(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】診断検査を識別するために電子画像を処理するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/40 20180101AFI20231031BHJP
【FI】
G16H20/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524346
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021055549
(87)【国際公開番号】W WO2022086921
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518307592
【氏名又は名称】ペイジ.エーアイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PAIGE.AI, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グラディー, レオ
(72)【発明者】
【氏名】カナン, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】レイス-フィリオ, ジョルジ セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ドグダス, ベルマ
(72)【発明者】
【氏名】フーリストン, マシュー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA26
(57)【要約】
診断検査を識別するためにデジタル画像を処理するためのシステム及び方法であって、方法は、病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信すること、複数の診断検査を判断すること、機械学習システムを1つまたは複数のデジタル画像に適用して、複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、識別すること、機械学習モデルを使用して、1つまたは複数のデジタル画像及び前提条件に基づいて、複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別すること、及び適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力すること、を含む、システム及び方法が開示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断検査を識別するためにデジタル画像を処理するためのコンピュータ実装方法であって、
病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信することと、
複数の診断検査を判断することと、
機械学習システムを前記1つまたは複数のデジタル画像に適用して、前記複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、前記機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、前記識別することと、
前記機械学習モデルを使用して、前記1つまたは複数のデジタル画像及び前記前提条件に基づいて、前記複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別することと、
前記適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力することと、を含む、前記コンピュータ実装方法。
【請求項2】
患者及び/または疾患に関する追加の患者情報、追加の診断検査情報、及び/または前記病理標本に関連する追加の検査優先情報を判断することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記適用可能な診断検査を識別することは、前記複数の診断検査のそれぞれについて陰性適中率(NPV)を予測することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
複数の訓練画像を処理することは、
少なくとも1つの以前の病理標本に関連付けられた複数のデジタル画像を受信することであって、前記デジタル画像は、前記以前の病理標本に対して実行された1つまたは複数の過去の診断検査の結果または値に関する診断検査情報、または前記以前の病理標本に対する診断検査の前記適用可能性を確立するための検査と対にされる、前記受信することと、
前記過去の診断検査の適用可能性を予測するために、前記複数のデジタル画像及び前記診断検査情報を使用して、前記機械学習システムを訓練することであって、前記機械学習システムは、マルチバイナリラベル機械学習システムを含む、前記訓練することと、
前記マルチバイナリラベル機械学習システムの1つまたは複数のバイナリ出力の少なくとも1つの閾値を判断することと、
前記マルチバイナリラベル機械学習システムからデジタルストレージデバイスにパラメータのセットを出力することであって、前記パラメータのセットは前記少なくとも1つの閾値を含む、前記出力することと、を含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のデジタル画像をフィルタリングして、分析対象の組織領域を識別することと、
前記1つまたは複数のデジタル画像から、前記対象の組織領域として識別されない1つまたは複数の領域を除去することと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記機械学習システムにスコアリング閾値を設けることと、
前記スコアリング閾値に基づいて、前記スコアリング閾値を超えるスコアの1つまたは複数の適用可能な診断検査を判断することと、
前記スコアリング閾値を超えるスコアの前記1つまたは複数の適用可能な診断検査を出力することと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記適用可能な診断検査に基づいて、患者に適している可能性のある1つまたは複数の治療法を判断することと、
前記1つまたは複数の治療法をディスプレイに出力することと、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記適用可能な診断検査をユーザに表示することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
デジタル画像を処理して診断検査を識別するためのシステムであって、
命令を格納する少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つのプロセッサであって、
病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信することと、
複数の診断検査を判断することと、
機械学習システムを前記1つまたは複数のデジタル画像に適用して、前記複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、前記機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、前記識別することと、
前記機械学習システムを使用して、前記1つまたは複数のデジタル画像及び前記前提条件に基づいて、前記複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別することと、
前記適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力することと、を含む動作を実行する前記命令を実行するように構成された前記少なくとも1つのプロセッサと、を含む、前記システム。
【請求項10】
患者及び/または疾患に関する追加の患者情報、追加の診断検査情報、及び/または前記病理標本に関連する追加の検査優先情報を判断することをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記適用可能な診断検査を識別することは、前記複数の診断検査のそれぞれについて陰性適中率(NPV)を予測することをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
複数の訓練画像を処理することは、
少なくとも1つの以前の病理標本に関連付けられた複数のデジタル画像を受信することであって、前記デジタル画像は、前記以前の病理標本に対して実行された1つまたは複数の過去の診断検査の結果または値に関する診断検査情報、または前記以前の病理標本に対する診断検査の前記適用可能性を確立するための検査と対にされる、前記受信することと、
前記過去の診断検査の適用可能性を予測するために、前記複数のデジタル画像及び前記診断検査情報を使用して、前記機械学習システムを訓練することであって、前記機械学習システムは、マルチバイナリラベル機械学習システムを含む、前記訓練することと、
前記マルチバイナリラベル機械学習システムの1つまたは複数のバイナリ出力の少なくとも1つの閾値を判断することと、
前記マルチバイナリラベル機械学習システムからデジタルストレージデバイスにパラメータのセットを出力することであって、前記パラメータのセットは前記少なくとも1つの閾値を含む、前記出力することと、を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のデジタル画像をフィルタリングして、分析対象の組織領域を識別することと、
前記1つまたは複数のデジタル画像から、前記対象の組織領域として識別されない1つまたは複数の領域を除去することと、をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記機械学習システムにスコアリング閾値を設けることと、
前記スコアリング閾値に基づいて、前記スコアリング閾値を超えるスコアの1つまたは複数の適用可能な診断検査を判断することと、
前記スコアリング閾値を超えるスコアの前記1つまたは複数の適用可能な診断検査を出力することと、をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記適用可能な診断検査に基づいて、患者に適している可能性のある1つまたは複数の治療法を判断することと、
前記1つまたは複数の療法をディスプレイに出力することと、をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記適用可能な診断検査をユーザに表示することをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
プロセッサによって実行されるとき、診断検査を識別するためにデジタル画像を処理する方法をプロセッサに実行させる命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信することと、
複数の診断検査を判断することと、
機械学習システムを前記1つまたは複数のデジタル画像に適用して、前記複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、前記機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、前記識別することと、
前記機械学習モデルを使用して、前記1つまたは複数のデジタル画像及び前記前提条件に基づいて、前記複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別することと、
前記適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力することと、を含む、前記非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
患者及び/または疾患に関する追加の患者情報、追加の診断検査情報、及び/または前記病理標本に関連する追加の検査優先情報を判断すること、をさらに含む、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記適用可能な診断検査を識別することは、前記複数の診断検査のそれぞれについて陰性適中率(NPV)を予測することをさらに含む、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
複数の訓練画像を処理することは、
少なくとも1つの以前の病理標本に関連付けられた複数のデジタル画像を受信することであって、前記デジタル画像は、前記以前の病理標本に対して実行された1つまたは複数の過去の診断検査の結果または値に関する診断検査情報、または前記以前の病理標本に対する診断検査の前記適用可能性を確立するための検査と対にされる、前記受信することと、
前記過去の診断検査の適用可能性を予測するために、前記複数のデジタル画像及び前記診断検査情報を使用して、前記機械学習システムを訓練することであって、前記機械学習システムは、マルチバイナリラベル機械学習システムを含む、前記訓練することと、
前記マルチバイナリラベル機械学習システムの1つまたは複数のバイナリ出力の少なくとも1つの閾値を判断することと、
前記マルチバイナリラベル機械学習システムからデジタルストレージデバイスにパラメータのセットを出力することであって、前記パラメータのセットは前記少なくとも1つの閾値を含む、前記出力することと、を含む、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年10月23日に出願された米国仮出願第63/104,923号に対する優先権を主張するものであり、その全体の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の様々な実施形態は、概して画像処理方法に関する。より具体的には、本開示の特定の実施形態は、電子画像を処理して診断検査を優先順位付け及び/または識別するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
罹患している組織の治療法及び治療過程を識別するための診断検査法が開発され続けており、臨床診療に利用できるようになっている。診断検査は、効果のない治療を除外することによって、及び/またはバイオマーカーの有無を検出することにより患者の疾患を治療することに対する意義深い利益を与える可能性が最も高い治療法を識別することによって、患者に利益をもたらす可能性がある(例えば、「精密医療」として知られている実践)。しかし、医師が検査に不慣れであること、施設内で検査が利用できないこと、推奨される検査を成功裏に実行するための実行可能なサンプルが不足していること、特定の検査がこの患者に陽性の結果をもたらすかもしれないという事前検査の低い期待、または検査が特定している治療の高額な費用などの様々な要因により、患者に対して重要な診断検査が行われない場合がある。本明細書で提示される技術は、どの検査が患者にとって有益であり得るか識別して優先順位を付け、その情報を患者と医師が利用できるようにすることにより、この臨床的ニーズに応じ得る。
【0004】
本明細書で提供される背景説明は、開示の文脈を一般的に提示することを目的としている。本明細書で別段の指示がない限り、このセクションに記載されている事柄は、この出願の特許請求の範囲に対する先行技術であるわけではなく、またこのセクションに含めることによって、先行技術であることまたは先行技術を示唆するものであると認められるわけではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある態様によれば、電子画像を処理して組織標本に基づく診断検査を推奨するためのシステム及び方法が開示される。
【0006】
診断検査を識別するためにデジタル画像を処理するための方法であって、病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信すること、複数の診断検査を判断すること、機械学習システムを1つまたは複数のデジタル画像に適用して、複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、識別すること、機械学習モデルを使用して、1つまたは複数のデジタル画像及び前提条件に基づいて、複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別すること、及び適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力すること、を含む、方法。
【0007】
診断検査を識別するためにデジタル画像を処理するためのシステムであって、方法は、病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信すること、複数の診断検査を判断すること、機械学習システムを1つまたは複数のデジタル画像に適用して、複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、識別すること、機械学習システムを使用して、1つまたは複数のデジタル画像及び前提条件に基づいて、複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別すること、及び適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力すること、を含む、システム。
【0008】
プロセッサによって実行されるとき、診断検査を識別するためにデジタル画像を処理する方法をプロセッサに実行させる命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、方法が、病理標本に関連付けられた1つまたは複数のデジタル画像を受信すること、複数の診断検査を判断すること、機械学習システムを1つまたは複数のデジタル画像に適用して、複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することであって、機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている、識別すること、機械学習システムを使用して、1つまたは複数のデジタル画像及び前提条件に基づいて、複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別すること、及び適用可能な診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力すること、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0009】
上述の概略的な説明と以下の詳細な説明は共に、例示で単に説明をしているものであり、クレームされているように、開示の実施形態を限定するものではないという旨を理解すべきである。
【0010】
添付の図面は、この明細書の一部に組み込まれ、これを構成し、種々の例示の実施形態を図示しており、この説明と併せて、開示している実施形態の原理を説明する役目を果たしている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本開示の例示的な実施形態による、病理標本に適用可能な診断検査を識別するためのシステム及びネットワークの例示的なブロック図を示す。
【0012】
【
図1B】本開示の例による、治療分析プラットフォーム100の例示的なブロック図を示す。
【0013】
【
図2A】本開示の例示的な実施形態による、病理標本に適用する診断検査を識別するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0014】
【
図2B】本開示の例示的な実施形態による、関連する診断検査を識別するために機械学習システムを訓練するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0015】
【
図2C】本開示の例示的な実施形態による、機械学習システムを訓練するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0016】
【
図2D】本開示の例示的な実施形態による、訓練されたシステムを使用して病理標本に適用可能な検査を識別するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0017】
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、検査の適用可能性を判断するための例示的なワークフローである。
【0018】
【
図4】本明細書で提示される技法を実行し得る例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これから本開示の例示的な実施形態について詳細に言及するが、それらの例は添付の図面に示されている。可能な場合は必ず、図面全体を通して、同じまたは類似の部分を示すために、同じ参照番号が使用される。
【0020】
本明細書で開示されるシステム、デバイス、及び方法は、例として、また図面を参照して、詳細に説明される。本明細書で説明する例は単なる例であり、本明細書で説明する装置、デバイス、システム、及び方法の説明を円滑にするために提示される。図面に示されている、または以下で説明されている機能または構成要素は、特に必須として指定されていない限り、これらのデバイス、システム、または方法のいずれかの特定の実施態様に必須と見なされるべきではない。
【0021】
また、説明されているいずれかの方法については、その方法がフロー図に関連して説明されているかどうかに関係なく、別段の指定がない限り、またはコンテキストによって必要とされない限り、方法の実行で行われるステップの何らかの明示的または暗示的な順序付けは、それらのステップが提示された順序で行われねばならないことを暗示しているのでなく、代わりに、別の順序で、または並行して行ってもよいということを理解すべきである。
【0022】
本明細書で使用される用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。さらに、本明細書における「a」及び「an」という用語は、量の制限を意味するのではなく、むしろ言及された項目のうちの1つ以上が存在していることを意味する。
【0023】
機械学習を使用する計算アッセイは、診断検査の結果を直接判定し得る場合もあれば、価値のある見込みがない検査を除外または優先順位付けするために使用され得る場合、及び/または利用可能な検査間の優先順位付けに役立つ場合もある。本開示の1つまたは複数の実施形態は、利用可能性及びコストなどの補助的情報に基づいて、除外されない検査をランク付けすると共に、この機能を実装する。
【0024】
既存のコンピュータによるアッセイは、疾患/バイオマーカーの有無を識別することに重点を置いているが、本明細書で提示する手法には、治療に役立ち得る診断検査を識別すると同時に、臨床医にとって有益である可能性が低い検査を識別することも含まれる場合がある。
【0025】
図1Aは、本開示の例示的な実施形態による、病理標本に適用可能な診断検査を識別するためのシステム及びネットワークの例示的なブロック図を示す。
【0026】
具体的には、
図1Aは、病院、研究所、及び/または診療所などのサーバに接続され得る電子ネットワーク120を示す。例えば、医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124、及び/または実験室情報システム125などは、それぞれ、1つまたは複数のコンピュータ、サーバ、及び/またはハンドヘルドモバイルデバイスを介して、インターネットなどの電子ネットワーク120に接続し得る。本願の例示的な実施形態によれば、電子ネットワーク120はまた、サーバシステム110に接続し得、これは治療分析プラットフォーム100を実装するように構成された処理デバイスを含み得、これは、本開示の例示的な実施形態による、標本の特性またはデジタル病理画像(複数可)に関連する画像特性情報を判断するため、及び疾患または感染因子が存在するかどうかを判断するために機械学習を使用するためのスライド分析ツール101を含む。スライド分析ツール101は、また、病理標本の適切な診断検査を予測し得る。
【0027】
医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124、及び/または実験室情報システム125は、1つまたは複数の患者の細胞学標本(複数可)、組織病理学標本(複数可)、細胞診標本(複数可)のスライド(複数可)、組織病理学標本(複数可)のスライド(複数可)のデジタル画像、またはそれらの任意の組み合わせの画像を作成、または取得する場合がある。医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124及び/または実験室情報システム125はまた、年齢、病歴、がん治療歴、家族歴、過去の生検または細胞学的情報などの患者固有の情報の任意の組み合わせを取得し得る。医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124及び/または実験室情報システム125は、デジタル化されたスライド画像及び/または患者固有の情報を電子ネットワーク120に亘りサーバシステム110に送信し得る。サーバシステム(複数可)110は、医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124、及び/または実験室情報システム125のうちの少なくとも1つから受信した画像及びデータを格納するための1つまたは複数のストレージデバイス109を含み得る。サーバシステム110はまた、ストレージデバイス109に記憶された画像及びデータを処理するための処理デバイスを含み得る。サーバシステム110は、1つまたは複数の機械学習ツール(複数可)または機能をさらに含み得る。例えば、処理デバイスは、一実施形態によれば、治療分析プラットフォーム100のための機械学習ツールを含み得る。代替的にまたは追加的に、本開示(または本開示のシステム及び方法の一部)は、ローカル処理デバイス(例えば、ラップトップ)で実行されてもよい。
【0028】
医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124及び/または実験室システム125は、病理学者がスライドの画像を検討するために使用するシステムを指す。病院の設定では、組織タイプ情報は実験室情報システム125に保存され得る。
【0029】
図1Bは、機械学習を使用して、標本の特性またはデジタル病理画像(複数可)に関連する画像特性情報を判断するための治療分析プラットフォーム100の例示的なブロック図を示す。治療分析プラットフォーム100は、スライド分析ツール101、データ取り込みツール102、スライド取り込みツール103、スライドスキャナ104、スライドマネージャ105、ストレージ106、実験室情報システム107、及び表示アプリケーションツール108を含み得る。
【0030】
以下に説明するように、スライド分析ツール101は、デジタル病理画像(複数可)に関する診断情報を判断するためのプロセス及びシステムを指す。例示的な実施形態によれば、機械学習を使用して画像を分類し得る。スライド分析ツール101はまた、以下の実施形態で説明するように、病理標本に関連する追加情報を受信し得る。
【0031】
データ取り込みツール102は、例示的な実施形態によれば、デジタル病理画像を分類及び処理するために使用される様々なツール、モジュール、構成要素、及びデバイスへのデジタル病理画像の転送を容易にし得る。
【0032】
例示的な実施形態によれば、スライド取り込みツール103は、病理画像をスキャンし、それらをデジタル形式に変換し得る。スライドは、スライドスキャナ104でスキャンしてもよく、スライドマネージャ105は、スライド上の画像をデジタル化された病理画像に処理し、デジタル化された画像をストレージ106に保存し得る。
【0033】
表示アプリケーションツール108は、例示的な実施形態によれば、デジタル病理画像(複数可)に関する標本の特性または画像の特性情報をユーザに提供し得る。情報は、様々な出力インターフェイス(例えば、スクリーン、モニター、ストレージデバイス及び/またはウェブブラウザなど)を通じて提供され得る。
【0034】
スライド分析ツール101及びその構成要素の1つまたは複数は、デジタル化されたスライド画像及び/または患者情報を、サーバシステム110、医師サーバ121、病院サーバ122、臨床試験サーバ123、研究所サーバ124、及び/または実験室情報システム125をネットワーク120を介して送信及び/または受信し得る。さらに、サーバシステム110は、スライド分析ツール101、データ取り込みツール102、スライド取り込みツール103、スライドスキャナ104、スライドマネージャ105、及び表示アプリケーションツール108の少なくとも1つから受信した画像及びデータを格納するためのストレージデバイスを含み得る。サーバシステム110はまた、ストレージデバイスに記憶された画像及びデータを処理するための処理デバイスを含み得る。サーバシステム110は、例えば、処理デバイスに起因して、1つまたは複数の機械学習ツール(複数可)または機能をさらに含み得る。代替的にまたは追加的に、本開示(または本開示のシステム及び方法の一部)は、ローカル処理デバイス(例えば、ラップトップ)で実行されてもよい。
【0035】
上記のデバイス、ツール、及びモジュールのいずれも、1つまたは複数のコンピュータ、サーバ、及び/またはハンドヘルドモバイルデバイスを介して、インターネットまたはクラウドサービスプロバイダーなどの電子ネットワークに接続し得るデバイス上に配置してもよい。
【0036】
図2Aは、本開示の例示的実施形態による、病理標本の一連の診断検査を識別するための方法を示す。例えば、例示的な方法200(例えば、ステップ202~210)は、スライド分析ツール101によって自動的に、またはユーザからの要求に応じて実行され得る。
【0037】
一実施形態によれば、病理標本に適用する一連の診断検査を識別するための例示的な方法200は、以下のステップのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップ202において、方法は、病理標本(例えば、組織学、細胞学など)に関連する1つまたは複数のデジタル画像を、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)へと受信することを含み得る。
【0038】
任意選択で、この方法は、病理標本に関連する患者及び/または疾患に関する追加情報を受信することを含み得る。この追加情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の臨床病理及び/または生化学的検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、腫瘍のサイズ、がんのグレード、がんの病期、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0039】
任意選択で、この方法は、追加の検査情報を受信することを含み得る。この追加の検査情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、地域の(近くの)医療施設での検査の利用可能性、検査用品、検査に関する現在の臨床ガイドライン、検査に関する現在の規制適応、1つまたは複数の検査の結果が出るまでの平均時間(検査速度とターンアラウンドタイム)、現在の検査価格、利用可能な臨床試験などが含まれる場合があるが、これらに限定されない。
【0040】
任意選択で、この方法はまた、追加の検査優先情報を受信することを含み得る。この追加の優先情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、検査が保険の対象(政府の医療、患者の保険など)であるかどうか、保険を考慮した後の自己負担額、医師が優先させる検査(実験室、病院)、患者によって優先される検査(例えば、宗教的慣行、患者の年齢、基礎疾患、副作用などに起因)などに関する情報が含まれる場合がある。
【0041】
ステップ204において、この方法は、複数の診断検査を判断することを含み得る。
【0042】
ステップ206において、この方法は、機械学習システムを1つまたは複数のデジタル画像に適用して、複数の診断検査のそれぞれが適用可能になるためのいずれかの前提条件を識別することを含み得、機械学習システムは、複数の訓練画像を処理することによって訓練されている。診断検査には、分子組織検査(ゲノム配列判断、免疫組織化学(IHC)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、発色インサイチュハイブリダイゼーション(CISH)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、遺伝子検査、特殊なステイン、アルゴリズム(計算、人工知能、機械学習)検査、放射線検査、追加の生検(標本)、臨床検査(血液、尿、喀痰などの生化学的及び/または化学的病理検査を含む)など、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、電子カルテ、実験室情報システム、ネットワークドライブなど)及び/またはユーザディスプレイ(例えば、モニター、文書、印刷物など)に出力する。
【0043】
ステップ208において、方法は、機械学習モデルを使用して、1つまたは複数のデジタル画像及び前提条件に基づいて、複数の診断検査のうち適用可能な診断検査を識別することを含み得る。診断検査のスコアリングは、望ましさのいくつかの表現を示す場合がある。例としては、見込まれる患者の検査の利益、費用対効果、利益に対する検査結果の効率性、提案された治療薬の投薬及び投薬スケジュールでの治療剤またはアプローチの利益及びまたは利用可能性に対する好ましい検査のランク付けをおそらく含む。
【0044】
ステップ210において、この方法は、ランク付けされた一連の診断検査をデジタルストレージデバイス及び/またはディスプレイに出力することを含み得る。
【0045】
任意選択で、この方法は、スコアリング閾値を入力することを含み、閾値を超えるスコアを付けた検査の1つまたは複数、またはそれらの検査のみを出力し得る(ゼロの検査スコアが閾値を超える場合、検査は含まれない)。
【0046】
任意選択で、方法は、患者の治療戦略として考えられ得る1つまたは複数の治療法、投薬、または投薬スケジュール、または研究の組み入れ基準と除外基準、及び地理的近接性に基づいて患者に利用可能な臨床検査を入力情報及び/または追加の提案された検査に基づいて出力することを含み得る。
【0047】
任意選択で、この方法は、ランク付けされた診断検査のセットをユーザ(例えば、委託臨床医、検査研究所、診断会社、治療会社、及び/または患者)に表示することを含み得る。検査結果は、また、カスタマイズされたインターフェイス、出力ドキュメント(PDFなど)、印刷などを使用して表示され得る。
【0048】
1つまたは複数の例示的な実施形態は、次の3つの構成要素のうちの1つまたは複数を含み得る。
検査の適用可能性を識別するための機械学習システムの訓練
訓練されたシステムを使用して適用可能な検査を識別する
補助情報に基づく適用可能な検査のランク付け
検査の適用可能性を識別するための機械学習システムの訓練
【0049】
図2Bは、本明細書で提示される技法による、検査の適用可能性を識別するために機械学習システムを訓練するための例示的な方法を示すフローチャートである。例えば、例示的な方法220及び240(例えば、ステップ222~224及びステップ242~252)は、スライド分析ツール101によって自動的に、またはユーザからの要求に応じて実行され得る。
【0050】
一実施形態によれば、検査の適用可能性を識別するために機械学習システムを訓練するための例示的な方法220は、以下のステップのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップ222において、この方法は、診断検査が適用可能であるための少なくとも前提条件を識別することを含み得る。例えば、一部の乳癌再発検査(Oncotype DXなど)では、検査が適用可能であるには、乳癌患者がエストロゲン受容体(ER)陽性である必要がある場合がある。患者がER陽性ではない可能性が高いことが計算解析で識別された場合、その患者にOncotype DXを使用することは除外される。
【0051】
ステップ224では、方法は、機械学習システムを使用して、1つまたは複数の診断検査について陰性的中率を予測することを含み得る。例えば、ゲノム検査は費用と時間がかかる場合があるため、患者が特定の薬の投与に関連する変異を有していないと判断することは、ゲノム検査を実施することが付加価値をもたらさないことを示し得る。システムが変異の存在を除外できない場合、その変異の存在を調べるゲノム検査が有効な検査になる可能性がある。もう1つの例は、免疫組織化学的及び/またはゲノム検査が集団的に必要となる場合があるが(例えば、転移性がん患者におけるNTRK融合遺伝子またはマイクロサテライト不安定性評価)、集団におけるバイオマーカーの有病率が低い場合である。システムが免疫組織化学的及び/またはゲノムの特徴の存在を除外できない場合、免疫組織化学的及び/またはゲノム検査を実施してもよい。
【0052】
方法240は、例示的な実施形態による、機械学習システムを訓練するためのフローチャートである。例えば、例示的な方法240(例えば、ステップ242~252)は、スライド分析ツール101によって自動的に、またはユーザからの要求に応じて実行され得る。ステップ242において、この方法は、患者から病理標本(例えば、組織学、細胞学など)に関連する1つまたは複数のデジタル画像を受信することを含み得、1つまたは複数のデジタル画像は、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、実行された1つまたは複数の診断検査、または診断検査の適用可能性を遵守するための検査の結果及び/または価値についての情報と対にされる。
【0053】
ステップ244において、方法は、1つまたは複数のデジタル画像に関連する患者及び/または疾患に関する追加情報を受信することを含み得る。この追加情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に受信される、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0054】
ステップ246において、この方法は、1つまたは複数のデジタル画像をフィルタリングして分析対象の組織領域を識別すること、及び1つまたは複数のデジタル画像から目立たない領域を除去することを含み得、目立たない領域は、例えば背景及び/または対象の組織領域として識別されないものである。対象領域(複数可)は、患者及び/または疾患に関する追加情報に少なくとも部分的に基づいて識別され得る。対象領域/目立った領域の判断は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第17/313617号で論じられている技術を使用して実行され得る。1つまたは複数の画像のフィルタリングは、手作業による注釈で、または領域検出器を使用して、目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別することによって行われ得る。
【0055】
ステップ248において、この方法は、マルチバイナリ機械学習システムを訓練して、1つまたは複数の診断検査及び1つまたは複数の診断検査であるかどうかを予測し、1つまたは複数の診断検査の適用可能性を判断することを含み得る。検査が行われなかった場合、それは患者の欠損データとして扱われ、機械学習システムのパラメータの更新には使用されない。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われ得る)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない各患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
a. 多層パーセプトロン(MLP)
b. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
c. グラフニューラルネットワーク
d. サポートベクターマシン(SVM)
e. ランダムフォレスト
【0056】
ステップ250において、方法は、機械学習システムの1つまたは複数のバイナリ出力に対して少なくとも1つの閾値を設定することを含み得る。診断検査の前提条件に対応する出力の場合、少なくとも1つの閾値を設定して、その前提条件(例えば、診断検査を適用可能にするバイオマーカーの存在)の検出を最適化し得る。個々の検査に対応する出力については、その診断検査の適用可能性を除外するためにNPVを最適化するように閾値を設定し得る。
【0057】
ステップ252において、方法は、マルチバイナリレベル機械学習システムからデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)にパラメータのセットを出力することを含み得る。パラメータのセットは、少なくとも1つの閾値、及び機械学習システムを調整する他のデータを含み得る。
訓練されたシステムを使用して適用可能な検査を識別する
【0058】
図2Cは、本明細書に開示される例示的な方法による、訓練された機械学習システムを患者に使用するためのフローチャートである。機械学習システムが適用可能な診断検査を判断するように訓練された後、ユーザはシステムを患者に適用し得る。例えば、例示的な方法260(例えば、ステップ262~270)は、スライド分析ツール101によって自動的に、またはユーザからの要求に応じて実行され得る。ステップ262において、方法は、病理標本(例えば、組織学、細胞学、IHCなど)に関連する1つまたは複数のデジタル画像を、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)へと受信することを含み得る。
【0059】
ステップ264において、方法は、1つまたは複数のデジタル画像に関連する患者及び/または疾患に関する追加情報を受信することを含み得る。この追加情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0060】
ステップ266において、方法は、1つまたは複数の画像をフィルタリングして対象の組織領域を識別し、1つまたは複数の画像から適用できない領域を除去することを含み得る。フィルタリングは、手作業による注釈で、または領域検出器を使用して、目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別することによって行われ得る。
【0061】
ステップ268において、この方法は、訓練された機械学習システムを1つまたは複数のデジタル画像に適用することによって、1つまたは複数の診断検査の適用可能性を予測することを含み得る。
【0062】
ステップ270において、方法は、1つまたは複数の診断検査の予測される適用可能性をデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力することを含み得る。
【0063】
補助情報に基づく適用可能な検査のランク付け
図2Dは、本明細書で提示される技法による、病理標本に適用可能な診断検査をランク付けするための例示的な方法を示すフローチャートである。適用可能な検査を識別した後、任意選択のステップは、患者及び臨床医の優先性、検査の可用性、検査の可用性、検査費用、検査の速度などに基づいて、適用可能な検査をランク付けすることである。例えば、例示的な方法280(例えば、ステップ282~290)は、スライド分析ツール101によって自動的に、またはユーザからの要求に応じて実行され得る。ステップ282では、この方法は、訓練された機械学習システムを適用して、病理標本に適用可能な1つまたは複数の診断検査のリストを識別することを含み得、これにより、N次元バイナリベクトル「y」が生成され、この場合、1つまたは複数の要素は、個々の検査の適用可能性に対応する。
【0064】
ステップ284では、この方法は、病理標本に関する追加の検査及び優先情報を受信することを含み得る。追加の検査情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、地域の(近くの)医療施設での検査の利用可能性、検査用品、検査に関する現在の臨床ガイドライン、検査に関する現在の規制適応、1つまたは複数の検査の結果が出るまでの平均時間(検査速度)、現在の検査価格などが含まれる場合があるが、これらに限定されない。追加の優先情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、どの検査が保険の対象(政府の医療、患者の保険など)であるか、保険を考慮した後の自己負担額、医師が優先させる検査(実験室、病院)、患者によって優先される検査(例えば、宗教的慣行、患者の年齢、基礎疾患、副作用などに起因)などに関する情報が含まれる場合がある。
【0065】
ステップ286では、この方法は、1つまたは複数の検査をスコアリングして、スコアリングのN次元ベクトル「s」を生成することを含み得る。これが行われ得る多くの非限定的な方法がある。
a. 適用可能性と利用可能性のみを使用:
i. s=yに設定する。適用可能であると予測される一部またはすべての検査について、検査が利用できない場合は、その検査のsの対応する要素を0に設定する。
b. 適用可能性、利用可能性、及び速度の使用:
i. s=yに設定する。適用可能であると予測されるいずれかまたはすべての検査について、検査が利用できない場合は、その検査のsの対応する要素を0に設定し、さもなければ、sの対応する要素を速度に反比例するように設定し、より高速な検査ほどスコアが大きくなるようにする。
c. 適用可能性、利用可能性、速度、患者の自己負担額を使用:
i. s=yに設定する。適用可能であると予測されるいずれかまたはすべての検査について、検査が利用できない場合は、その検査の対応する要素sを0に設定する、さもなければ、ユーザの優先性に基づいて、sの対応する要素を重み付けされた合計に設定し、それにおいて合計の第1項は、速度に反比例するため、より高速な検査ほどスコアが大きくなり、合計の第2項は、患者の検査費用から保険適用範囲を差し引いたものに反比例する。
d. 適用可能性、利用可能性、速度、患者の自己負担額、及び患者の優先性を使用:
i. s=yに設定する。適用可能であると予測されるいずれかまたはすべての検査について、検査が利用できない場合、または検査が患者が受けられないものである場合(例えば、宗教的慣習、年齢、不快感などにより)は、その検査の対応する要素sを0に設定する、さもなければ、ユーザの優先性に基づいて、sの対応する要素を重み付けされた合計に設定し、それにおいて合計の第1項は、速度に反比例するため、より高速な検査ほどスコアが大きくなり、合計の第2項は、患者の検査費用から保険適用範囲を差し引いたものに反比例する。
【0066】
ステップ288において、この方法は、より高いスコアの検査が好まれるようにN次元ベクトルsをソートすることを含み得、これはベクトル内の検査を検査スコアによってソートすることを含み得る。
【0067】
任意選択で、この方法は、スコアリング閾値を入力し、閾値を超えるスコアを付けた検査の1つまたは複数、またはおそらくそれらの検査のみを出力することを含み得る(ゼロの検査スコアが閾値を超える場合、検査は含まれない)。
【0068】
任意選択で、この方法は、ステップ282~288における入力情報及び/または追加の提案された検査に基づいて、患者に適している場合がある1つまたは複数の治療法を出力することも含み得る。
【0069】
ステップ290において、方法は、カスタマイズされたインターフェイス、出力文書(例えば、PDF)、印刷物などを使用して、検査結果をユーザ(例えば、委託臨床医、検査研究所、診断会社、治療薬の会社及び/または患者)に表示することを含み得る。
【0070】
図3は、本明細書で提示される技法による、検査の適用可能性を判断する例示的なワークフロー300である。
図3は、N個の異なる診断検査の適用可能性を判断するために(ランク付け前に)患者からの画像データに対して実行されるシステムの描写であり、システムは、検査が適用可能である場合は1を出力し、適用可能でない場合は0を出力する。
【0071】
ステップ302において、ワークフローは、病理標本のデジタル画像を入力することを含み得る。ステップ304において、病理標本及び任意の利用可能な追加の患者データを機械学習システムに入力してもよい。
【0072】
ステップ306では、ワークフローは、各診断検査の適用可能性を判断するマルチラベル出力を含み得る。
【0073】
例示的な実施形態:患者が特定の突然変異または抗原の検査前の可能性が低い場合でも、ゲノム検査、IHC検査、またはISH/FISH検査を指示する
ゲノム検査は費用がかかる場合があり、すべてのセンターで利用可能であるわけではない場合があり、追加の費用がかかる場合があり、かなりの時間がかかる場合がある。本明細書に提示される技術は、ゲノム検査が診断の価値をもたらす可能性が高い時を判断するために使用されてもよく、不必要な検査が回避される。IHC、ISH/FISH検査がいつ適用可能であるかを判断するために、1つまたは複数の例示的な実施形態を使用してもよい。
【0074】
ゲノム、IHC、またはISH/FISH検査の適用可能性を識別するための機械学習システムの訓練
機械学習システムを訓練するステップには、次のものが含まれる場合がある。
1. 患者からデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)の1つまたは複数のデジタル画像を受信する。患者ごとに、1つまたは複数の画像を、ゲノム検査(例えば、遺伝子のリストに対する発がん性変異/融合の有無)、IHC検査、及び/またはISH/FISH検査の結果に関する情報と組み合わせてもよい。
2. 任意選択で、各患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. マルチバイナリラベル機械学習システムを訓練して、1つまたは複数の発がん性遺伝子変異/融合の存在を予測する。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換することを使用してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われてもよい)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない一人または複数の患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
i. 多層パーセプトロン(MLP)
ii. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
iii. グラフニューラルネットワーク
iv. サポートベクターマシン(SVM)
v. ランダムフォレスト
5. システムの1つまたは複数のバイナリ出力に対して閾値を設定して、各がん遺伝子の突然変異/融合が確実に存在しないように最適化してもよい。
6. 訓練されたシステムのパラメータをデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
訓練されたシステムを使用して、ゲノム、IHC、またはISH/FISH検査が必要な場合があるかどうかを識別する
1. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)のデジタル画像を受信する。
2. 任意選択で、患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. 患者からのデジタル画像に対して、訓練された機械学習システムを実行し、各がん遺伝子の突然変異/融合の決定的な欠如に対応するマルチラベル出力のN次元ベクトルを生成するのが利用可能な場合は、追加の患者情報を組み込む。
5. 予測をデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
6. 任意選択で、除外されたがん遺伝子をユーザに通知し、ゲノム検査を実施するべきであれば推奨する。
【0075】
例示的な実施形態:MammaPrint、OncotypeDX、EndoPredict、PAM50(Prosigna)または乳癌指数など、乳癌のマルチパラメータ遺伝子発現検査を指示すること
乳癌の治療法判断の指針となるマルチパラメータ遺伝子発現検査の使用が増加している。これらの検査は、乳癌の再発のリスクが高い患者を識別する。使用される検査には、70遺伝子アッセイであるMammaPrintと20遺伝子アッセイであるOncotype DXがあり、化学療法が浸潤性乳癌の患者に利益をもたらす場合があるかどうか治療の判断を導くのに役立つ。Oncotype DX検査の前提条件は、患者がER陽性であることである可能性があるため、ER陰性患者は除外する必要がある場合がある。患者が化学療法を必要とし得るかどうかを判断するためのその他の検査には、EndoPredict(12遺伝子リスクスコア)、PAM50(50遺伝子アッセイ)、及び乳癌指数がある。
【0076】
乳癌患者に対するマルチパラメータの遺伝子発現検査の適用可能性を識別するための機械学習システムの訓練
機械学習システムを訓練するステップには、次のものが含まれる場合がある。
1. 患者からデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に、病理標本(例えば、組織学)の侵襲性原発性乳房腫瘍デジタル画像を複数受信する。患者ごとに、患者がER陽性か陰性かに関する情報と、1つまたは複数の画像を組み合わせてもよく、陽性の場合はOncotype DXスコアも含まれる。
2. 任意選択で、各患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. マルチバイナリラベル機械学習システムを訓練して、患者がER陽性かER陰性かを予測し、ER陽性患者のOncotype DXスコアを予測するように訓練し、それ以外の場合はOncotype DXスコアを欠損値として扱う(例えば、欠落している場合はパラメータを更新するために使用されない)。他の検査では、マルチラベル機械学習システムを訓練して、患者のがん再発リスクスコアを予測する。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換することを使用してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われてもよい)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない各患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
i. 多層パーセプトロン(MLP)
ii. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
iii. グラフニューラルネットワーク
iv. サポートベクターマシン(SVM)
v. ランダムフォレスト
閾値は、システムの1つ以上のバイナリ出力に対して設定され得、患者がシステムによってER陰性であると判断された場合、Oncotype DXは適用不可として示され、患者が非常に低い検査スコアと判断された場合、マルチパラメータ乳癌遺伝子発現検査を実施することで、再発リスクが低いという予測につながる可能性が高いことを示すようにする。
訓練されたシステムのパラメータをデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0077】
訓練されたシステムの使用
マルチパラメータ乳癌遺伝子発現検査の適用可能性を判断するためにシステムを訓練した後、訓練されたシステムを患者に使用するためのステップには、次のものが含まれ得る。
1. 患者からデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に、病理標本(例えば、組織学)の侵襲性原発性乳房腫瘍デジタル画像を受信する。
2. 任意選択で、患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つ以上の画像から適用できない領域を削除する。
4. 患者からのデジタル画像に対して訓練された機械学習システムを実行し、利用可能な場合は追加の患者情報を組み込む。システムが患者がER陰性であると予測した場合、Oncotype DXが推奨されないことを示す。患者のマルチパラメータ乳癌遺伝子発現検査のスコアが低い可能性が高いとシステムが予測した場合、ユーザにそのことを示し、この検査を使用しないことを推奨する。
5. 予測をデジタルストレージデバイス(ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0078】
例示的な実施形態:Oncotype DXゲノム前立腺スコア(GPS)またはプロラリスなどの前立腺癌のマルチパラメータ遺伝子発現検査の指示
OncotypeDX GPS(17遺伝子アッセイ)及びProlaris(46遺伝子アッセイ)検査は、前立腺癌の侵襲性の可能性を評価し、治療の判断を導くのに役立つ。GPSスコアまたはProlarisリスクスコアが高いほど、がんが侵襲的である可能性が高くなり、手術や放射線療法などの即時治療が必要になる場合がある。
【0079】
機械学習システムを訓練するステップには、次のものが含まれる場合がある。
1. 患者からデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に、病理標本(例えば、組織学)の前立腺腫瘍デジタル画像を複数受信する。各患者について、1つまたは複数の画像を前立腺癌の遺伝子発現検査と組み合わせてもよい。
2. 任意選択で、各患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. マルチバイナリラベル機械学習システムを訓練して、OncoType DX GPSスコア/Prolarisスコアを予測する。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換することを使用してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われてもよい)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない各患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
i. 多層パーセプトロン(MLP)
ii. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
iii. グラフニューラルネットワーク
iv. サポートベクターマシン(SVM)
v. ランダムフォレスト
5. 閾値は、システムの1つ以上のバイナリ出力に対して設定され得、患者が非常に低い検査スコアを有すると判断されれば、マルチパラメータ前立腺癌遺伝子発現検査を実施することで、より侵襲的でない前立腺癌の予測につながる可能性が高いことを示すようにする。
6. 訓練されたシステムのパラメータをデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0080】
訓練されたシステムの使用
システムがOncotype DXの適用可能性を判断するために訓練された後、訓練されたシステムを患者に使用するためのステップは次のものが含まれ得る。
1. 患者からデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に、病理標本(例えば、組織学)の侵襲性原発性乳房腫瘍デジタル画像を受信する。
2. 任意選択で、患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域を識別したりすることで行われてもよい。1つ以上の画像から適用できない領域を削除する。
4. 患者からのデジタル画像に対して訓練された機械学習システムを実行し、利用可能な場合は追加の患者情報を組み込む。患者のOncotype DX GPSスコアまたはProlarisスコアが低い可能性が高いとシステムが予測した場合、ユーザにそのことを示し、Oncotype DX GPSまたはProlarisを使用しないことを推奨する。
5. 予測をデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0081】
例示的な実施形態:HER2、ミスマッチ修復(MMR)修復タンパク質、PD-L1などの単一/多重免疫組織化学(IHC)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)検査を指示する。
特定の臨床段階でのがんの種類の治療では、追加のIHC及び/またはFISH分析が治療の意思決定に不可欠である可能性があるが、マーカーの頻度は低い。これは、NTRK1、NTRK2、及びNTRK3融合遺伝子の存在、ならびに特定の治療レジメンを使用するためのマイクロサテライト不安定性について、すべてまたは複数の転移性がん患者の腫瘍部位にとらわれない検査の必要性によって例示される(つまり、それぞれTRK阻害剤と免疫チェックポイント阻害剤である)。同様に、非小細胞肺癌患者のALK、RET、及びROS1再編成の存在についての検査は、転移の状況においてこれらの患者の治療のために必要となる場合がある。
単一/多重免疫組織化学(IHC)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)検査の適用可能性を識別するための機械学習システムの訓練
【0082】
機械学習システムを訓練するステップには、次のものが含まれる場合がある。
1. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)の複数のデジタル画像を受信する。患者ごとに、1つまたは複数の画像をIHC/FISH検査または関連するゲノム検査の結果に関する情報と組み合わせてもよい。
2. 任意選択で、各患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍、浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. マルチバイナリラベル機械学習システムを訓練して、IHC/FISHマーカーの存在を予測する。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われてもよい)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない各患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
i. 多層パーセプトロン(MLP)
ii. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
iii. グラフニューラルネットワーク
iv. サポートベクターマシン(SVM)
v. ランダムフォレスト
5. システムの1つまたは複数のバイナリ出力に対して閾値を設定して、特定のIHC/FISHマーカーが確実に存在しないように最適化してもよい。
6. 訓練されたシステムのパラメータをデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0083】
訓練されたシステムの使用
システムが単一/多重免疫組織化学(IHC)検査の適用可能性を判断するために訓練された後、訓練されたシステムを患者に使用するためのステップは次のものが含まれ得る。
1. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)のデジタル画像を受信する。
2. 任意選択で、患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. 患者からの1つまたは複数のデジタル画像に対して、訓練された機械学習システムを実行し、特定のIHC/FISHマーカーの決定的な欠如に対応するマルチラベル出力のN次元ベクトルを生成するのが利用可能な場合は、追加の患者情報を組み込む。
5. 予測をデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
6. 任意選択で、除外されたIHC/FISHマーカーをユーザに通知し、そのタイプのIHC/FISHを実施するべきであれば推奨する。
【0084】
例示的な実施形態:Foundation One CDxまたはMSK IMPACTなどの複数遺伝子配列判断パネルの指示
腫瘍及び/または腫瘍と正常のペアの複数遺伝子パネル解析は、がん患者に利益をもたらすことが示されており、複数の研究により、転移がん患者の最大>10%で、複数遺伝子シーケンスアッセイが、これらの分子検査の結果のみに基づいて、より適切な治療を受け、及び/または臨床試験に登録され得ることが示されている。しかし、大多数の患者にとって、これらのアッセイによって提供される情報は、現在の有用性が限られているか、まったくない。さらに、これらのアッセイは比較的高価で、所要時間が長く、限られた数の機関でしか利用できない。
【0085】
複数遺伝子シーケンスパネルの適用可能性を識別するための機械学習システムの訓練
機械学習システムを訓練するステップには、次のものが含まれる場合がある。
1. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)の複数のデジタル画像を受信する。患者ごとに、1つまたは複数の画像を複数遺伝子シーケンスアッセイの結果に関する情報と組み合わせてもよい。
2. 任意選択で、各患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
4. マルチバイナリラベル機械学習システムを訓練して、複数遺伝子シーケンスアッセイの結果を予測する。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換することを使用してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われてもよい)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない各患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
i. 多層パーセプトロン(MLP)
ii. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
iii. グラフニューラルネットワーク
iv. サポートベクターマシン(SVM)
v. ランダムフォレスト
5. 閾値は、システムの1つまたは複数のバイナリ出力に対して設定され、複数遺伝子シーケンスアッセイから生じる臨床的に関連する所見が決定的に存在しないことを最適化してもよい。
6. 訓練されたシステムのパラメータをデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0086】
訓練されたシステムの使用
システムが複数遺伝子シーケンスパネルの適用可能性を判断するために訓練された後、訓練されたシステムを患者に使用するためのステップは次のものが含まれ得る。
1. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)のデジタル画像を受信する。
2. 任意選択で、患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)が含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
【0087】
患者からのデジタル画像に対して、訓練された機械学習システムを実行し、複数遺伝子シーケンスアッセイに由来する臨床的に関連する結果の決定的な欠如に対応するマルチラベル出力のN次元ベクトルを生成するのが利用可能な場合は、追加の患者情報を組み込む。
【0088】
予測をデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0089】
任意選択で、どの遺伝子及びゲノムの変化が除外されたかをユーザに通知し、複数遺伝子シーケンシングアッセイを実施するべきであれば勧める。
【0090】
例示的な実施形態:免疫腫瘍学(IO)療法を優先するためのアッセイの指示。
免疫療法は、さまざまな種類のがんの患者の治療環境を再形成している。治療の意思決定のための腫瘍特異的(例えば、非小細胞肺癌及び転移性トリプルネガティブ乳癌におけるPD-L1評価)、ならびにがんの部位にとらわれない(例えば、マイクロサテライト不安定性(MSI)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)及び腫瘍変異負荷(TMB))バイオマーカーが、現在必要とされている場合がある。しかし、それらの評価は、多くの場合、高額で、長いターンアラウンドタイムがあり、その後の統合が必要な複数のモダリティのアッセイ(例えば、IHC、PCR、及び/または複数遺伝子シーケンスアッセイ)が含まれる。
【0091】
さらに、腫瘍微小環境の組成と患者の免疫特性をよりよく理解するための新しいパネルが開発されている。PanCancer IO 360遺伝子発現パネルは、腫瘍、免疫系、及び間質からの発現パターンの特徴付けのために開発された、770ターゲットの多重遺伝子発現パネルである。これには、PD-1/PD-L1阻害剤経路遮断への応答に関連することが知られている18の機能的遺伝子を含む腫瘍炎症シグネチャー(TIS)が含まれている。PanCancerIO360パネルとTISは、医師がIO療法の治療を判断する際に役立つ可能性がある。
【0092】
免疫腫瘍療法の優先順位付けに役立つアッセイを識別するための機械学習システムの訓練
機械学習システムを訓練するステップには、次のものが含まれる場合がある。
4. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)の複数のデジタル画像を受信する。患者ごとに、1つまたは複数の画像を、免疫療法の反応に関する特定のバイオマーカーに関する情報と組み合わせてもよい(例えば、PD-L1発現、マイクロサテライト不安定性高/欠損ミスマッチ修復(MSI/dMMR)、腫瘍変異負荷(TMB)、PanCancer IO360パネル、TIS)。
5. 任意選択で、各患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報 には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
6. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つまたは複数のイメージから目立たない領域を削除する。
7. マルチバイナリラベル機械学習システムを訓練して、免疫療法の反応に対する1つ以上の特定のバイオマーカーの存在を予測する(例えば、PD-L1発現、MSI/dMMR、TMB、PanCancerIO360パネル、TIS)。利用可能な場合、追加の患者データ(病歴、既存の結果など)を機械学習システムに入力して、追加情報を提供してもよい(例えば、これは、この情報をベクトルに変換することを使用してから条件付きバッチ正規化を使用して画像の処理を調整することにより、ニューラルネットワークベースの方法で行われてもよい)。多くの機械学習システムは、以下を含むがそれらに限定されない各患者からのサンプルの画像ピクセルに適用することで、これを行うように訓練され得る。
i. 多層パーセプトロン(MLP)
ii. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
iii. グラフニューラルネットワーク
iv. サポートベクターマシン(SVM)
v. ランダムフォレスト
8. システムの1つまたは複数のバイナリ出力に対して閾値を設定して、免疫療法反応に対する1つまたは複数の特定のバイオマーカーの変異/融合の確実な不在に最適化してもよい(例えば、PD-L1発現、MSI/dMMR、TMB、PanCancerIO360パネル、TIS)。
9. 訓練されたシステムのパラメータをデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
【0093】
免疫腫瘍療法の優先順位付けに役立つアッセイを識別するための訓練されたシステムの使用
訓練された機械学習システムを使用するステップには、次のものが含まれる場合がある。
1. 患者から、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に病理標本(例えば、組織学、細胞学など)のデジタル画像を受信する。
2. 任意選択で、患者及び/または疾患に関する追加の患者情報を受信する。この追加の患者情報には、デジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に入れる、患者の人口統計、以前の病歴、追加の検査結果、放射線画像、過去の病理標本画像、標本に関する情報(例えば、標本サンプルの場所、ブロック内の位置など)などが含まれ得るが、これらに限定されない。
3. 任意選択で、1つまたは複数の画像をフィルター処理して、使用する必要がある対象の組織領域を識別する。これは、手で注釈を付けたり、領域検出器を使用して目立った領域(例えば、浸潤性腫瘍及び/または浸潤性腫瘍間質)を識別したりすることで行われてもよい。1つ以上の画像から適用できない目立たない領域を削除する。
4. 患者からのデジタル画像に対して、訓練された機械学習システムを実行し、免疫療法反応の1つ以上の特定のバイオマーカー(例えば、PD-L1発現、MSI/dMMR、TMB、PanCancerIO360パネル、TISなど)の突然変異/融合の決定的な不在に対応するマルチラベル出力のN次元ベクトルを生成できる場合は、追加の患者情報を組み込む。
5. 予測をデジタルストレージデバイス(例えば、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドストレージ、RAMなど)に出力する。
6. 任意選択で、免疫療法反応の特定のバイオマーカー(例えば、PD-L1発現、MSI/dMMR、TMB、PanCancer IO 360パネル、TIS)が除外されたことをユーザに通知し、IHC及び/またはゲノム検査を実施するべきであれば推奨する。
【0094】
図4に示すように、デバイス400は、中央処理デバイス(CPU)420を含み得る。CPU420は、例えば、任意のタイプの専用または汎用マイクロプロセッサデバイスを含む、任意のタイプのプロセッサデバイスであり得る。当業者によって認識されるように、CPU420は、マルチコア/マルチプロセッサシステム、単独でまたはコンピューティングデバイスのクラスタで、クラスタでまたはサーバファーム内で動作するシステム内の単一のプロセッサであり得る。CPU420は、通信インフラストラクチャ410、例えば、BUS、メッセージ待ち行列、ネットワーク、またはマルチコアメッセージ受け渡しスキームに接続され得る。
【0095】
デバイス400はまた、メインメモリ440、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)をも含んでもよく、また二次メモリ430を含み得る。二次メモリ430、例えば読み取り専用メモリ(ROM)は、例えば、ハードディスクドライブまたはリムーバブルストレージドライブであり得る。そのような取り外し可能な記憶ドライブは、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリ、または同様のものを含み得る。取り外し可能な記憶ドライブは、この例では、周知の手法で取り外し可能な記憶ユニットから読み出し、及び/またはこれに書き込む。取り外し可能なストレージは、取り外し可能な記憶ドライブによって読み出し及び書き込みされるフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク等を含み得る。当業者によって認識されるように、取り外し可能な記憶ユニットは、一般に、そこにコンピュータソフトウェア及び/またはデータを格納したコンピュータ使用可能記憶媒体を含む。
【0096】
代替的な実施態様において、二次メモリ430は、他の命令のコンピュータプログラムがデバイス400にロードされることを可能にする類似の手段を含み得る。かかる手段の例は、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェイス(ビデオゲーム機器において見られるものなど)、取り外し可能なメモリチップ(EPROM、またはPROM等)及び関連するソケット、及び他の取り外し可能な記憶ユニット及びソフトウェア及びデータが取り外し可能な記憶ユニットからデバイス400へと転送されることを可能にするインターフェイスを含み得る。
【0097】
デバイス400はまた、通信インターフェイス(「COM」)460を含み得る。通信インターフェイス460は、ソフトウェア及びデータが、デバイス400と外部デバイスとの間で転送されることを可能にする。通信インターフェイス460は、モデム、ネットワークインターフェイス(イーサネット(登録商標)カード等)、COMポート、PCMCIAスロット及びカード、または同様のものを含み得る。通信インターフェイス460を経由して転送されるソフトウェア及びデータは、信号の形式であってもよく、これは通信インターフェイス460によって受信されることのできる電気、電磁、光、または他の信号であり得る。デバイス400の通信パスを介した通信インターフェイス460に与えられ得るこれらの信号は、例えば、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話のリンク、RFリンクまたは他の通信チャネルを使用して実装され得る。
【0098】
このような機器のハードウェア要素、オペレーティングシステム、及びプログラミング言語は、本質的に従来のものであり、当業者は十分に熟知していると思われる。デバイス400はまた、キーボード、マウス、タッチスクリーン、モニター、ディスプレイなどの入力及び出力デバイスと接続するための入力及び出力ポート450を含み得る。もちろん、処理の負荷を分散するために、さまざまなサーバ機能を多数の同様のプラットフォームに分散方式で実装してもよい。あるいは、サーバは、1つのコンピュータハードウェアプラットフォームの適切なプログラミングによって実装してもよい。
【0099】
この開示を通じて、構成要素またはモジュールへの言及は、一般に、機能または関連する機能のグループを実行するために論理的に一緒にグループ化され得るアイテムを指す。同様の参照番号は、一般に、同一または類似の構成要素を指すことを意図している。構成要素及び/またはモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェア及び/またはハードウェアの組み合わせで実装してもよい。
【0100】
上述のツール、モジュール、及び/または機能は、1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。「記憶装置」の類の媒体は、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、または様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの関連モジュールのいずれかまたはすべてを含み得、これらは、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的な記憶をもたらし得る。
【0101】
ソフトウェアは、インターネット、クラウドサービスプロバイダー、またはその他の電気通信ネットワークを介して伝達され得る。例えば、通信によって、あるコンピュータまたはプロセッサから別のものにソフトウェアをロードできる場合がある。本明細書で使用する場合、非一時的で有形の「記憶」媒体に限定されていなければ、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を与えることに関与する任意の媒体を示している。
【0102】
前述の一般的な説明は、例示的及び説明的なものに過ぎず、本開示を限定するものではない。他の実施形態は、本明細書の考慮及び本明細書に開示される本発明の実践から、当業者に明らかとなり得る。仕様及び例は、単なる例示と見なされることを意図している。
【国際調査報告】