(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】皮膚症状を治療するための新規組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/744 20150101AFI20231101BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231101BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20231101BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231101BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231101BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231101BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20231101BHJP
【FI】
A61K35/744
A61P17/00
A61Q19/00
A61P17/10
A61P37/08
A61P17/06
A61P17/02
A61K8/99
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525966
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021080640
(87)【国際公開番号】W WO2022096573
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521292984
【氏名又は名称】ラクトバイオ アー/エス
【氏名又は名称原語表記】LACTOBIO A/S
【住所又は居所原語表記】Lerso Parkalle 42,2.,2100 Copenhagen O(DK)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェデル,シャーロット
(72)【発明者】
【氏名】オルセン,カチャ ビレコップ
(72)【発明者】
【氏名】キャエルフ,セーレン
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,シグール
【テーマコード(参考)】
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083EE13
4C083EE14
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC55
4C087BC56
4C087CA10
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZB13
4C087ZC52
(57)【要約】
本発明は、細菌の発酵から産生された上清を含む、皮膚症状を改善するための組成物に関し、上清は、発酵中に細菌によって産生された少なくとも3つの代謝産物を含み、少なくとも3つの代謝産物は、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及び/又はサリチル酸のうちの少なくとも1つを含み、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及び/又はサリチル酸のうちの少なくとも1つは、乳酸菌の発酵によって産生される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚症状を改善するための組成物であって、細菌の発酵から産生された上清を含み、前記上清が、発酵中に前記細菌によって産生された少なくとも3つの代謝産物を含み、前記少なくとも3つの代謝産物が、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及び/又はサリチル酸のうちの少なくとも1つを含み、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及び/又はサリチル酸のうちの少なくとも1つが、乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも3つの代謝産物が、バクテリオシン、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
バクテリオシン産生細菌の発酵から産生された上清を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、その細菌が、以下の代謝産物、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸のうちの少なくとも2つを産生する、組成物。
【請求項4】
サリチル酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、前記サリチル酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【請求項5】
コハク酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、前記コハク酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【請求項6】
2-ヒドロキシイソカプロン酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、前記2-ヒドロキシイソカプロン酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【請求項7】
アゼライン酸及びサリチル酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、前記アゼライン酸及び前記サリチル酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【請求項8】
過酸化水素、フェニル乳酸、3-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、3-ヒドロキシプロパンアルデヒド、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、コハク酸、エタノール、酢酸、炭酸、プロパン酸、酪酸、環状ジペプチド、シクロ(L-Phe-L-Pro)、シクロ(L P-Traps-4-OH-L-Pro)、3-(R)-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシ-5-cicドデカン酸、3-(R)-ヒドロキシドデカン酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸及び3-(R)-ヒドロキシテトラデカン酸を含む群から選択される少なくとも1つの抗菌性細菌代謝産物を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記バクテリオシン産生細菌が、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラハムノースス(Lactobacillus rahamnosus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、ラクトバチルス・サリバルス(Lactobacillus salivarus)、バクテロイデス属(Bacteroides spp)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・デルブリッキィ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrucekii spp bulgaricus)、ラクトバチルス・セレビオスス(Lactobacillus cellibiosus)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescsents)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・サーモフィリウム(Bifidobacterium thermophilium)、エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス・ジアセチラクチス(Streptococcus diacetylactis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ストレブトコッカス・サーモフィレス(Streptococcus thermophiles)、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp.Thermophilus)、セレウス菌(Bacillus cereus)、プロピオニバクテリア・フロイデンライチー(Proprionibacteria freundenreichii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)(有胞子性乳酸菌(L.sporegenes))、オキサロバクター・フォルマジェネス(Oxalobacter formagenes)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥス(Bifidobacterium bifidus)、及びロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)を含む群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
化粧品又は医薬品である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を含む局所製剤。
【請求項11】
皮膚症状を治療又は予防するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を含む医薬品。
【請求項12】
前記皮膚症状が、炎症性若しくは感染性の疾患若しくは皮膚損傷又は機能不全の皮膚微生物叢である、請求項11に記載の医薬品。
【請求項13】
前記皮膚症状が、座瘡、酒さ、湿疹、アトピー性皮膚炎及び乾癬から選択される、請求項11に記載の医薬品。
【請求項14】
前記皮膚症状が、光損傷、老化、皮膚線条及び瘢痕から選択される、請求項11に記載の医薬品。
【請求項15】
単離された乳酸菌の発酵を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を産生する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚症状の治療のための組成物及びその使用に関し、特に局所組成物及び使用に関する。本発明は、微生物の発酵によって産生される組成物に関する。特に、本発明は、機能不全の微生物叢の調節、皮膚症状の予防又は皮膚症状の治療に有用な微生物起源組成物に関する。本発明は、微生物代謝産物を含む新規組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、1回の発酵によって少なくとも3つの機能的代謝産物を産生する微生物によって得られる新規組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、炎症、感染、機能不全の微生物叢、老化、光損傷又は瘢痕化に関連する皮膚症状を予防又は治療するための組成物、当該組成物の使用及び使用方法に関する。微生物の発酵によって得られた機能性代謝産物、特に少なくとも3つの機能性代謝産物を産生する細菌の発酵からの上清を含む組成物。
【0004】
特に、機能的代謝産物を産生する細菌の発酵からの未精製上清を含む組成物。
【0005】
いくつかの皮膚症状は、機能不全の微生物叢、感染、炎症、損傷又はそれらの任意の組み合わせを引き起こすか、又はそれらの結果であってもよい。
【0006】
座瘡は、炎症性丘疹、膿疱、並びに嚢胞及び非炎症性面皰を伴う脂腺異常である。座瘡は主に十代の若者及び若年成人が罹患し、病原性キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)に関連する(非特許文献1)。酒さは、高い血管反応を特徴とする顔の紅潮領域の慢性疾患である。酒さは、顕著な間欠性紅潮として始まり、永続的になり、その後に毛細血管拡張が続く。後に丘疹及び膿疱が生じるが、面疹は生じない。酒さは、30歳以上の女性に最も一般的に起こる。口囲皮膚炎は、主に若年女性に発症し、紅斑、丘疹、丘疹-小胞、並びに顎、鼻唇溝、及び上唇の間欠性湿疹斑を特徴とする。痒み及び灼熱感が存在することが多い。通常の治療は、抗生物質及びコルチコステロイドからなる。脂漏性皮膚炎は、組織病理学的に湿疹性の皮膚病であり、黄色がかった脂っぽい鱗片を有する境界が不明瞭な鱗状の紅斑性斑点を特徴とする。「フケ」は、頭皮に局在するこの状態の軽度の形態である。この疾患は、以下の部位、頭皮、眉毛、眉間、鼻の溝及び顎の溝、耳及び後耳介溝、胸骨前肩甲間領域、恥骨領域及び臀裂のうちの1つ、いくつか、又は全てを含み得る。タール、硫黄、又は抗生物質を含むコルチコステロイドは、場合によっては一時的な制御をもたらす。
【0007】
乾癬は、ケラチノサイト表皮通過時間が9倍増加することを特徴とする一般的な慢性増殖性表皮疾患である。病変は、明確に境界付けられた厚い紅斑であり、豊富な白色鱗片を有する。最も一般的に関与する部位には、肘、膝、頭皮、生殖器、及び臀裂が含まれる。治療は、局所タール、アンスラリン、及びコルチコステロイドから全身メトトレキサート、ソラレン並びに紫外線A光、及び紫外線B光に及ぶ。湿疹性皮膚炎は、様々な疾患の最終的な結果である表皮海綿状態の病的状態である。これらには、アトピー性皮膚炎、アトピー体質、アレルギー性及び刺激性接触反応、光アレルギー性及び光毒性反応、薬疹並びに重度の脂肪症が含まれる。発疹の部位は、傷害性疾患に依存する。現在の治療は、局所及び全身のコルチコステロイド並びに局所タールからなる。これらの皮膚症状に関連する感染性生物は、他の皮膚領域に広がる可能性があり、他の人々に伝染する可能性さえあり、天然の皮膚微生物叢の変化をもたらし、疾患を更に悪化させる機能不全の微生物叢を引き起こす可能性がある。本治療は、局所及び全身抗生物質からなる。
【0008】
これらの症状に共通しているのは、効果的で穏やかな治療法がないことであり、ほとんどの利用可能な治療法は、有害な副作用を有するホルモン又は抗生物質に基づいており、より機能不全の微生物叢をもたらす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Fitz-Gibbonら、2013、J.Invest.Dermatol.133:2152-60.doi:10.1038/jid.2013.21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多くの市販の治療法にもかかわらず、特に座瘡、酒さ及び湿疹は、治療が困難な状態のままであり、多くの患者は様々な試みられた治療法に反応せず、多くの場合に治療を予測不可能にする。
【0011】
これらは、本発明が局所的に適用される場合に有効な治療法となる症状の例である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
微生物は、驚くべきことに、発酵中に、単一の代謝産物を精製することなく皮膚症状を予防又は治療するのに有用な発酵からの上清中の所望の微生物阻害量の濃度で代謝産物、バクテリオシン及び有機酸を産生すると同定された。したがって、いくつかの乳酸菌は、発酵中に、皮膚症状の治療に適した上清中に、バクテリオシン、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及び/又はN-アセチルアスパラギン酸を含む複数の機能的代謝産物を産生することが同定された。
【0013】
本発明の上清は、皮膚症状の予防若しくは治療又は機能不全の微生物叢の調節のための治療用又はスキンケア用組成物において、スキンケア製品として直接使用するために、又はスキンケア製品に製剤化するために好適であることが観察された。
【0014】
本発明の微生物は、フィブリリン及びコラーゲン合成の活性化による皮膚のハリに対する広範囲の抗菌活性、抗炎症活性、剥離効果、保湿効果又は機能効果を提供するのに十分な発酵において、ある収量の機能的代謝産物を発酵させることができる。1回の発酵で複数の機能的代謝産物を産生することができる微生物を同定することは驚くべきことであり、上清は単一の代謝産物を更に精製することなく局所適用に即座に役立つ。
【0015】
更に、代謝産物間の相乗効果を決定し、それによって精製した代謝産物で必要とされる機能的濃度よりも各代謝産物の機能的濃度を低くすることを可能にすることは驚くべきことであった。
【0016】
本発明に特に関連する代謝産物は、バクテリオシン、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸である。
【0017】
しかしながら、皮膚に対する剥離、剥脱効果を有する乳酸、酢酸及びグリコール酸、抗炎症活性を有するコハク酸、座瘡治療剤として有用な剥離剤としてのサリチル酸、座瘡や酒さの治療用のアゼライン酸が、発酵プロセスによって機能的効果を伴って収率よく産生できることは知られていない。炎症性成分として知られているインドール-3-ラクチド酸及びインドール-3-酢酸、乾燥肌や湿疹の保湿剤として知られている2-ヒドロキシブチル酸、皺を軽減するためのN-アセチルトリプトファン、抗酸化剤としてコラーゲンの生合成効果を有するN-アセチルグルタミン、フィブリリンやコラーゲンの合成の活性化が知られており、老化防止成分として及び皮膚のハリの改善に有用なN-アセチルアスパラギン酸(NAA)(Gillbro JM、Merinville E、Cattley K、Al-Bader T、Hagforsen E、Nilsson M、Mavon A、Int J Cosmet Sci.2015 Oct;37 Suppl 1:41-6.doi:10.1111/ics.12250.PMID:26132508)。
【0018】
バクテリオシン及びいくつかの有機酸、例えば乳酸、酢酸、コハク酸及び2-ヒドロキシイソカプロン酸は、抗菌活性が知られている。
【0019】
有機酸の抗菌活性は、高濃度の酸で得られ、これらの高濃度の酸は皮膚に著しい損傷を引き起こす可能性があるため、哺乳動物の皮膚への使用が制限される。
【0020】
本発明は、発酵によって産生された活性成分を含み、生細胞材料を含まない上清を含む組成物を含む。皮膚症状を予防又は治療するためのそのような組成物の使用。代謝産物が単一成分として使用される場合に必要とされる濃度よりもはるかに低い濃度の単一代謝産物で皮膚症状に対する効果が得られるので、組成物によって相乗効果が得られる。例えば、アゼライン酸は、2~20%(w/w)の高濃度で酒さに使用されるが、複数の代謝産物を含む組成物中でアゼライン酸を使用すると、全てが相乗的機能効果に寄与するため、使用濃度を大幅に減らすことができ、これらの代謝産物を2%(w/w)を超える高濃度で使用する場合に観察され得る副作用及び毒性又は刺激を低下させる。
【0021】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、皮膚症状に対して有効な代謝産物を含む、単離された乳酸菌からの上清に関する。
【0022】
本発明は、発酵によって産生された活性成分を含む上清に関する。
【0023】
活性成分は、機能性酸及びバクテリオシンである。
【0024】
特に、本発明は、少なくとも2種の有機酸及び少なくとも1種の発酵副生成物を含む上清に関する。
【0025】
特に、本発明の目的は、先行技術の上述の問題を解決する組成物を提供することである。
【0026】
本発明の一態様では、組成物は、尋常性座瘡、酒さ、アトピー性皮膚炎、湿疹又は乾癬を治療又は予防するためのものである。
【0027】
本発明の一態様では、組成物は、皮膚老化、光損傷、皮膚線条又は瘢痕化を治療又は予防するためのものである。
【0028】
本発明の一態様では、有機酸は、アゼライン酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルアスパラギン酸、コハク酸及び乳酸から選択される。
【0029】
本発明の一態様では、活性成分はバクテリオシンである。
【0030】
したがって、本発明の一態様は、バクテリオシン及び少なくとも1種の有機酸を含む組成物に関する。
【0031】
したがって、本発明の一態様は、プランタリシン及び少なくとも1種の有機酸を含む組成物に関する。
【0032】
本発明の更に別の態様では、少なくとも2種の異なるバクテリオシンが組成物中に存在する。
【0033】
本発明の組成物は、少なくとも以下の成分であるバクテリオシン及び有機酸を含み、有機酸は、サリチル酸及び/又は乳酸及び/又は2-ヒドロキシイソカプロン酸及び/又はアゼライン酸及び/又はコハク酸及び/又はインドール-3-乳酸及び/又は2-ヒドロキシブチル酸及び/又はN-アセチルアスパラギン酸及び/又はインドール-3-酢酸である。
【0034】
本発明の別の態様では、上清は、1種の乳酸菌の発酵から産生された2種の異なるバクテリオシンを含み、乳酸菌は、バクテリオシンを産生するように遺伝子改変されていない。
【0035】
また、本発明の更に別の態様では、組成物は皮膚症状を治療又は予防するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【0037】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
定義
本発明を更に詳細に論じる前に、以下の用語及び慣習を最初に定義する。
【0039】
「皮膚症状」という用語は、酒さ、尋常性座瘡、口囲皮膚炎、湿疹、脂漏性皮膚炎、乾癬、及び股部白癬などの皮膚病並びに病原性細菌、酵母、真菌又はダニによって引き起こされる微生物感染を含む、付属器、真皮及び表皮の炎症を含む状態を含む、感染又は炎症によって引き起こされる状態を指す。
【0040】
「バクテリオシン」という用語は、微生物に対して活性であるが産生細菌に害を及ぼさない細菌によって産生される抗菌ペプチド又はタンパク質を指す。本発明の目的のために、バクテロシン又はバクテロシン源は、一般に、化粧品又は医薬品としての製剤での使用に適した抗菌剤を含む。特に好ましい抗菌剤としては、「抗生物質」(すなわち、ランチオニン及びベータ-メチルランチオニンを含有するポリペプチド)が挙げられる。そのような抗生物質の非限定的な例は、ナイシン、例えばナイシンA若しくはナイシンZ、又はナイシン類似体又は関連するランチオニン含有ペプチド、例えばペディオシン、ラクトシン、ラクタシン(例えば、ラクティシンA、ラクティシンB、ラクタシンF)、カモシン、エンテロシン、プランタリシン、サブチリシン、エピデルミン、シンナマイシン、デュラマイシン、アンコベニン、Pep5などであり、個々に又はそれらの任意の組み合わせである。本発明で有用な他のバクテロシンとしては、例えば、ラクトコッシン(例えば、ラクトコッシンA、ラクトコッシンB、ラクトコッシンM)、ロイココイン(leucocoin)、ヘルベチカン(helvetican)、アシドフィルシン、カゼイシンなどが個別に又は任意の組み合わせで挙げられる。
【0041】
「プランタリシン」という用語は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)由来のバクテリオシンを指し、プランタリシンの主な種類としては、プランタリシンA、プランタリシンE、プランタリシンF、プランタリシンJ、プランタリシンK、プランタリシンC、プランタリシンD、プランタリシンW、プランタリシンT及びプランタリシンSが挙げられる。他のプランタリシン、例えばプランタリシン35d、プランタリシンMG、プランタリシン423、プランタリシン154、プランタリシン149、プランタリシン163、プランタリシンLC74、プランタリシンK25、プランタリシンST31、プランタリシンSA6も挙げられる。特に、広範囲のプランタリシン、例えばプランタリシンF、プランタリシンDL3、プランタリシンZJ008、プランタリシンMG、プランタリシンQ7、プランタリシンKL-1Y、プランタリシン163、プランタリシン154。
【0042】
本明細書で使用される場合、「発酵」という用語は、乳酸発酵、すなわち、かなりの量の乳酸及び/又は他の有機酸を形成する炭水化物の酵素分解を意味する。「乳酸菌」という用語は、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)、アエロコックス科(Aerococcaceae)、ビフィドバクテリウム科(Bifidobacteriaceae)、カルノバクテリウム科(Carnobacteriaceae)、エンテロコッカス科(Enterococcaceae)、ロイコノストック科(Leuconostocaceae)及びレンサ球菌科(Streptococcaceae)の種を含む。これらは非病原性であると考えられ、胃腸内細菌叢を改善するため、及び胃腸症状の治療において一般にプロバイオティクス細菌として使用される。
【0043】
「上清」という用語は、乳酸菌の発酵からの発酵ブロスを指す。上清は、発酵産物、発酵ブロスからの基質、及び細胞材料の両方を含む未精製品であってもよい。
【0044】
「無細胞上清」という用語は、生細胞が除去された上清を指す。無細胞上清(CFS)は、1000生存CFU/ml未満を含む。CFSは、死細胞からの細胞材料を含むことができる。
【0045】
「発酵副産物」は、ソルビン酸、プロピオン酸、安息香酸、乳酸、酢酸を含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むことができ、かつ/又はフェニル乳酸、3-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、3-ヒドロキシプロパンアルデヒド、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、過酸化水素、エタノール、二酸化炭素、炭酸、プロパン酸、酪酸、環状ジペプチド、シクロ(L-Phe-L-Pro)、シクロ(L P-Traps-4-OH-L-Pro)、3-(R)-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシ-5-cicドデカン酸、3-(R)-ヒドロキシドデカン酸、及び3-(R)-ヒドロキシテトラデカン酸を含む群から選択される少なくとも1種の抗菌性乳酸産生細菌代謝産物を含むことができる。発酵副産物はまた、リポテコン酸(lipotechoic acid)、テイコ酸、ペプチドグリカン、ムシン、細胞外多糖類及び細胞壁に関連するタンパク質を含む発酵微生物からの細胞壁材料あってもよい。
【0046】
本教示の更に別の実施形態によれば、発酵副産物は、抗生物質及び/又は非抗生物質である少なくとも1種のバクテリオシンを含む。本教示の別の実施形態によれば、発酵副産物は、ナイシンA、ナイシンZ、ナイシンQ、ナイシンF、ナイシンU、ナイシンU2、サリバルシンX、ラクティシンJ46、ラクティシン481、ラクティシン3147、サリバルシンA、サリバルシンA2、サリバルシンA3、サリバルシンA4、BHT-Aa、BHT Ab、サリバルシンA5、サリバルシンB、ストレプチン、サリバリシンAl、ストレプチン、ストレプトコッシンA-FF22、ミュータシンBNY266、ミュータシン1140、ミュータシンK8、ミュータシンII、smbAB、ボビシンHJ50、ボビシンHC5、マセドシン、ロイコシンC、サカシン5X、エンテロシンCRL35/mundticin、アビシンA、mundticin I、エンテロシンHF、ババリシンA、ウベリシンA、ロイコシンA、メセンテリシンY105、サカシンG、キュアバシンA/サカシンA、ラクトシン5、サイトリシン、エンテロシンA、ディベルシンV41、ダイバシンM35、ババリシン、コアグリン、ペディオシンPA-1、mundticin、ピシコシンCS526、ピシコシン126/Vla、サカシン、プカルノバクテリオシン(Pcarnobacteriocin)BM1、エンテロシンP、ピシコインVlb、ペノシンA、バクテリオシン31、バクテリオシンRC714、ヒラシンJM79、バクテリオシンT8、エンテロシンSE-K4、カルノバクテリオシンB2及びプランタリシンを含む群から選択される少なくとも1種の更なるバクテリオシンを含む。
【0047】
本発明は、生存している及び/又は死んでいる(死滅)細菌株からの上清に関し、両方の形態が本発明の範囲内に含まれ得る。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、細菌は発酵後に不活性化(死滅)される。
【0049】
適切な死滅方法(例えば、生物学的、化学的又は物理的死滅方法)は、当業者に十分に公知である。微生物の死滅形態は、ライセート発酵組成物中の上清及び任意の存在する代謝産物を含むことができる。
【0050】
「死滅した」又は「死んだ」という用語は、細胞分裂が不可能であり、代謝活性を有さない不活性化乳酸菌に関する。死んだ又は死滅した乳酸菌は、無傷又は破裂した細胞膜及び細胞壁を有し得る。
【0051】
「ライセート」(Lysates)、「誘導体」、「類似体」、「画分」又は「抽出物」は、死んだ又は死滅した乳酸菌から得ることができる。これらのライセート、画分、誘導体、類似体、及び抽出物は、好ましくは、病原性細菌と結合又は共凝集することができ、それによって病原体の増殖及び/又はバイオフィルム形成を防止する特性を有し、「ライセート」及び「抽出物」という用語は、特に、本発明による微生物の細胞の水性媒体中の溶液又は懸濁液を指し、例えば、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物などの巨大分子、並びに細胞破片を含む。ライセートは、好ましくは、共凝集のための結合受容体を含む細胞壁又は細胞壁成分を含む。ライセートを生成する方法は、当業者に十分に公知であり、例えば、「フレンチプレス」又は酵素溶解、ガラスビーズ又は鉄ビーズを有するボールミルの使用を含む。細胞は、酵素的、物理的又は化学的方法によって破壊することができる。酵素細胞溶解の例としては、個々の酵素並びに酵素カクテル、例えばプロテアーゼ、プロテイナーゼK、リパーゼ、グリコシダーゼを挙げることができ、化学的溶解は、イオノフォア、SDSなどの界面活性剤、酸又は塩基によって誘導することができ、物理的方法はまた、フレンチプレスなどの高圧、オスモル濃度、温度、又は熱と冷との交互を使用することによって実施することもできる。更に、化学的、物理的及び酵素的方法を当然組み合わせることができる。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明による組成物及び/又は上清は、哺乳動物における病原性微生物感染に関連する疾患を治療、緩和、抑制、予防に適している。
【0053】
本発明は、微生物によって引き起こされる皮膚の問題を制御する方法に関する。本発明はまた、座瘡感染症患者の皮膚上のキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)を阻害する方法に関する。
【0054】
本明細書で使用される「阻害」又は「阻害する」という用語は、望ましくない細菌などの微生物の死滅、又は当該微生物の増殖の制御を意味する。
【0055】
対象の処置方法に関する化合物の「治療有効量」は、所望の投与計画の一部として(哺乳動物、好ましくはヒトに)投与された場合に、治療される障害若しくは状態又は美容目的のための臨床的に許容され得る基準に従って、例えば、任意の治療に適用可能な合理的な利益リスク比で、症状を緩和するか、状態を改善するか、又は疾患状態の発症を遅らせる調製物中の化合物の量を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「治療する」又は「治療」という用語は、対象の状態を改善又は安定化する方法で、状態の症状、臨床徴候、及び基礎病理を逆転、低減、又は停止することを含む。
【0057】
ここでも、「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」などの用語によって特徴付けられる本発明で与えられる範囲の全ての記述と同様に、正確な数値範囲が「約(about)」又は「ほぼ(approx.)」又は「ほぼ(approximately)」などの表現で示される必要はなく、代わりに、示された数に関して上下のわずかなずれさえも依然として本発明の範囲内であることは当業者には明らかであろう。
【0058】
「哺乳動物」には、ヒト、霊長類、家畜、スポーツ動物、げっ歯類及びペットが含まれるが、これらに限定されない。非ヒト動物対象の非限定的な例としては、マウス、ラット、ハムスター及びモルモットなどのげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、子ブタ、雌ブタ、家禽、シチメンチョウ、ブロイラー、ミンク、ヤギ、ウシ、ウマ、並びに類人猿及びサルなどの非ヒト霊長類が挙げられる。
別の態様では、本教示は、生存微生物を実質的に含まない発酵組成物を開示する。組成物は、死細胞を含む細胞材料を含むことができる。
【0059】
本発明の一態様では、組成物は、発酵からの上清及び更なる機能的効果を有する細胞材料を含む。
【0060】
本発明の一態様では、細胞材料は皮膚病原体と共凝集することができる。
【0061】
本発明の一態様では、細胞材料は、キューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と共凝集することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、皮膚症状は、座瘡、接触皮膚炎、光線性皮膚炎、微生物感染によって引き起こされる皮膚炎、湿疹、又は酒さである。好ましい実施形態では、皮膚症状は座瘡である。いくつかの実施形態では、皮膚は、顔、頭皮、首、胸、又は背中の皮膚である。好ましい実施形態では、皮膚は顔の皮膚である。
【0063】
局所適用のための組成物は、好ましくは、エマルジョン、ミスト、ペースト、タルク、粉末、ローション、カスタード、フォーム、クリーム、油、血清、軟膏、スプレー又は半固体製剤に製剤化することができる。
【0064】
上清の好ましいpHはpH2.5~pH7であり、より好ましくはpH3~pH6であり、更により好ましくはpH3~pH5.5である。発酵によって生成された酸に起因する上清の低pHは、皮膚に適用されると、高pHの皮膚表面の酸性化を引き起こす。健康な皮膚はpHが約4.5であり、発酵によって産生される代謝産物は、別の有益な効果として、皮膚の健康なpHを維持するのを助ける。
【0065】
本発明は、乳酸菌のいくつかの種が、たとえ乳酸菌がもはや存在せず、皮膚上で発酵がないとしても、皮膚病原体の増殖を阻害するのに有効な量のバクテリオシンを上清中に産生するという発見に基づく。
【0066】
本発明によれば、好ましいバクテリオシン産生乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラハムノースス(Lactobacillus rahamnosus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、ラクトバチルス・サリバルス(Lactobacillus salivarus)、バクテロイデス属(Bacteroides spp)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・デルブリッキィ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrucekii spp bulgaricus)、ラクトバチルス・セレビオスス(Lactobacillus cellibiosus)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescsents)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・サーモフィリウム(Bifidobacterium thermophilium)、エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス・ジアセチラクチス(Streptococcus diacetylactis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ストレブトコッカス・サーモフィレス(Streptococcus thermophiles)、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp.Thermophilus)、セレウス菌(Bacillus cereus)、プロピオニバクテリア・フロイデンライチー(Proprionibacteria freundenreichii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)(有胞子性乳酸菌(L.sporegenes))、オキサロバクター・フォルマジェネス(Oxalobacter formagenes)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥス(Bifidobacterium bifidus)、又はロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、より好ましくはラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)である。
【0067】
本発明の一実施形態では、好ましい微生物は、単離された野生型乳酸菌である。
【0068】
本発明の一実施形態では、好ましい微生物は、1回の発酵で本発明の代謝産物を産生することができるように操作された遺伝子改変細菌である。
【0069】
本発明によれば、好ましい乳酸菌は、発酵中に上清中に、少なくとも0.5%(w/w)の以下の代謝産物、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及び/又はN-アセチルアスパラギン酸の少なくとも1つを産生することができるラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum)である。
【0070】
本発明の一実施形態では、本発明による乳酸菌、特にラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum)は、発酵中の上清中に、少なくとも0.05%(w/w)、例えば少なくとも0.1%(w/w)、例えば少なくとも0.25%(w/w)、例えば少なくとも0.5%(w/w)の以下の代謝産物、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及び/又はN-アセチルアスパラギン酸の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、更により好ましくは少なくとも4つ、更により好ましくは少なくとも5つを産生することができる。好ましくは、言及された量で産生される代謝産物としては、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、及び/又は2-ヒドロキシイソカプロン酸が挙げられる。
【0071】
本発明による組成物は、驚くべきことに、皮膚症状を改善できることが見出された。細菌の発酵から産生された上清を含む組成物であって、上清が発酵中に細菌によって産生された少なくとも3つの代謝産物を含む、組成物。
【0072】
本発明の一実施形態では、少なくとも3つの代謝産物は、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及び/又はサリチル酸のうちの少なくとも1つ、例えば代謝産物の少なくとも2つを含むことができ、例えば少なくとも3つの代謝産物は、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及びサリチル酸を含む。好ましくは、コハク酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、アゼライン酸及び/又はサリチル酸は、乳酸菌の発酵によって産生される。
【0073】
上清は、単発酵から、又はいくつかの発酵から得られた上清の混合物から産生することができる。
【0074】
上清が単発酵から提供される場合、単発酵は、以下の代謝産物、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸のうちの少なくとも2つ、例えば少なくとも3つの代謝産物、例えば少なくとも4つの代謝産物、例えば少なくとも5つの代謝産物、例えば少なくとも6つの代謝産物、例えば少なくとも7つの代謝産物、例えば少なくとも8つの代謝産物を含む上清をもたらした可能性がある。
【0075】
上清は、様々な発酵からの2つ以上の上清の混合物から生成することができる。この場合、混合された上清のそれぞれは、以下の代謝産物、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸のうちの1つ又は複数、例えば少なくとも3つの代謝産物、例えば少なくとも4つの代謝産物、例えば少なくとも5つの代謝産物、例えば少なくとも6つの代謝産物を含むことができる。好ましくは、混合された上清は、同じ代謝産物又は同じ濃度の様々な代謝産物を含まなくてもよい。]
【0076】
バクテリオシンは、一般に、Twomey,D.ら、Lantabiotics Prodroduced by Lactic Acid Bacteria:Structure,Function and Applications、Antonie van Leeuwenhoek、82:15-185、2002、及びCleveland,J.ら「Bacteriocins:Safe,Natural Antimicrobials for Food Preservation」、Int´l J.Food Micro.、71(2001)1-20に記載されているように、一般に、食品中の病原性微生物や腐敗性微生物の抑制に有効であることが知られているバクテリオシンは、一般に、細胞質膜に細孔を形成することによって感受性細胞に作用すると理解されている。これは、上記のTwomeyら及びClevelandらによって記載されているように、プロトン駆動力の消失並びにグルタミン酸及びATPのような小さな細胞内分子の放出をもたらす。これにより、細胞は透過性になるが、その環境における生化学的プロセスに依然として関与することができる。そのような「漏れやすい」細胞の生成を助けるための界面活性剤による細胞の処理は、国際公開第01/47366号に記載されている。この活性は、典型的には、精製したバクテリオシンによって、又はバクテリオシン産生細菌と病原性及び腐敗性微生物との共増殖によって得られる。
【0077】
本発明では、少なくとも1つの二次抗菌剤がバクテロシンと組み合わせて上清に含まれる。そのような二次抗菌剤の例としては、例えば、金属キレート剤(例えば、クエン酸など)、有機酸、短鎖遊離脂肪酸、プロトンイオノフォア(例えば、ソルビン酸、安息香酸など)、乳由来抗菌剤(例えば、ラクトフェリン、ラクト脂質など)、モノグリセリド(例えば、モノリノレニン、モノラウリンなど)、ホップ酸などが挙げられる。使用される場合、これらの二次抗菌剤は、一般に、約0.01~約0.5%の量で存在する。有機酸の場合、CFS中の濃度は約0.5~7%とより高い。
【0078】
特に好ましい組み合わせとしては、バクテリオシン及び有機酸が挙げられる。
【0079】
発酵副産物としては、バクテリオシン、プランタリシン、過酸化水素、リポテイコン酸(lipoteichonic acid)、テイコン酸、塩、糖タンパク質、及び酸性ムチンを含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むことができる。
【0080】
本教示の一実施形態によれば、発酵副産物は、2-ヒドロキシイソカプロン酸、フェニル乳酸、3-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、3-ヒドロキシプロパンアルデヒド、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、過酸化水素、エタノール、酢酸、二酸化炭素、炭酸、プロパン酸、酪酸、環状ジペプチド、シクロ(L-Phe-L-Pro)、シクロ(L P-Traps-4-OH-L-Pro)、3-(R)-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシ-5cicドデカン酸、3-(R)-ヒドロキシドデカン酸及び3-(R)-ヒドロキシテトラデカン酸を含む群から選択される細菌代謝産物を産生する少なくとも1つの抗菌性乳酸を含む。
【0081】
本教示の別の実施形態によれば、発酵副産物は、ランチビオティック(クラスII)又は非ランチビオティック(クラスII)である少なくとも1つのバクテリオシンを含む。本教示の更に別の実施形態によれば、発酵副産物は、プランタリシンA、プランタリシンE、プランタリシンF、プランタリシンJ、プランタリシンK、プランタリシンC、プランタリシンD、プランタリシンW、プランタリシンT、プランタリシンS、プランタリシン35d、プランタリシンMG、プランタリシン423、プランタリシン154、プランタリシン149、プランタリシン163、プランタリシンLC74、プランタリシンK25、プランタリシンST31、プランタリシンSA6を含む群から選択される少なくとも1つのバクテリオシンを含む。特に、広範囲のプランタリシン、例えばプランタリシンF、プランタリシンDL3、プランタリシンZJ008、プランタリシンMG、プランタリシンQ7、プランタリシンKL-1Y、プランタリシン163、プランタリシン154、ナイシンA、ナイシンZ、ナイシンQ、ナイシンF、ナイシンU、ナイシンU2、サリバルシンX、ラクティシンJ46、ラクティシン481、ラクティシン3147、サリバルシンA、サリバルシンA2、サリバルシンA3、サリバルシンA4、サリバルシンA5、サリバルシンB、ストレプチン、サリバリシンAl、ストレプチン、ストレプトコッシンA-FF22、BHT-Aa、BHT Ab、ミュータシンBNY266、ミュータシン1140、ミュータシンK8、ミュータシンII、smbAB、ボビシンHJ50、ボビシンHC5、マセドシン、プランタリシンW、ラクトシン5、シクトリシン、エンテロシンA、ディベルシンV41、ダイバシンM35、ババリシン、コアグリン、ペディオシンPA-1、mundticin、ピシコシンCS526、ピシコシン126/Vla、サカシン、ロイコシンC、サカシン5X、エンテロシンCRL35/mundticin、アビシンA、mundticin I、エンテロシンHF、ババリシンA、ウベリシンA、ロイコシンA、メセンテリシンY105、サカシンG、プランタリシン423、プランタリシンC19、キュアバシンA/サカシンA、カルノバクテリオシンBM1、エンテロシンP、ピシコインVlb、ペノシンA、バクテリオシン31、バクテリオシンRC714、ヒラシンJM79、バクテリオシンT8、エンテロシン、又はカルノバクテリオシン。
【0082】
好ましい一実施形態では、CFSは、プランタリシンA、プランタリシンE、プランタリシンF、プランタリシンJ、プランタリシンK、プランタリシンC、プランタリシンD、プランタリシンW、プランタリシンT、プランタリシンS、プランタリシン35d、プランタリシンMG、プランタリシン423、プランタリシン154、プランタリシン149、プランタリシン163、プランタリシンLC74、プランタリシンK25、プランタリシンST31、プランタリシンSA6の群から選択される少なくとも2つのプランタリシンを含む。
【0083】
特に、広範囲のプランタリシン、例えばプランタリシンF、プランタリシンDL3、プランタリシンZJ008、プランタリシンMG、プランタリシンQ7、プランタリシンKL-1Y、プランタリシン163、プランタリシン154の群から選択される少なくとも1つのプランタリシン。
【0084】
一実施形態では、本発明において使用される好ましいバクテリオシンは、以下の細菌、ワイセラ・ビリデスセンス(Weissella viridescens)LB10G(DSM32906)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB113R(DSM32907)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB244R(DSM32996)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB116R(DSM32908)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)LB152G(DSM32995)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB28R(DSM32994)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)LB276R(DSM32997)、ロイコノストック・メセンテリオデス(Leuconostoc mesenteriodes)LB349R(DSM33093)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB316R(DSM33091)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB356R(DSM33094)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB312R(DSM33098)、及び/又は本明細書中の任意の組み合わせのうちの1つの発酵からのものである。
本発明で使用される好ましいバクテリオシンはプランタリシンFである。プランタリシンFは、例えばラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB244R(DSM32996)及び例えばラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB356R(DSM33094)によって産生される。
【0085】
受託の詳細
・ワイセラ・ビリデスセンス(Weissella viridescens)LB10G-2018年8月28日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32906で寄託
【0086】
・ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB113R-2018年8月28日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32907で寄託
【0087】
・ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB244R-2018年12月13日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32996で寄託
【0088】
・ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB116R-2018年8月28日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32908で寄託
【0089】
・ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)LB152G-2018年12月13日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32995で寄託
【0090】
・ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB28R-2018年12月13日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32994で寄託
【0091】
・エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)LB276R-2018年12月13日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM32997で寄託
【0092】
・ロイコノストック・メセンテリオデス(Leuconostoc mesenteriodes)LB349R-2019年4月10日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM33093で寄託
【0093】
・ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB316R-2019年4月10日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM33091で寄託
【0094】
・ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB356R-2019年4月10日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM33094で寄託
【0095】
・ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB312R-2019年4月10日付で、DSMZ,Inhoffenstrase 7B,38124 Braunschweig,Germanyに受託番号DSM33098で寄託
【0096】
プランタリシンなどのバクテリオシンを含むCFSを提供する最も簡単な方法は、発酵後にバクテリオシンを含むCFSを乾燥させて粉末又は濃縮スラリーを生成することである。
【0097】
固体材料は、発酵後に濾過又は増殖培地からの遠心分離によって除去することができる。低分子量化合物は、膜濾過、特に逆浸透によって除去することができる。バクテリオシンはタンパク質性材料であり、沈殿又は逆浸透などの他の周知の技術によって増殖培地から分離することもでき、次いで純粋な形態で乾燥させることができる。
【0098】
本発明の一実施形態では、CFSは濃縮される。
【0099】
濃縮することは、濾過、沈降、遠心分離、真空化、デカント、乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥及び蒸発を含む群から選択される少なくとも1つの技術を使用して、発酵増殖培養物からある量の流体部分を分離することを含むことができる。この無細胞上清の生成方法は、発酵無細胞上清を乾燥させることを更に含むことができる。
【0100】
好ましい一実施形態では、CFSは、水を除去することによって濃縮される。
【0101】
好ましい一実施形態では、CFSは、水を除去することによって2倍濃縮される。
【0102】
好ましい一実施形態では、CFSは、水を除去することによって3倍濃縮される。
【0103】
好ましい一実施形態では、CFSは、水を除去することによって2倍超に濃縮される。
【0104】
バクテリオシンは、好ましくは、バクテリオシンの1~1,000,000任意単位(AU)の間の量で最終製剤に使用される。バクテリオシンのAUが、寒天プレート上の指標株の菌叢による明確な増殖阻害ゾーンをもたらす培養上清の最大希釈の5マイクロリットルとして定義された。
【0105】
有機酸は、約0.1~20%の重量濃度で最終製剤に使用されることが好ましい。例えば、1~5重量%の乳酸及び1.5~3%重量の酢酸。有機酸は、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、プロピオン酸及びコハク酸から選択されることが好ましい。
【0106】
コハク酸、サリチル酸、アゼライン酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸は、最終局所組成物中、0.001~20%(w/w)の濃度で、例えば0.005~15%(w/w)の範囲、例えば0.0075~10(w/w)の範囲、例えば0.01~5(w/w)の範囲、例えば0.025~2(w/w)の範囲、例えば0.05~1(w/w)の範囲、例えば0.075~0.5(w/w)の範囲、例えば約0.1%(w/w)で使用されることが好ましい。
【0107】
CFS中の2-ヒドロキシイソカプロン酸の濃度は、好ましくは5μg/ml超、より好ましくは10μg/ml超、より好ましくは20μg/ml超、より好ましくは30μg/ml超、より好ましくは50μg/ml超、より好ましくは75μg/ml超、より好ましくは100μg/ml超、より好ましくは125μg/ml超、より好ましくは150μg/ml超、より好ましくは175μg/ml超、より好ましくは200μg/ml超である。
【0108】
CFS中のコハク酸の濃度は、好ましくは5μg/ml超、より好ましくは10μg/ml超、より好ましくは20μg/ml超、より好ましくは30μg/ml超、より好ましくは50μg/ml超、より好ましくは75μg/ml超、より好ましくは100μg/ml超、より好ましくは125μg/ml超、より好ましくは150μg/ml超、より好ましくは175μg/ml超、より好ましくは200μg/ml超、より好ましくは500μg/ml超、より好ましくは1000μg/ml超である。
【0109】
CFS中のサリチル酸の濃度は、好ましくは5μg/ml超、より好ましくは10μg/ml超、より好ましくは20μg/ml超、より好ましくは30μg/ml超、より好ましくは50μg/ml超、より好ましくは75μg/ml超、より好ましくは100μg/ml超、より好ましくは125μg/ml超、より好ましくは150μg/ml超、より好ましくは175μg/ml超、より好ましくは200μg/ml超、より好ましくは500μg/ml超、より好ましくは1000μg/ml超である。
【0110】
本発明の好ましい実施形態
細菌の発酵から産生された上清を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、上清が発酵中に細菌によって産生された少なくとも3つの代謝産物を含む、組成物。
【0111】
少なくとも3つの代謝産物を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、少なくとも3つの代謝産物が、バクテリオシン、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸から選択される、組成物。
【0112】
バクテリオシン産生細菌の発酵から産生された上清を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、その細菌が、以下の代謝産物、乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸のうちの少なくとも2つを産生する、組成物。
【0113】
バクテリオシン産生細菌の発酵から産生された上清を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、その細菌が、以下の代謝産物、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン及びN-アセチルアスパラギン酸のうちの少なくとも2つを産生する、組成物。
【0114】
以下の代謝産物、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、N-アセチルトリプトファン、グリコール酸、N-アセチルグルタミン又はN-アセチルアスパラギン酸のうちの少なくとも2つを含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、代謝産物が、乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0115】
インドール-3-乳酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、インドール-3-乳酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0116】
サリチル酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、サリチル酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0117】
2-ヒドロキシイソカプロン酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、2-ヒドロキシイソカプロン酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0118】
2-ヒドロキシブチル酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、2-ヒドロキシブチル酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0119】
N-アセチルアスパラギン酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、N-アセチルアスパラギン酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0120】
アゼライン酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、アゼライン酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0121】
コハク酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、コハク酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0122】
インドール-3-乳酸を含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、インドール-3-乳酸が乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0123】
N-アセチルグルタミンを含む、皮膚症状を改善するための組成物であって、N-アセチルグルタミンが乳酸菌の発酵によって産生される、組成物。
【0124】
乳酸菌の発酵によって産生されたアゼライン酸とインドール-3-乳酸とを含む、皮膚症状を改善するための組成物。
【0125】
乳酸菌の発酵によって産生されたアゼライン酸とサリチル酸とを含む、皮膚症状を改善するための組成物。
【0126】
乳酸菌の発酵によって産生された2-ヒドロキシイソカプロン酸とサリチル酸とを含む、皮膚症状を改善するための組成物。
【0127】
組成物が発酵副生成物を更に含む、上記の組成物のいずれか1つによる組成物。
【0128】
組成物が乳酸及び少なくとも1つのバクテリオシンを含む、上記の組成物のいずれか1つによる組成物。
【0129】
バクテリオシン、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシブチル酸及びN-アセチルアスパラギン酸を含む組成物。
【0130】
バクテリオシン、2-ヒドロキシイソカプロン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシブチル酸及びN-アセチルアスパラギン酸を含む組成物。
【0131】
単離された乳酸菌の単発酵によって生成される、上記の組成物のいずれかによる組成物。
【0132】
過酸化水素、フェニル乳酸、3-ヒドロキシフェニル乳酸、4-ヒドロキシフェニル乳酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、3-ヒドロキシプロパンアルデヒド、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、コハク酸、エタノール、酢酸、炭酸、プロパン酸、酪酸、環状ジペプチド、シクロ(L-Phe-L-Pro)、シクロ(L P-Traps-4-OH-L-Pro)、3-(R)-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシ-5-cicドデカン酸、3-(R)-ヒドロキシドデカン酸及び3-(R)-ヒドロキシテトラデカン酸を含む群から選択される少なくとも1つの抗菌性細菌代謝産物を更に含む、上記の組成物のいずれかによる組成物。
【0133】
水、発酵副産物、有機酸、脂肪酸、増殖培地、培養エネルギー源、緩衝液及び/又は細菌細胞塊を含む群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む部分を更に含む、上記の組成物のいずれかによる組成物。
【0134】
バクテリオシン産生細菌が、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ラハムノースス(Lactobacillus rahamnosus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、ラクトバチルス・サリバルス(Lactobacillus salivarus)、バクテロイデス属(Bacteroides spp)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・デルブリッキィ亜種ブルガリクス(Lactobacillus delbrucekii spp bulgaricus)、ラクトバチルス・セレビオスス(Lactobacillus cellibiosus)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescsents)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・サーモフィリウム(Bifidobacterium thermophilium)、エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス・ジアセチラクチス(Streptococcus diacetylactis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ストレブトコッカス・サーモフィレス(Streptococcus thermophiles)、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種サーモフィラス(Streptococcus salivarius subsp.Thermophilus)、セレウス菌(Bacillus cereus)、プロピオニバクテリア・フロイデンライチー(Proprionibacteria freundenreichii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)(有胞子性乳酸菌(L.sporegenes))、オキサロバクター・フォルマジェネス(Oxalobacter formagenes)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥス(Bifidobacterium bifidus)、及びロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)を含む群から選択される、上記の組成物のいずれかによる組成物。
【0135】
バクテリオシンがプランタリシンである、上記の組成物のいずれかによる組成物。
【0136】
上記の組成物のいずれかによる組成物を含む哺乳動物に適した局所製剤。
【0137】
局所製剤がエマルジョン、ミスト、ペースト、タルク、粉末、ローション、カスタード、フォーム、クリーム、油、血清又は軟膏である、上記の組成物による局所製剤。
【0138】
局所製剤が化粧品又は医薬品である、上記の組成物による局所製剤。
【0139】
皮膚症状の治療又は予防のための上記組成物のいずれかによる組成物の使用。
【0140】
皮膚症状が炎症性若しくは感染性疾患又は皮膚損傷又は機能不全の皮膚微生物叢である、皮膚症状の治療又は予防のための上記の組成物のいずれかによる組成物の使用。
【0141】
皮膚症状が座瘡、酒さ、湿疹、アトピー性皮膚炎及び乾癬から選択される、皮膚症状の治療又は予防のための上記の組成物のいずれかによる組成物の使用。
【0142】
皮膚症状が光損傷、老化、皮膚線条及び瘢痕から選択される、皮膚症状の治療又は予防のための上記の組成物のいずれかによる組成物の使用。
【0143】
上記の組成物のいずれか1つに記載の組成物を産生する方法。
【0144】
本出願で引用された全ての特許及び非特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
本発明を、以下の非限定的な実施例において更に詳細に説明する。
【実施例】
【0146】
実施例1
増殖阻害を、位相差顕微鏡及びoCelloscope(BioSense Solution、デンマーク)を用いた画像分析によって測定した。選択された病原体に対する無細胞上清(CFS)の阻害効果を測定し、様々な乳酸菌(LAB)株を、修正を加えてFredborgらに従って試験した(Fredborg,M.,Andersen,K.R.,Jorgensen,E.,Droce,A.,Olesen,T.,Jensen,B.B.ら(2013)「Real-Time Optical Antimicrobial Susceptibility Testing」,Journal of Clinical Microbiology,51(7),pp.2047-2053.doi:10.1128/JCM.00440-13.)。病原性試験生物の一晩培養物を約104CFU/mlの濃度に希釈した。LABの一晩培養物(109CFU/ml)を0.2μmフィルターで濾過して全ての細胞を除去した。CFSを75%、50%、25%及び10%に希釈した。希釈した病原体細胞懸濁液の100μLアリコートを、96ウェルプレート中の100μLの未希釈又は希釈したCFSと混合した。プレートを酸素透過性フィルムカバー(Sigma-Aldrich)で密封し、oCelloScope装置(BioSense Solution、デンマーク)中、37℃で18時間インキュベートした。病原体の増殖を、表面積の分割及び抽出(SESA)として20分ごとに測定する。
【0147】
以下の試験病原体/腐敗微生物を使用した。
【0148】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSA USA300
【0149】
抗菌活性を有する以下の乳酸菌からのCSFを試験した。
【0150】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB244R(DSM32996)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB316R(DSM33091)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB356R(DSM33094)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB312R(DSM33098)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB116R(DSM32908)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB113R(DSM32907)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)LB28R(DSM32994)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)LB276R(DSM32997)、ロイコノストック・メセンテリオデス(Leuconostoc mesenteriodes)LB349R(DSM33093)、ワイセラ・ビリデスセンス(Weissella viridescens)LB10G(DSM32906)及びラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)LB152G(DSM32995)。
【0151】
最小発育阻止濃度(MIC)は、それぞれの病原体を依然として成長阻害することができる、最も希釈された濃度のCFSとして決定された(表1)。
【0152】
【0153】
実施例2
メタボロミクスを3つの異なる培地発酵で行った。オオムギ又はホエイのいずれかから75℃で1時間、炭水化物水抽出物に基づいて、種々の増殖培地(1:オオムギ麦芽、2:コムギ、3:オオムギ、4:オオムギ短時間抽出25分)で乳酸菌を増殖させ、オートクレーブ処理によって滅菌し、濾過した。異なる条件(1:30℃で48時間、2:30℃で48時間、続いて保存、3:30℃で48時間、pH5.5に調整)で発酵させた。上清を半極性代謝産物法によって分析した。試料分析は、MS-Omics(Vedbaek、デンマーク)により以下のように行った。
【0154】
試料を、0.1%ギ酸を含む10mMギ酸アンモニウムで10倍希釈した。
【0155】
LC-MS法
分析は、高分解能四重極オービトラップ質量分析計(Q Exactive(商標)HF Hybrid Quadrupole-Orbitrap、Thermo Fisher Scientific)と組み合わせたUPLCシステム(Vanquish、Thermo Fisher Scientific)を使用して行った。エレクトロスプレーイオン化インターフェイスをイオン化源として使用した。分析は、負及び正のイオン化モードで行った。化合物の同定のためにQC試料をMS/MSモードで分析した。Catalinらによって記載されたプロトコルをわずかに修正したバージョンを使用してUPLCを実施した(UPLC/MS Monitoring of Water-Soluble Vitamin Bs in Cell Culture Media in Minutes、Water Application note 2011、720004042en)。
【0156】
データ処理
データは、化合物Discoverer 3.1(ThermoFisher Scientific)及びTraceFinder 4.1(ThermoFisher Scientific)を使用して処理した。
【0157】
化合物抽出
1つの化合物は、多くの場合、(例えば、天然に存在するC13同位体、付加物、及び/又は断片に起因して)2つ以上の質量トレースにおいてシグナルを生じさせるので、化合物は、ほぼ常に、同じ保持時間であるが質量が異なる2つ以上の特徴によって表される。Compound Discovererによって行われる化合物抽出は、以下の4つの工程からなる。
1)まず、生データから特徴を抽出する。
2)特徴検出の後に、同じ化合物に属する特徴のグループ化が行われる。
3)次いで、この追加情報(例えば同位体パターン)を正確な質量と共に使用して、分子式を決定する。
4)次いで、各化合物について収集された全情報は、以下の同定工程で使用される。
【0158】
分析は、Thermo Q Exactive HF MSに連結されたThermo Scientific Vanquish LCを使用して行った。エレクトロスプレーイオン化インターフェイスをイオン化源として使用した。分析は、負及び正のイオン化モードで行った。Catalinらによって記載されたプロトコルをわずかに修正したバージョンを使用してUPLCを実施した(UPLC/MS Monitoring of Water-Soluble Vitamin Bs in Cell Culture Media in Minutes、Water Application note 2011、720004042en)。ピーク面積は、Compound Discoverer 3.1(Thermo Scientific)を使用して抽出した。化合物の同定は4つのレベルで実施した。レベル1:保持時間(社内の真正な標準と比較)、正確な質量(許容される偏差は3ppm)、及びMS/MSスペクトルによる同定、レベル2a:保持時間(社内の真正な標準と比較)、正確な質量(許容偏差3ppm)による同定。レベル2b:正確な質量(許容される偏差は3ppm)、及びMS/MSスペクトルによる同定、レベル3:正確な質量(許容される偏差は3ppm)のみによる同定。
【0159】
試料中に合計1606個の化合物が検出された。そのうちの271個はレベル3に注釈が付けられ、103個はレベル2bに、113個はレベル2aに、60個はレベル1に注釈が付けられた。
【0160】
乳酸、酢酸、コハク酸、アゼライン酸、サリチル酸、インドール-3-乳酸、インドール-3-酢酸、2-ヒドロキシブチル酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸及びN-アセチルアスパラギン酸は全て、2つの株LB356R及びLB244Rについて、有意な量で、レベル1で注釈付けされた。
【0161】
LB356R及びLB244Rの全ての発酵について、有機酸は3%(w/w)を超える濃度であった。
【0162】
サリチル酸、インドール-3-乳酸、2-ヒドロキシブチル酸及びN-アセチルアスパラギン酸を、LB356R株の対照と比較して
図1に示す。発酵には4つの異なる基質が使用され、LB356R株の場合、4つの官能性酸は4つの基質全てで有意な量で産生される。
図1に示す試料の符号化は以下の通りである。
【0163】
図1の符号:
1 対照(発酵前の増殖培地1)
2 増殖培地1、発酵条件1
3 増殖培地1、発酵条件2
4 増殖培地1、発酵条件3
5 増殖培地1、発酵条件3
6 対照(発酵前の増殖培地2)
7 増殖培地2、発酵条件1
8 増殖培地2、発酵条件1
9 増殖培地2、発酵条件1
10 対照(発酵前の増殖培地3)
11 増殖培地3、発酵条件1
12 増殖培地3、発酵条件1
13 増殖培地3、発酵条件1
14 対照(発酵前の増殖培地4)
15 増殖培地4、発酵条件1
【0164】
実施例3
2つの最も活性な株のバクテリオシンを配列決定によって同定した。潜在的なバクテリオシンをコードする遺伝子及び病原性又は疾患をコードする遺伝子を明らかにするために、Baseclear(オランダ、ライデン)によって配列決定され、Rapid Annotation Subsystem Technology(RAST)サーバ(http://rast.nmpdr.org/)などのサーバ及び注釈付けプログラムBacteriocin Genome mining tool、BAGEL4(http://bagel4.molgenrug.nl/index.php)によって注釈付けされた全ゲノム。続いて、LB244R及びLB356Rのゲノム配列をBaseclearによって注釈付けした。
【0165】
バクテリオシン産生に関与するいくつかの遺伝子がLB244R及びLB356Rゲノム配列において同定された(表2)。
【0166】
【0167】
実施例4:
3つの異なる方法を用いて細菌ライセートを生成した。
【0168】
LAB分離株(LB356R)をMRSブロス中37℃で一晩増殖させた。
【0169】
ライセート1:15mlの一晩培養物を含むチューブを氷バッチに入れ、Q125超音波処理器(QSonica)を使用して30分間の超音波処理によって細胞を溶解した。
ライセート2:15mlの一晩培養物を0.1M HClでpH3に調整し、45℃で2日間インキュベートした。
ライセート3:15mlの一晩培養物を5%SDS(Sigma-Aldrich L3771)に添加し、-20℃で1時間保存し、50℃で1時間インキュベートした。温度を-20℃から+50℃に変更するサイクルを2×8時間行った。
【0170】
各ライセートを、ライセートプロセス後の生細胞についてそれぞれ評価した。
【0171】
ライセートを、2種の皮膚病原体に対する維持された活性について評価した。
【0172】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSA USA300(ATCC BAA-1717)及びキューティバクテリウム・アクネス(Cutibacterium acnes)(ATCC標準HM-512)を、接種したHM-512又はUSA300のいずれかと各ライセートを1:1でBHI中、約104CFU/mlまで共インキュベートし、分光光度計を使用してOD(600nm)を測定することによって増殖及び増殖阻害を追跡して、増殖阻害活性について試験した。3つ全てのライセートが、HM-512及びUSA300の両方を増殖阻害することが示された。
【0173】
実施例5:
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LB356R由来の上清を5%の上清の単純水希釈で使用することによって座瘡皮膚に対する評価試験を行った。17歳の少年の左肩を14日間毎日1回、上清で処置した。座瘡に対する生存可能な効果が14日後に観察された(
図2)。
図2Aは処置前であり、
図2Bは14日後であった。
【国際調査報告】