(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】サンプリング部材、電池、電力消費装置、サンプリング部材製造及びサンプリング方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/583 20210101AFI20231101BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20231101BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20231101BHJP
【FI】
H01M50/583
H01M50/298
H01M50/569
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509719
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2021122178
(87)【国際公開番号】W WO2023050310
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】王▲沖▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼智明
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲陳▼▲鈴▼
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040DD08
5H040DD26
5H043AA05
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA07
5H043BA18
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA05
5H043CA08
5H043GA03
5H043HA22
(57)【要約】
本出願は、サンプリング部材(40)を提供し、このサンプリング部材(40)は、本体部(410)とラップ部(420)とを含み、本体部(410)は、サンプリング信号を伝送するために用いられ、ラップ部(420)の一端は、前記本体部(410)にラップされ、ラップ部(420)の他端は、サンプリングすべき点にラップされ、サンプリング信号を収集するために用いられ、そして、ラップ部(420)には、本体部に対して溶断保護を行うための溶断構造(422)が設置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング部材であって、
本体部とラップ部とを含み、
前記本体部は、サンプリング信号を伝送するために用いられ、
前記ラップ部の一端は、前記本体部にラップされ、前記ラップ部の他端は、サンプリングすべき点にラップされ、サンプリング信号を収集するために用いられ、そして、前記ラップ部には、前記本体部に対して溶断保護を行うための溶断構造が設置される、ことを特徴とするサンプリング部材。
【請求項2】
前記本体部は、導線と絶縁層とを含み、前記絶縁層は、前記導線の表面に被覆され、前記導線を隔離するために用いられ、前記導線は、前記絶縁層における前記サンプリングすべき点に対応する位置に露出し、前記ラップ部の前記一端は、前記導線の露出箇所にラップされる、ことを特徴とする請求項1に記載のサンプリング部材。
【請求項3】
前記本体部は、複数本の導線と複数のラップ部とを含み、
各前記導線は、それぞれ前記絶縁層における各サンプリングすべき点に対応する位置に露出し、
各前記ラップ部の前記一端は、それぞれ各前記導線の露出箇所にラップされる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサンプリング部材。
【請求項4】
前記ラップ部は、前記本体部に垂直にラップされる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサンプリング部材。
【請求項5】
前記ラップ部は、接続部と溶断部とを含み、
前記接続部は、前記溶断部の両端に位置し、前記溶断部をそれぞれ前記本体部とサンプリングすべき点に接続するために用いられる、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のサンプリング部材。
【請求項6】
前記溶断部は、チップ抵抗又は抵抗線を含む、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリング部材。
【請求項7】
前記溶断部は、エッチングラインを含む、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリング部材。
【請求項8】
前記ラップ部は、フレキシブルフラット導線であり、前記溶断部の導線の断面積は、前記接続部の導線の断面積よりも小さい、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリング部材。
【請求項9】
前記接続部と溶断部の表面には、被膜が設置される、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリング部材。
【請求項10】
前記接続部は、溶接、圧着、カシメ又は接着方式により前記導線の露出箇所に設置される、ことを特徴とする請求項5に記載のサンプリング部材。
【請求項11】
電池であって、電池セルと請求項1から10のいずれか1項に記載のサンプリング部材とを含み、
前記サンプリング部材は、ラップ部を介して各前記電池セルに接続され、電池セルをサンプリングするために用いられる、ことを特徴とする電池。
【請求項12】
電力消費装置であって、請求項11に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するためのものである、ことを特徴とする電力消費装置。
【請求項13】
サンプリング部材の製造方法であって、
サンプリング信号を伝送するための本体部と、ラップ部とを提供することと、
前記ラップ部の一端を前記本体部にラップし、サンプリング信号を収集するために、前記ラップ部の他端をサンプリングすべき点にラップすることと、
前記本体部に対して溶断保護を行うために、前記ラップ部に溶断構造を設置することとを含む、ことを特徴とするサンプリング部材の製造方法。
【請求項14】
前記本体部を前記サンプリングすべき点に対応する位置に露出させ、前記ラップ部の前記一端を前記本体部の露出箇所にラップする、ことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
電池サンプリング方法であって、
ラップ部を設置し、サンプリング信号を収集するために、前記ラップ部の一端を電池サンプリングすべき点にラップすることと、
本体部を設置し、前記ラップ部の他端を前記本体部にラップし、前記サンプリング信号を前記本体部を介して制御システムに伝送することと、
前記ラップ部に溶断構造を設置し、本体部が短絡すると、前記本体部に対して溶断保護を行うこととを含む、ことを特徴とする電池サンプリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池分野に関し、具体的にサンプリング部材、電池、電力消費装置、サンプリング部材製造及びサンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネと汚染物質の排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵であり、電気車両は、その省エネ・環境保護の優位性から、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電気車両にとって、電池技術は、またその発展に関わる重要な要素である。
【0003】
電池の普及に伴い、その安全問題もますます多くなり、電池は使用中に頻繁な充電と放電が必要であるため、充電と放電中に自然発火や爆発などの安全問題が非常に発生しやすい。本出願の発明者らは、研究において、どのように電池の内部の電流状況を効果的に監視し、且つ電流が大きすぎる場合にタイムリーに保護するかが、電池の安全問題の発生を防止するのに重要な方式になることを発見した。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は、従来の技術に存在する採用中における電池安全の問題を解決するためのサンプリング部材、電池、電力消費装置、サンプリング部材製造及びサンプリング方法を提案する。
【0005】
本出願の実施例は、サンプリング部材を提供し、このサンプリング部材は、本体部とラップ部とを含み、本体部は、サンプリング信号を伝送するために用いられ、ラップ部の一端は、本体部にラップされ、ラップ部の他端は、サンプリングすべき点にラップされ、サンプリング信号を収集するために用いられ、そして、ラップ部には、本体部に対して溶断保護を行うための溶断構造が設置される。
【0006】
本出願の実施例は、サンプリング部材の構造を変えることによって、サンプリング回路とサンプリングすべき点との接続プロセスを簡略化し、構造が簡単であり、メンテナンスが容易で迅速である。また、ラップ部に溶断部を設置することによって、本体部に対する溶断保護を実現し、ラップ部を介してサンプリングすべき点を本体部に接続するとともに、溶断保護の役割を果たすことができ、さらなる溶断保護回路を設置する必要がなく、構造が簡単であり、電池の内部の空間を大幅に節約する。
【0007】
いくつかの実施例では、本体部は、導線と絶縁層とを含み、絶縁層は、導線の表面に被覆され、導線を隔離するために用いられ、導線は、絶縁層におけるサンプリングすべき点に対応する位置に露出し、ラップ部の一端は、導線の露出箇所にラップされる。
【0008】
本体部の絶縁層における各サンプリングすべき点に対応する位置に開口を設置して露出箇所を形成することによって、ラップ部を本体部に容易に電気的に接続することができ、構造が簡単である。
【0009】
いくつかの実施例では、本体部は、複数本の導線と複数のラップ部とを含み、各導線は、それぞれ絶縁層における各サンプリングすべき点に対応する位置に露出し、各ラップ部の一端は、それぞれ各導線の露出箇所にラップされる。本体部を介して複数のサンプリングすべき点をサンプリングすることを実現し、サンプリング効率を向上させるとともに、構造がコンパクトで、空間を節約する。
【0010】
いくつかの実施例では、ラップ部は、本体部に垂直にラップされる。このような方式により、ラップ部と本体部との接続強度を保証するのに有利であり、サンプリング部材のパイプライン化生産加工にも有利である。
【0011】
いくつかの実施例では、ラップ部は、接続部と溶断部とを含み、接続部は、溶断部の両端に位置し、溶断部をそれぞれ本体部とサンプリングすべき点に接続するために用いられる。溶断部の両端にそれぞれ接続部を設置することによって、サンプリングすべき点と本体部の接続を容易に実現することができ、接続方式が柔軟に変化する。
【0012】
いくつかの実施例では、溶断部は、チップ抵抗又は抵抗線を含む。チップ抵抗又は抵抗線の方式を採用し、構造が簡単であり、製造が容易であり、そして、生産成本が比較的低い。
【0013】
いくつかの実施例では、溶断部は、エッチングラインを含む。このような方式によって、電池の使用中に溶断部に予期しない破断が発生することを低減させることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、ラップ部は、フレキシブルフラット導線であり、溶断部の導線の断面積は、接続部の導線の断面積よりも小さい。フレキシブルフラット導線を狭くするように溶断部を設置することによって、ラップ部を一体にすることができ、構造がより簡単になる。
【0015】
いくつかの実施例では、接続部と溶断部の表面には、被膜が設置される。本出願の実施例では、接続部と溶断部の表面に被膜を塗布することによって、ラップ部の強度を増加させ、より良い保護作用を果たすことができる。
【0016】
いくつかの実施例では、接続部は、溶接、圧着、カシメ又は接着方式により導線の露出箇所に設置され、接続方式の多様化を実現する。
【0017】
本出願のいくつかの実施例は、電池をさらに提案し、この電池は、電池セルと上記実施例によるサンプリング部材とを含み、サンプリング部材は、ラップ部を介して各電池セルに接続され、電池セルをサンプリングするために用いられる。
【0018】
本出願のいくつかの実施例は、電気エネルギーを提供するための上記実施例による電池を含む電力消費装置をさらに提案する。
【0019】
本出願のいくつかの実施例は、サンプリング部材の製造方法をさらに提案し、方法は、
サンプリング信号を伝送するための本体部と、ラップ部とを提供することと、
ラップ部の一端を本体部にラップし、サンプリング信号を収集するために、ラップ部の他端をサンプリングすべき点にラップすることと、本体部に対して溶断保護を行うために、ラップ部に溶断構造を設置することとを含む。
【0020】
いくつかの実施例では、方法は、本体部をサンプリングすべき点に対応する位置に露出し、ラップ部の一端を本体部の露出箇所にラップすることをさらに含む。
【0021】
上記サンプリング部材製造方法で生産されたサンプリング部材は、サンプリング回路とサンプリング点との接続プロセスを簡略化し、構造が簡単であり、また、ラップ部に溶断部を設置することによって、本体部に対する溶断保護を実現し、ラップ部を介してサンプリングすべき点を本体部に接続するとともに、溶断保護の役割を果たすことができ、さらなる溶断保護回路を設置する必要がなく、構造が簡単であり、電池の内部の空間を大幅に節約する。
【0022】
本出願のいくつかの実施例は、電池サンプリング方法をさらに提案し、方法は、
ラップ部を設置し、サンプリング信号を収集するために、ラップ部の一端を電池サンプリングすべき点にラップすることと、
本体部を設置し、ラップ部の他端を本体部にラップし、サンプリング信号を本体部を介して制御システムに伝送することと、
ラップ部に溶断構造を設置し、本体部が短絡すると、本体部に対して溶断保護を行うこととを含む。
【0023】
本出願の実施例による電池サンプリング方法により、電池を容易にサンプリングすることができ、電池の構造的複雑さを増加させることなく、実施方法が簡単かつ効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで説明される図面は、本出願に対するさらなる理解を提供するためのものであり、本出願の一部を構成し、本出願の概略的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願に対する不当な限定を構成するものではない。図面において、
【
図1】よく使われるサンプリング部材構造の概略図である。
【
図2】本出願の実施例による車両の構造の概略図である。
【
図3】本出願の実施例による電池の分解構造の概略図である。
【
図4】本出願の実施例による電池構造の概略図である。
【
図5】本出願の実施例によるサンプリング部材構造の概略図である。
【
図6】本出願の実施例によるサンプリング部材本体部の概略図である。
【
図7】本出願の実施例によるラップ部構造の概略図である。
【
図8】本出願の実施例による別のラップ部構造の概略図である。
【
図9】本出願の実施例による第三種のラップ部構造の概略図である。
【
図10】本出願の実施例によるサンプリング部材製造方法のフローチャートである。
【
図11】本出願の実施例による電池サンプリング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0026】
特に定義されない限り、本出願に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本出願では出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものであり。
【0027】
本出願に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に記述された実施例が他の実施例と組み合わせられることが可能であることを明示的にと非明示的に理解する。
【0028】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「付設」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0029】
本出願における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0030】
本出願に出現された「複数の」は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指し、「複数枚」は、二枚以上(二枚を含む)を指す。
【0031】
本出願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本出願の実施例は、これについても限定しない。電池セルは、一般的にはパッケージングの方式によって、柱形電池セル、直方体角型電池セル及びパウチ電池セルという3種類に分けられ、本出願の実施例は、これについても限定しない。
【0032】
現在、技術の発展に伴い、動力電池の応用はますます広くなっている。動力電池は、水力、火力、風力、太陽光発電所などのエネルギー蓄積電源システムのみならず、バッテリ車、電気バイク、電気自動車などの電気交通工具、及び軍事装備と航空宇宙などの分野で広く応用されている。動力電池の応用分野の絶えない拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず拡大している。
【0033】
本出願の発明者らは、以下のことを見出した。電池は、充電と放電中に、電流が大きすぎる場合があり、電池の電流が大きすぎると電池内部が短絡したり、温度が高すぎたりして、さらに自然発火や爆発などを引き起こすことがある。電池の内部の電流が大きすぎると、大電流は、電池セルに電気的に接続される電池サンプリング回路を通過する。従来の電池サンプリング信号は、一般的にはフレキシブルフラットケーブル(FFC)を介して電池管理システムに伝送されるが、従来のフレキシブルフラットケーブルは、一般的には、絶縁体と、この絶縁体に平行に設置される若干の導電体とを含み、導電体は、等幅の長尺状を呈し、その各位置の縦断面の面積がいずれも等しいため、導電体全体の各位置の抵抗値が等しい。大電流が通過すると、このようなフレキシブルフラットケーブルは、溶断保護の機能を具備せず、電池管理システムに直接に損傷を与えることになる。
【0034】
図1は、本出願の発明者らが発現した、電池の内部を監視するよく使われるサンプリング回路構造図を示し、前記サンプリング回路は、電池の内部に設置され、各サンプリング点では、フレキシブルフラット回線を切断した後、折り曲げ処理を行って電池セルに直接に接続することによって、電池セルの入力又は出力信号に対するサンプリングを実現する。本出願者は、回線を折り曲げる方式を採用してサンプリング回路を電池セルに接続すると、プロセスが比較的複雑であり、特に折り曲げる時、折り曲げ位置決めの精度を保証することが難しく、折り曲げられた角度を保持できないなどの問題もある。
【0035】
本出願の発明者らは、さらに、電池管理システムの制御機器に対する保護を実現するために、一般的にはフレキシブルフラット線路に溶断回路を直接に設置し、前記電池セルに入力又は出力された電流値がある閾値よりも大きいと、前記溶断回路が自動的に溶断保護を行うことを発見した。従来の溶断保護方式では、溶断保護回路に対して溶断保護を行った後、フレキシブルフラット線路全体を廃棄する必要があり、すべてのフレキシブルフラット回路を交換する必要があるため、電池メンテナンス操作が複雑で、メンテナンス成本が非常に大きい。
【0036】
上記の考慮に基づいて、本出願の実施例は、従来の技術に存在する上記問題を解決するためのサンプリング部材、サンプリング方法、サンプリング部材製造方法、及びこのサンプリング部材を採用する該当する電池並びに電力消費装置を提案する。本出願の実施例では、サンプリング回路と溶断保護回路を集積して、前記サンプリング部材が信号サンプリングと溶断保護の機能を同時に持つようになる。また、二つの部分をラップする方式により、サンプリング回路を電池セルに接続し、電池セルの接続を実現するにはフレキシブル回路を折り曲げる必要がある方式を廃止し、回路サンプリングのプロセスを簡略化し、メンテナンス電池の複雑さを低減させ、電池の安全性を向上させる。
【0037】
本出願の実施例に開示されたサンプリング部材、サンプリング方法、サンプリング部材製造方法、及びこのサンプリング部材を採用する該当する電池は、車両、船舶又は航空機などの電力消費装置に用いることができるが、これらに限定されない。本出願に開示されたサンプリング部材、電池などの構成を備えるこの電力消費装置の電源システムを用いることができ、このように、電池の安全性の向上に有利である。
【0038】
本出願の実施例は、電池を電源として使用する電力消費装置を提供し、電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、バッテリ車、電気自動車、汽船、宇宙航空機などであってもよいが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は、据置型又は移動型の電動玩具、例えばゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具及び電気飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含んでもよい。
【0039】
以下の実施例は、説明の便宜上、本出願の一実施例の電力消費装置が車両1000であることを例として説明する。
【0040】
図2を参照すると、
図2は、本出願の実施例による車両1000の構造の概略図である。車両1000は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1000の内部に電池100が設置され、電池100は、車両1000の底部又は頭部又は後部に設置されてもよい。電池100は、車両1000への給電に用いられてもよく、例えば電池100は、車両1000の操作電源としてもよい。車両1000は、コントローラ200とモータ300とをさらに含んでもよく、コントローラ200は、モータ300に給電するように電池100を制御するために用いられ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーション及び走行時の作動電力消費需要に用いられる。
【0041】
本出願のいくつかの実施例では、電池100は、車両1000の操作電源として用いることができるだけでなく、車両1000の駆動電源として、燃料油又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1000に駆動動力を提供することもできる。
【0042】
図3を参照すると、
図3は、本出願の実施例による電池100の分解図である。電池100は、筐体10と、筐体10内に収容される電池セル20とを含む。ここで、筐体10は、電池セル20に収容空間を提供するために用いられ、筐体10は、様々な構造を採用することができる。いくつかの実施例では、筐体10は、上部筐体11と下部筐体12とを含んでもよく、上部筐体11と下部筐体12とが、互いに被せられることで、上部筐体11が下部筐体12とともに電池セル20を収容するための収容空間を画定する。下部筐体12は、一端が開口する中空構造であってもよく、上部筐体11は、板状構造であってもよく、上部筐体11が下部筐体12の開口側に被せられることで、上部筐体11が下部筐体12とともに収容空間を画定する。上部筐体11と下部筐体12は、いずれも、一側が開口する中空構造であってもよく、上部筐体11の開口側は、下部筐体12の開口側に被せられる。無論、上部筐体11と下部筐体12で形成される筐体10は、様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。
【0043】
本出願の実施例で言及された電池100は、より高い電圧と容量を提供するために一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを意味する。例えば、本出願で言及された電池100は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池セル20は、複数であってもよく、複数の電池セル20同士は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、複数の電池セル20に直列接続も並列接続も含まれることを意味する。複数の電池セル20同士を直接に直列接続又は並列接続又は直並列接続してから、複数の電池セル20からなる構造全体を筐体10内に収容してもよく、無論、複数の電池セル20をまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュール形式の電池100を構成してから、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体化し、かつ筐体10内に収容してもよい。電池100は、他の構造をさらに含んでもよく、例えばこの電池100は、複数の電池セル20間の電気的な接続を実現するためのバスバー部材をさらに含んでもよい。
【0044】
各電池セル20は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であってもよいが、これらに限定されない。電池セル20は、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよい。
【0045】
図4に示すように、電池100の内部では、各電池セル20は、外部へ電源を出力するための正極端子と負極端子とを有する。複数の電池セル20の正極端子は、接続部品210を介して接続され、複数の電池セル20の負極端子も接続部品210を介して接続され、異なる組電池を構成し、異なる電池セルの直列接続又は並列接続を実現する。電池セルをサンプリングする時、各電池セルをサンプリングしてもよく、組電池単位でサンプリングしてもよい。組電池単位でサンプリングする場合、サンプリング部材を介して各組電池に接続してサンプリングすればよい。
【0046】
図4及び
図5に示すように、本出願の実施例によるサンプリング部材40の応用概略図であり、サンプリング部材40は、本体部410とラップ部420とを含み、本体部410は、サンプリング信号を伝送するために用いられ、ラップ部420の一端は、本体部410にラップされ、ラップ部420の他端は、サンプリングすべき点にラップされ、サンプリング信号を収集するために用いられ、そして、ラップ部には、本体部410に対して溶断保護を行うための溶断構造422が設置される。
【0047】
図4において、サンプリング部材40は、電池に応用され、電池における電池セル又は組電池をサンプリングし、電池は、複数の電池セル20を含み、複数の電池セル20は、接続部品210を介して組み合わせられ、組電池を形成し、各組電池は、この電池の一つのサンプリング点であり、サンプリング部材40は、各組電池をサンプリングする役割を担う。
【0048】
サンプリング部材40は、本体部410と複数のラップ部420とを含む。本体部410は、各電池セル20の一端の表面に設置され、一般的には、電池セルの高さ方向での電極端子の一端に設置され、複数の電池セル20の表面を貫通することで、本体部410と、サンプリングすべき各組電池との接続を容易にする。電池の内部で配線しやすくなるように、本体部410は、フレキシブルフラットケーブルを採用することができる。本体部410は、サンプリング信号を伝送するために用いられ、複数本のケーブル回線を含み、このように、複数のラップ部420に接続し、複数のサンプリングすべき点のサンプリング信号を同時に伝送することができる。
【0049】
各ラップ部420の一端は、本体部410に電気的に接続され、他端は、サンプリングすべき点に電気的に接続され、サンプリング信号を収集するために用いられる。ラップ部420の数は、サンプリングすべき点の数と一致し、即ちサンプリングすべき組電池の数と一致する。ラップ部420と本体部410を別々に設置することによって、サンプリングすべき点をサンプリング部材40の本体部410に接続しやすく、本体部を分割した後、折り曲げ処理を行う必要がなく、接続が非常に容易であり、プロセスが簡単である。
【0050】
また、ラップ部420には、本体部410に対して溶断保護を行うための溶断構造422が設置される。溶断構造422は、直接にラップ部420と一体に設置され、ラップ部420を介してサンプリングすべき点を本体部410に接続するとともに、溶断保護の役割を果たすことができ、さらなる溶断保護回路を設置する必要がなく、構造が簡単で、電池の内部の空間を大幅に節約する。そして、単一の溶断構造422が溶断保護を行うと、溶断したラップ部420のみを交換すればよく、必ずしもフレキシブルフラット回線全体を交換する必要がなく、メンテナンスが容易で迅速で、コストが低い。
【0051】
図5に示すように、本出願の実施例によるサンプリング部材40の構造図であり、本体部410は、サンプリング制御回路に接続されるインターフェースが設置される長尺状のフレキシブルフラット回路であるとともに、本体部410におけるサンプリングすべき点に対応する位置にラップ部420がラップされ、ラップ部420は、溶接などの方式により本体部410に電気的に接続することができる。ラップ部420は、測定すべき組電池の位置に応じて本体部410にラップする位置を選択することができる。実際の使用プロセスでは、ラップ部420は、電池のサンプリングすべき点の位置に応じて、本体部410の対応する位置に予め設置し、本体部410と一体化し、ラップ部420は、本体部410を電池の表面に設置してサンプリングする時、実際のサンプリング点の状況に応じて、ラップ部を設置してもよい。
【0052】
本出願の実施例では、サンプリング部材の構造を変え、サンプリング部材を本体部とラップ部に分けることによって、ラップ部がサンプリング点の位置に応じて自由にラップすることができ、サンプリング回路とサンプリングすべき点との接続プロセスを簡略化し、構造が簡単であり、また、ラップ部に溶断部を設置することによって、本体部に対する溶断保護を実現し、ラップ部を介してサンプリングすべき点を本体部に接続するとともに、溶断保護の役割を果たすことができ、さらなる溶断保護回路を設置する必要がなく、構造が簡単であり、電池の内部の空間を大幅に節約する。
【0053】
いくつかの実施例では、
図5及び
図6に示すように、本体部410は、導線4111と絶縁層4112とを含み、絶縁層4112は、導線4111の表面に被覆され、導線を隔離するために用いられ、導線4111は、絶縁層4112におけるサンプリングすべき点に対応する位置に露出し、ラップ部の一端は、導線の露出箇所411にラップされる。
【0054】
サンプリング部材40の本体部410は、フレキシブルフラット回路であり、本体部410に複数経路の導線4111が含まれ、導線4111の表面は、絶縁層4112が被覆され、各経路の導線を隔離し、導線間の短絡を回避する。複数経路の導線4111を設置することによって、複数のサンプリング点を同時にサンプリングすることができ、
図5から見えるように、複数のラップ部420は、本体部410にラップされ、それぞれ本体部410の異なる位置にラップされる。ラップ部420と本体部410とのラップを実現するために、本体部410における各サンプリングすべき点に対応する位置では、絶縁層4112に開口を設置し、露出箇所411を形成し、ラップ部420は、この露出箇所411で本体部410の導線に接続され、溶接又は他の方式により本体部410の導線をラップ部420に電気的に接続する。
【0055】
本体部410の絶縁層4112における各サンプリングすべき点に対応する位置に開口を設置して露出箇所411を形成することによって、ラップ部420を容易に本体部410に電気的に接続することができ、構造が簡単である。
【0056】
いくつかの実施例では、本体部410は、複数本の導線4111と複数のラップ部420とを含み、各導線4111は、それぞれ絶縁層4112における各サンプリングすべき点に対応する位置に露出し、各ラップ部420の一端は、それぞれ各導線の露出箇所411にラップされ、例えば
図5及び
図6において、ラップ部420は、露出箇所411にラップされ、ラップ部430は、露出箇所412にラップされる。
【0057】
図4及び
図5に示すように、本体部410は、複数経路の導線4111を含み、同時に複数のサンプリングすべき点をサンプリングすることができ、絶縁層4112における各サンプリングすべき点に対応する位置にそれぞれ露出箇所を設置する。注意すべきこととして、各サンプリングすべき点をサンプリングする回路は、いずれも独立した回路であるため、各ラップ部420は、複数のサンプリングすべき点をサンプリングする時、それぞれ異なる導線に接続する必要があるため、各露出箇所411の設置位置を互いにずらす必要があり、短絡が発生してはいけない。一つの本体部410を介して複数のラップ部420に接続することによって、複数のサンプリングすべき点に対する同時サンプリングを実現し、サンプリング効率を向上させる。
【0058】
いくつかの実施例では、ラップ部420は、本体部410に垂直にラップされる。
図5に示すように、各ラップ部420は、本体部410にラップされ、そのラップ方式は、サンプリングすべき点の位置と本体部410における各露出箇所411の位置に応じて決定してもよく、好ましくは、ラップ部420は、本体部410に垂直にラップされ、即ちラップ部420は、本体部410と90度をなし、垂直な角度でラップされ、ラップ部420と本体部410との接続強度を保証するのに有利であり、サンプリング部材40のパイプライン化生産加工にも有利である。
【0059】
いくつかの実施例では、ラップ部420は、接続部421と溶断部422とを含み、接続部421は、第一の接続部4211と第二の接続部4212とを含み、第一の接続部4211と第二の接続部4212は、それぞれ溶断部422の両端に位置し、溶断部422を本体部410とサンプリングすべき点にそれぞれ接続するために用いられる。
【0060】
図7及び
図8に示すように、第一の接続部4211と第二の接続部4212は、それぞれ溶断部422の両端に位置し、接続部と溶断部は、溶接、圧着、カシメ又は接着などの様々な方式の一つ又はいずれかの組み合わせにより一体構造を形成することができる。第一の接続部4211と第二の接続部4212は、同じ材料で製造されてもよく、異なる材料で製造されてもよく、一般的には、接続部は、フレキシブル回路を採用してもよく、銅箔又はアルミニウム箔などの導電性材料で製造されてもよい。第一の接続部4211と第二の接続部4212が異なる材料で製造される場合、第一の接続部4211は、サンプリングすべき点に接続されるために用いられ、サンプリングすべき点が一般的には電池セル又は電池セルに接続される接続部品であるため、第一の接続部4211と電池セルとの接続強度を保証するために、第一の接続部4211を一定強度を有する回路構造、例えばニッケルシート、銅シート、アルミニウムシート又は他の複合材質などとして設置してもよい。第二の接続部4212は、本体部410に接続され、本体部410は、一般的にはフレキシブル回路を採用するため、第二の接続部4212は、本体部410と同じフレキシブル回路を採用することができ、それによって、本体部410により良くラップすることができる。そのため、接続部421は、実際の回路の状況に応じて自由に選択することができる。
【0061】
溶断部422の両端にそれぞれ接続部を設置することによって、サンプリングすべき点と本体部の接続を容易に実現することができ、接続方式が柔軟に変化する。
【0062】
いくつかの実施例では、溶断部422は、チップ抵抗又は抵抗線を含む。
図7及び
図8に示すように、異なるサンプリング回路の需要に適応するために、溶断部422は、様々な形式を採用することができ、
図7は、抵抗線を示し、
図8は、チップ抵抗を示す。チップ抵抗又は抵抗線の方式を採用し、構造が簡単であり、製造が容易であり、そして、生産成本が比較的低い。
【0063】
いくつかの実施例では、溶断部422は、エッチングラインを含む。電池が使用中によく揺れるため、ラップ部420の強度を高めるために、PCB回路板又はFPCフレキシブル板にエッチングラインを設置することによって、溶断保護を行うことができる。このような方式によって、電池の使用中に溶断部に予期しない破断が発生することを低減させることができる。
【0064】
いくつかの実施例では、
図9に示すように、ラップ部420は、フレキシブルフラット導線であり、溶断部422の導線の断面積は、接続部421の導線の断面積よりも小さい。本出願の実施例に示すラップ部420は、フレキシブルフラット導線を採用し、接続部421を溶断部422と一体にすることができ、構造がよりコンパクトになる。溶断保護を実現するために、本出願の実施例では、フレキシブルフラット導線のある位置を狭くし、この部分の導線の幅を減少させ、溶断部422を形成することができる。溶断部は、他の部位に比べて幅が小さいため、電流が一定の強度に達すると、狭くなった部分がまず溶断され、溶断保護の効果を果たす。フレキシブルフラット導線を狭くするように溶断部を設置することによって、ラップ部を一体にすることができ、構造がより簡単になる。
【0065】
いくつかの実施例では、接続部421と溶断部422の表面には、被膜が設置される。電池が使用中によく揺れるため、ラップ部420の強度が非常に重要になり、ラップ部420の強度が不足し、揺れ中に破断すると、電池セルが電源を提供できなくなってしまう。本出願の実施例では、接続部421と溶断部422の表面に被膜を塗布することによって、ラップ部420の強度を増加させ、より良い保護作用を果たすことができる。
【0066】
いくつかの実施例では、接続部421は、溶接、圧着、カシメ又は接着方式により導線の露出箇所に設置される。接続部は、ニッケルシート、銅シート、アルミニウムシート又は他の複合材質などの材料で製造することができ、ラップ部420と本体部410の接続を実現するために、溶接、圧着、カシメ又は接着などの方式により接続部を本体部410の導線に接続することができ、接続方式の多様化を実現する。
【0067】
本出願によるいくつかの実施例によれば、電池をさらに提案し、電池は、電池セル20と上記実施例で言及されたいずれか一つのサンプリング部材40とを含み、
図4に示すように、複数の電池セル20は、接続部品210を介して直列接続又は並列接続され、サンプリング部材40は、電池セル20の一側に設置され、サンプリング部材40は、本体部410とラップ部420とを含み、ラップ部420は、各サンプリングすべき点を本体部410に接続し、接続プロセスを簡略化させるとともに、ラップ部420は、溶断部をさらに有し、電池セルを流れる電流が大きすぎると、自動的に溶断保護を行う。本出願の実施例によるサンプリング部材を採用することによって、本出願の実施例による電池構造がよりコンパクトで、サンプリング効果がより良い。
【0068】
本出願によるいくつかの実施例によれば、電力消費装置に電気エネルギーを提供するための上記実施例による電池を含む電力消費装置をさらに提供する。電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、バッテリ車、電気自動車、汽船、宇宙航空機などであり得るが、これらに限定されない。ここで、電動玩具は、据置型又は移動型の電動玩具、例えばゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具及び電気飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、本出願の実施例は、サンプリング部材の製造方法をさらに提案し、方法は、上記実施例によるサンプリング部材を生産及び製造するために用いられ、製造方法は、一般的にはサンプリング部材の生産機器で運行され、生産機器は、製造方法を実行するための一つ又は複数の部材を含み、具体的には、サンプリング部材の製造方法は、
図10に示すように、以下のステップを含む。
【0070】
ステップ501:サンプリング信号を伝送するための本体部と、ラップ部とを提供する。
【0071】
ステップ502:ラップ部の一端を本体部にラップし、サンプリング信号を収集するために、ラップ部の他端をサンプリングすべき点にラップする。
【0072】
ステップ503:本体部に対して溶断保護を行うために、ラップ部に溶断構造を設置する。
【0073】
上記サンプリング部材製造方法で生産されたサンプリング部材は、サンプリング回路とサンプリング点との接続プロセスを簡略化し、構造が簡単であり、また、ラップ部に溶断部を設置することによって、本体部に対する溶断保護を実現し、ラップ部を介してサンプリングすべき点を本体部に接続するとともに、溶断保護の役割を果たすことができ、さらなる溶断保護回路を設置する必要がなく、構造が簡単であり、電池の内部の空間を大幅に節約する。
【0074】
いくつかの実施例では、製造方法は、本体部をサンプリングすべき点に対応する位置に露出させ、ラップ部の一端を本体部の露出箇所にラップすることをさらに含む。本体部における各サンプリングすべき点に対応する位置に開口を設置して露出箇所を形成することによって、ラップ部を本体部に容易に電気的に接続することができ、構造が簡単である。
【0075】
いくつかの実施例では、本出願は、電池サンプリング方法をさらに提案し、この方法により、電池の構造的複雑さを増加させることなく、電池を容易にサンプリングすることができ、具体的には、
図11に示すように、方法は、以下のステップを含む。
【0076】
ステップ601:ラップ部を設置し、サンプリング信号を収集するために、ラップ部の一端を電池サンプリングすべき点にラップする。
【0077】
ステップ602:本体部を設置し、ラップ部の他端を本体部にラップし、サンプリング信号を本体部を介して制御システムに伝送する。
【0078】
ステップ603:ラップ部に溶断構造を設置し、本体部が短絡すると、本体部に対して溶断保護を行う。
【0079】
本出願の実施例による電池サンプリング方法により、電池を容易にサンプリングすることができ、電池の構造的複雑さを増加させることなく、実施方法が簡単かつ効果的である。
【0080】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述実施例を参照しながら、本出願について詳細に説明したが、依然として前述各実施例に記載された技術案を修正したり、そのうちの一部の技術的特徴を同等に置き換えたりすることができるが、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱させないことを当業者であれば理解すべきである。
【符号の説明】
【0081】
1000 車両、100 電池、10 筐体、11 上部筐体、12 下部筐体、200 コントローラ、300 モータ、20 電池セル、210 接続部品、40 サンプリング部材、410 本体部、411、412 露出箇所、4111 導線、4112 絶縁層、420、430 ラップ部、421 接続部、4211 第一の接続部、4212 第二の接続部、422 溶断部。
【国際調査報告】