(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】分析システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20231031BHJP
G06T 7/13 20170101ALI20231031BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20231031BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20231031BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G06T7/13
G06T7/60 150S
G06T7/60 200C
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521541
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2021077938
(87)【国際公開番号】W WO2022074233
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516238625
【氏名又は名称】キュービーディー(キューエス-アイピー)リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523010063
【氏名又は名称】コシアン スイス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ラデネス パスカル
(72)【発明者】
【氏名】マクゴーラン エメット
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059CC16
2G059DD13
2G059FF01
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM02
2G059MM03
2G059MM05
4B029AA07
4B029FA15
5L096FA32
5L096GA19
5L096GA51
5L096GA55
(57)【要約】
複数のアッセイ部位を含むアレイ又はマイクロアレイ内のそれぞれのアッセイ部位において実施されるアッセイを分析するコンピュータ実装方法であって、アレイ又はマイクロアレイのアッセイ部位の少なくとも1つの画像を受信することと、アッセイ部位の各々について、アッセイ部位における反応の程度を表す少なくとも1つのメトリックを決定するために少なくとも1つの画像を処理し、アッセイ部位の1つ又は複数のパラメータを決定することであって、アレイ又はマイクロアレイのアッセイ部位のうちの少なくとも1つの1つ又は複数のパラメータが、アレイ又はマイクロアレイの少なくとも1つの他のアッセイ部位の1つ又は複数のパラメータとは異なる、決定することと、アッセイ部位の少なくとも1つのメトリック及びアッセイ部位の1つ又は複数のパラメータからアッセイ部位における反応の進行度を決定することとを含む、コンピュータ実装方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアッセイ部位を含むアレイ又はマイクロアレイ内のそれぞれのアッセイ部位において実施されるアッセイを分析するコンピュータ実装方法であって、
少なくとも1つの画像を受信することであって、前記少なくとも1つの画像が、前記アレイ又はマイクロアレイの前記複数のアッセイ部位を集合的に又は個別にイメージングする、受信することと、前記アッセイ部位における反応の程度を表す少なくとも1つのメトリックを決定するために前記少なくとも1つの画像を処理することと、
前記アッセイ部位の各々について、前記アッセイ部位の1つ又は複数のパラメータを決定することであって、前記アレイ又はマイクロアレイの前記アッセイ部位のうちの少なくとも1つの前記1つ又は複数のパラメータが、前記アレイ又はマイクロアレイの少なくとも1つの他の前記アッセイ部位の前記1つ又は複数のパラメータとは異なる、決定することと、
前記アッセイ部位の各々について、前記アッセイ部位のうちの前記少なくとも1つのメトリック及び前記アッセイ部位の前記1つ又は複数のパラメータから前記アッセイ部位における前記反応の進行度を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記パラメータが、1つ又は複数の基準、閾値又は範囲を含み、
各基準、閾値又は範囲が、反応の異なる程度を示し、
アッセイ部位における前記反応の前記進行度の前記決定が、前記反応の程度を決定するために、前記部位の前記少なくとも1つのメトリックが前記1つ又は複数の閾値を上回るか若しくは下回るか、又は、前記少なくとも1つの範囲内であるか若しくは範囲外であるか、又は、少なくとも1つの前記基準を満たすか満たさないか否かを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
部位の前記パラメータが、前記部位において実施されるアッセイタイプ、前記アレイ又はマイクロアレイ上の前記部位のロケーション、及び/又は目標とされるアッセイタイプのうちの1つ又は複数に依存する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
部位の前記少なくとも1つのメトリックが、前記部位にあるスポットを表す前記画像の領域のピクセル強度を含むか、又は表し、前記スポットが、分析物の反応によって形成され、前記反応の程度を示す特性を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
部位の前記少なくとも1つのメトリックが、前記スポットの平均ピクセル強度値と平均背景ピクセル強度値との間の差である信号対標準偏差比又はデルタを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部位のアレイの周りで前記画像を切り取ること、及び/又は
前記画像をグリッディングして複数のセグメントにすることであって、各セグメントがスポット及び/又はアッセイ部位を取り囲む、グリッディングすること
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記切り取り、前記グリッディング、及び/又は前記アッセイ部位の前記少なくとも1つのメトリックの前記決定のうちの少なくとも1つが、同じアッセイタイプを有する1つ若しくは複数の又は各又はすべての他のスポット又は部位と共有される共通パラメータを使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アッセイ部位における前記反応の進行度を決定するためのメトリックのための前記パラメータが、前記部位に固有である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記反応部位内の前記スポットに対応する前記画像の部分を検出又は識別することを含み、前記検出又は識別することが、
所定の間隔内の直径の円を含む前記画像内の形状を検出又は識別すること、及び/又は
前記少なくとも1つの画像内の前記スポットのエッジを決定するためのエッジ検出
のうちの一方又は両方を含む、請求項4又は請求項4に従属する任意の請求項に記載の方法。
【請求項10】
閾値未満のピクセル強度の測度を有し、及び/又は、前記アレイ又はマイクロアレイ上の前記アッセイ部位の前記ロケーションに対応する所定の幾何学的領域の外側に有、前記アレイ又はマイクロアレイ上の少なくとも1つの他の識別されているスポット、対照スポット、又は基準点に基づいて位置付けられている、識別されているスポットをフィルタリング除去することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アッセイ部位における前記反応の前記進行度を決定するために使用される前記パラメータが、ユーザ入力デバイスから受信されるパラメータ、及び/又は、前記アレイ若しくはマイクロアレイ又は前記アッセイ部位若しくは前記アッセイ部位内で実施されている前記アッセイのうちの1つ若しくは複数若しくは各々と関連付けられる1つ又は複数の識別子に対応するデータストアから取り出されるパラメータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記識別子が、ユーザ入力を受信するためのユーザ入力デバイス、バーコードリーダ、QRコードリーダ若しくは他の機械可読コードリーダ、RFIDタグリーダ、及び/又は赤外線信号リーダのうちの少なくとも1つを含む入力デバイスによって取得される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アッセイ部位における前記反応の前記進行度の前記決定が、前記アッセイ部位の前記少なくとも1つのメトリック及び前記アッセイ部位の前記1つ又は複数のパラメータに対して1つ又は複数の論理試験を実施することを含み、前記1つ又は複数の論理試験の結果が、
前記アッセイ部位において反応があったか否か、
前記アッセイ部位における反応の程度、
前記アッセイ部位において活動があったか否か、
前記アッセイ部位における活動の程度、及び/又は
前記アッセイ部位に分析物が存在するか否か
のうちの少なくとも1つの指示を含む、前記アッセイ部位における前記反応の前記進行度である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
画像を受信し、アッセイ部位における反応の進行度の指示を出力するための、少なくとも1つの処理デバイス、データ記憶装置及び通信システムを備える処理システムであって、前記処理デバイスは請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されている、処理システム。
【請求項15】
アレイ又はマイクロアレイの複数のアッセイ部位からのそれぞれのアッセイ部位において実施される1つ又は複数のアッセイを分析するための分析システムであって、
請求項14に記載の処理システムと、
前記アレイ又はマイクロアレイの少なくとも1つの画像を収集し、前記少なくとも1つの画像を前記処理システムに通信するように構成されているか又は構成可能である少なくとも1つのイメージングデバイスと、
前記処理システムから前記アッセイ部位における反応の進行度の指示を受信し、前記アッセイ部位における反応の進行度の指示を出力するように構成されている出力デバイスと
を備える、分析システム。
【請求項16】
処理システム上で実施されると、前記処理システムに、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実施させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アッセイを分析するための分析システム及び方法などの、反応を分析するための分析システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学アッセイの分析を自動化するために、分析システムが利用可能である。そのようなアッセイは、一般的に、反応物及び試験試料を保持するように構成されているプリント領域の規則的なアレイにおいて実施される。そのようなアッセイは、一般的に、試験試料中の分析物の存在又はレベルについて試験する。不透明度、色、サイズの変化又は他の検出可能な変化の形態であることが多い反応が、分析物の存在又はレベルと関連付けられる。分析システムには、アレイ内の各プリント中の反応を識別するための、典型的にはデジタルカメラなどのセンサが設けられている。このように、例えば、デジタルカメラ画像を精査することができ、任意の所与のプリント領域内の分析物の存在又はレベルを決定するために、反応(例えば、色又は不透明性の変化の度合い)を識別することができる。
【0003】
典型的には、各プリント領域内では同じタイプのアッセイが実施されるが、アレイの異なるプリント領域内では異なるタイプのアッセイを実施することが望ましい可能性がある。
【0004】
デジタルカメラ画像に示される反応の手動精査が実施され得、これは、一定程度の専門知識及び人間の判断が適用されることを可能にするが、多くの場合、時間がかかり、人手がかかり、人的過誤が発生する傾向にある。反応の自動決定は、はるかにより高速で、スループットを高くすることができるが、特に不測若しくは不明の効果が存在する場合、又は、反応が、一般的にエッジケースとして参照されるような、限界的若しくは境界的なものである場合、時として過誤と関連付けられる可能性がある。
【0005】
本開示の少なくともいくつかの実施例は、特に異なるアッセイが異なるプリント領域内で実施される場合に、複数のプリント領域を含むアレイ又はマイクロアレイに対して実施されるアッセイの自動分析を改善することを模索する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の様々な態様が、独立請求項に定義されている。いくつかの好ましい特徴が、従属請求項に定義されている。
【0007】
本開示の第1の実施例によれば、複数の部位を含むアレイ内のそれぞれの部位において実施される複数の反応を分析するコンピュータ実施方法であって、
アレイの複数の部位の少なくとも1つの画像を受信することと、
複数の部位の各々について、その部位における反応の程度又は進行度を表す少なくとも1つの画像メトリックを決定するために少なくとも1つの画像を処理することと、
複数の部位の各々について、その部位の1つ又は複数のパラメータを決定することであって、少なくとも1つの部位のパラメータは、少なくとも1つの他の部位のパラメータとは異なる、決定することと、
複数の部位の各々について、その部位の少なくとも1つの画像メトリック及びその部位の1つ又は複数のパラメータから反応の進行度を決定することとを含む、コンピュータ実施方法である。
【0008】
アレイは、例えば、多重マイクロアレイ又はハイブリッドアレイなどの、マイクロアレイであってもよく、又はマイクロアレイを含んでもよく、又はマイクロアレイに含まれてもよい。
【0009】
反応は、アッセイであってもよく、又はアッセイを含んでもよい。アレイの部位は、アレイのアッセイ部位、ウェル、プリント領域又は反応部位であってもよく、又はそれを含んでもよい。反応は、化学反応及び/又は生体反応を含んでもよい。アッセイは、部位にある1つ又は複数の試薬を含んでもよい。アッセイは、試薬への試料の添加を含んでもよい。試料中の分析物の存在は、試薬との反応を引き起こし得る。反応は、部位におけるスポットをもたらし得、スポットは、反応によって引き起こされる測定可能な変化から生じ、その変化を示す。プリントされている物質の少なくとも1つの特性の結果として、反応によって、不透明性、強度、色、サイズなどのうちの1つ又は複数の変化によって特性化されるスポットが生じ得、これによって、反応の程度又は進行度を示すことができる。部位の1つ又は複数の基準及び/又はパラメータは、スポット又はスポットを表す画像部分であってもよく、それを含んでもよく、又はそれを表してもよい。反応の進行度は、スポット等級を含んでもよく、又はそれを示してもよい。反応の進行度の決定は、スポット等級の等級付け又は決定であってもよく、それに含まれてもよく、又はそれを含んでもよい。反応の進行度又はスポット等級は、例えば、反応しているか否かなどの、定性的なものであってもよく、又は、例えば、反応の進行度又は程度の値などの、定量的なものであってもよい。部位少なくとも1つのメトリックは、スポットのメトリックであってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0010】
少なくとも1つのイメージは、複数のアッセイ部位のすべての1つ若しくは複数の画像、又は、複数のアッセイ部位のうちの1つ若しくはいくつかを個々にカバーし得るが、複数のアッセイ部位のすべてを集合的にカバーし得る画像の集合を含んでもよい。
【0011】
基準及び/又はパラメータは、関連付けられる閾値又は範囲を有する少なくとも1つの基準を含んでもよい。適切な閾値又は範囲を有する少なくとも1つの基準は、反応の進行度又はスポット等級を示すことができる。反応の進行度又はスポット等級は、反応あり、反応なし、若しくは、反応の進行度を表す1つ若しくは複数の値、及び/又は、反応の進行度が不定であるという指示のうちの1つ又は複数を含んでもよい。ある部位について反応の進行度が不定であるという指示は、その部位について決定されている少なくとも1つの画像メトリックが反応なしを示す値又は値の範囲と、反応ありを示す値又は値の範囲との間にあるという判定であってもよく、又はそれを含んでもよい。部位の反応の進行度の決定は、その部位の少なくとも1つのメトリックを、その部位の基準及び/又はパラメータを含むか又はそれに依存する、基準関数又は1つ若しくは複数の値と比較することを含んでもよい。部位の反応の進行度の決定は、その部位の少なくとも1つのメトリックが少なくとも1つの閾値を上回るか若しくは下回るか、又は、少なくとも1つの範囲内であるか若しくは範囲外であるか、又は、基準のうちの少なくとも1つを満たすか満たさないか否かを判定することを含んでもよく、それによって、反応の程度若しくは進行度又はスポット等級を決定することができる。
【0012】
部位の基準及び/又はパラメータは、部位において実施されるアッセイタイプ、アレイ上の部位のロケーション、部位における試料タイプなどのうちの1つ又は複数に依存してもよい。
【0013】
部位の基準及び/又はパラメータは、その部位に固有であってもよく、又は、少なくともその部位に対して調整、適合若しくは選択されてもよい。基準及び/又はパラメータは、例えば、複数の反応の分析前に決定されるなど、予め決定されてもよい。基準又はパラメータは、部位において実施されるアッセイタイプ、アレイ上の部位のロケーション、部位における試料タイプなどのものであってもよく、及び/又は、それに特有であってもよい。本方法は、少なくとも1つの部位又は各部位について、当該部位において実施されるアッセイのアッセイタイプ、アレイ上での当該部位のロケーション、当該部位における試料タイプを決定又は識別することと、それぞれの部位について、決定されているアッセイタイプ、アレイ上の当該部位のロケーション、及び/又は試料タイプに対して基準又はパラメータを選択的に適用することとを含んでもよい。
【0014】
部位の基準及び/又はパラメータは、固定されてもよい。各所与のアッセイタイプ、アレイ上の当該部位のロケーション、及び/又は試料タイプの基準及び/又はパラメータが固定されてもよい。部位の基準及び/又はパラメータは、異なるアッセイタイプ、アレイ上の当該部位のロケーション、及び/又は試料タイプと関連付けられる複数の予め決定された基準及び/又はパラメータの中から選択可能であってもよいが、選択されると固定されてもよい。少なくとも1つの部位又は各それぞれの部位の基準及び/又はパラメータの選択は、そのそれぞれの部位のアッセイタイプ、アレイ上の当該部位のロケーション、及び/又は試料タイプの予め決定されたパラメータ並びに基準及び/又はパラメータを選択することを含んでもよい。複数の部位(例えば、アッセイ部位又はプリント領域)が、部位のアレイ内に含まれてもよい。部位は列状に配列されてもよい。各部位列は、少なくとも1つの又は各隣接する部位列に対して互い違いにされてもよい。アレイは、交互の互い違いにされた部位列を含んでもよく、ここで、各交互の部位列は位置整合されてもよい。アレイは、米国規格協会(ANSI)/実験室自動化及びスクリーニング学会(SLAS)規格に合致してもよい。アレイは、アレイ又は部位アレイの1つ又は複数の又は外周コーナに位置してもよい、1つ又は複数の対照部位を含んでもよい。対照部位は、平行四辺形の頂点に配置されてもよい。
【0015】
部位の少なくとも1つのメトリックは、例えば、その部位にあるスポットなど、その部位の少なくとも一部を表す画像の領域のピクセル強度を含んでもよく、又はそれに依存してもよく、又はそれを表してもよい。部位の少なくとも1つのメトリックは、例えば、その部位にあるスポットなど、その部位を表す画像の領域の少なくとも一部のピクセル強度の平均値を含んでもよく、又はそれに依存してもよく、又はそれを表してもよい。部位の少なくとも1つのメトリックは、その部位にあるスポットを表す画像の領域の少なくとも一部のピクセル強度又はピクセル強度の平均値と、例えば、スポットでない領域を表す画像の部分の背景ピクセル強度又は背景ピクセル強度の平均値との間の差を含んでもよく、又はそれに依存してもよく、又はそれを表してもよい。部位の少なくとも1つのメトリックは、背景ピクセル強度の分散又は標準偏差の測度を含んでもよく、又はそれに依存してもよく、又はそれを表してもよい。
【0016】
部位の少なくとも1つのメトリックは、例えば、すべて背景の少なくともその部分の背景ピクセル強度の分散又は標準偏差の測度で除算した、その部位にあるスポットを表す画像の領域の少なくとも一部のピクセル強度の平均値と、背景の少なくとも一部のピクセル強度の平均値との間の差などの、信号対標準偏差比(SSR)であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0017】
部位の少なくとも1つのメトリックは、その部位にあるスポットを表す画像の領域の少なくとも一部のピクセル強度の分散又は標準偏差の測度又はピクセル強度の平均値を含んでもよく、又はそれに依存してもよく、又はそれを表してもよい。部位の少なくとも1つのメトリックは、ピクセル強度閾値以上である、その部位にあるスポットを表すピクセルの百分率又は分数を含んでもよく、又はそれに依存してもよく、又はそれを表してもよい。
【0018】
本方法は、部位のアレイの周りで画像を切り取ることのうちの少なくとも1つを含んでもよい。本方法は、画像をグリッディングして複数のセグメントにすることを含んでもよく、各セグメントはスポット及び/又は部位を取り囲む。
【0019】
切り取り、グリッディング、及び/又はスポットの少なくとも1つのメトリックの決定のうちの1つ若しくは複数又は各々は、同じアッセイタイプを有する1つ若しくは複数の又は各又はすべての他のスポット又は部位と共有される共通パラメータであってもよい、関連付けられる切り取り、グリッディング、及び/又はメトリック決定パラメータを使用することを含んでもよい。その部位の少なくとも1つの画像メトリックから部位の反応の進行度を決定するために使用される基準及び/又はパラメータは、その部位に固有であってもよい。
【0020】
本方法は、例えば、画像をフィルタリング又は平滑化することによって、画像を前処理又はクリーニングすることを含んでもよい。フィルタリング又は平滑化は、画像からノイズを選択的にフィルタリング除去するように構成することができる。
【0021】
少なくとも1つの画像の切り取りは、複数の部位が示されている、画像の全領域のうちのサブセットであってもよい、画像の切り取り領域を決定することを含んでもよい。画像の切り取りは、アレイ上の複数の部位の周りで画像を切り取ることを含んでもよい。本方法は、アレイ上の部位アレイの外周コーナを画定することができ、画像の切り取り領域のコーナを画定することができるか又は画定するために使用することができる、1つ又は複数の又は各対照部位を識別することを含んでもよい。
【0022】
本方法は、反応部位内のスポットに対応する画像の部分を検出又は識別することを含んでもよい。本方法は、例えば、物体認識技法を使用して、スポットの記述に適合する切り取り画像内の形状を検出又は識別することを含んでもよい。反応部位内のスポットに対応する画像の部分を検出又は識別することは、例えば、アッセイ特有又は部位特有のパラメータなどのパラメータのうちの1つ又は複数に基づいてもよい。
【0023】
本方法は、画像内の決定又は識別されたスポットをフィルタリングすることを含んでもよい。本方法は、予め決定された又は決定されている閾値であってもよく、例えば、アッセイ特有又は部位特有のパラメータなどのパラメータのうちの少なくとも1つに含まれてもよく、若しくはそれから導出されてもよい閾値をメトリックのうちの少なくとも1つの値が下回る、決定又は識別されたスポットをフィルタリング除去することを含んでもよい。
【0024】
本方法は、対照部位であってもよい基準点のロケーションを識別することを含んでもよい。例えば、対照部位などの基準点は、画像に示されている最端又は最も離れた部位を識別し、任意選択的に、アレイの既知の又は予測される幾何学的形状を適用することによって識別されてもよい。本方法は、対照部位などの基準点に対する配置を含んでもよい、例えば、アレイ上の部位の既知の又は予測される配置などの、アレイの既知の又は予測される幾何学的形状に基づく空間閾値を使用して、決定又は識別されたスポットをフィルタリング除去することを含んでもよい。本方法は、例えば、部位が発見されると予期される領域の外側など、各コーナの対照部位によって画定される領域内にないスポットをフィルタリング除去することを含んでもよい。
【0025】
本方法は、画像をグリッディングすることを含んでもよく、これは、複数のセグメントを含むグリッドを決定することを含んでもよく、これは、例えば対照部位などの基準点の決定された位置、及び/又は、他の部位若しくはスポットの決定された位置、及び/又は、アレイ上の部位の予期される幾何学的形状に基づいてもよい。各セグメントは、アレイの単一の対応するアッセイ部位を含んでもよい。セルは、重複しないものであってもよい。セルは、アレイ上の部位の配置と対応してもよい。グリッディングすることは、例えば、アッセイ特有又は部位特有のパラメータなどのパラメータのうちの1つ又は複数に基づいてもよい。
【0026】
部位の少なくとも1つのメトリックの決定は、画像から直接的にメトリックのうちの少なくとも1つを決定することを含んでもよい。反応部位の少なくとも1つのメトリックの決定は、画像から直接的に決定されるメトリックのうちの少なくとも1つから間接的に少なくとも1つのメトリックを決定することを含んでもよい。部位の少なくとも1つのメトリックの決定は、例えば、アッセイ特有又は部位特有のパラメータなどのパラメータのうちの1つ又は複数に基づいてもよい。
【0027】
メトリックの非排他的な例は、平均画像背景ピクセル値又は強度、画像背景位置又は強度の平均標準偏差又は分散、スポットのピクセル値または強度の平均及び/又は標準偏差若しくは分散、スポットの縁半径、スポットの形状半径及び/又は等周係数、スポットのエッジシャープネス又は分散、円信号対標準偏差比、円平均、円標準偏差、円背景平均及び/又は標準偏差若しくは分散、スポットの画像背景ピクセル値又は強度の背景、平均、標準偏差及び/又は分散を上回る円強度値、スポットの信号対標準偏差比(SSR)、スポットの少なくとも一部分のピクセル値または強度と背景のピクセル値または強度との間の差などを含む。
【0028】
部位の1つ又は複数のパラメータの決定は、それぞれの部位内で実施されているアッセイと関連付けられる、及び/又は、特定の部位と関連付けられるそれぞれのパラメータを決定又は識別することと、そのそれぞれの部位のそれらのパラメータを適用することとを含んでもよい。パラメータは、所与のアレイ、アッセイタイプ、試料タイプ、ロケーション、アレイ内のロケーション、部位などに対して予め決定されてもよい。
【0029】
一例において、部位のパラメータは、キーボードなどのようなユーザ入力デバイスを使用してユーザによって入力される入力ファイルから取り出されてもよい。
【0030】
本方法は、アレイ、又は、アレイ上の部位のうちの少なくとも1つ若しくは各々、又は、アレイ上の少なくとも1つの若しくは各部位において実施されているアッセイ若しくはアッセイタイプを示す1つ又は複数の識別子を識別又は受信することを含んでもよい。部位の1つ又は複数のパラメータの決定は、ルックアップテーブル、データベース、データストア、又は、例えば、決定されている識別子に基づいてパラメータをアレイ、アッセイタイプ、試料タイプ及び/又は部位と関連付ける関数からパラメータを検索又は決定することを含んでもよい。1つ又は複数のインジケータは、例えば、構成ファイルの一部として入力デバイス及び/又はデータストアから受信されてもよい。入力デバイスは、ユーザ入力を受信するためのキーボードなどのユーザ入力デバイス、バーコード又はQRコード又は他の機械可読コードのスキャナ、RFIDタグリーダ、光学タグリーダなどの機械可読データデバイスなどを含んでもよい。1つ又は複数のインジケータは、実験室情報管理システム(LIMS)から受信されてもよい。本方法は、識別子を読み出すか又は他の様態で受信することを含んでもよく、次いで、例えばデータストアからの識別子と関連付けられる1つ又は複数の基準及び/又はパラメータにアクセスするために、識別子を使用することを含んでもよい。
【0031】
パラメータは、過去のアッセイ、履歴データ、試験アッセイ、モデル化又は予測データなどに基づいてもよい。部位の1つ又は複数のパラメータの決定は、機械学習、人工知能若しくは何らかの他の学習若しくは訓練済みアルゴリズム若しくは関数を使用して、及び/又は、履歴若しくはモデル化データなどを使用して、1つ又は複数の又は各異なるアッセイタイプ及び/又は部位のパラメータを決定することを含んでもよい。
【0032】
パラメータは、グローバルパラメータを含んでもよい。グローバルパラメータは、アッセイの関数であるパラメータであってもよい、すなわち、グローバルパラメータは、アッセイごとに様々であってもよく、及び/又は、対応するアッセイタイプと関連付けられてもよい。グローバルパラメータの同じ値が、複数の部位又はスポットに適用されてもよい。画像のグリッディング、画像の切り取り、及び/又は部位の各々における反応の進行度又は程度を表す1つ又は複数のメトリックの決定のうちの1つ又は複数は、グローバルパラメータに基づいて実施されてもよい。
【0033】
パラメータは、固有のパラメータを含んでもよい。固有のパラメータは、例えば、アレイ又はスポット上のアッセイタイプ及び部位の関数などの、アレイ又はスポット上の特定の部位の関数であるパラメータであってもよい。固有の基準の値は、部位ごとに個々に可変であってもよい。そのアッセイ部位の少なくとも1つの画像メトリックからそれぞれのアッセイ部位における反応の進行度を決定するために使用されるパラメータのうちの少なくとも1つ若しくは複数又はすべては、固有のパラメータであってもよい。
【0034】
グローバル基準であってもよいパラメータの非排他的な例は、最大画像背景平均強度の値、画像背景強度の最大標準偏差又は分散の値などを含む。
【0035】
アレイ上の部位のパラメータは、少なくとも1つのメトリックのいずれの値が、アレイ上のその部位における反応あり又は反応なしを示すかを指定することができる。パラメータは、例えば、スポットが反応あり、反応なし、又は不定を示すかなど、反応の進行度又は程度を指定する1つ又は複数の閾値、基準及び/又は範囲を指定することができる。
【0036】
パラメータの非排他的な例は、反応部位の最大平均強度の値、反応部位の強度の最大標準偏差又は分散、反応部位の信号対標準偏差比の制限、空であるか又は充填されていると考えられるべき反応部位の背景にわたるピクセル値又は強度の閾値、スポットであると考えられるべきである検出されている形状の円又は形状半径の最大値及び/又は最小値、スポットエッジメトリックの最小許容値、SSRを検証するための最大スポット許容背景cv値、スポット反応性SSR値間隔、スポット非反応性SSR値間隔、スポット反応性平均値間隔、スポット非反応性平均値間隔、SSRを検証するための最大円許容背景cv値、円反応性SSR値間隔、円非反応性SSR値間隔、円反応性デルタ値間隔、円非反応性デルタ値間隔などのうちの1つ又は複数又は各々を含む。
【0037】
アッセイ部位又はスポットにおける反応の進行度の決定は、その反応部位又はスポットのメトリック、及び、その反応部位又はスポットのパラメータのうちの1つ又は複数を1つ又は複数の論理試験に適用することを含んでもよく、1つ又は複数の論理試験の結果は、その部位において反応があったか否か、その部位における反応の進行度又は程度、その部位における活動及び/又はその部位における活動の進行度又は程度、又は、その部位における分析物の存否の指示である。その部位における活動及び/又はその部位における活動の進行度を決定することは、例えば、ブロブ、非背景結果の形状などの、検出可能な何物かが存在するか否かを判定することを含んでもよいが、検出される活動がスポット又は反応であるか否かは不明確である。論理試験は、反応の進行度を決定するために、部位の1つ又は複数のメトリックと、部位の1つ又は複数のパラメータを比較することを含んでもよい。
【0038】
本開示の第2の実施例によれば、アレイの複数のアッセイ部位からのそれぞれのアッセイ部位において実施される1つ又は複数のアッセイを分析するための第1の実施例の方法を実施するように構成されている処理システムである。
【0039】
処理システムは、アレイのアッセイ部位の少なくとも1つの画像を受信するように構成することができる。処理システムは、アッセイ部位の各々について、そのアッセイ部位における反応の進行度又は程度を表す少なくとも1つの画像メトリックを決定するために少なくとも1つの画像を処理するように構成することができる。処理システムは、アッセイ部位の各々について、そのアッセイ部位の1つ又は複数のパラメータを決定するように構成することができ、アレイのアッセイ部位のうちの少なくとも1つのパラメータは、アレイの少なくとも1つの他のアッセイ部位のパラメータとは異なる。処理システムは、アッセイ部位の各々について、そのアッセイ部位の少なくとも1つのメトリック及びそのアッセイ部位の1つ又は複数のパラメータからそのアッセイ部位における反応の進行度を決定するように構成することができる。
【0040】
処理システムは、データ記憶装置を備えることができる。処理システムは、通信モジュールを備えることができる。処理システムは、1つ又は複数の出力デバイスを備えることができる。処理システムは、1つ又は複数の入力デバイスを備えることができる。
【0041】
処理システムは、シングル又はマルチコアプロセッサであってもよい、1つ又は複数のプロセッサを備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の中央処理装置、グラフィックスプロセッシングユニット、数値演算コプロセッサ、テンソルプロセッシングユニットなどを含んでもよい。データ記憶装置は、ソリッドステートメモリ、磁気メモリ、光学メモリなどを含んでもよい。通信ユニットは、有線及び/又は無線通信を介して通信するように構成されてもよく、例えば、LAN、WAN、インターネット、1つ又は複数のセルラネットワーク、Ethernetネットワーク、光ファイバネットワークなどのようなネットワークを介して、リモート及び/又はローカルシステムと通信するように構成されてもよい。少なくとも1つの出力デバイスは、ディスプレイ若しくは他の視覚出力デバイス、オーディオ出力デバイス、及び/又は触覚出力デバイスを含んでもよい。
【0042】
少なくともオン入力デバイスは、キーボード、タッチスクリーン、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック、音声認識ベースの入力デバイスなどを含んでもよい。入力デバイスは、バーコード又はQRコード又は他の機械可読コードのスキャナ、RFIDタグリーダ、光学タグリーダなどの機械可読データデバイスを含んでもよい。処理システムは、アレイ又はアレイ上の部位と関連付けられるコードを読み出すか又は他の様態で受信するように構成することができ、次いで、例えばデータストアからのコードと関連付けられる1つ又は複数の基準及び/又はパラメータにアクセスするために、コードを使用することを含んでもよい。
【0043】
処理システムは、構成ファイル、ルックアップテーブル、データベース、データストア、又は、それぞれのパラメータをそれぞれのアッセイタイプ、試料タイプ及び/又は部位と関連付ける関数からパラメータを検索又は決定するように構成することができる。処理システムは、少なくとも1つのリモート処理システムと通信するように構成することができる。リモート処理システムは、サーバ、クラウドコンピューティングリソース、ワークステーション、パーソナルコンピュータなどを含んでもよい。リモート処理システムは、リモートデータ記憶装置を備えることができる。
【0044】
本開示の第3の実施例によれば、アレイの複数のアッセイ部位からのそれぞれのアッセイ部位において実施される1つ又は複数のアッセイを分析するための分析システムであり、分析システムは、上述した第2の実施例の処理システムを備える。分析システムは、アレイの少なくとも1つの画像を収集し、少なくとも1つの画像を処理システムに通信するように構成されているか又は構成可能である少なくとも1つのイメージングデバイスを備えることができる。
【0045】
処理システムは、アレイのアッセイ部位の少なくとも1つの画像を受信するように構成することができる。処理システムは、アッセイ部位の各々について、そのアッセイ部位における反応の進行度又は程度を表す少なくとも1つの画像メトリックを決定するために少なくとも1つの画像を処理するように構成することができる。処理システムは、アッセイ部位の各々について、そのアッセイ部位の1つ又は複数のパラメータを決定するように構成することができ、アレイのアッセイ部位のうちの少なくとも1つのパラメータは、アレイの少なくとも1つの他のアッセイ部位のパラメータとは異なる。処理システムは、アッセイ部位の各々について、そのアッセイ部位の少なくとも1つのメトリック及びそのアッセイ部位の1つ又は複数のパラメータからそのアッセイ部位における反応の進行度を決定するように構成することができる。
【0046】
本開示の第4の実施例によれば、処理システム上で実施されると、処理システムに、本開示の第1の実施例の方法を実施させる命令を含むコンピュータプログラム製品である。コンピュータプログラム製品は、非一時的及び/又は有形コンピュータ可読媒体上に具現化されてもよい。
【0047】
本開示の任意の態様、実施例又は実施形態に従って上記で、又は、本開示の任意の特定の実施形態に関連して下記に定義されている個々の特徴及び/又は特徴の組み合わせは、別個に且つ個々に、単独で、又は、本開示の任意の他の態様、実施例又は実施形態において、任意の他の定義されている特徴と組み合わせて利用されてもよい。
【0048】
さらに、本開示は、方法、及び/又は、本明細書に記載されている任意の装置特徴を使用又は生成し、使用又は製造する方法に関連して本明細書に記載されている任意の特徴を実施するように構成されている装置をカバーするように意図されている。
【0049】
ここで例示のみを目的として、添付の図面を参照して本開示のこれらの及び他の態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】コンピュータ化アッセイ分析システムの概略図である。
【
図2】
図1のシステムを使用して収集されたアレイ上のアッセイの注釈付き画像の例を示す図である。
【
図3】スポット等級付けプロセスにおいて使用されている特定のメトリックのアッセイ属性の変化を示す図である。
【
図4】スポット等級付けプロセスにおいて使用されている特定のメトリックのアッセイ属性の変化を示す図である。
【
図5】スポット等級付けプロセスにおいて使用されている特定のメトリックのアッセイ属性の変化を示す図である。
【
図6】スポット等級付けプロセスにおいて使用されている特定のメトリックのアッセイ属性の変化を示す図である。
【
図7】スポット等級付けプロセスにおいて使用されている特定のメトリックのアッセイ属性の変化を示す図である。
【
図8】
図1のものなどのコンピュータ化アッセイ分析システムによって実施されるアッセイ分析の概観図である。
【
図9A】
図8に示すアッセイ分析の一部を形成する画像分析の概観図である。
【
図11】切り取りプロセスの一部として実施されるグリッド照合プロセスの概略図である。
【
図12】
図11のグリッディングプロセスによって生成されるマイクロアレイのグリッドの概略図である。
【
図14】
図17に示すメトリック決定の一部として実施されるセグメント化プロセスの流れ図である。
【
図15】
図8のアッセイ分析に使用するための等級付け規則エンジンの動作の流れ図である。
【
図16】
図15に関して例示されている等級付け規則エンジンにおいて使用するための分析の適性を決定するための論理を示す流れ図である。
【
図17】
図15に関して例示されている等級付け規則エンジンにおいて使用するためのスポット決定論理を示す流れ図である。
【
図18】
図15に関して例示されている等級付け規則エンジンにおいて使用するための物体決定論理を示す流れ図である。
【
図19】
図15に関して例示されている等級付け規則エンジンにおいて使用するための明物体決定論理を示す流れ図である。
【
図20】
図15に関して例示されている等級付け規則エンジンにおいて使用するためのスポット分類論理を示す流れ図である。
【
図21】
図15に関して例示されている等級付け規則エンジンにおいて使用するためのスポット分類確認論理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、複数のアッセイ部位又はプリント領域15を含む、多重マイクロアレイ又はハイブリッドアレイなどのアレイ10において実行されるアッセイを分析するためのアッセイ分析システム5を示し、各アッセイ部位15又はプリント領域内で個々のアッセイを実施することができる。システム5は、アレイ10の画像を収集するように構成されている、この例ではデジタルカメラ17の形態の1つ又は複数のセンサを備える。1つのみのカメラ17が
図1には示されているが、2つ以上のカメラ17が設けられてもよい。カメラ17は、この例では、アレイ10の全体の画像をキャプチャするように構成されており、例えば、カメラ17の視野18は、アレイ10の全体、又は、少なくともアレイ10のアッセイ部位15のすべてを包含する。しかしながら、カメラ17は、アレイ10のアッセイ部位15の一部のみの画像をキャプチャするように構成されてもよく、又は、複数の異なるカメラ17が、アレイ10のアッセイ部位15の複数の異なるサブセットの画像をキャプチャするか、又は、複数の異なる角度からアレイ10をキャプチャするように構成されてもよい。システム5は、カメラ10によって収集された画像を受信し、特定のアッセイ部位15内の反応の状態を決定する画像を分析するように構成されている分析システム20を備える。
【0052】
分析システム20は、処理システム25、データ記憶装置30、通信モジュール35、1つ又は複数の出力デバイス45、及び1つ又は複数のユーザ入力デバイス40を備える。処理システム25は、シングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい、1つ又は複数のプロセッサを備える。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数の中央処理装置を含み、任意選択的にまた、1つ又は複数のグラフィックスプロセッシングユニット、数値演算コプロセッサ、テンソルプロセッシングユニットなどをも含む。データ記憶装置30は、ソリッドステートメモリ、磁気メモリ、光学メモリなどを含んでもよい。通信ユニット35は、有線及び/又は無線通信を介して通信するように構成することができる。この例では、通信ユニット35は、例えば、LAN、WAN、インターネット、1つ又は複数のセルラネットワーク、Ethernetネットワーク、光ファイバネットワークなどのようなネットワークを介して、リモート及び/又はローカルシステムと通信するように構成されている。少なくとも1つの出力デバイス45は、ディスプレイ若しくは他の視覚出力デバイス、オーディオ出力デバイス、及び/又は触覚出力デバイスを含んでもよい。少なくともオン入力デバイス40は、キーボード、タッチスクリーン、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック、音声認識ベースの入力デバイス、RFIDタグリーダ、バーコード若しくはQRコードリーダなどのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0053】
分析システム20は、少なくとも1つのリモート処理システム50と通信するように構成することができる。リモート処理システム50は、サーバ、クラウドコンピューティングリソース、ワークステーション、パーソナルコンピュータなどを含んでもよい。リモート処理システム50は、リモートデータ記憶装置55を備える。このように、本明細書に記載されている方法ステップのいずれか又はすべて、特に、データ処理及び/又はデータ記憶に関係する任意の方法ステップが、処理システム25を使用して実施されてもよく、少なくとも1つのリモート処理システム50又は本明細書に記載されている方法ステップは、処理システム25と少なくとも1つのリモート処理システム50との間で分散されてもよい。
【0054】
図1のシステムによって収集されるアレイ10の画像の一例が
図2に示されている。アッセイ部位の一部15aは、例えば、分析物の存在を示す反応ありなどの、反応ありを表すスポットを含み、アッセイ部位の一部15bは、分析物の欠落を示し得る、反応なしを示し、アッセイ部位の一部15cは空である。スポットは、一般に、反応の進行度又は程度を表す、不透明性又は色などの変化と関連付けられる。重要なことに、本発明者らは、アレイ10の複数の異なるアッセイ部位15a、15a’が、異なる反応強度を有する反応を実行するために使用される状況を認めた。異なる反応強度は異なるアッセイと関連付けられ得る、すなわち、異なるタイプのアッセイが異なるアッセイ部位15において実行され、それらのアッセイのうちの少なくとも1つ又は各々は、少なくとも1つの他のアッセイに対する異なる反応強度と関連付けられ得る。別の例において、反応強度は、試料依存であってもよく、又は、アッセイ部位ごとに変化してもよい。
【0055】
各アッセイ部位15内の反応の分析は、アッセイ部位15内の反応の1つ又は複数のメトリックを決定し、反応状態の測度(例えば、反応したか否か、すなわち、定性的決定、又は、反応若しくは活動の進行度若しくは程度の値、すなわち、定量的決定、又は、活性であるか否かの指示など)をもたらすために1つ又は複数のパラメータに依存する、例えば閾値との比較などの論理を適用する。これは、すべてのアッセイ部位の、例えばアッセイ及び試料などの、すべての反応の閾値を選択することによって行われてもよい。しかしながら、本発明者らは、所与のメトリックに対する各分析の属性の依存性が異なるアッセイに対して別様に大きく変化し得ることに気付いた。
【0056】
これは、
図3~
図7から分かり、これらの図は各々、異なるアッセイに対する例示的なメトリック(この場合はエッジメトリック)による異なる属性(この場合は正確度、特異性、及び感受性)の変化を示す。したがって、これらの実施例において、共通のエッジメトリック閾値が
図3に示すアッセイに対して設定される場合、20以上のエッジメトリック閾値が望ましい場合がある。しかしながら、
図4に示すアッセイについて、20以上のエッジメトリック閾値が、そのアッセイに対して望ましくないほど低い感受性をもたらす可能性があり、5~10のエッジメトリック閾値がより好ましい場合がある。
図3~
図7に示すアッセイの各々から、メトリックの異なる閾値が異なるアッセイに対してより良好であり得ることが分かる。これらの問題を認めて、アッセイ分析システム5は、同じアレイ10の異なるアッセイ部位15において異なるアッセイを実施するために使用されるアレイの強化された分析を可能にするように特に構成されている。
【0057】
アレイ10のアッセイ部位15内の反応の進行度又は程度を決定するためにアレイ10を分析するコンピュータ化方法の概観が、
図8に示されている。本方法は、
図1に示す処理システム25によって実施することができるが、それらのステップのうちの1つ若しくは複数又は各々は、リモート処理システム50によって実施されてもよく、又は、処理が実効的にそれらの間で分散されるように、異なるステップが処理システム25及びリモート処理システム50によって実施されてもよい。
【0058】
ステップ705は、マイクロアレイ10の複数のアッセイ部位15の各々におけるアッセイの実施を示す。個々のアッセイの実施が当該技術分野において既知であるが、本事例においては、異なるアッセイがマイクロアレイ10のアッセイ部位15のうちの少なくとも一部において実施され、ステップ710においてアッセイ分析システム5によって収集される画像805にキャプチャされる。
【0059】
アルゴリズム810は、アッセイ分析の一部としての画像分析を提供し、
図9A、
図9B及び
図10にさらに詳細に示されている。
【0060】
処理システム25及び/又はリモート処理システム50は、カメラ17(
図1参照)によって収集されるアレイ10の画像805を受信する。処理システム25及び/又はリモート処理システム50は、各アッセイ部位15内の反応の進行度又は程度を示すメトリックを決定するために画像805を処理する、
図8及び
図9Aに示すアルゴリズム810を実施する。アルゴリズム810は、各アッセイ部位15の反応の進行度又は程度を示すメトリックを決定するために、様々なパラメータ815を使用する。
【0061】
メトリックを決定するために使用されるパラメータ815は、グローバルであり、実施されているアッセイに関係なく適用される。しかしながら、等級付けエンジンによるメトリックの分析は、特異的であり、一般的でないパラメータを使用する、すなわち、同じアレイ10の異なるアッセイ部位15又はアッセイ部位15のグループ若しくはサブセットに対して異なるパラメータが使用され得る。例えば、異なるアッセイタイプが異なるパラメータと関連付けられ得る。アレイ10が画像805に含まれる異なるアッセイを実施するために使用されるとき、アッセイ部位15のうちの少なくとも1つのパラメータは、同じアレイ10内の少なくとも1つの他のアッセイ部位15のパラメータとは異なることになる。各アッセイタイプのパラメータは、一般的に予め決定され、適切な予め決定されたパラメータが、その部位において実施されているアッセイのタイプに応じて各異なるアッセイ部位に対して選択される。各異なるアッセイ部位内で実施されているアッセイタイプ及び/又はそのアッセイタイプと関連付けられるパラメータは、一般的に、構成ファイル内で提供される。完全を期すために、パラメータの提供は、本質的にこれに限定されず、他の可能な実施例においては、各異なるプリント領域内で実施されているアッセイタイプは、キーボード、又は、QRコード、RFIDタグ、ホログラフィックタグ、バーコードなどのような、アレイ上に又はアレイとともに提供される識別子のリーダなどの入力デバイスのうちの1つから受信されるユーザ入力から決定することができる。例えば、各アッセイ部位15のアッセイタイプを、ユーザによって、キーボードを使用して入力することができるか、又は、アレイの識別子をリーダによって読み取ることができ、そのアッセイタイプの予め記憶されたデータを、データベース、ルックアップテーブル、又は、データ記憶装置30上に及び/若しくはリモートデータ記憶装置55内に記憶されてもよい他の形態のデータファイルなどから取り出すことができる。付加的に又は代替的に、パラメータは、試料タイプ、試料サイズによって、アレイ10内の個々のアッセイ部位位置によって、及び/又は、反応強度又は反応に対する応答の進行度若しくは程度に影響を及ぼす他の要因によって変化し得る。この場合、各アッセイ部位15又はアッセイ部位15のグループのパラメータは、上述したものと同様に決定することができることが諒解されよう。
【0062】
アルゴリズム810は、画像を分析し、異なるアッセイ部位15と関連付けられる画像の領域を識別し、異なるアッセイ部位15と関連付けられる画像の領域の1つ又は複数のメトリックを決定し、メトリック及びパラメータ815に基づいて異なるアッセイ部位15の反応の進行度又は程度(反応性若しくは非反応性、又は、反応若しくは活動の進行度若しくは程度の値)を決定するように構成されている。
【0063】
図9A、
図9B及び
図10に示すように、アルゴリズム810からの出力は、アッセイ部位15のうちの1つ若しくは複数又は各々の反応の進行度又は程度を示すメトリック820を含むことができる。アッセイ部位15のメトリックは、反応あり若しくは反応なしの単純な指示であってもよく、又は、例えば、アッセイ部位内の反応の進行度若しくは程度を与える値などの、よりニュアンスに富んだものであってもよい、反応の進行度又は程度(例えば、スポット等級)720を決定するために、等級付けエンジンによって処理される。決定されたスポット等級は、次いで、ユーザ725による解釈のために提示され得る。出力はまた、例えば、アルゴリズムが所与のアッセイ部位15の反応の進行度若しくは程度を決定するのに失敗したか、又は、何らかの他のエラーがプロセス中に発生した場合などの、1つ又は複数のエラー及び/又は警告825も含んでもよい。
【0064】
図8及び
図9Aに示すプロセスのより詳細な概観を
図9Bに示す。
図9Bに示すように、プロセスは、入力として、カメラ17によって収集されるアレイ10の画像805を有する。
【0065】
入力画像805が切り取られ905、結果、画像805は、切り取りプロセス905を制御する切り取りパラメータ910に基づいてアッセイ部位15(及び対照アッセイ部位/スポットなどのプロセスによって使用される任意の他の特徴)を含む画像805の領域まで緊密に切り取られる。マイクロアレイ10は、標準的なサイズ、寸法及びレイアウトで提供することができる。切り取りプロセスは、元の画像805の面積を、アッセイ部位15のアレイ、及び、対照アッセイ部位15/スポットなどのプロセスによって使用される任意の他の特徴と関連付けられる画像の面積まで低減するように意図されている。切り取りプロセスは、一般的に知られており、任意の適切な切り取りプロセスが使用されてもよい。適切な切り取りプロセスの一例は、コーナ対照スポットを識別し、これらを使用して、アッセイ部位15のアレイが位置する画像内のアレイ領域を決定することを含む。この領域は、4つの対照スポットの位置、及び、スポット配置の許容誤差を考慮に入れるために必要な安全マージンに基づいて画定される。次いで、画像を、アレイ領域の周りで切り取ることができる。
【0066】
切り取り段階905から出力された切り取り画像は、切り取り画像を複数のセグメント925(
図2参照)に分割するグリッディング915を受け、画像の各セグメント925は、単一のアッセイ部位15を含む。グリッディング915は、グリッディングプロセス915を制御するグリッディングパラメータ920に基づいて実施される。グリッディングパラメータ915は、被試験アッセイに特有の共通パラメータであり得る。グリッドは、画像の上に重ね合わせることができる。これは、コーナスポットの位置に基づいてグリッドの最も可能性の高い位置を決定することを含む。コーナ対照スポットに対応するグリッドモデルのセグメント925がアレイ10について分かり、グリッドモデルが、
図11に示すように、コーナ対照スポットの決定された位置を使用して画像805に適用されることが可能になる。
【0067】
グリッディングプロセス915は、アッセイ部位のアレイのレイアウトの幾何学的定義及びアッセイ部位15内のスポットの位置許容誤差に基づいて、アレイ10内のアッセイ部位15のアレイのモデルを構築することを含む。グリッドは、
図12に示されており、セグメント925の行および列に編成され、各セグメント925は、単一のアッセイ部位15を包含する。単一のアッセイ部位15に対応するプリントドメインは、単一のスポットを含み、スポットは、隣接するスポットと接触し得ない。その結果、グリッドは、グリッドのセグメント925に対応するプリントドメインの行および列に編成される。グリッドのモデル(グリッド記述子)は、データ記憶装置30及び/又はリモートデータ記憶装置55に記憶される。
【0068】
画像のセグメント925が生成されると、所与のアッセイ部位15内のスポットのスポットメトリック930を、メトリック生成パラメータ935に基づいて生成することができる。
【0069】
スポットメトリック930は、所与のアッセイ部位15内の反応を示すスポットを特性化するために使用することができる、スポットと関連付けられる画像の任意のメトリックとすることができる。例えば、所与のスポットのスポットメトリック930のうちの少なくとも1つは、その部位を表す画像の領域のピクセル強度を含んでもよく、又はそれを表してもよい。このメトリックの特定の例は、その反応部位のそのスポットを表す画像の領域の少なくとも一部のピクセル強度の平均値、及び/又は、そのスポットを表す画像の領域のピクセル強度の平均値と背景ピクセル強度の平均値との間の差を含むか又はそれを表す、所与のスポットのスポットメトリック930である。各スポットの適切なメトリックの特定の例は、すべて背景の少なくともその部分の背景ピクセル強度の分散(例えば標準偏差)の測度で除算した、所与のスポットを表す画像の少なくとも一部のピクセル強度の平均値と、背景の少なくとも一部のピクセル強度の平均値との間の差である、標準偏差比(SSR)である。
【0070】
スポットメトリック算出930は、例えば、スポットの指定の領域及び背景からピクセルを選択するためのマスクを使用することによって、平均ピクセル強度値を使用することなどによって、メトリック算出が再現可能であり、一般的に分析されているスポットに関係なく同じであるように設計することができる。したがって、メトリック生成パラメータ935もまた、一般的に、アッセイタイプに関係なく一般的又はスポット間で共通とすることができる。
【0071】
スポットメトリック930が任意の関心スポットについて決定されると、次いで、それぞれのスポットを含むそれぞれのアッセイ部位15内で実施されているそれぞれの反応についての反応の進行度又は程度を決定するために、等級付けエンジン940を使用してスポットメトリックを評価することができる。等級付けエンジン940は、その所与のスポット/アッセイ部位15の反応の進行度又は程度(例えば、スポット等級)を決定するために、スポット特有の(アッセイ特有及び/又は試料タイプ特有などでもある)等級付けパラメータ945及び/又は等級付け規則950を、所与のスポットについて決定されたスポットメトリックに適用する。上記のように、異なるスポット/アッセイ部位15が異なるアッセイ及び/又は試料タイプのものであるとき、1つ又は複数のスポット/アッセイ部位15について等級付けエンジン940によって適用される等級付けパラメータ945及び/又は規則950は、各スポット/アッセイ部位15の反応の進行度又は程度(スポット等級)を決定するために何らかの他のスポット/アッセイ部位15に適用されるものとは異なる。
【0072】
このように、例えば、切り取り905、グリッディング915及び/又はスポットメトリックの算出930のうちの1つ又は複数に対して、適切である場合、共通の又は一般的なパラメータが適用され、これによって、個々のパラメータ化がそれほど有効でないパラメータの効率的な処理が促進される。対照的に、そのアッセイ、試料タイプ又は他の要因に特有のパラメータを使用することによって、実施されているアッセイの性能及び品質に重大な差が生じる可能性がある場合、特注規則950及び/又はパラメータ945が、等級付けエンジン940によって、同じアレイ10上の異なるスポット/アッセイ部位15及び/又はスポット/アッセイ部位15の異なるグループに対して決定され、使用される。しかしながら、他の実施例において、切り取り905、グリッディング915及び/又はスポットメトリックの算出930のうちの1つ若しくは複数又は各々は、アッセイ部位15特有の(例えば、アッセイ、スポット位置及び/又は試料タイプ特有の)パラメータを使用して実行することができることが諒解されよう。
【0073】
図9Bの方法を示す代替的な流れ図が、提供及びロードされている1005入力画像805を示す
図10に示されている。グリッド構築記述子1007の形態のパラメータが生成され、入力画像805の切り取り905及びグリッディング915に使用される。グリッドの各セグメント925のメトリック1012が決定され(ステップ1008)、画像分析出力ファイルにおいてスポット等級付けエンジン940に出力され、スポット等級付けエンジン940は、メトリックを使用して各セグメント925/ウェル15内のスポットを等級付けする。画像分析の結果も出力される(ステップ1014)。ステップ1014の出力結果は、例えば、決定されたメトリック1012、及び、さらなる調査に有用であるか又は必要とされ得る、エラー指示などの任意の追加の画像分析データを含み得る。
【0074】
コーナ対照スポット1747に対応するグリッドモデルのセグメント925がアレイ10について分かり、グリッドモデルが、
図11及び
図12に示すように、コーナ対照スポット1747及び他のスポットの決定された位置を使用して画像805に適用されることが可能になる。
【0075】
図9B及び
図10に示すメトリック930/1008の生成のより多くの詳細が、
図13に示されている。メトリック930/1008は、グリッディングされた画像内の各セグメント925/プリントドメインの画像から決定される。セグメント(プリントドメイン)925のメトリック930/1008が等級付け規則エンジン940に入力され、等級付け規則エンジン940は、メトリックを使用して、関連付けられるセグメント(プリントドメイン)925内で実施されている各アッセイの等級又は反応性を決定する。
【0076】
図13に示すように、メトリック生成プロセスは、形状(例えば円)メトリック1805を算出すること1732を含む。形状メトリックは、物体認識技法を使用してセグメント内の反応スポットを示す形状(限定ではないが円など)を識別し、次いで、形状のメトリックを決定することによって識別される。形状メトリックは、例えば、円中心座標、円半径、円平均(すなわち、円座標及び半径によって画定される円領域の平均ピクセル値)、円標準偏差(すなわち、円領域内のピクセル値の標準偏差)、円背景平均(すなわち、背景の領域内のピクセル値の平均)、円背景標準偏差(すなわち、背景の領域内のピクセル値の標準偏差)、円SSR(円領域の信号対標準偏差比)、上記のいずれかを示す任意の代替的なメトリックなどを含むことができる。
【0077】
メトリック生成プロセスはまた、各セグメント(プリントドメイン)のドメインメトリック1810を算出することも含む。ドメインメトリックは、ドメイン平均(セグメント座標及び半径全体によって画定される領域のピクセル値の平均)及びドメイン標準偏差(セグメント座標及び半径全体によって画定される領域のピクセル値の標準偏差)などのようなメトリックを含むことができる。ドメインメトリックは、グリッドの個々のセグメントの位置及びサイズに基づいて算出される。
【0078】
ドメインメトリック1810の算出に加えて、プロセスはまた、各セグメント(プリントドメイン)のデフォルトドメインメトリック1815を算出することも含み、デフォルトドメインは、それぞれのセグメントの中心に配置されたデフォルト半径の円である。デフォルトドメインメトリックの例は、デフォルトドメインのピクセル強度の平均、デフォルトドメインのピクセル強度の標準偏差、デフォルトドメインの背景領域のうちの或る領域のピクセルの平均、デフォルトドメインの背景領域のうちの或る領域のピクセルの標準偏差、及びデフォルトドメインの信号対標準偏差比(SSR)などのうちの1つ若しくは複数又は各々を含む。
【0079】
メトリック生成プロセスは、スポットメトリックを算出することをさらに含む。スポットメトリックは、セグメント化方法によって各セグメント(プリントドメイン)から抽出される。セグメント化ステップの目的は、考察されているセグメント(プリントドメイン)内に物体(例えば、アッセイ反応によって引き起こされ、及び/又は、アッセイ反応の進行度を示すスポットである場合もあり、又はそうでない場合もある、何らかの形態の活動又は「ブロブ」)が存在するか否かを検出し、そうである場合、物体の位置及びサイズを決定することである。物体と物体を取り巻く背景の両方について、対応するメトリックが算出される。セグメント(プリントドメイン)内に物体が発見されない場合、スポットメトリックは生成されない。オブジェクトが検出される場合、スポットメトリックが決定され、その後、等級付け規則エンジンによって実施される分析に使用されて、物体がスポットであるか否かが判定され、そうである場合、スポットの等級が決定される。可能なスポットメトリックの例は、スポット中心座標、スポット半径、スポット平均及びスポット半径によって画定される領域内のピクセル値の平均、スポット平均及びスポット半径によって画定される領域内のピクセル値の標準偏差、背景によって画定される領域の平均及び/又は標準偏差、スポット閾値、スポットエッジメトリック、スポット等周係数、及び/又はスポットの信号対標準偏差比などを含む。
【0080】
スポットメトリックの決定は、セグメント化ステップ1820によって開始する。セグメント化ステップ1820は、
図14に詳述されている。
【0081】
図14に示すセグメント化プロセス2005は、エロージョン処理画像2405の作成を含む。これは、エロージョン要素の形状及びサイズを設定するデータを含む、エロージョンパラメータ2410によって設定されるサイズ及び形状の構造化要素を適用することを含む。エロージョン要素は、各画像ピクセル上に配置されている行列であり、エロージョン処理ピクセルの値は、行列上で発見される最小入力ピクセルである。エロージョンは、ローカル背景の推定値を決定するために使用される。構造化要素は、エロージョン後に、セグメントの中心がローカル背景を反映するように選択することができる。
【0082】
各セグメント925について、
図14に示すセグメント化プロセスは、セグメント925のピクセル強度ベースのメトリックを決定することを含む。この例において、各セグメント925のメトリックは、それぞれのセグメント925について算出されるIQ3メトリック2415である。セグメント925のIQ3メトリックは、そのセグメント925の中心における画像のピクセル強度である。
【0083】
図14のステップ2430において、セグメント925に閾値化が適用される。閾値化は、ピクセル強度に対する閾値を適用することによってカラー又はグレースケール画像を黒色及び白色の画像に変換し、閾値を上回るピクセルが白色であると判定され、閾値を下回るピクセルが黒色であると判定される。閾値は、任意選択的に、動的に決定される閾値であってもよく(すなわち、適応的閾値化を適用するために)、又は、パラメータとして提供されてもよい。
【0084】
図14のステップ2435において、ステップ2430から出力される閾値化画像が分析されて、画像内の任意の輪郭が決定される。様々な技法を使用して、輪郭及びエッジを識別することができ、適切な技法を選択することができる。
【0085】
図14のステップ2440において、ステップ2435において発見された輪郭がセグメント925ごとにチェックされて、それらの輪郭がセグメント925の境界の境界幅閾値(入力パラメータ2005として提供される)内に近づいているか否かが確認され、そうである場合、除去される。このプロセス後に2つ以上の輪郭が残っている場合、ステップ2450において、最大の輪郭がさらなる処理のために選択され、残りの輪郭は破棄される。所与のセグメント925について輪郭が発見されない場合、そのセグメント925は「セグメント化されず」又は「ブロブ発見されず」としてラベル付けされ、そのセグメント925に関してさらなる処理は実施されない。
【0086】
「セグメント化されず」としてまだラベル付けされていないセグメント925について、ステップ2455において、それらのセグメント内のスポット2710の凸包が決定される。スポットの凸包又は凸包絡2705は、そのスポット2710を含む最小の可能な凸形状である。
【0087】
ステップ2460において、それぞれのセグメントの最小外接円が決定される。最小外接円は、凸包を包含する最小の可能な円形状である。最小外接円中心座標及び半径が、セグメント化段階の出力である。
【0088】
各セグメント925について、セグメント化プロセス1820においてブロブが発見されない(すなわち、セグメント化されない)場合、そのセグメント925についてスポットメトリックは決定されない。しかしながら、所与のセグメント925内にスポットが存在すると判定された場合、ステップ1825において、そのセグメント925は、スポット部分と背景部分とに区分化される。
【0089】
セグメント925と関連付けられるアッセイ部位15を表す画像の部分が、スポットを表す部分と背景を表す部分とに区分化され得る。スポットを表す部分は、例えば、スポットを表す部分の領域内に包含されるピクセルのすべてのピクセル強度値の平均値を求めることによって、スポットの平均強度を算出するために使用される。
【0090】
背景を表す部分は、スポットを含まないセグメントの部分内の背景の平均強度及び標準偏差(例えばすなわち、背景を代表するピクセルのピクセル強度値の平均値及び標準偏差)(又は分散の他の測度)を算出するために使用される。
【0091】
セグメント化される(すなわち、ブロブ又は何らかの形態の活動が存在する)と判定されているセグメント又はスポットについて、次いで、プロセスは、それまで非反応性であるか又は技術的エラーがあると考えられていなかった各スポット又はアッセイ部位15のスポット等級又は反応の進行度若しくは程度を評価するために必要なスポットメトリックの決定に進むことができる。
【0092】
図13のプロセスのステップ1830は、強度が極端に高いか又は低いことによって非定型的であるピクセルを除去するために画像をピクセルフィルタリングすることを含む。画像アーティファクトは、典型的には強度が非常に高く、このプロセスは、これらのアーティファクトの任意の残差を除去する。強度が非常に低いピクセルは、ノイズを示す場合がある。ピクセルフィルタリングは、プロセスのパラメータである高及び低ピクセル強度閾値を、スポットピクセル集団と背景ピクセル集団の両方に適用し、低強度閾値を下回るピクセル及び高強度閾値を上回るピクセルを除去する。
【0093】
ステップ1835において、スポット等級/反応の進行度又は程度の決定に使用されるスポットメトリックが決定される。様々なメトリックが使用されてもよい。1つのメトリックは、以下の式を使用して各スポット/セグメント925/アッセイ部位15について算出することができる信号対標準偏差比(SSR)である。
【0094】
【数1】
式中、
Mean(Signal)はフィルタリングされたスポット領域内のピクセル強度の平均値であり、Mean(Background)はフィルタリングされた背景領域内のピクセル強度の平均値である。
StD(Background)はフィルタリングされた背景領域内のピクセル強度の標準偏差である。
【0095】
SSRに加えて又はその代替として使用されてもよいメトリックの他の例は、以下のようなIQ1、IQ2、IQ3及びIQ4を含む。
【数2】
【数3】
、式中、A
Signalはスポット半径を使用して得られるスポットの面積であり、A
spotは、ピクセルフィルタリングの前にセグメント化から得られるスポットの面積(スポット半径の外側のピクセルの数の測度)、又は、フィルタリングを通じて除去された任意のピクセルを除外するスポット半径内のスポットの面積(スポット半径内部の失われているピクセルの数の測度)のいずれかである。
IQ3=セグメント925の中心における結果の画像のピクセル強度
IQ4は、強度目標以上のピクセルの%とカメラ飽和値(例えば通常は255)にあるピクセルの%との比である。
【0096】
他の適切なメトリックが、当業者には本開示の教示から明らかであり得る。任意の決定されたメトリックが、等級付け規則エンジン940に出力される。等級付け規則エンジンは、一般的に画像特性を示す、様々なアッセイ部位の、例えば円メトリック、ドメインメトリック及び/又はスポットメトリックなどのメトリックを求め、これらを使用して、関連付けられるアッセイ部位において実行されているアッセイの特性を示すスポット等級又は反応の進行度若しくは程度を決定する。
【0097】
等級付け規則エンジン940は、
図15に概説されている論理に従って動作する。
図15は、スポット等級付けプロセス、すなわち、スポット/アッセイ部位15のメトリックの生成930に使用される規則の概観を与える流れ図であり、等級付けエンジン940の動作を概説する。等級付けエンジン940による個々の規則の適用は、
図24~
図29に関して下記により詳細に説明する。
【0098】
この例において、スポット等級又は反応の進行度若しくは程度を決定するために等級付けエンジン940によって使用される等級付けパラメータ945及び規則950(
図9Bに示すような)は、グローバル又は固有のいずれかであり得る。グローバルパラメータはアッセイのタイプに特有のパラメータであり、一方、固有のパラメータは、アッセイとスポット/アッセイ部位15の位置の両方の関数として定義され、すなわち、パラメータは、アッセイ部位15/スポットとアッセイの両方に依存する。
【0099】
等級付け規則エンジン940によって実施されるスポット等級決定は、アレイ10内のアッセイ部位15のアレイの画像805(適切に切り取られ905、グリッディング915されてセグメントにされている)を、各セグメント925/アッセイ部位15のメトリックとともに考慮し、対応するスポット/アッセイ部位15/セグメント925の等級付け結果を送達する。
図23に示す特定の例において、等級付けエンジン940は、関心のある各セグメント925/アッセイ部位15に対して以下のような6つの規則から成るセットを適用する。
・規則00:分析に適していない画像を識別する規則1205、
・規則01:セグメント925が空であるか又は物体を含むかを識別する規則1210、
・規則02:例えば、セグメント化又は円探索によって、セグメント925がスポットを含むか否かを識別する規則1215、
・規則03:スポットが反応性であるか、非反応性であるか、若しくは、技術的エラーがあるか、又は、スポット/アッセイ部位15内の反応の程度が不定であるとしてスポットを等級付けする規則1220、
・規則04:明物体を検出する規則1225、及び
・規則05:結果を確認する規則1230。
【0100】
等級付け規則エンジン940によってアッセイ部位15内のスポット/反応を等級付けするための規則1205~1230の有用なセットが上記で与えられているが、他の例では、規則1205~1230のすべてではなく一部のみが適用されてもよく、又は、追加の若しくは代替的な規則が適用されてもよい。システムの動作を、
図16~
図21に関してさらに説明する。
【0101】
画像が分析に適しているか否かを判定するためのプロセス又は規則の流れ図の一例を
図16に示す。
図16に示すプロセス又は規則は、アレイ10の画像の背景が十分に暗く一様である場合に、アレイ10内のアッセイ部位15のアレイが分析に適しているか否かを判定するように動作可能である。プロセスは、画像全体のメトリックを使用し1405、画像全体のメトリックは、この例では、画像全体の背景部分のピクセル強度の平均、及び、画像全体の背景部分のピクセル強度の標準偏差(又は分散の何らかの他の適切な測度)を含む。規則は、画像背景平均最大許容値(又は閾値)及び画像標準偏差又は分散最大許容値(又は閾値)を含む、グローバルパラメータ1410を使用する。プロセスは、規則を実施すること1415を含み、画像全体の背景部分のピクセル強度の平均が画像背景平均最大許容値(又は閾値)を超えるか否か、又は、画像全体の背景部分のピクセル強度の標準偏差(又は分散の何らかの他の適切な測度)が画像標準偏差若しくは分散最大許容値(又は閾値)を超えるか否かのいずれかが判定される。そうである場合、技術的エラーがフラグ立てされ1420、その画像についてプロセスが終了する1425。そうでない場合、画像が分析に適していると判定され、等級付けエンジン940によって実施されるプロセス全体が、
図17に示されている規則1215へと継続する。
【0102】
図17は、セグメント925内で検出されている物体が反応を示すスポットであるか否かを識別するためのプロセス2205の概略図である。物体を要求される確度でスポットであると識別することができない場合、プロセスは、セグメント925が空であるか否かを判定する
図18のプロセス2305に進む。
図17のプロセス2205は、所与のセグメント925内の物体が、検出可能性、形状、サイズ及びスポットのセグメント925内での位置に関係する一定の条件を満たす場合、物体は反応を示すスポットであると決定する。
【0103】
プロセスは、最大及び最小ブロブ半径、最大及び最小等周係数、最大及び最小ブロブエッジメトリックなどのようなパラメータ2215を受信することを含む。パラメータは、個々のアッセイ部位/実施されているアッセイに対して固有である。
【0104】
プロセスは、所与のセグメント内の物体のセグメントサポート認識において発見されるメトリックが、等級付けに適した反応を示すか否かを判定するための規則を適用すること2220を含む。そうである場合、等級付けされた反応を、所与のセグメントに対して固有に決定することができる。
【0105】
規則2220の適用は、
図13に関連して上述したメトリック生成中に生成されるものなどの、円及びドメインメトリック2210を利用する。規則2220の適用は、例えば、所与のセグメント925内で円が発見されたか否かを判定することを含むことができる。分析下のセグメントについて円が発見された場合、反応を示すスポットがそのセグメント内に存在すると判定され、円の半径及び位置が決定される。
【0106】
追加の又は代替的な規則を使用して、反応を示すスポットの存在を判定することができる。例えば、規則2220の適用はまた、SSRに基づいて、非円形「ブロブ」の形状で物体が発見されたか否かを判定することも含むことができる。そうである場合、半径、エッジメトリック、等周係数、位置などのような「ブロブ」の様々なメトリックが決定される。すべてのブロブ基準が満たされる場合、反応を示すスポットがセグメント内に存在すると判定され、ブロブ基準は、例えば、ブロブ半径がブロブ最小半径以上且つブロブ最大半径以下であること、ブロブ等周係数がブロブ最小等周係数以上且つブロブ最大等周係数以下であること、ブロブエッジメトリックがブロブ最小エッジメトリック以上且つブロブ最大エッジメトリック以下であることなどのうちの1つ又は複数を含む。ブロブ基準のすべてが満たされる場合、スポットが検出されたことも判定される。
【0107】
セグメント925内で円が識別された場合、又は、ブロブ基準のすべてが満たされた場合、
図19に示すプロセス2420が適用され、プロセス2205において識別されたスポットが、反応を示すスポットではなく明物体アーティファクトとして識別され得るか否かがチェックされる。
【0108】
円が発見されず、ブロブ基準がいずれも満たされなかった場合、
図18のプロセス2305が適用され、セグメントが空であるか否かが判定される。
【0109】
セグメント925が円を含まず、ブロブ基準も満たさないと判定される場合、プロセス2305は、セグメント925が物体を含むか否か又はセグメントが空であるか否かを判定する。プロセスは、セグメント925がブランクである(すなわち、平均ピクセル値が一定レベルを下回る)か否か、又は、セグメントが、物体が区別されることを可能にしないグレーレベルで一様に充填されており(すなわち、遷移又はエッジが検出されない)、アレイ全体の画像グレーレベルと一致するか否かを判定すること2310によってこれを行う。判定2310は、セグメント925の特定のメトリック(SSR値など)を、パラメータ2312(セグメントSSR制限パラメータなど)として設定されている1つ又は複数の閾値と比較することを含む。このチェックは、そのセグメント925内のプリント領域又はアッセイに特有であり得る。
【0110】
例えば、セグメント925のSSR値がセグメントSSR制限パラメータ未満であり、セグメント925の平均ピクセル値が最大平均ピクセル値パラメータ未満であり、セグメント925の標準偏差(又は他の分散メトリック)が最大標準偏差パラメータ未満であり、背景ノイズの測度未満の背景ノイズに対する物体の検出の指示が最大閾値パラメータ未満である場合、セグメント925は、空であると判定され2315、そのセグメント925についてプロセスは終了する2320。そうでない場合、技術的エラー2325が判定される、すなわち、そのドメインは物体を含まないが、十分な確度で、物体が反応を示すスポットとして適格であると言うことはできない。
【0111】
図17に示すプロセスに関連して上記で言及したように、所与のセグメント925の内側の物体が潜在的に反応を示すスポットとして識別され得る場合、
図17のプロセスは、ステップ2420として、各セグメント925から明物体アーティファクトを除去することを含み、これは、
図19により詳細に示されている。
【0112】
この明物体アーティファクト除去ステップ2420は、
図19に示すように、ピクセル強度メトリックを、パラメータ2425として設定されており、及び/又は、他のメトリックから導出される1つ又は複数の閾値と比較することによって、セグメント内の物体が明物体異常であるか否かを判定するための規則を適用すること2505を含む。例として、規則2505は、信号平均値がIQ3値から算出される検出閾値を上回る場合、又は、信号標準偏差が固有のパラメータによって定義される値を上回る場合などに、セグメント925内で識別される物体が明物体異常であると指定することができる。
【0113】
閾値は、所与のセグメント925に固有のパラメータ2425として提供される検出勾配及び検出切片を使用して検出され、検出閾値は、そのセグメント925の検出勾配にそのセグメント925のIQ3値を乗算し、そのセグメント925の検出切片を加算した値として定義される。例えば、規則2505は、以下の基準のいずれかが適用される場合に、所与のセグメント925内の物体が明物体異常であると判定することができると指定することができる。
(1)スポットの平均スポット信号(例えば、ピクセル値)が検出閾値以上である、
(2)スポット信号の標準偏差又は他の分散測度が、固有のパラメータ2425として与えられる、関連付けられる閾値よりも大きい、又は
(3)円信号の平均が検出閾値以上である、
(4)円信号の標準偏差又は他の分散測度が、固有のパラメータ2425として与えられる、関連付けられる閾値よりも大きい。
【0114】
これらの基準がいずれも満たされない場合、プロセスは、ステップ2510として、スポットを分類するための規則を適用する、
図20に示すプロセス2025を実施する。上記の基準のいずれかが適用される場合、そのセグメント925について明物体異常が検出され、技術的エラー2515が記録され(すなわち、検出された物体が異常である可能性が高い)、画像10内のすべてのセグメント925が分析されるまで、プロセス2420は別のセグメント925について反復する。
【0115】
明物体異常検出は、上記の基準のうちの1つ若しくは一部のみを使用してもよく、及び/又は、異なる基準を使用してもよいことが諒解されよう。代替的な又は追加のステップにおいて、プロセスは、技術的エラーを根拠としてセグメント925全体を拒絶するのではなく、検出閾値を上回るピクセル強度を有する任意のピクセルを除去してもよい。
【0116】
上記で言及したように、
図19に関して
図19のプロセスが、物体が明物体アーティファクトでないと判定する場合、スポットを分類するための規則を適用する、
図20に示すプロセス2025が適用される。
【0117】
図20に示すプロセス2025において、各アッセイ部位15/スポット/セグメント925のスポット等級/反応の程度は、
図13に示すプロセスを使用して決定されるメトリック、並びに、アッセイ及び/又はアッセイ部位15に特有であるパラメータを使用から決定される。スポット等級付け/反応の程度の決定は、等級付けエンジン940によって適用される先行する規則のうちのいずれによっても拒絶されなかったスポット/セグメント925に対してのみ実行される。
【0118】
SSRに基づくスポット等級/反応の程度の決定は、有益な例として提供される。スポット等級/反応の程度は、付加的に又は代替的に、限定ではないが、IQ1、IQ2、IQ3、IQ4などのような他のメトリックに基づいてもよいことが諒解されよう。
【0119】
この例において、アッセイ依存であり、任意選択的にまたスポット特有であり、及び/又は、試料タイプ依存のパラメータとして設定される、4つの閾値が設定される。閾値は、値の昇順でTel、Tl、Th及びTehである。所与のスポット/アッセイ部位15/セグメント925のスポット等級/反応の程度は、以下の表1に従ってSSRに基づいて決定される。
【0120】
【0121】
プロセス2025は、
図20に示すように、各スポット/アッセイ部位15/セグメント925のスポット等級/反応の程度を決定するための規則を適用すること3105を含む。これらの規則3105に従って、スポットは、SSR又はデルタ(デルタは平均スポット又は円ピクセル強度値と平均背景ピクセル強度値との間の差である)などの、その強度を反映するメトリックの値に基づいて、反応性、非反応性又は不定として等級付けされる。
【0122】
表1に示す特定の例において、セグメントのSSR値が最低閾値Telを下回るか、又は、最高閾値を上回る場合、技術的エラーが判定される。SSRが最低閾値Telを上回るが、上側非反応性閾値Tlを下回る場合、非反応性等級付けが判定される。SSRが上側非反応性閾値Tlを上回るが、下側反応性閾値Thを下回る場合、不定状態が判定され、これは、反応性及び非反応性状態等級付けを十分な確度で判定することが可能でないことを示す。SSRが下側反応性閾値Thと上側反応性閾値Thとの間にある場合、反応性等級付けが判定される。表1に与えられている特定の例は、SSRをメトリックとして使用するが、同じ概念がまた、他のメトリックにも適用されてもよいことが諒解されよう。
【0123】
有益なことに、規則3105は、最も適したメトリックを選択するために、スポット値/反応の程度を決定するために使用されるメトリックの間で動的に切り替えるための論理を含むことができ、例えば、切り替えは、背景のピクセル強度の標準偏差又は他の分散メトリックに基づく。この例において、論理は、SSRをデフォルトとして使用し、SSRが不適であることが分かった場合、例えばデルタなどの別のメトリックに切り替える。SSRとデルタとの間の切り替えは、背景値の分散の測度に基づいて、例えば、背景の標準偏差の100倍を背景の平均で除算した値である背景CV値を使用することによって、行われる。
【0124】
例えば、いくつかの事例において、スポットを取り巻く背景は、非一様であり、これによって、背景標準偏差が平均を十分に超える値を有することになる。結果として、SSRは強く低減され、これによって、スポットが明確に反応を示す場合であっても、偽非反応性判定が引き起こされる可能性がある。この場合(無効なSSR)、デルタを使用した代替のスポット反応評価が使用され、標準偏差に対して背景の平均レベルを考慮に入れるために、標準偏差の代わりにCVを使用して背景一様性が評価される。
【0125】
スポット等級/反応の程度の決定のための閾値パラメータ3110は、すべてアッセイ依存であり、任意選択的にまた、スポット位置及び/又は試料タイプ依存でもある、すなわち、それらは、同じアレイ10内の異なるアッセイ部位15に対して変化する。必要とされる閾値パラメータ3110は、最大許容背景CV値、反応性SSR値範囲、非反応性SSR値範囲、反応性スポットデルタ値範囲、非反応性デルタ値範囲などを含む。
【0126】
図17に関連して上述したプロセス(規則2)から、スポットは、セグメント化又は円検出によって決定されている場合がある。適用される閾値パラメータ3110はまた、円探索から円として決定されているか、又は、セグメント化プロセスを介してスポット若しくは「ブロブ」として決定されているかにも依存し得、各々に対して異なる閾値パラメータが適用される。
【0127】
規則3105の適用は、背景CV値が最大許容背景CV値未満であるか否かを判定することによって開始する。そうである場合、プロセスは、SSRメトリックを使用することによって進行する。そうでない場合、プロセスはデルタメトリックを使用して進行し、それによって、上述した動的切り替えが提供される。
【0128】
SSRメトリックを使用して進行する場合、SSR(スポットがどのように判定されたかに応じて、ブロブ又は円のいずれかに対するもの)が反応性SSR値範囲(閾値パラメータである)内にあるか否かが判定され、そうである場合、スポット/アッセイ部位15/セグメント925が、関連付けられるアッセイが反応性であることを示すと判定される3115。SSRが反応性SSR値範囲内にない場合、SSRが非反応性SSR値範囲(同じく閾値パラメータである)内にあるか否かが判定され、そうである場合、スポット/アッセイ部位15/セグメント925が、非反応性であるか又は反応していないことを示すと判定される3120。スポットに対するSSRが、反応性SSR値範囲と非反応性SSR値範囲の両方の外側にあると判定される場合、スポット/アッセイ部位15/セグメント925が、不定であるか又は技術的エラーが生じたと判定される3125。
【0129】
デルタメトリックが使用されるべきであると判定される場合、上記と同様であるが、SSR及びSSRと関連付けられる閾値パラメータ3110の代わりにデルタ及びデルタと関連付けられる閾値パラメータ3110(反応性デルタ値範囲及び非反応性デルタ値範囲など)を使用した判定プロセスが使用される。
【0130】
図20に示すプロセス2025において行われた判定に関係なく、
図21に示すチェックステップ3205が行われる。チェックステップ3205は、
図17に示すスポット適格性認定ステップ2025から判定されるスポット等級/反応の程度の決定に規則3215を適用することを含む。
図21に示すチェックステップ3205は、任意選択のステップであり、適切なチェックパラメータ値3210を使用することによって、オン又はオフに切り替えることができる。
図20のスポット適格性認定ステップ2025が、スポット/アッセイ部位15/セグメント925が「非反応性」3120として等級付けされるべきであると判定する場合、
図18のプロセスによって同じスポット/アッセイ部位15/セグメント925が「空」2315として示され、次いで、規則3215が、スポット/アッセイ部位15/セグメント925を非反応性3220であると確認する。しかしながら、スポット適格性認定ステップ2025が、スポット/アッセイ部位15/セグメント925が「非反応性」3120として等級付けされるべきであると判定する場合、
図26のプロセスによって同じスポット/アッセイ部位15/セグメント925が「空」2315として示されず、次いで、「非反応性」の代わりに「技術的エラー」3225が、スポット/アッセイ部位15/セグメント925について出力される。スポット適格性認定ステップ2025が、スポット/アッセイ部位15/セグメント925が「反応性」3115として等級付けされるべきであると判定する場合、これは規則3215によって維持され、次いで、「反応性」判定が出力される3230。
【0131】
有益なことに、少なくとも、
図20に関連して上述したスポット適格性認定プロセス2025に使用される閾値パラメータは、実施されているアッセイ、アッセイ10上のアッセイ部位15の特定のロケーション、分析されている試料のタイプなどのうちの1つ又は複数などの要因に応じて別個に可変である。このように、他のどの(異なる)アッセイが同じアレイ10上で実施されているかに関係なく、任意の所与のアッセイ、アッセイ部位15及び/又は試料タイプに対してより良好な閾値を選択することによって、アッセイ判定の有効性を改善することができる。すなわち、同じアレイ10上の異なるアッセイ部位15内で異なるアッセイを実施することを考慮に入れるために、閾値パラメータの設定における譲歩を少なくする必要がある。
【0132】
スポット適格性認定の前の様々なステップが実行され、これらは必須である必要はないが、個々に又は組み合わせて、アッセイ結果判定の正確度又は効率を改善することができる。
【0133】
特定の例が上述されているが、本発明を実行に移すための1つの可能な方法を当業者に与えるために提供されており、上述した方法及び装置に対する変形例が、特許請求項の範囲内で可能であることが諒解されよう。
【0134】
例えば、SSR、デルタ、IQ3などのような様々なメトリックが使用されるが、代替的なメトリックが使用されてもよいことが諒解されよう。さらに、エッジ検出、閾値化、及び、例えば円などの形状の識別などのような、アッセイ部位15内のスポットを検出するための様々な技法が上述されているが、代替的な技法が使用されてもよいことが諒解されよう。
【0135】
アッセイの画像を収集するためにデジタルカメラ17が使用されることが有利であるが、温度カメラ、紫外線又は赤外線センサなどのような、反応の程度を表すメトリックを決定するのに有用である他のセンサデバイスが使用されてもよいことが諒解されよう。
【0136】
本発明の方法ステップの態様は、入力データに対して動作し、出力を生成することによって本発明の機能を実施するためのコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラマブルプロセッサによって実施することができる。方法ステップはまた、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)又は他のカスタマイズ回路などの専用論理回路によって実施することもできる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、CPU及びマイクロプロセッサ、並びに、任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ又は両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須の要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに、命令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまた、例えば、磁気、磁気光ディスク、又は光ディスクなどの、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶装置も含むか、又は、大容量記憶装置からデータを受信するか若しくは大容量記憶装置にデータを転送し、又はその両方を行うように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに適した情報キャリアは、例として、例えばEPROM、EEPROM、SSDなどのソリッドステートメモリ及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、例えば、内部ハードディスク又は取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、磁気光ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完することができるか、又は、それに組み込むことができる。
【0137】
方法ステップは、リモート処理デバイス上の論理処理デバイスによって実施することができるか、又は、分散処理構成において、特定のステップをローカル処理デバイス上で実施することができ、特定の方法ステップをリモートデバイス上で実施することができる。
【0138】
ユーザとの対話を可能にするために、本発明は、情報をユーザに表示するための、たとえば、CRT(陰極線管)、プラズマ、LED(発光ダイオード)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタのような画面と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができる入力デバイスによって、例えば、キーボード、タッチスクリーン、マウス、トラックボールなどの入力デバイスとを有するデバイス上で実装することができる。他の種類のデバイスを使用することができ、たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、たとえば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックのような任意の形態の感覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、発話、または触覚入力を含む任意の形態で受信されてもよい。
【0139】
上述した方法を実施するのに適した処理デバイスは、コントローラ又は処理システムを備えるか又はそれを実装するように構成されているモバイル、固定又はネットワーク対応デバイスを含んでもよい。デバイスは、携帯電話、スマート・フォン、PDA、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータなどであってもよく、又はそれを含んでもよく、又はそれに含まれてもよい。コントローラ又は処理システムは、デバイス上で実行される適切なプログラム又はアプリケーション(アプリ)によって実装されてもよい。デバイスは、中央処理装置(CPU)、数値演算コプロセッサ(MCP)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)などのような、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。デバイスは、メモリ、及び/或いは、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、SSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)又は他の適切な磁気、光及び/若しくは電子メモリデバイス上で実装されてもよい他のデータ記憶装置を備えることができる。少なくとも1つのプロセッサ並びに/又はメモリ及び/若しくはデータ記憶装置は、例えば、単一のデバイス、又は、単一のロケーションにおいて通信する複数のデバイス内に設けられるなど、ローカルに配置されてもよく、又は、いくつかのローカル及び/若しくはリモートデバイスにわたって分散されてもよい。デバイスは、例えば、無線及び/又は有線通信モジュールなどの通信モジュールを備えることができる。通信モジュールは、セルラ通信ネットワーク、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、近距離場通信(NFC)、IR、衛星通信、他のインターネット対応ネットワークなどを介して通信するように構成することができる。通信モジュールは、Ethernet又は他の有線ネットワーク若しくは接続を介して、POTS、PSTN、DSL、ADSL、光キャリア回線、及び/又はISDNリンク若しくはネットワークなどのような電気通信網を介して、クラウドを介して、並びに/或いは、インターネット、又は他の適切なデータ搬送ネットワークを介して通信するように構成することができる。通信モジュールは、光無線通信(OWC)、光自由空間通信若しくはLi-Fiなどの光通信を介して、又は光ファイバなどを介して通信するように構成することができる。デバイス及び/若しくはコントローラ又は少なくとも1つのプロセッサ若しくは処理ユニットは、通信モジュールを介してリモートサーバ又はデータストアと通信するように構成することができる。コントローラ又は処理ユニットは、デバイスの少なくとも1つのプロセッサ、メモリ及び/又は他のデータ記憶装置及び/又は通信モジュールを備えてもよく、又は、それを使用して実装されてもよい。
【国際調査報告】