(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】TLR4アゴニストを含有するリポソーム、その製造および使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/688 20060101AFI20231101BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20231101BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20231101BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231101BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231101BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20231101BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20231101BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231101BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20231101BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20231101BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20231101BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231101BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231101BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61K31/688
A61K9/127 ZNA
A61K47/28
A61K47/24
A61K47/26
A61K39/00 G
A61K39/39
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P37/04
A61P31/22
A61K39/245
A61P37/08
A61P31/00
A61P37/02
A61P3/00
A61P7/00
A61P25/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525967
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2021079918
(87)【国際公開番号】W WO2022090359
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】592055820
【氏名又は名称】サノフィ・パスツール
【氏名又は名称原語表記】SANOFI PASTEUR
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ガリノ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン・ヘンスラー
(72)【発明者】
【氏名】ファビエンヌ・ピラ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・シンティン
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ・ルイス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC29
4C076CC35
4C076DD63
4C076DD69
4C076DD70
4C076FF11
4C076GG41
4C085AA03
4C085AA17
4C085AA38
4C085BA01
4C085BA78
4C085BB03
4C085EE01
4C085EE05
4C085EE06
4C085FF12
4C085FF17
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA24
4C086NA05
4C086NA10
4C086ZA01
4C086ZA51
4C086ZB07
4C086ZB09
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB31
4C086ZB33
4C086ZC21
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、サポニン、ステロール、リン脂質、および式(I)のToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含むリポソーム、リポソームを製造する方法、これらを含む組成物およびその使用、ならびにこのようなリポソームをアジュバントとして含む免疫原性組成物に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、リポソーム、または
第1の種類のリポソームは、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームは、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの組合せであって、
Toll様受容体4(TLR4)アゴニストは、式(I):
【化1】
[式中、R
1は、
a)C(O);
b)C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O)であり、前記C
1~C
14アルキルが、ヒドロキシル、C
1~C
5アルコキシ、C
1~C
5アルキレンジオキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、または(C
1~C
5アルキル)アリールで場合により置換され、前記(C
1~C
5アルキル)アリールの前記アリール部分が、C
1~C
5アルコキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、(C
1~C
5アルコキシ)アミノ、(C
1~C
5アルキル)-アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、O(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)OH、または-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)-(C
1~C
5)アルキルで場合により置換される、C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O);
c)ヒドロキシルまたはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
15の直鎖または分岐鎖を含むアルキル;および
d)-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-であり、前記アリーレンが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、またはアミノで場合により置換される、-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-
からなる群から選択され;
aおよびbは、独立して0、1、2、3、または4であり;
d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して0、1、2、3、または4であり;
X
1、X
2、Y
1およびY
2は、存在しない、酸素、-NH-および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-、ならびに-N(C
1~C
4アルキル)-からなる群から独立して選択され;
W
1およびW
2は、カルボニル、メチレン、スルホン、およびスルホキシドからなる群から独立して選択され;
R
2およびR
5は、
a)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル;
b)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルまたはジアルケニル;
c)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ;
d)-NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル)であり、前記アルキル基が、オキソ、ヒドロキシ、またはアルコキシで場合により置換される、-NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル);ならびに
e)
【化2】
(ここで、Zは、OおよびNHからなる群から選択され、MおよびNは、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖を含む、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、およびアシルアミノからなる群から独立して選択される)
からなる群から独立して選択され;
R
3およびR
6は、オキソまたはフルオロで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルからなる群から独立して選択され;
R
4およびR
7は、C(O)-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル)、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ、およびC
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルからなる群から独立して選択され;前記アルキル、アルケニル、またはアルコキシ基は、ヒドロキシル、フルオロ、またはC
1~C
5アルコキシで独立して、場合により置換することができ;
G
1、G
2、G
3、およびG
4は、酸素、メチレン、アミノ、チオール、-C(O)NH-、-NHC(O)-、および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-からなる群から独立して選択され;
またはG
2R
4またはG
4R
7は、水素原子またはヒドロキシルと一緒にあり得る]
または該化合物の薬学的に許容される塩であり、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約1:50もしくは約1:25~約1:35の範囲であるTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、または約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量比で存在する、
リポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項2】
TLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する、請求項1に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項3】
TLR4アゴニストは、式(II):
【化3】
であり、
特に、TLR4アゴニストは、式(III):
【化4】
のE6020である、
請求項1または2に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項4】
サポニンは、シャボンノキのサポニンであり、特に、キラヤの樹皮から抽出される、請求項1~3のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項5】
サポニンは、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、およびその組合せから選択され、好ましくはQS-7またはQS-21である、請求項1~4のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項6】
ステロールは、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、およびその混合物から選択され、特にコレステロールまたはその誘導体から選択され、特にコレステロールである、請求項1~5のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項7】
サポニンおよびステロールは、1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、もしくは1:10~1:5の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、または約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項8】
リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびその混合物から選択され、特にDSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、POPC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、SOPC(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、およびその混合物から選択されるホスファチジルコリンである、請求項1~7のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ。
【請求項9】
リポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a)、工程(b)、または工程b)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約1:400の範囲、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:40の範囲、または約1:5~約1:25の範囲のTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比で存在する、
方法。
【請求項10】
工程(a)の前に、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程(b)は、溶媒注入法を使用することにより実行する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程(b)は、以下の工程:
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
水混和性有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、もしくはその混合物から選択される、またはエタノールである、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(b)で得られるリポソームをろ過し、平均径が200nm未満のリポソームを回収する工程(c)をさらに含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の1つのリポソームもしくはリポソームの1つの組合せの少なくともいずれか、または請求項9~14のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソームを含む、アジュバント組成物。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に記載の1つのリポソームもしくはリポソームの1つの組合せの少なくともいずれか、または請求項9~14のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または請求項15に記載のアジュバント組成物、および少なくとも1つの抗原を含む、免疫原性組成物。
【請求項17】
- 1つのCMV gB抗原;
- 1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原;ならびに
- サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む少なくとも1つのリポソーム、または第1の種類のリポソームが、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームが、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの少なくとも1つの組合せのいずれかを含む、1つのアジュバント
を少なくとも含む、免疫原性組成物。
【請求項18】
前記CMV gB抗原は、全長CMV gB抗原、膜貫通ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての膜貫通ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、細胞内ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての細胞内ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、ならびに膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインの両方から実質的に欠失している切断型CMV gB抗原からなる群で選択され、特にgBdTMである、請求項17に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記gHは、膜貫通ドメインの少なくとも一部もしくは実質的に全ての膜貫通ドメインから欠失する、またはCMV UL75遺伝子でコードした全長gHポリペプチドの外部ドメインを含む、請求項17または18に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
CMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、CMV抗原のみである、請求項17~19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
TLR4アゴニストは、請求項1~3のいずれか1項に記載のものである、請求項17~20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
サポニンは、請求項4または5に記載のものである、請求項17~21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
ステロールは、請求項6または7に記載のものである、請求項17~22のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
リン脂質は、請求項8に記載のものである、請求項17~23のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
CMVワクチンとして使用するための、請求項17~24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
感染性疾患、アレルギー、自己免疫疾患、稀な血液障害、稀な代謝性疾患、稀な神経疾患、および腫瘍またはがん疾患の予防および/または処置で使用するための、請求項1~8のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法で得られるリポソーム、請求項15に記載のアジュバント組成物、請求項16に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワクチン組成物においてアジュバントとして使用することができる新規なリポソーム製剤の分野に関する。リポソームを生成する方法および薬におけるその使用にも関する。
【0002】
本開示は、CMV(サイトメガロウイルス)gB抗原、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原、およびTLR-4アゴニスト含有アジュバントを含む免疫原性組成物にさらに関する。さらに、これは、反応原性が低いCMV抗原含有組成物に関する。CMVワクチンとして使用するための免疫原性組成物にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
アジュバント製剤は、標的とする病原体に対する長期的な保護を与える目的で、免疫細胞への抗原提示を向上することにより、所与の抗原に対する免疫応答を向上させる助けとなるワクチン組成物において長年使用されている。アジュバントはまた、ワクチンの免疫応答の効果的なレベルを維持しながら、所与の抗原の必要とする量を低減するのに有用な適用を見出すことができる。抗原のこの節約は、必要とする抗原の利用可能な量を一定に保ちながら、ワクチンを製造する容積能力を高めるのに有用であり得る。この抗原の節約は、例えばパンデミックの状況で非常に有用であり得る。
【0004】
一部のアジュバントは、ある特定の抗原に特異的であり、他のアジュバントは、より広範囲の作用を有し、異なる化学的性質の抗原と組み合わせて異なる種類の疾患に対して効果的である。バランスの取れたTh1/Th2プロファイルのアジュバントは、より広範囲の作用を有し得る。
【0005】
これらの最後の種類のアジュバントは、予め製造され、手元での抗原の広範囲な選択とのその組合せに対して製薬会社または医療従事者で直ちに利用可能であるという利点を有する。これらは、それを必要とする個体に直接投与することができる。この特質はまた、パンデミックの間に特に関心対象となり得る。
【0006】
当該技術分野で認識されるアジュバント系の中で、GlaxoSmithKlineが販売するAS01アジュバントを挙げることができる。AS01は、2つの免疫促進剤:TLR4アゴニストである3-O-デサシル-4’-モノホスホリル脂質A(MPL)およびサポニンQS-21を含有するリポソームベースのワクチンアジュバント系である。(特許文献1、特許文献2)。
【0007】
しかし、エタノールのような溶媒中のその溶解度が低いので、アジュバント系、特にリポソームアジュバント系におけるMPLの存在により、その生産に使用することができる方法は制限され、産業的開発およびスケールアップに対して重大な障害となり得る。さらに、製剤において十分な免疫賦活またはアジュバント特性を得るのに必要なMPLの量は比較的多く、その使用は相当に効果となる。これらの欠点は、必然的に、これらのアジュバントの製造をより複雑にし、その生産費用も上昇させる。
【0008】
他のTLR4アゴニストは、当該技術分野で知られており、その多くは、ワクチンアジュバントとして提案された(非特許文献1)。公知のTLR4アゴニストとして、モノホスホリル脂質A(MPL)のような天然リポ多糖類もしくはアミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)(非特許文献2)のような合成TLR4アゴニストのブプレノルフィン、オキシコドン、メサドン、フェンタニル、クルクミン、グリチルリチン、パクリタキセル、モルヒネ(非特許文献3)、GLA-60、ER112022、もしくはONO-4007(非特許文献3)、特許文献3に記載の化合物、またはE6020(非特許文献4)のようなオピオイドを挙げることができる。しかし、十分な免疫賦活またはアジュバント処理する応答を維持しながら、リポソームで、特に工業的な製造方法において容易に製剤化することができるTLR4アゴニストを同定することは困難である。
【0009】
ヒトまたは動物に使用することを意味するアジュバントを製剤化する場合の別の懸念事項は、製造工程のできるだけ多くを保健機関で一般に許容される生成物を使用して実施しなければならないことである。例えば、ある特定の溶媒は避けるべきであり、薬学的な観点からより良好に許容される他の溶媒は、好ましいはずである。
【0010】
ゆえに、市販されている製剤と同様に免疫応答の向上に関して少なくとも効果的であるアジュバント組成物のような新しい製剤に対する必要性が依然として存在する。
【0011】
良好な安全性プロファイルおよび反応原性効果がないまたは低減した反応原性効果を有するアジュバント組成物に対する必要性も依然として存在する。
【0012】
さらに、特に工業規模で製造するのが容易であり、生産費用が低い免疫賦活およびアジュバント製剤に対する必要性が存在する。工業規模で費用が安いTLR4アゴニストを含有するアジュバントベースのリポソームを製造することができる必要がある。大部分の保健当局で安全であるとみなされている、原材料を使用し、中間体を製造して、できるだけ薬学的に無害であるアジュバント製剤を提供する必要もある。
【0013】
抗原の節約のために使用することができるアジュバントを有する必要がある。
【0014】
最終的に、特に当該技術分野で公知のある特定のアジュバント製剤と比較して、よりバランスの取れたTh1/Th2応答を誘発する製剤に対する必要性が依然として存在する。
【0015】
本開示は、これらおよび他の関連する利点を提供する。
【0016】
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)は、ヘルペスウイルス科に属する常在ウイルスである。本ウイルスは、テグメントに囲まれ、その表面に糖タンパク質のスパイクを担持する脂質二重層にエンベロープを有するカプシドに含有される線状二本鎖デオキシリボ核酸(DNA)から構成される。この科の他のメンバーと同様に、HCMVは、潜伏および再活性化の特質を有する。
【0017】
免疫担当宿主では、大部分のHCMV感染は、疲労、不定愁訴、中程度の発熱、リンパ節症、肝腫大または肝酵素のわずかな増加のようなほとんど非特異的である症状を伴う、無症候または非常に軽度である。しかし、異好性抗体陰性単核球増加症は、先の健康な個体のおよそ10%で観察される。対照的に、臨床徴候は、子宮で感染した新生児、およびAIDSにより免疫抑制された成人で、または実質臓器もしくは骨髄移植の文脈で、非常に重症であり得る。
【0018】
HCMV感染の有病率は、年齢と共に増加し、社会経済的要因により影響される。血清学的調査では、発展途上国および先進国の低い社会経済的な群においてより高い有病率が示されている。出産適齢期の女性に対して、HCMV血清陽性の女性の割合は、先進国の高所得および中程度の所得の群でおよそ50%から、低所得者集団で80%超までの範囲である。異なる欧州の国々で実施した調査では、幼児および青年期でのHCMVの血清学的有病率が、40~50%の範囲であるのに対して、より高齢の対象(40歳以上)では、HCMVの血清学的有病率が80%より高いことが全体的に示された。
【0019】
HCMVは、先進国では先天性感染症の最も一般的な原因である。先天性感染症とは、新生児の誕生前に母親から胎児に伝染した感染を指す。全体で、妊娠中の主要なHCMV感染は、胎児に伝染のリスクの40%に関連する。先天性HCMV感染の結果として、幼児が、精神遅滞、失明、および感音性難聴を含む障害で苦しむ可能性がある。先天的に感染した新生児の中で、5%~10%は、小頭症、脈絡網膜炎、頭蓋内石灰化、肝脾腫大症、肝炎、黄疸、高直接ビリルビン血症、血小板減少症、点状出血、および貧血のような出生時に主要な徴候を有する。症候性の先天性HCMV疾患を有するこれらの新生児の中で、死亡率は、乳児期初期におよそ10%であり、生存者の中で、50~90%は、精神遅滞、脳性麻痺、感音性聴力損失、または視力障害のような後遺症を有する。さらに、先天性HCMV感染症を有する多くの幼児は、出生時は無症候である。それにもかかわらず、追跡研究では、ウイルス学的スクリーニングにより新生児期にHCMV血清陽性であり、出生時は無症候である幼児のおよそ15%が、聴力損失または中枢神経系の異常のような後遺症を有することが示されている。全体として、欧米で毎年誕生するおよそ17,000名の幼児は、永続的な後遺症を有する。
【0020】
HCMVはまた、臓器および骨髄移植のレシピエントならびにAIDS患者において重要なウイルス病原体である。HCMV血清陰性の実質臓器移植のレシピエントにおけるHCMV関連の罹患率は、60%に達する。実質臓器移植では、本疾患は、血清陰性患者がHCMV陽性のドナー由来の移植片を受け取る場合に最も重症となる。対照的に、骨髄または幹細胞移植では、本疾患は、HCMV感染の起源が内因性感染の再活性化であることを示す血清陰性ドナー由来の細胞を受け取るHCMV血清陽性対象において最も重症となる。HCMVは、同種移植のレシピエントのおよそ15%で、肺炎、肝炎、胃腸疾患、骨髄抑制、および網膜炎を引き起こす。これらの直接的な終末器官の疾患に加えて、HCMVは、移植片拒絶反応、促進したアテローム性動脈硬化症、および細菌または真菌感染をもたらし得る免疫抑制のような間接的な作用に関連している。
【0021】
妊娠中のHCMV感染もしくは先天性HCMV感染、または臓器および骨髄移植のレシピエントならびにAIDS患者において予防または処置するのに効果的な手段は、現在利用可能ではない。
【0022】
したがって、HCMVワクチンの開発は、医学研究所のワクチン優先付けの報告において主要な公衆衛生の目的とみなされている(非特許文献5)。多くの候補のワクチンは、例えば特許文献4、特許文献5、または特許文献6に記載されているが、これまで認可されたものはない(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。
【0023】
MF59アジュバントを含むサイトメガロウイルス糖タンパク質Bワクチンは、移植レシピエントでの第2相無作為化プラセボ対照試験において有望な結果を示した(非特許文献9)。出産適齢期の女性での第2相プラセボ対照無作為化二重盲検では、プラセボと比較して、MF59アジュバントを含む組換えHCMVエンベロープ糖タンパク質Bからなる同じワクチンが評価された。結果は、原発性HCMVのHCMV獲得を予防する際に50%の効能を示した。しかし、免疫原性の結果は、gB/MF59製剤により誘発される中和抗体(Ab)のレベルが、第3の用量の投与の1か月後にピークのレベルとなり、次いで直ちに低下することを示した(非特許文献10)。
【0024】
結果として、改善した効能を有するCMVワクチン、特に中和抗体レベルを上昇させ、持続的な免疫応答を誘発することによる長期持続型の保護を誘発することができるワクチンを有する必要がある。
【0025】
広範な免疫応答を誘発することができるCMVワクチンを有する必要もある。
【0026】
CMVを中和する保護レベルの抗体を誘発することができるアジュバント処理したCMVワクチンを有する必要がある。
【0027】
個体においてCMVを中和することができる長期持続型抗体を誘発することができるアジュバント処理したCMVワクチンを有する必要がある。
【0028】
個別の健康に対するこれらの予想された有益な効果に加えて、ワクチンは、時に、一時的に、局所的に、または系統的に、反応原性効果を誘発する(非特許文献11)。これらの効果は、ワクチンの注射に起因する免疫応答の身体的徴候を反映する。これらは、例えば、注射部位の疼痛もしくは硬結、発赤、腫脹、または全身症状、例えば発熱、筋痛症、もしくは頭痛であり得る。これらの反応原性効果は、ワクチンの使用および奨励に対する負の挙動、ならびにワクチンスケジュールへの低レベルの遵守を誘発することができる。個体が所与のワクチンの反応原性のものを有し得る知覚に関して、その個体がワクチン接種を拒絶する可能性がある。医療専門家でさえも、ワクチンを奨励するか否かを決定することができる。結果として、ワクチン接種への遵守の悪化または所与のワクチンへの個体の適用の悪化が起こり、これが、ワクチン接種から起こり得る全体的に有益な効果に、劇的に影響を及ぼし得る。
【0029】
アジュバントは、免疫応答を向上する、および/または抗原への応答(Th1対Th2)の種類を方向付ける免疫促進剤である。不都合な点では、アジュバントの種類および用量が、アジュバント処理していないワクチンと比較して、ワクチンの反応原性を高めることができることが認められている(非特許文献11)。同じ抗原に対して、異なるアジュバントの使用は、異なるレベルの反応原性および異なる反応原性応答の種類を誘発することができる。例えば、異なる抗原で製剤化されたB型肝炎抗原(HBsAg)、すなわちミョウバンまたはアジュバント系AS01B、AS01E、AS03AもしくはAS04を報告する研究では、AS01、特にAS01Bでの製剤化が、最も高い局所的および全身の反応原性を誘発していたことが示された(非特許文献12)。AS01は、様々な市販のワクチンの製剤に含まれ、アジュバントとしてTLR4アゴニスト3-O-デサシル-4’-モノホスホリル脂質A(MPL)を含有する。
【0030】
他のTLR4アゴニストは、当該技術分野で知られており、その多くは、ワクチンアジュバントとして提案された(非特許文献1)。公知のTLR4アゴニストとして、モノホスホリル脂質A(MPL)のような天然リポ多糖類もしくはアミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)(非特許文献2)のような合成TLR4アゴニストのブプレノルフィン、オキシコドン、メサドン、フェンタニル、クルクミン、グリチルリチン、パクリタキセル、モルヒネ(非特許文献3)、GLA-60、ER112022、もしくはONO-4007(非特許文献3)、特許文献3に記載の化合物、またはE6020(非特許文献4)のようなオピオイドを挙げることができる。
【0031】
ワクチンを製剤化するのに使用することができるが、低レベルの反応原性を誘発するアジュバントを含有するTLR4アゴニストを同定することは困難である。低レベルの反応原性を有するアジュバント処理したCMV-抗原を含有するワクチンを同定することはさらに困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】WO2007/068907A1
【特許文献2】EP0955059B1
【特許文献3】WO2019/157509
【特許文献4】WO20090/37359A1
【特許文献5】WO2017/070613A1
【特許文献6】WO2019/052975
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】Foxら、Subcell Biochem.2010年;53:303~21頁
【非特許文献2】Aldersonら、J Endotoxin Res.2006年;12(5):313~9頁
【非特許文献3】Periら、J Med Chem.2014年;57(9):3612~3622頁
【非特許文献4】Ishizakaら、2007年、Future Drugs
【非特許文献5】Institute of Medicine(US)Committee to Study Priorities for Vaccine Development、Stratton KR、Durch JS、Lawrence RS編、Vaccines for the 21st Century:A Tool for Decision making.Washington(DC):National Academies Press(US);2000年
【非特許文献6】Plotkinら、Vaccines、第6版、Elsevier編、2013年
【非特許文献7】Schleissら、Cytomegalovirus vaccines、1032~1041頁
【非特許文献8】Permarら、J Virol.2018年3月14日;92(7):e00030-18
【非特許文献9】Griffithsら、Lancet.2011年;377(9773):1256~1263頁
【非特許文献10】Passら、N Engl J Med.2009年;360(12):1191~1199頁
【非特許文献11】Herveら、NPJ Vaccines.2019年;4:39
【非特許文献12】Leroux-Roelsら、Clin Immunol.2016;169:16~27頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
したがって、良好な免疫促進剤でありながら、対象においてワクチンに対して低いまたは中程度の反応原性も誘発するアジュバントを選択する必要がある。
【0035】
したがって、CMV感染に対して効果的にアジュバント処理したワクチンを有する必要性に加えて、このワクチンが対象において低い反応原性を誘発する必要がある。
【0036】
レジメンスケジュールがどのようなものであってもその後の用量で低い反応原性を誘発する多用量のワクチンスケジュールで使用される、例えばTLR4アゴニストを含むアジュバント処理したCMVワクチンを有する必要がある。
【0037】
その後の用量投与の順守および許容に好都合である、例えばTLR4アゴニストを含むアジュバント処理したCMVワクチンを有する必要がある。
【0038】
第1の用量に続くその後の用量で、C反応性タンパク質(CRP)、フィブリノゲン、好中球数、および/またはグロブリンのような炎症性血清バイオマーカーの小さい増加を誘発する複数回用量のワクチンスケジュールで使用される、例えばTLR4アゴニストを含むアジュバント処理したCMVワクチンを有する必要がある。
【0039】
本開示の目的は、これらの必要性の全てまたは一部を満足させることである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
TLR4アゴニストを含有するリポソーム、その製造および使用
本開示は、サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含むリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)、または
第1の種類のリポソームは、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームは、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの組合せに関し、
【0041】
Toll様受容体4(TLR4)アゴニストは、式(I):
【化1】
[式中、R
1は、
a)C(O);
b)C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O)であって、前記C
1~C
14アルキルが、ヒドロキシル、C
1~C
5アルコキシ、C
1~C
5アルキレンジオキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、または(C
1~C
5アルキル)アリールで場合により置換され、前記(C
1~C
5アルキル)アリールの前記アリール部分が、C
1~C
5アルコキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、(C
1~C
5アルコキシ)アミノ、(C
1~C
5アルキル)-アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、O(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)OH、または-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)-(C
1~C
5)アルキルで場合により置換される、C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O);
c)ヒドロキシルまたはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
15の直鎖または分岐鎖を含むアルキル;および
d)-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-であって、前記アリーレンが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、またはアミノで場合により置換される、-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-
からなる群から選択され;
aおよびbは、独立して0、1、2、3、または4であり;
d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して0、1、2、3、または4であり;
X
1、X
2、Y
1、およびY
2は、存在しない、酸素、NHおよびN(C(O)(C
1~C
4アルキル))、ならびにN(C
1~C
4アルキル)からなる群から独立して選択され;
W
1およびW
2は、カルボニル、メチレン、スルホン、およびスルホキシドからなる群から独立して選択され;
R
2およびR
5は、
a)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル;
b)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルまたはジアルケニル;
c)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ;
d)NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル)であって、前記アルキル基が、オキソ、ヒドロキシ、またはアルコキシで場合により置換される、NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル);ならびに
【0042】
e)
【化2】
(ここで、Zは、OおよびNHからなる群から選択され、MおよびNは、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖を含む、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、およびアシルアミノからなる群から独立して選択される)
からなる群から独立して選択され;
R
3およびR
6は、オキソまたはフルオロで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルからなる群から独立して選択され;
R
4およびR
7は、C(O)-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル)、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ、およびC
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルからなる群から独立して選択され;前記アルキル、アルケニル、またはアルコキシ基は、ヒドロキシル、フルオロ、またはC
1~C
5アルコキシで独立し、場合により置換することができ;
G
1、G
2、G
3、およびG
4は、酸素、メチレン、アミノ、チオール、-C(O)NH-、-NHC(O)-、および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-からなる群から独立して選択され;
またはG
2R
4またはG
4R
7は、水素原子またはヒドロキシルと一緒にあり得る]
または本化合物の薬学的に許容される塩であり、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、1:1~約1:50、または約1:25~約1:35の範囲であるTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、または約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量比で存在する。
【0043】
一実施形態では、本明細書に開示されるTLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の種類のリポソームは、TLR4アゴニストを有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の種類のリポソームは、サポニンを有していなくてもよい。
【0045】
本発明者らにより予想外に観察され、実施例で詳述される通り、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せのようなリポソームは、強力な免疫賦活作用、Th1/Th2平衡応答を有し、CMV抗原、Flu抗原、およびRSV抗原を含む数多くの抗原をアジュバント処理することが可能である。さらに、リポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せは、単純で効果的な方法によって製造することができるという利点を呈する。有利には、製造する方法は、リポソームを製造する工程で使用される有機溶媒としてエタノールのみの溶媒を使用することができる。さらに、リポソームまたは少なくとも2種類の本発明のリポソームの組合せは、少量のTLR4アゴニストを含有する一方、強力なアジュバント効果を誘発することができる。少量のTLR4アゴニストに関連する生産が容易であることは、生産の有利に低減した費用をもたらし、ワクチン生産で抗原を節約するのに有用な本明細書に開示されるアジュバントを作製する。さらに、AS01Bのような類似のアジュバントと比較して、リポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せは、広範囲の抗原に対してよりバランスの取れたTh1/Th2効果を含むアジュバント効果を呈し、ワクチン接種に対するより広いスペクトルの適用をアジュバントに与える。さらに、実施例に示す通り、サポニンとしてQS7を含むリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せは、良好な安全性プロファイルおよび良好なアジュバント処理の効果を有利に呈する。
【0046】
さらに、本発明者らは、単一の種類のリポソームにおいてTLR4アゴニストおよびサポニンを有することが必要ではないが、第1の種類のリポソームがサポニン、ステロール、およびリン脂質を含むが、TLR4アゴニストを含まず、第2の種類のリポソームがステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含むが、サポニンを含まない少なくとも2種類のリポソームの組合せが、ステロール、リン脂質、サポニン、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む単一の種類のリポソームとして類似のアジュバント処理の効果を誘発することができることを予想外に観察している。いくつかの実施形態では、第1の種類のリポソームは、任意のTLR4アゴニストを有していなくてもよく、第2の種類のリポソームは、任意のサポニンを有していなくてもよい。
【0047】
本明細書では、表現「リポソーム」とは、別段文脈で指示する場合を除いて、ステロール、リン脂質、サポニン、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む「単一の種類」のリポソーム、または(i)サポニン、ステロール、およびリン脂質、もしくは(ii)ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストのいずれかを含む「第1および/または第2の種類」のリポソームのいずれか1つを互換的に指すことができる。「リポソームの種類」とは、ステロール、リン脂質、サポニン、またはTLR4アゴニストのような、その構成要素の性質および量により定義されるリポソームを指すことを意図する。
【0048】
本明細書では、第1および第2の種類のリポソームとは、本明細書に記載されるその組成が異なる第1および第2の種類のリポソームを指すことを意図する。
【0049】
別の実施形態では、好適なTLR4アゴニストは、式(II):
【化3】
である。
【0050】
別の実施形態では、好適なTLR4アゴニストは、式(III):
【化4】
のE6020である。
【0051】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、サポニンとしてシャボンノキ(Quillaja saponaria)のサポニンを含み得る。
【0052】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、サポニンとしてキラヤ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮から抽出したサポニンを含み得る。
【0053】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、サポニンとしてQS7、QS17、QS18、QS21、およびその組合せから選択されるサポニンを含み得る。
【0054】
別の実施形態では、サポニンは、QS21またはQS7であり得る。
【0055】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、サポニンとしてQS21を含み得る。
【0056】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、サポニンとしてQS7を含み得る。
【0057】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、ステロールとして、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、およびその混合物から選択されるステロールを含み得る。
【0058】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームは、ステロールとして、コレステロールのようなコレステロールまたはその誘導体由来のステロールを含み得る。
【0059】
別の実施形態では、サポニンおよびステロールは、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームにおいて、1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、もしくは1:10~1:5の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、または約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で存在し得る。
【0060】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに好適なリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびその混合物から選択することができる。
【0061】
別の実施形態では、リポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに好適なリン脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、POPC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、SOPC(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、およびその混合物から選択されるホスファチジルコリンであり得る。例示的な一実施形態では、リン脂質は、DOPCであり得る。
【0062】
別の実施形態では、本開示は、リポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a)、工程b)、または工程(b)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約1:400の範囲、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:40の範囲、または約1:5~約1:25の範囲のTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比で存在する、方法を対象とする。このような方法は、本明細書に開示される単一の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0063】
一実施形態では、サポニンは、工程b)の後、すなわち工程b)で得られる懸濁液を含有するリポソームに添加される。
【0064】
別の実施形態では、本開示は、リポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程を少なくとも含む、方法を対象とする。このような方法は、本明細書に開示される第2の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0065】
一実施形態では、リポソームを製造するための本明細書に開示される方法は、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程を、上記の工程(a)の前にさらに含み得る。
【0066】
別の実施形態では、本開示は、リポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、ステロールおよびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンが、工程(a)、工程b)、または工程(b)の後のいずれかで添加される、方法を対象とする。このような方法は、本明細書に開示される第1の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0067】
一実施形態では、本明細書に開示される方法の工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程(b)は、溶媒注入法を使用することにより実行する。
【0068】
一実施形態では、工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程(b)は、以下の工程:
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を含む。
【0069】
一実施形態では、水混和性有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、またはその混合物から選択される。一実施形態では、水混和性有機溶媒は、エタノールのみの溶媒である。
【0070】
一実施形態では、方法は、工程(b)で得られるリポソームをろ過し、平均径が200nm未満のリポソームを回収する工程(c)をさらに含み得る。
【0071】
あるいは、一実施形態では、方法は、工程(b)で得られるリポソームを例えば滅菌ろ過としてろ過し、ろ過したリポソームを回収する工程(c)を含み得る。
【0072】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも2種類のリポソームの組合せを製造するための方法であって、第1の種類のリポソームが、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームが、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含み、方法が、第1および第2のリポソームを混合する工程を少なくとも含む、方法を対象とする。
【0073】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される単一の種類のリポソームのような少なくとも1つのリポソーム、または本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームもしくは少なくとも1つのリポソームの組合せ、もしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む、アジュバント組成物を対象とする。
【0074】
別の実施形態では、本開示は、単一の種類のリポソームのような少なくとも1つのリポソーム、または本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームもしくは少なくとも1つのリポソームの組合せ、もしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む、免疫賦活剤を対象とする。
【0075】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのリポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームもしくは少なくとも1つのリポソームの組合せ、もしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に開示されるアジュバント組成物、および少なくとも1つの抗原を含む、ワクチン組成物のような免疫原性組成物を対象とする。
【0076】
別の実施形態では、免疫原性組成物は、細菌抗原、原虫抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、および腫瘍抗原から選択される抗原を含み得る。
【0077】
別の実施形態では、本開示は、
- 本明細書に開示されるリポソームもしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも1つのリポソーム、または本明細書に開示されるアジュバント組成物を含む第1の組成物を含む、第1の容器、および
- 少なくとも1つの抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含む、パーツのキット(kit-of-parts)を対象とする。このような実施形態では、リポソームは、単一の種類のリポソームであり得る。アジュバント組成物は、単一の種類のリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せを含み得る。
【0078】
別の実施形態では、本開示は、
- サポニン、ステロール、およびリン脂質を含む第1の種類のリポソームを含む第1の組成物を含む、第1の容器、
- ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む第2の種類のリポソームを含む、第2の容器、ならびに
- 少なくとも1つの抗原を含む第3の組成物を含む、第3の容器
を含む、パーツのキットを対象とする。
【0079】
別の実施形態では、本開示は、ワクチンのような免疫原性組成物を製造するための方法であって、少なくとも1つのリポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または少なくとも1つのリポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または少なくとも1つの抗原を含む本明細書に開示されるアジュバント組成物を混合する工程を少なくとも含む、方法を対象とする。
【0080】
別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される方法によって得ることが可能な免疫原性組成物を対象とする。
【0081】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの抗原をアジュバント処理するための方法であって、前記少なくとも1つの抗原を、少なくとも1つのリポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または少なくとも1つのリポソームもしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に開示されるアジュバント組成物と組み合わせる工程を少なくとも含む、方法を対象とする。
【0082】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体において少なくとも1つの抗原に対して免疫原性応答をアジュバント処理するための方法であって、前記個体に、少なくとも1つのリポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または少なくとも1つのリポソームもしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に開示されるアジュバント組成物を含む前記少なくとも1つの抗原を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0083】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体において少なくとも1つの抗原に対して免疫応答を誘発するための方法であって、前記個体に、少なくとも1つのリポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または少なくとも1つのリポソーム、または本明細書に開示される方法で得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に開示されるアジュバント組成物を含む前記少なくとも1つの抗原を投与する少なくとも1つの工程を含む、方法を対象とする。
【0084】
別の実施形態では、本発明に従う免疫応答を誘発する方法において、リポソーム(例えば、本明細書に開示される単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せ、またはアジュバント組成物および抗原は、同時に、別個に、または逐次的に投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるリポソームの組合せの第1および第2の種類のリポソームは、同時に、別個に、または逐次的に投与することができる。
【0085】
別の実施形態では、免疫応答を誘発するための方法は、前記個体のサイトカインおよび/またはケモカイン応答を高める工程をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、免疫応答を誘発するための方法は、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-γ、IP-10、MCP-1、MIP-1β、KC、および/またはTNF-αから選択されるサイトカインおよび/またはケモカインの上昇を含み得る。別の実施形態では、免疫応答を誘発するための方法は、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-5、およびIL-17の上昇を含み得る。
【0086】
アジュバント処理したCMV抗原含有免疫原性組成物、およびその使用
本目的の1つによると、本開示は、以下:
- 1つのCMV gB抗原;
- 1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原;
- 以下:
- サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む少なくとも1つのリポソーム、または
- 少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの少なくとも1つの組合せであって、第1の種類のリポソームが、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームが、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、組合せのいずれか
を含む、1つのアジュバント
を少なくとも含む、免疫原性組成物に関する。
【0087】
本目的の別の1つによると、本開示は、以下:
- 1つのCMV gB抗原;
- 1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原;ならびに
- 以下:
- サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む少なくとも1つのリポソーム、または
- 第1の種類のリポソームが、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームが、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの組合せのいずれか
を含む、1つのアジュバント
を少なくとも含む、免疫原性組成物に関し、
【0088】
Toll様受容体4(TLR4)アゴニスが、式(I):
【化5】
[式中、R
1は、
a)C(O);
b)C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O)であって、前記C
1~C
14アルキルが、ヒドロキシル、C
1~C
5アルコキシ、C
1~C
5アルキレンジオキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、または(C
1~C
5アルキル)アリールで場合により置換され、前記(C
1~C
5アルキル)アリールの前記アリール部分が、C
1~C
5アルコキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、(C
1~C
5アルコキシ)アミノ、(C
1~C
5アルキル)-アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、O(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)OH、または-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)-(C
1~C
5)アルキルで場合により置換される、C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O);
c)ヒドロキシルまたはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
15の直鎖または分岐鎖を含むアルキル;および
d)-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-であって、前記アリーレンが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、またはアミノで場合により置換される、-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-
からなる群から選択され;
aおよびbは、独立して0、1、2、3、または4であり;
d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して0、1、2、3、または4であり;
X
1、X
2、Y
1およびY
2は、存在しない、酸素、-NH-および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-、ならびに-N(C
1~C
4アルキル)-からなる群から独立して選択され;
W
1およびW
2は、カルボニル、メチレン、スルホン、およびスルホキシドからなる群から独立して選択され;
R
2およびR
5は、
a)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル;
b)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルまたはジアルケニル;
c)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ;
d)-NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル)であって、前記アルキル基が、オキソ、ヒドロキシ、またはアルコキシで場合により置換される、-NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル);ならびに
【0089】
e)
【化6】
(ここで、Zは、OおよびNHからなる群から選択され、MおよびNは、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖を含む、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、およびアシルアミノからなる群から独立して選択される)
からなる群から独立して選択され;
R
3およびR
6は、オキソまたはフルオロで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルからなる群から独立して選択され;
R
4およびR
7は、C(O)-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル)、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ、およびC
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルからなる群から独立して選択され;前記アルキル、アルケニル、またはアルコキシ基は、ヒドロキシル、フルオロ、またはC
1~C
5アルコキシで独立して、場合により置換することができ;
G
1、G
2、G
3、およびG
4は、酸素、メチレン、アミノ、チオール、-C(O)NH-、-NHC(O)-、および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-からなる群から独立して選択され;
またはG
2R
4またはG
4R
7は、水素原子またはヒドロキシルと一緒にあり得る]
または本化合物の薬学的に許容される塩であり、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:50~約1:1もしくは約1:35~約1:25の範囲であるTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、または約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量比で存在する。
【0090】
アジュバントは、本明細書に記載される単一の種類のリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せからなる。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の種類のリポソームは、TLR4アゴニストを有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の種類のリポソームは、サポニンを有していなくてもよい。
【0092】
例示的な一実施形態では、本開示で考えられるCMVは、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)である。gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、HCMVに由来し得る。
【0093】
実施例の節で示す通り、HCMV抗原および本明細書に開示されるアジュバント(SPA14)を含有する本明細書に開示される免疫原性組成物が、他のHCMVを含有するアジュバント処理した免疫原性組成物と比較して、長期持続型中和抗体を誘起することができたことが予想外に観察された。
【0094】
さらに、本明細書に開示されるアジュバント処理した免疫原性組成物は、同じ抗原であるが、ベンチマークアジュバントとして使用されるAS01アジュバント系を含有する組成物より小さい、CRP、好中球数またはグロブリンのような炎症性血清バイオマーカーで測定されるような反応原性効果を呈した(実施例4)。さらに、本明細書に開示される免疫原性組成物は、初回用量より第2の用量でさらに低い反応原性効果を示した。さらに、本明細書に開示される免疫原性組成物は、中和抗体の誘発に関してAS01アジュバント処理した組成物と同様に効果的であることを示した。
【0095】
本明細書で提示される結果では、本明細書に開示される免疫原性組成物が、免疫原性の有効性と低い反応原性とを組み合わせて、CMV感染に対するワクチンとして有用であり得ることが示される。したがって、このような免疫原性組成物により、多回レジメンにおけるその後の用量投与の受容およびワクチンスケジュールの順守に対する患者の行動は好ましくなる。
【0096】
さらに、本発明者らは、第1の種類のリポソームがサポニン、ステロール、およびリン脂質を含むが、TLR4アゴニストを含まず、第2の種類のリポソームがステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含むが、サポニンを含まない少なくとも2種類のリポソームの組合せが、各々、gBおよび五量体のようなhCMV抗原を含むが、ステロール、リン脂質、サポニン、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニスト、ならびにhCMV抗原を含む単一の種類のリポソームと類似のアジュバント処理の効果を誘発することができたことを予想外に観察している。さらに、実施例に示す通り、サポニンとしてQS7を含む、本明細書に開示されるリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せは、良好な安全性プロファイルおよびhCMV抗原での良好なアジュバント処理の効果を有利に呈する。
【0097】
一実施形態によると、本明細書に開示される免疫原性組成物は、全長CMV gB抗原、膜貫通ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての膜貫通ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、細胞内ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての細胞内ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、ならびに膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインの両方から実質的に欠失している切断型CMV gB抗原からなる群で選択されるCMV gB抗原を含み得る。
【0098】
例示的な一実施形態によると、CMV gB抗原は、gBdTM抗原であり得る。
【0099】
例示的な別の実施形態によると、五量体複合抗原由来のCMV gH抗原は、膜貫通ドメインの少なくとも一部または実質的に全ての膜貫通ドメインから欠失し得る。
【0100】
例示的な別の実施形態によると、五量体複合抗原由来のCMV gH抗原は、CMV UL75遺伝子でコードした全長gHポリペプチドの外部ドメインを含み得る。
【0101】
一実施形態によると、CMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、本明細書に開示される免疫原性組成物に存在するCMV抗原のみであり得る。
【0102】
一実施形態によると、TLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0103】
例示的な一実施形態によると、TLR4アゴニストは、式(II):
【化7】
であり得る。
【0104】
例示的な別の実施形態によると、TLR4アゴニストは、式(III):
【化8】
であり得る。
【0105】
一実施形態によると、サポニンは、シャボンノキのサポニンであり得る。
【0106】
別の実施形態によると、サポニンは、キラヤの樹皮から抽出される。
【0107】
別の実施形態では、サポニンは、QS7、QS17、QS18、QS21、およびその組合せから選択することができる。サポニンは、QS7またはQS21であり得る。
【0108】
別の実施形態によると、サポニンは、QS21であり得る。
【0109】
別の実施形態によると、サポニンは、QS7であり得る。
【0110】
一実施形態によると、ステロールは、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、およびその混合物から選択することができる。
【0111】
別の実施形態によると、ステロールは、コレステロールまたはその誘導体から選択することができ、特にコレステロールである。
【0112】
一実施形態によると、サポニンおよびステロールは、1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、もしくは1:10~1:5の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、または約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で存在し得る。
【0113】
一実施形態によると、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびその混合物から選択することができる。
【0114】
別の実施形態によると、リン脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、POPC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、SOPC(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、およびその混合物から選択されるホスファチジルコリンであり得る。
【0115】
一実施形態によると、本明細書に開示される免疫原性組成物は、HCMVワクチンのようなCMVワクチンとして使用することができる。
【0116】
一実施形態によると、本明細書に開示される免疫原性組成物は、CMVに対して中和抗体を誘発するための方法で使用することができ、前記方法は、対象に少なくとも第1および第2の用量の前記組成物を投与する工程を含み、少なくとも第1および第2の用量は、少なくとも1か月間隔をあけて投与され、第2の用量は、前記対象に第1の用量より低い反応原性を誘発し、前記反応原性は、(a)CRP、グロブリンおよびフィブリノゲンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを、(i)第1の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第1の用量の前記組成物で投与されており、前記第2の用量の前記組成物で投与する前に前記対象から採取した第1の血液サンプルにおいて、および(ii)第2の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第2の用量の前記組成物で投与されている前記対象から採取した第2の血液サンプルにおいて、投薬する工程、ならびに(b)前記第1の測定した量を前記第2の測定した量と比較する工程を少なくとも含む方法で測定し、前記比較は、前記投与した組成物で誘起される反応原性に関する情報を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇は、反応原性組成物を示し得る。いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇がない場合は、反応原性組成物がないこと、または低減した反応原性組成物を示し得る。
【0118】
一実施形態によると、
- 本明細書に開示されるアジュバントを含む第1の組成物を含む、第1の容器、ならびに
- 本明細書に開示される少なくとも1つのCMV gB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含む、パーツのキットを開示する。
【0119】
別の実施形態では、本開示は、
- 本明細書に開示される単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される方法で得られる少なくとも1つの単一の種類のリポソーム、または本明細書に開示されるアジュバント組成物を含む第1の組成物を含む、第1の容器、ならびに
- 本明細書に開示される少なくとも1つのCMV gB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含む、パーツのキットを対象とする。このような実施形態では、リポソームは、単一の種類のリポソームであり得る。
【0120】
一実施形態によると、
- サポニン、ステロール、およびリン脂質を含む第1の種類のリポソームを含む第1の組成物を含む、第1の容器、
- ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む第2の種類のリポソームを含む、第2の容器、ならびに
- 本明細書に開示される少なくとも1つのCMV gB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第3の組成物を含む、第3の容器
を含む、パーツのキットを開示する。
【0121】
一実施形態によると、対象においてCMVに対して免疫応答を誘発するための方法であって、前記対象に本明細書に開示される少なくとも1つの免疫原性組成物を投与する少なくとも1つの工程を含む、方法を開示する。
【0122】
別の実施形態によると、本明細書に開示される方法は、前記対象に第1および第2の用量の前記組成物を少なくとも1か月間隔をあけて投与する工程を含み、第2の用量は、第1の用量より低い反応原性を誘発し、前記反応原性は、(a)CRP、グロブリンおよびフィブリノゲンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを、(i)第1の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第1の用量の前記組成物で投与した後、前記第2の用量の前記組成物で投与する前に前記対象から採取した第1の血液サンプルにおいて、および(ii)第2の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第2の用量の前記組成物で投与した後に前記対象から採取した第2の血液サンプルにおいて、投薬する工程、ならびに(b)前記第1の測定した量を、前記第2の測定した量と比較する工程を少なくとも含む方法で測定し、前記比較は、前記投与した組成物で誘起される反応原性に関する情報を提供する。
【0123】
いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇は、反応原性組成物を示し得る。いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇がない場合は、反応原性組成物がないこと、または低減した反応原性組成物を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【
図1】UV 96ウェルマイクロプレートにおける、エタノール濃度の増加(横軸):0.5、1.0、2.0、および10mg/mlについて、エタノール中のE6020溶液(●)およびMPL溶液(◆)に対する相対的な比濁分析単位(RNU)(縦軸)の変化。
【
図2】横軸方向に左から右へ、投与の48時間後の以下の条件:模擬条件(M-模擬)、100ng/mlのLPS(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来、カタログ番号L8643、Millipore Sigma、バーリントン、MA)および10μg/mlのR848(カタログ番号TLRL-R848、InvivoGen、サンディエゴ、CA)の混合物の存在下、SPA14-8(1:40、1:400、1:4000および1:40000で希釈)の存在下、QS21リポソーム(SPA14-0)(1:40、1:400、1:4000および1:40000で希釈)の存在下、およびE6020-Eq-1:40の存在下で、MIMIC(登録商標)PTEシステム(Modular Immune In vitro Construct-抹消組織等価)におけるフローサイトメトリーを介して測定した細胞生存率(%)(縦軸)。各ドナーに対する疑似条件は、100%に正規化し、処置条件は、この値に対して計算した。バーは、幾何平均±95%CIを示す;n=8~20名のドナー。
【
図3】横軸方向に左から右へ、投与の48時間後の以下の条件:模擬条件(M-模擬)、100ng/mlのLPS(緑膿菌由来、カタログ番号L8643、Millipore Sigma、バーリントン、MA)および10μg/mlのR848(カタログ番号TLRL-R848、InvivoGen、サンディエゴ、CA)の混合物の存在下、SPA14-20(1:20、1:40、1:80および1:160で希釈)の存在下、ならびにSPA14-8(1:20、1:40、1:80および1:160で希釈)の存在下で、MIMIC(登録商標)PTEシステムにおけるフローサイトメトリーを介して測定したCD86陽性APC(抗原提示細胞)の量(HLA-DR+CD11c+CD86+の%)(縦軸)。バーは、幾何平均±95%CIを示す;n=8~20名のドナー。Tukeyポスト検定を伴うANOVA。模擬対SPA14-20、1:20:
****、模擬対SPA14-8、1:20:
****、SPA14-20対SPA14-8:NS(
****は、p値<0.05を示す)。
【
図4】免疫化したウサギ由来の血清でのHCMV中和抗体の応答。D15、D24およびD36で、補体不在下での上皮細胞MRC-5上のμPRNT50(A)、ならびにD24およびD36で、補体存在下での線維芽細胞ARPE-19のμPRNT50(B)。ウサギは、gB+五量体(●)、gB+五量体+SPA14(0μgのE6020)(最も薄い色の▼)、gB+五量体+SPA14(1μgのE6020)(2番目に薄い色の▼)、gB+五量体+SPA14(2μgのE6020)(2番目に濃い色の▼)、gB+五量体+SPA14(5μgのE6020)(最も濃い色の▼)、およびgB+五量体+AS01B(■)で2回(D0、D21)免疫化した(実施例1および9を参照)。
【
図5】マウスの血清において、D35でのSPA14+0.1μgのHA Fluzone(登録商標)、AS01B+0.1μgのHA Fluzone(登録商標)、SPA14+0.5μgのHA Fluzone(登録商標)、AS01B+0.5μgのHA Fluzone(登録商標)、0.1μgのHA Fluzone(登録商標)単独、および0.5μgのHA Fluzone(登録商標)単独(横軸)の投与後の(左から右へ)、A/香港/4801/2014(H3N2)株に対してFluzone(登録商標)QIV(0.1および0.5μgのHA)で得られるHAI力価(縦軸)。
【
図6】マウスの血清において、D35でのSPA14またはAS01BおよびFluzone(登録商標)QIV 0.5μgのHA単独(横軸)でアジュバント処理した製剤の投与後の(左から右へ)、HK/2014株、ミシガン/2015株、ブリスベン/08株、シンガポール/2016株、およびコロラド/2017株に対してFluzone(登録商標)QIV 0.5μgのHAで得られるHAI力価(縦軸)。
【
図7】マウスの血清において、D35でのSPA14またはAS01BおよびFlublok(登録商標)QIV 1μgのHA単独(横軸)でアジュバント処理した製剤の投与後の(左から右へ)、ミシガン/2015(H1N1)株およびブリスベン/08株に対してFlublok(登録商標)QIV 1μgのHAで得られるHAI力価(縦軸)。
【
図8】Fluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)アジュバント処理した製剤での免疫に応答してIFNγ、IL-5、TNFα、MCP-1、KC、およびIL-6分泌の増加。免疫の6時間後の免疫化したマウスの血清において、抗原なし(事前採血)、Fluzone(登録商標)単独(Fzone)、Flublok(登録商標)単独(Fblok)、SPA14単独、Fzone+SPA14、Fblok+SPA14、AS01B、Fzone+AS01B、およびFblok+AS01B(横軸)の存在下(左から右へ)、サイトカイン/ケモカインの量(pg/mL)(縦軸)。
【
図9】ELISPOTで測定したブースト免疫(35日目)の2週間後、免疫化したマウスの脾細胞におけるTh1(IFNγ)/Th2(IL-5)サイトカイン分泌。Fluzone単独(○)、Fluzone+SPA14(■)、Fluzone+AS01B(●)、Flublok単独(Δ)、Flublok+SPA14(▼)およびFlublok+AS01B(▲)(横軸)の投与後の(左から右へ)、Th1/Th2比(縦軸)。
【
図10】ヒトCMVウイルス株に対するアジュバント処理したgBおよび五量体の中和抗体の応答。D0およびD21での、アジュバントを含まない、SPA14、またはAS01B(横軸)での8匹のC57BL/6マウスの筋肉内投与に続く、追加の補体を含まないARPE-19上皮細胞株(A)および追加の補体を含むMRC-5線維芽細胞株(B)で、D20およびD35で測定したヒトBADrUL131-Y4 CMVウイルス株の中和力価(PRNT50)(縦軸)。マウスデータは、各群に対するスキャッタードプロットおよび中和力価の幾何平均(GMT)として示される。Tukey調節および一元ANOVA(p<0.05)。
【
図11-1】免疫化したマウス由来の脾臓細胞におけるhCMVgBならびにおよび五量体IgG1およびIgG2c分泌性B細胞。 D0およびD21でのアジュバント処理しないhCMV gBおよび五量体ワクチン、SPA14アジュバント処理したhCMV gBおよび五量体、またはAS01Bアジュバント処理したhCMV gBおよび五量体でのC57BL/6マウスのIM投与に続く、D35で測定したhCMV gB特異的IgG1およびIgG2c分泌性B細胞(AおよびB)ならびにhCMV五量体特異的IgG1およびIgG2c分泌性B細胞。(A)10
6個の脾臓細胞あたりのgB特異的IgG1およびIgG2c分泌性B細胞の頻度。(B)gBに特異的なIgG1およびIgG2c分泌性B細胞の比。(C)10
6個の脾臓細胞あたりの五量体特異的IgG1およびIgG2c分泌性B細胞の頻度。(D)五量体に特異的なIgG1およびIgG2c分泌性B細胞の比。バー=幾何平均、スキャッタードドット=個々のマウス応答、(A)および(C)の点線=レスポンダーのカットオフ、(B)および(D)の点線=バランスの取れたTh1/Th2比=1。Tukey調節および一元ANOVA(p<0.05)。
【
図12-1】免疫化したマウス由来の脾臓細胞でのT細胞応答の特徴付け。 D0およびD21でのアジュバント処理しないhCMV gBおよび五量体ワクチン、SPA14アジュバント処理したhCMV gBおよび五量体、ならびにAS01Bアジュバント処理したhCMV gBおよび五量体でのC57BL/6マウスのIM投与に続く、D35で測定したhCMV gB特異的IFN-γおよびIL-5分泌性細胞(AおよびB)ならびにhCMV五量体特異的IFN-γおよびIL-5分泌性細胞。(A)gB特異的IFNγ分泌性細胞の頻度(10
6個の脾臓細胞あたり)。(B)10
6個の脾臓細胞あたりのgB特異的IL-5分泌性細胞の頻度。(C)gBに特異的なIFNγおよびIL-5分泌性細胞の比。(D)10
6個の脾臓細胞あたりの五量体特異的IFNγ分泌性細胞の頻度。(E)10
6個の脾臓細胞あたりの五量体特異的IL-5分泌性細胞の頻度。(F)五量体に特異的なIFNγおよびIL-5分泌性細胞の比。バー=幾何平均、スキャッタードドット=個々のマウス応答、(A)、(B)、(D)および(E)の点線=レスポンダーのカットオフ、(C)および(F)の点線=バランスの取れたTh1/Th2比=1。Tukey調節および一元ANOVA(p<0.05)。
【
図13】SPA14は、プレF-フェリチンをワクチン接種したNHP由来の血清におけるF特異的IgG ELISA応答を向上させる。個々のサルのデータは、各群に対して示す。点線=定量化の限界。 4匹の異なるマカク:マカク#1(●)マカク#2(■)マカク#3(▲)およびマカク#4(▼)(横軸)に対する、日数で、経時的なプレF-フェリチン+SPA14(左のグラフ)またはプレF-フェリチン単独(右のグラフ)の投与後のF特異的IgG力価(血清)(縦軸)。
【
図14】プレF-フェリチンに対するRSV-A2中和抗体応答。0日目および28日目にアジュバントを伴わない、またはSPA14を伴う4匹のカニクイザル(マカク#1(●)、マカク#2(■)、マカク#3(▲)およびマカク#4(▼))の筋肉内ワクチン接種に続く、経時的に(日数で)(横軸)(A)補体を含まない、および(B)補体を含むRSV-A2中和力価(PRNT60)(縦軸)。個々のサルのデータは、各群に対して示す。点線=定量化の限界。(ANOVA**P値<0.01)。
【
図15】プレF-フェリチン+SPA14は、NHPにおけるRSV B株に対する交差中和抗体を誘発する。アジュバントを伴わない、またはSPA14を伴う4匹のカニクイザル(マカク#1(●)、マカク#2(■)、マカク#3(▲)およびマカク#4(▼))の筋肉内ワクチン接種に続く、経時的に(日数で)(横軸)補体を含まないRSV-A2中和力価(PRNT60)(縦軸)。個々のサルのデータは、各群に対して示す。点線=定量化の限界。
【
図16】免疫化したマカク由来のPBMCにおけるF特異的IgG記憶B細胞のELISpot応答。0日目および28日目に、プレF-NPアジュバント処理した、またはSPA14を伴わないカニクイザルのIMワクチン接種に続く、ベースライン、119日目、および161日目でのF特異的記憶B細胞のELISpot結果。(A)F特異的記憶IgG分泌性細胞/10
6個の細胞。(B)F特異的記憶IgG分泌性細胞/総IgG分泌性細胞の%。バー=幾何平均;点線=レスポンダーのカットオフ;ANOVA**P値<0.01)。
【
図17】ワクチン接種に続くマカクにおける細胞免疫応答の特徴付け。免疫化したマカク由来のPBMCにおいてD7(用量1の7日後)およびD35(用量2の7日後)での(A)F特異的IFNγ ELISpot応答および(B)F特異的IL-2 ELISpot応答。
**P値<0.01。バー=幾何平均;点線=レスポンダーのカットオフ。
【
図18】生理食塩水緩衝液(△)で注射された、もしくは緩衝液(例えばPBS pH7.4、NaCl 140mM)中に20μg/用量のHCMV gB+20μg/用量のHCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131Aを含む免疫原性組成物(- -▼- -)で免疫化した、またはSPA14(▼)、AF04(◆)、AF03(●)、またはAS01E(□)で製剤化したマウスで得られる血清を含む、補体存在下での上皮細胞株ARPE-19で実行したマイクロプラーク減少中和試験(μPRNT)の結果を表す(実施例1および2を参照)。動物に、0日目、21日目、および221日目(7か月目)で免疫原性組成物を注射した。横軸方向は、血液サンプリングの日、すなわち19日目(D19)、1か月目(M1)、M2、M3、M4、M5、M6、M7、およびM8を与え、縦軸方向は、μPRNT中和抗体力価(log10)を与える。
【
図19】gBおよび五量体に特異的な中和抗体力価。パネルA:補体不在下での上皮細胞MRC-5上の中和抗体。パネルB:補体存在下での線維芽細胞株ARPE-19上の中和抗体。中和抗体は、1か月目および8か月目で測定された(AF03と比較して、
*p値<0.05、
**p値<0.001)。血清は、SPA14、AF04、AF03またはAS01Eでアジュバント処理した緩衝液(例えばPBS pH7.4、NaCl 140mM)中に20μg/用量のHCMV gB+20μg/用量のHCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131Aを含む免疫原性組成物で免疫化したマウスから得られた(実施例1および2を参照)。動物に、0日目、21日目、および221日目(7か月目)に免疫原性組成物を注射した。
【
図20】1か月目、7か月目、および8か月目にELISPOTにより測定したCMV五量体刺激時のIFN-γ(パネルA)およびIL-5(パネルB)分泌性細胞の頻度。血清は、SPA14、AF04、AF03またはAS01Eでアジュバント処理した緩衝液(例えばPBS pH7.4、NaCl 140mM)中に20μg/用量のHCMV gB+20μg/用量のHCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131Aを含む免疫原性組成物で免疫化したマウスから得られた(実施例1および2を参照)。動物に、0日目、21日目、および221日目(7か月目)で免疫原性組成物を注射した。
【
図21】ヒツジの赤血球で、QS21もしくはQS7(0.8μM~100μM)、または対照として使用されるクエン酸緩衝液の溶血効果を示す。
【
図22】
図22A、22B、22Cおよび22Dは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200μg/mL))、QS21またはQS7なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0μg/mL))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)(「SPA14」(20:200μg/mL)、QS7を含有するSPA14様(5、15または45μgのQS7および0または0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)(「QS7 LIP」(0:200μg/mL)、(0:600μg/mL)、または(0:1800μg/mL)、「LIP[QS7+E6020 20]」(20:200μg/mL)、(20:600μg/mL)、または(20:1800μg/mL))で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスにおけるhCMVgBおよび五量体のIgG1およびIgG2cで誘発した応答を示す。
【
図23】
図23Aおよび23Bは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS21またはQS7なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)(「SPA14」(20:200))、ならびにQS7を含有するSPA14様製剤(5、15または45μgのQS7および0または0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS7 LIP」(0:200)、(0:600)、または(0:1800)、「LIP[QS7+E6020 20]」(20:200)、(20:600)、または(20:1800))で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスで誘発したIgG1/IgG2c応答比を示す。
【
図24】E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS21またはQS7なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)(「SPA14」(20:200))、ならびにQS7を含有するSPA14様製剤(5、15または45μgのQS7および0または0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS7 LIP」(0:200)、(0:600)、または(0:1800)、「LIP[QS7+E6020 20]」(20:200)、(20:600)、または(20:1800))で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスで誘発した血清中和力価応答を示す。
【
図25】
図25Aおよび25Bは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS21またはQS7なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)(「SPA14」(20:200))、ならびにQS7を含有するSPA14様製剤(5、15または45μgのQS7および0または0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム[要確認])(「QS7 LIP」(0:200)、(0:600)、または(0:1800)、「LIP[QS7+E6020 20]」(20:200)、(20:600)、または(20:1800))で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスで誘発したIFN-γおよびIL-5で分泌された応答比を示す。
【
図26】
図26Aおよび26Bは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS21なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)(「SPA14h20」(20:200))、ならびにSPA14で見出されるものと同じ用量で注射されたQS21およびE6020を含む「QS21 LIP」および「E6020 LIP」の組合せ(「QS21 LIP」+「E6020 LIP」)で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスにおけるhCMVgBおよび五量体のIgG1およびIgG2cで誘発した応答を示す。
【
図27】
図27Aおよび27Bは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS2なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量)を含有するDOPC-Cholリポソーム)、ならびにSPA14で見出されるものと同じ用量で注射されたQS21およびE6020を含む「QS21 LIP」および「E6020 LIP」の組合せ(「QS21 LIP」+「E6020 LIP」)で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスで誘発したIgG1/IgG2c応答比を示す。
【
図28】
図28Aおよび28Bは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS21なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量)を含有するDOPC-Cholリポソーム)、ならびにSPA14で見出されるものと同じ用量で注射されたQS21およびE6020を含む「QS21 LIP」および「E6020 LIP」の組合せ(「QS21 LIP」+「E6020 LIP」)で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスで誘発したIFN-γおよびIL-5で分泌された応答比を示す。
【
図29】
図29Aおよび29Bは、E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(「QS21 LIP」(0:200))、QS21なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(「E6020 LIP」(20:0))、QS21を含有するSPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量)を含有するDOPC-Cholリポソーム)、ならびにSPA14で見出されるものと同じ用量で注射されたQS21およびE6020を含む「QS21 LIP」および「E6020 LIP」の組合せ(「QS21 LIP」+「E6020 LIP」)で製剤化したCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)で免疫化したマウスから得られる血清を含む、補体不在下での上皮細胞株MRC5(B)および補体存在下でのARPE-19(A)で実行したマイクロプラーク減少中和試験(μPRNT)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0125】
定義
本明細書で使用される用語は、一般に、当該技術分野でのそれらの通常の意味を有する。ある特定の用語は、本明細書に開示される主題の生成物および方法を記載する際にさらなる指針を提供するために、下記または本開示の他の場所で議論される。
【0126】
以下の定義は、本開示の文脈に適用する。
【0127】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、別段内容で明らかに指示しない限り、複数の参照を含む。
【0128】
用語「約」または「およそ」とは、本明細書で使用される場合、当該技術分野における当業者に容易に知られているそれぞれの値に対する通常の誤差範囲を指す。本明細書で「約」の値またはパラメータへの参照は、値またはパラメータそれ自体を対象とする実施形態を含む(および記載する)。いくつかの実施形態では、用語「約」とは、所与の値の±10%を指す。しかし、問題の値が、細分化されるとその同一性を失う分子または他の対象のような不可分の対象を指す場合には、「約」とは、不可分の対象の±1を指す。
【0129】
本明細書に記載される本開示の態様および実施形態が、態様および実施形態「を有すること(having)」、「を含むこと(comprising)」、「からなること(consisting of)」、および「から本質的になること(consisting essentially of)」を含むことは理解される。単語「有する(have)」および「含む(comprise)」、または「有する(has)」、「有すること(having)」、「含む(comprises)」、もしくは「含むこと(comprising)」のような変形は、記述した要素(例えば主題の組成物または方法の工程)の包含を示すが、任意の他の要素の除外を示さないことは理解されよう。用語「からなること(consisting of)」は、任意の他の要素を除外して、記述した要素の包含を示す。用語「から本質的になること(consisting essentially of)」は、記述した要素、ならびに他の要素が本開示の基本的で新規な特質に具体的に影響を及ぼさない他の可能な要素の包含を示す。用語「含むこと(comprising)」または同等物を使用する本開示の異なる実施形態が、本用語が「からなること(consisting of)」または「から本質的になること(consisting essentially of)」と置き換えられる実施形態を網羅することは理解される。
【0130】
本明細書で使用される場合、抗原または抗原およびアジュバントの組合せについて使用される用語「免疫学的有効量」とは、対象に投与する場合、抗原に対して免疫応答を誘起するのに効果的である量を指すことを意図する。この量は、様々な要因、例えば対象の健康または身体的状態、年齢、抗体を生成する対象の免疫系の能力、所望する保護の度合い、抗原を含有する組成物の製剤化、医療状況に対する処置する医師の評価によって異なり得る。この量は、当業者に公知の日常的な方法で決定することができる。
【0131】
本明細書で使用される場合、免疫応答の誘起の文脈では、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、「療法(therapy)」などは、統計的に有意な様式において、疾患もしくは障害、状態の症状を治癒、治療、緩和、軽減、変更、修復、寛解、改善、もしくは影響する、または症状、合併症の発症を予防もしくは遅延するあるいは障害のさらなる発症の停止もしくは阻害する目的で、本明細書に開示される組成物の投与または消費を指す。
【0132】
また、本明細書で使用される場合、本開示の文脈では、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」などは、CMV感染により媒介される病理学的プロセスからの軽減または緩和を指す。本開示の文脈では、本明細書に記載される他の状態のいずれかに関する限りにおいて、用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」などは、このような状態に関連する1つまたはそれ以上の症状を軽減または緩和することを指す。
【0133】
本明細書で使用される場合、疾患または障害に関する用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」または「の進行を遅延させる(delay progression of)」(およびその文法的な変形)は、例えば疾患を有する疑いのあるまたは疾患を発症するリスクがある個体における、疾患または障害の予防的処置に関する。予防は、限定されないが、疾患の発症もしくは進行を予防もしくは遅延すること、および/または所望のもしくは病理学的以下のレベルで疾患もしくは障害の1つまたはそれ以上の症状を維持することを含み得る。用語「予防する(prevent)」は、事象発生の実現性または可能性の100%の排除を必要としない。むしろ、事象発生の可能性が、本明細書に記載される組成物または方法の存在下で低減することを表す。
【0134】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」、「治療有効量」および「予防有効量」とは、考えられる疾患または障害の処置、予防、または管理において治療上の利点を提供する量を指す。治療に効果的である具体的な量は、通常の医療従事者により容易に決定することができ、考えられる疾患または障害の種類および段階、患者の病歴および年齢、ならびに他の治療剤の投与のような要因によって異なり得る。
【0135】
本明細書で使用される場合、用語「個体」または「対象」または「患者」は、互換的に使用され、哺乳動物を指すことを意図する。哺乳動物は、限定されないが、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えばヒトおよびサルのような非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびにげっ歯類(例えばマウスおよびラット)を含む。例示的ないくつかの実施形態では、個体または対象は、ヒトである。
【0136】
本開示の文脈では、表現「中和抗体」は、当業者に公知の意味を有し、例えば宿主細胞へのウイルスの侵入を遮断する、または細胞から細胞へのウイルスの播種を遮断することによりその標的の病原体を直接中和する抗体を網羅することを意図する。中和抗体は、その病原性標的について免疫保護を対象に誘発することができる機能的抗体である。中和抗体レベルおよび/または中和抗体持続性の存在および/または増加および/または量を決定するのに利用可能な方法のいくつかの例示は、本開示の実験の部で提供される。
【0137】
本開示の文脈では、表現「薬学的に許容される担体」とは、本明細書に開示される免疫原性組成物の生理活性、すなわち反応原性効果の低い免疫応答を誘発するその能力を保持しながら、ヒトのような哺乳動物への投与に生理学的に許容される担体またはビヒクルを指す。
【0138】
用語「薬学的に許容される塩」は、このような化合物の例えば非毒性の酸付加塩との組合せに由来する本明細書に開示される化合物の付加塩を含む。
【0139】
用語「抗原」は、任意の分子、例えばペプチド、タンパク質、多糖または複合糖質を含み、免疫応答を誘起する、および/または免疫応答が配向される少なくとも1つのエピトープを含む。例えば、抗原は、場合により加工した後に免疫応答を誘発する分子であり、例えば抗原または抗原を発現する細胞に特異的である。加工した後、抗原は、MHC分子で提示され、Tリンパ球(T細胞)と特異的に反応する。ゆえに、抗原またはその断片は、T細胞受容体により認識すべきであり、適切な共刺激シグナルの存在下、抗原または断片を特異的に認識するT細胞受容体を担持するT細胞のクローン増殖を誘発することができるべきであるが、これにより、抗原または抗原を発現する細胞に対する免疫応答をもたらされる。本開示によると、免疫応答に対する候補である任意の適切な抗原を想定することができる。抗原は、天然起源の抗原に相当し得る、または由来し得る。このような天然起源の抗原は、アレルゲン、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、ならびに他の感染性物質および病原体に含まれ得るもしくは由来し得る、または抗原はまた、腫瘍抗原であり得る。前記抗原は、タンパク質もしくはペプチド抗原、多糖抗原、または複合糖質抗原であり得る。本明細書に好適な抗原は、本開示でさらに議論される。
【0140】
本開示およびワクチンの文脈内で、「反応原性」とは、ワクチン接種の直後に起こり、ワクチン接種に対する免疫応答の身体的徴候である症状のサブセットを指すことを意図する。これらの症状は、局所(注射部位)または全身症状であり得、局所症状としての疼痛、発赤、腫脹、注射部位の硬結、および全身症状としての発熱、筋痛症、頭痛、または発疹の少なくとも1つを含み得る。ワクチンまたは免疫原性組成物の反応原性はまた、グロブリン、CRP、フィブリノゲン、または好中球数のようないくつかのバイオマーカーのレベルの測定、および測定したレベルの参照のレベルとの比較により決定することができる。本開示の文脈内で、「低い反応原性」または「低減した反応原性」は、同じ所与の治療指標で使用された同等の用量の第2の免疫原性もしくはワクチン組成物を受けたもしくは受けている同じまたは別の個体で誘起された反応原性応答のレベルより下位である第1の組成物の用量を受けた個体において所与の治療指標に対して使用した免疫原性またはワクチン組成物により誘起された反応原性応答のレベルを適格にするのに使用され、第2の免疫原性は、第1のものに対してその製剤と異なる。また、「低い反応原性」または「低減した反応原性」は、先と同一の用量の本組成物を受けているまたはその後の同一の用量の本組成物を受けた同じ個体で誘起された反応原性応答のレベルより下位である用量の本組成物を受けた個体において所与の治療指標に対して使用した免疫原性またはワクチン組成物により誘起された反応原性応答のレベルを適格にする。反応原性応答のレベルは、反応原性症状またはバイオマーカーとして通常みなされる少なくとも1つの症状または少なくとも1つのバイオマーカーの測定により決定することができる。反応原性のバイオマーカーは、血液または血清サンプルに投薬されたCRP、グロブリン、またはフィブリノゲンであり得る。
【0141】
用語「ステロール」または「ステロイドアルコール」とは、遊離であるまたはエステル化されるヒドロキシル部分を有するステランコアからなる脂質の群を指す。遊離ヒドロキシル部分を含むステロイドアルコールの例として、コレステロール、カンペステロール、シトステロール、スチグマステロール、およびエルゴステロールを引用することができる。ステロイドアルコールまたはステロールのエステルとは、ステロイドアルコールのヒドロキシル基とのカルボン酸のエステルを指す。好適なカルボン酸は、カルボキシル部分に対して、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖アルキル基をさらに含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、C1~C20アルキル基であり得る。他の実施形態では、カルボン酸は、脂肪酸であり得る。
【0142】
本開示内で、変化に関して使用される用語「著しく」とは、観察した変化が顕著である、および/または統計的な意味を有することを意味することを意図する。
【0143】
本開示内で、本開示の特徴と併用される用語「実質的に」とは、この特徴と全体ではないが大部分で類似する特徴に関する一連の実施形態を定義することを意図する。所与の特徴に関する一連の実施形態と所与の特徴との差は、一連の実施形態において、所与の特徴の性質および機能が具体的に影響を及ぼさない。
【0144】
本明細書で使用される場合、用語「免疫賦活」とは、投与される個体において免疫系の成分を活性化することにより、免疫応答を引き起こす、および/または向上させる能力を有する化合物または組成物を指す。
【0145】
本開示内で、用語「アジュバント」または「アジュバント効果」は、抗原含有ワクチン組成物に添加して、例えば抗原特異的免疫細胞に対する抗原提示を向上させ、標的とする病原体に対する長期的な保護を与える目的でこれらの細胞を活性化することにより、抗原に対する免疫応答を引き起こす、または向上させる助けとなる化合物または組成物を適格にするのに使用される。
【0146】
本明細書で使用される場合、用語「ワクチン」とは、病原性物質により引き起こされる病気から対象を保護または処置することを意図して、対象に投与して免疫応答を誘発する、病原性物質を対象とする免疫原性組成物を意味することを意図する。本明細書に開示されるワクチンは、初期の(および/または再発性の)感染を予防またはその発症の可能性を軽減することを意図して、感染前に対象に投与するために予防的(防御的)ワクチンとしての使用を意図している。先天性CMV感染の場合、本明細書に開示される組成物は、母親から胎児または幼児への垂直CMV伝染を予防またはその発症の可能性を軽減するために妊娠前の青年期の少女および妊娠適齢期の女性のための予防的ワクチンとして使用することを意図している。
【0147】
以下に記載する供給源、構成要素、および成分のリストは、その組合せおよび混合物も考慮され、本明細書の範囲内となるように列挙される。
【0148】
本明細書全体を通して与えられるあらゆる最大数値限定が、より小さいあらゆる数値限定を、このようなより小さい数値限定が明らかに本明細書に記載されたかのように含むことは理解すべきである。本明細書全体を通して与えられるあらゆる最小数値限定は、より大きいあらゆる数値限定を、このようなより大きい数値限定が明らかに本明細書に記載されたかのように含む。本明細書全体を通して与えられるあらゆる数値範囲は、このようなより大きな数値範囲内に含まれるより狭いあらゆる数値範囲を、このようなより狭い数値範囲が明らかに本明細書に記載されたかのように含む。
【0149】
例えば構成要素のリストのような項目の全てのリストは、マーカッシュ群として解釈することを意図し、解釈すべきである。ゆえに、全てのリストは、項目のリスト「ならびにその組合せおよび混合物」「からなる群から選択される」項目として読み取れ、解釈することができる。
【0150】
本明細書で参照されるのは、本開示で利用される様々な構成要素を含む成分に対する商標名であり得る。本発明者らは、任意の特定の商標名の材料により限定することを意図しない。商標名により参照されるものと同等の材料(例えば、異なる名称または参照番号での異なる供給源から得られるもの)は、本明細書での記載において置き換え、利用することができる。
【0151】
Toll様受容体4(TLR4)アゴニスト
本開示に好適なToll様受容体(TLR4)アゴニストは、式(I):
【化9】
[式中、R
1は、
a)C(O);
b)C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O)であって、前記C
1~C
14アルキルが、ヒドロキシル、C
1~C
5アルコキシ、C
1~C
5アルキレンジオキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、または(C
1~C
5アルキル)アリールで場合により置換され、前記(C
1~C
5アルキル)アリールの前記アリール部分が、C
1~C
5アルコキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、(C
1~C
5アルコキシ)アミノ、(C
1~C
5アルキル)-アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、O(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)OH、または-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)-(C
1~C
5)アルキルで場合により置換される、C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O);
c)ヒドロキシルまたはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
15の直鎖または分岐鎖を含むアルキル;および
d)-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-であって、前記アリーレンが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、またはアミノで場合により置換される、-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-
からなる群から選択され;
aおよびbは、独立して0、1、2、3、または4であり;
d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して0、1、2、3、または4であり;
X
1、X
2、Y
1およびY
2は、存在しない、酸素、-NH-および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-、ならびに-N(C
1~C
4アルキル)-からなる群から独立して選択され;
W
1およびW
2は、カルボニル、メチレン、スルホン、およびスルホキシドからなる群から独立して選択され;
R
2およびR
5は、
a)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル;
b)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルまたはジアルケニル;
c)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ;
d)NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル)であって、前記アルキル基が、オキソ、ヒドロキシ、またはアルコキシで場合により置換される、NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル);ならびに
【0152】
e)
【化10】
(ここで、Zは、OおよびNHからなる群から選択され、MおよびNは、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖を含む、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、およびアシルアミノからなる群から独立して選択される)
からなる群から独立して選択され;
R
3およびR
6は、オキソまたはフルオロで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルからなる群から独立して選択され;
R
4およびR
7は、C(O)-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル)、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ、およびC
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルからなる群から独立して選択され;前記アルキル、アルケニル、またはアルコキシ基は、ヒドロキシル、フルオロ、またはC
1~C
5アルコキシで独立して、場合により置換することができ;
G
1、G
2、G
3、およびG
4は、酸素、メチレン、アミノ、チオール、-C(O)NH-、-NHC(O)-、および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-からなる群から独立して選択され;
またはG
2R
4またはG
4R
7は、水素原子またはヒドロキシルと一緒にあり得る]
の化合物または本化合物の薬学的に許容される塩である。
【0153】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、これらの化合物の有機または無機塩基の塩であり得る。例えば、有機または無機塩基は、ナトリウム、カリウム、およびリチウムのようなアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛のような他の金属の水酸化物;非置換またはヒドロキシ置換したモノ、ジ、またはトリアルキルアミンのようなアンモニアおよび有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル-N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビスもしくはトリス(2-ヒドロキシアルキルアミン)、例えばモノ、ビスもしくはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N-ジアルキル-N-(ヒドロキシアルキル)アミン、例えばN,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;ならびに、アルギニンおよびリジンのようなアミノ酸からなる群に由来し得る。
【0154】
一実施形態では、本発明に好適なTLR4アゴニストは、上述した式(I)の化合物であり得、
- R
1は、-C(O)-または-C(O)-(CH
2)
n-C(O)-であり、nは、1、2、3または4であり、
- a、b、d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して、1または2であり;
- X
1、X
2、Y
1およびY
2は、NHであり、
- W
1およびW
2は、-C(O)-であり、
- R
2およびR
5は、オキソで場合により置換されるC
10~C
15直鎖アルキル、NH-(C
10~C
15直鎖アルキル)、および
【化11】
(式中、MおよびNは、独立して、C
2~C
20直鎖アルキルまたはアルケニルである)
からなる群から独立して選択され、
- R
3およびR
6は、C
5~C
10直鎖アルキルであり、
- R
4およびR
7は、水素、C(O)-(C
8~C
12直鎖アルキル)、またはC(O)(C
8~C
12直鎖アルケニル)からなる群から選択され、
- G
1およびG
3は、酸素または-NH(CO)-であり、
- G
2およびG
4は、酸素である。
【0155】
本開示の文脈では、下記の用語は、別段本明細書全体を通して記載されない限り、以下の定義を有する:
- ハロゲン原子:フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子;
- オキソ:「=O」基;
- ヒドロキシルまたはヒドロキシ基:OH基;
- アルキル基:別段記述しない限り、1~6個の炭素原子(「(C1~C6)-アルキル」と記す)を含む直鎖または分岐鎖飽和炭水化物ベースの脂肪族基。例として、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびイソヘキシル基などを挙げることができる;
- アルコキシ基:-O-アルキル基(アルキル基は先に定義される)。例として、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、直鎖、第2級もしくは第3級のブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシ基などを挙げることができる;
- アルキレン基:分岐鎖または直鎖のいずれかである二価の飽和炭水化物ラジカル。別段示されない限り、アルキレン基は、1~6個の炭素原子(「(C1~C6)-アルキレン」と記す)を含む。
- アルキレンジオキシ基:-ORO-基(Rは、本明細書に定義される通り、アルキレン基である)。
- アシル基:炭素基に結合したカルボニル基。
- アリール基:官能基、または芳香環、通常フェニルおよびナチフルのような芳香族炭水化物に由来する置換基;
- アルケニル基:二重結合炭素に結合した水素原子が、アルケンの分子から除去される場合、形成される炭素原子への結合の開放点を含有する断片。別段示されない限り、アルケニル基は、1~6個の炭素原子(「(C1~C6)-アルケニル」と記す)を含む。
- アシルオキシ基:カルボン酸に由来する、R-COO-。別段示されない限り、アシルオキシ基は、1~6個の炭素原子(「(C1~C6)-アシルオキシ」と記す)を含む。
- アルキルアミノ基:本明細書に定義される通り、アルキルおよびアミノ基の両方を含有;
- アシルアミノ基:本明細書に定義される通り、アシルおよびアミノ基の両方を含有;
- アミノ基:NH2基;
- カルボニル基:(C=O)基;
- フルオロ基:-F;
- チオール:R-SHの形態の任意の有機硫黄化合物(Rは、本明細書に定義される通り、アルキルを表す);
- ニトロ基:-NO2;
- スルホン:2つの炭素原子に結合したスルホニル官能基を含有。中心六価硫黄原子は、通常2つの別個の炭水化物置換基において、2つの炭素原子の各々に二重結合し、2つの炭素原子の各々に結合した一重結合を有する;
- スルホキシド:通常2つの別個の炭水化物置換基において、2つの炭素原子に結合したスルフィニル(SO)官能基。
【0156】
一実施形態では、好適なTLR4アゴニストは、式(II):
【化12】
の化合物であり得る。
【0157】
一実施形態では、好適なTLR4アゴニストは、以下の式(III):
【化13】
のE6020であり得る。
【0158】
式(II)および(III)の化合物は、強力なTLR-4受容体アゴニスト(Ishizakaら、Expert review of vaccines、2007年、6:773~84頁)であるので、リポソームが細菌、ウイルス、真菌、もしくは寄生虫疾患に対するワクチンのような抗原、またはがんワクチンのような腫瘍抗原と共投与される場合、免疫アジュバントをもたらすのに有用な本開示のリポソームであり得る。
【0159】
好適なTLR4アゴニストは、WO2007/005583A1で記載されるように得ることができる。
【0160】
E6020のIUPAC名は、(1R,6R,22R,27R)-1,27-ジヘプチル-9,19-ジオキシド-9,14,19,29-テトラオキソ-6,22-ビス[(3-オキソテトラデカノイル)アミノ]-4,8,10,18,20,24,28-ヘプタオキサ-13,15-ジアザ-9,19-ジホスファテトラコンタ-1-イルドデカン酸二ナトリウムである。そのCAS番号は、287180-63-6である。
【0161】
本開示による好適なTLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを呈する。
【0162】
好適なTLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.5mg/mL、少なくとも約1mg/mL、少なくとも2mg/mL、少なくとも4mg/mL、少なくとも6mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも12mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも20mg/mL、少なくとも25mg/mL、または少なくとも30mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0163】
好適なTLR4アゴニストは、25℃で測定した約0.1~約50mg/mL、約0.2~約45mg/mL、約1~約40mg/mL、約2~約35mg/mL、約6~約30mg/mL、または約10~約25mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0164】
好適なTLR4アゴニストは、25℃で測定したおよそ少なくとも約0.2mg/mL~約20mg/ml、およそ少なくとも約0.5mg/mL~約15mg/ml、およそ少なくとも約1mg/mL~約12mg/ml、およそ少なくとも約2mg/mL~約10mg/ml、およそ少なくとも約4mg/mL~約10mg/mlの範囲のエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0165】
例示的な実施形態では、TLR4アゴニストは、少なくとも約10mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する。本明細書で提供される溶解度パラメータは、約25℃、約1013hPaの大気圧で測定した。
【0166】
溶解度は、溶媒、ここではエタノールに所与の温度および圧力で溶解することができる物質、ここではTLR4アゴニストの最大量を示す。特異的な溶媒における物質の溶解度の程度は、飽和濃度として測定されるが、より多くの溶質を添加することで、溶液の濃度は上昇せず、過剰量の溶質が沈殿し始める。
【0167】
エタノール中のTLR4アゴニストの溶解度は、当該技術分野で公知の任意の方法により決定することができる。溶解度は、実験的に測定することができる。例えば、エタノール中の所与のTLR4アゴニスト、例えば本開示によって好適なTLR4アゴニストの溶媒度パラメータを決定するのに好適な方法は、実施例においてさらに下記に提供される比濁分析を実施することによる。エタノール中の所与のTLR4アゴニストの溶媒度パラメータを決定するための他の方法は、Veseliら(Drug Dev Ind Pharm.2019年11月;45(11):1717~1724頁)に記載される方法を含み得る。
【0168】
エタノールは、他の利用可能な有機溶媒または有機溶媒の混合物、例えばイソプロパノールまたはエタノール/イソプロパノールと対照的に、安全な化合物としてみなされ、医薬製品を製造する方法でのその使用は、通常、保健機関では挑戦していない。
【0169】
選択したTLR4アゴニストのエタノール中の溶解度の具体的に提示された範囲により、これらの化合物は、溶媒注入法に基づくリポソーム製造方法で有利に実施される。このような方法は、工業規模でスケールアップすることができる利点を呈する。したがって、開示されるリポソームベースのアジュバントは、工業規模で容易で安価に生産することができる。
【0170】
好適なTLR4アゴニストは、タンパク質もしくはペプチド抗原と、多糖抗原と、および/または複合糖質抗原と組み合わせて使用して、ワクチン組成物のような免疫原性組成物を得ることができる。
【0171】
本明細書に開示されるTLR4アゴニストは、リポソーム、例えば単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第2の種類のリポソームにおいて、リポソームまたはリポソームの組合せに、サポニンおよびリン脂質のようなリポソームの他の成分またはリポソームの組合せの他の種類のリポソームの成分に関連して、個体に投与される場合の免疫賦活効果を与えるのに有効な量で使用することができる。TLR-4アゴニストは、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第2の種類のリポソームのようなリポソームにおいて、リポソームまたはリポソームの組合せに、サポニンおよびリン脂質のようなリポソームの他の成分またはリポソームの組合せの他の種類のリポソームの成分に関連して、抗原に対するアジュバント効果を与えるのに有効な量で使用することができる。
【0172】
TLR4アゴニストの量は、リポソームが含まれ得るワクチン組成物において重量/容積で、約0.5μg/ml~約200μg/ml、約1μg/ml~約150μg/ml、約1.5μg/ml~約100μg/ml、約2.0μg/ml~約50μg/ml、例えば約2.5μg/ml~約20μg/ml、例えば約4μg/ml~約10μg/mlのTLR4アゴニストの範囲であり得る。
【0173】
一実施形態では、TLR4アゴニストは、約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:40の範囲、または約1:5~約1:25の範囲のTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比でのサポニンを含む、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第2の種類のリポソームのようなリポソームに存在し得る。
【0174】
本明細書に開示されるリポソームと組み合わせて、異なる成分、すなわちTLR4アゴニスト、サポニン、ステロールまたはステロールエステル、およびリン脂質の含有物は、リポソームの種類ごともしくはリポソームの組合せごと、またはリポソームを含む組成物ごとに表すことができる。いくつかの実施形態では、異なる成分、すなわちTLR4アゴニスト、サポニン、ステロールまたはステロールエステル、およびリン脂質の含有物は、リポソームの組合せごと、またはリポソームを含む組成物ごとに表される。例えば、本明細書に開示されるリポソームと組み合わせて、TLR4アゴニストおよびサポニンの量が、重量:重量比で表される場合、これは、第1の種類のリポソーム中のTLR-4アゴニストの量および第2の種類のリポソーム中のサポニンの量を指す。他の例として、本明細書に開示されるリポソームと組み合わせて、TLR4アゴニスの量が、重量/容積で表される場合、これは、この組合せを含有する組成物の容積単位あたりのリポソームの組合せ中のTLR-4アゴニストの総量を指す。また例として、本明細書に開示されるリポソームと組み合わせて、TLR4アゴニスト、例えばリン脂質の量が、重量:重量比で表される場合、これは、第1の種類のリポソーム中のTLR-4アゴニストの量ならびに第1および第2の種類のリポソーム中のリン脂質の総量を指す。
【0175】
一実施形態では、TLR4アゴニストは、約1:1~約1:50、もしくは約1:25~約1:35の範囲のTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、または約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量比でのサポニンを含む、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第2の種類のリポソームのようなリポソームに存在し得る。
【0176】
TLR4アゴニストは、約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比でのサポニンを含む、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第2の種類のリポソームのようなリポソームに存在し得る。
【0177】
実施例に示す通り、他のTLR4アゴニスト、例えばMPLAと比較して、本明細書に開示されるTLR4アゴニストは、免疫応答を誘起する効能の向上を提示するので、他のTLR4アゴニストと比較して、より少量で使用することができる。ゆえに、本明細書に開示されるTLR4アゴニストを含む材料を同じ絶対量で開始して、MPLAより安価でより多くのアジュバント組成物を製造することが可能である。
【0178】
また、他のTLR4アゴニスト、例えば実施例に示すようなMPLと比較して、本明細書に開示され、リポソームで製剤化されるTLR4アゴニストは、他のTLR4アゴニスト、または同じTLR4アゴニストだがリポソームで製剤化されていないものより良好な忍容性と低い反応原性を提示する。
【0179】
サポニン
本開示のリポソーム、例えば単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第1の種類のリポソームは、少なくとも1つのサポニンを含み得る。TLR4アゴニストと組み合わせるようなサポニンの存在は、リポソームに対する免疫賦活効果を与える。
【0180】
サポニンは、リポソームが細菌、ウイルス、真菌、もしくは寄生虫疾患に対するワクチンのような抗原、またはがんワクチンのような腫瘍抗原と共投与される場合、TLR4アゴニストと組み合わせて免疫アジュバント効果を与えるのに有用なリポソーム、例えば単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第1の種類のリポソームであり得る。
【0181】
「サポニン」とは、ステロイドまたはトリテルペノイド構造のいずれかの疎水性領域と組み合わせた親水性領域(通常いくつかの糖鎖)からなる様々な植物種で豊富に見出される界面活性両親媒性グリコシドの群を指す。
【0182】
コレステロール、キラヤ属(Quillaja)のサポニンのようなサポニンの存在下で製剤化されない場合、望ましくない溶血効果を誘発し、水性相において不安定となり得ることは当該技術分野で知られている(Fleckら、Molecules.2019年;24(1):171;Wangら、ACS Infect Dis.2019年;5(6):974~981頁)。さらに、サポニンのアジュバント活性と溶血効果との相関関係が存在し得ることが認められている。コレステロールの存在下でのサポニンの製剤化は、同時にアジュバント処理の効果を維持しながら、溶血効果を有利に軽減する。溶血効果は、投与後、いくつかの有害反応に関連し得る。
【0183】
本開示において言及されるサポニンは、例えばWang P.ら、J Org Chem、2013年11月15日;78(22):11525~11534頁、Kim YJら、J Am Chem Soc、2006年;128:11906~11915頁、またはDeng Kら、Angew Chem Int Ed Engl.2008年;47(34):6395~6398頁に記載されるような化学合成法により製造することができる。
【0184】
本開示に有用なサポニンは、シャボンノキのサポニンであり得る。「シャボンノキのサポニン」とは、本明細書で使用される場合、キラヤの樹木、例えばキラヤの樹木の樹皮に見出されるサポニンと構造的、機能的に同一であるが、別の植物源または合成手段のいずれかで得ることができるサポニンを指すことを意図する。合成手段は、化学的合成手段、または発酵槽で増殖させた組換え単離細胞での生産のようなin vitroでの生物学的生産手段、またはin vitroで復元した人工細胞であり得る。培養細胞は、in vitroで増殖させた単離細胞、例えばキラヤの樹木で見出されるサポニンを生産するために、キラヤの樹木または別の植物のいずれかに由来するが修飾された植物細胞(組換え単離細胞)であり得る。
【0185】
一実施形態では、シャボンノキのサポニンは、キラヤから抽出することにより得ることができる。
【0186】
南アメリカの樹木であるキラヤの樹皮に由来するアジュバント活性を有する免疫学的に活性なサポニン分画は、当該技術分野で知られている。例えば、QA21としても公知のQS21、キラヤの樹木由来のHPLC精製分画、およびその生成方法は、US5,057,540に(QA21として)開示されており、キラヤ属のサポニンもまた、Scottら、1985年、Int Archs.Allergy Appl.Immun.、77、409頁によりアジュバントとして開示されている。
【0187】
植物から成分を抽出するための当業者に公知の任意の方法は、キラヤからサポニンを抽出するのに使用することができる。キラヤからサポニン抽出物を製造するための方法は、例えばWO2019/106192A1に記載されている。サポニンは、キラヤの樹皮由来のサポニン分画であるQuilAのさらなる分画化により得ることができる。
【0188】
サポニンは、混合物としてまたは精製した個別の成分として使用することができる。好適なサポニンは、QS-7、QS-17、QS-18、およびQS-21を含み、全てQuilAから分画される。
【0189】
いくつかの実施形態では、リポソームは、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、およびその組合せから選択されるサポニンを含み得る。
【0190】
一実施形態では、リポソームは、サポニンとして、QS21またはQA21としても公知のQS-21を含み得る。
【0191】
一実施形態では、リポソームは、サポニンとしてQS-7を含み得る。QS7は、QS21の溶血効果よりはるかに小さい溶血効果を有する。実施例で示す通り、本開示のリポソームで製剤化する場合、QS7は、QS21のアジュバント処理効果と同等に良好なアジュバント処理効果を誘発することができる。これは、個体への投与後の有害反応のリスクの可能性を高めることなく、アジュバント処理効果をさらに向上させるためのQS7の量を、例えばQS21と比較して増加させるのに有利に実施することができる。
【0192】
他の好適なサポニンは、ナンバンカラスウリ(Momordica cochinchinensis Spreng)のサポニンである。「ナンバンカラスウリのサポニン」とは、本明細書で使用される場合、ナンバンカラスウリの果実に見出されるサポニンと構造的、機能的に同一であるが、別の植物源または上で開示される合成手段のいずれかで得られるサポニンを指すことを意図する。
【0193】
このようなサポニンは、P.Wangら(J.Med.Chem.2020年、63、3290~3297頁)に記載されている。
【0194】
サポニンの量は、リポソーム(単一の種類または異なる種類のリポソームの組合せとして)が含まれ得るワクチン組成物における重量/容積での1μg/ml~1000μg/ml、例えば25μg/ml~750μg/ml、例えば50μg/ml~500μg/mlのサポニンの範囲であり得る。サポニンは、約100μg/mlの量でワクチン組成物に存在し得る。
【0195】
一実施形態では、サポニンは、TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約400:1の範囲、約2:1~約200:1の範囲、約2.5:1~約100:1の範囲、約3:1~約40:1の範囲、または約5:1~約25:1の範囲のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比で、TLR4アゴニストを含むリポソームまたは本明細書に記載されるリポソームの組合せに存在し得る。
【0196】
サポニンは、約10:1のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比でTLR4アゴニストを含む、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せのリポソームのようなリポソームに存在し得る。
【0197】
QS21またはQS7のようなサポニンは、約20:200、または約20:600、または約20:1800のTLR4アゴニスト:サポニンのμg/mLで表される量で、E6020のようなTLR4アゴニストを含む、単一の種類のリポソームのようなリポソームまたは本明細書に開示されるリポソームの組合せに存在し得る。
【0198】
サポニンQS21は、約20:200、または約20:600、または約20:1800、例えば約20:200のE6020:QS21のμg/mLで表される量でE6020を含む、単一の種類のリポソームのようなリポソームまたは本明細書に開示される組合せに存在し得る。
【0199】
サポニンQS7は、約20:200、または約20:600、または約20:1800、例えば約20:600のE6020:QS7のμg/mLで表される量でE6020を含む、単一の種類のリポソームのようなリポソームまたは本明細書に開示される組合せに存在し得る。
【0200】
サポニンは、1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、もしくは1:10~1:5の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、または約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で、単一の種類のリポソームのようなリポソームまたは本明細書に開示される組合せに存在し得る。
【0201】
ステロール
単一の種類のリポソームおよび/または本明細書に開示される組合せの第1もしくは第2の種類のリポソームのような本開示のリポソームは、ステロールまたはそのエステルを含み得る。ステロールまたはステロールのエステルの存在は、リポソームの構造安定性を改善することができる。
【0202】
本明細書に有用なステロールは、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、およびその混合物からなる群から選択することができる。
【0203】
ステロールのエステルとは、カルボン酸のステロイドアルコールのヒドロキシル基とのエステルを指す。好適なカルボン酸は、カルボキシル部分に対して、飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖アルキル基をさらに含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、C2~C18、C4~C16、C8~C12の飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖アルキル基のようなC1~C20の飽和または不飽和、直鎖または分岐鎖アルキル基であり得る。他の実施形態では、カルボン酸は、脂肪酸であり得る。例えば、脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、オレイン酸、リノール酸、またはアラキジン酸であり得る。
【0204】
一実施形態では、ステロールのエステルは、コレステリルエステルであり得る。
【0205】
本明細書に有用なステロールのエステルは、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、およびステアリン酸コレステリル、ならびにその混合物からなる群から選択することができる。
【0206】
ステロールまたはそのエステルは、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、およびステアリン酸コレステリル、ならびにその混合物から選択することができる。
【0207】
あるいは、有用なステロールは、酸化形コレステロールのようなコレステロール誘導体であり得る。
【0208】
好適な酸化形コレステロールは、25-ヒドロキシコレステロール、27-ヒドロキシコレステロール、20α-ヒドロキシコレステロール、6-ケト-5α-ヒドロキシコレステロール、7-ケト-コレステロール、7β,25-ヒドロキシコレステロール、および7β-ヒドロキシコレステロールであり得る。酸化形コレステロールは、25-ヒドロキシコレステロールおよび20α-ヒドロキシコレステロール、ならびにその混合物であり得、例えば、20α-ヒドロキシコレステロールであり得る。
【0209】
一実施形態では、ステロールまたはそのエステルは、酸化形コレステロールのような、コレステロール、コレステリルエステル、またはコレステロール誘導体であり得る。一実施形態では、ステロールまたはステロイドアルコールは、コレステロールまたはコレステリルエステルであり得る。さらなる実施形態では、ステロールまたはステロイドアルコールは、コレステロールである。
【0210】
本明細書に開示されるリポソームの組合せでは、異なる種類のリポソーム、例えば第1および第2の種類のリポソーム中のステロールの含有物は、同一であり得るまたは異なり得る。いくつかの実施形態では、異なる種類のリポソーム、例えば第1および第2の種類のリポソーム中のステロールの含有物は、同一であり得る。
【0211】
ステロールまたはそのエステルは、リポソームが含まれるワクチン組成物において、約0.1mM~約10mMの範囲のモル量、約0.2mM~約7mMの範囲のモル量、約0.5mM~約5mMの範囲のモル量、または約0.8mM~約4mMの範囲のモル量、または約1mM~約3mMの範囲のモル量、または約1.2mM~約2mMの範囲のモル量で存在し得る。例示的な一実施形態では、ステロールまたはそのエステルは、リポソームが含まれるワクチン組成物において、約1.3mMのモル量で存在し得る。
【0212】
ステロールまたはそのエステルは、1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、もしくは1:10~1:5の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、または約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第1および/もしくは第2の種類のリポソームのような本開示のリポソームにおいて存在し得る。
【0213】
リン脂質
単一の種類のリポソームならびに/または本明細書に開示される組合せの第1および/もしくは第2の種類のリポソームのような本開示のリポソームは、少なくとも1つのリン脂質を含み得る。リン脂質の存在は、リポソームの構造安定性を改善することができる。
【0214】
好適なリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびその混合物からなる群から選択することができる。
【0215】
有用なホスファチジルコリンの例として、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、POPC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、SOPC(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、およびその混合物を挙げることができる。
【0216】
有用なホスファチジルエタノールアミンの例として、DSPE(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、POPE(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、SOPE(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-ホスファチジルエタノールアミン)、およびその混合物を挙げることができる。
【0217】
有用なホスファチジン酸の例として、DSPA(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸)、DPPA(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸)、DMPA(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸)、POPA(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸)、DOPA(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸)、SOPA(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-ホスファチジン酸)、およびその混合物を挙げることができる。これらホスファチジン酸の薬学的に許容される塩もまた有用であり得る。
【0218】
有用なホスファチジルグリセロールの例として、DSPG(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルグリセロール)、DPPG(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルグリセロール)、DMPG(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルグリセロール)、POPG(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルグリセロール)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルグリセロール)、SOPG(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-ホスファチジルグリセロール)、およびその混合物を挙げることができる。
【0219】
有用なホスファチジルセリンの例として、DSPS(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルセリン)、DPPS(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルセリン)、DMPS(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルセリン)、POPS(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルセリン)、DOPS(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルセリン)、SOPS(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-ホスファチジルセリン)、およびその混合物を挙げることができる。
【0220】
有用なホスファチジルイノシトールの例として、DSPI(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルイノシトール)、DPPI(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルイノシトール)、DMPI(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルイノシトール)、POPI(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルイノシトール)、DOPI(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルイノシトール)、SOPI(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-ホスファチジルイノシトール)、およびその混合物を挙げることができる。
【0221】
リン脂質は、ホスファチジルコリン、例えばDSPC、DPPC、DMPC、POPC、DOPC;SOPC、およびホスファチジルエタノールアミン、例えばDSPE、DPPE、DMPE、POPE、DOPE、SOPE;ならびにその混合物からなる群から選択することができる。
【0222】
一実施形態では、好適なリン脂質は、DSPC、DOPC、およびDOPEであり得、DSPCまたはDOPE、およびその混合物であり得る。
【0223】
本明細書に開示されるリポソームの組合せでは、異なる種類のリポソーム、例えば第1および第2の種類のリポソーム中のリン脂質の含有物は、同一であり得るまたは異なり得る。いくつかの実施形態では、異なる種類のリポソーム、例えば第1および第2の種類のリポソーム中のリン脂質の含有物は、同一であり得る。
【0224】
リン脂質は、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第1および/もしくは第2の種類のリポソームのようなリポソームが含まれるワクチン組成物において、約0.1mM~約20mMの範囲のモル量、約0.2mM~約15mMの範囲のモル量、約0.5mM~約10mMの範囲のモル量、約0.8mM~約7mMの範囲のモル量、約1mM~約5mMの範囲のモル量、または約1.2mM~約2.5mMの範囲のモル量で存在し得る。例示的な一実施形態では、リン脂質は、リポソームが含まれるワクチン組成物において、約1.25mMのモル量で存在し得る。
【0225】
リン脂質は、1:400~1:4の範囲、1:200~1:8の範囲、1:100~1:10の範囲、1:50~1:10の範囲、約1:8の、または約1:20のサポニン:リン脂質の重量:重量比で、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第1および/もしくは第2の種類のリポソームのようなリポソームに存在し得る。
【0226】
リン脂質は、100:1~1:200の範囲、50:1~1:100の範囲、10:1~20:1の範囲、約1:1の、約1:2の、または約1:4のステロール:リン脂質の重量:重量比で、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される組合せの第1および/もしくは第2の種類のリポソームのような本開示のリポソームに存在し得る。
【0227】
抗原
一実施形態によると、本開示のリポソームは、野生型もしくは組換え抗原、またはその断片もしくはサブユニットをアジュバント処理するのに使用することができる。前記抗原は、タンパク質、ペプチド、多糖類、および/または複合糖質であり得る。
【0228】
少なくとも2つのリポソームの組合せが実現される実施形態では、抗原は、本明細書に開示される組合せの第1および/または第2の種類のリポソームに存在し得る。
【0229】
本開示のリポソーム/抗原含有組成物は、それらの原子価で異なり得る。原子価は、組成物中の抗原性成分の数、すなわち異なる抗原の数を指す。いくつかの実施形態では、組成物は一価である。これらはまた、二価、三価、または多価の組成物のような2個以上の原子価を含む組成物であり得る。多価組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の抗原または抗原部分(例えば抗原性ペプチドなど)を含み得る。
【0230】
本開示のリポソーム/抗原含有組成物は、ワクチン組成物のような免疫原性組成物として使用して、細菌、ウイルス、真菌、原虫、および寄生虫のような感染性物質との接触による感染を保護、処置、または治癒することができる。リポソーム/抗原含有組成物を使用して、がん疾患を保護、処置、または治癒することができる。
【0231】
一実施形態によると、本明細書に好適な抗原は、細菌抗原、原虫抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、または腫瘍抗原からなる群から選択することができる。
【0232】
細菌抗原
細菌抗原は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌に由来し得る。細菌抗原は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボルレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルケルラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルケルラ・カニス(Brucella canis)、ブルケルラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルケルラ・スイス(Brucella suis)、カムピュロバクテル・ジェユニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、クラミュディア・ツラコマティス(Chlamydia trachomatis)、クラミュドピラ・プシツタキ(Chlamydophila psittaci)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロスツリディウム・ディフフィキレ(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase Negative Staphylococcus)、コリュネバクテリウム・ディプテリア(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコククス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコククス・ファエキウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、毒素原性大腸菌(ETEC)、病原性大腸菌、大腸菌O157:H7、エンテロバクター属(Enterobacter)の種、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クレブシエルラ・プネウモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネルラ・プネウモピラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インテルロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノキュトゲネス(Listeria monocytogenes)、モラクセルラ・カタルラリス(Moraxella catarrhalis)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス属(Proteus)の種、緑膿菌、リクケトシア・リクケトシイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、サルモネルラ・チャピムリウム(Salmonella typhimurium)、セルラティア・マルケスケンス(Serratia marcescens)、シゲルラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲルラ・ソンネイ(Shigella sonnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタピュロコククス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタピュロコククス・サプロピュティクス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコククス・アガラクティアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコククス・ムタンス(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、またはペスト菌(Yersinia pestis)から得ることができる。
【0233】
ウイルス抗原
ウイルス抗原は、アデノウイルス;単純ヘルペス1型;単純ヘルペス2型;脳炎ウイルス、パピローマウィルス、水痘帯状疱疹ウイルス;エプスタイン-バーウイルス;ヒトサイトメガロウイルス(CMV);ヒトヘルペスウイルス8型;ヒトパピローマウィルス;BKウイルス;JCウイルス;天然痘;ポリオウイルス、B型肝炎ウイルス;ヒトボカウイルス;パルボウイルスB19;ヒトアストロウイルス;ノーウォークウイルス;コクサッキーウイルス;A型肝炎ウイルス;ポリオウイルス;ライノウイルス;重症急性呼吸器症候群ウイルス;C型肝炎ウイルス;黄熱ウイルス;デング熱ウイルス;西ナイルウイルス;風疹ウイルス;E型肝炎ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(HIV);インフルエンザウイルスA型もしくはB型;グアナリトウイルス;フニンウイルス;ラッサウイルス;マチュポウイルス;サビアウイルス;クリミアコンゴ出血熱ウイルス;エボラウイルス;マールブルグウイルス;麻疹ウイルス;ムンプスウイルス;パラインフルエンザウイルス;呼吸器合胞体ウイルス(RSV);ヒトメタニューモウイルス;ヘンドラウイルス;ニパウイルス;狂犬病ウイルス;D型肝炎;ロタウイルス;オルビウイルス;コルティウイルス;ハンタウイルス、中東呼吸器コロナウイルス;SARS-Cov-2ウイルス;チクングニアウイルス;ジカウイルス;パラインフルエンザウイルス;ヒトエンテロウイルス;ハンタウイルス;日本脳炎ウイルス;小水疱性発疹ウイルス(Vesicular exanthernavirus);東部ウマ脳炎(Eastern equine encephalitisor);またはバンナウイルスから得ることができる。
【0234】
一実施形態では、抗原は、インフルエンザAもしくはインフルエンザBのウイルスの株、またはその組合せに由来する。インフルエンザAまたはインフルエンザBの株は、トリ、ブタ、ウマ、イヌ、ヒト、または非ヒト霊長類に関連し得る。
【0235】
核酸は、赤血球凝集素タンパク質またはその断片をコードすることができる。赤血球凝集素タンパク質は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、H18、またはその断片であり得る。赤血球凝集素タンパク質は、ヘッドドメイン(HA1)を含んでも含まなくてもよい。あるいは、赤血球凝集素タンパク質は、細胞質ドメインを含んでも含まなくてもよい。
【0236】
ある特定の実施形態では、赤血球凝集素タンパク質は、切断型赤血球凝集素タンパク質である。切断型赤血球凝集素タンパク質は、膜貫通ドメインの一部を含み得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、ウイルスは、H1N1、H3N2、H7N9、H5N1、およびH10N8ウイルス、またはB株ウイルスからなる群から選択することができる。
【0238】
別の実施形態では、抗原は、CMVに由来し得る。抗原は、HCMVに由来し得る。抗原は、五量体(gH/gL/pUL128/pUL130/pUL131)およびgBの組合せであり得る。別の実施形態では、抗原は、CMVに由来しない。抗原は、HCMVに由来しない。抗原は、五量体(gH/gL/pUL128/pUL130/pUL131)およびgBの組合せではない。
【0239】
別の実施形態では、抗原は、SARS-Cov-1ウイルス、SARS-Cov-2ウイルス、またはMERS-Covウイルスのようなコロナウイルスに由来する。
【0240】
別の実施形態では、抗原は、RSVに由来し得る。抗原は、プレF-フェリチンであり得る。好適な前融合RSV F抗原は、WO2014/160463A1またはWO2019/195316A1に開示されている。
【0241】
一実施形態では、本明細書に好適な抗原は、五量体(gH/gL/pUL128/pUL130/pUL131)およびgBの組合せのようなヒトCMV由来の抗原、A/H1N1、A/H3N2、およびインフルエンザB株のようなヒトインフルエンザ株由来の抗原、フェリチン部分に融合した(プレF)または融合していないその前融合立体配座(プレF-フェリチン)におけるF抗原のようなRSV由来の抗原であり得る。
【0242】
CMV抗原
本開示による免疫原性組成物で使用することができるCMV抗原は、CMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原であり得る。
【0243】
例示的な一実施形態では、CMV抗原は、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)に由来するので、HCMV抗原であり得る。
【0244】
CMV gB抗原
本開示によるCMV gB抗原は、中和抗体を誘発する全長gBポリペプチドまたはgB由来のポリペプチドであり得る。gB由来のポリペプチドは、アミノ酸の付加、欠失、および/または置換のようないくつかの修飾をもたらし、CMVに対して中和抗体を依然として誘発する全長gBから得られるポリペプチドである。gB由来のポリペプチドの例として、例えばフリン部位において、切断型gB抗原および/またはいくつかのアミノ酸置換を含有する突然変異したgB抗原を挙げることができる。切断型gBとは、本明細書に開示される場合、膜貫通領域のような、1つまたは複数の領域またはドメインが、全てまたは一部で欠失しているgBを指す。
【0245】
gBポリペプチドは、CMVゲノムのUL55遺伝子によりコードされる。gB(またはgp130)の天然形態のサイズは、オープンリーディングフレーム(ORF)のサイズに依存し、考えられる株によって異なり得る。例えば、2717bp長であるAD169株のORFは、906個のアミノ酸の全長gBをコードし、Towne株のORFは、907個のアミノ酸の天然gBをコードする。これら2つの株のタンパク質配列は、US2002/0102562に記載され、その全体を参照によって組み入れる。gBの天然形態は、アミノ酸26~706または707にわたる細胞外ドメインまたは外部ドメインが続く、22~25アミノ酸長であり得、膜近位領域(アミノ酸707または708~750)および膜貫通ドメイン(アミノ酸750または751~772)が続き、次いでアミノ酸772または773~906または907にわたる細胞内ドメインで終結している、残基アルギニン459(またはTowne株の460、番号付けは株によって異なり得る)とセリン460(またはTowne株の461、番号付けは株によって異なり得る)との間の切断をもたらす内部タンパク質分解性(endoproteolytic)切断部位(フリン部位、RTRR、AD169株の残基456~459、またはTowne株のRTKR)を含有する、アミノ酸のシグナル配列を含有する(Sharmaら、Virology.2013年;435(2):239~249頁およびBurkeら、PLOS Pathogen.2015年;11(10):e1005227)。一旦プロセシングされると、全長gBは、感染した細胞で起こる翻訳後機構の結果としてアミノ酸のシグナル配列から欠失する。本開示の目的のための全長gB抗原の例は、CMV株であるTowneおよびAD169の全長gBの両方、ならびに他の同等の株を包含する。中和抗体を含むいくつかの抗原ドメイン(AD)は、gBポリペプチド配列に記載されている。抗原ドメインの例として、アミノ酸残基461から680に伸びるドメインを挙げることができる。このドメインは、2つの連続しないドメイン、残基461から619に伸びる第1のドメインおよび残基620から680に伸びる第2のドメインに細分化することができる(US5,547,834)。同定した他の抗原ドメインとして、アミノ酸残基560~640(Schoppel K.ら、Virology、1996年、216:133~45頁)に位置する抗原ドメイン1(AD-1)、またはアミノ酸残基65~84(Axelsson Fら、Vaccine、2007、26:41~6頁)もしくはアミノ酸残基27~84(Burke HGら、PLoS pathogens、2015年、11(10):e1005227)に位置する抗原ドメイン2(AD-2)を引用することができる。その結果、その配列に上で引用した抗原ドメインの1つまたはいくつかに相同である配列を含むポリペプチドもまた、本開示の目的に好適であり得る。用語「に相同である配列」とは、TowneまたはAD169株に由来する天然gBとみなされる抗原ドメインのアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を意味することを意図する(US2002/0102562に記載)。典型的には、配列相同性は、少なくとも90%の配列同一性に基づき、さらにより具体的には、配列相同性は、完全(100%の配列同一性)である。
【0246】
本明細書で使用される場合、第2の配列と少なくともx%の同一性を有する第1の配列は、x%が、第2のアミノ酸配列の総長に対して、両方の配列がグローバルアライメントを介して最適に並べられている場合、第2の配列のそれらの一致するアミノ酸と同一である第1の配列におけるアミノ酸の数を表すことを意味する。両方の配列は、xが最大である場合、最適に並べられている。アライメントおよび同一性の百分率の決定は、グローバルアライメントアルゴリズム、例えば、NeedlemanおよびWunsch、J.Mol Biol.、48、443~453頁(1970)に記載のNeedlemanおよびWunschのアルゴリズムを使用して、例えば、ポリペプチド配列比較に対する以下のパラメータ:比較マトリクス:HenikoffおよびHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、89、10915~10919頁(1992)由来のBLOSUM62、ギャップペナルティ:8、およびギャップ長ペナルティ:2;ならびにポリヌクレオチド配列比較に対する以下のパラメータ:比較マトリクス:マッチ=+10、ミスマッチ=0;ギャップペナルティ:50、およびギャップ長ペナルティ:3で、手動または自動的に実行することができる。
【0247】
上記のパラメータで使用することができるプログラムは、Genetics Computer Group、マディソン、WI製の「ギャップ」プログラムとして公的に利用可能である。前述のパラメータは、ペプチド比較(エンドギャップに対するペナルティなしで)および核酸比較に対するそれぞれのデフォルトのパラメータである。
【0248】
本開示の目的に有用なgB由来のポリペプチドの中で、US5,547,834に記載されるgp55を挙げることができる。これは、内部タンパク質分解性切断部位でgBの切断に由来し;そのアミノ酸配列は、セリン残基461からC末端に伸びる配列に対応する。膜貫通配列の全てまたは一部および細胞内C末端ドメインの全てまたは一部から欠失したgp55のような、gp55の切断型もまた使用することができる。このようなgB切断型抗原の例は、残基461~646の範囲のgBまたは細胞内C末端ドメインの全てもしくは一部の欠失したgp55のアミノ酸配列に相同である配列を有するペプチド、例えば残基461~680の範囲のgBのアミノ酸配列に相同である配列を有するペプチドであり得る。gp55のこのような切断型もまた、US5,547,834に記載され、その全体を参照によって組み入れる。
【0249】
内部タンパク質分解性切断部位で1つまたはいくつかのアミノ酸置換を担持し得る全長gBの突然変異型も使用し、後者を効果的でないようにすることができる。例示的な実施形態として、アミノ酸置換は、gp130の配列の残基457~460、例えばアルギニン460および/またはリジン459および/またはアルギニン457に位置することができる。全長gBのこのような突然変異型は、中和抗体に対する標的である全てのドメインを含む全体の細胞外ドメインを担持し得る。このような突然変異型は、組換えタンパク質として生産される場合の宿主におけるその分泌およびその容易な下流の精製を可能にするために、膜貫通配列の全てもしくは一部(aa752から773に伸びる)および/または細胞内C末端ドメインの全てもしくは一部(aa774から907に伸びる)から二次的に切断される。このようなgB誘導体は、中和抗体を標的とする実質的に全てのドメインが保存されている限り、有用である。
【0250】
例示的な一実施形態では、CMV gB抗原は、全長CMV gB抗原、膜貫通ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての膜貫通ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、細胞内ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての細胞内ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、ならびに膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインの両方から実質的に欠失している切断型CMV gB抗原からなる群で選択することができる。
【0251】
別の実施形態では、先行するものと組み合わせてまたは組み合わせないで、CMV gB抗原は、内部タンパク質分解性切断部位におけるアミノ酸置換のような1つまたはいくつかの突然変異を含み得る。
【0252】
表現「全ての細胞内ドメインから実質的に欠失している」または「全ての膜貫通ドメインから実質的に欠失している」とは、前記ドメインのアミノ酸配列の少なくとも80%が欠失していることを意味する。したがって、所与のドメインの全てから実質的に欠失した切断型gB抗原は、前記ドメイン、例えば細胞内ドメインの配列の長さの0%~約20%、例えば約5%~約10%を含み得る。
【0253】
本明細書で開示される通り、「ドメインの少なくとも一部の欠失した」とは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%であるが、80%未満のドメインの欠失したことを意味する。したがって、所与のドメインの少なくとも一部から欠失した切断型gB抗原は、前記ドメイン、例えば膜貫通ドメインの配列の長さのおよそ約20%~約95%、例えば約30%~約90%、例えば約40%~約60%、または例えば50%を含み得る。
【0254】
一実施形態では、CMV gB抗原は、gBポリペプチド、すなわち近位膜ドメインを含む可能性のある全ての膜貫通配列から、および全ての細胞内C末端ドメインから欠失した全長gBの外部ドメインからなる。「外部ドメイン」は、膜を超えて細胞外間隙に伸びる膜貫通アンカータンパク質の一部である。例えば、AD169株由来の全長gBポリペプチドの外部ドメインは、アミノ酸26からアミノ酸707にわたっている。
【0255】
本明細書に開示されるCMV gB抗原はまた、他の突然変異および/または欠失および/または付加を含有し得る。例えば、CMV gB抗原は、EP2627352に記載される細胞外ドメインに位置する融合ループ1(FL1)ドメインおよび融合ループ2(FL2)ドメインの少なくとも1つにおいて少なくとも1つのアミノ酸欠失または置換を含有し得る。あるいは、または加えて、EP2627352に記載されるリーダー配列の少なくとも一部の欠失を含有し得る。本明細書に開示されるCMV gB抗原はまた、WO2016/092460に記載される疎水性表面1(アミノ酸残基154~160および236~243からなるドメイン)内のグリコシル化部位を導入する突然変異を含み得る。このようなグリコシル化部位は、N-X-S/T/Cモチーフを含むN-グリコシル化部位であり得、Xは、任意のアミノ酸残基(通常プロリンではない)であり得る。CMV gB抗原は、グリコシル化部位を導入する突然変異を含み得る。このような実施形態では、グリコシル化部位は、WO2016/092460に記載される通り、(1)疎水性表面2(アミノ酸残基145~167および230~252からなるドメイン)内で;または(2)融合ループ1(FL1)(アミノ酸残基155~157からなるドメイン)および/もしくは融合ループ2(FL2)(アミノ酸残基240~242)から20オングストローム以内である残基であり得る。
【0256】
別の実施形態では、CMV gB抗原は、WO2016/092460に記載される通り、C末端で少なくとも12の残基長であり得る異種配列を含み得る。このような実施形態では、gBタンパク質は、異種配列が外部ドメインのC末端で融合し得る融合タンパク質であり得る。
【0257】
CMV gBは、関連するウイルス、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)gBおよびエプスタイン-バーウイルス(EBV)gBにおけるgBタンパク質の3D結晶学的構造に基づいてホモ三量体として組み立てると推測され、これらは、ホモ三量体である(Heldweinら、Science、2006年、313:217~220頁;Backovicら、PNAS、2009年、106(8):2880~2885頁)。本明細書に開示されるCMV gB抗原は、三量体形態、および/または六量体形態(三量体形態の二量体)、および/または十二量体形態(六量体の二量体)であり得る。例えば、本明細書に開示される免疫原性組成物のCMV gB抗原は、単量体形態では実質的にあり得ない。表現「単量体形態では実質的にない」とは、CMV gB抗原の20%未満、例えば10%未満、例えば5%未満が単量体形態であり得ることを意味する。
【0258】
一実施形態によると、gB抗原は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。例えば、前記gB抗原は、配列番号1:
STRGTSATHSHHSSHTTSAAHSRSGSVSQRVTSSQTVSHGVNETIYNTTLKYGDVVGVNTTKYPYRVCSMAQGTDLIRFERNIVCTSMKPINEDLDEGIMVVYKRNIVAHTFKVRVYQKVLTFRRSYAYIHTTYLLGSNTEYVAPPMWEIHHINSHSQCYSSYSRVIAGTVFVAYHRDSYENKTMQLMPDDYSNTHSTRYVTVKDQWHSRGSTWLYRETCNLNCMVTITTARSKYPYHFFATSTGDVVDISPFYNGTNRNASYFGENADKFFIFPNYTIVSDFGRPNSALETHRLVAFLERADSVISWDIQDEKNVTCQLTFWEASERTIRSEAEDSYHFSSAKMTATFLSKKQEVNMSDSALDCVRDEAINKLQQIFNTSYNQTYEKYGNVSVFETTGGLVVFWQGIKQKSLVELERLANRSSLNLTHNTTQTSTDGNNATHLSNMESVHNLVYAQLQFTYDTLRGYINRALAQIAEAWCVDQRRTLEVFKELSKINPSAILSAIYNKPIAARFMGDVLGLASCVTINQTSVKVLRDMNVKESPGRCYSRPVVIFNFANSSYVQYGQLGEDNEILLGNHRTEECQLPSLKIFIAGNSAYEYVDYLFKRMIDLSSISTVDSMIALDIDPLENTDFRVLELYSQKELRSSNVFDLEEIMREFNSYKQRVKYVEDKRLCMQPLQNLFPYLVSADGTTVTSGNTKDTSLQAPPSYEESVYNSGRKGPGPPSSDASTAAPPYTNEQAYQMLLALVRLDAEQRAQQNGTDSLDGQTGTQDKGQKPNLLDRLRHRKNGYRHLKDSDEEENV
と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0259】
例示的な一実施形態では、gB抗原は、配列番号1と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0260】
本開示に好適なCMV gB抗原は、C末端ドメインの全てもしくは一部および/または膜貫通配列の全てもしくは一部を除去し、切断部位が効果的ではない全長gBから得られる切断型gBポリペプチドであり得る。このようなgBの例示的な切断形態は、gBdTMを呼ばれる、US6,100,064に記載されるものであり得、その全体を参照によって組み入れる。US6,100,064において、gBのシグナル配列は、24アミノ酸長であると仮定した。実際に、シグナル配列は、25アミノ酸長である。したがって、US6,100,064で示されたgBのアミノ酸の番号付けは、1だけシフトすべきである。これを考慮すると、US6,100,064に記載されるgBdTMは、細胞外ドメインが細胞質ドメインに直接接続するように、切断部位での3つの突然変異:アルギニン432はトレオニンで置換され、リジン434はグルタミンで置換され、アルギニン435はトレオニンで置換される(番号変更した位置を考慮し、シグナル配列を計数しない);ならびに、アミノ酸残基バリン676とアルギニン751との間の膜貫通領域における欠失(番号変更した位置を考慮する)を有する。このようなgB抗原は、分泌型でこの生成物を発現する組換え細胞で生産される場合、より容易に精製される。得られる形態は、gB Towne株に由来する場合、そのシグナル配列およびその膜貫通領域の欠失した806アミノ酸長のポリペプチドである。例示的な一実施形態では、gB抗原は、本明細書に開示される通り、gBdTMであり得る。
【0261】
本明細書に記載されるCMV gB抗原は、当業者に周知の任意の方法によって製造することができる。このような方法は、固相(R.B.Merrifield、J.Am.Chem.Soc.、85(14)、2149~2154頁(1963))または液相での従来の化学合成法、構成型アミノ酸もしくはその誘導体からの酵素的合成法(K.Morihara、Trends in Biotechnology、5(6)、164~170頁(1987))、無細胞タンパク質合成法(Katzenら、Trends in Biotechnology、23(3)、150~156頁(2005))、ならびに組換え技術による生物学的生産法を含み得る。
【0262】
例えば、CMV gB抗原は、組換え宿主細胞での生物学的生産方法を使用して得ることができる。このような方法では、本明細書に記載されるCMV gB抗原をコードする核酸を含有する発現カセットは宿主細胞に移されるが、これは、対応するタンパク質の発現を可能にする条件下で培養される。次いで、これにより生成されるタンパク質を回収し、精製することができる。タンパク質を精製するための方法は、当業者に周知されている。得られる組換えタンパク質は、分画化、クロマトグラフィー法、特異的なモノまたはポリクローナル抗体を使用する免疫親和法などのような、個別にまたは組み合わせて使用した方法により、溶解物および細胞抽出物または培養媒体の上清から精製することができる。一実施形態では、得られる組換えタンパク質は、培養媒体の上清から精製することができる。CMV gB抗原は、通常、組換えDNA技術により得られ、当業者に周知の方法によって精製される。US6,100,064およびUS2002/0102562に記載される方法は、その全体を参照によって組み入れるが、例えば使用することができる。
【0263】
例えば、本明細書に開示されるCMV gB抗原は、組換え糖タンパク質であり得るが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養において生成することができる。CMVのTowne株由来のgB遺伝子は、US6,100,064に記載される細胞培養における分泌を促進するために、突然変異を起こして、切断部位および分子の膜貫通部を取り除くことができる。分泌分子は、19個の潜在的なN結合型グリコシル化部位を保持する806個のアミノ酸のペプチドであり得、gBdTmとも呼ばれる。精製方法は、親和性およびイオン交換クロマトグラフィーの工程に関与し得る。
【0264】
CMV gB抗原は、免疫学的に活性な量、すなわち対象のレシピエントにおいて免疫応答を誘発するのに好適な量で組成物中に存在し得る。本開示に好適なgB抗原の免疫学的に活性な量の例として、約1μg/ml~約500μg/ml、または約10μg/ml~約400μg/ml、または約20μg/ml~約350μg/ml、または約40μg/ml~約300μg/ml、または約50μg/ml~約280μg/ml、または約80μg/ml~約240μg/mlの範囲の量を引用することができる。
【0265】
CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原
本明細書に開示される免疫原性組成物の別の抗原は、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原である。
【0266】
このような五量体複合体は、5つの成分の中でジスルフィド結合および非共有結合の相互作用を通して組み立てられて、立体配座エピトープを提示することができる機能的複合体を形成する(Ciferriら、PNAS、2015年、112(6):1767~1772頁;Wenら、Vaccine、2014年、32(30):3796~3804頁)。
【0267】
本開示に好適な五量体複合体は、容易に記載され、当業者に知られている。例えば、このような五量体複合体は、Ryckmanら(Journal of Virology、2008年1月、60~70頁)および特許出願WO2014/005959またはWO2019/052975に記載される。
【0268】
gH抗原
CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合体は、修飾されたCMV gHポリペプチドを含み得る。修飾されたCMV gHポリペプチドは、膜貫通(TM)ドメインの少なくとも一部から欠失し得る。いくつかの実施形態では、修飾されたgHポリペプチドは、TMドメインの一部を保持するが、脂質二重層にタンパク質をとどめるのに十分ではない。例示的な一実施形態では、gHポリペプチドは、実質的に全ての膜貫通ドメインから欠失し得る。例示的な別の実施形態では、gHポリペプチドは、TMドメインの全てから欠失し得る。
【0269】
一実施形態では、CMV糖タンパク質H(gH)ポリペプチドは、gH TMドメインの最大で10個のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸)を含有し得る。別の実施形態では、gHポリペプチドは、gH TMドメインの10個以下のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸)を含有し得る。
【0270】
一実施形態では、gH抗原は、膜貫通ドメインの少なくとも一部または実質的に全ての膜貫通ドメインから欠失し得る。
【0271】
本発明の文脈では、「ドメインの少なくとも一部の欠失した」とは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%であるが、80%未満のドメインの欠失したことを意味する。したがって、所与のドメインの少なくとも一部から欠失した切断型gH抗原は、前記ドメイン、例えば膜貫通ドメインの配列の長さのおよそ約20%~約95%、例えば約30%~約90%、例えば約40%~約60%、または例えば50%を含み得る。
【0272】
表現「実質的に全ての細胞内ドメインから欠失している」または「実質的に全ての膜貫通ドメインから欠失している」とは、対応するドメインのアミノ酸配列の少なくとも80%が欠失していることを意味する。したがって、所与のドメインの全てから実質的に欠失した切断型gH抗原は、ドメイン、例えば膜貫通ドメインの配列の長さの0%~約20%、例えば約5%~約10%を含み得る。
【0273】
あるいは、またはTMドメインの少なくとも一部、実質的に全て、もしくは全てから欠失していることに加えて、gHポリペプチドは、CMV gHの細胞内ドメインの一部、実質的に全て、または全てから欠失し得る。
【0274】
一実施形態では、gH抗原は、CMV gHの細胞内ドメインの一部から欠失し得る。別の実施形態では、gH抗原は、実質的に全ての細胞内ドメインから欠失し得る。別の実施形態では、gHポリペプチドは、全ての細胞内ドメインから欠失し得る。
【0275】
一実施形態では、gHポリペプチドは、全てのTMドメインおよび全ての細胞内ドメインから欠失し得る。
【0276】
一実施形態では、gH抗原は、CMV UL75遺伝子でコードした全長gHポリペプチドの外部ドメインを含む、またはからなる。
【0277】
UL75遺伝子でコードしたgH抗原は、感染性に不可欠であり、アルファ、ベータおよびガンマヘルペスウイルスのメンバー間で保存されている、ビリオン糖タンパク質である。これは、gLとの安定な複合体を形成し、この複合体の形成により、gHの細胞表面の発現は促進される。HSV-2およびEBV gH/gL複合体の結晶構造に基づいて、gLユニットおよびgHのN末端残基は、構造の一端(「頭部」)で球状ドメインを形成するが、これは、gBとの相互作用および膜融合の活性化に関係している。ウイルス膜(「尾部」)に近位のgHのC末端ドメインもまた、膜融合に関係している。
【0278】
一実施形態では、本明細書に記載される五量体複合体におけるgHポリペプチドは、配列番号2と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。別の実施形態では、gH抗原は、配列番号2:
RYGAEAVSEPLDKAFHLLLNTYGRPIRFLRENTTQCTYNNSLRNSTVVRENAISFNFFQSYNQYYVFHMPRCLFAGPLAEQFLNQVDLTETLERYQQRLNTYALVSKDLASYRSFSQQLKAQDSLGEQPTTVPPPIDLSIPHVWMPPQTTPHGWTESHTTSGLHRPHFNQTCILFDGHDLLFSTVTPCLHQGFYLIDELRYVKITLTEDFFVVTVSIDDDTPMLLIFGHLPRVLFKAPYQRDNFILRQTEKHELLVLVKKDQLNRHSYLKDPDFLDAALDFNYLDLSALLRNSFHRYAVDVLKSGRCQMLDRRTVEMAFAYALALFAAARQEEAGAQVSVPRALDRQAALLQIQEFMITCLSQTPPRTTLLLYPTAVDLAKRALWTPNQITDITSLVRLVYILSKQNQQHLIPQWALRQIADFALKLHKTHLASFLSAFARQELYLMGSLVHSMLVHTTERREIFIVETGLCSLAELSHFTQLLAHPHHEYLSDLYTPCSSSGRRDHSLERLTRLFPDATVPATVPAALSILSTMQPSTLETFPDLFCLPLGESFSALTVSEHVSYVVTNQYLIKGISYPVSTTVVGQSLIITQTDSQTKCELTRNMHTTHSITAALNISLENCAFCQSALLEYDDTQGVINIMYMHDSDDVLFALDPYNEVVVSSPRTHYLMLLKNGTVLEVTDVVVDATDSR
と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0279】
別の実施形態では、gHポリペプチドは、配列番号2と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0280】
gL抗原
CMV糖タンパク質L(gL)は、UL115遺伝子でコードした。gL抗原は、ウイルス複製に不可欠であると考えられ、gLの全ての公知の機能的特性は、gHとのその二量化に直接関連する。gL/gH複合体は、宿主細胞へのウイルスの侵入をもたらすウイルスおよび原形質膜の融合に必要である。
【0281】
一実施形態によると、本明細書に記載される五量体複合体のgLポリペプチドは、配列番号3と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。別の実施形態では、gL抗原は、配列番号3と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、からなる。
【0282】
例示的な一実施形態では、gLポリペプチドは、配列番号3:
AAVSVAPTAAEKVPAECPELTRRCLLGEVFQGDKYESWLRPLVNVTGRDGPLSQLIRYRPVTPEAANSVLLDEAFLDTLALLYNNPDQLRALLTLLSSDTAPRWMTVMRGYSECGDGSPAVYTCVDDLCRGYDLTRLSYERSIFTEHVLGFELVPPSLFNVVVAIRNEATRTNRAVRLPVSTAAAPEGITLFYGLYNAVKEFCLRHQLDPPLLRHLDKYYAGLPPELKQTRVNLPAHSRYGPQAVDAR
と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0283】
UL128抗原
一実施形態によると、本明細書に記載される五量体複合体におけるUL128ポリペプチドは、配列番号4と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。一実施形態では、UL128抗原は、配列番号4と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0284】
例示的な一実施形態では、UL128ポリペプチドは、配列番号4:
EECCEFINVNHPPERCYDFKMCNRFTVALRCPDGEVCYSPEKTAEIRGIVTTMTHSLTRQVVHNKLTSCNYNPLYLEADGRIRCGKVNDKAQYLLGAAGSVPYRWINLEYDKITRIVGLDQYLESVKKHKRLDVCRAKMGYMLQ
と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0285】
UL130抗原
UL130は、UL131A-128遺伝子座の中心で最大の(214個のコドン)遺伝子である。遺伝子の概念翻訳により、推定ケモカインドメイン(アミノ酸46~120)内の2つの潜在的なN結合型グリコシル化部位(Asn85およびAsn118)、ならびに唯一のC末端領域の末端に近い追加のグリコシル化部位(Asn201)を含有する親水性タンパク質に先行する長い(25個のアミノ酸の)N末端シグナル配列が予測される。UL130は、TMドメインを有していないことが予測される。
【0286】
感染した細胞から非効率的に分泌されるが、ゴルジ成熟した形態としてビリオンエンベロープに組み入れられるルミナール糖タンパク質であることが報告されている(Patroneら、Journal of Virology.79(2005):8361~8373頁)。
【0287】
一実施形態によると、本明細書に記載される五量体複合体におけるUL130ポリペプチドは、配列番号5と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。一実施形態では、UL130抗原は、配列番号5と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0288】
例示的な一実施形態では、UL130ポリペプチドは、配列番号5:
SPWSTLTANQNPSPLWSKLTYSKPHDAATFYCPFIYPSPPRSPLQFSGFQRVLTGPECRNETLYLLYNREGQTLVERSSTWVKKVIWYLSGRNQTILQRMPRTASKPSDGNVQISVEDAKIFGAHMVPKQTKLLRFVVNDGTRYQMCVMKLESWAHVFRDYSVSFQVRLTFTEANNQTYTFCTHPNLIV
と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0289】
UL131A抗原
UL131Aとも呼ばれるUL131の機能は、内皮細胞だけではなく上皮細胞においてもCMV複製に必要である。一実施形態によると、本明細書に記載される五量体複合体におけるUL131Aポリペプチドは、配列番号6と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。一実施形態では、UL131A抗原は、配列番号6と少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。
【0290】
例示的な一実施形態では、UL131ポリペプチドは、配列番号6:
QCQRETAEKNDYYRVPHYWDACSRALPDQTRYKYVEQLVDLTLNYHYDASHGLDNFDVLKRINVTEVSLLISDFRRQNRRGGTNKRTTFNAAGSLAPHARSLEFSVRLFAN
と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはからなる。配列番号2~6は、BE/28/2011株(Genbank番号KP745669)に由来する。
【0291】
五量体複合抗原
本明細書に開示される免疫原性組成物の五量体複合抗原では、gH、gL、およびUL128は、ジスルフィド結合を通して結合することができるが、UL130およびUL131Aは、非共有結合の相互作用により五量体複合体に組み入れることができる。例えば、UL130タンパク質および/またはUL131Aタンパク質は、非共有結合の相互作用により五量体複合体に組み入れることができる。さらに、UL130タンパク質および/またはUL131Aタンパク質は、非共有結合の相互作用により連結することができる。
【0292】
五量体複合体に対する一連の立体配座エピトープは知られている。例えば、Macagnoら(Macagnoら、Journal of Virology.84(2010):1005~13頁)は、内皮、上皮、および骨髄細胞のCMV感染を中和したヒトモノクローナル抗体のパネルを単離した。一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物の五量体複合抗原は、Macagnoら(2010)により同定した立体配座エピトープの1つまたはそれ以上を提示することができる。
【0293】
五量体複合抗原の各タンパク質は、これらの突然変異が抗原としてタンパク質の使用に有害ではない限り、挿入、欠失、および置換のような突然変異を含有し得る。加えて、このような突然変異は、本発明によって五量体複合体を形成するタンパク質の能力を防止してはならない。本明細書に開示されるように五量体複合体を形成する能力は、タンパク質精製を実施し、非還元PAGE、ウエスタンブロット、および/またはサイズ排除クロマトグラフィーによりタンパク質を解析することにより試験することができる。タンパク質が複合体の一部を形成する場合、これらは全て、天然PAGEゲル上の単結合に存在し、および/またはサイズ排除クロマトグラムでの単一のピークに存在し得る。
【0294】
前記五量体複合体の発現は、当業者に公知の方法によって実現することができる。例えば、Hofmannら(Biotechnology and Bioengineering、2015年)に記載される方法が挙げられる。本開示の文脈での使用に好適な発現系は、当業者に周知されており、多くは、Doyle(Doyle編、High Throughput Protein Expression and Purification:Methods and Protocols、in Methods in Molecular Biology、Humana Press編、2008年)に詳述されている。一般に、必要とする宿主でポリペプチドを生産する核酸分子を維持、増殖、および発現するのに好適である任意の系またはベクターを使用することができる。適切なヌクレオチド配列は、様々な周知される日常的な技術のいずれか、例えばSambrook(Sambrook、J.Molecular Cloning:Laboratory Manual.第3編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2000年)に記載されるものにより発現系に挿入することができる。一般に、コードした遺伝子は、所望のペプチドをコードするDNA配列が形質転換宿主細胞にRNAへの転写されるように、プロモーターおよび場合によりオペレーターのような制御要素の制御下に配置することができる。好適な発現系の例は、例えば、染色体、エピソーム、およびウイルス由来の系を含み、例えば、以下に由来するベクター:細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスボゾン、酵母エピソーム、挿入要素、酵母染色体要素、ウイルス、例えば特許出願WO2015/170287に記載されるバキュロウイルス、パポバウイルス、例えばSV40、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、およびレトロウイルス、またはその組合せ、例えばコスミドおよびファージミドを含むプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝要素に由来するものを含む。ヒト人工染色体(HAC)もまた、プラスミドに含有し、発現することができるものより大きい断片のDNAを送達するのに利用することができる。
【0295】
CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原の5つの異なる組換えタンパク質を同時に等モルの方法で発現するために、いくつかの可能性がある。第1の可能性(1)は、同じまたは類似の調節要素(プロモーター、エンハンサー、スプライスシグナル、終結シグナル...)の制御下、5つ全てのORFを含有する単一のベクター、および場合により、細胞株選択の選択系を構築することができる。ベクターは、5つの発現カセット(例えば、Albersら、J.Clin.Invest.、2015年、125(4):1603~1619頁;もしくはCheshenkoら、Gene Ther.、2001年、8(11):846~854頁に記載の通り)を含有し得る、または5つの成分(gH、gL、UL128、UL130、およびUL131)は、単一のORFにおいて、適したポリタンパク質の成熟を引き起こす要素で、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原(例えば、Szymczak-Workmanら、Cold Spring Harb.Protoc.、2012、2012(2):199~204頁に記載される自己切断が可能な配列)の5つのタンパク質に融合することができる。第2の場合、等モル濃度が保証されており、全ての切断が正確に起こると仮定される。CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合体を発現する別の可能性(2)は、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合体抗原の1つの成分を各々発現する5つのベクター、および場合により、細胞株選択の選択系を構築することであり得る。5つのベクターは、標的細胞株で同時にトランスフェクトし得る。可能性(1)と可能性(2)との間の任意の中間系はまた、必要とするベクターの数を最小にし、各ベクターを妥当なサイズ(例えば12kb未満)に維持するように設計される。
【0296】
好適な発現系は、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌;酵母発現ベクターで形質添加した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、特許出願WO2015/170287に記載されるようなバキュロウイルス)に感染もしくはトランスフェクトした昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)もしくは細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系のような微生物を含む。無細胞翻訳系もまた、タンパク質を生成するのに利用することができる。
【0297】
好適な植物細胞の遺伝子発現系の例は、米国特許第5,693,506号;米国特許第5,659,122号;米国特許第5,608,143号、およびZenk、Phytochemistry、1991年、30(12):3861~3863頁に記載されるものを含み得る。例えば、プロトプラストを単離し、培養して、再生した植物全体を得ることができる全ての植物を使用して、導入した遺伝子を含有する植物全体を回収するようにする。実際に、全ての植物は、培養した細胞または組織から再生され、限定されないが、サトウキビ、テンサイ、ワタ、果実および他の樹木、マメ、ならびに野菜の全ての主要な種を含む。
【0298】
HEK293細胞は、リン酸カルシウムおよびポリエチレンイミン(PEI)法を含む様々な技術によるトランスフェクト能(transfectability)が高いので、本明細書に開示される五量体複合体のCMVタンパク質の一過性発現に好適であり得る。HEK293の有用な細胞株は、293-6EのようなEBVのEBNA1を発現するものであり得る(Loignonら、BMC Biotechnology、2008年;8:65頁)。形質転換したHEK293細胞は、高レベルのタンパク質を増殖媒体に分泌するので、増殖媒体から直接このようなタンパク質複合体を精製することを可能にすることを示している。
【0299】
CHO細胞は、CMVタンパク質の工業生産、例えば本発明による免疫原性組成物のCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原部分の工業生産に好適な哺乳動物の宿主であり得る。トランスフェクトは、リン酸カルシウムを使用することを含む当該技術分野で周知の一連の方法、電気穿孔法、またはカチオン性脂質を材料と混合することにより実行して、細胞膜と融合し、そのカーゴを内部に沈着するリポソームを生産することができる。
【0300】
細胞上清または封入体から組換えタンパク質を精製するための方法は、当該技術分野で周知されている。例示的な一実施形態では、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、サイズ排除クロマトグラフィーにより精製することができる。
【0301】
CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、免疫学的に活性な量、すなわち対象のレシピエントにおいて免疫応答を誘発するのに好適な量で組成物中に存在し得る。本開示に好適なgH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原の免疫学的に活性な量の例として、約1μg/ml~約500μg/ml、または約10μg/ml~約400μg/ml、または約20μg/ml~約350μg/ml、または約40μg/ml~約300μg/ml、または約50μg/ml~約280μg/ml、または約80μg/ml~約240μg/mlの範囲の量を引用することができる。
【0302】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、任意の完全CMVウイルスを含まない。
【0303】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、本明細書に記載されるCMV抗原であるさらなる抗原を含み得る。本明細書に開示される組成物に添加することができるさらなる抗原の例として、百日咳菌、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、破傷風菌、結核菌、プラスモジウム属(Plasmodium)の種、炭疽菌、コレラ菌、チフス菌、ボレリア属(Borrelia)の種、肺炎レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、クロストリジウム属(Clostridium)の種、らい菌、ペスト菌、インフルエンザウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、SARS-Cov-2ウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウィルス、エボラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、リッサウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、および風疹ウイルス由来の抗原を引用することができる。例示的な一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、組成物の唯一のCMV抗原としてCMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含み得る。
【0304】
例示的な一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、組成物の唯一のCMV抗原としてCMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含み得る。
【0305】
真菌抗原
真菌抗原は、子嚢菌門(Ascomycota)(例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、プネウモキュスティス・ジロウェキイ(Pneumocystis jirovecii)、コウジカビ属(Aspergillus)の種、コクキディオイデス・イムミティス(Coccidioides immitis)/ポサダシイ(posadasii)、カンディア・アルビカンス(Candida albicans))、担子菌門(Basidiomycota)(例えば、フィロバシディエルラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans)、トリコスポロン属(Trichosporon))、微胞子虫目(Microsporidia)(例えば、エンケパリトゾオン・クニクリ(Encephalitozoon cuniculi)、エンテロキュトゾオン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi))、またはケカビ亜門(Mucoromycotina)(例えば、ムコル・キルキネルロイデス(Mucor circinelloides)、リゾプス・オリュザエ(Rhizopus oryzae)、リクテイミア・コリュムビフェラ(Lichtheimia corymbifera))から得ることができる。
【0306】
原虫抗原
原虫抗原は、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、ギアルディア・ラムブリア(Giardia lamblia)、ツリコモナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、T.クルジ(T.cruzi)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、トキソプラスマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)、プラスモジウム属の種、またはバベシア・ミクロティ(Babesia microti)から得ることができる。
【0307】
寄生虫抗原
寄生虫抗原は、アカントアメーバ属(Acanthamoeba)、アニサキス属(Anisakis)、回虫(Ascaris lumbricoides)、ウマバエ、大腸バランチジウム、トコジラミ、サナダムシ、ツツガムシ、ラセンウジバエ(Cochliomyia hominivorax)、赤痢アメーバ、肝蛭(Fasciola hepatica)、ギアルディア・ラムブリア、鉤虫、リーシュマニア、イヌシタムシ(Linguatula serrata)、肝吸虫、ロア糸状虫、肺吸虫属(Paragonimus)、蟯虫、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、住血吸虫属(Schistosoma)、糞線虫(Strongyloides stercoralis)、ダニ、条虫、トキソプラスマ・ゴンジイ、トリパノソーマ属(Trypanosoma)、鞭虫、またはウケレリア・バンクロフティ(Wuchereria bancrofti)から得ることができる。
【0308】
腫瘍抗原
一実施形態では、抗原は、腫瘍抗原、すなわちがん細胞で発現したタンパク質またはペプチドのようながん細胞の構成要素であり得る。用語「腫瘍抗原」は、組織および/もしくは臓器の限定数、または特定の発生段階で特異的に発現した正常条件下であり、1つまたはそれ以上の腫瘍またはがん組織で発現または異常発現しているタンパク質に関する。腫瘍抗原は、例えば、細胞種類に特異的な分化抗原のような分化抗原、すなわちある特定の分化段階でのある特定の細胞腫および生殖系列に特異的な抗原で特異的に発現した正常条件下であるタンパク質を含む。例えば、腫瘍抗原は、発現しているがん細胞で提示される。
【0309】
例えば、腫瘍抗原は、癌胎児性抗原、1-フェトプロテイン、イソフェリチン、および胎児性スルホ糖タンパク質(fetal sulphoglycoprotein)、cc2-H-鉄タンパク質、ならびにγ-フェトプロテインを含む。
【0310】
本発明で有用であり得る腫瘍抗原の他の例は、p53、ART-4、BAGE、ベータ-カテニン/m、Bcr-abLCAMEL、CAP-1、CASP-8、CDC27/m、CD4/m、CEA、クローディンファミリーの細胞表面タンパク質、例えばクローディン-6、クローディン-18.2およびクローディン-12、c-MYC、CT、Cyp-B、DAM、ELF2M、ETV6-AML1、G250、GAGE、GnT-V、Gapl OO、HAGE、HER-2/neu、HPV-E7、HPV-E6、HAST-2、hTERT(またはhTRT)、LAGE、LDLR/FUT、MAGE-A、例えばMAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、またはMAGE-A12、MAGE-B、MAGE-C、MART-1/メラン-A、MC1 R、ミオシン/m、MUC1、MUM-1、-2、-3、NA88-A、NF1、NY-ESO-1、NY-BR-1、pl 90minorBCR-abL、Pm l/RARa、PRAME、プロテイナーゼ3、PSA、PSM、RAGE、RU1またはRU2、SAGE、SART-1またはSART-3、SCGB3A2、SCP1、SCP2、SCP3、SSX、SURVrVIN、TEL/AMLl、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/1NT2、TPTEおよびWT、例えばWT-1である。
【0311】
リポソームおよびそれを製造するための方法
本開示はまた、リポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる溶液をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a)、工程(b)、または工程(b)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約400:1の範囲、約2:1~約200:1の範囲、約2.5:1~約100:1の範囲、約3:1~約40:1の範囲、または約5:1~約25:1の範囲のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比で存在する、方法に関する。このような方法は、本明細書に開示される単一の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0312】
別の実施形態では、本開示は、リポソーム、例えば第2の種類のリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含む、方法を対象とする。このような実施形態では、方法は、工程(a)および/または(b)でサポニンの追加を含まない。このような実施形態では、得られるリポソームは、サポニンを有していなくてもよい。このような方法は、本明細書に開示される第2の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0313】
一実施形態では、リポソームを製造するための本明細書に開示される方法は、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程を、工程(a)の前に含み得る。
【0314】
本開示はまた、本明細書に開示されるリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a1)25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程、
(a2)水混和性有機溶媒において、工程(a1)で選択されたTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a2)で得られる溶液をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a2)、工程(b)、または工程(b)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約400:1の範囲、約2:1~約200:1の範囲、約2.5:1~約100:1の範囲、約3:1~約40:1の範囲、または約5:1~約25:1の範囲のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比で存在する、
方法に関する。
【0315】
別の実施形態では、本開示は、リポソーム、例えば第2の種類のリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a1)25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程、
(a2)水混和性有機溶媒において、工程(a1)で選択されたTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、ならびに、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含む、方法を対象とする。このような方法は、工程(a)および/または(b)でサポニンの追加を含まない。このような実施形態では、得られるリポソームは、サポニンを有していなくてもよい。このような方法は、本明細書に開示される第2の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0316】
一実施形態では、リポソームを製造するための本明細書に開示される方法は、約25℃の温度、約1013hPaの大気圧で式(I)のTLR4アゴニストのエタノール中の溶解度パラメータを決定する工程を、工程(a1)の前に含み得る。
【0317】
本開示は、本明細書に開示されるリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a1)約25℃の温度、約1013hPaの大気圧で式(I)のTLR4アゴニストのエタノール中の溶解度パラメータを決定する工程;
(a2)工程(a1)で測定した少なくとも約0.2mg/mLの溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程;
(a3)水混和性有機溶媒において、TLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
ここで、TLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストであり、ならびに
(b)工程(a3)で得られる溶液をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a3)、工程(b)、または工程(b)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約400:1の範囲、約2:1~約200:1の範囲、約2.5:1~約100:1の範囲、約3:1~約40:1の範囲、または約5:1~約25:1の範囲のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比で存在する、
方法にさらに関する。
【0318】
別の実施形態では、本開示は、リポソーム、例えば第2の種類のリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a1)約25℃の温度、約1013hPaの大気圧で式(I)のTLR4アゴニストのエタノール中の溶解度パラメータを決定する工程;
(a2)工程(a1)で測定した少なくとも約0.2mg/mLの溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程;
(a3)水混和性有機溶媒において、TLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程
ここで、TLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストであり、ならびに
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含む、方法を対象とする。このような方法は、工程(a)および/または(b)でサポニンの追加を含まない。このような実施形態では、得られるリポソームは、サポニンを有していなくてもよい。このような方法は、本明細書に開示される第2の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0319】
本明細書に開示される方法によってリポソームを製造するのに好適であるTLR4アゴニスト、サポニン、ステロール、およびリン脂質は上述している。このような化合物を混合し得る量および比もまた上述している。
【0320】
選択したTLR4アゴニストは、少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0321】
選択したTLR4アゴニストは、少なくとも約0.5mg/mL、少なくとも約1mg/mL、少なくとも2mg/mL、少なくとも4mg/mL、少なくとも6mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも12mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも20mg/mL、少なくとも25mg/mL、または少なくとも30mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0322】
選択したTLR4アゴニストは、約0.1~約50mg/mL、約0.2~約45mg/mL、約1~約40mg/mL、約2~約35mg/mL、約6~約30mg/mL、または約10~約25mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0323】
選択したTLR4アゴニストは、およそ少なくとも約0.2mg/mL~約20mg/ml、およそ少なくとも約0.5mg/mL~約15mg/ml、およそ少なくとも約1mg/mL~約12mg/ml、およそ少なくとも約2mg/mL~約10mg/ml、およそ少なくとも約4mg/mL~約10mg/mlの範囲のエタノール中の溶解度パラメータを有し得る。
【0324】
一実施形態では、選択したTLR4アゴニストは、少なくとも約10mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する。
【0325】
溶解度パラメータは、約25℃の温度、約1013hPaの大気圧で測定される。溶解度パラメータは、比濁分析で測定することができる。
【0326】
式(I)のTLR4アゴニストのような分子の溶解度パラメータを決定する方法は、当業者に周知されている。このような方法の例は、前記分子の異なる濃度でエタノールにおいて分子の比濁分析測定を実施することを含む。例えば、比濁分析は、エタノール中のブランクを伴うUV 96ウェルマイクロプレート(Thermo UV Flat Bottom 96 Ref 8404)で試験される異なる濃度の分子を含む、0.200mlの各溶液で、BMG-Labtech Nephelostarで実施することができる。各溶液のRNU(相対的な比濁分析単位)は記録される。分子の溶媒度パラメータを決定する他の方法は、Veseliら(Drug Dev Ind Pharm.2019年11月;45(11):1717~1724頁)に記載される方法を含み得る。
【0327】
リポソームにおいて工程(a)で得られる溶液を加工するための方法は、当該技術分野で知られている(Wagner Aら、J Drug Deliv.2011年;591325)。例示的な実施形態として、「薄膜法」または「溶媒注入法」が挙げられる。
【0328】
「薄膜法」は、例えばLiposomes:A practical approach.RRC New.Oxford University Press編、1990年に詳述されるが、工程(a)によって、適切な有機溶媒または有機溶媒混合物中の脂質化合物、すなわちTLR4アゴニスト、ステロール、リン脂質、および場合によりサポニンの溶液を得ることからなる。本方法は、例えばWO2007/068907 A1においてリポソームの製造で使用される。
【0329】
好適な有機溶媒または溶媒混合物は、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロホルム/エタノール、ジクロロメタン/エタノール、イソプロパノール、イソプロパノール/エタノール、クロロホルム/メタノール、ジクロロメタン/メタノール、イソプロパノール、またはイソプロパノール/メタノールであり得る。
【0330】
次いで、得られる溶媒は、乾燥して有機溶媒に蒸発させて、薄い脂質膜または脂質ケーキとして脂質性の乾燥分を得る。蒸発は、ガラス容器の壁の換気フードまたは回転蒸発により乾燥した窒素またはアルゴン流を使用して行うことができる。
【0331】
次いで、得られる脂質性の乾燥分は、適切な水性媒体または水性緩衝液において再懸濁化により水和させる。水和時間は、脂質種および構造でわずかに異なり得る。好適な水性媒体または緩衝液は、リポソームを得るために、pH6.1でのPBSまたはpH6.3でのクエン酸緩衝液であり得る。
【0332】
本明細書に開示される方法において、サポニンが工程(a)で添加されないが、工程(b)で添加される場合、薄膜法では水和工程に使用される水性媒体または水性緩衝液での添加および可溶化により、乾燥した脂質分の水和の工程で添加することができる。あるいは、工程b)の後にサポニンの溶液として工程(b)で得られるリポソームの懸濁液に添加することができる。
【0333】
別の実施形態では、本開示は、リポソーム、例えば第1の種類のリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、ステロールおよびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a)、工程b)、または工程(b)の後のいずれかで添加される、
方法を対象とする。このような実施形態では、工程a)は、水混和性有機溶媒において、TLR4アゴニストを可溶化する工程を含まない。このような実施形態では、得られるリポソームは、TLR4アゴニストを有していなくてもよい。このような方法は、本明細書に開示される第1の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0334】
次いで、得られるリポソームまたはリポソーム懸濁液は、0.2μmの細孔サイズの膜を通したろ過による滅菌を可能にするためにリポソームの直径を低減するように、超音波処理、微小流動化、または排出での処置によりサイジングを行う。
【0335】
薄膜法は、多くの場合、通常操作することが困難である塩素化有機溶媒を使用する。さらに、薄膜法は、ガラス容器の壁に薄い脂質膜を得るための脂質乾燥する工程に依存する。この工程は、工業レベルでのようなスケールアップに対する多くの困難を有する。そのため、他の方法は、リポソームを製造する場合により有利であることが分かる。
【0336】
「溶媒注入法」は、例えばLiposomes:A practical approach.RRC New.Oxford University Press編、1990年に詳述されるが、水混和性有機溶媒または水混和性有機溶媒混合物への選択した比で、脂質化合物、すなわちTLR4アゴニスト、ステロール、リン脂質、および場合によりサポニンの溶液を得ることからなる。
【0337】
好適な水混和性有機溶媒または水混和性有機溶媒混合物は、エタノール、イソプロパノール、またはイソプロパノール/エタノールであり得る。例示的な一実施形態では、好適な水混和性有機溶媒は、エタノールであり得る。エタノールは、他の利用可能な溶媒または溶媒の混合物、例えばイソプロパノールと対照的に、保健機関により医薬製品の製造する方法で使用される最も安全な化合物の1つとしてみなされる。
【0338】
溶媒注入法は、エタノールのような適切な水混和性有機溶媒または水混和性有機溶媒混合物において脂質化合物を可溶化する工程を課す。本明細書に開示されるリポソームを製造する方法の使用は、水混和性有機溶媒において溶解度の特異的な閾値を有する特異的なTLR4アゴニストを選択することにより可能になる。一実施形態では、選択したTLR4アゴニストは、本明細書に開示される通り、エタノール中の溶解度の特異的な閾値を有する。
【0339】
溶媒注入法は、例えば薄膜法のような他の可能なリポソームを製造する方法と比較して、工業レベルでスケールアップが容易であるという利点を有する。
【0340】
一実施形態では、工程(a)で得られる溶液をリポソームに加工する工程(b)は、溶媒注入法を使用して実施する。
【0341】
別の実施形態では、工程(a)で得られる溶液をリポソームに加工する工程(b)は、以下の工程:
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程
を含む。
【0342】
次いで、工程(a)で得られる溶液は、過剰な水性媒体または水性緩衝液に注入または希釈される。好適な緩衝液は、pH6.1でのPBS、pH6.3でのクエン酸緩衝液であり得る。次いで、溶媒は、透析または透析ろ過により排除される。希釈は、Wagnerら、J Liposome Res.2006年;16(3):311~9頁もしくはWagnerら、J Drug Deliv.2011年;2011:591325に記載されるTコネクタまたはクロスフロー注入デバイスを使用する、または微小流動化デバイスを使用することにより混合するクロスフローで実施することができる。好適な微小流動化デバイスは、Precison Nanosystems、バンクーバー、カナダ製のNanoAssemblRであり得る。溶媒注入法を使用することにより、0.2μmの細孔サイズの膜でのろ過による滅菌に適合する小さいリポソームは、プロセスパラメータ(容積および溶媒/緩衝液の比、混合速度など)の適切な選択により直接得ることができる。
【0343】
一実施形態では、注入の工程は、希釈工程、シリンジでの注入、またはクロスフロー注入システムにより実行することができる。
【0344】
別の実施形態では、工程(a)で得られる溶液をリポソームに加工する工程(b)は、以下の工程:
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
をさらに含み得る。
【0345】
水混和性有機溶媒を除去するために、透析、透析ろ過、またはタンジェンシャルフローろ過が行われる。
【0346】
別の実施形態では、工程(a)で得られる溶液をリポソームに加工する工程(b)は、以下の工程:
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を含み得る。
【0347】
一実施形態では、リポソームを製造するための方法は、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を少なくとも含み得、
サポニンは、工程(a)、工程(b1)、工程(b2)、または工程(b2)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約400:1の範囲、約2:1~約200:1の範囲、約2.5:1~約100:1の範囲、約3:1~約40:1の範囲、または約5:1~約25:1の範囲のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比で存在する。
【0348】
工程(b1)で添加する場合、サポニンは、水性緩衝液で可溶化される。
【0349】
工程(b2)で添加する場合、サポニンは、リポソームを含有する懸濁液を透析するために使用する水性緩衝液で可溶化して、水混和性有機溶媒を除去する。
【0350】
工程(b2)の後に添加する場合、サポニンは、水性緩衝液で可溶化され、次いで工程(b2)の後に得られるリポソームの懸濁液と混合する。
【0351】
サポニンがステロールに対して高い親和性を提示する場合、例えばQS21およびコレステロールを使用する場合、サポニンは、予め形成したステロール含有リポソームに後添加によりリポソーム内に組み込むことができる。この場合、ステロール含有リポソームは、上述のように製造され、サポニンは、サポニン溶液(水またはPBS pH6.1もしくはシトレートpH6.3のような酸性緩衝液中)のステロール含有リポソームの懸濁液との簡単な混合により組み込まれる。
【0352】
別の実施形態では、本開示は、リポソーム、例えば第1の種類のリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、ステロールおよびリン脂質を可溶化する工程、
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a)、工程(b1)、工程(b2)、または工程(b2)の後のいずれかで添加される、
方法を対象とする。このような実施形態では、工程a)は、水混和性有機溶媒において、TLR4アゴニストを可溶化する工程を含まない。このような実施形態では、得られるリポソームは、TLR4アゴニストを有していなくてもよい。このような方法は、本明細書に開示される第1の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0353】
別の実施形態では、本開示は、リポソーム、例えば第2の種類のリポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mLのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を少なくとも含む、方法を対象とする。このような実施形態では、方法は、工程(a)および/または(b)でサポニンの追加を含まない。このような実施形態では、得られるリポソームは、サポニンを有していなくてもよい。このような方法は、本明細書に開示される第2の種類のリポソームを得ることを可能にする。
【0354】
本明細書に開示される方法の工程(a)は、上述のような工程(a1)および(a2)または(a1)、(a2)および(a3)に分けることができる。
【0355】
本開示のリポソームは、機器の推奨される取扱説明書にしたがってZetasizer Nano ZS(Malvern Instrument;マルバーン、UK)を使用する動的光散乱法により測定する場合、平均径がおよそ100nmの小型単層小胞および小型多層小胞の混合物である。
【0356】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも2種類のリポソームの組合せを製造するための方法であって、第1の種類のリポソームが、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームが、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含み、方法が、第1および第2のリポソームを混合する工程を少なくとも含む、方法を対象とする。
【0357】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるリポソームを製造するための方法は、工程(b)で得られるリポソームをろ過し、平均径が200nm未満のリポソームを回収する工程(c)をさらに含む。例示的な一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームは、約80nm~約200nmの範囲または約120nm~約180nmの範囲である平均径を有し得る。
【0358】
少なくとも2種類のリポソームの組合せの場合、ろ過の工程は、少なくとも2種類のリポソームを混合する工程の前および/または後にリポソームで行うことができる。
【0359】
別の実施形態では、工程(c)は、平均径が175nm未満、150nm未満、または約100nmのリポソームを回収する工程を含む。そのため、工程(b)で得られるリポソームをろ過する工程(c)は、0.22μmの細孔サイズの膜で実施することができる。
【0360】
例示的な一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームを製造するための方法は、工程(b)で得られるリポソームを滅菌フィルターでろ過する工程(c)をさらに含む。滅菌フィルターは、0.22μmの細孔サイズの膜を有し得る。このような実施形態では、本方法は、0.22μmの細孔サイズの膜での滅菌ろ過に適合する平均径のリポソームを回収する工程を含む。
【0361】
電子顕微鏡検査で解析する場合、本明細書に開示されるように得られるリポソームの懸濁液は、単層リポソームの混合物、ならびにいくつかの多層および多胞体性リポソームを含む。
【0362】
本明細書に開示される、または本明細書の方法により得られるリポソームは、抗原とさらに組み合わせることができる。少なくとも2種類のリポソームの組合せでは、第1もしくは第2または両方の種類のリポソームは、少なくとも1つの抗原を含有し得る。第1および第2の種類のリポソームは、同じまたは異なる抗原を含有し得る。
【0363】
したがって、本明細書に開示される方法は、工程b)の後または工程c)の後に得られるリポソームを少なくとも1つの抗原と混合するさらなる工程を含み得る。好適な抗原は、上で開示される通りである。混合することは、少なくとも1つの抗原をリポソームの懸濁液に添加することにより行われる。混合する前の各抗原およびリポソームの懸濁液の容積および濃度は、各成分、例えば抗原、TLR-4アゴニスト、QS21またはQS7、コレステロール(など)、およびリン脂質の所望の濃度を最終組成物で得られるように調節する。
【0364】
あるいは、抗原は、開示される方法の工程a)またはb)の1つで添加することができるが、ただし抗原の性質および機能は変更しない。
【0365】
抗原は、液体、半液体、例えばゲル、または固体、例えば粉末の形態で提供され得る。例示的な一実施形態では、抗原は、溶液のような液体の形態でリポソームに添加される。
【0366】
方法は、本分野で通常実施されるような精製、ろ過、および/または滅菌の工程をさらに含み得る。得られる組成物は、さらなる保存および使用のためにバイアルまたはシリンジで包装される。
【0367】
本明細書に開示されるリポソームの組合せでは、異なる成分、すなわちTLR4アゴニスト、サポニン、ステロールまたはステロールエステル、およびリン脂質の含有物は、リポソームの種類ごともしくはリポソームの組合せごと、またはリポソームを含む組成物ごとに表すことができる。いくつかの実施形態では、異なる成分、すなわちTLR4アゴニスト、サポニン、ステロールまたはステロールエステル、およびリン脂質の含有物は、リポソームの組合せごと、またはリポソームを含む組成物ごとに表される。例えば、本明細書に開示されるリポソームの組合せでは、所望の成分の量が重量/容積で表される場合、これは、この組合せを含有する組成物の容積単位あたりのリポソームの組合せ中の本成分の総量を指す。他の例として、本明細書に開示されるリポソームの組合せでは、所望の成分の量が重量:重量比で表される場合、これは、第1および第2の種類のリポソーム中の各成分の量を指す。
【0368】
本明細書に開示されるリポソームの組合せでは、異なる種類のリポソーム、例えば第1および第2の種類のリポソーム中のステロールおよびリン脂質の含有物は、同一であり得るまたは異なり得る。いくつかの実施形態では、異なる種類のリポソーム、例えば第1および第2の種類のリポソーム中のステロールリン脂質の含有物は、同一であり得る。
【0369】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバント、すなわち単一の種類のリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せは、
- 約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:2.5~約1:90の範囲、約1:3~約1:40の範囲、約1:3~約1:30の範囲、または約1:5~約1:25の範囲、または約1:5~約1:10の範囲のTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、
- 1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、または1:10~1:5の範囲、約1:2、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比、
- 100:1~1:200の範囲、50:1~1:100の範囲、10:1~20:1の範囲、約1:1、約1:2、または約1:4のステロール:リン脂質の重量:重量比
を含み得る。
【0370】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバント、すなわち単一の種類のリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せは、
- 約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:2.5~約1:90の範囲、約1:3~約1:40の範囲、約1:3~約1:30の範囲、または約1:5~約1:25の範囲、または約1:5~約1:10の範囲の重量:重量比、TLR4アゴニスト:サポニン、
- 1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、または1:10~1:5の範囲、約1:2、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比、
- 1:400~1:4の範囲、1:200~1:8の範囲、1:100~1:10の範囲、1:50~1:10の範囲、約1:8、または約1:20のサポニン:リン脂質の重量:重量比
を含み得る。
【0371】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、
- 約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:40の範囲、または約1:5~約1:25の範囲、または約1:5~約1:10の範囲のE6020:QS21の重量:重量比、
- 1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、または1:10~1:5の範囲、約1:2、または約1:5のQS21:コレステロールの重量:重量比、
- 100:1~1:200の範囲、50:1~1:100の範囲、10:1~20:1の範囲、約1:1、約1:2、または約1:4のコレステロール:DOPCの重量:重量比
を含み得る。
【0372】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、
- 約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:40の範囲、または約1:5~約1:25の範囲、または約1:5~約1:10の範囲のE6020:QS21の重量:重量比、
- 1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、または1:10~1:5の範囲、約1:2、または約1:5のQS21:コレステロールの重量:重量比、
- 1:400~1:4の範囲、1:200~1:8の範囲、1:100~1:10の範囲、1:50~1:10の範囲、約1:8、または約1:20のQS21:DOPCの重量:重量比
を含み得る。
【0373】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、
- 約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:90の範囲、または約1:5~約1:30の範囲、または約1:5~約1:10の範囲のE6020:QS7の重量:重量比、
- 1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、または1:10~1:5の範囲、約1:2、または約1:5のQS7:コレステロールの重量:重量比、
- 100:1~1:200の範囲、50:1~1:100の範囲、10:1~20:1の範囲、約1:1、約1:2、または約1:4のコレステロール:DOPCの重量:重量比
を含み得る。
【0374】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、
- 約1:1~約1:500の範囲、約1:1~約1:400、約1:2~約1:200の範囲、約1:2.5~約1:100の範囲、約1:3~約1:90の範囲、または約1:5~約1:30の範囲、または約1:5~約1:10の範囲のE6020:QS7の重量:重量比、
- 1:100~1:1の範囲、1:50~1:2の範囲、または1:10~1:5の範囲、約1:2、または約1:5のQS7:コレステロールの重量:重量比、
- 1:400~1:4の範囲、1:200~1:8の範囲、1:100~1:10の範囲、1:50~1:10の範囲、約1:8、または約1:20のQS7:DOPCの重量:重量比
を含み得る。
【0375】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.001mg/ml~0.05mg/mlの範囲である、約2:0.5:0.05:Xmg/ml~約8:1.5:1.8:Xmg/mlの範囲の重量:重量比で、本明細書に開示されるリン脂質/ステロールまたはそのエステル/サポニン/TLR-4アゴニストを含み得る。
【0376】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.001mg/ml~0.05mg/mlの範囲である、約2:0.5:0.05:Xmg/ml~約8:1.5:0.8:Xmg/mlの範囲の重量:重量比で、本明細書に開示されるリン脂質/ステロールまたはそのエステル/サポニン/TLR-4アゴニストを含み得る。
【0377】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.004mg/ml、0.008mg/ml、または0.02mg/mlである、4:1:0.2:Xmg/mlの重量:重量比で、本明細書に開示されるリン脂質/ステロールまたはそのエステル/サポニン/TLR-4アゴニストを含み得る。
【0378】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.004mg/ml、0.008mg/ml、または0.02mg/mlである、4:1:0.6:Xmg/mlの重量:重量比で、本明細書に開示されるリン脂質/ステロールまたはそのエステル/サポニン/TLR-4アゴニストを含み得る。
【0379】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.001mg/ml~0.05mg/mlの範囲である、約2:0.5:0.05:Xmg/ml~約8:1.5:0.8:Xmg/mlの範囲の重量:重量比で、DOPC/Chol/QS21/E6020を含み得る。
【0380】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.004mg/ml、0.008mg/ml、または0.02mg/mlである、4:1:0.2:Xmg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS21/E6020を含み得る。
【0381】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.001mg/ml~0.05mg/mlの範囲である、約2:0.5:0.05:Xmg/ml~約8:1.5:1.8:Xmg/mlの範囲の重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0382】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.004mg/ml、0.008mg/ml、または0.02mg/mlである、4:1:0.2:Xmg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0383】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.004mg/ml、0.008mg/ml、または0.02mg/mlである、4:1:0.6:Xmg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0384】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、Xが0.004mg/ml、0.008mg/ml、または0.02mg/mlである、4:1:1.8:Xmg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0385】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、4:1:0.2:0.020mg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS21/E6020を含み得る。
【0386】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、4:1:0.2:0.020mg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0387】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、4:1:0.6:0.020mg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0388】
一実施形態では、本明細書に開示されるリポソームアジュバントは、4:1:1.8:0.020mg/mlの重量:重量比で、DOPC/Chol/QS7/E6020を含み得る。
【0389】
特に、上で提供される実施形態のリポソームアジュバントで使用することができる抗原は、CMV抗原である。
【0390】
これらの実施形態で提供される比は、リポソームが、他の公知のリポソームより少ないTLR4アゴニストを同時に必要とすることで生産費用を低減しながら、低い反応原性を有し、所与の抗原に対して高く持続的なレベルの中和抗体を誘発することが可能である点で特に有益であり得る。
【0391】
リポソームを含む組成物
いくつかの実施形態によると、本開示は、リポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む組成物、またはリポソームを含む組成物に関する。本節において言及されるリポソームは、上述したリポソームおよび上述したリポソームを製造する方法により得られるリポソーム、ならびに本明細書に開示される、または本明細書に開示される方法により得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む。
【0392】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのリポソーム、例えば本明細書に開示される通り、単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せを含むアジュバント組成物に関する。
【0393】
前記アジュバント組成物は、アジュバント特性を有する当該技術分野で知られている他の成分をさらに含み得る。
【0394】
一実施形態では、本開示は、少なくとも1つのリポソーム、例えば本明細書に記載される単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの少なくとも1つの組合せを含む免疫賦活剤に関する。本明細書に記載されるリポソーム、例えば単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せはまた、免疫賦活剤として単独で使用することができる。
【0395】
一実施形態では、本明細書に記載されるリポソーム、例えば単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む組成物は、リポソームを懸濁する緩衝溶液をさらに含み得る。本明細書に好適な緩衝溶液は、水性緩衝化溶液、例えば酸性緩衝液、例えばクエン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、ヒスチジン緩衝液、コハク酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、またはリン酸緩衝液を含む。例えば、水性緩衝液は、クエン酸緩衝化溶液もしくは酢酸緩衝化溶液、またはヒスチジン緩衝液であり得る。
【0396】
緩衝溶液は、安定化剤をさらに含み得る。好適な安定化剤は、炭水化物、界面活性剤、ポリマー、例えばポリビニルアルコール、アミノ酸、シクロデキストリン、および尿素のような分子量が小さい添加剤を含む。
【0397】
本明細書に記載されるリポソーム、例えば単一の種類のリポソームまたは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む組成物は、凍結乾燥することができる。凍結乾燥は、リポソームを凍結し、圧力を低下させ、次いで昇華により氷を除去することを含む低温脱水プロセスである。リポソームに好適であり、これらの分解を避ける凍結乾燥の方法は、当業者に周知されている。凍結乾燥した組成物は、リポソームの貯蔵寿命を延長する利点を呈する。
【0398】
本明細書に開示される組成物は、滅菌することができる。リポソームに好適であり、これらの分解を避ける滅菌の方法は、当業者に周知されている。滅菌した組成物は、個体への投与に特に有利である。
【0399】
免疫原性組成物
別の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、もしくは本明細書に記載されるリポソームを含む組成物、または上述したアジュバント組成物、および少なくとも1つの抗原を含む、ワクチン組成物のような免疫原性組成物に関する。本節において言及されるリポソームは、上述したリポソームおよび上述したリポソームを製造する方法により得られるリポソーム、ならびに本明細書に開示される、または本明細書に開示される方法により得られる少なくとも2種類のリポソームの組合せを含む。
【0400】
ワクチン組成物は、所与の抗原に対する防御免疫応答を誘起するのに使用される組成物である。ワクチンは、予防ツールとして通常使用されるが、ある特定の場合、処置としても使用することができる。
【0401】
ワクチン組成物のような免疫原性組成物における本明細書に開示されるリポソームの存在は、組成物において抗原により誘起される免疫応答を高めることによりアジュバントとして作用する。
【0402】
ワクチン組成物のような免疫原性組成物で使用することができる好適な抗原は、上述している。一実施形態では、抗原は、細菌抗原、原虫抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、および腫瘍抗原から選択することができる。
【0403】
本開示のある特定の態様は、本明細書に開示されるgB抗原、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原、ならびに本明細書に記載されるサポニン、ステロール、リン脂質、および式(I)のToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む少なくとも1つのリポソームを含むアジュバントを含む、免疫原性組成物に関する。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、CMV感染を予防および/または処置するのに有用であり得る。
【0404】
一態様では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、サブユニットの免疫原性組成物、例えばサブユニットのワクチン組成物である。
【0405】
本明細書に開示される免疫原性またはワクチン組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、または乳剤のような固体、半固体、液体形態における製造物に製剤化することができる。このような組成物を投与する典型的な経路は、限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、バッカル、鼻腔内を含む。用語、非経口は、本明細書で使用する場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、皮内、胸骨内の注射または注入技術を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるワクチン組成物は、経皮、皮下、皮内、または筋肉内の経路で投与することができる。本開示の組成物は、例えば、筋肉内、皮内、または皮下注射のような非経口送達を介する送達用に製剤化された組成物を含む、送達の様式に基づいて製剤化される。
【0406】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、粘膜投与(例えば鼻腔内もしくは舌下)、非経口投与(例えば筋肉内、皮下、経皮、もしくは皮内経路)、または経口投与のような任意の好適な経路を介して投与することができる。当業者が理解する通り、免疫原性組成物は、意図する投与経路に適合するように好適に製剤化することができる。一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、筋肉内経路、または皮内経路、または皮下経路を介して投与するように製剤化することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、筋肉内経路を介して投与するように製剤化することができる。
【0407】
本明細書に開示される組成物は、対象への組成物の投与の際、含有される有効成分が生体で利用可能となるように製剤化される。
【0408】
このような剤形を製造する実際の方法は、当業者に知られている、または明らかになり、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版(PhiladelphiCollege of Pharmacy and Science、2000年)を参照されたい。
【0409】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、任意の薬学的に許容される担体と製剤化することができる。組成物は、少なくとも1つの賦形剤または担体を含有し得る。例示的な1つの薬学的に許容されるビヒクルは、生理食塩水緩衝液である。他の生理学的に許容されるビヒクルは、当業者に知られており、例えばRemingtonのPharmaceutical Sciences(第18版)、A.Gennaro編、1990年、Mack Publishing Company、Easton、Paに記載されている。本明細書に記載されている免疫原性組成物は、pH調節および緩衝化剤、等張化剤、湿潤化剤などのような適切な生理的条件に必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ヒト血清アルブミン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、L-アルギニンヒドロクロレート、サッカロース、D-トレハロース脱水物、ソルビトール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、および/または尿素を場合により含有し得る。加えて、ワクチン組成物は、例えば賦形剤、結合剤、安定剤、および保存剤を含む薬学的に許容される添加物質を場合により含み得る。
【0410】
一実施形態では、組成物は、液体の形態、例えば液剤、乳剤、または懸濁剤であり得る。液体は、注射による送達用であり得る。注射で投与することを意図する組成物は、界面活性剤、保存剤、湿潤化剤、分散化剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤の少なくとも1つを含有し得、等張剤を含み得る。本明細書に開示される液体組成物は、滅菌賦形剤、例えば注射用水、生理食塩溶液、例えば生理食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えば溶媒または懸濁媒体として機能し得る合成のモノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸、クエン酸またはリン酸、および張性調節用薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース;凍結保護剤として作用する薬剤、例えばスクロースまたはトレハロースの少なくとも1つを含み得る。
【0411】
本明細書に開示される免疫原性組成物のpHは、約5.5~約8、例えば約6.5~約7.5の範囲であり得る、または約7であり得る。安定的なpHは、緩衝液を使用することで維持することができる。可能な使用できる緩衝液として、トリス緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、Hepes緩衝液、またはヒスチジン緩衝液を引用することができる。本明細書に開示される免疫原性組成物は、一般に緩衝剤を含み得る。免疫原性組成物は、ヒトのような哺乳動物に関して等張であり得る。免疫原性組成物はまた、NaClのような1つまたはいくつかの付加塩を含み得る。
【0412】
非経口製造物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量バイアルに包含することができる。注射用組成物は、例えば滅菌である。
【0413】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、従来の滅菌技術、例えばUVもしくはガンマ線照射で滅菌することができる、または滅菌ろ過することができる。本明細書に開示される液体の免疫原性組成物の滅菌ろ過から得られる組成物は、液体形態で包装し、保存し得る、または凍結乾燥し得る。凍結乾燥した組成物は、投与前に滅菌の水性担体で復元することができる。
【0414】
本明細書に開示される組成物は、薬学分野で周知の方法論で製造することができる。例えば、注射で投与することを意図する組成物は、リポソーム、本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に開示されるリポソームを含む組成物を、溶液を形成するように滅菌した蒸留水または他の担体と組み合わせることにより製造することができる。界面活性剤は、均質な溶液または懸濁液の形成を促進するために添加することができる。
【0415】
本明細書に開示される組成物は、治療有効量で投与されるが、この量は、利用する具体的な治療剤の活性;治療剤の代謝安定性および作用の長さ;患者の年齢、体重、全身の健康、性別、および食事;投与の様式および時間;排出率;薬物併用;特異的な障害または状態の重症度;ならびに対象が経験している療法を含む様々な要因によって異なり得る。
【0416】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、凍結乾燥した組成物、またはWO2009/109550に記載される粒状にする方法を介して得られるマイクロペレットのような乾燥形態で包装し、保存し得る。一実施形態では、組成物の異なる成分、例えばgB抗原、gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原、およびアジュバントは全て、同じマイクロペレットに存在し得る。別の実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物の成分、例えばgB抗原、gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原、およびアジュバントgB抗原は、各々別個のマイクロペレット、すなわち1つのマイクロペレットあたり1つの成分であり得る。このような実施形態では、異なる成分を別個に含有する異なるマイクロペレットは、対象に投与する前に混合することができる。一実施形態では、これらは、液体担体に復元する前に混合することができる。別の実施形態では、これらは、1容積の液体担体を添加することにより液体担体に復元するときに混合することができる。別の実施形態では、第1に、これらは、異なる容積の液体担体に各々別個に添加し、次いで、第2に、異なる溶液の液体担体は、共に混合して、対象に投与される最終的な液体組成物を得ることができる。
【0417】
乾燥組成物は、マンニトール、スクロース、またはドデシルマルトシド、ならびにその混合物、例えば、ラクトース/スクロース混合物、スクロース/マンニトール混合物などのような安定剤を含み得る。
【0418】
一実施形態では、アジュバントおよび本明細書に開示される免疫原性組成物の抗原は、単一の組成物において共にブレンドすることができる。このような実施形態では、免疫原性組成物は、CMV gB抗原、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原、およびアジュバントのすぐ使用される混合物として製造することができる。
【0419】
一実施形態では、アジュバントおよび抗原は、少なくとも2つの異なる組成物において製造することができる。次いで、異なる組成物は、患者に投与する直前に、即時的な手法で共にブレンドすることができる。別の実施形態では、異なる組成物は、別個に投与する、すなわち同時に(実際にはたった数秒または数分間、例えば5分未満あける)だが、少なくとも2つの異なる投与部位、例えば少なくとも2つの異なる注射部位を介して投与することができる。別の実施形態では、異なる組成物は、逐次的に、すなわち少なくとも2つの異なる時点、例えば少なくとも5分間あけて、または最大で数時間もしくは1もしくは2日あけて、投与することができる。このような実施形態では、異なる組成物は、同じ投与部位、例えば同じ注射部位に、または異なる投与部位、例えば異なる注射部位に投与することができる。
【0420】
例示的な一実施形態では、免疫原性組成物は、患者への投与の直前に即時的に製造することができる。このような実施形態では、本明細書に開示される組成物の異なる成分は、パーツのキットとして別個に提供することができる。本明細書に開示されるパーツのキットは、別個の容器にそれぞれ含まれ、容易に混合される、免疫原性組成物の異なる成分を含み得る。
【0421】
一実施形態では、本開示は、
- 本明細書に開示されるリポソームまたはアジュバント組成物を含む第1の組成物を含む、第1の容器、および
- 少なくとも1つの抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含む、パーツのキットに関する。このような実施形態では、リポソームは、単一の種類のリポソームであり得る。アジュバント組成物は、単一の種類のリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せを含み得る。
【0422】
別の実施形態では、本開示は、
- サポニン、ステロール、およびリン脂質を含む第1の種類のリポソームを含む第1の組成物を含む、第1の容器、
- ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む第2の種類のリポソームを含む、第2の容器、ならびに
- 少なくとも1つの抗原を含む第3の組成物を含む、第3の容器
を含む、パーツのキットを対象とする。
【0423】
一実施形態では、アジュバントおよび抗原の少なくとも1つは、乾燥形態であり得る。
【0424】
別の実施形態では、アジュバントおよび抗原の全ては、別個の容器において乾燥形態であり得る。このような実施形態では、パーツのキットは、使用前に組成物の異なる成分を液体形態に復元するために液体の薬学的な担体を含む容器をさらに含み得る。
【0425】
本明細書に開示されるパーツのキットに使用される容器は、バイアルのような別個の容器であり得る。いくつかの構成では、全ての成分は、使用する時間までは別個に保持される。次いで、バイアルの含有物は、例えば1つのバイアルの含有物を除去し、これを他のバイアルに添加することにより、または全てのバイアルの含有物を別個に除去し、これらを新しい容器で混合することにより混合することができる。
【0426】
一実施形態では、本明細書に開示されるパーツのキットは、
- 本明細書に開示されるアジュバントを含む第1の組成物を含む、第1の容器、ならびに
- 本明細書に開示される少なくとも1つのgB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含み得る。このような実施形態では、リポソームは、単一の種類のリポソームであり得る。アジュバント組成物は、単一の種類のリポソームまたは少なくとも2種類のリポソームの組合せを含み得る。
【0427】
別の実施形態では、本開示は、
- サポニン、ステロール、およびリン脂質を含む第1の種類のリポソームを含む第1の組成物を含む、第1の容器、
- ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む第2の種類のリポソームを含む、第2の容器、ならびに
- 本明細書に開示される少なくとも1つのgB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第3の組成物を含む、第3の容器
を含む、パーツのキットを対象とする。
【0428】
一実施形態では、CMV抗原、すなわちgB抗原およびgH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、別個の容器で提供することができる。このような実施形態では、パーツのキットは、少なくとも3つ、4つ、またはそれ以上の容器を含み得る。
【0429】
一実施形態では、アジュバント、ならびにCMV抗原、すなわちgB抗原およびgH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原の少なくとも1つは、乾燥形態であり得る。
【0430】
別の実施形態では、アジュバント、ならびにCMV抗原、すなわちgB抗原およびgH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原の全ては、別個の容器、例えば2つまたは3つの容器において乾燥形態であり得る。このような実施形態では、パーツのキットは、使用前に組成物の異なる成分を液体形態に復元するために液体の薬学的な担体を含む容器をさらに含み得る。
【0431】
本明細書に開示されるパーツのキットに使用される容器は、バイアルのような別個の容器であり得る。いくつかの構成では、全ての成分は、使用する時間までは別個に保持される。例えば、gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、同じ容器であり得、アジュバントは、別の容器にあり得る。次いで、バイアルの含有物は、例えば1つのバイアルの含有物を除去し、他のバイアルに添加することにより、または全てのバイアルの含有物を別個に除去し、新しい容器においてこれらを混合することにより混合することができる。
【0432】
一実施形態では、少なくとも1つの容器は、シリンジであり得、他の容器は、バイアルであり得る。シリンジは、混合するためにその含有物を別の容器に挿入するために(例えばニードルで)使用することができ、次いで混合物は、シリンジに没入することができる。次いで、シリンジの混合した含有物は、典型的に新しい滅菌ニードルを通して患者に投与することができる。
【0433】
別の実施形態では、キットの容器は、多チャンバーシリンジのような、単一のシリンジの別個の隣接した連通するチャンバーであり得る。このような実施形態では、各々チャンバーは、アジュバントチャンバーと連通し、連通は使用するまで閉じたままである。連通は、異なる成分の混合を可能にする、チャンバー間の密封を破壊するシリンジのプランジャーの作動により開くことができる。このような実施形態では、少なくとも1つのチャンバーは、液体組成物を含有する。他のチャンバーは、凍結乾燥した生成物またはマイクロペレットのような液体形態または乾燥形態のいずれかの成分を含有し得る。
【0434】
例示的な一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、抗原およびアジュバントのすぐ使用される混合物として単一のバイアルまたは単一のシリンジで包装され得る。
【0435】
例示的な一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、CMV gB抗原、CMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原、およびアジュバントのすぐ使用される混合物として単一のバイアルまたは単一のシリンジで包装され得る。
【0436】
使用、使用方法、および処置方法
本開示は、本明細書に記載されるリポソーム、アジュバント組成物、免疫賦活剤、および免疫原性組成物の使用にさらに関する。本節において言及されるリポソームは、上述したリポソーム、例えば単一の種類のリポソームおよび上述したリポソームを製造する方法により得られるリポソーム、ならびに少なくとも2種類のリポソームの組合せおよび本明細書に開示されるように得られるリポソームの組合せを含む。
【0437】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの抗原をアジュバント処理するための方法であって、少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に記載されるアジュバント組成物を、少なくとも1つの抗原と組み合わせる工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0438】
さらなる実施形態では、本開示は、それを必要とする個体において少なくとも1つの抗原に対して免疫原性応答をアジュバント処理するための方法であって、前記個体に、少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に記載されるアジュバント組成物を前記抗原と投与する工程を含む、方法に関する。
【0439】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とする個体において少なくとも1つの抗原に対して免疫応答を誘発するための方法であって、前記個体に、少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、または本明細書に記載されるアジュバント組成物を前記抗原と投与する少なくとも1つの工程を含む、方法に関する。
【0440】
好適な抗原は、上述している。
【0441】
本明細書に開示される方法では、リポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、またはアジュバント組成物、および抗原は、同時に、別個に、または逐次的に投与される。
【0442】
一実施形態では、本明細書に包含される方法は、それを必要とする個体のサイトカインおよび/またはケモカイン応答を高める工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、サイトカインおよび/またはケモカイン応答は、それを必要とする個体のIL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-γ、IP-10、MCP-1、MIP-1β、KC、および/またはTNF-αの応答を含む。別の実施形態では、本明細書に包含される方法は、それを必要とする個体に対してバランスの取れたTh1/Th2免疫応答を与えるIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5、およびIL-17の応答を高める工程を含む。別の実施形態では、本明細書に包含される方法は、それを必要とする個体のIL-2、IL-4、IL-5、IL-12、IL-17、IFNγの応答を高める工程を含む。「サイトカインおよび/またはケモカイン応答を高める工程」とは、個体のサイトカインおよび/またはケモカイン応答が、抗原を単独でまたはリポソームもしくはアジュバント組成物を含まずに投与する場合の個体のサイトカインおよび/またはケモカイン応答と比較した場合より高くなることを意味する。
【0443】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、本明細書に開示される少なくとも1つのアジュバントおよび少なくとも1つの抗原を含むが、前記組成物を受ける患者において前記抗原に対して免疫応答を誘起するための方法で使用するためであり、前記免疫応答は、バランスの取れたTh1/Th2免疫応答である。
【0444】
Th1免疫応答は、実質的に、細胞媒介性免疫応答である。IFN-γは、Th1免疫応答のバイオマーカーとして使用することができる。Th2免疫応答は、実質的に、体液媒介性免疫応答である。IL-5は、Th2免疫応答のバイオマーカーであり得る。
【0445】
バランスの取れたTh1/Th2免疫応答は、100万個の細胞あたりのIFNγ分泌性細胞の数の100万個の細胞あたりのIL-5分泌性細胞の数に対する比のlog10が、約1~約15、好ましくは約2~約10、約3~約8の範囲であり、約5である、免疫応答であり得る。IFNγおよびIL-5分泌性細胞は、実施例の節に詳述されるELISPOTで測定することができる。
【0446】
IL-5またはINFγの分泌は、本明細書に開示される免疫組成物を受けている個体から得られる、脾臓細胞のような免疫細胞で測定することができる。
【0447】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、それを必要とする個体において疾患を予防および/または処置する方法であって、有効量の少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、少なくとも1つのアジュバント組成物、少なくとも1つの免疫賦活剤、または本明細書に記載される少なくとも1つの免疫原性組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法に関する。例えば、リポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、アジュバント組成物、免疫賦活剤、または本明細書に開示される免疫原性組成物は、感染性疾患、アレルギー、自己免疫疾患、稀な血液障害、稀な代謝性疾患、稀な神経疾患、および腫瘍またはがん疾患を予防および/または処置するための治療方法で使用することができる。
【0448】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、感染性疾患、アレルギー、自己免疫疾患、稀な血液障害、稀な代謝性疾患、稀な神経疾患、および腫瘍またはがん疾患を予防および/または処置するための医薬の製造のための、少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、少なくとも1つのアジュバント組成物、少なくとも1つの免疫賦活剤、または本明細書に開示される少なくとも1つの免疫原性組成物の使用に関する。例えば、本開示に関係し得る疾患は、ウイルス感染性疾患、細菌感染性疾患、真菌または寄生虫感染性疾患のような感染性疾患であり得る。本開示にさらに関する疾患は、がんまたは腫瘍疾患であり得る。
【0449】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、感染性疾患、アレルギー、自己免疫疾患、稀な血液障害、稀な代謝性疾患、稀な神経疾患、および腫瘍またはがん疾患の予防および/または処置での使用のための、少なくとも1つのリポソーム、例えば単一の種類のリポソームもしくは本明細書に開示される少なくとも2種類のリポソームの組合せ、少なくとも1つのアジュバント組成物、少なくとも1つの免疫賦活剤、または本明細書に開示される少なくとも1つの免疫原性組成物に関する。
【0450】
ウイルス感染性疾患は、急性熱性咽頭炎、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、乳児胃腸炎、コクサッキー感染、伝染性単核球増加症、バーキットリンパ腫、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌、一次HSV-1感染(例えば、小児の歯肉口内炎、成人の扁桃炎および咽頭炎、角結膜炎)、潜在性HSV-1感染(例えば、口唇ヘルペスおよび単純疱疹)、一次HSV-2感染、潜在性HSV-2感染、無菌性髄膜炎、伝染性単核球増加症、巨細胞封入体病、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、原発性体腔性リンパ腫、AIDS、インフルエンザ、ライ症候群、麻疹、感染後性脳脊髄炎、ムンプス、過形成上皮病変(例えば、尋常性、扁平、足底、および肛門性器疣贅、喉頭乳糖種、疣贅状表皮発育異常症)、子宮頚癌、扁平上皮細胞癌、クループ、肺炎、細気管支炎、感冒、灰白髄炎、狂犬病、細気管支炎、肺炎、インフルエンザ様症候群、肺炎を伴う重度の細気管支炎、風疹、先天性風疹、水痘、Covid-19、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染、ならびに帯状疱疹であり得る。
【0451】
一実施形態では、疾患は、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染、またはCovid-19であり、例えばインフルエンザである。
【0452】
一実施形態では、疾患は、サイトメガロウイルス感染ではない。
【0453】
細菌感染性疾患は、例えば膿瘍、放線菌症、急性前立腺炎、エロモナス・ハイドロフィラ、一年生ライグラス中毒、炭疽、細菌性紫斑病、菌血症、細菌性胃腸炎、細菌性髄膜炎、細菌性肺炎、細菌性腟症、細菌関連の皮膚状態、バルトネラ症、BCG腫瘍、ボトリオミセス症、ボツリヌス中毒、ブラジル紫斑熱、ブローディー膿瘍、ブルセラ症、ブルーリ潰瘍、カンピロバクター症、カリエス、カリオン病、ネコひっかき病、蜂窩織炎、クラミジア感染、コレラ、慢性細菌性前立腺炎、慢性再発性多発性骨髄炎、クロストリジウム壊死性腸炎、歯周歯内病変、ウシ伝染性胸膜肺炎、ジフテリア、ジフテリア口内炎、エールリヒア症、丹毒、喉頭蓋炎、丹毒、フィッツ・ヒュー・カーチス症候群、ノミ媒介斑点熱、腐蹄症(感染性蹄葉炎)、ガレー氏硬化性骨髄炎、淋疾、鼠径部肉芽腫、ヒト顆粒球アナプラズマ症、ヒト単球性エールリヒア症、百日咳、膿痂疹、後期先天性梅毒性眼病、レジオネラ症、レミエール症候群、ライ病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、リンパ節炎、類鼻疽、髄膜炎菌性疾患、髄膜炎菌性敗血症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラレ(mycobacterium avium-intracellulare)(MAI)、マイコプラズマ肺炎、壊死性筋膜炎、ノカルジア症、壊疽性口内炎(noma)(水癌または壊疽性口内炎(gangrenous stomatitis))、臍炎、眼窩蜂窩織炎、骨髄炎、脾摘後重症感染症(OPSI)、ヒツジブルセラ症、パスツレラ症、眼窩周囲蜂窩織炎、百日咳(pertussis、whooping cough)、ペスト、肺炎球菌性肺炎、ポット病、直腸炎、シュードモナス感染、オウム病、膿血症、化膿性筋炎、Q熱、回帰熱(relapsing fever、typhinia)、リウマチ熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、リケッチア症、サルモネラ症、猩紅熱、敗血症、セラチア感染、赤痢菌感染症、南部ダニ紅斑病、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、レンサ球菌性咽頭炎、プール肉芽腫、ブタブルセラ症、梅毒、梅毒性大動脈炎、破傷風、毒素性ショック症候群(TSS)、トラコーマ、塹壕熱、熱帯性潰瘍、結核、野兎病、腸チフス熱、チフス、尿生殖器結核、尿路感染症、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染、ウォーターハウス・フリデリクセン症候群、仮性結核(エルシニア属(Yersinia))疾患、およびエルシニア症であり得る。
【0454】
寄生虫感染性疾患は、アメーバ症、ジアルジア症、トリコモナス症、アフリカ睡眠病、アメリカ睡眠病、リーシュマニア症(カラアザール)、バランチジウム症、トキソプラズマ症、マラリア、アカントアメーバ角膜炎、およびバベシア症であり得る。
【0455】
真菌感染性疾患は、アスペルギルス症、分芽菌症、カンジダ症、コクシジオイデス症、クリプトコックス症、ヒストプラスマ症、菌腫、パラコクシジオイデス症、および足白癬であり得る。さらに、免疫不全を有する人は、コウジカビ属、カンジダ属(Candida)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ヒストプラスマ属(Histoplasma)、およびニューモシスチス属(Pneumocystis)のような真菌属による疾患に感受性がある。他の真菌、いわゆる皮膚糸状真菌および好ケラチン性真菌は、眼、爪、毛髪、とりわけ皮膚を攻撃し、様々な状態を引き起こすが、これは足部白癬のような白癬が一般的である。真菌胞子もまた、アレルギーの主要な原因であり、異なる分類群由来の広範囲の真菌は、一部の人間でアレルギー反応を喚起し得る。
【0456】
がんもしくは腫瘍疾患は、がんであり得る、または腫瘍疾患は、例えば、黒色腫、悪性黒色腫、結腸癌、リンパ腫、肉腫、芽細胞腫、腎癌、消化器腫瘍、神経膠腫、前立腺腫瘍、膀胱がん、直腸腫瘍、胃がん、食道がん、膵がん、肝がん、乳房癌(=乳がん)、子宮がん、子宮頚部がん、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、肝細胞癌、様々なウイルス誘発性腫瘍、例えば乳頭腫ウイルス誘発性癌(例えば子宮頚部癌=子宮頚部がん)、アデノ癌、ヘルペスウイルス誘発性腫瘍(例えばバーキットリンパ腫、EBV誘発性B細胞リンパ腫)、B型肝炎誘発性腫瘍(肝細胞性癌)、HTLV-1およびHTLV-2誘発性リンパ腫、聴神経腫、肺癌(=肺がん=気管支癌)、小細胞肺癌、咽頭がん、肛門癌、神経膠芽細胞腫、直腸癌、星細胞腫、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、基底細胞腫、脳転移、髄芽細胞腫、膣がん、膵がん、精巣がん、ホジキン症候群、髄膜種、シュネーベルガー病、下垂体腫瘍、菌状息肉腫、カルチノイド、神経鞘腫、有棘細胞腫、バーキットリンパ腫、喉頭がん、腎がん、胸腺腫、体部癌、骨がん、非ホジキンリンパ腫、尿道がん、CUP症候群、頭部/頚部腫瘍、乏突起神経膠腫、外陰部がん、腸がん、結腸癌、食道癌(=食道がん)、疣贅併発、小腸の腫瘍、頭蓋咽頭腫、卵巣癌、生殖器腫瘍、卵巣がん(=卵巣癌)、膵癌(=膵がん)、子宮内膜癌、肝転移、陰茎がん、舌がん、胆嚢がん、白血病、形質細胞腫、眼瞼腫瘍、前立腺がん(=前立腺腫瘍)から選択される。
【0457】
本開示が治療的介入として有用であり得る疾患は、SMN1関連の脊髄性筋萎縮症(SMA);筋萎縮性側索硬化症(ALS);GALT関連ガラクトース血症;嚢胞性線維症(CF);シスチン尿を含むSLC3A1関連障害;アルポート症候群を含むCOL4A5関連障害;ガラクトセレブロシダーゼ欠乏症;X連鎖副腎脳白質ジストロフィーおよび副腎脊髄神経症;フリードライヒ運動失調症;ペリツェウス・メルツバッハー病;TSC1およびTSC2関連の結節性硬化症;サンフィリッポB症候群(MPS IIIB);CTNS関連シスチン蓄積症;脆弱X症候群、脆弱Xに関連する振戦/運動失調症候群および脆弱X早期卵巣機能不全症候群を含むFMR1関連障害;プラダーウィリ症候群;遺伝性出血性毛細血管拡張症(AT);ニーマン・ピック病C1型;若年型神経細胞内セロイドリポフスチン症(JNCL)、若年型バッテン病、Santavuori-Haltia病、ヤンスキー-ビールショースキー病、ならびにPTT-1およびTPP1欠乏症を含む神経セロイドリポフスチン症関連疾患;中枢神経系ミエリン形成不全/白質消失を伴うEIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4およびEIF2B5関連の小児期運動失調;CACNA1AおよびCACNB4関連の発作性運動失調症2型;古典的レット症候群、MECP2関連の重度新生児脳症およびPPM-X症候群を含むMECP2関連障害;CDKL5関連の非定型レット症候群;ケネディー病(SBMA);Notch-3関連の皮質下梗塞および白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL);SCN1AおよびSCN1B関連の発作性障害;Alpers-Huttenlocher症候群、POLG関連の感覚失調性ニューロパチー、構音障害、および眼筋麻痺、ならびにミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性および劣性進行性外眼筋麻痺を含むポリメラーゼG関連障害;X連鎖副腎低形成;X連鎖無ガンマグロブリン血症;ファブリー病;ならびに、ウィルソン病のような疾患を含む。
【0458】
一実施形態によると、本開示の組成物は、組成物に存在するCMV抗原に対して免疫応答を誘発するのに十分な投与量で投与される。CMV抗原およびアジュバントは、免疫学的に活性な量で投与される。
【0459】
通常、ヒト対象に対して、投与される免疫原性またはワクチン組成物の用量は、0.2~1mLの範囲、例えば0.4~0.8mLの容積を有し得る。例示的な一実施形態では、用量は、0.5mLであり得る。
【0460】
免疫原性またはワクチン組成物は、単一の組成物として、または少なくとも2つの容器を含み、第1の容器が液体製剤として製剤化したCMV抗原、例えばCMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含有し、第2の容器が液体製剤としてアジュバント組成物を含有する、パーツのキットとして提供することができるが、両容器の含有物は、使用前に容積対容積で混合することができる。
【0461】
いくつかの実施形態では、パーツのキットは、少なくとも3つの容器を含み得、第1の容器は、液体製剤として製剤化したCMV抗原、例えばCMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含有し、第2の容器は、液体製剤として本明細書に開示される第1の種類のリポソームを含有し、第3の容器は、液体製剤として本明細書に開示される第2の種類のリポソームを含有するが、3つの容器の含有物は、使用前に容積対容積で混合することができる。
【0462】
対象に投与されるCMV抗原およびアジュバントの量は、対象の年齢、体格、体重、性別、症状、または状態、ならびに投与経路などのような当業者に周知の様々な要因によって異なり得る。例えば、用量は、体重または体表面積によって計算することができる。
【0463】
別の実施形態によると、本明細書に開示される免疫原性組成物は、HCMVワクチンのようなCMVワクチンとして使用することができる。
【0464】
本明細書に開示される免疫原性またはワクチン組成物は、免疫原性またはワクチン組成物を投与するのに通常使用される任意の経路で投与される。予想される免疫応答の誘発をもたらすレジメンを使用する。通常、免疫化のスケジュールは、いくつかの投与を含み得る。投与される免疫原性組成物の量は、所望の免疫応答が生じるのに十分であり、当業者により決定することができる。
【0465】
別の実施形態によると、本明細書に開示される免疫原性組成物は、HCMVのようなCMVに対する中和抗体を誘発するための医薬としての方法で使用することができる。誘発した中和抗体は、HCMVのようなCMVを中和することができる。CMVの中和は、CMV疾患もしくは感染を予防する、またはCMV疾患もしくは感染の発症のリスクを低減する、またはCMV疾患の症状を軽減することができる。本明細書に開示される方法は、対象に少なくとも第1および第2の用量の前記組成物を投与する工程を含み得、少なくとも第1および第2の用量は、少なくとも1週間あけて、例えば少なくとも1または2か月あけて投与される。本明細書に開示される方法では、第2の用量は、対象に第1の用量より低い反応原性を誘発し、反応原性は、(a)CRP、グロブリンおよびフィブリノゲンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを、(i)前記バイオマーカーの第1の測定値を得るために、前記第1の用量の前記組成物で投与しており、前記第2の用量の前記組成物で投与する前に前記対象から採取した第1の血液サンプルにおいて、および(ii)前記バイオマーカーの第2の測定値を得るために、前記第2の用量の前記組成物で投与している前記対象から採取した第2の血液サンプルにおいて、投薬する工程、ならびに(b)前記第1の測定値を、前記第2の測定値と比較する工程を少なくとも含む方法で測定し、前記比較は、前記投与した組成物で誘起される反応原性に関する情報を提供する。
【0466】
一実施形態では、本明細書に開示される方法は、第3の用量の投与を含み得る。第3の用量は、第1の用量から少なくとも4、5、6または7か月あけて投与される。一実施形態では、第3の用量は、第1の用量から6か月あけて投与される。
【0467】
一実施形態では、開示される方法は、第1の用量、および第1の用量から1または2か月あけた第2の用量の投与を含み得る。別の実施形態では、開示される方法は、第1の用量、第1の用量から1または2か月あけた第2の用量、および第1の用量から6か月あけた第3の用量の投与を含み得る。
【0468】
別の実施形態によると、本開示は、対象においてHCMVのようなCMVに対する免疫応答を誘発するための医薬としての方法に関する。誘発した免疫応答は、CMV疾患もしくは感染を予防する、またはCMV疾患もしくは感染の発症のリスクを低減する、またはCMV疾患もしくは感染の症状を軽減することができる。本明細書に開示される方法は、対象に本明細書に開示される少なくとも1つの免疫原性またはワクチン組成物を投与する少なくとも1つの工程を含み得る。
【0469】
予防すべきである、または発症の可能性を低減すべきであるCMV感染または疾患は、出産適齢期の女性におけるCMV感染、妊娠中のCMV感染、幼児における先天性CMV感染、または実質臓器移植もしくは骨髄移植のような臓器移植を行う対象におけるCMV感染であり得る。
【0470】
一実施形態では、本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される組成物を受ける対象において、HCMV疾患または感染のようなCMV疾患または感染を予防するためである。
【0471】
一実施形態では、本明細書に開示される方法は、前記対象に少なくとも第1および第2の用量の前記組成物を、少なくとも1週間、例えば少なくとも1または2か月間隔をあけて投与する工程を含み、第2の用量は、第1の用量より低い反応原性を誘発し、反応原性は、(a)CRP、グロブリンおよびフィブリノゲンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを、(i)第1の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第1の用量の前記組成物で投与しており、前記第2の用量の前記組成物で投与する前に前記対象から採取した第1の血液サンプルにおいて、および(ii)第2の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第2の用量の前記組成物で投与している前記対象から採取した第2の血液サンプルにおいて、投薬する工程、ならびに(b)前記第1の測定した量を、前記第2の測定した量と比較する工程を少なくとも含む方法で測定し、前記比較は、前記投与した組成物で誘起される反応原性に関する情報を提供する。
【0472】
いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇は、反応原性組成物を示し得る。
【0473】
いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇がない場合は、反応原性組成物がないこと、または低減した反応原性組成物を示し得る。
【0474】
ワクチン組成物のような本明細書に開示される免疫原性組成物は、このような組成物を投与する対象において中和抗体レベルおよび/または中和抗体持続性を高めることができる。
【0475】
一実施形態では、本開示は、対象においてCMV感染または疾患を予防する、またはその発症の可能性を低減するための方法に関する。このような方法は、本明細書に開示される通り、免疫学的有効量の免疫原性組成物またはワクチン組成物を投与する工程を含み得る。
【0476】
本発明の免疫原性組成物、例えばワクチン組成物は、少なくとも第1および第2の用量の組成物の投与を含む投与スケジュールで対象に投与される。投与スケジュールは、対象に時間的に連続して投与する2または3用量を含み得る。2つの連続した用量間の時間は、1~2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月、またはそれ以上の範囲であり得る。
【0477】
第1および第2の用量は、少なくとも約1か月、例えば約2か月、約3か月、約4か月、約5、約6、約7、または約8か月で分けることができる。例示的な実施形態では、第1および第2の用量は、少なくとも約1か月、2か月、または約3か月、または約4か月で分けることができる。例示的な一実施形態では、第1および第2の用量は、1か月あける。
【0478】
一実施形態では、第2の用量は、さらなるその後の用量、例えば少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも4つのその後の用量が続く。その後の各用量を分ける時間の間隔は、第1および第2の用量を分ける期間と同一であり得る。別の実施形態では、その後の用量を分ける期間は異なり得る。一実施形態では、その後の用量を分ける各期間は互いに異なり得る。その後の用量を互いから分ける期間は、約1~約8か月、約2~約4か月の範囲であり得る、または約3か月であり得る。一実施形態では、第1の用量および第3の用量を分ける期間は、約4~約8か月、例えば約6か月であり得る。
【0479】
例示的な実施形態では、本明細書に開示される免疫原性またはワクチン組成物は、2または3用量で投与される。組成物が3用量で投与される一実施形態では、第1の用量および第3の用量は、約4~約8か月あけて、例えば約6か月あけて投与される。例えば、組成物は、第1、第2、および第3の用量で投与される。このような実施形態では、第2の用量は、第1の用量の約1~約3か月後、例えば第1の用量の約1か月後または1か月半後に投与され、第3の用量は、第1の用量の約4~8か月後、例えば約6か月後に投与される。
【0480】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、単回用量で投与される。
【0481】
本発明によるワクチンは、2用量で投与される。好ましくは、第1の用量および第2の用量は、およそ約1、2、3、6、8、または9か月あけて投与される。例示的な一実施形態では、第1および第2の用量は、2か月あけて投与される。
【0482】
本明細書に開示される免疫原性組成物は、それを必要とする任意の対象に投与される。このような組成物に関する対象の例として、幼児、小児、十代、青年、成人、または高齢者を挙げることができる。一実施形態では、対象は、新生児または出産適齢期の女性であり得る。別の実施形態では、対象は、実質臓器、骨髄移植、または幹細胞移植のような臓器移植を行う対象であり得る。例示的な一実施形態では、対象は、出産適齢期の女性(16~45歳)または青年期の少女(11~15歳)であり得る。
【0483】
本明細書に開示される組成物は、単独で、または他の免疫原性もしくはワクチン組成物に付随して投与することができる。このような組成物は、百日咳菌、ジフテリア菌、破傷風菌、結核菌、プラスモジウム属の種、炭疽菌、コレラ菌、チフス菌、ボレリア属の種、肺炎レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、クロストリジウム属の種、らい菌、ペスト菌、インフルエンザウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、SARS-Cov-2ウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウィルス、エボラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、リッサウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、および風疹ウイルスを対象とし得る。
【0484】
別段示されない限り、または矛盾もしくは不一致が起こることが当業者に明らかでない限り、本開示が、列挙した請求項の少なくとも1つからの少なくとも1つの限定、要素、条項、記述用語などが、同じ基本的な請求項(または関連として任意の他の請求項)による別の請求項に導入される、全ての変形例、組合せ、および置換を包含することは理解すべきである。要素が、リストなどとして、例えばマーカッシュ群または類似のフォーマットで表される場合、要素の各部分群もまた開示され、任意の要素を群から取り除くことができることは理解すべきである。全体的に、本開示または本開示の態様が、含まれる特定の要素、特徴などを指す場合、これらはまた、このような要素、特徴などからなる、または本質的になる実施形態を包含することは理解すべきである。単純化する目的で、これらの実施形態は、あらゆる場合で、本明細書で非常に多くの単語において具体的に記載していない。本開示の任意の実施形態または態様が、具体的な排除が本明細書に記載されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲から明示的に排除することができることも理解すべきである。本開示の背景を記載し、その実施に関するさらなる詳細をもたらすための本明細書に参照される出版物および他の標準材料は、参照により本明細書に組み入れる。
【0485】
本明細書に開示される配列は、参照として機能する。同じ配列はまた、特許の主題を目的に、標準要件によってフォーマットされる配列表に示す。標準的な配列表と何らかの配列の不一致がある場合、本明細書に記載される配列を基準とする。
【0486】
本開示に限定されないが、本開示の実施形態の数値は、例示の目的のために下に記載される。
【0487】
本発明の実施形態は、以下の項目にさらに詳述する。
【0488】
第1の項目によると、本開示は、サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含むリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)、または
第1の種類のリポソームは、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームは、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの組合せ
に関し、
【0489】
Toll様受容体4(TLR4)アゴニストは、式(I):
【化14】
[式中、R
1は、
a)C(O);
b)C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O)であって、前記C
1~C
14アルキルが、ヒドロキシル、C
1~C
5アルコキシ、C
1~C
5アルキレンジオキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、または(C
1~C
5アルキル)アリールで場合により置換され、前記(C
1~C
5アルキル)アリールの前記アリール部分が、C
1~C
5アルコキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、(C
1~C
5アルコキシ)アミノ、(C
1~C
5アルキル)-アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、O(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)OH、または-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)-(C
1~C
5)アルキルで場合により置換される、C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O);
c)ヒドロキシルまたはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
15の直鎖または分岐鎖を含むアルキル;および
d)-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-であって、前記アリーレンが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、またはアミノで場合により置換される、-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-
からなる群から選択され;
aおよびbは、独立して0、1、2、3、または4であり;
d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して0、1、2、3、または4であり;
X
1、X
2、Y
1およびY
2は、存在しない、酸素、-NH-および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-、ならびに-N(C
1~C
4アルキル)-からなる群から独立して選択され;
W
1およびW
2は、カルボニル、メチレン、スルホン、およびスルホキシドからなる群から独立して選択され;
R
2およびR
5は、
a)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル;
b)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルまたはジアルケニル;
c)オキソ、ヒドロキシル、またはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ;
d)-NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル)であって、前記アルキル基が、オキソ、ヒドロキシ、またはアルコキシで場合により置換される、-NH-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル);ならびに
【0490】
e)
【化15】
(ここで、Zは、OおよびNHからなる群から選択され、MおよびNは、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖を含む、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、およびアシルアミノからなる群から独立して選択される)
からなる群から独立して選択され;
R
3およびR
6は、オキソまたはフルオロで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルからなる群から独立して選択され;
R
4およびR
7は、C(O)-(C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル)、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルキル、C
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルコキシ、およびC
2~C
20の直鎖または分岐鎖アルケニルからなる群から独立して選択され;前記アルキル、アルケニル、またはアルコキシ基は、ヒドロキシル、フルオロ、またはC
1~C
5アルコキシで独立して、場合により置換することができ;
G
1、G
2、G
3、およびG
4は、酸素、メチレン、アミノ、チオール、-C(O)NH-、-NHC(O)-、および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-からなる群から独立して選択され;
またはG
2R
4またはG
4R
7は、水素原子またはヒドロキシルと一緒にあり得る]
または本化合物の薬学的に許容される塩であり;
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:50~約1:1もしくは約1:35~約1:25の範囲であるTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、または約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量比で存在する。
【0491】
第2の項目によると、本開示は、項目1に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、TLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する。
【0492】
第3の項目によると、本開示は、項目1または2に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、TLR4アゴニストは、式(II):
【化16】
である。
【0493】
第4の項目によると、本開示は、項目1~3のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、TLR4アゴニストは、式(III):
【化17】
のE6020である。
【0494】
第5の項目によると、本開示は、項目1~4のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、サポニンは、シャボンノキのサポニンである。
【0495】
第6の項目によると、本開示は、項目1~5のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、サポニンは、キラヤの樹皮から抽出される。
【0496】
第7の項目によると、本開示は、項目1~6のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、サポニンは、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、およびその組合せから選択される。いくつかの実施形態では、サポニンは、QS21またはQS7である。
【0497】
第8の項目によると、本開示は、項目1~7のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、ステロールは、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、およびその混合物から選択される。
【0498】
第9の項目によると、本開示は、項目1~8のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、ステロールは、コレステロールまたはその誘導体から選択され、特にコレステロールである。
【0499】
第10の項目によると、本開示は、項目1~9のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、サポニンおよびステロールは、1:100~1:1の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で存在する。
【0500】
第11の項目によると、本開示は、項目1~10のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびその混合物から選択される。
【0501】
第12の項目によると、本開示は、項目1~11のいずれか1項に記載のリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)または少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソームに関し、リン脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、POPC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、SOPC(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、およびその混合物から選択されるホスファチジルコリンである。
【0502】
第13の項目によると、本開示は、リポソームを製造するための方法であって、以下の工程:
(a)水混和性有機溶媒において、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニスト、ステロール、およびリン脂質を可溶化する工程、
(b)工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程
を少なくとも含み、
サポニンは、工程(a)、工程(b)、または工程b)の後のいずれかで添加され、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:1~約400:1の範囲、約2:1~約200:1の範囲、約2.5:1~約100:1の範囲、約3:1~約40:1の範囲、または約5:1~約25:1の範囲のサポニン:TLR4アゴニストの重量:重量比で存在する、
方法に関する。
【0503】
第14の項目によると、本開示は、工程(a)の前に、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する式(I)のTLR4アゴニストを選択する工程を含む、項目13に記載の方法に関する。
【0504】
第15の項目によると、本開示は、工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程(b)が、溶媒注入法を使用することにより実行する、項目13または14に記載の方法に関する。
【0505】
第16の項目によると、本開示は、工程(a)で得られる混合物をリポソームに加工する工程(b)が、以下の工程:
(b1)工程(a)で得られる溶液を水性緩衝液に注入および/または希釈する工程、ならびに
(b2)水混和性有機溶媒を除去する工程
を含む、項目13~15のいずれか1項に記載の方法に関する。
【0506】
第17の項目によると、本開示は、水混和性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、もしくはその混合物から選択される、またはエタノールである、項目13~16のいずれか1項に記載の方法に関する。
【0507】
第18の項目によると、本開示は、工程(b)で得られるリポソームをろ過し、平均径が200nm未満のリポソームを回収する工程(c)をさらに含む、項目13~17のいずれか1項に記載の方法に関する。
【0508】
第19の項目によると、本開示は、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソームもしくはリポソームの組合せ、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソームを含む、アジュバント組成物に関する。
【0509】
第20の項目によると、本開示は、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソームを含む、免疫賦活剤に関する。
【0510】
第21の項目によると、本開示は、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または項目19に記載のアジュバント組成物、および少なくとも1つの抗原を含む、免疫原性組成物に関する。
【0511】
第22の項目によると、本開示は、項目21に記載の免疫原性組成物に関し、抗原は、細菌抗原、原虫抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、および腫瘍抗原から選択される。
【0512】
第23の項目によると、本開示は、
- 項目1~12のいずれか1項に記載の1つのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または項目19に記載のアジュバント組成物を含む第1の組成物を含む、第1の容器、および
- 少なくとも1つの抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含む、パーツのキットに関する。
【0513】
いくつかの実施形態では、本開示は、
- 項目1~12のいずれか1項に記載のリポソームの組合せの少なくとも第1の種類のリポソームを含む第1の組成物を含む、第1の容器、および
- 項目1~12のいずれか1項に記載のリポソームの組合せの少なくとも第2の種類のリポソームを含む第2の組成物を含む、第2の容器、および
- 少なくとも1つの抗原を含む第3の組成物を含む、第3の容器
を含む、パーツのキットに関する。
【0514】
第24の項目によると、本開示は、免疫原性組成物を製造するための方法であって、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または項目19に記載のアジュバント組成物を、少なくとも1つの抗原と混合する工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0515】
第25の項目によると、本開示は、少なくとも1つの抗原をアジュバント処理するための方法であって、前記少なくとも1つの抗原を、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または項目19に記載のアジュバント組成物と合わせる工程を少なくとも含む、方法に関する。
【0516】
第26の項目によると、本開示は、それを必要とする個体において少なくとも1つの抗原に対して免疫原性応答をアジュバント処理するための方法であって、前記個体に、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または項目19に記載のアジュバント組成物を含む前記少なくとも1つの抗原を投与する工程を含む、方法に関する。
【0517】
第27の項目によると、本開示は、それを必要とする個体において少なくとも1つの抗原に対して免疫応答を誘発するための方法であって、前記個体に、項目1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのリポソーム(例えば、単一の種類のリポソーム)もしくは少なくとも2種類のリポソームの組合せのリポソーム、または項目13~18のいずれか1項に記載の方法により得られる少なくとも1つのリポソーム、または項目19に記載のアジュバント組成物を含む前記少なくとも1つの抗原を投与する少なくとも1つの工程を含む、方法に関する。
【0518】
第28の項目によると、本開示は、リポソームまたはアジュバント組成物および抗原が、同時に、別個に、または逐次的に投与される、項目26または27に記載の方法に関する。
【0519】
第29の項目によると、本開示は、前記個体のサイトカインおよび/ケモカイン応答を高める工程をさらに含む、項目26~28のいずれか1項に記載の方法に関する。
【0520】
第30の項目によると、本開示は、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-γ、IP-10、MCP-1、MIP-1β、KC、およびまたはTNF-αから選択されるサイトカインおよび/またはケモカインの上昇を含む、項目29に記載の方法に関する。
【0521】
第31の項目によると、本開示は、以下:
- 1つのCMV gB抗原;
- 1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原;ならびに
- サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む少なくとも1つのリポソーム、または第1の種類のリポソームが、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームが、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの少なくとも1つの組合せを含む、1つのアジュバント
を少なくとも含む、免疫原性組成物に関する。
【0522】
第32の項目によると、本開示は、以下:
- 1つのCMV gB抗原;
- 1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原;ならびに
- サポニン、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む少なくとも1つのリポソーム、または
第1の種類のリポソームは、サポニン、ステロール、およびリン脂質を含み、第2の種類のリポソームは、ステロール、リン脂質、およびToll様受容体4(TLR4)アゴニストを含む、少なくとも2種類のリポソームを含むリポソームの組合せ
を少なくとも含む、免疫原性組成物に関し、
【0523】
Toll様受容体4(TLR4)アゴニストは、
【化18】
[式中、R
1は、
a)C(O);
b)C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O)であって、前記C
1~C
14アルキルが、ヒドロキシル、C
1~C
5アルコキシ、C
1~C
5アルキレンジオキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、もしくは(C
1~C
5アルキル)アリールで場合により置換され、前記(C
1~C
5アルキル)アリールの前記アリール部分が、C
1~C
5アルコキシ、(C
1~C
5アルキル)アミノ、(C
1~C
5アルコキシ)アミノ、(C
1~C
5アルキル)-アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ(C
1~C
5アルコキシ)、O(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)OH、もしくは-O-(C
1~C
5アルキル)アミノ-C(O)-(C
1~C
5アルキル)-C(O)-(C
1~C
5)アルキルで場合により置換される、C(O)-(C
1~C
14アルキル)-C(O);
c)ヒドロキシルもしくはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
15の直鎖もしくは分岐鎖を含むアルキル;および
d)-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-であって、前記アリーレンが、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、もしくはアミノで場合により置換される、-C(O)-(C
6~C
12アリーレン)-C(O)-
からなる群から選択され;
aおよびbは、独立して0、1、2、3、もしくは4であり;
d、d’、d”、e、e’およびe”は、独立して0、1、2、3、もしくは4であり;
X
1、X
2、Y
1およびY
2は、存在しない、酸素、-NH-および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-、ならびに-N(C
1~C
4アルキル)-からなる群から独立して選択され;
W
1およびW
2は、カルボニル、メチレン、スルホン、およびスルホキシドからなる群から独立して選択され;
R
2およびR
5は、
a)オキソ、ヒドロキシル、もしくはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル;
b)オキソ、ヒドロキシル、もしくはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルケニルもしくはジアルケニル;
c)オキソ、ヒドロキシル、もしくはアルコキシで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ;
d)-NH-(C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル)であって、前記アルキル基が、オキソ、ヒドロキシ、もしくはアルコキシで場合により置換される、-NH-(C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル);ならびに
【0524】
e)
【化19】
(ここで、Zは、OおよびNHからなる群から選択され、MおよびNは、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖を含む、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アルキルアミノ、およびアシルアミノからなる群から独立して選択される)
からなる群から独立して選択され;
R
3およびR
6は、オキソもしくはフルオロで場合により置換される、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され;
R
4およびR
7は、C(O)-(C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルキルもしくはアルケニル)、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル、C
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルコキシ、およびC
2~C
20の直鎖もしくは分岐鎖アルケニルからなる群から独立して選択され;前記アルキル、アルケニル、もしくはアルコキシ基は、ヒドロキシル、フルオロ、もしくはC
1~C
5アルコキシで独立して、場合により置換することができ;
G
1、G
2、G
3、およびG
4は、酸素、メチレン、アミノ、チオール、-C(O)NH-、-NHC(O)-、および-N(C(O)(C
1~C
4アルキル))-からなる群から独立して選択され;
またはG
2R
4またはG
4R
7は、水素原子またはヒドロキシルと一緒にあり得る]
または本化合物の薬学的に許容される塩であり、
TLR4アゴニストおよびサポニンは、約1:50~約1:1もしくは約1:35~約1:25の範囲であるTLR4アゴニスト:サポニンの重量:重量比、または約1:10のTLR4アゴニスト:サポニンの重量比で存在する。
【0525】
第33の項目によると、前記CMV gB抗原は、全長CMV gB抗原、膜貫通ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての膜貫通ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、細胞内ドメインの少なくとも一部から欠失している切断型CMV gB抗原、全ての細胞内ドメインから実質的に欠失している切断型CMV gB抗原、ならびに膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインの両方から実質的に欠失している切断型CMV gB抗原からなる群で選択される、項目31または32に記載の免疫原性組成物。
【0526】
第34の項目によると、前記CMV gB抗原は、gBdTmである、項目31~33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0527】
第35の項目によると、前記gHは、膜貫通ドメインの少なくとも一部もしくは実質的に全ての膜貫通ドメインから欠失する、項目31~34のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0528】
第36の項目によると、前記gHは、CMV UL75遺伝子でコードした全長gHポリペプチドの外部ドメインを含む、項目31~35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0529】
第37の項目によると、CMV gB抗原およびCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原は、CMV抗原のみである、項目31~36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0530】
第38の項目によると、TLR4アゴニストは、25℃で測定した少なくとも約0.2mg/mlのエタノール中の溶解度パラメータを有する、項目31~37のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0531】
第39の項目によると、TLR4アゴニストは、式(II):
【化20】
である、項目31~38のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0532】
第40の項目によると、TLR4アゴニストは、式(III):
【化21】
のE6020である、項目31~39のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0533】
第41の項目によると、サポニンは、シャボンノキのサポニンである、項目31~40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0534】
第42の項目によると、サポニンは、キラヤの樹皮から抽出される、項目31~41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0535】
第43の項目によると、サポニンは、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、およびその組合せから選択される、項目31~42のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。いくつかの実施形態では、サポニンは、QS21またはQS7である。
【0536】
第44の項目によると、ステロールは、コレステロールまたはその誘導体、エルゴステロール、デスモステロール(3β-ヒドロキシ-5,24-コレスタジエン)、スチグマステロール(スチグマスタ-5,22-ジエン-3-オール)、ラノステロール(8,24-ラノスタジエン-3b-オール)、7-デヒドロコレステロール(Δ5,7-コレステロール)、ジヒドロラノステロール(24,25-ジヒドロラノステロール)、ジモステロール(5α-コレスタ-8,24-ジエン-3β-オール)、ラトステロール(5α-コレスト-7-エン-3β-オール)、ジオスゲニン((3β,25R)-スピロスト-5-エン-3-オール)、シトステロール(22,23-ジヒドロスチグマステロール)、シトスタノール、カンペステロール(カンペスト-5-エン-3β-オール)、カンペスタノール(5a-カンペスタン-3b-オール)、24-メチレンコレステロール(5,24(28)-コレスタジエン-24-メチレン-3β-オール)、マルガリン酸コレステリル(コレスト-5-エン-3β-イルヘプタデカノエート)、オレイン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、およびその混合物から選択される、項目31~43のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0537】
第45の項目によると、ステロールは、コレステロールまたはその誘導体から選択され、特にコレステロールである、項目31~44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0538】
第46の項目によると、サポニンおよびステロールは、1:100~1:1の範囲のサポニン:ステロールの重量:重量比、約1:2のサポニン:ステロールの重量:重量比で、または約1:5のサポニン:ステロールの重量:重量比で存在する、項目31~45のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0539】
第47の項目によると、リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、およびその混合物から選択される、項目31~46のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0540】
第48の項目によると、リン脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DMPC(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、POPC(1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、SOPC(1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、およびその混合物から選択されるホスファチジルコリンである、項目31~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0541】
第49の項目によると、本開示は、CMVワクチンとして使用するための、項目31~48のいずれか1項に記載の免疫原性組成物に関する。
【0542】
第50の項目によると、本開示は、CMVに対して中和抗体を誘発するための方法で使用するための、項目31~49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物に関し、前記方法は、対象に少なくとも第1および第2の用量の前記組成物を投与する工程を含み、少なくとも第1および第2の用量は、少なくとも1か月間隔をあけて投与され、第2の用量は、前記対象に第1の用量より低い反応原性を誘発し、前記反応原性は、(a)CRP、グロブリンおよびフィブリノゲンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを、(i)第1の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第1の用量の前記組成物で投与されており、前記第2の用量の前記組成物で投与する前に前記対象から採取した第1の血液サンプルにおいて、および(ii)第2の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第2の用量の前記組成物で投与されている前記対象から採取した第2の血液サンプルにおいて、投薬する工程、ならびに(b)前記第1の測定した量を、前記第2の測定した量と比較する工程を少なくとも含む方法で測定し、前記比較は、前記投与した組成物で誘起される反応原性に関する情報を提供する。いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇は、反応原性組成物を示し得る。いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇がない場合は、反応原性組成物がないこと、または低減した反応原性組成物を示し得る。
【0543】
第51の項目によると、本開示は、
- 項目31および38~48のいずれか1項に記載のアジュバントを含む第1の組成物を含む、第1の容器、ならびに
- 項目32~37のいずれか1項に記載の少なくとも1つのCMV gB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第2の組成物を含む、第2の容器
を含む、パーツのキットに関する。
【0544】
いくつかの実施形態では、本開示は、
- 項目1~12のいずれか1項に記載のリポソームの組合せの少なくとも第1の種類のリポソームを含む第1の組成物を含む、第1の容器、および
- 項目1~12のいずれか1項に記載のリポソームの組合せの少なくとも第2の種類のリポソームを含む第2の組成物を含む、第2の容器、および
- 項目32~37のいずれか1項に記載の少なくとも1つのCMV gB抗原および少なくとも1つのCMV gH/gL/UL128/UL130/UL131五量体複合抗原を含む第3の組成物を含む、第3の容器
を含む、パーツのキットに関する。
【0545】
第52の項目によると、本開示は、対象においてCMVに対して免疫応答を誘発するための方法であって、前記対象に項目31~48のいずれか1項に記載の少なくとも1つの免疫原性組成物を投与する少なくとも1つの工程を含む、方法に関する。
【0546】
第53の項目によると、前記対象に少なくとも第1および第2の用量の前記組成物を少なくとも1か月間隔をあけて投与し、第2の用量は、第1の用量より低い反応原性を誘発し、前記反応原性は、(a)CRP、グロブリンおよびフィブリノゲンから選択される少なくとも1つのバイオマーカーを、(i)第1の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第1の用量の前記組成物で投与した後、前記第2の用量の前記組成物で投与する前に前記対象から採取した第1の血液サンプルにおいて、および(ii)第2の測定した量の前記バイオマーカーを得るために、前記第2の用量の前記組成物で投与した後に前記対象から採取した第2の血液サンプルにおいて、投薬する工程、ならびに(b)前記第1の測定した量を、前記第2の測定した量と比較する工程を少なくとも含む方法で測定し、前記比較は、前記投与した組成物で誘起される反応原性に関する情報を提供する、項目52に記載の方法。いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇は、反応原性組成物を示し得る。いくつかの実施形態では、第1の測定と比較した第2の測定での少なくともバイオマーカーの測定した量の上昇がない場合は、反応原性組成物がないこと、または低減した反応原性組成物を示し得る。
【0547】
第54の項目によると、本開示は、感染性疾患、アレルギー、自己免疫疾患、稀な血液障害、稀な代謝性疾患、稀な神経疾患、および腫瘍またはがん疾患の予防および/または処置で使用するための、項目1~12のいずれか1項に記載のリポソームまたはリポソームの組合せ、項目13~18のいずれか1項に記載の方法で得られるリポソーム、項目20の記載の免疫賦活剤、項目19に記載のアジュバント組成物、項目21に記載の免疫原性組成物、または項目31~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物に関する。
【実施例1】
【0548】
リポソームの製造方法
I.材料および方法
リポソームを、以下の通り、溶媒、例えばエタノール注入法によって製造した。
【0549】
E6020のエタノール中の溶液を、2mg/mlで、2.0mgのE6020粉末を0.998mlのエタノールに溶解することにより製造した。
【0550】
4倍濃縮したエタノール溶液を、40mg/mlのDOPC、10mg/mlのコレステロール、および0.200mg/mlのE6020で、0.850mlのエタノール中、40mgのDOPCおよび10mgのコレステロールに溶解し、0.100mlの先に製造したE6020溶液をエタノールに添加することにより、製造した。
【0551】
溶液を、生成物を完全に溶解し、無色の溶液を得るまで、室温(RT)で撹拌した。
【0552】
7mlのLyoガラス製バイアルにおいて、3.0mLのCBS(クエン酸緩衝溶液)pH6.3(シトレート10mM、NaCl 140mM、pH6.3)を、室温で、1000rpmで撹拌した。1.0mlの脂質溶液を、0.1ml/分で、22gaのニードルおよびシリンジポンプを伴うハミルトンシリンジを使用してゆっくり添加して、リポソームを形成した。リポソームを、CBS pH6.3に対して3回(半日後、一晩目、一日後)に(10000MCWO透析カセットで)透析した。
【0553】
リポソーム懸濁液を、直径33mmのMillexフィルターPVDF0.22μmで滅菌ろ過し、窒素下の+4℃で保存した。
【0554】
リポソーム成分濃縮液を、透析の希釈倍率によって推定した。1.6の透析希釈倍率に対して、リポソーム成分濃縮液は、6.25mg/mlのDOPC、1.56mg/mlのコレステロール、および0.031mg/mlのE6020であった。
【0555】
フローフード下、3.0mgのQS21を、3.0mLのCBS pH6.3に再懸濁化して1.0mg/mlでQS21の溶液を得、直径25mmのPall Acrodisc 0.2μmで滅菌ろ過した。
【0556】
滅菌条件において、SPA14(リポソーム懸濁液)を、CBS pH6.3における1.0mg/mlでの1.563mlのQS21の溶液を、5.000mlの先のリポソーム懸濁液および1.250mlのCBS pH6.3に添加することにより製剤化した。混合物を、ボルテックスを使用して10秒間撹拌し、4mg/mlのDOPC、1mg/mlのコレステロール、0.020mg/mlのE6020、および0.200mg/mlのQS21の最終的なSPA14滅菌懸濁液に対して窒素下の+4℃で保存した。
【0557】
抗原と混合するために、SPA14アジュバントを穏やかに5回上下に返して、2回濃縮した抗原と混合する前に生成物を均質化した。次いで、免疫原性組成物(アジュバントSPA14+抗原)を、さらに使用するまで、適切な温度(2~8℃)で保存した。
【0558】
抗原は、2×C濃縮で製造する必要があった(例えば、50μlでの注入下での5μgの用量の抗原に対して(C=100μg/ml)、抗原を200μg/mlで製造した)。
【0559】
抗原との混合を容積/容積で行い、得られる混合物を穏やかに5回上下に返した。
【0560】
混合物を、注射直前または注射の最大で3時間前に製造した。この後者の場合、これらは、注射まで2~8℃に設置する必要があった。
【0561】
比較アジュバントAS01Bは、Shingrixの市販のワクチンのアジュバントバイアルからサンプリングした。
【0562】
in vitro MIMICシステムの研究全体におけるいわゆる「ビヒクル」または「QS21リポソーム」(実施例3を参照)を、脂質エタノール溶液においてE6020を含まずにSPA14について記載したように製造した。
【実施例2】
【0563】
E6020のアルコール溶解度
I.材料および方法
E6020(E6020 Eisai)およびMPL粉末(Salmonella Minnesota Re 595製、Sigma L6895)を、無水エタノール(EtOH)(Carlo Erba)において0.5、1.0、2.0および10mg/mlで可溶化した。
【0564】
1mlの各溶液を、室温(約25℃)で3時間混合した。
【0565】
E6020溶液は透明であったが、MPL溶液は乳白色であり、乳白色は濃度に応じて増した。不溶性を示す乳白色が出現し、増大した後に、比濁分析を行った。
【0566】
比濁分析は、無水エタノールブランクを含むUV 96ウェルマイクロプレート(Thermo UV Flat Bottom 96 Ref 8404)で、0.200mlのサンプルと共にBMG-Labtech Nephelostarで実施した。
【0567】
各溶液のRNU(相対的な比濁分析単位)を記録し、グラフにプロットした。
【0568】
II.結果
E6020エタノール溶液は、少なくとも10mg/mlの濃度まで完全に透明だった一方、MPLエタノール溶液は、試験した最低濃度でさえ乳白色であり、乳白色はMPL濃度に応じて増した。(
図1)。
【0569】
データが示す通り、E6020のような本開示に好適なTLR4アゴニストは、少なくとも10mg/mlの溶解度を有した。溶解度のこのような度合いは、TLR4アゴニストをリポソームの製造のためのエタノール注入法での使用に有利とする。
【0570】
MPLのエタノールにおける非常に低い溶解度は、このようなリポソーム製造法に適合できないようにする。
【実施例3】
【0571】
E6020-QS21含有リポソームの免疫賦活効果
本実施例では、SPA14の生来の免疫プロファイルを、MIMICシステムの生来のアームを使用して評価した。MIMICシステム(modular immune in vitro construct)は、ヒト免疫系を模倣する人工的なシステムである。このモジュールは、抹消組織等価(PTE)構築物と呼ぶが、TLRアゴニストおよびワクチンを試験するのに予め使用していた三次元組織工学的内皮細胞/コラーゲン基質培養系である(Ma Yら、Immunology、2010年、130:374~87頁)。PTEモジュールへのTLRアゴニストの適用により、多重ビーズ系アレイで評価することができるサイトカインおよびケモカイン生成を誘発するだけでなく、フローサイトメトリー解析で試験することができる樹状細胞(DC)分化および成熟も促進する(Drakeら、Disruptive Science and Technology、2012年、1:28~40頁;Higbeeら、Altern Lab Anim、2009年、37 補遺1:19~27頁)。この解析のために、抗原提示細胞(APC)活性化、およびサイトカイン/ケモカインプロファイルを、未処置のまま、または様々な用量のSPA14もしくはQS21リポソームで処置した培養で評価した。
【0572】
I.材料および方法
1.リポソームの製造
SPA14およびQS21リポソームを、実施例1に記載されるプロトコルによって製造した。
SPA14-20:DOPC/Chol/QS21/E6020(PBSでの二分の一希釈後に2:0.5:0.1:0.01mg/ml)からなるリポソーム製剤。
SPA14-8:DOPC/Chol/QS21/E6020(PBSでの二分の一希釈後に2:0.5:0.1:0.004mg/ml)からなるリポソーム製剤。
QS21リポソーム(SPA14-0):DOPC/Chol/QS21/(PBSでの二分の一希釈後に2:0.5:0.1mg/ml)からなるリポソーム製剤。
【0573】
本研究は、SPA14のヒト免疫細胞を刺激する能力を主に評価したが、SPA14中のE6020の2つの濃度、すなわち8および20μg/mLを試験するために設計し、全ての他のSPA14成分を一定に保った。
【0574】
次に、試験項目を、10倍用量曲線において1:40~1:4000、または2倍用量曲線において1:20~1:160で希釈した。SPA14で誘発した生来の免疫シグネチャーに対するQS21リポソームの寄与を理解するために、QS21リポソーム(任意のTLRアゴニストを差し引く)はまた、上述した同じ用量スキームを使用するアッセイで試験した。
【0575】
E6020(EISAI)(Ishizakaら、Expert review of vaccines、2007年、6:773~84頁;WO2007005583A1)、SPA14におけるTLR-4アゴニストもまた、各用量範囲の最高濃度でアッセイに単独で投薬した。
【0576】
2.PBMCの製造
アフェレーシス血液生成物を、OneBlood(Orlando、FL)血液銀行でドナーから収集した。試験プロトコルおよびドナープログラムは、Chesapeake Research Review,Inc.(コロンビア、MD)が審査し、承認された。収集の時点で、健康なドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll密度勾配分離で濃縮し、Ma Y.ら(Assessing the immunopotency of Toll-like receptor agonists in an in vitro tissue-engineered immunological model.Immunology 130:374~87頁、2010年)が教示するDMSO含有凍結培地で低温保存した。
【0577】
3.MIMIC(登録商標)PTEアッセイ
MIMIC(登録商標)PTE構築物は、上述したMa Y.らが教示する方法を使用するロボットラインで組み立てられた。
【0578】
簡潔には、内皮細胞を、コラーゲン基質(Advanced Biomatrix、サンディエゴ、CA)上で集密まで増殖した。その後、凍結したストックから製造したドナーPBMCを、アッセイウェルに適用した。90分間インキュベートした後、非遊走細胞を洗浄することにより除去し、試験項目を、上述した通り、異なる濃度で培養に添加した。
【0579】
100ng/mLのLPS(緑膿菌由来、カタログ番号L8643、Millipore Sigma、バーリントン、MA)および10μg/mLのR848(カタログ番号TLRL-R848、InvivoGen、サンディエゴ、CA)の混合物を、これらのアッセイ(L+R)の陽性対照として使用した。Ag/模擬(M-模擬)を含まない、陰性アッセイ対照は、追加した任意の処置を伴わない培養培地に設定した。
【0580】
培養上清を、処置の48時間後に採取し、多重アッセイによりサイトカイン/ケモカインを、ELISAによりPGE2分泌を解析した。同時点で採取した細胞を、フローサイトメトリーを使用して細胞生存率およびAPC活性化について表現型を決定した。
【0581】
4.サイトカイン/ケモカイン解析
MIMIC(登録商標)培養上清を、Milliplex(登録商標)ヒト12-プレックスマルチサイトカイン決定システム(Millipore)を使用して解析した。キットは、IFN-α2、IFNγ、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12p40、IP-10、MCP-1、MIP-1β、RANTES、およびTNFαを含む。分析物濃度を、Bio-Plexマネージャソフトウェアを使用して関連する標準曲線に基づいて計算した(Lunaら、PloS one、第13巻、6 e0197478.2018年6月6日、doi:10.1371/journal.pone.0197478)。
【0582】
試験実施承認基準(run acceptance criteria)に対して、各分析物に対する定量化の下限(LLOQ)および定量化の上限(ULOQ)は、標準値の5パラメータロジスティック(5PL)の曲線当てはめに対して、各点の回収パーセント(観察/予想×100)に基づいて確立した。80%~120%の回収百分率が許容されるとみなされたので、この範囲に含まれる値は、標準曲線の下限および上限を定義する。生データファイルは、ビーズ数に関して検討し;データ点は、1領域あたり最小の35個のビーズを計数した場合に有効であるとみなした。
【0583】
5.フローサイトメトリー
フローサイトメトリーの染色および獲得を、上述したLunaらが教示するように実施した。
【0584】
簡潔には、MIMIC PTE由来細胞を、PBSで洗浄し、氷上で20分間、Live-Dead Aqua(InvitroGen、カールスバッド、CA)で標識した。洗浄し、IgG-Fcブロック(正常マウス血清;カタログ番号015-000-120、Jackson ImmunoResearch Laboratories)を実施した後、細胞を、非骨髄系統細胞および免疫リガンド(BD Biosciences、サンノゼ、CA)に特異的である、蛍光色素標識mAbsのカクテル、例えば抗CD14、抗HLA-DR、抗CD11c、抗CD86、抗CD25、抗CD83、抗CD3、および抗CD19でインキュベートした。その後、細胞を、緩衝化媒体で洗浄し、BD FACS Divaソフトウェア(BD Biosciences)を備えたBD Fortessaフローサイトメーターで取得した。データ解析を、FlowJoソフトウェア(Tree Star、アシュランド、OR)を使用して実施した。フローゲーティングのために、最初に二重項を生細胞集団から排除し、次いでリンパ球(CD3+、CD19+)細胞を、ダンプチャネルアプローチを使用する解析から除去した。次に、HLA-DR+細胞を、CD11c+単球性DCおよびCD123+pDCにゲーティングした。その後、各DC亜集団を、HLA-DRの発現および個々の活性化マーカー(CD14、CD25、CD86、CD83)に対して解析した。
【0585】
6.データ解析およびグラフ作成
データを、統計解析およびグラフ作成のためにGraphPad Prism(GraphPad Software、サンディエゴ、CA、USA)にエクスポートした。サイトカインデータは、エクセルのデータベースにエクスポートした。範囲外より高い(>OOR)値(ULOQより高い値)は、データ表から除去した。範囲外より低い(<OOR)値は、LLOQの1/2を表す値と置き換えた。異なる試験項目は、Tukeyポスト検定の調節を伴う一元ANOVA検定を介して比較した。「p」値、p<0.05は、著しいとみなされた。
【0586】
II.結果
1.SPA14は最小の免疫毒性である
細胞生存率の評価は、細胞の亜集団において化合物の潜在的な免疫細胞傷害作用を確立するのに重要であった。本研究でこの解析を実施するために、48時間処置したMIMIC-PTE(登録商標)培養由来の細胞を採取し、live-dead染色で識別し、フローサイトメトリーを介して細胞生存率を解析した。
【0587】
模擬条件に基づいて100%の生存率に正規化した各処置条件を示す
図2で分かる通り、SPA14-8およびSPA14-0(QS21リポソーム)は、試験した全ての用量で細胞生存率に最小限で匹敵する影響を有した。興味深いことに、単独で試験した場合、E6020は、SPA14の1:40希釈に同等の用量で、細胞生存率の40~50%の低下を引き起こした。この観察により、リポソーム製剤がE6020の免疫細胞傷害作用を調整することができることが示された。
【0588】
TLR4およびTLR7/8アゴニストの組合せ(LPS+R848:L+R)が、48時間の後処置でPTE細胞生存率においておよそ80%の低下を誘発したという観察を予想し、アッセイが予想したように動作していたことを実証した。
【0589】
2.SPA14はAPC活性化/成熟を誘発
APC(抗原提示細胞)は、BおよびTリンパ球を係合し、活性化するその能力を通して適応免疫を導くことができる生来の免疫の主要な要素を表した。TLR4アゴニストの主要な機能的特徴は、これらが、APC成熟を引き起こすことであり、これは、HLA-DR、CD14、およびCD80/86のような表面マーカーの発現の変化、ならびに様々なサイトカインおよびケモカインの変化した発現を含む複雑なプロセスであった。MIMIC PTEモジュールでは、CD11c+(mDC)亜集団の活性化状態を、採取した細胞の表面上の共刺激マーカーの解析を通し、未処置および処置した培養から得られる上清で評価した可溶性サイトカインの生産を介して測定した。注目すべきは、他のDC亜集団がMIMIC PTE構築物で生成されたが、この解析は、様々なTLRアゴニストに応答し、主要な循環APC亜集団の1つをin vivoで構成するので従来のCD11c+ DCに焦点を当てた(Collinら、Human dendritic cell subsets.Immunology、2013年、140:22~30頁)。
【0590】
本発明者らは、アジュバント処理の有無で、PTE由来のAPCの表面上の成熟および活性化マーカーの発現を評価した。本研究に特に関心対象となるのは、APC成熟および活性化に対する重要なリガンドとして記載され、未処理のCD4+T細胞応答を駆動するのに重要であることから、共刺激マーカーCD86(B7-2)およびCD83であった(
図3参照)。
【0591】
SPA14は、用量依存性の様式でCD86陽性PTE由来APCの増加を引き起こすことができた。CD83は、類似した発現パターンにしたがった(データは示さず)。
【0592】
3.SPA14はPTEアッセイにおいて免疫刺激性サイトカインの分泌を誘発
未処置および処置したMIMIC PTE培養由来の培養上清を、48時間後に採取し、Milliporeカスタム12-プレックスアレイを使用してサイトカイン/ケモカイン分泌を解析した。生来の免疫活性に重要であり、免疫細胞傷害も駆動することができるので、以下の生来のケモカイン/サイトカイン:IL-6、IL-8、TNFα、MIP-1βおよびIP-10を評価した。
【0593】
試験した最大用量(1:20希釈)から得られる結果は、以下の表1に報告する。
【0594】
【実施例4】
【0595】
ウサギに投与したCMV抗原でのE6020-QS21含有リポソームのアジュバント処理効果
ウサギにおけるSPA14およびAS01Bの免疫原性評価
本研究の目的は、3週間の間隔をあけた2回の筋肉内注射に続いて、ニュージーランドホワイトウサギにおいて、アジュバントとしてSPA14またはAS01Bのいずれかを含有するCMV抗原含有ワクチン組成物で誘発した免疫応答を調査することであった。
【0596】
I.材料および方法
CMVのCMV gB+CMV五量体(五量体(gH/gL/pUL128/pUL130/pUL131)抗原を、緩衝液(例えばPBS pH7.4、NaCl 140mM)で濃縮した抗原を希釈することにより製造して、80μg/mLのgB+80μg/mLの五量体で2倍濃縮した溶液を得、単独で(40μg/mLのgB+40μg/mLの五量体でPBSでの二分の一希釈)またはE6020-QS21リポソーム、SPA14アジュバントと組み合わせて(容積/容積での混合物)使用した。500μLの抗原/アジュバント混合物を、以下の濃度:1用量当たり20μgのgB+20μgの五量体で、IM経路を介して投与した。
【0597】
HCMV五量体gH/gL/pUL128/pUL130/pUL131を、5つのプラスミドでトランスフェクトしたCHO細胞株で得たが、各プラスミドは、HCMV五量体を構成する5つのタンパク質の1つをコードする配列を含んだ。配列は、BE/28/2011株(Genbank番号KP745669)に由来した。gH配列は、組換え五量体の分泌に対して膜貫通ドメインを伴わなかった。五量体複合体の発現の例は、Hofmannら、Biotechnology and Bioengineering、2015年、第112巻、第12号、2505~2515頁に与えられた。gBdTMは、US6,100,064に記載されるように得たが、806アミノ酸長のポリペプチドであった。
【0598】
AS01Bは、それぞれ2:0.5:0.1:0.1mg/mlのDOPC/Chol/QS21/MPLで、商用のワクチンShingrixから得た。2倍濃縮していないので、濃縮した抗原と混合して、1用量当たり20μgのgB+20μgの五量体を含有する550μlの注射の容積に達した。
【0599】
SPA14は、それぞれ4:1:0.2:Xmg/mlのDOPC/Chol/QS21/E6020で、実施例1に記載されるように、または実施例10に記載されるように製造した。4つの異なる濃度X:0mg/ml、0.004mg/ml、0.008mg/ml、および0.02mg/mlのE6020を使用して、以下の表2に記載されるE6020の用量を得た(抗原および注射した500μlでのv/v希釈)。
【0600】
56匹の12~14週齢の雌のニュージーランドホワイトウサギ(Charles River Laboratoires France-ESD)に、3週間あけて、CMV-gBおよび五量体(Pent)抗原の異なるアジュバント製剤の2回の筋肉内(IM、0.5mLまたは0.55mL)注射を投与した。ウサギは、各々8匹のウサギを含有する、6つの異なるアジュバント製剤群に割り当てた。各ウサギは、腰部の異なる2部位に、1日目および22日目に2回のIM注射を受けたが、各部位には1回注射した。対照群1のウサギは、滅菌生理食塩水(0.9%NaCl)を与えた。群2および3の処置したウサギは、それぞれ、緩衝液中の抗原、およびAS01B対照アジュバント中の抗原を与えた。群4~7の処置したウサギは、それぞれ、0、1、2、および5μgの用量でE6020を含有するSPA14アジュバント中の抗原を与えた。
【0601】
【0602】
血清中和(Seroneutralization)アッセイ
簡潔には、2.5×104個のMRC5線維芽細胞またはARPE-19細胞を、マイクロ中和(MN)アッセイの前日に96ウェルダークプレートに分配した。D0に、血清を56℃で30分間、加熱不活化した。血清サンプルを、96ディープウェルプレートで1/10から1/10240に開始する、DMEM/F12 1%FBSでの2倍連続希釈し、37℃で60分間、5%CO2細胞培養インキュベーターで、4.2logFFU/mlのBADrUL131-Y4 CMVウイルス株(Wangら、J Virol.2005年8月;79(16):10330~8頁に記載)とインキュベートした。次いで、血清/ウイルス混合物を、MRC5またはARPE-19細胞に移し、37℃で、MRC5細胞に対しては3日間、ARPE細胞に対しては4日間、5%CO2細胞培養インキュベーターでインキュベートした。
【0603】
次いで、培養上清を除去し、細胞を、室温で1時間、PBS中の100μlの1%ホルモルで固定した。次いで、プレートを、Microvision蛍光プレートリーダーでの解析の前に、PBSで洗浄し、室温で空気乾燥して、各ウェルで感染した細胞を計数した。
【0604】
対照として、細胞対照(ウイルスなし)の2つのウェルおよび4.2logFFU/mLを含有するウイルス希釈の半分を感染させた細胞を含む6つのウェルは、各プレートに存在した。これら6つのウェルの平均は、特異的シグナル値の50%として決定した、血清中和の閾値を定義した。中和エンドポイント力価は、計算した特異的シグナル値の50%未満に低下した最後の希釈の逆数として定義した。中和力価(μPRNT50)は、各個体の血清に対して、感染した細胞の50%の低下を誘発した最後の希釈、すなわち計算した特異的シグナル値の50%より少なく感染した細胞を誘発した最後の希釈として定義した。幾何平均の中和抗体力価は、各群に対して計算した。
【0605】
II.結果
機能的体液性応答
血清におけるHCMVgB+HCMV五量体+SPA14で誘発した中和抗体力価
1、15、24、および36日目に全ての動物から収集した個々の血清サンプルは、その中和活性に対して試験した。ベビーウサギ補体不在下での上皮細胞へのHCMVの侵入を阻害する中和抗体力価およびベビーウサギ補体存在下での線維芽細胞へのHCMVの侵入を阻害する中和抗体力価は、それぞれCMV五量体およびCMV-gBに特異的な機能的抗体に焦点を当てるために、以下に示した。
【0606】
15日目ならびに24日目で、全てのアジュバント処理群は、機能的抗体応答を生じた(
図4Aおよび4B)。著しく高いアジュバント効果を、アジュバント未処理群と比較して少なくとも9倍高いGMTを伴う全てのアジュバント処理群で観察した(全てのp値<0.001、ANOVA、Dunnett調節)。
【0607】
24日目に、第2のワクチン投与の後、早期に、どの製剤かにかかわらず、15日目に得たものと比較して上皮細胞の中和抗体力価のわずかだが著しい増加を観察した(全てのp値≦0.028)。同様に、全てのアジュバント処理群では、補体存在下で線維芽細胞に2.1~2.5のlog10μPRNT50の範囲の平均中和抗体力価を伴う機能的抗体応答が生じた(
図4B)。中和抗体応答の上昇では、どの血清中和アッセイを使用しても、全てのワクチン製剤に対して24日目と比較して、少なくとも15倍の上昇を36日目にさらに確認した。
【0608】
SPA14製剤のE6020用量範囲に関して、E6020投与量の著しい影響は、中和抗体応答で観察されなかった。SPA14リポソームに1、2または5μgのE6020を添加することで、E6020を含まないSPA14リポソームと比較して最大で2倍高い中和抗体力価を誘発したが、これらの差のいずれも統計的には有意ではなかった(全てのp値>0.06)。SPA14製剤のAS01Bベンチマークとの比較に関して、SPA14アジュバント処理群に対する補体を含むおよび含まない上皮細胞で測定した中和抗体力価は、どのSPA14に含有したE6020投与量か、どの時点かにかかわらず、AS01Bアジュバント処理群で測定したものと著しく異なることはなかった(全てのp値>0.05、片側Dunnett検定)。線維芽細胞で(24日目に補体と共に)測定したGMTに対して、SPA14+0μgのE6020およびSPA14+1μgのE6020を投与した群で得られる中和抗体力価は、どのSPA14に含有したE6020投与量か、どの時点かにかかわらず、AS01Bアジュバント処理群で測定したものよりそれぞれ2.3および2倍、著しく劣っていた(p値≦0.02、片側Dunnett検定)(全てのp値>0.05、片側Dunnett検定)。線維芽細胞で(24日目に補体と共に)測定したGMTに対して、SPA14+0μgのE6020およびSPA14+1μgのE6020を投与した群で得られる中和抗体力価は、AS01Bアジュバント処理群で測定したものよりそれぞれ2.3および2倍、著しく劣っていた(p値≦0.02、片側Dunnett検定)。次いで、SPA14でより高いE6020投与量、すなわち2および5μgでは、著しい差は観察されなかった(p値>0.18)。
【0609】
全体としてみると、これらの結果は、SPA14が、アジュバント中に存在するE6020の量にかかわらず、免疫化したウサギ由来の血清でのHCMV中和抗体応答を向上させることを示す傾向にあった。さらに、SPA14アジュバント処理群で補体を含む線維芽細胞で測定した中和抗体力価は、E6020含量がAS01Bで使用されるMPLの濃度未満のままである少なくとも2μg/用量であった場合、AS01Bアジュバント処理群で測定したものと著しく異なることはなかった。
【0610】
QS21と共にリポソーム中のアジュバントを製剤化するE6020の使用により、MPLAの使用と比較して25分の1の化合物しか必要としないので、それ自体特に有利であることが明らかになった。これは、費用および潜在的な反応原性に関して有利となる。
【0611】
SPA14は、免疫化したウサギ由来の血清でのHCMV中和抗体の応答を向上させた。補体不在下の上皮細胞でのμPRNT50(
図4A)、補体存在下の線維芽細胞でのμPRNT50(
図4B)。
【実施例5】
【0612】
マウスに投与したCMV抗原でのE6020-QS21含有リポソームのアジュバント処理効果
I.材料および方法
本マウス研究では、7週齢の未処理の雌のC57BL/6Jマウスの群は、0、21、および221日目(7か月目)にIM経路を介して、SPA14(5μgのQS21および1μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)またはAS01E(商用のワクチンShingrixから得られる実施例3に記載されるAS01Bの2倍希釈)アジュバントで製剤化した、CMV gBおよびCMV五量体(各2μg/用量)の3回のIM免疫化を受けた。血液サンプルを、血清中和抗体応答をモニタリングするために1、2、3、4、5、6、7、および8か月目に収集した(血清中和アッセイは、実施例4に記載の通りであった)。加えて、1、7、および8か月目に、血液および脾臓を、1群当たり10匹のマウスから収集して、CMV gBおよびCMV五量体特異的IgG抗体のサブクラス、抗体分泌性細胞(ASC)の頻度、ならびにIL-5およびIFN-γ分泌をモニタリングした。
【0613】
II.結果
最大で7か月目(後期のブースターの前)に、アジュバント効果では、全ての試験した製剤に対してCMV gBおよびCMV五量体特異的免疫応答が実証された。
【0614】
SPA14対AS01Eの結果は、以下の表3に示した。
【0615】
全ての時点およびパラメータに対して、抗体応答、例えば中和抗体、ならびにB記憶分泌性細胞の頻度は、AS01Eアジュバント対照で得られたが、SPA14で得られる応答と類似した、またはこの応答より低い(著しく異なることはない)傾向があった。SPA14とAS01Eとの間のいくらかの差は、よりバランスの取れたTh1/Th2サイトカインプロファイルを誘発するSPA14をもたらすTh1/Th2サイトカインプロファイルに関して観察された。
【0616】
【0617】
結論として、マウスモデルにおいて最大で8か月目に行った解析では、SPA14が、CMV抗原に対する免疫応答を向上させるのにAS01と同様に少なくとも効果的であったことを結論付けることができた。
【実施例6】
【0618】
マウスに投与したFLU抗原でのE6020-QS21含有リポソームのアジュバント処理効果
SPA14と余剰時間で(extratemporaneously)混合した季節性の四価インフルエンザワクチン(QIV)との免疫原性研究を実施して、未処置のBALB/cマウスにおけるアジュバントの利点を試験した。
【0619】
GlaxoSmithKlineのアジュバントAS01Bを、本研究のコンパレーター対照として使用した。A/ミシガン/45/2015(H1N1)、A/香港/4801/2014(H3N2)、B/ブリスベン/60/2008(ビクトリア系統)、およびB/プーケット/3073/2013(山形系統)株を含有する北半球2017~2018の季節性QIVのFluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)の商用のロットを使用した。
【0620】
抗原およびアジュバントバッチを、以下の表4および5に示すように製造した。
【0621】
本研究の目的は、マウスモデルにおいてSPA14アジュバント処理したFluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)ワクチン(+/-SPA14)の免疫原性を評価することであった。ここで、未処理のBALB/cマウスにおいて、SPA14アジュバント処理した季節性の四価インフルエンザワクチン(QIV)の免疫原性を評価した。
【0622】
I.材料および方法
マウスの群(n=8)を、SPA14またはAS01Bアジュバント処理したFluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)QIVで免疫化し、血球凝集抑制(HAIまたはHI)応答、生来の応答、およびTh1/Th2比に対して試験した。アジュバントを、市販の製剤と混合した。抗原、TLR4アゴニスト、およびQS21の最終量は、以下の表4および5に示した。
【0623】
試験は、D0に6~8週齢で、最小で20gの体重の雌のBALB/cマウスで実施した。動物は、28gのニードル、0.5mLのシリンジ(BD#329461)を使用して、右大腿部の筋肉に筋肉内経路を介して免疫化した。50μLの試験した組成物をマウスごとに注射した。
【0624】
【0625】
【0626】
生物学的サンプリング
21日目、試験した組成物の用量2を投与する前に、75μLの血液を下顎の出血を介して収集した。終末部血液を35日目に心臓穿刺によりゲルチューブに収集した。その後、室温で少なくとも30分間インキュベートした後、23℃で5分間、10000gで遠心分離した。上清をマイクロバイアルに等分し、-20℃の冷凍庫で保存した。
【0627】
赤血球凝集素阻害アッセイ:
血清を、RDE(RDE(II)「Seiken」(受容体破壊酵素)、カタログUCC-340-122、Accurate Chemical)で1:5希釈し、終夜(18~20時間)、37℃の水浴に設置した。血清を56℃で40分間、加熱不活化した。PBSとさらに1:2希釈を実施し、1:10の最終血清希釈を得た。シチメンチョウ赤血球(TRBC)を、0.75%TRBCをPBS/0.75%BSAに混合することにより製造した。抗原を、4血球凝集単位(HAU)を25μlに含有するようにPBS/0.75%BSAに希釈して、以下を確認した。96ウェルプレートの3列を50μlのPBSで充填した。2列の第1のウェルは、さらなる50μlのウイルスで充填し、2倍希釈において最終ウェルに滴定した。50マイクロリットル(50μl)のTRBCを添加し、プレートを振とうし、HAUを室温で1時間インキュベートした後に読み出した。
【0628】
96ウェルV底アッセイプレートの各ウェルを25μlのPBSで充填した。血清を、最上列に加え、2倍希釈でカラムを希釈した。各サンプルを二重に試験した。第2から最終カラムは、陽性対照の血清を含有し、最終カラムは、陰性対照(PBS)およびウイルス逆滴定を含有した。25μLのウイルスを、最終カラムを除いて各ウェルに添加した。プレートを振とうし、室温で1時間インキュベートした。次いで、50μLのTRBCを各ウェルに添加した後、1時間インキュベートし、その後血球凝集パターンを、わずかな角度でプレートを滴定することにより読み出した。
【0629】
本研究に対して、A/ミシガン/45/2015(H1N1)、A/香港/4801/2014(H3N2)、B/ブリスベン/60/2008を含む同種ウイルスパネル、ならびにA/シンガポール/INFIMH-16-0019/2016およびB/コロラド/06/2017株を含む同種ウイルスパネルは、卵で増殖した。
【0630】
Luminexベースのアッセイによる18-プレックスサイトカイン/ケモカイン評価
免疫化後のマウスで誘発したサイトカインプロファイルを、Milliplex MAPキット:マウス高感度T細胞磁性ビーズパネル(EMD Millipore:MHSTCMAG-70KPMX)を使用して、血清サイトカイン/ケモカインレベルの定量化により評価した。以下のサイトカイン/ケモカイン:GM-CSF、IFNγ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-17A、KC/CXCL1、LIX、MCP-1、MIP-2、およびTNF-αを定量化した。
【0631】
マウス高感度T細胞磁性ビーズパネルアッセイキットのアッセイプロトコルは、以下の通りであった。バイオセーフティキャビネットの中で、1ウェル当たり200μlの洗浄緩衝液を、キットに設けられた96ウェルプレートに分配した。プレートを設けられたプレートシーラーキットで被覆し、室温で10分間、500rpm~800rpmでの水平軌道プレート振とう機に設置した。洗浄緩衝液をデカントし、あらゆる残留液を吸収紙にタッピングした。25μLの血清マトリクスを、基準および対照のウェルに添加し;25μLのアッセイ緩衝液をサンプルウェルの各々に添加した。25μLの血清を各プレートの指定したウェルに添加した。
【0632】
サンプルを二重に評価した。50μLの基準および品質対照を適切なウェルに添加し、50μLの血清マトリクスをブランク(BL)のために使用した。予備混合した18-プレックスのビーズを、プレートに添加する前に1分間ボルテックスした。ビーズを、1ウェル当たり25μLのビーズを追加する前にピペットで上下に混合した。プレートを粘着型アルミニウムプレートシーラーで密封し、2~8℃で終夜、500rpm~800rpmでの水平軌道プレート振とう機でインキュベートした。
【0633】
次の日、Bio-Plex Wash Station Proを作動させ、プライミングした。主な機能は、洗浄ステーションチャネルを洗浄緩衝液で充填し、使用の前にあらゆる気泡を除去した。検出抗体およびストレプトアビジン-フィコエリスリンを、試薬が周囲温度に達するように、使用の30分前に2~8℃で保存から除去した。プレートを、「Mag 3×」洗浄プログラムを使用して3回洗浄した。25μLの検出抗体溶液を各ウェルに添加した。プレートを粘着型アルミニウムプレートシーラーで被覆し、室温で1時間、500rpm~800rpmでの水平軌道プレート振とう機でインキュベートした。
【0634】
Bio-Plex Luminexプレートリーダーシステムを、この検出抗体をインキュベートする間に較正した。公知の分析物の低濃度および高濃度のビーズセットを含む較正キットを使用して、機械が正確に作動し、較正キットとして定義されるセットパラメータ内で読み出していたことを測定した。インキュベートした後、25μLのストレプトアビジン-フィコエリスリンを各ウェル(洗浄なし)に添加した。プレートを粘着型アルミニウムプレートシーラーで密封し、室温で30分間、500rpm~800rpmでの水平軌道プレート振とう機でインキュベートした。プレートを、「Mag 3x」洗浄プログラムを使用して3回洗浄した。
【0635】
150μLのシース流体を全てのウェルに添加した。プレートを粘着型アルミニウムプレートシーラーで被覆し、2~8℃で少なくとも5分間、500rpm~800rpmでの水平軌道プレート振とう機で振とうして、ビーズの懸濁を確実にすることが可能である。プレートを読み出すためのプロトコルは、Bioplexマネージャーソフトウェアプロトコルにおいてサンプル、基準、および対照に対する希釈倍率でサンプルプレートマップを含んだ設定であった。サンプルの希釈倍率を、サンプルをアッセイ緩衝液で1:2に希釈するように、2に設定した。基準および対照の希釈も設定した。プレートを低いPMT RP1セッティングで、Bio-Plex Luminex200プレートリーダーまたはCS 1000(Perkin Elmer)で読み出した。
【0636】
ELISPOTによるIL-5およびINF-γサイトカイン評価
抗マウスIFN-γ(カタログ番号3321-3-1000、MABTECH)およびIL-5 mAbs(カタログ番号3391-3-1000、MABTECH)を、滅菌PBS pH7.4(カタログ番号10010023、Thermo Fisher Scientific)で15μg/mLに希釈し、96ウェルELISpot PVDF膜プレート(カタログ番号MSIPS4W10、EMD Millipore)を、4℃で終夜、100μL/ウェルのこれらの希釈したmAbsとコーティングした。
【0637】
各マウスの脾臓を、10mlの氷冷完全培地に採取し、均質化するためにGentleMACS Cチューブ(カタログ番号130-096-334、MACS Miltenyi Biotec)に移した。チューブを1,200rpmで6分間、遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを4mlのACK溶解緩衝液(カタログ番号A10492-01、Gibco)に再懸濁し、室温(RT)で3分間インキュベートして、赤血球を溶解した。細胞懸濁液を、40μmの細胞ストレーナー(カタログ番号352340、BD Falcon)を使用してろ過し、1,200rpmで6分間遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを10mLの完全培地で再懸濁した。
【0638】
再懸濁した細胞を、Guava溶液(カタログ番号4000-0041、EMD Millipore Co.)で1:20に希釈した。細胞数および生存率を、Guava(登録商標)easyCyte細胞カウンターを使用して決定し、細胞濃度は、1×107個の細胞/mL(5×105個の細胞/50μL/ウェル)に調節した。
【0639】
コーティング抗体溶液を除去し、プレートを200μL/ウェルの滅菌PBSで3回洗浄し、200μl/ウェルのブロッキング溶液(完全培地)をRTで2時間、プレートに添加した。
【0640】
刺激剤、組換えA/香港/4801/2014(H3N2)タンパク質、またはペプチドプール(特異的刺激)、およびCon A(陽性対照)を含む溶液を、最終濃度の2倍に完全培地で希釈した。組換えタンパク質の最終濃度は5μg/mLであった。ペプチドプールは122個のペプチドを含有した。各ペプチドの長さは、11個のアミノ酸が重複した15個のアミノ酸であった。各ペプチドの最終濃度は2μg/mLであった。Con Aの濃度は2.5μg/mlであった。完全培地は陰性対照として使用した。ブロッキング溶液で2時間インキュベートした後、プレートを空にし、50μLの希釈した刺激剤と、続く50μLの細胞懸濁液を添加し、プレートの側面を穏やかにタッピングすることにより混合した。次いで、プレートを、5%CO2を供給した37℃で20時間インキュベートした。
【0641】
細胞をプレートから除去し、200μL/ウェルの水を添加し、プレートをRTで3分間インキュベートしてプレートに付着した細胞を溶解した。次いで、プレートを200μL/ウェルのPBSで5回洗浄し、完全培地で希釈した100μL/ウェルの1μg/mLのビオチン化抗マウスIFN-γ(カタログ番号3321-6-1000、MABTECH)またはIL-5 mAbs(カタログ番号3391-6-1000、MABTECH)を添加した。プレートをRTで2時間インキュベートし、次いで200μl/ウェルのPBSで5回洗浄した。100μl/ウェルの1:1000希釈したアルカリホスファターゼ結合ストレプトアビジン(カタログ番号7100-04、SouthernBiotech)を、プレートに添加し、RTで1時間インキュベートした。プレートを200μl/ウェルのPBSで5回洗浄し、100μl/ウェルのNBT/BCIP基質溶液(カタログ番号P134042、Thermo Fisher Scientific)を、発色現象するために添加した。プレートをRTで暗室において、30分間またはスポットが生じるまでインキュベートした。プレートを水で5回すすぎ、RTで24時間、暗室において空気乾燥した。スポットを計数し、CTL-Immunospotプレートリーダー(ImmunoSpot7.0.23.2 Analyzer Professional DC\ImmunoSpot 7、Cellular Technology Limited)およびソフトウェア(CTL Switchboard2.7.2)を使用して解析した。100万個当たりのスポット形成細胞の数を報告した。
【0642】
データ解析
HAI力価に対して:
この目的は、136個のマウス血清(136個の血清×3つのウイルス株;136個の血清×2つのウイルス株)に対して、同種(ミシガン/2015、香港/2014、ブリスベン/2008)および異種(シンガポール/2016、コロラド/2017)インフルエンザ株に対するHAI力価を決定することであった。D35時点で得られた個々の動物血清は、全ての処置群に対するHAIに対して試験した。HAI力価をlog2変換し、群による計算手段に対する記述分析を、同種(ミシガン/2015、香港/2014、ブリスベン/2008)ならびに異種(A/シンガポール/INFIMH-16-0019/2016およびB/コロラド/06/2017)インフルエンザ株に対して実施した。検出限界未満の値(<10)は、log2変換する前に限界の半分の値で置き換えた。
【0643】
サイトカイン評価に対して:
9つの群(8匹の動物/群)は、マウス高感度T細胞磁性ビーズパネルキット(EMD Millipore)で試験した。このキットは18個の分析物を評価した。事前採血群は、限定した数の動物から免疫化の4日前に収集した。したがって、一対の事前採血および免疫化の6時間後のサンプルは存在しない。事前採血サンプルは、解析に関して別個の群として処置した。
【0644】
サンプル、対照、および基準に対する平均蛍光強度(MFI)値を、Bio-Plex Luminex200プレートリーダー(Biorad)またはCS 1000(Perkin Elmer)を使用して測定した。データは、Bio-Plexマネージャソフトウェアを使用して解析した。品質対照に対する承認基準は、高低両方の品質対照に対する計算した濃度が、製造者が設定したロット特異的な濃度範囲内にあることであった。対照値が範囲内であった場合、対照は合格し、アッセイ結果は認められた。5パラメータロジスティック回帰曲線を、Bio-Plexマネージャソフトウェアを使用してプロットした。各サンプルに特異的なサイトカイン濃度を、標準曲線から補間し、pg/mlで報告した。各サイトカインに対してアッセイキットパラメータ/製造者が設定した定量化の限界(LOQ)未満であった、または「OOR≦範囲外より低い」であったといういずれの結果も、解析に対するアッセイのLOQ値によって変化した。
【0645】
II.結果
SPA14では、機能的HAアッセイでモニタリングした通り、抗原特異的抗体の高い力価を誘発することにより免疫原性を向上させることが見出された。同種HI力価の上昇は、全てのアジュバント処理したワクチン群で顕著であった。
【0646】
SPA14はまた、本研究で試験したH3およびB異種ウイルスに対するFluzone(登録商標)ワクチン接種群において異種HAI力価を向上させた。SPA14は、Th1応答へと応答をシフトした。加えて、2つのアジュバントは、アジュバント処理していない製剤と比較して、IFNγ、IL-5、TNFα、MCP-1、KC、およびIL-6の分析物での測定可能な上昇をもたらした。SPA14の実施は、AS01Bに匹敵した。
【0647】
SPA14アジュバント処理したFluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)ワクチンを伴う免疫原性
SPA14アジュバント処理したFluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)QIV(+/-SPA14)の同種および異種免疫応答を誘発する能力を、BALB/cマウスにおいて評価した。その目的のために、8匹の雌のBALB/cマウスの25個の群を、商用のFluzone(登録商標)およびFlublok(登録商標)季節性インフルエンザワクチンでのIM経路により、3週間あけて(D0およびD21に)2回免疫化した。Fluzone(登録商標)ワクチンに対して0.1μgおよび0.5μgのHAならびにFlublok(登録商標)ワクチンに対して0.1μgおよび1.0μgのHAの用量は、SPA14アジュバントの免疫原性を評価するために選択した。
【0648】
対照群は、H3A/香港/4801/2014株由来の0.5μg投与量の組換えHA(rHA)を受けた(n=8匹のマウス)。免疫化の35日後の動物で誘起した血清学的抗体応答は、インフルエンザ株の同種パネル[A株:A/ミシガン/45/2015(H1N1)、A/香港/4801/2014(H3N2);B株:B/ブリスベン/60/2008(ビクトリア系統)]ならびに異種パネル(A/シンガポール/INFIMH-16-0019/2016およびB/コロラド/06/2017)に対してニワトリ赤血球(RBC)で実施したHAIアッセイで測定した。
【0649】
図5の結果では、A/香港/4801/2014(H3N2)株に対するFluzone(登録商標)QIV(0.1μgのHA(
図5のFZ 0.1)および0.5μgのHA(
図5のFZ 0.5))で得られる予備的なHAI力価が図示された。Fluzone(登録商標)QIV(0.1および0.5μgのHA)の両方の用量で、アジュバントSPA14およびAS01Bは、抗原単独と比較した場合、HAI力価を向上させた。Fluzone(登録商標)QIVで得られるこれらの結果に基づいて、本発明者らは、同種および異種インフルエンザ株の拡大パネルに対するその後の試験に対してより高用量の0.5μgのHAを選んだ。
【0650】
Fluzone(登録商標)QIV(0.5μgのHA)(
図6のFZ 0.5)に対して
図6で図示した結果では、アジュバントSPA14およびAS01Bの両方が、3つの同種株に対して単独での抗原と比較した場合、HAI力価を向上させたことが示された。SPA14およびAS01Bアジュバントはまた、異種株(シンガポール/2016およびコロラド)と交差反応することが可能なHAI力価も向上させた。Fluzone(登録商標)QIVで得られる結果では、SPA14がAS01Bと同様に実施したことが示された。
【0651】
Flublok(登録商標)QIV(1μgのHA)(
図7のFB 1)に対して
図7で図示した結果では、アジュバントSPA14およびAS01Bの両方が、A/ミシガン/45/2015(H1N1)およびブリスベン株に対して単独での抗原と比較した場合、HAI力価を向上させたことが示された。
【0652】
予想した通り、抗体応答は、異種株に対して単独でのSPA14およびAS01Bアジュバントで誘発されなかった。
【0653】
SPA14アジュバント処理したワクチンに対する生来のサイトカイン応答
免疫化の6時間後の免疫化した動物の血清で評価した
図8におけるサイトカイン/ケモカインプロファイリングでは、Fluzone(登録商標)(
図8のFzon)およびFlublok(登録商標)(
図8のFblok)アジュバント処理した製剤での免疫化に応答してIFNγ、IL-5、TNFα、MCP-1、KC、およびIL-6分泌の測定可能な上昇が実証された。アジュバント処理していない製剤での免疫化により、事前採血と類似したプロファイルが得られた。SPA14およびAS01Bアジュバントは、Flublok(登録商標)と使用した場合、サイトカイン応答の類似した上昇を誘発した。類似したまたは明らかに高い応答は、Fluzone(登録商標)を含むAS01BおよびSPA14で観察された。
【0654】
SPA14アジュバント処理したワクチンに対する適用性細胞応答
Th1(IFNg)/Th2(IL-5)サイトカイン分泌は、ブースト免疫(35日目)の2週間後、免疫化したマウスの脾細胞で評価した。ELISpotで測定する通り、マウスを単独で免疫化したFluzone(登録商標)またはFlublok(登録商標)では、低いTh1/Th2比が実証されたが、SPA14の追加は、抗原単独の群と比較してTh1/Th2比を著しく高めた。AS01Bアジュバントは、SPA14群と比較してTh1/Th2サイトカイン応答比を著しく高めた(
図9)。AS01Bと比較して、SPA14は、よりバランスの取れたTh1/Th2サイトカイン分極化を誘発した。
【実施例7】
【0655】
マウスに投与したヒトサイトメガロウイルス(hCMV)抗原でのE6020-QS21含有リポソームのアジュバント処理効果およびGlaxoSmithKline(GSK)のアジュバントAS01Bで引き起こされる免疫応答プロファイルとの比較
SPA14と即時的に混合したヒトサイトメガロウイルス(hCMV)由来の組換えタンパク質を使用する免疫原性研究を実施して、未処置のC57BL/6マウスにおけるアジュバント製剤の利点を試験した。GlaxoSmithKlineのアジュバントAS01B(GSK AS01B)を使用して、同じ研究でSPA14およびAS01Bで誘起した免疫応答のプロファイルを比較した。hCMV由来のgH/gL/UL128/UL130/UL131タンパク質を含有する糖タンパク質B(gB)および五量体を抗原として使用した。
【0656】
本研究の目的は、SPA14アジュバント処理したgBおよび五量体ワクチン(+/-SPA14)で誘起した抗体およびエフェクター細胞免疫応答を評価し、未処理のC57Bl/6マウスでの同じプロトコルデザインおよび実験条件下で、AS01Bアジュバント処理したgBおよび五量体ワクチンで得られるものと比較することであった。
【0657】
マウスの群(n=8)を、D0およびD21に、SPA14アジュバント処理したまたはAS01Bアジュバント処理したhCMV gBおよび五量体で免疫化し、上皮ARP-19および線維芽細胞MRC-5細胞株、gBおよび五量体に特異的なIgG1およびIgG2c分泌性B細胞(ASC)、ならびにgBおよび五量体に特異的なTヘルパー細胞応答(Th1/Th2)で血清中和ウイルス活性(SN)に対して試験した。
【0658】
血液および脾臓細胞サンプルを、D20でのプライミングの3週間後、および免疫読出し解析に対してD35でのブーストの2週間後に採取した。
【0659】
I.材料および方法
動物の情報
6~8週齢の雌のC57BL/6マウスは、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ、Saint Germain sur l’Arbresle、フランスにより提供され、AAALAC認可条件にしたがってSanofi Pasteur施設(Marcy L’Etoile、フランス)に収容した。本研究は、Sanofi Pasteurの倫理委員会(Marcy L’Etoile、フランス)が審査した。全ての実験は、2013年の2月7日のフランス官報で出版されたEuropean Directive2010/63/UEにしたがって行った。
【0660】
D0に最小で20gの体重の動物は、D0にプライミングし、28gのニードル、0.5mLのシリンジ(BD#329461)を使用してD21に筋肉内経路投与(IM)を介して右大腿部の筋肉にブーストした。50μLの試験した組成物を、1注射当たりマウスごとに投与した。
【0661】
中間の血液サンプリングを、各マウスに対してD20に実施し、血液および脾臓サンプルを、各マウスからD35でのブースト後に採取した。
【0662】
アジュバント製剤、抗原、およびワクチン組成物を、以下の表6に示すように製造した。
【0663】
【0664】
生物学的サンプリングおよび分析試験
血清製造に対する血液サンプリング
中間の血液サンプル(およそ200μL)を、イソフルレンでわずかに麻酔したマウスの下顎の静脈からD20でのプライミング後に収集した。D35に血液サンプルを、深麻酔下に心臓穿刺(およそ1mL)で収集した。血液サンプルを、凝固活性化因子およびセパレーターのゲル(BD、メラン、フランス)を含むVacutainerチューブに収集した。5±3℃に終夜とどめた後、チューブを20分間、2600gで遠心分離して、細胞から血清を分離した。血清を100μLのアリコートにおけるディープウェルプレートに移し、56℃で30分間、加熱不活化した。サンプルを、ELISAおよび中和アッセイで使用するまで-20℃で保存した。
【0665】
脾臓細胞単離に対する脾臓サンプリング
B細胞およびT細胞のELISpotアッセイに対して、免疫化した各マウス由来の脾臓を、RPMI(ロズウェルパーク記念研究所培地)を含有する滅菌チューブに収集した。できるだけ早く、脾臓を、GentleMACS(Mylteni Biotech)を使用して機械的に分離し、4℃で10分間、500gで50mLのFalconチューブにおいて遠心分離し、上清を廃棄した。1つのマウス脾臓に対応する各細胞ペレットを、1mLの赤血球溶解緩衝液(R7757 Sigma-Aldrich)で再懸濁し、1分間穏やかに混合した。溶解反応を氷で停止し、次いで20mLの冷却したRPMI緩衝液をペレットごとに添加した。Falconチューブを7分間、500gで遠心分離し、上清を廃棄した。脾臓細胞を、10%FCSを含有するRPMI完全緩衝液で希釈し、ELISpotアッセイで使用する前に細胞係数のために製造した。
【0666】
ARPE-19上皮細胞株でのhCMV中和抗体の検出のためのhCMVプラーク減少中和試験(PRNT50)
免疫化したマウス由来の血清中の中和抗体は、プラーク減少血清中和試験を使用して滴定した。アッセイは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のヒトの上皮および線維芽細胞に感染する能力に基づいた。簡潔には、2.5×104個の上皮ARPE-19細胞を、マイクロ中和(MN)アッセイの前日に96ウェルダークプレートに分配した。その使用の前に、各免疫化したマウスからD20およびD35に収集した血清サンプルは、最初に56℃で30分間、加熱不活化し、-20℃で保存した。中和アッセイのD日目、加熱不活化した血清を、室温(20~25℃)でゆっくり解凍し、96ディープウェルプレートで1/10から1/10240に開始する、DMEM/F12 1%FBSでの2倍連続希釈し、37℃で60分間、5%CO2細胞培養インキュベーターで、4.2log10FFU/mlのBADrUL131-Y4 CMVウイルス株(力価5.63log10FFU/ml)とインキュベートした。異なる希釈の血清/ウイルス混合物を、ARPE-19細胞培養に最終的に移し、37℃で4日間、5%CO2でインキュベートした。D4に、培養上清を除去し、ARPE-19細胞を、20~25℃で1時間、PBS中の100μL/ウェルの1%ホルモルで固定した。プレートを、Microvision蛍光プレートリーダーでの解析の前に、PBS 1×で3回洗浄し、20~25℃で空気乾燥した。感染した蛍光細胞は、各ウェルで列挙した。対照として、細胞を、ウイルスを含まない培養培地で二重にインキュベートのみを行った。プレート当たり6つのウェルでの感染の対照として、細胞を、4.2log10FFU/mLでウイルス希釈の初期の半分の濃度で感染させた。感染した細胞を含まない2つのウェルの平均は、血清中和の閾値を定義した。二分の一のウイルス用量に感染した細胞を含有する6つのウェルにおける蛍光の平均値は、感染の特異的シグナルの50%を定義した。各血清に対して、中和エンドポイント力価は、計算した特異的シグナル値(μPRNT50)の50%未満に低下した最後の希釈の逆数、すなわち計算した特異的シグナル値の50%より少なく感染した細胞を誘発した最後の希釈として定義した。各サンプルに対して、力価は、4パラメータロジスティック曲線を使用して決定した。幾何平均の中和抗体力価は、各群に対して計算した。
【0667】
類似したプロトコルは、線維芽細胞MRC-5細胞株でのPRNT50アッセイで使用した。簡潔には、2.5×104個のMRC-5細胞を、マイクロ中和アッセイの前日に96ウェルダークプレートに分配した。加熱不活化した血清を、96ディープウェルプレートで1/10から1/10240に開始する、DMEM/F12 1%FBSでの2倍連続希釈し、10%のベビーウサギ補体存在下、37℃で60分間、5%CO2細胞培養インキュベーターで、4.2log10FFU/mLのBADrUL131Y4 CMVウイルス株(力価5.63log10FFU/ml)とインキュベートした。次いで、異なる希釈の血清/ウイルス混合物を、MRC-5細胞培養に移し、37℃で3日間、5%CO2でインキュベートした。D3に、培養上清を除去し、MRC-5細胞を、室温で1時間、PBS中の100μl/ウェルの1%ホルモルで固定した。中和抗体力価(μPRNT50)を、ARPE-19細胞株に対して上で先に記載したように決定した。
【0668】
注:ARPE-19細胞株でのプラーク減少中和アッセイは、抗原gBおよび五量体の両方で誘起した中和抗体活性を反映した一方、MRC-5細胞株でのプラーク減少中和アッセイは、むしろgBで誘起した中和抗体活性を反映した。
【0669】
hCMV gBおよび五量体特異的IgG1およびIgG2c分泌性B細胞のELISpot
蛍光結合免疫スポット(蛍光SPOT)アッセイを、hCMV gBおよび五量体抗原(IgG1、IgG2c、IgG)に特異的な個々の抗体を分泌するB細胞(ASC)を検出し、数え上げるのに使用し、抗原特異性に関係なくASCを分泌する総IgGと比較した。
【0670】
蛍光性の低いPVDF膜を備えた蛍光SPOTプレートを、1分間、35%エタノールで予め湿潤させ、滅菌水、次いでPBS 1×で洗浄し、5±3℃で終夜、10μg/mLのhCMV gBもしくは10μg/mLのhCMV五量体、または捕捉mAb(10μg/mLのKDL)の混合物のいずれかでコーティングした。
【0671】
96ウェルのIPFL底マイクロプレート(Multiscreen)の膜を、最初に室温で25μLの35%エタノールで予め湿潤させ、処置の1分後に除去した。200μL/ウェルのPBS 1×で洗浄した後、マクロプレートを、hCMVgB抗原もしくはhCMV五量体(10μg/ml)、または無関係のマウスIgG抗体(10μg/ml、KPL)のいずれかでコーティングした。プレートをPBSで洗浄し、37℃で2時間、完全培地RPMI 10%FBSで遮断した。PBSで洗浄した後、免疫化したマウス由来の5×105個の新たに単離した脾臓細胞を、ウェルごとにプレーティングし、37℃で5時間、5%CO2インキュベーターでインキュベートした。PBS 1×Tween20 0.05%で3回洗浄し、PBS 1×で6回洗浄した後、プレートを37℃で2時間、100μL/ウェルの抗マウスIgG1 PE(4μg/mL)、抗マウスIgG2c FITC(2μg/mL)、または抗マウス総IgG(0.5μg/mL)検出mAbでインキュベートした。PBSで洗浄した後、蛍光スポットを、自動化スポットリーダー(Microvision)で数え上げた。
【0672】
hCMV gBおよび五量体特異的IFNγおよびIL-5分泌性T細胞のELISpot
蛍光SPOTアッセイを、IFN-γまたはIL-5サイトカインのいずれかを分泌する個々の細胞の検出および数え上げに使用した。簡潔には、Multiscreen(商標)96ウェルIPFLプレート(Millipore)を、20~25℃で1分間、25μLの35%エタノールで予め湿潤させ、滅菌水で洗浄し、PBS 1×で2回洗浄した。次いで、プレートを5±3℃で終夜、それぞれ1/100および1/50で希釈したラット抗マウスIFN-γまたはラット抗マウスIL-5 mAb(10μg/ml、Pharmingen)のウェル当たり100μLでコーティングした。ウェル当たり200μLの滅菌PBS 1×で3回プレート洗浄した後、飽和の工程を、37℃で2時間、200μLの完全培地(10%ウシ胎児血清、200mM L-グルタミン、100U/mlのペニシリンおよび10μg/mlを含有するロズウェルパーク記念研究所培地)で実施した。プレート洗浄した後、5×105個の新たに単離した脾臓細胞をウェルごとに添加し、マウスIL-2(10U/ml)の存在下、陽性対照としてhCMV gB抗原(0.1μg/mL)、hCMV五量体抗原(0.1μg/mL)、またはコンカナバリンA(Con A、2.5μg/mL)で終夜インキュベートした。
【0673】
PBS 1×BSA0.1%(ウェル当たり200μL)で6回洗浄した後、PBS 1×BSA0.1%での1μg/mLの濃度で使用したビオチン化抗マウスIFN-γまたは抗マウスIL5抗体を添加し(ウェル当たり100μL)、20~25℃で2時間、暗室でインキュベートした。PBS 1×BSA0.1%で3回洗浄した後、PBS 1×BSA0.1%中の100μLのストレプトアビジンPE(1μg/mL)をウェルごとに添加し、20~25℃で1時間、暗室でインキュベートした。プレートを、PBS 0.25%BSAでさらに6回洗浄した。最終的に、プレートの背部を取り外し、ウェル下部を滅菌水で迅速にすすいだ。プレートを空気乾燥し、読み出すまで暗室で保存した。IFNγまたはIL-5の単一のプロデューサー細胞に対応する各スポットを、Cy3およびFITC蛍光に対するフィルターを備えた蛍光プレートリーダー(Microvision)で数え上げた。結果は、106個の脾臓細胞当たりのIFN-γまたはIL-5分泌性細胞の数として表した。
【0674】
II.結果
AS01Bと類似したhCMV中和抗体力価を誘起したhCMV gBおよび五量体タンパク質で製剤化したSPA14
SPA14アジュバント処理したhCMV gBおよび五量体タンパク質の血清中和応答を誘発する能力は、C57BL/6マウスで評価した。その目的のために、8匹の雌のC57BL/6マウスの3つの群を、0日目(D0)およびD21と3週間あけて、IM経路により、2μgの各組換えタンパク質、hCMV gB、および五量体で2回免疫化した。タンパク質を、アジュバントなしに投与した、またはSPA14もしくはAS01Bのいずれかで製剤化したが、その組成は、実施例3に記載されている。
【0675】
AS01Bは、ベンチマークアジュバントとして使用した。第1の注射(D20)の20日後、および第2の注射(D35)の14日後に免疫化した動物で誘起した中和抗体応答を、ヒトBADrUL131-Y4 CMVウイルス株のヒトの線維芽細胞および上皮細胞の両方に感染する能力に基づいて、それぞれ補体を伴うまたは伴わずに、プラーク減少中和アッセイを使用して測定した。
【0676】
図10Aおよび10Bの結果では、アジュバントなしのhCMV gBおよび五量体タンパク質が、線維芽細胞(MRC-5)または上皮(ARPE-19)細胞株の両方で測定した、プライミング後およびブースト後のBADrUL131-Y4 CMVウイルス血清中和抗体(SN Ab)を誘発しない、または低レベルで誘発することが示された。
【0677】
著しいアジュバント効果は、BADrUL131-Y4 CMVウイルス中和抗体でのSPA14およびAS01Bで測定し、両細胞株においてアジュバント未処理群のhCMV gBおよび五量体と比較して、ブースト後で主に観察された(p値<0.0001)。
【0678】
さらに、著しいブースト効果は、D20からD35まで中和抗体力価のおよそ2Logの増加を伴うSPA14およびAS01Bでのアジュバント処理群で測定した(p<0.0001)。
【0679】
補体なしのARPE-19上皮細胞株(
図10A)では、gBおよび五量体の両方で誘発した中和抗体の代表値、中和力価の幾何平均(GMT)は、SPA14で3.75Log
10に、AS01Bで3.98Log
10に達したが、1.82Log
10のGMTは、アジュバント未処理群で決定した。類似した結果は、gBで主に誘発した中和抗体力価を反映する、補体存在下のMRC-5線維芽細胞株(
図10B)で得られ、中和Ab力価の幾何平均(GMT)は、SPA14で3.84Log
10、AS01Bで4.05Log
10と観察されたが、1.3Log
10のGMTは、アジュバント未処理群で観察された。
【0680】
差なし(ns)は、プライミング後D21およびブースト後D35に、SPA14で製剤化したhCMV gBおよび五量体、ならびにAS01Bで製剤化したgBおよび五量体で誘発した中和抗体力価で測定された。
【0681】
gBおよび五量体タンパク質で製剤化したSPA14は、アジュバント未処理群と比較してD35にgBおよび五量体特異的IgG1およびIgG2c分泌性B細胞(ASC)を引き起こした
SPA14アジュバント処理したhCMV gBおよび五量体タンパク質の両hCMV抗原に特異的なIgG1およびIgG2c分泌性B細胞(ASC)を誘発する能力を、C57BL/6マウスで評価した。その目的のために、8匹の雌のC57BL/6マウスの3つの群をD0およびD21と3週間あけて、IM経路により、2μgの各組換えタンパク質、hCMV gB、および五量体で2回免疫化した。組換えタンパク質を、アジュバントなしで、またはSPA14もしくはAS01Bのいずれかで製剤化して投与した。gBまたは五量体に特異的なIgG1およびIgG2c分泌性B細胞(ASC)は、免疫化したマウスからD35に収集した脾臓細胞で、蛍光SPOTで評価した(
図11A~D)。
【0682】
SPA14は、アジュバント未処理群と比較して、gBおよび五量体に特異的なIgG1およびIgG2c ASCの著しく高い頻度を誘発した(p<0.001)。
【0683】
実際に、SPA14アジュバント処理群で測定した具体的なASCの数は、gBに特異的なIgG2c分泌性B細胞に対して42個のスポット/106個の細胞およびIgG1分泌性B細胞に対して83個のスポット/106個の細胞、五量体に特異的なIgG2c分泌性B細胞に対して25個のスポット/106個の細胞およびIgG1分泌性B細胞に対して105個のスポット/106個の細胞の幾何平均値で中程度であった。
【0684】
同様に、AS01Bは、gBおよび五量体に特異的なIgG1およびIgG2c-ASC数の中程度の頻度を誘発したが、これらの細胞頻度は、アジュバント未処理群で測定したものより著しく高かった(p<0.001)。
【0685】
興味深いことに、データはまた、AS01Bが、SPA14と比較して抗gB IgG2c-ASC(p=0.005)および抗五量体IgG2c-ASC(p=0.002)の頻度を著しく向上させ、gB(p=0.024)および五量体(p=0.011)に対して著しく高いIgG2c/IgG1分泌性B細胞比をもたらすことを示した。
【0686】
結論として、SPA14は、よりTh1で歪んだ抗体応答を著しく誘発したAS01Bよりバランスの取れたTh1/Th2免疫応答をもたらした。
【0687】
gBおよび五量体タンパク質で製剤化したSPA14は、アジュバント未処理群と比較して、D35にgBに特異的な低いIFN-γ分泌性細胞だが、五量体に特異的な高いIFN-γ分泌性細胞を誘起した
SPA14アジュバント処理したhCMV gBおよび五量体タンパク質のgBおよび五量体に特異的なIFN-γおよびIL-5分泌性細胞を誘発する能力は、C57BL/6マウスで評価した。その目的のために、8匹の雌のC57BL/6マウスの3つの群を、0日目(D0)およびD21と3週間あけて、IM経路により、2μgのgBおよび五量体で2回免疫化した。組換えタンパク質を、アジュバントなしで、またはSPA14もしくはAS01Bのいずれかで製剤化して投与した。
【0688】
IFN-γおよびIL-5分泌性細胞は、免疫化したマウスからD35に収集した新たな脾臓細胞の蛍光SPOTで評価した(
図12)。
【0689】
アジュバント処理しないgBおよび五量体で免疫化したマウスでは、gBに特異的なIFN-γおよびIL-5分泌性細胞ならびに五量体に特異的なIFN-γ分泌性細胞は検出しなかった。非アジュバント群では、少ないが測定可能な五量体に特異的なIL-5分泌性細胞数を検出した(106個の脾臓細胞当たり54個のスポット)。
【0690】
図12A、12B、および12Cに記載のgBでのex vivoの脾臓細胞の刺激に関するデータでは、SPA14が、アジュバント未処理群と比較して著しく高いIFN-γ分泌性細胞の頻度を誘発した(p=0.003)が、SPA14の著しいアジュバント効果が、IL-5分泌性細胞数で測定されなかったことが示された。さらに、IFN-γ分泌性細胞の頻度の増加は、IFN-γおよびIL-5分泌性細胞の比に影響を及ぼさなかった(p=0.074;ns)が、1を超える比は、歪んだTh1応答の代表的なものであった(データは示さず)。
【0691】
図12D、12E、および12Fに記載の五量体でのex vivoの脾臓細胞の刺激に関するデータでは、SPA14が、10
6個の脾臓細胞当たり9個のスポットのGM値のアジュバント未処理群と比較して、10
6個の脾臓細胞当たり321個のスポットのGM値で、著しく高いIFN-γ分泌性細胞数を誘発した(p<0.001)ことが示された。SPA14の著しいアジュバント効果は、五量体に特異的なIL-5分泌性細胞数で測定されなかった。これらの結果は、アジュバント未処理群と比較してSPA14を含む五量体を対象とする、りTh1で歪んだ免疫応答を反映する、アジュバント未処理群と比較してIFN-γおよびIL-5分泌性細胞比の著しい増加に相関した(p<0.001)(SPA14対アジュバント未処理の比データは示さず)。
【0692】
図12における結果では、AS01Bが、D35にアジュバント未処理群と比較してgBおよび五量体の両方に特異的な著しく高いIFN-γ分泌性細胞数を誘発した(p≦0.001)ことが示された。AS01Bの著しいアジュバント効果は、gBに特異的なIL-5分泌性細胞数で測定されなかったが、AS01Bは、10
6個の細胞当たり54個のスポットのGM値を提示するアジュバント未処理群と比較して、10
6個の細胞当たり11個のスポットのGM値で五量体に特異的なIL-5分泌性細胞数の著しい減少を誘発した(p<0.001)。
【0693】
これらをまとめると、データでは、アジュバント処理しないgBおよび五量体と比較してAS01Bを含むhCMV抗原を対象とする、よりTh1で歪んだ免疫応答を反映する、アジュバント未処理群と比較してgBまたは五量体のいずれかに特異的なIFN-γおよびIL-5分泌性細胞比の著しい増加が実証された(p<0.001)(AS01B対アジュバント未処理群の比データは示さず)。
【0694】
2つのアジュバント処理群の比較では、SPA14が、AS01Bと比較してgBに特異的な著しく低いIFN-γ分泌性細胞数を誘起した(p=0.001)が、類似した数の五量体に特異的なIFN-γ分泌性細胞を誘発したことが示された。SPA14で観察される通り、AS01Bは、gBに特異的な特異的IL-5分泌性細胞を誘発しなかったが、興味深いことに、SPA14は、AS01Bより著しく高い五量体に特異的なIL-5分泌性細胞を引き起こした(p=0.02)。
【0695】
これらをまとめると、データでは、SPA14がAS01Bよりバランスの取れたTh1/Th2応答を誘起したことが示された。
【0696】
III.結論
C57BL/6マウスでは、hCMV gBおよび五量体で製剤化したSPA14は、高い体液性および細胞免疫応答を誘起した。SPA14は、AS01Bで誘発したものと類似した上皮細胞(補体なし)および線維芽細胞(補体あり)の両方、両hCMV抗原に特異的なIgG1およびIgG2c分泌性エフェクター細胞、gBに特異的なIFN-γおよびIL-5分泌性細胞、ならびに主に五量体に特異的なIFN-γ分泌性細胞でのhCMVに対して高い血清中和抗体力価を誘起した。
【0697】
結果では、SPA14がhCMV gBおよび五量体に対する混合したTh1/Th2免疫プロファイルを誘起したが、AS01Bがより高い特異的IgG2c分泌性B細胞およびIFN-γ分泌性T細胞の頻度を誘起する、よりTh1で歪んだ免疫応答を引き起こすことが実証された。
【実施例8】
【0698】
カニクイザルに投与したRSVプレF-フェリチン抗原でのE6020-QS21含有リポソームのアジュバント処理効果
本研究は、未処理のカニクイザルモデルにおいて、アジュバント処理したRSVプレF-フェリチン対アジュバント処理していないRSVプレF-フェリチンワクチンの免疫原性を評価した。プレF-フェリチンは、CHO細胞で生成され、前融合立体配座で遮断され、自己集合性ヘリコバクター・ピロリフェリチン部分に融合したRSV-F糖タンパク質からなる組換えタンパク質抗原の粒子である(Swansonら、Sci Immunol.2020年;5(47))。1つのアジュバントは、SPA14(リポソーム+QS21+E6020)で試験した。
【0699】
8匹のカニクイザル(4匹の雄および4匹の雌)を使用し、4匹の動物(2匹の雄および2匹の雌)の2つの群に割り当てた。
【0700】
0日目および28日目に、トータルで2つのRSVワクチン候補を、三角筋での筋肉内注射を通して評価した(動物群当たり1つの製剤)。サンプルを、5か月にわたる免疫化前後の異なる時点で採取した(血清およびPBMC)。
【0701】
SPA14アジュバント処理したプレF-フェリチンのみが、49日目(用量2の3週間後)にピークとなるRSV-A2中和抗体を誘発した。重要なことに、アジュバント処理したRSVプレF-フェリチン製剤は、RSV-B株(ATCC 18537)に対して交差中和抗体を誘発した。雌雄間で差は観察されなかった。血清の中和抗体応答は、用量2の後の5か月間を通して検出可能なままであり、応答寿命を示した。
【0702】
SPA14アジュバント処理したプレF-フェリチンはまた、F特異的記憶IgG分泌性細胞を誘発することを示した。
【0703】
高レベルのRSV F特異的T細胞IFNγ/IL-2 ELISpot応答は、アジュバント未処理群と比較してSPA14アジュバント処理した製剤で著しく誘発し、TH1型応答を示した。
【0704】
I.材料および方法
動物の情報
24~30か月のカニクイザル(Macaca fascicularis、Noveprim)を、Cynbiose、SA(Marcy l’Etoile、フランス)に収容した。本研究は、Animal Welfare Body of Cynbiose and the Ethics Committee of VetAgro-Sup(1 avenue Bourgelat,69280 Marcy l’Etoile,France)が審査し、番号1633-V3(MESR番号:2016071517212815)で承認された。全ての実験は、2013年の2月7日のフランス官報で出版されたEuropean Directive2010/63/UEにしたがって行った。
【0705】
試験した組成物および投与量は、以下の表7に示した。
【0706】
【0707】
生物学的サンプリングおよび分析試験
血清製造のための血液サンプリング
血清製造のための血液サンプルを、意識のある動物の大腿静脈から静脈穿刺により収集した。動物当たりおよそ4mLを、以下の通り:D12(ベースライン)、D13、D28(用量2の前)、D49、D63、D91、D119、D149、およびD163に、凝固活性化因子およびセパレーターのゲル(Vacutainer(登録商標)SST(商標)II Advance、ref:367955、Becton Dickinson)を含むチューブにサンプリングした。
【0708】
+2℃~+8℃の範囲の温度で血液サンプルを終夜保存した後、血清を+4℃で20分間、2000×gでの遠心分離により抽出した。血清の少なくとも4つの300μLのアリコートを、各動物から製造し、2型の層流キャビネット下のクライオチューブに調整した。
【0709】
抹消血液単核細胞(PBMC)単離のための血液サンプリング
PBMC単離のための血液サンプルを、大腿静脈から静脈穿刺により収集した。動物当たりおよそ12mLを、6mLのナトリウム-ヘパリンチューブ(Vacutainer(登録商標)、ref:367876、Becton Dickinson)にサンプリングした。
【0710】
この操作を、以下の通り:D12(ベースライン)、D7、D35、D119、およびD161に、意識のある動物に実施した。
【0711】
全身性RSV F特異的IgG ELISA
RSV-F特異的抗体力価を、手動でのELISAで試験した。簡潔には、マイクロタイタープレート(Dynex、Nunc)を、重炭酸塩緩衝液(Sigma、カタログC3041-100CAP)中の1μg/mLのRSV Fタンパク質(SinoBiologicals、カタログ11049-V08B)でコーティングした。プレートを4℃で終夜インキュベートし、次いで1時間、PBS-Tween0.05%-ミルク5%で遮断した。血清を、コーティングしたプレートでPBS-Tween0.05%-ミルク5%で連続希釈した。37℃での1時間30分のインキュベートの後、洗浄プレート(PBS-Tween0.05%を含む)を、37℃で1時間30分間、1:10000希釈したヤギ抗サルIgG-HRP(Biorad、カタログAAI42P)でインキュベートした。プレートを洗浄し、RTで30分間、暗室で、テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Tebu-bio、カタログTMB 100-1000)でインキュベートした。比色分析反応を、ウェル当たり100μLのHCl 1M(VWR Prolabo、カタログ30024290)で停止し、Versamaxプレートリーダー(Molecular Devices)において450および650nmで測定した。
【0712】
RSV中和抗体(RSV-A2およびRSV-B株)の検出のためのRSVプラーク減少中和試験(PRNT60)
ベロ細胞を、24ウェルプレートでの感染の1日前に500μLで、70,000個の細胞/ウェルで播種した。感染の日に、血清サンプルを、最初に56℃で30分間不活化し、次いでDMEM-Glutamax+2%FBS+1%PS培地で4倍希釈し、最終的に37℃での1時間のインキュベート時間に対してモルモット補体(10%)を伴いまたは伴わずに同容積のウイルス(70PFU/ウェル)と混合した。
【0713】
ベロ細胞の上清を除去し、100μLのDMEM-Glutamax+2%FBS+1%PS、および100μL/ウェルの血清/ウイルス混合物で置き換えた。37℃での1.5時間のインキュベート時間の後、メチルセルロースオーバーレイ(DMEM-2%FBS-1%PS中に0.75%)をウェルに添加した。プレートを37℃で5日間、5%CO2でインキュベートした。
【0714】
インキュベート時間に続いて、プレートを4℃で1時間、無水メタノール(-20℃)で固定した。
【0715】
洗浄プレートを室温で1時間、PBS-ミルク5%で遮断し、次いで免疫染色を実施した:
- RSV-A2株に対して、室温で少なくとも2時間、1:2000で希釈したポリクローナル抗RSV-HRP抗体(abcam、カタログ20686)。
- RSV-B株に対して、室温で1時間、1:2000で希釈したモノクローナル抗RSV融合タンパク質抗体(abcam、カタログ24011)、および洗浄後に室温で1時間、1:2000で希釈した抗マウスHRP(abcam、カタログab6789)。
【0716】
洗浄後、プレートを室温で数分間、振とうしながらTrue Blue基質(SeraCare、カタログ5510-0030)でインキュベートした。プラークを視認した場合、反応を水で洗浄することで停止した。プラークをマルチモーダルリーダー(Viruscope、Microvision)で検出および計数し、中和抗体力価を60%低下のエンドポイントで決定した。
【0717】
F特異的IgG記憶B細胞のELISpot
F特異的B細胞記憶応答を、抗体分泌性細胞(ASC)に分化する静止記憶B細胞を誘発するPBMCポリクローナル刺激(IL-2+R848)の5日後に評価した。次いで、ASC頻度を、F(SinoBio ref#1149_V08B)特異的応答を測定するように適合したMabtech製のヒトIgG蛍光SPOTキット(製品コード番号FS_05R24G-10)で測定した。
【0718】
簡潔には、PBMCを、R848(1μg/ml)および組換えヒトIL-2(10ng/ml)を補充した完全培地(10%ウシ胎児血清、200mM L-グルタミン、100U/mlのペニシリン、および10μg/mlのストレプトマイシンを含有するロズウェルパーク記念研究所培地)で培養した。培養の5日後、細胞を除去し、洗浄し、下に記載されるように蛍光SPOTアッセイで使用した。
【0719】
蛍光性の低いPVDF膜を備えた蛍光SPOTプレートを、1分間、35%エタノールで予め湿潤させ、滅菌水、次いでPBSで洗浄し、5±3℃で終夜、F抗原(SinoBio、11049-V08B)または捕捉mAbsの混合物(MT91/145およびMT57)のいずれかでコーティングした。プレートを、PBSで洗浄し、37℃で1時間、完全培地で遮断した。PBSで洗浄した後、PBMCをプレーティングし、37℃で5時間インキュベートした。0.05%Tween20を含有するPBSで3回洗浄し、PBSで6回洗浄した後、プレートを37℃で2時間、抗ヒトIgG-550(MT78/145)検出mAbでインキュベートした。PBSで洗浄した後、蛍光スポットを、スポットリーダー(Microvision)で数え上げた。
【0720】
RSV F特異的IFNγ/IL-2蛍光SPOT
蛍光SPOTアッセイを、Mabtech製のサルIFNγ/IL-2蛍光SPOTキット(製品番号52122-10)を使用して実施して、片方または両方のサイトカインを分泌する細胞を検出し、数え上げる。簡潔には、最初に、Multiscreen(商標)96ウェルIPFLプレート(Millipore)を、室温で1分間、25μLの35%エタノールで1mnに対して予め湿潤させ、滅菌水で、次いでPBSで2回洗浄し、5±3℃で終夜、100μLのそれぞれ抗サルIFNγおよび抗IL-2で精製したクローンMT126LおよびMT2A91の混合物でコーティングした。ウェルを、ウェル当たり200μLの滅菌PBSで3回洗浄し、続いて37℃で2時間、200μLの完全培地(10%ウシ胎児血清、200mM L-グルタミン、100U/mlのペニシリンおよび10μg/mlを含有するロズウェルパーク記念研究所培地)で飽和させた。完全培地を排除した後、0.2 106 PBMCを、共刺激因子として抗CD28 mAb(0.1μg/mL)と共に各ウェルに添加し、2μg/mLの予備混合したペプチド、またはRSV Fタンパク質のプール、2μg/mLのRSV Fタンパク質(Sino Biological#11049100_V08B)、または陽性対照(抗CD3)と終夜インキュベートした。PBS 0.25%BSAで6回洗浄した後、100μLのFITC結合した抗IFNγ(7-B6-1-FSクローン)およびビオチン化抗IL-2(MT8G10クローン)の混合物を、室温で2時間、暗室で添加した。PBS 0.25%BSAで3回洗浄した後、100μLの抗FITC AbおよびSA-550ストレプトアビジンの混合物を、各ウェルに添加し、室温で1時間、暗室でインキュベートした。プレートを、PBS 0.25%BSAでさらに6回洗浄した。最終的に、プレートの背部を取り外し、ウェルの下部を水で迅速にすすいだ。プレートを空気乾燥し、読み出すまで暗室で保存した。IFNγまたは/およびIL-2の単一または二重のプロデューサー細胞に対応する各スポットを、Cy3およびFITC蛍光に対するフィルターを備えた蛍光プレートリーダー(Microvision)で数え上げた。
【0721】
II.結果
全身体液性応答
血清においてプレF-フェリチン+SPA14で誘発した向上したF特異的IgG力価
本研究は、研究開始(D0)およびD28での免疫化を伴う、血清未処理のカニクイザルにおけるRSVプレF-フェリチン(アジュバント未処理群)対RSVプレF+SPA14ワクチン接種(アジュバント処理群)の反復用量に対する免疫学的応答の時間経過を評価するために設計した。
【0722】
Sinobiological製のF抗原を使用して、ELISAを行った。RSV F特異的IgG力価は、免疫化の後の全ての時点でアジュバント未処理群に対してSPA14群で著しく大きかった(
図13)。F特異的IgG力価は、アジュバント未処理群よりおよそ200倍大きい、SPA14群内でD49(用量2の3週間後)にピークとなった(20000対100の幾何平均)。
【0723】
研究を通して、SPA14群は、アジュバント未処理群より大きいF特異的IgG力価が持続した。レスポンダーは、20のアッセイLOD(検出限界)より4倍以上増加した動物として定義した(投与後レベル≧80)。この基準を適用して、SPA14群は、D13までに100%の応答率に達し、F特異的IgG力価は、研究の終了時(D161=用量2の5か月後)に100%のレスポンダーで長期的に持続した。アジュバント未処理群は、D49(用量2の3週間後)まで、およびD161で50%応答率の最大値に達した。
【0724】
RSVプレF-フェリチン+SPA14で誘発したRSV-A2中和抗体
血清ウイルス中和抗体は、ヒトにおいてRSV疾患からの保護に相関した。
【0725】
F特異的IgG力価と異なり、RSV-A2ウイルス中和抗体(補体依存性および補体非依存性)は、SPA14アジュバント処理した製剤でのみ誘発した(
図14)。
【0726】
RSV F特異的IgG応答に類似して、RSV-A2ウイルス中和抗体は、D49(用量2の3週間後)にピークとなった。
【0727】
SPA14でアジュバント処理した群は、アジュバント未処理群より著しく高い中和力価を有した(p<0.01)。
【0728】
レスポンダーは、20のアッセイLODより4倍以上増加した動物として定義した(投与後レベル≧80)。この基準を適用して、SPA14群は、補体存在下でD28までに75%の応答率(4匹の動物のうち3匹)に達し、D49までに100%に達した。対照的に、アジュバント未処理群は、いずれのレスポンダーも示さなかった(
図14B)。
【0729】
補体不在下で、SPA14は、D49に100%のレスポンダー率に達した(
図14A)。
【0730】
研究の終了時(D161=用量2の5か月後)、SPA14群は、依然として100%のレスポンダー(補体を含んでも含まなくても)を有した。
【0731】
プレF-フェリチン+SPA14は、NHPにおいてRSV B株に対する交差中和抗体を誘発(ATCC18537)
RSV AおよびB株の多数のバリアントはヒト集団を循環しているので、効果的なRSVワクチンが交差中和抗体を誘発する必要がある。ゆえに、免疫血清のRSV-B株(ATCC18537)を交差中和する能力を評価した。
【0732】
レスポンダー基準(>80)を適用して、アジュバント処理していない製剤は、RSV-B株に対して49日目に25%のレスポンダー(1/4のNHP)しか誘発しなかったが、SPA14アジュバント処理したプレF-フェリチンは、アジュバント未処理群より高い交差中和力価を誘起するアジュバント処理群で、D49に100%のNHPで交差中和力価を誘発することができた(
図15)。
【0733】
これらをまとめると、これらの結果では、アジュバント処理したRSV プレF-フェリチンワクチンが、アジュバント処理していないRSVプレF-フェリチンワクチンと比較してより大きなレベルの交差中和RSV抗体を誘発することが示された。
【0734】
全身細胞性応答
F特異的記憶B細胞性応答
F特異的IgG記憶B細胞は、D119(用量2の3か月後)およびD161(用量2の5か月後)に蛍光SPOTで評価した(
図16A~B)。
【0735】
SPA14は、D119およびD161で検出可能なF特異的IgG循環記憶B細胞を誘発した。記憶応答は低かったが、測定可能であった(100未満のスポット/106個の細胞または0.01%~0.1%の総IgG分泌性細胞)。SPA14は、アジュバント未処理群と比較して著しく高い記憶IgG分泌性細胞を誘発した(P値<0.01)。
【0736】
F特異的IFNγおよびIL-2 T細胞ELISpot
CD4+T細胞は、必須のヘルパー機能を発揮し、B細胞の活性化および分化に重要である。インターフェロン(IFN)-γおよびインターロイキン(IL)-2は、Th1免疫応答を解析するのに選択された。SPA14ワクチン接種したサルは、第1および第2の注射の1週間後のIFNγおよびIL-2ELISpotアッセイからの結果が示す通り、アジュバント未処理群と比較して強力なFに対する細胞免疫応答を生じた(P値<0.01)(
図17)。35日目に、IFNγスポット形成細胞(SFC)は、100万個のPBMC当たり100~500個の範囲であり(
図17A)、IL-2 SFCは、100万個のPBMC当たり200~1000個の範囲である(
図17B)。
【0737】
III.結論
本研究では、アジュバント処理したプレF-フェリチンのみが、49日目(用量2の3週間後)にピークとなり、少なくとも6か月持続するRSV-A2中和抗体を誘発した。SPA14は、著しく高い中和力価を誘発した。重要なことに、アジュバント処理したRSVプレF-フェリチン製剤は、RSV-B株(ATCC 18537)に対して交差中和抗体を誘発した。
【0738】
SPA14は、循環中和抗体(構造記憶)が保護を与えるのに十分に高くない場合、RSV感染の後に中和抗体の生成を再活性化することに大きな関心を呼ぶ、F特異的記憶IgG分泌性細胞(反応記憶)を誘発した。
【0739】
著しく高いレベルのRSV F特異的T細胞IFNγ/IL-2 ELISpot応答(Th1)は、抗原単独の群と比較してSPA14アジュバント処理した製剤で誘発した。
【0740】
PBMC上清でサイトカインを測定することにより、SPA14は、IFNγ分泌性細胞(Th1)を生成した。
【実施例9】
【0741】
CMV抗原およびワクチン組成物の製造
実施例4、10および11でのCMV抗原およびワクチン組成物の製造
材料
以下の実施例で使用される抗原およびアジュバントは、表8に記載される。
【0742】
【0743】
製造方法
抗原およびアジュバント製剤を、表8に示す、または以下に開示されるように製造した。
【0744】
AS01EおよびAS01Bを除いて、アジュバントの原液を、容積で抗原容積と混合し、次いで必要な用量:50または500μL(マウスまたはウサギに対して)を投与した。
【0745】
AS01Bは、Shingrix(登録商標)から得られ、より濃縮した抗原と使用して、初期濃度を維持した。
【0746】
AS01Eは、抗原との容積:容積の混合物(他のアジュバントに対して)から得られた。
【0747】
HCMV五量体
HCMV五量体gH/gL/pUL128/pUL130/pUL131を、5つのプラスミドでトランスフェクトしたCHO細胞株で得たが、各プラスミドは、HCMV五量体を構成する5つのタンパク質の1つをコードする配列を含んだ。配列は、BE/28/2011株(Genbank番号KP745669)に由来した。gH配列は、組換え五量体の分泌に対して膜貫通ドメインを伴わなかった。五量体複合体の発現の例は、Hofmannら(Biotechnology and Bioengineering、2015年、第112巻、第12号、2505~2515頁)に与えられた。
【0748】
SPA14
例えば、20μg/mlでE6020を含むSPA14の原液を、以下のように製造した。
【0749】
リポソームを、以下の通り、溶媒、例えばエタノール注入法によって製造した。
【0750】
エタノール中のE6020の溶液を、2mg/mlで、2.0mgのE6020粉末を0.998mlのエタノールに溶解することにより製造した。
【0751】
4倍濃縮したエタノール溶液を、40mg/mlのDOPC、10mg/mlのコレステロール、および0.200mg/mlのE6020で、0.850mlのエタノール、40mgのDOPC、および10mgのコレステロール、ならびに0.100mlの先に製造したE6020溶液をエタノールに溶解することにより、製造した。溶液を、生成物を完全に溶解し、無色の溶液が得られるまで、室温(RT)で撹拌した。
【0752】
7mlのLyoガラス製バイアルにおいて、3.0mLのCBS(クエン酸緩衝溶液)pH6.3(シトレート10mM、NaCl 140mM、pH6.3)を、室温で、1000rpmで撹拌した。1.0mlの脂質溶液を、0.1ml/分で、22gaのニードルおよびシリンジポンプを伴うハミルトンシリンジを使用してゆっくり添加して、リポソームを形成した。リポソームを、CBS pH6.3に対して3回(半日後、一晩目、一日後)に(10000 MCWO透析カセットで)透析した。
【0753】
リポソーム懸濁液を、直径33mmのMillexフィルターPVDF0.22μmで滅菌ろ過し、窒素下の+4℃で保存した。
【0754】
リポソーム成分濃縮液を、透析の希釈倍率によって推定した。1.6の透析希釈倍率に対して、リポソーム成分濃縮液は、6.25mg/mlのDOPC、1.56mg/mlのコレステロール、および0.031mg/mlのE6020であった。
【0755】
フローフード下、3.0mgのQS21を、3.0mLのCBS pH6.3に再懸濁して1.0mg/mlでQS21の溶液を得、直径25mmのPall Acrodisc 0.2μmで滅菌ろ過した。
【0756】
滅菌条件において、SPA14(リポソーム懸濁液)を、CBS pH6.3における1.0mg/mlでの1.563mlのQS21の溶液を、5.000mlの先のリポソーム懸濁液および1.250mlのCBS pH6.3に添加することにより製剤化した。混合物を、ボルテックスを使用して10秒間撹拌し、4mg/mlのDOPC、1mg/mlのコレステロール、0.020mg/mlのE6020、および0.200mg/mlのQS21の最終的なSPA14滅菌懸濁液に対して窒素下の+4℃で保存した。
【0757】
抗原と混合するために、SPA14アジュバントを穏やかに5回上下に返して、2回濃縮した抗原と混合する前に生成物を均質化した。次いで、免疫原性組成物を、さらに使用するまで、適切な温度(2~8℃)で保存した。
【0758】
抗原との混合を容積/容積で行い、得られる混合物を穏やかに5回上下に返した。混合物を、注射直前または注射の最大で3時間前に製造した。この後者の場合、これらは、注射まで2~8℃に設置する必要があった。
【0759】
実施例10に対して、SPA14原液を、上述の通りだが、4:1:0.2:0.04mg/mlのDOPC:コレステロール:QS21:E6020の最終比で製造した。
【0760】
実施例4および11に対して、SPA14原液を、それぞれ4:1:0.2:Xmg/mlのDOPC/Chol/QS21/E6020で上述の通りに製造した。4つの異なる濃度X:0mg/ml、0.004mg/ml、0.008mg/ml、および0.02mg/mlのE6020を使用して、実施例9の表8に記載されるE6020の用量を得た(抗原および注射した500μlでのv/v希釈)。
【実施例10】
【0761】
異なるアジュバントの評価
異なるアジュバントの評価
アジュバントAF04、SPA14、およびAS01Eは、AF03と比較した(AF03はスクアレン乳剤アジュバントであり、一次HCMVのHCMV獲得を予防するが、中和抗体のレベルを迅速に低下させる50%の効能を示した、gB抗原での臨床試験に使用したMF59(WO2007/005583参照)と同様である)。
【0762】
材料および方法
本マウス研究では、37週齢の未処理の雌のC57BL/6Jマウスの群は、0、21、および221日目(7か月目)にIM経路を介して、AF03(1.25mgのスクアレン/用量)、AF04(1μg/用量のE6020を含有するAF03スクアレンベースの乳剤)、SPA14(5μgのQS21および1μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム)、またはAS01E(商用のワクチンShingrixから得られるAS01Bの二分の一希釈)アジュバントで製剤化した、CMV gBおよびCMV五量体(各2μg/用量-用量:50μL)の3回の筋肉内(IM)免疫化を受けた。血液サンプルを、血清中和抗体応答をモニタリングするために1、2、3、4、5、6、7、および8か月目に収集した。約1mLの血液を、凝固活性化因子および血清セパレーター(BD Vacutainer SST ref 367783)を含有するバイアルに収集した。+4℃での一晩の後、血液を20分間3000rpmで遠心分離し、血清を収集し、解析まで-20℃で保存した。加えて、1、7、および8か月目に、血液および脾臓を、1群当たり10匹のマウスから収集して、CMV gBおよびCMV五量体特異的IgG抗体のサブクラス、抗体分泌性細胞(ASC)頻度、ならびにIL-5およびIFN-γ分泌をモニタリングした。
【0763】
細胞応答アッセイに対して、脾臓を滅菌条件において収集し、脾細胞を、脾臓サンプリングの後できるだけ早く単離した。
【0764】
血清中和アッセイ
簡潔には、2.5×104個のMRC-5線維芽細胞またはARPE-19細胞を、マイクロ中和(MN)アッセイの前日に96ウェルダークプレートに分配した。D0に、血清を56℃で30分間、加熱不活化した。血清サンプルを、96ディープウェルプレートで1/10から1/10240に開始する、DMEM/F12 1%FBSでの2倍連続希釈し、37℃で60分間、5%CO2細胞培養インキュベーターで、4.2logFFU/mlのBADrUL131-Y4 CMVウイルス株(Wangら、J Virol.2005年8月;79(16):10330~8頁に記載)とインキュベートした。次いで、血清/ウイルス混合物を、MRC5またはARPE-19細胞に移し、37℃で、MRC5細胞に対しては3日間、ARPE細胞に対しては4日間、5%CO2細胞培養インキュベーターでインキュベートした。
【0765】
次いで、培養上清を除去し、細胞を室温で1時間、PBS中の100μlの1%ホルモルで固定した。次いで、プレートを、Microvision蛍光プレートリーダーでの解析の前に、PBSで洗浄し、室温で空気乾燥して、各ウェルで感染した細胞を計数した。
【0766】
対照として、細胞対照(ウイルスなし)の2つのウェルおよび4.2logFFU/mlを含有するウイルス希釈の半分を感染させた細胞を含む6つのウェルは、各プレートに存在した。これら6つのウェルの平均は、特異的シグナル値の50%として決定した、血清中和の閾値を定義した。中和エンドポイント力価は、計算した特異的シグナル値の50%未満に低下した最後の希釈の逆数として定義した。中和力価(μPRNT50)は、各対象の血清に対して、感染した細胞の50%の低下を誘発した最後の希釈、すなわち計算した特異的シグナル値の50%より少なく感染した細胞を誘発した最後の希釈として定義した。幾何平均の中和抗体力価は、各群に対して計算した。
【0767】
ELISAアッセイ
CMV-gB抗原またはCMV五量体抗原を対象とした血清IgG1およびIgG2c抗体は、以下の手順にしたがってロボットELISAアッセイで滴定した。
【0768】
Dynex 96ウェルマイクロプレートを、4℃で終夜、0.05M炭酸塩/重炭酸塩緩衝液、pH9.6(Sigma)において1μg/ウェルのCMV-gBまたはCMV五量体でコーティングした。次いで、プレートを、37℃で少なくとも1時間、150μL/ウェルのPBS Tween-ミルク(PBS pH7.1、0.05%Tween20、1%(w/v)粉末スキムミルク(DIFCO))で遮断した。次の全てのインキュベートは、100μLの最終容積で実行し、続いてPBS pH7.1、0.05%Tween20で3回洗浄した。血清サンプルの2倍連続希釈を、PBS-Tween-ミルク(1/1000または1/10000から開始)で実施し、ウェルに添加した。プレートを37℃で90分間インキュベートした。洗浄した後、1/2000で、PBS-Tween-ミルクで希釈したヤギ抗マウスIgG1またはIgG2cペルオキシダーゼ結合抗体(Southern Biotech)をウェルに添加し、プレートを37℃で90分間インキュベートした。プレートをさらに洗浄し、20℃で30分間、100μL/ウェルのすぐ使用できるテトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液(TEBU)と暗室でインキュベートした。反応を100μL/ウェルのHCl 1M(Prolabo)で停止した。
【0769】
光学密度(OD)を、プレートリーダー(VersaMax-Molecular Devices)で、450nm~650nmで測定した。IgG1またはIgG2c抗体力価を、滴定曲線から0.2~3.0のOD値範囲に対してCodUnitソフトウェアを使用して計算した(参照マウス高度免疫血清は各プレートに置く)。この参照のIgG1またはIgG2c力価は、任意のELISA単位(EU)で表すが、1.0のODを与える希釈の逆数のlog10に相当した。抗体検出の閾値は、10ELISA単位(1.0log10)であった。全ての最終力価は、log10(Log)で表した。
【0770】
IgG1/IgG2c比は、個々の算術値を使用して計算し、個々のIgG1/IgG2c比の幾何平均は、各群に対して計算した。
【0771】
蛍光SPOT
蛍光結合免疫スポット(蛍光SPOT)を、IFN-γおよびIL-5サイトカインを分泌する個々の細胞の検出および数え上げに使用した。
【0772】
96ウェルのIPFL底マイクロプレート(Multiscreen)の膜を、35%エタノールで予め湿潤させ、次いでPBS 1×で2回洗浄した。次いで、マイクロプレートを、それぞれ1/100および1/50で希釈したラット抗マウスIFN-γまたはラット抗マウスIL-5抗体(10μg/ml、Pharmingen)でコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。
【0773】
D1に、プレートをPBSで洗浄し、次いで37℃で少なくとも2時間、RPMI 10%FBSで遮断した。プレート洗浄した後、5×105個の新たに単離した脾細胞/ウェルを、マウスIL-2(10U/ml)の存在下、陽性対照としてCMV-gB抗原(0.1μg/ml)、CMV五量体(0.1μg/ml)、またはコンカナバリンA(Con A、2.5μg/mL)で終夜インキュベートした。
【0774】
D2にプレートをPBS 1×-BSA0.1%(200μL/ウェル)で6回洗浄した。洗浄する工程の後、100μL/ウェルのビオチン化抗マウスIFN-γまたは抗マウスIL5抗体を、室温で2時間、暗室でPBS 1×-BSA0.1%に1μg/mLで添加した。プレートをPBS 1×-BSA0.1%(200μL/ウェル)で再び3回洗浄した。次いで、PBS 1×-BSA0.1%中に1μg/mLでの100μL/ウェルのストレプトアビジン-PEを室温で1時間、暗室でインキュベートした。
【0775】
プレートをPBS 1×-BSA0.1%(200μL/ウェル)でさらに6回洗浄した。プレートを、読み出すまで5℃±3℃の暗室で保存した。
【0776】
IFN-γまたはIL5分泌性細胞(IFN-γ SCまたはIL5 SC)に相当する各スポットは、自動蛍光SPOTプレートリーダー(Microvision)で数え上げた。結果は、106個の脾細胞当たりのIFN-γまたはIL-5分泌性細胞の数として表した。
【0777】
IgG、IgG1、およびIgG2c蛍光SPOTアッセイ
蛍光結合免疫スポット(蛍光SPOT)を、抗原特異性に関係なく抗体を分泌する個々のB細胞の検出および数え上げに使用した(IgG1、IgG2cまたは総IgG)。
【0778】
96ウェルのIPFL底マイクロプレート(Multiscreen)の膜を、35%エタノールで予め湿潤させ、次いでPBS 1×で2回洗浄した。次いで、マイクロプレートを、それぞれ1/68、1/100および1/100で希釈したCMV-gB抗原(10μg/ml、Sanofi)、CMV五量体(10μg/ml、NAC)、または総IgG抗体(10μg/ml、KPL)でコーティングし、4℃で終夜インキュベートした。
【0779】
D1に、プレートをPBSで洗浄し、次いで37℃で少なくとも2時間、RPMI 10%FBSで遮断した。
【0780】
プレートを洗浄した後、CMV-gB抗原またはCMV五量体に対して5×105個の新たに単離した脾細胞/ウェルおよび総IgG抗体に対して2.5×105個の新たに単離した脾細胞/ウェルを5時間インキュベートした。
【0781】
5時間後、プレートをPBS 1×で3回洗浄し、4℃で一晩保存した。
【0782】
D2に、プレートをPBS 1×-BSA0.1%(200μL/ウェル)で6回洗浄した。洗浄する工程の後、100μL/ウェルの抗マウスIgG1 PEまたは抗マウスIgG2c FITCまたは抗マウス総IgG抗体を、室温で2時間、暗室でPBS 1×-BSA0.1%にそれぞれ4、2または0.5μg/mLで添加した。プレートをPBS 1×-BSA0.1%(200μL/ウェル)で再び6回洗浄した。プレートを、読み出すまで5℃±3℃の暗室で保存した。
【0783】
抗体分泌性細胞(ASC)(IgG1 ASC、IgG2c ASC、または総IgG ACS)に相当する各スポットは、自動蛍光SPOTプレートリーダー(Microvision)で数え上げた。結果は、106個の脾細胞当たりの抗体分泌性細胞の数として表した。
【0784】
統計解析
全ての解析は、SAS v9.2(登録商標)(SAS Institute、ケーリー、NC)で実施した。固定因子として群を伴う分散分析(ANOVA)1要因モデルまたは固定因子として群および時間を伴うANOVA2因子を実施した。長手方向の解析に対して、共分散分析(ANCOVA)は、分類変数として群および連続変数として時間を伴って実施した。AF03と比較するために、Dunnett調節を使用した。
【0785】
結果
図18に示す通り、アジュバント効果では、どの時点かにかかわらず、全ての試験した製剤に対してCMV gBおよびCMV五量体特異的免疫応答が実証された。SPA14は、AF03と比較して、統計的に有意に高く(3倍以上)、より持続的な中和抗体力価を誘起した(優越性の検定、両側Dunnet調節、全てのp値<0.05)。また、SPA14は、AF04より高い中和抗体応答を誘起した。SPA14およびAS01Eは、類似した振幅で中和抗体応答を誘起した。
【0786】
図19Aおよび19Bに示す通り、1か月目(第2の用量の15日後)および8か月目(最終用量の28日後)での解析は、初期の時点でSPA14、AS01E、AF03およびAF04で観察された免疫プロファイル、ならびにSPA14およびAS01Eアジュバントのより高くより持続的な中和抗体力価を誘発する能力を確認した(
図19Aおよび19B、全てのp値<0.05)。
【0787】
さらに、SPA14およびAS01Eは、AF03より高いIgG2c B記憶細胞の頻度ならびによりTh1で指向した細胞応答を誘発した。免疫応答のプロファイルに関して、IgG1/IgG2c比は、SPA14およびAS01Eを受けた群に対するTh1プロファイルを示し、Th2プロファイルは、高いIgG1力価を誘起するAF03で観察された。これは、1か月目に細胞応答解析で確認した。AF03と比較してSPA14およびAS01EのTh1で歪んだプロファイルでは、CMV gBまたはCMV五量体のいずれかの刺激の際の、IL-5の減少およびIFN-γ生成の増加が示された。解析では、7か月目および8か月目に、初期の時点でSPA14およびAS01Eで観察された免疫プロファイル、ならびにこれらのアジュバントのAF03よりTh1で指向した細胞応答を誘発する能力を確認した(
図20A~B)。さらに、形質芽球およびB記憶細胞中のCMV gBおよびCMV五量体特異的IgG2c/IgG1 ASC比は、Th1の指向に関連して、AF03よりSPA14およびAS01Eで高かった。SPA14に対して35日目に測定したこの早期の記憶B細胞応答は、7か月目に確認した(検出したCMV gBおよびCMV五量体に特異的な0.6%から最大で1%のIgG2c-ASC記憶B細胞)。これらのIgG2c ASCの頻度は、AF03より著しく高かった(全てのp値<0.001)。さらに、SPA14がAS01Eよりバランスの取れたTh1/Th2応答を誘起したことを観察した。
図20に示す通り、特に8か月目に、SPA14は、AS01Eより小さいIFN-γ分泌性細胞の増加(2.6分の1、有意ではない)、およびより小さいIL-5分泌性細胞の減少(2.9倍高い、p値<0.001)を誘発し、AS01Eと比較して小さくよりバランスの取れたTh1/Th2比をもたらした。
【0788】
マウスモデルにおいて最大8か月目に行った解析は、SPA14およびAS01Eが、予想した基準(i)AF03より高い中和抗体力価、(ii)より小さいIgG1/IgG2cのサブクラス比およびより高いIFNγ/IL-5比で判明した、AF03と比較してTh1に偏ったプロファイル、ならびに(iii)AF03と比較してより持続的な中和抗体応答および記憶B細胞のより高い頻度を満たすことができ、CMVワクチン候補を向上させるのに好適なアジュバントであり得ると結論付けることを可能にした。
【0789】
SPA14をAF04と比較する場合、AF04が、AF03とSPA14との間に中間応答を誘起したことを観察した。乳剤(AF04)またはリポソーム(SPA14)のいずれかで評価した同じTLR4アゴニスト濃度に対して、AF04は、1か月目および8か月目でAF03より高い中和抗体を誘発することができた(
図18)が、中和力価のこの上昇は、SPA14で得られるものより低かった。同様に、Th1/Th2プロファイルに対して、AF04は、AF03と比較して、IFN-γを上昇させ、IL-5を減少させることができたが、これらの変化は、SPA14製剤で向上し、より顕著であった。
【0790】
結論
結論として、SPA14およびAS01Eは、gBおよび五量体の両方に特異的な最も高い中和抗体力価、ならびにgBおよび五量体に対する最も高い長く持続する免疫応答を誘発するアジュバントであった。両方のアジュバントは、Th1プロファイルの免疫応答を誘発した。SPA14は、よりバランスの取れたTh1/Th2応答を誘発した。
【実施例11】
【0791】
SPA14でアジュバント処理した組成物の反応原性
SPA14でアジュバント処理した組成物の反応原性
本研究の目的は、3週間の間隔をあけた2回の筋肉内注射に続いて、実施例4の同じニュージーランドホワイトウサギの群において、アジュバントとしてSPA14またはAS01Bのいずれかを含有するCMV抗原含有ワクチン組成物の潜在的な免疫原性を調査すること、ならびに2週間の観察期間の間の発症の遅延および/または任意の局所反応の可逆性を評価することであった。
【0792】
CMV抗原を含有するSPA14およびAS01Bアジュバント処理した免疫原性組成物は、実施例4に記載した通りであった。
【0793】
材料および方法
動物および研究デザイン
動物および研究デザインは、実施例4のものであった。
【0794】
血液サンプルの採取
血液サンプルを、研究を開始する前、次いで2、3、7、23、24、および36日目に収集した。フィブリノゲン解析に対して、血液サンプルを、酢酸三ナトリウムを含有するバイアルに採取し、好中球数に対して、血液サンプルをEDTA-K2を含有するチューブに採取した。
【0795】
好中球数
好中球数を、製造者の奨励にしたがってADVIA(120または2120、Siemens)を使用して決定した。
【0796】
フィブリノゲン
フィブリノゲンパラメータを、製造者の奨励にしたがってSTAR Max(Stago)システムを使用して決定した。
【0797】
グロブリン
グロブリンパラメータを、製造者の奨励にしたがってAU680(Beckman Coulter)システムを使用して決定した。
【0798】
C反応性タンパク質
CRPは、ELISA(CRP-10 Life Diagnostics)を使用して決定した。サンプルは、以下の通り製造した:サンプルを約4℃で10分間、1800Gで遠心分離した。次いで、血清を氷上で収集した。ELISAキットを製造者の奨励にしたがって使用した。
【0799】
結果
AS01BまたはSPA14のいずれかでアジュバント処理したCMV抗原 gB+五量体(gH/gL/UL128/UL130/UL131A)を含む免疫原性組成物の、3週間間隔をあけたNZWウサギへの2回の筋肉内投与は、あらゆる全身毒性も誘発しなかった。
【0800】
SPA14を受けた動物と比較してAS01Bアジュバント処理した組成物を受けた動物において、わずかな上昇を、好中球数およびフィブリノゲンレベルで観察し、ならびにグロブリンおよびCRPレベルの上昇を観察した。
【0801】
【0802】
第1の注射の後、AS01B(群3)は、抗原単独と比較して好中球数の上昇を誘発した(2倍超)。上昇がSPA14でも観察されたが、これは中程度にとどまり、5μgのE6020でのみAS01Bと同様に強力であった。
【0803】
AS01Bは、免疫原性組成物の第2の注射の後にも上昇を誘発したが、SPA14製剤では観察されなかった、または非常に中程度のみで長期的に持続しなかった(5μg/mlのE6020でのSPA14)。
【0804】
【0805】
第1および第2の注射の48時間後、AS01Bは、抗原単独と比較して最大88%のフィブリノゲンレベルの上昇を誘発した。ここでもまた、SPA14が第1の注射の48時間後にフィブリノゲンの上昇を誘発した場合、フィブリノゲンレベルは、第2の注射の後より小さい程度まで上昇した(AS01Bで誘発した上昇と比較して)。
【0806】
【0807】
AS01Bは、抗原単独と比較して、特に第2の注射の後にSPA14アジュバント処理した組成物で観察したものよりわずかに高い、グロブリンレベルの上昇を誘発した。
【0808】
【0809】
AS01Bは、SPA14アジュバント処理した製剤で観察されたものより高いCRPレベルの増加を誘発した。さらに、増加は、SPA14で観察されたものより長く、最大48時間持続した。特に、第2の注射の48時間後、AS01Bは、5μg/mlのE6020を含むSPA14で誘発したCRPレベルの2倍であるCRPレベルを誘発した。CRPは、周知の反応原性バイオマーカーである。
【0810】
結論
AS01BまたはSPA14(0~5μgのE6020を含有)でアジュバント処理したCMV-gB+五量体の、3週間間隔をあけたNZWウサギへの2回のIM投与は、良好に許容され、いずれの全身毒性も誘発しなかった。局所反応のみ、全ての処置群において浮腫が主に判明した注射部位(IS)で注目されたが、有害とみなさなかった。わずかで可逆的な好中球数およびフィブリノゲンレベルの上昇は、アジュバント処理した処置群に匹敵することが観察されたが、これらの上昇は、AS01BよりSPA14で程度が小さかった。グロブリンおよびCRPレベルの上昇もまた、全てのアジュバント処理した処置群において、AS01Bより、SPA14製剤では、より低く、反応原性バイオマーカーCRPに対して、基底レベルへの回復がより速いことで注目された。これらの変化は、AS01Bと比較して、SPA14製剤でより低い反応原性プロファイルを示唆した。
【0811】
実施例4、10および11の総合的な結論
上記の実施例4、10および11に示す通り、CMV抗原を含有する免疫原性組成物は、gBおよび五量体(gH/gL/UL128/UL130/UL131)抗原で例示され、SPA14アジュバントでアジュバント処理されるが、AF04のようなTLR4アゴニストを含有する他のアジュバントと比較してより高い長期持続型血清中和抗体を誘発することが分かった。SPA14で誘起した免疫応答は、AS01Bで誘起した免疫応答に匹敵した。
【0812】
Th1で指向した応答を誘発するが、SPA14でアジュバント処理した免疫原性組成物で誘起した免疫応答は、AS01Bと比較してよりバランスの取れたTh1/Th2プロファイルを呈した。
【0813】
最終的に、CRP、フィブリノゲン、またはグロブリン応答に示す通り、SPA14でアジュバント処理したCMV免疫原性組成物は、AS01Bアジュバント処理した免疫原性組成物と比較してより低い反応原性プロファイルを呈した。
【0814】
gBおよび五量体(gH/gL/UL128/UL130/UL131)抗原のようなCMV抗原を含有し、SPA14でアジュバント処理した免疫原性組成物は、熟練者または意図したレシピエントのいずれかによるCMVワクチン接種プログラムへの良好な遵守を確実にする、誘起した免疫応答に関して優れたプロファイルおよび低い反応原性を呈した。
【実施例12】
【0815】
SPA14様製剤でのQS21およびQS7サポニン
SPA14製剤でのQS21対QS7の比較
本研究の目的は、サポニンとしてQS21またはQS7のいずれかを含有するSPA14製剤の溶血活性およびアジュバント処理効果を比較することであった。
【0816】
材料および方法
リポソームの製造
リポソームは、実施例1および4に記載される通り、hCMV抗原gBおよび五量体で製造した。
【0817】
溶血アッセイ
使用前に、赤血球(ヒツジ赤血球10%、Rockland、ref R405-0050、ロットBP30202(+4℃で保存))を、冷たいPBSで洗浄した。5mLのヒツジ赤血球は、15mLのFalconチューブに移し、7mLの冷たいPBSを添加した。細胞を4℃で10分間、700gで遠心分離した。上清を注意深く除去し、細胞ペレットを12mLの冷たいPBSに懸濁した。次いで、細胞懸濁液を4℃で10分間、700gで遠心分離した。細胞の懸濁化および遠心分離の工程を2回繰り返した。最終的に、細胞を、5mLの最終容積ですぐ使用できるPBSに懸濁した。
【0818】
丸底P96プレートにおいて、ウェル当たり100μLのPBSを添加した。次いで、ウェル当たり100μLのサポニンQS21またはQS7溶液を、2倍連続希釈(1.6μMから200μMへ)でクエン酸緩衝液(シトレート10mM、NaCl 140mM、pH6.3)に添加した。クエン酸緩衝液を単独で対照溶液として使用した。
【0819】
25μL/ウェルの10%赤血球溶液を添加し、プレートを37℃で30分間インキュベートし、次いで室温で5分間、700gで遠心分離した。ウェル当たり80μLの上清を収集し、分光光度計の読出し(OD 540nm)のために平底プレートに移した。細胞溶血の百分率を、式:100×[(サンプル吸光度-陰性対照吸光度)÷(陽性対照吸光度-陰性対照吸光度)]にしたがって、μMで試験した各サポニン濃度に対して計算した。
【0820】
統計解析は、Tukey調節および一元ANOVA:p<0.05で実行した。
【0821】
C57BL/6マウスにおける免疫応答研究
6~8週齢のC57BL/6マウスの9つの群(n=8)は、以下で製剤化した、2μgのCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)を含有する50μLの最終注射容積で大腿四頭筋への2回のIM免疫化(プライミングおよびブースト:D0およびD20)を受けた:
- E6020なしにQS21(5μg)を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml)(「QS21 LIP」(0:200μg/mL))、
- QS21またはQS7なしにE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml)(「E6020 LIP」(20:0 μg/ml))、
- SPA14(5μgのQS21および0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml)(「SPA14」(20:200μg/mL))
- QS7(5、15または45μgのQS7および0または0.5μgのE6020/用量を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml)(「QS7 LIP」(0:200μg/mL)」、(0:600μg/mL)、または(0:1800μg/mL)、「LIP[QS7+E6020 20]」(20:200μg/mL)、(20:600μg/mL)、または(20:1800μg/mL))を含有するSPA14様製剤。
【0822】
【0823】
血液サンプルおよび脾臓細胞を、血清中和抗体応答、CMV gBおよびCMV五量体特異的IgG抗体のサブクラス、ならびに実施例7に記載の方法によるIL-5およびIFN-γ分泌を測定するためにD35に収集した。
【0824】
結果
溶血アッセイ
図21に示す通り、QS21は、25μM~100μMで100%の赤血球溶血を誘起し、4.2μMで50%の赤血球(EC
50)の溶血を誘発するのに効果的な濃度を提示したが、類似した濃度で、QS7では溶血活性を検出しなかった。
【0825】
C57BL/6マウスにおける免疫応答研究
観察したアジュバントの効能効果は、hCMV gBおよび五量体抗原に対してQS7 LIP(0:200)よりQS21 LIP(0:200)で高かった。しかし、
図22A、22B、22Cおよび22Dに示す通り、SPA14様製剤(20:200;600または1800のE62020:QS7)に製剤化したQS7は、SPA14(20:200のE6020:QS21)と比較して類似したIgG1およびIgG2c応答を誘発した。
【0826】
図23Aおよび23Bに示す通り、QS21またはQS7を含有するSPA14製剤は、hCMV gBおよび五量体抗原に匹敵するIgG2c/IgG1比を誘発した。さらに、
図24に示す通り、SPA14(20:200のE6020:QS21)および20:200、600または1800のE6020:QS7を伴うLIP[QS7+E6020 20]は、hCMV gBおよび五量体抗原に対して類似した中和抗体力価を誘発した。
【0827】
LIP[E6020+QS7]で誘発した分泌したサイトカインIFN-γおよびIL-5のレベルが、全ての試験した濃度でSPA14(20:200のE62020:QS21)で誘発したレベルよりわずかに低いが、IFN-γ/IL-5の比は、
図25Aおよび25Bに示す通り、SPA14(E6020:QS21)と異なる試験した濃度のLIP[E6020+QS7]との間で類似した。
【0828】
キラヤ属のサポニンで誘発したアジュバント処理する応答は、その毒性の原因でもあるそのアシル基に相関することが知られている(Fleckら、Molecules.2019年;24(1):171頁)。QS7は、QS21と比較して短いアシル鎖を有し、毒性も低かった(Wangら、ACS Infect Dis.2019年;5(6):974~981頁)。ここでの結果では、QS7が、in vitroでのその溶血活性に基づいて良好な安全性プロファイルを有することが確認された。さらに、意外にも、SPA14様製剤で製剤化した場合、QS21を含有するSPA14製剤に匹敵するアジュバント処理効果を誘発することができた。したがって、これらの結果では、QS7が、良好で安全なアジュバント処理効果を誘発するのにSPA14製剤でのサポニンとして有利に使用することができることが示された。
【実施例13】
【0829】
合わせたQS21リポソームおよびE6020リポソーム対SPA14製剤
QS21またはE6020を含有する合わせたリポソーム対SPA14製剤の比較
本研究の目的は、マウスモデルにおいてhCMV抗原により誘発された免疫応答での、QS21またはE6020を含有するリポソームとQS21およびE6020を含有するSPA14製剤との組合せのアジュバント処理効果を比較することであった。
【0830】
材料および方法
リポソームの製造
リポソームは、実施例1および4に記載する通り、hCMV抗原gBおよび五量体で製造した。
【0831】
C57BL/6マウスにおける免疫応答研究
6~8週齢のC57BL/6マウスの5つの群(n=8)は、以下で製剤化した、2μgのCMV gBおよびCMV五量体(2μgの各々/用量)を含有する50μLの最終注射容積で大腿四頭筋への2回のIM免疫化(プライミング-ブースト:D0およびD20)を受けた:
- E6020なしにQS21(200μg/ml)を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml)(「QS21 LIP」)、
- QS21なしにE6020(20μg/ml)を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml)(「E6020 LIP」)、
- SPA14(200μg/mlのQS21および20μg/mlのE6020を含有するDOPC-Cholリポソーム(4000:1000μg/ml))。
【0832】
1つの群のマウスは、アジュバントを含まない(アジュバントなし)抗原を受け、1つの群のマウスは、QS21 LIPおよびE6020 LIPの組合せを受けた。投与した抗原の量は、各群で同一であった。
【0833】
血液サンプルおよび脾臓細胞を、CMV gBおよびCMV五量体特異的IgG抗体のサブクラス、IL-5およびIFN-γ分泌、ならびに実施例7に示した中和抗体を測定するためにD35に収集した。
【0834】
統計解析は、Tukey調節および一元ANOVA:p<0.05で実行した。
【0835】
結果
図26Aおよび26Bに示す通り、QS21 LIP(0:200)またはE6020 LIP(20:0)で観察されたIgG1およびIgG2c応答は、hCMV gBおよび五量体抗原に対してSPA14(20:200のE6020:QS21)で観察されたアジュバントの効能効果より低かった。しかし、合わせたリポソームQS21 LIP(0:200)またはE6020 LIP(20:0)は、SPA14と類似したIgG1およびIgG2c応答を誘発した。
【0836】
図27Aおよび27Bに示す通り、IgG2c/IgG1比は、合わせたリポソームQS21 LIPおよびE6020 LIP、ならびにSPA14製剤の間で類似した。
【0837】
QS21 LIP(0:200)またはE6020 LIP(20:0)で観察されたサイトカインIFN-γ/IL-5の分泌レベルは、hCMV gBおよび五量体抗原に対してSPA14(20:200のE6020:QS21)で観察されたIFN-γ/IL-5の分泌レベルより低かった。一方、合わせたリポソームQS21 LIP(0:200)またはE6020 LIP(20:0)は、SPA14と類似したレベルのサイトカインIFN-γ/IL-5を誘発した。
図28Aおよび28Bに示す通り、分泌したサイトカインIFN-γ/IL-5の比は、合わせたリポソームQS21 LIPおよびE6020 LIP、ならびにSPA14製剤の間で類似した。
【0838】
図29Aおよび29Bに示す通り、合わせたリポソームQS21 LIP(0:200)またはE6020 LIP(20:0)は、線維芽細胞(MRC-5)または上皮(ARPE-19)細胞株の両方で測定したSPA14と類似したプライミング後(D20)およびブースト後(D35)の血清中和抗体を誘発した。著しいアジュバント効果は、合わせたリポソームQS21 LIP(0:200)またはE6020 LIP(20:0)で測定された。
【0839】
結論として、合わせたリポソームQS21 LIPおよびE6020 LIPは、SPA14製剤、すなわちE6020およびQS21のようなサポニンを同時に含有するリポソームと得られる効果と類似したアジュバント処理効果を誘発することができた。
【0840】
参考文献
Albers J, Danzer C, Rechsteiner M, et al. A versatile modular vector system for rapid combinatorial mammalian genetics. J Clin Invest. 2015;125(4):1603-1619. doi:10.1172/JCI79743
Alderson MR, McGowan P, Baldridge JR, Probst P. TLR4 agonists as immunomodulatory agents. J Endotoxin Res. 2006;12(5):313-9. doi: 10.1179/096805106X118753. PMID: 17059695.
Althunian TA, de Boer A, Groenwold RHH, Klungel OH. 2017. Defining the noninferiority margin and analysing noninferiority: An overview. Br J Clin Pharmacol 83: 1636-42
Axelsson F, Adler SP, Lamarre A, Ohlin M. Humoral immunity targeting site I of antigenic domain 2 of glycoprotein B upon immunization with different cytomegalovirus candidate vaccines. Vaccine. 2007;26(1):41-46. doi:10.1016/j.vaccine.2007.10.048
Backovic M, Longnecker R, Jardetzky TS. Structure of a trimeric variant of the Epstein-Barr virus glycoprotein B. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009;106(8):2880-2885. doi:10.1073/pnas.0810530106
Burke HG, Heldwein EE. Crystal Structure of the Human Cytomegalovirus Glycoprotein B [published correction appears in PLoS Pathog. 2015 Nov;11(11):e1005300]. PLoS Pathog. 2015;11(10):e1005227. Published 2015 Oct 20. doi:10.1371/journal.ppat.1005227
Cheshenko N, Krougliak N, Eisensmith RC, Krougliak VA. A novel system for the production of fully deleted adenovirus vectors that does not require helper adenovirus. Gene Ther. 2001;8(11):846-854. doi:10.1038/sj.gt.3301459
Ciferri C, Chandramouli S, Donnarumma D, et al. Structural and biochemical studies of HCMV gH/gL/gO and Pentamer reveal mutually exclusive cell entry complexes. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015;112(6):1767-1772. doi:10.1073/pnas.1424818112
Collin M, McGovern N, Haniffa M. 2013. Human dendritic cell subsets. Immunology 140: 22-30
Deng K et al. Synthesis of QS-21-Xylose: Establishment of the Immunopotentiating Activity of Synthetic QS-21 Adjuvant with a Melanoma Vaccine, Angew Chem Int Ed Engl. 2008; 47(34): 6395-6398, doi : 10.1002/anie.200801885
Didierlaurent AM, Laupeze B, Di Pasquale A, Hergli N, Collignon C, Garcon N. 2017. Adjuvant system AS01: helping to overcome the challenges of modern vaccines. Expert Rev Vaccines 16: 55-63
Didierlaurent AM, Collignon C, Bourguignon P, Wouters S, Fierens K, Fochesato M, Dendouga N, Langlet C, Malissen B, Lambrecht BN, Garcon N, Van Mechelen M, Morel S. 2014. Enhancement of adaptive immunity by the human vaccine adjuvant AS01 depends on activated dendritic cells. J Immunol 193: 1920-30
Donald R. Drake III IS, Michael N. Nguyen, Anatoly Kachurin, Vaughan Wittman,, Robert Parkhill OK, Janice M. Moser, Nicolas Burdin, Monique Moreau, Noelle Mistretta,, Anthony M. Byers VD, Tenekua M. Tapia, Charlotte Vernhes, T. Kamala, Nithya Swaminathan, and William L. Warren, Abstract. 2012. In Vitro Biomimetic Model of the Human Immune System for Predictive Vaccine Assessments. DISRUPTIVE SCIENCE AND TECHNOLOGY 1: 28-40
Doyle SA, High Throughput Protein Expression and Purification: Methods and Protocols. Methods in Molecular Biology. 2008; vol. 498. Ed. Humana Press
EP 2 627 352 - Novel antigen
Fleck JD, Betti AH, da Silva FP, et al. Saponins from Quillaja saponaria and Quillaja brasiliensis: Particular Chemical Characteristics and Biological Activities. Molecules. 2019;24(1):171. Published 2019 Jan 4. doi:10.3390/molecules24010171
Fox CB, Friede M, Reed SG, Ireton GC. Synthetic and natural TLR4 agonists as safe and effective vaccine adjuvants. Subcell Biochem. 2010;53:303-21. doi: 10.1007/978-90-481-9078-2_14. PMID: 20593273.
Griffiths PD, Stanton A, McCarrell E, et al. Cytomegalovirus glycoprotein-B vaccine with MF59 adjuvant in transplant recipients: a phase 2 randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2011;377(9773):1256-1263. doi:10.1016/S0140-6736(11)60136-0
Habibi, Chiu et al. IgA B-cell memory in experimental infection of adults with RSV - Am J Resp Crit Care Med 2015
Haensler J, Probeck P, Su J, Piras F, Dalencon F, Cotte JF, Chambon V, Iqbal SM, Hawkins L, Burdin N. 2015. Design and preclinical characterization of a novel vaccine adjuvant formulation consisting of a synthetic TLR4 agonist in a thermoreversible squalene emulsion. Int J Pharm 486: 99-111
Henikoff S, Henikoff JG. Amino acid substitution matrices from protein blocks. Proc Natl Acad Sci U S A. 1992;89(22):10915-10919. doi:10.1073/pnas.89.22.10915
Heldwein EE, Lou H, Bender FC, Cohen GH, Eisenberg RJ, Harrison SC. Crystal structure of glycoprotein B from herpes simplex virus 1. Science. 2006;313(5784):217-220. doi:10.1126/science.1126548
Herve C, Laupeze B, Del Giudice G, Didierlaurent AM, Tavares Da Silva F. The how's and what's of vaccine reactogenicity. NPJ Vaccines. 2019;4:39. Published 2019 Sep 24. doi:10.1038/s41541-019-0132-6
Higbee RG, Byers AM, Dhir V, Drake D, Fahlenkamp HG, Gangur J, Kachurin A, Kachurina O, Leistritz D, Ma Y, Mehta R, Mishkin E, Moser J, Mosquera L, Nguyen M, Parkhill R, Pawar S, Poisson L, Sanchez-Schmitz G, Schanen B, Singh I, Song H, Tapia T, Warren W, Wittman V. 2009. An immunologic model for rapid vaccine assessment -- a clinical trial in a test tube. Altern Lab Anim 37 Suppl 1: 19-27
Hofmann I, Wen Y, Ciferri C, et al. Expression of the human cytomegalovirus pentamer complex for vaccine use in a CHO system. Biotechnol Bioeng. 2015;112(12):2505-2515. doi:10.1002/bit.25670
Institute of Medicine (US) Committee to Study Priorities for Vaccine Development, Stratton KR, Durch JS, Lawrence RS, eds. Vaccines for the 21st Century: A Tool for Decision making. Washington (DC): National Academies Press (US); 2000.
Ishizaka, Sally & Hawkins, Lynn. (2007). E6020: A synthetic Toll-like receptor 4 agonist as a vaccine adjuvant. Expert review of vaccines. 6. 773-84. 10.1586/14760584.6.5.773
Katzen F, Chang G, Kudlicki W. The past, present and future of cell-free protein synthesis. Trends Biotechnol. 2005;23(3):150-156. doi:10.1016/j.tibtech.2005.01.003
Kim YJ et al. Synthetic Studies of Complex Immunostimulants from Quillaja saponaria: Synthesis of the Potent Clinical Immunoadjuvant QS-21Aapi, J Am Chem Soc, 2006; 128:11906-11915, doi: 10.1021/ja062364i
Klucker MF, Dalencon F, Probeck P, Haensler J. AF03, an alternative squalene emulsion-based vaccine adjuvant prepared by a phase inversion temperature method. J Pharm Sci. 2012 Dec;101(12):4490-500. doi: 10.1002/jps.23311. Epub 2012 Aug 31. PMID: 22941944.
Liposomes: A practical approach. Edited by RRC New. Oxford University Press, 1990
Loignon M, Perret S, Kelly J, et al. Stable high volumetric production of glycosylated human recombinant IFNalpha2b in HEK293 cells. BMC Biotechnol. 2008;8:65. Published 2008 Aug 27. doi:10.1186/1472-6750-8-65
Luna et al. “Evaluation of the innate immunostimulatory potential of originator and non-originator copies of insulin glargine in an in vitro human immune model.” PloS one vol. 13,6 e0197478. 6 Jun. 2018, doi:10.1371/journal.pone.0197478
Ma Y, Poisson L, Sanchez-Schmitz G, Pawar S, Qu C, Randolph GJ, Warren WL, Mishkin EM, Higbee RG. 2010. Assessing the immunopotency of Toll-like receptor agonists in an in vitro tissue-engineered immunological model. Immunology 130: 374-87
Macagno A, Bernasconi NL, Vanzetta F, et al. Isolation of human monoclonal antibodies that potently neutralize human cytomegalovirus infection by targeting different epitopes on the gH/gL/UL128-131A complex. J Virol. 2010;84(2):1005-1013. doi:10.1128/JVI.01809-09
Mastelic B, Lewis DJ, Golding H, Gust I, Sheets R, Lambert PH. 2013. Potential use of inflammation and early immunological event biomarkers in assessing vaccine safety. Biologicals 41: 115-24
Merrifield R. B., Solid Phase Peptide Synthesis. I. The Synthesis of a Tetrapeptide. J. Am. Chem. Soc., 1963, 85(14), 2149-2154
Morihara K., Using proteases in peptide synthesis. Trends in Biotechnology, 1987, 5(6), 164-170
Needleman SB, Wunsch CD. A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequence of two proteins. J Mol Biol. 1970;48(3):443-453. doi:10.1016/0022-2836(70)90057-4
Patrone M, Secchi M, Fiorina L, Ierardi M, Milanesi G, Gallina A. Human cytomegalovirus UL130 protein promotes endothelial cell infection through a producer cell modification of the virion. J Virol. 2005;79(13):8361-8373. doi:10.1128/JVI.79.13.8361-8373.2005
Pass RF, Zhang C, Evans A, et al. Vaccine prevention of maternal cytomegalovirus infection. N Engl J Med. 2009;360(12):1191-1199. doi:10.1056/NEJMoa0804749
Peri F, Calabrese V. Toll-like receptor 4 (TLR4) modulation by synthetic and natural compounds: an update. J Med Chem. 2014;57(9):3612-3622. doi:10.1021/jm401006s
Permar SR, Schleiss MR, Plotkin SA. Advancing Our Understanding of Protective Maternal Immunity as a Guide for Development of Vaccines To Reduce Congenital Cytomegalovirus Infections. J Virol. 2018 Mar 14;92(7):e00030-18. doi: 10.1128/JVI.00030-18. PMID: 29343580; PMCID: PMC5972872.
Plotkin et al., Vaccines, 6th edition, Ed. Elsevier, 2013, Schleiss et al., Cytomegalovirus vaccines, pages 1032-1041
Remington’s Pharmaceutical Sciences (18th edition), ed. A. Gennaro, 1990, Mack Publishing Company, Easton, Pa
Ryckman BJ, Rainish BL, Chase MC, et al. Characterization of the human cytomegalovirus gH/gL/UL128-131 complex that mediates entry into epithelial and endothelial cells. J Virol. 2008;82(1):60-70. doi:10.1128/JVI.01910-07
Sharma S, Wisner TW, Johnson DC, Heldwein EE. HCMV gB shares structural and functional properties with gB proteins from other herpesviruses. Virology. 2013;435(2):239-249. doi:10.1016/j.virol.2012.09.024
Sambrook, J., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 3rd. Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2000
Schoppel K, Hassfurther E, Britt W, Ohlin M, Borrebaeck CA, Mach M. Antibodies specific for the antigenic domain 1 of glycoprotein B (gpUL55) of human cytomegalovirus bind to different substructures. Virology. 1996;216(1):133-145. doi:10.1006/viro.1996.0040
Scott, M.T., Goss-Sampson, M. and Bomford, R., 1985, Adjuvant activity of saponin: Antigen localisation studies, Int. Archs. Allergy Appl. Immun., 77: 409.
Swanson KA, Rainho-Tomko JN, Williams ZP, Lanza L, Peredelchuk M, Kishko M, et al. A respiratory syncytial virus (RSV) F protein nanoparticle vaccine focuses antibody responses to a conserved neutralization domain. Sci Immunol.2020;5(47)
Szymczak-Workman AL, Vignali KM, Vignali DA. Design and construction of 2A peptide-linked multicistronic vectors. Cold Spring Harb Protoc. 2012;2012(2):199-204. Published 2012 Feb 1. doi:10.1101/pdb.ip067876
US 2002/0102562 - Recombinant CMV neutralizing proteins
US 5,057,540 B2
US 5,547,834 - Recombinant CMV neutralizing proteins
US 5,608,143 - External regulation of gene expression
US 5,693,506 - Process for protein production in plants
US 6,100,064 - Secreted viral proteins useful for vaccines and diagnostics
Veseli A, Zakelj S, Kristl A. A review of methods for solubility determination in biopharmaceutical drug characterization. Drug Dev Ind Pharm. 2019 Nov;45(11):1717-1724. doi: 10.1080/03639045.2019.1665062. Epub 2019 Sep 12. PMID: 31512934
Wagner A, Platzgummer M, Kreismayr G, Quendler H, Stiegler G, Ferko B, Vecera G, Vorauer-Uhl K, Katinger H. GMP production of liposomes--a new industrial approach. J Liposome Res. 2006;16(3):311-9. doi: 10.1080/08982100600851086. PMID: 16952884.
Wagner A, Vorauer-Uhl K. Liposome technology for industrial purposes. J Drug Deliv. 2011;2011:591325. doi: 10.1155/2011/591325. Epub 2010 Dec 5. PMID: 21490754; PMCID: PMC3065896.
Wang D, Shenk T. Human cytomegalovirus UL131 open reading frame is required for epithelial cell tropism. J Virol. 2005 Aug;79(16):10330-8. doi: 10.1128/JVI.79.16.10330-10338.2005. PMID: 16051825; PMCID: PMC1182637.
Wang P, Ding X, Kim H, Michalek SM, Zhang P. Structural Effect on Adjuvanticity of Saponins. J Med Chem. 2020 Mar 26;63(6):3290-3297. doi: 10.1021/acs.jmedchem.9b02063. Epub 2020 Feb 26. PMID: 32101001
Wang P, et al., Synthesis of QS-21 based immunoadjuvants, J Org Chem, 2013 Nov 15; 78(22): 11525-11534, doi: 10.1021/jo402118j
Wang P, Skalamera u, Sui X, Zhang P, Michalek SM. Synthesis and Evaluation of QS-7-Based Vaccine Adjuvants. ACS Infect Dis. 2019;5(6):974-981. doi:10.1021/acsinfecdis.9b00039
Wen Y, Monroe J, Linton C, et al. Human cytomegalovirus gH/gL/UL128/UL130/UL131A complex elicits potently neutralizing antibodies in mice. Vaccine. 2014;32(30):3796-3804. doi:10.1016/j.vaccine.2014.05.004
WO 2007/005583 A1
WO 2009/037359 A1 - Vaccine composition for the prevention of CMV infections
WO 2014/005959 - Complexes of cytomegalovirus proteins
WO 2014/160463 A1
WO 2016/092460 - Cytomegalovirus antigens
WO 2017/070613A1 - Human cytomegalovirus vaccine
WO 2019/052975 - Human cytomegalovirus immunogenic composition
WO 2019/106192 A1 - Saponin purification
WO 2019/157509 A1
WO 2019/195316 A1
Zenk MH, 6. Chasing the enzymes of secondary metabolism: Plant cell cultures as a pot of gold. Phytochemistry. 1991, 30(12):3861-3863. doi.org/10.1016/0031-9422(91)83424-J
【配列表】
【国際調査報告】