(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】液圧式の非人力・車両ブレーキ装置内で機能テストを実施する方法
(51)【国際特許分類】
B60T 8/88 20060101AFI20231101BHJP
B60T 8/48 20060101ALI20231101BHJP
B60T 13/138 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B60T8/88
B60T8/48
B60T13/138 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524315
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2021075781
(87)【国際公開番号】W WO2022089835
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】102020213766.8
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】キンダー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】マルキン,アナトリー
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,サブリナ
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB05
3D048CC54
3D048HH18
3D048HH26
3D048HH53
3D048HH68
3D048HH75
3D048HH77
3D048QQ11
3D246BA02
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB37
3D246GC11
3D246JB11
(57)【要約】
液圧式の非人力・車両ブレーキ装置(1)の圧力発生モジュール(2)内で機能テストを実施すべく、本発明が提案するのは、ブレーキ圧力を非人力ブレーキ圧力発生器(4)により発生させ、続いて圧力調整モジュール(3)を接続弁(21)の閉鎖により、または液圧式のホイールブレーキ(22)を入口弁(23)の閉鎖により、圧力発生モジュール(2)から液圧的に切り離し、これにより、機能テスト中、ブレーキ液がホイールブレーキ(22)内へ流れないようにすることである。ブレーキ液が流れてしまうと、圧力発生モジュール(2)内のブレーキ圧力を低下させ、機能テストに悪影響を及ぼし、または妨げかねない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の非人力・車両ブレーキ装置内で機能テストを実施する方法であって、
前記非人力・車両ブレーキ装置は、
非人力・ブレーキ圧力発生器(4)を有する圧力発生モジュール(2)と、
圧力調整モジュール(3)であって、前記圧力調整モジュール(3)は、接続弁(21)により前記圧力発生モジュール(2)に接続されており、かつ前記圧力調整モジュール(3)には、入口弁(23)を通して液圧式のホイールブレーキ(22)が接続されている圧力調整モジュール(3)と、
を有し、
方法において、
前記機能テストを実施すべく、ブレーキ圧力を前記非人力・ブレーキ圧力発生器(4)により発生させ、前記ホイールブレーキ(22)に前記ブレーキ圧力を印加し、
続いて前記接続弁(21)および/または前記入口弁(23)を閉鎖し、かつ前記機能テストを実施する、
ことを特徴とする、液圧式の非人力・車両ブレーキ装置内で機能テストを実施する方法。
【請求項2】
前記非人力・ブレーキ圧力発生器(4)は、非人力弁(16)を通してかつ/またはチェック弁(19)を通してブレーキ液貯蔵容器(15)に接続されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接続弁(21)の前記閉鎖後および/または前記入口弁(23)の前記閉鎖後、前記圧力発生モジュール(2)内の前記ブレーキ圧力またはブレーキ圧力推移を測定し、かつ評価することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記非人力・車両ブレーキ装置(1)を装備した車両を、前記方法の前記実施中、停止させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項または複数項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧式の、特にスリップコントロールを有する非人力・車両ブレーキ装置の圧力発生モジュール内で機能テストを実施する方法であって、非人力・車両ブレーキ装置は、ブレーキ圧力を非人力で発生させる圧力発生モジュールと、この圧力発生モジュールに接続されている、ブレーキ圧力を調整するかつ/またはスリップコントロールする圧力調整モジュールとを有する、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スリップコントロールを有する液圧式の非人力・車両ブレーキ装置であって、圧力発生モジュール内に設けられた電気液圧式の非人力・ブレーキ圧力発生器と、ソレノイド弁およびリターンポンプを有する、スリップコントロールする圧力調整モジュールとを有し、圧力調整モジュールは、圧力発生モジュールに接続されている、非人力・車両ブレーキ装置を開示している。筋力操作のために、この公知の車両ブレーキ装置は、主ブレーキシリンダを有し、主ブレーキシリンダは、圧力発生モジュール内に組み込まれている。
【0003】
特許文献2は、スリップコントロールされる液圧式の非人力・車両ブレーキ装置の機能性を検査する方法を開示している。この場合、各ブレーキ回路において別々にブレーキ液を、非人力・ブレーキ圧力発生器により、操作されない主ブレーキシリンダを通して、無圧のブレーキ液貯蔵容器内に圧送する。ブレーキ回路は、カット弁を通して主ブレーキシリンダに接続されているが、非人力制動として実施される常用制動の際には必ずしも認知されない開かないカット弁は、車両ブレーキ装置の機能性を検査する方法によって、昇圧により確認される。この公知の方法の1つの欠点は、ブレーキ液が、非人力・ブレーキ圧力発生器から、開放された入口弁を通して車両ブレーキ装置の液圧式のホイールブレーキ内へ流動してしまい、これが増圧を遅延させ、検査に悪影響を及ぼしてしまうことである。この流れ出る体積流を阻止すべく、検査中、それぞれのブレーキ回路における液圧式のホイールブレーキの入口弁は、閉鎖されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016201047号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102018212850号明細書
【発明の概要】
【0005】
請求項1の特徴を備える本発明に係る方法は、好ましくは、スリップコントロールを有する液圧式の非人力・車両ブレーキ装置の圧力発生モジュール内で機能テストを実施するものである。機能テストは、圧力発生モジュールの、または圧力発生モジュールの液圧コンポーネント、例えばソレノイド弁もしくはチェック弁の、機能性の検査に用いられる。
【0006】
圧力発生モジュールは、特に電気液圧式の非人力・ブレーキ圧力発生器を有している。非人力・ブレーキ圧力発生器は、例えばピストン・シリンダ・ユニットを有し、ピストン・シリンダ・ユニットのピストンは、ブレーキ圧力を非人力で発生させるべく、電気モータによりねじ伝動機構またはその他の回転/並進・変換伝動機構を介してピストン・シリンダ・ユニットのシリンダ内で摺動可能である。非人力・ブレーキ圧力発生器の別の可能性は、電気モータにより駆動可能な液圧ポンプ、例えばピストンポンプまたは(内接)歯車ポンプである。
【0007】
圧力発生モジュール内または圧力調整モジュール内に組み込まれていてもよい接続弁を通して、圧力調整モジュールは、圧力発生モジュールに接続されている。圧力調整モジュールは、ブレーキ圧力の調整、好ましくは、スリップコントロールに用いられ、弁、特にソレノイド弁、例えば、圧力調整モジュールに接続されている液圧式のホイールブレーキ用の入口弁および出口弁と、場合によってはさらなる液圧コンポーネント、例えば液圧アキュムレータおよび/または液圧ポンプとを有している。接続弁は、圧力発生モジュールと圧力調整モジュールとを備える非人力・車両ブレーキ装置内に通常存在しており、それゆえ、本発明に係る方法は、通常、付加的な弁を必要とせず、それぞれの非人力・車両ブレーキ装置のその他の変更も必要としない。
【0008】
スリップコントロールは、特にアンチロックコントロール、アンチスリップレギュレーションおよび/またはビークルダイナミクスコントロールであり、アンチロックコントロール、アンチスリップレギュレーションおよび/またはビークルダイナミクスコントロールについては、ABS、ASRおよび/またはFDRの略称が慣用されている。このようなスリップコントロールは、公知であり、本明細書では説明しない。
【0009】
機能テストを実施すべく、ブレーキ圧力を非人力・ブレーキ圧力発生器により発生させ、かつ/またはブレーキ液を非人力・ブレーキ圧力発生器により圧送するか、もしくは非人力・ブレーキ圧力発生器から押し退ける。機能テスト中の圧力推移に影響を及ぼし、機能テストに悪影響を及ぼしかねないため、機能テスト中、ブレーキ液が、圧力発生モジュールから圧力調整モジュール内または液圧式のホイールブレーキ内に流出してしまわないように、本発明によれば、非人力ブレーキ圧力発生器、または圧力調整モジュールの液圧ポンプにより、ブレーキ圧力を圧力調整モジュール内に、好ましくはホイールブレーキ内にも、発生させ、続いて選択的に、圧力調整モジュールを圧力発生モジュールに接続させている接続弁、および/またはホイールブレーキの入口弁を閉鎖するようにしている。圧力調整モジュールは、またはいずれにしてもホイールブレーキは、これにより圧力発生モジュールから液圧的に切り離され、ブレーキ圧力は、圧力調整モジュール内に、またはいずれにしてもホイールブレーキ内に閉じ込められる。続いて機能テストを圧力発生モジュール内で実施する。このとき、非人力ブレーキ圧力発生器によるブレーキ圧力の発生と、圧力調整モジュール内またはホイールブレーキ内でのブレーキ圧力の閉じ込めとは、機能テストの構成部分と解されてもよいし、機能テストを準備する方法ステップと解されてもよい。
【0010】
車両ブレーキ装置内の液圧のブレーキ圧力を、機能テストの実施中、測定することが可能である。特に、非人力・ブレーキ圧力発生器により圧送されるブレーキ液量と圧力推移の関係を判定する。ブレーキ液量と圧力推移の関係は、車両ブレーキ装置が正常に機能しているときと、弁が例えば設定したようには切り換わらないときとでは、相違している。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、圧力調整モジュールまたは液圧式のホイールブレーキが圧力発生モジュール内の機能テストに影響を及ぼすことを回避する。
【0012】
機能テストにより、例えば圧力発生モジュールの液圧コンポーネントの機能性が検査される。
【0013】
従属請求項は、独立請求項に記載の本発明の発展形および有利な構成を対象とする。
【0014】
明細書および図面に開示されるすべての特徴は、それ自体単独でも、原則任意の組み合わせでも、本発明の実施の形態をなし得る。一請求項または本発明の一実施の形態のすべての特徴を有しているのではなく、そのうちの1つまたは複数の特徴しか有していない発明の構成も、原則可能である。
【0015】
本発明について、以下に図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る方法を実施する非人力・車両ブレーキ装置の液圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に示す液圧式の非人力・車両ブレーキ装置1は、スリップコントロールを有する2系統・車両ブレーキ装置である。車両ブレーキ装置1は、圧力発生モジュール2と圧力調整モジュール3とを備え、圧力調整モジュール3は、圧力発生モジュール2に接続されている。圧力調整モジュール3には、液圧式のホイールブレーキ22が接続されている。
【0018】
圧力発生モジュール2は、ピストン・シリンダ・ユニット5を有する非人力・ブレーキ圧力発生器4を備え、ピストン・シリンダ・ユニット5のピストン6は、ブレーキ圧力を非人力で発生させるべく、電気モータ7によりねじ伝動機構8を介して非人力・ブレーキ圧力発生器4のピストン・シリンダ・ユニット5のシリンダ9内で摺動可能である。ピストン・シリンダ・ユニット5は、あるいは非人力・ブレーキ圧力発生器4全体は、プランジャ・ユニットとも称呼され、プランジャ・ユニットのピストン6は、プランジャピストン、そしてプランジャ・ユニットのシリンダ9は、プランジャシリンダ、とも称呼され得る。
【0019】
非人力・ブレーキ圧力発生器4の失陥時の補助制動のために、圧力発生モジュール2は、2系統・主ブレーキシリンダ10を有し、2系統・主ブレーキシリンダ10は、フットブレーキペダル11により、または選択的にハンドブレーキレバー(図示せず)により筋力で操作可能である。
【0020】
ブレーキ圧力が非人力・ブレーキ圧力発生器4により発生される常用制動時、主ブレーキシリンダ10は、非人力・ブレーキ圧力発生器4により発生させるべきブレーキ圧力のための目標値設定器として用いられる。この目的のために、圧力センサ12が主ブレーキシリンダ10に接続されている。
【0021】
常用制動時、主ブレーキシリンダ10は、カット弁18の閉鎖により残余の車両ブレーキ装置1から液圧的に切り離される。常用制動中、それにもかかわらずブレーキ液を主ブレーキシリンダ10から押し退け、これにより主ブレーキシリンダピストンとフットブレーキペダル11とを動かすことができるように、ペダルストロークシミュレータ13がシミュレータ弁14を介して主ブレーキシリンダ10に接続されている。ペダルストロークシミュレータ13は、ばねにより付勢されたピストンを有するピストン・シリンダ・ユニットであり、カット弁18が閉鎖されていて、かつシミュレータ弁14が開いているとき、ブレーキ液は、主ブレーキシリンダ10からこのピストン・シリンダ・ユニットのシリンダ内に押し退け可能である。
【0022】
主ブレーキシリンダ10とペダルストロークシミュレータ13とは、非人力・ブレーキ圧力発生器4と同様、圧力発生モジュール2内に組み込まれている。
【0023】
圧力発生モジュール2上には、無圧のブレーキ液貯蔵容器15が載置されており、ブレーキ液貯蔵容器15には、主ブレーキシリンダ10と、非人力・ブレーキ圧力発生器4のシリンダ9とが、後者は非人力弁16を通して、接続されている。
【0024】
圧力発生モジュール2は、各ブレーキ回路内に、非人力・ブレーキ圧力発生器4と主ブレーキシリンダ10とのために、カット弁17,18を有し、カット弁17,18を通して、圧力調整モジュール3は、圧力発生モジュール2に、あるいは圧力調整モジュール3のブレーキ回路は、圧力発生モジュール2のブレーキ回路に、接続されている。
【0025】
さらにチェック弁19が圧力発生モジュール3内に組み込まれており、チェック弁19は、ブレーキ液貯蔵容器15を、カット弁17,18の、非人力・ブレーキ圧力発生器4および主ブレーキシリンダ10とは反対側に接続し、ブレーキ液貯蔵容器15からカット弁17,18に向かって、ひいては圧力調整モジュール3へ貫流可能である。
【0026】
そして圧力発生モジュール2は、圧力センサ20を有し、圧力センサ20は、非人力・ブレーキ圧力発生器4のシリンダ9に接続されている。
【0027】
圧力調整モジュール3は、各ブレーキ回路において接続弁21を通して圧力発生モジュール2に接続されている。
【0028】
液圧式のホイールブレーキ22は、それぞれ1つの入口弁23を通して圧力調整モジュール3に接続されている。本実施例では、車両ブレーキ装置1は、4つのホイールブレーキ22を備え、4つのホイールブレーキ22のうち、それぞれ2つのホイールブレーキ22が、1つのブレーキ回路に接続されている。
【0029】
各ブレーキ回路において、ホイールブレーキ22は、ホイールブレーキ22毎に1つの出口弁24を通して液圧ポンプ25の吸込側に接続されている。液圧ポンプ25は、リターンポンプとも称呼され得る。車両ブレーキ装置1は、各ブレーキ回路内に1つの液圧ポンプ25を備え、これらの液圧ポンプ25は、1つの電気モータ26によりともに駆動可能である。液圧ポンプ25の吐出側は、接続弁21と入口弁23との間に接続されている。
【0030】
接続弁21に対して液圧的に並列に、液圧ポンプ25の吸込側は、各ブレーキ回路において1つの吸込弁27を通して圧力発生モジュール2に接続されており、その結果、圧力調整モジュール3の液圧ポンプ25は、迅速なブレーキ圧力形成のために、ブレーキ液をブレーキ液貯蔵容器15から、圧力発生モジュール2内に設けられたチェック弁19と、圧力調整モジュール3内に設けられた吸込弁27とを通して吸い込むことが可能である。
【0031】
接続弁21、入口弁23、出口弁24および吸込弁ならびに液圧ポンプ25は、圧力調整モジュール3内に組み込まれている。
【0032】
液圧ポンプ25、入口弁23および出口弁24は、ブレーキ圧力調整弁装置を形成し、ブレーキ圧力調整弁装置により、ホイール個々のスリップコントロール、例えばアンチロックコントロール、アンチスリップレギュレーションおよびビークルダイナミクスコントロールが実施可能である。これらのスリップコントロールは、一般にABS、ASRおよびFDRと略称される。このようなスリップコントロールは、公知であり、本明細書では説明しない。
【0033】
シミュレータ弁14、非人力弁16、カット弁17,18、接続弁21、入口弁23、出口弁24および吸込弁27は、2ポート2位置方向制御ソレノイド弁であり、主ブレーキシリンダ10のカット弁18、接続弁21および入口弁23は、その非通電の基本位置で開いており、シミュレータ弁14、非人力弁16、出口弁24および吸込弁27は、その非通電の基本位置で閉鎖されている。
【0034】
圧力発生モジュール2の、または圧力発生モジュール2の液圧コンポーネントの、機能テストを実施すべく、本発明により、ブレーキ圧力が、非人力・ブレーキ圧力発生器4により発生される。このとき、非人力・ブレーキ圧力発生器4のカット弁17、接続弁21および入口弁24は、開放されているか、または開放され、その結果、非人力・ブレーキ圧力発生器4により発生されたブレーキ圧力は、圧力調整モジュール3およびホイールブレーキ22に印加される。主ブレーキシリンダ10のカット弁18は、ブレーキ液が非人力・ブレーキ圧力発生器4のシリンダ9から主ブレーキシリンダ10内に、そして主ブレーキシリンダ10を通してブレーキ液貯蔵容器15内に押し退けられてしまわないように、閉鎖される。出口弁24は、ブレーキ液がホイールブレーキ22から抜けてしまわないように、閉鎖されたままである。
【0035】
その後、接続弁21は、閉鎖され、その結果、圧力調整モジュール3は、圧力発生モジュール2から液圧的に切り離され、またはホイールブレーキ22は、圧力調整モジュール3から液圧的に切り離され、ブレーキ圧力は、いわば圧力調整モジュール3内に、またはホイールブレーキ22内に「閉じ込め」られる。入口弁23にチェック弁が液圧的に並列に接続されていないときは、接続弁21の代わりに入口弁23が閉鎖されてもよい。
【0036】
今や、圧力発生モジュール2の機能テストは、ブレーキ液が圧力発生モジュール2から圧力調整モジュール3内に、またはいずれにしてもホイールブレーキ22内に流れてしまうことなく、実施され得る。ブレーキ液が流れてしまうと、機能テスト中の圧力発生モジュール2内の圧力測定に影響を及ぼし、機能テストを乱し、またはそれどころか妨げかねない。測定され得るのは、例えば、非人力・ブレーキ圧力発生器4による増圧であり、ブレーキ圧力が維持されるか否か、すなわち、カット弁17,18およびチェック弁19が密であるか否かであり、かつカット弁17,18が開放されれば、ブレーキ圧力が低下するか否か、すなわち、カット弁17,18が設定通り開くか否かである。
【0037】
閉鎖された接続弁21または閉鎖された入口弁23が密でないときは、圧力調整モジュール3内にかつ/またはホイールブレーキ22内に閉じ込められたブレーキ圧力が、圧力発生モジュール2から圧力調整モジュール3内またはホイールブレーキ22内へのブレーキ液の流出を防止する。
【0038】
機能テスト中、車両ブレーキ装置1を装備した車両は、停止していることが望ましい。それというのも、車両ブレーキ装置1には、機能テスト中、圧力が印加され、それゆえ、ホイールブレーキ22の通常の操作は、不可能であるか、あるいは車両ブレーキ装置1の操作は、機能テストを中止してしまうであろうからである。
【符号の説明】
【0039】
1 非人力・車両ブレーキ装置
2 圧力発生モジュール
3 圧力調整モジュール
4 非人力・ブレーキ圧力発生器
5 ピストン・シリンダ・ユニット
6 ピストン
7 電気モータ
8 ねじ伝動機構
9 シリンダ
10 主ブレーキシリンダ
11 フットブレーキペダル
12 圧力センサ
13 ペダルストロークシミュレータ
14 シミュレータ弁
15 ブレーキ液貯蔵容器
16 非人力弁
17 カット弁
18 カット弁
19 チェック弁
20 圧力センサ
21 接続弁
22 ホイールブレーキ
23 入口弁
24 出口弁
25 液圧ポンプ
26 電気モータ
27 吸込弁
【手続補正書】
【提出日】2023-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧式の非人力・車両ブレーキ装置内で機能テストを実施する方法であって、
前記非人力・車両ブレーキ装置は、
非人力・ブレーキ圧力発生器(4)を有する圧力発生モジュール(2)と、
圧力調整モジュール(3)であって、前記圧力調整モジュール(3)は、接続弁(21)により前記圧力発生モジュール(2)に接続されており、かつ前記圧力調整モジュール(3)には、入口弁(23)を通して液圧式のホイールブレーキ(22)が接続されている圧力調整モジュール(3)と、
を有し、
方法において、
前記機能テストを実施すべく、ブレーキ圧力を前記非人力・ブレーキ圧力発生器(4)により発生させ、前記ホイールブレーキ(22)に前記ブレーキ圧力を印加し、
続いて前記接続弁(21)および/または前記入口弁(23)を閉鎖し、かつ前記機能テストを実施する、
ことを特徴とする、液圧式の非人力・車両ブレーキ装置内で機能テストを実施する方法。
【請求項2】
前記非人力・ブレーキ圧力発生器(4)は、非人力弁(16)を通してかつ/またはチェック弁(19)を通してブレーキ液貯蔵容器(15)に接続されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接続弁(21)の前記閉鎖後および/または前記入口弁(23)の前記閉鎖後、前記圧力発生モジュール(2)内の前記ブレーキ圧力またはブレーキ圧力推移を測定し、かつ評価することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記非人力・車両ブレーキ装置(1)を装備した車両を、前記方法の前記実施中、停止させることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1
項記載の方法。
【国際調査報告】