(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】運動精子ドメイン含有タンパク質2抗体およびその使用法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231101BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231101BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231101BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231101BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231101BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231101BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231101BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231101BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231101BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231101BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20231101BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20231101BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231101BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231101BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231101BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/15
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/28
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 Y
A61K48/00
A61K31/7088
A61K35/12
A61K45/00
A61P1/16
A61P43/00 105
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P25/00
A61P1/04
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515237
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-03
(86)【国際出願番号】 IB2021058224
(87)【国際公開番号】W WO2022053985
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512176406
【氏名又は名称】バスキュラー バイオジェニックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】メンデル, イツァーク
(72)【発明者】
【氏名】ヤコフ, ニーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】フィーゲ, エレツ
(72)【発明者】
【氏名】ブライトバート, エイアル
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
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4B064DA01
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4C087ZA02
4C087ZA68
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4C087ZA96
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4C087ZB21
4C087ZB26
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4H045AA11
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、運動精子ドメイン含有タンパク質2(MOSPD2)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片ならびにその使用方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と80%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つに対して80%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと80%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと80%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25と80%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3を含む、運動精子ドメイン含有タンパク質2(MOSPD2)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と90%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25と90%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1と95%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと95%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと95%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと95%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25と95%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項29】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項30】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項31】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項32】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項33】
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項34】
配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3を含む、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項35】
前記抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1~34のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項36】
前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、sdFv断片、VHドメイン、VLドメイン、またはそれらの組み合わせである、請求項1~35のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項37】
前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、その変異体、またはそれらの組み合わせである、請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項38】
約1×10
5(1/Ms)~約7×10
6(1/Ms)のKaの値;約1×10
-4(1/s)~約0.4(1/s)のKdの値;および/または約2×10
-10(M)~約6×10
-8(M)の計算されたKDでMOSPD2に結合する、請求項1~37のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項39】
前記MOSPD2がヒトMOSPD2である、請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項40】
前記MOSPD2が、配列番号26~29のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項41】
前記MOSPD2が、配列番号30~配列番号33のいずれか1つの前記核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を有する、請求項1~40のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項42】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸。
【請求項43】
請求項42に記載の核酸を含むベクター。
【請求項44】
請求項43に記載のベクターを含む細胞。
【請求項45】
請求項44に記載される細胞を好適な条件下で培養すること、および、抗体または抗原結合断片を単離することを含む、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を作製する方法。
【請求項46】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片、請求項42に記載の核酸、請求項43に記載のベクター、または請求項44に記載の細胞、および担体を含む組成物。
【請求項47】
請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片、請求項42に記載の核酸、請求項43に記載のベクター、または請求項44に記載の細胞、および使用説明書を含むキット。
【請求項48】
炎症性疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項49】
炎症細胞の遊走を阻害または防止する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項50】
前記炎症細胞が単球または好中球である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療または予防する方法であって、治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項52】
線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項53】
前記線維症が肝線維症である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
関節炎を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項55】
前記関節炎が関節リウマチまたは乾癬性関節炎である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
さらなる治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、請求項54または55に記載の方法。
【請求項57】
前記さらなる治療薬が、メトトレキサート、バリシチニブ、ヒドロキシクロロキン、プレドニゾン、エタネルセプト、スルファサラジン、インフリキシマブ、アダリムマブ、イキセキズマブ、またはそれらの組み合わせである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
多発性硬化症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項59】
前記多発性硬化症が、再発寛解型多発性硬化症、原発性進行性多発性硬化症、または続発性進行性多発性硬化症である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
さらなる治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記さらなる治療薬が、テリフルノミド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、オクレリズマブ、IFNβ-1a、クラドリビン、酢酸グラチラマー、またはそれらの組み合わせである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項63】
前記炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎またはクローン病である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
さらなる治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記さらなる治療薬が、インフリキシマブ、ベドリズマブ、アザチオプリン、アダリムマブ、マサラジン、またはそれらの組み合わせである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
がんの転移を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項67】
がんを治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1~41のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法。
【請求項68】
前記がんが、乳がん、子宮頸がん、黒色腫、骨髄がん、結腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、甲状腺がん、または前立腺がんである、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に静脈内投与する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に皮下投与する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2020年9月10日出願の米国仮特許出願第63/076,697号および2021年3月29日に出願された米国仮特許出願第63/167,317号に対する優先権・利益を主張する。その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
電子的に提出された配列表の参照
【0002】
本願と共に提出されたASCIIテキストファイル(名称:3182_096PC 03_Seqlisting_ST 25.txt;サイズ:40,794バイト;作成日2021年9月7日)における電子的に提出された配列表の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本開示は、運動精子ドメイン含有タンパク質2(MOSPD2)に特異的に結合する抗体およびその抗原結合断片ならびにその使用法に関する。
【背景技術】
【0004】
白血球は、感染症および異物に対する身体の防御に関与する免疫系細胞である。単球は白血球の一種であり、自然免疫および適応免疫、免疫監視、ならびに粒子の捕捉において重要な役割を果たす。単球のサブセットは「居住者」であり、定常状態の監視、創傷の治癒および炎症の消散を補助するために炎症刺激とは無関係に組織に動員されるが、ヒトの循環性単球の大部分(80~90%)は「炎症性」として分類される。循環性単球は、炎症刺激を感知し、血管またはリンパ内皮を通って末梢にすばやく移動することができ、そこでマクロファージおよび樹状細胞(DC)に分化し、さらなる細胞サブセットと協働して炎症を促進することができる。単球は、宿主防御において必要な役割を果たすが、やはり炎症性障害の重要なメディエーターとしても同定されている。
【0005】
ケモカイン受容体および接着分子は、白血球輸送の調節において重要な役割を果たす。白血球系列およびサブセットで差次的に発現されるケモカイン受容体、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の複雑なアレイは、異なる条件下でどの細胞型がどの組織に移動するかを制御する。ケモカインまたは走化性サイトカインは、白血球および間質細胞の遊走および活性化を調節する、分泌されるタンパク質である。ケモカインのケモカイン受容体への結合は、MAPK/ERK経路およびPI3K/AKT経路などのシグナル伝達経路を活性化し、それぞれERKおよびAKTのリン酸化をもたらす。炎症性単球の場合、内皮細胞の単層を横切って骨髄から出て(血管外漏出)、循環系に入り(血管内侵入)、炎症組織に移動することは、ケモカインC-Cモチーフリガンド(CCL)2(単球走化性タンパク質-1、MCP-1としても知られる)およびCCL7(MCP-3)による活性化に応答して、C-Cモチーフ受容体2(CCR2)シグナル伝達に依存する。一方、常在単球の非炎症組織への構成的な遊走は、主にCCL3(マクロファージ炎症性タンパク質-1α、MIP-1αとしても知られている)およびケモカイン(C-X3-Cモチーフ)リガンド1(CX3CL1)に依存する。
【0006】
炎症部位への炎症細胞の遊走(例えば、白血球の走化性)の阻害は、慢性疾患を治療するための魅力的な抗炎症アプローチである。慢性炎症組織における望ましくない単球および/またはマクロファージの蓄積を抑制することには治療的可能性があり、したがって、遊走阻害剤は、動物モデルおよび臨床試験において有益な治療結果を実証している。それにもかかわらず、おそらく標的受容体の冗長性ならびに多発性硬化症および関節リウマチなどの不均一な疾患の複雑さのために、ケモカインおよびケモカイン受容体アンタゴニストに関するいくつかの第II相臨床試験での失敗があった。
【0007】
線維化は、器官または組織における過剰な線維性結合組織の形成である。線維化は瘢痕化のプロセスに類似しており、両方とも、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンを含む結合組織を敷設する刺激細胞(例えば、線維芽細胞)を伴う。線維形成は動的プロセスであり、i)器官/組織の傷害に起因する開始、ii)エフェクター細胞の炎症および活性化、iii)細胞外マトリックス(ECM)の合成の増強、およびiv)終末器官不全への進行を伴うECMの沈着という4つの段階で起こる。
【0008】
線維症は、患者の日常機能、日常生活動作(ADL)および生活の質に重度の罹患率および有害な影響を引き起こす可能性があり、予後不良につながる可能性がある。例えば、特発性肺線維症(IPF)は、息苦しさの悪化および衰弱を伴う難治性の慢性疾患である。IPF患者は酸素依存性になり、診断後の平均生存期間中央値は3年、5年生存率は20%~40%である。したがって、線維症のための新しい治療法の開発が必要とされている。
【0009】
転移、すなわち、がん細胞がその起源の組織から他の器官に広がることは、多数の分子を伴う多段階のプロセスの結果である。ケモカインおよびケモカイン受容体が腫瘍の転移において重要な役割を果たすことを証拠が示唆している。
【0010】
MOSPD2は、ヒトとマウスとの間で90%の相同性を有する518のアミノ酸長の高度に保存されたタンパク質である。生物情報学的分析は、MOSPD2が、細胞性レチナールアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)およびTRIOタンパク質に由来して命名されたCRAL-TRIO領域を含有することを示す。MOSPD2はまた、線虫主要精子タンパク質に構造的に関連する領域および1つの膜貫通領域を含む。
【0011】
MOSPD2は、炎症組織に浸潤した単球の表面および様々な腫瘍型で発現される(国際公開第2017/021857号パンフレット)。それはがん細胞の転移に関連し、単球移動を促進する(国際公開第2017/021857号パンフレット)。したがって、MOSPD2(例えば、抗MOSPD2抗体を用いて)は、炎症性疾患および障害(国際公開第2017/021855号パンフレット)ならびにがんおよびがんの転移(国際公開第2017/021857号パンフレット)の治療として記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2017/021857号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/021855号パンフレット
【発明の概要】
【0013】
本明細書では、運動精子ドメイン含有タンパク質2(MOSPD2)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、以下を含む抗体またはその抗原結合断片が提供される、すなわち
配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と80%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと80%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと80%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと80%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0014】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と90%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と90%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0015】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と95%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと95%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと95%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと95%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と95%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0016】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3。
【0017】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0018】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0019】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0020】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0021】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0022】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0023】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0024】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0025】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0026】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0027】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0028】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0029】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0030】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0031】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0032】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0033】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0034】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0035】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0036】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0037】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0038】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0039】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0040】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0041】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0042】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0043】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0044】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0045】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR7;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0046】
本明細書では、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、以下を含む抗体またはその抗原結合断片が提供される、すなわち
配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0047】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0048】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、sdFv断片、VHドメイン、VLドメイン、またはそれらの組み合わせである。
【0049】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、その変異体、またはそれらの組み合わせである。
【0050】
いくつかの態様において、約1×105(1/Ms)~約7×106(1/Ms)のKaの値;約1×10-4(1/s)~約0.4(1/s)のKdの値;および/または約2×10-10(M)~約6×10-8(M)の計算されたKDでMOSPD2に結合する。
【0051】
いくつかの態様では、MOSPD2はヒトMOSPD2である。いくつかの態様では、MOSPD2は、配列番号26~29のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。いくつかの態様では、MOSPD2は、配列番号30~33のいずれか1つの核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を有する。
【0052】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸が本明細書で提供される。
【0053】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターが本明細書で提供される。
【0054】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを含む細胞が本明細書で提供される。
【0055】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを含む細胞を適切な条件下で培養すること、および抗体またはその抗原結合断片を単離することを含む、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生する方法が本明細書で提供される。
【0056】
本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクター、または本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを含む細胞、および担体を含む組成物が本明細書で提供される。
【0057】
本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクター、または本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを含む細胞、および使用説明書を含むキットが本明細書で提供される。
【0058】
炎症性疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0059】
炎症細胞の遊走を阻害または防止する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、炎症細胞は単球または好中球である。
【0060】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療または予防する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0061】
線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、線維症は肝線維症である。
【0062】
関節炎を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、関節炎は関節リウマチまたは乾癬性関節炎である。いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、さらなる治療薬が、メトトレキサート、バリシチニブ、ヒドロキシクロロキン、プレドニゾン、エタネルセプト、スルファサラジン、インフリキシマブ、アダリムマブ、イキセキズマブ、またはそれらの組み合わせである。
【0063】
多発性硬化症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様では、多発性硬化症が、再発寛解型多発性硬化症、原発性進行性多発性硬化症、または続発性進行性多発性硬化症である。いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、さらなる治療薬が、テリフルノミド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、オクレリズマブ、IFNβ-1a、クラドリビン、酢酸グラチラマー、またはそれらの組み合わせである。
【0064】
炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。いくつかの態様において、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病である。いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、さらなる治療薬が、インフリキシマブ、ベドリズマブ、アザチオプリン、アダリムマブ、マサラジン、またはそれらの組み合わせである。
【0065】
がんの転移を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0066】
がんを治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0067】
いくつかの態様において、がんは、乳がん、子宮頸がん、黒色腫、骨髄がん、結腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、甲状腺がん、または前立腺がんである。
【0068】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、対象に静脈内または皮下投与される。
いくつかの態様では、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本発明のいくつかの態様は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に記載されている。ここで図面を詳細に特に参照すると、示されている詳細は例としてのものであり、本発明の態様の例示的な説明のためのものであることが強調される。
【
図1】ヒト単球のMOSPD2の表面の発現についてのフローサイトメトリー分析を示す。
【
図2】1~16nMの抗MOSPD2抗体によるヒトMOSPD2への結合のセンサーグラムプロットを示す。
【
図3A】漸増用量の抗MOSPD2抗体による単球の遊走の用量応答阻害を示す。示されている結果は、3回の実験の平均±標準偏差である。*p<0.001
【
図3B】実施例4の結果に基づくEC50の計算を示す。
【
図4A】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4B】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4C】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4D】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4E】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4F】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4G】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4H】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4I】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4J】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4K】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4L】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4M】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4N】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4O】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4P】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4Q】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4R】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4S】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4T】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4U】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4V】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4W】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4X】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4Y】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4Z】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4AA】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。
【
図4BB】単球の遊走を有意に阻害するいくつかの抗MOSPD2抗体変異体を示す。 示される結果は、3回の実験の平均±標準偏差である。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図5】HFHC食によるNASHの誘導後およびコントロール抗体(コントロールAb)または抗MOSPD2抗体による処置後の肝臓の組織学および線維症の発症を示す。2つの染色プロトコル、H&Eおよびマッソントリソームの結果を示し、試験した10~11匹の動物を表したものである。
【
図6A】コントロール抗体(アイソタイプコントロール)または抗MOSPD2抗体による処置後の、コントロール食(CHOW食)またはHFHC食を与えられたマウスの肝臓の試料におけるCD68+細胞の染色を示す。
【
図6B】コントロール抗体(アイソタイプコントロール)または抗MOSPD2抗体による処置後の、コントロール食(CHOW食)またはHFHC食を与えられたマウスの肝臓の試料におけるCD68+細胞の染色を示す。
【
図6C】コントロール抗体(アイソタイプコントロール)または抗MOSPD2抗体による処置後の、コントロール食(CHOW食)またはHFHC食を与えられたマウスの肝臓の試料におけるCD68+細胞の染色を示す。
【
図6D】これらの試料の線維化領域の定量化を示す。*p<0.05、**p<0.01。
【
図7】トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘発性大腸炎マウスモデルにおける疾患活動性に対する抗MOSPD2抗体処置の効果を示す。*p<0.05、**p≦0.005、***p≦0.001。示される結果は、15匹の動物からのものである。
【
図8A】TNBS誘導性大腸炎マウスモデルにおけるIL-6、MCP-1およびIL-12p40のレベルに対する抗MOSPD2抗体処置の効果を示す。
【
図8B】TNBS誘導性大腸炎マウスモデルにおけるIL-6、MCP-1およびIL-12p40のレベルに対する抗MOSPD2抗体処置の効果を示す。
【
図8C】TNBS誘導性大腸炎マウスモデルにおけるIL-6、MCP-1およびIL-12p40のレベルに対する抗MOSPD2抗体処置の効果を示す。*p<0.05。
【
図9】抗MOSPD2抗体による処置が再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者からの単球の遊走を有意に阻害することを示す。示される結果は、異なる活性療法および疾患の重症度である25人の患者のうち7人からのものである。**p<0.01、*** p<0.001。
【
図10】抗MOSPD2抗体による処置が、原発性進行性多発性硬化症(PPMS)および続発性進行性多発性硬化症(SPMS)患者からの単球の遊走を有意に阻害することを示す。示される結果は、異なる活性療法および疾患の重症度である25人の患者のうち7人からのものである。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図11】抗MOSPD2抗体による処置が、関節リウマチ(RA)患者および乾癬性関節炎(PsA)患者からの単球の遊走を有意に阻害することを示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図12】抗MOSPD2抗体による処置がクローン病および潰瘍性大腸炎患者からの単球の遊走を有意に阻害することを示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【
図13A】異なるヒトがん細胞株のMOSPD2の表面の発現についてのフローサイトメトリー分析を示す。
【
図13B】異なるヒトがん細胞株のMOSPD2の表面の発現についてのフローサイトメトリー分析を示す。
【
図13C】異なるヒトがん細胞株のMOSPD2の表面の発現についてのフローサイトメトリー分析を示す。
【
図13D】異なるヒトがん細胞株のMOSPD2の表面の発現についてのフローサイトメトリー分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。本願で使用される場合、以下の用語の各々は、本明細書で他に明示的に提示されている場合を除いて、以下に記載される意味を有するものとする。さらなる定義は、本願全体で記載される。
定義
【0071】
開示の態様に関する様々な用語が、本明細書および特許請求の範囲を通して使用される。そのような用語は、別段の指示がない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味を与えられるべきである。他の具体的に定義された用語は、本明細書で提示される定義と一致する方式で解釈されるべきである。
【0072】
「抗体」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して前述のものの組み合わせなどの標的を認識して特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体を含む融合タンパク質、および抗体が所望の生物学的活性を示す限り、任意の他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかであり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造および三次元構成を有する。抗体は、素のままであってもよく、または毒素、放射性同位元素などの他の分子にコンジュゲートされてもよい。
【0073】
明示的に述べられていない場合、および文脈がそうでないことを示さない限り、「抗体」という用語は、単一特異性、二重特異性または多重特異性抗体、ならびに一本鎖抗体を含む。
【0074】
「抗原結合断片」は、抗原に結合する無傷の抗体の一部を指す。抗原結合断片は、インタクトな抗体(例えば、抗原に特異的に結合するのに十分な相補性決定領域(CDR))の抗原認識部位を含むことができる。抗体の抗原結合断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、線状抗体、および一本鎖抗体が含まれるが、これらに限定されない。抗体の抗原結合断片は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、またはハムスター)およびヒトなどの任意の動物種に由来し得るか、または人工的に産生され得る。
【0075】
「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片は、単一の抗原決定基またはエピトープの高度に特異的な結合に関与する均一な抗体または抗原結合断片集団を指す。これは、異なる抗原決定基に対して方向付けられる異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片という用語は、インタクトおよび全長モノクローナル抗体の両方、ならびに抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、およびトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない任意の数の方法で作製されたそのような抗体およびその抗原結合断片を指す。
【0076】
「ヒト化」抗体またはその抗原結合断片という用語は、最小の非ヒト(例えばマウス)配列を含む特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらの断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体または抗原結合断片の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRからの残基で置き換えられた(「CDRグラフティング」)ヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988))。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンの特定のFvフレームワーク領域(FR)の残基は、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種由来の抗体または断片の対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、抗体またはその抗原結合断片の特異性、親和性および/または能力を改良および最適化するために、Fvフレームワーク領域および/または非ヒトCDR残基のいずれかのさらなる残基の置換によってさらに修飾することができる。一般に、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含む可変ドメインを含み、FR領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体またはその抗原結合断片はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含むことができる。ヒト化抗体を作製するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号明細書;Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91(3):969-73(1994),and Roguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)に記載されている。
【0077】
「ヒト」抗体またはその抗原結合断片という用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するアミノ酸配列を有する抗体またはその抗原結合断片を意味し、そのような抗体または抗原結合断片は、当技術分野で公知の任意の技術を使用して作製される。ヒト抗体またはその抗原結合断片のこの定義には、インタクトまたは全長抗体およびその断片が含まれる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「treating(処置する、治療する)」という用語は、状態の進行を抑止、阻害、減速もしくは逆転させること、状態の臨床的もしくは審美的症状を実質的に改善すること、または状態の臨床的もしくは審美的症状の出現を実質的に予防することを含む。
【0079】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」、「投与」などの用語は、抗体またはその抗原結合断片の所望の生物学的作用部位への送達を可能にするために使用することができる方法を指す(例えば、静脈内投与)。本明細書に記載の薬剤および方法と共に使用することができる投与技術は、例えば、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current edition,Pergamon;and Remington’s,Pharmaceutical Sciences,current edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.and Matucci,A.et al.,Respiratory Research,19(1):154(2018)に見出される。
【0080】
「対象」および「患者」という用語は互換的に使用され、任意の動物を含む。ペット(例えば、ネコ、イヌ)および飼育哺乳動物(例えば、ブタ、ウマ、ウシ)を含む哺乳動物、ならびにマウス、ウサギおよびラットを含むげっ歯類、モルモットおよび他のげっ歯類が好ましい。非ヒト霊長類がより好ましく、ヒトが非常に好ましい。
【0081】
本明細書で使用される場合、「MOSPD2」は、運動精子ドメイン含有タンパク質2として分類される任意のポリペプチドを指す。MOSPD2の例としては、配列番号26~29のポリペプチドまたはその任意の変異体(例えば、配列番号26~29のいずれか1つと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一の配列を有する)が挙げられるが、これらに限定されない。MOSPD2の他の例としては、限定されないが、配列番号30~33のいずれか1つのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはその任意の変異体(例えば、配列番号30~33のいずれか1つと少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のポリヌクレオチド)が挙げられる。MOSPD2をコードするポリヌクレオチド配列は、当技術分野で公知の方法によって、特定の生物における発現のためにコドン最適化することができる。MOSPD2の他の例は、当業者に周知の公開データベース(例えば、BLAST)を検索することによって特定することができる。
【0082】
抗体の「定常領域」は、単独または組み合わせのいずれかで、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。
【0083】
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。「Fc領域」は、天然の配列Fc領域または変異体Fc領域であり得る。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、位置Cys226のアミノ酸残基またはPro230のアミノ酸残基からそのカルボキシル末端まで伸びるように定義される。Fc領域の残基の番号付けは、KabatのようなEUインデックスの番号付けである。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991。免疫グロブリンのFc領域は、一般に、2つの定常ドメイン、CH2およびCH3を含む。
【0084】
「特異的に結合する」とは、一般に、抗体またはその断片、変化体もしくは誘導体がその抗原結合ドメインによってエピトープに結合すること、および結合が抗原結合ドメインとエピトープとの間に何らかの相補性を伴うことを意味する。この定義によれば、抗体またはその断片、変化体もしくは誘導体は、ランダムな無関係なエピトープに結合するであろうよりも容易にその抗原結合ドメインを介してそのエピトープに結合するとき、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。
【0085】
「炎症細胞」という用語には、白血球、顆粒球、好中球、好塩基球、好酸球、単球、マクロファージ、リンパ球、肥満細胞、樹状細胞などが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
当技術分野で公知の「同一性パーセント」という用語は、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当技術分野において、「同一性」および「配列同一性」はまた、そのような配列のストリング間の一致によって決定される場合があるように、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」および「類似度」は、(1)Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,Ed.)Oxford University:NY(1988);(2)Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,Ed.)Academic:NY(1993);(3)Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,Eds.)Humania:NJ(1994);(4)Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,Ed.)Academic(1987);および(5)Sequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.)Stockton:NY(1991)に記載されているものを含むがこれらに限定されない公知の方法および公的に利用可能なリソースによって容易に計算することができる。
【0087】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り複数の指示対象を含む。
【0088】
本開示の態様が「を含む」という文言で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる」および/または「本質的にからなる」に関して記載されている他の類似の態様も提示されることが理解される。
【0089】
本明細書で使用される場合、具体的に述べられていないか、または文脈から明らかでない限り、「または」という用語は包括的であると理解される。本明細書で「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」、および「B」の両方を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)のそれぞれを包含することが意図されている。
【0090】
本明細書で使用される場合、「約」および「ほぼ」という用語は、数値または数値範囲を修飾するために使用される場合、値または範囲の±10%の偏差が列挙された値または範囲の意図された意味合いにとどまることを示す。当業者によって理解されるように、本明細書における「約」という値または範囲への言及は、その値または範囲自体を対象とする場合を含む(および説明している)。例えば、「約X」を示す記載は、「X」という記載を含む。
【0091】
本明細書で提供される任意の組成物または方法は、本明細書で提供される他の組成物および方法のいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
【0092】
本願を通して、本発明の様々な態様は範囲形式で提示することがある。範囲形式での説明は、単に便宜および簡潔さのためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
抗MOSPD2抗体およびその抗原結合断片
【0093】
いくつかの態様では、本開示は、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。いくつかの態様では、本開示は、以下を含む、以下からなる、または本質的に以下からなる、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する:
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0094】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0095】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0096】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0097】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0098】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0099】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0100】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0101】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0102】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0103】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0104】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0105】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0106】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号6のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0107】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0108】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0109】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0110】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0111】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0112】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0113】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0114】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0115】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0116】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0117】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0118】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0119】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0120】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0121】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0122】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;配列番号13のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0123】
他の態様では、抗体またはその抗原結合断片は定常領域を含む。いくつかの態様では、軽鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖定常領域またはヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、重鎖の定常領域は、ヒトガンマ重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。ヒト定常領域配列の非限定的な例が記載されており、例えば、米国特許第5,693,780号明細書およびKabat,EA et al.,(1991)を参照されたい。
【0124】
いくつかの態様では、本開示は、以下を含む、以下からなる、または本質的に以下からなる、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列(例えば、約1~約20の保存的置換、またはその中の値の範囲の任意の値)を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8に1つ以上の保存的置換を有する配列(例えば、約1~約20の保存的置換、またはその中の値の範囲の任意の値)を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列(例えば、約1~約20の保存的置換、またはその中の値の範囲の任意の値)を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列(例えば、約1~約20の保存的置換、またはその中の値の範囲の任意の値)を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列(例えば、約1~約20の保存的置換、またはその中の値の範囲の任意の値)を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25に1つ以上の保存的置換を有する配列(例えば、約1~約20の保存的置換、またはその中の値の範囲の任意の値)を含む軽鎖CDR3。
【0125】
いくつかの態様では、保存的置換は、類似の電荷、疎水性および/またはサイズを有する異なるアミノ酸によるアミノ酸の置換である。いくつかの態様では、保存的置換は、同じクラスの別のアミノ酸に対する表1のアミノ酸の1つ以上の置換である。
【0126】
アミノ酸配列における置換を行うための方法は当技術分野で公知であり、例えばYampolsky et al.,‘‘The Exchangeability of Amino Acids in Proteins,’’ Genetics.170(4):1459-1472;2005に記載されている。
【0127】
抗体またはその抗原結合断片は、好ましくはモノクローナルであり、より好ましくは2つの重鎖および2つの軽鎖を含む全長の抗体である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、全長の組換え抗体の抗原結合特異性を保持し、また好ましくは親和性の大部分または全部を保持する抗体の誘導体または断片または一部を含む。例えば、誘導体は、少なくとも1つの可変領域(重鎖可変領域または軽鎖可変領域のいずれか)を含み得る。適切な抗体誘導体および断片の他の例としては、限定されないが、ポリエピトープ特異性を有する抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ダイアボディ、単鎖分子、ならびにFAb、F(Ab’)2、Fd、Fabc、およびFv分子、単鎖(Sc)抗体、単鎖Fv抗体(scFv)、個々の抗体軽鎖、個々の抗体重鎖、抗体鎖と他の分子との間の融合物、重鎖モノマーまたは二量体、軽鎖モノマーまたは二量体、1つの重鎖および1つの軽鎖からなる二量体、ならびに他の多量体が挙げられる。一本鎖Fv抗体は多価であり得る。すべての抗体アイソタイプを使用して、抗体誘導体、断片、および諸部分を産生することができる。抗体誘導体、断片および/または諸部分は、任意の細胞型、原核生物または真核生物によって組換え産生および発現され得る。
【0128】
全長の抗体では、各重鎖は重鎖可変領域および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3の3つのドメインから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に、さらに細分することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下のFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順序で配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成される。典型的には、抗体の抗原結合特性は、CDR配列の変化よりもFR配列の変化によって妨害される可能性が低い。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。
【0129】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は完全にヒトである。完全ヒト抗体は、分子全体がヒトまたは他のヒト起源のものであるか、または抗体のヒト形態と同一のアミノ酸配列を含むものである。完全ヒト抗体には、例えば、抗体の可変領域をコードするヒト遺伝子が組換え発現されるヒトV遺伝子ライブラリーから得られるものが含まれる。完全ヒト抗体は、他の生物(例えば、マウスおよび異種マウス技術)またはヒト抗体をコードする遺伝子で形質転換された他の生物由来の細胞で発現され得る。それにもかかわらず、完全ヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基、例えばランダムまたは部位方向性突然変異によって導入された突然変異を含み得る。
【0130】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、非免疫グロブリン由来のタンパク質フレームワークを含む。例えば、Ku&Schutz,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6552-6(1995)には、抗原の結合のために選択されたCDRを作製するためにランダム化された2つのループを有する四ヘリックスバンドルタンパク質シトクロムb562が記載されている。
【0131】
いくつかの態様において、その組換え断片または抗原結合断片は、抗体の活性または安定性に影響を及ぼし得る翻訳後修飾または部分を含む。これらの修飾または部分には、メチル化、アセチル化、グリコシル化、硫酸化、リン酸化、カルボキシル化、およびアミド化部分、ならびに当技術分野で周知の他の部分が含まれるが、これらに限定されない。部分は、天然の免疫グロブリン分子に一般的に見られるか、または原核生物および真核生物の発現系を含む組換え発現系によって抗体に付加される任意の化学的な基または基の組み合わせを含む。
【0132】
本開示によって企図される側鎖修飾の例としては、アルデヒドとの反応、その後のNaBH4による還元による還元アルキル化;メチルアセトイミデートによるアミド化;無水酢酸によるアシル化;シアネートによるアミノ基のカルバモイル化;2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化;アミノ基と無水コハク酸およびテトラヒドロ無水フタル酸とのアシル化;およびピリドキサール-5-リン酸によるリジンのピリドキシル化、その後のNaBH4による還元などによるアミノ基の修飾が挙げられる。
【0133】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、血清半減期および体内分布を調節する1つ以上の改変を含み、限定されないが、新生児型Fc受容体(FcRn)、IgGを異化から保護し、高い血清抗体濃度を維持する上で重要な役割を果たす受容体との抗体の相互作用を調節する改変を含む。
【0134】
抗体またはその抗原結合断片は、任意の化学的または生体分子部分に標識、結合またはコンジュゲートされ得る。標識された抗体は、治療、診断、または基礎研究の用途での使用が見出せる。そのような標識/コンジュゲートは、検出可能であり得、蛍光色素、電気化学発光プローブ、量子ドット、放射性標識、酵素、蛍光タンパク質、発光タンパク質、およびビオチンなどがあり得る。標識/コンジュゲートは、化学療法剤、毒素、同位体、およびがん細胞の死滅などの状態を治療するために使用される他の薬剤であり得る。化学療法剤は、抗体が使用されている目的に適した任意のものであり得る。
【0135】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、タンパク質分解的な切断を防止するために、または活性もしくは安定性を増強するために、公知の保護/阻害する基によって誘導体化され得る。
【0136】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0137】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、sdFv断片、VHドメイン、VLドメイン、またはそれらの組み合わせである。
【0138】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD、その変異体、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、その変異体、またはそれらの組み合わせである。
【0139】
いくつかの態様において、約1×105(1/Ms)~約7×106(1/Ms)のKaの値;約1×10-4(1/s)~約0.4(1/s)のKdの値;および/または約2×10-10(M)~約6×10-8(M)の計算されたKDでMOSPD2に結合する。
【0140】
いくつかの態様において、本開示は、MOSPD2に特異的に結合する抗体または抗原結合断片を提供し、この場合、MOSPD2はヒトMOSPD2である。
【0141】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号26~29のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号26~29のいずれか1つと約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を有するMOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0142】
いくつかの態様において、本開示は、配列番号30~33のいずれか1つの核酸配列によってコードされるアミノ酸配列、または配列番号30~33のいずれか1つと約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれを超える同一性を有するアミノ酸配列を有するMOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0143】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片とMOSPD2への結合について競合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。結合についての競合は、ELISA競合アッセイ、表面プラズモン共鳴およびスキャッチャード分析を含むがこれらに限定されない当業者に公知のアッセイを使用して判定することができる。
【0144】
いくつかの態様では、本開示は、MOSPD2に特異的に結合する本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を提供する。いくつかの態様では、本開示は、MOSPD2に特異的に結合する本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを提供する。いくつかの態様では、本開示は、MOSPD2に特異的に結合する本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクター、またはMOSPD2に特異的に結合する本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸を含む細胞を提供する。
【0145】
いくつかの態様では、本開示は、適切な条件下でMOSPD2に特異的に結合する本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を含むベクターを含む細胞を培養すること、および抗体または抗原結合断片を単離することを含む、MOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生する方法を提供する。
組成物およびキット
【0146】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を含む組成物を提供する。いくつかの態様において、本開示は、以下を含む抗体または抗原結合断片を含む組成物を提供する、すなわち(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1に対して約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%もしくはそれを超える同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0147】
いくつかの態様において、本開示は、以下を含むMOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む組成物を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0148】
いくつかの態様では、組成物は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片、および担体を含む。いくつかの態様では、担体は、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルである。担体の例には、水や油などの液体が含まれるが、これらに限定されない。水、水溶液生理食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射用溶液のための担体として使用することができる。
【0149】
いくつかの態様では、組成物は、注射または注入のように投与するために製剤化される。注射または注入による投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内および皮下が含まれる。
【0150】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸、そのような核酸を含むベクター、またはそのような核酸もしくはベクターを含む細胞を含む組成物を提供する。いくつかの態様では、組成物は担体をさらに含む。
【0151】
いくつかの態様では、本開示は、(i)本明細書に記載の抗体もしくは抗原結合断片、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片をコードする核酸、かかる核酸を含むベクター、またはかかる核酸もしくはベクターを含む細胞、および(ii)使用説明書を含むキットを提供する。
【0152】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体または抗原結合断片および1つ以上の追加の活性剤を含む組成物を提供する。
使用法
【0153】
いくつかの態様では、本開示は、炎症性疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、炎症性疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0154】
いくつかの態様では、本開示は、炎症性疾患または障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち、
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0155】
いくつかの態様において、炎症性疾患または障害は、特発性炎症性疾患または障害、慢性炎症性疾患または障害、急性炎症性疾患または障害、自己免疫疾患または障害、感染性疾患または障害、炎症性悪性疾患または障害、炎症性移植関連疾患または障害、炎症性変性疾患または障害、過敏症に関連する疾患または障害、炎症性心血管疾患または障害、炎症性脳血管疾患または障害、末梢血管疾患または障害、炎症性腺疾患または障害、炎症性胃腸疾患または障害、炎症性皮膚疾患または障害、炎症性肝疾患または障害、炎症性神経疾患または障害、炎症性筋骨格系疾患または障害、炎症性腎疾患または障害、炎症性生殖系疾患または障害、炎症性全身性疾患または障害、炎症性結合組織疾患または障害、壊死、炎症性インプラント関連疾患または障害、炎症性老化過程、免疫不全疾患または障害、または炎症性肺疾患または障害である。
【0156】
いくつかの態様では、過敏症は、I型過敏症、II型過敏症、III型過敏症、IV型過敏症、即時型過敏症、抗体媒介性過敏症、免疫複合体媒介性過敏症、Tリンパ球媒介性過敏症、遅延型過敏症、ヘルパーTリンパ球媒介性過敏症、細胞傷害性Tリンパ球媒介性過敏症、TH1リンパ球媒介性過敏症、またはTH2リンパ球媒介性過敏症である。
【0157】
いくつかの態様では、炎症性心血管疾患または障害は、閉塞性疾患または障害、アテローム性動脈硬化症、心臓弁膜症、狭窄、再狭窄、ステント内狭窄、心筋梗塞、冠動脈疾患、急性冠動脈症候群、うっ血性心不全、狭心症、心筋虚血、血栓症、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎症候群、抗第VIII因子自己免疫疾患または障害、壊死性小血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、少数免疫性巣状壊死性糸球体腎炎、三日月性糸球体腎炎、抗リン脂質症候群、抗体誘導性心不全、血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、心臓自己免疫、シャーガス病または障害、または抗ヘルパーTリンパ球自己免疫である。
【0158】
いくつかの態様では、炎症性脳血管疾患または障害は、脳卒中、脳血管炎症、脳出血、または椎骨動脈不全である。
【0159】
いくつかの態様では、末梢血管疾患または障害は、壊疽、糖尿病性血管症、血栓症、糖尿病性網膜症、または糖尿病性腎症である。
【0160】
いくつかの態様において、自己免疫性の疾患または障害は、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、自己免疫性糖尿病、橋本病、乾癬、原発性粘液浮腫、悪性貧血、重症筋無力症、慢性活動性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、ブドウ膜炎、血管炎、またはヘパリン誘発性血小板減少症である。
【0161】
いくつかの態様では、炎症性腺疾患または障害は、膵臓疾患または障害、I型糖尿病、甲状腺疾患または障害、グレーブス病または障害、甲状腺炎、自発性自己免疫性甲状腺炎、橋本甲状腺炎、特発性粘液浮腫、卵巣自己免疫、自己免疫性抗精子不妊症、自己免疫性前立腺炎、またはI型自己免疫性多腺性症候群である。
【0162】
いくつかの態様では、炎症性皮膚疾患または障害は、座瘡、自己免疫性水疱性皮膚疾患または障害、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、落葉状天疱瘡、接触性皮膚炎、または薬疹である。
【0163】
いくつかの態様では、炎症性肝疾患または障害は、自己免疫性肝炎、肝硬変、または胆汁性肝硬変である。
【0164】
いくつかの態様において、炎症性神経疾患または障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、重症筋無力症、運動ニューロパシー、ギラン・バレー症候群、自己免疫性ニューロパシー、ランバート・イートン筋無力症候群、腫瘍随伴性神経疾患または障害、腫瘍随伴性小脳萎縮症、腫瘍非形成性スティフマン症候群、進行性小脳萎縮症、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデハム舞踏病、ジルドラトゥーレット症候群、自己免疫性多腺性内分泌不全症、ディスイミューンニューロパシー、後天性神経筋緊張症、多発性関節閉鎖症、ハンチントン病、AIDS関連認知症、筋萎縮性側索硬化症、脳卒中、炎症性網膜疾患または障害、炎症性眼疾患または障害、視神経炎、海綿状脳症、片頭痛、頭痛、群発性頭痛、または硬直症候群である。
【0165】
いくつかの態様において、炎症性結合組織疾患または障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、自己免疫性筋炎、原発性シェーグレン症候群、平滑筋自己免疫疾患または障害、筋炎、腱炎、靭帯炎症、軟骨炎、関節炎症、滑膜炎症、手根管症候群、強直性脊椎炎、骨格炎症、自己免疫性耳疾患または障害、あるいは、内耳の自己免疫疾患または障害である。
【0166】
いくつかの態様では、炎症性腎疾患または障害は自己免疫性間質性腎炎である。
【0167】
いくつかの態様では、炎症性生殖系疾患または障害は、反復性胎児喪失、卵巣嚢胞、または月経関連疾患または障害である。
【0168】
いくつかの態様において、炎症性全身性疾患または障害は、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、敗血症性ショック、毒性ショック症候群または悪液質である。
【0169】
いくつかの態様では、感染性疾患または障害は、慢性感染性疾患または障害、亜急性感染性疾患または障害、急性感染性疾患または障害、ウイルス性疾患または障害、細菌性疾患または障害、原虫性疾患または障害、寄生虫性疾患または障害、真菌性疾患または障害、マイコプラズマ疾患または障害、壊疽、敗血症、プリオン病または障害、インフルエンザ、結核、マラリア、後天性免疫不全症候群、または重症急性呼吸器症候群である。
【0170】
いくつかの態様では、炎症性移植関連疾患または障害は、移植片拒絶、慢性移植片拒絶、亜急性移植片拒絶、急性移植片拒絶超急性移植片拒絶、または移植片対宿主病または障害である。
【0171】
いくつかの態様では、インプラントは、人工装具インプラント、乳房インプラント、シリコーンインプラント、歯科インプラント、陰茎インプラント、心臓インプラント、人工関節、骨折修復装置、骨置換インプラント、薬物送達インプラント、カテーテル、ペースメーカー、人工心臓、人工心臓弁、薬物放出インプラント、電極、または人工呼吸器チューブである。
【0172】
いくつかの態様では、炎症性肺疾患または障害は、喘息、アレルギー性喘息、気腫、慢性閉塞性肺疾患または障害、サルコイドーシス、または気管支炎である。
【0173】
いくつかの態様では、炎症性疾患または障害は、慢性自己免疫疾患または慢性炎症性疾患に罹患している対象における血管炎症である。いくつかの態様では、慢性自己免疫疾患または炎症性疾患は乾癬である。いくつかの態様では、血管炎症は、心血管疾患、末梢血管疾患、冠動脈疾患、脳血管疾患、腎動脈狭窄、虚血性疾患、または大動脈瘤に関連する。いくつかの態様では、血管炎症は、虚血性心疾患、アテローム性動脈硬化症、急性冠動脈症候群、不安定狭心症、安定狭心症、または脳卒中に関連する。他の態様では、血管炎症は頸動脈の炎症である。他の態様では、血管炎症は大動脈の炎症である。
【0174】
いくつかの態様では、炎症性疾患または障害は、インプラントに関連する炎症である。いくつかの態様では、インプラントに関連する炎症は、局所的な炎症または全身性炎症反応である。いくつかの態様では、インプラントは、シリコーン、生理食塩水、金属、プラスチック、またはポリマーインプラントである。いくつかの態様では、インプラントは、整容的インプラント、人工インプラント、皮下インプラント、経皮インプラント、骨置換インプラント、または骨折修復装置である。いくつかの態様では、インプラントは薬物送達インプラントまたは薬物放出インプラントである。他の態様では、インプラントは、人工関節、人工心臓、人工心臓弁、精巣プロテーゼ、乳房インプラント、歯科インプラント、眼インプラント、蝸牛インプラント、陰茎インプラント、心臓インプラント、カテーテル、埋め込み型尿失禁装置、ペースメーカー、電極、ヘルニア支持装置、または人工呼吸器チューブである。
【0175】
いくつかの態様では、本開示は、炎症細胞(例えば、単球または好中球)の遊走を阻害または防止する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、炎症細胞(例えば、単球または好中球)の遊走を阻害または防止する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0176】
いくつかの態様では、本開示は、炎症細胞(例えば、単球または好中球)の遊走を阻害または防止する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0177】
いくつかの態様では、本開示は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、脂肪性肝炎または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療または予防する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、脂肪性肝炎または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療または予防する方法であって、治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0178】
いくつかの態様では、本開示は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、脂肪性肝炎または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療または予防する方法であって、以下を含む治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0179】
いくつかの態様では、本開示は、線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0180】
いくつかの態様では、本開示は、線維症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち、
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0181】
いくつかの態様では、線維症は、肝線維症、腎線維症、肺線維症(lung fibrosis、pulmonary fibrosis)、皮膚線維症、特発性肺線維症(IPF)、嚢胞性線維症、進行性巨大線維症、肝硬変、心内膜心筋線維症、髄線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、または関節線維症である。いくつかの態様では、腎線維症は巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)または糸球体硬化症である。
【0182】
いくつかの態様では、本開示は、関節炎(例えば、関節リウマチまたは乾癬性関節炎)を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、関節炎(例えば、関節リウマチまたは乾癬性関節炎)を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0183】
いくつかの態様では、本開示は、関節炎(例えば、関節リウマチまたは乾癬性関節炎)を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち、
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0184】
いくつかの態様において、関節炎は、関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節炎または乾癬性関節炎である。いくつかの態様において、関節リウマチは、慢性関節リウマチまたは若年性関節リウマチである。
【0185】
いくつかの態様では、本開示は、多発性硬化症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、多発性硬化症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0186】
いくつかの態様では、本開示は、多発性硬化症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち、
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0187】
いくつかの態様では、多発性硬化症は、寛解型多発性硬化症(RRMS)、原発性進行性多発性硬化症(PPMS)、または続発性進行性多発性硬化症(SPMS)である。いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬が、テリフルノミド、ナタリズマブ、フマル酸ジメチル、オクレリズマブ、IFNβ-1a、クラドリビン、酢酸グラチラマー、またはそれらの組み合わせであることを含む。
【0188】
いくつかの態様では、本開示は、大腸炎または炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、大腸炎または炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0189】
いくつかの態様では、本開示は、大腸炎または炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち、
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0190】
いくつかの態様において、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病である。いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、さらなる治療薬が、インフリキシマブ、ベドリズマブ、アザチオプリン、アダリムマブ、マサラジン、またはそれらの組み合わせである。
【0191】
いくつかの態様では、本開示は、がんまたはがんの転移を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載の抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、がんまたはがんの転移を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち
(i)配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9と約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つと約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0192】
いくつかの態様では、本開示は、がんまたはがんの転移を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量のMOSPD2に特異的に結合する以下を含む抗体または抗原結合断片を投与することを含む方法を提供する、すなわち、
(i)配列番号1のアミノ酸配列または配列番号1において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR1;
(ii)配列番号2~8のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号2~8において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR2;
(iii)配列番号9のアミノ酸配列または配列番号9において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む重鎖CDR3;
(iv)配列番号10~18のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号10~18のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号19~24のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号19~24のいずれか1つにおいて1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR2;および
(vi)配列番号25のアミノ酸配列または配列番号25において1つ以上の保存的置換を有する配列を含む軽鎖CDR3。
【0193】
いくつかの態様では、がんは、膀胱がん、乳がん、結腸がん、卵巣がん、直腸がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、食道がん、胆嚢がん、卵巣がん、膵臓がん、胃がん、子宮頸がん、甲状腺がん、前立腺がん、皮膚がん、造血がん、間葉起源のがん、中枢もしくは末梢神経系のがん、子宮内膜がん、頭頸部がん、膠芽腫、悪性腹水、神経内分泌がん、胃腸がん、または再発性もしくは原発性がんである。
【0194】
いくつかの態様では、肺がんは小細胞肺がんまたは非小細胞肺がんである。
【0195】
いくつかの態様では、皮膚がんは、扁平上皮癌、基底細胞がん、黒色腫、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、カポジ肉腫、ケラトアカントーマ、紡錘細胞腫瘍、脂腺癌、小嚢胞性付属器癌腫、乳房のパジェット病、異型線維黄色腫、平滑筋肉腫、または血管肉腫である。
【0196】
いくつかの態様では、造血がんはリンパ系統の造血がんである。いくつかの態様において、リンパ系統の造血がんは、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫またはバーキットリンパ腫である。
【0197】
いくつかの態様では、造血がんは骨髄系統の造血がんである。いくつかの態様において、骨髄系列の造血がんは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病である。
【0198】
いくつかの態様では、間葉起源のがんは、線維肉腫、横紋筋肉腫、軟部組織肉腫または骨肉腫である。
【0199】
いくつかの態様では、中枢神経系または末梢神経系のがんは、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、シュワン細胞腫、または神経膠芽腫である。
【0200】
いくつかの態様では、がんは、肛門がん、骨がん、消化管ストーマがん、妊娠性栄養膜疾患、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、ケラトアカントーマ、悪性中皮腫、多中心性キャッスルマン病、多発性骨髄腫および他の形質細胞新生物、骨髄増殖性新生物、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、骨肉腫、卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がん、陰茎がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、セミノーマ、軟部組織肉腫、胃(stomach、gastric)がん、精巣がん、奇形癌腫、甲状腺濾胞性がん、膣がん、外陰がん、ウィルムス腫瘍および他の小児腎臓がん、または色素性乾皮症である。
【0201】
いくつかの態様では、方法は、さらなる治療薬を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、さらなる治療薬は抗がん剤である。いくつかの態様では、抗がん剤は、酢酸アビラテロン、アビトレキサート(メトトレキサート)、アブラキサン(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、AC-T、アドセトリス(ブレンツキシマブベドチン)、ADE、Ado-トラスツズマブエムタンシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン塩酸塩)、アドルシル(フルオロウラシル)、ジマレイン酸アファチニブ、アフィニトール(エベロリムス)、アキンゼオ(ネットピタントおよびパロノセトロン塩酸塩)、アルダラ(イミキモド)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリムタ(ペメトレキセド二ナトリウム)、アロキシ(パロノセトロン塩酸塩)、アンボクロリン(クロラムブシル)、アンボクロリン(クロラムブシル)、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アプレピタント、アレディア(パミドロン酸二ナトリウム)、アリミデックス(アナストロゾール)、アロマシン(エキセメスタン)、アラノン(ネララビン)、三酸化ヒ素、アルゼラ(オファツムマブ)、Erwinia chrysanthemi由来アスパラギナーゼ、アバスチン(ベバシズマブ)、アキシチニブ、アザシチジン、BEACOPP、ベセナム(カルムスチン)、ベレオダック(ベリノスタット)、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベバシズマブ、ベキサロテン、ベクサー(トシツモマブおよびヨード(I131)トシツモマブ)、ビカルタミド、BiCNU(カルムスチン)、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ブリンサイト(ブリナツモマブ)、ボルテゾミブ、ボスリフ(ボスチニブ)、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブスルファン、ブスルフェクス(ブスルファン)、カバジタキセル、カボザンチニブ-S-マレート、CAF、カンパス(アレムツズマブ)、カンプトサール(イリノテカン塩酸塩)、カペシタビン、CAPOX、カルボプラチン、カルボプラチン-タキソール、カルフィルゾミブ、カルムブリス(カルムスチン)、カルムスチン、カルムスチンインプラント、カソデックス(ビカルタミド)、CeeNU(ロムスチン)、セリチニブ、セルビジン(ダウノルビシン塩酸塩)、サーバリックス(組換えHPV二価ワクチン)、セツキシマブ、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラフェン(シクロホスファミド)、クロファラビン、CMF、コメトリック(カボザンチニブ-S-マレート)、COPP、COPP-ABV、コスメゲン(ダクチノマイシン)、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、Cyfos(イホスファミド)、Cyramza(ラムシルマブ)、シタラビン、シタラビン、リポソーム、Cytosar-U(シタラビン)、Cytoxan(シクロホスファミド)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコゲン(デシタビン)、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンディフティトックス、デノスマブ、デポサイト(リポソームシタラビン)、デポフォーム(リポソームシタラビン)、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、ドックス-SL(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(ダカルバジン)、Efudex(フルオロウラシル)、Elitek(ラスブリカーゼ)、Ellence(エピルビシン塩酸塩)、エロキサチン(オキサリプラチン)、エルトロンボパグオラミン、エメンド(アプレピタント)、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、EPOCH、アービタックス(セツキシマブ)、メシル酸エリブリン、エリベジ(ビスモデギブ)、塩酸エルロチニブ、エルウィナゼ(アスパラギナーゼエルウィニアクリサンテミ)、エトポホス(リン酸エトポシド)、エトポシド、リン酸エトポシド、エバセット(塩酸ドキソルビシンリポソーム)、エベロリムス、エビスタ(塩酸ラロキシフェン)、エキセメスタン、ファレストン(トレミフェン))、Farydak(パノビノスタット)、Faslodex(フルベストラント)、FEC、Femara(レトロゾール)、Filgrastim、Fludara(フルダラビンリン酸塩)、リン酸フルダラビン、フルオロプレックス(フルオロウラシル)、フルオロウラシル、フォレックス(メトトレキサート)、フォレックス PFS(メトトレキサート)、フォルフィリ、フォルフィリ-ベバシズマブ、フォルフィリ-セツキシマブ、フォルフィリノックス、フォルフロックス、フォロチン(プララトレキサート)、FU-LV、フルベストラント、ガーダシル(組換えHPV4価ワクチン)、Gardasil 9(組換えHPV非価ワクチン)、Gazyva(オビヌツズマブ)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムザール(ゲムシタビン塩酸塩)、ジロトリフ(アファチニブジマレート)、グリベック(イマチニブメシル酸塩)、グリアデル(カルムスチンインプラント)、グリアデルウエハ(カルムスチンインプラント)、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、ハラベン(メシル酸エリブリン)、ハーセプチン(トラスツズマブ)、HPV二価ワクチン、組換え体、HPV九価ワクチン、組換え体、HPV四価ワクチン、組換え体、ハイカムチン(トポテカン塩酸塩)、Hyper-CVAD、イブランス(パルボシクリブ)、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、ICE、イクルシグ(ポナチニブ塩酸塩)、イダマイシン(イダルビシン塩酸塩)、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、Ifex(イホスファミド)、イホスファミド、イホスファミダム(イホスファミド)、メシル酸イマチニブ、インブルビカ(イブルチニブ)、イミキモド、インライタ(アキシチニブ)、イントロンA(組換えインターフェロンアルファ-2b)、ヨウ素131トシツモマブおよびトシツモマブ、イピリムマブ、イレッサ(ゲフィチニブ)、イリノテカン塩酸塩、イストダックス(ロミデプシン)、イクサベピロン、イクセンプラ(イクサベピロン)、ジャカフィ(リン酸ルキソリチニブ)、ジェブタナ(カバジタキセル)、カドサイラ(アドトラスツズマブエムタンシン)、ケオキシフェン(塩酸ラロキシフェン)、ケピバンス(パリフェルミン)、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)、キプロリス(カルフィルゾミブ)、酢酸ランレオチド、ジトシル酸ラパチニブ、レナリドミド、メシル酸レンバチニブ、レンビマ(メシル酸レンバチニブ)、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイケラン(クロラムブシル)、酢酸ロイプロリド、レブラン(アミノレブリン酸)、リンフォリジン(クロラムブシル)、リポドックス(ドキソルビシン塩酸塩リポソーム)、リポソームシタラビン、ロムスチン、ルプロン(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ-Ped(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ-3Month(酢酸ロイプロリド)、ルプロンデポ-4Month(酢酸ロイプロリド)、Lynparza(オラパリブ)、Marqibo(硫酸ビンクリスチンリポソーム)、Matulane(塩酸プロカルバジン)、塩酸メクロレタミン、Megace(酢酸メゲストロール)、酢酸メゲストロール、Mekinist(トラメチニブ)、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(メスナ)、メサゾラストン(テモゾロミド)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メキサート(メトトレキサート)、メキサート-AQ(メトトレキサート)、マイトマイシンC、塩酸ミトキサントロン、マイトザイトレックス(マイトマイシンC)、MOPP、モゾビル(プレリキサホル)、マスターゲン(メクロレタミン塩酸塩)、ムタマイシン(マイトマイシンC)、マイレラン(ブスルファン)、マイロサール(アザシチジン)、マイロターグ(ゲムツズマブオゾガマイシン)、ナノ粒子パクリタキセル(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ナベルビン(酒石酸ビノレルビン))、Nelarabine、Neosar(シクロホスファミド)、NetupitantおよびPalonosetron Hydrochloride、Neupogen(フィルグラスチム)、Nexavar(ソラフェニブトシル酸塩)、Nilotinib、ニボルマブ、Nolvadex(タモキシフェンクエン酸塩)、Nplate(Romiplostim)、オビヌツズマブ、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、メペコハク酸オマセタキシン、オンカスパー(ペガスパルガーゼ)、オンタック(デニロイキンディフティトックス)、オプジーボ(ニボルマブ)、OPPA、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、パロノセトロン塩酸塩、パミドロン酸二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、パラプラット(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボプラチン)、パゾパニブ塩酸塩、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、PEG-イントロン(ペグインターフェロンアルファ-2b)、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、パージェタ(ペルツズマブ)、ペルツズマブ、プラチノール(シスプラチン)、プラチノール-AQ(シスプラチン)、プレリキサホル、ポマリドミド、ポマリスト(ポマリドミド)、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロロイキン(アルデスロイキン)、プロリア(デノスマブ)、プロマクタ(エルトロンボパグオラミン)、プロベンジ(シプロイセル-T)、プリネトール(メルカプトプリン)、プリキサン(メルカプトプリン)、二塩化ラジウム223、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、R-CHOP、R-CVP、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)一価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)四価ワクチン、組換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、R-EPOCH、レブラミド(レナリドミド)、リウマチ(メトトレキサート)、リツキサン(リツキシマブ)、リツキシマブ、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルビドマイシン(ダウノルビシン塩酸塩)、リン酸ルキソリチニブ、胸腔内スクレロソールエアロゾル(タルク)、シルツキシマブ、シプロイセル-T、ソマチュリンデポ(酢酸ランレオチド)、トシル酸ソラフェニブ、スプリセル(ダサチニブ)、スタンフォードV、無菌タルクパウダー(タルク)、ステリタルク(タルク)、スチバルガ(レゴラフェニブ)、リンゴ酸スニチニブ、スーテント(リンゴ酸スニチニブ)、シラトロン(ペグインターフェロンアルファ-2b)、シルバント(シルツキシマブ)、シノビル(サリドマイド)、シンリボ(メペコハク酸オマセタキシン)、TAC、タフィンラー(ダブラフェニブ)、タルク、クエン酸タモキシフェン、タラビンPFS(シタラビン)、タルセバ(エルロチニブ塩酸塩)、タルグレチン(ベキサロテン)、タシグナ(ニロチニブ)、タキソール(パクリタキセル)、タキソテール(ドセタキセル)、テモダール(テモゾロミド)、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、サロミド(サリドマイド)、チオテパ、トポサール(エトポシド)、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トリセル(テムシロリムス)、トシツモマブおよびI131ヨウ素トシツモマブ、トテクト(デクスラゾキサン塩酸塩)、TPF、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレアンダ(ベンダムスチン塩酸塩)、トリセノックス(三酸化ヒ素)、タイケルブ(ラパチニブジトシル酸塩)、ユニツキシン(ジヌツキシマブ)、バンデタニブ、VAMP、Vectibix(パニツムマブ)、VeIP、Velban(硫酸ビンブラスチン)、Velcade(ボルテゾミブ)、Velsar(硫酸ビンブラスチン)、ベムラフェニブ、
VePesid(エトポシド)、Viadur(酢酸ロイプロリド)、Vidaza(アザシチジン)、硫酸ビンブラスチン、ビンカサールPFS(硫酸ビンクリスチン)、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチンリポソーム、酒石酸ビノレルビン、VIP、ビスモデギブ、ボラキサゼ(グルカルピダーゼ)、ボリノスタット、ボトリエント(パゾパニブ塩酸塩)、ウェルコボリン(ロイコボリンカルシウム)、ザーコリ(クリゾチニブ)、ゼローダ(カペシタビン)、ゼリーリ、ゼロックス、ゼーゲバ(デノスマブ)、ゾフィゴ(二塩化ラジウム223)、イクスタンジ(エンザルタミド)、ヤーボイ(イピリムマブ)、ザルトラップ(ジブ-アフリベルセプト)、ゼルボラフ(ベムラフェニブ)、ゼバリン(イブリツモマブチウキセタン)、ジンカード(塩酸デクスラゾキサン)、ジブ-アフリベルセプト、ゾラデックス(酢酸ゴセレリン)、ゾレドロン酸、ゾリンザ(ボリノスタット)、ゾメタ(Zoledronic Acid)、Zydelig(イデラリシブ)、Zykadia(セリチニブ)、またはZytiga(アビラテロン酢酸塩)である。
【0202】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様では、対象は哺乳動物である。いくつかの態様では、対象は獣医学的動物(例えば、イヌ、ネコ、鳥、マウス、ウマ、ヒツジ、ウシ、ヤギなど)である。
【実施例】
【0203】
ここで、上記の説明と共に本開示のいくつかの態様を非限定的に示す以下の実施例を参照する。
実施例1
抗MOSPD2抗体
【0204】
抗MOSPD2モノクローナル抗体を以下の方法に従って作製した。各抗体について、重鎖および軽鎖のエンドトキシンを含まないDNA調製物をpTXs1発現構築物に導入した。独自のXtenトランスフェクションプロトコルを使用することによって、次いで、プラスミドを独自のXtenCHO細胞(80ml培養)に一過性にトランスフェクトした。生存率が50%未満に低下したとき(トランスフェクションの14日後)、培養培地の試料を収集し、次いで、抗体を、以下の標準的な方法、すなわち(i)0.22μm濾過による清澄化、(ii)平衡化、結合およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.5による洗浄、(iii)トリス-グリシンpH2.7でのpHシフトによる溶出、(iv)トリス-塩酸塩(Tris-HCl)pH8.5による中和、および(v)目的の画分のプールおよびpH7.5のPBSに対する緩衝液の交換を使用することによってプロテインG樹脂において精製した。収率は、Octet RED95装置を使用して推定した。純度は、非還元ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)に基づいて判定した。生成された抗体を表2に列挙する。
【0205】
抗MOSPD2抗体のKDを、Biacore T200を使用して判定した。抗原(10μg/ml)をCM5センサーチップに固定した。抗体を2倍増加の濃度(1~32nM)で含有する溶液をCM5チップ上に流した。経時的に捕捉された応答は、相互作用および会合/解離サイクルの進行を示していた。動態パラメータおよび親和性は、BIAevaluationソフトウェアを使用して計算した。得られた値を表3に列挙する。
実施例2
表面発現ヒトMOSPD2に対する抗MOSPD2抗体の結合
【0206】
ヒト単球でのその未変性形態のMOSPD2に対する抗MOSPD2抗体(すなわち、実施例1の表2の抗体S11(#8))の結合を評価するための研究を行った。そのために、赤血球を250μlのヒト末梢血から溶解した。白血球をアイソタイプコントロール抗体または2μgの抗MOSPD2抗体で染色した後、単球上のゲーティングのためにFITCコンジュゲート抗CD14抗体(1μg)および二次APCコンジュゲート抗ヒトFcγ抗体(1:200)とインキュベートした。フローサイトメトリーによって分析を行った。CD14陽性細胞でゲートした
図1の結果は、抗MOSPD2抗体がヒト単球上の表面発現MOSPD2に結合することを示す。
実施例3
抗MOSPD2抗体の結合親和性
【0207】
抗MOSPD2抗体(すなわち、実施例1の表2の抗体S11(#8))の結合親和性プロファイルを決定するための研究を行った。このために、ヒトMOSPD2(10μg/ml)をCM5センサーチップに固定化した。1nM、2nM、4nM、8nMおよび16nMの抗MOSPD2抗体をCM5チップ上で接触させ、応答を経時的に捕捉し、相互作用および会合/解離サイクルの進行を示した。異なる抗体濃度間の再生を行って、残っているすべての結合抗体をチップから除去した。動態パラメータおよび親和性は、BIAevaluationソフトウェアを使用して計算した。
【0208】
結果は、抗MOSPD2抗体が、9.51×10
5のKa値、1.32×10
-3のKd値および1.39×10
-9Mの計算されたKDでMOSPD2に結合することを示す。さらに、センサーグラムは、滑らかで一貫した曲線で用量反応関係を示した(
図2)。
実施例4
抗MOSPD2抗体のインビトロ用量範囲有効性およびEC50
【0209】
用量範囲の有効性を実証し、抗MOSPD2抗体が最大応答の半分、すなわちEC
50だけ単球移動に影響を及ぼす濃度を決定するために実験を行った。SDF-1およびMCP-1(100ng/ml)をQCM24ウェル遊走アッセイプレートの下側チャンバーに入れた。ヒト初代単球(3×10
5個)を、0.01、0.1、0.5、1、5もしくは10μg/mlの抗MOSPD2抗体または10μg/mlのIgG1コントロール抗体と30分間プレインキュベートした。次いで、単球を上部チャンバーに3時間播種し、その後、下部区画に移動した細胞の数を蛍光活性化細胞選別(FACS)によって判定した。
図3A~3Bのデータは、0.5μg/mlという低い用量で遊走の有意な阻害に達することができたことを実証している。さらに、抗体のEC
50は低nM範囲であった。
実施例5
抗MOSPD2抗体の変異体を用いたインビトロ有効性研究
【0210】
様々な抗MOSPD2抗体による単球移動に対する効果を実証するために実験を行った。間質細胞由来因子1(SDF-1)および単球走化性タンパク質-1(MCP-1)(100ng/ml)をQCM24ウェル遊走アッセイプレートの下部チャンバーに入れた。ヒト初代単球(3×10
5個)を、10μg/mlの抗MOSPD2抗体または10μg/mlのIgG1コントロール抗体と30分間プレインキュベートした。次いで、単球を上部チャンバーに3時間播種し、その後、下部区画に移動した細胞の数をFACSによって決定した。
図4A~4BBのデータは、試験したすべての抗MOSPD2抗体が単球の遊走を有意に阻害したことを実証している。
図4A~4BBにおける抗体の番号付けは、表2における抗体の番号付けに対応する。
実施例6
抗MOSPD2抗体はHFHC NASHマウスモデルにおける炎症および線維化を軽減する
【0211】
マウスに、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を誘導すべくフルクトースおよびスクロースを濃縮した水と組み合わせた高脂肪高炭水化物(HFHC)食を18週間、またはコントロール食(CHOW食)を与えた。10週目から、マウスを、500μgの抗MOSPD2抗体またはコントロール抗体(コントロールAb)により、9週間にわたって腹腔内に週に1回処置した。処置後、肝臓をマウスから採取し、試料をヘモトキシンおよびエオシン(H&E)またはマッソントリコームで染色し、脂肪肝、炎症および線維症の存在について組織学を評価した。
図5に示されるように、抗MOSPD2抗体による処置は、NASHにおける炎症および線維症を減少させた。
実施例7
抗MOSPD2抗体は、HFHC NASHマウスモデルにおける単球の蓄積および線維化を減少させる
【0212】
マウスに、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を誘導すべくフルクトースおよびスクロースを濃縮した水と組み合わせた高脂肪高炭水化物(HFHC)食を18週間、またはコントロール食(CHOW食)を与えた。10週目から、マウスを、500μgの抗MOSPD2抗体またはコントロール抗体(アイソタイプコントロール)により、9週間にわたって腹腔内に週に1回処置した。処置後、肝臓をマウスから採取し、4μm切片に対して免疫組織化学的染色を行った。切片を脱蝋し、pH=6のエピトープ回復溶液で10分間前処理した後、抗CD68抗体(1:400)で30分間インキュベートした。Leica Refine-HRPキットを検出に使用した。組織学的評価を、Olympus BX60顕微鏡を用いて行った。
【0213】
染色結果を
図6A~6Cに示し、線維化面積の割合を
図6Dに示す。
図6A~6Dは、抗MOSPD2抗体がCD68+細胞(すなわち、単球)の蓄積および線維症を減少させたことを示す。
実施例8
抗MOSPD2抗体処置は、TNBS誘発性大腸炎マウスモデルにおいて疾患活性を有意に改善する
【0214】
マウスにトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いて大腸炎を誘発させた。絶食24時間後、1.4%のTNBSを含む50%エタノール溶液100μlを、直径21Gのポリウレタンカテーテルを結腸内に4cm挿入することを介して、直腸内に投与した(0日目)。次いで、マウスの肛門を挟み、尾を握ることによってマウスを3~4分間逆さにした。-2、0および3日目に、マウスを500μgの抗MOSPD2抗体またはコントロール抗体(アイソタイプコントロール)で、腹腔内で処置した。疾患活動性指標(DAI)は、表4に示すスコアリング方法に基づいて算出した。
実施例9
抗MOSPD2抗体処置は、TNBS誘発性大腸炎マウスモデルにおいて疾患活性を有意に改善する
【0215】
マウスにトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いて大腸炎を誘発させた。絶食24時間後、1.4%のTNBSを含む50%エタノール溶液100μlを、直径21Gのポリウレタンカテーテルを結腸内に4cm挿入することを介して、直腸内に投与した(0日目)。次いで、マウスの肛門を挟み、尾を握ることによってマウスを3~4分間逆さにした。-2、0および3日目に、マウスを500μgの抗MOSPD2抗体またはコントロール抗体(アイソタイプコントロール)で、腹腔内で処置した。疾患活動性指標(DAI)は、表4に示すスコアリング方法に基づいて算出した。
【0216】
実験の最後に、肛門から1cm上の結腸を洗浄し、1mlの培地を含む24ウェルプレートに入れた。上清を回収し、酵素結合免疫測定法(ELISA)によってサイトカインについて試験した。
【0217】
図7および
図8A~8Cに示されるように、抗MOSPD2抗体は、大腸炎疾患活性を有意に改善し、炎症性メディエーターIL-6、MCP-1およびIL-12p40を減少させる。
実施例10
抗MOSPD2抗体は、RRMS患者由来の単球の遊走を有意に阻害する
【0218】
SDF-1およびMCP-1(100ng/ml)をQCM24ウェル遊走アッセイプレートの下側チャンバーに入れた。再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者由来のヒト初代単球(3×105)を、10μg/mlの抗MOSPD2モノクローナル抗体(mAb)または10μg/mlのIgG1コントロール抗体と30分間プレインキュベートした。次いで、単球を上部チャンバーに3時間播種し、その後、下部区画に移動した細胞の数をFACSによって決定した。
【0219】
図9に示すように、抗MOSPD2抗体は、異なる活性療法および疾患の程度を有するRRMS患者からの単球の遊走を有意に阻害する。
実施例11
抗MOSPD2抗体は、PPMSおよびSPMS患者由来の単球の遊走を有意に阻害する
【0220】
SDF-1およびMCP-1(100ng/ml)を、QCM24ウェル遊走アッセイプレートの下側チャンバーに入れた。原発性進行性または続発性進行性多発性硬化症(それぞれPPMSまたはSPMS)患者由来のヒト初代単球(3×10
5個)を、10μg/mlの抗MOSPD2mAbまたは10μg/mlのIgG1コントロール抗体と30分間プレインキュベートした。次いで、単球を上部チャンバーに3時間播種し、その後、下部区画に移動した細胞の数をFACSによって決定した。
図10に示されるように、抗MOSPD2抗体は、PPMSおよびSPMS患者からの単球の遊走を有意に阻害する。
実施例12
抗MOSPD2抗体は、RAおよびPsA患者由来の単球の遊走を有意に阻害する
【0221】
SDF-1およびMCP-1(100ng/ml)をQCM24ウェル遊走アッセイプレートの下側チャンバーに入れた。関節リウマチ(RA)または乾癬性関節炎(PsA)患者由来のヒト初代単球(3×10
5)を、10μg/mlの抗MOSPD2mAbまたは10μg/mlのIgG1コントロール抗体と30分間プレインキュベートした。次いで、単球を上部チャンバーに3時間播種し、その後、下部区画に移動した細胞の数をFACSによって決定した。
図11に示されるように、抗MOSPD2抗体は、RAおよび乾癬性関節炎PsA患者からの単球の遊走を有意に阻害する。
実施例13
抗MOSPD2抗体は、クローン病および潰瘍性大腸炎患者からの単球の遊走を有意に阻害する
【0222】
SDF-1およびMCP-1(100ng/ml)を、QCM24ウェル遊走アッセイプレートの下側チャンバーに入れた。潰瘍性大腸炎またはクローン病患者由来のヒト初代単球(3×10
5個)を、10μg/mlの抗MOSPD2mAbまたは10μg/mlのIgG1コントロール抗体と30分間プレインキュベートした。次いで、単球を上部チャンバーに3時間播種し、その後、下部区画に移動した細胞の数をFACSによって決定した。
図12に示されるように、抗MOSPD2抗体は、クローン病および潰瘍性大腸炎患者からの単球の遊走を有意に阻害する。
実施例14
ヒトがん細胞株のMOSPD2への抗MOSPD2抗体の結合
【0223】
ヒトのがん細胞に発現されたMOSPD2に対する抗MOSPD2抗体の結合を評価するために研究を行った。そのために、子宮頸がん(Hela)、トリプルネガティブ(TN)乳がん(MDA-231)、黒色腫(A2058)および骨髄系(U937)細胞株(1×10
6)を、アイソタイプコントロール抗体またはヒト化抗MOSPD2抗体(2μg)で染色し、引き続いて二次APCコンジュゲート抗ヒトFcγ抗体(1:200)とインキュベートした。フローサイトメトリーによって分析を行った。
図13A~13Dの結果は、抗MOSPD2抗体が、異なるがん細胞株の表面発現MOSPD2に結合することを示す。
【0224】
【0225】
本願で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本願における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【配列表】
【国際調査報告】