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特表2023-547199抽出物における改善または関連する改善
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】抽出物における改善または関連する改善
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20231101BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231101BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20231101BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20231101BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231101BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/34
A61K8/60
A61K8/35
A61Q5/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525970
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021079845
(87)【国際公開番号】W WO2022090322
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】2017114.6
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ トッレンエーレ,モルガネ
(72)【発明者】
【氏名】ジャリン、シリル
(72)【発明者】
【氏名】ランベルト、キャロル
(72)【発明者】
【氏名】レーノー、ローマン
(72)【発明者】
【氏名】スカンドレラ,アマンディネ
(72)【発明者】
【氏名】セッネリェー ポルテー,ベネディクト
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB332
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC342
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD201
4C083AD202
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE14
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、担体溶媒としての、プロパンジオールと水の混合物中に提供される、Mangifera Indica葉の抽出物、および化粧品用途におけるその使用、および該抽出物を含む化粧品組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体溶媒としての、プロパンジオールと水の混合物中に提供される、Mangifera Indica葉の抽出物。
【請求項2】
プロパンジオールと水の混合物が、抽出溶媒として使用される、請求項1に記載の抽出物。
【請求項3】
マンギフェリン、マクルリン、ガロタニンおよびイリフロフェノンからなる群から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1または2に記載の抽出物。
【請求項4】
マンギフェリン、マクルリン、ガロタニンおよびイリフロフェノンを含む、請求項1または2に記載の抽出物。
【請求項5】
Mangifera Indica葉の抽出物を調製する方法であって、
a)Mangifera Indica葉を提供すること;および
b)Mangifera Indica葉を抽出すること、
を含む、前記方法。
【請求項6】
抽出を、プロパンジオールと水との混合物を用いて実施する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロパンジオールと水の比率が、重量で3:1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかに記載の抽出物の、スキンケアにおける使用。
【請求項9】
担体と、活性成分として少なくとも請求項1~4のいずれかに記載の抽出物とを含む、化粧品組成物。
【請求項10】
化粧品組成物が、スキンケアまたはヘアケア組成物である、請求項9に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
請求項9または10に記載の化粧品組成物を、ヒトの皮膚または頭皮に適用することによる、皮脂生成を調節する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Mangifera Indica葉の抽出物、および該出物の製造方法に関する。本発明はさらに、Mangifera Indica葉の抽出物を含む化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にマンゴーとして知られるMangifera Indicaは、ウルシ科(Anacardiaceae)に属する。マンゴー(Mangifera)属は、顕花植物科の約30種の熱帯樹木で構成される。M. indicaは、古くから民族薬理学の薬草療法として家庭で使用されてきた長い歴史を有する。この植物およびその果実は、以下を含む通俗名でも呼ばれている:ブラジルではmanga、mangueira、スキンマンゴー(skin mango);中国ではmangguo;フィジーではAamin;ケニアとタンザニアではembe、mwembe、および米国ではボーエン・マンゴー。南アジア、特に東インド原産のM. indicaは、16世紀初頭に西アフリカとブラジルで広く栽培および導入された。現在この木は、インド、アフリカ、東南アジア、マレーシア、およびオーストラリアのほとんどの熱帯ビオトープで見ることができる。
マンゴー果実は食物として広く利用されており、一部の人々の食事において重要な役割を果たしている。しかしこの植物の他の部分、例えば木部、樹皮、根または葉なども、例えば建設資材または染料の供給源として利用可能である。通常はグリセリン水性抽出物として提供される果実抽出物は、化粧品用途にも使用される。
本発明の目的は、Mangifera Indicaの葉に価値を付加することである。それらは植物の再生可能な部分であり、果物の場合の栄養などの、他の重要な目的と競合はしない。葉を収穫するタイミングは、果実の生産に影響を与えないように選択可能である。
この目的は、本発明の抽出物により達成される。
【発明の開示】
【0003】
第1の側面において、本発明は、担体溶媒としてのプロパンジオールと水の混合物中に提供される、Mangifera Indica葉の抽出物を提供する。前記抽出物は、皮膚の処置のための組成物および方法に有用である。特に、それらは化粧品用の非治療用組成物および方法である。
プロパンジオールは、プロパン-1.3-ジオールとしても知られている。これは天然起源から提供可能な溶媒であって、COSMOSが承認した、環境に優しいバイオベースの溶媒を代表する。これは、局所適用および化粧品において一般的に使用される。
Mangifera Indica葉の抽出物の担体溶媒として使用する場合、プロパンジオールと水の混合物は、微生物の増殖による変質に対して生成物を安定化させ、防腐剤の添加は必要ではない。本発明のMangifera indica抽出物は、完全に天然起源であり、再生可能な供給源に由来する。
【0004】
本発明のさらなる側面において、Mangifera Indica葉の抽出物が提供され、ここではプロパンジオールと水の混合物が抽出溶媒として使用される。
抽出溶媒の選択は、抽出物の組成および特性に影響を与え得る。プロパンジオールと水の混合物を抽出溶媒として使用すると、得られた抽出物は、マンギフェリンなどの活性化合物を高レベルで有する。同時に、抽出物は、エタノールまたはグリセロールなどの代替溶媒による抽出から得られた抽出物と比較して、着色が少ない。しかし、抽出物の強い着色は、その使用が制限される可能性があるために常に望ましいとは限らず、したがって可能であれば避けるべきである。
観察された着色は、葉からのさらなる成分の抽出が原因となり得る。例えばエタノール抽出により、クロロフィルも葉から除去される。これは明らかに、プロパンジオールと水の混合物を抽出溶媒として使用する場合には当てはまらない。
【0005】
さらに、プロパンジオールと水の混合物を抽出溶媒として使用することは、ATEX指令(爆発性雰囲気で使用される作業場および機器の最低限の安全要件を規定)に従った機能の使用を必要とするエタノール抽出と比較して、安全上の利点も提供する。かかる安全対策は、プロパンジオールと水の混合物による抽出には必要ではない。
代替的に、エタノール、エタノール/水またはグリセロールなどの溶媒または溶媒混合物によって抽出されたMangifera Indica葉の抽出物が提供される。
かかる抽出物は、マンギフェリンなどの活性化合物もまたかなりのレベルで含有する。それらは顕著な着色を示す場合がある。たとえば、Mangifera Indica葉のエタノール抽出物(水中の75%EtOH)は緑色である。かかる抽出物はそれでも、着色された最終生成物に混合する場合など、その着色が問題にならない用途において使用することができる。
【0006】
エタノール抽出物の溶媒をプロパンジオールと水の混合物に置き換えて、担体溶媒としてプロパンジオールと水の混合物中に提供される、Mangifera Indica葉の抽出物を得ることができる。
例えば、本発明の一態様は、プロパンジオールと水の混合物(抽出溶媒)によって抽出され、担体溶媒としてプロパンジオールと水の混合物中に提供される、Mangifera Indica葉の抽出物である。上記の他の利点に加えて、溶媒交換ステップは不要である。
本発明のさらなる側面において、担体溶媒および/または抽出溶媒として使用される混合物中のプロパンジオールと水の比率は、1:1~5:1の間の範囲、好ましくは2:1~4:1の間の範囲、より好ましくは3:1である。
【0007】
例えば、本発明の一態様は、溶媒としてのプロパンジオールと水の混合物(3:1)中に提供される、Mangifera Indica葉の抽出物である。
抽出物中の植物材料の量は、溶媒、抽出時間、温度などの抽出パラメーターに依存する。典型的には、抽出物は、1~10重量%の植物材料、好ましくは1~5重量%の植物材料、より好ましくは1~3重量%の植物材料を含有する。
例えば、本発明の一態様は、1~4.99重量%の植物材料、10~24.99重量%の水、および50重量%を超えるプロパンジオールを含む、Mangifera Indica葉の抽出物である。
【0008】
本発明のさらなる側面において、Mangifera Indica葉の抽出物は、マンギフェリン、マクルリン-グルコシド、ガロタニン-グルコシドおよびイリフロフェノン-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物を含む。言い換えると、抽出物は、マンギフェリン、マクルリン-グルコシド、ガロタニン-グルコシドおよびイリフロフェノン-グルコシドからなる群から選択される1、2、3または4種の化合物を含む。
本発明のさらなる側面において、Mangifera Indica葉の抽出物は、マンギフェリン、マクルリン-グルコシド、ガロタニン-グルコシドおよびイリフロフェノン-グルコシドの混合物を含む。
マンギフェリン(CAS No. 4773-96-0)は、ノラチリオールのグルコシドであり;マクルリン-グルコシドは、より正確にはマクルリン-3-C-β-グルコシド(CAS No. 92631-83-9)であり;ガロタニン-グルコシドは、より正確にはペンタ-O-ガロイル-β-D-グルコシド(CAS No. 14937-32-7)であり;およびイリフロフェノン-グルコシドは、より正確にはイリフロフェノン-3-C-グルコシド(CAS No. 104669-02-5)である。
【0009】
マンギフェリン、マクルリン-グルコシド、ガロタニン-グルコシドおよびイリフロフェノン-グルコシドはフィトマーカー(phytomarker)であり、これらを含むMangifera Indica葉の粗抽出物の画分は、皮膚に対して特に効果的であること、例えば皮脂抑制および皮脂の質の改善に効果的であることが判明した。これら4つのフィトマーカーの混合物は、活性分子のプールとも呼ばれる。
本発明のさらなる側面において、Mangifera Indica葉の抽出物を調製する方法であって、以下のステップを含む方法が提供される:
a)Mangifera Indica葉を提供すること;および
b)Mangifera Indica葉を抽出すること。
【0010】
好ましくは、Mangifera Indicaの葉は、抽出の前により小さな断片で提供され、特に粉砕、切断、および/またはすりつぶされる。任意に、抽出前に葉を洗浄してもよい。
抽出とは、Mangifera Indica葉を溶媒または溶媒の混合物で処理することを意味する。抽出溶媒は、水、エタノール、プロパンジオールおよびグリセロール、またはそれらの混合物、例えばエタノールと水の混合物、またはプロパンジオールと水の混合物、からなる群から選択することができる。溶媒は、添加剤を含有してもよい。
適切な添加剤には、酸、塩基、緩衝剤、塩および/または共溶媒が含まれるが、これらに限定されない。特に、抽出溶媒のpHは、酸(例えば、HSOまたはクエン酸)または塩基(例えば、NaOH)の添加によって調整され得る。
【0011】
本発明のさらなる側面において、抽出溶媒はプロパンジオールと水の混合物である。プロパンジオールと水の比率は、1:1~5:1の範囲、好ましくは2:1~4:1の範囲、より好ましくは3:1である。
プロパンジオールと水の3:1の比率の混合物を、抽出溶媒および担体溶媒として使用することが、特に有利であることが見出された。
抽出は、室温で、または高温で、例えば約40℃、約60℃、または約80℃の温度で、実施することができる。約60℃の温度が特に有利であることが見出された。
【0012】
一般的な抽出スキームを図1に示す。葉は粉砕された形で提供され、抽出溶媒で浸軟される。固体-液体分離時に固形分を除去することにより、粗抽出物が得られる。
任意に、粗抽出物を、例えば濾過により精製して、最終抽出物を得ることができる。別の精製方法は、例えば炭処理および/または滅菌濾過である。
さらなる側面において、Mangifera Indica葉の粗抽出物または最終抽出物は、例えば、木炭(粉末または顆粒)、ベントナイト、または漂白土、例えばtonsil 115 FFなどで処理することにより、脱色することができる。
【0013】
任意に、Mangifera Indica葉の粗抽出物または最終抽出物を濃縮することもでる。
驚くべきことに、本発明のMangifera indica抽出物は、優れたスキンケア特性を有することが見出された。特に、皮脂生成を抑制し、皮脂の質に影響を与えることができる。さらにMangifera indica抽出物は、脂性肌のポルフィリンを大幅に減少させることができる。また、Mangifera indica抽出物は、皮膚バリアの前進的改善を引き起こすことができる。Mangifera indica抽出物をヘアケア用途に使用すると、皮脂の減少は、脂性の頭皮および毛髪でも観察することができる。有効性は、複数の民族で実証された。
したがって本発明のさらなる側面において、上記Mangifera indica抽出物のスキンケアにおける使用が提供される。また、上記Mangifera indica抽出物のヘアケアにおける使用が提供される。
【0014】
さらなる側面において、本発明は、担体および少なくともMangifera indica抽出物を活性成分として含む、化粧品組成物を提供する。担体は、皮膚科学的に許容し得る担体でなければならない。
特定の態様において、本発明の化粧品組成物は、スキンケア組成物である。別の特定の態様において、本発明の化粧品組成物は、ヘアケア組成物である。
本発明の化粧品組成物は、例において詳細に説明されている様々な研究で実証されているように、印象的なスキンケア、頭皮およびヘアケア特性を示す。
【0015】
in vitro試験において、Mangifera indica抽出物が、ヒトのセボサイト細胞株における皮脂生成を制御できることが実証された(例2を参照)。この試験はさらに、活性分子(活性分子のプールとも呼ばれる)を同定し、溶媒の役割を正当化することを可能にした。
さらなるin vitro試験において、Mangifera indica抽出物は、異なる民族において皮脂生成を有意に減少させ得ることが実証された(例3を参照)。文献では、皮脂生成は性別および民族性に依存することが記載されている(Shetage et al, 2018)。例4は、Mangifera indica抽出物が、試験された各民族における皮脂生成および脂質生合成調節に関連する様々な経路に、全体的影響を与えることを示す。
【0016】
ex vivo試験において、Mangifera indica抽出物が、ヒトの皮脂腺に直接影響を与えることが実証された。特に抽出物は、皮脂腺の容積を減少させることができ(例5を参照)、これは皮脂を蓄積する潜在的な能力を反映する。一方で、これは皮脂腺の形態または分化メカニズムには影響を与えない(例6を参照)。Mangifera indica抽出物が腺の形態に影響を与えるかどうかの分析は、特定のIHC(免疫組織化学)を使用して、セボサイト分化の2つのマーカーであるサイトケラチン7(未分化マーカー)およびアジポフィリン(分化マーカー)の免疫検出を用いて実施した。Mangifera indica抽出物は皮脂調整剤として作用するが、セボサイトの分化には影響しない。
さらに、Mangifera indica抽出物が、皮脂の質に影響を与えるかどうかを評価した(例7)。Mangifera indica抽出物は、脂質生成刺激により増加するトリグリセリドとスクアレンの含有量の減少によって観察されるように、皮脂の質の改善を引き起こし得ることが見出された。興味深いことに、これら2つの脂質ファミリーは、ざ瘡(にきび)状態の人からの皮脂で大幅に増加することが見出されている(Pappas, 2009およびPicardo et al, 2009)。皮脂の量を減らし、その質を改善することで、肌の状態を正常に戻すことができる。
【0017】
In tubeアッセイにより、Mangifera indica抽出物が、脂性肌に見られるいくつかの細菌の増殖を抑制できることが実証された(例8)。
臨床試験では、皮脂量の減少(例9d)、ポルフィリン強度の減少(例9f)および皮膚バリアの改善(例9h)が、白人ボランティアで観察された。さらに、皮脂の質の改善、特にTG/FFA比の改善(例9j)およびSQOOH/SQ比の改善(例9k)が観察された。これらの結果は皮脂の質の改善を実証し、皮膚微生物叢への影響を示唆する。
【0018】
皮膚微生物叢の分析(例10)は、プラセボが腸内毒素症を誘発する可能性があり、一方Mangifera indica抽出物の添加は、皮脂の量を減らしつつ皮膚微生物叢の組成を保護することを証明した。
全般的に見れば、Mangifera indica抽出物はマイクロバイオームにやさしく、全体的な微生物組成を変えることなく、P. acnesのacnesファイロタイプ(phylotype)を標的とする、皮膚微生物叢に対するマイクロリバランス効果を促進する。
さらに、皮脂量の減少は、アジア人およびアフリカ人のボランティアで観察された(例11および12)。
例13では、脂性の頭皮と毛髪における皮脂の減少が示された。
【0019】
in silico分析(例14)は、マンギフェリンが、非常に低い結合エネルギーでPPAR-γに結合できることを示した。実際、両方の要素間の相互作用に不利な残基は同定されていない。分子動力学的研究は、シミュレーション時間中、複合体が非常に安定していることを証明し、マンギフェリンがPPAR-γと相互作用できることを予測する。
別のin silico研究(例15)は、マクルリンとイリフロフェノンがどのような種類の生物学的有効性を持ち得るかを示した。結果は、両方の分子が、皮脂の生成に関連する脂質生合成に関与するタンパク質との強い相同性および潜在的な相互作用によって観察されるように、皮脂調節に関与しているようであることを示した。全体としてMangifera indica抽出物は、皮脂腺からの脂質合成を制御することにより、強力な皮脂調節活性を有する。その生物学的有効性を証明するために、セボサイトおよび皮脂腺、またはそれらを含有する皮膚外植片を使用した、in vitroおよびex vivoの生物学的モデルが使用された。
【0020】
したがって、結論として、本発明の組成物は、皮脂生成の減少、皮脂腺容積の減少、皮脂の質の改善、ざ瘡状態の改善、ポルフィリン強度の減少、皮膚バリアの改善、特に乾燥肌の予防を提供する。組成物は抗菌効果も有する。この組成物は、マイクロバイオームにやさしく、P. acnes(IA1)のざ瘡ファイロタイプ(Acneic phylotype)対してマイクロリバランス効果を有する。
したがって本発明の組成物は、脂性肌および脂っぽい肌のためのスキンケア用途、およびざ瘡防止用途に使用することができる。
スキンケア用途は、美容液、アンチエイジングデイクリームおよびナイトクリーム、ローション、エッセンス、マスクなどからなる群から選択し得る。
また、本発明の組成物は、脂性および脂っぽい頭皮と毛髪のための、頭皮およびヘアケア用途に使用され得る。
頭皮およびヘアケア用途は、シャンプー、コンディショナー、パウダー、クリームなどからなる群から選択することができる。
さらなる側面において、本発明は、上記の化粧品組成物をヒトの皮膚または頭皮および毛髪に適用することによって、皮脂の生成を調節する方法に関する。
本発明は、以下の非限定的な例によってさらに説明される:
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、一般的な抽出スキームである。
図2図2は、蛍光強度Bodipy(登録商標)の定量化によって測定した脂質蓄積分析を示す。
図3図3は、蛍光強度Bodipy(登録商標)の定量化によって測定された脂質蓄積分析を示す。
図4図4は、蛍光強度の定量化により測定した、脂質蓄積分析を示す。
図5図5は、0.3%のMangifera indica抽出物で処理した条件での相対的な遺伝子発現を、未処理の条件と比較して示す。
図6図6は、皮脂腺の3D容積を示す。
図7図7は、サイトケラチン7およびアジポフィリンの蛍光の定量化を示す。
図8図8は、皮脂腺からの脂質抽出および、GC/MSまたはLC/MSによって測定された定量化を示す。
図9図9は、Mangifera indica抽出物、溶媒(プロパンジオール/水、75/25)、および抗生物質シプロフロキサシンによるP. acnesの抑制を、示す。
図10図10は、時間-殺菌曲線(TKC)を実施して、活性物対プラセボのPropionibacterium acnesの増殖に対する効果を示す。
図11図11は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに適用して14日および28日後の、Sebumeter(登録商標)による皮脂分析を示す。
図12図12は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを、白人ボランティアの顔全体に28日間適用した後の、VISIA(登録商標)CR2.3によるポルフィリン強度分析を示す。
図13図13は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアの頬および鼻領域に28日間適用した後の、VISIA(登録商標)CR2.3によるポルフィリン強度分析を示す。
図14図14は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに28日間適用した後の、TEWL測定による皮膚バリア機能研究を示す。
図15図15は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに28日間適用した後の、皮脂抽出物からのTG/FFA比率のGCLC/MSによる分析を示す。結果は、漸進的変化(%)(T-T)/Tとして表す。
図16図16は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに28日間適用した後の、GC LC/MSによる、皮脂抽出からのSQOOH/SQ比率の分析を示す。
図17図17は、プラセボ(ビヒクル、図17a)および1%Mangifera indica抽出物(ビヒクル+活性物、図17b)による28日間の処置後の、メタゲノム分析による経時的な皮膚微生物叢の組成を示す。
図18図18は、Mangifera indica抽出物を2%含有するクリームまたはプラセボを、アジア人ボランティアに14日および28日間適用した後の、Sebumeter(登録商標)による皮脂分析を示す。
図19図19は、Mangifera indica抽出物を2%含有するクリームまたはプラセボをアフリカ人ボランティアに28日間適用した後の、脂肪滴で覆われた総面積の分析を示す。結果は、ΔD0Dx(%)で表す。
図20図20は、Mangifera Indicaを2%含有するクリームまたはプラセボを、アフリカ人ボランティアに28日間適用した後の、脂肪滴の総面積の分析を示す。結果は、ΔD0Dx(%)で表す。
図21図21は、Mangifera indica抽出物を1%含有するシャンプーまたはプラセボを適用した後の、頭皮の皮脂の分析を示す。結果は、皮脂変動のΔD0Dx(%)で表す。
図22図22は、PPAR-γに結合できたことを実証し、マンギフェリンがPPAR-γの空洞にあることを示す。
図23図23は、好ましい相互作用を伴う、空洞内のマンギフェリンの可能なコンフォメーションを示す。
図24図24は、残基間の距離の漸進的変化を示す分子動力学法の結果の図である。
図25図25は、属レベルにおいて、アフリカ人の皮膚は、白人の皮膚と同じ主要な属であるCutibacterium属およびStaphylococcus属を示す。
図26図26は、アフリカ人の皮膚に28日間プラセボを適用することによって影響を受けたこれらの属の漸進的変化を、まとめて示す。
図27図27は、プラセボの適用による影響を受けないことを示す。
図28図28は、主要な属はどれも改変されないことを示す。
図29図29は、2%のMangifera indica抽出物の存在は、C. acnes重度ざ瘡ファイロタイプに対するリパーゼ活性を約-23%低下させたことを示す。
【実施例
【0022】
例:
一般:Mangifera Indicaの葉はSama Bioconsult, Burkina Fasoから入手した。代替的に、葉は、International Trade Development (ITRAD), Ivory coastから入手することができる。葉を集めて乾燥させた。乾燥した葉を1.5mmの粒子サイズにすりつぶした。
【0023】
例1.
a)Mangifera Indica葉の抽出物の調製
80gのMangifera Indicaの粉砕乾燥葉を、1000gのプロパンジオール/水、重量比3:1と共に60℃で4時間浸軟させた。植物部分は、4000rpmで15分間の遠心分離によって除去した。残りの溶液はフィルターFiltrox reference AF31H(12~5μm)で濾過し、続いてフィルターFiltrox reference AF ST145(0.3~0.1μm)で滅菌濾過した。最終抽出物は、室温で遮光して保存した。
b)抽出物の分画および分析
抽出物は、CPC(向流遠心クロマトグラフィー)によって分画した。
・注入量:2.5gの乾燥抽出物
・CPC装置FCPE300(登録商標)(Rousselet Robatel Kromaton)-303mLのカラム
・二相溶媒系:MtBE/ACN/HO(3:3:4、v/v)→総量4L
・固定相:溶媒系の下相
・移動相:溶媒系の上相
・カラム回転速度:1200rpm
・流量:20mL/分
【0024】
最初の移動相のイソクラティック溶出は、上昇モードで87分間行った。次に、カラムを15分間押し出した。CPCクロマトグラムは、205、254、および366nmでモニタリングした。実験全体で20mLの画分を収集し、それらの薄層クロマトグラフィープロファイルに従って組み合わせた。その結果、15個のサブ画分を得た。
F1からF15までの各画分(最大20mgまで)のアリコートを、600μLのDMSO-d6に溶解し、13C NMRにより、TXI凍結プローブを装備したBruker Avance AVIII-600分光計(Karlsruhe, Germany)で、298Kで分析した。スペクトルを手動で調整し、TOPSPIN 3.2ソフトウェア(Bruker)を用いてベースラインを補正し、DMSO-d6の中心共鳴(δ39.80ppm)で較正した。すべての13C NMR信号の絶対強度を自動的に収集し、ローカルで開発されたコンピュータースクリプトを使用して、画分シリーズのスペクトル全体にわたってビニングした。結果の表は、階層的クラスタリング分析のために、PermutMatrixバージョン1.9.3ソフトウェア(LIRMM, Montpellier, France)にインポートした。得られた13C化学シフトクラスターは、2次元マップ上にデンドログラムとして視覚化した:13C NMRシグナルの強度が高いほど、マップ上の色が明るくなる。
【0025】
並行して文献調査を行い、マンゴー属(n=51)ですでに記載されている最大の代謝産物の名称および構造を得た。代謝産物同定のために、HCAから得られた各13C化学シフトクラスターを、データベース管理ソフトウェアの構造検索エンジンに手動で送信した。
追加の2D NMR実験(HSQC、HMBC、およびCOSY)を、推定の同定化合物を含有する画分に対して実施し、複製解除プロセスの最後にデータベースによって提案される分子構造を確認した。
さらに、LC-MS(質量分析と結合した液体クロマトグラフィー)を使用して、13の化合物を、内部データベースと文献データの比較に基づいて特徴付けた。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を使用して、抽出物をさらに315nmおよび295nmでのUV検出により分析した;特に、異なるバッチで次のように定量化された4つの主要なフィトマーカーの量を分析した。
【0026】
表1
【表1】
【0027】
例2.ヒトのセボサイト細胞株におけるin vitro脂質生合成の抑制
a)細胞培養および処理
セボサイトを96ウェルプレートに播種し(50000細胞/ウェル)、培地中で24時間培養した。次に培地を除去し、試験生成物を含有するアッセイ培地と交換した;該試験生成物には以下が含まれる:0.3%のMangifera indica抽出物、マンギフェリン単独、またはプールされた活性分子(4つの主要なフィトマーカー)をそれらの等価用量で抽出物中に0.3%。対照アッセイ培地には、生成物は含有されていなかった。細胞を、これらの条件で4時間プレインキュベートした。次に過剰な皮脂の状態を模倣するために、脂質生成混合物(lipogenic mix)(ビタミンC、ビタミンD3、インスリン、およびカルシウムを含有し、アンドロゲンは含まない)を添加し、細胞を7日間インキュベートした。中期、すなわち3日間のインキュベーション後、培地の半分を除去し、新たに処理を行った(脂質生成混合物の刺激を含む)。刺激なしの対照条件を並行して行った。すべての実験条件は、n=6の刺激ありの対照条件を除き、n=3で実施した。
【0028】
b)脂質含有量の分析(Bodipy(登録商標)標識化)
インキュベーションの終わりに、細胞をすすぎ、固定し、透過化処理した。次に細胞に含まれる脂肪滴を、主に中性脂質を標識する特定のBodipy(登録商標)蛍光脂質プローブを使用して標識した。並行して、細胞核を、Hoechst 33258(ビス-ベンズイミド)溶液を使用して染色した。画像の取得は、INCell Analyzer(商標)1000(GE Healthcare)を用いて行った。標識化ごとにウェルあたり10枚の写真を撮影した(×20対物レンズ)。標識は、細胞の総数に対して正規化された蛍光強度の測定により定量化した(Developer Toolbox 1.5, GE Healthcareソフトウェアによる数値データの統合)。結果は、細胞数に対して正規化された蛍光強度、刺激された対照の%および抑制の%として表した。蛍光強度は、脂肪滴のみで分析した(オブジェクトセグメンテーションに基づく画像分析プログラム)。したがって、SEBO662ARの高コンフルエンス(high confluence)培養で頻繁に観察される非特異的な蛍光バックグラウンドシグナルは、画像解析では考慮しなかった。
【0029】
c)皮脂調節活性(seboregulation activity)の同定
図2は、蛍光強度Bodipy(登録商標)の定量化によって測定した脂質蓄積分析を示す。結果は、混合物の脂質生成状態のパーセント(刺激された対照の%)で表す。スチューデントT検定を使用して、データの有意性をp<0.01および**p<0.001で決定した。
7日間の脂質生成混合物への曝露後に、脂質検出の有意な増加が観察された。これは1μmのOlumacostat glasaretylによって有意に減少する(陽性対照)。実際、Olumacostat glasaretilは、脂質生成混合物条件の7日後と比較して、脂質産生の-37%の有意な減少を示した。同様の活性が、0.3%の2つのMangifera indica抽出物で7日間処理した後に観察された;50%プロパンジオールおよび75%プロパンジオールの抽出物は、それぞれ-30%および-40%の減少を示した。
マンギフェリン(抽出物の主要化合物)を単独で試験し、脂質生合成を減少させるその能力を評価した。マンギフェリンは、抽出物で利用できるものと同じ量で使用した。マンギフェリンは、脂質生成混合物の条件と比較して、脂質生合成を-22%減少させることができた。
この最初の結果は、Mangifera indica抽出物が、セボサイト細胞株からの皮脂生成を制御できることを示す。さらに、マンギフェリンが皮脂生成を抑制できることを示す;しかしこれは、Mangifera indica抽出物の生物学的活性を担う唯一の化合物ではないようである。おそらくは他の活性分子も、この皮脂調節の活性化に関与している。
【0030】
d)Mangifera indica抽出物からの活性分子のプールが皮脂抑制に与える影響
図3は、蛍光強度Bodipy(登録商標)の定量化によって測定された脂質蓄積分析を示す。結果は、混合物の脂質生成状態のパーセント(刺激された対照の%)で表す。スチューデントT検定を使用して、データの有意性を**p<0.01および***p<0.001で決定した。
実証されているように、Mangifera indica抽出物の他の化合物も、皮脂生成の抑制に関与する。セボサイト細胞株での、脂質生成混合物によるin vitroでの皮脂生成の誘導に基づく同じモデルを使用して、0.3%の抽出物に見られる等価用量の分子(マンギフェリン、マクルリン、ガロタニン、およびイリフロフェノン)のプールが、皮脂生成の抑制に非常に効率的であり、脂質生成混合物の条件と比較して-52%を示すことが実証された。この効果は、プロパンジオール75%での0.3%のMangifera indica抽出物よりもさらに高く、分子のプールが、完全な抽出物の皮脂調節活性に全面的に関与していることを示した。
さらに、プロパンジオール75%のみを0.3%では、同じ実験条件下で皮脂生成の抑制に有意な効果を誘導しなかったことが示された。この結果は、抽出物の有効性がMangifera indica抽出物のみに関連し、プロパンジオールによって促進されないことを証明する。
【0031】
例3.3つの民族でのiPS由来のヒトセボサイト細胞株におけるin vitro脂質生合成の抑制
a)細胞培養および処理
Mangifera indica抽出物の、世界で最も代表的民族に対する有効性を実証するために、iPS由来の本物のセボサイトに取り組むこととした。この技法のおかげにより、白人、アジア、アフリカの民族を代表する様々なドナーを選択することができた。この研究は、皮脂過剰の状態を模倣するために、脂質生合成およびセボサイト分化の誘導因子であるアラキドン酸5(AA5)の存在下で実施した。
hiPSC由来セボサイト(Phenocell)の培養を、37℃、5%COのインキュベーター内の完全PhenoCULT-SEB培地(Phenocell)中のフィブロネクチン被覆プレート上で、3日間実施した。続いて脂質産生の誘導を、5μMのアラキドン酸(Sigma, cat. 10931)処理を96時間、基底PhenoCULT-SEB(Phenocell)中で使用し、一方10μMの13-cis-レチノイン酸(Tocris, cat.5513)を参照抑制剤として使用して実施した。活性物(active)は、アラキドン酸の存在する培地中、0.3%で試験した。
【0032】
b)脂質含有量の分析(Bodipy(登録商標)標識化)
処理後、細胞を固定し、BODIPY 493/503(Thermofisher, cat.D3922)で染色した。染色した細胞の写真を取得し、自動イメージャー(CX5 Cellinsight、Thermofisher)で分析した。各ウェルについて平均40の顕微鏡視野を取得した。
c)3つの民族のiPS(人工多能性幹)細胞由来のセボサイトにおけるin vitro脂質生合成の抑制
図4は、蛍光強度の定量化により測定した、脂質蓄積分析を示す。結果は、刺激された対照のパーセントで表す。ANOVA多重比較を使用して、データの有意性をp<0.05、**p<0.01、および***p<0.001で決定した。
【0033】
各民族における脂質産生の有意な減少が、参照抑制剤である13-cis-レチノイン酸を10μM(RA10)で適用した後に観察された。これらの結果は、実験および使用モデルの正当性を確認した。
Mangifera indica抽出物の0.3%での適用は、異なる民族における皮脂生成の減少にわずかな差を示した。実際、Mangifera indica抽出物は、脂質検出の-90%の減少によって観察されるように、白人のセボサイトに対して非常に効率的であった。同様の効率がアジア人のセボサイトでも実証され、皮脂生成が-88%減少した。また、皮脂生成の-46%の減少がアフリカ人のセボサイトで観察されたが、この効率は他の民族よりもわずかに低い。全体として、これらの結果は、0.3%のMangifera indica抽出物が、すべての民族での皮脂生成を有意に減少可能であることを示した。
【0034】
例4.qPCRによる作用様式の同定
a)方法
Mangifera indica抽出物の潜在的な作用様式を理解するために、トランスクリプトーム解析を前の3つの民族について実施した。皮膚の皮脂生成に関与する転写因子および酵素をコードする様々な遺伝子を、具体的に分析した。生物学的マーカーは、皮膚の皮脂生成への関与に従って選択した。
・FDFT1(スクアレンシンターゼ)、これはスクアレンの合成を表す。
・PPARG(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ)、全体的な脂質生合成に関与する転写因子。
・DGAT2(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ)、これはトリグリセリドの合成を表す。
・FADS2(脂肪酸デサチュラーゼ-2)、これは皮脂化合物に対する特異的反応を触媒する。
【0035】
iPS由来のセボサイトからのRNAを、Isolate II RNA miniキット(Bioline、cat.BIO-52073)を用い、製造業者の指示に従って抽出した。逆転写は、SensiFast Synthesisキット(Bioline、cat.BIO-65054)を使用し、試料あたり250ngの全RNAで実施した。最後にリアルタイム定量的PCRを、CFX96サーモサイクラー(iorad)でItaqユニバーサルSYBR Green Supermix(Biorad、cat.1725125)を使用して行った。PPARG(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ)、DGAT2(ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ)、FADS2(脂肪酸デサチュラーゼ-2)、およびFDFT1(スクアレンシンターゼ)を含む、PT-SEB-RNAプライマーパネル(Phenocell)をこのアッセイに使用した。
【0036】
b)結果
図5は、0.3%のMangifera indica抽出物で処理した条件での相対的な遺伝子発現を、未処理の条件と比較して示す。図5aは、3つの民族の倍数変化の平均を示し、図5bは、各民族の倍数変化を示す。倍率変化は、各遺伝子の未処理条件と刺激条件の間での、遺伝子発現の誘導である。ANOVA多重比較を使用して、データの有意性を#p<0.1、**p<0.01および***p<0.001で決定した。
図5aは、すべての遺伝子の発現が、0.3%のMangifera indica抽出物の存在下で減少したことを示す。より正確には、FDFT1、PPARG、DGAT2、およびFADS2をコードする遺伝子の有意な下方制御が観察され、倍率変化-1.6、-2.0、-2.0、および-1.2が観察された。
様々な民族への影響を図5bに示す。Mangifera indica抽出物は、各民族のFDFT1およびPPARG発現を有意に下方制御することが観察された。DGAT2発現の下方制御は、アジア人のドナーでのみ有意であったが、FADS2発現の下方制御は、アフリカ人のドナーで有意であった。これらの結果は、Mangifera indica抽出物が、各民族の皮脂生成および脂質生合成調節に関連する様々な経路に、グローバルな影響を与えることを確認した。
【0037】
例5.ex vivoの皮脂腺容積の減少解析
a)細胞培養および処理
試験は、骨盤領域の4つの皮膚外植片NativeSkin(登録商標)(平均40.75歳)で実施した;これは、表皮表面が空気と接触したままで、固体で栄養のあるマトリックスに埋め込まれた全層皮膚生検である。皮膚生検はマトリックスにしっかりと埋め込まれており、局所的に適用された製剤の横方向の拡散を防ぐ。
皮膚外植片は、脂質生合成を刺激しかつ皮脂過剰の状態を模倣するために(刺激された状態)Carbopol Ultrez 10中の10%のリノール酸の存在下で局所的に1日1回7日間処理するか、またはCarbopolのみで処理した(対照状態)。この誘導は、皮脂の大量生産を模倣する。並行して皮膚外植片を、Carbopolに配合されたMangifera indica抽出物1%および2%の存在下で処理した。処理後、皮膚外植片をホルマリンで固定した。
【0038】
b)3Dでの皮脂腺容積の研究
固定後、皮膚外植片をメタノールおよび、安息香酸ベンジルとベンジルアルコールの混合物で透明にした。すべての試料は、蛍光光シート顕微鏡(SPIM、自作)によって観察した。試料ごとに画像のスタックを撮影した。腺の3D画像を再構成し、各皮脂腺のサイズをAmira(登録商標)ソフトウェアを用いて定量化した。結果は、皮脂腺の平均容積+/-平均に対する標準誤差で表した。
c)結果
図6は、皮脂腺の3D容積を示す。結果は、刺激された対照(10%リノール酸)のパーセントで表す。マンホイットニー検定を用いて、データの有意性をp<0.05で決定した。
7日間のリノール酸刺激により、皮脂腺の3D容積が+37%増加した。Mangifera indica抽出物は、皮脂腺の3D容積を、Carbopolに配合された1%の抽出物で-50%(p<0.05)、2%の抽出物で-54%(p<0.05)と、有意に減少させた。
【0039】
例6.皮脂腺のex vivo完全性(integrity)
a)細胞培養および処理
例5のセクションaを参照のこと。
b)皮脂腺の分化および構造の研究
固定後、皮膚外植片をパラフィンに入れて切片にした。皮膚切片を免疫染色法で染色して、セボサイトの分化の2つのマーカーであるアジポフィリン(ADFP)およびサイトケラチン7(CK7)を特異的に検出した。染色は、蛍光顕微鏡(LEICA DM5000)を用いて観察した。約10枚の画像を試料ごとに撮影した。タンパク質の相対的な蛍光を、すべての画像について定量化した。結果は、タンパク質の平均蛍光強度+/-平均に対する標準誤差で表した。
【0040】
c)結果
図7は、サイトケラチン7およびアジポフィリンの蛍光の定量化を示す。結果は、刺激された対照(10%リノール酸)のパーセントで表す。マンホイットニー検定を使用して、データの有意性を、非有意の結果をp>0.05として決定した。
Mangifera indica抽出物による処理後、蛍光強度のレベルで観察されるように、これら2つのマーカーの発現に影響がないことが示された(図7aおよび7b)。蛍光シグナルの定量化後、無処理条件と比較して、Mangifera indica抽出物による処理によって引き起こされた有意差がないことも示された。Mangifera indica抽出物は、皮脂腺の形態または分化メカニズムにいかなる影響も及ぼさないと、結論付けることができる。
【0041】
例7.ex vivoの皮脂の定量化
a)細胞培養および処理
3人のドナー(平均年齢56.7歳)のリフティングからの皮膚外植片を、30μMのジヒドロテストステロン(DHT)の存在下で5日間毎日全身的に処理して、皮脂の高生産状態(刺激状態)を模倣する脂質生合成の増加を誘導するか、または処理なしにした(対照条件)。並行して、皮膚外植片を0.5%の過酸化ジベンゾイル(POB、陽性参照)の存在下で、または1%および2%のMangifera indica抽出物で処理した。
【0042】
b)脂質抽出
組織は、水性カクテルで4℃で一晩抽出する。その後、表皮を剥がす処理を行う。特定の技法を使用して、これらの毛幹に付着した腺を回収する。
等張媒体ですすいだ後、表皮およびその付属物を時計皿に移す。毛幹または毛包に付着した皮脂腺は、毛包脂腺管のレベルで切断し、回収バイアルの壁に付着させる。皮脂腺は、表皮断片の切裂(dilaceration)後に回収する。腺は、10単位のバッチに収集する。次に腺の洗浄を行い、非皮脂由来の汚染を排除する。次に皮脂を、有機カクテルを用いて室温で一晩抽出する。この脂質抽出物から、精製を行って異なるクラスの脂質を分離した。
c)脂質の分析および定量化
様々なクラスの脂質の同定および定量化は、GC/MSによって実施した。
【0043】
d)結果-皮脂の分析および定量化
図8は、皮脂腺からの脂質抽出および、GC/MSまたはLC/MSによって測定された定量化を示す。結果は、刺激された対照(未処理+DHT30μM)のパーセントで表す。ボンフェローニ検定多重比較を使用して、統計分析を#p<0.1、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001で実施した。
ヒトの皮脂腺で生成された皮脂を抽出し、脂質の4つのファミリー(スクアレン、コレステロール、遊離脂肪酸、およびトリグリセリド)を特定した。
ジヒドロテストステロン(DHT)によるこの刺激は、スクアレン、遊離脂肪酸(FFA)、およびトリグリセリドの有意な増加を誘導した(図8a、c、およびd)。コレステロールファミリーへの影響はなかった(図8b)。陽性参照(0.5%のPOB)は、実験を検証するコレステロールを除き、各ファミリーで有意な減少を示した。
1%および2%のMangifera indica抽出物は、脂質生成刺激により増加するトリグリセリドとスクアレンの含有量の減少によって観察されるように、皮脂の質の改善を示す(図8dおよびa)。
【0044】
例8.In tubo評価-脂性肌に存在する細菌に対する潜在的細菌抑制活性の決定
Mangifera indica抽出物の、以下に対する潜在的細菌抑制活性を評価した:Propionibacterium acnes(P Acnes、Cutibacterium acnes(C. acnes)としても知られる)、Cutibacterium granulosum(C. granulosum)、Staphylococcus aureus((S. aureus)、およびHaemophilus influenza(H. influenza)。これらの細菌は脂性肌に見出すことができる。
a)MIC(最小発育阻止濃度)の評価
以下の活性成分の最小発育阻止濃度を評価した:
・Mangifera indica抽出物(プロパンジオール/水、75/25中);
・ビヒクル(プロパンジオール/水、75/25;Activolo3-75%として表す);
・「プールマンギフェリン」、これは、プロパンジオール/水、75/25中のMangifera indica抽出物と同じ濃度での、純粋な分子マンギフェリンである;
・「プールマンギフェラ(Pool Mangifera))」は、プロパンジオール/水、75/25中のMangifera indica抽出物と同じ濃度での、4分子(マンギフェリン、マクルリン-C-グルコシド、イリフルオフェノン-C-グルコシド、ガロタニン)の混合物である。
【0045】
ざ瘡ファイロタイプIA1 P. acnes(American Type Culture Collection ATCC 6919)およびC. granulosum(ATCC 25564)を、ATCC推奨のように強化クロストリジアブイヨン(RCB)で培養した。pHは、6.8+/-0.2(25℃)に調整した(D-2で培養開始)。2日後、細菌濃度を強化クロストリジアブイヨンで調整して、1.10CFU/ml(5.10CFU/ウェル)の溶液を得た。潜在的抑制剤を、様々な濃度で水に追加した(D0でのMICの評価)。2日後、P. acnesおよびC. granulosumの抑制を、コロニーカウンターIUL機器、フラッシュアンドゴーモデルを使用して評価した(D2で読み取り)。
S. aureus:実験の前日、S. aureus(ATCC3 3592)を播種し、37℃で一晩増殖させた。コロニーを5mLのTSB(Tryptic Soy Broth)に再懸濁して、0.5McFarland DO(≒1.10CFU/ml)を得た(D-1で培養開始)。潜在的抑制剤を、水に様々な濃度で追加した(D0でのMICの評価)。1日後、S. aureusの抑制を、コロニーカウンターIUL機器、フラッシュアンドゴーモデルを使用して評価した(D1で読み取り)。
【0046】
H. influenzae(ATCC 49766)は、ATCCが推奨するようにMueller Hintonブロスで5%COで培養した。細菌濃度をMueller Hintonブロスで調整して、1.10CFU/ml(5.10CFU/ウェル)の溶液を得た(D-2で培養開始)。潜在的抑制剤は、様々な濃度で水に追加した(D0でのMICの評価)。2日後、H. influenzaeの抑制を、コロニーカウンターIUL機器、フラッシュアンドゴーモデルを使用して評価した(D2で読み取り)。
設計プレートを以下の表2に示す。濃度は%(m/v)で表す。
【0047】
表2:
【表2】

A:Activolo3-75%;B:Activolo3-75%(Col.3~7)およびシプロフロキサシン(Col.8~12);CおよびD:Mangifera indica抽出物;EおよびF:プールマンギフェリン;GおよびH:プールマンギフェラ。星印の活性物の希釈は水で行った。これは、以下の表3~6にも当てはまる。
希釈した細菌懸濁液を、カラム2~12に加えた。RCB培地を、陰性対照としてカラム1に加えた。
細菌増殖と相関する光学密度を測定した。その後、各条件の抑制値(%)を以下の式を用いて決定した。
抑制値(%)=100-((条件i-陰性対照))/((陽性対照-陰性対照))×100
MICに到達するには、抑制率が90%以上でなければならない。
【0048】
結果:
C. acnes、細菌懸濁液濃度:1,46.10CFU/ml
表3a:光学密度、C. acnes:
【表3】

光学密度は、陽性対照で他の条件よりも高く、平均値は陽性対照で0.242、陰性対照で0.049であった。
【0049】
表3b:抑制率、C. acnes:
【表4】
【0050】
ビヒクル(Activolo3-75%)は、純粋から1/4希釈までで使用した場合、P. acnesへの抗菌効果があった。1/16希釈では、ビヒクルは抗菌効果を有しない。シプロフロキサシン(同じ用量)に対して得られた結果は、99%の抑制で類似であった。
Mangifera indica抽出物(2%)およびプールマンギフェラ(2%)で得られた結果は、P. acnesに対する抗菌効果を証明したが、プールマンギフェリンは抗菌効果を有しない。
Mangifera indica抽出物、溶媒(プロパンジオール/水、75/25)、および抗生物質シプロフロキサシンによるP. acnesの抑制も、図9に示す。Mangifera indica抽出物(図9上)は1%から2%までで>90%抑制の抗菌効果を有する。溶媒自体は、最大25%まで効率的である(図9中央)。シプロフロキサシンは、1×10-4%で99%抑制の抗菌効果を有する(図9下)。
【0051】
C. granulosum、細菌懸濁液濃度:1,62.10CFU/ml
表4a:光学密度、C. granulosum:
【表5】
【0052】
光学密度は、陽性対照で他の条件よりも高く、平均値は陽性対照で0.548、陰性対照で0.050であった。
表4b:抑制率、C. granulosum:
【表6】

ビヒクル(Activolo3-75%)は、純粋から1/4までで使用した場合、C. granulosumに対して抗菌効果を有した。1/32希釈では、ビヒクルは抗菌効果を有しない。シプロフロキサシン(同じ用量)で得られた結果は、99%の抑制で類似であった。
Mangifera indica抽出物(2%、1%)およびプールマンギフェラ(2%、1%)で得られた結果は、C. granulosumに対する抗菌効果を証明したが、プールマンギフェリンは2%でわずかな抗菌効果を示した。
【0053】
S. aureus:細菌懸濁液濃度:1,10.10CFU/ml
表5a:光学密度、S. aureus:
【表7】

光学密度は、陽性対照で他の条件よりも高く、平均値は陽性対照で0.398、陰性対照で0.046であった。
【0054】
表5b:抑制率、S. aureus:
【表8】

ビヒクル(Activolo3-75%)は、純粋から1/8希釈までで使用した場合、S. aureusに対して抗菌効果を有した。1/64希釈では、ビヒクルは抗菌効果を有しない。シプロフロキサシン(同じ用量)で得られた結果は、99%の抑制で類似であった。
活性成分(マンギフェラ2%)、プールマンギフェラ(2%)、およびプールマンギフェリン(2%)で得られた結果は、わずかな抗菌効果を証明した。
【0055】
H. influenza:細菌懸濁液濃度:1,16.10CFU/ml
表6a:光学密度、H. influenza:
【表9】

光学密度は、陽性対照で他の条件よりも高く、平均値は陽性対照で0.192、陰性対照で0.055であった。
【0056】
表6b:抑制率、H. influenza:
【表10】

ビヒクルは、純粋から1/8希釈までで使用した場合、H. influenzaに対して抗菌効果を有した。1/32希釈では、ビヒクルは抗菌効果を有しない。シプロフロキサシン(同じ用量)で得られた結果は、99%の抑制で類似していた。
Mangifera indica抽出物(2%)およびプールマンギフェラ(2%)で得られた結果は、H. influenzaに対する抗菌効果を証明したが、プールマンギフェリンは抗菌効果を有しない。
全体として、試験された細菌に対する抗菌効果は、Mangifera indica抽出物、および上記4つの活性成分を含有するプールマンギフェラでも実証された。対照的に、プールマンギフェリン(マンギフェリンのみ)は、抗菌効果が低いか、まったく効果がなかった。
【0057】
b)TKC(時間-殺菌曲線(Time Kill Curve))の決定
P. acnes(ATCC 6919)およびC. granulosum(ATCC 25564)は、強化クロストリジアブイヨンでATCCの推奨に従って培養した。pHは6.8+/-0.2(25℃)に調整した(D-2で培養開始)。各菌株を適切なプレートに播種し、適切な条件で増殖させた。コロニーを5mLのPBSに再懸濁し、0.5McFarland OD(約1.10cfu/ml)を得た。2日後、細菌濃度を強化クロストリジアブイヨン中で調整して、1.10CFU/ml(5.10CFU/ウェル)の溶液を得た。様々な化合物を、様々な濃度で水中に添加した(P. acnesの時間-殺菌曲線の開始、D0で細菌の定量化)。細菌の定量化は、T+4h、T+8h、T+24h、T+32h、T+48hで繰り返した。細菌の定量化には、コロニーカウンターIUL機器、フラッシュアンドゴーモデルを使用した。
【0058】
時間-殺菌曲線(TKC)を実施して、活性物対プラセボのPropionibacterium acnesの増殖に対する効果を決定した。
表7-Log10CFU/mlで表す:
【表11】

表7と図10aから、以下が結論付けられる:
陽性対照(P. acnes未処理)のプロファイルは、T0からT+24hまで安定であり、その後、細菌濃度はT+32hからT+48hまで増加した。シプロフロキサシン参照は、試験された各用量で、細菌増殖の減少をT+4hからT+48hにおいて誘導した。
1/4に希釈した(溶媒=水)プラセボ(75%のActivonol-3、1,3-プロパンジオール)、および0.5%のMangifera indica抽出物(マンギフェラ)で処理した培養物は、T0からT+24hまで安定であり、細菌濃度はT+32hからT+48hまで増加した。これらのプロファイルは陽性対照のプロファイルに近く、P. acnesの増殖に影響がないことを証明する。
【0059】
例9.臨床調査-Mangifera indica抽出物の白人ボランティアの皮膚への影響
試験は、二重盲検およびプラセボ対照条件で実施した。
a)パネルの説明
脂性肌(額の皮脂>140μg/cm2)の30人の女性(年齢18~45歳、平均年齢:30.7±5.8歳)を、15人のボランティアの2群に分けた。ボランティアには、1%のMangifera indica抽出物を含有するクリームまたはプラセボクリーム(完全な組成については表9を参照)を、1日2回、28日間適用した。試料または測定は、D0、DD14、およびD28で取得した。
【0060】
b)INCI処方箋(formula)
表9
【表12】

c)方法-皮脂量
皮脂量は、ボックスとカセットで構成されるデバイスであるSebumeter(登録商標)によって測定する。カセットはつや消しフィルム(マットで半透明)で構成される。カセット(フィルム)を、関心領域に30秒間接触させる。次いでカセットをボックスに挿入し、フィルムの透明度を透過光を通して測定し、皮脂の割合(sebum rate)を決定する。この研究では、顔の左半分の頬と鼻の周りを3回測定した。
測定は、0日目に額で実施して、皮脂レベルが140μg/cmを超えるボランティアを脂性とみなして選択し、研究に含めた。
【0061】
d)結果-皮脂量
脂性肌領域(頬と鼻の領域)における皮脂レベルの漸進的変化(evolution)を分析した。図11は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに適用して14日および28日後の、Sebumeter(登録商標)による皮脂分析を示す。結果は、鼻の皮脂のΔD0Dxとして表す。
14日間の適用後、Mangifera indica抽出物およびプラセボで皮脂の減少が観察され、プラセボがより高効率であった。28日間の適用後、Mangifera indica抽出物により皮脂の-13.2%の大幅な減少が観察されたが、一方プラセボ処方箋では-6%のみの減少であった。さらに、プラセボと活性物の間に有意差が見られ、1%のMangifera indica抽出物は、白人の皮膚に対しプラセボと比較して、28日後に皮脂生成の-7.2%の有意な減少を誘導したことが実証された。
VISIA(登録商標)CR2.3で撮影した写真は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームを28日間適用した後、頬と鼻の領域の肌の脂っぽさが、プラセボで処置した肌より少なくなっていることを示す。
【0062】
e)方法-VISIA(登録商標)CR2.3を用いたポルフィリンの減少
Canfield(登録商標)imaging systemsのVisia(登録商標)CR2.3を介して、顔のデジタル写真術をD0で再配置して様々な時点で実施した。再配置の制御は、取得のたびに画像のオーバーレイ視覚化を使用して、データ処理画面で直接行う。Visia(登録商標)CR2.3を使用すると、様々な種類の照明で写真を撮ることができ、画像を非常に迅速に捕捉することが可能となる。マルチスペクトルイメージングと分析の下で撮影された一連の写真により、皮膚の外観に影響を与えている視覚的情報を取得できる。写真は正面および横から撮影した。
【0063】
f)結果-ポルフィリンの減少
この研究において、Mangifera indica抽出物のポルフィリン強度に及ぼす影響を分析した;これは、皮膚の微生物叢に、特にポルフィリンを発現することが知られているC. acnesに、直接関連している可能性がある。C. acnesは、増殖のために皮脂を使用している。したがって、過剰な皮脂は、有意なポルフィリン検出に関連する。皮脂の減少は、ポルフィリン強度の観測値の減少を引き起こし、皮膚微生物叢への影響を反映する。28日間の適用後に、顔全体または局所的皮膚領域(頬と鼻)を評価した。図12は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを、白人ボランティアの顔全体に28日間適用した後の、VISIA(登録商標)CR2.3によるポルフィリン強度分析を示す。結果は、ΔD0Dxポルフィリン強度として表す。結果は、1%のMangifera indica抽出物を適用して14日および28日後に、ポルフィリン強度が-2.7%および-8.6%減少したことを実証する。対照的に、プラセボは、14日後および28日後にいかなる有意な結果も証明しなかった。
【0064】
興味深いことに、1%のMangifera indica抽出物とプラセボとの間の28日間適用後の-5.8%の有意差は、Mangifera indica抽出物が顔全体の脂性肌のポルフィリンを有意に減少させ得たことを実証した。
図13は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアの頬および鼻領域に28日間適用した後の、VISIA(登録商標)CR2.3によるポルフィリン強度分析を示す。結果は、ΔD0Dxポルフィリン強度として表す。結果は、1%のMangifera indica抽出物を適用して14日および28日後に、ポルフィリン強度が-1.9%および-7.2%減少したことを実証する。プラセボは、28日間の適用後にのみ、-3%のわずかな効果を示した。
興味深いことに、28日間の適用後の活性物とプラセボとの間の-4.2%の有意差は、1%のMangifera indica抽出物が、頬と鼻領域の脂性肌のポルフィリンを有意に減少させ得たことを示す。
【0065】
g)方法-TEWLの減少による皮膚バリアの改善
経表皮水分蒸散量(TEWL)は、角質層を通した体の内側から外側への、水分の受動的拡散である。その測定により、バリア機能の完全性を評価することが可能になる。皮膚と接触する円筒形チャンバーの境界を定めるプローブを使用して、皮膚表面(オープンチャンバー)に確立された水蒸気の勾配を測定し、環境条件の変化を部分的に克服する。測定単位はg/m2/hである。この研究の間、測定は額(左)で実施した。
【0066】
h)結果-皮膚バリアの改善
図14は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに28日間適用した後の、TEWL測定による皮膚バリア機能研究を示す。結果は、TEWLのΔD0Dxとして表す。皮脂調整生成物は乾燥肌につながり得て、最終的に皮膚バリア機能を乱す可能性があることが知られている。そこでMangifera indica抽出物の効果を評価するために、TEWL分析による皮膚バリアを研究した。
プラセボは、14日後も28日後も、皮膚バリアに影響を与えないことが実証された。これとは対照的に、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームを適用したボランティアは、14日後および28日後にそれぞれ-7.6%および-12.7%のTEWLの減少によって観察されるように、皮膚バリアの前進的改善を示すことが観察された。
両生成物の間には適用28日後に有意差があり、-14.9%の差を示し、Mangifera indica抽出物が28日後に、プラセボと比較して皮膚バリアを有意に改善することを実証する。
【0067】
i)方法-TG/FFAおよび酸化スクアレン/スクアレンの比率に着目した皮脂の質の改善
皮脂は、スクアレン(主な脂質)、コレステロール、遊離脂肪酸(FFA)、ワックス、およびトリグリセリド(TG)で構成される。皮脂組成は、MSと組み合わせたGCを使用して研究されている。スクアレンとコレステロールについては検量線を作成し、その他のバイオマーカーについては半定量分析を実施した。
j)結果-TG/FFA比率に着目した皮脂の質の改善
皮脂をこの研究中に収集し、その品質を、皮膚微生物叢、特にC. acnesの漸進的変化に関連するいくつかの間接的な情報を反映できるTG/FFA比率に着目して分析した。実際、C. acnesは、TGをその増殖のエネルギー源として消費し、分解後にFFAを放出する。これにより、TG/FFA比率の影響は、C. acnesへの潜在的な影響を示し得る。
【0068】
図15は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに28日間適用した後の、皮脂抽出物からのTG/FFA比率のGCLC/MSによる分析を示す。結果は、漸進的変化(%)(T-T)/Tとして表す。
Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームの適用の14日後および28日後に、TG/FFA比率の経時的増加が+16.5%および+54.95%であることが実証された。プラセボの適用は、この比率に影響を与えなかった。
興味深いことに、両方の生成物の間には28日後に有意な差が見られ、Mangifera indica抽出物を1%含む活性物において+49.5%増加した。この結果は、Mangifera indica抽出物が、経時的にTG/FFA比率を有意に増加させ得ることを示しており、C. acnesの集団がMangifera indica抽出物の存在によって影響を受け得ることを示唆する。
実際、TGの増加およびFFAの減少が観察され、これは、FFAの減少によっても証明されるように、TGがC. acnesによってもはや分解されなかったことを示唆する。
【0069】
k)結果-酸化スクアレン/スクアレン比率に着目した皮脂の質の改善
また、皮脂中の酸化スクアレン(SQOOH)/スクアレン(SQ)の比率を分析したが、これは、皮脂が過剰な場合には酸化スクアレンが蓄積し、それによってざ瘡につながる皮膚の炎症を促進し得るからである。この比率の研究は、Mangifera indica抽出物が皮脂の質を改善できるかどうかを証明する方法でもある。
図16は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリームまたはプラセボを白人ボランティアに28日間適用した後の、GC LC/MSによる、皮脂抽出からのSQOOH/SQ比率の分析を示す。結果は、漸進的変化(%)(T-T)/Tとして表す。
Mangifera indica抽出物を1%含むクリームを28日間適用した後、SQOOH/SQ比率の有意な減少が観察されたが、一方プラセボは、時間の経過と共にこの比率が増加する逆の効果を示した。この結果は、Mangifera indica抽出物が、皮脂中の酸化スクアレンの蓄積を減少させることによって、皮脂の質を改善するようであることを示す。
【0070】
例10.メタゲノム解析
a)微生物叢のサンプリングおよび保管
例9aに記載されたパネルの皮膚微生物叢も、同じ臨床評価の間に調査した。ミクロフローラ(microflora:細菌叢)の試料は、30人のボランティアの額から、非侵襲的なスワブ法により、0.15MのNaClの滅菌溶液で湿らせた滅菌スワブを使用して収集した。スワブを-20℃で移し、DNA抽出まで凍結保存した。サンプリングは、処置前(D0)、および14日間(D14)および28日間(D28)の処置後に、標準化された手順を用いて実施した。
b)DNA抽出
DNA抽出は、各試料に対して、DNeasy PowerLyzer(登録商標)PowerSoil(登録商標)DNA Isolation KitとQiacube装置(Qiagen, Hilden, Germany)を使用し、次の変更を加えて実施した:各スワブの先端を滅菌外科用ブレードで取り外し、750μLのビーズ溶液(Bead Solution)を含有する1.5mLチューブに移した。採取したバイオマスは、撹拌およびピペッティングにより懸濁させた後、ビーズ式ビーティングチューブ(bead beating tube)に移した。残りのステップは、製造業者の指示に従って実施した。DNA濃度は、QuBit dsDNA HS蛍光定量キット(Invitrogen, ThermoFisher Scientific, Courtaboeuf, France)を用い、製造業者の指示に従って決定した。
【0071】
c)配列決定およびデータ解析
16S rRNA遺伝子配列決定:配列決定は、MiSeqデバイス(Illumina, Inc., San Diego, CA, USA)を使用し、500サイクルのペアエンドランでV3V4 16S可変領域を標的として、次のプライマー:16S-Mi341Fフォワードプライマー、5’-CCTACGGGNGGCWGCAG-3’および、16S-Mi805Rリバースプライマー、5’-GACTACHVGGGTATCTAATCC-3’を使用して実施し、約460bpアンプリコンを生成した。
PCR1は次のように実施した:8μLのテンプレートDNA(0.2ng)を、5μLの各リバースおよびフォワードプライマー(1μM)、5μLのKAPA HiFi Fidelity Buffer(5X)、0.8μLのKAPA dNTP Mix(各々10mM)、0.7μLのRT-PCRグレードの水(Ambion)、および0.6μLのKAPA HiFi hotstart Taq(1U/μL)、総量25μLと混合した。各増幅は複製し、複製は増幅後にプールした。PCR1サイクルは、BioRad CFX1000サーモサイクラーを用いて、95℃で3分間、次いで95℃で30秒間、59℃で30秒間、および72℃で30秒間を32サイクルと、その後の72℃で3分間の最終伸長から構成された。、陰性対照と陽性対照をすべてのステップに含めて、汚染をチェックした。すべての複製プールはゲル電気泳動によって制御し、アンプリコンは蛍光測定法を使用して定量化した。
【0072】
その後、16Sメタゲノミクスライブラリの調製に関するIlluminaのガイドラインに従って、分析の準備が整ったライブラリを作成した。簡潔に言うと、PCR1アンプリコンを、Agilent 2100バイオアナライザー(Agilent Technologies, Santa Clara, USA)を使用して精製および制御した。複数試料の同時分析(マルチプレックス)を可能にするために、15~30ngのPCR1アンプリコンをPCR2中に使用して、Nextera(登録商標)XTインデックス(Illumina)を追加した。PCR2サイクルは、94℃で1分間、次いで94℃で60秒間、65℃で60秒間、および72℃で60秒間の12サイクルと、その後の72℃で10分間の最終伸長から構成された。インデックス付きライブラリは、Agilent 2100バイオアナライザーを使用して精製、定量化、および制御した。等モル混合物を得るために、検証済みのインデックス付きライブラリをプールした。
ラン(500サイクル)はMiSeqシーケンサー(Illumina)で、MiSeq Reagent Kit v3 600サイクル(Illumina)を使用して達成した。配列決定の実行により、250塩基のペアエンドリードが1,270万回、すなわち最大3.2ギガ塩基の出力が生成された。ライブラリおよびMiSeqランは、GeT-PlaGeプラットフォーム(INRA, Auzeville, France)でGivaudanにより実施された。
【0073】
MiSeqランの後、生データの配列を逆多重化(分離)し、品質チェックを行って、あいまいな塩基を持つすべての読み取りを削除した。インデックスおよびプライマー配列は、cutadapt(v1.9; http://cutadapt.readthedocs.io/en/stable/index.html)で削除し、fastqスコアが28未満の読み取りはトリミングした。フォワードおよびリバース配列は、bbmerge(https://jgi.doe.gov/data-and-tools/bbtools/)を使用してペアリングした。ペア配列が5000未満の試料は破棄した。残りのペアの配列は、vsearch(Rognes et al., 2016)を使用する社内パイプラインを使用して処理し、PCRエラーのあるキメラおよびアンプリコンを削除した。次に配列を、swarm(v2.6 - Mahe et al., 2015)を使用して、1%の非類似度レベルで運用分類単位(OTU:16S rRNAマーカー遺伝子配列の類似配列バリアントのクラスター)に分割した。RDP分類子を使用した分類学的割り当てのために、固有のアンプリコンを、SILVA SSU Ref NR 99(非冗長)データベース(release 132;https://www.arb-silva.de/)にマッピングした(Wang et al., 2007)。データの正規化および分析は、R統計計算環境(v3.2.0; https://www.r-project.org/ - R core team (2014))を使用し、Bioconductor パッケージ(Phyloseq、DESeq2およびVeganライブラリ; http://www.bioconductor.org/)を用いて実施した。
次にデータを、ペアの試料のウィルコクソン検定を使用して比較した(Wilcoxon, 1945)。複数のテストにより、p値を、偽発見率(FDR)補正を用いて調整した(Binyamini and Hochberg, 1995)。
【0074】
d)結果-メタゲノム解析を用いた、生成物の皮膚微生物叢への影響
表10は、Mangifera indica抽出物を1%含有するクリーム(ビヒクル+活性物)またはプラセボ(ビヒクル)を白人ボランティアに適用して14日または28日後の、影響を受けた4つの細菌属の相対存在量の漸進的変化を示す。
14日間のプラセボ適用(ビヒクル)後、Pseudomonas(p値=0.018)およびSerratia(p値=0.011)の有意な減少が観察され、さらに、28日間のプラセボ適用後、Acinetobacter(p値=0.038)およびStaphylococcus(p値=0.057)の有意な増加が観察された。しかし同じ期間中に、活性物による処置(ビヒクル+活性物)では、これら4つの細菌属の相対的存在量の有意な漸進的変化はなかった。
【0075】
表10:
【表13】
【0076】
プラセボは、皮膚微生物叢組成のいくらかの改変を誘導し、経時的に腸内毒素症(微生物の不均衡)につながることが示された。対照的に、ビヒクルにMangifera indica抽出物を1%添加すると、経時的に皮膚微生物叢のバランスが保護された。これらの結果は、Mangifera indica抽出物がマイクロバイオームにやさしく、皮膚の微生物叢を、ビヒクルを介した腸内毒素症から経時的に保護することを証明した。
図17は、プラセボ(ビヒクル、図17a)および1%Mangifera indica抽出物(ビヒクル+活性物、図17b)による28日間の処置後の、メタゲノム分析による経時的な皮膚微生物叢の組成を示す。
【0077】
例11.臨床調査-Mangifera indica抽出物のアジア人ボランティアの皮膚への影響
a)パネルの説明
この研究は、二重盲検およびプラセボ対照条件で実施した。
脂性肌(額の皮脂>100μg/cm2)の40人の女性(年齢18~45歳、平均年齢30.5歳)を、ボランティアの2群に分けた。ボランティアには、2%のMangifera indica抽出物を含有するクリームまたはプラセボクリーム(完全な組成については表11を参照)を1日2回、28日間適用した。D0、D14、D28にSebumeter(登録商標)で皮脂の量を分析し、VISIA(登録商標)により例示的写真を撮った。
【0078】
b)INCI処方箋
表11:
【表14】

c)方法-皮脂量
皮脂量は、例9cに記載のように、Sebumeter(登録商標)により測定する。
測定は0日目に額で行い、皮脂レベルが100μg/cmを超える脂性とみなされるボランティアを選択して、研究に含めた。
【0079】
d)結果-皮脂量
脂性肌領域(頬と鼻領域)における皮脂レベルの漸進的変化を分析した。図18は、Mangifera indica抽出物を2%含有するクリームまたはプラセボを、アジア人ボランティアに14日および28日間適用した後の、Sebumeter(登録商標)による皮脂分析を示す。結果は、皮脂レベルΔD0Dx(%)で表す。
結果は、2%のMangifera indica抽出物が、14日後に皮脂の-6%の減少を引き起こし、これは28日まで維持されて-4%の減少を示したことを示す。同時に、プラセボは皮脂レベルに有意な差を引き起こさず、しかも28日後に皮脂はわずかに増加するようである。プラセボと比較して、活性物は28日間の適用後に皮脂生成を-9%と有意に減少させた。
VISIA(登録商標)CR2.3で撮影した写真は、プラセボで処置した皮膚と比較して、Mangifera indica抽出物を2%含有するクリームを28日間適用後に、頬と鼻の部分の皮膚の脂っぽさが少なくなっていることを示す。
【0080】
例12.臨床調査-Mangifera indica抽出物のアフリカ人ボランティアの皮膚への影響
a)パネルの説明
この研究は、二重盲検およびプラセボ対照条件で実施した。
脂性肌(額の皮脂レベル>140μg.cm2)の40人の女性(年齢18歳~45歳)を、20人のボランティアの2群に分けた。ボランティアには、2%のMangifera indica抽出物を含有するクリームまたはプラセボクリームを1日2回、28日間適用した。D0、D14、およびD28で、皮脂の量をsebufix(登録商標)を用いて分析した。
【0081】
a)INCI処方箋
表12
【表15】

b)方法-sebufix(登録商標)法を使用した皮脂の減少
Sebufix(登録商標)F16は、微細な穴により皮膚の表面から皮脂を吸着し、異なるサイズのスポットとして示す特殊なシートである。Visioscan(登録商標)カメラに取り付けると、定性的皮脂生成をリアルタイムで独自にモニタリングすることができる。
脂質に高感度のテープからコンピューター化された画像の側面。黒い点は、毛包口での皮脂の排出を表す。このソフトウェアを使用すると、スポットの数、サイズ、およびそれに覆われた面積を評価することができる。
【0082】
c)結果-皮脂の減少
図19は、Mangifera indica抽出物を2%含有するクリームまたはプラセボをアフリカ人ボランティアに28日間適用した後の、脂肪滴で覆われた総面積の分析を示す。結果は、ΔD0Dx(%)で表す。
Sebufix法を使用して、Mangifera indica抽出物が、脂肪滴で覆われた総面積を14日後および28日後にそれぞれ-6%および-15.9%と有意に減少させたことが実証された。プラセボはわずかな有効性を示しており、脂肪滴で覆われた総面積が、28日後にのみ-7.3%の減少であったことが観察された。
適用の28日後に両方の生成物の間に有意な差が観察され、2%のMangifera indica抽出物の、アフリカ人ボランティアの-8.6%の皮脂減少という有効性が実証された。
【0083】
図20は、Mangifera Indicaを2%含有するクリームまたはプラセボを、アフリカ人ボランティアに28日間適用した後の、脂肪滴の総面積の分析を示す。結果は、ΔD0Dx(%)で表す。
こうしてMangifera indica抽出物は、14日後と28日後にそれぞれ、脂肪滴の総面積を-6.1%および-16%と有意に減少させたことも実証された。
プラセボは、14日後および28日後にそれぞれ-5.1%および-8.9%の脂肪滴の総面積の減少によって観察されるように、わずかな有効性を証明した。
28日間の適用後の、アフリカ人ボランティアの皮脂減少に関する有意差は、両方の生成物の間で-7.1%であり、2%のMangifera indica抽出物の有効性が実証された。
【0084】
例13.臨床調査-Mangifera indica抽出物の頭皮への影響
a)パネルの説明
46人の女性(18歳~58歳、平均年齢:33±2歳)を、脂性の脂っぽい毛髪(頭皮の皮脂>60μg/cm2)の2群に分けた。ボランティアには、Mangifera indica抽出物を1%含有するシャンプーまたはプラセボを、2日おきに28日間適用した。皮脂レベルは、Sebumeter(登録商標)により14日後および28日後に分析した。
b)INCI処方箋
表13
【表16】
【0085】
c)Sebumeter(登録商標)による皮脂の減少
これは測光法である。吸収した脂質に接触すると透明になる合成リボンを、測定ゾーンに正確に30秒間適用する。その透明度は、接触している皮脂膜(hydrolipidic film)からの皮脂の量に比例して増加する。
反射光測定記録を使用して、透過光の増加を定量化し、排出された脂質の総質量を表面単位(μg/cm2)により決定する。
【0086】
d)結果
図21は、Mangifera indica抽出物を1%含有するシャンプーまたはプラセボを適用した後の、頭皮の皮脂の分析を示す。結果は、皮脂変動のΔD0Dx(%)で表す。
1%のMangifera indica抽出物を含有するシャンプーは、皮脂量を、14日後および28日後にそれぞれ-12%および-19%、有意に減少させることが実証された。プラセボは、適用の14日後に-19%を示し、28日後には効果がなかったことが実証され、新しい処方箋の使用の潜在的な影響を示唆したが、ただし最終的に、Mangifera indica抽出物なしでは十分に効果的ではなかった。
28日間の適用後の両方の生成物の間の有意差は、Mangifera indica抽出物の、脂性の頭皮および毛髪の皮脂の減少に対する強力な有効性を示した。
【0087】
例14.in silico研究-マンギフェリンとPPAR-γの分子ドッキング研究
以前のデータ(例4)に基づいて、マンギフェリンがPPARγ(PPARG)と相互作用し、こうして脂質生合成メカニズムを、皮脂生成に関与するいくつかの酵素の遺伝子発現の制御によって妨害する、という仮説が出された。
a)方法
タンパク質データバンク(PDB)データベースには、別のパートナーであるRXR-αの存在下または非存在下で、小分子に結合したPPAR-γ単独のリガンド結合ドメイン(残基207~476)の、多数の結晶構造がリストされている。興味深い構造のうち、PDBコードである1PRG、2Q5S、および4F9Mが保持されており、それぞれ解像度2.2、2.05、1.9Åを有する。これらの標的は、分子ドッキングステップ中のサンプリングに影響を与え得る構造における欠陥(プロトン化状態、立体衝突、水分子/補因子の除去)を修正するために、Schrodinger Suiteソフトウェアで作成された。
【0088】
マンギフェリン(MGF)のリガンド構造は、Pubchemで同定されたものに対応する。これはまた、Schrodinger Suiteソフトウェアでも作成されている。コンフォメーション検索により、リガンドはフラットであり、大きなコンフォメーションの多様性を示さないことが確認されており、「非常に堅い」構造になっている。すべてのドッキング実験は、PPAR-γアゴニスト全体および部分的アゴニストに結合する空洞(cavity)に焦点を当てた。得られた結果は、相互作用の質が初期のPPAR-γ構造および空洞内の補因子の有無に依存することを示す。
次に、相互作用エネルギーの定量化を、シミュレーションの3段階(シミュレーションの25~30ns、95~100ns、および最後に145~150ns)でMM-PBSA法を使用して実施した。この方法は、結合する空洞を囲む残基の、グローバルな相互作用に対するエネルギー寄与も分解する。PPAR-γの各残基について、平均エネルギー寄与および標準誤差がプロットされる。
【0089】
b)結果-PPARγとマンギフェリンの相互作用の予測
分子ドッキング法を使用することにより、マンギフェリンが図22に示すようにPPAR-γに結合できたことが実証され、マンギフェリンがPPAR-γの空洞にあることが示されている。
その相互作用に必要な結合エネルギーおよび、関与する残基も決定された。これらのパラメーターは、相互作用の可能性が高いかどうかの予測に非常に重要である。結合エネルギーが低いほど、相互作用は有利になる。複合体の安定性を予測可能な、この相互作用に不利な残基があるかどうかも分析した。
結果は、-164kJ/molの非常に低い結合エネルギーを証明し、2つの分子間の相互作用が可能であることを示す。興味深いことに、相互作用に不利な残基は特定されておらず、相互作用が制約なしで可能であることを示唆する。図23は、好ましい相互作用を伴う、空洞内のマンギフェリンの可能なコンフォメーションを示す。
【0090】
相互作用の安定性を、in silico法による分子動力学シミュレーションを使用して評価した。2つの構造からの残基間の距離を35nsのシミュレーションの相互作用中に観察し、相互作用の安定性を分析した。
残基間の距離の漸進的変化を示す分子動力学法の結果の図である図24に示すように、2つの構造間の距離は、35nsの刺激に対して完全に安定である。
In silico法を使用して、マンギフェリンとPPAR-γの間の相互作用が可能であり、複合体が経時的に安定であることが実証された。これにより、Mangifera indica抽出物の皮脂調節活性の誘導が、皮脂生成に関連する酵素をコードする遺伝子の発現の制御に関与する転写因子であるPPAR-γに対して、マンギフェリンが直接作用することによってなされる、という仮説を立てることができる。
【0091】
例15.in silico研究-マクルリンおよびイリフロフェノンの逆ドッキング法
さらに関心があったのは、Mangifera indica抽出物の他の分子、より正確にはイリフロフェノン(ICG)およびマクルリン(MCG)が、脂質生合成の制御にどのように関与するかを説明する、潜在的なメカニズムを予測することである。
a)方法
リガンドおよびタンパク質ベースのスクリーニングを、生物学的適応のためのin silicoスクリーニングツールであるSelnergyを使用して実施した。これは、1,000,000の既知の活性な生成物のデータベースにおいて類似の注釈付きリガンドを検索すること、および、研究対象の分子を10,000のタンパク質X線および相同性モデリング構造のデータベースにドッキングすることを可能にする。タンパク質には、その治療クラス、タンパク質クラス、生物の供給源、およびモデルの種類について注釈が付けられる。
【0092】
b)研究した分子構造
イリフロフェノン(ICG)およびマクルリン(MCG)の3D構造は、Tripos(MO, USA)からのXConcord 6.1を使用して計算し、その内部エネルギーを最小化して妥当なコンフォメーションを得た。
c)リガンドベースのアプローチ
1,000,000のリガンドを、生物学的活性の注釈と共に科学文献から収集した。それらの3D構造は、Tripos(MO, USA)のXConcord 6.1で生成し、それらの静電特性および立体特性を、研究対象の化合物と比較するために計算した。生物学的活性は、タンパク質結合データ、機能情報または細胞情報から得た。活性リガンドと研究対象の分子の類似性は、「トポマーアプローチ」1による立体的および静電的特性の類似性で、次にSurflex-sim2によるファーマコフォア特性で評価する。185単位未満離れた分子は類似のトポマーと見なされ、スコアが7以上の化合物は薬理的に類似していると見なされる。
【0093】
d)タンパク質ベースのアプローチ
タンパク質の3D構造は、タンパク質データバンク(http://www.rcsb.org)から得た;これは、リガンドとの共結晶化構造に特に焦点を当てた結晶学的タンパク質構造の寄託サイトであり、そのため結合部位が明確に識別される。タンパク質の柔軟性を考慮に入れるために、同じタンパク質のいくつかの3D構造を使用した。
e)タンパク質モデルの検証
共結晶リガンドは、タンパク質の3D構造から抽出した。次にそれらをドッキングし、Selnergyは、実験的リガンドの位置と同じ位置か、または最も近い位置を見つけなければならない。
このステップが成功すると、いくつかの他の既知のリガンドが「おとり分子」と混合されてドッキングし、Selnergyは、相互作用エネルギーの観点から、活性な化合物を不活性な化合物から区別する必要がある。既知のリガンドの計算されたエネルギーは、可能な相互作用のエネルギー閾値を決定するための参照として機能する。
成功したモデルはSelnergy標的データベースに含まれる。失敗したものはさらに洗練され(例えば、残基コンフォメーションの改変、ドッキングパラメーターなど)、記載の手順に従って再確認される。モデルが実行可能でない場合、そのモデルは破棄される。
【0094】
f)in silicoプロファイリング
ICGおよびMCGを、10,000の3D構造を含有する標的データベース上でSelnergyとドッキングした。Selnergyは、10のコンフォメーションを分子/タンパク質の各ペアに対して提案した。図Xは、計算用のSelnergyインターフェイスを示す。さらに、リガンドベースの比較は、構造-活性相関に基づいて、1,000,000の注釈付きリガンドのデータベースにて実施される。
g)仮想ヒットの後処理
平均値と比較して著しく優れた推定結合エネルギーを持つ分子に注目するために、次のスコアを使用した:
【数1】
ここで:
【数2】
:特定の化合物のスコアの平均;
k:所望の信頼水準に応じた定数;結果の数に応じて;
このスコアは、次のように使用され得る:
信頼度70%の場合、k=1.04;
信頼度90%の場合、k=1.65;または
信頼度99.9999998%の場合、k=6、スチューデントの法則による;
σ:標準偏差。
上記の条件に準拠する解は、次のセクションで説明するようにさらに分析される。
【0095】
h)専門家による仮想ヒットの検証
Selnergyを使用した最終的な目視検査を行って、推定される「偽陽性」、例えば制約が多すぎるコンフォメーション、不合理な相互作用パターンなどのソフトウェアによって検出されなかったものを破棄した。これは、リガンドベースのアプローチおよびタンパク質ベースのアプローチの両方で実施した。これらの検査の最後に、次のランキングが得られた。
・有効:参照リガンド(共結晶化分子)および/または参照リガンドファーマコフォアの特徴に類似した、研究分子の相互作用のモード。
・可能性が高い:参照リガンド(共結晶化分子)と比較して、研究分子の相互作用の、異なっているがもっともらしいモード。
・拒否:参照リガンドと比較して、相互作用の可能性が低く、共通のファーマコフォアがない。
【0096】
i)結果-マクルリンおよびイリフロフェノンの活性予測
使用する方法は逆ドッキングであり、これはデータベース内の既知の分子との構造的相同性に基づく予測を使用して、両方の分子と相互作用できる潜在的な受容体/タンパク質の特定を可能にする。7を超えるスコアは、この相互作用を可能な限り考慮するために有意で堅牢であると見なされる。
脂質生合成の調節に関与する様々なタンパク質、例えばPPARファミリーまたはレチノインファミリーなどが同定されており、これらは皮脂生成をトランスクリプトームレベルで制御することがよく知られている。
さらに、イリフロフェノンは、皮脂生成に関与する酵素、例えばFDAシンターゼ、スクアレンシンターゼなどと直接相互作用できることが実証された。これらの結果は、イリフロフェノンが、PPARファミリーに作用するトランスクリプトーム制御を通じて、または皮脂生成に関連する酵素と直接相互作用することによって、影響を与える可能性があることを示唆する。
同様の結果がマクルリンでも得られ、PPARおよびレチノインファミリーを介して、および皮脂生成に関与するいくつかの酵素との直接的な相互作用によって、脂質生合成を制御する可能性が示唆された。
【0097】
結果は以下の表にまとめられる。
表14:イリフロフェノン
【表17】
【0098】
表15:マクルリン
【表18】
【0099】
例16.メタゲノム解析
a)微生物叢のサンプリングおよび保管
例12aに記載のパネルの皮膚微生物叢も、同じ臨床評価中に研究した。ミクロフローラ(microflora)の試料は、40人のボランティアの額から非侵襲的なスワブ法により、0.15MのNaClの滅菌溶液で湿らせた滅菌スワブを使用して収集した。スワブを-20℃で移し、DNA抽出まで凍結保存した。サンプリングは、処置前(D0)と28日間の処置の後(D28)に、標準化された手順を用いて実施した。
b)DNA抽出
DNA抽出は、例10bに記載のように行った。
c)配列決定およびデータ分析
配列決定およびデータ分析は、例10cに記載のように行った。
【0100】
d)結果-アフリカ人の皮膚の皮膚微生物叢の組成
属レベルにおいて、アフリカ人の皮膚は、白人の皮膚と同じ主要な属であるCutibacterium属およびStaphylococcus属を示す(図25)。これら2つの民族の微生物叢組成の間の主な違いを特定するために、さらなる調査が進行中である。
e)結果-Mangifera indica抽出物は、アフリカ人の皮膚の皮膚マイクロバイオームを保護する
プラセボは、アフリカ人の皮膚の皮膚微生物叢の組成を乱す。プラセボ適用によって生成された、皮膚微生物叢組成に対する重要な改変は、D28の属レベルで評価した。有意な改変は、調整されたp値<0.05により、少なくとも1つの時点で0.01%を超える割合で規定される。
【0101】
D0とD28の間で、プラセボの適用により、21の属の割合は大幅に改変される。表16は、D0とD28の間で有意に影響を受けた割合を有する属を要約し、各時点での相対存在量および対応する調整済みp値(padj)を示す。
表16
【表19】
【0102】
アフリカ人の皮膚に28日間プラセボを適用することによって影響を受けたこれらの属の漸進的変化を、図26にまとめる。主要な属は、図27から明らかなように、プラセボの適用による影響を受けない。
Mangifera indica抽出物を皮膚微生物叢組成物に適用することにより生成された重要な改変は、D28で属レベルで評価する。有意な改変は、調整されたp値<0.05により、少なくとも1つの時点で0.01%を超える割合で規定される。
D0とD28の間で、Mangifera indica抽出物の適用により、1つの属の割合が大幅に改変される:Novosphingobium属(padj=0.0017;D0で皮膚微生物叢の0.016%、D28で0.0004%の割合)。主要な属はどれも改変されない(図28)。
【0103】
f)結論
プラセボの適用は、D28でアフリカ人の皮膚の微生物叢に大きな障害をもたらし、21の属の割合が大幅に変化し、これは全体のマイクロバイオーム組成の1.82%を表す。
反対に、プラセボにMangifera indica抽出物を補充した場合、28日間の適用後も皮膚微生物叢は安定したままであり、わずか1つのマイナーな属の割合が改変されただけで、これは全体のマイクロバイオーム組成の0.016%に相当する。
これらの結果は、Mangifera indica抽出物がアフリカ人の皮膚のマイクロバイオームを保護できることを示す。
【0104】
例17.重度のざ瘡C. acnesファイロタイプのリパーゼ活性
a)培養増殖
重度のざ瘡C. acnesファイロタイプ(IA1、ARCC 6919)を、ATCCが推奨する強化クロストリジアブイヨン中、25℃で培養した。pHは6.8+/-0.2に調整した。増殖を開始するために、細菌をこれらの条件で2日間インキュベートした。対数期の間、トリオレイン(リパーゼ基質として使用)を培養物に1%添加し、そのうちの1つは2%のMangifera indica抽出物で処理し(試料B)、もう1つは未処理であった(試料A)。2日間のインキュベーション後、両方の試料のコロニーを数えて定量化した。
【0105】
b)試料の処理および分析
各条件の培地を収集して、培養終了時に存在する脂質を同定および定量化した。試料を含有するチューブを周囲温度で解凍し、20,000gで5分間、4℃で遠心分離した。その後液体を回収し、新しいチューブに入れた。1mlの精製水および3mlのクロロホルム/メタノール混合物を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで3500rpmで5分間遠心分離した。水性上相を回収し、新しいチューブに入れた。2mLのクロロホルムを添加し、混合物を室温で10分間撹拌し、次いで再び3500rpmで5分間遠心分離した。有機下相を回収し、前の有機相とプールした。次いで有機相を窒素下50℃で乾燥するまで蒸発させ、クロロホルム/メタノール混合物に溶解した。試料は最終的に分析用に希釈した。
オレイン酸は、C. acnesのリパーゼ活性の産物であった。オレイン酸の定量は、GCシステム(Agilentからの7890A)をMSシステム(Agilentからの5975C Inert XLEI/CIMSD)と組み合わせて実現した。
【0106】
c)結果
以前のデータは、Mangifera indica抽出物がC. acnesの存在量に影響を与えないことを証明したが、皮脂のTG/FFA比率の分析は潜在的な影響を示唆している。
TGからFFAへの変換は、C. acnesからのリパーゼによって管理されることが知られている。リパーゼ活性のレベルは、C. acnesの病原性に関与する。ざ瘡の皮膚に関連するファイロタイプは、健康な皮膚に関連するファイロタイプよりも高いリパーゼ活性を有する(Lee et al., 2019およびKim et al., 2020)。
【0107】
重度のざ瘡皮膚に由来するC. acnesのファイロタイプを使用してリパーゼ活性(ファイロタイプIA1)を測定し、Mangifera indica抽出物が、リパーゼ活性を低下させることによりC. acnesの代謝を調節できるかどうかを示した。
リパーゼ活性は、2%のMangifera indica抽出物の存在下または非存在下での、トリオレインのオレイン酸への変換によって測定される。
2%のMangifera indica抽出物の存在は、C. acnes重度ざ瘡ファイロタイプに対するリパーゼ活性を約-23%低下させた(図29)。この結果は、Mangifera indica抽出物がいかにして、微生物叢にやさしく、かつC. acnesの代謝を制御することにより皮脂の質を改善するかを説明する;これらは両方とも、ざ瘡の予防に有効である。


図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【国際調査報告】