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特表2023-5468092つのショックアブソーバカップ間に延在する自動車両の横断部材
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  • 特表-2つのショックアブソーバカップ間に延在する自動車両の横断部材 図1
  • 特表-2つのショックアブソーバカップ間に延在する自動車両の横断部材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】2つのショックアブソーバカップ間に延在する自動車両の横断部材
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B62D25/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520195
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021076668
(87)【国際公開番号】W WO2022089863
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】2011018
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キャリー, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】デ, アルメイダ, ルイス, フィリペ
(72)【発明者】
【氏名】ジロー, エドゥアール
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BA13
3D203BB16
3D203BB45
3D203BC14
3D203BC16
3D203CA04
3D203CA56
3D203CA74
3D203CA75
3D203CB09
3D203DA13
3D203DA16
3D203DA18
3D203DA19
3D203DA22
3D203DA25
3D203DA72
3D203DA82
(57)【要約】
本発明は、中央部分(21)および2つの側方端部(22、23)を備える自動車両のストラット横断部材(20)であって、それぞれの上記端部(22、23)が、車体に取り付けるためのインターフェース(24、25)と、ショックアブソーバカップに取り付けるためのインターフェース(26、27)を備え、鋳造アルミニウムから製作されるストラット横断部材(20)に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部分(21)および2つの側方端部(22、23)を備える自動車両のストラットタワーブレイス横断部材(20)であって、それぞれの前記端部(22、23)が、車体に固定するためのインターフェース(24、25)と、ショックアブソーバカップに固定するためのインターフェース(26、27)とを備え、鋳造アルミニウムから製作される横断部材(20)。
【請求項2】
一体型部品である、請求項1に記載の横断部材(20)。
【請求項3】
前記車体に固定するための前記インターフェース(24、25)が、スクリュー固定要素を通すための少なくとも1つの孔(24a、24b;25a、25)を備え、前記ショックアブソーバカップに固定するための前記インターフェース(26、27)が、スクリュー固定要素を通すための少なくとも1つの孔(26a、26b;27a、27b)を備える、請求項1または2に記載の横断部材(20)。
【請求項4】
前記中央部分(21)から車両室内とは反対方向に突出し、推進ユニットのバッテリ用の充電装置(42)のための装着インターフェースを形成する少なくとも1つの固定ラグ(32、33、34、35)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の横断部材。
【請求項5】
前記充電装置(42)のための2対の前記固定ラグ(32、33、34、35)を備え、前記固定ラグの各対(32、33;34、35)が、母材を取り除くことによって形成された陥凹(32a、33a;34a、35a)を備え、前記陥凹が、対応する形状の支持装着部(40、41)と協働し、前記支持装着部が、前記充電装置(42)に固定される、請求項4に記載の横断部材。
【請求項6】
前記中央部分(21)から突出し、加熱ユニット(50)を装着するための装着インターフェースを形成する少なくとも1つの固定ラグ(32、33、34、35)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の横断部材。
【請求項7】
前記中央部分(21)が、前記車両室内の方へ突出する複数の突起部分(31)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の横断部材。
【請求項8】
それぞれの前記端部(22、23)が、水タンクを固定するための固定インターフェース(29a、29b)および/またはワイパ機構を固定するための固定インターフェース(30)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の横断部材。
【請求項9】
2つの長手方向アーム(11、12)、前記両アームを連結する少なくとも1つの第1の横方向横断部材(13)、および車体(16)によって画成されたエンジン室(15)を備える、自動車両用の前車軸アセンブリ(10)であって、両端部の一方によって前記車両の前輪に、両端部の他方によって支持カップにそれぞれが連結される2つのサスペンションメンバを備える前車軸アセンブリにおいて、
前記エンジン室(15)内で前記ショックアブソーバカップ間に横方向に延在する、請求項1から8のいずれか一項に記載のストラットタワーブレイス横断部材(20)を備えることを特徴とする前車軸アセンブリ(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の前車軸アセンブリを備える自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の分野、特に自動車両の長手方向軸に対して横方向に延在する横方向部材または横断部材に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ショックアブソーバカップに受けられたサスペンションメンバを備える自動車両の前車軸アセンブリに関する。
【発明の概要】
【0003】
一般に、ショックアブソーバカップは、横断部材によって横方向に連結された2つのサイドレールを備える車軸に固定されている。
【0004】
横断部材を、自動車両の運転室内に横方向に延在する管状ビームの形で、車両室内側に取り込むのが、既知の手法でもある。運転室横断部材は、ダッシュボード、HVAC(暖房、換気、および空調システム)、車両ステアリングコラム、グローブボックスなどのような様々な運転室要素を取り付けることを可能にする。
【0005】
これら横断部材は、チューブの熱間または冷間変形によって製造される。それら横断部材を造るには、高い機械的特性を有する鋼材を使用する必要がある。
【0006】
一方、それら横断部材の構造は、曲げ慣性と捩じり慣性との分離ができず、製造方法が複雑であり、プレス加工、熱処理、クリンチング、ピーニングを含む多数のステップを必要とする。
【0007】
さらに、このタイプの横断部材によってもたらされるアンチロール剛性が、横断部材の形状および端部拘束に極めて影響され易い。
【0008】
一体に溶接された複数の部分から成り、両端のそれぞれに固定された取付装置を介して車体に取り付けられる横断部材が、やはり知られている。
【0009】
しかしながら、管状部分間の溶接は、溶接部に亀裂を発生させる高い危険性を生じる。
【0010】
剛性および衝撃吸収能力の点で厳格な要求を満たすことが可能なように、自動車両の横断部材を最適化する必要がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服することであり、また、より軽量、より人間工学的、かつより低コストであることを目指し、同時に正面衝突の場合に搭乗者の安全をもたらすことを目指して最適化された形状の自動車両の横断部材を提案することである。
【0012】
本発明の1つの主題は、中央部分および2つの側方端部を備える自動車両のストラットタワーブレイス横断部材であって、それぞれの上記端部が、車体に固定するためのインターフェースと、ショックアブソーバ装着部またはカップに固定するためのインターフェースとを備え、鋳造アルミニウムから製作されるストラットタワーブレイス横断部材である。したがって、ストラットタワーブレイス横断部材は、2つのショックアブソーバカップ間に横方向に延在する。
【0013】
それによって、ストラットタワーブレイス横断部材は、ショックアブソーバカップの動的処理剛性を確実にすることができる。
【0014】
有利には、その横断部材は、一体型部品である。
【0015】
たとえば、車体に固定するためのインターフェースは、スクリュー固定要素を通すための少なくとも1つの孔を備え、ショックアブソーバカップに固定するためのインターフェースは、スクリュー固定要素を通すための少なくとも1つの孔を備える。変形形態として、2つ以上の数の孔を用いることができる。
【0016】
一実施形態によれば、横断部材は、中央部分から車両室内とは反対方向に突出し、推進ユニットのバッテリ用の充電装置のための装着インターフェースを形成する少なくとも1つの固定ラグを備える。
【0017】
このように、ストラットタワーブレイス横断部材は、充電装置の動的剛性を確保する機能も有する。
【0018】
一実施形態によれば、横断部材は、充電装置のための2対の固定ラグを備え、固定ラグの各対は、母材を取り除くことによって形成された陥凹を備え、その陥凹は、対応する形状の支持装着部と協働し、その支持装着部は、充電装置に固定される。
【0019】
一実施形態によれば、横断部材は、中央部分から突出し、HVACタイプの加熱ユニットを装着するための装着インターフェースを形成する少なくとも1つの固定ラグを備える。
【0020】
充電装置用と加熱ユニット用との固定ラグは、同じラグでも別のラグでもよい。
【0021】
たとえば、中央部分は、車両室内の方へ突出する複数の突起部分を備える。
【0022】
上記突起部分は、自動車両の他の構成要素の形状に適合するように切り出される。
【0023】
変形形態として、後面が、あらゆるタイプの自動車両に適合するように別の切出し形状を有するようにすることができる。
【0024】
両端部のそれぞれが、水タンクを固定するための固定インターフェースおよび/またはワイパ機構を固定するための固定インターフェースを備え得る。
【0025】
横断部材の中央部部分の下面は、複数の補強リブを備え得る。
【0026】
本発明の第2の態様は、2つの長手方向アーム、当該両アームを連結する少なくとも1つの第1の横方向横断部材、および車体によって画成されたエンジン室を備える、自動車両用の前車軸アセンブリであって、両端部の一方によって車両の前輪に、両端部の他方によって支持装着部または支持カップにそれぞれが連結される2つのサスペンションメンバ、すなわちサスペンションスプリングまたはショックアブソーバなどを備える前車軸アセンブリにおいて、エンジン室内でショックアブソーバカップ間に横方向に延在する、上記で説明されたストラットタワーブレイス横断部材を備えることを特徴とする前車軸アセンブリに関する。
【0027】
このようにして、ストラットタワーブレイス横断部材は、ショックアブソーバカップの動的処理剛性を確実にすることを可能にする。
【0028】
本発明の別の態様は、上記で説明された前車軸アセンブリを備える自動車両に関する。
【0029】
本発明のさらに別の目的、特徴、および利点が、単に非限定的例として示され、添付図面を参照して示される以下の説明を読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態による横断部材を備える自動車両の前車軸アセンブリの一部の概略透視図である。
図2図1の横断部材の下から見た図である。
図3図1の横断部材の上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明において、用語「長手方向」、「横方向」、「垂直方向」、「前方」、「後方」、「左方」、および「右方」は、図面に示されている、自動車両用の通常の基準直交座標系に従って定義され、その直交座標系は、
- 水平であり、車両の前方から後方へ向いている長手方向軸Xと、
- 水平で、長手方向軸Xに垂直であり、車両が前進しているとき、車両の左から右へ向いている横方向軸Yと、
- 長手方向および横方向軸XおよびYに直交する垂直方向軸Zと
から成る。
【0032】
図1は、第1の横方向横断部材13によって連結された2つの長手方向アーム11、12を備える車軸を具備する自動車両の前車軸アセンブリ10の一部を示し、それら長手方向アームは、前部バンパ横断部材14および車体16と共にエンジン室15を画成する。アーム11は、車両(図示せず)の車体を車輪(図示せず)の支持装着部に連結する。
【0033】
エンジン室15は、YZ面内に延在する壁16またはバルクヘッドによって、自動車両の室内(参照符号なし)から分離されている。
【0034】
「横方向」によって意味されるのは、車両の長手方向Xに垂直な方向である。
【0035】
前車軸アセンブリ部分10は、サスペンションスプリングまたはショックアブソーバ(図示せず)などの2つのサスペンションメンバをさらに備え、それらサスペンションメンバは、それぞれ、端部の一方を介して車両の前輪に、端部の他方によって支持装着部または支持カップ(図示せず)に連結される。
【0036】
前車軸アセンブリ部分10は、エンジン室15内で横方向にショックアブソーバカップ間に延在するストラットタワーブレイス横断部材20を備える。
【0037】
ストラットタワーブレイス横断部材20は、鋳造アルミニウムから製作される。ストラットタワーブレイス横断部材20は、垂直方向の寸法が長手方向の寸法より小さいプレートの形態を取る。
【0038】
具体的には、これは、電気動力式車両のエンジン室の現在の設計が、2つのショックアブソーバカップ間に管状横断部材の組込みを可能にしないからである。
【0039】
ストラットタワーブレイス横断部材20は、中央部分21および2つの側方端部22、23を備える。
【0040】
ストラットタワーブレイス横断部材20は、その両端部22、23において、スクリュー固定要素によって、車体、およびそれぞれのショックアブソーバカップに取り付けられる。このようにして、上記横断部材は、ショックアブソーバカップの動的処理剛性を確実にする。
【0041】
それぞれの端部22、23は、車体に固定するための固定インターフェース24、25、およびショックアブソーバカップに固定するための固定インターフェース26、27を有する。
【0042】
図示のように、車体に固定するための固定インターフェース24、25は、スクリュー固定要素を通すための2つの孔24a、24bおよび25a、25bを備える。代替形態として、1端部当たり2つとは異なるオリフィスの数、たとえば3つ以上を用いてもよい。
【0043】
図示のように、ショックアブソーバカップに固定するための固定インターフェース26、27は、スクリュー固定要素を通すための2つの孔26a、26bおよび27a、27bを備える。代替形態として、1端部当たり2つとは異なるオリフィスの数、たとえば3つ以上を用いてもよい。
【0044】
全く非限定的に、それぞれの端部22、23は、水タンク(図示せず)を固定するための固定インターフェース29a、29b、およびワイパ機構(図示せず)を固定するための固定インターフェース30を備える。
【0045】
ストラットタワーブレイス横断部材20の中央部分21は、車両室内の方に向いている後面21aおよび車両室内とは反対方向に向いている、後面21aの反対側の前面21bによって画成されている。
【0046】
図示のように、後面21aは、車両室内に向かって突出し、互いに離隔配置された複数の突起部分31を備える。上記突起部分31は、自動車両のバルクヘッドと協働するようになされている。
【0047】
上記突起部分は、自動車両の他の構成要素の形状に適合するように切り出される。
【0048】
代替形態として、あらゆるタイプの自動車両に適合するように別の切出し形状を後面21aが有するようにすることができる。
【0049】
図示のように、横断部材20の前面21aは、固定ラグ32、33、34、35、すなわちこの例では4つの固定ラグを備える。
【0050】
固定ラグは、前面21aから突出する。これら固定ラグは、車両室内とは反対方向に突出することができる。図示されていない変形実施形態では、上記固定ラグは、反対方向に突出してもよい。
【0051】
固定ラグの各対32、33;34、35は、母材を取り除くことによって形成された陥凹32a、33a;34a、35aを備え、それら陥凹は、対応する形状の支持装着部40、41を受け入れるようになされ、それら支持装着部は、推進ユニットのバッテリ用の充電装置42に固定される。
【0052】
それによって、ストラットタワーブレイス横断部材20は、充電装置42の動的剛性を確保する機能をさらに有する。
【0053】
充電装置42の支持装着部40、41は、自動車両への前方衝撃の場合に破断し、それによって、充電装置を長手方向ではなく垂直方向に動かすように構成されている。
【0054】
それぞれの固定ラグ32、33;34、35は、HVACタイプの加熱ユニット50に固定するための固定インターフェース32b、33b;34b、35bを備える。
【0055】
代替形態として、固定ラグの対の1つが、加熱ユニット50を固定するための固定インターフェースを備えるようにすることができる。
【0056】
このようにして、加熱ユニット50は、既知の自動車両の場合のように車両室内ではなくて、エンジン室15内に置かれる。
【0057】
図3に詳細に示すように、ストラットタワーブレイス横断部材20は、特に横断部材の中央部分21に設けられた、複数の補強リブ60を備える。
【0058】
ここでは、リブ60は、閉鎖形状を有する。
【0059】
変形形態として、他の形状の補強リブ60を用いることができる。
【0060】
図示のように、ストラットタワーブレイス横断部材20は、長手方向軸Xに関して対称ではない。
【0061】
ストラットタワーブレイス横断部材20は、実質的に平坦であり、押出成形された一体型部品ではない。
【0062】
ストラットタワーブレイス横断部材20は、有利には、鋳型でアルミニウムを鋳造し、その後、多数の自動車両に対応可能にするためにさらに切断することによって製造される。
【0063】
このように、単一の鋳型を使用して、多数の車両に対応することができるように、モジュール式のストラットタワーブレイス横断部材を生成することが可能である。
【0064】
ストラットタワーブレイス横断部材20は、排他的ではないが、特に、ショックアブソーバカップ、充電装置、および加熱ユニットなど、自動車両の複数の機械的構成要素を支持することができ、それを行うと全く同時に、諸要素の動的剛性を維持し、横断部材の製造コストを低減する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】