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特表2023-546878イソソルビドユニットを含むオリゴマーのエポキシプレポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】イソソルビドユニットを含むオリゴマーのエポキシプレポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/40 20060101AFI20231031BHJP
   C08G 59/04 20060101ALI20231031BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20231031BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C08G65/40
C08G59/04
C09D163/00
C09J163/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523010
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2021025427
(87)【国際公開番号】W WO2022096148
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】2011271
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】サン-ルー、レネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンベシアン、テオドール
【テーマコード(参考)】
4J005
4J036
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J005AA10
4J005AA24
4J005BA00
4J005BB01
4J005BB02
4J036AB01
4J036AB09
4J036DA01
4J036DA02
4J036HA02
4J036JA01
4J036JA06
4J038DB041
4J038MA14
4J038NA27
4J040EC041
4J040LA01
4J040NA02
(57)【要約】
本発明は、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーであって、エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満のイソソルビドジグリシジルエーテルを含むことを特徴とするエポキシプレポリマーに関する。本発明はまた、そのようなエポキシプレポリマーの製造方法に関する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーであって、前記エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より優先的には0.1重量%未満のイソソルビドジグリシジルエーテルを含むことを特徴とする、エポキシプレポリマー。
【請求項2】
300g/mol未満、好ましくは500g/mol未満、より優先的には800g/mol未満のモル質量を有するイソソルビドユニットを含む前記化合物が、前記プレポリマーの総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より優先的には0.1重量%未満である、請求項1に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項3】
前記エポキシプレポリマー中に含まれるイソソルビドユニットを含む前記化合物の数平均モル質量が、1000g/mol超、好ましくは1000~8000g/molである、前記請求項のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項4】
前記エポキシプレポリマーの数平均モル質量が、1000g/mol超、好ましくは1000~8000g/molであることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項5】
前記エポキシプレポリマーのEEWが、1000g/eq.未満、好ましくは230~1000g/eq.、より優先的には300~600g/eq.であることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項6】
グリシジルエーテル基を含む、前記請求項のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項7】
イソソルビドユニットによって担持されたグリシジルエーテル基を含む、請求項6に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項8】
前記グリシジルエーテル基の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より優先的には少なくとも30%、さらにより優先的には少なくとも50%が、イソソルビドユニットによって、又はそれ自体がイソソルビドユニットに結合しているグリセリルユニットによって担持された、請求項6又は7に記載のエポキシプレポリマー。
【請求項9】
前記エポキシプレポリマーの総重量に対して、5~85重量%、好ましくは5~75重量%、より優先的には30~70重量%のイソソルビドユニットを含む、前記請求項のいずれか一項に記載のエポキシポリマー。
【請求項10】
硬化剤及び/又は促進剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマーを含む、硬化性組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の硬化性組成物を硬化して得られる、ポリエポキシド。
【請求項12】
請求項11に記載のポリエポキシドを含む、複合材料、コーティング又は接着剤。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマーの調製方法であって、以下の工程、すなわち、
-イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーAを提供する工程a)、
-任意の工程b)及び/又は工程c)であって、工程b)が工程c)の前に実施することができ、又はその逆も可能である工程、
-工程a)、b)又はc)のいずれか1つの後に実施される工程d)を含み、
ここで、工程b)が、エポキシプレポリマーA、C又はDのそれぞれのMnよりも大きいMnのイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーBを得るための、ポリオールと、エポキシプレポリマーA、又は工程c)の終わりに得られるエポキシプレポリマーC、もしくは工程d)の終わりに得られるエポキシプレポリマーDとの反応の工程を含み、
工程c)が、エポキシプレポリマーA、B又はDのそれぞれのEEWよりも小さいEEWを有するイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーCを得るために、エポキシプレポリマーA又はエポキシプレポリマーB又は工程d)の終わりに得られるエポキシプレポリマーDを再官能化する工程を含み、
工程d)が、エポキシプレポリマーA、B又はCのイソソルビドジグリシジルエーテルの含有量を減らすことができるエポキシプレポリマーA、B又はCの精製工程を含む、方法。
【請求項14】
前記精製工程が膜精製工程を含み、好ましくは、前記膜精製工程が透析工程、ナノ濾過工程又は限外濾過工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載のエポキシプレポリマーの調製方法であって、以下の工程、すなわち、
e)イソソルビドユニットを含まない第1のエポキシプレポリマーを提供する工程、
f)イソソルビドを含み、かつ前記第1のエポキシプレポリマーのMnユニットより大きいMnユニットを含む第2のエポキシプレポリマーを得るための、前記第1のエポキシプレポリマーとイソソルビドとの反応の工程、
g)任意で、前記第2のエポキシプレポリマーのEEWよりも小さいEEWを有する第3のエポキシプレポリマーを得るために前記第2のエポキシプレポリマーを再官能化する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエポキシドの分野に関し、特にイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマー並びにその調製方法に関する。より具体的には、本開示は、オリゴマーに富み、モノマー及び短鎖オリゴマーが少ないイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシドポリマーとも呼ばれ、又は一般に「エポキシ」と呼ばれるポリエポキシドは、例えば接着剤又はコーティングの製造の表面材料として、また、例えば複合材料のマトリックスとしての構造材料として、同様に広く使用されている。
【0003】
ポリエポキシドは、エポキシプレポリマーを含む硬化性組成物を硬化させて得られる。
【0004】
本発明の意味の範囲内で、エポキシプレポリマーは、エポキシド官能基を含む単一の化合物(すなわち、一組の同一分子)又はエポキシド官能基を含む異なる化合物の混合物を含む組成物であり、当該化合物は、その後の重合に関与してポリエポキシドを得ることができる。
【0005】
エポキシプレポリマー中に含まれるエポキシド官能基を含む化合物は、オリゴマー画分を含んでも含まなくてもよい。それらは、ポリマー画分を含んでも含まなくてもよい。エポキシプレポリマーは、第1のエポキシプレポリマーを反応性希釈剤と混合して得ることができる。
【0006】
接着剤、コーティング、又は複合材料のマトリックスの製造に特に使用されるエポキシプレポリマーを含む硬化性組成物のほとんどは、エポキシプレポリマーの他に、少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の促進剤を含有する。
【0007】
エポキシプレポリマーを含む硬化性組成物を硬化させるとき、エポキシプレポリマーのエポキシド官能基の開環反応によって、エポキシプレポリマーに含まれる化合物の間(「エポキシプレポリマーの単独重合」と呼ばれる)及び/又はエポキシプレポリマーに含まれる化合物と硬化剤との間に化学結合を形成することができる。これにより、三次元高分子ネットワークが形成される。
【0008】
「促進剤」という用語は、エポキシプレポリマーに含まれる化合物の間の単独重合反応、又はエポキシプレポリマーに含まれる化合物と硬化剤との間の反応を触媒することができる化合物を意味する。ルイス酸、ルイス塩基及び光開始剤がその例である。
【0009】
「硬化剤」という用語は、当該プレポリマーのエポキシド官能基と反応して三次元ネットワークを形成することができる、エポキシプレポリマーとは異なる任意の化合物を意味すると理解される。アミン、アミドアミン、マンニッヒ塩基、有機酸(末端カルボン酸官能基のポリエステルを含む)、有機酸無水物、(シアナミド、イミダゾール型などの)潜在性硬化剤がその例である。
【0010】
単一成分の硬化性組成物では、促進剤及び/又は硬化剤はエポキシプレポリマー組成物中に直接組み込まれる:1Kシステムを参照する。2成分の硬化性組成物では、促進剤及び/又は硬化剤はエポキシプレポリマー組成物とは別に包装され、硬化性組成物を使用し成形するときにのみ混合する:2Kシステムを参照する。
【0011】
エポキシプレポリマーを含む硬化性組成物はまた、有機又は無機充填剤(シリカ、砂、酸化アルミニウム、タルク、炭酸カルシウムなど)、顔料、可塑剤、安定剤、チキソトロープ剤を含有してもよい。
【0012】
式(i)のビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)は、エポキシプレポリマーとして現在非常に広く使用されている化学化合物である。
【0013】
【化1】
【0014】
BADGEは石油から得られる製品であり、それは価格の上昇及び/又は石油資源の不足という状況では不利である。
【0015】
更に、ビスフェノールAは現在、内分泌かく乱物質であると認識されている。
【0016】
このことから、ビスフェノールAをベースとしたエポキシプレポリマーの取り扱い、又はBADGEから得られたポリエポキシドとの接触は健康を害する可能性がある。
【0017】
ここ数年、BADGEは、イソソルビドから得られる生物由来の生成物であるイソソルビドジグリシジルエーテル(IDGE)を含む混合物によって置き換え可能であることが知られている。
【0018】
イソソルビド(式(ii))の構造を下に示す。
【0019】
【化2】
【0020】
以降はイソソルビドユニットにおける立体化学の表示は省略する。
【0021】
IDGE(式(iii))の構造を下に示す。
【0022】
【化3】
【0023】
今日、この化合物は広く知られており、その合成方法と同様に文献に記載されている。例えば、IDGEの合成方法を開示している文献米国特許第3272845号、米国特許第4770871号、国際公開第2008/147472号、国際公開第2008/147473号、米国特許第3041300号、国際公開第2012/157832号及び国際公開第2015/110758号を挙げることができる。
【0024】
このように、IDGE、より一般的にはイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーの工業的使用を可能にすることを目的として、研究分野全体が現れた。
【0025】
しかしながら、これまでに開発されたイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーが変異原性を有することが本出願人に最近明らかになった。出願人の知る限りでは、これらの変異原性は他では知られていなかった。
【0026】
その研究を続けて、最終的に本出願人は、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーのモル質量を増加させることによって、それらの潜在的変異原性を低下させるか、さらには排除することさえ可能であり得ることを見出した。この驚くべき効果が本発明の基礎である。
【発明の概要】
【0027】
本開示は、その潜在的変異原性が低減又は抑制された、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーに関する。
【0028】
したがって、エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満のIDGEを含むことを特徴とする、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーを提案する。
【0029】
別の態様によれば、少なくとも1種の促進剤及び/又は少なくとも1種の硬化剤をさらに含む、本発明のエポキシプレポリマー組成物を含む硬化性組成物を提案する。
【0030】
別の態様によれば、本発明の硬化性組成物を硬化させて得られるポリエポキシドを提案する。
【0031】
別の態様によれば、本発明のポリエポキシドを含む複合材料、コーティング又は接着剤を提案する。
【0032】
別の態様によれば、本発明のエポキシプレポリマーの調製方法を提案し、方法は以下の工程、すなわち、
-イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーAを提供する工程a)、
-任意で、工程b)及び/又は工程c)であって、工程b)は工程c)の前に実施することができ、又はその逆も可能である工程、
-工程a)、b)又はc)のいずれか1つの後に実施される工程d)を含み、
ここで、工程b)は、エポキシプレポリマーA、C又はDのそれぞれのMnよりも大きいMnのイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーBを得るための、ポリオールと、エポキシプレポリマーA、又は工程c)の終わりに得られるエポキシプレポリマーC、若しくは工程d)の終わりに得られるエポキシプレポリマーDとの反応の工程を含み、
工程c)は、エポキシプレポリマーA、B又はDのそれぞれのEEWよりも小さいEEWを有するイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーCを得るために、エポキシプレポリマーA又はエポキシプレポリマーB又は工程d)の終わりに得られるエポキシプレポリマーDを再官能化する工程を含み、
工程d)は、エポキシプレポリマーA、B又はCのイソソルビドジグリシジルエーテルの含有量を減らすことができるエポキシプレポリマーA、B又はCの精製の工程を含む。
【0033】
別の態様によれば、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーの調製の代替方法を提案し、方法は以下の工程、すなわち、
e)イソソルビドユニットを含まない第1のエポキシプレポリマーを提供する工程、
f)イソソルビドを含み、かつ第1のエポキシプレポリマーのMnユニットより大きいMnユニットを含む第2のエポキシプレポリマーを得るための、第1のエポキシプレポリマーとイソソルビドとの間の反応の工程、
g)任意で、第2のエポキシプレポリマーのEEWよりも小さいEEWを有する第3のエポキシプレポリマーを得るために、第2のエポキシプレポリマーを再官能化する工程を含む。
【0034】
本発明の更なる特徴及び利点を以下の詳細な説明によって明らかにする。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本文書において、「...~...に含まれる」という表現は境界値を含むと理解されるべきである。
【0036】
本文書において、「グリシジルエーテル基」という用語は、その構造が下(式(iv))で表される基を意味する。
【0037】
【化4】
【0038】
本文書において、「イソソルビドユニット」という用語は、その構造が下(式(v))で表される基を意味する。
【0039】
【化5】
【0040】
本文書において、イソソルビドユニットに担持されたグリシジルエーテル基は、以下の構造(式vi)を有する。
【0041】
【化6】
【0042】
米国特許第3272845号、米国特許第4770871号、国際公開第2008/147472号、国際公開第2008/147473号、米国特許第3041300号、国際公開第2012/157832号及び国際公開第2015/110758号に記載されているIDGEの合成方法のいずれか1つを実施すると、イソソルビドモノグリシジルエーテル(IMGE)を含むエポキシプレポリマーが実際に得られ、イソソルビドユニットとグリセリルユニットを含むオリゴマーも同様に得られる。
【0043】
本文書において、用語「グリセリルユニット」は、その構造が下(式(vii))で表される基を意味する。
【0044】
【化7】
【0045】
これらのオリゴマーは、イソソルビドユニット及び/又はグリセリルユニットによって担持された1つ又はいくつかのグリシジルエーテル部分を含み得る。
【0046】
例として、IDGEを含むエポキシプレポリマー中に時々存在する2つのオリゴマーの構造を下に示す。
【0047】
したがって、以下のオリゴマーは、本文書において、ジグリシジルエーテルジイソソルビドグリセリル(DGEDIG;式(viii))と呼ばれる。
【0048】
【化8】
【0049】
また、以下のオリゴマーは、本文書において、ジグリシジルエーテルトリイソソルビドジグリセリル(DGETIDG;式(ix))と呼ばれる。
【0050】
【化9】
【0051】
本文書において、「アルコールをベースとしたエポキシプレポリマー」という用語は、エポキシド官能基が本質的にグリシジルエーテル基に含まれ、少なくとも5%のグリシジルエーテル基が当該アルコールユニット又はそれ自体が当該アルコールユニットに結合しているグリセリルユニットに担持されたエポキシプレポリマーを指す。
【0052】
例えば、イソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーでは、少なくとも5%のグリシジルエーテル基が、イソソルビドユニット及びイソソルビドユニットに結合したグリセリルユニットによって担持される。これらのグリシジルエーテル基は、例えば、IMGE内、IDGE内、オリゴマーに含まれるグリシジルエーテル-イソソルビドユニット内、又はオリゴマーに含まれるグリシジルエーテル-グリセリル-イソソルビドユニット内に存在する。
【0053】
グリシジルエーテル-グリセリル-イソソルビドユニットの一例を下に示す(式x)。
【0054】
【化10】
【0055】
上で引用した文献に記載されているIDGEの合成方法を実施して得られるエポキシプレポリマーは、イソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーである。
【0056】
エポキシプレポリマーはまた、いくつかのアルコールをベースとしてもよい。例えば、アルコール1とアルコール2をベースとしたエポキシプレポリマーは、エポキシド官能基が本質的にグリシジルエーテル基に含まれ、少なくとも5%のグリシジルエーテル基が当該アルコール1のユニットによって、又はそれ自体が当該アルコール1のユニットに結合しているグリセリルユニットによって担持され、少なくとも5%のグリシジルエーテル基が当該アルコール2のユニットによって、又はそれ自体が当該アルコール2のユニットに結合しているグリセリルユニットによって担持されたエポキシプレポリマーである。
【0057】
本出願において、用語「アルコールをベースとしたポリエポキシド」とは、当該アルコールをベースとしたエポキシプレポリマーを含む硬化性組成物を硬化させて得られるポリエポキシドを指す。
【0058】
エポキシプレポリマーの重量によるエポキシ当量(EEW)は、1モルのグリシジルエーテル基を含有するエポキシプレポリマーの質量として定義される。例えば、258g/molのモル質量を有し、2つのグリシジルエーテル基を含有する純粋なIDGE(式ii)は、129g/eq.のEEWを有する。
【0059】
ジオールをベースとしたエポキシプレポリマーにおいて、当該エポキシプレポリマーが当該純粋なジオールのジグリシジルエーテルである場合に、EEWは最小である。一般に、当該エポキシプレポリマー中の当該ジオールのオリゴマー及び/又はモノグリシジルエーテルの含有量が増加すると、エポキシプレポリマーのEEWは増大する。
【0060】
低いEEWを有するエポキシプレポリマーを使用して、高い架橋密度を有する三次元ネットワークを有するポリエポキシドが得られる。高いノード密度によって、より高いガラス転移点(Tg)を有し、より化学的及び機械的に耐性である材料を得ることができる。
【0061】
エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より優先的には0.1重量%未満のIDGEを含むことを特徴とするエポキシプレポリマーを提案する。
【0062】
したがって、高いIDGE含有量が望まれる先行技術のイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーとは異なり、本発明のエポキシプレポリマーのIDGE含有量は低い。
【0063】
これによって、本文書の「実施例」の部に記載される試験によって示されるように、それらの潜在的変異原性を低下させることができる。
【0064】
一実施形態によれば、本発明によるエポキシプレポリマーは、エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満のIDGEと、エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より優先的には0.1重量%未満のIMGEと、を含む。
【0065】
例えば、本発明によるエポキシプレポリマーは、エポキシプレポリマーの総重量に対して0.5重量%未満のIDGEと、エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より優先的には0.1重量%未満のIMGEと、を含む。
【0066】
例えば、本発明によるエポキシプレポリマーは、エポキシプレポリマーの総重量に対して0.1重量%未満のIDGEと、エポキシプレポリマーの総重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より優先的には0.1重量%未満のIMGEと、を含む。
【0067】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーにおいて、300g/mol未満、好ましくは500g/mol未満、より優先的には800g/mol未満のモル質量を有するイソソルビドユニットを含む化合物は、プレポリマーの総重量に対して1重量%未満に相当する。
【0068】
例えば、本発明のエポキシプレポリマーにおいて、300g/mol未満、好ましくは500g/mol未満、より優先的には800g/mol未満のモル質量を有するイソソルビドユニットを含む化合物は、プレポリマーの総重量に対して0.5重量%未満に相当する。
【0069】
例えば、本発明のエポキシプレポリマーにおいて、300g/mol未満、好ましくは500g/mol未満、より優先的には800g/mol未満のモル質量を有するイソソルビドユニットを含む化合物は、プレポリマーの総重量に対して0.1重量%未満に相当する。
【0070】
イソソルビドユニットを含み、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマー中に一般的に存在する、例えば、800g/mol未満の低モル質量を有するIDGEとは異なる化合物もまた、比較的高い潜在的変異原性を有し得る。おそらく、これらの化合物の中で、それらの構造(従って、それらのモル質量)がIDGEのそれに近いほど、それらの潜在的変異原性はIDGEのそれに近くなる。逆に、IDGEより重い化合物では、それらのモル質量が高いほど、潜在的変異原性は低い。
【0071】
800g/mol未満のモル質量を有する化合物の中には、1つ、2つ、又は3つのイソソルビドユニットを含み、その構造がIDGE(258.3 g/molのモル質量を有する)の構造に近い化合物が見られ得る。
【0072】
300g/mol未満のモル質量を有する化合物の中には、1つのイソソルビドユニットを含む化合物、例えばIMGEが見られ得る。
【0073】
500g/mol未満のモル質量を有する化合物の中には、2つのイソソルビドユニットを含む化合物、例えば、460.5g/molのモル質量を有するDGEDIGが見られ得る。
【0074】
800g/mol未満のモル質量を有する化合物の中には、3つのイソソルビドユニットを含む化合物、例えば、662.7g/molのモル質量を有するDGETIDGが見られ得る。
【0075】
得られた組成物が、800g/mol未満のモル質量を有するIDGE又は他の化合物を含まないことを、クロマトグラフィーカラムがポリスチレン標準を使用して較正されたサイズ排除クロマトグラフィーによって確認することができる。したがって、クロマトグラムが800g/molより低いモル質量に対応するシグナルを示さないことを確認することで十分である。
【0076】
外部標準を用いた気相クロマトグラフィーを使用して、IMGE又はIDGEなどのイソソルビドユニットを含む化合物を分析することができる。
【0077】
より高いモル質量を有する化合物、特にDGEDIG又はDGETIDGなどの2つ又は3つのイソソルビドユニットを含むオリゴマーの同定には、質量分光分析技術を使用することができる。特に、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)、LC-MC(液体クロマトグラフィー-質量分析)、又はESI MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析)のタイプの技術が挙げられる。
【0078】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマー中に含まれるイソソルビドユニットを含む化合物の数平均モル質量(Mn)は、1000g/mol超、好ましくは1000~8000g/molである。
【0079】
本文書の「実施例」の部に記載される試験を、イソソルビドユニットを含む化合物を本質的に含むエポキシプレポリマーに対して行った。これらの試験において、エポキシプレポリマーのMnが1000g/molより大きい場合、エポキシプレポリマーは変異原性ではない。
【0080】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーは、1000g/mol超、好ましくは1000~8000g/molのMnを有する。
【0081】
8000g/mol未満のMnは、ポリマーの組成物よりも取り扱いが容易なオリゴマーの組成物に対応する。
【0082】
好ましくは、本文書において言及されるMnは、クロマトグラフィーカラムがポリスチレン標準を使用して較正されたサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されたMnに対応する。
【0083】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーは、1000g/eq.未満、より優先的には230~1000g/eq.、さらにより優先的には300~600g/eq.のEEWを有する。
【0084】
非常に低いEEWのイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーは、高いIDGE含有量を有するエポキシプレポリマー及び/又は低モル質量のイソソルビドユニットを含む化合物に相当し得る。実際には、230g/eq.未満のEEWのイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーは、過度に高い潜在的変異原性を有する可能性が非常に高い。
【0085】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーはグリシジルエーテル基を含む。
【0086】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーはイソソルビドユニットによって担持されたグリシジルエーテル基を含む。
【0087】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーはグリセリルユニットを含む。
【0088】
グリセリルユニットは一般に、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマー中に存在するオリゴマー中に存在する。
【0089】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーは、グリセリルユニットによって担持されたグリシジルエーテル基を含む。
【0090】
イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマー中に存在するオリゴマーにおいて、グリセリルユニットは通常、遊離ヒドロキシル官能基を有する。オリゴマーを含むエポキシプレポリマーのEEWを低下させるために、これらの遊離ヒドロキシル官能基をグリシジルエーテル基などのエポキシ化基で再官能化することができる。これにより、グリセリルユニットによって担持されたグリシジルエーテル基を含むエポキシプレポリマーを得る。
【0091】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーは、イソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーである。
【0092】
例えば、本発明のエポキシプレポリマーは、イソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーをベースとし、ここで少なくとも10%、優先的には少なくとも30%、より優先的には少なくとも50%、さらにより優先的には少なくとも80%のグリシジルエーテル基が、イソソルビドユニットによって、又はそれ自体がイソソルビドユニットに結合しているグリセリルユニットによって担持される。
【0093】
好ましくは、本発明のエポキシプレポリマーは、エポキシプレポリマーの総重量に対して、5~85%、より優先的には5~75%、さらにより優先的には30~70重量%のイソソルビドユニットを含む。
【0094】
したがって、高含有量の生物由来ユニットを含むエポキシプレポリマーが存在する。
【0095】
一実施形態によれば、本発明のエポキシプレポリマーは、例えば以下の非限定的なアルコールユニットのリストから選択される、イソソルビドユニットとは異なり、かつグリセリルユニットとは異なるポリオールユニットを含む。
-ペンタエリスリトール、
-トリメチロールエタン、
-トリメチロールプロパン、
-スピログリコール、
-トリシクロデカンジメタノール、
-エチレングリコール、
-プロピレングリコール、
-ペンタン-1,5-ジオール、
-ヘキサン-1,6-ジオール、
-x≧7であるC脂肪族ジオール、
-y=2、3又は4である1,y-シクロヘキサンジメタノール、
-{i,j}={1,4}、{1,3}又は{2,3}であるフラン-i,j-ジメタノール、
-{i,j}={1,4}、{1,3}又は{2,3}であるチオフェン-i,j-ジメタノール。
【0096】
好ましくは、イソソルビドユニットとは異なるポリオールユニットは、ジオールユニット、例えば、先のリストに挙げたジオールユニットから選択されるジオールユニットである。
【0097】
より優先的には、イソソルビドユニットとは異なるポリオールユニットは、1,4-シクロヘキサンジメタノールユニットである。
【0098】
例えば、本発明のエポキシプレポリマーは、エポキシプレポリマーに含まれるイソソルビドユニットの量に対して、5~80モル%、優先的には20~60モル%のイソソルビドユニットの異なるポリオールユニットで、かつグリセリルユニットとは異なるポリオールユニットを含む。
【0099】
例えば、本発明のエポキシプレポリマーが、エポキシプレポリマー中に含まれるイソソルビドユニットの量に対して50モル%のイソソルビドユニットの異なるポリオールユニットで、かつグリセリルユニットとは異なるポリオールユニットを含む場合、これは、当該エポキシプレポリマーが、イソソルビドユニットとは異なり、かつグリセリルユニットとは異なるポリオールユニットのモル数の2倍のモル数のイソソルビドユニットを含むことを意味する。同じことが20%で5倍多い場合にも当てはまる。
【0100】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1種の促進剤及び/又は少なくとも1種の硬化剤をさらに含むことを特徴とする、本発明によるエポキシプレポリマー組成物を含む硬化性組成物を提案する。
【0101】
「硬化性組成物」とは、重合して架橋した(硬化した)樹脂を形成することができる液体混合物を意味することを意図している。例えば、エポキシプレポリマーを含む硬化性組成物は、重合してポリエポキシドを形成することができる液体混合物であり、それは、定義により、架橋樹脂である。
【0102】
硬化性組成物は、例えば、硬化剤を含んでもよい。したがって、{エポキシプレポリマー、硬化剤}系は、化学量論的であってもよく、又は硬化剤の過剰な反応性官能基もしくは過剰なエポキシ官能基を含有してもよい。
【0103】
本発明の別の態様によれば、本発明の硬化性組成物を硬化させて得られるポリエポキシドを提案する。
【0104】
本発明の硬化性組成物の硬化(すなわち、架橋)は、自発的に起こってもよく、又は加熱若しくはUV放射線による照射を必要としてもよい。
【0105】
加熱は、例えば、室温での時間と、それに続く30℃~260℃の間に含まれ、上昇する温度での1回又は数回の加熱時間とを任意で含む硬化サイクルであってもよい。
【0106】
本発明の別の態様によれば、本発明のポリエポキシドを含む、複合材料、コーティング又は接着剤を提案する。
【0107】
本発明の複合材料は、{ポリエポキシド;繊維}型の複合材料であってもよく、その繊維は特に、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、植物繊維(亜麻、麻)から選択されてもよい。
【0108】
本発明の複合材料は、例えば、自動車分野、船舶分野、航空分野、又は更にはスポーツ及びレジャー分野などにおいて、構造的性能能力を有する部品の製造に有用であり得る。
【0109】
本発明の別の態様によれば、本発明のエポキシプレポリマーの調製方法を提案し、方法は以下の工程、すなわち、
-イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーAを提供する工程a)、
-任意の工程b)及び/又は工程c)であって、工程b)は工程c)の前に実施することができ、又はその逆も可能である工程、
-工程a)、b)又はc)のいずれか1つの後に実施される工程d)を含み、
【0110】
ここで、工程b)は、エポキシプレポリマーA、C又はDのそれぞれのMnよりも大きいMnのイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーBを得るための、ポリオールと、エポキシプレポリマーA、又は工程c)の終わりに得られるエポキシプレポリマーC、もしくは工程d)の終わりに得られるエポキシプレポリマーDとの反応の工程を含み、
【0111】
工程c)は、エポキシプレポリマーA、B又はDのそれぞれのEEWよりも小さいEEWを有するイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーCを得るために、エポキシプレポリマーA又はエポキシプレポリマーB又は工程d)の終わりに得られるエポキシプレポリマーDを再官能化する工程を含み、
【0112】
工程d)は、エポキシプレポリマーA、B又はCのイソソルビドジグリシジルエーテルの含有量を減らすことができるエポキシプレポリマーA、B又はCの精製の工程を含む。
【0113】
工程a)中のエポキシプレポリマーAは、合成によって提供されてもよい。その場合、特定の合成方法に限定されない。それは、先行技術において知られているイソソルビドユニットを含む任意のエポキシプレポリマーの合成方法、例えば、上で引用した文献に記載されている方法であってもよい。
【0114】
エポキシプレポリマーAは、オリゴマーが多かれ少なかれ豊富であり得る。
【0115】
文献には、オリゴマーに富むオリゴマーを形成することができる様々な技術が開示されている。これらの技術は、主にビスフェノールAをベースとしたエポキシプレポリマーのために開発されてきた。
【0116】
これらの技術の1つは、低モル質量のエポキシプレポリマーをジオールと反応させることからなり、プレポリマーのエポキシ基とジオールのヒドロキシル官能基との間の反応によって、混合物をオリゴマー化してその分子量を増加させることができる(融合プロセス)。
【0117】
工程b)は、融合プロセスを実行することを含む。
【0118】
タフィー法と呼ばれる別の技術は、ジオールと、エポキシド官能基を導入することができる限られた量のエピクロロヒドリン又は別の試薬との間の反応によるオリゴマーの直接合成からなる。
【0119】
タフィー法では、エピクロロヒドリンの量が限られているため、ジオールのヒドロキシル官能基は、ジオールユニットによって既に担持されているエポキシド環の開環反応において反応するために一部を利用することができ、これによりオリゴマーの形成が促進される。
【0120】
特定の実施形態によれば、本発明のエポキシプレポリマーの調製方法は、融合プロセスに対応する工程をタフィープロセスに対応する工程と組み合わせることができる。これは、本発明による方法が、タフィー法を実施する工程a)と工程b)の両方を含む場合に対応する。
【0121】
本発明による方法は、エポキシプレポリマー中にオリゴマーが存在するにもかかわらず、比較的低いEEWを有する本発明のエポキシプレポリマーを得ることができるエポキシプレポリマーの再官能化を含む工程c)を含むことができる。
【0122】
本発明による方法は、当該エポキシプレポリマーのIDGE含有量を減らすことができるエポキシプレポリマーの精製の工程を含む工程d)を含む。
【0123】
工程b)及びc)は任意であり、一方を他方の前に又はその逆に行うことができ、工程d)は工程a)、b)又はc)のいずれか1つの後に行うことができ、本発明の方法は以下の順序のいずれか1つを含むことができる。
-工程a)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程b)、
-工程a)、次いで工程c)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程c)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程d)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程b)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程c)、次いで工程b)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程c)、次いで工程d)、次いで工程b)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程c)、次いで工程b)。
【0124】
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、以下の順序のいずれか1つを含むことができる。
-工程a)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程b)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程c)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程d)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程b)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程c)、次いで工程b)。
【0125】
本発明の方法のさらにより好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、以下の順序のいずれか1つを含むことができる。
-工程a)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程b)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程c)、次いで工程d)、
-工程a)、次いで工程b)、次いで工程d)、次いで工程c)、
-工程a)、次いで工程d)、次いで工程b)、次いで工程c)。
【0126】
この最後の実施形態によれば、本発明のエポキシプレポリマーの調製方法は、以下の工程、すなわち、
-イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーAを提供する工程a)、
-任意で、工程b)、又は前記方法が工程b)と工程c)を含む場合、工程b)が工程c)の前に実行される工程b)及び工程c)、
-工程a)、b)又はc)のいずれか1つの後に実施される工程d)を含み、
ここで、工程b)は、エポキシプレポリマーA又はDのそれぞれのMnよりも大きいMnのイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーBを得るための、ポリオールと、エポキシプレポリマーA又は工程d)の終わりに得られたエポキシプレポリマーDとの反応の工程を含み、
工程c)は、エポキシプレポリマーB又はDのそれぞれのEEWよりも小さいEEWを有するイソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーCを得るために、エポキシプレポリマーB又は工程d)の終わりに得られたエポキシプレポリマーDを再官能化する工程を含み、
【0127】
工程d)は、エポキシプレポリマーA、B又はC)のイソソルビドジグリシジルエーテルの含有量を減らすことができるエポキシプレポリマーA、B又はCの精製工程を含む。
【0128】
好ましくは、工程d)は、工程a)、b)、c)及びd)の最後の工程として行われる。これによって方法の効率を高めることができる。
【0129】
一実施形態によれば、本発明の方法において、工程a)は、
-イソソルビド、
-イソソルビドの量に対して2~3当量のエピクロロヒドリン、及び
-イソソルビドの量に対して2~2.5当量の第1の塩基性試薬の間の反応の工程を含む。
【0130】
好ましくは、第1の塩基性試薬は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化ナトリウムから選択され、より優先的には水溶液の形態であり、さらにより優先的には水酸化ナトリウム水溶液である。
【0131】
一実施形態によれば、工程a)に含まれるイソソルビド、エピクロロヒドリン、及び塩基性試薬の間の反応工程は、イソソルビドの重量に対して0.01~1重量%の量の相間移動触媒の存在下で行われ、好ましくは、相間移動触媒は、テトラアルキルアンモニウムのハライド、硫酸塩又は硫酸水素塩から選択され、より優先的には、以下の式、すなわち、Xを有する化合物から選択され、式中、Xは、Cl、Br、又はIから選択され、Rは、エチル、プロピル、又はブチル基から選択され、さらにより優先的には、相間移動触媒は、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、又はヨウ化テトラブチルアンモニウムから選択される。
【0132】
例えば、工程a)における相間移動触媒の量は、イソソルビドの重量に対して0.01~0.2重量%である。
【0133】
例えば、工程a)における相間移動触媒の量は、イソソルビドの重量に対して0.2~0.4重量%である。
【0134】
例えば、工程a)における相間移動触媒の量は、イソソルビドの重量に対して0.4~0.6重量%である。
【0135】
例えば、工程a)における相間移動触媒の量は、イソソルビドの重量に対して0.6~0.8重量%である。
【0136】
例えば、工程a)における相間移動触媒の量は、イソソルビドの重量に対して0.8~1重量%である。
【0137】
相間移動触媒の添加によって、同じ量のエピクロロヒドリンに対するオリゴマーの形成を制限することができる。相間移動触媒が少ないほど、オリゴマーは平均して長くなり、オリゴマーが多くなる。
【0138】
一実施形態によれば、工程a)に含まれるイソソルビド、エピクロロヒドリン及び第1の塩基性試薬の間の反応工程は、相間移動触媒の非存在下で行われる。
【0139】
一実施形態によれば、本発明の方法において、ポリオールとエポキシプレポリマーA、C又はDとの間の反応の工程b)は、不活性雰囲気下、150℃~180℃の温度で、エポキシプレポリマーA、C又はDのそれぞれの質量に対して0.1重量%~2重量%の間に含まれる量の1つの第2の塩基性試薬の存在下でのエポキシプレポリマーA、C又はDとポリオールとの間の反応を含み、好ましくは、第2の塩基性試薬は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化ナトリウムから選択され、より優先的には水酸化ナトリウムである。
【0140】
例えば、この実施形態において、ポリオールとエポキシプレポリマーA、C又はDとの間の反応は、相間移動触媒の存在下又は非存在下で行うことができる。
【0141】
工程b)における相間移動触媒の添加は反応を促進する。相間移動触媒によって、オリゴマーの形成をより良好に制御することもできる。
【0142】
一実施形態によれば、本発明による方法において、工程b)で反応するポリオールはジオールであり、好ましくは、ジオールは以下のジオール、すなわち、
-イソソルビド
-イソイジド
-イソマンニド
-スピログリコール、
-トリシクロデカンジメタノール、
-エチレングリコール、
-プロピレングリコール、
-ペンタン-1,5-ジオール、
-ヘキサン-1,6-ジオール、
-x≧7であるC脂肪族ジオール、
-y=2、3又は4である1,y-シクロヘキサンジメタノール、
-{i,j}={1,4}、{1,3}又は{2,3}であるフラン-i,j-ジメタノール、
-{i,j}={1,4}、{1,3}又は{2,3}であるチオフェン-i,j-ジメタノール、及び
-それらの混合物から選択され、
より優先的には、ジオールは1,4-シクロヘキサンジメタノール又はイソソルビドである。
【0143】
ポリオールの選択は、工程b)の反応速度に影響を及ぼし、また、エポキシプレポリマーから得られるポリエポキシドの物理的及び化学的特性にも影響を与える。
【0144】
エポキシド官能基の加水分解を制限し、比較的低いEEWを維持するために、工程b)の反応速度を加速することができるポリオールを使用することが特に有利であり得る。
【0145】
一実施形態では、本発明の方法において、再官能化の工程c)は、
-エポキシプレポリマーA、B又はD、
-エポキシプレポリマーA、B又はD中に存在するヒドロキシル官能基の量に対して4~6当量のエピクロロヒドリン、及び
-エポキシプレポリマーA、B又はD中に存在するヒドロキシル官能基の量に対して0.8~1.2当量の1種の第3の塩基性試薬の間の反応の工程を含む。
【0146】
エポキシプレポリマー中のヒドロキシル官能基の量は、例えば、DMSO中でのH NMRによって、アルコールのOHに対応するシグナルを積分して決定することができる。
【0147】
好ましくは、第3の塩基性試薬は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化ナトリウムから選択され、より優先的には水溶液の形態であり、さらにより優先的には水酸化ナトリウム水溶液である。
【0148】
好ましくは、本発明の方法において、精製工程は膜精製工程を含み、好ましくは、膜精製工程は透析工程、ナノ濾過工程、又は限外濾過工程を含む。
【0149】
好ましくは、膜精製工程は、1000g/molのカットオフ閾値を有する膜(例えば、透析フィルター又はチューブに含まれる)を用いて行われる。
【0150】
好ましくは、工程d)は、膜精製工程の前に、エポキシプレポリマーA、B又はCを有機溶媒又は水性溶媒に溶解することを含み、より優先的には、溶液は、エポキシプレポリマーA、B又はCを含む水溶液の総重量に対して10重量%~50重量%のエポキシプレポリマーA、B又はCを含む水溶液の形態で溶解される。
【0151】
本発明の別の態様によれば、本発明によるエポキシプレポリマーの調製の代替方法を提案し、方法は以下の工程、すなわち、
e)イソソルビドユニットを含まない第1のエポキシプレポリマーを提供する工程、
f)イソソルビドを含み、かつ第1のエポキシプレポリマーのMnユニットより大きいMnユニットを有する第2のエポキシプレポリマーを得るための、第1のエポキシプレポリマーとイソソルビドとの反応の工程、
g)任意で、第2のエポキシプレポリマーのEEWよりも小さいEEWを有する第3のエポキシプレポリマーを得るために、第2のエポキシプレポリマーを再官能化する工程を含む。
【0152】
本発明によるエポキシプレポリマーの調製のこの代替方法によれば、IMGE又はIDGEがこの方法のいずれの工程においても形成されないことが保証される。
【0153】
工程e)は、当業者に公知の任意の方法に従って、合成によって行うことができる。イソソルビドユニットを含まない第1のエポキシプレポリマーの化学的性質は、他の点では特に限定されない。
【0154】
一実施形態によれば、イソソルビドと第1のエポキシプレポリマーとの間の反応の工程f)は、不活性雰囲気下、150℃~180℃の温度で、第1のエポキシプレポリマーの質量に対してそれぞれ0.1重量%~2重量%の間に含まれる量の第4の塩基性試薬の存在下での、第1のエポキシプレポリマーとイソソルビドとの間の反応を含み、好ましくは、第4の塩基性試薬は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化ナトリウムから選択され、より優先的には水酸化ナトリウムである。
【0155】
例えば、この実施形態によれば、イソソルビドと第1のエポキシプレポリマーとの間の反応は、相間移動触媒の存在下又は非存在下で行うことができる。
【0156】
タフィー法に相当するこの工程f)における相間移動触媒の添加は、反応を加速し、エポキシド官能基の加水分解を制限し、したがって、比較的低いEEWを維持することができる。
【0157】
一実施形態によれば、再官能化工程g)は、
-第2のエポキシプレポリマー、
-第2のエポキシプレポリマー中に存在するヒドロキシル官能基の量に対して4~6当量のエピクロロヒドリン、及び
-第2のエポキシプレポリマー中に存在するヒドロキシル官能基の量に対して0.8~1.2当量の第5の塩基性試薬の間の反応工程を含む。
【0158】
エポキシプレポリマー中のヒドロキシル官能基の量は、例えば、DMSO中でのH NMRによって、アルコールのOHに対応するシグナルを積分して決定することができる。
【0159】
好ましくは、第5の塩基性試薬は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化ナトリウムから選択され、優先的には水溶液の形態であり、より優先的には水酸化ナトリウム水溶液である。
【実施例
【0160】
エポキシ当量(EEW)は、ISO 3001又はASTM D1652の規格に従って測定する。
【0161】
数平均モル質量(Mn)は、クロマトグラフィーカラムがポリスチレン標準を使用して較正されたサイズ排除クロマトグラフィーによって測定する。
【0162】
表1及び4に示す混合物の組成及び表6のオリゴマー画分1の組成(下を参照)は、クロマトグラフィーカラムがポリスチレン標準を用いて較正されたサイズ排除クロマトグラフィー技術並びに外部標準を用いたガスクロマトグラフィー及び重量分析技術によって決定した。
【0163】
実施例1:融合プロセスによるオリゴマーに富むイソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーの合成
工程1:従来技術による第1のイソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーの合成
イソソルビド、エピクロロヒドリン(イソソルビドに対して5モル当量)及び臭化テトラエチルアンモニウム(TEAB、イソソルビドの質量に対して1重量%)を、リバース型ディーンスターク装置を備えた二重ジャケット付き反応器に入れる。媒体を撹拌し、275mbarの部分真空下で80℃の温度に加熱する。リバース型ディーンスターク装置を満たすために十分な量のエピクロロヒドリンを蒸留した後、50重量%の水酸化ナトリウム水溶液(イソソルビドの量に対して2.1モル当量)を3時間かけて滴下して導入する。硫酸ナトリウムの添加中の、水-エピクロロヒドリン共沸混合物の蒸留を行い、ディーンスターク中での分離によって、導入され、反応中に形成された水を除去することができる。水酸化ナトリウムの添加が完了した後、反応媒体から水を完全に除去するために、媒体を80℃で1時間撹拌する。次いで加熱を止めて、媒体を室温の空気中で冷却する。次いで媒体を取り除き、反応中に形成された塩を焼結ガラスを用いて濾過する。次いで塩のケーキをエピクロロヒドリンを用いて洗浄する。濾液を回収する。洗浄エピクロロヒドリン及び残留エピクロロヒドリンを、ロータリーエバポレーターを用いて除去する。得られたエポキシプレポリマーについて行った分析の結果を表1に示す。
【表1】
【0164】
工程2:工程1で得られた第1のエポキシプレポリマーのオリゴマー化
この工程の目的は、工程1で得られた第1のエポキシプレポリマーの鎖長を増加させることである。このようにして、第2のエポキシプレポリマーを得る。
【0165】
200gの第1のエポキシプレポリマーを、機械撹拌を備えた二重ジャケット反応器に入れる。第1のエポキシプレポリマーを不活性窒素雰囲気下で80℃に加熱する。規定の質量割合のジオール(イソソルビド又はCHDM)を窒素下で添加する。均質な媒体が得られるまで媒体を撹拌する。規定量の触媒(相間移動触媒TEABを添加した又は添加していない、50重量%水溶液の形態の水酸化ナトリウム)を窒素下で添加する。次いで、媒体を180℃で所定の時間加熱する。反応が完了した後、媒体を放冷して温度を80℃に到達させる。媒体を反応器から取り出し、触媒によって形成された塩を80℃で濾過する。得られたエポキシプレポリマーについて行った分析の結果を表2に示す。
【表2】
【0166】
百分率は導入した第1のエポキシプレポリマーの質量に対する質量百分率である。
工程3:工程2で得られた第2のエポキシプレポリマーの再官能化
【0167】
第2のエポキシプレポリマーの反応性を確実にする目的で、前記第2のエポキシプレポリマーのヒドロキシル官能基をグリシジルエーテル基で置換し、このようにして、そのEEWが第2のエポキシプレポリマーのEEWより小さい第3のエポキシプレポリマーを得ることが必要であり得る。
【0168】
このために、200gの第2のエポキシプレポリマーを、工程1のそれのように蒸留システムを備えた反応器中で、オリゴマー樹脂のヒドロキシル官能基(ヒドロキシル官能基の量は、DMSO中での1H NMRでアルコールOHに対応するシグナルを積分することによって決定される)に対して5当量のエピクロロヒドリン中に再溶解する。媒体を80℃に加熱し、エピクロロヒドリンが沸騰し蒸留するまで圧力を275mbarに下げる。次いで、1当量の水酸化ナトリウム(ヒドロキシル官能基に対して、50重量%水溶液の形態)を、蠕動ポンプを使用して3時間かけて添加する。添加中に共沸混合物を蒸留し、エピクロロヒドリンをリバース型ディーン-スターク装置を用いて反応媒体に再導入する。添加が完了した後、水が反応媒体から完全に除去されるまで、媒体の蒸留を続ける。加熱を停止し、反応媒体を室温の空気中で冷却する。
【0169】
塩を焼結ガラス上で濾過し、50mLのエピクロロヒドリンを用いて洗浄する。濾液を回収する。洗浄エピクロロヒドリン及び残留エピクロロヒドリンを、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で蒸留する。得られたエポキシプレポリマーについて行った分析の結果を表3に示す。
【表3】
【0170】
表3に、再官能化エポキシプレポリマーの特性、及び調製された各再官能化エポキシプレポリマーについて、それが調製されたエポキシプレポリマーを示す。
【0171】
実施例2:タフィー法によるオリゴマーに富むイソソルビドをベースとしたエポキシプレポリマーの合成
イソソルビド、エピクロロヒドリン(イソソルビドの量に対してモルで3当量)、及び既知の量のTEABをまた、逆ディーンスターク装置を備えた二重ジャケット反応器に入れる。媒体を撹拌し、275mbarの部分真空下で80℃の温度に加熱する。エピクロロヒドリンの蒸留と逆ディーンスターク装置を通るその化合物の還流が始まった後、イソソルビドの量に対して2.1モル当量の水酸化ナトリウム(50%水溶液中)を3時間かけて滴下して導入する。次いで、水-エピクロロヒドリン共沸混合物の蒸留を行い、このようにして蒸留された水を、逆ディーンスタークアセンブリを通して除去する。
【0172】
水酸化ナトリウムの添加が完了した後、反応媒体からの水の除去を完了するために、媒体を80℃で1時間撹拌する。次いで、媒体を室温の空気中で冷却する。次いで、生成物を焼結ガラス上で濾過して、反応中に形成された塩化ナトリウムを除去する。塩をエピクロロヒドリンで洗浄する。濾液を回収し、ロータリーエバポレーターを用いてエピクロロヒドリンを蒸留する。
【0173】
得られたエポキシプレポリマーについて行った分析の結果を表4に示す。
【表4】
【0174】
百分率は質量百分率である。TEABの百分率は導入されたイソソルビドの質量に対するものである。IDGE及びオリゴマーの百分率はエポキシプレポリマーの総重量に対するものである。
【0175】
実施例3:膜精製によるエポキシプレポリマーの精製
合成されたエポキシプレポリマー中の低モル質量化合物の含有量を減少させるために、透析又は限外濾過による膜精製を行った。
【0176】
透析
5gのエポキシプレポリマーを、1000g/molのカットオフ閾値を有する透析チューブに入れる。チューブを密封し、5Lの脱塩水で満たしたビーカーに入れる。水性媒体を、マグネチックバーを用いて室温で24時間撹拌する。この24時間の間に、水をビーカーから2回交換する。
【0177】
24時間処理した後、透析チューブを回収して、フラスコに注ぎ入れる。水を減圧下で蒸発させて、低モル質量化合物の含有量が減少したエポキシプレポリマーを得る。
【0178】
限外濾過
限外濾過では、1000g/molのカットオフ閾値を有する膜を使用する。分離は20重量%のエポキシプレポリマーを含有する水溶液から開始して行う。
【0179】
得られたエポキシプレポリマーについて行った分析の結果を表5に示す。
【表5】
【0180】
表5に、膜精製後に得られたエポキシプレポリマーの特性(EEW及びMn)、ならびに膜精製によって得られた各エポキシプレポリマーについて、それが調製されたエポキシプレポリマー及び使用した膜精製技術を示す。
【0181】
実施例4:エポキシプレポリマーの毒性学的評価
エポキシプレポリマーの潜在的変異原性を決定するために、Mn及びEEWが異なるエポキシ樹脂についてAmes試験を実施した。結果は、誘導レベル、すなわち、化合物に曝露された所定の株から得られた変異細菌のコロニー数で表される。2以下の誘導比の場合に、樹脂は非毒性であると考えられる。結果は以下のとおりである。Ames試験の結果を表6に示す。
【表6】
IDGE1画分は、実施例1の工程1で得られた樹脂I1のワイプドフィルム蒸留によって得られ、98%のIDGEで構成される。
**オリゴマー画分1は、IDGE1画分を得るために製造された樹脂I1の蒸留残渣に対応する。それは、1.2%のIDGE、40%のDGEDIGとDGEDIGのグリシジルエーテル誘導体、及び35%のDGETIDGとDGETIDGのグリシジルエーテル誘導体で構成される。したがって、それは本質的に短いオリゴマー鎖を含有する。
【0182】
鎖長の増加によって、イソソルビドユニットを含むエポキシプレポリマーの潜在的変異原性を低下させることができ、エポキシプレポリマーを透析又は限外濾過による膜精製工程で処理してそれを排除することさえできる。
【0183】
1000g/molを超えるMnを有する化合物は非変異原性であると考えられる。さらに、EEWは、1000g/molのMn閾値を超えたときからエポキシプレポリマーの潜在的変異原性に影響を与えないことから、高度に官能化されたエポキシオリゴマーを安全に使用することができる。
【国際調査報告】