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▶ ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】感知機能を有する電気外科手術装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231101BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525564
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 IB2021059823
(87)【国際公開番号】W WO2022090896
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/105,975
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ガレス
(72)【発明者】
【氏名】ウルバンスキ、ジョン ポール
(72)【発明者】
【氏名】モリヤマ、エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ディチッコ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】モク、ダニエル ウイング ファイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK14
4C160KK26
4C160KK36
4C160KK57
4C160KK63
4C160NN04
(57)【要約】
システムは、組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とを供給可能なジェネレータを備え、既知の電圧の電流は、組織を損傷することなく組織を通過可能である。システムはまた、細長部材を備える穿刺装置を含む。細長部材の遠位先端は、穿刺のためのエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、遠位先端と接触している物質を通して既知の電圧の電流を一方の電極から他方の電極に送達するように構成された2つの電極とを備える。システムは、2つの電極間の電流の値を検出可能なセンサを更に含む。ジェネレータは、センサによって検出された電流の値に基づいて、エネルギーを遠位先端に送達することを無効にするためのジェネレータスイッチを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とを供給可能なジェネレータと共に使用するための穿刺装置であって、前記既知の電圧の電流は、組織を損傷することなく組織を通過可能であり、前記穿刺装置は、
近位部分及び遠位部分を備える細長部材を備え、
前記近位部分は、組織を穿刺するための前記エネルギーと前記既知の電圧の電流とが前記細長部材に供給されるように、前記ジェネレータに接続されるように構成されており、
前記遠位部分は遠位先端で終端し、前記遠位先端は、穿刺のためのエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、前記遠位先端と接触している物質を通して前記既知の電圧の電流を送達するように構成された2つの電極とを備え、前記2つの電極のうちの第1の電極は電流を前記物質に送達し、当該電流は、前記2つの電極のうちの第2の電極を通して前記穿刺装置に戻る、
穿刺装置。
【請求項2】
前記遠位先端と接触している前記物質を通って流れる前記電流に関連付けられた前記2つの電極間の前記電流の値を検出可能なセンサを更に備え、前記穿刺装置は、前記2つの電極間の前記電流に関連付けられた前記値を前記ジェネレータと通信する手段を有する、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項3】
第1の電極電流パラメータ及び第2の電極電流パラメータを前記ジェネレータと通信する手段を更に備える、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項4】
前記センサはインピーダンスを検出するように構成される、請求項2に記載の穿刺装置。
【請求項5】
前記センサは誘電性を検出するように構成される、請求項2に記載の穿刺装置。
【請求項6】
前記細長部材は可撓性ワイヤである、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項7】
前記細長部材は針である、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項8】
前記2つの電極は前記穿刺装置の遠位面上に位置する、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項9】
前記2つの電極を前記エネルギー送達装置から電気的に隔離する絶縁材料を更に備える、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項10】
前記2つの電極は、前記遠位先端の側面上で互いに横方向に反対側に位置する、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項11】
システムであって、
前記システムはジェネレータを備え、前記ジェネレータは、組織を穿刺するためのエネルギー及び組織を損傷することなく組織を通過可能な既知の電圧の電流を供給可能であり、
前記システムは近位部分及び遠位部分を備える細長部材を備える穿刺装置を備え、
前記細長部材の前記近位部分は、組織を穿刺するための前記エネルギーと前記既知の電圧の電流とが前記細長部材に供給されるように、前記ジェネレータに接続するように構成されており、
前記細長部材の前記遠位部分は遠位先端で終端し、前記遠位先端は、穿刺のためのエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、前記遠位先端と接触している物質を通して前記既知の電圧の電流を送達するように構成された2つの電極とを備え、前記2つの電極のうちの第1の電極は電流を前記物質に送達し、当該電流は、前記2つの電極のうちの第2の電極を通して前記穿刺装置に戻り、
前記システムはセンサを備え、前記センサは、前記遠位先端と接触している前記物質を通って流れる前記電流に関連付けられた前記2つの電極間の前記電流の値を検出可能であり、
前記ジェネレータはジェネレータスイッチを備え、前記ジェネレータスイッチは、前記センサによって検出された前記電流の値に基づいて、前記遠位先端の前記エネルギー送達装置への穿刺のためのエネルギーの供給を不能にする、
システム。
【請求項12】
前記穿刺装置はセンサを備え、前記センサは、前記遠位先端と接触している前記物質を通って流れる前記電流に関連付けられた前記2つの電極間の前記電流の値を検出可能であり、前記穿刺装置は、前記2つの電極間の前記電流に関連付けられた前記値を前記ジェネレータスイッチと通信する手段を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ジェネレータは前記センサを含み、前記穿刺装置は、第1の電極電流パラメータ及び第2の電極電流パラメータを前記センサと通信する手段を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ジェネレータスイッチはハードウェアスイッチである、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ジェネレータスイッチはソフトウェアアルゴリズムである、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記ジェネレータスイッチは、前記センサによって検出された値が血液に関連付けられた値であるとき、穿刺のためのエネルギーの送達を不能にする、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記ジェネレータスイッチは、前記センサによって検出された値が閾値未満であり、かつ前記閾値が血液に関連付けられた値と組織に関連付けられた値との間にあるとき、穿刺のためのエネルギーの送達を不能にする、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記ジェネレータは、パルスで組織を穿刺するためのエネルギーを送達し、前記既知の電圧の電流が、穿刺のためのエネルギーのパルスの間に前記2つの電極のうちの前記第1の電極に送達される、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記近位部分は、それを通して前記近位部分が前記ジェネレータに接続されているハブを備える、請求項1に記載の穿刺装置。
【請求項20】
前記細長部材の前記近位部分は、それを通して前記近位部分が前記ジェネレータに接続されているハブを備える、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギー及び電流を生体組織に送達するように構成された外科的穿孔装置であって、エネルギーの送達が電流特性の変化によって制御される、外科的穿孔装置に関する。より具体的には、本発明は、心房中隔又は壁側心膜に穿孔を形成すると同時に、装置が左心房(心房中隔を穿刺する場合)又は心膜腔(壁側心膜を穿刺する場合)内に移動するときの電流特性の変化を使用して、穿刺が完了すると、穿刺されている組織へのエネルギーの送達を自動的に停止する装置及び方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
経中隔穿刺処置の間、左心房内の一般的な組織損傷、補助装置損傷(すなわち、心房内に位置するペースメーカーリード線への損傷)、又は心タンポナーデ若しくは不慮の大動脈穿刺などの潜在的に重大な合併症をもたらす、穿孔が形成された後の心臓の他の組織の不慮の穿刺のリスクがある。心外膜へのアクセスを必要とする処置で、同様の問題に直面し、壁側心膜への穿刺が所望されるよりも更に延長される場合、心筋への偶発的損傷が生じる可能性がある。これらの問題は、穿刺装置が標的組織の穿孔を完了し、所望の解剖学的空間(例えば、左心房又は心膜腔)に進入した後、無線周波数エネルギーの送達が自動的に停止される、新規の無線周波数穿刺装置によって対処可能である。本明細書で使用されるとき、壁側心膜は、線維性心膜並びに壁側層の両方を含む、心膜の2つの外層を指す。
【0003】
開示される装置、システム、及び方法は、他の処置に使用可能である。例えば、開示されるシステム及び方法は、穿刺される組織が肝臓の流入門脈と流出肝静脈との間の肝臓組織であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間が流入門脈であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)が血液である、TIPS処置に使用可能である。無線周波数エネルギーの送達は、穿刺装置が標的組織(流入門脈と流出肝静脈との間の肝臓組織)の穿孔を完了し、所望の解剖学的空間(流入門脈)に進入した後、自動的に停止される。
【0004】
開示されるもの及びシステムを使用可能な他の実施例を以下に列挙する。以下の実施例では、無線周波数エネルギーの送達は、穿刺装置が標的組織の穿孔を完了し、所望の解剖学的空間に進入した後、自動的に停止される。Potts Shunt処置では、穿刺される組織は、左肺動脈と下行大動脈との間の組織であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、下行大動脈であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、血液である。血管にアクセスすることを含む処置の場合、穿刺される組織は、血管壁であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、血管(又は標的血管)であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、血液である。シャントを形成するための一般的な処置では、穿刺される組織は、身体の2つの部分(又は解剖学的構造)の間の物質であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、目的の解剖学的構造であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、目的の解剖学的構造の内側に含まれる物質である。TAVRにおけるTranscavalアクセスのための処置では、穿刺される組織は、腹大動脈と隣接する下大静脈(inferior vena cava、IVC)との間の組織であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、腹大動脈であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、血液である。
【0005】
第1の広範な態様では、本発明の実施形態は、組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とを供給可能なジェネレータと共に使用するための穿刺装置を含み、既知の電圧の電流は、組織を損傷することなく組織を通過可能である。穿刺装置は、近位部分及び遠位部分を備える、細長部材を備える。近位部分は、組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とが細長部材に供給されるように、ジェネレータに接続されるように構成される。遠位部分は、遠位先端で終端し、遠位先端は、エネルギー送達装置及び2つの電極を備え、エネルギー送達装置は、穿刺のためのエネルギーを送達するように構成されており、2つの電極は、遠位先端と接触している物質を通して既知の電圧の電流を送達するように構成されており、2つの電極のうちの第1の電極は、電流を物質に送達し、電流は、2つの電極のうちの第2の電極を通して穿刺装置に戻る。第1の広範な態様の典型的な実施形態では、細長部材の近位部分は、近位部分が、それを通してジェネレータに接続されるハブを備える。
【0006】
第1の広範な態様のいくつかの実施形態では、穿刺装置は、遠位先端と接触している物質を通って流れる電流に関連付けられた2つの電極間の電流の値を検出可能なセンサを更に備え、穿刺装置は、2つの電極間の電流に関連付けられた値をジェネレータと通信する手段を有する。第1の広範な態様のいくつかの他の実施形態では、穿刺装置は、第1の電極電流パラメータ及び第2の電極電流パラメータをジェネレータと通信する手段を更に備える。
【0007】
第1の広範な態様の特徴として、いくつかの実施形態は、インピーダンスを検出するように構成されたセンサを備える。穿刺装置のいくつかの実施形態は、誘電性を検出するように構成されたセンサを備える。いくつかの実施形態では、細長部材は可撓性ワイヤである。いくつかの他の実施形態では、細長部材は針である。
【0008】
第1の広範な態様のいくつかの実施形態では、2つの電極は穿刺装置の遠位面上に位置する。典型的な実施形態は、2つの電極をエネルギー送達装置から電気的に隔離する絶縁材料を更に備える。いくつかの実施例では、2つの電極は遠位先端の側面上で互いに横方向に反対側に位置する。
【0009】
第2の広範な態様では、本発明の実施形態は、組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とを供給可能なジェネレータを備えるシステムを含み、既知の電圧の電流は、組織を損傷することなく組織を通過可能である。システムはまた穿刺装置を含み、穿刺装置は細長部材を備え、細長部材は近位部分及び遠位部分を備える。細長部材の近位部分は、組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とが細長部材に供給されるように、ジェネレータに接続するように構成される。細長部材の遠位部分は、遠位先端で終端し、遠位先端は、穿刺のためのエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置と、遠位先端と接触している物質を通して既知の電圧の電流を送達するように構成された2つの電極とを備え、2つの電極のうちの第1の電極は、電流を物質に送達し、電流は、2つの電極のうちの第2の電極を通して穿刺装置に戻る。システムは、遠位先端と接触している物質を通って流れる電流に関連付けられた2つの電極間の電流の値を検出可能なセンサを更に含む。ジェネレータは、センサによって検出された電流の値に基づいて、遠位先端のエネルギー送達装置への穿刺のためのエネルギーの供給を不能にするためのジェネレータスイッチを備える。第2の広範な態様の典型的な実施形態では、細長部材の近位部分は、それを通して近位部分がジェネレータに接続されるハブを備える。
【0010】
第2の広範な態様のいくつかの実施形態では、穿刺装置はセンサを備え、センサは、遠位先端と接触している物質を通って流れる電流に関連付けられた2つの電極間の電流の値を検出可能であり、穿刺装置は、2つの電極間の電流に関連付けられた値をジェネレータスイッチと通信する手段を有する。第2の広範な態様のいくつかの他の実施形態では、ジェネレータはセンサを含み、穿刺装置は、第1の電極電流パラメータ及び第2の電極電流パラメータをセンサと通信する手段を備える。
【0011】
第2の広範な態様の特徴として、いくつかの実施形態では、ジェネレータスイッチはハードウェアスイッチである。いくつかの他の実施形態では、ジェネレータスイッチはソフトウェアアルゴリズムである。第2の広範な態様の典型的な実施形態は、パルスで組織を穿刺するためのエネルギーを送達するジェネレータを含み、既知の電圧の電流が、穿刺のためのエネルギーのパルスの間に2つの電極に送達される。
【0012】
第2の広範な態様のいくつかの実施形態では、ジェネレータスイッチは、センサによって検出された値が血液に関連付けられた値であるとき、穿刺のためのエネルギーの送達を不能にする。いくつかの他の実施形態では、ジェネレータスイッチは、センサによって検出された値が閾値未満であり、かつ閾値が血液に関連付けられた値と組織に関連付けられた値との間にあるとき、穿刺のためのエネルギーの送達を不能にする。
【0013】
第3の広範な態様では、本発明の実施形態は、左心房にアクセスする方法であって、(i)鼠径部を通して大腿静脈への血管系へのアクセスを得るステップと、(ii)ガイドワイヤを大腿静脈に挿入するステップと、(iii)ガイドワイヤを、下大静脈を上って右心房へ、そして上大静脈内へ前進させるステップと、(iv)ガイドワイヤをガイドレールとして使用して、針を備える穿刺装置、ダイレータ、及びシースのアセンブリを前進させ、かつガイドワイヤを除去するステップと、(v)穿刺装置の遠位先端がダイレータ及びシースの遠位先端からわずかに突出した状態で、穿刺装置の遠位先端が中隔の卵円窩上に位置し、穿刺装置の遠位先端上のエネルギー送達装置及び2つの電極が卵円窩の組織に接触するように、アセンブリを操作するステップと、(vi)ジェネレータをオンにし、組織を穿刺するためのエネルギーのパルスを、エネルギー送達装置を通して卵円窩の組織に送達するステップと、(vii)ステップ(vi)のエネルギーのパルスの間に、卵円窩の組織を介して穿刺装置の遠位先端にある2つの電極間に既知の電圧の電流を送達するステップであって、2つの電極のうちの第1の電極を通って穿刺装置から出て、2つの電極のうちの第2の電極を通って穿刺に戻る、送達するステップと、(viii)穿刺を完了すると、穿刺装置を右心房から左心房に前進させるステップであって、それによって、穿刺装置の遠位先端がもはや卵円窩の組織と接触しておらず、穿刺装置の遠位先端にある電極間の電流の電気特性の値に変化があり、電気特性の変化が、穿刺装置の遠位先端がもはや卵円窩の組織と接触していないことを示す、前進させるステップと、(ix)センサを介して電気特性の値の変化を検出し、ジェネレータによる組織を穿刺するためのエネルギーの送達を停止するステップと、を含む方法に関する。
【0014】
第3の広範な態様の特徴として、典型的な実施形態は、電気特性がインピーダンス又は誘電性であることを含む。本方法のいくつかの実施形態は、ダイレータ及びシースを穿刺装置上で左心房内へ前進させ、ダイレータ及び穿刺装置を除去し、シースを通して補助装置を左心房内へ送達するステップ(x)を更に含む。
【0015】
第4の広範な態様では、本発明の実施形態は、左心房にアクセスする方法であって、(i)鼠径部を通して大腿静脈への血管系へのアクセスを得るステップと、(ii)可撓性ワイヤを備える穿刺装置を大腿静脈に挿入するステップと、(iii)穿刺装置を、下大静脈を上って右心房へ、そして上大静脈内に前進させるステップと、(iv)穿刺装置をガイドレールとして使用して、ダイレータ及びシースのアセンブリを前進させるステップと、(v)穿刺装置の遠位先端がダイレータ及びシースの遠位先端からわずかに突出した状態で、穿刺装置の遠位先端が中隔の卵円窩上に位置し、穿刺装置の遠位先端上のエネルギー送達装置及び2つの電極が卵円窩の組織に接触するように、アセンブリを操作するステップと、(vi)ジェネレータをオンにし、組織を穿刺するためのエネルギーのパルスを、エネルギー送達装置を通して卵円窩の組織に送達するステップと、(vii)ステップ(vi)のエネルギーのパルスの間に、卵円窩の組織を介して穿刺装置の遠位先端にある2つの電極間に既知の電圧の電流を送達するステップであって、2つの電極のうちの第1の電極を通って穿刺装置から出て、2つの電極のうちの第2の電極を通って穿刺に戻る、送達するステップと、(viii)穿刺を完了すると、穿刺装置を右心房から左心房に前進させるステップであって、それによって、穿刺装置の遠位先端がもはや卵円窩の組織と接触しておらず、穿刺装置の遠位先端にある電極間の電流の電気特性の値に変化があり、電気特性の変化が、穿刺装置の遠位先端がもはや卵円窩の組織と接触していないことを示す、前進させるステップと、(ix)センサを介して電気特性の値の変化を検出し、ジェネレータによる組織を穿刺するためのエネルギーの送達を停止するステップと、を含む方法に関する。典型的な実施形態では、電気特性は、インピーダンス又は誘電性である。
【0016】
第4の広範な態様のいくつかの実施形態は、ダイレータ及びシースを穿刺装置上で左心房内へ前進させ、ダイレータ及び穿刺装置を除去し、シースを通して補助装置を左心房内へ送達するステップ(x)を更に含む。
【0017】
本発明を容易に理解可能なように、添付図面において、本発明の実施形態が例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による、医療装置の斜視図を示す。
図2A】医療装置の実施形態の遠位領域の部分斜視図を示す。
図2B】医療装置の実施形態の遠位領域の部分斜視図を示す。
図2C】医療装置の実施形態の遠位領域の部分斜視図を示す。
図2D】医療装置の実施形態の遠位領域の部分斜視図を示す。
図2E】医療装置の一実施形態の遠位領域の断面図を示す。
図3A】様々な電極構成の斜視図を示す。
図3B】様々な電極構成の斜視図を示す。
図3C】様々な電極構成の斜視図を示す。
図3D】様々な電極構成の斜視図を示す。
図4a】本発明の一実施形態による、医療装置及び管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図4b】本発明の一実施形態による、医療装置及び管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図5a】本発明の別の実施形態による、医療装置及び管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図5b】本発明の別の実施形態による、医療装置及び管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図5c】本発明の代替実施形態による、医療装置及び管状部材の端面図を示す。
図5d】本発明の代替実施形態による、医療装置及び管状部材の端面図を示す。
図6a】本発明の別の実施形態による、管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図6b】本発明の別の実施形態による、管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図7a】本発明の別の実施形態による、医療装置及び管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図7b】本発明の別の実施形態による、医療装置及び管状部材の部分破断側面図及び端面図をそれぞれ示す。
図8】本発明による医療装置を含むシステムの斜視図を示す。
図9a】本発明の一実施形態による、装置を使用する方法の部分破断図を示す。
図9b】本発明の一実施形態による、装置を使用する方法の部分破断図を示す。
図10A図1に示す医療装置の細長部材部分の斜視図を示す。
図10B図1に示す医療装置に使用可能な代替の細長部材の部分斜視図を示す。
図10C図1に示す医療装置に使用可能な別の代替の細長部材の部分斜視図を示す。
図10D図1に示す医療装置に使用可能な更に別の代替の細長部材の部分斜視図を示す。
図11A】本発明の更に別の代替実施形態による、医療装置の斜視図を示し、医療装置は、湾曲セクションを含む。
図11B】本発明の更に別の代替実施形態による、医療装置の部分斜視図を示し、医療装置は、代替湾曲セクションを含む。
図11C】本発明の更に別の代替実施形態による、医療装置の部分斜視図を示し、医療装置は、別の代替湾曲セクションを含む。
図12A】ハブの一実施形態の上部立面図を示す。
図12B図12Aの線5B-5Bに沿って取られた側断面図を示す。
図13A】自動遮断機能を有する組織を穿刺するのに適した装置を示す。
図13B】中空導電性チューブを有する13aの装置の一実施形態の破断図を示す。
図13C】可撓性ワイヤを有する13aの装置の一実施形態の破断図を示す。
図14A】穿刺装置の遠位先端上の、エネルギー送達装置及び監視電極の配置の一実施例を示す。
図14B】穿刺装置の遠位先端上の、エネルギー送達装置及び監視電極の配置の別の実施例を示す。
図14C】穿刺装置の遠位先端上の、エネルギー送達装置及び監視電極の配置の更に別の実施例を示す。
図15A】穿刺装置の遠位先端の側面上の監視電極の配置の一実施例を示す。
図15B】組織に接触している図15aの穿刺装置を示す。
図16】インピーダンスを用いた自動遮断のための電流フローを示す回路図を示す。
図17A図16の実施形態と共に使用可能な、エネルギー遮断のためのアルゴリズムを示す。
図17B図16の実施形態と共に使用可能な、エネルギー遮断のための別のアルゴリズムを示す。
図18】誘電性を用いた自動遮断のための電流フローを示す回路図を示す。
図19A図18の実施形態と共に使用可能な、エネルギー遮断のためのアルゴリズムを示す。
図19B図18の実施形態と共に使用可能な、エネルギー遮断のための別のアルゴリズムを示す。
図20】自動遮断を有する組織を穿刺するためのシステムの一実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特定の医療処置は、組織を貫通する穿刺又はチャネルを形成することが可能な医療装置の使用を必要とする。具体的には、心臓の中隔を穿刺することにより、多くの心臓処置が実施される左心房への直接的な経路が形成される。左心房へのアクセスを得る、1つのそのような装置は、経中隔穿刺装置であり、これは、一部の装置では、無線周波数エネルギーをジェネレータから組織に送達して、穿孔を形成する。ユーザは、心臓の中隔上に位置している卵円窩上の標的位置に穿刺装置を配置して、ジェネレータをオンにし、標的位置へのエネルギーの送達を開始する。無線周波数エネルギーを組織に送達することにより、エネルギー送達装置と接触している細胞の細胞内液の蒸発が生じる。最終的には、このことにより、標的組織部位に、空隙、穴、又はチャネルが生じる。
【0020】
経中隔穿刺処置の間、左心房内の一般的な組織損傷、補助装置損傷(すなわち、心房内に位置するペースメーカーリード線への損傷)、又は心タンポナーデ若しくは不慮の大動脈穿刺などの潜在的に重大な合併症をもたらす、中隔の穿孔が形成された後の心臓の他の組織の不慮の穿刺のリスクがある。心タンポナーデは、左心房壁、左心房蓋、又は左心耳に穿孔が形成されたときに起こる経中隔穿刺の生命を脅かす合併症である。心房壁のこの穿孔は、心臓の周りの心膜腔内の流体の蓄積をもたらす。この流体の蓄積が、心臓を圧迫することにより、心臓に入ることが可能な血液の量が減少する。不慮の大動脈穿刺は、穿刺装置が大動脈に進入して、大動脈を穿刺し、これにより、外科的修復を必要とし得る、まれな生命を脅かす合併症である。
【0021】
心外膜へのアクセスを必要とする処置において同様の問題に直面し、壁側心膜への穿刺が所望されるよりも更に延長される場合、心筋への偶発的損傷が生じる可能性がある。そのような処置では、心筋への損傷は、穿刺装置が心膜腔に進入した後、無線周波数エネルギーの送達が停止されることによって、防止可能である。
【0022】
不慮の穿刺に関連付けられたこれらの合併症を考慮して、本発明者らは、穿刺装置が穿孔を完了し、左心房又は心膜腔に進入した後に、無線周波数エネルギーの送達が自動的に停止される、電気外科手術装置の実施形態を考案し、実施するように低減した。場合によっては、無線周波数(radiofrequency、RF)エネルギー源を使用して、RFエネルギーを組織に選択的に印加する。装置の典型的な実施形態は、ユーザ及び患者を保護するための絶縁体を含み、塞栓の生成を回避するように構成される。
【0023】
ここで図面を詳細に具体的に参照するが、示されている詳細は、例であり、本発明の実施形態の例示的な説明のみを目的としていることに留意されたい。この点に関して、本発明の基本的な理解のために必要であるよりも詳細に本発明の構造的詳細を示す試みはなされていない。図面を用いた説明は、本発明のいくつかの態様を実際にどのように具現化可能なかを当業者に明らかにするであろう。
【0024】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されている又は図面に示されている、構造の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではない点を理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は、様々な方式で実施若しくは実行することが可能である。また、本明細書で採用されている表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定するものと見なされるべきではない点も理解されたい。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「近位」及び「遠位」は、ユーザに対して定義される。すなわち、装置が使用されているとき、「近位」という用語は、ユーザにより近い部品(part)又は部分(portion)を指し、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い部品(part)又は部分(portion)を指す。また、説明を明確にするために、管状又は管状部材という用語は、開示される医療装置を取り囲む部材を説明するために使用されるが、管状部材という用語は、取り囲む部材の円形及び非円形の実施形態の両方を説明することを意図していることに留意されたい。管状部材という用語は、本開示において、医療装置を収容するためのルーメンを画定するダイレータ、シース、及び他の部材を説明するために使用される。
【0026】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による医療装置100が示されている。医療装置100は、患者の体内の標的位置にチャネルを形成するために使用可能である。医療装置100は、ハンドル110と、遠位部分112と、遠位部分112とハンドル110との間に延びる力伝達部分114とを含む。遠位部分112は、遠位部分長さを画定し、電極106と、電極106から近位方向に延びる電気絶縁体104とを含む。
【0027】
力伝達部分114は、力伝達部分長さを画定し、力伝達部分長さは、遠位部分長さよりも大きい。本発明のいくつかの実施形態では、力伝達部分114は、少なくとも約0.016Nm、例えば約0.017Nmの力伝達部分曲げ剛性を有する。力伝達部分114は、力伝達部分曲げ剛性を有し、遠位部分112が標的位置に接触するときに遠位部分112に加えられる接触力をハンドル110に伝達して、意図されたユーザに触覚フィードバックを提供することを可能にする。加えて、力伝達部分の曲げ剛性は、例えば、患者の体内で遠位部分112を前進させるために、又はハンドル110にトルクを加えることによって遠位部分112の向きを合わせるために、ハンドル110から遠位部分112への力の伝達を可能にする。
【0028】
従って、提案される医療装置100は、意図されたユーザに、いくつかの従来技術の装置と同様の、又はより良好な「感触」を提供するような構造にされている。すなわち、医療装置100の構造及び機能は、従来技術の装置とは著しく異なる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、遠位部分112は、少なくとも約0.0019Nm、例えば0.0021Nmの遠位部分曲げ剛性を有する。曲げ剛性のそのような値は、意図されるユーザに触覚フィードバックを提供し、ハンドルから遠位部分への半径方向の力(トルク)及び長手方向の力の伝達を可能にすることによって、提案される医療装置100の認知人間工学を向上させる。
【0030】
本発明の典型的な実施形態では、医療装置100は、その上に配置された電気絶縁体104を有する導電性の細長部材102を含む。電気絶縁体104は、細長部材102の外面全体を実質的に覆い、その結果、細長部材102は、細長部材102の長さに沿ってエネルギーの実質的な漏れなしに、その近位領域からその遠位領域にある電極106にエネルギーを送達可能である。細長部材102は、ルーメン208と、ルーメン208と流体連通している少なくとも1つのサイドポート600(例えば、図2A図2Dに示す)とを画定する。
【0031】
1つ以上のサイドポート600は、細長部材102のルーメン208が医療装置100の遠位端を介して周囲環境に開放されていない(すなわち、医療装置100は閉端装置である)医療装置100の典型的な実施形態において、例えば、図2A図2Eの実施形態において特に有用である。そのような実施形態では、ルーメンは、力伝達部分114(図1)を通り、かつ遠位部分112のセクションを通って実質的に長手方向に延び、遠位先端403が閉鎖されたままであるように、遠位先端403から実質的に離隔された位置において遠位部分112で終端する。
【0032】
(単数又は複数の)サイドポート600を備える実施形態では、(単数又は複数の)サイドポート600は、流体がルーメン208から周囲環境に注入されることを可能にし、かつ/又は医療装置100を通して圧力伝達ルーメンを提供することによって圧力が測定されることを可能にする。いくつかの実施例では、(単数又は複数の)サイドポート600は、細長部材102及び電気絶縁体104を通って半径方向に形成されており、それによって、周囲環境とルーメン208との間の流体連通を可能にする。代替の実施形態では、サイドポート600は、電極106の一部分を通って半径方向に形成されている。
【0033】
(単数又は複数の)サイドポート600のサイズ及び形状は、医療装置100の意図された用途に応じて変化してもよく、本発明はこの点に関して限定されない。例えば、一実施形態では、(単数又は複数の)サイドポート600は、直径が約0.25mm~約0.45mmである。いくつかの実施形態は、2つ以上のサイズのサイドポートを含む。加えて、サイドポート600の数は変化してもよく、サイドポート600は、医療装置100に沿って、装置の機能に干渉しない任意の場所に位置してもよい。例えば、図2Aに示すように、医療装置100は、細長部材102に沿って実質的に同じ長手方向位置で、細長部材102の遠位端から約1cmに位置する2つのサイドポート600を含む。別の実施形態では、図2Bに示すように、医療装置100は、同じ円周位置に位置し、かつ細長部材102の遠位端から長手方向に約1.0cm、1.5cm、及び2.0cmで離隔された、約3つのサイドポートを含む。別の実施形態では、図2Cに示すように、サイドポート600は、それらが円周方向並びに長手方向の両方に離隔されるように、千鳥状である。更なる実施形態では、図2Dに示すように、サイドポート600は、電極106上に位置している。いくつかの実施形態では、(単数又は複数の)サイドポート600は、滑らかな又は丸みを帯びた壁を有し、これは、身体組織への外傷を最小限に抑える又は低減する働きをする。例えば、いくつかのそのような実施形態は、円周縁部を滑らかな仕上げに研磨することによって、又は例えば、縁部を潤滑性材料でコーティングすることによって形成される、滑らかな外側円周縁部を有する1つ以上の(単数又は複数の)サイドポート600を備える。
【0034】
サイドポートに依拠してそのルーメンと周囲環境との間の流体連通を提供する医療装置が、密嵌部材のルーメンの内側にある場合、サイドポートは、部分的に又は完全に閉塞する又は遮断可能である。図4図9の実施形態は、医療装置のルーメンから装置の外側の環境への効果的な管路を提供する装置、及びそのような装置を使用する方法に関する。
【0035】
図4a及び図4bは、管状部材800内に配置された医療装置100の遠位部分112の部分破断側面図及び端面図それぞれを示す。本明細書において以下により詳細に記載されるように、医療装置100のいくつかの実施形態は、(図1及び図10Aに示すように)単一の細長部材102から構成され、医療装置100のいくつかの他の実施形態は、(図10D及び図2Eに示すように)互いに接合された2つの細長部材、主部材210及び端部材212から成る。考慮されている医療装置100の実施形態に依拠して、遠位部分112は、単一の細長部材102の遠位部分、端部材212の遠位部分、又は医療装置100の何らかの他の実施形態の遠位部分であり得る。図4図9では、遠位部分112によって画定されるルーメンは、細長部材102のルーメン208又は端部材ルーメン216のいずれかであり得る。説明のために、図4図9の遠位部分112によって画定されるルーメンは、装置ルーメン809と呼ばれる。
【0036】
管状部材800は、ダイレータ、シース、又は医療装置100を受け入れるように構成されたルーメンを画定する何らかの他の部材を含むことができる。
図4a及び図4bを参照すると、医療装置100の遠位部分112の実施形態の図示された特徴は、直径の変化部831、遠位部分830、医療装置100の本体によって画定される装置ルーメン809、ルーメンと流体連通しているサイドポート600、及び閉鎖遠位端を含む。遠位部分830は、直径の変化部831の近位の遠位部分112の外径よりも小さい外径を有し、すなわち、遠位部分830は、縮小した直径を有する。図4aの実施形態では、医療装置の遠位先端403は、遠位電極106を備える。医療装置100のいくつかの代替の実施形態は、電極を含まない。管状部材800は、管状部材ルーメン802を画定する。医療装置100の管状部材800と遠位部分830とは、組み合わされて、管路808を画定し、それによって、医療装置100は、組織を染色するために造影流体を送達するための十分な流体フローを提供可能である。流体(例えば、血液)はまた、管路808、サイドポート600、及び装置ルーメン809によって画定される経路を通して引き出されてもよい。図4aの実施例では、管路808は、管状部材800と直径が縮小された遠位部分830との間の空間と、管状部材ルーメン802の、医療装置100の遠位の部分とを含む。
【0037】
図4aの実施形態では、遠位部分830は、直径の変化部831の遠位にあり、絶縁部834及び電極106を含む。一定直径部836は、直径の変化部831の遠位にあり、絶縁部834と、電極106の一定の直径を有する直線状の長手方向部分(すなわち、ドーム形電極先端の近位の電極の部分)とを含む。遠位部分830の一定直径部836は、テーパ状ではなく、長手方向に実質的に一定の直径を有するものとして説明可能である。電気絶縁体104の遠位端で外径にわずかな変化があるが、流体フローに関しては、それは無視できると考えることができる。
【0038】
図4aの実施形態では、管状部材800と、直径の変化部831の近位の遠位部分112の一部との間に、小さい空間又は間隙832が存在する。医療装置100及び管状部材800の実施形態は、医療装置の外径と管状部材の内径との間に小さい間隙832を有することが一般的である。間隙を完全になくすと、医療装置と管状部材との間の摩擦が増大し、管状部材800を通して医療装置100を前進させることが困難になる可能性がある。典型的な実施形態では、間隙は、典型的には水よりも3~5倍粘性が高い造影流体などの流体の実質的な流れを防止するほど十分に小さい。
【0039】
図4aの実施形態では、サイドポート600は、直径の変化部831に近く、それによって、遠位部分112のより大きい直径部は、管状部材800がサイドポート600を遮断しないように保つためのブレースとして機能する。図4aは、直径の急激な変化を示す。代替の実施形態は、より急でない直径の変化を有する。医療装置100の典型的な実施形態は、第2のサイドポートを含み、2つのサイドポートは、互いに反対側にある。いくつかの代替実施形態は、3つ以上のサイドポートを含む。他の代替実施形態は、1つのサイドポートを有する。医療装置100のいくつかの代替の実施形態では、サイドポート600は、長手方向に細長い、すなわち、カプセル形状である。
【0040】
(単数又は複数の)サイドポート600及び装置ルーメン809は、一緒になって、圧力伝達ルーメンを提供する。圧力伝達ルーメンは、圧力トランスデューサ、例えば、外部圧力トランスデューサ708(図8で説明される)に結合されるように動作可能である。
【0041】
医療装置100の遠位先端403は、管状部材800の遠位端のわずかに近位にあるものとして、図4aの実施例に示されている。この位置では、医療装置ルーメンと周囲環境との間の流体連通を確立可能である。流体連通はまた、遠位先端403が管状部材800の遠位端の更に近位に配置されているとき、遠位先端403が管状部材800の遠位端と位置合わせされたとき、及び遠位先端403が管状部材800の遠位端の遠位に配置されているときに確立されてもよい。サイドポート600が管状部材800の遠位端の遠位にあるように、遠位先端403が配置された場合、流体を半径方向に送達することが依然として可能である。
【0042】
医療装置100の典型的な実施形態は、導電性部材(細長部材102、又は端部材212に接合された主部材210)を備え、それは、典型的には、金属材料から成る。導電性部材は、遠位電極106と電気連通しており、絶縁層(電気絶縁体104)が金属材料を覆っている。換言すれば、細長部材102は、導電性材料を含み、絶縁層が、導電性材料を覆い、導電性材料は、電極106に電気的に結合されている。いくつかの単一の実施形態では、細長部材102は、遠位端206において直径の変化部831の近位の約0.7mm~約0.8mmの外径と、直径が縮小された遠位部分830の約0.4mm~約0.62mmの外径とを有する。いくつかの2ピースの実施形態では、端部材212は、直径の変化部831の近位の約0.40mm~約0.80mmの外径と、遠位部分830の約0.22mm~約0.62mmの外径とを有する。上述の実施形態は、典型的には、医療装置100の、直径の変化部831の近位の外径よりも約0.01mm(0.0005インチ)~約0.04mm(0.0015インチ)大きい対応するルーメンを画定する管状部材と共に使用される。
【0043】
図4bは、図4aの装置の端面図を示す。図は、内側から外側へ(実線で)、電極106、電気絶縁体104、直径の変化部831の近位の遠位部分112の一部、間隙832、管状部材の遠位端801、及び管状部材800を含む。破線で示される隠れた特徴は、サイドポート600及び装置ルーメン809を含む。
【0044】
図4a及び図4bの実施形態では、医療装置の遠位先端403は、実質的に円形の断面及び円形の端部プロファイルを画定する電極106から成る。図3A及び図3Bの実施形態と同様に、図4bの電極106は、細長部材102(又は端部材212)の端部にあり、導電性部材の遠位端と同じ外径を有する。縮小した直径の遠位部分830の一定直径部836は、実質的にテーパ状になっていない(電気絶縁体104の遠位端にある直径の小さな変化は、実質的であるとみなされない)ので、電極106は、遠位部分830の電極106の近位にある部分の直径に実質的に等しい(すなわち、絶縁部分834の直径に実質的に等しい)直径を有する。
【0045】
再び図1図4を参照すると、医療装置100のいくつかの実施形態は、閉鎖遠位端を有する細長部材102を備え、細長部材は、装置ルーメン809と、装置ルーメンと流体連通している少なくとも1つのサイドポート600とを画定する。細長部材はまた、近位部分及び遠位部分830を画定し、遠位部分は、少なくとも1つのサイドポート600から細長部材の遠位端まで延びる。近位部分は、第1の外径を画定し、遠位部分は、第2の外径を画定し、第1の外径は、第2の外径よりも大きく、第2の外径は、実質的に一定である。医療装置100の遠位先端は、電極106を備える。電極の直径は、第2の外径に実質的に等しい。
【0046】
電極106のいくつかの実施形態は、典型的には、電極よりも10~20パーセント大きい直径を有する穿刺を組織に形成する。そのような穿刺直径は、典型的には、直径の変化部831の近位の医療装置の部分(すなわち、医療装置のより大きい直径部分)の組織穿刺を通した通過を容易にし、かつ医療装置100上で及び組織を通してダイレータを前進させ始めるために、十分に大きい。
【0047】
図5a~図5dは、遠位部分830が非円形断面を有する医療装置100の実施形態を示す。図5a及び図5bでは、遠位部分830(電極106及び絶縁部分834(図4a)を含む)は、実質的に平らな外面部分を画定する。医療装置100の本体は、装置ルーメン809(図5bに破線で示される)と、ルーメンと流体連通しているサイドポート600とを画定する。本体の縮小された外径の遠位部分830は、医療装置のサイドポート600と遠位先端403との間に延び、それによって、医療装置100の外面は、管状部材800と組み合わせて、管路808を提供可能である。図5aは、縮小された外径の遠位部分830の、サイドポート600から直径の変化部831まで近位に延びる部分を示すが、いくつかの代替実施形態は、この部分を含まない、すなわち、直径の変化部831は、サイドポート600に隣接している。
【0048】
図5bの管路808の実施形態は、円の一部分の端面図形状を有するものとして示されている。縮小された外径は、電気絶縁体104の遠位端及び電極106の半球形状の遠位先端を除いて、遠位部分830に沿って長手方向に実質的に一定である。電極106の断面は、電極の近位にある遠位部分830の部分の断面と実質的に同一である。
【0049】
図5cは、2つの平らな外面及び2つの対応するサイドポートを有する代替の実施形態を示す。図5dは、3つの平らな外面及び3つの対応するサイドポートを有する別の代替実施形態を示す。更なる代替実施形態は、平らな外面の代わりに、装置がより大きい装置ルーメン809を提供するように凸状に湾曲した対応する外面を有することを除いて、図5b、図5c、及び図5dの実施形態と同様である。
【0050】
図6a及び図6bは、サイドポート600を有する医療装置100と共に使用するための管状部材800の一実施形態を示す。管状部材800の本体は、管状部材近位領域803aが第1の内径d1を有し、管状部材遠位領域803bが第2の内径d2を画定するその少なくとも一部分を有するように、ルーメンを画定し、第2の内径d2は、第1の内径d1よりも大きく、管状部材遠位領域803bは、管状部材遠位端801まで延びる。
【0051】
図6bの実施形態は、管状部材の円周の360度未満にわたって円周方向に延びる管状部材遠位領域803b(すなわち、第2の内径d2を有する直径増加部分)を含む。管状部材内面804は、図6bの実施例では円周方向に約90度延びる、管状部材チャネル805を画定する。いくつかの代替実施形態では、管状部材遠位領域803bは、管状本体の円周の360度に延びる。
【0052】
図6a及び図6bの実施形態は、遠位領域の近位端に管状部材近位マーカ816を含み、管状部材遠位領域803bの遠位端に管状部材遠位マーカ818を含む。代替の実施形態は、遠位領域マーカのうちの1つのみを有する、又はいずれの遠位領域マーカを有しない。図6a及び図6bの実施形態はまた、管状部材遠位領域803b(すなわち、増大された直径の部分)を管状部材の内側に配置された医療装置100のサイドポート600と位置合わせするための方位マーカとして使用されるように動作可能であるサイドマーカ819を含む。
【0053】
一実施形態は、遠位端アパーチャと流体連通するルーメンを画定する管状部材と、第1の内径を有する近位領域と、増大された直径の部分を有する遠位領域とを備えるダイレータである。増大された直径の部分は、ダイレータの遠位端から近位方向に延び、第1の内径よりも大きい実質的に長手方向に一定の第2の内径を画定する。
【0054】
図7a及び図7bの実施形態は、組み合わされて装置を形成するように動作可能な、管状部材800及び医療装置100を備えるキットである。管状部材800は、医療装置100を受け入れるための管状部材ルーメン802を画定する。医療装置100は、サイドポート600と流体連通している装置ルーメン809を画定し、サイドポートの近位の医療装置近位領域838と、サイドポートの遠位の医療装置遠位領域839とを備える。医療装置100及び管状部材800は、医療装置遠位領域839の外面と管状部材800の内面との間に管路808を協働して形成するように構成される。図7aの実施例では、管路808は、サイドポート600の近位及び遠位の両方に形成されているが、代替実施形態では、それは、サイドポートの遠位にのみ形成されている。典型的な使用では、管路808は、医療装置100が管状部材ルーメン802内に挿入されて配置されているときに、少なくともサイドポートと管状部材の遠位端との間に形成されている。
【0055】
図7aの装置は、管状部材チャネル805及び医療装置チャネル807の両方を含む。管路808は、管状部材チャネル805及び医療装置チャネル807の両方から構成される。典型的な実施形態では、管路808の長さのうちの少なくとも一部は、一定の断面構成を有し、これにより、乱流を低減し、層流を容易にし、これにより、ひいては、流体の前方注入を容易にする。いくつかの代替実施形態は、管状部材チャネル805を含むが、医療装置チャネル807を含まず、いくつかの他の代替実施形態は、医療装置チャネル807を含むが、管状部材チャネル805を含まない。
【0056】
医療装置及び管状部材のいくつかの実施形態は、管状部材ルーメン内で医療装置のサイドポートを位置合わせして、前述の管路を形成するための対応するマーカを更に備える。図7の実施例では、医療装置100は、医療装置近位マーカ810及び医療装置遠位マーカ812を含み、一方管状部材800は、サイドマーカ819を含む。キットのいくつかの実施形態では、対応するマーカは、管状部材ルーメン内でサイドポートを長手方向に位置合わせするように構成される。図7の実施例では、医療装置近位マーカ810と医療装置遠位マーカ812との間で等距離にあるサイドポート600は、医療装置近位マーカ810と医療装置遠位マーカ812との間にサイドマーカ819を配置することによって、サイドマーカ819と長手方向に位置合わせ可能である。
【0057】
キットのいくつかの実施形態では、対応するマーカは、管状部材ルーメン内でサイドポートを回転方向に位置合わせするように構成される。図7の実施例では、サイドポート600は、相対的により大きい直径の医療装置近位マーカ810をより小さい直径の医療装置遠位マーカ812と比較することによって、管状部材800のサイドマーカ819と回転方向に位置合わせすることができ、それによって、サイドポート600を管状部材チャネル805と位置合わせする。医療装置100の代替の実施形態は、回転方向の配置を容易にするために、サイドポート600と同じ側に、又はサイドポートの反対側にサイドマーカを含む。マーカに関する更なる詳細は、1988年10月4日にFogartyに発行された米国特許第4,774,949号に見出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
キットの一実施形態は、遠位端アパーチャと流体連通する管状部材ルーメンを画定する管状部材と、閉鎖遠位端を有する医療装置とを備える。医療装置は、少なくとも1つのサイドポートと流体連通している装置ルーメンと、少なくとも1つのサイドポートから医療装置の遠位端まで延びる遠位部分とを備える。医療装置及び管状部材は、医療装置が管状部材ルーメン内に挿入されているとき、遠位部分の外面と管状部材の内面との間に管路を協働して形成するように構成される。管路は、サイドポートと遠位端アパーチャの外部の環境との間の流体連通を可能にするために、少なくともサイドポートと遠位端アパーチャとの間に延びる。
【0059】
キットの特定の実施形態では、端部材212は、約0.032インチ(約0.81mm)の直径の変化部831の近位の外径と、約0.020インチ(約0.51mm)~約0.025インチ(約0.64mm)の縮小された直径の遠位部分830の外径とを有する。端部材212は、約0.0325インチ(0.82mm)~約0.0335インチ(0.85mm)のルーメンを画定する管状部材と共に使用される。
【0060】
図8を参照すると、医療装置100と共に使用するためのシステムは、典型的には、ジェネレータ700を備え、いくつかの実施形態では、接地パッド702、外部配管706、圧力トランスデューサ708、及び/又は流体源712を備える。
【0061】
図8を参照すると、本明細書で上述したように、医療装置100の遠位領域202(図10)における圧力を測定するために、外部圧力トランスデューサが医療装置100に結合されていてもよい。図8の実施例では、アダプタ705が、外部圧力トランスデューサ708に動作可能に結合された外部チューブ706に動作可能に結合されている。アダプタ705は、使用時にアダプタ704に結合するような構造にされている。いくつかの実施例では、アダプタ704及び705は、互いに/互いから容易に結合及び分離するように適合された、オス及びメスのルアーロック又は他の流体コネクタを含む。使用時、配管706及び508は、圧力を測定する前に気泡を除去するために、生理食塩水又は別の好適な流体で洗い流すことができる。医療装置100が血管、管路、又は身体の空洞内に配置されると、遠位領域202(図10)に隣接する流体は、(単数又は複数の)サイドポート600を通してルーメン208内の流体に圧力を及ぼし、これにより次いで、配管508及び706内の流体に圧力を及ぼし、これにより更に、外部圧力トランスデューサ708に圧力を及ぼす。従って、(単数又は複数の)サイドポート600及びルーメン208は、圧力トランスデューサに結合するための圧力伝達ルーメンの形態の圧力センサを提供する。
【0062】
外部圧力トランスデューサ708は、それが感知する圧力の関数として変化する信号を生成する。外部圧力トランスデューサ708は、トランスデューサ708によって提供される信号を変換して、例えば、時間の関数として圧力曲線を表示するように動作する、圧力監視システム710に電気的に結合されている。従って、圧力は、任意選択的に測定及び/又は記録され、本明細書に以下で更に説明される方法態様の一実施形態によれば、遠位領域202の位置を判定するために使用される。外部環境と流体連通しているルーメンを備えない医療装置100の実施形態では、圧力トランスデューサは、医療装置100の遠位部分112に、又は医療装置100の遠位部分112に近接して取り付けられ、例えば、電気接続を介して、圧力監視システムに結合されていてもよい。
【0063】
先に述べたように、いくつかの実施形態では、医療装置100は、様々な流体を医療装置100に送達し、それによって周囲環境に送達するための流体源712に動作可能に結合されている。流体源712は、例えば、IVバッグ又はシリンジであり得る。流体源712は、本明細書で上述したように、配管508及びアダプタ704を介してルーメン208に動作可能に結合されていてもよい。代替的に、又は加えて、いくつかの実施形態は、サイドポート600のうちの1つ以上を通して患者の身体から物質を除去するための吸引装置に動作可能に結合されている医療装置100を含む。
【0064】
1つの広範な態様では、医療装置は、医療装置100のための流体連通のための管路を確立する方法に使用され、医療装置は、サイドポート600と流体連通している装置ルーメン809を画定する。図4図9を参照すると、この方法は、(a)少なくとも1つのサイドポート600を有する医療装置100を管状部材800に挿入するステップと、(b)少なくともサイドポート600と管状部材の遠位端との間に延びる空間がサイドポート600と管状部材の内面804との間に空間が存在し、その空間が少なくともサイドポート600と管状部材の遠位端との間に延びる管状部材800の位置に医療装置100のサイドポート600を配置することによって、流体連通のための管路808を協働して画定するステップとを含む。
【0065】
広範な態様のいくつかの実施形態では、医療装置は、サイドポートの近位にある医療装置近位マーカ810と、サイドポートの遠位にある医療装置遠位マーカ812とを備え、ステップ(b)は、医療装置を配置するために近位マーカ及び遠位マーカのうちの少なくとも1つを視覚化することを含む。いくつかのそのような実施形態では、ステップ(b)は、例えば、医療装置近位マーカ810及び医療装置遠位マーカ812を使用することによって、サイドポート600を管状部材ルーメン802内に配置することを含む。本方法のそのような実施形態では、遠位先端403が管状部材ルーメン802の内側にある必要はない。本方法のいくつかの実施形態では、医療装置は、サイドポートマーカを更に備え、サイドポートマーカ及びサイドポートは、医療装置の先端から等距離にあり、ステップ(b)は、医療装置を配置するためにサイドポートマーカを視覚化することを含む。いくつかの他の実施形態では、ステップ(b)は、管状部材ルーメン802内に遠位部分112の遠位部分830を配置することを含み、これは、管状部材ルーメン内にサイドポートを本質的に配置する。本方法のいくつかの実施形態では、ステップ(b)は、医療装置の遠位先端403を管状部材遠位端801と位置合わせすることを含む。
【0066】
広範な態様のいくつかの実施形態は、サイドポート600を通して流体を送達するステップ(c)を更に含み、流体は、造影流体814であり、ステップ(c)は、管状部材の遠位端を通して造影流体を遠位方向に送達することを含む。いくつかのそのような実施形態は、造影流体が送達される前に、電気エネルギーを送達して組織を穿刺するステップを更に含む。いくつかの実施形態は、造影流体が送達された後に、医療装置を通して電気エネルギーを送達して、組織を貫通する穿刺を形成するステップ(d)を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、組織は、心臓の中隔を含み、ステップ(c)は、サイドポートを通して造影流体を送達することによって、中隔を染色することを含む。
広範な態様のいくつかの実施形態では、サイドポート600及び装置ルーメン809は共に、圧力伝達ルーメンを構成し、方法は、サイドポート及び管路を使用して遠位端の外部の環境の圧力を測定するステップ(c)を更に含む。いくつかのそのような実施形態は、サイドポートを通して流体を送達するステップ(d)を更に含む。
【0068】
広範な態様のいくつかの実施形態は、サイドポート600を通して流体を引き出すステップ(c)を更に含む。いくつかのそのような実施形態では、流体は、血液である。
図9a及び図9bに示す使用方法の一実施例では、標的部位は、患者の心臓内の組織である心房中隔822を含む。この実施例では、標的部位は、下大静脈(IVC)を介して、例えば、大腿静脈を通してアクセスされる。図9a及び図9bの医療装置100は、図9の実施形態が医療装置近位マーカ810及び医療装置遠位マーカ812を有することを除いて、図4aの医療装置と同様である。
【0069】
本方法の実施例は、ユーザがシース820及びダイレータ(すなわち、管状部材800)を、下大静脈824を通して前進させることと、シース及び管状部材800を心臓の右心房826内に導入することとを含む。次に、電気外科手術装置、例えば本明細書で上述した医療装置100を管状部材ルーメン802内に導入し、心臓に向かって前進させる。本方法の典型的な実施形態では、これらのステップは、透視撮像を用いて実行される。
【0070】
医療装置100を管状部材800内に挿入した後、ユーザは、管状部材800の遠位端を心房中隔822に対して配置する(図9a)。管状部材800のいくつかの実施形態は、マーカを含む(図6a)。次いで、医療装置は、電極106が管状部材800の遠位端、又は遠位端のわずかに近位と位置合わせされるように配置される(図9a挿入図)。医療装置近位マーカ810及び医療装置遠位マーカ812は、医療装置100の配置を容易にする。管状部材800は、典型的には、心房中隔822の卵円窩に対して配置される。図9aの挿入図を参照すると、管状部材800の内面及び医療装置100の外面は、サイドポート600から管状部材ルーメン802の遠位端までの管路808を画定し、これは心房中隔822によって封止される。
【0071】
医療装置100及び管状部材800が配置されると、圧力測定を行うこと、及び/又は(単数又は複数の)サイドポート600を通して物質、例えば、造影剤を標的部位に送達することを含む、追加のステップを行うことができる。図9aの挿入図は、サイドポート600から管路808を通って流れ、心房中隔822で終端する造影流体814を示し、それによって、組織が造影流体によって染色される。代替実施例では、造影流体814が送達されるとき、電極106が心房中隔822に対して配置される。そのようなステップは、所望の標的部位での電極106の局在化を容易にする。
【0072】
図9aの挿入図によって示される位置から出発して、医療装置100は、電極106が心房中隔822に接触するまで前進させられる。(造影流体814が送達されるときに電極106が心房中隔822に対して配置される代替の実施形態は、この再配置を必要としない。)医療装置100及びダイレータ(すなわち、管状部材800)が標的部位に配置された状態で、エネルギーが、エネルギー源から医療装置100を通して標的部位に送達される。エネルギー送達の経路は、細長部材102(又は主部材210及び端部材212)を通り、電極106に至り、標的部位の組織に入る。図9aの実施例は、エネルギーを送達して、電極の近傍の細胞を蒸発させ、それによって、標的部位において組織を貫通する空隙又は穿刺を形成することと、医療装置100の遠位部分112を少なくとも部分的に穿刺を通して前進させることとを含む。遠位部分112が標的組織を通過して左心房に到達すると(図9b)、エネルギー送達が停止される。医療装置100のサイドポートは、むき出しにされ(図9bの挿入図)、それによって、造影を送達して、心臓の左心房内の遠位部分112の位置を確認可能である。エネルギーの送達によって形成された穿刺の直径は、典型的には、それを通して医療装置100の遠位部分112を前進させることを容易にし、ダイレータ(すなわち、管状部材800)を前進させ始めるのに十分な大きさである。
【0073】
ここで図10Aを参照すると、細長部材102は、近位領域200と、遠位領域202と、近位端204と、遠位端206とを含む。本発明のいくつかの実施形態では、細長部材102は、典型的には実質的に近位領域200と遠位領域202との間に延びるルーメン208を画定する。
【0074】
細長部材102は、典型的には、遠位端206が体内にあるとき、例えば、標的部位に隣接しているとき、ハンドル110が患者の外側に残るような大きさにされる。すなわち、近位端204は、体外の位置にあり、遠位端206は、患者の心臓内に位置している。従って、本発明のいくつかの実施形態では、細長部材102の長さ、すなわち、力伝達長さと遠位部分長さとの合計は、例えば、特定の用途及び/又は標的部位に応じて、約30cm~約100cmである。
【0075】
細長部材102の横断面形状は、任意の好適な構成をとることができ、本発明は、この点に関して限定されない。例えば、細長部材102の横断面形状は、他の可能性の中でもとりわけ、実質的に円形、卵形、楕円形、又は多角形である。更に、いくつかの実施形態では、断面形状は、細長部材102の長さに沿って変化する。例えば、一実施形態では、近位領域200の断面形状は、実質的に円形であるが、遠位領域202の断面形状は、実質的に卵形である。
【0076】
典型的な実施形態では、細長部材102の外径は、患者の身体の血管内に適合するような大きさである。例えば、いくつかの実施形態では、細長部材102の外径は、約0.40mm~約1.5mm(すなわち、約27ゲージ~約17ゲージ)である。いくつかの実施形態では、細長部材102の外径は、細長部材102の長さに沿って変化する。例えば、いくつかの実施形態では、細長部材102の外径は、近位端204から遠位端206に向かってテーパ状になっている。1つの特定の実施形態では、細長部材102の近位領域200の外径は、約1.5mmである。この実施形態では、遠位端206から約4cmの点で、外径は細長部材102の遠位端206の外径が約0.7mmになるように減少し始める。更なる実施形態では、細長部材102の外径は、遠位端206から約1.5mmの距離において約1.3mmから約0.8mmまでテーパ状になっている。図10Bは、例えば約4cmの長さにわたって滑らかに生じる細長部材102のテーパの一実施例である。図10Cは、例えば、約1mm以下の長さにわたって、より急に生じるテーパの一実施例である。テーパは、種々の方法によって細長部材102に適用可能である。いくつかの実施形態では、細長部材102は、それにテーパが既に組み込まれた状態で製造される。他の実施形態では、細長部材102は、テーパなしで製造され、テーパは、細長部材を必要な外径まで延伸加工することによって、又は内径が一定のままで外径がテーパ状になるように遠位領域202を機械加工することによって形成される。
【0077】
更なる実施形態では、細長部材102は、それぞれが異なる直径を有し、互いに接合された、2つの材料片から製造される。例えば、図10Dに示すように、細長部材102は、ハンドル(図10Dには図示せず)に機械的に結合された主部材210を含み、主部材210は、約50cm~約100cmの長さ及び約1.15mm~約1.35mmの外径を有する。主部材210は、図2Eに示すように、それを通って実質的に長手方向に延びる主部材ルーメン214を画定する。主部材は、約2.5cm~約10cmの長さ及び約0.40mm~約0.80mmの外径を有する端部材212に同軸に接合されている。いくつかの実施例では、端部材212は、ハンドル110に対して実質的に長手方向に反対側に、主部材ルーメン214に部分的に挿入されている。いくつかの実施形態では、電極106は、例えば、端部材212に機械的に結合されることによって、端部材の周囲に位置し、一方、他の実施形態では、電極106は、端部材212と一体である。図10D及び図2Eに見られるように、端部材212が端部材ルーメン216を画定する場合、端部材ルーメン216は、図2Eに示すように、主部材ルーメン214と流体連通している。主部材210及び端部材212は、例えば、他の可能性の中でもとりわけ、溶接、はんだ付け、摩擦嵌合、又は接着剤の使用など、任意の好適な方法で接合されている。また、いくつかの実施形態では、主部材ルーメン214及び端部材ルーメン216は、実質的に同様の直径を有し、それにより、主部材ルーメン214及び端部材ルーメン216を通って流れる流体内の乱流を低減させる。
【0078】
細長部材102がルーメン208を画定する本発明の実施形態では、細長部材102の壁厚は、用途に応じて変化してもよく、本発明は、この点に関して限定されない。例えば、より剛性の装置が望ましい場合、壁厚は、典型的には、より可撓性が望ましい場合よりも大きい。いくつかの実施形態では、力伝達領域の壁厚は、約0.05mm~約0.40mmであり、細長部材102の長さに沿って一定のままである。細長部材102がテーパ状である他の実施形態では、細長部材102の壁厚は、細長部材102に沿って変化する。例えば、いくつかの実施形態では、近位領域200の壁厚は、約0.1mm~約0.4mmであり、遠位領域202の約0.05mm~約0.20mmの厚さまでテーパ状になっている。いくつかの実施形態では、壁は、内側から外側にテーパ状であり、それによって、一貫した外径を維持し、変化する内径を有する。代替の実施形態は、外側から内側にテーパ状になっている壁を含み、それによって一貫した内径を維持し、変化する外径を有する。更なる代替実施形態は、例えば、壁厚が一定のままであるように両方の直径を減少させることによって、内側及び外側の両方からテーパ状になっている細長部材102の壁を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ルーメン208は、近位領域200において約0.4mm~約0.8mmの直径を有し、遠位領域202において約0.3mm~約0.5mmの直径までテーパ状になっている。他の代替実施形態では、壁が内側及び外側の両方からテーパ状になるように、外径が減少する一方で内径が増加する。
【0079】
いくつかの実施形態では、細長部材102、従って医療装置100は、図11A図11Cに示すように、湾曲又は屈曲している。本明細書で使用されるとき、「湾曲」又は「屈曲」という用語は、湾曲又は屈曲の角度又は長さにかかわらず、非直線性の任意の領域、又は装置の長手方向軸からの任意の逸脱を指す。医療装置100は、実質的に直線のセクション302と、実質的に直線のセクション302から延びる湾曲セクション300とを含む。典型的には、湾曲セクション300は、細長部材102の遠位領域202に位置し、様々な長さにわたって様々な角度で生じていてもよい。いくつかの実施例では、湾曲セクション300は、例えば約10cm~約25cmの比較的大きな半径を有し、図11Bに示すように円の円周の小さな部分、例えば約20~約40度にわたる。代替実施例では、湾曲セクション300は、図11Cに示すように、例えば約4cm~約7cmの比較的小さな半径を有し、図11Cに示すように円の円周の実質的に大きな部分、例えば約50~約110度にわたる。1つの特定の実施形態では、湾曲セクション300は、細長部材102の遠位端206から約8.5cmで始まり、約6cmの半径を有し、円の円周の約80度にわたる。代替の実施形態では、湾曲セクションは、約5.4cmの半径を有し、円の円周の約50度にわたる。更なる実施形態では、湾曲セクションは、約5.7cmの半径を有し、円の円周の約86度にわたる。この構成は、遠位端206が、それを通してチャネルが形成されることになる組織に対して実質的に垂直になるように細長部材102を配置するのに役立つ。この垂直な配置により、ユーザが細長部材102を通して力を加えたときに最大のエネルギーを伝達し、これにより、ユーザに向上したフィードバックを提供する。
【0080】
湾曲セクション300は、種々の方法によって細長部材102に適用可能である。例えば、一実施形態では、細長部材102は、湾曲した金型内で製造される。別の実施形態では、細長部材102は、実質的に直線形状で製造され、次いで、加熱された金型内に配置されて、細長部材102に湾曲形状を取らせる。代替的に、細長部材102は、実質的に直線形状で製造され、湾曲させられる領域のすぐ近位で細長部材102を把持し、遠位領域202を湾曲させるように力を加えることによって、強制的に曲げられる。代替実施形態では、細長部材102は、図10Dに関して説明したように、主部材210及び端部材212を含み、それらは、ある角度で共に接合されている(図示せず)。すなわち、同軸であるのではなく、主部材210及び端部材212は、例えば、互いに対して45°の角度であるように接合されている。
【0081】
本明細書で上述したように、いくつかの実施形態では、細長部材102の近位領域200は、エネルギー源に結合されるような構造にされている。この結合を容易にするために、近位領域200は、エネルギー源が細長部材102に電気的に接続されることを可能にするハブ108を備えてもよい。ハブ108に関する更なる詳細は、本明細書で後述する。他の実施形態では、近位領域200は、当業者に既知の他の方法によってエネルギー源に結合され、本発明は、この点に関して限定されない。
【0082】
典型的な実施形態では、細長部材102は、生体適合性である導電性材料から作製される。本明細書で使用されるとき、「生体適合性」とは、外科的処置の過程で、体内で使用するのに適した材料を指す。このような材料としては、とりわけ、ステンレス鋼、銅、チタン、及びニッケル-チタン合金(例えば、NITINOL(登録商標))が挙げられる。更に、いくつかの実施形態では、細長部材102の異なる領域は、異なる材料から作製される。図10Dの実施形態の実施例では、主部材210は、細長部材102の一部分(例えば、力伝達部分)に柱強度を提供するように、ステンレス鋼から作製されており、端部材212は、細長部材102の一部分(例えば、遠位部分)に可撓性を提供するように、NITINOL(登録商標)などのニッケル-チタン合金から作製されている。細長部材102の力伝達部分がステンレス鋼から製造されている実施形態は、多くの場合、先行技術の装置、例えば、Brockenbrough(商標)針などの機械的穿孔器と同様な量の柱強度を有する医療装置100をもたらす。これは、そのような装置に精通しているユーザになじみのある「感触」を提供するという点で有益である。湾曲又は屈曲した細長部材102を備えるいくつかの実施形態では、直線セクション302は、細長部材102に柱強度を提供するようにステンレス鋼から作製されており、湾曲セクション300は、細長部材102に可撓性を提供するように、NITINOL(登録商標)などのニッケル-チタン合金から作製されている。加えて、湾曲セクション300にNITINOL(登録商標)を使用することは、例えば湾曲セクション300がダイレータ内に配置されたときに、湾曲セクション300が真っ直ぐにされた後、湾曲セクション300の形状を復元するのにこの材料の超弾性特性が役立つので、有利である。
【0083】
本明細書で上述したように、電気絶縁体104は、細長部材102の外面の少なくとも一部分上に配置されている。いくつかの実施形態では、例えば、図1に示すように、電気絶縁体104は、細長部材102の近位領域200から細長部材102の遠位領域202まで細長部材102の周囲を覆う。換言すれば、力伝達部分114及び遠位部分112は、導電性であり、電気絶縁体は、力伝達部分114及び遠位部分112を実質的に覆うが、電極106は、実質的に絶縁されないままである。エネルギー源が細長部材102の近位領域200に結合されるとき、電気絶縁体104は、細長部材102の長さに沿ったエネルギーの漏れを実質的に防止し、従って、エネルギーが細長部材102の近位領域200から電極106に送達されることを可能にする。
【0084】
図1に示す実施形態では、電気絶縁体104は、電極106の構成に応じて、遠位領域202(図10)上の異なる位置まで延びてもよい。典型的には、電気絶縁体104は、電極106の近位端404まで延び、電極106の近位端404は細長部材102の遠位端と一致してもよく又は一致しなくてもよい。例えば、図3Aに示すように、細長部材102の最遠位1.5mmは、電極106の少なくとも一部分として機能する。これらの実施形態では、電気絶縁体104は、細長部材102の遠位端206に約1.5mm近位の点まで延びる。図3B図3Cの実施形態では、細長部材102の遠位端に結合された外部構成要素400は、電極106として機能する。そのような実施形態では、電極106の近位端404は、細長部材102の遠位端206と実質的に一致し、従って、電気絶縁体104は、細長部材102の遠位端206まで延びる。いくつかの実施形態では、電気絶縁体104は、細長部材102の遠位端206を越えて延び、外部構成要素400の一部分を覆う。これは、典型的には、外部構成要素400を細長部材102に固定するのを助ける。次いで、外部構成要素400の覆われていない部分は、電極106として機能可能である。他の実施形態では、例えば、図3Aに示すように、細長部材102の最遠位部分並びに丸みを帯びた外部構成要素402は、電極106として機能する。この実施形態では、電気絶縁体104は、細長部材102の遠位端206に実質的に隣接する点まで延びる。一実施例では、電気絶縁体104は、細長部材102の遠位端206から約1.0mm離れた点まで延びる。
【0085】
電気絶縁体104は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、Teflon(登録商標))、パリレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標))、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK(商標))、並びにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、多くの生体適合性誘電材料のうちの1つであり得る。電気絶縁体104の厚さは、使用される材料に依拠して変化してもよい。典型的には、電気絶縁体104の厚さは、約0.02mm~約0.12mmである。
【0086】
いくつかの実施形態では、電気絶縁体104は、複数の誘電材料を含む。これは、例えば、電気絶縁体104の異なる部分に異なる特性が必要とされる場合に有用である。特定の用途では、例えば、かなりの熱が電極106で発生する。そのような用途では、十分に高い融点を有する材料が電気絶縁体104の最遠位部分に必要とされ、それにより電極106に隣接して位置する電気絶縁体104のこの部分が溶融しない。更に、いくつかの実施形態では、電気絶縁体104の全部又は一部分のためには、高い絶縁耐力を有する材料が望ましい。いくつかの特定の実施形態では、電気絶縁体104は、前述の特徴の両方の組み合わせを有する。
【0087】
ここで図2Eを参照すると、電気絶縁体104は、第1の電気絶縁材料から作製された第1の電気絶縁層218と、第2の電気絶縁材料から作製され、第1の電気絶縁層218よりも実質的に薄い第2の電気絶縁層220とを含む。第1の電気絶縁層218は、端部材212に実質的に隣接する主部材210を実質的に覆い、第2の電気絶縁層220は、端部材212を実質的に覆い、電極106は、第2の電気絶縁層220から実質的に切り離されている。図示の実施形態では、第1の電気絶縁層218は、細長部材102のテーパの領域の周りで第2の電気絶縁層220と重なり合う。より薄い材料は、典型的には、より厚い材料よりも剛性が低いので、この構成は、医療装置100に望ましい機械的特性を提供する。また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の電気絶縁層218は、第2の電気絶縁層220の一部分と重なり合う。しかしながら、本発明の代替の実施形態では、電気絶縁体104は、任意の他の好適な構成を有し、例えば、同じ材料で作製されている第1の電気絶縁層218及び第2の電気絶縁層220を有する。
【0088】
図3Dに示すような更なる実施形態では、例えば、電極106によって生成される熱に起因して電気絶縁体104の遠位部分が溶融することを防止するために、熱シールド109が電極106に実質的に隣接して医療装置100に適用されていてもよい。例えば、いくつかのそのような実施形態では、断熱材料、例えば、酸化ジルコニウム又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、電気絶縁体104の最遠位約2cmにわたって適用されている。典型的には、熱シールド109は、遠位部分112の残りの部分から実質的に半径方向外向きに、かつ電極106からハンドル110に向かう方向に、実質的に長手方向に突出する。
【0089】
電気絶縁体104は、様々な方法によって細長部材102に適用可能である。例えば、電気絶縁体104がPTFEを含む場合、それは、細長部材102上に配置され、熱を受けて細長部材102の周りを実質的に締め付ける、熱収縮チューブの形態で提供されてもよい。例えば、電気絶縁材料がパリレンである場合、それは、蒸着によって細長部材102に適用されてもよい。他の実施形態では、使用される特定の材料に応じて、電気絶縁体104は、浸漬コーティング、共押出、又は噴霧などの代替方法を使用して、細長部材102に適用されてもよい。
【0090】
本明細書で上述したように、本発明の実施形態では、細長部材102は、遠位領域に電極106を備え、電極106は、無線周波数穿孔を介してチャネルを形成するように構成される。本明細書で使用されるとき、「無線周波数穿孔」は、無線周波数(RF)電気エネルギーが装置から組織に印加されて、組織を貫通する穿孔又は開窓を形成する処置を指す。特定の動作理論に限定されるものではないが、RFエネルギーは、細胞内液中の水分が蒸気に変換される程度まで組織温度を急速に上昇させる働きをし、細胞内の上昇した圧力の結果として細胞分解(cell lysis)を誘発すると考えられている。更に、電気的破壊が細胞内で発生する可能性があり、交流電流によって誘導された電界が、無線周波数穿孔器と細胞との間に位置する媒体の絶縁耐力を超え、絶縁破壊を引き起こす。加えて、機械的破壊が発生する可能性があり、交流電流が細胞内の極性分子に応力を誘起する。細胞分解及び破裂が起こると、空隙が生成され、装置がほとんど抵抗なく組織内に前進することを可能にする。組織に送達される電流密度を増加させ、この効果を達成するために、そこからエネルギーが印加される装置、すなわち電極は、比較的小さく、約15mm以下の電気的に露出される表面積を有する。加えて、エネルギー源は、本明細書において以下で更に説明するように、高インピーダンス負荷を通して高電圧を印加可能である。これは、組織をゆっくりと脱湿させるために、より大きい先端の装置を利用して、より大きい領域にRFエネルギーを送達する、RFアブレーションとは対照的である。それを通して装置が前進させられる組織内の空隙を生成するRF穿孔とは対照的に、RFアブレーションの目的は、電気伝導を阻害するために、組織に大きな非貫通損傷を生成することである。従って、本発明の目的のために、電極は、導電性であり、かつ露出され、約15mm以下の露出表面積を有し、好適なエネルギー源に結合されて標的部位に配置されると、エネルギーを送達して、組織を通して穿孔又は開窓を形成するように動作可能である、装置を指す。穿孔は、例えば、空隙、穴、又はチャネルが標的部位に位置する組織内に形成されるように、電極が接触している細胞の細胞内液を蒸発させることによって形成される。
【0091】
更なる実施形態では、図3Aに示すように、細長部材102の遠位端206が閉鎖されていることが望ましい。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で後述するように、流体は、細長部材102から実質的に遠位に注入されることなく、例えば、細長部材102のサイドポートを通して細長部材102から半径方向に注入されることが望ましい。これらの実施形態では、閉鎖遠位端206は、遠位注入を防止しながら、流体の半径方向注入を容易にする。
【0092】
造影剤を標的部位に適切に送達するために、遠位開口部を有することが必要であるというのが一般的な考えである。しかしながら、意外にも、遠位開口部が存在しなくても医療装置100を適切に動作させることが可能であることが見出された。有利なことに、これらの実施形態は、組織を通るチャネルを形成するときに、組織のコアがそのような遠位開口部に詰まるリスクを低減する。そのような組織コアを回避することは、それらが血液循環に入る可能性があり、それにより血管を遮断するリスクを生み出し、潜在的に致死的な梗塞をもたらすので、望ましい。
【0093】
従って、図3Aに示すように、丸みを帯びた外部構成要素402、例えば、電極先端が、遠位端206に動作可能に結合されている。この実施形態では、遠位領域202の露出部分(図10A図10D)、並びに丸みを帯びた外部構成要素402は、電極106として機能する。このような実施形態では、細長部材102の外径が0.7mmである場合、丸みを帯びた外部構成要素402は、約0.35mmの半径を有する半球であり、細長部材102の最遠位露出部分の長さは、約2.0mmであり、従って、電極106の表面積は、約5.2mmである。代替的に、例えば、図2Eに示すように、端部材212の遠位端は、閉鎖され、別個の外部構成要素ではなく、電極106として使用される。
【0094】
他の実施形態では、例えば、図3B及び図3Cに示すように、導電性かつ露出された外部構成要素400は、外部構成要素400が電極106として働くように、細長部材102の遠位端に電気的に結合されている。そのような実施形態では、外部構成要素400は、約0.4mm~約1mmの直径、及び約2mmの長さを有する円筒である。従って、電極106は、約2.6mm~約7.1mmの露出された表面積を有する。
【0095】
外部構成要素400は、種々の形状、例えば、円筒形、略円錐形、又は切頭円錐形をとってもよい。外部構成要素400の遠位端はまた、異なる構成(例えば、丸形又は平坦)を有してもよい。更に、外部構成要素400のいくつかの実施形態は、生体適合性導電性材料、例えば、ステンレス鋼から作製されている。外部構成要素400は、種々の方法によって細長部材102に結合可能である。一実施形態では、外部構成要素400は、細長部材102に溶接されている。別の実施形態では、外部構成要素400は、細長部材102にはんだ付けされている。1つのそのような実施形態では、はんだ材料自体が、外部構成要素400を含み、電極106の少なくとも一部分として機能するために、例えば、ある量のはんだが、細長部材102に電気的に結合されている。更なる実施形態では、外部構成要素400を細長部材102に結合する他の方法が使用され、本発明は、この点に関して限定されない。
【0096】
これらの実施形態では、本明細書で上述したように、電極106の電気的に露出され、かつ導電性の表面積は、約15mm以下である。電気絶縁体104が外部構成要素400の一部分を覆う実施形態では、電気絶縁体104によって覆われた外部構成要素400の部分は、電極106の表面積を決定するときに含まれない。
【0097】
再び図3Aを参照すると、いくつかの実施形態では、遠位部分112は、遠位先端403を画定し、遠位先端403は、実質的に非外傷性である。換言すれば、医療装置100の遠位端は、実質的に非外傷性である、又は平滑であるような構造にされている。本明細書で使用されるとき、「非外傷性」及び「平滑な」という用語は、鋭利でない構造を指し、例えば、図3Aに示すように、とりわけ、丸みを帯びた、鈍角の、又は平らな構造を含む。医療装置100の遠位端が実質的に平滑である実施形態では、平滑な遠位端は、体内の非標的領域への望ましくない損傷を回避するために有益である。すなわち、医療装置100の遠位端が非標的組織に位置するときに、機械的な力が医療装置100に意図せずに加えられた場合、医療装置100は、非標的組織を穿孔する可能性が低い。
【0098】
いくつかの実施形態では、遠位先端403は、図2Eに示すように、実質的に弾丸形状であり、それにより、意図されるユーザが、患者の身体内の組織の表面を横断して遠位先端403を引き、標的部位における組織を捕捉することを可能にする。例えば、標的部位が卵円窩を含む場合、本明細書で以下に更に説明するように、弾丸形状の先端は、医療装置100の近位部分に加えられた長手方向の力が、電極106を卵円窩から滑り出させるのではなく、卵円窩の中へ前進させ、卵円窩を貫通させるように、卵円窩を捕捉可能である。医療装置100によって提供される触覚フィードバックのために、この動作は、チャネルを形成するためのエネルギー送達の前の医療装置100の配置を容易にする。
【0099】
本明細書で上述したように、いくつかの実施形態では、医療装置100は、近位領域に結合されたハブ108を備える。いくつかの実施形態では、ハブ108は、医療装置100のハンドル110の一部であり、エネルギー源及び流体源、例えば、造影流体源への細長部材102の接続を容易にする。
【0100】
図12A及び図12Bに示す実施形態では、細長部材102の近位領域200は、ハブ108に電気的に結合されており、ハブ108は、細長部材102をエネルギー源、例えば、無線周波数ジェネレータに電気的に結合するような構造にされている。一実施形態では、ハブ108は、例えば溶接又はろう付けによって、一方の端部で細長部材102に接続されている、導電性ワイヤ500を備える。ワイヤ500の他方の端部は、コネクタ(すなわち、受け入れるためのコネクタ手段)、例えば、バナナジャック502に結合されており、バナナジャックは、エネルギー源に電気的に結合されたバナナプラグ504に電気的に結合可能である。従って、電気エネルギーは、エネルギー源から、プラグ504、ジャック502、及びワイヤ500を通して、細長部材102及び電極106に送達可能である。他の実施形態では、細長部材102が流体源及びエネルギー源に接続されることを可能にする他のハブ又はコネクタが使用され、本発明は、この点に関して限定されない。
【0101】
いくつかの実施形態では、医療装置100は、導電性である細長部材と、細長部材と電気連通する電気コネクタと、エネルギーを組織に送達するための導電性の細長部材の遠位端にある電極と、を備える経中隔穿刺装置である。経中隔穿刺装置を使用する方法は、(1)エネルギー源と電気連通する導電性構成要素を電気コネクタに接続するステップと、(2)電気エネルギーを、電極を通して組織に送達するステップとを含む。導電性構成要素は、プラグ504などのプラグと、それに接続されたワイヤとを含むことができる。本方法のいくつかの実施形態は、導電性構成要素を電気コネクタから接続解除するステップ(3)を更に含む。そのような実施形態では、導電性構成要素は、解放可能な方法で接続されている。
【0102】
いくつかの実施形態では、ハブ108は、配管508に接続された流体コネクタ506、例えば、ルアーロックに動作可能に結合されるような構造にされている。配管508は、一方の端部で吸引装置、流体源712(例えばシリンジ)、又は圧力感知装置(例えば圧力トランスデューサ708)に動作可能に結合されるような構造にされている。配管508の他方の端部は、配管508及びルーメン208が互いに流体連通し、従って、外部装置とルーメン208との間の流体の流れを可能にするように、流体コネクタ506に動作可能に結合可能である。ハブ108がハンドル110の一部である実施形態では、流体接続及び/又は電気接続は、ハブ108のみと行われる必要はなく、すなわち、接続は、ハンドル110の他の部分と、又は医療装置100のハンドル以外の部分と行われてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、ハブ108は、湾曲セクション300の方向を示すためにハブ108の一方の側に位置する1つ以上の湾曲方向又は方位インジケータ510を更に備える。方位インジケータ(単数又は複数)510は、視覚化若しくは触感を向上させるインク、エッチング、又は他の材料を含むことができる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、ハンドル110は、例えば振動を伝達することによって、触覚フィードバックを比較的効率的に伝達可能なように、比較的大きい把持可能な表面を含む。本発明のいくつかの実施形態では、ハンドル110は、例えばハブ108に、この触覚フィードバックを向上させるリッジ512を含む。リッジ512は、意図されたユーザがハンドル110をしっかりと保持することなくハンドル110を完全に把持することを可能にし、これにより、このフィードバックの伝達を容易にする。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態では、医療装置100は、図2Eに示すように、端部材ルーメン216に対して実質的に周辺に延びるルーメン周囲面602を画定し、ルーメン周囲面602は、ルーメン電気絶縁材料604で実質的に覆われている。この構成は、ルーメン周囲面602からルーメン208内に位置する任意の導電性流体への電気損失を防止又は低減する。しかしながら、本発明の他の実施形態では、ルーメン周囲面602は、ルーメン電気絶縁材料604で実質的に覆われていない。
【0106】
また、湾曲セクション300を含む本発明のいくつかの実施形態では、湾曲セクション300は、曲率中心(図示せず)を画定し、(単数又は複数の)サイドポート600は、ルーメン208から実質的に曲率中心に向かって延びる。この構成は、組織が穿孔されるときに(単数又は複数の)サイドポート600の縁部が組織を捕捉することを実質的に防止する。しかしながら、本発明の代替実施形態では、(単数又は複数の)サイドポート600は、任意の他の好適な向きに延びる。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つ以上の放射線不透過性マーカ714(図8に示すような)が、医療装置100上の重要な目印の位置を強調するように、医療装置100に関連付けられている。そのような目標物は、細長部材102がテーパ状になり始める位置、電極106の位置、又は任意の(単数又は複数の)サイドポート600の位置を含む。いくつかの実施形態では、医療装置100の遠位領域202全体が、放射線不透過性である。これは、電気絶縁体104、例えばPebax(登録商標)に、放射線不透過性充填材、例えばビスマスを充填することによって達成可能である。
【0108】
いくつかの実施形態では、医療装置100の形状は、修正可能であり得る。例えば、いくつかの用途では、医療装置100は、例えば図1に示すような直線構成と、例えば図11A図11Cに示すような湾曲構成との間で変化することが可能であることが望ましい。これは、プルワイヤの遠位端が医療装置100の遠位領域に動作可能に結合されるように、プルワイヤを医療装置100に結合することによって達成可能である。ユーザが直接又は作動機構を介してのいずれかでプルワイヤの近位端に力を加えると、医療装置100の遠位領域202は、特定の方向に偏向させられる。他の実施形態では、医療装置100の形状を修正するための他の手段が使用され、本発明は、この点に関して限定されない。
【0109】
いくつかの実施形態では、医療装置100は、電極106の近位に位置する、少なくとも1つの更なる導電性構成要素を含む。例えば、導電性構成要素は、戻り電極として動作可能であるように十分に大きい表面積を有する、電気絶縁体104上又はその周囲に配置された金属リングであり得る。そのような実施形態では、医療装置100は、双極様式で機能してもよく、それによって、電気エネルギーは、電極106から、標的部位における組織を通って、少なくとも1つの更なる導電性構成要素に流れる。更に、そのような実施形態では、医療装置100は、電気エネルギーを少なくとも1つの更なる導電性構成要素から電流シンク、例えば回路接地に伝導するための少なくとも1つの導電体、例えばワイヤを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、医療装置100は、患者の身体内の物質を穿孔するために好適な無線周波数エネルギー源と併せて使用される。エネルギー源は、約100kHz~約1000kHzの範囲で動作可能であり、かつ短時間にわたって高電圧を発生させるように設計された、無線周波数(RF)電気ジェネレータ700であり得る。より具体的には、いくつかの実施形態では、ジェネレータによって生成される電圧は、約0.6秒未満で、約0V(ピークツーピーク)から約75V(ピークツーピーク)を上回るまで増加する。ジェネレータ700によって生成される最大電圧は、約180Vピークツーピーク~約3000Vピークツーピークであり得る。生成される波形は、変化してもよく、例えば、とりわけ、正弦波、矩形波、又はパルス矩形波を含んでもよい。無線周波数エネルギーの送達中、インピーダンス負荷は、標的部位付近の組織損傷、又は細胞破裂後の蒸気層の形成の発生に起因して増加し得る。いくつかの実施形態では、ジェネレータ700は、インピーダンス負荷が増加しても、電圧を増加させ続けるように動作可能である。例えば、エネルギーは、約0.5秒~約5秒の期間に約0V(RMS)から約220V(RMS)に急速に増加する電圧で体内の組織に送達されてもよい。
【0111】
特定の動作理論に限定されるものではないが、特定の状況下では、本明細書で上述したように、無線周波数エネルギーを送達すると絶縁破壊及びアーク放電が起こり、それによって極性分子が引き離されると考えられる。これらの要因の組合せは、電極の周りに絶縁性蒸気層の生成をもたらす可能性があり、電極の周りでインピーダンスが増加することになり、例えば、インピーダンスが4000Ωを超えるまで増加することがある。いくつかの実施形態では、この高インピーダンスにもかかわらず、電圧は、増加し続ける。電圧を更に増加させることは、高周波療法の強度を増加させ、これは、穿孔速度の増加を可能にするため、望ましいことがある。この用途に適したジェネレータの例は、BMC RF Perforation Generator(モデル番号RFP-100、Baylis Medical Company、Montreal、Canada)である。このジェネレータは、約460kHzで連続RFエネルギーを送達する。
【0112】
いくつかの実施形態では、分散電極又は接地パッド702は、ジェネレータ700が単極モードで動作するとき、RFエネルギーのための戻り経路を提供するように患者の身体に接触する又は取り付けるために、ジェネレータ700に電気的に結合されている。代替的に、バイポーラ装置を利用する実施形態では、上述したように、RFエネルギーのための戻り経路が更なる導電性構成要素によって提供されるので、接地パッドは必要ではない。
【0113】
図12A及び図12Bに図示される実施形態では、医療装置100は、医療装置100の近位端に位置する流体コネクタ506を使用して、配管508に動作可能に結合されている。いくつかの実施形態では、配管508は、ポリ塩化ビニル(PVC)又は別の可撓性ポリマーなどのポリマー材料から作製されている。いくつかの実施形態は、アダプタ704に動作可能に結合されている配管508を含む。アダプタは、外部圧力トランスデューサ、流体源、又は他の装置をアダプタに解放可能に結合するときに、ユーザが取り扱うための可撓性領域を提供するような構造にされている。いくつかの実施形態では、細長部材102、流体コネクタ506、及び配管508の間、並びに配管508とアダプタ704との間の結合は、ルアーロック又は他の解放可能構成要素などの一時的結合である。代替実施形態では、結合は、実質的に恒久的であり、例えば、UV硬化性接着剤、エポキシ、又は別のタイプの結合剤などの結合剤である。医療装置100のいくつかの実施形態は、ルーメン208と流体連通する遠位アパーチャを含み、遠位アパーチャは、サイドポート600であるが、いくつかの代替実施形態は、開放遠位端によって画定される遠位アパーチャを有する。
【0114】
1つの広範な態様では、電気外科手術医療装置100は、患者の体内の標的部位にエネルギーを送達して、標的部位の物質に空隙若しくはチャネルを穿孔する、又は形成するために使用可能である。体内の標的部位へのエネルギーの送達に関する更なる詳細は、米国特許出願第13/113,326号(2011年5月23日出願)、同第10/347,366号(2003年1月21日出願、現在は米国特許第7,112,197号)、同第10/760,749号(2004年1月21日出願)、同第10/666,288号(2003年9月19日出願)、及び同第11/265,304号(2005年11月3日出願)、並びに米国特許第7,048,733号(出願第10/666,301号、2003年9月19日出願)及び同第6,565,562号(2003年5月20日発行)に見出すことができ、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
1つの特定の実施形態では、標的部位は、患者の心臓内の組織、例えば、心臓の心房中隔を含む。そのような実施形態では、標的部位は、下大静脈(IVC)を介して、例えば、大腿静脈を介してアクセスされてもよい。
【0116】
1つのそのような実施形態では、意図されるユーザは、ガイドワイヤを大腿静脈、典型的には右大腿動脈に導入し、それを心臓に向かって前進させる。次いで、ガイドシース、例えば、先に参照により本明細書に組み込まれた米国特許出願第10/666,288号(2003年9月19日出願)に記載されているようなシースが、ガイドワイヤ上で大腿静脈に導入され、心臓に向かって前進させられる。次に、ガイドワイヤ及びシースの遠位端が上大静脈内に配置される。これらのステップは、透視撮像を用いて実行されてもよい。シースが所定の位置にあるとき、ダイレータ、例えば、Baylis Medical Company Inc.(Montreal,Canada)のTorFlex(商標)Transseptal Dilator、又は参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/727,382号(2007年3月26日出願)に記載されているようなダイレータが、シース内かつガイドワイヤ上に導入され、シースを通って上大静脈内に前進させられる。シースは、例えば、実質的に剛性のダイレータを備える実施形態では、ダイレータが血管壁を損傷又は穿刺することを防止するのに役立つ。代替的に、ダイレータは、体内に入る前にシース内に完全に挿入されてもよく、両方が心臓に向かって同時に前進させられてもよい。ガイドワイヤ、シース、及びダイレータが上大静脈内に配置されると、ガイドワイヤは、身体から除去され、シース及びダイレータは、心臓の右心房に進入するようにわずかに後退させられる。次に、電気外科手術装置、例えば本明細書で上述した医療装置100がダイレータのルーメン内に導入され、心臓に向かって前進させられる。
【0117】
この実施形態では、電気外科手術装置をダイレータに挿入した後、ユーザは、ダイレータの遠位端を心房中隔に対して配置する。次いで、電気外科手術装置は、電極106がダイレータの遠位端と位置合わせされる、又はダイレータの遠位端からわずかに突出するように配置される。電気外科手術装置及びダイレータが、例えば心房中隔の卵円窩に対して、適切に配置されたとき、様々な追加のステップを実行可能である。これらのステップは、標的部位の1つ以上の特性、例えば、電位図又はECG(心電図)トレース及び/又は圧力測定値を測定すること、あるいは標的部位に物質を送達すること、例えば、(単数又は複数の)サイドポート600及び/又は開放遠位端206を通して造影剤を送達することを含んでもよい。そのようなステップは、所望の標的部位での電極106の局所配置を容易に可能である。加えて、本明細書で上述したように、提案された医療装置100によって提供される触覚フィードバックは、所望の標的部位における電極106の配置を容易にするために使用可能である。
【0118】
電気外科手術装置及びダイレータが標的部位に配置された状態で、エネルギーが、エネルギー源から医療装置100を通して標的部位に送達される。例えば、エネルギーは、細長部材102を通して電極106に送達され、標的部位において組織の中に送達される。いくつかの実施形態では、エネルギーは、少なくとも約75V(ピークツーピーク)の電圧で少なくとも約5Wの電力で送達され、本明細書で上述したように、電極の近傍の細胞を蒸発させるように機能し、それによって、標的部位において組織を通る空隙又は穿孔を形成する。本明細書で上述したように、下大静脈を介して心臓に接近した場合、ユーザは、エネルギーが送達されているときに電気外科手術装置のハンドル110に対して実質的に頭蓋方向に力を加える。次いで、遠位部分112が少なくとも部分的に穿孔を通って前進するように、力がハンドルから医療装置100の遠位部分112に伝達される。これらの実施形態では、遠位部分112が標的組織を通過したとき、すなわち、それが左心房に到達したとき、エネルギー送達は停止される。いくつかの実施形態では、エネルギーを送達するステップは、約1秒~約5秒の期間にわたって行われる。
【0119】
処置のこの時点で、穿孔の直径は、典型的には、遠位部分112の外径と実質的に同様である。いくつかの実施例では、ユーザは、アブレーションカテーテル又は他の外科手術装置などの他の装置が穿孔を通過可能なように、穿孔を拡大することを所望する場合がある。典型的には、これを行うために、ユーザは、例えば、下大静脈を介して心臓に接近した場合には頭蓋方向に、ダイレータの近位領域に力を加える。この力は、典型的には、ダイレータの遠位端を穿孔に進入させ、心房中隔を通過させる。電気外科手術装置は、ダイレータのための実質的に剛性のレールとして作用することによって、穿孔を通してダイレータを案内することを補助するように動作可能である。そのような実施形態では、湾曲、例えば、医療装置100の湾曲セクション300は、典型的には、電気外科手術装置を左心房内に係留することを補助する。典型的な実施形態では、力が加えられると、ダイレータのより大きい直径の部分が穿孔を通過し、それによって穿孔を拡張、膨張、又は拡大する。いくつかの実施形態では、ユーザはまた、ダイレータを操作することを補助するためにトルクを加える。代替的に、装置がテーパ状である実施形態では、装置は、装置のより大きい部分が穿孔に進入して穿孔を拡張するように、左心房の中へ更に前進させられてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、穿孔が好適なサイズまで拡張されたとき、ユーザは、ダイレータの前進を停止する。次に、ガイドシースをダイレータ上で穿孔を通して前進させる。代替実施形態では、シースは、ダイレータと同時に前進させられる。処置のこの時点で、ユーザは、シースを通してダイレータ及び電気外科手術装置を近位に後退させ、シースのみを心臓内の所定の位置に残すことができる。次いで、ユーザは、シースを介して心臓の左側に外科的処置を行うことができ、例えば、心臓の左側内の電気的又は形態学的異常を治療するための外科的処置を行うために、シースを通して大腿静脈内に外科手術装置を導入する。
【0121】
本明細書で上述したような本発明の装置が、本明細書で説明したような処置を実行するために使用される場合、ユーザは、心房中隔を穿孔するために鋭利な先端及び大量の機械的な力を必要とせずに、機械的穿孔器、例えば、Brockenbrough(商標)針の「感触」を維持可能である。むしろ、無線周波数穿孔器、例えば、電極106が、本明細書で上述したように、心房中隔を通して空隙又はチャネルを形成するために使用され、一方、非標的組織の偶発的穿刺のリスクを低減する。
【0122】
他の実施形態では、本発明の方法は、身体内の他の領域を含む治療処置のために使用することができ、本発明は、この点に関して限定されない。例えば、本発明の装置、システム、及び方法の実施形態は、心房中隔ではなく肺動脈閉鎖を治療するために使用可能である。いくつかのそのような実施形態では、本明細書で上述したように、シースが患者の血管系中に導入され、心臓に案内される。次いで、ダイレータがシース内に導入され、心臓に向かって前進させられ、そこで肺動脈弁に対して配置される。次いで、電極を備える電気外科手術装置が、ダイレータの近位領域中に導入され、それもまた肺動脈弁に対して配置されるように前進させられる。次いで、エネルギーが、エネルギー源から、電気外科手術装置の電極を通して、肺動脈弁に送達され、その結果、本明細書で上述したように、穿刺又は空隙が形成される。電気外科手術装置が弁を通過したき、ユーザは、例えば実質的に頭蓋方向に、ダイレータの近位領域に力を加えることができる。ダイレータの遠位領域が穿刺に進入して肺動脈弁を通って前進するように、力をダイレータの遠位領域に伝達可能である。ダイレータのより大きな直径の領域が穿刺を通過すると、穿刺又はチャネルが拡張される。
【0123】
他の用途では、本発明の装置の実施形態は、身体の他の組織内に又はそれを通る、例えば、心臓の心筋内に又はそれを通る、空隙又はチャネルを形成するために使用可能である。他の実施形態では、装置は、体内の完全に又は部分的に閉塞されたルーメンを通してチャネルを形成するために使用される。そのようなルーメンの例としては、血管、胆管、呼吸器の気道、並びに消化器系、尿路、及び/若しくは生殖器系の血管及び/又は管が挙げられるが、これらに限定されない。そのような実施形態では、装置は、典型的には、穿孔される物質に装置の電極が実質的に隣接するように配置される。次いで、エネルギーがエネルギー源から電極106を通して標的部位に送達され、その結果、空隙、穿刺、又はチャネルが組織内に又は組織を通して形成される。
【0124】
本開示は、医療装置のルーメンと周囲環境との間の流体連通が、医療装置及び装置が挿入される管状部材によって協働して画定される管路によって提供される装置を共に形成する、キット及びその構成要素の実施形態を説明する。医療装置及び管状部材は、医療装置の遠位領域の外面が管状部材の内面と協働して、医療装置のサイドポートと管状部材の遠位端との間に管路を画定するように、互いに適合するように構成される。管路は、流体を注入すること、流体を引き出すこと、及び圧力を測定することを含む様々な用途のために動作可能である。装置を組み立てる方法及び使用する方法も同様に説明される。
【0125】
本開示は、電気外科手術装置の遠位部分から電気外科手術装置の近位部分への力の伝達のために構成され、それによって、ユーザに触覚フィードバックを提供する、電気外科手術装置を更に説明する。装置の近位部分は、ハンドル及び/又はハブを備え、ハンドル(又はハブ)は、ユーザが組織層を穿刺することを可能にするために、エネルギー源と電気連通するように動作可能である導電性構成要素を解放可能な方法で受け入れるように構成される、電気コネクタ(すなわち、コネクタ手段)を含む。場合によっては、無線周波数(RF)エネルギー源を使用して、RFエネルギーを組織に選択的に印加する。装置の典型的な実施形態は、ユーザ及び患者を保護するための絶縁体を含む。
【0126】
本発明の別の態様は、心臓の左心房(又は心膜腔)にアクセスするための穿刺装置及び方法を含み、この方法は、実質的に心房中隔(又は壁側心膜)を通るチャネルを形成し、チャネルが形成された後にエネルギーの自動遮断により周囲組織への不慮の損傷をもたらさないように、心房中隔(又は壁側心膜)にエネルギーを送達することを含む。開示される装置は、左心房及び心膜腔の両方にアクセスするために好適であるが、簡潔さのために、以下の説明は、心房中隔へのエネルギーの送達によって心臓の左心房へのアクセスを得ることに焦点を当てる。チャネルが形成された後のエネルギーの自動遮断に関する以下に開示される概念は、心外膜処置及び経中隔処置の両方に適用可能である。
【0127】
開示される装置、システム、及び方法は、他の処置に使用可能である。例えば、開示されるシステム及び方法は、穿刺される組織が肝臓の流入門脈と流出肝静脈との間の肝臓組織であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間が流入門脈であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)が血液である、TIPS処置に使用可能である。電流は、エネルギー送達の停止を制御するためにインピーダンス又は誘電性を判定する目的で、血流を通して送られる。
【0128】
開示される装置及びシステムを使用可能な他の実施例は、以下を含み、無線周波数エネルギーの送達は、穿刺装置が標的組織の穿孔を完了し、所望の解剖学的空間に進入した後、自動的に停止される。エネルギー送達の自動停止は、この段落の実施例では血液である、目的の解剖学的空間内の物質を通って流れる電流についてのパラメータの値を決定するセンサによって制御される。Potts Shunt処置では、穿刺される組織は、左肺動脈と下行大動脈との間の組織であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、下行大動脈であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、血液である。血管にアクセスすることを含む処置の場合、穿刺される組織は、血管壁であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、血管(又は標的血管)であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、血液である。シャントを形成するための一般的な処置では、穿刺される組織は、身体の2つの部分(又は解剖学的構造)の間の物質であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、目的の解剖学的構造であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、目的の解剖学的構造の内側に含まれる物質である。TAVRにおけるTranscavalアクセスのための処置では、穿刺される組織は、腹大動脈と隣接する下大静脈(inferior vena cava、IVC)との間の組織であり、装置が穿刺後に進入する解剖学的空間は、腹大動脈であり、装置が穿刺後に進入する物質(流体又は組織)は、血液である。上記の処置において、電流は、インピーダンス又は誘電性を判定する目的で、装置が穿刺後に入る物質(流体又は組織)を通して送られ、それによって、穿刺のためのエネルギーの送達を停止する。
【0129】
患者の心房中隔を穿刺するための方法の実施形態と共に使用するために好適な装置の実施例は、図13aに見ることができる。穿刺装置900は、遠位先端912で終端する遠位領域910を有する細長部材を備える。遠位先端912は、エネルギーを組織内に送達するように構成される、電極などのエネルギー送達装置914を備える。更に、穿刺装置900は、典型的には、標的組織が穿孔されたかどうかを検出するために使用可能な、追加の電極916を遠位先端912上に有する。細長部材は、ハブ922が取り付けられた近位部分920を更に備える。ハブ922は、穿刺装置900にエネルギーを提供するためのジェネレータに接続する。穿刺装置900は、ハイポチューブ(図13b)などの中空導電性チューブ又はガイドワイヤ(図13c)などのワイヤであり得る。
【0130】
ここで図13bを参照すると、細長部材は、装置の近位端から遠位部分910まで延びるルーメン932を形成する中空導電性チューブ930を備える。導電性チューブは、ステンレス鋼などの、ジェネレータから遠位先端912にエネルギーを送達することが可能な任意の導電性材料から形成可能である。穿刺装置は、ルーメン932と流体連通し、かつ処置中に流体を注入又は吸引するために使用可能な、サイドポート936を備える。導電性チューブ930は、絶縁層934、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でコーティングされ、それによって、エネルギーが、遠位先端912にあるエネルギー送達装置914に送達される。典型的な実施形態では、遠位先端912に位置する電極916は、穿刺されている組織に電流を送るために使用される。穿刺装置900の構成要素又はジェネレータの構成要素であり得る、センサは、組織から戻る電流の特性の変化を検出し、穿刺が完了したことをジェネレータに信号伝達することができ、それをうけてエネルギーの送達が遮断される。例えば、センサは、遠位先端912にある電極916と接触している物質のインピーダンスの変化又は誘電特性の変化を検出することができてもよい。これを可能にするために、電極916は、エネルギー送達装置914から電気的に隔離されている。これは、電極916を絶縁材料917で取り囲み、それによって電極916を電気的に隔離するようになど、エネルギー送達装置914の一部分を電気絶縁材料917で覆わせることによって達成可能である。配線918は、電極916をジェネレータに接続し、典型的には、穿刺装置900の長さに沿って延びる。いくつかの実施形態(例えば、図13b)では、この配線918は、絶縁体934と導電性チューブ930との間にあり、これは、典型的には、配線918が導電性チューブ930から絶縁されていることを必要とする。代替実施形態では、配線918は、絶縁体934の外部に沿って延びる。
【0131】
本発明の代替実施形態では、穿刺装置900は、組織内にエネルギーを送達するように構成されたワイヤから成る(図13c)。図示の実施例では、穿刺装置900は、コアワイヤ940から形成されている。図13cの実施形態では、コアワイヤ940は、遠位テーパ942を備え、コイル944は、遠位テーパ942を取り囲み、遠位先端912で終端する。穿刺装置900の構成要素は、少なくともコアワイヤ940の直径、遠位テーパ942の長さ、又はコイル944を含めて、様々であり得る。例えば、コアワイヤ940の直径は、(それが構成される材料に加えて)ワイヤの可撓性を決定するのに役立つ。相対的に小さい直径は、可撓性の増大をもたらす。遠位テーパ942は、トルク伝達能力に影響を及ぼす。より短い距離にわたる急なテーパは、遠位部分910が逸脱する(すなわち、それ自体の上に折り重なる)傾向をもたらす一方で、より長い距離にわたる緩やかなテーパは、より大きいトルクを提供する。これは、穿刺装置900の血管系内の屈曲部の周りで操作する能力に影響を及ぼす。遠位テーパ942から遠位先端912まで延びるコイルは、遠位先端912の形状を保持するのに役立ち、追従性に影響を及ぼし、ユーザに触覚フィードバックを提供可能である。例えば、相対的に剛性のコイルは、ユーザにより多くの触覚フィードバックを提供可能なが、穿刺装置900が曲がりくねった血管を通してナビゲートすることをより困難にする。いくつかの実施形態では、コアワイヤ940及びコイル944は、組織へのエネルギーの送達が遠位先端912にあるエネルギー送達装置914から生じることを確実にするために、絶縁材料934で被覆された、ニチノール又はステンレス鋼などの導電性材料から成る。絶縁材料934は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの任意の好適な電気絶縁材料であり得る。遠位先端912は、エネルギー送達装置914と、エネルギー送達装置914から電気的に隔離された電極916とを備える。この隔離は、電極916とエネルギー送達装置914との間の接触を分離するために、絶縁材料917で遠位先端912の一部分を覆うことによって達成可能である。いくつかの実施形態では、電極916は、一方の電極から組織を通って移動し、他方の電極を通って戻る電流の変化を検出する能力を有するセンサに接続されている。センサは、穿刺装置900の構成要素又はジェネレータの構成要素であり得る。例えば、センサは、遠位先端912にある電極916と接触している物質のインピーダンス又は誘電特性の変化を検出可能である。配線918は、電極916をジェネレータに接続し、穿刺装置900の長さに沿って延びてもよい。いくつかの実施形態では、この配線918は、コアワイヤ940に沿って絶縁体934の内側にあり、これは、配線918がコアワイヤ940から絶縁されていることを必要とする。代替実施形態では、配線918は、絶縁体934の外部に沿って延びる。
【0132】
典型的な実施形態では、電極916の配置は、遠位先端912の面上である。電極916の配置のいくつかの実施例が図14a~図14cに示されている。電極916は、電極916が依然として機能可能な状態で、離された距離が変化してもよい。電極916は、電流が一方の電極から組織を通って他方の電極に流れることができるように、十分に離れているべきである。前述のように、電極916は、エネルギーの送達を妨害しないように、エネルギー送達装置914から電気的に隔離されているべきである。図14aの実施形態では、電極916は、面の外周に配置され、エネルギー送達装置914は、穿刺を提供するために遠位面の中心にある。図14bの実施形態では、電極916は、エネルギー送達装置914の中心線に配置されている。いくつかの実施形態では、絶縁材料917は、穿刺中に組織にフラップを形成するように配置されている(例えば、図14c)。
【0133】
装置の代替実施形態が図15aに示されており、電極916は、遠位先端912の側部に配置されている。いくつかのそのような実施形態では、電極916は、互いに横方向に反対側にある。使用時には、電極916は、標的組織と接触しているが、医師は、組織1110に圧力をかけていて、図15bに見られるように、遠位先端912上でそれをテント状にさせる。先の実施形態と同様に、電極916は、遠位先端912にあるエネルギー送達装置914から電気的に隔離されている。例えば、いくつかの実施形態では、電極916は、穿刺装置900の遠位領域910を覆う絶縁体934に取り付けられている。代替的に、電極916が取り付けられている遠位先端912の縁部上に配置された絶縁材料917の別個のバンドが存在してもよい。
【0134】
ここで図16を参照すると、いくつかの実施形態では、穿刺装置900の遠位先端912に位置する電極916は、ハブ922から配線を介してジェネレータに接続されている。この配線は、エネルギー送達装置914にエネルギーを送達すると共に、電極916に電流を送達するために使用される。例えば、ジェネレータ1210は、無線周波数エネルギーなどの高周波エネルギーを、エネルギー送達装置914を介して標的組織にパルスで送達し、一方、パルスの間で、ジェネレータ1210は、既知の電圧の電流を穿刺装置900に提供し、穿刺装置900は、電流を遠位先端912にある電極916のうちの1つに送る。次いで、電流は、一方の電極916から組織1220(組織1220は、図面において抵抗器記号によって表される)を通って流れ、他方の電極916を通って戻る。次いで、インピーダンスは、センサ1230によって検出され、この情報は、いったん組織が穿刺されてインピーダンスが減少すると、エネルギー送達装置914を介したエネルギーの送達を遮断するために、ジェネレータスイッチ1240によって使用される。
【0135】
一実施形態では、ジェネレータは、インピーダンスの変化に応答して、エネルギー送達装置914へのエネルギーの送達を停止する、ハードウェアスイッチを有する。そのようなスイッチの例は、MOSFETなどのゲートスイッチに接続された比較器である。
【0136】
別の実施形態では、図17A及び図17Bの実施例に示す、穿刺のためのエネルギー送達を遮断するためのソフトウェアアルゴリズムがジェネレータ内に実装されている。ここで図17Aのアルゴリズムを参照すると、ステップ1300は、既知の電圧を有する電流を組織に送ることである。ステップ1310は、穿刺装置の遠位先端912と接触している組織又は流体のインピーダンスを検出し、値が組織又は血液の値であるかを判定するためのものである。インピーダンス値が組織のインピーダンス値である場合(1320)、アルゴリズムは、エネルギーを送達し続けるステップ1322に分岐し、ステップ1322は、ステップ1300に分岐して戻る。ステップ1310において判定された値が血液のインピーダンス値である場合(1330)、アルゴリズムは、エネルギー送達装置914を通したエネルギー送達を停止するステップ1332に分岐する。インピーダンス閾値を有する代替実施形態が図17Bに示されている。図17Bの右に見られるように、閾値は、組織のインピーダンス値を下回り、血液のインピーダンス値を上回る。この実施形態では、ステップ1300は、既知の電圧を有する電流を組織に送ることである。ステップ1310は、穿刺装置の遠位先端912と接触している組織及び/又は流体のインピーダンスの値を判定するためのものである。ステップ1340では、インピーダンスの検出された値が閾値と比較される。検出されたインピーダンスが閾値以上である場合(はい)、検出されたインピーダンスは、組織のインピーダンス値により近く、アルゴリズムは、送達し続けるステップ1342に分岐する。検出されたインピーダンスが閾値未満である場合(いいえ)、検出されたインピーダンスは、血液のインピーダンス値により近く、アルゴリズムは、ステップ1344に分岐し、エネルギー送達装置914を通したエネルギーを送達停止する。
【0137】
図17A及び図17Bのアルゴリズムの上記の説明は、左心房へのアクセスを必要とする処置に対して適切である流体、具体的には血液のインピーダンスを検出することを開示する。心膜腔にアクセスするのに適した図17A及び図17Bのアルゴリズムの代替実施形態は、心嚢液及び/又は血液のインピーダンスを検出することを含む。同様に、図19A及び図19Bのアルゴリズムの以下の説明は、血液のインピーダンスを検出することを開示する。心膜腔にアクセスするのに適した図19A及び図19Bのアルゴリズムの代替実施形態は、心嚢液及び/又は血液のインピーダンスを検出することを含む。
【0138】
図18は、センサ1430が、穿刺装置900の遠位先端912に位置する電極916と接触する物質の誘電特性を検出する、代替実施形態を示す。前述したものと同様に、エネルギー送達装置914を介して穿刺するためのエネルギーのパルスを送達するジェネレータ1410の間に、既知の電圧の電流が、遠位先端912の電極916のうちの1つに送達される。電流は、一方の電極916から組織1220を通って流れ、他方の電極916を通って戻る。組織及び血液はそれぞれ、異なる誘電特性を有し、それによって、誘電特性の変化がセンサ1430によって判定されて、先端が組織内にあるか又は流体(例えば、血液又は心嚢液)内にあるかを示す。次いで、遠位先端912と接触している物質の誘電特性は、ジェネレータ1410がエネルギーを送達し続ける、又はエネルギー送達装置914を介してエネルギーを送達することを遮断するかを制御するために、ジェネレータスイッチ1440によって使用される。
【0139】
誘電特性を使用するいくつかの実施形態では、エネルギー送達を制御するためのハードウェア構成が採用されてもよい。いくつかのそのような実施例では、ジェネレータは、遠位先端における誘電性の変化に応答するハードウェアスイッチを有する。いくつかの実施例では、比較器は、血流又は心嚢液(すなわち、穿刺されている組織ではない)の誘電性が検出される場合に開かれ得、それによって、エネルギー送達装置914へのエネルギーの送達を停止する、ゲートスイッチに接続されている。
【0140】
エネルギー送達装置914を通したエネルギーの送達を制御するために誘電特性を使用する代替実施形態は、ソフトウェアアルゴリズムで実装され、実施例が、図19A及び図19Bに示されている。図19Aのアルゴリズムにおいて、ステップ1500は、既知の電圧の電流を送るためのものである。ステップ1510では、穿刺装置の遠位先端912と接触している組織又は流体の誘電性が判定され、その値が組織の値である1520か、又は血液の値である1530かがチェックされる。誘電値が組織の誘電値である場合(1520)、アルゴリズムは、エネルギーの送達を続けるステップ1522に分岐する。ステップ1522は、ステップ1500に分岐して戻る。誘電値が血液の誘電値である場合(1530)、アルゴリズムは、エネルギー送達装置914へのエネルギーの送達を停止するステップ1532に分岐する。誘電性閾値を使用する代替実装形態が、図19Bに示されている。この実施形態では、ステップ1500は、既知の電圧の電流を送るためのものであり、遠位先端912と接触している物質の誘電特性は、ステップ1510で判定される。検出された誘電性は、ステップ1540において閾値と比較される。閾値を上回る任意の検出された誘電値は、穿刺装置の遠位先端と接触している物質が組織であることを示し、従って、エネルギー送達装置914へのエネルギー送達が継続される(ステップ1542)。ステップ1542は、ステップ1500に分岐して戻る。検出された誘電値が閾値未満に低下すると、エネルギー送達装置914へのエネルギー送達が停止される(ステップ1544)。
【0141】
図13図20に示し、上述した実施形態では、センサは、穿刺装置900の構成要素又はジェネレータの構成要素であり得る。穿刺装置がセンサ1230(図16)又はセンサ1430(図18)を含むいくつかの実施形態では、センサは、2つの電極916間の、遠位先端912と接触している物質を通して流れる電流に関連付けられた電流の値を検出することが可能であり、穿刺装置は、2つの電極間の電流の値をジェネレータスイッチ1240(図16)又はスイッチ1440(図18)に通信する手段を有する。ジェネレータ1210(図16)又はジェネレータ1410(図18)がセンサを含むいくつかの実施形態では、穿刺装置は、既知の電圧の電流を送達している電極916からの第1の電極電流パラメータと、それを通して電流が穿刺装置900に戻る電極916からの第2の電極電流パラメータとをセンサと通信する手段を備える。
【0142】
前述の穿刺装置を使用する方法は、エネルギー送達装置を通して患者の心臓の心房中隔にエネルギーを送達するステップと、心房中隔を通してエネルギー送達装置を前進させるステップと、穿刺が完了するとエネルギーの送達を自動的に停止するステップとを含む。
【0143】
エネルギーを中隔に送達する前に、多数のステップが行われてもよい。例えば、抗生物質又は麻酔薬などの様々な治療組成物又は薬剤を患者に投与することができ、撮像を含む様々な診断検査を行うことができる。
【0144】
図20は、患者の左心房へのアクセスを得るために経中隔穿刺中に使用可能なシステム1600の例示的な実施形態を示す。システム1600は、遠位先端912にあるエネルギー送達装置914を備える遠位部分910を有する穿刺装置900と、ダイレータ1620と、シース1630とを備える。穿刺装置900の近位端920に位置するハブ922に取り付けられた接続ワイヤ1650を通してエネルギー送達装置914にエネルギーを送達するために、ジェネレータ1640が使用される。エネルギー送達装置914に送達されるエネルギーは、高周波範囲内、例えば、無線周波数エネルギーであり得る。穿刺装置900の遠位先端912は、遠位先端912に位置する電極916(図13b及び図13c)を有する。電流を電極916間に送ることができる。電流の定量化可能な値は、電流が遠位先端912の電極916間を流れている間に物質を通って移動するときに検出可能である。例えば、血液(又は代替的に、心嚢液)と中隔の組織のインピーダンス又は誘電特性は、異なる。センサは、穿刺を完了した後に遠位先端912がもはや組織と接触しておらず、左心房の血液と現在接触しているときの電流の変化を判定し、それをうけて、信号がジェネレータ1640に送り返されて、エネルギー送達装置914へのエネルギーを送達停止する。
【0145】
血管系のアクセスの容易さに応じて、電気外科手術装置の挿入に対する種々のアプローチを使用可能である。例えば、本発明の方法の1つの用途は、図13bに概説される電気外科手術装置の実施形態を使用する。図13bの実施形態は、ハイポチューブなどの中空導電性チューブを備え、典型的には針の特性を有する。本方法のこの実施形態では、穿刺装置900は、下大静脈を通って右心房に入る。本方法のこの実施形態のステップは、以下を含む。
【0146】
(i)鼠径部を通って大腿静脈への血管系へのアクセスを得る。
(ii)ガイドワイヤを大腿静脈に挿入する。
(iii)ガイドワイヤを、下大静脈を上って右心房へ、そして上大静脈内へ前進させる。
【0147】
(iv)ガイドワイヤをガイドレールとして使用して、穿刺装置900、ダイレータ1620、及びシース1630のアセンブリを前進させる。ガイドワイヤを除去する。
(v)穿刺装置900の遠位先端912がダイレータ1620及びシース1630の遠位先端からわずかに突出した状態で、遠位先端912が中隔の卵円窩上に位置するようにアセンブリを操作する。
【0148】
(vi)ジェネレータ1640をオンにし、エネルギーをパルスで組織に送達する。
(vii)エネルギーのパルスの間に遠位先端912にある電極を介して組織に電流を送達する。
【0149】
(viii)穿刺が完了すると、穿刺装置を右心房から左心房に前進させる。処置のこの時点で、遠位先端912は、もはや卵円窩の組織と接触しておらず、遠位先端912にある電極からの電流が変化する(すなわち、インピーダンスの変化又は誘電性の変化)。
【0150】
(ix)センサを介して電気特性の変化を検出する。これにより、ジェネレータ1640がエネルギーの送達を停止することになる。
(x)ダイレータ1620及びシース1630を穿刺装置900上で左心房内へ前進させる。ダイレータ1620及び穿刺装置900を除去する。シース1630を使用して、処置を完了するために補助装置を左心房内に送達する。
【0151】
同様の手順が、図13cに記載される実施形態で使用されてもよい。図13cの穿刺装置900の実施形態は、ワイヤを備える。本方法のこの実施形態では、穿刺装置900は、ガイドワイヤとして使用されてもよい。本方法のこのような実施形態のステップは、以下の通りである。
【0152】
(i)鼠径部を通って大腿静脈への血管系へのアクセスを得る。
(ii)可撓性ワイヤを備える穿刺装置900を大腿静脈に挿入する。
(iii)穿刺装置900を、下大静脈を上って右心房へ、そして上大静脈内に前進させる。
【0153】
(iv)穿刺装置900をガイドレールとして使用して、ダイレータ1620及びシース1630のアセンブリを前進させる。
ステップ(v)~(x)は、上記方法と同じである。
【0154】
代替方法では、右心房へのアクセスは、図13cに記載される穿刺装置の実施形態を使用して、上大静脈を通して達成される。図13cの穿刺装置900の実施形態は、ワイヤを備え、ガイドワイヤとして使用されてもよい。このような方法では、操縦可能なシースが使用されることが多い。そのような方法のステップは、以下の通りである。
【0155】
(i)鎖骨下静脈を通して血管系へのアクセスを得る。
(ii)可撓性ワイヤを備える穿刺装置900を鎖骨下静脈に挿入する。
(iii)穿刺装置を、上大静脈を通して右心房まで前進させる。
【0156】
(iv)穿刺装置900をガイドレールとして使用して、ダイレータ1620及びシース1630のアセンブリを前進させる。
(v)~(x)は、上記と同じである。
【0157】
別の代替方法は、穿刺装置900を使用して、壁側心膜を穿刺することによって心臓の心膜腔へのアクセスを得ることである。本明細書で使用されるとき、壁側心膜は、線維性心膜並びに壁側層の両方を含む、心膜の2つの外層を指す。本方法のそのような実施形態は、
(i)穿刺装置、ダイレータ、及びシースを心臓に向かって前進させるステップと、
(ii)穿刺装置の遠位先端がダイレータ及びシースの遠位先端からわずかに突出した状態で、穿刺装置の遠位先端が壁側心膜上に位置し、穿刺装置の遠位先端上のエネルギー送達装置及び2つの電極が壁側心膜の組織に接触するように、穿刺装置、ダイレータ、及びシースのアセンブリを操作するステップと、
(iii)ジェネレータをオンにし、組織を穿刺するためのエネルギーのパルスを、エネルギー送達装置を通して壁側心膜の組織に送達するステップと、
(iv)ステップ(iii)のエネルギーのパルスの間に、壁側心膜の組織を介して穿刺装置の遠位先端にある2つの電極間に、既知の電圧の電流であって、2つの電極のうちの第1の電極を通って穿刺装置から出て、2つの電極のうちの第2の電極を通って穿刺に戻る、電流を送達するステップと、
(v)穿刺を完了すると、穿刺装置を心膜腔内に前進させ、それによって、穿刺装置の遠位先端がもはや壁側心膜の組織と接触しておらず、穿刺装置の遠位先端にある電極間の電流の電気特性の値に変化がある、前進させるステップと、
(vi)センサを介して電気特性の値の変化を検出し、それによって、ジェネレータによる組織を穿刺するためのエネルギーの送達を自動的に停止するステップと、を含む。
【0158】
心膜腔へのアクセスを得る方法の上記実施形態では、穿刺を完了時に変化する電気特性は、インピーダンス又は誘電性である。
上述の本発明の実施形態は、例示のみを意図している。それゆえ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【0159】
明確化のために別個の実施形態の文脈で説明されている、本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできる点が理解されよう。逆に、簡略化のために単一の実施形態の文脈で説明されている、本発明の様々な特徴もまた、別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせで提供可能である。
【0160】
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替形態、修正形態、及び変形形態が当業者には明らかであることは明白である。従って、添付の特許請求の範囲内に収まる、全てのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を包含することが意図されている。本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個別の刊行物、特許、又は特許出願のそれぞれが、具体的かつ個別に、参照により本明細書に組み込まれるように示された場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。更には、本出願における、いずれの参考文献の引用又は特定も、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺システムであって、
前記穿刺システムは、近位部分及び遠位部分を備える細長部材を備え、
前記近位部分は、組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とが前記細長部材に供給されるように、ジェネレータに接続されるように構成されており、
前記遠位部分は遠位先端で終端し、前記遠位先端は、穿刺のためのエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達システムと、前記遠位先端と接触している物質を通して前記既知の電圧の電流を送達するように構成された2つの電極とを備え、前記2つの電極のうちの第1の電極は電流を前記物質に送達し、当該電流は、前記2つの電極のうちの第2の電極を通して前記穿刺システムに戻る、
穿刺システム
【請求項2】
前記遠位先端と接触している前記物質を通って流れる前記電流に関連付けられた前記2つの電極間の前記電流の値を検出可能なセンサを更に備え、前記穿刺システムは、前記2つの電極間の前記電流に関連付けられた前記値を前記ジェネレータと通信する手段を有する、請求項1に記載の穿刺システム
【請求項3】
組織を穿刺するためのエネルギーと既知の電圧の電流とを供給可能なジェネレータを更に備える請求項1又は2に記載の穿刺システム。
【請求項4】
前記ジェネレータはジェネレータスイッチを備え、前記ジェネレータスイッチは、前記センサによって検出された前記電流の値に基づいて、前記遠位先端の前記エネルギー送達システムへの穿刺のためのエネルギーの供給を不能にする、請求項3に記載の穿刺システム。
【請求項5】
前記ジェネレータスイッチはハードウェアスイッチである、請求項に記載の穿刺システム。
【請求項6】
前記ジェネレータスイッチはソフトウェアアルゴリズムである、請求項に記載の穿刺システム。
【請求項7】
前記ジェネレータスイッチは、前記センサによって検出された値が血液に関連付けられた値であるとき、穿刺のためのエネルギーの送達を不能にする、請求項4~6のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項8】
前記ジェネレータスイッチは、前記センサによって検出された値が閾値未満であり、かつ前記閾値が血液に関連付けられた値と組織に関連付けられた値との間にあるとき、穿刺のためのエネルギーの送達を不能にする、請求項4~6のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項9】
前記ジェネレータは、パルスで組織を穿刺するためのエネルギーを送達し、前記既知の電圧の電流が、穿刺のためのエネルギーのパルスの間に前記2つの電極のうちの前記第1の電極に送達される、請求項4~8のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項10】
第1の電極電流パラメータ及び第2の電極電流パラメータを前記ジェネレータに通信する手段を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項11】
前記センサは、インピーダンス又は誘電性を検出するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項12】
前記細長部材は可撓性ワイヤ又は針である、請求項1~11のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項13】
前記2つの電極は、前記穿刺システムの遠位面上に位置する、請求項1~12のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項14】
前記エネルギー送達システムから前記2つの電極を電気的に隔離する絶縁材料を更に備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の穿刺システム。
【請求項15】
前記2つの電極は、遠位先端の側面上で互いに横方向に反対側に位置する、請求項1~12のいずれか一項又は14に記載の穿刺システム。
【国際調査報告】