(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】積層構造
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20231031BHJP
C08L 67/03 20060101ALI20231031BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20231031BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231031BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20231031BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20231031BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20231031BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231031BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B32B27/00 Z
C08L67/03
C08L23/08
C08K3/013
C08K3/22
C09J7/35
C09J201/00
C09J11/08
C09J163/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524180
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 US2021054918
(87)【国際公開番号】W WO2022093538
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA17C
4F100AA17H
4F100AA18C
4F100AA18H
4F100AA19C
4F100AA19H
4F100AA21C
4F100AA21H
4F100AA22C
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4J040JA06
4J040JB01
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4J040MB09
4J040NA19
(57)【要約】
テープおよび成型部品を含む積層構造が提供される。テープは、第1の表面および反対側の第2の表面を有する基材を含み、第1の接着剤コーティングが基材の第1の表面上に配置されている。成型部品は、テープの第1の接着剤コーティングに隣接して位置付けられ、第1の接着剤コーティングに結合されており、成型部品は液晶ポリマーを含有するポリマー組成物を含む。テープと成型部品の間の剥離強度は、ASTM D3167-10(2017)に従って決定される2.54cm当たり約0.25重量kg(1インチ当たり約0.55重量ポンド)以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面および反対側の第2の表面を有する基材を含むテープであって、第1の接着剤コーティングが前記基材の前記第1の表面上に配置された、テープ;ならびに
前記テープの前記第1の接着剤コーティングに隣接して位置付けられ、前記第1の接着剤コーティングに結合された成型部品であって、液晶ポリマーを含有するポリマー組成物を含む、成型部品
を含む積層構造物であって、
前記テープと前記成型部品の間の剥離強度が、ASTM D3167-10(2017)に従って決定される2.54cm当たり約0.25重量kg(1インチ当たり約0.55重量ポンド)以上である、積層構造物。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、約200℃~約400℃の溶融温度、および1.8MPaの荷重でISO試験No.75-2:2013に従って決定される約170℃~約280℃の荷重たわみ温度を有する、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項3】
前記液晶ポリマーが、1種または複数の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し単位を含有する、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項4】
前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸またはそれらの組合せを含む、請求項3に記載の積層構造物。
【請求項5】
前記液晶ポリマーが、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する繰り返し単位を約5mol.%以上の量で含有する、請求項4に記載の積層構造物。
【請求項6】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸に由来する繰り返し単位を約50mol.%~約95mol%の量で含有する、請求項4に記載の積層構造物。
【請求項7】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する繰り返し単位を約0.5~約20のモル比で含有する、請求項4に記載の積層構造物。
【請求項8】
前記液晶ポリマーが、1種もしくは複数の芳香族ジカルボン酸、1種もしくは複数の芳香族ジオールまたはそれらの組合せに由来する繰り返し単位をさらに含有する、請求項3に記載の積層構造物。
【請求項9】
芳香族ジカルボン酸および/または芳香族ジオールに由来する繰り返し単位の量が約5mol.%以下である、請求項8に記載の積層構造物。
【請求項10】
前記液晶ポリマーが全芳香族性である、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項11】
前記液晶ポリマーが、前記ポリマー組成物の約40wt.%~約90wt.%を構成する、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項12】
前記ポリマー組成物が、エポキシ官能化オレフィンコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項13】
前記ポリマー組成物が鉱物充填剤をさらに含む、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項14】
前記鉱物充填剤が鉱物粒子を含む、請求項13に記載の積層構造物。
【請求項15】
前記鉱物充填剤が鉱物繊維を含む、請求項13に記載の積層構造物。
【請求項16】
前記ポリマー組成物がレーザー活性化可能添加剤をさらに含有する、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項17】
前記レーザー活性化可能添加剤が酸化物結晶を含む、請求項16に記載の積層構造物。
【請求項18】
前記酸化物結晶が、MgAl
2O
4、ZnAl
2O
4、FeAl
2O
4、CuFe
2O
4、CuCr
2O
4、MnFe
2O
4、NiFe
2O
4、TiFe
2O
4、FeCr
2O
4、MgCr
2O
4、(Sb/Sn)O
2、またはそれらの組合せを含む、請求項17に記載の積層構造物。
【請求項19】
少なくとも1つのアンテナ素子が前記成型部品上に形成された、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項20】
前記アンテナ素子が約1,500マイクロメートル未満のフィーチャーサイズ(feature size)を有する、請求項19に記載の積層構造物。
【請求項21】
複数のアンテナ素子が前記成型部品上にアンテナアレイに形成された、請求項19に記載の積層構造物。
【請求項22】
前記アンテナ素子が約1,500マイクロメートル未満の間隔距離だけ離間している、請求項21に記載の積層構造物。
【請求項23】
前記アンテナアレイが、平方センチメートル当たり1,000個を超えるアンテナ素子の平均アンテナ素子密度を有する、請求項21に記載の積層構造物。
【請求項24】
前記基材が、フィルム、紙ウェブ、不織布ウェブ、発泡体またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項25】
前記第1の接着剤コーティングが感圧ホットメルト接着剤である、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項26】
前記第1の接着剤コーティングがエラストマー熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載の積層構造物。
【請求項27】
前記エラストマー熱可塑性ポリマーが約-40℃~約10℃のガラス転移温度を有する、請求項26に記載の積層構造物。
【請求項28】
前記エラストマー熱可塑性ポリマーがアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーを含む、請求項26に記載の積層構造物。
【請求項29】
前記第1の接着剤コーティングが、前記エラストマー熱可塑性ポリマーおよび反応性樹脂を含有する混合物から形成されている、請求項26に記載の積層構造物。
【請求項30】
前記反応性樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項29に記載の積層構造物。
【請求項31】
前記混合物が活性化剤をさらに含有する、請求項29に記載の積層構造物。
【請求項32】
前記テープが、前記基材の前記第2の表面上に配置された第2の接着剤コーティングをさらに含む、請求項29に記載の積層構造物。
【請求項33】
別個の部品が、前記テープの前記第2の接着剤コーティングに隣接して位置付けられ、前記第2の接着剤コーティングに結合された、請求項32に記載の積層構造物。
【請求項34】
前記別個の部品が電子デバイスの部品である、請求項33に記載の積層構造物。
【請求項35】
前記別個の部品が、ハウジング、カバーまたはそれらの組合せである、請求項34に記載の積層構造物。
【請求項36】
請求項1に記載の積層構造物を備える電子デバイス。
【請求項37】
ポータブル電子デバイスである、請求項36に記載の電子デバイス。
【請求項38】
カメラモジュールを含む、請求項36に記載の電子デバイス。
【請求項39】
前記成型部品を前記第1の接着剤コーティングと接触させて積層体を形成するステップ、および
前記積層体を約100℃~約260℃の温度に加熱して、前記接着剤コーティングを硬化させるステップ
を含む、請求項1に記載の積層構造物を形成するための方法。
【請求項40】
前記積層体に圧縮圧力を加えている間に加熱が行われる、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年10月26日の出願日を有する米国仮特許出願第63/105,444号の出願利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]アンテナ構造は、ハウジングまたは透明なディスプレイカバー(例えば、ガラス)などの誘電構造を通して高周波信号を送受信できるように、しばしば電子デバイス内に取り付けられる。アンテナ構造を形成するために、導電素子または経路が、典型的に成型されたプラスチック部品上に形成される。コンピューター制御されたレーザービームが成型部品上を移動して、導電経路が配置される場所でその表面を活性化するレーザー直接構造化(「LDS」)プロセスを使用して、このような経路を形成することがますます一般的になっている。このようなアンテナ構造が電子デバイス内に確実に保持されるのを保証することを促すために、アンテナ構造と、ディスプレイカバーまたはハウジングなどのデバイスの別の部品の内面との間に接着テープを介在させてもよい。残念なことに、日常的に遭遇する一つの問題は、テープと成型部品との間の結合強度がしばしば低く、電子デバイスの製造および/または使用中に問題を引き起こす可能性があることである。したがって、成型部品(例えば、アンテナ構造)を電子デバイスの他の部品に結合するための改善された技術に対する必要性が現在存在する。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態によれば、テープおよび成型部品を含む積層構造が開示される。テープは、第1の表面および反対側の第2の表面を有する基材を含み、第1の接着剤コーティングが基材の第1の表面上に配置されている。成型部品は、テープの第1の接着剤コーティングに隣接して位置付けられ、第1の接着剤コーティングに結合されている。成型部品は、液晶ポリマーを含有するポリマー組成物を含む。テープと成型部品との間の剥離強度は、ASTM D3167-10(2017)に従って決定される2.54cm当たり約0.25重量kg(1インチ当たり約0.55重量ポンド)以上である。
【0004】
[0004]本発明の他の特徴および態様が、以下により詳細に示される。
[0005]当業者にとってその最良の態様を含む本発明の完全かつ有効な開示が、添付の図面への参照を含む本明細書の残り部分により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0006]
図1は、本発明に従って形成され得る電子デバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図2】[0007]
図2は、本発明に従って形成され得る電子デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【
図3】[0008]
図3は、本発明による成型部品およびテープによって形成された積層体を含有する電子デバイスの一部の断面側面図である。
【
図4】[0009]
図4は、本発明の一実施形態に従って形成され得るカメラモジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0010]本考察が例示的な実施形態の説明のみであり、本発明のより広い態様を限定することを意図しないことが当業者によって理解される。
[0011]一般的に、本発明は、テープに結合された成型部品を含有する積層構造に関する。成型部品は、液晶ポリマーを含むポリマー組成物を含有する。テープは、基材(例えば、フィルム、紙、不織布ウェブなど)の少なくとも1つの表面上に配置された接着剤コーティングを含有し、基材は成型部品に隣接して位置付けられ、成型部品に結合されている。例えば、基材は、成型部品に結合された第1の接着剤コーティングが配置された第1の表面(例えば、上面)を画定することができる。また、基材は、別の部品に結合するための第2の接着剤コーティングが任意に配置された、反対側の第2の表面(例えば、下面)を画定することができる。それにも関わらず、成型部品のポリマー組成物を形成するために使用される構成成分を選択的に制御することによって、本発明者は、得られた積層体が高度の剥離強度を示すことができることを発見した。例えば、剥離強度は、ASTM D3167-10(2017)に従って決定される2.54cm当たり約0.25重量kg(1インチ当たり約0.55重量ポンド)以上、いくつかの実施形態では2.54cm当たり約0.27重量kg(1インチ当たり約0.60重量ポンド)以上、いくつかの実施形態では2.54cm当たり約0.29重量kg(1インチ当たり約0.65重量ポンド)以上、いくつかの実施形態では2.54cm当たり約0.31重量kg(1インチ当たり約0.70重量ポンド)~2.54cm当たり約0.45重量kg(1インチ当たり約1重量ポンド)であってもよい。ピーク強度は、同様に、ASTM D3167-10(2017)に従って決定される2.54cm当たり約0.25重量kg(1インチ当たり約0.55重量ポンド)以上、いくつかの実施形態では2.54cm当たり約0.36重量kg(1インチ当たり約0.80重量ポンド)以上、いくつかの実施形態では2.54cm当たり約0.4重量kg(1インチ当たり約0.9重量ポンド)以上、いくつかの実施形態では2.54cm当たり約0.45重量kg(1インチ当たり約1重量ポンド)~2.54cm当たり約2.26重量kg(1インチ当たり約5重量ポンド)であってもよい。
【0007】
[0012]積層構造は、高度な剥離強度を示すことができるだけでなく、多種多様な用途での使用を可能にするために優れた熱的および機械的特性を維持したまま高度な剥離強度を示すことができる。例えば、ポリマー組成物の溶融温度は、約200℃~約400℃、いくつかの実施形態では約250℃~約380℃、いくつかの実施形態では約270℃~約360℃、いくつかの実施形態では約280℃~約325℃であってもよい。そのような溶融温度であっても、短時間の耐熱性の尺度である荷重たわみ温度(「DTUL」)の溶融温度に対する比は、依然として比較的高いままであってもよい。例えば、比は、約0.5~約1.00、いくつかの実施形態では約0.6~約0.95、いくつかの実施形態では約0.65~約0.85の範囲であり得る。特定のDTUL値は、例えば、1.8メガパスカルの荷重でISO試験No.75-2:2013に従って決定される約160℃以上、いくつかの実施形態では約170℃~約280℃、いくつかの実施形態では約180℃~約260℃、いくつかの実施形態では約190℃~約240℃であってもよい。このような高いDTUL値は、特に、成型部品をテープに結合するのを助けるために、高速かつ信頼性の高い表面取り付けプロセスの使用を可能にすることができる。
【0008】
[0013]ポリマー組成物(および成型部品)は、優れた機械的特性も有し得る。例えば、ポリマー組成物(および成型部品)は、約10MPa以上、いくつかの実施形態では約50MPa以上、いくつかの実施形態では約70MPa~約300MPa、いくつかの実施形態では約80MPa~約200MPaの引張強度を示してもよい。ポリマー組成物(および成型部品)は、約0.5%以上、いくつかの実施形態では約1%~約10%、いくつかの実施形態では約2%~約8%の引張伸びを示してもよい。ポリマー組成物(および成型部品)は、約5,000MPa以上、いくつかの実施形態では約6,000MPa以上、いくつかの実施形態では約7,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態では約10,000MPa~約20,000MPaの引張弾性率を示してもよい。引張特性は、ISO試験No.527:2012に従って23℃の温度で決定することができる。また、ポリマー組成物(および成型部品)は、約20MPa以上、いくつかの実施形態では約30MPa以上、いくつかの実施形態では約50MPa以上、いくつかの実施形態では約70MPa~約300MPa、いくつかの実施形態では約80MPa~約200MPaの曲げ強度を示してもよい。ポリマー組成物(および成型部品)は、約0.4%以上、いくつかの実施形態では約0.5%~約4%、いくつかの実施形態では約0.5%~約2%の曲げ伸びを示してもよい。ポリマー組成物(および成型部品)は、約5,000MPa以上、いくつかの実施形態では約6,000MPa以上、いくつかの実施形態では約7,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態では約10,000MPa~約20,000MPaの曲げ弾性率を示してもよい。曲げ特性は、178:2010に従って23℃の温度で決定することができる。さらに、ポリマー組成物(および成型部品)は、高い衝撃強度を有してもよく、これは薄い積層構造を形成する場合に有用であり得る。シャルピーノッチ付き衝撃強度は、例えば約3kJ/m2以上、いくつかの実施形態では約5kJ/m2以上、いくつかの実施形態では約7kJ/m2以上、いくつかの実施形態では約8kJ/m2~約40kJ/m2、いくつかの実施形態では約10kJ/m2~約25kJ/m2であってもよい。衝撃強度は、ISO試験No.ISO179-1:2010に従って23℃の温度で決定することができる。
【0009】
[0014]ここで、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
I.ポリマー組成物
A.液晶ポリマー
[0015]ポリマー組成物は、一般に1種または複数の液晶ポリマーを含有する。液晶ポリマーは、一般に棒状構造を有し、溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を示すことができる限り、「サーモトロピック」として分類される。ポリマー組成物に利用される液晶ポリマーは、典型的に約200℃~約400℃、いくつかの実施形態では約250℃~約380℃、いくつかの実施形態では約270℃~約360℃、いくつかの実施形態では約280℃~約325℃の溶融温度を有する。溶融温度は、例えばISO試験No.11357-3:2011によって決定される示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して当技術分野で周知のように決定されてもよい。このようなポリマーは、当技術分野で公知のように、1種または複数の種類の繰り返し単位から形成されてもよい。液晶ポリマーは、例えば、一般に以下の式(I):
【0010】
【0011】
(式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の5もしくは6員アリール基と縮合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に連結した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり、
Y1およびY2は、独立してO、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である)
によって表される1つまたは複数の芳香族エステル繰り返し単位を含有することができる。
【0012】
[0016]典型的に、Y1およびY2の少なくとも1つはC(O)である。このような芳香族エステル繰り返し単位の例として、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IのY1およびY2はC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式IのY1はOであり、Y2はC(O)である)、ならびにこれらの様々な組合せを挙げることができる。
【0013】
[0017]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組合せなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)である。利用される場合、ヒドロキシカルボン酸(例えばHBAおよび/またはHNA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約50mol.%以上、いくつかの実施形態では約60mol.%以上、いくつかの実施形態では約80mol.%~100mol.%を構成する。
【0014】
[0018]テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組合せなどの芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族ジカルボン酸繰り返し単位も利用されてもよい。特に好適な芳香族ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TAおよび/またはNDA)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約50mol.%、いくつかの実施形態では約2mol.%~約40mol.%、いくつかの実施形態では約5mol.%~約30%を構成する。
【0015】
[0019]他の繰り返し単位もポリマーに利用することができる。例えば、ある特定の実施形態では、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにこれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組合せなどの芳香族ジオールに由来する繰り返し単位が利用されてもよい。特に好適な芳香族ジオールとして、例えばヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)を挙げることができる。利用される場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約1mol.%~約30mol.%、いくつかの実施形態では約2mol.%~約25mol.%、いくつかの実施形態では約5mol.%~約20%を構成する。また、芳香族アミド(例えばアセトアミノフェン(「APAP」))、および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)に由来するものなどの繰り返し単位が利用されてもよい。利用される場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)に由来する繰り返し単位は、典型的にポリマーの約0.1mol.%~約20mol.%、いくつかの実施形態では約0.5mol.%~約15mol.%、いくつかの実施形態では約1mol.%~約10%を構成する。また、ポリマーに種々の他のモノマー繰り返し単位が組み込まれてもよいことが理解されるべきである。例えば、ある特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーに由来する1つまたは複数の繰り返し単位を含有してもよい。当然ながら、他の実施形態では、ポリマーは非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーに由来する繰り返し単位を含まないという点で「全芳香族」であってもよい。
【0016】
[0020]必ずしも必要ではないが、液晶ポリマーは、NDA、HNAまたはそれらの組合せなどのナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸に由来する繰り返し単位を比較的高い含有量で含有する限り、「高ナフテン」ポリマーであってもよい。つまり、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNAまたはHNAとNDAとの組合せ)に由来する繰り返し単位の合計量は、典型的にポリマーの約5mol.%以上、いくつかの実施形態では約10mol.%~約40mol.%、いくつかの実施形態では約15mol.%~約30mol.%である。多くの従来の「低ナフテン」ポリマーと異なり、得られた「高ナフテン」ポリマーは、良好な熱的および機械的特性を示すことができると考えられる。
【0017】
[0021]特定の一実施形態では、例えば、液晶ポリマーは、5mol.%~約50mol.%、いくつかの実施形態では約10mol.%~約40mol.%、いくつかの実施形態では約15mol.%~約30mol.%の量のHNAに由来する繰り返し単位を含有してもよい。液晶ポリマーはまた、様々な他のモノマーを含有してもよい。例えば、ポリマーは、約50mol.%~約95mol.%、いくつかの実施形態では約60mol.%~約90mol.%、いくつかの実施形態では約65mol.%~約85mol.%の量のHBAに由来する繰り返し単位を含有することができる。利用される場合、HBAに由来する繰り返し単位のHNAに由来する繰り返し単位に対するモル比は、所望の特性の達成を助けるために特定の範囲内で選択的に制御されてもよく、例えば約0.5~約20、いくつかの実施形態では約1~約10、いくつかの実施形態では約2~約6である。ポリマーは、約0.1mol.%~約20mol.%、いくつかの実施形態では約0.2mol.%~約10mol.%の量の芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)、および/または約0.1mol.%~約20mol.%、いくつかの実施形態では約0.2mol.%~約10mol.%の量の芳香族ジオール(例えばBPおよび/またはHQ)に由来する繰り返し単位を含有してもよい。しかし、いくつかの場合では、所望の特性の達成を助けるために、ポリマー中のそのようなモノマーの存在を最小化することが所望される場合がある。例えば、芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)および/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ)に由来する繰り返し単位の総量は、ポリマーの約5mol%以下、いくつかの実施形態では約4mol.%以下、いくつかの実施形態では約0.1mol.%~約3mol.%であってもよい。
【0018】
[0022]ポリマーの特定の構成要素および性質に関わらず、液晶ポリマーは、エステル繰り返し単位(例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸など)および/または他の繰り返し単位(例えば、芳香族ジオール、芳香族アミド、芳香族アミンなど)の形成に使用される芳香族モノマーを最初に反応容器に導入して重縮合反応を開始させることによって調製することができる。このような反応に利用される特定の条件およびステップは周知であり、Calundannの米国特許第4,161,470号、Linstid,IIIらの米国特許第5,616,680号、Linstid,IIIらの米国特許第6,114,492号、Shepherdら.の米国特許第6,514,611号、およびWaggonerのWO2004/058851にさらに詳細に記載されている場合がある。反応に利用される容器は特に限定されないが、典型的に高粘性流体の反応に一般的に使用されるものを利用することが所望される。このような反応容器の例として、アンカー型、多段型、螺旋リボン型、スクリューシャフト型など、またはそれらの変形形状などの様々な形状の撹拌ブレードを備えた撹拌機を有する撹拌槽型装置を挙げることができる。このような反応容器のさらなる例として、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサーなどの樹脂混練に一般的に使用される混合装置を挙げることができる。
【0019】
[0023]所望される場合、反応は、当技術分野で公知のモノマーのアセチル化により進行することができる。これは、モノマーにアセチル化剤(例えば、無水酢酸)を添加することによって達成することができる。アセチル化は、一般に約90℃の温度で開始される。アセチル化の初期段階では、酢酸副生成物および無水物が蒸留し始める点未満の気相温度を維持するために、還流が利用されてもよい。アセチル化中の温度は、典型的に90℃~150℃、いくつかの実施形態では約110℃~約150℃の範囲である。還流が使用される場合、気相温度は、典型的に酢酸の沸点を超えるが、残留する無水酢酸を保持するのに十分低いままである。例えば、無水酢酸は約140℃の温度で気化する。したがって、反応器に約110℃~約130℃の温度で気相還流を与えることが特に望ましい。実質的に完全な反応を保証するために、過剰量の無水酢酸を利用することができる。過剰な無水物の量は、還流の有無を含む利用される特定のアセチル化条件によって変化する。存在する反応物ヒドロキシル基の総モル数に基づいて、約1~約10モルパーセントの過剰の無水酢酸を使用することは稀ではない。
【0020】
[0024]アセチル化は、別個の反応容器で行われてもよく、または重合反応容器内でその場で行われてもよい。別個の反応容器が利用される場合、モノマーの1種または複数をアセチル化反応器に導入し、その後重合反応器に移すことができる。同様に、モノマーの1種または複数は、事前アセチル化を受けずに反応容器に直接導入されてもよい。
【0021】
[0025]モノマーおよび任意選択のアセチル化剤に加え、重合を促進するのに役立つ他の構成成分も反応混合物中に含まれてもよい。例えば、金属塩触媒(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸スズ(I)、チタン酸テトラブチル、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、および有機化合物触媒(例えば、N-メチルイミダゾール)などの触媒を任意に利用することができる。このような触媒は、典型的に、繰り返し単位前駆体の総重量に対して約50~約500百万分率の量で使用される。別々の反応器が利用される場合、典型的に重合反応器ではなくアセチル化反応器に触媒を適用することが所望されるが、これは決して必須ではない。
【0022】
[0026]反応混合物は、一般に重合反応器容器内で高温に加熱され、反応物の溶融重縮合を開始させる。重縮合は、例えば約200℃~約400℃の温度範囲内で行われてもよい。例えば、芳香族ポリエステルを形成するための1つの好適な技術は、前駆体モノマーおよび無水酢酸を反応器に投入し、混合物を約90℃~約150℃の温度に加熱してモノマーのヒドロキシル基をアセチル化し(例えば、アセトキシを形成し)、次に温度を約200℃~約400℃に上昇させて溶融重縮合を実行することを含んでもよい。最終重合温度に近づくにつれ、反応の揮発性副生成物(例えば、酢酸)も除去することができ、それにより所望の分子量を容易に達成することができる。反応混合物は、一般に、良好な熱伝達および物質移動、ひいては良好な材料の均質性を確保するために、重合中に撹拌に供される。撹拌機の回転速度は、反応の過程で変化してもよいが、典型的に約10~約100毎分回転(「rpm」)、いくつかの実施形態では約20~約80rpmの範囲である。溶融物の分子量を高めるために、重合反応は真空下で行うこともでき、その適用により、重縮合の最終段階で形成される揮発性物質の除去が容易になる。真空は、平方cm当たり0.35kg~2.10kg(平方インチ当たり約5~約30ポンド)(「psi」)、いくつかの実施形態では平方cm当たり0.70kg~1.40kg(約10~約20psi)の範囲内などの吸引圧の適用によって作り出すことができる。
【0023】
[0027]溶融重合後、溶融ポリマーは、典型的に所望の形状のダイを備えた押出オリフィスを通って反応器から排出され、冷却され回収されてもよい。一般に、溶融物は、穴あきダイを通して排出されてストランドを形成し、これが水浴中に取り込まれ、ペレット化され乾燥される。いくつかの実施形態では、溶融重合されたポリマーはまた、その後の固体重合法に供され、その分子量をさらに増加させてもよい。固体重合は、ガス(例えば、空気、不活性ガスなど)の存在下で実施することができる。好適な不活性ガスとして、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなど、およびそれらの組合せを挙げることができる。固体重合反応容器は、ポリマーを所望の滞留時間にわたって所望の固体重合温度で維持することを可能にする実質的に任意の設計のものであってもよい。そのような容器の例は、固定床、静止床、移動床、流動床などを有するものであってもよい。固体重合が実施される温度は異なってもよいが、典型的に約200℃~約400℃の範囲内である。重合時間は、当然ながら、温度および目標分子量に基づいて変化する。しかし、ほとんどの場合、固体重合時間は、約2時間~約12時間、いくつかの実施形態では約4時間~約10時間である。
【0024】
[0028]一般に、ポリマー組成物に利用される液晶ポリマーの総量は、ポリマー組成物の約40wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約45wt.%~約85wt.%、いくつかの実施形態では約50wt.%~約80wt.%である。ある特定の実施形態では、液晶ポリマーのすべてが、上述のものなどの「高ナフテン」ポリマーである。しかし、他の実施形態では、ナフテンヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNAまたはHNAとNDAとの組合せ)に由来する繰り返し単位の総量がポリマーの10mol.%未満、いくつかの実施形態では約8mol.%以下、いくつかの実施形態では約6mol.%以下、いくつかの実施形態では約1mol.%~約5mol.%である「低ナフテン」液晶ポリマーも組成物に利用することができる。利用される場合、そのような低ナフテンポリマーは、比較的低い量だけ存在することが一般に所望される。例えば、利用される場合、低ナフテン液晶ポリマーは、典型的に組成物中の液晶ポリマーの総量の約1wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約20wt.%~約40wt.%、および組成物全体の約0.5wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約2wt.%~約35wt.%、いくつかの実施形態では約5wt.%~約25wt.%を構成する。対照的に、高ナフテン液晶ポリマーは、典型的に組成物中の液晶ポリマーの総量の約50wt.%~約99wt.%、いくつかの実施形態では約55wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約90wt.%、および組成物全体の約25wt.%~約65wt.%、いくつかの実施形態では約30wt.%~約60wt.%、いくつかの実施形態では約35wt.%~約55wt.%を構成する。
B.任意の添加剤
i.相溶化剤
[0029]所望される場合、相溶化剤をポリマー組成物中に利用して、成型部品のテープへの接着をさらに改善するのを促すことができる。利用される場合、そのような相溶化剤は、典型的にポリマー組成物の約0.1wt.%~約15wt.%、いくつかの実施形態では約0.2wt.%~約12wt.%、いくつかの実施形態では約0.5wt.%~約10wt.%を構成する。
【0025】
[0030]相溶化剤の1つの特に好適な種類は、例えば、平均で分子当たり2つ以上のエポキシ官能基を含有するという点で「エポキシ官能化された」オレフィンコポリマーを含んでもよい。コポリマーは、一般に1種または複数のα-オレフィンに由来するオレフィンモノマー単位を含有する。そのようなモノマーの例として、例えば、2~20個の炭素原子、典型的に2~8個の炭素原子を有する線状および/または分岐状α-オレフィンが挙げられる。特定の例として、エチレン、プロピレン、1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;1つもしくは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ペンテン;1つもしくは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘキセン;1つもしくは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘプテン;1つもしくは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-オクテン;1つもしくは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ノネン;エチル、メチルまたはジメチル置換1-デセン;1-ドデセン;およびスチレンが挙げられる。特に所望されるα-オレフィンモノマーは、エチレンおよびプロピレンである。コポリマーはまた、エポキシ官能性モノマー単位も含有してもよい。そのような単位の1つの例は、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー構成成分である。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリルおよびメタクリルモノマー、ならびにアクリレートおよびメタクリレートモノマーなどのその塩またはエステルを含む。例えば、好適なエポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーとして、これらに限定されないが、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートなどの1,2-エポキシ基を含有するものを挙げることができる。他の好適なエポキシ官能性モノマーとして、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエタクリレートおよびグリシジルイタコネート(itoconate)が挙げられる。所望の分子量の達成を助けるために、他の好適なモノマーを利用することもできる。
【0026】
[0031]当然ながら、コポリマーは、当技術分野で公知のように、他のモノマー単位を含有することもできる。例えば、別の好適なモノマーは、エポキシ官能性でない(メタ)アクリルモノマーを含むことができる。そのような(メタ)アクリルモノマーの例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、i-アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、i-アミルメタクリレート、s-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなど、およびそれらの組合せを挙げることができる。1つの特定の実施形態において、例えば、コポリマーは、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー構成成分、α-オレフィンモノマー構成成分、および非エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー構成成分から形成されるターポリマーであってもよい。コポリマーは、例えば、以下の構造:
【0027】
【0028】
(式中、x、yおよびzは1以上である)
を有するポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート-co-グリシジルメタクリレート)であってもよい。
【0029】
[0032]モノマー構成成分の相対割合は、エポキシ反応性とメルトフローレートとの間のバランスを達成するように選択されてもよい。より詳細には、エポキシモノマー含有量が高いと、マトリックスポリマーとの良好な反応性を得ることができるが、含有量が高すぎると、コポリマーがポリマーブレンドの溶融強度に悪影響を及ぼす程度にメルトフローレートを低減させる可能性がある。したがって、ほとんどの実施形態において、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーは、コポリマーの約1wt.%~約20wt.%、いくつかの実施形態では約2wt.%~約15wt.%、いくつかの実施形態では約3wt.%~約10wt.%を構成する。α-オレフィンモノマーは、同様に、コポリマーの約55wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約65wt.%~約85wt.%を構成してもよい。利用される場合、他のモノマー構成成分(例えば、非エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー)は、コポリマーの約5wt.%~約35wt.%、いくつかの実施形態では約8wt.%~約30wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約25wt.%を構成してもよい。得られたメルトフローレートは、2.16kgの荷重および190℃の温度でASTM D1238-13に従って決定される、典型的に10分当たり約1~約30グラム(「g/10分」)、いくつかの実施形態では約2~約20g/10分、いくつかの実施形態では約3~約15g/10分である。
【0030】
[0033]ポリマー組成物に使用することができる好適なエポキシ官能化オレフィンコポリマーの一例は、LOTADER(登録商標)AX8840の名称でArkemaから市販されている。LOTADER(登録商標)AX8840は、例えば、5g/10分のメルトフローレートを有し、8wt.%のグリシジルメタクリレートモノマー含有量を有する。別の好適なコポリマーは、ELVALOY(登録商標)PTWの名称でDuPontから市販されており、これはエチレン、ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートのターポリマーであり、12g/10分のメルトフローレートおよび4wt.%~5wt.%のグリシジルメタクリレートモノマー含有量を有する。
ii.鉱物充填剤
[0034]所望される場合、ポリマー組成物は、ポリマーマトリックス内に分布された1種または複数の鉱物充填剤を含有することができる。利用される場合、そのような鉱物充填剤は、典型的に、ポリマー組成物の約5wt.%~約50wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約45wt.%、いくつかの実施形態では約20wt.%~約40wt.%を構成する。ポリマー組成物に利用される鉱物充填剤の性質は、鉱物粒子、鉱物繊維(または「ウィスカー」)など、およびそれらのブレンドなど、様々であってもよい。典型的に、ポリマー組成物中に利用される鉱物充填剤は、組成物の機械的強度、接着強度および表面特性の改善に役立つようにある特定の硬度値を有する。例えば、硬度値は、モース硬度スケールに基づいて約2.0以上、いくつかの実施形態では約2.5以上、いくつかの実施形態では約3.0以上、いくつかの実施形態では約3.0~約11.0、いくつかの実施形態では約3.5~約11.0、いくつかの実施形態では約4.5~約6.5であってもよい。
【0031】
[0035]様々な異なる種類の鉱物粒子のいずれか、例えば、天然および/または合成のケイ酸塩鉱物、例えば、タルク、マイカ、シリカ(例えば非晶質シリカ)、アルミナ、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、珪灰石など;硫酸塩;炭酸塩;リン酸塩;フッ化物、ホウ酸塩などから形成されるものが一般にポリマー組成物中に利用されてもよい。特に好適なものは、所望される硬度値を有する粒子、例えば炭酸カルシウム(CaCO3、モース硬度3.0)、炭酸水酸化銅(Cu2CO3(OH)2、モース硬度4.0);フッ化カルシウム(CaFl2、モース硬度4.0);ピロリン酸カルシウム((Ca2P2O7、モース硬度5.0)、無水リン酸二カルシウム(CaHPO4、モース硬度3.5)、水和リン酸アルミニウム(AlPO4・2H2O、モース硬度4.5);シリカ(SiO2、モース硬度5.0~6.0)、ケイ酸アルミニウムカリウム(KAlSi3O8、モース硬度6)、ケイ酸銅(CuSiO3・H2O、モース硬度5.0);水酸化ホウケイ酸カルシウム(Ca2B5SiO9(OH)5、モース硬度3.5);アルミナ(AlO2、モース硬度10.0);硫酸カルシウム(CaSO4、モース硬度3.5)、硫酸バリウム(BaSO4、モース硬度3~3.5)、マイカ(モース硬度2.5~5.3)など、およびそれらの組合せである。例えば、マイカが特に好適である。任意の形態のマイカを一般に利用することができ、例えば、白雲母(KAl2(AlSi3)O10(OH)2)、黒雲母(K(Mg,Fe)3(AlSi3)O10(OH)2)、金雲母(KMg3(AlSi3)O10(OH)2)、紅雲母(K(Li,Al)2-3(AlSi3)O10(OH)2)、海緑石(K,Na)(Al,Mg,Fe)2(Si,Al)4O10(OH)2)などが含まれる。白雲母系マイカは、ポリマー組成物に使用するために特に好適である。
【0032】
[0036]ある特定の実施形態では、硫酸バリウムおよび/または硫酸カルシウム粒子などの鉱物粒子は、一般に本質的に顆粒状または団塊状である形状を有してもよい。そのような実施形態では、粒子は、例えばISO 13320:2009に従ってレーザー回折技術を使用して(例えば、Horiba LA-960粒度分布分析器を用いて)決定される約0.5~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1.5~約10マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約8マイクロメートルのメジアン径(例えば直径)を有することができる。他の実施形態では、約4以上、いくつかの実施形態では約8以上、いくつかの実施形態では約10~約500などの比較的高いアスペクト比(例えば、平均直径を平均厚さで除したもの)を有するマイカ粒子などのフレーク状鉱物粒子を利用することが望ましい場合もある。そのような実施形態では、粒子の平均直径は、例えば約5マイクロメートル~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約8マイクロメートル~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲であってもよい。平均厚さは、同様に、ISO 13320:2009に従ってレーザー回折技術を使用して(例えば、Horiba LA-960粒度分布分析器を使用して)決定される約2マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約5ナノメートル~約1マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20ナノメートル~約500ナノメートルであってもよい。鉱物粒子はまた、狭いサイズ分布を有することができる。すなわち、粒子の少なくとも約70体積%、いくつかの実施形態では粒子の少なくとも約80体積%、いくつかの実施形態では粒子の少なくとも約90体積%が、上述の範囲内のサイズを有してもよい。
【0033】
[0037]好適な鉱物繊維として、同様に、シリケート、例えばネオシリケート、ソロシリケート、イノシリケート(例えば、珪灰石などのカルシウムイノシリケート;透角閃石などのカルシウムマグネシウムイノシリケート;陽起石などのカルシウムマグネシウム鉄イノシリケート;直閃石などのマグネシウム鉄イノシリケートなど)、フィロシリケート(例えばパリゴルスカイトなどのアルミニウムフィロシリケート)、テクトシリケートなど;スルフェート、例えば硫酸カルシウム(例えば脱水または無水石膏);鉱物ウール(例えば、ロックウールまたはスラグウール);などに由来するものを挙げることができる。特に好適なものは、所望される硬度値を有する繊維であり、商品名Nyglos(登録商標)(例えば、Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)でNyco Mineralsから市販されている珪灰石(モース硬度4.5~5.0)などのイノシリケートに由来する繊維を含む。鉱物繊維は、約1~約35マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約3~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約7~約12マイクロメートルのメジアン幅(例えば、直径)を有することができる。鉱物繊維はまた、狭いサイズ分布を有することができる。すなわち、繊維の少なくとも約60体積%、いくつかの実施形態では繊維の少なくとも約70体積%、いくつかの実施形態では繊維の少なくとも約80体積%が、上述の範囲内のサイズを有してもよい。理論によって制限されることを意図することなく、上述のサイズ特性を有する鉱物繊維は、成型機器内をより容易に移動することができ、ポリマーマトリックス内の分布を向上させ、表面欠陥の発生を最小限に抑えると考えられる。上述のサイズ特性を有することに加え、鉱物繊維は、得られたポリマー組成物の機械的特性および表面品質をさらに改善するのに役立つように比較的高いアスペクト比(平均長さをメジアン幅で除したもの)を有することもできる。例えば、鉱物繊維は、約2~約100、いくつかの実施形態では約2~約50、いくつかの実施形態では約3~約20、いくつかの実施形態では約4~約15のアスペクト比を有することができる。そのような鉱物繊維の体積平均長は、例えば、約1~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5~約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10~約50マイクロメートルの範囲であってもよい。
iii.レーザー活性化可能添加剤
[0038]決して必須ではないが、ポリマー組成物は、レーザー直接構造化(「LDS」)プロセスによって活性化できる添加剤を含有するという意味で「レーザー活性化可能」であってもよい。このようなプロセスでは、添加剤は、金属の放出を引き起こすレーザーに曝露される。したがって、レーザーはその部分に導電素子のパターンを描き、金属粒子が埋め込まれた粗面を残す。これらの粒子は、その後のメッキ工程(例えば、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、亜鉛メッキ、スズメッキなど)中における結晶成長のための核として作用する。レーザー活性化可能な添加剤は、一般に酸化物結晶を含み、これは、画定可能な結晶形成内に2つ以上の金属酸化物クラスター構成を含むことができる。例えば、全体の結晶形成は、以下の式:
AB2O4またはABO2
(式中、
Aは、2以上の価数を有する金属カチオン、例えばカドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、スズ、チタンなど、およびそれらの組合せであり;
Bは、3以上の価数を有する金属カチオン、例えばアンチモン、クロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、スズなど、およびそれらの組合せである)
を有することができる。
【0034】
[0039]典型的には、上式中のAは、第一の金属酸化物クラスターの主カチオン構成成分を提供し、Bは、第二の金属酸化物クラスターの主カチオン構成成分を提供する。これらの酸化物クラスターは、同じまたは異なる構造を有することができる。一実施形態では、例えば、第1の金属酸化物クラスターは四面体構造を有し、第2の金属酸化物クラスターは八面体クラスターを有する。それにも関わらず、クラスターは、電磁放射に対する高められた感受性を有する単一の識別可能な結晶型構造を共に提供してもよい。好適な酸化物結晶の例として、例えば、MgAl2O4、ZnAl2O4、FeAl2O4、CuFe2O4、CuCr2O4、MnFe2O4、NiFe2O4、TiFe2O4、FeCr2O4、MgCr2O4、スズ/アンチモンの酸化物(例えば(Sb/Sn)O2)およびそれらの組合せが挙げられる。酸化銅クロム(CuCr2O4)は、本発明で使用するために特に好適であり、名称「Shepherd Black 1GM」でShepherd Color Co.から入手可能である。一部の場合では、レーザー活性化可能添加剤は、WO2018/130972に記載されるものなどのコア-シェル構成も有することができる。そのような添加剤では、添加剤のシェル構成成分は、典型的にレーザー活性化可能であり、一方コアは、無機化合物(例えば、二酸化チタン、マイカ、タルクなど)などの任意の一般的な化合物であってもよい。
【0035】
[0040]利用される場合、レーザー活性化可能添加剤は、典型的にポリマー組成物の約0.1wt.%~約30wt.%、いくつかの実施形態では約0.5wt.%~約20wt.%、いくつかの実施形態では約1wt.%~約10wt.%を構成する。
iv.その他の添加剤
[0041]滑剤、熱伝導性充填剤(例えば、カーボンブラック、グラファイト、窒化ホウ素など)、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、垂れ防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、トライボロジー剤(例えば、フルオロポリマー)、帯電防止充填剤(例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラファイト、イオン液体など)、繊維状充填剤(例えば、ガラス繊維、炭素繊維など)、ならびに特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの多種多様な他の追加の添加剤をポリマー組成物中に含めることもできる。例えば、実質的に分解することなく液晶ポリマーの処理条件に耐えることができる滑剤をポリマー組成物に利用することができる。そのような滑剤の例として、それらの混合物を含む、エンジニアリングプラスチック材料の処理において滑剤として通常使用される種類の脂肪酸エステル、その塩、エステル、脂肪酸アミド、有機リン酸エステルおよび炭化水素ワックスが挙げられる。好適な脂肪酸は、典型的に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデセン酸(octadecinic acid)、パリナリン酸(parinric acid)など、約12~約60個の炭素原子の骨格炭素鎖を有する。好適なエステルとして、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、ワックスエステル、グリセロールエステル、グリコールエステルおよび複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドとして、脂肪酸第一級アミド、脂肪酸第二級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミドならびにアルカノールアミド、例えば、例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどが挙げられる。また、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩;パラフィンワックス、ポリオレフィンおよび酸化ポリオレフィンワックスを含む炭化水素ワックス、ならびに微結晶性ワックスも好適である。特に好適な滑剤は、ステアリン酸の酸、塩またはアミド、例えばテトラステアリン酸ペンタエリスリトール、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドである。利用される場合、滑剤は典型的に、ポリマー組成物の約0.05wt.%~約1.5wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約0.5wt.%(重量で)を構成する。
C.形成
[0042]ポリマー組成物を形成するために使用される構成成分は、当技術分野で公知のように、様々な異なる技術のいずれかを使用して一緒に組み合わされてもよい。特定の一実施形態では、例えば、液晶ポリマーおよび他の任意の添加剤は、押出機内で混合物として溶融処理され、ポリマー組成物を形成する。混合物は、約200℃~約450℃の温度で、単軸または多軸押出機内で溶融混練されてもよい。一実施形態では、混合物は、複数の温度ゾーンを含む押出機で溶融処理されてもよい。個々のゾーンの温度は、典型的に、ポリマーの溶融温度に対して約-60℃~約25℃の範囲内に設定される。例として、混合物は、Leistritz 18mm共回転完全噛合式二軸押出機などの二軸押出機を使用して溶融処理することができる。汎用スクリュー設計を使用して混合物を溶融処理することができる。一実施形態では、構成成分のすべてを含む混合物が、容積式フィーダーによって第1のバレル内のフィード口にフィードされてもよい。別の実施形態では、公知のように、異なる構成成分を押出機の異なる添加点で添加してもよい。例えば、ポリマーをフィード口で適用し、ある特定の添加剤(例えば、鉱物充填剤、相溶化剤など)を、そこから下流に位置する同じまたは異なる温度ゾーンで供給してもよい。それにも関わらず、得られた混合物は、溶融し、混合した後、ダイを通して押し出すことができる。押し出されたポリマー組成物は、その後、水浴中で急冷して固化させ、ペレタイザーで造粒し、その後乾燥することができる。
【0036】
[0043]組成物が形成される様式に関わらず、得られた溶融粘度は、一般に、溶融押出しされた基材を容易に形成することができるほど十分に低い。例えば、1つの特定の実施形態において、ポリマー組成物は、1,000秒-1のせん断速度で決定される約500Pa・s以下、いくつかの実施形態では約250Pa・s以下、いくつかの実施形態では約5Pa・s~約150Pa・s、いくつかの実施形態では約5Pa・s~約100Pa・s、いくつかの実施形態では約10Pa・s~約100Pa・s、いくつかの実施形態では約15~約90Pa・sの溶融粘度を有することができる。
II.成型部品
[0044]成型部品は、約10ミリメートル以下、いくつかの実施形態では約5ミリメートル以下、いくつかの実施形態では約1~約4ミリメートル(例えば、3ミリメートル)などの多種多様な厚さを有することができる。成型部品はまた、様々な異なる技術を使用して形成することができる。好適な技術として、例えば、射出成型、低圧射出成型、押出圧縮成型、ガス射出成型、発泡射出成型、低圧ガス射出成型、低圧発泡射出成型、ガス押出圧縮成型、発泡押出圧縮成型、押出成型、発泡押出成型、圧縮成型、発泡圧縮成型、ガス圧縮成型などを挙げることができる。例えば、ポリマー組成物を内部に注入することができる金型を含む射出成型システムが利用されてもよい。注入器内での時間は、ポリマーマトリックスが予め固化しないように制御され、最適化されてもよい。サイクル時間に達し、バレルが排出のために満杯になると、ピストンを使用して組成物を金型キャビティに注入することができる。圧縮成型システムも利用することができる。射出成型と同様に、ポリマー組成物の所望の物品への成形も金型内で行われる。組成物は、任意の公知の技術を使用して、例えば自動化ロボットアームによってピックアップされることによって圧縮金型内に配置されてもよい。金型の温度は、固化を可能にするために、所望の時間にわたってポリマーマトリックスの固化温度で、またはそれより高く維持されてもよい。その後、成型された製品は、溶融温度のもの未満の温度にすることによって固化させることができる。得られた製品は脱型することができる。各成型プロセスのサイクル時間は、ポリマーマトリックスに合わせ、十分な結合を達成し、プロセス全体の生産性を向上させるように調整することができる。
【0037】
[0045]上に示したように、導電素子も成型部品上に形成することができる。導電素子は、パッチアンテナ構造、逆F型アンテナ構造、閉鎖型および開放型スロットアンテナ構造、ループアンテナ構造、モノポール、ダイポール、平面逆F型アンテナ構造、これらの設計の混成などから形成される共振素子を有するアンテナなどの様々な異なる種類のアンテナを形成することができる。所望される場合、成型部品に利用されるポリマー組成物は、レーザー直接構造化プロセス(「LDS」)を使用して導電素子を形成できるようにレーザー活性化可能であってもよい。レーザーによる活性化は、スピネル結晶が割れて開き、金属原子を放出する物理化学的反応を引き起こす。この金属原子は、金属化(例えば、還元銅コーティング)の核として作用し得る。また、レーザーによって微視的に不規則な表面が作出され、ポリマーマトリックスがアブレートされ、金属化中に銅を固定することができる多数の微視的なピットおよびアンダーカットが作出される。
【0038】
[0046]所望される場合、5Gシステムで使用するための高周波アンテナおよびアンテナアレイを成型部品上に形成することができる。本明細書で使用する場合、「5G」は一般に、無線周波数信号を介した高速データ通信を指す。5Gネットワークおよびシステムは、前世代のデータ通信規格(例えば、「4G、「LTE」)よりもはるかに速い速度でデータを通信することができる。例えば、本明細書で使用される場合、「5G周波数」は、1.5GHz以上、いくつかの実施形態では約2.0GHz以上、いくつかの実施形態では約2.5GHz以上、いくつかの実施形態では約3.0GHz以上、いくつかの実施形態では約3GHz~約300GHz以上、いくつかの実施形態では約4GHz~約80GHz、いくつかの実施形態では約5GHz~約80GHz、いくつかの実施形態では約20GHz~約80GHz、いくつかの実施形態では約28GHz~約60GHzの周波数を指してもよい。5G通信の要件を定量化する様々な規格および仕様が発表されている。一例として、国際電気通信連合(ITU)は、2015年に国際移動通信-2020(「IMT-2020」)規格を発表した。IMT-2020規格は、5Gの様々なデータ送信基準(例えば、ダウンリンクおよびアップリンクのデータレート、レイテンシーなど)を規定する。IMT-2020規格は、5Gシステムがサポートしなければならないデータのアップロードおよびダウンロードの最低データレートとして、アップリンクおよびダウンリンクのピークデータレートを定義している。IMT-2020規格は、ダウンリンクピークデータレートの要件を20Gbit/s、およびアップリンクピークデータレートを10Gbit/sと定めている。別の例として、3rdGeneration Partnership Project(3GPP)は最近、「5G NR」と称される5Gの新しい規格を発表した。3GPPは2018年、5G NRの標準化のための「Phase 1」を定義する「Release 15」を公開した。3GPPでは、5G周波数帯を、一般にサブ6GHzの周波数を含む「周波数範囲1」(FR1)および20~60GHzの範囲の周波数帯としての「周波数範囲2」(FR2)と定義する。本明細書に記載のアンテナシステムは、Release 15(2018)などの3GPPによって発表された規格、および/またはIMT-2020規格の下で「5G」を満たす、または認定することができる。
【0039】
[0047]高周波数での高速データ通信を実現するために、アンテナ素子およびアレイは、アンテナ性能を改善させることができる小さな特徴サイズ/間隔(例えば、ファインピッチ技術)を利用してもよい。例えば、特徴サイズ(アンテナ素子間の間隔、アンテナ素子の幅)などは、一般に、アンテナ素子が形成された基材誘電体を伝播する所望の送信および/または受信無線周波数の波長(「λ」)に依存する(例えば、nλ/4、ここでnは整数)。さらに、ビームフォーミングおよび/またはビームステアリングが、複数の周波数範囲またはチャネルにわたる送受信を容易にするために利用されてもよい(例えば、多入力多出力(MIMO)、マッシブMIMO)。
【0040】
[0048]高周波5Gアンテナ素子は、様々な構成を有することができる。例えば、5Gアンテナ素子は、共平面導波路素子、パッチアレイ(例えば、メッシュ-グリッドパッチアレイ)、他の好適な5Gアンテナ構成であってもよく、またはそれを含んでもよい。アンテナ素子は、MIMO、マッシブMIMO機能、ビームステアリングなどを提供するように構成されてもよい。本明細書で使用される「マッシブ」MIMO機能は、一般に、アンテナアレイによって多数の送信および受信チャネルを提供することを指し、例えば、8送信(Tx)および8受信(Rx)チャネル(8x8と略記する)である。マッシブMIMO機能は、8×8、12×12、16×16、32×32、64×64以上で提供されてもよい。アンテナ素子は、様々な構成および配置を有することができ、様々な製造技術を使用して成型部品上に製作することができる。一例として、アンテナ素子および/または関連素子(例えば、グランド素子、フィードラインなど)は、ファインピッチ技術を利用することができる。ファインピッチ技術は、一般に、その部品またはリード間の間隔が小さいか、または微細であることを指す。例えば、アンテナ素子間(またはアンテナ素子と接地面との間)の特徴寸法および/または間隔は、約1,500マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では1,250マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では750マイクロメートル以下(例えば、1.5mm以下の中心間間隔)、650マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では550マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では450マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では350マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では250マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では150マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では100マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では50マイクロメートル以下であってもよい。しかし、より小さいおよび/またはより大きい特徴サイズおよび/または間隔が利用されてもよいことを理解されたい。このような小さな特徴寸法の結果として、アンテナシステムは、小さなフットプリントで成型部品上の多数のアンテナ素子を用いて実現することができる。例えば、アンテナアレイは、1平方センチメートル当たり1,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり2,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり3,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり4,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり6,000個を超えるアンテナ素子、いくつかの実施形態では1平方センチメートル当たり約8,000個を超えるアンテナ素子の平均アンテナ素子密度を有することができる。アンテナ素子のそのような緻密な配置は、アンテナ領域の単位面積につきより多数のMIMO機能用チャネルを提供することができる。例えば、チャネルの数は、アンテナ素子の数に対応してもよい(例えば、アンテナ素子の数と等しいか、または比例する)。
III.テープ
[0049]積層構造に利用されるテープは、当技術分野で公知のように、様々な材料のいずれかから形成されてもよい。典型的に、テープは、フィルム、紙ウェブ、不織布ウェブ、発泡体などのベース基材を含む。基材は、約1μm~約500μm、いくつかの実施形態では約10μm~約300μm、いくつかの実施形態では約20~約100μmの厚さを有するなど、性質上比較的薄くてもよい。接着剤コーティングも、典型的に、成型部品に結合するためにテープの1つまたは複数の表面に配置される。例えば、基材は、第1の表面(例えば、上面)および反対側の第2の表面(例えば、下面)を画定してもよい。テープが複数の表面上に接着剤を含有するように、第1の接着剤コーティングが第1の表面上に配置され、第2の接着剤コーティングが第2の表面上に配置されてもよい。このように、テープは、成型部品と別の部品との互いの結合を助けることができる。
【0041】
[0050]接着剤コーティングの性質は、ホットメルト接着剤、感圧接着剤など、およびそれらの組合せなど、当業者に公知のように様々であってもよい。また、テープの異なる表面で使用される接着剤コーティングは、性質が同じであっても異なっていてもよい。それにも関わらず、テープ上の接着剤コーティングは、典型的に少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含有する。一実施形態では、例えば、エラストマー熱可塑性ポリマーを利用して、接着剤に「感圧」結合特性を与えることができる。そのようなエラストマーポリマーの例として、アクリレートおよび/またはメタクリレートポリマー、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム(例えば、ブチル、(イソ)ブチル、ニトリルまたはブタジエンゴム)、不飽和または一部もしくは完全に水素化されたポリジエンブロックから構成されるエラストマーブロックを有するスチレンブロックコポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(イソ)ブチレンなど)、ポリオレフィン(例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー)、フルオロポリマー、シリコーンなど、およびこのようなエラストマーの組合せを挙げることができる。厳密なポリマーに関わらず、熱可塑性エラストマーポリマーのガラス転移温度(Tg)が約-40℃~約10℃、いくつかの実施形態では約-30℃~約0℃、いくつかの実施形態では約-25℃~約-10℃であることが典型的に所望される。特定の一実施形態では、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーエラストマーを利用することができる(例えば、Nipol(商標)1401LG、Tg=-18℃)。また、エラストマー熱可塑性ポリマーに加えてまたはその代わりに、他の熱可塑性ポリマー、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリウレア、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど、およびこのようなポリマーの組合せを利用してもよい。
【0042】
[0051]ある特定の実施形態では、接着剤は、一般に室温(23℃)で固体であるが、ある特定の温度まで加熱した後に流動可能にすることができるという意味で「ホットメルト」接着剤であってもよい。このように、テープは、安定した非接着剤形態である間に成型部品および/または他の電子部品と接触させ、その後熱活性化して所望の程度の結合を開始させることができる。活性化温度は、例えば、約80℃~約250℃、いくつかの実施形態では約100℃~約220℃、いくつかの実施形態では約110℃~約210℃の範囲であってもよい。感圧ホットメルト接着剤の場合、適切な結合を保証するためにある程度の圧力も必要であり、例えば、約1~約500秒、いくつかの実施形態では約2~350秒、いくつかの実施形態では約5~約180秒の範囲の時間で約100~約5000kPa(約1~約50bar)、いくつかの実施形態では約200~約4000kPa(約2~約40bar)、いくつかの実施形態では約500~約3000kPa(約5~約30bar)である。
【0043】
[0052]このような接着剤の形成を助けるために、反応性樹脂が典型的に利用される。利用される場合、反応性樹脂は、一般に、接着剤コーティングに利用される熱可塑性ポリマー100重量部当たり約20~約800重量部、いくつかの実施形態では約50~約600重量部、いくつかの実施形態では約100~約500重量部の量で存在する。反応性樹脂は、同様に、接着剤コーティングの全固形分に対して約30wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約40wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約50wt.%~約85wt.%を構成してもよい。一方、熱可塑性ポリマーは、典型的に、接着剤コーティングの全固形分に対して約5wt.%~約70wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約60wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約50wt.%を構成する。
【0044】
[0053]好適な反応性樹脂として、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、クレゾールまたはノボラック樹脂、ポリスルフィド、アクリルポリマー(アクリルまたはメタクリル)など、およびそれらの組合せを挙げることができる。エポキシ樹脂は、接着剤コーティングの反応性樹脂として使用するために特に好適である。このような樹脂のエポキシ当量は、ASTM D1652-11e1に従って決定される、グラム当量当たり約100~約1,000、いくつかの実施形態では約120~約800、いくつかの実施形態では約150~約600グラムであってもよい。エポキシ樹脂はまた、典型的に、平均で分子当たり少なくとも約1.3個、いくつかの実施形態では約1.6~約8個、いくつかの実施形態では約3~約5個のエポキシド基を含有する。エポキシ樹脂はまた、典型的に、25℃の温度でASTM D445-15に従って決定される約1センチポアズ~約25センチポアズ、いくつかの実施形態では2センチポアズ~約20センチポアズ、いくつかの実施形態では約5センチポアズ~約15センチポアズなどの比較的低い動的粘度を有する。室温(25℃)では、エポキシ樹脂はまた、典型的に約50℃~約120℃、いくつかの実施形態では約60℃~約110℃、いくつかの実施形態では約70℃~約100℃の融点を有する固体または半固体材料である。エポキシ樹脂は、飽和または不飽和、直鎖または分岐状、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であってもよく、オキシランとの反応を実質的に妨げない置換基を有してもよい。好適なエポキシ樹脂として、例えば、エピクロロヒドリンと少なくとも1.5個の芳香族ヒドロキシル基を含有するヒドロキシル化合物を、任意にアルカリ性反応条件下で反応させることにより調製されるグリシジルエーテル(例えば、ジグリシジルエーテル)が挙げられる。多官能性化合物が特に好適である。例えば、エポキシ樹脂は、二価フェノールのジグリシジルエーテル、水素化二価フェノールのジグリシジルエーテル、三価フェノールのトリグリシジルエーテル、水素化三価フェノールのトリグリシジルエーテルなどであってもよい。二価フェノールのジグリシジルエーテルは、例えば、エピハロヒドリンと二価フェノールを反応させることにより形成されてもよい。好適な二価フェノールの例として、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」);2,2-ビス4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブタン;ビス(2-ヒドロキシ-l-ナフチル)メタン;1,5ジヒドロキシナフタレン;1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-アルキルフェニル)エタンなどが挙げられる。適切な二価フェノールは、フェノールとアルデヒド、例えばホルムアルデヒド)の反応から得ることもできる(「ビスフェノールF」)。このような多官能エポキシ樹脂の市販の例として、Hexionから名称862、828、826、825、1001、1002、1009、SU3、154、1031、1050、133および165で入手可能なEPON(商標)樹脂を挙げることができる。他の好適な多官能エポキシ樹脂は、Huntsmanから商品名Araldite(商標)で入手可能である(例えば、Araldite(商標)ECN1273およびAraldite(商標)ECN1299。
【0045】
[0054]接着剤コーティングは、任意に、先行技術で公知のようなさらなる添加剤および/または補助剤、例えば活性化剤、レオロジー調整剤、発泡剤、充填剤、可塑剤、架橋剤、難燃剤、UV安定剤、酸化防止剤、接着促進剤などを含んでもよい。活性化剤(または硬化剤)は、一般に、重合または架橋反応を開始もしくは加速することができる化合物、または反応性樹脂との反応パートナーとして参加することができる化合物である。例えば、アクリレートまたはメタクリレートに基づく反応性樹脂の場合、好適な活性化剤として、過酸化物、ヒドロペルオキシドおよびアゾ化合物などのフリーラジカル化合物を挙げることができる。エポキシドに基づく反応性樹脂の場合、好適な活性化剤として、アミン系、チオール系または酸性化合物、例えば脂肪族アミン(例えば、ジシアンジアミド)、芳香族アミン、変性アミン、ポリアミド樹脂、酸無水物、第二級アミン、メルカプタン(例えば、ポリメルカプタン)、ポリスルフィド、ジシアンジアミドおよび有機酸ヒドラジドを挙げることができる。
【0046】
[0055]接着剤コーティングを形成するために、様々な技術を利用することができる。一実施形態では、例えば、接着剤コーティングの構成成分(例えば、熱可塑性ポリマー、反応性樹脂および活性化剤)は、流動可能な状態に変換される。これは、構成成分を1種または複数の溶媒に溶解し、混合して均質な液体接着剤を得ることによって達成されてもよい。これは、任意に、熱および/またはせん断への曝露によって達成されてもよい。好適な溶媒は先行技術で公知であり、好ましく使用される溶媒は、成分の少なくとも1種が良好な溶解性を有するものである。特に好ましいものは、ブタノンまたはアセトンである。溶媒との接触後に得られる液体接着剤の全固形分は、典型的に、混合物の約5wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約20wt.%~約80wt.%、いくつかの実施形態では約40wt.%~約70wt.%の範囲である。あるいは、流動可能な状態は、特に成分が既に互いに可溶性または混和性である場合、溶媒を使用せずに達成されてもよい(任意に、熱および/またはせん断への曝露を伴う)。それが形成される様式に関わらず、流動可能な接着剤は、基材の表面と接触するように配置されてもよい。流動可能な接着剤を基材と接触させる技術には、コーティング、含浸、キャスティングなどが含まれてもよい。塗布後、接着剤は、加熱してあらゆる溶媒を除去するか、または温度上昇により流動可能にされた場合、接着剤を単に冷却させることにより固化することができる。所望される場合、接着剤コーティングはまた、未硬化状態での技術的な接着特性を改善し、圧力を加えた場合に基材から流れ出るのを防ぐために、高温で放射線または化学反応による予備架橋(または硬化)に供されてもよい。
III.応用
[0056]テープは、様々な方法で、例えば圧力、熱などの適用によって成型部品に結合され、積層構造を形成することができる。例えば、成型部品の表面をテープの接着剤コーティングに接触させることができる。接触後、成型部品とテープとは、1秒~10分などの時間にわたって圧縮圧力に供されてもよい。圧力の適用中および/または後に、積層体を高温で加熱して、接着剤コーティングの重合および/または架橋反応を開始させ、接着剤を硬化させることができる。硬化は、約100℃~約260℃、いくつかの実施形態では約120℃~約250℃、いくつかの実施形態では約150℃~約240℃(例えば、約230℃)の温度で行われてもよい。あるいは、硬化は、UV光または光フラッシュなどによる放射線誘導を介して達成されてもよい。
【0047】
[0057]上に示したように、テープは、任意に、基材の反対側の表面上に接着剤コーティングを含有してもよい。このように、積層構造が成型部品、テープおよび別個の部品を含有するように、一方の接着剤コーティング(例えば、第1の接着剤コーティング)を成型部品に結合させ、他方の接着剤コーティング(例えば、第2の接着剤コーティング)を別個の部品に結合させてもよい。そのような実施形態では、積層構造は、上述の様式で同時に一緒に結合されてもよく、または部品が連続ステップでテープに結合されてもよい。テープに結合された別個の部品の性質は、意図された用途に応じて変化してもよい。例えば、別個の部品は、ハウジング、カバー(例えば、アンテナカバー、バッテリカバーなど)、支持構造、光学デバイス、カメラ、スピーカなどの電子デバイスの一部であってもよい。電子デバイスは、例えば、デスクトップコンピューター、ポータブルコンピューター、手持ち電子デバイス、カメラモジュール、車載機器などであってもよい。好適なポータブル電子デバイスの例として、携帯電話、ラップトップコンピューター、小型ポータブルコンピューター(例えば、ウルトラポータブルコンピューター、ネットブックコンピューターおよびタブレットコンピューター)、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホンおよびイヤホンデバイス、無線通信機能付きメディアプレーヤー、手持ちコンピューター(パーソナルデジタルアシスタントと呼ぶこともある)、リモートコントローラー、グローバルポジショニングシステム(GPS)デバイス、手持ちゲームデバイスなどが挙げられる。
【0048】
[0058]例えば、
図1を参照すると、手持ち電子デバイスの一実施形態がより詳細に示される。デバイスは、プラスチック、金属、炭素繊維などの繊維複合材、ガラス、セラミック、他の材料、およびこれらの材料の組合せから形成され得るハウジング12を含む。ハウジング12は、ハウジング12が一体化された材料片から形成されるモノリシック構成を使用して形成されてもよいし、締結具、接着剤および他の装着機構を使用して互いに装着されるフレーム構造、ハウジング壁および他の部品から形成されてもよい。ポート26などのポートは、嵌合コネクタ(例えば、オーディオプラグ、データケーブルに関連するコネクタなど)を受容することができる。デバイス10はまた、ハウジング12に(例えば、ハウジング側壁に)取り付けられたボタン13、およびデバイス10の前面に(例えば、メニューボタンとして機能するように)取り付けられたボタン24などのボタンを含有してもよい。
【0049】
[0059]デバイス10はまた、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、電子インクディスプレイ、または他のディスプレイ技術を使用して実装されたディスプレイなどのディスプレイ14を含む。ディスプレイ14は、複数の層を含有してもよい。例えば、ディスプレイ14は、バックライトユニット、偏光子および複屈折フィルムなどの光学フィルム、タッチセンサーアレイ、薄膜トランジスタ層、およびカラーフィルターアレイ層を含有してもよい。それにも関わらず、ディスプレイ14の最外層は、これらのディスプレイ層(例えば、カラーフィルターアレイ層または偏光子層)のうちの1つから形成されてもよく、または保護カバー層から形成されてもよい。ディスプレイ14の保護カバー層は、例えば、透明なプラスチック板またはガラスの層(カバーガラス、カバーガラス層またはカバーガラス板と称されることもある)などの透明なカバー板から形成されてもよい。
図1に示される実施形態では、ディスプレイ14は、デバイス10の前面上に延びる最外層(例えば、カバーガラス層)を有する。ディスプレイ14の中央部分は、画像を形成するためのアクティブ画像ピクセルを含有してもよく、したがってディスプレイの「アクティブ領域」と称されることがある。ディスプレイ14の周囲部分は、アクティブ画像ピクセルを含有せず、したがってディスプレイの「非アクティブ領域」を形成すると言われることがある。
図1の例では、破線18は、内部の矩形のアクティブ領域16と周囲の非アクティブ領域20との間の境界を示す。非アクティブ領域20は、左、右、上および下縁領域によって形成される実質的に矩形のリング形状を有する。アクティブ領域16は、タッチセンサー電極、薄膜トランジスタアレイまたは他の画像ピクセルアレイなどに関連するトランジスタおよび相互接続ラインなどの導電構造を含有してもよい。
【0050】
[0060]アンテナはまた、典型的に、電子デバイス10内に位置する。導体がデバイス10内のアンテナの動作に影響を与えることがあるため、アクティブ領域16の直下以外の場所、例えば非アクティブ領域20の上縁部分28または非アクティブ領域20の下縁部分22の下にアンテナを位置させることが望ましい場合がある。アンテナはまた、非アクティブディスプレイ領域20の他の部分の背後に(例えば、アクティブ領域16の左または右に)形成されてもよい。アンテナが非アクティブディスプレイ領域20の下に位置する場合、アンテナ信号は、非アクティブ領域20(例えば、デバイス10の上端の上矩形領域28またはデバイス10の下端の下矩形領域22)を通して送受信されてもよく、ハウジング12内の導電側壁および導電平面後壁構造などの導電構造を通して伝達される必要がない。所望される場合、デバイス10は、他の平面誘電構造を含有してもよい。例えば、デバイス10の後面(すなわち、ディスプレイ14を含有する前面の反対側の面)は、平面誘電構造(例えば、ガラス板、セラミック板など)から形成されてもよい。アンテナは、この種類の後板の下に、または他の誘電デバイス構造の下に形成されてもよい。
【0051】
[0061]
図2は、上ハウジング12Aおよび下ハウジング12Bから形成される二部型ハウジングを有する、ポータブルコンピューターまたは他のデバイスとしての電子デバイス10の別の実施形態を示す。ハウジング12Aおよび12Bは、ヒンジ(例えば、下ハウジング12Bの上縁および上ハウジング12Aの下縁に沿って位置するヒンジ)を使用して互いに接続されてもよい。ヒンジは、上ハウジング12Aが、方向36で下ハウジング12Bに対して軸38を中心に回転することを可能にすることができる。デバイス10は、キーボード30およびトラックパッド32などの入出力部品を含むこともある。上ハウジング12Aは、非アクティブ領域20に囲まれたディスプレイ14を含んでもよく、これは、下にあるアクティブ画像ピクセル素子を有さないカバー層(例えば、ガラスカバー)の部分と関連付けられてもよい。上で考察され、
図1に示された実施形態と同様に、アンテナは、非アクティブディスプレイ部分20または
図2のデバイス10における他の平面誘電構造(例えば、ハウジング12の一部として形成されるガラス板などの誘電板など)の下に形成されてもよい。
【0052】
[0062]電子デバイスの特定の性質および構成に関わらず、上記で言及したアンテナ構造は、アンテナを所望の場所に確実に位置付けるのを助けるために、本発明の成型部品/テープの構成を利用することができる。この点で、このようなアンテナ構造は、その上に1つまたは複数のアンテナ素子が形成された成型部品と、カバー(例えば、ガラスカバー)またはハウジングなどの電子デバイスの別の部品とを一緒に結合するテープを含んでもよい。例えば、
図3を参照すると、このような構造の一実施形態がより詳細に示される。示されるように、デバイス10は、アンテナ構造46を含有し、このアンテナ構造は、成型部品、およびレーザー直接構造化などによってその上に形成された1つまたは複数の共振アンテナ素子を含む。アンテナ構造46は、アンテナ構造46と接触する第1の接着剤コーティング、および電子部品52と接触する第2の接着剤コーティングを含有するテープ76を使用して電子部品52の表面50に結合されている。所望される場合、任意のバイアスおよび/または支持構造78も利用することができる。支持構造は、例えば、硬質プラスチック、可撓性プラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの軟質プラスチック)、ガラス、セラミックなどから形成された誘電支持体を含んでもよい。支持構造は、アンテナ構造46をハウジング12(アンテナのグランド素子を形成する場合がある)から分離するスペーサとして機能する。バイアス構造は、発泡体、ゴム、または他の圧縮可能な物質の層、コイルばね、板ばね、他のばね構造などを含むことができる。そのような構造は、アンテナ構造46とハウジング12(またはハウジング12に取り付けられた構造)との間で圧縮され、ハウジング12(またはデバイス10内の他の下部構造)に対して方向82で下向きに押圧し、方向82で上向きに押圧する復元力を生成してもよい。方向80の上向き(外向き)の圧力は、アンテナ構造46をテープ76に対して押圧するのを促し、それにより下(内部)面50に対してアンテナ構造46を確実に装着するのを促す。
【0053】
[0063]当然ながら、本発明は、アンテナ素子が利用される実施形態に決して限定されないことを理解されたい。他の実施形態では、例えば、本発明の積層構造は、カメラモジュールに利用されてもよい。例えば、
図4を参照すると、ハウジング内に含有されるレンズモジュール120を含有するカメラモジュール100の一実施形態が示されており、レンズモジュール120は、レンズホルダ123に連結されたレンズバレル121を含有する。レンズバレル121は、物体を撮像するための複数のレンズが光軸方向1でその中に収容され得るように、中空円筒形状を有してもよい。レンズバレル121は、レンズホルダ123に設けられた中空の空洞に挿入することができ、レンズバレル121とレンズホルダ123とは、締結具(例えば、ネジ)、接着剤などによって互いに連結することができる。レンズバレル121を含むレンズモジュール120は、アクチュエータアセンブリ150によって光軸方向1で移動可能(例えば、オートフォーカスのために)であってもよい。例えば、図示の実施形態では、アクチュエータアセンブリ150は、レンズモジュール120を光軸方向1で移動させるように構成された磁性体151およびコイル153を含んでもよい。磁性体151は、レンズホルダ123の片側に取り付けられてもよく、コイル153は、磁性体151に面するように配置されてもよい。コイル153は、基材155に取り付けられてもよく、次いで、この基材は、コイル153が磁性体151に面するように、ハウジング130に取り付けられてもよい。アクチュエータアセンブリ150は、基材155に取り付けられ、制御入力信号に応じてアクチュエータアセンブリ150を駆動するための信号(例えば、電流)を出力する駆動デバイス160を含むことができる。アクチュエータアセンブリ150は、信号を受信して、レンズモジュール120を光軸方向1で移動させる駆動力を発生してもよい。また、所望される場合、光軸方向1におけるレンズモジュール120の移動距離を制限するために、ハウジング130にストッパー140が取り付けられてもよい。さらに、シールドケース110(例えば、金属)をハウジング130に連結してハウジング130の外面を囲み、それによりカメラモジュール100の駆動中に発生する電磁波を遮断することもできる。所望される場合、ボールベアリング170は、アクチュエータアセンブリ150のガイドユニットとして作用することができる。より詳細には、ボールベアリング170は、レンズホルダ123の外面およびハウジング130の内面に接触して、レンズモジュール120の光軸方向1での移動をガイドしてもよい。すなわち、ボールベアリング170は、レンズホルダ123とハウジング130との間に配置され、転がり運動によりレンズモジュール120の光軸方向での移動をガイドしてもよい。
【0054】
[0064]本発明の積層構造は、カメラモジュール100の様々なパーツのいずれかに利用することができる。一実施形態では、例えば、ハウジング130を上述の成型部品から形成してもよく、テープを使用してハウジング130をシールドケース110に結合してもよい。あるいは、基材155を上述の成型部品から形成してもよく、テープを使用して基材155を駆動デバイス160に結合してもよい。
【0055】
[0065]本発明は、以下の実施例を参照することによってより良好に理解することができる。
試験方法
[0066]剥離強度およびピーク強度:剥離強度およびピーク強度は、検体を180°の角度で剥離するのに必要な強度を試験するASTM D3167-10(2017)に従って決定されてもよい(例えば、Testworks 4ソフトウェアを使用してInstru-met/MTS Insight Renewによって)。試験速度は、毎分15.24cm(6インチ)であり、剥離強度値は、1.27~11.43cm(0.5~4.5インチ)の間の距離について決定することができる。「剥離強度」は、上述の剥離距離にわたる試料の平均剥離強度であり、「ピーク強度」は、上述の剥離距離にわたって観察されるピーク剥離強度である。試験積層構造は、射出成型試料(20.32cm×5.08cm×1.27cm)(8インチ×2インチ×0.5インチ)を接着テープに結合させることによって調製することができる。接着テープは、例えば、tesa SEから市販のフェノール樹脂およびニトリルゴムに基づく反応性熱活性化フィルムであるHAF(登録商標)58473であってもよい。成型試料をテープに結合するために、テープを最初に成型試料上に置き、110℃および500kPa(5bar)で10秒間押し付け合い、プレ積層構造を形成する。プレ積層構造は、180℃および1000kPa(10bar)でさらに180秒間押圧され、その後最終的に230℃で60分間硬化される。
【0056】
[0067]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して、せん断速度1,000s-1および溶融温度(例えば、約335℃)より15℃高い温度でISO試験No.11443:2014に従って決定されてもよい。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°であった。バレルの直径は9.55mm+0.005mmであり、ロッドの長さは233.4mmであった。
【0057】
[0068]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で公知のように、示差走査熱量測定(「DSC」)により決定することができる。溶融温度は、ISO試験No.11357-2:2020によって決定される示差走査熱量測定(DSC)ピーク溶融温度である。DSC手順では、TA Q2000 Instrumentで実施されるDSC測定を使用して、ISO規格10350に記載のように、試料を毎分20℃で加熱および冷却した。
【0058】
[0069]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重たわみ温度は、ISO試験No.75-2:2013(ASTM D648-07と技術的に同等)に従って決定することができる。より詳細には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmを有する試験片試料を、規定荷重(最大外繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ3点曲げ試験に供してもよい。検体は、0.25mm(ISO試験No.75-2:2013では0.32mm)たわむまで、毎分2℃で温度が上昇するシリコーン油浴中に下げてもよい。
【0059】
[0070]引張弾性率、引張応力および引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527:2019(ASTM D638-14と技術的に同等)に従って試験することができる。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mmおよび幅4mmを有する同一の試験片試料に対して行われてもよい。試験温度は約23℃であってもよく、試験速度は1または5mm/分であってもよい。
【0060】
[0071]曲げ弾性率、曲げ応力および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験No.178:2019(ASTM D790-10と技術的に同等)に従って試験することができる。この試験は、64mmの支持スパンで実施することができる。試験は、切断されていないISO 3167多目的バーの中央部分で実行されてもよい。試験温度は約23℃であってもよく、試験速度は2mm/分であってもよい。
【0061】
[0072]ノッチ無しおよびノッチ付きシャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1:2010)(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等)に従って試験することができる。この試験は、タイプ1の検体サイズ(長さ80mm、幅10mmおよび厚さ4mm)を使用して実行することができる。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチはタイプAノッチ(底半径0.25mm)であってもよい。検体は、一枚歯フライス盤を使用して多目的バーの中心から切り出すことができる。試験温度は、約23℃であってもよい。
【0062】
実施例1
[0073]試料1~5を、液晶ポリマー(LCP1)、銅クロマイト(CuCr2O4)、相溶化剤(エチレン、ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートから形成されるエポキシ官能化オレフィンターポリマーであるElvaloy(登録商標)PTW)、珪灰石繊維(Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)、ピロリン酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび滑剤(Glycolub(登録商標)P)の様々な組合せから形成する。LCP1は、60%のHBA、5%のHNA、17.5%のTA、12.5%のBP、および5%のAPAPから形成する。配合は、32mm二軸押出機を使用して行った。パーツは、ISO規格のバーおよびプラーク(20.32cm×5.08cm×1.27cm)(8インチ×2インチ×0.5インチ)に射出成型する。
【0063】
【0064】
[0074]試料1~5を、熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表2に示す。
【0065】
【0066】
実施例2
[0075]試料6~10を、液晶ポリマー(LCP1およびLCP2)、銅クロマイト(CuCr2O4)、相溶化剤(エチレン、ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートから形成されるエポキシ官能化オレフィンターポリマーであるElvaloy(登録商標)PTW)、珪灰石繊維(Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)、ピロリン酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび滑剤(Glycolub(登録商標)P)の様々な組合せから形成する。LCP1は、60%のHBA、5%のHNA、17.5%のTA、12.5%のBP、および5%のAPAPから形成する。LCP2は、79.7%のHBA、20%のHNAおよび0.7%のTAから形成する。配合は、32mm二軸押出機を使用して行った。パーツは、ISO規格のバーおよびプラーク(20.32cm×5.08cm×1.27cm)(8インチ×2インチ×0.5インチ)に射出成型する。
【0067】
【0068】
[0076]試料6~10を、熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表4に示す。
【0069】
【0070】
実施例3
[0077]試料11~14を、液晶ポリマー(LCP1、LCP2およびLCP3)、銅クロマイト(CuCr2O4)、相溶化剤(エチレン、ブチルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートから形成されるエポキシ官能化オレフィンターポリマーであるElvaloy(登録商標)PTW)、珪灰石繊維(Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)、硫酸バリウムおよび滑剤(Glycolub(登録商標)P)の様々な組合せから形成する。LCP1は、60%のHBA、5%のHNA、17.5%のTA、12.5%のBPおよび5%のAPAPから形成する。LCP2は、79.7%のHBA、20%のHNAおよび0.7%のTAから形成する。LCP3は、43%のHBA、20%のNDA、9%のTAおよび28%のHQから形成する。配合は、32mm二軸押出機を使用して行った。パーツは、ISO規格のバーおよびプラーク(20.32cm×5.08cm×1.27cm)(8インチ×2インチ×0.5インチ)に射出成型する。
【0071】
【0072】
[0078]試料11~14を、熱的および機械的特性について試験した。結果を以下の表6に示す。
【0073】
【0074】
[0079]本発明のこれらおよび他の修正および変形は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって実践されてもよい。加えて、様々な実施形態の態様は、全体または一部の両方で交換可能であることを理解されたい。さらに、当業者であれば、前述の説明は例示のためだけのものであり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されるように本発明を制限することを意図するものではないことを理解する。
【国際調査報告】