(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】患者の血管における最適な挿入セグメントを決定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20231031BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20231031BHJP
A61B 5/15 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61M5/42 520
A61B34/20
A61B5/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519793
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021079632
(87)【国際公開番号】W WO2022090201
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516308825
【氏名又は名称】ビー・ヘルスケア
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ブレトー アリアウメ
(72)【発明者】
【氏名】デ チェイスマルタン ジャン‐バプテスト
(72)【発明者】
【氏名】バシュリエ ソフィー
【テーマコード(参考)】
4C038
4C066
【Fターム(参考)】
4C038TA10
4C038UE10
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL13
4C066QQ52
4C066QQ82
(57)【要約】
針を患者の静脈に挿入するために、患者の四肢における少なくとも1つの最適な挿入セグメント(810a、810b、810c、810d)を決定する方法であって、前記挿入セグメント(810a、810b、810c、810d)は挿入ポイント(820a、820b、820c、820d)と挿入方向と最大挿入長とを表し、前記決定する方法は、近赤外線照明を患者の四肢に照射するステップと、患者の四肢の近赤外線画像を取得するステップと、静脈の画像を得るために、取得した画像を前処理するステップと、血管プロファイルマップを得るために静脈の画像に線形構造検出フィルタを適用するステップと、血管プロファイルマップを二値化するステップと、静脈をスケルトン化するステップと、静脈のスケルトンから挿入セグメントを定義するステップと、所定の分類パラメータに従って挿入セグメントを分類するステップと、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針を前記血管に挿入するための、患者の血管における少なくとも1つの最適な挿入セグメント(810a、810b、810c、810d)を決定する方法であって、前記挿入セグメント(810a、810b、810c、810d)は前記患者の身体の一部における挿入ポイント(820a、820b、820c、820d)と挿入方向と最大挿入長とを表し、以下のステップ:
近赤外線照明により前記患者の身体の一部を照射するステップ(110)と、
少なくとも1つのカメラ(920)で前記患者の身体の一部の近赤外線画像を取得するステップ(120)と、
前処理画像と称される、前記患者の身体の一部の表面上に見える前記血管の画像を得るために、前記取得した画像を前処理するステップ(130)と、
前記患者の身体の一部の表面上に見える前記血管を識別する、血管プロファイルマップと称される、画像を得るために、前記前処理された画像に線形構造検出フィルタを適用するステップ(140)と、
前記血管プロファイルマップを二値化するステップ(150)と、
二値化された前記血管プロファイルマップ上の前記血管をスケルトン化するステップ(170)であって、各血管について、前記血管のスケルトンを得るように構成される、前記スケルトン化するステップと、
各血管について、前記血管の前記スケルトンから挿入セグメントを定義するステップ(180)と、
1つ又は2つ以上の最適な挿入セグメントを識別するように、所定の分類パラメータに従って挿入セグメントを分類するステップ(190)と、を備える決定する方法。
【請求項2】
前記挿入セグメント(810a、810b、810c、810d)を分類するために予め定められた分類パラメータは、以下のリスト、
前記患者の身体の一部上の血管の位置の既知のパターンに関する前記セグメントの前記位置、
前記血管プロファイルマップ上で計算された、前記セグメントに対応する前記血管の輪郭内に含まれる前記血管のすべてのポイントの平均密度、
前記セグメントの長さ、
前記セグメントにおける前記血管の深さ、
前記セグメントにおける前記血管の直径、
前記セグメントの方向、
前記挿入セグメント上の皮膚の不規則物の有無、
前記患者の好み、及び
同じ患者に対する以前の挿入歴、からの1つ又は2つ以上のパラメータから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の決定する方法。
【請求項3】
前記線形構造検出フィルタは、フランジフィルタであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の決定する方法。
【請求項4】
前記血管の前記スケルトンから挿入セグメントを定義するステップ(180)であって、この定義するステップは、
各スケルトンの各ポイントに対してノードを作り出すサブステップと、
グラフを形成するように、各ノードを特徴づけるサブステップであって、ノードは、仮に前記ノードが単一のノードにのみ接続されている場合には端部ポイントとなり、枝は、2つの隣接するノードのみを有する共に接続されたノードのセットから形成され、各枝は、前記枝を形成するノードの数によって重み付けされる前記特徴づけるサブステップと、
各枝を前記二値化された画像上において対応する前記血管と比較することにより、各グラフを確認するサブステップと、
前記枝を新しい枝に分割すること、及び、各々の前記新しい枝の間に接合ノードを作り出すことにより、対応する前記血管上において中心化されていない各枝を修正するサブステップと、
セグメントを定義するサブステップであって、1つのセグメントは、その対応する血管上において中心化された枝に対応すると共に、所定のパラメータよりも大きい長さを有している、前記定義するサブステップと、を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の決定する方法。
【請求項5】
前記カメラ(920)は、単色であり、近赤外線ハイパスフィルタを備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の決定する方法。
【請求項6】
針を前記血管に挿入するための、患者の血管における少なくとも1つの最適な挿入セグメントを決定するシステムであって、前記セグメントは、前記患者の身体の一部における挿入ポイント、挿入方向、および最大挿入長を表すものであると共に、前記患者の身体の一部の画像を取得するためのユニットと、前記画像取得ユニットによって取得された画像を処理するためのユニットとを備え、
前記画像取得ユニット(910)は、
前記患者の身体の一部を近赤外線照明により照射するように構成された近赤外線照明(930)と、
前記患者の身体の一部の近赤外線画像を取得するように構成された少なくとも1つのカメラ(920)と、を備え、
前記画像処理ユニット(910)は、
前処理画像と称される、前記患者の身体の一部の表面上において見える前記血管の画像を提供できるように構成された画像を前処理するためのモジュールと、
前記患者の身体の一部の表面上に見える前記血管を識別する血管プロファイルマップと称される画像を得るために、前記前処理された画像に線形構造検出フィルタを適用するように構成された、フィルタリング用モジュールと、
前記血管プロファイルマップを二値化するためのモジュールと、
各血管につき、前記血管のスケルトンを取得するために、前記二値化された血管プロファイルマップ上において前記血管をスケルトン化するためのモジュールと、
各血管ごとに、前記血管の前記スケルトンから挿入セグメントを定義するためのモジュールと、
1つ又は2つ以上の最適な挿入セグメントを識別するように構成され、予め定められた分類パラメータに従って前記挿入セグメントを分類するためのモジュールと、を備える、前記決定するシステム。
【請求項7】
前記カメラ(920)は単色であると共に、近赤外線ハイパスフィルタを備えることを特徴とする、請求項6に記載の決定するシステム。
【請求項8】
患者(10)の身体の一部に針を挿入するための自動又は半自動挿入装置であって、メカトロニックアセンブリ(16)と、前記メカトロニックアセンブリ(16)を制御するためのユニット(20)と、
メカトロニックアセンブリ(16)に取り付けられた針用の挿入ヘッド(12)とを備え、
前記患者(10)の身体の一部に前記針を挿入するための最適挿入セグメントを決定するように構成された、請求項6又は7に記載の決定するシステム(900)をさらに備えることを特徴とする、前記自動又は半自動挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者、人間又は人間でないものの血管における最適な挿入セグメントを決定するための方法及びシステムに関する。本発明は、より詳細には、患者の血管における最適な挿入セグメントの決定を可能にする画像を取得し且つ処理するための方法及びシステムに関する。また、本発明は、本発明によるシステムを使用した自動又は半自動の血液サンプリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
毎日、医療施設では、採血、注射等、非常に多くの数の管アクセス処置が行われている。これらの操作は、時間がかかり、繰り返し行われ、医療従事者と患者にとって潜在的に危険であり、針が血管に導入されるときに、例えば、医療従事者が震えていたり、疲れていたり、経験が浅かったり、患者が動いたり、助けにならない方法の反応をしたりすることによって引き起こされる、それに関連する怪我のリスクを考慮しなければならない。
【0003】
さらに、いくらかの患者は、効果的な採血にあまり適さない血管を有し、採血を許容する血管に到達できる前に、医療従事者による針の挿入を何度も試みる必要があるかもしれない。このような繰り返しの試みは、患者にとって痛みを伴うと共に、怪我を生じさせる可能性があり、これらの患者へのサンプリング作業は複雑になるばかりである。
【0004】
さらに、世界的なコロナウイルス健康危機を受け、患者と医療従事者との間の接触を制限し、及び/又は住民の大規模なスクリーニングを確保するシステムを開発することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本出願人は、WO2015158978において、患者の腕の近赤外線画像をキャプチャするための手段と、キャプチャした画像において静脈を検出するための手段と、検出した静脈を保持するための装置と、針と、検出した静脈に針を挿入するための手段とを備える患者の静脈に自動挿入するための装置を提案した。
【0007】
従って、このような装置により、採血操作を自動化できる。
【0008】
この装置による静脈の検出は、健康面や安全面の観点から良好な状態で針が挿入されることを保証する重要なステップである。特に、静脈が容易に到達されることを保証するように、リスクを大幅に制限する最適な挿入セグメントを見つける必要がある。挿入セグメントは、挿入ポイント、挿入方向、最大挿入長によって定義される。
【0009】
従来技術では、静脈などの血管を検出するため、特に、針の挿入に最も適していると思われる静脈を人が決定できるようにすることで、手動挿入を希望する操作者を補助するための解決策が提案されている。これらの解決策では、静脈を画像化又は検出するためのシステムを使用するが、このようなシステムは、コストが高く、動作が遅く、時には使用するのが難しい場合がある。
【0010】
しかしながら、従来技術の解決策は、操作者を補助することに限定されており、操作者自身が針の挿入ポイントと針の向きを決定する。
【0011】
したがって、本発明者らは、様々なプロファイル、すなわち彼らの形態構造、皮膚の色素沈着、マーク、ほくろ、毛髪等に関係なく、このようなプロファイルを有する多数の患者において、最適な挿入セグメントの選択の特に自動的かつ自律的な操作を可能にするために、最適な挿入セグメントを決定するための手順を改善しようとしてきた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の目的
本発明は、患者の血管における最適な挿入セグメントを決定するためのシステム及び方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、特に、最適な挿入セグメントを自動的かつ自律的に決定するためのシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、特に、本発明の少なくとも1つの実施形態において、様々なプロファイル、すなわち彼らの形態構造、皮膚の色素沈着、マーク、ほくろ、毛髪等に関係ない、このようなプロファイルを有する多数の患者に作用することを決定するためのシステム及び方法を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、特に、本発明の少なくとも1つの実施形態において、効果的で、安価で実施しやすい決定するためのシステム及び方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、特に、本発明の少なくとも1つの実施形態において、血管の向きを知ることができ、針の挿入中に針のための可能な経路を知ることができるように決定するためのシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【0017】
発明の詳細な説明
この目的のために、本発明は、針を前記血管に挿入するための患者の血管における少なくとも1つの最適な挿入セグメントを決定する方法であって、前記挿入セグメントは患者の身体の一部における挿入ポイントと挿入方向と最大挿入長とを表し、以下のステップ:
近赤外線照明により前記患者の身体の一部を照射するステップと、
少なくとも1つのカメラで前記患者の身体の一部の近赤外線画像を取得するステップと、
前処理画像と称される、前記患者の身体の一部の表面上に見える前記血管の画像を得るために、前記取得した画像を前処理するステップと、
前記患者の身体の一部の表面上に見える前記血管を識別する、血管プロファイルマップと称される、画像を得るために、前記前処理された画像に線形構造検出フィルタを適用するステップと、
前記血管プロファイルマップを二値化するステップと、
二値化された前記血管プロファイルマップ上の前記血管をスケルトン化するステップであって、各血管について、前記血管のスケルトンを得るように構成される、前記スケルトン化するステップと、
各血管について、前記血管の前記スケルトンから挿入セグメントを定義するステップと、
1つ又は2つ以上の最適な挿入セグメントを識別するように、予め定められた分類パラメータに従って挿入セグメントを分類するステップと、を備える決定する方法に関する。
【0018】
従って、本発明による最適な挿入セグメントを決定するための方法は、皮下血管の最良の特徴付けを可能にする近赤外線画像の処理を実行することによって、患者の血管への針の挿入における成功と安全を保証するために、最も好ましい挿入セグメントの決定を可能にすると共にこれらの挿入セグメントの分類を確立することを可能にする。皮下血管は、針の挿入中の所望の用途(サンプリング、注射など)に応じて、例えば、静脈、動脈、毛細血管となっている。
【0019】
決定する方法の異なるステップにより、効果的で安価かつ容易に実施することができる最適な挿入セグメントの自動的かつ自律的な決定が可能となる。従来技術の解決策とは反対に、本発明は、例えば血管の位置を視覚化することによる人間の操作者のための補助に限定されるものではなく、本発明は、挿入セグメント、すなわち、針が挿入されるべき挿入ポイント、挿入方向、すなわち、針がこれに沿って挿入される軸線と、最大挿入長、すなわち、針のうち挿入可能な部分の最大長さと、の精確な定義を可能にし、針は、針の向きと静脈の深さに基づいて、この最大挿入長以内で静脈に到達することが可能となっている。針の挿入角度は、現在の医療慣習に従って、概ね、皮膚の表面に対して15°から30°の間である。従って、最大挿入長は、最小挿入角で静脈に到達できるように挿入できる針の長さに対応する。仮に針がより大きな角度で挿入される場合、針は、最大挿入長よりも短い挿入長で静脈に到達することになる。このような挿入セグメントの正確な定義により、ロボット化された自動挿入装置の使用を可能とする。このセグメントに続くことにより、針は、皮下脂肪組織に位置する血管に到達するまで皮膚を構成する異なる層(真皮、表皮、皮下組織など)を通って通過する。
【0020】
挿入セグメントは、時間とともに変化し得る血管の状態の関数として最適な挿入セグメントを永続的に決定するように、リアルタイムで決定されることができる。特に、血管は、例えば針を挿入するときに、機械的な力の影響下で変形する又は転がることがある。
【0021】
前処理ステップでは、続くステップにおけるフィルタリングの準備のために、患者の身体の一部上の血管の画像を得ることができる。特に、前処理ステップは、毛、ほくろ、タトゥーなどの皮膚上の不規則物(凹凸)、並びに、選択的に毛細血管を、静脈又は動脈のみを見ることを望む場合には、画像上で分離および/または除去することを備える。その目的は、患者の皮下血管と皮膚との間のコントラストを高めることである。
【0022】
また、患者の四肢の輪郭を検出し、血管の位置に関するデータのみを保持するように画像から選択的に削除することも可能である。
【0023】
血管プロファイルマップは、近赤外線画像を介して得られる。特に、皮膚の層と皮下血管に含まれるヘモグロビンとの間の近赤外線の吸収の違い(静脈では脱酸素されている、動脈では酸素化されている)により、これらの皮下血管を特許の残り部分(皮膚、筋肉、骨など)と区別した血管プロファイルマップを得ることができる。
【0024】
血管プロファイルマップ上で行われる処理は、様々なプロファイルの多数の患者、特に人間のオペレータ、例えば生物学者又は看護師により、静脈が視覚によって及び/又は前記静脈の触診によって、直接識別することが困難な患者に特に使用できる。皮膚の色素沈着は本発明による方法には関係ないので、この方法はすべてのフォトタイプに対して適用可能である。
【0025】
「近赤外線」という用語は、0.7μm~3μmの間の波長を意味すると理解される。この定義は、特に、国際照明委員会(CIE)によって定義された赤外線範囲IR-A及びIR-Bに対応する。患者の体の一部にある血管を検出するために、好ましい波長間隔は0.7μm~0.9μmの間の波長間隔であり、特に腕の静脈を検出するために好ましい。
【0026】
針は、患者の四肢、一般には患者の腕内に挿入されることが多い。針は一般に肘窩(cubital fossa)の領域に挿入される。
【0027】
線状構造検出フィルタは、エッジ検出フィルタ又は輪郭検出フィルタに類似しており、本発明における画像上で線状構造、特に血管の存在を検出できる。
【0028】
挿入セグメントの分類により、針の挿入のための最良の候補セグメントを選択することができる。
【0029】
本発明の一変形例によれば、二値化された血管プロファイルマップにおいて識別された血管の輪郭を抽出するステップが、血管のスケルトン化に先立って実行される。
【0030】
有利には、そして本発明によれば、前記挿入セグメントを分類するために予め定められた分類パラメータは、以下のリスト、
前記患者の身体の一部上の血管の位置の既知のパターンに関する前記セグメントの前記位置、
前記血管プロファイルマップ上で計算された、前記セグメントに対応する前記血管の輪郭内に含まれる前記血管のすべてのポイントの平均密度、
前記セグメントの長さ、
前記セグメントにおける前記血管の深さ、
前記セグメントにおける前記血管の直径、
前記セグメントの方向、
前記挿入セグメント上の皮膚の不規則物の有無、
前記患者の好み、及び
同じ患者に対する以前の挿入歴、からの1つ又は2つ以上のパラメータから選択される。
【0031】
本発明のこの態様によれば、挿入セグメントの分類は、最適な挿入セグメントの最適な決定を提供するように、特に針の挿入の成功の可能性を最大化し、安全リスクを可能な限り制限するために、任意で重み付けされた1つ又は2つ以上のパラメータに依存する。
【0032】
パラメータ及び異なるパラメータの任意の重み付けは、いくつかの基準、例えば患者の肥満度(BMI)、彼/彼女の年齢、使用される針のタイプ、患者のサンプリング履歴、挿入装置のサンプリング履歴、医療従事者の選択、サンプリング/注射装置の機械的能力等に基づいて選択できる。
【0033】
セグメントの向きは、特に、挿入を行う装置の機械的能力と関連付けることができる。なぜなら、サンプリング装置の公称作業軸から離れすぎたある角度での針の挿入は、実行不可能な場合があるからである(挿入装置が、例えば、公称作業軸に対して-90°と90°との間の間隔、又はより小さい又はより大きい間隔に制限されると共に、使用される挿入装置に応じて厳密に左右対称ではないことを考慮にいれている)。
【0034】
皮膚の不規則物とは、特にほくろ、傷跡、血腫、点状出血、刺青、吹き出物などを表している。
【0035】
有利には、そして本発明によれば、線形構造検出フィルタは、フランジフィルタ(Frangi filter)である。
【0036】
本発明のこの態様によれば、フランジフィルタは、血管を検出するのに特に適している。これが血管の正確な検出を可能にし、これにより続くステップで血管の正確なスケルトン化を可能にし、これにより挿入セグメントの決定を最適化することができる。また、フランジフィルタは使用されるスケールと独立しているため(マルチスケールフィルタ)、これにより前処理された画像上の血管の起こりうるプロファイルの違いにかかわらず、患者ごとに効果的な検出が保証される。
【0037】
本発明の他の変形例によれば、他のタイプのフィルタまたはフィルタの組み合わせ、特に二次導関数フィルタ(second derivative filters)などを使用できる。
【0038】
有利には、そして本発明によれば、血管のスケルトンから挿入セグメントを定義するステップであって、この定義するステップは、
各スケルトンの各ポイントに対してノードを作り出すサブステップと、
グラフを形成するように、各ノードを特徴づけるサブステップであって、ノードは、仮に前記ノードが単一のノードにのみ接続されている場合には端部ポイントとなり、枝は、2つの隣接するノードのみを有する共に接続されたノードのセットから形成され、各枝は、前記枝を形成するノードの数によって重み付けされる前記特徴づけるサブステップと、
各枝を二値化された画像上において対応する前記血管と比較することにより、各グラフを確認(検証)するサブステップと、
前記枝を新しい枝に分割すること、及び、各々の前記新しい枝の間に接合ノードを作り出すことにより、対応する前記血管上において中心化されていない各枝を修正するサブステップと、
セグメントを定義するサブステップであって、1つのセグメントは、その対応する血管上において中心化された枝に対応すると共に、予め定められたパラメータよりも大きい長さを有している、前記定義するサブステップと、を備える。
【0039】
本発明のこの態様によれば、挿入セグメントは、セグメントを形成するために、グラフによる、及び、このグラフの枝を使用することによるスケルトンの近似により定義される。必要な回数だけ実行できる確認するサブステップ及び修正するサブステップを使用することにより、各枝が対応する血管の二値化された画像上で十分に中心化されていること、すなわち枝が血管の正確な中心にあり、特に血管の抽出された輪郭の中心にあり、針の挿入を可能にする十分長い長さを有していることが保証される。
【0040】
これらのサブステップは、針の挿入に使用され得るセグメントを、決定する方法に従った分類に従って、最初に選別し、且つリスト化できる。
【0041】
グラフは、接合ノードを形成する少なくとも3つの枝に接続された1つ又は2つ以上のノードを備えることができる。これらは、オブジェクトの形状の不規則性やバリエーションに関連する副枝のマークを保持することを可能にするため、血管に対応する二値のオブジェクトの位相幾何学構成を明らかにする。
【0042】
好ましくは、確認するサブステップの前に、血管のスケルトンから挿入セグメントを定義するステップは、各端部ポイント間の最短経路を除去することによって、最終図を得る図を単純化するサブステップを備え、最長保持経路は、最も重み付けされた枝を備えた経路となる。この最終図は、続くサブステップで使用される図である。最短セグメントのための検索は、最短経路検索するためのアルゴリズム、好ましくはダイクストラのアルゴリズムを用いて行うことができる。
【0043】
好ましくは、中心化されていない枝の各々を修正するステップは、
血管上において枝を中心化するための基準を確認するステップと、
中心化する基準が満たされることを妨げる枝の臨界ポイントを探索するステップと、
新しい枝を形成するために、臨界ポイントから枝をポイントごとに分割し、必要であれば新しい枝を分割するステップと、
中心化されていない新しい枝をそれぞれ修正する新たなサブステップと、を備えている。
【0044】
好ましくは、セグメントを定義するサブステップは、仮に同じ血管に関連する2つのセグメントが65%より多くまで重なっている場合に、ダブルセグメントの除去を行うことを備える。
【0045】
有利なことに、且つ本発明によれば、カメラは単色であり、近赤外線ハイパスフィルタを備える。
【0046】
本発明のこの態様によれば、カメラで取得した画像をハイパスフィルタで直接フィルタリングし、血管プロファイルマップが前処理を経て容易に取得できる。
【0047】
「カメラ」という用語は、画像を取得でき、処理するためにこれらの画像からのデータを保存及び/又は送信することを可能にするあらゆる装置を意味するものと理解される。カメラは、画像取得センサとレンズを備えるハウジングを備えることができる。ハイパスフィルタは、実施形態に応じて、センサ上又はレンズ上に配置できる。カメラは、挿入セグメントを定義するために望ましい波長に対応する波長を少なくともピックアップするように構成されるが、より大きな波長間隔をピックアップするように構成することもでき、その場合、ハイパスフィルタによって望まれる波長を対象とできる。
【0048】
本発明の他の変形例によれば、近赤外線フィルタリングは、カメラによって得られた画像上にデジタル的に実行され、カメラは、多数の色(RGBカメラ)等を取得するように構成され得る。
【0049】
本方法では、複数のカメラからの画像を使用でき、その画像は互いに対して整列されている。
【0050】
本発明は、また、針を前記血管に挿入するための、患者の血管における少なくとも1つの最適な挿入セグメントを決定するシステムに関し、前記セグメントは、前記患者の身体の一部における挿入ポイント、挿入方向、および最大挿入長を表すものであると共に、前記患者の身体の一部の画像を取得するためのユニットと、前記画像取得ユニットによって取得された画像を処理するためのユニットとを備え、
前記画像取得ユニットは、
前記患者の身体の一部を近赤外線照明により照射するように構成された近赤外線照明と、
患者の身体の一部の近赤外線画像を取得するように構成された少なくとも1つのカメラと、を備え、
前記画像処理ユニットは、
前処理画像と称される、前記患者の身体の一部の表面上において見える前記血管の画像を提供できるように構成された画像を前処理するためのモジュールと、
前記患者の身体の一部の表面上に見える前記血管を識別する血管プロファイルマップと称される画像を得るために、前記前処理された画像に線形構造検出フィルタを適用するように構成された、フィルタリング用モジュールと、
前記血管プロファイルマップを二値化するためのモジュールと、
各血管につき、前記血管のスケルトンを取得するように構成され、前記二値化された血管プロファイルマップ上において前記血管をスケルトン化するためのモジュールと、
各血管ごとに、前記血管の前記スケルトンから挿入セグメントを定義するためのモジュールと、
1つ又は2つ以上の最適な挿入セグメントを識別するように構成され、予め定められた分類パラメータに従って前記挿入セグメントを分類するためのモジュールと、を備える。
【0051】
有利には、本発明に係る決定するシステムは、本発明に係る決定する方法を実施する。
【0052】
有利には、本発明に係る決定する方法は、本発明に係る決定するシステムによって実施される。
【0053】
本発明は、また、前記患者の身体の一部、例えば、患者の四肢、好ましくは患者の腕、に針を挿入するための自動又は半自動挿入装置に関し、自動又は半自動挿入装置は、ロボットアームのようなメカトロニックアセンブリと、前記メカトロニックアセンブリを制御するためのユニットと、メカトロニックアセンブリに取り付けられた針用の挿入ヘッドとを備え、さらに、前記患者の身体の一部に前記針を挿入するための最適挿入セグメントを決定するように構成された、本発明による決定するシステムを備える。
【0054】
本発明による決定するシステムを備えた自動又は半自動挿入装置は、自動又は半自動かつ自律的な方法で、決定するシステムによって決定された最適挿入セグメントの1つに基づいて、患者の身体の一部上への針の挿入(血液サンプリング又は注射のため)を実現できる。注射針は、注射器やカテーテルなどに接続できる。
【0055】
挿入装置は、仮に挿入装置が血液サンプルを採取することを目的とする場合は穿刺装置又はサンプリング装置、又は仮に挿入装置が血管内に製品を注入することを目的とする場合は注射装置とできる。
【0056】
本発明は、また、上記又は下記に記載する特徴の全て又はいくつかによる組み合わせにおいて特徴付けされる、決定する方法、決定するシステム、及び挿入装置に関する。
【0057】
本発明の他の目的、特徴および利点は、非限定的な方法でのみ与えられ、添付の図を参照する以下の説明を読むことにより明らかになるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られた前処理写真画像の図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られた血管プロファイルマップである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られた二値化された画像である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られた血管のスケルトン化を示す画像である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られた血管のスケルトンを表すグラフを示す画像である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られたグラフからのセグメントを示す画像である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る決定する方法の実施中に得られた前処理画像上に加えられた決定されたセグメントを示す画像である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る決定するシステムの概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る挿入装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図において、図解と明瞭化のために、縮尺と比率は厳密に尊重されていない。
【0060】
さらに、同一、類似、又は相似の構成要素は、すべての図において同一の参照符号により示されている。
【0061】
図1は、本発明の一実施形態による決定する方法の概略図である。方法は、針を患者の血管に挿入するための、患者の身体の一部における少なくとも1つの最適な挿入セグメントの決定を可能にし、前記セグメントは、患者の身体の前記一部における挿入ポイント、挿入方向および最大挿入長さを表わす。血管は、例えば、静脈、動脈又は毛細血管である。
【0062】
この方法は、患者の身体の一部、例えば患者の四肢、この場合は患者の腕などを近赤外線照明で照らすステップ100を備える。近赤外線照明は、1つ又は複数の近赤外線ランプによって構成される。複数の近赤外線ランプにより、患者の身体の一部を均質な方法で照明させることができ、当該部分は、ランプの数が不十分な場合、影の領域が生じる可能性のある体積的表面を有している。その目的は、関心のある領域を均一に照らすことである。
【0063】
次いで、この方法は、少なくとも1つのカメラで患者の身体の一部の近赤外線画像を取得するステップ120を備える。カメラによる捕捉に関連した近赤外線照明の使用により、近赤外線分光法と称される近赤外線反射画像が得られる。
【0064】
次いで、本方法は、取得した画像を前処理して、前処理画像と称される、患者の身体の一部の表面上に見える血管の画像を得るステップ130を備える。前記前処理ステップ130によって得られる前処理済み画像の表示は、例えば、
図2を参照して示される。
図2は、単色カメラによって撮影され、次いで前処理された写真画像の表示に対応する。患者の四肢220の皮膚は、患者の写真型と皮膚による近赤外線の吸収とに応じて、強度が変化する灰色の陰影を有している。皮膚の層と皮下血管に含まれるヘモグロビンとの間の近赤外線の吸収の差によって、前処理された画像200上の患者の四肢220の血管210を抽出できる。また、前処理画像200上の暗背景230により、四肢220の端の境界を明確に画定できる。
【0065】
前処理ステップはまた、最適化された前処理された画像を得ることを可能にする複数の処理ステップ、例えば、以下の処理ステップ、
- 閾値処理またはk-meansアルゴリズムにより、画像を二値化することにより処理すべき領域を減少させる閾値を設けるステップすなわちk-手段(k-means)アルゴリズムと、
- 血管と皮膚との間のコントラストを強調するためのヒストグラム等化ステップと、
- 続くステップの性能を妨げる可能性のある情報(例えば、患者の体の一部にある毛のグループ等)を除去するためのフィルタを適用するステップと、のうちの、なし(none)、1つまたは2つ以上、を備える。適用されるフィルタは、例えば、メジアンフィルタ、ガウシアンフィルタ、またはバイラテラルフィルタである。
【0066】
次いで、本方法は、患者の身体の一部の表面上に見える血管を識別する、血管プロファイルマップと呼ばれる画像を得るため前記前処理された画像に線形構造検出フィルタを適用するステップ140を備える。前記フィルタ適用ステップ140によって得られる血管プロファイルマップは、例えば、
図3を参照して示される。この場合に適用される線形構造検出フィルタは、フランジフィルタ(Frangiフィルタ)である。前記フランジフィルタによってフィルタリングされた画像300は、まさに線状構造、特に血管310と患者の四肢の輪郭320、330、を画像内に失わないように保持させることができる。
【0067】
次いで、本方法は、血管プロファイルマップを二値化するステップ150を備えている。このステップは、光度を閾値化するステップにより、2つの画素数のみを備えた画像を得るステップを備えている。
【0068】
次に、この方法は、この実施形態では、二値化された血管プロファイルマップにおいて識別された血管の輪郭を抽出するステップ160を備え、前記二値化ステップ150及び輪郭抽出ステップ160によって得られた血管を有する二値化血管プロファイルマップ400は、例えば
図4を参照して示される。血管410の位置に関するデータのみを保持するように、二値化された画像から患者の四肢の輪郭を削除できる。
【0069】
次いで、本方法は、例えば抽出された輪郭から、又は二値化された血管輪郭マップから直接に、血管のスケルトン化のステップ170を備え、各血管ごとに、当該血管のスケルトン(skeleton)を得るように構成される。前記ステップ170によって得られた血管のスケルトン510は、例えば
図5を参照してスケルトン化された二値画像500上に示される。スケルトン化(骨格化)は、例えばスケルトン化アルゴリズム(細線化アルゴリズム)、例えばモルフォロジカルスケルトン化またはZhang-Suenスケルトン化によって実行される。このスケルトン化により、スケルトン510を得ることができ、これらは、各々がそのトポロジーを悪化させることなく正確性の高められた血管オブジェクトの中心を記述する曲線のセットである。
【0070】
次いで、本方法は、各血管について、血管の前記スケルトンから挿入セグメントを定義するステップ180を含んでいる。
図6は、血管の輪郭とスケルトンとの各グラフの対応を示すために、二値化してフィルタされた画像600に対応する、血管のスケルトンを表すグラフ610a、610b、610c、610dを概略的に示している。点線のグラフ610a、610b、610c、610dは、白線で示されるスケルトン510a、510b、510c、510dの近似を示している。まず、スケルトンの各ポイントに対してノードが作成される。各ノードは、次に、グラフを形成するように特徴付けられ、仮にノードが単一のノードのみに接続されている場合、ノードは端部ポイントであり、枝(ブランチ)は、2つの隣接するノードのみを有する一緒に接続されたノードのセットから形成され、各枝は枝を形成するノードの数によって重み付けされている。接合ノードは、少なくとも3つの枝に接続される。例えば、グラフ610aは、スケルトン510aの近似であり、特に端部ポイント630を備えている。グラフ610dは、スケルトン510dの近似であり、特に接合ノード620を備えている。
【0071】
図の2つのノード間の枝は、実質的に矩形のスケルトンの一部を表している。しかしながら、枝はスケルトンの近似であり、例えば
図6のグラフ610b及び610dについて見られるように、スケルトンによって表される血管に対して、ときに中心を外れることがある。
【0072】
図は、各端部ポイント間の最短経路を削除することにより、最終的なグラフを得るためにグラフが簡略化でき、最長保持経路が、最も重み付けされた枝を備える経路となる。この最終的なグラフは、続くサブステップにおいて使用される。最短セグメントの探索は、最短経路を探索するためのアルゴリズム、好ましくはダイクストラ(Dijkstra)のアルゴリズムを用いてもたらされることができる。
【0073】
このようにグラフを処理することは、各グラフを二値化画像上の対応する血管と比較することによって各グラフを確認するサブステップにおいて、次いで、枝を2つの新しい枝に分割すること、及び、2つの新しい枝の間に接合ノードを生じさせすることによって、対応する血管上において中心化されていない各枝を修正することができる。
【0074】
特に、中心化されていない枝の各々を修正するステップは、
血管上において枝を中心に配置するための基準を確認(照合)するステップと、
中心化する基準が満たされることを妨げる枝の臨界ポイントを探索するステップと、
新しい枝を形成するために、臨界ポイントから枝をポイントごとに分割し、必要であれば新しい枝を分割するステップと、
中心化されていない新しい枝をそれぞれ修正する新たなサブステップと、を備えている。
【0075】
ひとたび予め定められたパラメータより短い枝が取り除かれると、及びすべての枝が中心化されると、適合する枝に対応する挿入セグメントが取得される。もし二重のセグメントが取得される場合、すなわちもし同じ血管に関連する2つのセグメントが65%より大きい(more than)量まで重ね合わされる場合、これらのセグメントは除去される。
【0076】
これらのセグメント710は、血管の二値化された画像700上のセグメントを表す
図7を参照して示される。仮に挿入セグメントが前処理された画像上に復元される場合、
図8に示すように、前処理された画像上に追加された決定されたセグメントを表す画像800が取得される。挿入セグメント810a、810b、810c、810dは、これらの挿入ポイント820a、820b、820c、820d、これらの挿入方向及びこれらの最大挿入長によってそれぞれ特徴付けられる。挿入ポイントは、2つの端部のうちから最も見込みのあるポイントとして算出される。最も見込みのあるポイントは、例えば、患者の身体の一部の向き、挿入装置の能力等の関数として算出される。特に、患者の腕に挿入するために、挿入ポイントは、一般に、肘前窩に最も近いポイントである。
【0077】
この方法は、最後に、1つ又は2つ以上の最適な挿入セグメントを識別するように、予め定められた分類パラメータに従って挿入セグメントを分類するステップ190を備える。
【0078】
図9は、本発明の一実施形態による決定するシステムを示す概略図である。決定するシステム900は、上述の決定する方法を実施するように構成された一組のモジュールを備えている画像処理ユニット910を備えている。1つのモジュールは、上述の方法の1つ又は2つ以上ステップを実行することを可能にするハードウェアおよび/またはソフトウェアブリックを記述する。いくつかのモジュールは、単一の電気的な構成要素および/または単一のピースとしてのソフトウェア内に含まれることができ、あるいは、1つのモジュールによって実施されるステップが、いくつかの電気的な構成要素および/またはソフトウェアのピースを必要とすることができる。異なる電気的な構成要素が、一つのプリントされた回路基板上に組み立てられてもよい。
【0079】
処理ユニット910は、特に近赤外線カメラ920と、例えばこの場合カメラ920の周囲の複数の発光ダイオード(LED)で構成される近赤外線照明930を備えた画像取得ユニットによって取得された画像を受け取る。カメラ920と照明930は、例えば画像処理ユニット910の1つ又は2つ以上のモジュールと同じプリント回路基板上に配置された制御モジュール(図示せず)によって制御できる。また、カメラ920は、近赤外線フィルタ922を備えることができる。カメラ920は、一般に、センサを備えるハウジングと、焦点距離および所望の開口部(図示せず)を構成することを可能にする個々のレンズを備えるレンズシステムと、を備えている。近赤外線フィルタ922は、本発明の実施形態によれば、レンズ上またはハウジング内に配置できる。
【0080】
カメラ920と照明930は、患者の体の一部、この場合は患者の四肢940、ここでは回転の円柱により表現されている例えば患者の腕に向けられている。患者の腕は、支持体950の上に載っている。
【0081】
図10は、本発明の一実施形態に係る挿入装置を概略的に示している。挿入装置は、ロボットアーム16のようなメカトロニクスアセンブリと、ロボットアームを制御するためのユニット20と、
図9の実施形態に従った決定するシステム900と、挿入ヘッド12とを備えている。いったん最適な挿入セグメントが決定されると、制御ユニット20は、サンプリングが行われるべき患者10の身体の部分内に針14を挿入できるように、ロボットアーム16のアクチュエータと挿入ヘッド12のアクチュエータとに、針ホルダのための移動情報を送信する。
【国際調査報告】