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特表2023-547131電気化学セルのための分配プレート、および電気化学セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】電気化学セルのための分配プレート、および電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20231101BHJP
   H01M 8/026 20160101ALI20231101BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20231101BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231101BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20231101BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231101BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/026
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/23
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524528
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021077529
(87)【国際公開番号】W WO2022089898
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】102020213580.0
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイテル,マニュエル
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021DB16
4K021DB31
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
5H126AA08
5H126BB06
5H126DD02
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE05
5H126EE22
5H126EE46
5H126EE48
5H126JJ03
(57)【要約】
本発明は、電気化学セル(1)のための分配プレート(7)に関し、分配プレート(7)は、表面(13)を有するウェブ(12)と、底面(33)を有する主通路(11)とを含む構造を有し、ウェブ(12)の表面(13)は分配通路(60)を有し、少なくとも1つの分配通路(60)は、主通路(11)の底面(33)および/またはウェブ(12)の側面(31)と少なくとも1つの分配通路(60)を接続する副通路(15)を有し、副通路(15)は少なくとも1つの分配通路(60)よりも小さい直径を有する。さらに、本発明は電気化学セル(1)に関する。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル(1)のための分配プレート(7)において、前記分配プレート(7)は、表面(13)を有するウェブ(12)と、底面(33)を有する主通路(11)とを含む構造を有し、前記ウェブ(12)の前記表面(13)は分配通路(60)を有し、少なくとも1つの分配通路(60)は、主通路(11)の底面(33)および/またはウェブ(12)の側面(31)と少なくとも1つの前記分配通路(60)を接続する副通路(15)を有し、
前記副通路(15)は少なくとも1つの前記分配通路(60)よりも小さい直径を有する、分配プレート。
【請求項2】
前記副通路(15)は前記主通路(11)の前記底面(33)もしくは前記ウェブ(12)の前記側面(31)の平坦部分(62)で終わり、または、前記主通路(11)の前記底面(33)と前記ウェブ(12)の前記側面(31)との間のエッジ(59)のところで終わることを特徴とする、請求項1に記載の分配プレート(7)。
【請求項3】
前記副通路(15)は前記主通路(11)の前記底面(33)で別の副通路(15,70)に連通することを特徴とする、請求項1に記載の分配プレート(7)。
【請求項4】
前記別の副通路(15,70)は前記主通路(11)に対して45°よりも小さい配置角(72)で配置されることを特徴とする、請求項3に記載の分配プレート(7)。
【請求項5】
前記副通路(15)は端部構造(64)に連通し、前記副通路(15)は前記端部構造(64)で少なくとも2つの下位通路(66)に分岐し、少なくとも2つの前記下位通路(66)はそれぞれ前記副通路(15)よりも小さい直径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の分配プレート(7)。
【請求項6】
前記副通路(15)は第1の部分(17)をもって、前記主通路(11)に対して30°から150°の範囲内の第1の角度(19)で配置され、第2の部分(21)をもって、前記主通路(11)に対して45°よりも小さい範囲内の第2の角度(23)で配置されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項7】
前記副通路(15)は湾曲した進路を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項8】
前記副通路(15)は部分的に少なくとも1つの前記分配通路(60)の中に延びることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項9】
前記側面(31)は少なくとも1つの滞留エッジ(68)を有し、前記副通路(15)は少なくとも部分的に少なくとも1つの前記滞留エッジ(68)に沿って配置されることを特徴とする、請求項8に記載の分配プレート(7)。
【請求項10】
前記副通路(15)の幅(29)および/または深さ(27)はそれぞれ1μmから150μmであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項11】
前記副通路(15)の横断面(35)はV字型であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項12】
前記分配プレート(7)は特に内部構造化(74)を有するコーティング(37)を少なくとも部分的に有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項13】
前記副通路(15)は前記コーティング(37)に穿設されることを特徴とする、請求項12に記載の分配プレート(7)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)を含んでいる電気化学セル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルのための分配プレートに関し、分配プレートは、表面を有するウェブと、底面を有する主通路とを含む構造を有し、ウェブの表面は分配通路を有する。さらに、本発明は電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セルは電気化学式のエネルギー変換器であり、燃料電池や電解槽の形態で知られている。
【0003】
燃料電池は、連続的に供給される燃料と酸化剤との化学的な反応エネルギーを電気エネルギーに変換する。周知の燃料電池では、特に水素(H)と酸素(O)が水(HO)と電気エネルギーと熱に変換される。
【0004】
特にプロトン交換膜(Proton Exchange Membrane=PEM)型燃料電池が知られている。プロトン交換膜型燃料電池は、プロトンすなわち水素イオンに対して透過性である、中央に配置された膜を有する。それによって酸化剤が、特に空気酸素が、燃料から、特に水素から、空間的に分離される。
【0005】
燃料電池はアノードとカソードを有している。燃料はアノードで燃料電池に供給され、電子を放出しながら触媒酸化されてプロトンとなり、これがカソードへと達する。放出された電子は燃料電池から導出され、外部電気回路を介してカソードへと流れる。
【0006】
酸化剤は、特に空気酸素は、カソードで燃料電池に供給され、外部電気回路からの電子とプロトンとを受け取ることによって反応して水になる。こうして生じた水は燃料電池から導出される。全反応は次のようになる:
+4H+4e → 2H
【0007】
このとき燃料電池のアノードとカソードの間で電圧が生じる。この電圧を高めるために、複数の燃料電池が、スタックまたは燃料電池積層体とも呼ばれる燃料電池スタックをなすように機械的に相上下して配置されて、電気的に直列につながれる。
【0008】
電気化学セルのスタックは、通常、個々のセルを互いに押圧してスタックに安定性を与えるエンドプレートを有している。エンドプレートは、電流を導出するためのスタックのプラス極ないしマイナス極としての役目も果たすことができる。
【0009】
電極すなわちアノードおよびカソードと膜とは、Membrane Electorode Assemblyとも呼ばれる膜電極接合体(MEA)をなすように設計的にまとめられていてもよい。
【0010】
さらに電気化学セルのスタックは、ガス分配プレートまたは分配プレートとも呼ばれるバイポーラプレートを有している。バイポーラプレートは、アノードへ燃料を均等に分配するため、ならびに、カソードへ酸化剤を均等に分配するための役目を果たす。さらにバイポーラプレートは、通常、各電極に燃料と酸化剤を分配するため表面構造、特に通路状の構造を有している。特に燃料電池では、通路状の構造は反応時に発生する水を導出するための役目も果たす。これに加えてバイポーラプレートは、熱を排出するために電気化学セルを通る冷却媒体を導通するための構造を有することができる。
【0011】
バイポーラプレートは、酸素、水素、および水に関わる媒体案内のほか、膜との面状の電気接触も保証する。
【0012】
たとえば燃料電池スタックは、典型的には最大で数百の個々の燃料電池を含んでおり、これらがいわゆるサンドイッチとして層状に上下して積層される。個々の燃料電池がMEAを有しており、ならびに、アノード側とカソード側にそれぞれバイポーラプレート半体を有している。燃料電池は、特に、アノード・モノポーラ・プレートと、カソード・モノポーラ・プレートとを、通常はそれぞれ型押しされた薄板の形態で含んでいて、これらが共同でバイポーラプレートを形成し、それに伴ってガスと液体を案内するための通路を形成し、これらの間で冷却媒体が流れる。
【0013】
さらに電気化学セルは、通常、ガス分配の役目を果たすガス拡散層を含んでいる。ガス拡散層はバイポーラプレートとMEAとの間に配置され、典型的には、通路側すなわち隣接するバイポーラプレートの方向では、”gas diffusion backing”(GDB)とも呼ばれる炭素繊維不織布で構成され、触媒側すなわち膜の方向では、”micro porous layer”(MPL)とも呼ばれるマイクロ多孔性層で構成される。
【0014】
燃料電池に対して電解槽は、電圧の印加のもとで好ましくは水を水素と酸素に分解するエネルギー変換器である。電解槽も、特にMEAと、バイポーラプレートと、ガス拡散層とを有している。
【0015】
特にポリマー電解質膜を有する電気化学セルの効率にとっては、膜の上に配置される電極層が反応ガスの供給を均一に受けることが特別に重要である。
【0016】
周知の分配プレートは、特に通路と、それぞれこれに接する、ないし隣接する、ウェブとを有していて、これらが1つの構造を形成する。これらの通路は主通路またはチャネルとも呼ばれ、ウェブはランドとも呼ばれる。分配プレートの伸長平面に対して少なくとも部分的に平行であるウェブの表面は、電気化学セルの隣接するガス拡散層への、分配プレートの接触面を含む。ガスである水素と酸素は、分配プレートの通路から膜の反応ゾーンへとガス拡散層を通過する。分配プレートのウェブの上に載っているガス拡散層の領域は、およびこれに伴ってその下に位置するMEAの対応する領域は、特に電気化学セルの流動条件のもとでは反応ガスの供給を比較的受けにくく、このことは、意図されず不均一な流量密度分布につながり得る。
【0017】
空気すなわち酸素が供給される膜の側では、燃料電池の作動時に水が発生し、これがガス拡散層を通って分配プレートの通路へと運ばれ、そこでセルから取り出されなくてはならない。膜を有する電気化学セルについての典型的な動作温度は120℃よりも低いので、水は典型的にはガス拡散層で凝縮して液体で存在する。ガス拡散層では水の輸送方向はガスの輸送方向と逆向きであり、溜まった水が反応ガスの、特に酸素の、追加供給を著しく妨げる可能性がある。
【0018】
すなわち、電気化学セルの出力密度が高くなるほどいっそう多くの水が生成され、そのために、ガス拡散層と分配プレートの空気通路側との間の接触領域で、液体の水量の搬出が不十分になる可能性がある。
【0019】
特許文献1は、ウェブの斜面に追加の溝が主通路の方向と平行に設けられる、バイポーラプレートのための改良されたドレーンシステムを記載している。
【0020】
特許文献2は、水排出が改良されたバイポーラプレートを記載しており、バイポーラプレートのウェブは、主通路の方向に対して横向きに配置された追加の通路システムを有している。追加の通路システムのそれぞれ2つの通路が、共通の流出部を有している。さらに、分配プレートの主通路の交差構造が開示されているが、これは高い圧力損失につながる。
【0021】
特許文献3も同じく改良されたドレーンシステムを有するバイポーラプレートに関し、ウェブは主通路の方向に対して横向きに刻み目を有し、ウェブの斜面に沿って追加の溝が主通路の方向と平行に存在する。
【0022】
これらの文献に記載されている通路は、その寸法決めに基づいて水の排出の役目を果たすものであり、ウェブの下での酸素供給を改善することになるガス輸送のために設計されたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2020-47441号公報
【特許文献2】特開2020-47443号公報
【特許文献3】特開2020-47440号公報
【発明の概要】
【0024】
電気化学セルのための分配プレートが提案され、分配プレートは、表面を有するウェブと、底面を有する主通路とを含む構造を有し、ウェブの表面は分配通路を有し、特に前記分配通路のうちの少なくとも1つの分配通路は、特に隣接する主通路の底面および/またはウェブの側面と少なくとも1つの分配通路を特に流体接続する副通路を有し、副通路は少なくとも1つの分配通路よりも小さい直径、好ましくは小さい幅および/または深さ、特に小さい横断面を有する。さらに、分配プレートを含む電気化学セルが提案される。
【0025】
好ましくは燃料電池または電解槽である電気化学セルは、少なくとも1つの分配プレートと、少なくとも1つのガス拡散層と、少なくとも1つの膜ないし膜電極接合体とを含むのが好ましい。特に、それぞれ1つのガス拡散層が分配プレートと膜との間に配置される。
【0026】
ガス拡散層は多孔性構造を有するのが好ましく、約10から15バールの高い圧力のもとで分配プレートに当接するのがさらに好ましい。膜は、たとえばパーフルオロスルホン酸(PFSA)を含む、特にナフィオンを含む、またはパーフルオロスルホン酸(PFSA)からなる、特にナフィオンからなる、ポリマー電解質膜であるのが好ましい。さらに、アルカリ膜を利用することもできる。
【0027】
ガス拡散層は不織布、特に炭素繊維不織布、および場合によりマイクロ多孔性層を含むのが好ましく、不織布は分配プレートのほうを向くガス拡散層の側に配置される。ガス拡散層は、炭素繊維不織布および場合によりマイクロ多孔性層からなるのがさらに好ましい。不織布では、厚み方向での、すなわち膜に向かう方向でのガス透過性は、平面での、すなわち膜と平行の方向での、ガス透過性に匹敵していてよい。
【0028】
分配プレートは、グラファイトなどの炭素、特殊鋼やチタンなどの金属および/または金属を含む合金を含むのが好ましい。分配プレートは炭素、金属、および/または合金で構成されるのがさらに好ましい。特に分配プレートのベースプレートは炭素、金属、および/または合金からなる。
【0029】
分配通路は主としてバイポーラプレートのウェブの下のガス拡散層に、およびそれに伴ってこれに後続する電極に、ガスを、特に酸素を、供給するための役目を果たす。分配通路は、特にガス拡散層がウェブの上に載っている区域に、ガスを案内する。少なくとも1つの分配通路は、2つの、特に2つの隣接する、主通路を接続するのが好ましい。それに対して、副通路は主として発生した液体の反応水をウェブから主通路へ、特に隣接する主通路へ、排出する。1つを超える分配通路が副通路を有するのが好ましい。分配通路ごとに1つの副通路が存在するのがさらに好ましい。副通路はドレーン通路、毛管通路、溝、あるいは微視的に小さな溝状の構造とも呼ぶことができる。
【0030】
少なくとも1つの分配通路と副通路は、特に、電気化学セルの中で隣接して配置されたガス拡散層のほうを向いている分配プレートの側に配置される。
【0031】
バイポーラプレートとも呼ぶことができる分配プレートは波形の構造を有するのが好ましく、ウェブと主通路が交互に、かつ好ましくはそれぞれ互いに平行に、配置される。
【0032】
ウェブの表面は、接触面とも呼ぶことができる、隣接して配置されたガス拡散層が当接する少なくとも1つの接触領域をそれぞれ含むのが好ましい。ウェブの接触領域は、主通路の底面に対して実質的に平行に配置されるのが好ましい。実質的に平行にとは、接触領域が位置する平面と底面とが30°よりも小さい、さらに好ましくは20°よりも小さい、いっそう好ましくは10°よりも小さい、特に5°よりも小さい、角度をなすことであると解釈される。
【0033】
ガス拡散層の多孔性構造により、高い流量密度のもとで典型的には液体の形態で存在する水の自然な流出が難しくなり、そのために水の滞留が起こり得る。水の滞留は接触領域で、電気化学セルの出力密度を制約する可能性がある。
【0034】
ウェブは、特にウェブの表面に含まれる側面を有するのが好ましい。ウェブの表面は、隣接する主通路の底面にそれぞれ続くそれぞれ2つの側面をウェブごとに含むのがさらに好ましい。側面は斜面とも呼ぶことができ、底面に対して斜角をなして配置されるのが好ましく、斜角はさらに好ましくは90°から135°の範囲内、いっそう好ましくは90°から125°の範囲内、特に好ましくは95°から110°の範囲内にある。さらに側面は、接触領域に対して折曲されて配置されるのが好ましい。底面は少なくとも部分的に平面状であるのが好ましい。
【0035】
主通路は好ましくは直線状に、さらに好ましくは互いに平行に、分配プレートに配置される。
【0036】
副通路は、好ましくは三角形、すなわちV字型、円形、正方形、または多角形である横断面を有する。副通路の横断面はV字型であるのがさらに好ましい。副通路の横断面は、副通路の長さにわたって一定であってよく、またはサイズおよび/またはジオメトリーに関して変化することができる。副通路の幅および/または深さは、特に第1の部分では、それぞれ1μmから150μmであるのが好ましく、さらに好ましくは1μmから100μm、特別に好ましくは1μmから50μm、いっそう好ましくは1μmから10μm、特に好ましくは1μmから6μmである。
【0037】
分配プレートに隣接して配置されるガス拡散層は繊維を含むのが好ましく、副通路の幅は、たとえば約8μmであるガス拡散層の繊維直径よりも小さいのがさらに好ましい。副通路の幅は、ガス拡散層の繊維直径より大きくてもよい。副通路の幅は、あるいは深さも、隣接するガス拡散層の構造に依存して選択することができる。
【0038】
さらに副通路の直径は、特に深さおよび/または幅は、副通路が毛管作用を特に水に関して形成するように選択されるのが好ましい。直径とは、特に、横断面の最大の直径であると理解される。
【0039】
分配通路は、好ましくは長方形、三角形、またはU字型である横断面を有する。主通路の横断面は、少なくとも1つの分配通路の横断面より少なくとも係数50だけ大きいのが好ましい。分配通路幅および/または分配通路深さはそれぞれ10μmから400μmであるのが好ましく、分配通路幅および/または分配通路深さはそれぞれ50μmよりも大きく、特に最大で150μmであるのがさらに好ましい。
【0040】
分配通路はたとえば波形、互いに平行、十字形、台形、またはハニカム形に配置されていてよい。分配通路は主通路とともに20°から70°、さらに好ましくは30°から60°、特に30°から45°の分配角をなすのが好ましい。
【0041】
分配プレートは少なくとも部分的にコーティングを有するのが好ましい。コーティングは、分配プレートのベースプレートの材料よりも親水性または疎水性であってよい。
【0042】
コーティングは疎水性であってよく、特にロータス効果を有することができる。疎水性とは、平滑な表面を有する鋼材の湿潤性よりも水による湿潤性が劣ることと理解されるのが好ましく、水滴に関する接触角が70°よりも大きく、特に80°よりも大きいことと理解されるのがさらに好ましい。コーティングは特に接触領域に存在することができ、それは、たとえばそこで接触抵抗を低下させるためである。さらにコーティングは、底面に存在することができる。さらにコーティングは、副通路の内部にのみ、または外部にのみ、存在することができる。
【0043】
コーティングは、ススやグラファイトなどの炭素、特に炭素粒子と、特に有機性の結合剤、たとえば人工樹脂および/またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むのが好ましい。結合剤は熱可塑性または熱硬化性であってよい。コーティングは、好ましくは1nmから200μm、さらに好ましくは5nmから100μm、特別に好ましくは5nmから50μmの範囲内の層厚を有する。ウェブの接触領域では、5μmを超える層厚が存在するのが好ましい。側面と底面では、層厚が1μmよりも小さいのが好ましい。
【0044】
さらに分配プレートは、任意選択として、内部構造化を有するコーティングを少なくとも部分的に有する。副通路はコーティングの内部構造化によって形成されていてよい。内部構造化は親水性に構成されるのが好ましく、それにより水が内部構造化の中へ、灯心の中へのように引き込まれる。親水性とは、平滑な表面を有する鋼材の湿潤性よりも水による湿潤性が良いことと理解されるのが好ましく、水滴に関する接触角が40°よりも小さく、特に10°よりも小さいことと理解されるのがさらに好ましい。コーティングは親水性の成分、たとえばヒドロキシ基、カルボニル基、および/またはカルボシキル基を有する酸化された炭素粒子を、特に炭素分配プレートに適用可能であるポリマー結合剤とともに含むことができる。さらに親水性の表面特性は、たとえば、たとえば酸素または酸による表面処理によって生成することができる。コーティングは0.1から10μmの範囲内の表面粗さRaを有するのが好ましく、0.1μmから20μm、さらに好ましくは1μmから10μmの最大のピークツーバレー距離(bulk peak-to-valley maxmum distance)を有するのがさらに好ましい。
【0045】
コーティングは、たとえばレーザ焼結によって塗布することができ、または、金属、セラミック、ポリマー、もしくはこれらの混合物を分配プレートにパターンで塗布するための役目も果たす方式で塗布することができる。コーティング方式のさらに別の例はスプレーコーティングである。
【0046】
その代替として、まず粉末などのコーティング材料を分配プレートに塗布することができ、これを接触領域で再び除去し、次いで、選択的な(レーザ)焼結法を実行することができる。それによってたとえば主通路だけに、内部構造化を含むコーティングを装備することができる。たとえばマスクおよび/またはスクリーン印刷によって、コーティングを選択的に行うことができる。
【0047】
コーティングを面状に塗布し、次いで、たとえばレーザ法または機械的な方法により、部分的に除去することもでき、それにより副通路が露出するようにし、特に副通路の側壁がコーティングによって形成される。
【0048】
分配通路および/または副通路は、特に薄板である分配プレートのベースプレートに、および/または分配プレートのコーティングに、穿設されていてよい。後者の場合、層厚は5μmを超えるのが好ましい。分配通路および/または副通路はコーティングされていてよく、または未コーティングであってよい。
【0049】
第1の好ましい実施形態では、副通路は主通路の底面もしくはウェブの側面の平坦部分で終わり、または、主通路の底面とウェブの側面の間のエッジのところで終わる。副通路は最終点で、すなわち一定の幅と深さとを有する区域で、唐突に終わるのがさらに好ましい。その代替として最終点の方向で、副通路の幅および/または深さが縮小していてよい。唐突にという概念は、特に、別の副通路への連通部や複数の通路への分岐部が最終点に存在しないことであると理解される。
【0050】
第2の好ましい実施形態では、副通路は主通路の底面で別の副通路に連通する。別の副通路は底面にのみ配置されるのが好ましい。別の副通路は、側面と底面の間のエッジに沿って配置されていてよく、別の副通路は特に第1の側で側面によって区切られる。側面と底面が出会うエッジは、切断縁または切断線とも呼ぶことができる。さらに、別の副通路は主通路の対称軸に沿って配置されていてよく、別の副通路はそれぞれ隣接する両方の側面に対して同一の間隔を有することができる。このことは、別の副通路が主通路の中央に延びていると表現することもできる。別の副通路は、主通路に対して45°よりも小さい配置角で配置されるのが好ましい。主通路ごとに1つの別の副通路が存在していてよく、または、それぞれ少なくとも1つの副通路がウェブから連通する複数の別の副通路が存在していてよい。
【0051】
第3の好ましい実施形態では、副通路は端部構造に連通し、副通路は端部構造で少なくとも2つの下位通路に分岐し、少なくとも2つの下位通路はそれぞれ副通路よりも小さい直径を有する。特に、少なくとも2つの下位通路の横断面のそれぞれのサイズは、副通路の横断面のサイズよりも小さい。端部構造は、微細構造または拡張部とも呼ぶことができ、それによって液体の水の表面積が効果的に広くなり、それにより液体の水の排出を、および/または主通路で案内される気相への水の気化を、改善することができる。端部構造は少なくとも3つの下位通路を有するのがさらに好ましく、少なくとも1つの下位通路が別の少なくとも2つの他の下位通路へと分岐することができる。副通路と、下位通路のうちの少なくとも1つとは、20°から70°、さらに好ましくは30°から60°、たとえば45°の範囲内の角度を部分的に形成するのが好ましい。さらに、少なくとも2つの下位通路は副通路に対して実質的に平行のアライメントで終わるのが好ましい。下位通路は、それぞれの分岐部の間では直線状の進路を有するのが好ましい。
【0052】
副通路は第1の部分をもって、主通路に対して30°から150°の範囲内の第1の角度で配置され、第2の部分をもって、主通路に対して45°よりも小さい範囲内の第2の角度で配置されるのが好ましい。
【0053】
特に少なくとも1つの分配通路の表面および/または内部に直接的にある副通路の第1の部分は、主通路に対して実質的に直交して配置されるのがさらに好ましい。「実質的に直交して」とは、第1の角度が60°から120°、さらに好ましくは80°から100°、特別に好ましくは85°から95°であることであると理解される。
【0054】
副通路の第2の部分は主通路に対して実質的に平行に配置されるのがさらに好ましい。「実質的に平行に」とは、第2の角度が30°よりも小さく、好ましくは20°よりも小さく、さらに好ましくは10°よりも小さく、特に好ましくは5°よりも小さいことであると理解される。
【0055】
副通路の第2の部分が第2の角度で配置されることで、主通路内での気相の主流動方向への副通路のアライメントが行われる。
【0056】
副通路は、特に副通路の第1の部分を副通路の第2の部分と接続する、円形の進路とも呼ぶことができる湾曲した進路を有するのが好ましい。その代替または追加として副通路は、少なくとも1つの、好ましくは1つを超える、屈曲と呼ぶこともできる方向転換を有する直線状の進路を有することができる。第1の部分および/または第2の部分も、それぞれ湾曲した進路を有することができる。
【0057】
副通路の2つを超える部分が存在することもでき、それにより、主通路との関係において2つを超える角度を調整することができる。
【0058】
少なくとも1つの分配通路が副通路を有することは、特に、副通路が分配通路の少なくとも1つの延長部を形成することであると理解される。副通路は少なくとも1つの分配通路の表面または内部で、特に直接的に始まることができる。副通路は少なくとも1つの分配通路の中で、ないしは少なくとも1つの分配通路の内部で、部分的に延びるのが好ましい。このことは、副通路と少なくとも1つの分配通路がオーバーラップすると表現することもできる。副通路は、少なくとも1つの分配通路の全長に存在することもできる。少なくとも1つの分配通路は、副通路が部分的に配置される底部を有するのが好ましい。副通路の直径は、少なくとも1つの分配通路において一定であってよく、または主通路の方向で増大することができる。
【0059】
ウェブの側面は少なくとも1つの滞留エッジを有することができ、副通路は少なくとも部分的に少なくとも1つの滞留エッジに沿って配置されるのが好ましい。複数の滞留エッジが、分配プレートに型押されていてよい、たとえばオフセットされた隆起部を形成することができる。少なくとも1つの滞留エッジは、主通路から分配通路への気相の強化された流動につながる。特に、少なくとも1つの滞留エッジは、少なくとも1つの分配通路への入口に同一平面上で配置される。
【0060】
上述した各実施形態の構成要件を互いに自由に組み合わせ可能である。
【発明の効果】
【0061】
本発明の分配プレートによって、接触領域でのガス拡散層へのガス供給が改善されるだけでなく、すなわち、ウェブの下方の領域への特に酸素への浸透が改善されるだけでなく、接触領域から分配プレートの主通路への水搬出も改善される。
【0062】
分配通路によって接触領域へのガス流入が改善され、副通路は、分配通路からの液体の水の良好な流出のために作用する。分配通路の特別なジオメトリーにより、ガス供給をいっそう改善することができる。副通路の小さい直径によって、水の搬出をいっそう促進する毛管作用が生じる。
【0063】
主通路にある別の副通路により、主通路の内部での流出もいっそう最適化される。
【0064】
これに加えて、場合により存在する端部構造により、液体の水の表面積を効率的に広くする構造がさらに存在し、それにより排出と、主通路内部での気相への気化が改善される。
【0065】
主通路から分配通路へのガス方向転換のために作用する滞留エッジは、副通路とともに滞留エッジに沿って接触領域のドレナージにも寄与する。
【0066】
さらに、場合により存在するコーティングの内部構造化へ液体の水を吸い込むことができ、主通路へと輸送することができる。
【0067】
本発明の実施形態について、図面と以下の記述とを用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】従来技術に基づく電気化学セルを示す模式図である。
図2】分配プレートを有する燃料電池積層体である。
図3】ガス拡散層と分配プレートの間の接触領域である。
図4】分配通路を有する分配プレートを示す部分図である。
図5】分配通路と副通路とを有する分配プレートを示す部分図である。
図6】第1の切断平面に沿って示す断面図である。
図7】分配通路の内部に副通路を有する分配プレートを示す部分図である。
図8】第2の切断平面に沿って示す断面図である。
図9】第3の切断平面に沿って示す断面図である。
図10】副通路と端部構造とを有する分配プレートを示す部分図である。
図11】端部構造の別の実施形態である。
図12】端部構造のさらに別の実施形態である。
図13】副通路と別の副通路とを有する分配プレートを示す部分図である。
図14】滞留エッジを有する分配プレートを示す部分図である。
図15】滞留エッジと副通路とを有する分配プレートを示す部分図である。
図16】第2の切断平面に沿って示す別の断面図である。
図17】第1の切断平面に沿って示す別の断面図である。
図18】滞留エッジと副通路と別の副通路とを有する分配プレートを示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の実施形態についての以下の説明では、同一または類似の部材には同一の符号が付されており、これらの部材について個別ケースで繰り返し説明することはしない。図面は本発明の対象物を模式的に表しているにすぎない。
【0070】
図1は、従来技術に基づく燃料電池の形態の電気化学セル1を模式的に示している。電気化学セル1は、膜2を電解質として有している。膜2はカソード空間39をアノード空間41から分離する。
【0071】
カソード空間39とアノード空間41には、膜2の上にそれぞれ電極層3と、ガス拡散層5と、分配プレート7とが配置されている。膜2と電極層3との複合体を、膜電極接合体4とも呼ぶことができる。
【0072】
分配プレート7は、たとえばカソード空間39での酸素43およびアノード空間41での水素45の、ガス拡散層5へのガス供給のための主通路11を有している。分配プレート7の上に主通路11とウェブ12が交互にある。
【0073】
ウェブ12の表面13には、分配プレート7と、これに隣接して配置されたガス拡散層5との間にそれぞれ接触領域47が構成されている。さらにウェブ12は側面31を有しており、主通路11は底面33を有している。
【0074】
図2は、複数の分配プレート7と、膜2を含む膜電極接合体4とを含む燃料電池積層体を示している。分配プレート7により、酸素43ないし酸素43が含まれている空気と、水素45とが膜電極接合体4へと案内される。酸素43ないし酸素43が含まれている空気が供給される分配プレート7の主通路11では、水51が排出される。さらに、分配プレート7は冷却剤49を案内するための役目を果たす。
【0075】
図3は、ガス拡散層5と分配プレート7との間の接触領域47を示している。ここでは分配プレート7のウェブ12が、ガス拡散層5と接触している。さらに内部構造化74を有するコーティング37が、分配プレート7のウェブ12の上に配置されている。水素45は主通路11からガス拡散層5を通って、膜2の上に配置された電極層3へと到達する。
【0076】
図4は、主通路11とウェブ12とを交互に有している分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。主通路11に沿って、主流動方向53が存在する。主通路11のアライメントとの関係において配置角72が表されている。さらに、主通路11はそれぞれ対称軸55を有している。
【0077】
ウェブ12はそれぞれ表面13を有していて、そのうち主通路11の底面33に対して折曲されて配置されている部分を側面31と呼ぶ。ウェブ12の表面13の接触領域47に、分配通路60が配置されている。ウェブ12の側面31に、主通路11の底面33が後続している。
【0078】
図5は、分配通路60と副通路15とを有する分配プレート7の部分の斜視平面図を示している。図5の分配プレート7は、図4に示す分配プレート7に実質的に相当しているが、4つの分配通路60にそれぞれ副通路15が配置されるという相違があり、この副通路は隣接する主通路11へ、ないしは隣接する側面31へ、水51を案内し、そのようにして、それぞれの分配通路60を主通路11ないし側面31と接続する。副通路15は分配通路60で始まっている。
【0079】
各々の副通路15の第1の部分17は隣接する主通路11に対して第1の角度19で配置され、各々の副通路15の第2の部分21は隣接する主通路11に対して第2の角度23で配置されている。ここに図示した副通路15は湾曲した進路を有しており、それにより、隣接する主通路11に対して相対的にその配置が進路につれて変化していく。副通路15はそれぞれ分配通路60では主通路11に対して実質的に垂直に配置され、主通路11ないし主通路11の近傍では主通路11に対して実質的に平行に配置されている。
【0080】
第1の副通路82は、隣接する主通路11の底面33の平坦部分62で終わっている。第2の副通路84は、主通路11の底面33とウェブ12の側面31との間のエッジ59のところで終わっている。第3の副通路86はウェブ12の側面31で終わっており、それにより、側面31から隣接する主通路11の底面33へと水51が流れ出ることができる。さらに、第1の切断平面76がマーキングされている。
【0081】
図6は、図5に示した第1の切断平面76に沿った断面図を示している。副通路15はウェブ12の側面31に配置され、V字型である横断面35を有している。副通路15は幅29と深さ27を有している。
【0082】
図7は、分配通路60の内部に副通路15を有する分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。図7の分配プレート7は、図5に示す分配プレート7に実質的に相当しているが、副通路15が部分的にそれぞれ分配通路60の中に延びているという相違があり、副通路15は分配通路60の底部88に配置されている。それに応じて副通路15は、ガス拡散層5との接触領域47に部分的に配置されている。これに加えて、第2の切断平面78と第3の切断平面80がマーキングされている。
【0083】
図8は、図7に示す第2の切断平面78に沿った断面図を示している。ウェブ12の表面13に分配通路60が配置され、分配通路60の底部88に副通路15がある。
【0084】
図9は、図7に示している第3の切断平面80に沿った断面図を示している。第2の副通路84は、側面31と底面33との間のエッジ59に配置されている。第3の副通路86はウェブ12の側面31にある。
【0085】
図10は、2つを超える下位通路66を有する端部構造64に連通する副通路15を有する分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。それぞれ同一の長さ90を有しているが互いにオフセットされて配置された複数の下位通路66が存在する。端部構造64は、主通路11の底面33に配置されている。
【0086】
図11は端部構造64の別の実施形態を示しており、下位通路66はそれぞれ異なる長さ90を有しており、長さ90は端部構造64の内部で内から外に向かって減っていく。
【0087】
図12は、下位通路66を有する端部構造64のさらに別の実施形態を示しており、下位通路66はグループで互いにオフセットされて配置されている。
【0088】
図13は、分配通路60と、副通路15と、別の副通路70とを有する分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。副通路15は部分的に分配通路60の内部に配置され、主通路11の対称軸55に沿って配置された別の副通路70にそのすべてが連通する。別の副通路70の配置角72は図示した実施形態では0°であり、それに応じて別の通路70は主通路11と平行に延びている。さらに、副通路15の幅29と深さ27は分配通路60の中で流出方向に伴って増えていく。
【0089】
図14は、ウェブ12の側面31に構成された滞留エッジ68を有する分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。ウェブ12の他の側面31も、任意選択として、少なくとも1つの滞留エッジ68を有することができる。
【0090】
図15は、滞留エッジ68およびこれに沿って配置された副通路15を有する分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。
【0091】
図16は、図15に示されている第2の切断平面76に沿った断面図を示している。
【0092】
図17は、図15に示されている第2の切断平面76に沿った断面図を示している。ウェブ12の側面31にある滞留エッジ68に沿った副通路15が明らかとなる。
【0093】
図18は、分配通路60と、副通路15と、滞留エッジ68と、別の副通路70とを有する分配プレート7の一部分の斜視平面図を示している。副通路15は滞留エッジ68のうちの1つに沿って延びており、主通路11の対称軸55と平行に延びる別の副通路70に連通する。
【0094】
本発明は、上に説明した実施例およびその中で強調されている態様だけに限定されるものではない。むしろ特許請求の範囲に記載されている範囲内で、当業者の行為の枠内にある数多くの改変が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 電気化学セル
7 分配プレート
11 主通路
12 ウェブ
13 表面
15 副通路
17 第1の部分
19 第1の角度
21 第2の部分
23 第2の角度
27 深さ
29 幅
31 側面
33 底面
35 横断面
37 コーティング
59 エッジ
60 分配通路
62 平坦部分
64 端部構造
66 下位通路
68 滞留エッジ
70 副通路
72 配置角
74 内部構造化
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル(1)のための分配プレート(7)において、前記分配プレート(7)は、表面(13)を有するウェブ(12)と、底面(33)を有する主通路(11)とを含む構造を有し、前記ウェブ(12)の前記表面(13)は分配通路(60)を有し、少なくとも1つの分配通路(60)は、主通路(11)の底面(33)および/またはウェブ(12)の側面(31)と少なくとも1つの前記分配通路(60)を接続する副通路(15)を有し、
前記副通路(15)は少なくとも1つの前記分配通路(60)よりも小さい直径を有する、分配プレート。
【請求項2】
前記副通路(15)は前記主通路(11)の前記底面(33)もしくは前記ウェブ(12)の前記側面(31)の平坦部分(62)で終わり、または、前記主通路(11)の前記底面(33)と前記ウェブ(12)の前記側面(31)との間のエッジ(59)のところで終わることを特徴とする、請求項1に記載の分配プレート(7)。
【請求項3】
前記副通路(15)は前記主通路(11)の前記底面(33)で別の副通路(15,70)に連通することを特徴とする、請求項1に記載の分配プレート(7)。
【請求項4】
前記別の副通路(15,70)は前記主通路(11)に対して45°よりも小さい配置角(72)で配置されることを特徴とする、請求項3に記載の分配プレート(7)。
【請求項5】
前記副通路(15)は端部構造(64)に連通し、前記副通路(15)は前記端部構造(64)で少なくとも2つの下位通路(66)に分岐し、少なくとも2つの前記下位通路(66)はそれぞれ前記副通路(15)よりも小さい直径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の分配プレート(7)。
【請求項6】
前記副通路(15)は第1の部分(17)をもって、前記主通路(11)に対して30°から150°の範囲内の第1の角度(19)で配置され、第2の部分(21)をもって、前記主通路(11)に対して45°よりも小さい範囲内の第2の角度(23)で配置されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項7】
前記副通路(15)は湾曲した進路を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項8】
前記副通路(15)は部分的に少なくとも1つの前記分配通路(60)の中に延びることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項9】
前記側面(31)は少なくとも1つの滞留エッジ(68)を有し、前記副通路(15)は少なくとも部分的に少なくとも1つの前記滞留エッジ(68)に沿って配置されることを特徴とする、請求項8に記載の分配プレート(7)。
【請求項10】
前記副通路(15)の幅(29)および/または深さ(27)はそれぞれ1μmから150μmであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項11】
前記副通路(15)の横断面(35)はV字型であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項12】
前記分配プレート(7)は内部構造化(74)を有するコーティング(37)を少なくとも部分的に有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)。
【請求項13】
前記副通路(15)は前記コーティング(37)に穿設されることを特徴とする、請求項12に記載の分配プレート(7)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の分配プレート(7)を含んでいる電気化学セル(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
図16は、図15に示されている第2の切断平面78に沿った断面図を示している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
図17は、図15に示されている第の切断平面76に沿った断面図を示している。ウェブ12の側面31にある滞留エッジ68に沿った副通路15が明らかとなる。
【国際調査報告】