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特表2023-547322超伝導量子ビットおよびその作製方法、量子ストレージデバイス、ならびに量子コンピュータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】超伝導量子ビットおよびその作製方法、量子ストレージデバイス、ならびに量子コンピュータ
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/01 20230101AFI20231102BHJP
   G06F 7/38 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H10N60/01 J
G06F7/38 510
G06F7/38 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519477
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021055567
(87)【国際公開番号】W WO2022093575
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011166998.4
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511050697
【氏名又は名称】アリババ グループ ホウルディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デン,ハオ
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AA03
4M113AA04
4M113AA13
4M113AA14
4M113AA25
4M113AC01
4M113AC45
4M113BA04
4M113BA14
4M113BA15
4M113BC08
4M113BC26
4M113CA12
4M113CA13
4M113CA16
(57)【要約】
本開示は超伝導量子ビットを提供する。超伝導量子ビットは、ジョセフソン接合と、非ジョセフソン接合領域とを含む。非ジョセフソン接合領域は、超伝導材料の第1の層を含み、超伝導材料の第1の層は、超伝導量子ビットの作製中のジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、非ジョセフソン接合領域に堆積される超伝導材料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導量子ビットであって、
ジョセフソン接合と、非ジョセフソン接合領域と、を備え、前記非ジョセフソン接合領域は、超伝導材料の第1の層を含み、超伝導材料の前記第1の層は、前記超伝導量子ビットの作製中の前記ジョセフソン接合および前記非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、前記非ジョセフソン接合領域に堆積される超伝導材料である、超伝導量子ビット。
【請求項2】
超伝導材料の前記第1の層の前記超伝導材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、または窒化チタンのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の超伝導量子ビット。
【請求項3】
前記ジョセフソン接合および前記非ジョセフソン接合領域の前記イオンミリングの後、前記ジョセフソン接合は、超伝導材料の第2の層で堆積されたジョセフソン接合第1の層電極と、ジョセフソン接合絶縁層と、超伝導材料の第3の層で堆積されたジョセフソン接合第2の層電極と、を含む、請求項1に記載の超伝導量子ビット。
【請求項4】
超伝導材料の前記第2の層と超伝導材料の前記第3の層の両方は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、または窒化チタンのうちの1つまたは複数を含む、請求項3に記載の超伝導量子ビット。
【請求項5】
前記ジョセフソン接合絶縁層は、酸化物層、物理気相堆積(PVD)コーティング、化学気相堆積(CVD)コーティング、または原子層堆積(ALD)堆積膜のうちの1つを含む、請求項3に記載の超伝導量子ビット。
【請求項6】
前記ジョセフソン接合は、十字形状である、請求項1に記載の超伝導量子ビット。
【請求項7】
ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域を決定するために使用されるマスク構造体を使用する超伝導量子ビットの作製方法であって、
前記非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第1の層を堆積させることと、
前記ジョセフソン接合および前記非ジョセフソン接合領域でイオンミリングを実行することと、
ジョセフソン接合第1の層電極、ジョセフソン接合絶縁層、およびジョセフソン接合第2の層電極を作製することと、
前記超伝導量子ビットを得るために前記マスク構造体を除去することと、
を含む、作製方法。
【請求項8】
前記マスク構造体の材料は、フォトレジスト、電子ビームリソグラフィ(EBL)フォトレジスト、および無機材料のうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の前記第1の層を堆積させることは、
前記超伝導量子ビットが位置する空間XYZ座標系において、前記超伝導材料が前記非ジョセフソン接合領域に堆積されている間、前記マスク構造体のシャドー効果に起因して、前記ジョセフソン接合が前記超伝導材料から防がれるように、X軸に対して第1の角度にあり、かつZ軸対して第2の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の前記第1の層を堆積させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ジョセフソン接合は、十字形状であり、前記十字形状の1本の脚が前記X軸に平行である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ジョセフソン接合第1の層電極を作製することは、
前記X軸に平行で、かつ前記Z軸に対して第3の角度にある方向で前記XY平面に超伝導材料の第2の層を堆積させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ジョセフソン接合絶縁層を作製することは、
酸化物を生成すること、
PVDコーティングを形成すること、
CVDコーティングを合成すること、または
ALD堆積膜を形成すること、
のうちの1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ジョセフソン接合第2の層電極を作製することは、
前記Y軸と平行で、かつ前記Z軸に対して第4の角度にある方向で前記XY平面に超伝導材料の第3の層を堆積させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
超伝導材料の前記第1の層、前記第1の層電極、および前記第2の層電極によって使用される前記超伝導材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、または窒化チタンのうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
超伝導量子ビットを備える量子ストレージデバイスであって、前記超伝導量子ビットは、請求項7に記載の方法によって作製される、量子ストレージデバイス。
【請求項16】
超伝導量子ビットを備える量子コンピュータであって、前記超伝導量子ビットは、請求項7に記載の方法によって作製される、量子コンピュータ。
【請求項17】
請求項1に記載の超伝導量子ビットを備える量子コンピュータ。
【請求項18】
量子ストレージデバイスと、量子エフェクタと、をさらに備え、前記量子ストレージデバイスと前記量子エフェクタの両方は、前記超伝導量子ビットによって構成される量子状態を介して量子操作を行う、請求項17に記載の量子コンピュータ。
【請求項19】
量子トランジスタと、量子ストレージデバイスと、量子エフェクタと、をさらに備え、前記量子トランジスタは、トランジスタのスイッチング機能を実現するように構成されており、前記量子ストレージデバイスは、量子コンピューティング情報を保存するように構成されており、前記量子エフェクタは、量子アルゴリズムおよび量子符号を制御するように構成されており、
前記量子トランジスタ、前記量子ストレージデバイス、および前記量子エフェクタは、前記超伝導量子ビットによって構成される量子状態を介して量子操作を行う、請求項17に記載の量子コンピュータ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本開示は、2020年10月27日に出願された中国出願第202011166998.4号に対する優先権の利益を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、量子コンピューティングの分野に関し、特に、超伝導量子ビットおよびその作製方法、量子ストレージデバイス、ならびに量子コンピュータに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 超伝導量子ビットは、ジョセフソン接合と非ジョセフソン接合領域とを含む。超伝導量子ビットの損失を低減することは、信頼性の高い超伝導量子コンピューティングを実現するための鍵の1つである。超伝導量子ビットを作製する過程で、超伝導量子ビットの中核であるジョセフソン接合を作製するには、ジョセフソン接合の性能と可制御性を向上させるために、イオンミリングプロセスを使用して基板表面上でインサイチュ処理(in-situ treatment)を行う必要がある。しかし同時に、イオンミリングは、超伝導量子ビットの(例えばキャパシタ電極を含む)非ジョセフソン接合領域の基板表面を損傷する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] そのため、従来の超伝導量子ビットの作製方法では、基板表面をイオンミリングプロセスで処理すると、かなりの誘電損失をもたらし、超伝導量子ビットの寿命が短くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、超伝導量子ビットを提供する。この超伝導量子ビットは、ジョセフソン接合と、非ジョセフソン接合領域とを含む。非ジョセフソン接合領域は、超伝導材料の第1の層を含み、超伝導材料の第1の層は、超伝導量子ビットの作製中のジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、非ジョセフソン接合領域に堆積される超伝導材料である。
【0006】
[0006] 本開示の実施形態は、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域を決定するために使用されるマスク構造体を使用する超伝導量子ビットの作製方法を提供する。この方法は、非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第1の層を堆積させることと、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域でイオンミリングを実行することと、ジョセフソン接合第1の層電極(Josephson junction first layer electrode)、ジョセフソン接合絶縁層、およびジョセフソン接合第2の層電極(Josephson junction second layer electrode)を作製することと、超伝導量子ビットを得るためにマスク構造体を除去することと、を含む。
【0007】
[0007] 本開示の実施形態は、量子ストレージデバイスを提供する。この量子ストレージデバイスは、超伝導量子ビットを含む。この超伝導量子ビットは、上記の作製方法によって作製される。
【0008】
[0008] 本開示の実施形態は、量子コンピュータを提供する。この量子コンピュータは、超伝導量子ビットを含む。この超伝導量子ビットは、上記の作製方法によって作製される。
【0009】
[0009] 本開示の実施形態は、量子コンピュータを提供する。この量子コンピュータは、上記の超伝導量子ビットを含む。
【0010】
[0010] 本開示の実施形態および様々な態様は、以下の詳細な説明および添付の図に示されている。図に示されている様々な特徴は、縮尺どおりに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本開示のいくつかの実施形態による超伝導量子ビットの作製方法のフローチャートを示す。
図2A】[0012]本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されている工程S102の概略図を示す。
図2B】[0012]本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されている工程S104の概略図を示す。
図2C】[0012]本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されている工程S106の概略図を示す。
図2D】[0012]本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されている工程S108の概略図を示す。
図2E】[0012]本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されている工程S110の概略図を示す。
図2F】[0012]本開示のいくつかの実施形態による、図1に示されている工程S112の概略図を示す。
図3】[0013]本開示のいくつかの実施形態による超伝導量子ビットの概略構造図である。
図4】[0014]本開示のいくつかの実施形態による量子コンピュータの概略構造図である。
図5】[0015]本開示のいくつかの実施形態による、コンピューティングデバイスと量子プロセッサとを含む量子コンピュータの別の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016] ここで例示的な実施形態を詳細に参照する。例示的な実施形態の例は、添付の図面に示されている。以下の説明では、別段の記載がない限り、異なる図面における同じ番号が同じまたは類似の要素を表している添付の図面が参照される。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本開示と整合性のあるすべての実装形態を表しているわけではない。むしろ、これらは、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示に関連する態様と整合性のある装置および方法の例にすぎない。本開示の具体的な態様は、以下でより詳細に説明される。参照によって組み込まれた用語および/または定義と矛盾する場合は、本明細書に記載されている用語および定義が優先される。
【0013】
[0017] 例示的な実施形態の詳細な説明を続ける前に、用語または単語の様々な説明を行う必要がある。
【0014】
[0018] 従来、超伝導量子ビットの作製方法では、超伝導材料の第1の層(例えばアルミニウム(Al)層)の堆積前に、イオンミリングを使用している。イオンミリングとは、イオンビーム衝撃によるマイクロ・ナノスケールでの材料の薄肉化や表面のクリーニングなど、イオンビームで固体表面をミリングすることを伴う。イオンミリングは非常に高い表面機械加工精度と小さな表面損傷を提供することができるが、イオンミリングプロセスは領域に対して選択的なパワーを有さず、フォトリソグラフィ処理後のフォトレジスト(PR)で覆われていないすべての構造領域に区別なしに作用することが可能である。フォトレジスト(PR)は、紫外線にさらされた後、現像液中でその溶解度が変化する有機化合物である。シリコンウェーハ製造で使用されるPRは、シリコンウェーハの表面に液体状態でコーティングされ、乾燥されてコーティングになる。この方法は、非ジョセフソン接合領域の基板表面に大きな損傷を与える可能性がある。損傷した基板表面に超伝導材料層が堆積された後、表面にかなりの誘電損失が発生し、超伝導量子ビットの寿命が短くなる可能性がある。
【0015】
[0019] 超伝導量子ビットの別の作製方法では、まず、追加のパターン転写プロセスを使用して大きいサイズの非ジョセフソン接合領域が作製され、次に、ジョセフソン接合が別々に作製される。イオンミリングプロセスは、ジョセフソン接合の作製にのみ適用される。この方法では、非ジョセフソン接合領域の基板表面へのイオンミリングによる損傷が回避されるが、プロセスの複雑さは大幅に増加する。超伝導材料層の堆積-フォトリソグラフィ-腐食/エッチング-マスク除去、またはフォトリソグラフィ-超伝導材料層の堆積-リフトオフなど、一連の追加プロセスが必要となり、プロセス工程が増加し、歩留まりが低下する。同時に、別々に作製されたジョセフソン接合と、以前に作製された大きいサイズの非ジョセフソン接合領域とは、十分に電気的に接続されている必要があり、潜在的な接触抵抗の問題があり、これを解決するためにさらに多くの追加プロセスが必要になる可能性がある。
【0016】
[0020] 以上の問題点を考慮して、本開示のいくつかの実施形態において、超伝導量子ビットの非ジョセフソン接合領域の基板表面がイオンミリングプロセスによって損傷を受けるのを防ぐ、低損失の超伝導量子ビットの作製方法が提案されている。したがって、非ジョセフソン接合領域の基板表面の誘電損失を効果的に低減することができ、このことは、超伝導量子ビットの性能向上に直接役立つだけでなく、超伝導量子ビットの寿命を延ばすことにも役立つ。
【0017】
[0021] 図1は、本開示のいくつかの実施形態による超伝導量子ビットの作製方法のフローチャートである。図1に示すように、作製方法には、工程S102~S112が含まれている。図2A図2Fは、本開示のいくつかの実施形態による超伝導量子ビットの作製方法における(図1に示す)工程S102~S112の概略図をそれぞれ示す。図2A図2Fの各々において、XYZ座標系で示された概略図と、XYZ座標系のXY平面で示された概略図が示されている。同じ番号は、同じもしくは類似のプロセスまたは構成要素を指している。
【0018】
[0022] 図1を参照して、工程S102では、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域を決定するために使用されるマスク構造体が作製される。フォトリソグラフィ半導体製造プロセスでは、マスクをネガフィルムとして使用することができる。例えば、マスクの役割は、シリコンウェーハの選択した領域において、不透明なパターンテンプレートを覆うことである。これにより、後続の腐食や拡散は、選択した領域外の領域にのみ影響を与えることができる。画像マスクは、画像処理またはプロセスの領域を制御するために処理対象画像(の全部または一部)を覆うために使用される、選択された画像、グラフィックス、またはオブジェクトを有するマスクと類似している。
【0019】
[0023] 例えば、図2Aはマスク構造体例201を提供する。この例では、マスク構造体201が作製され、リフトオフプロセス(これは、マイクロ・ナノ機械加工で使用されるパターン転写方法を伴う場合がある)で使用することができる。マスク構造体201は、ジョセフソン接合202(例えば、小さい十字)と、他の大きいサイズの領域203(例えば、非ジョセフソン接合領域)とを含むことができる。本開示のいくつかの実施形態では、マスクは、例えばフォトレジスト(PR)で作られている。いくつかの実施形態では、電子ビームリソグラフィ(EBL:Electron Beam Lithography)フォトレジストまたは無機材料などの他のやり方を使用することもできる。マスク構造の材料には、フォトレジスト、電子ビームリソグラフィ(EBL)フォトレジスト、および無機材料のうちの1つまたは複数など、様々な種類の材料が含まれ得る。本明細書に列挙するマスク構造体の材料は、網羅的なものではなく、当業者は必要に応じて他の材料を選択することができる。
【0020】
[0024] 図1を再び参照する。工程S104では、非ジョセフソン接合領域に、超伝導材料の第0の層が堆積される。非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第0の層を堆積させるときに、様々な方法を使用することができる。例えば、堆積は以下のやり方で達成することができる:超伝導量子ビットが位置する空間XYZ座標系において、超伝導材料が堆積されていないマスクのシャドー効果下で、ジョセフソン接合が遮断されるように、X軸に対して第1の角度にあり、かつZ軸対して第2の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第0の層L0を堆積させる。したがって、超伝導材料は非ジョセフソン接合領域に堆積され、ジョセフソン接合には堆積されない。上記のプロセスを通じて、第1の角度および第2の角度の選択により、超伝導材料はジョセフソン接合には堆積されず、一方で、超伝導材料の第0の層の堆積中に、非ジョセフソン接合領域には超伝導材料が堆積される。したがって、後続のイオンミリング中に、非ジョセフソン接合領域は、堆積された超伝導材料によって保護され、非ジョセフソン接合領域の誘電損失が回避される。
【0021】
[0025] 例えば、図2Bを参照して、超伝導材料の第0の層L0(例えば、図2Bでは、左に傾斜した斜線で示されている)が、X軸に対してアルファ(α)角度にあり、かつZ軸に対して90-シータ(90-θ)角度にある方向でXY平面に堆積される。2つの角度を選択することで、ジョセフソン接合は、マスクのシャドー効果によって遮断され、その上には超伝導材料は堆積されない。
【0022】
[0026] 図1を再び参照する。工程S106では、イオンミリングがジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域で実行される。ジョセフソン接合の基板表面は、超伝導材料の保護がないためにクリーニングされ、非ジョセフソン接合領域は超伝導材料の第0の層によって保護されている。ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリング中に、非ジョセフソン接合領域でイオンミリングが実行されるときに、制御可能で様々な程度のイオンミリング強度が、異なる領域に適用される。その結果、非ジョセフソン接合領域に作製された超伝導材料の第0の層の厚さが異なる場合がある。例えば、異なる設計では、超伝導材料の第0の層の厚さを調整することにより、第0の層をイオンミリングでエッチングする際に、イオンミリングは非ジョセフソン接合領域の基板表面で一部実行され、これにより、制御可能で様々な程度のイオンミリング強度を、異なる領域に適用することができる。あるいは、超伝導材料の第0の層を段階的に異なる角度で堆積させることにより、非ジョセフソン接合領域に構成要素が存在する位置では、非ジョセフソン接合領域に構成要素が存在しない位置よりも、超伝導材料の第0の層の厚さが大きいことを達成することが可能である。あるいは、非ジョセフソン接合領域全体の超伝導材料の第0の層の厚さが同じである場合、イオンミリングが非ジョセフソン接合領域で実行されるときに、イオンミリング強度は、構成要素が存在する位置ではより低く、構成要素が存在しない位置ではより高くすることができる。
【0023】
[0027] 例えば、図2Cを参照して、イオンミリングプロセス(イオンフラックスは、図2Cの下向き矢印で表されている)が、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域で実行される。いくつかの実施形態では、Arイオンがイオンミリングプロセスに使用される。ジョセフソン接合202は超伝導材料によって保護されていないため、ジョセフソン接合202の基板表面(例えば、図2Cでは、右に傾斜した斜線で示されている)はクリーニングされる。大きいサイズの非ジョセフソン接合領域203は超伝導材料の第0の層L0で保護されており、大きいサイズの非ジョセフソン接合領域203の基板表面は保護されている。
【0024】
[0028] 図1を再び参照する。工程S108では、ジョセフソン接合第1の層電極と、ジョセフソン接合絶縁層とが作製される。ジョセフソン接合第1の層電極は、様々な方法で作製することができる。例えば、図2Dを参照して、作製は以下のやり方で達成することができる:超伝導量子ビットが位置する空間XYZ座標系において、X軸に平行で、かつZ軸に対して第3の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第1の層L1を堆積させることにより、ジョセフソン接合第1の層電極を作製する。上記の第3の角度を選択することで、ジョセフソン接合第1の層電極は、堆積された超伝導材料の第1の層L1によって作製される。
【0025】
[0029] ジョセフソン接合絶縁層も、様々な方法で作製することができる。例えば、ジョセフソン接合絶縁層は、酸化反応による酸化物の生成、物理気相堆積(PVD:Physical Vapor Deposition)によるPVDコーティングの形成、化学気相堆積(PVD)によるCVDコーティングの合成、および原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)によるALD堆積膜の形成のうちの1つによって作製することができる。
【0026】
[0030] 例えば、超伝導材料の第1の層L1は、X軸に平行で、かつZ軸に対して90-シータ2(90-θ)の角度にある方向でXY平面に堆積される。図2Dに示すように、非ジョセフソン接合領域にある第0の層L0(左に傾斜した斜線で示されている)に水平線を追加したものは、第0の層と第1の層とを足したもの(例えば、L0+L1)を表している。右に傾斜した斜線で表されるジョセフソン接合202(すなわち、イオンミリングクリーニングされた表面)では、ジョセフソン接合第1の層電極が、第1のジョセフソン接合領域202a(右に傾斜した斜線に水平線を追加して示されている)に作製される。この領域はX軸に平行な領域である。堆積の角度により、X軸に平行な部分のみが第1の層L1を有するので、図2Dでは、X軸に平行な部分のみが水平線を有している(すなわち、第1のジョセフソン接合領域202a)。図2Dに示すように、絶縁層Linsulating図2Dではドットで示されている)は、第1の層L1が堆積された後、第1のジョセフソン接合領域202aと非ジョセフソン接合領域201とに追加される。いくつかの実施形態では、絶縁層は酸化層であり、酸化はジョセフソン接合絶縁層の作製のための例として挙げられている。いくつかの実施形態では、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、および原子層堆積(ALD)などの他の方法も使用されることがある。いくつかの実施形態では、絶縁層は、第2のジョセフソン接合領域202bを含む露出領域の全面に作製される場合があることを理解することができる。
【0027】
[0031] 図1を参照して、工程S110では、ジョセフソン接合第2の層電極が作製される。ジョセフソン接合第2の層電極の作製は、ジョセフソン接合第1の層電極の作製と類似しており、どちらも様々な方法で実現することができる。例えば、Y軸に平行で、かつZ軸に対して第4の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第2の層を堆積させることによって、作製を達成することができる。例えば、図2Eを参照して、Y軸に平行で、かつZ軸に対して90-シータ3(90-θ)の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第2の層L2(図2Eでは垂直線で示されている)が堆積される。L0+L1+L2の領域は、左に傾斜した斜線(例えば、L0)と、水平線(例えば、L1)と、垂直線(例えば、L2)とを足したもので表される。右に傾斜した斜線で表されるジョセフソン接合202(すなわち、イオンミリングクリーニングされた表面)では、ジョセフソン接合第2の層電極が、第2のジョセフソン接合領域202b(右に傾斜した斜線に垂直線を追加して示されている)に作製される。この領域はY軸に平行な領域である。堆積の角度により、Y軸に平行な部分のみがL2層を有するので、図2Eでは、Y軸に平行な部分のみが垂直線を有している(すなわち、第2のジョセフソン接合領域202b)。
【0028】
[0032] いくつかの実施形態では、作製中の工程S108およびS110での角度選択により、ジョセフソン接合第1の層電極および絶縁層が最初に第2のジョセフソン接合領域202bに作製され、次に、ジョセフソン接合第2の層電極が第1のジョセフソン接合領域202aに作製される場合があることを理解することができる。
【0029】
[0033] 図1を参照して、工程S112では、マスク構造体が除去されて超伝導量子ビットを得る。いくつかの実施形態では、マスク層は除去され、すべての構造体がリフトオフによって離脱させられる。これにより、超伝導量子ビットの作製が完了する。図2Fを参照して、図2Aのマスク構造体201は除去されている。非ジョセフソン接合領域203は、第0の層L0、第1の層L1、絶縁層Linsulating、および第2の層L2で作製されている。第1のジョセフソン接合領域202aは、第1の層L1および絶縁層Linsulatingで作製されており、第2のジョセフソン接合領域202bは、第2の層L2で作製されている。第1のジョセフソン接合領域202aと第2のジョセフソン接合領域202bとの交差領域202cは、第1の層L1、絶縁層Linsulating、および第2の層L2で作製され、ここでジョセフソン接合的挙動が実行される。
【0030】
[0034] ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、非ジョセフソン接合領域に超伝導材料(例えば、非ジョセフソン接合領域に作製された超伝導材料の第0の層)を堆積させることによって、非ジョセフソン接合領域の基板表面が保護され、したがって、非ジョセフソン接合領域の基板表面への損傷が回避され、非ジョセフソン接合領域の基板表面の誘電損失が低減され、超伝導量子ビットの寿命が延びるという技術的効果が達成され、そして、かなりの誘電損失をもたらし、超伝導量子ビットの寿命が短くなるという、先行技術の超伝導量子ビットの作製方法におけるイオンミリングプロセスを使用して基板表面を処理する際の技術的な問題が解決される。
【0031】
[0035] いくつかの実施形態では、超伝導材料の第0の層、第1の層電極、および第2の層電極で使用される超伝導材料は、すべて様々な種類のものであってもよい。例えば、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、または窒化チタン(TiN)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0032】
[0036] これらの実施形態で使用される超伝導材料は、様々な種類のものであってもよいことに留意されたい。本開示のいくつかの実施形態では、Alが例示のための例として挙げられており、いくつかの実施形態では、Ta、Nb、およびTiNなどの他の超伝導材料を使用することもできる。
【0033】
[0037] 上記の方法では、三重超伝導材料層投射堆積(triple superconducting material layer projection deposition)を使用して、非ジョセフソン接合領域の大面積構造領域の基板表面は、イオンミリングプロセスの前に超伝導材料の第0の層で保護される。この領域の基板表面へのイオンミリングの損傷が回避されることで、この領域の基板表面へのイオンミリングプロセスの誘電損失が低減され、超伝導量子ビットの寿命が延びる。同時に、追加の非インサイチュプロセス工程を追加することが必要とされず、これは、プロセスの単純さを維持し、歩留まりを向上させるのに役立つ可能性がある。
【0034】
[0038] さらに、上記の方法では、非ジョセフソン接合構造体を作製するための追加のプロセスは必要なく、すべてのプロセス工程がインサイチュで実行される。パターニングの回数は最小(一度だけ)であり、これにより、プロセスの単純さが維持され、歩留まりが向上される。同時に、ジョセフソン接合は他の構造体と統合されており、電気的な接触の問題はない。
【0035】
[0039] 簡単にするために、上記の方法の実施形態はすべて一連の行為の組み合わせとして表現されているが、当業者は、本開示が、説明された行為の順序によって限定されないことを承知しているべきであることに留意されたい。これは、いくつかの工程が本開示に従って別の順序でまたは同時に実行される可能性があるからである。次に、当業者は、本明細書に説明されている実施形態はすべて好ましい実施形態であり、関連する行為およびモジュールが本開示によって必ずしも要求されていないことも承知しているべきである。
【0036】
[0040] 上記の実装形態の説明から、当業者は、上記の実施形態による方法がソフトウェアと必要な一般的なハードウェアプラットフォームとを合わせたものによって実施することができ、また、確実にハードウェアによっても実施することができるが、大抵の場合は、前者の方がより優れた実装形態であることを明確に理解することができよう。このような理解に基づいて、本開示の技術的解決策は、本質的に、または先行技術に貢献する部分は、ソフトウェア製品の形で具体化することができる。このソフトウェア製品は、ストレージ媒体に保存され、また、本開示の様々な実施形態における方法を端末デバイスに実行させるために使用されるいくつかの命令を含むことができる。
【0037】
[0041] 本開示のいくつかの実施形態では、超伝導量子ビットが提供される。図3は、本開示のいくつかの実施形態による超伝導量子ビットの概略構造図である。図3に示すように、超伝導量子ビット300は、ジョセフソン接合301と、非ジョセフソン接合領域302とを含む。非ジョセフソン接合領域302は、超伝導材料の第0の層(陰影付きで示されている)を含む。超伝導材料の第0の層は、超伝導量子ビットの作製中に、ジョセフソン接合301および非ジョセフソン接合領域302をイオンミリングする前に非ジョセフソン接合領域302に堆積される超伝導材料である。
【0038】
[0042] 本開示のいくつかの実施形態では、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に非ジョセフソン接合領域に超伝導材料を堆積させることによって、非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第0の層が作製される。したがって、非ジョセフソン接合領域の基板表面が保護され、したがって、非ジョセフソン接合領域の基板表面への損傷が回避され、非ジョセフソン接合領域の基板表面の誘電損失が低減され、超伝導量子ビットの寿命が延びるという技術的効果が達成され、そして、かなりの誘電損失をもたらし、超伝導量子ビットの寿命が短くなるという、先行技術の超伝導量子ビットの作製方法におけるイオンミリングプロセスを使用して基板表面を処理する際の技術的な問題が解決される。
【0039】
[0043] いくつかの実施形態では、超伝導材料の第0の層の超伝導材料は、例えば、Al、Ta、Nb、またはTiNのうちの1つまたは複数を含む様々な種類の材料を含み得る。なお、上記の超伝導材料は網羅的なものではなく、非ジョセフソン接合領域の基板表面への損傷を回避するために、当業者が該当技術における知識に基づいて使用することができる他の超伝導材料も本出願に属することに留意されたい。
【0040】
[0044] いくつかの実施形態では、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの後、ジョセフソン接合は、超伝導材料の第1の層から堆積されたジョセフソン接合第1の層電極と、ジョセフソン接合絶縁層と、超伝導材料の第2の層から堆積されたジョセフソン接合第2の層電極とを含む。したがって、マスク構造体が作製された後、超伝導材料が非ジョセフソン接合領域に堆積されたこと(例えば、超伝導材料の第0の層)に続いて、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域にイオンミリングが実行される。ジョセフソン接合の基板表面は、超伝導材料の保護がないためにクリーニングされ、一方、非ジョセフソン接合領域は超伝導材料の第0の層によって保護されている。これにより、非ジョセフソン接合領域の基板表面への損傷が効果的に回避され、非ジョセフソン接合領域の基板表面の誘電損失が低減される。
【0041】
[0045] いくつかの実施形態では、非ジョセフソン接合領域に作製される超伝導材料の第0の層の厚さが異なっている。例えば、設計によって、超伝導材料の第0の層の厚さを調整することにより、第0の保護層をイオンミリングでエッチングする時間の間に、イオンミリングが非ジョセフソン接合領域の基板表面で一部実行され、これにより、制御可能で様々な程度のイオンミリング強度を異なる領域に適用することができる。任意選択により、超伝導材料の第0の層を段階的に異なる角度で堆積させることにより、非ジョセフソン接合領域に構成要素が存在する位置では、非ジョセフソン接合領域に構成要素が存在しない位置よりも、超伝導材料の第0の保護層の厚さが大きいことを達成することが可能である。
【0042】
[0046] いくつかの実施形態では、超伝導材料の第1の層および超伝導材料の第2の層の超伝導材料は、超伝導材料の第0の層の超伝導材料に類似している。つまり、超伝導材料の第1の層および超伝導材料の第2の層の超伝導材料は、Al、Ta、Nb、またはTiNのうちの1つまたは複数である。
【0043】
[0047] いくつかの実施形態では、ジョセフソン接合絶縁層も、様々な方法で得ることができる。例えば、ジョセフソン接合絶縁層は、酸化によって生成された酸化物、物理気相堆積(PVD)によって形成されたPVDコーティング、化学気相堆積(CVD)によって合成されたCVDコーティング、および原子層堆積(ALD)によって形成されたALD堆積膜のうちの1つまたは複数を含み得る。上記の方法は網羅的なものではなく、ジョセフソン接合絶縁層の機能を実現することができる他の材料も本出願の一部であり得ることを指摘したい。
【0044】
[0048] 本開示のいくつかの実施形態では、量子ストレージデバイスがさらに提供される。量子ストレージデバイスは、超伝導量子ビットを使用して量子コンピューティング情報を保存する。この超伝導量子ビットは、上記の超伝導量子ビットの作製方法によって作製されている。
【0045】
[0049] 本開示のいくつかの実施形態では、量子コンピュータがさらに提供される。この量子コンピュータは、量子ストレージデバイスと、量子エフェクタとを含む。量子ストレージデバイスと量子エフェクタの両方が、上記の実施形態のいずれか1つに従って超伝導量子ビットによって構成される量子状態を介して量子操作を行う。
【0046】
[0050] 本開示のいくつかの実施形態では、量子コンピュータがさらに提供される。図4は、本開示のいくつかの実施形態による量子コンピュータ400の概略構造図である。図4に示すように、量子コンピュータは、量子トランジスタ401と、量子ストレージデバイス402と、量子エフェクタ403とを含み、これらはすべて互いに通信することができる。量子トランジスタ401は、トランジスタのスイッチング機能を実現するように構成され、量子ストレージデバイス402は、量子コンピューティング情報を保存するように構成され、量子エフェクタ403は、量子アルゴリズムおよび量子符号を制御するように構成されている。量子トランジスタ、すべての量子ストレージデバイス、および量子エフェクタは、超伝導量子ビットによって構成される量子状態を介して量子操作を行う。超伝導量子ビットは、ジョセフソン接合と非ジョセフソン接合領域とを含む。非ジョセフソン接合領域は、超伝導材料の第0の層を含む。超伝導材料の第0の層は、超伝導量子ビットの作製中のジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、非ジョセフソン接合領域に堆積された超伝導材料である。
【0047】
[0051] 任意選択により、超伝導材料の第0の層の超伝導材料は、Al、Ta、Nb、またはTiNのうちの1つまたは複数を含む。
【0048】
[0052] 任意選択により、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの後、ジョセフソン接合は、超伝導材料の第1層から堆積されたジョセフソン接合第1の層電極と、ジョセフソン接合絶縁層と、超伝導材料の第2の層から堆積されたジョセフソン接合第2の層電極とを含む。
【0049】
[0053] 任意選択により、超伝導材料の第1の層および超伝導材料の第2の層の超伝導材料は、Al、Ta、Nb、またはTiNのうちの1つまたは複数を含む。
【0050】
[0054] 任意選択により、ジョセフソン接合絶縁層は、酸化によって生成された酸化物、物理気相堆積(PVD)によって形成されたPVDコーティング、化学気相堆積(CVD)によって合成されたCVDコーティング、または原子層堆積(ALD)によって形成されたALD堆積膜のうちの1つまたは複数を含む。
【0051】
[0055] 本開示の実施形態によれば、ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に非ジョセフソン接合領域に超伝導材料を堆積させることによって、つまり、非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第0の層を作製することによって、非ジョセフソン接合領域の基板表面が保護され、したがって、非ジョセフソン接合領域の基板表面への損傷が回避され、非ジョセフソン接合領域の基板表面の誘電損失が低減され、超伝導量子ビットの寿命が延びるという技術的効果が達成され、そして、かなりの誘電損失をもたらし、超伝導量子ビットの寿命が短くなるという、先行技術における超伝導量子ビットの作製方法においてイオンミリングプロセスを使用して基板表面を処理する際の技術的な問題が解決される。
【0052】
[0056] 当業者は、図4に示す構造が単に例示を目的としており、また、図4が上記の電子装置の構造を限定するものではないことを理解できるであろう。例えば、量子コンピュータには、図4に示す構成要素よりも多いまたは少ない構成要素が含まれていてもよいし、図4に示す構成とは異なる構成を有していてもよい。
【0053】
[0057] 図5は、開示された実施形態に従って、コンピューティングデバイスと量子プロセッサとを含む量子コンピュータ500の別の概略構造図である。コンピューティングデバイスの501は、量子プロセッサ502に命令を提供するように構成することができる。量子プロセッサ502は、量子演算を使用してこれらの命令を実施して、量子ビット状態に影響を与えることができる。場合によっては、これらの命令は、読み出し命令である場合がある。量子プロセッサ502は、このような読み出し命令を受信したことに応答して、1つまたは複数の量子ビット状態を読み出すように構成することができる。このようにして、量子コンピュータ500は、量子プロセッサ502を使用して、従来のコンピューティングデバイスを使用してでは実行することができない、または効率的に実行することができない量子計算を実行することができる。
【0054】
[0058] 開示された実施形態と整合して、コンピューティングデバイス501は、従来のデジタルコンピューティングデバイス(例えば、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、コンピューティングクラスタ、またはクラウドコンピューティングプラットフォーム上に実装されたクラウドコンピューティングインスタンス)、またはデジタルプロセッサと量子プロセッサとを組み合わせたコンピューティングデバイスの従来の部分であり得る。開示された実施形態は、コンピューティングデバイス501と量子プロセッサ502との間の通信のための特定の実装形態に限定されるものではない。開示された実施形態と整合して、コンピューティングデバイス501は、バス(例えば、PCIエクスプレスバス、RapidIO、Hypertransport、QuickPath Interconnect、または他の適切な規格)を使用して、またはネットワーク(例えば、イーサネット接続などを使用する)を使用して、量子プロセッサ502と通信するように構成することができる。
【0055】
[0059] 開示された実施形態と整合して、量子プロセッサ502は、ベクトル化された量子コントローラ503と、1つまたは複数の量子ビットコントローラ(例えば、量子ビットコントローラ505Aおよび量子ビットコントローラ505B)と、1つまたは複数の量子ビット(例えば、量子ビット507Aおよび量子ビット507B)とを含むことができる。図5に示す量子ビットコントローラおよび量子ビットの具体的な配置は、限定的であることを意図していない。場合によっては、例えば、1つの量子ビットコントローラが複数の量子ビットを制御するように構成することができる。量子プロセッサ502は、量子ビットを量子計算に適した温度に維持するための極低温システムを含むことができる。量子プロセッサ502はさらに、量子ビットコントローラの出力部と量子ビットとの間に配置されるノイズ低減フィルタや、量子ビットの読み出し部と量子ビットコントローラの入力部との間に配置される低ノイズ増幅器を含むことができる。
【0056】
[0060] 開示された実施形態と整合して、ベクトル化された量子コントローラ503は、コンピューティングデバイス501と通信するように構成することができる。場合によっては、ベクトル化された量子コントローラ503は、コンピューティングデバイス501から命令を受信することができる。このような命令には、量子ビット上で量子ゲートを実行する命令や、量子ビット状態を読み出す命令が含まれている場合がある。ベクトル化された量子コントローラ503は、このような命令を量子ビットコントローラ用のコマンドに変換するように構成することができる。場合によっては、このようなコマンドで、本明細書で説明するように、発生させる波形、波形を発生させる時間を指定するか、または波形の発生をトリガすることができる。様々な場合では、このようなコマンドは、量子ビットコントローラが量子ビットの状態を読み出すように指定することができる。次に、これらのコマンドを、示されるように、量子ビットコントローラ505Aおよび505Bに提供することができる。場合によっては、例えば、量子ビットの状態を読み出すコマンドに応答して、ベクトル化された量子コントローラ503は、量子ビットコントローラからデータを受信することができる。場合によっては、状態データは量子ビットの測定された状態を記述することができる(量子ビットが「0」に対応する状態であったか、「1」に対応する状態であったかなど)。いくつかの実施形態では、状態データは、量子ビットの固有状態の母集団を記述することができる。
【0057】
[0061] 開示された実施形態と整合して、量子ビットコントローラ(例えば、量子ビットコントローラ505Aまたは量子ビットコントローラ505B)は、1つまたは複数の量子ビットと通信するように構成することができる。量子ビットコントローラは、1つまたは複数のデジタルコンピューティングデバイスであり得るか、または1つまたは複数のデジタルコンピューティングデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラは、波形発生器、バイアス源、マイクロ波源などを含むことができる。
【0058】
[0062] いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラは、マイクロ波源と多重化されかつ量子ビットのXY制御線に接続された波形発生器の出力部を含むことができる。場合によっては、XY制御線を使って量子ビットの状態を励起することができる。
【0059】
[0063] いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラは、量子ビットのZ制御線に接続された波形発生器の出力部を含むことができる。バイアス源もまた量子ビットのZ制御線に接続することができる。波形発生器の出力部およびバイアス源は、量子ビット周波数を調整するためにZ制御線に信号を提供することができる。
【0060】
[0064] いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラは、マイクロ波源と多重化されかつ量子ビットの読み出し線に接続された波形発生器を含むことができる。波形発生器は、量子ビットの読み出し線にプローブ信号を提供するように構成することができる。アナログ/デジタル変換器(ADC)を、読み出し線に(例えば、読み出し線のもう一方の端に)接続することができる。ADCは、プローブ信号の提供に応答して、読み出し線によって出力される信号を測定するように構成することができる。量子ビットコントローラはADCを含むことができる。量子ビットコントローラ(またはベクトル化された量子コントローラなどの量子プロセッサの別の構成要素)は、出力された信号から振幅および位相を決定することができる。出力された信号の振幅および位相を使用して、プローブされた量子ビットの状態を決定することができる。開示された実施形態は、量子ビットの状態を測定するいかなる特定の方法にも限定されるものではない。
【0061】
[0065] 本明細書で説明するように、量子ビットコントローラは、ベクトル化された量子コントローラ503と通信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラの波形発生器は、複数の異なるパルスエンベロープを保存するように構成することができる。これらのパルスエンベロープは、異なる量子ゲートに対応し得る。ベクトル化された量子コントローラ503は、量子ビットコントローラに、量子ビットに提供するゲート(またはパルスエンベロープ)の選択を提供することができる。いくつかの実施形態では、波形発生器は、選択したゲート(または選択した1つまたは複数のパルスエンベロープ)を特定の時間に提供するように構成することができる。開示された実施形態は、いかなる特定の時間指示方法にも限定されるものではない。いくつかの実施形態では、時間はタイムスタンプのベクトルによって示すことができる。タイムスタンプは、刺激の開始からパルスの提供までのいくつかの単位(例えば、マイクロ秒、クロックティック、または別の適切な時間単位)を示すことができる。様々な実施形態では、波形発生器は、トリガコマンドに応答して刺激を開始するように構成することができる。
【0062】
[0066] ベクトル化された量子コントローラ503と量子ビットコントローラとの間の通信の非限定的な例として、ベクトル化された量子コントローラ503は、刺激開始後10マイクロ秒後に量子ビットコントローラがアダマール(Hadamard)ゲートに対応するパルスを量子ビットに提供することを示すことができる。ベクトル化された量子コントローラ503は、刺激を開始するためのトリガ信号を提供することもできる。いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラは、ベクトル化された量子コントローラ503に確認応答信号を提供して、量子ビットコントローラが刺激を提供するように構成されていることを示すことができる。このような実施形態では、ベクトル化された量子コントローラ503は、確認応答信号に応答してトリガ信号を提供することができる。
【0063】
[0067] 開示された実施形態と整合して、量子ビット(例えば、量子ビット507Aおよび量子ビット507B)は、超伝導量子回路を使用して実装することができる。このような量子ビットは、電流(例えば、フラックス量子ビット)、または電荷(例えば、電荷量子ビット)、またはエネルギー(例えば、位相量子ビット)に基づくことができる。異なる実装形態が、外部ノイズに対する感度、コヒーレンス時間、または非調和性など、異なる特性を有していてもよい。例えば、容量的にシャントされたジョセフソン接合を含む電荷量子ビットの一種であるトランスモン量子ビットは、電荷ノイズに対する感度の低下を示すことができる。追加の例として、キャパシタおよびインダクタ(後者は追加のジョセフソン接合の配列を使用して実現可能)によってシャントされたジョセフソン接合を含むフラックス量子ビットの一種であるフラクソニウム量子ビットは、長いコヒーレンス時間および大きな非調和性を示すことができる。開示された実施形態は、いかなる特定の量子ビット実装形態にも限定されるものではない。いくつかの実施形態では、単一の超伝導回路を使用して複数の量子ビットを実装することができる。いくつかの実施形態では、量子ビットはジョセフソン接合と非ジョセフソン接合領域とを含む超伝導量子ビットである。非ジョセフソン接合領域は、超伝導材料の第0の層を含む。超伝導材料の第0の層は、超伝導量子ビットの作製中のジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、非ジョセフソン接合領域に堆積された超伝導材料である。
【0064】
[0068] いくつかの実装形態では、量子ビットは、量子ビットコントローラから制御信号を受信し、量子ビットコントローラに読み出し出力信号を提供するように構成することができる。制御信号は、同相および直交パルスエンベロープまたはDCバイアス波形を含むことができる。いくつかの実施形態では、波形は量子ビットに提供されるマイクロ波信号であり得るか、またはマイクロ波信号を変調することができる。読み出し出力信号は、量子ビットコントローラによって提供されるプローブ信号に応答して生成することができる。例えば、読み出し信号は、量子ビットの状態に関する情報を符号化する分散読み出し信号であり得る。
【0065】
[0069] 本明細書で説明するように、量子ビットコントローラは、保存された波形が提供され得る。いくつかの実施形態では、量子ビットコントローラは、ベクトル化された量子コントローラ503と通信して波形を受信することができる。様々な実施形態では、量子ビットコントローラは、コンピューティングデバイス501(または別のコンピューティングデバイス)と通信して波形を受信することができる。非限定的な例として、量子ビットコントローラの波形発生器は、バスまたはネットワークを使用してコンピューティングデバイス501(または別のコンピューティングデバイス)に接続することができる。この別個の接続を使用して、波形を波形発生器のメモリにロードすることができる。
【0066】
[0070] 実施形態は、以下の条項を使用してさらに説明することができる。
1.超伝導量子ビットであって、
ジョセフソン接合と、非ジョセフソン接合領域と、を備え、非ジョセフソン接合領域は、超伝導材料の第1の層を含み、超伝導材料の第1の層は、超伝導量子ビットの作製中のジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの前に、非ジョセフソン接合領域に堆積される超伝導材料である、超伝導量子ビット。
2.超伝導材料の第1の層の超伝導材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、または窒化チタンのうちの1つまたは複数を含む、第1項に記載の超伝導量子ビット。
3.ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域のイオンミリングの後、ジョセフソン接合は、超伝導材料の第2の層から堆積されたジョセフソン接合第1の層電極と、ジョセフソン接合絶縁層と、超伝導材料の第3の層から堆積されたジョセフソン接合第2の層電極と、を含む、第1項または第2項に記載の超伝導量子ビット。
4.超伝導材料の第2の層と超伝導材料の第3の層の両方は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、または窒化チタンのうちの1つまたは複数を含む、第3に記載の超伝導量子ビット。
5.ジョセフソン接合絶縁層は、酸化物層、物理気相堆積(PVD)コーティング、化学気相堆積(CVD)コーティング、または原子層堆積(ALD)堆積膜のうちの1つを含む、第3項または第4項に記載の超伝導量子ビット。
6.ジョセフソン接合は、十字形状である、第1項から第5項のいずれか一項に記載の超伝導量子ビット。
7.ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域を決定するために使用されるマスク構造体を使用する超伝導量子ビットの作製方法であって、
非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第1の層を堆積させることと、
ジョセフソン接合および非ジョセフソン接合領域でイオンミリングを実行することと、
ジョセフソン接合第1の層電極、ジョセフソン接合絶縁層、およびジョセフソン接合第2の層電極を作製することと、
超伝導量子ビットを得るためにマスク構造体を除去することと、を含む、作製方法。
8.マスク構造体の材料は、フォトレジスト、電子ビームリソグラフィ(EBL)フォトレジスト、および無機材料のうちの1つまたは複数を含む、第7項に記載の方法。
9.非ジョセフソン接合領域に超伝導材料の第1の層を堆積させることは、
超伝導量子ビットが位置する空間XYZ座標系において、超伝導材料が非ジョセフソン接合領域に堆積されている間、マスク構造体のシャドー効果に起因して、超伝導材料からジョセフソン接合が防がれるように、X軸に対して第1の角度にあり、かつZ軸対して第2の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第1の層を堆積させることを含む、第7項または第8項に記載の方法。
10.ジョセフソン接合は、十字形状であり、十字形状の1本の脚がX軸に平行である、第9項に記載の方法。
11.ジョセフソン接合第1の層電極を作製することは、
X軸に平行で、かつZ軸に対して第3の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第2の層を堆積させることを含む、第9項または第10項に記載の方法。
12.ジョセフソン接合絶縁層を作製することは、
酸化物を生成すること、
PVDコーティングを形成すること、
CVDコーティングを合成すること、または
ALD堆積膜を形成すること、
のうちの1つを含む、第7項から第11項のいずれか一項に記載の方法。
13.ジョセフソン接合第2の層電極を作製することは、
Y軸と平行で、かつZ軸に対して第4の角度にある方向でXY平面に超伝導材料の第3の層を堆積させることを含む、第7項から第11項のいずれか一項に記載の方法。
14.超伝導材料の第1の層、第1の層電極、および第2の層電極によって使用される超伝導材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、または窒化チタンのうちの1つまたは複数を含む、第7項から第13項のいずれか一項に記載の方法。
15.超伝導量子ビットを備える量子ストレージデバイスであって、超伝導量子ビットは、第7項から第14項のいずれか一項に記載の方法によって作製される、量子ストレージデバイス。
16.超伝導量子ビットを備える量子コンピュータであって、超伝導量子ビットは、第7項から第14項のいずれか一項に記載の方法によって作製される、量子コンピュータ。
17.第1項から第6項のいずれか一項に記載の超伝導量子ビットを備える量子コンピュータ。
18.量子ストレージデバイスと、量子エフェクタと、をさらに備え、量子ストレージデバイスと量子エフェクタの両方は、超伝導量子ビットによって構成される量子状態を介して量子操作を行う、第17項に記載の量子コンピュータ。
19.量子トランジスタと、量子ストレージデバイスと、量子エフェクタと、をさらに備え、量子トランジスタは、トランジスタのスイッチング機能を実現するように構成されており、量子ストレージデバイスは、量子コンピューティング情報を保存するように構成されており、量子エフェクタは、量子アルゴリズムおよび量子符号を制御するように構成されており、
量子トランジスタ、量子ストレージデバイス、および量子エフェクタは、超伝導量子ビットによって構成される量子状態を介して量子操作を行う、第17項に記載の量子コンピュータ。
【0067】
[0071] 本明細書における「第1の」および「第2の」などの関係用語は、エンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作から区別するためにのみ使用され、これらのエンティティもしくは操作間の任意の実際の関係またはシーケンスを必要としたり暗示したりするものではないことに留意されたい。さらに、「備える」、「有する」、「含有する」、および「含む」の単語、ならびに他の類似の形式は、意味において同等であり、これらの単語のうちのいずれか1つに続く1つまたは複数の項目が、そのような1つまたは複数の項目の網羅的なリストであることを意味しておらず、リストされた1つまたは複数の項目のみに限定されることも意味していない点でオープンエンドであることを意図している。
【0068】
[0072] 本明細書で使用される場合、特に明記されていない限り、「または」という用語は、実行不可能な場合を除き、すべての可能な組み合わせを包含している。例えば、データベースがAまたはBを含み得ることが述べられている場合、特に明記されていない限り、または実行不可能な場合を除き、データベースはAまたはBまたはAおよびBを含み得る。第2の例として、データベースがA、B、またはCを含み得ることが述べられている場合、特に明記されていない限り、または実行不可能な場合を除き、データベースはAもしくはBもしくはC、または、AおよびBもしくはAおよびCもしくはBおよびC、または、AおよびBおよびCを含み得る。
【0069】
[0073] 前述の明細書では、実施形態は、実装形態ごとに異なり得る多数の具体的な詳細を参照して説明されている。説明された実施形態の特定の適応および修正を行うことができる。他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示された開示の実践を考慮することにより、当業者には明らかとなる場合がある。本明細書および例は、例示としてのみ見なされるべきであることが意図されており、本開示の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示される。また、図に示す一連の工程は、例示のためだけのものであり、任意の特定の一連の工程に限定されることが意図されていないことが意図されている。したがって、当業者は、これらの工程は、同じ方法を実施しながら、異なる順序で実行することができることを理解することができる。
【0070】
[0074] 開示された技術的な内容は、他のやり方で実施され得ることを理解されたい。上記の装置の実施形態は概略的であるにすぎない。例えば、ユニットの分割は論理機能の分割にすぎない。実際の実装態様では、別の分割方法があってもよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントを別のシステムに組み合わせたり統合したり、いくつかの特徴を無視したり、実施しなかったりすることができる。さらに、表示もしくは議論された相互結合または直接結合または通信接続は、電気的または他の形式であり得るいくつかのインターフェース、ユニット、またはモジュールを介した間接結合または通信接続であり得る。
【0071】
[0075] 別個の構成要素として説明されるユニットは、物理的に分離されていてもいなくてもよい。ユニットとして表示される構成要素は、物理ユニットであってもなくてもよい。つまり、これらの構成要素は、1つの場所に位置していても、複数のネットワークユニットに分散されていてもよい。本実施形態の解決の目的を達成するために、実際のニーズに応じて、ユニットの一部またはすべてを選択することができる。
【0072】
[0076] さらに、本開示の様々な実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、各ユニットが物理的に単独で存在してもよいし、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。上記の統合されたユニットは、ハードウェアの形か、またはソフトウェア機能ユニットの形のいずれかで実装することができる。
【0073】
[0077] 統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形で実装され、独立した製品として販売または使用される場合、それらは量子コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体に保存することができる。このような理解に基づいて、本開示の技術的解決策は、本質的に、または、先行技術に貢献する部分または技術的解決策の全部もしくは一部は、ソフトウェア製品の形で具体化することができる。量子コンピュータソフトウェア製品は、ストレージ媒体に保存され、量子コンピュータデバイスに本開示の様々な実施形態における方法の工程の全部または一部を実行させるために使用されるいくつかの命令を含む。
【0074】
[0078] 上記は、本開示の好ましい実装形態にすぎない。当業者は、本開示の原理から逸脱することなく、いくつかの改良および修整をさらに行い得ることを指摘したい。これらの改良および修整もまた、本明細書の保護範囲と見なすべきである。
【0075】
[0079] 図面および明細書において、例示的な実施形態が開示されている。しかしながら、これらの実施形態には多くのバリエーションおよび修正を加えることができる。したがって、特定の用語が使用されているが、これらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
【国際調査報告】