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特表2023-546959バイオ再生可能供給物からジェット燃料を生成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】バイオ再生可能供給物からジェット燃料を生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20231031BHJP
   C10G 65/12 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10G65/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524990
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021071969
(87)【国際公開番号】W WO2022087618
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】202011046430
(32)【優先日】2020-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】17/497,284
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ボッツァーノ、アンドレア ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】マニ、クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】フレイ、スタンレー ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129BA03
4H129BA11
4H129BB05
4H129BC15
4H129BC16
4H129NA23
4H129NA46
(57)【要約】

本プロセスは、5個のヘテロ原子を除去するための水素化処理及び低温流動性を改善するための水素異性化によって、バイオ再生可能供給原料からディーゼル流を生成する。重質ディーゼルは、ジェット燃料範囲の物質に水素化分解されるか、又は更に水素異性化されて、その価値が高められ得る(凝固点が下げられ得る)一方、軽質ディーゼルは、モーター燃料として使用され得る。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ再生可能供給原料を水素化加工するためのプロセスであって、
バイオ再生可能供給物流を、水素の存在下で、水素化処理触媒上で水素化処理して、前記バイオ再生可能供給物流を水素化脱酸素化して水素化処理流を提供することと、
前記水素化処理流から取り出された水素異性化供給物流を、水素の存在下で、水素異性化触媒上で水素異性化して、水素異性化流を提供することと、
前記水素化処理流及び/又は前記水素異性化流を、水素化加工蒸気流と水素化加工液体流とに分離することと、
前記水素化加工液体流又は前記水素異性化流を、任意選択でストリッピング後に、蒸留して、ジェット燃料流及びディーゼル流を生成することと、
前記ディーゼル流を水素化分解して、ジェット燃料を含む水素化分解流を提供することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記水素異性化流及び前記水素化分解流を蒸留することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記水素異性化流を蒸留することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水素化分解流を水素異性化することを更に含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記水素化分解流を水素異性化することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記水素化分解流を蒸留することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
水素化処理された水蒸気を、水素の存在下で、前記水素異性化触媒上で水素異性化して、前記水素異性化流を提供することを更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記分離工程において前記水素異性化流を分離することを更に含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記水素化分解流を前記水素化加工液体流とともに蒸留することを更に含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ディーゼル流中の所与の炭素数のノルマルパラフィンの濃度を、前記水素異性化流に対して、少なくとも2倍に富化することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、2020年10月24日に出願されたインド仮特許出願第2020/11046430号の利益を主張するものであり、当該仮特許出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下の明細書は、本発明、及び本発明が実施される様式を具体的に説明する。
【0003】
(発明の分野)
この分野は、植物及び動物の脂肪及び油などの材料中に見られるトリグリセリド及び遊離脂肪酸などのバイオ再生可能供給原料から、航空燃料として有用な炭化水素を生成している。
【背景技術】
【0004】
燃料の需要が世界的に増加するにつれて、原油以外の供給源から燃料を生成し、成分をブレンドすることに対する関心が高まっている。バイオ再生可能な供給源と呼ばれることが多いこれらの供給源としては、以下に限定されないが、トウモロコシ、ナタネ、キャノーラ、ダイズなどの植物油、藻類油などの微生物油、食用でない獣脂などの動物性脂肪、魚油と、廃食油(yellow grease)及び油混入廃棄物(brown grease)並びに下水汚泥などの様々な廃棄物流と、が挙げられる。これらの供給源に共通する特徴は、それらが、グリセリド及び遊離脂肪酸(free fatty acid、FFA)から構成されることである。トリグリセリド及びFFAはどちらも、8~24個の炭素原子を有する脂肪族炭素鎖を含有する。トリグリセリド又はFFA中の脂肪族炭素鎖は、完全飽和か、又は一価、二価、若しくは多価不飽和であり得る。
【0005】
水素化加工は、水素化加工触媒及び水素の存在下で、炭化水素をより価値のある生成物に変換するプロセスを含み得る。水素化処理は、炭化水素供給原料から硫黄、窒素、酸素、及び金属などのヘテロ原子を除去するために活性である水素化処理触媒の存在下で、水素を炭化水素と接触させるプロセスである。水素化処理において、オレフィンなどの二重結合及び三重結合を有する炭化水素が、飽和され得る。
【0006】
ディーゼル沸点範囲の炭化水素生成物の生成は、バイオ再生可能供給原料を水素化処理することによって達成され得る。バイオ再生可能供給原料を、水素化処理によって水素化加工して、酸素化炭化水素を、脱炭酸化及び脱カルボニル化を含む脱酸素化することができる。水素化処理の後に水素異性化を行って、生成物のディーゼル及びジェット燃料の低温流動性を改善することができる。水素異性化又は水素化脱ろう化は、水素及び水素異性化触媒の存在下で、炭化水素骨格上のアルキル分岐を増加させて、炭化水素の低温流動性を改善する水素化加工プロセスである。水素異性化は、本明細書では水素化脱ろう化を含む。
【0007】
水素化分解は、炭化水素が、水素及び水素化分解触媒の存在下で、より低分子量の炭化水素に分解する水素化加工プロセスである。所望の生産高に応じて、水素化分解ユニットは、同じ又は異なる触媒の1つ又は2つ以上の床を含み得る。
【0008】
精油業者は、バイオ再生可能供給原料を処理する能力を追加しようとするので、ジェット燃料を、その高い価値及び需要のために、より多くの量生成するプロセスが、求められている。バイオ再生可能供給原料からディーゼルを生成し、ジェット燃料の収率を増加させるプロセスが、望まれている。
【発明の概要】
【0009】
本プロセスは、バイオ再生可能供給原料を水素化処理してヘテロ原子を除去し、かつ水素異性化して低温流動性を改善することによって、バイオ再生可能供給原料からディーゼル流を生成する。重質ディーゼルは、ジェット燃料範囲の物質に水素化分解されて、その価値を高め得る一方、軽質ディーゼルは、モーター燃料として使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の簡略化されたプロセスフロー図である。
図2図1の代替の実施形態の簡略化されたプロセスフロー図である。
図3図1又は図2の更に代替の実施形態の簡略化されたプロセスフロー図である。
図4図2の更に代替の実施形態の簡略化されたプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
「連通」という用語は、列挙された構成要素間で材料の流れが動作可能に許容されることを意味する。
【0012】
「下流連通」という用語は、下流連通において対象に流れる材料の少なくとも一部が、連通する物体から動作可能に流れることができることを意味する。
【0013】
「上流連通」という用語は、上流連通において対象から流れる材料の少なくとも一部が、連通する物体に動作可能に流れることができることを意味する。
【0014】
「直接連通」という用語は、上流構成要素からの流れが、分画又は変換ユニットを通過して物理的分画又は化学変換による組成変化を受けることなく、下流構成要素に入ることを意味する。
【0015】
「間接連通」という用語は、上流構成要素からの流れが、分画又は変換ユニットを通過して、物理的分画又は化学変換による組成変化を受けた後に、下流構成要素に入ることを意味する。
【0016】
「バイパス」という用語は、物体が、少なくともバイパスする程度までバイパス対象との下流連通から外れていることを意味する。
【0017】
「カラム」という用語は、異なる揮発性の1つ又は2つ以上の成分を分離するための1つ又は複数の蒸留カラムを意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻るオーバーヘッド流の一部を凝縮かつ還流させるためにカラムのオーバーヘッドに凝縮器と、底部流の一部を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部にリボイラーと、を含む。カラムへの供給物は、予熱され得る。頂部圧力は、カラムの蒸気出口における塔頂蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。塔頂ライン及び塔底ラインは、任意の還流又は再沸騰の下流のカラムからカラムまでの正味のラインを指す。ストリッパカラムは、カラムの底部におけるリボイラーを省略し、代わりに、加熱要件、及び水蒸気などの流動化不活性媒体からの分離の推進力を提供し得る。ストリッピングカラムは、典型的には、頂部トレイに原料を供給し、底部から主生成物を取り出す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「成分リッチ流」という用語は、容器から出てくるリッチ流が、容器への供給物よりも高い濃度の成分を有することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「成分希薄流」という用語は、容器から出てくる希薄流が、容器への供給物よりも低い濃度の成分を有することを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「沸点温度」という用語は、ASTM D86又はASTM D2887に提供される式を使用して計算される、観察された沸点及び蒸留圧力から計算される大気圧相当沸点(atmospheric equivalent boiling point、AEBP)を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「真沸点」(True Boiling Point、TBP)という用語は、物質の沸点を決定するための試験方法を意味し、この試験方法は、分析データを得ることができる、標準化された品質の液化ガス、蒸留留分、及び残油を生成するための、並びに温度対蒸留された質量%のグラフが、5:1の還流比を有するカラム内の15の理論段数を使用して生成される、質量及び体積の両方による上記留分の収率を決定するためのASTM D-2892に対応する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「T5」又は「T95」という用語は、ASTM D-86又はTBPを使用して、試料のそれぞれ5質量パーセント又は95質量パーセントが、場合に応じて、沸騰する温度を意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「初留点」(initial boiling point、IBP)という用語は、場合に応じて、ASTM D2887、ASTM D-86、又はTBPを使用して、試料が沸騰し始める温度を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「終点」(end point、EP)という用語は、場合に応じて、ASTM D2887、ASTM D-86、又はTBPを使用して、試料が全て蒸発した温度を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ディーゼル沸点範囲」という用語は、炭化水素が、TBP蒸留法を使用して、125℃(257°F)~175℃(347°F)のIBP又は150℃(302°F)~200℃(392°F)のT5、及び343℃(650°F)~399℃(750°F)のT95を含む「ディーゼルカットポイント」の範囲内で沸騰することを意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ディーゼル変換」という用語は、ディーゼルカットポイントより上で沸騰する供給物を、ディーゼル沸点範囲内のディーゼルカットポイント以下で沸騰する物質へ変換することを意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「分離器」という用語は、入口と、少なくとも塔頂蒸気出口及び塔底液体出口とを有し、ブートからの水性流出口も有し得る容器を意味する。フラッシュドラムは、より高い圧力で動作され得る分離器と下流連通し得る分離器のタイプである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「優勢な」又は「優勢である」という用語は、50%超、好適には75%超、好ましくは90%超を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「C」という用語は、下付き文字「x」によって表される炭素原子数を有する分子を指すと理解されるべきである。同様に、「C-」という用語は、x個以下(less than or equal to x)、好ましくはx個以下(x and less)の炭素原子を含有する分子を指す。「C+」という用語は、x個以上(more than or equal to x)、好ましくはx個以上(x and more)の炭素原子を有する分子を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「炭素数」という用語は、炭化水素分子、典型的にはパラフィン分子当たりの炭素原子の数を指す。
【0031】
(詳細な説明)
環境及び持続可能な経済がますます重要視されるにつれて、精油業者にとって、再生可能燃料基準プログラムにより付与される再生可能識別番号(Renewable Identification Number、RIN)からの自社の収益性を最大化するために、自社の製品ラインの一部としてグリーン燃料を生産することがますます魅力的になってきている。RINは、収益性を高めるために、プログラム内で取引され得る、コンプライアンスのために使用されるクレジットである。本開示は、精油業者が、バイオ再生可能な供給源から生成されるジェット燃料収率を最大化することを可能にし、市場需要に応じて、ディーゼル燃料生成物に対するジェット燃料生成物の収率を最適化する柔軟性を提供する。
【0032】
図1には、例示的な実施形態による、バイオ再生可能供給原料を処理するためのプロセス10が示されている。供給ライン12は、新鮮なバイオ再生可能供給原料の供給流を供給サージドラム14に輸送する。バイオ再生可能供給原料は、鉱物供給物流とブレンドされ得るが、好ましくは、バイオ再生可能供給原料が優勢である。鉱物供給原料は、地盤から抽出された原油に由来する従来の供給物である。バイオ再生可能供給原料は、50wppm~800wppmの窒素濃度を含み得る。バイオ再生可能供給原料は、最大10重量%以上であり得る高い酸素含有量を含み得る。バイオ再生可能供給原料はまた、1~500wppmの硫黄、典型的には200wppm以下の硫黄を含み得る。
【0033】
様々な異なるバイオ再生可能供給原料が、プロセス10に好適であり得る。「バイオ再生可能供給原料」という用語は、原油から得られるもの以外の供給原料を含むことを意味する。バイオ再生可能供給原料は、グリセリド及び遊離脂肪酸のうちの少なくとも1つを含むこれらの供給原料のいずれかを含み得る。グリセリドのほとんどは、トリグリセリドであろうが、モノグリセリド及びジグリセリドも同様に存在し、処理されてもよい。遊離脂肪酸は、供給原料中のリンを供給し得るリン脂質から得ることができる。これらのバイオ再生可能供給原料の例としては、以下に限定されないが、カメリナ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、ダイズ油(soy oil)、ナタネ油、ダイズ油(soybean oil)、セイヨウアブラナ油、トール油、ヒマワリ油、麻実油、オリーブ油、アマニ油、ヤシ油、ヒマシ油、ピーナッツ油、パーム油、からし油、獣脂、廃食油及び油混入廃棄物、ラード、鯨油、乳中の脂肪、魚油、藻類油、下水汚泥などが挙げられる。バイオ再生可能供給原料の更なる例としては、Jatropha curcas(ラタンジョ、ワイルドキャスター、ジャングリエランディ)、Madhuca indica(モウワ)、Pongamia pinnata(カランジ、ホンジー)、calophyllum inophyllum、moringa oleifera、及びAzadirachta indica(ニーム)を含む群からの非食用植物油が挙げられる。典型的な植物性又は動物性脂肪のトリグリセリド及びFFAは、それらの構造中に、8~30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を含有する。理解されるように、バイオ再生可能供給原料は、前述の例のうちの1つ以上又は2つの混合物を含み得る。バイオ再生可能供給原料は、汚染物質を除去するために前処理されても、固形物を除去するために濾過されてもよい。
【0034】
供給ライン12内のバイオ再生可能供給物流は、チャージポンプを介して供給サージドラム14から流れ、再循環ライン16中の高温再循環流及び水素化処理水素ライン20中の再循環水素化処理水素流と混合して、組み合わされたバイオ再生可能供給物流を提供する。再循環対供給比率は2:1~5:1であり得る。組み合わされたバイオ再生可能供給物流12は、水素化処理ライン42中の水素化処理流との熱交換によって、組み合わされた供給物交換器(combined feed exchanger)22内で加熱され得る。次いで、組み合わされた供給ライン24中の加熱され、組み合わされたバイオ再生可能供給物流が、水素化処理反応器セクション25に装入され得る。
【0035】
水素化処理反応器セクション25は、保護床反応器26を含み得る。保護床温度は、246℃(475°F)~343℃(650°F)、好適には288℃(550°F)~304℃(580°F)の範囲であり得る。反応温度は、FFA中のオレフィンが重合するのを防止するのに十分低いが、オレフィンの飽和、水素化脱金属化、水素化脱酸素化(水素化脱カルボニル化及び水素化脱炭酸化を含む)、水素化脱硫化、及び水素化脱窒化反応が起こるのを促進するのに十分高いように操作される。
【0036】
保護床は、担体上に卑金属を含み得る。このプロセスにおいて使用可能な卑金属としては、非貴金属、ニッケル、クロム、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。使用され得る他の卑金属としては、スズ、インジウム、ゲルマニウム、鉛、コバルト、ガリウム、及び亜鉛が挙げられる。本方法はまた、金属硫化物を使用することができ、金属硫化物中の金属は、列挙された卑金属のうちの1つ又は2つ以上から選択される。バイオ再生可能供給原料は、1379kPa(abs)(200psia)~6895kPa(abs)(1000psia)の圧力で、卑金属触媒を通して装入され得る。更なる実施形態では、保護床触媒は、第2の金属を含み得、第2の金属は、スズ、インジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、ゲルマニウム、鉛、コバルト、ガリウム、亜鉛、及びタリウムの金属うちの1つ又は2つ以上を含む。アルミナ担持ニッケルモリブデン触媒は、保護床反応器26における好適な触媒であり得る。2つ、3つ、又はそれ以上など、複数の保護床が、保護床反応器26に収容され得、水素クエンチライン18からの水素クエンチを床間位置に注入して、温度発熱(temperature exotherm)を制御することができる。
【0037】
接触したバイオ再生可能供給物流は、保護床反応器26から接触供給ライン32に排出される。保護床反応器26内では、水素化脱金属化、及び水素化脱カルボニル化並びに水素化脱炭酸化を含む水素化脱酸素化反応の大部分が、いくらかの水素化脱窒素化及び水素化脱硫化の発生を伴って、起こるであろう。除去される金属は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属並びにリンを含むであろう。
【0038】
接触したバイオ再生可能供給物流は、保護床排出熱交換器34内で、水素化処理ライン42中の水素化処理流との熱交換によって加熱されて、接触したバイオ再生可能供給物流の温度を上昇させ得る。更に、接触したバイオ再生可能供給物流は、燃焼ヒーターであり得る装入ヒーター36内で更に加熱されて、接触したバイオ再生可能供給物流の温度を上昇させ得る。水素化処理反応器セクション25はまた、水素化処理反応器44を含み得る。加熱され、接触したバイオ再生可能供給物流は、水素化処理反応器セクション25の水素化処理反応器44に装入される。
【0039】
水素化処理反応器44内では、加熱され、接触したバイオ再生可能供給物流は、水素化処理条件において水素の存在下で水素化処理触媒と接触させられて、バイオ再生可能供給原料中のn-パラフィン鎖のオレフィン部分又は不飽和部分を飽和させる。水素化処理触媒はまた、水素化脱炭酸化及び水素化脱カルボニル化反応を含む水素化脱酸素化反応を触媒して、バイオ再生可能供給原料中の炭化水素分子から酸素化官能基を除去し、バイオ再生可能供給原料は、水及び炭素酸化物に変換される。水素化処理触媒はまた、バイオ再生可能供給原料中の有機硫黄の水素化脱硫化及び有機窒素の水素化脱窒素化を触媒する。本質的に、水素化処理反応は、炭化水素からヘテロ原子を除去し、供給物流中のオレフィンを飽和させる。
【0040】
水素化処理触媒は、1つ、2つ、又はそれ以上の床に提供されて、水素クエンチライン18からの水素クエンチ流からの床間水素クエンチ流を使用することができる。2つの水素化処理触媒床が、図1に示されているが、1つ又は2つ以上が企図される。
【0041】
水素化処理触媒は、アルミナなどの高表面積担体上に分散されたニッケル、ニッケル/モリブデン、又はコバルト/モリブデンを含み得る。他の触媒としては、高表面積担体上に分散された1つ又は2つ以上の貴金属が挙げられる。貴金属の非限定的な例としては、γ-アルミナなどのアルミナ担体上に分散された白金及び/又はパラジウムが挙げられる。好適な水素化処理触媒としては、UOP LLC(イリノイ州、デスプレーンズ)から入手可能なBDO 200又はBDO 300が挙げられる。水素化処理反応温度は、343℃(650°F)~427℃(800°F)、好ましくは349℃(690°F)~400℃(752°F)の範囲であり得る。一般に、水素化処理条件は、700kPa(100psig)~21MPa(3000psig)の圧力を含む。
【0042】
水素化処理流は、水素化処理反応器セクション25の水素化処理反応器44からの水素化処理ライン42内に生成され、かなりのn-パラフィン濃度を有する炭化水素留分を含む。炭化水素留分中の酸素化物濃度は、本質的にゼロである一方、オレフィン濃度は、接触したバイオ再生可能供給物流に対して大幅に低減される。炭化水素留分中の有機硫黄濃度は、500wppm以下であり、炭化水素留分中の有機窒素濃度は、10wppm未満である。
【0043】
水素化処理ライン42中の水素化処理流は、最初に、組み合わされた異性化供給物交換器(combined isomerization feed exchanger)46に流れて、水素異性化供給ライン90中の水素異性化供給物流を加熱し、水素化処理流れを冷却し得る。前述のように、水素化処理ライン42中の冷却された水素化処理流は、次いで、保護床排出熱交換器34内の接触したバイオ再生可能供給物流と熱交換して、水素化処理ライン42中の水素化処理流を冷却し、接触ライン32中の接触したバイオ再生可能供給物流を加熱し得る。水素化処理ライン42中の2回冷却された水素化処理水蒸気は、次いで、組み合わされた供給ライン24中の組み合わされたバイオ再生可能供給物流との熱交換によって、組み合わされた供給物交換器22内で更に冷却されて、組み合わされたバイオ再生可能供給物流を加熱し、水素化処理ライン42中の水素化処理流を冷却し得る。3回冷却された水素化処理流は、なお更に冷却されて、おそらく水蒸気を作成した後に、分離されて、水素化処理蒸気流と、バイオ再生可能供給物流よりも低い酸素濃度を有する水素化処理液体流とを提供し得る。
【0044】
水素化処理流は、高温分離器48内で分離されて、高温分離器塔頂ライン50中の炭化水素質の高温蒸気流と、高温分離器塔底ライン52中の炭化水素質の高温液体流とを提供し得る。分離器48は、水素化処理反応器44と下流連通し得る。高温分離器48は、177℃(350°F)~371℃(700°F)で動作し、好ましくは232℃(450°F)~315℃(600°F)で動作する。高温分離器34は、介在する機器による圧力低下を考慮して、水素化処理反応器44よりもわずかに低い圧力で動作され得る。高温分離器48は、3.4MPa(ゲージ圧)(493psig)~20.4MPa(ゲージ圧)(2959psig)の圧力で動作され得る。高温分離器塔頂ライン50中の高温蒸気流は、高温分離器48の動作温度の温度を有し得る。
【0045】
高温分離器塔底ライン52中の高温液体流は、高温分離器塔底ライン52中の高温液体流から取り出される、プロセスライン54中の高温プロセス液体流と、同じく高温分離器塔底ライン52中の高温液体流から取り出される、再循環ライン16中の高温再循環液体流との2つの流れに分離され得る。再循環ライン16中の高温再循環液体流は、前述のように、ライン12中のバイオ再生可能供給物流と組み合わされ得る。
【0046】
プロセスライン54中の高温液体流から取り出された高温プロセス液体流は、異性化塔頂ライン58から供給されるストリッピングガスの助けを借りて、強化高温分離器(enhanced hot separator、EHS)を含み得る水素化処理分離器56内で更に分離され得る。高温プロセス液体流は、分離されて、水素化処理蒸気流と、水素化処理液体流とを提供する。水素化処理分離器56は、高圧ストリッピングカラムであり得る。水素化処理分離器56において、プロセスライン54からの高温プロセス液体流は、カラムを通って流下し、カラムで、異性化塔頂ライン58からのストリッピングガスと接触することによって、潜在的な異性化触媒毒である水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、プロパン、硫化水素、及びホスフィンが部分的にストリッピングされる。ストリッピングガスは、後述するように、異性化反応器74及び異性化分離器80を通過した補給水素ガスを含み得る。
【0047】
異性化塔頂ライン58中のストリッピングガスは、プロセス液体ライン54中の高温プロセス液体流のための入口の下で水素化処理分離器56に入る。水素化処理分離器56は、プロセスライン54中の高温プロセス液体流のストリッピングを容易にするために、プロセス液体ライン54中の高温プロセス液体流のための入口と、異性化塔頂ライン58中のストリッピングガスのための入口との間に位置するトレイ又は充填物などの内部構造物を含み得る。ストリッピングされたガスを含むストリッピングガスは、水素化処理分離器56の頂部から延在する水素化処理塔頂ライン60中の水素化処理蒸気流中に出て、高温塔頂ライン50中の高温蒸気流、及び異性化塔底ライン82中の異性化液体流、及び任意選択で、低温分離器ブートからの低温水性ライン87中の低温水性流、並びにライン186中の水素化分解液体流と混合して、低温供給ライン84中の低温分離器供給物流を提供する。
【0048】
ストリッピングされていてもよい水素化処理液体流は、水素化処理分離器56の底部に集まり、水素化処理塔底ライン62中を塔底ポンプの吸込側まで流れる。水素化処理液体流は、バイオ再生可能供給原料の組成に起因して高いパラフィン濃度を有するディーゼル範囲の物質を含む。
【0049】
高温液体流は、より高濃度のノルマルパラフィンを含むので、輸送燃料などの所望の生成物が、水素化処理塔底ライン62に供給され得る一方、この生成物は、低温流動性が悪い。したがって、低温流動性を改善するために、水素化処理液体流を水素異性化反応器74内で、水素異性化条件下で水素異性化触媒と接触させて、ノルマルパラフィンを分岐パラフィンに水素異性化することができる。
【0050】
水素化処理された液体流は、水素異性化水素流の存在下で、水素異性化触媒上で水素異性化され得る。補給ライン86中の補給水素ガスは、補給ガス圧縮機88内で圧縮され、水素化処理塔底ライン62からポンプ輸送された水素化処理液体流と混合されて、水素異性化供給ライン90中に水素異性化供給物流を提供することができる。水素異性化供給ライン90中の水素異性化供給物流は、水素化処理ライン42中の水素化処理流との熱交換によって、異性化供給物交換器46内で加熱され得る。加熱された水素異性化供給物流は、任意選択で、再循環ライン98中の全水素化分解流又は液体水素化分解流と混合されて、組み合わされた水素異性化供給ライン100中の組み合わされた水素異性化供給物流を提供し得る。組み合わされた水素異性化供給物流を水素異性化反応器74に装入する前に、組み合わされた水素異性化供給物流を水素異性化装入ヒーター72内で加熱して、組み合わされた水素異性化供給物流を水素異性化温度にすることができる。
【0051】
水素異性化反応器74内の直鎖炭化水素の水素異性化(水素化脱ろう化を含む)は、水素異性化触媒の1つ又は2つ以上の床上で達成され得、水素異性化は、並流動作モードで運転され得る。固定床トリクル床下降流モード又は固定床液体充填上昇流モードの両方が好適である。補給ライン86から取り出された補給水素クエンチ流は、床間クエンチのために、水素異性化反応器74に供給され得る。
【0052】
好適な水素異性化触媒は、周期表の第VIII族(IUPACの8~10)の金属及び担持材料を含み得る。好適な第VIII族の金属としては、プラチナ及びパラジウムが挙げられ、それぞれが単独で又は組み合わせて使用され得る。水素異性化触媒が、図3のように水素化処理反応器内に位置する場合、サワー環境で硫黄失活の影響を受けやすくない非貴金属を使用すべきである。好適な非貴金属の例としては、Ni、Mo、Co、W、Mn、Cu、Zn、又はRuが挙げられる。Co/Mo、Ni/Mo、及びNi/Wなどの水素化金属の混合物も、使用され得る。水素化金属の量は、触媒重量に基づいて0.1~5重量%の範囲であり得る。担体材料上に金属を担持する方法としては、例えば、水素化成分の金属塩による担体材料の含浸及び加熱が挙げられる。水素化金属を含有する触媒担体材料も、使用前に硫化されてもよい。
【0053】
担持材料は、非晶質又は結晶質であり得る。好適な担体材料としては、非晶質アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ、フェリエライト、ALPO-31、SAPO-11、SAPO-31、SAPO-37、SAPO-41、SM-3、MgAPSO-31、FU-9、NU-10、NU-23、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-48、ZSM-50、ZSM-57、MeAPO-11、MeAPO-31、MeAPO-41、MgAPSO-11、MgAPSO-31、MgAPSO-41、MgAPSO-46、ELAPO-11、ELAPO-31、ELAPO-41、ELAPSO-11、ELAPSO-31、ELAPSO-41、ラウモンタイト、カンクリナイト、オフレタイト、水素型のスティルバイト、マグネシウム又はカルシウム型のモルデナイト、及びマグネシウム又はカルシウム型のパーセイトが挙げられ、これらの各々は、単独で又は組み合わせて使用され得る。ALPO-31は、米国特許第4,310,440号に記載されている。SAPO-11、SAPO-31、SAPO-37、及びSAPO-41は、米国特許第4,440,871号に記載されている。SM-3は、米国特許第4,943,424号、米国特許第5,087,347号、米国特許第5,158,665号、及び米国特許第5,208,005号に記載されている。MgAPSOは、MeAPSOであり、これは、アルミニウムケイリン酸金属(metal aluminumsilicophosphate)モレキュラシーブの頭字語であり、金属Meは、マグネシウム(Mg)である。好適なMgAPSO-31触媒は、MgAPSO-31を含む。MeAPSOは、米国特許第4,793,984号に記載されており、MgAPSOは、米国特許第4,758,419号に記載されている。MgAPSO-31は、好ましいMgAPSOであり、31は、構造タイプ31を有するMgAPSOを意味する。米国特許第4,795,623号明細書及び米国特許第4,924,027号に教示されているように、当初に減少した細孔径を有するフェリエライトなどの多くの天然ゼオライトは、アンモニウムイオン交換及びか焼によって、会合しているアルカリ金属又はアルカリ土類金属を除去して実質的に水素形態を生成することによって、オレフィン骨格異性化に適した形態に変換され得る。骨格異性化のための更なる触媒及び条件は、米国特許第5,510,306号、米国特許第5,082,956号、及び米国特許第5,741,759号に開示されている。水素異性化触媒はまた、米国特許第5,716,897号及び米国特許第5,851,949号に記載されているように、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される改質剤も含み得る。他の好適な担体材料としては、ZSM-22、ZSM-23、及びZSM-35が挙げられ、これらは、米国特許第5,246,566号、及びS.J.Miller,「New Molecular Sieve Process for Lube Dewaxing by Wax Isomerization,」 2 Microporous Materials 439-449(1994)と題する論文において、脱ろう化での使用について記載されている。米国特許第5,444,032号及び米国特許第5,608,968号は、非晶質シリカ-アルミナゲル及び第VIIIA族に属する1つ又は2つ以上の金属によって構成され、15個を超える炭素原子を含有する長鎖ノルマルパラフィンの水素異性化において有効である好適な二官能性触媒を教示している。米国特許第5,981,419号及び米国特許第5,908,134号は、(a)ボロシリケート(BOR-B)及びSiO:Al比が300:1より高いボロアルミノシリケート(Al-BOR-B)から選択されるベータゼオライトと同型構造の多孔質結晶性物質、(b)0.05~5重量%の範囲内に含まれる量の、白金及びパラジウムから選択されるVIIIA族に属する1つ又は2つ以上の金属を含む好適な二官能性触媒を教示している。V.Calemmaら、App.Catal.A:Gen.,190(2000),207は、更に別の好適な触媒を教示している。アルミナ又はシリカを担体材料に添加してもよい。
【0054】
UOP LLC(イリノイ州、デスプレーンズ)から入手可能なDI-100は、好適な水素異性化触媒であり得る。
【0055】
水素異性化条件は、一般に、150℃(302°F)~450℃(842°F)の温度、及び1724kPa(abs)(250psia)~13.8MPa(abs)(2000psia)の圧力を含む。別の実施形態では、水素異性化条件は、300℃(572°F)~360℃(680°F)の温度、及び3102kPa(abs)(450psia)~6895kPa(abs)(1000psia)の圧力を含む。
【0056】
異性化反応器74からの水素異性化ライン76中の水素異性化流は、分岐パラフィンリッチ流である。「リッチ」という用語は、流出物流が、異性化反応器74に入る流れよりも高い濃度の分岐パラフィンを有し、好ましくは、全パラフィン含有量の50質量%を超える分岐パラフィンを含むことを意味する。水素異性化流出物は、全パラフィン含有量の80、90、又は95質量%の分岐パラフィンを含有し得ることが想定される。水素異性化反応器74における水素異性化条件は、望ましくない分解を回避するように選択され、したがって、水素異性化ライン76における水素異性化流中の主生成物は、分岐パラフィンである。望ましくない分解を回避することによって、水素異性化ライン76中の水素異性化流は、ジェット又はディーゼル燃料を製造するためのC+炭化水素へのより高い収率を有するであろう。ライン76中の残留ノルマルパラフィンの最適量は、水素異性化触媒の選択性に依存するが、典型的には1~7重量%であり得る。
【0057】
異性化反応器74からの水素異性化ライン76中の水素異性化流は、異性化物交換器77に流れ、低温塔底ライン92中の低温液体流と熱交換して冷却された後、水素異性化分離器80に入り、液体水素異性化流と蒸気水素異性化流とに分離される。水素異性化分離器80の塔頂から延在する水素異性化塔頂ライン58中の蒸気水素異性化流は、水素化処理分離器56に流れ、水素化処理分離器56内でストリッピングガスとして機能し得る。蒸気水素異性化流の一部分は、任意選択で水素化処理分離器56をバイパスし、制御弁を通って低温供給ライン84に入ることができる。
【0058】
水素異性化分離器80の底部から延在する水素異性化塔底ライン82中の液体水素異性化流は、凝縮及び冷却することなく生成物流を生成するために、蒸留カラム140に直接送られ得る。しかしながら、水素異性化塔底ライン82中の、水素異性化分離器80からの液体水素異性化流は、高温塔頂ライン50中の高温蒸気流、水素化処理塔頂ライン60中の水素化処理蒸気流、低温分離器94のブートからの低温水性ライン87中の低温水性流、及び水素化分解分離器塔底ライン186中の液体水素化分解流とともに低温分離器94内で更に分離され得、全てが、低温分離器供給ライン84中の低温分離器流中で組み合わされる。ライン85からの水によって補充された低温水性ライン87中の低温水性流は、炭化水素相中に存在し得る塩を溶解するために、低温分離器供給ライン84に添加される。
【0059】
低温分離器供給ライン84中の低温分離器流は、冷却されて、低温分離器94に供給される。
【0060】
低温分離器94において、水素異性化液体流中の蒸気成分は、分離し、水素化処理塔頂ライン60からの水素化処理蒸気流、及び高温塔頂ライン50中の高温蒸気流とともに上昇して、低温塔頂ライン96中の低温蒸気流を提供するであろう。低温塔頂ライン96内の低温蒸気流は、トレイ式又はパック式再循環スクラビングカラム104を通過させられ得、再循環スクラビングカラム104で、スクラビング液体ライン102によって供給される水溶液などのスクラビング液体によってスクラビングされて、硫化水素及び二酸化炭素を含む酸性ガスを、水溶液中に抽出することによって除去する。好ましいスクラビング液体としては、UOP LLC(イリノイ州、デスプレーンズ)から入手可能なSelexol(商標)、並びにジエタノールアミン(diethanol amine、DEA)、モノエタノールアミン(monoethanol amine、MEA)、メチルジエタノールアミン(methyl diethanol amine、MDEA)、ジイソプロパノールアミン(diisopropanol amine、DIPA)、及びジグリコールアミン(diglycol amine、DGA)を含むアルカノールアミンなどのアミンが挙げられる。好ましいアミンの代わりに、又はそれに加えて、他のスクラビング液体を使用することができる。リーンスクラビング液体は、低温蒸気流と接触して、硫化水素及び二酸化炭素などの酸性ガス汚染物質を吸収する。得られた「スイートニングされた」低温蒸気流は、再循環スクラバカラム104の塔頂出口から再循環スクラバ塔頂ライン106内に取り出され、リッチスクラビング液体は、再循環スクラバカラム104の底部出口において塔底から再循環スクラバ塔底ライン108内に取り出される。塔底からの使用済みスクラビング液体は、再生されて、スクラビング液体ライン102内を再循環スクラビングカラム104に再循環して戻され得る。
【0061】
スクラビングされた水素リッチ流は、再循環スクラバ塔頂ライン106を介してスクラバから出て、再循環圧縮機110内で圧縮され得る。スクラバ塔頂ライン106中の圧縮された水素流は、水素化処理水素ライン20中の水素化処理水素流、保護床反応器26及び水素化処理反応器44のためのクエンチライン18を通る床間クエンチ流、並びに水素化分解反応器のためのライン152中の水素化分解水素流に水素を供給する。
【0062】
再循環スクラビングカラム104は、38℃(100°F)~66℃(150°F)のガス入口温度、及び3MPa(ゲージ圧)(435psig)~20MPa(ゲージ圧)(2900psig)の塔頂圧力で動作され得る。好適には、再循環スクラビングカラム104は、40℃(104°F)~125℃(257°F)の温度及び1200~1600kPaの圧力で動作され得る。再循環スクラビングカラム104への高温蒸気流の温度は、20℃(68°F)~80℃(176°F)であり得、スクラビング液体ライン102中のスクラビング液体流の温度は、20℃(68°F)~70℃(158°F)であり得る。
【0063】
ライン186中の液体水素化分解流からの液体成分は、低温塔底ライン92中の低温液体流中に沈下する。低温塔底ライン92中の低温液体流は、ディーゼル沸点範囲の燃料として有用な炭化水素、並びにプロパン、ナフサ、及びジェット燃料などの他の炭化水素を含む。したがって、それらは、蒸留カラム140で分留され得る。低温水性流は、低温分離器のブートから低温水性ライン87内に収集され得る。
【0064】
一実施形態では、低温液体流は、最初に、ストリッピングカラム120内でストリッピングされて、硫化水素及び他のガスを除去し得る。低温塔底ライン92中の低温液体流は、異性化物交換器77内で、水素異性化ライン76中の水素異性化流との熱交換によって加熱されて、低温液体流を加熱し、ストリッピングカラム120に、カラムの下半分にあり得る入口から供給され得る。ストリッピング媒体ライン122からの水蒸気などの不活性ガスであるストリッピング媒体を使用して、低温塔底ライン92からの軽質ガスをストリッピングすることができる。ストリッピングカラム120は、ナフサ、LPG、水素、硫化水素、水蒸気、及び他のガスの塔頂ストリッピング流をストリッパ塔頂ライン126に、ストリッピングされた液体異性化流を、ストリッピングされた塔底ライン128に供給する。塔頂ストリッピング流は、ストリッピング受け器130内で凝縮及び分離され得る。受け器130からの正味ストリッパ塔頂ライン132は、正味ストリッパガス流を、LPG回収のためのスポンジ吸収装置160に運ぶことができる。液体塔頂流中の、受け器130の塔底からの安定化されていない液体ナフサは、ストリッパ受け器塔底ライン134内を、ナフサ及びLPG回収のための脱ブタンカラム170まで輸送され得る。サワー水流は、塔頂受け器130のブートから収集され得る。
【0065】
ストリッピングカラム120は、149℃(300°F)~288℃(550°F)、好ましくは260℃(500°F)以下の塔底温度、及び0.35MPa(ゲージ圧)(50psig)、好ましくは0.70MPa(ゲージ圧)(100psig)以上~2.0MPa(ゲージ圧)(290psig)以下の塔頂圧力で動作され得る。塔頂受け器130内の温度は、38℃(100°F)~66℃(150°F)の範囲であり、圧力は、ストリッピングカラム120の塔頂内と本質的に同じである。
【0066】
ストリッパ塔底ライン128中のストリッピングされた液体水素異性化流は、蒸留カラム140に供給され得る。蒸留カラム140は、蒸留に必要な熱を提供するために、好適な高温流との熱交換によって、又は燃焼ヒーター内で再沸騰され得る。代替的に、ストリッピング媒体ライン142からの水蒸気などの不活性ガスであるストリッピング媒体を用いて、カラムを加熱することができる。蒸留カラム140は、ナフサ及び水蒸気の塔頂ガス流を塔頂ライン146内に、蒸留塔底液体流を蒸留塔底ライン148内に提供する。蒸留塔頂流は、蒸留受け器178内で完全に凝縮され、水から分離され得る。蒸留塔頂液体ライン154中の、受け器178の底部からの安定化されていない液体ナフサは、ライン176中のナフサ流と組み合わされ得る。サワー水流は、蒸留受け器178のブートから収集され得る。
【0067】
2つの生成物流が、蒸留カラム140の側部から取り出され得る。第1の側流の上方で取り出される第1の側流は、第1の側部ライン144内に取り出され、115℃(239°F)~130℃(266°F)のT5及び240℃(464°F)~270℃(518°F)のT90を有するジェット燃料流を含み得る。ジェット燃料は、ASTM D7566ジェット燃料規格に適合するであろう。第2の側部ライン152内の第2の側流は、230℃(446°F)~250℃(482°F)のT5及び279℃(560°F)~296℃(590°F)のT90を有する軽質ディーゼル流を含み得る。蒸留塔底ライン148中の蒸留塔底液体流は、279℃(560°F)~296℃(590°F)のT5及び343℃(650°F)~399℃(750°F)のT90を有する重質ディーゼル流であり得る。両方の側流は、図示されていないサイドストリッパ内でストリッピングされ得る。
【0068】
ノルマルパラフィンは、より重質の炭化水素流中で濃縮されるであろう。第1の側流中のジェット燃料、及び更には第2の側流中の軽質ディーゼルを蒸留することは、ストリッパ塔底ライン148中の重質ディーゼル流中のノルマルパラフィンの濃度を大幅に富化し、ジェット燃料流がジェット燃料仕様を満たすことを可能にする許容可能なノルマルパラフィン濃度を有するジェット燃料流及び軽質ディーゼル流を残すであろう。増加した濃度のノルマルパラフィンを有する、蒸留塔底ライン148中の重質ディーゼル流は、次いで、ノルマルパラフィン濃度を更に管理するために、再循環による追加の水素異性化又は水素化分解反応器中での水素化分解に供され得る。水素化分解反応器150におけるノルマルパラフィン濃度の富化は、反応速度の増加によって転化率を増加させる。より高いノルマルパラフィン濃度はまた、水素異性化反応器74において平衡から更に反応を開始して、イソパラフィンのより多くの生成を促進する。一態様では、第1の側部ライン144中のジェット燃料流のノルマルパラフィン濃度は、ライン144中のジェット燃料流の全パラフィン含有量の1質量%以下、好適には0.6質量%未満、好ましくは0.5質量%以下であり得る。好ましいパラフィン濃度は、-40℃の凝固点を満たし得る。
【0069】
一態様では、留出物塔底ライン148中の所与の炭素数のノルマルパラフィンの濃度は、水素異性化ライン76中の水素異性化流中の濃度の少なくとも2倍、より好適には少なくとも3倍であるべきである。この富化は、水素化分解反応器150における直鎖パラフィンのジェット及びディーゼル範囲生成物へのより選択的な水素化分解を促進し、及び/又は水素異性化反応器74におけるノルマルパラフィンの選択的水素異性化を促進し、それによってジェット燃料収率を増加させるために必要とされる。
【0070】
蒸留カラム140は、149℃(300°F)~288℃(550°F)、好ましくは260℃(500°F)以下の塔底温度、及び0.35MPa(ゲージ圧)(50psig)、好ましくは0.70MPa(ゲージ圧)(100psig)以上~2.0MPa(ゲージ圧)(290psig)以下の塔頂圧力で動作され得る。塔頂受け器178内の温度は、38℃(100°F)~66℃(150°F)の範囲であり、圧力は、ストリッピングカラム140の塔頂内と本質的に同じである。
【0071】
スポンジ吸収装置カラム160は、正味ストリッパ塔頂ライン132中の正味ストリッパガス流を受容し得る。リーン吸収剤ライン162中のリーン吸収剤流は、吸収剤入口を通してスポンジ吸収装置カラム160に供給され得る。リーン吸収剤は、おそらくライン176中の、脱ブタン装置塔底流からのリーン吸収剤ライン162中のナフサ流を含み得る。スポンジ吸収装置カラム160において、リーン吸収剤流と、正味ストリッパガス流とが、向流で接触する。スポンジ吸収剤は、正味ストリッパガス流からのLPG炭化水素を吸収剤リッチ流内に吸収する。
【0072】
スポンジ吸収剤によって吸収された炭化水素は、正味ストリッパガス流中のいくらかのメタン及びエタン、並びにLPG、C及びC炭化水素の大部分、並びに任意のC及びC6+軽質ナフサ炭化水素を含む。スポンジ吸収装置カラム160は、34℃(93°F)~60℃(140°F)℃の温度、及びストリッピング受け器130と本質的に同じかそれより低い圧力で、少ない摩擦損失で動作され得る。LPG炭化水素が枯渇したスポンジ吸収オフガス流は、スポンジ吸収装置カラム160の頂部から、塔頂出口でスポンジ吸収装置塔頂ライン164を通って抜き出される。スポンジ吸収装置塔頂ライン164中のスポンジ吸収オフガス流は、水素回収のために、図示されていない水素回収ユニットに輸送され得る。LPG炭化水素に富むリッチ吸収剤流は、スポンジ吸収装置カラム160の底部から、塔底出口においてリッチ吸収装置塔底ライン166内に抜き出され、ストリッパ受け器塔底ライン134中のストリッパ液体塔頂流を介して、脱ブタンカラム170に供給され得る。
【0073】
一実施形態では、脱ブタンカラム170は、ストリッパ液体塔頂流及びストリッパ受け器塔底流134中のリッチ吸収剤流を、主にC5+炭化水素を含む脱ブタン塔底流と、LPG炭化水素を含む脱ブタン塔頂流とに分留し得る。脱ブタン装置塔頂ライン172中の脱ブタン装置塔頂流は、脱ブタン装置カラム170への還流及びLPGの回収とともに、正味受け器塔底ライン174中の脱ブタン塔頂液体流中に完全に凝縮され得る。脱ブタン塔底流は、脱ブタン装置カラム170の底部から脱ブタン塔底ライン176内に抜き出され得る。脱ブタン装置カラム170の底部から、又は脱ブタン装置塔底ライン176中の脱ブタン塔底流から取り出された再沸騰流は、再沸騰ライン中で沸騰されて、脱ブタン装置カラム170に、カラムに熱を提供するために送り返され得る。代替的に、水蒸気などの高温不活性媒体流をカラム170に供給して、熱を提供することができる。
【0074】
蒸留塔底ライン148中の蒸留塔底流は、重質ディーゼル沸点範囲の炭化水素を含み得る。ノルマルパラフィンは、底部流中で濃縮されるので、水素化分解又は更なる水素異性化に非常に適している。精油業者は、重質ディーゼルをジェット燃料に変換して、製品リストの構成を改善することを望む場合がある。そのため、蒸留塔底ライン148中の重質ディーゼル流は、ライン86中の圧縮された補給水素流から取り出された、ライン152中の水素化分解水素流と混合され、ヒーター154内で加熱され、水素化分解反応器150に向けてライン156内に供給され得る。
【0075】
水素異性化、蒸留、及び水素化分解を一緒に利用することにより、独特の利点がもたらされる。例えば、水素異性化流は、ジェット凝固点仕様を満たすために、16個の炭素原子の全てのパラフィンに対して、0.8%以下の16個の炭素原子のノルマルパラフィンの仕様を必要とし得る。しかしながら、水素異性化反応器74のみにおいてこの仕様を達成するためには、水素異性化流は、16個の炭素原子のノルマルパラフィンのそのような低濃度への十分な変換を達成するのに必要な、増加した温度及び滞留時間で水素異性化反応器74を動作させることから生じる、水素異性化反応器内の並行した望ましくない水素化分解反応のために、85%のジェット燃料範囲の炭化水素しか生成しない可能性がある。本開示によれば、水素異性化流中の16個の炭素原子のノルマルパラフィンの仕様を、0.8%から3%のノルマルパラフィンに増加させることによって緩和することにより、ジェット燃料範囲の物質の収率を93%に増加させることができた。次いで、これらのノルマルパラフィンは、蒸留カラム140において、少なくとも6%の、留出物塔底流148中の16炭素パラフィンに富化され、水素化分解反応器150に送られて、そこで、より選択的に水素化分解され、おそらく水素異性化反応器74への再循環によって水素異性化されて、85%を超える全ジェット範囲収率を生成することができるであろう。同様に、同じ原理を、18個の炭素原子のパラフィンなどの、最終燃料生成物におけるノルマルパラフィン限界を有する異なる炭素数の他のパラフィンに適用することができる。
【0076】
水素化分解反応器150は、1つ又は2つ以上の容器、各容器内の単一又は複数の触媒床、及び1つ又は2つ以上の容器内の水素化分解触媒の様々な組み合わせを含む固定床反応器であり得る。水素化分解反応器150は、従来の連続気相、移動床、又は流動床水素化加工反応器内で動作され得る。ライン160中の重質ディーゼル流の一部
【0077】
重質ディーゼル流は、水素化分解反応器内の水素化分解触媒上で、水素化分解水素ライン152からの水素化分解水素流の存在下で水素化加工されて、水素化分解流を提供する。ライン168中のディーゼル流の一部分は、触媒床間で水素化分解流出物を冷却するための床間クエンチとして使用され得る。別の態様では、追加の水素が、触媒床間に添加され得る。
【0078】
水素化分解反応器は、蒸留塔底ライン148中の重質ディーゼル流の少なくとも20体積%、典型的には60体積%超の、293℃(560°F)~310℃(590°F)の重質ディーゼル範囲未満で沸騰する生成物への全転化率を提供し得る。水素化分解反応器150は、全転化率に基づいて、供給物の30体積%超の部分転化率、又は少なくとも90体積%の完全転化率で動作され得る。水素化分解反応器40は、炭化水素供給物流の、重質ディーゼル沸点範囲未満で沸騰する生成物への20~60体積%、好ましくは20~50体積%の全転化率を提供する穏やかな水素化分解条件で動作され得る。
【0079】
水素化分解触媒は、1つ又は2つ以上の第VIII族又は第VIB族金属水素化成分と組み合わされた非晶質シリカ-アルミナベース又はゼオライトベースを利用して、軽質ディーゼルとジェット燃料留出物とのバランスを選択的に生成することができる。別の態様では、一般に、第VIII族金属水素化成分が堆積される任意の結晶性ゼオライト分解ベースを含む触媒が好適であり得る。追加の水素化成分は、ゼオライトベースに組み込むために第VIB族から選択され得る。
【0080】
ゼオライト分解ベースは、当技術分野でモレキュラシーブと呼ばれることもあり、通常、シリカ、アルミナ、及びナトリウム、マグネシウム、カルシウム、希土類金属などの1つ又は2つ以上の交換可能なカチオンから構成される。それらは更に、4~14オングストロームの比較的均一な直径の結晶細孔によって特徴付けられる。3~12の比較的高いシリカ/アルミナモル比を有するゼオライトを使用することが好ましい。天然に見出される好適なゼオライトとしては、例えば、モルデナイト、スチルバイト、ヒューランダイト、フェリエライト、ダチアルダイト、チャバザイト、エリオナイト、及びフォージャサイトが挙げられる。好適な合成ゼオライトとしては、例えば、B、X、Y、及びL結晶型、例えば、合成フォージャサイト及びモルデナイトが挙げられる。好ましいゼオライトは、8~12オングストロームの結晶細孔直径を有し、シリカ/アルミナモル比が4~6であるものである。好ましい群に入るゼオライトの一例は、合成Yモレキュラシーブである。
【0081】
天然に存在するゼオライトは、通常、ナトリウム形態、アルカリ土類金属形態、又は混合形態で見出される。合成ゼオライトは、ほとんど常にナトリウム形態で調整される。いずれにしても、分解ベースとして使用するためには、元のゼオライト一価金属のほとんど又は全てを多価金属で、及び/又はアンモニウム塩でイオン交換し、続いて加熱して、ゼオライトと会合したアンモニウムイオンを分解し、水の更なる除去によって実際には脱カチオン化されている水素イオン及び/又は交換部位をそれらの部位に残すことが望ましい。この手の水素又は「脱カチオン化した」Yゼオライトは、米国特許第3,100,006号に、より詳細に記載されている。
【0082】
混合多価金属-水素ゼオライトは、アンモニウム塩とイオン交換し、次に、多価金属塩と部分的に逆交換し、次いで、か焼することによって調製され得る。場合によっては、合成モルデナイトの場合のように、水素形態は、アルカリ金属ゼオライトの直接酸処理によって調製され得る。一態様では、好ましい分解ベースは、初期イオン交換容量に基づいて、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%の金属カチオンが不足しているものである。別の態様では、望ましい安定なクラスのゼオライトは、イオン交換容量の少なくとも20重量%が、水素イオンによって満たされるものである。
【0083】
本発明の好ましい水素化分解触媒において水素化成分として用いられる活性金属は、第VIII族のもの、すなわち、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金である。これらの金属に加えて、第VIB族の金属、例えば、モリブデン及びタングステンを含む他の促進剤も、それらとともに使用され得る。触媒中の水素化金属の量は、広い範囲内で変わり得る。一般に、0.05重量%~30重量%の間の任意の量が、使用され得る。貴金属の場合、通常、0.05~2重量%の貴金属を使用することが好ましい。貴金属は、貴金属触媒を失活させ得るが、プロセスの上流で除去されている硫化水素及びアンモニアが存在しないため、ジェット燃料に対する選択性を提供するために、水素化分解触媒上の水素化金属として好ましい場合がある。
【0084】
水素化金属を組み込むための方法は、ベース材料を、金属がカチオン形態で存在する、所望の金属の好適な化合物の水溶液と接触させることである。選択された1つ又は複数の水素化金属を添加した後、得られた触媒粉末を濾過し、乾燥させ、必要に応じて潤滑剤、結合剤などを添加してペレット化し、かつ触媒を活性化し、アンモニウムイオンを分解するために、例えば、371℃(700°F)~648℃(200°F)の温度で空気中でか焼する。代替的に、ベース成分をペレット化し、続いて、水素化成分を添加し、か焼により活性化してもよい。
【0085】
前述の触媒は、希釈されていない形態で使用されてもよく、又は粉末触媒が、5~90重量%の範囲の割合で、アルミナ、シリカゲル、シリカ-アルミナコゲル、活性粘土などの他の比較的活性の低い触媒、希釈剤、又は結合剤と混合及び共ペレット化されてもよい。これらの希釈剤は、そのまま使用してもよいし、第VIB族及び/又は第VIII族金属などの、添加される水素化金属を少量含有してもよい。例えば、アルミノホスフェートモレキュラシーブ、結晶性クロモシリケート、及び他の結晶性シリケートを含む追加の金属促進水素化分解触媒も、本発明のプロセスにおいて利用され得る。結晶性クロモシリケートは、米国特許第4,363,178号に、より完全に記載されている。
【0086】
1つのアプローチによれば、水素化分解条件は、290℃(550°F)~468℃(875°F)、好ましくは300℃(572°F)~445℃(833°F)の温度、2.7MPa(ゲージ圧)(400psig)~20.7MPa(ゲージ圧)(3000psig)の圧力、0.4~2.5hr-1未満の液空間速度(liquid hourly space velocity、LHSV)、及び421Nm/m油(2,500scf/bbl)~2,527Nm/m油(15,000scf/bbl)の水素速度を含み得る。
【0087】
水素化分解流は、水素化分解反応器150を、水素化分解ライン158内に出ることができる。一実施形態では、水素化分解流は、水素異性化反応器74に直接供給され得る。この態様では、水素化分解ライン158中の水素化分解流は、直接ライン159を通り、その上の制御弁を通って再循環ライン98に再循環される。水素化分解流は、再循環ライン98から、水素異性化供給ライン90中の水素異性化供給物流と混合されて、組み合わされた水素異性化供給ライン100中の組み合わされた水素異性化供給物流を提供し、ヒーター72内で加熱され、水素異性化反応器74に供給される。
【0088】
代替の実施形態では、水素化分解ライン158内の水素化分解流は、水素化分解分離器ライン181内を、その上の制御弁を通って水素化分解分離器180に輸送され得る。次いで、水素化分解流が、水素化分解分離器180内で分離され得る。水素化分解流は、水素化分解分離器180内で分離されて、水素化分解分離器塔頂ライン182中の炭化水素質の蒸気水素化分解流と、水素化分解分離器塔底ライン184内の炭化水素質の水素化分解液体流とを提供し得る。水素化分解分離器180は、水素化分解反応器150と下流連通し得る。水素化分解分離器180は、177℃(350°F)~371℃(700°F)で動作し、好ましくは、232℃(450°F)~315℃(600°F)で動作する。水素化分解分離器180は、介在する機器による圧力低下を考慮して、水素化分解反応器150よりもわずかに低い圧力で動作され得る。水素化分解分離器180は、3.4MPa(ゲージ圧)(493psig)~20.4MPa(ゲージ圧)(2959psig)の圧力で動作され得る。水素化分解分離器塔頂ライン182中の蒸気水素化分解流は、水素化分解分離器180の動作温度の温度を有し得る。水素化分解分離器塔頂ライン182中の蒸気水素化分解流は、高温分離器塔底流から取り出された、ライン54中のプロセス流をストリッピングするために、異性化塔頂ライン58中のストリッピングガスと組み合わされ得る。
【0089】
水素化分解分離器塔底ライン184中の水素化分解液体流は、少なくとも2つの様式で処理され得る。第1の実施形態では、ライン186上の制御弁が開かれて、ライン184からの水素化分解液体流の少なくとも一部と、ライン84中の低温分離器供給物流との組み合わせが、水素異性化塔底ライン82中の液体水素異性化流、高温塔頂ライン50中の高温蒸気流、水素化処理塔頂ライン60中の水素化処理蒸気流、及び低温水性ライン87中の低温水性流とともに、低温分離器94内で冷却及び分離され得ることを可能にする。次いで、水素化分解液体流中のジェット燃料及び軽質ディーゼル成分が、任意選択でストリッピングカラム120内でストリッピングされ、蒸留カラム140内で蒸留されて、ライン144中のジェット燃料流、ライン152中の軽質ディーゼル流、及びライン148中の重質ディーゼル流になる。
【0090】
第2の実施形態では、水素異性化タイライン188上の制御弁が開かれて、水素化分解液体流の形態の水素化分解分離器塔底ライン184の少なくとも一部の水素異性化反応器74への流れを可能にして、水素化分解反応器150内で生成されるジェット燃料範囲の炭化水素の低温流動性を改善することを可能にする。水素異性化タイライン188中の液体水素化分解流は、再循環ライン98に輸送され、水素異性化供給ライン90中の水素異性化供給物流と混合されて、組み合わされた水素異性化供給ライン100中の組み合わされた水素異性化供給物流を生成し、装入ヒーター72内で加熱され、前述のように水素異性化反応器74内で水素異性化される。水素異性化され、水素化分解された液体は、次いで、ライン76中の水素異性化流の残りとともに処理される。
【0091】
図2は、水素化分解触媒の床150’及び水素異性化触媒の床74’を単一の反応容器190内に位置付ける代替の実施形態を示し、この実施形態は、図1の実施形態よりも修繕の事態により理想的であり得る。図2において、図1と同じ構成を有する要素は、図1と同一の参照番号を有する。図1の対応する要素とは異なる構成を有する図2の要素は、同じ参照番号を有するが、プライム記号(’)で示される。図2の実施形態の構成及び動作は、図1と本質的に同じであるが、以下の例外がある。
【0092】
蒸留塔底ライン148’中の重質ディーゼル流は、ライン152’中の水素化分解水素流と混合され、ヒーター154’内で加熱され、水素化分解/水素異性化反応容器190に供給される。加熱された重質ディーゼル流は、第1の反応器入口を通って水素化分解触媒床150’に供給される。図1と同様に、水素化分解触媒を失活させる硫化水素及びアンモニアが、水素化分解触媒床150’の上流で除去されるので、水素化分解触媒は、貴金属触媒であり得る。水素化分解触媒床150’から出る水素化分解流の全てが、水素化分解触媒床150’と、水素異性化触媒床74’との間の床間空間75において、異性化供給ライン90中の異性化供給物流と混合する。水素化分解流と異性化供給物流との混合物は、床間空間75から、水素化分解触媒床150’の下に位置する水素異性化触媒床74’に入る。水素化分解流及び異性化供給物流は、水素の存在下で、水素異性化触媒上で一緒に水素異性化される。水素異性化流は、水素異性化床74’を出て水素異性化ライン76に入り、図1について説明したように処理される。
【0093】
水素化分解/水素異性化反応容器190における条件は、290℃(550°F)~468℃(875°F)、好ましくは300℃(572°F)~445℃(833°F)の温度、2.7MPa(ゲージ圧)(400psig)~20.7MPa(ゲージ圧)(3000psig)の圧力、0.4~2.5hr-1未満の液空間速度(LHSV)、及び421Nm/m油(2,500scf/bbl)~2,527Nm/m油(15,000scf/bbl)の水素速度を含み得る。
【0094】
図3は、水素化処理触媒の床44’’及び水素異性化触媒の床74’’を単一の反応容器40内に位置付ける更なる代替の実施形態を示す。水素異性化は、硫化水素、水、及びアンモニアの存在下で、サワー環境で行われる。水素化分解反応器150’’は、重質ディーゼルをジェット燃料成分に変換する。図3において、図1又は図2と同じ構成を有する要素は、それぞれ図1又は図2と同じ参照番号を有する。図1又は図2の対応する要素とは異なる構成を有する図3の要素は、それぞれ、同じ参照番号を有するが、二重プライム記号(’’)で示される。図3の実施形態の構成及び動作は、図1又は図2と本質的に同じであるが、以下の例外がある。
【0095】
接触供給ライン32中の、保護床反応器26からの接触供給物流は、保護床排出熱交換器34及びヒーター36内で加熱され、少なくとも2つの触媒床を含み得る水素化処理/水素異性化反応容器40内に供給される。加熱された接触供給物流は、第1の反応器入口を通って水素化処理触媒床44’’に供給される。2つ以上の触媒床44’を利用してもよい。水素化処理触媒床44’’(複数の水素化処理床が利用される場合には最後の水素化処理触媒床44’’)から出る水素化処理流の全てが、水素化処理触媒床44’と、水素異性化触媒床74’’との間の床間空間45においてクエンチ水素流と混合する。クエンチ水素で補充及び冷却された水素化処理流は、床間空間45から、水素化処理触媒床44’’の下に位置する水素異性化触媒床74’’に入る。水素化処理流は、水素の存在下で、水素異性化触媒床74’’内の水素異性化触媒上で水素異性化される。2つ以上の水素異性化触媒床74’’を利用してもよい。
【0096】
水素化処理/水素異性化反応温度は、343℃(650°F)~427℃(800°F)、好ましくは349℃(690°F)~400℃(752°F)の範囲であり得る。一般に、水素化処理/水素異性化条件は、700kPa(100psig)~21MPa(3000psig)の圧力を含む。
【0097】
水素異性化流は、水素異性化触媒床74’’から水素異性化ライン42’’内に生成される。水素異性化ライン42’’中の水素異性化流は、最初に、組み合わされた水素化分解供給物交換器46’’に流れて、水素化分解供給ライン90’’中の水素化分解供給物流を加熱し、水素異性化流を冷却し得る。前述のように、水素異性化ライン42’’中の冷却された水素異性化流は、次いで、保護床排出熱交換器34中の接触されたバイオ再生可能供給物流と熱交換して、水素異性化ライン42’’中の水素異性化流を冷却し、接触されたバイオ再生可能供給物流を加熱し得る。次いで、水素異性化ライン42’’中の2回冷却された水素異性化水蒸気は、組み合わされた供給物交換器22内で、組み合わされた供給ライン24中の組み合わされたバイオ再生可能供給物流との熱交換によって更に冷却されて、組み合わされたバイオ再生可能供給物流を加熱し、水素異性化ライン42’’中の水素異性化流を冷却し得る。3回冷却された水素異性化流は、更に冷却されて、おそらく水蒸気を作成した後に、分離されて、水素異性化蒸気流と、水素化処理液体流とを提供し得る。
【0098】
水素異性化流は、高温分離器48内で分離されて、高温分離器塔頂ライン50中の炭化水素質の高温蒸気流と、高温分離器塔底ライン52中の炭化水素質の高温液体流とを提供し得る。高温分離器塔頂ライン50中の高温蒸気流は、高温分離器48の動作温度の温度を有し得る。
【0099】
高温分離器塔底ライン52中の高温液体流は、高温分離器塔底ライン52中の高温液体流から取り出される、プロセスライン54中の高温プロセス液体流と、同じく高温分離器塔底ライン52中の高温液体流から取り出される、再循環ライン16中の高温再循環液体流との2つの流れに分離され得る。再循環ライン16中の高温再循環液体流は、前述のように、ライン12中のバイオ再生可能供給物流と組み合わされ得る。
【0100】
プロセスライン54中の高温液体流から取り出された高温プロセス液体流は、水素化分解蒸気ライン58’’から供給されるストリッピングガスの助けを借りて、EHSを含み得る水素異性化分離器56’’内で更に分離され得る。高温プロセス液体流は、分離されて、水素異性化蒸気流と、水素異性化液体流とを提供する。水素異性化分離器56’’は、高圧ストリッピングカラムであり得る。水素異性化分離器56’’において、プロセスライン54からの高温プロセス液体流は、カラムを通って流下し、カラムで、水素化分解蒸気ライン58’’からのストリッピングガスと接触することによって、潜在的な異性化触媒毒である水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、プロパン、硫化水素、及びホスフィンが部分的にストリッピングされる。ストリッピングガスは、後述するように、水素化分解反応器150’’及び水素化分解分離器80’’を通過した補給水素ガスを含み得る。
【0101】
水素化分解蒸気ライン58’’中のストリッピングガスは、プロセス液体ライン54中の高温プロセス液体流のための入口の下で水素異性化分離器56’’に入る。水素異性化分離器56’’は、プロセスライン54中の高温プロセス液体流のストリッピングを容易にするために、プロセス液体ライン54中の高温プロセス液体流のための入口と、水素化分解蒸気ライン58’’中のストリッピングガスのための入口との間に位置するトレイ又は充填物などの内部構造物を含み得る。ストリッピングされたガス及びストリッピングガスは、水素異性化分離器56’’の頂部から延在する水素異性化塔頂ライン60’’中の水素異性化蒸気流の中に出て、高温塔頂ライン50中の高温蒸気流、及び水素化分解塔底ライン82’’中の水素化分解液体流、及び任意選択で低温分離器ブートからの低温水性ライン87中の低温水性流と混合して、低温供給ライン84’’中の低温分離器供給物流を提供する。
【0102】
ストリッピングされていてもよい水素異性化液体流は、水素異性化分離器56’’の底部に集まり、水素異性化底部ライン62’’中を塔底ポンプの吸込側まで流れる。水素異性化液体流は、主にディーゼル範囲の物質を含む。
【0103】
水素異性化液体流は、水素化分解水素流の存在下で、水素化分解触媒上で水素化分解され得る。補給ライン86中の補給水素ガスは、補給ガス圧縮機88内で圧縮され、水素異性化塔底ライン62’’からポンプ輸送された水素異性化液体流及び蒸留塔底ライン148’’中の蒸留塔底流と混合されて、水素化分解供給ライン90’’中の組み合わされた水素化分解供給物流を提供し得る。蒸留塔底流は、ジェット燃料規格を作成するには重すぎる可能性がある重質ディーゼルを含む。したがって、蒸留塔底流中の重質ディーゼルを水素化分解することによって、より多くの収率の軽質ディーゼル及びジェット燃料が、生成され得る。
【0104】
水素化分解供給ライン90’’中の組み合わされた水素化分解供給物流は、水素化分解反応器150’’に装入する前に、組み合わされた水素化分解供給物交換器46’’内で、水素異性化ライン42’’中の水素異性化流との熱交換によって加熱され、水素化分解装入ヒーター72’’内で加熱されて、組み合わされた水素化分解供給物流を水素化分解温度にすることができる。水素化分解反応器150’’内の水素化分解は、図1で説明した通りである。
【0105】
水素化分解反応器150’’からの、水素化分解ライン76’’中の水素化分解流は、水素化分解供給水蒸気と比較して、沸点が低下している。水素化分解反応器150’’からの、水素化分解ライン76’’中の水素化分解流は、水素化分解交換器77’’に流れて、低温塔底ライン92中の低温液体流と熱交換して冷却された後、液体水素化分解流と蒸気水素化分解流とに分離するために水素化分解分離器80’’に入る。水素化分解分離器80’’の塔頂から延在する水素化分解塔頂ライン58’’中の蒸気水素化分解流は、水素異性化分離器56’’に流れ、水素異性化分離器56’’内でストリッピングガスとして機能し得る。蒸気水素化分解流の一部分は、任意選択で水素異性化分離器56’’をバイパスし、制御弁を通って低温供給ライン84に入ることができる。
【0106】
図3の実施形態の残りの構成及び動作は、図1及び図2で説明した通りである。
【0107】
図4は、水素化分解触媒の床150’と、水素異性化触媒の床74’とを単一の反応容器190内に位置付けるが、脱オクタデカン装置(deoctadecanizer)カラム200に依存して、軽質ディーゼルと重質ディーゼルとの間の分割を行う、図2の代替実施形態を示す。図4において、図2と同じ構成を有する要素は、図2と同じ参照番号を有する。図2の対応する要素とは異なる構成を有する図4の要素は、同じ参照番号を有するが、アスタリスク記号()で指定される。図4の実施形態の構成及び動作は、図2と本質的に同じであるが、以下の例外がある。
【0108】
ストリッピングされていてもよい、水素化処理塔底ライン62中の水素化処理液体流は、水素化処理分離器56の底部に集まり、脱オクタデカン装置カラム200に流れ、脱オクタデカン装置カラム200は、水素化処理塔底流を蒸留して、塔頂ライン202中の、C17-炭化水素の軽質ディーゼルと軽質ガスとを含む塔頂流と、塔底ライン204中のC18+炭化水素の重質ディーゼルを含む塔底流とを生成する。脱オクタデカン装置カラム200は、好適な高温流との熱交換によって、又は燃焼ヒーター内で再沸騰されて、蒸留に必要な熱を提供し得る。代替的に、ストリッピング媒体ライン206からの水蒸気などの不活性ガスであるストリッピング媒体を用いて、カラムを加熱することができる。脱オクタデカン装置カラム200は、塔頂ライン202内に、ナフサ及びC10~C17の範囲の直鎖炭化水素、並びに水蒸気の塔頂ガス流を提供する。塔頂流は、脱オクタデカン装置受け器210内で、凝縮され、水から分離されて、ライン208中の塔頂液体流中に直鎖C10~C17炭化水素を提供し得る。安定化されていないナフサ流は、受け器210の塔頂ライン212中の正味水蒸気流中に取り込まれ得る。サワー水流は、脱オクタデカン装置受け器210のブートから収集され得る。脱オクタデカン装置塔頂液体流は、ライン86中の補給水素ガス流と組み合わされて、反応容器190内の水素異性化触媒床74’に送られる異性化供給ライン90*中の異性化供給物流を提供し得る。C18+炭化水素の重質ディーゼルを含む脱オクタデカン装置塔底流は、塔底ライン204内を輸送されて、反応容器190内の水素化分解触媒床150’に送られる。
【0109】
脱オクタデカン装置カラム200は、260℃(500°F)~316℃(600°F)の塔底温度、及び0.35MPa(ゲージ圧)(50psig)、好ましくは0.70MPa(ゲージ圧)(100psig)以上~2.0MPa(ゲージ圧)(290psig)以下の塔頂圧力で動作され得る。
【0110】
ライン92中の低温分離器塔底流をジェットストリッパカラム120に輸送して、正味ストリッパ塔頂ライン132中の正味ストリッパ塔頂流中に軽質ガス、及び塔頂液体流134中にナフサを生成することができる。ライン128中のストリッピングされた流れは、ASTM D7566ジェット燃料仕様を満たすジェット生成物であり、ジェット燃料プールに送ることができる。一実施形態では、再循環ライン129は、ジェット生成物流の一部を、ライン208を介して、更なる水素異性化のために水素異性化触媒床74’に再循環させ得る。図4の残りの部分は、図1及び図2について説明したように構成及び動作される。
【0111】
上記のライン、導管、ユニット、デバイス、容器、周囲環境、ゾーン、又は同様のもののいずれも、センサ、測定デバイス、データ捕捉デバイス、又はデータ送信デバイスを含む1つ以上の監視構成要素で装備されてもよい。監視構成要素からの信号、プロセス、又は状態測定値、並びにデータを使用して、プロセス機器内、その周囲、及びその上の状況を監視することができる。監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、プライベート若しくはパブリック、一般的若しくは特定的、直接若しくは間接的、有線若しくは無線、暗号化若しくは非暗号化、及び/又はそれらの組み合わせであってもよい1つ以上のネットワーク又は接続を介して収集、処理、及び/又は送信されてもよい。本明細書は、この点において限定することを意図するものではない。
【0112】
監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムに送信されてもよい。コンピューティングデバイス又はシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、1つ以上のコンピューティングデバイスに1つ以上の工程を含み得るプロセスを実施させる、コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティングデバイスは、1つ以上の監視構成要素から、プロセスと関連付けられた機器の少なくとも一部品に関連するデータを受信するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、データを分析するように構成されてもよい。データの分析に基づいて、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を決定するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を含む暗号化又は非暗号化データを送信するように構成されてもよい。
【0113】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0114】
本開示の第1の実施形態は、バイオ再生可能供給原料を水素化加工するためのプロセスであり、このプロセスは、水素の存在下で、バイオ再生可能供給物流を水素化処理触媒上で水素化処理して、バイオ再生可能供給物流を水素化脱酸素化して水素化処理流を提供することと、水素化処理流から取り出された水素異性化供給物流を、水素の存在下で、水素異性化触媒上で水素異性化して、水素異性化流を提供することと、水素化処理流及び/又は水素異性化流を、水素化加工蒸気流と、水素化加工液体流とに分離することと、水素化加工液体流又は水素異性化流を、任意選択でストリッピング後に、蒸留して、ジェット燃料流及びディーゼル流を生成し、ディーゼル流を水素化分解して、ジェット燃料を含む水素化分解流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素異性化流及び水素化分解流を蒸留することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素異性化流を蒸留することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化分解流を水素異性化することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化分解流を水素異性化することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化分解流を蒸留することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化処理水蒸気を、水素の存在下で、水素異性化触媒上で水素異性化して、水素異性化流を生成することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、分離工程において水素異性化流を分離することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化分解流を水素化加工液体流とともに蒸留することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、ディーゼル流が、重質ディーゼル流であり、蒸留工程において軽質ディーゼル流を生成することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、分離工程において水素化処理流を分離することと、水素化加工液体流を蒸留することと、ジェット燃料流を水素異性化することと、ディーゼル流を水素化分解することと、を更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化分解流をジェット燃料流とともに水素異性化することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素異性化流を水素異性化液体流と、水素異性化蒸気流とに分離することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素異性化液体流をナフサ流と、ジェット燃料流とにストリッピングすることを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一方、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、ディーゼル流中の所与の炭素数のノルマルパラフィンの濃度を、水素異性化流に対して少なくとも2だけ富化することを更に含む、本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。
【0115】
本開示の第2の実施形態は、バイオ再生可能供給原料を水素化加工するためのプロセスであり、このプロセスは、水素の存在下で、バイオ再生可能供給物流を水素化処理触媒上で水素化処理して、バイオ再生可能供給物流を水素化脱酸素化して水素化処理流を提供することと、水素化処理流から取り出された水素異性化供給物流を、水素の存在下で、水素異性化触媒上で水素異性化して、水素異性化流を提供することと、水素異性化流から取り出されたディーゼル流中の所与の炭素数のノルマルパラフィンの濃度を、水素異性化流に対して少なくとも2だけ富化することと、ディーゼル流を水素化分解又は水素異性化して、ジェット燃料を含む水素化分解流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、富化工程が、水素異性化液体流の蒸留によって達成される、本段落の第2の実施形態まのでうちの1つ、一部、又は全てである。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、ディーゼル流を水素化分解することと、水素化分解流を水素異性化することと、を更に含む、本段落の第2の実施形態まのでうちの1つ、一部、又は全てである。
【0116】
本開示の第3の実施形態は、バイオ再生可能供給原料を水素化加工するためのプロセスであり、このプロセスは、水素の存在下で、バイオ再生可能供給物流を水素化処理触媒上で水素化処理して、バイオ再生可能供給物流を水素化脱酸素化して水素化処理流を提供することと、水素の存在下で、水素化処理流を水素異性化触媒上で水素異性化して、水素異性化流を提供することと、水素異性化流を、水素化加工蒸気流と、水素化加工液体流とに分離することと、水素化加工液体流又は水素異性化流を、任意選択でストリッピング後に、蒸留して、ジェット燃料流及びディーゼル流を生成し、ディーゼル流を水素化分解して、ジェット燃料を含む水素化分解流を提供することと、を含む。本開示の一実施形態は、本段落の先行実施形態から、水素化分解流を水素異性化することを更に含む、本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、一部、又は全てである。更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0117】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ再生可能供給原料を水素化加工するためのプロセスであって、
バイオ再生可能供給物流を、水素の存在下で、水素化処理触媒上で水素化処理して、前記バイオ再生可能供給物流を水素化脱酸素化して水素化処理流を提供することと、
前記水素化処理流から取り出された水素異性化供給物流を、水素の存在下で、水素異性化触媒上で水素異性化して、水素異性化流を提供することと、
前記水素化処理流及び/又は前記水素異性化流を、水素化加工蒸気流と水素化加工液体流とに分離することと、
前記水素化加工液体流又は前記水素異性化流を、任意選択でストリッピング後に、蒸留して、ジェット燃料流及びディーゼル流を生成することと、
前記ディーゼル流を水素化分解して、ジェット燃料を含む水素化分解流を提供することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記水素異性化流及び前記水素化分解流を蒸留することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記水素異性化流を蒸留することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。

【国際調査報告】