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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】容積式混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 31/65 20220101AFI20231031BHJP
   B01F 23/41 20220101ALI20231031BHJP
   B01F 23/43 20220101ALI20231031BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20231031BHJP
   A61K 8/89 20060101ALN20231031BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20231031BHJP
   B01F 101/21 20220101ALN20231031BHJP
【FI】
B01F31/65
B01F23/41
B01F23/43
B01F23/53
A61K8/89
A61Q19/00
B01F101:21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524389
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 US2021072313
(87)【国際公開番号】W WO2022104332
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,909
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エミリオ ハヴィエ トッツィ
(72)【発明者】
【氏名】サラ ノエル アブシャー
(72)【発明者】
【氏名】ポール アーヴィン ウィリガー
【テーマコード(参考)】
4C083
4G035
4G036
【Fターム(参考)】
4C083AD151
4C083AD152
4C083CC01
4C083FF05
4G035AB36
4G035AB40
4G035AB43
4G035AE13
4G036AB30
(57)【要約】
少なくとも2つの材料を均質な製品に混合する、製品を混合するための容積式混合器(1)及び方法。容積式混合器(1)は、長さ、一次区画(23)、及び移動要素(13)を有する、少なくとも1つの容積式要素と、長さ、小区画(21、22)、及び移動要素(11、12)を各々が有する、2つ以上の小容積式要素と、を有する。一次区画(23)及び小区画(21、22)は、流体接続されており、混合中に、一次区画(23)及び小区画(21、22)は、大気に対して閉じられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの材料を均質な製品に混合するための容積式混合器であって、前記デバイスが、
少なくとも3つの容積式要素であって、
i.長さ、一次区画、及び移動要素を備える、一次容積式要素と、
ii.長さ、小区画、及び移動要素を各々が備える、2つ以上の小容積式要素と、を備える、少なくとも3つの容積式要素を備え、
前記一次区画及び前記小区画が、流体接続され、
混合中に、前記一次区画及び前記小区画が、大気に対して閉じられ、
前記一次区画及び前記小区画が、前記容積式要素の前記長さにわたって前記移動要素を移動させることによって決定される可変容積を備える、容積式混合器。
【請求項2】
前記混合器が、T字構成で配置された3つの容積式要素を備え、好ましくは、前記一次容積式要素が、取り外し可能である、請求項1に記載の容積式混合器。
【請求項3】
前記容積式混合器が、前記容積式要素間の間隔を変化させるように適合された1つ以上の補助要素を更に備える、請求項1又は2に記載の容積式混合器。
【請求項4】
前記一次区画を充填するように、及び/又は前記混合器から前記製品を搬出するように適合されたチャネルを更に備え、前記チャネルが、一次チャンバ及び大気に流体接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の容積式混合器。
【請求項5】
製品を混合する方法であって、前記方法が、
a.請求項1~4のいずれか一項に記載の容積式混合器を提供することであって、前記容積式混合器が、
i.一次容積及び長さを備える一次区画を各々が備える、1つ以上の一次容積式要素と、
ii.小容積及び長さを備える小区画を各々が備える、2つ以上の小容積式要素と、を備える、提供することと、
b.1つ以上の前記一次区画に、少なくとも2つの材料を装填することと、
c.前記一次及び小容積式要素を大気に対して閉じることと、
d.方法A、方法B、方法C、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される混合方法によって、層流を使用して、1つ以上の前記材料を混合することであって、
方法Aが、
i.前記1つ以上の一次区画から各小区画に、一度に1つずつ前記材料を移送することと、
ii.次いで、前記小区画から前記1つ以上の一次区画に前記材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Bが、
iv.前記1つ以上の一次区画から2つ以上の前記小区画に、前記材料を同時に移送することと、
v.次いで、各小区画から前記一次区画に、全ての前記材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、
vi.前記所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Cが、
iv.前記1つ以上の一次区画から前記2つ以上の小区画に、前記材料を同時に移送することと、
v.次いで、前記小区画から前記1つ以上の一次区画に、前記材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
vi.前記所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含む、混合することと、
e.好ましくは前記1つ以上の一次区画及び/又は前記2つ以上の小区画から最終容器に、前記製品を吐出することと、を含む、方法。
【請求項6】
各一次変位要素が、移動要素、好ましくはピストンを更に備え、各小変位要素が、移動要素、好ましくはピストンを更に備え、前記1つ以上の一次区画及び前記2つ以上の小区画が、前記容積式要素の前記長さにわたって前記移動要素を移動させることによって決定される可変容積を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記移動要素が、前記1つ以上の一次区画から前記2つ以上の小区画に前記材料を移送し、及び/又は前記移動要素が、前記2つ以上の小区画から前記一次区画に前記材料を移送する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの材料のうちの少なくとも1つが、ニートな形態で加えられる不混和流体、好ましくはシリコーンを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合デバイスが、混合中に、曝気及び/又は発泡を生じさせない、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記混合器が閉じられた後に、前記一次及び小区画内に実質的にいかなる上部空間も存在しない、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程b~eが繰り返されて、前記容積式混合器を洗浄することなく第2の製品を混合する、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記最終容器が、約25mL~約1500mLの容積を備える、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記混合方法が、前記所望のレベルの混合度に到達するように、約15~約30サイクルを完了し、好ましくは、前記所望のレベルの混合度が、均質な製品を生成する、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
混合中に、前記容積式要素が、線形運動又は非線形運動を有する、請求項6~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記2つ以上の一次容積式要素が、一次対称平面を更に備え、前記2つ以上の小変位要素が、小対称平面を更に備え、前記一次対称平面及び前記小対称平面が、直交している、請求項6~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「分離及び再結合」の原理を活用する特定のシーケンスで混合することによって製品を作製する混合器及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、大部分の消費者は、カスタマイズすることなく大きいバッチで作製された製品を店舗又はオンラインで購入する。製品のカテゴリごとに、しばしば、多数のブランドがあり、各ブランドは、しばしば、いくつかの品目を販売する。例えば、消費者がドラッグストアから顔用保湿剤を購入しようとしている場合、消費者は、いくつかのブランド(例えば、Olay(登録商標)、Neutrogena(登録商標)、Garnier(登録商標)、L’Oreal(登録商標)、Eucerine(登録商標)、CeraVe(登録商標)など)から選択しなければならない。消費者がブランドを決定すると、しばしば、そのブランド内から選択するいくつかの製品が存在する。例えば、消費者が、Olay(登録商標)の顔用保湿剤を購入しようと決めた場合、消費者は、次いで、ナイトフェースモイスチャライザ、マイクロスカルプティングクリーム、ウルトラリッチモイスチャライザ、ハイドレーティングミネラルサンスクリーン、カーミングフェースモイスチャライザなどを含む、数十以上の異なる顔用保湿製品から選択しなければならない場合がある。消費者は、製品を選択するために比較的長い時間を費やす場合があり、そのときに、その製品が自分の一意のニーズを満たすと確信できない場合がある。
【0003】
したがって、一部の消費者は、自分の一意のニーズを満たす個人化された、カスタマイズされた、又は特注の製品を望む場合がある。例えば、消費者は、自分の皮膚(例えば、油性、乾燥性、ニキビ症、エージング、無香料、など)に対して特別に設計されたスキンケア製品、又は自分の毛髪(例えば、巻き毛、細毛、染毛、フケなど)に対して特別に設計されたシャンプー、コンディショナ、若しくはスタイリング製品を所望し得る。
【0004】
しかしながら、比較的少量(すなわち30mL~1.5L)を自動的に混合してパッケージする必要がある、カスタマイズされた、個別化された、又は特注の製品を計測可能な様式で作製することは困難であり得る。この少ない量は、大きいバッチを作製するときには顕著ではない、いくつかの問題をもたらす。例えば、小さいバッチを混合して均質な混合物を形成することは困難であり得る。また、小さいバッチを作製する場合は、組成物を大量に作製する場合と比較して、損失が多くなり得、また、バッチの間で必要とされる洗浄がより多くなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、損失を低減し、かつ異なる組成物のバッチ間で洗浄を必要としない、小さいバッチの均質な組成物を作製するための混合器及び効率的なプロセスに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
製品を混合するための方法であって、方法は、(a)容積式混合器を提供することであって、容積式混合器が、(i)一次容積及び長さを備える一次区画を各々が備える、1つ以上の一次容積式要素と、(ii)小容積及び長さを備える小区画を各々が備える、2つ以上の小容積式要素であって、1つ以上の一次区画及び2つ以上の小区画が流体接続される、2つ以上の小容積式要素と、を備える、提供することと、(b)1つ以上の一次区画に少なくとも2つの材料を装填することと、(c)一次及び小容積式要素を大気に対して閉じることと、(d)方法A、方法B、方法C、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された混合方法によって、層流を使用して1つ以上の材料を混合することであって、方法Aは、(i)1つ以上の一次区画から各小区画に一度に1つずつ材料を移送することと、(ii)次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、方法Bは、(i)1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、(ii)次いで、各小区画から一次区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、方法Cは、(i)1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、(ii)次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含む、混合することと、(e)製品を最終容器に吐出することと、を含む。
【0007】
製品を混合するための方法であって、方法は、(a)容積式混合器を提供することであって、容積式混合器が、(i)一次容積を備える一次区画を各々が備える、2つ以上の一次容積式要素と、(ii)小容積を備える小区画を各々が備える、2つ以上の小容積式要素であって、2つ以上の一次区画及び2つ以上の小区画が流体接続される、2つ以上の小容積式要素と、を備える、提供することと、(b)少なくとも2つの材料を2つ以上の一次区画の各一次区画に装填すること、又は少なくとも2つの材料を2つ以上の小区画の各区画に装填することと、(c)一次及び小容積式要素を大気に対して閉じることと、(d)方法A、方法B、方法C、方法D、方法E、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された混合方法によって、層流を使用して1つ以上の材料を混合することであって、方法Aは、(i)1つ以上の一次区画から各小区画に一度に1つずつ材料を移送することと、(ii)次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、方法Bは、(i)1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、(ii)次いで、各小区画から一次区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、方法Cは、(i)1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、(ii)次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、方法Dは、(i)2つ以上の小区画から各一次区画に一度に1つずつ材料を移送することと、(ii)次いで、2つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、方法Eは、(i)2つ以上の小区画から2つ以上の一次区画に材料を同時に移送することと、(ii)次いで、各一次区画から小区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、(iii)所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含む、混合することと、(e)製品を最終容器に吐出することと、を含む。
【0008】
少なくとも2つの材料を均質な製品に混合する、製品を混合するための容積式混合器であって、当該デバイスは、(a)少なくとも3つの容積式要素であって、(i)長さ、一次区画、及び移動要素を備える、一次容積式要素と、(ii)長さ、小区画、及び移動要素を各々が備える、2つ以上の小容積式要素と、を備える、少なくとも3つの容積式要素を備え、一次区画及び小区画が、流体接続され、混合中に、一次区画及び小区画が、大気に対して閉じられ、一次区画及び小区画が、容積式要素の長さにわたって移動要素を移動させることによって決定される可変容積を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘し、且つ明確に特許請求する特許請求の範囲で締めくくられているが、本発明は、添付の図面に関連した以下の説明からより容易に理解することができると考えられる。
図1】各々が移動要素を有する3つの容積式要素を備えた容積式混合器の概略断面図である。
図2A】分離及び再結合方法Aの概略図である。
図2B】分離及び再結合方法Bの概略図である。
図3A図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン1(一次ピストン)の変位対時間のプロットである。
図3B図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン2(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図3C図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン3(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図4A図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン1(一次ピストン)の変位対時間のプロットである。
図4B図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン2(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図4C図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン3(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図5A図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン1(一次ピストン)の変位対時間のプロットである。
図5B図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン2(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図5C図1のような3つの容積式要素を備えた混合器のピストン3(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図6A】4つの容積式要素を備えた混合器を示す。
図6B】5つの容積式要素を備えた混合器を示す。
図6C】6つの容積式要素を備えた混合器を示す。
図6D】7つの容積式要素を備えた混合器を示す。
図6E】複数の容積式要素を備えた混合器を示す。
図7A図6Aのような4つの容積式要素を備えた混合器の第1のピストン(一次ピストン)の変位対時間のプロットである。
図7B図6Aのような4つの容積式要素を備えた混合器の第2のピストン(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図7C図6Aのような4つの容積式要素を備えた混合器の第3のピストン(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図7D図6Aのような4つの容積式要素を備えた混合器の第4のピストン(小ピストン)の変位対時間のプロットである。
図8】容積式要素の混合及び搬送トレインを備えた混合器を示す。
図9A】各々がピストンを有する3つの容積式要素を備えた混合器の構成の断面を示す。
図9B】各々がピストンを有する3つの容積式要素を備えた混合器の構成の断面を示す。
図9C】各々がピストンを有する3つの容積式要素を備えた混合器の構成の断面を示す。
図9D】4つの容積式要素を備えた混合器の構成の斜視図を示す。
図10】混合するための4つの容積式要素及び3つの補助要素を備えた容積式混合器を示す。
図11A】2つの容積式要素の各々が一次区画を有することができ、2つの容積式要素の各々が小区画を有することができる、容積式混合器を示す。
図11B図11Aの混合器を使用して達成することができる積層パターンを示す。
図11C図11Aの混合器を使用して達成することができる積層パターンを示す。
図11D図11Aの混合器を使用して達成することができる積層パターンを示す。
図11E図11Aの混合器を使用して達成することができる積層パターンを示す。
図12】2つのピストンを備えた容積式混合器及び可動蓋によって形成された第3の区画の断面である。
図13A】高い材料利用度を得るための混合器への材料の装填及びそこからの搬出を例示する、容積式混合器の断面である。
図13B】高い材料利用度を得るための混合器への材料の装填及びそこからの搬出を例示する、容積式混合器の断面である。
図13C】高い材料利用度を得るための混合器への材料の装填及びそこからの搬出を例示する、容積式混合器の断面である。
図14A】混合器への材料の装填を容易にするのを補助して高い材料利用度を得るためのチャネルを備えた容積式混合器の断面である。
図14B】混合器への材料の装填及びそこからの材料の搬出を容易にして高い材料利用度を得るための2つのチャネルを備えた容積式混合器の断面である。
図15A】T字構成で配置された容積式混合器の断面図である。
図15B】T字構成で配置された容積式混合器の断面図である。
図16A】混合を開始する前の、一次容積式要素内に材料を有する混合器の静止画像である。
図16B】材料が小容積式要素に分離されて移送される混合器の静止画像である。
図16C】1つの小容積式要素内の材料が一次容積式要素へ逆に移送された混合器の静止画像である。
図16D】他の小容積式要素の材料が一次容積式要素へ逆に移送された混合器の静止画像である。
図16E】混合が完了し、製品が均一である、混合器の静止画像である。
図17】フェイシャルクリームベース及び赤色ダイを装填したピストンを各々が有する3つの容積式要素を備えた混合器の写真。
図18】4つのサンプルに関する色調対サイクルの標準偏差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一部の消費者は、小さいバッチで作製されて、その消費者用に個人的に設計された製品を望む場合がある。計測可能な様式で、パーソナルケア製品などのかかる特注の、カスタマイズされた、又は個人化された製品を作製するために、少量の固体材料及び液体材料を自動的に混合して(例えば、30mL~1.5Lの1つのジャー又はボトルを一度に混合して)、それらを包装することを必要とする。関係する少量は、大きいバッチを作製するときには顕著ではない、以下の主要問題をもたらす。
1)装置における材料利用度及び損失。従来のバッチ作製装置(すなわち、撹拌機を備えたタンク)の量を低減させた場合、システムからの収率パーセントが低下し、結果として、より高い損失、より多くの洗浄、無駄及び廃水の増加が生じ、これらは、処置及び監視が必要である。したがって、従来のバッチ作製装置を単一のジャー又はボトルに縮小することは、製品損失が過剰になるので、実現可能な解決策ではない。新しい装置及び/又はプロセスは、少量を混合するために使用することができ、あるバッチと次のバッチと間の材料の損失を最小にすることができる。バッチ間での洗浄が不要であれば、相互汚染の低減、材料損失コストの低減、並びに洗浄水の使用、廃棄物ストリーム、廃棄物処理、及びインフラストラクチャ及びエネルギー関連の占有面積の低減に関して大きい利益があるので、この問題に関連するのは、「自己洗浄式」又は「自己拭浄式」である混合器に対する必要性である。
2)均質性の確保。混合が縮小された場合、液体製品の流体力学を変化させ、均質な混合物の作製をより困難にすることがあり得る。従来のバッチ作製システム(すなわち、タンク及び攪拌器)が縮小された場合、より小さい装置は、より小さい特性寸法をもたらし、これは、レイノルズ数を低減させ、したがって、乱流混合の傾向を低減させる。従来のバッチシステムにおける乱流の低減によって、システムは、混合がより層流になり、タンク内の混合効率を低減させ、均質性に対する混合時間が長くなるか、又は不均質な製品をもたらす。更に、ローション、セラム、ボディウォッシュ、シャンプー、及びコンディショナのような多くの美容製品を含むいくつかの製品は、高粘度であり得、「シアシニング」挙動などの非ニュートン挙動を呈し得、高降伏応力を有し得、及び/又は大幅に異なるレオロジー特性を有する複数の材料の混合を必要とし得、小規模での均質な混合物の作製を更に困難にする。
3)高い乱流。タンク内攪拌などの既存の混合装置、又は遠心混合のような高い剪断応力による混合は、高いエネルギー散逸の領域又は機械的「ホットスポット」によって剪断応力の不均一な分布を生じさせることがあり得、これは、製品の剪断劣化をもたらし得る。これは、高い剪断応力又は流体力学的応力によって周囲温度で混合したときに劣化し得る高い降伏応力を有する製品(例えば、コンディショナ、及び脂肪アルコールから形成されたゲルネットワークを有する他の製品、又はワックス様の成分を含有する製品)ついて特に問題を含む。これは、消費者に受け入れられ得ない、製品粘度の相当な損失をもたらし得るか、又は製品の感触及び使用中エクスペリエンスに影響を及ぼす(ポリマーのような)他のレオロジー改質剤を加えることによって補償され得る。
4)不混和流体の均質化。不混和流体(例えば、油及び水、シリコーン及び水)は、流体を互いに分散又は乳化させるために、高い剪断エネルギーを必要とし得る。従来、これは、連続流動プロセスにおける回転子-固定子ミルのような高剪断デバイスによって行うことができる。しかしながら、このタイプの高剪断デバイスを使用することは、装置内の材料の損失、並びに高剪断デバイスを通した効果的な回転及び混合を得るために必要なバッチサイズのため、少ない量の(例えば、単一のジャー又はボトル)の製品については実現不可能である。
5)ニートな形態の不混和材料の追加。単一のジャー又はボトルを混合するように設計された現在販売されている装置(例えば、ジャイロ混合器及び渦動混合器などの遠心混合器、振動混合器、並びに音響混合器など)は、不混和流体を完成品に加える前に、製品と適合性のあるキャリア流体中に予め分散させることが必要である。これは、概して、中間生成物を形成するために、シリコーン及び油のような材料をオフラインで水中に乳化させることを必要とし、これは、最終製品を作製する前に、材料の事前操作を必要とする複雑なサプライチェーンをもたらし得る。更に、「ニートな」又はそれらの純粋な形態の材料を加えることができないことは、カスタム化に利用可能な配合空間を制限する。
6)最終パッケージ及び/又は大きい上部空間の変動の制限。単一のジャー又はボトルを混合するように設計されている現在の遠心混合器は、概して、最終容器内で製品を混合するように設計されている。これは、パッケージの長さ/高さの比率において特定のパッケージ寸法を必要とし得(例えば、3:1の比率を有する高いボトルには機能するが、0.5:1の比率を有するジャーには実現不可能である)、及び/又はパッケージの頂部から底部まで効率的に混合するためのパッケージ内の大きい上部空間(例えば、40体積%以上の上部空間)を必要とし得る。音響混合器又は振動混合器のような他の現在販売されている装置は、製品に高い曝気を生じさせ得、また、多くの製品、特に、界面活性剤又は発泡剤(例えば、シャンプー、ボディウォッシュなど)を含有する製品については実現不可能であり得る。更に、現在の解決策によれば、製品の粘度が増加するにつれて、効率的に混合するために必要とされるパッケージ寸法及び上部空間のいずれかが更に増加し得、及び/又は均質性のための混合時間が増加し得、したがって、装置のスループットを減少させる。例えば、いくつかの現在販売されている選択肢は、高粘度流体を混合するために約20~60%の上部空間が必要であり、これは、大幅に充填不足であるように見えるので、消費者には好まれない。
7)単一のジャースケールでの混合。現在販売されている装置は、混合中に製品の曝気又は発泡を生じさせることなく、単一のジャースケール(例えば、約25mL~約1500mL、代替的に、約30mL~約1000mL、及び代替的に、約30mL~約500mL)で混合することができず、これは、小さい気泡を取り込んで保持し得、脱気が困難である、高降伏応力を有する製品の場合には特に問題となる。遠心混合器及びジャイロ混合器は、混合中に上部空間に依存し、上部空間の空気は、混合中に製品に取り込まれ、製品が界面活性剤又は発泡剤を含有している場合、製品の減少、製品の曝気、及び/又は製品の発泡をもたらす。振動エネルギー又は音響エネルギーに依拠する振動混合器又は音響混合器もまた、製品及び/又はパッケージが、概して、混合中に大気に開放されるので、製品中に空気を捕捉し得る。空気の望ましくない取り込みは、界面活性剤ベースの製品の場合、混合中に相当な密度の損失又は発泡をもたらす。更に、製品が高降伏応力の又は固体様の構造(例えば、ゲルネットワーク及び/又はワックス様の材料)を含有している場合、この曝気は、製品で永続的であり、追加的な処理工程(例えば、真空の適用)を完了しない限り取り除くことができず、最終パッケージには実現不可能である。
【0011】
特定のシーケンスにおいて3つ以上の容積式区画の間で流体の一部分を移送することによって混合することで、層流を使用して小規模に均質な製品を作製することができる、容積式要素を見出した。容積式混合器1の概略図である図1に示されるように、容積式要素11、12、及び13は、「分離及び再結合」の原理を利用する特定のシーケンスで、3つの区画21、22、及び23の間で流体の一部分を移送することによって混合する。流体は、反復サイクルで分離及び再結合され、それにより、無限の層が製品内に作成されて、均質性を達成する。容積式区画は、以降で説明されるように、混合に使用される容積式要素を(例えば、ピストンによる)各スワイプによって払拭することができるので、自己洗浄することができる。
【0012】
図1に示されるように、区画21、22、及び23は、固定容積及び/又は可変容積を有することができる。いくつかの実施例では、区画の容積は、移動要素によって変化させることができる。移動要素は、ピストン又は注射器プランジャ、回転ダイヤフラムなどが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な手段であり得る。異なるサイズのバッチを作製することが可能であることに加えて、可変容積区画を有することが望ましくなり得るが、それは、可変容積区画が、混合を補助すること、及び混合サイクルを達成することができ、また、混合プロセスの終了時に、過剰な材料を容易に拭き取ること又は別様に利用度の高い混合器から吐出することができるからである。例えば、一次区画及び/又は小区画の容積をゼロまで押し縮めることは、混合した後に全ての流体を最終容器にパージするのを補助することができ、これは、損失を制限し、また、バッチ間での混合器の洗浄を排除又は大幅に制限することができる。
【0013】
混合器は、層流を使用して材料を混合することができる、3つ以上の容積式要素を含むことができる。2つの変位要素だけを有する混合器は、概して、2つのチャンバの間で材料の押し出し及び押し戻しを行い、これは、乱流により特に低粘度の製品に関して機能し得、又は流動不安定性によりいくつかの粘弾性製品に関して機能し得る。換言すれば、層流では、材料は、可逆的な様式で前後に循環し、場合によっては、材料部分の実質的な再配置を有しない場合がある。
【0014】
効率的に流体を混合するために流体慣性及び/又は乱流を必要とする、現在販売されている装置とは異なり、本明細書において説明される容積式混合器は、効率的な混合を達成するために低粘度流体及び/又は大きいタンクを必要としない。容積式混合器は、濃厚なクリーム及びペーストを含む低粘度又は高粘度の流体を効率的に均質に混合することができる。容積式混合器は、層流によって混合することができ、製品構造及び降伏応力を維持するのを補助することができる。混合中の容積式区画の合計容積を一定にすることができ、かつ装置内に実質的にいかなる上部空間も伴わずに(例えば、15%未満の上部空間、代替的に10%未満の上部空間、代替的に5%未満の上部空間、代替的に3%未満の上部空間、代替的に1%未満の上部空間、代替的に約0%の上部空間)、区画を大気に対して閉じることができるので、混合プロセス中に製品のいかなる曝気又は発泡も存在し得ない。加えて、製品は、外部混合容器内で混合することができ、その後に最終容器内に吐出することができ、パッケージ形状及びサイズの無数の変動を可能にする。
【0015】
容積式混合器は、以下のように、本明細書において説明される問題を解決する。
1)混合器は、「自己洗浄式」又は「自己拭浄式」とすることができ、バッチ間の洗浄を必要としないので、装置内の材料の利用度及び損失を最小にする。
2)混合器は、層状の条件で比較的高い粘度の液体を効率的に混合することによって均質性/十分な混合度を確保することができる。
3)混合器は、混合に必要な最も穏やかな流動状態を使用することにより、混合中に、より均一に分散され、かつより低い強度の剪断応力を製品に用いることによって、乱流混合を低減することができ、製品構造の完全性の維持をもたらす。
4)混合器は、高い剪断を必要とすることなく、最大1.5Lの単一のジャースケールにおいて不混和流体を均質化することができる。
5)混合器は、全ての材料を、それらのニートな形態で最終製品に加えることを可能にすることができる。
6)混合器は、製品を外部混合容器内で混合することができ、その後に最終容器内に吐出することができるので、任意のパッケージの形状、サイズ、及び最小の上部空間を可能にすることができる。
7)混合器は、最終製品に空気を取り込むことなく製品を混合することを可能にすることができ、製品の密度を維持することができ、及び/又は発泡を排除することができる。
【0016】
容積式混合器は、様々な方法を使用して、材料を混合することができる。しかしながら、以下の方法A、B、及びCにおいて説明されるような、構成要素が初期構成を複製しないシーケンスで移送される方法が最も効率的であり得る。方法A、方法B、及び方法Cは、層がサイクルにわたって指数的に増加するので、及び流体特性によって生じるランダムで非対称なパターンではなく高度に制御された流動パターンなので、高速で信頼性の高い混合を生成することができる。
【0017】
容積式混合器は、方法A、方法B、方法C、及びそれらの組み合わせで、以下のような分離及び再結合の原理を使用することができる。
【0018】
方法A
・工程1。最初に、混合される固体(例えば、粉末、半固体ゲル)及び液体の両方を含むことができる材料の初期パケットを、1つ以上の一次区画に装填することができる。
・工程2A。一部の材料を、第1の小区画に移送することができる。
・工程2B。1つ以上の一次区画からの材料の別の部分を、第2の小区画に移送することができる。いくつかの実施例では、3つ以上(例えば、n個)の小区画が存在し得、n-2個の工程を加えることができ、材料は、一度に1つの部分が一次区画からこれらの小区画に順次的に移送される。
・工程3。2つ以上の小区画からの材料を、1つ以上の一次区画に同時に移送することができる。この時点で、分離及び再結合の1つのサイクルが完了する。
・工程4。新しいサイクルを開始して、工程1~3を繰り返すことができる。プロセスを繰り返して、所望のレベルの混合度を達成するサイクル数(例えば、15~30サイクル)を完了することができる。生成された層は、1/(2^n)倍(nは、サイクル数)だけ、厚さが指数的に減少する。例えば、15サイクルでは、層は、初期層の厚さの1/(2^15)=1/32768に減少する。30サイクルでは、層の厚さは、初期層サイズの1/(2^30)=9.3×10^-10(すなわち、初期層のサイズの10億分の1)になる。かかる小さい寸法では、材料の拡散が顕著になり得、したがって、離散層がなくなり、材料が効果的に均質化され得る。方法Aの概略図は、図3Aに例示されている。
【0019】
方法B
・工程1。最初に、固体及び液体の両方を含むことができる、混合される材料の初期パケットを、1つ以上の一次区画に装填することができる。
・工程2。全ての材料を、2つ以上の小区画に同時に移送することができる。
・工程3A。第1の小区画からの材料を、1つ以上の一次区画に移送することができる。
・工程3B。第2の小区画からの材料を、1つ以上の一次区画に移送することができる。3つ以上(例えば、n個)の小区画が存在する場合、n-2個の工程を加えることができ、材料は、一度に1つの部分がこれらの小区画から一次区画に順次的に移送される。この時点で、分離及び再結合の1つのサイクルが完了する。
・工程4。新しいサイクルを開始して、工程2~3Bを繰り返すことができる。プロセスを繰り返して、所望のレベルの混合度を達成するサイクル数(例えば、15~30サイクル)を完了することができる。方法Bの概略図は、図3Bに例示されている。
【0020】
方法C
・工程1。最初に、固体及び液体の両方を含むことができる、混合される材料の初期パケットを、1つ以上の一次区画に装填することができる。
・工程2。全ての材料を、2つ以上の小区画に同時に移送することができる。
・工程3。2つ以上の小区画からの材料を、1つ以上の一次区画に同時に移送することができる。この時点で、1つのサイクルが完了する。
・工程4。新しいサイクルを開始して、工程2~3Bを繰り返すことができる。
【0021】
方法A、B、及びCでは、材料は、一次区画に装填される。他の実施例では、代替的に、2つ以上の小区画に材料を装填することができる。この構成では、材料は、分離及び再結合の原理により、均等に十分に混合され、これは、比較的少量の材料を混合するのに効果的であり得る。
【0022】
方法D
・工程1。最初に、固体(例えば、粉末、半固体ゲル)及び液体の両方を含むことができる、混合される材料の初期パケットを、小区画に装填することができる。
・工程2。2つ以上の小区画から各一次区画に一度に1つずつ材料を移送する。
・工程3。2つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了する。
・工程4:所望のレベルの混合度が得られるまで、工程2~3を繰り返す。
【0023】
方法E
・工程1。最初に、固体(例えば、粉末、半固体ゲル)及び液体の両方を含むことができる、混合される材料の初期パケットを、小区画に装填することができる。
・工程2。2つ以上の小区画から2つ以上の一次区画に材料を同時に移送する。
・工程3。各一次区画から小区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了する。
・工程4:所望のレベルの混合度が得られるまで、工程2~3を繰り返す。
【0024】
他の実施例では、4つ以上の容積式要素が存在する場合、2つ以上の一次変位要素が存在し得、材料を、2つ以上の一次区画に加えることができる。これらの実施例では、容積式混合器は、方法A、方法B、方法C、方法D、方法E、及びそれらの組み合わせにおいて説明されるように、分離及び再結合の原理を使用することができる。本明細書において説明される方法A、方法B、及び方法C、並びに方法D及び方法Eは、以下のように説明される。
【0025】
方法A
・工程1。最初に、固体(例えば、粉末、半固体ゲル)及び液体の両方を含むことができる、混合される材料の初期パケットを、一次区画に装填することができる。いくつかの実施例では、一次区画及び/又は二次区画の容積は、固定することができ、一次区画は、容積による混合器内の最大の区画であり得る。
・工程2A。一部の材料を、第1の小区画に移送することができる。
・工程32B。一次区画からの材料の別の部分は、第2の小区画に移送することができる。いくつかの実施例では、3つ以上(例えば、n個)の小区画が存在し得、n-2個の工程を加えることができ、材料は、一度に1つの部分が一次区画からこれらの小区画に順次的に移送される。
・工程3。2つ以上の小区画からの材料は、一次区画に同時に移送することができる。この時点で、分離及び再結合の1つのサイクルが完了する。
・工程4。新しいサイクルを開始して、工程1~3を繰り返すことができる。プロセスを繰り返して、所望のレベルの混合度を達成するサイクル数(例えば、15~30サイクル)を完了することができる。生成された層は、1/(2^n)倍(nは、サイクル数)だけ、厚さが指数的に減少する。例えば、15サイクルでは、層は、初期層の厚さの1/(2^15)=1/32768に減少する。30サイクルでは、層の厚さは、初期層サイズの1/(2^30)=9.3×10^-10(すなわち、初期層のサイズの10億分の1)になる。かかる小さい寸法では、材料の拡散が顕著になり得、したがって、離散層がなくなり、材料が効果的に均質化され得る。方法Aの概略図は、図3Aに例示されている。
【0026】
方法B
・工程1。最初に、固体及び液体の両方を含むことができる、混合される材料の初期パケットを、一次区画に装填することができる。
・工程2。全ての材料を、2つ以上の小区画に同時に移送することができる。
・工程3A。第1の小区画からの材料を、一次区画に移送することができる。
・工程3B。第2の小区画からの材料を、一次区画に移送することができる。3つ以上(例えば、n個)の小区画が存在する場合、n-2個の工程を加えることができ、材料は、一度に1つの部分がこれらの小区画から一次区画に順次的に移送される。この時点で、分離及び再結合の1つのサイクルが完了する。
工程4。新しいサイクルを開始して、工程2~3Bを繰り返すことができる。プロセスを繰り返して、所望のレベルの混合度を達成するサイクル数(例えば、15~30サイクル)を完了することができる。方法Bの概略図は、図3Bに例示されている。
【0027】
一実施例では、全ての容積式要素の区画が、可変容積を有する区画を有することができる。
【0028】
代替的に、いくつかの実施例では、容積式要素の区画は、固定容積を有することができる。容積式混合器の小区画は、ほぼ等しい容積を有することができる。代替的に、小区画は、等しい容積を有しない場合がある。
【0029】
方法A、方法B、方法C、及びそれらの組み合わせにおいて説明される分離及び再結合は、層の増加を生じさせるサイクルにおいて行うことができる。代替的に、容積式混合器は、一次区画から小区画に流体を同時に分離させ、次いで、流体が小区画から一次区画に同時に再結合されることによって機能することができる。原則として、この運動は、流体の初期構成を何度も繰り返し得、層の増加を生じさせることができない。しかしながら、実際には、この運動は、初期構造の正確な複製を妨げる僅かな非対称性及び流動不安定性のため、いくらか混合を提供することができる。一部の流体及び/又は容積によって、この混合は、信頼性及び効率を低下させ得、したがって、あまり好ましくない場合がある。
【0030】
図3A図5Cは、図1の混合器のような、混合器を使用した分離及び再結合のための運動のシーケンスを例示し、混合器は、区画から材料を追い出すこと、又は区画に進入させる材料の容積を作製することができる区画のサイズを変化させるサイクルを通して移動する移動要素を各々が有する、3つの容積式要素を有する。図3A図5Cに例示される実施例では、移動要素は、ピストンである。図1及び図3A図5Cでは、座標X1は、(図1では、参照番号13で示される)ピストン1の位置を表し、X2は、(図1では、参照番号11で示される)ピストン2の位置を表し、X3は、(図1では、参照番号12で示される)ピストン3の位置を表す。これらの実施例では、ピストン1は、ほぼ等しいサイズであるピストン2及び3よりも大きいので、ピストン2及び3と比較して、ストローク当たり2倍の容積を変位させる。
【0031】
図3A図3Cは、図3A図3B、及び図3Cでのピストン1、2、及び3の各ピストンの変位対時間をそれぞれ示す。図3A図3B、及び図3Cでは、運動は、時間的に線形である。
【0032】
図4A図4Cは、図4A図4B、及び図4Cでのピストン1、2、及び3の各ピストンの変位対時間をそれぞれ示す。図4A図4B、及び図4Cでは、運動は、時間的に非線形であるが、図3A図3B、及び図3Cに例示される線形運動と同じ結果を達成する。線形運動、非線形運動の両方、及びそれらの組み合わせは、どちらも所望のレベルの混合度を達成することができる。
【0033】
図5A図5Cは、図5A図5B、及び図5Cでのピストン1、2、及び3の各ピストンの変位対時間をそれぞれ示す。図5に示される実施例では、作動ピストン2(図2Bに示される変位)及びピストン3(図2Cに示される変位)の順序は、サイクル間で逆になる。このように混合することもまた、分離及び再結合を通して所望のレベルの混合度を達成することができる。
【0034】
図3図5に示される変位シーケンスに加えて、所望のレベルの混合度をもたらすことができる多数の他の変位シーケンスが存在する。例えば、変位方向が逆になる(すなわち、図3及び図4のグラフが上下逆になる)変形例もまた、所望のレベルの混合度をもたらすことができる。加えて、変位が時間的に非線形であるシーケンスの変形例もまた、所望のレベルの混合度をもたらすことができる。また、1つ以上の休止が移動要素の運動に加えられる変形例もまた、所望のレベルの混合度をもたらすことができる。
【0035】
いくつかの実施例では、各サイクルの持続時間は、一定であり得る。他の実施例では、各サイクルの持続時間は、サイクル間で一定でない場合がある。シーケンスは、より低速のサイクルで開始して、混合を通して、サイクルの速度を増加させることが好都合であり得、これは、最初は高粘度であり、ブレンドされたときに粘度が低下する材料に好都合であり得る。代替的に、シーケンスは、最初に高速サイクルとし、後に低速サイクルとすることができる。
【0036】
容積式混合器は、分離及び再結合サイクルを通して所望のレベルの混合度を達成するために、各々が1つのピストンを有する3つ以上の容積式要素を有することができる。図1は、容積式要素11、12、及び13を有する概略的な混合器1である。
【0037】
分離及び再結合サイクルは、3つ以上の容積式要素によって達成することができる。図6A図6Eは、容積式要素を有する混合器を例示する。図6Aは、一次容積式要素111と、小容積式要素112、113、及び114と、を備えた、混合器100を示す。混合中に、一次容積式要素111からの材料は、小容積式要素112 113、及び114の間で3つの部分に分離される。図6Bは、混合するための6つの容積式要素を備えた混合器を示し、図6Cは、混合するための7つの容積式要素を備えた混合器を示す。図6Dは、混合するための8つの容積式要素を備えた混合器を示し、図6Eは、混合するための複数の容積式要素を備えた混合器を示す。
【0038】
図7A図7Dは、各々がピストンを有する4つの容積式要素を有する図6Aの混合器を使用して、分離及び再結合のための運動シーケンスを例示する。図7Aでは、座標X1は、第1のピストンの位置を表す。図7Bでは、X2は、第2のピストンの位置を表す。図7Cでは、X3は、第3のピストンの位置を表す。図7Dでは、X4は、第4のピストンの位置を表す。このシーケンスの変形例もまた、所望のレベルの混合度を達成することができる。例えば、第2、第3、及び第4のピストンは、それらが同時に押されて、第1のピストンによって形成された区画内で再結合するのであれば、任意の順序で後退させることができる。変位の方向が逆になる(すなわち、図7A図7Dのグラフが上下逆になる)変形例もまた、混合を達成する。
【0039】
別の実施例では、図8は、図8に示されるように追加的な容積式要素を使用して材料が混合されるときに材料を搬送することができる、混合器800を示す。材料は、容積式要素801に進入し、容積式要素802及び803に分離させて、容積式要素804に再結合させることができ、次いで、材料は、容積式要素805及び806に分離され、容積式要素806に再結合されるなどである。この構成は、各バッチの内容物を前のバッチ及び次のバッチから隔離した状態に保ちながら、「組み立てライン」様式で様々なバッチの混合及び搬送を可能にする。かかる構成は、多数のサイクルが同時に実行されるので、高い生成速度を達成することができる。
【0040】
いくつかの実施例では、ピストンは、同一線上にあり得る。しかしながら、図9A図9Cの3つの容積式要素混合器に示されるピストン構成、及び図9Dの4つの容積式要素を備えた混合器もまた、所望のレベルの混合度を達成することができる。いくつかの実施例では、1つ以上の容積式要素は、ほぼ直角で交わり得る。
【0041】
容積式要素の断面は、円形であり得る。しかしながら、任意の断面は、円形形状、非円形形状、及びそれらの組み合わせを含む、任意の形状であり得る。いくつかの実施例では、密封及び製造を容易にするために、湾曲縁部(例えば、円形、卵形、丸みのある三角形、丸みのある長方形、又は腎臓形)を有する形状が好ましくなり得る。移動要素は、概して、容積式要素と同じ断面形状を有することができるので、容積式要素の内側にぴったりと適合するが、それでも、液体が容積式要素から漏出することを可能にすることなく摺動することが可能である。
【0042】
ピストンなどの移動要素は、任意の好適な材料から作製することができる。概して、移動要素の材料は、摩擦及び漏れを最小にすることができ、混合される材料と化学的に適合性があり、更に、任意の衛生要件にも適合性がある。移動要素は、精密公差のセラミック、良好な耐化学薬品性を有する剛性又は弾性のポリマー(アセタールホモポリマーなど(Derlin(登録商標)として市販されている))、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標)として市販されている)、ステンレス鋼、耐化学薬品性合金、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択することができる。1つ以上の移動要素は、剛性であり得る。代替的に、1つ以上のピストンは、剛性でない場合がある。1つ以上の移動要素の端部は、弾性であり得、混合の終了時に、全ての材料を追い出すように成形され得る。移動要素は、任意の出口オリフィスの容積を充填して、材料利用度を改善する突起を有し得る。
【0043】
ピストンなどの移動要素は、Oリング、Xリング又はカップ形状のシール、ばね付勢シール、圧力付勢シール、及びそれらの組み合わせを含む、密封するためのエラストマーシールなどの、漏れを最小にするシール特徴を有し得る。一実施例では、1つ以上の移動要素は、Oリング及びバッカーリングを組み合わせる密封ソリューションを有し得る。シールは、FKM(Viton(登録商標)として市販されている)、ニトリル、パーフルオロエラストマー(Kalrez(登録商標)として市販されている)、及びそれらの組み合わせなどの、ゴム又は合成ゴムが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な材料で作製することができる。いくつかの実施例では、1つ以上の移動要素は、シールを有さず、精密公差を使用して、密封を達成することができる。シールに加えて、又はその代わりに、1つ以上のピストンは、拭浄を達成するためのワイパを有し得る。
【0044】
補助要素が混合ピストンの間に加えられ得、これらの要素は、ピストンなどの移動要素であり得る。図10は、混合に適している、混合器500の底部に位置する三角形の断面を有する4つの容積式要素501、502、503、及び504を有する、容積式混合器500を示す。混合器500の頂部には、容積式要素間の距離を制御することができる、3つの補助要素505、506、及び507が存在する。いくつかの実施例では、補助要素は、ピストンであり得る。例えば、粉末の取り込み又は乳化のために、混合中に高い剪断速度が必要とされる場合、補助要素を閉じて、より狭い間隙を形成して、高い剪断を達成することができる。その逆に、混合中に材料を過剰な剪断から保護することが必要である場合、補助要素を開いて、より広い間隙を形成することができる。混合の終了時に、補助要素は、ゼロ間隙まで押し縮めて、全ての流体を吐出させることができ、これは、高い材料利用度に役立ち得る。容積式要素間の剪断は、オリフィスプレート、小径管、スリット、ベンチュリ、静的混合器、ニードル弁、ボール弁、シート弁、ストレーナ、メッシュ、フィルタ、円錐管、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、任意の手段によって、容積式要素を通した流動を制限/縮小することによって起こり得る。
【0045】
いくつかの実施例では、混合器は、区画及びピストンを含むことができる、1つの一次容積式要素を有することができる。代替的に、混合器は、各々が区画及びピストンを有することができる、2つ以上の一次変位要素を有することができ、分離及び再結合の混合は、2つの容積式要素が一体となって一緒に移動するときに起こり得る。図11Aは、2つの底部容積式要素603及び604が一次容積式要素として作用することができ、2つの頂部容積式要素601及び602が小容積式要素として作用することができる、容積式混合器600を示す。かかる構成では、混合器は、本明細書において説明される混合方法Aを使用する、図11Bに示される水平積層、及び本明細書において説明される混合方法Bを使用する、図11Bの積層に対して横方向である、図11Cに示される垂直積層を達成することができる。
【0046】
材料が、小容積式要素601及び602から一次変位要素603及び604に同時に移送され、次いで、一次変位要素603及び604から小容積式要素603及び604に一度に1つ移送されるときに、異なる積層パターンが起こり得る。かかる構成では、混合器は、図11Bに示される垂直積層に対して横方向である、図11Dに示される垂直積層、及び図11C及び図11Eの水平積層を達成することができる。
【0047】
材料はまた、小容積式要素601及び602から一次変位要素603及び604に一度に1つ移送し、次いで、一次変位要素603及び604から小容積式要素601及び602に同時に移送することもできる。かかる構成では、混合器は、図11B及び図11Dに示される垂直積層に対して横方向である、図11Eの水平積層であり得る。
【0048】
図11B図11Dに示されるように、容積式混合器600は、3つの垂直方向に積層することができる。所望のレベルの混合度を得るために、2つ又は3つの混合パターンを得るための混合サイクルを含むサイクルを使用することが好都合であり得る。例えば、混合サイクルは、図11B及び/又は図11Eの積層パターンを生成する方向の15サイクル、図11Cの積層パターンを生成する15サイクル、及び図11Dの積層パターンを生成する15サイクルを含むことができる。
【0049】
図12は、3ピストン混合器のように機能する容積式混合器700を示す断面図である。混合器700は、ピストン703及び704並びに小区画713及び714をそれぞれ有する、容積式要素705及び706を有する。しかしながら、混合器700は、第3のピストンを有する代わりに、移動可能な蓋702を有する容器701を有する。蓋702及び容器701の相対運動は、可変容積の一次区画を作製することができる。ピストン703及び704は、蓋に対してより多い。蓋702に対するピストン703及び704の変位は、小区画713及び714を作製する。
【0050】
容積式混合器から高い材料利用度を得るために、以下の工程を使用して、材料の混合器への装填及び搬出を行うことができる。
【0051】
材料の装填は、以下の通りに行うことができる:流体連通を通して他の区画に接続することができる区画に材料を注入する。図13Aは、容積式要素901、902、及び903を備えた容積式混合器900の断面図である。図13Aでは、材料951及び952は、開いた区画910に注入され、その後に区画910が容積式要素902及び903に接続される。この実施例では、開いた区画910は、ピストン901の一次区画である。開いた区画910が閉じられたときに、混合を開始することができる。
【0052】
図13Bは、混合中のある時点における容積式混合器900の断面である。区画910、920、及び930は、接続されて、図13Aに示されるように材料951及び952の組み合わせである材料950で充填される。図13Bでは、区画910及び920の容積は、図13Aと比較して増加し、そこでは、ピストンが容積式要素の底部まで完全に膨張し、区画910の容積が、図13Aに区分化して減少し、材料950を区画920及び930に押し込み、それによって、混合する。
【0053】
図13Cは、材料950が区画930から容器970に注入されているときの、容積式混合器900の断面である。材料の搬出は、以下の通りに行うことができる:材料950が、一次区画910へ移動し、一次容積式要素901が、容積式混合器900から取り除かれる。材料950は、次いで、ピストン940によって、容積式要素901の開口部を通して、別個の容器970に押し込まれる。
【0054】
図14A図14Bは、高い材料利用度を得るように材料を装填及び搬出するための他の方法を示す。図14Aは、一次容積式要素201と、小容積式要素202及び203と、を備えた、容積式混合器200を示す。図14Aは、取り除いてチャネル230を露出させることができる、移動可能な部材220を有する。部材220が取り除かれた後に、材料は、チャネル230を通して、一次区画210内に装填することができる。
【0055】
図14Bは、一次容積式要素201’を備えた、容積式混合器200’を示す。図14Bは、2つの可動要素220’及び224’、並びに2つのチャネル230’及び240’を有すること、並びにチャネル230’及び240’をより明らかに示すために図14Bから2つの混合容積式要素が取り除かれているが、それらが変位混合器200’に含まれることを除いて、図14Aと同様である。チャネル230’は、材料を混合器に装填するためのものであり、チャネル240’は、混合器を搬出するためのものである。装填及び搬出チャネルは、混合中に閉じることができる。材料を搬出するために、移動可能な部材220’及び224’は、一次チャンバ211’と出口オリフィス222’との間のチャネルの一部分を遮断しないように移動する。移動可能な部材224はまた、出口ホールド222’を遮断しないように移動する。次いで、一次容積式要素201’の容積式要素214’が押され、材料を一次容積式要素201’から押し出し、チャネル240’に押し込み、次いで、出口オリフィス222を通して、別個の容器270’に押し込む。装填及び搬出チャネルは、吐出中に、及び/又はその後に拭浄することができる。
【0056】
図15A及び図15Bは、容積式要素301、302、及び303がT字形構成で配置されている容積式混合器300を示す。下部の取り外し可能な容積式要素301は、混合される材料で装填される。下部容積式要素301は、容積式要素302及び303を備える2ピストン配列の底部に取り付けられ、容積式要素301、302、及び303は、図15Bに示される混合器300になるように組み合わされる。1つ以上の混合サイクルを受けた後に、材料は、図14及び図15並びに付随の文章に描写されているような、高い利用度の方法を使用して搬出される。
【0057】
本明細書において説明される容積式混合器の更なる利益は、混合がレイノルズ数から独立し得るので、スケールアッププロセスが簡略化されることである。更に、混合は、装置のアスペクト比から独立している。バッチサイズは、移動可能な要素のストローク長さを変化させ、それによって、区画のサイズ又はピストンの直径を変化させることによって修正して、より大きい又はより小さいバッチサイズを達成する。
【0058】
店内用途の場合、又は製造環境におけるスループットを増加させるために、短い混合時間が好ましくあり得る。いくつかの実施例では、各サイクルに1~10秒、代替的に1~5秒、及び代替的に2~4秒かかる。均質であり得る所望のレベルの混合度を達成するために、5~60サイクル、代替的に10~50サイクル、代替的に13~40サイクル、及び代替的に15~30サイクルかかり得る。所望のレベルの混合度を達成するために、5秒~10分、代替的に約10秒~8分、代替的に約15秒~6.5分、代替的に約30秒~約5分、代替的に約60秒~約4分、及び代替的に約90秒~約3分かかり得る。
【0059】
各サイクルを完了する時間は、製品のレオロジーに大幅に影響を及ぼすことなく増加させることができることを見出した。いくつかの実施例では、各サイクルは、1秒未満かかり得、所望のレベルの混合度に到達するためのサイクル当たりの時間及び合計時間は、2分未満、代替的に90秒未満、代替的に60秒未満、代替的に45秒未満、及び代替的に30秒未満であり得る。
【0060】
本明細書において説明される容積式混合器の別の利益は、混合の原理が幾何形状であるので、慣性ではなく幾何学的であり、混合することができる材料の範囲が、乱流を必要とする従来の混合器の場合よりもはるかに広くなることである。混合器は、ピストンのような移動可能な要素によって押すことができる任意の材料に好適であり得、材料としては、以下が挙げられる。
・薄い水様の材料から、(脂肪アルコールゲルネットワーク又はワックスのような)固体結晶構造を含有する厚いペースト様又は固体様の変形可能材料まで粘度が変動する材料。最終製品は、本明細書において説明される粘度測定に従って、約1Pa・s~約1700Pa・s、代替的に約5Pa・s~約1500Pa・s、代替的に約10Pa・s~約1200P・s、及び代替的に約20Pa・s~約500P・sの粘度を有することができる。
・シアシニングであるニュートン流体、非ニュートン流体を含むレオロジー特性の範囲の材料。
・油及び水、又はシリコーン及び水のような不混和材料。
・水様のニュートン流体及び非ニュートンの高降伏応力流体の混合のような、高粘度差又はレオロジー特性を含む材料。
・乾燥不可溶性粉末の、(皮膚クリーム又はコンディショナのような)水性流体への混合。
・乾燥水溶性粉末の、(皮膚クリーム又はコンディショナのような)水性流体への混合。
【0061】
最終製品は、以下に関する製品又は方法を含む、美容製品であり得る:(a)ブリーチング、カラーリング、ダイング、コンディショニング、育毛、脱毛、成長遅延剤、クレンジング、シャンプー、及びスタイリングが挙げられるが、これらに限定されない、毛髪のケア、トリートメント、イメージング、又は評価;(b)芳香組成物、防臭剤、及び制汗剤を含む、発汗及び/若しくは体臭のケア、トリートメント、イメージング、又は評価;(c)肌及び/若しくは爪のイメージング、評価、クレンジング、並びに/又は剥離が挙げられるが、これらに限定されない、パーソナルクレンジング及びメーク落とし、並びに肌及び/又は爪から局所用ビューティケア用品の除去;(d)クリーム、ローション、乳性が挙げられるが、これらに限定されない局所施用材料による、並びに肌及び/若しくは爪の見た目、健康状態、及び/若しくは感触の向上が挙げられるが、これらに限定されない目的のための他の局所適用製品による、肌若しくは爪のケア、トリートメント、イメージング、又は評価;並びに(e)毛髪、肌、若しくは爪の見た目、感触、及び/又は健康状態の向上が挙げられるが、これらに限定されない目的のための経口投与材料による、肌、毛髪、及び/若しくは爪のケア、トリートメント。この定義で使用される場合、肌は、頭皮、手、足、顔、及び身体を含む、身体の全ての肌を含み、この定義で使用される場合、毛髪は、身体のあらゆる場所の全ての毛髪を含む。
【実施例
【0062】
図16A図16Eは、一次容積式要素401と、小容積式要素402及び403と、を備えた混合器400を示す、ビデオからの静止画像である。図16Aは、材料が装填された後の、かつ混合が開始する前の混合器400を示す。図16B図16Dは、約2.25秒にわたって起こる1つの混合サイクルを示す。図16Eは、約2.2分にわたって起こる60混合サイクルの後の均一な製品を示す。
【0063】
図16Aは、材料(コンディショナ及び青色ダイ)が一次容積式要素401に装填される、混合の開始時である。次に、図16Bに示されるように、材料が分離されて、同時に、小容積式要素402及び403に移送される。次いで、図16Cに示されるように、小変位要素402の材料が一次容積式要素401に逆に移送される。その後に、図16Dに示されるように、小容積式要素402の材料が一次容積式要素401に移送されて、1つの混合サイクルが完了する。この実施例では、図16Eに示されるように、材料が均質になるまで混合サイクルが繰り返される。
【0064】
図17には、各々が1つのピストンを有する3つの容積式要素を備えたT字形状の混合器の写真が示されている。この混合器を使用して、64%のヘアコンディショナと、赤色ダイ又は青色ダイを含有する36%の水とを組み合わせて、図17で長方形によって示される領域において各サイクルの終了時に解析した画像を解析することによって混合を評価した。画像は、Python Library scikit-image(バージョン0.14.2、2019年1月1日にアクセス)によるモジュールrgb2hsvを使用して、RGB(赤色、緑色、青色)からHSV(色相、彩度、明度)成分に変換される。各画素の飽和成分を使用して、照明の違いにあまり影響を受けないダイの量を検出する。混合度の尺度として、対象の長方形内の全ての画素の色調成分の変動係数を計算した(すなわち、全ての画素が同じ値を有する場合は、変動係数が低くなり、十分な混合度であることを示し、画素間の値に大きい差があった場合は、係数が大きくなり、不十分な混合度であることを示す)。
【0065】
図18は、青色ダイ又は赤色ダイを含有する水と混合された以下のヘアコンディショナのサイクル数の関数としての混合度の尺度を示す:Pantene(登録商標)Complete Curl Care Conditioner、Pantene(登録商標)Nutrient Volume Multiplier Conditioner、Herbal Essences(登録商標)White Activated Charcoal Conditioner、及びPantene(登録商標)Repair and Protect Conditioner。変動係数が最初に高く、不十分な初期混合度を示すことが観察される。サイクル数が増加するにつれて、変動係数は、比較的安定した状態になる地点まで減少する。
【0066】
試験法
粘度測定
配合物の粘度を、Brookfield Engineering Laboratories(Stoughton,MA)製のCone/Plate Controlled Stress Brookfield Rheometer R/S Plusで測定した。使用したコーン(Spindle C-75-1)は、75mmの直径及び1°の角度を有する。粘度は、流動実験を使用して、一定の剪断速度0.1s-1及び温度26.5℃で定常状態の流動実験を使用して判定する。試料サイズは2.5mLであり、合計測定読み取り時間は3分である。
【0067】
組み合わせ:
A.製品を混合するための方法であって、方法が、
a.容積式混合器を提供することであって、容積式混合器が、
i.一次容積及び長さを備える一次区画を各々が備える、1つ以上の一次容積式要素と、
ii.小容積及び長さを備える小区画を各々が備える、2つ以上の小容積式要素であって、
1つ以上の一次区画及び2つ以上の小区画が流体接続される、2つ以上の小容積式要素と、を備える、提供することと、
b.1つ以上の一次区画に少なくとも2つの材料を装填することと、
c.一次及び小容積式要素を大気に対して閉じることと、
d.方法A、方法B、方法C、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された混合方法によって、層流を使用して1つ以上の材料を混合することであって、
方法Aが、
i.1つ以上の一次区画から各小区画に一度に1つずつ材料を移送することと、
ii.次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Bが、
i.1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、
ii.次いで、各小区画から一次区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Cが、
i.1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、
ii.次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含む、混合することと、
e.製品を最終容器に吐出することと、を含む、方法。
B.製品を混合するための方法であって、方法が、
a.容積式混合器を提供することであって、容積式混合器が、
i.一次容積を備える一次区画を各々が備える、2つ以上の一次容積式要素と、
ii.小容積を備える小区画を各々が備える、2つ以上の小容積式要素であって、
2つ以上の一次区画及び2つ以上の小区画が流体接続される、2つ以上の小容積式要素と、を備える、提供することと、
b.少なくとも2つの材料を2つ以上の一次区画の各一次区画に装填すること、又は少なくとも2つの材料を2つ以上の小区画の各区画に装填することと、
c.一次及び小容積式要素を大気に対して閉じることと、
d.方法A、方法B、方法C、方法D、方法E、及びそれらの組み合わせびからなる群から選択された混合方法によって、層流を使用して1つ以上の材料を混合することであって、
方法Aが、
i.1つ以上の一次区画から各小区画に一度に1つずつ材料を移送することと、
ii.次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Bが、
i.1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、
ii.次いで、各小区画から一次区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Cが、
i.1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送することと、
ii.次いで、小区画から1つ以上の一次区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Dが、
i.2つ以上の小区画から各一次区画に一度に1つずつ材料を移送することと、
ii.次いで、2つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を同時に移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含み、
方法Eが、
i.2つ以上の小区画から2つ以上の一次区画に材料を同時に移送することと、
ii.次いで、各一次区画から小区画に全ての材料を一度に1つずつ移送して、1つのサイクルを完了することと、
iii.所望のレベルの混合度が得られるまで工程i及びiiを繰り返して、製品を形成することと、を含む、混合することと、
e.製品を最終容器に吐出することと、を含む、方法。
C.各一次変位要素が、移動要素を更に備え、各小変位要素が、移動要素を更に備え、1つ以上の一次区画及び2つ以上の小区画が、容積式要素の長さにわたって移動要素を移動させることによって決定される可変容積を備える、パラグラフA~Bに記載の方法。
D.移動要素のうちの1つ以上が、ピストンである、パラグラフCに記載の方法。
E.移動要素が、1つ以上の一次区画及び/又は2つ以上の小区画から最終容器に製品を吐出する、パラグラフC~Dに記載の方法。
F.移動要素が、1つ以上の一次区画から2つ以上の小区画に材料を移送し、及び/又は移動要素が、2つ以上の小区画から一次区画に材料を移送する、パラグラフC~Eに記載の方法。
G.少なくとも1つの材料が、ニートな形態で加えられる不混和流体からなる、パラグラフA~Fに記載の方法。
H.加えられる材料が、シリコーンを含む、パラグラフGに記載の方法。
I.混合デバイスが、混合中に、曝気及び/又は発泡を生じさせない、パラグラフA~Hに記載の方法。
J.混合器が閉じられた後に、一次及び小区画内に実質的にいかなる上部空間も存在しない、パラグラフA~Iに記載の方法。
K.工程b~eを繰り返して、容積式混合器を洗浄することなく第2の製品を混合する、パラグラフA~Jに記載の方法。
L.最終容器が、約25mL~約1500mLの容積を備える、パラグラフA~Kに記載の方法。
M.混合方法が、所望のレベルの混合度に到達するように約15~約30サイクルを完了する、パラグラフA~Lに記載の方法。
N.所望のレベルの混合度が、均質な製品を生成する、パラグラフA~Mに記載の方法。
O.混合中に、容積式要素が、線形運動を有する、パラグラフA~Nに記載の方法。
P.混合中に、移動要素が、非線形運動を有する、パラグラフA~Oに記載の方法。
Q.方法A、B、D、及びEの組み合わせによって、3つの異なる薄層パターンをもたらす、パラグラフBに記載の方法。
R.2つ以上の一次容積式要素が、一次対称面を平更に備え、2つ以上の小変位要素が、小対称平面を更に備え、一次対称平面及び小対称平面が、直交している、パラグラフB及びQに記載の方法。
S.少なくとも2つの材料を均質な製品に混合する、製品を混合するための容積式混合器であって、当該デバイスが、
a.少なくとも3つの容積式要素であって、
i.長さ、一次区画、及び移動要素を備える、一次容積式要素と、
ii.長さ、小区画、及び移動要素を各々が備える、2つ以上の小容積式要素と、を備える、少なくとも3つの容積式要素を備え、
一次区画及び小区画が、流体接続され、
混合中に、一次区画及び小区画が、大気に対して閉じられ、
一次区画及び小区画が、容積式要素の長さにわたって移動要素を移動させることによって決定される可変容積を備える、容積式混合器。
T.容積式混合器が、3つ又は4つの容積式要素を備える、パラグラフSに記載の方法。
U.混合器が、T字構成で配置された3つの容積式要素を備え、一次容積式要素が、取り外し可能である、パラグラフS~Tに記載の方法。
V.容積式混合器が、容積式要素間の間隔を変化させるように適合された1つ以上の補助要素を更に備える、パラグラフS~Uに記載の方法。
W.一次区画を充填するように、及び/又は混合器から製品を搬出するように適合されたチャネルを更に備え、チャネルが、一次チャンバ及び大気に流体接続される、パラグラフS~Vに記載の方法。
【0068】
全ての百分率及び比率は、別途示されない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、別途示されない限り、全組成に基づいて計算される。
【0069】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、あたかもそのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのよう含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値制限は、全てのより高い数値制限を、あたかもそのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むものとする。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を含み、あたかもそのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのようである。
【0070】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0071】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0072】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17
図18
【国際調査報告】