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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】包装された液体飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/66 20060101AFI20231031BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20231031BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231031BHJP
   A23F 5/24 20060101ALI20231031BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20231031BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20231031BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20231031BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20231031BHJP
【FI】
A23L2/00 J
A23L2/38 P
A23L2/52
A23F5/24
A23L29/262
A23L29/238
A23L29/256
A23L29/269
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522821
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2021080346
(87)【国際公開番号】W WO2022096438
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,470
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21176152.3
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】アルダペ ファリアス, グアダルーペ デル カルメン
(72)【発明者】
【氏名】ヌネス, レティシア
【テーマコード(参考)】
4B027
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B027FB24
4B027FC10
4B027FE10
4B027FK04
4B027FK05
4B027FK18
4B027FQ17
4B027FQ19
4B027FQ20
4B027FR05
4B027FR13
4B027FR20
4B041LD10
4B041LE08
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4B041LK10
4B041LK11
4B041LK24
4B041LK37
4B041LP01
4B041LP04
4B041LP16
4B041LP18
4B117LE10
4B117LG17
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4B117LK13
4B117LK18
4B117LP16
4B117LP17
4B117LP20
(57)【要約】
本発明は、タンパク質を含む包装された液体ノンアルコール飲料であって、凍結後に包装内の飲料組成物を手で崩すことができるように、包装が可撓性である、液体ノンアルコール飲料に関する。本発明の更なる態様は、凍結したノンアルコール飲料の調製方法である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を含む包装された液体ノンアルコール飲料であって、凍結後に前記包装内の前記飲料組成物を手で崩すことができるように、前記包装が可撓性である、包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項2】
前記液体飲料が、コーヒー抽出物を含む、請求項1に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項3】
前記液体飲料が、10~40重量%の固形分を有する、請求項1又は2に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項4】
前記包装がパウチである、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項5】
前記タンパク質が、乳タンパク質又は植物タンパク質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項6】
前記コーヒー抽出物が、可溶性コーヒー粉末又は液体コーヒー抽出物である、請求項2~5のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項7】
前記コーヒー抽出物が、0~90℃の温度で抽出されている、請求項6に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項8】
セルロース、アルギナート、ジェランガム、ローカストビーンガム、デンプン、キサンタンガム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される親水コロイドを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項9】
固形分基準で2~80重量%のレベルで糖類を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項10】
前記飲料が、周囲温度での貯蔵に適した無菌処理飲料である、請求項1~9のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
【請求項11】
ノンアルコール飲料を調製する方法であって、
a.請求項1~10のいずれか一項に記載の包装された液体ノンアルコール飲料を、-5℃~-30℃で少なくとも1時間凍結させて、凍結した包装飲料を形成することと、
b.前記飲料が部分的に融解するように、前記凍結した包装飲料を加熱することと、
c.前記包装飲料を手で扱って、凍結した内容物を崩すことと、
d.任意選択で、前記飲料を前記包装から容器に注ぎ入れることと、を含む方法。
【請求項12】
前記凍結した包装飲料が、電子レンジを使用して部分的に融解される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記凍結した包装飲料が、15℃~50℃の温度で少なくとも5分間置かれることによって部分的に融解される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記部分的に融解した飲料に水が添加される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記部分的に融解した飲料が未だ包装内にある間に、又は前記飲料を容器に注ぎ入れた後に、前記水が加えられる、請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を含む包装された液体ノンアルコール飲料であって、包装が可撓性であり、凍結後に包装内の飲料組成物を手で崩すことができる、液体ノンアルコール飲料に関する。本発明の更なる態様は、ノンアルコール飲料の調製方法である。
【背景技術】
【0002】
ブレンド・アイス・コーヒー(Blended iced coffee)製品は、カフェ及びその他のアウト・オブ・ホーム販路(out-of-home outlets)の消費者に非常に人気がある。例えば、アイスコーヒー「フラッペ」製品では、コーヒーはミルク及びアイスと組み合わされ、機械ブレンダーでブレンドされ、次いで所望によりホイップクリームでトッピングされる。かかる飲料のブレンドにより、小さな氷晶が生じ、かつミルクで安定化された泡が生成される。機械ブレンダーを使用する必要なく、消費者が家庭でブレンド・アイス・コーヒーを調製するための簡便な方法を提供することに対するニーズが存在する。
【0003】
本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、かかる先行技術が周知であること、又は当分野で共通の全般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。本明細書で使用される場合、「含む/備える(comprises)」、「含んでいる/備えている(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを意図している。
【0004】
[発明の概要]
本発明の目的は、現在の技術水準を改良し、改良された解決策を提供して上記の不都合の少なくともいくつかを克服することである。本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の着想を更に展開させるものである。
【0005】
したがって、本発明は、第1の態様では、タンパク質を含む包装された液体ノンアルコール飲料であって、凍結後に包装内の飲料組成物を手で崩すことができるように、包装が可撓性である、液体ノンアルコール飲料を提供する。
【0006】
第二の態様では、本発明は、以下:
a.本発明の包装された液体ノンアルコール飲料を、-5℃~-30℃で少なくとも1時間凍結させて、凍結した包装飲料を形成することと、
b.該飲料が部分的に融解するように、該凍結した包装飲料を加熱することと、
c.該包装飲料を手で扱って、凍結した内容物を崩すことと、
d.任意選択で、飲料を包装から容器に注ぎ入れること、を含む、ノンアルコール飲料の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
したがって、本発明は、部分的に、タンパク質(例えば、乾燥基準で0.2~6重量%のタンパク質)を含む包装された液体ノンアルコール飲料であって、凍結後に包装内の飲料組成物を手で崩すことができるように、包装が可撓性である、液体ノンアルコール飲料に関する。本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、部分的に融解すると、小さな氷晶を有する望ましい「スラッシュ状」テクスチャーを有する。これにより、機械ブレンダーを使用する必要なく、簡便な方法で、ブレンドアイス飲料(例えば、ブレンド・アイス・コーヒー)のテクスチャーを有する製品が提供される。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、乾燥基準で0.5~8重量%、例えば乾燥基準で6~9重量%のレベルで脂肪を含み得る。本発明の文脈において、脂肪という用語は、トリグリセリドを意味する。脂肪は、動物の脂肪組織及び多くの植物種子の主成分である。一般的に周囲温度にて液状で存在する脂肪は、通常、油と呼ばれる。本発明において、油及び脂肪という用語は互換可能である。
【0008】
本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、0.5重量%未満のアルコール、例えば0.05重量%未満のアルコール、例えば0.01重量%未満のアルコールを含むか、又はアルコールを全く含まない。本明細書では、アルコールとはエタノールを意味する。
【0009】
有利には、本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、消費者から悪いものとして認識されている可能性のある乳化剤を必要とせずに良好な機能性を有する。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、モノアシルグリセロール(MAG)、ジアシルグリセロール(DAG)、及びジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル(DATEM)を0.1重量%未満含有する。例えば、包装された液体ノンアルコール飲料は、0.01重量%未満のMAG、DAG、及びDATEMを含有してもよい。本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、MAG、DAG、及びDATEMを添加していなくてもよい。用語「添加されない」とは、包装された液体ノンアルコール飲料が、そのように添加された任意のMAG、DAG、又はDATEMを含有しないことを意味する。MAG、DAG、及びDATEMを添加していない包装された液体ノンアルコール飲料は、少量のこれらの乳化剤を含有してもよく、これらの乳化剤は、包装された液体ノンアルコール飲料の原材料のうちの1つ以上のものの微量不純物として存在する。例えば、植物油は、少量のモノアシルグリセロール及びジアシルグリセロールを天然に含有し得る。本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、MAG、DAG、及びDATEMを含まなくてもよい。モノアシルグリセロールはモノグリセリドとしても知られており、ジアシルグリセロールはジグリセリドとしても知られている。
【0010】
一実施形態では、本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、そのように添加された0.01重量%未満(例えば、0.001重量%未満)の低分子量乳化剤を含有する。本発明の文脈において、低分子量乳化剤という用語は、1500ダルトン未満の分子量を有する乳化剤を指す。本発明の包装された液体ノンアルコール飲料は、そのように添加された低分子量乳化剤を含まなくてもよい。低分子量乳化剤としては、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、ジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、リン脂質、ガラクト脂質、並びに脂肪酸のスクロースエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
リン脂質及びガラクト脂質は、原材料中の10重量%未満、例えば、原材料中の5重量%未満のレベルで他の原材料の成分として存在し得るが、そのままでは、又は例えばレシチンなどの多量(例えば40重量%超)のリン脂質若しくはガラクト脂質を有する原材料の形態では、添加され得ない。一実施形態では、本発明による包装された液体ノンアルコール飲料は、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、ジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、並びに脂肪酸のスクロースエステルを添加されていない。一実施形態では、本発明による包装された液体ノンアルコール飲料は、ジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、並びに脂肪酸のスクロースエステルを含まない。
【0012】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、コーヒー抽出物を含む。例えば、飲料は、乾燥基準で0.3~4.0重量%のコーヒー抽出物を含み得る。本発明によるコーヒー抽出物は、例えば焙煎コーヒー豆を水で抽出することによって生成される水性コーヒー抽出物であり得る。コーヒー抽出物は、可溶性コーヒー、例えば純粋な可溶性コーヒーであり得る。焙煎した豆は、通常、水で抽出される前に粉砕される。抽出は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって行うことができる。コーヒー豆を抽出する方法は、可溶性コーヒーの製造の技術分野において、例えば欧州特許第0826308号から周知であり、通常、温度を上昇させるいくつかの抽出工程を伴う。所望の抽出度に達すると、抽出済みの焙煎コーヒー豆は抽出物から分離される。分離は、あらゆる好適な手段、例えば、濾過、遠心分離、及び/又はデカントによって達成され得る。抽出前及び/又は抽出中のアロマの減少を避けるため、揮発性アロマ化合物を、例えば蒸気ストリッピング及び/又は真空の使用によって、コーヒー豆及び/又は抽出物から回収してもよい。回収した揮発性化合物を、抽出後に、抽出物に添加して戻してもよい。
【0013】
コーヒー抽出物は、焙煎されたアラビカコーヒー豆もしくはロブスタコーヒー豆、又はこれらの組み合わせ、の抽出物であり得る。コーヒー豆は、コーヒーノキ(Coffea)の種子である。アラビカコーヒー豆とは、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)由来のコーヒー豆を意味し、ロブスタコーヒー豆は、ロブスタコーヒーノキ(Coffea canephora)由来のコーヒー豆を意味する。
【0014】
包装された液体ノンアルコール飲料の固形分含有量は、湿潤ベースでの包装された液体ノンアルコール飲料の総重量に対するパーセンテージとしての乾燥物の重量である。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、10~40重量%、例えば15~35重量%、更に例えば25~35重量%の含水率を有する。固形分は、包装を無視した液体飲料の固形分を指すことを理解すべきである。
【0015】
包装された液体ノンアルコール飲料は、冷凍時にパックの内容物を膨張させることができ、また、飲料がパック内にある間に手で崩すことを可能にする、可撓性パック内に包装され得る。一実施形態では、包装はパウチ、例えば可撓性パウチである。可撓性パウチは、例えば、共押出ラミネートから形成され得る。
【0016】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、乳タンパク質を含む。用語「乳タンパク質」は、乳製品から得られる又は乳製品由来のタンパク質として定義される。典型的な乳タンパク質は、カゼイン、カゼインミセル、カゼイネート、カゼイン加水分解物、ホエイ、ホエイタンパク質、ホエイ加水分解物、ホエイ濃縮物、ホエイ単離物、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、カゼインミセル、カゼインナトリウム、カゼインカリウム及び/又はカゼインカルシウム、甘性ホエイ、酸ホエイ、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ウシ血清アルブミン、酸カゼイン、α-カゼイン、β-カゼイン及び/若しくはγ-カゼイン、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。乳タンパク質は、任意の形態であってもよく、例えば、天然のタンパク質、タンパク質分離物、タンパク質濃縮物、加水分解タンパク質、分画タンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。乳タンパク質は、クリーム、高脂肪乳、スキムミルク、バターミルク(バター撹乳プロセスの液相)、ホエイ(例えばスイートホエイ)及びこれらの組み合わせからなる群から選択される原材料の形態で提供され得る。これらの原材料は、粉末形態又は液体形態で提供され得る。一実施形態では、乳タンパク質は、バターミルク、例えばバターミルク粉末を含む。バターミルクは天然の乳化剤として機能し、良好な乳化及び安定性を確保する。本明細書において、用語「ミルク」は、酪農乳を指す。ミルクは豆乳であってもよい。植物から産生される乳様物質に言及する場合、「植物性ミルク」という用語が使用される。植物性ミルクの例としては、豆乳、オート麦ミルク、及びナッツミルクが挙げられる。
【0017】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、植物タンパク質を含む。植物タンパク質は、エンドウマメタンパク質、ソラマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、レンズマメタンパク質、オートムギタンパク質、ジャガイモタンパク質、ダイズタンパク質、コメタンパク質、ナタネタンパク質及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。植物タンパク質は、任意の形態であってもよく、例えば、天然の植物タンパク質、植物タンパク質分離物、植物タンパク質濃縮物、加水分解植物タンパク質、分画植物タンパク質、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。一実施形態では、植物タンパク質は、植物タンパク質分離物又は濃縮物である。植物タンパク質は、植物ミルク、例えば豆乳、オート麦ミルク又はナッツミルクなどの原材料中に含まれて提供され得る。タンパク質は、任意の脂肪が均一に分散したエマルジョンとして維持するのに役立つ。
【0018】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料に含まれるコーヒー抽出物は、純粋な可溶性コーヒー粉末などの可溶性コーヒー粉末である。例えば、コーヒー抽出物は、乾燥コーヒー抽出物からなってもよい。一実施形態では、コーヒー抽出物は、乾燥固形分基準で2~3.5重量%のレベルで、包装された液体ノンアルコール飲料中に存在する。
【0019】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料に含まれるコーヒー抽出物は、液体コーヒー抽出物である。液体コーヒー抽出物は、水性液体で希釈することによるコーヒー飲料の調製に好適な、水性コーヒー濃縮物の形態であり得る。液体コーヒー抽出物は、少なくとも1.5重量%のコーヒー固形分を含み得る。
【0020】
包装された液体ノンアルコール飲料に含まれるコーヒー抽出物は、焙煎され挽かれたコーヒー豆の低温抽出物であるコールドブリューコーヒーであり得る。一実施形態では、コーヒー抽出物は、0~90℃の温度で抽出されている。例えば、焙煎して挽いたコーヒー豆の抽出物は、0~90℃の温度の水を使用して抽出される。
【0021】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、セルロース、アルギナート、ジェランガム、ローカストビーンガム、デンプン、キサンタンガム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される親水コロイドを含む。一実施形態では、親水コロイドはジェランガムである。親水コロイドは、乾燥基準で0.05~5.0重量%、例えば、乾燥基準で0.1~0.2重量%のレベルで存在してもよい。例えば、セルロース、アルギナート、ジェランガム、ローカストビーンガム及びキサンタンガムはそれぞれ、乾燥基準で0.05~0.2重量%のレベルで存在してもよい。デンプンは、乾燥基準で0.1~5.0重量%のレベルで存在してもよい。デンプンは、変性デンプンであってもよい。親水コロイドは、部分的に融解した飲料のテクスチャーに影響を与え、脂肪が均一に分散した懸濁液として維持するのを助ける。加えて、ジェランガム又はローカストビーンガムなどの親水コロイドは、凍結時の氷晶のサイズを減少させる。包装された液体飲料が部分的に解凍されるとき、これは結果としてブレンドアイス飲料(例えばブレンド・アイス・コーヒー)のテクスチャーを有する飲料となる。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、食用塩、例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウム又はマグネシウムの塩化物又はクエン酸塩を含む。食用塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムでありであり得る。食用塩は、0.001~1.0重量%(例えば0.01~0.3重量%)の間のレベルで存在してもよい。
【0022】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、乾燥基準で2~80重量%のレベルで糖類を含む。糖類としては、例えば、スクロース、フルクトース、デキストロース、マルトース、デキストリン、レブロース、タガトース、アルロース、ガラクトース又は加水分解デンプンが挙げられ得る。糖類は、例えば乾燥固形分基準で10~70重量%のレベルのアルロース(D-プシコース又はD-アルロースとしても知られる)であってもよい。例えば、包装された液体ノンアルコール飲料は、乾燥基準で2~80重量%、例えば乾燥基準で10~75重量%、例えば乾燥基準で15~70重量%、さらに例えば乾燥基準で2~20重量%のレベルで糖類(例えばスクロース)を含み得る。包装された液体ノンアルコール飲料は、乾燥基準で5~20重量%のレベルでスクロースを含み得る。包装された液体ノンアルコール飲料は、非サッカリド甘味料、例えばマルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルト及びラクチトールなどの糖アルコールを単独で又は組み合わせて含んでもよい。単糖類のような小さな糖類は、冷凍飲料の融点を下げるのに特に有効である。融点が低いと、包装された液体ノンアルコール飲料を消費者がより容易に部分的に融解することを可能にする。糖類は、加水分解デンプンを含み得る。加水分解デンプンは、グルコースシロップとして一般に知られている材料であり得る。包装された液体ノンアルコール飲料は、乾燥固形分基準で40~55重量%のレベルでグルコースシロップを含み得る。グルコースシロップは、25~42のデキストロース当量(DE)を有してもよい。デキストロース当量は、デンプンに適用される加水分解度の指標であり、100DEのシロップは、デキストロース(グルコース)に完全に加水分解される。本発明者らは、25~42のDEを有するグルコースシロップが、融点の降下と、部分的に融解した飲料に望ましい滑らかでわずかに噛みごたえのあるテクスチャーを提供することと、の間の良好なバランスを提供することを見出した。
【0023】
一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、コーヒー抽出物、ミルク、バターミルク及びジェランガムを含む。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、コーヒー抽出物、ミルク、バターミルク、ジェランガム、グルコースシロップ及びスクロースを含む。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、コーヒー抽出物、ミルク、バターミルク、ジェランガム、グルコースシロップ、スクロース、及びアルロースを含む。一実施形態では、包装された液体ノンアルコール飲料は、コーヒー抽出物、ミルク、バターミルク、ジェランガム、及びアルロースを含む。
【0024】
包装された液体ノンアルコール飲料は、周囲温度、例えば15~25℃で保存することができるように、無菌的に処理及び充填され得る。
【0025】
本発明の一態様は、ノンアルコール飲料を調製する方法を提供し、該方法は、
a.本発明の包装された液体ノンアルコール飲料を、-5℃~-30℃で少なくとも1時間凍結させて、凍結した包装飲料を形成することと、
b.該飲料が部分的に融解するように、該凍結した包装飲料を加熱することと、
c.該包装飲料を手で扱って、凍結した内容物を崩すことと、
d.任意に、飲料を包装から容器(例えばグラスなどの飲用容器)に注ぎ入れることと、を含む。
【0026】
有利なことに、ノンアルコール飲料は、機械ブレンダー又は同様の装置を使用せずに調製することができる。
【0027】
包装された液体ノンアルコール飲料は、家庭用の冷凍庫で冷凍され得る。ほとんどの家庭用冷凍庫は、約-18℃の温度である。包装された液体ノンアルコール飲料は、例えば、-15℃~-20℃の温度で冷凍され得る。包装された液体ノンアルコール飲料は、少なくとも1時間、例えば少なくとも2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間又は12時間冷凍され得る。
【0028】
凍結された包装飲料は、部分的に融解するように加熱され得る。例えば、凍結された包装飲料は、冷凍された時点で包装飲料中に存在する水の10~90重量%、例えば20~80重量%、さらに例えば30~40重量%が融解する(すなわち液体形態となる)よう加熱され得る。液体形態である水の量は、pNMR(プロトン核磁気共鳴)によって、又は示差走査熱量測定(DSC)などの熱量測定を使用して加熱時の融解エンタルピーを測定することによって、測定してもよい。
【0029】
一実施形態では、凍結した包装飲料は、電子レンジの使用によって部分的に融解する。
【0030】
一実施形態では、凍結した包装飲料は、15℃~50℃(例えば、15℃~25℃)の温度に少なくとも5分間(例えば、少なくとも10分間、さらに例えば少なくとも15分間)置かれることによって、部分的に融解するように加熱される。「加熱」という用語は、凍結した包装飲料を室温、例えば15~25℃、さらに例えば18~22℃に置くことによって、凍結した包装飲料の温度を上昇させることを含むことができる。凍結した包装飲料は、マイクロ波加熱と、15℃~50℃(例えば、15℃~25℃)の温度での少なくとも5分間(例えば、少なくとも10分間、さらに例えば少なくとも15分間)の放置との組み合わせによって部分的に融解され得る。
【0031】
一実施形態では、包装飲料を手で扱って、凍結した内容物を室温、例えば15~25℃で崩す。
【0032】
一実施形態では、飲料、例えば、部分的に融解した飲料に水が添加される。水は、水そのものであってもよいし、ミルク又は液体コーヒーなどの他の消費可能な水性液体内に含まれていてもよい。便宜上、水は、飲料がまだ包装内にある間に飲料(例えば、部分的に融解した飲料)に加えられ得る。例えば、凍結内容物を崩すために包装飲料を手で扱う前に、包装内の飲料に水を添加してもよく、例えば、凍結内容物を崩すために包装飲料を手で扱う前であって、飲料が部分的に融解するよう、凍結した包装飲料を加熱した後に、包装内の飲料に水を添加してもよい。水は、室温、例えば15~25℃で添加してもよい。
【0033】
一実施形態では、部分的に溶解した飲料を容器に注ぎ入れた後に、当該飲料に水が加えられる。
【0034】
当業者は、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を自由に組み合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明の製品のために記載された特徴を本発明の方法と組み合わせてもよく、逆もまた同様である。更に、本発明の異なる実施形態について記載された特徴を組み合わせてもよい。周知の均等物が特定の特徴について存在する場合、このような均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのごとく組み込まれる。
【0035】
本発明の更なる利点及び特徴は、図及び非限定的な実施例から明らかである。
【実施例
【0036】
実施例1:液体飲料の調製
以下の表に掲載する原材料を組み合わせた。ジェランガムを水中で水和し、可溶性コーヒー粉末を溶解した後、他の原材料と合わせ、高せん断混合に供した。混合物を均質化し、熱処理し、可撓性のスパウト付きスタンドアップパウチに無菌充填した。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例2:溶解特性
サンプルA及びサンプルBを含有する充填済みパウチには、携帯型温度データロガー(DataTrace(登録商標)MesaLabs、コロラド州レイクウッド)を埋め込んだ。データロガーは、30秒毎に記録するようにプログラムした。充填したパウチを-28℃で48時間凍結させた。次いで、凍結したパウチを冷凍庫から取り出し、20℃で24時間加温した。データロガーからのデータをダウンロードし、分析して凍結温度及び解凍温度を得た。加温中、試料A(アルロースを含む)は、-19.1℃の温度で軟化し始め、-13℃で完全に軟化したことが観察された。対照的に、試料B(グルコースシロップ及びスクロースを含む)は、軟化し始める前に-15.9℃のより高い温度を必要とし、かつ-9.7℃に達するまで完全に軟化しなかった。アルロースを含む試料Aは、凍結後に温めると、手で崩すのがより容易であった。
【0039】
本発明の様々な特徴及び実施形態を、以下に付番するパラグラフを参照して説明する。
1.凍結後に包装内の飲料組成物を手で崩すことができるように、包装が可撓性である、包装された液体ノンアルコール飲料。
2.液体飲料がタンパク質を含む、パラグラフ1に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
3.液体飲料がコーヒー抽出物を含む、パラグラフ1~2のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
4.液体飲料が10~40重量%の固形分を有する、パラグラフ1~3のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
5.包装がパウチである、パラグラフ1~4のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
6.タンパク質が乳タンパク質又は植物タンパク質である、パラグラフ2~5のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
7.コーヒー抽出物が可溶性コーヒー粉末又は液体コーヒー抽出物である、パラグラフ3~6のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
8.コーヒー抽出物が0~90℃の温度で抽出されている、パラグラフ7に記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
9.例えば、セルロース、アルギナート、ジェランガム、ローカストビーンガム、デンプン、キサンタンガム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される親水コロイドを含む、パラグラフ1~8のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
10.固形分基準で2~80重量%のレベルで糖類を含む、パラグラフ1~9のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
11.固形分基準で10~80重量%、例えば固形分基準で15~70重量%のレベルでアルロースを含む、パラグラフ1~10のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
12.飲料が、周囲温度での貯蔵に適した無菌処理飲料である、パラグラフ1~11のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料。
13.ノンアルコール飲料を調製する方法であって、
a.パラグラフ1~12のいずれか1つに記載の包装された液体ノンアルコール飲料を、-5℃~-30℃で少なくとも1時間凍結させて、凍結した包装飲料を形成することと、
b.該飲料が部分的に融解するように、凍結した包装飲料を加熱することと、
c.包装飲料を手で扱って、凍結した内容物を崩すことと、
d.任意選択で、飲料を包装から容器に注ぎ入れることと、を含む方法。
14.パラグラフ13に記載の方法であって、凍結した包装飲料が、電子レンジを使用して部分的に融解される方法。
15.凍結した包装飲料が、15℃~50℃の温度に少なくとも5分間置かれることによって部分的に融解される、パラグラフ13又はパラグラフ14に記載の方法。
16.部分的に融解した飲料に水が添加される、パラグラフ13~15のいずれか1つに記載の方法。
17.部分的に融解した飲料が未だ包装内にある間に、又は当該飲料を容器に注ぎ入れた後に、水が加えられる、パラグラフ16に記載の方法。

【国際調査報告】