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特表2023-547307倉庫システム、倉庫システム用シャトル車及びそのナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】倉庫システム、倉庫システム用シャトル車及びそのナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231102BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G05D1/02 K
B65G1/00 501C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514704
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 CN2022103835
(87)【国際公開番号】W WO2023045486
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111122441.5
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522271823
【氏名又は名称】北京邁格威科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MEGVII (BEIJING) TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 磊
【テーマコード(参考)】
3F022
5H301
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF00
3F022LL07
3F022NN02
3F022QQ17
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF06
5H301FF11
5H301FF16
5H301FF17
5H301GG09
(57)【要約】
倉庫システム、倉庫システム用シャトル車、及びそのナビゲーション方法を提供する。シャトル車は、メモリ(110)と、通信装置(120)と、測位センサ(130)と、撮像装置(140)と、コントローラ(150)と、が設けられている。メモリ(110)は、倉庫システムのトポロジーマップを記憶し、トポロジーマップの各ノードは、倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含み、通信装置(120)は、出発地から目的地までの走行経路情報を含む走行経路命令を受信し、測位センサ(130)は、シャトル車の走行中にシャトル車の現在位置情報を取得し、撮像装置(140)は、シャトル車の走行中に倉庫システムの画像を収集し、コントローラ(150)は、トポロジーマップと走行経路情報とに基づいてシャトル車を制御して出発地から目的地まで走行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、通信装置と、測位センサと、撮像装置と、コントローラとが設けられており、
前記メモリは、前記倉庫システムのトポロジーマップを記憶し、
前記通信装置は、出発地から目的地までの走行経路情報を含む走行経路命令を受信し、
前記測位センサは、前記シャトル車の走行中に前記シャトル車の位置情報を取得し、
前記撮像装置は、前記シャトル車の走行中に画像を収集し、
前記コントローラは、前記トポロジーマップと前記走行経路情報とに基づいて前記シャトル車を制御して前記出発地から前記目的地まで走行させるためのものであり、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいて現在のサブ区間の終点までの前記シャトル車の距離が第1距離閾値以下であると判定したときから、現在取得された画像内の位置標識を解析することによって得られた距離情報に基づいて、前記シャトル車を制御して、前記現在のサブ区間の終点まで走行させ、現在取得された画像内の位置標識は前記現在のサブ区間の終点に位置し、前記距離情報は、前記現在のサブ区間の終点までの前記シャトル車の距離を表し、前記第1距離閾値は、駐車スペースの位置標識が前記撮像装置の視野内に入ったときの前記シャトル車と前記駐車スペースとの距離以下であることを特徴とする倉庫システム用シャトル車。
【請求項2】
前記コントローラはさらに、
各駐車スペースの位置情報及び位置標識情報を収集して保存するように、前記シャトル車を制御して前記倉庫システムのすべての駐車スペースにわたって移動させ、
各駐車スペースの位置情報と位置標識情報とに基づいて、前記倉庫システムのトポロジーマップを構築し、前記トポロジーマップの各ノードは、前記倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含む請求項1に記載のシャトル車。
【請求項3】
前記コントローラはさらに、
走行経路の各サブ区間について、前記現在位置情報に基づいて現在のサブ区間の終点までの前記シャトル車の距離が第1距離閾値よりも大きい第2距離閾値以下であると判定したときから、前記シャトル車を制御して走行速度を低下させる請求項1又は2に記載のシャトル車。
【請求項4】
前記撮像装置又は前記コントローラはさらに、前記画像内の位置標識を解析し、具体的には、
前記位置標識までの前記シャトル車の距離を決定する動作と、
前記画像内の位置標識を復号して、前記位置標識情報を得る動作と、を実行することを含む請求項1~3のいずれか1項に記載のシャトル車。
【請求項5】
前記撮像装置又は前記コントローラは前記画像内の位置標識を解析するステップは、
前記画像に対して歪み補正を行う動作、
前記画像に対して2値化処理を行う動作、及び/又は
前記画像内の前記位置標識を含む関心領域を抽出する動作のうちの1つ又は複数を実行することをさらに含む請求項4に記載のシャトル車。
【請求項6】
前記シャトル車は4方向シャトル車であり、各サブ区間は直線区間である請求項1~5のいずれか1項に記載のシャトル車。
【請求項7】
前記位置標識は高速応答コード又はデータマトリクスコードを含む請求項1~5のいずれか1項に記載のシャトル車。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のシャトル車と、棚と、を含み、
前記棚において、各駐車スペースには位置標識が付されているマーカが設けられている倉庫システム。
【請求項9】
多層棚を含み、前記トポロジーマップは、それぞれが1層の棚に一意に対応する複数のサブマップを含み、前記駐車スペースは昇降機スペースを含む請求項8に記載の倉庫システム。
【請求項10】
前記駐車スペースは、棚スペース、レール方向変更スペース、チェーンスペース、及び充電スペースのうちの1つ又は複数を含む請求項8又は9に記載の倉庫システム。
【請求項11】
出発地から目的地までの走行経路情報を含む走行経路命令を受信するステップと、
前記シャトル車の走行中に、前記シャトル車の位置情報を取得して画像を収集するステップと、
トポロジーマップと前記走行経路情報とに基づいて前記シャトル車を制御して前記出発地から前記目的地まで走行させるステップであって、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいて現在のサブ区間の終点までの前記シャトル車の距離が第1距離閾値以下であると判定したときから、現在取得された画像内の位置標識を解析することによって得られた距離情報に基づいて、前記シャトル車を制御して、前記現在のサブ区間の終点まで走行させ、現在取得された画像内の位置標識は前記現在のサブ区間の終点に位置し、前記距離情報は、前記現在のサブ区間の終点までの前記シャトル車の距離を表し、前記第1距離閾値は、駐車スペースの位置標識が前記撮像装置の視野内に入ったときの前記シャトル車と前記駐車スペースとの距離以下であるステップと、を含むことを特徴とする倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法。
【請求項12】
各駐車スペースの位置情報及び位置標識情報を収集して保存するように、前記シャトル車を制御して前記倉庫システムのすべての駐車スペースにわたって移動させるステップと、
各駐車スペースの位置情報と位置標識情報とに基づいて、前記倉庫システムのトポロジーマップを構築するステップであって、前記トポロジーマップの各ノードは、前記倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含むステップと、をさらに含む請求項11に記載のナビゲーション方法。
【請求項13】
走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいて現在のサブ区間の終点までの前記シャトル車の距離が第1距離閾値よりも大きい第2距離閾値以下であると判定したときから、前記シャトル車を制御して走行速度を低下させる請求項11又は12に記載のナビゲーション方法。
【請求項14】
プロセッサによって実行されると、請求項11~13のいずれか1項に記載のナビゲーション方法を実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、スマート倉庫の分野に関し、より具体的には、倉庫システム、倉庫システム用シャトル車、及び倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマート製造の急速な発展に伴い、密集化倉庫システムはますます多くの業界の注目を集めている。高層の密集化棚を使って貨物を保管することで、倉庫スペースを十分に活用し、スペースの利用率を高めることができる。シャトル車は密集化倉庫システムの重要な搬送設備であり、柔軟性や高い適応性などの長所を持ち、そのナビゲーションシステムは車全体の運動性能、システム効率などに対して極めて重要な役割を果たしている。従来のシャトル車によく使われるナビゲーション方式は、レーザー距離測定と孔測位がある。
【0003】
レーザー距離測定によるナビゲーション方式では、倉庫システム内のすべてのシャトル車と各層の棚に設置されたレーザー反射板の位置が一致しなければならないため、シャトル車と棚の製造や組み立ての精度が高く要求される。
【0004】
孔測位によるナビゲーション方式を採用する場合、走行モータ走行距離計と組み合わせてデータ処理を行う必要がある。ガイドレールの接続部がずれていると、走行輪がスリップする可能性がある。モータの起動加速度が速すぎるなどの原因により、走行輪とガイドレールの摩擦力が変化する可能性がある。これにより、シャトル車が目標位置に正確に到達できなくなる可能性がある。また、シャトル車が目標位置を超えた場合や目標位置に到達していないのに走行モータが停止している場合もある。このような場合、目標位置に低速で戻るようにシャトル車を制御する必要がある。これにより、シャトル車の走行・測位時間が長くなり、効率が低いという問題が生じる。
【発明の概要】
【0005】
本願は上記の問題点を考慮して提案された。本願の一態様によれば、倉庫システム用シャトル車を提供する。前記シャトル車は、メモリと、通信装置と、測位センサと、撮像装置と、コントローラとが設けられており、
メモリは、倉庫システムのトポロジーマップを記憶し、トポロジーマップの各ノードは、倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含み
通信装置は、出発地から目的地までの走行経路情報を含む走行経路命令を受信し、測位センサは、シャトル車の走行中にシャトル車の現在位置情報を取得し、撮像装置は、シャトル車の走行中に画像を収集し、コントローラは、トポロジーマップと走行経路情報とに基づいてシャトル車を制御して出発地から目的地まで走行させるためのものであり、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値以下であると判定したときから、現在取得された画像内の位置標識を解析することによって得られた距離情報に基づいて、シャトル車を制御して、現在のサブ区間の終点まで走行させ、現在取得された画像内の位置標識は現在のサブ区間の終点に位置し、距離情報は、シャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離を表し、第1距離閾値は、駐車スペースの位置標識が撮像装置の視野内に入ったときのシャトル車と当該駐車スペースとの距離以下である。
【0006】
例示的には、コントローラはさらに、
各駐車スペースの位置情報及び位置標識情報を収集して保存するように、シャトル車を制御して倉庫システムのすべての駐車スペースにわたって移動させ、
各駐車スペースの位置情報と位置標識情報とに基づいて、倉庫システムのトポロジーマップを構築し、トポロジーマップの各ノードは、倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含む。
【0007】
例示的には、コントローラはさらに、
走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値よりも大きい第2距離閾値以下であると判定したときから、シャトル車を制御して走行速度を低下させる。
【0008】
例示的には、撮像装置又はコントローラはさらに、画像内の位置標識を解析し、具体的には、画像内の位置標識の形状又は角度を決定する動作と、画像内の位置標識の形状又は角度に基づいて、シャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離を決定する動作と、画像内の位置標識を復号して位置標識情報を得る動作とを実行することを含む。
【0009】
例示的には、撮像装置又はコントローラは画像内の位置標識を解析するステップは、
画像に対して歪み補正を行う動作、
画像に対して2値化処理を行う動作、及び/又は
画像内の位置標識を含む関心領域を抽出する動作のうちの1つ又は複数を実行することをさらに含む。
【0010】
例示的には、シャトル車は4方向シャトル車であり、各サブ区間は直線区間である。
【0011】
例示的には、位置標識は高速応答コード又はデータマトリクスコードを含む。
【0012】
本願の別の態様によれば、上記シャトル車と、棚と、を含み、
棚において、各駐車スペースには位置標識が付されているマーカが設けられている倉庫システムをさらに提供する。
【0013】
例示的には、倉庫システムは多層棚を含み、トポロジーマップは、それぞれが1層の棚に一意に対応する複数のサブマップを含み、駐車スペースは昇降機スペースを含む。
【0014】
例示的には、駐車スペースは、棚スペース、レール方向変更スペース、チェーンスペース、及び充電スペースのうちの1つ又は複数を含む。
【0015】
本願のさらに別の態様によれば、
出発地から目的地までの走行経路情報を含む走行経路命令を受信するステップと、
シャトル車の走行中に、シャトル車の測位センサを利用してシャトル車の現在位置情報を取得し、シャトル車の撮像装置を利用して倉庫システムの画像を収集するステップと、
トポロジーマップと走行経路情報とに基づいてシャトル車を制御して出発地から目的地まで走行させるステップであって、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値以下であると判定したときから、画像内の位置標識を解析することによって得られた距離情報に基づいて、シャトル車を制御して、現在のサブ区間の終点まで走行させ、画像内の位置標識は現在のサブ区間の終点に位置し、距離情報は、シャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離を表し、第1距離閾値は、駐車スペースの位置標識が撮像装置の視野内に入ったときのシャトル車と当該駐車スペースとの距離以下であるステップと、を含む倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法をさらに提供する。
【0016】
例示的には、方法は、各駐車スペースの位置情報及び位置標識情報を収集して保存するように、シャトル車を制御して倉庫システムのすべての駐車スペースにわたって移動させるステップと、
各駐車スペースの位置情報と位置標識情報とに基づいて、倉庫システムのトポロジーマップを構築するステップであって、トポロジーマップの各ノードは、倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含むステップと、をさらに含む。
【0017】
例示的には、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値よりも大きい第2距離閾値以下であると判定したときから、シャトル車を制御して走行速度を低下させる。
【0018】
本願の更なる態様によれば、プロセッサによって実行されると、上記のナビゲーション方法を実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
【0019】
本願の実施例は倉庫システム用シャトル車を提供する。任意のサブ区間については、シャトル車の初期走行段階において、測位センサを利用してナビゲーション測位を行い、最終走行段階において、位置標識情報を利用してナビゲーション測位を行う。シャトル車が固定されたレール上のみを走行する特徴に基づき、他の測位装置による補助を必要とせず、測位センサと位置標識情報を組み合わせたことでシャトル車の正確な測位を実現することができる。上記形態は、シャトル車が現在のサブ区間の終点を超えたり、終点に達しなかったりしてシャトル車の速度と走行方向を繰り返し調整することを回避することができる。これにより、このシャトル車は、制御が円滑であり、測位効率及び測位精度がより高く、大規模倉庫での使用が容易であるなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面を参照して、本願の実施例をより詳細に説明することによって、本願の上記、及び他の目的、特徴、及び利点がより明らかになる。図面は、本願の実施例の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願を説明するために使用され、本願を限定するものではない。図面において、同じ参照符号は、通常、同じ構成要素又はステップを表す。
図1】本願の一実施例に係るシャトル車の概略ブロック図を示す。
図2】本願の一実施例に係るコントローラによるシャトル車の走行速度制御の概略図を示す。
図3】本願の一実施例に係る倉庫システムにおけるシャトル車の単層スケジューリングの概略図を示す。
図4】本願の他の実施例に係る倉庫システムにおけるシャトル車の単層スケジューリングの概略図を示す。
図5】本願のさらに他の実施例に係る倉庫システムにおけるシャトル車の単層スケジューリングの概略図を示す。
図6】本願の一実施例に係る倉庫システムにおけるシャトル車の層間スケジューリングの概略図を示す。
図7】本願の一実施例に係る倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法の概略フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
モノのインターネット、人工知能、ビッグデータなどのスマート化技術の発展に伴い、これらのスマート化技術を利用して従来の物流業に対するモデルチェンジ及びアップグレードの需要がますます強くなり、インテリジェントロジスティクス(Intelligent Logistics System)は物流分野の研究の焦点となっている。インテリジェントロジスティクスは、人工知能、ビッグデータや各種情報センサ、無線周波数識別技術、全地球測位システム(GPS)などのモノのインターネット装置と技術を利用しているものであり、資材の輸送、倉庫、配送、包装、荷役や情報サービスなどの基本的な活働に広く応用されており、資材管理プロセスの知能化分析決定、自動化操作や効率的な最適化管理を図る。モノのインターネット技術にはセンシング設備、RFID技術、レーザー赤外線スキャン、赤外線誘導識別などが含まれ、モノのインターネットは物流中の資材とネットワークを効果的に接続することができ、また資材をリアルタイムで監視できるほか、倉庫の湿度や温度などの環境データを感知し、資材の貯蔵環境を保障することができる。ビッグデータ技術により物流中のすべてのデータを感知して収集し、情報プラットフォームのデータ層にアップロードし、データのフィルタリング、マイニングや分析などの作業を行い、最終的に業務プロセス(例えば輸送、入庫、入れ出し、ピッキング、包装、仕分け、出庫、棚卸、配送などの工程)に対して正確なデータサポートを提供する。物流における人工知能の応用は大きく2つに分けることができる。1)AI技術を利用した例えば無人トラック、AGV、AMR、フォークリフト、シャトル車、スタッカークレーン、無人配送車、無人機、サービスロボット、ロボットアーム、スマート端末などのスマートデバイスが一部の人手を代替する。2)コンピュータビジョン、機械学習、オペレーションズ最適化などの技術やアルゴリズムによって駆動される、輸送設備管理システム、倉庫管理、設備スケジューリングシステム、注文分配システムなどのソフトウェアシステムによって、人工的な効率を向上させる。インテリジェントロジスティクスの研究と進歩に伴い、この技術は、例えば、小売及び電子商取引、電子製品、たばこ、医薬、工業製造、靴・衣料、紡績、食品など、多くの分野で応用されてきた。
【0022】
本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、本願に係る例示的な実施例について、以下に図面を参照して詳細に説明する。明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、本願のすべての実施例ではなく、本願はここで記載される例示的な実施例に限定されないことが理解されるべきである。本願に記載された実施例に基づいて当業者が創造的な努力を必要とせずに取得した他のすべての実施例は、本願の特許範囲に含まれるものとする。
【0023】
本願の一態様によれば、倉庫システム用シャトル車が提供される。シャトル車は、往復又はループ方式で、固定されたレール上を走行する台車である。シャトル車は走行レールが固定されているので、走行中に旋回することなく、レール上を前進又は後進することしかできず、移動の自由度が比較的小さい輸送工具である。もちろん、十字型レール上では、シャトル車はレールを変えることで走行軌跡の旋回が可能であるが、旋回中、シャトル車自身の姿勢は変わらない。例えば、シャトル車は、最初にその長手方向に沿って南に向けて走行し、レール方向変更スペースまで走行すると、横車輪を交換して東に向けて走行することできる。東に向けて走行する過程では、シャトル車の走行方向が変わっているが、常に先頭方向が南向き、つまり姿勢は変わらない。これに基づいて、本願は、効率的かつ正確なナビゲーション能力を有する倉庫システム用シャトル車を提供する。
【0024】
図1はシャトル車の概略ブロック図を示す。例示的には、シャトル車は、走行方向によって2方向や4方向などに分類することができる。負荷によってパレット類やコンテナ類などに分類することもできる。1つの具体的な実施例では、シャトル車は4方向シャトル車であってもよい。このようなシャトル車は貨物の搬送を4方向に行うことができることが理解できる。4方向シャトル車は柔軟性が高く、作業レーンを自在に変更することができるため、密集化倉庫システムでの効率的な貨物搬送に一層適している。説明及び理解を容易にするために、以下に記載されるすべてのシャトル車は、特に説明がない限り、4方向シャトル車である。
【0025】
図1に示すように、シャトル車は、メモリ110と、通信装置120と、測位センサ130と、撮像装置140と、コントローラ150とが設けられている。メモリ110は、倉庫システムのトポロジーマップを記憶する。例示的には、メモリ110は、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、携帯型コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、USBメモリなどのうちの1つ又は複数の組み合わせを利用して、その記憶機能を実現することができる。トポロジーマップは、メモリ110に予め記憶されてもよいし、訓練学習プロセスを介してシャトル車によって取得されてメモリ110に記憶されていてもよい。トポロジーマップの各ノードは、倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含む。例示的には、位置標識情報は、各駐車スペースを標識するためのものであり、2次元コード、バーコードなどを利用して実現することができる。各駐車スペースの位置標識情報は、その駐車スペースに1対1で対応している。駐車スペースは、例えば、倉庫システムにおいて貨物を保管する位置や、シャトル車が停止して走行方向を変更する位置など、シャトル車が速度0となって運行を停止したときに位置する倉庫システム内の任意の位置を表すことができる。前述した位置標識は、2次元コードを用いて実現することができ、具体的には、高速応答コード(Quick Responseコード)又はデータマトリックスコード(Data Matrixコード)を含みうる。上記した2種類のコードはいずれも2次元コードであり、情報容量が大きく、耐障害性が高いなどの利点がある。トポロジーマップには、駐車スペースの位置情報、例えば、トポロジーマップにおける位置座標などが含まれていてもよい。説明及び理解を容易にするため、以下では、位置標識が2次元コードである場合を例に説明する。
【0026】
通信装置120は走行経路命令を受信する。例示的には、通信装置120は、例えば、ブルートゥース(登録商標)通信装置、無線高忠実度通信装置、又は赤外線通信装置など、通信機能を実現することができる任意の装置であってもよい。通信装置120は、サーバ又はコンピュータから走行経路命令を受信することができる。なお、走行経路命令は、ユーザが手動で入力したものであってもよいし、サーバが予め設定された搬送タスクに基づいて自動生成したものであってもよい。走行経路命令は、シャトル車が走行する出発地から目的地までの経路情報を含んでもよく、倉庫システム内の経路を一意に標識する。言い換えれば、経路情報には、シャトル車の出発地の位置情報、到着した目的地の位置情報、及び2点間の走行経路が含まれていてもよい。走行経路は、1つ又は複数のサブ区間で構成することができる。サブ区間とは、始点と終点の2つの端点でのみシャトル車の走行速度が0となる区間を指す。例えば、走行経路命令は、シャトル車が駐車スペースAから駐車スペースBを経て駐車スペースCまで走行するものであってもよく、すなわち、走行経路A→B→Cであり、ここでは、駐車スペースBでシャトル車は方向を変更し、すなわち、シャトル車は駐車スペースAから駐車スペースBまで走行して停車した後、駐車スペースBから再出発して駐車スペースCまで走行して停車する。4方向シャトル車の場合、各サブ区間は直線区間であることが理解される。
【0027】
測位センサ130は、シャトル車の走行中にシャトル車の現在位置情報を取得する。シャトル車の現在位置情報には、トポロジーマップにおけるシャトル車の位置座標などの情報が含まれていてもよい。例示的には、測位センサ130は、シャトル車の車輪に取り付けられたカウントコードホイールを使用して、ある期間内に車輪が回転するラジアンを検出することにより、シャトル車の走行の変位を算出することができる。或いは、シャトル車を走行駆動するモータの回転数を測定して、シャトル車の走行中の速度及び加速度を取得し、時間積分によりシャトル車の変位を算出する。その後、シャトル車が走行する前の始点の位置情報と走行の変位から、シャトル車の現在位置情報を取得することができる。測位センサ130は、モータ走行距離計、光電式エンコーダなどの既存のセンサを利用して実現することができる。
【0028】
撮像装置140は、シャトル車の走行中に倉庫システムの画像を収集する。駐車スペースにおける2次元コードが撮像装置140の視野内に位置する場合、撮像装置140によって収集された画像に駐車スペースにおける2次元コード情報が含まれていてもよい。撮像装置140は、駐車スペースにおける2次元コードの配置位置に応じて、シャトル車の車体の周囲やシートの底部など、シャトル車の任意の位置に配置されてもよく、シャトル車の走行に伴って2次元コードが撮像装置140の視野内に徐々に現れることができればよい。
【0029】
通信装置120は、走行経路命令を受信すると、この走行経路命令をコントローラ150に送信することができる。コントローラ150は、トポロジーマップと走行経路情報とに基づいてシャトル車を制御して出発地から目的地まで走行させる。走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値以下であると判定したときから、現在取得された画像内の位置標識を解析することによって得られた距離情報に基づいて、シャトル車を制御して現在のサブ区間の終点まで走行させる。例示的には、各サブ区間について、シャトル車はこのサブ区間の開始点から出発した後、等加速又は可変加速で直進走行を開始することができ、一定の速度閾値まで加速すると等速で直進走行を開始することができる。この速度閾値は、シャトル車に積載される貨物の重量、走行レールとシャトル車の車輪との間の摩擦力などのデータに基づいて合理的に設定することができるが、ここでは限定されない。シャトル車は、測位センサからの現在位置情報に基づいて現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値以下であるまで走行したと判定されるまで等速直進走行を行うと、シャトル車が間もなくこのサブ区間の終点に到着することを示すことができ、例えば、間もなく2次元コードなどの位置標識が設けられた駐車スペースに到着することを示すことができる。第1距離閾値は、駐車スペースの2次元コードが撮像装置140の視野内に入ったときのシャトル車と当該駐車スペースとの距離以下である。これにより、シャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値以下である場合、駐車スペースの2次元コードは撮像装置140の視野内に入る。撮像装置140は、2次元コード画像を収集することができる。コントローラ150は、画像内の2次元コードを解析することによって得られた距離情報に基づいて、現在のサブ区間の終点までシャトル車を正確に制御して走行させることができる。この距離情報は、シャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離、すなわち、2次元コードの中心までのシャトル車の距離を示す。
【0030】
本願の実施例は倉庫システム用シャトル車を提供する。任意のサブ区間については、シャトル車の初期走行段階において、測位センサ130を利用してナビゲーション測位を行い、最終走行段階において、位置標識情報を利用してナビゲーション測位を行う。シャトル車が固定されたレール上のみを走行する特徴に基づき、他の測位装置による補助を必要とせず、測位センサ130と位置標識情報を組み合わせたことだけでシャトル車の正確な測位を実現することができる。上記形態は、シャトル車が現在のサブ区間の終点を超えたり、終点に達しなかったりしてシャトル車の速度と走行方向を繰り返し調整することを回避することができる。これにより、このシャトル車は、制御が円滑であり、測位効率及び測位精度がより高く、大規模倉庫での使用が容易であるなどの利点がある。
【0031】
例示的には、シャトル車のコントローラ150はさらに倉庫システムのトポロジーマップを構築する。具体的には、コントローラ150は、各駐車スペースの位置情報及び位置標識情報を収集して保存するように、シャトル車を制御して倉庫システムのすべての駐車スペースにわたって移動させ、各駐車スペースの位置情報と位置標識情報とに基づいて、倉庫システムのトポロジーマップを構築することができ、前記トポロジーマップの各ノードは、倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含む。例えば、倉庫システムの1つのシャトル車について、そのコントローラ150は、コンピュータ又はサーバの制御の下で、シャトル車を制御して倉庫システム内の多層棚のすべての駐車スペースにわたって移動させ、各駐車スペースの位置情報を記録し、撮像装置140は、コントローラ150の制御の下で、各駐車スペースの位置標識情報を収集することができる。位置情報及び位置標識情報の両方をメモリ110に記憶することができる。各層の棚の各駐車スペースをトポロジーマップの1つのノードでそれぞれ表し、その後、隣接するすべてのノードを線分で結んで複数のサブマップを得る。すべてのサブマップはトポロジーマップを構成する。倉庫システムの他のシャトル車について、前のシャトル車によって構築されたトポロジーマップを、他のシャトル車のメモリにコピーして、ナビゲーションに使用することができる。
【0032】
上記のシャトル車は現在の倉庫システムのトポロジーマップを正確かつ便利に構築することができ、正確なナビゲーションに対して技術的基礎を提供する。
【0033】
例示的には、コントローラ150はさらに、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離が第2距離閾値以下であると判定したときから、シャトル車を制御して走行速度を低下させる。ここで、第2距離閾値は第1距離閾値よりも大きい。図2は、本願の一実施例に係るコントローラ150によるシャトル車の走行速度制御の概略図を示す。本実施例では、加速走行であっても減速走行であっても、シャトル車の加速度は変化しない。図2に示すように、コントローラ150は、まず、シャトル車を制御して等加速で直進走行させ、シャトル車の速度が速度閾値Vmaxまで増加すると、シャトル車を制御して速度Vmaxをもって等速で直進走行させる。シャトル車は現在のサブ区間の終点までの距離が第2距離閾値(図示せず)以下となるまで等速走行した場合、コントローラ150は、シャトル車を減速制御する。シャトル車が現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値(S2)以下となるまで走行し続けた場合、コントローラ150は、撮像装置140によって収集された画像内の2次元コードを解析して2次元コード情報を取得し、この2次元コード情報に基づいて、シャトル車を制御して現在のサブ区間の終点駐車スペースに接近させて停車させる。つまり、コントローラ150は2次元コードを解析して2次元コード情報を取得し、この2次元コード情報に基づいてシャトル車を制御して駐車スペースに接近させて停車させる前に、シャトル車はコントローラ150の制御により減速走行を開始している。第2距離閾値は、シャトル車が等速直進走行を行う速度閾値、加速度などに応じて合理的に設定することができるが、ここでは限定されない。図2において、S1は、コントローラ150が測位センサ130によって取得された位置情報に基づいてシャトル車を制御して走行させることによる変位を表し、t1は、そのプロセスに要する時間を表す。S2は、コントローラ150が2次元コード情報に基づいてシャトル車を制御して走行させることによる変位を表し、t2は、そのプロセスに要する時間を表す。S1とS2の合計は、現在のサブ区間の全長、すなわちシャトル車が現在のサブ区間で走行する総変位となる。
【0034】
これにより、コントローラ150が位置標識情報に基づいて制御する前のシャトル車の速度が速すぎないことを確保することができ、これによって、コントローラ150は、位置標識情報に基づいてシャトル車の減速制御をより適切に行うことができ、シャトル車制御の円滑性及び正確性をより確保することができる。
【0035】
例示的には、撮像装置140又はコントローラ150はさらに画像内の位置標識を解析してもよい。
【0036】
この解析動作は、具体的には、該画像を処理して、シャトル車から当該画像内の位置標識までの距離を決定する動作と、画像内の位置標識を復号して位置標識情報を得る動作と、を含む。
【0037】
画像内の位置標識からシャトル車までの距離を決定するように、様々な方法で画像を処理することができる。例えば、最初に画像内の位置標識の形状又は角度を決定し、そして、決定した位置標識の形状又は角度に基づいて、その位置標識からシャトル車までの距離を算出してもよい。他の例として、位置標識におけるロケータを検出することにより、位置標識の中心点の位置を決定し(位置標識におけるロケータと中心点との相対的な位置関係は既知である)、その位置標識からシャトル車までの距離を算出することもできる。
【0038】
撮像装置140は、一定の視野範囲を有する。2次元コードが撮像装置140の視野の正中心に位置するまで徐々に視野内に入るにつれて、撮像装置140によって収集される画像における2次元コードの傾斜角度は小さくなる。具体的には、角度検出モジュールを用いて傾斜角度を検出することができる。検出された2次元コードの角度に基づいて、シャトル車から2次元コードまでの距離を決定することができる。あるいは、さらに、2次元コードの傾斜角度が小さくなるにつれて、2次元コードの形状も長方形に近づく傾向にある。同様に、角度検出モジュールを用いて2次元コードの隣接する辺がなす角度を検出することもできる。検出された角度に基づいて、2次元コードの形状を決定することができる。最終的には、2次元コードの形状に基づいてシャトル車から2次元コードまでの距離を決定する。また、位置検出モジュールを用いて2次元コードを復号して2次元コード情報を得ることもできる。前述したように、各2次元コードは駐車スペースに一意に対応しており、2次元コード情報及びシャトル車と2次元コードとの距離に基づいて、シャトル車と現在のサブ区間の終点駐車スペースとの距離情報を得ることができる。
【0039】
上記形態は、比較的簡単で、実現されやすく、シャトル車の現在位置に対する初歩的な推定を実現することができ、後続に位置標識情報を利用してシャトル車を制御して現在のサブ区間の終点まで正確に停止させるための基礎を提供する。
【0040】
例示的には、撮像装置140又はコントローラ150が画像内の位置標識を解析するステップは、画像に対して歪み補正を行う動作と、画像に対して2値化処理を行う動作と、画像内の前記位置標識情報を含む関心領域を抽出する動作とのうちの1つ又は複数を実行することをさらに含む。これらの動作は、画像内の位置標識の形状又は角度を決定する前に実行することができる。以上の動作は上記した順序で実行することが好ましい。
【0041】
なお、撮像装置140が画像を収集する際に画像歪みが発生することがあり、これにより、画像内の2次元コードの形状に基づく後続のシャトル車と2次元コードとの距離判定に誤差が生じ、歪みが深刻である場合、2次元コードの復号精度にも影響を及ぼす。より正確な2次元コードの形状及び2次元コード情報を得るために、画像に対して歪み補正を行うことができる。歪み補正は、例えば、張正友平面標定法を用いて行うことができる。具体的には、シャトル車の撮像装置140により、異なる角度から複数枚のテンプレート画像を撮影することができる。その後、テンプレート画像内の特徴点を検出し、撮像装置140の内パラメータと外パラメータを求解する。最後に、内パラメータと外パラメータに基づいて、最尤推定などのアルゴリズムを利用してテンプレート画像の歪み係数を求解し、画像を最適化することができる。歪み補正動作により、画像のノイズが低減され、画像内の2次元コード情報の精度が向上し、さらにシャトル車のナビゲーションの精度が確保される。
【0042】
画像内の2次元コードの形状又は角度を決定する前に、画像に対して二値化処理を行ってもよい。まず、画像をフィルタリングして、画像内のノイズを除去することができる。次に、ノイズ除去後の画像に対して2値化処理を行い、即ち、一定の規則に従って、画像内のすべての画素点を0又は255に設定する。例えば、画素点の階調値が特定の階調閾値より大きい場合、その画素点を255に設定し、そうでない場合、0に設定する。その後、2値化された画像に対して形態学的特徴を利用して膨張や腐食などの動作を行い、画像内の2次元コードの境界や頂点を得る。二値化処理により、2次元コード画像中に存在する可能性のあるノイズを低減するだけでなく、後続の画像内の2次元コードの形状解析や復号化処理に係るデータ量を削減し、処理速度を向上させることができる。さらに、シャトル車ナビゲーションの精度と円滑性を向上させることができる。
【0043】
画像内の2次元コードの形状又は角度を決定する前に、画像内の関心領域を抽出してもよい。例えば、2次元コードの境界と頂点に基づいてこの関心領域を抽出する。選択的に、画像分割などの方法によって関心領域を抽出する。関心領域を抽出する方法は、本願において限定されるものではなく、関心領域の抽出を可能にする既存の方法又は将来の方法であれば、本願の保護範囲に含まれる。画像内の関心領域を抽出することにより、後続の画像内の2次元コードの形状解析やデコード処理に係るデータ量を削減し、処理速度を向上させることができる。さらに、2次元コード情報を利用したシャトル車の迅速かつ正確な測位を実現することができる。
【0044】
本願の別の態様によれば、倉庫システムをさらに提供する。該倉庫システムは、上記のようなシャトル車と、棚と、を含む。棚の各駐車スペースにマーカが設けられている。マーカには位置標識が付されている。例示的には、マーカは板金部品であってもよい。位置標識は、板金部品の固定位置に貼り付けられている、バックテープが付いているPVC素材製のラベルに付されてもよい。各ラベルには、対応する駐車スペースの番号を示す数字コードが印刷されていてもよい。
【0045】
図3は本願の一実施例に係る倉庫システムの単層スケジューリングの概略図を示す。図3に示すように、倉庫システム内の駐車スペースAと駐車スペースBは、それぞれシャトル車が走行する出発地と目的地である。シャトル車の走行経路はA→Bであり、この走行経路は1つのサブ区間のみを含む。シャトル車は、駐車スペースAから出発した後、2つの駐車スペースを順次通過し、その走行速度は、2つの駐車スペースに付された2次元コード情報の影響を受けない。最後に、シャトル車は、駐車スペースBからの距離が第2距離閾値以下になったときから減速し、駐車スペースBからの距離が第1距離閾値以下になるまで走行する。上記の過程では、シャトル車のコントローラ150は、測位センサ130からフィードバックされた情報に基づいてシャトル車の走行速度を制御する。その後、駐車スペースBにおける2次元コードが撮像装置140の視野内に完全に入り、コントローラ150は、撮像装置140により収集された画像内の2次元コード情報を解析することによって得られた距離情報に基づいて、駐車スペースBに正確に到達するようにシャトル車を制御する。
【0046】
これにより、この倉庫システムは、測位センサ130の測位情報と位置標識情報との組み合わせを利用してシャトル車の正確な測位を実現することができ、シャトル車は円滑に制御されながら走行することができる。この形態は測位誤差を効果的に減少させ、測位時間を節約し、倉庫システムの作業効率を向上させることができる。
【0047】
例示的には、駐車スペースは、棚スペース、レール方向変更スペース、チェーンスペース、及び充電スペースのうちの1つ又は複数を含む。棚スペースは、商品を保管する棚上の位置を表す。レール方向変更スペースは、シャトル車が走行方向を変更できる位置を表す。チェーンスペースは、貨物の搬送に使用されるチェーンの位置を表す。充電スペースは、シャトル車の充電が可能な位置を表す。図4は、本願の他の実施例に係る、倉庫システムの単層スケジューリングの概略図を示す。図4に示すように、駐車スペースAと駐車スペースDは、それぞれシャトル車が走行する出発地と目的地を表す。駐車スペースBと駐車スペースCはレール方向変更スペースである。シャトル車の走行経路はA→B→C→Dである。シャトル車は、まず駐車スペースAから駐車スペースBまで走行し、駐車スペースBに到達すると停止して、方向を変更する。次に、駐車スペースBから駐車スペースCまで走行し、駐車スペースCに到達すると停止して、方向を変更する。最後に駐車スペースCから駐車スペースDまで走行し続け、このように、シャトル車は今回の走行経路命令を完了した。本実施例では、走行経路は3つのサブ区間A→B、B→C、C→Dを含む。各サブ区間について、サブ区間A→Bを例にとると、シャトル車は、現在のサブ区間の終点である駐車スペースBまでの距離が第2距離閾値以下になると減速を開始し、現在のサブ区間の終点である駐車スペースBまでの距離が第1距離閾値以下になるまで走行する。この過程では、シャトル車のコントローラ150は、測位センサ130からフィードバックされた情報に基づいてシャトル車の走行速度を制御する。その後、シャトル車のコントローラ150は、駐車スペースBの位置標識情報に基づいて、終点である駐車スペースBに正確に到達して停止するようにシャトル車を制御する。その後、シャトル車は駐車スペースBで方向を変更し、すなわち、走行方向を図4中の「左から右」から、「上から下」に変更する。なお、シャトル車が駐車スペースBから駐車スペースCに走行するまでの詳細なプロセスは前述のプロセスと類似しているので、簡潔のために、ここでは詳しく説明しない。最終的にシャトル車はAからDまでの走行を完了した。
【0048】
図5は、本願のさらに他の実施例に係る倉庫システムの単層スケジューリングの概略図を示す。図5に示すように、F点はシャトル車を充電する充電スペースを表す。駐車スペースAは、シャトル車が走行している現在位置を表す。駐車スペースBは棚スペースを表してもよい。シャトル車の残量が充電閾値を下回った場合、シャトル車をできるだけ早く充電すべきであり、すなわち、シャトル車をスケジューリングして充電スペースまで走行させる。このとき、シャトル車に貨物が積まれている場合は、貨物の輸送に影響を与えないように、貨物を棚スペースに保管しておいてもよい。例えば、シャトル車の残量が充電閾値を下回った場合、現在の駐車スペースAから出発して駐車スペースBに到達してもよい。駐車スペースBに到着した後、貨物を荷下ろしし、その後、駐車スペースCに戻る。次に、シャトル車は、駐車スペースCから駐車スペースEまで走行し、駐車スペースEで方向を変更して、駐車スペースFまで走行する。本実施例では、シャトル車の走行経路は、4つのサブ区間を含むA→B→C→E→Fとなる。シャトル車に貨物が積まれていない場合、その走行経路は3つのサブ区間を含むA→C→E→Fとされてもよい。
【0049】
上記の2つの実施例では、各サブ区間について、シャトル車の走行速度の制御はいずれも前述と同様であるので、簡潔のために、ここでは詳しく説明しない。
【0050】
上記の技術的解決手段では、シャトル車が希望通りに走行するように正確に制御できるだけでなく、シャトル車の電気量が十分に確保され、正常に動作することができる。さらに、シャトル車が迅速かつ正確に駐車スペースに到着できることを効果的に確保し、シャトル車を正確に測位し、測位誤差を低減することができる。
【0051】
例示的には、倉庫システムは多層棚を含んでもよく、すなわち高層密集化倉庫システムである。トポロジーマップはそれぞれが1層の棚に一意に対応する複数のサブマップを含むことができる。駐車スペースには昇降機スペースが含まれていてもよい。ここで、昇降機スペースには、当該層の棚内のシャトル車を当該層の棚より上層又は下層に搬送し、すなわちシャトル車が走行する層を変更するための昇降機が設けられている。図6は、本願の一実施例に係る倉庫システの層間スケジューリングの概略図を示す。図6のL1及びL2は、それぞれ、多層棚のうち1層目及び2層目の棚のトポロジーマップを示す。駐車スペースAは、シャトル車が走行する出発地の位置を示す。B1とB2の2点は、それぞれ棚の1層目と2層目の昇降機スペースを表す。具体的には、シャトル車は駐車スペースAから出発し、まず駐車スペースB1に到着する。B1にある昇降機により2層目の駐車スペースB2に引き上げられる。次に、シャトル車は、B2から駐車スペースCまで走行して停止し、方向を変更し、さらに駐車スペースDまで走行する。駐車スペースDに到達した後、方向を再度変更し、最後に、駐車スペースDから駐車スペースEまで走行する。本実施例では、シャトル車の走行経路は、A→B1、B2→C→D→Eとなっている。走行経路全体には4つのサブ区間が含まれる。具体的なスケジューリング過程は前述した単層スケジューリングと類似しているので、簡潔のために、ここでは詳しく説明しない。
【0052】
これにより、該倉庫システムは、シャトル車の層間作業を実現することができ、倉庫システムの貨物容量を増加させ、ユーザにより多くの選択肢を提供することができる。
【0053】
例示的には、マーカは、駐車スペースのレールに配置され、例えば、レールの側面、又は2つの平行なレールの間などに配置される。例えば、マーカは駐車スペースの床面に配置されてもよい。なお、マーカの位置は、実際の場面に応じて柔軟に設定することができ、本願は、当該マーカの位置が当該駐車スペースを正確に特定することができれば限定しない。シャトル車の撮像装置140はシャトル車の底面に配置されてもよく、視野がシャトル車の直下である。また、例えば、マーカは駐車スペースのレールの側面に配置されてもよい。この場合、シャトル車の撮像装置140はシャトル車の側面に設けられ、視野がシャトル車の側方である。シャトル車が駐車スペースに停止したとき、撮像装置140により収集された画像において、2次元コードは矩形である。管理と記録を容易にするために、同一の倉庫システムにおいて、マーカは各駐車スペースの同じ位置に配置され、その2次元コードラベルの配置方向を一致させる。
【0054】
マーカが配置されている位置は、シャトル車の撮像装置140による画像収集を容易にするとともに、マーカの設置が容易であり、大量の人的資源を節約することができる。
【0055】
本願の別の態様によれば、倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法も提供される。図7は、本願の実施例に係る倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法700の概略フローチャートを示す。図7に示すように、方法700は、ステップS710~ステップS730を含む。
【0056】
ステップS710:出発地から目的地までの走行経路情報を含む走行経路命令を受信する。
【0057】
ステップS720:シャトル車の走行中に、シャトル車の位置情報と収集された画像とを取得する。
【0058】
ステップS730:トポロジーマップと経路情報とに基づいてシャトル車を制御して出発地から目的地まで走行させる。走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトルカーから現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値以下であると判定したときから、現在取得された画像内の位置標識を解析することによって得られた距離情報に基づいて、シャトルカーを制御して、現在のサブ区間の終点まで走行させる。現在取得された画像内の位置標識は現在のサブ区間の終点に位置し、距離情報は、シャトルカーから現在のサブ区間の終点までの距離を表し、第1距離閾値は、駐車スペースの位置標識が撮像装置の視野内に入ったときのシャトルカーと当該駐車スペースとの距離以下である。
【0059】
例示的には、方法700は、各駐車スペースの位置情報及び位置標識情報を収集して保存するように、シャトルカーを制御して倉庫システムのすべての駐車スペースにわたって移動させるステップと、各駐車スペースの位置情報と位置標識情報とに基づいて、倉庫システムのトポロジーマップを構築するステップと、をさらに含む。トポロジーマップの各ノードは、前記倉庫システム内の対応する駐車スペースの位置標識情報を含む。
【0060】
例示的には、方法700では、走行経路の各サブ区間について、現在位置情報に基づいてシャトルカーから現在のサブ区間の終点までの距離が第1距離閾値よりも大きい第2の距離閾値以下であると判定したときから、シャトルカーを制御して走行速度を低下させる。
【0061】
例示的には、方法700は、画像内の位置標識の形状又は角度を決定するステップと、画像内の位置標識の形状又は角度に基づいて、シャトル車から現在のサブ区間の終点までの距離を決定するステップと、画像内の位置標識を復号して位置標識情報を得るステップと、をさらに含む。
【0062】
例示的には、画像内の位置標識の形状又は角度を決定する前に、画像内の位置標識を解析するステップは、画像に対して歪み補正を行う動作と、画像に対して2値化処理を行う動作と、画像内の前記位置標識情報を含む関心領域を抽出する動作とのうちの1つ又は複数をさらに含む。
【0063】
本願は、プロセッサによって実行されると、上記の方法の実施例に記載のナビゲーション方法を実行するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を更に提供する。
【0064】
当業者は、倉庫システム及び倉庫システム用シャトル車に関する上記の説明を読むことにより、倉庫システム用シャトル車のナビゲーション方法の詳細なステップ及び有益な効果を理解することができるが、簡潔のために、ここでは詳しく説明しない。
【0065】
本明細書では、図面を参照して例示的な実施例を説明したが、上記の例示的な実施例は単に例示的なものであり、本願の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。当業者は、本願の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができる。これら変更及び修正はすべて添付の特許請求の範囲で請求される本願の範囲内に含まれることを意図している。
【0066】
当業者であれば、本明細書に開示された実施例を参照して説明された様々な例のユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせで実装され得ることを理解することができる。これらの機能がハードウェアの形態で実行されるかソフトウェアの形態で実行されるかは、技術的解決手段の特定の用途及び設計の制約条件に依存する。当業者であれば、特定の用途ごとに異なる方法を使用して記載された機能を実装することができるが、そのような実装は、本願の範囲を超えているとみなされるべきではない。
【0067】
本願に係るいくつかの実施例では、開示された装置及び方法は、他の方法によって実装されてもよいことが理解されるべきである。例えば、上記した装置の実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの分割は、単に論理的機能の分割であり、実際に実装されると、別の分割方法があってもよく、例えば、複数のユニット又はコンポーネントが別の装置に結合又は統合されてもよく、いくつかの特徴は無視されてもよく、又は実行されなくてもよい。
【0068】
ここでの明細書においては、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本願の実施例は、これらの具体的な詳細なしに実施されてもよいことが理解される。いくつかの例では、本明細書の理解を曖昧にしないために、公知の方法、構造、及び技術が詳細に示されていない。
【0069】
同様に、本願を簡潔にし、様々な出願態様の1つ又は複数をさらに理解するために、本願の例示的な実施例の説明において、本願の様々な特徴は単一の実施例、図、又はそれらの説明に記載されることがあることが理解されるべきである。しかし、本願の方法は、本願が各請求項に明記されている特徴よりも多くの特徴を要求しているという意図を反映していると解釈すべきではない。より正確には、対応する特許請求の範囲に反映されているように、その出願のポイントは、開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない特徴で対応する技術的課題を解決することができることである。したがって、発明を実施するための形態に従った特許請求の範囲は、このようにして、当該実施形態に明確に組み込まれ、各請求項自体はいずれも本願の個別の実施例である。
【0070】
当業者が理解できるように、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示されたすべての特徴、ならびにこのように開示された方法又は装置のすべてのプロセス又はユニットは、特徴が互いに排他的である場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示された各特徴は、特に明示的に記載されない限り、同一、同等又は類似の目的を提供する代替特徴に置き換えられてもよい。
【0071】
さらに、当業者が理解できるように、前述したいくつかの実施例は、他の特徴ではなく、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本願の範囲内であり、異なる実施例を形成することを意味する。例えば、特許請求の範囲において、保護しようとする実施例のいずれか1つは、任意の組み合わせで使用することができる。
【0072】
本願の様々な構成要素の実施例は、ハードウェアとして、又は1つ又は複数のプロセッサ上で実行されるソフトウェアモジュールとして、又はそれらの組み合わせとして実装されてもよい。当業者が理解できるように、マイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)は、本願の実施例に係る倉庫システム用シャトル車の機能の一部又は全部を実装するために実際に使用され得る。本願は、本明細書に記載された方法の一部又は全部を実行するための装置プログラム(例えば、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品)として実装することもできる。本願を実施するそのようなプログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されてもよく、又は1つ又は複数の信号の形態を有してもよい。このような信号は、インターネットのウェブサイトからダウンロードされてもよいし、又はキャリア信号上で提供されてもよく、又は任意の他の形態で提供されてもよい。
【0073】
なお、上記の実施例は、本願を限定するものではなく、本願を説明するものであり、当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく、代替実施例を設計することができる。特許請求の範囲において、括弧の間にある参照記号は請求項を限定するものではない。「含む」という単語は、請求項に記載されていない要素又はステップの存在を除外しない。要素の前に「一」又は「1つ」という単語がある場合、そのような要素が複数存在することを除外することはできない。本願は、いくつかの異なる要素を含むハードウェア、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実現することができる。いくつかのデバイスが列挙されているユニットの請求項において、これらのデバイスのいくつかは、同じハードウェアアイテムによって具現化されてもよい。第1、第2、第3などの単語の使用は、順序を表すものではない。これらの単語は名称として解釈され得る。
【0074】
以上は本願の特定の実施形態又は特定の実施形態の説明に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者は、本願で開示された技術的範囲内で、変更や置換を容易に想到することができ、これらの変更や置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれる。本願の保護範囲は、特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】