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特表2023-547184単一微細藻類からタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含むバイオマスを製造する方法およびこれによって製造されたバイオマス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】単一微細藻類からタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含むバイオマスを製造する方法およびこれによって製造されたバイオマス
(51)【国際特許分類】
   C12P 21/00 20060101AFI20231101BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20231101BHJP
   C12P 7/6434 20220101ALI20231101BHJP
   C12P 7/6432 20220101ALI20231101BHJP
【FI】
C12P21/00
C12N1/12 Z
C12P7/6434
C12P7/6432
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525566
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2021003477
(87)【国際公開番号】W WO2022124482
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0169849
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】シン,ウォン・ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ソン・フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヘ・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】クァク,ジュン・ソク
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AD88
4B064AD90
4B064AG01
4B064CA08
4B064CD04
4B064CD12
4B064CD19
4B064CD21
4B065AA83X
4B065AC14
4B065BB04
4B065BB14
4B065BB15
4B065BB22
4B065CA13
(57)【要約】
本出願は単一微細藻類からタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含むバイオマスを製造する方法およびこれによって製造されたバイオマスに関するものであって、一様相によるバイオマス製造方法によれば、窒素源を培養過程中に持続的に供給することによって高含量のタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含む単一微細藻類由来バイオマスを製造することができ、これによって製造されたバイオマスはタンパク質およびオメガ3脂肪酸の単一微生物供給源として有用に活用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラウストキトリッド(Thraustochytrid)系微細藻類である単一菌株を培地で培養する段階;および
前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含む、スラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項2】
前記窒素源は微細藻類を培地に接種した直後から培養終了時まで供給するものである、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項3】
前記窒素源は培養液内の総窒素濃度が300ppm以上になるように持続的に供給するものである、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項4】
前記培地は炭素源および窒素源を含むものである、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項5】
前記窒素源は、i)酵母抽出物(yeast extract),牛肉抽出物(beef extract),ペプトンおよびトリプトンからなる群より選択されるいずれか一つ以上の有機窒素源、または、ii)アンモニウムアセテート,アンモニウムニトレート,アンモニウムクロリド,アンモニウムスルフェート,ソジウムニトレート,ウレア,MSG(Monosodium glutamate)およびアンモニアからなる群より選択されるいずれか一つ以上の無機窒素源である、請求項1または4に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項6】
前記炭素源は、グルコース,フルクトース,マルトース,ガラクトース,マンノース,スクロース,アラビノース,キシロースおよびグリセロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上である、請求項4に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項7】
前記スラウストキトリッド系微細藻類は、スラウストキトリウム属(Thraustochytrium sp.),スキゾキトリウム属(Schizochytrium sp.),オーランチオキトリウム属(Aurantiochytrium sp.)またはスラウストキトリーダエ属(Thraustochytriidae sp.)である、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項8】
前記菌株,前記菌株の培養物,前記培養物の乾燥物または前記乾燥物の破砕物からバイオマスを回収する段階をさらに含む、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項9】
前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質および37重量%以下の脂肪を含むものである、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項10】
前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質、およびオメガ3脂肪酸を含むものである、請求項1に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項11】
前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)およびエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)のうちのいずれか一つ以上を含むものである、請求項10に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項12】
前記バイオマスは、総脂肪酸(total fatty acid)重量に対して15~60重量%のオメガ3脂肪酸を含むものである、請求項10に記載のスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法。
【請求項13】
スラウストキトリッド(Thraustochytrid)系微細藻類である単一菌株を培地で培養する段階;および
前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含むバイオマス製造方法によって製造された、スラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマス。
【請求項14】
前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質および37重量%以下の脂肪を含むものである、請求項13に記載のスラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマス。
【請求項15】
前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質、およびオメガ3脂肪酸を含むものである、請求項13に記載のスラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマス。
【請求項16】
前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸のうちのいずれか一つ以上を含むものである、請求項15に記載のスラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマス。
【請求項17】
前記バイオマスは、総脂肪酸重量に対して15~60重量%のオメガ3脂肪酸を含むものである、請求項15に記載のスラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、単一微細藻類からタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含むバイオマスを製造する方法およびこれによって製造されたバイオマスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
不飽和脂肪酸(unsaturated fatty acid)は、脂肪酸鎖内に1つ以上の二重結合を有している脂肪酸であり、2以上の二重結合を含む場合、多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)と呼ばれる。このうちドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)およびエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)は代表的なオメガ3脂肪酸であって、頭脳、眼球組織および神経系に必須の脂肪酸である。また、これらは乳児の視力および運動神経能力など神経系発達および心血管疾患予防に重要な機能を果たすと知られており、脳の構造的脂質に最も豊富な構成要素である。
【0003】
産業的にオメガ3脂肪酸のような多価不飽和脂肪酸を供給する主要供給源は、青魚の油から抽出された漁油であり、魚粉(fish meal)も食品または飼料のタンパク質供給源として多く使用されている。しかし、漁獲量制限など持続的な魚油および魚粉供給の困難によって、魚油および魚粉を代替することができるオメガ3脂肪酸およびタンパク質の代替供給源開発の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0208297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近、微細藻類培養による多価不飽和脂肪酸製造に関する研究が行われているが、これは脂肪酸などオイル生産を目的とした研究に集中されており、微細藻類から高含量のタンパク質を生産することができる方法については研究が少ないのが実情である。よって、本出願の発明者らは単一微細藻類からオメガ3脂肪酸および高含量のタンパク質を含むバイオマスを製造する方法を導出して本出願を完成した。
【0006】
本出願の目的は、スラウストキトリッド(Thraustochytrid)系微細藻類である単一菌株を培地で培養する段階;および前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含むスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法、およびこれによって製造されたスラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願で開示されるそれぞれの説明および実施形態は、それぞれの他の説明および実施形態にも適用できる。即ち、本出願で開示された多様な要素の全ての組み合わせが本出願の範疇に属する。また、下記に記述された具体的な叙述によって本出願の範疇が制限されると言えない。また、当該技術分野の通常の知識を有する者は、通常の実験のみを使用して本出願に記載された本出願の特定様態に対する多数の等価物を認知するか確認することができる。また、このような等価物は本出願に含まれるものと意図される。
【0008】
一様相は、スラウストキトリッド(Thraustochytrid)系微細藻類である単一菌株を培地で培養する段階;および前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含むスラウストキトリッド系微細藻類由来バイオマス製造方法を提供する。
【0009】
本明細書で使用される用語、“スラウストキトリッド(Thraustochytrid)”は、スラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目の微細藻類を意味する。前記スラウストキトリッド系微細藻類は、スラウストキトリウム属(Thraustochytrium sp.)、スキゾキトリウム属(Schizochytrium sp.),オーランチオキトリウム属(Aurantiochytrium sp.)またはスラウストキトリーダエ属(Thraustochytriidae sp.)の微細藻類であってもよい。
【0010】
本明細書で使用される用語、“スラウストキトリウム属(Thraustochytrium sp.)”,“スキゾキトリウム属(Schizochytrium sp.)”,“オーランチオキトリウム属(Aurantiochytrium sp.)”および“スラウストキトリーダエ属(Thraustochytriidae sp.)”は、スラウストキトリアレス目のスラウストキトリアセアエ(Thraustochytriaceae)科に属する属名のうちの一つであって、それぞれ用語“スラウストキトリウム属(genus Thraustochytrium)”,“スキゾキトリウム属(genus Schizochytrium)”,オーランチオキトリウム属(genus Aurantiochytrium)および“スラウストキトリーダエ属(genus Thraustochytriidae)”と混用できる。
【0011】
また、前記用語“微細藻類(microalgae)”は、葉緑素で光合成を行う植物のうち、肉眼で見ることができず顕微鏡を通じてのみ見ることができ、水中で自由に浮遊して生きていく生物を意味し、植物プランクトン(Phytoplankton)とも呼ばれる。
【0012】
一具体例で、前記スラウストキトリッド系微細藻類は、例えば受託番号KCTC14346BPとして寄託されたスラウストキトリーダエ属微細藻類CD01-6003、または受託番号KCTC14345BPとして寄託されたスキゾキトリウム属微細藻類CD01-5004であってもよいが、これに制限されない。
【0013】
本明細書で使用される用語“バイオマス(biomass)”は、化学的エネルギーとして使用可能な植物,動物,微生物などの生物体、即ち、バイオエネルギーのエネルギー源を意味し、生態学的に単位時間および空間内に存在する特定生物体の重量またはエネルギー量を意味することもある。また、前記バイオマスは細胞によって分泌される化合物を含むが、これに制限されず、細胞外物質だけでなく細胞および/または細胞内内容物を含有するものであってもよい。本出願で前記バイオマスは、スラウストキトリッド系微細藻類それ自体、その培養物、その乾燥物、その破砕物または前記微細藻類を培養するか発酵して生産された産物であってもよく、または前記バイオマスの濃縮物または乾燥物であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0014】
前記スラウストキトリッド系微細藻類の“培養物”は、前記微細藻類を培養して生成された産物を称するものであって、具体的に微細藻類を含む培養液または微細藻類が除去された培養液であってもよいが、これに制限されるわけではない。前記スラウストキトリッド系微細藻類培養物の“乾燥物”は、前記微細藻類培養物から水分が除去されたものであって、例えば前記微細藻類の乾燥菌体形態であってもよいが、これに制限されるわけではない。また、前記乾燥物の“破砕物”は、前記微細藻類培養物から水分が除去された乾燥物を破砕した結果物を総称するものであって、例えば乾燥菌体粉末であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0015】
前記スラウストキトリッド系微細藻類の培養物は、微細藻類培養培地に前記微細藻類を接種して培養する段階、および前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含む培養方法によって製造することができ、前記培養物の乾燥物およびその破砕物は、当業界に公知された微細藻類または培養液の処理または乾燥方法によって製造することができる。
【0016】
前記バイオマス製造方法において、前記窒素源は、微細藻類を培地に接種した直後から培養終了時まで供給するものであってもよい。
【0017】
また、前記窒素源は、培養液内の総窒素濃度が300ppm以上になるように持続的に供給するものであってもよい。例えば前記窒素源は、培養液内の総窒素濃度が300~10,000ppm、300~8,000ppm、300~5,000ppm、300~3,000ppm、300~2,000ppm、300~1,500ppm、350~10,000ppm、350~8,000ppm、350~5,000ppm、350~3,000ppm、350~2,000ppm、または350~1,500ppmの範囲内で維持されるように持続的に供給するものであってもよい。
【0018】
前記バイオマス製造方法において、前記培地は炭素源および窒素源を含むものであってもよい。
【0019】
前記バイオマス製造方法において、前記窒素源を持続的に供給する段階の窒素源および前記培地に含まれる窒素源は、i)酵母抽出物(yeast extract)、牛肉抽出物(beef extract)、ペプトンおよびトリプトンからなる群より選択されるいずれか一つ以上の有機窒素源、または、ii)アンモニウムアセテート、アンモニウムニトレート、アンモニウムクロリド、アンモニウムスルフェート、ソジウムニトレート、ウレア、MSG(Monosodium glutamate)およびアンモニアからなる群より選択されるいずれか一つ以上の無機窒素源であってもよいが、スラウストキトリッド系微細藻類を培養することに使用される窒素源であればこれに制限されない。
【0020】
前記窒素源を持続的に供給する段階は、例えば培養液に窒素源が含まれている培地を持続的に供給することで行うことができ、または前記微細藻類を培養する発酵機にアンモニア気体を持続的に供給することで行うことができるが、これに制限されない。前記培養液に窒素源が含まれている培地を持続的に供給することは、例えば前記培地を間欠的に供給する流加培養(Fed-batch culture)方法、または前記培地を連続的に供給する連続培養(Continuous culture)方法によって行うことができる。
【0021】
前記方法は、前記培養する段階中に炭素源を持続的に供給する段階をさらに含むことができる。前記炭素源を持続的に供給する段階は、例えば培養液に炭素源が含まれている培地を持続的に供給することで行うことができるが、これに制限されない。前記培養液に炭素源が含まれている培地を持続的に供給することは、例えば流加培養方法または連続培養方法によって行うことができる。前記炭素源を持続的に供給する段階は、前記培養液内炭素源濃度が5%(w/v)以下になるように維持しながら行うことができる。
【0022】
前記炭素源を持続的に供給する段階の炭素源および前記培地に含まれる炭素源はグルコース,フルクトース,マルトース,ガラクトース,マンノース,スクロース,アラビノース,キシロースおよびグリセロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上であってもよいが、スラウストキトリッド系微細藻類を培養することに使用される炭素源であればこれに制限されない。
【0023】
前記培地は、スラウストキトリッド系微細藻類を培養することに使用される適当なリン供給源,無機化合物,アミノ酸および/またはビタミンなどをさらに含むものであってもよい。例えば前記リン供給源は、リン酸二水素カリウム,リン酸水素二カリウム,これに相応するナトリウム含有塩などを個別的に含むかまたは混合して含むことができるが、これに制限されない。
【0024】
前記培養する段階は、95時間以下に行うことができる。例えば前記培養する段階は、30~95時間,35~95時間,40~95時間,45~95時間,30~90時間,35~90時間,40~90時間または45~90時間行うことができる。
【0025】
前記培養する段階は、20~35℃で行うことができる。例えば前記培養する段階は、25~35℃,20~30℃または25~30℃で行うことができるが、これらに制限されるわけではない。
【0026】
前記培養する段階は、培養物の好気状態を維持するために、培養物内に酸素または酸素含有気体を注入するか、嫌気および未好気状態を維持するために気体の注入なく、あるいは窒素,水素または二酸化炭素ガスを注入することができるが、これに制限されるのではない。
【0027】
前記培養する段階はpHを調節しながら行うことができ、例えば塩基性化合物(例:水酸化ナトリウム,水酸化カリウムまたはアンモニア)または酸性化合物(例:リン酸または硫酸)を使用してpH3.5~9.0,pH4.0~9.0,pH4.5~9.0,pH5.0~9.0,pH3.5~8.0,pH4.0~8.0,pH4.5~8.0またはpH5.0~8.0を維持するように調節しながら行うことができるが、これらに制限されるわけではない。
【0028】
前記バイオマス製造方法は、前記菌株,前記菌株の培養物,前記培養物の乾燥物または前記乾燥物の破砕物からバイオマスを回収する段階をさらに含むことができる。
【0029】
前記バイオマスを回収する段階は、当該分野に公知の適した方法を用いて目的とするバイオマスを収集することができる。例えば遠心分離,ろ過,陰イオン交換クロマトグラフィー,結晶化およびHPLCなどを使用することができ、精製工程をさらに含むことができる。
【0030】
前記製造方法によって製造されるバイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質および37重量%以下の脂肪を含むものであってもよい。前記バイオマスは、例えば50~80重量%,50~75重量%,50~70重量%,55~80重量%,55~75重量%または55~70重量%のタンパク質;および5~37重量%,5~35重量%,5~30重量%,5~25重量%,10~37重量%,10~35重量%,10~30重量%,10~25重量%,15~37重量%,15~35重量%,15~30重量%または15~25重量%の脂肪を含むものであってもよい。
【0031】
前記製造方法によって製造されるバイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質、およびオメガ3脂肪酸を含むものであってもよい。前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)およびエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)のうちのいずれか一つ以上を含むものであってもよい。
【0032】
本明細書で使用される用語、“ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)”はC2232の化学式を有する多価不飽和脂肪酸の一つであって、アルファ-リノレン酸(α-linolenic acid:ALA)およびエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)と共にオメガ3脂肪酸に該当し、慣用名はセルボン酸(cervonic acid)であり、略称で22:6 n-3とも表記できる。
【0033】
本明細書で使用される用語、“エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)”はC2030の化学式を有する多価不飽和脂肪酸の一つであって、ALAおよびDHAと共にオメガ3脂肪酸に該当し、略称で20:5 n-3とも表記できる。
【0034】
前記50重量%以上のタンパク質、およびオメガ3脂肪酸を含むバイオマスにおいて、前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして3~30重量%、3~25重量%、3~20重量%、または3~15重量%のオメガ3脂肪酸を含むものであってもよい。また、前記バイオマスは、総脂肪酸(total fatty acid)重量に対して15~60重量%、15~55重量%、または15~50重量%のオメガ3脂肪酸を含むものであってもよい。
【0035】
他の様相は、スラウストキトリッド系微細藻類である単一菌株を培地で培養する段階;および前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含むバイオマス製造方法によって製造された、スラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマスを提供する。
【0036】
前記バイオマス製造方法は、前述の通りである。
【0037】
前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質および37重量%以下の脂肪を含むものであってもよい。前記バイオマスは、例えば50~80重量%,50~75重量%,50~70重量%,55~80重量%,55~75重量%または55~70重量%のタンパク質;および5~37重量%,5~35重量%,5~30重量%,5~25重量%,10~37重量%,10~35重量%,10~30重量%,10~25重量%,15~37重量%,15~35重量%,15~30重量%または15~25重量%の脂肪を含むものであってもよい。
【0038】
前記バイオマスは、バイオマス全体重量を基準にして50重量%以上のタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含むものであってもよく、前記オメガ3脂肪酸はドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸のうちのいずれか一つ以上を含むものであってもよい。
【0039】
前記50重量%以上のタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含むバイオマスにおいて、前記バイオマスはバイオマス全体重量を基準にして3~30重量%,3~25重量%,3~20重量%または3~15重量%のオメガ3脂肪酸を含むものであってもよい。また、前記バイオマスは、総脂肪酸重量に対して15~60重量%,15~55重量%または15~50重量%のオメガ3脂肪酸を含むものであってもよい。
【0040】
他の様相は、スラウストキトリッド系微細藻類である単一菌株を培地で培養する段階;および前記培養する段階中に窒素源を持続的に供給する段階を含むバイオマス製造方法によって製造された、スラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマス、または前記バイオマスの濃縮物または乾燥物を含む組成物を提供する。
【0041】
前記バイオマス製造方法およびスラウストキトリッド系の単一微細藻類由来バイオマスについては前述の通りである。
【0042】
前記バイオマスの濃縮物または乾燥物は、当業界に公知された微生物バイオマスの処理、濃縮または乾燥方法によって製造できる。
【0043】
前記組成物は溶液、粉末または懸濁液形態であってもよいが、これらに制限されるわけではない。前記組成物は、例えば食品組成物、飼料組成物または飼料添加剤組成物であってもよい。
【0044】
本明細書で使用される用語、“飼料組成物”は、動物に給与されるエサを称する。前記飼料組成物は、動物の生命を維持、または肉、乳などを生産することに必要な有機または無機栄養素を供給する物質をいう。前記飼料組成物は、動物の生命維持、または肉、乳などを生産することに必要な栄養成分を追加的に含むことができる。前記飼料組成物は当業界の公知の多様な形態の飼料として製造可能であり、具体的には濃厚飼料、粗飼料および/または特殊飼料が含まれる。
【0045】
本明細書で使用される用語、“飼料添加剤”は、栄養素補充および体重減少予防、飼料内繊維素の消化利用性増進、乳質改善、繁殖障害予防および受胎率向上、夏期高温ストレス予防など多様な効果を目的として飼料に添加する物質を含む。本出願の飼料添加剤は飼料管理法上の補助飼料に該当し、炭酸水素ナトリウム、ベントナイト(bentonite)、酸化マグネシウム、複合鉱物質などの鉱物質製剤、亜鉛、銅、コバルト、セレニウムなどの微量鉱物質であるミネラル製剤、カロチン、ビタミンE、ビタミンA、D、E、ニコチン酸、ビタミンB複合体などのビタミン剤、メチオニン、リジンなどの保護アミノ酸剤、脂肪酸カルシウム塩などの保護脂肪酸剤、生菌剤(乳酸菌剤)、酵母培養物、かび発酵物などの生菌、酵母剤などを追加的に含むことができる。
【0046】
本明細書で使用される用語、“食品組成物”は機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)および食品添加剤(food additives)などの全ての形態を含み、前記類型の食品組成物は当業界に公知された通常の方法によって多様な形態に製造することができる。
【0047】
本出願の組成物は、穀物、例えば粉砕または破砕された小麦,燕麦,麦,とうもろこしおよび米;植物性タンパク質飼料、例えば豆およびひまわりを主成分とする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば血粉,肉粉,骨粉および魚粉;糖分および乳製品、例えば各種粉乳および乳漿粉末からなる乾燥成分などをさらに含むことができ、その他にも栄養補充剤、消化および吸収向上剤,成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0048】
本出願の組成物は、動物に単独で投与するか食用担体中で他の飼料添加剤と組み合わせて投与することもできる。また、前記組成物は、トップドレッシングとしてまたはこれらを飼料に直接混合するかまたは飼料と別途の経口剤形として容易に動物に投与することができる。前記組成物を飼料と別途に投与する場合、当該技術分野によく知られているように、薬剤学的に許容可能な食用担体と組み合わせて、即時放出または徐放性剤形として製造することができる。このような食用担体は、固体または液体、例えばとうもろこしデンプン,ラクトース,スクロース,大豆フレーク,落花生油,オリーブ油,ゴマ油およびプロピレングリコールであってもよい。固体担体が使用される場合、前記組成物は錠剤、カプセル剤,散剤,トローチ剤または含糖錠剤または未分散性形態のトップドレッシングであってもよい。液体担体が使用される場合、前記組成物はゼラチン軟質カプセル剤、またはシロップ剤や懸濁液,エマルジョン剤または溶液剤の剤形であってもよい。
【0049】
本出願の組成物は、例えば保存剤,安定化剤,湿潤剤または乳化剤,凍結保護剤または賦形剤などを含有することができる。前記凍結保護剤は、グリセロール,トレハロース,マルトデキストリン,脱脂粉乳およびデンプンからなる群より選択される一つ以上であってもよい。
【0050】
前記保存剤,安定化剤または賦形剤は、前記組成物に含まれるスラウストキトリッド系微細藻類の低下(deterioration)を減少させることに十分な有効量で組成物に含まれてもよい。また、前記凍結保護剤は、前記組成物が乾燥された状態である時、組成物に含まれるスラウストキトリッド系微細藻類の低下を減少させることに十分な有効量で組成物に含まれてもよい。
【0051】
前記組成物は、液浸,噴霧または混合して動物の飼料に添加して使用できる。
【0052】
本出願の組成物は哺乳類,鳥類,魚類,甲殻類,頭足類,爬虫類および両生類を含む多数の動物食餌に適用することができるが、これに制限されない。例えば、前記哺乳類は豚,牛,羊,ヤギ,実験用齧歯動物または愛玩動物などを含むことができ、前記鳥類は家禽類を含むことができ、前記家禽類は鶏,七面鳥,鴨,ガチョウ,キジまたはウズラなどを含むことができるが、これらに制限されない。また、前記魚類は商業的畜養魚類およびその稚魚類,観賞魚などを含むことができ、前記甲殻類はエビ,フジツボなどを含むことができるが、これらに制限されない。また、前記組成物は、動物性プランクトンであるワムシ(rotifer)の食餌にも適用できる。
【発明の効果】
【0053】
一様相によるバイオマス製造方法によれば、窒素源を培養過程中に持続的に供給することによって高含量のタンパク質およびオメガ3脂肪酸を含む単一微細藻類由来バイオマスを製造することができ、これによって製造されたバイオマスはタンパク質およびオメガ3脂肪酸の単一微生物供給源として有用に活用できる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例は一つ以上の具体例を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるのではない。
【実施例
【0055】
〔実施例1〕
スラウストキトリーダエ属微細藻類の培養方法による脂肪およびタンパク質生産量確認
1-1.微細藻類の準備および種菌培養
スラウストキトリーダエ属微細藻類CD01-6003(受託番号:KCTC14346BP)を滅菌されたMJW01培地(グルコース 30g/L、MgSO・7HO 3.0g/L、NaSO 10g/L、NaCl 1.0g/L、酵母抽出物 9.0g/L、MSG・1HO 1.0g/L、NaNO 1.0g/L、KHPO 0.1g/L、KHPO 0.5g/L、CaCl 0.5g/L、およびビタミン混合溶液 10mL/L)に接種して250mLフラスコで20~35℃および100~300rpm条件で10~30時間培養した。
【0056】
1-2.本培養
1-2-1.比較例(1)
前記実施例1-1で準備した種菌培養物(seed culture)を、窒素源としてアンモニウムスルフェート((NH・SO)6g/Lおよび酵母抽出物5g/Lを追加した滅菌されたMJW01培地が入っている5L発酵機に分注して20~35℃、100~500rpm、および0.5~1.5vvmの条件で発酵機内培養液の体積が2.8Lになるまで培養して、合計101時間培養した。追加窒素源として培養を開始した直後から14時間発酵機に培養液内の総窒素濃度が300ppm以上になるようにアンモニア気体を持続的に供給した後、以後はアンモニア気体供給を中断し、全体培養過程中に培養液内炭素源濃度が5%以下に維持されるように炭素源が含まれているFeedを持続的に供給した。
【0057】
1-2-2.実施例(1)
全体培養過程中に培養液内総窒素濃度が300ppm以上になるように発酵機にアンモニア気体を持続的に供給したことを除いては、前記1-2-1に記載されたものと同様な方法で培養を行って合計86時間培養した。
【0058】
1-2-3.実施例(2)
全体培養過程中に培養液内総窒素濃度が300ppm以上になるように発酵機にアンモニア気体を持続的に供給し、滅菌されたMJW01培地に窒素源としてアンモニウムスルフェート18g/Lのみを追加したことを除いては、前記1-2-1に記載されたものと同様な方法で培養を行って合計75時間培養した。
【0059】
1-2-4.実施例(3)
全体培養過程中に培養液内の総窒素濃度が300ppm以上になるように発酵機にアンモニア気体を持続的に供給し、炭素源が含まれているFeedに窒素源としてアンモニウムスルフェート10g/Lをさらに添加して供給したことを除いては、前記1-2-1に記載されたものと同様な方法で培養を行って合計55時間培養した。
【0060】
1-2-5.実施例(4)
全体培養過程中に培養液内の総窒素濃度が300ppm以上になるように発酵機にアンモニア気体を持続的に供給し、滅菌されたMJW01培地に窒素源としてアンモニウムスルフェート6g/Lのみを追加し、炭素源が含まれているFeedに窒素源としてアンモニウムスルフェート12g/Lをさらに添加して供給したことを除いては、前記1-2-1に記載されたものと同様な方法で培養を行って合計92時間培養した。
【0061】
1-3.脂肪含量分析
前記1-2-1~1-2-5で培養した各微細藻類培養物を回収して遠心分離後に得られた菌体をPBSで3回洗浄し、60℃で16時間乾燥した。乾燥された菌体2gに8.3M塩酸溶液を加えて80℃で加水分解反応を行わせた。その後、前記反応物にエチルエーテル(Ethyl ether)30mLと石油エーテル(Petroleum ether)20mLを添加した後、30秒間混合し遠心分離する過程を3回以上繰り返した。分離された溶媒層を予め重量を測定したラウンドフラスコに移した後、窒素パージ(N2 purging)を通じて溶媒および残余水分を除去した容器に入れて乾燥した。溶媒を乾燥させて残ったオイルの重量を測定して総オイル含量を計算し、オイル中に含まれているオメガ3脂肪酸(DHAおよびEPA)含量はメタノール性0.5N NaOHおよび14%トリフルオロボランメタノール溶液(BF-MeOH)で前処理を行った後、気体クロマトグラフィー法で測定した。
【0062】
【表1】
【0063】
その結果、表1に示したように、バイオマス内粗脂肪(total fatty acid:TFA)含量は、比較例(1)に比べて窒素源を持続的に供給して培養した実施例(1)~(4)でより減少したが、粗脂肪内EPA,DHAおよびオメガ-3含量は実施例(1)~(4)で比較例1に対比して同等以上の含量を示した。
【0064】
1-4.タンパク質含量分析
前記1-3に記載されたものと同様な方法で得られた乾燥された各菌体0.5~1gを対象にして、元素分析機を用いて試料内に存在する窒素含量を定量分析した。各試料内に存在する窒素の重量比率(TN%)に6.25をかけて試料内粗蛋白含量として計算して示した。
【0065】
【表2】
【0066】
その結果、表2に示したように、実施例(2)~(4)の場合、全て55%以上の粗蛋白含量を示し、実施例(1)の場合、前記1-3で測定した粗脂肪含量が28.9%であり、微細藻類バイオマスの通常の炭水化物含量は約2~3%程度であり、ash含量が約8~10%程度であることを考慮する時、粗蛋白含量は最大約58.10%水準に達することになるのを推定することができる。また、比較例(1)の場合、前記1-3で測定した粗脂肪含量が43.42%である点を通じて粗蛋白含量が最大としても約43.58%水準に過ぎないことと推定することができる。これを通じて、窒素源を持続的に供給する条件で微細藻類を培養する時、55%以上の高含量でタンパク質を生産することができるのを確認した。
【0067】
〔実施例2〕
スキゾキトリウム属微細藻類の培養方法による脂肪およびタンパク質生産量確認
2-1.微細藻類の準備および種菌培養
スキゾキトリウム属微細藻類CD01-5004(受託番号:KCTC14345BP)を前記実施例1-1に記載されたものと同様な方法で種菌培養した。
【0068】
2-2.本培養
2-2-1.比較例(2)
前記実施例2-1で準備した種菌培養物を滅菌されたMJW01培地が入っている5L発酵機に分注して20~35℃、100~500rpm、および0.5~1.5vvmの条件で発酵機内培養液の体積が2.8Lになるまで培養して、合計105時間培養した。追加窒素源として培養を開始した直後から10時間発酵機に培養液内総窒素濃度が300ppm以上になるようにアンモニア気体を供給した後、以後はアンモニア気体供給を中断し、全体培養過程中に培養液内炭素源濃度が5%以下に維持されるように炭素源が含まれているFeedを持続的に供給した。
【0069】
2-2-2.実施例(5)
全体培養過程中に培養液内総窒素濃度が300ppm以上になるように発酵機にアンモニア気体を持続的に供給し、滅菌されたMJW01培地に窒素源としてアンモニウムスルフェート6g/Lおよび酵母抽出物10g/Lを追加したことを除いては、前記2-2-1に記載されたものと同様な方法で培養を行って合計84時間培養した。
【0070】
2-2-3.実施例(6)
合計53時間培養したことを除いては、前記2-2-2に記載されたものと同様な方法で培養を行った。
【0071】
2-2-4.実施例(7)および(8)
合計50時間培養したことを除いては、前記2-2-2に記載されたものと同様な方法で培養を行った。
【0072】
2-2-5.実施例(9)
合計47時間培養したことを除いては、前記2-2-2に記載されたものと同様な方法で培養を行った。
【0073】
2-2-6.実施例(10)
滅菌されたMJW01培地に窒素源としてMSG5g/Lをさらに追加したことを除いては、前記2-2-2に記載されたものと同様な方法で培養を行って合計47時間培養した。
【0074】
2-3.脂肪含量分析
前記2-2-1~2-2-6で培養した各微細藻類培養物を回収して、前記実施例1-3に記載されたものと同様な方法で脂肪酸含量を分析した。
【0075】
【表3】
【0076】
その結果、表3に示したように、バイオマス内粗脂肪(total fatty acid:TFA)含量は比較例2に比べて窒素源を持続的に供給して培養した実施例(5)~(10)でより減少したが、粗脂肪内EPA,DHAおよびオメガ-3含量は実施例(5)~(10)で比較例(2)に対比して同等以上の含量を示した。
【0077】
2-4.タンパク質含量分析
前記2-2-1~2-2-6で培養した各微細藻類培養物を回収して、前記実施例1-4に記載されたものと同様な方法でタンパク質含量を分析した。
【0078】
【表4】
【0079】
その結果、表4に示したように、実施例(5)~(10)の場合、全て58%以上の粗蛋白含量を示し、比較例2の場合、前記2-3で測定した粗脂肪含量が41.91%であり、微細藻類バイオマスの通常の炭水化物含量は約2~3%程度であり、ash含量が約8~10%程度であることを考慮する時、粗蛋白含量は最大約45.1%水準であることと推定することができる。これを通じて、窒素源を持続的に供給する条件で微細藻類を培養時、58%以上の高含量でタンパク質を生産できることを確認した。
【0080】
2-5.アミノ酸含量および組成分析
前記2-2-6で培養した実施例(10)の微細藻類培養物を回収して、前記1-3に記載されたものと同様な方法で乾燥菌体を得た後、乾燥された菌体0.5~1gを酸加水分解した。その後、これを対象にして液体クロマトグラフィーを行って総アミノ酸含量および各個別アミノ酸含量を分析した。試料内個別アミノ酸の濃度を使用された乾燥菌体の量で標準化して乾燥細胞重量に対する個別アミノ酸の含量(%)を計算し、検出された全てのアミノ酸の含量を合算して乾燥細胞重量に対する総アミノ酸含量(%)を計算した。
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
その結果、表5および6に示したように、窒素源を持続的に供給する条件で微細藻類を培養した実施例(10)の場合、バイオマス内総アミノ酸含量が43.09%であり、個別アミノ酸のうちのグルタメートの含量が最も高く、アルギニンに対するグルタメートの含量比率が2.04であることが分かる。
【0084】
以上の説明から、本出願の属する技術分野における通常の知識を有する者は本出願がその技術的な思想や必須的特徴を変更せず他の具体的な形態に実施できるということを理解することができるはずである。これと関連して、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。本出願の範囲は前記詳細な説明よりは後述の特許請求範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれると解釈されなければならない。
[受託番号]
【0085】
寄託機関名:韓国生命工学研究院生物資源センター(KCTC)
受託番号:KCTC14345BP
受託日付:2020年10月26日
【0086】
寄託機関名:韓国生命工学研究院生物資源センター(KCTC)
受託番号:KCTC14346BP
受託日付:2020年10月26日
【国際調査報告】