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特表2023-546917移動している繊維含有構造物の欠陥検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】移動している繊維含有構造物の欠陥検出
(51)【国際特許分類】
   D06H 3/08 20060101AFI20231031BHJP
   B65H 63/06 20060101ALI20231031BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20231031BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
D06H3/08
B65H63/06 Z
G01B11/08 H
G01B11/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524317
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 US2021055938
(87)【国際公開番号】W WO2022087193
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/094,481
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513206153
【氏名又は名称】クラレ・アメリカ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100224591
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 征志
(72)【発明者】
【氏名】コフィー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イワンスキー,マイケル
【テーマコード(参考)】
2F065
3B154
3F115
【Fターム(参考)】
2F065AA26
2F065AA49
2F065BB12
2F065FF04
2F065FF44
2F065HH14
2F065JJ05
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM15
2F065MM25
2F065QQ13
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065RR08
3B154AB03
3B154AB14
3B154BA53
3B154BB18
3B154BB47
3B154BB76
3B154BC42
3B154BF16
3B154CA09
3B154CA13
3B154CA16
3B154DA21
3F115AA01
3F115CA44
3F115CC08
3F115CC24
(57)【要約】
本明細書では直線移動中の繊維含有構造物の断面直径を測定できる投光器(115)および受光器(130)を含む少なくとも1つの欠陥検出器を用いて繊維含有構造物(110)の欠陥を検出する方法および装置(100)を開示する。前記断面直径は、投光器で透過した総光量(140)に対する受光器で検出された光量135の減少量に基づいて算出される。また本明細書ではその欠陥検出方法にかけられた繊維含有構造物を開示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維含有構造物を直線的に少なくとも1つの欠陥検出器を通過させること、
前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を前記欠陥検出器で測定して前記繊維含有構造物の直径対長さの少なくとも1つの直径信号を得ること、
任意選択で前記直径信号を信号処理して少なくとも1つの信号処理された直径信号を得ること、および
前記直径信号、前記信号処理された直径信号またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の前記長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を発生させることを含み、
前記欠陥検出器は、投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する前記受光器で検出された光量の減少量に基づいて前記断面直径を算出することによって前記繊維含有構造物の前記断面直径を測定し、
前記欠陥検出器の少なくとも1つは、前記繊維含有構造物を形成するように構成された押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された編組機、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された張力アセンブリ、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された仕上げアプリケータ、前記繊維含有構造物を延伸するように構成されたゴデットロールアセンブリ、前記繊維含有構造物をボビンに巻回するように構成された巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせと直列に位置している、方法。
【請求項2】
押出工程により前記繊維含有構造物を形成することをさらに含み、前記欠陥検出器の少なくとも1つは前記押出装置と直列に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
編組工程により前記繊維含有構造物を形成することをさらに含み、前記欠陥検出器の少なくとも1つは前記編組機と直列に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
編組工程により前記繊維含有構造物を形成することをさらに含み、
欠陥検出器アレイは、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器アレイを直線的に通過するように前記編組機と直列に位置しており、
前記欠陥検出器アレイは、直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも2つを含み、
前記欠陥検出器の前記少なくとも2つは、前記欠陥検出器の前記少なくとも2つによって前記繊維含有構造物のさまざまなシルエット画像が検出されるように、検出器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、
前記検出器オフセット角度は1°~360°未満の範囲に及ぶ、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記欠陥検出器アレイは、直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも3つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記欠陥検出器は、前記繊維含有構造物に光を透過させるための2つの投光器と、前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを含み、
前記2つの投光器は、前記繊維含有構造物の表面Aに光Aを透過させるための投光器Aと、前記繊維含有構造物の表面Bに光Bを透過させるための投光器Bとを含み、
前記2つの受光器は、前記繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、前記繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを含み、
前記投光器Aは前記受光器Aと光学的に位置合わせされ、前記投光器Bは前記受光器Bと光学的に位置合わせされ、
前記投光器Aと前記投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記受光器Aと前記受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、
前記投光器オフセット角度と前記受光器オフセット角度は5°~175°の範囲に及ぶ、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記欠陥検出器は、前記繊維含有構造物の少なくとも2つの断面直径を測定するように構成された、前記少なくとも2つの断面直径間のオフセット角度が5°~175°の範囲に及ぶような多軸欠陥検出器である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維含有構造物の表面を、少なくとも1つの撮像検出器で撮像することをさらに含み、
前記撮像検出器は撮像光で前記繊維含有構造物を照らし、撮像受信機で該表面の反射像を受像することによって該表面を撮像し、
前記撮像検出器の少なくとも1つは、前記押出装置、前記編組機、前記張力アセンブリ、前記仕上げアプリケータ、前記ゴデットロールアセンブリ、前記巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせと直列に位置している、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの表面欠陥信号は、大きさ表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの大きさ表面欠陥数信号を含み、
前記大きさ表面欠陥数信号は、前記直径信号と、最大断面直径対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、
前記直径信号の大きさが、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記最大断面直径以下であるときゼロの大きさ表面欠陥数が発生し、
前記直径信号の前記大きさが、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記最大断面直径より大きいときゼロより大きい大きさ表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい大きさ表面欠陥数は、前記直径信号の前記大きさが前記最大断面直径に対して上回るパーセンテージに対応する正の整数である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの表面欠陥信号は、傾斜表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記
長さの傾斜表面欠陥数信号を含み、
前記傾斜表面欠陥数信号は、前記信号処理された直径信号と、前記直径信号の最大1次微分値対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで前記信号処理された直径信号は、前記直径信号を信号処理して前記直径信号の1次微分を得ることによって得られ、
前記直径信号の前記1次微分の絶対値が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記直径信号の前記最大1次微分値以下であるときゼロの傾斜表面欠陥数が発生し、
前記直径信号の前記1次微分の前記絶対値が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記直径信号の前記最大1次微分値より大きいとき、ゼロより大きい傾斜表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい傾斜表面欠陥数は、前記直径信号の前記最大1次微分値より大きい前記直径信号の前記1次微分の前記絶対値のパーセンテージに対応する正の整数である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの表面欠陥信号は、曲率表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの曲率表面欠陥数信号を含み、
前記曲率表面欠陥数信号は、前記信号処理された直径信号と、前記直径信号の最大2次微分値対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで前記信号処理された直径信号は、前記直径信号を信号処理して前記直径信号の2次微分を得ることによって得られ、
前記直径信号の前記2次微分の絶対値が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記直径信号の前記最大2次微分値以下であるとき、ゼロの曲率表面欠陥数が発生し、
前記直径信号の前記2次微分の前記絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記直径信号の前記最大2次微分値より大きいとき、ゼロより大きい前記曲率表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい曲率表面欠陥数は、前記直径信号の前記最大2次微分値より大きい前記直径信号の前記2次微分の前記絶対値のパーセンテージに対応する正の整数である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの速度計を用いて、前記繊維含有構造物の線形速度を測定することをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記表面欠陥信号に基づいて、前記押出装置、前記編組機、前記張力アセンブリ、前記仕上げアプリケータ、前記ゴデットロールアセンブリ、前記巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせの動作を変更することをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(A)繊維含有構造物を形成するように構成された押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された編組機、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された張力アセンブリ、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された仕上げアプリケータ、前記繊維含有構造物を延伸するように構成されたゴデットロールセンブリ、前記繊維含有構造物をボビンに巻き取るように構成された巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせ、
(B)投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する前記受光器で検出された光量の減少量に基づいて前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を算出することによって、前記断面直径を測定するように構成された欠陥検出器、および
(C)前記欠陥検出器から得られた少なくとも1つの直径信号、任意選択で少なくとも1つの信号処理された直径信号、またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を得るように構成され、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器を直線的に通過している間に前記欠陥検出器が前記少なくとも1つの断面直径を測定するプロセッサを含む、装置。
【請求項15】
前記欠陥検出器の少なくとも1つは前記押出装置と直列に位置している、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記欠陥検出器の少なくとも1つは前記編組機と直列に位置している、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記編組機と直列に位置している欠陥検出器アレイを含み、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器アレイを直線的に通過し、
前記欠陥検出器アレイは、直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも2つを含み、
前記欠陥検出器の前記少なくとも2つは、検出器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記繊維含有構造物のさまざまなシルエット画像は、前記欠陥検出器の前記少なくとも2つによって検出され、
前記検出器オフセット角度は1°~360°未満の範囲に及ぶ、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記欠陥検出器アレイは、直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも3つを含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記欠陥検出器は前記繊維含有構造物に光を透過させるための2つの投光器と、前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを含み、
前記2つの投光器は光Aを前記繊維含有構造物の表面Aに透過させるための投光器Aと、光Bを前記繊維含有構造物の表面Bに透過させるための投光器Bとを含み、
前記2つの受光器は、前記繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、前記繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを含み、
前記投光器Aは前記受光器Aと光学的に位置合わせされ、前記投光器Bは前記受光器Bと光学的に位置合わせされ、
前記投光器Aと前記投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記受光器Aと前記受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、
前記投光器オフセット角度と前記受光器オフセット角度は5°~175°の範囲に及ぶ、請求項14~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記欠陥検出器の少なくとも1つは、前記張力アセンブリ、もしくは前記仕上げアプリケータ、もしくは前記ゴデットロールアセンブリ、もしくは巻き取りアセンブリ、もしくは少なくとも1つのローラー、またはそれらの任意の組み合わせと直列に位置している、請求項14~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記繊維含有構造物の線形速度を測定するように構成された速度計をさらに含む、請求項14~20のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般に材料技術に関し、より具体的には、糸条ライン、編組ライン、ワイヤレイ構造物などの繊維含有構造物の準備、加工、検出に関する。より詳細には、本願は、直線運動している繊維含有構造物の欠陥のリアルタイム検出および特徴付けのための方法ならびに装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
糸条ライン(例えば、マルチフィラメント糸)、編組ライン(例えば、編組糸、編組芯鞘構造物など)およびワイヤレイ構造物(例えば、ワイヤレイロープ)などの繊維含有構造物を製造または加工する場合、例えばフィラメント切れや不純物の存在により欠陥が発生することがある。
【0003】
フィラメント切れは、例えば、繊維含有構造物の張力、曲げ、または捩じれによって発生し得る。インライン加工中の繊維含有構造物の表面にフィラメント切れが存在する場合、こうしたフィラメント切れは繊維含有構造物を弱め、また繊維含有構造物に沿ってさまざまな場所で分離し、その後再付着してさらなる欠陥につながる可能性がある。破断繊維は、元のフィラメントに付着しているまたはから分離しているに関わらず、その後のインライン加工で形状が変化し、寸法が大きくなることがある。
【0004】
繊維含有構造物に関する欠陥の用語は、関連技術において大きく異なり得るが、フィラメント切れおよび不純物に起因する欠陥は、一般に2つのカテゴリーに含まれる。第1のカテゴリーは、繊維含有構造物の表面から枝状の構造として外側に広がる、フィラメント切れ(単一フィラメントまたはフィラメントの群)に関し、これは大抵「毛羽立ち」または「剥離」欠陥と呼ばれる。第2のカテゴリーは、繊維含有構造物の表面に付着し、インライン加工時に大抵「毛玉」または「スラブ」欠陥と呼ばれる台状の構造に成長する傾向がある、破断(分離)繊維または他の不純物に関する。
【0005】
上記のような欠陥は、繊維含有構造物の強度や実用性に悪影響を及ぼす可能性があるため、市販の製品は一般的に検査され、大抵欠陥の量や濃度に基づき評価される。繊維含有構造物の評価方法は、顕微鏡などの拡大装置を用いて人によって行われることが多いが、手作業での検査は面倒な過程であり、大量生産には不向きである。さらに、人による検査に伴う限界に起因して、繊維含有構造物の高速製造または加工時に、人による検査で欠陥の発生を低減または除去するためのリアルタイム修正介入が行われることはめったにない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、製造または加工時の直線運動している繊維含有構造物の欠陥を確実に検出する方法および装置を発見する必要性が存在することを認識している。同様に、欠陥の区別と特徴付けを可能にする、または欠陥の発生を低減するために繊維含有構造物の製造もしくは加工を変更もしくは終了するこうした方法および装置に対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の開示では直線運動している繊維含有構造物の欠陥をリアルタイムで検出するための方法および装置、ならびにこれらの方法および装置を用いて得られる繊維含有構造物を説明する。
【0008】
本開示の実施形態は、この技術分野における通常の技能を有する者がそれらを製造し使用できるように本明細書に記載されており、以下を含む。
(1)1つの態様は、繊維含有構造物を少なくとも1つの欠陥検出器に直線的に通過させ、前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を前記欠陥検出器で測定して前記繊維含有構造物の直径対長さの少なくとも1つの直径信号を得、任意選択で前記直径信号を信号処理して少なくとも1つの信号処理された直径信号を得、前記直径信号、前記信号処理された直径信号またはそれらの組み合わせを少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の前記長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を発生させることによって、繊維含有構造物の欠陥を検出する方法であって、
(a)前記欠陥検出器は、投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する受光器で検出された光量の減少量に基づいて該断面直径を算出することによって前記繊維含有構造物の前記断面直径を測定し、(b)前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記繊維含有構造物を形成するように構成された押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された編組機(braiding machine)、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された張力アセンブリ(tensioning assembly)、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された仕上げアプリケータ(finish applicator)、前記繊維含有構造物を延伸するように構成されたゴデットロールアセンブリ(godet roll assembly)、前記繊維含有構造物をボビンに巻回するように構成された巻き取りアセンブリ(winding assembly)、またはそれらの組み合わせと直列に位置している、方法に関する;
(2) 別の態様は、上述の方法(1)を行うことによって得られる欠陥が検出された繊維含有構造物に関する;および
(3) 別の態様は、(A)繊維含有構造物を形成するように構成された押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された編組機、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された張力アセンブリ、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された仕上げアプリケータ、前記繊維含有構造物を延伸するように構成されたゴデットロールアセンブリ、前記繊維含有構造物をボビンに巻回するように構成された巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせ、(B)投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する前記受光器で検出された光量の減少量に基づいて当該断面直径を算出することによって、前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を測定するように構成された欠陥検出器;および(C)前記欠陥検出器から得られた少なくとも1つの直径信号、任意選択で少なくとも1つの信号処理された直径信号、またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を得るプロセッサを含み、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器を直線的に通過している間に前記欠陥検出器が前記少なくとも1つの断面直径を測定する、繊維含有構造物の欠陥を検出するための装置に関する。
【0009】
本開示の追加の目的、利点および他の特徴は、一部は以下の説明で述べられ、一部は以下の検討により当業者に明らかになる、または本開示の実施から知ることができる。本開示は、以下に具体的に説明されるものとは異なる他の実施形態を包含し、本明細書の詳細は、本開示から逸脱することなくさまざまな点で変更が可能である。この点について、本明細書の説明は、本質的に例示的なものとして理解され、制限的なものとして理解されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施形態を以下に示す図を考慮して以下の明細書で説明する。
図1A図1Aは、複数のフィラメントまたはフィラメント含有ストランドで形成された非撚り、非編組の糸条ラインを示す。
図1B図1Bは、共に編組された複数のフィラメントまたはフィラメント含有ストランドで形成された編組繊維含有構造物を示す。
図1C図1Cは、共に編組された複数のフィラメントまたはフィラメント含有ストランドで形成された鞘によって囲まれたフィラメントまたはフィラメント含有ストランドの芯を含む芯鞘繊維含有構造物を示す。
図1D図1Dは、同じ方向にワイヤを撚った複数のフィラメントまたはフィラメント含有ストランドで形成されたワイヤを撚ったカバーで囲まれたフィラメントまたはフィラメント含有ストランドの芯を含むワイヤレイ繊維含有構造物を示す。
図2A図2Aは、フィラメント切れによって生じた「毛羽立ち」または「剥離」の形態の欠陥を有する繊維含有構造物を示す。
図2B図2Bは、繊維含有構造物の表面に付着した不純物によって生じた小さな「ピル」または「スラブ」の形態の欠陥を有する繊維含有構造物を示す。
図2C図2Cは、繊維含有構造物の表面に付着した不純物の蓄積によって生じた細長い「ピル」または「スラブ」の形態の欠陥を有する繊維含有構造物を示す。
図3図3は、繊維含有構造物の断面直径を検出し測定するように構成された欠陥検出器を示す。
図4A図4Aは、帯状の平行光が投光スリットを通過している欠陥検出器の投光スリットを示す。
図4B図4Bは、部分的に遮断された平行光が受光スリットを通過している欠陥検出器の受光スリットを示す。
図5A図5Aは、欠陥検出器を直線的に通過している繊維含有構造物の欠陥のない部分によって平行光が部分的に遮断された欠陥検出器の受光スリットを示す。
図5B図5Bは、欠陥検出器を直線的に通過している繊維含有構造物の欠陥含有部分によって平行光が部分的に遮断された欠陥検出器の受光スリットを示す。
図6A図6Aは、フィラメント切れによって生じた剥離欠陥を有する移動している繊維含有構造物を示し、一定間隔で発生する繊維含有構造物の断面測定の位置を示している。
図6B図6Bは、付着した不純物によって生じた小さなスラブ欠陥を有する移動している繊維含有構造物を示し、一定間隔で発生する繊維含有構造物の断面測定の位置を示している。
図6C図6Cは、蓄積された不純物によって生じた細長いスラブ欠陥を有する移動している繊維含有構造物を示し、一定間隔で発生する繊維含有構造物の断面測定の位置を示している。
図7図7は、繊維含有構造物を製造または加工するための装置を示す。
図8図8は、繊維含有構造物を編組して検出するための装置を示す。
図9図9は、欠陥検出器アレイを通過して直線的に移動している繊維含有構造物に対して直列に位置している2つの2軸欠陥検出器を備える欠陥検出器アレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、移動している繊維含有構造物の欠陥を検出するためのさまざまな方法、欠陥検出方法を行うための装置、および本明細書に記載の欠陥検出方法を行うことによって得られる欠陥検出された繊維含有構造物を含む。本開示の欠陥検出方法の特定の非限定的な用途も、本明細書に記載される。
【0012】
特に明記しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、関連する技術分野における通常の技術者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。抵触する場合は、定義を含めて本明細書が優先する。
【0013】
特に明記しない限り、すべてのパーセンテージ、部、比などは重量による。
【0014】
量、濃度、または他の値もしくはパラメータが範囲、または上限値と下限値のリストとして与えられる場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限値と下限値の任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示しているものとして理解するものとする。数値の範囲が本明細書に記載されている場合、特に明記しない限り、その範囲はその端点、およびその範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図している。本開示の範囲は、範囲を定義する際に記載された特定の値に限定されることを意図していない。
【0015】
本明細書におけるさまざまな要素および成分を説明するための「a」または「an」の使用は、単に便宜上、および本開示の一般的な意味を与えるためである。本説明は、別段の意図があることが明らかでない限り、1つまたは少なくとも1つを含むように解釈すべきであり、単数形は複数形も含む。
【0016】
明示的に反対の記載がない限り、「または」並びに「および/または」は、包括的なものを指し、排他的なものを指すものではない。例えば、条件AもしくはB、或いはAおよび/またはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真実である(または存在する)、かつBが虚偽である(または存在しない)、Aが虚偽である(または存在しない)、かつBが真実である(または存在する)、AおよびBの両方が真実である(または存在する)。
【0017】
本明細書で使用する用語「約」および「近似」は、基準量または値とほぼ同じであることを指し、一定量または値の±5%を包含すると理解すべきである。
【0018】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、特に定義されない限り、使用される文脈における通常の技術者によって理解されるように、すべてまたはほとんどすべてまたは大部分を意味する。産業規模や商業規模の状況で通常発生するであろう100%からのある合理的な差異を考慮することを意図している。
【0019】
本明細書全体を通して、特に定義および説明がない限り、関連する測定値を決定するために採用される技術用語および方法は、2014年10月に発行された、ASTM D855/D885M - 10A (2014), Standard Test Methods for Tire Cords, Tire Cord Fabrics, and Industrial Filament Yarns Made From Man-made Organic-base Fibersの記述に準拠する。
【0020】
便宜上、本明細書に開示されたさまざまな実施形態の多くの要素は、別々に考察される。選択肢のリストが提供され、数値が範囲になっている場合もあるが、本開示は、別々に説明されたリストおよび範囲に限定されると考えるべきではない。別段の記載がない限り、本開示内で可能な1つ1つの組み合わせは、あらゆる目的のために明示的に開示されたものとみなされるべきである。
【0021】
本明細書の材料、方法、および実施例は、例示的なものであり、明確に記載されている場合を除き、限定することを意図していない。本明細書に記載されたものと類似または同等の方法および材料も、本開示の実施に使用できる。
【0022】
<移動している繊維含有構造物の欠陥の検出方法>
本明細書では、直線運動している繊維含有構造物の欠陥の検出方法を開示する。「繊維含有構造物」という用語は、繊維および/またはフィラメントで形成された任意のコード状構造物、例えば糸条ライン(threadline)、編組ライン(braidline)、ワイヤレイおよび芯鞘構造物を含む。
【0023】
図1A~1Dは、本開示の方法で使用され得る繊維含有構造物の例を示す。
【0024】
図1Aは、非撚り、非編組束として配置された複数のフィラメント(またはフィラメント含有ストランド)10を含む糸条ラインコード5の一例を示す。図1Bは、中心の芯がない編組束として配列された複数のフィラメント(またはフィラメント含有ストランド)20を含む編組ラインコード15の例を示す。図1Cは、フィラメント(またはフィラメント含有ストランド)で形成された芯35を取り囲む、複数の編組フィラメント(または編組フィラメント含有ストランド)32で形成された編組鞘30を含む芯鞘構造を有する編組コード25の例を示す。図1Dは、フィラメント(またはフィラメント含有ストランド)で形成された芯55を取り囲む、複数の編組フィラメント(または編組フィラメント含有ストランド)50で形成されたワイヤレイの鞘45を含む芯鞘構造を有するワイヤレイ繊維含有構造物40を示す。
【0025】
上記で説明したように、例えば損傷したフィラメントまたは繊維含有構造物に付着し得る不純物に起因して、繊維含有構造物を製造または加工する際に特定の欠陥が発生することがある。
【0026】
図2Aは、フィラメント切れによって生じた「毛羽立ち」または「剥離」の形態の欠陥65を有する一般的な繊維含有構造物60を示す。フィラメント切れは、例えば、繊維含有構造物の引張り、曲げ、捩じれによって発生することがある。典型的には、切れたフィラメントは、加工中直線運動している繊維含有構造物60の進行方向75に対して外側に鋭角70に伸びる。しかし、時には、切れたフィラメントは、繊維含有構造物の進行方向に対して外側に鈍角に伸びる場合がある。場合によっては、切れたフィラメントは、進行方向に対して外側に鈍角に伸びる前縁枝67(図5Aおよび5Bに示す)と、外側に鋭角に伸びる後縁枝65(図2Aに示す)を含む2つの枝状構造を含み得る。
【0027】
図2Bは、繊維含有構造物80の表面に付着した不純物によって生じた「ピル」または「スラブ」の形態の欠陥85を有する一般的な繊維含有構造物80を示す。図2Bの例は、「ピル」または「スラブ」の付着点87が「ピル」または「スラブ」の全体の寸法と比較して比較的小さな面積を占める、小さな(最近導入された)不純物を示している。
【0028】
図2Cは、繊維含有構造物90の表面に付着した不純物の蓄積または成形によって生じた細長いまたは拡大した「ピル」または「スラブ」の形態の欠陥95を有する一般的な繊維含有構造物90を示す。図2Cの例は、「ピル」または「スラブ」の付着点97が「ピル」または「スラブ」の全体の大きさと比較して比較的大きな面積を占める細長いまたは拡大した不純物を示している。
【0029】
本開示の欠陥検出方法は、移動している繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を測定するように構成された欠陥検出器を使用する。
【0030】
こうした方法は、(1)繊維含有構造物を少なくとも1つの欠陥検出器に直線的に通過させるステップ、(2)欠陥検出器で繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を測定して少なくとも1つの繊維含有構造物の直径対長さの直径信号を得るステップ、(3)任意選択で直径信号を信号処理して少なくとも1つの信号処理された直径信号を得るステップ、および(4)直径信号、信号処理された直径信号またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して表面欠陥出力対繊維含有構造物の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を生成するステップを含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、欠陥検出器は、投光器で繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、投光器で透過した総光量に対する受光器で検出された光量の減少量に基づいて、該断面直径を算出することによって繊維含有構造物の断面直径を測定する。
【0032】
図3は、繊維含有構造物110のシルエット画像105を検出することによって、直線運動している繊維含有構造物の断面直径を測定するように構成された欠陥検出器100の一実施例を示す図である。この実施形態において欠陥検出器100は、光源120およびレンズ125を含む投光器115並びにシルエット画像105を検出するための受光器130を含む。繊維含有構造物110の断面直径は、投光器で透過した総光量140に対する、受光器で検出された光量135の減少量に基づいて算出される。受光器130は、(i)任意選択で直径信号145の信号処理を行って信号処理された直径信号を得、(ii)直径信号145、任意選択で信号処理された直径信号、またはそれらの組み合わせを少なくとも1つの基準信号155と比較して、表面欠陥出力対繊維含有構造物110の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号160を発生するように構成されたプロセッサ150に送られる直径信号145を生成する。図3の実施形態では、受光器130は、アクティブピクセルセンサ165を含む。
【0033】
関連技術で知られているさまざまな投光器および光検出器を本開示の欠陥検出器に使用できる。例えば、投光器としてはレーザーダイオードおよび/または発光ダイオードを挙げることができ、受光器としてはアクティブピクセルセンサを挙げることができる。本開示の光検出器に使用されるアクティブピクセルセンサとしては、フォトダイオードイメージセンサ、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサ、またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0034】
本開示の方法は、直線運動している繊維含有構造物のシルエット画像を検出できる市販の装置を使用できる。例えば、Toriiらによる米国特許出願公開第2010/0271638号明細書に記載されている透過型寸法測定装置は、本開示の方法および装置における欠陥検出器として使用できる。
【0035】
また本開示の方法は、直線運動している繊維含有構造物の表面を撮像できる、関連技術において既知のさまざまな種類の検出器を使用できる。例えば、検出方法は、繊維含有構造物を撮像光で照らし、撮像受信機で該繊維含有構造物の表面の反射像を受像することによって該表面を撮像することができる少なくとも1つの撮像検出器で該表面を撮像するステップも含み得る。別法では、本開示の検出方法は、繊維含有構造物の表面の反射像を受像する撮像検出器で繊維含有構造物の該表面を撮像するステップを含まない場合がある。
【0036】
図4Aおよび4Bは、本開示の欠陥検出器がどのようにして繊維含有構造物の断面直径を測定できるかを示している。
【0037】
上記で説明し、図示したように、欠陥検出器100は、投光器115で繊維含有構造物110に光140を透過させ、受光器130で繊維含有構造物110のシルエット画像105を検出することによって繊維含有構造物110の断面直径を測定する、図3参照。
【0038】
図4Aは、投光器115が、光源120からの透過光が通過し、帯状の平行光ビーム175になる投光スリット170を含む実施形態を示している。図4Bは、対応する受光器130が、例えばアクティブピクセルセンサ165によって検出される前に部分的に遮断された平行光ビーム135が通過する受光スリット185を含む実施形態を示している。
【0039】
図4Aおよび4Bの図では、繊維含有構造物110(欠陥検出器100を線形速度vで直線的に通過している)の欠陥のない部分190の存在によって、平行光ビーム175の一部を遮断し、受光器130によって検出された部分的に遮断された平行光ビーム135の量Aは投光器115で透過した透過平行光ビーム175の量Aより少ない。平行光ビーム135の遮断部分は、繊維含有構造物110のシルエット画像105に相当する。このようにして、繊維含有構造物110の断面直径Dは、透過平行光ビーム175の量Aと部分的に遮断された平行光ビーム135の量Aとの差、すなわちD~(A-A)に基づいて算出できる。
【0040】
図5Aおよび5Bは、欠陥検出器100が欠陥を検出した場合に、繊維含有構造物のシルエット画像105がどのように変化するかを示す図である。
【0041】
図5Aは、平行光ビーム175が繊維含有構造物110(線形速度vで欠陥検出器100を直線的に通過している)の欠陥のない部分190によって部分的に遮断される時間tにおける欠陥検出器100の受光スリット185を示す。以上のとおり、平行光ビーム135の遮断された部分は、繊維含有構造物110のシルエット画像105’に相当する。このようにして、時間tにおける欠陥のない部分190の断面直径Dは、透過した平行光ビーム175の量Aと部分的に遮断された平行光ビーム135の量A との差、すなわち、D~(A-A )に基づいて算出できる。
【0042】
図5Bは、平行光ビーム175が繊維含有構造物110(線形速度vで欠陥検出器100を直線的に通過している)の欠陥含有部分195によって部分的に遮断される時間tにおける欠陥検出器100の受光スリット185を示す。時間tにおいて、平行光ビーム200の遮断された部分は、繊維含有構造物110のシルエット画像105’’に相当する。このようにして、時間tにおける欠陥含有部分190の断面直径Dは、透過平行光ビーム175の量Aと部分的に遮断された平行光ビーム195の量A との差、すなわち、D~(A-A )に基づいて算出できる。
【0043】
図5Bで説明された欠陥含有部分195は、フィラメント切れによって生じた「毛羽立ち」または「剥離」の形態の欠陥67を含むので、時間tと比較してむしろより多くの平行光ビーム175が時間tにおいて遮断される。結果として、この図では、図5Bにおいて算出された欠陥含有部分195の断面直径Dは、図5Aにおいて算出された欠陥のない部分190の断面直径Dより大きい。他の実施形態では、欠陥含有部分の断面直径Dは、繊維含有構造物110の欠陥のない部分の断面直径Dより小さい場合がある。例えば、フィラメント切れの一部が繊維含有構造物から切れた場合、生じる欠陥含有部分は、繊維含有構造物の欠陥のない部分の対応する断面直径と比較して、より小さい断面直径を有する場合がある。
【0044】
より詳細に以下に説明するように、少なくとも1つの欠陥検出器による繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径の測定は、繊維含有構造物が線形速度vで欠陥検出器を直線的に通過するとき、規則的な(時間/距離)間隔で生じる。その際に、少なくとも1つの断面直径の測定は、毎秒約1サンプルから少なくとも毎秒5,000サンプルに及ぶサンプリング速度で生じ得る。いくつかの実施形態では、欠陥検出器の少なくとも1つのサンプリング速度は、測定が繊維含有構造物の長さに沿って一定の間隔で生じるように調整される。測定が生じる一定間隔は、約10nm~約1cmの範囲に及び得る。
【0045】
少なくとも1つの欠陥検出器で繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を測定するステップ、および任意選択で直径信号を信号処理して少なくとも1つの信号処理された直径信号を得るステップに続いて、本開示の方法は、直径信号および/または信号処理された直径信号を少なくとも1つの基準信号と比較して表面欠陥出力対繊維含有構造物の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を生成するステップを含み得る。以下に説明するように、少なくとも1つの表面欠陥信号は、直径信号の大きさ、傾斜および/または曲率に関連し得る。
【0046】
表面欠陥信号は、大きさ表面欠陥数対繊維含有構造物の長さの大きさ表面欠陥数信号を含み得る。大きさ表面欠陥数信号は、直径信号と、最大断面直径対繊維含有構造物の長さの基準信号とを比較することによって生成される。直径信号の大きさが繊維含有構造物の長さに沿った特定の点における最大断面直径以下であるとき、ゼロの大きさ表面欠陥数が発生する。直径信号の大きさが繊維含有構造物の長さに沿った特定の点における最大断面直径より大きいとき、ゼロより大きい大きさ表面欠陥数が発生し、ゼロより大きい大きさ表面欠陥数は、直径信号の大きさが最大断面直径に対して上回るパーセンテージに対応する正の整数であり得る。
【0047】
表面欠陥信号は、傾斜表面欠陥数対繊維含有構造物の長さの傾斜表面欠陥数信号を含み得る。傾斜表面欠陥数信号は、信号処理された直径信号と、直径信号の最大1次微分値対繊維含有構造物の長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで信号処理された直径信号は直径信号を信号処理して、直径信号の1次微分を得ることによって得られる。直径信号の1次微分の絶対値が、繊維含有構造物の長さに沿った特定の点における直径信号の最大1次微分値以下であるとき、ゼロの傾斜表面欠陥数が発生する。直径信号の1次微分の絶対値が繊維含有構造物の長さに沿った特定の点における直径信号の最大1次微分値より大きいとき、ゼロより大きい傾斜表面欠陥数が発生し、ゼロより大きい傾斜表面欠陥数は、直径信号の最大1次微分値より大きい直径信号の1次微分の絶対値のパーセンテージに対応する正の整数であり得る。
【0048】
表面欠陥信号は、曲率表面欠陥数対繊維含有構造物の長さの曲率表面欠陥数信号を含み得る。曲率表面欠陥数信号は、信号処理された直径信号と、直径信号対繊維含有構造物の長さの最大2次微分値の基準信号とを比較することによって生成され、ここで、信号処理された直径信号は、直径信号を信号処理して、直径信号の2次微分を得ることによって得られる。直径信号の2次微分の絶対値が繊維含有構造物の長さに沿った特定の点における直径信号の最大2次微分値以下であるとき、ゼロの曲率表面欠陥数が発生する。直径信号の2次微分の絶対値が繊維含有構造物の長さに沿った特定の点における直径信号の最大2次微分値より大きいとき、ゼロより大きい曲率表面欠陥数が発生し、ゼロより大きい曲率表面欠陥数は、直径信号の最大2次微分値より大きい直径信号の2次微分の絶対値のパーセンテージに対応する正の整数であり得る。
【0049】
本開示の検出方法は、直径信号の大きさ、傾斜および/または曲率に少なくとも部分的に基づいて、繊維含有構造物に含まれる欠陥を識別および/または分類するステップを含むこともできる。本開示の検出方法は、直径信号の大きさ、傾き、および/または曲率に基づいて、繊維含有構造物の表面欠陥評価を生成するステップを含むこともできる。
【0050】
図6A~6Cは、どのようにして繊維含有構造物の欠陥含有部分の断面直径の変化を用いてさまざまな欠陥を数える、区別する、および分類することができるかを示している。
【0051】
図6Aは、時間t~tに一定間隔で発生する繊維含有構造物110の断面測定が行われた位置を示す。繊維含有構造物110(線形速度vで欠陥検出器100を直線的に通過している)は、フィラメント切れによって生じた「毛羽」または「剥離」の形態の欠陥65を有する欠陥含有部分195を含む。この図では、時間t、t、tおよびtで算出された断面直径が、フィラメント切れによって生じた「毛羽立ち」または「剥離」欠陥65の存在を示している。
【0052】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の大きさに注目すると、図6Aは、(i)時間tで大きさが時間tと比較してわずかに増加し(時間tでゼロよりわずかに大きい大きさ表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで大きさが時間tと比較してより劇的に増加し(時間tで0よりかなり大きい大きさ表面欠陥数が発生する)、その後(iii)時間tで大きさが時間tと比較して突然減少する(時間tでゼロの大きさ表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで大きさ表面欠陥数が突然減少してゼロに戻ると共に時間tで大きさ表面欠陥数がわずかに増加するこのパターンは、1本の枝(すなわち、進行方向に対して外側に鋭角に伸びる後縁枝-図2A参照)しか有しないフィラメント切れによって生じた「毛羽」または「剥離」欠陥の存在を示している。
【0053】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の傾斜に注目すると、図6Aは、(i)時間tで傾斜が時間tと比較して増加し(時間tでゼロよりわずかに大きい傾斜表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで傾斜が一定または時間t3と比較してわずかに増加し(時間tで0より大きい傾斜表面欠陥数が発生する)、その後(iii)時間tで傾斜が時間tと比較して突然減少する(時間tでゼロの傾斜表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで傾斜表面欠陥数が突然減少してゼロに戻ると共に時間tで傾斜表面欠陥数が増加するこのパターンは、1本の枝(すなわち、進行方向に対して外側に鋭角に伸びる後縁枝-図2A参照)しか有しないフィラメント切れによって生じた「毛羽」または「剥離」欠陥の存在を示している。
【0054】
図6Bは、時間t~tに一定間隔で発生する繊維含有構造物110の断面測定が行われた位置を示す。繊維含有構造物110(線形速度vで欠陥検出器100を直線的に通過している)は、繊維含有構造物110の表面に付着した不純物によって生じた小さな「ピル」または「スラブ」の形態の欠陥85を有する欠陥含有部分195を含む。この図では、時間t、t、tおよびtで算出された断面直径が、不純物によって生じた「ピル」または「スラブ」欠陥85の存在を示している。
【0055】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の大きさに注目すると、図6Bは、(i)時間tで大きさが時間tと比較して急激に増加し(時間tで、ゼロよりかなり大きい大きさ表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで大きさが時間tと比較してほんのわずかに増加し(時間tで大きさ表面欠陥数が、時間tと比較してわずかに増加する)、その後(iii)時間tで大きさが時間tと比較して突然減少する(時間tでゼロの大きさ表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで大きさ表面欠陥数が突然減少してゼロに戻ると共に時間tで表面欠陥数が突然かつ大きく増加するこのパターンは、最近導入された不純物によって生じた小さな「ピル」または「スラブ」欠陥の存在を示している。
【0056】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の傾斜に注目すると、図6Bは、(i)tで傾斜が時間tと比較して増加し(時間tで0より大きい傾斜表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで傾斜が時間tと比較してほぼゼロに減少し(時間tで約ゼロの傾斜表面欠陥数が発生する)、その後(iii)時間tで傾斜が時間tと比較してゼロに戻る(時間tでゼロの傾斜表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで傾斜表面欠陥数が突然に減少しかつ時間tで傾斜表面欠陥数が減少してゼロに戻ると共に、時間tで傾斜表面欠陥数が増加するこのパターンは、最近導入された不純物によって生じた「ピル」または「スラブ」欠陥の存在を示している。
【0057】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の曲率に着目すると、図6Bは、(i)時間t3で曲率が時間tと比較して増加し(時間tで0より大きい曲率表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで曲率が時間tと比較してほぼゼロに減少し(時間tでゼロに近い曲率表面欠陥数が発生する)、その後(iii)時間tで曲率は時間tと比較してゼロのままである(時間tでゼロの曲率表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tとtで曲率表面欠陥数がゼロに減少すると共に時間tで曲率表曲面欠陥数が増加するこのパターンは、最近導入された不純物によって生じた「ピル」または「スラブ」欠陥の存在を示している。
【0058】
図6Cは、時間t~tに一定間隔で発生する繊維含有構造物110の断面測定が行われた位置を示す。繊維含有構造物110(線形速度vで欠陥検出器100を直線的に通過している)は、繊維含有構造物110の表面に付着した不純物の蓄積または成形によって生じた細長いまたは拡大した「ピル」または「スラブ」の形態の欠陥95を有する欠陥含有部分195を含む。この図では、時間t、t、tおよびtで算出された断面直径が不純物によって生じた「ピル」または「スラブ」欠陥95の存在を示している。
【0059】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の大きさに注目すると、図6Cは、(i)時間tで大きさが時間tと比較してわずかに増加し(時間tでゼロよりわずかに大きい大きさ傾斜表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで大きさが時間t3と比較してより劇的に増加し(時間tで大きさ表面欠陥数が時間tと比較して劇的に増加する)、その後(iii)時間tで大きさが時間tと比較して減少する(時間tでゼロよりわずかに大きい大きさ表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで大きさ表面欠陥数が増加しその後時間tで大きさ表面欠陥数が減少すると共に、時間tで大きさ表面欠陥数がわずかに増加するこのパターンは、不純物の蓄積または成形によって生じた細長いまたは拡大した「ピル」または「スラブ」の存在を示している。
【0060】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の傾斜に注目すると、図6Cは、(i)時間tで傾斜が時間tと比較して増加し(時間tで、ゼロより大きい傾斜表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで傾斜が時間tと比較してほぼゼロに減少し(時間tで約ゼロの傾斜表面欠陥数が発生する)、その後(iii)時間tで傾斜が時間tと比較して再び増加する(時間tでゼロより大きい傾斜表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで傾斜表面欠陥数が突然約ゼロに減少し時間tで傾斜表面欠陥数が増加すると共に、時間tで傾斜表面欠陥数が増加するこのパターンは、不純物の蓄積や成形によって生じた細長いまたは拡大した「ピル」または「スラブ」の存在を示している。
【0061】
欠陥含有部分195内の繊維含有構造物110の断面直径の曲率に着目すると、図6Cは、(i)時間tで曲率が時間tと比較して増加し(時間tでゼロより大きい曲率表面欠陥数が発生する)、(ii)時間tで曲率が時間tと比較してほぼゼロに減少し(時間tで約ゼロの曲率表面欠陥数が発生する)、その後(iii)時間tで曲率が時間tと比較して再び増加する(時間tでゼロより大きい曲率表面欠陥数が発生する)ことを示している。時間tで曲率表面欠陥数が突然約ゼロに減少し時間tで曲率表面欠陥数が増加すると共に、時間tで曲率表曲面欠陥数が増加するこのパターンは、不純物の蓄積または成形によって生じた細長いまたは拡大した「ピル」または「スラブ」欠陥の存在を示している。
【0062】
一般に、少なくとも1つの欠陥検出器を直線的に通過している繊維含有構造物に含まれるさまざまな欠陥を区別し分類する能力は、測定のサンプリング速度を上げることによって改善できる。従って、例えば、図6A~6C中の繊維含有構造物110の同じ長さにわたる測定が16回行われるように測定間隔数を2倍にすれば、上記のパターンをより高い解像度で検出できるため、さまざまな欠陥を区別し分類する能力が向上する可能性がある。
【0063】
いくつかの実施形態では、欠陥検出方法は、表面欠陥信号に基づいて、繊維含有構造物の線形速度を変更する追加のステップを含み得る。例えば、測定間隔を増やすために、繊維含有構造物の線形速度を下げ、それによって感度を上げ、さまざまな欠陥を区別し分類する能力を向上させることができる。このことに関して、本開示の欠陥検出方法は、少なくとも1つの速度計を使用して繊維含有構造物の線形速度を測定できる。いくつかの実施形態では、繊維含有構造物は、少なくとも毎分300メートルの線形速度で少なくとも1つの欠陥検出器を直線的に通過してもよいが、他の実施形態では、線形速度は毎分10センチメートル未満であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、繊維含有構造物が編組繊維含有構造物またはざらつきのある表面を有するワイヤを撚った繊維含有構造物である場合、該繊維含有構造物は、毎分10センチメートル未満~少なくとも毎分1メートルの線形速度で少なくとも1つの検出器を直線的に通過してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、欠陥検出方法は、表面欠陥信号に基づいて、少なくとも1つの断面直径を測定するサンプリング速度を変更する追加のステップを含むことができる。例えば、測定間隔数を増やすためにサンプリング速度を上げ、それによって感度を上げ、さまざまな欠陥を区別および分類する能力を向上させることができる。
【0065】
さまざまな表面欠陥信号を生成するために(例えば、断面直径の大きさ、傾斜および/または曲率に基づいて)使用される基準信号に関して、基準信号は、繊維含有構造物の長さに沿って一定の基準信号であってもよく、基準信号は、繊維含有構造物の長さに沿って1つもしくは複数の点で変化する可変基準信号、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0066】
欠陥検出器の少なくとも1つは、少なくとも1つのローラー、繊維含有構造物を形成するように構成された少なくとも1つの押出装置、繊維含有構造物を形成するように構成された少なくとも1つの編組機、繊維含有構造物に張力を加えるように構成された少なくとも1つの張力アセンブリ、繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された少なくとも1つの仕上げアプリケータ、繊維含有構造物を延伸するように構成された少なくとも1つのゴデットロールセンブリ、ボビンに繊維含有構造物を巻き取るように構成された少なくとも1つの巻き取りアセンブリまたはそれらの組み合わせと直列に位置していてもよい。繊維含有構造物を扱う、処理するおよび/または測定するために一般的に使用される他の装置も、本開示の欠陥検出器と直列に位置していてもよい。
【0067】
図7は、繊維含有構造物を製造または加工するための装置を示しており、この装置では、複数の欠陥検出器205、206、207、208、209および210(または後述の欠陥検出器アレイ)は、張力アセンブリ215、仕上げアプリケータ220、ゴデットロールアセンブリ225、および巻き取りアセンブリ230と共に位置している。この例では、繊維含有構造物110は、ボビンまたは上流工程235から、周囲の欠陥検出器205および206と直列に位置している張力アセンブリ215を通って第1ローラー240上、次に周囲の欠陥検出器207および208と直列に位置している仕上げアプリケータ220を通って第2ローラー245上、次に欠陥検出器209と直列に位置しているゴデットロールアセンブリ225を通って第3ローラー250上、次にダンサーアーム255、横行ガイドアセンブリ260および仕上げボビン265を含む巻き取りアセンブリ230へと直線的に通過する。上流工程235は、例えば、繊維含有構造物110を製造するための押出、巻き取り、または編組工程を含み得る。
【0068】
本開示の検出方法は、押出工程によって繊維含有構造物を形成するステップを含むことができ、欠陥検出器の少なくとも1つは、押出装置と直列に位置している。本開示の検出方法は、編組工程によって繊維含有構造物を形成するステップを含むこともでき、欠陥検出器の少なくとも1つは、編組機と直列に位置している。欠陥検出器は、編組装置内、例えば、少なくとも1つのキャリアボビン(またはキャリアガイド)と巻き取り軸との間に位置してもよい。
【0069】
本開示の検出方法は、表面欠陥信号に基づいて、押出装置、編組機、張力アセンブリ、仕上げアプリケータ、ゴデットロールアセンブリ、巻き取りアセンブリ、線形速度、またはそれらの組み合わせの動作を変更するステップを含むこともできる。例えば、方法が、仕上げアプリケータ220のすぐ下流で始まる表面欠陥出力の増加を検出する場合、繊維含有構造物の線形速度vを低減することによってまたは仕上げアプリケータ220の操作パラメータを変化させることによって仕上げアプリケータの動作を変更して表面欠陥出力を低減できる。
【0070】
直列に位置している少なくとも2つの欠陥検出器を含む欠陥検出器アレイも、本開示の方法において用いることができる。図8は、欠陥検出器アレイ270が、編組機275の下流にかつ張力アセンブリ215、仕上げアプリケータ220、ゴデットロールアセンブリ225、および/または巻き取りアセンブリ230などの下流工程280の上流に位置している実施形態を示す。図8の例では、欠陥検出器アレイ270は、直列に位置している2つの欠陥検出器285および290を含む。いくつかの実施形態では、欠陥検出器アレイの欠陥検出器は、繊維含有構造物のさまざまなシルエット画像が少なくとも2つの検出器によって検出されるように検出器オフセット角度だけ互いに相対的に回転できる。検出器オフセット角度は1°~360°未満の範囲に及び得る。
【0071】
本開示の欠陥検出器は、さまざまな方向から繊維含有構造物の複数の断面直径を同時に測定できる多軸欠陥検出器を含むことができる。
【0072】
一実施形態では、二軸欠陥検出器は、光を繊維含有構造物上に透過させるための2つの投光器と、繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを含む。2つの投影器は、光Aを繊維含有構造物の表面Aに透過させるための投光器Aと、光Bを繊維含有構造物の表面Bに透過させるための投光器Bとを含むことができる。2つの受光器は、繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを含むことができる。このシナリオでは、投光器Aは受光器Aと光学的に位置合わせされ、投光器Bは受光器Bと光学的に位置合わせされる。投光器Aと投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、受光器Aと受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転する。いくつかの実施形態では、投光器オフセット角度と受光器オフセット角度は独立して5°~175°の範囲に及び得る。
【0073】
図9は、欠陥検出器アレイ295を線形速度vで移動している繊維含有構造物110に対して直列に取り付けられた2つの二軸欠陥検出器α300およびβ305を含む欠陥検出器アレイ295を示している。2つの二軸欠陥検出器α300およびβ305はそれぞれ投光器A310および投光器B315、ならびに受光器A320および受光器B325を含む。投光器A310は受光器A320と光学的に位置合わせされ、投光器B315は受光器B325と光学的に位置合わせされる。二軸欠陥検出器α300では、投光器A310および投光器B315が投光器オフセット角度ΔΦα(ここでΔΦα α-Φ α)だけ互いに相対的に回転する。二軸欠陥検出器β305では、投光器A310および投光器B315が投光器オフセット角度ΔΦβ(ここでΔΦβ β-Φ β)だけ互いに相対的に回転する。
【0074】
図9の実施形態では、二軸欠陥検出器α300およびβ305もまた、約90°の検出器オフセット角度だけ互いに相対的にオフセットしており、線形分離距離d330だけ離れて設定されている。いくつかの実施形態では、検出器オフセット角度は、1°~360°未満の範囲に及び得る。いくつかの実施形態では、線形分離距離dは、約1mm~約100mmの範囲に及び得る。本開示の他の実施形態は、直列に位置している欠陥検出器の少なくとも3つを有する欠陥検出器アレイを使用できる。
【0075】
<繊維含有構造物>
本開示は、本明細書に開示される欠陥検出方法によって得られる繊維含有構造物にも関する。上記で説明したように、繊維含有構造物としては、糸条ライン、編組ライン、または編組されたもしくは撚った鞘を有する芯鞘構造物を挙げることができる。糸条ラインは、1メートル当たり10回転未満、または1メートル当たり1回転未満の撚り数レベルを有する場合がある。
【0076】
本明細書で使用する「芯鞘構造物(core-sheath structure)」という用語は、中心の芯を少なくとも部分的に囲む編組ストランドの外鞘(ジャケット)を有するコード状構造物を述べている。図1Cと1Dは、それぞれ編組されたおよびワイヤを撚った鞘を有する芯鞘構造物を示す。
【0077】
本開示の繊維含有構造物は、芯鞘構造物の外表面のテクスチャリングおよび表面粗さを制御するために、芯の外表面によりぴったりと一致できるよりも厚さの薄い形状制御された(扁平な)ジャケットを有する芯鞘構造物を含み得る。こうした形状制御された芯鞘構造物としては、2020年6月26日に出願された米国仮出願第63/044,418号明細書に記載されているものが挙げられ、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
本開示の繊維含有構造物は、断面積が変化する編組コードも含み得る。断面積を変化させるこうした編組コードには、2020年8月24日に出願された米国仮出願第63/069,182号明細書に記載されているものが挙げられ、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、芯を覆う編組鞘の表面被覆率は、少なくとも85%である。他の実施形態では、表面被覆率は、約25%~約100%の範囲に及んでもよい。さらに他の実施形態では、隣接するストランドが少なくとも部分的に互いに重なり合うように、表面被覆率が100%を超える場合がある。いくつかの実施形態では、表面被覆率は、約25%~約150%の範囲に及んでもよい。例えば、表面被覆率は、約50%~約125%、または約75%~約110%、または約85%~約105%、または約90%~約100%の範囲に及んでもよい。
【0080】
いくつかの芯鞘構造物では、(意図的な隙間が存在することに起因して)表面被覆率が大幅に100%を下回るまたは(ジャケット(鞘)のストランドが重なっていることに起因して)大幅に100%を上回る場合がある。こうした実施形態は、例えば、(隙間や突起があることに起因して)より高い表面粗さのジャケット(鞘)を得ることが有益である場合、または(重なり合うストランドがあることに起因して)芯の追加保護が所望される場合に有利となり得る。
【0081】
弛緩状態(すなわち、芯鞘構造物に張力が加えられていない自然な静止状態)の編組鞘のピック数は、1メートル当たり30~3000フィラメント単位交差に及んでもよい。他の実施形態では、編組鞘のピック数は、静止状態で、1メートル当たり約30~3000交差数、または1メートル当たり約50~約2000交差数、または1メートルあたり約50~1000交差数の範囲に及んでもよい。
【0082】
編組鞘のストランド(端)数は、芯鞘構造物の要件と編組装置の能力によって決まる。3~200を超えるストランド(端)数を特定の用途に応じて使うことができる。いくつかの実施形態では、編組鞘のストランド(端)数は4~96端に及んでもよく、他の用途では約24端に限定されたストランド(端)数が適切な場合がある。例えば、本開示の芯鞘構造物のストランド(端)数は、4~24端、または4~16端、または4~12端、または4~8端、または4~6端に及び得る。医療用途では、本開示の芯鞘構造物は大抵4~24端の範囲に及ぶ。
【0083】
弛緩状態の編組鞘の編組角度は、一般に約5°~約85°の範囲に及ぶ。他の実施形態では、弛緩状態の編組鞘のSストランドおよびZストランドの編組角度は、約5°~約60°、または約10°~約75°、または約15°~約60°、または約20°~約45°、または約5°~約45°に及び得る。
【0084】
編組角度の選択は、本開示の繊維含有構造物として使用される芯鞘構造物の特性に重大な影響を与え得る。例えば、編組の角度を小さくすると、ジャケット(鞘)の耐荷重繊維が荷重の方向とより整合することに起因して、得られる芯鞘構造物の弾性率および/または強度が向上する傾向がある。また、編組角度の選択を使用して芯とジャケット(鞘)の荷重分担を制御することができる。いくつかの実施形態では、芯とジャケット(鞘)の荷重分担のバランスは、最適な引張強度および耐久性を有する芯鞘構造物を得るために重要である。
【0085】
本開示の繊維含有構造物としては芯と、該芯を取り囲むストランドの編組鞘とを含み、弛緩状態で5°以上の編組角度を有するストランドを含む該編組鞘および弛緩状態で5°以上の編組角度を有する該ストランドが少なくとも1つの成形されたフィラメントのストランドを含む芯鞘構造物を挙げることができる。こうした芯鞘構造物は、成形されたフィラメントのストランドが1メートル当たり1回転未満の撚り数レベルを有する無撚ストランドであり、成形されたフィラメントのストランドの断面アスペクト比が、編組鞘で測定して少なくとも3:1であり、編組鞘の少なくとも一部の厚さが約20~約200μmに及び、および/または編組鞘が12cN/dtexより大きい引張強さを有する合成繊維を含有するように製造することができる。
【0086】
本開示の芯鞘構造物としては、編組鞘が、1メートルあたり0.75回転未満、または1メートルあたり0.5回転未満、または1メートルあたり0.25回転未満の撚り数レベルを有する少なくとも1つの無撚りの成形されたフィラメントのストランドを含む実施形態が挙げられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、成形ストランドフィラメントの断面アスペクト比は、3:1~50:1の範囲に及ぶ、または3:1~20:1の範囲に及ぶ、または4:1~15:1の範囲に及ぶ、または5:1~10:1の範囲に及ぶ。他の実施例では、成形されたフィラメントのストランドの断面アスペクト比は、約3:1~約50:1(楕円率約68~98%)、または約4.1:1~約50:1(楕円率約75.5~98%)、または約5.6:1~約50:1(楕円率約82~98%)、または約8:1~約22.2:1(楕円率約87.5~95.5%)に及び得る。
【0088】
編組鞘の少なくとも一部の厚さは、約16μm~約250μm、または約40μm~約200μm、または約50μm~約175μm、または約60μm~約150μm、または約50μm~約125μmに及び得る。
【0089】
本開示の繊維含有構造物は、12cN/dtexを超える引張強度を有する合成繊維を含むことができる。合成繊維は、少なくとも13cN/dtex、または少なくとも15cN/dtex、または少なくとも20cN/dtexの引張強度を有し得る。いくつかの実施形態では、編組鞘に含まれる合成繊維は、13cN/dtex~50cN/dtex、または15cN/dtex~45cN/dtexの範囲に及ぶ引張強度を有し得る。
【0090】
12cN/dtexを超える引張強度を有する合成繊維に加えて、本開示の繊維含有構造物は、約1cN/dtex~約30cN/dtexの範囲に及ぶ引張強度を有する他の合成繊維および非合成繊維並びにフィラメントを含み得る。例えば、いくつかの繊維含有構造物は、12cN/dtexを超える引張強度を有する少なくとも1つの合成繊維と、12cN/dtex未満の引張強度を有する少なくとも1つの合成繊維または非合成繊維とを含み得る。
【0091】
本開示の繊維含有構造物はまた、約15μm~約20mmの範囲の最大(外)径を有し得る。他の実施形態では、外径は約20μm~約8mm、または約30μm~約5mm、または約50μm~約3mm、または約50μm~約1mmに及び得る。
【0092】
本開示の芯鞘構造物では、多種多様な芯寸法も使用できる。例えば、芯の最大直径は、約10μm~約20mmに及び得る。他の実施形態では、芯の最大直径は、約15μm~約10mm、または約25μm~約5mm、または約50μm~約1mm、または約50μm~約500μmに及び得る。
【0093】
本開示の芯鞘構造物は、モノフィラメント芯だけでなく、撚芯または非撚芯を使用できる。いくつかの実施形態では、芯は、1メートル当たり0を超える~1600回転の撚り数レベルで撚り合わされた少なくとも2つの芯ストランドから成る。撚り芯または非撚り芯に含まれる芯ストランドの数は1~500に及び得る、マルチストランド芯を製造するために使用される芯または芯ストランドの撚り数レベルは1メートル当たり1~1600回転に及び得る。本開示の芯鞘構造物における芯を製造するために、撚り、非撚り、および/または編組フィラメントの組合せも使用できる。
【0094】
本開示の実施形態としては、円形断面を有する丸い芯と、成形ストランドから成る編組鞘とを含む芯鞘構造物が挙げられ、成形ストランドの平坦化係数が、約0.05~約0.45の範囲に及ぶ。他の実施形態では、平坦化係数は、約0.1~約0.35、または約0.10~約0.30、または約0.1~約0.25の範囲に及び得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、芯鞘構造物における芯は、表面処理された芯である。例えば、編組鞘の適用前に、芯成分の表面をコロナ処理またはプラズマ処理してもよい。こうした処理により、芯と編組鞘の内面との接触(表面相互作用)を高める表面不完全性もしくは修飾を生じ、芯と編組鞘との間の相互作用をさらに高めることができる。
【0096】
本開示の別の態様は、編組繊維含有構造物に使用される成形ストランドの割合に関する。いくつかの実施形態では、編組工程で使用されるストランドはすべて成形ストランドである一方で、他の実施形態では、編組工程で使用されるストランドのほんの一部が成形ストランドである。例えば、いくつかの実施形態では、左手方向に編組されたSストランドは全て成形ストランドであるのに対し、右手方向に編組されたZストランドは全て編組工程の前に生じる成形工程を受けない成形されていないストランドであり、またはその逆も同様である。さらに他の実施形態では、S-ストランドとZ-ストランドの一方または両方の一部のみが、成形ストランドであってもよい。本開示の実施形態としては、編組鞘において1つの成形ストランドのみを含む、または編組鞘において全ての(100%)成形ストランドを含む、または編組鞘において1つの成形ストランドと100%の成形ストランドの間の任意の組み合わせを含む芯鞘構造物が挙げられる。
【0097】
本開示の繊維含有構造物としては、編組鞘が、少なくとも3:1の断面アスペクト比を有する少なくとも1つの成形されたフィラメントのストランドと2:1未満の断面アスペクト比を有する少なくとも1つの成形されていないフィラメントのストランドとを含むハイブリッドジャケットである芯鞘構造物も挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、編組鞘は、少なくとも3:1の断面アスペクト比を有する少なくとも1つの成形されたフィラメントのストランドと、1メートル当たり0より多く~1600回転までの撚り数レベルを有する少なくとも1つの撚った(成形されていない)フィラメントのストランドを含むハイブリッドジャケットである。上記で説明したように、撚ったフィラメント束(すなわち撚ったストランド)は、無撚りフィラメント束と比較して、より硬く、成形しにくい。
【0098】
本開示の繊維含有構造物として用いられる芯鞘構造物としては、左手方向に編組されたSストランドおよび右手方向に編組されたZストランドに加えて、弛緩状態で5°未満の編組角度を有する長手方向ストランドを含む三軸編組鞘も挙げることができる。いくつかの実施形態では、三軸編組鞘は、複数のストランドの編組の前に、長手方向ストランドの少なくとも1つを形成することによって成形された少なくとも1つの成形長手方向ストランドを含み得る。例えば、本開示の三軸編組鞘は、SストランドおよびZストランドに加えて、1つの成形長手方向ストランド、全ての成形長手方向ストランド、またはその間の任意の組合せを含み得る。
【0099】
本開示の繊維含有構造物は、潤滑剤、繊維、表面コーティングされたフィラメント、またはそれらの組み合わせなどの追加の成分を含んでもよい。本開示の繊維含有構造物に使用される潤滑剤としては、潤滑フィラメントおよび潤滑繊維のうちの少なくとも1つを挙げることができる。表面コーティングされたフィラメントとしては、表面コーティングとして、架橋されたまたは架橋されていないシリコーンポリマーを挙げることができる。
【0100】
本開示の繊維含有構造物は、約30デニール~約10,000デニールの範囲に及ぶ線質量密度を有し得る。他の実施形態では、芯鞘構造物の線質量密度は、約40デニール~約4500デニール、または約50デニール~約4000デニール、または約100デニール~約3000デニール、または約70デニール~約2000デニール、または約80デニール~約1500デニール、または約90デニール~約1000デニールに及び得る。
【0101】
本開示の繊維含有構造物は、有機繊維を含むことができる。本開示の繊維含有構造物に含まれる繊維の化学組成は、高い引張強度、高い靭性および低いクリープの組み合わせを提供することが知られている任意の高性能ポリマーであってよく、ほんの数例を挙げると、液晶ポリエステルフィラメント、アラミドフィラメント、共重合体アラミドフィラメント、ポリエーテルエーテルケトンフィラメント、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)フィラメント、超高分子量ポリエチレンフィラメント、高弾性ポリエチレンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンテレフタレートフィラメント、ポリアミドフィラメント、高強度ポリビニルアルコールフィラメント、ポリヒドロキノンジイミダゾピリジン(PIPD)フィラメントおよびそれらの組み合わせなどから選択できるがそれらに限定されるものではない。
【0102】
ポリヒドロキノンジイミダゾピリジン(PIPD)フィラメント繊維は、以下の繰り返し単位のポリマーをベースとする。
【化1】
【0103】
本開示の繊維含有構造物は、液晶ポリエステルフィラメント、アラミドフィラメント、共重合体アラミドフィラメント、ポリエーテルエーテルケトンフィラメント、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)フィラメント、超高分子量ポリエチレンフィラメント、高弾性ポリエチレンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンテレフタレートフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリヒドロキノンジイミダゾピリジンフィラメント、および高強度ポリビニルアルコールフィラメントから選択される少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、これらの材料のうち少なくとも2つが繊維含有構造物に含まれる場合がある。
【0104】
いくつかの実施形態では、繊維含有構造物は、液晶ポリエステル繊維、アラミド繊維、PBO繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、および高強度ポリビニルアルコール繊維から選択される少なくとも一つの繊維を含むことができる。他の実施形態では、編組鞘の成形されたおよび/または成形されていないストランドは、液晶ポリエステル繊維およびアラミド繊維から選択でき、とりわけ液晶ポリエステル繊維から選択できる。
【0105】
本開示の芯鞘構造物は、いくつかの実施形態では、液晶ポリエステルフィラメント、アラミドフィラメント、共重合体アラミドフィラメント、ポリエーテルエーテルケトンフィラメント、ポリ(フェニレンベンゾビスオキサゾール)フィラメント、超高分子量ポリエチレンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、高弾性ポリエチレンフィラメント、ポリエチレンテレフタレートフィラメント、ポリアミドフィラメント、および高強度ポリビニルアルコールフィラメントから成る群から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0106】
重合単位としては表1に示されたものを挙げることができる。
【表1】
【0107】
上記表1に示された重合単位について、Y置換基の数は、環構造中の最大置換可能位置数と等しく、各Yは独立して水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt-ブチル基などの1~4個の炭素原子を有するアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、アラルキル基[ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)など]、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)、またはこれらの混合物を表す。
【0108】
液晶ポリエステル繊維は、液晶ポリエステル樹脂を溶融紡糸することにより得ることができる。紡糸繊維は、機械的特性を向上させるためにさらに熱処理される場合がある。液晶ポリエステルは、例えば、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し重合単位で構成され得る。液晶ポリエステルは、任意選択で、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン、および/または芳香族アミノカルボン酸に由来する重合単位をさらに含んでもよい。
【0109】
より具体的な重合単位を以下の表2~4に示す構造で説明する。
【0110】
式中の重合単位が複数の構造を表すことができる単位である場合、ポリマーを構成する重合単位として、2つ以上の単位を組み合わせて使用できる。
【0111】
表2、表3、および表4の重合単位において、nは1または2の整数であり、それぞれの単位n=1、n=2は単独で存在してもよく、組み合わせて存在してもよく、YおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt-ブチル基などの1~4個の炭素原子を有するアルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、アラルキル基(ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)、またはこれらの混合物であってもよい。これらの基のうち、Yは、好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、またはメチル基である。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
表3の(14)中のZは、下記式で表される2価の基を含むことができる。
【化2】
【0116】
いくつかの実施形態では、液晶ポリエステルは、重合単位としてナフタレン骨格を含む組み合わせであってもよい。特に、それはヒドロキシ安息香酸に由来する重合単位(A)とヒドロキシナフトエ酸に由来する重合単位(B)の両方を含む場合がある。例えば単位(A)は式(A)であってもよく、単位(B)は式(B)であってもよい。溶融成形性を向上させる観点から、単位(A)と単位(B)の比は、9/1~1/1、好ましくは7/1~1/1、より好ましくは5/1~1/1の範囲であってもよい。
【0117】
【化3】
【0118】
重合単位(A)と重合単位(B)の合計は、全重合単位に基づいて、例えば、約65mol%以上、または約70mol%以上、または約80mol%以上であってもよい。いくつかの実施形態では、編組鞘は、ポリマー中の重合単位(B)の約4~約45mol%を構成する液晶ポリエステルを含むことができる。
【0119】
本明細書で用いられる融点は、JIS K7121の試験方法に準じて示差走査熱量計(DSC)(例えば、メトラー社製「TA3000」)により測定および観察される主吸収ピーク温度である。具体的には、試料10~20mgを上記DSC装置で用い、試料をアルミ容器に封入した後、キャリアガスとして窒素を100cc/分の流量で流し、20℃/分の速度で加熱した際の吸熱ピークを測定する。ポリマーの種類によってDSC測定の1回目の実施で明確なピークが現れない場合、予想される流温より50℃高い温度まで50℃/分の昇温速度(または加熱速度)で昇温し、同温度で3分間完全溶融した後、さらに-80℃/分の降温速度(または冷却速度)で50℃まで冷却する。その後、20℃/分の昇温速度で吸熱ピークを測定することができる。
【0120】
本開示の編組鞘に含まれる市販のLCPとしては、クラレ株式会社製のベクトラン(登録商標)HT ブラック、クラレ株式会社製のベクトラン(登録商標)HT、東レ株式会社製のシベラス(登録商標)、ゼウス社製のモノフィラメント、KBセーレン株式会社製のゼクシオン(登録商標)などを挙げることができる。
【0121】
液晶ポリエステルは、本開示の芯鞘構造物において単独または組み合わせて使用できる。
【0122】
本発明によれば、「アラミド繊維」とは、芳香族(ベンゼン)環から構成される分子骨格から成る高耐熱性、高強度のポリアミド繊維を意味する。アラミド繊維は、その化学構造によってパラアラミド繊維とメタアラミド繊維とに分類でき、パラアラミド繊維が、本開示のいくつかの編組鞘において好ましく含まれる。
【0123】
市販のアラミド繊維および共重合体アラミド繊維の例としては、パラアラミド繊維、例えば、E.I. du Pont de Nemours and Company製のケブラー(登録商標)、コロン工業社製のヘラクロン(登録商標)、帝人株式会社製のトワロン(登録商標)およびテクノーラ(登録商標)、並びにメタアラミド繊維、例えばE.I.du Pont de Nemours and Company製のノ-メックス(登録商標)および帝人株式会社製のコーネックス(登録商標)が挙げられる。
【0124】
本開示の繊維含有構造物に含まれる場合、アラミド繊維は、単独または組み合わせて使用できる。いくつかの実施形態では、繊維含有構造物に含まれるフィラメントは、共重合体アラミドフィラメントを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、繊維含有構造物は、コポリパラフェニレン/3,4’-オキシジフェニレンテレフタルアミドフィラメントを含む。
【0125】
この材料は、従来、テクノーラ(登録商標)と呼ばれ、帝人株式会社から入手可能である。
【0126】
ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)(PBO)繊維は、東洋紡株式会社製のザイロン(登録商標)AS、ザイロン(登録商標)HMとして市販されている。
【0127】
本開示の繊維含有構造物は、ビクトレックス(商標)PEEKポリマーなどのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料で形成することもできる。いくつかの実施形態では、繊維含有構造物の成分として高dpf PEEKポリマーを使用することにより、繊維含有構造物に向上した引張特性を付与し得る。
【0128】
本開示のいくつかの繊維含有構造物に用いられる超高分子量ポリエチレン繊維は、約5.0、または約7.0、または約10、~約30、または~約28、または~約24dL/gの範囲の固有粘度を有し得る。「超高分子量ポリエチレン繊維」の固有粘度が約5.0~約30dL/gの範囲であると、寸法安定性の良い繊維が得られる。
【0129】
「超高分子量ポリエチレン繊維」の重量平均分子量は、約700,000、または約800,000、または約900,000~約8,000,000、または~約7,000,000、または~約6,000,000であり得る。「超高分子量ポリエチレン繊維」の重量平均分子量が約700,000~約8,000,000の範囲であると、高い引張強度と弾性率を得ることができる。
【0130】
GPC法を用いて「超高分子量ポリエチレン繊維」の重量平均分子量を決定することが困難なため、「ポリマーハンドブック第4版、第4章(John Wiley、1999年発行)」に言及されている下記式に従って、上記固有粘度の値に基づいて重量平均分子量を決定することができる。
重量平均分子量=5.365×10×(固有粘度)1.37
【0131】
いくつかの実施形態では、「超高分子量ポリエチレン繊維」の繰り返し単位が実質的にエチレンを含むことが好ましい場合がある。ただし、エチレンのホモポリマーに加えて、エチレンと少量の他のモノマー、例えば、α-オレフィン、アクリル酸およびそれらの誘導体、メタクリル酸およびそれらの誘導体、ビニルシランおよびそれらの誘導体との共重合体を用いることができる場合がある。ポリエチレン繊維は、部分架橋された構造を有していてもよい。また、ポリエチレン繊維は、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンとのブレンド、低密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンのブレンドであってもよい。ポリエチレン繊維は、重量平均分子量が異なる2種類以上の超高分子量ポリエチレン、または分子量分布が異なる2種類以上のポリエチレンの組み合わせであってもよい。
【0132】
市販の「超高分子量ポリエチレン繊維」としては、東洋紡株式会社製ダイニーマ(登録商標)SK60、ダイニーマ(登録商標)SK、イザナス(登録商標)SK60、およびイザナス(登録商標)SK71、並びに、ハネウェル株式会社製スペクトラ繊維900(登録商標)およびスペクトラ繊維1000が挙げられる。
【0133】
これらの「超高分子量ポリエチレン繊維」は、単独または組み合わせて使用できる。
【0134】
本開示の繊維含有構造物の性能および特性は、芯および/または編組鞘に仕上げ組成物を塗布することによって変更および管理できる。例えば、繊維含有構造物は、架橋されたシリコーンポリマー、または非架橋シリコーンポリマーもしくは長鎖脂肪酸のコーティングを有するフィラメント、繊維またはストランドを含むことができる。好適な長鎖脂肪酸としては、ステアリン酸を挙げることができる。
【0135】
架橋性シリコーンポリマーの塗布することで、本発明の繊維含有構造物の引張強度に有利な性能向上をもたらすことができる。
【0136】
一般に、シリコーン樹脂を調製するために利用できる3つの架橋反応方法がある:1)過酸化物フリーラジカルの形成下で重合の熱活性化が起こる過酸化物硬化、2)錫塩またはチタンアルコキシド触媒の存在下で熱または水分の影響による縮合、3)温度または光によって開始され得る白金またはロジウム錯体によって触媒される付加反応化学。
【0137】
架橋されたシリコーンコーティングは、コーティングされたストランドの耐湿性を高め、またストランドの潤滑性を高め、芯鞘構造物が縦方向の応力を受けたとき、摩擦相互作用を克服する必要があり得るコーティングされていない構造物と比較して、編組物がより効率的に反応する。
【0138】
本開示のコーティング組成物は、当業者に知られている表面塗布技術を用いて塗布できる。これらの表面塗布技術としては、繊維が仕上げ溶液に接触する仕上げガイドを介した単純な仕上げ溶液のポンピングを挙げることができ、該液は毛管現象によって繊維束に運ばれる。別法として、他の技術としては、スプレー、ローリング、またはディップコーティングなどの浸漬塗布技術を挙げることができる。仕上げ溶液が塗布された繊維のその後の処理としては、仕上げ溶液を固化する、および/または仕上げ配合物の架橋度に影響を与えるためのローラーまたはローラー類との接触を挙げることができる。ローラー(類)は、加熱されていてもいなくてもよい。その後、コーティング組成物は硬化されて架橋性シリコーンポリマーの架橋を生じさせることができる。熱硬化を用いる場合、温度は約20℃、約50℃、または約120℃~約200℃、または~約170℃、または~約150℃であってよい。硬化温度は、フィラメント、繊維またはストランドの熱安定性特性と、実際に使用される架橋系によって決定できる。
【0139】
得られた架橋度を制御してフィラメント、繊維またはストランドにさまざまな程度の柔軟性または他の表面特性を与えることができる。架橋度は、米国特許第8,881,496号明細書に記載されている方法(ここでコーティングはモノマーを溶解するが、架橋されたポリマーは溶解しない溶剤で抽出される)で決定できる。架橋度は、抽出前後の重量差で決定できる。
【0140】
架橋度は、コーティングの総重量に基づいて、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約50%であってもよい。最大架橋度は、約100%であってもよい。架橋されたコーティングの重量は、フィラメント、繊維またはストランドの総重量に基づいて、約1重量%~約20重量%、または~約10重量%、または~約5重量%であってもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、繊維含有構造物の最大断面直径は、約15μm~約20mmに及び得る。他の実施形態では、最大直径は、約20μm~約5mm、または約30μm~約4mm、または約40μm~約3.5mm、または約50μm~約3mm、または約50μm~約2mmに及び得る。繊維含有構造物の平均断面直径は、約20μm~約10mmに及び得る。
【0142】
本開示の繊維含有構造物を設計して切断強度などのさまざまな特性を満たすように設計できる。いくつかの実施形態では、切断強度は、少なくとも15cN/dtexである。他の実施形態では、コードの切断強度は、約4cN/dtex~約40cN/dtex、または約13cN/dtex~約31cN/dtex、または約15cN/dtex~約26cN/dtexに及び得る。
【0143】
本開示の繊維含有構造物としては、医療用コードを含むさまざまな用途で有用な張力部材が挙げられる。例えば、本開示の繊維含有構造物としては、2、3例を挙げると、縫合糸、カテーテルナビゲーションケーブルおよびアセンブリ、ステアリングケーブルおよびアセンブリ、デバイスデプロイメント制御ケーブルおよびアセンブリ、ならびにトルクおよび張力伝達ケーブルおよびアセンブリが挙げられる。
【0144】
本開示の繊維含有構造物としては、約30デニール~約10,000デニールの線質量密度を有するコードを挙げることができる。他の実施形態では、線質量密度は、約40デニール~約4500デニール、または約50デニール~約4000デニール、または約100デニール~約3000デニール、または約70デニール~約2000デニール、または約80デニール~約1500デニール、または約90デニール~約1000デニールに及び得る。
【0145】
<移動している繊維含有構造物の欠陥を検出するための装置>
本開示はまた、移動している繊維含有構造物における欠陥を検出するための装置に関する。こうした装置は、(A)繊維含有構造物を形成するように構成された前記押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された前記編組機、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された前記張力アセンブリ、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された前記仕上げアプリケータ、前記繊維含有構造物を延伸するように構成された前記ゴデットロールセンブリ、前記繊維含有構造物をボビンに巻き取るように構成された前記巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせ、(B)投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する前記受光器で検出された光量の減少量に基づいて当該断面直径を算出することによって、前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を測定するように構成された欠陥検出器、および(C)前記欠陥検出器から得られた少なくとも1つの直径信号、任意選択で少なくとも1つの信号処理された直径信号、またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を得るように構成され、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器を直線的に通過している間に前記欠陥検出器が前記少なくとも1つの断面直径を測定するプロセッサを含み得る。
【0146】
本開示の装置は、上記の方法で説明したように作動し、上記の主題に従って変更できる。
【0147】
<実施形態>
本開示の実施形態[1]は、繊維含有構造物を少なくとも1つの欠陥検出器に直線的に通過させること、前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を前記欠陥検出器で測定して前記繊維含有構造物の直径対長さの少なくとも1つの直径信号を得ること、任意選択で前記直径信号を信号処理して少なくとも1つの信号処理された直径信号を得ること、および前記直径信号、前記信号処理された直径信号またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の前記長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を発生させることを含む方法であって、前記欠陥検出器が、投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する前記受光器で検出された光量の減少量に基づいて該断面直径を算出することによって前記繊維含有構造物の前記断面直径を測定し、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記繊維含有構造物を形成するように構成された押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された編組機、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された張力アセンブリ、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された仕上げアプリケータ、前記繊維含有構造物を延伸するように構成されたゴデットロールアセンブリ、前記繊維含有構造物をボビンに巻回するように構成された巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせと直列に位置している、方法に関する。
【0148】
本開示の実施形態[2]は、前記繊維含有構造物が、少なくとも毎分300mの線形速度で前記少なくとも1つの欠陥検出器を直線的に通過する実施形態[1]の方法に関する。
【0149】
本開示の実施形態[3]は、前記繊維含有構造物が編組繊維含有構造物またはワイヤを撚った繊維含有構造物であり、前記繊維含有構造物が少なくとも毎分1メートルの線形速度で前記少なくとも1つの検出器を直線的に通過する、実施形態[1]および[2]の方法に関する。
【0150】
本開示の実施形態[4]は、前記繊維含有構造物が1メートル当たり1回転未満の撚り数レベルを有する非編組繊維含有構造物である、前記繊維含有構造物が編組繊維含有構造物である、または前記繊維含有構造物がワイヤを撚った繊維含有構造物である、実施形態[1]~[3]の方法に関する。
【0151】
本開示の実施形態[5]は、前記繊維含有構造物が、芯と、該芯を囲むストランドの編組鞘とを含む芯鞘構造物である実施形態[1]~[4]の方法に関する。
【0152】
本開示の実施形態[6]は、前記繊維含有構造物が、芯を囲む編組鞘を含む芯鞘構造を有するコードであり、弛緩状態における前記編組鞘の編組角度が約5°~約85°の範囲に及ぶ、実施形態[1]~[5]の方法に関する。
【0153】
本開示の実施形態[7]は、前記繊維含有構造物が、芯を囲む編組鞘を含む芯鞘構造を有するコードであり、弛緩状態における前記編組鞘のピック数が1メートル当たり6~3,000フィラメント単位交差である、実施形態[1]~[6]の方法に関する。
【0154】
本開示の実施形態[8]は、前記繊維含有構造物が、芯を囲む編組鞘を含む芯鞘構造を有するコードであり、前記編組鞘のストランド(端)数が3~24端である、実施形態[1]~[7]の方法に関する。
【0155】
本開示の実施形態[9]は、前記繊維含有構造物が、芯を囲む非編組鞘を含むワイヤレイ構造を有するコードである実施形態[1]~[8]の方法に関する。
【0156】
本開示の実施形態[10]は、前記繊維含有構造物が有機繊維を含む、実施形態[1]~[9]の方法に関する。
【0157】
本開示の実施形態[11]は、前記繊維含有構造物が、12cN/dtexを超える引張強度を有する合成繊維を含む、実施形態[1]~[10]の方法に関する。
【0158】
本開示の実施形態[12]は、前記繊維含有構造物が、液晶ポリエステルフィラメント、アラミドフィラメント、共重合体アラミドフィラメント、ポリエーテルエーテルケトンフィラメント、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)フィラメント、超高分子量ポリエチレンフィラメント、高弾性ポリエチレンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンテレフタレートフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリヒドロキノンジイミダゾピリジンフィラメント、高強度ポリビニルアルコールフィラメントから成る群から選択される少なくとも1つを含む、実施形態[1]~[11]の方法に関する。
【0159】
本開示の実施形態[13]は、前記繊維含有構造物が、合成繊維、並びに潤滑剤、ステープル繊維および表面コーティングの少なくとも1つを含む、実施形態[1]~[12]の方法に関する。
【0160】
本開示の実施形態[14]は、前記繊維含有構造物が、約30~約10,000デニールの線形質量密度を有するコードである、実施形態[1]~[13]の方法に関する。
【0161】
本開示の実施形態[15]は、前記繊維含有構造物の最大断面直径が約20μm~約10mmの範囲に及ぶ、実施形態[1]~[14]の方法に関する。
【0162】
本開示の実施形態[16]は、前記繊維含有構造物の平均断面直径が約20μm~約10mmの範囲に及ぶ、実施形態[1]~[15]の方法に関する。
【0163】
本開示の実施形態[17]は、押出工程によって前記繊維含有構造物を形成することをさらに含み、欠陥検出器の少なくとも1つが前記押出装置と直列に位置している、実施形態[1]~[16]の方法に関する。
【0164】
本開示の実施形態[18]は、編組工程によって前記繊維含有構造物を形成することをさらに含み、前記欠陥検出器の少なくとも1つが前記編組機と直列に位置している、実施形態[1]~[7]の方法に関する。
【0165】
本開示の実施形態[19]は、編組工程によって前記繊維含有構造物を形成することをさらに含み、欠陥検出器アレイは、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器アレイを直線的に通過するように前記編組機と直列に位置しており、前記欠陥検出器アレイは、直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも2つを含み、前記欠陥検出器の前記少なくとも2つは、前記繊維含有構造物のさまざまなシルエット画像が前記検出器の前記少なくとも2つによって検出されるように、検出器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記検出器オフセット角度は1°~360°未満の範囲に及ぶ、実施形態[1]~[18]の方法に関する。
【0166】
本開示の実施形態[20]は、前記欠陥検出器アレイが直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも3つを含む、実施形態[19]の方法に関する。
【0167】
本開示の実施形態[21]は、前記欠陥検出器アレイにおける前記欠陥検出器の前記少なくとも2つの間の分離距離が1mm~100mmの範囲に及ぶ、実施形態[19]および[20]の方法に関する。
【0168】
本開示の実施形態[22]は、前記欠陥検出器が、前記繊維含有構造物に光を透過させるための2つの投光器と、前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを含み、前記2つの投光器は、前記繊維含有構造物の表面Aに光Aを透過させるための投光器Aと、前記繊維含有構造物の表面Bに光Bを透過させるための投光器Bとを含み、前記2つの受光器は、前記繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、前記繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを含み、前記投光器Aは前記受光器Aと光学的に位置合わせされ、前記投光器Bは前記受光器Bと光学的に位置合わせされ、前記投光器Aと前記投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記受光器Aと前記受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記投光器オフセット角度と前記受光器オフセット角度は5°~175°の範囲に及ぶ、実施形態[19]~[21]の方法に関する。
【0169】
本開示の実施形態[23]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記張力アセンブリと直列に位置している、実施形態[1]~[22]の方法に関する。
【0170】
本開示の実施形態[24]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記仕上げアプリケータと直列に位置している、実施形態[1]~[23]の方法に関する。
【0171】
本開示の実施形態[25]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記ゴデットロールアセンブリと直列に位置している、実施形態[1]~[24]の方法に関する。
【0172】
本開示の実施形態[26]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記巻き取りアセンブリと直列に位置している、実施形態[1]~[25]の方法に関する。
【0173】
本開示の実施形態[27]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、少なくとも1つのローラと直列に位置している、実施形態[1]~[26]の方法に関する。
【0174】
本開示の実施形態[28]は、前記繊維含有構造物の前記測定が、欠陥検出器アレイとして共に直列に隣接して位置している前記欠陥検出器の少なくとも2つを含み、前記欠陥検出器アレイにおいて隣接して位置している欠陥検出器間の検出器オフセット角度が1°~360°未満の範囲に及ぶ、実施形態[1]~[27]の方法に関する。
【0175】
本開示の実施形態[29]は、前記繊維含有構造物の前記測定が、欠陥検出器アレイとして共に直列に隣接して位置している前記欠陥検出器の少なくとも3つを含み、前記欠陥検出器アレイにおいて隣接して位置している欠陥検出器間の検出器オフセット角度が、1°~360°未満の範囲に及ぶ、実施形態[1]~[28]の方法に関する。
【0176】
本開示の実施形態[30]は、前記欠陥検出器が、前記繊維含有構造物の少なくとも2つの断面直径を測定するように構成された、前記少なくとも2つの断面直径間のオフセット角度が5°~175°の範囲に及ぶような多軸欠陥検出器である、実施形態[1]~[29]の方法に関する。
【0177】
本開示の実施形態[31]は、前記欠陥検出器が、前記繊維含有構造物に光を透過させるための2つの投光器と、前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを備え、前記2つの投光器が、前記繊維含有構造物の表面Aに光Aを透過させるための投光器Aと、前記繊維含有構造物の表面Bに光Bを透過させるための投光器Bとを備え、前記2つの受光器が、前記繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、前記繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを備え、前記投光器Aは前記受光器Aと光学的に位置合わせされ、前記投光器Bは前記受光器Bと光学的に位置合わせされ、前記投光器Aと前記投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記受光器Aと前記受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記投光器オフセット角度および前記受光器オフセット角度は5°~175°の範囲に及ぶ、実施形態[1]~[30]の方法に関する。
【0178】
本開示の実施形態[32]は、前記投光器がレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含む実施形態[1]~[31]の方法に関する。
【0179】
本開示の実施形態[33]は、前記受光器がアクティブピクセルセンサである実施形態[1]~[32]の方法に関する。
【0180】
本開示の実施形態[34]は、前記受光器がフォトダイオード画像センサ、電荷結合素子(CCD)画像センサまたは相補型金属酸化物半導体(CMOS)画像センサを含むアクティブピクセルセンサである実施形態[1]~[33]の方法に関する。
【0181】
本開示の実施形態[35]は、少なくとも1つの撮像検出器で前記繊維含有構造物の表面をさらに撮像することを含み、前記撮像検出器が、撮像光で前記繊維含有構造物を照らし、撮像受信機で該表面の反射像を受像することによって該表面を撮像する、実施形態[1]~[34]の方法に関する。
【0182】
本開示の実施形態[36]は、少なくとも1つの撮像検出器で前記繊維含有構造物の表面を撮像することをさらに含み、前記撮像検出器が、撮像光で前記繊維含有構造物を照らし、撮像受信機で該表面の反射像を受像することによって該表面を撮像し、前記撮像検出器の少なくとも1つが前記押出装置、前記編組機、前記張力アセンブリ、前記仕上げアプリケータ、前記ゴデットロールアセンブリ、前記巻き取りアセンブリ、または前記それらの組み合わせと直列に位置している、実施形態[1]~[35]の方法に関する。
【0183】
本開示の実施形態[37]は、前記方法が、前記繊維含有構造物の表面を該表面の反射像を受像する撮像検出器で撮像することを含まない実施形態[1]~[36]の方法に関する。
【0184】
本開示の実施形態[38]は、前記少なくとも1つの断面直径の前記測定が少なくとも毎秒5,000サンプルのサンプリング速度で生じる、実施形態[1]~[37]の方法に関する。
【0185】
本開示の実施形態[39]は、前記少なくとも1つの断面直径の前記測定があるサンプリング速度で起こり、前記欠陥検出器の少なくとも1つの前記サンプリング速度が、前記測定が前記繊維含有構造物の前記長さに沿って一定の間隔で起こるように調整され、前記一定の間隔が10nm~1cmの範囲に及ぶ、実施形態[1]~[38]の方法に関する。
【0186】
本開示の実施形態[40]は、前記表面欠陥信号に基づいて前記繊維含有構造物の表面欠陥評価を生成することをさらに含む、実施形態[1]~[39]に記載の方法に関する。
【0187】
本開示の実施形態[41]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号が大きさ表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの大きさ表面欠陥数信号を含む実施形態[1]~[40]の方法であって、前記大きさ表面欠陥数信号は、前記直径信号と、最大断面直径対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、前記直径信号の大きさが、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記最大断面直径以下であるときゼロの大きさ表面欠陥数が発生し、前記直径信号の前記大きさが前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記最大断面直径より大きいときゼロより大きい大きさ表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい大きさ表面欠陥数は、前記直径信号の前記大きさが前記最大断面直径に対して上回るパーセンテージに対応する正の整数である、方法に関する。
【0188】
本開示の実施形態[42]は、前記大きさ表面欠陥数信号に少なくとも部分的に基づいて、前記繊維含有構造物の表面欠陥評価を生成することをさらに含む、実施形態[41]の方法に関する。
【0189】
本開示の実施形態[43]は、前記大きさ表面欠陥数信号に少なくとも部分的に基づいて、前記繊維含有構造物に含まれる欠陥を分類することをさらに含む、実施形態[41]および[42]の方法に関する。
【0190】
本開示の実施形態[44]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号が、傾斜表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの傾斜表面欠陥数信号を含む、実施形態[1]~[43]の方法であって、前記傾斜表面欠陥数信号は、前記信号処理された直径信号と、前記直径信号の最大1次微分値対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで前記信号処理された直径信号は前記直径信号を信号処理して前記直径信号の1次微分を得ることによって得られ、前記直径信号の前記1次微分の絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記直径信号の前記最大1次微分値以下であるときゼロの傾斜表面欠陥数が発生し、前記直径信号の前記1次微分の前記絶対値が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記直径信号の前記最大1次微分値より大きいとき、ゼロより大きい傾斜表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい傾斜表面欠陥数は、前記直径信号の前記最大1次微分値より大きい前記直径信号の前記1次微分の前記絶対値のパーセンテージに対応する正の整数である、方法に関する。
【0191】
本開示の実施形態[45]は、前記傾斜表面欠陥数信号に基づいて、前記繊維含有構造物の表面欠陥評価を生成することをさらに含む、実施形態[44]の方法に関する。
【0192】
本開示の実施形態[46]は、前記斜面表面欠陥数信号に少なくとも部分的に基づいて、前記繊維含有構造物に含まれる欠陥を分類することをさらに含む、実施形態[44]および[45]の方法に関する。
【0193】
本開示の実施形態[47]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号が、曲率表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの曲率表面欠陥数信号を含む、実施形態[1]~[46]の方法であって、前記曲率表面欠陥数信号は、前記信号処理された直径信号と、前記直径信号の最大2次微分値対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで前記信号処理された直径信号は前記直径信号を信号処理して前記直径信号の2次微分を得ることによって得られ、前記直径信号の前記2次微分の絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記直径信号の前記最大2次微分値以下であるとき、ゼロの曲率表面欠陥数が発生し、前記直径信号の前記2次微分の前記絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記直径信号の前記最大2次微分値より大きいとき、ゼロより大きい曲率表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい曲率表面欠陥数は、前記直径信号の前記最大2次微分値より大きい前記直径信号の前記2次微分の前記絶対値のパーセンテージに対応する正の整数である、方法に関する。
【0194】
本開示の実施形態[48]は、前記曲率表面欠陥数信号に基づいて、前記繊維含有構造物の表面欠陥評価を生成することをさらに含む、実施形態[1]~[47]の方法に関する。
【0195】
本開示の実施形態[49]は、前記曲率表面欠陥数信号に少なくとも部分的に基づいて、前記繊維含有構造物に含まれる欠陥を分類することをさらに含む、実施形態[1]~[48]の方法に関する。
【0196】
本開示の実施形態[50]は、前記基準信号が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿って一定である一定の基準信号である、実施形態[1]~[49]の方法に関する。
【0197】
本開示の実施形態[51]は、前記基準信号が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った1つまたは複数の点で変化する可変基準信号である、実施形態[1]~[50]の方法に関する。
【0198】
本開示の実施形態[52]は、少なくとも1つの速度計を用いて前記繊維含有構造物の線形速度を測定することをさらに含む、実施形態[1]~[51]の方法に関する。
【0199】
本開示の実施形態[53]は、前記表面欠陥信号に基づいて、前記押出装置、前記編組機、前記張力アセンブリ、前記仕上げアプリケータ、前記ゴデットロールアセンブリ、前記巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせの動作を変更することをさらに含む、実施形態[1]~[52]の方法に関する。
【0200】
本開示の実施形態[54]は、前記表面欠陥信号に基づいて、前記繊維含有構造物の線形速度を変更することをさらに含む、実施形態[1]~[53]の方法に関する。
【0201】
本開示の実施形態[55]は、前記表面欠陥信号に基づいて、前記少なくとも1つの断面直径の測定のサンプリング速度を変更することをさらに含む、実施形態[1]~[54]の方法に関する。
【0202】
本開示の実施形態[56]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号に基づいて、前記繊維含有構造物に含まれる欠陥を分類することをさらに含む、実施形態[1]~[55]の方法に関する。
【0203】
本開示の実施形態[57]は、実施形態[1]~[57]の方法によって得られる繊維含有構造物に関する。
【0204】
本開示の実施形態[58]は、実施形態[1]~[56]の方法によって得られる繊維含有構造物であって、前記繊維含有構造物が糸条ラインまたは編組ラインである、構造物に関する。
【0205】
本開示の実施形態[59]は、実施形態[1]~[56]の方法によって得られる繊維含有構造物であって、前記繊維含有構造物が1メートル当たり10回転未満の撚り数レベルを有する糸条ラインである、構造物に関する。
【0206】
本開示の実施形態[60]は、実施形態[1]~[56]の方法によって得られる欠陥が検出された繊維含有構造物であって、前記欠陥が検出された検出繊維含有構造物が、編組されたまたは撚った鞘を有する芯鞘構造物である、構造物に関する。
【0207】
本開示の実施形態[61]は、(A)繊維含有構造物を形成するように構成された押出装置、前記繊維含有構造物を形成するように構成された編組機、前記繊維含有構造物に張力を加えるように構成された張力アセンブリ、前記繊維含有構造物にコーティングを施すように構成された仕上げアプリケータ、前記繊維含有構造物を延伸するように構成されたゴデットロールセンブリ、前記繊維含有構造物をボビンに巻き取るように構成された巻き取りアセンブリ、またはそれらの組み合わせ、(B)投光器で前記繊維含有構造物に光を透過させ、受光器で前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出し、前記投光器で透過した総光量に対する前記受光器で検出された光量の減少量に基づいて当該断面直径を算出することによって、前記繊維含有構造物の少なくとも1つの断面直径を測定するように構成された欠陥検出器、および(C)前記欠陥検出器から得られた少なくとも1つの直径信号、任意選択で少なくとも1つの信号処理された直径信号、またはそれらの組み合わせを、少なくとも1つの基準信号と比較して、表面欠陥出力対前記繊維含有構造物の長さの少なくとも1つの表面欠陥信号を得るように構成され、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器を直線的に通過している間に前記欠陥検出器が前記少なくとも1つの断面直径を測定するプロセッサを含む、装置に関する。
【0208】
本開示の実施形態[62]は、前記繊維含有構造物が少なくとも毎分300mの線形速度で前記少なくとも1つの欠陥検出器を直線的に通過する、実施形態[61]の装置に関する。
【0209】
本開示の実施形態[63]は、前記繊維含有構造物が編組繊維含有構造物またはワイヤを撚った繊維含有構造物であり、前記繊維含有構造物が少なくとも毎分1mの線形速度で前記少なくとも1つの検出器を直線的に通過する、実施形態[61]および[62]の装置に関する。
【0210】
本開示の実施形態[64]は、前記繊維含有構造物が1メートル当たり1回転未満の撚り数レベルを有する非編組繊維含有構造物である、前記繊維含有構造物が編組繊維含有構造物である、または前記繊維含有構造物がワイヤを撚った繊維含有構造物である、実施形態[61]~[63]の装置に関する。
【0211】
本開示の実施形態[65]は、前記繊維含有構造物が芯と、該芯を囲むストランドの編組鞘とを含む芯鞘構造物である、実施形態[61]~[64]の装置に関する。
【0212】
本開示の実施形態[66]は、前記繊維含有構造物が芯を囲む編組鞘を含む芯鞘構造を有するコードであり、弛緩状態における前記編組鞘の編組角度は約5°~約85°の範囲に及ぶ、実施形態[61]~[65]の装置に関する。
【0213】
本開示の実施形態[67]は、前記繊維含有構造物が、芯を囲む編組鞘を含む芯鞘構造を有するコードであり、弛緩状態における前記編組鞘のピック数が1メートル当たり6~3,000フィラメント単位交差である、実施形態[61]~[66]の装置に関する。
【0214】
本開示の実施形態[68]は、前記繊維含有構造物が、芯を囲む編組鞘を含む芯鞘構造を有するコードであり、前記編組鞘のストランド(端)数が3~24端である、実施形態[61]~[67]の装置に関する。
【0215】
本開示の実施形態[69]は、繊維含有構造物は、芯を囲む非編組鞘を含むワイヤレイ構造を有するコードである、実施形態[61]~[68]の装置に関する。
【0216】
本開示の実施形態[70]は、前記繊維含有構造物が有機繊維を含む、実施形態[61]~[69]の装置に関する。
【0217】
本開示の実施形態[71]は、前記繊維含有構造物が、12cN/dtexを超える引張強度を有する合成繊維を含む、実施形態[61]~[70]の装置に関する。
【0218】
本開示の実施形態[72]は、前記繊維含有構造物が、液晶ポリエステルフィラメント、アラミドフィラメント、共重合体アラミドフィラメント、ポリエーテルエーテルケトンフィラメント、ポリ(p-フェニレンベンゾビスオキサゾール)フィラメント、超高分子量ポリエチレンフィラメント、高弾性ポリエチレンフィラメント、ポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンテレフタレートフィラメント、ポリアミドフィラメント、ポリヒドロキノンジイミダゾピリジンフィラメント、および高強度ポリビニルアルコールフィラメントから成る群から選択される少なくとも1つを含む、実施形態[61]~[71]の装置に関する。
【0219】
本開示の実施形態[73]は、前記繊維含有構造物が、合成繊維、並びに潤滑剤、ステープル繊維および表面コーティングの少なくとも1つとを含む、実施形態[61]~[72]の装置に関する。
【0220】
本開示の実施形態[74]は、前記繊維含有構造物が、約30~約10,000デニールの線質量密度を有するコードである、実施形態[61]~[73]の装置に関する。
【0221】
本開示の実施形態[75]は、前記繊維含有構造物の最大断面直径が約20μm~約10mmの範囲に及ぶ、実施形態[61]~[74]の装置に関する。
【0222】
本開示の実施形態[76]は、前記繊維含有構造物の平均断面直径が約20μm~約10mmの範囲に及ぶ、実施形態[61]~[75]の装置に関する。
【0223】
本開示の実施形態[77]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが前記押出装置と直列に位置している、実施形態[61]~[76]の装置に関する。
【0224】
本開示の実施形態[78]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが前記編組機と直列に位置している、実施形態[61]~[77]の装置に関する。
【0225】
本開示の実施形態[79]は、前記編組機と直列に位置している欠陥検出器アレイを含み、前記繊維含有構造物が前記欠陥検出器アレイを直線的に通過する、実施形態[61]~[78]の装置であって、前記欠陥検出器アレイは、直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも2つを含み、前記欠陥検出器の前記少なくとも2つは、前記繊維含有構造物のさまざまなシルエット画像が前記検出器の前記少なくとも2つによって検出されるように、検出器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記検出器オフセット角度は1°~360°未満の範囲に及ぶ、装置に関する。
【0226】
本開示の実施形態[80]は、前記欠陥検出器アレイが直列に位置している前記欠陥検出器の少なくとも3つを含む、実施形態[79]の装置に関する。
【0227】
本開示の実施形態[81]は、前記欠陥検出器アレイにおける前記欠陥検出器の前記少なくとも2つの間の分離距離が、1mm~100mmの範囲に及ぶ、実施形態[79]及び[80]の装置に関する。
【0228】
本開示の実施形態[82]は、前記欠陥検出器が、前記繊維含有構造物に光を透過させるための2つの投光器と、前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを含み、前記2つの投光器が、前記繊維含有構造物の表面Aに光Aを透過させるための投光器Aと、前記繊維含有構造物の表面Bに光Bを透過させるための投光器Bとを含み、前記2つの受光器が、前記繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、前記繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを含み、前記投光器Aは前記受光器Aと光学的に位置合わせされ、前記投光器Bは前記受光器Bと光学的に位置合わせされ、前記投光器Aと前記投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記受光器Aと前記受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記投光器オフセット角度および前記受光器オフセット角度は5°~175°の範囲に及ぶ、実施形態[79]~[81]の装置に関する。
【0229】
本開示の実施形態[83]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記張力アセンブリと直列に位置している、実施形態[61]~[82]の装置に関する。
【0230】
本開示の実施形態[84]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが前記仕上げアプリケータと直列に位置している、実施形態[61]~[83]の装置に関する。
【0231】
本開示の実施形態[85]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが前記ゴデットロールアセンブリと直列に位置している、実施形態[61]~[84]の装置に関する。
【0232】
本開示の実施形態[86]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、前記巻き取りアセンブリと直列に位置している、実施形態[61]~[85]の装置に関する。
【0233】
本開示の実施形態[87]は、前記欠陥検出器の少なくとも1つが、少なくとも1つのローラーと直列に位置している、実施形態[61]~[86]の装置に関する。
【0234】
本開示の実施形態[88]は、前記欠陥検出器の少なくとも2つが欠陥検出器アレイとして共に直列に隣接して位置しており、前記欠陥検出器アレイにおいて隣接して位置している欠陥検出器間の検出器オフセット角度が1°~360°未満の範囲に及ぶ、実施形態[61]~[87]の装置に関する。
【0235】
本開示の実施形態[89]は、前記欠陥検出器の少なくとも3つが、欠陥検出器アレイとして共に直列に隣接して位置しており、前記欠陥検出器アレイにおいて隣接して位置している欠陥検出器間の検出器オフセット角度が1°~360°未満の範囲に及ぶ、実施形態[61]~[88]の装置に関する。
【0236】
本開示の実施形態[90]は、前記欠陥検出器が、前記繊維含有構造物の少なくとも2つの断面直径を測定するように構成された、前記少なくとも2つの断面直径間のオフセット角度が5°~175°の範囲に及ぶような多軸欠陥検出器である、実施形態[61]~[89]の装置に関する。
【0237】
本開示の実施形態[91]は、前記欠陥検出器が、前記繊維含有構造物に光を透過させるための2つの投光器と、前記繊維含有構造物のシルエット画像を検出するための2つの受光器とを含み、前記2つの投光器が、前記繊維含有構造物の表面Aに光Aを透過させるための投光器Aと、前記繊維含有構造物の表面Bに光Bを透過させるための投光器Bとを含み、前記2つの受光器が、前記繊維含有構造物のシルエット画像Aを検出するための受光器Aと、前記繊維含有構造物のシルエット画像Bを検出するための受光器Bとを含み、前記投光器Aは前記受光器Aと光学的に位置合わせされ、前記投光器Bは前記受光器Bと光学的に位置合わせされ、前記投光器Aと前記投光器Bは投光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記受光器Aと前記受光器Bは受光器オフセット角度だけ互いに相対的に回転し、前記投光器オフセット角度および前記受光器オフセット角度は5°~175°の範囲に及ぶ、実施形態[61]~[90]の装置に関する。
【0238】
本開示の実施形態[92]は、前記投光器がレーザーダイオードまたは発光ダイオードを含む、実施形態[61]~[91]の装置に関する。
【0239】
本開示の実施形態[93]は、前記受光器がアクティブピクセルセンサである実施形態[61]~[92]の装置に関する。
【0240】
本開示の実施形態[94]は、前記受光器がフォトダイオード画像センサ、電荷結合素子(CCD)画像センサまたは相補型金属酸化物半導体(CMOS)画像センサから成るアクティブピクセルセンサである、実施形態[61]~[93]の装置に関する。
【0241】
本開示の実施形態[95]は、(D)前記繊維含有構造物の表面を撮像するように構成された撮像検出器をさらに含み、前記撮像検出器は、撮像光で前記繊維含有構造物を照らし、撮像受信機で該表面の反射像を受像することによって該表面を撮像する、実施形態[61]~[94]の装置に関する。
【0242】
本開示の実施形態[96]は、(D)前記繊維含有構造物の表面を撮像するように構成された撮像検出器をさらに含み、前記撮像検出器は撮像光で前記繊維含有構造物を照らし、撮像受信機で該表面の反射像を受像することによって該表面を撮像し、前記撮像検出器の少なくとも1つが前記押出装置、前記編組機、前記張力アセンブリ、前記仕上げアプリケータ、前記ゴデットロールアセンブリ、前記巻き取りアセンブリ、または前記それらの組み合わせと直列に位置している、実施形態[61]~[95]の装置に関する。
【0243】
本開示の実施形態[97]は、前記繊維含有構造物の表面を該表面の反射像を受像する撮像検出器で撮像することを含まない、実施形態[61]~[96]の装置に関する。
【0244】
本開示の実施形態[98]は、前記欠陥検出器が、少なくとも毎秒5,000サンプルのサンプリング速度で生じる前記少なくとも1つの断面直径の測定をする、実施形態[61]~[97]の装置に関する。
【0245】
本開示の実施形態[99]は、前記欠陥検出器があるサンプリング速度で起こる前記少なくとも1つの断面直径の測定をし、前記欠陥検出器の少なくとも1つのサンプリング速度が、前記測定が前記繊維含有構造物の前記長さに沿って一定の間隔で起こるように調整され、前記一定の間隔が10nm~1cmの範囲に及ぶ、実施形態[61]~[98]の装置に関する。
【0246】
本開示の実施形態[100]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号が、大きさ表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの大きさ表面欠陥数信号を含む[61]~[99]の装置であって、前記大きさ表面欠陥数信号は、前記直径信号と、最大断面直径対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、前記直径信号の大きさが、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記最大断面直径以下であるときゼロの大きさ表面欠陥数が発生し、前記直径信号の前記大きさが前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記最大断面直径より大きいときゼロより大きい大きさ表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい大きさ表面欠陥数は、前記直径信号の前記大きさが前記最大断面直径に対して上回るパーセンテージに対応する正の整数である、装置に関する。
【0247】
本開示の実施形態[101]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号が、傾斜表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの傾斜表面欠陥数信号を含む、実施形態[61]~[100]の装置であって、前記傾斜表面欠陥数信号は、前記信号処理された直径信号と、前記直径信号の最大1次微分値対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで前記信号処理された直径信号は前記直径信号を信号処理して前記直径信号の1次微分を得ることによって得られ、前記直径信号の前記1次微分の絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記直径信号の前記最大1次微分値以下であるときゼロの傾斜表面欠陥数が発生し、前記直径信号の前記1次微分の前記絶対値が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記直径信号の前記最大1次微分値より大きいとき、ゼロより大きい傾斜表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい傾斜表面欠陥数は、前記直径信号の前記最大1次微分値より大きい前記直径信号の前記1次微分の前記絶対値のパーセンテージに対応する正の整数である、装置に関する。
【0248】
本開示の実施形態[102]は、前記少なくとも1つの表面欠陥信号が、曲率表面欠陥数対前記繊維含有構造物の前記長さの曲率表面欠陥数信号を含む、実施形態[61]~[101]の装置であって、前記曲率表面欠陥数信号は、前記信号処理された直径信号と、前記直径信号の最大2次微分値対前記繊維含有構造物の前記長さの基準信号とを比較することによって生成され、ここで前記信号処理された直径信号は前記直径信号を信号処理して前記直径信号の2次微分を得ることによって得られ、前記直径信号の前記2次微分の絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った特定の点における前記直径信号の前記最大2次微分値以下であるとき、ゼロの曲率表面欠陥数が発生し、前記直径信号の前記2次微分の前記絶対値が前記繊維含有構造物の前記長さに沿った前記特定の点における前記直径信号の前記最大2次微分値より大きいとき、ゼロより大きい曲率表面欠陥数が発生し、前記ゼロより大きい曲率表面欠陥数は、前記直径信号の前記最大2次微分値より大きい前記直径信号の前記2次微分の前記絶対値のパーセンテージに対応する正の整数である、装置に関する。
【0249】
本開示の実施形態[103]は、前記基準信号が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿って一定である一定の基準信号である、実施形態[61]~[102]の装置に関する。
【0250】
本開示の実施形態[104]は、前記基準信号が、前記繊維含有構造物の前記長さに沿った1つまたは複数の点で変化する可変基準信号である、実施形態[61]~[103]の装置に関する。
【0251】
本開示の実施形態[105]は、前記繊維含有構造物の線形速度を測定するように構成された速度計をさらに含む、実施形態[61]~[104]の装置に関する。
【0252】
上記の説明は、当業者が本発明を製造し使用できるようにするために提示され、特定の用途とその要件の文脈で提供される。本明細書に開示された実施形態に対するさまざまな変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に定義される一般的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の実施形態および応用に適用できる。従って、本発明は、示された実施例に限定されることなく、ここに開示された原理および特徴と整合する最も広い範囲に合致する。この点で、本開示内の特定の実施形態は、広義に考慮される本発明の全ての利点を示さない場合がある。
【符号の説明】
【0253】
100 欠陥検出器
105 シルエット画像
110 繊維含有構造物
115 投光器
120 光源
125 レンズ
130 受光器
135 光量
140 総光量
145 直径信号
150 プロセッサ
155 基準信号
160 表面欠陥信号
165 アクティブピクセルセンサ
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
【国際調査報告】