(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】コアの壁に対する比の高い有益剤を含有するデリバリー粒子
(51)【国際特許分類】
B01J 13/14 20060101AFI20231031BHJP
C08F 290/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B01J13/14
C08F290/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523024
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 US2021055159
(87)【国際公開番号】W WO2022081958
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516195258
【氏名又は名称】エンカプシス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】チャカー、ファディ、セリム
(72)【発明者】
【氏名】フェン、リンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン、プレスリー、ジェネヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ボブノック、ロバート、スタンリー
(72)【発明者】
【氏名】スメッツ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ピンテス、アン
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス、ジョアナ、アンドレイア ラメイラス
【テーマコード(参考)】
4G005
4J127
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005BA01
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(57)【要約】
有益剤デリバリー粒子集合体が開示される。この粒子はコアとコアを内包するシェルを有し、シェルは特定の多官能(メタ)アクリラートベース重合体を含み、このような組成物の製造および使用方法とともに開示される。デリバリー粒子は、コアの重合体壁に対する重量比が約96:4~約99.5:0.5であり、体積加重粒径が約30~約50ミクロンである。この組成物は、より高い効率で所望の接触点での香りのデリバリーなど、所望のデリバリー特性でコア内容物を送達する。デリバリー粒子は、高い搭載率を有し、かつ減少した有益剤漏出を示し、所望のデリバリー特性を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアおよび前記コアを内包する重合体壁を含むデリバリー粒子集合体であって
前記コアは有益剤およびパーティショニング変性剤を含む油性媒体を含み、前記パーティショニング変性剤はコアの5重量%~55重量%を構成し、
重合体壁は少なくとも部分的に、
(a)1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマー、および必要に応じて少なくとも1種の開始剤および
(b)必要に応じて、少なくとも1種の水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーから導かれた(メタ)アクリラート重合体を含み、
前記1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは少なくとも3つのラジカル重合性官能基を有し、このラジカル重合性官能基のうちの少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートであり、
該デリバリー粒子は、約96:4~約99.5:0.5までのコアの重合体壁に対する重量比を有し、
該デリバリー粒子集合体は、約30~約50ミクロンまでの体積加重粒径を有する、デリバリー粒子集合体。
【請求項2】
前記デリバリー粒子は、約97:3~約99:1、より好ましくは約98:2~約99:1の重量比で存在する前記コアおよび重合体壁を含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項3】
前記1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは少なくとも6つのラジカル重合性官能基を含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項4】
前記ラジカル重合性官能基は、それぞれアクリラートおよびメタクリラートよりなる群から独立して選択されることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項5】
前記油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、多官能芳香族ウレタンアクリラートを含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項6】
前記油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、三、四、五、または六官能芳香族ウレタンアクリラートを含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項7】
前記油溶性または油分散性の多官能単量体またはオリゴマーは、多官能脂肪族ウレタンアクリラートを含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項8】
前記油溶性または油分散性の(メタ)アクリラートが、アミンメタクリラート、酸性メタクリラート、またはそれらの組み合わせから選択される単量体をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項9】
前記重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、前記油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート、第2の単量体、および第3の単量体から少なくとも部分的に導かれた反応生成物であり、
前記第2の単量体は塩基性(メタ)アクリラート単量体を含み、かつ
前記第3の単量体は酸性(メタ)アクリラート単量体を含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項10】
前記重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、好ましくは、アミン(メタ)アクリラート、酸性(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能(メタ)アクリラート、エトキシル化多官能(メタ)アクリラート、その他の(メタ)アクリラート単量体、その他の(メタ)アクリラートオリゴマー、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーからさらに導かれることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項11】
前記デリバリー粒子の重合体壁は、この重合体壁に取り込まれた高分子乳化剤をさらに含み、好ましくは、前記高分子乳化剤はポリビニルアルコールを含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項12】
前記重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、少なくとも部分的に、少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤からさらに誘導され、好ましくは、前記少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤は水溶性または水分散性の遊離ラジカル開始剤を含み、より好ましくは、前記少なくとも1種の遊離ラジカル開始剤は、水溶性または水分散性の遊離ラジカル開始剤および油溶性または油分散性の遊離ラジカル開始剤を含むことを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項13】
前記遊離ラジカル開始剤は、重量で、前記重合体壁の約2%~約50%、好ましくは約5%~約40%、より好ましくは約10%~約40%の、さらにより好ましくは約15%~約40%、さらにより好ましくは約20%~約35%、またはより好ましくは約20%~約30%の量で存在することを特徴とする請求項12記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項14】
前記有益剤は芳香剤、好ましくは約2.5~約4のlogPで特徴付けられる香料原料を含む芳香剤であることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項15】
前記パーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、およびトリ-エステル、ドデカノフェノン、ラウリル酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項16】
該粒子集合体は約0.2~約10MPa、好ましくは約0.5~約8MPa、より好ましくは約0.5~約5MPaの平均体積加重中央破壊強度で特徴付けられることを特徴とする請求項1記載のデリバリー粒子集合体。
【請求項17】
前記デリバリー粒子の重合体壁はさらに、ポリ(メタ)アクリラート、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)、ポリアミン、ワックス、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン-アクリル酸エチル、ポリビニルピロリドン-アクリル酸ビニル、ポリビニルピロリドン・メタクリラート、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン、ポリ(プロピレン-無水マレイン酸)、無水マレイン酸誘導体、無水マレイン酸誘導体の共重合体、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンラテックス、ゼラチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、その他の変性セルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カゼイン、ペクチン、加工デンプン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸、ポリ(ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンの共重合体、およびそれらの混合物よりなる群から選択されるコーティング材をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の有益剤デリバリー粒子集合体。
【請求項18】
コアおよび前記コアを内包する重合体壁を含むデリバリー粒子集合体を製造する方法であって、この方法は、
有益剤およびパーティショニング変性剤を含む油相を提供し、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、少なくとも5つ、または、少なくとも6つのラジカル重合性官能基(このうちの少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートである)を有する1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体を前記油相に溶解または分散する工程と、
乳化剤または界面活性剤を含む水相を提供する工程と、
高剪断攪拌で前記油相を前記水相に乳化させ、前記水相に分散したコア物質および油相の液滴を含む水中油型乳化液を形成する工程と、
前記乳化液の加熱または光照射により、溶解または分散した単量体を反応させ、前記液滴と前記水相の界面に重合体壁を形成する工程とを含み、
前記パーティショニング変性剤は、デリバリー粒子のコアの5重量%~55重量%を構成し、
前記デリバリー粒子は、96:4~約99.5:0.5までのコアの重合体壁に対する重量比を有し、
前記デリバリー粒子は、30~50ミクロンの体積加重中央粒径を有する、デリバリー粒子集合体を製造する方法。
【請求項19】
前記反応工程は開始剤なしで行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
1種以上の遊離ラジカル開始剤を水相に添加し、熱による活性化時に遊離ラジカルのさらなる供給源を提供する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記水相もしくは油相、またはその両方の相に、それぞれの相の0重量%超~5重量%の量の遊離ラジカル開始剤を溶解または分散させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
1種以上の単官能または多官能の(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを前記水相に溶解または分散させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記ラジカル重合性官能基を有する多官能(メタ)アクリラート単量体は、多官能芳香族ウレタンアクリラートであることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記ラジカル重合性官能基を有する多官能(メタ)アクリラート単量体は、3官能、4官能、5官能または6官能の芳香族ウレタンアクリラートであることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項25】
油相に溶解または分散させる前記工程は、1種以上の多官能脂肪族ウレタンアクリラートを前記油相または複数の油相に溶解または分散させることを追加で含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記油相に溶解または分散させる工程は、1種以上のアミンメタクリラートまたは酸性メタクリラートを溶解または分散させることをさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項27】
1種以上のアミンメタクリラート、酸性メタクララート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能または多官能(メタ)アクリラート、および(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを水相または油相のいずれかあるいは両方に溶解または分散させることを含む工程をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項28】
1つ以上の油相に溶解または分散されたパーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-およびトリエステル、ドデカンフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、有益剤を含有するデリバリー粒子、そのような粒子を含む組成物、ならびにそのような粒子および組成物を製造および使用方法に関する。本発明は、特定のサイズ、特定の単量体(例えば、多官能(メタ)アクリラート単量体、および特定のコア:壁重合体重量比)を有するデリバリー粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
有益剤、例えば、香料、シリコーン、ワックス、香味料、潤滑剤、農薬製品、ビタミン、および布地柔軟剤は、パーソナルケア組成物、洗浄組成物、布地柔軟剤組成物、農薬製品、接着剤、潤滑製品、または塗装用途に高濃度で使用される場合、高価および/または一般的に低効果または非効率的である。その結果、そのような有益剤の有効性を最大にすることが望まれている。そのような目的を達成する1つの方法は、そのような有益剤のデリバリー効率を改善することである。デリバリー効率を改善するために、有益剤は、さまざまな異なる組成物および構築物を用いて重合体壁でカプセル化されてきたが、それぞれに欠点を有する傾向がある。例えば、粒子サイズを大きくすることはできるが、大きな粒子は小さな粒子よりも漏れやすい傾向があり、必要なときに破裂しない可能性がある。コア内の有益剤の相対量を壁に対して増やすことができるが、これもまた、壁が比較的薄くなるにつれて、比較的漏れやすい粒子になる傾向がある。さらに、脆いカプセルは、例えば、製品組成物に加えられる混合剪断により、製造過程で早期に破裂する可能性がある。壁の材料を追加すると、漏れが減り、カプセルの強度が向上する可能性があるが、粒子が目的の接触点(touchpoint)で適切に破裂せず、搭載率(payload)またはデリバリー効率が低下する可能性がある。さらに、当技術分野で知られている多くの壁材料を考えると、どの材料が特定の用途または粒子の種類に最適に機能するかについての指針はほとんどない。
【0003】
比較的低い漏出特性と望ましい放出特性を含む、効率的な有益剤のデリバリーを提供する改善されたデリバリー粒子が必要とされている。
【0004】
デリバリー粒子はコア-シェルであり、重合体壁を有する粒子は、マイクロカプセル、カプセル、およびカプセル化物を含むことができ、そのような用語は、本出願の目的では同義語である。しかしながら、カプセル化された有益剤は、おそらく最終製品中で、経時的拡散による有益剤の漏出を伴う。さらに説得力のある事例は、使用効率を最大にするためにコアの重合体に対する比を大きくしたいという欲求である。しかし、重合体壁材料の量が減るにつれて、漏れの制御はさらに難しくなる。マイクロカプセルが漏れると、所望の接触点での有益剤の放出が減少する。例えば、カプセル化シェルの強度を高めてこのような漏出を最小限に抑えると、香料などの有益剤がカプセルから十分に放出されないか、意図した用途に対して放出が最適な時間以上に遅くなり、所望の接触点での有益剤の放出が再び減少する可能性がある。この問題は、そのようなカプセル化物を含む液体布地仕上げ材、液体洗濯洗剤、単位用量洗濯洗剤、および顆粒/粉末洗濯洗剤などの布地処理製品などのデリバリー粒子集合体のための特定の最終用途製品で特に顕著である。コア含有量が高く、なおかつ所望の接触点で放出できるカプセル化物は、芳香剤デリバリーなどの有益剤デリバリーの効率を高めるために商業的に有利である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、特定のサイズ、単量体、およびコア:壁比を有するデリバリー粒子に関する。出願人は、液体または乳化液の形態で、水性スラリーとして、あるいは乾燥または脱水して粉末形態または粒状組成物として有用に分散することができるデリバリー粒子集合体の組成物および製造方法を開示する。この組成物は予想外に、搭載率が高く、かつ壁に対する比が高いにもかかわらず、有益剤漏出が少なく、および/またはより効率的な有益剤デリバリー、またはより望ましく有益な放出特性を提供する。本発明は、コア材料およびコア材料をカプセル化する壁材料を含む有益剤を含有するデリバリー粒子に関する。本発明は、前記粒子を含む組成物、そのような粒子および組成物を製造かつ使用する方法、ならびにそのような粒子を含む物品にも関する。
【0006】
本発明は、単量体、オリゴマーまたはプレポリマーの組み合わせの選択に基づいて、所望のコア対重合体壁負荷と望ましい有益剤放出特性を有するカプセル剤を提供し、コアを低漏出に保持しながら、香料または他の有益剤などのコアをある位置に最適に送達し、放出することができる。しかしながら、当技術分野では、高いコア含有物を達成し、コア含有物を低漏出に保持し、洗濯、布地柔軟処理、その他の状況のいずれにおいても、所望の接触点でコア含有物を提供するという課題を克服する方法については、ほとんど指針がないに等しい。意外なことに出願人は、高性能のカプセル剤を、少なくとも3つ、あるいは少なくとも4つのラジカル重合性官能基を有する1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーから少なくとも部分的に得られる独特の乳剤から構築できることを見出した(ラジカル重合性基の少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートであり、デリバリー粒子は、約96:4から約99.5:0.5、さらには約98:2~約99:1のコアの重合体壁に対する重量比を有し、かつ前記デリバリー粒子は、約30~約50ミクロンの体積加重粒径を有する)。この組み合わせは意外なことに先行技術の組み合わせよりも高効率で、所望の接触点で所望の香り特性を有するコア含有物を提供することができる。
【0007】
一つの態様では、本発明は、デリバリー粒子集合体を教示し、該デリバリー粒子は、コアおよび前記コアを内包する重合体壁を含み、
前記コアは、有益剤およびパーティショニング変性剤を含む油性媒体を含み、このパーティショニング変性剤は前記コアの5重量%~55重量%を構成し、
前記重合体壁は、少なくとも部分的に、
(a)1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマー、および必要に応じて少なくとも1種の開始剤、および
(b)必要に応じて少なくとも1種の水溶性又は水分散性の開始剤および必要に応じて少なくとも1種の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーから誘導された(メタ)アクリラート重合体を含み、
前記1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、少なくとも3つ、好ましくは、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのラジカル重合性官能基を有し、このラジカル重合性官能基は、アクリラート、メタクリラート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジル、エーテル、エポキシ、カルボキシル、またはヒドロキシルからそれぞれ独立して選択されるが、ラジカル重合性基の少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートであり、
前記デリバリー粒子は、約96:4~約99.5:0.5、または約98:2~約99:1のコアの重合体壁に対する重量比を有し、かつ約30~約50ミクロンの体積加重粒径を有する。
【0008】
デリバリー粒子は、約97:3~約99:1、より好ましくは約98:2~約99:1の重量比で存在するコアおよび重合体壁を含む。デリバリー粒子の集合体において、1種以上の油溶性または油分散性の多官能性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは6つのラジカル重合性官能基を含む。ラジカル重合性官能基は、アクリラートおよびメタクリラートよりなる群からそれぞれ独立して選択することができる。油溶性または油分散性の多官能性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、三、四、五、または六官能性芳香族ウレタンアクリラートなどの多官能芳香族ウレタンアクリラートを含むことができる。別の態様では、油溶性または油分散性の多官能単量体またはオリゴマーは、多官能脂肪族ウレタンアクリラートを含むことができ、またはアミンメタクリラート、酸性メタクリラート、またはそれらの組み合わせから選択される単量体をさらに含むことができる。
【0009】
さらなる態様では、デリバリー粒子集合体の重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラートから導かれる反応生成物であるが、第2の単量体および/または第3の単量体でもあり、この第2の単量体は塩基性(メタ)アクリラート単量体を含み、第3の単量体は酸性(メタ)アクリラート単量体を含む。別の態様では、重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、好ましくはアミン(メタ)アクリラート、酸性(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能(メタ)アクリラート、エトキシル化多官能(メタ)アクリラート、他の(メタ)アクリラート単量体、他の(メタ)アクリラートオリゴマー、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーからさらに導かれることができる。乳化を助けるために乳化剤または界面活性剤を使用する場合、デリバリー粒子の重合体壁は、重合体壁に取り込まれた界面活性剤または高分子乳化剤をさらに含むことができる。好ましくは、高分子乳化剤はポリビニルアルコールを含む。好ましくは、重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、少なくとも部分的に、少なくとも1種の水溶性または水分散性、および/または油溶性または油分散性の遊離ラジカル開始剤からさらに誘導される。
【0010】
本発明によるデリバリー粒子集合体において、有益剤が芳香剤であると選択される場合、好ましくは、芳香剤は、約2.5~約4のlogPによって特徴付けられる香料原料を含む。
【0011】
実施態様によっては、本明細書に記載のデリバリー粒子集合体のパーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、およびトリ-エステル、四デカン酸プロパン-2-イル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択することができる。この集合体は、約0.2から約10MPa、好ましくは約0.5から約8MPa、より好ましくは約0.5から約5MPaの平均体積加重中央破壊強度で特徴付けられる。実施態様によっては、コアの重合体壁に対する比が一定の場合、集合体デリバリー粒子の漏出は、デリバリー粒子のサイズが30から50μmの範囲内で増加するにつれて減少する可能性がある。
【0012】
有益剤デリバリー粒子集合体の重合体壁は、コーティング材をさらに含むことができ、このコーティング材は、ポリ(メタ)アクリラート、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)、ポリアミン、ワックス、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン-アクリル酸エチル、ポリビニルピロリドン-アクリル酸ビニル、ポリビニルピロリドン・メタクリラート、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン、ポリ(プロピレン無水マレイン酸)、無水マレイン酸誘導体、無水マレイン酸誘導体の共重合体、ポリビニルアルコール、スチレンーブタジエンラテックス、ゼラチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、その他の変性セルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カゼイン、ペクチン、加工デンプン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル・無水マレイン酸、ポリ(ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリビニルピロリドン・酢酸ビニル、ポリビニルピロリドンメタクリル酸ジメチルアミノエチル、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンの共重合体、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0013】
一つの態様では、本発明は、コアおよび前記コアを内包する重合体壁を含むデリバリー粒子集合体の新規製造方法を開示する。該方法は、i)有益剤およびパーティショニング変性剤を含むコア材料を1つ以上の油相に溶解または分散させ、そして少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つのラジカル重合性官能基を有する1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリレート単量体を前記1つ以上の油相に溶解または分散させる工程と、(ラジカル重合性官能基はそれぞれ独立してアクリラート、メタクリラート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルボキシル、またはヒドロキシルから選択されるが、ラジカル重合性基の少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートである)、ii)乳化剤または界面活性剤を含む水相を提供する工程と、iii)高剪断攪拌により前記油相を前記水相に乳化させ、水相に分散したコア物質および油相の液滴を含む水中油型乳化液を形成し、液滴はデリバリー粒子のコアの集合体を含む工程と、iv)乳化液の加熱または光照射により溶解または分散した単量体を反応させ、それにより液滴と水相の界面に重合体壁を形成する工程とを含む。この方法で形成される粒子のうち、パーティショニング変性剤は、デリバリー粒子のコアの重量で5%~55%を構成する。前記デリバリー粒子は、96:4~約99.5:0.5までのコアの重合体壁に対する重量比を有し、前記デリバリー粒子は、30~50ミクロンまでの体積加重中央粒径を有する。
【0014】
意外なことに特定の実施態様では、反応工程は、開始剤が実質的に存在しない状態でも実施することができる。さらなる実施態様では、1つ以上の水相および/または1つ以上の油相、または両方の相に添加するさらなる工程が含まれ、1つ以上の遊離ラジカル開始剤を添加し、それによって熱または光線によって活性化された遊離ラジカル源を提供する。さらなる添加工程は、遊離ラジカル開始剤を、それぞれの相の0重量%超~5重量%の量で、水相または油相、またはその両方に溶解または分散させることを含むことができる。
【0015】
一つの態様では、本発明の方法は、1種以上の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを水相に溶解または分散させるさらなる工程を含む。特定の実施態様では、ラジカル重合性官能基を有する多官能(メタ)アクリラート単量体を使用し、多官能(メタ)アクリラート単量体は、三官能、四官能、五官能、または六官能芳香族ウレタンアクリラートなどの多官能芳香族ウレタンアクリラートであってもよい。
【0016】
これとは別に油相への溶解または分散工程は、1つ以上の多官能性脂肪族ウレタンアクリラートを油相または複数の油相に溶解または分散する工程、または油相油にアミンメタクリラートまたは酸性メタクリラートのうちの1種以上を溶解または分散させる追加の工程を含むことができる。さらなる実施態様では、本発明の方法は、アミンメタクリラート、酸性メタクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレラート、エトキシル化単官能または多官能(メタ)アクリラート、または(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーのうちの1種以上を水相または油相のいずれか、またはその両方に溶解または分散させるさらなる工程を含むことができる。別の態様では、1つ以上の油相に溶解または分散したパーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ、ジ、およびトリエステル、テトラデカン酸プロパン-2-イル、エタノール、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択することができる。
【0017】
特定の実施態様では、コアの重合体壁に対する比が一定の場合、デリバリー粒子集合体の漏出は、デリバリー粒子のサイズが30~50μmの範囲内で増加するにつれて減少する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に従って18ミクロンおよび36ミクロンの直径に調製されたスラリーの遊離油分パーセントを、グラフに示すように様々な官能性の(メタ)アクリラート単量体を用いて、ミリスチン酸イソプロピルの存在しない36ミクロンマイクロカプセルと比較して描いたグラフである。
【
図2】様々な官能性の(メタ)アクリラート単量体を用いた直径18ミクロンおよび36ミクロンのカプセルの1週間の漏出パーセントを描写したグラフである。測定は、35℃で測定された液体洗濯洗剤に分散されたカプセルを用いた1週間目のものである。参照データは、ミリスチン酸イソプロピルを含まない36ミクロンの同じカプセルである。
【
図3】直径18ミクロンと36ミクロンで調製したスラリーから、表示された壁材を使用して得られた漏出パーセントを示すグラフである。
【
図4】ミリスチン酸イソプロピル40%で各種壁を用いて直径18ミクロンと36ミクロンで調製したスラリーの遊離油分%を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、デリバリー粒子集合体に関連する。デリバリー粒子(または本明細書で使用される場合、単に「粒子」)は、重合体壁に囲まれたコアを構成する、有益剤、および典型的にはパーティショニング変性剤を含む、コア/シェル粒子である。
【0020】
望ましい漏出特性および放出特性を有するデリバリー粒子は、例えば、コア-壁-重合体の重量比、粒子サイズ、および重合体壁の形成に使用される単量体などの要因の組み合わせを慎重に選択することで形成できることが、意外にも見出された。本明細書に記載した組み合わせの結果、予想外に高い搭載率を有し、それでもなお有益剤漏出は少なく、香気放出特性などの所望の有益剤放出特性を提供するデリバリー粒子を処方することが可能である。
【0021】
本開示は、カプセル化物の壁内に特定の重合体を含むカプセル化物に関する。理論に束縛されることを望まないが、カプセル化物の設計において記載された選択を行うことで、改善された性能を提供するカプセル化物が得られると考えられる。
【0022】
先行技術の系では、粒子径が大きくなるにつれて漏出が増加する傾向がある。ここに記載されている粒子の特筆すべき態様は、有益剤粒子としてコアシェルマイクロカプセルをもたらす単量体、オリゴマーおよび/またはプレポリマーの珍しい組み合わせであり、有益剤粒子の中央粒径が増加すると、本発明の組み合わせでない系と比較して、1週間漏出量が相対的に減少することである。
【0023】
当技術分野では、コア-シェルカプセルやマイクロカプセルなどの有益剤粒子が大きくなるにつれて、一般に漏出量が増加する。本開示は、当技術分野の同等のサイズの粒子と比較して低い漏出量を驚くほど達成する、より大きなサイズのコア-シェル有益剤デリバリー粒子を開示する。
【0024】
本開示は、高搭載率粒子、例えば、コアのシェルに対する重量比基準で、96~98%、さらには~99.5%のコアに関するものである。
【0025】
本開示の粒子の組成物は、比較的大きな粒子であるが、当分野の粒子と比較して、漏出が少なく、かつ強度が高い。
【0026】
本開示のカプセル化物および関連する方法を、以下により詳細に説明する。
【0027】
定義
本明細書で使用される場合、請求項において使用される場合の冠詞「a」および「an」は、請求または記載されるものの1つ以上を意味するものとする。本明細書で使用される場合、用語「含む」および「含み」は、非限定的であることを意図する。本開示の組成物は、本開示の成分を含む、本質的になる、あるいはからなることができる。
【0028】
本明細書では、「を実質的に含まない」という用語が使用されることがある。これは、指示された材料が、最低限、組成物に意図的に添加されその一部を形成していないこと、または、好ましくは、分析的に検出可能な水準で存在しないことを意味する。これは、指示物質が意図的に含まれる他の材料のうちの1材料中の不純物としてのみ存在する組成物を含むことを意味する。示された材料は、もし存在するとしても、組成物の重量に対して1%未満、または0.1%未満、または0.01%未満、あるいは0%の水準で存在する。
【0029】
本明細書において「消費者製品」とは、ベビーケア、ビューティーケア、ファブリック&ホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、および/またはヘルスケア製品または装置を意味し、販売されている形態で使用または消費されることを意図し、その後の商用製造または改変を意図しない。このような製品には、おむつ、涎掛け、拭き取り繊維;漂白、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングなどの人毛の処理に関する製品および/または方法;体臭防止剤および制汗剤;パーソナルクレンジング、クリーム、ローションなど消費者用の局所適用製品の使用を含むスキンケア;ひげそり用製品;布地や住居ケアの領域における、繊維、硬質表面およびその他の表面の処理に関する製品および/または方法:エアケア、カーケア、食器洗い、布地コンディショニング(柔軟化を含む)、洗濯洗剤、洗濯・すすぎ用添加剤および/またはケア、硬質表面洗浄および/または処理、および消費者または施設向けのその他の洗浄;トイレットペーパー、化粧紙、紙ハンカチ、および/または紙タオルに関する製品および/または方法;タンポン、女性用ナプキン、大人用失禁用品、ねり歯磨き、歯磨きジェル、すすぎ液、義歯用接着剤、歯の白化などの口腔ケアに関する製品および/または方法、咳止めや風邪薬などの市販薬、害虫駆除用品、浄水器があげられるがこれらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用する「消費者製品以外のもの」は、そのまま使用されるか工業製品の製造に使用される供給原料を意味する。このような供給原料には、乾燥カプセル、マイクロカプセル、マイクロカプセルのスラリー、マイクロカプセル凝集体、マイクロカプセル粉末、マイクロカプセル分散液、マイクロカプセル被覆材およびマイクロカプセルとの結合材がある。最終用途としては、基材用コーティング材、原料スラリー、圧入井用などの工業用潤滑油のような有益剤のスラリー、消費者製品またはその他の製品の製造における原材料としての有益剤デリバリー粒子の固形物または粉末、香料、潤滑剤またはその他の活性剤の送達などの産業用途のスラリーなどの有益剤の送達用スラリーなどがあげられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「有益剤含有デリバリー粒子」は、例えば、香料、潤滑剤、油、ワックス、炭化水素、精油、脂質を内包するマイクロカプセル、有益剤を含むコアを有するマイクロカプセル、皮膚冷却剤、日焼け止め、酸化防止剤、悪臭低減剤、消臭剤、香料、防虫・防蛾剤、農薬、着色料、ボディケア剤、シワ取り剤、除菌剤、消毒剤、防菌剤、防カビ剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、防汚剤、離型剤、布地清涼剤・鮮度保持剤、塩素系漂白防臭剤、染色定着剤、染色転写防止剤、蛍光増白剤、色調回復・復活剤、退色防止剤、白色度向上剤、耐摩耗剤、紫外線防止剤、日焼け防止剤、酵素、防水剤、耐収縮剤、抗菌活性剤、制汗活性剤、染料、およびそれらの混合物を包含するがこれらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「粒子」、「デリバリー粒子」「デリバリー粒子を含む有益剤」、「カプセル化」、「カプセル」および「マイクロカプセル」は、他に記載がない限り、同義である。
【0033】
本明細書で使用する用語「(メタ)アクリラート」または「(メタ)アクリル」は、特定の単量体、オリゴマーおよび/またはプレポリマーのアクリラートおよびメタクリラート化合物の両方を指すものとする。例えば、「(メタ)アクリル酸アリル」は、メタクリル酸アリルおよびアクリル酸アリルの両方が可能であることを示し、同様に(メタ)アクリル酸のアルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルの両方が可能であることを示し、同様にポリ(メタ)アクリラートはポリアクリラートおよびポリメタクリラートの両方が可能であることを示す。ポリ(メタ)アクリラート材料は、例えば、ポリエステルポリ(メタ)アクリラート、ウレタンおよびポリウレタンポリ(メタ)アクリラート(特にヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートとポリイソシアナートまたはウレタンポリイソシアナート、シアノアクリル酸メチル、シアノアクリル酸エチル、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリラート官能化シリコーン、ジ、トリ、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリラート、エチレンジ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、ジグリセロールジ(メタ)アクリラート、テトラエチレングリコールジクロロアクリラート、1,3-ブタンジオルジ(メタ)アクリラート、ネオペンチルジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラートおよび種々の多官能(メタ)アクリラートなどを含む広範にわたる重合体材料の包含を意図する。単官能(メタ)アクリラート、即ち、1つの(メタ)アクリラート基のみを含むものも、有利に使用することができる。代表的なモノ(メタ)アクリラートとしては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸p-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸クロロベンジル、(メタ)アクリル酸アミノアルキル、種々の(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。(メタ)アクリラートまたはその誘導体の混合物、ならびに1種以上の(メタ)アクリラート単量体、オリゴマーおよび/またはプレポリマーまたはその誘導体とアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含む他の共重合可能な単量体との組み合わせも使用可能である。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲における参照を容易にするために、重合体壁に関して本明細書で使用される用語「単量体」は、単量体の他に、オリゴマーまたは単量体、および特定の単量体から形成されるプレポリマーをも包含する。
【0035】
本明細書に記載される温度は、特に断りのない限り、すべて摂氏(℃)の単位で表示されている。特に指定のない限り、本書中のすべての測定は、20℃、大気圧下で行われた。
【0036】
本開示のすべての実施態様において、すべてのパーセンテージは、特に断りのない限り、全組成物の重量によるものである。すべての比は、特に断りのない限り、重量比である。
【0037】
本発明のパラメータのそれぞれの値を決定するには、本願の試験方法の項に開示の試験方法を用いることが望ましい。
【0038】
特に断りのない限り、すべての成分または組成物の等級は、そのような成分または組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒または副産物を除いた成分または組成物を基準とする。
【0039】
すべてのパーセンテージと比は、特に断りのない限り、重量で計算されている。すべてのパーセンテージおよび比は、特に断りのない限り、全組成に基づいて計算されている。
【0040】
本明細書に記載のすべての上限数値は、あたかもそれより低い数値限定が本明細書に明示的に書かれているかのように、すべてのそれより低い数値限定を含むものとする。また、本明細書に記載のすべての下限数値は、あたかもそれより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように、すべてのそれより高い数値制限を含むものとする。また、本明細書中に記載された数値範囲は、あたかもそのような数値範囲が全て明示的に記載されているかのように、そのような広い数値範囲に含まれる全てのより狭い数値範囲を含むものとする。
【0041】
有益剤デリバリー粒子集合体
本開示の組成物および製品は、有益剤デリバリー粒子を含む。この粒子は、典型的には、コアとシェルを含み、シェルはコアをカプセル化し、シェルは重合体壁である。
【0042】
明確化のために、本明細書では様々な粒子を有益剤デリバリー粒子集合体と称することがある。以下により詳細に説明するように、コアは、有益剤、およびパーティショニング変性剤を含み、シェルは、特定の重合体材料を含む。以下により詳細に説明するように、コアは、有益剤、および任意にパーティショニング変性剤を含み、シェルは、特定の重合体、即ちアクリラート材料を含んでもよい。
【0043】
有益剤デリバリー粒子は、約30ミクロン~約50ミクロン、好ましくは約30ミクロン~約40ミクロンの体積加重中央粒径を有する。
【0044】
デリバリー粒子集合体は、補助剤と組み合わせて組成物を形成することができる。この組成物は、組成物の重量基準で、約0.05%~約20%、約0.05%~約10%、約0.1%~約5%、または約0.2%~約2%のデリバリー粒子を含んでもよい。この組成物は、組成物の重量基準で、約0.05%~約10%、約0.1%~約5%、または約0.1%~約2%の香料を組成物に提供するのに十分な量のデリバリー粒子を含んでもよい。本明細書で述べるデリバリー粒子の量または重量%はシェル材料とコア材料の合計を意味する。
【0045】
デリバリー粒子集合体は、比較的広い粒径分布を有することができる。上述のように、広い分布は、様々なタイプの布地または衣服などの特定の表面で組成物がより有効に寄与すると考えられている。デリバリー粒子集合体は、サイズ分布を特徴付ける方法である拡がり指数で特徴付けることができる。
【0046】
拡がり指数は、累積粒子体積の90%を超える粒子サイズ(90%サイズ)、累積粒子体積の5%を超える粒子サイズ(5%サイズ)、および体積加重粒子径の中央値(50%サイズ、粒子体積の50%がこのサイズ以上でかつ以下である)を求めて計算される。これらの値は、以下の式でデリバリー粒子集合体に対する拡がり指数を求めるために使用することができる。
【0047】
拡がり指数=(90%サイズ-5%サイズ)/50%サイズ
【0048】
本開示のデリバリー粒子集合体は、少なくとも1.0、好ましくは少なくとも1.1、より好ましくは少なくとも1.2の拡がり指数で特徴付けられることがある。デリバリー粒子集合体は、約1.0~約2.0、約1.0~約1.8、約1.1~約1.6、約1.1~約1.5、約1.2~約1.5、または約1.2~約1.4の拡がり指数を特徴とする。相対的に高い拡がり指数値は、相対的に広い粒度分布を示す。
【0049】
デリバリー粒子集合体は、次のうちの1つ以上の特徴を有する、(i)約1ミクロン~約15ミクロンの第5パーセンタイル体積加重粒径、(ii)約30ミクロン~約50ミクロンの第50パーセンタイル(中央値)体積加重粒径、(iii)約40ミクロン~約80ミクロンの第90パーセンタイル体積加重粒径、または(iv)それらの組合せ。
【0050】
デリバリー粒子は、破壊強度で特徴付けてもよい。破壊強度は、後に述べる試験方法の項に提供される手順に従って決定される。デリバリー粒子集合体は、約0.2MPa~約30MPa、約0.4MPa~約10MPa、約0.6MPa~約5MPa、または約0.8MPa~約4MPaの平均破壊強度(ここで破壊強度は粒子集合体の中央値/d50サイズで複数のカプセルで測定)により特徴付けられてもよい。デリバリー粒子集合体は、約0.2MPa~約10MPa、0.5MPa~約8MPa、約0.5MPa~約6MPa、約0.5MPa~約5MPa、約0.7MPa~約4MPa、または約1MPa~約3MPaの平均破壊強度で特徴づけられてもよい。デリバリー粒子集合体は、約0.2~約10MPa、好ましくは約0.5~約8MPa、より好ましくは約0.5~約5MPaの平均破壊強度で特徴付けられてもよい。これらの水準におけるd50での平均破壊強度を有するデリバリー粒子は、本開示による組成物で処理された布などの表面にとって典型的な一カ所以上の接触点で良好に機能すると考えられる。
【0051】
コア材料のシェル材料に対する特定の比率から、改善された性能を示すデリバリー粒子集合体が得られる。理論に拘束されることを望まないが、コアの壁に対する比が比較的高いデリバリー粒子を配合すると、本開示に記載の望ましい破壊強度特性を有する集合体が得られると考えられる。さらに、高いコア:壁比を有するデリバリー粒子は、より効率的に有益剤を送達し、同じ量の有益剤を送達するためにより少ない壁材を必要とする。さらに、デリバリー粒子は、比較的高負荷の有益剤を有するので、特定の組成物に対してより少ないデリバリー粒子材料が必要とされ、コストを下げ、および/または処方スペースを解放することができる。
【0052】
本開示のデリバリー粒子は、コア対重合体壁重量比(本明細書で使用される「コア:重合体壁比」、「コア-壁比」、「コア:壁比」、またはさらには「C:W比」等)で特徴付けられてもよい。比較的高いコア:壁比は、典型的には、粒子のデリバリー効率または比較的搭載率を増加させるために好ましい。しかしながら、比が高すぎる場合、カプセルは、脆くなりすぎ、漏れやすくなり、最適でない性能を提供することがある。
【0053】
本明細書で使用する場合、コア:重合体壁比は、重合体壁を構成する反応壁形成材料および開始剤の重量に基づいて計算され、計算の目的のために、巻き込まれた非構造材料、例えば巻き込まれた乳化剤を計算から除外するものとする。計算は、出発投入物、即ち投入単量体と開始剤の量に基づく。コア:壁重合体比の計算例を後述の実施例1に示す。出発原料の量を容易に入手できない場合、コア:壁比は、試験方法の項に記載されているコア:壁比の分析的決定手順に従って決定される。
【0054】
デリバリー粒子、好ましくは、デリバリー粒子集合体は、少なくとも約96:4、より好ましくは少なくとも約97:3、さらにより好ましくは少なくとも約98:2、さらにより好ましくは少なくとも約99:1のコア:重合体壁の重量比を特徴とする。デリバリー粒子、好ましくはデリバリー粒子集合体は、約96:4~約99.5:0.5、好ましくは約96:4~約99:1、より好ましくは約97:3~約99:1、さらに好ましくは約98:2~約99:1のコア-重合体壁の重量比を特徴としてもよい。コア-重合体壁重量比は、約96:4~約99:1、または約96:4~約98:2、または約97:3~約98:2であってもよい。
【0055】
重合体壁
本開示のデリバリー粒子は、コアを取り囲む重合体壁を含む。重合体壁は、重合体材料、具体的には(メタ)アクリラート重合体を含む。(メタ)アクリラート重合体は、少なくとも部分的に、1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーから誘導される。
【0056】
1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは少なくとも6つのラジカル重合性官能基を含む。1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、3~6個、好ましくは4~6個、より好ましくは5~6個、最も好ましくは6個のラジカル重合性官能基を含んでもよい。比較的多くのラジカル重合性基を含む単量体は、例えば、より少ないラジカル重合性基を有する単量体と比較して、漏れが少ないなどの好ましい特性を有するデリバリー粒子を形成すると考えられる。
【0057】
ラジカル重合性官能基は、アクリラート、メタクリラート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジル、エーテル、エポキシ、カルボキシル、またはヒドロキシルよりなる群から独立して選択されるが、ラジカル重合性基の少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートであることが条件である。好ましくは、ラジカル重合性官能基は、アクリラートおよびメタクリラートよりなる群からそれぞれ独立して選択される。これらの官能基は、他の官能基と比較して漏れが少ないなどの好ましい特性を有するデリバリー粒子を形成すると考えられる。
【0058】
重合体壁は、重量基準で、約5%~約100%、好ましくは約40%~約100%、より好ましくは約50%~約100%、より好ましくは約75%~約100%、より好ましくは85%~約100%、より好ましくは約90%~約100%、さらに好ましくは約95%~約100%の(メタ)アクリラート重合体を含んでもよい。重合体壁は、重量基準で、約5%~約100%、好ましくは約40%~約100%、より好ましくは約50%~約100%、より好ましくは約75%~約100%、より好ましくは85%~約100%、より好ましくは約90%~約100%、さらにより好ましくは約95%~約100%の油溶性または油分散性の多官能(メタ)の、重合体壁のアクリラート単量体またはオリゴマーを含んでもよい。(メタ)アクリラート重合体は、重量基準で、約5%~約100%、好ましくは約40%~約100%、より好ましくは約50%~約100%、より好ましくは約75%~約100%、好ましくは約85%~約100%、より好ましくは約90%~約100%、さらにより好ましくは約95%~約100%の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーを含んでもよい。
【0059】
油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、多官能芳香族ウレタンアクリラートを含んでもよい。好ましくは、油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、三、四、五、または六官能性芳香族ウレタンアクリラートを含む。
【0060】
それに加えてまたはそれとは別に、油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、多官能脂肪族ウレタンアクリラートを含んでもよい。
【0061】
重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、少なくとも2種の異なる多官能(メタ)アクリラート単量体、例えば第1および第2の多官能(メタ)アクリラート単量体から導かれ、各々は好ましくは油溶性または油分散性であってもよい。第1の多官能(メタ)アクリラート単量体は、第2の多官能(メタ)アクリラート単量体との比較で異なる数のラジカル重合性官能基を含んでもよい。例えば、第1の多官能(メタ)アクリラート単量体は、6つのラジカル重合性官能基(例えば、六官能性)を含むことができ、第2の多官能(メタ)アクリラート単量体は、6つ未満、例えば3つ(例えば三官能性)、4つ(例えば四官能性)、または5つ(例えば五官能性)、好ましくは5つから選択される数のラジカル重合性官能基を含んでもよい。第1および第2の多官能(メタ)アクリラート単量体は、6つなど同数のラジカル重合性官能基(例えば、両方の単量体が六官能性である)から構成されてもよいが、それぞれの単量体は、異なる構造または化学的性質によって特徴付けられる。
【0062】
油溶性または油分散性の(メタ)アクリラートは、アミンメタクリラート、酸性メタクリラート、またはそれらの組み合わせから選択される単量体をさらに含んでもよい。
【0063】
重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート、第2の単量体、および第3の単量体から導かれる反応生成物であってもよい。好ましくは、第2の単量体は塩基性(メタ)アクリラート単量体を含み、第3の単量体は酸性(メタ)アクリラート単量体を含む。塩基性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、壁重合体の2重量%未満で存在してもよい。酸性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、壁重合体の2重量%未満で存在してもよい。
【0064】
塩基性(メタ)アクリラート単量体、および/またはそのオリゴマーまたはプレポリマーは、アミン変性メタクリラート、アミン変性アクリラート、モノまたはジアクリラートアミンなどの単量体、モノまたはジメタクリラートアミン、アミン変性ポリエーテルアクリラート、アミン変性ポリエーテルメタクリラート、アミノアルキルアクリラート、またはアミノアルキルメタクリラートを含んでもよい。アミンは、第一級、第二級、または第三級アミンであり得る。好ましくは、塩基性(メタ)アクリラート単量体のアルキル部分はC1~C12である。
【0065】
本開示の粒子での使用に適したアミン(メタ)アクリラートには、アクリル酸アミノアルキルまたはメタクリル酸アミノアルキル、例えば、限定するものではないが、アクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノエチル、アミノエチルアクリル酸、メタクリル酸アミノエチル、エチルアミノアクリル酸tert-ブチル、エチルアミノメタクリル酸tert-ブチル、アミノエチルアクリル酸tert-ブチル、アミノエチルメタクリル酸tert-ブチル、アミノアクリル酸ジエチル、アミノメタクリル酸ジエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、およびメタクリル酸ジメチルアミノエチルが含まれる。好ましくは、アミン(メタ)アクリラートは、アクリル酸アミノエチルまたはメタクリル酸アミノエチルである。
【0066】
酸性(メタ)アクリラートは、例として、カルボキシ置換アクリラートまたはメタクリラート、好ましくは、アクリル酸カルボキシアルキル、メタクリル酸カルボキシアルキル、アクリル酸カルボキシアリール、メタクリル酸カルボキシアリールなどのカルボキシ置換アルキルのアクリル酸またはメタクリル酸エステルを含んでもよく、さらに好ましくは、アルキル部分は直鎖または分岐C1~C10である。カルボキシル部分は、C1~C10アルキル部分の任意の炭素、好ましくは末端炭素に結合することができる。カルボキシ置換アリールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルも使用でき、さらには(メタ)アクリロイルオキシフェニルアルキルカルボン酸も使用できる。(メタ)アクリロイルオキシフェニルアルキルカルボン酸のアルキル部分は、C1~C10でもよい。
【0067】
本開示の粒子での使用に適したカルボキシ(メタ)アクリラートには、アクリル酸2-カルボキシエチル、メタクリル酸2-カルボキシエチル、アクリル酸2-カルボキシプロピル、メタクリル酸2-カルボキシプロピル、アクリル酸カルボキシオクチル、メタクリル酸カルボキシオクチルが含まれる。カルボキシ置換アリールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルは、2-アクリロイルオキシ安息香酸、3-アクリロイルオキシ安息香酸、4-アクリロイルオキシ安息香酸、2-メタクリロイルオキシ安息香酸、3-メタクリロイルオキシ安息香酸、および4-メタクリロイルオキシ安息香酸を含んでもよい。(メタ)アクリロイルオキシフェニルアルキルカルボン酸には、限定ではなく例として、4-アクリロイルオキシフェニル酢酸または4-メタクリロイルオキシフェニル酢酸が含まれる。
【0068】
油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーに加えて、重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマー(親水性官能基を含んでもよい)からさらに導かれる。水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、好ましくは、アミン(メタ)アクリラート、酸性(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能(メタ)アクリラート、エトキシル化多官能(メタ)アクリラート、他の(メタ)アクリラート単量体、他の(メタ)アクリラートオリゴマー、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0069】
デリバリー粒子を作製する場合、必要に応じて乳化剤を、好ましくは水相に含有させることができる。乳化剤は高分子乳化剤であってもよい。乳化剤は、乳化液をさらに安定化するのに役立つ。デリバリー粒子の重合体壁の形成中に、高分子乳化剤は、重合体壁材料に閉じ込められる可能性がある。乳化剤の重合体壁への内包は、重合体壁の特性の修飾に有利に使用でき、柔軟性、漏出、強度、および他の特性などの属性に影響を与える。したがって、デリバリー粒子の重合体壁は、重合体壁に取り込まれた高分子乳化剤をさらに含んでもよく、好ましくは、高分子乳化剤はポリビニルアルコールを含む。しかし、上に示したように、コア:壁重合体の重量比を決定する場合、閉じ込められた高分子乳化剤は含まれるべきではない。
【0070】
有益剤デリバリー粒子は、有益剤デリバリー粒子の総重量基準で、壁材の重量に基づいて、約0.5%~約40%、好ましくは約0.5%~約20%、より好ましくは0.8%~5%の乳化剤を含んでもよい。好ましくは、乳化剤は、ポリビニルアルコール、カルボキシル化または部分加水分解ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸の塩またはエステル、レシチン、有機スルホン酸、2-アクリルアミド-2-アルキルスルホン、スチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンの共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、および水の表面張力を下げる水溶性界面活性剤重合体よりなる群から選択される。乳化剤は、好ましくはポリビニルアルコールを含み、このポリビニルアルコールは、好ましくは、約55%~約99%、好ましくは約75%~約95%、より好ましくは約85%~約90%、最も好ましくは87%~約89%の加水分解度を有する。ポリビニルアルコールは、20℃の4%ポリビニルアルコール水溶液中で約40cps~約80cps、好ましくは約45cps~約72cps、より好ましくは約45cps~約60cps、最も好ましくは45cps~55cpsの粘度を有してもよい。重合体の粘度は、英国規格EN ISO 15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されているように、ULアダプターを備えたBrookfield LV型粘度計を用いて、作成したての溶液を測定することで決定される。ポリビニルアルコールは、約1,500から約2,500、好ましくは約1,600から約2,200、より好ましくは約1,600から約1,900、最も好ましくは約1,600から約1,800の重合度を有してもよい。ポリビニルアルコールは約130,000~約204,000ダルトン、好ましくは約146,000~約186,000、より好ましくは約146,000~約160,000、最も好ましくは約146,000~約155,000の重量平均分子量、および/または約65,000~約110,000ダルトン、好ましくは約70,000~約101,000、より好ましくは約70,000~約90,000、最も好ましくは約70,000~約80,000の数平均分子量を有する。
【0071】
重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、少なくとも部分的に、少なくとも1種、好ましくは1種以上の油溶性または油分散性および/または水溶性または水分散性の遊離ラジカル開始剤からさらに誘導されてもよい。1種以上の遊離ラジカル開始剤は、活性化の際に遊離ラジカルの供給源を提供することができる。
【0072】
理論に拘束されることを望むものではないが、全壁材料(および/または壁単量体/オリゴマー)に対して適切な量の開始剤を選択すると、改善されたカプセルが得られると考えられる。例えば、開始剤濃度が低すぎると、重合体壁の形成が不十分になる可能性があると考えられる。開始剤濃度が高すぎると、相対的に低い構造単量体濃度のカプセル化壁になる可能性がある。いずれの状況においても、結果として得られるカプセルは、比較的漏れやすく、かつ/または弱くなる可能性がある。さらに、相対的な開始剤濃度の適切な選択によって支援されるカプセル化壁形成の最適化は、壁材料の量が比較的少ないことを考えると、比較的高いコア:壁比を有するカプセルにとって特に重要であると考えられる。
【0073】
したがって、存在する開始剤の量は、重合体壁の重量で、約2%~約50%、好ましくは約5%~約40%、より好ましくは約10%~約40%、さらにより好ましくは約15%~約40%、さらにより好ましくは約20%~約35%、またはより好ましくは約20%~約30%(例えば、コアについて本明細書に記載されるように、埋め込まれた高分子乳化剤を除く壁単量体+開始剤:壁比)でもよい。開示された範囲内で開始剤の量を比較的多くすると、漏れの少ない改善されたカプセルが得られると考えられる。開始剤の最適量は、コア材料の性質によって異なる。重合体壁の(メタ)アクリラート重合体は、第1の開始剤および第2の開始剤から導かれ、第1および第2の開始剤は、約5:1~約1:5、または好ましくは3:1~約1:3、またはより好ましくは約2:1~約1:2、またはさらにより好ましくは約1.5:1~約1:1.5の重量比で存在する。
【0074】
適切な遊離ラジカル開始剤には、ペルオキシ開始剤、アゾ開始剤、過酸化物、および2,2’-アゾビスメチルブチロニトリル、過酸化ジベンゾイルなどの化合物が含まれる。より具体的には、限定するものではないが、遊離ラジカル開始剤は、アゾまたはペルオキシ開始剤、例えばペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アルキルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカルボナート、ペルオキシケトンおよびペルオキシジカルボナート、2,2’-アゾビス(イソブチルニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、1,1’-アゾビス(シアノシクロヘキサン)、過酸化ベンゾイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカルボナート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカルボナート、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカルボナート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチルペルオキシネオデカノアート、α-クミルペルオキシネオヘプタノアート、t-アミルペルオキシネオデカノアート、t-ブチルペルオキシネオデカノアート、t-アミルペルオキシピバラート、t-ブチルペルオキシピバラート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、t-アミルペルオキシ2-エチル-ヘキサノアート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノアート、t-ブチルペルオキシアセタート、ジ-t-アミルペルオキシアセタート、t-ブチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、クメンヒドロペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(t-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-ブチラート、t-アミルペルベンゾアート、t-ブチルペルベンゾアート、エチル3,3-ジ-(t-アミルペルオキシ)-ブチラート等を含む開始剤の群から選択することができる。
【0075】
デリバリー粒子のシェルは、例えばコアと反対側のシェルの外面に被膜を含んでもよい。カプセル化物を製造し、続いてコーティング材で被覆することができる。被膜は堆積助剤として有用であるかもしれない。被膜は、陽イオン性重合体などの陽イオン性材料を含んでもよい。しかしながら、上に示したように、壁の構造または支持要素ではない被膜を、コア:壁重合体重量比を決定する際の計算に含めるべきではない。
【0076】
本開示の粒子は、シェル即ち重合体壁を含み、これらの用語は同義である。シェルは、特定の単量体の反応生成物である特定の重合体を含んでもよい。重合体壁は、1つ以上の油相の1種以上の多官能(メタ)アクリラート単量体の反応生成物であり、1種以上の油溶性または分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つのラジカル重合性官能基を有し、これらの官能基はそれぞれ独立して、アクリラート、メタクリラート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジル、エーテル、エポキシ、カルボキシル、またはヒドロキシルから選択されるが、ラジカル重合性基の少なくとも1つはアクリラートまたはメタクリラートである。油相の単量体に加えて、または油相の単量体と組み合わせた重合体壁は、任意に、少なくとも1つの水相からの1種以上の単官能および/または多官能メタクリラート単量体の反応生成物からさらに導かれることもできる。
【0077】
本発明は、様々な実施態様で実施することができる。例えば、一実施態様では、本明細書のデリバリー粒子は、コアおよび該コアを内包する重合体壁を含み、コアは有益剤およびパーティショニング変性剤を含む油性媒体を含む。そのような実施態様では、パーティショニング変性剤はコアの5~55重量%を構成する。重合体壁は、少なくとも部分的に、1種以上の油溶性または分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーから誘導された(メタ)アクリラート重合体を含む。1種以上の油溶性または分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、少なくとも3つのラジカル重合性官能基を有する。ラジカル重合性官能基は、アクリラート、メタクリラート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルボキシル、またはヒドロキシルから独立して選択することができる。ラジカル重合性基の少なくとも1つは、アクリラートまたはメタクリラートでなければならない。
【0078】
デリバリー粒子は、重量で約96:4~約99.5:0.5、または約98:2~約99:1のコアの重合体壁に対する比を有し、デリバリー粒子は、約30~約50ミクロンの体積加重粒子サイズを有する。
【0079】
場合により、重合体壁は、少なくとも1種の水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーの反応生成物でもある。油相または水相またはその両方における遊離ラジカル開始剤は任意であるが、それぞれの各相における単量体の重合を促進するために好ましい。
【0080】
さらなる実施態様では、水溶性または水分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、多官能芳香族ウレタンアクリラートである。典型的な例は、六官能性芳香族ウレタンアクリラートである。
【0081】
さらなる実施態様では、油溶性または油分散性の多官能単量体またはオリゴマーは、さらに1種以上の多官能脂肪族ウレタンアクリラートを含む。さらなる実施態様において、油溶性または油分散性の(メタ)アクリラートは、アミンメタクリラートまたは酸性メタクリラートのうちの1種以上をさらに含む。
【0082】
別の実施態様では、水相壁形成組成物は、親水性官能基を有する1種以上の水溶性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーを含む。
【0083】
さらなる実施態様では、水溶性または水分散性の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーをさらに使用することができ、1種以上のアミンメタクリラート、酸性メタクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能または多官能(メタ)アクリラート、および(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを含む。
【0084】
一実施態様では、デリバリー粒子のコアは、芳香剤を含む有益剤である。有用なのは、香料は、2.5~4のlogPを有する1種以上の香料を含む香料調合物である。コアは、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、改質植物油、モノC4~C24脂肪酸の、ジ-、およびトリ-エステル、テトラデカン酸プロパン-2-イル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカノフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のパーティショニング変性剤を含む。
【0085】
場合によっては、乳化剤を水相に含有させることができる。乳化剤は、乳化液をさらに安定化するのに役立つ。マイクロカプセルの重合体壁の形成中に、高分子乳化剤は重合体壁材料に取り込まれることがある。このような乳化剤の重合体壁への内包は、重合体壁の特性の変更に有利に利用でき、柔軟性、漏出、強度などの特性に影響を与えることができる。
【0086】
本発明では、意外なことに、一定のコアの重合体壁に対する比のためのデリバリー粒子は、デリバリー粒子のサイズが増加すると、30~50μmの範囲内で、デリバリー粒子の漏出が減少する。
【0087】
コアの重合体壁に対する比は、重合体壁を構成する反応した壁形成材料と開始剤の重量に基づいて計算され、計算の目的のために、捕捉された乳化剤などの捕捉された非構造材料は計算に含まれない。計算は、出発投入物、即ち投入単量体と開始剤に基づいて行われる。
【0088】
コアは、有益剤およびパーティショニング変性剤を含み、パーティショニング変性剤は、コアの5重量%~55重量%を構成する。パーティショニング変性剤は、ミリスチン酸イソプロピル、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-およびトリエステル、テトラデカン酸プロパン-2-イル、ドデカンフェノン、ラウリン酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチルおよびこれらの混合物よりなる群から選ばれ、好ましいパーティショニング変性剤はミリスチン酸イソプロピルである。一実施態様では、コアは、有益剤およびミリスチン酸イソプロピルを含む。別の実施態様では、所望により、第1のパーティショニング変性剤に加えて、第2のパーティショニング変性剤を含み、有益剤デリバリー粒子中の第2のパーティショニング変性剤は、コアの総重量に基づいて、約0%~約80%、好ましくは0%~50%、より好ましくは約0%~約30%、最も好ましくは、20%以下の1種以上の追加のパーティショニング変性剤を含む。好ましい実施態様では、ミリスチン酸イソプロピルがパーティショニング変性剤であり、第2のパーティショニング変性剤は使用されない。
【0089】
計算を容易にするために、製造過程でコアの重量で5~55%のパーティショニング変性剤を達成するために、コアの湿潤入力は、湿潤スラリーのパーセントに基づいて把握することができる。例示すると、コアが5%のIPMと95%の香料から構成されている場合、その5%のパーティショニング変性剤、例えばIPMは、スラリーの1.97%(したがって約2%)に相当する。コアが55%のIPMと45%の香料で構成されている場合、その55%のIPMはスラリーの21.69%(したがって約22%)に相当する。%スラリーは、湿潤%とする。
【0090】
別の態様において、本発明は、約30~約50ミクロンの体積加重中央粒径を有する、有益剤デリバリー粒子を含む組成物を教示する。
【0091】
任意成分の第2の単量体、および/またはそのオリゴマーもしくはプレポリマーは、塩基性(メタ)アクリラート単量体を含み、任意成分の第3の単量体は、酸性(メタ)アクリラート単量体を含んでもよい。
【0092】
塩基性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、有益剤デリバリー粒子の1重量%未満の量で存在してもよい。酸性(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、有益剤デリバリー粒子の1重量%未満で存在してもよい。
【0093】
記載の組成物有益剤デリバリー粒子は、望ましくは、35℃で測定した、25重量%未満のコアの1週間漏出パーセントを有する。
【0094】
必要なら、本開示の組成物において、第1の単量体、ならびに任意成分の第2の単量体および第3の単量体のいずれかは、オリゴマー、単量体またはプレポリマーであってもよい。
【0095】
有益剤デリバリー粒子は、有益剤デリバリー粒子の総重量に基づいて、約0.5%~約40%、より好ましくは0.8%~5%の乳化剤を含んでもよい。好ましくは、前記乳化剤は、ポリビニルアルコール、カルボキシル化または部分加水分解ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸の塩またはエステル、レシチン、有機スルホン酸、2-アクリルアミド-2-アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンの共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体、および水の表面張力を低下させる水溶性界面活性剤重合体よりなる群から選択される。乳化剤は、好ましくはポリビニルアルコールを含み、このポリビニルアルコールは、好ましくは約55%~約99%、好ましくは約75%~約95%、より好ましくは約85%~約90%、最も好ましくは約87%~約89%の加水分解度を有する。ポリビニルアルコールは、20℃の4%水溶液で、約40cps~約80cps、好ましくは約45cps~約72cps、より好ましくは約45cps~約60cps、最も好ましくは45cps~55cpsの粘度を有してもよい。ポリビニルアルコールは、約1,500~約2、500、好ましくは約1,600~約2,200、より好ましくは約1,600~約1,900、最も好ましくは約1,600~約1,800の重合度を有してよい。ポリビニルアルコールは、約130,000~約204,000ダルトン、好ましくは約146,000~約186,000、より好ましくは約146,000~約160,000、および最も好ましくは約146,000~約155,000の重量平均分子量、および/または約65,000~約110,000ダルトン、好ましくは約70,000~約101,000、より好ましくは約70,000~約90,000、最も好ましくは約70,000~約80,000の数平均分子量を有してもよい。
【0096】
本開示の有益剤デリバリー粒子は、被膜を含んでもよい。デリバリー粒子のシェルは、例えば、コアと反対側のシェルの外面に、被膜を含んでもよい。被膜は、陽イオン重合体などの陽イオン性材料で構成されてもよい。ただし、上記に示したように、壁の構造的または支持的要素でない被膜は、コア:壁の重合体重量比を決定する際の計算に含めないようにする。粒子は製造され、その後、コーティング材で被覆されてもよい。被膜は、堆積助剤として有用な場合がある。コーティング材の非限定的な例としては、ポリ(メタ)アクリラート、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)、ポリアミン、ワックス、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン・アクリル酸エチル、ポリビニルピロリドン・アクリル酸ビニル、ポリビニルピロリドン・メタクリラート、ポリビニルピロリドン・酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン、ポリ(プロピレン無水マレイン酸)、無水マレイン酸誘導体、無水マレイン酸誘導体の共重合体、ポリビニルアルコール、スチレン-ブタジエンラテックス、ゼラチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、その他の変性セルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、カゼイン、ペクチン、変性デンプン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸、ポリビニルピロリドンとその共重合体、ポリ(ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリラート、ポリビンアミン、ポリビンホルムアミド、ポリアリルアミンおよびそれらの混合物の共重合体よりなる群から選ばれる材料があるがそれらに限定されない。コーティング材は、陽イオン重合体であってもよい。
【0097】
有益剤
本開示の粒子は、有益剤を含むコアを含む。コア内にある適切な有益剤は、布地または毛髪などの表面に利益をもたらす有益剤を含んでもよい。
【0098】
有益剤は、香料原料、潤滑剤、シリコーン油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、精油、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭低減剤、防臭剤、キレート剤、帯電防止剤、柔軟剤、防虫剤、農薬、着色剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、風合い制御剤、平滑剤、しわ防止剤、除菌剤、殺菌剤、防カビ剤、防白カビ剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、防汚剤、繊維清涼剤、清涼剤増量剤、塩素系漂白剤、防臭剤、染料定着剤、移染防止剤、色調維持剤、蛍光増白剤、色回復/若返り剤、退色防止剤、白さ増強剤、耐摩耗剤、耐摩耗剤、布地完全性剤、耐摩耗剤、ピリング防止剤、消泡剤、UV保護剤、日光色あせ阻害剤、抗アレルギー剤、酵素、防水剤、生地快適剤、収縮抵抗剤、伸縮抵抗剤、伸縮回復剤、スキンケア剤、グリセリン、合成または天然活性剤、抗菌活性剤、制汗剤活性剤、陽イオン性重合体、染料およびそれらの混合物よりなる群から選択されてもよい。
【0099】
埋包有益剤は香料原料を含んでもよい。本明細書で使用される「香料原料」(または「PRM」)という用語は、少なくとも約100g/molの分子量を有し、単独で、またはその他香料原料と共に、匂い、芳香、エッセンスまたは香りを付与するのに有用な化合物を意味する。典型的なPRMは、とりわけ、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ニトリル、およびテルペンなどのアルケンを含む。一般的なPRMのリストは、さまざまな参考文献、たとえば「Perfume and Flavor Chemicals(香料と香味料の化学)」、第I巻およびII巻; Steffen Arctander Allured Pub. Co. (1994) および「Perfumes: Art, Science and Technology(香料:技術、科学と工学)」、Miller, P. M. and Lamparsky, D.、Blackie Academic and Professional (1994)に見られる。
【0100】
PRMは、常圧(760mmHg)で測定されたそれらの沸点(B.P.)、および以下の試験方法に従って決定された、logPに関して記述されるそれらのオクタノール/水分配係数(P)で特徴付けることができる。これらの特徴に基づいて、PRMは、以下により詳細に説明するように、象限I、象限II、象限III、または象限IVの香料として分類される。
【0101】
香料原料は、約250℃未満の沸点と2.5~4または約3未満のClogPを有する香料原料、約250℃超の沸点と約3超のClogPを有する香料原料、約250℃超の沸点と約3未満のClogPを有する香料原料、約250℃未満の沸点と約3超のClogPを有する香料原料、およびそれらの混合物よりなる群から選択される香料原料を含んでもよい。約250℃未満の沸点と約3未満のClogPを有する香料原料は第1象限香料原料として知られている。第1象限香料原料は、好ましくは香料組成物の30%未満に制限される。約250℃超の沸点と約3超のClogPを有する香料原料は象限IV香料原料として知られている。約250℃超の沸点と約3未満のClogPを有する香料原料は、象限II香料原料として知られている。約250℃未満の沸点と約3超のClogPを有する香料原料は、象限III香料原料として知られている。適切な象限I、II、IIIおよびIV香料原料は、米国特許第6,869,923B1号に開示されている。
【0102】
有益剤自体、例えば香油は、油相単量体およびパーティショニング変性剤の溶解または分散のための油相または油性媒体として機能することができる。必要に応じて、有機油、またはより具体的には水相のための非溶媒を、油性媒体または油相として使用することができる。
【0103】
内相油、油相、または溶媒または有機溶媒、または「水相に対する非溶媒」は、本明細書の目的のために交換可能に使用される。有益剤はそれ自体が油であってもよい。香料自体がそのような油になることができる。そのような香油の実例は、有益剤が精油であるように選択される場合である。ほとんどの場合、追加の油相は任意に選択できる。香油などの典型的な有機油は、必要に応じて有益剤と一緒に使用することができ、典型的には水相に対する非溶媒であり、香油などの所望の有益剤の溶解または分散を促進するのに十分な量で使用され、植物油、エステル化油、精油、モノプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、モノプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル;トリプロピレングリコールモノブチルエーテル;エチレングリコールモノブチルエーテル;ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルおよびジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、3-メトキシ-3-メチルブタノール、アルカンジオール、プロピレングリコール、各種アルコール、およびこれらのブレンドなどの各種溶剤を含む。
【0104】
有益剤に加えて、油性媒体は、幾分即ち実質的に水不溶性、または特定のpHである程度あるいは実質的に水不溶性にできるように選択された油を含むことができる。油性媒体の目的は、乳化工程または所望の有益剤の可溶化または分散を容易にすることである。他の有用な任意成分の油相油は、植物油、例えば、菜種油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、脂肪酸のアルキルエステル;エステル交換植物油、例えば、エステル交換菜種油、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、オレイン酸のメチルエステル、パラフィン系脂肪族炭化水素を含む。カプセル化プロセスにおける油相は有益剤でよいが、カプセルが形成される温度範囲内で液体である任意の材料でもよい。異なる有益剤と共に使用するための適格な様々な従来の有機油の例には、エチルジフェニルメタン、ベンジルキシレン、プロピルビフェニルなどのアルキルビフェニル、ブチルビフェニル、フタル酸ジアルキル、ドデシルベンゼン;安息香酸ベンジルなどの安息香酸アルキルまたは安息香酸アラルキル;ジプロピルナフタレンなどのアルキル化ナフタレン;部分的に水素化されたテルフェニル;高沸点直鎖または分枝鎖炭化水素;および上記の混合物が含まれる。
【0105】
別の態様では、香料コア材料は、マイクロカプセルコアの一部またはコアの100重量パーセントであり得る。香料コア材料自体が有機液体の場合、追加の希釈油は、本発明のデリバリーシステムによって送達されることが求められる芳香の所望の量に応じて加えても加えなくてもよい。
【0106】
パーティショニング変性剤
本開示の有益剤デリバリー粒子のコアは、有益剤などの油性媒体、および/または有益剤用油溶媒、およびパーティショニング変性剤を含む。有益剤自体が、液体または液化可能または油である場合、油相単量体を可溶化する。有益剤粒子のコアは、パーティショニング変性剤を含んでもよい。コア内の油性媒体の特性は、油/水の界面で確立されたときに、ポリアクリラートシェル材料がどれだけ多く、どれだけ速く、および/またはどれだけ浸透するかを決定する上で役割を果たすことができる。例えば、油相が高極性物質を含む場合、これらの物質は、アクリル酸オリゴマーおよび重合体の油/水界面への拡散を減少させ、非常に薄く透過性の高いシェルを形成する可能性がある。パーティショニング変性剤を組み込むことでコアの極性を調整でき、パーティショニング変性剤中の極性物質とアクリラートオリゴマーの分配係数が変化し、明確に定義された高度に不浸透性のシェルを確立できる。パーティショニング変性剤は、壁形成単量体を組み込む前に、コアの香油材料と組み合わせることができる。
【0107】
パーティショニング変性剤は、コアの重量で、約5%~約55%、好ましくは約10%~約50%、より好ましくは約25%~約50%の濃度でコア中に存在してもよい。
【0108】
パーティショニング変性剤は、植物油、変性植物油、C4~C24脂肪酸のモノ-、ジ-、およびトリ-エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ドデカノフェノン、ラウリル酸ラウリル、ベヘン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、およびそれらの混合物よりなる群から選択される材料を含んでもよい。パーティショニング変性剤は、好ましくはミリスチン酸イソプロピルを含むか、またはそれからなってもよい。変性植物油は、エステル化および/または臭素化されていてもよい。変性植物油は、ヒマシ油および/または大豆油を含むことが好ましい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20110268802号は、現在記載されているデリバリー粒子に有用な他のパーティショニング変性剤を記載している。
【0109】
乳化剤
カプセル化物および/またはカプセル化物を含む組成物は、必要に応じて、カプセル化物の形成に有用な乳化剤を(例えば、上記に開示されたポリビニルアルコールに加えて)含んでもよい。追加の乳化剤としては、限定されないが、例えば、硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、イソチオ酸アルキル、カルボン酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、コハク酸アルキル、ドデシル硫酸ナトリウムなどの硫酸アルキル塩、サルコシン酸アルキルの水溶性塩、タンパク質加水分解物のアルキル誘導体、アスパラギン酸アシル、アルキルまたはアルキルエーテルまたはアルキルアリールエーテルリン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、リン脂質またはレシチン、または石鹸、ステアリン酸、オレイン酸またはパルミチン酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、ポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウム塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体などのアルキレン-無水マレイン酸共重合体アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロース、ペクチン、ポリ(スチレンスルホン酸)、ペクチン酸、トラガントガム、アーモンドガム、寒天、カルボキシメチルセルロース、硫酸化セルロース、硫酸化メチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、リン酸化スターチ、リグニンスルホン酸等の半合成高分子、無水マレイン酸共重合体(その加水分解物を含む)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸-アクリル酸ブチル共重合体またはクロトン酸単独重合体および共重合体などのアクリル酸-アクリル酸アルキル共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸単独重合体および共重合体、およびこれらの重合体および共重合体の部分アミドまたは部分エステル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコールおよびリン酸変性ポリビニルアルコール、リン酸化または硫酸化トリスチリルフェノールエトキシラート、を挙げることができる。乳化剤の量は、全成分の重量パーセント基準で約0.1~約40パーセント、一態様では0.5~約10パーセント、別の態様では0.5~5パーセントのいずれかで選択することができる。別の態様では、乳化剤は、全配合物の重量パーセンテージに基づいて、0.2~約10%で使用される。
【0110】
有益剤デリバリー粒子の製造方法
コアおよびこのコアを内包する重合体壁を含むデリバリー粒子を製造する方法を開示する。コアは有益剤を含む油性媒体を含む。例えば、粒子は、1つ以上の加熱工程で、乳化液の加熱を含むプロセスによって製造することができ、乳化液は、水相に任意に、水溶性または水分散性の開始剤、および任意に少なくとも1種の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを溶解または分散させることによって製造され、遊離ラジカル開始剤が0重量%~5重量%の量で使用されている。開始剤は、通常、開始剤が添加されるそれぞれの相の0重量%~5重量%の量で使用される。
【0111】
乳化液は、水相に分散した油相で形成されている。油相に溶解または分散しているのは、有益剤、任意に溶媒、およびパーティショニング変性剤を含む油性の媒体であるコアである。油相に溶解または分散されるのは、少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つのラジカル重合性官能基を有する1種の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーであり、ラジカル重合性官能基はアクリラート、メタクリラート、スチレン、アリル、ビニル、グリシジルエーテル、エポキシ、カルボキシルまたはヒドロキシルから選ばれる。
【0112】
必要に応じて、好ましくは、水相および/または油相に含まれるのは、酸性(メタ)アクリラートおよび/または塩基性(メタ)アクリラートのうちの1種以上で、重合体壁の重量基準で、約5重量%未満または約1重量%未満、最適には約0.001%~約5重量%の範囲の低濃度で含まれる。また、特定の用途で壁の特性を調整するために、少量の他の単官能(メタ)アクリラートを含むことができる。
【0113】
塩基性(メタ)アクリラート単量体と酸性(メタ)アクリラート単量体は、典型的には3:1~1:3のモル比で用いられ、共に0~5%の壁剤の重量と比較した重量パーセントを有する。
【0114】
一般に、油溶性多官能(メタ)アクリラート単量体は、油相に溶解または分散可能で、典型的には、少なくとも油100ml中に1グラムの範囲で溶解、分散もしくは乳化する。水溶性多官能(メタ)アクリラート単量体は、典型的には水に溶解または分散可能で、典型的には少なくとも水100ml中に1グラムの程度に溶解または分散する。
【0115】
有益剤デリバリー粒子を製造するプロセスで、油相および/または油である有益剤を含む約800gのスラリー系を想定すると、最大の構成成分は典型的には油であり、10~70重量%、好ましくは25~55重量%の有益剤;10~70重量パーセント、好ましくは35~65重量パーセントの水;好ましくは0.1~10重量%、通常0.5~8重量%の多官能(メタ)アクリラート単量体;および0~20重量%の追加の油(もしあれば)を含む。開始剤は10%以下、通常約5%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。水相の単官能または多官能(メタ)アクリラート単量体は、系の0.01~20重量%、好ましくは0.025~約0.5重量%、より好ましくは0.05~0.25重量%で存在する。酸性または塩基性(メタ)アクリラート単量体などの第2および第3の単量体は、それぞれ系の0.01~1重量%である。
【0116】
油相を高剪断攪拌下で水相に乳化し、水相に分散したコアと油相の液滴を含む水中油型乳化液を形成する。カプセル剤は、水相と油相のそれぞれの単量体および/またはオリゴマーを乳化液の加熱により反応させることにより、油相の多官能(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーから導かれる(メタ)アクリラート重合体と、酸性のメタクリラートまたは塩基性のメタクリラートを含む重合体壁を形成し、重合体壁物質を界面に移動しやすくすることができる。油相の(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーに含まれる場合、酸性および/または塩基性メタクリラートは、通常、水溶性のものが選択される。
【0117】
マイクロカプセルの製造方法で、油相組成物の分散液が形成される。コアの油相は疎水性である。多官能(メタ)アクリラート単量体は、1つ以上の油相に溶解または分散され、水相に乳化される。多官能メタクリラートのラジカル重合性基は、加熱により、多官能メタクリラートの自己重合を促進する。必要に応じて、開始剤が含まれる。
【0118】
1つ以上の油相は、1種以上の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマー、および必要に応じて、好ましくは多官能(メタ)アクリラート単量体/オリゴマーを重合するための開始剤、および1種以上の有益剤、即ちカプセル化を意図する成分を含む。ここで述べる多官能(メタ)アクリラートは、二官能(メタ)アクリラートを含む。
【0119】
重合体壁は、油相および/または水相の1種以上の多官能(メタ)アクリラート5~100重量%;酸(メタ)アクリラート0~5%;塩基性(メタ)アクリラート0~5%;単官能(メタ)アクリラート0~5%の組み合わせであり得る。
【0120】
油相は、過剰の水相と組み合わされる。任意にではあるが好ましくは、油相は開始剤をさらに含む。1相以上の油相が採用される場合、一般に、これらは最初に結合され、次いで水相と結合される。水相は、油相組成物を水中で乳化させるのに適した乳化剤を含む水性組成物であり、必要に応じて開始剤を含む。結合相を密接に混合して、水相に分散した結合油相組成物の液滴の乳化液を形成する。高剪断攪拌を行い、目標サイズ(完成したカプセルの最終サイズに影響する)の液滴を形成する。必要であれば、水相は、順次結合される1つ以上の水相から構成することもできる。
【0121】
乳化液に熱を加えるか、選択した開始剤に応じて、光線照射のような他の条件で、油相の多官能(メタ)アクリラート、および油相または水相のいずれかまたは両方の任意の添加単量体またはオリゴマーを重合させることができる。加熱すると、添加されている場合、開始剤を分解して遊離ラジカルを発生させる。
【0122】
形成された重合体は一般に、オリゴマー/プレポリマー材料を前記界面に移行させる条件を適用または誘導することなく、油相材料と水相材料の界面で生成し、界面でカプセル壁の形成を開始させる。水溶性または分散性の酸性または塩基性(メタ)アクリラート単量体が含まれる場合、形成重合体は界面に向かって駆動する傾向があり、または界面で生成する。必要なら、第2の開始剤も、油相の重量基準で0%~5%で油相に含有させてもよい。
【0123】
反応は、所望のカプセルの肉厚を得るために必要な時間だけ続けられる。
【0124】
油相単量体は、自己重合することができる。好ましくは、水溶性開始剤が水相に含まれ、油相単量体またはオリゴマーと水溶性または水分散性の(メタ)アクリラートの油水界面での重合を促進する。あるいは、第1の水溶性開始剤は、油相の多官能(メタ)アクリラートオリゴマー/プレポリマーおよび/または水相の任意の単量体の重合を開始することができる開始剤の少なくとも1つを組み合わせたものである。当業者は、本明細書で定義されている単量体が、その様々なオリゴマー/プレポリマーを包含することを認識しており、かつこれらは予め形成され、その後、特許請求の範囲に記載された方法の実施に採用することを認識している。単量体のすべてのそのような変形例が、包含されることを意図している。一実施態様では、第1の工程は、少なくとも1種の油溶性または分散性のアミン(メタ)アクリラート、少なくとも1種の油溶性または油分散性の酸性(メタ)アクリラート、および少なくとも1種の油溶性または油分散性の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーの反応生成物を含む第1の油相組成物の形成を含み、この反応生成物は、自己重合可能または水相中の開始剤により油水界面で反応できるオリゴマーおよび/またはプレポリマーである。
【0125】
水相組成物は、好ましくは、オリゴマー/プレポリマーの重合を開始してカプセル壁を形成した後であるが、その完了前に、反応混合物に添加される。より好ましくは、水相組成物は、カプセル壁形成の開始直後に添加され、最も好ましくは、油相液滴が完全にカプセル化されるか、油相オリゴマー/プレポリマーの重合が水溶性または水分散性の(メタ)アクリラートの重合から完全に隔離される厚さを達成する前に、後者が前者と共重合可能でない限り、添加される。
【0126】
必要に応じて、水相は、水溶性または水分散性の(メタ)アクリラート、例えばポリエチレングリコール(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能または多官能(メタ)アクリラート、および(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを含むことができる。少量の適切な乳化剤を使用して、温度を上げて、あるいはpHを選択して、水に分散させる。油相の多官能(メタ)アクリラートと共重合可能な単量体が好ましい。
【0127】
水溶性または分散性の(メタ)アクリラートの選択およびその添加のタイミングに応じて、水溶性または分散性の(メタ)アクリラートは、油相および/または重合オリゴマー/プレポリマーの多官能(メタ)アクリラートと共重合および/または相互侵入ネットワークを形成することができる。油相液滴がカプセル化されると、カプセル壁の形成が目的の終点まで続く。場合によっては、油相の(メタ)アクリラートオリゴマー/プレポリマーがカプセル壁の内面から内側に蓄積し、水溶性または分散性の(メタ)アクリラートがカプセル壁の外面に蓄積・添加し続ける状態で反応を続けることもできる。壁面は、水相の任意の水溶性または水分散性の(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーと重合した油相の重合オリゴマー/プレポリマーで構成される。
【0128】
オリゴマー化/プレポリマー化および重合は、適切な開始剤、特に遊離ラジカル開始剤によって開始される。開始剤の選択は、重合またはオリゴマー化される単量体、オリゴマーおよび/またはプレポリマーと、開始剤が活性化される方法(遊離ラジカル開始剤の場合、遊離ラジカルが発生する方法、例えば、熱、光照射)に依存する。潜在性開始剤は、最初の作用、特に化学反応によって、潜在的な開始剤を活性な開始剤に変える必要があり、その後、重合条件に暴露されると重合を開始することも想定される。複数の開始剤が存在する場合、各開始剤が異なる条件により開始されるか好適に開始されることが企図され、好ましいことである。例えば、各開始剤は、異なる温度によって開始される、あるいは一方は熱、他方は光線照射で誘導されてもよい。特定の熱活性開始剤は、特定の温度誘発点で開始されるかもしれないが、一般に、それらの活性は、10時間の半減期で表現される。この点で、一方の開始剤は60℃で10時間の半減期を持ち、他方の開始剤は80℃で10時間の半減期を持ってもよい。光線活性化開始剤に関しては、異なる波長で活性化される開始剤を使用してもよく、および/または、ある重合性組成物の重合速度を他のものと変えるために光の強度を調整してもよい。異なる活性化誘発点を有する異なる開始剤を使用すると、カプセル壁の形成中のさらなる制御ができる。活性化の方法によっては、オリゴマー化/プレポリマー化および/または壁形成の制御は、活性化の時間および/または範囲を制限すること、例えば、特定の反応混合物を十分な温度または/および光線に限られた期間暴露して、および/または活性化エネルギーの強度を上げる、即ち、温度を上げることおよび/または光の強度を上げることで達成できる。
【0129】
本発明に従って単量体を選択し、単量体の相対的な割合および液滴サイズを制御することで、約96:4~約99.5:0.5、さらには約98:2~約99:1のコアの重合体壁に対する重量比を有するデリバリー粒子が達成される。有利には、デリバリー粒子は、30~50ミクロンの粒径、0.2~10MPaの体積加重破壊強度を有する。
【0130】
意外なことに特定の実施態様では、反応工程を、開始剤の実質的な非存在下で実施することができる。油相単量体またはオリゴマーは、自己重合できるように選択することができる。一実施態様では、油相の多官能(メタ)アクリラート単量体またはオリゴマーは、三、四、五、または六官能性芳香族ウレタンアクリラート、好ましくは六官能性芳香族ウレタンアクリラートなどの多官能芳香族ウレタンアクリラートである。油相への溶解または分散工程は、さらに、1種以上の多官能脂肪族ウレタンアクリラートを溶解または分散させることを含むことができる。
【0131】
油相油への溶解または分散工程は、さらに、アミンメタクリラートまたは酸性メタクリラートの1種以上、好ましくは両方を水相および/または油相に溶解または分散させることを含んでもよい。特に水相にアミンメタクリラートまたは酸性メタクリラートを添加すると、乳化液中の油相と水相の界面でそれぞれの単量体が重合しやすくなる。特に好ましいのは、1種以上のアミンメタクリラートおよび酸性メタクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシル化単官能または多官能(メタ)アクリラート、(メタ)アクリラート単量体および/またはオリゴマーを水相に添加して溶解または分散させる。
【0132】
本発明のプロセスにおける乳化剤の添加は任意であるが、水相または乳化中に高分子乳化剤を添加する追加の工程は、安定な乳化液の形成を容易にする。有用な高分子乳化剤は、重合体壁に巻き込まれたり包まれたりすることで、カプセル化物の重合体壁の特性を変えることができる。
【0133】
一定のコアの重合体壁に対する比の場合、本発明によるデリバリー粒子の漏れは、意外なことに30~50μmの範囲内で、デリバリー粒子のサイズの増加につれて減少することが判明した。また、一定のコアの重合体壁に対する比の場合、デリバリー粒子の破壊強度は、デリバリー粒子のサイズの増加につれて、30~50μmの範囲内で増加する。
【0134】
本開示の粒子は、1工程以上の加熱工程で、乳化液を加熱することを含むプロセスで製造され、この乳化液は、a)第1の油、b)多官能(メタ)アクリラートおよびc)有益剤、好ましくは香料を組み合わせることによって形成される油相の組み合わせを乳化することで生成される。必要なら第2の油も採用することができる。油相は、開始剤、および任意成分のパーティショニング変性剤を含み、好ましくは、このパーティショニング変性剤は、植物油、変性植物油、テトラデカン酸プロパン-2-イル、および好ましくはミリスチン酸イソプロピルよりなる群から選択される材料を含む。変性植物油は、エステル化および/または臭素化されていてもよく、好ましくは、植物油は、ヒマシ油および/または大豆油を含む。
【0135】
任意の第2の油を採用することができ、
(i)アミノアルキルアクリラートおよび/またはメタクリラートの単量体またはオリゴマー、
(ii)カルボキシアルキルアクリラート単量体および/またはオリゴマー、
(iii)多官能アクリラート単量体、多官能メタクリラート単量体、多官能メタクリラートオリゴマー、多官能アクリラートオリゴマーおよびこれらの混合物よりなる群から選択される材料、および
(iv)香料のような有益剤
のうちの1種以上を、必要に応じて第2の油に分散または溶解させるか、水溶性または水分散性の場合は水相に溶解または分散させることができる。
【0136】
本明細書に記載の水相は、pH調整剤、乳化剤、好ましくは陰イオン性乳化剤を含み、好ましくは、乳化剤はポリビニルアルコール、および必要なら開始剤を含んでもよい。乳化剤の代わりに、または乳化剤に加えて、乳化を促進するために界面活性剤を使用することもできる。
【0137】
記載されたプロセスにおける加熱工程は、約1時間~約20時間、好ましくは約2時間~約15時間、より好ましくは約4時間~約10時間、最も好ましくは約5~約7時間加熱し、約500ジュール/kg~約5,000ジュール/kgを前記乳化液に、約1,000ジュール/kg~約4,500ジュール/kgを前記乳化液に、あるいは約2,900ジュール/kg~約4,000ジュール/kgを前記乳化液に十分に移動させることを含む。
【0138】
加熱工程の前に、約30ミクロン~約50ミクロンまでの結果として得られる完成したカプセル化粒子を有するという観点から、乳化液は、約0.5ミクロン~約100ミクロン、さらには約1ミクロン~約60ミクロン、さらには約20ミクロン~50ミクロン、好ましくは約30ミクロン~約50ミクロンまでの乳化液滴の体積加重中央粒径を有する。
【0139】
上記の工程で製造された有益剤デリバリー粒子を、水または他の流体担体を含む補助剤と組み合わせてスラリーを製造することができる。また、集合体は、乾燥即ちケーキの形態で採用することができる。また、コアシェルである有益剤デリバリー粒子の外部に、有益剤デリバリー粒子のコアに含まれる香料または香料とは異なる1種以上の別の香料を使用することができる。
【0140】
デリバリー粒子補助剤
本開示の有益剤デリバリー粒子組成物は、補助剤を含んでもよい。補助剤は、有益剤デリバリー粒子集合体のスラリー内で処理補助剤および/または安定補助剤であってもよい。同様に、補助剤は、有益剤デリバリー粒子集合体の乾燥または脱水形態に添加することができる。
【0141】
好適な補助剤には、以下のものが含まれる、界面活性剤、コンディショニング活性剤、堆積助剤、レオロジー調整剤または構造化剤、漂白システム、安定剤、助剤(ビルダー)、キレート剤、色素移動抑制剤、色素移動促進剤、分散剤、酵素および酵素安定剤、触媒金属錯体、高分子分散剤、粘土および土壌除去/再堆積防止剤、光沢剤、糊料、シリコーン、色相調整剤、美容染料、追加の香料および香料デリバリーシステム、構造弾性剤、担体、追加の有益剤、ヒドロトロープ、加工助剤、構造化剤、凝集防止剤、コーティング材、アルデヒド捕捉剤、顔料および/または顔料。
【0142】
意図された形態、製剤、および/または最終用途に応じて、本開示の組成物は、以下の補助剤の1種以上を含んでも含まなくてもよい: 漂白活性剤、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移動抑制剤、分散剤、酵素、および酵素安定剤、触媒金属錯体、高分子分散剤、粘土および土壌除去/抗赤変剤、光沢剤、 糊料、染料、追加の香料および香料デリバリー系、構造伸縮剤、布地柔軟剤、担体、可溶化剤(hydrotrope)、加工助剤、構造化剤、凝集防止剤、塗布剤、ホルムアルデヒド捕捉剤および/または顔料を含む。上述のように、粒子またはマイクロカプセルのコアに配置されるのに適した有益剤は、追加的または代替的に、補助剤として含めるのに適している場合がある。
【0143】
これらの追加成分の正確な性質およびその配合水準は、組成物の物理的形態およびそれが使用される操作の性質に依存する。
【0144】
a.界面活性剤
本開示の組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を、有益剤デリバリー粒子の製造プロセスで、乳化剤の代わり、または乳化剤に加えて使用してもよい。界面活性剤は、乳化工程を補助することができる。デリバリー粒子組成物の集合体は、1種以上の複数の界面活性剤を含んでもよい。
【0145】
本開示の組成物は、使用される乳化剤の量を換える、または減らすことができ、あるいは組成物の重量で、約0.1%~約70%、または約2%~約60%、または約5%~約50%の界面活性剤を含んでもよい。
【0146】
界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、またはそれらの組合せを含んでもよい。界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエトキシル化硫酸塩、アルキル硫酸塩、エトキシル化アルコールなどの非イオン界面活性剤、アミンオキシド、またはそれらの混合物を含んでもよい。界面活性剤は、少なくとも部分的に、天然原料アルコールなどの天然源から導かれるものでもよい。
【0147】
好適な陰イオン界面活性剤は、任意の従来の陰イオン界面活性剤を含有することが可能である。これには、例えばアルコキシル化および/または非アルコキシル化アルキル硫酸塩材料のための硫酸塩洗浄性界面活性剤、および/またはスルホン酸塩洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩が含まれ得る。陰イオン界面活性剤は、直鎖状、分枝状、またはそれらの組み合わせであってもよい。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキルエトキシル化硫酸塩(AES)、アルキル硫酸塩(AS)、またはこれらの混合物が挙げられる。他の適切な陰イオン界面活性剤としては、分岐変性アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、および/またはアルキルエトキシル化カルボン酸塩(AEC)などが挙げられる。陰イオン界面活性剤は、酸の形、塩の形、またはそれらの混合物で存在することができる。陰イオン界面活性剤を、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)またはアミン(例えば、モノエタノールアミン)によって、その一部または全部を中和することができる。
【0148】
界面活性剤系は、非イオン界面活性剤を含んでもよい。好適な非イオン界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪アルコール、例えばエトキシル化脂肪アルコールが挙げられる。他の好適な非イオン界面活性剤には、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合物、中鎖分岐アルコール、中鎖分岐アルキルアルコキシラート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテル末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤およびこれらの混合物がある。アルコキシラート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、またはそれらの混合物であってもよい。非イオン界面活性剤は、直鎖状、分枝状(例えば、中鎖分枝状)、またはそれらの組み合わせであってもよい。特定の非イオン界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素、および平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン界面活性剤を含んでもよい。
【0149】
好適な双性イオン界面活性剤は、任意の従来の双性イオン界面活性剤、例えば、アルキルジメチルベタインおよびココジメチルアミドプロピルベタインを含むベタイン、C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C12~14ジメチルアミンオキシド)、および/またはスルホおよびヒドロキシベタイン、例えば、アルキル基がC8~C18、またはC10~C14であり得るN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホン酸塩が挙げられる。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシドを含むことができる。
【0150】
製剤および/または意図された最終用途に応じて、組成物は特定の界面活性剤を実質的に含まないことがある。例えば、特定の構成において、柔軟剤などの液体柔軟仕上げ剤に含めるためのスラリーなどの、有益剤粒子の集合体を構成する組成物の意図された最終用途は、特定の処方におけるそのような界面活性剤が陽イオン成分と負の相互作用をすることがあるので、陰イオン界面活性剤を実質的に含まないことがある。
【0151】
b.堆積助剤
本開示の組成物は、堆積助剤を含んでもよい。堆積助剤は、有益剤デリバリー粒子、コンディショニング活性剤、香料、またはそれらの組み合わせの堆積を促進し、組成物の性能上の利点を増強し、および/またはそのような有益剤のより効率的な処方を可能にする。組成物は、組成物の重量で、0.0001%~3%、好ましくは0.0005%~2%、より好ましくは0.001%~1%、または約0.01%~約0.5%、または約0.05%~約0.3%の堆積助剤を含んでもよい。堆積助剤は、陽イオン重合体または両性重合体、好ましくは陽イオン重合体である。
【0152】
陽イオン重合体とその製造方法は一般に文献に知られている。好適な陽イオン重合体は、化粧品成分の国際命名法(International Nomenclature for Cosmetic Ingredients)によって指定される「ポリクオタニウム(Polyquaternium)」重合体として知られる第4級アンモニウム重合体、例えばポリクオタニウム6(ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドと塩化ジアリルジメチルアンモニウムの共重合体)、ポリクオタニウム-10(四級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸、塩化ジアリルジメチルアンモニウムの共重合体)などを含んでもよい。
【0153】
堆積助剤は、ポリビニルホルムアミド、部分ヒドロキシル化ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリラート、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択されてもよい。陽イオン重合体は、陽イオン性アクリラートを含んでもよい。
【0154】
堆積助剤は、粒子と同時に(例えば、カプセル化有益剤と同時に)、または布地処理組成物中に直接/独立に添加することができる。重合体の重量平均分子量は、屈折率(RI)検出を用いるポリエチレンオキシド標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって決定されるように、500~5,000,000または1,000~2,000,000または2,500~1,500,000ダルトンであってもよい。陽イオン重合体の重量平均分子量は、5,000~37,500ダルトンであってもよい。
【0155】
補助剤と組成物の組み合わせの製造プロセス
本開示は、本明細書に記載される組成物のいずれかを製造する過程に関する。組成物を製造する過程は、本明細書に記載されるような有益剤デリバリー粒子を補助剤と組み合わせる工程を含んでもよい。
【0156】
粒子が水性スラリー形態、未処理粒子形態、凝集体、固形物、脱水固体、および/または噴霧乾燥粒子形態を含む1つ以上の形態であるとき、粒子をこのような1種以上の補助剤と組み合わせてもよい。粒子を、混合および/または噴霧を含む方法で、補助剤と組み合わせてもよい。
【0157】
本開示の組成物は、任意の適切な形態に配合することができ、配合者が選択する任意の過程で調製することができる。粒子および補助剤を、バッチ過程、循環ループ過程、および/またはインライン混合過程によって混ぜ合わせてもよい。本明細書に開示される過程で使用するのに適した装置としては、連続攪拌槽反応器、ホモジナイザー、タービン攪拌機、循環ポンプ、パドルミキサー、すき剪断ミキサー(plough shear mixers)、リボンブレンダー、垂直軸造粒機およびドラムミキサー(バッチおよび利用できる場合には連続プロセス構成の両方)、スプレードライヤーおよび押出機を挙げることができる。
【0158】
試験方法
当然ながら、本願の試験方法の項に開示されている試験方法は、本明細書に記載され特許請求される発明の主題のパラメータのそれぞれの値を決定するのに使用されるべきである。
【0159】
完成品からデリバリー粒子の抽出
本明細書で特に規定する場合を除き、完成品からデリバリー粒子を分離する好ましい方法は、そのようなデリバリー粒子の多くは、水の密度とは異なるという事実に基づいている。完成品を水と混合し、デリバリー粒子を希釈および/または放出する。希釈された製品懸濁液を遠心分離して、デリバリー粒子の分離を促進する。そのようなデリバリー粒子は、完成品の希釈溶液/分散液の中で浮くあるいは沈む傾向がある。ピペットやヘラを使って、この懸濁液の上層と下層を取り除き、さらに希釈と遠心分離を繰り返し、デリバリー粒子を分離・濃縮する。デリバリー粒子は、交差偏光フィルターまたは微分干渉コントラスト(DIC)を備えた光学顕微鏡で、100倍および400倍の総倍率で観察する。
【0160】
液体柔軟仕上げ剤完成品からのデリバリー粒子の抽出は、以下の手順で行う、
a)液体布地柔軟仕上げ剤の3つの等分量(約20ml)を3つの別々の50ml遠心分離管に入れ、各等分量を脱イオン水で1:1に希釈し(例えば、柔軟仕上げ剤20ml+脱イオン水20ml)、それぞれの等分量をよく混ぜ、約10,000×gで30分間遠心分離する、
b)手順aに従って遠心分離した後、各50ml遠心管内の底部水層(約10ml)を捨て、各50ml遠心管に脱イオン水10mlを加える、
c)各等分量について、遠心分離、底部水層の除去、および各50ml遠沈管への10mlの脱イオン水添加の工程をさらに2回繰り返す、
d)スパチュラまたはピペットを用いて上層を除去する、
e)この上層を1.8mlの遠沈管に移し、約20,000×gで5分間遠心分離する、
f)スパチュラで上層を取り除き、新たな1.8ml遠心チューブに移し、チューブが完全に満たされるまで脱イオン水を加え、約20,000×gで5分間遠心分離する、
g)細いピペットで底層を取り除き、チューブが完全に満たされるまで脱イオン水を加え、約20,000×gで5分間遠心分離する、
h)手順gをさらに5回繰り返す(合計6回)。
【0161】
上記の工程aで濃縮デリバリー粒子の上層と下層の両方が出現した場合、直ちに工程cに移行し(即ち、工程bを省略し)、工程dから工程hに進む。これらの工程の完了後、工程aの50ml遠心分離チューブから底層をスパチュラまたはピペットを用いて取り除く。下層を1.8ml遠心チューブに移し、約20,000×gで5分間遠心分離する。新たなチューブに下層を移し、チューブが完全に満たされるまで脱イオン水を加え、約20,000×gで5分間遠心分離する。最上層(水)を除去し、チューブがいっぱいになるまで 脱イオン水を再度追加する。これをさらに5回繰り返す(合計6回)。デリバリー粒子を濃縮し、分離した上層と下層を合わせる。
【0162】
生地増強剤が白色の場合、またはデリバリー粒子濃縮層の識別が困難な場合は、工程aの遠心分離管に染料(Milliken & Company, Spartanburg, South Carolina, USAのLiquitint Blue JH 5%プレミックスなど)4滴を加え、記載のとおり分離を進める。
【0163】
水に分散しやすい固形完成品からデリバリー粒子を抽出する場合、1Lの脱イオン水と20gの完成品(例えば、発泡洗剤、フィルム、ゲルおよび顆粒、または水溶性重合体、薄片状石鹸および棒状石鹸、ならびに塩、糖、粘土およびデンプンなどの他の容易に水に溶けるマトリクス)を混合する。ワックス、乾燥機用柔軟シート、ドライヤーバー、脂っこい材料など、水に容易に分散しない完成品からデリバリー粒子を抽出する場合、マトリックスからデリバリー粒子を抽出するために、洗浄剤の添加、撹拌、製品および希釈剤の穏やかな加熱が必要になることがある。有機溶剤の使用やデリバリー粒子の乾燥は、この段階でデリバリー粒子を損傷する可能性があるため、抽出工程では避ける必要がある。
【0164】
柔軟剤または布帛強化剤ではない液体完成品(例えば、液体洗濯洗剤、液体食器洗い洗剤、液体ハンドソープ、ローション、シャンプー、コンディショナー、および毛染め)からデリバリー粒子を抽出するには、完成品20mlを脱イオン水20mlと混合する。必要に応じて、溶液の密度を高め、デリバリー粒子を上層に浮きやすくするために、希釈した懸濁液にNaCl(例えば、100~200gのNaCl)を添加することができる。また、製品が白色で遠心分離時に形成されるデリバリー粒子の層の区別がつきにくい場合は、希釈液に水溶性染料を添加して視覚的な濃淡をつけることができる。
【0165】
水と製品の混合物は、上層と下層を取り除き、それらの層を新たな希釈液に再懸濁し、さらに遠心分離、分離、再懸濁を行うという遠心分離の繰り返しにかけられる。遠心分離の各ラウンドは、1.5~50mlの容積のチューブで、最大20,000×gの遠心力を用いて、5~30分間行われる。試験用の十分なデリバリー粒子を抽出し、洗浄するには、通常、少なくとも6回の遠心分離が必要である。例えば、最初の遠心分離は、50mlのチューブで10,000×gで30分間行い、その後、上層と下層の材料を1.8mlのチューブで新たな希釈液に別々に再懸濁し、20,000×gで5分間ずつ遠心分離を5ラウンド行うことができる。
【0166】
上層と下層の両方でデリバリー粒子が顕微鏡で観察された場合、最後の遠心分離工程の後にこれら2つの層からのデリバリー粒子を再度一緒にし、その製品から抽出されたすべてのデリバリー粒子を含む単一の試料を作成する。抽出されたデリバリー粒子はできるだけ早く分析する必要があるが、分析する前に脱イオン水中に懸濁液として14日間まで保存することができる。
【0167】
当業者であれば、完成品からデリバリー粒子を抽出し、分離するために、他の様々な実験手順を構築することができ、そのような方法は、デリバリー粒子の完成品への添加および抽出の前後で測定された値の比較による検証を必要とすることが分かっている。
【0168】
有益剤の漏出
デリバリー粒子からの有益剤漏出量は、以下の方法に従って決定される、
a)1gのカプセル化香料(例えば、1gの香油、存在する場合はシェルおよび/またはパーティショニング変性剤を含まない)が各試料に存在するような量(またはそのように指示される他の量)のデリバリー粒子の原料スラリーの2つの試料を得る、
b)第1試料のデリバリー粒子の原料スラリーを、デリバリー粒子を採用する製品マトリックス(例えば、液体洗剤製品またはLFE製品)の適量に加え、合計100g(例えば、スラリー5gと製品マトリックス95g)とし、その混合物を試料1としてラベル表示する。第2試料の原料デリバリー粒子スラリーを、製品マトリックスに接触させずにそのままの形で、以下の工程dで直ちに使用し、これを試料2と表示する、
c)デリバリー粒子含有製品マトリックス(試料1)を、密閉したガラス瓶の中で、35℃(または、そのように指示された他の時間および/または温度)で1週間熟成する、
d)ろ過により、両試料からデリバリー粒子を回収する。試料1(製品マトリックス中)のデリバリー粒子を、熟成工程後に回収する。試料2(未処理原料スラリー)のデリバリー粒子は、試料1の熟成工程の開始と同時に回収する、
e)回収したデリバリー粒子を溶媒で処理し、デリバリー粒子から有益剤を抽出する、
f)各試料から抽出した有益剤を含む溶媒をクロマトグラフィーで分析する。得られた有益剤のピーク面積を曲線で積分し、その面積を合計して各試料から抽出された有益剤の総量を決定する、
g)試料2から抽出された有益剤の全量から試料1を引いた値の差を、試料2から抽出された有益剤全量に対する割合で計算し、次式に示すように、有益剤の漏出割合を決定する。
有益剤漏出パーセント=((試料2-試料1)/試料2)×100
【0169】
粘度
液体完成品の粘度を、TA instruments社(New Castle, DE, USA)のAR 550 レオメータ/粘度計用い、直径40mm、ギャップサイズ500μmの平行鋼板を用いて測定する。20s-1での高剪断粘度と0.05s-1での低剪断粘度を、21℃で3分の時間で0.1s-1~25s-1までの対数剪断速度掃引から得る。
【0170】
香料、香料原料(PRM)、および/またはパーティショニング変性剤
A.同定と全量
カプセルスラリー中の香料、香料成分、または香料原料(PRM)、またはパーティショニング変性剤、および/またはデリバリー剤カプセル内に封入された香料を同定し総重量を測定するために、質量分析装置付きガスクロマトグラフィー/火炎イオン化検出器(GC-MS /FID)を採用する。好適な装置としては、Agilent Technologies G1530A GC/FID; Hewlett Packer Mass Selective Device 5973; および 5%-フェニル-メチルポリシロキサンカラム J&W DB-5(30m長×0.25mm内径×0.25μm膜厚)が挙げられる。約3gの完成品またはデリバリーカプセル化物の懸濁液を計量し、重量を記録した後、試料を30mLの脱イオン水で希釈し、孔径5.0μmのニトロセルロースフィルター膜で濾過する。フィルターに捕捉された物質を、5mLのISTD溶液(25.0mg/Lテトラデカンの無水アルコール溶液)に溶解し、60℃で30分間加熱する。冷却溶液を孔径0.45μmのPTFEシリンジフィルターでろ過し、GC-MS/FIDで分析する。比較基準として、3種類の既知の香料油を使用する。データ分析では、総面積計数値からISTD面積計数値を引いたものを合計し、3つの標準香料の平均応答係数(Response Factor =RF)を算出する。次に、応答係数とカプセル化香料の総面積計数値を試料重量とともに使用し、カプセル化香料中の各PRMの総重量パーセントを決定する。PRMを、質量分析のピークから同定する。
【0171】
B.非カプセル化材料の量
表の後に提示される分析手順を用いて、スラリーなどの組成物中の非カプセル化香料および(必要なら)分配調整剤の量を決定する。この分析に以下の装置を使用することができる。
【0172】
ISSヘキサンで香料標準液を調製するために、0.050±0.005gのPMC香料油を50mLのメスフラスコ(または他の容量の場合添加する香料油のgを再計算)に計量する。ラインにISSヘキサン溶液を満たす。ISSヘキサンは、4Lのヘキサンに0.1gのテトラデカンを混ぜたものである。
【0173】
5%界面活性剤溶液を調製するために、ドデシル硫酸ナトリウム50g±1gをビーカーで秤量し、精製水を用いて1リットルのメスフラスコに定量的に移し、界面活性剤を完全に溶解させる。
【0174】
PMC組成物(例:スラリー)試料を調製するために、組成物(例:スラリー)がよく混ざり合っていることを確認し、必要であれば混合する。0.3±0.05gの組成物試料を10mLバイアル瓶の底に秤量する。バイアル瓶の壁面に組成物が付着しないようにする。
【0175】
装置を操作するために、各PRM(および任意成分のパーティショニング変性剤)定量用の標的イオンと、最低1種、できれば2種の確認イオンを決定する。校正曲線を、各PRMの香料標準物質から作成する。試料重量と各PRMの重量%を用いて、各PRMの抽出イオンの積分値(EIC)と量をプロットまたは記録する。
【0176】
遊離油の量を、各PRMの検量線に対する応答から決定し、すべての異なる香料材料と任意成分のパーティショニング変性剤を合計する。
【0177】
C.封入材料の定量
カプセル化された油および任意成分のパーティショニング変性剤の定量を、組成物(例えばスラリー)中に見出された全油の重量から、組成物中に見出された遊離/非カプセル化油の重量を差し引いて行う。
【0178】
壁材の分析による定量
この方法は、壁材の量を決定する。まず、0.45μm以上の粒子の壁材を全量(dead-end)濾過で分離する。その後、熱重量分析で、無機物や他の(有機)原料のスラリー成分の除去の準備をする。
【0179】
A.試料の調製
この手順では、全量ろ過を行い、試料の可溶性画分を除去する。TGA分析前に妨害物質を最大限に除去するために、異なる溶媒を連続して使用する。
【0180】
以下の材料と装置を用いる。
・濾過装置
・・真空ポンプ:Millipore型番WP6122050または同等品
・・ポンプとろ過装置をつなぐ肉厚の真空チューブ
・・ろ過フラスコ500mlまたは1000ml
・・ろ過カップ:例えば250mlのMillipore漏斗(“Milli Cup”)、ろ過材: 0.45マイクロメートルの膜、耐溶剤性。
・・計量中にろ過装置を収納する密閉可能なプラスチック容器
・・標準的な実験用ガラス器具(ガラスビーカー100~250ml、メスシリンダー50~250ml)
・乾燥装置
・・真空オーブンおよび真空ポンプ(設定温度60~70℃/真空度:30インチ水銀真空)
・・乾燥器または恒湿槽(冷却中の残留物を管理された環境に置く)
・溶媒
・・すべての溶媒: 分析等級以上の2-プロパノール、アセトン、クロロホルム
【0181】
濾過の手順は以下の通り:ろ過装置を準備するため、予備乾燥ろ過装置(ミリカップフィルターなど)の重量を0.1~0.2mgまで記録する。予備乾燥は、濾過終了後のフィルターに行うのと同じ乾燥工程を含む。
【0182】
1~2gのスラリー原料(注:0.1~0.2mgに重量減)をガラスビーカー(250ml)または直接ろ過装置に秤量し、試料をろ過する。脱イオン水20mlを加え、試料を均質にするために振り混ぜる。80mlのイソプロピルアルコールを加え、溶媒で試料均質にする。試料を凝集させるために加熱を行う。濾過瓶に濾過装置を取り付け、真空で濾過を開始する。濾過の完了後、100mlのクロロホルムを加える。濾過を継続する。10~20mlのアセトンを加え、膜ろ過し、微量のクロロホルムを除去する。フィルターをろ過装置から取り出し、真空オーブンで乾燥させる。冷却後、フィルターの重量を測定し、その重量を記録する。
【0183】
フィルター+残留物とフィルターのみの重量差(=ろ過後の残留物の純重量)を原料スラリー試料重量で除して残留物パーセント(重量残留物)を算出し、100を乗じて%単位とする。引き続き、TGA分析による残留パーセントの測定を行う。
【0184】
熱重量分析(TGA)は、以下の機器と設定で行う:TGA: TA instruments Discovery TGA;試料パン:密閉式アルミニウム、パージ:N2、50ml/分;手順:ランプ10℃/分~500℃まで;TGAはニコレットNexus 470 FTIRスペクトロメーターに連結して、発生ガスに対応する。
【0185】
TGAデータ解析では、350~500℃の間の重量損失は、香料マイクロカプセルの重合体壁材の分解と、まだ残っている(燃えた)香料化合物によるものである。不溶性重合体分率の計算には、この重量損失が使用される。500℃では、まだ燃え残った物質があり、不溶性重合体分率を計算する際に考慮する必要がある。
【0186】
コア:壁比の分析による決定
コアおよび壁材料の投入量が容易に入手できない場合、カプセル化物のコア:壁比を、本明細書に記載の方法で分析的に決定することができる。
【0187】
より具体的には、上記の方法は、香料カプセル組成物(例えば、スラリー)中の香料、パーティショニング変性剤、および壁材料の量を(重量で)決定することができ、コア:壁比を計算するのに使用することができる。これは、組成物中に見出される香料+パーティショニング変性剤の総量(重量)を、組成物中に見出される架橋壁材料の量(重量)で割って行われる。
【0188】
logPを決定する試験方法
オクタノール/水分配係数の対数(logP)の値を、試験される香料混合物中の各PRMについて計算する。個々のPRMのlogPは、Advanced Chemistry Development Inc.(ACD/Labs)(カナダ、トロント)から入手できるConsensus logP Computational Model, version 14.02 (Linux)を用いて計算し、単位なしlogP値を提供する。ACD/LabsのConsensus logP Computational Modelは、ACD/Labsのモデル組の一部である。
【0189】
体積加重粒径と粒度分布
体積加重カプセルサイズ分布を、AccuSizer 780 AD装置と付属ソフトウェアCW788バージョン1.82(Particle Sizing Systems, Santa Barbara, California, U.S.A. )、または同等のものを用いて、光学式粒子計数(OPC)とも呼ばれる単一粒子光学検知(SPOS)で決定する。装置は、以下の条件と選択で構成される:流量=1ml/秒、下限サイズ閾値=0.50μm、検知器型番=LE400-05または同等品、自動希釈=オン、収集時間=60秒、チャンネル数=512、容器液量=50ml、最大同時計測=9200。バックグラウンド計数値が100未満になるまで水を流し、センサーを低温状態にして測定を開始する。懸濁液のカプセル試料を導入し、カプセルの密度を必要に応じて脱イオン水で自動希釈し、カプセル数が1mlあたり少なくとも9,200個になるように調整する。60秒間に懸濁液を分析する。得られた体積加重PSDデータをプロットして記録し、所望の体積加重粒径値(例えば、中央値/50パーセンタイル、5パーセンタイル、および/または90パーセンタイル)を決定する。
【0190】
拡がり指数は、累積粒子体積の90%を超えるデリバリー粒子サイズ(90%サイズ)、累積粒子体積の5%を超える粒子サイズ(5%サイズ)、体積加重粒子径の中央値(50%サイズ:このサイズ以上、以下ともに粒子体積の50%)から算出できる。
拡がり指数={(90%サイズ)-(5%サイズ)}/50%サイズ
【0191】
あるいは、指示された場合、拡がり指数(95%サイズ)は、累積粒子体積の95%を超える粒子サイズ(95%サイズ)、累積粒子体積の5%を超える粒子サイズ(5%サイズ)、体積加重粒子径中央値(このサイズの上下ともに粒子体積の50%のサイズ-50%)を求めることを基準に算出できる。拡がり指数(5)=((95%サイズ)-(5%サイズ))/50%サイズ。
【0192】
破断強度試験方法
集合体の平均的な破壊強度を測定するため、および/またはデルタ破壊強度を決定するために、i)体積加重カプセルサイズ分布、ii)3つの指定サイズ範囲内の各10個の個々のカプセルの直径(平均破壊強度を決定する場合は、体積加重粒子サイズの中央値の30の個々のカプセル)およびiii)同じ30の個々のカプセルの破壊力からなる3つの異なる測定が行われる、
a)体積加重カプセルサイズ分布を、上記のように決定する。得られた体積加重PSDデータをプロットして記録し、中央値、第5パーセンタイル、および90パーセンタイルの値を決定する、
b)個々のカプセルの直径および破裂力値(破裂力値としても知られている)は、デリバリーカプセルを画像化できるレンズおよびカメラを有し、力変換器(Aurora Scientific Inc、カナダから入手可能なモデル403Aなど)または同等物に接続された微細で平探針を有するカスタムコンピュータ制御のマイクロマニピュレーション機器システムを通じて測定する。この方法は、Zhang, Z. et al. (1999) “Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique.” J. Microencapsulation, vol 16, no. 1, pages 117-124, and in: Sun, G. and Zhang, Z. (2001) “Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules.” J. Microencapsulation, vol 18, no. 5, pages 593-602, and as available at the University of Birmingham, Edgbaston, Birmingham, UKに記述されている、
c)スライドガラスに一滴のカプセル懸濁液を滴下し、周囲条件で数分間乾燥させて水分を除去し、乾燥したスライド面にまばらな単層カプセルを形成させる。必要に応じて懸濁液中のカプセルの濃度を調整し、スライド面のカプセルの密度を適切な状態にする。1回以上のスライド調製が必要な場合がある、
d)次に、このスライドをマイクロマニピュレーション装置の試料保持台に置く。スライド面の30個のデリバリーカプセルを測定用に選択し、予め決められた3つのサイズ帯の各々に10個のカプセルが選択されるようにする。各サイズ帯は、アキュサイザーで生成された体積加重PSDから導かれるカプセルの直径を意味する。カプセルの3つのサイズ帯は、中央値/50パーセンタイル直径±2μm、5パーセンタイル直径±2μm、90パーセンタイル直径±2μmである。膨張、漏れ、損傷が見られるカプセルは、選択プロセスから除外され、測定されることはない、
i.特定のサイズ帯±2μmで十分なカプセルが入手できない場合、サイズ帯を±5μmに拡げることができる。
ii.集合体の平均的な破壊強度を決定する場合、中央値/50パーセンタイルサイズ帯の30個(またはそれ以上)のカプセルを測定することができる、
e)選択された30個のカプセルのそれぞれについて、マイクロマニピュレーターの画像からカプセルの直径を測定し記録する。次に、その同じカプセルを、2つの平らな面、即ち、フラットエンドフォースプローブとガラス製顕微鏡スライドの間で、カプセルが破裂するまで、毎秒2μmの速度で圧縮する。圧縮ステップの間、プローブの力をマイクロマニピュレーション装置のデータ収集システムによって連続的に測定・記録する、
f)断面積を、測定された直径を使用し、球状カプセルを仮定して、選択されたカプセルのそれぞれについて計算する(πr2、ここでrは、圧縮前のカプセルの半径)、Zhang, Z. et al. (1999) “Mechanical strength of single microcapsules determined by a novel micromanipulation technique(新規なマイクロマニピュレーション技術によって決定された単一のマイクロカプセルの機械強度)” J. Microencapsulation, vol 16, no. 1, pages 117-124, and in: Sun, G. and Zhang, Z. (2001) “Mechanical Properties of Melamine-Formaldehyde microcapsules(メラミン-ホルムアルデヒドマイクロカプセルの機械的性質)” J. Microencapsulation, vol 18, no. 5, pages 593-602に示されるように、記録されたフォースプローブ測定値から、選択した各カプセルについて、破断力を決定する、
g)破断力(ニュートン)をそれぞれのカプセルの計算上の断面積で割って、30個のカプセルの破断強度を計算する、
h)集合体の平均破壊強度を、中央値/50パーセンタイルサイズ帯の少なくとも30個のカプセルの破壊強度の値を平均して決定する。
【0193】
デルタ破壊強度は、次のように計算される:
ここで、diでのFSは、体積加重サイズ分布のパーセンタイルiでのカプセルのFSである。
【0194】
実施例
以下に提供される実施例は、本質的に例示的であることを意図しており、限定的であることを意図していない。
【0195】
実施例1 デリバリー粒子の例示的な合成
以下に、異なるデリバリー粒子の例示的な合成工程を示す。使用した材料の詳細を表1に示す。
A. 18ミクロンまたは36ミクロンのカプセルを作るプロセスの記述-98:2のコア対壁比「(C:W)」およびCN975で40%IPM。
【0196】
容量1Lの水ジャケット付きステンレス鋼製反応器に、143.12グラムの香油と137.45グラムのミリスチン酸イソプロピルを加え、窒素環境で、撹拌翼を装着した高剪断混合器の助けを借りて混合した。0.33グラムのVazo67(開始剤)を導入する前に溶液を35℃に加熱し、その後、全混合物を70℃に加熱し、その温度で45分間維持した後に系を50℃に冷却した。その温度に達するとすぐに、63.05グラムの香油、0.075グラムのCD9055、0.075グラムのTBAEMA、および6.23グラムのCN975を含む、別々に準備した溶液を反応器に導入し、50℃で全混合物を10分間混合させた。次に、乳化剤(PVOH540の5%溶液)107g、逆浸透水340.03g、V-501 0.22g、NaOH(21%溶液)0.21gからなる水相を、撹拌停止後、反応器に添加した。水相の添加後、粒径に達するまで粉砕を続けた。次に、乳化液をまず75℃に加熱し、その温度で240分間維持し、次に95℃に360分間加熱してから25℃に冷却した。その時点で、スラリーを反応器から容器に排気し、レオロジー改質剤(キサンタンガム1.59グラム)および防腐剤(アクチサイドBWS-10;0.61グラム)を添加した。レオロジー改質剤を30分間混合した。防腐剤を最後に添加し、5~10分間混合した。その後、完成したスラリーを特性評価し、適切と思われる試験を行った。
【0197】
コア:壁重量比-計算例
コア:壁の重量比を、全コア材料投入物(例えば、香油およびパーティショニング変性剤)の重量を、全壁材料投入物(例えば、壁単量体および開始剤)の重量で割って決定する。あるいは、粒子集合体におけるコア材料の相対的割合を、コア材料投入量の合計の重量をコア材料投入量の合計の重量に壁材料投入量の合計の重量を加えたもので割り、100を乗じて決定することができる。残りの割合(100-%コア)は、壁材料の相対的割合である。これらの数は、次に比として表される。同様に、壁材投入の総重量をコア材投入の総重量と壁材投入の総重量の合計で割り100を掛けて粒子集合体における壁材の相対割合を決定することができる。
本項の実施例で形成される「98:2」カプセルの計算例を以下に示すが、コアは香油とパーティショニング変性剤(ミリスチン酸イソプロピル)を含み、壁は壁単量体(CN975、CD9055、TBAEMA)および開始剤(Vazo67、V-501)を含む。
【0198】
後述の実施例2、表2に記載のデリバリー粒子例1および3は、この工程に実質的に従って合成されたものである。
【0199】
B. 18ミクロンまたは36ミクロンカプセルを調製するプロセスの記述 - SR295、EB140、EB895、TMPTA、SR444、またはSR368を用いた98:2(C:W)と40%IPM
このプロセスは、CN975を指定の各単量体に置き換えた以外は、Aに記載したのと同じである。単量体に対するグラム単位の重量要求は一定に保たれた。
【0200】
実施例2、表2に後述するデリバリー粒子例4~10、12、14、16、18、20は、この工程に実質的に従って合成した。
【0201】
C. CN975、SR295、EB140、EB895、TMPTA、SR444、またはSR368を用いて、98:2(C:W)と0%IPMの36ミクロンカプセルを作成するプロセスの記述
IPMを使用しなかった以外は、AまたはBで説明した工程と同じである。これらの各例では、どの単量体を使用したかにかかわらず、IPMの要求を香油に置き換えた。
【0202】
実施例2、表2に後述するデリバリー粒子例2、11、13、15、17、19、21は、この工程に実質的に従って合成した。
【0203】
D. 18ミクロンまたは36ミクロンのカプセルを調製するためのプロセス説明 - 98:2(C:W)および40% IPMでSR295、EB140、EB895、TMPTA、SR444、SR368およびCN975と壁単量体なし
CD9055の0.08グラムとTBAEMAの0.08グラムを除去し、指示されたCN975または他の単量体で代替することを除いて、Aと同じであった。
【0204】
実施例2、表2で後述するデリバリー粒子例25および26は、この工程に実質的に従って合成される。
【0205】
E. 18ミクロンまたは36ミクロンのカプセルを作成するプロセスの記述 - 90:10(C:W)および40%IPM(CN975を使用)。
CD9055および0.08TBAEMAを除去し、CN975に置き換えた以外はAと同様にして、表示した。
【0206】
この工程に実質的に従って、後述の実施例2、表2のようなデリバリー粒子例22、23、24が合成される。
【表1】
【0207】
実施例2 種々のデリバリー粒子の性質
実施例1に記載されたプロセスに従って合成されたデリバリー粒子に関する種々の性質を、以下の表2に提供する。「遊離油」の値を、カプセルの形成後にカプセル化されずに残る香油の割合(wt%)で示す。遊離油の値が低いほど、カプセル化プロセスはより効率的である(例えば、比較的多くの量の香油がカプセル化される)ことを示す。漏出量を、35℃で1週間保存した後の強力液体(HDL)洗剤製品で測定し、表2の漏出量を(%)で示し、未処理製品上のヘッドスペース分析で決定する。
【表2】
【0208】
表2に示したデータに加えて、
図1~4に結果をグラフで示した。
【0209】
図1は、18ミクロンおよび36ミクロンの直径で調製された、本発明に従って調製されたスラリーの遊離油分パーセントを、示されたように様々な官能性の(メタ)アクリラート単量体を用いて、ミリスチン酸イソプロピル非存在下の36ミクロンマイクロカプセルと比較して描いたグラフである。
【0210】
図2は、様々な機能性の(メタ)アクリラート単量体を用いた直径18ミクロンと36ミクロンのカプセルの1週間の漏れ率を表したグラフである。液体洗濯洗剤にカプセルを分散させた状態で1週間後に35℃で測定された。対照試料は、ミリスチン酸イソプロピルを含まない36ミクロンの同じカプセルである。
【0211】
図3は、直径18ミクロンと36ミクロンで調製したスラリーから、表示された壁材を使用して得られた漏れの割合を示すグラフである。
【0212】
図4は、40%のミリスチン酸イソプロピルで種々の壁を用いて18ミクロンおよび36ミクロンの直径で調製したスラリーの%遊離油を描くグラフである。
【0213】
表2および図に示すように、本開示に従った単量体選択、コア:重合体壁重量比、粒子サイズ、およびパーティショニング変性剤の好ましい組み合わせを有するデリバリー粒子は、比較的低いレベルの漏れを発現する傾向がある。
【0214】
実施例3 性能データ
異なる壁重合体比と異なるサイズのデリバリー粒子を比較するために、異なる粒子を用いて液体柔軟仕上げ剤(柔軟化活性として7%エステルクワット)の試料を調製した。各粒子は、それぞれの壁重合体に同じ材料、主にCN975単量体を含む。
【0215】
同じ香料が各粒子で使用され、各コアは約40wt%のパーティショニング変性剤(即ち、ミリスチン酸イソプロピル)を含む。粒子は、柔軟仕上げ剤製品組成物の重量に対して、0.158wt%の香料を提供するために、それぞれの量で添加される。
【0216】
綿テリー織りトレーサーは、自動洗濯機(1200rpm)の短い綿サイクルで柔軟仕上げ剤処理され、柔軟仕上げ剤は最後のすすぎサイクルで添加される。繊維が処理された後、専門の性能評価者がDRYとRUB接触点での香りの強さを嗅覚評価し、それぞれの接触点のスコアを平均してその接触点のスコアを示す。スコアは、香料臭の強さを0~100で評価したもので、0=香料臭なし、25=微香性、50=中香性、75=強香性、100=極度に強い香料臭とする。なお、社内テストでは、濡れた状態での接触点や、すべての繊維において、その利点はそれほど顕著ではないことが示されている。さらに、固相マイクロ抽出法(SPME)とガスクロマトグラフ質量分析法(GCMS)を用いたヘッドスペース法により、処理した繊維の上方でヘッドスペースデータを収集した。
【0217】
デリバリー粒子およびデータ結果の記述は、以下の表3に示されている。番号4は本開示によるデリバリー粒子を含み、番号1、2、および3は比較粒子を含む。
【表3】
【0218】
表3に示すように、比較的高いコア:壁重合体比を有するデリバリー粒子(例えば、98:2のC:W比を有する番号2および4)は、試験した接触点の一方または両方で、比較的低い比を有する粒子よりも一般的に優れている。
【0219】
さらに、番号4の結果を番号2の結果と比較すると、比較的大きな粒子サイズ(例えば、36ミクロン対18ミクロン)を有するデリバリー粒子が、指示された接触点で比較的良好な性能を示すことが示される。
【0220】
実施例4 例示的処方-液体柔軟仕上げ剤
表4は、本開示による組成物の例示的な処方を示す。具体的には、以下の組成物は、液体柔軟仕上げ剤製品である。
【表4】
【0221】
実施例5 例示的処方-洗濯物添加剤粒子
表5は、本開示による組成物の例示的な処方を示す。具体的には、以下の組成物は、パスティーユ(pastille)または「ビーズ」の形体の洗濯物添加物粒子である。
【表5】
【0222】
本書で開示される寸法および数値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解してはならない。そうではなく、特に指定がない限り、そのような各寸法は、言及された値およびその値を囲む機能的に等価な範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0223】
本明細書で引用したすべての文書は、相互参照または関連する特許または出願、および本出願が優先権またはその利益を主張する特許出願または特許を含め、明示的に除外またはその他の制限がない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本明細書に開示または請求される発明に関する先行技術であること、またはそれが単独で、あるいは他の文献または参考文献とのいかなる組み合わせにおいても、かかる発明を教示、示唆または開示していることを認めるものではない。また、本書中の用語の意味または定義が、参照により組み込まれる文書中の同じ用語の意味または定義と矛盾する場合、本書中のその用語に割り当てられた意味または定義が適用される。
【0224】
本発明の特定の実施態様を図示および説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることは、当業者にとって自明である。したがって、本発明の範囲内にあるすべてのそのような変更および修正を添付の特許請求の範囲内で網羅することが意図される。
【国際調査報告】