IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イートン インテリジェント パワー リミテッドの特許一覧

特表2023-546864ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ
<>
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図1
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図2
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図3
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図4
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図5
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図6
  • 特表-ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ラッチピンアセンブリ及び作動停止ロッカーアームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20231031BHJP
   F16J 1/09 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F01L13/00 302B
F16J1/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522854
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2021025437
(87)【国際公開番号】W WO2022100886
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/111,772
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】グアスキーノ、ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォーニ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリサーニ、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】チェッキ、ミケーレ、アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ダモーレ、マッシモ
【テーマコード(参考)】
3G018
3J044
【Fターム(参考)】
3G018AB03
3G018BA12
3G018BA32
3G018CA18
3G018DA14
3G018DA28
3G018FA11
3G018GA02
3J044CA14
3J044DA09
(57)【要約】

ラッチアセンブリ(500)は、第1の主ピン面(512、522)が第1の直径(D1)を有する主ラッチピンアセンブリ(531、532)と、二次ピストン面(543、563)が第2の直径(D2)を有する二次ラッチピストン(541、561)と、を備えることができる。二次ラッチピストンは、主ラッチピンアセンブリに選択的に作用するように構成され得る。主ラッチピンアセンブリは、二次ラッチピストンに対向するように付勢され得る。第1の直径は、第2の直径よりも大きくてもよい。ロッカーアームアセンブリ(10)は、ラッチアセンブリを備えることができる。一次アーム(100)は、主ラッチピンアセンブリを受容するように構成され得る。二次アーム(300)は、二次ラッチピストンを受容するように構成され得る。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主ピン面が第1の直径を有する主ラッチピンアセンブリと、
二次ピストン面が第2の直径を有する二次ラッチピストンと、
を備える、ラッチアセンブリであって、
前記二次ラッチピストンは、前記主ラッチピンアセンブリに選択的に作用するように構成され、
前記主ラッチピンアセンブリは、前記二次ラッチピストンに対向するように付勢され、
前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きい、
ラッチアセンブリ。
【請求項2】
前記主ラッチピンアセンブリは、外径から前記第1の直径となるように段部状にされている主ピン本体を備える、請求項1に記載のラッチアセンブリ。
【請求項3】
前記主ピン本体は、少なくとも1つの回転防止平坦部を備える、請求項1又は2に記載のラッチアセンブリ。
【請求項4】
前記二次ラッチピストンは、作動流体を受容するようにカップ状にされたピストン本体を備える、請求項1に記載のラッチアセンブリ。
【請求項5】
前記ピストン本体は、作動流体通路を形成するために刻み目を付けられている、請求項4に記載のラッチアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のラッチアセンブリを備えるロッカーアームアセンブリであって、
前記主ラッチピンアセンブリを受容するように構成された一次アームと、
前記二次ラッチピストンを受容するように構成された二次アームと、
を更に備える、ロッカーアームアセンブリ。
【請求項7】
前記一次アームは、ラッチシェルフを一次ロッカーシャフト孔の近位に備え、前記主ラッチピンアセンブリは、前記ラッチシェルフ内の一次ラッチ孔内に設置され、
前記二次アームは、ラッチ延長部を二次ロッカーシャフト孔の近位に備え、前記二次ラッチピストンは、前記ラッチ延長部内の二次ラッチ孔内に設置される、
請求項6に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項8】
前記二次ラッチ孔は、前記二次ラッチピストンをガイドする第1の内径から、前記第1の内径よりも大きい第2の内径となるように段部状にされている、請求項7に記載のロッカーアーム。
【請求項9】
前記一次ラッチピンアセンブリは、前記二次ラッチピストンが受動的であるときに前記第2の内径に接するように付勢される、請求項8に記載のロッカーアーム。
【請求項10】
前記主ラッチピンアセンブリは、外径から前記第1の直径となるように段部状にされている主ピン本体を備え、前記段部は、前記二次ラッチピストンが受動的であるときに前記第2の内径に接する、請求項9に記載のロッカーアーム。
【請求項11】
前記一次アームは、一次移動限界部を備え、
前記二次アームは、二次移動限界部を備え、
前記二次移動限界部は、前記ラッチアセンブリがラッチされると前記一次移動限界部に接触するが、前記二次移動限界部は、前記ラッチアセンブリがラッチ解除されると前記一次移動限界部から旋回して離れるように構成されている、
請求項7に記載のロッカーアーム。
【請求項12】
前記ラッチシェルフは、回転防止孔と、前記回転防止孔内に設置された回転防止ピンとを備え、前記主ラッチピンアセンブリは、前記回転防止ピンにわたって往復運動するように構成された少なくとも1つの回転防止平坦部を備える、請求項7に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項13】
前記一次アームから前記二次アームにまたがるロストモーションばねアセンブリを備える、請求項6に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項14】
軸受端部を前記二次アーム上に備え、弁端部を前記一次アーム上に備える、請求項6~13のいずれか一項に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項15】
前記軸受端部と、前記弁端部と、前記ラッチアセンブリとが、三角分布でロッカーシャフトを取り囲むように構成されている、請求項14に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項16】
前記一次アームは、前記主ラッチピンアセンブリへの潤滑ポートを備える、請求項6~13のいずれか1項に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項17】
前記二次アームは、前記二次ラッチピストンへの作動ポートを備える、請求項6~13のいずれか一項に記載のロッカーアームアセンブリ。
【請求項18】
前記二次ラッチピストンは、作動流体を受容するようにカップ状にされたピストン本体を備える、請求項17に記載のロッカーアームアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、作動停止ロッカーアームアセンブリにおいて使用可能なラッチピンシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
受けた荷重によってラッチピンを特定の位置にロックさせる又は固着させる可能性をもたらし得る特定の実装上の制約が存在する。その場合、ロッカーアームアセンブリはモード間で切り替わることができない。
【発明の概要】
【0003】
ラッチアセンブリの位置を移動させることによって、ロックする又は固着する傾向を軽減することができる。追加の選択肢は、位置の変更をサポートする。
【0004】
本明細書に開示される方法及びデバイスは、ラッチアセンブリ及びそれとともに使用可能なロッカーアームアセンブリによって、上記の欠点を克服し、技術を改善する。
【0005】
ラッチアセンブリは、第1の主ピン面が第1の直径を有する主ラッチピンアセンブリと、二次ピストン面が第2の直径を有する二次ラッチピストンと、を備えることができる。二次ラッチピストンは、主ラッチピンアセンブリに選択的に作用するように構成され得る。主ラッチピンアセンブリは、二次ラッチピストンに対向するように付勢され得る。第1の直径は、第2の直径よりも大きくてもよい。
【0006】
主ラッチピンアセンブリは、外径から第1の直径となるように段部状にされた主ピン本体を備えることができる。主ピン本体は、少なくとも1つの回転防止平坦部を備えることができる。
【0007】
二次ラッチピストンは、作動流体を受容するようにカップ状にされたピストン本体を備えることができる。ピストン本体は、作動流体通路を形成するために刻み目を付けられても、又は間隙が形成されてもよい。
【0008】
ロッカーアームアセンブリは、ラッチアセンブリを備えることができる。一次アームは、主ラッチピンアセンブリを受容するように構成され得る。二次アームは、二次ラッチピストンを受容するように構成され得る。
【0009】
一次アームは、ラッチシェルフを一次ロッカーシャフト孔の近位に備えることができる。主ラッチピンアセンブリは、ラッチシェルフ内の一次ラッチ孔内に設置され得る。二次アームは、ラッチ延長部を二次ロッカーシャフト孔の近位に備えることができる。二次ラッチピストンは、ラッチ延長部内の二次ラッチ孔内に設置され得る。
【0010】
二次ラッチ孔は、二次ラッチピストンをガイドする第1の内径から、第1の内径よりも大きい第2の内径となるように段部状にされていてもよい。一次ラッチピンアセンブリは、二次ラッチピストンが受動的であるときに第2の内径に接するように付勢され得る。
【0011】
主ラッチピンアセンブリは、外径から第1の直径となるように段部状にされた主ピン本体を備えることができる。段部は、二次ラッチピストンが受動的であるときに第2の内径に接することができる。
【0012】
一次アームは、一次移動限界部を備えることができる。二次アームは、二次移動限界部を備えることができる。二次移動限界部は、ラッチアセンブリがラッチされると、一次移動限界部に接触することができる。しかし、二次移動限界部は、ラッチアセンブリがラッチ解除されると、一次移動限界部から旋回して離れるように構成され得る。
【0013】
ラッチシェルフは、回転防止孔と、回転防止孔内に設置された回転防止ピンとを備えることができる。主ラッチピンアセンブリは、回転防止ピンにわたって往復運動するように構成された少なくとも1つの回転防止平坦部を備えることができる。
【0014】
ロッカーアームアセンブリは、一次アームから二次アームにまたがるロストモーションばねアセンブリを備えることができる。
【0015】
ロッカーアームアセンブリは、軸受端部を二次アーム上に備え、弁端部を一次アーム上に備えることができる。軸受端部と、弁端部と、ラッチアセンブリとは、三角分布でロッカーシャフトを取り囲むように構成され得る。
【0016】
一次アームは、主ラッチピンアセンブリへの潤滑ポートを備えることができる。二次アームは、二次ラッチピストンへの作動ポートを備えることができる。二次ラッチピストンは、作動流体を受容するようにカップ状にされたピストン本体を備えることができる。
【0017】
追加的な目標及び利点は、以下の説明である程度説明され、ある程度は説明より明らかになるであろう、又は本開示の実践により学習され得る。目標及び利点はまた、特に添付の「特許請求の範囲」で指摘された要素及び組み合わせによって実現され、得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ラッチアセンブリを備えるロッカーアームアセンブリの分解図である。
図2】軸受端部と、弁端部と、ラッチアセンブリとの三角形分布を含む、ロッカーアームアセンブリの側面図である。
図3】ロストモーションアセンブリ及びラッチアセンブリの断面を含む、別のロッカーアームアセンブリの断面図である。
図4】ロッカーアームアセンブリにおいてラッチされたラッチアセンブリの断面図である。
図5】ロッカーアームアセンブリにおいてラッチ解除されたラッチアセンブリの断面図である。主ラッチピンアセンブリは、二次ラッチピストンによって作動される。二次移動限界部は、一次移動限界部から旋回して離れるように構成されている。
図6】二次移動限界部が一次移動限界部から旋回して離れている状態の、ロッカーアームアセンブリにおいてラッチ解除されたラッチアセンブリの図である。
図7】二次移動限界部が一次移動限界部から旋回して離れている状態の、ロッカーアームアセンブリにおいてラッチ解除されたラッチアセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ラッチアセンブリ500は、少なくとも1つの主ラッチピンアセンブリ531と、少なくとも1つの二次ラッチピストン541とを備えることができる。いくつかの図は、第1の主ラッチピンアセンブリ531及び第2の主ラッチピンアセンブリ532が、第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561と協働することを示している。単一の主ラッチピンアセンブリ531と単一の二次ラッチピストン541のためのシステムはレセプタクル壁を用いて形成し得る一方、ペアを備える図によれば、ピンばね519、529のばね力と、二次ラッチピストン541、561のペアに対する作動流体の作動力とが低減され得る。便宜上、第1の主ラッチピンアセンブリ531及び第2の主ラッチピンアセンブリ532を外側ラッチピンと呼ぶことができ、二次ラッチピストン541、561を内側ピストンと呼ぶことができる。
【0020】
第1の主ラッチピンアセンブリ531及び第2の主ラッチピンアセンブリ532は、第1のラッチピン501及び第2のラッチピン502を備え、ピン本体511、521の第1の主ピン面512、522は、第1の直径D1を有することができる。二次ラッチピストン541、561は、ピストン本体542、562を備えることができ、ピストン本体542、562の二次ピストン面543、563は、第2の直径D2を有する。第1の直径D1は、第2の直径D2よりも大きくてもよい(D1>D2)。この関係は、主ラッチピンアセンブリ531、532が、外径OD1から第1の直径となるよう段部状にされた主ピン本体511、521を備える場合であっても当てはまり得る。外側段部514、524が形成され得る。以下のいくつかの任意選択の便益が実装されてもよい。一次ラッチ孔105、125は、一次ラッチピンアセンブリに安定性を与えるために第1の直径よりも大きい直径を有することができる。ピンばね519、529は、ばね力kに可撓性をもたらすためにより広くすることができ、外側段部514、524は、ロッカーアームアセンブリ10の遊び(lash)を設ける働きをすることができる。主ピン本体511、521の追加の特徴は、少なくとも1つの回転防止平坦部515、525を備えることができる。また、ばねカップ516、526は、一次アームラッチ孔105、125のガイド溝135、136内に据え付けられたブッシング又はスナップリング517、527に対してピンばね519、529が拡張及び収縮するときに、ピンばねをガイドすることができる。ブッシング又はスナップリング517、527には、頸状部又は溝としての追加のばねガイド518、528を形成することができる。一次ラッチ孔105、125内の主ピン本体511、521の移動は、ブッシング又はスナップリング517、527の配置によって制限することができる。
【0021】
二次ラッチピストン541、561は、主ラッチピンアセンブリ531、532に選択的に作用するように構成され得る。図面において、これは、ロッカーシャフトからロッカー孔へ作動流体を介して遂行される。主ラッチピンアセンブリ531、532は、ピンばね519、529によって、二次ラッチピストン541、561に対向するように付勢され得る。
【0022】
二次ラッチピストン541、561は、作動流体を受容するようにカップ状にされたピストン本体542、562を備えることができる。キャビティ544、564が、作動流体を受容するために各ピストン本体542、562に形成されてもよい。ピストン本体542、562は、作動流体通路548、568を形成するように、刻み目を付けられでも、又は間隙が形成されてもよい。間隙によって離間され歯545、565は、作動流体通路548、568を形成するための1つの方法である。任意選択のピストンばね546は、典型的にはピンばね519、529に克服される予め設定された量だけ、二次ラッチピストン541、561を押して離すことができる。しかし、任意選択のピストンばね546は、二次ラッチピストン541、561の運動に備えることができる。任意選択のピストンばね546は、ピストン面543、563を押して主ピン面512、522に接触させることができる。
【0023】
ロッカーアームアセンブリ10は、ラッチアセンブリ500を備えることができる。一次アーム100は、主ラッチピンアセンブリ531、532の一方又は両方を受容するように構成され得る。二次アーム300は、二次ラッチピストン541、562の一方又は両方を受容するように構成され得る。枢動スロット102を備えるように一次ロッカーアーム本体101を分割することによって、二次アーム300は、枢動スロット102内で(任意選択のブッシング200の有無にかかわらず)ロッカーシャフトを中心として枢動することができる。分割された一次ロッカーアーム100はまた、第1の主ラッチピンアセンブリ531及び第2の主ラッチピンアセンブリ532を収容するためのミラーイメージ部分を形成することができる。ミラーイメージ部分は、二次ロッカーアーム本体301の一部の側面に位置することができる。したがって、ラッチシェルフ104が一次ロッカーアーム本体101の一部として形成され得る。ラッチシェルフ104は、一次ラッチ孔105、125のペアを備えることができる。ラッチシェルフ104の一部は、一次移動限界部107を備えることができる。
【0024】
一次アーム100は、ラッチシェルフ104を一次ロッカーシャフト孔108の近位に備えることができる。主ラッチピンアセンブリ531、532は、ラッチシェルフ104内の一次ラッチ孔105、125内に設置され得る。一次ロッカーシャフト孔108から一次ラッチ孔105、125への潤滑ポートは任意選択である。
【0025】
二次アーム300は、ラッチ延長部304を二次ロッカーシャフト孔308の近位に備えることができる。二次ラッチピストン541、561は、ラッチ延長部304内の二次ラッチ孔305内に設置され得る。
【0026】
一次アーム100は、一次移動限界部107を備えることができる。二次アーム300は、二次移動限界部307を備えることができる。二次移動限界部307は、ラッチアセンブリ500がラッチされると(図4)、一次移動限界部107に接触することができる。しかし、二次移動限界部307は、ラッチアセンブリがラッチ解除されると(図5図7)、一次移動限界部107から旋回して離れるように構成され得る。一次移動限界部107は、ラッチシェルフ104の材料の壁又は突起又は指部を備えることができる。ラッチ延長部304の材料上の相補的な壁又は突起又は指部は、一次移動限界部107に接するように成形され得る。軽量性及び耐久性が、相補的な一次移動限界部107及び二次移動限界部307のサイズ及び形状における要因であり得る。別の態様では、一次移動限界部107と二次移動限界部307との協働が、ラッチアセンブリ500のラッチ及びラッチ解除を円滑にする働きをする。二次アーム300に対する一次アーム100の過剰移動を制限することによって、一次ラッチ孔105、125が二次ラッチ孔305と容易に位置合わせされる。二次ラッチ孔305内に孔段部351、352を形成することによって、遊び吸収部をロッカーアームアセンブリ10内に設計することができる。ピン本体511、521上の外側段部514、524によってロッカーアームアセンブリ10内に遊び吸収部を設計することもできる。
【0027】
ラッチシェルフ104は、1つ以上の回転防止孔106と、回転防止孔106内に設置された1つ以上の回転防止ピン551、552とを備えることができる。その場合、外側平坦部515、525が回転防止ピン551、552と位置合わせされたときに、外側段部514、524を孔段部351、352と確実に位置合わせすることができる。第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561が第1の主ラッチピンアセンブリ531及び第2の主ラッチピンアセンブリ532に作用すると、少なくとも1つの回転防止外側平坦部515、525は、回転防止ピン551、552にわたって往復運動(摺動)するように構成されている。
【0028】
二次ラッチ孔305は、ピストン本体542、562又は二次ラッチピストン541、561をガイドする第1の内径ID1から、第1の内径よりも大きい第2の内径ID2(ID2>ID1)となるように段部状にされていてもよい。主ラッチピンアセンブリ531、532は、主ラッチピン501、502を備えることができ、主ピン本体511、512は、外径から第1の直径D1となるように段部状にされている。そのように形成された外側段部514、524は、二次ラッチピストン541、561が受動的であるときに第2の内径ID2に接することができる。一次ラッチピンアセンブリ512、522は、二次ラッチピストン541、561が受動的であるときに第2の内径ID2に接するように付勢され得る。受動的な状態では、作動流体圧力はキャビティ544、564に供給されない。しかし、作動流体は、第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561を第1の主ラッチピンアセンブリ531及び第2の主ラッチピンアセンブリ532に作用させるために、ロッカーシャフトから任意選択のブッシング200のブッシングポート201のうちの1つに供給される、又は二次本体301内のラッチオイル作動ポート306に直接供給される。任意選択的に、ロッカーシャフトは、潤滑流体をオイルポート309に供給して、軸受マウント311に設置された軸受ピン313上のころ軸受312を潤滑することができる。軸受端部310は、オイルポート309に接続されたクロスドリル又はベント315を任意選択敵に含むことができる。軸受端部310は、代替的に、タペット又は他の摺動面を備えることができる。
【0029】
ロッカーアームアセンブリ10は、一次アーム100から二次アーム300にまたがるロストモーションばねアセンブリ400を備えることができる。ロストモーションばねアセンブリ400は、一次移動限界部107が弁サイクルの一部の間に二次移動限界部307に接触するように、ラッチ延長部304をラッチシェルフ104に向けて付勢することができる。ロストモーションばねアセンブリ400は、ばねガイド413と、枢動膝部103、303のうちの1つにおいて取付ピン401、402によって固定されたプランジャ424とを備えることができる。スイベル端部411は、ピン401を取り付けるためのピン孔412を備えることができ、一方、ステー端部422は、ピン402を取り付けるためのピンスロット423を備える。ロストモーションばね403は、スイベル端部411及びステー端部422を押して離して、ロッカーアームアセンブリを、ラッチアセンブリ500がラッチ又はラッチ解除のために位置合わせされる位置に戻す。しかし、ラッチアセンブリ500がラッチ解除されたときに、リフトプロファイルがその中に吸収されるようにロストモーションばね403を圧縮することができる。
【0030】
ロッカーアームアセンブリ10は、軸受端部310を二次アーム300上に、弁端部110、120を一次アーム100上に備えることができる。軸受端部310と、弁端部110、120と、ラッチアセンブリ500とは、三角形の分布でロッカーシャフトを取り囲むように構成され得る。ロッカーシャフトは、一次ロッカーシャフト孔108及び二次ロッカーシャフト孔308内に取り付け可能であり、これは、軸受端部310と、弁端部110、120と、ラッチアセンブリ500とが、三角形の分布で一次ロッカーシャフト孔108及び二次ロッカーシャフト孔308を取り囲むように構成され得ると言い換えることもできる。更に別の言い方をすれば、ロストモーションばねアセンブリ400が、一次ロッカーシャフト孔108及び二次ロッカーシャフト孔308及び軸受端部310の上でバランスがとられている一方で、ラッチアセンブリ500は、一次ロッカーシャフト孔108及び二次ロッカーシャフト孔308の下でバランスがとられている。作動流体及びラッチアセンブリ500は、任意のカプセルへの作動流体又は弁端部110、120内の作動に干渉せず、通常の潤滑回路にも干渉しない。一次ロッカーシャフト孔108と二次ロッカーシャフト孔308との下の位置は、ロッカーアームアセンブリ10に作動停止機構を追加するための低競合領域をもたらす。
【0031】
選択肢として、弁端部110は、カプセル孔111を備えることができる。多くの選択肢の中で、キャスタレーションカプセル、油圧式遊びアジャスタ、スイッチングカプセルなどの作動カプセルをカプセル孔111内に設置され得る。図1には、遊びナット113、遊びピン116、及びエレファントフット(eフット)114を有するスピゴット(spigot)アセンブリ112を備える機械式遊びデバイスが示されている。任意選択のベント115が弁端部110に含まれる。図3には、一次本体101が、弁ステム又は弁ブリッジ上で作動するためのローレット(knurl)124を備える弁端部120とともに、より単純に示されている。
【0032】
一次アーム100は、主ラッチピンアセンブリ501、502への任意選択の潤滑ポートを備えることができる。二次アーム300は、二次ラッチピストン541、561への作動ポート306を備えることができる。二次ラッチピストン541、561は、作動流体を受容するようにカップ状にされたピストン本体542、562を備えることができる。作動流体は、例えば、加圧されたオイルなどの油圧流体であってもよい。
【0033】
本明細書に開示されるラッチアセンブリ500は、作動停止ローラロッカーアーム(roller rocker arm、RRA)などのロッカーアームアセンブリ10において、他の場合には荷重によりラッチピンが固着する可能性がある場合に、より信頼性の高いラッチ及びラッチ解除機能を提供する。
【0034】
ラッチ機能の油圧作動は、油圧作動がロッカーアームアセンブリ10内に包含されている状態で、ロッカーシャフトによってロッカーアームアセンブリ10を介して移すことができる。この場合、外部ホース及びアクチュエータは必須ではない。主ラッチピンアセンブリ531、532は、ピンばね519、529の反作用のおかげで、通常のラッチ状態にある。機能作動がそれらに直接適用されないので、これにより、ピン本体511、521のより長いガイド長が可能になる。第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561は、ラッチ荷重を受けないがRRAの作動停止機能の作動中にオイルの力を受ける。ラッチ荷重が加えられていない場合、これらの第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561をより小さくすることができる。ラッチアセンブリ500を形成するための2つのラッチシステムの組み合わせは、ラッチアセンブリ500が係合される(ラッチされる)ときに、ロッカーアームアセンブリ10がカムリフトを弁に伝達することを可能にし、第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561が油圧を受けて主ラッチピンアセンブリ531、532を係合解除するときに、ロッカーアームアセンブリ500が運動を弁に伝達しないことを可能にする。
【0035】
ロッカーアームアセンブリ10を、主ラッチピンアセンブリ531、532及びピンばね519、529のための筐体を提供する一次アーム100と、機能作動のための第1の二次ラッチピストン541及び第2の二次ラッチピストン561並びにオイルギャラリのための筐体を提供する二次アーム300とによって作製することができる。二次アームはまた、主ラッチピンアセンブリ531、532のためのラッチ機構を、二次ラッチ孔305に対する直径の変化として、提供することができる。
【0036】
駆動モード:図4は、この状態において、主ラッチピンアセンブリ531、532が、ピンばね519、529のおかげで押されて一次アーム100から突き出し、それらが二次ラッチ孔305(二次アーム300上の第2の内径ID2のラッチ機構を含み得る)上にラッチされることを示す。二次ラッチピストン541、561は、オイル作動ポート306からいかなる圧力も受けないので、二次アーム300内に後退している。この構成では、カムがベースサークルからリフトローブまで回転するとき、その運動は、二次アーム300上の主ラッチピンアセンブリ531、532によって提供される接続のおかげで弁に伝達される。
【0037】
機能作動:ロッカーアームアセンブリ10の作動停止が選択されると、オイル入力が二次アーム300のオイル作動ポート306に送られる。これにより、二次ラッチピストン541、561が拡張して、主ラッチピンアセンブリ531、532を押すことが可能になる。カムがベースサークル上にあるとき、主ラッチピンアセンブリ531、532と二次アーム300上のラッチ機構との間の幾何学的遊びが提供される。幾何学的遊びは、主ラッチピンアセンブリ531、532と第2の内径ID2との間の設計された間隙であり得る。含まれる場合、これは、外側段部514、524と内径ID2との間の設計された間隙であり得る。この状態では、二次ラッチピストン541、561が主ラッチピンアセンブリ531、532を圧縮し、一次アーム100を二次アーム300から係合解除することが可能である。これは図5に示される。タイミングに関して、カムがリフトローブ上にあるとき、主ラッチピンアセンブリ531、532がまだ係合されている場合、主ラッチピンアセンブリ531、532と二次アーム300ラッチ機構との間の力は、二次ラッチピストン541、561上の作動オイルからの力よりも大きく、係合解除は提供されない。リフト中に作動オイルが供給される場合、ラッチアセンブリ500はラッチ状態からラッチ解除状態に変換しないが、幾何学的遊びが二次アーム300から主ラッチピンアセンブリ531、532への圧力を除去する場合、ベースサークル上で変換することができる。ロッカーアームアセンブリ10の機能は、気筒作動停止、制動、内部排気ガス再循環、早期又は後期の弁開閉などの様々な可変弁作動(variable valve actuation、VVA)技術を含むことができる。他のVVA技術を可能にするための追加のラッチ機構として追加の内径を含めることができる。例えば、弁作動停止の代わりに、主ラッチピンアセンブリ531、532を初期のより小さな内径からより大きな内径へと段部状にすることによって、異なる弁リフトをVVA技術として供給することができる。作動停止モードは実施例であり、これには限定されない。
【0038】
作動停止モード:二次ラッチピストン541、561が完全に伸長されると、主ラッチピンアセンブリ531、532は、二次アーム300上のラッチ機構と係合することができない。これにより、図6及び図7に示すように、二次アーム300と一次アーム100との間の相対運動が可能になる。カムがリフトローブ上で回転すると、二次アーム300はその揺動を開始するが、一次アーム100に運動を伝達しない。代わりに、二次アーム300は枢動スロット102内で揺動する一方、一次アーム100は安定したままであり、弁は閉じたままである。二次アーム300のカムからのリフトオフを回避するために、ばねに基づくロストモーションアセンブリ400が、二次アーム300からカムに十分な荷重を提供することができる。ロストモーションばね403のばね力は、弁に運動を伝達しないように十分小さくすることができる。ロストモーションアセンブリ400のカム端部310の上のバランス、並びにラッチアセンブリ500及び二次ロッカーシャフト孔308の前方への一次枢動膝部103の配置によって、ロストモーションアセンブリ400の重量及び力をカム端部310上に集中させることができる。カム端部は、カムに追従することができ、一次移動限界部107と二次移動限界部307との接触に戻ることができる。
【0039】
他の実装は、本明細書で開示された例の仕様及び実践を考慮することにより、当業者には自明であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】