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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】二次電池用セル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20231101BHJP
   H01M 50/463 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20231101BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/463 B
H01M50/449
H01M50/403 D
H01M50/443 B
H01M50/434
H01M50/44
H01M50/426
H01M50/414
H01M50/429
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524434
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 KR2022012060
(87)【国際公開番号】W WO2023018268
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0106329
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギュ-オク・ファン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H021BB02
5H021CC04
5H021EE02
5H021EE10
5H021EE11
5H021EE22
5H021EE32
5H021HH03
5H021HH04
5H029AJ01
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL12
5H029AL16
5H029AM00
5H029CJ03
5H029DJ10
5H029EJ04
5H029EJ05
5H029EJ08
5H029HJ04
5H029HJ07
(57)【要約】
本発明は、二次電池用セル及びその製造方法に関し、本発明の一態様による二次電池用セルは、少なくとも一つの負極及び少なくとも一つの正極が分離膜を挟んで交互に積層された二次電池用セルであって、前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備え、前記コーティング部は、ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物を含むことを特徴とする。本発明による二次電池用セル及びその製造方法によれば、二次電池用セルの内部にトラップされたガスの量を最小化でき、さらに分離膜と電極との接着力を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの負極及び少なくとも一つの正極が分離膜を挟んで交互に積層された二次電池用セルであって、
前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備え、
前記コーティング部は、ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物を含むことを特徴とする、二次電池用セル。
【請求項2】
前記ガス吸着剤は、シリカゲル、炭素繊維、多孔質炭素材料、多孔質金属酸化物、多孔質ゲル、ゼオライトまたはこれらの二つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セル。
【請求項3】
前記接着性バインダーは、ポリビニリデンフルオライド、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トルエンジイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレン-コ-ビニルアセテート、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイミドまたはこれらの二つ以上を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の二次電池用セル。
【請求項4】
分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された前記コーティング部の総面積は、分離膜の一面の総面積100%に対して20%~50%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セル。
【請求項5】
分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された前記コーティング部は、各々1~20mmの離隔距離を有するように形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セル。
【請求項6】
前記コーティング部を備える分離膜は、前記二次電池用セルの厚さ方向の中央部に位置することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用セル。
【請求項7】
(S1)少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を分離膜を挟んで交互に積層して二次電池用セルを組み立てる段階と、
(S2)前記二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に少なくとも一回ローリングする段階と、を含み、
前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、少なくとも一面上にガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物をコーティングして互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備えることを特徴とする、二次電池用セルの製造方法。
【請求項8】
前記コーティング部は、前記ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物がスプレー方式によってコーティングされたことを特徴とする、請求項7に記載の二次電池用セルの製造方法。
【請求項9】
前記ガス吸着剤は、シリカゲル、炭素繊維、多孔質炭素材料、多孔質金属酸化物、多孔質ゲル、ゼオライトまたはこれらの二つ以上を含むことを特徴とする、請求項7に記載の二次電池用セルの製造方法。
【請求項10】
前記コーティング部を備える分離膜は、前記二次電池用セルの厚さ方向の中央部に位置することを特徴とする、請求項7に記載の二次電池用セルの製造方法。
【請求項11】
前記(S2)段階は、
前記二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に一次ローリングする段階と、
前記一次ローリングした二次電池用セルをエージングした後、二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に二次ローリングする段階と、を含むことを特徴とする、請求項7に記載の二次電池用セルの製造方法。
【請求項12】
前記(S2)段階後、デガッシング工程を経ることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項に記載の二次電池用セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用セル及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年8月11日出願の韓国特許出願第2021-0106329号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、エネルギー貯蔵技術に関する関心が高まりつつある。特に、携帯電話、カムコーダー及びノートブックPC、延いては、電気自動車のエネルギーにまで適用分野が拡がり、電気化学素子の研究及び開発に対する努力が徐々に具体化している。電気化学素子は、このような面で最も注目を浴びている分野であり、その中でも、高いエネルギー密度を有する二次電池は関心の焦点になりつつある。
【0004】
代表的には、電池の形状の面では、薄い厚さであることから携帯電話などの製品に適用される角形電池とパウチ型電池に対する需要が高く、材料の面では、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性を有するリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0005】
通常、二次電池は、組立工程と活性化工程などを経て製造される。組立工程では、負極、正極及び分離膜を積層した後、電解液を注液して電池ケースを封止する。活性化工程では、活性化に必要な条件で充放電などの処理を行う段階を含むものの、活性化過程では二次電池の内部に多量のガスが発生するようになる。
【0006】
発生したガスが除去されない場合、二次電池の内部にトラップ(trap)されて一定の空間を占めるようになる。これによって、二次電池の中央部位が脹れ上がりながら電池の変形を誘発し、容量及び出力などの性能及び寿命に悪影響を及ぼすようになる。
【0007】
二次電池の活性化過程で発生したガスを除去するために、電池ケースを開封してガスを排出させた後、ガス排出部位を熱溶着して封止するデカッシング(degassing)工程を経ることが通常である。しかし、デガッシング工程を経ても依然として二次電池の内部にトラップされて残っているガスが存在する。特に、二次電池の厚さ方向の中央部はガス排出が難しいため、排出されるまで時間が長くかかり、デカッシング工程によってもガスが排出されないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、二次電池の内部で発生したガスを吸着し、吸着されなかったガスは外部へ排出することで、二次電池の内部にトラップされたガスを最小化した二次電池用セル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、電極と分離膜との接着力が確保可能な二次電池用セル及びその製造方法を提供することを他の目的とする。
【0010】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、下記の二次電池用セル及びその製造方法によって上記の課題を解決できることを見出した。
【0012】
第1具現例は、
少なくとも一つの負極及び少なくとも一つの正極が分離膜を挟んで交互に積層された二次電池用セルであって、
前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備え、
前記コーティング部は、ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物を含むことを特徴とする二次電池用セルに関する。
【0013】
第2具現例は、第1具現例において、
前記ガス吸着剤は、シリカゲル、炭素繊維、多孔質炭素材料、多孔質金属酸化物、多孔質ゲル、ゼオライトまたはこれらの二つ以上を含むことを特徴とする二次電池用セルに関する。
【0014】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、
前記接着性バインダーは、ポリビニリデンフルオライド、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トルエンジイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレン-コ-ビニルアセテート、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイミドまたはこれらの二つ以上を含むことを特徴とする二次電池用セルに関する。
【0015】
第4具現例は、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された前記コーティング部の総面積は、分離膜の一面の総面積100%に対して20%~50%の範囲であることを特徴とする二次電池用セルに関する。
【0016】
第5具現例は、第1具現例から第4具現例のいずれか一具現例において、
分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された前記コーティング部は、各々1~20mmの離隔距離を有するように形成されたことを特徴とする二次電池用セルに関する。
【0017】
第6具現例は、第1具現例から第5具現例のいずれか一具現例において、
前記コーティング部を備える分離膜は、前記二次電池用セルの厚さ方向の中央部に位置することを特徴とする二次電池用セルに関する。
【0018】
第7具現例は、
(S1)少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を分離膜を挟んで交互に積層して二次電池用セルを組み立てる段階と、
(S2)前記二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に少なくとも一回ローリングする段階と、を含み、
前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、少なくとも一面上にガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物をコーティングして互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備えることを特徴とする二次電池用セルの製造方法に関する。
【0019】
第8具現例は、第7具現例において、
前記コーティング部は、前記ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物がスプレー方式によってコーティングされたことを特徴とする二次電池用セルの製造方法に関する。
【0020】
第9具現例は、第7具現例または第8具現例において、
前記ガス吸着剤は、シリカゲル、炭素繊維、多孔質炭素材料、多孔質金属酸化物、多孔質ゲル、ゼオライトまたはこれらの二つ以上を含むことを特徴とする二次電池用セルの製造方法に関する。
【0021】
第10具現例は、第7具現例から第9具現例のいずれか一具現例において、
前記コーティング部を備える分離膜は、前記二次電池用セルの厚さ方向の中央部に位置することを特徴とする二次電池用セルの製造方法に関する。
【0022】
第11具現例は、第7具現例から第10具現例のいずれか一具現例において、
前記(S2)段階は、
前記二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に一次ローリングする段階と、
前記一次ローリングした二次電池用セルをエージング(aging)した後、二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に二次ローリングする段階と、を含むことを特徴とする二次電池用セルの製造方法に関する。
【0023】
第12具現例は、第7具現例から第11具現例のいずれか一具現例において、前記(S2)段階後、デガッシング(degassing)工程を経ることを特徴とする二次電池用セルの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による二次電池用セルは、少なくとも一つの分離膜の一面上に、ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物を含む複数のコーティング部を備えることで、二次電池の内部で発生したガスを吸着できる。また、前記複数のコーティング部は互いに離隔して形成されることで、コーティング部が形成されていない部分から、吸着されなかったガスを外部へ排出可能である。これによって、本発明による二次電池用セルは、二次電池内にトラップされたガスを最小化でき、二次電池の性能及び容量の低下を防止することができる。
【0025】
また、分離膜の一面上に形成されたコーティング部には、接着性バインダーが含まれることで、電極と分離膜との接着力を確保できる。
【0026】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。なお、本明細書に添付の図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態による二次電池用セルを概略的に示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態による二次電池用セルに含まれるコーティング部を備えた分離膜を概略的に示した断面図である。
図3】本発明の範囲から外れるメッシュパターンのコーティング部を有する分離膜を概略的に示した断面図である。
図4】本発明の実施例及び比較例による二次電池用セルの内部にトラップされたガスをエアースキャナー/完全充電分解分析によって確認した結果である。
図5】本発明の実施例及び比較例による二次電池用セルの電気抵抗をEISを用いて測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0029】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0030】
本発明は、二次電池用セル及びその製造方法に関する。
【0031】
二次電池用セル
本発明の二次電池用セルは、少なくとも一つの負極と少なくとも一つの正極が分離膜を挟んで交互に積層されており、前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備え、前記コーティング部は、ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物を含むことを特徴とする。
【0032】
図1には、本発明の一実施形態による二次電池用セルの構造が模式的に示されている。図1を参照すると、正極1及び負極2が分離膜3を挟んで交互に積層されており、前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、互いに離隔して形成された複数のコーティング部3aを備える。
【0033】
本発明において、二次電池用セルは、分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部を含む少なくとも一つの分離膜を含むことで、二次電池の内部で発生したガスを吸着し、吸着されなかったガスは二次電池の外部へ排出して、二次電池の内部にトラップされたガスを最小化できる。
【0034】
前記コーティング部は、分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成される。具体的には、前記コーティング部は、分離膜の一面上に互いに離隔して複数のドット状のパターンに形成され得る。例えば、前記ドットは、円形、楕円形、四角形などであり得る。例えば、前記ドットが円形である場合、直径は約1~10mmであり、楕円形の場合、短径約1~10mm、長径約2~12mmであり、四角形の場合、縦横の長さが各々1~10mmであり得る。また、分離膜の一面上に互いに離隔して形成されたコーティング部は、各々、1~20mmの離隔距離を有し得る。所定の離隔距離を有するように形成されたコーティング部は、二次電池の内部のガスを充分に吸着できる表面積を有することができ、また、各コーティング部で吸着されなかったガスが後述する非コーティング部に位置し得る空間を提供できる。
【0035】
本発明において、前記分離膜は、分離膜の少なくとも一面の表面が露出した非コーティング部を備える。前記非コーティング部は、分離膜の一面上にコーティング部が形成されていない部分である。前記非コーティング部は、コーティング部でガス吸着剤によって吸着されなかったガスが外部へ排出され得るガス排出通路の役割を果たし得る。
【0036】
具体的には、図2に示されたように、分離膜3は、少なくとも一面に離隔して形成された複数のコーティング部3aと、コーティング部が形成されていない非コーティング部3bと、を備える。前記非コーティング部3bには、コーティング部3aによって吸着されなかったガス3cが位置し得る。
【0037】
また、前記非コーティング部3bは、二次電池の内部のガス3cが二次電池の外部へ排出される経路を形成し得る。例えば、前記非コーティング部3bに位置するガス3cは、点線の矢印で示した経路に移動して外部へ排出され得る。前記点線の矢印で示した任意の経路をガス排出通路と称し得る。
【0038】
一方、前記コーティング部が分離膜の少なくとも一面上に互いに連結されて形成される場合、非コーティング部はガス排出通路を提供できないため、望ましくない。
【0039】
例えば、図3に示したように、前記コーティング部3aがメッシュ形パターンまたは格子形パターンに形成される場合、二次電池の内部にトラップされたガス3cを、外部へ排出できない。メッシュ形パターンまたは格子形パターンに形成されたコーティング部3aは、分離膜の上に形成された複数のコーティング部が互いに連結された形態であることから、非コーティング部3bは、コーティング部3aによって囲まれる。これによって、非コーティング部3bは、外部へガスを排出するガス排出通路の役割が果たせない。したがって、非コーティング部3bに位置する二次電池の内部にトラップされたガス3cを外部へ排出できず、二次電池の性能及び容量低下の問題が発生するようになる。
【0040】
本発明において、分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部は、分離膜の一面の総面積100%に対して20%~50%にコーティングされ得る。前記範囲の面積にコーティング部がコーティングされることで、コーティング部は、二次電池の内部で発生したガスを充分に吸着可能であり、非コーティング部は、コーティング部によって吸着されなかったガスを排出する経路を提供できる。
【0041】
本発明において、前記コーティング部は、ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物を含む。また、本発明の一態様によるコーティング部は、当業界で通常使用される溶媒または分散媒などをさらに含み得る。
【0042】
通常、二次電池の内部で発生するガスは、水素(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、アセチレン(C)、エチレン(C)、エタン(C)、プロピレン(C)、プロパン(C)などであり得る。前記ガス吸着剤は、二次電池の内部で発生するガスを吸着可能な物質であって、物質内に空洞を備える物質であれば、その種類は特に制限されない。例えば、ガス吸着性を有する分子篩及び金属成分からなる群より選択される一種以上であり得る。
【0043】
この際、前記分子篩は、シリカゲル、炭素繊維、多孔質炭素材料、多孔質金属酸化物、多孔質ゲル、ゼオライトまたはこれらの二つ以上を含み得る。
【0044】
ここで、前記多孔質炭素材料は、カーボンモレキュラーシーブ(carbon molecular sieve)及び活性炭からなる群より選択される一種以上であって、前記多孔質金属酸化物の金属材は、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ及びモレキュラーシーブからなる群より選択される一種以上であり得る。
【0045】
また、前記金属成分は、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、タリウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなる群より選択される一種以上であり得る。
【0046】
前記ガス吸着剤の含量は、コーティング部の総重量に対して、例えば10重量%~50重量%であり得る。前記範囲の含量で含まれることで、ガス吸着剤にガスが充分に吸着される利点がある。
【0047】
前記接着性バインダーは、電極との接着力を示すものであれば、制限されないが、ポリビニリデンフルオライド、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トルエンジイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレン-コ-ビニルアセテート、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイミドまたはこれらの二種以上を含み得る。例えば、ポリビニリデンフルオライドを接着性バインダーとして使用することが電極との接着力を示すのに有利である。
【0048】
また、前記接着性バインダーの含量は、コーティング部の総重量に対して、例えば10重量%~50重量%であり得る。前記範囲で含まれることで、ガス吸着剤が分離膜の上で分離されないようにバインダーの役割を果たすと共に、電極との接着力を充分に示し得る利点がある。
【0049】
本発明において、分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部は特に限定されないが、0.1μm~10μmの厚さにコーティングされ得る。具体的には、0.5μm~10μmの厚さにコーティングされ得る。コーティング部の厚さが前記範囲になることで、セル厚さの増加に大きい影響を与えないながらも、吸着されなかったガスの排出通路が確保可能になる。また、電極との接着力を充分に確保できる。
【0050】
本発明において、二次電池用セルに含まれる分離膜は、正極と負極を分離し、イオンの移動通路を提供するものであって、二次電池において分離膜に通常使用されるものであれば、特に制限なく使用可能である。
【0051】
具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの二層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用され得る。
【0052】
なお、耐熱性または機械的強度を確保するために、無機物粒子、バインダー高分子、または無機物粒子及びバインダー高分子の混合物がコーティングされた分離膜が使用可能であり、選択的に単層または多層構造として使用され得る。また、電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもある。
【0053】
本発明において、分離膜の少なくとも一面上に互いに離隔して形成された複数のコーティング部を含む分離膜は、二次電池用セル内のどの位置にも積層可能であるが、ガス排出が難しい位置に積層されることが望ましい。
【0054】
特に、二次電池用セルは、分離膜と電極がラミネートされて積層されている構造であるため、セルの厚さ方向の中央部は、最外郭よりもガスが排出されにくい。これによって、二次電池用セルの厚さ方向の中央部にトラップされるガスの量を減らすために、二次電池用セルの厚さ方向の中央部にコーティング部を備える分離膜を含み得る。例えば、三枚以上の分離膜が含まれている二次電池用セルにおいて、配置された分離膜のうち上下部の最外郭に配置された分離膜を除いた残りの分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、コーティング部を備え得る。
【0055】
また、前記中央部に含まれる分離膜と共にその他の部分にコーティング部を備える分離膜を含み得る。例えば、前記中央部は、二次電池用セルの厚さ方向へ3等分したときの中央部分、または二次電池用セルの厚さ方向へ5等分したときの中央部分を意味し得る。
【0056】
本発明の二次電池用セルに含まれる正極は、例えば、正極集電体の上に正極活物質、導電材及びバインダーの混合物を塗布して乾燥することで製造され、必要に応じて、前記混合物に充填材をさらに添加することもある。
【0057】
前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や一つまたはそれ以上の遷移金属に置き換えられた化合物;化学式Li1+xMn2-x(ここで、xは0~0.33である。)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である。)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である。)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置き換えられたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
前記正極集電体は、通常3~500μmの厚さに作る。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。正極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0059】
前記導電材は、通常、正極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして1~50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使われ得る。
【0060】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に助力する成分であって、通常、正極活物質を含む混合物の全体重量に対して1~50重量%で添加される。このようなバインダーの例には、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0061】
前記充填材は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せず、繊維状の材料であれば、特に制限されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0062】
本発明の二次電池用セルに含まれる負極は、負極集電体の上に負極材料を塗布及び乾燥して製作され、必要に応じて、前述したような成分がさらに含まれ得る。
【0063】
前記負極集電体は、通常3~500μmの厚さに作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使われ得る。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することも可能であり、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用され得る。
【0064】
前記負極材料は、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;すず系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi及びBiなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などを使用し得る。
【0065】
二次電池用セルの製造方法
本発明の実施態様による二次電池用セルの製造方法は、
(S1)少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を、分離膜を挟んで交互に積層して二次電池用セルを組み立てる段階と、
(S2)前記二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に少なくとも一回ローリングする段階と、を含んで製造し、
前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、少なくとも一面上にガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物をコーティングして互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備える。
【0066】
本発明の二次電池用セルの製造方法によれば、分離膜上にガス吸着剤を含むコーティング部が互いに離隔して複数形成されることで、二次電池の内部で発生したガスを吸着でき、ガス吸着剤によって吸着されなかったガスは、外部へ排出することで、二次電池内にトラップされたガスの量を減らすことができる。
【0067】
特に、本発明は、正極、負極及び分離膜を積層して二次電池用セルを製造した後、二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に少なくとも一回ローリングする段階を含むことで、二次電池の内部に存在するガスが外部へ排出されやすい。これによって、二次電池の内部にトラップされたガスの量が大幅に減少する。
【0068】
以下、本発明の二次電池用セルの製造方法の各段階を詳しく説明する。
【0069】
本発明の二次電池用セルの製造方法によれば、
(S1)少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を、分離膜を挟んで交互に積層して二次電池用セルを組み立てる段階を含む。
【0070】
この際、前記分離膜のうち少なくとも一つの分離膜は、少なくとも一面上にガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物をコーティングして互いに離隔して形成された複数のコーティング部を備える。
【0071】
本発明において、前記コーティング部、即ち、互いに離隔して形成された複数のコーティング部は、前記ガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物がスプレー方式によってコーティングして形成されたものであり得る。例えば、スプレー方式を具現するために、スプレーガンを用い得る。スプレーガンを用いて混合物を塗布する場合、分離膜の一面上に混合物を所望する面積、所望するローディング(loading)量に制御可能であり、分離膜の一面上に均一に塗布可能であるという利点がある。
【0072】
また、本発明において、分離膜の少なくとも一面にガス吸着剤及び接着性バインダーの混合物がコーティングされていない部分であって、分離膜の表面一部が露出した非コーティング部を含む。前記非コーティング部は、コーティング部で吸着されなかったガスが二次電池の外部へ排出されるガス排出通路の役割を果たし得る。
【0073】
本発明の二次電池用セルの製造方法は、前記コーティング部を備える分離膜を一つまたは複数個含んで二次電池用セルを製造する。また、前記分離膜は、二次電池用セル内におけるどの位置にも積層できるが、ガスが排出されにくい位置に積層されることが望ましい。
【0074】
特に、二次電池用セルは、分離膜と電極がラミネートされて積層された構造であるため、セルの厚さ方向の中央部は、最外郭部に比べてガスが排出され難しい。これに対し、二次電池用セルの厚さ方向の中央部にトラップされるガスの量を減らすために、二次電池用セルの厚さ方向の中央部にコーティング部を備える分離膜を含み得る。また、前記中央部と共にその他の部分にコーティング部を備える分離膜を含み得る。例えば、前記中央部は、二次電池用セルの厚さ方向へ三等分したときの中央部分または二次電池用セルの厚さ方向へ5等分したときの中央部分を意味し得る。
【0075】
本発明において、少なくとも一つの正極及び少なくとも一つの負極を分離膜を挟んで交互に積層した後、二次電池用セルを製造するために当業界における公知の工程を含み得る。例えば、二次電池を組み立てるために積層された正極、負極及び分離膜を、電池ケース、例えば、パウチケースに収納し得る。その後、電池ケースに電解液を注入することで、積層された正極、負極及び分離膜を電解液に含浸した後、封止し得る。以後に組み立てられた二次電池用セルに充放電を行う活性化工程が行われ得る。
【0076】
次に、本発明は、(S2)前記二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に少なくとも一回ローリングする段階を含む。ローラーを用いて二次電池用セルの表面をローリングすることで、二次電池用セルの内部で発生したガスをセルの外部へ容易に排出し得る。ローラーを用いて二次電池の大きさに最適化した圧力の範囲でセルの表面を加圧すると共にローリングし得る。具体的に例を挙げれば、10~50kgロードの圧力、1~5cm/秒の速度で電装方向にローリングし得る。本発明において電装方向とは、正極リードと負極リードとの間の長手方向を意味し得る。
【0077】
二次電池用セルの表面に単に加圧のみを行う場合、例えば、0.5~5kgf/cmの範囲の圧力で加圧のみを行う場合には、二次電池の内部で発生したガスが電解液に溶解され、二次電池セルの中央部に位置するガスはトラップされて外部への排出が難しいという問題がある。しかし、本発明は、二次電池用セルの表面を加圧すると共にローリングすることで、二次電池の内部で発生したガスが電解質に溶解されず、またガスが内部にトラップされることなく外部へ容易に排出される。二次電池用セルの内部のコーティング部が備えられた分離膜の一面と平行な方向(面方向)へのガスの排出が容易である。
【0078】
さらに、本発明においては、ガスを吸着するガス吸着剤が分離膜の一面上のコーティング部に含まれることで、二次電池の内部のガスを吸着できる。また、前記コーティング部が互いに離隔して形成されることで、コーティング部が形成されていない非コーティング部によって二次電池の内部のガスが外部へ排出されることが容易である。特に、非コーティング部は、ガス排出通路の役割を果たし得るため、ローラーによってローリングされることで二次電池の内部のガスが外部へ排出されるのにさらに容易である。
【0079】
具体的には、本発明の二次電池用セルの製造方法は、組み立てられた二次電池用セルの表面をローラーを用いて加圧すると共に二回ローリングする段階を含み得る。例えば、一次ローリング後、二次電池用セルをエージング(aging)工程を経て、二次ローリング段階を含み得る。このような場合、一次ローリングで二次電池の内部のガスが外部へ排出され、エージング工程で二次電池の内部にガスがさらに発生するようになるが、二次ローリングによってエージング工程で発生したガスが外部へ排出されることによって、二次電池内にトラップされたガスの量をさらに減らすことができる。
【0080】
前記エージング工程は、0.5日~72日間、25~70℃の温度範囲の条件で行い得るが、その条件は制限されない。
【0081】
本発明において、前記(S2)段階後にデガッシング(degassing)工程を含み得る。前記デガッシング工程は、電池ケースを開封してガスを排出させた後、ガス排出部位を熱溶着して封止する工程を含む。通常、当業界では、二次電池の組立が完了して充放電工程が行われた後、二次電池の内部に発生したガスを排出するためにデガッシング工程を含む。
【0082】
しかし、本発明においては、ガスの効率的な排出を考慮して、充放電工程が行われた後、デガッシング工程を行う前に、二次電池用セルの表面をローラーを用いてローリングしてガスを排出する段階を含む。これによって二次電池セル内に残存するガスの量が減少する。
【0083】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は他の多様な形態に変更可能であり、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0084】
実施例
下記の方法によって各実施例及び比較例を製造した。
【0085】
[実施例1]
1)分離膜の準備
ポリプロピレン(polypropylene)多孔性基材(厚さ9μm、気孔度:45%)上の一面にスラリーをコーティングした後、乾燥して分離膜を準備した。
【0086】
この際、スラリーは、以下のように準備した。アセトン溶媒にバインダー高分子としてポリビニリデンフルオライドを投入して50℃で約4時間の間に溶解してバインダー高分子溶液を製造した。前記バインダー高分子溶液に無機物粒子としてアルミナ(Al)(粒子サイズ:500nm)を投入した。この際、無機物粒子とバインダー高分子の重量比を70:30に制御して多孔性コーティング層形成用スラリーを製造した。スラリー中の固形分(スラリー溶媒を除いた固体成分)の含量は、スラリー100重量%に対して19重量%であった。
【0087】
前記分離膜の上において、アセトン溶媒に、アクリル系分散剤と、ガス吸着剤であるゼオライトと、接着性バインダーであるポリビニリデンフルオライド(PVdF)と、を混合した。その後、スプレーガンを用いて塗布した後、乾燥した。前記混合物の総重量(固形分基準)に対して分散剤1重量%、ゼオライト40重量%、接着性バインダー15重量%であった。
【0088】
前記塗布によって、複数のドットパターン(直径3mm、離隔間隔5mmである円形のパターン)のコーティング部が形成されており、塗布されたコーティング部の全体面積は、分離膜の全体面積に対して40%になった。
【0089】
2)正極及び負極の準備
正極活物質としてLi[Ni0.6Mn0.2Co0.2]Oと、導電材としてグラファイトと、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド(PVdF)と、を97:1.5:1.5の割合で混合してスラリーを製造した。製造されたスラリーを20μm厚さのアルミニウムホイルの上にコーティング、乾燥及び圧着した。
【0090】
負極活物質として人造黒鉛と天然黒鉛が5:5に混合された混合物と、導電材としてsuperCと、バインダーとしてSBR/CMCと、を98:1:1の重量比で混合して負極スラリーを製造し、これを銅集電体の一面に塗布、乾燥及び圧延して負極を製造した。
【0091】
3)リチウム二次電池の製造
負極及び正極が、分離膜を挟んで交互に積層されるように二次電池用セルを製造した。この際、コーティング部が形成された分離膜/コーティング部が形成されていない分離膜/コーティング部が形成されていない分離膜の順に含まれるように10回反復して積層して二次電池用セルを製造した。
【0092】
その後、20kgロードの圧力及び2cm/秒の速度で電装方向へ一次ローリングした後、一次エージング(25℃、24時間)及び二次エージング(60℃、24時間)した後、一次ローリングと同じ条件で二次ローリングした。その後、デガッシング工程を経た。
【0093】
[比較例1]
バーコーター(bar coater)を用いて分離膜の一面全体にコーティング部を形成した分離膜を使用したことと、ローリングしなかったことを除いては、実施例1と同じ二次電池用セルを準備した。
【0094】
[比較例2]
ローリングしなかったことを除いては、実施例1と同じ二次電池用セルを準備した。
【0095】
[比較例3]
分離膜の一面上に形成されたコーティング部がメッシュパターンを有することと、ローリングしなかったことを除いては、実施例1と同じ二次電池用セルを準備した。この際、メッシュパターンは、線幅3mm、線間隔5mmにしてコーティングし、コーティングされたメッシュパターンの面積は、分離膜の一面の面積に対して70%であった。
【0096】
評価
トラップされたガスの確認(エアースキャナー及び完全充電分解分析)
前記実施例及び比較例に対して、エアースキャナー(Air scanner、JAPAN PROBE社、モデルNAUT-SAT-S01)を用いて内部にトラップされたガスを観察した。
【0097】
また、SOC100まで充電した後にセルを分解する完全充電分解分析によって、内部にトラップされたガスによって充電が100%にならず、リチウムが析出されたことを目視で確認した。
【0098】
前記確認結果を図4に示した。実施例1の場合、比較例1~3に比べて内部にトラップされたガスの量が少ないことを確認することができた。
【0099】
容量(放電容量)測定
前記実施例及び比較例に対して25℃条件で充放電を行って放電容量を測定した後、比較例1で測定された値を基準値(100%)にして評価した。
【0100】
評価された結果を下記の表1に示した。実施例1に比べて比較例1~3は、二次電池の内部にトラップされたガスの存在によって、二次電池容量の低下が発生したことを確認することができた。
充電条件:0.33C CC-CV
放電条件:0.33C CC
【0101】
DCR
2Cの電流で10秒放電したときの抵抗を確認した。比較例1で測定された値を基準値(100%)にして評価した。
【0102】
評価された結果を下記の表1に示した。実施例1に比べて比較例1~3は、二次電池の内部にトラップされたガスの存在によって、二次電池の抵抗が増加したことを確認することができた。
【0103】
【表1】
【0104】
電気化学的インピーダンス分光法(EIS)
前記実施例及び比較例に対し、25℃、SOC30で充電し、電気化学的インピーダンス分光法(Electrochemical impedance spectroscopy;EIS)を用いて電気抵抗を測定した。その結果を図5に示した。
【0105】
実施例1の場合、比較例1~3に比べて0より大きい値で形成された半円(アーク)が小さいため、低い抵抗を示していることを確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】