(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】支持治具及び支持治具と共に使用される試験片ホルダー
(51)【国際特許分類】
G01N 3/04 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G01N3/04 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524983
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021056319
(87)【国際公開番号】W WO2022087463
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505383383
【氏名又は名称】エムティーエス システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン レイ レンマー
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AA02
2G061AB01
2G061BA01
2G061CB20
2G061CC11
2G061DA16
(57)【要約】
引張荷重を印加する試験機1と共に使用される支持治具10。支持治具10は、フレーム12と、位置合わせ軸16を提供するためにフレーム12に接合される一対の離間した支持体14A、14Bとを含む。各支持体14A、14Bは、試験片ホルダーを、試験機1に取付け可能な試験片ホルダーの端部が反対方向を向いている状態で、固定された空間的関係で位置合わせ軸16上に解放可能に保持する。支持治具10を使用して、試験片ホルダーに試験片15を試験機1から離れた位置で取り付け、次いで、支持治具10を使用して、試験片ホルダーが試験機1に取り付けられている間、固定された特別な関係を維持する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張荷重を印加する試験機と共に使用される支持治具において、
フレームと、
位置合わせ軸を提供するために前記フレームに接合される一対の離間した支持体とを具備し、
各支持体は、試験片ホルダーを、前記試験機に取付け可能な前記試験片ホルダーの端部が反対方向を向いている状態で、固定された空間的関係で前記位置合わせ軸上に解放可能に保持する支持治具。
【請求項2】
前記一対の離間した支持体の間で前記フレームに接合される試験片支持体を更に備え、前記試験片支持体は、試験片を前記位置合わせ軸上に保持するように構成された端部を有する請求項1に記載の支持治具。
【請求項3】
前記試験片支持体は、前記フレームに接合された第1の部分と、前記端部を有する第2の部分とを備え、前記第2の部分は、前記端部の位置を前記位置合わせ軸に対して直交方向に調整するように、前記第1の部分に調整可能に固定される請求項2に記載の支持治具。
【請求項4】
前記第2の部分は前記第1の部分に対して直線的に調整可能である請求項3に記載の支持治具。
【請求項5】
前記第2の部分は前記第1の部分に対して伸縮する請求項4に記載の支持治具。
【請求項6】
前記端部は試験片を受ける凹部を備える請求項1~5の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項7】
前記一対の支持体は、第1の支持体と第2の支持体とを含み、前記第1の支持体は、前記位置合わせ軸上の前記第1の支持体の位置を軸方向に調整するために前記フレーム上に調整可能に位置決め可能である請求項1~6の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項8】
前記第2の支持体は、前記位置合わせ軸上の前記第2の支持体の位置を軸方向に調整するために前記フレーム上に調整可能に位置決め可能である請求項7に記載の支持治具。
【請求項9】
各支持体は、前記支持体に固定可能な前記関連付けられた試験片ホルダー上に設けられる、凸部又は凹部にそれぞれ相補的な、前記位置合わせ軸から離間される凹部又は凸部を含む請求項1~8の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項10】
各支持体は前記試験片ホルダーの一部を受ける取付け開口を提供する請求項1~8の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項11】
各支持体の端部は前記端部に固定可能な取外し可能部分を含む請求項1~10の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項12】
各支持体の前記端部及び前記取外し可能部分は、前記試験片ホルダーと相補的な、前記試験片ホルダーと係合可能な表面を含む請求項11に記載の支持治具。
【請求項13】
前記支持体のうちの一方に取外し可能に固定可能な第1の試験片ホルダーと、前記支持体のうちの他方に取外し可能に固定可能な第2の試験片ホルダーとを更に備える請求項1~12の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項14】
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーは、それぞれ、前記試験片の端部を保持するように構成されたヘッドと、前記ヘッドに取り付けられた基部とを含み、前記基部は、前記引張試験機に取り付けるように構成された各端部を有する請求項13に記載の支持治具。
【請求項15】
各支持体の各端部は、各対応する試験片ホルダーの前記基部の外面に解放可能に係合する請求項14に記載の支持治具。
【請求項16】
前記試験片ホルダーのそれぞれは、前記試験片の前記端部に予荷重クランプ力を印加する機構を含む請求項15に記載の支持治具。
【請求項17】
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーのそれぞれは、前記試験片の端部に係合して保持する可動ジョーを含む請求項13~17の何れか1項に記載の支持治具。
【請求項18】
第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを有する引張試験機に試験片を装填する方法において、
前記試験機から離れた支持治具を提供することと、
前記試験片の端部を保持するように構成されたヘッドが互いに対向し、前記試験機に固定可能な前記試験片ホルダーの端部が反対方向に面するように、前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを前記支持治具に取り付けることであって、前記試験片ホルダーが互いに位置合わせされて共通の位置合わせ軸上に配置されることと、
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーのヘッドを前記試験片の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ固定することと、
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを前記引張試験機に取り付けることであって、前記支持治具が前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを前記位置合わせ軸上に互いに対して固定された空間的関係で保持することとを含む方法。
【請求項19】
前記治具は試験片支持体を含んでおり、前記方法は、前記位置合わせ軸と位置合わせされるように前記試験片を前記試験片支持体に取り付けることを更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記位置合わせ軸と位置合わせされるように前記試験片を前記試験片支持体に取り付けることが、前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーの前記ヘッドを前記試験片に固定する前に行われる請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記治具は、フレームに連結される第1の支持体及び第2の支持体を含み、前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを支持治具に取り付けることは、前記第1の試験片ホルダーを前記第1の支持体に取り付け、前記第2の試験片ホルダーを前記第2の支持体に取り付けることを含む請求項18~20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを前記引張試験機に取り付けることは、前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを前記支持治具に取り付けた後、及び/又は前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーのヘッドを試験片に固定した後に行われる請求項18~21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーを前記支持治具に取り付けることは、前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーのそれぞれの回転位置を前記位置合わせ軸の周りで固定することを含む請求項18~22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の試験片ホルダー及び前記第2の試験片ホルダーのヘッドを前記試験片の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ固定することは、前記試験片の端部に予荷重クランプ保持力を印加することを含む請求項18~23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
互いに対向する第1の傾斜本体表面及び第2の傾斜本体表面を有するヘッド本体と、
前記ヘッド本体内に位置する第1のウェッジ及び第2のウェッジであって、前記第1のウェッジは、前記第1の傾斜本体表面と摺動接触する第1の傾斜ウェッジ表面を有し、前記第2のウェッジは、前記第2の傾斜本体表面と摺動接触する第2の傾斜ウェッジ表面を有する、第1のウェッジ及び第2のウェッジと、
試験機の一部に接続可能な第1の端部と前記第1のウェッジ及び前記第2のウェッジを支持する第2の端部とを有する支持シャフトと、
前記支持シャフトによって支持され、前記第2の端部と前記第1の端部との間に位置するドライブと、
第1の端部において前記ヘッド本体に接続され、第2の端部において前記ドライブに接続されるばねとを具備する試験片ホルダー。
【請求項26】
前記ドライブは、前記ばねの前記第2の端部を前記ヘッド本体から離れるように引っ張るように構成される請求項25に記載の試験片ホルダー。
【請求項27】
前記ドライブは、第2の部分に対して移動可能な第1の部分を備え、前記第1の部分は、前記ばねの前記第2の端部に接続され、前記第2の部分は、前記支持シャフトの一部に係合する、又はしっかりと接合される請求項26に記載の試験片ホルダー。
【請求項28】
前記第1の部分は前記支持シャフトに対して軸方向に移動する請求項27に記載の試験片ホルダー。
【請求項29】
前記ドライブは前記第1の部分及び前記第2の部分と接触するとともにそれらに対して移動可能な被駆動部を含む請求項28に記載の試験片ホルダー。
【請求項30】
前記被駆動部は前記支持シャフトの長手方向軸に向けて及びそこから離れるように移動可能である請求項29に記載の試験片ホルダー。
【請求項31】
前記ドライブは前記被駆動部と接触する前記第1の部分によって支持されたアクチュエーターを含む請求項30に記載の試験片ホルダー。
【請求項32】
前記アクチュエーターは前記第1の部分に螺合する駆動ねじを備える請求項31に記載の試験片ホルダー。
【請求項33】
前記被駆動部及び前記第2の部分の係合面は、前記被駆動部及び/又は前記第2の部分のうちの少なくとも一方の上に傾斜面を含む請求項32に記載の試験片ホルダー。
【請求項34】
前記被駆動部及び前記第2の部分の係合面は、それぞれ傾斜面である請求項32に記載の試験片ホルダー。
【請求項35】
前記ドライブは前記支持シャフトの周りにチャンバーを形成する壁を含み、前記被駆動要素は前記チャンバー内に配設される請求項34に記載の試験片ホルダー。
【請求項36】
前記ドライブは前記壁の端部に接合された端部キャップを含む請求項35に記載の試験片ホルダー。
【請求項37】
前記ばねは、前記支持シャフトの周りに配設された複数の長手方向ばね要素を備える請求項25~36の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【請求項38】
前記ばねは長手方向スロットを有する円筒形本体を備える請求項37に記載の試験片ホルダー。
【請求項39】
前記第2の部分は、前記支持シャフトにしっかりと接合される請求項25~39の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【請求項40】
前記第2の部分は前記支持シャフトに一体的に接合され、前記第2の部分及び前記支持シャフトは、単一の一体構造体から形成される請求項39に記載の試験片ホルダー。
【請求項41】
前記第2の部分は前記支持シャフトから分離可能である請求項25~40の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【請求項42】
前記マウント又は前記ヘッド本体のうちの少なくとも一方は、外面に開口するとともに前記支持シャフトの長手方向軸に対して横方向に内向きに延在する開口、又は前記長手方向軸から横方向に前記外面から離れるように延在するピンのうちの一方を備える請求項25~41の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【請求項43】
互いに対向する第1の傾斜本体表面及び第2の傾斜本体表面を有するヘッド本体と、
前記ヘッド本体内に位置する第1のウェッジ及び第2のウェッジであって、前記第1のウェッジは、前記第1の傾斜本体表面と摺動接触する第1の傾斜ウェッジ表面を有し、前記第2のウェッジは、前記第2の傾斜本体表面と摺動接触する第2の傾斜ウェッジ表面を有する第1のウェッジ及び第2のウェッジと、
第1の端部において前記ヘッド本体に接合されるとともにボアを有するマウントと、
前記ボア内に配設されるとともに前記第1のウェッジ及び前記第2のウェッジを支持する第1の端部を有する支持シャフトと、
前記支持シャフトを前記ヘッド本体に向けて付勢するばねとを具備する試験片ホルダー。
【請求項44】
前記ボアは、内側フランジと、前記支持シャフトに係合する前記ばねの第1の端部と、前記内側フランジに係合する第2の端部とを含む請求項43に記載の試験片ホルダー。
【請求項45】
前記ばねは圧縮ばねを含む請求項44に記載の試験片ホルダー。
【請求項46】
前記支持シャフトを前記ヘッド本体に向けて付勢する力を調整する調整部を備える請求項43~45の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【請求項47】
前記調整部は前記支持シャフトに接合されたアクチュエーターを備える請求項46に記載の試験片ホルダー。
【請求項48】
前記アクチュエーターは前記マウントに螺合されたねじを備える請求項47に記載の試験片ホルダー。
【請求項49】
前記支持シャフトに接合されたハンドルを更に備える請求項43~48の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【請求項50】
前記ハンドルは、前記支持シャフトの長手方向軸から反対方向に延在する部分を備える請求項49に記載の試験片ホルダー。
【請求項51】
前記マウント又は前記ヘッド本体のうちの少なくとも一方は、外面に開口するとともに前記支持シャフトの長手方向軸に対して横方向に内向きに延在する開口、又は前記長手方向軸から横方向に前記外面から離れるように延在するピンのうちの一方を備える請求項43~50の何れか1項に記載の試験片ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
下記の論考は、概略的な背景情報のために提供されるにすぎず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図していない。
【0002】
試験片ホルダー又はグリップは、材料試験技術において既知であり、材料試験システムにおいて試験片を保持するために使用されることが多い。ホルダーは、試験片を間に保持する対向するジョー又はウェッジを含む。このような試験片ホルダーが長い間利用されてきたが、このようなホルダーを比較的大きな試験片を試験するために使用することは確認されているものの、非常に小さな試験片に使用することは知られていない。
【0003】
典型的な試験片としては、25mm以上の最小長さ及び数ミリメートル×数ミリメートルの断面を有する幾何学的形状のものを使用する。これらの試験片は、様々な試験片ホルダーにおいて使用することができる。ホルダーは、試験片の長軸に沿って長手方向の力を印加する力反応構造体又は試験機に設置される。ホルダーは、典型的には、ホルダー内の試験片を大まかではあるが反復可能に位置合わせする方法を有し、ホルダーは、ASTM試験手順に要求されるような低い曲げ歪みを確実にするために互いに容易に位置合わせすることができる。ホルダーはまた、試験機が位置及び荷重を能動的に維持している間に、使用者が試験片をホルダー内に設置することを必要とする。
【0004】
付加製造された構成部品の分野においては、堆積プロセスの材料特性の調査が必要とされてきた。これにより、厚さ1mm未満、幅1mm未満、全長10mm未満の試験片断面形状となった。これらの試験片サイズは、現在の試験片ホルダーに適合せず、反復可能な様式で試験片をホルダーに挿入する方法はない。また、試験片が非常に小さいことから、試験片を設置するために追加の時間が必要となり、それによって、より長い時間期間にわたって使用者が作動中の機械に晒されるという懸念がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書におけるこの概要及び要約は、詳細な説明において下記に更に説明される選り抜きの概念を、簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要及び要約は、請求される主題の重要となる特徴又は不可欠な特徴を識別することを意図せず、請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。請求される主題は、背景技術に記載される任意又は全ての欠点を解決する実装に限定されるものではない。
【0006】
概して、引張荷重を印加する試験機と共に使用される支持治具は、フレームと、位置合わせ軸を提供するためにフレームに接合される一対の離間した支持体とを含む。各支持体は、試験片ホルダーを、試験機に取付け可能な試験片ホルダーの端部が反対方向を向いている状態で、固定された空間的関係で位置合わせ軸上に解放可能に保持する。支持治具は、限定されないが、本発明の別個及び追加の態様を備えた、本明細書に開示される試験片ホルダーを含む、任意のタイプの試験片ホルダーと共に使用することができる。
【0007】
1つの実施の形態において、支持治具は、一対の離間した支持体の間でフレームに接合される試験片支持体を更に含む。試験片支持体は、試験片ホルダーを試験片の各端部に固定することができるように、試験片を位置合わせ軸上に便利に保持する。試験片支持体の端部は、試験片を受ける凹部を有することができる。好ましくは、試験片支持体は、フレームに接合される第1の部分と、端部を有する第2の部分とを備える。第2の部分は、端部の位置を位置合わせ軸に対して直交方向に調整するように第1の部分に調整可能に固定され、これにより、異なる幅の試験片を位置合わせ軸上に正確に配置することが可能となる。第2の部分は、第1の部分に対して伸縮させること等によって、第1の部分に対して直線的に調整可能であり得る。
【0008】
好ましくは、一対の支持体は、第1の支持体と第2の支持体とを含み、少なくとも一方の支持体、好ましくは両方の支持体は、位置合わせ軸上の支持体(複数の場合もある)の位置を軸方向に調整するためにフレーム上で調整可能に位置決め可能である。好ましい実施の形態において、各支持体は、支持体に固定可能な関連付けられた試験片ホルダー上に設けられる、凸部又は凹部にそれぞれ相補的な、位置合わせ軸から離間した凹部又は凸部を含む。凸部と凹部との相補的な係合により、試験片ホルダーは、試験片に適切に取り付けられるように、位置合わせ軸の周りに方向付けされる。
【0009】
1つの実施の形態において、各支持体は、試験片ホルダーの一部を受ける取付け開口を提供する。好ましくは、各支持体は、各試験片ホルダーの便利な取付けを可能にするように、取付け開口を形成する端部に固定可能な取外し可能部分を含む。各支持体の端部及び取外し可能部分は、試験片ホルダーと相補的である、試験片ホルダーと係合可能な表面を含む。
【0010】
本発明の別の態様は、支持治具を使用して、試験片ホルダーに試験片を試験機から離れた位置で取り付け、次いで、支持治具を使用して、試験片ホルダーが試験機に取り付けられている間、固定された特別な関係を維持する方法も開示される。
【0011】
1つの実施の形態において、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを有する引張試験機に試験片を装填する方法は、試験機から離れた支持治具を提供することと、試験片の端部を保持するように構成されたヘッドが互いに対向し、試験機に固定可能な試験片ホルダーの端部が反対方向に面するように、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを支持治具に取り付けることであって、試験片ホルダーが互いに位置合わせされて共通の位置合わせ軸上に配置されることと、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーのヘッドを試験片の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ固定することと、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを引張試験機に取り付けることであって、支持治具が第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを位置合わせ軸上に互いに対して固定された空間的関係で保持することとを含む。
【0012】
更なる実施の形態において、治具は、試験片支持体を含み、方法は、位置合わせ軸と位置合わせされるように試験片を試験片支持体に取り付けることを更に含む。好ましくは、位置合わせ軸と位置合わせされるように試験片を試験片支持体に取り付けることが、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーのヘッドを試験片に固定する前に行われる。
【0013】
治具は、フレームに連結される第1の支持体及び第2の支持体を含むことができ、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを支持治具に取り付けることは、第1の試験片ホルダーを第1の支持体に取り付け、第2の試験片ホルダーを第2の支持体に取り付けることを含む。第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを引張試験機に取り付けることは、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを支持治具に取り付けた後、及び/又は第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーのヘッドを試験片に固定した後に行うことができる。
【0014】
望ましい場合、試験片を正しく保持するように試験片ホルダーを互いに適切に位置合わせするために、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーを支持治具に取り付けることは、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーのそれぞれの位置合わせ軸周りの回転位置を固定することを含むことができる。好ましくは、第1の試験片ホルダー及び第2の試験片ホルダーのヘッドを試験片の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ固定することは、試験片の端部に予荷重クランプ保持力を印加することを含む。
【0015】
本発明の別の態様は、互いに対向する第1の傾斜本体表面及び第2の傾斜本体表面を有するヘッド本体を備えた試験片である。第1のウェッジ及び第2のウェッジがヘッド本体内に配置され、第1のウェッジは、第1の傾斜本体表面と摺動接触する第1の傾斜ウェッジ表面を有し、第2のウェッジは、第2の傾斜本体表面と摺動接触する第2の傾斜ウェッジ表面を有する。支持シャフトは、試験機の一部に接続可能な第1の端部と、第1のウェッジ及び第2のウェッジを支持する第2の端部とを有する。ドライブは、支持シャフトによって支持され、ドライブは、第2の端部と第1の端部との間に配置される。ばねは、第1の端部でヘッド本体に接続され、第2の端部でドライブに接続される。
【0016】
好ましくは、ドライブは、ばねの第2の端部をヘッド本体から離れるように引っ張るように構成される。ドライブは、第2の部分に対して移動可能な第1の部分を備えることができ、第1の部分は、ばねの第2の端部に接続され、第2の部分は、支持シャフトの一部に係合する、又はしっかりと接合される。第1の部分は、支持シャフト周りの回転を伴って、又は伴わずに、支持シャフトに対して軸方向に移動することができる。
【0017】
ドライブは、第1の部分及び第2の部分と接触するとともにそれらに対して移動可能な被駆動部を含むことができる。被駆動部は、支持シャフトの長手方向軸に向けて及びそこから離れるように移動可能である。好ましくは、ドライブは、被駆動部と接触する第1の部分によって支持されたアクチュエーターを含む。1つの実施の形態において、アクチュエーターは、第1の部分に螺合する駆動ねじを備える。
【0018】
被駆動部及び第2の部分の係合面は、被駆動部及び/又は第2の部分のうちの少なくとも一方の上に少なくとも1つの傾斜面を含むことができる。好ましくは、被駆動部及び第2の部分の係合面は、それぞれ傾斜面である。
【0019】
ドライブは、支持シャフトの周りにチャンバーを形成する壁を含むことができ、被駆動要素は、チャンバー内に配設され、ドライブは、壁の端部に接合される端部キャップを含むことができる。
【0020】
1つの実施の形態において、ばねは、支持シャフトの周りに配設される複数の長手方向ばね要素を、好ましくは支持シャフトの周りに少なくとも部分的に円筒形本体として備え、ばね要素は、長手方向スロットを有する単一の一体構造体から形成される本体と一体である。
【0021】
好ましくは、マウント又はヘッド本体のうちの少なくとも一方は、試験片ホルダーを支持治具に取り付けることを可能にするように、外面に開口するとともに支持シャフトの長手方向軸に対して横方向に内向きに延在する開口、又は長手方向軸から横方向に外面から離れるように延在するピンのうちの一方を備える。
【0022】
試験片ホルダーの別の実施の形態は、互いに対向する第1の傾斜本体表面と第2の傾斜本体表面とを有するヘッド本体を含む。第1のウェッジ及び第2のウェッジがヘッド本体内に配置され、第1のウェッジは、第1の傾斜本体表面と摺動接触する第1の傾斜ウェッジ表面を有し、第2のウェッジは、第2の傾斜本体表面と摺動接触する第2の傾斜ウェッジ表面を有する。マウントは、第1の端部でヘッド本体に接合され、ボアを有する。支持シャフトは、ボア内に配設され、第1のウェッジ及び第2のウェッジを支持する第1の端部を有する。ばねは、支持シャフトをヘッド本体に向けて付勢する。
【0023】
1つの実施の形態において、ボアは、内側フランジと、支持シャフトに係合するばねの第1の端部と、内側フランジに係合する第2の端部とを含む。ばねは、圧縮ばねを含むことができる。
【0024】
1つの実施の形態において、調整部が設けられ、支持シャフトをヘッド本体に向けて付勢する力を調整する。調整部は、支持シャフトに接合されるアクチュエーターを備えることができる。例えば、アクチュエーターは、マウントに螺合されるねじを備えることができる。
【0025】
好ましくは、ハンドルは、支持シャフトに接合され、支持シャフトの長手方向軸から反対方向に延在する部分を備える。
【0026】
好ましくは、マウント又はヘッド本体のうちの少なくとも一方は、試験片ホルダーを支持治具に取り付けることを可能にするように、外面に開口するとともに支持シャフトの長手方向軸に対して横方向に内向きに延在する開口、又は長手方向軸から横方向に外面から離れるように延在するピンのうちの一方を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】
図2の線3-3に沿った支持治具の断面図である。
【
図7】
図6の線7-7に沿った試験片ホルダーの断面図である。
【
図8】
図6の線8-8に沿った試験片ホルダーの断面図である。
【
図10】
図4の試験片ホルダーのマウントを示す図である。
【
図11】
図4の試験片ホルダーのハンドルを示す図である。
【
図12】
図4の試験片ホルダーの一部の分解図である。
【
図13】試験片ホルダーの第2の実施形態の斜視図である。
【
図14】
図13の線14-14に沿った試験片ホルダーの断面図である。
【
図15】
図13の線15-15に沿った試験片ホルダーの断面図である。
【
図20】支持治具に取り付けられた試験片ホルダーの斜視図である。
【
図21】支持治具に取り付けられた試験片ホルダーの斜視図である。
【
図22】支持治具に取り付けられた試験片ホルダーの斜視図である。
【
図23】試験機内に設置された試験片ホルダー及び支持治具の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
試験片に力荷重を印加する材料試験システム1が
図1に示されている。システム1は、典型的には、上側の試験片ホルダーと、同一の下側の試験片ホルダーとを含み、両方のタイプが図示されるとともに以下で説明される。試験片ホルダーは、試験片を長手方向軸2に沿って保持する。図示の実施形態においては、下側の試験片ホルダーはアクチュエーター3に接続され、アクチュエーター3を介して力荷重が試験片に印加され、全体として4で示される反作用構造に対して反作用される。
【0029】
図示の例示的な実施形態においては、他の構成が知られており、以下で説明する本発明の態様と共に使用することができるが、材料試験システム1は、基部6を有するフレーム5を含む。一対の支持部材7が基部6から上方に延在し、安定した支持面を提供するクロスビーム8によって互いに接合される。一対の支柱8Aは、クロスビーム8から、支柱8A上を移動可能なクロスヘッド8Bまで上方に延在する。ロードセル9は、図示されているように、上側の試験片ホルダーをクロスヘッド8Bに接合することができる、又は下側の試験片ホルダーをアクチュエーター3のロッドに接合することができる。当該技術分野において知られているように、ロードセル9は、試験片に印加された伸張力又は圧縮力を示す信号を提供する。クロスヘッド8及び支柱8Aは、反作用構造を提供する。油圧リフト8Cは、クロスヘッド8を選択的な固定位置に移動させる。
【0030】
概して、他の態様の中でも、試験片ホルダー100、200(
図4~
図19)は、平坦な幾何学的形状及び丸みのある幾何学的形状の両方の小型及び超小型試験片のスルーゼロ(through zero)疲労荷重、伸張荷重、及び圧縮荷重が可能であるものとして説明される。試験片ホルダー100、200は、試験片挿入が試験機1から離れた作業台又はテーブル上で行われることを可能にする目的を有する、試験片挿入又は支持治具10(
図2、
図3、及び
図20~
図23)と連動して機能する。支持治具は、設置プロセスに固有の試験片上の曲げ歪みが制限されるとともに反復可能であるように、試験片ホルダー100、200を堅く正確に保持する。支持治具10は、誤った荷重を試験片に印加せずに、クランプ力を試験片ホルダー100、200に導入する方法を提供する。支持治具10は、使用者が設置精度を検証することを可能にし、試験機1が制御下にあって荷重及び変位を管理するような時間まで、誤った荷重が試験片に印加されることなく、治具/試験片ホルダーサブシステムを試験機1内に設置することを可能にする。
【0031】
本開示の一態様は、試験片15を損傷又は破壊させる可能性のある望ましくない荷重を伴わずに試験片ホルダー又はグリップ100、200内に正確に位置決めされるように試験片15を試験片ホルダー又はグリップ100、200に取り付けるとともに、試験機1において必要な試験を実施するように試験片15を試験片ホルダー100、200の軸と位置合わせするために使用される支持治具10(
図2、
図3及び
図20~
図23)である。支持治具10は、試験片15を試験片ホルダー100、200に正確かつ反復可能に装填することを可能にする。
【0032】
試験片15が試験片ホルダー100、200内に装填され、試験片ホルダー100、200が治具10に固定された状態で、
図22に示されているような、試験片ホルダー100、200、支持治具10及び試験片15を含む完全なアセンブリを試験機1に移送することができ(
図23)、上述の試験機1を使用して、試験片15に力及び/又は変位を印加することができる。そのような試験機は、伸張又は引張試験機(単調又は単一方向荷重を印加するために使用される)又は伸張/圧縮試験機(交互の伸張及び圧縮荷重が印加され得る疲労試験において使用され得る)として当該技術分野において知られている。所望の場合、回転アクチュエーター(図示せず)は、リニアアクチュエーター3を備えた、又は備えていない試験機1の一部とすることができる。試験片ホルダー100、200の間の全ての荷重は、試験片15を通してではなく、支持治具10を通して伝達されることから、支持治具10は、試験片ホルダー100、200と、ホルダー100、200の間に取り付けられた試験片15とが、試験片15の破損を引き起こすことなく試験機1に装填されることを可能にする。試験片ホルダー100、200が試験機1に固定されると、治具10を試験片ホルダー100、200から取り外して、試験を開始することができる。
【0033】
図2、3を参照すると、支持治具10は、基部13を有するフレーム12を含む。一対の離間した支持体14A、14Bが基部13に接合される。各支持体14A、14Bは、試験片ホルダーを位置合わせ軸16(
図20)上に解放可能に保持する。試験片支持体20は、一対の離間した支持体14A、14Bの間でフレーム12に接合される。試験片支持体20は、試験片15を位置合わせ軸16上に保持するように構成された端部22を有する。
【0034】
試験片支持体20は、基部13又はフレーム12に接合される第1の部分20と、端部22を有する第2の部分20Bとを含む。第2の部分20Bは、端部22の位置を位置合わせ軸16に対して直交方向に調整するように、第1の部分20Aに調整可能に固定される。好ましくは、第2の部分20Bは、第1の部分20Aに対して直線的に調整可能である。図示の実施形態においては、第2の部分20Bは、第1の部分20Aに対して伸縮する。端部22は、試験片15を位置合わせ軸16上に保持するためのサイズ及び形状の凹部を含むことができる。試験片15を端部22に保持することを補助することが所望であれば、クリップ、クランプ、テープ、ストラップ等の保持装置を端部22に設けることができる。締結具24は、試験片支持体20をフレーム12に固定し、止めねじ等の締結具26は、第2の部分20Bを第1の部分20Aに対して所望の位置に固定するために使用することができる。
【0035】
一対の支持体14A、14Bは、好ましくは、試験片支持体20に対する支持体14A、14Bの位置を調整するように、位置合わせ軸16に対して軸方向に又は平行にフレーム12上で調整可能である。好ましくは、支持体14A、14Bのそれぞれは、フレーム12上で調整可能に位置決め可能であり、それぞれ、線形軸受支持体26A、26B上に取り付けられる。好ましい実施形態においては、各線形軸受支持体26A、26Bは、バックラッシュ(図示の実施形態においては、垂直バックラッシュ)を伴わずに、直線レール28に取り付けられ、レール28に沿った直線移動のみが可能となる。
【0036】
図示の実施形態においては、フレーム12は、任意選択の位置合わせガイド30を含む。支持体14A、14Bのそれぞれは、レール28によって支持されるが、ガイド30は、位置合わせ軸16の向きを規定し、ここで、位置合わせ軸16は、事実上、ガイド30に対して平行のままである。好ましくは、支持体14A、14Bのそれぞれ及び試験片支持体20は、ガイド30を受けるようにボア34A、34B、34Cをそれぞれ含む。ガイド30は、スタンドオフ(standoff)36によって基部13に対して静止位置に保持され、このスタンドオフ36は、図示の実施形態においては、ガイド30の端部を受けるボア38も有し、止めねじ40等の締結具がガイド30をスタンドオフ36に固定する。
【0037】
支持体14A、14Bは、適切な位置合わせを維持するように、ガイド30によって案内されながらレール28に対して直線的に移動する。試験片ホルダー100、200がそれぞれの支持体14A、14Bに取り付けられ、試験片15がホルダー100、200のそれぞれに取り付けられると、支持体14A、14Bは、それぞれ対応する締結具33によってガイド30にしっかりと固定される。図示の実施形態においては、各締結具は、ガイド30上の各支持体14A、14Bの位置を固定する止めねじを含む。
図2において、止めねじ33は、支持体14Aをガイド30に固定し、一方、支持体14Bは、
図2の支持体14Bの裏側にある同様の止めねじを含む。同様に、止めねじ35等の締結具を使用して、試験片支持体20をガイド30に固定する。
【0038】
ガイド30の使用は必須ではないことに留意されたい。具体的には、ガイド30は、支持体14A、14B及び試験片支持体20の位置合わせが位置合わせ軸16に沿って互いに適切に位置合わせされるように、支持体14A、14B及び試験片支持体20をレール28に固定することができる場合には必要ではない。
【0039】
本明細書においては、本発明の他の態様を含む2つの異なる試験片ホルダー100、200が開示される。試験片ホルダー100は、一般に引張試験に用いられるが、より荷重が軽い疲労試験にも使用することができる。試験片200は、疲労試験に特によく適している。各試験片ホルダー100、200は、支持治具10と共に使用することができる。各試験片ホルダー100、200は、各対応する支持体14A、14Bに解放可能に固定される。概して、以下で説明する試験片ホルダー100、200のそれぞれは、基部又はマウント102、202と、マウント102、202に固定されるヘッド本体104、204とを備える(
図4、14)。マウント102、202は、典型的には、グリップ等、試験機1に設けられた対応する凹部に挿入され、その中に固定され得る円筒形部材を備える。ヘッド本体104、204は、試験中に試験片15の端部を保持するために使用されるウェッジを含む。
【0040】
図示の実施形態においては、支持体14A、14Bは、試験片ホルダー100、200のそれぞれのマウント102、202に解放可能に固定されるが、所望の場合、支持体14A、14Bは、試験片及びホルダー100、200のヘッド本体104、204のそれぞれに解放可能に固定するように構成することができることに留意されたい。
【0041】
各支持体14A、14Bは、試験片ホルダー100、200の一部を受けるように構成される、取付け開口を含む。図示の実施形態においては、取付け開口は、各支持体14A、14Bの端部38A、38Bにそれぞれ取外し可能に固定される部分40A、40Bから形成される。取外し可能部分40A、40B及び端部38A、38Bの表面は、共に試験片ホルダー100、200の表面と係合する。締結具42は、各取外し可能部分40A、40Bを対応する端部38A、38Bに固定する。
【0042】
試験片ホルダー100、200が取り付けられる略平坦な端部を有する試験片の場合、試験片ホルダー100、200は、試験片15の端部と一致して適切に係合するように、位置合わせ軸16周りに適切に方向付けされる必要がある。
【0043】
典型的に、試験片は、互いに同一平面上にある端部を有することから、試験片ホルダー100、200のそれぞれは、試験片ホルダー100、200のそれぞれをそれらの適切な位置に方向付けするように、互いに対して同じ位置に方向付けされるべきである。支持体14A、14B及びホルダー100、200は、支持体14A、14Bと試験片ホルダー100、200との間の凸部-開口接続部を含み、試験片ホルダー100、200を位置合わせ軸16周りのそれらの適切な回転位置に位置合わせするとともに保持する。図示の実施形態においては、凸部はピン50(
図3)を含む。ピン50は、支持体14A、14B内、例えば取外し可能部分40A、40B内に、及び/又は図示のように各支持体14A、14Bの端部38A、38B内にしっかりと固定することができる。支持体14A、14Bが凸部又はピン50を有する状態で、試験片ホルダー100、200は、ピン50を受けるサイズの対応する開口101、201を含む。代替的な実施形態においては、ピン等の凸部を試験片ホルダー100、200上に配設することができ、その場合、開口は支持体14A、14B上に設けられる。
【0044】
図4~
図12は、試験片ホルダー100を示している。概して、試験片ホルダー100は、マウント又は基部102と、マウント102の端部に固定されるヘッド本体104とを含む。ヘッド本体104とは反対側の端部において、マウント102は、試験機1に設けられた対応する凹部に挿入され、試験機1は、別のより大きな試験片ホルダーを備え得る。止めカラー(stop-collar)106は、マウント102が試験機1内に挿入される距離を制限する。
【0045】
上述したように、試験片ホルダー100は、回転位置が正確かつ反復可能に固定される支持治具10内に配置されることが好ましい。上述した凸部-開口を使用することができる。図示の実施形態においては、ピン50を含む本明細書における凸部は、支持体14A、14Bのそれぞれに固定され、開口101は、マウント102内に存在する。
【0046】
概して、試験片ホルダー100は、支持プレート118によって支持されてその上を摺動する可動ウェッジ120を含む。ウェッジ120のそれぞれは、他方のウェッジに対向して試験片15に係合する試験片係合面を有する。図示の実施形態においては、ウェッジ120は、平坦な試験片と共に使用するために平面であるが、これは、ウェッジ120が円筒形の端部を有する試験片等の他の形状を有する試験片を保持するように構成され得るという点で、限定と考えられるべきではなく、例えば、ウェッジ120はノッチを含む。ウェッジ120は共に、試験片15に両側から係合する。各ウェッジ120は、傾斜背面122を含む。ヘッド本体104の傾斜面124は、各ウェッジ120の傾斜背面122と係合し、ヘッド本体104とウェッジ120との間の相対的な変位によって、ウェッジ120を互いに向けて駆動又は付勢する。ヘッド本体にそのようなウェッジを使用することは既知であることから、更に説明はしない。しかし、例示的な実施形態において2つのウェッジ120が示されているが、単一のウェッジ又は3つ以上のウェッジを使用することができ、各ウェッジは共通してヘッド本体104上の傾斜面122と係合することに留意すべきである。
【0047】
ばね130は、ウェッジ120に取り付けられ、ウェッジ120を互いから離れるように駆動又は付勢するばね付勢を有し、空間を作り出し、ウェッジ120の間に試験片15の端部を容易に挿入することを可能にする。図示の実施形態においては、ばね130のそれぞれは、ウェッジ120内に設けられた凹部又は開口132(
図12)に挿入可能な一方の端部を有するねじりばねを含み、他方の端部はヘッド本体104によってしっかりと保持され、本明細書においては、反対側の端部が凹部又は開口134(
図8)に受けられる。
【0048】
ウェッジ120のための支持プレート118は、ヘッド本体104から離れるように下方に延在する支持ロッド又はシャフト140に取り付けられる。支持プレート118は、概して互いに対向するが支持プレート118上のウェッジ120が互いに向けて及び互いから離れるように移動することを可能にするように、ウェッジ120の向きを維持する直立した側部又は縁部を含む。試験片ホルダー100は、付勢ばね142を含む。付勢ばね142は、全体的に支持シャフト140をヘッド本体104に向けて上方に付勢することにより、ウェッジ120を互いに向けて付勢し、ウェッジ120の間に位置する試験片の端部に係合させる。付勢ばね142は、本明細書においては、マウント102内に設けられたボア144内に受けられるコイルばねである。支持シャフト140は、付勢ばね142内に設けられたコイルに挿入することを可能にする幅を有する延在部146を有する。支持シャフト140内には、付勢ばね142の最上のコイルと係合するフランジ148が設けられる。
【0049】
支持シャフト140に固定されたハンドル150は、支持シャフト140をヘッド本体104から付勢ばね142に抗して引き離すことができるようにすることで、ウェッジ120を互いから離れるように付勢するばね130に提供されるばね力に起因して、ウェッジ120を開くことができるようにする。図示の実施形態においては、ハンドル150は、マウント102内に設けられたスロット154を通って反対方向に延在する部分152を有する。ハンドル部分152は、支持シャフト140に固定され、支持シャフト140は、その中にハンドルシャフト158を受けるサイズのボア156を含む。概して、前述の設計は、ハンドル150をヘッド本体104から離れるように下方に引っ張ることができるようにし、これにより、ねじりばね130は、試験片端部をウェッジ120の間に挿入することができるように、ウェッジ120を互いから離れるように付勢する。ハンドル150が解放されると、クランプ力が発生し、試験片15の端部に印加される。
【0050】
図示の実施形態においては、予荷重クランプ力調整部160(
図6、
図7)が、試験片15の端部に予荷重クランプ力を印加するように、ウェッジ120を互いに向けて更に付勢する力を印加するために設けられる。調整部160は、支持シャフト140をヘッド本体104に向けて付勢することでウェッジ120を互いに向けて付勢するアクチュエーター162を有する。調整部160は、シャフト140の端部に当接し、マウント102内のねじ切りボアにねじ接続される、駆動ねじを備える。
【0051】
試験片15は、2つのステップで試験片ホルダー100に固定される。まず、ハンドル150を付勢ばね142に抗して引き下げ、これにより、ウェッジ120を分離させ、試験片15をウェッジ120の間に配置することができる。ハンドルが解放されると、ウェッジ120は、試験片15に接触し、付勢ばね142によって提供される力によって試験片15を保持する。次に、アクチュエーター160を、本明細書においては駆動ねじによるものである回転によって作動させ、シャフト146をヘッド104に向けて更に付勢し、これにより、ウェッジ120を互いに向けてかつ試験片15に対して駆動する。
【0052】
第2の試験片ホルダー200は、
図13~
図19に示されている。試験片ホルダー200は、マウント202と、ヘッド本体204と、ウェッジ220とを含む。ウェッジ220及びヘッド本体204は、ウェッジ120及びヘッド本体104と同様に動作し、ウェッジ220の傾斜背面がヘッド本体204の傾斜面上を摺動し、ウェッジ220を互いに向けて横方向に移動させる。
【0053】
マウント202は、締結具203を用いて第1の端部240A上で支持シャフト240に接続され、第2の端部240Bは、第1のウェッジ及び第2のウェッジ220を支持する。支持シャフトによって支持されるドライブ210は、第1の端部240Aと第2の端部240Bとの間に配置される。ばね212は、第1の端部でヘッド本体204に例えばねじ接続され、第2の端部で円筒形の第1の部分214に例えばねじ接続されてドライブ210に接続される。
【0054】
ドライブ210は、ヘッド204をシャフト240に対して軸方向下方に変位させるように、ばね212を引っ張るように構成される。ヘッド204が下方へ移動することにより、ウェッジ220が互いに向けて付勢される。試験片15は、ここでも2つのステップで試験片ホルダー200に固定される。まず、ヘッド204がシャフト240の端部から離れるように上方に変位することができるように、ばね212と第1の部分214との間のねじ接続が最小である状態で、ウェッジ220は、試験片をウェッジ220の間に挿入することができるように互いから十分に離れている。ばね223は、ウェッジ220をヘッド204の傾斜面に対して付勢して、ウェッジ220が試験片15の挿入を可能にする空間を形成するようにする。この実施形態においては、ばね223のそれぞれは、細長く、第1の端部が支持シャフト240に、及び第2の端部がウェッジ220にしっかりと接合される。
【0055】
次いで、第1の部分214は、第1の部分214とばね212との間のねじ接続を強めるように、シャフト240周りを回転させられる。これにより、ばね212及びヘッドが下方に引っ張られ、その結果、ウェッジ220は、互いに向けて、試験片15に対して付勢され、ここで、ばね212がばね力を提供する。
【0056】
ウェッジ220のクランプ力を更に強めるために、ドライブ210は、第1の部分214を軸方向下方に更に変位させるアクチュエーター又は変位機構を含む。アクチュエーター機構は、第1の部分214及び第2の部分216と接触し、それらに対して移動可能な被駆動部228を含む。図示の実施形態においては、被駆動部228は、支持シャフト240の長手方向軸に向けて及び長手方向軸から離れるように、本明細書においては横方向に移動可能である。第1の部分214によって支持されたアクチュエーター230は、被駆動部228と係合接触する。アクチュエーター230は、長手方向軸に向けて及び長手方向軸から離れるように移動し、好ましくは、長手方向軸に対して横方向に配置される。図示の実施形態においては、アクチュエーター230は、第1の部分214に螺合する駆動ねじを備えることができる。被駆動部228及び第2の部分216の係合面は、被駆動部228及び/又は第2の部分216のうちの少なくとも一方の上に傾斜面を含み、好ましい実施形態においては、被駆動部228及び第2の部分216のそれぞれは、互いに係合する傾斜面を含む。壁234は、支持シャフト240の周りにチャンバー236を形成することができ、被駆動部228及び第2の部分216は、チャンバー236内に配設される。端部キャップ238は、被駆動部228及び第2の部分216をチャンバー236内に捕捉し、被駆動部228を第2の部分216と接触した状態に維持するように、壁234の端部に接合される。第2の部分216は、支持シャフト240にしっかりと固定することができ、1つの実施形態においては、支持シャフト240と一体に形成され、単一の一体構造体から形成される。代替的な実施形態においては、図示のように、第2の部分216は、支持シャフト240から分離可能であり、支持シャフト240の部分240Aが貫通する開口216Aを有するディスク形状の要素を含むことができる。そのような構成においては、第2の部分216は、反作用構造を提供するように、支持シャフト240上に設けられた環状フランジ240Bに係合する。
【0057】
第2の部分216がディスク要素を備える場合、被駆動部228は、支持シャフト240の部分240Aが貫通する開口228Aを有するディスクとして形成することもできる。しかしながら、開口228Aは、支持シャフト240の長手方向軸を横断する長手方向軸を有するスロットを備える。スロット付き開口228Aは、被駆動要素228が支持シャフト240の長手方向軸に対して横方向に移動することを可能にする。図示の実施形態においては、アクチュエーター230は、2つの別個のアクチュエーター230A、230Bを含み、第1のアクチュエーター230Aは、矢印250Aによって示される方向に被駆動部を駆動し、第2のアクチュエーター230Bは、矢印250Bによって反対方向に駆動要素228を駆動するために使用される。アクチュエーター230A、230Bの一方又は両方は、第1の部分214に螺合するねじ要素を備えることができる。
【0058】
試験片15に対するウェッジ220のクランプ力を強めるために、アクチュエーター230は、被駆動要素228を変位させるように動作させられる。図示の実施形態においては、第2の部分216及び被駆動要素228の傾斜面により、アクチュエーター230Bが矢印250Bの方向に移動すると、円筒形の第1の部分214がシャフト240に対して下方に更に変位し、これにより、ばね212の伸張が強まり、ヘッド204が下方に引っ張られる。試験片が除去されるとき、アクチュエーター230Bは、矢印250Aの方向に移動させられ、次いで、アクチュエーター230Aもまた、被駆動要素228を矢印250Aの方向に駆動するように動作させられ、円筒形部分214が軸方向上方に移動することを可能にする。次いで、円筒形部分214を回転させて、ばねと円筒形部分214とのねじ接続を十分に最小化することができ、その結果、ウェッジ220が分離し、試験片15の除去が可能になる。
【0059】
図17を参照すると、ばね212は、支持シャフト240の周りに配設された複数の長手方向ばね要素を備えることができる。図示の実施形態においては、ばね212は、長手方向スロット212Aを有する円筒形本体を備え、ばね要素は、連続する長手方向スロット212Aの間に位置する円筒形本体の部分212Bである。1つの実施形態においては、ばね212は、第1の端部212Cにおいてヘッド本体204に螺合され、第2の端部212Dにおいてドライブ210に螺合される。
【0060】
上述した試験片ホルダー100と同様に、開口201は、支持治具10のピン50を受けるように設けられる。ピン50は、円筒形本体内に設けられたスロット212Aのうちの1つを通して配設される等、2つの連続する長手方向ばね要素の間に配設することができる。
【0061】
支持治具10とともに、ホルダー100、200等であるがこれらに限定されない試験片ホルダーを使用する方法は、好ましくは、試験機1から離れた作業面上に支持治具10を位置決めすることと、好ましくは試験片ホルダーと支持体14A、14Bとの間の凸部-開口接続を使用して、選択された試験片ホルダーを支持体14A、14Bに固定することと、試験片15の端部をウェッジの間に配置するように、本明細書においては例示的なホルダー100、200を用いて、試験片ホルダー100、200のそれぞれの対応するウェッジを開放することによって、試験片15を試験片ホルダー内に配置することとを含む。試験片15が試験片ホルダーのそれぞれに取り付けられ、支持体14A、14Bが治具10に固定されて、試験片ホルダー100、200間の全ての又は実質的に全ての力の荷重が治具10を介して伝達され、それによって試験片15がそのような力を受けることから保護された後、試験片ホルダー100、200を試験機1に取り付けることができ、固定されると、支持治具10を取り外すことができる。
【0062】
1つの実施形態において、本方法は、試験片端部の装填中に支持体14A、14Bが支持治具10のフレーム12上で自由に移動することを可能にすることと、次いで、支持体14A、14Bを支持治具10のフレームに対して、又は任意選択のガイド30に対して固定位置に固定することとを更に含む。
【0063】
図20及び試験片ホルダー100を参照すると、試験片15を設置することは、
図21に示すように、ハンドル150を用いてウェッジ120を開放し、試験片15上のウェッジ120を解放しながら、試験片15をホルダー100のうちの1つに配置することと同じくらい簡単である。試験片ホルダー100は、試験片15の他方の端部に向けて移動され、
図22に示されているセットアップを達成するために同じ方法で試験片15に固定される。次いで、各ホルダー100の各アクチュエーター160を作動させ、試験片15に印加されるクランプ力を強めるとともにウェッジ120からマウント102までの定まった荷重経路を提供する。ここで、試験片15がホルダー100に設置される。支持体14A及び14Bの止めねじは、支持体14A及び14Bをレール28及び/又はガイド30(設けられている場合)に固定するように操作することができる。試験片ホルダー内の試験片の位置合わせは、様々な手段、すなわち、機械的測定、光/影による光学的測定、レーザー、及びカメラによって検証することができる。光弾性ペイントのような他の検証手段を使用することもできる。
【0064】
図23を参照すると、試験片ホルダー(例えば、100)及び試験片15を伴う治具10は、試験機1に移送される。
図23においては、任意選択の中間ホルダー280、282が使用される。図示の実施形態においては、上側の試験片ホルダーはロードセル9に取り付けられ、ロードセル9は中間ホルダー280に取り付けられ、中間ホルダー280は、クロスヘッド8内に存在する場合にはアクチュエーターに取り付けられる、又はクロスヘッド8に直接取り付けられる。同様に、下側の試験片試験ホルダーは、アクチュエーター3に取り付けられた下側の中間ホルダー282に、又は設けられている場合にはロードセルを介して試験機基部に取り付けられる。
【0065】
図23の例示的な試験機1においては、試験片ホルダー100の1つのマウントが、例えば、クレビスピンを介したロードセル9への直接接続により、試験機1に設置される。一方の端部を設置した後、試験機1は、他方の試験片ホルダー100の端部を把持するように、例えばグリップ282を有する他方の端部を位置決めするように操作することができる。取付け後、好ましくは、試験機1は、力制御状態に置かれ、試験片ホルダー100間に印加される力がゼロになるように操作される。印加される力がゼロの状態で、治具10を取り外すことができ、この時点で試験機1は試験片に対して試験を行う準備ができる。試験片ホルダー内の試験片位置合わせの再検証は、様々な手段、すなわち、機械的測定、光/影による光学的測定、レーザー、及びカメラによって再び検証することができる。光弾性ペイントのような他の検証手段を使用することもできる。
【0066】
具体的な環境、構造的特徴及び/又は方法論的行為に関する言葉で主題を説明してきたが、添付の請求項に定義される主題は、法廷によって判断されているように、上述の環境、具体的な特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述の環境、具体的な特徴及び行為は請求項を実装する例示的な形態として開示される。
【符号の説明】
【0067】
1 材料試験システム
2 長手方向軸
3 リニアアクチュエーター
5 フレーム
6 基部
7 支持部材
8 クロスヘッド
8A 支柱
8B クロスヘッド
8C 油圧リフト
9 ロードセル
10 支持治具
12 フレーム
13 基部
14A 支持体
14B 支持体
15 試験片
16 位置合わせ軸
20 試験片支持体
20A 第1の部分
20B 第2の部分
22 端部
24 締結具
26 締結具
26A 線形軸受支持体
26B 線形軸受支持体
28 レール
30 ガイド
33 締結具
34A ボア
34B ボア
34C ボア
36 スタンドオフ
38 ボア
38A 端部
38B 端部
40A 取外し可能部分
40B 取外し可能部分
42 締結具
50 ピン
100 試験片ホルダー
101 開口
102 マウント
104 ヘッド本体
106 停止カラー
118 支持プレート
120 可動ウェッジ
122 傾斜背面
124 傾斜面
132 開口
134 開口
140 支持シャフト
144 ボア
146 シャフト
148 フランジ
150 ハンドル
152 ハンドル部分
154 スロット
156 ボア
158 ハンドルシャフト
160 予荷重クランプ力調整部
162 アクチュエーター
200 第2の試験片ホルダー
201 開口
202 マウント
203 締結具
204 ヘッド本体
210 ドライブ
212A 長手方向スロット
212B 部分
212C 第1の端部
212D 第2の端部
214 第1の部分
216 第2の部分
216A 開口
220 第2のウェッジ
228 被駆動部
228A 開口
230 アクチュエーター
230A 第1のアクチュエーター
230B 第2のアクチュエーター
234 壁
236 チャンバー
238 端部キャップ
240 支持シャフト
240A 第1の端部
240B 第2の端部
280 中間ホルダー
282 中間ホルダー
282 グリップ
【国際調査報告】