(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】家具用金具
(51)【国際特許分類】
E05F 1/14 20060101AFI20231101BHJP
E05F 1/12 20060101ALI20231101BHJP
E05D 15/40 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E05F1/14 A
E05F1/12
E05D15/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524693
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 AT2021060384
(87)【国際公開番号】W WO2022082241
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト シェアル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ペータールンガー
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050AA00
2E050BA04
2E050CA04
(57)【要約】
少なくとも1つの第1の家具構成部材(4)を第2の家具構成部材(6)に対して相対的に可動に支持するための家具用金具であって、好適には、家具用金具(10)は、家具扉(3)を家具本体(2)に対して相対的に可動に支持するための扉用金具として形成されており、-2つの家具構成部材のうちの一方(6)に家具用金具(10)を取外し可能に取り付けるための少なくとも1つの取付け装置(12)と、-2つの家具構成部材のうちの他方(4)に結合可能であり、かつ少なくとも1つの取付け装置(12)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの作動装置(13)と、-少なくとも1つの線材(16)から成る少なくとも1つのばね部材(15)を有しており、少なくとも1つのばね部材(15)はコイルばねとして形成されている、少なくとも1つの蓄力器(14)と、-少なくとも1つの蓄力器(14)内に蓄積可能なエネルギを少なくとも1つの作動装置(13)に伝達することができる少なくとも1つの力伝達機構(17)とを含み、少なくとも1つの線材(16)は、少なくとも1つの線材(16)の長手方向軸線に対して垂直な横断面において円形とは異なる外側輪郭(18)を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の家具構成部材(4)を第2の家具構成部材(6)に対して相対的に可動に支持するための家具用金具であって、好適には、当該家具用金具(10)は、家具扉(3)を家具本体(2)に対して相対的に可動に支持するための扉用金具として形成されており、
-2つの前記家具構成部材のうちの一方(6)に当該家具用金具(10)を取外し可能に取り付けるための少なくとも1つの取付け装置(12)と、
-2つの前記家具構成部材のうちの他方(4)に結合可能であり、かつ少なくとも1つの前記取付け装置(12)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの作動装置(13)と、
-少なくとも1つの線材(16)から成る少なくとも1つのばね部材(15)を有しており、該少なくとも1つのばね部材(15)はコイルばねとして形成されている、少なくとも1つの蓄力器(14)と、
-少なくとも1つの前記蓄力器(14)内に蓄積可能なエネルギを少なくとも1つの前記作動装置(13)に伝達することができる少なくとも1つの力伝達機構(17)と
を含む、家具用金具において、
少なくとも1つの前記線材(16)は、少なくとも1つの該線材(16)の長手方向軸線に対して垂直な横断面において円形とは異なる外側輪郭(18)を有している
ことを特徴とする、家具用金具。
【請求項2】
少なくとも1つの前記線材(16)は、その長さの大部分にわたり、好適には全長にわたり、少なくとも1つの前記線材(16)の前記長手方向軸線に対して垂直な前記横断面において円形とは異なる、好適には不変の外側輪郭(18)を有している、請求項1記載の家具用金具。
【請求項3】
前記外側輪郭(18)は、長円形、楕円形、卵形、多角形、または丸み付けられた狭幅側を有する矩形に形成されている、請求項1または2記載の家具用金具。
【請求項4】
前記外側輪郭(18)は、前記長手方向軸線に対して垂直な前記横断面において、第1の方向(34)に最小延在長さを有しており、かつ前記第1の方向に対して垂直な第2の方向(35)に最大延在長さを有しており、好適には、
-少なくとも1つの前記ばね部材(15)は、中心軸線(19)を有しており、前記第1の方向(34)は、前記中心軸線(19)に対して平行に方向付けられており、かつ/または
-前記最大延在長さは、前記最小延在長さよりも1.1~1.5倍だけ、特に好適には1.25倍だけ大きくなっている、
請求項1から3までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ばね部材(15)は、圧縮ばねとして形成されている、請求項1から4までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項6】
-少なくとも1つの前記ばね部材(15)は、ばね鋼から形成されており、かつ/または
-少なくとも1つの前記ばね部材(15)をガイドする少なくとも1つのばねガイドが設けられており、かつ/または
-少なくとも1つの前記蓄力器(14)は、複数の、好適には2つのばね部材(15)を有しており、かつ/または
-少なくとも1つの前記ばね部材(15)は、回動可能に少なくとも1つの前記取付け装置(12)に配置されており、かつ/または
-前記作動装置(13)は、作動アーム付加部に結合可能な少なくとも1つの作動アーム(11)または少なくとも1つの作動アーム端(20)を有している、
請求項1から5までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項7】
少なくとも1つの前記作動装置(13)は、少なくとも1つの前記取付け装置(12)に対して相対的に、使用位置において好適には水平方向に延びる回転軸線を中心として旋回可能に支持されている、請求項1から6までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項8】
少なくとも1つの前記力伝達機構(17)は、少なくとも1つの押圧部材、好適には押圧ローラ(22)と、少なくとも1つの前記押圧部材を摺動可能に支持することができるかまたは支持する少なくとも1つの制御輪郭(21)とを有しており、好適には、少なくとも1つの該制御輪郭(21)は、少なくとも1つの前記作動装置(13)に形成されている、請求項1から7までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項9】
少なくとも1つの前記力伝達機構(17)は、少なくとも1つのレバー(23)を有しており、好適には、
-該レバー(23)は、旋回可能に前記取付け装置(12)に支持されており、かつ/または
-前記蓄力器(14)は、作用点(24)を介して前記レバー(23)に枢着されており、特に好適には、前記作用点(24)は、少なくとも1つの調整装置(25)により、前記レバー(23)に対して相対的に調整可能である、請求項1から8までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項10】
当該家具用金具(10)は、少なくとも1つの調整装置(25)を有しており、該調整装置(25)により、少なくとも1つの前記力伝達機構(17)を介して少なくとも1つの前記作動装置(13)に伝達可能なエネルギを調整することができ、好適には、
-少なくとも1つの前記調整装置(25)により、少なくとも1つの前記ばね部材(15)のばね予荷重が調整可能であり、かつ/または
-少なくとも1つの前記蓄力器(14)は、少なくとも1つの前記取付け装置(12)に旋回可能に支持されており、かつ少なくとも1つの前記調整装置(25)により、少なくとも1つの前記取付け装置(12)に対して相対的に旋回可能である、
請求項1から9までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項11】
当該家具用金具(10)は、少なくとも1つの前記作動装置(13)の閉鎖方向および/または開放方向への動きを減衰するための少なくとも1つの減衰装置(26)を有しており、少なくとも1つの該減衰装置(26)は、少なくとも1つの前記蓄力器(14)、少なくとも1つの前記力伝達機構(17)および/または少なくとも1つの前記作動装置(13)と協働する、請求項1から10までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項12】
少なくとも1つの前記取付け装置(12)は、好適には少なくとも部分的に当該家具用金具(10)のケーシング構成部材として形成された、2つの前記家具構成部材のうちの一方(6)に取外し可能に取り付ける取付けプレート(27)を有している、請求項1から11までの少なくとも1項記載の家具用金具。
【請求項13】
少なくとも1つの第1の家具構成部材(4)と、少なくとも1つの第2の家具構成部材(6)と、請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具用金具(10)とを備えた家具において、
2つの前記家具構成部材(4,6)は、少なくとも1つの前記家具用金具(10)を介して互いに相対的に可動に支持されている、家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴を有する、少なくとも1つの第1の家具構成部材を第2の家具構成部材に対して相対的に可動に支持するための家具用金具、ならびにこのような家具用金具を備えた家具に関する。
【0002】
相応する家具用金具は、第1の家具構成部材を第2の家具構成部材に対して相対的に移動させるように形成されており、特に家具用金具は、家具扉を家具本体に対して相対的に可動に支持するための扉用金具として形成されている。
【0003】
従来技術から周知の家具用金具の実施形態には、
-2つの家具構成部材のうちの一方に家具用金具を取外し可能に取り付けるための少なくとも1つの取付け装置と、
-2つの家具構成部材のうちの他方に結合可能であり、かつ少なくとも1つの取付け装置に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの作動装置と、
-少なくとも1つの線材から成る少なくとも1つのばね部材を有しており、少なくとも1つのばね部材はコイルばねとして形成されている少なくとも1つの蓄力器と、
-少なくとも1つの蓄力器内に蓄積可能なエネルギを少なくとも1つの作動装置に加えることができる少なくとも1つの力伝達機構と
が含まれる。
【0004】
このような家具用金具は、例えば家具扉の移動に用いられ、この場合、家具用金具の蓄力器は、家具扉の重量を補償するために設けられている。
【0005】
この場合、蓄力器により作動装置に開放力が加えられるため、作動装置に配置された家具扉の開動作が蓄力器により支援されることになり、ユーザが、特に重たい家具扉を移動させるために費やさねばならない力は、より小さくなる。
【0006】
他方において蓄力器は、家具扉の閉動作時に閉鎖力を作動装置に加えるためにも使用され、これにより、作動装置に結合された家具扉を、閉鎖位置に引き込むことができ、かつ所定の保持力でもって家具本体に押し当てることができる。
【0007】
さらにこのような蓄力器は、例えば家具扉の重量に抗して働くように使用される場合があり、これにより、-家具扉が例えば開放されて操作者が離すと-家具扉は、その自重によっては閉動作に移行せず、場合により、操作者にぶつかるかまたは家具本体に当たることになる。
【0008】
多くの周知の事例では、この蓄力器は、ばね部材により構成され、ばね部材は、力伝達機構、例えばてこ機構を介してエネルギを加えることができ、エネルギは、作動装置により伝達される。
【0009】
このエネルギは、蓄力器のばね部材を緊張させるために用いられ、これにより、このエネルギは蓄力器に蓄えることができ、所定の時点でばね部材を再び作動させることにより、より正確に言うと弛緩させることにより、運動エネルギに変換することができる。
【0010】
蓄力器用のばね部材としては、通常、大量生産されひいては安価に入手可能な従来のばね部材が使用される。これらのばね部材は、例えば、らせん輪郭に沿って円筒状に曲げられているかまたは巻かれた線材を有している。従来技術では、このような線材は、その長手方向軸線に対して垂直な横断面において、円形の外側輪郭を有することが知られている。
【0011】
相応する家具用金具の1つの例示的な実施形態は、国際公開第2019/091969号に基づく従来技術から明らかである。
【0012】
大抵はばね部材により構成されているかまたはばね部材を有する蓄力器は、常により大きな力に対して高まり続ける要求を満たすことができるようにするために、相応する構成空間を必要とする。
【0013】
しかしながら、相応する家具用金具の最小限の構成空間に対する大きな要望が生じる。それというのも、家具用金具は多くの場合に家具の設置スペースを奪いかつ/または家具の視覚的な外観にも影響を及ぼすからである。
【0014】
本発明の課題は、蓄力器により蓄積可能なエネルギおよび/または解放可能なエネルギを高めると同時に、それにもかかわらず家具用金具の構成形式をコンパクトにしかつ/または寸法設定をより小さくすることにある。
【0015】
このことは本発明に基づき、請求項1記載の特徴により解決される。
【0016】
本発明では、家具用金具の少なくとも1つの蓄力器は、少なくとも1つの線材から成る少なくとも1つのばね部材を有しており、この場合、少なくとも1つの線材は、少なくとも1つの線材の長手方向軸線に対して垂直な横断面において、円形とは異なる外側輪郭を有している、ということが想定されている。
【0017】
少なくとも1つの線材の、このような円形とは異なる外側輪郭は、例えば長円形、楕円形、卵形、多角形、矩形、丸み付けられた狭幅側を有する矩形または台形であってよい。
【0018】
横断面における線材の外側輪郭の、円形輪郭とは異なる形状に基づき、線材は、例えばより大きな横断面積を有することができ、このことは-当業者には周知であるように-変形に対する抵抗モーメントの増大をもたらす。
【0019】
矩形の抵抗モーメントは、例えば(同じ外寸を有する)円に比べてより高く、この場合、線材の外側輪郭を矩形として形成することにより、抵抗モーメントが増大され、それでもなお、構成空間は変わらない。
【0020】
少なくとも1つの線材の長手方向軸線に沿った少なくとも1つの線材の外側輪郭の、荷重に関して適合させられた-例えばS字形、I字形またはT字形等の-形状を有する構成も十分に考えられる。
【0021】
少なくとも1つの線材の外側輪郭の変更による抵抗モーメントのこの増大は、ばね定数に決定的な影響を及ぼし、これにより、構成空間は同じままで、より高いエネルギを、少なくとも1つのばね部材により加えることができるか、または少なくとも1つのばね部材に蓄積することができる。
【0022】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に基づき規定されている。
【0023】
好適には、少なくとも1つの線材は、その長さの大部分にわたり、好適には全長にわたり、少なくとも1つの線材の長手方向軸線に対して垂直な横断面において円形とは異なる、好適には不変の外側輪郭を有している、ということが想定されている。
【0024】
例えば、少なくとも1つのばね部材の端部巻線は、研削されているかまたは曲げられており、これにより、少なくとも1つのばね部材の支持面は、最大限の面積でもって支持されるようになっている、ということが想定されていてよい。少なくとも1つのばね部材の最大限の支持面は、少なくとも1つのばね部材に作用する力を、少なくとも1つのばね部材の作用方向に可能な限り対称に導入する、ということに寄与することができ、これにより、(例えば少なくとも1つのばね部材の屈曲を招く恐れがある)少なくとも1つのばね部材および/または少なくとも1つのばね部材に対する予荷重の非対称の変形および/または横方向力が生じることはなくなる。
【0025】
好適には、少なくとも1つのばね部材は、線材がらせん形に巻かれているかまたは拘束されたコイルばねとして形成されている、ということが想定されている。コイルばねの使用において特に有利なのは、その幾何学的な構成に基づき、線材には主に、少なくとも1つのばね部材に対する引張り力または圧縮力によるねじり応力のみが作用し、これにより、同じ寸法設定においてより高い負荷容量が得られる点である。
【0026】
好適には、長手方向軸線に対して垂直な横断面における外側輪郭は、第1の方向に最小延在長さを有しており、かつ第1の方向に対して垂直な第2の方向に最大延在長さを有しており、好適には、この場合、
-少なくとも1つのばね部材は、中心軸線を有しており、第1の方向は、中心軸線に対して平行に方向付けられており、かつ/または
-最大延在長さは、最小延在長さよりも1.1~1.5倍だけ、特に好適には1.25倍だけ大きくなっている、
ということが想定されている。
【0027】
第1の方向に対して垂直に向けられた第2の方向に、より大きな延在長さを有する少なくとも1つのばね部材の構成に基づき、特に使用領域に従って、線材をその外側輪郭により、相応する要求に(例えば作用する力の作用方向を利用することで線材に負荷が生じた場合を考慮することにより)適合させることができる。
【0028】
特に、とりわけねじり負荷が加えられたコイルばねの使用では、線材が、少なくとも1つのばね部材の中心軸線に対して垂直な横断面で見て、少なくとも1つのばね部材の中心軸線に対して平行な横断面よりも大きな寸法を有していると、特に有利である。それというのも、この特別な横断面輪郭により、ねじり負荷に、より高い抵抗モーメントでもって抵抗することができるからである。
【0029】
これにより結果として、少なくとも1つのばね部材、好適にはコイルばねのより小さなまたはより短い構成空間において、同じまたはより大きなばね定数を生ぜしめることが可能であり、これにより、ばねは、同じまたはより大きなエネルギ量を吸収し、蓄積し、かつ放出することができるようになっている。
【0030】
好適には、少なくとも1つのばね部材は、圧縮ばねとして形成されていることが想定されていてよい。択一的に、少なくとも1つのばね部材は、引張りばねとして形成されていてもよい。引張りばねと圧縮ばねとの区別は、一般に、荷重形式に基づいて行われる。
【0031】
好適には、少なくとも1つのばね部材は、ばね鋼から形成されていることが想定されている。
【0032】
少なくとも1つのばね部材をガイドする少なくとも1つのばねガイドが設けられていることが想定されていてよい。ばねガイドは、少なくとも1つのばね部材を軸線に沿って-好適には少なくとも1つのばね部材の作用方向において-ガイドするために設けられていてよく、これにより、力が作用した場合に少なくとも1つのばね部材が作用方向に対して横方向に変形しかつ/または場合により屈曲することはなくなる。
【0033】
好適には、少なくとも1つの蓄力器は、複数の、好適には2つのばね部材を有していることが想定されていてよい。作用する力または蓄積されるべきエネルギに応じて、相応するばね部材の数を選択することにより、蓄力器を適合させることができる。
【0034】
少なくとも1つのばね部材は、回動可能に少なくとも1つの取付け装置に配置されていることが想定されていてよい。
【0035】
好適には、作動装置は、作動アーム付加部に結合可能な少なくとも1つの作動アームまたは少なくとも1つの作動アーム端を有していることが想定されていてよい。
【0036】
好適には、少なくとも1つの作動装置は、少なくとも1つの取付け装置に対して相対的に、使用位置において好適には水平方向に延びる回転軸線を中心として旋回可能に支持されている、ということが想定されている。
【0037】
少なくとも1つの力伝達機構は、少なくとも1つの押圧部材、好適には押圧ローラと、少なくとも1つの押圧部材を摺動可能に支持することができるかまたは支持する少なくとも1つの制御輪郭とを有していることが想定されていてよく、この場合、好適には、少なくとも1つの制御輪郭は、少なくとも1つの作動装置に形成されている。
【0038】
好適には、少なくとも1つの力伝達機構は、少なくとも1つのレバーを有していることが想定されており、この場合、好適には、
-レバーは、旋回可能に取付け装置に支持されており、かつ/または
-蓄力器は、作用点を介してレバーに枢着されており、特に好適には、作用点は、少なくとも1つの調整装置により、レバーに対して相対的に変位可能である。
【0039】
少なくとも1つの力伝達機構は、リンケージとして形成されていることが想定されていてよい。
【0040】
好適には、家具用金具は、少なくとも1つの調整装置を有しており、調整装置により、少なくとも1つの力伝達機構を介して少なくとも1つの作動装置に伝達可能なエネルギを調整することができる、ということが想定されており、この場合、好適には、
-少なくとも1つの調整装置により、少なくとも1つのばね部材のばね予荷重が調整可能であり、かつ/または
-少なくとも1つの蓄力器は、少なくとも1つの取付け装置に旋回可能に支持されており、かつ少なくとも1つの調整装置により少なくとも1つの取付け装置に対して相対的に旋回可能である。
【0041】
例えば、蓄力器は、一方では少なくとも1つの取付け装置に旋回可能に支持されておりかつ他方では調整装置により力伝達機構に対して旋回可能であり、これにより、力伝達機構のてこ腕が、蓄力器に対して相対的に可変である、ということが想定されていてよい。調整装置を介したてこ腕の調整による(てこ腕に付随する)伝達比の変化により、蓄力器内に導入可能な、蓄積可能かつ/または蓄力器から呼出し可能なエネルギを変化させることができる。
【0042】
好適には、少なくとも1つの取付け装置は、好適には少なくとも部分的に家具用金具のケーシングとして形成された、2つの家具構成部材のうちの一方に取外し可能に取り付ける取付けプレートを有している、ということが想定されていてよい。
【0043】
さらに、本発明の1つの実施形態による、少なくとも1つの第1の家具構成部材と、少なくとも1つの第2の家具構成部材と、少なくとも1つの家具用金具とを備えた家具に対する保護を求め、この場合、2つの家具構成部材は、少なくとも1つの家具用金具を介して互いに相対的に可動に支持されている。
【0044】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図4】それぞれ異なる実施形態のばね部材のそれぞれ異なる横断面を示す図である。
【0046】
図1には、家具1の斜視図が示されており、家具1は、家具本体2と、可動に支持された家具扉3とを有している。本実施例の家具扉3は、第1の家具構成部材4と、別の家具構成部材5とから形成されている。家具本体2は、第2の家具構成部材6と、天板7と、底板8と、背壁9とから成る。
【0047】
図1に示す家具は、内部構造をより良好に示すために断面図で示されている。この断面に基づき、家具用金具10が家具本体2に取り付けられており、家具扉3は、家具用金具10を介して、より正確に言うと家具用金具10の作動アーム11を介して、家具本体2に対して可動に支持されている様子が認められる。
【0048】
図2には、家具用金具10の斜視図が示されており、この場合、複数の機能部材を備えた家具用金具10の内部を公開するために、カバーフラップが開かれている。
【0049】
家具用金具10は、家具用金具10を第2の家具構成部材6に取外し可能に取り付けることができるようにするために用いられる取付け装置12を有している。この取付け装置12は、本実施例では家具用金具10のケーシングの一部として形成されている取付けプレート27を有している。
【0050】
作動装置13を介して、第1の家具構成部材4を取付け装置12に対して相対的に傾動可能に支持することができる。この作動装置13は、具体的な本実施例では作動アーム端20を有しており、作動アーム端20は、第1の家具構成部材4に取り付けられた作動アーム付加部に結合され得、これにより、作動アーム11全体を形成する。
【0051】
作動装置13の作動アーム端20は、回転軸30を介して回動可能に取付け装置12に、より正確に言うと取付けプレート27に配置されている。
【0052】
作動装置13は、(作動アーム端20の、回転軸30とは反対側に位置する部分に)制御輪郭21を有しており、制御輪郭21は、作動アーム端20に動作結合式に結合されている。より正確に言うと、本実施例では、作動アーム端20と制御輪郭21とは一体に形成されており、回転軸30を中心として回動可能に支持されている。
【0053】
制御輪郭21に接して、力伝達機構17の押圧ローラ22が支持または案内されている。
【0054】
本実施例の力伝達機構17は、レバー23を有しており、レバー23は、取付け装置12に旋回可能に支持されている。
【0055】
レバー23には、既に述べた押圧ローラ22が配置されており、押圧ローラ22は、レバー23を介して制御輪郭21に接して案内される。
【0056】
制御輪郭21に接して押圧ローラ22を案内することにより、回転軸30を中心とした制御輪郭21の回動時に、レバー23は、取付け装置12に対して相対的に傾倒させられる。
【0057】
取付け装置12に対して相対的なレバー23のこの傾倒により、作用点24を介してレバー23に枢着された蓄力器14が動かされる。
【0058】
作動アーム端20の閉動作時に、蓄力器14にエネルギが供給され、この場合、蓄力器14はこのエネルギを蓄えると同時に、閉動作に対する反力が、蓄力器14を介して作動アーム端20に伝達される。
【0059】
したがって、力伝達機構17を介して蓄力器14にエネルギを蓄積することができる。
【0060】
蓄力器14のこの蓄積されたエネルギは、開動作中に解放可能であり、これにより、操作者が行う開動作を支援することができる。
【0061】
この開動作の前記支援により、操作者は、第1の家具構成部材4を持ち上げるために必要な力の全てを加える必要はなく、さらに、第1の家具構成部材4は蓄力器14により、第2の家具構成部材6に対して相対的な任意の位置に、第1の家具構成部材4の重量に抗して保持され得、これにより、操作者は、家具用金具10の終端位置の外側から第1の家具構成部材4を危険なく離すことができる、ということが想定されていてよい。
【0062】
蓄力器14は、レバー23ひいては作動アーム端20に力を加えるために用いられ、本実施例では、コイルばね、特に圧縮ばねとして形成された2つのばね部材15を有している。
【0063】
蓄力器14は、第1の端部領域でもって、回転軸29を中心として旋回可能な支持構成部材28に支持されている。蓄力器14の第2の端部領域は、レバー23に結合された作用点24に支持されている。
【0064】
(本実施例では認識されない)調整装置25を介して蓄力器14の作用点24をレバー23に係止して、ばね部材15のばね予荷重を調整することができる。
【0065】
このために調整装置25は、調整工具により(作動装置13の下の)前側から操作され得るねじ山付きスピンドルを有している。このねじ山付きスピンドルは、取付け装置12に支持されており、レバー23に接する蓄力器14の作用点24に設けられた対応する対応部材と協働し、この場合、レバー23に接する作用点24は、レバー23の輪郭31に沿って変位可能である。
【0066】
蓄力器14の作用点24がレバー23の輪郭31に係止されることにより、蓄力器14は回転軸29を中心として傾倒させられ、これにより、回転軸29と作用点24との間の相対距離が変化させられる。
【0067】
この相対距離の変化により、一方では、ばね部材15のばね予荷重を変化させることができ、かつ他方では、蓄力器14によりレバー23に加えられる力のてこ腕を変化させることができ、これにより、力伝達機構17を介して作動装置13に伝達可能な力を調整することができる。
【0068】
レバー23の輪郭31に接して作用点24が移動することにより、表示部材32が軸33を中心として、レバー23に対して相対的に旋回させられる。軸33を中心とした表示部材32のこの旋回は、作用点24が表示部材32とレバー23の輪郭31との間で移動し、これに相応して、表示部材32とレバー23との間の距離が変化することにより生ぜしめられる。表示部材32には、例えばばね部材によりレバー23の輪郭31の方向に予荷重が加えられていてよい。
【0069】
表示部材32は、例えば下端部に、取付け装置12に設けられた相応するスリットを介して家具用金具10のケーシングの外から読み取ることができる表示目盛りを有していてよい。
【0070】
レバー23ひいては取付け装置12に対して相対的な表示部材の回動または傾倒により、この表示目盛りが動かされ、これにより、操作者が外部からケーシングのスリットを介して表示目盛りを読み取るかまたは観察して、蓄力器14を調整することができる。
【0071】
さらに蓄力器14は、ばね部材15の内部に、ばねガイドを有している。このばねガイドは、回転対称に形成されており、かつばね部材15の内面に当接しているため、圧力または引張り力が加えられた場合でも、このばね部材15が作用方向に対して横方向に傾倒する恐れはない。
【0072】
家具用金具は、少なくとも1つの作動装置13の閉鎖方向および/または開放方向への動きを減衰するための減衰装置26を有しており、この場合、減衰装置26は、蓄力器14、力伝達機構17および作動装置13と協働する。
【0073】
減衰装置26は、
-流体ダンパとして形成されていてよく、かつ/または
-少なくとも1つのピストン・シリンダユニットを有していてよく、かつ/または
-閉動作時に作動装置13により押圧可能であってよく、かつ/または
-作動装置の開動作時にも閉動作時にも、同じ側から押圧可能であってよい。
【0074】
図3aには、上述した実施例に基づくばね部材15のうちの一方の斜視図が示されており、この場合、ばね部材15は、中心軸線19に沿って断面されて示されている。
図3bには、
図3aにおいて符号Bを付した細部が示されている。
【0075】
よって
図3aでは、ばね部材15が線材16により形成され、線材16は中心軸線19を中心としてらせん面に沿って巻かれるかまたは延びていることが認められる。
【0076】
この線材16は、らせん軸線(以下では線材の長手方向軸線と呼ぶ)に沿って一定の横断面を備えて形成されている。
【0077】
図3bに示す、
図3aにおいて符号Bを付した細部には、線材16が拡大図で、線材16の長手方向軸線に対して垂直な横断面で示されている。
【0078】
この断面における線材16の外側輪郭18は、長円形に形成されており、この場合、外側輪郭18は、長手方向軸線に対して垂直な横断面において、第1の方向34に最小延在長さを有しており、(第1の方向34に対して垂直な)第2の方向35に最大延在長さを有しており、この場合、最大延在長さは、最小延在長さよりも1.25倍だけ大きくなっている。
【0079】
第1の方向34は、中心軸線19に対して平行に方向付けられている。
【0080】
図4には、ばね部材15を形成する線材16の線材横断面の複数の択一的な実施形態が示されており、この場合は単に、線材16の外側輪郭18(これについては
図3bも参照)だけが示されている。
【0081】
この
図4では、矩形、楕円形、長円形、丸み付けられた狭幅な側面を有する矩形、丸み付けられた角隅部を有する矩形、多角形または卵形の、線材16の外側輪郭18を認識することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 家具
2 家具本体
3 家具扉
4 第1の家具構成部材
5 別の家具構成部材
6 第2の家具構成部材
7 天板
8 底板
9 背壁
10 家具用金具
11 作動アーム
12 取付け装置
13 作動装置
14 蓄力器
15 ばね部材
16 線材
17 力伝達機構
18 線材の外側輪郭
19 ばね部材の中心軸線
20 作動アーム端
21 制御輪郭
22 押圧ローラ
23 レバー
24 作用点
25 調整装置
26 減衰装置
27 取付けプレート
28 支持構成部材
29 回転軸
30 回転軸
31 輪郭
32 表示部材
33 軸
34 第1の方向
35 第2の方向
【国際調査報告】