(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20231101BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20231101BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20231101BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20231101BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20231101BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524433
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2022013840
(87)【国際公開番号】W WO2023043245
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123848
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0123856
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0116025
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キ・テ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】テゴン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミョンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】ソヒ・キム
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA02
5H050EA08
5H050EA24
5H050FA16
5H050FA17
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA27
5H050GA28
5H050GA29
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
電極活物質、導電材及びバインダーを含む活性層を含み、前記バインダーは多方向に繊維化されたリチウム二次電池用電極が提供される。前記活性層は4個のブレードを含むブレンダーを使用して10,000rpmで30秒間粉砕した粒子の平均粒径(D50)が200μmないし500μmである。前記リチウム二次電池用電極は活性層に含まれたバインダーが多方向に繊維化されて、活性層で電極活物質、導電材及びバインダーの間に結着力が向上され、ひいては電極の耐久性が改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質、導電材及びバインダーを含む活性層を含み、
前記バインダーは多方向に繊維化されている、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記活性層は4個のブレードを含むブレンダーを使用して10,000rpmで30秒間粉砕した際の粒子の平均粒径(D
50)が200μmないし500μmであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記活性層はMD方向の引張強度が7.5kgf/cm
2以上であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記活性層はMD方向/TD方向の引張強度比が1ないし1.3であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記電極活物質は粒子の平均粒径(D
50)が7μmないし30μmであるリチウム遷移金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記導電材は炭素系物質または金属物質であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記バインダーはポリテトラフルオロエチレンを含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
前記バインダーは電極活物質の総重量を基準にして0.5重量%ないし5重量%で活性層に含まれることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項9】
請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法であって、
(1)低温で保管された電極活物質、導電材及びバインダーを混合する段階、
(2)混合された物質を高温で1次的に繊維化する段階、
(3)繊維化された物質を常温で粉砕する段階、及び
(4)粉砕された物質を2次的に繊維化する段階、を通じて活性層を製造することを含むリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項10】
前記(1)の段階において、-20℃ないし-1℃に保管された電極活物質、導電材及びバインダーを5,000rpmないし20,000rpmで回転するブレンダーで混合することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
前記(2)の段階において、混合された物質に20N・mないし200N・mのせん断力を与えるニーダを使用することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項12】
前記(2)の段階において、混合された物質を50℃ないし70℃で10rpmないし50rpmで回転するツインスクリューニーダで1次的に繊維化することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項13】
前記(3)の段階において、繊維化された物質を常温で5,000rpmないし20,000rpmで回転するブレンダーで粉砕することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項14】
前記(4)の段階において、粉砕された物質を40℃ないし60℃で5rpmないし20rpmで回転する3本ロールミルで2次的に繊維化することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項15】
前記(3)の段階で粉砕された粒子を前記(4)の段階において2次的に繊維化する前に粒子の大きさが1mm以下の粒子のみ含まれるように選別することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項16】
前記(3)の段階で粉砕された粒子を前記(4)の段階において2次的に繊維化する前にハウスナー比が1.6以下になるように粒子を選別することを特徴とする請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用電極、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池に関する。具体的に、活性層に多方向に繊維化されたバインダーを含むリチウム二次電池用電極、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2021年9月16日付韓国特許出願第10‐2021‐0123848号、2021年9月16日付韓国特許出願第10‐2021‐0123856号、及び2022年9月15日付韓国特許出願第10‐2022‐0116025号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として組み込む。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加することによってエネルギー源として二次電池の需要が急増している。このような二次電池の中で高いエネルギー密度と電圧を持ち、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く使われている。
【0004】
リチウム二次電池の電極製造の際に、電極活物質、導電材及びバインダーを混合して電極活物質を含む混合物を製造する。このように製造された混合物を電極集電体上に塗布した後、ロール(roll)などの機器を通じて加圧して電極を製造する。ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)のようなバインダーはロール加圧の際にロールと当接する表面を中心として繊維化が進められる。このような繊維化はロールの進行方向(Machine Direction、MD方向)に行われ、殆どの電極の表面上に位置したバインダーを主として形成される。バインダーの繊維化によっても電極内部に位置した電極活物質、導電材及びバインダーは相変らず小さい粒子の形態で分散して存在するため、電極の耐久性が足りないことがある。電極の耐久性は電極の寿命とも係ることができる要素として電池性能に直接影響を及ぼすことができる。特に、電極を乾式で製造する場合、相対的に電極活物質、導電材及びバインダーの粒子の間の結着力が低下することがあるので、電極の耐久性向上のためにはバインダーの繊維化がより一層重要な役目を果たすことができる。
【0005】
該当技術分野ではリチウム二次電池に使用される電極の耐久性を向上させるための研究が続いていて、本発明者はこのような研究をして本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10‐2014‐0136952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は電極活物質、導電材及びバインダーの間に結着力を向上させることができるリチウム二次電池用電極、この製造方法及びこれを含むリチウム二次電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1側面によると、電極活物質、導電材及びバインダーを含む活性層を含み、前記バインダーは多方向に繊維化された、リチウム二次電池用電極が提供される。
【0009】
本発明の一具体例において、前記活性層は4個のブレードを含むブレンダーを使用して10,000rpmで30秒間粉砕した際の粒子の平均粒径(D50)が200μmないし500μmである。
【0010】
本発明の一具体例において、前記活性層はMD方向の引張強度が7.5kgf/cm2以上である。
【0011】
本発明の一具体例において、前記活性層はMD方向/TD方向の引張強度比が1ないし1.3である。
【0012】
本発明の一具体例において、前記電極活物質は粒子の平均粒径(D50)が7μmないし30μmであるリチウム遷移金属酸化物である。
【0013】
本発明の一具体例において、前記導電材は炭素系物質または金属物質である。
【0014】
本発明の一具体例において、前記バインダーはポリテトラフルオロエチレンを含む。
【0015】
本発明の一具体例において、前記バインダーは電極活物質の総重量を基準にして0.5重量%ないし5重量%で活性層に含まれる。
【0016】
本発明の第2側面によると、上述した電極の製造方法であって、(1)低温で保管された電極活物質、導電材及びバインダーを混合する段階、(2)混合された物質を高温で1次的に繊維化する段階、(3)繊維化された物質を常温で粉砕する段階、及び(4)粉砕された物質を2次的に繊維化する段階を通じて活性層を製造することを含むリチウム二次電池用電極の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の一具体例において、前記(1)段階で、-20℃ないし-1℃で保管された電極活物質、導電材及びバインダーを5,000rpmないし20,000rpmで回転するブレンダーで混合する。
【0018】
本発明の一具体例において、前記(2)段階で、混合された物質に20N・mないし200N・mのせん断力を与えるニーダを使用する。
【0019】
本発明の一具体例において、前記(2)段階で、混合された物質を50℃ないし70℃で10rpmないし50rpmで回転するツインスクリューニーダで1次的に繊維化する。
【0020】
本発明の一具体例において、前記(3)段階で、繊維化された物質を常温で5,000rpmないし20,000rpmで回転するブレンダーで粉砕する。
【0021】
本発明の一具体例において、前記(4)段階で、粉砕された物質を40℃ないし60℃で5rpmないし20rpmで回転する3本ロールミルで2次的に繊維化する。
【0022】
本発明の一具体例において、前記(3)段階において粉砕された粒子を、(4)段階で2次的に繊維化する前に粒子の大きさが1mm以下の粒子のみ含まれるように選別する。
【0023】
本発明の一具体例において、前記(3)段階において粉砕された粒子を、(4)段階で2次的に繊維化する前にハウスナー比が1.6以下になるように粒子が選別する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるリチウム二次電池用電極は活性層に含まれたバインダーが多方向に繊維化され、活性層で電極活物質、導電材及びバインダーの間に結着力が向上され、ひいては電極の耐久性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来技術にしたがって上下からロール加圧して製造された活性層を概略的に示す図面である。
【
図2】本発明の一具体例によって製造された活性層を概略的に示す図面である。
【
図3a】比較例1によって製造された活性層の内部に対するSEMイメージ(倍率:×3,000)である。
【
図3b】比較例1によって製造された活性層の外部に対するSEMイメージ(倍率:×3,000)である。
【
図4a】実施例1によって製造された活性層の内部に対するSEMイメージ(倍率:×3,000)である。
【
図4b】実施例1によって製造された活性層の外部に対するSEMイメージ(倍率:×3,000)である。
【
図5】実施例1及び比較例1によって製造された活性層を粉砕し、粉砕された粒子の大きさの分布を示すグラフである。
【
図6】実験例5によって測定されたバルク密度及びタップ密度の結果を示すグラフである。
【
図7】ハウスナー比による流動性の尺度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によって提供される具体例は下記説明によっていずれも達成されることができる。下記の説明は本発明の好ましい具体例を記述するものとして理解されるべきであり、本発明が必ずこれに限定されるものではないことを理解しなければならない。
【0027】
本明細書に記載された物性に対し、測定条件及び方法が具体的に記載されていない場合、前記物性は該当技術分野で通常の技術者によって一般的に使用される測定条件及び方法によって測定される。
【0028】
本発明の一具体例によると、電極活物質、導電材及びバインダーを含む活性層を含み、前記バインダーが多方向に繊維化されたリチウム二次電池用電極が提供される。ここで、「多方向に繊維化される」とは、繊維化されて形成された線形構造が一定方向に整列されることではなく、不規則に位置して全体的な線形構造が特定方向性を持たないことを意味する。本発明の一具体例によって多方向に繊維化されたバインダーは活性層の表面付近で表面と平行な方向に密集されているものではなく、活性層の中心部までも一定した方向性なしに均一に分布する。
【0029】
一般に、リチウム二次電池の電極製造の際に、電極活物質、導電材及びバインダーを混合して電極活物質を含む混合物を製造する。前記混合物の加工性を考慮して、前記混合物は水または有機溶媒のような溶媒に添加してスラリー形態で使用されることもできる。前記混合物を電極集電体上に塗布した後、ロール(roll)などの機器を通じて加圧して電極を製造する。前記混合物を製造するにあたって、溶媒なしに乾式で製造する場合、バインダーの機能性が低下されることがあって、電極活物質、導電材及びバインダーの結束力が落ちることがある。このような問題は加圧を通じてバインダーを繊維化することで解消されることができる。しかし、ロールを通じて混合物の表面を加圧する時、
図1のようにロールと当接する表面を中心として繊維化が進行されたり、ロールの進行方向と同一な特定方向のみに繊維化が進行されたりするなど相変らず構成成分の結束力を確保することに足りない面がある。ここで本発明はバインダーの多方向繊維化を通じて電極内の活性層の構成成分間の結束力を向上させたリチウム二次電池用電極を提供する。
図1と違って、バインダーが多方向に繊維化された活性層は
図2のような構造を持つことができる。
【0030】
前記活性層は電極活物質、導電材及びバインダーを含む層を意味する。電極において集電体が存在する場合、集電体上に塗布される物質層を意味し、よって、電極の集電体とは区別される層を意味する。前記活性層は電極活物質を含むので、電極内で電気化学的反応において活性を持ち、電極活物質を含むという側面で電極活物質層として、また、電極活物質、導電材及びバインダーを混合して形成されるという側面で混合層として表現することができるものである。
【0031】
本発明の一具体例によると、前記活性層は4個のブレードを含むブレンダー(製造社:Waring、機器:LB10S、粉砕容器:SS110)を利用して10,000rpmで30秒間粉砕した粒子の平均粒径(D50)が200μmないし500μmである。前記平均粒径(D50)は粒度分布の体積基準累積50%での粒子の直径(メジアン直径)であって、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%にした累積曲線で累積値が50%になる地点の粒径を意味する。前記平均粒径(D50)はレーザー回折法(laser Diffraction)方式で測定することができる。具体的に、前記粉砕した粒子の平均粒径(D50)は200μm以上、210μm以上、220μm以上、230μm以上、240μm以上、250μm以上で、500μm以下、490μm以下、480μm以下、470μm以下、460μm以下、450μm以下であり、200μmないし500μm、230μmないし470μm、250μmないし450μmである。このような粒子の平均粒径(D50)は活性層を構成する電極活物質、導電材及びバインダーの個別粒子の大きさより著しく大きいことで、バインダーの繊維化によって前記構成成分の結束によって示された値である。
【0032】
本発明の一具体例によると、前記活性層はMD方向の引張強度が7.5kgf/cm2以上で、MD方向/TD方向の引張強度比が1ないし1.3である。ここで、MD(Machine Direction)方向は最終的にシート形態の活性層を製造する前のロールの進行方向を意味し、TD(Transverse Direction)方向は電極の平面を基準にしてMD方向と垂直した方向を意味する。具体的に、前記活性層のMD方向の引張強度は7.5kgf/cm2以上、7.6kgf/cm2以上、7.7kgf/cm2以上、7.8kgf/cm2以上、7.9kgf/cm2以上、8.0kgf/cm2以上であってもよい。前記活性層のMD方向の引張強度に対する上限は高いほど電極の耐久性が向上されることができるが、電極製造における工程性を考慮し、20kgf/cm2以下、18kgf/cm2以下、16kgf/cm2以下、14kgf/cm2以下、12kgf/cm2以下、10kgf/cm2以下であってもよい。一般に、最終電極製造の際のローリングによって、MD方向の引張強度がTD方向の引張強度より高く示される。本発明の一具体例による活性層は2次繊維化によってMD方向の引張強度が高いながらTD方向の引張強度も高く示される。具体的に、MD方向/TD方向の引張強度比は、1以上でありながら、TD方向の引張強度が高くて、1.30以下、1.28以下、1.26以下、1.24以下、1.22以下、1.20以下であってもよい。本発明の一具体例による活性層は、1次及び2次繊維化を通じてバインダーが多方向に繊維化されて特別な方向に関係なく堅固な耐久性を維持することができる。電池駆動の際に特定方向のみに力が作用することではないため、全方向での耐久性を持つことは電池性能向上に役立つことができる。本発明の一具体例による活性層はMD方向/TD方向の引張強度比が1に近くて、ほとんど全方向で優れる耐久性を持つ。
【0033】
前記電極活物質は正極に適用する時、正極活物質になることができ、負極に適用する時、負極活物質になることができる。正極活物質または負極活物質は該当技術分野で一般に使用されるものであれば特に限定されない。
【0034】
本発明の一具体例によると、前記正極活物質はリチウム遷移金属酸化物である。前記リチウム遷移金属酸化物は、Li1+xMyO2+Z(0≦x≦5、0<y≦2、0≦z≦2)の組成を有し、ここで、MはNi、Co、Mn、Fe、P、Al、Mg、Ca、Zr、Zn、Ti、Ru、Nb、W、B、Si、Na、K、Mo、V及びこの組み合わせからなる群から選択され、前記範囲内で特に制限されない。より具体的には、リチウム遷移金属酸化物は、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、LiMn2O4、Li(NiaCobMnc)O2(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1-yCoyO2(O<y<1)、LiCo1-yMnyO2、LiNi1-yMnyO2(O<y<1)、Li(NiaCobMnc)O4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-zNizO4(0<z<2)、LiMn2-zCozO4(0<z<2)及びこの組み合わせから選択される。
【0035】
本発明の一具体例によると、前記負極活物質はリチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物である。具体的な例では、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金などリチウムと合金化可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO2、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープ及び脱ドープすることができる金属酸化物;またはSi‐C複合体またはSn‐C複合体のように前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などを挙げることができ、これらの中でいずれか一つまたは2つ以上の混合物が使用されることができる。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が使用されることもできる。また、炭素材料は低結晶炭素及び高結晶性炭素などがいずれも使用されることができる。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、鱗片状、球形または繊維型の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso‐carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0036】
本発明の一具体例によると、前記電極活物質は粒子の平均粒径(D50)が7μmないし30μmであるリチウム遷移金属酸化物である。具体的に、前記粒子の平均粒径(D50)は7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上、9.5μm以上、10μm以上で、30μm以下、28μm以下、26μm以下、24μm以下、22μm以下、20μm以下であり、7μmないし30μm、8.5μmないし24μm、10μmないし20μmであってもよい。このような粒子の平均粒径(D50)は上述した粉砕された活性層粒子の平均粒径(D50)に比べて著しく小さい値である。上述した範囲内でバインダーの多方向繊維化による電極活物質の結束力を高めることができる。
【0037】
前記導電材は電極に導電性を与えるために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさずに電子伝導性を持つものであれば特に制限せずに使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラフェン、活性炭、活性炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などを挙げることができ、これらの中で1種単独または2種以上の混合物が使用されることができる。
【0038】
前記導電材は炭素系物質または金属物質であってもよく、前記金属物質は上述した金属粉末、金属繊維、導電性金属酸化物などがこれに含まれることができる。前記導電材は、球形または線形の粒子であってもよい。前記導電材が球形粒子である場合、前記粒子の平均粒径(D50)は1nmないし100nm、具体的に5nmないし70、より具体的に10nmないし40nmであってもよい。前記導電材が線形粒子である場合、線形粒子の長さは1μmないし10μm、具体的に2μmないし9μm、より具体的に3μmないし8μmであってもよく、垂直断面の直径は10nmないし500nm、具体的に50nmないし350nm、より具体的に100nmないし200nmであってもよい。前記導電材の粒子の大きさは上述した粉砕された活性層粒子の平均粒径(D50)に比べて著しく小さい値である。
【0039】
前記バインダーは電極活物質粒子の間の付着及び電極活物質と電極集電体との接着力を向上させる役目をする。前記バインダーは本発明の目的を達成するために、加圧などによって繊維化可能な物質が使用され、繊維化可能で該当技術分野で一般的にバインダーとして使用される物質であれば特に限定されない。本発明の一具体例によると、前記バインダーはポリテトラフルオロエチレンを含む。バインダーの場合、活性層で繊維化された状態で存在するので、粒径が他の構成成分に比べて重要性が落ちる。
【0040】
本発明の一具体例によると、前記バインダーは電極活物質の総重量を基準にして0.5重量%ないし5重量%、具体的に1重量%ないし4.5重量%、より具体的に1.5重量%ないし4重量%が活性層に含まれる。本発明は少ないバインダーの量を持っても全体活性層の結束力を高めることができるという点で意義がある。
【0041】
前記バインダーは基本的にポリテトラフルオロエチレンなどの繊維化バインダーを含むと、繊維化バインダーを改質したり追加バインダーを混合したりして使用することができる。前記追加バインダーは電極活物質粒子の間の付着及び電極活物質と電極集電体との接着力を向上させるバインダーの機能性さえあれば、該当技術分野で一般的に使用されるバインダーが利用されることができる。本発明の一具体例によると、前記追加バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF‐co‐HFP)、ポリビニルアルコール、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム及びこの組み合わせから選択されることができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記活性層は電極集電体上に塗布されて電極に含まれることができる。前記電極集電体は電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を持つものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチール表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用されることができる。また、前記電極集電体は通常3ないし500μmの厚さを持つことができ、前記電極集電体の表面上に微細な凹凸を形成して電極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用されることができる。
【0043】
本発明の一具体例によると、上述したリチウム二次電池用電極の製造方法が提供される。前記製造方法は、(1)低温で保管された電極活物質、導電材及びバインダーを混合する段階、(2)混合された物質を高温で1次的に繊維化する段階、(3)繊維化された物質を常温で粉砕する段階、及び(4)粉砕された物質を2次的に繊維化する段階を通じて活性層を製造することを含む。このように製造された活性層は必要に応じて電極集電体上に導入されて最終電極が製造されることができる。
【0044】
前記(1)段階は、電極活物質、導電材及びバインダーを均一に混合する段階であって、前記電極活物質、導電材及びバインダーを低温で保管することで各粒子が集まって凝集される現象を防ぐことができる。本発明の一具体例によると、前記電極活物質、導電材及びバインダーは-20℃ないし-1℃で保管される。具体的に、前記保管温度は-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上で、-1℃以下、-2℃以下、-3℃以下、-4℃以下、-5℃以下であり、-20℃ないし-1℃、-17℃ないし-3℃、-15℃ないし-5℃である。このような保管温度は電極活物質、導電材及びバインダーの各粒子の間の粘着力を最小化し、この後混合を通じて粒子が均一に配置されることができる。前記低温保管は長くすることもできるが、5分間ないし15分間ほど保管することで十分な効果を得ることができる。
【0045】
低温保管された電極活物質、導電材及びバインダーを常温で短時間ブレンダー(Blender)で混合する。本発明の一具体例によると、前記電極活物質、導電材及びバインダーを、5,000rpmないし20,000rpmで回転するブレンダーで混合する。具体的に、前記回転速度は5,000rpm以上、5,500rpm以上、6,000rpm以上、6,500rpm以上、7,000rpm以上、7,500rpm以上で、20,000rpm以下、19,000rpm以下、18,000rpm以下、17,000rpm以下、16,000rpm以下、15,000rpm以下であり、5,000rpmないし20,000rpm、6,000rpmないし17,000rpm、7,500rpmないし15,000rpmであってもよい。このような回転速度は短時間内で効果的に均一な混合ができるようにする。前記混合を1分以内で短時間行うことで低温保管効果を高めることができる。
【0046】
前記(2)段階は混合された物質を1次的に繊維化する段階であって、混合された物質に含まれるバインダーが繊維化されて電極活物質及び導電材と結着される。1次繊維化段階は混合物に一定水準以上のせん断力を与えることができるニーダが使用されることができる。本明細書において「ニーダ(Kneader)」(混錬機)は混合物に例えば、20N・mないし200N・mのせん断力を与えることができる装置を意味し、上述したせん断力を与えることができれば、「混合器(Mixer)」と命名された装置も本明細書では「ニーダ」に含まれることができる。前記せん断力は装置が混合物に付け加えるせん断力の最大値を意味し、その値はトルクレオメータ(Torque rheometer)を通じて測定される。具体的に、前記せん断力は20N・m以上、25N・m以上、30N・m以上、35N・m以上、40N・m以上、45N・m以上、50N・m以上で、200N・m以下、190N・m以下、180N・m以下、170N・m以下、160N・m以下、150N・m以下であり、20N・mないし200N・m、35N・mないし170N・m、50N・mないし150N・mであってもよい。このような装置によるせん断力はバインダーの繊維化に適することがある。本発明の一具体例によると、前記ニーダはツインスクリューニーダ(Twin Screw Kneader)またはパラドキシカルミキサー(Paradoxical Mixer)などであってもよく、具体的にはツインスクリューニーダであってもよい。
【0047】
本発明の一具体例によると、前記混合された物質は10rpmないし50rpmで回転するツインスクリューニーダで1次的に繊維化する。具体的に、前記回転速度は10rpm以上、12rpm以上、14rpm以上、16rpm以上、18rpm以上、20rpm以上で、50rpm以下、48rpm以下、46rpm以下、44rpm以下、42rpm以下、40rpm以下であり、10rpmないし50rpm、16rpmないし46rpm、20rpmないし40rpmであってもよい。このような回転速度は混合時と違って著しく遅い回転速度であり、これは繊維化進行のための十分な時間を確保するためである。ツインスクリューニーダを使用することで、混合された物質の内部まで十分な圧力が伝達されて全体的に繊維化を可能とする。前記1次的な繊維化を5分間ないし10分間程度で行うことで十分な効果を得ることができる。
【0048】
前記ツインスクリューニーダで1次的に繊維化する際に常温よりは高温で行うことでバインダーの成形性が高くなる。本発明の一具体例によると、1次的に繊維化する段階は50℃ないし70℃で行われる。具体的に、前記高温は50℃以上、51℃以上、52℃以上、53℃以上、54℃以上、55℃以上で、70℃以下、69℃以下、68℃以下、67℃以下、66℃以下、65℃以下であり、50℃ないし70℃、53℃ないし67℃、55℃ないし65℃であってもよい。このような温度はバインダーの繊維化に適する。
【0049】
前記(3)段階は1次的に繊維化された物質を粉砕する段階であって、粉砕を通じて1次的な繊維化を再配列して2次的に繊維化の時より複雑で多方向の繊維化ができるようにする。本発明の一具体例によると、前記繊維化された物質を常温で5,000rpmないし20,000rpmで回転するブレンダーで粉砕する。具体的に、前記回転速度は5,000rpm以上、5,500rpm以上、6,000rpm以上、6,500rpm以上、7,000rpm以上、7,500rpm以上で、20,000rpm以下、19,000rpm以下、18,000rpm以下、17,000rpm以下、16,000rpm以下、15,000rpm以下であり、5,000rpmないし20,000rpm、6,000rpmないし17,000rpm、7,500rpmないし15,000rpmであってもよい。このような回転速度は短時間内で効果的に適当な大きさの粉砕ができるようにする。前記混合を1分間以内の短時間で行うことで、繊維化された粒子が過度に粉砕されることを防ぐことができる。
【0050】
前記(4)段階は粉砕された物質を2次的に繊維化する段階であって、粉砕を通じて再配列された1次的な繊維化を再び連結し、不足な部分に対する繊維化が補充的に進行される。本発明の一具体例によると、前記粉砕された物質は5rpmないし20rpmで回転する3本ロールミル(3roll mill)で2次的に繊維化する。具体的に、前記回転速度は5rpm以上、6rpm以上、7rpm以上、8rpm以上、9rpm以上、10rpm以上で、20rpm以下、19rpm以下、18rpm以下、17rpm以下、16rpm以下、15rpm以下であり、5rpmないし20rpm、8rpmないし17rpm、10rpmないし15rpmであってもよい。このような回転速度は混合及び粉砕時と違って著しく遅い回転速度であり、これは繊維化進行のための十分な時間を確保するためである。3本ロールミルを使用することで、ロール間の間隔を段々狭めて段階的な繊維化が可能であり、最終的にシート形態で加工可能である。前記1次的な繊維化は全ての物質がロールを通過することで自然に終わる。
【0051】
前記3本ロールミルで2次的に繊維化する際に常温よりは高温で行うことでバインダーの成形性が高くなる。本発明の一具体例によると、2次的に繊維化する段階は40℃ないし60℃で行われる。具体的に、前記高温は40℃以上、41℃以上、42℃以上、43℃以上、44℃以上、45℃以上で、60℃以下、59℃以下、58℃以下、57℃以下、56℃以下、55℃以下であり、40℃ないし60℃、43℃ないし57℃、45℃ないし55℃であってもよい。このような温度はバインダーの繊維化に適することがあって、1次的な繊維化を補完するためのもので、1次的な繊維化よりは少し低い温度で加工が可能である。
【0052】
前記(3)段階で粉砕した後、前記(4)段階で2次繊維化前に粉砕された物質を選別することができる。粉砕された物質の中で互いによく交わることができる物質を選別して、この後繊維化段階を通じて活性層を製造する時、活性層の欠陷を最小化して均一なシート形状で製造することを可能とする。粉砕された物質は粒子の大きさを基準にして選別されることができる。粒子の大きさを基準にして選別する時、篩(Sieve)を活用することができる。本発明の一具体例によると、前記(3)段階で粉砕された物質の中で粒子の大きさが1mm以下のものを選別する。粒子の大きさが1mm以下の場合は流動性の程度が普通水準以上になるので、均一なシートを形成するに問題がないことがあって、粒子の大きさが1mm超の場合は流動性の程度が非常に不良であるため、製造されたシートに気孔が形成されるなどの欠陷が発生することがある。基本的に、粉砕を通じて決定された粒度分布は粒子の平均的な直径を中心にして粒子の数が多くなるため、大きさの小さい粒子はその数も少ないだけでなく、占める体積も小さくてシートの形成にあたってさほど不利な影響を及ぼさない。
【0053】
本発明の一具体例によると、上述した方法を通じて選別された粒子のバルク密度は0.8g/mlないし1.5g/mlである。ここで、バルク密度は粒子を特別な操作なく静かに充電させた時の密度を意味する。具体的に、前記バルク密度は0.8g/ml以上、0.9g/ml以上、1.0g/ml以上で、1.5g/ml以下、1.4g/ml以下、1.3g/ml以下であり、0.8g/mlないし1.5g/ml、0.9g/mlないし1.4g/ml、1.0g/mlないし1.3g/mlであってもよい。前記範囲内で粒子を選別する場合、流動性の度合いがシート製造の際に不利な影響を及ぼさないほどの水準になる。
【0054】
本発明の一具体例によると、上述した方法を通じて選別された粒子のハウスナー比は1.6以下である。ここで、ハウスナー比はタップ密度をバルク密度で除した値を意味し、タップ密度はバルク密度を測定する時のように静かに充電された状態でさらに叩いて圧縮させた後の密度を意味する。たたいて圧縮させた場合、粒子を充電した体積が減るので、タップ密度は一般的にバルク密度より大きくて、よって、ハウスナー比も1.0以上の値を持つ。具体的に、前記ハウスナー比は1.6以下、1.5以下、1.4以下である。前記範囲内で粒子を選別する場合、流動性の度合いがシート製造の際に不利な影響を及ぼさない程度の水準になれる。
【0055】
上述した方法によって製造された電極はリチウム二次電池に適用されることができる。前記リチウム二次電池は一般に正極と負極の間に分離膜を介在した後、電解質を注入して製造されるが、必要に応じて多様な形態で変形されることができる。
【0056】
前記分離膜は負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するもので、通常リチウム二次電池において分離膜として使用されるものであれば特に制限せずに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液の含湿能力に優れるものが好ましい。具体的には多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用されることができる。また、通常的な多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されることもできる。また、耐熱性または機械的強度を確保するためにセラミックス成分または高分子物質が含まれたコーティングされた分離膜が使用されることもでき、選択的に単層または多層構造で使用されることができる。
【0057】
前記電解質はリチウム二次電池製造の際に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
具体的に、前記電解質は有機溶媒及びリチウム塩を含むことができる。
【0059】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関わるイオンが移動することができる媒質の役割をすることができるものであれば、特に制限せずに使用されることができる。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ‐ブチロラクトン(γ‐butyrolactone)、ε‐カプロラクトン(ε‐caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R‐CN(RはC2ないしC20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3‐ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用されることができる。この中でもカーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を持つ環形カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線形カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環形カーボネートと鎖型カーボネートは約1:1ないし約1:9の体積比で混合して使用することが電解液の性能が優秀に示されることができる。
前記リチウム塩はリチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば特に制限せずに使用されることができる。具体的に、前記リチウム塩は、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2。LiCl、LiI、またはLiB(C2O4)2などが使用されることができる。前記リチウム塩の濃度は0.1ないし2.0Mの範囲内で使用した方がよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を持つので、優れる電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0060】
前記電解質には前記電解質構成成分の他にも電池の寿命特性向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n‐グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれることもできる。この時、前記添加剤は電解質の総重量に対して0.1ないし5重量%で含まれることができる。
【0061】
前記のように本発明による電極を含むリチウム二次電池は優れる放電容量、出力特性及び容量維持率を安定的に示すので、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。
【0062】
これによって、本発明の他の側面によると、前記リチウム二次電池を単位セルで含む電池モジュール及びこれを含む電池パックが提供される。
【0063】
前記電池モジュールまたは電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug‐in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムの中でいずれか一つ以上の中大型デバイス電源で利用されることができる。
【0064】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0065】
実施例
実施例1
電極活物質としてLiNi0.5Co0.3Mn0.2O2(粒子の平均粒径(D50):10μm、製造社:LG Chem、製品:HN803S)96重量%、導電材としてVGCF(Vapor Grown Carbon Fiber、平均粒径:150nm、平均長さ:6μm、製造社:Showa Denko、製品:VGCF‐H)2重量%、バインダーでポリテトラフルオロエチレン(粒子の平均粒径(D50):500μm、製造社:Chemours、製品:601x)2重量%を-10℃の冷凍庫で10分間保管して用意した。用意された電極活物質、導電材及びバインダーを冷凍庫で取り出してブレンダー(製造社:Waring、機器:LB10S、容器:SS110)で常温の温度条件、10,000rpmの回転速度で30秒間混合した。混合された物質をツインスクリューニーダ(製造社:Brabender、製品:Torque rheometer)で60℃の温度条件、30rpmの回転速度で5分間1次的に繊維化した。繊維化された物質をブレンダー(製造社:Waring、機器:LB10S、容器:SS110)で常温の温度条件、10,000rpmの回転速度で30秒間粉砕した。
【0066】
粉砕された粒子の中で粒子の大きさが1mm以下の粒子のみを別途選別した後、選別された粒子を3本ロールミル(ロール間隔:150μm/100μm、製造社:Kmtech、製品:KRM‐80B)で50℃の温度条件、10rpmの回転速度にローリングして最終的にシート形態の活性層を製造した。
【0067】
比較例1
電極活物質としてLiNi0.5Co0.3Mn0.2O2(粒子の平均粒径(D50):10μm、製造社:LG Chem、製品:HN803S)96重量%、導電材としてVGCF(Vapor Grown Carbon Fiber、平均粒径:150nm、平均長さ:6μm、製造社:Showa Denko、製品:VGCF‐H)2重量%、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(粒子の平均粒径(D50):100nm、製造社:Chemours、製品:601x)2重量%を-10℃の冷凍庫で10分間保管して用意した。用意された電極活物質、導電材及びバインダーを冷凍庫で取り出してブレンダー(製造社:Waring、機器:LB10S、容器:SS110)で常温の温度条件、10,000rpmの回転速度で30秒間混合した。混合された物質を3本ロールミル(ロール間隔:150μm/100μm、製造社:Kmtech、製品:KRM‐80B)で50℃の温度条件、10rpmの回転速度でローリングして最終的にシート形態の活性層を製造した。
【0068】
比較例2
比較例1で製造された活性層をブレンダー(製造社:Waring、機器:LB10S、容器:SS110)で常温の温度条件、10,000rpmの回転速度で30秒間粉砕した。粉砕された粒子の中で粒子の大きさが1mm以下の粒子のみ別途選別した後、選別された粒子を3本ロールミル(ロール間隔:150μm/100μm、製造社:Kmtech、製品:KRM‐80B)で50℃の温度条件、10rpmの回転速度でローリングして最終的にシート形態の活性層を製造した。
【0069】
比較例3
電極活物質として粒子の平均粒径(D50)が5μmであるLiNi0.5Co0.3Mn0.2O2を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でシート形態の活性層を製造した。
【0070】
実験例
実験例1
走査電子顕微鏡(SEM、倍率:×3,000、製造社:JEOL、製品:JSM‐7200F)を通じて実施例1及び比較例1によって製造されたそれぞれの活性層の内部と外部の構造を確認して
図3a(比較例1の活性層内部)、
図3b(比較例1の活性層外部)、
図4a(実施例1の活性層内部)、
図4b(実施例1の活性層外部)に示す。
【0071】
活性層の内部に対する
図3aと
図4aを比べると、比較例1の活性層内部(
図3a)ではポリテトラフルオロエチレンが繊維化されずに凝集されていることが確認されたが、実施例1の活性層内部(
図4a)ではポリテトラフルオロエチレンが繊維化され、電極活物質及び導電材が繊維化されたポリテトラフルオロエチレンによって結着をなしていることが確認された。
【0072】
活性層の外部に対する
図3bと
図4bを比べると、比較例1の活性層外部(
図3b)ではポリテトラフルオロエチレンが繊維化されたが、繊維化部分が明らかに確認されず、実施例1の活性層外部(
図4b)ではロール加圧によってもう一度繊維化されたので、繊維化部分がより明らかに確認された。
【0073】
実験例2
実施例1、及び比較例1及び2によって製造されたそれぞれの活性層を粉砕装置(製造社:Waring、機器:LB10S、粉砕容器:SS110)で10,000rpmで30秒間粉砕し、Optical PSD(Malvern Morphology)を通じて粉砕された粒子の大きさを分析した。その結果を
図5に示す。
【0074】
比較例1の活性層には活性層を構成する物質の間に結着される度合いが高くなく、前記物質は個別または大きくない凝集粒子に粉砕された。比較例2の活性層は2回のローリングを通じて活性層を構成する物質の間に結着される度合いが比較例1より向上され、前記物質は比較例1より大きい凝集粒子に粉砕された。実施例1の活性層は1次繊維化の際にツインスクリューニーダを活用することで活性層を構成する物質の間で結着される度合いが最も高く、前記物質は比較例1及び2に比べて相対的に遥かに大きい凝集粒子で粉砕された。
図5によると、比較例1及び2、実施例1の粒子の大きさの分布はそれぞれ分離されて示され、実際、比較例1の粉砕した粒子の平均粒径(D
50)は50μmで表れ、比較例2の粉砕した粒子の平均粒径(D
50)は150μmで表れ、実施例1の粉砕した粒子の平均粒径(D
50)は400μmで表れた。
【0075】
実験例3
実施例1、及び比較例1及び2によって製造されたそれぞれの活性層を引張強度測定装置(製造社:LLOYD、製品:LS1)を通じてMD方向とTD方向の引張強度を分析した。その結果を下記表1に示す。
【0076】
【0077】
前記表1によると、実施例1、及び比較例及び2のいずれもMD方向の引張強度が高く示されたが、粉砕後にローリングした実施例1と比較例2の場合、MD方向/TD方向の引張強度比も1.2以下で、MD方向とTD方向の引張強度の差が大きくないものとして示された。実施例1のように、1次繊維化の際にツインスクリューニーダを活用する場合、1次繊維化の際にロールミルを活用する比較例2に比べてもMD方向及びTD方向の引張強度がそれぞれ35%以上向上された。
【0078】
実験例4
実施例1及び比較例3によって製造されたそれぞれの活性層を引張強度測定装置を通じてMD方向の引張強度を分析した。その結果を下記表2に示す。
【0079】
【0080】
前記表2によると、電極活物質の粒子の平均粒径(D50)が5μmである比較例3の場合、電極活物質の粒子の平均粒径(D50)が10μmである実施例1に比べてMD方向の引張強度が著しく低く示された。
【0081】
実験例5
実施例1で粉砕された粒子を大きさごとに5区間(粒子の大きさ基準、1区間:45μm超150μm以下、2区間:150μm超450μm以下、3区間:450μm超850μm以下、4区間:850μm超1,000μm以下、5区間:1,000μm超)で分類してバルク密度とタップ密度を測定した後、ハウスナー比を計算して下記表3及び
図6に示す。
【0082】
【0083】
* バルク密度(g/ml):100mlのシリンダーに粒子を静かに充填させた時の質量を測定して単位体積あたり質量を計算する(5回繰り返して測定した平均値)(製造社:SEISHIN、製品:KYT‐4000)
* タップ密度(g/ml):100mlのシリンダーに粒子を静かに充填させた後、粒子が充填されたシリンダーをタップ密度体積計(Tap density volumeter)を使用して一定の力で1,000回たたいて任意に圧縮させた後、質量を測定して単位体積あたり質量を計算する(5回繰り返して測定した平均値)
* ハウスナー比:タップ密度をバルク密度で除した値
前記ハウスナー比による流動性の尺度はHenry H.Hausnerによって命名された次のような基準によって表4及び
図7のように評価されることができる。
【0084】
【0085】
前記表4のハウスナー比による流動性の尺度によると、表3で5区間は流動性がとても不良で、3区間及び4区間は流動性が普通であり、1区間及び2区間は流動性が多少良好であることを確認することができる。このように粉砕粒子によって流動性に差が発生すれば、以後2次繊維化段階を通じて電極を製造する時、不要な損傷が発生することがある。
【0086】
本発明の単純な変形ないし変更は、全て本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求範囲によって明確になる。
【国際調査報告】