(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】アンプル破砕ツール
(51)【国際特許分類】
B02C 19/00 20060101AFI20231031BHJP
B65B 69/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B02C19/00 102
B65B69/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524364
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021054752
(87)【国際公開番号】W WO2022086773
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519436644
【氏名又は名称】ヴェリカ ファーマシューティカルズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】VERRICA PHARMACEUTICALS INC.
【住所又は居所原語表記】44 West Gay Street,Suite 400, West Chester, PA 19380, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スカヴォラ,ユージン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】デイリー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アルコーン,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】フラック,ヴィッキー
【テーマコード(参考)】
3E058
4D067
【Fターム(参考)】
3E058AA01
3E058BA01
3E058CB05
3E058CB10
4D067CG06
4D067GA08
4D067GA16
(57)【要約】
治療薬用のアプリケータ内に含まれるアンプルを破砕するためのツールが本明細書に開示される。アンプル破砕ツールは、平らな面に対して傾斜して載置されるように構成され得る。さらに、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕操作中に放出されるある容積の治療薬を収集するための流出リザーバを含むことができる。さらに、アンプル破砕ツールは、治療薬がアンプルから予測不可能な軌道に沿って放出される場合でも、アンプル破砕ツールが治療薬を収容できるように、完全に包囲されたキャビティを形成することができる。アンプル破砕ツールはまた、アンプルを含むアプリケータをアンプル破砕ツール内で適切な向きに方向付けるように形作られてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプル破壊装置であって:
第1の端部および第2の端部を有する本体;ならびに
アンプル破壊装置が平らな面に置かれているとき、およびアンプルを破壊するために装置が作動している間に、本体の第2の端部の第2の高さより垂直に上の第1の高さで、本体の第1の端部を傾斜させるように構成された支持体を含む、前記アンプル破壊装置。
【請求項2】
本体が、第1の高さと第2の高さの差に少なくとも部分的に基づいて、本体のキャビティ内にアンプルを有する薬剤アプリケータを傾斜して保持するように構成される、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項3】
本体に対して移動可能なカバーをさらに含み、カバーは、カバーが本体に向かって移動したときにアンプルを破砕するように構成された少なくとも1つのリブを含む、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項4】
支持体が、第1のタワー部分および第2のフランジ部分を含み、第1のタワー部分は本体の第1の端部に配置され、第2のフランジ部分は本体の第2の端部に配置される、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項5】
第1のタワー部分が、面に対して第2のフランジ部分の第4の高さより垂直に上の第3の高さに達する、請求項4に記載のアンプル破壊装置。
【請求項6】
本体が、アンプルを破砕するように構成された湾曲した縁部を有する複数のリブを含む、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項7】
カバーをさらに含み、カバーは、アンプルを破砕するように構成された平らな縁部を有する複数のリブを含む、請求項6に記載のアンプル破壊装置。
【請求項8】
湾曲した縁部を有する複数のリブが、本体の第2の端部に配置される、請求項6に記載のアンプル破壊装置。
【請求項9】
本体の第1の端部に配置されたキャビティをさらに含み、キャビティは、薬剤アプリケータの少なくとも遠位端を受け入れるように構成され、遠位端はディスペンサーチップを含み、キャビティは、側壁および側壁に対して凹んだリザーバを含み、リザーバは、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出された薬剤を収集するように構成されている、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項10】
本体が、第1のキャビティを有するベース部分、および第2のキャビティを有するカバー部分を含み、カバー部分およびベース部分は、開放構成と閉鎖構成を形成するために互いに対して移動可能であり、閉鎖構成では、カバー部分がベース部分を覆い、第1のキャビティおよび第2のキャビティが閉鎖筐体を形成する、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項11】
アンプルを有する薬剤アプリケータを受け入れるように構成されたキャビティをさらに含み、キャビティは第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、薬剤アプリケータの分注端部を受け入れるように形成され、配置され、第2の部分は、薬剤アプリケータの管端部を受け入れるように形成され、配置され、第1の部分はテーパー状の形状を有し、第2の部分は円筒状の形状を有する、請求項1に記載のアンプル破壊装置。
【請求項12】
アンプルを破壊する方法であって:
ツールを平らな面に置くこと;
アンプルを有する薬剤アプリケータをツールのキャビティ内に置くこと;および
ツールが平らな面に対して傾斜した角度で薬剤アプリケータを保持している間に、ツールを作動させてアンプルを破壊することを含む、前記方法。
【請求項13】
薬剤アプリケータ内に薬剤を保つために、傾斜した角度でツールのキャビティから薬剤アプリケータを取り外すことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アンプルを破壊するためにツールを作動させると、アンプルからの薬剤が薬剤アプリケータの外に放出される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
アンプルを破壊するためにツールが作動するときに、薬剤の少なくとも一部が放出されるのを防止することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
キャビティ内で放出された薬剤を収集することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ツールを用いてアンプルを破壊することが、ツールのカバー部分を開放構成から閉鎖構成に移動させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
アンプル破壊装置であって:
第1の端部および第2の端部を有する本体;および
本体の第1の端部に配置されたキャビティであって、薬剤アプリケータの少なくとも遠位端を受け入れるように構成され、遠位端はディスペンサーチップを含む、前記キャビティを含み、
キャビティは、側壁および側壁に対して凹んだリザーバを含み、リザーバは、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出される薬剤を収集するように構成されている、前記アンプル破壊装置。
【請求項19】
本体が、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出される薬剤をリザーバに向けて導くような形状および配置のスプレーシールドを含む、請求項18に記載のアンプル破壊装置。
【請求項20】
スプレーシールドが、第1の部分および第2の部分を含み、アンプル破壊装置が閉鎖構成にあるとき、第1の部分は第2の部分と重なり、第2の部分は第1の部分と重なる、請求項19に記載のアンプル破壊装置。
【請求項21】
アンプル破壊装置が平らな面に置かれているとき、およびアンプルを破壊するために装置が作動している間、本体の第2の端部の第2の高さより垂直に上の第1の高さで本体の第1の端部を傾斜させるように構成された支持体をさらに含む、請求項18に記載のアンプル破壊装置。
【請求項22】
キャビティが、第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、薬剤アプリケータの分注端部を受け入れるように形成され、配置され、第2の部分は、薬剤アプリケータの管端部を受け入れるように形成され、配置され、第1の部分はテーパー状の形状を有し、第2の部分は円筒状の形状を有する、請求項18に記載のアンプル破壊装置。
【請求項23】
本体が、キャビティを有するベース部分、および第2のキャビティを有するカバー部分を含み、カバー部分およびベース部分は、開放構成および閉鎖構成を形成するために互いに対して移動可能であり、閉鎖構成では、カバー部分がベース部分を覆い、キャビティおよび第2のキャビティが閉鎖筐体を形成する、請求項18に記載のアンプル破壊装置。
【請求項24】
アンプルを破壊する方法であって;
アンプルを有する薬剤アプリケータをツールのキャビティ内に置くこと;
ツールでアンプルを破壊し、アンプルから薬剤を薬剤アプリケータの外に放出させること;および
キャビティ内で放出された薬剤を収集することを含む、前記方法。
【請求項25】
放出された薬剤をリザーバに向けて導くことをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ツールを平らな面上に置くことをさらに含み、ツールによってアンプルが破壊されるとき、ツールは平らな面に対して傾斜した角度で薬剤アプリケータを保持する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ツールを用いてアンプルを破壊することが、ツールのカバー部分を開放構成から閉鎖構成に移動させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
アンプル破壊装置であって:
第1のキャビティを有するベース部分;および
第2のキャビティを有するカバー部分であって、カバー部分およびベース部分が開放構成および閉鎖構成を形成するために互いに対して移動可能であり、閉鎖構成では、カバー部分がベース部分を覆い、第1のキャビティおよび第2のキャビティが閉鎖筐体を形成する、前記カバー部分を含む、前記アンプル破壊装置。
【請求項29】
ベース部分が、第1の側壁を含み、カバー部分が、第2の側壁を含み、第1および第2の側壁は、閉鎖構成において互いに重なり合うように構成される、請求項28に記載のアンプル破壊装置。
【請求項30】
閉鎖筐体が、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出された薬剤を閉鎖筐体内に保つように構成されている、請求項28に記載のアンプル破壊装置。
【請求項31】
第1のキャビティが、側壁および側壁に対して凹んだリザーバを含み、リザーバは、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出された薬剤を収集するように構成されている、請求項28に記載のアンプル破壊装置。
【請求項32】
第1キャビティが、第1部分および第2部分を含み、第1の部分は、薬剤アプリケータの分注端部を受け入れるように形成され、配置され、第2の部分は、薬剤アプリケータの管端部を受け入れるように形成され、配置され、第1の部分はテーパー状の形状を有し、第2の部分は円筒状の形状を有する、請求項28に記載のアンプル破壊装置。
【請求項33】
第1の端部および第2の端部を有する本体、およびアンプル破壊装置を平らな面に置いたときに、本体の第2の端部の第2の高さより垂直に上の第1の高さで本体の第1の端部を傾斜させるように構成された支持体をさらに含む、請求項28に記載のアンプル破壊装置。
【請求項34】
カバー部が、第1の破砕機および第2破砕機を含み、第1の破砕機は、カバー部分から第1の距離だけ離れて延び、第2の破砕機は、カバー部分から第1の距離よりも長い第2の距離だけ離れて延びる、請求項28に記載のアンプル破壊装置。
【請求項35】
アンプル破壊装置が、アンプル破壊装置が開放構成から閉鎖構成に移動するときに、第2の破砕機が、第1の破砕機よりも前にアンプルと接触するように、アンプルを収容するように構成されている、請求項34に記載のアンプル破壊装置。
【請求項36】
第1の破砕機が、アンプル破壊装置の管状部分の第1の端部領域に配置され、第2の破砕機が、アンプル破壊装置の管状部分の中央領域に配置される、請求項35に記載のアンプル破壊装置。
【請求項37】
アンプル破壊装置の管状部分が、アンプルを含むアプリケータの管状部分、アプリケータの管状部分を受け入れるように構成され、および、アプリケータがアンプル破壊装置内に受け入れられると、第1の破砕機はアンプルの第1の端部と位置合わせされ、第2の破砕機はアンプルの中央領域と位置合わせされる、請求項36に記載のアンプル破壊装置。
【請求項38】
アンプル破壊装置が、アンプル破壊装置の管状部分の第2の端部領域に配置された第3の破砕機をさらに含み、および、アプリケータがアンプル破壊装置内に受け入れられると、第3の破砕機がアンプルの第2の端部と位置合わせされる、請求項37に記載のアンプル破壊装置。
【請求項39】
アンプル破壊装置であって:
アンプルを有する薬剤アプリケータを受け入れるように構成されたキャビティであって;
キャビティは第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、薬剤アプリケータの分注端部を受け入れるように形成され、配置され、第2の部分は、薬剤アプリケータの管端部を受け入れるように形成され、配置され、第1部分はテーパー状の形状を有し、第2の部分は円筒状の形状を有する、前記アンプル破壊装置。
【請求項40】
キャビティが、アンプルを破砕するように構成された湾曲した縁部を有する複数のリブを含む、請求項39に記載のアンプル破壊装置。
【請求項41】
カバーをさらに含み、カバーは、アンプルを破砕するように構成された平らな縁部を有する複数のリブを含む、請求項40に記載のアンプル破壊装置。
【請求項42】
第1の端部、第2の端部を有する本体、およびアンプル破壊装置が平らな面上に置かれたとき、本体の第2の端部の第2の高さより垂直に上の第1の高さで本体の第1の端部を傾斜させるように構成された支持体を含む、請求項39に記載のアンプル破壊装置。
【請求項43】
キャビティが、薬剤アプリケータの少なくとも遠位端を受け入れるように構成され、遠位端はディスペンサーチップを含み、キャビティは、側壁および側壁に対して凹んだリザーバを含み、リザーバは、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出された薬剤を収集するように構成されている、請求項39に記載のアンプル破壊装置。
【請求項44】
キャビティが、ベース部分上に配置され、アンプル破壊装置が、第2のキャビティを有するカバー部分をさらに含み、カバー部分およびベース部分は、開放構成と閉鎖構成を形成するために互いに対して移動可能であり、閉鎖構成では、カバー部分がベース部分を覆い、キャビティおよび第2のキャビティが閉鎖筐体を形成する、請求項39に記載のアンプル破壊装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年10月20日に出願された米国仮出願第63/094,231号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される実施形態は、アンプル破砕ツール、例えば、使用する薬剤アプリケータを準備するためのアンプル破砕ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
体の体表面はさまざまな障害によって影響を受ける可能性がある。たとえば、多くの皮膚疾患では皮膚に病変が生じる。これらの病変の一部は、皮膚上の表皮増殖の形をとる。たとえば、いぼはウイルス感染によって引き起こされる小さな表皮の増殖物で、手や足によく見られる。最も一般的なタイプのイボは尋常性疣贅と呼ばれ、複数の異なる株のヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる可能性がある。
【0004】
体のほとんどの部分にあるこれらのいぼは、尋常性疣贅と呼ばれることがあるが、足の場合は足底疣贅と呼ばれる場合があり;性器にある場合は、性器疣贅またはコンドロマと呼ばれることがある。伝染性軟属腫などの他の表皮ウイルス性疾患はイボに似ているが、別個のウイルスによって引き起こされる。これらのウイルス媒介の皮膚増殖は見苦しく、癌化や転移の重大なリスクを引き起こす可能性があるため、除去することが望ましいとされている。他の表在性過剰増殖性疾患には、いぼに似ているが、非ウイルス性のメカニズムによって引き起こされ、脂漏性角化症、日光角化症、および孔隙角化症が含まれる。
【0005】
イボ、伝染性軟属腫、その他の皮膚疾患を除去するために、凍結療法;外科的掻爬術;レーザー治療;サリチル酸や酸化亜鉛などの刺激物;硝酸やスクアリン酸などの酸;2,4-ジニトロクロロベンゼンとカンジダ抗原、およびブレオミオシン、ポドフィロトキシン、5-フルオロウラシルなどの化学療法剤を含む、種々の様式が使用されている。これらの治療法の多くは痛みを伴う場合があるが、その他の治療法では外観を損なう傷跡が残ったり、毎日の適用が必要になったりする場合がある。これらの皮膚障害の多くは、複数回の追跡治療の後でも依然として難治性である。したがって、これらの状態を治療するには改善された治療法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの実施形態では、アンプル破壊装置は、第1の端部および第2の端部を有する本体;ならびに、アンプル破壊装置が平らな面に置かれているとき、およびアンプルを破壊するために装置が作動している間に、本体の第2の端部の第2の高さより垂直に上の第1の高さで、本体の第1の端部を傾斜させるように構成された支持体を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、アンプルを破壊する方法は、(1)ツールを平らな面に置くこと、(2)アンプルを備えた薬剤アプリケータをツールのキャビティ内に置くこと、および(3)ツールが平らな面に対して傾斜した角度で薬剤アプリケータを保持しながら、ツールを作動させてアンプルを破壊することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、アンプル破壊装置は、第1の端部および第2の端部を有する本体と、本体の第1の端部に配置されたキャビティとを含み、キャビティは、薬剤アプリケータの少なくとも遠位端を受け入れるように構成され、遠位端はディスペンサーチップを含み、キャビティは、側壁および側壁に対して凹んだ(recessed)リザーバを含み、リザーバは、アンプルの破壊操作中にアンプルから放出された薬剤を収集するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、アンプルを破壊する方法は、(1)アンプルを備えた薬剤アプリケータをツールのキャビティ内に置くこと、(2)ツールでアンプルを破壊し、アンプル内の薬剤を薬剤アプリケータの外に放出させること、および(3)キャビティ内で放出された薬剤を収集する。
【0010】
いくつかの実施形態では、アンプル破壊装置は、第1のキャビティを有するベース部分と、第2のキャビティを有するカバー部分とを含み、カバー部分とベース部分は、開放構成と閉鎖構成を形成するために互いに対して移動可能であり、閉鎖構成では、カバー部分がベース部分を覆い、第1のキャビティおよび第2のキャビティが閉鎖筐体を形成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、アンプル破壊装置は、アンプルを有する薬剤アプリケータを受け入れるように構成されたキャビティを含み、キャビティは第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分は、薬剤アプリケータの分注端部(dispensing end)を受け入れるように形作られ、配置され、第2の部分は、薬剤アプリケータの管端部(tube end)を受け入れるように形作られ、配置され、第1の部分はテーパー状の形状を有し、第2の部分は円筒状の形状を有する。
【0012】
本開示はこの点に限定されないため、前述の概念、および以下で説明する追加の概念は、任意の適切な組み合わせで配置することができることを理解されたい。さらに、本開示の他の利点および新規な機構は、添付の図面と併せて考慮すると、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面を参照して例として説明するが、これらの図面は概略的なものであり、一定の縮尺で描くことを意図したものではない。図面では、図示されている同一またはほぼ同一の各要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にするために、すべての図においてすべての要素にラベルが付けられているわけではなく、また、本発明の各実施形態のすべての要素が示されているわけではなく、当業者が本発明を理解できるようにするために図示は必要ない。図においては:
【0014】
【
図1A-B】
図1Aは、例示的な一実施形態による、アプリケータを保持するアンプル破砕ツールの斜視図であり、アンプル破砕ツールは開放構成にある。
図1Bは、閉鎖構成にある
図1Aのアンプル破砕ツールの斜視図であり、アンプル破砕ツールのカバー部分が仮想線で示されている。
【
図2】例示的な一実施形態による、アプリケータを保持するアンプル破砕ツールの側断面図である。
【
図3】例示的な一実施形態によるアンプル破砕ツールの基部の斜視図である。
【0015】
【
図4A-B】
図4Aは、例示的な一実施形態による、開放構成にあるアンプル破砕ツールの斜視図である。
図4Bは、例示的な一実施形態による、閉鎖構成にある
図4Aのアンプル破砕ツールの斜視図である。
【
図5】例示的な一実施形態による、線5?5に沿った
図4Bのアンプル破砕ツールの断面図である。
【
図6A-B】
図6Aは、例示的な一実施形態によるアンプル破砕ツールのカバー部分の底面図である。
図6Bは、例示的な一実施形態による
図6Aのアンプル破砕ツールのベース部分の上面図である。
【
図7】
図7は、例示的な一実施形態によるアンプル破砕ツールのカバー部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
さまざまな体表面障害を治療するために、臨床医は多くの適切な治療法のうちの1以上を使用することがある。このような障害を治療するための治療薬としては、患者の皮膚に適用できる軟膏、クリーム、または他の適切な治療薬が挙げられる。ある場合には、例えば治療薬が瓶に入っている場合、臨床医は木の棒を使用して患者に治療薬を塗布することがある。
【0017】
他の例では、臨床医は、ガラス、プラスチック、または任意の他の適切な材料で作られた壊れやすいアンプルに治療薬を含むことができるアプリケータを使用して治療薬を適用することができる。このようなアプリケータの一例は、米国特許出願公開第2021/0138214号として公開された米国特許出願第16/621,854号で論じられており、WO2018/232277としても公開されており、それぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
アプリケータ102の例示的な一実施形態が
図1Aに示され、アプリケータ102の断面が
図2に示される。アプリケータ102は、アンプル146および外管148を含むことができ、アンプルは外管内に位置付けられる。アプリケータ102はまた、出口150を備えたディスペンサーチップ152を含んでもよい。アプリケータはまた、ディスペンサーチップ152の出口150を覆うことができるキャップ154を含むことができる。
【0019】
臨床医がそのようなアプリケータを使用する場合、アプリケータ内に含まれるアンプルは、患者に投与するためにアンプル内に含まれる治療薬を放出するために、使用前に破砕される場合がある。ある場合には、アンプルを手で割るのが難しい場合がある。したがって、発明者らは、アプリケータ内に含まれるアンプルを破壊するのを補助するツールの必要性を認識した。
上記を考慮して、本発明者らは、アプリケータ内に含まれるアンプルを破壊することによって使用するアプリケータを準備するためのアンプル破砕ツールの利点を認識した。
【0020】
アプリケータは、ディスペンサーチップと、ディスペンサーチップを覆うキャップとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、キャップは気密シールを形成しなくてもよい。いくつかの実施形態では、キャップは、用途に応じて、気密シールを形成しないように意図的に設計されてもよい。例えば、ある場合には、キャップは、アプリケータのディスペンサーチップが自己シールできるように、キャップを通した通気を可能にするように設計されてもよい。具体的には、一定期間空気に露出された後、治療薬の少なくとも一部(例えば、ディスペンサーチップの出口に向かって配置された治療薬の一部)が時間の経過とともに硬化する可能性がある。
【0021】
硬化した治療薬はディスペンサーチップの出口を塞いで自己シール効果を可能にし、治療薬がディスペンサーチップから流出するのを防止する可能性がある。セルフシール効果は、治療薬からの溶媒(水やアルコールなど)の蒸発によって引き起こされる可能性があり、固体が残り、セルフシール効果が可能になる。セルフシール効果は不正開封防止シールとして機能することができ、あるいはセルフシール機構は治療薬の劣化や酸化を防ぐのに役立つこともある。
【0022】
場合によっては、臨床医は、アンプルを破砕する前にアプリケータのキャップを取り外し、キャップを取り外している間にアンプルの破砕を開始することがある。したがって、ある場合には(例:アプリケータのキャップが気密シールを形成していない場合、および/または臨床医が破砕する前にアプリケータのキャップを取り外し、キャップを取り外した状態でアンプルを破砕し始める場合)、アプリケータ内に収容されたアンプルを破砕するためにアンプル破砕ツールを使用する行為により、アプリケータ内に収容されたある容積の治療薬がアプリケータ(ディスペンサーチップなど)の出口に向かって移動し、したがってアプリケータから放出される可能性がある。
【0023】
したがって、発明者らは、アンプルが破砕されたときに放出される治療薬の容積を最小限に抑えることができるアンプル破砕ツールの利点をさらに認識した。
ある場合には、臨床医は治療薬への望ましくない露出を防止したいと考えるかもしれない。したがって、発明者らはまた、アンプルが破砕されるときにアプリケータから放出される治療薬の容積を収容できるアンプル破砕ツールの利点を認識した。
【0024】
本明細書に開示される実施形態は、患者に治療薬を塗布するためのアプリケータを収容するように構成されたアンプル破砕ツールに関する。いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕操作中にアプリケータからある容積の治療薬が放出されるのを防止するための機構と、破砕操作中にアプリケータから放出されるある容積の治療薬を収容するための機構とを含む。
【0025】
本開示によるアンプル破砕ツールは、カバー部分およびベース部分など、互いに移動可能な2つの部分を含み得る。カバーおよびベース部分は、ヒンジを介して互いに対して移動可能であってもよい(例えば、リビングヒンジ、ピボットヒンジ、ピンヒンジ、ケースヒンジ、隠しヒンジ、または他の適切なタイプのヒンジ)。いくつかの実施形態では、カバー部分およびベース部分はリビングヒンジ(living hinge)を備えた単一の連続的な部品として形成され、他の実施形態では、カバー部分およびベース部分は2つの分離した部品として形成される(例:2つの分離した部分をヒンジで接続する場合)。
【0026】
カバー部分とベース部分の組み合わせは、アンプルを含むアプリケータを収容するように構築され得、アンプルは治療薬を保持する。カバーおよび/またはベース部分は、アンプルを潰すための1以上のリブを含んでもよい。例えば、カバー部分は、1以上のリブを含んでもよく、アプリケータをアンプル破砕ツールに置き、カバー部分をベース部分に押し付けたとき、または、カバー部分とベース部分とが互いに向かって移動したとき、リブは、アプリケータ内に含まれるアンプルを破壊するのに役立つ。
【0027】
逆に、ベース部分は、1以上のリブを含んでもよく、アプリケータがアンプル破砕ツール内に置かれ、カバー部分がベース部分の上に押し付けられるときに、または、カバー部分とベース部分が互いに向かって移動すると、リブは、アプリケータ内に含まれるアンプルを破壊するように機能する。言うまでもなく、1以上のリブは、ベース部分またはカバー部分のいずれかに配置される必要はない。
【0028】
例えば、ベース部分とカバー部分の両方が1以上のリブを含んでもよい。代替的に、複数のリブを、例えば交互パターンでカバー部分とベース部分との間に散在させてもよい。当業者には理解されるように、リブの任意の適切な配置を使用することができる。
【0029】
アンプル破砕操作(例:アンプル破砕ツールを使用して、アプリケータ内に含まれるアンプルを破砕する)を行うために、臨床医はカバー部分を開けることから始めて、臨床医がアプリケータをアンプル破砕ツールに挿入できるようにする。次いで、臨床医は、例えば、アプリケータがベース部分内に収まるように、アプリケータをアンプル破砕ツール内に置くことができる。
【0030】
アプリケータをベース部分内に置いた後、臨床医は、カバー部分を閉じて、アプリケータ内に含まれるアンプルを(例えば、上述のリブを介して)破壊することができる。アンプルを破壊した後、臨床医はカバー部分を再度開き、患者に使用するために準備されたアプリケータを取り外すことができる。したがって、臨床医は、アプリケータ内に含まれる治療薬を患者に適用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アプリケータ内に収容された治療薬含有アンプルを破砕するためにアンプル破砕ツールが使用される間に、治療薬がアプリケータから放出されるのを防止するための機構を含む。例えば、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕ツール、ひいてはアンプル破砕ツール内に含まれるアプリケータを、破砕操作中に傾斜して配置するように構成された1以上の支持体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、本体(例えば、基部)に取り付けられた1以上の支持体を含む。
【0032】
支持体は、アンプル破砕ツールを平らな面に置いたとき、アンプル破砕ツールの本体の第1の端部がアンプル破砕ツールの本体の第2の端部よりも垂直方向に高く位置するように、アンプル破砕ツールの本体の第1の端部に配置され得る(つまり、第1の端部とは反対側の端部)。したがって、支持体は、アンプル破砕ツールを面に対して傾ける役割を果たすことができる。
【0033】
上記から理解されるように、アプリケータは、アンプル破砕ツールに実質的に平行な向きでアンプル破砕ツールに嵌合する(fit)ことができるが、アンプル破砕ツールの本体に沿って傾斜することもできる。ある場合には、アプリケータの出口は、アンプル破砕ツールの第1の端部に向かって配置されてもよい。
【0034】
したがって、アプリケータの出口は、治療薬(例えば、アンプル)を含むアプリケータの部分よりも垂直方向に高い高さに配置され得る。したがって、アプリケータ内に含まれるアンプルが押しつぶされると、傾斜した向きは、重力によって治療薬がアプリケータの出口から引き離されるように機能し、治療薬が出口端とは反対側のアプリケータの端に向かって沈降することを可能にする。場合によっては、アンプル破砕ツールの傾斜した支持体は、アンプル破砕操作中に治療薬が放出されるのを防止したり、アプリケータから放出される治療薬の量を減少させるのに役立ち得る。
【0035】
それにもかかわらず、ある場合には、アンプルの破砕操作中に、ある容積の治療薬がアプリケータから放出される可能性がある。したがって、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕操作中にアプリケータから放出される治療薬の容積をアンプル破砕ツールが収集できるようにする機構を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕操作中に放出される治療薬の容積を収集するように構築された流出リザーバを含む。流出リザーバは、アンプル破砕装置の第1の端部(すなわち、アプリケータの出口を収容するように構成された端部)に配置され得る。
【0036】
流出リザーバは、アンプル破砕ツールの本体のキャビティ内に形成され得る。キャビティは側壁を含むことができ、流出リザーバはキャビティの側壁に対して凹んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕操作中に放出される治療薬の容積を流出リザーバに向けて導くように構成されたスプラッシュシールド(splash shield)を含んでもよい。したがって、流出リザーバは、アンプルの破砕操作中に放出される治療薬の容積を収集し、治療薬への望ましくない露出を防止することができる。
【0037】
ある場合には、アンプルの破砕操作中にアプリケータから放出される治療薬の容積が、予測不可能な軌道に沿ってアプリケータから出る可能性がある。したがって、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕操作中にアプリケータから放出される治療薬のすべてを収容するための機構を含むこともできる。例えば、カバー部分およびベース部分は、カバー部分が開放構成と閉鎖構成との間でベース部分に対して移動可能であるように構築され得る。
【0038】
開放構成では、アプリケータをアンプル破砕ツール内に置ける、カバー部分はベース部分から十分に離れていてもよい。逆に、閉鎖構成では、カバー部分とベース部分との組み合わせが完全な筐体を形成するように、カバー部分がベース部分を完全に覆うことができる。いくつかの実施形態では、カバー部分およびベース部分はそれぞれ、延長側壁を含み、カバー部分の延長側壁がケース部分の延長側壁と重なるようにしてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、重なり部分がシールを形成してもよい。したがって、シールがアンプル破砕ツール内でのアンプル破砕操作中に放出される治療薬の容積を封じ込めるのに役立つ可能性があるため、アンプル破壊ツールは、治療薬への望ましくない露出をさらに防止することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アンプル破砕ツールがアプリケータを所定の向きに保持できるようにする機構を含んでもよい。例えば、アンプル破壊ツールは、アプリケータを収容するように構築されたキャビティを含むことができる。キャビティは、第1の部分と第2の部分を含むことができる。第1の部分は、アプリケータの分注端部(すなわち、アプリケータの出口を含む端)を受け入れる形状であってもよく、一方で第2の端部は、アプリケータの管端部(すなわち、アンプルを含む端部)を受け入れる形状であってもよい。
【0041】
そのために、キャビティの第1の部分はテーパー状の形状を有し、キャビティの第2の部分は円筒状の形状を有することができる。したがって、アンプル破砕ツールのキャビティは、アプリケータの管端部はアンプル破砕ツールの第2の端部に保持される、アプリケータの分注端部がアンプル破砕ツールの第1の端部に保持される向きにアプリケータを保持するような形状にすることができる。
【0042】
図面を参照すると、特定の非限定的な実施形態がさらに詳細に説明される。本開示は本明細書に記載される特定の実施形態のみに限定されないため、これらの実施形態に関して説明される様々なシステム、要素、機構、および方法は、個別におよび/または任意の所望の組み合わせで使用され得ることが理解されるべきである。
【0043】
図1Aは、開放構成にあるアンプル破砕ツール100の斜視図であり、
図1Bは、閉鎖構成にあるアンプル破砕ツール100の斜視図である。
図1A~1Bから理解されるように、アンプル破砕ツール100は、カバー部分104およびベース部分106を含み得る。
図1Bでは、ベース部分106内に保持されたアプリケータ102を明らかにするために、カバー部分104が仮想線で示されている。開放構成では、カバー部分104は、ベース部分106から距離を置いて配置され得るが、一方で、閉鎖構成では、カバー部分104は、ベース部分106と同一面または重なり得る。
【0044】
カバー部分104およびベース部分106は、ヒンジ134を介して互いに対して移動可能であり得る。したがって、アンプル破砕ツール100が開放構成となるようにカバー部分104がベース部分106に対して移動されるとき、アプリケータ102(例:治療薬のアンプルが入ったアプリケータ)はアンプル破砕ツール100のベース部分106内に置かれ得る。次いで、アンプル破砕ツール100は、アプリケータ102がアンプル破砕ツール100の内側にある状態で、カバー部分104をベース部分106に向かって移動させることによって、閉鎖構成に配置され得る。
【0045】
アンプル破砕ツール100を開放構成から閉鎖構成に移行させる動作は、以下でより詳細に説明するように、アプリケータ102内に配置されたアンプルを破砕するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、カバー部分をベース部分に近づけたり、ベース部分から遠ざけたりすることによって、ベース部分をカバー部分に近づけたり、遠ざけたりすることによって、あるいはその両方を組み合わせることによって、開放構成と閉鎖構成との間で移動されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アプリケータの管部分を受け入れるための管状部分を有し得、アプリケータの分注端部(例えば、アプリケータのキャップ端部および/またはアプリケータのディスペンサーチップ)を受け入れるための第2の部分を有し得る。いくつかの実施形態では、例えば、アプリケータのキャップおよび/またはディスペンサーチップを収容するために、第2の部分は、管状部分に対してラッパ状に広がって(flare out)いてもよい。
図1Aの例示的な実施形態では、管状部分は、ベース部分106の管状部分137とカバー部分104の管状部分127とから形成される。第2の部分は、ベース部分106のラッパ状の広がり部分(flared portion)139とカバー部分104のラッパ状の広がり部分129とから形成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、カバー部分104およびベース部分106は、アプリケータ102内に収容されたアンプルを破砕するための機構を含む。例えば、上述したように、カバー部分104が開放構成から閉鎖構成に移動するときに、カバー部分104は、アプリケータ102内に収容されたアンプルを破砕するように構成された1以上の破砕機126(
図4Aに示す)を含んでもよい。
【0048】
関連して、ベース部分106は、カバー部分104が開放構成から閉鎖構成に移動するときに、アプリケータ102内に収容されたアンプルを破砕するように構成された1以上の破砕機124を含み得る。いくつかの実施形態では、カバー部分104のみが1以上の破砕機126を含み、他の実施形態では、ベース部分106のみが1以上の破砕機124を含む。いくつかの実施形態では、ベース部分106およびカバー部分104の両方が、1以上の破砕機124、126を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、破砕機126は、
図7に示すように、ピンの形態をとってもよい。いくつかの実施形態では、ピンは異なる長さを有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、破砕機126は、1以上の長いピン162および1以上の短いピン164を含み得て、1以上の長いピン162は、1以上の短いピン164よりもカバー部分104の本体からさらに遠くに延びる。破砕機126は、アプリケータ102がアンプル破砕ツール100内に位置付けられるときに、1以上の長いピン162がアンプル146の中央部分と接触する、1以上の短いピン164が、アンプルの破砕操作中にアンプル146のいずれかの端部と接触するように配置され得る。
【0050】
したがって、1以上の長いピン162が、1以上の短いピン164よりも先にアンプル146と接触することができ、1以上の長いピン162が最初にアンプル146を破砕することが可能になる。その後、1以上の短いピン164がアンプル146と接触する可能性がある。しかしながら、他の実施形態では、ピンは同じ長さを有してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、破砕機は、アンプルの特定の部分と整列するように配置され得る。例えば、1以上の破砕機がアンプルの中央部分に接触するように配置されてもよく、1以上の破砕機がアンプルの端部に接触するように配置されてもよい。例えば、
図7の実施形態では、ピン162の両側に2つのピン164が配置されている。ピン162はアンプルの中央部分に接触するように配置され、ピン164はアンプルの端部に接触するように配置される。ピン162は、管状部分127の中央領域に配置され得、ピン164は、管状部分127の端部領域に配置され得る。アンプルの端部に接触するように配置されたピンは、アンプル146の端部を破壊するのに役立ち得る。
【0052】
いくつかの配置では、アンプルの無傷の端部がディスペンサーチップに向かう薬剤の流れを妨げる可能性がある。アンプルの端部に接触するように配置されたピンを含めることは、端部を破壊し、端部が無傷である可能性を低下させるのに役立つ可能性がある。しかしながら、他の実施形態では、破砕機ツールは、アンプルの端部に接触するように配置された破砕機を含まないことを理解されたい。例えば、1以上の破砕機がアンプルの中央部分に接触するように配置されてもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、アンプルの端部の一方に接触するように配置された単一の破砕機のみを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、破砕機124、126はリブの形態をとってもよい。リブは、湾曲していても、平らな縁(flat-edged)でも、その他の適切な形状であってもよい。いくつかの実施形態では、カバー部分のリブの形状は、ベース部分のリブの形状と異なっていてもよい。例えば、破砕機124は湾曲したリブであってもよく、破砕機126は平らな縁のリブであってもよい一方で、いくつかの実施形態では、その逆でもよい。例えば、破砕機124は平らな縁を有する一方で、破砕機126は湾曲していてもよい。当業者には理解されるように、いくつかの実施形態では、破砕機124、126は両方とも平らな縁であってもよく、他の実施形態では、破砕機124、126は両方とも湾曲していてもよい。
【0054】
破砕機124、126は、任意の数の適切なパターンで配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、破砕機124、126は、それぞれベース部分106およびカバー部分104に沿って等間隔に配置され得る。他の実施形態では、破砕機124、126は、ベース部分106上の破砕機124がカバー部分104上の破砕機126からオフセットされるように、交互のパターンで配置され得る。いくつかの実施形態では、破砕機124、126は、アンプル破砕ツール100の第2の端部116またはその近くに配置され得る。このような実施形態では、破砕機124、126がアンプル146を破砕するように、破砕機124、126を配置することができ、これは、アンプル破砕ツール100が面136などの平らな面上に置かれる場合、第2の端部116またはその近くに配置され得る。
【0055】
言うまでもなく、破砕機124、126は、多くの適切なタイプの破砕機が考えられるので、リブの形態をとる必要はない。例えば、破砕機124、126は、アプリケータ102内に収容されたアンプルを破砕するために、スパイク、ハンマー、ブレード、突起、または他の適切な形状の形態をとってもよい。
【0056】
したがって、アンプル破砕ツール100は、臨床医が手でアンプル146を破壊する場合と比較して、アプリケータ102のアンプル146をより容易に破壊するのに役立ち得る(例えば、より少ない力を加えることによって)。具体的には、いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツール100を使用すると、アンプル146を破砕するのに必要な力を約5ポンド未満、約6ポンド未満、約7ポンド未満、約8ポンド未満、約9ポンド未満、約10ポンド未満、約11ポンド未満、約12ポンド未満、約13ポンド未満、約14ポンド未満、または約15ポンド未満に低減することができる。
【0057】
上で参照した範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツール100は、アンプル146を破壊するのに必要な力を約5ポンドから約15ポンド、約6ポンドから約14ポンド、約7ポンドから約13ポンド、約8ポンドから約12ポンド、または約9ポンドから約11ポンドまで低減するように構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツール100は、
図2に示すように、アンプル破砕ツール100が平らな面136上に置かれたときに傾斜して静止できるように構成された支持体112を含む。アンプル破砕ツール100が傾斜して置かれると、アプリケータ102も同様にアンプル破砕ツール100内で傾斜して置かれ得る。例えば、アンプル破砕ツールは、第1の端部118と、第1の端部118の反対側の第2の端部116とを有してもよい。ある場合には、支持体112は、第1の端部118を面136に対して第1の高さまで上昇させるために、第1の端部118に位置付けられてもよい。
【0059】
したがって、支持体112は、面136に対する第2の端部116の第2の高さよりも高い高さに第1の端部118を配置することができる。ある場合には、アプリケータ102は、アンプル破砕ツール100に平行な向き、例えば、アンプル破砕ツール100のキャビティ160の長手方向軸Aに平行な向きで、アンプル破砕ツール100内に置かれる。したがって、支持体112がアンプル破砕ツール100を傾斜して方向付けると、支持体112はアプリケータ102も同様に傾斜して方向付けることができる。
【0060】
具体的には、アプリケータ102は、第1の端部108および第2の端部110を含むことができる。アプリケータ102の第1の端部108は、アンプル破砕ツール100の第1の端部118に配置され得る。同様に、アプリケータ102の第2の端部110は、アンプル破砕ツール100の第2の端部116に配置され得る。したがって、アプリケータ102は、アンプル破砕ツール100と比較して同様の傾斜に方向付けられることができる。
【0061】
このような向きは、アプリケータ102内に保管された治療薬が破砕操作中に放出されるのを防止するのに役立つ可能性がある。例えば、ある場合には、治療薬は、アプリケータ102の管148内に配置されたアンプル146内に保管されてもよい。したがって、
図2に示すように傾斜すると、アプリケータ102のアンプル146が押しつぶされた後、重力Gが治療薬をアプリケータ102の第2の端部110に向かって移動させるのを助けることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、支持体112は、面136に対してアンプル破砕ツール100を少なくとも約5度、少なくとも約6度、少なくとも約7度、少なくとも約8度、少なくとも約9度、少なくとも約10度、少なくとも約11度、少なくとも約12度、少なくとも約13度、少なくとも 約14度、少なくとも約15度、少なくとも約16度、少なくとも約17度、少なくとも約18度、少なくとも約19度、または少なくとも約20度、傾けるように構成され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、支持体112は、面136に対してアンプル破砕ツール100を約20度以下、約19度以下、約18度以下、約17度以下、約16度以下、約15度以下、約14度以下、約13度以下、約12度以下、約11度以下、約10度以下、約9度以下、約8度以下、約7度以下、約6度以下、約5度以下だけ傾けるように構成され得る。
【0064】
上で参照した範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、支持体112は、面136に対してアンプル破砕ツール100を約5度~約20度、または約6度~約18度、または約7度~約16度、または約7度~約14度、または約8度~約12度、または約9度~約11度、または約9度~約10度傾けるように構成され得る。
【0065】
ある場合には、アンプル破砕ツールは第2の支持体114を含んでもよい。第2の支持体114は、アンプル破砕ツール100の第2の端部116に配置され得る。
図1A、1B、4Aおよび4Bに見られるように、第2の支持体114は、アンプル破砕ツール100が面136上に載置されるときにそれを安定させるための2つのフランジ158(例えば、脚)を含んでもよい。第2の支持体114は、第1の端部118と第2の端部116との間の傾斜を維持するために、支持体112の高さよりも低い高さを有するように構成され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは次のように使用され得る。臨床医は、まずアンプル破砕ツール100を面136上に置くことができる。次いで、臨床医は、カバー部分104を移動させてベース部分106を露出させることによって、アンプル破砕ツール100を開けることができる。続いて、臨床医は、アプリケータ102の第1の端部108がアンプル破砕ツール100の第1の端部118内に置かれ、アプリケータ102の第2の端部110がアンプル破砕ツール100の第2の端部116内に置かれるように、アプリケータ102をベース部分106内に置くことができる。
【0067】
次いで、臨床医は、ベース部分106の上でカバー部分104を閉じ、上述したようにアプリケータ102内に含まれるアンプルを破壊することができる。理論に束縛されず、破砕作業中に、アプリケータ102のアンプル146内に含まれる治療薬は、治療薬に作用する重力と、アプリケータ102の第1の端部108と第2の端部110との間の高さの差とにより、アプリケータ102の第2の端部110に向かって沈降する可能性がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、支持体112はタワー支持体として構築され得る一方、支持体114はフランジ付き支持体として構築され得る。換言すれば、支持体112は、アンプル破砕ツール100の第1の端部118を面136の上に持ち上げるように構成することができ、支持体114は、アンプル破砕ツール100を面136上で安定させるように構築することができる。いくつかの実施形態では、支持体112のみが含まれ、支持体114は含まれず、その結果、面136に接触する支持体112以外に追加の支持体を持たずに、第2の端部110が面136に接触する。
【0069】
代替的に、アンプル破砕ツール100は、任意の適切なタイプの支持体を含んでもよい。例えば、アンプル破砕ツールは、分離した別個の支持体112、114を含む必要はない。代わりに、アンプル破砕ツール100は、ベース部分106の長さに沿って延びる単一の連続的な支持体を含んでもよい。このような支持体は、上述したように、適切な傾斜を有するように構築することができる。例えば、単一の連続的な支持体は、傾斜を提供するために楔形状(wedge-shaped)であってもよい。言うまでもなく、アンプル破砕ツール100は、正確に1つまたは2つの支持体を含む必要はなく、3つ以上の支持体を備えた実施形態も考えられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツール100は、アンプル破砕操作中にアプリケータ102から放出された薬剤を収集するように構成された機構を含む。例えば、アンプル破砕ツール100は、
図3に示すように、ベース部分106のキャビティ132内に位置付けられる流出リザーバ122を含むことができる。キャビティ132は、アンプル破砕ツール100の第1の端部118に配置され得る。キャビティ132は、側壁156を含むことができ、流出リザーバ122は、キャビティ132の側壁156に対して凹んでいることができる。上述のようなアプリケータ102の向きに基づいて、アンプル破砕操作中にアプリケータ102から放出される治療薬は、アンプル破砕ツール100の第1の端部118に向かう軌道をたどる傾向があり得る。
【0071】
ある場合には、アンプル破砕ツール100は、(
図7に示すような)スプラッシュシールド(splash shield)120を含んでもよい。スプラッシュシールド120は、カバー部分104上に配置され、流出リザーバ122と相補的な形状にすることができる。したがって、スプラッシュシールド120は、アンプル破砕操作中にアプリケータ102から放出される薬剤を流出リザーバ122に向けて導くような形状にすることができる。例えば、スプラッシュシールド120は、U字形(
図7の実施形態のような)、V字形、または任意の他の適切な形状の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、
図7の実施形態のように、U字形スプラッシュシールド120は、傾斜した2つの側壁121を相互接続するベース123を有し得る。
【0072】
傾斜壁(slanted walls)は、ベース123に向かう方向に先細になるテーパーを形成することができる。代替的に、スプラッシュシールド120は、カバー部分104とベース部分106の重なり合う部分から構成されてもよい。したがって、アンプル破砕操作中にアンプル破砕ツール100の第1の端部118に向かって放出された治療薬は、キャビティ132内でランダムに沈降するのではなく、キャビティ132の側壁に対して窪んだ流出リザーバ122内に収集される傾向がある可能性がある。
【0073】
いくつかの実施形態では、流出リザーバ(spill reservoir)122およびキャビティ132の容積は、アプリケータがキャビティ132内に保持されている間、アプリケータ内の治療薬の全容積を収容するのに十分である。アプリケータ内に漏れが生じた場合、アンプル破砕ツール100は、漏れた治療薬を捕らえて保つ役割を果たすことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツールは、閉鎖構成にあるときに完全に包囲されたキャビティを形成して、放出された治療薬を封じ込めるのに役立ち得る。
図4A~
図5に示すように、アンプル破砕ツール100は、閉鎖構成にあるとき、完全に包囲されたキャビティを形成することができる。完全に包囲されたキャビティは、治療薬が予測不可能な軌道に沿ってアプリケータ102から放出される場合でも治療薬を収容できるように、外部環境に対して完全なシールを形成することができる。いくつかの実施形態では、カバー部分104は、第1の延在側壁部分128を含むことができ、ベース部分106は、第2の延在側壁部分130を含むことができる。
【0075】
アプリケータ102をアンプル破砕ツール100内に完全に包囲するために、第1の延在側壁部分128および第2の延在側壁部分130は、アンプル破砕ツール100が閉鎖構成にあるときに互いに重なり合うように形状付けられ得る。したがって、アプリケータ102が閉鎖構成でアンプル破砕ツール100内に置かれると、ベース部分106およびカバー部分104は完全に包囲されたキャビティを形成し、アンプル破砕操作中にアプリケータ102から放出された治療薬を収集することによって、治療薬への望ましくない露出を軽減する。
【0076】
いくつかの実施形態では、アンプル破砕ツール100は、
図6A~6Bに示すように、アプリケータ102を特定の向きに保持するような形状にすることができる。例えば、カバー部分104は、第1のキャビティ部分138および第2のキャビティ部分140を含むことができる。第1のキャビティ部分138は、アプリケータ102の管端部(例えば、第2の端部110)を収容するような形状にすることができ、一方で第2のキャビティ部分140は、アプリケータ102の分注端部(例えば、第1の端部108)を収容するような形状にすることができる。同様に、ベース部分106は、第1のキャビティ部分142および第2のキャビティ部分144を含むことができる。
【0077】
第1のキャビティ部分142は、アプリケータ102の管端部(例えば、第2の端部110)を収容するような形状であってもよく、一方で、第2のキャビティ部分144は、アプリケータ102の分注端部(例えば、第1の端部108)を収容するような形状であってもよい。カバー部分104の第1のキャビティ部分138は、ベース部分106の第1のキャビティ部分142の上に嵌合するような形状にすることができる。同様に、カバー部分104の第2のキャビティ部分140は、ベース部分106の第2のキャビティ部分144の上に嵌合するように形作られ得る。
【0078】
したがって、アンプル破砕ツールは、アプリケータ102の分注端部(例えば、第1の端部108)がアンプル破砕ツール100の第1の端部118に位置付けられるようにアプリケータ102を方向付け、管端部(例えば、第2の端部110)がアンプル破砕ツール100の第2の端部116に位置付けられるようにアプリケータ102を方向付けるような形状にすることができる。
【0079】
本開示の様々な態様は、単独で、組み合わせて、または前述の実施形態で特に説明されていない様々な配置で使用することができ、したがって、その適用は、前述の説明または図面に示された要素の詳細および配置に限定されない。例えば、一実施形態で説明される態様は、他の実施形態で説明される態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0080】
本明細書で説明される実施形態は、方法として具現化することができ、その一例が提供されている。方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けすることができる。したがって、図示されたものとは異なる順序で動作が実行される実施形態を構築することができ、これには、例示的な実施形態では連続的な動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することが含まれる場合がある。
【0081】
さらに、一部のアクションは「ユーザー」によって実行されたものとして説明されている。「ユーザー」は単一の個人である必要はなく、いくつかの実施形態では、「ユーザー」に起因するアクションは、個人のチームおよび/またはコンピュータ支援ツールまたは他の機構と組み合わせた個人によって実行され得ることを理解されたい。
【0082】
クレーム要素を修飾するための請求項における「第一」、「第二」、「第三」などの序数語の使用自体は、あるクレーム要素の他のクレーム要素に対する優先度、優先順位、または方法の動作が実行される時間的順序を意味するものではないが、クレーム要素を区別するために、特定の名前を持つ1つのクレーム要素を同じ名前を持つ(ただし、序数詞の使用のため)別の要素から区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0083】
また、本明細書で使用される表現および用語は説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではない。本明細書における「含む」、「含む」、または「有する」、「含有する」、「関与する」およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0084】
本教示は、様々な実施形態および例に関連して説明されてきたが、本発明の教示がそのような実施形態または例に限定されることを意図したものではない。逆に、当業者には理解されるように、本教示は、様々な代替案、修正案、および均等物を包含する。したがって、前述の説明および図面は単なる例に過ぎない。
【国際調査報告】