中の最大ボリューム効果及び最大効率だけではなく空調システムの最小追加エネルギー消費、
-複数の流動経路を有する最小空間要件と共に最小個数のコンポーネントからの単純な構成、
-電気的にまたは機械的に動力が供給されるスクロール圧縮機またはピストン圧縮機のような任意の圧縮機の全てのそれぞれの連結での普遍的な使用、及び
-生産及び組み立てのための最小費用。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の設計の追加細部事項、特徴及び利点は関連図面を参照した例示的な実施例の次の説明に起因する。図面はそれぞれ、ハウジングで囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能に配列されてスプリング装着されるピストンエレメントだけではなく、ハウジングを有する圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置を軸方向縦断面図に図示する。次のように図示される。
図1a】ピストンエレメントの第1実施例を示す図である。
図1b】ピストンエレメントの第2実施例を示す図である。
図2a】相違する作動状態にある図1aの装置の第1実施例を示す図である。
図2b】相違する作動状態にある図1aの装置の第1実施例を示す図である。
図2c】相違する作動状態にある図1aの装置の第1実施例を示す図である。
図3】前記装置と比較してピストンエレメントの変形された設計だけではなく流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第3実施例を示す図である。
図4a】相違する作動状態及び細部表現の図3の装置の第3 実施例を示す図である。
図4b】相違する作動状態及び細部表現の図3の装置の第3実施例を示す図である。
図4c】相違する作動状態及び細部表現の図3の装置の第3実施例を示す図である。
図4d】相違する作動状態及び細部表現の図3の装置の第3実施例を示す図である。
図5a】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1aによる第1実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第4実施例を示す図である。
図5b】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1aによる第1実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第4実施例を示す図である。
図5c】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1aによる第1実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第4実施例を示す図である。
図5d】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1aによる第1実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第4実施例を示す図である。
図5e】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1aによる第1実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第4実施例を示す図である。
図5f】平面図及び斜視図表面で第4実施例のピストンエレメントを示す図である。
図6a】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1bによる第2実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第5実施例を示す図である。
図6b】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1bによる第2実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第5実施例を示す図である。
図6c】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1bによる第2実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第5実施例を示す図である。
図6d】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1bによる第2実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第5実施例を示す図である。
図6e】閉鎖状態、それぞれピストンエレメントまたはハウジングの代案的な実施例による最小質量流量の通過のための状態だけではなく、中間質量流量で大きい質量流量への通過のための状態で図1bによる第2実施例と類似の、ピストンエレメント及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第5実施例を示す図である。
図6f】平面図及び斜視図表面で第5実施例のピストンエレメントを示す図である。
図7a】前記装置と比較して閉鎖状態、膨脹チャンバーによる、そして排他的に予備排出口による低いまたは最小質量流量の通過のための状態及び大きい質量流量の通過のための状態でピストンエレメントの変形された設計及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第6実施例を示す図である。
図7b】前記装置と比較して閉鎖状態、膨脹チャンバーによる、そして排他的に予備排出口による低いまたは最小質量流量の通過のための状態及び大きい質量流量の通過のための状態でピストンエレメントの変形された設計及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第6実施例を示す図である。
図7c】前記装置と比較して閉鎖状態、膨脹チャンバーによる、そして排他的に予備排出口による低いまたは最小質量流量の通過のための状態及び大きい質量流量の通過のための状態でピストンエレメントの変形された設計及び流体の流出のための予備排出口のあるハウジングを有する第6実施例を示す図である。
図7d】平面図及び斜視図表面で第6実施例のピストンエレメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a及び図1bはハウジング(2a)で囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能に配列されてスプリング装着されるピストンエレメント(3a、3b)だけではなく、ハウジング(2a)を有する圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置(1a、1b)の第1実施例及び第2実施例を軸方向縦断面図に示す。
ピストンエレメント(3a、3b)を案内するために形成されたハウジング(2a)は流体がハウジング(2a)を通じて完全に流れるように流体回路の、特に冷媒回路の流体チャンネル内に完全に配列される。ハウジング(2a)は実質的に中空シリンダー、特に開放された第1端部面及び第1端部面の遠位に配列された閉鎖された第2端部面を有する中空円形シリンダー形状を有する。このようにして、ハウジング(2a)の開放された第1端部面が流入開口(2-1)として形成される。中空円形シリンダーハウジング(2a)の外側表面には閉鎖された第2端部面の領域に少なくとも1つの排出開口(2-2)が提供される。
ハウジング(2a)内で案内されるピストンエレメント(3a、3b)は互いに対して軸方向に配列される第1セクション(3a-1、3b-1)、第2セクション(3a-2、3b-2)及び第3セクション(3-3)を有する。セクション(3a-1、3b-1、3a-2、3b-2、3-3)は共通縦軸に配列される。
【0024】
第1セクション(3a-1、3b-1)は湾曲されたシリンダー円形ディスクの形態に形成される。第1セクション(3a-1、3b-1)の膨らむように湾曲された自由表面は流入開口(2-1)方向に、そしてそれによりハウジング(2a)の開放された第1端部面に配向される。流体により生成された流動は第1セクション(3a-1、3b-1)の膨らむように湾曲された第1側面でピストンエレメント(3a、3b)に対する加圧力に作用する。円形ディスクの外径は一方では図1aの装置(1a)の第1実施例によって、ハウジング(2a)の内壁と円形ディスクの円周面間に開放された流体に対するリング形状流動経路が常に存在するように中空シリンダーハウジング(2a)の内径より実質的にさらに小さい。他方で、図1bの装置(1b)の第2実施例による円形ディスクの外径は中空円形シリンダーハウジング(2a)の内径からピストンエレメント(3b)をハウジング(2a)内に移動させるための間隙だけを引いたものに対応できる。
ピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の円形ディスクの円周面は円形ディスクの軸方向に円周面から延びる、特に円形リングセクションまたは楔型リセスの形状であるリセスを有することができる。リセスは円形ディスクの外径と関係なく流体に対する開放された流動経路を提供する。
【0025】
ピストンエレメント(3a、3b)の第2セクション(3a-2、3b-2)はシリンダー、特に円形シリンダー形状を有する。このようにして、第2セクション(3a-2、3b-2)はシリンダーの第1端部面で第1セクション(3a-1、3b-1)の第2表面に連結される。第2セクション(3a-2、3b-2)はピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)より小さな外径を有する。このようにして、第2セクション(3a-2、3b-2)の外径は実施例によって変わることができる。
シリンダーの第1端部面の遠位に形成される第2端部面で、ピストンエレメント(3a、3b)の第2セクション(3a-2、3b-2)は、実質的に中空シリンダー、特に閉鎖された第1端部面及び第1端部面の遠位に配列された開放された第2端部面を有する中空円形シリンダー形状を有する第3セクション(3-3)に連結される。ピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)は閉鎖された第1端部面の領域で第2セクション(3a-2、3b-2)に連結される。ピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)の開放された第2端部面はハウジング(2a)の閉鎖された第2端部面に向かって配向される。
【0026】
中空円形シリンダー第3セクション(3-3)の外径は中空円形シリンダーハウジング(2a)の内径からピストンエレメント(3a、3b)をハウジング(2a)内で移動させるための間隙を引いたものに対応する。ピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)の外側表面の外側面とハウジング(2a)の内壁間にはハウジング(2a)に対するピストンエレメント(3a、3b)の相対的な配列によって、流体質量流量、特に冷媒質量流量を防止する流体気密領域が形成される。
ハウジング(2a)は開放された第1端部面に、流入開口(2-1)を完全に囲む第1密閉面(2-3)、そして内壁に、内壁を完全に囲む第2密閉面(2-4)を有する。ハウジング(2a)の第2密閉面(2-4)は流入開口(2-1)に向かって配向された排出開口(2-2)の面の領域に形成される。
ピストンエレメント(3a、3b)は流入開口(2-1)の方向に、そしてそれによりハウジング(2a)の開放された第1端部面に配向された第1セクション(3a-1、3b-1)の膨らむように湾曲された自由表面に、流入開口(2-1)を完全に囲むハウジング(2a)の第1密閉面(2-3)と符合する第1密閉面(3-4)を有する。さらに、ピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)には中空円形シリンダーセクション(3-3)の外壁に提供される第2密閉面(3-5)が形成される。第2密閉面(3-5)は第3セクション(3-3)の外壁を完全に囲むように、または少なくともそれぞれハウジング(2a)の排出開口(2-2)の領域に形成される。ピストンエレメント(3a、3b)の第2密閉面(3-5)はハウジング(2a)の第2密閉面(2-4)とそれぞれ符合する。
【0027】
ピストンエレメント(3a、3b)はハウジング(2a)と共に流体、特に冷媒が流れることのできる貫流開口(5)及び少なくとも1つの流出開口(6)を形成する。貫流開口(5)はリセスを有するピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の円形ディスクの円周面及びハウジング(2a)の内壁から制限される一方、それぞれの流出開口(6)はピストンエレメント(3a、3b)によってカバーされないハウジング(2a)の排出開口(2-2)の領域を示す。ハウジング(2a)に対するピストンエレメント(3a、3b)の軸方向ポジションの変化によって、一方では互いに接して互いに符合するハウジング(2a)の第2密閉面(2-4)とピストンエレメント(3a、3b)の第2密閉面(3-5)の大きさ、そして他方では流入開口(2-1)及び流出開口(6)での流動断面の大きさが変わることができる。
ピストンエレメント(3a、3b)は第1セクション(3a-1、3b-1)の膨らむように湾曲された第1面でピストンエレメント(3a、3b)に作用する、流入開口(2-1)を通じてハウジング(2a)に流れる流体の流動力または加圧力によって、または流体の流動力の反対軸方向にピストンエレメント(3a、3b)に作用するスプリング力によって移動される。ハウジング(2a)とピストンエレメント(3a、3b)間にスプリングエレメント(4)が提供され、スプリングエレメント(4)は一方ではハウジング(2a)上の支持部(4-1)に、そして他方ではピストンエレメント(3a、3b)上の支持部(4-2)にベアリング方式で配列される。
【0028】
コイルスプリング、特に圧力スプリング、特にシリンダーとして形成されたスプリングエレメント(4)はハウジング(2a)及びピストンエレメント(3a、3b)の縦軸上でコイル軸と共に配列される。このようにして、スプリングエレメント(4)は第1端部がハウジング(2a)の支持部(4-1)と接する一方、スプリングエレメント(4)の第2端部はピストンエレメント(3a、3b)の支持部(4-2)と接する。スプリングエレメント(4)は支持部(4-1)の領域でセンタリング補助装置(centering aid)を通じてハウジング(2a)の縦軸に同心に配列される。
スプリングエレメント(4)に対する支持部(4-2)は、スプリングエレメント(4)が中空シリンダー第3セクション(3-3)で囲まれたボリューム内の第2端部の領域から中心合わせ方式で固定されるようにピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)の閉鎖された第1端部面に提供される。スプリングエレメント(4)は開放された第2端部面を通じて、ピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)により囲まれたボリューム内に突出し、少なくともピストンエレメント(3a、3b)に作用する加圧力に依存する領域でピストンエレメント(3a、3b)内に同心に配列される。
【0029】
加圧力として作用するスプリングエレメント(4)のスプリング力は加圧力として作用する流体の流動力に対する反対の力を構成する。それぞれの加圧力はそれぞれ互いに反対である軸方向に沿って作用する。流入開口(2-1)及び流出開口(6)での流動断面の大きさを変化させるためのハウジング(2a)内のピストンエレメント(3a、3b)の配列は流体に加えられる流動力によってスプリングエレメント(4)のスプリング定数から起因する。
ピストンエレメント(3a、3b)は互いに符合し、シートとして設計されるハウジング(2a)内の密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)で案内される。このようにして、第1シートはピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の円形ディスクの円周面の領域内のリセスとして最小貫流開口(5)が構成された円錐シートの形状に、ハウジング(2a)の第1密閉面(2-3)及びピストンエレメント(3a、3b)の第1密閉面(3-4)で形成される。第2シートは、ハウジング(2a)に半径方向に配列された数個の流出開口(6)を有するスライダーとしてハウジング(2a)の第2密閉面(2-4)及びピストンエレメント(3a、3b)の第2密閉面(3-5)で形成される。
【0030】
流体の質量流量、特に冷媒質量流量はシートを通じて流動する時にそれぞれの断面が狭くなるため、加速される。このようにして、第1密閉面(2-3、3-4)及び第2密閉面(2-4、3-5)は、質量流量を膨脹させて、それにより減速させるのに充分の大きさのチャンバー(7a、7b)が2個のシート間に形成されるように、流体の流動方向に互いに離隔されて配列される。
装置(1a、1b)のチャンバー(7a、7b)のボリュームは中空円形シリンダーハウジング(2a)の外側表面の内側面、ピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の第2表面、ピストンエレメント(3a、3b)の第2セクション(3a-2、3b-2)の外側面及びピストンエレメント(3a、3b)の第3セクション(3-3)の第1端部面によって制限されて大きさが相違する。チャンバー(7a、7b)の相違する大きさは、図1a及び図1bの実施例によって、特に第2セクション(3a-2、3b-2)の外径の変動を通じて可能になる。さらに、チャンバー(7a、7b)の大きさはハウジング(2a)の与えられた外径に対して装置(1a、1b)の長さを通じて変更されることができる。
【0031】
ピストンエレメント(3a、3b)は軸方向に装置(1a、1b)による流体の質量流量によってハウジング(2a)内で移動し、それによりシート上の、または密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)間の流動断面がそれぞれの質量流量に対応するために対応するように増加または減少する。装置(1a、1b)を通過する時、質量流量は連続的に数回加速されて膨脹される。このようにして、質量流量での圧力脈動の、または圧力パルスのエネルギーが運動エネルギーに変換されて加速を通じて数回圧力エネルギーにまた変換される。これはインパルスの振幅を減少させる。瓶首及び膨脹ボリュームとしてのシートの直列連結は、最新技術から知られた装置と比較して同一であるか、より低い圧力損失に改善された脈動減衰を引き起こす。
【0032】
図2a乃至図2cは相違する動作状態にある図1aの装置(1a)の第1実施例をそれぞれ図示する。
図2aは閉鎖状態にあり、従って、質量流量のない装置(1a)を示す。ハウジング(2a)及びピストンエレメント(3a)は密閉方式で互いに接するそれぞれの密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)を有する2個の閉鎖シートを形成する。第1密閉面(2-3、3-4)を有する第1シート及び第2密閉面(2-4、3-5)を有する第2シートの両方とも閉鎖される。第1セクション(3a-1)に形成されたピストンエレメント(3a)の第1密閉面(3-4)はハウジング(2a)の流入開口(2-1)を完全に囲む第1密閉面(2-3)に対して、スプリングエレメント(4)によって加えられる加圧力を通じて加圧される。
図2bは最小開放状態、そしてそれにより、装置(1a)を通す流体の流動方向(8)に低いまたは最小質量流量を有する状態の装置(1a)を示す。
流体の流動により生成されてピストンエレメント(3a)に作用する増加する加圧力により引き起こされる軸方向にのピストンエレメント(3a)の移動によって、第1シートの第1密閉面(2-3、3-4)及び第2シートの第2密閉面(2-4、3-5)が互いに離れるように移動され、シートが開放される。ハウジング(2a)の流入開口(2-1)を通じて装置(1a)内に流動する流体は開放された第1シートである貫流開口(5)を通じてチャンバー(7a)内に案内されて流動断面の大きい増加によって膨脹される。続いて、流体は増加する圧力下で開放された第2シートである流出開口(6)を通じて装置(1a)の外に流動してまた膨脹される。
貫流開口(5)及び流出開口(6)の開放は装置(1a)の設計、特にハウジング(2a)及びピストンエレメント(3a)の寸法によって同時に、または順次に行われることができる。さらに、流体の流速は装置(1a、1b)を通す流体の流動経路の一部として装置(1a、1b)のチャンバー(7a、7b)のボリュームの相違する大きさによって変化されることができる。
【0033】
図2cは装置(1a)による流体の流動方向(8)に最大質量流量を有する完全に開放された状態の装置(1a)を図示する。流体の流動により生成されてピストンエレメント(3a)に作用する最大加圧力によって引き起こされる軸方向へのピストンエレメント(3a)の移動によって、第1シートの第1密閉面(2-3、3-4)及び第2シートの第2密閉面(2-4、3-5)が互いにさらに離れるように移動され、シートが完全に開放される。ハウジング(2a)の流入開口(2-1)を通じて装置(1a)内に流動する流体は完全に開放された流出開口(6)を通じて装置(1a)の外に案内される。流出開口(6)が装置(1a)の円周周囲に分布して配列される時、流動方向(8)に表現された流出開口(6)に対する質量流量が例として表現される。チャンバー(7a)は形成されない。
表現されていない代案的な実施例によれば、装置は2個より多いシートを有する。シート間の拡大されたボリュームまたはチャンバーとして形成されたそれぞれの領域は流体の膨脹を提供する。シートは、流体に対する流動断面が流体の流動方向に少なくとも2回減少して流体がシートを通じて流動する時に膨脹されるように、流体に対するより小さな流動断面を有する通路を開放するようにそれぞれ構成される。それぞれのシートのそれぞれの開放流動断面はピストンエレメントのストロークによって変化し、従って、貫流に適応される。シートの密閉面と膨脹面の比率の設計は圧力脈動派の補償機能を変化させることができる。装置の開口特徴はシートの設計を通じて適応されることができる。
【0034】
図3はハウジング(2c)及びハウジング(2c)により囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能に配列されたスプリング装着ピストンエレメント(3c)を有する圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置(1c)の第3実施例を軸方向長さ断面図に図示する。
また、ピストンエレメント(3c)を案内するために形成されたハウジング(2c)は流体がハウジング(2c)を通じて完全に流れるように流体回路の、特に冷媒回路の流体チャンネル内に完全に配列される。ハウジング(2c)は図1a及び図1bによる第1実施例及び第2実施例と同様に、実質的に中空シリンダー、特に開放された第1端部面及び第1端部面の遠位に配列された閉鎖された第2端部面を有する中空円形シリンダー形状を有する。このようにして、ハウジング(2c)の開放された第1端部面が流入開口(2-1)として形成される。中空円形シリンダーハウジング(2c)の外側表面には閉鎖された第2端部面の領域に少なくとも1つの排出開口(2-2)が提供される。相違する実施例で繰り返される装置(1a、1b、1c)の同じエレメントは同じ参照番号で特性化される。
図1a及び図1bによる第1実施例及び第2実施例の装置(1a、1b)と比較して実質的な差はピストンエレメント(3c)の形態にある。
ハウジング(2c)内で案内されるピストンエレメント(3c)は軸方向に共通縦軸上で互いに向かって配列される第1セクション(3c-1)及び第2セクション(3c-2)を有する。
【0035】
ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)は、若干円錐形の外側表面及び閉鎖された第1端部面を有する円形切断円錐または中空シリンダー、特に中空円形シリンダーの形状に形成される。流体により生成された流動が加圧力として圧力エレメント(3c)に作用する第1端部面は流入開口(2-1)の方向に、そしてそれによりハウジング(2c)の開放された第1端部面に配列される。
ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)の外径は中空円形シリンダーハウジング(2c)の内径より小さく、ハウジング(2c)の内壁と円形切断円錐の円周面間に開放された流体に対する環形流動経路が常に存在する。さらに、ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)の外径は流入開口(2-1)の内径に実質的に対応する。第1セクション(3c-1)の円錐形態によって、ピストンエレメント(3c)は第1セクション(3c-1)の第1端部面が前方にある流入開口(2-1)内に挿入されて流入開口(2-1)内で中央に配列されることができる。
ピストンエレメント(3c)の截頭円錐形(frustoconical)第1セクション(3c-1)の円周面はピストンエレメント(3c)の縦軸方向に円周面から延びる、特に円形リングセクションまたは楔型リセスの形状であるリセスを有することができる。 リセスはまた、流入開口(2-1)内にピストンエレメント(3c)の配列を有する流体に対する開放流動経路を提供することができる。
【0036】
円形切断円錐の第1端部面の遠位に形成される第2端部面で、ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)は、実質的に中空シリンダー、特に第1端部面及び第1端部面の遠位に配列された開放された第2端部面を有する中空円形シリンダー形状を有する第2セクション(3c-2)に連結される。ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)は第1端部面の領域で第1セクション(3c-1)に連結される。ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)の開放された第2端部面はハウジング(2c)の閉鎖された第2端部面に向かって配向される。
中空円形シリンダー第2セクション(3c-2)の外径は中空円形シリンダーハウジング(2c)の内径からピストンエレメント(3c)をハウジング(2c)内で移動させるための間隙を引いたものに対応する。ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)の外側表面の外側面とハウジング(2c)の内壁間にはハウジング(2c)に対するピストンエレメント(3c)の相対的な配列によって、流体質量流量、特に冷媒質量流量を防止する流体気密領域が形成される。
【0037】
図3の装置(1c)の第3実施例のハウジング(2c)はまた、開放された第1端部面で流入開口(2-1)を完全に囲む第1密閉面(2-3)及び流入開口(2-1)に向かって配向された排出開口(2-2)の面の領域に形成される内壁で内壁を完全に囲む第2密閉面(2-4)を有する。
ピストンエレメント(3c)は流入開口(2-1)の方向に、そしてそれによりハウジング(2c)の開放された第1端部面に配向された第2セクション(3c-2)の第1端部面に、流入開口(2-1)を完全に囲むハウジング(2c)の第1密閉面(2-3)と符合する第1密閉面(3-4)を有する。このようにして、第1密閉面(3-4)は第2端部面の領域で第1セクション(3c-1)を完全に囲むように形成される。さらに、ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)は中空円形シリンダー第2セクション(3c-2)の外壁に提供される第2密閉面(3-5)を有する。第2密閉面(3-5)は第2セクション(3c-2)の外壁を完全に囲むように、または少なくともそれぞれハウジング(2c)の排出開口(2-2)の領域に形成される。ピストンエレメント(3c)の第2密閉面(3-5)はハウジング(2c)の第2密閉面(2-4)と符合する。
ピストンエレメント(3c)はハウジング(2c)と共に、流体、特に冷媒が流動する少なくとも1つの第1流出開口(6-1)を形成する。第1流出開口(6-1)はピストンエレメント(3c)によりカバーされないハウジング(2c)の排出開口(2-2)の領域を構成する。ハウジング(2c)に対するピストンエレメント(3c)の軸方向ポジションの変化によって、一方では互いに接して互いに符合するハウジング(2c)の第2密閉面(2-4)とピストンエレメント(3c)の第2密閉面(3-5)の大きさ、そして他方では流入開口(2-1)及び流出開口(6-1)での流動断面の大きさが変わることができる。
【0038】
図1a及び図1bによる第1実施例及び第2実施例の装置(1a、1b)と比較して追加の実質的な差は流体のための付加的な第2排出開口(2-5)の配列を有するハウジング(2c)の形態にある。予備排出口としてそれぞれ形成される第2排出開口(2-5)はより小さな流動断面を有する直線流動チャンネルの形状を有し、方向の変化を有して形成される。さらに、流動チャンネル内に提供された流動指向バッフル(flow directing baffle)を用いて流動チャンネル内の流動方向の多様な変化が保障されることができる。
予備排出口(2-5)はそれぞれ、流入開口(2-1)の領域からハウジング(2c)の排出開口(2-2)の領域まで延びる。このようにして、予備排出口(2-5)のそれぞれの第1端部は、第2流出開口(6-2)が半径方向に外側にオフセットされた予備排出口(2-5)の第1端部として第1密閉面(2-3)と接するように、流入開口(2-1)を完全に囲むハウジング(2c)の第1密閉面(2-3)に隣接した第2流出開口(6-2)として配列される。ハウジング(2c)の第1密閉面(2-3)は半径方向に流入開口(2-1)と第2流出開口(6-2)間に形成される。
このようにして、予備排出口(2-5)の実質的に2個の直線セクションはそれぞれ、流入開口(2-1)を通じて流動した後に予備排出口(2-5)を通じて案内される流体の質量流量が第1偏向を経て、偏向セクションを通じて流動する時、それぞれの場合180゜の流動方向の第2偏向を経て、排出開口(2-2)の領域の第2端部を通じて予備排出口(2-5)の外に流動するように、流入開口(2-1)に平行するように配向されて、偏向セクションを通じて互いに連結される。
【0039】
ピストンエレメント(3c)は第1セクション(3c-1)の第1端部面で、そしてまた第1密閉面(3-4)上でのハウジング(2c)内のピストンエレメント(3c)の配列によってピストンエレメント(3c)に作用する、流入開口(2-1)を通じてハウジング(2c)に流れる流体の流動力または加圧力及び流体の流動力の反対軸方向にピストンエレメント(3c)に作用するスプリング力によって移動される。ハウジング(2c)とピストンエレメント(3c)間にスプリングエレメント(4)が提供され、スプリングエレメント(4)は一方ではハウジング(2c)上の支持部(4-1)に、そして他方ではピストンエレメント(3c)上の支持部(4-2)にベアリング方式で配列される。
スプリングエレメント(4)に対する支持部(4-2)は、スプリングエレメント(4)が中空シリンダー第2セクション(3c-2)により囲まれたボリューム内に中心合わせ方式で固定されるように、ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)の第1端部面に形成される。スプリングエレメント(4)は開放された第2端部面を通じて、ピストンエレメント(3c)の第2セクション(3c-2)によって囲まれたボリューム内に突出して少なくとも、ピストンエレメント(3c)に作用する加圧力に依存する領域でピストンエレメント(3c)内に同心に配列される。
【0040】
ピストンエレメント(3c)は軸方向に装置(1c)による流体の質量流量によってハウジング(2c)内に移動されて、それによりシート上の、または密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)間の流動断面が個々の質量流量に対応するために対応するように増加または減少する。流体の質量流量は相違する流動経路を経て装置(1c)を通じて案内されることができ、ここで流体のそれぞれの流動経路はハウジング(2c)内のピストンエレメント(3c)のポジションまたはピストンエレメント(3c)及びハウジング(2c)の互いに対する相対的な配列に依存する。
【0041】
図4a乃至図4dはそれぞれ図3の装置(1c)の第3実施例を相違する動作状態及び細部表現を図示する。
図4aは閉鎖状態にあり、従って、質量流量のない装置(1c)を図示する。ハウジング(2c)及びピストンエレメント(3c)は密閉方式で互いに接する個々の密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)を有する2個の閉鎖シートを形成する。第1密閉面(2-3、3-4)を有する第1シート及び第2密閉面(2-4、3-5)を有する第2シートの両方とも閉鎖される。第2セクション(3c-2)に形成されたピストンエレメント(3c)の第1密閉面(3-4)はハウジング(2c)の流入開口(2-1)を完全に囲む第1密閉面(2-3)に対して、スプリングエレメント(4)により加えられる加圧力を通じて加圧される。ピストンエレメント(3c)の第1セクション(3c-1)は流入開口(2-1)内に配列される。
図4bはハウジング(2c)の閉鎖された第1流出開口(6-1)または閉鎖された第1排出開口(2-2)及びハウジング(2c)の開放された第2流出開口(6-2)または開放された第2排出開口(2-5)を有する状態、そしてそれにより、装置(1c)を通じてた流体の流動方向(8)への低いまたは最小質量流量を有する状態の装置(1c)を詳細な表現に示す。
流体の流動により生成されてピストンエレメント(3c)に作用する増加する加圧力により引き起こされる軸方向にのピストンエレメント(3c)の移動を通じて、第1シートの第1密閉面(2-3、3-4)が互いに離れるように移動される一方、第2シートの第2密閉面(2-4、3-5)は相変らず互いに接する。低い負荷、即ち、流体の低い質量流量で、ピストンエレメント(3c)は図4aの装置(1c)の完全に閉鎖された状態の配列から始まり、ただ予備排出口として構成されたハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)だけが先に開放されるように短い距離だけ移動する。排出開口(2-5)はピストンエレメント(3c)の最小ストローク後に開放される。
これは、第2シートが閉鎖された状態に維持される間、第1シートが開放されるということを意味する。ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1c)内に流動する流体は、予備排出口として機能するハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)及び開放された第2流出開口(6-2)を通じて装置(1c)から放出される。
【0042】
図4cで、装置(1c)はハウジング(2c)の開放された第1流出開口(6-1)または開放された第1排出開口(2-2)だけではなくハウジング(2c)の開放された第2流出開口(6-2)または開放された第2排出開口(2-5)を有する状態、そしてそれにより、装置(1c)による流体の流動方向(8)への大きい質量流量を有する状態で詳細な表現に図示される。流体の流動により生成されてピストンエレメント(3c)に作用するより増加する加圧力により引き起こされる軸方向へのピストンエレメント(3c)の移動を通じて、第1シートの第1密閉面(2-3、3-4)が互いにより離れるように移動されて、第2シートの第2密閉面(2-4、3-5)は互いから取り外される。ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1c)内に流動する流体は、開放された第2流出開口(6-2)及び予備排出口として機能するハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)を通じて装置(1c)の外に流動する一番目部分質量流量及び開放された第1流出開口(6-1)を通じて装置(1c)の外に流動する2番目部分質量流量に分割される。部分質量流量は装置(1c)の外に流動する時にハウジング(2c)の第1排出開口(2-2)の領域で混合される。
図4dは装置(1c)による流体の流動方向(8)に最大質量流量を有する完全に開放された状態の装置(1c)を図示する。流体の流動により生成されてピストンエレメント(3c)に作用する最大加圧力により引き起こされる軸方向のピストンエレメント(3c)の移動によって、第1シートの第1密閉面(2-3、3-4)及び第2シートの第2密閉面(2-4、3-5)が互いにさらに離れるように移動されて、シートが完全に開放される。ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1c)内に流動する流体は完全に開放された第1流出開口(6-1)を通じて実質的に装置(1c)の外に案内される。
【0043】
第1流出開口(6-1)が相変らず閉鎖されている間、ピストンエレメント(3c)の移動中に先に開放される第2流出開口(6-2)または予備排出口としてそれぞれ形成される第2排出開口(2-5)を有する装置(1c)の第3実施例は、特に非常に低い質量流量の場合に、装置(1c)を通じて流動する流体の質量流量によって流動断面の大きさが完全に制御可能である。また、非常に低い質量流量の場合、発生する圧力脈動は、迷路型予備排出口(2-5)による流動により減少する。ピストンエレメント(3c)の特定ストロークの後に、圧力脈動の除去のために特別に構成される第1排出開口(2-2)だけではなくメーン排出口も開放される。
装置(1c)は流体の全ての相違する質量流量に対して適応された貫流特徴を有する。流出開口(6-1、6-2)はダンピング特徴が全てのそれぞれの負荷状況に対して最適されるように互いに適応される。
【0044】
図5a乃至図5eはそれぞれ、軸方向縦断面表現で、ハウジング(2c、2c”)だけではなくハウジング(2c、2c”)により囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能に配列されたスプリング装着ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’)を有する圧縮機に対する圧力脈動を減衰させるための装置(1d、1d’、1d”)の第4実施例を図示し、図6a乃至図6eはそれぞれ第5実施例を図示する。それぞれ平面図及び斜視図表現で、図5fは第4実施例のピストンエレメント(3a)を図示し、図6fは第5実施例のピストンエレメント(3b)を図示する。
図5a、図5b及び図5eによる第4実施例の装置(1d)は図3及び図4a乃至図4dによる装置(1c)の第3実施例のハウジング(2c)と図1aによる装置(1a)の第1実施例のピストンエレメント(3a)の組み合いとして形成される一方、図6a、図6b及び図6eによる第5実施例の装置(1d)は図3及び図4a乃至図4dによる装置(1c)の第3実施例のハウジング(2c)と図1bによる装置(1b)の第2実施例と類似のピストンエレメント(3b)の組み合いを示す。相違する実施例で繰り返される装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”)の同じエレメントは同じ参照番号で特性化される。それぞれの図面の個別コンポーネントの説明が参照になる。
【0045】
図5a及び図6aはそれぞれ、閉鎖状態にあり、従って、質量流量のない装置(1d)を示す。ハウジング(2c)及びピストンエレメント(3a)はそれぞれ密閉方式で互いに接する個々の密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)を有する2個の閉鎖シートを形成する。第1密閉面(2-3、3-4)を有する第1シート及び第2密閉面(2-4、3-5)を有する第2シートの両方とも閉鎖される。第1セクション(3a-1、3b-1)に形成されたピストンエレメント(3a、3b)の第1密閉面(3-4)はハウジング(2c)の流入開口(2-1)を完全に囲む第1密閉面(2-3)に対して、スプリングエレメント(4)により加えられる加圧力を通じて加圧される。ピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)は流入開口(2-1)を閉鎖するように配列される。
図5b及び図6bで、装置(1d)はそれぞれ、予備排出口として形成された第2排出開口(2-5)を排他的に通じる流体の流動方向(8)により低いまたは最小の質量流量を案内するための状態に配列される。このようにして、ハウジング(2c)の第1流出開口(6-1)または第1排出開口(2-2)は閉鎖される一方、ハウジング(2c)の第2流出開口(6-2)または第2排出開口(2-5)は開放される。
第1シートのピストンエレメント(3a、3b)の第1密閉面(3-4)とハウジング(2c)の第1密閉面(2-3)は、第1シートが開放されるように互いに離隔されて配列される一方、第2シートのピストンエレメント(3a、3b)の第2密閉面(3-5)とハウジング(2c)の第2密閉面(2-4)は第2シートが閉鎖されるように互いに接する。従って、流体はピストンエレメント(3a、3b)の最小ストローク後に取り外される予備排出口として構成されたハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)を通じてのみ流動する。ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1d)内に流動する流体は、予備排出口として機能するハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)及び開放された第2流出開口(6-2)を通じて装置(1d)から放出される。チャンバー(7a、7b)は流体により流動することではなく、チャンバー(7a、7b)はピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)とハウジング(2c)間に形成された貫流開口(5)を通じて流入及び流出する流体の圧力パルスのための膨脹ボリュームとして機能する。
【0046】
図5c及び図6cはそれぞれ、ピストンエレメント(3a’、3b’)の、そしてそれにより装置(1d’)の第4実施例及び第5実施例の代案的な実施例を図示する一方、図5d及び図6dはハウジング(2c”)の、そしてそれによりまた、装置(1d)の第4実施例及び第5実施例の代案的な実施例をそれぞれ図示する。このようにして、装置(1d’、1d”)はそれぞれ、閉鎖状態に配列されるが、最小質量流量を案内するために配列される。
ハウジング(2c、2c”)及びピストンエレメント(3a、3b、3a’、3b’)はそれぞれ密閉方式で互いに接する個々の密閉面(2-3、3-4、2-4、3-5)を有する2個の閉鎖シートを形成する。第1密閉面(2-3、3-4)を有する第1シート及び第2表面(2-4、3-5)を有する第2シートの両方とも閉鎖される。
図5c及び図6cによる装置(1d’)の場合、ピストンエレメント(3a’、3b’)はそれぞれ、流入開口(2-1)に形成されたボリュームを排出開口、特に第1排出開口(2-2)に形成されたボリュームと連結するためのバイパス開口(3-6)を有する。バイパス開口(3-6)は実質的にピストンエレメント(3a’、3b’)を通じて、特にピストンエレメント(3a’、3b’)の第1セクションを通じて軸方向に延びる。中空シリンダー第2セクション(3b-2)を有するピストンエレメント(3b’)を形成する時、バイパス開口(3-6)はピストンエレメント(3b’)の第2セクション(3b-2)により囲まれた第2ボリューム内に開放されるが、これは他方では、ピストンエレメント(3b’)の中空シリンダー第3セクション(3-3)により囲まれたボリュームに連結される。
このようにして、ピストンエレメント(3a’、3b’)は軸方向に、閉鎖された第2シートを有し、それによりハウジング(2c)の第2密閉面(2-4、3-5)及びピストンエレメント(3a’、3b’)に接するハウジング(2c)の第1排出開口(2-2)がピストンエレメント(3a’、3b’)により完全に閉鎖さらない、そのような長さを有する。排出開口(2-2)に対する連結を提供するギャップは、軸方向に閉鎖された第2シートに配向された遠位端部で、ピストンエレメント(3a’、3b’)の第3セクション(3-3)の端部面でハウジング(2c)に開放される。
流動方向(8)にハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1d’)内に流動する流体は、開放された第1排出開口(2-2)としてハウジング(2c)とピストンエレメント(3a’、3b’)間に形成されたギャップ及びピストンエレメント(3a’、3b’)に形成されたバイパス開口(3-6)を通じて装置(1d’)から排出される。
【0047】
図5d及び図6dによる装置(1d”)の場合、ハウジング(2c”)はそれぞれ、流入開口(2-1)に形成されたボリュームを排出開口、特に第2排出開口(2-5)に形成されたボリュームと連結するためのバイパス開口(2-6)を有する。
ハウジング(2c”)の流入開口(2-1)を通じて装置(1d”)内に流動する流体は、開放された第2流出開口(2-5)及びハウジング(2c”)に形成されたバイパス開口(2-6)を通じて装置(1d”)から排出される。
【0048】
図5e及び図6eで、装置(1d)はそれぞれ、予備排出口として形成された第2流出口(2-5)を通じて、そしてチャンバー(7a、7b)を通じてても流体の流動方向(8)で(に)中間ないしより大きい質量流量を案内するための状態で(に)配列される。ハウジング(2c)の第2流出開口(6-2)または第2排出開口(2-5)とは別個で(に)、ハウジング(2c)の第1流出開口(6-1)または第1排出開口(2-2)がまた開放される。
第1シートのピストンエレメント(3a、3b)の第1密閉面(3-4)とハウジング(2c)の第1密閉面(2-3)及び第2シートのピストンエレメント(3a、3b)の第2密閉面(3-5)とハウジング(2c)の第2密閉面(2-4)の何れもが離隔されて配列されて、シートが開放される。ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1d)内に流動する流体は、開放された第2流出開口(6-2)及び予備排出口として機能するハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)を通じて装置(1d)の外に流動する一番目部分質量流量及び開放された第1流出開口(6-1)を通じて装置(1d)の外に流動する2番目部分質量流量に分割される。このようにして、流体の2番目部分質量流量は、ピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)とハウジング(2c)間に形成された貫流開口(5)を通じてチャンバー(7a、7b)内に案内されて流動断面の大きい増加によって膨脹される。続いて、流体は増加する圧力下で開放された第2シートである第1流出開口(6-1)を通じて装置(1d)の外に流動して、また膨脹される。
図1aだけではなく、図5a、図5b及び図5eによる装置(1a、1d)のピストンエレメント(3a)の実質的な差は第1セクション(3a-1)の形態にある。図1aの装置(1a)の第1実施例の、円形ディスクとして形成されたピストンエレメント(3a)の第1セクション(3a-1)の外径は中空円形シリンダーハウジング(2c)の内径より実質的により小さいが、図5a、図5b及び図5eの装置(1d)の第5実施例の円形ディスクとして形成されたピストンエレメント(3a)の第1セクション(3a-1)の外径は中空円形シリンダーハウジング(2c)の内径からピストンエレメント(3a)をハウジング(2c)内で移動させるためのギャップだけを引いたものに対応する。
【0049】
図5f及び図6fは特に、円形ディスクとして形成されたピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の円周面でのリセスの形成を図示する。流体のための開放流動経路をそれぞれ提供するリセスは円形リングセクションの形状を有する。このようにして、隣接するように配列された円形リングセクションは網によって互いに分離される。網はピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の最大外径まで半径方向に外側に延びる。従って、円周面の円周周囲に均一に分布する4個の網は、中空円形シリンダーハウジング(2c)の内径の壁とピストンエレメント(3a、3b)の第1セクション(3a-1、3b-1)の円周面間に形成された円形リングを同じ流動断面を有する4個の同じ円形リングセクションに分割する。
【0050】
図7a乃至図7cはそれぞれ、ハウジング(2c)により囲まれたボリューム内から軸方向に移動可能に配列された上の装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”)から偏向方式で形成されたスプリング装着ピストンエレメント(3e)だけではなく流体の流出のための予備排出口を有するハウジング(2c)を有する圧縮機に対する圧力脈動をダンピングするための装置(1e)の第6実施例を軸方向縦断面表現で示す。
図7a乃至図7cによる第6実施例の装置(1e)は図3及び図4a乃至図4dによる装置(1c)の第3実施例のハウジング(2c)の組み合い及び図1aによる装置(1a)の第1実施例のピストンエレメント(3a)と図1bによる装置(1b)の第2実施例のピストンエレメント(3b)の組み合いとして形成される。相違する実施例で繰り返される装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)の同じエレメントは同じ参照番号で特性化される。それぞれの図面の個別コンポーネントの説明が参照になる。
図5a、図5b及び図5eだけではなく図6a、図6b及び図6eによる装置(1d)に対する図7a乃至図7cによる装置(1e)の実質的な差は、ハウジング(2c)及びピストンエレメント(3a、3b、3e)の形態、特により小さな、または最小質量流量を案内するための状態の間のこれらの対応挙動にある。
円形ディスクとして形成された装置(1e)の第6実施例のピストンエレメント(3e)の第1セクション(3e-1)の外径は中空円形シリンダーハウジング(2c)の内径より実質的により小さく、従って、図1aによる装置(1a)の第1実施例のピストンエレメント(3a)の第1セクション(3a-1)の形態に対応する。シリンダーとして、特に円形シリンダーとして形成された、装置(1e)の第6実施例のピストンエレメント(3e)の第2セクション(3e-2)の外径は実質的に、図1bまたは図6a、図6b及び図6eによる装置(1b、1d)の第2実施例及び第5実施例のピストンエレメント(3b)の第2セクション(3b-2)の外径に対応する。
【0051】
図7aは閉鎖状態の装置(1e)を図示する一方、図7bの装置(1e)はチャンバー(7e)による、そして続いて、予備排出口として形成された第2排出開口(2-5)による流体の流動方向(8)により小さな、または最小質量流量を案内するための状態に図示される。ハウジング(2c)の第1流出開口(6-1)または第1排出開口(2-2)はそれぞれ閉鎖される一方、ハウジング(2c)の第2流出開口(6-2)または第2排出開口(2-5)は図7aの装置(1e)の閉鎖状態に閉鎖されて、図7bの状態で開放されてチャンバー(7e)に連結される。
図7bのより低いまたは最小質量流量を案内するための状態で、第1シートのピストンエレメント(3b)の第1密閉面(3-4)及びハウジング(2c)の第1密閉面(2-3)は互いに離隔されて最小ギャップを形成するか、ハウジング(2c)と共にピストンエレメント(3e)の第1セクション(3e-1)により形成された貫流開口(5)が少なくとも部分的に開放されて第1シートも開放されるように少なくとも互いに対して配列される。さらに、第2シートのピストンエレメント(3e)の第2密閉面(3-5)とハウジング(2c)の第2密閉面(2-4)は第2シートが閉鎖されるように互いに接する。従って、流体は予備排出口として構成されてチャンバー(7e)に連結されたハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)を通じてのみ流動できる。ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1e)内に流動する流体は、ピストンエレメント(3e)の第1セクション(3e-1)とハウジング(2c)間に形成された貫流開口(5)を通じてチャンバー(7e)内に案内されて流動断面の大きい増加によって膨脹される。続いて、流体は予備排出口として機能するハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)及び開放された第2流出開口(6-2)を通じて装置(1e)の外に流動する。
流体の流動により生成されてピストンエレメント(3e)に作用する加圧力により引き起こされる軸方向にのピストンエレメント(3c)の移動を通じて、第1シートの第1密閉面(2-3、3-4)が互いにさらに離れるように移動されることができ、第2シートの第2密閉面(2-4、3-5)は互いから取り外されることができる。その次、ハウジング(2c)の流入開口(2-1)を通じて装置(1e)内に流動する流体は、開放された第2流出開口(6-2)及び予備排出口として機能するハウジング(2c)の第2排出開口(2-5)を通じて装置(1e)の外に流動する一番目部分質量流量及び開放された第1流出開口(6-1)を通じて装置(1e)の外に流動する2番目部分質量流量に分割される。
【0052】
図7cは図5e及び図6eの装置(1d)の第4実施例または第5実施例の状態と類似するように、予備排出口として形成された第2排出開口(2-5)を通じて、そしてチャンバー(7e)を通じても流体の流動方向(8)に、中間乃至大きい質量流量を案内するための状態の装置(1e)を図示する。ハウジング(2c)の第2流出開口(6-2)または第2排出開口(2-5)とは別に、ハウジング(2c)の第1流出開口(6-1)または第1排出開口(2-2)がまた開放される。追加説明のために図5e及び図6eの表現が参照になる。
流出開口(6-1、6-2)が装置(1e)の円周周囲に分布して配列される時、流動方向(8)にそれぞれ表現されたそれぞれの流出開口(6-1、6-2)に対する質量流量が例として表現される。
【0053】
図7dは装置(1e)の第6実施例のピストンエレメント(3e)を平面図及び斜視図表現で示す。ピストンエレメント(3e)の第1セクション(3e-1)の円周面に提供され、流体のための開放流動経路を提供するリセスは他方では、それぞれ円形リングセクションの形態を有する。ピストンエレメント(3e)の円形シリンダー第1セクション(3e-1)及び円形シリンダー第2セクション(3e-2)は同じ大きさの外径で形成される。隣接するように配列された円形リングセクションを互いに分離させる網はそれぞれ円形シリンダー第1セクション(3e-1)の外径から半径方向に外側に延びる。
ハウジング(2c”)のバイパス開口(2-6)としてまたはピストンエレメント(3a’、3b’)のバイパス開口(3-6)として形成された貫通開口は装置(1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e)の実施例と関係なくハウジング(2a、2c、2c”)の、そしてピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の代案的な設計と見なすべきである。装置の相違するハウジング(2a、2c、2c”)とピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の組み合いがまた可能である。
類似するように、予備排出口として形成された第2排出開口(2-5)は装置(1c、1d、1d’、1d”、1e)の実施例と関係なく、装置(1c、1d、1d’、1d”、1e)のハウジング(2c、2c”)にまたはハウジング(2c、2c”)を囲むコンポーネントの、例えば冷媒回路の、特に圧縮機のまたは連結ラインの壁に表現されたように構成されることができる。
予備排出口を有するハウジング(2c、2c”)をそれぞれ有する図3乃至図7dの装置(1c、1d、1d’、1d”、1e)を用いて、一方では最適のダンピング効果が達成されて、同時に過度な圧力損失が防止される。
【符号の説明】
【0054】
1a、1b、1c、1d、1d’、1d”、1e:装置
2a、2c、2c”:ハウジング
2-1:流入開口
2-2:(第1)排出開口
2-3:ハウジング(2a、2c、2c”)の第1密閉面
2-4:ハウジング(2a、2c、2c”)の第2密閉面
2-5:第2排出開口、予備排出口
2-6:ハウジング(2c”)のバイパス開口
3a、3a’、3b、3b’、3c、3e:ピストンエレメント
3a-1、3b-1、3c-1、3e-1:ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’3c、3e)の第1セクション
3a-2、3b-2、3c-2、3e-2:
ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の第2セクション
3-3 :ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3e)の第3セクション
3-4 :ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の第1密閉面
3-5:ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の第2密閉面
3-6:ピストンエレメント(3a’、3b’)のバイパス開口
4:スプリングエレメント
4-1:ハウジング(2a、2c、2c”)の支持部
4-2:ピストンエレメント(3a、3a’、3b、3b’、3c、3e)の支持部
5:貫流開口
6、6-1:(第1)流出開口
6-2 :第2流出開口
7a、7b、7e:チャンバー
8:流体の流動方向
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図7c
図7d
【国際調査報告】