(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】スキンケアのための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20231031BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231031BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20231031BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/49
A61K8/67
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525584
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2020125138
(87)【国際公開番号】W WO2022088014
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】チュンヤン・ヘ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC081
4C083AC082
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD092
4C083AD162
4C083AD352
4C083AD631
4C083AD632
4C083EE12
(57)【要約】
スキンケアのための組成物であって、親水性相中に、(i)少なくとも1つのC5~C10グリコール;(ii)少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコール;及び(iii)少なくとも1つの親水性化粧用活性成分を含む、組成物。皮膚をケアするための非治療的方法であって、前記組成物を皮膚に適用する工程を含む、方法、並びに皮膚への親水性化粧用活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つのC5~C10グリコール及び少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せの使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンケアのための組成物であって、親水性相中に、
(i)少なくとも1つのC5~C10グリコール;
(ii)少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコール;及び
(iii)少なくとも1つの親水性化粧用活性成分
を含む、組成物。
【請求項2】
C5~C10グリコールが、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、及びデシレングリコールから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
C5~C10グリコールが、組成物の総質量に対して、0.1%から10%、好ましくは0.2質量%から5質量%、より好ましくは0.5質量%から3質量%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールが、R-OH(式中、Rは、18から30個の炭素原子を含む直鎖状アルケニル基を示す)の構造のものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールが、18から24個の炭素原子を有する直鎖状モノアルコールから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールが、組成物の総質量に対して、0.1%から10%、好ましくは1質量%から10質量%、より好ましくは2質量%から8質量%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
親水性化粧用活性成分が、組成物の総質量に対して、0.1%から40%、好ましくは1から35質量%、より好ましくは10質量%から35質量%の範囲の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
芳香剤、キレート剤、保存剤、殺菌剤、界面活性剤、増粘剤、充填剤、pH調節剤、及びそれらの混合物から選択される従来の化粧用アジュバント又は添加剤を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
親水性相中に、組成物の総質量に対して、
(i)0.5質量%から3質量%のペンチレングリコール;
(ii)2質量%から8質量%のオレイルアルコール;並びに
(iii)10質量%から35質量%の、プロキシラン、ナイアシンアミド及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの親水性化粧用活性成分
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
親水性相が、水及びC2~C4グリコールから選択される少なくとも1つの溶媒を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
皮膚をケアするための非治療的方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に適用する工程を含む、方法。
【請求項12】
皮膚への親水性化粧用活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つのC5~C10グリコール及び少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せの使用。
【請求項13】
少なくとも1つのC5~C10グリコールが、C5~C8グリコールから選択され、少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールが、R-OH(式中、Rは、18から24個の炭素原子を含む直鎖状アルケニルを示す)の構造のモノアルコールから選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
少なくとも1つのC5~C10グリコールがペンチレングリコールであり、少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールがオレイル油である、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
親水性化粧用活性成分が、プロキシラン、ナイアシンアミド、及びそれらの混合物から選択される、請求項13又は14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。特に、本発明は、スキンケアのための組成物に関する。本発明はまた、皮膚をケアするための非治療的方法、並びに皮膚への水溶性化粧用活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つのC5~C10グリコール及び少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、人体のための保護バリアである。皮膚は、物理的損傷(例えば外傷)及び生物学的損傷(例えば、細菌、ウイルス、又は菌)から、体の内部を保護する。人体の皮膚は、真皮と表皮とを含む。表皮とは皮膚の最上層であり、その表層は角質層と呼ばれる。
【0003】
皮膚及び/又は唇のケア及び/又はメイクアップ専用の配合の開発には、終わりがない。
【0004】
これまでに、化粧用活性成分を含む組成物に関するいくつかの先行技術文献が公表されている。
【0005】
JP-A-2011-73992は、以下の成分(A)~(F)を含む組成物を開示している:(A)10~50質量部の、ポリグリセリン及び8から22個の炭素原子を有する脂肪酸から得られる、HLBが10~18の1つ又は複数のポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)1~30質量部の、グリセリン及び8から22個の炭素原子を有する脂肪酸から得られる、1つ又は複数の脂肪酸モノグリセリド、(C)0.1~30質量部の、25℃で液体の形態の油、(D)10~35質量部の多価アルコール、(E)5~40質量部の水、並びに(F)0.01~10質量部のセラミド。
【0006】
WO2005/065630A1は、(A)親水性の非イオン性界面活性剤、(B)親油性の非イオン性界面活性剤、(C)油、(D)油と非混和性の水性溶媒であって、親水性の非イオン性界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.m.c)が水中でのものよりも高い水性溶媒、及び(E)水を含む、単相のマイクロエマルション組成物を開示している。
【0007】
WO2004/045566は、(a)セラミド、(b)油成分、(c)非イオン性界面活性剤、及び(d)水を含み、且つ平均粒径が100から300nmであるO/Wエマルションからなる半透明の化粧料を開示している。
【0008】
しかしながら、ケラチン物質をケアするための化粧用活性成分を含有する多くの組成物について、含有される活性成分はケラチン物質に浸透するのが困難である。
【0009】
化粧用活性成分を含有する組成物について、角質層への活性成分の浸透は、最も重要な特性のうちの1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】JP-A-2011-73992
【特許文献2】WO2005/065630A1
【特許文献3】WO2004/045566
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、角質層への含有される化粧用活性成分の浸透の点で改善された効果を有する、皮膚をケアするための組成物を配合する必要性がなお存在している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、ここで、角質層への含有される化粧用活性成分の浸透の点で改善された効果を有するそのような組成物を配合することが可能であることを発見した。
【0013】
したがって、第1の態様において、本発明は、スキンケアのための組成物であって、親水性相中に、
(i)少なくとも1つのC5~C10グリコール;
(ii)少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコール;及び
(iii)少なくとも1つの親水性化粧用活性成分
を含む組成物に関する。
【0014】
本発明の組成物は、エマルション又は液体、例えば、化粧液(toner)又は美容液(serum)の形態であり得る。
【0015】
第2の態様において、本発明は、皮膚をケアするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物を皮膚に適用する工程を含む、方法に関する。
【0016】
本発明による組成物中に含有される親水性化粧用活性成分は、角質層に容易に浸透し得ることが見出された。
【0017】
第3の態様において、本発明は、皮膚への親水性化粧用活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つのC5~C6グリコール及び少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せの使用に関する。
【0018】
本発明の他の主題及び特徴、態様及び利点は、以下の発明を実施するための形態及び実施例から更により明解となるであろう。
【0019】
以下、本発明の実施を、添付の図面を参照し、例としてのみ記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ナイアシンアミドについての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す図である。
【
図2】プロキシラン(proxylane)についての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す図である。
【
図3】背景1の組成物についてのナイアシンアミド(Niacinamide)及びプロキシラン(Proxylane)の浸透プロファイルを示す図である。
【
図4】背景2の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す図である。
【
図5】比較の配合1の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す図である。
【
図6】比較の配合2の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す図である。
【
図7】比較の配合3の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す図である。
【
図8】発明の配合1の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す図である。
【
図9】比較の配合1~3及び発明の配合1の組成物についてのナイアシンアミドの浸透プロファイルの比較を示す図である。
【
図10】比較の配合1~3及び発明の配合1の組成物についてのプロキシランの浸透プロファイルの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の態様によると、本発明は、スキンケアのための組成物であって、親水性相中に、
(i)少なくとも1つのC5~C10グリコール;
(ii)少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコール;及び
(iii)少なくとも1つの親水性化粧用活性成分
を含む、組成物を提供する。
【0022】
別段の定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における用語の定義が、本発明が属する分野の当業者によって通常理解される意味と相反する場合、本明細書に記載される定義が適用されることになる。
【0023】
以下の記載において、別段の指示がない限り、特に「…から…の間」及び「…から…の範囲」という表現において、値の範囲の限界値はその範囲内に含まれる。
【0024】
更に、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等である。
【0025】
本出願全体にわたって、「含む(comprising)」という用語は、全ての具体的に言及される特徴に加えて、任意選択の追加の不特定の特徴を包含すると解釈されたい。本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、具体的に言及される特徴以外の特徴が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0026】
別段の指定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される、成分の量等を表現する全ての数値は、「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、逆のことが示されていない限り、本明細書に記載される数値及びパラメーターは、必要に応じて所望の目的に従って変更可能なおよその値である。
【0027】
本発明における全ての百分率は、別段の指定がない限り、質量百分率を指す。
【0028】
親水性相
第1の態様によると、本発明の組成物は、親水性相を含む。
【0029】
親水性相は、水及びC2~C4グリコールから選択される少なくとも1つの溶媒を含む。
【0030】
好ましくは、親水性相は、(室温25℃において)水と混和性の少なくとも1つの有機溶媒、例えば、エタノール、イソプロパノール等の2から6個の炭素原子を有するモノアルコール、グリセリン等のトリオール等を含む。
【0031】
一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物の親水性相は、水及びグリセリンを含む。
【0032】
存在する場合、水は、好ましくは、組成物の総質量に対して、1質量%から80質量%、好ましくは5質量%から77質量%、より好ましくは10質量%から75質量%の範囲の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0033】
前記親水性相は、好ましくは、組成物の総質量の10質量%から99質量%、より好ましくは20質量%から90質量%、更により好ましくは50質量%から85質量%の範囲の量で存在する。
【0034】
C5~C10グリコール
第1の態様によると、本発明の組成物は、少なくとも1つのC5~C10グリコールを含む。
【0035】
好ましくは、グリコールは、5~8個の炭素原子を有する、すなわち、C5~C8グリコールである。
【0036】
より好ましくは、グリコールは、C5~C6グリコールから選択される。
【0037】
したがって、一部の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも1つのC5~C8グリコール、好ましくはC5~C6グリコールを含む。
【0038】
本発明の組成物において使用することができるC5~C10グリコールの例として、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、及びデシレングリコールを挙げることができる。
【0039】
本発明において、グリコールの定義は、全ての可能な異性体を含む。例えば、ペンチレングリコールは、1,5-ペンチレングリコール、2,4-ペンチレングリコール等を含む。
【0040】
より好ましい実施形態では、組成物はペンチレングリコールを含む。
【0041】
有利には、C5~C10グリコールは、組成物の総質量に対して、0.1%から10%、好ましくは0.2質量%から5質量%、より好ましくは0.5質量%から3質量%の範囲の量で存在する。
【0042】
直鎖状不飽和C18~C30モノアルコール
第1の態様によると、本発明の組成物は、少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールを含む。
【0043】
直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールは、R-OH(式中、Rは、18から30個の炭素原子を含む直鎖状アルケニル基を示す)の構造のものである。
【0044】
好ましくは、直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールは、R-OH(式中、Rは、18から24個の炭素原子を含む直鎖状アルケニルを示す)の構造のモノアルコールから選択される。
【0045】
最も好ましくは、直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールはオレイルアルコールである。
【0046】
直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの市販製品としては、BASF社によりHD OCENOL 80/85 V/MBの名称で、又はCRODA社によりCRODACOL A 10の名称で販売されているオレイルアルコールを挙げることができる。
【0047】
有利には、直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールは、組成物の総質量に対して、0.1%から10%、好ましくは1質量%から10質量%、より好ましくは2質量%から8質量%の範囲の量で存在する。
【0048】
親水性化粧用活性成分
第1の態様によると、本発明の組成物は、少なくとも1つの親水性化粧用活性成分を含む。
【0049】
本発明の目的で、「親水性化粧用活性成分」という用語は、上記で定義される親水性相に可溶又は分散可能な(disperable)化粧用活性成分を意味する。
【0050】
親水性化粧用活性成分の例としては、以下を挙げることができる:
- テレフタリリデンジカンファースルホン酸(Ecamsule)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ベンゾフェノン-4、アミノ安息香酸(PABA)、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(Bisoctrizole)、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート(ビスジスリゾール二ナトリウム)、トリス-ビフェニルトリアジン;それらの誘導体及び対応する塩;ナフタリンビスイミド誘導体、及びシンナミドアミンカチオン性四級塩及び誘導体、及びそれらの混合物;
- プロキシラン(ヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール)、フラボン、スチルベノイド、タンニン、フェノール酸、ポリフェノール、ビタミン、キサンチン、セラミド、コレステロール、スフィンゴシン、C-グリコシド、両性イオン性N置換アミノスルホン酸緩衝剤、糖、核酸、a-及びβ-ヒドロキシ酸、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジヒドロキシアセトン、植物性抽出物、アミノ酸、及びペプチド、それらの誘導体、及びそれらの組合せ;並びに
- アスコルビン酸及びその生体適合性塩、酵素、抗生物質、引き締め効果を有する成分、アルファ-ヒドロキシ酸及びそれらの塩、水酸化ポリ酸、スクロース及びそれらの誘導体、尿素、アミノ酸、オリゴペプチド、カルノシン、アセチルテトラペプチド-9、パルミトイルトリペプチド-1、水溶性植物及び酵母抽出物、タンパク質加水分解物、ヒアルロン酸、ムコ多糖、ビタミンB2、B3(ナイアシンアミド)、B6、H及びPP、パンテノール、葉酸、アセチルサリチル酸、アラントイン、グリシルレチン酸、コウジ酸、及びヒドロキノン。
【0051】
好ましくは、親水性化粧用活性成分は、プロキシラン(ヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール)、ナイアシンアミド、及びそれらの混合物から選択される。
【0052】
有利には、親水性化粧用活性成分は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から40質量%、好ましくは1から35質量%、より好ましくは10質量%から35質量%の範囲の量で存在する。
【0053】
脂肪相
一部の実施形態では、本発明の組成物は脂肪相を更に含む。
【0054】
前記脂肪相は、好ましくは、少なくとも1つの油を含む。油は、揮発性又は不揮発性とすることができる。
【0055】
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である、水不混和性の非水性化合物を意味する。
【0056】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧においてケラチン物質上に少なくとも数時間残ることがあり、とりわけ10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。不揮発性油はまた、先に規定した条件下で30分後の蒸発量が0.07mg/cm2未満であるような蒸発速度を有すると定義することもできる。
【0057】
これらの油は、植物、鉱物又は合成起源のものであってもよい。
【0058】
好ましくは、前記油は、炭化水素化油、シリコーン油、又はフッ素油から選択される。
【0059】
「炭化水素系油」又は「炭化水素化油」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択でO及びN原子から本質的に形成されるか、又は更には構成され、Si及びFヘテロ原子を含まない油を意味する。そのような油は、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有し得る。
【0060】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、とりわけSi-O基を含有する油を意味する。
【0061】
「フッ素油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を意味する。
【0062】
脂肪相は、例えば、組成物の総質量に対して、0.01質量%から50質量%、好ましくは0.05質量%から30質量%、より好ましくは0.1質量%から10質量%の範囲の量で存在し得る。
【0063】
更なるアジュバント又は添加剤
本発明の組成物は、従来の化粧用アジュバント又は添加剤、例えば、芳香剤、キレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム)、保存剤(例えば、クロルフェネシン及びフェノキシエタノール)及び殺菌剤、界面活性剤、増粘剤、充填剤、pH調節剤(例えば、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0064】
特に好ましい実施形態によると、本発明は、親水性相中に、組成物の総質量に対して、
(i)0.5質量%から3質量%のペンチレングリコール;
(ii)2質量%から8質量%のオレイルアルコール;並びに
(iii)10質量%から35質量%の、プロキシラン、ナイアシンアミド及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの親水性化粧用活性成分
を含む、スキンケアのための組成物を提供する。
【0065】
方法及び使用
第2の態様によると、本発明は、皮膚をケアするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物を皮膚に適用する工程を含む、方法に関する。
【0066】
特に、ケラチン物質は皮膚である。
【0067】
したがって、第2の態様の実施形態において、本発明は、皮膚をケアするための非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物を皮膚に適用する工程を含む、方法を提供する。
【0068】
第3の態様において、本発明は、皮膚への親水性化粧用活性成分の浸透を改善するための、少なくとも1つのC5~C10グリコール及び少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せの使用に関する。
【0069】
C5~C10グリコール及び直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールは、上記の通りに定義される。
【0070】
好ましくは、少なくとも1つのC5~C10グリコールは、C5~C8グリコールから選択され、少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールは、R-OH(式中、Rは、18から24個の炭素原子を含む直鎖状アルケニルを示す)の構造のモノアルコールから選択される。
【0071】
より好ましくは、少なくとも1つのC5~C10グリコールはペンチレングリコールであり、少なくとも1つの直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールはオレイル油である。
【0072】
好ましくは、親水性化粧用活性成分は、プロキシラン、ナイアシンアミド、及びそれらの混合物から選択される。
【0073】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つが、本質的に限定するものではない。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
組成物の調製
比較の配合(Comp.)及び発明の配合(Inv.)による組成物を、Table 1(表1)に示す含有量に従って調製した(含有量は、別段の指示がない限り、各組成物の総質量に対する活性材料の質量百分率として表される)。
【0075】
【0076】
比較の配合1の組成物は、C5~C10グリコール及び直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールを含まない。
【0077】
比較の配合2の組成物は、C5~C10グリコールを含まない。
【0078】
比較の配合3の組成物は、直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールを含まない。
【0079】
以下の2つの組成物をまた、Table 2(表2)に示す含有量に従って、下記のラマン分光法試験のためのベースラインのためのベースライン組成物として調製した(含有量は、別段の指示がない限り、各組成物の総質量に対する活性材料の質量百分率として表される)。
【0080】
【0081】
調製方法:
上記に列挙される組成物を、発明の配合1の組成物を例にとって、以下の通り調製した。
1.水、ナイアシンアミド、ヒドロキシプロピルテトラヒドロピラントリオール(プロキシラン)、ペンチレングリコール、グリセリン、フェノキシエタノール、水酸化カリウムを混合して親水性相を得、親水性相を75℃に加熱する;
2.ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル(及び)PEG-100ステアレート、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、イソノナン酸イソノニル、ブチロスパーマム・パーキー(butyrospermum parkii)(シア)バター、カプリリルメチコン、ビス-PEG/PPG-16/16 PEG/PPG-16/16ジメチコン(及び)カプリル/カプリン酸トリグリセリド;ミリスチン酸ミリスチル、及びオレイルアルコールを混合して油相を得、油相を85℃に加熱する;
3.油相を親水性相に添加し、1500~2000rpmで10分間均質化して、混合物を得る;
4.ポリアクリル酸ナトリウム及びキサンタンガムを混合物に添加する;
5.混合物を55℃に冷却し、(必要であれば)芳香剤を添加し、室温に冷却して組成物を得る。
【0082】
(実施例2)
組成物の評価
実施例1において調製した各組成物中の化粧用活性成分の浸透を、以下の通り特徴付けた。
【0083】
i)皮膚組織サンプルの調製
9mg/cm2に相当する各配合の組成物6ulを、0.8cm×0.8cmのブタの皮(食品産業由来のブタの耳の皮)に均一に適用した。次いで、ブタの皮のサンプルを下層にPBSを含むインサートメンブレンに貼り、続いて、95%RHで2時間、37℃でインキュベートした。処理したサンプルをOCT組織凍結培地に包埋し、次いで、凍結させ、20μm厚さの凍結切片にした。これを更に、ラマン共焦点走査のためにCaF2基質上に置いた。各配合について3つのブタサンプルを調製した。各処理サンプルのラマン共焦点マッピングを取得した。
【0084】
ii)ラマン分光法
LabRam HR Evolution(Horiba Jobin-Yvon社、Villeneuve-d'Ascq、France)ラマン共焦点顕微鏡を使用した。×50LM Plan対物レンズ(Olympus社、NA 0.75、Rungis、France)を取り付け、サンプルに対して8mWの出力で532nm DPSSレーザーを使用して、ラマンスペクトルを得た。全ての測定について、共焦点ホールを100μm直径に設定した。試験前に、システムを、ケイ素の520.7cm-1スペクトル線にスペクトル較正した。600の線/mmの格子を使用する電荷結合デバイス(CCD)検出器上にラマンシフト放射線を分散することによって、検出を促進した。
【0085】
純粋な化粧用活性成分について、25%レーザー強度及び10秒間の取得時間で、400~2000cm-1スペクトル範囲について、単一点スペクトルを取得した。
【0086】
サンプル評価におけるマッピングについて、ステップサイズは、X及びY方向いずれも3μmであった。取得面積は18×150μmであった。各スポットについて、50%レーザー強度及びスペクトル当たり5秒間の取得時間を使用した。スペクトル範囲は400~2000cm-1であった。
【0087】
iii)データ分析
Matlabを使用して、非負の制約付き最小二乗(NCLS)分析を実施した。統計分析の前に、ラマンスペクトルを線形ベースライン補正にかけた。400~2000cm-1フィンガープリントの化粧用活性成分スペクトルを分析のために使用した。
【0088】
図1は、ナイアシンアミドについての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す。
【0089】
図2はプロキシランについての400~2000cm
-1のラマンスペクトルを示す。
【0090】
NCLS結果の簡単な説明は、以下の通り定義できる:
Ss=(SR1*C1)+(SR2*C2)+……+(SRi*Ci)+R*CR
Ss:処理したブタの皮のサンプルの1ピクセルの取得ラマンシグナル;
SRi:未処理のブタにおける各仮定成分(PCA成分)のラマンシグナル;
R:純粋な化粧用活性成分のラマンシグナル;
Ci:正確なピクセルにおける各仮定成分(PCA成分)の係数;
CR:正確なピクセルにおける化粧用活性成分の係数;
【0091】
活性成分の演算係数指数を使用して、外皮角質層からより深い真皮部分へのACIの分布プロファイルを生成することができる。
【0092】
図3は、背景1の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す。
【0093】
図4は、背景2の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す。
【0094】
図5は、比較の配合1の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す。
【0095】
図6は、比較の配合2の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す。
【0096】
図7は、比較の配合3の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す。
【0097】
図8は、発明の配合1の組成物についてのナイアシンアミド及びプロキシランの浸透プロファイルを示す。
【0098】
図9は、比較の配合1~3及び発明の配合1の組成物についてのナイアシンアミドの浸透プロファイルの比較を示す。
【0099】
図10は、比較の配合1~3及び発明の配合1の組成物についてのプロキシランの浸透プロファイルの比較を示す。
【0100】
図9から、C5~C10グリコール及び直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せは、局所適用後に皮膚へのナイアシンアミドの浸透を改善することができることが分かる。
【0101】
図10から、C5~C10ポリオール及び直鎖状不飽和C18~C30モノアルコールの組合せは、局所適用後に皮膚へのプロキシランの浸透を改善することができることが分かる。
【国際調査報告】