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▶ フイルメニツヒ ソシエテ アノニムの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】押出粒子
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20231101BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20231101BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20231101BHJP
   A23L 2/42 20060101ALI20231101BHJP
   A23D 7/06 20060101ALI20231101BHJP
   A23D 7/005 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A23L5/00 D
A23L27/00 A
A23L5/00 F
A23L2/56
A23L2/00 N
A23D7/06
A23D7/005
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513547
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2021080969
(87)【国際公開番号】W WO2022101143
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】20206605.6
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-エティエンヌ ブーケラン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ チャン
【テーマコード(参考)】
4B026
4B035
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B026DC03
4B026DG20
4B026DK05
4B026DL03
4B026DL04
4B026DL05
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4B117LK15
4B117LL01
(57)【要約】
本発明は、送達システムの分野に関する。より詳細には、本発明は、押出粒子、好ましくは固体脂肪コーティングを含むフレーバー付与された押出粒子に関する。本発明はまた、該押出粒子の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出粒子の製造方法であって、前記方法は、
a)少なくとも1つの担体材料と可塑剤、好ましくは水とを混合して、混合物を形成するステップと、
b)前記混合物を十分な温度で加熱して、溶融塊を形成するステップと、
c)前記溶融塊をダイに通して押出成形し、押出物を形成するステップと、
d)前記押出物を切断して、押出粒子を形成するステップと
を含み、
ステップa)の前記混合物に、および/またはステップb)の前記溶融塊に、融点Tmを有する固体脂肪と、活性成分、好ましくはフレーバーまたは香料を含む活性成分とを添加し、
少なくともステップc)およびステップd)を、Tmより高い温度で実施する、方法。
【請求項2】
前記固体脂肪の量は、前記担体材料と前記固体脂肪とで構成される担体系を基準として、0.5~30重量%、好ましくは1~10重量%を占める、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記担体材料は、デンプン誘導体、ガム類、繊維類、多糖類、タンパク質、可溶性粉体およびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記担体材料は、マルトデキストリン、デキストリン、レジスタントスターチ、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガティガム、オクラガム、グルコマンナン、ジェランガム、アルギン酸塩、イヌリン、フラクトオリゴ糖、β-グルカン、アラビノガラクタン、グルコマンナン、サイリウム、水溶性コーンファイバー、タマリンド種子多糖類、ダイズ多糖類、ガラクトマンナン、キシログルカン、カラギーナン、ペクチン、カードラン、アラビナン、アラビノガラクタン、エンドウマメタンパク、ダイズタンパク、レンズマメタンパク、ヒヨコマメタンパク、米タンパク、ジャガイモタンパク、ソラマメタンパク、リョクトウタンパク、カノーラタンパク、可溶性米粉、可溶性玄米粉、麹米およびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記固体脂肪は、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、パラフィンロウ、パーム脂肪、シアバター、アルガエバター、水添植物油、パームステアリン、シアステアリン、米ステアリン、ヒマワリステアリン、獣脂、ココアバター、飽和脂肪酸およびそれらの混合物からなる群において選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ステップa)において潤滑剤を添加する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ステップa)において、スクロース、グルコース、ラクトース、マルトース、フルクトース、リボース、デキストロース、イソマルト、ソルビトール、グルコースシロップ、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、ペンタトール、アラビノース、ペントース、キシロース、ガラクトース、トレハロースおよびそれらの混合物からなる群において選択される炭水化物を添加する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により得ることができる、押出粒子。
【請求項9】
- 活性成分であって、好ましくは、担体材料から製造されたマトリックス中に分散されたフレーバーまたは香料を含む活性成分と、
- 固体脂肪を含むコーティングと
を含む、請求項8記載の押出粒子。
【請求項10】
粒子径は、300ミクロンより大きく、好ましくは500ミクロンより大きい、請求項8または9記載の押出粒子。
【請求項11】
前記粒子の総重量を基準として1~20重量%のフレーバーを含む、請求項8から10までのいずれか1項記載の押出粒子。
【請求項12】
請求項8から11までのいずれか1項記載の粒子を含む、食品または飲料の消費者製品であって、飲料、甘味品および塩味品からなる群において選択される、食品または飲料の消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送達システムの分野に関する。より詳細には、本発明は、押出粒子、好ましくは固体脂肪コーティング(すなわち疎水性コーティング)を含むフレーバー付与された押出粒子に関する。本発明はまた、該押出粒子の製造方法、および該押出粒子を含む消費者製品に関する。
【0002】
発明の背景
送達システムに対する消費者の要求は重要性を増しており、新しい送達システムの開発を促進している。
【0003】
粒子の形態の送達システムは、計量供給、取扱いおよび製造が容易であるため、フレーバリングまたはパフューミングの分野で一般的に使用されている。
【0004】
用途によっては、送達システムが高湿度環境に曝されることがあり、これにより保管時に当該送達システムが不安定になるおそれがある。
【0005】
フレーバー送達システムの中で、防水性を示す、または水分に対する感受性が低いと考えられるものはほとんどない。例えば、機械的破壊によりフレーバーを放出するコアセルベートコアシェルマイクロカプセルを挙げることができる。しかし、このシステムは、極性に応じて封入可能な活性剤の範囲によって制限を受ける。
【0006】
噴霧乾燥や押出成形などの大半の固体送達システムにおいて、フレーバリング分子は、担体、典型的にはデンプン加水分解物の非晶質のガラス状マトリックスに閉じ込められる。放出機序は主に溶解に基づいており、この溶解によって、これらのシステムの水分に対する感受性が高いものとなる。このような送達システムの水分に対する安定性を向上させるための通常の解決策は、担体システムの分子量を増加させることであるが、粘度およびバリア性の面でいくつかの制限がある。固体送達システムの水分に対する安定性を向上させるためのもう1つの方法は、該システムを疎水性層でコーティングすることである。このコーティングは、通常、流動層またはタンブラーを用いて溶融固体脂肪を噴霧することによって達成されるため、追加のプロセスステップを必要とする。
【0007】
したがって、水分に対する安定性が高められており、かつ簡便な方法で製造される押出粒子を提供することが望ましいと考えられる。
【0008】
本発明は、上記の問題に対する解決策を提供するものである。
【0009】
詳細な説明
驚くべきことに、押出成形によって、追加のステップを必要とすることなく、(固体脂肪で構成される)疎水性コーティングを有する粒子が得られることが判明した。実際には、固体脂肪を通常の配合物(すなわち、担体材料とフレーバーオイルなどの活性成分との混合物)に添加すると、この脂肪がプロセス時の温度によって相分離し、溶融塊が切断ステップ時に小単位に粉砕される際に粒子の表面に定着し、したがって疎水性コーティングが形成されることになる。
【0010】
したがって、本発明の第1の主題は、押出粒子の製造方法であって、該方法は、
a)少なくとも1つの担体材料と可塑剤、好ましくは水とを混合して、混合物を形成するステップと、
b)混合物を十分な温度で加熱して、溶融塊を形成するステップと、
c)溶融塊をダイに通して押出成形し、押出物を形成するステップと、
d)押出物を切断して、押出粒子を形成するステップと
を含み、
ステップa)の混合物に、および/またはステップb)の溶融塊に、融点Tmを有する固体脂肪と、活性成分、好ましくはフレーバーまたは香料を含む活性成分とを添加し、
少なくともステップc)およびステップd)を、Tmより高い温度で実施する、方法である。
【0011】
特に断りがない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の重量パーセンテージを示すことを意図したものである。
【0012】
「少なくともステップc)およびステップd)を、Tmより高い温度で実施する」とは、ステップc)の溶融塊およびステップd)の押出物が、Tmより高い温度を有することと理解されるべきである。
【0013】
特定の一実施形態において、粒子は、非晶質粒子である。
【0014】
特定の一実施形態において、粒子は、25℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上のガラス転移温度を有する。特定の一実施形態において、粒子、好ましくはフレーバー粒子は、120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下のガラス転移温度を有する。特定の一実施形態において、フレーバー粒子は、25℃より高く120℃未満、好ましくは35℃より高く100℃未満、より好ましくは40℃~90℃のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、示差走査熱量計DSC822e(Mettler)を用いるなど、当業者に知られている標準的な方法によって測定することができる。
【0015】
特定の一実施形態において、粒子は、固体の顆粒状態である。
【0016】
特定の一実施形態において、粒子は、自由流動性である。
【0017】
特定の一実施形態において、粒子は、300μm以上、好ましくは500μm以上の平均粒子径を有する。特定の一実施形態において、フレーバー粒子は、1cm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下の平均粒子径を有する。特定の一実施形態において、粒子、好ましくはフレーバー粒子は、300~10000μm、好ましくは500~3000μmの平均粒子径を有する。平均粒子径は、Tornado Dry Powder Module(Beckman Coulter Inc.、フロリダ州マイアミ)を備えたBeckman Coulter Laser Diffraction Particle Size Analyzer(Coulter LS 13320)を使用するなど、当業者に知られている標準的な方法によって測定することができる。平均粒子径は、篩い分けによって決定することもできる。
【0018】
ステップa)の担体材料は、押出成形技術によって容易に加工して乾燥押出固体を形成することができる任意の化合物であってよい。
【0019】
特定の一実施形態において、ステップa)の担体材料は、フレーバーの観点から実質的に中性的であり、すなわち、フレーバリング成分の官能特性を著しく変化させないものである。
【0020】
特定の一実施形態において、ステップa)の担体材料は、固体担体である。
【0021】
特定の一実施形態において、ステップa)の担体材料は、バイオポリマーである。
【0022】
バイオポリマーとは、環境中で分解可能な再生可能な資源から製造される化学ブロックの繰り返しから構成される鎖状の分子と定義することができる。
【0023】
特定の一実施形態において、ステップa)の担体材料は、食品グレードのバイオポリマーである。
【0024】
特定の一実施形態において、ステップa)の担体材料は、食品グレードの水溶性バイオポリマーである。食品グレードの水溶性バイオポリマーには、典型的には、生体により形成されたマクロ分子(タンパク質、核酸および多糖類を含む)が含まれる。
【0025】
特定の一実施形態において、ステップa)の担体材料は、デンプン誘導体、ガム類、繊維類、多糖類、タンパク質、可溶性粉体またはそれらの混合物である。
【0026】
「デンプン誘導体」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。デンプン誘導体は、ネイティブなデンプンを酵素的、物理的または化学的に処理してその特性を変化させることにより製造される。
【0027】
「加水分解デンプン」という用語は、典型的にはデンプン、好ましくはコーンスターチの酸および/または酵素加水分解によって得られるオリゴ糖型の材料を意味する。
【0028】
特定の一実施形態によれば、加水分解デンプンは、マルトデキストリン、デキストリン、コーンシロップおよびそれらの混合物からなる群において選択される。
【0029】
特定の一実施形態によれば、担体材料はまた、加工デンプンを含む。
【0030】
「加工デンプン」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有し、すなわち、物理的に加工を施した(物理加工)デンプン、酵素的に加工を施した(酵素加工)デンプン、または化学的に加工を施した(化学加工)デンプンを意味する。
【0031】
「物理加工デンプン」とは、比較的少量の水または水分の存在下で熱処理を施したデンプンを意味する。熱処理中に他の試薬がデンプンに添加されることはない。熱処理法には、加熱加湿処理およびアニーリング処理があり、いずれも糊化を伴わないデンプンの物理加工をもたらすものである。
【0032】
「酵素加工デンプン」とは、その特性を変更するために1つ以上の酵素で処理したデンプンを意味する。
【0033】
「化学加工デンプン」とは、デンプンに添加した試薬と反応させて、それらの分子とデンプン分子との間に新たな共有結合を生じさせたデンプンを意味する。
【0034】
加工デンプンの特定の例には、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンおよびアセチル化酸化デンプンが含まれる。いくつかの非限定的な例としては、Tate & Lyle社のMiraCap(登録商標)、Ingredion社のCapsul(登録商標)、Cargill社のEmCap(登録商標)などの無水オクテニルコハク酸加工デンプンが挙げられる。
【0035】
デンプン誘導体の特定の例には、マルトデキストリン、デキストリン、レジスタントスターチ、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプンおよびアセチル化酸化デンプンが含まれる。
【0036】
「ガム類」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。ガム類は、植物源、海藻、および細菌発酵に由来することができる。ガム類の特定の例には、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ガティガム、オクラガム、グルコマンナン、ジェランガム、アルギン酸塩などが含まれる。「繊維類」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。「繊維類」は、人体の酵素による消化が不可能である。繊維類の特定の例には、イヌリン、フラクトオリゴ糖、β-グルカン、アラビノガラクタン、グルコマンナン、サイリウム、水溶性コーンファイバーなどが含まれる。「多糖類」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。多糖類の特定の例には、タマリンド種子多糖類、ダイズ多糖類、ガラクトマンナン、キシログルカン、カラギーナン、ペクチン、カードラン、アラビナン、アラビノガラクタンなどが含まれる。「タンパク質」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。タンパク質の特定の例には、エンドウマメタンパク、ダイズタンパク、レンズマメタンパク、ヒヨコマメタンパク、米タンパク、ジャガイモタンパク、ソラマメタンパク、リョクトウタンパク、カノーラタンパクなどが含まれる。「可溶性粉体」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。可溶性粉体は、その溶解性および機能性を高めるために化学的、物理的、または酵素的な処理を施した粉体である。可溶性粉体の特定の例には、可溶性米粉、可溶性玄米粉、麹米などが含まれる。
【0037】
特定の一実施形態において、担体材料は、約1~約20のデキストロース当量(DE)を有するマルトデキストリンを含む。
【0038】
特定の一実施形態において、マルトデキストリンは、約10~約18DEのDEを有するマルトデキストリンから選択される。
【0039】
もう1つの実施形態において、担体材料は、21~49のDEを有するコーンシロップを含む。これらに限定されるものではないが、トウモロコシ、小麦、ジャガイモまたは米などの異なる起源に由来するデンプンの加水分解により製造される任意の担体材料を使用することができる。もう1つの実施形態において、担体材料は、加水分解水添デンプン(例えば、HSPolyols)、果糖オリゴ糖(これらに限定されるものではないが例えば、Orafit社製イヌリン)、これらに限定されるものではないが例えばNutriose(Roquette)のような可溶性繊維およびα化デンプンである。
【0040】
活性材料(例えばフレーバー)および担体混合物のガラス転移温度は、初期混合物に添加される可塑剤の量に依存する。
【0041】
一実施形態によれば、粒子のガラス転移温度は、混合物のガラス転移温度と実質的に同一である。これは、水の損失量が少ないか、または水の損失がないことを保証することによって達成される。
【0042】
この特定の一実施形態によれば、得られる溶融物のガラス転移温度(T)が最終製品の所望のT値に対応し、かつそれと実質的に同一であることを保証するために、少量の可塑剤、好ましくは水が混合物に添加される。言い換えれば、湿式造粒などの他の方法とは対照的に、押出成形前の混合物のガラス転移温度は、最終製品に必要な値を既に有しており、この温度は、室温を超え、好ましくは40℃を超え、したがって、生成物を自由流動性粒子の形態で周囲温度にて保存することができる。その結果、本発明の本実施形態において、許容可能な値までTを高めるべく水を除去することを目的とした、押出成形に続く追加の乾燥ステップを省くことができ、したがってエネルギー必要量を減少させることができる。
【0043】
したがって、本発明において可塑剤が使用される割合は、広範囲の値にわたって変化し、この値は、当業者が担体の性質や最終製品の要求されるTに応じて適合させ選択することができる。
【0044】
一実施形態によれば、可塑剤含有量は、前記混合物が室温を超えるガラス転移温度Tを有するような含有量である。
【0045】
可塑剤は好ましくは水であるが、グリセロール、プロピレングリコールのようなポリオールやそのエステル(すなわち、トリアセチン)も同様に使用することができる。また、Tを下げるために少量の極性分子を使用することもでき、有機酸(クエン酸、マレイン酸など)、アミノ酸、単糖類、二糖類(グルコース、マルトース、フルクトース、スクロースなど)およびそれらの混合物も挙げることができる。
【0046】
典型的には、可塑剤は、ステップa)の混合物の総重量を基準として、0.5~10%、好ましくは5~9%を占める量で使用される。
【0047】
特定の一実施形態において、ステップa)および/またはステップb)において潤滑剤が提供される。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、潤滑剤は、出口のダイにおける溶融塊のせん断および膨張を低減させると考えられる。いくつかの実施形態において、潤滑剤は、中鎖トリグリセリド(MCT)を含むことができる。もう1つの実施形態において、潤滑剤は、レシチンまたは脂肪酸エステル(例えば、クエン酸エステル、酒石酸エステル、酢酸エステル)、DATEM、CITREMまたはそれらの混合物のようなミセル界面活性剤を含む。特定の一実施形態において、潤滑剤は、ステップa)の混合物の総重量の約5%まで、特に約0.2~約5%、より詳細には約0.8~約2%、さらにより詳細には約1~2%の重量で提供することができる。
【0048】
特定の一実施形態によれば、ステップa)において低分子量の炭水化物が添加され、これは好ましくは、スクロース、グルコース、ラクトース、マルトース、フルクトース、リボース、デキストロース、イソマルト、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、ペンタトール、アラビノース、グルコースシロップ、ペントース、キシロース、ガラクトース、Trehalose(登録商標)からなる群において選択され、好ましくはステップa)の混合物の総重量を基準として、1~10%、好ましくは2~6%の量で提供される。
【0049】
一実施形態によれば、好ましくは、ガム類、タンパク質、低分子界面活性剤、植物抽出物、サポニン、植物由来タンパク質、タンパク質加水分解物、シトラス繊維、テンサイ繊維またはそれらの混合物からなる群において選択される追加の成分が、ステップa)および/またはb)において、(粒子、好ましくはフレーバー粒子の総重量を基準として)1~30重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは10~20重量%を占める量で添加される。
【0050】
「ガム類」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。ガム類の特定の例には、アラビアガム、カラヤガム、ガティガム、トラガカントガム、オクラガムなどが含まれる。「タンパク質」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。タンパク質の特定の例には、エンドウマメタンパク、ダイズタンパク、レンズマメタンパク、ヒヨコマメタンパク、米タンパク、ジャガイモタンパク、ソラマメタンパク、リョクトウタンパク、カノーラタンパクなどが含まれる。「低分子界面活性剤」という用語は、当業者にとってこの用語の通常の意味を有する。低分子界面活性剤の特定の例には、キラヤサポニン、ユッカサポニン、リン脂質、レシチン、リゾレシチン、グリセロールのジアセチル酒石酸および脂肪酸エステル(DATEM)、モノおよびジグリセリドのクエン酸エステル(CITREM)などが含まれる。
【0051】
次に、ステップa)の混合物は、押出機、典型的には単軸押出機、二軸押出機またはラム押出機、好ましくは二軸押出機内で加熱される。
【0052】
特定の一実施形態によれば、ステップa)は、Tmより高い温度で実施される。
【0053】
特定の一実施形態によれば、ステップb)は、Tmより高い温度で実施される。
【0054】
したがって、ステップa)の混合物は、混合物の温度を好ましくは90~130℃の所定の温度に維持する押出機で押出成形される。この温度は、本発明のシステムに適合している。実際には、混合物を溶融塊の形態に保つためには、この温度は、担体材料のガラス転移温度より高く、また固体脂肪のTm(溶融温度)より高くなければならない。圧力もまた、溶融物の均質性を維持するのに適した値に印加および調整される。典型的には、装置のサイズに応じて、100bar(10Pa)までの圧力値を使用することができる。
【0055】
本発明によれば、ステップa)の混合物に、および/またはステップb)の溶融塊に、活性成分(例えば、フレーバーオイルまたは香油)と、(典型的にはRTより高い)溶融温度を有する固体脂肪とが添加される。
【0056】
本発明によれば、切断ステップは、脂肪がその液体状態にあるときに行われる。
【0057】
一実施形態によれば、活性成分は、親水性材料である。一実施形態によれば、活性成分は、疎水性材料である。
【0058】
好ましい一実施形態によれば、活性成分は、フレーバーまたは香料を含む。
【0059】
好ましい一実施形態によれば、活性成分は、フレーバーまたは香料である。
【0060】
好ましい一実施形態によれば、活性成分は、フレーバーオイルまたは香油である。
【0061】
一実施形態によれば、疎水性材料は、疎水性活性成分である。
【0062】
一実施形態によれば、活性成分は、ステップa)またはステップb)の後に得られた混合物の重量を基準として1~20%を占める量で添加される。
【0063】
好ましい一実施形態によれば、活性成分は、フレーバーオイルまたは香油を含む。封入により利益を得ることができる代替的な成分を、香料もしくはフレーバーの代わりに、または香料もしくはフレーバーと組み合わせて使用することができる。このような成分の非限定的な例としては、化粧品、スキンケア剤、悪臭中和剤、殺菌剤、殺真菌剤、医薬用または農薬用成分、除菌剤、昆虫忌避剤または昆虫誘引剤、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
疎水性内相に存在し得る昆虫忌避剤または昆虫誘引剤の性質および種類については、本明細書においてより詳細な説明が保証されるものではなく、これはいずれにせよすべてを余すことなく記載できるものではなく、当業者は、自身の常識に基づいて、用途または適用に従ってそれらを選択することが可能である。
【0065】
そのような昆虫忌避剤または昆虫誘引剤の例は、カバノキ、DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)、レモンユーカリ(コリンビア・シトリオドラ(Corymbia citriodora))の精油およびその活性化合物であるp-メンタン-3,8-ジオール(PMD)、イカリジン(ヒドロキシエチルイソブチルピペリジンカルボキシレート)、ネペラクトン、シトロネラ油、ニーム油、ヤチヤナギ(ミリカ・ガレ(Myrica Gale))、ジメチルカルベート、トリシクロデセニルアリルエーテル、IR3535(3-[N-ブチル-N-アセチル]アミノプロピオン酸、エチルエステル、エチルヘキサンジオール、フタル酸ジメチル、メトフルトリン、インダロン、SS220、アントラニル酸系昆虫忌避剤、ならびにそれらの混合物である。
【0066】
「フレーバーオイル」とは、本明細書において、フレーバリング成分、またはフレーバリング成分と、フレーバー配合物の製造に現在使用されている溶媒またはアジュバントとの混合物、すなわち、食用組成物またはチュアブル製品に添加して、その官能特性、特にそのフレーバーおよび/または味を付与、改良または変更することを目的とした成分の特定の混合物を指す。フレーバリング成分は、当業者によく知られており、その性質については、本明細書において詳細な説明が保証されるものではなく、これはいずれにせよすべてを余すことなく記載できるものではなく、熟練したフレーバリストは、自身の常識に基づいて、用途または適用および達成したい官能効果に従ってそれらを選択することができる。これらのフレーバリング成分の多くは、S. Arctanderによる著作であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, N.J., USA、もしくはそのより最近のバージョンのような参考テキスト、またはFenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC Press、もしくはSynthetic Food Adjuncts, 1947, M. B. Jacobs, van Nostrand Co., Incのような同様の性質の他の著作に列挙されている。フレーバー配合物の製造に現在使用されている溶媒およびアジュバントもまた、当技術分野でよく知られている。
【0067】
特定の一実施形態において、フレーバーは、ミントフレーバーである。より特定の一実施形態において、ミントは、ペパーミントおよびスペアミントからなる群から選択される。
【0068】
さらなる一実施形態において、フレーバーは、清涼剤またはそれらの混合物である。
【0069】
もう1つの実施形態において、フレーバーは、メントールフレーバーである。
【0070】
クエン酸が優勢な、天然に存在する酸である果物に由来する、またはそれをベースとするフレーバーとしては、例えば、柑橘系果物(例えば、レモン、ライム)、リモネン、イチゴ、オレンジおよびパイナップルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、フレーバー食品は、果物から直接抽出されたレモン、ライムまたはオレンジ果汁である。フレーバーのさらなる実施形態は、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン、および任意の他の柑橘系果物またはそれらのバリエーションもしくはハイブリッドから抽出された果汁または液体を含む。特定の一実施形態において、フレーバーは、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン、および任意の他の柑橘系果物またはそのバリエーションもしくはハイブリッド、ザクロ、キウイフルーツ、スイカ、リンゴ、バナナ、ブルーベリー、メロン、ショウガ、ピーマン、キュウリ、パッションフルーツ、マンゴー、ナシ、トマトおよびイチゴから抽出または蒸留された液体を含む。
【0071】
特定の一実施形態において、フレーバーは、リモネンを含む組成物を含み、特定の一実施形態において、組成物は、リモネンをさらに含む柑橘類である。
【0072】
もう1つの特定の一実施形態において、フレーバーは、ストロベリー、オレンジ、ライム、トロピカル、ベリーミックスおよびパイナップルを含む群から選択されるフレーバーを含む。
【0073】
フレーバーという表現には、食品の香りを付与または変更するフレーバーだけでなく、味を付与または変更する成分も含まれる。後者は、必ずしもそれ自体が味や香りを有するわけではないが、他の成分が提供する味を変更することができるものであり、例えば、塩味増強成分、甘味増強成分、うま味増強成分、苦味遮断成分などが挙げられる。
【0074】
さらなる一実施形態において、適切な甘味成分が本明細書に記載の粒子に含まれてもよい。特定の一実施形態において、甘味成分は、砂糖(これに限定されるものではないが、例えば、スクロース)、ステビア成分(これに限定されるものではないが、例えば、ステビオサイドまたはレバウディオサイドA)、サイクラミン酸ナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンナトリウムおよびアセスルファムKまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0075】
「香油」(または「香料」ともいう)または「フレーバー」が本明細書において意味するのは、約20℃で液体である成分または組成物である。この香油またはフレーバー油は、パフューミングもしくはフレーバリング成分単独、またはパフューミングもしくはフレーバリング組成物の形態での各成分の混合物であることができる。「パフューミング成分」とは、本明細書において、第一の目的として快楽的効果を付与するためにパフューミング調合物または組成物において使用される化合物を意味する。言い換えれば、このような成分は、パフューミング成分であるとみなされるためには、単に香りを有するだけでなく、少なくとも組成物の香りをポジティブにまたは心地良いように付与または変更することができると当業者によって認識される必要がある。油相中に存在するパフューミング成分の性質および種類については、本明細書においてより詳細な説明が保証されるものではなく、これはいずれにせよすべてを余すことなく記載できるものではなく、当業者は、自身の常識に基づいて、用途または適用および所望の官能効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらのパフューミング成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫複素環式化合物および精油と同様に多様な化学クラスに属し、前記パフューミング補助成分は、天然由来のものであっても合成由来のものであってもよい。これらの補助成分の多くは、S. Arctanderによる著作であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、もしくはそのより最近のバージョンのような参考テキスト、または同様の性質の他の著作、および香料の分野における多数の特許文献に記載されている。また、前記成分は、様々なタイプのパフューミング化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0076】
固体形態の活性成分については、ステップa)における添加がより適切であり、一方で、液体形態の活性成分(例えば、フレーバーオイル)については、ステップb)における添加がより適切である。
【0077】
特定の一実施形態によれば、活性成分(例えば、フレーバーオイル)は、ステップa)で添加される。
【0078】
特定の一実施形態によれば、活性成分(例えば、フレーバーオイル)は、ステップb)で添加される。
【0079】
本発明で使用される「脂肪」という用語は、室温(典型的には20℃~30℃、より詳細には25℃)で固体またはペースト状である脂質成分を指し、一方で、本発明で使用される「油」という用語は、室温で液体である脂質成分を指す。本方法の異なるステップの間の温度に応じて、脂肪は固体状態にも液体状態にもなり得ることが理解されるべきである。
【0080】
当業者は、その融点に従って適切な固体脂肪を選択することができる。本発明によれば、固体脂肪は、室温より高い融点(Tm)を有する。
【0081】
物質の融点(Tm)は、当業者であれば容易に求めることができ、あるいは文献に見出すことができる。融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。典型的な方法は、以下のとおりである:測定を、40μLのアルミニウムるつぼを備えたMettler-Toledo DSC822eで実施する。試料を、-10℃で2分間保持し、温度を10℃/分で150℃まで上昇させる。溶融の徴候は明確な吸熱ピークであり、その頂点が融点温度を表す。
【0082】
本発明で使用できる適切な脂肪のうち、非限定的な例として、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、パラフィンロウ、パーム脂肪、シアバター、アルガエバター、水添植物油、パームステアリン、シアステアリン、米ステアリン、ヒマワリステアリン、獣脂、ココアバター、飽和脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸および室温より高い融点を有するそれらの対応するモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0083】
一実施形態によれば、脂肪の溶融温度は、30~90℃の範囲にある。一実施形態によれば、脂肪の溶融温度は、40~90℃の範囲にある。もう1つの実施形態によれば、脂肪の溶融温度は、50~90℃の範囲にある。
【0084】
脂肪によって覆われる粒子表面は、粒子サイズの二乗値で関連付けられる。その結果、当業者は、固体脂肪の量を所望の粒子径に適合させることができる。
【0085】
一実施形態によれば、固体脂肪の量は、担体材料と固体脂肪とで構成される担体系を基準として、0.5~30重量%、好ましくは1~10重量%を占める。
【0086】
一実施形態によれば、混合物が押出機のダイ部分に来た時に、温度はまだ担体のガラス転移温度より高く、また固体脂肪のTmよりも高い。押出機はダイフェースカッターを備えており、混合物は、このように溶融物の温度で切断される。周囲温度まで冷却されると、既に切断されたガラス状材料は、溶融担体が切断前に冷却される他の方法の場合とは異なり、スフェロナイザー、流動層乾燥機または他の装置で成形または乾燥させる必要がない。特定の一実施形態において、周囲空気は、冷空気を含む。
【0087】
一実施形態によれば、本方法は、ステップb)とステップc)との間に、溶融塊をポンピングし、この溶融塊をスタティックミキサーに押し込むことからなる追加ステップを含む。ポンピングステップは、押出機から出てくる溶融物を受け取り、それをスタティックミキサーに押し込むことを可能にするギアポンプ、好ましくはポリマーギアポンプを用いることによって実施することも、二軸押出機自体の効果のみによって行うことも可能である。
【0088】
押出成形プロセスでは、混合物が、典型的には約0.250~10mm、より詳細には約0.5~約3.0mm、より詳細には0.7~3.0mmの範囲の所定の直径を有するオリフィスを有するダイに通される。しかし、ダイの直径をはるかに大きくすることも可能である。
【0089】
特定の一実施形態において、ダイ出口で溶融物を造粒するために、粉末を、例えば、Thermo Prism 16mm二軸ラボ押出機またはカッターナイフを備えたClextral BC21を使用して、0.7mmのダイ孔を通して10~25kg/hの処理量で押出成形することができるが、造粒法はこれらに限定されるものではない。
【0090】
一般に、押出機バレルは複数のバレルセクションからなり、これらは独立して温度制御される。一実施形態において、押出機は、20~約120℃の範囲の温度を有する2~9個の加熱ゾーンおよび冷却ゾーンを備えている。
【0091】
本発明のもう1つの主題は、上記で定義された方法によって得ることができる、押出粒子である。
【0092】
一実施形態によれば、押出粒子は、
- 活性成分であって、好ましくは、担体材料から製造されたマトリックス中に分散されたフレーバーまたは香料を含む活性成分と、
- 固体脂肪を含むコーティングと
を含む。
【0093】
本発明の粒子は、疎水性コーティング(すなわち、固体脂肪で製造されたもの)を含むことが理解されるべきである。
【0094】
特定の一実施形態によれば、粒子径は、300ミクロンより大きく、好ましくは500ミクロンより大きい。
【0095】
疎水性コーティングの存在によって、水分に対する安定性の増強が提供されることが判明した。実際に、一実施形態によれば、押出粒子は、相対湿度80%および25℃でその完全性を維持するため、水分に対する安定性の増強を示す。そのような条件下で、視認可能な崩壊も溶融も観察されていない。
【0096】
本発明の粒子は、非常に多様な食用最終製品に使用することができる。
【0097】
したがって、本発明のもう1つの主題は、上記で定義された押出粒子を含む、フレーバー付与された消費者製品または賦香消費者製品である。
【0098】
「消費者製品」または「最終製品」とは、消費者によって流通、販売および使用される準備が整った製造品を意味する。
【0099】
フレーバー付与された消費者製品
最終製品とは、より詳細には、食品、ペットフードまたは飼料製品である。
【0100】
本発明の粒子は疎水性コーティングを含むため、インスタント飲料(PSD、チョコレート、コーヒー)、チューインガムなどの菓子類、インスタント麺またはストックキューブのような再水和の影響を受け易い乾燥食品に特に有利である。
【0101】
本発明の粒子は、使用準備済み料理、肉類似物、電子レンジ用食品、パスタボックスのような比較的高い水分活性を有する食品に特に有利である。
【0102】
本発明の粒子は、ベジタリアン用肉類似物もしくは肉代替物、ベジタリアン用バーガー、ソーセージ、パテ、チキン模倣ナゲットなど、肉製品(例えば、加工肉、家禽肉、牛肉、豚肉、ハム、生鮮ソーセージまたは生肉調製品、スパイスを加えたもしくはマリネした生鮮肉もしくは保存肉製品、成型肉)または動物性および植物性タンパク質を種々の比率で組み合わせて使用して、しばしば同時押出成形した、かさ増しした肉製品、または食感を調整した植物性タンパク質と動物性タンパク質との混合物に使用することができる。
【0103】
本発明の目的での肉には、牛肉、豚肉、マトン肉、ラム肉、猟獣肉、ならびに鶏肉、七面鳥肉、ガチョウ肉および鴨肉などの家禽肉のような赤身肉が包含される。好ましくは、本発明の食品は、牛肉、家禽肉および豚肉から選択される肉である。
【0104】
しかし、本発明の粒子は、以下のような製品例においても特に重要となり得る:
・焼成品(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、他の焼成品)
・非アルコール飲料(例えば、炭酸飲料、ボトル入り水、スポーツ・エネルギー飲料、果汁飲料、野菜果汁、野菜果汁調合品)
・アルコール飲料(例えば、ビールおよび麦芽飲料、酒精飲料)
・インスタント飲料(例えば、インスタント野菜飲料、粉末清涼飲料、インスタントコーヒー、インスタント紅茶)
・シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、事前に加熱された調理済み米製品、米粉製品、雑穀およびモロコシ製品、生麺または調理済み麺、およびパスタ製品)
・乳製品(例えば、フレッシュチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乳飲料、ホエー、バター、部分的または全体的に加水分解された乳タンパク質含有製品、発酵乳製品、練乳および類似品)
・乳製品をベースとする製品(例えば、果物またはフレーバー付与されたヨーグルト、アイスクリーム、果物アイス)
・菓子製品(例えば、チューインガム、ハードキャンディおよびソフトキャンディ)
・チョコレートおよびコンパウンドコーティング
・脂肪および油またはそのエマルションをベースとする製品(例えば、マヨネーズ、スプレッド、マーガリン、ショートニング、レムラード、ドレッシング、スパイス調製品)
・スパイスを加えた、マリネした、または加工した魚製品(例えば、魚肉ソーセージ、すり身)
・卵または卵加工品(乾燥卵、卵白、卵黄、カスタード)
・デザート類(例えば、ゼラチン、およびプリン)
・大豆タンパクまたはダイズの他のフラクションから製造された製品(例えば、豆乳およびそれから製造された製品、ダイズレシチン含有調製品、豆腐やテンペなどの発酵製品またはそれから製造された製品、醤油)
・野菜調製品(例えば、ケチャップ、ソース、加工および再構成された野菜、乾燥野菜、急速冷凍野菜、予備調理済み野菜、酢漬け野菜、野菜の濃縮物またはペースト、調理済み野菜、ジャガイモ調製品)
・ベジタリアン用肉代替物、ベジタリアン用バーガー
・スパイスまたはスパイス調製品(例えば、マスタード調製品、西洋わさび調製品)、スパイス混合物および特にシーズニングで、例えばスナックの分野で使用されるもの
・スナック製品(例えば、焼いたもしくは揚げたポテトチップス、またはポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシ、米もしくは挽いたナッツをベースとする押出物)
・肉製品(例えば、加工肉、家禽肉、牛肉、豚肉、ハム、生鮮ソーセージまたは生肉調製品、スパイスを加えたもしくはマリネした生鮮肉もしくは保存肉製品、成型肉)
・調理済み料理(例えば、インスタント麺、米飯、パスタ、ピザ、トルティーヤ、ラップ)およびスープおよびブロス(例えば、ストック、塩味キューブ、乾燥スープ、インスタントスープ、調理済みスープ、レトルトスープ)、ソース(インスタントソース、乾燥ソース、調理済みソース、グレービー、甘味ソース)。
【0105】
好ましくは、本発明による粒子は、焼成品、インスタント飲料、シリアル製品、乳製品、乳製品をベースとする製品、脂肪および油またはそのエマルションをベースとする製品、デザート、野菜調製品、ベジタリアン用肉代替物、スパイスおよびシーズニング、スナック、肉製品、調理済み料理、スープおよびブロスならびにソースからなる群から選択される製品に使用される。
【0106】
特定の一実施形態によれば、フレーバー付与された製品は、肉および/もしくは魚をベースとする食品または類似物、ストック、塩味キューブ、粉末ミックス、牛肉または豚肉をベースとする製品、魚介類、すり身、インスタント麺、米、スープ、ソース、調理済み料理、冷凍または冷蔵ピザ、パスタ、ポテトフレークまたはフライ、麺、ポテト/トルティーヤチップ、レンジポップコーン、ナッツ、ブレッツェル、餅、米菓、発酵乳製品類似飲料、酸性乳製品類似飲料、非発酵乳製品類似飲料、チーズまたはチーズ類似物、ヨーグルトまたはヨーグルト類似物、栄養補助食品、栄養バー、シリアル、アイスクリーム、乳製品を含まないアイスクリーム、菓子製品、チューインガム、ハードボイルドキャンディーおよび粉末飲料からなる群から選択される。
【0107】
一実施形態によれば、食品、ペットフードまたは飼料製品は、本発明の粒子を0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%含む。
【0108】
典型的には、食品、ペットフードまたは飼料製品は、タンパク質、特に植物性タンパク質または動物性タンパク質、およびそれらの混合物をさらに含む。
【0109】
有利には、植物性タンパク質は、好ましくは、ダイズタンパク、トウモロコシ、エンドウマメ、カノーラ、ヒマワリ、ソルガム、米、アマランス、ジャガイモ、タピオカ、アロールート、ヒヨコマメ、ハウチワマメ、カノーラ、小麦、オート麦、ライ麦、大麦、およびそれらの混合物から選択される。
【0110】
本発明の粒子は、押出成形および/または焼成食品、ペットフードまたは飼料製品であって、より詳細には、動物性および/または植物性タンパク質を含むものに特に適している。典型的には、前記押出成形および/または焼成食品、ペットフードまたは飼料製品は、肉および/もしくは魚をベースとする食品または類似物およびそれらの混合物(言い換えれば、肉をベースとする食品および/または魚をベースとする食品または肉類似物または魚類似物およびそれらの混合物)から選択することができ、押出成形および/もしくは焼成された肉類似物、または押出成形および/もしくは焼成された魚類似物が好ましい。押出成形および/または焼成食品、ペットフードまたは飼料製品の非限定的な例は、スナック製品、または肉類似物(例えば、バーガー)の製造の元となるタンパク質の食感を調整することを目的とした押出成形された植物性タンパク質である。粉末組成物は、押出成形されていない植物性タンパク質単離物/濃縮物か、またはバーガーもしくはナゲット(など)の成形の元となる食感調整された植物性タンパク質のいずれかに押出成形前または押出成形後に添加することが可能である。
【0111】
賦香消費者製品
本発明の粒子は、活性成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の主題は、
(i)上記で定義された粒子と、
(ii)活性成分であって、好ましくは、化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌成分、殺真菌成分、医薬用または農薬用成分、除菌成分、昆虫忌避剤または昆虫誘引剤、およびそれらの混合物からなる群において選択される活性成分と
を含む組成物である。
【0112】
また、本発明の粒子は、異なる賦香消費者製品に添加することができる。
【0113】
粒子は、粉末消費者製品に適用可能な粉末の形態で使用することができる。
【0114】
香油をベースとするコアを含む粒子の場合、本発明の製品は、特に、ファインフレグランスまたは「機能的」香料に属する製品などの賦香消費者製品に使用することができる。機能的香料には、特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアを含むパーソナルケア製品、ならびにランドリーケアおよびエアケアを含むホームケア製品が含まれる。したがって、本発明のもう1つの主題は、パフューミング成分として、上記に定義された粒子を含む、賦香消費者製品である。
【0115】
また、粉末消費者製品であって、
- 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の、少なくとも1つの界面活性剤と、
- 上記で定義された粒子であって、活性成分が、上記で定義された香料を含むものとする粒子と
を含む粉末消費者製品も、本発明の一部である。
【0116】
また、液体消費者製品であって、
- 消費者製品の総重量に対して2~65重量%の、少なくとも1つの界面活性剤と、
- 上記で定義された粒子であって、活性成分が、上記で定義された香料を含むものとする粒子と
を含む液体消費者製品も、本発明の一部である。
【0117】
明確にするために述べると、「賦香消費者製品」とは、それが適用される表面(例えば、皮膚、髪、テキスタイル、紙、または家庭内の表面)または空気中(エアフレッシュナー、消臭剤など)に様々な有益性の中でパフューミング効果をもたらすことが期待される消費者製品を意味することを述べておかなければならない。言い換えれば、本発明による賦香消費者製品とは、「ベース」とも呼ばれる機能性配合物を、有益剤とともに含む製品であって、この有益剤に、本発明による有効量の粒子が含まれるものとする製品を指す。
【0118】
本発明のもう1つの主題は、
- パーソナルケア活性ベースと、
- 上記で定義された粒子、または上記で定義されたパフューミング組成物と
を含む消費者製品であり、ここで、消費者製品は、パーソナルケア組成物の形態である。
【0119】
本発明の粒子を組み込むことができるパーソナルケア活性ベースは、そのような製品に関連する多数の文献に見出すことができる。これらの配合物については、本明細書において詳細な説明が保証されるものではなく、これはいずれにせよすべてを余すことなく記載できるものではない。このような消費者製品を配合する技術に精通した者は、自身の常識および入手可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0120】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、ドライシャンプー、ヘアスプレー)、化粧用調合品(例えば、バニシングクリーム、ボディローションまたはデオドラントもしくは制汗剤)、スキンケア製品(例えば、賦香石鹸、バスソルトまたは衛生用品)、口腔ケア製品(歯磨き粉またはマウスウォッシュ組成物)からなる群において選択される。
【0121】
本発明のもう1つの主題は、
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベースと、
- 上記で定義された粒子、または上記で定義されたパフューミング組成物と
を含む消費者製品であり、ここで、消費者製品は、ホームケア組成物またはファブリックケア組成物の形態である。
【0122】
本発明の粒子を組み込むことができるホームケアまたはファブリックケアベースは、そのような製品に関連する多数の文献に見出すことができる。これらの配合物については、本明細書において詳細な説明が保証されるものではなく、これはいずれにせよすべてを余すことなく記載できるものではない。このような消費者製品を配合する技術に精通した者は、自身の常識および入手可能な文献に基づいて、適切な成分を選択することが完全に可能である。
【0123】
ホームケアまたはファブリックケア組成物は、好ましくは、粉末洗剤および固体セントブースターからなる群において選択される。
【0124】
実施例
実施例1
本発明の方法による押出粒子(粒子A)の製造
以下の表の全成分を秤量してミキシングボウル内で混合し、その際、固形物から始めて最後に水を加えた。次に、この混合物を、Thermo Electron社(ドイツ)製の16mmラボ押出機を用いて押出成形した。押出成形のパラメータは、以下のとおりであった:フィーダー処理量400g/h、ダイ温度110℃、温度範囲20℃~110℃の4つのバレルセクション。ダイの単孔の内径は1mmである。スクリュ速度を300rpmに設定した。
【0125】
【表1】
【0126】
定常的な押出条件(押出物の溶融温度93℃)を確立した後、押出物を回転ナイフで約1.5mmの離散的な粒子に切り刻み、サイクロンで回収した。
【0127】
比較例2
比較の押出粒子(粒子X)の製造
以下の表の全成分を秤量してミキシングボウル内で混合し、その際、固形物から始めて最後に水を加えた。次に、この混合物を、Thermo Electron社(ドイツ)製の16mmラボ押出機を用いて押出成形した。押出成形のパラメータは、以下のとおりであった:フィーダー処理量400g/h、ダイ温度110℃、温度範囲20℃~110℃の4つのバレルセクション。ダイの単孔の内径は1mmである。スクリュ速度を300rpmに設定した。
【0128】
【表2】
【0129】
定常的な押出条件(押出物の溶融温度93℃)を確立した後、押出物を回転ナイフで約1.5mmの離散的な粒子に切り刻み、サイクロンで回収した。
【0130】
実施例3
水溶性評価(粒子A対比較粒子X)
本発明による粒子A(実施例1)および粒子X(比較例2)を並べて配置し、水溶性の違いを顕微鏡で評価した。ガラス板の間に脱イオン水を加え、4倍に拡大してその溶解を観察した。粒子Xは、本発明の粒子Aに比べて水により迅速に溶解することが観察された。このことは、本発明の粒子表面に存在する疎水性コーティングが、湿潤条件下で粒子を保護していることを示している。
【0131】
実施例4
本発明の方法による押出粒子(粒子C~I)の製造
まず、固体脂肪とフレーバーを混合し、80℃で加熱して均質な液体を得た。冷却後、固体脂肪相を、ミキシングボウル内で残りの成分と混合し、その際、固形物から始めて最後に水を加えた。次に、この混合物を、Thermo Electron社(ドイツ)製の16mmラボ押出機を用いて押出成形した。押出成形のパラメータは、以下のとおりであった:フィーダー処理量500g/h、ダイ温度110℃、温度範囲20℃~110℃の4つのバレルセクション。ダイの単孔の内径は1mmである。スクリュ速度を300rpmに設定した。
【0132】
【表3】
【0133】
試料C~Iについて、定常的な押出条件(押出物の溶融温度99℃)を確立した後、押出物を回転ナイフで約1.5mmの離散的な粒子に切り刻み、サイクロンで回収した。いずれの試料も、湿潤条件下で良好な安定性を示している。
【国際調査報告】