(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】医療用包装体
(51)【国際特許分類】
A61B 50/30 20160101AFI20231101BHJP
【FI】
A61B50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548973
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 AU2021051243
(87)【国際公開番号】W WO2022087660
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523154493
【氏名又は名称】ギャルド プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GARRDE PTY LTD
【住所又は居所原語表記】201/457-459 Lygon Street Brunswick East, Victoria 3057 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ マーク
(57)【要約】
単回使用医療器材(81)の封入に使用される医療用包装体(12)であって、複数の脆弱操作線(26、27、28)及び脆弱接続部(25)を有し、取り外し可能な第1端部(21)を画定し、使用時に、患者と接触する重要な部分を形成する処置部(41)を、操作部(43)を含む器材の残りの部分が包装体の残りの部分に留まった状態で、操作を妨げられることなく操作部を使って器材の操作を行うことができる。複数の脆弱操作線(26、27、28)のそれぞれは、複数の所定の医療処置のうちの1つのための器材の処置部(41)を形成する重要部分の違いを包装体上に示し、脆弱操作線によって示されることで、使用者は、無菌且つ清潔な状態での正しい使用方法を直ちに知り、理解することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体であって、前記医療器材は、使用時に患者と直接接触する重要部分である少なくとも1つの処置部と、前記少なくとも1つの処置部を操作するための少なくとも1つの操作部と、を有し、前記医療用包装体は、
前記単回使用医療器材を無菌状態で保持可能な封入空間を形成する本体を有し、
前記本体は、少なくとも1つの第1端部と、少なくとも1つの第2部分と、前記少なくとも1つの第1端部と1つ以上の前記少なくとも1つの第2部分との間に少なくとも1つの開封可能接続部を有し、前記少なくとも1つの第2部分から前記少なくとも1つの第1端部を切り離すことを可能にし、
i.前記少なくとも1つの端部は、前記単回使用医療器材の少なくとも1つの処置部を概ね覆う大きさと形状を有し、
ii.1つ以上の前記少なくとも1つの第2部分の少なくとも一部は、前記単回使用医療器材の1つ以上の操作部を概ね覆う大きさと形状を有し、
iii.前記少なくとも1つの開封可能要素は、使用時に前記少なくとも1つの第1端部を取り除いて開封状態にし、単回使用医療器材の少なくとも1つの処置部を露出させて直接前記患者に使用できるようにし、
iv.前記少なくとも1つの第2部分が残留し、前記単回使用医療器材の1つ以上の操作部が前記少なくとも1つの第2部分に覆われ、前記少なくとも1つの操作部が前記少なくとも1つの第2部分内に概ね留まった状態で、前記少なくとも1つの処置部の少なくとも一部が少なくとも1つの操作部によって操作可能な前記医療用包装体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2部分は、前記第1端部に対する遠位端まで延びる端部である請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2部分は中央部分である請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2部分は、1つの第1端部から延びる複数の第2端部である請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2部分は、複数の第1端部から延びる複数の第2端部である請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2部分は、前記単回使用医療器材の操作部の形状に対応する形状を有する請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1端部は、前記単回使用医療器材の処置部の形状に対応する形状を有する請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項8】
前記本体の前記少なくとも1つの第1端部の前記少なくとも1つの開封可能接続部は、前記少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部及び少なくとも1つの第2部分に延びる少なくとも1つの脆弱接続部であり、前記少なくとも1つの第1端部は、前記使用者が前記少なくとも1つの第2部分を保持しながら開封可能な請求項1から7のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの開封可能接続部は、前記少なくとも1つの第1端部の前記少なくとも一部と前記少なくとも1つの第2部分の代打に複数の開封可能要素を有する請求項1から8のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項10】
前記本体の前記少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部上の前記少なくとも1つの開封可能接続部は、少なくとも前記少なくとも1つの第1端部と前記少なくとも1つの第2部分の間の本体全体を取り囲む脆弱接続部である請求項1から9のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項11】
前記開封可能接続部は、以下a.~c.の1つ以上のタイプの脆弱接続部である請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用包装体。
a.ティアライン
b.破断線
c.ティアテープ
【請求項12】
前記開封可能要素は、前記少なくとも1つの第2部分から前記少なくとも1つの第1端部をもぎ取ることによって開封可能な脆弱な接続部である請求項1から11のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項13】
前記開封可能接続部は、前記器材の前記重要部分の端を概ね覆い、脆弱操作線が明確に示された箇所に設けられ、前記脆弱操作線は、前記使用者が触ってはいけない重要部分の端を示す表示線の役割をし、前記患者との直接接触が可能な重要パーティを画定する請求項8から11のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項14】
前記開封可能接続部は、所定の用途に使用される特定の無菌単回使用医療器材を覆う包装体の本体上に明確に示された複数の脆弱操作線を含み、明確に示された前記複数の脆弱操作線のそれぞれは、複数の前記所定の用途のうちの1つに応じて、前記器材の前記重要部分の異なる複数の端の1つを概ね覆い、明確に示された前記複数の脆弱操作線は、当該用途において前記使用者が触ってはいけない前記特定の重要部分の端を示す表示線の役割をし、当該所定の用途別に前記患者との直接接触が可能な特定の重要部分を画定する請求項13に記載の医療用包装体。
【請求項15】
複数の異なる所定の用途において使用する無菌単回使用医療器材の重要部分を露出させるために、異なる医療処置において、医療器材が様々な方法でどのように使用することが可能であるかを示す表示形態を包装体が有する請求項14に記載の医療用包装体。
【請求項16】
表示形態は、明確に示された前記複数の脆弱操作線の異なる脆弱操作線まで延びる前記第1端部21が異なる色で着色されたカラーコードであり、特定の無菌単回使用医療器材に関する第1の種類の医療処置が第1の色に着色され、前記処置部を形成する処置に必要な前記浅い重要部分を当該脆弱操作線の当該線まで露出させる前記第1の色の前記第1端部21を取り除くことを前記使用者が理解し、他の重要部分が必要とされる他の医療処置は異なる色で識別され、適当な前記第1端部を適当な前記脆弱操作線まで取り除き、記前記無菌単回使用器材の前記適当な重要部分を露出させることができる請求項15に記載の医療用包装体。
【請求項17】
医療用包装体は外科用メスを覆うためのものであり、包装体の前記開封可能接続部は、前記包装体の前記本体上に明確に示された複数の脆弱操作線を含み、前記脆弱操作線は、前記使用者が触れることのできない当該使用を示し、以下a.~c.の所定の用途別に前記患者との直接接触が可能な前記特定の重要部分を画定する医療用包装体請求項16に記載の医療用包装体。
a.皮膚表面切開
b.浅い切開
c.深い切開
【請求項18】
医療用包装体は縫合ハサミを覆うためのものであり、包装体の前記開封可能接続部は、前記包装体の前記本体上に明確に示された複数の脆弱操作線を含み、前記脆弱操作線は、前記使用者が触れることのできない当該使用を示し、以下a.~c.の所定の用途別に前記患者との直接接触が可能な前記特定の重要部分を画定する請求項16に記載の医療用包装体。
a.表皮縫合糸抜糸
b.浅層縫合糸抜糸
c.深層縫合糸抜糸
【請求項19】
前記少なくとも1つの第1部分は、前記1つ以上の処置部を覆うための1つの第1端部であり、前記少なくとも1つの第2部分は、前記1つの第1端部から延び、前記複数の操作部の1つを覆うための複数の第2端部であり、前記少なくとも1つの処置部が露出され、前記患者に対して直接使用が可能な場合に、前記複数の操作部を前記包装体に留めた状態で、前記1つ以上の処置部を操作するための前記複数の操作部の動きを許容する、前記少なくとも複数の第2端部の相対的な動きが可能な請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第1部分は、前記1つ以上の処置部を覆うための複数の第1端部であり、前記少なくとも1つの第2部分は、1つ以上の前記複数の第1端部から延び、複数の操作部の1つを覆うための複数の第2端部であり、前記少なくとも1つの処置部が露出され、前記患者に直接使用が可能な場合に、前記複数の操作部を前記包装体に留めた状態で、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための前記複数の操作部の動きを許容する、前記少なくとも複数の第2端部の相対的な動きが可能な請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項21】
前記包装体本体に概ね封入されたままの状態で前記使用者が直接触ることなく前記器材の前記操作部を手に持って、前記封入された無菌単回使用医療器材の前記処置部を操作可能な程度に前記本体が柔軟性を有し、前記複数の第2端部を相対的に動かすことが可能な請求項19又は20に記載の医療用包装体。
【請求項22】
前記操作部が前記本体の前記第2部分に概ね留まった状態で、前記無菌単回使用医療器材の動きを伴う使用を可能にするため、前記単回使用医療器材の可動範囲の変更を許容するように前記複数の第2端部が変形可能であり、前記複数の第2端部の相対的な動きが可能な請求項21に記載の医療用包装体。
【請求項23】
前記本体の変形容易性は、前記単回使用医療器材の可動範囲の非弾性的な変更を許容する請求項22に記載の医療用包装体。
【請求項24】
前記操作部が前記本体の前記第2部分に少なくとも概ね留まった状態で、前記単回使用医療器材の動きを伴う使用を可能にするため、前記単回使用医療器材を保持する前記本体の前記容積を変更するために前記本体が変形可能であり、前記複数の第2端部の相対的な動きが可能な請求項21に記載の医療用包装体。
【請求項25】
前記本体の変形容易性は、前記単回使用医療器材の前記容積の非弾性的な変更を許容する請求項24に記載の医療用包装体。
【請求項26】
前記少なくとも1つの第2部分の少なくとも一部は、前記単回使用医療器材の操作部の形状の前記変更に対応するように変形する請求項20から25のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項27】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の接続部を回転することによって得られる請求項20から25のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項28】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の間の密封ガセットによって得られる請求項20から25のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項29】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の間の密封蛇腹接続部によって得られる請求項20から25のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項30】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の間の拡張可能密封接続部を形成する変形可能な接続部材によって得られる請求項20から25のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項31】
前記少なくとも1つの第2部分は、前記単回使用医療器材の操作部を概ね覆う大きさ及び形状を有し、前記単回使用医療器材の操作部のほぼすべてを覆ったまま、前記操作部による処置部の制御可能な使用を許容するための変更又は相対的な動きが可能となっている請求項1に記載の医療用包装体。
【請求項32】
前記変形可能とは、以下a.~e.の1つ以上によって変更可能である請求項31に記載の医療用包装体。
a.柔軟性
b.変形性
c.拡張性
d.可鍛性
e.圧縮性
【請求項33】
前記第2部分は、接続された複数の第2端部であって、前記複数の第2端部は、前記単回使用医療器材の前記少なくとも1つの操作部を前記第2端部に留めた状態で、前記単回使用医療器材の操作部に対して使用者が指を使用可能な指位置形状を有する請求項31に記載の医療用包装体。
【請求項34】
前記封入空間を形成する前記本体は、1つの第1端部と、第2端部を形成し前記第1端部に繋がる1つの第2部分と、を有し、前記包装体は、1つの処置部と1つの操作部を有する単回使用医療器材を封入可能な請求項31に記載の医療用包装体。
【請求項35】
前記封入空間を形成する前記本体は、複数の第1端部を有し、前記包装体は、1つの処置部と1つの操作部を有する単回使用医療器材を封入可能な請求項31に記載の医療用包装体。
【請求項36】
前記封入空間を形成する前記本体は、複数の第2端部から成る複数の第2部分を有し、前記包装体は、1つの処置部と複数の操作部を有する単回使用医療器材を封入可能な請求項31に記載の医療用包装体。
【請求項37】
前記封入空間を形成する前記本体は、複数の第2端部から成る複数の第2部分を有し、前記包装体は、1つの処置部と複数の操作部を有する単回使用医療器材を封入可能な請求項36に記載の医療用包装体。
【請求項38】
前記封入空間を形成する前記本体は、複数の第1端部と、中央第2部分を形成し前記第1端部のそれぞれに繋がる1つの第2部分と、を有し、前記包装体は、各端に1つの処置部を有し、1つの中央操作部を有する単回使用医療器材を封入可能な請求項31に記載の医療用包装体。
【請求項39】
前記本体は、使用者が封入された無菌単回使用医療器材を前記包装体本体に概ね封入されたままの状態で接触することなく手に持って操作可能な程度に柔軟性を有する請求項31から38のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項40】
前記開封可能接続部は、前記包装体は複数の単回使用医療器材のうちの所定の1つを保持可能な請求項31から38のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項41】
前記複数の単回使用医療器材は、固定処置部と、相対する固定操作部と、を有する単回使用医療器材のカテゴリーから選択される単回使用医療器材を含み、前記包装体は前記固定単回使用医療器材を封入する固定形状空間を有する請求項40に記載の医療用包装体。
【請求項42】
前記複数の単回使用医療器材は、複数の可動処置部と、相対する複数の可動操作部と、を有する単回使用医療器材のカテゴリーから選択される単回使用医療器材を含み、前記包装体は、前記複数の可動処置部を封入する少なくとも1つの第1端部と、前記複数の可動操作部を封入する少なくとも1つの第2部分を有し、前記包装体は、前記操作部を包装体内に概ね留めた状態で、前記単回使用医療器材の操作部と前記処置部の動きを伴う使用を許容する大きさ、形状、材料で形成されている請求項40に記載の医療用包装体。
【請求項43】
前記複数の単回使用医療器材は、個別に使用可能な複数の処置端を有する単回使用医療器材のカテゴリーから選択される単回使用医療器材を含み、前記包装体は、複数の第1端部と、それに繋がる第2部分とを有し、前記第2部分は、前記複数の第1端部間に延びて前記複数の第1端部間を接続し、中央第2部分と前記第1端部のそれぞれと前記中央第2部分との間にある開封可能要素と、を形成し、前記単回使用医療器材の1つ以上の処置部の選択的使用を可能にする請求項40に記載の医療用包装体。
【請求項44】
前記単回使用医療器材は、処置部と、相対する操作部と、前記処置部と前記操作部との間に形状変化部と、を有する単回使用医療器材のカテゴリーから選択される単回使用医療器材を含み、前記包装体は、第1端部と少なくとも1つの第2部分を有し、1つの第2部分の少なくとも一部は拡張やその他の変形が可能で、前記単回使用医療器材の長さの範囲やその他の変化に対応して外側からの無菌保護を維持することが可能な請求項40に記載の医療用包装体。
【請求項45】
前記複数の単回使用医療器材は、以下a.~d.のカテゴリーから選択される単回使用医療器材を含む請求項1から44のいずれか一項に記載の医療用包装体。
a.1つ以上の重要部分を有する固定器材
b.1つ以上の可動部分を有する器材
c.1つ以上の操作部を有する器材
d.1つ以上の可動操作部を有する器材
【請求項46】
前記複数の単回使用医療器材は、以下a.から選択される単回使用医療器材を含む請求項45に記載の医療用包装体。
a.外科用メス
【請求項47】
前記複数の単回使用医療器材は、以下a.~g.から選択される単回使用医療器材を含む請求項45に記載の医療用包装体。
a.ハサミ
b.リング鉗子
c.母指鉗子
d.ピンセット
e.開創器
f.タオルクリップ
g.持針器
【請求項48】
前記複数の単回使用医療器材は、以下a.から選択される単回使用医療器材を含む請求項45に記載の医療用包装体。
a.シリンジ
【請求項49】
前記複数の単回使用医療器材は、以下a.~d.から選択される単回使用医療器材を含む請求項45に記載の医療用包装体。
a.膣鏡
b.直腸鏡
c.スコープ
d.目盛付キャリパ
【請求項50】
前記複数の単回使用医療器材は、以下から選択される単回使用医療器材を含む請求項45に記載の医療用包装体。
【請求項51】
請求項1から50のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項52】
前記少なくとも1つの第2部分は、前記単回使用医療器材の操作部の形状に対応する形状を有する請求項1から51のいずれか一項に記載の医療用包装体。
【請求項53】
前記第2部分は、接続された複数の第2端部であって、前記複数の第2端部は、前記単回使用医療器材の前記少なくとも1つの操作部を前記第2端部に留めた状態で、前記単回使用医療器材の操作部に対して使用者が指を使用可能な指位置形状を有する請求項51に記載の医療用包装体。
【請求項54】
無菌状態を継続したまま無菌単回使用医療器材を使用する方法であって、
a.前記単回使用医療器材の処置部を概ね覆う大きさと形状を有する少なくとも1つの第1端部と、前記単回使用医療器材の操作部を概ね覆う大きさと形状を有する少なくとも1つの第2部分と、で封入空間が形成されたフレキシブル包装体本体であって、無菌状態で内部に前記単回使用医療器材を保持可能な前記フレキシブル包装体内に前記無菌単回使用医療器材を入れる工程と、
b.前記使用者が触ってはいけない重要部分の端を示す表示線の役割をし、前記患者との直接接触が可能な前記重要パーティを画定し、前記器材の前記重要部分の端を概ね覆う脆弱操作線が明確に示された箇所に、少なくとも1つの開封可能接続部を前記本体の前記少なくとも1つの第1端部のそれぞれの少なくとも一部に設ける工程と、
c.前記単回使用医療器材の前記操作部を前記少なくとも1つの第2部分に留めたままの状態で、前記少なくとも1つの第2部分を保持する工程と、
d.前記少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部を破るか開封することによって、前記包装体の前記少なくとも1つの第1端部の前記少なくとも1つの開封可能要素を開封し、前記器材に直接触れることなく、前記単回使用医療器材の前記少なくとも1つの処置部を露出させる工程と、
e.前記単回使用医療器材の前記操作部を前記少なくとも1つの第2部分に留めたままの状態で、前記単回使用医療器材の前記操作部を操作することによって、前記単回使用医療器材の前記露出された処置部を使用する工程と、を含む無菌状態を継続したまま無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項55】
無菌状態を継続したまま無菌単回使用医療器材を使用する方法であって、
a.前記単回使用医療器材の処置部を概ね覆う大きさと形状を有する少なくとも1つの第1端部と、前記単回使用医療器材の操作部を概ね覆うことが可能な大きさと形状を有する少なくとも1つの第2部分と、を有する包装体本体内に前記無菌単回使用医療器材を入れる工程と、
b.所定の医療処置の1つに使用され、前記患者との接触が可能な前記医療器材の前記重要部分を示す少なくとも1つの脆弱操作線を包装体上に設ける工程と、
c.前記無菌単回使用医療器材を使用して実施される医療処置を特定する工程と、
d.特定した前記無菌単回使用医療器材を使用して実施される前記医療処置に対応する前記少なくとも1つの脆弱操作線を選択するために包装体を観察する工程と、
e.前記器材に直接触れることなく、前記選択した脆弱操作線の箇所で前記包装体を破断させて開封し、前記本体の前記少なくとも1つの第1端部を取り除き、前記重要部分を露出させて、残りの部分を前記少なくとも1つの第2部分に留めた状態で前記特定した医療処置に使用可能にする工程と、
f.前記単回使用医療器材の前記操作部を前記少なくとも1つの第2部分に留めたままの状態で、前記単回使用医療器材の前記操作部を操作することによって、前記単回使用医療器材の前記露出された処置部を直接前記患者に使用する工程と、を含む無菌状態を継続したまま無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項56】
少なくとも1つの部分は、前記単回使用医療器材の操作部の形状に対応している請求項54又は55に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項57】
少なくとも1つの部分は、前記単回使用医療器材の処置部の形状の変化に対応して変形する請求項54又は55に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項58】
少なくとも1つの部分は、前記単回使用医療器材の操作部の形状の変化に対応して変形する請求項57に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項59】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の接続部を回転することによって得られる請求項57に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項60】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の間に設けられた密封ガセットによって得られる請求項57に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項61】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の間に設けられた密封蛇腹接続部によって得られる請求項57に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項62】
前記変形容易性は、前記複数の処置部のうちの1つ以上が露出され、前記患者への直接使用が可能な場合、前記複数の処置部のうちの1つ以上を操作するための使用者による前記複数の第2部分内の前記操作部の使用を概ね妨げることのない前記複数の第2部分の間の拡張可能密封接続部を形成する変形可能な接続部材によって得られる請求項57に記載の無菌単回使用医療器材を使用する方法。
【請求項63】
特定の医療処置に使用するための複数の単回使用医療器材を保持するための単回使用医療用具キットであって、
a.各単回使用医療器材のための、請求項1から53のいずれか一項に記載の単回使用密封医療用包装体の複数と、
b.前記特定の医療処置において特定の順序で使用される前記複数の単回使用密封医療用包装体の接続部と、を備える単回使用医療用具キット。
【請求項64】
各単回使用医療器材のための各単回使用密封医療用包装体は、当該第2部分に留めた状態で前記操作部の動きを制御可能に変形可能な柔軟性を有する材料から成る本体を有する請求項63に記載の医療用具キット。
【請求項65】
前記本体は、使用中に、前記第1部分から前記処置部を露出させると共に、前記単回使用密封包装体の周囲の無菌領域を維持するように構成された第1本体である請求項64に記載の医療用具キット。
【請求項66】
1つ以上のひだ内に配置された1つ以上の命令セット又は1つ以上の医療器材、又はその組み合わせを更に備える請求項63に記載の医療用具キット。
【請求項67】
前記用具キットは、医療処置中に、重要部品を保管するための無菌収納箱を封入する医療用包装体を含む請求項63に記載の医療処置用具キット。
【請求項68】
前記複数の保存容器が結合されて1つのキットを形成する請求項63から67のいずれか一項に記載の医療処置用具キット。
【請求項69】
包装体内の前記単回使用医療器材の印刷された使用説明書を更に備える請求項68に記載の医療処置用具キット。
【請求項70】
前記印刷された使用説明書は、前記包装体に印刷、載置、又は形成されている形態のうちの1つ以上の印刷された使用説明書である請求項69に記載の医療処置用具キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用包装体に関し、特に、医療処置を行うための無菌単回使用医療器材を収容する医療用包装体に関する。医療処置とは、人間の患者及び動物の患者、その他、無菌状態や清潔な状態で行うことが好ましい生物学的処置に対して行うものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、主に、無菌単回使用医療器材を収容するための医療用包装体において、又は本医療用包装体と共に使用するために開発されたものであり、本出願を参照して以下に説明する。しかしながら、本発明は、この特定の分野における使用に限定されない。
【0003】
本明細書全体を通して、「医療」という用語は、人間又は動物に対するあらゆる医療行為の形態を指す。例えば、病院内や動物病院内での医療行為、一般診療、獣医診療、関連医療診療、歯科診療等のクリニックにおける医療行為、救急車、消防救助、野生生物救助等の初期対応者の医療行為、家庭医療等の私的環境下での医療行為、高齢者介護施設等の高齢者介護環境下での医療行為、現場での応急処置等のリモート環境下での医療行為等が含まれる。その他、生物学的物質が取り扱われる実験室や、医療の提供や調査に関連する環境等の医療に関連する環境も含まれる。
【0004】
無菌操作への標準的なアプローチとして、無菌非接触操作(ANTT)がある。無菌非接触操作の目的は、侵襲的処置中に、医療従事者、処置用具、処置実施環境から、接触感染、飛沫感染、又は空気感染によって、患者が微生物に晒されることを最小限に抑えることである。無菌非接触操作は、医療従事者の無菌操作を大幅に改善することがわかっている。無菌非接触操作は医療関連感染(HAI)の減少に役立っているが、HAIは、今日における世界で最も一般的で重要かつ予防可能な患者の安全問題の1つとなっている。
【0005】
現在、無菌非接触操作は、医療現場において最も使用されている無菌操作のフレームワークであり、世界標準として急速に進化している。無菌非接触操作の基本原則は以下の通りである。
・常に効果的な手の消毒を行う
・器具の重要部分や患者から影響を受けやすい部分が決して汚染されないようにする
・器具は、重要でないことが明らかな部分にのみ触れるようにする
・適切な感染予防管理措置を講じる
【0006】
無菌非接触操作のフレームワークの目標は無菌にすることである。「無菌」という用語は、感染を引き起こすのに十分な量の微生物が存在しないことを指す。これは、通常の医療環境で実現可能なことである。
【0007】
無菌非接触操作では、「重要部分」と「重要箇所」を保護するための基本的な概念と実際の適用によって無菌状態を維持することができる。重要部分は医療器材の重要な部分であり、汚染された場合、微生物が直接患者に移る経路又は患者に入り込む経路が生じてしまう。重要部分には、静脈内療法において注入する液体と直接的又は間接的に接触する機器の部分が含まれる。重要箇所には、皮膚の傷等、微生物が患者に入り込む直接的な経路となる皮膚貫通領域がある。無菌非接触操作手順では、重要部品と重要箇所が侵襲的手順中に常に無菌状態に維持されている必要がある。
【0008】
無菌には医療用又は外科用がある。医療用無菌は、微生物汚染を最小限に抑えることを目的とした「クリーン(clean)」操作のことを指す。一方、外科用無菌は、侵襲的処置中に物体又は区域からすべての微生物を除去することを目的とした「ステライル(sterile)」操作のことを指す。病院環境では、ステライル操作は通常、層流システムを備えた手術室に使用される。
【0009】
無菌を実現するための無菌非接触操作は2種類あるある。「標準無菌非接触操作」は医療用無菌を実現するために使用され、「外科用無菌非接触操作」は外科用無菌を実現するために使用される。
【0010】
標準無菌非接触操作には、手洗い、非滅菌手袋、通常管理されている一般的な無菌区域に適用される。重要部品は個々の微小重要無菌区域内で保護し、滅菌されていない器具は無菌区域に配置する。環境リスクの排除や回避、及び作業エリアや表面の清掃/消毒を行う必要がある。標準無菌非接触操作は、重要部分の大きさが小さく、重要部分の数が少ない器具を用いた、技術的に単純で短い処置を行う場合に用いられる。標準無菌非接触操作は、傷の手当て、膣検査、静脈内器具の使用等、日常の医療処置に用いられる。
【0011】
外科用無菌非接触操作では、外科用ハンドスクラブと滅菌手袋が使用される。無菌区域は、厳重に管理されており、無菌器具のみが接触可能であり、手袋は常に無菌状態に保つ必要がある。外科用無菌非接触操作は、重要箇所が開放された広い領域であり、重要部品を多く備えた複雑な器具等の処置用具を繰り返し使用するような技術的に複雑で長い処置に用いられる。
【0012】
本発明は、日常の医療処置における医療用無菌に標準無菌非接触操作を用いることを想定しており、外科用無菌非接触操作に用いることは想定していない。
【0013】
本発明は、標準無菌非接触操作に取って代わるものではないが、それを容易にし、様々な状況下での日常の医療処置における感染制御の基準を向上させることができる。
【0014】
医療関連感染は、今日における顕著且つ予防可能な世界で最も一般的な患者の安全に関する問題の1つである。毎年、オーストラリアだけで180,000人を超える患者が、微生物の伝染によって引き起こされる医療関連感染に苦しんでいる。これにより、患者の入院期間が長くなり、年間200万日以上の入院日数が費やされている。
【0015】
医療関連感染は、抗菌薬、主に抗生物質の使用の増加につながる。微生物は、医療環境で使用される抗菌薬に適応し続け、抗菌薬耐性の発生を加速させ、患者や公衆衛生に壊滅的なリスクをもたらす可能性のある治療不可能な微生物が発生する結果となる。
【0016】
医療関連感染の10%は、微生物の空気感染によって引き起こされる。接触感染や飛沫感染に加えて、COVID―19では屋内空気感染が確認されている。手術室の外では、単回使用医療器材の使用中に空気感染が発生した場合、汚染された器具への対処手段が確立されていない。
【0017】
医療関連感染症の90%は、接触感染によって引き起こされる。皮膚1平方センチメートルあたり約300万個の微生物が存在するが、病院用手袋の使用によって交差感染の発生率が低下することは立証されていない。通説とは逆に、手袋は患者ではなく使用者を体液等の有害物質から保護するために着用するものとなっている。
【0018】
微生物は常に手の皮膚に存在し、一過性微生物又は常在性微生物のいずれかに分類される。一過性微生物は、通常、手には存在しないが、感染患者又は汚染された表面との接触によってもたらされる。つまり、医療環境は交差感染のリスクが高い場所と見なされる。常在微生物は手の皮膚深くに存在し、手洗いを徹底しても完全に取り除くことはできない。主な2種類としては、黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌があり、どちらも重篤で致命的な感染症を引き起こす可能性がある。
【0019】
衛生環境における交差汚染の回避は、無菌単回使用医療器材の使用によって対処することができる。しかしながら、このような器具だけでは十分とは言えず、無菌単回使用医療器材を無菌操作で使用する必要がある。
【0020】
無菌操作は、病原性微生物が患者の感染しやすい部位に移動して感染症を引き起こすのを防ぐために使用される手順である。現在、無菌非接触操作は、医療現場で最も使用されている無菌操作のフレームワークであり、世界標準として急速に進化している。標準無菌非接触操作手順では、侵襲的手順の実行中、常に重要部分を無菌状態に維持する必要がある。
【0021】
無菌非接触操作の基本原則を以下に示す。
・常に効果的な手の消毒を行う
・器具の重要部分や患者の影響を受けやすい部分が決して汚染されないようにする
・器具は、重要でないことが明らかな部分にのみ触れるようにする
・適切な感染予防管理措置を講じる
【0022】
無菌非接触操作フレームワークは、医療用無菌を目標に置いている。医療用無菌とは、病原性微生物による交差汚染を最小限に抑えることを目的とした「クリーン」操作を指す。
【0023】
無菌非接触操作実現のために現在対策が実施されているにもかかわらず、医療関連感染は、発生率と有病率が世界中で上昇し続けている。現在、無菌非接触操作の実現と有効性は、手洗いや無菌非接触操作手順の遵守、医療従事者の能力と規律、リソースとインフラの利用可能性等、多くの重要な不確定要素に依存している。多くの国では、以下のような多くの要因により、医療現場で無菌非接触操作を採用することさえできていない:インフラが不十分であること、訓練が不十分であること、遵守システムが不十分であること、衛生設備が不十分であること、患者が密になりすぎていること、医療従事者の不足、及び基本的な感染制御手順を医療従事者が全般的に遵守しようとしないこと。
【0024】
医療器材には多くの患者に対して繰り返し使用される複雑な機器もある。無菌治療を実施することが医学的に重要である場合、器材全体が交換可能な単回使用無菌包装体で覆うこともできる。これは、包装体内から患者に対して間接的に接触して行う操作のみ可能な器材に対して効果的である。このような器材やその複雑さは、患者と直接接触する利点がないことを意味している。使用後の機器の廃棄コストは非常に高いため、直接接触することが許容される幅広い環境では使用できず、医療器材を最適に使用することができない。直接接触の利点を十分に得るには、このような複雑で高価な機器は病院の手術室等の高価な無菌環境での使用に留め、病院の手順に従って、高圧蒸気滅菌器で滅菌する必要がある。
【0025】
しかし、単回使用医療器材は、医療処置を実施するための重要部分が患者と直接接触する器材である。したがって、単回使用器材且つ医療処置で使用された後は廃棄されなければならない。単に単回使用器材であることだけでは不十分であり、直ちに非単回使用器材を用いた無菌手順と同様になるわけではない。器材の使用中は無菌手順を遵守する必要があるが、これは複雑であり、上記で詳述したように多くの不確定要素に依存する。したがって、単回使用医療器材の使用を支援して、使用者が無菌非接触操作による医療用無菌を実現する能力を向上させ、無菌手順の失敗の回避に役立てることが重要である。
【0026】
単回使用医器材を露出させて患者に直接接触できるようにするためには、既存の包装体では、器材から完全に取り除く必要がある。先行技術では、包装体の形態は、一般的に次の4つのうちのいずれかとなっている。
1.単回使用医療器材が封入される硬質材料製の容器であって、器材を取り出すには、ねじって蓋を外すか、容器を壊す必要がある
2.単回使用医療器材のみが封入されるプラスチック包装であって、機器を使用可能にするには、包装を破る必要がある
3.単回使用医療器材の外形に合わせたキャビティを有する形状に形成されたトレイであり、単回使用医療器材をキャビティから取り出し使用可能にするには、トレイを覆うシート層を剥がす必要がある
4.単回使用医療器材を覆うシュリンクラップであって、熱を加えて収縮させて医療器材の周りに密着させ、器材を使用可能にするには包装を破る必要がある
【0027】
これら既存の包装体の形態は、無菌単回使用医療器材を製造場所から医療輸送手段を経て医療処置を行う場所までの輸送には有益であるといえる。
【0028】
しかし、無菌単回使用医療器材が包装体から完全に取り出された場合、包装体の無菌環境の恩恵が完全に無くなってしまうため、新たな問題が発生する。包装体が複雑であるため、又は実際に器材を包装体から取り出すために、使用者は器材を直接触って扱う必要があり、使用者と器材との間の交差汚染が避けられない。また、器材は、飛沫感染や空気感染による病原性微生物交差汚染に完全に晒される。
【0029】
既存の包装体では、無菌単回使用医療器材の少なくとも一部を包装体内に留めておくことができず、包装体を上記のように使用することができないため、医療従事者が器材を効果的に制御することができない。包装体は、妨げとなることがあり、医療従事者に求められる制御に逆行することさえある。これは特に、無菌単回使用医療器材に可動部品がある場合に当てはまる。
【0030】
既存の包装体には明らかに多くの問題がある-既存の包装体は取り外して廃棄する必要がある。―現在、日常の処置において、無菌単回使用器材を使用するためには、包装体から完全に取り出す必要がある。したがって、単回使用医療器材は、ある程度の時間完全に露出することになり、使用者が直接触れたり、非無菌表面に直接置かれたりする。その結果、必然的に器材の無菌性が失われる。露出した器材は、接触感染、飛沫感染、空気感染による病原性微生物交差汚染を受けやすくなっている。これらの微生物は、器材を介して患者の重要箇所に直接伝染する可能性があり、患者への影響は深刻又は致命的となる可能性がある。現在、医療従事者が無菌非接触操作の原則を遵守している場合でも、器材はすでに汚染されており、無菌状態で使用することはできない。
【0031】
既存の包装体は無駄が多い-現在、日常の処置において、単回使用医療器材を使用するには、包装体を完全に取り除く必要がある。包装体は器材の無菌状態を維持するための最良の手段ではあるが、器材を使用する前に破棄される。使用する医療器材が露出され、直接取り扱われると、その器材は交差汚染を受けやすくなり、無菌状態ではなくなる。無菌非接触操作は、使用する器材を清潔な状態に保つことを目的としている。これには、補助器具の使用が必要となる。補助器具としては、洗剤と水又は消毒剤と単回使用クロスで洗浄する必要があるトロリー、洗剤と水又は消毒剤と単回使用クロスで洗浄する必要があるキドニーディッシュ等の携帯用ディッシュ、プラスチックトレー、プラスチックピンセット、ガーゼスワブ、プラスチックドレープ等を含む単回使用ドレッシングセット等が挙げられる。医療従事者は、無菌非接触操作の複雑な感染制御手順の遵守を容易にするために、別のスタッフを呼び出して処置の手伝いをしてもらうことがよくある。既存の医療用包装体は、補助リソースや器材に依存しているため、医療器材の単回使用に伴う廃棄物を増加させている。
【0032】
抗菌薬耐性微生物の交差汚染-世界保健機関は、人類が直面している世界の公衆衛生上の脅威のトップ10の1つが抗菌薬耐性であると宣言した。抗菌薬耐性は、治療不可能な病原性微生物の発生につながっている。医療従事者による患者の抗菌薬耐性微生物交差汚染は、重度又は致命的な感染につながる可能性がある。COVID―19の世界的流行に伴い、抗菌薬耐性微生物が増加したことで、感染管理が世界的に再び注目されるようになった。しかし、単回使用医療器材は、使用時には依然として完全に露出されており、接触感染、飛沫感染、空気感染による交差汚染の重大なリスクに晒され続けている。上記のような病原性微生物は、これらの器材により患者の重要箇所に直接伝染する可能性がある。このような汚染リスクは、今日の厳格な感染管理への関心の高まりに反するものとなっている。
【0033】
病院での迅速な対応又は緊急対応が必要な事態における困難性-迅速な対応又は緊急対応が必要な事態では、たとえ病院であっても、非常に困難な状況となる。このような状況では、患者は生命や四肢を失う危険があり、通常、極度のプレッシャーと時間的プレッシャーの下で、救命救急治療処置の実施が優先される。このような状況では、医療従事者は最善を尽くしても、無菌非接触操作で求められている原則を遵守することができない場合が多いことが研究で報告されている。例えば、医療従事者は、救急救命処置中には、手洗い/乾燥を行うために、何度も処置を中断することはできない。この分野における医学的研究では、医療従事者の手袋に付着した病原性微生物によって、露出した単回使用医療器材が汚染されることにより、患者が重篤又は致命的な感染症にかかる傾向があることが報告されている。特に治療を受けている患者が重篤な状態にある場合、このような感染症は、重篤又は致命的な結果となる。
【0034】
野外における困難性―野外において迅速な対応又は緊急対応が必要な状況では、病院の管理された環境における同様の状況よりも管理がはるかに困難となる。使用する単回使用医療器材が既存の包装体から完全に取り外されると、器材の清潔度を維持するために無菌非接触操作が必要となる。ただし、無菌非接触操作が完遂は、医療従事者が環境汚染物質を効果的に回避又は除去し、手洗いを行うことができるか否かにかかっている。これは、野外で初期対応者が置かれる状況においては、たいてい不可能である。
【0035】
例えば、初期対応者が浜辺でシリンジを使用する場合について考えてみる。薬剤を吸引して患者に投与するには、シリンジを完全に露出させる必要がある。病原性微生物で汚染されている可能性のある砂等の微粒子は、シリンジとその内容物に混入する可能性がある。急速に変化する予測不可能な状況下では、吸引及び準備プロセスが中断又は延長される可能性があり、シリンジの露出時間及び交差汚染のリスクを増加させる。
【0036】
トロリー、ディッシュ、トレイ等の補助器具を利用できない場合もある。初期対応者は、単独又は他の対応者と一緒である可能性があり、初期対応者は患者に対応している間、非滅菌又は不潔な表面にシリンジを置かざるを得ない可能性がある。医療従事者が無理やりプランジャを引き戻しすぎて、ゴム栓が露出し、バレルの内側とその内容物が病原性微生物や液体又は固体の破片で直接汚染される可能性がある。厳しい状況下では、単回使用シリンジを複数回使用して薬剤を投与することもあり、病原性微生物によるプランジャの交差汚染のリスクが高まる。緊急の状況下では、医療従事者は手を洗うためや手袋を交換するために何度も中断することはできない。野外で無菌非接触操作を実行するための障壁は多数あり、露出した単回使用器材は完全に交差汚染の影響を受けやすくなっている。
【0037】
リソースの乏しい国における困難性―単回使用医療器材から既存の包装体を完全に取り外して使用できる状態にすると、器材の清潔度を維持するために無菌非接触操作が必要となる。しかし、リソースの乏しい国において無菌非接触操作の原則を達成するには、多くの重大な障壁がある。障壁には以下のようなものがある:貯水システムや配水システム等のインフラが不十分であること、訓練が不十分であること、衛生状態が悪いこと、遵守システムが不十分なこと、患者が密になりすぎていること、医療従事者の不足、基本的な感染制御手順を医療従事者が全般的に遵守しようとしないこと、手指消毒剤や石鹸等のリソースの不足、トロリー等の補助器具の不足、水不足や給水設備全体の汚染。
【0038】
リソースの乏しい国での抗菌薬耐性微生物の割合が高いことや、医療従事者によって単回使用医療器材がしばしば不適切に再使用されていることによって、上記のような障壁が大きくなっている。既存の包装体が単回使用医療器材から完全に取り外されると、ある程度の時間、器材が完全に露出した状態になる。重要なリソース不足のため、リソースの乏しい国においては、無菌非接触操作の原則を実施して、単回使用医療器材を交差感染から保護することはできない。
【0039】
感染制御遵守に対する一般的な姿勢―使用する単回使用医療器材から既存の包装体を完全に取り外すと、機器の清潔度を維持するために無菌非接触操作が必要となる。無菌非接触操作は、医療従事者による手指衛生の効果的な実施に完全に依存している。しかし、先進国では、推奨される手指衛生の医療従事者による遵守率は依然として容認できないほど低く、推奨される手指衛生の平均遵守率は通常50%未満と推定されている。
【0040】
手指衛生に対するいくつかの障壁について医療従事者からの報告がある。報告された障壁には以下のものがある。皮膚の損傷や刺激、医療従事者-患者関係への干渉、患者のニーズの優先、物忘れ、ガイドラインに対する無知、時間不足、高い作業負荷、人員不足、手指衛生の改善が院内感染率に与える影響を示す科学的情報の欠如、不便な場所に配置されたシンク又はシンクの台数不足、患者からの感染リスクの低さ、手袋の使用により手指衛生は不要という思い込み、ガイドラインと手順に対する無知又は不一致。手指衛生の改善を強く求めているにもかかわらず、手指衛生の遵守を着実に改善した単一の介入は1つもない。単回使用医療器材は、完全に露出してしまうと、清潔ではない手からの交差汚染の影響を完全に受けやすくなり、病原性微生物を患者の重要箇所に直接伝染させる可能性がある。
【0041】
現在、無菌非接触操作には、広範な訓練と経験が必要である。既存の包装体が使用する単回使用医療器材から完全に取り外されると、機器の清潔度を維持するために無菌非接触操作が必要となる。無菌非接触操作は、広範な訓練、補助器具とリソース、及び反復と能力評価による経験を必要とする医療手順である。無菌非接触操作が病原性微生物による単回使用医療器材の汚染を最小限に抑えるのに効果的である場合、習得しなければならないコアコンピテンシーには以下が含まれる:体系的な方法を使用した効果的な手指の洗浄、正しい手袋の使用、重要部分及び重要箇所の識別と保護、熟練した非接触操作、重要部分の消毒、無菌区域管理が含まれる。医療訓練を受けていない人は、無菌非接触操作を実施することはできない。つまり、現在、家庭環境での糖尿病患者の注射針の使用や公共スペースでの応急処置キットの使用等、一般の人によって病院外で実施される処置は、基本的な感染制御義務に違反することになる。結果として、不潔な処置によって、接触感染、飛沫感染又は空気感染による交差汚染が生じ、治療を受ける人を重大な感染リスクに晒すことになる。
【0042】
飛沫感染や空気感染から保護されていない―現在、日常の処置において、無菌単回使用医療器材を使用する場合、医療用包装体を完全に取り外す必要がある。無菌非接触操作の原則は、接触感染による汚染を最小限に抑えるのに役立つが、器材は完全に露出しているため、無菌非接触操作の原則では、飛沫感染や空気感染による汚染から機材を保護することはでない。手術室外での飛沫感染や空気感染から器材を保護することはできない。患者と接触する前に医療器材を準備する必要がある状況では、かなりの時間器材が露出し、飛沫感染又は空気感染による汚染を受けやすい。特に、現在のパンデミックの中で、抗菌薬耐性微生物の蔓延とCOVID―19ウイルスの飛沫/空気感染を考えると、このような交差汚染を回避することは非常に重要である。
【0043】
プランジャ、バレル、及びシリンジの内容物の汚染―無菌単回使用シリンジでは、シリンジのプランジャが上下に移動すると、シリンジのバレルの内面にプランジャが直接接触する。したがって、プランジャを引き抜く際に接触した指から、又は直近の環境からシリンジプランジャの側面に移動した微生物がバレルの内側に移動し、シリンジの内容物に直接移動する可能性がある。プランジャが複数回抜き差しされた場合、特にこのようなことが起こる可能性がある。シリンジのバレル内の汚染物質とシリンジの内容物は、患者の重要箇所に直接投与され、重度又は致命的な感染症を引き起こす可能性がある。
【0044】
シリンジポンプの困難性―無菌単回使用シリンジを使用する場合、シリンジポンプを備えたシリンジの使用のよくある状況として、薬物の継続的な皮下投与を行うことができる携帯用電池式ポンプである場合がある。このようなポンプは、経口投薬の代替として、いくつかの状況で使用される。シリンジポンプは、老人ホームや個人宅等、病院のように完璧な場所以外でも使用される。シリンジはシリンジポンプに取り付けられており、プランジャを伸ばして滅菌されていない環境に完全に露出された状態で、最大24時間放置される場合がある。このような状況では、長時間に亘って、病原性微生物によってプランジャ、バレル、シリンジの内容物が汚染される可能性がある。
【0045】
有害薬物による汚染―無菌単回使用シリンジを使用して細胞毒性物質等の有害薬物を吸引及び調製する場合、通常の薬物調製条件下でシリンジのプランジャ自体が有害薬物によって汚染される可能性があることが医学研究で報告されている。露出したシリンジは、有害薬物にかなりの可能性で晒される経路となり、作業エリア全体の汚染につながる可能性がある。このような汚染は非常に深刻であり、患者とその家族だけでなく、薬局の職員や看護師にも害を及ぼす可能性がある。
【0046】
無菌単回使用医療器材を保持する医療包装体に係る既知の先行技術の方法及び器材には、以下の問題がある。
a)使用する無菌単回使用医療器材が包装体から取り出され、包装体が廃棄される。無菌単回使用医療器材が直接触れたり、表面に直接置かれたり、接触、飛沫、及び空気中の微生物に晒されたりするため、単回使用医療器材の無菌性が失われる
b)無菌環境を維持しながら無菌単回使用医療器材を多用途に使用できない
c)複数の手順に従って場所を無菌状態に保持し、単回使用医療器材を滅菌するための訓練、経験、及び補助手順が要求される
d)無菌単回使用医療包装体の利点が失われる
e)医療用無菌を達成するための無菌非接触操作の原則に則った無菌単回使用医療器具の使用容易性の欠如
f)単回使用医療器材は、使用するために完全に露出されているため、微生物の空気感染から保護することができない
g)医療現場での単回使用医療器材の使用中、患者への微生物の接触感染、飛沫感染及び空気感染を最小限に抑えることができない
h)手指洗浄が実施不可な場合又は実施されていない場合、完全に露出した無菌単回使用医療器材は汚染されやすく、二次汚染のリスクが大幅に高まる
i)目に見える固体又は液体の汚染物質がある場合、使用中に単回使用医療器材を汚染から守ることができない
j)外科用無菌操作が実施されない状況で単回使用医療器材を使用する場合、無菌状態の喪失が不可避
k)使用中の無菌単回使用シリンジのプランジャシャフトが保護されていない場合、内容物の交差汚染や、患者の菌血症等の重篤又は致命的な感染につながる可能性がある
l)補助リソースや器具への依存は、医療器材の単回使用に係る廃棄物を増大させる
m)器材を完全に露出させて使用する必要がある場合、器材は空気中及び飛沫中の抗菌薬耐性微生物による交差汚染を受けやすくなる
n)病院において迅速な対応又は緊急対応が必要な場合、無菌非接触操作の原則に則って無菌単回使用医療器材を使用することが困難である
o)野外において迅速な対応又は緊急対応が必要な場合、無菌非接触操作の原則に則って無菌単回使用医療器材を使用することが困難である
p)リソースの乏しい国では、無菌非接触操作の原則に則って無菌単回使用医療器材を使用することが難しい
q)無菌単回使用シリンジのプランジャが有害薬物で汚染されたり、職場や人が有害薬物にさらされたりする可能性がある
r)無菌非接触操作の原則に則って、完全に露出した無菌単回使用医療器材を使用するために必要な手順が複雑なため、人為的ミスが発生する可能性が大きい
s)無菌非接触操作の原則の遵守監視するのが難しい
【0047】
無菌単回使用器具の使用が制御可能な環境でない場合は、局所的な無菌環境が必要となる。これは、個人宅、野外、又はリソースが利用できない医療現場外等である。つまり、病院等の完璧な場所以外であってもシステムが必要であることを理解しなければならない。使用者が無菌非接触操作の訓練や経験がない場合でも、システムが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0048】
本発明は、無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体であって、先行技術の問題点の少なくとも1つ又は複数を解決又は実質的に改善することのできる医療用包装体を提供すること、又は少なくとも代替物を提供することを目的とする。
【0049】
本明細書において先行技術情報について言及されている場合、そのような言及は、その情報がオーストラリア又はその他の国における当該技術分野における共通の一般常識の一部を形成するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0050】
本発明の第1の態様によれば、無使用時に患者に直接触れるための重要部分である少なくとも1つの処置部を有し、少なくとも1つの処置部を操作するための少なくとも1つの操作部を更に有する菌単回使用医療器材を保持するための医療用包装体を提供することができる。包装体は、単回使用医療器材を無菌状態で保持可能な封入空間を形成する本体を有する。本体は、少なくとも1つの第1端部、少なくとも1つの第2部分、及び少なくとも1つの第1端部と第2部分との間に少なくとも1つの開封可能接続部を有する。接続部は、少なくとも1つの第2部分から少なくとも1つの第1端部を切り離すことを可能にする。
【0051】
少なくとも1つの第1端部は、単回使用医療器材の処置部を概ね覆う大きさ及び形状を有する。
【0052】
少なくとも1つの第2部分の少なくとも一部は、単回使用医療器材の操作部を概ね覆う大きさ及び形状を有する。
【0053】
少なくとも1つの開封可能要素は、使用時に少なくとも1つの第1端部を取り除いて開封状態にし、単回使用医療器材の少なくとも1つの処置部を露出させて直接患者に使用できるようにする。
【0054】
少なくとも1つの第2部分が残留し、少なくとも1つの操作部が少なくとも1つの第2部分内に概ね留まった状態で、少なくとも1つの第2部分の少なくとも一部が少なくとも1つの操作部によって操作可能である。
【0055】
無菌非接触操作の主な原則のうち、本発明によって効果を最大限に高めることのできる原則は以下の通りである。
・常に効果的に手指の消毒を行う
・器具の重要部分や患者の影響を受けやすい箇所が決して汚染されないようにする
・器具は、重要でないことが明らかな部分にのみ触れるようにする
・適切な感染予防管理措置を講じる
ここで、重要部分とは、患者と直接接触する器材の部分、又は注入ポートを意味し、したがって交差汚染がないようにしておく必要がある
【0056】
本発明は、簡単には以下のことが言える。
a)決して触れてはならない無菌単回使用医療器材の重要部分を識別
b)器材の重要部分と非重要部分を区別する視覚的且つ物理的なインジケータとして機能
c)処置部に接触することなく、処置部を覆う包装体のみを容易に取り外すことが可能
d)使用前に処置部が露出する時間を短縮
e)器材の処置部を使用している間中、操作部及びその他の非処置部が包装体で覆われたままの状態にする
【0057】
医療用包装体は、無菌単回使用医療器材を保持することができる。医療用包装体は、少なくとも1つの第1端部と少なくとも1つの第2部分とで封入空間を形成し、単回使用医療器材を無菌状態で内部に保持することが可能な本体を有する。少なくとも1つの第2部分は、端部又は中央部である。少なくとも1つの第1端部は、単回使用医療器材の処置部を概ね覆う大きさ及び形状を有する。少なくとも1つの第2部分は、単回使用医療器材の操作部を概ね覆う大きさ及び形状を有する。
【0058】
少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部に少なくとも1つの開封可能要素があってもよい。少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部にある開封可能要素は、概ね開封状態とすることができ、操作部を第2部分内に概ね留めた状態で単回使用医療器材の操作部分を使用することができる。
【発明の効果】
【0059】
単回使用医療器材を封入するために使用される医療用包装体の発明は、単回使用密封包装を可能にし、器材の封入に使用可能であり、使用者が直接触れることなく封入された器材を手に持って使用することを可能にするという利点をもたらす。それにより、接触感染、飛沫感染、及び空気感染による器材の微生物汚染の可能性を最小限に抑えることができる。
【0060】
特に、無菌単回使用医療器材の操作部分は、少なくとも1つの第2部分の柔軟性及び材質により保持することができ、使用者は単回使用医療器材を包装体から完全に取り出すために器材に触れることなく、器材を問題なく操作することができる。この新規な包装体により、器材の処置部は露出され、患者に使用するために無菌限定区域内に置かれる。器材は、使用者によって触れられない上、概ね無菌包装体内にあるにもかかわらず、使用者が手に持って問題なく操作することが可能である。
【0061】
したがって、本システムは、病院の完璧な場所以外の場所で使用するために完全に運搬可能となっている。
【0062】
本発明のさらなる態様によれば、単回使用医療器材の処置部に対応する大きさと形状を有する少なくとも1つの第1端部を有し、単回使用医療器材を保持する医療用包装体を提供することができる。
【0063】
本発明の更なる別の態様によれば、医療用包装体は単回使用器材の操作部に対応する大きさ及び形状有する少なくとも1つの第2部分を有し、単回使用器材を保持する医療用包装体を提供することができる。
【0064】
医療用包装体の発明は、単回使用医療器材を概ね無菌包装体内に留めた状態で使用可能であるという利点を提供することができる。しかし、器材は可動部品を有するため、単回使用医療器材を無菌医療用包装体内に概ね留めた状態で、単回使用医療器材の処置部又は操作部又はその両方動かすには、第1端部及び第2部分の少なくとも一方又は両方が可動部品又は成形部品を有することが重要である。この新規の包装体によれば、器材の処置部は使用直前まで露出されず、患者に対して使用するために無菌限定区域内に置かれ、単回使用医療器材は使用者が触れることなく、その部分が無菌包装体内にある状態で、使用者が手に持って問題なく操作することができる。
【0065】
本発明の別の態様によれば、医療器材の処置部の形状変化に対応して変形する少なくとも1つの部分を有し、単回使用無菌医療器材を保持する医療用包装体が提供することができる。このような使用中に操作可能に寸法が変化する単回使用医療器材を収容するために自身の形状を変形できる医療用包装体によれば、単回使用医療器材を包装体内に概ね留めることができ、しかも問題なく単回使用医療器材を操作することができる。この新規な包装体によれば、器材の処置部が露出され、患者に対して使用するために無菌限定区域内に置かれ、器材は使用者が触れることなく、無菌包装体内に概ね留まった状態で、使用者が手に持って問題なく操作することができる。
【0066】
本発明は、成形された可動単回使用医療器材の包装及び使用を可能にする。この包装体により、無菌状態での保持を可能にする。更に、処置端部を形成するために複数の処置部を相互に移動する必要があるか、操作端部又はそれらの組み合わせを形成するために複数の操作部を相互に移動する必要がある医療器材の使用を可能にする。成形された可動包装体は、そのような単回使用医療器材を保持することができると共に、大部分が包装体内にある状態で単回使用医療器材を操作可能に動かすことができる。
【0067】
本発明は更に、形状変化やその他の変形をする単回使用医療器材を封入すると共に無菌状態で動きを伴う使用を可能にする。これには、拡張可能な蛇腹状であってもよい中間第2部分を使用によって可能とすることもでき、注射器等の単回使用医療器材に対して、長さの範囲にわたって外側からの無菌保護を維持することが可能となっている。
【0068】
本発明は、複数の端部を有する操作可能な単回使用医療器材を封入すると共に無菌状態で動きを伴う使用を可能にする。単回使用医療器材を封入する包装体は、第2部分に接続された複数の第1端部を備え、第2部分は、第1端部間に延びて第1端部同士を接続すると共に、第2中心部分を形成する。このようにすれば、操作部を第2中心部分に留めたままの状態で、操作部を手に持って1つ以上の処置部を選択的に使用することができ、非接触使用が保証される。また、第1端部の使用中に、使用していない他の第1端部を無菌状態に保つことができる。
【0069】
一の形態において、本発明は、単回使用医療器材を封入する医療用包装体であって、開封可能要素を備えた単回使用無菌密封包装体を含む医療用包装体を提供する。開封可能要素を活用して、包装体の小さな一部を取り除くことにより、器材に直接触れることなく、封入された器材を露出させて使用可能とすることができる。器材は、使用者が直接触れることなく、器材の周りに常に留まっている包装体の残りの部分に留められた状態で、その部分を介して使用することができる。
【0070】
本発明の別の形態において、無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体は、少なくとも1つの第1端部と少なくとも1つの第2部分とで封入空間を形成し、単回使用医療器材を無菌状態で内部に保持することのできる本体を有する。ここで、少なくとも1つの第1端部は、単回使用医療器材の処置部を概ね覆う大きさ及び形状を有する。少なくとも1つの第2部分は、単回使用医療器材の操作部を概ね覆う大きさ及び形状を有し、少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部である少なくとも1つの開封可能要素。ここで、少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部である少なくとも1つの開封可能要素は、使用時に開封状態とすることができ、単回使用医療器材の少なくとも1つの処置部を使用可能にすることができる。また、少なくとも1つの操作部を少なくとも1つの第2部分内に概ね留めた状態で、少なくとも1つの操作部によって少なくとも1つの処置部を操作することができる。
【0071】
使用者が器材に直接触れることがないため、器材の汚染を最小限に抑えることができ、医療現場における患者や医療現場外の人への微生物感染を素早くシンプル且つ信頼性のある簡単な方法で最小限に抑えることができる。ここで、医療用包装体によって、以下のいずれか1つ又は複数の改善をもたらすことができる。
i.単回使用医療器材の無菌状態にする構造と包装の改善
ii.医療現場又は医療現場外で無菌単回使用医療器材を使用する際に、患者の病原性微生物感染を最小限に抑制することの向上
iii.使用中に病原性微生物の飛沫感染及び空気感染を最小限に抑制
iv.単回使用医療器材の無菌状態での使用の改善
v.包装体内の器材の無菌状態を喪失する除去作業がなく、二次手順の必要性を低下
vi.器具の調達に係る負担の軽減
vii.廃棄物に係る負担の軽減
viii.アシスタントスタッフの必要性の低減
ix.無菌非接触操作の原則を遵守する上での人為的ミスのリスクの低減
x.無菌非接触操作の原則の準拠を保証
xi.環境に関係なく無菌非接触操作の原則を遵守し、在宅ケア環境やインフラやリソースが不十分な場所等、病院外の場所における達成可能な清潔度のレベルを向上
xii.滅菌された特定区域を維持
xiii.単回使用医療器材を概ね無菌包装体に留めた状態での使用
xiv.直接触れずに無菌単回使用医療器材を包装から取り出して使用可能
xv.病院のように完璧な場所以外で、無菌状態を維持しながら注射器等の無菌単回使用医療器材を使用する際に、非無菌表面に置くことなく、無菌単回使用医療器材を使用可能
xvi.単回使用医療器材に直接触れたり、単回使用医療器材を微生物の接触感染に晒したりすることなく、単回使用医療器材を使用可能
xvii.医療訓練や経験を必要とせずに単回使用医療器材を無菌状態で使用可能
xviii.無菌単回使用医療用包装体の利点を維持
xix.使用中に、微生物の飛沫感染及び空気感染から単回使用医療器材の大部分を保護
xx.使用中に、目に見える固体又は液体の汚染物質による汚染から単回使用医療器材の大部分を保護
xxi.外科用無菌操作が実施されない場合にも無菌状態を失うことなく単回使用医療器材を使用可能
xxii.使用中に包装体が視覚的及び物理的なインジケータとして機能し、使用者が重要部分と非重要部分とを区別し、重要部分との接触を回避するのに役立つ
xxiii.処置部をどれだけ露出させるかを使用者が選択できるため、器材の必要以上の露出を最小限に抑え、病原性微生物による交差汚染の可能性を最小限に抑制可能
xxiv.医療処置のために重要部分が露出する時間を最小限に抑え、病原性微生物による交差汚染の可能性を最小限に抑制可能
xxv.補助手段、器材、アシスタントスタッフへの依存の低減
xxvi.廃棄物量の削減
xxvii.迅速な対応が必要な状況下や緊急の状況下でも、無菌非接触操作が容易
xxviii.野外での無菌非接触操作が容易
xxix.リソースの乏しい国でも無菌非接触操作が容易
xxx.病原性微生物による接触、飛沫、空気感染、及び液体又は固体の破片から無菌単回使用注射器のプランジャを保護
xxxi.有害薬物で汚染された単回使用注射器による医療現場や医療現場の人の汚染を防止
xxxii.無菌非接触操作の遵守と遵守状況監視の改善
【0072】
本発明の医療用包装体は、使用中に無菌単回使用医療器材を概ね覆い、微生物の接触感染、飛沫感染及び空気感染から保護するための物理的バリアを提供することができる。
【0073】
本発明の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体は、外科用無菌非接触操作に使用されることは意図していない。医療用無菌を達成するための標準的な無菌非接触操作を実施するためのより簡単で効果的な方法の利点を提供し、日常の処置における病原性微生物による器材の交差汚染の可能性を最小限に抑え、達成可能な清潔度の基準を引き上げることができる。
【0074】
本発明の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体は、使用者にとってはより簡単な作業環境、無菌単回使用医療器材を必要とする患者にとってはより安全な治療環境を提供することができる。
【0075】
本発明の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体は、在宅医療環境やインフラが不十分な場所等、病院のように完璧な場所以外でも無菌又は清潔な状態を維持する手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であり、第1端部と第2端部とを有し、その間に脆弱接続部が介在し、器材の重要部分を識別する単一の脆弱操作線を有する、本発明の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図2】外科用メスの形態の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であり、第1端部と第2端部とを有し、その間に脆弱接続部が介在し、器材の重要部分を識別する複数の脆弱操作線を有し、本発明の他の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図3】アプリケータバッド又は挿入スワブとして使用可能な両頭綿棒の形態の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であって、2つの第1端部と、その間に中間中央第2部分を有する、本発明の他の好ましい形態に係る概略図。
【
図4】患者に対しての複数の挿入深さで複数の方法で使用することができる一組のピンセットの形態の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であって、器材の重要部分を識別する複数の脆弱操作線と、操作線の箇所に脆弱接続部を有し、選択された第1端部を取り除くことで、選択された医療処置に関連する重要部分の露出を可能にする、本発明の他の好ましい形態に係る概略図。
【
図5】一組のハサミの形態の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であって、器材の重要部分を識別する脆弱操作線を有し、操作線の箇所に脆弱接続部を有し、選択された第1端部を取り除くことで、選択された医療処置を実施に関連する重要部分の露出を可能にすると共に、包装体の第2部分に留めた状態で、使用者が操作用指穴において指操作をすることによって引き起こされる回転動作が許容されるように医療用包装体が変形可能な、本発明の他の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図6】無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であって、異なる形状に変形可能な包装体によって
図5のハサミを異なる方法で保持するための、本発明の他の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図7】シリンジの形態の無菌単回使用医療器材を第1の搬送可能状態と第2の拡張操作可能状態で保持する医療用包装体の2つの概略図であって、包装体の第2部分に留まった状態で、使用者がプランジャを指で操作することによって引き起こされる拡張動作が妨げられないよう医療用包装体が変形可能な、本発明の他の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図8】膣鏡の形態の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であって、選択された第1端部を取り除くことよって、選択された医療処置に関連する重要部分の露出を可能にする開封可能接続部と、開封可能であり、他の器具をそこから挿入可能な脆弱第2接続部と、を有し、包装体の第2部分に留めた状態で、使用者がネジ式拡張具を指で操作することによって引き起こされる回転動作が許容可されるように医療用包装体が変形可能な、本発明の他の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図9】目盛付キャリパの形態の無菌単回使用医療記載を保持する医療用包装体の概略図であって、器材の重要部分を識別する脆弱操作線を有し、第1端部を取り除くことによって、選択された医療処置に関連する重要部分の露出を可能にする開封可能接続部を操作線の箇所に有し、医療用包装体は、定規部が透明な窓から視認可能な状態で包装体の第2部分に留めた状態で、使用者がネジ式拡張具を指で操作することによって引き起こされる回転動作が許容されるように医療用包装体が変形可能な、本発明の他の好ましい形態に係る概略図。
【
図10】無菌レストボックスの形態の無菌単回使用医療器材を保持する医療用包装体の概略図であって、器材の重要部分を識別する脆弱操作線と、開封可能接続部を操作線の箇所に有し、選択された第1端部を取り除くことができる、本発明の他の好ましい実施形態に係る概略図。
【
図11】清潔又は無菌を維持した状態で用可能な無菌単回使用医療器材を提供する方法を例示した概略図であって、本発明の実施形態に係る概略図。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下の説明において、異なる実施形態における同様の又は同じ参照番号は、同じ又は同様の特徴を示す。
【0078】
図面には、外科用メス81、綿棒82、母指鉗子又はピンセット83、ハサミ84、注射器85、膣鏡86、目盛付キャリパ87等の無菌単回使用医療器材80を保持する医療用包装体11~19が示されている。また、無菌レストボックス88用の包装体90も示されている。
図2~
図10に示された様々な実施形態については後述する。
【0079】
図1に概念的に示されるように、本発明は、脆弱接続部25を有し、単回使用医療器材80、81~88を封入するために使用される無菌単回使用包装体11を提供する。
【0080】
器材80は、患者と接触する部分であり、露出させる必要がある処置部41を有している。単回使用医療器材80の処置端は、患者に触れるために実際に使用するときにのみ露出されればよい。
【0081】
したがって、医療用包装体は、器材の処置部41を成し患者と接触可能な重要部分と、通常の環境状態より良い状態から医療的無菌状態までを意味する無菌且つ清潔な状態を維持するために、他の物や人に接触させてはならない部分と、を区別するために包装体上に設けられた第1の脆弱操作線26を有している。第1の脆弱操作線26によって、使用者は正しい使用法を直ちに知り、理解することができる。
【0082】
脆弱接続部25を活用して、第1端部21である包装体の小さな一部を取り除くことにより、直接触れることなく、封入された器材の使用に必要な最小限の部分のみ露出させることができる。使用者は、器材に直接触れることなく、器材80の周りに常時留まっている包装体の残りの部分である第2部分23を介して、手に持って使用することができる。
【0083】
単回使用医療器材80は、その他端に操作部43を有する。操作部43は、使用者が処置部41を操作するための第2端部とすることができる。この操作部は中央位置に設けることもでき、中央操作部とすることもできる。
【0084】
器材は使用者によって直接触れられることがないため、器材の汚染を最小限に抑えることができ、微生物が医療現場における患者や医療現場外にいる人への感染を素早くシンプル且つ信頼性のある簡単な方法で、最小限に抑えることができる。
【0085】
包装体は、単回使用医療器材80を使用直前まで無菌包装体内に封入した状態とすることができ、使用時にも器材を取り出す必要がないので、処置部41の周囲を無菌環境にすることができる。しかも、処置部41を包装体内に概ね留めた状態で処置部41の露出時間を最小限に抑えることができ、無菌環境を概ね持続させることができる。
【0086】
また、医療用包装体は、操作部を包装体の残りの部分に留めた状態で医療器材を問題なく操作できるように、変形可能な部分を有していてもよい。
【0087】
包装体は、以下の1つ又は複数の結果をもたらす。
b)包装体内に留めた状態で操作部を手で持つことができる
c)第1端部の取り除き容易性
d)単回使用医療器材の包装体からの取り出し不要、したがって単回使用医療器材への接触や即使用可能とするための表面への載置不要
e)直前に処置部のみを露出可能
f)包装体内に概ね留めた状態での操作が可能
g)包装体内に留めた状態で操作部を動かすことが可能
【0088】
図2~10には、本発明の様々な形態が示されており、互いに対して新規性を有する以下を含む。
a)包装体内に概ね留めた状態で操作可能な固定形状の単回使用固定医療器材81、82を保持するための
図2及び
図3に示す固定成形包装体。単回使用医療器材を用いた様々な所定の医療処置における重要部分を示し、選択された用途に応じた長さに第1端部を取り除いて使用するための少なくとも1つの破断作業を伴う
b)包装体内に概ね留めた状態で操作可能な可動形状の単回使用医療器材を保持するための
図4及び
図5に示す可動成形包装体。単回使用医療器材を用いた様々な所定の医療処置における重要部分を示し、選択された用途に応じた長さに第1端部を取り除いて使用するための少なくとも1つの破断作業を伴う
c)変形可能な包装体内に概ね留めた状態で操作可能な変形可能形状の単回使用医療器材83から87を保持するための
図4から
図9に示す変形可能成形包装体。単回使用医療器材を用いた様々な所定の医療処置における重要部分を示し、選択された用途に応じた長さに1端部を取り除いて使用するための少なくとも1つの破断作業を伴う
【0089】
本願の包装体の新規性及び進歩性に係る概念は多数あり、個別に又は相助作用のある組み合わせとして含まれる。それらの概念の詳細は、本明細書で説明する。
【0090】
包装体の一部の残し開封可能
【0091】
単回使用医療器材は、包装体を簡単に取り除くことができる。しかし、その場合、使用者は少なくとも医療器材の重要部分に隣接する部分に接触することになり、使用者による重要部分への意図しない接触や使用者から重要部分への交差汚染が発生する可能性が非常に高くなる。
【0092】
単回使用医療器材の包装体の本体の1つ以上の第2部分の外側は、器材の非重要部分の概ね近くに位置しているため、通常、露出された重要部分と接触することは不可能である。したがって、使用者は重要部分から離れた表面に触れる場合、重要部分に触れることはできないので、清潔且つ無菌の環境が確保される可能性が高くなる。
【0093】
インジケータ
【0094】
重要部分、つまり、患者に接触する部分を可能な限り清潔且つ無菌の状態に保つためには、医療器材の重要部分がどこかを知り、把握することが非常に重要である。使用中に重要部分や患者に対する交差汚染が発生するため、重要部分に触ることや表面上に放置することは避けなければならない。
【0095】
医療器材のどの部分、又はどの程度が重要部分であるかを理解していないと、十分な知識のない医療スタッフが、医療処置実行者のために準備を行う際、誤って触ったり、表面に置いたりする危険性が高くなる。親切心であったとしてもその行為が配慮に欠ける場合、医療器材の無菌包装体の利点のすべてを台無しにしてしまうことになる。
【0096】
熟練の医療スタッフだったとしても、迅速な対応が必要な状況や特に緊急の応急処置が必要な状況下では、物理的に最適な場所ではない場合もあり、援助が必要となる。
【0097】
本発明の包装体には、重要部分の端部に概ね重なるように設けられた脆弱操作線26が設けられており、清潔且つ無菌の環境を維持することに役立てることができる。脆弱操作線26によって、重要部分が完全に包装体内にある場合でも、重要部分がどこであるかを把握することができる。更に、第1端部21の端は、脆弱操作線26とされているが、第1端部21が取り除かれると、重要部分のみが露出し、残りの医療器材を被覆している部分は、医療器材の残りの部分、特に操作部43を覆っているが、それでも重要部分を把握することができる。したがって、本発明の無菌単回使用器材の取り扱いにおいて、使用者は、包装体の残った被覆部分のみ接触可能であることがわかり、器材の被覆されていない部分を接触禁止とすることができる。被覆を示すことにより、使用における改善が得られる。
【0098】
医療器材が異なる医療処置において様々な方法で使用可能な場合には、他の形態で示すことが考えられる。外科用メス81等の単回使用医療器材は、異なる3つの脆弱操作線26、27、28を備えていてもよい。
【0099】
この場合、異なる脆弱操作線26、27、28に延びる第1端部21を色分けするか、識別できるように示すなどして強調することもできる。例えば、医療処置が皮膚のみに使用される場合は紫色とし、第1端部の脆弱操作線26までの部分を紫に着色する。使用者は、重要部分を必要な分だけ露出させるには、第1端部21の紫色部分を取り除き、処置部41を第1の脆弱操作線26まで露出させればよいことがわかる。それ以降の医療処置に異なる重要部分が必要とされる場合は、異なる重要部分は異なる色で識別されているため、適切な第1端部21を適切な脆弱操作線26まで取り除いて、無菌単回使用器材の適切な重要部分を露出させ、本発明による清潔且つ無菌の状態での使用を可能にすることができる。
【0100】
操作性
【0101】
包装体の一部が器材の非重要部分にかかっている状態で、患者に直接触れることが可能な重要部分と共に操作可能な部分。不可動の単回使用医療器材の操作性は、1つ以上の脆弱操作線を有する固定包装体によって得ることができる。
【0102】
変形可能
【0103】
単回使用医療器材が可動部を有している場合、使用者の医療器材の操作の妨げとならないよう、包装体を自由に動かせるようにする必要がある。
【0104】
収縮包装体の使用は、熱収縮性包装によって医療器材への弾性拘束力が常に働くことから一般的には使用不可となっている。この医療機器に働く拘束力は、包装体内部に留まらせるものであり、意図する使用方法に反し、使用者が器材に対して完全な制御を行うことができなくなる。収縮包装に対抗する操作又は補う操作が必要となり、そうでなければ、収縮包装を完全に取り除く必要がある。
【0105】
操作部の効果的な操作のために、包装体が使用者による使用や操作の妨げとならないようにすることが非常に重要である。
【0106】
可動器材の意図する操作を可能にする医療用包装体は、変形可能な本体を有する。本体は、操作部が少なくとも本体の第2部分内に概ね留まっている状態で、単回使用医療器材の動きを伴う使用を可能にするため、単回使用医療器材の可動範囲の変更を許容できるように変形可能となっている。
【0107】
本体の変形容易性は、単回使用医療器材の可動範囲の非弾性的な変更を許容できることが好ましい。
【0108】
その他の形態としては、操作部が少なくとも本体の第2部分に概ね留まっている状態で、単回使用医療器材動きを伴う使用を可能にするため、単回使用医療器材を保持する本体の容量を変更することができるように変形可能であることが好ましい。
【0109】
本体の変形容易性は、単回使用医療器材を保持する本体の容積の非弾性的な変更を許容できることが好ましい。
【0110】
少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部は、単回使用医療器材の処置部の形状の変化に応じて変形する。
【0111】
少なくとも1つの第2端部の少なくとも一部は、単回使用医療器材の操作部の形状の変化に応じて変形する。
【0112】
医療用包装体は、少なくとも1つの第2部分を有していてもよい。少なくとも1つの第2部分は、単回使用医療器材の操作部を概ね覆う大きさと形状を有し、単回使用医療器材の操作部を覆い、単回使用医療器材の操作部のほぼすべてを覆ったままの状態で、操作部による処置部の操作を許容するように変更可能、又は対応する動きが可能となっていてもよい。
【0113】
変形可能な変化は、以下の少なくとも1つ以上による包装体の形状変化であってもよい。
・柔軟性
・変形性
・拡張性
・可鍛性
・圧縮性
【0114】
包装体の変形性は、様々な方法によって得ることができる。例えば以下のようなものがある
a)部品が相対的な動きが簡単にできる形状及び柔軟性を有する包装体
b)医療器材の相対的な動きが可能な個別の要素を覆う個別の指状部の間にガセットを使用
c)医療器材の相対的な動きが可能な個別の要素を覆う個別の指状部の間に回転可能接合を使用
d)容積や可動範囲の変更を可能にする拡張収縮可能で無段階に伸縮自在な包装体の使用
e)異なるパネルが接続されて異なる柔軟性を得るため、密度の異なるプラスチックの使用。
【0115】
例
【0116】
1つの概念又は複数の概念の組み合わせを利用した種々の医療器材がある。
【0117】
図2には、単回使用医療器材としての外科用メス81が密封された医療用包装体12の例が示されている。包装体は、第1端部21と第2部分23を有し、これらは、外科用メスの形状を正確に倣い、外科用メスの形状を取り囲むようになってはいるものの使用の妨げにはならない形状となっており、このように成形された包装体内に外科用メスが密封されている。
【0118】
外科用メス81は、切開のための処置部41を一端に、手に持って処置部を操作するための操作部43を他端に有する。処置部は、医療処置の重要部分であり、患者との直接接触が可能となっている。
【0119】
本例の外科用メス81は、切開手術のためのものであってもよい。したがって、包装体12は、本体上に記された複数の脆弱操作線26、27、28を有している。脆弱操作線26、27、28は、使用者が接触不可な用途をそれぞれ示し、以下の所定の使用別に、患者との直接接触が許容される処置部41の特定重要部分を明確にする。
a)皮膚表面切開
b)浅い切開
c)深い切開
【0120】
医療案件及び実施する医療処置に応じて、使用者は必要とされる切開の深さを選ぶことができ、包装体の本体上に記された対応する脆弱操作線26、27、28を選択することにより、必要な重要部分を特定することができる。
【0121】
医療用包装体12は、包装体の本体上に記された脆弱操作線26、27、28のそれぞれに対応する脆弱接続部25を有する。脆弱操作線26、27、28を選択し、選択した線の箇所にある脆弱接続部を破断することにより、適合する大きさの第1端部21を取り除き、器材の処置部41を成す関連する重要部分を露出させることができる。
【0122】
明らかに、2つの部分21及び23の間にある脆弱接続部25は大抵操作部43よりも小さく、患者と唯一接触する処置部41の近くにある。脆弱接続部25を破断させて、包装体12の小さな第1端部21を取り除くことで、密閉されていた器材81の処置部41を露出させ、器材に直接触れることなく使用可能とすることができる。更に、使用者は器材に直接触れることなく、包装体12の残りであり、器材の周りに常時留まる包装体12の残りの部分である第2部分を介して器材の操作部43を手に持って使用することができる。
【0123】
外科用メス81の操作の妨げとなるのを更に防止するために、包装体12は操作部43に対して緩めのフィットとなっているが、第2部分23を介して繊細なタッチの操作が可能となっている。外科用メス81をペンシルグリップ又はポインティンググリップで持つ場合、外科用メス81の上端に使用者の人差し指が置かれるため、重要な接触部では縫い目やその他の接続部が取り除かれる。これは、例えば、外科用メスの上端ではなく線対称の中心に縫い目があるであろうことを意味する。
【0124】
図3では、包装体13は、無菌単回使用器材としての両端綿棒82を保持している。包装体13は、単回使用医療器材の相対する端部の2つの処置部41をそれぞれ覆う2つの第1端部21と、その間に両端綿棒82の中間操作部43を覆う中間中央第2部分23を有している。
【0125】
包装体13には、2つの対応する脆弱操作線26、27という選択肢がある。脆弱操作線26、27は、大きさやコーティングを変えることで、異なる医療処置に対応することができ、アプリケータとして使用したり、単に順番に使用したりすることもできる。更に、検体採取のために口や耳、鼻等に挿入する挿入用綿棒として両端綿棒82を使用するための、脆弱操作線28が設けられている。
【0126】
2つの第1端部21のうちの1つは、対応する脆弱接続部25において中央部分23から切り離され、1つの選択可能な処置部41を有する単回使用医療器材の一の端部を選択的に露出させる。もしくは、両端綿棒のような単回使用医療器材の2つの処置部が露出するように、両方の端部を取り除き、包装体23で覆われている中央部分を手で持つようにしてもよい。
【0127】
このように、脆弱接続部25を活用して包装体の小さな第1端部21を各端部にて取り除き、封入された器材の処置部を同時に、又は順次露出させて、器材に直接触れることなく、処置部を操作可能にすることができる。更に、器材の操作部は、器材の周りに常に残留している包装体の残留操作部対応部23を介して、使用者が直接器材に触れることなく、器材の操作部を手に持って使用することができる。
【0128】
各形態において、各脆弱接続部は、使用前は、包装体の残留部と同様、封入された単回使用医療器材を保護している。各脆弱接続部は、所定の大きさ及び形状の開口部を形成し、所定の範囲を超えて破断されることはない。各脆弱接続部は、包装体の取り扱い中に誤って早く破ってしまった場合でも問題ない程度に繋がっている。
【0129】
本発明が使用された場合、いついかなる場合も封入された単回使用医療器材は使用者に直接触れられることはなく、無菌非接触操作の原則を達成するためのより簡単でより効果的な方法の利点を提供し、日常の処置において接触感染や飛沫感染、空気感染によって器材が微生物に汚染されることを低減することができる。本発明を使用することにより、アシスタントの必要性の低減、ヒューマンエラーリスクの低減、全体的な用具資源に関する負荷の低減、廃棄物に関する負荷の低減等を通じて、既存の方法よりも、無菌非接触操作の原則を満たすことが可能となっている。
【0130】
本発明の使用により、訓練や経験がない人であっても無菌非接触操作の原則を達成することができる。本発明は、環境に関係なく、在宅医療のような病院外の環境であっても清潔度のレベルを上げ、無菌非接触操作の原則を満たすことを可能にする。
【0131】
本発明は、無菌密封単回使用威容器材包装体の使用を大幅に変えるものであり、包装体は、取り除かれ廃棄されることなく、封入された単回使用医療器材の周りに常に残留し、物理的なバリアとして機能し、接触感染や飛沫感染、空気感染によって器材が微生物に汚染されることを防ぐことができる。
【0132】
本発明の実施形態として、
図4及び
図5に示すようなピンセット83や縫合ハサミ84等の可動型単回使用医療器材を保持するための、形成された可動包装体14、15を示すことができる。このような実施形態では、包装体14、15は、無菌状態に保持することを可能にし、処置端部や必要な操作部又はその組み合わせを形成するために処置部41を相対的に動かす必要のある単回使用医療器材83、84の使用を可能にする。形成された可動包装体14、15は、そのような単回使用医療器材83、84を保持することができ、大部分を包装体に留めた状態で、単回使用医療器材83、84を操作して動かすことを可能にする。
【0133】
図4には、無菌単回使用医療器材としてのピンセット83を保持する舗装体14が示されている。包装体は、2つの第1端部21から成る封入本体を有し、対向する端部に形成され、二股が接続された第2端部23に接続されたとき、封入する密閉空間を形成し、単回使用医療器材84を無菌状態で内部に保持することができる。
【0134】
本例におけるピンセット83は、縫合糸抜糸の医療処置に使用することができるが、他の3つの使用法もある。したがって、包装体14には、複数の脆弱操作線26、27、28が包装体本体上に記されており、それぞれの用途を示すと共に、使用者が触れることはできないが、以下の所定の用途別に患者との直接接触が必要とされる特定の重要部分を明確にしている。
a)表皮縫合糸抜糸
b)浅層縫合糸抜糸
c)深層縫合糸抜糸
【0135】
二股状の第2部分23に留まった状態でのピンセット83の操作は、包装体が柔軟な動きを妨げないように形成されているため、可動手段62によってピンセットの2つのアームを互いに向かって曲げることができる。
【0136】
医療案件及び実施する処置によって、使用者は必要とされる切開の深さを選択することができるため、包装体14の本体上に記された脆弱操作線26、27、28のうち対応するものを選ぶことによって、必要とされる重要部分を特定することができる。
【0137】
医療用包装体14は、包装体14の本体上に記された脆弱操作線26、27、28のそれぞれに対応する脆弱接続部25を有する。必要とされる脆弱操作線26、27、28を選択し、選択した線で脆弱接続部を破断させることによって、適合する大きさの第1端部21を取り除き、器材の処置部41を成す関連する重要部分を露出させることができる。
【0138】
図5には、無菌単回使用器材としての縫合ハサミ84を保持する医療用包装体15が示されている。包装体15は、1つの第1端部21と、第1端部21が取り付けられた二股状の第2部分23とから成り、封入空間を形成する封入本体を有している。封入本体は、単回使用医療器材を無菌状態で内部に保持することが可能となっている。
【0139】
この場合の第1端部21は、縫合ハサミ84の両刃を概ね封入し、第1端部21の2つの処置端41を覆うことが可能な大きさと形状を有している。単回使用医療器材としての縫合ハサミ84の複数の処置部41は、回転可能な状態で、中央回転軸44で接続されており、個別に指状部47を有する操作部で2つの操作アームを回転させるための動きをすることで2つの処置部41の回転を制御することができる。
【0140】
分岐された第2部分の接続形状及び構造、操作部43及び形成、構造、材料によって、結合された回転可能な可動部64を包装体15に対して動かすことができ、指状部47に入れた使用者の指によって、また、2つの処置部41に操作可能に接続されているため、操作可能な縫合ハサミ84の効果的な機能によって、指状部47を含む操作部43が第2端部23に留まった状態で、回転軸44を中心に複数の操作部43を回転して互いに向かって動かすことができる。
【0141】
第1端部1と分岐された第2部分23との間には可動要素25がある。可動要素25は、使用時には開封状態にすることができ、第1端部21を取り除き、単回使用医療器材84の処置部41を形成する重要部分を露出させ、第2端部43を第2端部23に概ね留めた状態で重要部分使用可能とすることができる。
【0142】
縫合ハサミ84を覆うための医療用包装体15及び包装体の開封可能接続部には、複数の脆弱操作線26、27、28が包装体本体上に記されており、それぞれの用途を示すと共に、使用者が触れることはできないが、以下の所定の用途別に患者との直接接触が必要とされる特定の重要部分を明確にしている。
a)表皮縫合糸抜糸
b)浅層縫合糸抜糸
c)深層縫合糸抜糸
【0143】
医療案件及び実施する処置によって、使用者は必要とされる切開の深さを選択することができるため、包装体14の本体上に記された脆弱操作線26、27、28のうち対応するものを選ぶことによって、必要とされる重要部分を特定することができる。
【0144】
医療用包装体15は、包装体の本体上に記された脆弱操作線26、27、28のそれぞれに対応する脆弱接続部25を有する。必要とされる脆弱操作線26、27、28を選択し、選択した線で脆弱接続部を破断させることによって、適合する大きさの第1端部21を取り除き、器材の処置部41を成す関連する重要部分を露出させることができる。
【0145】
図4~
図9の医療用包装体14~19は、変形可能な包装体であり、変形可能な単回使用医療器材83~87を概ね内部に留めた状態で操作して動かすことが可能なように、単回使用医療器材83~87を保持する。
【0146】
図4~
図5の医療用包装体は、部材62又は回転可能な結合された可動部64による包装体の変形を許容することがわかる。可動部64の回転は、分岐された第2部分23によって許容されている。第2部分23は、操作部43を使用した使用者の器材操作を妨げることなく動きを許容するように形成され、許容される部材及び構造である。
図6~
図9の構造は、他の変形手段63、65、66を提供するものである。単回使用医療器材84~87の異なる可動範囲に対応し、包装体16~19の本体の第2部分23内に少なくとも操作部43が概ね留まった状態での単回使用医療器材の動きを伴う使用を可能にしている。本体の変形容易性により、単回使用医療器材の可動範囲の変更は妨げられることがない。変形容易性により、単回使用医療器材を保持している本体の容積の変更も許容することができ、本体の第2部分内に少なくとも操作部が概ね留まった状態での単回使用医療器材の動きを伴う使用を可能にしている。
【0147】
図6には、同じ単回使用医療器材としての縫合ハサミ84を保持するための
図5の医療用包装体15とは異なる医療用包装体16が示されている。包装体16は封入本体を有し、1つの第1端部21と二股状の第2端部23とで封入空間を形成し、単回使用医療器材を無菌状態で内部に保持することができる。
【0148】
包装体16は、ハサミ84のアームの一部を覆う側方拡張部63を含む第2部分23を有する。ハサミ84のアームの一部は、重要部分の一部とはなっていないため、ハサミの処置部41を成す重要部分ではないが、第2部分23によって覆われている必要がある。このようなアームの一部は、回転軸44に対し処置部41と同じ側且つ操作部43及び指操作穴47に対し遠位側にある。
【0149】
医療用包装体15の第2部分23の側方拡張部63は、重要部分の一部とはなっていないハサミ84のアームの一部の自由で制約を受けない外側への動きを許容する。ハサミ84の処置部41のみが露出されているが、使用を妨げられることはない。
【0150】
回転軸の遠位部にあるハサミの操作部43もまた回転軸44を中心とした回転運動が必要とされるが、第2部分23の残留密封部内に留まる必要があるため、そのような動きを妨げないために、密封ガセット65が設けられている。本ガセットは、指操作穴47のある回転するハンドルを有するハサミの操作部43間で拡張する。ガセットにより、回転可能な操作部43の動きが妨げられることなく、密封された無菌状態で操作部43を使用することができる。
【0151】
第1端部21と第2部分23との間には、開封可能要素25が設けられている。開封可能要素25は、使用時に開封状態にすることができ、第1端部21を取り除き、単回使用医療器材84の処置部41を成す重要部分を露出させ、第2端43が概ね第2端部23に留まった状態で、重要部分を使用することができる。
【0152】
縫合ハサミ84を覆う医療用包装体16及び包装体の開封可能接続部は、1つの脆弱操作線26を有する。操作線26は包装体の本体上にあり、それぞれの用途を示すと共に、使用者が触れることはできないが所定の用途別に患者との直接接触が必要とされる特定の重要部分を明確にする。
【0153】
医療用包装体は、可動手段62~66等の異なる妨害されない可動手段の組み合わせを有することもできる。更に、標準的なハサミ、外科用ハサミ、リング鉗子等の回転する無菌単回使用医療器材の別の形態に新規の本医療用包装体を使用することもできる。
【0154】
このような実施形態では、第1端部21は、相対的に動いて機能を果たす複数の処置部41を覆う外側本体封入部とされる。処置部の中央回転軸44までの長さのため、
図4のピンセット83の包装体で使われているような複数の第1端部の使用ではなく、1つの第1端部21が通常使用される。操作部43、又は複数の操作部43は、中央回転軸44を中心として相対的に動き、機能を果たす。包装体は、可動手段62~66から選択された複数の第2部分23を有し、相対的に動かすことが可能で、操作部43を第2部分23に留めた状態で動きを妨げることなく使用することができる。
【0155】
1つの第1端部21は、ハサミの中央回転軸44よりも下側にある1つの開口用の脆弱線26まで延びている。この場合の複数の第2端部23は、単回使用医療器材のグリップ部47である操作部43の形状に概ね倣った大きさと形状を有し、操作部43を覆っている。したがって、第2部分23は、ハサミの指支持部47の延長部を覆う分岐指支持部の形状を成している。
【0156】
第2部分23の分岐指状部及び結合された第1端部21の成形及び構造、位置、可動手段62~66のような動きを妨げない可動手段の包装体の第2部分43への統合により、操作部43は動かすことが可能となり、指状部47が互いに向かって動かすことが可能となり、操作部43を第2部分23に留めた状態で、回転軸44の反対側にある2つの回転する処置部41の同様の動きをすることができる。
【0157】
開封可能要素25が少なくとも第1端部21の一部に設けられている。少なくとも第1端部の一部に設けられた開封可能要素は、使用時に開封状態にすることができ、第2端43を第2端部23内に概ね留めた状態で、単回使用医療器材の操作部43を使用することができる。
【0158】
図7には、無菌単回使用医療器材としてのシリンジ85を保持する医療用包装体17が示されている。シリンジ85は、プランジャ48の操作部43を中央円筒形本体49内に押し込んで、処置部を介してシリンジの内容物を吐出して投薬するためのものである。
【0159】
操作部43は、中央円筒形本体49の開放底部にバレルフランジを、プランジャ48の底部にブランジャーフランジを有し、使用者の操作は、中央円筒形本体49の周囲に2本の指を回してバレルフランジ51に押し当て、親指でプランジャフランジ52を押し下げてプランジャ48を中央円筒形本体49内に挿入させることによって行うことができる。逆順も同様で、生理食塩水が洗浄、投薬及び他の治療材料いずれであったとしても必要な無菌材料を吸引するためにプランジャの一部を引き出すことが必要となる。この一部引き出しは、中央円筒所本体49を保持し、中央円筒状本体49の外側に刻まれた目盛りの必要な分量の位置に達するまでプランジャのプランジャフランジ52をバレルフランジ51から離れるように引くとによって行うことができる。
【0160】
シリンジ85用の医療用包装体17は、無菌及び清潔な用法が保証された状態で、上記操作が妨げられることなく行われることが必要とされる。
図7の医療用包装体は、第1端部21と、シリンジ85を密閉された無菌状態で覆うと共に封入し、第1端部21に接続された第2部分23の2つの部分を有する。第1端部21と第2部分23との間には、脆弱接続部25が設けられている。
【0161】
第2部分23は、中央円筒形本体49を覆う第1部を有する。第1部は、中央円筒形本体49の外側に刻まれた目盛りが視認できるよう透明であるか、窓を有している。第2部分23は、プランジャ48を覆う第2部を有する。第2部は、中央円筒形本体49から突出している。医療器材85の可動範囲及び容積が変更に伴って包装体17の可動範囲及び容積も変更可能である必要がある。プランジャ48を覆う第2部は、伸縮自在に変形可能な手段66となっている。変形可能な手段66は、密封された拡張可能な蛇腹部であってもよく、中央円筒形本体49からプランジャ48の最大長まで長手状に延伸可能となっていてもよい。
【0162】
第1端部21は、前処理用の脆弱開封可能接続部29を有している。接続部29は、密封状態から開封状態にすることができ、無菌針を装着して、必要な材料が封入された無菌バイアル瓶からの導管として機能させることができる。
【0163】
脆弱接続部29を活用して包装体17の第1端部21の小さい開口部30を開き、前処理用の脆弱開封可能接続部を形成し、器材に直接触れることなく、その操作機能を果たすために露出させることができる。更に、器材の操作部43は、中央円筒形本体49及びプランジャ48を覆う第2部分23の近辺で保持することができる。操作部43は、変形可能な伸縮部66内に留まった状態で、第2部分23に密封された状態で、引き出すことができ、動きを妨げられることなく包装体17の残留部を介して操作することがでる。第2部分23、そして変形可能部としての伸縮変形手段66は、使用者が器材に直接触れることなく、第2端部22が常に器材の周囲に留まる。
【0164】
本発明は、第1端部21にある小さい端部開口29が無菌包装体内において、単回使用シリンジが包装体に封入されたままの状態で、無菌針を単回使用シリンジに取り付けることを可能にする。針の取り付け部が無菌であれば、シリンジの無菌状態は保たれる。取り付け後は、小さい端部開口30の針周辺を閉じることができ、封入されたシリンジの無菌状態を保護することができる。これにより、無菌環境である包装体内にシリンジを完全に留めた状態で、薬剤やその他の内容物をバレルに流し込むことができる。無菌包装体に完全に覆われた状態のシリンジは、その無菌性を損なうことなく、患者の元へ運ぶために非無菌表面に置くことができる。投与の準備が整った段階で、包装体の第1端部21上の第2開封可能要素を開封状態にすることができ、シリンジの処置部を患者又は患者の静脈ポートに接触させて使用することができる。
【0165】
単回使用医療器材としてのシリンジ85は、中央円筒形本体49内に嵌められたプランジャの長さや形状が変化する、変形可能に形成された物体であることがわかる。包装体17は、変形可能な中間部66と第1端部21及び第2端部23とで形成された封入空間を有する本体を有する封入部材から成る。これにより、包装体17は、単回使用医療器材が拡張状態であっても収縮状態であっても無菌状態で内部に保持することが可能となっている。
【0166】
包装体は、シリンジへの充填が完了し使用可能状態となり、第1端部21が使用時に開封状態となり、処置部41が露出されて、第2端部23に留められた操作部43を使用しての単回使用医療器材の使用を可能とする少なくとも1つの開封可能要素21を端部に有していてもよい。しかしながら、拡張可能蛇腹部66によって、単回使用医療器材としてのシリンジ85の長さの範囲で無菌外側保護が維持される。
【0167】
図8には、単回使用医療器材としての膣鏡86を保持する医療用包装体18が示されている。医療用包装体は、無菌単回使用医療器材を封入するための第1端部21と第2端部23とを有する。
【0168】
医療用包装体18の第1端部は、開きが調節可能なダックビル構造を覆う。医療用包装体18は、開封可能接続部25を有し、選択された第1端部21を取り除いて、選択された医療処置に関連する重要部分としての処置部41を露出させることができ、第2の脆弱接続部29を開封してそこから他の器具を挿入することができる。
【0169】
医療用包装体は、包装体の第2部分に留めたままの状態で、ネジ式拡張器の指操作によって開始される回転動作を許容するよう変形可能となっている。医療用包装体18は、その一部が可動範囲や容積の変更を許容する側方拡張可動手段63となっている部位を有する第2部分を有し、クランプハンドルの操作部43及びネジ式アジャスタ45が第2部分23に覆われた状態で、その拡張を許容し、操作を妨げないようになっている。
【0170】
図9には、無菌単回使用医療器材としての目盛付キャリパを保持する医療用包装体19が示されている。医療用包装体は、無菌単回使用医療器材を封入するための第1端部21と第2端部23を有している。
【0171】
脆弱操作線26及び27が設けられており、用途によって異なる器材の重要部分や処置部41を成すキャリパアームの回転軸44の周りの拡張範囲のカテゴリーを示している。包装体は各線の箇所に開封可能接続部25を有し、選択された第1端部を取り除いて選択された医療処置に関連する重要部分を露出させ、ネジ式拡張器45が包装体内の第2部分に留まった状態で、ネジ式拡張器45の使用者による指操作によって開始される回転動作を許容するように包装体が変形可能となっている。
【0172】
包装体は変形可能で、ネジ式拡張器45が包装体内19の第2部分23に留まった状態で、ネジ式拡張器45の使用者による指操作によって開始される回転動作を許容する。包装体19は、その一部が可動範囲や容積の変更を許容する側方拡張可動手段63となっている部位を有する第2部分を有し、ネジ式アジャスタ45を含む操作部43が第2部分23に覆われた状態で、その拡張を許容し、操作を妨げないようになっている。目盛付キャリパ上の目盛り54は、ネジ式拡張器45の使用者による指操作によって開始される回転動作を測定するものであり、器材が包装体の第2部分に留まった状態で第2部分23の窓55を通して視認可能となっており、この透明な窓を通して目盛り部分が視認可能であるため器材の使用及び操作が妨げられないようになっている。
【0173】
図10には、単回使用医療器材としての無菌レストボックス88を保持する医療用包装体90が示されている。医療用包装体90は、無菌単回使用医療器材を封入するための第1端部91及び第2端部93を有している。無菌単回使用医療器材は、例えば、無菌発泡体89やその他の無菌収容部材や無菌収容構造等であり、医療処置の最中に異なる器材を使用する必要が生じた場合に、本器材を再び使用するまで、他の単回使用医療器材の重要部品を入れておくものである。
【0174】
医療用包装体90は、器材の重要部分を示す脆弱操作線26を有し、その操作線の箇所に開封可能接続部25を有する。これにより、選択された第1端部91は第2部分93から取り除かれ、重要部分89のみが露出する。他の無菌単回使用医療器材の無菌非汚染重要部分によって、医療処置における無菌非接触重要部分の清潔且つ無菌状態での接触が維持される。
【0175】
その他の組み合わせ
【0176】
医療用包装体は、単一の端部を有する処置部にも複数の端部を有する処置部にも使用できる。器材の一端に処置端が設けられていてもよい。処置端は、単一の処置部に固定されていてもよいし、複数の処置部の動きに合わせて動くようになっていてもよい。
【0177】
単回使用医療器材は、中央操作部43の各端部に複数の処置部41を有していてもよい。これには、包装体が第2部分に接続された複数の第1端部21を有し、第2部分が第1端部21間に延びて、第2中央部23を成す必要がある。このような包装体は、単回使用医療器材の1つ以上の端部の選択的な使用を可能にする。これは、綿棒の場合等のように一端が他端の後に使用される場合や単回使用医療器材が異なる大きさや異なる用途を有し、使用者が適切な端部を選択し使用する場合が考えらえる。例としては、一端が大柄な人や大人用、他端が小柄な人や子供用となっている舌圧子が挙げられる。
【0178】
本発明には、異なる厚みや透明性を有する包装体と共に、固定されている部分、成形されている部分、可動な部分、変形可能な部分等の様々な形態の包装体の部分が含まれ、これにより、単回使用医療器材の操作部43が第2部分23内に概ね留まった状態で、使用者が操作部43を手に持って使用することができ、完全に制御することができる。
【0179】
包装体の指関節間に設けられた蛇腹状のガセットの形態であってもよく、これにより、単回使用医療器材の処置部及び操作部又はその両方が使用者に保持された第2部分内に概ね留まった状態で、包装体の形状を変形させることができ、処置部や操作部の相対移動を可能にする。
【0180】
図11には、本発明が提供する、無菌状態を継続したままで無菌単回使用医療器材の使用を可能にする以下のステップを含む方法が示されている。
a)少なくとも1つの第1端部と少なくとも1つの第2部分とで封入空間が形成されたフレキシブル包装体本体内に、無菌状態で単回使用医療器材を保持可能なフレキシブル包装体本体内に封入された無菌単回使用医療器材を提供する。ここで、少なくとも1つの第1端部は単回使用医療器材の処置部を概ね覆うことが可能な大きさと形状をしており、少なくとも1つの第2部分は、単回使用医療器材の操作部を概ね覆うことが可能な大きさと形状をしている
b)少なくとも1つの開封可能要素を本体の少なくとも1つの第1端部のそれぞれの少なくとも一部に設ける
c)単回使用医療器材の操作部を少なくとも1つの第2部分に留めたままの状態で、少なくとも1つの第2部分を保持する
d)包装体の少なくとも1つの第1端部の少なくとも一部を破るか開封することによって、包装体の少なくとも1つの第1端部の少なくとも1つの開封可能要素を開封し、器材に直接触れることなく、単回使用医療器材の少なくとも1つの処置部を露出させる
e)単回使用医療器材の操作部を少なくとも1つの第2部分に留めたままの状態で、単回使用医療器材の操作部を操作することによって、露出された処置部を使用する
【0181】
上記方法の特定の形態には、使用者が実行する以下のステップが含まれる。
a)単回使用医療器材の処置部を概ね覆うことが可能な大きさと形状をした少なくとも1つの第1端部と、単回使用医療器材の操作部を概ね覆うことが可能な大きさと形状をした少なくとも1つの第2部分と、を有する包装体本体に入れられた無菌単回使用医療器材を用意する
b)患者への接触が可能な単回使用医療器材の重要部分示す少なくとも1つの脆弱操作線を用意する工程で、無菌単回使用医療器材の重要部分を使用して所定の医療処置の1つを実施する際に使用される医療器材の重要部分を示す少なくとも1つの脆弱操作線を包装体上に設ける
c)無菌単回使用医療器材を使用して行う医療処置を特定する
d)包装体を観察して、特定した無菌単回使用医療器材を使用して行う医療処置に応じた少なくとも1つの脆弱操作線を選択する
e)器材に直接触れることなく選択した脆弱操作線の箇所で包装体を破断させて開封し、本体の少なくとも第1端部を取り除いて重要部分を露出させ、残りの部分を少なくとも1つの第2部分に留めた状態で特定した医療処置における使用を可能にする
f)単回使用医療器材の操作部を少なくとも1つの第2部分に留めたままの状態で、単回使用医療器材の操作部を操作し、単回使用医療器材の露出させた処置部を患者に直接使用する
【0182】
少なくとも一部が単回使用医療器材の処置部の形状に対応。
【0183】
少なくとも一部が単回使用医療器材の操作部の形状の変化に対応。
【0184】
様々な形態の本発明は、単回使用のみの無菌密封包装体を単回使用医療器材の封入に使用できることがわかる。封入された器材の処置部は、露出されてその機能を果たすことができ、器材の操作部は、器材の周りに常に残留する包装体の残りの部分を介して、使用者が手に持って操作することができる。したがって、使用者は直接触れることなく、器材を使用することができる。これにより、接触感染、飛沫感染、空気感染による器材の微生物汚染を、素早くシンプル且つ信頼性のある簡単な方法で最小限に抑えることができる。
【0185】
本発明の利点としては、以下の1つ又は組み合わせが挙げられる。
【0186】
器材使用時の交差汚染に対する物理的バリア-本発明によれば、封入された器材の無菌状態を維持する上での最良の利点として、器材を使用している間中、器材を概ね覆う保護バリアとして包装体を留めることによって、無菌単回使用医療用包装体の効果を最大限に発揮させることができる。包装体は、病原微生物の接触感染、飛沫感染、空気感染すべてに対して封入された器材を完全に保護する物理的バリアとして機能する。
【0187】
包装体の第1部分は、重要部分を覆うと共に準備の間中バリアとして機能し続け、封入された器材の使用の直前に取り除かれる。これにより、重要部分の露出時間を最小限に抑えることができ、重要部分の接触感染、飛沫感染、空気感染による交差汚染の可能性を最小限に抑えることができる。
【0188】
包装体の第2部分は、操作部を覆うと共に処置の間中、使用者と器材の間のバリアとして機能し続ける。器材は、常に包装体内に概ね封入された状態とされ、処置の間中、使用者が器材に直接触れることはない。
【0189】
その結果、接触感染による器材の交差汚染を回避することができる。重要部分が使用開始直前に露出されるため、飛沫感染及び空気感染による重要部分の交差感染を最低限に抑えることができる。これは、より清潔且つ無菌の日常の処置につながり、本発明によってのみ達成可能となっている。
【0190】
標準無菌非接触操作の原則の遵守の促進-本発明によれば、日常の処置における無菌非接触操作の原則の遵守のための、よりシンプルで素早く且つより効果的な手段を提供することができる。第1の無菌非接触操作の原則は、常に効果的に手の消毒を行うことである。手の消毒ができない場合や実施されなかった場合、例えば、水が無い区域であっても、本発明によれば、手指衛生の代わりとなる効果的な手段を提供することができ、器材に直接触れることなく、医療スタッフが器材を使用することができる。使用者が器材に直接触れることがないため、処置の清潔度は、使用者による手指衛生の実施に依存しない。
【0191】
第2の無菌非接触操作の原則は、器材の重要部分又は患者の重要箇所が決して汚染されないようにすることである。本発明は、器材の重要部分の位置を視覚的、物理的に常時示すインジケータとして機能し、使用者による重要部分の識別及び保護を十分に補助することができる。重要部分を覆う包装体は器材の直前まで維持されるので、飛沫感染や空気感染による重要部分の交差汚染を最小限に抑えることができる。
【0192】
第3の無菌非接触操作の原則は、重要でないことが明らかな非重要部分に触れるようにすることである。器材の非重要部分は、器材を使用している間中、包装体の第2部分に封入された状態とされる操作部である。本発明によれば、封入された器材は、器材の重要部分に直接触れることなく操作することができる。
【0193】
第4の無菌非接触操作の原則は、適切な感染予防管理措置を講じることである。本発明によれば、手指衛生が実施できない場合や実施されなかった場合でも、手指衛生への依存度を低下させ、補助リソースや補助器具への依存度を低下させ、清潔な環境やアシスタントスタッフへの依存度を低下させることができる。
【0194】
補助リソースや補助器具、アシスタントスタッフへの依存度の低下-本発明は、補助リソースや補助器具、アシスタントスタッフに依存せずに無菌非接触操作を実施可能な手段を提供する。この効果は多大である。本発明によれば、封入された単回使用医療器材を清潔な状態又は無菌状態でシンプルに時間効率よく使用することができる。
【0195】
クリニックや野外等の外部環境のように、病院外の医療環境においても高い清潔度を達成することができる。日常の医療処置においても廃棄物を大きく削減することができる。医療環境における補助リソースや補助器具の競合使用も解消することができる。清潔な処置又は無菌処置を達成する上でのアシスタントスタッフへの依存度を低減させることができる。このことは、初期対応者のように単独の状況では特に重要視されるものである。
【0196】
補助リソースや補助器具、アシスタントスタッフが利用できないリソースの乏しい国々においても、患者は清潔な処置又は無菌処置の恩恵を受けることができる。本発明によれば、先進国においてもリソースに係る負荷を低減させることができる。例えば、COVID-19パンデミックによって、主要先進国の主な病院で手指除菌剤の不足が生じた。このような状況が単回使用医療器材の清潔な使用又は無菌使用を提供するという本発明の能力に悪影響を及ぼすことはない。
【0197】
医療訓練や経験が無い場合でもヒューマンエラーのリスクを低減-本発明によれば、無菌非接触操作の実現を単純化し、使用者による重要部分の識別及び保護を補助することができる。本発明によれば、無菌非接触操作が使用者の手指衛生の実現性、使用者の経験、使用者の重要部分の識別能力、使用者の無菌区域の管理能力、使用者の環境汚染を取り除く又は回避する能力、補助器具の利用可能性、アシスタントスタッフの有無といった不確定要素への依存度が低く、ヒューマンエラーのリスクを低減することができる。
【0198】
本発明によれば、医療訓練を受けていない人や経験の無い人であっても、無菌非接触操作を実現することができる。
【0199】
廃棄物の削減-本願明細書に記載の包装体は、封入された無菌単回使用医療器材用の大きさと形状に形成されているため、廃棄物量を削減することができる。廃棄物量は、補助器具や補助リソースへの依存度の大幅な低減によっても削減されている。
【0200】
人員の削減-アシスタントスタッフへの依存度が大幅に低減されている。本発明によれば、無菌非接触操作の原則の遵守が簡単にできるようになっているため、日常の医療処置に費やされる時間が削減される。
【0201】
重要部分の段階的露出-無菌単回使用医療器材の使用は、所定の使用のために露出させる器材の重要部分の露出範囲を選択することができる。これにより、重要部分を処置に必要な分だけ露出させることができ、病原微生物の飛沫感染や空気感染による器材の交差汚染の可能性を低減させることができる。
迅速な対応が必要とされる状況下や緊急の状況下で無菌非接触操作を容易にする-本発明は、手指衛生や使用者の環境汚染を排除する能力に依存していないため、迅速な対応が必要とされる状況下や緊急の状況下、困難な状況下であっても、病院の内外問わず、これまでと比べてよりシンプルで、より簡単且つより効率的に無菌非接触操作を実施することができる。
【0202】
野外での無菌非接触操作の実施-シリンジが封入された包装体を初期対応者が海岸で使用する例を考えてみる。重要部分及び非重要部分が包装体に封入されたまま汚染から守られた状態で、シリンジを使用して薬剤を吸入することができる。
【0203】
無菌針は、シリンジの包装体の先端にある小さい脆弱接続部を通して針基に取り付けることもできる。吸引処理が中断されたり長引いたりした場合でも、シリンジは包装体に完全に留まった状態であるため、どのような表面にも置くことができ、完全に保護された状態を保つことができる。
【0204】
トロリーやディッシュ等の補助器具は不要-使用する準備が整ったら、包装体の第1部分が取り除かれ、使用するシリンジの重要部分が露出される。プランジャとバレルは包装体内に留まり、処置の間中、常に保護される。これにより、確実に、プランジャを介して病原微生物や破片によってシリンジの内容物が汚染されることなく、投薬することができる。初期対応者が誤ってプランジャを引き過ぎでゴム栓が露出してしまった場合でも、ゴム栓は常に包装体の無菌環境に留まっているため、シリンジを安全に使用することができる。初期対応者が手指の除菌が行えなかった場合でも、使用者が直接シリンジに触れることはないため、無菌非接触操作の原則に則ってシリンジを使用することができる。
【0205】
リソースの乏しい国における無菌非接触操作の実施可能性-本発明によれば、リソースの乏しい国においても無菌非接触操作の原則を達成することができる。水不足が深刻で、衛生状態も悪く、水資源の汚染や水インフラに欠陥のある国においても、本発明によれば、手指衛生や補助器具、インフラに依存することなく無菌非接触操作を実現することができる。訓練、遵守体制、医療スタッフが不十分な国においても、包装体が物理的視覚的インジケータとなり、器材の重要部分の識別及び保護を保持するため、訓練や経験、補助器具、補助リソース、アシスタントスタッフへの依存度が低い場合と同様に、無菌非接触操作を実現することができる。
【0206】
器材の重要部分の識別と保護を容易にする物理的視覚的インジケータ-包装体は、無菌単回使用医療器材の重要部分と非重要部分の物理的視覚的インジケータとして機能する。第1端部は器材の重要部分を覆い、第2部分は器材の非重要部分を覆う。重要部分は根拠に基づく情報によって非重要部分と区別される。これにより、使用者が訓練を受けているか、経験があるかにかかわらず、単回使用機器の重要部分を容易に識別し、認識し、保護することができる。本願明細書に記載の包装体によれば、第1部分は、器材が使用される直前まで器材の重要部分を覆うので、器材の準備作業中は、重要部分が完全に保護されていることになる。
【0207】
日常処置における病原微生物の飛沫感染や空気感染からの保護。現在、手術室外において、単回使用医療器材は飛沫感染や空気感染による交差汚染に晒されている。本願明細書に記載の包装体によれば、物理的バリアを無菌単回使用医療器材の使用中は常時その周りに留めることができ、病原微生物の飛沫感染や空気感染から保護することができる。器材の重要部分のみが露出されるが、重要部分もその使用直前まで包装体に覆われ、保護されている。
【0208】
包装体は、複数の切り取り線入り密封シールを有していてもよく、これにより、使用者は、所定の使用に応じて必要な分だけ重要部分を露出させることができ、器材の使用中は、常に、飛沫感染や空気感染による汚染から器材が最大限に保護されている状態にすることができる。
【0209】
シリンジプランジャの保護-本願明細書に記載の包装体は、拡張/収縮可能蛇腹部のような伸縮可能な部分を含み、プランジャ使用時は常にプランジャを覆う。包装体は、プランジャの動きの妨害や抵抗となることはない。したがって、プランジャは、接触感染、飛沫感染、空気感染による病原微生物汚染から保護され、また、液体や固体の破片から保護される。
【0210】
シリンジバレルの内面は、シリンジの内容物同様、交差汚染から保護される。本願明細書に記載の包装体は、シリンジポンプのような外部機器に接続されたシリンジにも適用できる。
【0211】
シリンジプランジャの有害薬物汚染-本願明細書に記載の包装体は、常に、シリンジプランジャやバレルの周りに留まる。プランジャが有害薬物に汚染された場合であっても、包装体は、不浸透性物理的バリアとして機能し、職場や医療スタッフや公共スタッフを汚染されたシリンジによる交差汚染から保護することができる。
【0212】
無菌非接触操作の遵守及び遵守状況監視の向上-無菌非接触操作によって、一般的な無菌操作に対するアプローチを標準化することができる。本発明によれば、使用者の人数や環境関連の不確定要素への依存を取り除き、処置を簡略化し、遵守の容易さや遵守状況監視の容易さを実現することで、無菌非接触操作を更に標準化することができる。
【0213】
解釈
実施形態
【0214】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態」又は「実施形態」と記載されている場合、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所で使用されている「1つの実施形態において」又は「実施形態において」という表現は、1つの実施形態を指している場合もあるが、すべて同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、当業者にとって本開示から明らかであれば、適宜組合すことも可能である。
【0215】
同様に、本発明の実施形態の例に関する上記記載において、開示を簡素化し、本発明の様々な態様のうちの1つ以上を理解し易くする目的で、本発明の種々の特徴が単一の実施形態、図、説明においてグループ化されることも当然ある。しかし、このような開示方法は、請求項に係る発明が、各請求項に記載された特徴以外の特徴も含まなければいけないかのように解釈されるべきではない。むしろ、下記請求項が示すように、発明の態様には、このように開示された単一の実施形態に含まれるすべての特徴よりも少ない特徴に基づいている。したがって、具体的な実施形態の詳細の後に記載された請求項は、各請求項が本発明の異なる実施形態に基づくものであり、具体的な実施形態の詳細に明確に取り込まれているとされる。
【0216】
更に、本明細書に記載された実施形態のいくつかは、他の実施形態に含まれる他の特徴でなない特徴を含んでいる場合、他の実施形態の複数の特徴の組み合わせも発明の範囲内であり、本技術分野の当業者が理解し得る範囲で、実施形態となり得る。例えば、下記請求項において、請求項に係る実施形態のどのような組み合わせも使用可能である。
【0217】
物に関する異なる例
【0218】
一般的な物を表す際にここで使用する「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数を表す形容詞は、特に断りのない限り、単に異なる物の例を示しているに過ぎず、時間的、空間的な順番、順位やその他の形式でその物を説明する意図があるわけではない。
【0219】
具体的な詳細
【0220】
本明細書には、様々な具体的な詳細が記載されている。しかし、本発明の実施形態は、このような具体的な記載なしでも実施可能である。本明細書の理解をし易くするために、よく知られた方法、構造、操作を他の例に記載していない場合もある。
【0221】
用語
【0222】
本願図面に記載された発明の好ましい実施形態の説明において、明瞭性の観点から特定の用語を使用する。しかし、本発明は、選択された特定の用語に限定されることを意図してはおらず、特定の用語それぞれは、同様の技術的目的を達成するために同様の働きをするすべての技術的均等物も含む。「前方に」、「後方に」、「径方向に」、「周辺に」、「上方に」、「下方に」等の用語は、基準点を示すために便利な言葉として使用されるに過ぎず、限定的用語として解釈されるべきではない。
【0223】
本明細書の全体を通して使用される特定の用語の意味は以下の通りである。
a)無菌且つ清潔-通常環境状態よりもよい状態から医療的無菌状態までを意味する
b)医療用機材-人間の患者や動物の患者に使用する器材、又は、研究開発や製造等を含む無菌且つ清潔な環境が必要とされる生物学的方法に使用される器材を意味する
c)単回使用器材又は無菌単回使用器材-単回使用後に廃棄される、無菌且つ清潔な状態で患者との直接接触に使用される器材を意味する
d)微生物-人間の治療のために無菌且つ清潔な状態を実現することに関連する主な病原微生物を意味する。しかし、他の環境における無菌且つ清潔な状態を実現する場合の微生物全般を意味することもある
e)汚染-微粒子による汚染やバクテリア及び他の微生物、特に、病原微生物による感染により無菌又は清潔にできないことを意味し、更には、影響を及ぼすような、ある物質又は物体から他への意図しない移動による交差感染も含む
f)重要部分-患者の皮膚に直接触れる器材の一部や注入ポート、無菌状態に保つことが必要な部分を意味する
g)処置部-器材の重要部分を成し、使用者が触れてはならないが、使用時に患者に直接接触し操作可能である器材の部分である
h)非重要部-器材の残りの部分であり、患者の皮膚に直接触れる必要がない部分、又は患者に触れることのない注入ポートを意味する
i)操作部-器材の非重要部の少なくとも一部であり、処置部を効果的に使用するために使用者が操作する部分である
j)変形可能な包装体の手段とは、包装体の可動範囲や容積を変えることができ、又は、包装体の部分の相対位置を変えることができ、可動部を有する単回使用医療器材の操作の妨げにならない手段を意味する
【0224】
ComprisingとIncluding
【0225】
後述する請求項及び本発明の前述の説明において、文言の説明や意味の説明が必要な場合を除き、「comprise」及びその変形である「comprises」や「comprising」等は、包括的な意味で使用される。つまり、特定の特徴があることを明確にするが、本発明の様々な実施形態において更なる特徴があることや追加することを妨げるものではない。
【0226】
次の用語、Including、which includes、that includesのいずれも、後に続く要素/特徴を少なくとも備えていることを意味する非限定用語であり、他を除外するものではない。したがって、includingもcomprisingと同義である。
【0227】
発明の範囲
【0228】
本発明の好ましいと考えられる実施形態を説明したが、本発明の意義を逸脱しない範囲で、当業者が想到し得る更なる変形も可能である。また、本発明の範囲内でそのような変更をすべて請求することも目的としている。例えば、上述した方式は、使用可能な方法をしめしているに過ぎない。ブロック図に対し、機能を追加したり削除したりすることもでき、機能ブロック内における作業は互いに置き換え可能である。本発明の範囲内において記載された方法に対し、手順を追加したり削除したりすることもできる。
【0229】
本発明について、具体例を参照して説明したが、当業者によって本発明の様々な形態を実施することができる。
【0230】
産業上の利用可能性
【0231】
上記説明した構成が、無菌単回使用医療器材産業を保持する医療用包装体及びそのような器材を使用する医療産業に適用できることは明らかである。
【国際調査報告】